したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

オリジナル東方二次小説作成板

1ネットに投稿するメンタルがない人:2014/08/05(火) 14:48:56 ID:WzvcIdqQ
このスレでは、東方の二次創作小説を執筆するスレです。

一人で淡々と書くのも良し、
お題を出してそれに沿って書くも良し、
何人かでリレーのように書くも良し、
小説投稿サイトに投稿する前の練習として書くも良し、
兎に角、東方projectの二次創作小説であれば何でも宜しいです。

オリキャラは使いたい場合などは、オリキャラスレに一度キャラを書いたり、オリキャラを書いた人に許可を貰うなどして下さい。

次スレは>>950が内容、題名共に同じで建てて下さい。

では楽しく、Let's 執筆!

2名無しさん:2014/08/06(水) 08:43:31 ID:WzvcIdqQ
オリキャラスレ>>306、城島 廻と>>342江藤 英治のキャラを使います。
先に言いますが、たまに更新する程度の早さでやって行きます。

題『東方少年記』

3Phantom:2014/08/06(水) 08:59:53 ID:WzvcIdqQ
江藤said

冬の本番と言わなくても、12月はとても寒い。
それこそ、コートやジャンパーを着て登校する人が多く見えた。しかし、そう言う僕も厚手の青いコートを着ている。
寒いモノは仕方が無いんだ。しょうがないだろう。

校門前に着く頃には、丁度友人の城島君が校舎に入って行く所が見えた。城島君のイメージは「黒」だ。
なので、あからさまに人混みの中に映える色をしていた。
「・・・・・・あ・・・」
城島君が不意に振り返り、僕と目が合う。
目が合ってしまった以上、逃げる訳にも行かない。と言うか、逃げる勇気も無い。

城島君が僕の方へ歩いて来る。わざわざ来なくても良いのに。
「お早う、今日は早いな」
「『今日は』ね・・・」
正直言って、城島君と話すのは良いが、僕はあまり会話するのが苦手なのだ。
それ故、たまに沈黙が流れる事もある。
「・・・取り敢えず、教室行こうぜ。外は寒い」
「そうだね・・・・・・」

*****

4Phantom:2014/08/06(水) 12:23:43 ID:1TTSSt96
続きです。

教室に入ると、中にいたクラスメイトが全員僕達の方を向く、が、すぐに元の場所へ視線を戻す。
どうせ僕達は無視される存在だ。だったらこっちからも無視すれば良い。
「・・・流石にもう慣れたな」
呟いて、自分の机に向かう。僕もそれに習って、隣の席に着く。
荷物を纏めている時に丁度担任教師が入って来た。
「ホームルーム始めるぞ」
つまらない一日が始まった。

*****
幻想入りさせる要素がまだ無いんです、東方に見えない・・・。
あと数話したら東方要素、というか幻想入りしますので、暫しお待ちを。

5Phantom:2014/08/06(水) 18:23:37 ID:WzvcIdqQ
キーンコーンカーンコーン・・・。
チャイムが鳴り、教師が出て行く。
今日は掃除の当番では無いので、すぐに荷物を纏めて城島君と教室を出る。
今日は一日詰まらなかった。
いや、『今日も』か。
「どうした英治、早く帰ろうぜ」
「あ、嗚呼・・・、うん」

*****

帰宅路ではT字路があり、いま来た道を戻ると学校、左に行くと僕の家、右に行くと城島君の家に行ける。
従って、此処でお別れだ。
「また明日、な」
それだけ言って、自宅へ歩き始める。

6名無しさん:2014/08/07(木) 16:30:04 ID:2hxnilHs
仮タイトル「東方黒夜叉」

その日、一人の青年が消えた。いや、正確には世界に「忘れられた」と言ったほうが良いか。
まぁ、なにはともあれ、その青年はそこに行くだろう。

ーーーー最後の楽園「幻想郷」に



俺の名前は神代凌也。人間だ。
俺はジャンプを買いに家を出たはずだが、何の間違いか、見知らぬ森にいる。
凌也「んー・・・ここ、何処だよ・・・」


すまぬ、ネタが切れた。

7Phantom:2014/08/07(木) 17:48:12 ID:WzvcIdqQ
ゆっくり考えて行きましょう!

自宅に帰る道では、交差点が幾つかある。
しかし、それは全て見通しが良く、事故があった事が無いほどだ。
丁度通りかかった交差点の信号は赤。僕は音楽プレーヤーを取り出し、音楽を聞いて待っていた。
音楽は好きだ。嫌な現実から離れられるから。
鬱病なのかな・・・。と、少し自嘲気味に笑う。
その瞬間だった。

「えッ・・・・・・」

ある一台のトラックが僕の方へ向かって来る。勿論、突然の事で僕は動けない。
そして、僕のーーー、『人』としての本能が告げる。
『死にました』と。

轟音。それだけ聞いて、僕の意識は途絶えた。

*****

此処からは>>6のリレーさせて戴きます、すいません。

「んー・・・。此処、何処だよ」
取り敢えず、状況確認。
ジャンプを買いに行く為に外へ出為、持ち物などたかが知れてる。
サイフ、ケータイ、ハンカチ。
サイフの中の金は森の中なので意味無し、ケータイは圏外。ハンカチは・・・。どうしろと言うんだ、これではサバイバルも出来ない。
「・・・人生は足りない物の連続か?これ・・・」
取り敢えず、何か行動を起こさないと何も始まらない、と思ったので、その辺を探索してみる事にした。

*****
こんな感じでどうでしょうか。

8Phantom:2014/08/08(金) 13:22:23 ID:WzvcIdqQ
廻said

英治と別れてすぐに、大規模な工事現場がある。今日はどうやら鉄骨を上に運んでるようだった。
正直、工事をやるならもう少し遠くでやってほしい。
家にいても雑音が聴こえる所為で勉強に集中出来ない。
まあ、もう少しで工事自体終わると思うけど。

漆黒に塗り潰された夜の空を見上げ、冷たい息を吐く。
「・・・・・・今日は寒いな・・・」
その声は、誰の耳に届く事無く空気中に消える。
早く家に帰ろうーーー。そう思って、再度歩を進めた、その時。
「おい!そこの坊主早く逃げろ!」
怒号が飛んできた。
それはどうやら、工事をしている男性の声だ。が、一体何が。
刹那、全てを把握する。
「・・・ぁあ*」
素っ頓狂な声を上げてしまうが、今はそんな事どうでも良い。

上で運んでいた鉄骨が『全て』風に煽られ落下してくる。
突然男性が大声を上げたのも頷ける。が、そんなモノは後の祭りだ。

俺は為す術無く無慈悲に貫かれたーーー。

*****
やっと次から幻想郷saidに行けそうです。良かった・・・。

9Phantom:2014/08/23(土) 09:31:08 ID:MiyPi8pU
久々更新、誰かいないかな・・・。

江藤said

目が覚めると、そこは見知らぬ森の中だった。
薄暗く、木々が生い茂り、日光はあまり地面まで届いていない様だ。
「・・・・・・?」
何故だろう。一回、此処に来たことがある感覚。それこそ、デジャヴに近いモノ。
だが、その違和感が何なのかが全く分からない。
何か心当たりがあるか無いか、微妙なところだが。

まあ、良い。
こんな所にいても何も始まらない。
と言う訳で、僕は勢い良く立ち上がって、周りを確認しようと思った。

*****

10Phantom:2014/09/01(月) 14:26:09 ID:WzvcIdqQ
一週間ちょっと経ちました。
全く進まん。

**********

「・・・あれ」
暫く森の中を探索していると、小屋にも似た、小さな家を見つけた。
屋根の部分には『霧雨店』と銘打ってあるのを見ると、どうやらそれは店のようだった。

入ろうか、どうしようか。
少し考えていると、いきなり扉が開いた。
「あ、え!?」
「おおっと、客人か?見ない顔だし、いや、どっかで見たような・・・?」
中にいたのは金髪の白黒魔女的な人。
いや、どっかで見たような、って台詞は僕の方だが。
「嗚呼、成る程な。取り敢えず、中に入れや、英治」
「え、ええ?何で僕の名前知ってるんです!?」
「んー、忘れたのかよ、まあ良い。
霧雨 魔理沙だ」
いや、色々追いつかない。
訳がわからない。
ちょっと待て、えーと、えーと。
「だぁぁ、全く分からねー!」
その声は森に大きく響いた。

11Phantom:2014/09/02(火) 07:44:26 ID:WzvcIdqQ
前回のが異常にハッスルしてましたね、後悔してます。

**********
廻said

知らない間に俺は、何処か、大きな屋敷の門前にいた。
門前には門番・・・?みたいな人が一人、寝ているけども。
まあ良い、スルーして俺は門を開けようとする。どうせ後ろは霧で覆われてるんだ、何も見えん。

門には鍵が掛けられてなく、ギィイ、と音を鳴らして開いた。
いや、門番意味ないじゃん。

**********

門から屋敷の敷地に入ると、思ったより広い庭が広がっていた。
誰もいない。
「屋敷も悪趣味だな・・・」
そうだ。
門自体は鉄だったので鈍色に近い色をしていたが、庭には色々な植物が植えられている為、緑一色。
だが、屋敷だけは違った。

鈍色、緑、と来て紅色だ。
変な色のコントラストを放ち、異様な雰囲気を持っている。
「いや、でもな・・・。見た事ある、気がするな・・・」
呟いて、俺は屋敷の扉を開いた。

12和製名無し:2014/09/12(金) 16:44:57 ID:BP4gbtW2
タイトル「東方夜神伝」

翔太「さあ帰ろか」ガサッ
翔太「何やつ!」
罪袋「・・・」ビュン バキッ
翔太「ぐあああッ」ドザザザ
罪袋「・・・死ね」ドスッ
翔太「ッ!?」(だめだ・・・俺・・死ぬ・・の・か)


チュンチュン
翔太「ウーンここどこだ?俺、死んだんじゃなかったのか?」
???「幻想入りしたのよ」
翔太「誰だ」
霊夢「この世界は幻想郷。あなたが住んでた世界とは別の世界。
外の世界の人間が稀に死ぬとこの世界へ来ることがあるの。
私は博麗霊夢。この神社の巫女をしているの」
翔太「大体分かった。これお礼に外のお金。」
霊夢「霖之助さんだったら換金してくれそうね。ありがと。」

13名無しさん:2014/09/27(土) 20:07:58 ID:YgBrIDhM
オリキャラスレ博麗恐夜を使います。このオリキャラは自分が書いたものです。

14名無しさん:2014/09/27(土) 20:09:12 ID:fMRX4wec
月瞳異変
紅い月が輝いている夜空に一人の人間がいた。
???「…」
その人間が月に手を伸ばした瞬間、月に紅い瞳が写った。
???「…」
そしてその人物はその場を立ち去った。
その頃…
魔理沙「霊夢!!起きろ!!」
霊夢「何よ…魔理沙…こんな時間に」
魔理沙「早く起きろ!!異変だぜ!!」
霊夢「異変?こんな時間に異変だなんて…何よあれ?」
霊夢が見たものは月に写る紅い瞳だった。
紫「霊夢!!魔理沙!!今すぐ永遠亭に行くわよ!!」
霊夢 「紫!一体どうゆうこと!?」
紫「話は後でよ!!スキマに入りなさい!!」
永遠亭
魔理沙「何だよ…これ」
魔理沙が見たものは苦しむ人間達や妖精、妖怪だった。
紫「連れてきたわよ」
永琳「これで全員ね」
霊夢「永琳!!それに!!」
レミリア「霊夢久しぶりね…」
早苗「霊夢さん!!良かった…無事だったんですね」
今この場にいるのは幻想郷の実力者達だった。
霊夢「永琳…どうゆうこと?」
永琳「これよりこの異変の会議を始めるわ」
全員「!!」
永琳「この異変は月に写った赤い瞳を見た者は強力な幻術にかかるわ」
霊夢「じゃあ何で私達は幻術にかかってないの?」
永琳「どうやら幻術にかかる者は弱い力を持ってる者だけがこの幻術にかかり強い力を持つ者はこの幻術にかからないわ」
魔理沙「何で何だぜ?」
永琳「それは分からないわ…そしてこの異変を起こした者は外来人よ…」
全員「!?」
紫「私に気付かれず博麗大結界を突破し侵入したとなるとその外来人はかなりの実力を持っているわよ」
永琳「そしてこの幻術を解かないと幻術にかかっている者は精神崩壊を起こすわ」
霊夢「何ですって!?まさか貴方の薬が効いていないの!?」
永琳「この幻術は私の薬でも治せないの…解く方法は一つだけあるわ…この異変を起こした人物を倒す事よ」
魔理沙「なら異変を起こした奴を見つけようぜ!!」
霊夢「ええ!!」
そして全員は異変を起こした人物を見つける為に動き出した。
藍「紫様?」
紫(私に気付かれず結界に侵入出来る人物は一人しかいないわ…)
藍「紫様!!」
紫「!!」
藍「どうなされました?」
紫「何でもないわ…行きましょ」
紫(まさかね…)

15名無しさん:2014/09/27(土) 20:11:02 ID:fMRX4wec
月瞳異変2
霊夢「!!」
霊夢(何で今になってあいつの事を思い出すの…)
???「お前など殺す価値もない…だから生かしといてやったのだ…もし俺を殺したければ俺と渡り合える実力を身に付け俺の前に来い…」
霊夢「!!っ」
魔理沙「霊夢?」
霊夢「何でもないわ…急ぎましょ!!」
魔理沙「おう!!…何だって!?霊夢!!」
霊夢「どうしたの!!」
魔理沙「どうやら見つけたらしいぜ!!」
霊夢「何ですって!?すぐに向かうわよ!!」
魔理沙「分かったぜ!!」
全員「霊夢!!魔理沙!!」
そこには既に全員集まっていた。
霊夢「異変を起こした奴はどこ!?」
紫「あそこよ!!」
???「…」
そこにいたのは黒地に赤雲の模様が描かれた外套のようなものを着ており笠で顔は見えないが服装から見て男であることは間違いなかった。
霊夢「あんたがこの異変の犯人ね?」
???「…」
霊夢「無視とはいい度胸ね…」
???「…」
魔理沙「何とか言えよ!!お前のせいで苦しんでいる奴らが沢山いるんだぞ!!」
そしてその人物はいきなり竹を外した。
霊夢「!!!」
霊夢はその人物の顔を見た途端、殺気を出していた。
???「久しぶりだな…霊夢」
霊夢「博麗…恐夜!!」
全員「!?」
全員は驚いた…霊夢に兄がいたことに。
紫「やはり…貴方だったのね」
恐夜「久しぶりですね…紫さん…どうして俺だと分かったのですか?」
紫「私に気付かれず結界に侵入出来る人物は貴方しかいないからよ…」
恐夜「流石、妖怪の賢者ですね…」
紫「そんなことはどうでもいい…どうして貴方が幻想郷に帰ってきたの?」
恐夜「…そこにいる妹を殺し幻想郷を潰す為ですよ」
全員「!!」
霊夢「幻想郷はあんたなんかに潰させはしない!!」
恐夜「そうか…なら全員で俺にかかってくるがいい…」
そして彼の眼は紅くなった。
紫「気お付けなさい!!あの眼は六神眼という伝説の眼よ!!」
パチュリー「六神眼!?」
全員はパチュリーの方に目を向けた。
魔理沙「パチュリー何か知ってるのか?」
パチュリー「六神眼…それは伝説にしか存在しないといわれた眼よ…その名の通り六人の神の力が眼に宿りその眼を持つ者は神に等しい人間といわれているわ…まさか本当に存在していたなんてね…」
霊夢「とにかく奴に全体攻撃をするわ!!」
全員は強力なスペルカードを発動し全方位に弾幕は放たれ回避は不可能であった。
霊夢「これで終わりよ!!」
恐夜「…」
彼が左目を閉じた直後、彼の左目から血が流れ彼は左目を開いた。
恐夜「…天照」
彼がそう言った瞬間、弾幕は黒い炎に包まれ消滅した。
全員「!?」
恐夜「…その程度か?」
そしていつの間に彼は彼女たちの前に現れた。
恐夜「まずはお前だ…」
彼はさとりに攻撃を仕掛けた。
さとり「ぐっ!!」
恐夜「弱いな…」
彼はさとりに重い攻撃を何度も食らわせた。
さとり「ガハッ!!」
こいし「お姉ちゃん!!…っ!!」
恐夜「次はお前だ…月読」
こいし「ここは?あっ!お姉ちゃん!!」
さとり「…」
こいし「お姉ちゃん?」
さとり(貴女なんか消えればいいのに…)
こいし「えっ?」
こいしはすぐにサードアイを見て気づいた…サードアイが開いていたことに…
(消えろ消えろ消えろ消えろ)
こいし「やめて…」
(消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ)
こいし「やめてえええええええええええええええ!!」
こいしは泣きながら叫んだ。

16名無しさん:2014/09/27(土) 20:20:16 ID:fMRX4wec
月瞳異変3
さとり「こいし!!落ち着いて!!それは幻術よ!!」
こいし「いやあああああああああああああ!!」
さとり「こいし!!」
さとりはこいしの頬を叩いた。
こいし「…お姉ちゃん?」
さとり「こいし!!」
こいし「お姉ちゃん!!うっ…うわあああああああん!!!怖かったよぉ…」
さとり「よしよし…もう大丈夫よ…」
永琳「さとり!!その子を連れて離れてなさい!!」
さとり「はい!!」
恐夜「まさか月読を破り精神崩壊しないとはな…」
永琳「どうやら六人中二人は月読と天照のようね…これは私の推測だけど天照は見たものを焼き尽くす力、月読は幻術ね?」
恐夜「俺の月読と天照の能力の仕組みに気づくとはな…さすが月の頭脳と呼ばれるだけはあるな…だが月読は少し間違っているな…月読は空間も時間も質量も全て俺が支配する精神世界に引きずり込む…」
永琳(月読と天照…となると残り四人の神は…)
恐夜「考え事をしてる場合か?」
永琳「!!」
恐夜「遅い…」
永琳「ガハッ!!」
妖夢「はあああああ!!」
妖夢は楼観剣と白楼剣を同時に振るうが彼は草薙剣で簡単に受け止めた。
妖夢「くっ!」
恐夜「お前の攻撃は単純過ぎる…お前に本物の剣術を教えてやろう…」
彼は妖夢に高速で斬りかかる。
妖夢「ぐうううう!!」
妖夢は彼の攻撃速度に追い付けなかった。
妖夢「うっ………」
そして妖夢の意識は闇に沈んだ。
恐夜「弱いな…」

17名無しさん:2014/09/27(土) 20:44:53 ID:YgBrIDhM
月瞳異変4
その後、幻想郷の実力者は彼と戦ったが彼に傷一つつけることすら出来ぬまま次々と倒されていき立っていたのは霊夢だけだった。
恐夜「後はお前だけだ…霊夢」
霊夢「私はあんたを殺す!!」
恐夜「言いたいことはそれだけか?いいだろう…その言葉…お前にそのまま返すとしよう…」
霊夢「夢想封印!!」
恐夜「夢想封印・極…」
霊夢「かかったわね!!」
恐夜「!!」
霊夢「八方鬼縛陣!!」
恐夜「ぐっ!!」
紫「!?おかしい…」
永琳「何が?」
紫「あの弾幕は彼にとって普通に避けられるはずの弾幕なの…でも彼は避けきれなかった…」
紫(まさか霊力切れ…いやそんなはずない…彼の霊力は霊夢の倍はある…)
恐夜「ちっ…」
霊夢「霊力切れかしら?ずいぶん弱ったわね…!!」
恐夜「…天照」
霊夢「くっ!!」
霊夢は黒い炎に少し包まれ彼は天照を止めた瞬間。
恐夜「ゴホッ!!ゴホッ!!ハァハァ…」
永琳(やっぱり何かおかしい…どうして彼は天照で霊夢を焼き尽くさないで止めたの…そしてあの血の量…ただの戦闘であんなに血は吐かないわ…まさか…)
恐夜「ゴホッ!ゴホッ!!…これで終わりだ…」
霊夢「あんたがね…」
次の瞬間、倒れた霊夢は札となり彼の両足と両手に張り付いた。
恐夜「ちっ…」
霊夢「これで終りよ…食らいなさい…私の最強のスペルカードを…夢想神封印!!」
次の瞬間、彼は弾幕に包み込まれ彼は俯せに倒れた。
霊夢「ハァハァ…」
恐夜「やるな…霊夢」
霊夢「!!!」
恐夜「これが無かったら俺は死んでいたな…」
彼の周りに紫色に霊力が現れそして霊力は盾と瓢箪を持った天狗のような姿になった。
恐夜「これが俺の最強の切り札…須佐能乎だ…」
霊夢「須佐能乎…」
その時、空から声が聞こえた。
悪魔達「ヒャハハハハ!!この時を待ってたぜ!!」
全員「!?」
全員は驚いた。
何故なら空には数千万の悪魔たちがいたのだから。
恐夜「来たな…」
悪魔達「これで幻想郷は俺達の…」
グサッ…
悪魔達「は?」
悪魔達の胸には紫色の剣が突き刺さっていた。
恐夜「…霊剣・十拳剣」
恐夜は須佐能乎を出したときにしか使えない最強のスペルカード霊剣・十拳剣…それは突き刺した者を瓢箪の中に封印し絶対に出ることは不可能で最強の封印剣といわれそれで彼は数千万の悪魔達を一瞬で突き刺し封印した。
悪魔達「ふざけるなあああ!!嫌だあああああああ!!助けてくれええええええええ!!あああああああああああ!!」
悪魔達は瓢箪の中に封印された。
恐夜「ハァハァ…これで邪魔物はいなくなった…後はお前を…!!ゴホッ!!ガハッ!!」
彼は大量の血を吐き須佐能乎は一瞬、消えた。
霊夢はその隙に夢想封印を彼に命中させたが彼は瞬時に須佐能乎を発動し須佐能乎を出したときにした使えない霊器・八咫鏡で防御した。
霊夢「!!」
恐夜「ハァハァ…無駄だこれはあらゆる攻撃を跳ね返す…お前に勝ち目はない…」
彼は霊夢に近づいた。
霊夢「いやっ…来ないで…」
魔理沙「霊夢!!逃げろおおおおおおお!!」
そして彼は霊夢を追い詰めそして…彼は霊夢の頭を優しく撫でた。
恐夜「………」
霊夢「えっ?」
そして霊夢に何かを言ったあと彼は倒れて死んだ。
霊夢「…」
そして戦いの終わりをしらせるかのように雨が降り霊夢も倒れた。
全員「霊夢!!」

18名無しさん:2014/09/27(土) 20:46:20 ID:fMRX4wec
月瞳異変5
霊夢「う…ううん…個々は?」
全員「霊夢!!大丈夫?」
霊夢「ええ…大丈夫よ…それよりあいつは!?」
紫「死んだわ」
霊夢「死体は?」
魔理沙「今、永琳があいつの死体を調べてるぜ」
霊夢「何で?」
魔理沙「よくわからないけど調べたい事があるって言って…あっ来たぜ」
永琳「…」
永琳は悲しい顔で部屋に入ってきた。
紫「何かわかったの?」
永琳「…ええ分かったわ」
霊夢「どうしたのよ?さっきから暗い顔して…」
永琳「皆よく聞いて…」
全員「?」
永琳「彼は10年前から重い病を患ってたことが分かったわ…彼が貴女との戦闘中、吐血してた理由よ」
霊夢「それが何よ?」
永琳「そして彼の服から道具と手紙とが入っていたわ」
アリス「これは…記憶の鏡じゃない!?」
魔理沙「記憶の鏡?」
アリス「これは今までの記憶をこの鏡に記憶することが出来るの…そしてその記憶を見ることができる道具よ」
永琳「そうよ…皆にはこれを見てもらいたいの…いいかしら?」
全員「…」
全員は頷いた。
永琳「じゃあ…写すわよ」
記憶の鏡
悪魔達「この幻想郷の実力者どもを殺せ!!」
そこにはさっきいた悪魔達と恐夜が写し出された。
恐夜「何故だ?」
悪魔達「この幻想郷をてに入れる為だよ!!」
恐夜「ふざけるのも大概にしろ…」
悪魔達「いーのかなぁ?俺達に逆らって」
恐夜「どうゆう事だ?」
悪魔達「お前が逆らったらお前の妹を殺すぞ」
恐夜「!!」
悪魔達「俺達の部下がお前の妹のところにいんだよ!!さっさと殺してこい!!」
恐夜「分かった…だが妹には絶対に手を出すな」
悪魔達「いいぜ」
その夜
恐夜「…」
住人「気にすることは無いよ…」
恐夜「…」
彼は涙を流してた。
住人「君が泣くことじゃないよ私たちは気にしないから…」
住人達「そうよ…」
住人「だけど1つだけ頼みがあるの…霊夢ちゃんを頼んだよ」
恐夜「はい…」
彼は涙を流し、そして実力者達を殺した。
霊夢「うっうう…グスッ…どうして?」
恐夜「お前など殺す価値もない…だから生かしといてやる…もし俺を殺したければ俺と渡り合える実力を身に付け俺の前に来い」
霊夢「ハァハァ…」
恐夜「…」
彼は霊夢の顔を見て涙を流しその場を立ち去った。

