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0さん以外の人が萌えを投下するスレ

47028-549 優等生弟×空回り兄:2014/02/23(日) 15:52:13 ID:ci25Vx5Y


朝食での失敗を挽回しようと、嗣史を保育園へ送るべく自転車の用意をする。しっかりと安全用にヘルメットを装着し、シートベルトを嵌める。

母さんの運転とは違う、高校生男子ならではのパワフルな走りを嗣史に見せて、兄の威厳を取り戻してやる!

と思い、ペダルを踏み出そうとした矢先、自転車はヨロヨロとバランスを崩して倒れかけた。慌てて足をついて嗣史を乗せた自転車を支える。いつもと重心の違う感覚に、上手く走り出せなかったのだ。

「カズくん、今日は早起きしたし、歩いて行こう?学校行く前にカズくんがケガしちゃうよ?」

自転車が倒れてしまえば、自分だって怪我をするのに、真っ先に俺のことを気遣う。

そんな弟を思わず抱きしめ、兄のプライドと意地を捨てて素直に嗣史に従い歩いて登校することを決める。こんな可愛い弟を怪我なんてさせられるものか!

そんなこんなで、嗣史の手を引きながら保育園までの道のりをお喋りしながら歩く。

「情けないな…」

「カズくん、どうしたの?カズくんもかぜ?」

落ち込んだ姿を見て、嗣史が心配そうに尋ねる。

「違うよ。ニーチャンはさ、嗣くらい小さいときって、カッコイイ兄ちゃんが欲しいなって思っててさ。嗣が生まれたとき、俺は嗣の自慢の兄ちゃんになるんだって決めたんだ。だけど、失敗ばっかだからさ、少し落ち込んでたんだ」

「どうして落ち込むの?カズくんは僕の自慢のおにいちゃんだよ」

「え?」

「カズくん、失敗は誰でもするんだよ?でもね、失敗は恥ずかしいことじゃないって、パパが言ってたんだ。カズくんの失敗した時はね、パパとママと、カズくん可愛いねーって言ってたんだよ」

義父、なんていい事を言うんだ。可愛いは聞き捨てならないけど。と、感動したのも束の間、嗣史から爆弾が投下される。

「それに、カズくんみたいに失敗の多い人は“どじっこ”で、可愛いどじっこは“おれのよめ”なんだよ」

「…は?」

「だからね、可愛いカズくんは僕が大きくなったら、およめさんにしてあげるね!」

と、無邪気な笑顔でプロポーズをされる。

「そ、それも、義父さんが言ってたの?」

返ってくる答えを聞くのは怖いが、恐る恐る訊ねてみる。

「違うよ。保育園のやよいせんせーだよ」

「そ、そうかー 」

はははと乾いた笑いを返しながら、この純真無垢な可愛い弟を、本当に保育園まで送り届けるべきか迷いながら、にこやかに歩く弟の手を引いて通学路を進むのであった。



とりあえず、成長すればそれこそ可愛い彼女でも出来るだろう。


そう思ってそのまま考えを正さなかったために、俺は10年後に後悔することになるのは、また別の話。


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