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東方キャラに甘える甘やかされるスレ 甘えっち6夜目

1ちゅっちゅする程度の能力:2021/05/20(木) 20:57:14 ID:/W0K9LtQ
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                 八  :! /《. 弋ツ  , .: :: ::. ' .! \   ` ー- ′ /      ギューってしてビュー♪シてあげる♪
            /  \|\} , :: :: ::   ,  / 人  \    ∠._..イ__ ̄ ̄¨¨ …‐-
       _,.. ´    /  丿ノ込、 `.─  . イ/.  \  \   >../_ヽ
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866故に神たりえる存在 23話:2024/03/25(月) 04:11:08 ID:By6Uf8wo
今朝がた、守矢神社が今日の開門を行ってすぐの話だそれは。
「うわ……」
神奈子は門を開けてすぐに目にした者に対して、あからさまな声を出してしまった。
だって、早苗が言う所のあいつだからだ、遅いか早いかの差とはいえ早苗からも祟られろと思われたあいつが、我先にと走り寄ってきたからだ。
諏訪子から祟られたのだから無論の事だが、やはりそうとうに参っているらしい。
諏訪子から軽く聞いただけだが、今までの積み上げをほぼ崩されるか、あるいは簒奪(さんだつ)されてしまったそうだ。
しかも血縁までその試みを応援しているようだ、この者が転げ落ちていく過程の成就に。
最も、あまり同情は出来なかったが。早苗の敵に神奈子が手を貸すはずは無かった。
とはいえ、諏訪子もそうだけれども神奈子だって力を振るいたいから力をふるうタイプではない、そこに愉悦がある事は認めつつも、自制できる。
どのみちこいつは、方々で顰蹙(ひんしゅく)を買い、対には祟られる所まで行きついてしまった。
神奈子が直接手を下さずとも、後ろからうんざりとした様子で近づいてくるほかの参拝者だって、こいつの悪評は届いている。
であるのならば、わざわざ神奈子が力をふるう必要はない。
神様も最近はフランクであった方が色々とやりやすいが、だからと言って力の行使までフランクである必要はない、出し惜しみではないが安売りする物でもない。
増してや軍神として売っている神奈子の力だ、自分が動いた後の余波は考え続けなければならない。
早苗だってそれを分かっているから、あくまでも諏訪子と懇意にしている者が諏訪子に願うと言う形にこだわったのだ。
最も、早苗が目立てばあの子と神社の中ではともかく、街歩きがやりにくくなると言う方が、早苗にとっては重要な思考かもしれないが。
そうだとしても、神奈子は早苗の方に付いていた。

少なくとも神奈子は、最初はこの者が、あいつが何を言おうとも手を出さないけれども助けもしない、そう考えていた。
冷たいかもしれないが、これ以上の転落を加速させる事はしないと、そう解釈する事も可能だ。
殊勝になれるかははなはだ疑問だけれども、殊勝さを少しは取り戻したのならばこの祟りから始まる身の上の転落だって。
少し以上にどうにかなる可能性は、まだ残っていた。
だが、こいつは、殊勝では無かったと言う事だ。
言われてみれば最もなのかもしれない、あの男の子に媚びると言う部分からしてまず持ってして、領分を分かっていない。
あまりにも分かっていないとしか言いようがない、あの子が好きそうなものを勝手に調べて押し付けようとするのだから。
それは神奈子が思っている、巻き込んでしまった早苗とあの子に対して考えれば考えるほど、自罰的になっている。
出来る限り不便をかけさせないようにせねばと、不安から財布のひもが緩んだりするのとは、全く異質なものであった。

初め神奈子は自分の嗅覚を疑った。
自分が早苗に買って、幸いな事に早苗も気に入った、あの香水の香りが、あいつからしたからだ。
だけれどもあれは別に超がつくほどの高級品じゃない、限定品でもない、良い気はしないがこいつが使っていてもあまりおかしくはない。
でもどちらかと言えば若向きな物のはずだ……。

ああ、まさか。
頼むよ、こいつの趣味が若作りなだけであってくれ。
疳の虫が騒ぐのを抑えつつ、こいつの意図を知りたくて、神奈子は目の前で勝手にひざまずいてすがってきた、そいつの顔を見てしまった。
それが不味かったのだろう、救われるかもしれないと思ったのだ。
とにかく喋りだした、早苗の領分を踏み越えるだけの事は何にも分かっていなかった。

私ならできるだと?
お忙しい風祝様、東風谷様のお時間をお作りする事が。
あの男の子の世話だって、子供が好きだから出来るだと!?
そこは早苗の領分だ!!

「おい」
神奈子は一言だけ、声を出した。こいつのすぐ後ろまで来たが、神奈子に止められていた者たちは、肝を冷やした、神奈子の顔が見えていたから。
顔をほころばせながら表を上げたそいつだが、神奈子はそいつの顔をはっきりと確認する前に。
思いっきり蹴り飛ばして、神社から遠ざかる様にゴロゴロと転がる様子だけ確認したら。
クルっと、背中を向けて母屋の方に歩いて行ってしまった。
わめいている声が聞こえたが、すぐに聞こえなくなった。
朝一番からお参りしてくれるだけあり、優秀な者が多くて助かったと、神奈子は心の底から思った。

続く

867ちゅっちゅする程度の能力:2024/03/25(月) 07:28:56 ID:wKi0XASk
就寝直前は穏やかだったと遠い目になりそう
神奈子様にまで怒られたらもうどうしょうもないよ
しかしまあここに来てあの男の子の世話とか言い出すふてぶてしさはなんと業が深い……

868故に神たりえる存在 24話:2024/04/04(木) 01:51:45 ID:W0ShzsVQ
>>866の続きです

「そうだ」
とっとと書き物の仕事を終わらせた早苗は、あの子と一緒に向かう買い物デート。
それのための着替えをするために、自室の方に向かう寸前の事であった。
早苗はくるっと方向転換して、神奈子の方に戻ってきた。

意外な事にこの時、早苗とあの子は少しの間ではあるのだが、その距離を離していた。
とは言ってもあの子が自分の私服を着に、自分の部屋に向かった程度の距離だし、ならばその時間も大したものでは無いのだけれども。
ただデート前は大体、そのようにしていた。
早苗があの子の目の前で着替えてしまえば、おっぱじめかねないからと言う、何とも甘くて爛れた切実な理由があるから。
そうなるとデートはまぁ、お流れになってしまうから。
やむにやまれぬ事情と言う奴だとは、諏訪子がいつだったか忘れたけれども軽く冗談を言っていた。

神奈子も諏訪子の冗談には笑っていたけれども、それと同時に早苗が、あの子と言う観客がいないのならば着替え何て全く時間をかけずにさっさと終わらせて、あの子ともう一度合流したいはず。
それは普段異常なまでの長風呂を見せているのに、あの夜会であいつを祟り終わって帰宅したのち、1人でならシャワーが普段と食らえて尋常でないほど早かった事からも分かる。
なのに早苗は、あえてそこに回り道を見せて神奈子の下にやってきた。
少なくとも自分にとって悪い話ではないと神奈子は思いつつも、わざわざ早苗が回り道を見せると言うのなら間違いなく、大きな意味がある。
早苗の心中が分からない時点では、神奈子はどうしても緊張感を持ってしまうし、何ならいつもよりもずっと大真面目な様子にすらなってしまったが。
「あいつ、あの子が文字を書いたお守り、まだ持ってましたよね?と言うか多分、あれを最後のよりどころにするはずだし……」
大真面目にならならくとも、早苗が何を望んでいるのかはこの先を聞かずとも誰にだって、理解できるだろう。
そして早苗との関係性を考えれば、早苗を連れてきてしまった上にそれがなければあの男の子も、巻き込まれなかったと言う自罰的感情。
それを大なり小なりで常に神奈子が抱えているのならば、取る行動は1つしか無かった。
「取り戻しに行く」
神奈子は早苗の望みを察したら、すぐにどこかに行ってしまった。
早苗はその様子を見てご満悦と言った様子で自室へと足を向け、あの子とのデート用の着替えを行った。

