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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ2

1二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/02(木) 22:48:38 ID:HtbcufRI
当スレッドはTV放映された
平成仮面ライダーシリーズを題材とした、バトルロワイヤル企画スレです。
注意点として、バトルロワイアルという性質上
登場人物が死亡・敗北する、または残酷な描写が多数演出されます。
また、原作のネタバレも多く出ます。
閲覧の際は、その点をご理解の上でよろしくお願いします。


当ロワの信条は、初心者大歓迎。
執筆の条件は、仮面ライダーへの愛です。
荒らし・煽りは徹底的にスルー。


平成仮面ライダーバトルロワイアル@ウィキ
ttp://www43.atwiki.jp/heisei-rider/pages/1.html

前スレ
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1288082693

避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14262/

2chパロロワ事典@wiki
ttp://www11.atwiki.jp/row/

執筆の際は、以下のページを参照にしてください
ttp://www43.atwiki.jp/heisei-rider/pages/30.html

2二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/02(木) 22:49:10 ID:HtbcufRI
【参加者名簿】

【主催者】
大ショッカー@仮面ライダーディケイド

【仮面ライダークウガ】 5/5
○五代雄介/○一条薫/○ズ・ゴオマ・グ/○ゴ・ガドル・バ/○ン・ダグバ・ゼバ

【仮面ライダーアギト】 5/5
○津上翔一/○葦原涼/○木野薫/○北條 透/○小沢澄子

【仮面ライダー龍騎】 6/6
○城戸真司/○秋山 蓮/○北岡秀一/○浅倉威/○東條 悟/○霧島美穂

【仮面ライダー555】 5/7
○乾巧/○草加雅人/○三原修二/●木場勇治/●園田真理/○海堂直也/○村上峡児

【仮面ライダー剣】 6/6
○剣崎一真/○橘朔也/○相川始/○桐生豪/○金居/○志村純一

【仮面ライダー響鬼】 4/4
○響鬼(日高仁志)/○天美 あきら/○桐矢京介/○斬鬼

【仮面ライダーカブト】 6/6
○天道総司/○加賀美新/○矢車想/○擬態天道/○間宮 麗奈/○乃木怜司

【仮面ライダー電王】 5/5
○野上良太郎/○モモタロス/○リュウタロス/○牙王/○ネガタロス

【仮面ライダーキバ】 4/4
○紅渡/○名護啓介/○紅 音也/○キング

【仮面ライダーディケイド】 5/5
○門矢 士/○光 夏海/○小野寺 ユウスケ/○海東 大樹/○アポロガイスト

【仮面ライダーW】 7/7
○左翔太郎/○フィリップ/○照井竜/○鳴海亜樹子/○園咲 冴子/○園咲 霧彦/○井坂 深紅郎

58/60

3二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/02(木) 22:49:46 ID:HtbcufRI
【修正要求について】
・投下されたSSに前作と明らかに矛盾している点がある場合、避難所にある議論用スレにて指摘すること。それ以外はいっさいの不満不平は受け付けない。
・修正要求された場合、該当書き手が3日以内(実生活の都合を考慮)に同じく議論用スレにて返答。必要とあらば修正。問題無しならそのまま通し。
・修正要求者の主観的な意見の場合は一切通用しません。具体的な箇所の指摘のみお願いいたします。

【書き手参加について】
・当ロワは初心者の方でも大歓迎です。
・書き手参加をご希望の方は避難所にある予約スレにて予約をするべし。
・その他、書き手参加で不明な点、質問は本スレ、もしくは避難所の雑談スレにでも質問をお書きください。気づきしだい対応致します。

基本ルール
各ライダー世界から参加者を集め、世界別に分けたチーム戦を行う。
勝利条件は、他の世界の住民を全員殺害する。
参加者を全員殺害する必要はなく、自分の世界の住民が一人でも残っていればいい。
最後まで残った世界だけが残り、参加者は生還することが出来る。
全滅した参加者の世界は、消滅する。

4 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:53:57 ID:VTV3nv6A
そろそろ時間ですので
門矢士、北條透、牙王、アポロガイストを本投下します

5巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:55:32 ID:VTV3nv6A
上から降り注ぐ太陽の光に、森は照らされていた。
青く広がる空では、白い雲が風で流されている。
微風は涼しく、浴びる者に心地よさを感じさせるかもしれない。
辺りを流れるそれは、木の葉を揺らしていく。
だが、青年はその音を聞いても、何とも思わなかった。
漆黒色のロングコートと赤いシャツ、デニム生地のズボンに身を包む彼、門矢士は歩いている。
その手に、力が失われてしまったライダーカードを持ちながら。

「やれやれ、こんな事になるなんてな」

溜息を吐きながら、士はぼやく。
彼はいつものように、仲間達と共に世界を巡る旅を行っている最中だった。
しかし突然、大ショッカーに知らない内に拉致され、こんな世界に放り込まれる。
そしてホールにいた死神博士は、見覚えのある映像を見せてきた。
様々な世界にいた仮面ライダー達が、怪人と戦う姿。
広大な宇宙に浮かぶ幾つもの銀河。
それらが衝突した結果、崩壊する世界。
無論、そこにいた存在全てもまた、消滅する。
歴史が、町が、人が、怪人が、仮面ライダーが。
何一つとて、残らない。
あの光景には、見覚えがあった。
かつて自分に世界を巡る旅を命じた男、紅渡と出会った際に見せられた物と、よく似ている。

「にしても、大ショッカーは潰した筈だ…………どうなってる?」

無意識の内に、疑問を口にした。
そう、数多の世界に魔の手を伸ばした秘密結社、大ショッカー。
奴らは仲間達と力を合わせて、潰したはず。
それなのに何故、再び結成されたのか。
スーパーショッカーのように新たに立て直したのか。
だがどんな理由にせよ、蘇ったのなら叩き潰せば良いだけ。

「カードの力が全て失われてる……まあ、あいつらの仕業か」

異世界に存在する仮面ライダーの力が込められた、ライダーカード。
ディケイドの物以外、全て灰色に染まっている。
ネガの世界でも起こった災難が、再び襲い掛かるとは。
加えて、ケータッチも手元には無い。
だが、無いなら取り戻せば良いだけだ。

6巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:56:02 ID:VTV3nv6A
「しかし、アポロガイストや剣崎一真までいるとはな」

デイバッグの中に入っている、参加者の名簿。
その中には、信じられない名前が混ざっていた。
一人は、Xライダーの世界で脅威となった大ショッカーの幹部、アポロガイスト。
幾度と無く立ち向かってきたが、その度に返り討ちにし、最後には叩き潰した。
恐らく大ショッカーが、この殺し合いの為に蘇らせた可能性が高い。
そしてもう一人。
剣崎一真。
自分がかつて訪れたブレイドの世界。
そこを守っていた剣立カズマとは違う、もう一人の仮面ライダーブレイドだ。
ライダー大戦が始まった際、戦いを繰り広げた記憶がある。
その男までもが、連れてこられたとは。
だが、今はそれよりも気にする事態がある。
それは、自分と同じように連れてこられた三人の仲間達だ。

「死ぬなよ、お前ら…………」

仲間の身を案じながら、士は呟く。
光写真館で自分の帰りを待っていた女性、光夏海。
クウガの世界で始めて出会った仲間、小野寺ユウスケ。
財宝を求めて旅に同行するコソ泥、海東大樹。
何だかんだで、頼もしい仲間達だ。
こんな訳の分からない戦いで、犠牲にさせるわけにはいかない。
一人でも欠けてしまっては、残された爺さんが悲しむだろう。
大ショッカーは戦いに勝ち残れば、願いは何でも叶えると言った。
だが、あんな奴らが約束など守るわけが無い。
まずは仲間達との合流を目指し、大ショッカーへの対抗することが先決だ。
そう思う士は、木々の間を進み続ける。







「参りましたね……殺し合いなんて」

『アギトの世界』から連れてこられた、ビジネススーツに身を包んだ青年、北条透は溜息を吐いた。
警視庁捜査一課の警部補であり、本庁きってのエリートと呼ばれた彼は、雑草と土を踏みしめながら歩く。
北条は違和感を覚えながらも、現状を把握した。
まず、自分が今いる場所は、大ショッカーと名乗った集団が用意した殺し合いの場。
この戦いは、六十人もの人間が集められ、それぞれ世界ごとにグループで分けられている。
そして生き残らなければ、自分の生まれた世界は跡形も無く、消滅。
どこまでが本当なのか、疑問だった。
だがこの状況は、夢ではなく紛れも無い現実。
首から伝わる感触が、その証拠だ。
到底信じがたいが、現実逃避はしてはいけない。

「迷惑な話ですよ……私はこんな事で時間を潰している場合ではないのに」

大ショッカーと現状の不満を感じて、北条は愚痴を漏らす。
そもそも自分は、警察上層部からの命を受けて、アギト殲滅作戦を行っているはずだった。
その為に、G3システムを使い、アンノウンを保護する。

7巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:56:36 ID:VTV3nv6A
しかしその最中に、得体の知れない連中によって、こんな戦いに繰り出されるとは。
しかも名簿を確認してみると、見覚えのある名前がいくつかある。
アギト殲滅作戦のターゲットとなった、津上翔一と葦原涼。
既に亡くなった筈の男、木野薫。
犬猿の仲とも呼べるライバル、小沢澄子。
翔一はともかく、他の三人とは合流したところで、上手く協力できるか。
特に小沢と葦原は、一悶着は避けられない。
だが、背に腹は変えられないだろう。
今だけは、何とか協力関係を持つしかない。

「しかし……『仮面ライダー』とは一体……?」

始まりのホールで、死神博士と名乗った老人の言葉を思い出す。
あそこから推測すると、別々の次元に存在する世界を引き寄せて、融合させてしまう存在らしい。
そして、仮面ライダーと敵対する組織や怪人とやらも、世界が崩壊する因子の一つ。
正直な所、これだけでは上手く概念が断定できない。
それにあの言葉が真実ではない可能性も、充分にある。
自分達を拉致して、殺し合いを強制させるような組織が、生贄に何を教えるのか。
だが何にせよ、情報があまりにも足りない。
大ショッカーについても、世界の崩壊に関しても。
ここは知り合いと一刻も早く合流し、戦場からの脱出を行うべき。
奴らは戦いに勝ち残れば、どんな願いでも叶えると言った。
しかし、そんな餌に釣られる訳が無い。
仮に殺し合いに乗って、生き残ったとしよう。
その後に、大ショッカーが約束を守る保障など、何処にあるのか。
最悪の場合、殺される可能性が高い。
北条が考えを巡らせていた、最中だった。

「おい、お前は『仮面ライダー』って奴か?」

突然、背後から声が聞こえる。
自分にとって、全く覚えの無い声が。
北条は、反射的に振り向く。
その瞬間、彼は金縛りにあったかのように、全身が硬直した。
目の前に立つ壮年の男から、あまりにも凄まじい威圧感が放たれていた為。
見た目は自分より、遥かに年上に見えた。
屈強な体格を、所々から棘が突き出た、鰐の皮みたいな模様の衣装で包んでいる。

「え…………?」
「聞いてるんだよ、お前は『仮面ライダー』なのか? とっとと答えろ」

男の低い声を聞いて、北条は思わず後ずさった。
しかし、こんな場所に連れてこられてから、初めて出会った人間。
だから質問には、答えなければならない。
恐怖を感じながらも、口を開く。

「いえ、私はそのような者ではありませんが——」
「チッ、ハズレかよ」

だが、北条の言葉はあっさりと遮られた。
男は舌打ちをしながら、不満の目線をこちらに向ける。
それを受けて、北条の頬から汗が流れた。
発せられるプレッシャーに、恐怖を感じたため。
本当なら、今すぐにでも逃げ出したかった。
しかし、初対面の人間に対して、それはあまりにも無礼な対応。
そう思った北条は、何とか対話を続けようとした。

8巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:57:18 ID:VTV3nv6A

「まあ、こんな所に呼ばれたからには、少しは腹の足しにはなるか?」

だが、彼の思いは叶わない。
北条が言葉を紡ごうとした瞬間、男は語った。
その瞬間、腰に奇妙なベルトが現れる。
恐竜の顎を模したような、バックルが装着された。
あまりにも唐突過ぎる出来事に、北条は驚愕を覚える。
一方で男は、バックルの脇に付いたボタンを押した。
すると、パイプオルガンの演奏のような盛大な音が、発せられる。
北条には、何がなんだか分からない。
この男が一体、何をしようとしているのか。
混乱が生じていく中、男は懐に右手を入れる。
その中から、黄金のカードケースを取り出した。

「変身」
『GAOH−FORM』

そして、取り出したそれをバックルの前に翳す。
ベルトから電子音声が響くと同時に、カードケースが分解された。
破片は男の全身に纏わり付き、鎧を生み出す。
金色に輝く胸板、そこから上に伸びた二本の白い角、恐竜の頭を象った両肩の装甲、金と黒の二色で構成された強化スーツ。
金属の破片は最後に、顔面に集中する。
そのまま、恐竜の顔によく似た形を作り、仮面となった。
全ての過程を終えると、全身から真紅の波動を放つ。
こうして男は、変身を完了した。
それは『電王の世界』に存在する神の路線を奪い、全てを喰らおうと企んだ仮面ライダー。
時の列車、デンライナーを奪った狂える牙の王。
男の名は牙王。
またの名を、仮面ライダーガオウ。

「なっ…………!」

目の前から突き刺さる威圧感によって、北条は再び数歩だけ後退してしまう。
二メートルにまで達しそうな巨体に、凄まじいほどのプレッシャー。
この二つから北条は、男が危険人物であると判断した。
正体は全く分からないが、どう考えても殺し合いに乗っている。
アンノウンと同じで、話し合いなど通用する相手ではない。
何とか逃げ出そうとするが、身体が動かなかった。
まるで、蛇に睨まれた蛙のように。

「つまらねえな……」

ガオウは舌打ちをしながら、一歩一歩前に出る。
そして腰に備え付けられた二つのパーツを取り出し、装着した。
一瞬の内に、刃から棘が突き出た剣、ガオウガッシャーへと形を変える。
この時、北条は生きる事を諦めた。
渡されたデイバッグの中には、この状況を打破する物は何も無い。
今更逃げたところで、追いつかれるに決まっている。
ああ、自分の最後はこんなに呆気ないとは。
警察官になって人々を守るために、アンノウンと戦い続けた。
だがその結果が、これとは。
もしも神というのがいるのなら、呪ってやりたい。
そう思いながらも、せめてもの抵抗として北条は下がり続けた。
ガオウは無常にも剣を掲げ、振り下ろそうとする。
その時だった。

9巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:58:14 ID:VTV3nv6A

「変身!」
『KAMEN RIDE』

突如、二つの声が聞こえる。
人間の肉声と、機械の電子音声。
その二つは、北条とガオウの鼓膜を刺激した。
反射的に、二人は同時に振り向く。
そこには見知らぬ青年が、悠然と佇んでいるのが見えた。
腰には、バックルに赤い石が埋め込まれた、ベルトが巻かれている。
青年、門矢士は両脇に手をつけて、押し込んだ。

『DECADE』

白銀に輝くベルト、ディケイドライバーから音声が再び響く。
直後、バックルから光が放たれ、紋章が浮かび上がった。
続いて、士の周りに九個のエンブレムが出現。
その場所を中心とするように、人型の残像が次々と作られた。
それらは、士の身体に装着される。
すると一瞬で、黒いアーマーに形を変えた。
それに伴い、ディケイドライバーから七つの板が、真紅の輝きを放ちながら吹き出す。
現れたプレートは、頭部の仮面に突き刺さった。
刹那、全身のアーマーにはマゼンタが彩られ、額と両眼から光を放つ。
いつものように、門矢士は変身を果たした。
仮面ライダーディケイドと呼ばれる、戦士へと。
そのまま彼は、動けなくなった北条の前に立った。

「ほう? 少しは喰いがいがありそうだな」

現れたディケイドを見て、ガオウは仮面の下で笑みを浮かべる。
そのまま、ガオウガッシャーの先端を突きつけた。
それに構わず、対するディケイドは脇腹からライドブッカーを手に取る。
取っ手を曲げると、反対から刃が飛び出した。
剣を構えるディケイドは、北条の方に振り向く。

「貴方は、一体」
「あんたは、ここでじっとしてろ」

疑問を遮ると、敵に顔を向けた。
ライドブッカーを構えて、ディケイドは地面を蹴る。
勢いよくガオウに突進すると、剣を振りかぶった。
直後、甲高い金属音が鳴り響く。
それは、ガオウの持つガオウガッシャーと、激突したことによって発生した音。
ガオウもまた、その手に持つ得物を振るったのだ。
互いの刃が激突したことで、火花が飛び散る。
しかし、一瞬で風に流された。
これを合図として、戦いのゴングが響く。
ディケイドとガオウは、互いに後ろへ飛んで距離を取った。
そして素早く、距離を詰める。

10巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:59:01 ID:VTV3nv6A

「はあああぁぁぁっ!」

凄まじい勢いで、ディケイドはライドブッカーを横薙ぎに振るった。
しかし、ガオウはあっさりと払う。
そのまま、ガオウガッシャーで突きを繰り出した。
標的となったディケイドは、身体を捻って回避する。
その直後に、彼の後ろで佇んでいた木が、空気と共に貫かれた。
ガオウガッシャーを引き抜いた途端、音を立てながら折れていく。
そして地面に倒れて、振動を起こした。
数え切れない程の木の葉が舞い落ちる中、彼らは睨み合う。
視線が交錯する中、今度はガオウから突進を仕掛けた。

「フンッ!」

仮面の下から掛け声と共に、ガオウガッシャーを振るう。
その一撃は、大気を揺らしながら木の葉を次々と両断した。
対するディケイドは、咄嗟の判断でライドブッカーを掲げる。
彼らの得物は、再度激突した。

「ぐっ……!」

しかし、突如ディケイドの両腕に痺れを感じる。
衝撃でライドブッカーを落としそうになるが、何とか堪えた。
刃と刃が擦れ合い、鍔迫り合いが始まる。
だが、ディケイドは押し返すことが出来ない。
ガオウの攻撃が、あまりにも重すぎたのだ。
向こうが少しでも力を込めれば、こちらが一気に崩れる。
本能でディケイドは察すると、バックステップを取って後ろに下がった。
一瞬だけ、ガオウが怯む。
その隙を付いて、ディケイドは突進しながら斬りかかった。
風に揺れる木の葉と共に、ガオウの鎧を切断する。
火花が飛び散ったが、それだけ。
ディケイドは追撃を仕掛けようとする。
だが、それは届かない。

「効かねぇな」

ガオウの持つ剣に、一撃を阻まれる。
その瞬間、お返しとでも言うかのようにディケイドの胸が切り裂かれた。
先程の再現のように、身体が抉られる。
しかし、ガオウはそれだけで終わらない。
畳みかけるかのように、ガオウガッシャーを振るった。
右上から脇腹へ、斬り返すように右肩へ、横薙ぎに胴へ。
まるで血に飢えた猛獣のように、得物を振るっていた。
一見力任せと思われるが、それらは確実にダメージを与えている。
ディケイドは何とか対抗して、ライドブッカーで捌こうとした。
だが、最初の一撃が原因で、思うように動けない。
よって、いくら弾こうとしても意味が無かった。
ガオウが繰り広げる嵐のような連撃によって、次々と傷が刻まれていく。
血漿のように、鎧から火花が噴出し続けた。
数多の衝撃によって、ディケイドは蹌踉めいてしまう。
体勢を崩した隙を、ガオウは見逃さなかった。
彼は右足に、力を込める。
すると、その部分から真紅のオーラが放たれた。

11巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 19:59:40 ID:VTV3nv6A

「でえいっ!」

渾身の力を込めて、鋭い前蹴りを繰り出す。
ガオウの足は、ディケイドの腹部にあっさりと沈み込んでいった。
凄まじい衝撃を受けてしまい、彼の身体は宙に浮かんでいく。
受け身を取ることも出来ず、そのまま地面に激突した。
数回ほど転がった後、何とか勢いを止める。
身体の節々に痛みを感じながらも、ディケイドは体勢を立て直した。

「お前、真面目にやってるのか? 全然喰い足りないぞ」

舌打ちしながら、ガオウが近づいてくる。
その姿を見て、ディケイドは危機感を覚えた。
目の前の仮面ライダーは、やはりこの戦いに乗っている。
襲われていた男を助けるために変身したが、逆に自分がピンチになるなんて。
認めたくないが、このままではやられる。
この状況を打破する為の方法は、一つしかない。

(一気に決めてやるか……!)

そう、一刻も早い勝負の決着。
ダラダラと長引かせても、消耗が激しくなるだけ。
この考えに至ったディケイドは、一旦ライドブッカーを元の位置に戻す。
そして、蓋を横に開いた。
彼はケースの中から、一枚のライダーカードを取り出す。
表面にディケイドの紋章が、金色で書かれているカードを。
相手との距離は、幸いにも空いている。
確信したディケイドは、カードをディケイドライバーの上部から挿入した。

『FINAL ATTACK RIDE』

バックルに、黄金色の紋章が浮かび上がる。
それはディケイドの仮面を、象っていた。
聞き慣れた音を耳にした彼は、ディケイドライバーのサイドハンドルを両手で押し込む。

『DE、DE、DE、DECADE』

再び、電子音声が空気を振るわせた。
その瞬間、バックルから放つ輝きが更に強くなり、カードに込められていた力が全身に流れ込む。
するとディケイドの前に、金の輝きを放つ十枚のエネルギーが、ゲートのように現れた。
彼は両足に力を込めて、跳躍する。
動きに合わせるかのように、ゲートも空に浮かんでいった。

「なるほどな」

自身の前に出現した光の門を見て、ガオウは呟く。
敵は、決着をつけようとしているのだ。
その為に、必殺の一撃を繰り出そうとしている。
戦士としての勘から、感じ取ることが出来た。
それならば、上等。
こちらも全力の一撃を使うだけだ。
そう思いながら、ガオウはマスターパスを取り出す。
手からそれを落とすと、バックルと交錯した。

12巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:00:48 ID:VTV3nv6A

『FULL CHRAGE』

ディケイドライバーのように、ベルトから声が発せられる。
それによって、大量のエネルギーがそこから噴出された。
腰から右肩、そしてガオウガッシャーに伝わっていく。
すると、刃がドリルのように高速回転を始めた。
両手でガオウガッシャーを握り締め、ガオウは空を見上げる。
視界の先からは、光のゲートを通りながら右足を向ける、ディケイドの姿があった。

「はあああぁぁぁぁぁぁっ!」
「フンッ!」

仮面ライダー達の叫びが、森林に響く。
ガオウに目がけてディケイドが放つ必殺の蹴り、ディメンションキック。
ディケイドに目がけてガオウが放つ刃の一撃、タイラントクラッシュ。
上から下を目指した蹴りと、下から上を目指した刃が、徐々に迫る。
そこから一秒の時間もかからずに、激突した。
その瞬間、二つのエネルギーがぶつかったことによって、大爆発が起こる。
轟音と共に、衝撃波が空気を振るわせた。
次々に木が倒れ、木の葉は吹き飛ばされ、雑草に火が燃え移る。

「ぐあああっ!」

そんな中、ディケイドは吹き飛ばされてしまった。
悲鳴と共に、地面に叩きつけられる。
対するガオウは、まるで何事もなかったかのように佇んでいた。
これが示すのはたった一つ。
ディケイドの必殺技、ディメンションキックが通用しなかった事。
何故、こうなったのか。
その答えをディケイドは知っている。
ガオウの度重なる攻撃によって、身体が思うように動かなかったのだ。
戦闘では、受けたダメージが影響を及ぼすことがある。
故に、力を込めようとしても痛みが邪魔をして、威力が出なかったのだ。

「くっ…………!」

しかし、そんな事は関係ない。
例え効かなかったとしても、もう一度使えばいいだけ。
今は、この仮面ライダーを倒す事からだ。
痛みを堪えながら、ディケイドは何とか立ち上がる。
そしてライドブッカーを、構えた。
だが、彼の思いはすぐに裏切られてしまう。

「があっ!?」

突如、右肩に衝撃が走った。
それにより、仮面の下から絶叫を漏らしてしまう。
次の瞬間、ディケイドの全身から、大量の火花が吹き出してきた。
同時に、激痛を感じる。
何が起こったのか察知する前に、彼の体勢は崩れていった。
そのまま、背中から地面に倒れていく。
衝撃によって、ディケイドの鎧が限界を迎えた。
変身が解けてしまい、元の姿に戻る。

(な、何だ…………!?)

