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SRPGバトルロワイヤル8

1 ◆j893VYBPfU:2011/02/16(水) 00:57:31 ID:TzbLndQo
ルールなどは>>2-
詳しくはまとめwikiをどうぞ。


【まとめwiki】
ttp://www36.atwiki.jp/srpgbr/
【したらば】(作品の修正スレ・仮投下スレ・死者スレなどはこちら)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14091/

【過去スレ】
SRPGバトルロワイアル企画スレ
ttp://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamesrpg/1164191107/
SRPGバトルロワイヤル1
ttp://game14.2ch.net/test/read.cgi/gamesrpg/1178981646/
SRPGバトルロワイヤル2
ttp://game14.2ch.net/test/read.cgi/gamesrpg/1193849696/
SRPGバトルロワイヤル3
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamesrpg/1205662859/
SRPGバトルロワイヤル4
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamesrpg/1224581120/
SRPGバトルロワイヤル5
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1248313700/
SRPGバトルロワイヤル6
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1262002256/
SRPGバトルロワイヤル7
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1281581561

170Wrath ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:33:16 ID:???
静寂なる闇夜の中を黙々と歩を進める。
だが、それは張り詰めた空気というのとは若干異なる。
言うなれば、切っ掛けがないだけで
それ故に結果的に皆が押し黙って歩を進めているだけであり、
そこには以前の様な猜疑心や不信感と言ったものは最早存在しない。
純然たる信頼がその場にいる三人には芽生え始めていた。
暗がりの中、イスラが目を凝らして周りの風景と地図とを見比べ、
続いていた沈黙を破る事になる。

「うん、そろそろ目的地ですね」

「そうか」

一言だけの簡単な相槌。
本来なら、それだけで再び沈黙が再開される筈だったのだが、
少し何かを思案した表情のイスラが口を開いた。

「オグマさん、一つ聞いてもいいですか?」

「イスラ?」

アズリアが唐突なイスラの行動に首を傾げる。

「あぁ、大した事じゃないよ姉さん。
 いえ、僕達は結構自分の事を話したと思うんですけど、
 そういえばオグマさんからは
 殆ど何も聞かされてなかったなと思って…」

ニコリと子供の様な彼特有の笑顔を浮かべて
イスラがオグマに対して初めて今までの経緯とは無関係な
言うなれば友好的な質問をしてくる。
今までの刺々しい態度が抜けたイスラの様子に
オグマは少々驚いた様で一度アズリアに視線を向け、
アズリアの困った様な表情を見て、
仕方が無いなと溜息をつく。

「別に黙っていた訳じゃないが、
 聞いた所で面白い話でもないが
 それでも構わないのか?」

「えぇ、構いませんよ」

即座にイスラが返答し、
オグマは改めて自分の過去を思い浮かべる。

171Wrath ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:33:53 ID:???
「…産まれた場所の事は覚えていない。
 憶えているのは血と臓物と興奮と蔑みの視線の中で
 剣を振るっていた日々だった」

「それって…」

「あぁ、俺は所謂剣奴と呼ばれる奴隷だった。
 己の命を自分の為ではなく他人の金の為に賭ける。
 ……最低な日々だった」

オグマの言葉の端に遣り切れない怒りが込められる。
アズリアが思わす口を開こうとするがオグマがそれを止める。

「気にするな、思わず気持ちが昂ぶったがもう過ぎた事だ。
 ……そう過ぎた事だ。
 俺自身、そんな状況に納得していた訳じゃない。
 俺は反乱を起こし、あっさりと鎮圧されたよ」

「…………」

最初に質問したイスラも相槌を打つ事すら止め、
黙ってオグマの話に耳を傾ける。

「奴隷の常などいつも同じだ。
 衆人の様々な視線の中で処刑されるだけの筈だった
 俺の前にあいつが現れたのはそんな時だったな…」

「あいつ?」

「前に名前だけは話していただろう?
 シーダ王女だ。
 年端もいかない少女がただの奴隷の為に
 大勢の観衆のど真ん中で無闇に命を奪う、
 その行為を諌めた。
 …そして俺は命拾いしたと言う訳だ」

「……それは」

アズリアが顔を顰め、俯く。

「……安易な質問でした。
 すみません……」

イスラも又、同様に自分のした
悪気は無かった行為の結果に
表情を曇らせる。

172Wrath ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:34:32 ID:???
「いや、良いんだ。
 むしろ、今なら聞いていて貰いたかった。
 これは既に過去の事だ。
 俺は先の為に動かなければならない。
 その為に振り切るべき事もある」

チャリっと彼のデイバックの中で微かな金属音が鳴る。
そう、既に引き返すことなど出来はしない。
その為に死者の尊厳を、かつて自分の命を預けた相手を辱めた。

「下らない話をしたな。
 さぁ、そろそろ目的地だ。
 気を引き締めてくれ」

オグマがこれ以上は話す気は無いと言う様に話を切り止めて、
視線を前に向ける。
彼の心中を察し、黙って頷き
アズリアも同様に足を踏み出す。
そのアズリアの横にイスラはそっと近寄り、
アズリアにだけ聞こえるようにぼそりと呟いた。

「あの人は強いね、姉さん。
 僕は馬鹿だった……」

「イスラ?」

「行こう、姉さん!」

アズリアがイスラの言葉に振り向いた時には
既に彼はいつもの調子に戻っていた。
だが、そんな弟の様子に一抹の不安が過ぎる。
それを払拭するように首を振り、
アズリアも先を行く彼らに続いた。


☆     ☆    ☆     ☆    ☆     ☆

173Wrath ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:35:05 ID:???
先程の会話から幾許かの時間の後、
3人は目的の場所へと辿り着いた。

だが、

「……おかしい」

アズリアが周囲を見渡し、口を開く。
閉じられた城門。
だが、灯りが燈され周囲を爛々と照らしている。

「……居るな」

今までの建物にはこれほどの光源は存在しなかった。
誰かが意図的にでも行わない限りはこれは有り得ない。
3人が其々に目配せし、警戒しながら城門へと近づく。
罠や待ち伏せの気配は感じられない。
オグマが扉に手を当て、力を込めて少しだけ扉を開く。
重々しい音を立て、軋みながら扉が動く。
その隙間をアズリアが覗き、イスラがその背面をカバーする。

「大丈夫だ、隠れている気配はない」

アズリアの言葉に呼応する様にオグマが一気に扉を開く。
開いた空間に飛び込むようにアズリアとイスラが突入し、
周辺をぐるりと確認する。
アズリアがオグマに手で合図を送り、
オグマも内部へと侵入する。

「……相手の意図が読めんな」

あまりにも簡単に踏み込めた事に3人は困惑する。
罠を張るならば幾らでも仕掛ける事が出来たにも関わらず、である。

「遊んでいる…のかも?」

「若しくは愚か者のどちらかだな」

姉弟の言葉にオグマも頷きを返すしかない。

「進んでみるしかない…という事だな」

城内の探索は彼らをより困惑させた。
明らかに人の居た様子のある光景が所々に見られたが
肝心の人は見当たらない。
一つだけ、明らかに仕掛けられていた事と言えば
地下室へと通じる扉が厳重に施錠されていたという事だ。
これでは武器庫とやらを確認する事ができない。

「どうやら、無視する訳にはいかない相手と言う訳だ」

174Wrath ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:35:39 ID:???
目的が武器庫であった以上、
このままでは此処に来た意味を失くしてしまう。
探索していない場所といえば、
目立つ大広間と其処を経由して行く事になる城主の間くらい。
相手の思惑は分からないが、
潜む所といえば、もう其処しか残されてはいない。
大広間の扉の前にはあっさりと着く事が出来た。
やはり、これまで通り罠も何も無く、
拍子抜けするほどにあっさりとである。

「さて、蛇が出るか鬼が出るか?」

扉の前で3人は足を止める。
これまでは罠らしき罠は一切無かった。
が、残る場所が此処しかない以上は
之まで通りとは行かないかもしれない。
考えあぐねる二人を置いてイスラが一歩前へと進み出る。

「開けます!」

「おい、待てイスラ!」

アズリアの呼び止めも聞き入れず、
イスラが一気に扉を押し開く。

罠は、無かった。

それでも突然のイスラの無謀な行為に
アズリアにしてみれば心臓が止まるような思いがした。

「無茶をするな、イスラ!」

「いや、核心はいってたんだ姉さん。
 この相手は直接僕達に会いに来るって…
 そうなんでしょう?」

パチパチパチと拍手が鳴る。
自然、3人の目は音の出所へと向けられる。
其処に王座に腰掛ける煌びやかな衣装で
飾り立てられた女性とその横で手を鳴らす青年がいた。

「よく来れました、といった所ですね。
 折角、僕が丁重に御もてなししてあげようと
 思っていたのに随分と待たせてくれましたけれどね」

青年が嘲笑うような表情で3人へと声を掛ける。
玉座に座る女性には変化は見られない。
いや、それ所か微動だにすらしない。

175Wrath ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:36:14 ID:???
「あなたは!」

イスラには青年に見覚えがあった。
森の中で襲撃してきた青年である事は間違いがない。
だが、何かがあの時とは違う。

「あぁ、君はあの時の?
 そうか、どうやら無事に逃げ切れていたようだね。
 それでこそ楽しみ甲斐があるというものだよ」

あの時の青年はこれほどの邪悪な気を発してはいなかった。
それが、今ではオルドレイクかそれ以上に濃密な気を放っている。

「あいつが以前言っていた襲撃者か、イスラ?」

既に身構えていたアズリアがイスラに問い質す。

「うん…だけど、あの時とは何かが違う…」

あの青年にこの短時間で何があったのかは理解できないが
これだけははっきりとしている事がある。

「あれは既に別物だ……いや、人ですらあるのか」

困惑するイスラを余所に青年が3人に視線を送り、
値踏みするように確認する。

「楽しませてはくれそうではあるね……」

口元を邪悪に歪めて、青年が嗤う。
その表情にぞくりとアズリアの背筋に悪寒が走る。

「呑まれるな…死ぬぞ…」

沈黙を守っていたオグマがアズリアに声を掛ける。

「クッ……すまない、私とした事が…」

オグマの言葉で正気に返ったアズリアが唇を噛み締める。
その様子を愉快そうに眺めていた青年が急に表情を引き締める。

「さて……
 此処はヴァレリア王妃ベルサリア・オヴェリス・ヴァレリア陛下の御前である!
 早々に跪け!」

青年が厳かに3人へと命令する。
だが、無論3人が従う道理はない。

176Wrath ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:36:53 ID:???
「そういうお前は如何なのだ?
 その陛下とやらに従っているといった様子ではないが?」

一度、気後れをした事を恥ずかしむ様に青年を睨みつけながら
アズリアは青年に対して問いかける。

「…従う?
 僕が? 姉さんに?
 フ…フフフ…アーハハハハ!!」

先程の厳かな態度は何だったのか、
今度は狂った様に青年は嗤いだす。

「何故!? 何故、僕が従わなくちゃいけない!?
 血筋? 正統な後継者?
 僕がいなければ何も出来はしない、
 この愚かな姉さんの癖に!?」

嗤いが収まったかと思えば今度は突然に喚き出す。
完全に行動が読めない。
喚き立てていた青年がピタリと止まり、
玉座に座り続ける女性へと向き直る。

「ゴメンよ、姉さん。
 姉さんを傷つける者はもういない。
 僕が姉さんの為に王国を立て直すから。
 そう、『僕達の為の』王国に」

青年は恭しく、頭を下げ玉座の女性へと口づけする。
だが、女性はその間も何一つ動く事が無い。

「……生きているのか、その女は?」

アズリアが思わず疑問を口にする。
その言葉に青年が反応し、アズリア達に向き直る。

「当然、生きているさ。
 ただ何も考えず、動かず、僕の愛を受けるだけだけどね」

青年は至って当たり前といった様子で
人形と化した女性の髪をなでる。

「もう苦しむ事も悩む事もない。
 姉さんを脅かす者は僕が全て排除する。
 どうだい? これ以上の幸せはないだろう?」

「……下らんな」

「……何だって?」

オグマの言葉に青年から笑みが消える。

177Wrath ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:37:26 ID:???
「下らんといったんだ。
 誰かに隷属する人生ならば死んだ方がマシだ」

「……」

「己で選び取った結果で死のうが生きようが、
 それこそが自由というものだ。
 貴様の言っている事は高みから見下ろしているだけの
 屑のような話に過ぎんな」

オグマの過去はそれをまざまざと理解させてくれる。
例え、あの時に死んでいたとしてもオグマは
己の心の中に自由を勝ち得ているのである。

「力で縛られる貴様の言う『王国』とやらはさぞ地獄だろうな。
 いや、天国か? 貴様のような愚か者にとってだけはな!」

皮肉を込めたオグマの言葉に青年の身体が震えだす。

「ク…ククク…たかが人間風情の身でよくもぬけぬけと…」

青年が携えていた剣を投げ捨てる。

「良いだろう、本気で相手してあげよう。
 貴様が蔑んだ、僕の真なる力を持ってね!」

空気が一変する。
寒々とした冷気が辺りに立ち込め、
禍々しい気配が青年の周囲に集まる。
青年は懐から一つの光石を取り出すと
それを高々と翳す。

その瞬間、光が爆発した。

轟音と爆風が周囲を襲い、
3人は思わず顔を庇う。

「…クッ! 何が起きた!?」

顔を上げて青年が立っていた場所を覗き、息を呑む。
黒い波動の中心に“其れ”は立っていた。
先程までの青年の面影などは微塵も無く、
巨大な化け物が鎮座している。

178Wrath ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:38:06 ID:???
『僕(我)は憤怒の霊帝アドラメルク。
 この世に於ける矛盾に対する怒りの顕現だ!!』

