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臨時なのはクロススレ15

1名無しの魔導師:2010/05/27(木) 22:39:07 ID:Z0jDheY60
ここは種死&リリカルなのはクロスオーバー作品を取り扱う所です

シンが八神家やフェイトに餌付けされたり
レイがリリカルな魔法少年になったり
なのはさんが種死世界に行き、世直しをしたり
デバイス達がMS化したりその逆もあったり
キラがフルバーストでガジェットを一掃したり
アスランは相変わらず凸ていたり
他様々なIFが用意されています

・職人様はコテとトリ必須。
・職人様は荒れているときこそ投下強行。全裸wktkに勝る流れ変えなし。
・次スレ立ては950を踏んだ人が立てる事
・1000に達する前に容量オーバーになりそうな時は気づいた人が立ててください
・各作品の考察は該当スレにて宜しく頼みます
・煽り、荒らしは無視しましょう、反応した貴方も荒らしだ。

まとめサイト
ガンダムクロスオーバーSS倉庫
http://arte.wikiwiki.jp/

2名無しの魔導師:2010/06/14(月) 11:04:17 ID:hIeJhjnM0
>>1

3名無しの魔導師:2010/09/03(金) 20:59:38 ID:nSXdXYYEO
>>1乙です
早く皆こないかな

4ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/09/14(火) 14:20:33 ID:ArIi/EZ.0
シンとアスランの魔法成長日記の作者です。
更新が長らく滞っていて、大変申し訳ありません。
今も執筆は続けておりますが、どうしても良い出来にならない状態にあります。
ですが、作品を投げ出すつもりは毛頭ありません。
楽しみにしてくださっていた皆様に、謝罪を申し上げに参りました。
よんでくださっていた方々、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

5名無しの魔導師:2010/09/17(金) 21:16:42 ID:kjf9fPMI0
エタらなきゃいいよ

6逸騎刀閃 ◆AGSD/MBwB6:2010/09/19(日) 00:27:01 ID:JAnbPaNs0
じゃ、エタってる俺の消しておいてください
仮に投下しても多分、違う物か単発になるんで

7名無しの魔導師:2010/09/22(水) 00:21:04 ID:yhdhGtjcO
age

8j:2010/09/26(日) 17:19:09 ID:6Au5f/Ik0
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9名無しの魔導師:2010/09/29(水) 01:55:30 ID:rnuX0E960
ぶっちゃけここの存在意義ってあるの?

10名無しの魔導師:2010/09/29(水) 02:40:56 ID:XeYO1.vc0
作品の投下がないことについてですかい?

11名無しの魔導師:2010/09/29(水) 03:27:31 ID:mjJiuJrs0
大人しく待ってろよ、いい子だから

12名無しの魔導師:2010/09/29(水) 18:05:56 ID:Fh16yYBU0
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132:2010/09/30(木) 23:58:04 ID:dYHqe4Rg0
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14名無しの魔導師:2010/10/02(土) 00:26:39 ID:9.gLfSCk0
もう全てエタったようなものだから、ここがある理由はないだろう。
惨めに残すより、スッキリ消した方がマシじゃない?

15名無しの魔導師:2010/10/02(土) 00:34:59 ID:Gahh54MYO
いやその理屈はおかしい。
ん? 投稿スレと雑談スレを一つにまとめようって意味か?

16名無しの魔導師:2010/10/02(土) 01:22:37 ID:WlOKSbT.0
なんで一々問題起こすような事するのか理解に苦しむ

17ナンバーズPLUS♯ダブルオー:2010/10/02(土) 02:55:58 ID:DkkCvSuA0
読んでらっしゃる方が少ないかも
知れませんが、まだ書いていますので
宜しくお願いします。

執筆ペースが遅くて申し訳ない

18名無しの魔導師:2010/10/02(土) 08:02:04 ID:KvNFlh3o0
>>17
トリ見えてる、トリ見えてる

19名無しの魔導師:2010/10/02(土) 09:05:29 ID:jNwDxQzcO
>>17
俺は好きです

20名無しの魔導師:2010/10/15(金) 11:56:55 ID:B/3oD8cU0
のんびりまってますよ〜〜

21保守1/2:2010/10/15(金) 17:30:39 ID:4fwxCpPYO
「……いいのかな」
「何が?」
7月18日の15時、ハラオウン家。うだるような熱気が居間を支配している。
「もしC.E.にいたままならさ、俺はもう20歳になってるんだよな?」
「うん。僕は22だね」
今、ここに二人の少年。因みにクーラーは故障中。
「そんな大の大人がさ、中学二年の女子達と一緒に海へ遊びに行くってのはどうなんだよ」
4年前のとある事件以降、ハラオウン家に保護されている少年、シン・アスカは同じ事件以降、八神家に居候しているもう一人の少年、キラ・ヤマトに近い未来への不安を言い訳という形でぶつけていた。
「……そうは言ってもね。今、僕達の身分は…年齢的にも体格的にも中学二年生なわけだし、別にいいんじゃないかな。健全だと思うよ?」
「そうだけどさぁ……、なんか犯罪臭がするっていうか」

C.E.74、二人の青年、シン・アスカとキラ・ヤマトはメサイアの爆発に巻き込まれて、その世から消えた。
同刻、凄まじい魔力反応を第97管理外世界にて計測。11歳の三人の少女、高町なのは、フェイト・テスタロッサ、八神はやてとアースラ・スタッフがこれに対応、二人の少年を発見、護送した。
これが4年前の事件の開幕である。

「なに言ってんのさ、君は」呆れ顔で、キラ
「肉体が若いからって、勢いに任せちゃ駄目だよ。……それにちゃんと大人達が少数といえども付いてきてくれるんだし。大体……」
「はやての提案だから逆らっても無駄、だろ?わかっちゃいるんだけどさ」
実際、文句を垂れつつも皆の水着姿が楽しみなシンである。

『7月20日、皆で海に行かへん?』
聖祥中学の終業式。さぁこれから夏休みだーという時に、はやてのこの言葉。
勿論となのはは即快諾。フェイトも乗り気で、そこにアリサとすずかが加わり、古典の成績ゲンナリとしていたキラとシンを呑み込み、更にアースラ・スタッフをも巻き込んで、その提案は一つの「計画」となっていた。

22保守2/2:2010/10/15(金) 17:33:10 ID:4fwxCpPYO
現在、女性陣はデパートへ買い出し中。クロノ、ユーノは本局に出張。結果、シンは一人ハラオウン家で留守番をすることになり、そこへキラが遊びにきて、今に至る。
「喰らえぇ!必っ殺!バースト・タックル!!」
「やめてよね、」
ヴァーティカル・エアレイド発動!

K.O.!!

「ぐぁあぁぁ!?」
「ゲームで僕に敵うはずないだろ。はい、コーラ買ってきてね」
「ちっくしょぉぉー!」
流石、えげつない。賭けはキラの勝ち。しかしシンは粘る。が、
「くぅっ、模擬戦を申し込む!」
「フリーダムもデスティニーもないのに?」
二人のデバイスは現在メンテナンス中である。
「……」
シン、撃沈


……
…………
「まぁ、どうせなら楽しい思い出にしたいよな(嫌な予感するけど)」
「楽しんだ者勝ちだよ(はやての提案だし、それは仕方ないよ)」
はやての提案はいつもトラブルつきだ。シンが渋っていた理由でもある。
例えば闇鍋、豆まき、野球観戦、市内野球大会参加、胆試し(これは少し役得)。極め付けに、先のゴールデンウィークのキャンプ。
あれは凄かった。それはもう凄かった。まさかS・L・Bを喰らうことになるとは思わなかった。正に災難。

災難だったが、充実した時間でもあった。そう、充実とした――

「守りたいね。この今を」かつて討ってしまった者達の為にも
「ああ。今度、こそ」かつて救えなかった者達の為にも
次は二人で、皆で――

「ところでシン」
「あん?」
「さっさとコーラを……、ついでにアイスとポテチを買ってきてよ」
「……」
鬼め


惨劇まで、あと2日。二人の中学生ひ耐えられるのか――

23名無しの魔導師:2010/10/15(金) 17:41:19 ID:4fwxCpPYO
ただの保守です。それ以上でもそれ以下でもありません。いくつか誤字脱字がありましたが……

ヒロインはあえて出しませんでした

24名無しの魔導師:2010/10/15(金) 21:20:52 ID:plxkGNTs0
保守乙です
長いストーリーではない、一場面だけ投下なんてのでも別に禁止されてるわけじゃないんだよね
短いの書いて見るかって気になった
ところで新シャアのほうはどうしたらいいんだろう?

25保守2 1/4:2010/10/20(水) 00:04:39 ID:NMwuCujQO
弾ける緋、迸る蒼、互いにもつれ輝き、その身を喰い合う
「弁当は俺が貰うんだ!今日っ!ここでぇ!!」
『アスカロン』
「やめてよねーーっ!」
『カリドゥス』
大出力の砲撃同士がぶつかりあい、大爆発を引き起こす。それは、開戦の狼煙


文化レベル0、砂漠の世界。ここでキラとシンはただ一つの弁当を賭け、闘っていた。その理由は……『空腹』である。

とある秋の水曜日のこと。
シンとキラは二人揃って昼食の弁当を忘れてしまったのだ。購買のパンも売り切れ残念。
それをみかねた心優しい三人の少女、なのは・フェイト・はやてはそれぞれの弁当を少しずつ、憐れな二人にあげることにした。少年達は泣いて喜んだ。
だがしかし、所詮は14の少女の量×3。男一人分が限界である。勿論、譲る気はお互い毛頭もない。
そこで、別世界を舞台にして模擬戦をする事にしたのである。
なんとも無茶苦茶な話であるが、少年達の顔は真剣そのものだった。
 
こうしている間にも、既に昼休みが終わっている事に二人は気付かない――
 
 
迫る蒼い斬撃。フリーダムからの縦一閃、それをアロンダイトで左にいなす。その流れで身体を左に捻り、更に廻し、加速した右脚でキラの側頭部を狙う――が、
(外れた…!……っ!?)
キラは空振った縦一閃の勢いそのまま空中で鋭く前転、シンの回し蹴りを回避したのだ。その隙を狙い、踵落としがカウンターとしてシンを襲う。
「障壁ぃ!」
波状魔力防壁『ソリドゥス・フルゴール』を展開、受け流し、飛行魔法を操作、大袈裟なほど思いっ切り後退し、回避距離をとる。
 
『ハイマット・フルバースト』
 
(きたっ!)
一つ一つの威力は大したことはないが、その範囲、密度、連射力、精密度が厄介なキラの十八番。
しかも牽制や誘導、本命を織り交ぜて放ってくるのだから、余計に質が悪い。
シンは今までの経験から、これを冷静に対処、確実に回避する。
(予備動作を見てなかったら、危なかった)
「突撃する!デスティニー!」
【了解、ミラージュコロイド散布】
アロンダイトの鍔が重々しく可動、薬莢を二つ排出。魔力が全身を巡る。
「はぁぁぁーー!」
アロンダイトを真っ正面に構え、背の魔力翼を大きく展開、溢れる緋の魔力がシンを包む。
 
意識がクリアーになる。理性が本能を凌駕する。

26保守2 2/4:2010/10/20(水) 00:06:44 ID:NMwuCujQO
 
「いっつもそうやって、やれると思うなぁー!」
絶叫とともに、シンが突撃してくる。その瞳に光は、無い。
(SEEDを発現させたの……ならばっ!)
キラは後退、両のフリーダムから魔力弾『ルプス・ライフル』を連射する。そして一つの行動への布石を創る。
『ミラージュコロイド』を纏ったシンはこれに構わず、圧倒的な速度でキラに接近、
(よし、来い)「フリーダム、サーベルを」
アロンダイトを振り上げる。――失敗は出来ない。
(これは)【カートリッジロード】
 
意識が弾ける。空間を掌握する。
 
(トラップだ!)「はぁっ!」『ドラグーン』射出、『ヴォワチュール・リュミエール』起動。
一息でアロンダイトを掻い潜り、ロングコートを靡かせシンの背後へ抜ける。
「くぅ!?」
案の定足を止めたシン、すかさず先ほど射出した『ドラグーン』で取り囲む。狙い通り!
「当たれぇー!」
一斉掃射!更に後詰めとしてサーベルでシンに躍り掛かる。
だが、ここでシンは恐るべき瞬発力を発揮した。
瞬時に身体を振り回し、『フラッシュ・エッジ』、アロンダイトで迫る魔力弾を切り裂き『パルマ・フィオキーナ』で相殺、背の魔力翼で駆翔し『アスカロン』で『ドラグーン』を凪ぎ払う。
そして『ヴォワチュール・リュミエール』で神速に達したキラの居合いを、アロンダイトで弾き飛ばしたのだ。
それは、鬼神の動き。
「っ……流石だね、シン!」やはり、強い――
 
『エクストリーム・ブラスト』
『ミーティア』
 
一瞬の静寂。緋と蒼の欠片が砂漠に吹雪く。それは、ただただ美しい
 
 
 
「フェイトちゃん」
「あ……なのは、はやて」
夕闇に浮かぶ聖祥中学、その校門。
「もう、帰ろか?」
「そう…だね、そうしようか」
三人の少女は、二人の少年の帰りを待っていた、
「これは流石に罰を考えんとなぁ」
「ちょっと、待ち疲れたかな…」
三時間も。これ以上は無理だ。もう帰宅しなければならない。
「シン君もキラ君も、今夜はバイトなのにな〜」
 
シンの保護者の娘、フェイトと
キラの家主である少女、はやてと
二人の雇い先の家の娘、なのはは、
「ハァ……」
同時に溜め息をついた

27保守2 3/4:2010/10/20(水) 00:09:17 ID:NMwuCujQO
 
 
『パルマ・フィオキーナ』
右の掌に集まり圧縮され、輝きを増していく魔力。
アロンダイトを袈裟懸けに振り抜き、かわされた隙を埋めるべく突き出したそれは、キラの宙返りによってあっさりと無効にされてしまった。
「逃がすかっ!」
『フラッシュ・エッジ』
アロンダイトの逆袈裟斬りと同時に射出される魔力刃二つ。
更にアロンダイトを左脇に抱え込み、カートリッジを一つ消費、突撃。必殺の突きを繰り出す。
「やらせないっ!」
キラは魔力刃を狙い『バラエーナ』を発射、左のサーベルでアロンダイトを右方向にいなし、時計回りに回転。右のサーベルでシンに回転斬りを見舞った。
この背後からの強襲を、魔力翼を用い急上昇することでシンは対応する。
すかさずキラは左のライフルを跳ね上げ、シンを狙おうとするが、
(やられる!?)
シンの左脇に展開される魔法陣を確認し、急降下。頭から地面に向け突っ込んでいく。
「いっけぇ!」
特大の『アスカロン』がシンの魔法陣から放出された。
(今、だ!)
地面にぶつかる瞬間、緋い濁流に呑み込まれる瞬間に背の『ヴォワチュール・リュミエール』を最大噴射、一気に地面と平行する体勢へ移行。
『アスカロン』が砂漠に着弾、莫大な量の砂塵が巻き上げられた。
「カートリッジ!」
その砂のカーテンと『アスカロン』の奔流を隠れ蓑にして、キラは『クスィフィアス』を発射。
紫電を纏い、恐ろしいほどの速さでシンに迫る蒼の弾丸は、
【Warning!『ソリドゥス・フルゴール』】
デスティニーの出力した障壁に着弾、シンを無理矢理に弾き飛ばした。