視界がぼやける中、士は思考を巡らせた。

13巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:02:08 ID:VTV3nv6A
そして、周囲を見渡す。
次の瞬間、彼の目は衝撃によって見開かれた。
その理由は、木々の間から新たなる怪人が現れたため。
元は『Xライダーの世界』に存在する組織、GOD機関に所属する怪人だった大ショッカーの大幹部。
銅色の仮面、額に彩られているステンドグラスのような模様、首からかけられた白いマント、黒いスーツ。
幾度となく戦いを繰り広げた宇宙一迷惑な男、スーパーアポロガイストだった。
その手には巨大なマグナム銃が握られている。

「フッフッフ、まさかこんなにも早く貴様と再会できるとはな。ディケイド!」

銃口からは、煙が流れているのが見えた。
どうも、自分はあれで撃たれたらしい。
戦いの隙を付かれるとは、情けないにも程がある。
抵抗しようにも、身体が動かない。
焼かれるような激痛と、倦怠感が身体を支配していた。
それに伴って、眠気が襲いかかる。

(…………こんな所で、終わってたまるか!)

スーパーアポロガイストに、名前も知らない仮面ライダー。
こんな身体で、今の状況を打破できる訳が無い。
破壊者として生きてきた自分は、こんなにも呆気なく破壊されてしまうのか。
いや、あり得ない。
俺達の旅は、こんな事で終わるものではないからだ。
士は何とか足掻こうとするも、身体が言う事を聞かない。
瞼が閉じていき、次第に視界が暗くなる。
彼の意識が闇に沈むのに、時間は必要なかった。







無様に倒れた士を見て、スーパーアポロガイストは充足感を覚える。
今まで自分は、この男に何度も煮え湯を飲まされた。
殺し合いに来て早々、ディケイドが仮面ライダーと戦っている光景を目撃した。
そのシステムから見て、電王の世界から連れて来られたのかもしれない。
必殺技同士の激突後、ディケイドは吹き飛ばされた。
この隙を付いて変身し、アポロショットを使う。
結果、ディケイドは倒れた。

(ククク、無様だなディケイド。 さあ、私がトドメを————)
「おい」

スーパーアポロガイストの歩みは、突然止まる。
その目前に、輝きを放つ刃が現れたため。
振り向いた先では、ガオウがこちらに武器を向けているのが見えた。
邪魔をされた事に怒りを覚え、スーパーアポロガイストは口を開く。

14巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:03:32 ID:VTV3nv6A
「何だ貴様、私の邪魔をする気か?」
「こっちの台詞だ。俺の獲物を横取りしようとするとは、いい度胸じゃねえか」

しかし、ガオウは質問に答えない。
彼もまた、怒りを覚えていたのだ。
勝負に水を差された事と、獲物を横取りしようとする馬鹿が現れた事。
この二つが、ガオウの逆鱗に触れたのだ。
それに気付いたのか、スーパーアポロガイストは新たなる武器を出現させる。
スーパーガイスカッターの名を持つ、鋼鉄のチャクラムを。

「フン、ならば貴様から始末するのみ!」
「面白い、やってみろよ!」

スーパーアポロガイストとガオウは、怒号を掛け合う。
そのまま、互いに武器を振るって、激突させた。
ガオウが剛剣を振り下ろし、スーパーアポロガイストがそれを受け止める。
狂える牙の王と、宇宙一迷惑な男の戦いが始まった一方で、木の陰から一人の男が現れた。
それは、戦いをずっと見守っていた北条。

(どうやら、今しかありませんね)

彼は、気絶した士の元へ向かう。
そのまま、彼の手とデイバッグを肩にかけて動きだした。
幸いにも、相手は戦いに集中しているようなので、気付かれていない。
バッグ二つと、男一人の身体。
総重量は凄まじいが、動けないほどでもない。
アンノウンと戦う為に、G3ユニットやV−1システムを扱った事があるので、それなりに体力はある。
今は、この場からの撤退が優先だった。
アギトとも、警視庁が作り出したシステムとも違う、謎の鎧。
突然現れた、アンノウンのような怪物。
そして、この殺し合い。
次から次へと謎が増えて、北条の頭は混乱しそうになる。
だが、それらの推理は後。

(まずは、この青年の安全を確保しなければ)

警察官としての正義が、彼を動かしている。
名前も知らないが、自分を助けてくれた。
少なくとも、あの男のような危険人物ではないと思われる。
まずは安全な場所まで避難し、青年の応急処置。
そして情報を聞いた後、地図に書かれていた病院までの移動。
幸運にも、自分のバッグには救急箱が存在している。
それでどこまでいけるか分からないが、やるしかない。
このまま放置していては、いつ死んでもおかしくないだろう。
北条は最後の力を振り絞って、木々の間を駆け抜けた。
その甲斐があってか数分後、森林からの脱出に成功する。
彼らのいく先に何が待つのかは、誰にも分からない。

15巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:04:37 ID:VTV3nv6A
【1日目 昼】
【C−7 平原】

【門矢士@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】気絶中、重傷、疲労(大)、 ディケイドに二時間変身不可
【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品×2
【思考・状況】
1:…………(気絶中)
【備考】
※デイバッグの中身は確認しました
※現在、ライダーカードはディケイドの物以外、力を使う事が出来ません。
※該当するライダーと出会い、互いに信頼を得ればカードは力を取り戻します。

【北条透@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤 アギト殲滅作戦決行中
【状態】疲労(小)、士を背負っている
【装備】無し
【道具】支給品一式、救急箱@現実、不明支給品×2
【思考・状況】
1:まずは安全な場所に移動し、青年(士)を手当てする。
2:牙王、アポロガイストを警戒する。(両名とも、名前は知らない)
3:知人と合流し、情報を集める。

【備考】
※デイバッグの中身は確認しました
※その中には、彼にとって戦力になるような物はありません







士と北条の二人が逃走した事に気付かずに、戦士たちは戦いを繰り広げていた。
ガオウガッシャーとスーパーガイスカッターの激突は続き、金属音が響く。
時折、スーパーアポロガイストは、アポロショットの引き金を引いた。
しかし弾丸は、ガオウによって全て弾かれる。
そこから、ガオウガッシャーの刃が振るわれたが、スーパーアポロガイストはあっさりと回避。
哀れにもその結果、木々が次々に砕け散ってしまった。
まさに、一進一退と呼べる戦い。
そんな中、互いに大きく踏み出し、力強く武器を振るった。
激突の瞬間、彼らは密着する。
刃とチャクラムを使った、鍔迫り合いが始まった。
押し合うも、力はほぼ互角。
そんな中、ガオウは仮面の下で笑みを浮かべながら、呟いた。

「終わりだな」
「何?」

刹那、スーパーアポロガイストは気づく。
ガオウが、片手でしか武器を持っていないことを。
その意味を、一瞬で気づいた。

16巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:05:11 ID:VTV3nv6A

(しまった! 初めからこれが狙いか!)

電王の世界にいる仮面ライダーは、必殺技を使う際にある物を使う。
それは、ライダーパス。
ベルトに翳して、エネルギーをチャージするのに。
そして自分は、至近距離で戦っている。

『FULL CHARGE』

悪い予感は、的中した。
案の定、目の前の仮面ライダーは取り出したパスを、ベルトに近づけている。
それを示す音声が響くと、刃が回転を始めた。
金属が削れるような、鋭い音が聞こえる。
こんなゼロ距離で受けては、いくら自分とて一溜りもない。
そう危惧すると、スーパーアポロガイストは後退した。
しかし、時は既に遅し。
タイラントクラッシュの一撃は、スーパーガイスカッターを砕き、持ち主の身体へ到達した。

「ぐおおぉぉぉっ!?」

悲痛な叫び声が、スーパーアポロガイストから漏れる。
その巨体は、必殺技の衝撃によってあっさりと吹き飛んだ。
そして地面に激突した瞬間、その変身が解かれてしまう。
白いスーツを身に纏った壮年の男性、ガイの姿に戻ってしまった。
彼は自分の姿を見て、驚愕の表情を浮かべる。

(バカな、何故この程度で元の姿に戻る!?)

ここに、ガイの知らない事実があった。
参加者全員を縛り付ける首輪。
その効果は、殺し合いのバランスをとる為、能力を抑える事がある。
スーパーアポロガイストとて、例外ではない。
それに加えて、ガオウの放った必殺の攻撃。
制限されているとはいえ、凄まじい威力を持つことは変わらない。
タイラントクラッシュを至近距離で受けた事で、ガイの変身は解除されたのだ。

「さて、そろそろ喰らわせてもらうか……」

ガオウは、パスを構えながら迫り来る。
それを見て、ガイはスーツのポケットに手を入れた。
その中から『龍騎の世界』に存在していた変身アイテム、シザースのカードデッキを取り出す。
ガイはそれを、すぐ近くの湖に翳した。
この動作によって、彼の腰に銀色のベルト、Vバックルが巻かれる。

「変身ッ!」

数多の仮面ライダーが口にした言葉を、ガイは告げた。
右手で掴んだカードデッキを、横からVバックルに差し込む。
ベルトから光が放たれ、ガイの周りに複数の虚像が現れた。
それは回転しながら、彼の身体に重なっていく。
瞬く間に、ガイは変身を完了した。
蟹を彷彿とさせる仮面、金色の輝きを放つ鎧、左右非対称の大きさを持つ鋏、下半身を守る黒いスーツ。
『龍騎の世界』で戦っていた仮面ライダーの一人、仮面ライダーシザースへと、ガイは姿を変える。
それを見て、ガオウは足を止めた。

「ほう、少しは喰いがいがありそうだな?」

ただの獲物だと思ってた敵が、まだ自分に抗おうとする。
その事実が、ガオウの神経を高ぶらせていた。
ならば、それに応えてやればいい。
ガオウガッシャーを構える一方で、シザースはカードデッキに手を伸ばす。
そこから一枚のカードを引いた。
彼はそのまま、左腕に装着された鋏、シザースバイザーに差し込む。

17巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:05:46 ID:VTV3nv6A

『ADVENT』

電子音声が、発せられた。
刹那、近くの湖から巨大な影が出現する。
それは、龍騎の世界に存在する、魔物だった。
その世界では、ミラーワールドと呼ばれる、全ての物が反転した異世界が存在する。
ここには、ミラーモンスターの名を持つ人を喰らう怪物が、生息していた。
シザースが呼び出したのは、その一匹。
持ち主のように身体を金色に輝かせるミラーモンスター、ボルキャンサーだった。

「GYAAAAAAAAAA!」

蟹の魔獣は、咆哮を発して空気を揺らす。
そのまま、ボルキャンサーはガオウに突進を仕掛けた。
主に危害を加える敵を、潰す為に。
しかし、それをただ食らうほどガオウはお人よしではない。
ボルキャンサーの巨体を、身体を捻って軽々と避ける。
そのまま横腹に、鋭い蹴りを放った。
微かな悲鳴と共に、ボルキャンサーは吹き飛ぶ。
ガオウはそんな様子に目もくれず、シザースの方に振り向いた。
だが、敵の姿はない。

「チッ、逃がしたか…………」

舌打ちと共に、ガオウは呟く。
その瞬間、水が破裂するような音が聞こえた。
そちらに顔を向けたが、ボルキャンサーも既にいない。
湖を覗き込むが、気配はなかった。
直後、異変が起こる。
身に纏っていたガオウの鎧が、唐突に消えた。
恐竜の仮面ライダーから、元の壮年の男に戻ってしまう。
これは牙王の知らない、首輪の効力による現象。
十分間の時間制限が、訪れたのだ。

「次から次へと、どうなってやがる……?」

牙王の中で、苛立ちが募っていく。
大ショッカーに連れて来られてから、今の現状に期待した。
恐らく、こんな場所なら喰いがいのある奴らが、いくらでもいるはず。
だが、実際はどうだ。
出会った獲物は骨がないどころか、自分から逃げ出すような腰抜け揃い。
それに加えて、解除しようと思ってないのに、変身が終わった。
可能性としては、大ショッカーが何か下らない仕掛けでも、施したのだろう。

「つまらん事を…………」

牙王には、戦いの褒美も世界の崩壊もまるで興味がない。
心の中にあるのは、全てを喰らう事だけ。
それだけの、シンプルな欲望。
参加者を皆殺しにして、最後に大ショッカーも潰す。
ただ一つだけだった。
破壊の欲望に駆られた牙王のデイバッグの中に、あるアイテムが眠っている。
それは『Wの世界』に存在する、ガイアメモリの一つ。
ミュージアムに所属する処刑執行人、イナゴの女が使っていたメモリ。
ホッパー・ドーパントの力が封印されたガイアメモリは、牙王に何をもたらすのか。

18巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:06:22 ID:VTV3nv6A

【1日目 昼】
【B−7 森】


【牙王@仮面ライダー電王】
【時間軸】:不明。
【状態】:健康、苛立ち、ガオウに二時間変身不可。
【装備】:ガオウベルト&マスターパス@仮面ライダー電王、ガイアメモリ(ホッパー) @仮面ライダーW
【道具】、支給品一式、不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:全ての参加者を喰らい、最後に大ショッカーも喰う。
2:変身が解除されたことによる、疑問。


【備考】
※牙王がどの時間軸からやってきたかは、後続の書き手さんにお任せします。







シザースは、木々の間を全速力で駆け抜けている。
ボルキャンサーを召還した後、彼は戦場からの撤退を選んだ。
先程戦った仮面ライダーが、あまりにも強すぎたため。
ディケイドを易々と打ち破るからには、それなりの力は予想できた。
だが、まさかスーパーガイスカッターを砕くなんて。
戦いで消耗していると思ったが、そんな様子は見られない。
そして、いつもより発揮できない力。
恐らく大ショッカーが、自分に何らかのハンデを架したのかもしれない。
しかし真相の究明は、後だ。
まずは安全な場所までに撤退し、体勢を立て直すべき。

(もう少しでディケイドを始末できたのだが、あの仮面ライダーめ……!)

ガオウに対する苛立ちを覚え、仮面の下で歯軋りをする。
後ろからは、追ってくる気配はない。
それを察すると、彼は変身を解いて元の姿に戻った。
ふと、彼の中で疑問が芽生える。
ディケイドを狙撃した時、いつもより弾丸が発射されるペースが遅い気がした。
その原因は、恐らくこの首輪。
まさか、他にも何か影響が出ているのではないか。

「アポロ、チェンジ!」

ガイは全身に力を込めて、変身を行う。
しかし、何も起こらない。
その事実に驚愕するも、彼は確信した。
この首輪は普段の力だけでなく、変身を阻害する効果も持っている。
だが、それは一時的で時間が経てば、また変身は可能。
理由は、永続的に阻害しては殺し合いが進まないからだ。
だとすれば、変身道具は一つだけでは心許ない。
他のライダーのアイテムも、奪うことを考えに入れるべきだろう。

19巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:07:00 ID:VTV3nv6A

(そして、これは逆にチャンスでもあるか)

首輪の効果は、何も自分だけではない。
参加者全員にも、届いているはずだ。
この首輪は自分を縛る枷だけではなく、時として武器にもなるだろう。
しかし何にせよ、まずは身体を休めることからだ。
ガイは息を整えながら、そんなことを考える。



【1日目 昼】
【B−6 平原】


【アポロガイスト@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】死亡後
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、怪人体及びシザースに二時間変身不可
【装備】シザースのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、ディスクアニマル(アカネタカ)@仮面ライダー響鬼
【思考・状況】
1:大ショッカーの意思通り、全ての敵を倒し、世界を破壊する。
2:まずは体勢を立て直す。
3:ディケイド、牙王はいずれ始末する。
4:全てのライダーと怪人にとって迷惑な存在となる。
【備考】
※スーパーアポロガイストの状態ですが、能力は抑えられています。
※能力が抑えられていることを、何となく把握しました。

20 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 20:08:33 ID:VTV3nv6A
以上、本投下を終了します

21 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/03(金) 22:13:31 ID:4qL7YOf6
投下乙です。
なんだかんだで結局、北條さんは良い人ですね
士はまさかの初戦敗退……まあ、脱落はしてないけど
牙王に関してはメモリの使いようが気になりますね
逆に変身を使い果たしたアポロガイストはどうなるのか……


別件ですが、自分も本投下するべきでしょうか?
昨日投下した時点では本スレもありませんし、一応本投下のつもりで投下したんですが

22 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/03(金) 22:16:25 ID:VTV3nv6A
いえ、氏は大丈夫です
昨日の段階では、仕方ありませんでしたし。
今後の本投下はこちらでお願いします

23 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 13:29:30 ID:fadYM7uc
わかりました。
それでは、桐矢京介と間宮麗奈を投下します。

24差し伸べる手 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 13:30:03 ID:fadYM7uc
 私の名前は間宮麗奈──。
 自分の名前を頭の中で反芻させる。それが自分の名前である、という実感を得るために。
 まるで他人の名前のように、その名前の響きは冷徹だった。気が狂いそうなほど、その名前は連鎖される。
 脳内で交錯する名前を、なんとか掴み取ろうとして──そのたびに素通りする感覚。


「私は──」


 麗奈は今、ウカワームではなく人間だった。
 確かに彼女はウカワームなのだが、その記憶の中では、彼女は間宮麗奈。
 間宮麗奈として生まれ、育ち、人に恋をする記憶がずっと頭の中を巡っていた。


 だから、今彼女の名前の中で固く結ばれたまま、解くことの出来ない男に助けを求めてどこかの民家のテーブルの下に隠れていた。
 もしかしたら、この家の主はここにいないのかもしれない。それでも、この家の主がここに来たとき、泥棒か何かと疑われるのは怖い。
 周りの人間に軽蔑され、叱咤されるのは、彼女の内に強いストレスを溜め込むだけだった。


(私の名前は間宮麗奈……私の名前は間宮麗奈……私の名前は……)


 彼女は歌うことも忘れて、脳内にその言葉をひたすらに連呼させた。

 すると、フローリングの床を踏む音が聞こえてきた。
 一閃の恐怖──。

 この家の主か、それとも殺し合いの参加者か。
 どちらにせよ、それが近づいてくることは恐怖以外の何物でもない。
 殺し合いの参加者ならば、きっと殺し合いに乗っている──何故なら、それぞれが自分の世界を背負っているのだから。
 世界がどうなってもいい、なんていう希少な人間と出会うことはないだろう。
 人間が凶暴な生物だ。人を殺すことに躊躇いなんてないんだ。だから、自分の世界を消さないためには、相手を殺すようなことも平気だろう。

 麗奈は自分に支給された道具を再び思い返す。
 今、敵を倒すのに使える支給品は何か。
 もはや、相手が同じ世界の住人であろうと関係はない。自分に害を及ぼすようなら、殺すしかない。


 デンカメンソードという胡散臭い剣が支給されていたが、剣として使うには重過ぎる。余計な装飾品がついているのがネックだろう。剣以上に、鈍器として使えるが、まずそこまで接近するのは彼女の恐怖とストレスを煽るだけだ。
 『長いお別れ』という本も支給されているが、これは武器ですらない。

 ここで一番使えるのは、ファンガイアバスターという銃。他の支給品は武器には向いていない。


 が、それを握ろうとしたとき────手が震える。
 人差し指を引き金にかけることさえできない。
 銃口は床に向いてしまう。


 人を殺す、或いは、人に殺される。
 そのどちらも恐ろしい。その、どこから溢れるかわからない恐怖が彼女の震源地だった。


 震える指からファンガイアバスターが解け、床に引かれていく。
 唯一使える武器は今、地面に落ちてしまった。震える手はそれを再び手に取ることを許さない。

25差し伸べる手 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 13:31:32 ID:fadYM7uc
「誰か、いるのか……?」


 今の音が聞こえた──。
 そのせいで、誰か……近づいてくる。
 声から考えれば、相手は男だ。力では劣る。ならば、ファンガイアバスターを拾うしかない。
 だが、手が動いてくれない。


「いたら返事してください。俺は……誰かを殺すつもりはないから」


 麗奈が信用するはずがない。
 そんな甘い言葉があるわけない。自分に言い聞かせ、ただそれを拾うことに集中する。
 しかし、そこには何の障害もないというのに、拾うことはまだできなかった。
 そして、彼の言葉を信用したいという気持ちが彼女に武器を取らせる力を……完全に失わせた。


「……俺の名前は桐矢京介。あなたとは違う世界の人間かもしれないけど、俺は人は殺さない。
 何かの事情で動けなかったり、返事ができないなら俺が手を貸します。……それが、俺の仕事ですから」


 乗るな……っ!!
 そんな言葉、信用できるはずがない。
 ただ、近づいてきたらファンガイアバスターで仕留める……それでいいんだ。


「警戒しないでください。支給品は渡します」


 テーブルの下に、デイパックが滑り向かってきたことで、京介という少年が麗奈の居場所を把握していることに気づく。やはり、ファンガイアバスターを落としてしまったことに気づいたのだろうか。
 だが、一方で麗奈には収穫があった。デイパックとともに、ファンガイアバスターも滑り向かってきたのだ。
 これで、距離が近づきファンガイアバスターを手に取ることができた。