雄山羊の様な頭部を持った怪物が吼える。
魂まで凍てつく様な禍々しさを放ち、怪物が迫る。

「姉さんは下がって!
 その装備じゃ棄権だッ!」

「だ、だが…クソッ!」

庇う様に前に進み出る。
アズリアも反論しようとするが、
イスラの言う事が軍人としても
剣士としても正しい判断である以上、
歯噛みをする思いで素直に受け入れる。
それを横目で眺め、オグマがイスラに呟く。

「死ぬなよ」

「貴方こそ」

イスラの返答に少しだけオグマが笑い、剣を構える。

3人が其々に構え、其れを迎え撃つ。
濃密なる死の気配の中で。

179Wrath ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:38:38 ID:???
【C-6/城(謁見の間)/未明】

【オグマ@紋章の謎】
[状態]:健康
[装備]:ライトセイバー@魔界戦記ディスガイア
[道具]:万能薬@FFT、ナバールの首輪、マルスの首輪、
    基本支給品一式(水を多少消費)
[思考]
0:主催陣の殲滅と、死者蘇生法の入手。手段・犠牲の一切を問わない。
1:信じるべきは己の剣の腕のみ。
2:アズリアやイスラと共に、主催の潜伏場所・首輪解除の方法を探す。
3:ナバールの首輪を宝物庫に持って行き、武器を入手。
  その後、イスラの案内のもと、少女(ティーエ)の首輪を回収。
4:ゲームに乗る者や自分を阻害する者は躊躇せず殺す。
5:ネサラはしばらく泳がせておく。
6:マルスの首輪は解析用に所持、武器には換えない。

[備考]
※ネサラについては、マムクートのような存在ではないかと推測しています。
 鳥のような姿に変身することが出来るのではないかと考えています。


【アズリア@サモンナイト3】
[状態]:健康
[装備]:ハマーンの杖@紋章の謎
[道具]:傷薬@紋章の謎、基本支給品一式(水を多少消費)
[思考]
0:主催を倒し、イスラと共に生還する。
1:オグマ、イスラと協力し合う。
2:サモナイト石を探し、ここがリインバウムであるかを確かめる。
3:自分やオグマの仲間達と合流したい。(放送の内容によって、接触には用心する)
4:自衛のための殺人は容認。


【イスラ@サモンナイト3】
[状態]:健康
[装備]:チェンソウ@サモンナイト2、メイメイの手紙@サモンナイト3
[道具]:支給品一式(水を多少消費)、筆記用具(日記帳とペン)、
    ゾディアックストーン・ジェミニ、ネサラの羽根
[思考]
1:アズリアを守る。
2:ディエルゴが主催側にいるなら、その確証を得たい。
3:サモナイト石を探し、ここがリインバウムであるかを確かめる。
4:ティーエの首輪を回収する。
5:対主催者or参加拒否者と協力する。(接触には知り合いであっても細心の注意を払う)
6:自分や仲間を害する者、ゲームに乗る者は躊躇せず殺す。

[備考]
※拾った羽根がネサラのものであることは知りません。
 聖石と羽根の持ち主には関係があるのではないかと疑っています。
※羽根の出所については、オグマが知っているのではないかと考えています。
※オグマが自分たち姉弟に隠し事をしていることに気付いていますが、不信感はありません。

180Wrath ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:39:30 ID:???

【デニム=モウン@タクティクスオウガ】
[状態]:アドラメレク融合率100%、憤怒の霊帝化
[装備]:ゾディアックストーン・カプリコーン@FFT
[道具]:支給品一式×3、壊れた槍、鋼の槍、シノンの首輪、スカルマスク@タクティクスオウガ
   :血塗れのカレーキャンディ×1、支給品一式×2(食料を1食分、ペットボトル2本消費)
    ベルフラウの首輪、エレキギター弦x6、スタングレネードx5
[思考]:1:「弟」として、「姉(カチュア)」を守る。
    2:アドラメレクとして、いずれは聖天使の器(カチュア)を覚醒へと導く。
    3:3人(特にオグマ)を殺す
    4:シノンの首輪を、地下の武器庫で交換しておきたい。
    5:久しぶりの現界を楽しむ。
[備考]:武器庫には鍵を掛けただけでまだ行っていません。
    セイブザクィーン@FFT  炎竜の剣@タクティクスオウガを近くに投げ捨てています。

【カチュア@タクティクスオウガ】
[状態]:失血による貧血、チャーム
[装備]:魔月の短剣@サモンナイト3
[道具]:支給品一式、ガラスのカボチャ@タクティクスオウガ
[思考]:*チャームによる自己喪失につき思考不可

181 ◆imaTwclStk:2011/11/23(水) 23:40:16 ID:???
以上で投下完了です。
誤字、脱字、矛盾などありましたら指摘お願いします。

182源罪な名無しさん:2011/11/28(月) 15:39:03 ID:???
感想遅れましたが、久々の投下乙です。

ただ一つ気になる点が。地下武器庫の扉は支給品の鍵でないと開閉出来ないと百話目の臨時放送で明記されているので
その辺りが矛盾してしまいます。あと、前々話でデニムが首輪とアイテムの交換を考えていたので、交換しなかった理由の補完も欲しい所かと。

まあ少し修正すればなんとかはなりますよ

183 ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:07:16 ID:???
では、一度予約キャンセルしているのでゲリラ投下になりますが。
アルガス、サナキ、ホームズ、カトリ、ヴァイスの五名で投下致します。

184Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:10:11 ID:???
「陛下、これからどこへ向かわれるご予定ですか?」
「うーむ。それをずっと考えてながら歩いてたのじゃが…」

城門をくぐり、暗闇の世界に足を踏み入れながら。
騎士見習いは、月明かりを頼りに先導しながら、
異世界の皇帝へ慇懃に問いかけた。

これまでの傲岸不遜な態度からは想像も付かぬ、その豹変ぶりに。
サナキは内心の驚きを禁じ得ずも――。

「とりあえずは、ホームズのいそうな所じゃ。
 このままじゃと、ラムザの顔を完璧に潰す事にもなるしの。
 …お主、見当はつくかの?」

――表向きは平静を装い、その問いを返す。
手元に照明はあるが、付ける訳にはいかない。
ラムザ達の追跡があれば、すぐに所在を気付かれるだろうから。

そして、今見つかれば捕虜のアルガスの処遇で論争となるだろう。
ラムザとアルガスの仲の険悪さは、充分過ぎるほどに理解している。
アルガスを殺す事による利益は大きく、一方で生かしておく危険は高い。
先程の臨時放送により、そう判断されかない状況に陥っているが故に。
ラムザはアルガスをあえて生かそうとまでは考えないだろう。

殺し合いの場において、他者の生命の価値は限りなく暴落する。
それが元の世界で不倶戴天の関係にあった者なら、なおさらだ。

それに、もしラムザがこちらの説得により納得した所で。
「凶暴」という文字に手足が生えたような傍らの少年が
一体何をしでかすか、到底知れたものではないのだ。

185Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:11:33 ID:???
残念だが、ラハールがさほど良心的な人間性の持ち主ではない事を、
これまでの行いからサナキも充分に理解していた。

そして、彼が取るであろう様々な暴挙に対して。
あのラムザも、今度ばかりは本気で止めようとはしないだろう。
むしろ、「静観」と言う名の見殺しを決め込むかも知れない。
つまり今二人に見つかれば、アルガスはどの道おしまいという事なのだ。

 ――人望がないというのも、色々と大変じゃのう…。

サナキは現状を思い、心中で溜息を付きながら。
アルガスの意見を待つ。

「ホームズ達はあの茶…リュナンを追いかけていました。
 ならば、リュナンが取るべきであろう行動を予測して、
 向かうと思われる場所へと向かうのでないかと」

少しして、待ち望んだ返事があり。
復讐相手にはやはりまだ感情的にもなるのか、と。
口調の訂正に、サナキは僅かな安堵と落胆を感じ。

「じゃとすると、やはり…。」
「リュナンは丸腰で、なおかつホームズとの遭遇を恐れています。
 隠れるものが多く、間に合わせでも装備を整え易い施設があり。
 なおかつ、先程の場所から最も近い場所。そうなれば…。」

二人は手元の地図を広げながら、身近な施設を指し示す。

「C−3…、北東の村か。そうなるかの」
「…仰せの通りかと」

186Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:13:11 ID:???
サナキは鷹揚に答えながらも、その場にいた場合の最悪の事態を連想する。
臨時放送をリュナンが聞いた事も考慮に入れれば、彼が「装備を整える為に」
村中で「他の参加者達の死体」や、ともすれば「生ける弱者」までもを血眼で
探し回っている可能性も充分に考えられるのだ。だが、それにもかかわらず。
アルガスはその危険性については、一切触れる事はなかった。

主君をも危険に晒す可能性に、気が付かぬ程の愚鈍なのだろうか?
――否、さにあらず。

意見を語るアルガスは、明らかに緊張に満ちた顔付きであり。
沈黙は決して彼の愚鈍や保身が原因ではなく、
主への配慮が理由なのだとサナキは見なした。
錯乱者にしてみれば、サナキもまた「この上なく美味しい獲物」になりかねないが故に。
主に余計な不安を与えぬよう、黙して危険に備える覚悟であるらしい。

 ――こやつ、全く筋がない訳ではないらしいの。

サナキはアルガスの配慮に胸の内では関心しながらも。
その美点に気付かぬ振りをして、騎士見習いに下知を下す。

「では、決まりじゃ。そちらにむかうぞ」
「…お望みのままに」

そうして、奇しくも先のマグナ達と同じ結論に達し。
アルガスの相槌に鷹揚に頷くと、サナキ達は慎重に東進を開始した。


          ◇          ◇          ◇


「…ところでの、アルガスよ。
 話は変わるが、一つ話しておきたい事がある」
「何でしょうか?」

187源罪な名無しさん:2011/12/10(土) 21:14:17 ID:???
何処までも続く、暗闇の草原をしばらくの間歩みながら。
唐突にサナキはアルガスにその顔を向け。

「ここにはアイク、ミカヤ、ネサラ…と、
 わたしの知り合いもそれなりに呼び出されておる。
 曲者ぞろいではあるが、皆信用に値する者達じゃ。
 ただな…」

どこか悲しげに。それでいて嬉しげに。
皇帝はここに呼び出された、知己の名を語り出す。
己が誇りと、心の拠り所として。
だが、その顔がにわかに曇り――。

「わたしの勘が正しければな、ここに危険人物も一人おる」
「…その者の名は?」

皇帝は、唯一の忌み名を口にする。

「元ベグニオン帝国中央軍総司令官ゼルギウス。
 ようはわたしの、かつて臣下じゃった男じゃ。
 名簿には“漆黒の騎士”と書かれておるがの。
 人違いの可能性もあるのじゃが、一応は話しておこうかの?」

サナキは“一応”と念を押し、他愛もない世間話であるかのように振舞う。
だが、その態度はどこかしら強張りを感じさせるものであり――

「そいつはの、我が国ベグニオンで非の打ち所のない最優の騎士での。
 前線に出れば負け知らずで、知略に長け、礼節を弁え、誰にも尊敬され。
 一時は大陸一の剣士とまで評された傑物とまで来た。
 あやつがいた当時はな、中枢まで腐りきったベグニオンにおいてもの。
 わが親衛隊さえ除けば、ほぼ唯一の信頼できる男じゃったが…」

188Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:15:07 ID:???
サナキはかつて重用した一人の騎士を褒め称える。
だが、その貌はどこかしら引き攣ったものであり――

「…わたしを、ベグニオンを、裏切り破壊し尽くしおったわ」

サナキが最後に口にした言葉には――
明らかな嫌悪と不快に満ち溢れていた。
皇帝は一つ大きな溜息を吐き、肩を竦める。

それはゼルギウスを責めるというよりは、自虐するようであり。
それは悲しげに、己が不明を恥じるように――
暗く沈んだ告白は始まる。

「じゃがな。それを未然に防げなかったは、わたしの不明の証明に他ならん。
 あやつにした所で、最初から裏切ったという意識すらないのじゃろうな。
 そもそも、あやつが仕えていた対象は、わたしでもベグニオンでもなく。
 最初から直属の主、宰相セフェランのみだったのじゃろう。
 言うなれば、“セフェランの騎士”だったのじゃ。
 わたしはな、それを完全に見誤っておった…」

己が恥辱をゆっくりと、存分に噛み締めるように。
苦々しげにその言葉は続き。

「“漆黒の騎士”はな。大陸の破壊を企てた、宰相セフェランの右腕としての。
 己の地位を利用して大陸に二度も戦乱を引き起こした、言うなれば梟雄じゃ。
 ベグニオンはおろか、大陸の全ての国々に恐るべき惨禍を撒き散らしおった。
 我が国で信用を築いたのもセフェランの目的…。人類滅亡の野望の為じゃった。
 おそらくは主の為に、周囲の敵全てを欺き利用した程度の認識じゃろうの。
 戦場で“敵”を欺き策に陥れるは、むしろ軍功ものじゃしな」

189Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:15:46 ID:???
サナキは自嘲に、その愛らしく小さい唇を歪ませる。
彼女自身がこれまでに歩んだ道が、そうさせるのか?
その暗い哂いは、年相応の少女のそれとは完全に掛け離れた、
老獪な政治家のそれであった。

「主の望みを言わずとも読み取り、その期待に答えるため最適の行動を取る。
 そういう意味ではの、まさにあやつは最も優秀な“騎士の鑑”やもしれん」

「じゃがの。あやつが生涯にやり抜いた事は、全て破壊のみじゃ。
 あやつは主を含めての。誰一人…、何一つ…、守り、救いなどせなんだわ。
 あやつはただ、盲目的に主の破滅への願いを叶えようとするのみ。
 そして、最後は宿敵との私闘に走り、勝手に先に逝きおったわ。
 主を一人、残しての…」

