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渡来船2
14
:
カサブタ
:2012/03/06(火) 23:36:42
キュピーンッ!
「ハッ!! 不純で邪な密約の匂いがする!!」
「船長、急に何言ってるんですか?」
「美樹ちゃんっ!! ちょっとこの料理頼むね。」
みゆきはカウンターを飛び越えると、射るような目できょろきょろと店内を見渡した。
(ここにはいない!! となると・・・、)
みゆきは電光石火の早さで店の影にある物置に向かいました。そして、扉を開けると、思ったとおり二人の姿がそこにありました。
「み・・・みゆきさん・・・。」
「あ・・・姉御・・・、どうかご勘弁を。」
そこには二人してマントにくるまってなにやら乳繰りあっている男女の姿がありました。
床を見ると、脱ぎ捨てられたジーパンと汚いトランクスが・・・。
もうかなりヤバいところまでいきかけたのか、二人共額に汗が浮かび、息が荒くなっています。
みゆきはすぅ〜っと息を吸い込んでから、店全体が揺れるような大声で叫びました。
「こらァー!そこォー!ふざけてるんじゃねーぞ、てめーらッ!!」
カズ君と藍ちゃんは濡れ水をかぶったように、飛び上がりました!
「アイにバカ男!ここでそれ以上やったら、二度とこの店の敷居またがせないわよ!
ここはお酒を楽しんで飲むところであって、そっち系のいかがわしい店じゃないのよ!!」
ありゃまー、みゆきにしこたま怒られてしまったおバカな二人でした・・・。
再び 渡来船内
「ごめんなさーい、みゆきさん」
二人はみゆきの正面のカウンター席に座らされて反省していました。
悪い事をしたと思い、素直に謝った藍ではあったのだが・・・。
(ダイエットの最中だから普段より食欲旺盛なのはわかっていたのよ!
んッ、だけど・・・あたしって食欲を満たす方法って、アッチでもできちゃうじゃん!
そしたらお食事はアッチがメインでしちゃえば、ダイエットなんか気にしなくてもいいかも!
・・・てへッ!我ながらいい名案じゃーん)
真顔であった藍の顔がじょじょに緩みはじめ、しまいには口からヨダレがたらーっと。
「てへッ、えへへ!」
「ちょ、ちょっとアイちゃん。それヤバくない?」
カズ君に肩を叩かれ、ようやく正気を取り戻した藍は右手で口を拭った。
「ヤバー・・・(冷汗)」
気まずくなりながらも、みゆきを上目づかいでうかがう藍であった。
みゆきは温かい牛肉と野菜のトマトソース煮を皿に盛る最中だったのですが、藍の様子にあきれ返っていました。
「お前ら…、トマト塗れになりたくなければ暫くそこを動くな…。」
「「は……はい…」」
みゆきには藍が考えていたことが、どんな事なのがすぐにわかったようでした!
彼女は二人をじろりと見据えながら、近くに居た美樹を呼んだ。
「美樹ちゃん度々ごめん!私、ちょっとこいつらと地下室でお話ししてくるから!」
「は・・・はい!」
「あとの店番はよろしく頼む!」
「わ、わかりました船長!」
カズ君におごってもらった生ビールでほろ酔い状態だった美樹でしたが、
みゆきのただならぬ態度に、あっというまに酔いが覚めていくのでした・・・。
「痛ッ!うぎゃー」
「やめてー、みゆきさーん!!」
「うるさいわねー、ちょっとこっちおいで!」
みゆきは藍の右耳とカズの左耳をむんずとつかむと、ずりずりと引きずるように店内から連れ出したのでした。
美樹はふるえながらも、みゆきの後ろ姿に敬礼するのでした。
(ご愁傷さまです・・・アイちゃんそしてカズ君)
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