 ──が、彼女が取れた理由は単純に距離が近づいたからではない。
 どこか、相手を信用してしまったからである。そして、それは同時に相手を殺す気も完全に消え去ってしまったということだった。


「……私の名前は間宮麗奈」

「間宮さん、ですか……。デイパックはそちらで持っていて構いませんから、姿を現してくれませんか?」

「ええ……」


 テーブルの下から、ゆっくりと麗奈は日向に出る。
 ガラス越しから浴びせられる日当たりが心地よかった。
 二つのデイパックを両肩に背負い、指先にファンガイアバスターを絡めた麗奈は、久々に立ち上がった気分だった。


「ずっとここにいたんですか?」

「ええ……連れて来られた時から」

「もう、この殺し合いが始まってから、二時間も経ってますよ」

「! そんなに……?」


 それだけ長い間、麗奈はこの狭いテーブルの下で隠れていたというのか。
 そう思うと、だんだん足に痺れを感じてくる。


「……俺、これでも鍛えてますから、大ショッカーを倒すことはできなくても、あなたを守ることくらいならできます。
 人を守るのが、俺の仕事なんです。……だから、安心してください」


 京介はそう諭す。
 そんな京介が本当に何も持っていないことに気づいた麗奈は、慌ててデイパックを返した。


「あの……これ」

「ああ、持たせてしまってすみません」

「いえ……」

「しばらくは俺と一緒に行動しましょう。ここには本当に化け物がいるみたいです」


 京介はこの殺し合いが始まったときに見付けた、赤鬼や龍の化け物のことを忘れてはいない。
 彼らは魔化魍のような化け物なのかもしれないのだから。


「化け物……」


 麗奈は、本人も気づかぬうちに、そう呟いていた。

26差し伸べる手 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 13:32:17 ID:fadYM7uc
【1日目 日中】
【E−1 民家】

【間宮麗奈@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第40話終了後
【状態】健康 人間不信 ワームの記憶喪失
【装備】ファンガイアバスター@仮面ライダーキバ
【道具】支給品一式、デンカメンソード@仮面ライダー電王、『長いお別れ』ほかフィリップ・マーロウの小説@仮面ライダーW
【思考・状況】
0:化け物……?
1:とりあえず京介についていく。
2:他人が怖い。
3:殺さなければ殺される……。
【備考】
※ウカワームの記憶を失っているため、現状では変身することができませんが、何かの拍子で思い出すかもしれません。


【桐矢京介@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】最終回後
【状態】健康
【装備】変身音叉@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、不明支給品×0〜2
【思考・状況】
1:人を守る。
2:麗奈を守る。
3:化け物(イマジン)が気になる。

27 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 13:33:57 ID:fadYM7uc
以上、投下終了です。
修正点、問題点などあれば指摘お願いします。

28 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:23:29 ID:Vmt2MlEQ
誤爆したorz
改めて修正版投下します

29代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:24:48 ID:Vmt2MlEQ
「リントグ ゲゲルゾ ジサブドパ バ(リントが、ゲゲルを開くとはな)」
 
 G−1の廃工場の中、丁寧にも彼らグロンギの言語で記されたルールブックを読みながら、黒いコートに身を包んだ男、ズ・ゴオマ・グは呟いた。
 ダグバのベルトの破片を体内へと埋め込み、究極体へと進化した彼は、クウガを容易くあしらい、ダグバの気配を感じて森へと向かった所、気付けばあの会場にいた。
 戦いの邪魔をされた事に関して激しかけた矢先、スクリーンに映る映像と爆発で機先を制された彼は、事の成り行きをおとなしく見ている事しかできなかった。
 そして、現在にいたる。以前に、ゴオマらグロンギの行なうゲゲルでルールに背き、ゲゲル参加権を剥奪されたばかりか、体のいい使い走りとしてこき使われた苦い思い出。
 ゲゲルの時は自ら率先して破った為自業自得なのだが、リントのゲゲルもどきで、ルールを破ったおかげでまた痛い目を見るのは御免だと考え、ゴオマはルールブックを熟読している。

「ギギバシビ バスボパ ギャブダガ ン リント スススパ スススバ (リントの言いなりになるのは癪だが、ルールはルールか)」

 時間経過ごとに増えて行く侵入禁止エリア、自身の行動を制限する首輪、何よりも、大ショッカーを名乗るリント――ゴオマはリントとグロンギの種族以外の知的生命体を知らず、グロンギとして面識のない死神博士が人間体であった事もありリントと見なしたのだが――に自分の命を握られる事には、かなりの屈辱を覚えている。
 だが同時に、時間制限こそないが、一定の実力を持った異世界の戦士を対象とする、特殊条件下での殺し合いは、彼がついぞ参加する事の無かったゲゲル、それも上位に位置するゲリザギバスゲゲルに似た所があり、奇妙な高揚感がゴオマを支配する。
 結論から言えば、自分の世界など関係なく、自分の欲望の赴くまま、参加の叶わなかった本来のゲゲルへの代償行動として、ゴオマはこの殺し合いに乗るつもりであった。
 一通りルールブックに目を通し、名簿へと目を移して、ゴオマは目を見開いた。

「ザド ダグバ……!?(ダグバ、だと……!?)」

 ゼギザリバスゲゲルを成功した先にあるザギバスゲゲルで戦う最強のグロンギであり、少し前に『整理』と称し、ズとメに属するグロンギを虐殺した究極の闇、そして、この場所へと飛ばされる前に戦おうと探していた存在がこの場にいる。
 ゴオマの体が震える。それが、恐怖から来る物か、歓喜から来る物かは、ゴオマ自身にもわからない。自分でも気付かぬ内に、ゴオマの口角が三日月型に吊り上がって行く。

「は、はは、はははははははははは!」

 一人しか残れぬ、この狭い空間にダグバがいる。生き残るにはダグバを殺す必要がある。だとすれば、これはゼギザリバスゲゲルなどではなく、実質ザギバスゲゲルと変わらない代物だ。
 引きつった笑顔でゴオマは笑い声を挙げる。ゲゲルにも参加できなかった彼が、ゲゲルの参加を剥奪され、他のグロンギから見下され続けてきた彼が、ザギバスゲゲルと同等の舞台へと参加する事ができた。その奇跡としか言い様の無い事実に、彼は文字通り狂喜する。
 ダグバを自分の手で倒せるならばそれで良し。万が一にでもダグバが倒されでもしたら、その倒した参加者を自分の手で倒せば、究極的には最後の一人になれれば、それは究極の闇よりも強者であると言っても過言ではない。
 ゴオマのテンションはあまりにも幸運な出来事に舞い上がっていた。所謂、最高にハイ!という状態に近いかもしれない。

30代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:25:27 ID:Vmt2MlEQ
「バヂボボス! ゴセパ バヂボボデデジャスゾ!(勝ち残る! 俺は勝ち残ってやるぞ!)」
「うるせぇ! 少しは静かにしやがれ!」

 ゴオマのいる部屋のドアが蹴破られ、耳障りな金属音が部屋に響いた。
 怒声を張り上げ、最高の気分に水を指したのは、赤い鬼の姿をした、片手に剣を持つ異形、モモタロスであった。

「おいテメェ、人がこんなふざけたモンに巻き込まれてイライラしてるのに、耳障りな笑い声を挙げるんじゃねぇ! しかもグギグギうるせぇんだよ、人にもわかる言葉で話やがれ!」

 モモタロスは憤慨していた。
 殺し合えなどと、高圧的かつ一方的な命令がモモタロスの気に障った、そして何よりも、自分や良太郎が世界を滅ぼすと聞いては怒らない方がおかしいといえる。
 そのぶつけようもない怒りでイライラしている所にゴオマの笑い声を聞き、八つ当たり気味にその怒りが爆発。直情的な性格が災いし、笑い声のしたこの部屋へと、文字通り殴り込んできたという次第である。

「リントでも、グロンギでも、ない、な」
「ああん? カリントウにブンドキだぁ? 何言ってんだテメェ」

 明らか異形である自身の姿を見ても、身構える事も怯える事もしない目の前の男の態度に、モモタロスは微かな疑問を覚え、そして、それが若干なりとも頭を冷やす機会となる。
 多少冷えた頭で考えると、この男が怪しいという事実に気付く。この殺し合いの場で、あんな高笑いをする時点で怪しくない訳が無いのだ。
 
「テメェ、まさか……」
「本当に、面白いゲゲルだ」

 ルールブックを、置いてあった自身のデイパックの方へと放り投げ、心底愉しそうに笑いながら、男が蝙蝠を彷彿とさせる異形へとその姿を変える。
 一瞬、良太郎と初めて出会った時に倒したイマジンを思い出す。別の世界のライダーの敵、そんな言葉が一瞬だけ脳裏をよぎる。
 そしてモモタロスは確信する。目の前の男はこの殺し合いに乗っていると。モモタロスもまた、デイパックを放り投げ、自分の愛剣モモタロスォ―ドを構えて、臨戦態勢に入る。

「へっ、そうかよ。そういう事なら、容赦はしねぇぜ!」
「ゼンギジョグゲンザ ン ダグバ ボソグ!(ダグバの前哨戦だ、殺す!)」

 モモタロスとゴオマは同時に相手に向かい飛びかかる。
 機先を制したのはモモタロス。武器の分だけリーチが伸びていたのが幸いした。ゴオマの胸元を斜め下に一閃、金属と金属がぶつかりあうような耳障りな音を響かせながら、ゴオマが一瞬怯む。
 ゴオマが怯んだ拍子に、更に横に一薙ぎ。生身の人間であれば今の時点で死んでいてもおかしくはない。だが、斬撃の際の接触音と、モモタロス自身が感じた手応えが、その結果を否定する。
 そして、それを証明するかの如く、特にダメージらしいダメージを受けた様子もなしに、ゴオマは斬撃を受けた部分を撫でながら薄く笑みを浮かべた。
 この程度では俺にダメージを与える事などできないと言外に語っていた。それが、モモタロスの神経を逆なでする。

「テメェ、余裕こいてるんじゃねぇ!」

 怒りの感情を力に変えて、全力でモモタロスォードを振り下ろす。が、ゴオマの頭部目がけて放たれたその一撃は当たる寸前にゴオマの左手に止められた。
 刀身を握ったせいで、手のひらから出血こそしている物の、モモタロスォードの刃はそこで止まり、ゴオマの手を切断し頭部へと到達する事は叶わない。
 押しても退いても動かないその剛力に、モモタロスは仲間であるキンタロスクラスの力があると感じる。

「こんのっ、放し、やがれ!」

 業をにやし、空いた片方の手で、顔面目がけてパンチを放つ。狙い過たず拳はゴオマの横っ面に入った。

31代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:25:59 ID:Vmt2MlEQ
(ッ……! 堅ぇ!)

 まるで分厚い鉄板の様な感触。これではモモタロスォードでも決定打が与えられなかった事に頷けよう物であった。
 拳を受けたまま、ゴオマの顔が歪む。正確には薄く浮かべていた笑みを残忍に歪め、拳を握りしめる。
 マズい。漠然とモモタロスが感じるのと、胸部に衝撃を受けて吹き飛ばされるたのは、ほぼ同時であった。

「マンヂ デデンパ ボグススンザジョ(パンチってのはこうすんだよ)」

 嘲り混じりの声を聞きながら、モモタロスは、もんどり打って転がる。
 咳き込むと同時にモモタロスの口から出た血代わりの砂を吐く。
 小物そうな見た目に反して強い。対峙した相手をモモタロスはそう判断する。
 決してモモタロスが弱い訳では無い。本来、ズやメのグロンギ程度であれば、モモタロスでも十分対処できるレベルであろう。
 だが、ゴオマは違う。究極の闇、ン・ダグバ・ゼバのベルトの破片を体内に取り込み、究極体となったゴオマは、金の力の状態のクウガですら圧倒する力を得ている。能力や精神はともかくとして、その身体能力はゴのグロンギに匹敵するのだ。
 
(クソッ、まさかこんな化け物までいるとはな)

 殴られた際にモモタロスが手放したモモタロスォードを片手に、ゴオマがにじり寄ってくる。一気に襲ってこないのは嬲って遊んでいるつもりなのだろう
 最初の攻防であまりにもはっきりと痛感した実力差。電王に変身できれば、まだ戦いようはあるかもしれないが、生憎と変身ベルトの類はモモタロスには支給されていなかった。
 勝ち目は薄い。だからといって逃げるという選択支は浮かばない。
 元々負けず嫌いな性質であるのだが、それ以上に宿主でもある良太郎の事があった。

(あいつは弱ぇ癖に根性が座ってやがるからな)

 ここで逃げれば、目の前の蝙蝠男は参加者を殺して回るだろう、もしもそんな人物に良太郎が出会ったら?
 軟弱そうに見えて、一度こうと決めたら梃子でも動かない。それも、誰かの命がかかっているとしたら絶対だ。実力差など関係なく、止めに入るだろう。
 だから、良太郎より腕っ節の強い自分がなんとかしなければならない。元々こういった荒事はキンタロスや自分の専門だったのだから。
 だが、戦おうにも唯一の武器は敵の手に渡り、武器らしい武器はない。
 どうしたものか、と考えるモモタロスの脳裏に、自分に支給された物が浮かんだ

(確かT2ガイアメモリとかいってたな)

 この部屋に向かう前、とりあえず使える物はないかと荷物を確認した時にあった、もう一つの支給品。首輪のコネクタを使ってドーパントという怪人に変身するツール。
 正直なところ胡散臭いと感じたモモタロスは、使う必要もないと、デイパックにしまっていた。そして、幸運な事にもそのデイパックは今自分の真後ろ、手の届く距離に転がっている。
 手を伸ばし、中身を探る。それらしい物を引き当てた。

(試して、みるか)

 なににしろ、このままでは待っているのは死。で、あるならば最後まで足掻いて足掻き抜く。
 モモタロスは、立ち上がりながら説明書通りにガイアメモリのスイッチを押す。

32代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:26:39 ID:Vmt2MlEQ
――メェタルゥ!――
「バビ?(何?)」

 急に鳴り響いた電子音に思わず身構えたゴオマを尻目に、モモタロスはメタルのT2メモリを首輪のコネクタへと接続する。
 まるで溶け込むように首輪とメモリが同化するのと同様にモモタロスの姿が変わって行く。
 燃える様な赤い体から鈍い光を放つ鋼の体。
 二本の角は消え、赤く光る単眼以外に特に装飾の無い頭部。
 そして、その左手には鋭く尖ったかぎ爪。
 メタル・ドーパント、かつて風都タワーを占拠したテロ組織の一員が変身したドーパントであった。

「へっ、さっきは遅れを取ったが、次はこうはいかねぇぞ。 第二ラウンドといこうじゃねえか、蝙蝠野郎!!」
「グガダグ バパダダバサ ゾグザド ギグボザ!(姿が変わったからどうだというのだ!)」

 モモタロスォードとメタル・ドーパントのかぎ爪がぶつかり合い、火花が散った。一合、二合、捌いては捌かれ、捌かれては捌く。
 ゴオマの戦闘スタイルは素手である。武器の類は使い慣れていない。武器を持ったまま攻撃を仕掛けた、ゴオマの失敗である。
 とはいえ、剣とかぎ爪ではリーチの差が存在する。不慣れな攻撃手段と、不利な攻撃手段。その結果、二人の攻防は拮抗している。
 このままではじり貧、どうするか、とモモタロスは思案する。そんな彼に幸運が舞い降りた。

「!?」

 突然、ゴオマの姿が異形の姿から、人の体へと戻っていく。突然の自体に驚くモモタロスであるが、驚いたのはゴオマも同じであった。
 青白く、不健康な肌を引きつらせ、ゴオマは驚愕に目を見開く。何が起こったのか。予想外の事態にゴオマはパニックを起こしかける。
 ルールブックには載っていない、一つの制限が存在する。変身時間の制限。
 ダグバのベルトの破片を取り込んだ事による強化。問題はそこだった。
 このバトルロワイアルにおいて、通常の変身は10分、強化形態には5分と、変身可能時間の制限が設けられている。
 だが、ゴオマが変身してから、まだ5分しか経っていない。何故変身が解けたのか?
 本来、ゴオマにモモタロスを圧倒できるような力はない。ダグバのベルトの破片を体内に取り込み、強化されたからこそ、今の強さがあるのは先にも述べた通りである。
 今のゴオマはダグバのベルトの破片により怪人体が強化されている。で、あるならば、この究極体への変身可能時間は5分間までとなってもおかしくはない。
 問題は、ゴオマの怪人体の強化が一歩通行。究極体にはなれても昔の怪人体には戻れず、またその形態には変身できない事。
 つまりゴオマは、この殺し合いにおいて、自身の怪人体への変身時間は5分間のみ、というハンデを背負ってしまったのだ。
 だが、そんな事情をしる由もないゴオマは混乱する事しかできない。そして、それは彼にとって致命的なミスとなる。

「オラァ!!」

 モモタロスが左手を振るう。咄嗟に構えたモモタロスォードが弾き飛ばされる。
 続けざま、かぎ爪でもう一撃、間一髪避ける事はできたが、その青白い頬に幾筋か紅い線が描かれる。
 
「さっきはよくもやってくれたじゃねぇか、ええ?」

 勝ち誇った調子のモモタロスを相手にゴオマは後ずさる事しかできない。
 悲しいかな、変身のできなくなった今、ゴオマには殺される以外の選択支が存在しない。

「テメェみたいなのを生かしておく理由はねえ、覚悟しやがれ」

 黒一色の瞳に確かな殺気を宿らせ、モモタロスが左手を握りしめる。
 絶体絶命の状況に、ゴオマは逃げようとする事しかできなかった。既に高揚感などという物は消し飛んでいる。
 不意に後ずさる足の踵に何かが触れる感触があった。
 視線を動かすと、何時の間にか戦闘に巻き込まれたのか、横倒しになっている彼のデイパックと倒れた時の衝撃か散らばっている荷物。
 そして、触れた物は、金色に輝く、Sの字が描かれたガイアメモリ。
 ここに来て望外の幸運。藁にもすがる思いでそれを掴み取る。変身の方法は先程間近で確認している。

33代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:27:16 ID:Vmt2MlEQ
「それは……! やらせるかよぉ!」
――スミロドン!――

 ゴオマが手にとった物を確認した、モモタロスは、そうはさせじと、ゴオマ目がけ駆けながら、かぎ爪を突き出す。
 だが、それは少しばかり遅かった。

「……ッ!!」
「これで、五分と五分だ」

 突き出されたカギ爪は、獣を思わせる体毛に覆われた両の腕から伸びる鋭く巨大な爪により止めていた。
 猫科の動物を連想させる頭部に、構内に収まりきらず外へと伸びる二本の犬歯。園崎家の始末人であるスミロドン・ドーパントへと、ゴオマは姿を変えていた。
 ゴオマはそのままモモタロスの左手を撥ね除ける。ゴオマの変身を許してしまった事に、一瞬だけでも動揺してしまったモモタロスは対応が遅れ、撥ね除けられた勢いで体勢を崩す。
 一瞬だった。腹部に衝撃。熱く痺れる様な感覚モモタロスの腹部には鋭い爪が深々と刺さっていた。
 ゴオマが突き刺していた爪を腹部から引き抜くと同時に、崩れるようにして、モモタロスが前のめりに倒れる。
 それを尻目に、ゴオマは引き抜いた爪に付着した砂を、しげしげと見つめる。
 倒れたモモタロスの腹部からは血が流れるかの様に砂が床に広がって行く。不思議な現象だが、恐らくそういう生体なのだとゴオマは納得した。

「まずは、一人目だ」

 自分が仕留めた相手への興味はすぐに失せる。まずは一人目、沸き上がる歓喜の情が抑えきれず、猛獣の顔は歪な笑みを浮かべる。
 勝利。負け続け、惨めな思いをしていたゴオマにとって、それは狂おしいまでに甘美な感覚。
 そしてそれは、元々散漫気味だったゴオマの注意力を更に散漫にさせていた。
 ゴオマの右足に激痛が走った。

「ガアッ!?」

 何事かと下を見ると、足に深々と突き刺さる、メタル・ドーパントのかぎ爪と左腕。無論、その先にあるのは、ゴオマが始末したと思われていたメタル・ドーパントことモモタロス。
 モモタロスが受けた腹部への攻撃は出血(?)量からして、明らかに致命傷。だからといって、すぐに死亡する訳でもない。
 致命傷を与え、倒れ伏したからといって勝利した気になったゴオマのミスであった。

「ビ、ガラァ……!!(き、さまぁ……!!)」
「だから……、何言ってるのか、わかんねぇ、よ。まあ、大体、予想は、つくけど、な……」

 怒りに打ち震えるゴオマに対し、得意気にモモタロスは笑ってみせる。
 とはいえ、現在進行形で命の火が消えているモモタロスにとって、今の不意打ちが精一杯のお返しであった。もはや、体は満足に動かす事もできず、意識も薄れ始めている。
 だが、そのイタチの最後っ屁はゴオマに屈辱を与えるには十分だったろう。

(チッ、全然殴り足りねぇってのに、これが精一杯かよ)
「ギベェェェェェ!!(死ねぇぇぇぇ!!)」

 モモタロスの頭部目がけて、スミロドン・ドーパントの爪が振り下ろされる。
 モモタロスには避ける手だてがない。
 脳裏に、良太郎や、デンライナーの仲間達が浮かんだ。

(すまねぇ、良太郎。俺はここまでみたいだ。亀、熊、小僧、良太郎の事、頼……)

 耳障りな音が響く。一拍おいて、モモタロスであった者の首輪から、役目を終えたガイアメモリが床に落ち、割れる音が響いた。

34代償 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:27:56 ID:Vmt2MlEQ
「グァァァァァァ!!」

 ゴオマは怒り狂っていた。優勢だった相手に究極体であれば圧勝していた相手に、右足を負傷させられた。それが何よりも腹立たしかった。
 当たり散らす様に暴れ回る事、数分。制限時間が来たのか、ガイアメモリが排出され、変身が解ける。
 突然、ゴオマは酷い疲労感に襲われた。立つ事すらままならず、思わず膝をつく。

「バビグ……!?(何が……!?)」

 そのまま、突っ伏す様にゴオマは倒れ込んでしまった。
 ゴオマも知らない事実。一部の人間にしか渡らない、金のガイアメモリ。絶大な力を持つ代わりに、この殺し合いには一つの制約を設けられていた。
 今、ゴオマが襲われている極度の疲労がその制約。フルタイムで力の限り暴れ続ければ、グロンギですらも倒れ込む程の消耗をしてしまう。
 ダグバの力、金のメモリ、自分の身の丈以上の力を手にしたゴオマのツケは払い終える事ができるのか、それは誰にもわからない。

