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0さん以外の人が萌えを投下するスレ

488夜の図書館2/2:2014/05/06(火) 01:41:10 ID:8cgULlT2
同じ本好き同士話が合うかと思ったのだが、予想外だったのは仲原が借りていたのが全て推理小説だったことだ。
社会派推理小説が勢いを失って久しいがここ最近は本格推理が復権してきて云々、
人が殺される小説なんてと眉をひそめる大人が多い中ここの司書は理解があって助かる云々…
仲原はここぞとばかりに薀蓄を語った。内容はさっぱりだったけれど、目を輝かせる仲原の話を結局最後まで聞いた。
こうして奇妙な付き合いが始まった。俺が少しばかり推理小説を齧るようになり、仲原が文学作品を読むようになり、
そのうち、変な噂が立つと困るから夜にこっそり会おうと…こう言い出したのは仲原だ。
…情けないことに、初めてのキスも仲原の方からだった。
お互いの想いには気が付いていたのに、俺は踏み出すことができないでいた。それに、今だって…

「…ん、やめろったら」
仲原の手が学ランの上着の下に入ってきて、俺はまた仲原の動きを制した。
「先輩がキス以上のことをしてくれないから…」
ふてくされたような言い方が、可愛い。
俺だって男なのだから、今以上の関係になりたいという欲はあるが。
「校内で淫行なんて、ばれたら二人そろって退学だぞ」
俺だけならまだしも、こいつの将来まで狂わせるわけにはいかないのだ。
「…今は何を読んでるんだ」
話を逸らそうと、唐突にそんなことを言ってみる。
仲原は、有名な文学作品のタイトルを口にした。
「まだ読んでなかったのか」
「推理小説専門の僕をこっちに引き込んだのは先輩ですよ」
仲原が俺から離れ、俺の隣で本棚にもたれかかった。
「――『恋は罪悪』、ですって」
件の本に出てくる有名な言葉を、仲原は引き合いに出した。
「吉井先輩に会う前なら、わからなかったと思います」
俺も、こいつと会う前にはよくわからなかった。
退学の危険を冒して夜中にわざわざ寮を抜け出してでも、会いたい人間がいる気持ちなんて。

俺は仲原の体を抱き寄せると、そっと口付けた。二人とも、体が少し震えていた。


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