19名無しさん:2014/09/27(土) 21:04:46 ID:fMRX4wec
月瞳異変 終
全員「…」
霊夢「…」
記憶の鏡の映像を見終わった後、全員は彼の真実を知った。
彼が霊夢を守るために幻想郷の実力者達を殺したことを。
霊夢「…こんなの嘘に決まってるわ!!あいつは!!あいつは…」
永琳「霊夢…あなたに彼からの手紙があるわ…聞きたくはないと思うけど…聞いて…霊夢」
霊夢「…分かったわ」
永琳「読むわよ…」
恐夜「これを見てる頃には俺は死んでいるだろう…霊夢すまなかったな…お前に辛い思いをさせてしまって…お前は俺の事をずっと許さなくていい…だけどこれだけは言わせてくれ…」
霊夢の目から一滴の涙が流れ落ちた。
恐夜「俺はお前をずっと愛している」
霊夢「うっ…うっ…」
涙はどんどん流れ落ちる。
霊夢「うっ……あぁぁぁあああ……うわああああああああああん!!!!!」
霊夢は大量の涙を流した。
全員「…」
永琳「皆、彼からの謝罪と頼みが書かれているわ」
恐夜「あなた達を傷つけてしまい本当にすみませんでした…そして頼みが一つだけあります…霊夢をよろしくお願いします」
全員「勿論よ」
そのあと幻想郷の住人全員は彼の死体を腐らないようにして霊夢がまだ幼かった頃、恐夜と一緒によく来ていた無名の丘に墓を作った。
彼の葬儀は一日も続いた。

20ななっしー:2014/09/27(土) 21:30:54 ID:WHw/i5Rs
第一章 始まり
おれは竜崎創牙(りゅうざきそうが)
どこにでもいる高校生だ
いまなぜか真っ白な所に居るんだ
創牙「なんだここは・・・」
???「あ、居た居た」
創牙「あんたは?」
神「我は神なり、汝を導こう」
創牙「そういうのいいんで」
神「のり悪いなぁ!」
創牙「ここどこ」
神「いやね、手違いで殺しちったw」
創牙「殺してやろか?」
神「無言で蹴るのやめて!痛い!転生させてやるから許せ!」
創牙「良かろう」
神「お前を転生させるのは幻想郷という所でな」
創牙「ほぅ」
神「そこでお前に能力を渡そう」
創牙「ほぅ」
神「これを三回引け」
創牙「ほぅ」
神「・・・」

21ななっしー:2014/09/27(土) 21:34:53 ID:WHw/i5Rs
神「ほおほお、これを引き当てるか」
創牙「えぇと・・・天変地異を操る程度の能力、破と滅を操る程度の能力、終焉を操る程度の能力」
神「チートか!」
創牙「いいからはよ転生」
神「うぃうぃ」
創牙「どんな世界かは知ってるんだよなこれが」
神「あっsウボァ!」
創牙「はよ」
神「サーセン、後あっちではお前は龍神として生きることになる、名前は竜崎神龍と名乗れよ」
創牙「行ってくるぜ」
神「いってらー」

22ななっしー:2014/09/27(土) 21:39:30 ID:WHw/i5Rs
第二章 幻想入り
神龍「ここか!」
神龍「ここから俺の新生活が始まるんだな!」
神龍「さて、とりまあっちに行くか!」

少年移動中

神龍「あれは・・・村か!」
神龍「行くぜー!」
村人「うわああ!鬼が来たぞお!」
鬼「酒と飯を寄越せええ!」
神龍「え、なんすかあれ」
村人b「兄ちゃん!早く逃げな!」
神龍「あれ潰していいか?」
村人b「やめとけ!死ぬぞ!」
神龍「大丈夫だ、問題ない」
村人「兄ちゃん、それフラグや」

23ななっしー:2014/09/27(土) 21:43:59 ID:WHw/i5Rs
神龍「この刀・・・使ってみるかな」
鬼「寄越せえええええ!」
神龍「まずは威圧するか・・・おい」
鬼「なんだ!」
神龍「そこで何をして居る」
鬼「見ての通りだが?」
神龍「手を引けと言ったら?」
鬼「お前を潰す」
神龍「・・・行くぞ!」
鬼「来い!」
神龍「この刀の前に平伏すがいいさ・・・精々足掻け」
鬼「生意気な!kウグアア!」
神龍「弱!うわ弱!」
鬼「負けた・・・」
神龍の刀の名前は神剣草薙です

24ななっしー:2014/09/27(土) 21:48:05 ID:WHw/i5Rs
鬼「敗者に後はない、殺せ」
神龍「・・・これを持ってけ」
鬼「情けのつもりか?」
神龍「そこらで死んで他の奴らに攻め込まれるのも良い迷惑なんでね」
鬼「恩に着るぞ、名前は?」
神龍「竜崎神龍、龍神だ」
鬼「神だったか・・・我は豪鬼、礼を言う」
神龍「まぁ、堅苦しいのは無しにしようぜ」
豪鬼「そうだな、ではさらばだ」
神龍「あばよ」

25ななっしー:2014/09/27(土) 21:52:18 ID:WHw/i5Rs
村人達「おおおおおお!」
神龍「ん?」
村人「ありがとよ!兄ちゃん!」
村人b「すげぇ!鬼を追い返した!」
村人「神様か!」
神龍「まぁ、龍神だが」
村人「龍神!?」
村人b「それは失礼しました!」
村長「龍神様、少ないですが受け取ってくだされ」
神龍「お、良いの?」
村長「構いませんですぞ」
神龍「礼を言う、さらばだ」
村長「ここから先にある博麗神社という所に行くといいですぞ!」
神龍「なにからなにまでありがとよ!」

26Phantom ◆vVg/fnBrws:2014/09/28(日) 22:07:53 ID:WzvcIdqQ
>>11の続きです。

魔理沙に連れられて数分。
視界の先には広大な景色。
紅い館、神社、宝船、空には大きな黒い穴。

「―――――此処は幻想郷。人間や妖怪、化物が住む世界だ」

魔理沙が言ったその台詞は、僕の耳には入らなかった。

「取り敢えず、私の家に行くか?話すと長くなる」

・・・少年少女移動中・・・

魔理沙の家は、『霧雨店』と大きく銘打たれた木造の家だった。
中に入ると、色々な道具が置いて在り、一つ一つに値が付いていた。
多分、大抵がさっき言った『魔法使い』の専用道具なのだろう。

僕が椅子に腰掛けると、魔理沙はマグカップにお茶を淹れてくれた。

・・・少女説明中・・・

「つまり、幻想となったモノはこの世界に辿り着き、この世界から出る事は出来ない、って事?」
「そう言う事だぜ」

笑顔で肯定する魔理沙。僕は、

「うわぁぁぁあああああ!!嫌だァァァアアッ!!」

大絶叫。
この世界から出る事は不可能?冗談じゃない。
嫌な事こそ多いが、あっちの世界が僕の故郷だ、そう簡単に離れて堪るモノか。

絶望感が僕を包む。

「おいおい、出られる可能性は無い事は無いぜ。この世界を創った妖怪に頼めばな」

何だそれ、それを先に言え。

「じゃ、じゃあすぐその妖怪に会いに・・・」
「とは言ってもな、その妖怪は実際何処にいるか分からないんだぜ。まあ、そんなに焦らなくても良いだろ」
「うぅ・・・、確かに・・・」
「んじゃ、私は神社に行くが、英治も来るか?さっき見えたあの神社だ」
「僕も付いて行くよ。こんな所で立ち止まっていられないし」
「そうか、飛ばしてくからしっかり掴まってろよ?」

全て終わった後だからこそ言える。
魔理沙がこの時使ったスペルは、彗星『ブレイジングスター』。
仮に落ちたら絶対死んでいた。と言うか、それほど怖かった。

*****

27Phantom ◆vVg/fnBrws:2014/09/28(日) 22:08:37 ID:WzvcIdqQ
館は門の前から見た時よりも大きく見えた。扉も俺の身長の三倍以上はある。
その扉を開けると、紅を基調にした玄関に出た。
玄関から周りを見渡し、その瞬間。

一人の『人外』と目が合った。

水色に近いブルーシルバーの髪に血の様に紅い瞳。
透き通る様に肌は白く、口の端で牙が見え隠れしている。
背には夜を集めた様な漆黒の翼。
これだけで直感した。

「(吸血鬼・・・ッ)」

その声は小さいのにも関わらず、その周囲の壁に大きく反響した。

「貴方の運命、面白いわね。それに、良い力・・・」
「お前、吸血鬼だろ、何でそんな奴がこんな所にいるんだ」

敬語なんか使えるか、馬鹿野郎。

「嗚呼、大丈夫よ。取って食べたりしないわ。レミリア・スカーレットよ。城島さん」
「何で俺の名前・・・」
「それを今から説明しようかしら・・・。そうね、取り敢えずは此方に」

・・・少女説明中・・・

「『人間界』と『幻想郷』・・・。『吸血鬼の住む紅魔館』・・・。『博麗と境界の結界』・・・」

可笑しい。
呵呵大笑したくなるほどに。

「どうしたの?」
「ハハ・・・ッ、まさか、な・・・」

疑いたくなる。まさか、そんな事は無い、と。
でも、本当だ。だが―――、だが。時空列が・・・。

「何か引っ掛かるモノでもあったの?」
「・・・・・・俺は・・・、いや、俺達は・・・。この世界に来た事がある」
「・・・・・・」
「引っ掛かる事がある・・・。此処に資料室って無いか?」
「・・・地下に図書館があるわよ」

**********

紅魔館の地下にある大図書館。
ざっと見たら数億冊。だが、それ以上はあるだろう。

「此処の本の管理者は?」
「あそこで本でも読んでるんじゃない?」

レミリアが指差した先には、本が山盛になった机に座って本を読む紫髪の少女。

「パチュリー」

レミリアがその人物に話し掛ける。

「あら、レミィ。後ろの人は?」
「何処かのスキマ妖怪が連れて来た人よ。元の世界に戻る方法が無いかを探しに来たのよ」
「ッツ・・・・・・」

頭痛が奔る。レミリアが心配するが、『大丈夫だ』と答える。
昔。昔、こんなやり取りがあった―――。
あの時は。確か、確か―――――。

「ダメだ、思い出せない・・・」

一部までは思い出せる。なのに、そこから先は抜き取られた様に思い出せない。

「嗚呼、廻さん?だっけ?」
「あ、嗚呼・・・、何だ」
「私と弾幕勝負をして勝ったら本を持ち出して良いわよ」
「・・・え?」
「幾らレミィの友人だとしても、本を貸すのは私が認めた人だけよ」
「・・・・・・パチェ、廻さんはまだ自分の能力を扱えていないのよ?」
「・・・レミリア、良い。戦れば良いんだろ」
「良いわね、その顔。だったら、もう少し後に始めましょう」

*****

28Phantom ◆vVg/fnBrws:2014/09/28(日) 22:10:23 ID:WzvcIdqQ
「此処が博麗神社だ。幻想郷の結界を維持している場所でもあるぜ。お〜い、霊夢〜!!」
「何よ、魔理沙」
「客人だぜ。江藤 英治」

中から出て来た人は、如何にも巫女、という格好だった。
赤白二色が主な色である。

「まあ中に入りなさいよ。久々の客人だわね」

**********

中に入り、座布団の上に座り、僕は自分の知っている限りの事を霊夢に話した。
霊夢は少し考える素振りをした後、言った。

「何にせよ、紫がいないと何も始まらない、か・・・。取り敢えず英治。貴方、能力は?」
「僕の、能力・・・」

途端、頭痛が襲う。
頭が痛い。何だ、コレは。
まだ子供の自分、霊夢と同じ服を着た巫女、魔理沙と同じ服を着た魔法使い、隣には子供の廻君―――。
僕達はカードを翳して弾幕を放っていた―――――。

記憶はそこで途切れた。

「・・・・・・ず」
「え?何て?」
「水・・・」

そこで口を挟んだのは魔理沙だ。

「水なら裏山に行けば良いだろ。今から行こうか」

**********

「全く、パチェは・・・」
「良いさ、能力が何かも、使い方ももう分かった」
「え・・・?」

そう言うと、俺は笑い、丁度そこにあった紙に錬成陣を書き、少し力を入れる。
稲妻が走り、淡い光に辺りが包まれる。

立っていた床が変化し、楽器のそれへと変貌する。

「ヴァイオリンはこんなもんか?」
「本当に分かってるのね・・・」
「いや、記憶だ」

レミリアは一瞬分からない、と言った顔をしたが、察した様ですぐに頷いた。

「そう・・・。なら、あの時の子が貴方なのかしらね・・・」

俺は何も言わずに、今度は両腕に力を込める。
それは徐々に形を変え、銃と刀に変わる。

ズガァン!!

一発、床に銃を撃つ。
弾は鉛で、ちゃんと殺傷力をあるだろう。
まあ、これは多分使わないだろうな。

「あら、壊した床はどうするのかしら、廻さん」
「あとで錬金術で直すさ。さて―――――」

先程錬金術で創ったヴァイオリンと弓を構え、知っている曲を奏でる。
音に実体があると想像しながら、音を奏でる。

ベコッ

と音を出しながら周囲の床が凹む。
『音』の力だ。

「―――――戦える」

*****

三回やったので、また休みます。
といっても、明日か明後日に更新出来ます。

29Phantom ◆vVg/fnBrws:2014/09/29(月) 16:53:44 ID:WzvcIdqQ
霊夢と魔理沙に連れられてやって来たのは小川だ。
綺麗に澄んでいる水だが、流れる量がとても少ない。
でも、自分の能力が思っている通りなら、そんな事は関係無くなる。

「ちょっと離れてて」

言って、僕は右手を振る。
川の水面が微かだが動き、宙に浮く。
左手も振ると、川の水は全て左手に集まり、剣を形作る。
どうでも良いが、見た目より結構重い。
右手に持ち替えて、軽く振る。

―――前方数百メートル圏内の大木が全て切り刻まれる。

「なッ・・・」 「おまッ・・・」 「(ニヤリ)」

いや、自分でも此処まで威力があるとは思わなかった。
もし、強く振っていたら、と思うとゾッとする。

「・・・やっぱり、あの時の少年かね、君は」

『あの時の』?さっきの古い記憶に関係するのか?

「まーまー、霊夢、古い話は持ち出すな、神社に帰るぜ」

**********

水と言うのは『決まった形』が無い=水を扱う僕にとっては好都合な事である。
例えば、水を投擲してそれを槍にしたりとか、高圧銃にして対物貫通ライフルにしたりなどのやり方がある。
なので、水を操る能力は使い勝手が良いのだ。
以上、私事でした。

「何変な顔してんだ、英治」
「ん?嗚呼、別に何でも無いよ。さて、これからどうしようか・・・」
「なら紅魔館に行ったら?『運命を操る程度の能力』を持ってる吸血鬼がいるから、何か知っているかもしれないわよ」
「じゃあ、私が案内するぜ」
「ええ・・・。またあのスペルやるの・・・?」

**********

「さて、そろそろかな」
「嗚呼、パチェとのね・・・」
「・・・今更だけどさ、アイツの本名は?」
「パチュリー・ノーレッジ。魔法使い。あと、多分廻さんが勝つわよ」
「そうかよ・・・」

レミリアと話しながら図書館に向かった。

*****

30Phantom ◆vVg/fnBrws:2014/09/29(月) 16:54:20 ID:WzvcIdqQ
図書館はついさっき来た時よりも本が整理されていた。
つまりは此処で戦う、と言う事だろう。

「本が滅茶苦茶になっても知らんぞ?」
「手加減無しでやって良いわよ」

正直、速攻でカタを付ける予定だった。が、ナメていた。
言った瞬間、スペルを使われたからだ。

「火符『ロイヤルフレア』」

四方八方に火の玉が散らばる。
それは小さいながらに超高温―――――、宛ら、小さな太陽ッ!!

「当たったら丸焦げになるわよ」

だったら当たらなければ良いだけだ。
俺は、先程やった武器の力を応用し、脚を槍に。
そして―気に接近。脚代わりの槍を床に突き刺し停止、一息吐けずにパチュリーの持っていた本を上に投げ付ける。

「どーよ」
「ッ・・・・・・、スペル!!金符『レイジィトリリトン』!!」

唱えた瞬間、周りに金色の大きな弾幕が発生。
瞬間的な出来事なので、避けるのが一瞬遅れる。

「・・・ァアッ!!」

無理矢理の後方へ飛び、距離を取る―――、が、遅いッ!!

右腕、左脚の付け根から赤黒い水が滴り落ちる。
激痛が走り、意識が朦朧とする。

「終わらないわよ?火水木金土符『賢者の石』」

クソが、完全に殺す気じゃねーか!!
七色の小さな弾幕が拡散される。

「魔法使い風情が調子乗るんじゃねぇ!!!!」

叫んで、再度接近。
パチュリーの表情が変わる。きっと、『腕と脚が無いのに―――』と思ってるだろう。

「取り敢えず種明かしだ―――、武器を手足にした、以上」

言って、右手を銃にしてパチュリーの手の甲を打ち抜く。

「・・・・・・参ったわ」

やっと、此処で降参する。
無駄に警戒していた気持ちがやっと緩んだ。

*****

31Phantom ◆vVg/fnBrws:2014/09/29(月) 16:58:59 ID:WzvcIdqQ
今、僕は魔理沙と共に紅魔館の前にいる。
門番は寝ていたし、門の鍵も開いていたので、勝手に中に入って行く。

「私は地下図書館に行ってるぜ」

それだけ言って、魔理沙は下に続く階段を下りて行った。
僕は、まずこの館でも探索しようかな、と思った時。

「ねぇ、お兄さん誰?」

後ろから声を掛けられた。
振り向いた先にはどう見ても『普通』じゃない少女がいた。
風に揺れるサイドテールの金髪、真っ赤な紅い目。
黒き枝の様な羽根に、宵闇にも映える七色の光。

「・・・・・・江藤、英治。君は?」
「・・・フランドール。私と遊ばない?」

正直言って、遊んでる暇は無いので、スルーして部屋を探索しようとした。
しかし、その行動は失敗だった。

「どうして行っちゃうの?」

そりゃ、そうなるわな。
どうやら僕は子供の気持ちを考えるのが苦手らしい。
だが、フランが『普通』ならまだ宥めて探索する、という手があっただろうが、この子は違う。

『狂血鬼』であり、『凶血鬼』の殺戮者。

「あはは・・・、ふふふ・・・」

フランの口から怪しい嗤いが零れる。
そして―――。

「殺してあげるッ!!」

狂った笑みで僕を見た。

*****

32Phantom ◆vVg/fnBrws:2014/09/29(月) 16:59:43 ID:WzvcIdqQ
その狂気の笑み、手に持つ凶器、表情に浮かぶ狂喜。
全てが狂ってる。
僕を殺そうとしている。
だが、こんな時こそ落ち着け。

落ち着いて―――――、対処しろ。

「禁忌『レーヴァテイン』!!」

どうやら考えている暇は無い様だ。
大体、相手が先に手を出した。
だから、仮にこっちが傷を負わせても何も言えないッ!!

霊夢に頼んで持っていた瓶に水を入れて貰っていた。
その瓶の内二つを割って、刀を二本創る。
フランの手には焱を纏う長き剣。

紅き剣に蒼き刀。焱を纏いし剣に、苕を基調にした刀。
双方の対なる武器がぶつかり合い、そして、眼前の敵を屠る様に薙ぎ払われる。
一刀流と二刀流。手数では僕が多いが、フランは長さでそれをカバーしている。
二刀を振り下ろす。それを紅い剣で受け止める。

唾競り合いだ。

これでは拉致が明かない。
そう思い、僕は唾競り合いの反動を利用して後方に跳ぶ。
フランは背中の羽根で僕を追う様に飛ぶ。
僅かにフランの方が速く、追いつかれ、殺されるのは時間の問題。

でも、何処に逃げる?
考えている間にも間の距離は徐々に縮まって行く。

―――一つだけ、逃げる場所が思い付いた。
魔理沙が言っていた言葉、『私は地下図書館に行ってるぜ』。
そうだ、地下と言う事は―――――。

「スペルは・・・。記憶アリ」

呟いて。

「水切『アクアカッター』ッ!!」

叫んで。
床に水刀を突き刺し、床を破壊する。
僕達は真下に落下する。

下は地下図書館。勿論、大量の本棚が立ち並んでいる。
図書館の中心に四人の人がいた。
一人は魔理沙。
一人はブルーシルバーの髪をした吸血鬼。
一人は紫髪の少女
一人は・・・、

「え・・・」

まさかの廻君。何で此処に。
そして、無意識の内に僕は其方の方向に腕を伸ばした。いや、伸ばしてしまった。
そして、激痛。

「ツ・・・・・・」

伸ばした右手に深い傷が幾つも刻まれている。
視界の端にフランの顔が映る。
手にはあの剣。それに、微量だが血が付いていた。

「・・・僕の手斬ったのか?」

それしか考えられなかった。
そして、意識が朦朧とする。

しかし、廻君の腕を見て思いつく。
流れ出す血液を水と考え、その流れを抑え止血し、余った血液をフランのいる方向に投擲、短い槍に変え、攻撃を図る。
その攻撃は成功し、フランの胸元に刺さり、気を失わせることが出来た。

「ハッ・・・、ザマァ見ろよ・・・」

そして、図書館の床に叩き付けられた。

*****

習い事あるのでまた後で書き込みます。

33Phantom ◆vVg/fnBrws:2014/09/29(月) 19:31:23 ID:WzvcIdqQ
目が覚めると、そこには吸血鬼二人、魔法使い二人、友人一人が僕の事を覗いていた。

「お兄さん、ゴメンなさい!!」

開口一番、フランが謝る。
どうやら、気が触れていた時に僕と会って、遊びたくなったとか。
・・・殺し合いが遊びって、怖すぎ。

「あー、うん。良いよ。別に、楽しかったし。さて、どういう事か説明して貰おうかな、廻君」
「お・・・、おう・・・」

・・・少年説明中・・・

取り敢えず、互いに今現在分かっている範囲、やった事、能力の事を伝えて置いた。
全部話し終わった後、廻君は何かを考える素振りをした。

「何か分かった?」
「いや、分からん。まあ良い、幻想郷永住確定かな。宿は紅魔館かな?」
「部屋空いてるから、好きに使って良いわよ」
「だ、そうだ。決定だな。早速部屋に行くか」

と言って、レミリアに案内を頼む。
その姿は宛ら兄弟の様だった。

**********

僕等の使うであろう部屋は二階にあった。
異常に広く、キングサイズのベッドを二つ置いても余りあるほどだ。
壁は基本紅く、部屋全体が血に染まった色をしていた(精神的に辛い)。

それにしても。
此処まで出来事がサクサク進んでいるのはどうしてだろう。
それに、たまにノイズが掛かった様に思い出される記憶。あれは何なのだろう。
そんな分からないであろう問題を抱えたまま、幻想郷に来て一日目が終わった。