28保守2 4/4:2010/10/20(水) 00:12:51 ID:NMwuCujQO
現在、シンとキラの距離はおよそ100M。
加速魔法『ヴォワチュール・リュミエール』を発動している両者にとって、ほんの一瞬でしかないこの距離。
 
(7秒、7秒だけもてばいい!)「ドラグーン再構築、シングルモード、左手に盾を!」
【了解。シングルモードへ移行。ラミネート・シールドを召喚します】
距離を保つ、それにキラは全てを賭ける。
此方の思惑を看破したシンが連射する魔力弾を、盾に変換した左のフリーダムで防御。余計な魔力を使う余裕は無い。
「エリナケウス!」カートリッジを全消費。
巨大な魔法陣が、キラの足元に顕れる。
 
「ミーティア・フルバーストは使わせない!」
『ドラグーン』、『エリナケウス』に翻弄されながらも、シンは攻撃の手を休めない。
(砲撃は使えない――だったら!)
【突撃しますか?】
距離を詰める、それにシンは全てを賭ける。
「自動障壁カット!射撃も砲撃もいらない、全て速度に回せ!『ミラージュコロイド』最大散布、『ハイパーブースト』起動!!」
【もって13秒です】
「上等!」カートリッジを全消費。
巨大な魔法陣が、シンの背中に顕れる。
 
 
「エビも竹輪もハンバーグも、全部俺が食べる!」
「恐いのは、食べられない事。こうなのだと、諦めてしまう事!」
お互い最後の攻撃。これを逃せば後はない。
「デスティニーの全てを叩き込む!」
「僕と、フリーダムなら!」
遂に、終焉の刻――
「でぇいやぁァァァァァァァ!!!」
「はぁぁぁァァァァァァァ!!」
正真正銘全力全開、己の全存在を懸けたその攻撃は――
 
 
 
 
ぐきゅるるるぅ〜〜
 
 
 
 
不発に終わった。
 

……
…………
 
「どうして、僕達は……」「…………」
海鳴市の公園。
ブランコに座る二人の少年の顔を、
皮肉なまでに美しい朝日が燦々と元気に、照らしていた――

bad end

29名無しの魔導師:2010/10/20(水) 00:15:54 ID:NMwuCujQO
只の保守、パート2
職人さんが再び降臨されるまでの繋ぎになれれば幸いです

>>24
どうするんだろうね、アレ

30名無しの魔導師:2010/10/20(水) 00:21:08 ID:NMwuCujQO
因みに、『アスカロン』とはデスティニーの名無し砲の事です。捏造です

31名無しの魔導師:2010/10/20(水) 04:31:47 ID:EjZPrXyA0
乙っす!俺も何か考えてみるか…

32名無しの魔導師:2010/10/24(日) 02:26:37 ID:T2NqddEs0
乙です
やっぱこういう感じのシンとキラはいいなあ

33名無しの魔導師:2010/10/24(日) 14:45:11 ID:u7djtL260
よし、じゃあ新シャアのほうはあっちに投下するという人を待つとして
俺も練習文行ってみよう。日本語おかしくないといいんだが

34妄想一場面:2010/10/24(日) 14:46:26 ID:u7djtL260
「そいつならもういねえよ。別のところに行った」
「……ふぅん? 本当かそれ?」
「あ?」
「いや、ちょっとな」

 口元に指を当てて考える。ジャンク屋が飯の種、もしくは餌場をわざわざ他人に譲る事情というものが、想像できない。嘘をついている? 可能性は高いが、ならどうしたものか。
 唸るシンの様子から何を思ったのか、男はいきなり懐から拳銃を取り出すと、シンの顔面に突きつけてきた。唐突かつ剣呑な動作に対して、シンは眉を顰めて鼻息ひとつ。

「何だよ、いきなり」
「お前、何が狙いだ。『どこ』から来やがった」
「はあ?」
「答えろ! 鼻の穴増やされてえのか!?」

――何でいきなりキレてんだよ、こいつ?

 これまでのやりとりを思い返すが、警告的な言葉もなしにいきなり銃を突きつけるなどという段階に至るのはわけがわからない。
 その声を聞きつけたのだろう。少し離れたところで歩哨のように立っていた男まで近寄ってきて、シンはいよいよ面倒だなと顔をしかめた。見せびらかすようにアサルトライフルを腹の前に下げている様子や目の前の男の銃の扱いは、技量はないながらも荒事に慣れている雰囲気をまとっていたからだ。慣れているということはそれだけ『そういった状況』でも行動力を発揮できるということで、また会話での主導権も握りにくい。
 思考を切り替える。荒事かどうかではなく、どう荒事を収めるかに。
 手の出し方を考えていると、ふと背後で押さえられた足音がした。目の前の男の顔を見ると、微妙に目の焦点が外れている。方向はシンの肩あたり、距離からすれば――背後。

35妄想一場面:2010/10/24(日) 14:47:09 ID:u7djtL260
「っ」

 後頭部に絞った布を押し付けられるような感覚。見る間に迫ってくる温度と、その中に混じる硬質な冷たさ。間違いなく武器――拳銃かナイフ、でなければ警棒あたりだろう――を持った人間だ。
 人を置いて勝手に盛り上がった挙句、問答無用ということか。

「ふん」

 ぱちん、とシンの中でスイッチが切り替わる。感情は停止。余計な思考をカット。いつも通りに『戦うために、不要なモノを切り落とす』。
 思考が、視界が加速を始めた。先ほどまでわからなかったことが、皮膚、耳、目といった感覚器官全てを通して伝わってくる。
 背後の相手の歩幅と距離を測る。これならあと二歩といったところか。足音の芯が右にぶれた――なら、重量のある物を振り上げたのだろう。小さく鳴った風の音から長さを考えれば、警棒でなく鉄パイプか。

「――」

 目の前の拳銃は無視。背後に味方がいる以上、とっさには撃てない。右肩をこころもち前に出し、上半身を少しだけ傾ける。
 それだけで、背後からの打撃は回避できた。気圧の塊が右耳を撫で、同時に風切音が鼓膜を叩いた。

「んなっ!?」

 近距離でいきなり鉄パイプが振り下ろされたせいだろう、目の前で拳銃を突きつけていた男がびくりと仰け反る。銃口がぶれ、引き金にかかっていた指の筋肉が弛緩と緊張の間で硬直するのが『見えた』。
 がつん、と鉄パイプの先端が床に当たった瞬間、シンは右手を伸ばした。正面で拳銃を持つ手をスライドごと握りこみ、そのまま手首を内側に引き倒す。
 ぱぁん、と乾いた銃声が耳を打った。足元の床が小さく火花を上げてへこみ、少し離れたところで兆弾の衝突音が甲高く鳴り響く。
 スライドを掴んだ掌が摩擦で焼けたが、構っている場合でもない。スライドを掴んだ状態で発砲させた以上、排莢不良の可能性も期待できるはずだ。ぎんぎんと痛む耳は無視。
 こちらに背中を見せるような格好でつんのめる正面の男の軸足を外から足の裏で押し、ついでにその足で鉄パイプを踏みつけた。

36妄想一場面:2010/10/24(日) 14:47:41 ID:u7djtL260
 倒れこんだ拳銃の男はこれで数秒間無力化できる。視線を左から背後へ。鉄パイプのほうは武器を取り戻そうと、両手で力を込める様子を見せた――予想通り。まったく抵抗せず足をどかしてやると、虚をつかれた男は力の安定を失って尻餅をついた。
 腰の後ろにいつも収めているナイフに左手を伸ばしながら、シンは体勢を下げて更に左へ回転する。
 元の右手方向、腹の前にアサルトライフルを下げていた男へ、引き抜きざまにナイフの柄を叩きつけた。ろくに構えることもなく突っ立っていた男の顎を、狙い通りに揺らす事に成功する。
 腕に遅れてスライドする視界の端で、傾いた男の顔が映る。眼球が左右にぶれ、無精ひげの生えた顎からかくりと力が抜けた。更に駄目押しとして、振り向く勢いを乗せた拳をこめかみに打ち下ろす。垂直落下するように崩れるアサルトライフルの男を通り過ぎ、視線は一回転して拳銃の男の背中に戻る。
 打撃を加えたわけでもない為、拳銃の男は手を突いた程度だ。既に気を取り直し、拳銃をこちらに向けようとしていた。しかし。
 小さく眼球を動かして、拳銃の状態を確認。排莢口には特に異常はない。少なくとも深刻な排莢不良は起こせなかったようだ。仕方ない。
 男はそのまま銃口をこちらに向けて引き金を引こうとしたが、やはり遅い。男の動作のを後押しするように左手で銃口を跳ね上げ、同時に逆手に握ったナイフの刃を男の首に押し付けた。

――このまま行くか? ……いや。

「ひっ」

 息を詰めた男の手から拳銃をもぎ取り、鼻っ面に頭突きを叩き込む。げぶ、とつぶれた息を漏らし、男は顔面を押さえて仰け反った。無防備な腹に前蹴りを入れて突き飛ばすと、吹き飛んだ男は手すりに背中を打ち付けて転がった。
 一発目を無理な姿勢で撃たせた事を考えれば、二発目の弾をそのままにするのは危険だろう。ナイフを手に握りこんだまま、奪い取った拳銃のスライドを引く。弾頭がついたままの二発目の弾がイジェクタに弾かれ、くるくると回りながら放物線を描いた。初弾が押し出された後に弾倉から次弾が押し上げられてくるところまでを目で確認し、ぬめつく空気を引きずりながら銃口を振る。
 本当に撃てるか? 暴発はしないのか? 弾は何発入っている? 脳の片隅で信用できない武器への不安感を反芻しながら、シンはようやく起き上がって鉄パイプを振りかぶった男にぴたりと狙い向けた。

「っ――ぐ」

37妄想一場面:2010/10/24(日) 14:48:45 ID:u7djtL260
 左手にナイフ、右手に拳銃。何度も訓練した近接戦闘の構えだ。正対する男は両手で鉄パイプを振り上げたまま、どうにも動けずに固まっている。振り上げていなければ動きようももう少しあっただろうが、シンが拳銃を突きつけたこの状態ではどう動こうとも遅すぎる。

「――で? 何だってんだ、お前ら」
「…………」

 鉄パイプの男は顔に汗をにじませたまま、一言も発することなく固まっている。どこか意地になっている様子に再びシンが首をかしげた時、唐突な拍手が聞こえてきた。

「?」

 左右に視線を走らせ、音の出所を探る。

「へーぇ、やるもんだ。流石はシン・アスカ。『負け犬』になっても染み付いた技は衰えてないってわけだ」
「何だよアンタ」

 さえないようで隙がない。拍手をしていた男の第一印象は、そんなものだった。

38名無しの魔導師:2010/10/24(日) 14:50:46 ID:u7djtL260
というわけで場つなぎになればいいなと思いつつ一場面。
超人じゃない兵士の格闘っぽく書けてるかな?
伝えたいイメージとしてはMGSの蛇が使うCQCみたいな。

39名無しの魔導師:2010/10/24(日) 16:11:04 ID:ytvWEnu.0
Gj続きを書いても良いのよ?

40保守3 1/2:2010/10/29(金) 23:03:37 ID:mGTRJ11gO
第97管理外世界
海鳴市の一角にある喫茶店。
冬の午後5時、来店した少女に
「いらっしゃいませー。……おっ、フェイトか」
ここ、翠屋で勤務している少年、シン・アスカが応じた。
長く、艶やかな金の髪を後ろに流し、少し大きめな漆黒のダッフルコートを身に纏った来客者、フェイト・テスタロッサは、ほっとした顔で注文を一つ。
「……ホットココア一つ、欲しいな」
 
コト、とフェイトの前にホットココアとラズベリーソースがかかったチーズケーキが置かれる。
そしてシンも自分用のコーヒーをテーブルに置き、フェイトの対面に座った。
勿論、このチーズケーキはシンの奢りである。
二人とも今は聖祥大附属中学の制服姿だ。
「あれ?シン、仕事は?」
「ん、今日はもう終わったんだよ。……それより、冷えたろ?早く飲んじまえ」
 
外は相変わらず、身も心も凍らせるような風が吹いている。寒いというよりは冷たい感じだ。
天気予報によると、今夜は雪も降るらしい。
(明日にはやんでくれよな〜)
雪の通学路を想像するだけでゲンナリする。そんな現実(思い出)はコーヒーを飲んでさっさと忘れてしまおう。
シンはカップを手にとり翠屋特製のコーヒーを一口、啜った。
(……美味い)
疲労した身体に熱く苦い液体が染み渡る。香りも味も素晴らしい。
砂漠の虎だったら、どんなリアクションをするのだろうか――
「――なのは達は、」
「……ん?」
フェイトが話しかけてきたので、思考を中断、いつの間にか閉じていた目を開ける。
と、其処には
 
両手でカップを包み、少し上気した顔で此方を見つめているフェイトがいた。
その姿はシンの心にストライク。
 
(――!?……!!)
いやまて、なんだこれは。可愛いすぎるだろ。いやいつも可愛いケドじゃなくてえーとなんで急にこんな……?
「? どうしたの?」
急に固まったシンに不審を覚えたフェイトは、シンの顔を覗きこんだ。
 
必然的に、上目遣い。
これを無意識にやっているのだから堪らない。
 
(反則だろっ!?)
顔が熱くなるのを感じる。
なんだって今日はこんなに可愛いんだ!?
ツボに入ったのか、今ならどんな姿でも可愛く――あら、怪訝な顔をしていらっしゃる。
「イ、イヤ。ナンデモアリマセンヨ?」
なんとか動揺を隠そうとする少年シン。
しかし声は裏返り、言葉はヘンな敬語になってしまっている。しかも目は泳いでいた。が、
「……えと、なのは達ね、帰りが予定より遅くなるみたいなんだ」
そこはフェイトさん、華麗にスルーした。
「……ァあー、あいつら今ミッドだっけか。なんかあったのか?」
「ちょっと、事件に巻き込まれたって」
 
どうもデバイスの点検帰りに、集団犯罪者と遭遇したらしい。
 
「まぁ、あいつらなら平気だろ。キラとなのはのバ火力コンビもいるし」
「うん。今日はこの事を報告に来たんだ」
完全に信頼しているのだろう。フェイトの顔に心配という字はない。
ラズベリーソースならついているが。
「っと、動くなよ?ちょっと、とってやるから」
おもむろにポケットからハンカチを取り出し、フェイトの口元を拭ってやる。
可愛い奴め。何処からともなく「やめてよね―」と聴こえてきそうなシチュエーション。
なんとなく、優しい気持ちになる。何故だろう?
今日はどこかおかしい。
 
