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臨時なのはクロススレ15
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僕こと、キラ・ヤマトは軍人だ。
現役職は木星第一開拓コロニー警護隊隊長‐兼‐木星宙域探査隊隊長の23歳。
因みに副隊長であり懐刀はシン・アスカ。
彼とはもう長い付き合いで、私生活でも職場でも頼りにさせてもらってる……ってか、世話をやかせちゃってるんだけどね。
文句を言いながらも付き合ってくれる彼は本当に良い人だと思う。
さて。
何故C.E.74で敵対関係──殺し合った仲──だった僕と彼がこんな穏やかな関係なっていて、
更に言えば、つい近年まで只の一般人だった僕が何故こんな大それた役職についているのかというと、それは今がC.E.78だからに他ならない。
かつて、二度に渡って繰り広げられた悲しい大戦からは既に4年が経過した、戦争が過去の記憶となった時代なんだ。
みんなの『力と想いと努力』でなんとか世界に平和の種と歌を広げていった末に、無事に育て上げられ花咲いた集大成はC.E.75の冬。
人々は次第に活気と笑顔を取り戻し、新しい命が健全と芽吹いていって。
そして新天地としての外宇宙に再び目を向けるまでは、さして時間はかからなかった。
コーディネイターが本来の使命に目覚め、人類の新たな足掛かりとして木星圏に新型コロニーを建造・完成、僕ら『先大戦の英雄御一行様』が第一陣として、木星圏開拓責任者になったんだ。
それがこのC.E.78という年。
地球人類の大きなターニングポイントであり、全てが円満に成った年だ。
僕はあの人への誓いを、あの子達との約束を、守ることができたんだ。
そしてようやく、僕達の戦いは、終わりを告げたんだ──
『第一話 出逢いと再会と、ずれた時間』
見知らぬ病室で目覚めて、とりあえずと押したナースコールのスイッチは、四つの事実を僕に与えた。
一つ目は、僕は先程まで木星にいた、キラ・ヤマト本人で間違いないという事。
記憶改竄等といった処置はされていないと、ましてや記憶喪失等でもないと保証された。
完全な健康体だってさ。
二つ目は、ここが新暦79年の『第一管理世界‐ミッドチルダ』という、【魔法】が存在する別世界であるという事。
三つ目は、僕は昨夜、この世界に存在する『聖王教会』という場所に一人突然【顕れ】、倒れていたという事。
そして四つ目は、この個人病室は聖王教会内部の施設であるという事だ。
統合すると、僕は【次元間転移】をして、別の世界にいるという事で。
(僕って、こんなのばっかりだな……気絶するたびに別の場所にいる気がするよ……)
魔法の世界。
次元の海を超えて辿り着いた平行世界。C.E.ではない世界。
今まで自分がいなかった世界。
俄には信じられない話だ。いきなり異世界に跳ばされた、なんて。
突拍子のない夢物語と一笑に付すのがベターだろう。それこそ、出来の悪い魔法ファンタジー漫画のようだってね。
でも。
残念ながら事実みたいで。
だって、地球型惑星の大気の外にある、巨大な双月を見せられちゃ納得するしかないじゃない。
ここは、『ミッドチルダ』なんだ。
普通なら、パニックになる所だろうか。
ありえないと、帰してくれと、何故こうなったのだと。故郷を思って錯乱するのがきっと、普通のリアクションだと思う。
でも、なんとか僕は冷静でいられてる。全てを理解した上で、懐かしい想いと共にただただ静かに受け入れていた。
何故なら。
僕にとって次元間転移は初めてではなく、魔法の存在も既知のものなのだから。
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