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渡来船2

2カサブタ:2012/03/06(火) 22:57:27
とある夏の夜、ここはハンガリーの片田舎ホロウ・クイ。ある夜、この人里離れた寒村の中心にある古城で盛大なパーティが開催されました。

宮殿の豪華な広間では紳士淑女たちが軽やかにステップを踏んで、
華やかに仮面舞踏会が繰り広げられていた。
その中でも一際めだったカップルが広間の中央で踊っていた。

一人はこの城の城主であり、仮面舞踏会の主催でもあるキルシュ伯爵である。由緒正しい貴族の血を引く伯爵であり、有数の大富豪でもある彼は、この古城でまさに中世の貴族さながらの悠々自適な生活を送っていた。彼は道楽好きで知られ、今では村の数少ない行事であるこの仮面舞踏会も元々は彼の思いつきで始められたものだった。

身長が180センチくらいある大柄な体格の持ち主であり、豊かな黒い髪は腰のあたりまで長く伸び、顔立ちも端正ですごく凛々しかった。きめ細かな白い肌に厚みのある口唇は、真っ赤で力強さが感じられた。

もともと病弱だった彼は、数年前まで病気療養中で暫くこの舞踏会にも姿を現さないでいたものの。今ではそれが嘘であったかと思うくらいに回復して周囲を驚かせたものでした。

黒い燕尾服の上に黒いマントを羽織り、そして黄金仮面の奥の瞳は優しく淑女を見つめていた。
そんな瞳に見つめられるとどんな女性でも彼に魅了されることだろう
事実、この仮面舞踏会に出席している大半の女性は彼のファンだった

今宵、伯爵の相手となった淑女の方は、危なっかしいステップで彼についていこうと必死で踊っていた。彼女にとって今日は、記念すべき舞踏会デビューの日でもあった。
今年数え年で17歳になり、名前はマリアといいます。町にある宿屋を死んだ両親に代わって姉とともに切盛りするしっかり者の少女であり、チャーミングで器量よしの看板娘だ。 もちろん、普段はこんな舞踏会とは無縁で、仕事以外では、読書することと絵を描くことくらいが楽しみのごく普通の町娘でした。実は今回の舞踏会も、招待状は姉に届いたのですが、優しい姉は彼女にチャンスを譲ってくれたのだった。

彼女にとってキルシュ伯爵とダンスをするなんて夢のような状況でした。
彼女の今まで知っている伯爵というのは、まわりの女性達が黄色い声をあげては噂しあっている、そんな姿だけでした。
男性を知らない彼女にとっては、初めて憧れた男(ひと)でもあったのです。


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