 
「やめてよねーーっ!?」
 
ミッドチルダ上空。
いきなり戦場に響き渡ったその声に、敵も味方も関係なく全員が固まった。
「ど、どうしたのキラ君!?」
なのはは驚きながらも『フライヤー・フィン』を繰り、空中で静止したキラの横につく。
ついでに『アクセルシューター』で敵を牽制するのも忘れない。
と、何故か遠い目をしたキラが呟いた。
「いやね、なんかとても羨ましいシチュエーションがね、こう、ピロリロリーンって入ってきて……」
「へ?」
「うん、何でもないよ。気にしないで……」
「や、気にしないでって……」
なのははつい絶句した。キラの瞳から生気が消えたから。
「さぁ、もう終わりにしようか……」
幽鬼の如く、落ち武者の如くゆらりと動くキラ。
【『ドラグーン・フルバースト』】
 
蹂躙が、始まる――

41保守3 2/2:2010/10/29(金) 23:05:45 ID:mGTRJ11gO
「今日はリンディさん達、帰ってこないんだよな?」
「うん、クロノと一緒に本局」
午後6時30分の海鳴市。
桃子さんに『なのはの帰宅時刻の件』報告したシンとフェイトは今、商店街を歩いていた。
風は依然として強く、冷たい。心が痛む。
シンはマフラーに顔を埋めた。
「飯はどうする」
自分達で作るか、弁当を買うか、ファミレスに行くか。
自分はどれでもいいが、フェイトはどうなのだろうか?
再び漆黒のダッフルコートにその身を隠したフェイトは、一瞬の思案の後、
「今日は、二人で作りたいかな」
と答えた。
「りょーかい。じゃあスーパー行くか」
さてさて、何を作るか――となんだかウキウキする。
ここ数年、はやてや桃子さん、リンディさん、キラに料理を教わったおかげで、シンの料理スキルはかなりのモノになっているのだ。
(気分としては親子丼かな)
なんて事を徒然と思考していると、
 
鼻先に一つ、冷たい白
 
「うげ……マジで降ってきやがった」
昨年の恥辱が蘇る。アカデミーでは雪上訓練なんてなかったんだよ。
思わず空を仰ぐと、結構な数の白が確認できた。
本降りだな、早めに帰らないと――
 
 
「シンは雪、嫌いなの?」
 
 
「え……」
「悲しい瞳を、してるから……」
フェイトが佇み、此方を見つめている。
自分とお揃いの、その紅い瞳はまるで鏡のようで。
「……、…」
過去を見ろ、と言われているようだった。
 
オーブにもプラントにも、雪は無い。C.E.での雪の記憶は――
――あぁ、なるほど、『悲しい瞳』ね。俺はこんなにも弱いのか。
 
それでも、
「いや、何でもないさ。それより、急がないとアルフが可哀想だぜ?」
とん、とシンは走りだす。
逃げる為じゃなく、進む為に。
「え、あ!ちょっと待って、シンっ!?」
そんなシンを追い、フェイトも走る。そんな様子も、何故か今日は無性に愛らしい。
(ゴメンな)
今日の、この天候がシンをセンチメンタルにしているのだろうか?
それだけじゃない気がするが、わからない。
 
ただ、わかることは、今ここにフェイトがいること。
そして
(今ここに、俺はいるんだ)
そんな、小さな確信が生まれたこと。
 
 
 
翌朝
未だに雪の降る通学路。
気候は冷たいというよりは寒い感じ。風は止んだのだ。
 
また転ばぬよう慎重に歩くシンの背に、いやに明るい声がかかった。
「やぁ、おはようシン」
振り向くとそこにはスーパーコーディネーター、キラ・ヤマトの姿が。
何故か目の下にクマがある。
「んだよ、アンタか、ーーッ!?」
突如、シンを幾重にも拘束する蒼いバインド。
緻密な計算と精密な魔力制御で構成されたそれらは、とてつもなく固い。
訳がわからず、シンは吠えるが、
「おい!なんの真似――」
「昨日はお楽しみだったね、シン?」
その言葉で勢いを殺されてしまった。
「え……んな!?」
「いや、スーパーコーディネーターなんてなるもんじゃないね。昨日からなんか電波を受信し始めちゃってさ」
キラの報告が始まる。
 
「スーパーの帰りに足を滑らせたフェイトちゃんが君に抱きついたり」
「フェイトちゃんが君に『あーん』ってやったり」
「君が不注意でフェイトちゃんの裸身を目撃したり」
「寝ぼけた君がフェイトちゃんの布団に入っちゃったり」
「そんな君をフェイトちゃんは笑って許したりとかさ、なんか羨ま……赦せないじゃない?」
なんで知ってるんだろう……。
シンは恐怖を感じた。ついでに命の危機も。
「今日は雪……リベンジマッチにはもってこい?」
薄ら笑いを顔に貼り付け、キラはただ確認の言葉をシンに投げかける。
 
俺は、死ぬのか?でも、最後までは抵抗したい。フェイトの為、俺の為。
これは、意地だ!
 
「君はいい友人だったんだけどね……君の行動がいけないんだよ」
「羨ましいか!羨ましいか、キラァァァーーー!?」
【『ミーティア・フルバースト』】
「アッーーーーー!!」
規格外の魔力。
眩いばかりの蒼が身体を呑み込み、
シンは星の人になった。
 
第97管理外世界、海鳴市は今日も平和です

42名無しの魔導師:2010/10/29(金) 23:08:30 ID:mGTRJ11gO
降雪記念保守

いや、やっぱりSSは難しいね。
皆も職人さんも頑張ってー!

43D.StrikerS ◆1QVaIgitMY:2010/10/30(土) 00:18:58 ID:fHkKB15M0
皆様どうもお久しぶりでございます。
エタってはなかったんだ、エタっては。
って事でいささかゲリラ的ではありますが12時半を目安に、投下でもしようかと思います。
最近、研究とかに終われててあんまり進められてないのですが、誰かいらっしゃったら読んでやってください。

44名無しの魔導師:2010/10/30(土) 00:26:25 ID:HgYq0nkM0
おおお、お久しぶりです待ってますぜ

45名無しの魔導師:2010/10/30(土) 00:28:53 ID:9rIkc97IO
いやっほーう!
待ってたぜ!

46D.StrikerS ◆1QVaIgitMY:2010/10/30(土) 00:29:24 ID:fHkKB15M0
つうわけでいきます。

魔法少女リリカルなのはD.StrikerS
第24話「はじまりのおわり、おわりのはじまりなの後編・1」

「このォっ!」

 怒号と共に右の手で振りかぶったエクスカリバーを眼前の敵へと叩きつける。ぐしゃりとひしゃげた部分から大剣を抜き出すと同時に、左手に持ったライフルを突き入れ、トリガーを引く。
 ガチリ。敵――――ガジェットⅢ型――――の内部で、魔力が暴れるのがわかる。
 ガチリ。装甲の一部が歪に膨れ上がり、そこから赤光が溢れ出す。
 ガチリ。三度目にしてようやく装甲を貫通。確かな手応えとを感じ、ライフルを引き抜く。
 爆発の余波に巻き込まれない辺りまで、一度下がる。視線を下へ向けると、地面には今しがた自分が破壊したガジェット数体分の残骸が目に映った。
 シンは叫ぶ。

「こちらFaith、シン・アスカ! 機動六課本部、応答を!」

 が、通信機も兼ねているインパルスが、機動六課からの返事を伝える事は無かった。

「グリフィス副部隊長! シャーリーさん! 誰か、誰か答えろよ!!」 
『マスター。無理です。通信用のサーバに接続が出来ません。』
「……くそっ。念話も通じない上に通常通信まで出来ないのかよ!」

 毒づく。機動六課に向かう途中の事だった。数機のガジェットと接敵。まるでこちらの足留めを狙うかのようなタイミングでの襲撃を振り切ることも叶わず、ようやく殲滅出来たところであった。
 その際、何度も繰り返し繰り返し、念話や通信をハイネや機動六課の本部へと行ったのだが、それに対する応答は無かった。

『念話は魔力に意思を乗せて送り届ける技術です。』
「だから、AMFがあると意味を持たせた魔力が霧散して届かないっていうんだろ!?」

 手に持っていたエクスカリバーを一旦戻し、今一度機動六課へと飛翔しながらシンは叫ぶ。

『続けて言うならば、恐らく通信が繋がらないのは本部にあるサーバを抑えられたからだと考えられます。』
「……ハイネの勘が大当たりって事だよな。くそったれが!」

 AMFに遮られて念話が届かない。つまり対象の付近にそれを発生させる何かがある、ということだ。そしてインパルスが言うとおりだとすれば、本部への敵の侵入を許した事になる。
 そして――――
 ズン、と大が揺れた。
 自分の進む方向=機動六課の本部がある辺りから黒煙が上がるのが見えた。

「……っ。急ぐぞ、インパルス!」
『イエスマスター。』

 更に強く加速する。風圧で息をする事すら、困難であったが、構わずに速度を上げる。
 心中で思うのは仲間たちの安否。そして、己の家族の……無事。

47D.StrikerS ◆1QVaIgitMY:2010/10/30(土) 00:29:57 ID:fHkKB15M0
「状況は始まった、か。本部への襲撃も予定通り。機動六課に対するそれも同様、と。」

 眼前に展開されたモニターを眺めつつ、スカリエッティは呟いた。

「先行させたセッテによる通信施設の破壊も完了。次いで地下から進入したナンバーズも狙い通りプロト01――――ギンガ・ナカジマとの戦闘を開始。」

 確認するように現状を一つ一つ呟く。
 この作戦の目的は大きく二つ。ナンバーズ達に伝えてある目的とは違う、彼のゲームを行うにあたってどうしても必要な事柄があった。
 一つはギンガ・ナカジマの確保。これに関してはナンバーズ達には、彼女らとは違う技術で作られた戦闘機人の素体が欲しい、と伝えてある。

「機動六課の守りもヴォルケンリッターの2人さえ抑えられれば後は烏合の衆。
 ……あの子は。」

 ナンバーズの次女を思い、動き続けていた口が止まる。
 彼女には、先んじて好きにしていいと伝えてある。襲撃までに六課から離れたならば、連絡を取る手はずであったが。

「まあ、想定の範囲内だ。問題は無い。」

 そちらの方がどちらかと言えば都合がいい、と一人ごちる。そうなる様に仕向けた節すらあった。
 だから、笑う。問題無いと。それでいい、と。

「……おや。ようやく本部の方が結界を展開したか。」

 いくつもの場面が映し出されているモニターのうち一つに動きがあった。時空管理局地上本部。組織の要ともなるその施設に備えられた大出力の魔力結界が展開されたのだ。
 その威力はかなりのもので、恐らく化け物揃いと言われる機動六課の中でも、単体であれを抜く事が出来る者は居ないはずであった。

「ああ、いや。彼なら、彼とあのデバイスなら不可能では無いだろうが。」

 思い出したように口にする。その様に造ったのだから当然だ、と心中で確認してその思考は捨てる。今問題なのはそれではなくあの結界なのだから。

「手は打ってあるのだがね?」

 スカリエッティの呟きに合わせるように、地上本部の結界。その付近に次々とガジェットが顕れる。まるで始めからそこに在ったかの様に、違和感無く。
 ガジェット達の顕現は止まらない。次から次へと顕れ、まるで空を埋め尽くさんばかりの数となっていく。
 最終的には優に100体を超えるまでにもなった、ガジェット達が、それぞれAMFを展開させる。そうして、結界を包囲するように陣を組み、じわじわとAMFによる干渉を始めた。

「どれだけ大出力と言えど、その組成は魔力によるものだ。そしてそうである以上……」

 AMFを使えば、その繋がりは薄れ、終には消える。もちろんその為にはガジェット一体が展開できるAMFの出力ではとても足りない。

「そこは量産できる兵器の利点で解決できる。」

 笑う。時間こそかかる。だが、この調子であればものの十数分もあればあの厄介な結界は消し去れるはずであった。

「さてと。では私もそろそろ行こうか。転移装置は……」

 この前哨戦の勝利を確信する。次の行動に移ろうとして、しかしスカリエッティの表情は凍った。

48D.StrikerS ◆1QVaIgitMY:2010/10/30(土) 00:30:42 ID:fHkKB15M0

「はんっ、そう好きにさせてたまるかよ。」

 爆散する3体のガジェットをバックに、長く伸びたスレイヤーウィップを、もう一度振るう。
円を描く軌跡に併せて、その範囲に居たガジェットを切り裂き、ワンテンポ遅れて、轟音が辺りに響き渡る。

『結界が展開される前にその範囲外に出て正解だったな。』
「ま、あれ展開されるとこっちも閉じ込められちまうからなぁ。」

 胸元のデバイスの声に応えつつ、更に腕を振るわせる。こちらに気づいたガジェット達が放ってくるミサイル、レーザーの雨をあるいは避け、あるいは撃ち落とす

「にしても量が多いな。イグナイテッド、敵の数はわかるか!?」
『オーバー200。が、そのほとんどが結界に掛かりきりなのでこちらに攻撃してくるのは大した量ではない。』
「具体的には?」
『3〜40。』
「そりゃ、十分多いっての!」

 叫びつつ、飛来する数十のうち直撃しそうなミサイルをまとめてスレイヤーウィップで薙ぎ払う。そうして生まれた敵の攻撃の間隙を縫って飛翔。不規則機動を行いながら、両手の甲のドラウプニルを展開、構える。

「落ちろよっ。」

 結界を囲っているガジェットの内の数機に向かって斉射する。常であれば、それこそドラウプニル程度の魔力弾では、AMFを抜けはしない。

「結界に掛かりきりの今なら、こっちは防げんだろ。ハハッ、ビンゴ!」

 放たれた十数発の魔力弾が、抵抗する術を持たないガジェット達を削り、破砕し、残骸へと変えていく。
 それを最後まで見ることなく、反転。今度は背後から迫る、ガジェットが放ったミサイルにその照準を向け、迎撃。

「……ったく、一人だときっついな。」
 
 今頃、スバル達は中の護衛をしていた隊長陣にデバイスを渡すために合流しているはずであった。もしかしたら何人かは結界が張られる前にここを抜け出し、六課に向かっている可能性もあるが、その後は恐らく内部に侵入した敵の排除を行うだろう。
 既にギンガがその任を負っているが、彼女とも合流するはずである。

「あの馬鹿、無茶してねえだろうな。」
『そう思うならさっさとこの場を片せばいい。』
「そりゃ、そう、だけどなっ!」

 四方から伸びてきたベルトのような物を、急上昇で交わし、抜き放ったテンペストで切り裂く。直後、勘に任せ構えたシールドでレーザーを防ぐ。
 じゅっと、嫌な音と共に、シールドの一部が融解したのを確認し、ハイネは一つ舌打をうった。