【モモタロス@仮面ライダー電王 死亡確認】

【一日目 昼】
【G-1 廃工場の一室】

【ズ・ゴオマ・グ@仮面ライダークウガ】
【時間軸】第39話「強魔」、ダグバに殺害される前
【状態】疲労(極大)右頬に軽度の裂傷、左掌に軽度の裂傷、右足に重度の裂傷。スミロドン・ドーパント、ズ・ゴオマ・グ究極体に二時間変身不可
【装備】なし
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(スミロドン)、不明支給品1〜2
【思考・状況】
基本思考:優勝する。できればダグバは自分が倒す。
1:とりあえず休む
【備考】
※怪人体には究極体にしかなれず、強化形態の制限時間に準じます。
※ルールブックは粗方読み終わりました。

【共通備考】
※G-1の廃工場の一室にモモタロスの死体(首輪付き)と、モモタロスォード、モモタロスのデイパック(不明支給品無し)があります。
※T2メモリ(メタル)は破壊されました。

35 ◆yZO9tKZZhA:2010/12/04(土) 16:30:32 ID:Vmt2MlEQ
以上で投下を終わります。
修正点としては

ルールブックから変身の時間制限のくだりを削除
血を砂に変えたので、それに関連した部分の修正
状態表に負傷箇所が抜けていたので追加

となっています。
遅れてしまった事、重ね重ね申し訳ありません。

36このレスは荒らしによって破壊されてしまった:このレスは荒らしによって破壊されてしまった
このレスは荒らしによって破壊されてしまった

37 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:19:07 ID:fadYM7uc
投下乙です。
こちらも投下します。

38人を護るライダー ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:19:48 ID:fadYM7uc
 城戸真司は、仮面ライダーである。
 彼に与えられた使命は、他のライダーを殺すこと。
 ──だが、その使命に背いていたのが彼の変身する龍騎というライダーだった。


 彼の住む龍騎の世界は、時間の巻き戻りによって幾つもの戦いの歴史を繰り返していた。
 今の彼が記憶する歴史は──残り6人のライダーが残り3日の死闘を繰り広げた世界である。
 しかし、彼の知る情報では現状での仮面ライダーの数は、4人。自ら戦いをやめた北岡までも参加している。
 そして──


「……浅倉威に東條悟。こいつは死んだはずなんだけどな……」


 ゲームが始まりを告げるときに見かけた東條・浅倉の姿も、名簿に載っている二人の名前も確かに死者のものであった。
 死んだはずの人間が生きているということは、やはり大ショッカーには不思議な力が備わっているということだろうか。
 そうだとして、大ショッカーは何故その力を世界崩壊の阻止に使わないのか。
 無数にある世界の人間たちが、阻止することはできないのか。


「止めてやる……止めてやるからな、こんな戦いも世界の崩壊も……絶対!」


 龍騎のデッキを、真司は強く握り締めた。
 真司はかつて、この力を殺しあうためではなく、守るために使うと決心していた。
 だから、この殺し合いで誰にも死んでほしくないし、世界も崩壊させたくない。

 そして、左手に握られたもう一つのデッキ──それは龍騎の知る残り5人のライダーでも、死んだライダーのものでもない謎のデッキだった。
 それは一体何なのか。真司の世界には存在すらしていないデッキだった。

 アビスのデッキ。契約モンスターはアビスハンマーとアビスラッシャー。
 かつて龍騎が倒したモンスターだったが、モンスターは同じ種が複数存在することもある。


「これが……最後のライダーなのか? 最後のライダーは、このデッキを使って……」


 現れていない最後のライダー。既に12人のライダーを見た彼が、そう誤解するのは仕方がないことだった。
 龍騎、ナイト、ファム──そして最後のたった一人のライダーが、アビス。


「この事を、蓮やあいつにも伝えないと……」


 秋山蓮と霧島美穂。彼らならば、きっと殺し合いをやめてくれる。
 彼らは、誰よりも人間に近い心を持っているライダーなのだから。
 北岡だって、今はライダーバトルをやめたのだから、きっと今回も殺し合いなんてしないだろう。

 彼らに、最後のライダーの事実を伝えなければならない。
 それが、今は「仲間」として互いに協力すべきライダーが共有するべき情報だ。


「そこのあなた……」


 真司は、突然かけられた背後からの女性の声に振り向いた。
 彼の知っている女性──霧島美穂の声とは違う。


「ほどけてるわよ」

「え?」

「靴紐」


 見下ろすと、確かに靴紐がほどけていた。まるで、美穂のようなことを言うのだな……と真司は思う。
 それが、こんな状況でもどこかマイペースな、しかし真司を警戒して銃を構える女性──小沢澄子との出会いだった。


△ ▽

39人を護るライダー ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:20:21 ID:fadYM7uc
「随分と壮絶な世界に生きていたのね……あなた」


 龍騎の世界の事情を知った小沢の最初の感想は、そんな言葉だった。
 当然だが、絶句する。大ショッカーははっきりと、「ライダーと敵対する怪人・組織」と言ったが、彼らの世界にそれはないのだろう。
 ライダーの敵はライダーなのだから。


「お疲れ様、城戸くん……そんな世界で、よく生きてこれたわね。
 それだけ強いサバイバル能力があるなら、この場でもきっと生き残ることができるわ」

「いや、俺は……」

「まずは、生きること。それが最優先よ。でなきゃ、他人を守ることだってできないじゃない」


 小沢はそう諭すと、真司の背中を叩く。
 どうやら、真司の周りにはいないタイプの女性のようだ。姉御肌、というやつだろうか?
 真司も周りに比べれば、よく吠えがちだが、これほどエネルギッシュな女性も珍しい。


「こう見えても私だって警察なの。アンノウンに対抗する兵器だって開発してきたわ。まあ、今回の支給品は解析し難いものばかりだけど」


 彼女の支給品は、コルト・パイソンと呼ばれる銃のほかに、「狙撃手」の記憶を内包したメモリと青の胸像があった。
 説明書を読む限りでは、それらは真司や小沢のような人間には信じ難い能力が備わっているらしい。
 唯一、小沢が理解できるのはかつて未確認生命体との戦いに使われた「コルト・パイソン」のみだ。

 真司が小沢に見せた支給品も、龍騎とアビスのデッキは原理がわからず、天才的頭脳も混乱に陥ってしまう。
 もう一つの支給品である不ぞろいなトランプカードならばまだ理解できるが……。


「なんでスペードのカードの一部だけ支給されてるんだ?」

「それはきっと、カードを使って戦うあなたに対する宛てつけね。
 ……大ショッカーはきっと、ゲーム感覚で世界の存亡と人の命を操ってる。これで確信がもてたわ」

「じゃあ、ライダーのせいで世界が滅びるっていうのは嘘!?」

「それはわからないけど、ライダーたちを惑わせるための嘘っていうのも、可能性としてゼロじゃないわね」


 どちらにせよ、こういった形で「挑戦状」を寄越してきた大ショッカーがこの殺し合いを楽しんでいるのは事実だろう。
 真司はそんな大ショッカーに強い怒りの感情を覚える。


「……? ところで小沢さん」

「何かしら?」

「小沢さんって、もしかしてお好み焼屋で焼肉食べたりします」

「どうして?」

「ここに来るちょっと前に──ほら、さっき話した霧島美穂と一緒にお好み焼屋に行ったら、小沢さんに似た人に青海苔ぶつけちゃって」

「安心して。それは私じゃないわ。……ただ、やっぱりあなたって面白い人ね」


 氷川誠のような男だ──そう、小沢は思った。
 靴紐さえまともに結べず、お好み焼屋に行けば他の客に青海苔をぶつける。そんな不器用さ。
 そして、こうして大ショッカーに立ち向かおうとする勇気と正義感は確かに氷川に近いものがある。


「──となると、美穂さんって人も将来大変ね」

「え?」

「なんでもないわ」


 氷川という男を可愛いく思いつつも、彼が恋人に向かないタイプだというのは、小沢も熟知していた。


△ ▽

40人を護るライダー ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:20:55 ID:fadYM7uc
「お。早速見つけたぞ、他の参加者」


 G−4エリアに向かったヒビキは、早速二人の参加者を遠目に発見していた。
 仮面ライダーの中でも、龍騎の世界とは違って「護りし者」という括りのなされた響鬼の世界の住人は、他者を護るために動くのが目的である。
 ヒビキは先ほど、津上翔一という参加者と出会い、その決意を確かなものにしたばかりだ。


「まあ、良い意味でのカモってわけか。仕事だもんな」


 報酬は受け取らないものの、「お得意様」になってもらうべく、ヒビキは軽快に動き始めた。
 二人一組というのは、同じ世界で協力したのだろうか。できればああして一緒にいるのが違う世界の人間であったほうが、色々とやりやすいものだが。


「おい、お二人さん!」


 ヒビキはなれなれしくも、そう声をかける。
 当然だが、返ってきたのは怪訝そうな表情であった。


「お互い厄介な事に巻き込まれたね」

「……あなたは?」

「俺はヒビキ。名簿には日高仁志で載ってるけど、そっちのほうが慣れてるからヒビキって呼んでくれ」


 胡散臭い上に、怪しい男・ヒビキに、二人──小沢と真司は警戒を隠せない。
 それだけでなく、日高仁志という名前とヒビキのあだ名の接点が見当たらないのだ。
 馴れ馴れしい口調といい、どうもこの男のペースには順応できない。

 そんなヒビキに、こちらが警戒しているという合図の意味で小沢はコルト・パイソンを向けた。


「ちょっと……やめろよ小沢さん!」


 真司の制止を無視して、小沢はコルト・パイソンの銃口をヒビキに向け続けた。
 そういえば、真司との出会いの瞬間もこれを向けていた。流石に、警戒心という武器は捨てきれないらしい。


「あ。ひどいな。同じ仮面ライダー仲間だろ?」

「残念だけど私は違うの。彼はそうみたいだけど」

「ほら、やっぱり同じライダーだ。なら話がしたいんだよ」

「小沢さん、話くらいさせてくれよ!」


 小沢は銃を降ろすも、その右手は銃を握ったまま離さない。
 咄嗟にヒビキに攻撃ができるようにはしてあるのだ。


「……俺はこれでも、人間を護るっていう使命を持ってるんだよ。だから、他のライダーにもその使命を受け取ってもらおうと思って」

「はい。それなら、俺も同じ考えです。俺だって、ライダーの力を誰かの為に使いたいから」

「お。やっぱりライダーはみんな良い心がけしてるから話が早いなぁ。
 今から12時間後──まあ、ド深夜だけど夜の12時に、E−4エリアの病院の屋上に来て欲しいんだ。俺が来てなくても、津上ってやつがいると思うから」


 ツガミ──その響きを、真司は知っていた。
 どこかで聞いたからだ。──そう、小沢から聞いた名前だった。
 真司は小沢の方を向いて、顔色を確かめる。小沢はこちらを向いて、頷いた。

41人を護るライダー ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:21:26 ID:fadYM7uc
「……津上翔一、でしょ? 私の知り合いよ」

「え? 小沢さん、津上と知り合いだったの?」

「ええ。あの津上くんに間違いなさそうね。彼がどこに行ったか知らない?」

「津上ならE−2に向かったはずだよ。そうだな……今頃、E−2で助けるべき人を探してるはずだから、行ってやったらあいつも喜ぶと思うよ」

「じゃあ、ヒビキさん、小沢さん、俺と一緒に行きましょう!」


 真司はそう提案する。が、そう言った真司の屈託のない笑顔を破壊するかのように、駆ける足音が耳を通ってきた。
 一体、その足音の主はなぜ走っているのか──。そういう疑問と、不安がヒビキたちの中を駆け巡る。


「近くに誰かいるみたいだな」

「それも、俺たちの望む形じゃなさそうだ。何か物騒な奴から逃げてるんじゃないかな」

「なら、助けに行かなきゃ……」


 と、龍騎のデッキを構えた真司が走り出そうとする。
 ──が、ヒビキがそれを制止した。


「お前は、小沢さんと一緒に津上のところに行ってこい」

「え……? でも、大丈夫かよ、ヒビキさん」

「大丈夫大丈夫。鍛えてますから」

「それならいいけど……」

「うん。じゃあな──また、後で」


 そう言ったヒビキはもう走り出していた。


「行きましょう、城戸くん」

「……はい」


 橋を抜けようというヒビキに背を向けて、二人は走り出した。


△ ▽


「なんだ、じゃあ逃げ切った後だったわけか」


 と、ヒビキは目の前の男二人──海堂直也と小野寺ユウスケに言った。
 同じように駆け足で出会った三人だったが、海堂と違ってヒビキはほぼ息切れというものをしていない。


「津上と一緒にこっちに来てれば、もう仲間が五人もできてたんだけど」


 ヒビキは最初に津上翔一と別れたことを多少後悔していた。
 彼と一緒にこちらのエリアに来ていれば、ヒビキは五人の仲間と協力することができたのだ。
 それが惜しい事実だったのは確かだろう。


「どうだ? 落ち着いたか? 二人とも」

「……はぁ……はぁ……おっさん、なんでそんなに元気なんだよ。ちゅーか、なんで汗一つかいてないだろ……」

「鍛えてますから。それに、こう見えても俺、仮面ライダーだから」

「……仮面ライダー? 名前は?」


 とユウスケが反応する。


「ヒビキです」

「仮面ライダー響鬼……魔化魍と戦ってた音激戦士だ」

「……ん? 俺のこと知ってたのか?」

「……あなたの知ってること……そして、あなたが出会った残り三人の参加者のこと、聞かせてもらえませんか?
 俺も、知ってることは包み隠さず話しますから」


 彼らはそれぞれ、話すに充分なほど『仮面ライダー』と出会ってきた戦士であった。

42人を護るライダー ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:22:13 ID:fadYM7uc
【一日目 昼】
【G−4 草原】

【日高仁志@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】本編第41話終了後
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、アタックライドカードセット@仮面ライダーディケイド、着替え(残り2着)、寝袋
【思考・状況】
1:打倒大ショッカー
2:殺し合いはさせない
3:大ショッカー、世界崩壊についての知識、情報を知る人物との接触
4:俺がしっかりしないと……
5:ユウスケ、海堂の話を聞く
【備考】
※カードセットの中身はカメンライド ライオトルーパー、アタックライド インビジブル、イリュージョン、ギガントです
※ライオトルーパーとイリュージョンはディエンド用です。
※インビジブルとギガントはディケイド用のカードですが激情態にならなければ使用できません。
※アギトの世界についての基本的な情報を得ました。アギト世界での『第四号』関連の情報を得ました。


【海堂直也@仮面ライダー555】
【時間軸】最終話 アークオルフェノク撃破後
【状態】疲労(小)、 スネークオルフェノクに二時間変身不可、ライオトルーパーに変身中
【装備】スマートバックル@仮面ライダー555
【道具】支給品一式、不明支給品×2
【思考・状況】
1:ヒビキ、ユウスケとの情報交換
【備考】
※デイバッグの中はまだきちんと調べていません。


【小野寺ユウスケ@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】第30話 ライダー大戦の世界
【状態】疲労(中) クウガに二時間変身不可
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品×3
【思考・状況】
1:海堂直也は信じてもいいのか?
2:殺し合いには絶対に乗らない
3:まずはヒビキに出会ってきた参加者のことを聞く
【備考】
※デイバッグの中身はまだ確認していません。



【一日目 昼】
【G−2 橋】

【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】劇場版 霧島とお好み焼を食べた後
【状態】健康
【装備】龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎、アビスのデッキ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、ラウズカード(スペードの7,8,10〜K)@仮面ライダー剣
【思考・状況】
1:小沢と一緒に津上翔一に会いに行く
2:ヒビキが心配
3:絶対に戦いを止める
4:蓮、霧島、北岡にアビスのことを伝える
5:大ショッカーは許せない
【備考】
※支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。
※アビスこそが「現われていないライダー」だと誤解しています。
※アギトの世界について認識しました。


【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【時間軸】劇場版 霧島とお好み焼を食べた後
【状態】健康
【装備】コルト・パイソン+神経断裂弾@仮面ライダークウガ
【道具】支給品一式、トリガーメモリ@仮面ライダーW、ガルルセイバー(胸像モード)@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
1:真司と一緒に津上翔一に会いに行く
2:殺し合いには乗らない
3:打倒大ショッカー
【備考】
※真司の支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。


【共通備考】
※1日目0時、E-4エリアの病院屋上で合流する予定です(ユウスケ、海堂にはまだ話していません)

43 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 17:23:21 ID:fadYM7uc
以上、投下終了です。
問題点、修正点などありましたら報告お願いします。

44二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/04(土) 17:37:27 ID:pTTZZml.
投下乙です
問題はないですが一つだけ
小沢さんの時間軸が真司と被ってるので
そこは直した方がいいかと

45 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/04(土) 19:53:49 ID:fadYM7uc
すみません。真司の状態表をコピーして書き換えたため、ミスが生じてました。
正しくは、下の状態表です。

【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編終盤
【状態】健康
【装備】コルト・パイソン+神経断裂弾@仮面ライダークウガ
【道具】支給品一式、トリガーメモリ@仮面ライダーW、ガルルセイバー(胸像モード)@仮面ライダーキバ
【思考・状況】
1:真司と一緒に津上翔一に会いに行く
2:殺し合いには乗らない
3:打倒大ショッカー
【備考】
※真司の支給品がトランプだったことを、カードを使って戦う龍騎に対する宛てつけだと認識しました。

46 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:44:33 ID:yOy20F0I
特にご指摘無かったので本投下しておきます

47Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:45:11 ID:yOy20F0I
木漏れ日を照明に、川のせせらぎをBGMに山道を歩く中年の男がいた。
頼れる男の雰囲気を纏い左手にはデイバッグ、背中にはギター。
いくつもの修羅場を潜り抜けてきた男を人はザンキと呼んだ。

(どういうつもりかは知らないが、ありがたく使わせてもらうぜ)

背中のギターの重みを感じながらザンキは歩く。

音撃真弦・烈斬

鬼として復帰したザンキに猛士が送った新たな剣。
彼が目覚めた時デイバッグと共に「使え」とばかりにそれは地面に突き刺さっていた。
他の支給品も確認したが当然のごとく烈斬を武器として選択し、背中に背負う。

(大ショッカーだかなんだか知らないが、俺の命は誰かと戦う為にあるんじゃない。
 護る為にあるんだ。お前達の好きにはさせねぇ……)

大ショッカー打倒を胸に歩き続け、やがて舗装された道が姿を現した。

「まずはヒビキ達と合流しないことには始まらんな……ここは、A-4辺りか?」

道路上で立ち止まり地図と睨めっこをするザンキの頭上が一瞬暗くなる。
予感を感じ空を見上げるが空は今までと変わりなく晴天だった。

(気のせいか?いかんな、思ったよりも限界が近いのか)

自らの肉体が既にボロボロであるのは覚悟の上での鬼への復帰だったが……
ザンキの脳裏にどこまでやれるのか、という不安が広がる。その時――


「助けてぇーーっ!!」


若い女性の悲鳴が静寂を破る。
迷うことなくザンキは声のした方へと走り出した。
手遅れにならない事を願いながら全力で走り続け、やがて視界が開けていく。
川を横切るように作られたコンクリートの通路。丁度中間ほどの位置で女性が腰を抜かすように座り込み、
すぐ近くには今にも襲わんとばかりに白鳥型のモンスターが羽ばたいていた。

走りながらデイバッグを投げ捨て、左腕の変身音源・音枷のカバーを開き弦を弾く。
空から降り注いだ落雷がザンキを包み込み――

「セヤッ!」

右手で雷を振り払い鉛色の仮面の鬼へと姿を変える。
大幅に強化された脚力で飛び上がり、白鳥型モンスターに不意打ちの飛び蹴りを浴びせ反転。
女性を護るように目の前に着地する。

「まさか魔化魍がこんな所にまでいるとはな、だがどんな場所であれ好きには……あ?」

不意打ちを受け吹き飛ばされた白鳥モンスターは反撃しようと斬鬼まで迫るが
唐突に体中から粒子を噴出しながら消滅してしまう。

「妙に手応えの無い奴だったな、まだいるんじゃねぇだろうな……」

周囲を警戒しつつも背後の女性の方に向き直り右手を差し出す。

「奴がまだどこかに潜んでいるかもしれねぇ、お前さんは早くここから逃げな」

恐怖とも驚きとも思える表情を見せた女性は一瞬目を泳がせた後、叫んだ。

「化け物ぉっ!近づかないでっ!!」
「おいおい、こんなナリしてるが俺は――」


「ウォォォオォォォッッ!!」


斬鬼の言葉は強烈な雄たけびにかき消され、
何事かと確認しようとした時には既に空へと吹き飛ばされていた。


  ◆  ◆  ◆

48Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:45:49 ID:yOy20F0I
葦原涼が目覚めたのは木々生い茂る森の中だった。
起き上がった彼はまず首に巻かれた物体の感触を確かめ、次に諦めのため息をつく。

(夢、で済むわけもなかったか。大事に巻き込まれるのはもう慣れたが……)

立ち上がり、身体の汚れを軽く叩き落としディバッグの中身を確認しようとしたその時――


「助けてぇーーっ!!」


悲鳴が聞こえ、一瞬身体が硬直するがすぐにデイバッグを抱え駆け出していく。
少し走ると舗装された道路までたどり着き、道路に沿って走り続ける。
視界が開け、コンクリートの通路が姿を現し、その中間ほどの位置に悲鳴の持ち主であろう女性が座り込み、
鉛色と深緑のアギトやアンノウンとも異なる怪人が眼前に立ち尽くしていた。
怪人が女性に手を伸ばした時、再び悲鳴があがる。

「化け物ぉっ!近づかないでっ!!」

涼はデイバッグを投げ捨て両手を交差させ――

「ウォォォオォォォッッ!!」

腰に金色のベルトが浮かび上がり瞬時に緑色の異形の姿、ギルスへと変身する。
怪人の隙を突いて強引に蹴り飛ばし、通路から吹き飛ばす。

「お前は逃げろ!」

女性に一言だけ声をかけ、怪人を追う為ギルスも下に流れる川へと飛び降りた。

『俺の力で人を護ってみるのも悪くない』

この会場に来る少し前に思えた涼の素直な感情だった。
そしてそれは今も変わらない。

(大ショッカーの言葉に従う奴ら、人の命を脅かす奴らは全員俺が片っ端からぶっ潰す!)