869故に神たりえる存在 24話:2024/04/04(木) 01:52:51 ID:W0ShzsVQ
噂と言うのは、悪かったりあるいは苛烈だったりすれば非常に素早く伝播する物である。
増してや転げたのが人の領分を分かろうともしなかったあいつだ、そこから更に今朝がたの。
よりにもよっていまだに早苗の領分を侵食してきた事にも分からずに、早苗があの男の子の世話を職務上見ているとしか捉えていないとまで、へりくだった言葉で暴露してくれた。
早苗にとってはこの子と一緒に、セックスはもちろん買い物に出かけたりしてイチャイチャするのが、最高水準の自分の時間だと言うのに。
お忙しい風祝様にご自身の時間を等と……何も分かっていないにも程があり、早苗ですら怒りよりも先に呆れた笑いが来た。
最もだからと言って、手心を加えるなどは毛ほどの先もあり得ないのだけれども。
だから早苗は、神奈子にお願いしたとも言える、間違いなく力強くやってくれるから。
諏訪子の場合でも絶対に取り戻してくれるけれども、派手さと言う点では神奈子にお願いした方が絶対に上である。

既に、神奈子があいつから、あの子が文字を書いたお守りを取り戻してくれたなと言うのは、空気で感じ取っていた。
神奈子が出れば派手な事になるし、あいつの悪評も噂の素早い伝播に役立ってくれていた。
今までも別に早苗があまりにも楽しそうだから、水を差せないと言う意味で邪魔建はなかったが。それでも好奇の視線と言う奴はあった。
そのうちの1つが明らかにこちらを、あの子だけでなく早苗が何を買うかも、酷いときは服屋の店員が横に張り付くかの如く、見てきたから調べられているのが分かったし。
事実、あの子の気に入りそうなサイダーの味を贈り付けられた。
だが今日のデート今までよりも明らかに、視線を感じなかった。
あの男の子と早苗に対して、雑に媚びたあいつが諏訪子様からの祟りと言う、あまり公にならない力だけでなく。
神奈子様の手で、大っぴらに今までの自分の権勢の1つの象徴である、あの男の子が文字を書いたお守りを没収されたのは、間違いなく効果てきめんであった。
この子が変な視線に晒されないか、それを気にして早苗が振る舞う必要がグンと減ってくれたのが、今日のデートであった。
とても楽しかった、この子も妙な気配を一切感じずに自分の欲しい物を見たり、あるいは早苗に着用してほしい下着を、じっくりと見比べる事が出来たし。
その後に至っても、カフェでお互いにイチャイチャと手を握ったりしながら、甘いものなどを愉しんでいる時も、視線と言うのを全く気にせずに済んだ。
やはり神奈子様に、あのお守りを取り戻しに行ってくださいと、そうお願いしたのは正解だった。

870故に神たりえる存在 24話:2024/04/04(木) 01:54:20 ID:W0ShzsVQ
「あ、霊夢さん。珍し」
だから、変化と言う奴に早苗は気付きやすかった。
他が早苗に対して精一杯の気づかいあるいは恐れから。
人目に付きやすいこのカフェですら、早苗とこの男の子のデートの異物にならないように、神経質になりながらも他の者達は振舞ったから。
特徴的な紅白の巫女服がヒラヒラと、早苗の視界に入ったのもすぐに気づけたし。
何よりも相手が博麗霊夢であると言う事にも含めて、気付くのに時間が必要ではなかった。
カフェの外から他意のないにこやかさで手を振って、気付いてもらった後も霊夢は近付きながらも柔らかい笑顔のままであった。

「すぐに会えてよかったわ、会えなくても守矢神社に行けばいいんだけれども。まー、一応ね、本人に渡したかったから」
そう言いながら霊夢は早苗に一枚のチラシを手渡した。
その際、早苗の横にいる男の子には、軽く微笑んだがすぐに一歩下がって、早苗とこの子の空間と言うのを広く取ってやった。
やはり博麗霊夢は信頼できた、早苗にとっては神奈子と諏訪子と言う、身内以外では数少ないこの子が妙な事にならないかで気を張らずに済む相手である。
彼女は間違いなく超然とした存在であった。
でも、何となく、霊夢が見せたこの子への笑顔に、妙な物は間違いなくないけれども神奈子様のような、同情と言うか守らないとなと言う湿っぽい物を感じた。

「今度ね、博麗神社で夜市やるのよ。デート場所には困らないように立ち回りそうだけれどもあんたなら、それでも安心できる催しの話は入れておきたくて」
けれども早苗が、霊夢が見せた優しい笑みがその感情的な部分が、神奈子様のそれに似ている?と思ったすぐに、霊夢がしゃべりだしたので意識がそちらに向いたし。
霊夢に渡されたチラシ、そこに予告された催しは確かに魅力的であった。

博麗神社夜市featレミリア・スカーレット開催のお知らせ

チラシにはそんな言葉が書かれていた。
「屋台っぽい食べ物はもちろんだけれども、のみの市とか大道芸とかも出店する予定だから。何かしら楽しめると思うわよ。興味あったら来てよ」
「レミリアさんって事は紅魔館との……あ、行っちゃった」
仔細を聞こうと早苗はしたけれども、デートの邪魔しちゃ悪いわよねと言う風に霊夢は、手をヒラヒラとさせるのを挨拶代わりにして、帰って行ってしまった。

「……まぁでも、霊夢さん所。博麗神社でやるのなら、変な物じゃないか」
霊夢がデートの邪魔をしないように、さっさと立ち去ったのも早苗の中では好感を持つ事が出来たから。
仔細は何も聞けなかったが、博麗神社での夜市、それに対して警戒心と言うのは全く無かった。

続く

871ちゅっちゅする程度の能力:2024/04/04(木) 12:36:43 ID:zZnECEbw
ここから霊夢のところでのデートにつながるのね
早苗さんたちが遊びに行くのは相性のいい場所で捗りますね
お姉さんと男の子が手を繋いで夜市を回る……美しい情景だ
それにしても早苗さんが平常心を取り戻してよかった

872故に神たりえる存在 25話:2024/04/08(月) 04:35:58 ID:ArKaLSO6
>>870の続きです

「もっとも信じられなかったのは」
霊夢から誘われる形で出かけるのを決めた、博麗神社で行われる夜市、それの当日。
早苗とあの男の子がデート用の着替えを行っているのを神奈子と諏訪子が待つ間、神奈子は不意に声を出した。
その声は早苗とあの子を待つ割に、落ちた声色でかなり真面目な物であった。
早苗にせよあの男の子にせよ、そして神奈子も諏訪子も。
霊夢の事は、ややがめついなと思う面はある物の、相手の領分は分かっていると言う信頼はあるから。
博麗神社で行われる夜市に対する信頼も、同様に高く存在しているのに、神奈子の声は深刻含みな真面目さであった。