主、という言葉を殊更に、皮肉げに語る幼き皇帝。
だが、その主と呼ぶ響きにはどこか死を悼むような、悲しげな色が混ざっていた。
おそらくは、そのセフェランという名の主に特別な感情でも抱いていたのだろう。
これまでの中で、同罪である筈のセフェランだけは悪く言わなかったのだから。
アルガスにもその程度の機微は理解に至っていた。

そして、だからこそ、最もセフェランの傍にありながら
ただ破滅を幇助したのみであるゼルギウスという騎士を
嫌悪するのかもしれない。…あるいは、嫉妬が故か。
だが、アルガスにそれを聞く権利はなく、その資格もまたない。
無粋も極まる問いであると同時に、皇帝の内面に踏み込むものだから。

だが、皇帝の独白を聞く権利だけは、光栄にも与えられている。
だからこそ、アルガスは黙して聞き届ける。
全ては、己が主の意を汲む為に。

190Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:16:26 ID:???
「わたしはな、あのような者をもはや騎士とは認めぬ。
 真の騎士とはの、ただ殺す事にのみ長じれば良いというものではない。
 そのような騎士は猟犬か、さもなくば凶器じゃ。
 その存在が持て囃されるのは、戦場においてのみ。
 獲物を狩り尽くせば、もはや誰にも必要とされぬ。
 むしろ存在自体が持て余される、傷付けるしか能のない害悪というものじゃ」

「騎士の鎧とはの。国の為、あるいは人の為…。いや、どちらでも構わぬ。
 誰かの代わりに身を挺する為にこそ、身に纏うべきものではないのかの?
 そして、仕えるべき主が道を違えておるというならな。
 己の身を顧みず過ちを諌めてこそ、真の忠道ではないのかの?
 それこそが真に主を守る忠義であり、騎士道というものではないのかの?」

サナキは語る。騎士とは何たるかを。
サナキは問う。騎士の歩むべき道を。
眼前の騎士見習いに、己が理想の騎士像を語る。
最も騎士の資質に恵まれながら、最期まで真に騎士足りえなかった
紛い物の騎士の、どうしようもなく愚かな生き様を通じて。

「もしかするとな。あやつもお主と同じく蘇って、ここにおるかもしれん。
 ただな。わたしはゼルギウスがいようと、いなかろうとどちらでもよい。
 そんな些事より、わたしは何を言いたいのかと言うとじゃの。
 お主が私の騎士になりたいならな。あやつのようには、決してなるな。
 誰かを救え。何かを守る存在となれ。その為に強くなれ。
 …そう言いたいのじゃ」
「…畏まりました」

191Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:17:48 ID:???
――ベグニオン最優の騎士にして、叛乱者ゼルギウス。
もしその男がこの場にいれば、存在自体が危険であるにもかかわらず。
あえてサナキは些事と言う。なにより、彼女とは敵対する立場にあるというのに。
過去の亡霊の驚異を語るより、むしろ未来の騎士の在り方を問うことにこそ
この会話の意義があると言わんばかりに。
サナキはアルガスのみを、ただ見据える。

ただそれは、裏を返せばそれだけ成長を期待されているという事実であり。
アルガスはその言葉に込められた、皇帝の思いに胸が熱くなり。
ただ一言、了承の意を漏らすのみであった。

だがサナキはアルガスの引き締めた顔を覗き込み。
これまでの様子から一転、底意地が悪そうに頬を歪ませ――

「まあ、お主じゃあやつのようになろうにも無理じゃがのう?」
「お言葉ながら、それは少々侮りが過ぎるのでは?」

年頃の少女の顔で、アルガスをからかう。
流石に、叛乱者にも劣るという言葉だけは聞き捨てならぬと反論するも。

「ほーう。それは期待してよいのじゃな?
 仮にも“大陸一の剣の使い手”と呼ばれ、軍事大国二つを謀略で手玉に取り。
 紛い物でも“英雄”を演じた人間に能で並び立つと、そう抜かすのじゃな?」
「………努力は、してみる………」

紛い物といえど、その経歴たるや聞くだけで壮絶な騎士と改めて比較され。
見る間に顔色を蒼くしたアルガスに、サナキは悪戯っぽく笑いかけた。

だが、アルガスは、途轍もない重圧をかけられながらも。
その少女の笑顔に、これまでに一度も感じたことのない親しみと安らぎを感じ。

 ――まあ、こういうのも悪くはないかな?

知らずに、己もまた顔を綻ばせた。

192Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:19:23 ID:???
イヴァリースでは、絶えず自らの立場を周囲から脅かされ続けていた。
平民には生命を狙われ、上官には顎で使われ、役立たずと見倣されれば切り捨てられる。
貴族というにはあまりにも没落が過ぎ、そして平民からは悪魔のように目の敵とされる。
誰からも相手にはされず、誰からも見下される。
アルガスは取るに足りずと。その存在が邪魔であると。

世界はただ残酷であり、全てが敵という他なかった。
周囲はただ酷薄であり、全てを利用せねば生きていけなかった。

だが、年若い未熟なアルガスには、何もかもが足りなさ過ぎた。
ゆえに憎悪を心の糧として、血筋と家の再興を心の拠り所として。
貧弱な己を、捻じれながらも必死に保ち続けた。
そう、それこそが彼の心を形成する全てであり。
常にその心に緊張を強いられ、心休まる時など一時もなかった。

――だが、心の何処かでは。
母親のように、無条件でその存在を認めてくれるものを求めていた。

その事実を、近い年頃でありながら、真に貴族たりえるサナキと口を交わすことで認識し。
心のどこかが満たされたような、不思議な感覚に戸惑いを覚えた、
その時に――

「まあ精進するがよい。…っと、あれはなんじゃ?」
「あれは…ホームズ?あとは…」

こちらへと向かう、何かを背負う人影らしきもの達を見つけ。
二人はほぼ同時に、緊張にその身を構えた。

193Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:21:01 ID:???
 

          ◇          ◇          ◇


視界の悪い暗闇の草原を、恋人を背負いどこまでも疾走する中で。

「あーっ!七三の馬鹿発見!馬鹿発見ッス!
 もう一人は、サナキのお嬢ちゃんッス!」

唐突に甲高い大声を上げたプリニーの声が、いつになく緊張に満ちている事を疑問に思い。
暗闇の草原を疾走し続けていたホームズは、それが指し示した、南の方角と振り向く。

「いや、何も見えねえが、ってあれか…?お前、真っ暗なのによくわかったな?」
「プリニーの目をもってすれば、造作もない事ッスよ!」

重労働の疲労により、空気を貪る荒い息をどうにか抑え。
深夜の海洋を眺めるように、遠くに目を凝らしてみれば。
確かに人影らしきものが二つ、並んでいるようにも見えた。
普段より暗闇には目を慣らしている、海の男をしてかろうじてといった塩梅だが。

だが、プリニーは発見した二人を、一目で特定していた。
しかも、相手は明かりさえ付けてなどいないというのに。

そもそも、こんな深夜の草原の、注意しなければ直ぐ側にいようと
見落としかねないこの視界の悪さの中で、普通気がつくものなのか?

だが、ひどい焦燥の中でホームズはそれ以上疑問を抱いている余裕はなく。
むしろ、サナキが傷を癒す杖を支給されている事を知っているが故に、
すぐこの場でカトリの癒す事にのみ注意が傾いてしまい。

ただその言葉が真実である事に縋り、二つの人影に近付いた所――。
ホームズは無事、アルガス達と遭遇を果たす。

194Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:24:46 ID:???
「サナキ、どうして今ここにいる!ラムザと一緒にいるんじゃなかったのか?
 それに、七三まで解放しちまってどういう積もりなんだ一体!」
「あー、それはじゃの…。話せばちと長くなるんだが…」
「いえ、私からお話しいたします」

 何故、二人は今ここにいる?
 ラムザは今どうしている?何をしている?
 嫌に気まずそうなサナキの理由はなんだ?
 それにアルガスの態度も言葉使いも、奇妙極まりない。
 一体、俺達と別れた間に何が起こった?

だが、仲間を見つけて少しは気が落ち着いたのか。
その足を止めたホームズに、様々な疑問が沸き上がり。
混乱は加速する。いや、それらは今は差し置いてでも。
早急にしなければいけないことがある。
それは――。

「…いや、ぐちゃぐちゃ話している暇はねえ!
 俺達は今、タルタロスの野郎に襲われて城へ逃げている!
 一緒にいたマグナもどうなったか、全く見当も付かねえ!
 ようやく見つけた俺の女も、金髪の糞女に射たれて相当マズイ!
 サナキ、カトリをそのリブローの杖って奴で癒してやってくれ!
 で、あとは七三。信用していいってんなら、てめえは見張りを頼む!
 誰かやって来やがったら、すぐに知らせろ!」

ホームズは要件のみを簡潔に述べる。
二人は戸惑いをその顔に浮かべるも、事態が尋常ではない事だけはその態度から察し。
緩慢な動きながらも、その指示に従う。ホームズはカトリをその背から丁寧に降ろし。
サナキは杖を掲げて彼女の治療に、アルガスは周囲の見張りに付こうとするも。

195Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:25:42 ID:???
「…ま、そろそろッスかね?」

プリニーが、聞こえるか聞こえないか程度の。
僅かなつぶやきを口に漏らしたのと同時に。

ぐっ、とホームズが呻き声を漏らし。
唐突に、俯せに膝から崩れ落ちた。

「…ホームズ?しっかりするのじゃ!」

サナキはホームズに駆け寄り、その様子を見る。意識はかろうじて、ある。
見れば背中に一本、黒光りする何かが深々と突き刺さっていた。
その傷の深さは、一見した所で分かるようなものではないが、危険であるのは確実だ。
出来れば早急にホームズ達を癒したいのだが、
今杖魔法を使い無防備を晒して良い状態ではない。

「…出てこい、卑怯者ッ!それとも今更臆したかッ!」 

アルガスは身構えて襲撃者を挑発し。
一方プリニーは何の躊躇いもなく彼の後ろに隠れると。

やがて、暗闇の草原から滲み出るように。
ゆっくりと、一人の年若い男が足音も無く現れた。

「おー、おー。このオレが卑怯者ォ?…卑怯者だってよッ?!
 よりによってお前が、このオレにねぇ?ハッ、笑わせてくれるねッ!」
「…お前はッ!」

それは、確かにアルガスが一度出会った男であったが。
その人相は昼間とはもはや別人のように、どす黒い悪意のみに染め抜かれていた。

196Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:26:52 ID:???
 
――野に解き放たれた、人型の獣。

それを一言で喩えるなら、そういうべき者なのだろう。
それは凶の気配を撒き散らし、その本性を今や剥き出しにしていた。
彼が欲する事など、今更考えるまでもない。

わざわざ、ホームズを不意討ちで仕留めて置きながら。
今更になって姿を現した理由も、ただ一つ。
ほぼ丸腰に近い、年端もいかぬ少年少女二人ならどう遊んでも勝てると、
その男は確信しているからだ。

故に、その凶相が今や狂喜一色に染まり。
舌舐めずりの代わりに、二人を言葉で嬲り始める。
その尊厳を破壊し、殺す前に屈辱を与えんとすべく。

「よっ、半日ぶりだな。七三のガキッ。
 相変わらずマヌケそうな顔してやがんなぁ、おい?
 だがま、てめえもメスガキ捕まえて今は忠義の騎士気取りかぁ?
 黒騎士どももそうだが、しっかりしてやがんなてめえもよッ」

黒騎士ども、という言葉に二人は引っ掛かりを感じはしたが。
問い質した所で、まともな返答など到底期待出来ないだろう。
その口調が、全てを侮蔑する事のみを目的としたものだから。

傷つけ、奪い、殺し尽くす事こそが己が喜び。
その眼光は、その言葉よりも雄弁に嗜虐と殺意を語っていた。
そして、その対象はその瞳に映る四人も当然例外ではなく――。

「それにその金髪もそいつが俺の女だってよ、笑わせてくれるねッ!
 昼間は別の黒騎士と乳繰りあってた、只の雌犬だってのによッ!
 なんだここはぁ?殺し合う場じゃなくて、春を売る場ってかッ?」

197Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:27:59 ID:???
嘲笑、嗤笑、憫笑、冷笑、失笑――。
人間獣の嗤いは、あらゆる負の感情に満ち溢れ。
この世全ての存在を、その根底から貶めて抜いていた。

「なんだとッ?!」
「それよりも二人を、二人をどうにかせんと!」

侮辱による憤激に声を荒らげるアルガスと、
盟友の負傷に焦りを見せるサナキの狼狽に、
ヴァイスはさも満足げに、獰猛に笑いかけ――。

「…安心しな、傷は深いがこんなんじゃ死なねえよ。
 あとのお楽しみの為に、わざわざ女も急所も避けてやったんだ。
 涙流して感謝して貰いたいくらいだね?
 とはいえ、金髪の男はもう動けねえだろうがね。
 …で、残るはてめえら二人だけってことだ」

優しく、静かにホームズの傷の程度と。
サナキ達の処刑を宣言する。

「逃げたきゃ逃げてもいいぜ?…逃げ切れりゃあなあ。
 その分、オレは二人で楽しむって事にもなるがねッ。
 仲間なんだろ、てめえらは?だったら、見捨てられねえよなあ?」

ヴァイスは嘲笑う。彼は分かりきっているのだ。
「仲間を気遣う」ような甘過ぎる二人に、見殺しなど出来る筈がないと。
無論、二人がその背中を見せれば即座に斬り捨てるつもりではあるが、
ヴァイスは抵抗を心より期待する。
悪足掻きが無様であればあるほど、それを踏みにじる事に悦を覚えるが故に。
己以外の全てを貶め、辱める――。
それこそが、己が奪われた誇りを取り戻す唯一の道。
ヴァイスはその凶念一色に取り憑かれていた。

198Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:28:34 ID:???
だが、それで理性までもを失ったわけではなく。
むしろ性根が小物であるが故に、更に姑息な戦術を打つ。
全ては己がより安全に、楽しめる狩りに興じたいが故に。
それは悪魔のように甘く囁き、二人の絆に楔を打ち込まんとする。

「ああ、そうだ七三。なんなら昼間オレにやろうとしたみたいに、
 そのメスガキ突き飛ばしてその隙にてめえ一人だけ逃げるってのもアリだな?
 それならより確実だ。どうする、七三のガキッ?」

小物はアルガスとの、昼間の会合を暴露する。
ヴァイスは満足げに嗤い――。

「アルガス、お主…」
「…くっ」

サナキは怪訝に、アルガスを振り返り――。
アルガスは硬直する。それはまさに事実であるが故に。
それはまさに過去の汚点であるが故に。
彼の心に、深く突き刺さる。

「このオレが気付かないとでも思ったか?…甘過ぎるんだよ、ガキッ。
 ま、だからこそ逆手に取れたんだがな。そういう奴こそ隙が出るッ。
って、訳でだ。そいつは使えねえし、何一つ信用に値しねえよメスガキ。
 せいぜいが仲間の振りをして身代わりに使う程度だ。
 ならお前もそうすりゃいい。因果応報ってやつだ」

――アルガスへの嘲笑は続く。
さも得意げに喋り続けるが、それはサナキへの忠告ではなく、
ただ己が狡智を誇示するものであり。

199Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:29:08 ID:???
「七三、てめえも今更騎士気取りたいなら、今ここで時間稼ぎにオレに殺されるんだなッ。
 だったらさっきの言葉も撤回してやるよ。『馬鹿が無駄死にしやがった』ってね?
 で、そのメスガキも後であの世に送ってやるから、この俺に感謝するこったな?」

――アルガスへの侮蔑は続く。
お前がどう足掻こうとも、それは全て無駄なものでしかない、と。
その能力も、心構えも、全てを嘲笑う。
この人間獣は心得ているのだ。己とアルガスとの彼我の実力差を。
だからこその、この余裕。

だが、サナキはその得意げな嗤いに、ただ深く溜息を付き。
ヴァイスのその在り方を、ただ哀れみ蔑んだ。

「…馬鹿はおぬしじゃよ。そして哀れなのものよのう」
「…なんだと?」

サナキは、これまでのヴァイスの罵倒の中で。
彼の本質を充分過ぎる程に理解していた。

弱者にしか強気に出られぬ、そしてそれを嬲り抜く事によってしか
己の存在意義を取り戻せない、救いようのない愚物。
そこには優雅さや尊厳など、欠片も有りはしない。

――だが、だからこそこちらも助かるというもの。

絶えず他人を見下す事を喜びとする卑しい性格というのであれば?
余裕を見せようとして有頂天となる分、足元を掬い易いという事でもある。
“漆黒の騎士”が敵に見せるような、強者が持つ余裕とは似て非なるもの。

200Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:29:39 ID:???
サナキはこの絶望的な状況の中で、ヴァイスの性格に恐怖する事なく。
むしろ矮小な人物である事に、僅かながらも勝機を見出し――。
サナキは不敵に口元を歪め、笑いながら言い放った。

「……アルガスを見てみい。おぬしにすっかり怯えておる。
 足腰が震え過ぎて、まともに戦えるかどうかすら怪しいわ」

言葉の内容とは裏腹に、自信に満ちた口調でもって。
その態度に、騎士見習いはおろか眼前の獣すら驚きの目で彼女を見る。

「…おいおい。それが分かってて、どうしてオレの方が馬鹿なんだ?」

人間獣はその笑みにむしろ毒を抜かれ、ただ呆然と疑問を口にする。
現実を認識しているにも関わらず、何故貴様は心が折れぬのかと?

「じゃがの、目は死んではおらん。むしろ燃え盛っておる。怒りにの。
 たとえ己が恐怖しようとも、主を守るために前に出る。命賭けでの。
 その心構え、実に天晴れな騎士のものだとは思わぬか?」

サナキは哂う。貴様ごとき愚物には、永久に理解出来ぬ美徳だろうと。
確信をもってその問いに答える。

「貴様も一見騎士のようじゃが、そうしたくなる他人は、果たしておるのか?
 他人に庇われた事は果たしてあるのか?そんなもの、一切ないじゃろ?
 人はどれだけ他人に為に尽くし尽くされるかで、その価値がわかる。
 確かに己は大事じゃ。じゃがそれしかないのは獣にすら劣る屑じゃ。
 犬畜生とて、その家族だけは人間以上に育み大事にするからの」

サナキは嗤う。貴様ごとき芥屑には、永久に縁無き世界だろうと。
侮蔑をもってその愚かさをなじる。

201Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:30:13 ID:???
「命惜しくば、疾く失せるがよい。この騎士の面汚しめが。
 お主のその目、わたしが始末してきた元老院の下衆どもそっくりじゃわ。
 濁り切った上に、欲と見栄しか在りはせぬ。実につまらぬ。
 身分を問わず、真に卑しきものは皆同じ目をするもんじゃの」

サナキは嘲笑う。その身分ではなく、ヴァイスという存在の卑しさを。
アルガスは、己に向けられたその信頼に、感動に打ち振るえ。
ヴァイスは――。

「黙れッ!黙って聞いてりゃいい気になりやがってッ!
 何様のつもりか知らねぇが、てめえこそ身の程って奴を教えてやるよッ!
 そして舐めた口を聞きやがった事を、後悔して殺してやるからなッ!」

激昂と更なる殺意をもって、対峙する。
これ以上の言葉は要らぬと、その態度で雄に語る。

「…アルガス」
「…はっ」

サナキはこの人間獣に向けた言葉とは対照的に。
労りの言葉を、アルガスに向ける。

「頼むぞ」
「承知いたしました。この生命に代えましても」

アルガスは決意をもって前に出る。
主の信頼には、勇気でもって。

202Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:30:52 ID:???
二人とも、勝利を確信しているわけではない。
身体能力、装備、戦場経験、それら全ては向こうが上。
それは人間獣の纏う殺気からも、充分に感じ取れる。
勝っているのは数のみだが、それすらも足手纏い付き。
状況はむしろ絶望に近く、むしろ全滅の可能性は高い。
だが、その危険を充分に理解しりつつも。

己の矜持の為、主の生命の為、決して引けぬ戦いというものはある。
己が主の言う「生き様の、格の違い」を、今こそ知らしめる為にも。
今のアルガスに、保身と逃避はありえない。それは今こそ真に騎士たらんとする為に。
それが故、刺し違える覚悟でアルガスは構え。

「オレ、あの兄貴に特攻して犬死ってのは絶対嫌ッス。
 しばらく空気で良いッスか?」

空気の読めぬ生き物は、場違いな戯言を口にする。

「違うぞアルガス。二人であの屑を成敗して、全員が生きるんじゃ」
「…ありがたきお言葉」

サナキは笑いかけながら前に出る。
従者の忠誠には、恩情でもって。

現実を見据えた上で、自らもまた生命を賭け戦いに臨む。
その困難をも承知の上で、全員の生存を心より望む。
従者に正しき道を示す為、仲間の身を案じるが為。
己のみの保身など下賤の所業だと、その行動で嘲笑う。

203Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:31:43 ID:???
「…オレはガン無視ッスか?そりゃ空気で良いッスかとは言ったけど、酷えッス…」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねえッ!今すぐ死ねッ!」

場違いな生き物の戯言は黙殺され。
だが獣にはその気高さはやはり理解できず。

獣は腰の鞘から、その鋼の牙を剥き出しにして躍り掛り――。
四人の命運を賭けた戦いの火蓋は、今切って落とされた。


【D-3/平原/二日目・深夜】
【サナキ@FE暁の女神】
[状態]:精神的疲労(軽度)
[装備]:リブローの杖@FE、真新しい鋸
[道具]:支給品一式
[思考]1:アルガスの行く末を見守る。
    2:帝国が心配
    3:皆で脱出
    4:アイクや姉上が心配
    5:魔道書等の充分に力を出せるアイテムが欲しい、切実に。
    6:目の前の痴れ者(ヴァイス)を、アルガスと協力して成敗する。


【アルガス@FFT】
[状態]:ラムザに対する憎悪(重度)、サナキに対する忠誠心、強い決意
[装備]:手編みのマフラー@サモンナイト3
[道具]:支給品一式×2
[思考]1:サナキに相応しい騎士となるよう務める。
    2:戦力、アイテムを必ず確保する。
    3:サナキが望まないので、とりあえず私怨は抑えてみる
    4:騎士として、目の前の敵(ヴァイス)を排除する。
    5:漆黒の騎士(ゼルギウス?)が参加している可能性を警戒。

204Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:32:23 ID:???
【ホームズ@ティアリングサーガ】
[状態]:全身に打撲(数箇所:中程度)、精神的疲労(重度)、軽い混乱
    背中に投げナイフによる創傷(重傷)、暗闇
[装備]:プリニー@魔界戦記ディスガイア、肉切り包丁
[道具]:支給品一式(ちょっと潰れている)、食料(一食分消費)
[思考]0:ゲームを破壊し、カトリと共に帰還する。
    1:カトリを連れて安全な場所(E-2の城)まで逃げる。
    2:……ち、く………しょう……………

[備考]:漆黒の投げナイフが背中一本に突き刺さったままです。
    重傷ではありますが、意識は辛うじてあります。
    その追加効果により、異常状態「暗闇」が発生しています。


【プリニー@魔界戦記ディスガイア】
[状態]:ボッコボコ(行動にはそれほど支障なし)
[装備]:なし
[道具]:リュックサック、PDA@現実
[思考]1:とりあえず、上手く空気で居続けられそうッスね。
    2:ボーナスとか出ないッスかね?
    3:今の主人、嫌いじゃなかったッスけどね…。


【カトリ@ティアリングサーガ】  
[状態]:重症(心身衰弱:大)
[装備]:火竜石@紋章の謎
[道具]:ゾンビの杖@ティアリングサーガ、支給品一式(食料を一食分消費)
[思考] 0:みんなで生還  
    1:意識不明につき、思考不可。
[備考]:火竜石による消耗と一度致命的な攻撃を受けたため、
    かなりの消耗をしたままです。
    道具を使っても短時間での回復は有り得ません。

205Desperado ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:33:07 ID:???
【ヴァイス@タクティクスオウガ】
[状態]:サナキに対する怒り(重度)、
    疲労:中程度(死神甲冑の効果により回復は比較的早いと思われます)
    左眼に肉切り用のナイフによる突き傷(失明)
    背中に軽い打撲(死神の甲冑装備中はペナルティなし)
    右腿に切り傷(軽症)
    右の二の腕に裂傷、右足首に刺し傷(全て処置済)、やや酷い貧血、
    死神の甲冑による恐怖効果、および精気吸収による生気の欠如と活力及び耐久性の向上。
[装備]:ブリュンヒルト@TO、死神の甲冑@TO、肉切り用のナイフ(2本)、
    漆黒の投げナイフ(4本セット:残り3本)
[道具]:支給品一式、栄養価の高い保存食(2食分)、麦酒ペットボトル2本分(移し変え済)
    ドラゴンアイズ@TO外伝
[思考]1:自身の生存を最優先。
   2:何としてもタルタロスの信頼を得る。
   3:まずは目の前の四人を嬲りものにしてから殺す。
   4:いずれは全員皆殺し
   5:ごちゃごちゃ抜かしてんじゃねえッ!死ねッ!
[備考]:ホームズ達四人の名前を、盗み聞きでようやく把握しました。
    サナキに対して激しい怒りを抱いている為、首輪の効果で身体能力が向上しています。
    一方で理性が薄まっているので、判断能力が若干低下しています。


[共通備考]:
暗闇(異常状態):視力が悪くなり、移動と回避ができません。更に被ダメージが増加します。
          時間経過やアイテム・治療魔法で治ります。

206 ◆j893VYBPfU:2011/12/10(土) 21:34:41 ID:???
以上で投下終了です。
誤字脱字、矛盾、指摘や感想等有りましたら遠慮なくどうぞ。

207 ◆j893VYBPfU:2011/12/14(水) 11:26:27 ID:???
時間の修正忘れてました。
二日目の未明ということで。
深夜のままだと、あまりにも時間が立たなさすぎてます…。

208 ◆j893VYBPfU:2011/12/16(金) 22:50:38 ID:???
久々にWiki修正。
ついでに自作の二人称等や誤字脱字の訂正も同時に行いました。

現在、Wikiはセキュリティ上の問題で、パスワードがないと
編集出来ない設定となってますので、何かあればおっしゃってください。

209源罪な名無しさん:2011/12/20(火) 22:11:45 ID:???
投下来てるじゃないか!
乙っす

210 ◆j893VYBPfU:2012/02/20(月) 23:06:26 ID:???
インターミッション的に、主催側書いても良いかな?
レイム側を書いて見たいのですが。

211 ◆j893VYBPfU:2012/07/19(木) 22:46:27 ID:???
ゴードン、ミカヤ、アイクで予約いたします。

212 ◆j893VYBPfU:2012/07/21(土) 00:21:40 ID:???
すいません。予約を一旦破棄します。

213 ◆j893VYBPfU:2012/07/21(土) 22:30:56 ID:???
大変良いお知らせです。
SRPGロワに専属絵師さんが付きました。その名もHoly氏と申します。
現在二枚程イラストを書いていただいております。
下記URLのPixivから閲覧可能ですが、近いうちにこちらのWikiからでも
閲覧可能なように致しますので、どうかよろしくお願い致します。

ttp://www.pixiv.net/member_illust.php?id=390710

214holy(N/N):2012/07/22(日) 06:20:07 ID:PE6NOHp2
↑にてご紹介にあずかりましたholyと申します。よろしければ以後お見知りおきください。
やくざさんには専属絵師とまで言っていただきましたが、そんな大層な者ではありません><;
私「今更だけど絵がうまくなりたい」ヤクザさん「じゃあ、SRPGBRでなんか描けば?」と
お誘いを受けましたので、支援...になるかどうか分かりませんが、修行(おい)をかねて描いていければなと...。
しかもSRPGBRは楽しく読ませていただいているものの、SRPGはほとんどやった事がないという残念な人間ですので、
色々と教えていただけたら嬉しいです>< どうぞよしなに〜。

215 ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:20:30 ID:???
ゴードン、ミカヤ、アイクで予約いたします。

216 ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:21:10 ID:???
ゴードン、ミカヤ、アイクを投下します。
大変長らくお待たせいたしました。

217Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:22:53 ID:???
「おい、貴様そこで何をしている?」

――まずい、非常にまずいぞ。ゴードン…。

背に投げかけられた、青髪の青年の冷えきった言葉に。
わたしは血も凍る思いで声のした方へと振り返った。

「ミカヤに一体何をしていると聞いている?」

どうやらミカヤ君の知り合いであるその青年は、
ゆっくりと背中の剣を引き抜き、大股で近付いてくる。
一体、何の為に剣を抜いたのかなど、もはや考えるまでもない。
つまりは、わたしを斬り捨てるつもりなのだ。

第三十七代地球勇者である、このわたしを!
意識のない少女に暴行する変態と見倣して!