確固たる意思を胸にギルスは着地し、フラフラとしながらも立ち上がった怪人と対峙する。


  ◆  ◆  ◆

49Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:46:19 ID:yOy20F0I
(何が、起こった?)

不意を突かれた一撃と地上との激突の衝撃に身体を痺れさせながらも斬鬼はフラフラと立ち上がる。
彼の足元を流れる川は膝下程度の深さしかなく激突の衝撃を和らげてくれる事は無かった。
肩を震わせながら咆哮を上げる緑の怪人を見ながら先ほどのコンクリートの通路はダムの堤体上通路であった事を確認する。

(あの高さから落ちたのか、そりゃ効くわな……)

緑の怪人が両手を振りかぶりながら斬鬼に接近する。
それに応えるように斬鬼も構えを取るが思考が戦闘に集中できないでいた。

(あの白鳥の仲間?いや、違う。女はまだ無事のようだ、とするとまったく別の第三者なのか)

「ガァッ!」

雄叫びと共に緑の怪人が右手を振るい、左腕で受け止める。
次いで迫り来る蹴り上げを右手でいなし距離を取る。

(クソッ、左腕が痺れやがる!なんてパワーしてやがんだあの野郎!ってそうじゃねぇ、おい――)
「ガハッ……!?」

声を出そうとした斬鬼の口から出たのは言葉にならない異音、そして口中に広がる鉄の味。

「オォォォ!」

声を上げながら緑の怪人が再び距離を詰め再び右手を振るう。
先ほどと同じように左腕で受け止めよう振り上げ――寸前で身体を大きく屈め怪人の攻撃を避ける。
怪人の右腕にはいつの間にか鎌のような緑色の爪が生えていたのだ、先ほどと同じように受けていたら大きな痛手を受けていただろう。
追撃を狙う怪人を両手で突き飛ばして体勢を崩し、その間に再び僅かに距離を取る。

(冗談じゃねぇ、奴さん本気も本気だな。仕方ねぇ……)

背中に抱えた音撃真弦・烈斬を抜刀したかのようにゆっくりと構える。
緑の怪人はその異様な武器を警戒し、迂闊には攻め込んでこない。
お互いゆっくりと円を描くように動き、相手の出方を伺う。

「ガァァァッッッ!」

やがて痺れを切らした緑の怪人が一気に距離を詰めようと駆け寄った。
初手の右腕の爪を烈斬で捌きつつ懐に飛び込み、鳩尾へと肘うちを喰らわせる。
僅かに怯んだ隙を見逃さず蹴り飛ばし、大きく体勢を崩させる。
緑の怪人は踏みとどまろうとするがそれこそ斬鬼の狙い。
烈斬を使える距離を作り上げ、更に踏ん張る為に硬直した体を狙い横薙ぎに烈斬を振るう。

「グガァ!」

うめき声をあげ緑の怪人が吹き飛ぶ。しかしやられてばかりで終わるわけが無かった。

50Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:47:09 ID:yOy20F0I
赤い触手が右腕から伸び、烈斬を振るい隙ができていた斬鬼の首に巻きついていく。
吹き飛ぶ勢いに引きずられ、斬鬼も前のめりに倒れこんでしまった。
元々の体力の差か、緑の怪人が先に立ち上がり立ち上がろうとしていた斬鬼の首を締め上げる。
そのまま強引に振り回し、更に締め付けを強化する。

(まずい、このまま、じゃっ!)

遠のきかけた意識を気合で呼び覚まし、烈斬で触手を斬りつけなんとか拘束を振りほどく。
勢い余った緑の怪人が体勢を崩し、斬鬼は追撃を狙うが――

「ゴホッ、ゴホッ!」

身体が思うように動かず片膝をつき、血反吐を吐く。
首を締め付けられたまま散々振り回され、既に斬鬼の体力は限界を超えたのだった。
それでも立ち上がろうと顔をあげた斬鬼の視界に右足を振り上げた緑の怪人が映りこむ。
踵の先から死神の鎌とも思えるような爪が伸び、それが徐々に迫り――

(こんな所でやられてたまるかよ……っ!)

烈斬を盾にするように緑の怪人の右足を押さえ込む。
それでも尚、踵の爪が斬鬼にジリジリと迫るが両手で烈斬を支えなんとか持ちこたえる。
しかし残った体力の差か、徐々にその均衡が崩れ少しずつ爪が斬鬼に近づいていく。

「オォォォッッッ!」
「ヌゥゥ……ッ!」

お互いうなり声をあげる。だが遂に力負けした斬鬼の背中に爪が食い込んでいく。
グチュリを何かをつぶすような音を出しながら爪が深く深く身体に突き刺さる。

「ウゥゥオォォォッッッ!」

勝利を確信した緑の怪人が咆哮を上げる。

「勝ち名乗りの……つもりか貴様ぁぁっ!!」

しかしそれ以上の声で血反吐を吐きながらも斬鬼が吼える。
ベルトのバックルから音撃震・斬撤を取り出し、烈斬に装着し怪人を支える左足に狙いを定めるが――

斬鬼自身の足元に烈斬を突き刺し斬撤に指を掛ける。

「音撃斬!雷電斬震!!」

掛け声と共に清めの音を次々とかき鳴らす。
清めの音が川に波紋を呼びそれがやがて波となる。
烈斬を突き刺した川底の地面に亀裂が走り亀裂から雷が噴出する。

「グゥ……ガァッ!」

斬鬼を中心にあふれ流れるエネルギーに耐え切れず緑の怪人が川から吹き飛ばされ、
川沿いの木々の中に突っ込んだ。

姿が見えなくなった事を確認した斬鬼は斬撤の弦から指を放し、空を見上げ息を一つ吐いた。


  ◆  ◆  ◆

51Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:47:47 ID:yOy20F0I
葦原涼が再び目覚めたのは木々生い茂る地面の上だった。先ほどと違うのはすぐ近くに川が見えている事か。
鉛色と深緑の怪人の姿を探すが意識を失っている間に逃がしてしまったらしい。
涼は痛む体を気にしつつ堤体上まで戻り、デイバッグを回収しながら先ほどの女性の姿を探すがこちらも見つからなかった。

「無事逃げ切れたならいいが……」

女性が逃げるだけの時間稼ぎは十分出来たとは思うが怪人を仕留め損なった事が涼の心に不安を宿す。

「あいつ、次見つけたときにはこんどこそ逃がさない……っ!」

不安をかき消すように決意を口に出し、歩き出す。


【1日目 昼】
【A-5 ダムに繋がる道路】

【葦原涼@仮面ライダーアギト】
【時間軸】本編36話終了後
【状態】中程度の疲労、胸元にダメージ 、仮面ライダーギルスに2時間変身不可
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品×1〜3(未確認)
【思考・状況】
1:殺し合いに乗ってる奴らはぶっつぶす
2:人を護る
3:鉛色と深緑の怪人を警戒
【備考】
※支給品と共に名簿も確認していません。


  ◆  ◆  ◆

52Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:48:34 ID:yOy20F0I
葦原涼が去った方向とは丁度逆の方向の堤体上通路の陰にザンキは潜んでいた。
涼が立ち去った事を確認し、疲れきったため息をつく。

「あんた、何であいつの身体にあのギター刺さなかったの?」

茂みの中から逃げたと思っていた女が姿を現し、ザンキは多少驚いた。

「お前、逃げたんじゃなかったのか?」
「答えてよ、あれだけすごい力だったら直接刺せばひょっとして倒せたんじゃないの?」
「かもな……だが、俺が倒すべき敵はあいつじゃない。少なくともあいつは良い奴だ。
 ああするのが一番と思ったからそうしたまでだ」

女の問いに答えつつもザンキは考えていた、何故女が残っているのかを。
そして女の雰囲気から答えを導き出し、薄く笑みを浮かべた。

「何笑ってるのよ」
「お前、このふざけた企画に『乗ってる』。そういうことか」

僅かに残していた弱気な女の仮面を捨て、女は髪をかき上げた。

「ご名答。よくわかったわね?」
「お前がもう隠そうとしなかったから、な。まったくたいしたタマだぜ……相打ちがお望みだったか?」
「別に……」
「はっ、そうかよ。……ガハッ!」

ザンキが血反吐を吐き身体を震わせる。

「トドメさしてあげようかと思ったけど、その様子じゃどっちみち長くはなさそうね」
「……元々長くはない、命だ。動けるうちは、動かすか。お前さんが『乗ってる』って言うなら見逃せないからな」

フラフラと立ち上がり音枷のカバーを開き、弦を弾く。
女が懐から何かを取り出そうと構えるが、そこで動きが止まる。
本来なら変わるはずのザンキの姿が変わらなかったのだ。
ザンキは自嘲の笑みを浮かべドサッと座り込む。

「チッ、変身するだけの体力すら残っちゃいねぇか。命の使いどころを誤ったな……」

女は興味を無くしたのか放り投げられていたザンキのデイバッグを拾い上げ、ザンキの傍らに置かれた烈斬を見つめる。

「悪いが、こいつは譲れねぇな。あとの物は好きにしな」
「そう」

短く返事を返し、自らのデイバッグとザンキの分をデイバッグを抱え女はその場を後にした。

誰もその場にいなくなった事を確認するとザンキは烈斬を杖代わりにフラフラと立ち上がる。
目の前にはダムによってできた水面が先ほどの衝撃の余波でゆらゆらと揺れていた。
ゆっくりと目を閉じ、ザンキはその身を通路から投げ捨てた。

(どちらにせよ、俺は死ぬ。それなら俺の死体は残したくねぇ。ヒビキやあきらが見つけちまった時の事を考えると、な……
 ヒビキ、お前にだけ背負わせちまう事になるが……後の事は頼む)

遠くなる水面を見つめ、やがてザンキの思考も閉ざされていった。
堤体上通路で烈斬だけがザンキの最期を見守った。

【財津原蔵王丸@仮面ライダー響鬼 死亡】
  残り56人


  ◆  ◆  ◆

53Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:50:17 ID:yOy20F0I
ザンキのデイバッグを整理しながら女、霧島美穂は改めてこの戦いの事を考えていた。
たった一つの世界だけが勝ち残る世界。そして勝ち残った世界の参加者には望む物が手に入る。
結局の所は彼女の世界で行われたライダーバトルと同じである。
違う所は二つ、参加が強制である事と大ショッカーの言葉、少なくとも技術は確かなものである事。
死者を蘇生する、不可能な夢物語と思っていたが彼女自身の身体でもって証明されてしまった。
そう、霧島美穂は一度死んだ身だった。最期を誰に看取られること無く静かに死んだ、はずだった。
それがこうしてこの場で動いているのだから大ショッカーの技術は信じるほか無い。

(私の望みは変わらない、勝ち残って、大ショッカーにお姉ちゃんを生き返らせる)

彼女はそうして戦いに乗ることを決意した。手始めに自らの契約モンスターであるブランウイングを召喚し辺りを偵察させた。
近くに参加者が近くにいた事を確認すると彼女はブランウイングと共に自作自演のピンチを作り上げる。
悲鳴に誘われた参加者が傍観を決めたならブランウイングを使って逃走、もしも助けにきたなら自らとブランウイングでの挟み撃ち。
都合のいいことにやってきた男は助けに来るタイプであった。途中姿を変えた事には驚いたが。
想定外だったのはブランウイングが早々に消滅してしまった事だった。倒されたのかと彼女は一瞬焦ったが時間切れであったと判断した。
策が使えなくなり、さてどうしたものかと考えあぐねていた彼女の視界の隅にもう一人の参加者が映った。

ここで彼女は別の策を思いつく。といってもブランウイングを自分を助けにきた目の前の男に変えただけの策だが。
更なる悲鳴をあげ、新たにやってきた第三者が傍観を決めたら目の前の男と、逆に助けにきた場合は第三者の男と共闘する。
誤解を解く暇を与えずどちらかの参加者を始末するつもりだった。うれしい誤算だったのは第三者の男が妙に積極的だった事か。
自分がわざわざ加わる必要は無くなったと判断した彼女は身を隠し、事の顛末を見守ったのだった……

デイバッグの整理を終え、ここにきてから二度目となる名簿の確認を行う。

(秋山蓮、東條悟……名前は知らないけれど同じ世界の参加者なら、ライダーバトルに参加するほどの欲のある人間なら協力できるかな。
 北岡秀一は悔しいけれどこの場は協力するしかない、許すつもりは毛頭ないけれど……)

「浅倉……っ」

姉の仇である男の名前を見つめるたびに彼女の心に黒い炎が燃え上がる。

(私と同じようにアンタも生き返ったっていうなら殺してやる……何度でも、何度でも!)

そんな黒い炎も最後に見つめる名前の人物の事を思うと――

(真司……アンタはきっとこの戦いに乗らないんだろうね、バカだよね、ほんとう……
 でもさ、生き残るには戦わなきゃいけないんだよ?真司。だからさ、だから……
 アンタは変わらなくていい、私が、私達が他の世界を消してあげる。
 そうすれば真司も護れる、お姉ちゃんも生き返る。もうちょっとだけ、待ってて)

黒い炎が更に燃え上がる。様々な感情を燃料に強く、激しく。
その炎に感化された支給品の一つも強く、激しく燃え上がる。

    ―― SURVIVE ――

生き残る為、生き残らせる為、彼女は戦場へ向かう。

【1日目 昼】
【A-4 ダム付近】

【霧島美穂@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】映画死亡後
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式×2、ファムのデッキ@仮面ライダー龍騎、サバイブ「烈火」@仮面ライダー龍騎、不明支給品×1〜4(確認済み)
【思考・状況】
1:あらゆる手を使い他の世界の参加者を倒す
2:秋山蓮、北岡秀一、東條悟と接触、協力。
3:浅倉威は許さない、見つけ次第倒す。
4:城戸真司とは会いたいけれど…

54Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE:2010/12/05(日) 05:55:09 ID:yOy20F0I
付け加えたかった文忘れてました

【1日目 昼】
【A-4 ダム付近】

【霧島美穂@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】映画死亡後
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式×2、ファムのデッキ@仮面ライダー龍騎、サバイブ「烈火」@仮面ライダー龍騎、不明支給品×1〜4(確認済み)
【思考・状況】
1:あらゆる手を使い他の世界の参加者を倒す
2:秋山蓮、北岡秀一、東條悟と接触、協力。
3:浅倉威は許さない、見つけ次第倒す。
4:城戸真司とは会いたいけれど…

※ダムは仮面ライダーW第32話でビースト&ゾーンドーパントと対決した場所です

以上で投下終了です
実際のダムの名前は神水ダムという発電目的のダムだそうです。ロケ地調べる人達はすごいですね…

55 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:24:00 ID:B31MKa72
乃木怜治を投下します

56魔王が 動き出す 日 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:24:56 ID:B31MKa72

「とんだ目にあったな…………」

日の光に照らされた道を、一人の男が歩きながら呟いた。
その声からは、明らかな苛立ちが感じられる。
肩まで届く黒い長髪、暗闇のような色のロングコート、その下に纏われているスーツ。
全てが、漆黒で統一されている。
その格好からは、まるでこの世の全てを飲み込むような、禍々しい雰囲気を放っていた。
彼の名は、乃木怜司。
『カブトの世界』で猛威を振るっていた、宇宙より飛来した人間に擬態する生命体、ワームを率いる王。

「俺としたことが、油断したか……?」

自らと大ショッカーに対する苛立ちを感じ、舌打ちをする。
本来ならば、ワームの軍勢を率いて、人類に攻撃を仕掛けている最中だった。
忌々しいZECTが生み出した、マスクドライダーシステムの秘密を奪うために、エリアZに進撃。
そしてあと一歩の所で、勝利を収めるはずだった。
だが気がついたら、大ショッカーと名乗った連中に、拉致されるなんて。
そして訳の分からない殺し合いを強制された。
その目的は、自分が住む世界を崩壊から救うこと。
首から伝わる冷たい感触が、その証。
鋼鉄製の首輪には、どうやら爆弾が仕掛けられているようだ。
先程、その犠牲となった男がいる。
名前は確か、影山瞬と言った筈。
ZECTの一員として、ワームに何度も刃向かった。
そして、自分にも。
一度目は、仮面ライダーパンチホッパーとして、他のライダーと徒党を組んだ。
二度目は、エリアZに進撃した際に仮面ライダーザビーの姿で、仮面ライダーガタックと共に抗った。
だがどちらも、自分は掠り傷すらも負わずに勝利する。
それどころか後者の戦いでは、ザビーとガタックの必殺技を手に入れる事に、成功した。
そのままエリアZの最深部に突入しようとした矢先、こんな戦いに繰り出される羽目になるなんて。
しかし過ぎたことをこれ以上考えても、仕方がない。
やるべきことは、一刻も早く元の世界に帰還して、ZECTを潰すこと。

「さて、どうするか」

だが、まずはその方法を探ることからだ。
いくら行動方針を定めたところで、肝心の手段が無ければどうしようもない。
選択肢は、二つ。
一つ目はワームの王としての力を発揮し、参加者を皆殺しにする。
この選択を取ることは楽だ。
自分の力さえ用いれば、負けることは無い。
だが、それはあくまでも自分の世界の話。
大ショッカーはこの会場に、違う世界の住民を連れてきた。
それが、予想以上の力を持っている可能性は充分にある。
地球の人間は、井の中の蛙という諺を作った。

57魔王が 動き出す 日 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:25:38 ID:B31MKa72
奴らの言葉を借りるのは癪だが、下手に喧嘩を仕掛けてもこうなる可能性がある。
そして何より、この選択を取ることは大ショッカーに屈したも同然。
ワームの王としての誇りが、それを許さなかった。
第一、生き残ったところで奴らが約束を守るとは思えない。
最後の一人になった瞬間、大ショッカーがこちらを始末しに来る事も、充分にあり得る。
返り討ちにしてやればいいが、そうもいかない。
敵は自分を拉致し、このような首輪を巻いた。
この事実からすると、大ショッカーは確実にこちらの手の内を、全て知っている。
そして何らかの対抗策も、既に固めているはずだ。
少なくとも自分が大ショッカーの立場なら、そうしている。
駒に反旗を翻させないために。

(奴らの駒になるだと…………考えただけでも反吐が出る)

怒りによって、腸が煮えくり返りそうになった。
だがそれを押さえて、乃木はもう一つの選択に思考を巡らせる。
二つ目は参加者と結託し、大ショッカーを打ち滅ぼす事。
人間と仲良く手を取り合うつもりなどない。
ワームの本領に応じて、利用する。
戦力となるなら引き入れて、駄目なら餌にするだけ。
そして首輪を解除できる環境も作り、この世界から脱出する方法を探る。
最後は、自らをこんな場所に放り込んだ愚か者への制裁だ。

「ここには、奴らがいるか」

自分に持たされたデイバッグを開いて、支給されていた名簿を確認する。
どうやらこの会場には、自分が知る者が少しはいるようだ。
ZECTが作り上げたマスクドライダーを使う人間と、ワームの同胞。
まず、天道総司。
仮面ライダーカブトの資格者として、我々ワームに何度も刃向かった愚かな男。
自分も、奴には煮え湯を飲まされた。
大ショッカーに啖呵を切ったところを見ると、反旗を翻そうとしているに違いない。
最も自分には、どうでもいいことだが。
潰そうとするのなら、勝手にすればいい。自分の邪魔になったときに、始末すればいいだけ。
次に、加賀美新。
仮面ライダーガタックの資格者として、カブト共に我々の邪魔をした、マスクドライダーの一人。
天道ほどではないが、この男も厄介だ。
そして、矢車想。
仮面ライダーキックホッパーの資格者であるこの男は、いまいち訳が分からない。
ワームの邪魔をしている。
かといってZECTの犬となっている訳でもない。
最後に、仮面ライダーダークカブトに選ばれた、あの男。
ZECTの手によってエリアXの最深部に幽閉され、天道総司に擬態したネイティブらしい。
あれの存在は最高機密らしいが、ワームの情報網さえあれば存在を知るなど、朝飯前。

「まさか、あの間宮麗奈までもがここにいるとはな」

名簿を見ながら、乃木は呟く。
そこには、意外な名前が書いてあったため。
間宮麗奈。
ワームの中でも高い地位に就いており、多くの仲間を率いてきた。
だがある時、カブトとの戦いで記憶を失ったと聞く。
その時に仮面ライダードレイクに選ばれた男、風間大介と恋に落ちて、最後には死んだらしい。
あの女が愚かな人間に愛を抱いたことに、多少ながら驚愕した。

58魔王 が 動き出す 日 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:28:10 ID:B31MKa72
しかし、それだけ。
精々、駒が一つ減った程度にしか感じない。
無念を晴らそうとも、敵を取ろうとも思わなかった。
人間などに思いを寄せた愚か者など、仲間とは思わない。

「どうやら、奴らの言葉はあながち嘘ではないようだな…………」

間宮麗奈の名前を見て、乃木は思い出す。
最初の地で、死神博士と名乗った老人は言っていた。
戦いに勝ち残れば、願いを叶えると。
そしてそれには、不可能はないらしい。
無限の命、敵対組織の根絶、過去の改変。
恐らく、間宮麗奈も何らかの方法で蘇生させて、盤上の駒としたか。
もしくはハイパーゼクターのように、時を越えて死ぬ前から連れてきたか。
何にせよ、奴らの技術は本物の可能性が高い。
自分をこんな所に拉致することだ。
奪わない手はない。
これを上手く利用すれば、ZECTを潰すことも可能なはず。
乃木の行動方針は、ようやく決まった。
まずは大ショッカーに対抗出来る、人材の確保。
使える者を手駒に引き入れ、駄目な奴は餌にする。
ZECTのライダーも、視野に入れなければならない。
奴らと手を組むなど、本来なら反吐が出る行為だ。
しかし、今は堪えなければならない。
大ショッカーを打ち破るまでの辛抱だ。
その後に、自分の餌にする。

「愚かな大ショッカーの諸君、待っているがいい…………」

乃木は動き出した。
自らの信念に基づいて、大ショッカーを潰すために。
彼のバッグには、一本の剣が眠っていた。
それは『BLACKの世界』に君臨する創世王だけが、使うことを許された剣。
大ショッカーのトップ、大首領の座に君臨した男、月影ノブヒコ。
またの名を、シャドームーンが愛用していた、絶大なる力を持つ剣だった。
血のように赤く煌めく刃は、サタンサーベルと呼ばれる。
それが今、ワームを率いる魔王の手に渡った。
乃木怜司の行く先には、何が待つか。

59魔王 が 動き出す 日 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:29:06 ID:B31MKa72