だが少なくとも早苗とあの子の着替えはそこまで時間がかからないのは、分かり切っている。
あの子の方もそうなのだけれども、早苗の方だってあの子と、やっぱり我慢できなくてセックスを、おっぱじめてしまわないように。
と言う事で、デート前の着替えは別々に行っている。であるのならば、どっちにとっても誘惑が存在しないので、ものの10分もしないうちに出てくるのは確実。
それでも神奈子は、と言うよりも神奈子だってせいぜい5分程度の独り言で済ませる腹積もりのはずだ。
諏訪子だって、早苗とあの子の楽しみにしている催し、しかも早苗の視点からすれば他者をほぼ気にしなくて良いまず間違いなく貴重な催しに、水を差したくはない。
諏訪子は黙って傾聴の姿勢を取った、と言うよりは取るしか無かった。
いつの間にか、あの子に対して雑に媚びたあいつに関わる事で、神奈子と諏訪子の力関係は逆転していた。
やはり直に鉄火場に突っ込んだ存在と言うのは、実際にあの子が文字を書いたお守りを直に取り戻してくれたのだ、どうしても力を持てるようになる。
力を持たせるのが礼儀とも言えた。

神奈子も諏訪子が傾聴の姿勢を見せたことから、逃げようとしなかった事でやや神奈子の意気も落ち着いてくれた。
「あいつが、あの子だけでなく早苗にも雑に媚びようとしていたのが、本当に信じられなかった……早苗と同じ香りの香水を使っていたからまさかと思ったが……」
諏訪子もその情報には目を引ん剝くような表情になってしまった、何となく想像できたが、その想像がまさかとしか思えなかったからだ。
「あいつ早苗にも、香水を贈ろうとしていた……」
早苗の使っている香水が、自罰的感情を強く持っている神奈子がいつかの折に、早苗に何か欲しい物は無いか?と聞きまくって、早苗が選んだものであるのは諏訪子も知っている。
そして早苗が、神奈子への遠慮だとか気遣いなどでは無くて、その香水を早苗が気に入った事も含めて、諏訪子は全部知っていた。
全部知っていたからこそ、早苗以上にあの香水を懐柔のネタに使うのが、早苗以上に神奈子の地雷を全力で踏んづける事にしかならないとも、気付けるのだけれども諏訪子は。
しかしながら事実として、存在してしまった、気付いていないがために馬鹿をやらかした者が。

「あれだけ頭の悪い手合いは珍しいにしても……今後は早苗とあの子の周りに誰かが入り込む余地は、少なければ少ないほど良いと思う。存在は隠せなくとも、可能な限り、あの子と早苗だけの世界を維持すべきじゃないかな」
それだけを神奈子は言ったら、諏訪子の方からは離れて行ってしまった。
諏訪子のやり方、なぜか男の子が貴重な幻想郷に置いて、男の子が存在すると言う部分を持ってしてそこに何らかの神秘的要素を演出。
実際の所でその結果として、諏訪子の思惑は中々上手く行っている、守矢神社に対する参拝客や信仰まで持ってくれた者は多数いる。
……もう外では実利が得られないから、実利を求めて幻想郷への完全な鞍替えを行った以上、信仰と参拝者の確保は必須事項。
そしてあの男の子を徹底的に隠すのが、結局では不健全であると言う部分と、貴重であるからゆえに注目を浴びる事から。
守矢神社としても、あの男の子抜きで今後の事を考える事が不可能なのは、神奈子も分かっている。
だから諏訪子のやり方を神奈子は全否定こそはしなかったけれども……。
多分に、これまでとは違ってブレーキを大いにかけろとは、言われたような物である。
少なくとも神奈子の方から、あの子が絡むような神事らしきものは、もう提案してこないだろう。

873故に神たりえる存在 25話:2024/04/08(月) 04:37:00 ID:ArKaLSO6
「そりゃまぁ、責任全く感じていないかって言われたら、感じているけれどもさ」
諏訪子の独り言はどうにも、独り言だと言うのに、合いの手は無いけれども誰からも責められない状況なのに、どうにも歯切れが悪かった。
二律背反と言う奴だった、早苗とあの子の事を思えばこれ以上は、あの子を売り物にするような真似は慎むべきなのだけれども。
利益の最大化を果たす果たさない以上に、目指す事すらしないだなんて、何の為に幻想郷に賭けたと言うのだ。
神奈子のように自罰的感情にこそ諏訪子は苛まれていなかったはずだけれども、ここに来て二律背反で苛まれるようになったのかもしれない。
そして多分その苛みは、これから先、ずっとの話だろう。


とはいえ、開催場所が博麗神社であるから大丈夫とはいえ、だからと言って何もこの子を守るための手段を、諏訪子だって取らない訳ではない。
周りをちょろちょろ歩き回って、早苗とこの子が、何よりも早苗が守りたがっている男の子を誰かの視界にあまり入れないように動き回っていたが。
それにそうしていないと神奈子がちょっと怖かった。
早苗と、そして早苗を幻想郷に巻き込まなければ絶対に巻き込まれなかった、この男の子。
不特定多数の者達が随分、博麗神社の境内に集っているから、早苗とこの子は楽しんでいるけれども、神奈子は楽しむよりも早苗とこの子を守る方に意識が向いている。
あんまりあの子に、珍しいな男の子だと、視線を固定化してしまう物がいたら神奈子が圧力を飛ばしかねなかった。
夜市に来て楽しんでいると言うのに、それはあまりにも可哀そうだろう。
とはいえ、神奈子があいつの所に乗り込んであの子が文字を書いたお守りを取り戻した話が、かなり広く天狗ですら格好のネタとして扱った事は、今回ばかりは助かったし。
神奈子の方でも、あの子に近づく輩を減らすためにも天狗の記事にほとんど口をさしはさまなかった。

だけれども限界と言うのはある、どうしても見たいと言う感情を頭ごなしには諏訪子も否定したくなかった。
だからちょろちょろ動いて周りの視界を妨害している諏訪子なのだが、単独でやっているからどうしても限界と言うのがあって……
そうなると神奈子が度々、ピリッとしたものをほとばしらせることがある。
間違いなく夜市の客の誰かが、神奈子に睨まれたと言う事だ。
本気のそれからは絶対にかなり遠いはずだけれども、軍神の疳の虫を騒がせかけて、平静でいられる存在がいったいどれほどいる、諏訪子ですら怖い。
諏訪子は内心で静かに、すまないとつぶやく事しかできなかったが。
何度も何度も、神奈子を張り詰めさせるわけにはいかない、いくら何でも放っておけばそれは危険因子だ、博麗神社で馬鹿をやる輩なんてまずいないとはいえ。
それでも可能性を減らす努力と言うのは、行うべきだ。

