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渡来船2

118カサブタ:2012/03/17(土) 20:51:19
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「藍・・・。」

「いいの、私は大丈夫。 それよりカズ君を助けなきゃ。 みゆきさんは立てる・・・?」

「・・・・・・、 ちょっときついな。 起こしてくれない?」

藍はみゆきの腕を肩に回して持ち上げた。 ローズが滅びて魅了の魔法も解けたとはいえ、反動と疲労で身体はまだガクガクだ。

「じゃあ・・・、いくよ。」

藍は持っていたマントを放り出し、呪文をかけた。マントに溜め込まれたローズの魔力を一気に解放したのだ。

すると、残されたローズのマントの表面がボコボコと沸騰するように蠢き初める、やがて、そこから溶け出すように大量の赤いスライムが流れ出てきた。
ローズのマントの中に収まっていたとは思えないほどのスライムのあちこちに、腐乱した人間の身体の一部と思しき物が混じっていた。

「みゆきさん・・・、これって・・・。」

「ローズに捕らわれた犠牲者達だわ・・・。
可哀想に・・・、たとえ肉体が滅びても魂はあいつに捕らえられたままだったのね。」

スライムの海に溺れる亡骸達はどれも絶望に歪んだ表情が張り付いている。おそらく、こうやって形が残っている者達の何十倍、何百倍もの魂がローズのマントの中に溶け込んでいるに違いない。

「あれは・・・っ!!」

藍はその赤い海の中に、一際歪な肉塊があるのを見つけた。

「カズくん!!」

藍はスライムの海を掻き分けて駆けていった。そして、服が汚れてしまうのも厭わずその塊を抱き上げた。 
それはまるで未成熟な胎児のような姿をしていた。手足は僅かにその痕跡を残すのみで不完全な形をしている。もはや藍でなければそれがカズだとわからなかっただろう。

「あぁ・・・カズくん。 ごめん、ごめんね・・・、私のせいでこんなことに・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「っ!! カズくん・・・、まだ魂は残っているのね・・・。 よかった・・・。」

藍は変わり果てたカズの姿を抱きしめた。 みゆきは心配そうにそれを見ている

「藍・・・、どうするの。 カズの魂が残っているとはいえ。 身体がその状態じゃ・・・。」

「・・・・・・・・。」

「・・・・・・、やるつもりなのね・・・?」

「いけないことだってわかってる・・・。 ハンターである以上みゆきさんも見過ごせないよね・・・。
でも許して・・・。 私のせいでこうなってしまったの。 せめてカズくんだけは助けたい・・・。」

カズの身体はもう原型を止めていない。 放っておいたら僅かに残っている魂も消えてしまう。
助かる方法があるとすれば一つだけ・・・。

「落ち度なら私にもある・・・。カズの守りは貴女の血に任せきりだったし、奴が日本に現れないとタカをくくっていたもの。
出かける前にカズに危険が及ぶ可能性に気付くべきだった。」

みゆきは静かに後ろを向いて藍から目を逸らす。

「私は何も見てない・・・。 貴女がこれからすることに私は一切関知していないわ。」

「ありがとう・・・、みゆきさん。」

藍はカズの身体を胸に抱きマントで包むと、もう片方の腕で、服の胸元をはだけた。
綺麗な形をした藍の胸が姿を現し、彼女はそのピンク色の乳首をカズの頭と思しき場所に押し当てた。


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