>>95 Mark
んう?…だ、誰だお前はっ!!
(うずくまってから5分は経っただろうか。アクトレースが新人だったこともあり、伝達が遅れているのかここには全くといっていいほど人気がない。アクトレースどころか、犬たちも寄ってはいなかった。隠れている本人もいつまでも気を張っているかといえばそうでもなく、逆にうつらうつらと眠たそうに頭を揺らしていた。するとその時、ひとつの声が聞こえゆっくり顔を上げる。そこには、自分の名前を云う相手の姿があった。相手は此方の名前をしっているらしいが、此方は相手のことなんて知らない。と、いうよりは忘れてしまっているようだ。しかし首に付けられた輪っかを見る限り、奴隷の身分だろう。それだけを確認すれば、相手をビシッと指差してそう叫び声を上げていた。しかし相手のいう“いつも隠れている”の言葉。どうやら自分はいつもここに隠れているらしい。病気なんじゃないかというくらいに忘れっぽい彼は毎回、ここに隠れて見つかっている。もちろんそんな自覚はないから仕様がないのだ。しかしこうやって注意されると“そういえば前も”と思いだしてきた。相手の顔を上目遣いでじっと見つめ。またうつむいて少し考えれば、のそっと立ち上がって“どこに隠れれば見つからないか教えてくれないか?”と素直に聞いてみた)