「お面欲しいの?」
何よりも、視線を散らすかあるいは壁のような物をこの子の前に、この子が嫌がらない範囲内で出来る限り、備える必要があった。
つまりはこの子が欲しそうなもの、それを諏訪子はこの子の視線から感じ取る事に成功した。
「あ、結構しっかりしたつくりのお面だ。それだったら可愛い系、もしくはかっこいい系やキレイ系のが良いわよね。少なくともひょっとこは無いか……」
幸い早苗も、何となく所ではなく前向きな反応を示しているし。
「ふむ」
神奈子は諏訪子の奥底にある真意には、多分気付いているとは思うが。
「屋台ものをまだ食べたりするだろうから、下半分が開いている半面の奴の方が良いんじゃないか?」
早苗とこの子がお面の物色を始めたのであれば、取り立てて何かを言うつもりは全く神奈子には存在していなかった。

874故に神たりえる存在 25話:2024/04/08(月) 04:37:50 ID:ArKaLSO6
初めは諏訪子も、この子にお面を与えたのは、この子にまとってくる視線が少しでも散る様にと言う苦肉の策であったのだけれども。
お面を付けていれば、たとえ下半分の開いた半面の物でも、この子自身の視界が狭くなってくれた。
そしてそれは悪い事ではなかった、他への目移りよりも早苗の方に意識が集中しやすくなってくれた。
夜市の屋台や出し物を見て買ってあるいは食べる楽しみは確かに大きいけれども、この子にとっても早苗にとっても、相手と一緒にデートをすると言う楽しみには敵わない。
ありていにってしまえば、夜市で何をやるかはそこまで重要ではなかった、ただデートの舞台さえ整っていればいいのであった。
お互いが手を握り合って、身体を寄せ合う事に疑問や邪魔と言う物が無いのであれば、花の1つも無い殺風景なはずの川辺でも極端な話だが、何も問題は無いまで言えた。

むしろ神奈子と諏訪子は、他から礼まで言われた。
「守矢神社の二柱さん」
早苗とあの子がお互いに指どころか腕をからませながら、大道芸を見るために足を止めているので、神奈子と諏訪子も付かず離れずの場所にいると。
竹林は永遠亭の薬師、八意永琳が声をかけてきた。
「姫様の所にすぐ戻るから挨拶だけなのだけれども……それでも何とか、お礼の一言は言いたくてね」
「お礼?」
神奈子は別に永遠亭に対して何か恩を売った覚えは無いけれども、八意永琳からは皮肉も敵意も感じなかったので、言葉の意味を問う声は、非常に穏やかな物であった。
心当たりのないお礼だが、柔らかい感情を向けられるのは悪い物ではない。

「まぁ確かに、私が勝手にね二柱の動きのお陰でこっちも図らずとも助かったと思ったから、勝手に思った事だから言わなくても良いと言えば良いのだけれども、機会に恵まれたから」
まだ永琳の話の全容が見えないけれども、神奈子も諏訪子も永琳の話を聞く気というのは大いに合った。
「有名なうわさ話になってるわよ、天狗の新聞にも口出ししなかったから余計に。男の子に余計な事したら、保護者が何かやるってうわさ話」
「ああ〜」
この時神奈子は、今日の夜市に来てようやく気恥ずかしさが前にあるけれども、それでも肩の力が抜けたような姿を出す事が出来ていた。
「それが転じてね、守矢神社以外でも男の子を守ったり好いている存在には、気を付けろ見たいな考えが出てきたのよ」
永琳は目くばせを行って、神奈子と諏訪子の二柱に、あれを見てと言うような雰囲気を出した。
二柱が向けた視線の先には、風見幽香がいた。
彼女にも守っている、好いている男の子がいた。
好いていると言うのは夜半だけれども、愛用の日傘で相合傘をしているのを見れば、一目瞭然だ。
あの姿を見て何も思わない奴は、よっぽど情緒と言う物が存在していないと言いきって良かろう。

風見幽香も神奈子と諏訪子の視線に気づいたけれども、かなり勝ち気の強い性格をしている彼女だと言うのに。
何とも素直に、神奈子と諏訪子に対して深めの会釈をしてくれた。
やった方が良いからと言う表面上の礼儀ではない、深さであった。
「もっとも風見幽香の場合は、自分の強さに自信があるし実際に強いから、私が守ると言う意識は大きいかもだけれども……それでも見られてるなと言う感覚が減ったことは喜んでいるわ」
「特に神奈子が、あの子が文字を書いたお守りを取り戻すために、乗り込んでから?」
諏訪子はいったん退くような、神奈子に花を手向けさせるような立場をとった。
神奈子の留飲を下げると言う考えも、無くは無いけれども、八意永琳の言う周辺の状況を変えた一番の功労者は神奈子のはずだから。
「ええ、もちろん。でも少し考えれば、一番転げた者がいて、そいつは方々からひんしゅくと恨みを買っていて……そして守矢神社には祟り神がいる」
永琳はやや遠回しだが、諏訪子の方にも謝意を示してくれた。
「礼なら早苗に言ってよ。私は早苗の立てた方針に乗っかっただけだから」
「だとしても、劇的な状況の構築に、洩矢諏訪子の存在は欠かせなかった……直近では、お面と言ういいアイデアも浸透しつつあるわ」
また永琳は目くばせを行って、見てほしい方向を指し示した。今度は二か所。

875故に神たりえる存在 25話:2024/04/08(月) 04:38:57 ID:ArKaLSO6
一か所目には蓬莱山輝夜がいた、彼女も男の子のイナバを可愛がってそばに付けているのは有名だ。
輝夜は永琳と、神奈子と諏訪子の二柱からの視線に気付いたら、永琳に対して手を振って、男の子イナバがつけているウサギの半面を示した。
半面を付ける事が、使えると言う事を図らずとも教えてくれた神奈子と諏訪子に対する会釈も見えた。
二か所目は射命丸、犬走、姫海棠の三天狗がいた、当然三天狗が可愛がっているカラスの男の子も。
いまその子は姫海棠の小膝に座って、正面には屈んでいる射命丸が何か屋台の食べ物を与えていて。
犬走椛は、次は私の番だと言いたげに他の食べ物を持ちつつ、カラスの男の子の口元を拭いてやっていた。
そしてカラスの男の子も、カラスだからそれに合わせて天狗の半面がつけられていた。
何ともほほえましい姿だ、永琳はもちろんだが神奈子も諏訪子も同じく、笑みを浮かべた。
そして誰が言うでもなく、水を差しては悪いから、三天狗の方からは視線を外した。

「なるほどね、何となく以上に分かったよ」
そう言いながら神奈子は、早苗とあの子の方に向きながら感想を述べた
「みんな、男の子とどこか安全な場所で遊びたいのと守りたいが、同時に存在しているんだね……」
諏訪子も、彼女の場合はとっさに思いついたお面と言う方法が素早く伝播したことに、驚きの声も含んで。
「お面で自分たち以外からの視線を切れそうと思ったのなら、試したって事か。風見幽香は自分の強さを信じてるし実際強いからまた別としてだけど……」
諏訪子は自身の思い付きが評判なのを喜びたかったが、それよりも、と言うような場面を見てしまった。
「早苗とあの子が裏手の方に周っていくけれども……」
諏訪子の懸念、神奈子もすぐに気づいた。
「……お手洗いではなさそうだな、あのイチャつき方は」
マジか、と諏訪子と神奈子は思っているのをしり目に永琳は、伝えたい事はもう伝え終わったので。
「私は姫様とあの子の所に戻るわね」
とだけ言い残して、すぐに立ち去ってしまった。