「このままじゃ、ジリ賃、だなっ。」

 ぼやく。少なくとも一人で処理する量の数ではなかった。だが、今ここには彼一人しかない。

49D.StrikerS ◆1QVaIgitMY:2010/10/30(土) 00:31:28 ID:fHkKB15M0
「俺がやらにゃ誰がやる、ってかあ?」

 叫び、一度地面へと着地。すぅ……と一度息を整え、両手からスレイヤーウィップをだらりと伸ばす。同時にガコン、ガコン、ガコン、とイグナイテッドの盾に組み込まれたカートリッジシステムが三度震える。
 急速に充足する魔力を全身で感じながら、イメージを浮かべる。

 それは盾にして矛。それは荒れ狂う暴風。全てを薙ぎ払う稲妻の嵐。

「奥の手……」

 回転させる。ひゅんひゅんと風を切る音が、両の耳を振動させる。その音は段々と、鋭く、甲高くなっていき、触れた地面を抉る音が混ざりだす。
 殺人的な速度の回転を維持しながら、歩く。敵からの攻撃はまるで円形の盾のようになりつつあるそれで、その悉くを弾き、防ぐ。

 バチィ。

 魔力変換資質、ハイネが持つその属性は雷。それをスレイヤーウィップに纏わせて、更に回転速度を上げる。始めは僅かだったその変化は、次第に目に見える形として現れる。
 紫電が踊り、火花が散る。バリバリと耳に優しくない音が断続的に大気を震わした。
 放出される雷が、回転する鞭の円周を更に長大なものへと変貌させる。既にその半径はハイネの身長を遥かに上回るものとなっていた。

「いくぜぇ。」

 そして飛び上がり、敵へと突撃。

「本来こういう使い方する武器じゃないんだが……まあ、こういうのも、ありだろ!」

 縦横無尽に振り回されるそれは、触れたガジェットを切り裂き、抉り、粉砕する。また射程の範囲外にあるガジェットは、無差別に撒き散らされる電撃によってその機能を著しく低下、あるいは停止させた。
 近づくもの全てを薙ぎ払い、進む。降り注ぐ己を狙う攻撃を意にすら介さず、行うのは敵の殲滅のみであった。

 AMFは、つまり魔法である。

 始めこれを聞いた時ハイネは面食らった。曰く、ある意味では魔法の範囲を逸脱しているが、魔力を以って何かを為すのが魔法の定義だとするならば、あれはフィールド魔法の一種である、と。それはおかしい。AMFという魔法を構成する魔力は、自身の効果により分解されないのか。そう疑問に感じたのだが、その辺りは干渉しないような式になっているらしい。
 結局の所AMFとは何か。ガジェットと呼称される自律兵器の多くが保有している対魔導師用の兵装、というのが比較的一般的な解である。実際に始めてガジェットと接敵した当初、ハイネも何かしらの装置でこちらの魔力を消し去っているのだと考えていた。
 だが、正しくはそうではなかった。
 まず一つ。AMFというフィールドを作るのに必要なのは、魔力だという事だ。魔力の結合を崩す魔法。細かい理論は果たしてハイネには知れなかったが、つまりAMFの出力は他の一般的な魔法と同じく、魔力の量に比例するという事である。
 そしてもう一つ。魔力を消し去っているのでは無く、魔力同士の結合を解くのだ。その為、魔力の集合体である魔法という形を維持出来なくなり、まるで魔法が無効化された様に見える。但し、それは魔力の集合として形を成しているもののみを対象と取る。
 故に――――

「魔力で強化したものとォ!」
『魔力を元にしようとも、既に別のものには意味が無いという事。』
「よって、こいつらにはこの魔法は止められないよなァ!?」

 魔力で強化しつくし、魔力で生み出した雷を伴うこの嵐を止める事は出来ない。

「お お お お お お お お!!」

 叫ぶ。既に破壊したガジェットの数は、両の指が何セットあっても足りない程であった。まだ、魔力はもつ。足りなければ補えばいい。その為のカートリッジシステムである。

50D.StrikerS ◆1QVaIgitMY:2010/10/30(土) 00:32:18 ID:fHkKB15M0
「ああ、その通りだ。流石、流石と言おう。
 こちらの行動を読んでからの迅速な行動。単体でこれだけの量のガジェットを破壊した事。
 実に素晴らしい。ハイネ・ヴェステンフルス。確かにこのままではこちらの計画は瓦解する。」

 スカリエッティは転移装置の中で、彼自身でも驚くほど素直に、敬意の言葉を送った。
 表向きとはいえ、この計画を為すためには地上本部の無力化という条件があった。
 そうする事が可能である戦力を保持している、という事実を知らしめる為だ。
 それが今、たった一人の男が覆そうとしている。それが楽しくて楽しくて笑みが止まらなかった。

「本当に流石だよ。それでこそギルバート・デュランダルの腹心だ。
 だが、それ故にこの展開は……読んでいた。」

 その姿が余りに滑稽で、笑みが止まらなかった。


「……ッ!?」

 ぞくりと、背筋が粟立った。唐突に感じたその嫌な感じは、すぐさま現実へと変わる。

『ハイネ、転移反応が10! 本部直上!』

 イグナイテッドの声に空を仰ぐ。

「Ⅱ型ってことは……」

 上空遥か高く、ほぼ地面に対して直角の向きで現れた戦闘機型のガジェットが、猛スピードで落下してくる。それを確認し、目的を瞬時に理解する。

「特攻か!」

 維持こそ出来ていたが、本部を守る結界はその威力のかなりをAMFに蝕まれていた。
 そこにあれだけの速度と質量を持ったものが直撃すれば、更に脆くなり、最悪割れる事すら想像できた。そうでなくてもAMFによる魔力の霧散速度は跳ね上がるだろう。

「でもな! それ位、予想してないとでも思ったかよ!」

 スレイヤーウィップの回転を止め、構える。
 腰だめになり、魔力を込める。カートリッジシステムを駆動させ、更に魔力を貯める。そしてその全てを雷へと変換し、右腕のスレイヤーウィップへと送り込む。
 限界ギリギリ、制御できない電撃が辺りに撒き散らされ、ガジェットの残骸の上を跳ね踊る。
 目を細める。タイミングを計る時間は無かった。計る必要も無かった。魔力はなんとか足りた。いける。
 後は――――振りぬくのみ。

『Already』
「ッけぇええぇええええええええええええ!!」

 横薙ぎに振るわれたスレイヤーウィップ。それは言うなれば柄であった。では剣は。

 空を切り裂くその先端に魔力が集中/稲光が溢れ/収束/圧縮/凝縮>開放。
 それは空を逆上る一筋の流星のようであった。否、そのうねる様な軌道は星の流れに非ず。
 それは蛇だった。ぐねぐねと蛇行し、あるいは螺旋を描き、獲物を捜し求め天を這いずる蛇。
 光にすら追いつき喰らいつかんとする蛇は、まず一体のガジェットを貫き、更に次の獲物を求める。
 この蛇は、貪欲であった。ガジェットの、その鋼鉄の体躯を抉り、咀嚼し、貪る。
 一瞬の瞬きすら待たず、現れた10機のガジェットはその目的を果たす直前に、全て空に咲く炎の華と成り果てた。

51D.StrikerS ◆1QVaIgitMY:2010/10/30(土) 00:32:48 ID:fHkKB15M0
何も無いちょっとした広場に光が一瞬溢れ、それが掻き消えるのと同時に白衣の男が現れた。
 転移魔法である。管理局地上本部に程近いその場所は、普段ならこの様な反応があればすぐに感知され、武装局員がものの数分で集まるのだろうが、今この時に限ってはそうではなかった。既に、そういったシステムのほとんどは彼の娘が沈黙させた事を確認してある。だからこそ身一つでこんな場所に訪れるという愚行が実行できたのだ。
 男は、そう遠くない空に破壊されたガジェット達を眺めつつ、歩き出す。

「ふむ。これも防ぐか。どちらにせよ想定の範囲内だがね。」

 スカリエッティは声にする。恐らくはあの男を絶望に叩き込むであろう、一言。
 通信を開き、彼が声にしたのは娘の名であった。

「頼むよ、ディエチ。ああ、それとそれが終わったらクアットロと一緒に帰投しなさい。いいね?」



「……は、はぁ。よしっ、これで……」

 肩で息をする。ハイネにとって、今のは一つの切り札であった。魔力のほとんどを持っていかれたし、無理なカートリッジの使い方をしてしまった為、体にもガタが来ている。
 まだ、危機が去ったとはとても言い辛いが、これだけ騒げば回りに待機している別部隊も動き出す筈であった。
 少しだけ、ほんの少しだけの安堵と共に吐き出した声は。
 超長距離から、何の前触れも放たれた砲撃が結界をぶち破る音――――まるで硝子が割れた様に軽い――――によってかき消された。

「しまッ――――」

 背後を振り仰ぐ。その砲撃は本部こそ直撃しなかったものの、見事に結界を打ち破っていた。
 周囲を確認。かなりの量のガジェットを破壊したが、それでもまだ半分以上残っている。これだけの量がいれば、無防備になったこの場は簡単に制圧されてしまう。それは自明の理であった。
 また自身も先ほどの無理がたたって既に魔力は枯渇しかけ、カートリッジも底をついている。この量の敵を同時に捌くなど、この身一つでは到底不可能。
 地に足をつけると眩暈がした。思わずよろけて倒れそうになるが、なんとか耐える。
 笑えるほどにどうしようもない状況であった。泣きたいとは思わなかった。
 だから、その表情に笑みを刻み、今一度テンペストを抜き放った。
 ついでに煙草でも吸おうかと思い胸をまさぐり、ギンガに没収されていた事を思い出す。

「ったく……あいつ、ちゃんと返してくれるんだろうな。」

 ぼやくハイネの周囲をふよふよとガジェット達が包囲を始める。数えるのも嫌になる。
 己のデバイスが何か言うかとも、ふと思ったが予想に反して黙っている。下手をすればここで命を落しかねないというのに、相棒のし甲斐の無いデバイスである。
 今使える魔力で出来る事を思い浮かべる。精々、剣を叩き込むと同時に電撃を流して、動きを止めるのが関の山といったところであった。

「……っ。」

 足元のコンクリートをレーザーが抉る。飛び散った破片がこめかみの辺りを掠った。その辺りにやった手がちょっとしたぬめりを感じるのと、彼が跳ねるように横っ飛びしたのは同時であった。
 爆発の衝撃で吹き飛ばされるが、なんとか受身を取りその勢いのまま立ち上がり駆け出す。先ほどまでハイネが立っていた場所はいくつものミサイルが殺到した為、もう見る影も無かった。
 先ほどのミサイルを皮切りに、数機のガジェットが逃げ回るように走るハイネに追いすがる。先ほどの爆発のせいだろうか、足が痛んだが泣き言を言っている暇すらなかった。

52D.StrikerS ◆1QVaIgitMY:2010/10/30(土) 00:33:24 ID:fHkKB15M0
 ふと、死という単語が脳裏に浮かぶ。意外とすんなりと心に染み渡ったのは、一度死んだようなものだからだろうか。
 だが。

「ここで、こんな所で死んだら! ただの犬死にじゃねえかっ!」

 まだ何も為していない。この拾った命を使い切れていない。
 ザフトを失い、一度生き方を見失った自分が見つけた生き方。
 自分に守って欲しいと、言おうとして言えなかったらしくなくいじらしかった姿が脳裏に浮かぶ。
 
「っせい!」

 触手のように迫るベルトをテンペストで受け流し、同時に思いっきり電撃を流してやる。
 バチイと、何かが弾ける様な音と共に自分を追うガジェットの内一機がその機能を停止させるが、

『焼け石に水だな。』
「うっせぇ!」

 叫び返した所で、更にミサイルが飛んでくる。とっさに前に転がり、難を逃れるが起き上がった時には完璧に囲まれてしまっていた。

「あー……くそっ。イグナイテッド、後何匹くらい潰せる?」
『魔力変換は出来てあと2回。少なくとも現状を突破する事は不可能に見える。』
「だよなぁ……ここまでか?」

 観念したような言葉を吐いてしまう。出来る事はまだあったが、それで現状の打破が出来るとは思えなかった。あの時無理にⅡ型を破壊しようとしなければ、と思ったが、恐らく自分がそうする事を踏まえてのあの奇襲だったのだと気づく。

 ――――読み違えたか……いや、あそこはああしなかったら結局結界は破られていた。

 嘆息する。どうも、自分の行動は全て敵の手の平から抜け出せていなかったようであった。
 その時である。じりじりと包囲の輪を狭めていたガジェット達の動きが急に止まった。攻撃をするでもなく、数秒その場に静止したかと思うと、何故か反転し飛び去っていった。

「なんなんだ、一体。……ん?」

 そこで彼は違和感に気づく。

 ――――なんだ、これは?
 
 なんの前触れもなく、自分の胸から赤い何か……線? が伸びていた。いや、正しくは伸びている、では無く当たっている、である。
 特別痛みを感じる事は無かった。それどころか何か当たっているという感触すらなかった。ただそれを認めた瞬間、それが何かと不思議に思った瞬間、途方もない悪寒と脱力に襲われた。

53D.StrikerS ◆1QVaIgitMY:2010/10/30(土) 00:34:33 ID:fHkKB15M0
「な……に……っ?」

 ぐらりと視界が揺れる。先ほど感じた眩暈よりも更に酷いそれに、今度は耐える事が出来ず地面に倒れ伏す。

「魔導師の体にとって、魔力というものが体内を巡っているのは常の事だ。そんな事を書いた本などもあるが、それは今はどうでもいいか。」

 声がした。誰かが、地面に横になったままのハイネのすぐ傍で言葉を紡ぐ。

「巡り、流れ、廻る。つまりそれは連続する魔力の繋がり。」

 どうやら、未だ自分の胸に繋がり、この身の何かを侵している赤い何かはこの声の主によるもののようであった。
 そして気づく。自分はこの悪寒の正体を知っている。ここまでの強烈さではないが、この吐き気を催す気分の悪さを知っている。

「まあ、何が言いたいかというとね。その流れを一部でも堰きとめてやれば、君の体を巡る魔力は変調をきたす。
 常でない状態になれば体の方にも異常が生まれるのは道理だろう?」

 AMFだ。今感じているこの得体の知れない気持ち悪さは、AMFに包まれているときに感じる違和感の様な物を何倍にもしたに通じるものがある。

「けっ……AMF、か。道理でっ、気持ち悪いわけだ。」
「それを収束して、体内に入れてやればそれだけで大抵の魔導師は無力化出来るのでね、重宝している。」
「ふざけた、技術だなぁ、おい! フィールド魔法の収束なんて、初めて、聞いたぞっ。」
「そう難しいものでもない。ちょっとした応用だよ。」
「でも……ってぇ……! こんな技術もってやがるって事は……」

 視線を上げる。にやにやといやらしい笑みを浮かべた白衣の男がそこに立っていた。その右腕にはなにやらクローの様な物が着けられており、このAMFで出来ているらしい線は、その指先から放たれていた。
 男はこの敵地のど真ん中において、堂々と、または悠然と宣言する。

