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0さん以外の人が萌えを投下するスレ

13921‐509 人恋しい夜 1/2:2011/06/11(土) 10:52:27 ID:MmsP4mig
疲れた体でベッドに寝転がる。今すぐ眠りに落ちたいんだけど、一人きりのベッドが酷く寂しかった。
いつもの事なのにたまにあるんだよなあ、こーゆーの。
寂しいっていうのもセックスしたいとかじゃなくてただ単純に寂しい。
ベッドにもぐりこんだ時にシーツが冷たいとか、帰ってきた時に部屋の電気が真っ暗だとか、
そんなのもうずっと前からの事なのになあ。
年食うと涙もろくなるっていうけど、これもその一種類なんかなあー。俺、寂しいなあー。
枕に埋めた顔をのろのろと上げながら、一度だけ迷って携帯を手に取った。
……真夜中だ。まあ、何回か鳴らして、出なければそれで。そしたらまあ諦めもつくってもんでしょ。
寂しい気持ちが、以前だったら耐えられなかったけれどそこに諦めがつくようになったのも年取ったって事なんかなあ。

履歴に残りっぱなしの番号を探し当てて、発信ボタンを押した。
向こう側に繋がるまでの少しの隙間は今俺が寂しいと感じる原因が詰まっているようで少しだけ体が強張る。
もそもそと体をベッドの上で丸めながら携帯を耳に押し当てる。
一回、二回、電話の鳴る音。もう一回で応答が無ければ切ろう、そう考えていた時。

『……今、何時だと思ってんの』

無愛想な声はそれでも多分眠ってはいなかった。それくらい、声だけでわかっちゃうんだよ俺。
なーすごい?って聞きたいけどぐっと我慢する。声と一緒に表情まで浮かんできて思わず声に出さずに笑った俺に、
秀幸はまるでこっち側が見えるみたいに何笑ってんの、と呟いた。

「いやー、秀幸だなあって」
『……当たり前でしょ。どこに電話したつもりだったの』
「ん?お前んとこ……」
『それで俺以外が出たらおかしいじゃん』
「そーだねえ」

耳からじんわりと暖かさが広がっていく。あー俺ほんと寂しかったんだなー。ちょっと涙ぐみそう。どうしよう。

『で、どーしたのこんな時間に』
「え?えー……教えてほしい?」
『……うっぜえ、直哉』
「なんだよお前、酷いな……」

口と裏腹に秀幸の声は優しい。声だけだから余計にそう感じるのかな。俺の希望的観測だったりして。

「ねー秀幸、俺さあ、」
『……ん』
「お前の事、やっぱ好きだなあ」

お前の声とか、お前のそういうちょっと優しいとことか、優しいって見せたがらないとことか、
何だかんだ言ってこーやってつきあってくれるとことか。多分今、ちょっと呆れた顔してでっかい目細めてそうなとことか。

『……酔ってんの?』
「んー、ちょっと飲んだけど、酔ってはないなあ」
『じゃあ、どうしたの』

どうしたんだっけ。そうそう、俺、寂しかったんだよねえ。でも多分まー誰でもいいって事じゃなくて、
真っ先に浮かんだのがお前で、ほんとは会いたいんだけどさすがにちょっと無理だしだから電話してみたっていうか。
そしたらお前が出てくれたっていうか。そういう事なんだけどうまく言えない。
少しだけ頭の端がとろとろと、眠りに落ちそうになってシーツが体温にあったまってきて、あ、やばいなって思った。

「ひでゆきぃ、」

只寂しかったってのはほんとだよ。ちょっと人恋しいなっていうだけだったんだ。
俺がいくら貞操観念があんま無くってもさあ。そういうだけの時だってある訳で。
元々はそうだったんだけどおかしい。眠気が変質していくのがわかる。閉じかけた瞼の裏にゆらゆら、何かが揺れている。
なんで俺今こんなちょとヨクジョーしちゃってんだろ。
……あーそっか。電話の声って耳元だ。セックスに似てるな、とか思わず考えた俺の負け。


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