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アニメキャラ・バトルロワイアル3rd Part21

163rd / 天使にふれたよ ◆ANI3oprwOY:2015/03/16(月) 00:29:39 ID:fxNQ5zpc

なぜ聞こえるのか、枢木スザクには分からない。
ルイス・ハレヴィの薬剤。
かつて死に瀕した際、ユーフェミア・リ・ブリタニアが彼に飲ませた薬剤が元来の要因であり、
リボンズの放った強力な脳量子波によって、僅かながらもその『副作用』が発露させられたこと。
そのような理は知る由も無く、また彼にとってどうでもいい事柄だった。

ただ、聞こえている。
今を戦い続ける全ての声が。
絶望的な状況の、絶望的な世界でも、一人ではない。
たとえ理由すらバラバラでも、『救われまい』とするのは一人ではない。
ならば今、抗う事に厭は無く。

「リボンズ・アルマーク。
 お前には、聞こえていないのか」

そしてスザクに聞こえる音は、それだけではない。

「聞こえるのに、耳に入らないのか」

音がする。
遠い、遠すぎる音がする。
それは失われた声。
いつかどこかで失われた、けれど確かに在った幾つもの言葉。
頭の中で響くその音色の一つを、スザクは放つ銃撃と共に口にする。


「―――削除(デリート)」


空へと伸びる狙撃はグラハムを追い越し、先にある障害(ファング)を撃ち落していく。
熱が伝わる。
いつかこの機体に乗っていた誰かの熱。


『―――二度と取り戻せないもののために、傍から見れば馬鹿げた真似に命を賭ける。
 もうそれしかできないからだ。亡くした者のために、どう足掻こうがそれしかできないからやるんだ。
 それを悪と呼ぶなら、間違いと呼ぶなら俺はそれでも十分だ…………!!』


復讐。
何も生み出さない、誰も幸せに出来ない願い。
哀しい、切ない、どうしようもない。
それでもそれは、彼にとっては残された唯一無二の『夢』、だったのだろう。

其れしかないからと彼は言った。
彼とは違う道を、スザクは選んだ。
大切なモノを失っても、『殺したものを殺すこと』をスザクは夢としなかった。
だけど同じだとも思う。

ゼロ・レクイエム。
鎮魂を歌う事。
結局のところスザクも、失くした物の為にどう足掻こうが、それしかできないから。
やり方は違えど、それはきっと、ある意味では復讐なのだ。
失った者の為に、自分の為に、出来ること、やると決めたこと。
彼と同じであり、また違う、『生きた夢』。

ならばそれを殺すことを、許しはしない。
例え、誰かに間違いだと言われようと、愚かだ、悪だと断じられようと、それでも十分だ。
この場の全員の死が、全世界の救済となり、正しい道理なのだと神が定めようとも。
スザクは生きることを選択する。生かすことを選択する。
未だここに、残る夢を。


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