続く

876ちゅっちゅする程度の能力:2024/04/08(月) 12:27:23 ID:ZHgWJ6tA
日常のふれあいはいいよね
そして色々なお姉さんが集まってていいね世界が平和になる……
相手があまりにアレだったけど神奈子様の言葉もなんともなんと
神より秘匿される男の子
始まった時はこうなるだなんて読めなかったよ

877故に神たりえる存在 26話:2024/04/12(金) 04:00:47 ID:MIxmZLYE
>>875の続きです

「ちょっとー!」
少し以上に、熱っぽいイチャつき方を、はっきりと言っておっぱじめかねないと神奈子と諏訪子が、早苗とあの子が裏手に向かって行く姿に思ったから。
人波をかき分けてでも急いで追いかけたが、二柱の耳に聞こえてきたのは早苗とあの子の嬌声では無かった。
「霊夢さんの言う通りでしたよー!やっぱり、また!盛ったのが出てきましたねー!!」
犬っぽい女の子を前にして早苗とあの子は、半裸の状態で、シュンとしながらプリプリと怒っている彼女からの言葉を、反省しているのかどうかは分からないが大人しく聞いていた。

しかしやはりと言うべきか、早苗とあの子が半裸と言う事は……間違いなく普段のデートとは違う夜の雰囲気と言う奴に当てられて、おっぱじめようとしたと言う事だ。
「博麗神社で無くても野外で『する』のは禁止です!その代わり、霊夢さんも私も気持ちは分かってますから、神社の部屋でやってください!!」
だが、犬っぽい見た目の女の子……そう、高麗野あうんのプリプリとした怒った様子、最もであるはずだし、前半部分は至極最もな言い分なのだけれども。
後半に続く言葉はそうとうに優しいと言うか、甘かった。
「出来るんですか!?」
しょんぼりとしていたはずの早苗だけれども、少なくとも夜市から追い出されることは無さそうと言うのが分かって、急に元気を取り戻した。
現金だな。諏訪子も神奈子も、早苗の事は赤子の時から知っているはずなのに、この時ばかりは少々、呆れの色で早苗の事を見てしまった。
そもそも野外でおっぱじめようと、しかも博麗神社の裏手で、と言うだけでもかなりの物なのだけれども。
だと言うのに……ほとんど無罪放免とも言える事をあうんは言っていた。
気分が息を吹き返したとしか言いようのない、紅潮した早苗の様子を見てもあうんは、全く問題とはしなかった。
「先客と揉めないでくださいね!外でおっぱじめようとするのを、仲に誘導するのだけでも面倒なのに!」
それだけをあうんは言い残して、パタパタと表の方へ走り去ってしまった。

ふっと、その時のあうんの走り方が見せた雰囲気が、早苗があの子の所に駆け寄る雰囲気と似ていると、神奈子も諏訪子も、そう思った。
もしかしてと思った。
そもそもでこの催し、純粋に博麗霊夢の中にある金稼ぎが好きな性分よりも、幻想郷では何故か貴重な男の子を好いている以上に、守っている面々の方に、都合が良かった。
そもそもで、早苗の気持ちが分かると言う博麗霊夢の物言いも、それ以前に確定した事項として先客が、早苗と同じように外でやろうとしたが室内に誘導されたのがいる。
どう考えても、そばに男の子がいる面子に対して都合が良かった。

「何か一瞬、早苗と似ている雰囲気だしてたよね、あの子」
諏訪子は神奈子に対して、あえて聞いてみた……もちろんあうんから室内なら好きにして良いからと言われて、喜び勇んで博麗神社の母屋に入っていく、早苗とあの子を追いかけながら。
「だとしても、博麗霊夢に男の子がいたとしてもだ。向こうから紹介してこない限りは、博麗霊夢の領分だ。何となくまさかと思っても、黙っているのが筋だろう」
「……そうだね」
領分。その言葉を使う時の神奈子は間違いなく、声色を強い物に変化させていた。
それはそうだ、ついこの間までその領分と言う奴を早苗は、神奈子が最早未来永劫において心を砕く存在である早苗の領分が、侵食されていたのだ。
しかも早苗が最も愛して、守ると決めているあの男の子に関する部分で。
もしも――ほぼ間違いないと諏訪子は思っているが――博麗霊夢にも男の子がいたとしても、それは早苗にとってのあの子と全く同じ存在と言って良いはずだ。
であるのならば、神奈子の言う通りだ、博麗霊夢が自分から言うまで待つのが筋だろう。
それでこの話はおしまいだ、次にこの話が出るのは博麗霊夢がその気になるまで、こちらは待つ義務がある。
諏訪子は大人しく早苗とあの子を追いかけ続けた。

878故に神たりえる存在 26話:2024/04/12(金) 04:01:53 ID:MIxmZLYE
諏訪子が、神奈子の言葉を肯定する形で、博麗神社の母屋に、セックスをする為に入って行った早苗とあの子の事を、諏訪子が先頭を走って追いかけたが。
「あ……紅魔館の」
部屋を1つ1つ確認して早苗とあの子を探す途上、あうんが口走っていた先客である、紅魔館の面々、特に当主のレミリア・スカーレットと目があった。
レミリアは若干以上にため息をついている様子で、彼女はまだ服を着ていたが。
それ以外の面々はまぁ、酷い物で、全裸所か衣服が脱ぎ散らかされていた。
「すまん、疲れてるんだ……あいさつなら明日にしてくれ…………東風谷早苗なら、あっちの部屋だぞ」
部外者に館の面々の痴態を見られたことも相まって、レミリアはますますため息を、つかれたような顔を浮かべながら、部屋の中に引っ込んでふすまも閉めてしまった。

「あ!お姉さま!!私がこの子をその気にさせたのに!!」
「うるさい、疲れてるから私に譲れ!!」
その後痴話げんかのような、それでいて紅魔館の面々が愛してかわいがって、そして守っている、くだんの男の子の取り合いを、スカーレット姉妹が始めた。
とはいえ、姉妹以外のメイドと門番と魔女にその使い魔はもちろん、くだんの男の子もキャッキャとした声を出して。
「じゃあ、私達でお嬢様とフラン様の事を気持ち良くして差し上げましょう」
メイドの声、十六夜咲夜がそう言ったら、キャーキャーと言う甲高くて楽し気な声がしめられたふすまを貫通して聞こえてきた。
ここはもう無視しても大丈夫そうだ。
「それより早苗とあの子だ」
神奈子に至っては目線すら飛ばさずに、レミリアが示した方向だけを見ていた。


とはいえ、どの部屋に早苗とあの子が入ったのかは、ふすまを1つ1つ開けて調べる事になるのかとは、一瞬思ったが。
その一瞬だけ思った懸念は、全くの杞憂で終わってくれた。
早苗の上半身の衣服が、ある部屋の前に落ちていた。
声は聞こえてこないけれども、ふすまは閉まっているけれども、ここにいなければどこにいるんだと言う状況だ。
むしろここにいないと困る、半裸を通り越して全裸でどこかほっつき歩いていると言う事なのだから。

とはいえ諏訪子は思わず、早苗が裸体でほっつき歩いてこそはいないけれども、と言う様子で良いのか悪いのかを判断しかねると言う顔をしたけれども。
神奈子はただただホッとしたと言う顔しかしていなかった、神奈子が自罰的感情を早苗とあの子に持っていて、それがために早苗とあの子には甘くなっているのは分かってはいたが。
あまりにも甘すぎないかと思わざるを得なかったが……恐らく神奈子は無自覚のうちに、一線と言うのを超えてしまったんだ。

