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0さん以外の人が萌えを投下するスレ
445
:
いぬのおまわりさん
:2013/10/10(木) 22:48:07 ID:NKHbYIcw
ありのまま、今起こったことを話させてもらう。リモコンの電源ボタンを押したら、テレビ画面から猫耳と尻尾がついた全裸の美少年が出てきた。
何を言っているのか分からないと思うが、俺も何を見ているのか分からない。
ぽかんと口を開けてリモコンを持ったまま固まっていると、俺を見た美少年は青く澄んだ瞳をまん丸に開いた。
「ー!」
聞き覚えのない言葉を叫んで、ぶわっと尻尾を膨らませた。俺と距離をとるように横に飛び退く。
瞬発力、飛躍力、柔軟性に富んだ軽やかな動きだった。衝撃を吸収した着地は、足音がほぼない。華麗なひとつひとつの動きに目を奪われてしまった。
「…あ」
ようやく我にかえる。しかし、現実味のないこの状況が慌てるという概念を欠落させていた。気づけば俺は普通に話しかけていた。
「どうやってテレビから出てきたんだ」
美少年は首を少し傾げた。さっきまで威嚇していたのに、目が点になっている。そして何を思ったのか、人さし指を前にだして動かし始めた。
その軌道にそって青く光る文字が浮かび上がる。文字を書き終えた美少年は、そこに息を吹き掛けた。文字は砂のようにさらさらと消えていった。
「これで通じるだろ」
「何をしたんだ」
「お、通じたな。魔法で言葉が通じるようにしたんだ」
「魔法?」
テレビから貞子出演、猫耳尻尾。これ以上驚くこともないと思っていたのに、次は魔法とな。漫画じゃあるまいし、こんなこと有り得る筈がない。
「そっか、俺、疲れてたのか」
「なにをぶつぶつ言っている。気持ち悪いぞ。なあ、お前に聞きたいことがあるんだが」
「うん?」
話しているうちに打ち解けた。そしてわかったこと。猫耳美少年はソラというらしい。本名は長かったからソラで。
ソラは異世界から来たらしい。なんでも魔法の練習をしていたら時空で迷ってこの世界に辿り着いたのだそうだ。
それだけでも吃驚なのに、ソラが王子で二十歳ということにも驚かされた。高慢な態度だったけど、まさか王子で俺より一つ歳上とは。これにはソラも驚いた。
「お前が…十九歳だと…」
「おい」
俺が老けてるみたいに言うな。俺は童顔だ。ただソラの世界では、未成年はもっと幼い容姿なのかもしれない。実際、ソラは中学生くらいにしか見えないし。
「俺様については話したぞ。次はお前について話せ」
王子だからか気品は感じられるけど、相変わらず不遜な態度だ。たまに手をざらついた舌で舐めているのは可愛いけども。
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