いかん!
いかん!
いかん!
いかんぞ―――!!

「NOォォォォオオオ!! 違う、違うんだ青年よ!
 これは海よりも深い事情があってだな…」

このままでは本当に変態と見倣された挙句、殺されてしまう!
なんとか弁解する方法を見つけねば!

「…今更、言い訳と命乞いか?
 無様だな。貴様も戦士ならせめて武器を取れ。
 せめてもの情けだ。最期の死に華程度なら咲かせてやる。
 それとも、女子供相手にしか勇敢には振る舞えないのか?」

218Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:23:25 ID:???
 

――話しを聞いてくれ青年よ!わたしは、わたしは今…。


 猛烈に悲しんでいる!


          ◇          ◇          ◇


俺は沸き上がる雑念を今一度振り払うと、城内の探索を再開した。
まだ何か使えそうなものがあるかも知れず、
あるいは他の参加者がいるのかもしれない。
あと、肉があれば言うことはないのだが…。

だが、俺の期待は全て裏切られ、徒労のまま一時間が経過する。
そして――。

悪鬼使いキュラーと名乗るものによる、臨時放送が行われた。


「その“救いの手”を受け入れるか、あくまでも拒絶するかについては、
 貴方達の自由意思に委ねましょう。これは強制ではありませんからね。
 このゲームでは、なにより自由意思による選択こそが尊重されるのです。
 貴方達のご健闘に期待しておりますよ…。」

219Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:24:03 ID:???
 

 ――卑劣な手を。

俺はヴォマルフと協力関係にあるらしき男の、自己陶酔めいたその放送を。
軽蔑と嫌悪感を抱きながら、一言一句に及ぶまで聞き覚えた。

臨時放送の意図など、もはや考えるまでもない。
だが、考えさせられることは多々ある。

このゲームに積極的に乗った“貢献者”とやらが存在するという事。
放送の間隔と制限時間が等しくなった為、積極的に動き回らねばならぬという事。
首輪が全ての参加者にとって特別な付加価値を得たという事。
武器庫が全て施設に集中するため、その周辺での遭遇と戦闘が加速するであろう事。

このままでは、この殺し合いは否応もなく加速することだろう。
俺はこれから予測される事態の数々に重い溜息を吐きながら、
まずは“武器庫”とやらの確認に、城内の地下室へと向かった。

やがて、俺はそれを見つけ扉の前に立つ。
その先には、神殿の如き威容を感じさせる、純白の博物館があった。
“武器庫”という呼び方から、傭兵団にある倉庫のような猥雑なものを想像していたが。
世界が異なれば、武器庫の形式も大きく異なるのか?
いや、違うな。これもヴォルマルフ達による演出と考えるべきだろう。

ただ、その純白に清められた空間には。
大義の欠片もない殺し合いで無辜の人間の首を狩り、その証を捧げて回る外道を
『神聖な儀式』だと来訪者を唆すような、製作者達の悪意が透けて見えた。
だが、奴らの思惑に大人しく従ってやる気は更々にない。

220Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:24:34 ID:???
 
ならば――。
一度、「特別な処置」とやらが万全か否か試してみるか?

俺は庫内へと踏み込むと、まっすぐに俺の名が刻まれた台座の前へと向かい。
昔、俺の親父から貰った剣が収められている硝子の箱を確認すると。
掌を組んで一つに固めたその拳を、渾身の力で叩きつけた。
――衝撃音が、庫内に響きわたる。

腕にまで伝わる、異様な手応え。
だが肝心の硝子の箱は傷一つ、罅一つ入ることはなく。
常軌を逸したその健在ぶりを、この俺に見せつけた。

 ――なんだ、これは?

硬い。
異常なまでに、硬い。
硝子本来の硬度を完全に超越した、その異常極まる堅牢。
まるでかつての漆黒の騎士の鎧に斬り付けた時のような
その異常性に、俺は少なからず動揺を覚えた。
この手応えには、散々に覚えがあるが故に。

そして、キュラーの「特別な処置」への自信に納得する。
もし、これがあの『女神の祝福』と同等の処置が施されているのなら?
主催者側の意図を無視して武器だけを得ようとする、
参加者達のあらゆる努力は無に帰すだろう。

だが、俺は鼻を鳴らす。
敵が犯した、致命的な不手際に。
もし、これが俺の想像通りの措置を施しているならば。
それに傷を与える術も、また俺の手元にある。

221Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:25:06 ID:???
 
 ――ぬかったな、キュラー。

俺は同じく『女神の祝福』が施された神剣――エタルドを鞘から引き抜き。
深く腰を落とし、大きく脇に構え。

 ――俺にこれを与えた事を、後悔するがいい。

構えた神剣を、水平に薙ぎ払う。

ぱかん、と乾いた音が鳴り。
俺の斬撃は、硝子の箱の天板を見事切り裂いた。
だが、 硝子の天板がゆるりとずれ、地面へと落ちたのと同時に。




「……台座が、光っ――――?」





閃光、轟音、そして強烈な衝撃に俺は吹き飛ぶ。
その原因が、台座自体が爆発したものである事に気づいたのは、
俺がすぐ後ろの台座に叩きつけられて気を失い、
しばらくして意識を取り戻した後の事であった。

222Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:25:55 ID:???
 
「……ぐっ……」

身体中の突き刺すような痛みが、意識を鮮明にする。
いや、“それら”は実際に突き刺さっていた。

見れば爆発で砕け散ったものが俺を装飾し、赤と透明の無骨な彩りを添えている。
ただ硝子が目に突き刺さらなかったのは、不幸中の幸いというべきか。
俺は己の愚かさを恥じ入る。

そもそも、考えておくべきではあったのだ。
これだけ周到に多くの人間を拉致し集めた連中が、
初歩的な手抜かりをするはずがあるのかという事を。

案の定、収められていた俺の剣は、爆発の衝撃で根元から折れていた。
これでは、殆ど使い物になりそうにない。

無事であるのは、手に持つエタルドのみである。
つまり、俺は無駄に傷だけを負ったという事か。

だが、今更悔いた所で仕方ない。
俺は体中に突き刺さる硝子を一つ一つ引き抜き。
ばらばらになった形見のリガルソードを仕舞い、
傷の応急措置を行うと、この場を後にした。


          ◇          ◇          ◇


――しばらくして。
俺は武器庫の向かい側にある、三つの木製の扉の前へと立っていた。
やはりというか、どの扉も施錠され「特別な措置」が施されている。

223Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:26:36 ID:???
だが、それは裏を返せば扉を破壊して先を行く事は可能という事になる。
そして、付け加えればそれもまた爆発する可能性があるという事になる。

「………………………」

――いや。一度や二度程度の失敗で懲りるなど、俺らしくもない。
俺は俺を貫き通せばよい。賢しく考えて危険を避けるなど性に合わん。
やれることをやり、失敗を繰り返しても。
そのまま前に突き進めばそれでいい。

そう開き直ると、俺は中央の扉の前へと立ち。
俺の敵にして師の動きを記憶より呼び起こし。
その何物をも断つ剛剣を模倣、――もとい再現を行う。

「月光――」

その一撃は、外壁と施錠ごと『措置』の施された扉を見事両断した。
俺は爆発に備えて身構えたが、その扉が爆発することはなく。
崩れ落ちた扉の上半分が、その先へと消える――。

「………?」

破壊した扉の向こう側は、先の見渡せぬ漆黒があるばかりであった。
まるで物質化した闇を敷き詰めたような、その空間の先に扉は落ち。
だが、それが地面に落ちた音は聞こえず。

俺は扉があった場所に頭を突き入れ、その先を覗き込むと。
そこにはこことはまるで別の、地下通路があるばかりだった。
そして、その真下には俺が切り落とした扉が落ちている。

224Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:27:07 ID:???
 
「…行ってみるか。どの道、他にあてもない」

俺は破壊した扉をくぐり抜けると、その正面にも
『武器庫』と書かれた部屋が目の前にあった。
怪訝に思い通り抜けた道を引き返すと、
確かにそちらにも俺がいた『武器庫』は存在する。

「…どういう事だ?これは、一体…」

だが、論拠もなく一々考えた所で答えなど出るはずもない。
俺は先へと進み、新しく見つけた『武器庫』の扉を開け、
その中を覗くと――。


――その部屋の中で、俺の戦友を相手に言うもはばかる不埒な行為に走る、
不審な中年男を発見した。


          ◇          ◇          ◇


「はあっ…、はあっ…」

わたしは右腕の切傷を治療の杖で塞ぎ終えると。
意識を失ったままのミカヤ君を背負い、
薄暗い地下通路を、長い間さ迷い歩いていた。

225Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:27:49 ID:???
ミカヤ君は血を失い過ぎた事により、低体温症を起こかけていた。
この夜空の中薪を起こせば、ゲームに乗った敵にまで居場所を教えかねない。
なによりこのまま外気に彼女を晒せば、最悪凍死すら有り得ると判断し、
近くの塔へと戻り、毛布や暖炉といった暖を取れるものを探していたのだが。
――残念な事に、そんな都合の良いものなど一切なく。

ただ徒に時間を浪費している内に、キュラーとやらの臨時放送を迎えてしまった。
その邪悪に思う所は多々あるのだが、今はミカヤ君を救う事こそが先決と思い至り。
放送内容にあった地下室へと向かい、そこに一縷の望みを託していた。
だが…。

 ――ない。

そこも純白の大理石による悪趣味な空間があるばかりで、
暖を取れる空間などどこにも見当たらなかった。

 ――どこにも、ないではないかっ!

運命の無情さを憤ろうとも、どうにもならない。
ミカヤ君の体温は、こうしている間にも奪われ続けている。
ならば――。

「仕方あるまい…」

 ――ミカヤ君、許せよ…。

わたしはミカヤ君の服を脱がして肌着だけの姿にすると、
それにならってわたしも半裸になり、彼女を優しく抱き寄せる。

226Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:28:26 ID:???
 
 ――酷く、冷たいな。

まだ女性としての成熟が始まる前の、か細く未熟な少女の身体。
だが、女性特有の柔らかさは健在で、その感触に戸惑いはするものの。
触れている箇所が凍える程に冷たく、わたしは身震いを起こす。
だが、これこそが彼女が今味わっている、
いや、わたしが徒労により味あわせてしまった寒さなのだ…。
――わたしは、彼女とより密着の度合いを深くする。

そうだ。どうかわたしから多くの熱を受け取り、
その元気をいち早く取り戻して欲しい…。

だが、ここでわたしは一つ残念な事を思い出す。
ここは『武器庫』だ。
このままでは“武器を調達しに”このゲームに乗った者が
他の参加者の首輪を提げてやってくる可能性がある。
そして、今のわたしはミカヤ君とともに無防備を晒しているのだ。

 ――これは非常に不味いぞ、ゴードン。

第一、この光景を誰かに見られれば、あらぬ誤解を受けかねない。
特にあの悪魔達に見つかれば、何を言われるか知れたものではないではないか!

わたしは思い直すと、ミカヤ君を抱きかかえたまま
『武器庫』からいち早く退避しようとしたのだが。


「おい、貴様そこで何をしている?」

227Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:29:03 ID:???
 

――どこかしら冷ややかな声が、庫内に響き渡り。
退避するよりも早く、わたしの懸念は見事的中してしまった…。


          ◇          ◇          ◇


背に投げかけられた声のした方へと、血も凍る思いで急ぎ振り返ると。
武器庫の入口の前に、蒼髪の鍛え抜かれた身体を持つ男が立ち塞がっていた。
その顔には覚えがある。詳細名簿に記載されていた「アイク」という青年だ。
確か、彼はミカヤ君の知り合いだったはず?
そして、彼はその名簿に記す所によれば――。

「誰もが古い友のように親しげにその名を口にする。
【蒼炎の勇者】と」

その内容が正しければ、彼は我々の敵ではない。むしろ味方だ。
そして、おそらくは誰にでも優しい気さくな好青年なのだろう。
しかも、彼は【蒼炎の勇者】…。
そう、わたしと同じ勇者なのだ!