*****

34名無しさん:2014/11/21(金) 20:40:38 ID:yxNG5y9Q
辺りは焼け野原と化し万をも越える死体があるし場所で黒いロングコートを着た四人の男たちがいた。
「あ〜あ…全滅させちまったなあ…一人一人に痛みを味あわせてやろうと思ったのなあ…」
「ほんとによぉ…すぐ死にやがって…つまらねえ…」
「…」
「どうやらいく場所は決まったようですね。」
「ああ…」
「おっ?次はどこだ?」
「幻想郷だ…」
「ああ…あそこか…たしか前にも行っただろ…あいつに邪魔されて潰すことはできなかったがなぁ」
「ん?どうやらあの方も幻想郷に向かってるようですね。」
「はあ!?おいおい、もう俺達がいく場所を知ったのかよ!?」
「どうやらそのようですね…それに今向かっても三日はかかりますね。」
「はあ…めんどくせえなぁ…ん?…いや待てよ…」
「ヒャハハハハ!!竜餓!!考えてることは同じだな…こっちは暇で面白くもなかったんだ…」
「たしかにそうだなあ…ヒャハハハ!!久しぶりに楽しめそうだなぁ…」
「行くぞ…お前達…」
「はい」「おう…」「ああ…」
そして四人の男達は消えた…

35名無しさん:2014/11/22(土) 08:15:55 ID:HskxjyHM
「やはり来るか…早くいかなければな」
幻想郷
「久しぶりだな…ここ来るのも…」
「お久しぶりですね」
「紫か…久しぶりだな」
「貴方が来たということは…まさか」
「紫、直ぐにここの実力者達を集めてくれ…黒神が今ここに向かっている」
「やはりですか…わかりました」
博麗神社
「紫…何なのよ、これ」
「見ての通りよ」
そこには幻想郷の実力者達が集まっていた
「宴会でもやる気?」
「違うわ、皆よく聞きなさい」
紫がそうゆうと辺りは静まった
「今、幻想郷は強大な力を持つ神に狙われているわ」
辺りざわついた
「静かに、今から龍神様がその神について詳しく話すわ」
「龍神!?」
「出てきてもいいですよ」
「…」
「誰?」
誰もがそういった、出てきたのは龍ではなく人だったのだから
「この方が龍神よ」
「!?」
「あ〜別に普通に喋ってくれても構わないよ?」
「えっ?」
「ん?」
それはそうだろう、イメージしていたものと全然ちがかったのだから
「紫、話をしてもいいか?」
「ええ、いいですよ」
「みんな聞いてくれ、紫がいった通り幻想郷を潰そうという神が今ここにやって来る、これからその神についての会議をする、何でも質問してくれ」

36名無しさん:2014/11/22(土) 18:54:37 ID:JjfPUSDE
竜崎「まずはあいつらの能力だな、これを見てくれ」
竜崎は黒い何かを置いた。
パチュリー「これは…氷?」
竜崎「そうだ」
魔理沙「黒い氷なんて始めてみるぜ」
魔理沙はその氷にさわろうとしとき
竜崎「さわるなっ!!!」
魔理沙「そんなに怒らなくてもいいじゃないか」
竜崎「すまん…だけどこれには絶対にさわるな、この黒い氷は全てを凍らせることが可能なんだ、それが太陽だとしてもだ」
霊夢「とんでもない氷ね」
竜崎「二人目の能力を言うぞ、二人目は雷だ」
早苗「雷ですか?」
竜崎「ああ、だがただの雷じゃない、黒い雷だ」
霊夢「普通の雷とは何が違うの?」
竜崎「そうだな、お前達は雷霆を知っているか?」
神奈子「確かゼウスが使う最強の武器の事かい?」
竜崎「そうだ、あの雷は雷霆にさえも匹敵するほどの力を持つ雷だ、いや下手をすれば雷霆を軽く凌駕するだろう」
パチュリー「とんでもないわね」

37Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/19(木) 21:40:45 ID:jTIDgbmQ
お久しぶりです。テスト終わったんで書いていきます。
少年記を先に完結させます。

*****

「・・・夢じゃ、ないんだよね」

朝起きて、それをまず第一に思い知らされる。
『何だ、夢か』というオチを期待していたのに、現実はコレだよ。

何で幻想郷にいるんだろう、何でこんな所にいるんだろう。

そんな考えしか浮かばない。
とは言っても、実際は『元の世界に帰りたい』という気持ちはあるものの、逆に『もう戻りたくない』という気持ちもある。

「はぁ・・・・・・」

廻君が溜息を吐く。

「どうした?」
「いや、俺達こんな事してて良いのかなって」
「うん。さっき普通に寝てたし。で、どうするんだい」
「取り敢えず、神社行こうか。地下で資料漁ったら、『幻想郷の創造主は博麗の巫女と一人の妖怪』ってあってな」

*****

「はーあ・・・」

12月15日。
彼がいなくなってもう五日だ。流石に何かあったのでは無いのだろうか。
そう言う意味合いでの溜息だ。

そんな事を教室の隅で考える僕、灰場 塵は暇を持て余していた。
簡単に言えば、城島君の書いた小説が読めずに暇しているのだ。
流石に三日位前は『風邪かな?』程度に思っていたが、流石に五日はおかしい。
最近はクラスメイトも不審がる始末だ。

「なー、最近お前城島見なかったか?」
「いや、全く」

そんなやり取りばかり。

*****

流石12月半ばだ。
冷たい風が吹き、それは通行人を襲う。というか、兎に角寒すぎる。
って、どうでも良いか。

「・・・今日も城島君来なかったな」

小さく呟く。
そのまま、僕は自宅に帰った。

*****

博麗神社に来て、霊夢に開口一番、

「あら、やっぱり戻って来たのね」

とか嫌味に近いこと言われた。

「取り敢えず、中に入りなよ」
「お邪魔します」

暫く中で座っていると、霊夢が緑茶を持って来た。
さて、本題だ。

「で、何しに来たの?」
「嗚呼、それがな・・・」

・・・少年説明中・・・

「う〜ん、紫ならそう言う事出来るけど・・・、私じゃ、無理かな」
「嗚呼・・・、そうだよな・・・」
「まあ、帰る方法が見つかるまで幻想郷観光したら良いじゃない」

結局の所、大した収穫は無かった。

*****

「ただいま」

言いながらドアを開けるが、僕以外誰もいない。
家族は全員仕事でいないのだ。

「・・・ご飯食べよ」

呟いて、適当な夜食を作り、食す。
風呂に入ろう何度も思っていたが、思った以上に体が疲れていたらしく、すぐに眠気が襲って来た。
制服を脱いで、軽い部屋着に着替える。

「・・・明日は城島君来るかな」

それだけ言って、目を閉じた。

*****

38Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/19(木) 21:44:30 ID:jTIDgbmQ
*****

体感時間で今は朝だ。
葉の匂いが体の隅々まで行き渡る。
日光が気持ち良く照りつける。
囀る小鳥の鳴き声。

・・・小鳥?

「え?」

恐る恐る目を開けると、そこは見知らぬ森の中。

「ゆ、夢・・・?」

そう思い、試しに自分の頬を抓って見る。
・・・痛い、現実だ。

「だとしたら、此処は一体・・・」

見知らぬ森の中だ、何処に、どっちに歩いて良いのかが全く分からない。
取り敢えず、状況整理しよう。

*****

「ふう・・・、結局、進展なしか・・・」
「だから、そう僻まないって」
「な、なあ・・・、廻君。アレ・・・」
「あ?何だ・・・、よ・・・」

英治が指差す先には一人の少年。
しかも、うつ伏せで、動く気配も無い。

「お、おい・・・。アレ・・・」
「灰場・・・?」

すぐに霊夢が駆けつけ、状況を見る。

「・・・寝てるだけみたいね」
「そうか・・・。良かった・・・」
「で、でも・・・。どうして、塵が・・・」

*****
数時間前。

結局、数時間思考を巡らせたが、心当りなどまるで無い。
結果的に、『夢オチ』が一番可能性が高い、が。

「・・・分からんな。でも、見た事がある気がする・・・」

そう言って、立ち上がり、ある方向に歩き出した。

*****

「おかしいな・・・。こっちな様な気がするんだが・・・」

行けども行けども視界は開けない。
『迷ったかな』と、諦めかけた時。

光が見えた。
その場所を目指して一心不乱に走る。

ガサッ―――――

森を抜けたのは分かったが、此処が何処なのかは分からなかった。
そして、突如意識が沈んでいく感覚。

*****

39Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/19(木) 21:45:02 ID:jTIDgbmQ
*****

「お、起きたか」

灰場が倒れて約一時間。意識を取り戻した様だ。

「あ、あれ・・・。英治君・・・、城島君も・・・」
「あー、お前も不幸だな・・・。あのな・・・」

・・・少年説明中・・・

「そうなると、この幻想郷自体、どんな世界なんだろうかね・・・」
「あと、もう一つ」
「何?」
「お前、過去に来た記憶、あるか?」
「・・・・・・ノイズが奔った様なぼんやりとした記憶、なら」

やっぱり。じゃあ、それが本当だとしたら。

「俺達は一度、この世界に来ている・・・、か・・・」

自分で口に出してもまだ信じ難い。
その確証も無い上に、時間列が違うからだ。
しかし、今それを知る術は無い。

*****

灰場は一応、宿も無い訳で、何処にも行くアテも無い訳なので、紅魔館に三人で帰った。
部屋に戻り、今後の話をする事に。
窓際の方に僕と灰場、向かいに廻君が座ってる。

「えーと、今後どうする?」

廻君の問いに僕は、「とりあえず、情報が少ないよね」と言う。
「情報収集したほうがいいんじゃない?城島君」

灰場が言った時、廻君は窓の外を見ていた。

「城島君?」
「ん?ああ。続けてくれ。情報収集か・・・」
「そうなると、情報屋みたいなのに頼んだ方が・・・」

そう僕が呟いたとき。
廻君の右腕が細い槍になり、僕と灰場の間を通り過ぎ、そのまま窓を破る。
一瞬のことで声がすぐに出せなかった。

「何を・・・?」

灰場がやっとのことで声を絞り出すと、廻君はドスの効いた、低い声で言った。

「チッ・・・。手ごたえ無しか」

そう言って廻君は腕を戻す。―――瞬間、部屋の中に冷たい風が吹く。
風の来る向きは廻君の壊した窓から・・・、じゃない。
これは・・・。

「上ッ!」

廻君の咆哮が天井に届く。

「何ですか・・・。そこの人、強いじゃないですか・・・」

天井にへばりついていた彼女は、素っ頓狂な声で返してきた。

「自己紹介しろ。俺は城島だ。お前は?」 「烏天狗の射命丸 文です」
「で、文。俺等に何か用か?」      「その事なんですけど、取材させてくれませんか?」
「何でだ?」              「新聞に載せるネタが無くて・・・」
「中身は?」              「幻想郷に三人の人間が来たと聞いたので、人間界の話をして貰おうと」
「俺等への利益は?」          「逆に、何が良いですか?」

廻君はこの台詞を待っていたかの様に笑い、

「俺等が人間界に戻れる方法を調べてくれ」 「良いですよ。取引成立です」

そうして、僕等は暫くの間、射命丸に話をする事になった。

・・・少年取材中・・・

40Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/19(木) 21:48:43 ID:jTIDgbmQ
*****

取材が終わる頃にはすっかり夜になっていた。

「はい。有難う御座いました。情報の方は入り次第教えに来ます」
「嗚呼、頼んだ」
「では、私はもう行きます。嗚呼、私がいる所は妖怪の山なので、何かあったら来てください」
「はいはい。早よ行ってくれ」
「では!また今度」

そう言って彼女は窓から飛んでった。

「流石に疲れたわ。先寝るわ」

よほど疲れたのだろう。
廻君はベッドの中に入ると、すぐに寝てしまった。

「僕達も寝ようか」
「そうだね」

*****

朝起きて、自分の腕時計を確認すると、九時ジャストだった。
隣ではまだ灰場が寝ているが、廻君は机に向かっていた。

「廻君、何やってるの?」
「嗚呼、起きたか。何、今迄あった事を日記にしてるだけだ」
「成る程、メモ代わりか」

そんなやり取りをしていたら、灰場が目を擦りながら起きた。

「あれ、二人共起きるの早いね」
「いや、僕はさっき起きたとこ」
「俺は二時間くらい前からノートと睨めっこだ。その結果がこれだ」
「良いんじゃない?」
「そうか。なら良いけど」

*****

「今日はどうするんだい?」
「そうだね・・・」
「射命丸の所行ってみる?」
「・・・・・・一日で方法が見つかる訳無いだろうが・・・、行くか」

そうして僕達はレミリアに道のりを聞いて妖怪の山に足を運んだ。

・・・少年移動中・・・

妖怪の山はそう遠くない所にあった。

『此処か・・・』と廻君が呟いたとき。
『あっ、廻さん!』とアイツの声が聞こえた。

「・・・ハァ」
「・・・どうしました?」
「いや、何でもない」

この場合、廻君は疲れていて、精神的な意味で病んでいるときだ。
が、それを僕はあえて言わない。

「それで、どうしましたか?」
「いや、なんかもう面倒臭いな・・・。帰る」
「そうですか」

*****

41Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/19(木) 21:50:54 ID:jTIDgbmQ
*****

結局、射命丸と別れて今は妖怪の山を散策しているところだ。
今いる場所は川の岸にいる。

『・・・綺麗な場所だね』と、暫く川を眺めていた。
川の中に何かいるのが分かった。

「・・・何かいるね」
「嗚呼、油断するな」

その何かが岸に上がってくる。
それは、人だった。
大きなリュックを背負った女の子。

「・・・あんた達、誰?」

開口一番、毒舌だった。
こう言う人にさえ親切に話す城島君(毒舌だけど)はある意味凄い。

・・・少年説明中・・・

「と、言うわけだ」
「成る程ね。私、河城 にとり。幻想郷の、いわば『何でも屋』よ。私にでも工房に来なよ。何か物資が必要でしょ」
「あ、じゃあ遠慮なく」

・・・少年移動中・・・

にとりの工房は簡素な木造建築の建物だった。

「お邪魔します」

最初に入ったのは廻君。次に僕、灰場と言う順に入っていく。
中には色々な物があった。
廻君が最初に言った台詞。

「おいおい、ヴァイオリンとかあるじゃん・・・」
「廻君ヴァイオリン弾けるの?」
「弾けないこたぁ無い」
「そう。じゃ、それあげるわ」
「え?マジで?」
「どうせ私弾けないし」
「じゃあ、ありがたく・・・」
「更に言うと、それ伝説の名器だから」
「・・・・・・嘘だろ?」

廻君の顔が一気に青くなる。

「どうしたの廻君?」
「お前・・・知らねぇのか?伝説の名器、『ストラディヴァリウス』って・・・。時価数億円は下らねえぞ・・・。本物だ。ちゃんと紋章刻まれてる・・・」
「ええッ!?」
「本当に・・・。良いのか?」

にとりは、その声に満面の笑みで答えてくれた。
そこから紅魔館に帰って寝るまで、廻君の顔色は真っ青だった。

*****

42Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/19(木) 21:51:24 ID:jTIDgbmQ
*****

翌日、博麗神社に行くと、霊夢が神妙な面持ちで霊夢が暫く待っていて、と言ったので、暇だから三人で組手をしていた。
二十分程して、霊夢が戻って来る。
その顔は、何処か辛そうな表情をしていた。

「・・・貴方達、実戦が今から起きるわよ」
「・・・どういう事だ?」
「八雲 紫って言う妖怪の賢者が貴方達と戦いたいらしいわよ」
「・・・何で妖怪の賢者が?」
「それを今から説明するわ。まずは話を整理しましょう」

中に入り、胡坐をかく。
何故か霊夢と廻君だけ正座だ。

「まずは城島と江藤!」
「は、はい」
「貴方達はまず事故に遭いかけて、気が付いたらこの幻想郷にいた。と言ったわね」
「お、おう」
「それは紫って妖怪が二人を此処に連れてきたんだと思う」
「ちょ、ちょっと待てよ。その紫って奴、何の妖怪だよ?」
「境界を操れる能力を持つスキマ妖怪。この能力は応用すれば瞬間移動も可能。この能力で二人を移動させたんだと思う。
でも、これだけじゃ確信は無い。けど、灰場のキッカケを聞けば一目瞭然よ」

名を指された灰場は、自分に起きた出来事を思い返す。

「確か、灰場はいつもの通り自分のベッドで寝て・・・、あっ、そうか」
「そう。灰場は二人みたいに事故に遭ってないのに幻想郷に来ている。人間界からこの幻想郷に来れる方法は、『幻想郷に関係のある者』。で、もう一つは『運良く紫に見つけられる』の二つよ」
「『紫に見つけられる』?」
「正確には『人間界で自分の存在が忘れ去られる』ね」
「・・・・・・僕ってクラスから存在忘れ去られてたの・・・?」
「まあ、紫が貴方達を連れてきたのは確かだから。でも、その本人が直接戦いたいって・・・」
「成る程な。じゃ、その紫って奴は何処にいるんだ?」

と、廻君が立とうとした時。

「此処にいるわよ」

と、背後から声がした。
ふと後ろを向くと、何も無い空間から境目が出来、そこから一人の女性が出ていた。

「流石に何があっても驚かなくなったな。話を聞く限り、お前の所為で俺等は幻想郷に来てしまった、と俺は思ってるんだが、それで良いか?」
「否定はしないわ」
「そうか。じゃあ、どうして此処に?」
「思ったより貴方達が力をつけてるから、試しに戦いたくなっただけよ」
「黒幕が直々に戦いってか。三流の脚本家の考えだぜ」
「有り触れたエンドで良いでしょ?」
「生憎、俺は三流小説家じゃないからな。こんな物語の結末はどうかと思うぜ」
「じゃあ、こんなのはどうかしら。『私に勝てたら、人間界に返してあげる』と言ったら?」

少しだけ廻君の顔に怒気が含まれる。

「もし、負けたら?」 「幻想郷永住ね」

これは滅多にないチャンスだ。
もしこれを逃したら、一生人間界に戻れないかもしれない。
でも、負けても戻れなくなるかもしれない。

勝てば天国、負ければ地獄。
いや、勝てば人間界、負ければ幻想郷、か。
こんなもの、一択しかないじゃないか。

「灰場、江藤」

廻君が言う。声の質がいつもと違う。
けど。

「全力で叩き潰そうか」

いつも通りの顔付きだった。それに僕達は、

「やってやるか」

と言ってやった。

「良い台詞ね。じゃあ、早速やりましょうか」

*****

43Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/19(木) 21:57:18 ID:jTIDgbmQ
*****

「誰から行くか?」
「あら、そんな細かい事言わず、三人で来なさいな」

その台詞で僕達をその気にさせる。

「後悔しても知らんぞ」
「殺す気で掛かって来なさい」

紫の台詞を皮切りに、廻君が音を奏でる。
これは―――。

「『音符 ストラディヴァリウス』ッ!」

最初からスペル発動。本気だ。
しかし、紫は持っていた傘を前に突き出し、ガードする。

「灰場、光速で接近、江藤、水槍で援護」

言うが早いか、廻君と灰場は音速と光速で突進。
灰場は光の槍で。廻君は右腕を大鎌に。同時に斬りつけ、交錯する。
間髪入れず、僕が水を数十本の槍にして飛ばす。

「多少は強くなったかしら?」

そう呟いたかと思った瞬間、紫は自分の目の前に境界を作る。
僕の放った槍はそれに吸い込まれるように入っていき、そして、その境界は閉じた。
それと同じものを廻君の背後に作り出し、そこから僕の作った槍が出てくる。
それが、廻君の背中を貫通するように突き刺さる。
刹那、紫がクスリと嗤う。
僕は叫ぶ。何を叫んだかは覚えていない。
廻君が血を吐く。が、次にとった行動は意外なものだった。

「灰場、江藤の方に戻れ!江藤、二刀流で近接攻撃、灰場は光でフラッシュ!」

言われるがままに、僕は水の剣を構え、突進する。
灰場はすぐにスペルカードを出し、「光符『ライトエフェクト』ッ!」と叫ぶ。
背後から光が来る。
目暗まし程度にはなるだろう。
だが、上半身を狙うとまた傘で防がれる―――、ので、足元を狙い、思い切り横に薙ぐ。
完全に足を狙ったのに、手応えが無い。
見上げるとそこに紫の姿は無かった。
一体何処に?

「伏せろ!」

廻君の声が後ろで聞こえる。
振り向くと、立ち上がった廻君が腕をアサルトライフルに変え、こっちを向いていた。
急いで地面に伏せる。
真上を弾丸が通り過ぎる。

「江藤、その場から距離を取れッ!灰場、続けてスペル!」

咄嗟にその場を離れた数瞬後。
今僕がいた場所が看板や標識で串刺しになった。
あと数秒遅れていたら。と思うと背筋が凍る。

「油断するな!」

その声が響いた瞬間。
灰場の胸の辺りから何かが生えているのが見えた。
それは、ただそこに映え、生えていた。
よく見ると、それは見た事のある物だった。
それは、

「紫の・・・、傘」

そう、紫が灰場の後ろに周り、傘を突き刺したのだ。

「灰場ァ!」

廻君が叫ぶが、もう遅い。
灰場の背後にいる紫が告げる。

「―――――まず一人」
「・・・・・・二人共、頑張れ」

灰場は断末魔の代わりに、其の言葉を告げて、前方に倒れこんだ。

*****

目の前で起きた出来事が、未だに理解出来ない。

灰場は。
死んだ。
僕の目の前で。

言いようの無い不安と動揺。そして、絶望感に煽られる。

「・・・ぁぁぁぁあああああああッ!」

次の瞬間、天地が裂けるほどの大声を廻君があげる。
そして。
一瞬で間合いを詰め、殺意の籠った掌で、紫の首を絞めようとする。
だが、空ぶり、体制を崩しそうになるが、腕を振り子の様にして体制を整え、再度首を絞めようとする。
廻君は紫を本当に殺そうとしているが、僕は、ただその場から動けずにいた。

*****  以上、<<37-<<42です。

44Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/24(火) 21:38:12 ID:jTIDgbmQ
少し久しぶりに、です。
テストは68位でした。 以下、東方少年記です。

*****

俺は、ただ目の前の妖怪を殺そうとしていた。
友人を、殺した人間を。いや、妖怪を。
だが、俺の攻撃を一つも当らない。
全て最小限の動きで避けられている。
まだ、攻撃の速度が遅い。

もっと、速く、速く、速くッ!

ピッ・・・。

俺の右腕が紫の頬を掠める。
まだだ。
すぐさま右腕の横から槍を生成。

「甘いわ」

俺の右腕を砕き、懐からカードを取り出す。

「廃線『ぶらり廃駅下車の旅』」

スペルカード。
それを唱え終わると同時に空中にスキマが出現する。
一つじゃない。
十、二十、ざっと見、三十はある。

刹那、そのスキマから廃電車が現れ、俺を轢き殺すほどの勢いで突っ込んでくる。
全てがスローに見えた。

宙に舞う俺の腕の破片。
俺に突っ込んでくる廃電車。
変に嗤う紫の顔。
遠くで俺の方に手を伸ばしている英治。
―――そして、時間が動き出す。
自分の体に走る衝撃、体から溢れだす血液。
俺が立っていた場所に、三十の廃電車が突っ込む。

自分の体から血を飛び散らせ、体を軋ませながら、俺は吹っ飛び、数メートル後ろに墜落した。

*****

「廻君!」

先ほどの思考を全て振り払い、僕は廻君を呼ぶ。
―――が、遅過ぎた。

廻君は体の節々から血を出し、そして、無常にも地面に叩き付けられる。
廻君の周りは赤く、紅く、朱く染まっている。
廻君の体から血が出ていく。

傷口を抑えるが、止まる気配は無い。
このままだと、出血多量で・・・。

考えていても意味がない。
今は自分の出来る事をやれ。
後には引けない。
前にしか進めない一方通行。
僕は構えた。

「覚悟は良いかしら?」

*****

45Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/24(火) 21:39:43 ID:jTIDgbmQ
*****

どれほどの時間が過ぎたのか。
僕達の決着はまだついていなかった。

「ハァ・・・、ハァ・・・」

僕は肩で息をするが、紫の方は疲れるどころか汗ひとつ搔いていない。

「あら?もう終わり?」

嘲笑されるが気にしない。
寧ろ、気にする余裕が無い。
紫を見据え、再度水で生成した槍を投擲する。
持っている傘を横に薙ぎ、全てを叩き落とす。

「無駄だと言うことが分からないの?」

そうだ、結局僕のやっている動きは全て紫に当たっていない。
だったら、廻君が使った技ならどうだろう。

「・・・廻君。君の技借りるよ」

そう呟くと、右の方から何かが飛んできた。
キャッチして、その正体を確かめる。

「コレ・・・」

いつも廻君が使っている音楽プレーヤーだった。
廻君は、木に凭れる様にしていた。
多分、安全な場所に無理矢理移動したのだろう。
倒れていた場所からその木の幹にかけてべっとりと血がついていた。

「あら?まだ生きていたの?」

僕は一度音楽プレーヤーを強く握り、天に掲げる。
頭の中で、廻君の使った技を思い出す。

「―――呪音。『屍の大合唱』」

文章にしていないが、組手の時と同じ曲を、同じテンポで。
但し、今回は殺意を込めて。

「ッ!?」

紫も流石に驚いた様だった。
何故なら、これは廻君しか使えない技だったからだ。
でも―――――――――。

能力を扱え、使い方が分かり―――、今、何をすべきかが分かる。

「結界『魅力的な四重結界』!」

直後、紫の周りに桃源の色をした結界が現れる。
僕の発動したスペルが防がれる。
でも、これを狙っていた。

「水牢『アクアインペル』」

その呪譜を唱えた瞬間、足元から水で出来た大規模な牢が出現し、紫を取り囲む。
一瞬、呆気にとられていたが、すぐに意識を回復させ、この状況を打開しようとしたが―――、遅い。

「戦略勝ちって奴だ」

僕は自分の声とは思えない位無機質な声で告げた。

「・・・誰が負けたって?」

紫がそう言った瞬間、スキマが現れる。
―――――畜生、アレを忘れていた僕は馬鹿だ!