その一線を越えた時と言うのは間違いなく、あいつからあの子が文字を書いたお守りを、そいつを取り戻した時だ。
もっと言えば早苗も神奈子が一線を越えると言う事に対して、無自覚のうちに、神奈子に頼んだと言う事が神奈子に一線を越えさせる状況となったのだけれども。
もういっそのこと、早苗がこれ以上怖くなってしまうと諏訪子の方が耐えられないので、無自覚無意識の方が良いのではとすら思った。
自覚的、意識的に神奈子に一線を超えさせたのであれば、それはもう冷徹にも程があるはずだから。
最も、あの日の夜会に置いてあいつを祟らせる方向に出席者の意識を変えたのは、大いに意識的であったけれども。
だから何を今更、と言うべきなのかもしれないけれども……

879故に神たりえる存在 26話:2024/04/12(金) 04:02:46 ID:MIxmZLYE
「早苗?」
諏訪子が一瞬のうちで様々な感情と思考を巡らせている事は、諏訪子も隠していたから神奈子が気付くはずもなく。
神奈子はふすまの向こう側にいるはずの早苗に対して、いっそ甘ったるいぐらいの声をかけていた。
「はーい?」
そして幸いにも部屋の中に早苗はいてくれた、と言う事はあの男の子も一緒にいると言う事だ。
ひとまずは諏訪子の一番の懸念、裸体で早苗とあの子がほっつき歩いていると言う事は無くなった。
高麗野あうんの言う通り、博麗神社でなくとも野外でセックスをするのは、いくら何でも不味い行いのはずだから。

「入って良いですよー」
幸い早苗は声をかけてきた神奈子の事を嫌がらなかった。
最も、嫌がらないと言う事は早苗の中では神奈子の事もこの子の性欲を湧き上がらせ、そして気持ちよくするための役者として、早苗は考えているのだけれども。
だけれども神奈子はもう、無制限に早苗とあの子に甘いから。
仮に早苗があの子の後ろに回って、あの子のおちんちんを手でしごいて固くさせながら近づいて来ても。
神奈子は笑顔で自分から股を開くか、あるいは口を大きく開けてくれるだろう。
誰に言われるでもなく、裏表や利害などを考えずに、自発的にそうする。


室内においては、部屋の前に早苗の上半身の衣服がはらりと落ちていたのだから、やっぱり早苗はもう上半分が裸であった。
まだセックスの本番は行っていなくて、お互いに抱きしめあったりしている段階であった。
早苗もあの子も、お互いに相手と肌を合わせたり、あるいは唇を合わせてキスを行う事を、何度も何度も嬉しそうに楽しそうに行っていたし。
この子は男の子であるのだから、早苗のおっぱいに対しても揉んだりあるいは顔をうずめにいったりする欲求も存在していたが。
この子からの欲求であるのならば早苗はそのすべてに対して、喜びと共に受け入れる。
でも神奈子の場合は、安堵感なのだろうなとふと、諏訪子はそう思った。
巻き込んでしまったと言う自罰的感情を和らげるために、肌すら神奈子は使っているのだから。無論、自発的に。
「私も混ざった方が良いかな?」
神奈子の自発的意思は、この言葉を聞ければ十分に理解できるだろう。
ただし自罰的感情がその自発的意思の源泉であるから、かなり影を持った感情なのだけれども。
神奈子だって素直に純粋に、美女であるのだからその魅力の方がオスにとっては鮮烈であるから、十分に覆い隠せていたし。
一番の存在である東風谷早苗が、この子との性愛に対してはそのすべてにキャッキャと嬉しく喜んでくれているのだから。
その勢いに影響されて、神奈子の感情にある影はますます覆い隠されてくれたし。
神奈子からしても早苗はともかくとして、この子に対しては自分の感情にある影に気付かず、ただただ自分の女体で情欲を発散してくれた方が安堵するだろう。

「そりゃもちろん!私もこの子も、神奈子様の大きいおっぱい、好きに決まってますもん!」
早苗からの何度も喜色満面な様子に、神奈子は柔らかく笑って。
「分かった」
そのままスルスルと衣服を脱いでいった。
神奈子は早苗やこの子に求められる前に、そのまま全ての衣服を脱いで、全裸となった。
まだ早苗とこの子ですら下半身の衣服は着用しているのに、神奈子はすべて自発的意思と行動で、全裸の女体となり早苗とこの子に情欲を与えに向かった。
八坂神奈子ほどの存在が、自発的意思で、それを行った。

880故に神たりえる存在 26話:2024/04/12(金) 04:03:51 ID:MIxmZLYE
そのまま早苗はこの子にとってはここが定位置だと、まだそう主張したことはないけれども、絶対にそう思っているであろう自らの小膝。
その上にこの子を乗せて、全裸となってくれた神奈子の姿をよく見える様にしてやっていた。
「うひょー」
この子からすれば、喜色満面で自分の性欲に肯定的で機嫌のいい早苗の、その声だけでなく小膝の上に乗せてもらえて。
しかも既に早苗の上半身は脱げているので、生乳を枕のように味わいながら、目の前には全裸の神奈子だ。
肉体的にも精神的にも、早苗と神奈子はこの子の意気と言う奴をグイグイと押し上げていた。

そして神奈子はフフっと笑みを浮かべながら、両手を広げて早苗とあの子の事を抱きしめるような形を取った。
「あー……神奈子様のおっぱいになら負けても良いわ、私」
そのまま早苗は神奈子のおっぱいを、あの子と一緒に揉んだり吸ったりしながら。
そうかと思えば神奈子の女体を味わいつつ、早苗とこの子は口づけを行ったりもした。
神奈子も自分がどのような体勢を取れば、早苗とこの子が楽しんでくれるかを優先して考えて。
そのまま神奈子は横になって、早苗とこの子が自分の身体を好きに扱いやすいようにしてやった。
その際に置いて、横になっていく神奈子と諏訪子は目があった。
その神奈子の視線からは間違いなく、諏訪子よお前はそのままでいるつもり?と言うような物を感じ取った。

「私も仲間に入れてよ」
諏訪子は、無論の事でこのまま何もしないと言う事は絶対に無いのだけれども。
このままでいたら神奈子から服を脱がされかねないまである、神奈子からの意識には、わー……と言うような言語化しにくい感情を抱いたのも事実であった。
ドン引きだとか恐怖と言う感情では無いのだけれども、極まっているなと言うのが的確か、それもあまりもろ手を挙げて褒める事の出来ない物だ。
なのだけれども、諏訪子だって別にこの子にならキスもおっぱいも、それこそセックスをしても構わないと思っている。
ならば結局のところで神奈子に対して極まってるなと言う感想も、諏訪子との違いは五十歩百歩であり、諏訪子は神奈子の事をとやかく言えないのではないかと言う気持ちの方が強かった。
その神奈子の事をとやかく言えないと言う感情は、この子からパァっと笑みを浮かべてもらいながら、諏訪子の事も求めるような顔に、気を良くした。
間違いなく諏訪子はこの子から求めてもらって、気を良くしたことで、神奈子の事をとやかく思う資格は無さそうだという感情になった。