 ――おお、素晴らしいぞゴードン!これは、実に幸先がいい!

わたしはどこかしら強ばった面持ちの異世界の勇者に、
小粋なジョークを交えた小話でその緊張を解きほぐそうと話しかけるよりも早く。

228Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:29:36 ID:???
 
「ミカヤに一体何をしていると聞いている?」

…………………はい?

警告というよりは威嚇に等しい程に、低く声を唸らせ。
ゆっくりと背中の剣を引き抜き、大股で近付いてくる。
おい、どういう事だゴードン?
好青年と評される割には、何だか空気が酷くおかしくはないか?

彼はこのわたしを“仲間”というよりは“敵”を、“敵”というよりは
“穢れきった汚物”を見るような目で睨み付けてきた。

――そこで、唐突にわたしは思い出す。
このわたしとミカヤ君の状態が、今どうなっているかという事に。
そして、ミカヤ君の知り合いがそれを見れば、
どういう誤解を招きかねないのかという事に。

な、な、ななななななな!何ということだ!ゴードンッ!!

一体、何の為に剣を抜いたのかなど、もはや考えるまでもない。
つまりは、わたしを斬り捨てるつもりなのだ。

第三十七代地球勇者である、このわたしを!
意識のない少女に暴行する変態と見倣して!

いかん!
いかん!
いかん!
いかんぞ―――!!

229Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:30:11 ID:???
 
「NOォォォォオオオ!! 違う、違うんだ青年よ!
 これは海よりも深い事情があってだな…」

邪悪なる敵と戦って、敗れて散るのはまだいい。
悪は残るが、このわたしの遺志を引き継ぐものは必ず現れるし、
命懸けで悪に立ち向かってこそ地球勇者の本懐でもあるからだ。

 ――だが、この挑まれた戦いは違う!あまりにも酷すぎる!

わたしが卑劣極まりない強姦魔と誤解され、正義の裁きを受けるだなどと!
このままでは、わたしがかの青年に対して誤解を解かぬ限り!
どう転んでも「強姦魔」の評価は揺るぎないものと成り果ててしまう!

屈辱だ!
地球勇者としてあまりの屈辱だ!
魔界勇者などというレベルを、はるかに超越した屈辱だ!

このままでは本当に変態と見倣された挙句、殺されてしまう!
しかも、この空間には逃げ場がない!
なんとか弁解する方法を見つけねば!

――だが、かの青年は酷く冷ややか声でわたしの弁明を拒絶する。

「…今更、言い訳と命乞いか?
 無様だな。貴様も戦士ならせめて武器を取れ。
 せめてもの情けだ。最期の死に華程度なら咲かせてやる。
 それとも、女子供相手にしか勇敢には振る舞えないのか?」

230Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:30:45 ID:???
剣の切っ先をこのわたしに突き付ける青年。
その声は、まるで死刑判決を述べる裁判官のように。
漂白された庫内に、無慈悲に響きわたった。

わたしの声は、彼には決して届かない。
誤解を解ける唯一の鍵であるミカヤ君は、未だ眠りについたまま。
これでは、説得など出来ようはずがない。


――話しを聞いてくれ青年よ!わたしは、わたしは今…。


 猛烈に悲しんでいる!


【B-2/塔の地下武器庫/1日目・夜中】  
【ゴードン@魔界戦記ディスガイア】
[状態]:半裸、右腕に切傷(応急処置済)
[装備]:ダグザハンマー@TO、回復の杖@TO、バルダーダガー@TO
[道具]:支給品一式×2
     参加者詳細名簿(写真付き)@不明、呪いの指輪@FFT
[思考]1:NOォォォォオオオ!! 違う、違うんだ青年よ!
    2:目の前の青年(アイク)の誤解を、なんとか解きたい。
    3:ミカヤ君!どうか早く、早く目を覚まして欲しいっ!
[備考]:ゴードンは何故オリビアがアンデット化したのかは把握していません。
    右腕の負傷は、治療の杖により傷口は塞いでいますが、完治していません。
    激しい運動をした場合、再び傷口が開く可能性があります。

231Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:31:15 ID:???
【ミカヤ@暁の女神】
[状態]:半裸、昏倒
[装備]:スターティアラ@TO
[道具]:支給品一式、
[思考]1:疲労による昏倒により思考不能


【アイク@暁の女神】
[状態]:全身にかすり傷・硝子による刺し傷・軽度の火傷
    左肩にえぐれた刺し傷・右腕に切り傷(全て応急処置済み)
    貧血(軽度)、中程度のダメージ。
[装備]:エタルド@暁の女神、リガルソードの柄@蒼炎の軌跡
[道具]:支給品一式(アイテム不明、ペットボトルの水一本消費、地図は禁止エリアに穴が開いている)、応急措置用の救急道具一式
[思考] 1:『蒼炎の勇者』として、この場で為すべきことを為す。
      (テリウスの未来の為、仲間と合流しゲームを完全に破壊する)。
    2:主催と因縁がありそうな者達(ラムザ・アティ)と合流し、協力者と情報を得たい。
     3:リチャードとシノンの死体を見つけ次第埋めてやる。
     4:漆黒の騎士に出会ったら?
     5:今度ネサラに出会った場合は、詳しく事情を問い詰める。
     6:目の前のミカヤに手を出そうとしている変態を始末する。
[備考]:リガルソードは殆ど柄のみになってます。
    折れて粉々になった刀身は、支給品袋に回収しています。

[共通備考]:【B−2】の塔、【E-2】の城、【H-7】の城、【C-6】の城の
      武器庫前の地下通路の扉はそれぞれがワープ装置で繋がっています。
      支給品の鍵で解錠するか、『女神の祝福』が施された武器で
      破壊する事が可能です。
      【B−2】の塔と【H-7】の城を繋ぐ扉が、アイクによって破壊されました。
      【H-7】の城にある武器庫のアイクの台座が硝子ごと爆発しました。
      内部にあったリガルソードは折れましたが、アイクが持ち去っています。

232Unavoidable Battle ◆j893VYBPfU:2012/07/25(水) 16:31:52 ID:???
投下完了いたします。

233源罪な名無しさん:2012/07/28(土) 13:26:52 ID:???
激しく乙です。

234名無しですかあなたは!:2012/08/01(水) 01:36:22 ID:T8nJEdNo
非常に乙です

235源罪な名無しさん:2012/08/13(月) 09:58:17 ID:???
Pixivに新作キタ━(゚∀゚)━!

ttp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=29301459

マルスとカチュア(…)ですな。
あんたステルスする気ないだろって顔になっとる。

236 ◆j893VYBPfU:2012/08/22(水) 11:13:46 ID:???
アティ&ネスティで予約

237 ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:08:20 ID:???
アティ&ネスティで投下。

238闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:09:44 ID:???
「その“救いの手”を受け入れるか、あくまでも拒絶するかについては、
 貴方達の自由意思に委ねましょう。これは強制ではありませんからね。
 このゲームでは、なにより自由意思による選択こそが尊重されるのです。
 貴方達のご健闘に期待しておりますよ…。」

僕は、アティとともにその不吉極まりない内容の“臨時放送”に聞き入っていた。
僕達が倒した筈の敵による、本来の予定にはない…。
あらゆる意味において“有り得ない”その放送。

――だが、その悪意に満ちた意図のみは十分過ぎる程に理解できる。
そして、キュラーの復活と彼の手による放送が、一体何を意味するのかも。

僕は同じ参加者であるマグナと、その仲間達との事を。
虚言と姦計を司る魔王レイム=メルギトスとの間で演じた壮絶な死闘を。
アティに打ち明けた。
――僕の生まれに関する事柄のみを、上手く取り除いて。

彼女はその内容の全てを熱心に聞き入っていたが、
僕では気付かぬ部分を補完するために――。
彼女自身のいきさつと、彼女とディエルゴとの関係、
そして、それらを繋ぎ合わせる二つの魔剣の事を――
僕の話しの後に、包み隠さず全てを打ち明けた。

「――私が知るディエルゴなら、先程の悪魔達と手を組むとは思えません。
 ディエルゴは――かけがえのないものを奪われて果てた方々の無念が、
 ハイネルさんを核として一つとなった、復讐者達の軍団(レギオン)なのですから。
 それが人を苦しめる事だけが喜びであり、
 それにより生じる負の感情を糧とする悪魔と手を組むという事は…。
 利用し合うという事自体、考えられないかと思います」

239闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:10:16 ID:???
そして、同時に彼女から聞かされたディエルゴについての情報からも、
キュラー達との同盟関係は有り得ないと断言出来る。
むしろ、ハイネルならキュラーのような悪魔達こそ真っ先に殲滅するだろう。
ハイネルのディエルゴとは、彼がかつて世界に抱いた愛情の裏返し的存在。
被害者の憎悪や悲憤を晴らす為に存在する、言わば“復讐者”であるならば?
純粋に悪しき収奪者であり捕食者など、決して認めたりはしないだろうから。

「――だとすれば、むしろ倒れたキュラー達がディエルゴを糧として蘇った…。
 そういう可能性は、どうだろうか?」

――そう。サプレスの悪魔は人間の絶望を始めとする、負の感情を糧とする。
ならば、実はまだ生きていたキュラー達がディエルゴを残さず糧とし、
その絶望を取り込んだなら、ディエルゴの存在を知ったとしてもおかしくはない。
そして、ディエルゴの想念は悪魔達にとってこの上ない滋養となりえるだろう。
ただでさえ、奴らには血識という異能もあるのだ。
だが――。

「それは、出来る可能性がないとは言えませんが、極めて困難かと思われます。
 世界の意思そのものを、それと万物を繋ぎ合わせる共界線(クリプス)を、
 一介の悪魔に取り込めるほどの器があるとは思えません…。
 むしろ、その強すぎる力を制御しきれず、破裂してしまうのではないでしょうか?
 ディエルゴを取り込むには、それこそ“魔王”とすら呼ばれる存在でもない限りは…」

アティが困難を喩える為に口にした、何気ない単語――。
だが、その偶然の一致に僕達は気付かされ。

「――そう、か…」
「――そう、ですね…」

「「虚言と奸計を司る魔王、メルギトスならあるいは…」」

――黒幕の存在を察し、そこに意見の一致を見た。

240闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:11:01 ID:???
そう。あの悪魔王がディエルゴすら取り込み、復活を果たしていたのであれば?
得られた力を活かして、配下のキュラー達を蘇らせることなど造作もないだろう。
もしかすれば、あの会場にいたヴォルマルフ達もまた蘇った存在なのかもしれない。
そして、それはすなわち――。

「アティ、どうやらこの主催者は思ったよりも随分と厄介らしい…」
「ええ、そうですね。そして、それが真実なら――」

僕やアティにとって深い因縁関係によって結ばれた…。
正しく不倶戴天の仇敵である事を意味する。
奴等を倒さない限り、僕達はおろかこの世界の危機は去りはしないだろう。

ましてや、様々な異世界から別の参加者を呼び出す事が出来るというのであれば?
その逆もまた可能であると、考えるべきだろう。
そして、何よりあの悪魔王がこの世界一つの支配だけで満足するとは、到底思えない。
――即ち、これは全世界にとっても危機であるという事か。

「――私の手で、絶対に阻止しなければなりません。
 メルギトスがハイネルさんの遺志を弄び、そして皆を狂わせるのであれば。
 それが私がハイネルさんに出来る、せめてもの恩返しですから」

そう言って彼女は遠くを睨み、固く拳を握り締めた。
これまでは、今にも壊れそうな程の脆さを見せていたにも関わらず。
別人かと思える程に変じた彼女の貌に、僕は少なからぬ驚きを覚えた。
――あるいは、これこそが彼女本来の姿なのかもしれない。
だが、僕はその貌にどこかしらマグナのような危うさを感じ。

「私じゃない。私“達”、だろ?」

241闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:11:34 ID:???
――気が付けば、僕は自分でも驚くべき事を口にしていた。
マグナとその仲間達以外の他人の事など、どうでも思っていたはずの自分が、だ。

「ああ、勘違いするなよ?君を助けようという親切心など毛頭ない。
 元より、メルギトスは僕にとっても因縁のある、許せない敵なんだ。
 奴を放ってはおけないし、君一人では勝利も覚束無い。
 利害が一致するなら、手を取り合った方が効率が良い。
 だから君を利用する。だから、君も僕を利用すれば良い」

僕自身と、マグナ達の為に。
これ以上、僕の仲間を失わない為に。
だからこそ、彼女に協定を申し込む。
同盟ではない。互いに負担をかけない、相互利用という形で以て。
いや、もしかするとこの時すでにアティを仲間だと認識していたのかもしれない。

――だが。

「いえ、折角の申し出は嬉しいのですが、それはお断りいたします」

彼女は僕の提案を、笑顔で断った。
…何故だ?君にとって何一つ損があるという訳でもないだろうに。

「私達が協力し合うのでしたら、お互いに“仲間”であって欲しいのです。
 分かり合わず、ただ利用し合うだけの関係なんて、私には我慢出来ません。
 こんな形とはいえ、せっかく私達はこうして知り合えたんです。
 だったらお互いの事を、もっともっと知り合いたいですから。
 それが私がお断りする、たった一つの理由です」

真剣な笑顔で彼女が告げる、あまりにも些細な一つの理由。
初めは僕をからかっているものとばかり思ったのだが。
それは決して冗談や思いつきで述べたものではない事は、
そのしっかりとした口調からも理解出来――。

242闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:12:24 ID:???
「…言いたい事は分かった。そんなことで良ければ、君の条件を飲もう。
 だが、一つ聞きたい。それは君にとって、何よりも重要な事なのか?」