「『戦略勝ち』って貴方は言ったけど、『戦略的撤退』と言う言葉もあるわよ」

それだけ言って、スキマに入って行こうとする。

一瞬の事で僕は思考が追い付かず、ただそれを見ているしかなかった。
その時だった。

バスン、と何かが破裂するような、乾いた音が辺りに響く。
後ろを見ると、廻君が腕をスナイパーライフルに変え、紫の心臓を狙撃していた。
スキマに入って行く瞬間、ほんの少しの間を縫って廻君の打った弾は紫の左胸に命中していた。

「・・・・・・痛み分け、って・・・・・・、奴だ・・・」

それだけ言って、廻君は気絶した。
紫は心臓に当たったのに、気にしない様子でスキマの中に消えて行った。
辺りに静寂が訪れる。

「相打ち、かぁ・・・」

そんな台詞を吐いて、僕も倒れた。

*****

46Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/24(火) 21:43:34 ID:jTIDgbmQ
*****

「うわぁぁぁぁああッ!」

目が覚めると同時に僕は叫んだ。
頭の中を掻き乱された気分だ。
意識が朦朧として、気持ちが悪い。

「夢、か・・・・・・?」と呟く。
あんなモノ、夢でありたい。
あんな異世界に城島君と英治君がいるとは思えない。
きっと杞憂で、考えすぎで、心配性なだけだ。

「・・・・・・取り敢えず顔洗って来よう・・・」

誰に言うのでも無く、ただ自分に言い聞かせる様に呟く。
そんな事よりも、一刻も早くその考えを忘れたかった。

*****

何回か冷水で顔を洗ったら、意識が完全に回復した。
やっと落ち着いた。
それにしても・・・。

「・・・あれ、本当に夢か?」

『幻想郷にいた』と言う真偽を僕は知りたかった。
だが、いきなり答えを知る事はあまりにも情報不足なので、一から思い出す事にした。
第一、今日は土曜日だ。家族もいないし、ゆっくり考えられるだろう。

「えーっと、まずはいつも通りベッドで寝たら、あの世界の森にいた・・・」

まず、これは確かだ。
ただ、そこに至る経緯が分からない。

「で、その森を歩いて行ったら神社に出た」

確か、その神社は『博麗神社』とか言う名前だった。

「で、そこに英治君と城島君がいた・・・」

実際、此処までしか分からない。
過去の記憶の様なモノもあるが、全く思いだせないので期待は出来ない。
自分の記憶力の無さに泣きたくなる。
でも、何か一つ大事な事を忘れている気がする。
何か・・・。何か手掛かりに成る様な・・・。

「あぁ!」変な声を出しながら思い出した。
「スペルカード!『光を操る程度の能力』!」

幻想郷で得た、特有の物。
確か、城島君の書いたストーリーで、異世界で手に入れた物が現実世界でも存在してた。
だったら。

幻想郷でやった様に、光を集める動作をする。
弧を描く様に左手を振る。
何も起こらない。

「ま・・・まぁ、そりゃそうだよね・・・。スペルカードの方は・・・」

スペルカードはまず存在しないと意味が無い。
幻想郷ではポケットに入れてたはずだ。
と、今自分の履いているズボンの中身を漁る。
すると。

「あった、スペルカード!」

これは存在した。
あるはずの無い物が現実にあった。
これはつまり―――――。
これで確信を持った。
そして、ある程度理解した。

「・・・・・・二人を現実世界に帰さないと・・・」

そう思った瞬間、玄関のチャイムが鳴った。

「誰だよ、こんな時に・・・」

一言愚痴って僕は玄関のドアを開けた。
やる気を感じさせない風の台詞を吐きながら、僕は玄関のドアを開けた。

「やほ。灰場君」

聞覚えのある声が返ってきた。
いや、『聞覚えがある』じゃない。いつも学校で聞いてるじゃないか。
僕は目を何回か擦って再度目の前の人物を確認する。
やっぱりか・・・。

「何の用?玲奈さん」
「ちょっと相談?と言うか何て言うかですね・・・」

とか、僕と気軽に話している彼女は新美 玲奈。
城島君含むメンバー内ではイラストレーターを受け持っている。
あまり僕の家に来ないのに・・・。今日に限って何かおかしい。
その真意を探る為に、取り敢えずは家の中に招く事にした。

*****

47Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/24(火) 22:08:53 ID:jTIDgbmQ
*****

「はぁ。やっぱ何とも思わなくなりますね。何回も来てると」
「それは嫌味なのか、独り言なのか?」
「独り言?」
「あー。そう・・・」

そうは言ってるけど、実際、本当に何の感動も無いな・・・。
とか思ってたら、若干睨まれた――――――、気がする。
話を変えるべく、僕は出任せの台詞を言う。

「そ、それよりさ、本題に入ろうよ」
「そうですね。じゃ、最初から話して行きます」
「なるべく簡単に」
「えーと、まず最近江藤君と城島君に連絡が取れないの知ってます?」
「そ・・・、それは多分、風邪か何かじゃないの?」
「風邪でも連絡は取り合うでしょう? LINEでメールを大量に送ってるんだけど、全く返信が無いのよ」
「そ、それは・・・」

心当りがあった。多分、今は僕しか知らない事。
即ち、『幻想郷』。この事を話せば二人を探してくれるだろうか。
だが、玲奈さんはオカルトや幽霊の類は信じない人だ。
多分、『頭がおかしい人』と思われる。

「大丈夫ですか?汗搔いてますけど」
「ん・・・。嗚呼、大丈夫。続けて」
「そうですか。じゃ続けますね。最近私、不思議な事がありまして」
「不思議な事?」
「はい。この前、鉄柱に貫かれそうになって、死ぬと思ったら見知らぬ山にいたんですよ」
「え?」
「不思議でしょ?でも、その世界には零士さんがいて、天狗がいて、スペルカードとか言うのがありまして・・・」
「ちょっと待った!」

気が付くと僕は大声を出していた。
玲奈さんは少し驚いた顔をしたが、すぐにいつもの表情に戻った。

「な・・・、何ですか」
「それってさ・・・、『幻想郷』って言う世界じゃ・・・?」

玲奈さんの顔が徐々に歪んでいく。
ただ、その顔は絶望した顔じゃない。
希望を見つけた顔だ。
数十秒の沈黙が辺りを包むが、玲奈さんが声を紡ぐ。

「もしかして、貴方も見ました?」
「・・・証拠はある」

言ってポケットからスペルカードを取り出す。
玲奈さんは『有り得ない』と言った表情で僕の持っているスペルカードを凝視する。

「・・・・・・信じられないが、幻想郷は存在する」
「・・・一回そう言うのは置いておきましょう。えっとですね、私は零さんと合流して情報を集めました」
「情報?」
「『元の世界に戻す方法』を」

これも聞覚えがあった。確か・・・。

「・・・さっき、『天狗』って言ったよね?その天狗の名前って・・・」

僕は恐る恐る口を開く。
この謎めいた現象を一つに纏めるために。

「射命丸 文?」

もう分かった。
僕も玲奈さんも。
そして、確信した。
幻想郷には、城島君と英治君だけじゃない。
零士君もいた。

*****

48Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/24(火) 22:13:35 ID:jTIDgbmQ
*****

気が付くと、そこは和風の建物の中だった。不意に周りを見ると、隣に廻君がいる。
自分の体を見ると、包帯が巻かれていた。廻君は僕よりも多く包帯を巻かれている。

「・・・クソッ!」

そう言って、僕は部屋の床を思いっきり叩く。
―――憎い。
あんな強い奴を相手に、灰場と廻君は本気で戦ったのに、僕だけ小心的だった。
僕も積極的に戦えば、灰場は死ぬずに済んだのかも知れない。
兎に角、自分が憎かった。だが、今更悔やんでも仕方が無い。
そう思いながら隣で寝ている廻君を起こそうとした時。

「あー!駄目よ、まだ起きちゃ!」

一人の女性が入ってきた。
見た所医者だ。僕達を治療してくれた人だろうか。
そう考えていると、その人の後ろからもう一人見た事がある人が出て来た。

「大丈夫ですか!?二人共!」

射命丸だった。
・・・なんか泣いた様な痕が目元にあるが、気の所為と言う事にしよう。
取り敢えず、入って来た医者(?)に包帯を巻かれ直されながら、僕は射命丸に『あの後どうなったか』を聞いた。

「えーと、結構前に城島さんと取引したの覚えてます?」
「え?ああ、僕達が人間界に戻る方法の情報集めの・・・」
「はい。一つ情報が入ったから紅魔館に行ったら『博麗神社に行ってる』と言われて、それで博麗神社にダッシュで行ったら貴方達が血塗れで倒れていて、二人共傷が深かったんで、急いで此処に運んだ。って言う事です」
「じゃあ、此処は・・・」
「所謂、幻想郷の病院。通称『永遠亭』です」
「で、私は此処の医者。八意 永琳よ」
「・・・射命丸。一つ聞くけど、僕達の他に一人、いなかった?」完全に永琳さんをスルーする発言だ。
「え?いえ、いなかったですけど・・・」

・・・・・・おかしい。灰場は死んだとは言え、灰場の死体位はあるはずだ。
なのに、僕達が倒れていた場所には『いなかった』と言う。
何故、灰場の死体が無い?

「どうしました?江藤さん」
「・・・廻君」

僕は、一人では絶対に分からないと悟り、無意識の内に隣で寝ている廻君を起こそうとする。
それを、僕達を治療してくれた医者―――――、永琳さんに静止させられる。

「駄目よ、まだ起こしちゃ。そっちの子、君より傷が酷かったもの」

その声で僕は我に返る。

―――これ位自分で考えろ。一々人に頼るな。
そう自分に言い聞かせ、一度思考をリセットする。

「なぁ、射命丸。今から言う事を絶対に納得しろよ?」
「ええ。何でも言って下さい」
「・・・まず、僕達は『僕達が幻想郷に来た』事の元凶、紫と戦ったんだ。勝利したら人間界に帰す。と言う条件下で」
でも、紫と戦ったのは僕と廻君の二人じゃない。現実世界の友人・・・、灰場も一緒に戦ったんだ」
「ならおかしいわね。三人で立ち向かって、三人で負けたなら今この場に三人いないといけないのに」
「でも、私が城島さん達を見つけた時は何処にもその人いませんでしたよ?」
「そう、そこがおかしいんだ・・・」

この僕の台詞で廻君を除く全員が黙る。
と、その時。

「・・・・・・あっちに帰ったか?」

と、廻君が言った。いつの間に起きていたのだろうか。

*****

あの後、廻君が無理矢理起きようとしたのを静止しようと永琳さんが持って来た弓矢で撃墜。
うわぁ、脳天に突き刺さってる・・・。グロイ・・・。

「見た目より痛くないし、脳への損傷も無いから。それに彼、君より酷いからね、生きてる方が凄いわ」

笑顔が恐い。

「と、取り敢えず続けます。えっと、灰場がこの世界にいないと言う事は・・・」
「・・・あっちの世界に飛ばされた、って事ですか?」
「そう言える根拠はあるの?」
「一つだけ。前、灰場と組手したんだ。その時、僕の攻撃がヒットした時の手応えが異常に薄かったんだ」
「・・・つまり、どういう事ですか」

ちょっと待ってくれ、射命丸。
僕自身もちょっと混乱してるんんだ。

「えっと、つまり、灰場はこの世界に『魂だけ来ていた』って言いたいんだ」
「え・・・?おかしくありませんか、それ」

射命丸よ、何の恨みがあって僕に突っかかる。空気読んで静かにしてくれ。

「仮にそうだとしても魂だけ幻想郷に入る何て有り得るんですか?紫さんの力でもそんな事は出来ないと思いますが・・・」
「・・・そこなんだよね、問題は」
「―――――『人間界の常識は幻想郷の非常識』。紅魔館地下ヴワル魔法図書館より」

え、いつから起きてた、廻君。矢が痛々しい。

「まず治療してくれないか。痛い」

*****

49Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/24(火) 22:15:30 ID:jTIDgbmQ
*****

「話を戻すぜ。英治。お前と同じ考えだ。だからこそ、多分、続きも同じ考えだ。言え」
「うん、推測になるけど、灰場が消えたのは、魂だけだったから。『死』に相当する傷を受けたから、幻想郷から消えた」
「つまり、半身は人間界にあるから、消えた魂は『在るべき場所』に戻ったって事だ」

話を聞いている二人はよく分からない、と言った風で、頭に疑問符を浮かべていた。
とか言ってる僕達も半ば分からなくなってるんだけど。
そこで口を開いたのは廻君だ。

「要するに、灰場は半身だけ人間界にあったからこそ、人間界に戻れたが、俺達はそんな風では無い。
今、此処にある肉体、魂、意識。全てが此処にある。つまり―――――」

「此処で死んだらそこで終わりだ」

*****

廻君自身もその言葉を言いたくは無かったのだろう。
苦渋に満ちた表情で床を見ている。

「・・・取り敢えず、そういう事なら、傷を負ったらすぐ此処に来なさい。治療してあげるから」

そう言ってくれる永琳さん。
こんな時に頼りに出来る者がいる、という事はとても嬉しかった。

「・・・有難う御座います。で、射命丸。お前のその『情報』は何だ?」
「嗚呼、そうでしたね。ええと・・・」

射命丸は、自分のメモ帳を取り出し、辛い顔をしながら言った。

「人間界と幻想郷を自由に行き来出来るのは、現状―――――」

「八雲 紫ただ一人、です」

*****

英治は放心状態に成り掛けだけど、まあ、予想はしていた。
第一、紅魔館に地下で読んだ本には、『幻想郷は博麗の巫女と、境界を操る賢者が創った世界』とあったからな。

つまり、幻想郷が出来たのは数百年前。
霊夢はそんな年に見えない(あんな姿で『百歳だよー』とか、シャレにならん)ので、先代の博麗の巫女がやったのだろう。少なくとも、霊夢では無い。
そして、紫。
『境界を操る賢者』。これは十中八九、紫の事だろう。妖怪は長生きらしいしな。

で、俺は此処まで想定していた。
結局は、紫を討伐しないとって事だ。

「で、放心状態、目死んでるぞ?」
「・・・あぁ・・・、終わった・・・。もう、元の世界に戻れない・・・」
「・・・馬鹿だね、お前。もっかい見つけてKillすりゃ良いだけじゃん?」

その台詞に『う〜ん・・・』とか呻いたのは気の所為だと思う。

「じゃ、お世話に成りました」

そう言って、紅魔館に帰ろうとした時。

「嗚呼、気を付けてね。あと、コレたまに飲みなさい。黒髪少年」

と、俺に薬を渡してくれた。
多分、治癒薬だろう。
俺達は、もう一度礼を言って紅魔館に帰った。

*****

50Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/24(火) 22:17:21 ID:jTIDgbmQ
*****

人間界に戻ってから約半日。絶賛玲奈さんと資料収集中。
探してみれば、出るわ出るわ、『ある日本の一角に立ち寄った者は戻って来なかった』だの、『日本の神隠しが多い場所』だの、『山奥は危険』だの資料がわんさか出て来た。
ただ、その情報量が異常過ぎる。

「で、どうする?」

一しきり情報をメモして机に突っ伏してる僕に、玲奈さんはアイスを渡して来た。

「う〜ん、まず、城島君の事だから、あっちでも英治と行動してると思うんだよね」
「それは私も知ってます」
「うん。で、勿論だけど、あっちからこっちに戻る方法を探してるよね。ハッキリ言って、一つだけ考えた方法がある」

一呼吸置いて、口を開く。

「こっちから、幻想郷への入り口―――――、博麗神社、または紫の境界を探す事だ。
でも、後者はほぼ不可能。だから、今こうして博麗神社が人間界の何処に存在しているのかを探しているって訳」
「つまり、博麗神社を見つければ、ほぼこっちの物って事ですか?」
「そう言う事。で、此処を見て」

僕は、集めた資料のマップを開き、玲奈さんに見せる。

「僕達の居る所は此処、マップに或る博麗神社は此処」

僕は、誰にでも分かる言い方で言う。
言った数秒後、玲奈さんが驚いた表情に成る。

「え・・・?」

その、博麗神社のある場所は、隣の市に在った。
すぐに用意して、隣市に行く事に成った。

*****

博麗神社の位置を玲奈さんと確認した後、チャリで隣町のある山へ移動。
探索する事一時間。
視界の先に朱い鳥居が見えた。

「おい、アレ」
「え?・・・・・・あ・・・」

もう少し近づいて、その鳥居を確認する。
視線をその奥に向けると、

「博麗神社だね」 「博麗神社ですね」

声がハモり、二人とも同時に吹き出す。
暫く時間を置いて、気を落ち着かせる。

「・・・で?どうします?この後」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・まさか、何も考えてません?」
「・・・・・・・・・(コクリ)」

苦笑いしながら灰場が頷く。
玲奈さんは笑顔で固まる。
数秒の沈黙。

「・・・取り敢えず、境内に入りません?幻想郷に入れるかもしれませんし」

で、博麗神社の鳥居を潜れば幻想郷に―――――。
居る訳無かった。
だが、境内は少し周りと違った空気が漂っていた。

「・・・幻想郷の博麗神社とは違うね。少しボロい」
「そうですね。あっちの方がまだ新しいです」

結果。
こっちの世界の博麗神社は、形こそ同じだったが、誰もいない。
いや、幻想郷に通じていない。
これでは、ハズレ以外の何物でも無い。

「・・・仕方無い、周りを探索しよう」
「賛成です。何かあるかもしれないですし」

そこから約二時間。
僕はある小屋を見つけた。
それは、木造で、まだ真新しかった。
夜の帳が降りて来ている所為で、辺りは暗く、何も見えない。
隣にいる玲奈さんが持っていた懐中電灯でその小屋を照らす。
僕は、自分のiPhoneのライトを付け、その小屋の中に入って行った。
玲奈さんも僕の後に続く。

小屋の中は、神社に比べればまだ真新しかったが、それでも相当物が散乱していた。
凹んだやかん、錆びたトロフィー、割れた三面鏡、足の折れたテーブル、禍々しい数の札。
だが、そこには手掛かりがあるはずだと僕は踏んでいた。

何故なら、寝室らしき部屋に、まだ暖かい布団が敷いて在ったからだ。

「これ・・・」「嗚呼、多分な・・・」

一つの推測が僕達の頭に浮かんだが、それはまだ確証が少なく、断定は出来ない。
僕達はさらにその小屋の中へと足を踏み入れた。

*****

51Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/24(火) 22:19:15 ID:jTIDgbmQ
*****

朝に寝て、夜に活動する。
それが紅魔館に住まう吸血鬼の日課だ。
紅魔館の主がそんなだと、周りの者達もそれに合わせるらしく、まだ一部の妖精メイドしか起きていなかった。
窓から指す陽の光が気持ち良い。
窓を開けると、爽やかな風が部屋中を満たす。
一匹の小鳥が中に入って来た。
僕が指を伸ばすと、その小鳥は僕の指に止まった。

「こんな状況でも小鳥は僕の元に来るって・・・」
「おーおー、お前動物に好かれるタイプなのか」
「うん。子供の時からそうだった。それよりさ、今日は行くアテあるの?」
「嗚呼、聞いた話、紫の旧友が向日葵畑にいるらしい。その向日葵畑は永遠亭からちょっと歩けばすぐだってさ」

・・・少年準備中・・・

「・・・誰もいないね」

そこの向日葵畑(?)には、見渡す限り、向日葵、向日葵、向日葵。
僕と廻君以外、誰もいない。
と、思ったいた矢先。

「私の畑に入らないで頂戴」

背後から、声が聞こえた。
振り返ると、黄緑の髪をした女性が日傘の先を此方に向けて立っていた。

「ッ・・・スペル!」
「英治止めろ!」

僕が反射的にスペルを使おうとするのを、廻君が静止する。
僕はカードを持った右手を下げる。

「・・・風見 幽香さんですよね?」

その一言で、その女性――――――、幽香と呼ばれた者の口角が少し上がる。

「私の名前・・・、誰から聞いた?」
「博麗神社の、博麗 霊夢からです。聞きたい事があり、此処へ来ました」

幽香はその言葉を聞くと、納得した様に日傘を下げた。
そして―――、

「よく来たねぇ。君達はアレ?紫に連れられて来た人間かい?」

いきなり笑顔になり、馴れ馴れしくなる。
流石に廻君も若干引いてる。

「まあ・・・、そんな所です。えっと、八雲 紫について何かあれば、教えて欲しいのですが・・・」
「へえ・・・。何となく状況は察するよ。どうせ、『私に勝てたら返してあげる』とか言われたんでしょう?」

流石旧友。物分りが良い。
此処は廻君の出番っぽいから、僕達は黙っていよう。

*****

52Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/26(木) 17:43:49 ID:jTIDgbmQ
うん、オリキャラスレの本はもう話書けますが、こっちがまだなので
早めに終わらせます。
因みに、Wordではもうすでにこの本は完結しています。

*****

「まあ、取り敢えずこっちおいでよ」

手招きされて幽香に付いて行った先には、幻想郷が見渡せる高台だった。
幽香は植物の葉で作った椅子に俺を座らせ、自分も座る。
どうやって作ったんだろうか。
そんな俺の考えを読み取った様に幽香は笑う。

「ああ、私は『花を操る程度の能力』を持ってるのよ。この位は朝飯前よ―――。で、紫の事だっけ?」
「はい。状況説明した方が良いですよね?」
「なるべく細かくお願い」

・・・少年説明中・・・

「・・・・・・はあ、紫は何馬鹿な事やってるんだか・・・」

その気持ちは分かる。
けど、それに巻き込まれた俺達の精神はもっとヤバイ。
流石に此処で良い収穫無いと辛いかな。

「・・・そんな訳なんですが、何か知っている事などは・・・」
「知っている事ねぇ・・・。と言うか、あの人の弱点なんて無いのよね・・・」

その台詞=情報無し。
駄目だったか・・・。

「何なら、何人かで総攻撃すれば良いのよ」

それ三人の総攻撃で無駄だと知った。
てか、アイツ遠距離攻撃するとスキマで返してくるし、近距離攻撃だと躱してばっかで当たんねーし、スペルも結界で防がれるし、あっちのスペルとか物理演算を無視した角度と威力で来るし、スキマ内に逃げられたら勝てねーしで、もう無理。

「あら、そんな事も無いわよ?」
「え?」
「スキマの中に爆弾でも放り込めば良いのよ」
「貴方、それでもあの人の友人ですか・・・?」
「いやいや、紫はこの位しないと懲りないのよ」

・・・取り敢えず、参考にしよう。
う〜ん、俺の錬金術で水素爆弾でも作るか・・・。
あとは、アイツの結界だ。
何か、結界を破る方法は・・・。

「白玉楼の半人半霊なら斬れるかもよ?いや、貴方の腕であれ程の強さ、強度を誇る刀なら結界なんか一発だと思うけど?」
「・・・嘘を言うのは止めて下さい」
「本当よ?あと、貴方の知りたい事は教えたわよ。後は頑張んなさい。それでも勝てなかったら、私が指導の下、修行させてあげるわよ?」

