したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

夢の途中(やまちね短編集)

7カナ:2011/10/14(金) 00:07:49
子ども同士の戯れで抱きしめたり、ふざけてキスしたり、
君の匂いを
温度を
誰よりも近くで感じていたこともあったのに。

「俺だけのものになってよ」
「んっ、……りょ、すけ」
二度目の口づけはさっきよりも深く。
絡み合う舌の熱に煽られて、また抱き締める力を強くする。
こんなキス、こんな抱擁、知らなかった。
「……ゆうり。フラフラしないで。他の誰も見ないで。俺だけの君でいて」

かつてはあんなに近かった君が
そして今こんなに近いところにいる君が
遠いところにいるように感じるのはなぜなんだろう。


愛しい人の唇は柔らかに俺を罰した。

――もう、戻れない

自ら望んでそうしたはずなのに、ひどく哀しい。
それでも目の前にいる侑李を手に入れることに、少しの躊躇いもなかった。
「ごめんな、こんな……」
(こんなふうにしかお前を好きになれなくて)
(こんなふうにしかお前に触れることができなくて)


懺悔する俺の姿を見た侑李が微かに笑ったように見えた。



END


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板