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渡来船2
114
:
カサブタ
:2012/03/17(土) 20:41:31
「あいつら近づいてくるわ!! 愚かね。 あんなガラクタでお姉様の魔力に挑もうなんて。」
「命を捨ててでも私を止める気ね・・・。 遊んであげましょうかマリア。 奴等をこの講堂に近づけるわけにはいかないわ」
「ふふふ・・・、そうねお姉様っ!!」
マリアと話している間もローズは魔法攻撃の手を緩めない。マリアは自分の眷属である少女達を一斉に飛び立たせ、ヘリに向かわせた。
「ヴァンパイア達が来る!! どうしよう、みゆきさん。 この数は私でも対応できるかわからないわ!!」
「いつも言ってるでしょう藍っ!! プロのハンターは狼狽えない!! こういう状況なら想定済みなのよ!!!」
みゆきはコクピットのボタンを押す。 すると、ヘリの両側に取り付けられた筒状の物から大量の銀粉が散布された。航空機用の大型シルバーチャフだ。
「きゃああっ!!」
ヘリを取り囲んでいた吸血鬼達は思わず道を開けてしまう。その間をみゆきたちは抜けていった。
「そのヘリ、ミサイルとか機関砲は積んでないの? 今なら講堂を狙えるじゃない!!」
「ばかね!! そんなもん付けてたらさっきの攻撃でとっくに空中爆発してお終いだったわよ。
どのみちあいつにそんな火器は通用しないわ。 奴に止めを刺せるのは宝珠の弾だけよ!!」
みゆきはただローズに接近することを重視して余計な物は全て外させていた。
通常、飛行に支障をきたすような異常が発生するとヘリは自己回転を始めて墜落の衝撃を軽減するようになっているのだが、みゆきはその機能すらもあらかじめ外させたのだ。
今はもはや慣性だけで近づきながら自由落下している状況だが、おかげでローズ達を目視できる距離にまで近づくことができた。
「ここまでくればっ!!」
ヘリが墜落する直前にみゆきは残っていたシルバーチャフを一気に前方に放出した。
「マリアっ!! 防ぎなさい!!」
「きゃぁっ!!」
マリアはマントを巻きつけて、飛んでくる大量の銀粉を防御した。
ローズのダメージは無いに等しいが、マリアにはかなり効果があったようだ。
彼女はそのままへたり込んでしまう。
ローズは気を取られて思わず攻撃の手を緩めた。
同時にみゆきは宝珠の弾を込めた拳銃とサブマシンガンを持って飛び出した。
地面とスレスレの位置でパラグライダーを開いた彼女の後ろで機体は粉々に爆散する。見ると、既にローズの数十メートル手前まで来ていたのだ。
「藍っ!! このまま突っ込むわよ!! 私を守って!!」
「わかったわ、みゆきさん!!」
今度は藍がみゆきの前に出てローズの攻撃を凌ぐ盾になった。
みゆきは滑空したまま、藍の背後から片手でマシンガンを乱射し、ローズに向かっていく。
チャフがキラキラと舞う中を二人の影が駆け抜けていく。
「ほほほ・・・!! 何をするかと思えば。 そんなもので私を倒せるとでも?」
次々と発射された銀弾はローズに届くまえに空中で煙と化して消滅していく。
ローズの周りには、魔力で作られた障壁が存在しているのだ。
だが、これはあくまで目くらまし。本当の切り札はもう片方の手に握った拳銃だ。
みゆきはパラグライダーを外し、その勢いを保ったまま走り始める。
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