「では、改めて自己紹介といこうじゃないか、ハイネ・ヴェステンフルス。私はジェイル・スカリエッティ。君とシン・アスカの”敵”だ。」



 炎が上がり、うねる。それに伴い黒煙が空へと昇り、また眼下をよく見回せば至る所に破壊の跡が刻まれていた。まだ人が使うようになって1年も経っていないこの施設は、見るも無残な状況と成り果てていた。
 シンは目に映る全てを否定したくて、夢だと思いたくて、しかし出来なかった。
 これは現実なのだ。否定できない現実。起きてしまった出来事。
 現実はこんなものなのだと、奪われる時には奪われ、破壊される時には破壊される。
 それを経験から彼は嫌というほど知っていた。知らしめられていた。そのはずであったのだ。

「なんなんだよ、これは……」

 喉がひりひりと痛み、ぐわんぐわんと頭が揺れ、激しい吐き気に襲われた。
 目を凝らす。燃え盛る炎の合間、蠢く何かがある。ああ、と理解する。

「お前らが……」

 昏い呟きと共に練り上げる魔力は、シンの体内で既に激しく猛っていた。それを抑える事もせずに、そのままに開放させる。ガジェット達がこちらに気づいたようだが、もう遅い。

「お前らがこんなぁあああ!!」

――――――――――――
――――――――
――――がらん、と音を立てて最後の1体が機能を停止し、崩れ落ちる。辺りにはガラクタに成り果てたガジェット数体の部品がばら撒かれていた。

「……念話、ザフィーラから?」

 周囲でAMFを展開していたガジェット達は既に破壊したからだろうか。それでも全てでは無いだろうから、頭に叩きつけられた意思にはかなりのノイズが混じっていた。
 そうなる事は向こうも理解していたのだろう。脳裏に閃いた言葉は二言だけ。

 ――――外は我々が。中は任せた。

 片手に持ったエクスカリバーを戻すのも忘れ、飛び出すように走りだす。
 こんな所で無駄な時間を消費している場合ではなかった。

54D.StrikerS ◆1QVaIgitMY:2010/10/30(土) 00:38:28 ID:fHkKB15M0
とりあえずこんな感じです。
いや、本当遅くなってしまって申し訳ないです。
8月中に投下しようと思えばこの内容は投下出来たんですが、もうちょい書いてこの話を終わらせようと欲張った結果がこれだよ!
つうわけで後編の1って形での投下となりました。
後編の2で原作で言う六課襲撃を恐らく終われると思います。

とりあえず卒業しないとなぁとかぼやきつつ今日はこの辺りで。
ではまた次の投下の時にでも。

55名無しの魔導師:2010/10/30(土) 00:49:16 ID:9rIkc97IO
いやっほーう!
GJだぜ!

56名無しの魔導師:2010/10/30(土) 12:34:14 ID:gGqRUkukO
GJ!
皆も続けー!

57ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 15:30:07 ID:TyX4dE5Y0
お久しぶりです・・・
自分も、ついさっきやっと書き終えることができたので投下しに参りました。
四時すぎを目処にして投下します。
今回はこの話の最も重要なところのひとつなので時間がかかりました。申し訳ありません。

58ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:08:50 ID:TyX4dE5Y0
そろそろいきます

59ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:18:15 ID:TyX4dE5Y0
――???――
「成功ですか・・・まぁ、当たり前と言えば当たり前の結果ですがね。僕があれだけ時間を費やしたんですから」
ククク、と笑いながら男がそう語る。
男のいる部屋は薄暗く、狭い。牢獄を思い出させるほど簡素な部屋だが、壁や天井、床の色は、迷彩を潰したような危険に満ちた暗い色をしていた。
そして、その男の反対側に立っていた別の男が口を開く。
「えぇ、見事でしたよ。あなたの考案した特殊魔法陣を組み込んで展開するだけであれほどの魔導師をも無力化できるなんて・・・
それにあんなに綺麗にかかってくれるとは思わなかったですとも」
「いやいや、あれの原案はすでにあったさ。AMFとはよく出来たものだ。僕はあれを設置型の大型魔法陣に組み込んだだけだ手こずったのはやはり魔法陣のカモフラージュかな。
あれだけのものを管理局に見つからないように細工するのは少々骨の折れる作業だった。でもなんにせよ、成功おめでとう。これでまた君の計画が進みやすくなったわけだ」
「そうなります」
「よかったよかった。僕は直接戦ったりはしないけど、陰ながら応援しているよ」
男は、微笑み、とは言い難いような気味悪い笑いをもらす。相手のことをまるで考えていない、そんな笑いかただった。
「対価は本当によろしいのですか?」
怪訝そうに訊ねると、その男は意外にも、満足した、と言わんばかりの表情で握手を求めた。
「いやいや、僕はこっちの技術に触れられるだけでとても楽しいんだ。これからもよろしく頼むよ、ジェイル・スカリエッティ」
「そうですか。こちらこそよろしく」
二人は握手を交わし、スカリエッティと呼ばれた方の男も満足気に部屋を出ていった。


――同時刻――
――Side Nanoha――
「ん・・・」
(あれ・・・ここは・・・?)
なのははゆっくりと目を開けると、辺りには見たことのない風景が広がっていた。
ゆっくりと体を起こすと、眼前に映ったのは果てしない海だった。それに、自分が今座っているのは、砂、すなわち浜辺ということになる。
(確か私・・・アラートが鳴ったからアスランくんとティアナと出撃して・・・それで・・・ティアナの悲鳴が聴こえて・・・あれ?)
何故かその後が思い出せない。強いショックでも受けたのか、意図的な工作で記憶が無いのかは分からなかった。
「そういえば、アスランくんは?ティアナは?」
心配になってなのはは辺りをキョロキョロ見渡す。すると、すぐそばにアスランのであろう赤服が畳まれていた。
「これ・・・アスランくんの・・・」
なのはがそれを手に取ると、その下の砂に何か書いてあるのが見えた。
「ん?"ここの探索に行ってくる。無闇に動かないでじっとしていてくれ。アスラン・ザラ"」
とりあえずアスランの無事を確認したなのはは安堵するが、すぐにティアナのことを思い出す。
「ティアナは?アスランくんと一緒かな?」
自分の首に掛けてある待機中のレイジングハートに声をかけた。
「レイジングハート、ティアナと通信繋げられる?」
いつもは即座に聞こえるはずの機械音がまったく聞こえない。それを不振に思ったなのはは、レイジングハートの起動を試みる。
「レイジングハート、セットアップ」
しかし、レイジングハートは何も言わなければ発光すらしない。
「デバイスが使えない?」
なのははその後も何度か色々試してみたが、やはりレイジングハートは無反応だった。
「どうして・・・もしかして、このへん一帯にAMFとか?」
しかしそれは、あり得ない話では無かった。第一、魔法を使えなくするにはそれ以外なのはには考えられなかった。
「だとすると厄介だね・・・」
「お目覚めみたいだな」
なのはが一人言を呟いていると、後ろからいきなり声がかかった。
「わ!!?あ、アスランくん?」
「目は醒めたな。何が起きたか、分かるか?」
「い、いまいち・・・それよりティアナは?」
なのはがアスランにそう問うと、アスランは少し難しい顔をした。
「そうか。そこからか・・・分かった。まずは説明しよう。何故俺たちがここにいるのか。まぁじきに思い出すとは思うがな」


――遡ること数時間前、ミッドチルダ洋上――
『残り三機です!』
『了解!!』
シャーリーからそう通信を受けたアスランは、ジャスティスのスラスターを目一杯ふかす。
「はぁあああぁあぁぁああぁ!!!」
ラケルタサーベルの横薙ぎがまた一機ガジェットを爆発させる。そして、その爆発に残る二機が反応する。
その時、自分から注意が逸れる瞬間を狙っていたなのはが二機にバインドをかけた。

60ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:18:55 ID:TyX4dE5Y0
「よし、これで!!」
レイジングハートをガジェットに向け、足元に大きな魔法陣を展開する。
「ディバイィイイィイィン・・・」
レイジングハートの切っ先に桜色の魔力が集結していく。
「バスタァアアアァァアアァ!!!!」
膨大な魔力が一気に発射され、ガジェットを飲み込んでいく。
『ガジェット全機破壊を確認』
『はい。こちらも確認しました。お疲れ様です』
シャーリーから任務終了の通告を受けた三人は、ヘリの待機地点へ向かおうとしたがしかし、途中でティアナが立ち止まる。
「待って・・・ください」
「ティアナ?」
「どうかしたの?」
ティアナは真剣そうに呟く。
「なにか・・・なにか来る・・・」
「は?」
アスランが首を傾げる。
「感じないですか?何か、魔力反応みたいな・・・」
ティアナが二人にそう言うが、なのはもアスランも首を横に振る。
「いや、ならいいんですけど・・・」
しかし、ティアナもアスランたちに続いて撤退しようとした瞬間、シャーリーから通信が入った。
『新たな魔力反応を確認!!数・・・不明!』
『不明?』
『はい、何か全体的にぼんやりとしたような・・・』
(ちっ・・・やはりこの程度で終わり、というわけにはいかないみたいだな・・・)
アスランは心の中でそう毒づいた後、シャーリーに通信を返す。
『了解だ』
三人は新たな魔力反応の報告を頼りにそちらへと向かった。
そしてしばらく飛行を続け、アスランがそれを視認出来る距離まで近づくと、中空に浮かぶ人が見えた。
『こちらアスラン・ザラ。魔力反応の根元を確認。人のようだ』
『魔導師ということですか?』
『おそらくな。心当たりがある』
アスランはそのままそれに近づいていく。そしてお互いの声が聞こえるくらいまで近づいてからこう呼び掛けた。
「お前、キラ・ヤマトの仲間だな?」
質問ではなく最早確認のような物言いで相手に言う。
「どうだろうな」
「なぜあいつらに加担する?あいつらのやり口は許されることじゃないぞ」
「んなこと俺が知ったことじゃない。やれ、って言われたからやるんだよ!!!」
相手はそのままアスランに突撃し、魔力刃を形成した鎌と膝から伸びたビームクローを携えた。
『アスランくん!ティアナ!!』
その一言で全員行動を開始する。
『ブリーフィング通り、アスランくん前でティアナは後ろで状況把握!私はセンターで援護にまわる!!!』
二人は返事こそしないが、なのはの言い付け通りに即座に動く。
「投降の意思はなしか・・・残念だ!」
受けに回っていたアスランは、ラケルタサーベルで一度敵を凪ぎ払い、距離をとる。
「スティングだったか?なぜ今戦う?ここらにレリック反応はないはずだ」
「お前たちには関係がない話だろ」
「まぁそうだろうがな」
アスランも、もとより返答があるなどとは思っていない。右手にラケルタサーベルを握り、左手にビームライフルを握る。
「悪いが、ここで大人しく捕まってもらうぞ」
「やれるものならな」
スティングは一気に後退してアスランと距離をとろうとする。しかし、その直後にスティングの周りに桜色の球体が現れ始めた。

61ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:20:34 ID:TyX4dE5Y0
――Side Sting――
「ちっ・・・」
(こっからが本番だな・・・)
男は舌打ちをしてから通信を入れる。
『白の介入を確認。任務を開始する』
『あぁ、一番後ろのは気にしなくていい。二人で十分だ』
『了解』
『誘導ポイントの座標は分かるな?』
『あぁ』
それを聞いた相手――ラウ・ル・クルーゼ――は悪質な微笑みを浮かべながら笑う。
『お前の任務はポイントへの誘導だ。そこからは私とイザークがやる』
『分かってる。だが、そんなに簡単にいくもんなのか?』
『スカリエッティによるとな。私もこれの仕組みを見せてもらったが、中々良くできてる。結果が楽しみだよ』
『そうか。じゃ、任務に戻る』
『うむ。健闘を祈るよ』
そう言うとクルーゼは通信を切る。
「さて・・・」
男は正面に向き直り、アスランとなのはを見る。
「いくか!」
カオスをMA形態にし、アスランに急速に迫る。アスランは迎撃のために身構えたが、男はアスランの横を通りすぎ、膝のビームクローでなのはを襲った。
「この程度・・・レイジングハート!!」
『Protection』
男の斬撃はなのはの障壁に阻まれて火花を散らす。その程度で倒せる相手ではないことは男自身わかっており、即座になのはから離れてアスランを狙う。
「ニーズヘグ!!」
男が叫ぶと同時に鎌の魔力刃が一回り大きくなった。MS形態でビームクローとニーズヘグでひたすら攻めていく。
アスランもビームライフルを止め、ラケルタサーベルを両手に持ってこれを捌く。
「ちっ!!!」
舌打ちと同時に男はアスランとも距離をおく。直後、男がいた場所には六個近くのアクセルシューターが密集した。
(ポイントまでの距離はあと八百ちょっと・・・感づかれたら負け・・・めんどくせぇ・・・)
男は、二人と戦う気など全く無い。男の任務は"指定されたポイントに二人を誘導する"こと。二人に自分をより印象付け、無意識に自分の方に寄せていくのが肝心なのだ。
サッカーを例に挙げてみると分かりやすい。
子供たちが集まってやるようなサッカーは、ボールのあるところにプレイヤーが集まりやすい。団子サッカー、と言ったりもするが、これは子供たちがサッカーという競技においてボールが一番印象強いと思うため無意識にそれに吸い寄せられるのだ。
つまり男は、自分がこの戦闘の中心にならなければならない。男がただポイントへ飛行するのでは頭の良いアスランたちは着いてこない。自分への印象付けが強ければ強いほど、二人の周りへの注意は削がれる。
つまり、いかに派手に、さらに相手からしてみれば手強く戦うかが鍵となる。
「っらぁ!!」
掛け声と共にアスランへと斬り込み、なのはにロックされる前にまた退き、今度はなのはへと飛び込む。そして数撃ガードされたらまた離れてアスランへ斬り込む。この繰り返しを延々続ける。
そして、十往復したころには残り百メートルを切っていた。
(よし・・・まだ魔力は保てる・・・単調過ぎるとバレるからな・・・ここらで畳み掛けるか)
男はビームクローとニーズヘグにさらなる魔力を流す。それにより、ビームクローとニーズヘグはさらに輝きを増した。
「決める!!」
言葉と同時にアスランにニーズヘグを降り下ろす。アスランはそれをラケルタサーベルで受けるが、男はそのままラケルタサーベルを支えにして下半身を動かし、ビームクローでアスランを狙う。
「墜ちろぉぉおおぉおぉ!!」
「くそっ!!」
障壁が使えないアスランにとって、片手でニーズヘグを受けながら反対の手で盾を持ってビームクローを防ぐというのはかなり厳しいものである。
しかし、後少しでアスランが根負けするような所でスティングは攻撃の中断を余儀なくされた。
(あの白いの・・・やっぱめんどくさいな)
スティングは止まることなくなのはに向けて飛翔する。
「らぁ!!」
アスランの時と同じように突撃をするが、今度は競り合いではなく、常に移動を繰り返しながらなんどもなのはの障壁にニーズヘグやビームクローをぶつける。
しかし、攻撃を十も数えないうちになのはの障壁にヒビが入った。
(攻撃が重い・・・ヴィータちゃんほどじゃないにしろ、いつまでもつかわからない・・・)
ここへ来てなのはも焦り始める。さきほどよりもその輝きを増したニーズヘグとビームクローの連撃に耐えきれなくなってきている。
「っつぁ!!」
スティングが思い切りニーズヘグを振りかぶり、障壁のヒビ目掛けて横一閃に振り抜く。
ガン、という手応えと共にスティングはその場を離れる。その直後にスティングがいた所に数個のアクセルシューターが通過する。
それによりスティングを見失ったなのはが姿を探そうと振り向くが、既にスティングはなのはの真上でニーズヘグを振りかぶっていた。

62ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:21:41 ID:TyX4dE5Y0
「高町!!」
アスランが横からビームライフルを射ちながら近づいてくるが、スティングは盾でビームをねじ曲げて片手で思い切りニーズヘグを降り下ろす。
その一撃でなのはの障壁のヒビは全体に広がり、ついに砕け散った。
「しまっ!!」
スティングはなのはにもう一撃与えようとしたが、アスランが目と鼻の先に来ていることを確認すると、直ぐにアスランを惹き付けるためにアスランとすれ違うように退避し、ポイント内に入った。
「おおぉぉおぉおおぉぉぉおぉ!!」
アスランは大分頭に血が上っているようで、ラケルタサーベルを持ってスティングに突っ込んでくる。
(あと一人・・・)
スティングはアスランの剣を捌き、距離をおいてなのはにカリドゥス改からビームを放つ。

本任務でスティングが指定された誘導ポイントは直径百メートルの円形をしている。
そして今スティングは円の中心付近にいて、アスランもスティングから十メートルほど離れたところにいる。さらになのははアスランから二十メートルほど離れている。
つまり二人ともポイント内にはいるのだが、クルーゼの命令でスティング自身はポイント内にいてはいけないため、クルーゼに合図することが出来ないのだ。
『よし、そろそろだ』
『了解だ。タイミングを逃すなよ?』
『あぁ』
それだけ言ってスティングは通信は切る。少し後退しながらアスランとなのは交互にビームを放ち、そのあとスティングはなのはに突撃した。自分の横を通り抜けたスティングをアスランが直ぐに追う。
いつもならまずはアスランに突っ込み、距離を置いてからなのはに向かっていった。しかし今度はアスランが直ぐ後ろに着いてくるのも厭わずになのはに向かっていった。
(お前の障壁はさっき壊したんだよ!!)
スティングがなのはにニーズヘグを降り下ろすと、案の定なのははアクセルシューターを操作せずに回避に徹した。先ほどまでスティングの攻撃を正面で受けてそこからアクセルシューターで反撃を狙っていたが、その狙いを捨てて今度は逃げながらアクセルシューターをばらまく。
しかし、敵に背を向けて放ったアクセルシューターに当たるほどスティングは弱くはない。次々に迫るそれらを巧みに交わし、アスランを牽制しながらなのはを追う。
(ここらへんだな・・・)
周りを確認したスティングは急減速してアスランに向き直り、突撃をしかけた。
この方向転換にはさすがのアスランもついていけず、スティングのニーズヘグを正面で受ける。
「ふん!!」
スティングがそのままニーズヘグを振り、アスランを吹き飛ばした。
(今!!)
スティングはアスランは追わずカオスをMA形態にして、左方向――ポイント外――にむけて急加速した。そしてそのままなのはとアスランにカリドゥス改からビームを放って牽制する。
(よし・・・三・・・ニ・・・一・・・)
加速中にスティングは通信モニターを開いた。そして、それとほぼ同時になのはとアスランの耳につんざくような悲鳴が聴こえた。
『今だ!!!』
『アスラン!なのはさん!!駄目!逃げて!!それは!』
「なっ!!?」
ティアナの言葉が終わる直前に、なのはとアスランの真下に巨大な魔法陣が広がった――

63ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:22:27 ID:TyX4dE5Y0
――その少し前、Side Tiana――
「・・・」
ティアナはなのはとアスランが戦っているのを遠巻きに眺め、何か異変がないか探っていた。
「でも、やっぱりおかしい・・・本当に敵があの一人ならシャーリーさんが間違えるわけがない」
ティアナは口元に手を当て、考え込む。
「それに、さっきから何か魔力反応があったり無かったりするし・・・」
言いながらティアナは右を見る。
アスランたちが戦っている前方から魔力反応があるのはもちろんだが、ティアナの右、今は関係ないはずの方向から時折微弱な何かを感じるのだ。
魔力反応、とまでは言わないが何か違和感のような、その程度のものだが。
「確かめてみるか・・・」
迷っていたティアナはそう決断を下し、体を右に向けて前進した。
(思い過ごしならそれでいいんだけど・・・)
胸中に言い知れぬ不安を抱えながらティアナが進むと、しばらくして前方に人影が見えた。
(あれは・・・?)
ティアナは訝しながらもそれに向かって前進し、声をかけた。
「あなたたち!!そこで何をしているの!!?」
「ん?」
ティアナの言葉に一人の男――ラウ・ル・クルーゼ――が振り向いた。
「お前は・・・管理局の人間だったな?機動六課の」
「そうよ」
クルーゼはそこで一度微笑する。
「よくここを突き止めたな。それは評価に値する。だが、少し遅かった」
「待って!!何を・・・」
「それより、仲間の心配をした方がいいぞ?」
クルーゼは余裕の笑みでそう言った。その言葉を聞いたティアナがアスランたちに通信を入れるのと、クルーゼに通信が入るのは、ほぼ同時だった。
『今!!』
『アスラン!なのはさん!!駄目!逃げて!!それは!!』
「さらばだ!!」
クルーゼの足元にも魔法陣が展開し、何らかの魔法を行使したであろうことはティアナからもわかった。
「やめなさい!!」
クロスミラージュの銃口をクルーゼに向けて魔力弾を放つが、それはその隣にいた男――イザーク――によって防がれた。
「しまっ!!」
「イザーク!退くぞ。任務は完了した」
「了解!!」
クルーゼもプロヴィデンスのドラグーンを発射してティアナを牽制する。
「くっ・・・」
慣れない空中戦のため、ティアナは思うように反撃できず、当たらないように回避するのが精一杯だった。
その隙にクルーゼはスティングに通信を入れ、撤退を始めた。
「待ちなさい!!」

ティアナは焦ってクルーゼに近づこうとするが、逆にドラグーンのビームのひとつがスラスターに当たってしまう。
(まず・・・)
ティアナは自分の魔法も用いてなんとか体勢を保つが、クルーゼたちを相手に出来るほど高度な飛行は出来ない。
(今はなのはさんとアスランを捜さないと・・・)
クルーゼが撤退してティアナの周りからドラグーンが消えた後、ティアナはそのままヴァイスに通信を入れる。
『ヴァイス曹長!!聞こえますか!!?』
ヴァイスに通信を入れると、彼も焦ったようにティアナに訊ねた。
『あぁ!!何があった!!!いきなり二人の魔力反応が消えたぞ!?』
『え?』
ヴァイスの返答にティアナは驚く。
クルーゼたちがなにかした、というのはティアナにも分かっていたが、"魔力反応が消えた"というのが引っ掛かる。
『消えたってどういうことですか!?』
ヴァイスもかなり焦った口調で言い放つー
『わかってたんじゃないのか!!?まぁいい!いきなり二人の魔力反応が消えたんだよ!海上でな!』
『消えた?強制的に転送されたっていうことですか?』
『いや、転送魔法の痕跡はない!』
『???』
『ただ、こんな海上でいきなり魔力反応が無くなる、つまり魔法がつかえなくなったのなら・・・それはかなりマズイだろ?』
『まさか・・・』
『あぁ・・・もし、敵の罠であの二人が魔法を封じられたなら・・・事態は最悪だ』
『・・・分かりました。私も二人を探します』
『了解だ』
ティアナは最悪の想像を頭から振り払いながら、海上を二人の名前を叫びだした――


――現在、詳細不明地にて Side Athurun――
「俺たちは最後のティアナからの通信の後、魔力が使えなくなってそのまま海上に墜落した。で、どうやらここに流されたみたいだな」
「そういえば・・・」
なのはも何が起こったのかを思いだし、表情を曇らせる。
「ここがどこなのかは・・・」
なのははそのままチラッとアスランを見るが、アスランは首を横に振る。
「だが、いつまでもここにいるわけにはいかない。とりあえず雨風が凌げるところは見つけたから、そこへ行こう。一応携帯用の食料も持ってる」
「・・・うん、そうだね」
二人はそのまま自分たちが打ち上げられていたでだろう浜辺を離れた。

64ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:23:51 ID:TyX4dE5Y0
「にしても、大丈夫かなティアナ・・・」
「どうだろうな・・・ここの外のことは今の俺たちには分からない。ただ、ティアナの最後の通信を聞く限りティアナは敵と接触している。それも俺たちが会ったやつとは別のな」
「つまり・・・敵は複数だった」
「そうだな。もし戦闘になればティアナは慣れない空中戦だ。かなり不利になる」
「ティアナ・・・」
なのはが俯いて不安気な顔をすると、アスランは前を向いたままいう。
「でも、今は人の心配をしている暇はないぞ?俺たちだって万事休すなんだ」
「そう・・・だね」
それ以降二人は何も喋らなくなり、アスランが見つけた、という場所へ移動する。
そしてしばらくしてアスランが立ち止まるとなのはも立ち止まり、目の前を指差して言う。
「ここ?」
「あぁ。ここなら当分雨風を凌ぐには大丈夫だろ?」
アスランが見つけたのは、高さ七、八メートルはあろうかという崖にある洞穴だった。
「ここならしばらくは大丈夫だ。後は、どうやってここを気づいてもらうかだな」
「そうだね・・・」
アスランは考えこむ仕草をしながらウロウロ歩き回る。
「とりあえず、魔力は使えないんだ。だからとりあえず煙、が妥当だろうな」
アスランの提案は一般的と言えば一般的なもので、どこかで火を起こしてその煙をたち上らせることで気づいてもらうというものである。
「そう・・・だね」
「そのためには何か燃やせる、木みたいなものがいるな。とりあえず生活にも火は欠かせない。どこかで取ってこよう。高町はどうする?ここにいるか?」
「私?それなら私も行くよ。一人でいても良いことないし」
「そうか、なら行くぞ」
島の内部は鬱蒼と木々が茂っており、ジャングルを連想させるものだった。
「さすがに中は薄暗いね・・・」
「今はまだ昼間のはずだがな・・・大丈夫さ。ちょっと木を拝借するだけだ。行くぞ」
アスランはさらに中へと踏みいる。なのはもキョロキョロしながらそれに続いた。しばらく歩いて、アスランが目的の物を見つける。
「こんな感じだな。湿気ってもいないしサイズも十分だ」
「どのくらい集めるの?」
「そうだな・・・あるにこしたことはないが、何かあったときに身動き出来ないのは困る。せいぜい片方の脇に抱えられる程度だな」
「うん。了解」
なのはも辺りを探し始める。しかし、すぐにアスランが呼び止める。
「高町!あまり遠くへ行くな。こんなところで離ればなれになったら危険だ」
「わかってる。視界にアスランくんが入るようにするよ」
なのははそのままアスランのもとを離れる。アスランもそれを見て捜索を続ける。
(こんなことは、もうコリゴリなんだがな・・・)
はぁ、とため息をつきながら思い出す。
イージスが撃墜され、機体ごと無人島に漂流されたこと。偶然そこにいたカガリとその無人島で助けを待ったこと。
アスランにとってもう何年も前の思い出だった。そして今、また自分は同じような状況にいる。
(違うのは、イージスが無いから救援信号が出せないことか・・・)
だからこそこうして古典的な方法にでているのだ。
(頼むぞシン・・・)
内心でそう祈りながら黙々と木々の収集を進めた。
「・・・よし、こんなもんだな」
片脇に抱え直した木々を見下ろし、アスランはなのはを探す。すると、なのはの言ったとおり、アスランからそこまで離れていないところになのははいた。
「お〜い高町!!そろそろ戻るぞ!」
「あ、アスランくん!わかった!!今行くね〜!!」

65ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:24:23 ID:TyX4dE5Y0
なのはが草を掻き分けながらアスランの元へ向かう。
「ア、アスラン?」
その時だった――
なのはがアスランのもとへ向かい、二人がもと来た道を戻ろうとしたとき、彼らの後ろから声がかかったのは――


――機動六課舎内にて――
「アスランと高町が消えたぁ!!?なんで!?」
機動六課のオペレーションルームでシンのすっとんきょうな声がこだまする。
「わからないです!!でも、完全に二人の魔力反応は無いし、現地の二人も捜索はしていますが見つからないようです!!」
「あり得ないだろ!なんで!?強制転送か!!?」
シンはシャーリーの座る椅子から身をのりだし、モニターを見ながらそう言った。
「いえ!転移魔法のような魔法の痕跡はありません!」
「だったらなんで!!」
「今解析中です!おそらく、最後に現れたあの魔法陣が何か影響してるかもしれません」
「くっそ・・・」
シンはそれ以上の言い争いは無意味と察し、一歩退く。そこで、何か思い出したようにシャーリーに訊ねた。
「ティアナは?あいつは無事なのか?」
「はい。彼女は二人の捜索をしていますが、こちらから確認する限り大丈夫です。いざとなればヴァイスさんのヘリもいます」
それを聞いてシンはとりあえず安心する。
「こっちからも捜索部隊を出せないんですか?」
シンに代わるようにスバルが隣にいたはやてに提案した。
「そうしたいんはやまやまなんやけど・・・今こっちにいるFWはわたしにフェイト部隊長、スバル、エリオ、キャロ、シンだけや。こっからさらに捜索部隊に人手は割けへん。それに、まだ敵がはってる可能性もある。闇雲に出すことは出来ん」
「くそ・・・シグナムは!?」
「シグナムは外回りや。一応連絡はつけといてもらったから、こちらに向かっとるはずなんやけど・・・」
シンは何も言わずに自室へと走っていった。しかし、はやてがそれを引き留める。
「シン!!!」
「俺は行く!あんたがなんと言おうとな!!」
「待ちや!こっちから不用意に出るのは危険すぎる!!」
「何言ってんだよ!仲間の命がかかってるかもしれないんだぞ!?そんなこと言ってる場合じゃないだろ!!!」
「かといって今シンを出すわけにはいかへん!!もしまだ敵がいたら・・・」
「だったら俺だけ行けばいいさ!俺はあんな奴らには絶対に負けない!」
はやてがシンを説得するが、シンがそれを怒声でかきけした。
「ふっざけんな!!」
「黙りや!それに、先にやることもある!!そんなに自分勝手に行動したら隊が成り立たへん!!!」
同時に、ゴン、というシンの拳が壁を叩く鈍い音がした。
「くそ・・・あんたも・・・あんたもそうかよ・・・向こうの馬鹿みたいな上官たちと同じなんだな!!いざ、って時になにもしないんだ!危険だからって何かと後回しにして!仲間の事を何も考えない!!!仲間が居なくなったんだぞ!!?なんでそんな平然と突っ立ってられるんだよあんたたちは!!危険だ危険だって、何よりもまずは自分の命か!!?自分の地位か!?名誉な戦死!!?ふざけんな!俺は行く!例え命令違反だろうとかまわない!!こんなところでじっとしてあいつらがやられたりしたら!それこそ俺はもうなんて顔すればいいか分からない!!できることをやろうとしないやつの命令なんか俺は聞けない!!」
シンはそれだけ言うと、はやてに背を向けて駆け出した。
「シンくん!!」
フェイトがすぐにシンの背中を追いかける。そのすぐ後にはやてからフェイトに通信が入った。
『フェイトちゃん・・・シンは?』
『今・・・追いかけてるよ』

66ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:24:57 ID:TyX4dE5Y0
『・・・そか。そんなら、シンを捕まえたら二人で捜索に行ってくれるか?』
『え?』
はやてのその言葉に、フェイトは一瞬走るスピードを緩めてしまう。
『どういうこと?』
『そのままや。二人でなのはとアスランの捜索に出て欲しい。それに、ああなったシンはもう止まらへん。それを許してる私も駄目隊長やけど』
『はやて?』
はやての真意をはかり損ね、フェイトは当惑する。
『シンのやってることは部隊員としては無茶苦茶や。あんなじゃじゃ馬あり得へん。せやけど・・・人として言ってることは理解できる』
『・・・』
『でも、私は立場上そんなことは出来へん。まぁシンからしたら、それも下らない事かもしれんな。・・・でも人にはそれぞれ出来ることと出来へんことがある。それは立場によっても変わることもある。だから、シンに託そうと思ってな』
『・・・わかった』
フェイトは力強くそう返答した。
『フェイトちゃんかて行けるなら行きたかったやろ?』
『それは・・・まぁ』
『せやから、シンのサポートを頼むわ』
『了解』
フェイトはそれだけ言うと、もう通信モニターを見もせずにただシンを追いかけた。シンとフェイトはそのまま機動六課のエントランスから外に出る。
そこでシンはデスティニーを起動し、魔法陣を展開する。
「デスティニー!!最後にアスランの魔力反応があったところわかるか!?」
『・・・I'm sorry.I can't find』
「ちっ・・・」
シンは舌打ちしてから、打開策を練る。すると、真後ろから声が聞こえる。
「デスティニー、ティアナのいる座標はわかる?」
「・・・フェイト?」
『I'm searching・・・・・・I found』
唖然とするシンをよそにフェイトが命令する。
「そこでいいよ。転送して」
『Master.Do you follow it?』
「どういうつもりだよ、あんた」
シンが怪訝な表情でフェイトの顔を伺う。
「どうもこうも、行くんでしょ?」
「あぁ、そりゃ行くさ」
「私も行くから」
「は?」
フェイトの当然のような物言いにシンはさらに唖然とする。
「それに、八神隊長の許可も出たもの」
「そうなのか?」
「だから私はここにいるんだよ」
「・・・」
シンはしばらく黙ってからデスティニーに命じた。
「フェイトの言うとおりに転送してくれ」
『Alright』
シンの緋色の魔法陣が輝きを増し、次の瞬間には二人の姿は無かった――



――Side Kagari――
「くそ・・・アスランたちの安否の確認はまだなのかバルトフェルド!!」
「落ち着けよカガリ。これから客人が来るんだ。それに、安否なら俺が捜させてある。問題はない」
機動六課からアスラン、なのはの行方不明が知らされた時、聖王協会の一室でカガリ、バルトフェルド、ハイネは客人を迎えていた。
「・・・そうだったな・・・すまない・・・」
カガリが落ち着きを取り戻し、椅子に座るると、ドアの反対からノックの音がした。
「失礼します。御客人が到着なさいました」
それと同時にドアがゆっくりと開いていく。そのドアの奥にカガリが座っており、ドアの右手側にバルトフェルドとハイネが控えていた。
「こちらが、陸士108部隊からいらっしゃった、ギンガ・ナカジマとメイリン・ホークです」
二人のそばにいた使いが一人ずつ紹介し、それと同時にギンガ・ナカジマ、メイリン・ホークと名乗られた二人は一人ずつ丁重に頭をさげる。
「陸士108部隊所属、ギンガ・ナカジマです」
「同じく、メイリン・ホークです」
「私はカガリ・ユラ・アスハだ。こっちは手前がアンドリュー・バルトフェルド、奥がハイネ・ヴェステンフルス」
カガリも同じように自己紹介、二人の紹介をし、紹介された二人も頭をさげる。
「アンドリュー・バルトフェルドだ。バルトフェルドと呼んでくれ」
「ハイネ・ヴェステンフルス、ハイネでかまわない」

67ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:25:59 ID:TyX4dE5Y0
「君たちが機動六課のレリック事件に協力する、という二人だな?」
「はい」
カガリの言葉にギンガが短くそう返事をする。
「一応あなたたちの資料は見させてもらった。ギンガ・ナカジマ、あなたは機動六課所属のスバル・ナカジマの姉、という解釈でいいか?」
ギンガは、その言葉が少し気に障ったらしく、すぐに言い返した。
「はい。私はスバルの姉です。しかし、任務に私情を持ち込むつもりはありません。誰であろうと戦場では一人の戦士ですから」
ギンガの言葉にカガリは少し慌てた。
「いや、すまない。別にそんなつもりはなかったんだ。ただの確認だ。だが、そう言ってくれるのは頼もしい」
カガリが一度言葉を切り、今度はもう一人の方を見る。
「メイリン・ホークと言ったな?君は確か・・・私と同じ、"向こう"の出身だな?」
「・・・はい」
相手もカガリに見覚えがあり、深刻そうな顔をして頷く。
「アスランと同じ船に乗っていたオペレーターだな?」
「はい。元はザフト軍所属、ミネルバのオペレーターとして働いていました」
「ということは、今回のレリック事件の敵についても大体わかるな?」
「はい。キラ・ヤマト、ムゥ・ラ・フラガの二名とは最後に同じ船で戦いましたから・・・」
「そうか・・・まぁいい。この話はまた今度にしよう。それより、今日来てもらった理由を話そう」
カガリがそう仕切り直し、真剣な目付きで二人を見る。
「あなたたち二人の機動六課のレリック事件への着任期間は、たしか三日後からだったな?」
「はい。そうです」
カガリの確認にギンガが頷く。
「今日来てもらったのはその事なんだ」
カガリがそこで切ってからまた続ける。
「実は、前の戦闘で副隊長、ニアSクラスの魔導師が一名戦闘不能の重傷を負った。さらに、敵の数は私たちより若干少ないにしても、それぞれ強さが私たちを上回っている。もちろん、部隊長クラスや副隊長クラスの人間ならまともにやりあえる。しかし、一隊員、しかも機動六課に配属されたような新人には少し分が悪い。だから、今日や明日にでも着任してほしいんだ」
「なるほど・・・ようするに、人手不足ということですか?」
「まぁ、そういうことだ・・・」
ギンガの言葉にカガリが苦々しくそう答える。すると、横でメイリンが申し訳なさそうに発言した。
「あの〜、すみません。私はオペレート専門なのてで、戦闘はちょっと・・・」
しかし、カガリはまた慌てたように言う。
「あぁ、君は違う。君にやってほしいのはまた別だ」
「というと?」
メイリンはカガリの言いたいことがわからずに訝しむ。
「君は、MSの整備は出来るな?」
カガリの問いにメイリンは疑問に思いながらも答える。
「まぁ、はい」
カガリはそのまま質問を続ける。
「それに、こちらの世界のデバイスの整備も出来るらしいな」
「一応一通りは覚えました」
それを聞いたカガリは、やはり、と言った顔で続けた。
「君にやってほしいのはMS型デバイスの整備だ」
「MS型デバイス?」
「知らないか?コズミック・イラからの次元転移者が持つ、MSを模したデバイスのことだ」
「そんなものが?」
「そうだな・・・実際に見せた方が早いか」
そう言うとカガリは立ち上がり、ピンク色の宝玉を手につかんだ。
「ストライク!」
『Set up』
眩い光に包まれたカガリは、自分の機体であったピンク色のストライクの装甲に身を包む。もちろん、左胸にはオーブの紋章も印されている。
「こういうデバイスだ。こちらのものとはかなり違うだろう?」
メイリンは、驚きを隠しきれずカガリを凝視する。
「そう・・・ですね・・・」

68ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:26:58 ID:TyX4dE5Y0
「こちらのデバイスは武器は一つだが、私たちのもつMS型デバイスはこのバリアジャケットが主体となり、それぞれのMSの持つ武装を呼び出せる」
そう言いながらカガリは、ビームライフルとビームサーベルを呼び出した。
「しかしこれの難点は、デバイスの複雑さにある。MS型デバイスは、もちろん普通のデバイス同様の整備が必要となるが、同時にMSの構造も理解していなければならない」
「どうしてです?」
「このデバイスは基本的にMSと同じだが、動力源を魔力に委託している。そしてその魔力は、元々MSに蓄えてあるものではなく、デバイス使用者本人の中にあるものだ。つまり、そのデバイス使用がそれぞれのアクションに使用する魔力のコントロールも必要となる」
「なるほど。つまり魔力浪費なども問題も起こりうるというわけですか?」
「そうなる。まぁ、簡単に言えばMSの構造を知り、デバイスの構造も知っていなければデバイスの改良が不可能なんだ」
メイリンはやっと納得したような顔をした。
「分かりました」
それを聞いたカガリは再び視点をメイリンからギンガに移す。
「今言ったことが、本来の目的だ。しかし、今機動六課で緊急事態が発生している。君たち二人にはそれの対処もお願いしたいんだ」
「緊急事態、ですか?」
「あぁ。先ほど、行方不明者二名と言っただろう?その二名の捜索だ」
そしてカガリははやてに通信を入れた。
『はやて。はやて、聞こえるか?』
『あぁ、大丈夫や』
『状況はどうなっている?安否の確認は?』
カガリがそう言うと、はやては通信画面越しに苦々しい表情を作った。
『まだ分からへん。現地にいた二人はまだ捜索中で、こっちからも新しく二人送り出したとこや』
『そうか・・・』
『二人行方不明に一人重傷・・・ちょっと笑えへん状況や。向こうとしては絶好の状況かもしれへんけどな・・・』
『はやて、そのことで少し話がある』
『ん?なんや?』
『陸士108部隊から機動六課へ二人、レリック事件の解決まで仮加入させるという話を前にしたな?』
『相手の戦力が思いの外高かったから人員補強をする、っていうやつやったな』
『そうだ。今、その二人が私のとなりにいてな、今すぐにでも機動六課に加入してもらおうと思っているんだ』
『ほんまに!!?』
『あぁ、予想外の事態が起こったから来てもらったんだ。二人の実力は私が保証しよう』
『そか。そらこっちとしても願ったりかなったりや』
『後はそっちの受け入れの状況次第でいつでも大丈夫だが・・・どうだ?』
『ん、こっちはいつでも大丈夫や』
『そうか、忙しいところ済まなかった。何かあったら報告してくれ』
『了解』
カガリはそれで通信を切り、二人に向き直る。
「事は一刻を争う。行方不明になった二人は海上での戦闘中に姿を消した。辺りに転送魔法の痕跡が無い事から、最悪の場合海に落下した可能性もある」
カガリは一度下を向き、深く息を吐いてからこう言った。
「二人とも、この事態に協力してくれないか?」
メイリンとギンガは一度お互いの視線を交わしただけで、直ぐに返答した。
「元々協力する予定ですから、それくらい構いません。是非、いつでも協力させていただきます」
「ありがとう」
カガリはそう言うと、バルトフェルドに命令した。
「バルトフェルド、準備を開始してくれ」
「はいよ。そんじゃ、表で待ってる」
バルトフェルドはすでに承知してかのように立ち上がり、部屋を出ていった。
「さて、君たちも準備はいいな?彼の準備ができ次第、機動六課へ転送する」
カガリは確認するように二人に目を向ける。二人はその視線に首を縦にふって答えた。
「では、行こう」
カガリも立ち上がり、部屋の外へ向かう。それにハイネが続き、二人を手招きした。二人もハイネに続いて部屋を出ると、バルトフェルドからカガリに通信が入った。
『準備オーケーだ。いつでもいける』
『すまない。感謝する』
カガリが通信を切りバルトフェルドの待つ場所へ着くと、そこには転移魔法陣を展開するバルトフェルドとダコスタの姿があった。
「お二人さんご招待だ。気を付けていけよ!」
バルトフェルドがギンガとメイリンに向けてそう言うと、展開してあった転移魔法陣がいっそう輝きだす。二人はそれを見て魔法陣の中に足を踏み入れた。
「くれぐれも気をつけてな」
カガリが念を押すように言うと、二人は深く頷く。
「ギンガ・ナカジマ、メイリン・ホーク、レリック事件への協力のため、これより機動六課へ向かいます!!」
ギンガがそう宣言すると、カガリは頷いてその許可を出した。その隣でハイネが形式ながらも敬礼している。
そして次の瞬間、二人の姿は消えた――

69ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:28:47 ID:TyX4dE5Y0
――詳細不明の島にて――
――Side Athurun――
二人が島に漂流した日の夜、アスランとなのはは薪を集めて洞穴に入り火をつけて暖をとっていた。
「アスランくん・・・」
「ん?どうした?」
「私たち、どうなるのかな?」
なのはが体育座りのまま顔をうずくめる。
「不安なのは・・・俺も同じだ。だが、どうなるかは俺たちとシンたち次第だ」
「・・・」
アスランは、どうしたものか、とため息をつく。
「アスランくんは、すごいよね。こういうときも冷静になれるなんて」
なのはが半分なげやりにそういった。
「・・・初めてじゃないからな。こういうのは」
アスランのその返答にやっとなのはは顔を上げる。
「どういうこと?」
「こっちの世界に来る前にも一度あったんだ。こうやって無人島に漂流したことが」
「一人で?」
「いや、当時敵軍にいたやつと一緒だった。たまたま同じ島に墜ちたみたいでな」
「その時はどうしたの?」
「今と大差ないさ。こうやって生活出来る穴ぐらをみつけて、火を焚いて、なんとかやり過ごしながら救助を待った」
「そう・・・なんだ・・・」
「だからそう落胆するな。高町はいつも通りにしていればいいさ。やることをやったら、後は六課に任せるしかない。いざとなったら、お前だけでも助け出す」
「・・・」
しかしなのはは不安そうな顔を崩さない。
「そう難しい顔をするな。それより、腹減ってないか?携帯非常食を持っているんだ。これがあればしばらくはのりきれる」
アスランは話題を変えて側に置いておいた袋を手に取った。
「それでもう寝よう。後はまた明日考えればいいさ」
「うん・・・」
なのははアスランから袋を受け取り、中に入っていた栄養補給用の食糧を数個食べた。
「ありがとね、アスランくん」
「なに、気にすることじゃない」
アスランもなのはと同じものを口にいれ、咀嚼する。そのまましばらくお互いに話をしない状況が続いた。五分くらいの沈黙の後、アスランが不意に口を開いた。
「高町、ちょっといいか?」
「・・・」
「高町?」
「・・・」
なのははアスランの声にまったく答えない。それを疑問に思ったアスランがなのはの元に近づこうとした時、なのはからスー、スー、と規則正しい寝息が聞こえた。
「寝た、か」
仕方ない、とため息をついたアスランが上着をなのはにかけた。
「さてと・・・」
アスランは険しい面持ちで立ち上がり、腰に手を当てる。そしてその状態のままゆっくりと洞穴の外に出た。そして、腰から短剣を引き抜き正面に構える。
「さっきからこそこそと・・・誰だ・・・」
アスランは腰からもう一本短剣を引き抜き、目の前の森に投擲した。すると、キン、という樹に刺さるには少し変な音がした。
しばらくして、ある樹から一人飛び降りてアスランの目の前に立った。
「誰だ、って・・・忘れたの?私よ」
目の前に現れた人間にアスランは動揺を隠せなかった。そして、ゆっくり、その名前を呼ぶ。
「ル・・・ルナマリア・・・お前・・・」

70ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:29:38 ID:TyX4dE5Y0
――Side Shinn――
その頃、アスランに続きシンも、衝撃的な再開をしようとしていた。
「新隊員?こんな時に?」
「なんでも、レリック事件に関する敵の強さが予想を上回っていたから臨時の補強らしいよ」
隣を歩くフェイトがそう答える。
二人は夜が更けてきたのでアスランとなのはの捜索を中断し、隊舎に戻ってきた。そして、戻ったてからすぐはやてが通信が入り、ブリーフィングルームに来るよう言われ、今こうして二人でそこに向かっているのだ。
「で、補強ってのは何人なんだ?」
「私は二人、って聞いたけどな・・・」
「二人?補強だろ?それだけでいいのか?」
「分からない。それに、一人は戦闘要員じゃないって話だよ」
「はぁ?」
シンはフェイトの報告に疑問を顕にする。
「まぁ俺がどうこう言う問題じゃないし、隊長の決定なら何も言わないけどさ」
「あれ?珍しく素直だねシンくん」
フェイトが茶化すように笑いながらそう言った。
「なんだよそれ。俺が素直じゃないってこと?」
「だっていつもはやてやなのはの命令を無視してでも自分で行動するじゃない?」
「それは・・・仕方なかったんだよ」
シンが苦し紛れにそう答える。
「なにが?」
「いや・・・その・・・すみませんでした・・・」
根負けしたシンはついにため息をついて謝罪した。
「ふふ・・・でもシンくんのやってきたこと、間違いじゃないと思うよ?」
「どうも・・・」
二人はそのまま喋りながらブリーフィングルームに到着する。その扉を開けると、中にはアスランとなのはを除いたいつものメンバーと、見慣れないメンバーが二人いた。
はやてがシンとフェイトの入室に気付くと、手招きで側に招く。
「二人とも揃ったな?ほな、初顔合わせといこか」
はやての手招きに、フェイトは頷いて室内に入ったが、シンは入り口で硬直したまま動かなかった。
「な・・・お前・・・メイリン!なんで・・・」
その視線の先の人物は、シンに驚いた様子はあるものの、シンほど取り乱したりはせず、そのままシンに近寄った。
「シン!シンもこっちに来てたの?みんな心配してたよ?いきなり行方不明になっちゃうんだもん」
「みんな?」
「私も、お姉ちゃんも、みんなよ。ラクスさんも心配してたわ」
「そうか・・・わるいな・・・」
「行方不明と言えば、アスランやあのフリーダムのパイロット、キラ・ヤマト、合わせて十人以上行方不明の状態よ。オーブだって、代表のカガリさんが行方不明になってごった返してたわ」
「オーブの・・・あいつか・・・」
シンはメイリンの言葉に握り拳を作って怒りを顕にする。
「てことは、あいつもこっちに来ているのか?」
「もちろん。私がここに来る前に会ったの」
「・・・」
シンが黙り込むと、はやてが申し訳なさそうに横やりを入れた。
「二人とも?それは後でええか?」
「あ、すみません」

71ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:38:23 ID:TyX4dE5Y0
メイリンははやてたちの方に戻る。シンもそれに続く。
「よし、ほな紹介するわ。この二人が、今回のレリック事件が終わるまで臨時で機動六課に配属になった、ギンガ・ナカジマとメイリン・ホークや」
はやてから紹介を受けたギンガが一歩前に出て、自己紹介をする。
「今紹介を受けました、陸士108部隊のギンガ・ナカジマです。皆さん、よろしくお願いします」
「同じく、メイリン・ホークです。私は戦闘ではなく、サポートにまわることになっています。よろしくお願いします」
二人は自己紹介を終えて一歩下がる。
「今回は、人員補強の為に緊急でこの二人に来てもらった。皆もう分かっている通り、敵は予想以上に強い。だから、私たちの後見人である聖王協会に無理いって集めてもらったんや」
はやてがそう説明を付け加え、全員を見渡す。
「ギンガ・ナカジマには前線メンバーとしてFWと一緒に戦ってもらう。メイリン・ホークにはシャーリーたちと一緒にオペレーティングルームでFWメンバーのオペレートをしてもらう。それと、シンとアスランのデバイスの整備も頼んである」
はやての言葉にティアナが疑問を投げ掛ける。
「デバイスの整備って、シンとアスランだけですか?」
「ん?あぁ、もちろんメンバー全員のデバイスのチェックも頼んではある。ただ、シンとアスランのデバイスは私たちのと違って特殊や。私たちではその性能を存分に引き出せへんから彼女に頼んだんや」
はやては、デスティニーのデバイスのカスタム画面を見せながらそう言った。
「私は用事があるからこれで戻らなあかんけど、皆自己紹介を済ませておくようにな」
はやてはそう言ってシャーリーと共に部屋を出た。
「シン・アスカだ。よろしく」
シンはギンガに向けてそれだけ言うと、すぐに部屋を出ていった。
(オーブの代表がこっちに飛ばされてるって・・・どういうことだよ・・・プラントは、むこうはどうなってるんだ?)
シンはそのまま自室へと向かい、そのまま調べものを始める。
(他にも、あいつら以外にもいないのか?この世界に飛ばされたやつらは・・・)
しばらくシンがモニターと顔をあわせていると、誰かが扉をノックする音が聞こえた。
「シン?いる?」
「ん?誰だ?」
「私、メイリン・ホーク」
「何か用か?」
「うん。入ってもいい?」
「あぁ、いいぞ」
その後、ガチャ、っと部屋の扉が開き、メイリンが入室した。
「ここがシンの部屋ね。誰と相部屋なの?」
「八神からきいてないか?アスランだよ。今行方不明の」
「え?」
シンの言葉にメイリンは心底意外そうな顔をした。
「どういうこと?」
「そっか、きいてないのか。今日、俺たちの隊のやつが二人ガジェット掃討の任務に出たんだ。で、ガジェット自体はすぐに片付いた。でも、問題はその後だった」
そこからシンは唇を噛み、握りこぶしを作って悔しさを顕にした。
「ガジェットを破壊して、アスランと高町とティアナが帰還しようとした時、奴らが来た」
「ネオ・ロアノーク、いや、ラウ・ル・クルーゼ」
「知ってるのか?」
「資料で一応ね」
「そっか。まぁそいつとあと二人、いや、最初は一人だけ姿を表したんだ。そっからも聞いてないか?」
「いや、その内容は聞いたよ。個人名までは明かされなかったけど」
「そうか、ならその通りだよ」
メイリンはそれで全て納得し、自然に表情が陰った。部屋にはしばらくシンがキーボードを叩く音のみが響いていたが、ふと顔を上げてメイリンに訊いた。
「メイリン。お前はいつまで向こうの世界にいたんだ?」
「私?私は・・・えっと・・・シンたちが戦死って認定されてからニ年はいたかな。で、こっちに来たの」
「二年か・・・向こうのやつらは元気だったか?」
「うん。まぁいろんな事があったのは確かだけど、それはまた今度話すわ」
「そうだな、アスランも一緒に聞かせないとな」


シンとアスランの新たな出会いは、進む歯車にさらなる拍車をかける。
そしてアスランとなのはの撃墜はキラたちになにをもたらすのか―――


次回、シンとアスランの魔法成長日記第十話

72ロッペン ◆fgMrdXS3aI:2010/10/30(土) 16:43:49 ID:TyX4dE5Y0
以上、シンとアスランの魔法成長日記第9話「出会い」
お送りいたしました。
今回は、この物語のひとつの転換点でもあります。内容を意識しすぎたせいで文の体裁などの表面部分がよくないかもしれません。

8月から2ヶ月、待っていてくださった方、本当に申し訳ありませんでした。

では、よんでくださった方々に感謝しつつ、この辺で失礼させていただきます。

73名無しの魔導師:2010/10/30(土) 16:57:57 ID:y7ppvNm.0
お二人とも乙ですた
それにしてもやっぱ作品が投下されるとうれしいな

74名無しの魔導師:2010/10/31(日) 11:00:20 ID:kI320tMI0
全ての職人様方にGJ!
この調子で投下も増えてってくるといいな!

75名無しの魔導師:2010/10/31(日) 19:04:20 ID:MF8FqM2s0
叶わぬ夢だがな。
まあ、三下王のバカが好き勝手しても文句言わない住人にお前らがなってくれれば、
新規の奴が来やすいかもしれんがなw

76名無しの魔導師:2010/10/31(日) 23:39:13 ID:7Ii8bczg0
三下王って三振王さんの事? ナニコレ荒らし?

後職人さん方GJ

77名無しの魔導師:2010/11/01(月) 00:43:34 ID:NAqf7EmY0
GJ!GJ!

78名無しの魔導師:2010/11/01(月) 07:01:40 ID:mexiFW7wO
職人氏にとって
感想無し
GJだけってのも疲れるもんなんじゃね

79名無しの魔導師:2010/11/01(月) 18:57:22 ID:pkPIuAcA0
感想するものでも無いとか思ってるんじゃない?
長ったらしい癖に展開が進まないから苛立ってるとか。
どっちも久しぶりなんだから、簡単なあらすじくらいあってもいいかも。

80名無しの魔導師:2010/11/01(月) 19:53:31 ID:KqZ4vN/.0
そういう要らん事書き込むとか理解に苦しむ

81名無しの魔導師:2010/11/02(火) 00:53:09 ID:snh9pJIc0
>>75>>79
みたいな書き込みは管理人は削除したりアク禁にしたりしないのか?
いつも思うんだけど、何で管理人は荒らしを放っておくんだろ?

管理人が何もしないから、こいつ等みたいなのが図に乗る。
何のために避難所でやってると思ってるんだ。

82名無しの魔導師:2010/11/02(火) 01:04:35 ID:eeygOqqAO
>>81
そんな風に煽るのも駄目だぜ
スルーしてれば発火することもない

83名無しの魔導師:2010/11/04(木) 07:19:46 ID:oN5cdyuw0
いや、マンセーばっかするのもどうよ?
>>75は俺も煽ってる感じはするけど、>>79は普通に思ったことを言った(意見)じゃね

職人の方に希望したいことやけど、あらすじはちょっと欲しい最近忙しいから、全部を全部読み直す時間がないんだorz

84名無しの魔導師:2010/11/08(月) 00:37:32 ID:H.n52WHcO
また保守でも書こうかな……

85名無しの魔導師:2010/11/14(日) 16:57:33 ID:cEtcXQqs0
>>75の書き込み以降職人さん達の書き込みが無い件。

どうしてくれるんだよ……。

86名無しの魔導師:2010/11/14(日) 20:00:14 ID:iUgTFaOwO
>>85
あんまり言いたくないけどな
お前さんはもうちょっとネットとの付き合い方を学んだ方がよいんじゃないか?

87名無しの魔導師:2010/11/14(日) 20:56:21 ID:bOrKqk7k0
だな

常、職人はコテハンで書き込んでるわけじゃない

8881  ◆dRvFDbWwdQ:2010/11/14(日) 21:43:42 ID:RvBgEG6E0
ごめんねおじさん書くのに時間かかりまくっててごめんね(´・ω・
次投下するときは粗筋書いておくからね
量がぜんぜん+話の区切りがなかなかつかなくて…

89名無しの魔導師:2010/11/14(日) 21:47:45 ID:FuDX0JnM0
まさかの犬師匠の人w大丈夫ですぜ生存確認できただけでも安心です!

90名無しの魔導師:2010/11/15(月) 23:18:22 ID:vO67K3OI0
さて、今ここで一番問題に挙げるべき事柄は、
新掲示板のことはおろか、こちらで更新された作品がガンクロwikiに全くフィードバックされてないことだと思うんだ。

91名無しの魔導師:2010/11/16(火) 00:29:08 ID:BtvS0pH2O
>>90
解決するには、どうすれば?

92名無しの魔導師:2010/11/16(火) 07:30:52 ID:TV/foOtMO
更新依頼に書いても「全部が全部更新されると思うな!」とか言われるだけだしな、更新依頼の存在いわなくね?

93名無しの魔導師:2010/11/16(火) 07:44:45 ID:5DxVZhjcO
そこで
じゃあ俺がやっとくわと出ないのが悲しいな

94名無しの魔導師:2010/11/16(火) 09:27:40 ID:lfaoiiWE0
やり方がわからない

95名無しの魔導師:2010/11/16(火) 11:30:34 ID:BtvS0pH2O
同じくわからない

96名無しの魔導師:2010/11/16(火) 12:25:14 ID:5DxVZhjcO
数える程しかまとめサイトを編集したことない俺が言うのも偉そうなんだが
ネットが使える環境でやり方が分からないは登録できない理由にならんだろ

調べれば分かるのにやり方が分からないを繰り返すのは裏を返せばやる気はない、誰かやって俺はやだ、一手間惜しむのがめんどくさいだけになっちまうから職人氏から見ればあまりいい気分はしないんじゃないか?

97名無しの魔導師:2010/11/18(木) 08:52:24 ID:.zfBMnxM0
いやまあ、自分は投下した時になかなか更新されてなかったら自分で更新するかな
調べたらできんこともないよ。めんどくさいけどねw

職人の人に自分で更新してもらえるなら、各人に任すのも一つ。

(可能なら職人が更新)→更新依頼をやる→無理なら俺達が更新
はどうよ

98名無しの魔導師:2010/11/18(木) 14:30:20 ID:IO1hotmo0
パンチラ写真・ムネチラ写真見放題♪

過激な写真館もあるよ♪

無防備な女の子が多いからできるんです!

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99名無しの魔導師:2010/11/21(日) 17:26:09 ID:jyrOSHKQ0
age

100名無しの魔導師:2010/11/21(日) 17:38:21 ID:Qd/A/mK20
agaってないやんけ




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