目がマジでヤバイ。
この人ある意味ヤバイ。

そう思った瞬間、幽香は立ち上がる。
何事かと身構えたが、何も起きない。

「えっと・・・?」
「・・・紫の事は恨まないであげて下さいね。何か意図があってやったんだと思うし、意味無くやったんなら私に殺される、って分かっているはずだから」

そう言った顔は、少し悲しげだった。

*****

53Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/26(木) 17:45:09 ID:jTIDgbmQ
*****

今、俺と幽香さんは英治とフランのいる向日葵畑に戻っている。
その時、俺が聞いた事。
それは、紫にはどの様な攻撃が通じるか、だ。

前戦った時は、遠距離攻撃はスキマに入り、返された。
遠距離が効かない=近距離で攻めないといけない。になるが、アイツは反射神経、動体視力、スピード、パワーの全てが異常に高い為、ほぼ攻撃が当たらなかったのだが。

この話で俺と幽香さんで出た方法は、以下の通り。

1、俺の音の力で全方位攻撃。
2、二人で近距離攻撃。
3、近距離スペルを連発。

「ほら。もう見えて来たわよ」

その声で俺は顔を上げると、もう向日葵畑が見えて来た。
広場の様に空いたスペースに、英治が座って花畑をぼんやり見ているのが見えた。
俺がそれを見ていると、英治が此方に気付き、立ち上がった。
その目には、何かを決心した様な炎を宿していた。

「・・・幽香さん。俺等、明日紫と再戦します」

もう、これで最後にしようと決めた。
俺等が倒れるか、紫が倒れるか。
その二通りの運命しか無い。

「・・・少年」

幽香さんは声のトーンを下げて呟くように言う。

「絶対、勝ちなさい」

*****

廻君が幽香さんと話した後、合流して開口一番、

「明日、紫と再戦するぞ」

とか言われた。
完全にフラグが立ちました、今迄本当に有難う御座いました。

「・・・それで負けたら?」
「死ぬ時は一緒だ」
「いやだぁぁぁぁぁぁああああああああああああッッ!」
「おいおい、俺も嫌だぜ?」

その後口喧嘩する事一時間。
負けました。

「・・・で、つまりは全力でぶつかる、と」
「当たり。明日夜決戦な。準備しろよ」

拒否権は無い様だ。
僕は溜息を一つ吐き、割れてしまった水の瓶の欠片を何となく集める。

明日は決戦。

*****

目覚めは最悪だった。
昨日、廻君に『明日の夜、決戦だ』とか言われたから、眠れる訳が無かった。
一度眠りに落ちて、暫くすると起きて、また寝て・・・、の繰り返しで全く眠れなかった。
それでも廻君は寝てる。一体どんな神経してるんだか・・・。
それはまあ置いておいて、夜にやる、と言っていたが、朝昼はどうするのだろう。
とか思っている内に時計の針は九時を示している。

「廻君、九時だよ。夜に決戦なんだろ?朝昼どうするんだ?」
「じゃ、まず白玉楼でも行くか」
「?」
「幽香さんが昨日、白玉楼って所の主人に話つけていてくれているから、会いに行った方が良い、ってさ」

*****

54Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/26(木) 17:47:46 ID:jTIDgbmQ
*****

レミリアに冥界への入り口を聞いて、結界をブチ破る。
目の前に出て来た石階段を上ると、そこにあったのは和風屋敷。多分此処が白玉楼だろう。
その門を開けると、すぐに白銀の髪の少女が出迎えてくれた。

「話は聞いています。城島さん。私、魂魄 妖夢と言います」
「おおう、そう言われるとビビる。ま、まあ良いや。宜しく、妖―――――」

『宜しくお願いします、妖夢師匠様―――』
『そんなに改まらないで下さい、城島君―――』

突如頭に過る過去の記憶。それと共に、地面に倒れてしまう。

「ッ―――――」
「か、廻君!?」
「あ、嗚呼・・・。大丈夫だ。続けてくれ。で、何だ、妖夢」
「・・・・・・私からのお願いです。私の二刀。楼観剣と白楼剣を持って行って下さい」
「・・・どうして、お前は初対面でそんな事を言えるんだ?」
「・・・・・・違いますよ」

「―――――数年前、私に剣を教えて貰いに来た人は、貴方でしょう?」

その言葉に、俺は息を飲む。
やっぱり。やっぱり―――。
俺達は、一度、この世界に―――。

「紫様と戦うのでしょう。師匠として、弟子に勝ってほしいだけですよ」
「・・・・・・はは・・・」

一つ笑って、俺は全部思い出す。
十年前の幻想郷を。
幻想郷の住民の大半が俺達に親切にしてくれた理由も、あの記憶も思い出した。
そして、妖夢―――、師匠に一言。

「十年越しに、御迷惑を御掛けしました―――――。幽々子さんに、宜しく、と御伝え下さい」

*****

55Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/26(木) 17:48:41 ID:jTIDgbmQ
*****

白玉楼から出て直行で霧雨店へ行ってみる。もう一つ、心当たりがあったからだ。

「お〜!どうしたんだ二人共!いきなり来て!」
「いやぁ・・・。魔理沙の淹れるコーヒーが急に飲みたくなってさ」
「そうかそうか!じゃあそこで待っててくれよ。淹れてくるからさ。・・・ん?どうしたんだ、廻。背中の刀・・・」
「・・・なんでもねえよ。借り物だ」

魔理沙の顔には、少し翳りが射していた。

*****

「ホレ、淹れて来たぞ!ほら、廻も飲め!」
「有難う」

一口飲んで皆が笑顔になる。
程良い苦みと香り。色も綺麗な茶色。
やっぱりコーヒーは此処のが一番だね。
そう思っていた時。

「・・・・・・・・・紫と再戦って、本当なのか・・・?」

思わずコーヒーを吹き出しそうになったが、我慢する、が、食道を通らず器官に入って行き思いっ切り咽る。
隣の廻君は思いっ切り吐き掛けてる。

「おまッ・・・、どうして・・・・・・、その事・・・」
「あの時、幽香とお前が話してるのを盗み聞きしてた」

いや、そもそも何でお前幽香さんの向日葵畑いたんだよ!
そんな疑問を言いたくなるが、バレてしまったモノは仕方無い。
素直に話そう。

「あのなあ・・・」

・・・少年説明中・・・

「で、さっき白玉楼行ったら師匠が刀貸してくれたんだ」
「そうか・・・。記憶が・・・。じゃあ、英治、ちょと待てよ」

魔理沙は僕に渡したい物があるみたいで、戸棚を漁っている。
数分後、取り出した物を僕に手渡す。

一枚のカードと共に。

渡された物は、黒く、八角形の物体で、真ん中に陰陽師によくある模様が付いていた。
これは、何度か見た事がある。魔理沙の得意とする魔法の根本的な道具。

「・・・・・・八卦路・・・」
「そう。勿論、恋符『マスタースパーク』だ。ダブルとファイナルも渡して置こうか?」
「でも、僕には使いこなせるかどうか・・・」
「『相手の技をコピーする程度の能力』。お前にはあるだろう?」
「で、でも・・・」

そう言った僕に魔理沙は、ニッと笑い、

「―――――私からの気持ちだ。義弟、絶対勝てよ」

と言う。
『私からの気持ちだ。絶対、扱えるさ』
頭痛と共に、その言葉を思い出す。

「・・・十年前も、似た様な事を聞いたなぁ・・・・・・」

呟いて。

「―――――有難う。義姉さん」

コーヒーを飲んだ後、礼を言って僕達は霧雨店を出た。

「・・・ねえ、廻君」
「・・・何だ?」
「最後に、博麗神社に行こう」
「・・・嗚呼、そうだな」

全てを思い出せた今だから言える。
霊夢には、返しきれない恩がある―――――。

*****

56Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/26(木) 17:51:17 ID:jTIDgbmQ
*****

博麗神社には、霊夢と何故か射命丸が縁側で座っていた。
もうこの時点で嫌な予感しかしない。

「あのさ・・・。まさかと思うけど・・・」

と僕が言った傍から霊夢が此方に来て、
―――――パチンッ
廻君の顔にビンタを喰らわせる。廻君の顔に戸惑いの表情が浮かぶ。
霊夢は俯きながら震えている。

「お、おい・・・、霊夢?」

廻君が声を掛けるが、霊夢は何も言わない。
下に水滴が落ちているのが見えた。

僕と廻君が戸惑っていると、今までお茶を啜っていた射命丸が口を開く。

「取り敢えず、立ち話もアレでしょう。城島さん、江藤さん、中へ」

*****

57Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/26(木) 17:51:51 ID:jTIDgbmQ
*****

いつもなら、『此処お前の家じゃねえだろ!?』とか廻君なら言いそうなのに、何も言わない。
何も言わずに縁側に腰掛ける。
霊夢もそれに続き、廻君の隣に座る。
僕は射命丸の隣の端に座った。
縁側に座り、霊夢の言い分を聞こうと思ったが、どうやら泣いている様で話にならない。
どうしようかと困っていたら、射命丸が代弁する事になった。

霊夢は何回も紫と修行してきたらしく、紫の力を霊夢はよく知っている様で、『今度は殺される』と思って、僕達の事が心配になったらしい。
心配してくれるのは分かる。それこそ、十年前の親しみもあるから。
どうしたら良いか分からずに、迷ってる僕を余所に口を開いたのは廻君。

「取り敢えず、精神論も偽善論も感情論も言わない。一言だ。泣くぐらいなら、」

廻君は霊夢の顔に手を持って行き、

「―――笑えや」

笑った表情を作らせる。
廻君の作る霊夢の表情の思わず僕も射命丸も笑ってしまう。

「笑えっつーの。お前はそっちの方が良いと思う」

そう言って廻君は霊夢の顔で遊ぶ。
それが面白くって、僕も射命丸も爆笑。
肝心な霊夢はと言うと。

「・・・・・・」

泣き止んだ様だが、何も言わない。
と、次の瞬間。

「離せや廻ィッ!!」

と言う台詞と共に一発の鉄拳。
それは廻君に命中。数メートル吹っ飛ばされる。
その廻君を殴った時の顔は確かに笑っていた。

「・・・何だよ」

廻君は殴られた場所を擦りながら起き上がり、一言。

「良い顔出来んじゃねーか」

そう言われた霊夢の顔は、一瞬で真っ赤に染まった。
そして、神社に逃げる様に戻って行った。
縁側には、僕と廻君、そして射命丸。
暫し静寂が続く。
次に口を開いたのは射命丸だった。

「凄いですね。城島さん。一瞬で笑わせるなんて」
「それは褒めてんのか?」
「いいえ、馬鹿にしてます」
「だろうと思った」

その台詞でまた三人は笑う。
その笑い声が無くなった所で霊夢が戻って来た。

「―――ねえ、廻」

名を呼ばれ少し挙動不審になる。
だが、平静を装い答える。

「何だよ?」

語尾が震えてたけど・・・。

「絶対、此処に戻って来なさいよ」
「・・・勿論だろうに」
「で、英治!」

何故このタイミングで僕の名が呼ばれる。
完全に何か言われるな、これ。

「―――――コレ」

そう言って渡されたモノは一枚のカード。
裏返しても埃が被っていて何て書いてあるのか分からない。

「・・・これは?」
「私のラストワード、『夢想天生』。使いなさい」

・・・・・・どうしてマスパ然り夢想天生然りスペカを渡されるんだ。しかもラストワード。

「―――――負けて戻って来たら、私の弾幕の的当てになって貰うわよ」

うわお、負けれなくなったぞ、意地でも勝たんと。
そんでもってニコニコニコニコ笑顔を絶やさない霊夢が異常に怖い。
さっき泣いていたのは何だったのか。

「それはそうと、もう夕方よ。もうそろそろでしょう?」
「あ、本当だ。じゃあ、一回紅魔館帰るわ。俺ヴァイオリンと言う武器が無い」

そんなやり取りをして、一度紅魔館に帰った。
射命丸はすぐに妖怪の山に戻って行った。
彼女曰く、『明日の新聞では貴方達が主役ですね』だそうだ。

*****

58Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/26(木) 18:21:58 ID:jTIDgbmQ
*****

いつもなら、『此処お前の家じゃねえだろ!?』とか廻君なら言いそうなのに、何も言わない。
何も言わずに縁側に腰掛ける。
霊夢もそれに続き、廻君の隣に座る。

僕は射命丸の隣の端に座った。
縁側に座り、霊夢の言い分を聞こうと思ったが、どうやら泣いている様で話にならない。
どうしようかと困っていたら、射命丸が代弁する事になった。

霊夢は何回も紫と修行してきたらしく、紫の力を霊夢はよく知っている様で、『今度は殺される』と思って、僕達の事が心配になったらしい。
心配してくれるのは分かる。それこそ、十年前の親しみもあるから。
どうしたら良いか分からずに、迷ってる僕を余所に口を開いたのは廻君。

「取り敢えず、精神論も偽善論も感情論も言わない。一言だ。泣くぐらいなら、」

廻君は霊夢の顔に手を持って行き、

「―――笑えや」

笑った表情を作らせる。
廻君の作る霊夢の表情の思わず僕も射命丸も笑ってしまう。

「笑えっつーの。お前はそっちの方が良いと思う」

そう言って廻君は霊夢の顔で遊ぶ。
それが面白くって、僕も射命丸も爆笑。
肝心な霊夢はと言うと。

「・・・・・・」

泣き止んだ様だが、何も言わない。
と、次の瞬間。

「離せや廻ィッ!!」

と言う台詞と共に一発の鉄拳。
それは廻君に命中。数メートル吹っ飛ばされる。
その廻君を殴った時の顔は確かに笑っていた。

「・・・何だよ」と、廻君は殴られた場所を擦りながら起き上がり、一言。
「良い顔出来んじゃねーか」

そう言われた霊夢の顔は、一瞬で真っ赤に染まった。
そして、神社に逃げる様に戻って行った。
縁側には、僕と廻君、そして射命丸。
暫し静寂が続く。
次に口を開いたのは射命丸だった。

「凄いですね。城島さん。一瞬で笑わせるなんて」
「それは褒めてんのか?」
「いいえ、馬鹿にしてます」
「だろうと思った」

その台詞でまた三人は笑う。
その笑い声が無くなった所で霊夢が戻って来た。

「―――ねえ、廻」

名を呼ばれ少し挙動不審になる。
だが、平静を装い答える。

「何だよ?」

語尾が震えてたけど・・・。

「絶対、此処に戻って来なさいよ」
「・・・勿論だろうに」
「で、英治!」

何故このタイミングで僕の名が呼ばれる。
完全に何か言われるな、これ。

「―――――コレ」

そう言って渡されたモノは一枚のカード。
裏返しても埃が被っていて何て書いてあるのか分からない。

「・・・これは?」
「私のラストワード、『夢想天生』。使いなさい」

・・・・・・どうしてマスパ然り夢想天生然りスペカを渡されるんだ。

「―――――負けて戻って来たら、私の弾幕の的当てになって貰うわよ」

うわお、負けれなくなったぞ、意地でも勝たんと。
そんでもってニコニコニコニコ笑顔を絶やさない霊夢が異常に怖い。
さっき泣いていたのは何だったのか。

「それはそうと、もう夕方よ。もうそろそろでしょう?」
「あ、本当だ。じゃあ、一回紅魔館帰るわ。俺ヴァイオリンと言う武器が無い」

そんなやり取りをして、一度紅魔館に帰った。
射命丸はすぐに妖怪の山に戻って行った。
彼女曰く、『明日の新聞では貴方達が主役ですね』だそうだ。

*****

59Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/26(木) 18:22:28 ID:jTIDgbmQ
*****

紅魔館に戻って来たのは、俺の武器のヴァイオリンを取りに来ただけなので、ぶっちゃけ一人で来ても変わらなかった。
玄関で英治に待つ様に言って、俺は部屋に行く。
ドアを開け、机に駆け寄る。机の上には木で作られたケース。
蓋を開けて中身を確認し、部屋を出て行こうとした時。

「・・・ん?」

ふと、ベッドの上に置いてある物に気が付いた。
近付いてみると、それは一本の槍と一本の剣だった。
これには見覚えがある。
レミリアのグングニルとフランのレーヴァテイン。
それらを持ち上げると、その下に書置きがあった。

『責任位は取るわよ レミリア
お兄ちゃん達とも遊びたいな フラン』

「・・・畜生」

俺はその紙を握り締めて呟く。

「負けられねぇじゃねーかよ・・・」

その後、グングニルとレーヴァテインを楼観剣と白楼剣と同じ様に背中に掛け、玄関に戻ると、英治が驚いていた。

背中の重さは気に成らなかった。

*****

60Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/26(木) 18:26:10 ID:jTIDgbmQ
*****

紫と前戦った場所は、博麗神社から少し離れた空き地だ。
今もあの時の痕が生々しく残っている。
正直、戦いたくない、と言うのが他でもない、本心なのだが。

「・・・てかさ、廻君」
「何だよ?」
「どうやって呼ぶの?」
「う〜ん、今更それを聞くかね」
「いやあ・・・。聞くタイミングが無くってさ」
「あのなあ・・・。まあ良いや。今からやってやる」

そう言って俺は錬成陣を書いた紙を広げる。
書いてあるものは、いつも使う物よりも複雑な錬成陣。
今からする事は、錬金術での禁忌。
『空間を捻じ曲げる』という事だ。
しかし、人体錬成に匹敵するほどでは無いので、まだ気楽に出来るが・・・。

「ちょっと、戦える準備しとけよな」
「いつでもOKだよ」

その言葉が終わった瞬間、錬成陣を発動させる。
稲妻が走り、火花が散る。
そして、紙の上の空間が、紫のスキマと同じ様に開く。
両脇が赤いリボンで止められ、中には夥しい数の目。目。目。
その中心部で立っている女性。紫だ。
そして俺は紫目掛けて腕の銃を放つ。

「あら、凄いわね」

気付いた時には背後に周られていた。

「まさか私以外に空間を開ける者がいるなんてね・・・。それで帰れるんじゃない?」
「生憎、試したんだがな。お前のスキマとは違う結界に阻まれたん―――――だよッ!」

『一瞬でも止まったら死ぬ』
そう考えながら攻撃する。が、それも避けられる。

「あら、それは残念。で?また私と戦いたいの?」
「人間界に帰る目的の他に幾つかお前に聞く事が出来たんだよな―――――。『爆』!」

今紫が立っている位置には爆弾を設置していた。
威力も強くしたのだが・・・。やはり、これも当たらない。

「へえ。その聞く事って?」

尚も躱しながら会話は続く。

「さあな。まずはお前を倒さんとなんだよな・・・。あとそこ」

俺は予め教えていた場所にエナがいる事を確認し、指で合図する。

「レーザー危険区域だぜ?」 
「恋符『マスタースパーク』!」

だが、それすらも傘で防がれる。
傘の間から見える顔には、凄惨な笑みが見える。

「へぇ。前よりは強いかしらね―――――。良いわ。相手してあげる。勝てる自信はあるの?」
「『勝てる』じゃねえ―――――」

右手に楼観剣、左手に白楼剣を携え、腕の横に刀を二本ずつ、計六刀。

「『勝つ』んだよ」

*****

61Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/26(木) 18:30:35 ID:jTIDgbmQ
*****

「歯車『ギアチェンジ壱』!」 「禁忌『籠の中の鳥』!」

最速のスピードで接近する英治。
六刀で突っ込み、音で紫の周りに大気の壁を作り、閉じ込める。

「その顔。良いわねえ。そういう顔を見ると―――――」

紫は、その笑みを消さず、まだ笑っている。
構えもせず、ただ立ち尽くしている。手には一枚のカード。

「無償に潰したくなるわ。『魅力的な四重結界』」

突如、紫の周りに四重結界が出る。
それに弾かれ、俺も英治も後方へ飛ばされる。

「さあ、殺す気で掛かって来なさい。殺されたくなければね」

そう言った声は、殺意しか感じなかった。
俺は六刀から二本追加で八刀流にして、叫ぶ。

「最初からそのつもりだ!ボケ!!」
「その感情、壊したいわぁ」
「やれるもんならやってみろ!スペル!!」

「身剣『刀狩令』!」 「水切『ウォーターカッター』!」

戦う前に打ち合わせた事が二つある。
一つは、『スペルはなるべく近距離用のモノで』。
もう一つは『双方に自分の弾が被弾しても気にせず続けろ』。
但し、二つ目に関しては致命傷を双方に負わせてしまった場合、一人で戦わなければならない。無論、片方が紫に倒されてしまった場合もだ。
だが、俺等の理想とする勝利は勿論、『どちらも死なずに勝つ』という事。

「少しは学習した様ね。でも―――――」

二人共相当な速さで斬りに掛かったのに、それでも避けられる。捌かれる。

「遅いわねぇ」
「いや―――――」

しかし、その行動も想定済み。
俺は紫の服に刀を突き立て、逃げられない様にする。
勿論、ダメージを与えるのが目的じゃない。

「狙い通りだ」
「水檻『ウォーターインぺル』―――。作戦通りかな?」
「なッ・・・・・・」

俺諸共水の檻に閉じ込める。しかし、これ自体が狙いでも無い。

「まだ終わって無いよ―――――。スペル」

俺は紫を捕まえたままスペルを使う―――。「死音」

幾ら反射神経が高くても、幾ら動体視力が異常でも、幾らスキマ内が無敵だと言えても。
至近距離での防御不能の攻撃は効くだろう?

「『デスミュージカル』!!」

しかし。
スペルの名を叫び、発動されるまでのコンマ一秒間。
その一秒で俺が紫に刺していた刀を圧し折り、スキマで逃げる。

「んのヤロオ!」

腕の激痛と共に叫び、怒りを露わにする。
紫は檻の外に出て、俺を嘲笑う様に嗤う。

「良い戦法だったわよ?スペルのタイミングも良かった。でも、一つ問題があった」

俺は紫が無駄話をしている間に圧し折られた腕を再生成して直す。
―――良し。何時でも追撃出来る。

「私の能力を甘く見ているわね」

そして、目の前が開ける。
狙うは頸動脈。勿論当たるとは思っていない。
紫は右へ避ける、が。

「お前こそ、俺の能力嘗めんじゃねえよ」

俺から見て左。丁度右腕は紫の頭の横。
俺は右腕の内側に長い槍を生成。それは紫の頭を貫く様になっている。が、それさえも読まれている。
咄嗟にしゃがみ、下から俺を眺める。

「いえいえ、舐めてなんかありませんわ。美味しくなさそうですので」
「字が違えんだよこの野郎ッ!」

楼観剣を鞘に戻し、代わりに取り出す物はレーヴァテイン。
宙返りする要領で後方に跳び、俺と間合いを取る。
だが、そこさえも俺達の射程距離。

「恋心『ダブルスパーク』ッ!」 「音符『ストラディヴァリウス』!」

二方向から弾幕が来るが、それでも紫は余裕そうな顔をする。
いや、それどころか、何処か楽しそうな―――――。

*****

62Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/02/26(木) 18:41:56 ID:jTIDgbmQ
*****

「スペル」

一言。
それだけで俺等の弾幕は少し軌道がズレ、命中と言わなくとも掠る程度にしかならなくなってしまった。
尤も、それさえも避けれたのだが。

「『人間と妖怪の境界』」

そのスペルは俺だけの方へ向かって来る。

「飽くまでも俺狙いか!」

しかし、見た所弾幕でも結界でも無い。
何かと言われたら、『煙』という表現が近いだろう。それが俺の足元に充満する。

「嗚呼、逃げなくても大丈夫よ―――」

紫は俺に言う。
俺はもう次の攻撃の準備をしていた。
深く、深く、脚に力を溜めて。

「だってそれは、種族を変えるスペルですもの」

そして、跳ぶ。
紫目掛けて、一直線に。
煙はさっきまで俺が立っていた場所にまだ溜まっている。

「あら、嘘じゃなくってよ」

紫は攻撃を避けながら俺の脚を指差す。

「貴方、さっき跳んだ時に、『いつもと違う』。そう感じたんじゃなくって?」

確かに、いつもより、倍の強さで地を蹴った感じだった。

「・・・それが、どうした?」
「楽しくなって来たわね。って事で、貴方にチャンスをあげるわ」

チャンス?そんな物、妖怪になるとかそんな所だろう。
他に何があるんだか。

「貴方を半分吸血鬼にしてあげるわ」

だからどうした。
俺はまた至近距離に詰め寄り、睨みながら言う。

「嗚呼、そうかい。これで俺等が勝ってもお前の所為になるぞ?」
「あら、私は『半分吸血鬼』と言ったのよ。完全じゃない。ただの不完全よ。
ただ、さっきの煙は貴方の脚から体内に侵入して少しずつ吸血鬼になっていってるわよ」
「ほう。だからどうした?何をしても俺等がお前を倒すと事実は変わらないが?」
「だから、それを楽しみたいのよ。もっと強くなった貴方達と戦いたいの。だから、よ」

尚も近距離での攻撃は続く。
畜生。無償に血が飲んでみたくなってきた。
本当に吸血鬼になってんのか?
その思考を消す為にスペルを使おうとしたが、射程外に逃げられる。
が、英治がすかさずスペル。

「魔砲『ファイナルスパーク』ッ!」

そうだ。今はそんな事より戦いの方だ。
集中。集中しろ。

「三武『音と武器と錬金術と』!」

*****

吸血鬼にさせるのは無理矢理過ぎた・・・。
反省します。
何かアドバイスなどあればコメント下さい。
明日か、また後で続きを出します。

63Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/05(木) 19:35:23 ID:jTIDgbmQ
こんにちはです。
書いていきます。(コピペしていきます)

*****

ライトの明かりのみを頼りに奥へ進んで行くと、ゴミの散らかってる真ん中に布団が敷いてある部屋があった。
僕は布団の中に手を入れる。
―――まだ、温かい。

「ついさっきまで誰かいたんですかね」
「嗚呼、こんな場所だ。幻想郷に関与してるだろうな」

そう言って、僕は立ち上がり、元来た廊下を戻ろうとする。
結局、何も手掛かりが無かった。
そう思って帰ろうとした時。

「―――――あの三人が心配なんですか?塵さん。玲奈さん」

背後から声がした。
玲奈さんでも無い、よく通る声。
振り返ると、さっきまでそこには誰もいなかった部屋に一人。
着物を着て九の尾がある。
帽子をしてるが、狐の様な耳が付いている。

「九尾の狐・・・?」
「当たりです。種族は、ね」

そう言った声に敵意は感じなかった。

「ほら、橙も隠れてないで出ておいで」

橙と呼び、その女性の背後から二本の尾を生やした少女が顔を覗かせた。

「申し遅れました。八雲 紫の式、八雲 藍です。此方は橙」
「・・・どうしてそんな人がこんな所にいるんですか」
「そうですね・・・。簡単に言えば、今紫様は戦っています」

漠然としすぎてよく分からん。

「ちょ・・・。もう少し詳しく」
「分かりました。えっと、まず塵さん。貴方、英治さんと廻さんと共に戦い、そして紫様に殺されたでしょう」

聞こえ悪過ぎて怖い。まあ、殺されたのは事実だからなんとも言えないけど。

「その後、貴方がいない世界で二人は力をつけ、再戦しようとして今に至ります」
「今はどうなってるんだ?」
「現状、五分五分ですね。廻さんが紫様のスペルで吸血鬼に成り掛けています」

どんなスペルを使ったらそうなるんだよ。
てか吸血鬼って相当ヤバイだろそれ。
ん?ちょっと待てよ?

