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渡来船2

117カサブタ:2012/03/17(土) 20:49:08
一方、ローズの艶やかな体は急速に年を取るように黒ずみ、あちこちから小さな火のような物が発生すると同時に焼け落ちていった。

「ああ・・・あ・・・、そんな・・・私の身体が・・・・・・、 美しい私の身体が・・・壊れる・・・・・・!!」

ローズは引きつった表情で自分の手を見る。 
何人もの男を狂わせ骨抜きにした美しいその手、そのしなやかな指も、彼女の目の前で萎み、枯れ木の様に崩れ落ちていく・・・。

「これで終わりよ・・・。 何人もの命で塗り固めた偽りの美貌なんて許される存在じゃないわ。」

藍は立ち上がり、ローズの方へ近づいていく。

「そん・・・な、 宝珠はさっき・・・・・・。」

「あの銃の弾倉は空っぽよ。 宝珠の弾丸だけを抜いて持っていたの。」

みゆきから銃を受け取った直後に彼女は弾丸だけを抜き出していた。
先程、みゆきの前で構えたり揉み合っている間に銃を落としたのはカムフラージュだったのだ。

藍はマリアに組み伏せられるふりをして地面に落ちると、袖の中に隠していた宝珠の弾を密かに手に持ち替えたのだ。

「藍・・・、あなたそれ・・・。」

「私も出来るようになったよ・・・、梨香さんの飴玉マジック・・・。」

藍はみゆきの方を見て少しだけ微笑む。みゆきもつられて安堵の表情を見せた。

「あぅ・・・あ・・・あぁ・・・、アイ・・・。」

ローズはもう立っていることもままならないようだった。片足が朽ち果て、地面に膝を落とす。
藍の方に手を伸ばすが、それも肘から先が落ちて灰になってしまった。

「もういいでしょう・・・。 貴女は間違いを犯しすぎた・・・。 ばいばい、お母さん・・・、 私を生んでくれたことだけは感謝してる・・・。」

藍は険しい顔で、ローズが朽ち果てるのを見ていた・・・。その顔に勝利の喜びは無く、色々な激しい感情が混ざったような表情をしていた。

「ふ・・・・・・ふふふ・・・。 私を滅ぼしたって、 何も変わらない・・・・・・。
貴女も私と同じ・・・・・・、いずれ、血を欲する衝動に耐えられなくなる・・・・・・。」

ローズは口を歪ませながら、最後の怨嗟の言葉を紡ぐ

「いくら、否定しても貴女は私と同じ真祖・・・・・・。 人間と共存するなんてできない・・・
だって貴女は・・・・・・、私の・・・・・・。」

そして藍の目の前でローズの身体は砕け散った。 マントだけを残し、地面に落ちた欠片は灰に代わりそのまま風に流されていった。

「・・・・・・・・・。」

藍はローズのマントを拾った。暫く何も言わずにそれを握り締めていたが、そのうち彼女の目から涙が一粒落ちた・・・。


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