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チラシの裏 二枚目

300名無しさん:2012/10/30(火) 10:22:03 ID:e8Gy92mw
本スレ連投規制食らいました。
思考錯誤してみましたがどうにもならず、すみませんがこちらに投下させて頂きます。
お手数ですが宜しければどなたか転載お願いします。

馬鹿の好みに合わせて焦げ目がつくくらいに良く焼いて、今日は隠し味も少しだけ入れてやった。
「イイ匂い、キャスは今日もパーフェクト、素敵だね」
ズボンを履いただけの上半身裸野郎がフライパンへ手を伸ばす、反射的にフォークで彼の手を叩いた。
「――ッチ!キャス!酷いじゃないか!」
「まだ、出来てませんから。パンでも齧ってなさい、馬鹿」
焦りの色は出ていなかったと思う、けれど値踏みするように、初めて町で会った時のようにバートラムは私を頭のてっぺんからつま先まで舐めるように眺めた。
と、思えば瞬きしていつもの顔に戻り、両手を挙げてソーリー、と小さく言う。
「俺が悪かったよ、キャス。酷いなんて嘘だ」
私が何を言う間もなく、奴はパンが入った籠とミルクを手にリビングの机へと向かう。
私も火を止め、料理を盛って食卓に着いた。
「これから仕事ですから、貴方一人で食べてください」
言い置いて立ち上がりかけた腕を奴の節くれだった太い指が勢いよく掴んだ。
見上げてくる目線はギラギラと熱を孕んでいて、気持ちが悪い。
「ね、キャス。今日は早く帰って来てくれるかい?」
「さぁ、貴方には関係のないことでしょう」
馬鹿げてる、と喉元まで出た言葉は飲み込んだ。
バートラムの手がフォークに伸びる。そうだ、それでいい。
「……ジャア俺、キャスが帰るまで待ってる」
奴の手から落ちたフォークが床に落ちて音が響く、醜い音。
私が人を手にかけるときの心音に似ていた。
「待たないでください、帰りませんよ」
「お前は絶対帰ってくるよ、愛してる――キャス」
声だけでバートラムが微笑んでいるのが分かった、嗜虐的な笑みだ。
背にかかる声を振り切るように早足で玄関を抜けて、扉を勢い良く閉じた。

「バートの、馬鹿」
目を閉じて言葉を喉から振り絞って吐き出した。
私はたった一つだけ、依頼を遂行出来ていない。




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