「三人って事は・・・?」
「嗚呼、零士さんです。尤も、あの二人と共には戦ってませんが」
「アイツ・・・、何やってるんだ・・・」

零士は何処まで行っても零士だな。良い意味で。

「で、何が言いたいんです?」
「もうすぐ、双方が戻って来るでしょう。戻って来る場所は此処です。待っててあげた方が宜しいのでは?」
「・・・どうして、敵である貴方が僕達にそこまでしてくれるんですか?」
「私の意思ではありません」

それは意外な答えだった。
藍の意思では無い?
そうなると、もう一人しかいなかった。

「ただ、命令に従っただけですよ。では、私は戻ります。―――――あ、一つ、言い忘れてました。ヒントです。
『能力は消えていません。ただ、使えないと錯覚しているだけです』」

またもや漠然と答えられた事にどう返して良いか分からない。

「ちょ、な、何のヒントですか!?」

スキマに戻って行く藍に聞ける事はそれだけだった。

「幻想郷への戻り方ですよ」

そう言って笑った顔は、普通に良い顔だった。

「取り敢えず・・・、どうします?藍さんの言った通り此処で待つか・・・、信じられませんが・・・」
「・・・いや、待とう。紫ならこんな事をするだろう。いや、紫だからこんな事をするんだろうな」

幸い、此処には布団もあり、生活用品も幾つかある。
野宿になりそうだが、別に良い。玲奈さんも承諾してくれた。
僕はスペルカードを何となく翳してみる。勿論、変化なんて無かった。

*****

64Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/05(木) 19:37:51 ID:jTIDgbmQ
*****

「ガアアアアアアアッ!!」

大咆哮。
その声には、音の能力が乗っている。
つまりそれは、全方位攻撃。大気も、地も、紫も、英治も、全てを揺さ振る。
しかし、この攻撃には俺の意思は無い。

即ち、『暴走』。
紫の先程のスペルで俺が半吸血鬼になっている事はこの行動で分かる。
おまけに、さっきから脳の片隅で『血を飲みたい』と思っている。
畜生、理性を無くしたらヤベエな。
最早、当たらないと分かっている攻撃を出すのは無駄だと知りつつも攻撃する。
やはり当たらない。
仕方ない、最後のスペルを使おう。

「・・・それが、貴方の最後のスペル?」
「これで勝てなかったらもうアイツに賭けるさ・・・―――」

精神的にも、これが最後だった。
俺は、朦朧とする意識の中、その名を呼んだ。

「ラストワード―――――、終狂詞―――――、」

その一言は、周りの空気を凍りつかせる。

「『デスワールド』」

冷ややかな声が辺りに響く。
そして、唱えた瞬間。

「なッ・・・」

一瞬。
それこそ、紫が瞬きした一瞬で数十メートルの距離を詰め、最高速で刻む斬舞。
右手に楼観剣、左手に白楼剣。
それぞれを逆手に持ち、上に斬る様に薙ぐ。
しかし、それは虚しく空を斬る事になった。
だが、その双の剣を上に薙ぐ要領で空中へ投げる。

その一瞬の油断が命取りになる。
腰に指したグングニルを構え、放つ。
流石にこれには反応が遅れた様だったが、
『ハッ!』ギリギリで避ける。が、片口を斬ってしまう。
相当太い脈を斬ってしまった様で、溢れ出る血液の量は尋常じゃない。

しかし、これで終わりではない。
落下してくる楼観剣、白楼剣をキャッチし、再度追撃。

「クッ・・・」

慌てて自分の正面に結界を張るが、意味が無い。
俺は楼観剣と白楼剣を宙に置くように手放し、紫の背後に周る。
そして、最後のレーヴァテインで斬り付ける―――――。

「この人間風情が・・・、舐めないで欲しいわね・・・」

事は出来なかった。
紫は楼観剣を持ち、俺の心臓に突き立てたからだ。

「大人気ねぇよ・・・」

そして俺は口から血を吐いて、倒れた。
意識が無くなる瞬間に見た物は、紫のスキマの中だった。

*****

65Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/05(木) 19:40:37 ID:jTIDgbmQ
*****

「え・・・」

目の前で起こった事が理解出来なかった。
明らかに廻君が押していたのに、一瞬で形勢逆転してしまった。
後に残されたのは、妖夢の楼観剣と白楼剣、そしてスカーレット姉妹のグングニルとレーヴァテイン。
廻君の遺体は何故か紫が自分のスキマに入れた。

「さあ、後は貴方ね」

そういう紫は致命傷を負っている。
なのに―――、なのに。
・・・いや、そんな事は考えるな。
勝て。二人の為にも。

廻君の体術は使えないし、射命丸の速さも無い。妖夢の剣の腕も無いし、フランや魔理沙の弾幕も出来ない。
でも、僕には、『相手の技をコピーする程度の能力』がある。

「スペル」

僕の取り出したカードは三枚。
つまり、三つの混合スペルだ。

「『ファイナルスパーク』。『そして誰もいなくなるか』。『完全なる墨染の桜 -開花-』―――ッ!」

その全ての弾幕を避けられる。
しかし、これの目的は攻撃じゃない。

「―――よし、取れたッ!」

彼の持っていた武器の回収。
そして、全てを回収し、僕は言う。

「―――――ラスト、ワード・・・」
「へえ―――――」

そう言った紫の顔は楽しそうだった。
これで、全てが決まる。
それだけ思いながら、想いながら宣言する。

「二人の為にも、勝つ」    「やってみなさい―――、出来るならね」

そして、僕は最後のスペルを唱えた。

「―――――『夢想天生』」

その一言は、自分の意思を奮い立たせるには十分だった。そして、紫の方も驚いている。

『夢想天生』。
それは、聞いた話では現状、博麗 霊夢一人しか使えないスペル。
万が一使えたとしても、それは諸刃の剣。使った後に能力全般が一定時間使えなくなるが、弱点あってこその強さ。
『夢想天生』は言うなれば先ほどの廻君の終狂詞『デスワールド』の強化版。
違うのは一つ。

『デスワールド』行使中は他のスペルを使えないが、『夢想天生』行使中は他スペルをも同時に使える。
しかし、先程述べたように『夢想天生』は諸刃の剣。
つまり、これが最後になる。

「面白いわね。博麗最大の技を使うなんて」
「君も十分楽しめるハズだ。最後まで殺し合おうぜ」

そして、カードを胸の前に落とし、両手でパン、と、叩く。
その瞬間、地面から水、何も無い宙から歯車が出る。
双方は、刀とギアの様な形状で僕の手に納まる。

「さあ―――――。早く終わらせよう」
「粋がってるんじゃないわよ―――――。この人間風情が」

*****

66Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/05(木) 19:43:34 ID:jTIDgbmQ
*****

体を揺すられる感覚、声を掛けられる感覚、床に横になっている感覚。
それらの感覚のお蔭で、俺はまだ生きている。そう実感出来た。
不意に自分の胸の、丁度心臓のある所を触る。
―――――貫かれていない。否、穴さえも空いていない。

「・・・生きてる」

口から漏れた言葉はそれだ。
まず、此処は何処だ、という思考よりもまず生死を知りたかった。
そして次の疑問。

「此処、何処だよ・・・」  「人間界ですが何か」

その疑問に答える様に灰場が俺の視界に出て来てビビるが、体が動かない。
此処に来て漸く俺は紫に殺されて、幻想郷ではスキマに容れられて、意識は人間界に戻って来た、という所まで理解した。

「・・・取り敢えず、ただいま」

灰場にその言葉を言う。

「私もいますよ」

体が動かなくて分からなかったが、近くに玲奈もいた。
その顔は、半ば呆れ、半ば心配していた表情だった。

「・・・あっちで起きた事を話した方が良いよな、コレ」
「成るべく細かくお願い」
「の前にさ、起こしてくれないか。体が動かねえんだ」

その後は、灰場に起こして貰い、幻想郷であった事を話す事になった。

**********

短くて長い時間が過ぎる。
消耗しているのは紫。
対して僕は全くと言って良いほど動いていない。

「化け、物・・・?貴方・・・」

僕はクスリ、と笑いながら言う。

「君も同じ様な物じゃないの?」

そして、続け様に言う。

「スペル三連」

『夢想天生』は、言わば肉体強化のスペルだ。僕の『ギアチェンジ』に似ている。その分、使いやすかった。

「『断零翔』。『時の能力』。『運命の能力』」

時と運命の能力は使わなくても当たるのだが、保険で使う。
唱えたスペルは全て命中する。
それでも、まだ倒れない。

埒が明かない。これではどちらが悪党なのか分からなくなってくる。
仕方が無い。

「最後のスペルだ。これで、最後にしよう」

静寂。それに割り込む様に吹く風。
そして。

「破壊神『ジェノサイドジヴァ』」

そして、現れる弾幕。これは、スペルカードを連続で十枚使うスペルだ。
一枚目。『そして誰もいなくなるか』
勿論、避けられる。

しかし、これで終わりでは無い。

二枚目。『正直者の死』
これは初見では避けられないハズだ。
でも、それさえも躱す。

三枚目。『夜霧の幻影殺人鬼』
その弾幕に、紫は被弾した。そこで中断する。

*****

67Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/05(木) 19:46:57 ID:jTIDgbmQ
*****

その場に倒れこみ、起きる気配が無い。
『勝った』と、素直に喜べないのは何故だろう。
紫を見下ろしたまま、僕は考る―――、その瞬間、水の鎧が消える。
『夢想天生』の効果が切れたのか。しかし、今はどうでも良い。

「僕の勝ち、かな・・・」

それだけ言う。
紫はゆっくり立ち上がりながらスキマを作る。
多分、あの中に帰れば人間界に帰れるだろう。でも、その前に聞く事がある。

「どうしたの?帰らないの?」
「・・・『聞く事が出来た』って廻君が言っただろう?」
「・・・そうだったわね。良いわ。何でも聞きなさい」

一呼吸置いて、ゆっくりと口を開き、はっきりと言う。

「どうして十年前、僕達を幻想郷に連れて来たんですか」

それへの答えは早かった。

「貴方達は忘れてるでしょうけど―――、貴方達全員、人間界から逃げたかった、と強く願ったからよ。
因みに、帰りは私のスキマ経由でね。さあ、早く帰りなさい」

そう言ってスキマを指差す紫。
普通なら此処は嬉しがる所なのだろう。しかし、僕には何かよく分からない気持ちがあった。
それの所為で僕は歩を進めれずにいた。
と、思っていた時。

背後からよく知っている声がした。

*****

「つまり、城島君と英治君で紫に・・・?」
「そう。で、負けました。俺は」
「じゃあ、今戦っているのは英治君の方・・・」
「言ってしまえば、こっちから出来る事なんて無いな」

その台詞で、その場は静寂に落ちる。
外はもう見た限り夜なので、外も静か。
耳が痛い程の静寂。

「取り敢えず、藍さんの言った事考えません?」

そう言ったの玲奈。
藍さんの言った台詞・・・?

「嗚呼、そっか、城島君は分からないよね」

・・・少女説明中・・・

「成る程・・・。いや、でもそれも頷ける・・・。スペルの消えてないのも、俺の事も・・・」
「ちょちょ、何言ってるか分からないよ」
「・・・まず、スペルカードの消えていない理由=能力は健在している。此処までは良いな?
で、こっちの話になるが、俺、紫のスペルで半吸血鬼にされてんだ。今も何気にヤバイ。
分からんだろうが、幻想郷で半吸血鬼になった時と同じ感覚なんだ。もし、人間になっていたらこんな牙も無いさ」

そう言って俺は幻想郷で死んだ時に何故か気付いた一本の牙を見せる。それは白く、鋭利に尖っている。

「本当だ・・・」
「でも、その『まだ半吸血鬼である』って言う確信は?」
「ん。嗚呼、幻想郷では使ってないけど、翼がちょっと・・・、な」

今度はシャツを脱いで背中を見せる。
羞恥心?そんなモノは知らん。

「何か知らんけど収納出来たから隠してたけど、出すとこんな感じ。
で、最後。俺、あっちで右腕と左脚失くして能力で代わりの腕とか脚とか作ってたんだよね」

そして、袖を捲る。
その右腕は、金属で出来ていた。左脚も同じ。

「見て分かるだろ?もし能力が使えないんだったら、俺の腕と脚無いっての」
「成る程・・・。じゃあ、その『使えないと錯覚している』現象をどうにかすれば・・・」
「方法はある」

これは唯単に、『能力は使えない』と錯覚しているだけであり、実際は使えると言う事。
それは、大図書館で読んだ本に載っていた、『外の常識は幻想郷の非常識、外の非常識は幻想郷の常識』。

「『思い込みの力は強い』とはよく言ったもんだな」
「で、どうすれば良いのよ。その方法って」
「簡単だ。逆に、『此処でも能力は使える』と思え」

俺は早速錬成陣を書き、適当に何かを錬成する。
古着を使った適当なストラップ完成。

「あ、これ玲奈にやるよ。・・・まあ、やらなくて良いよ。幻想郷戻れる」

幻想郷に戻る方法。それは、既に一回やった事。通常、世界を跨げないが、今の俺は半吸血鬼。しかも満月。行けるハズ。
俺は幻想郷側で使った錬成陣を描き、力を込める。
そして、スキマが開く。

「さあ、行こうぜ」

その後、俺は自分の翼で、玲奈と灰場は玲奈の重力の力で英治の所まで行った。

******

68Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/05(木) 19:49:19 ID:jTIDgbmQ
*****

「って事があった」 「いや良く分からん」

とか言いつつ、廻君は安心している口振りだった。
いつも通り、四人で雑談をする。ん?四人?

「あ〜・・・。零士いないな・・・」
「おいおい、いるぜ?俺は」

空から声が聞こえた。見上げると、空はもう朝日が昇っていた。
その太陽を背にする様に射命丸が飛んで来る。
その後ろには・・・、零士?

「まさかアイツ・・・、妖怪の山にいたんか?」
「当たりです。因みに、私もいましたよ」
「マジか・・・」

そして、射命丸と共に降りて来る。

「勝ったのか?」
「おう、勝った勝った。英治がやった」
「ゑ?いや、前半は廻君が・・・」

そんなやり取りをただ黙って見ている紫。
そして、ポツリと呟く。

「十年前と変わらないわね・・・」

それだけ言ってスキマに入ろうとした時。

「おい」
「・・・・・・まだ何か用?廻さん」
「―――――有難うな」

そのお礼の意味が分からない、と言った表情だったが、すぐに理解したらしく、笑顔に戻った。
そして、スキマに戻って行った。廻君は此方へ戻りながら言う。

「さて―――――、お前ら、幻想郷か、人間界か。どっちが良い?」

皆の答えは同じだった。

「幻想郷」
「そうだな。じゃあ、自分の行きたい所に戻ろうぜ。集合は・・・、博麗神社で。じゃあ、解散」

その台詞でお開きとなった。
そうだな・・・。僕は魔理沙の所に行こうかな。

*****

69Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/05(木) 19:50:24 ID:jTIDgbmQ
*****

「僕の行きたい所・・・。か」

呟いて少し考える。
一つしか無いな。

博麗神社。
と言う訳で、僕は一足先に博麗神社に向かった。

*****

「私の戻りたい場所・・・」

それは、もう一か所しか無い。
永遠亭。
そう決まれば、すぐに重力の力で飛び、永遠亭に向かった。

*****

永遠亭に着いて、すぐに中に入り、ある人の部屋に入る。

「・・・玲奈です。入ります」

そう言って、中に入ると、永琳さんがいた。
永琳さんは、私を見るなり泣き始める。
そして、一言。

「おかえり」

*****

「・・・射命丸」

俺は呟く様に言う。
射命丸は笑顔で『何ですか?』と言う。

「・・・守矢神社に行こう。なるべく早く」

*****

守矢神社に着き、射命丸に礼を言い、中へ入る。
中にいるのは、同じ人間の・・・、いや、元同じ種族の早苗。
早苗は俺を見るなりすぐに奥へ入って行って、神二人を呼んで戻って来た。
片方は俺を見ると酒を注いだ猪口を渡し、もう片方は自分の武器である鉄の輪を両手に構える。

俺はその二人に近付いて、『今は喧嘩する気はねぇよ』と、頭を叩き、猪口を持っている神に酒を貰う。
未成年?そんなモノ幻想郷には関係ない!

*****

ヤバイな、幾ら半分吸血鬼でも弱点は弱点か。
朝日の所為で少しづつ体が灰になっていってる。そんな中、俺の向かう先は紅魔館。

*****

紅魔館の門前には門番がいる。が、いつも通り寝ている。
スルーして中に入ると、何人かの妖精メイド達と会い何回か訝しげか顔をされながら、レミリアの部屋に行く。
ノックして入って良い事を確認してから中に入る。
レミリアは、まさか俺が戻って来るとは思っていなかっただろう。
目を見開いて驚いている。

「え・・・、どう、して・・・」

レミリアの台詞を無視して、机の上にグングニルとレーヴァテインを置く。

「『どうして』って、武器を返しに来たんだが?」
「・・・勝負は?」
「勝ったぜ。英治のお蔭で」

そして、それに続けて言う。

「此処に住んでも良いか?」

そう聞くと、レミリアは呆れた様に―――、しかし、何処か楽しそうに笑いながら―――――、

「良いわよ。半吸血鬼さん」

アイツ能力で覗いたのか?とか思いながら部屋を出た。

*****

70Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/05(木) 19:56:11 ID:jTIDgbmQ
『東方少年記』ラストです。

*****

霧雨店の扉を開けると、魔理沙がいつも通り、いつもの場所でコーヒーを飲んでいた。
その目には何処か光が無かったが、僕を見るとすぐに輝いた。

「英治!?どうしたんだいきなり!勝負は?紫は?」
「嗚呼、勝ったよ。もう、清々しい位に」

そう言って、八卦路とスペルカードを差し出す。

「コレ、有難う」

そう言うと、魔理沙は照れながら僕に聞いた。

「あのさ・・・、もし良かったら、私の家で魔術でも会得しないか?」

僕は考えてみる。
毎日魔理沙の淹れるコーヒーが飲める。
それに、魔理沙はよく紅魔館に行ってるからなぁ、廻君とも会えるだろう。ついでに魔術も習える。
そうなったら、答えは、

「良いよ、魔理沙が良ければ」

そう言った後魔理沙は異常な程喜んでいた。
でも、博麗神社に足を運ぶ為、僕は霧雨店を一度出た。

*****

博麗神社に行くと、もう三人が集まっていた。
僕を入れて四人。後は廻君だけ。
そう思っていたら、すぐにダッシュで来た。

「遅いぞ、城島」
「いやあ、楼観剣と白楼剣妖夢に返しに行ってたんだ」
「紅魔館と冥界をこの短時間で!?流石半吸血鬼・・・」
「さて、お〜い、霊夢〜!」

廻君がそう叫ぶと、神社から霊夢が顔を出し、直ぐに泣き顔に変わり、僕に突進して来る。

「え・・・?えっと・・・・」
「まずスペル返したれ」

スペルカードを差し出すと、引っ手繰る様にそれを奪い取り、部屋の中の引き出しにしまう。

「アンタ達・・・ッ!心配したんだからね・・・ッ!!」

そう言った声には、安心した感情が入ってた。

「まあ、泣くなって。言ったろ?笑えって」

そう廻君が指摘すると、霊夢は無理に笑いながら顔を上げ、ニィーっと笑う。
そして―――――。

「よぉーしッ!!今日は宴よッ!天狗も吸血鬼も人も全員呼んで楽しみましょッッ!!」

そう言われ、僕以外の皆は嬉しそうだが、僕だけ『マジかよ・・・』と、迷惑そうな顔をする。
皆が神社に入り、僕も入ろうとした時、肩を叩かれた様な気がして、後ろを振り向く。
幻想郷の朝日が丁度昇っている所だった。

―――――まあ、こんな事もたまには良いかな。

『END』

*****

二年くらい前に書いた物を今見直すと、全く面白くない、
むしろ酷い筋書きだ、と感じて来ます。
というわけで次作。
『ハル・リリーフの記憶』。7日くらいから投稿し始めます。

71Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/05(木) 21:02:07 ID:jTIDgbmQ
ハル・リリーフの記憶 -Fairy Scarlet-

オリキャラ(東方オリジナルキャラ板から)、ハル・リリーフ使用。設定は以下。

ハル・リリーフ
種族 妖精(エキドナの血を持つ)
赤色のショートヘアーに猫目、瞳は青。
赤い妖精の羽にメイド服、ピンクのリボン。

スペルカード
守符『紅い月ヲ守る主任』
妖符『フェアリーイアート』
炎符『フェアリーザイア』
炎符『炎ガ燃エ尽きル時』
風符『ファイナルステップ』
灼熱『地底ノ唄』
灼熱『山ノ怒リ』
『平和ヲ願った有る紅いチイサキモノ』

紅魔館の最初に雇われた赤い妖精。
見た所は何の変哲もないただの妖精だが、これでもフランを超える力を持つらしい、が、本人曰く『そんな力があれば、とっくに使っている』との事。
十六夜 咲夜よりもレミリアスカーレットを愛している。
但し、今は紅魔館に居ない。
本来、エキドナは、上半身は美女で下半身は蛇、背中に翼が生えた姿で描かれているが、リリーフはチルノや大妖精の様な姿をしている。