僕は驚き呆れつつもその条件を飲み、彼女は同盟関係を快諾した。
だが、それは拒否に値する程の本当に重要な事柄なのだろうか?
あるいは、それは方便に過ぎず、別の理由でもあるのだろうか?
となおも訝しがる僕に、彼女は破顔して答える。

「はい。私にとっては、それこそが何よりも一番大事なことですから」
「分かったよ。しかし、君は本当に変わり者だな…。
 以前から周りにそう言われたことはないのかい?」

「ええ。よく言われますよ?」
「まったく、君という人は…」

彼女の実にあっさりとしたその答えに、僕はただ苦笑するしかなかった。

ともあれ、黒幕の正体と謎は図らずしも見えてきた。
――だが、それよりもまず先に片付けるべき問題がある。

「ただ、まずは…」
「ゼルギウスさんの、事ですね?」
「…蹄鉄の音どころか、全ての音がまるで聞こえない。
 あの少年の獣めいた気配も、全く感じられない。…気付いていたか?
 つまり生き残ったのは奴で、今頃は君を探しに村を徘徊でもしているのだろう。
 さながら、生者を追う死神のようにな。…君は、どうするつもりだ?」

彼女も僕の顔から意図を察したのか、その顔を引き締めて答える。
漆黒の騎士をどうにかしない事には、この場を生き残る事すら危うい。
そして、障害全てが片付いた今、奴の狙いはアティにこそあるというのだ。
そして彼女の返答は――。

243闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:12:56 ID:???
「こちらからも探して、もうこんな殺し合いに乗る事は辞めていただくよう、
 そして出来れば私達に力を貸してくださるよう、説得いたします」

――彼女の答えは、予想通りのものではあった。
経緯はさておき、結果としてアティは漆黒の騎士に一度助けられている。
見るからに情に厚そうな彼女が、奴の暴走を放置しておくとは思えない。
だが、奴が彼女に従うとは思えず、むしろ冷笑と白刃で返答する可能性が濃厚だ。
故に問う。当然のように起こり得る事態を、どう解決するつもりなのかを。

「もし、君の願いが聞き入られなかったら?」
「私が、ゼルギウスさんを止めます。必ず…」

――その返答には、これまでの彼女にはない力強い響きがあった。
決して譲らない。それ以外の事態など、決して起こさせはしない。
断じて阻止する。そのような、揺るぎない決意。

「果たして君に、それが出来るのか?」
「…それは、わかりません。でも、私がやらなければいけない事なのです。
 彼をこのままにしておきたくありませんし、今度は私が助ける番ですから。
 それに、やはりゼルギウスさんが幸福であるとは思えません。
 だからこそ、話し合って止めたいのです。
 彼にはまだ話し足りないことだって、一杯ありますから。だから…」

――やはり、よく分からない事を言う。
アティを突き動かすものは、徹頭徹尾個人的な感傷に過ぎない。
良くも悪くも優しすぎる、彼女らしいその信念の発露。
おそらく、彼女は「奴を確実に阻止出来る勝算」といった、
合理的なものは一切持ち合わせていないのだろう。
そうなれば、このまま彼女に付き従うのは危険でしかないのだが。
現実逃避した人間の夢想とは到底思えぬ、彼女の尋常ならざる気迫に
何かしらの可能性のようなものを感じ――。

244闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:13:34 ID:???
「…何を馬鹿なことを、とはもう僕も言わない。
 だがな、一つだけ言っておく。結果がどうなろうと、君は絶対に生き残るんだ。
 君はメルギトスを倒すために、重要な役目を担っているのだからな?」
「…ネスティさんも、ですよ?」

――僕は今一度、彼女の我儘に付き合ってみる事にしてみた。


          ◇          ◇          ◇


「これは、酷いな…」
「ええ…」

借りていた民家を出て、漆黒の騎士を探しに村中を徘徊しているうちに。
僕達は奴等の戦闘が行われた跡を発見し、その異常性に驚愕した。

村の一角には、かつて人間と軍馬だったものが散らばっていた。
犠牲者達の撒き散らかされた鮮血が、通りを赤く彩り。
飛び散った肉片と臓物が、むせ返るような臭いを放ち。
そして力任せに薙ぎ倒され、倒壊した一軒の家屋。
それらは、ここで行われた戦闘の激しさを、何よりも雄弁に物語り。
――焼き焦がす炎こそないものの、その光景はレムル村の虐殺を思わせる凄惨さがあった。

「これは全部、あの漆黒の騎士がやったことなのか?」
「…それは、わかりません。調べてみないことには…」

吐き気を催さずにはいられぬこの光景に、彼女は酷く顔を青褪めてはいたが。
やがて、決心したようにその顔を引き締め。

「…ごめんなさい。失礼します」

245闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:14:07 ID:???
彼女はその死体の前で頭を下げ、その衣装に鮮血が付くのも厭わず、
直接その手に触れ、真剣な顔で残骸の状況を詳細に調べ始めた。
――やがて、一通り確認が終わり。血に塗れた彼女は僕に向き直る。

「…何か、分かったのか?」
「この方の生命を奪ったのは、やはりゼルギウスさんです…。
 でも、気になる点が幾つかあります」

そういって、彼女は腕の切断面が鋭利な刃物で切られたいるにも関わらず、
人馬の首や胴体が斧らしきもので引き潰されたものとなっている事を示す。
――奴の得物は斧だったはず?まだ何か、隠しているものがあるという事か。
だが、それ以上に振りまかれた血潮の量が、二人分では足りないことや、
成人男性にしては、明らかに小さい足跡等が幾つかある事を指摘し。

「ゼルギウスさんは、さらにここで戦闘を繰り返しているようです」
「やはりか…。で、その相手の事は分かるのか?」

騎兵と歩兵の戦闘で、民家がその巻き添えを受けて倒壊するとは思えない。
この場で戦闘が繰り返された可能性を、僕も考えてはいたが。
その懸念は的中し、彼女は倒壊した民家から発見した黒い尻尾を見せ、
その相手が人外のものであることを僕に伝えた。

「この方の足首に残った手形を、ご覧になってください。
 人では有り得ない物凄い力を持った…、おそらくは女の子のようです」

比較的原型を留めていた下半身と首と両腕、そして肉塊と化した胴体から。
状況的には、その少女?が彼の死体を武器にして漆黒の騎士に殴りかかり、
それを奴が叩き落とすなりして、死体が散華したという事らしい。
――これが直撃していれば、奴もただでは済まなかっただろうが。

246闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:14:43 ID:???
だが、僕はこの少女らしき人外の怪物じみたその腕力よりも。
それを軽くいなした“漆黒の騎士”の技量にこそ、戦慄を覚えた。
――あの赤い悪魔を惨殺したという実績もある。
不利な状況や物量差をものともせず、それを容易く覆す程の戦巧者。
それは、他人の弱点や隙を見出す事に酷く卓越しているに違いない。
元より地力に劣る存在を殺すなど、赤子の手を捻るより容易い事だろう。

――果たして、アティは漆黒の騎士を止められるものなのだろうか?
その時僕は、彼女を無事助けられるものだろうか?
僕は背筋に冷たいものが流れ落ちるのを、感じずにはいられなかった。


「…で、その人間離れした力の少女はどうなっている?」
「傷付いて、どこかに逃げられたのでしょうか…」

そう言って、アティには聞いてみたものの。
僕はその少女らしきものがどうなったか、大方の想像は付いていた。
奴や少女の死体らしきものが、どこにも見当たらない。
そして、三人分以上の血がここで流されている。
倒された男のデイバッグも回収されていることから、
すなわち――。

「あるいは、別の場所で漆黒の騎士に殺された、か…
 いずれにせよ、全ての戦闘行為は終了したと見るべきだろう」

僕の推論に、アティはびくりとその小柄な身体を震わせる。
まるで、彼女自身が少女にそうしたかのように、
アティは罪の意識に苛まされ、その顔を更に暗くした。
だが――。

247闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:15:31 ID:???
「…ただ、ここで手当を受けた可能性もあるのです」

アティはそう言って、一つの血に塗れた地面を指差す。
そこは血とは別に、明らかに水で湿ったような跡があった。
まるで、その場で傷の消毒でも試みたかのように。

「その女の子に仲間がいて、彼らに助けられたのでしょうか?あるいは…」
「いずれにせよ、このままでは憶測の域を出ない。
 一度、当事者達の口から確認する必要があるな」

漆黒の騎士が、わざわざ敵に治療を施すといったことはないだろう。
無論、漆黒の騎士が負傷して自らの手当をここで行ったという可能性もあるのだが。
少女がどうなったかについては、聞いておく価値がある。
死体を振り回して鈍器にするような、あらゆる意味において非常識な輩なのだ。
道徳倫理が一切通用しない人外である以上、この殺し合いに乗っている可能性は高い。
本音を言えば、厄介者は共に倒れてくれた方が有難いのだが…。
それだけは口を紡ぐ事にした。

「とはいえ、どこに潜んでいるかだ。それが分からない事にはな。
 今頃は君でも探しにここを去ったか、あるいはどこかで休んでいるか…。
 唯でさえこの状況を築き上げ、なおかつ生き延びたような化け物が相手だ。
 たとえ傷を負っていようと、決して楽観など出来る相手ではない。
 …どうする、アティ?」

僕の発言にアティは俯き、ますますその顔を暗くしていたが――。

――…
――――…?

―――、――――――。

…唐突に、彼女は驚愕にその顔を跳ね上げた。

248闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:16:41 ID:???
「どうしたんだ?」
「えっ…ごめんなさい。ネスティさん…」

―――――――
――――――――。

――、――――――
――――!!

彼女はまるで何か得体の知れないものに気付いたかのように、
何者かの気配を伺い、不安げに周囲に視線を動かしていたが。
僕には一体何が起こっているのか、まるで理解する事が出来ず。

――――…
――…

――――…
――、――――…。

「…声が、聞こえるのです」
「なんだって?」

――――――――――
――――――

――、――――!!

一体、誰の声を聞いているのだろうか?
幻聴ではないのか、となお問い質す僕に。
彼女は大きくかぶりを振り、その声の主を僕に教えた。

249闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:17:42 ID:???
「碧の賢帝(シャルトス)の声が、はっきりと…。
 適格者を待ち望み、手に取る者を探しているようなのです。
 私の事は忘れてしまったのか、覚えてはいないようですが…。
 でも、あの剣はその意思と共に失われたはずなのに」

そうは語るが、やはり僕の耳には何も届かない。
気配のようなものは、言われてみれば感じる気もするのだが。
適格者の器になければ、魔剣の声など一切聞こえないという事か。
――あるいは、己の意思を伝えるに値しないと見下されているか。
いずれにせよ、事態が剣呑極まりないのは確かだ。

「君が言っていた、二つの魔剣の事か。だが、何故だ?」
「それは、わかりません…。ですが、一つだけ言えることがあります。
 あの剣はディエルゴの力と意思の一部であり、使う毎にそれに近付いていくのです。
 ですから、あれを誰かがその声に釣られて、魔剣を濫用してしまえば…」

そう言うと、アティは焦りの色をより深いものとする。
彼女だからこそ、わかるものがあるのだろう。
その魔剣とやらが、どれだけ手に負えず、抗い難い代物であるかという事を。
――もし、半端な適格者が剣を手にして、それを暴走させてしまえば?

「いずれ使い手を取り込み、『ディエルゴが完全な形で復活する』という訳か。
 いや、『メルギトスがさらなる力を得る』とでも言い直すべきなのか?
 ましてや、この村には漆黒の騎士が潜んでいる。そうなれば…」

万一、適格者と漆黒の騎士がぶつかれば、暴走の危険性は極めて高いものとなるだろう。
これほどの地獄を生み出せる猛者というのであれば、生半可な力では太刀打ちできまい。
いや、魔剣の力を以てしても、確実に勝てるという保証はない。
奴の力量は現場に残された死体の状況から考えても、明らかだ。
ならば、魔剣の使い手は後先を顧みぬ程の力を、それに求める事になりかねず…。

250闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:18:13 ID:???
「そんなっ…。今すぐ、探さなければ!
 そんなことになってしまえば、みんなっ、みんな……っ!」
「落ち着けアティ!状況をようく考えるんだ!
 適格者は世界中を探しても殆ど存在しないといったのは君自身だろう?
 だったらおそらく、魔剣に呼ばれているのは君だけだ、違うか?」

魔剣の恐ろしさを、ある意味最も容易く想像出来るせいなのか?
悪夢の未来を想像し、恐慌状態に陥った彼女を。
強く両肩を揺さぶり、強引に落ち着かせる。
――やれやれ。どうやら僕が彼女の代わりに、状況を分析する必要がありそうだ。

「それに第一、その漆黒の騎士がそれを拾い持ち歩いている可能性だってあるんだ。
 奴が君の言う適格者の器にあるとは到底思えないし、
 ならばなおの事他に適格者がいた所で、再契約など難しいだろう?
 奴から魔剣を奪い取るなど、至難のわざだろうからな」
「…………………………っ」

僕は可能な限り案ずるに足る根拠を並べて、彼女を落ち着かせようと試みる。
ほとんどは当て推量で根拠など何もないが、それでも沈黙を続けるよりはマシだ。
だが、肝心の彼女がこの状態であれば、奴との接触は危険に過ぎるかもしれない。
――まさに今、懸念した通りの事態が発生しかねないだろうから。
僕はそう判断し――。

「…いいかアティ、落ち着いて聞いてくれ。
 この村から逃れよう。ここは危険すぎる」

村の捜索の間、ずっと考えていた安全策を口にした。

「えっ?そんなっ…」

251闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:18:48 ID:???
信じられない、といった顔を向ける彼女に。
僕は苛立ちのあまり、思わず声を荒げた。