【1日目 昼】
【D−3 橋】



【乃木怜司@仮面ライダーカブト】
【時間軸】44話 ザビー&ガタック勝利後
【状態】健康
【装備】サタンサーベル@劇場版仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー
【道具】支給品一式、不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:大ショッカーを潰すために戦力を集める。使えない奴は、餌にする。
2:状況次第では、ZECTのマスクドライダー資格者も利用する。
3:最終的には大ショッカーの技術を奪い、自分の世界を支配する。
【備考】
※カッシスワーム グラディウスの状態から参戦しました。
※現在覚えている技は、ライダーキック(ガタック)、ライダーカッティング、ライダースティング、ライダースラッシュの四つです。

60 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 13:29:42 ID:B31MKa72
これにて、投下終了です
矛盾点・指摘などがありましたらお願いします

61二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/05(日) 15:35:49 ID:xfp24BcA
投下乙です。しかし、いくつか気になる点がありました。

・現時点で吸収した技を4つも覚えているのは、序盤の対主催キャラにしては戦力が大きすぎるような
・本来「仮面ライダーBLACK」出典のアイテムである筈のサタンサーベルを出すのはさすがに駄目じゃないでしょうか
 ディケイドに少しでも関わったもの全部OKにしたら、平成オンリーがコンセプトなのに実質全シリーズ許容になってしまうのでは

62 ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:37:57 ID:kmsDnPrw
投下します

63止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:41:34 ID:kmsDnPrw
-----私、天美 あきらは突然殺し合いに参加させられました。見知らぬホテルで目を覚ました私はそこで大変なものを見てしまう。今、私の目の前には…悪魔がいる! -----

---1時間前

「これより諸君には、己が世界の命運を賭けて殺し合ってもらう」

私には目の前の老人が何を言っているのか、すぐには理解出来ませんでした。
…世界の命運……殺し合い…何一つとして現実味を感じません。
ようやく理解出来たのは、それから間もなくのこと…弾けとんだ男性の首。吹き出す血潮。
まやかしではない…現実の死…
魔化魍に襲われたわけでもない…ただの悪意によって人の命が奪われた。
その事実が私の心に届いたとき、やっと老人の言葉が嘘ではないと理解することが出来ました。

「最後に生き残るのはどこの世界か――戦わなければ生き残れない。抗うがいい、仮面ライダーたちよ!」

頭上から迫り来る光の壁…それに飲み込まれた私は…その衝撃に意識を失いました…


-----気がついたとき、私は見知らぬベッドの上にいました。

普段の生活とは無縁な、明らかに高級感漂う純白のベールをどけ、起き上がった私の目の前には…一人の紳士がいました。

「お目覚めになられましたか…」
「あの…ここは…?」
「B-6…ホテルの一室。これが会場の地図です」

高級なホテルが醸し出す雰囲気に、その紳士の佇まいは非常に良く馴染んでいました。
彼が手渡してくれた地図は、殺し合いの舞台であるこの会場の地図…やはり、あの老人の言葉は嘘ではなかった。

「いきなり殺し合いを強要されては戸惑い、気を失うのも無理はありません。よろしかったらお水をどうぞ」
「どうも…」

私の戸惑いはまだ醒めず、手渡されたペットボトルを開けることも出来ず…ただ目の前の紳士の顔を眺めていました。

「申し遅れました…私はスマートブレイン代表取締役社長、村上峡児と申します。この参加者名簿では上から4つめの世界の参加者として書かれていますね」

丁寧に名刺を渡しながら、参加者名簿の名前と照らし合わせて自己紹介をする姿勢、先ほどまでの親切な振る舞い…それらに私はとても好感を覚えました。

「失礼ですが…お嬢さん。あなたのお名前は?」
「あ…天美 あきらです…」
「成る程…6つ目の世界の方ですか。参加者が4人とは大変少ないですね…どなたかお知り合いはいらっしゃいますか?」

名簿に目を通した私は知り合いの名前を見つけ、喜びと戸惑いが激しく混ざり合いました。
イブキさんは…いない。
ヒビキさん、ザンキさんはこんな状況でもきっと大丈夫…鬼として、殺し合いに巻き込まれた人たちを助けているはず。
桐谷くんは…まだまだ、ただの一般人。こんな殺し合いにいてはいけない。

「3人とも…知り合いです。そのうちの2人はとても強く、しっかりとしている方たちですが……」
「助けが必要な方もいらっしゃる…?」
「…はい!」

私は鬼にはなれない…これまでの修行を通して、そう実感した。
でも…安達くんと桐谷くんには未来がある。彼らならきっと鬼になれる。
だから、桐谷くんをここで死なせるわけにはいかない…私は鬼にはなれないが、人を助けるという道は…決して鬼になるということだけではない。

「私は…正直、誰かを守るために十分な力はありません。でも…それでも困っている方々の助けになりたいと思います…村上さん、手伝っていただけませんか?」
「…素晴らしい! いや、お若いのに実に崇高な精神の持ち主だ…まさに上の上と言ったところです……ただし………」

村上さんの笑顔が消え、その顔に暗い影が落ちるのを…私ははっきりと見ました。

「ここが戦場であることを考慮に入れるならば…その精神は下の下です…!」

-----私、天美 あきらは突然殺し合いに参加させられました。見知らぬホテルで目を覚ました私はそこで大変なものを見てしまう。今、私の目の前には…悪魔がいる! -----

64止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:42:09 ID:kmsDnPrw
「戦場では力なき者から消えていく…あなたが力なき者で…非常に残念です」

目の目の紳士は一転、それは…まるでベッドのシーツのような、純白の悪魔へと姿を変えました。

「村上さん……まさか、殺し合いに乗るんですか!?」
「いいえ、大ショッカーのいいなりになるなど下の下…以下です」

白い悪魔の拳が眼前に迫るのを、思わず屈んで避けると、私はもう使うことなどないと思っていた…鬼笛を手に取りました。
甲高くもどこか清らかな音が鳴り響くと、私のカバンから出てきたのはディスクアニマル…ニビイロヘビ。

「何ですか…これは…?」

細長い体をくねらせ、必死で食らいつきにいくニビイロヘビ。それに村上さんが気を取られている隙に、私は自分のカバンを取り、中身を確認しました。
先ほどディスクアニマルが出てきたカバンです。他にも、何かこの場を切り抜けられるものが入っていると信じて……

「…煩わしい!」

村上さんはニビイロヘビをつかむと、苛立ちのあまりかそれを投げ捨てました。
窓ガラスを突き破って消えていくニビイロヘビを一瞥すると、村上さんは再びこちらに向かってきます。

「あなたの力は分かりました。どうです…? あのヘビを操る力について教えてくれませんか…? 共に大ショッカーと戦う力があるならば、ここで殺す必要もない。役立たずの下の下の命しか、私は奪うつもりはありませんから……」
「…お断りします!」

私は鬼笛を鳴らすと、それを額に翳す…完全な鬼にはなれないが…抗う力くらいならば……

「ハァッ…!」

風を纏い、風を切り裂く…以前にも感じた鬼へと変わるこの感覚…

「ほぉ…まだそんな力も持っていたとは…どうです…? 共に戦う気はありませんか…?」
「簡単に…人の命を奪おうとする人の言うことなど…聞けません…」
「そうですか…実に、残念です」

村上さんの拳には、これまで以上の殺意がこもっていました。鬼としての修行で鍛えた反射神経…胴体視力…それらを総動員しても避けるのがやっと……
カバンから取り出した不格好な剣を持ってはみたものの、とても反撃する暇がありません。

「異世界の戦士の力…この程度ですか…」

そう言うと、彼の頭から飛びだしたのは…薔薇の花びら…
紙吹雪のように舞う無数の花びらが、私の体の周りで爆発していく。為す術も無く爆発に巻き込まれていく私の視界に入ったのは、青白く輝く村上さんの掌…
そこから飛び出してきた光の球をまともに腹に受けた私は……そのまま、意識を失いました。

65止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:43:27 ID:kmsDnPrw
-----1時間前

-----私、村上峡児は怒りを感じていた。上の上たる自分に訳の分からない殺し合いを強要した大ショッカーに対して…-----

B-6…ホテルの一室。
見るからに上の上たるスイートルーム。まさに私に相応しい部屋だ。ベッドに見知らぬ子供が寝ているのは気になるが……とりあえず、現状を整理しよう。
ここは殺し合いの場…異世界の住人を滅ぼさなければ、元の世界に帰れない…?
だから、大ショッカーのいいなりになって殺しあう…?
そんなの下の下以下の行動だ。
ならば、今後の方針は決まっている。大ショッカーを滅ぼす…それが上の上の選択。
戦力となる人材を集め、役立たずは始末する。
大ショッカーの言葉を信じるわけではないが、最終的に自分の世界だけが助かればいい。
他世界のお荷物まで面倒を見る必要はない。役に立たなければ消えればいい。
そして大ショッカーを滅ぼし、この世界から脱出する。

「そのためには…この首輪が邪魔ですね…」

名簿を確認するに、自分の知らぬ世界の住人が多数いる。
彼らから情報を集め、戦力を募り、目標を達成する……
まずは、支給品の確認…次に、目の前の少女から話を聞くとしますか。

------そして、今に至る。

オルフェノクでも、ライダーズギアを使ったわけでもなく、変身してみせた彼女の力に興味はあるが、仲間になるつもりがないならば仕方がない。

「他愛もない…とどめです」

変身が解け、ベッドの上でうつ伏せになって倒れこむ裸の少女に手を翳す。

「女の子に乱暴するなんて、関心しないな…」

そのとき、背後から聞こえた声に私はとっさに振り向いた。

「何者です…?」
「女の子の味方…かな…?」

青いメッシュの入った髪に、あくまでもおしゃれを装ったような眼鏡。
まさに、今時の若い男といった風貌だ。

「ド…ドーパント…!? その娘から…離れなさい!!」

その傍らには、これまた若い娘…あの男の連れだろう。
そんなことよりも、第一に感じた疑問がある……

「あなた…何故、この広いホテルで、私がここにいると分かったのです?」
「案内してもらったのさ…そこのヘビさんにね…」

男の指差したものは、先ほど投げ捨てたヘビのおもちゃ…成る程、主に仕える使いとしてはなかなか優秀だ。

「始めは何かの罠かとも思ったけど、他人の釣りを見極めてみるのも悪くないかと思ってね…でも、女の子が助けを呼んでいたとはね。来て正解だったわけだ」

男はそう言うとベルトを腰に巻き、こちらに歩み寄ってくる。

「良太郎くん…? そのベルトって…もしかして…私聞いてない…!!」
「亜樹子ちゃん、ここは僕に任せて。あの女の子をお願い…」
「…分かった。良太郎くんも気をつけて…!」

66止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:44:04 ID:kmsDnPrw
女は少女をシーツで包んで担ぎ上げると、一目散に部屋から出て行く。
そして、男がベルトのボタンを押すと何やら賑やかな音楽が流れ出した。

「…変身」

-----Rod form-----

黒いスーツを纏い、さらにその上から宙を舞った装甲が装着された男。
彼は長い棒状の武器を器用に組み立てると、こちらに向かって軽く手を伸ばす。

「お前…僕に釣られてみる?」

長い棒を室内の空間目一杯に振り回し、こちらを打ち据えてくる。
だが、こちらも上の上だるオルフェノク。幸い相手の力はファイズたちとさほど変わらない…
この程度の攻撃ならばどうということはない。
もともと硬い装甲なのだ。まともに浴びても怖くない。
だが、いつまでも攻撃を浴びつづけるのも気にくわない。
落ち着いて一撃一撃を見切り、カウンターぎみに拳を一発叩き込むのみ。
正面から打ってきた…片手で竿を掴み、空いた片手でガラ空きの胴体を殴りつける。
横薙ぎに振るってきた…竿の進行方向に合わせてこちらも動く。そのまま相手の背後に回ってエルボーを叩き込む。
相手の体制が崩れた隙に追い討ちをかけるように背中を蹴り込む…!

「意外と硬いな…キンちゃん、交代…!」
---ほい、来た! 任せんかい…! ---

-----Axe form-----

再び、相手の装甲が宙を舞い、その姿を変えていく。それに合わせて手元の武器も長竿から斧へと変形されていく。

「俺の強さにお前が泣いた…!」

姿が変わったところで、先ほどと同じ戦士。その性能は推して知るべし。
余裕の姿勢を崩さずに立ち向かう…つもりだった。

「なに…!?」

急速に体から力が抜けていく…そして、オルフェノクの変身が解けていく…
まさか…変身に対する制限…? これも大ショッカーの仕業か…!?

「ここは…一旦引かざるをえませんね…」

支給品の確認を済ませておいて正解だった。スーツのポケットから取り出したメモリを首輪へと差し込む。

----バード-----

「成る程…これはいい…」

体中に染み渡るオルフェノクとはまた違った力…肉体の変質…高揚感さえ感じる……

「待て、逃すかい……」

斧を持った戦士が向かってくるが、羽の一振りが発する風圧で弾き飛ばす。
実にいい…素晴らしい力だ……このまま飛び立つ…あの窓から…!
先ほどヘビを投げ捨てた窓から、今度は私自身が飛び立つ…素晴らしい…
私は今…空を飛んでいる……!!

67止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:44:45 ID:kmsDnPrw
-----10分前

-----僕、野上良太郎は今日も不運の真っ只中です。殺し合いに巻き込まれた僕の足元にいたのは、1匹のヘビでした-----

「それじゃあ、亜樹子ちゃん。とりあえずどこか落ち着けるところに行こうか…まずは今後のことをゆっくりと考えてみないかい?」
「うん…そうだね。ごめんね、良太郎くん…私、いきなりこんなところ連れてこられたから、何か…自分でもどうしたらいいのか、よくわかんなくて…」
「こんな状況じゃ当然さ…さぁ、行こう…」

-----ウラタロス、どこに向かうの?-----

「女性と休憩する場所といったら決まってるでしょ、良太郎…」

-----それって…もしかして…-----

「あったあった。地図の通りだ…立派なホテルじゃない…亜樹子ちゃん、ここに入るよ…って、うわっ…!」
足元に違和感を感じて思わず転ぶ…流石良太郎。不運全開……

-----ウラタロス、何かが足にまとわりついてる!-----

「分かってる…何だこれ…?」

-----ヘビ…やな-----
-----そう…みたいだね-----

「良太郎くん…大丈夫?」
「大丈夫だよ、亜樹子ちゃん。それより…あのヘビは?」
「ホテルの中に入っていったよ…」

-----ウラタロス、どうする?-----

「面白いじゃない…亜樹子ちゃん、あのヘビの後を追うよ…」
「え…ちょっと、良太郎くん!?」

------そして、今に至る。

「なんや、けったいな奴やったな…やたらと気分良く空飛んでったで」

-----何か危ない感じだったね。ああいうのがいっぱいいるとなると気をつけないと-----
-----そうだね…とりあえず、亜樹子さんたちのところに戻ろうか…-----

【1日目 昼】
【B−6 ホテル】

【鳴海亜樹子@仮面ライダーW】
【時間軸】番組後半
【状態】健康
【装備】ツッコミ用のスリッパ@仮面ライダーW
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜2)
【思考・状況】
1:風都のために戦うべきか、他の世界を守るべきか。結論が出せない。
2:知り合いと合流する。
3:良太郎のお笑い魂には関心。
4:良太郎くんが仮面ライダー? 私聞いてない!
【備考】
※ 良太郎について、職業:芸人、憑依は芸と誤認しています。

68止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:45:39 ID:kmsDnPrw
【天美 あきら@仮面ライダー響鬼】
【時間軸】 41話終了後
【状態】全裸 気絶中 全身に軽度の怪我 あきら変身体2時間変身不可
【装備】鬼笛@仮面ライダー響鬼
【道具】支給品一式、ニビイロヘビ@仮面ライダー響鬼、サソードヤイバー@仮面ライダーカブト、不明支給品(0〜1 確認済)
【思考・状況】
1:人を助けるため、自分に出来ることをやる。
2:知り合いと合流する。

【野上良太郎@仮面ライダー電王】
【時間軸】第38話終了後
【状態】頭痛 キンタロス憑依中 電王2時間変身不可
【装備】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考・状況】
1:とりあえず、殺し合いには乗らない。
2:亜樹子、少女(あきら)と一緒に行動する。
3:モモタロス、リュウタロスを捜す。
4:殺し合いに乗っている人物に警戒
【備考】
※ ハナが劇中で述べていた「イマジンによって破壊された世界」は「ライダーによって破壊された世界」ではないかと考えています。確証はしていません。
※ キンタロス、ウラタロスが憑依しています。

【村上峡児@仮面ライダー555】
【時間軸】不明 少なくとも死亡前
【状態】健康  気分高揚 ローズオルフェノク2時間変身不可 バードドーパント変身中
【装備】なし
【道具】支給品一式、バードメモリ@仮面ライダーW 不明支給品×2(確認済み)
【思考・状況】
1:バードメモリの毒素で不安定。

69止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE:2010/12/05(日) 17:46:18 ID:kmsDnPrw
以上です

70 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/05(日) 19:01:33 ID:B31MKa72
投下乙です
あきら、良太郎と所長のコンビに合流できて一安心?
村上社長もこれからどう動くか期待できますね。

>>61
ご指摘ありがとうございます
それでは、問題点を直して修正スレに再度投下させて頂きます

71 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/05(日) 20:10:19 ID:.MtIuX.o
投下乙です。
ウラタロスにハーレムがw
女好きキャラはハーレム作っちゃうのがライダーロワなんでしょうか?ww
女性キャラは不安定な亜樹子と全裸のあきらの二人……色々心配かも……。


ところで、wikiに収録するときにタイトルを間違えたので、
「人を護るライダー」は「人を護るためのライダー」にタイトルを変えます。

72二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/06(月) 06:22:05 ID:XeiPdXaY
投下乙です
村上は最初いい人かと思ったけど、やっぱりそうなるかw
でも時間制限があったのは良かった。電王じゃ薔薇はきついからなぁ

ちょっと気になったんですが、首輪のコネクタは直挿しと違って使用者への害はないと思っていたのですが、どうなんでしょう
バードは元々コネクタの無い人間でも直挿し出来ていたし、首輪のコネクタ使ったならそれよりはマシなんじゃないかなと思ったので

73 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:38:52 ID:SOKFk70k
投下開始します。

74Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:40:41 ID:SOKFk70k
 どれだけの距離を歩いただろう。
 森を突き抜けた彼──鬼札・ジョーカーは更なる"貰い手"を探し、彷徨っていた。
 志村純一、その腕は既に一人の少女の生き血を奪い、その鼓動を消し去った。
 彼が自分の支配すべき世界にすること──
 それは──


「井坂さん、でしたか……あなたのような人と出会えて、安心していますよ」


 偽の笑顔を振りまき、相手を油断させることである。
 彼が次の鴨としたのは、井坂深紅郎という男で、「医者」というなかなか特殊な職業に就いている男であった。

 その仕事は、人の命を救うことであり、純一としては「面白い相手に出会えた」という気分であった。
 そんな人間がこの殺し合いに乗るか。答えはノーだ。

 ならば、真理の時と同じく最大限の情報を引き出した後、殺す。


「いえいえ、こちらこそ」


 井坂は社交辞令にしても、あまりに淡白な態度でそう答えた。純一を見ようともせず、その顔は終始無表情である。
 志村純一という男に一切の興味を示さない彼の態度に、流石に苛立ちを覚えるが、純一はそれでも表情を笑顔で固めて、情報を得ようと声をかける。


「あの……大ショッカーは『世界の選別』と言ってましたが、世界が無数に存在するのって本当なんでしょうか?」

「さあ。しかし、それなら私とあなたの世界には何か『相違点』があるはずだ。
 教えてもらいましょう、まずはあなたの世界について──」


 純一は、まるで逆手にとられたかのような表情で彼を一瞬──ほんの一瞬だけ鬼神のごとき表情で睨んだ。
 どうやら、目的はどうであれ井坂という男も同じことを望んでいたらしい。
 異世界に興味を持つのは仕方がないことだが、こうなると目の前の男がだんだんと怪しく見えてくる。
 目の前の人間が『黒』である可能性が出た瞬間、純一はその懐のグレイブバックルをさりげなく握った。


「──その体で」


 ──ウェザー──

 やはりか、と思いつつ純一はグレイブバックルを体に巻く。

 ──Open up──

 井坂の体が白のウェザー・ドーパントへ、純一の体が黒の仮面ライダーグレイブに変わる。
 変身はおよそ、同時であった。

75Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:41:13 ID:SOKFk70k
「それがあなたの世界の仮面ライダーですか。では、実験させてもらいましょう」


 ウェザー・ドーパントの先手。
 その猛吹雪がグレイブの体に直撃し、その体の表面を凍らせる。内部に通ってくる冷気も、純一の体に早速深刻なダメージを与えた。
 機能を麻痺させたグレイブの装甲が、火花を散らす。


「……成る程、強度はこの程度ですか」


 グレイブは反撃を試みるが、関節部までも凍ったグレイブの体は動かなかった。
 アルビノジョーカーの姿だったならば、こんな風にグレイブの体が動かなくなることはない。だが、グレイブの姿を借りた以上、ここで躓いてしまうのは仕方のないことであった。
 なんとか変身解除してアルビノジョーカーの姿になろうとするが、変身を解除するということは殺す隙を与えることに他ならない。


「では、雷によるダメージを与えてみましょう」


 グレイブの真上に発生した小さな雲から、雷と豪雨が降り注ぐ。
 水の浸透したグレイブの体中を、雷が襲う。たった一閃の雷は、轟音で耳を一瞬殺すと同時に、グレイブの機能を潰していた。
 グレイブの体が、遥か後方へと吹き飛ばされる。


「……ウガァッッッ!!」


 そのあまりの衝撃に思わずアンデッドとしての声が漏れた。
 地面に叩きつけられた体が、グレイブの装甲の中で小さくバウンドする。体に強烈な痛みを感じつつも、自分が引いたジョーカーを純一は呪う。
 体は先ほどの落雷で一時的に痺れた体は、頭で考えるように動くことを忘れていた。
 どこから近づいてくるかもわからない井坂という男を、純一は恐れる。それを確認することさえできない恐怖。


「──異世界の仮面ライダー、どうやら取るに足らない存在というわけですね。
 ……しかし、世界の存亡のためにも死んでもらいましょう」


 急に舞い上がったグレイブの体。
 首に温度を感じる。目の前には薄っすらとウェザーの姿が見える。
 どうやら、首を掴まれ、持ち上がられたらしいというのを純一は感じた。
 ……が、それは好機でもあった。

76Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:42:01 ID:SOKFk70k
 ──MIGHTY──

 自らの首元を掴むウェザー・ドーパントの胴に光剣の斬撃が飛び込む。
 高熱を帯びた剣が体表面を伝った。グレイブの首元を離さずに、しかし強大なダメージに体を支えきれずに膝がよろける。


「ウッ……!! 一撃でこれだけのダメージを与えるとは……攻撃力は並ではありませんね」


 ウェザーの体に確かな一撃の痕が残っている。
 深かった。
 溶けたような痕が、陰に隠れて見えないほどに遠い。
 ……ウェザーはその痛みに少しの焦りを感じる。この一撃は決定的とはならないものの、何度も食らえば致命傷となりかねない。
 戦闘を続けるか、続かないか。その迷い。

 折角、ここまで追い詰めた相手の息の根を止めずに放っておくのか。


(……いや、深追いすべき相手ではなさそうだ)


 相手の裂傷を見て、ウェザーはその男を投げ捨てるように放った。
 このままならば、放っておいても他の参加者にとって鴨となるのは間違いない。自分の行動は決して無駄ではなかったのだろう、とウェザーはグレイブが立ち上がる前に思考を飲み込んだ。


「良い実験になりましたよ、異世界の仮面ライダー」


 そう言ってウェザー──いや、井坂深紅郎となった彼はグレイブの元を後にする。

77Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:42:33 ID:SOKFk70k
 ──だが、それは井坂の決定的なミスであった。
 草原に倒れていたのは志村純一でもなく、仮面ライダーグレイブでもなく、──アルビノジョーカーという白い悪魔だったのだから。


 自分を痛めつけた復讐。──そんな怨念に取り付かれたジョーカーは、鎌を掴んだまま井坂の下へと走る。


「……懲りないですね、あなたも」


 再び、振り向きもせずに井坂がウェザーメモリを耳に挿し込む。が、そのメモリが音を発することはなかった。
 そして、井坂の白衣も異形へは変わらない。
 そこにあるのはドーパントではなく、ただの医者の姿であった。


「!? どういうことだ……!?」


 一瞬焦ったアルビノジョーカーであったが、その変身が不可能となった井坂を前ににやけた。
 その鎌──デスサイズは、二人目の命を吸い尽くそうと、井坂の眼前で振り上げられた。


(どうして……一体どうして!?)