**********

夏。うだるような暑さは容赦なく幻想郷を照り付ける。
俺たちの住んでいる紅魔館。確か、此処に住み始めたのは、レミリア、フランと出会い、ハンターどもに追いかけられる日々の合間に見つけた館だ。
あの時、俺がこの館に集まっていたハンターを殺戮した時の返り血が黒々しくなり、まあつまりはその色が日光を吸収するわけで、館内は死ぬほど暑い訳だ。

レミリア、フランは博麗神社に遊びに行っている。何か、扇風機があるとかないとか。
美鈴は門前で修行をして、異様な汗を流している。流石体育系野郎。見てる俺が暑い。
咲夜はいつものポーカーフェイス。多分、物凄く暑いのだろうが、敢えて気取らせない彼女は凄い。
パチュリー、小悪魔はいつも通り地下にいる。地下は普通、湿度が溜まったり、熱が出て行かずで地上より暑いだろ、って言いたいが違った。氷魔法で図書館全体を涼しくしていた。
さて、此処まで言えば分かると思う。そう、今俺は地下図書館で読書中だ。
つっても、此処の本を集めたのは俺だし、全て読んでしまったモノだから読みたい本がない訳だから、適当に本の整理をしている。……つか、パチュリーが此処に来た時より本増えてねーか?
「……まさかな。って、おっと」
ドサ、ドサッ、と抱えていた本を数冊落としてしまった。
やば、ページ折れたりしてねーよな? ……大丈夫そうだな。
「俺も歳かなぁ……。本落とすとか……。あれ、これは……」

……やばい。
とてつもなく面白い本を見つけたぞ。いや、正確には『日記』だけど。
ペラペラと軽く中身を拝見させてもらう。その日記の主は、もう此処にいないから何かを言われる心配はない。が、俺はその日記が最後の方に行くにつれ、辛い気持ちになってくる。
「……嗚呼。そうだったな………」
今更思い出してしまった。夏の中盤で嫌な思い出が掘り返される。『もう誰も殺したくない』と昔、誓ったのに。
アイツは。彼女は。

―――俺が殺したんだった。

*****

72Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/09(月) 16:50:27 ID:jTIDgbmQ
**********

プロローグでは『殺した』と言ったが、それは的を射ているようで、まるっきり違う方向に矢を飛ばすような感じなのだ。
合っていて外れている。
二律背反に聞こえると思う。事実、俺自身もそうだと思っている。でも、これが真実。揺るぎのない、真実。

ハル・リリーフは。
俺が殺したのだが。
同時に。
俺ではない者が殺した。

ならば、結果的にハルは、俺を含む二人の人物に殺された、ということになる。
紅魔館現当主で有り続ける半人半吸血鬼。
紅魔館妖精中随一の力を持つメイドの主任。
ならば、あと一人は誰だ。
この事件に、いや、『出来事』に関与した者は。―――いや、正直言って、俺は覚えているハズなのだ。なのに、覚えていない。とは言うが、もう数百年は前の事だ。俺の記憶も風化する。それは仕方のないことなのか。
だが、この日記。折角見つけたんだ、数百年越しに彼女の人生を読んでみよう。
そして―――――。

もう一人の犯人を、思い出そう。

**********

73Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/12(木) 20:11:32 ID:jTIDgbmQ
*****

元々、紅魔館メンバーは三人だった。いや、これは言うまでもなく、俺、ロッヅェ・スカーレット、レミリアとフランドール、だ。名字は割愛。
それで俺達はこの館に住み始めた時。その時も三人だった。つまりは、住み始めてからメンバーが増えていったのだ。
最初のメイドは咲夜、とどこかで記述していたと思う。―――が、それは正確な所では間違いだ。
実際はハル・リリーフが最初のメイドだ―――、何故彼女が最初ではないのか、は今から語ろう。いつ、からという明確な日は覚えていない。
某月某日。
適当に、これを読む者が想像すれば良い。―――多分、春だが。
さて、何から話そうか―――。
確か、彼女に最初に言われた言葉は何だったろうか。
……少なくとも、『ロッヅェ様』みたいな事は言われなかった―――、いや、これは絶対に言われなかった言葉だったな。ふむ、ならば日記に書いてあるだろうか。

前置きで三章分の書き方をしたのを許してくれ。
じゃあ、日記の一ページ目を開こうか。

**********

74Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/12(木) 20:40:59 ID:jTIDgbmQ
**********
『壹、出会い』

―――――皿を洗いながら訪ねられる。
何か主婦みたいだ。男だけども。女子力とか言うものなのだろうか。
「う〜ん……。今は朝だから外出られないし……。取り敢えずお風呂入って夜に成るまで寝るわ」
「分かった。俺は散歩してくる」

このやり取りは、紅魔館をハンターから乗っ取った翌日のやり取りだ。この時、俺は地下図書館の主人、パチュリー・ノーレッジの家を見つけた事に成っているのだが、実際はもう一つ、見つけたものがあった。
いや、見つけた『者』か。
彼女は、森の少し開けた所で伸びていた。―――違うな、これは開けた所に落ちて伸びたのでなく、『落ちて』その衝撃で回りが開けた感じだ。
彼女は俯せで、大の字になって伸びている。ふむ、寝てるわけではなさそうだ。目立った外傷も無い。いや実際は分からないが。
さあ、どうしよう。
「………おい、お前」
とりあえず、見も知らぬ妖精を触れるのは何となく怖いので(過去に、触れたら爆発した妖精がいた、何て言えない……)、不躾な感じだが声を掛けてみる。
果たしてその返事は。

「……………」

返事がない、ただの屍の様だ。
じゃなかった、普通に何か口にしたが、それはほぼ聞こえなかったので台詞がこうなっただけだ。実際は、『誰ですか?』と言った。
「吸血鬼」
俺は言う。ここで『半人半吸血鬼』と言わなかったのは、コイツがハンターだった場合が面倒だからだ。後々に思ったが、吸血鬼だとしてもかなり危険だったと後悔した。しかし、それは杞憂だった。
この数年、追い回されてばかりだったから疑心暗鬼になったのだろう。仕方のないことだ。
「……………」
訳、『助けて下さい』。さっきから声が小さい所を鑑みると、気管が裂傷しているのか、単に空腹なのか、か。
「はー……」
正直言って、面倒だ。
妖精を助ける義理なんてないし、吸血鬼なる存在がそうやって下の者に何かを施すのもどうかと思う。
大体、ハンターの中にも妖精なる存在がいたので、仇と言えばある種の仇となるのだが―――――。

―――――まあ。
―――――助けてやるけど。

**********

75Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/13(金) 21:21:22 ID:jTIDgbmQ
**********

閑話休題。
と言っても、別に大したことはしていない。簡単だ。
自らの血を飲ませてみただけだ。実験もとい、人体実験だ。名目は『妖精に吸血鬼の血液を飲ませたらどうなるか』、かな?
まあ、結果として元気になったから良いが。因みに、倒れていた理由はやはり気管の裂傷だった。
今は完全回復し、どうやら服の中に隠していたであろうナイフを使って俺を殺しにかかってる。
元気なモノだ―――。いや本当に。
さ、そろそろ大丈夫だろ、彼女の回復も見れたし、ナイフは没収な。尚、今俺は彼女のナイフを真剣白刃取りで受け止め、そのまま力任せにナイフの刃をへし折った。―――彼女は、眼を見開き、少しばかり『やってしまった』という顔をしている。

さて、と。
「………」
「………」
どうしてやろうか。

そして。
戦闘開始だ。

**********

76Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/13(金) 22:46:59 ID:jTIDgbmQ
73を訂正します。順番が気になりますので、74もこの後投稿します。

**********

元々、紅魔館メンバーは三人だった。いや、これは言うまでもなく、俺、ロッヅェ・スカーレット、レミリアとフランドール、だ。名字は割愛。
それで俺達はこの館に住み始めた時。その時も三人だった。つまりは、住み始めてからメンバーが増えていったのだ。
最初のメイドは咲夜、とどこかで記述していたと思う。―――が、それは正確な所では間違いだ。
実際はハル・リリーフが最初のメイドだ―――、何故彼女が最初ではないのか、は今から語ろう。いつ、からという明確な日は覚えていない。
某月某日。
適当に、これを読む者が想像すれば良い。―――多分、春だろうが。
さて、何から話そうか―――。
確か、彼女に最初に言われた言葉は何だったろうか。
……少なくとも、賢い印象の言葉で亜無かったな。ふむ、ならば日記に書いてあるだろうか。

前置きで三章分の書き方をしたのを許してくれ。
じゃあ、日記の一ページ目を開こうか。

**********

77Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/13(金) 22:47:33 ID:jTIDgbmQ
**********
『壹、出会い』

―――――皿を洗いながら訪ねられる。
何か主婦みたいだ。男だけども。女子力とか言うものなのだろうか。
「う〜ん……。今は朝だから外出られないし……。取り敢えずお風呂入って夜に成るまで寝るわ」
「分かった。俺は散歩してくる」

このやり取りは、紅魔館をハンターから乗っ取った翌日のやり取りだ。この時、俺は地下図書館の主人、パチュリー・ノーレッジの家を見つけた事に成っているのだが、実際はもう一つ、見つけたものがあった。
いや、見つけた『者』か。
彼女は、森の少し開けた所で伸びていた。―――違うな、これは開けた所に落ちて伸びたのでなく、『落ちて』その衝撃で回りが開けた感じだ。
彼女は俯せで、大の字になって伸びている。ふむ、寝てるわけではなさそうだ。目立った外傷も無い。いや実際は分からないが。
さあ、どうしよう。
「………おい、お前」
とりあえず、見も知らぬ妖精を触れるのは何となく怖いので(過去に、触れたら爆発した妖精がいた、何て言えない……)、不躾な感じだが声を掛けてみる。
果たしてその返事は。

「……………」

返事がない、ただの屍の様だ。
じゃなかった、普通に何か口にしたが、それはほぼ聞こえなかったので台詞がこうなっただけだ。実際は、『誰ですか?』と言った。
「吸血鬼」
俺は言う。ここで『半人半吸血鬼』と言わなかったのは、コイツがハンターだった場合が面倒だからだ。後々に思ったが、吸血鬼だとしてもかなり危険だったと後悔した。しかし、それは杞憂だった。
この数年、追い回されてばかりだったから疑心暗鬼になったのだろう。仕方のないことだ。
「……………」
訳、『助けて下さい』。さっきから声が小さい所を鑑みると、気管が裂傷しているのか、単に空腹なのか、か。
「はー……」
正直言って、面倒だ。
妖精を助ける義理なんてないし、吸血鬼なる存在がそうやって下の者に何かを施すのもどうかと思う。
大体、ハンターの中にも妖精なる存在がいたので、仇と言えばある種の仇となるのだが―――――。

―――――まあ。
―――――助けてやるけど。

**********

閑話休題。
と言っても、別に大したことはしていない。簡単だ。
自らの血を飲ませてみただけだ。実験もとい、人体実験だ。名目は『妖精に吸血鬼の血液を飲ませたらどうなるか』、かな?
まあ、結果として元気になったから良いが。因みに、倒れていた理由はやはり気管の裂傷だった。
今は完全回復し、どうやら服の中に隠していたであろうナイフを使って俺を殺しにかかってる。
元気なモノだ―――。いや本当に。
さ、そろそろ大丈夫だろ、彼女の回復も見れたし、ナイフは没収な。尚、今俺は彼女のナイフを真剣白刃取りで受け止め、そのまま力任せにナイフの刃をへし折った。―――彼女は、眼を見開き、少しばかり『やってしまった』という顔をしている。

さて、と。
「………」
「………」
どうしてやろうか。

そして。
戦闘開始だ。

**********

78Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/13(金) 22:48:11 ID:jTIDgbmQ
**********

勝敗? そんなモノ、俺の勝ちで終わりだ。決め手は一本背負い。
大体、彼女はナイフをへし折られたので徒手空拳だった。従って、俺も能力を使わず、徒手空拳でやってやった。
―――まあ、吸血鬼の要素がある時点でもう俺の反則負けに等しいのだが。それはさておき。
「何故攻撃してきたのかな? 命の恩人とも呼べる人を」
尋問していきましょうか。勿論、ナイフは没収、銃を錬金術で創生、それを突き付けながら、だ。
「回答次第では助かった命を落とす事になるよ」
これは単なる脅しだ。別に、逃げたきゃ逃がすつもりだ。虚言? まさか。
僕は今まで一回も嘘を吐いたことがありません(遠い眼)。
「さあ、今まで俺が聞いた事のない言い訳を答えてくれよ」
もうここまでくれば脅迫だな。彼女も完全に怯えて震えている。さて、どうしたものか―――――。
と思っていたが結果、彼女は答えてくれた。さて、皆、答えはどうだと思う? ヒントは、『蛇』だ。

さあ、答えだ。二行しか開いてないのはスルーで頼む。
「蛇って言うのは眼が見えない、盲目の種族なんです。私はエキドナの血を持っていたので、相手が分からなくて……」
「………」
俺は銃のシリンダーを起こした。『ジャコン』、という金属音がなる。
「あああああああああすいません! 冗談です! 私の恩人様に私は一体何をしていたのでしょう! ああ、私ったら馬鹿馬鹿、こともあろうに吸血鬼という妖怪変化、魑魅魍魎、怪異伝説の王と言える種族に助けて貰いながらこの体たらく! 本当にすいません! 今から自殺するのでその銃を貸して戴けませんか!?」
「いや、もう良いよ……。大体、君の命は要らんし」
本音は、面倒になった、というのが本音である。
「ああ……。本当、私、何をしちゃったんだろう……」
「もう良いって。適当に開き直っておけよ」
ともあれ。

彼女―――、名も知らぬ、エキドナの血を引く妖精と出会った時は、そんな出来事がありました。

**********

79Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/13(金) 23:08:17 ID:jTIDgbmQ
今日のラストです。

**********

「……こんな事もあったな」
いや、正直、この日記を読んでいないと思い出せないような内容だ。過去すぎて、もう俺の脳内ではその記憶は忘却の彼方に消し飛んでいた。
そういう意味では、今回のこの日記の発見はよかった、と言えるだろう。
長く生きていると、過去の記憶が無くなるので、毎日がどうでも良くなってくるのだ。
例え、人間の親友が死んでも。
社会の近代化が加速しても。
大切な物を失ったとしても。
全て、忘れてしまう―――。
風化してしまう―――。
封化されるように風化して、そして消え去って行く。

それにしても、俺は今、図書館でパチュリーの隣でこの日記を読んでいるのだが、先程からパチュリー含む妖精メイド、小悪魔が俺の方をチラチラ見ている。見ていても何の得も無いぜ?

……そう言えば。
「……なあ、今ここにいる奴らで良いから、答えろ。―――――ハル・リリーフを覚えている奴はどの位いる?」
周りにいた者は三十何人。その内挙手した者は十六人。パチュリーも含め、だ。
「そっか……。ありがとう、もう良い」
言って、俺は再度、日記を開く。挙手させた理由は、正直言って、俺自身でもよく分からない。―――いや、多分、心の奥底では理解しているはずだ。
無意識に。
罪を感じながら。
だが、今はそんな話をしている場合ではないだろう。その話をしてしまえば本を一冊書ける量になってしまう。だから、今はあくまでも『日記』の方に集中だ。
いや、集中、じゃないな。終中までさせるのが、今回の目的であり、俺のすべきことだ。
ハル・リリーフの命を弔う―――、なんて、不死身の吸血鬼が言うのも何か引っかかるけれど、俺は幸い半人だ。ならば、半分程度は弔ってやってもいいだろうか―――――。

**********

80Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/18(水) 20:19:57 ID:jTIDgbmQ
長い……。

**********

「こんにちは、吸血鬼様」
と、彼女は微笑んだ。
…………。
「痛い痛い痛いです! 何ですか何ですか! 何で後頭部を持って地面に叩きつけようとしてるんですか!」
ふむ、脳に異常があるな。やっぱり、昨日の荒治療は失敗だったか。
「いやいやいや普通に治療は成功ですよ!? むしろ脳の方に異常がある方がおかしいですよ!」
え? いやだってお前、元から頭に異常なかったっけ?
「いや頭じゃくて眼です! 先天性です! 治りません!」
そうか、じゃあ眼ぇ穿って新しいの入れてやるよ。
「怖いです! 狂気です! 吸血鬼様がお怒りになってます!」
「じゃあまずはその『吸血鬼様』ってのを止めろ。俺は正確には吸血鬼じゃねぇし、名はロッヅェ・スカーレットだ」
そこで俺は、未だ自分が名乗ってなかったと思い知る。まあ、それなら『吸血鬼様』も仕方ないか―――、あるわ。
まず、『吸血鬼様』って、種族名が入るのは二つ名程度で良いんだよ。いきなり『おい、人間』って言われた気分だよ……。って、俺も半人半吸血鬼だった。
「ロッヅェ……様?」
「呼び捨て以外は認めん」
「ロッヅェ……さん?」
「切腹を求める」
って、何だこのやり取り。切腹って和の国の死に方だろ。っつか、『様』とか言われんのは慣れてないんだよ……。あれ、でもレミリアとかフランからは『お兄様』だ。いや、『鬼い様』かもしれないけど。
「……今更ながら、自己紹介をしようか。忘れていたし。―――ロッヅェ・スカーレット。種族は半人半吸血鬼。義妹二人の義兄だ」
彼女―――、まだ名も知らぬ彼女は、『半人半吸血鬼』という言葉に違和感を覚えたらしいので、少しばかり訂正、というか補足をしておく。まあ、言っておくことはそこまでいつもと変わらないので割愛。
「……そう、なんですか………。じゃあ、義妹さん方は……」
「『純』吸血鬼だ。俺みたいな、成り損ないじゃあないな。……つか、俺ばっか話してんじゃん。お前も何か自己紹介しろよ。名前とか、生い立ちとか。エキドナの血を持つ妖精だってことくらいしか知らんし……」
ここで彼女の表情に翳りが射した。
気のせいだろうか、嫌な予感がする―――。ちなみに、この予感は見事的中する。

「……名前、ないんですよね………」

**********

81Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/18(水) 21:05:35 ID:jTIDgbmQ
**********

名前。
それは、その存在を縛るモノ。正確には、言葉という呪詛の最高クラスの縛り。
逆に名前が無い者は、それに縛られることがない―――、が、代償として、アイデンティティが理解できない、ということになる。―――自らを失い、代わりに完全なる自由を得るか、縛りのあるまま、自らを失わない様にしたいか。
実は、俺は一度名を捨てようとした。ブラドと住んでいる時に、だ。名を捨てれば、ブラドというモノから逃げられる、と思ったからだ。尤も、俺自身、そこから逃げようとも思っていなかったので、暇潰し程度にやろうとしたことだ。
結論から言うと、途中で止めた。
理由としては、ブラドから逃げる代償に自らを失うのは辛いと思ったし―――、何より、父から貰った、大切な名だ。捨てられるモノか。
さて、すこし俺の過去を混ぜながら名前の大切さを離したが、つまり、眼の前の彼女―――。エキドナの血を持つ、妖精には、名が無いと言うのだ。それは、自らを見失っていること。喪っているようなモノ。
「まさか。そんな風ではありませんよ、ロッヅェさん。私は、名前を捨てたのではありません。元から無いのですよ」
『生まれた時から、名は無いんです』と、彼女は付け足した。
生まれた時から自らを失っている。未だ、自らを知らないでいる。知っていることは、自分の種族だけ。
―――自分を知る者は、自分だけ。という言葉があるが、それは大嘘だ。
だって、彼女は自分をことを他でもない自分が良く知らないのだから。
「逆に、よく種族だけ分かったな」
俺は知らぬ間にそんなことを言っていた。彼女は、別に気分を害することなく、答えた。
「ええ。母がそれだけ教えてくれたんです。それ以外のことは、何にも」
「……………」
気分が悪くなる―――、では、全く済まない。むしろ、不機嫌を通り越す不機嫌だ。だって、自らを知らぬまま、今まで生きて来たのだから。
苦痛。
それが、彼女の人生を表現するには最高に適切な言葉だろう。
彼女は、続ける。名も無い彼女は、言う。
「私の名は、ありません。だから―――」
私の名を決めろ、と。
私に名前を付けて下さい、と。
貴方が付けたその名で呼んでください、と。
そう言って来た。
俺は不意に青い、青い空を見た。
その異様な威圧感から逃れたかった、という訳ではない。ただ、良い名が思いつかないか、と思って天を仰いだだけだ。その行動自体に深い意味はない。
季節は、丁度、桜舞う春の真っただ中だった。

「       」

俺がそう呟いた彼女への名は、永遠に彼女の物になるだろう。

**********

名前って大切ですね。

82Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/22(日) 19:03:14 ID:jTIDgbmQ
**********

……ふむ。
ここまでしっかりと書かれていては、読んでいる、俺自身の方が恥ずかしい。というか、あの後彼女自身が自分の名を覚えるのに時間が掛かったんだっけ。それと、いざ帰ったらフランもレミリアも『その子誰ー?』になるし、ハルはハルで、『吸血鬼が一人……、吸血鬼が二人……』ってなったんだよな……。その日は一日寝かしといたのは正解だった。
……結構前にレミリアの日記覗いた時、『お兄様の傍らには、名も知らない妖精がいた』って書いてあったな。無駄に大人みたいに背伸びしてたな。
さて、そろそろ夜も明けているだろう。妖精たちは仕事を終わる時間帯だ。まあ、当主のレミリアとかが吸血鬼なのだから仕方がないと言えば仕方がない。
隣のパチュリーは、本の塔を倒しながら眠っている―――、お前も吸血鬼かよ。
さて、そろそろ自室に戻ろうか。そこで日記の続きは読めば良い。あと五、六冊あるからな。

俺は本(日記)を持って席を立った。ついでにパチュリーに布団を掛けて、残業中の小悪魔に『もう寝とけ』とだけ言って、部屋に戻った。
机に本をドサリ、と置き、本を片手に椅子に腰かける―――。

**********

83Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/26(木) 21:05:34 ID:jTIDgbmQ
**********
『參 頼み事』

ある日。
「さてさて、ハルちゃん? どういうことかな、僕の眼の前には僕の妹と楽しそうに破壊活動をしているように見えるんだけど、それは僕の眼がおかしいのかな?」
俺は怒っていた。
俺の一人称はあくまでも『俺』であって、『僕』ではないのに、『僕』と使っているところを見てもそれなりに分かるだろうと思う。とりあえず、それくらい怒っているということである。心中はお察し下さい。
そして、勿論だが、俺の怒りの矛先は、最初の雇い人―――、ハル・リリーフである。今ではこうしてレミリアとかフランと仲が良くなり過ぎて、こうして仕事をすっぽかして弾幕勝負(破壊活動)をしている。いつもそれ直すの俺なのに……。
そういう意味では俺がこうして怒るのももう日常茶飯事と化している。そろそろ俺も修復作業すっぽかしてやろうか、とも思っている。
「………」
ちなみに、今ここでハルは眼を逸らした。視線は床を真っ直ぐに捉えている。
「おい、ハル・リリーフ」
フルネームで呼んだ。
叫びはしないが、それなりに怒りを込めて。
「………」
「ハル・リリーフ」
全く反応、というより何も言わないので、もう一度フルネームで呼ぶ。
「お前、フランとかと遊ぶのも良いが、ちゃんと仕事はしろよ」
内心、『あと壊すな』と付けてやりたかったが、我慢する。―――言われたハルは、一礼と共に謝罪して、仕事に戻ってしまった。
ハルと遊んで(弾幕勝負)いたフランは、俺に手を振って、どこかに行ってしまった。正直、あいつにも一つ言ってやりたかったが、生憎とそれはできないようだ。

**********

84Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/26(木) 21:26:53 ID:jTIDgbmQ
**********

