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仮投下スレpart1

149属性は「肉」、種類は「変態」 ◆mtws1YvfHQ:2011/07/10(日) 17:30:11
 真庭蝙蝠と供犠創貴を箱庭学園とは逆方向に向かっていた。

「きゃはきゃは、悪いな。さっき話した双識って奴が居るかも知れないからな」

 理由は蝙蝠の警戒心が理由だが、きゃはきゃは、と全く悪びれる様子を見せず蝙蝠は笑っていた。
 普通ならウザったく感じる特徴的な笑い声だが、今は殺し合いの最中。
 普通の状況ならまだしも今はその意味合いは変わってくる。
 人目を憚る様子も無く笑っていられるのは、底抜けの馬鹿か己の実力に相当自信のあるかのどちらかの現れでしかない。
 そして、蝙蝠は後者の方だった。
 だが、そうだからと言って協力関係にある者、今回の場合は同盟を結んだでいる供犠だが、は普通ならそれを良いとは思わないだろう。
 しかし生憎ながら同盟を結んでいる供犠も供犠で普通の人間ではなかった。
 魔法使いを手駒とするような人間だ。
 むしろ笑い声に引き寄せられて誰かしら来ないかと思っていた。
 それも、敵味方問わずに。
 残念ながら誰も現れる様子はない。

「良いよ。どっちにしろ診療所か病院には行きたかったし、渡りに舟って所だ」
「きゃはきゃは、渡りに舟か。舟にゃあんまり良い思い出はねえが……褒め言葉として受け取っておくぜ」

 意味も無く笑う蝙蝠を供犠は一瞥したが、呆れたように視線を逸らし、黙々と歩き続ける。
 ノリが悪いとばかりに蝙蝠は舌打ちを一つし、しばらくの間は不満げながらも歩調を合わせていた。
 しかし段々と目に見えて機嫌が悪くなって行き、不意に身体を軽く屈めると、供犠を掴んで肩に担いだ。

「うおっ!? 何を」
「遅い」

 文句を言おうとした供犠の先を制すように、蝙蝠は言った。
 遅い、と言うのには無理もない。
 供犠の身体の大きさはどう大きく見積もっても所詮は子供の大きさ。
 それに対する蝙蝠の身体の大きさは、少なくとも今は、大人の大きさ。
 身体の大きさに歩幅が関係無いはずはなく、蝙蝠は供犠に合わせてゆっくりと歩いていたのだ。
 それなのに話にも付き合ってくれる様子も無い。
 最初は暇なだけだった。
 しかし段々と、もしかしたら零崎双識が追って来るんじゃないかと言う不安が大なり小なり現れ、その結果、さっさと目的地まで移動するために、蝙蝠からすれば足の遅い供犠を肩に担いだのだった。
 最初こそ幾らか抵抗を示した供犠だったが、予想以上の、それこそ風のような速さにその抵抗は段々と収まり、言っていた。

「ぼくを担いでこの速さか……」
「おれからすればお前は荷物に入らねえぜ? きゃはきゃは」

 特に誇る訳でもなく、当然のことのように蝙蝠は答えた。
 一体どれほどの修業を重ねれば子供一人を担いでも平然と、しかも速く走る方法を身に付けられるようになるのだろうか。
 其処に到るまでの過程は文字通り、想像を絶する世界の話だろう。
 風を感じながら供犠は思わず、小さく呟いていた。

「……少しあんたを見縊ってたかも知れないな」
「きゃはきゃは。真庭忍軍十二頭領が一人、真庭蝙蝠さまを舐めんじゃ……」
「あ、ストップ」

 何やら自慢げに言い始めた蝙蝠の言葉を遮るように、供犠は言った。


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