「君はバカか?!状況をよおく考えるんだ!
 漆黒の騎士は生き残り、まず間違いなく次の狙いは君だろう。
 そして君の言う魔剣もすぐ傍にある。それもまた君が狙いだ。
 奴とぶつかれば、再び君が手に取ってしまう可能性は決して少なくない。
 そして奴に追い込まれて迂闊にそれを使えば君という存在は消され、
 ディエルゴは、いやメルギトスは完全な力を得るだろう。
 そうなれば、このゲームに巻き込まれた全ての人間の…。
 いや、巻き込まれた全ての世界の命運は尽きてしまう!」

これまでの状況から考えれば、それは充分に起こり得る事態である。
いや、むしろこういった状況を人為的に作り上げる為にこそ、
ディエルゴはこの悪趣味な殺し合いを開催したのかもしれない。
魔剣の暴走を促し、それにより適格者を乗っ取り、完全なる力を取り戻す――。
それこそが、メルギトス=ディエルゴの最も望みそうな筋書きなのだから。

「そもそも、彼に戦闘を挑まれた場合、魔剣の力無しで勝てるとでも思うか?
 不思議な力に一切頼らず、ただ磨いた技量のみで己を圧倒する敵をねじ伏せるような、
 厄介極まりない相手が。それに、奴の言い分を信じるというのであれば、なお危うい。
 軍の頂点にいた英雄というのであれば、人を欺き殺す事にかけて奴はプロ中のプロだ。
 軍を抜けた君にとって、まさに天敵の類だろう。君の言う話し合いが通用しなければ…。
 その結果、失われるのは君の存在だけでは済まないんだ!」

今置かれた状況は、ほぼ最悪に近い。
故にこそ、僕は言い聞かせる。彼女自身の肩にかかる、責任の重さというものを。
彼女が個人的な感傷に溺れた結果が、最終的に恐るべき惨禍を引き起こす可能性を。
そして、それは決して少なくはない可能性を秘めているのだ。

252闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:19:26 ID:???
だが、彼女は自分の気持ちを抑えない。抑えようともしない。
それは、更に硬化させた表情からも容易く伺えるものであり。

「いいか、アティ。もう一度よく考えてくれ。
 それに漆黒の騎士を説得したいなら、まずは仲間を集めてからでも良くはないか?
 カーチスという男だって、もしかしたらすぐ駆けつけてくれるかもしれない。
 奴とて大勢で一度に来られれば、こちらを奇襲するような軽率は控えるだろう。
 勝算のない戦いを、プロならなおさら避けるはずだからな。君の危険も減る。
 説得は、改めてその時にでもゆっくりと行えばよい」

故にこそ、僕はさらに言い聞かせる。
妥協案、ないし彼女が納得できるであろう落し所を模索する。
彼女は見た目に反して恐ろしく頑固だ。決して己というものを曲げない。
己を曲げず、数々の修羅場をくぐり抜けて来た自負もそうさせているのだろう。
だが、その決して折れぬ意思が裏目に出る局面というものもある。
第一、彼女とその実力を全面的に信頼しても良いものかどうか…。

故に眼前の危険は出来るだけ避けて、安全策を取るべきなのだが。
とはいえ、僕が強引に彼女を無から連れ出そうとした所で、
彼女は僕の手を振りほどき、独断で行動しかねないだろう。
そうなれば、過程は違えど結果は同じとなる。
…だからこそ、彼女の同意を得ねばならない。

「…一体、何を迷う必要がある?
 もし今すぐにでも奴を阻止しに動く必要があるというのなら、教えてほしい。
 それだけの理由が僕に説明出来るというのなら、僕も考えを改めよう。
 だが、一つ言っておく。もはや君一人の感傷で決めて良い問題ではないんだ。
 それをよく考えた上で、納得の出来る返事というものを聞かせて欲しい」

253闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:19:56 ID:???
故にこそ、僕は重ねて言い聞かせる。
これがこの場において、最も合理的な判断であるという自信もある。
だが、残念な事に僕の言葉に彼女に納得する気配は、一向に見られない。
置かれている状況に自覚はあり、それに悩んではいるようではあるが…。
――メルギトスがこの場を見ていれば、思い切り哄笑している事だろう。

僕は胸に込み上げる焦りを、必死で抑えながら。
この場を上手くまとめ、彼女の独走を抑える次の言葉を必死に探し続けた。
…すぐ傍に潜んでいるであろう一振りと一人の死神に、戦慄を覚えながら。


そして、彼女の回答は――。


【C-3/村/1日目・夜中】
【アティ@サモンナイト3】
[状態]:左腿に切り傷(応急措置済)、精神的疲労(中度)、衣装が血塗れ
[装備]:呪縛刀@FFT
[道具]:支給品一式
    改造された無線機(故障中)@サモンナイト2(?)
[思考]1:メルギトス=ディエルゴを、どうにかしなくては。
    2:ゼルギウスさん(漆黒の騎士)の暴走を、必ず阻止する。
    3:対話と交渉で、ヴォルマルフからベルフラウの蘇生法を得られる?
[備考]:改造された無線機は、ヴァイスとの戦闘時による衝撃で故障しています。
    正常に動作させるには、適切な部品を集めて修理を施す必要があります。
    キュラー達やヴォルマルフ達がディエルゴの力で蘇生した可能性から、
    対話と交渉によるベルフラウの蘇生に不安を抱いています。
    ハーディンと軍馬の死体の状況を入念に調べていたので、服が血に塗れてます。

254闇に潜み見つめるモノ ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:20:29 ID:???
【ネスティ@サモンナイト2】
[状態]:全身に火傷(応急措置済)、身体的疲労(軽度)、精神的疲労(軽度)
[装備]:ダークロア@TO 、村人の服@現実、顔を除いた全身に包帯
[道具]:支給品一式(食料1/2食分消費) 、蒼の派閥の学生服(ネスティ用)、
    エトナのボンテージ(サイズは大人用)、予備の包帯
[思考]1:メルギトス=ディエルゴを倒して、元の世界に帰還する。
    2:自分と仲間(アティを含む)の身の安全を優先
    3:自分がマグナに信頼される人間である為に、アティに協力。
    4:アティの無謀ぶりと漆黒の騎士に強い危機感。
    5:アティに己が融機人である事を話すか、考え中。
    6:自分の心を救ったアティへの感謝と好意(及び劣情?)

[共通備考]:村の戦闘跡から、漆黒の騎士の戦闘力をある程度把握しました。
      主催がディエルゴに深く関わりのある存在である事を確信しました。
      アティとネスティは共に、悪魔王メルギトスがハイネルのディエルゴを
      吸収して復活を遂げた存在ではないかとの推測を立てています。
      そして、魔剣の暴走を促し、適格者を乗っ取り力を取り戻す事が
      このゲーム開催の目的ではないかとも考えています。

255 ◆j893VYBPfU:2012/08/29(水) 03:21:47 ID:???
これにて投下終了です。
ご意見等あればお願い致します。

256名無しですかあなたは!:2012/08/31(金) 00:24:55 ID:T8nJEdNo
投下乙です、先の展開に期待

257源罪な名無しさん:2012/09/04(火) 10:07:20 ID:???
とりあえず、問題なさそうなのでWiki登録しますね

258源罪な名無しさん:2013/02/13(水) 14:27:41 ID:Be5rWcpk
あげ

259源罪な名無しさん:2013/02/14(木) 23:39:12 ID:???
いや、あげる必要はないってw

260 ◆j893VYBPfU:2013/02/22(金) 10:08:23 ID:???
タルタロス、ネサラ、パッフェル、マグナで予約します。
人、いるかな?

261源罪な名無しさん:2013/02/23(土) 22:35:19 ID:???
お待ちしてます!

262 ◆j893VYBPfU:2013/03/09(土) 08:55:57 ID:???
予約の延長を。

263源罪な名無しさん:2013/03/10(日) 15:53:17 ID:???
おお、久しぶりの予約入ってた!
ここにいるぞ!

264 ◆j893VYBPfU:2013/03/15(金) 10:17:19 ID:???
予約の延長を…。

265 ◆j893VYBPfU:2013/04/06(土) 00:29:54 ID:???
予約から随分と遅れましたが、
タルタロス、ネサラ、パッフェル、マグナで投下します。

266行く手を阻むもの ◆j893VYBPfU:2013/04/06(土) 00:30:41 ID:???
駆ける、駆ける、駆ける――――。
私はただ、暗闇の草原を駆け抜ける。

己の甲冑は、道中の目立たぬ場所に脱ぎ捨てて来た。
先程の戦いでルヴァイドを斬り捨てた時、その甲冑の手応えのなさを疑問に思い。
そして薄紙にも等しい装甲を、一切の疑問もなく身に付けていた事が理解出来ず。

この島でのこれまでの不可解な出来事の数々から、思い当たるものを感じ。
念の為にと己の甲冑も試してみれば、やはり容易く曲がり斬れた為である。

おそらくは、この殺戮劇の主催者がゲームの平等性を重んじるために、
あらかじめ身につけていた防具を無力化していたのだろう。
現に、あの小物もまた本来の防具から着替えていたのだ。

ならば、今の防具は無意味どころか、文字通り足手纏いでしかない。
むしろ身軽になった方が、一刻も早くマグナに追いつけようものだ。

とはいえ、この暗闇の草原の中で。
厭おしい…。いや、ある意味愛おしい彼を探すのは一苦労やもしれぬが。
私とマグナの因縁だ。この私が諦めぬ限り、必ずや再会は果たされるだろう。

―――いや、果たされるべきなのだ。
これは宿命であり、運命なのだから。

マグナとて、私が殺した仲間にあそこまで言われたのだ。
「“お前は奴よりも強い”」とな。

267行く手を阻むもの ◆j893VYBPfU:2013/04/06(土) 00:31:15 ID:???
彼の言葉を信じようとせず、いつまでも逃げ回る“超律者”など有り得ぬだろう?
私の言葉を否定するために、マグナには是非自ら手を汚す覚悟を決めて貰いたい。
…そうでなければ、私がつまらぬのだ。

そうして現実に向き直り、ようやく奮い起こしたその健気な意志を。
私は真っ向から打ち砕き、貴様の全てを否定し尽くしたいのだ。

――わかるな、マグナよ?

私は湧き上がる熱い期待を胸に、口元に笑みを浮かべると。
草木を蹴散らす勢いで、彼を追い求め続けた――。


          ◇          ◇          ◇


「へえ、何一つ真剣に話しをする気はないって訳だ…」

私は、身体の線が強調されたあられもない姿で。
ハンサムな青年の腕に抱かれながら、人では絶対に眺める事が叶わない…。
絶景を見下ろしながらのデートに誘われ、そのムードに酔っていました。
身体は打ち震え、鼓動は激しく脈打ち。
ああ。このまま胸は張り裂け、天にも登りそうです――。


…って、なんですかこれぇ!全然違いますよぉ!
これ、言っている人誰ですかぁ!ぜぇんぶ訂正してくださいよぉ!

268行く手を阻むもの ◆j893VYBPfU:2013/04/06(土) 00:31:58 ID:???


濡れて張り付いたシーツと寒空のせいで、凍える程ガタガタ震えててぇ!
人を人と思ってなさそうな、不審人物さんにとっつかまってぇ!
いつ突き落とされるか分からないから、心臓バクバクものでぇ!
このままだと、胸どころか全身が落下した衝撃で引き裂けてぇ!
全然別の意味で昇天しちゃいますよぉ!

…って、よく考えたらこれ、全部皮肉になってるじゃないですかぁ!!
ううっ、ひどいですよぉ…。しくしくしく…。

まあ、取り敢えず文句は置いといて。
この状況は、もう致し方ないですね。

薬や拷問だってそりゃもう慣れっこでしたけど、
このままでいて良い事はなんにも無い訳ですし。
だったら、相手がたとえこの殺し合いに乗っていても、
ばらしても問題の無い事だけ正直に喋っちゃいますか?

だってこのやさぐれフレイズさん、明らかに目が据わってますし…。

「もー、そんな怖い顔しないでくださいよー?
 北の城で二人組に襲われた事とか、今すぐお話ししますから、ね?
 とは言え、本当に寒くって凍えそうで仕方ないですから…。
 その間、毛布代わりにぎゅっと抱きしめてもいいですか?
 ちょっと位なら、そっちも抱きしめたり、触ったりしてもいいですから。
 あっ、もちろんリアーネさんには黙ってあげますよ?」

269行く手を阻むもの ◆j893VYBPfU:2013/04/06(土) 00:32:29 ID:???
とまあ、相手にさりげなく接触を試みる。
相手にスケベ心が少しでもあれば、それを逆手に取って
隙を見て逃げるなり関節でも極めたりのしちゃえば良い訳で。
まあ組討とか寝技の類なら、房中術の一環というか締めで、
(最近使ってないとはいえ)得意中の得意な訳なんですけどね。
“茨の君”ヘイゼルの名は伊達じゃない、ってことで。

「生憎、ニンゲンなんてゲテモノつまみ食いする趣味は俺にはねえなあ?
 …だがま、降ろすってのならいいだろ。ちっとは気も変わったみたいだしな」

だが、ニンゲンの私に一切魅力なんて感じやしないのか。
大きな溜息を吐くと、侮蔑丸出しであっさりと誘惑を切り捨てた。
……うら若き乙女をゲテモノ呼ばわりだなんて、ちょっと酷過ぎますよー。
そりゃまあ、中身はおばさんだったりしますけどね…。
とまあ、泣きたい気分は抑え込んで。

元々あまり興味がないのは感じてましたから、それならそれで良いとして。
ニンゲンを嫌がっているのなら、それを逆手に取れば良い訳で。

「わー。どうも、ありがとうございますぅ。
 それにごめんなさい。そんなにくっつかれるのお嫌でしたなら、
 今すぐ離れて着が「ダメだ」」


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