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渡来船2
21
:
名無しさん
:2012/03/08(木) 04:15:11
「わたしとアイは昔、あるきっかで強い絆で結ばれたの・・・今は時間がないから詳しいことは話さないけど。
しかしこの事を口にしたのは、カズがはじめてなのよ・・・」
(ずっしり!なんかオレすごい重荷を背負わされちゃったみたい・・・。みゆきさん、オレの気持ちは・・・)
どんよりとした湿気のある空気が室内にただよった。
そんな空気を打ち消したのは、今まで無口でうつむいていた藍であった。
「偽りの愛なんかじゃないもん・・・・・・。」
藍は下を向いたままボソッとつぶやいた。その言葉にみゆきも和也も彼女の方を向く。すると今度は藍は二人の方をまっすぐに向いて話し始めた
「みゆきさんの言う通り、さっきのは確かに軽率だったわ・・・。
でも私、あの時カズくんのことを単に性欲の対象として見てたわけじゃない。
私、誰彼かまわずあんなことしないわ。相手がカズくんだったから、ちょっと変な気持ちになっちゃっただけだもん・・・。
だってカズ君のこと好きだもん!! 好きなひととならついエッチなことしてもいいって思っちゃうのは当然でしょ?
カズ君といっしょに気持ちよくなりたいと思ったから・・・。」
「ストップっ!! よくわかったからそこまでにしなさい!!」
「みゆきさん!! 私これでも真剣に話してるのよ?」
「わかってるわよ・・・、問題はそこじゃなくて・・・。」
みゆきは横に目配せする・・・、藍もそっちを見ると、思わずあっ!! と叫んだ。
「あ・・・あい・・・ひゃん・・・。ぼくのこと・・・・・・そんなに・・・」
ぼ〜っと藍を見つめて立ち尽くす和也の鼻からボタボタと鼻血が滴っていたのだ。
既に足元には大きな血溜まりができつつある。
「カズ君!! ちょっと、大丈夫?」
「貴女の気持ちは純粋なんだろうけど、こいつの頭の中では全部いやらしく変換されちゃうの。店の床が汚れるからこいつのスケベ心を刺激しないでちょうだい。」
カズ君はそのまま、貧血で倒れそうになったところを二人に介抱されました。
・・・・
「みゆきさん。あたしあなたの希望に添えるようなヴァンパイアになれるかわからないけど、努力してみる。
カズ君が私の手でレッサーになるのなんて嫌だもの。」
なんとか落ち着いたカズの頭を撫でながら藍は言います。
「そうね、その考え方は賢明だわ。貴方が気をつけていてもカズがこの調子じゃね。
勝手に鼻血出して失血死して、ヴァンパイアになっちゃったらやりきれないし。」
「そこまでいわなくても・・・。」
「しゃべるな、寝てろバカ男!!
ま、それはそうと貴女自身もまだヴァンパイアとして未熟だし、ヴァンパイア・ハンターとしての腕前もまだまだだし、修行が必要だけどね。」
「ぶーッ!!そこまでいうことないぢゃん!!」
「だって本当のことでしょう?それに初めて吸血した相手ってカズだったんでしょう!?
ちょっと男の趣味も問題ありすぎて心配だわ。」
意味ありげな視線で、藍をみつめる みゆきであった。
「えッー、オレがアイちゃんのファーストキス・・・じゃなかったファースト吸血の相手なのー?」
藍の顔が一瞬にして真っ赤になってしまった。
そんな藍の初心な姿に心温まるみゆきであった。 でも、だからこそ厳しくしなければならないとみゆきは改めて思うのだった。
この純粋な笑顔を守る為に私がまだまだ教えてあげなきゃならないことは多いのだ。
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