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渡来船2

20名無しさん:2012/03/08(木) 04:11:23
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「渡来船」の地下室は、お店の従業員でも滅多に出入りしない場所であった。
いや出入りしない場所ではなく、したくても出入りできない力が働いていると考えたほうが、
わかりやすいのではないだろうか。
それは裏の世界を知っている特殊な存在きり出入りできない空間だったからです。
その為か、お店の従業員でも「渡来船」の地下室があることを知っているのは、
穂積みゆきと北原美樹だけなのです。

地下室は中世ヨーロッパのお城の一室のような部屋でした。
部屋の大きさは、地下室にしてみれば結構広い空間でした。
そして部屋の中央には、ドラキュラが愛用してるような木製の棺がおいてあり、そのためか部屋は狭く感じられ、異様な雰囲気が漂っていたのです。

カズこと、早瀬和也 は みゆきに案内されてこの地下室を訪れるのは2度目となった。
初めて訪れた時もそうだったが、この部屋に入ると緊張して変な胸騒ぎがするのでした。
(それにしても、左耳が痛てー!)
みゆきに左耳をつかまれ引きずられながらこの部屋についてきたので、
まっかっかに腫上がってしまったのでした・・・。
カズは耳をさすりながら部屋見渡すと、同様に藍も泣きべそをかきながら右耳をさすっています。

「みゆきさん!確かにお店でアイちゃんといちゃついた事については謝るよ!だけれどもこの仕打ちは・・・」

「カズ!おだまり!!」

間一髪、みゆきから返事がかえってきた。
みゆきはセーラー服のポケットからバージニアスリムを取り出すと、1本口にくわえた。
そのタバコをジッポで火をつけると、煙を胸にいっぱい吸い込んだのでした。
ふぅーッ!
その時、みゆきは何かを考えていたのだろう・・・タバコの煙を吐き出したとき、その考えが決意にかわったのです。
そして話しました。

「2人ともこれからわたしが話すことをよくきいてちょうだい!
イチャつくのは構わない。 だけど、節度をわきまえなさい!!
アイには欲望に左右されない、誇り高い愛のあるヴァンパイアになってほしいの!
もしアイが欲望のうずまく黒い闇に心を奪われたなら、わたしはヴァンパイア・ハンターの名にかけてあなたを手に掛けなければならないわ・・・」

「ちょ、ちょっと待った!!
ってことはアイちゃんが黒い闇の世界に支配されちゃったら、あの年増女の黒百合みたくエッチになちゃうわけ?」

「”エッチになっちゃう”? ほほぅ・・・、
男を暗がりに連れ込んで、子種を絞り取ろうとするような状態でもまだエッチじゃないと?」

「いや・・・、それは」

「今ならまだその程度で済むかもしれない。 でもアイがヴァンパイアであることを忘れちゃいけないわ。
アイだけでなく多くのハーフヴァンパイアは個人差はあれど性に対して奔放だと聞くわ。これは吸血鬼の本能に起因する部分が多いの。 

ヴァンパイアにとって性交渉は獲物を狩ること、つまり吸血行為の延長線上にある。 
ああいうふしだらな事をなりふり構わず行っていると、そのうち欲望に歯止めが効かなくなるわ。

吸血鬼としての動物的本能が目覚めて、永遠の若さを求めて手当たり次第に獲物を追い求めては生き血をすすり、そして偽りの愛で精気を貪り尽くすの。
そしてボロボロになって死んだ人間は、生ける屍、レッサーヴァンパイアとして生まれ変わり他の獲物を襲うのよ!
カズは1度経験してるからわかるでしょう!」

「う・・・それは・・・」

「・・・・・」

藍は無口のままうつむいて、二人の会話をきいていた。


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