 井坂の脳裏に、一人の女性の姿が浮かんだ。
 どうやら、それが走馬灯というものらしいのは井坂にもわかった。
 その幻影を振りほどいて、対処方法を考えたいところだが、その女性の姿は頭の中から離れない。


 園咲冴子。
 今の井坂には、何故この女性の顔が浮かんでしまうのかわからなかった。
 ただ、彼女は園咲に近づくために利用したに過ぎないのに。


 そのとき、何故自分が世界の存亡などというものを理由に戦おうとしたのか、全てがわかった。


(成る程……。私は、あなたを愛していたんですね……冴子さん)


 デスサイズは重力に従うように、井坂の頭部に振り下ろされた。



△ ▽

78Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:43:03 ID:SOKFk70k
 彼のいた世界が一体、どの世界だったかはわからない。
 ただ、井坂深紅郎という名前が名簿の下方にあるように、彼が別の世界の人間であるというのは間違いないだろう。
 この時だけ、純一の笑顔は心底から出てくるものだったのかもしれない。
 受けた屈辱を返した、その快感に顔も引きつるというものだ。


 そんな笑顔を隠せないまま、純一は井坂のデイパックにある必要物を自分と真理のデイパックに移していた。流石に、大量のデイパックを所持していれば怪しまれるからだ。
 その時、初めて純一はその支給品に『アタリ』と『ハズレ』があることに気づいた。


 自分自身の支給品は、言うならば『中間』。
 変身した相手を倒すことはまずできない道具である。
 ひとつは、『ステルス』というスタンスをとった純一にはうってつけのもので、ペンとライターに分離するZECT-GUNである。一見して、ただの日用道具にしか見えない二つのユニットを組み合わせることで銃になるという代物だ。
 もうひとつは、トライアクセラーという警棒である。どうやら、トライチェイサーあるいはビートチェイサーというバイクの始動キーともなるらしいが、そのバイクはどこにあるのかわからない。


 最初に殺した少女・真理の支給品は、早くして死んだ彼女にしては『アタリ』であったことも意外であった。  ゼクターの力を借りて強力な一撃を放つパーフェクトゼクターという剣。
 『オルタナティブ・ゼロ』という擬似ライダーに変身する道具。


 そして、今殺した男の支給品は『ハズレ』ばかりであった。
 インドネシアの魔除けのお面という、なんとも不気味な面が支給されている。
 もう一つは、人を殺す刃物にすらならない美容師用のハサミやそのセット一式である。
 当然、純一にこんなものは必要ない。デイパックと共に、井坂の死体に置いておくような代物である。


 全ての準備を終え、ジョーカーはいずこともなく歩いていった。



【井坂深紅郎@仮面ライダーW 死亡確認】
※井坂の支給品のうち、純一が不要と判断したものはデイパックと共にC-6に放置されています。
※ウェザーメモリと井坂のランダムアイテムである、インドネシアの魔除けのお面@仮面ライダークウガと真理の携帯美容師セット@仮面ライダー555はデイパックと一緒に放置されています。

79Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:43:33 ID:SOKFk70k
【1日目 日中】
【C-6 草原】


【志村純一@仮面ライダー剣MISSING ACE】
【時間軸】不明
【状態】全身の各所に火傷と凍傷 アルビノジョーカー及びグレイブに二時間変身不可
【装備】グレイブバックル@仮面ライダー剣MISSING ACE、オルタナティブ・ゼロのデッキ@仮面ライダー龍騎、パーフェクトゼクター@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式×3(ただし必要なもののみ入れてます)、ZECT-GUN(分離中)@仮面ライダーカブト、トライアクセラー@仮面ライダークウガ
【思考・状況】
1:自分が支配する世界を守る為、剣の世界を勝利へ導く。
2:人前では仮面ライダーグレイブとしての善良な自分を演じる。
3:誰も見て居なければアルビノジョーカーとなって少しずつ参加者を間引いていく。
【備考】
※園田真理のデイバッグを奪いました。
※555の世界の大まかな情報を得ました。

80 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 15:44:04 ID:SOKFk70k
以上、投下終了です。
修正点、問題点があったら指摘お願いします。。

81二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/06(月) 16:57:58 ID:lUdEh23.
投下乙。
井坂さん・・・制限のこと知らなかったとはいえ間抜けすぎる。

82二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/06(月) 20:49:57 ID:05YrQC56
投下乙です
井坂はここで脱落か。世界対抗だと手軽に組むこともできないんだなぁ

ただ一つ気になるのですが、メモリブレイクしてないならウェザーメモリは無事ですよね?
使い方は井坂が実践したから志村には分かっているはずで(といっても井坂の方法では志村は変身できませんが)、
その上身をもって強力だと知っているので、放置していくとは考えにくいです

83 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/06(月) 22:00:00 ID:SOKFk70k
指摘ありがとうございます。

自分は書いているときは、逆にウェザーメモリを持ち帰るほうが不自然な感じがしました。
剣の世界におけるウェザードーパントのような怪人は人間に擬態していて道具を使わず直接変身しますから、志村としてはメモリが怪人の力になるものだということを認識できるとは思えません。
目の前でメモリを使ったとはいえ、それが「変身するもの」ではなく「井坂のみが怪人の姿に戻る道具」と認識するほうがありえる気がしました。
また、二度目は変身すら出来なかったので見ている側としてもメモリが信憑性に足る道具と感じることもできないでしょう。

本文には書きませんでしたが、やはりこういった思考も挿入しておくべきでしょうか?

84二人で一人の/通りすがりの名無し:2010/12/06(月) 23:11:45 ID:B3MKMYTA
次のバトルで普通にメモリを手に入れるような展開になった場合矛盾するから入れといた方がいいんじゃない?
まぁみんな普通に他世界の変身アイテム使ってるのに、志村だけ気付かないっつーのも変な気もするけど

85 ◆LQDxlRz1mQ:2010/12/07(火) 17:50:39 ID:I26d0kos
>>84
確か支給品には説明書が付属してますし、そのお陰で変身方法を知っているのかと。
井坂の場合は説明書不要で変身方法がわかってますし。

では、>>78の本文を

 当然、純一にこんなものは必要ない。デイパックと共に、井坂の死体に置いておくような代物である。

 それから、──そう、井坂が変身に使用していた道具だ。
 純一の世界では、あのような怪人への変身は道具など使わず、直接姿を変える。
 だが、彼はそれぞれ一度の変身と変身未遂の際に、あの道具を使っている。


(力を発揮するための道具か……? どちらにせよ、ライダーシステムのようにはいかなそうだ)


 井坂の使っていた道具は、二度目の変身を拒んだ。
 井坂自体がウェザーとしての元の力を使い切ってしまった、ということだろうか。
 どちらにせよ、それがライダーシステムやアルビノジョーカーに比べて使い勝手の悪い道具であるというのは間違いない。
 肝心な部分で、井坂と同じ過ちで封印される可能性も考えられる。
 その思考が導き出した答えは、ウェザー・メモリを「ハズレ」とすることであった。

 全ての準備を終え、ジョーカーはいずこともなく歩いていく。
 強力であるはずの武器を後にして。


という風に修正します。
また、状態表の備考で、以下の文を追加します。

※ウェザードーパントはメモリの力ではなく、井坂自身の本当の姿であると勘違いしています。

86 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:02:11 ID:nkwfRPrU
剣崎一真、東條悟、矢車想、光夏海、ネガタロス、擬態天道を投下します

87 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:04:25 ID:nkwfRPrU

静寂に満ちていたはずの病院は、音が響いている。
急患が来たことによる騒ぎや、医師や患者の話し声などではない。
それは、金属と金属が激突することによって響き渡る、冷酷な音だった。
つやが輝いているリノリウムで出来た、長い通路。
その中で、二人の人影が駆け抜けていた。
片や、不死の生命体・アンデッドが生息する『ブレイドの世界』を象徴する、己の運命と戦い続ける戦士。
ヘラクレスオオカブトの如く伸びた、銀色に輝く角。
灼熱のように赤い輝きを放つ、二つの瞳。
スペードの紋章が大きく刻まれた、身体を守る鎧。
その下に存在する、群青のスーツ。
そして、腰に巻かれたベルトには、装甲と同じようにスペードのマークが健在していた。
『ブレイドの世界』には、アンデッドと戦うBOARDと呼ばれる組織が存在する。
ライダーシステム第二号機、仮面ライダーブレイド。
その装着者の名は、剣崎一真。

「でえぇぇぇぇぃっ!」

ブレイドに変身している剣崎は、醒剣ブレイラウザーを振るった。
殺し合いに乗った、目の前の仮面ライダーを止めるために。
ブレイラウザーの刃は、仮面ライダータイガの胸に、当たろうとした。
しかし、それは防がれる。
タイガの持つ、白召斧デストバイザーによって。
火花が飛び散り、薄暗い廊下がほんの少し照らされる。
その瞬間、タイガは後ろに飛んで距離をとった。
ブレイドから離れて、カードデッキから一枚のカードを取り出す。
そして、デストバイザーに差し込んだ。

『STRIKE VENT』

白召斧から、音声が発せられる。
刹那、タイガの両腕に巨大な爪が出現した。
デストクローと名付けられた獲物を見て、ブレイドは目を見開く。
自分の世界と同じように、この仮面ライダーもカードを使って戦うという事実に。
しかし、驚いている暇は無い。
巨大な爪を構えながら、タイガは迫る。
頭上に大きくデストクローを掲げて、振り下ろした。

「くっ!」

だが、ブレイドは後ろに飛んで、爪を避ける。
そのまま、ブレイラウザーを横に振るった。
刃は横一文字に、タイガの胸に傷を刻ませる。
痛みは中にいる東条にも伝わって、悲鳴が漏れた。
それを聞いた瞬間、ブレイドの中で罪悪感が芽生える。
相手はかつて、ライダー同士の戦いを止めようとしていた。
そんな立派な信念を持った彼を傷つけるのは、やはり心苦しいところがある。
だからこそ、止めなければならない。
彼はこの戦いに乗ってしまった。
これ以上、間違いを犯させたりはしない。
その為に今は、全力で戦う。

「はあぁぁぁぁっ!」

思いを胸に、ブレイドは剣を振るった。
だが、そう易々に通らない。
ブレイラウザーの刃は、右腕に装着されたデストクローの爪に遮られた。
この瞬間、ブレイドの勢いが止まる。
動き出そうとするが、遅かった。
タイガはもう片方の腕に装着されたデストクローで、ブレイドの腹を突き刺した。

88 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:05:07 ID:nkwfRPrU

「がはっ!」

悲鳴と共に、彼の身体は吹き飛んでいく。
腹部から火花が迸って、痛みによる熱を感じた。
そのまま、背中から勢いよく床に叩きつけられる。
痛みと冷たさが伝わるが、感じている暇は無い。
ブレイドは瞬時に、顔を上げる。
目の前からは、タイガが迫っているからだ。
起き上がるのと同時に、ブレイドはブレイラウザーを振るった。
斜めより繰り出されたその一閃は、タイガの身体を切り裂く。
とっさの攻撃に対応しきれず、彼の体制は崩れてしまった。
よろめいた隙を突き、ブレイドは一歩前に踏み出す。
そして、ブレイラウザーを横に払った。

「でえいっ!」

仮面の下から、叫びが聞こえる。
タイガの右腕に装着されたデストクローを、弾き飛ばした。
続くようにブレイドは力を込めて、ブレイラウザーを振るう。
その一撃によって、もう片方のデストクローもまた、床へ落とされた。
二つの獲物が音を立てながら、転がっていく。
一度跳ねる度に、廊下の床に傷が付いた。
しかし、二人はそれに目を向けない。
互いに睨み合うだけだった。
そんな中、タイガは再びデストバイザーを手に取る。
続くようにデッキからカードを取り出して、斧に入れた。

『ADVENT』

広がるかと思われた静寂は、破られる。
デストバイザーから音声が響いて、ブレイドは反射的に構えた。
だが、それは意味を成さない。

『GAAAAAAッ!』
「なっ!?」

突如、不気味な咆吼が聞こえる。
それを耳にして、ブレイドはそちらへ振り向いた。
すると、白虎を思わせる巨大な魔獣が、窓ガラスから現れるのが見える。
『龍騎の世界』に存在するミラーモンスターの一種、デストワイルダーだった。
あまりにも唐突すぎる出来事に、ブレイドは対応することが出来ない。
鏡より現れたデストワイルダーの体当たりを、無惨に受けてしまう。

「ぐうっ!」

二八〇キロの巨体に、彼の身体は耐えられなかった。
受け身を取る暇すら無く、ブレイドは壁に叩きつけられる。
しかし、それだけでは止まらない。
突進の衝撃波は凄まじく、背中に位置するコンクリートに亀裂が走る。
そのまま、壁が粉々に砕け散ってしまい、ブレイドは隣の部屋に放り込まれた。
瓦礫となったコンクリートが、音を立てて落下する。
微かな粉塵が、辺りに広がった。

「痛ッ…………!」

身体の節々に痛みを感じながらも、ブレイドは立ち上がる。
空いた穴の向こうからは、タイガとデストワイルダーがこちらを見つめていた。
そして、一歩踏み出してくる。
ブレイドは、この部屋を見渡した。
白いシーツが敷かれたベッドが、いくつも見られる。
窓には、同じ色のカーテンが掛けられていた。
どうやら大人数用が共同で使える病室のようで、広さもそれなりにある。
だが、戦いに影響を与えるとは思えない。
唯一の出入り口は、敵に塞がれている。
追いつめられたと言っても、過言ではない。
だからといって、必殺技を無闇に使うことは出来なかった。

89 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:06:21 ID:nkwfRPrU

(あいつも、俺の世界と同じようにカードを使うライダーか……!)

目の前に立つ異世界の仮面ライダーを見て、ブレイドは考える。
タイガも、自分の世界と同じように、カードを使った戦い方が特徴のようだ。
違いを挙げるなら、武器やモンスターの召喚。
だが、相手はまだ何か手を残してるかもしれない。
無理に突っ込んだところで、返り討ちになる可能性も充分にある。
こちらのラウズカードは七枚だけ。
スペードのAから6と、9のカードしか手元にない。
ブレイラウザーのAP5000を考えれば、必殺技を使えることには使える。
敵の数から、ライトニングブラストとライトニングスラッシュを、それぞれ一発ずつ使う事は出来た。
しかし万が一、あのような巨大な怪物がもう一体いたらどうする。
APが足りなくなった隙を付かれるのがオチだ。

(いや、そんなことは関係ない! 今は彼を止めることだけを考えろ!)

頭の中で芽生え始めた、後ろ向きな考えを振り払う。
自分が今やるべき事は何か。
こんな所で、不安に駆られていることではない。
東條を止めて、分かり合うことだ。
ブレイドは自らにそう言い聞かせると、地面を蹴る。
部屋に入ってきた敵に向かって、突進を開始した。

『GYAAAッ!』

耳を劈くような咆吼と共に、デストワイルダーもまた床を蹴る。
二メートルを超える巨体からは想像できないほど、素早い速度だ。
勢いに任せながら巨大な爪を掲げて、振り下ろす。
しかしブレイドは、身体を捻って紙一重の差で避けた。
かぎ爪は空を切ると、床に大きな傷を刻む。
その隙を付いて、ブレイドはデストワイルダーの懐に潜り込んだ。

「だあっ!」

掛け声と共に、ブレイラウザーを下腹部から縦に切り刻む。
硬質感の溢れるデストワイルダーの肌が、抉られた。
それに激痛を感じ、鈍い悲鳴を漏らす。
だが、ブレイドの攻撃はこれで終わらない。
彼は続けざまに、軌道を戻すように剣を振るった。
続いて一閃。左から右に薙ぎ払う。
そこから反撃の隙を与えないために、ブレイラウザーを振るい続けた。
左肩から右脇腹へ。右の胴から左の胴へ。返すように、胸部を一閃。続けるように、右肩から左脇腹へ。
合計六回の斬撃を受けて、デストワイルダーが硬直する。
その瞬間、ブレイドは左足を軸に一回転をした。
生じた勢いを利用して、デストワイルダーの腹部に蹴りを放つ。
すると、その巨体は大きく蹌踉めいた。
ブレイドが放つ一回のキック力は、480のAPを誇る。
数字で直すと、4.8トンの重さがあった。
いかにミラーモンスターといえども、何度も刃を浴びたことで腹部が脆くなっている。
加えて鋭い蹴りを受けては、吹き飛ぶのも当然だった。

『GU……ッ!』

数歩ほど、デストワイルダーは後退してしまう。
そのままベッドに足を躓かせてしまい、背中から大きく倒れた。
デストワイルダーの重量によって、床が音を立てながら僅かに沈む。
振動が部屋に伝わる中、ブレイドは後ろへ振り向いた。
視界の先からは、タイガが跳び上がりながらこちらに迫っているのが見える。
彼の両腕には、先程弾き飛ばした二つのデストクローが、顕在していた。

「ふんっ!」

迫り来る爪を前に、ブレイドはブレイラウザーを頭上に掲げる。
それによって、異なる二つの獲物が激突した。
接触面から鋭い音が響き、火花が散る。
刹那、ブレイドは剣を握る腕に力を込めて、一気に突き出した。
デストクローを装着するタイガは、押し合いに負けて体勢を崩す。
そして、ブレイドは空いた腹部を目指し、ブレイラウザーで突きを繰り出した。

90 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:06:59 ID:nkwfRPrU
「うわあっ!」

タイガの胸に、輝きを放つ刃が突き刺さる。
ブレイラウザーの刃先を受けて、その身体が吹き飛んだ。
穴が空いた壁に激突し、廊下へ転がる。
床の上で転がるが、すぐに起きあがった。
そして、デストバイザーを手に取る。
続くように、デッキの中からカードを取り出して、白召斧にセットした。

『FINAL VENT』

デストバイザーより、声が発せられる。
瞬間、デストワイルダーが起きあがった。
ブレイドの後頭部を掴んで床に叩き付けられる。
そのままデストワイルダーは、獲物を引きずりながら主の方に向かった。
必殺の一撃である、クリスタルブレイクを決めるために。

「うわあぁぁっ!?」

ブレイドはそれに反応することが、出来なかった。
身体が床と擦れ合い、火花が飛び散る。
焼け付くような痛みを感じるが、ブレイドは耐えた。
そして、足掻き続ける。
しかしデストワイルダーの握力は凄まじく、振り解くことが出来ない。
視界の先では、タイガがデストクローを構えながら立ちはだかっているのが見えた。

(このままじゃ…………!)