881故に神たりえる存在 26話:2024/04/12(金) 04:04:44 ID:MIxmZLYE
この子は諏訪子に対して抱き着いてきたし、何なら早苗も混じって来て諏訪子の衣服を取り払いに来た。
だけれども諏訪子は、この子に対して口づけを施しながら、この子の下半身の衣服を脱がせてやった。
なので裸にされることに対しては、ちっとも抵抗をしていなかった。
そのままこの子と早苗は諏訪子の事を押し倒すようにして、その女体で、それこそ舌触りも含めて愉しんだ。
だけれども諏訪子は一切抵抗せずに、この子のおちんちんをしごいてやっていた。
神奈子も手を伸ばしてきて、諏訪子と一緒にこの子の下半身の衣服が取り払われた後の、おちんちんを勃起させるためにその手指を与えていた。

早苗、神奈子、諏訪子。
この全員から与えられる情欲を出来る限り味わいたくてこの子は、そして他の者も全員からの刺激をこの子は欲するだろうと、すでに理解していたから。
自然と並び方は、横になるこの子の左右に神奈子と諏訪子がいて、正面には早苗が位置してキスもおっぱいも含めたすべての柔肌を与えていた。

「頑張って私たち全員に中出し決めちゃいます?」
そしてついに、早苗も下半身の衣服をスルスルと脱いで、ぬめり持って何かを待ち望んでいる女性器を、この子にもよく見えるようにしてやった。
早苗の言葉と行動で、この子のおちんちんは既に勃起しているが、ビクンとした脈動が出てきたのを神奈子と諏訪子は手指でそれを感じた。
「でも……最初は、私とセックスをしてほしいですねぇ、やっぱり」
こいねがうような、いじらしくて、それでいて淫らな声と表情で早苗が優しくこの子の勃起したおちんちんを手に取った。
もちろん、早苗のぬめった女性器はこの子に見えやすいようにしながら。
それ所か、早苗の女性器から出てくるぬめりは、先ほどよりも多いようにすら見えた。
これには敵わないな、この子が耐えきれるはずが無い。
神奈子も諏訪子も、自然と早苗に対して一歩引いたような気持をすぐに出した。
既にこの子の手は早苗のおっぱいや、そしてぬめった女性器へと延びていた。
両横には神奈子と諏訪子がいるけれども、肌も与えているけれども、この子の意識はもう完全に早苗の者となっていた。

「入れて良いですか?私がねだってるんで、腰は私が動かしますから、あなたは横になったままで良いですよ。神奈子様と諏訪子様の肌にも触れていたいでしょうから」
早苗がそう確認すると、この子は早苗の瞳を真っ直ぐと見て、勃起したおちんちんも早苗の方にしっかりと向けていた。
当然だ、この子が早苗を相手にして我慢をする必要などない。
だけれども早苗の方が、神奈子の自罰的感情程ではないが、この子を巻き込んだ責任感のような物がある。
とはいえこの子は早苗でしたいと思えば、すれば良いだけだ、そもそもで早苗の方もセックスをやりたがっている。
しかも早苗が動くと言っているのなら、このままこの子は横になっているだけで良い。

「はい」
この子の情欲が早苗の女性器に、しかも早苗の方から全部動いてくれると言う甘美な誘惑に、その意識をはっきりと注いでくれたのを早苗は確認したら。
安堵感と喜びと情欲を混じらせた笑みで、位置を調整するためにこの子の勃起したおちんちんを少し手に持って、目視で位置関係を確認出来たら。
そのまま一切のちゅうちょ何ぞを見せずに、思いっきり早苗は自身の女性器にこの子の勃起したおちんちんを突っ込ませるために、腰を沈めてくれた。

続く

882ちゅっちゅする程度の能力:2024/04/12(金) 07:11:59 ID:FaZWqya2
母屋が凄まじい空間になっててこれは……!
早苗さんがいつもの早苗さんに戻ってよかったよかった
誘う言葉も素晴らしく、明るく楽しくエッチな早苗さんは魅力あるなぁ

あうんちゃんかわいい犬系の子みんなかわいい

883故に神たりえる存在 27話:2024/04/16(火) 02:23:28 ID:tAqFCkkQ
>>881の続きです、完結編

「あっは!ふぁ!!」
この子に対して横になったままで構わないと言った通り、早苗は自ら腰を動かしてとにかく跳ねてくれた。
長い美髪も、しっかりとふくらみのあるおっぱいも、何よりも東風谷早苗は自画自賛しても許されるレベルで美少女だ。
そんな美少女が乱れて、跳ね動いてくれている、ただただこの男の子の為に。
この子でなければならないと、この子個人に価値を見出して、愛して、なおかつ守護までしてくれる上に性欲の存在にまで肯定的だ。
東風谷早苗と言う美少女の女体は、今もそしてこれから先ずっと、彼女の目の前にいるこの子だけの物であった。
そうでなければならないと、この美少女、東風谷早苗本人が強くそう思考していた。

東風谷早苗はこの子の為に何でもできるのと同じ論理と理屈で、この子は東風谷早苗に対して思う事を何でもやれば良いと言う思考も、同時並行して存在していた。
この子にとっては肉体的には、勃起したおちんちんが自分は全く動かなくても、早苗のそれがしたいと言う感情によって、早苗の女性器に包み込まれて。
あまつさえ腰の方も早苗がそうしたいから、早苗自身の情欲もあるけれどそれ以上に、この子が情欲を増幅させて、何よりもその情欲を早苗の女体で発散してほしい。
「あは!あ、おっぱい?うん、触って触って!」
この子が手を前に伸ばしたのを見たら、早苗はこの子の手を取ってやって、早苗が跳ね動く事で連動して思いっきり揺れ動いている、ちゃんと大きいおっぱいにこの子の手をいざなってやった。
「ふふ、ふっ!はっ!!」
早苗は騎乗位の体勢で腰を跳ね動かして、この子の勃起したおちんちんの固さと熱を、自ら早苗自身の女性器に招き入れてくれて、早苗がその熱と固さを愉しんでいるのは間違いないが。
やはり早苗の一番の望みは、この子の情欲の更なる上昇。
情欲を大きく抱いていると一目で分かる、勃起したおちんちんの、その熱と固さの更なる上昇を求めていた。
今この瞬間においては、神奈子様と諏訪子様もいる状態で、この子とセックスを行うのが早苗としてはとても楽しくて。
ついこの間まで早苗を苛んでいた愚か者の事も完全に片付いたから、結局はこの子を巻き込んだ、連れてきてしまったと言う根っこにある思考は、ほとんど早苗としても感じ取っていないが。
セックスの後に置いて、少しばかり落ち着いた後には間違いなく早苗は。
この子が自分で愉しんでくれたと言う部分の喜びも含めて二重に、この子が全く縁等と言う物を持っていなかったはずの幻想郷で、のびのびとやれている事を喜ぶ。
その喜びを今後ともずっと持続させるためにも、早苗はこの子が絡む事柄に関しては全てのリミッターと言う物が存在しないのも同じであった。

「あふっ!あふぁ!!」
今も早苗は、この子の手をその反応を見て自身のおっぱいへと誘ったけれども。
その後はこの子の自由にしてもらって構わなかった、むしろいくらでも早苗の女体でこの子には愉しんでほしかった。
早苗との行為が終わった後は、この子の両横にいる神奈子と諏訪子が何もしないはずは無いので、後の事なんて考えずに徹底的に情欲を叩きこんでほしかった。
今は、この子は横になった状態で早苗が動き続けて勃起したおちんちんが女性器を感じ取ると言う行為を、全て早苗の動きだけで担っているけれども。
早苗の弾力と大きさに富んだおっぱいをグニグニといじり倒しているうちに、この子の意気が更なる上昇を見せて。
やっぱり自分で腰を動かして早苗とセックスをしたいと思ったのならば、すれば良い、その為に私の事は押し倒してしまって良い、早苗は本気でそう考えている。