その日の昼。敵情視察というか、それなりにちょっと大きな事件をいつか起こさせる予定なので、この世界の空を飛んでいた。一回、自称『幻想郷一早い伝統ブン屋』とかいう謎の烏天狗が出て来たが、逃げた。幻想郷一早い、と言っても音速には追い付かなかったらしい―――、どうでも良いけど。
昼、大体十二時頃に出たか。ならば、現在は十四時、二時間は飛んでいたことになる。流石に疲れた。
俺は館の前に降りると、門扉を開け、庭の手入れは必要か考えながら敷地を歩いた。途中、レミリアのグングニルが飛んできた。何だよ、また遊んでんのか―――、つか、もう少しタイミング遅かったらグサリだったぞ。
―――さて、何をしようか。この後は少し、この世界、幻想郷の地形を描くつもりだが、その後が暇なのだ。今まで溜めてきた地図を一回広げて一枚に縮小図を描いてみようか。―――駄目だ、面倒臭い。
何て、考えながら、俺は館の廊下を歩いていた。
すると、背後から声を掛けられた。
『ロッヅェさん』、と。
俺は振り返る。まあ、声の主は分かっているので振り返る必要はないのだが、それでは無礼だと思う。何方にせよ、振り向いたのでそんな後付けなことは要らないのだが。
「ロッヅェさん」
と、もう一度繰り返される。そんなに呼んでも意味ないって。
「ロッヅェさん」
何で三回も呼んだんだ。二回目で振り返ったろ、俺。
「ロッヅェさん」
「しつこい、ハル」
四回目で彼女の名を呼び、俺の名を呼ぶのを止めさせた。
ハルはもう一度、『ロッヅェさん』と呼んだ。五回目で、その呼ぶ声は止まった。
「………紅茶でも飲もうか。話はそれからだ」
一呼吸おいて、俺は提案する。彼女がこういう事を言い出すのは、何かある時だけだ。ちなみに、ハルはちゃんと、この提案に乗ってくれた。

**********

85Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/26(木) 22:41:17 ID:jTIDgbmQ
**********

所変わって庭。庭園と言うべきかは知らないが、庭である。それも、花庭である。ちなみに、管理者は俺である。
ここの一部には、机と椅子が置いてある為、そこで庭を見ながら紅茶などを飲める―――。俺達は今、そこにいる。正確には、俺は花に水をやり、ハルは椅子に腰かけている。紅茶とか言ったけど、そんなモノは置いていない。
俺の持つジョウロから出る水の音しか聞こえない。いや、風と草の当たる音もあるな。
「………で、どうしたのか?」
ハルは全く自身から言おうとしないので、俺から聞いた。多分、俺が何も言わなかったら、これで一日終わるだろう、と思ったからだ。
「……今日、妹様と遊んだ後」
『妹様』。多分、それはフランの方だろう。レミリアの方は『お嬢様』って言ってるからな。―――さて、話からしてフランとの問題かな。少し面倒だが、聞いてやるか。ああ、そう言えば朝、フランと破壊活動やっていたな。
「フランがどうした? 鬱陶しいとかか?」
「いえ、そういうのでなく……」
『妹様にこう言われて』と、前置きをする。
なるほど、こう言われたからどうしよう、だろう。問題はその中身か……。俺に出来ることならば良いんだが。一応、最後まで聞いてやるか。
「何て言われたんだ?」
ここで、ハルは少し困った表情をする。恥ずかしいのか? いや、そうではない。ただ単に、純粋にその言われたことに対して困っているだけだろう。俺は、『良い。言え』と促す。
ハルは言った。

「―――ハル、弱すぎるよって………」

**********

86Phantom ◆vVg/fnBrws:2015/03/30(月) 16:10:56 ID:jTIDgbmQ
『小説家になろう』というサイトにキャラ、自作小説を投稿するになりましたので、投稿が少し遅れ始めます。
今回は異常に少ないです。すいません。

**********

弱い、ねぇ。
それは多分、物理的な意味で正解してるだろう。ただ、それは弾幕方面か、肉弾戦方面か、だ。
ハルのことだから肉弾戦方面だろうけど、実際、そうらしい。と、いうわけで俺に相談したらしい。いや、相談に乗ったのは俺だけど。
じゃあ、ハルの為に少し徒手空拳を教えてあげますか。

87名無しさん:2015/03/31(火) 00:05:26 ID:aRJ4fM3Y
86さんへ
それで遅かったんですね(予想)納得です
小説書くんですか〜どんな分類などを書くご予定なのですか?(できたらでいい

88城島 廻 ◆vVg/fnBrws:2015/03/31(火) 16:47:43 ID:jTIDgbmQ
>>87
はい、また後でこの掲示板で少し更新できるかもしれません。
現在、設定表のみ投稿しています。他で既完成している作品を投稿しようと思ったんですが、
少し流血表現があり、R-15くらいに指定できるレベルだったので、まだ投稿出来てないです。トホホ……。
ちなみに、僕は今年14歳なので、本人がR-15送ったら駄目だろって話です。
僕の得意なジャンルはファンタジーから少しブラックな話方面です。
恋愛は絶対できません。はい。
これ以上書くと宣伝っぽくなってきてしまうので、ここで止めます。

追記。
城島 廻(じょうじま かい)は僕のペンネームです。
元『Phantom』、元々『JOKER』です。本人です。

89城島 廻 ◆vVg/fnBrws:2015/03/31(火) 17:23:52 ID:jTIDgbmQ
**********

中庭。花壇はないが、代わりに木と草が生い茂っている場所だ。ここは俺の管理外の為、手入れはされていない。
さて、何故ここに移動したか。別に深い理由はない。どっちだって良いだろう。支障がなければいいんだ。
……死傷が出るかもしれないがな。
さて、始めますか。
「と、言う訳でハル。お前、どんくらい弱いんだ?」
「てい」
脛を蹴られた。すっげぇ痛い。多分、言葉を選べを言いたいのだと思う。
「と、言う訳でハル。お前、どんくらい強いんだ?」
「ていや」
眼を潰された。二つの指が眼球に突き刺さった。もっかい言葉を選んでみよう。
「と、言う訳でハル」
俺は一回、ここで区切る。正直、続ける言葉を考えているのだが、何かもう一度攻撃されそうだったので、もう本題に入ろうと話をした。
「組み手でもするか」
但し、手加減無しで。
「武器は何使っても良い。何なら、そこら中に放っとくから、それ使え」
「え、ロッヅェさんは?」
「俺は――」
『素手だ』と言って、ハルから数歩離れる。その後、地面に手を突き、錬金術で土に含まれる鉄から武器を生成。中庭の地面いっぱいに刃物や銃器、爆薬物が散乱する。
「さ、やろうぜ。倒れたら負けな」

**********

90城島 廻 ◆vVg/fnBrws:2015/03/31(火) 18:04:57 ID:jTIDgbmQ
**********

(ふむ……)
とりあえず、俺は今、ハルからの攻撃を避けている所ということを知って貰いたい。
ハルは二刀流。勿論、俺は素手。攻撃のスピードはそれなりに早いが、予備動作が大きすぎる。
(ちょっと反撃してみるか)
俺は、剣の身を指で挟む。それだけで剣筋を止める気はない。それでは、ハルの為にならないと思ったからだ。
指で挟んだ剣を、ハルがその剣を振る勢いを利用しながら、俺の方へ引く。そのまま指を放し、地面に突きつける。
「ッ……」
ハルはそれをされて、一瞬戸惑う表情をしたが、丁度地面に落ちている拳銃を一丁握り、俺に発砲――、する前に俺はハルに接近。拳銃を脚で蹴り上げ、破壊する。
(判断は良いな)
次にハルは、再度地面に落ちているナイフを取ろうとする――、が、そのまま素手で挑む方が早いと思ったのか、そのまま突っ込んでくる。
「良い手だ」
だが、脚は遅い。
俺はハルの脚の間に自分の右足を入れ、前に出していた右手を掴み――。
「一発行くよー」
背負い投げをする。
刃物類の落ちていないところにハルを落とす。
暫し、静寂。
「さて、反省会だ」
俺のその台詞で、組み手は一度終了された。

**********

91尾埼 巳:2015/04/02(木) 23:09:53 ID:aRJ4fM3Y
こんにちは 小説を書こうと思いましてここに書こうと思いました
尾埼 巳「おざき みえ」です
東方オリキャラスレからのオリキャラを使います(とゆうても
私の作ったオリキャラなんですけどね汗)
(注意)ちょう初心者です⬅︎これ大事
では、

芽吹きの季節 〜終わりない物語〜

プロローグ
名前 葉流川 若芽 (はりすい めぶき)
能力 睡眠で違う自分になる程度の能力
歳 18
姿 セーラー服をよく着ており麦わら帽子を毎日とゆうほど被っている
髪は黒のショートヘアーで首に首飾りをしている
持ち物 家族らしき者の写真が飾っている首飾り
:
:
:
ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン,

「うむぅ〜 むにゃむにゃ・・・・・
私は 葉流川 若芽 (はりすい めぶき)
電車旅行が大好きな大学生!
えっ今は春休みだよ?勉強しろ?そんなの後後!風景が先でしょ!!

......うーん、眠い 眠いわ〜
この頃またアレが強くなってきてるわね、
あぁ、私ね ちょっと変な体質の持ち主なのよ〜そして
ちょっと厄介で..............

「次は〜○○駅〜 ○○駅〜 」

「あっ!!待って〜!降りる〜」

まぁその変な体質も私が寝れば分かるわよ




1 変な体質

変な体質は確かあの時.............

そう 8歳だったかしら


あの時 私はお母さんが寝込んでて買い物の帰りだった............

「お買い物〜♪お買い物〜♪おか〜さ〜んにお買い物〜」
それでいつもとはちょっと違う竹やぶに行ったんだったのよね
そして............奥に変な空間みたいな物があって

「面白そ〜」

好奇心有り余ってそこに、入って

「あら?可愛い外来人さんが落ちて来たわ♥︎」
その空間の中にいた女性に拾われて

「けど、今日だけよ?次ここに来たら住人にしちゃうから♥︎」
そしてそう言われて、気付いたら家にいた 買い物袋も一緒に
あの人は一体誰だったのか、今でも分からない

けど.............

いい人なのは確かかもね、


次は9歳の時でも思い出してみようかしら
*****************************************************************************************************

投稿する日は一週間に2〜3ぐらいです
それでは

92城島 廻 ◆vVg/fnBrws:2015/04/03(金) 13:56:17 ID:jTIDgbmQ
>>91
訂正します。他人の着色がつきますが、少し良くさせます。

**********

芽吹きの季節 〜終わりない物語〜

始めに。
名前 葉流川 若芽 (はりすい めぶき)
能力 睡眠で違う自分になる程度の能力
歳 18
姿 セーラー服をよく着ており、麦わら帽子を毎日被っている。
髪は黒のショートヘアーで首に首飾りをしている。
持ち物 家族らしき者の写真が飾っている首飾り。ペンダント状になっている。

**********

ガタンゴトン……、と、電車の揺れる音の中、私は目を覚ました。
「うむぅ〜 むにゃむにゃ……」
まだ眠い……。少し眼が覚めるまで時間がかかるから、それまでに自己紹介しましょうか。

私は葉流川 若芽、電車旅行が大好きな大学生です。
えっ? 今は春休みだよ? 勉強しろ? そんなの後々! 風景が先でしょう?
……うーん、しかし、まだ眠いわ〜。
この頃またアレが強くなってきてるわね……。

ん? あぁ、少しこれも説明しましょうか。
私はちょっと変な体質の持ち主なのよ。そして、それはちょっと厄介で、ね。
「次は〜○○駅〜 ○○駅〜 」
「あっ! 待って〜! 降りる〜」
まぁその変な体質も私が寝れば分かるわよ。
今回は言わないけど、おいおい話していくから。
そうした方が、物語としても面白いでしょ?

**********
其の壱 変な体質

変な体質は確かあの時――、そうね、8歳くらいだったかしら。
あの時、お母さんが寝込んでて、私はそのお使いの帰りだった。
「お買い物〜、お買い物〜、おか〜さ〜んにお買い物〜」
それで、いつもとはちょっと違う竹やぶに行ったんだったのよね。え、何でそっちに行ったのかって?
……さあ。正直、今となっては全く理解できないのよね。どうしてなのかな。
まあ、その議論はここでは止めて……。竹やぶの奥には変な空間みたいな物があったわ。
「面白そ〜」
好奇心が抑えられずそこに入ってみたの。
そしたら――。
「あら? 可愛い外来人さんが落ちて来たわね」
――なんて、声が聞こえて。
――その空間の中にいた、日傘を持った女性に拾われて。
「けど、今日は特別。次ここに来たら住人にしちゃうからね」
そしてそう言われて、気付いたら家にいた。手に持った、買い物袋も一緒に。
あの人は一体誰だったのか、今でも分からない。

けど。

いい人なのは確かかもね。
さて、次は9歳の時でも思い出してみようかしら。
回想はもう少し続くわ。

**********

一つだけ言わせて貰います。
小説に『♥』みたいなのは基本、使いまんので、注意してください。
それと、この訂正が不要だったら言って下さい。僕も気になってやってるだけなので。

93名無しさん:2015/04/04(土) 21:00:35 ID:aRJ4fM3Y
92さんありがとうございます
やっぱ凄いですね

94名無しさん:2015/04/04(土) 21:03:58 ID:aRJ4fM3Y
♥︎は何か使ってしまう癖があるんです(どんな癖だよ
何か感情をだすみたいな・・・・
とりあえずゆっくり書き上げようと思います、書き直しは自由でいいですよ

95尾埼 巳:2015/04/06(月) 23:20:38 ID:aRJ4fM3Y
其の弍 再び

さあ次は9歳のころをお話しましょうか
この変な空間みたいな物を通ってから今の変な体質が身につきました
最初の頃はそりゃぁ楽しかったですね、その物語の主人公になれるんですから
けど........それにも慣れた頃に、運命は迫り来るんですよね
あの運命の日、それはあの時......

母が誕生日だったんで自分で料理を作ろうと思いまして帰る時に
........あったんですよね あの迷い込んだ竹やぶが
私は 最初は振り返らずに行こうと思ったのに、気付けば迷い込みに行ってましたわ
そして、またあの変な空間があってまた..........
その空間の奥に花畑があってそこで妖精と遊び、寝た
ザッザッザッ
「あらあら、またあの可愛い外来人さんじゃない.........あら?寝ている
...それにこの子どうやら私のスキマの影響で変な能力が身についてしまっているわね」
「........この子そうとうここが気に入っているのね 笑っているもの
.......しょうがないわね 夢を見ている時だけ、ここに来れる様にしようかしらね」
「「人間でゆうと 9歳ね、11歳の時に来てもらいましょう」」
かすれかすれ女の声が聞こえたが、眠気でほとんど聞こえていなかった
...........目を覚ました時には私が寝た花畑ではなく、布団で寝ていた
どうやら私は帰る時に倒れて一時行方不明になっていたらしい
それに寝たがあの変な体質は、まるで霧のように消えていた
あの空間の奥の花畑と妖精はなんだったんだろうとあの時は思っていたわ
........次は11歳の時でもゆっくり思い出そうかな
まだまだ回想は続きそうね

**************************************************************************

96城島 廻 ◆vVg/fnBrws:2015/04/10(金) 20:51:13 ID:jTIDgbmQ
久しぶり過ぎるw
そして投稿。
**********

其の弍 再び

さあ、次は9歳の頃をお話ししていきましょうか。

――この変な空間みたいな物を通ってから今の変な体質が身につきました。
最初の頃は、普通に楽しかったですね、その物語の主人公になれるんですから。
けど、それにも慣れた頃に、運命は迫って来たんです。
あの運命の日――、それはあの時。あの瞬間。

母が誕生日だったんで、その日は母に楽をしてもらおうと自分で料理を作ろうと思いつつ帰る時に、あったんですよね――。
あの時、迷い込んだ竹やぶが。
私は、最初は振り返らずにそのまま行こうと思ったのに、気付けばまた、その中に迷い込んでいました。
そして、またあの時と同じ、あの変な空間があって――。
私は、その空間の奥に広がっていた花畑で妖精と遊び、そのまま寝てしまった。
今思えば、妖精という存在がこの世界に実在するのがおかしいと思うのだが、さすがに9歳の私にはそんなことを思うことはない。むしろ、『妖精さんだー!』で終わりだ。
私が寝てしまって、暫くすると、何かが聞こえた。
――ザッ、ザッ、ザッ。

「あらあら、またあの可愛い外来人さんじゃない……。あら、寝ている……。それに、この子――」
「この子、相当ここが気に入っているのね。笑って――」
「しょうがないわね――。夢を見ている時だけ、ここに来れる様に――」
「人間で言うと9歳ね、次は11歳の時に来てもらい――」

掠れ掠れ、女の声が聞こえたが、眠気でほとんど私には聞こえていなかった。
――次に目を覚ました時には、私が寝た花畑ではなく、自宅の布団の中だった。
どうやら、私は帰る時に倒れ、一時行方不明になっていたらしい――。
それに、あの変な体質は、まるで霧のように消えていた。

あの竹やぶの中の花畑と、妖精は何だったんだろう、とあの時は思っていました。
そして、今も分かっていません。すいません。
――さて、次は11歳の時でも。
まだまだ回想は続きそうです。

**********

97城島 廻 ◆vVg/fnBrws:2015/04/10(金) 21:34:11 ID:jTIDgbmQ
**********

反省会。まあそれは勿論、俺とハルだけの反省会である。場所は中庭、地べたに向き合う形で座っている。地面の武器は未だ散乱している。
「さて、俺の動きを見て、どう思った?」
率直に聞く。
組み手中、やろうと思えば、見える反撃無しに倒すことも出来るが、そんなことをすれば、反則だと思うし、大体ハルの為にもならない――、って、この台詞は組み手中に一回言ったな。
「……動きに無駄がない、ですか?」
疑問形で聞くな。それと、その答えでは赤点である――。そもそも、お前もある程度それは出来ている。
問題なのは、ハルに出来なくて、俺がやったことだ。
一応、変な所で言うが、ハルのスペックを書こう。
視力はあまりないが、動体視力自体は高い。動体視力の精度は、吸血鬼よりは低いが、人間よりは数倍高い。また、武器の使い方は全て知っている――、つまり、武器はオールマイティで使用可能。但し、今こうして俺に相談しているように、徒手空拳は疎か。判断も早く、すぐに割り切れるタイプ。スペルカード数は計八枚。
以上である。
さて、話を戻そう。俺の問い、即ち『どう思った』のか、だ。
「……高い動体視力?」
……最後に一回だけ、チャンスを与えよう。さすがに今のは冗談だよな。
「……背負い投げ?」
……。
「……」
……すまん、ロッヅェ君は少し呆れてしまったよ。仕方が無い。

……もっかい組み手するか。

**********

98尾埼 巳:2015/04/14(火) 18:32:41 ID:aRJ4fM3Y
ちょっと日をあけてしまいすみません (忙しくなってきたもので汗)

其の参 十一の時

現在の私は、絶賛風景満喫中(田んぼ)
あぁやっぱり振り返るのって楽しいわ、あの時は本当毎日が楽しかった
まぁ今も楽しいなんてゆっても誰も聞きたくもないけど
さあ時はさかのぼり11歳ね、この時が一番あの郷を満喫した時かかしらね
*********************************************************************************
11歳の時の私は何故か眠気がやけにあった
じぎょうギリギリまで寝てしまうので、いつも男子達が起こしてくれる
「おい、わかめ〜起きろよー」ゆさゆさ
いつもの当て字で呼ばれる
「?んぁ、何よぉ」
「お前、この頃やけに眠ってねぇか?」
そう学園生活を楽しもうとしたあれがきた
「そうなのよ〜そのせいで先生達の言葉も入らなくて」
「小6まで何もなかったじゃねぇか」
そう、中学生になるまでこの眠気はなかったのだ
夢も小さい頃よりくっきりと見るようになり、この時は
夢が現実なんでは?とでも言えるほどくっきり見えるようになっていたわ
「あぁまた眠気が」
ガタン

そうすると昏睡状態になったのだ、あの時よりも眠ったと思う
私は一時間ぐらい寝て 夢の中で起きたの
「ふあぁ、あれ!?ここ何処!?」
そこにはぼんやり記憶のある花畑があったの
「ここはね、幻想郷とゆう忘れられた者が来るものよ」
「ちょっ!タンマタンマ!何それ!?忘れられたもの!?」
日傘をさした女が何も言えない顔をして言ってきたの
「あらあら、貴方あの子ね」
「?」
なんせ眠っていた人生だったもので記憶力がない
「あら?とぼけた顔して、ウフフ」
その女は笑うと、扇子をだして扇いでいる
「せっ先生?」
「うふふ、そんな歳かしら」
今なら言える、年関係ないようなと
そうゆうとその女は変な言葉をゆうと
ボン!!
「うふふ」
鏡を差し出すと
「うわぁ!?」
赤い妖精になっていたのだった

あれから第二の人生が始まったとも言えるわね
次からはストーリーみたいな感じになるかも

99尾埼 巳:2015/04/23(木) 19:54:28 ID:aRJ4fM3Y
また日を開けてしまいすいません・・・・・

「さあ、新しい人生を歩みなさい」
そう言われると私は記憶と元の体を失い、倒れた

「ん?新しい妖精だ!」
「あっ!赤い妖精さんだね!」
うーん、なんだここ あまり記憶が定かではないな
「あ!起きたよチルノちゃん!」
ん?緑色の妖精?が水色の妖精に話している......
「おっ!おーい!起きてるか〜」
いやいや、さっきからあんたの隣にいる緑色の妖精が言ってるじゃんか
って、心の中で喋っても意味ないのか.....
「あっ、こっこんにちは.......」
一様言葉は出せた
「あんた、見かけない妖精だね?どこから来たの?」
えっ妖精?何の事?
「ん?話せないのか?」
「チルノちゃん、妖精にも話せない事情があると思うよ」
いや、さっきから私が妖精って決定ずけられてる話し方されてるんですが
「あのぅ、妖精って......」
「なるほどなるほど、っで名前はあるの?」
話を無視された!?
あっあぁ一様言葉は返そう
「覚えてないんです........」
そう、名前と記憶が全くない 私は何でここにいたのかも......
「分かった、じゃあ今日からチルダね!!」
「チルノちゃんのチルと私の大から取ったのね!」
「あたいってばさいきょーね!」
いや、勝手に付けないでください てかダサいです名前
「何だよーそのあたいの名前が気に入らない顔して〜」
実際にそうゆう顔してますハイ
「ん?あんたよく見たら傷が付いてるね、湖で冷やそうか」
「え?けどチルノちゃんの能力で......」
「駄目だよ大ちゃん、あたいの能力は強過ぎてチルダが凍っちゃう」
いやいやいや待て待て待て!さっきからおかしいよ!話といい妖精といい!!
「まっ待ってください、私は人ですよ⁉︎」
「?」
「いやぁだって赤色の妖精ですよ、チルダちゃん」
チルダって名前になってるぅ〜
「あたいの氷でみて見なよ」プイ
あっこの水色、じゃなかったチルノ?の羽は氷でできている
「えっ...........
えっ〜〜!?!?」
赤い!!妖精だし!それに!!
何だよ!!何でこんな目に〜〜!!!!

「あっまさか、転生された系?」
「そうかも........チルノちゃん」
「大ちゃんも?」
「うん......」
イヤイヤマジで本当、意味分からないですハイ
「あっじゃあ!」
「巫女さんの所に!!」
「え〜!?」

100尾埼 巳:2015/04/23(木) 21:21:27 ID:aRJ4fM3Y
それで湖で起きた時にはついていた傷を癒した
湖には色んな妖精達がいた
当然私みたいな赤い妖精もいたけど皆、私をまじまじ見ていた
まるで私が珍しいみたいに.......
それで巫女の所の行きしにチルノに聞いて見た
あっ聞く前に名前を紹介するね
この水色妖精はチルノ
冷気を操る程度の能力らしい(間違っても恨まないでね)
程度とはこの世界のしきたり?みたいなものと私は思っている
チルノは主に氷系魔法を使えるらしい
この緑色妖精は大妖精
主に台詞無し(ってWebで)けどこの大妖精、チルノとよく話している
妖精の最も強い分類らしい
「チルノ、何で私は珍しそうに見られてたの?」
「ん?そりゃあんたがさっきから変なオーラを放っているからじゃない?」
そりゃね、この世界に驚く事いっぱいありますよ?
けどね私にチート能力はないと思うんだ、(妖精って下位らしいし)
「オーラ?」
「うん、チルノちゃんは冷気 寒いオーラを持ってるの
けどチルダちゃんは何か、モヤモヤってしてるオーラが」
「そう!殺気!チルダのモヤモヤオーラは殺気!」
「チルノちゃんさすが!!」
いやいや話進められていますが、酷くない?
まるで私が殺人鬼みたいないいわれようですね、殺気?なにそれおいしry
「いや〜チルダ、あんた凄いオーラ持ってるね」
「あっ階段見つけた」
あ、ここが巫女の所に行くための階段かぁ辛そう
「さっ飛んで行こうか、大ちゃん!チルダ!」
えっ飛ぶの?


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板