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0さん以外の人が萌えを投下するスレ

46128-59 介抱 1/2:2013/11/26(火) 16:08:29 ID:M.XQpq0A
 昼に怪我をした。落ちて、足首をひねったのだ。労災になるとかで怒られた。
 病院に行ってレントゲン撮って、骨には異常なし。ただのねんざ。
 医者の言葉に、上司の新谷さんがあからさまにホッとしたので、むかついた。そんなに労災が怖いか。もっと大ケガすりゃよかった。
 もともと、新谷さんとはあまり仲がよくない。ガタイばかりでかくて、やたら細かい。うざい存在だった。

 夜になって、痛み出すまでは余裕だったのだ。
 ずきん、ずきんと痛めた箇所が脈打ちはじめて、あわてて痛み止めを飲んだが遅かったらしい。
 そういや氷で冷やせって言われたっけ、と思い出すが、あいにく冷凍庫は空っぽ。
 しかたなくビールで冷やすが、飲めない温度のビールばかり増えてちっとも治まらない。
 どんどん痛みが増し、気がつくと唸っていた。
 足が、おおげさじゃなく倍に腫れてる。心拍と一緒に、ズッキンズッキンと音が聞こえるようだ。
 床に転がって足を抱えた。顔まで熱くなって目が開けられない。口が勝手に痛い、痛い、とつぶやき出す。涙がにじんだ。じっとしてられないくて転げ回った。

 と、ドアチャイムがなった。
「加原? 新谷です、開けるぞ」
 驚いた。いくら会社の寮だからって、上司が来る時間じゃない。
「……すんません、今マジ勘弁してください、すっげ痛むんで……」
「だから来たんだ、お前、絶対冷やしてないと思ったから」
 新谷さんが勝手に入ってくる。マジでむかつく。帰れって言ったのに。他人に会いたくないのに。
 うめきが自分で抑えられない。たぶん、熱も出てきて、背中の汗は冷たいのに体は熱い。
「足、出して」
「……え?」
「ああ、やっぱり腫れた。テーピングしろって言ったのになぁ」
 ぼんやり思い出す。おおげさなことはしたくなかったから、俺が医者に断ったのだ。
「保冷剤いっぱい持ってきたから。冷凍庫空いてるか?これ入れるぞ」
 スーパーの買い物袋いっぱいに重そうな何かが入ってるのが見えた。
「痛かったら言って」
「あっ! ちょ、触らないで、いた、冷た!」
「だから保冷剤。縛っとくから、ぬるくなったら取り替える、わかったか?」
 抵抗する間も力もない。身を縮めてるうちになんどかケガの足を持ち上げられ、そのたびに「いたい!」と声にならない声をあげてしまう。
「そおっとやるから……ほらもういい」
 見ると足首はグルグル巻きだった。包帯じゃなくてレトロな手ぬぐい。保冷剤がいくつも入れられて、足首を三倍にしてる。
 冷気が伝わってくる感覚。最初と違って全然冷たく感じない。
 ズッキン、ズッキンと脈打っていた灼熱の痛みが、ゆっくりと、ゆっくりと軽くなっていく。
 それで、俺はようやく力を抜いて横たわることができた。足は動かせなくてだらりと垂れたまま。
「痛み止めは飲んだか?」
「さっき飲みました……」
「早く飲まないと効かないって言ったのに……で、なんだ、これ」
 テーブルの上の缶を見とがめられる。「まさか今飲んだんじゃないよな?」
「あ、えっと……昨日のです」
「……お前なぁ、絶対飲むなって言っただろう」
 確かに酔いがまわると同時に痛み出したのだった。
「こんなことなら、病院からつきっきりでここまで帰ってくりゃよかった」
 新谷さんは顔をしかめた。


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