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0さん以外の人が萌えを投下するスレ

17320-769 空振りだけどそこがいい 2/2:2011/07/29(金) 13:21:50 ID:7aWkQAfE
「なあ」
「ん?」
「俺、この部屋に来てて大丈夫か?」
質問の意図がわからない。俺を見る彼の目はそう言っていた。
俺は何気ないふうを装いながら、渇く唇を湿らせた。
「俺がいつもいたら困ることもあるだろ。ほら、彼女とかさ」
言ってから心臓が常にない速さで脈打ちはじめた。
じゃあ遠慮してくれ。そうなんだ彼女ができたんだ。好きな奴がいる。いい加減鬱陶しい。悪い予想はいくらでも涌いて出た。
彼はじっと俺を見つめていた。
その視線の圧力に俺が目を逸らしかけたとき、小さく笑った。
「お前ならいい」
えっ、と声が漏れた。短い言葉には、何となく含みがあるように感じられた。
先ほどまでとは違う意味で鼓動が速くなっていく。
「どういう意味?」
「言葉どおりの意味」
さらりと口にされたその答えを聞いて顔が熱くなった。一瞬で脳が混乱しかける。
が、ふと冷静に考えて、肩の力が抜けた。
「ああ、そうか、なるほど、『親友』だもんな」
目の前の健全な男なら大方そんなところだろう。ふつう、男同士であんなことを『そういう』意味で言うまい。
赤くなった頬をごまかしたくて、親友、親友と言い聞かせるみたいに何度も呟いた。
こっちの気も知らないで、どこまでも掴み所がない奴。
だがそんなところもいいと思えるんだから、俺も相当こいつにやられているらしい。

そんなふうに俺はひとり物思いにふけっていた。
なので、彼が俺を見ながらため息を吐き、苦笑していたことになどこれっぽっちも気づいていなかった。


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