ブレイドの中で、焦りが生じる。
両手に床を付けるが、魔獣の進行は止められない。
この状況では、ラウズカードを使うことも出来なかった。
かといって、放置していたら負けは確実。
何とか現状を打破しようと思考を巡らせるが、浮かばない。
タイガとの距離が徐々に縮んでいき、目前にまで迫ろうとした。

「なっ!?」

その瞬間。
首の裏に感じていた圧迫感が、急に消える。
同時に、ブレイドの進行が止まった。
何事かと思い、彼は後ろに顔を向ける。
先程まで自分を掴んでいたデストワイルダーが、姿を消していた。
身体に熱を感じながらも、ブレイドは立ち上がる。

「どういう事…………!?」

一方で、タイガは身体をわなわなと震わせていた。
戻した覚えもないのに、デストワイルダーが消えてしまった事実によって。
この殺し合いに参加させられたライダー達に科せられた、制限の影響だった。
『龍騎の世界』からやって来た戦士は、ミラーモンスターを使役している。
だが、制限の効果によって彼らは、この世界に一分間しかいることが出来ない。
タイガがデストワイルダーを召喚してから、既にそれだけの時間が経過している。
タイムリミットが訪れたことで、ミラーモンスターは消滅してしまったのだ。
無論、この事実を知る者は誰一人としていない。

「お前、こんなことはもう止めるんだ! こんな戦いを続けて、一体何になるんだ!」

ブレイドは、何とか説得を試みる。
人の尊厳を奪う巨悪に屈して、誰かを殺して何になるのか。
大ショッカーは願いを叶えると言っていたが、そんな事があり得るわけがない。
そもそも、こんな訳の分からない戦いを強要させる連中が、真実を言うのか。
否、可能性は限りなく低い。
例え世界の崩壊が真実だったとしても、奴らに何の権利があってこんな事をさせるのか。
こんな不条理に満ちた戦いを、認めるわけにはいかない。
その思いを胸に、ブレイドは叫ぶ。

91 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:07:47 ID:nkwfRPrU

「言ったでしょ? 僕は英雄になるって。その為に、君は死んでよ!」

しかし、その言葉はタイガには届かなかった。
彼が戦う理由。
それは『英雄』という、称号を得る為。
彼は恩師である香川英行より、英雄の覚悟を学んだ。
『多くの者を救うためには、一つの者を犠牲にしなければならない勇気』が、必要であると。
つまり、自分の世界を救うために、参加者を皆殺しにする事だ。
そして英雄になって、皆から崇められる。
これがタイガを、動かす信念だった。
英雄への願望を胸に、デストクローを横薙ぎに振るう。

「ふざけるなっ!」

しかし、それは呆気なく弾かれた。
怒号と共にブレイラウザーを振るった、ブレイドによって。
激情によって放たれた一閃により、タイガは右腕に痺れを感じる。
それに構うことなく、ブレイドは獲物を振り続けた。
あまりにも身勝手極まりない、相手の言い分に怒りを覚えて。
同じように、タイガも両腕の爪を使って斬りかかる。

「英雄だと? 人を殺そうとする奴の、何処が英雄だっ!?」
「分からない? 英雄になるためにはね、大切な人を殺さなきゃいけないんだよ」
「バカなことを言うな!」
「そっちこそ!」

互いの意見は、平行線を辿っていた。
言葉と合わさるように、彼らの武器は激突を続ける。
ブレイドは、ブレイラウザーを縦一文字を描くように振るった。
タイガは、それを右腕に装着されたデストクローで、防ぐ。
金属音が鳴った瞬間、もう一つの爪をブレイドに突き出した。
だが、それが触れることはない。
命中する直前に、ブレイドは後ろに飛んだ。
それによって、デストクローは空振りに終わる。
空いた距離を詰めるために、ブレイドは勢いよく飛んだ。
そして、渾身の力を込めてブレイラウザーで突きを繰り出す。
迫り来る攻撃を防ごうと、タイガは両腕を交差させた。
瞬間、ブレイラウザーとデストクローが衝突。
その衝撃によって、タイガはほんの少しだけ後退してしまう。
足元はふらついてしまうが、すぐに整えた。
日の光が差し込む薄暗い廊下で、二人は睨み合う。
ブレイドは、その瞳に怒りを込めて。
タイガは、その瞳に野望を込めて。
それぞれの視線が、激突した。
しかし、それはすぐに中断されてしまう。

「「なっ――!?」」

突如、足元の床が沈んだ。
その直後、轟音と共に崩壊する。
あまりにも唐突すぎる現象に、ブレイドもタイガも対処できない。
彼らを支えていた床は、一気に瓦礫と化していく。
ブレイドとタイガは、崩落する通路と一緒に落下した。






92 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:09:20 ID:nkwfRPrU
時間が、ほんの少しだけ遡る。
矢車想は、生気が感じられない暗い瞳で、この病室で戦う二人のライダーを眺めていた。
片や光夏海が変身する、正義を自称する白い仮面ライダー。
片や電王と呼ばれた、悪を自称する紫の仮面ライダー。
仮面ライダーキバーラと仮面ライダーネガ電王が、互いに剣を振るって戦っていた。
純白の刃と真紅の刃は、一度激突する度に金属音が、狭い部屋に響く。
敵意に満ちた戦いの空間で、矢車は生身を晒し続けていた。
先程、突然この病室に現れたライダー。
いきなり『善』か『悪』のどちらか、と訳の分からないことを聞いてきた挙げ句、仲間になれと言ってきた。
それを断ると、自分のことを殺そうとする。
自分は死の運命を受け入れた。
そうすることで、本当の地獄に堕ちる事が出来る。
だが夏海は、あの白いライダーに変身してそれを邪魔しようとした。

(…………何故、お前は戦う?)

キバーラが戦う姿を見つめながら、矢車は心の中で呟く。
あの女は何故、戦うのか。
こんな戦いをして、何の意味があるのか。
何故、自分の死を邪魔するのか。
『正義』とやらの為か。
高潔な名前を背負った自分に、酔っているのか。
そして薄汚い自分を救った、英雄を気取りたいのか。

(くだらない)

矢車は、鼻を鳴らす。
ライダーに変身した夏海の姿が、茶番にしか見えなかった。
いくら戦ったところで、何かが変わる訳ではない。
自分達は、大ショッカーに命を握られているのだから。
この首輪がある限り、死に抗うことなど出来るわけがない。
それでも生き残るのなら、方法は一つだけ。
大ショッカーの人形となって、殺戮者になること。
たった一つ。
そうすれば奴らは、願いを何でも叶えてくれると言っていた。
現に、自分に襲いかかったあのライダーは、戦いに乗っている。
その理由は、どうせ自分の願いを叶えるため。

(『仮面ライダー』なんてのは…………そんなもんだ)

仮面ライダー。
弟を殺した老人、死神博士は世界の象徴などと、大層な言葉を飾っていた。
だが実際は、願いという餌に釣られて他者を潰す、醜い存在。
自分の前で戦う黒いライダーが、その証拠だ。
ここに連れてこられた連中も、どうせそんな人間ばかりだろう。
矢車が空虚な視線を向けている一方で、剣戟はぶつかり続けていた。
それと同じように、持ち主であるライダー達の目線も、激突する。

「たあっ!」

キバーラは、純白の輝きを放つサーベルを振るった。
病院に現れた電王とよく似た、仮面ライダー。
しかし、その素性は自分の知る電王とは、似ても似つかない。
あの世界で出会った電王は、口は悪いが無意味に殺生をする者ではなかった。
だが、このライダーは明らかに危険人物。
放置していたら、犠牲者は必ず出る。
そんなことを、許すわけにはいかない。

93勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:09:56 ID:nkwfRPrU

「遅いっ!」

正義に相応しい熱い感情を胸に、繰り出すキバーラサーベル。
それはネガ電王の一閃により、弾かれた。
続くように、ネガデンガッシャーで突きを放つ。
切っ先は、キバーラの華奢な身体に進んでいった。

「キャアッ!?」

甲高い悲鳴が、仮面から漏れる。
紫色の刃は、彼女の右肩に刺さった。
鋭い衝撃を感じて、身体が宙に吹き飛ばされる。
そのまま背中から、壁を突き破っていった。
勢いは止まらず、キバーラは床に叩き付けられてしまう。
しかし、瞬時に立ち上がった。
彼女の目前では、ネガ電王が得物の先端を向けているのが見える。

「ハッ、まるで話にならねぇ。やはり強いのは『悪』だな…………」

そう言うと、ネガデンガッシャーが一瞬だけ煌めいた。
刀身は、まるで血の色を思わせるくらいに赤い。
そこに刻まれている模様。鎧と合わさって、禍々しさを引き立たせるスパイスとなっていた。
『最強の悪』を自負するライダー、ネガ電王。
全身から放たれる覇気を感じて、キバーラは戦慄した。

(強い……!)

仮面の下で、夏海の頬から汗が流れる。
先程から何度もキバーラサーベルを振るったが、弾かれるばかりだ。
たまに鎧を切り裂く事はあるが、効き目があるように感じない。
むしろ、こちらが攻撃を喰らってばかりだ。
しかもその一撃は、あまりにも重い。
このままでは、負ける可能性が高かった。
でも、退くことはしない。

(士君も、ユウスケも、大樹さんも、みんな諦めなかった! だから私も……!)

諦めたりしない。
頼れる仲間達はみんな、どんな窮地に立たされても、その度に切り抜けてきた。
ここで目の前のライダーに屈することは、彼らへの裏切りに他ならない。
何より、矢車さんが後ろにいる。
あの人に生きる気力を取り戻させるため、今は戦わなければならない。
病院に空いた穴から、一陣の風が入り込む。
埃が舞い上がる中、キバーラは地面を蹴った。
両足に力を込めたことで、ネガ電王に向かって突き進んでいく。
そして、キバーラサーベルを横薙ぎに振るった。

「フンッ!」

ネガ電王は、それをネガデンガッシャーで受け止める。
激突し、鍔迫り合いが始まった。
二つの刃が擦れ、鋭い音が響いていく。
力が拮抗して、互いに睨み合った。
その最中、ネガ電王は後ろに飛んで距離を取る。
そして、ネガデンガッシャーの形を変えた。
近距離で戦うためのソードモードから、遠距離用のガンモードへと。

94勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:10:43 ID:nkwfRPrU

(あれは…………!)

キバーラには、見覚えがあった。
『電王の世界』を代表するライダー、電王はフォームチェンジに合わせて、武器の形も変えている。
だがこの悪い電王は、フォームを変えなくてもそれを行った。
その理由はただ一つ。
察した彼女は、防御の構えを取った。
直後、ネガ電王はネガデンガッシャーの引き金を引く。
銃声が響くと同時に、弾丸が放たれた。
空気を引き裂きながら、凄まじい勢いで進んでいく。

「くっ!」

白い刃を振るって、弾丸を防ごうとした。
しかし完全に落とすことは出来ず、一部の弾丸が着弾する。
痛みを感じるも、彼女は堪えた。

『FULL CHARGE』

突如、電子音が響く。
それはライダーパスを手に取ったネガ電王が、ベルトに翳した事で鳴った音だった。
バックルからエネルギーが、紫色の輝きを放ちながら噴出していく。
そのまま、ネガデンガッシャーを握る右腕に流れていった。

「終わりだ」

ネガ電王は呟きながら、銃口を向ける。
キバーラはそれを目にすると、サーベルを握る腕に力を込めた。
相手の気配を感じて、反射的に。
本能で構えを取った。
その直後、彼女の背中から光り輝く翼が生じる。
それはまるで、天使のようだった。

「やあああぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「くたばりやがれ!」

二人の叫び声が、同時に重なる。
キバーラは地面を蹴って突撃を行い、ネガ電王は銃のトリガーを引いた。
キバーラサーベルからは、翼のように眩い光が放たれて。
ネガデンガッシャーからは、真紅の光弾が放たれて。
それぞれ、敵に目掛けて突き進み、激突した。
キバーラの使うソニックスタンプの一撃と、ネガ電王の使うネガワイルドショットの一撃。
凄まじい威力を持つ二つの技は、病室という戦場で押し合っていた。
されど、それはすぐに終わりを告げる。
数秒の時間が経過すると、激突面で爆発が起こった。

「きゃあぁぁっ!?」
「ぐおおぉぉっ!?」

二つの悲鳴は、爆音に飲み込まれてしまう。
その衝撃によって大気は振るえ、キバーラとネガ電王は後ろに吹き飛んだ。
無論、余波は矢車にも及ぶ。
彼の身体は衝撃波で飛ばされてしまい、灰色の壁に叩き付けられた。
打ち所が悪かったのか、そのまま矢車の意識は消えていく。

「矢車さんっ!?」

気を失った彼の姿を見て、キバーラは狼狽した。
あの人を守るために戦っていたのに、巻き込んでしまうなんて。
彼女は急いで、倒れた矢車の元に駆け寄ろうとする。
誰も、気がつかなかった。
戦いの余波によって、天井に亀裂が走っていることを。
その影響で、コンクリートの粉が降り注いでいることを。
そして、限界が訪れていることを。
キバーラは前に一歩だけ、踏み出す。
その直後だった。

95勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:11:19 ID:nkwfRPrU

「うあああぁぁぁぁぁぁっ!」

突如、轟音と共に天井が崩れ落ちる。
それに混じって、男の悲鳴も振ってきた。
天井を構成するコンクリートは瓦礫と化して、床を容赦なく砕く。
そして、粉塵が辺りの視界を包んでいった。

「えっ!?」
「何だっ!?」

キバーラとネガ電王は、突然の出来事に驚愕する。
そんな中、煙はすぐに晴れていった。
そして、来訪者の姿を二人に映し出す。

「痛っ…………どうなってるんだ?」

現れた存在は、キバーラにとって見覚えがある者だった。
赤い瞳、銀色と青の鎧、バックルに刻まれたスペードのマーク。
それは『ブレイドの世界』を代表する仮面ライダー、仮面ライダーブレイドだった。

「貴方は…………ブレイド!?」
「えっ?」

ブレイドと目線を合わせたキバーラは、思わず名前を呼んでしまう。
彼は、あのブレイドなのか。
自分達が旅の途中で出会った、剣立カズマ。
いや違う。名簿には、彼の名前は書かれていない。
だとすると、もう一人の仮面ライダーブレイドなのか。
かつて、世界の崩壊を防ぐために士を襲った、ライダーの一人。
剣崎一真なのか。
その推測はある意味では正解で、ある意味では間違いだった。
目の前に立つ仮面ライダーブレイドは、確かに『剣崎一真』が変身している。
しかしこの『剣崎一真』は、ディケイドの事は何も知らない、別の時間からやって来た存在。
同じように、キバーラもこの『剣崎一真』の正体を、全く知らない。
この事実が、一体どのような運命を導き出すか。











(何で俺のことを……? それに、このライダー達は一体?)

廊下からこの階に落下したブレイドの中に、疑問が広がっていく。
タイガと戦っていたら、いきなり床が崩れた。
その先に現れたのは、見知らぬ二人のライダーと倒れている男がいる。
そして、自分の名前を知っている白いライダー。
何がどうなってるのか、今の彼には分からなかった。
しかしやるべき事が、一つ出来る。

(あのライダー……どうして俺の名前を知ってるんだ?)

そう、ブレイドの名前を呼んだ白いライダー。
声からして、女性と思われる。
まさか、BOARDの関係者なのか。
だが、考えていても始まらない。
まずはタイガを止めて、このライダーから話を聞くべき。
ブレイドの行動方針は、こうして決まった。

96勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:13:36 ID:nkwfRPrU









「おい、お前は『善』か? それとも『悪』か?」

ネガ電王は、目の前に現れたライダーへ声を掛ける。
白虎を思わせる姿のライダー、タイガに。
その理由はただ一つ、自分の戦力に加えるため。
もしも、正義を自称するなら叩き潰す。
もしも、悪を自称するなら迎え入れる。
二つに一つ。
シンプルで分かりやすい、望みだった。

「僕? 僕はどっちでもないよ…………だって『英雄』になるんだから」
「そうか」

タイガの答えを聞いて、ネガ電王は決める。
奴も、自分が潰さなければならない奴だ。
英雄。
自分にとって正義と同じくらい、憎むべき存在。
そんな奴を生かしておく理由など、全く無い。

「なら、てめえにも見せてやるよ! 最強の『悪』の力を!」
(ふふっ、僕は英雄に近づけるんだ…………!)

ネガ電王とタイガは、互いに武器を構える。
そして、彼らは地面を蹴った。
ネガデンガッシャーとデストクローは、金属音を鳴らしながら激突する。






97勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:14:21 ID:nkwfRPrU
彼は、天に向かって真っ直ぐに伸びる、巨大な赤い塔から目を背けるように歩く。
日本に住む者なら、誰でも知っている東京タワー。
そして、空から降り注ぐ太陽の輝き。
それがまるで、自分の最も忌むべき男を象徴しているかのように見えた。
だから彼は、それら二つから目を背ける。
本当なら自分の姿も、反吐が出るような物だった。
自分が存在する『カブトの世界』を代表する男、天道総司をそのまま複製したような、この身体。
だが奴と自分の境遇には、天と地ほどの差がある。
奴は太陽の下、ぬくぬくと人生を過ごした。
だが自分は望んでもいないのに、こんな姿にされた挙げ句、あらゆる自由と尊厳を奪われた。
いつからこうなったのかは、もう覚えていない。
覚えたところで、何の意味もないからだ。

「天道、総司…………ッ!」

憎悪に満ちた声で、名前を呟く。
これは自分が潰そうとしている男の名。
これは自分から全てを奪った男の名。
これは自分の全てを否定した男の名。
何故奴が太陽の下を歩けて、自分が歩けない。
何故奴が全てを手に入れて、自分は何も手にすることが出来ない。
何故奴が人間として生きられて、自分は蛆虫同然の生き方しかできない。
何故世界は奴を受け入れて、自分を受け入れない。
自分と奴で、何が違う。
姿も声も身体も、全て同じだ。
奴が普通の人間で、自分がワームだからか。
それだけか。
たったそれだけの、小さな理由でか。

(僕は、好きでこんな姿になった訳じゃないのに?)

自分は、望んでこんな姿になった訳じゃない。
それなのに、世界は自分を受け入れないのか。
そういうことなら、そんな世界は必要ない。
壊してしまえばいいだけ。
本当なら、こんな姿でいることにも耐えられなかった。
出来るならば、この顔の皮膚を全て剥いでやりたい。
だが、自分の目的は違う。
この会場に集められた全ての命を潰し、全ての世界を滅ぼすことだ。
特にあの男、天道総司は徹底的に苦しめてから、殺す。
ただで殺すことはしない。
自分の受けた仕打ちを全て、味わわせても足りない。
手足を千切り、目を潰し、骨を砕く。
こうなってはあの男も、薄汚い本性を現すはずだ。
そして、惨めな姿で自分に命乞いをするだろう。
だがそうなっても、許すつもりはない。
血の一滴が枯れるまで、痛めつける。

「僕に与えた仕打ち…………そのまま返してあげるよ」

彼の瞳は、まるで幽鬼のようだった。
そのままゆっくりと、足を進める。
『天道総司』への、尽きることがない憎しみを全身に込めて。
やがて、彼は見つけた。
自分の犠牲となる、哀れな生け贄が集う場所を。
それは、病院。
耳を澄ませると、音が聞こえる。
どうやら、騒ぎが起こっているようだ。
なら、自分のやることは一つ。
彼は手に取った。
自分の相棒とも呼べる黒いカブト虫、ダークカブトゼクターを。
既に、銀色に輝くライダーベルトを腰に巻いていた。
いつものように、言葉を口にする。

98勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:14:59 ID:nkwfRPrU

「変身」
『HENSIN』

ダークカブトゼクターから、鈍い声が発せられた。
その直後、ベルトからタキオン粒子が吹き出してくる。
一瞬で全身を包んで、ヒヒイロノカネと呼ばれる金属へと形を変えた。
そして、銀色に輝く重量感溢れる鎧に、変貌。
巨大な瞳は、金色の輝きを放った。
こうして、彼は変身を果たす。
仮面ライダーダークカブト マスクドフォームの名を持つ、マスクドライダーシステムが生み出した、戦士へと。
闇のカブトに選ばされた彼は、動き続けた。
全ての世界を、破壊するために。





【1日目 昼】
【E−4 病院/一階診察室】
※診察室の天井と壁が破壊されています。
※二階の廊下が破壊され、一階診察室と繋がっています。
※二階の病室の壁が、破壊されています。





【剣崎一真@仮面ライダー剣】
【時間軸】第40話終了後
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、仮面ライダーブレイドに変身中
【装備】ブレイバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(スペードA〜6.9)@仮面ライダー剣
【道具】支給品一式、ガイアメモリ(ヒート)@仮面ライダーW、ケータッチ@仮面ライダーディケイド
【思考・状況】
基本行動方針:人々を守り、大ショッカーを倒す。
0:キバーラから話を聞いて、東條を止める。
1:橘朔也、相川始と合流したい。
2:何故、桐生さんが?……
3:Wとディケイドが殺し合いに否定的ならアイテムを渡したい。
4:龍騎の世界で行われているライダーバトルを止めたい。
【備考】
※龍騎の世界について情報を得ました。
※ブレイドに変身してから、5分の時間が経過しました。


【矢車想@仮面ライダーカブト】
【時間軸】48話終了後
【状態】気絶中、弟たちを失った事による自己嫌悪、あらゆる物に関心がない
【装備】カードデッキ(リュウガ)@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜1)
0:…………(気絶中)
1:光夏海と行動するが、守る気はない。
2:殺し合いも、戦いの褒美もどうでもいい。
3:天道や加賀美と出会ったら……?
【備考】
※支給品は未だに確認していません。
※ディケイド世界の参加者と大ショッカーについて、大まかに把握しました。
※ゼクトバックルは床に放置しています。

99勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:15:45 ID:nkwfRPrU


【光夏海@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】疲労(中)、ダメージ(中)、仮面ライダーキバーラに変身中
【装備】キバーラ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜2)
【思考・状況】
0:まずは目の前の謎の電王を倒す。
1:矢車と行動する。放っておけない。
2:士、ユウスケ、大樹との合流。
3:おじいちゃんが心配。
4:キバーラに事情を説明する。
5:このブレイドは一体…………?
【備考】
※支給品は未だに確認していません。
※矢車にかつての士の姿を重ねています。
※矢車の名前しか知らないので、カブト世界の情報を知りません。
※大ショッカーに死神博士がいたことから、栄次郎が囚われの身になっていると考えています。
※キバーラは現状を把握していません。
※目の前にいるブレイドが、自分の知るブレイドとは別人であると知りません。
※キバーラに変身してから、5分の時間が経過しました。



【ネガタロス@仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事】
【時間軸】死亡後
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、強い怨念 仮面ライダーネガ電王に変身中
【装備】デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、不明支給品(0〜2)
【思考・状況】
1:最強の悪の組織を作る。
2:まずは目の前の正義と英雄を倒し、矢車を殺す。
3:キバに似てる……?
4:様々な世界の悪を捜す。
5:大ショッカーは潰すか、自分の組織に招き入れる。
6:電王、キバのほか善は全て倒す。
【備考】
※ネガ電王に変身してから、5分の時間が経過しました。


【東條悟@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】インペラー戦後(インペラーは自分が倒したと思ってます)
【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、仮面ライダータイガに変身中(デストワイルダー二時間召還不可)
【装備】タイガのデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、不明支給品0〜2
【思考・状況】
1:全ての参加者を犠牲にして、ただ一人生還。英雄になる。
2:自分の世界の相手も犠牲にする。
3:まずは剣崎と紫のライダー(ネガタロス)を犠牲にして強くなる。
4:基本的には病院で参加者を待ち伏せてから殺す(二階の廊下が気に入ってます)。
【備考】
※剣の世界について情報を得ました。
※タイガに変身してから、5分の時間が経過しました。


【擬態天道総司(ダークカブト)@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第47話 カブトとの戦闘前(三島に自分の真実を聞いてはいません)
【状態】健康 情緒不安定気味 仮面ライダーダークカブトに変身中
【装備】ライダーベルト(ダークカブト)@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考・状況】
0:病院にいる参加者達を、全員殺す。
1:天道総司を殺し、『天道総司』に成り代わる。
2:全ての世界を破壊するため、手当たり次第全員殺す。
3:特に優先的に『カブトの世界』の五人を殺害する(最終的には自分も死ぬ予定)。
4:僕はワームだった……。
【備考】
※ 名簿には本名が載っていますが、彼自身は天道総司を名乗るつもりです。
※ 参戦時期ではまだ自分がワームだと認識していませんが、名簿の名前を見て『自分がワームにされた人間』だったことを思い出しました。詳しい過去は覚えていません。

100 ◆LuuKRM2PEg:2010/12/10(金) 09:17:26 ID:nkwfRPrU
以上で、投下終了です
矛盾点や疑問点があれば、指摘をお願いします。




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