今は女性器に勃起したおちんちんを挿入している、早苗の抱いている熱量はともかくとして、言って見ればノーマルな行為を行っているけれども。
この後で口を使いたければ使ってもらって構わなかった、早苗は嬉しそうに口を開いて待つ事が出来る。
おっぱいや髪の毛で射精の後の残滓を拭ってみたいと思ったのならば、そうすれば良かった。
むしろこの子が今日この場で出せる情欲を、その全てが東風谷早苗にぶつかって来てくれるのであれば、それは早苗としては願ったりかなったりとしか言いようのない事であった。

884故に神たりえる存在 27話:2024/04/16(火) 02:24:18 ID:tAqFCkkQ
早苗がとてつもなく愉しそうにしていて、なおかつそんな状態の早苗をこの子は彼女のおっぱいまで揉みながら、やっぱり愉しそうに早苗と目を合わせている。
どちらともに相手への興奮気味の好意と執着を抱き合っている、なので神奈子と諏訪子も、この状態では自分たちの気配は少ない方が良いかなと思ったので、この子の横に付いて寝そべってやっているだけであった。
そんな二柱の細やかな心配りもあって、早苗とこの子は互いに相手だけを意識すれば構わなかったから、ますます早苗とこの子だけの空間と言うのが強固な物となっていた。

この子は本当に何をしても構わなかった。
この子の穏やかさを早苗は元より、神奈子と諏訪子も信じているから、せいぜいが意気と情欲の強さに自分自身の身体が制御困難になって、体当たりじみた突っ込み方ならあるかな、程度の心配だ。
その程度の心配は、はっきりと言って無い物と同義である。全員、この子の勢いの1つや2つ、今更において受け止めないはずが無い。

「えへ、えへっ、全部私に任せてもらっても構わないですし、君が私の身体で好きに遊んでも構いませんからねぇ」
早苗は自身が腰を動かして、この子の勃起したおちんちんを感じ取っているけれども。
やっぱりこの子の情欲が能動的に、早苗の女体にぶつかって来てくれる方が彼女としては嬉しくて。
「あふっ、はっ、はっ、あうっ!んく!」
この子が横になりながらも手だけは前に伸ばして、早苗のおっぱいを揉めば揉む程、早苗は甘くて淫らだが喜んでいる声を出してくれた。
それと共に早苗の女性器の方も、早苗自身が感じている興奮と喜び愉悦によって、愛液はもちろんだがひくついて、この子の勃起したおちんちんを求めるような動きは増す。
そしてごくごく単純に、早苗自ら腰を上下に振り乱す、その勢いが増すと言う、そちらの方が視覚的に鮮烈な物であった。

この子が何もしなくても、早苗が全身全霊をかけてこの子のおちんちんを、射精するまで面倒を見てくれるのは間違いが無いし。
この子が早苗のおっぱいや美髪、それに女性器に勃起したおちんちんをねじ込んでも。
彼女はこの子がそうしやすいように、適時その女体を抜群の角度や位置で、この子の前に差し出してもくれる。
どのように振舞おうとも、この子には何の問題も降りかからない。

不意に、この子も自分で何らかの動きを示したいと思ったのだろう。だけれどもしたければ、すれば良い。
この子は早苗の首の後ろ側に手をまわしたかと思えば、早苗に対してこちら側、この子の方向に向かってきてくれるように求めた。
「わーい!」
無論早苗は、この子から求められたのであれば求められるだけ、喜びを増幅させる。
「やった!キスハメだキスハメ!」
そのままこの子の求めに応じ続けるのはおろか、この子の求めが早苗の趣味嗜好や喜びに愉悦、それらと合致している事を。
早苗はキスをしたがるこの子に対して、もはや早苗の方からガッツいていると言う具合で、覆いかぶさっていたが。
早苗がキスハメに喜んでいるのと同じかそれ以上に、むしろガッツいてくる勢いの早苗に対して、この子は喜んでいた。
その喜びが、この子が腰を跳ね上げさせる方向に、勃起したおちんちんで良い影響を与えた。
「あっ!あふっ!」
この子とのキスは続けたいし、それ以前にこの子と離れる、すなわち勃起したおちんちんを早苗自身の女性器から、外したくなくてもはや必死ですらあった。

「あう!あっ!あっ!」
この子は何度も何度も、自分の上に乗っている早苗に対して、腰を跳ね上げて勃起したおちんちんで女性器を下から貫くようにしていた。
突き上げる度に早苗は感じたとしか言いようのない嬌声を出して、そしてこの子に勃起したおちんちんを持ってして突き上げられる事を望んでいた。
それを望んでいると言うのは、感じた声を出して早苗の動きに乱れや停滞が不意に訪れようとも、早苗の女性器が、この子の勃起したおちんちんとの結合を果たしている事は、何としても維持したくて密着の度合いは高いままであったし。
キスハメだと言って早苗は喜んでいた通り、この子と口付けをしながら互いに勃起したおちんちんと女性器が結合を続け合う、腰を動かし続け合う事は求め続けていた。
非常に、この子との性愛に対して早苗は貪欲な姿勢を見せていたけれども。
だからこそ、この子の視点から見れば早苗に対して情欲をぶつける事に、何の疑問や心配と言う物を抱かずに済むのでもあった。

885故に神たりえる存在 27話:2024/04/16(火) 02:25:05 ID:tAqFCkkQ
この子の腰がただただ、ひたすらに、跳ねあがる事を何度も続けていた。
勃起したおちんちんを飛び上がらせるように腰を跳ね上がらせて、早苗の女性器へとぶつけ続ける。
「あう!あうっ!!」
跳ね上げて、勃起したおちんちんをぶつける度に、早苗は甘い嬌声をあげていた。
その甘い嬌声こそが、早苗がこの子の行為を情欲を性欲を、すべて受け入れている事の証拠や証明とも言えた。
早苗はこの子から一発、突き上げるような挿入を行われるたびに、甘い声を出して。
更には突かれて甘い声を出すたびに、早苗はその表情もとろけて行っていた。
とろけていく表情で考えるのは、この子とただただ、性愛を味わい続けたいと言う思考、その純度が高まり続けていた。
早苗がこの子との性愛を求めれば求めるほど、早苗はやや所でなく傲慢にも自分自身を美少女だと言ってはばからないけれども。
事実として美少女だし、早苗だってそんな美少女の自分が持つ魅力を、維持し続けなおかつ上昇させるための意日ごろの努力、怠ってはいない。
身体のスタイル、肌のハリや艶、手指の先や髪の毛の一本に至るまで、食事内容や基礎となる運動などを思いつく限り実践している。
早苗は自身の魅力を維持して向上に努め続けていた。
そしてそこで一番重要なのは、日ごろから続く不断の努力によって顕現している美少女である早苗の、それこそ下手をしなくとも全裸の自分。
それが何のために存在するか、間違いなくこの子に性欲を抱いてもらって、あまつさえ性欲をぶつけてもらう、その一番の事象である射精が向かう先だ。
この子はもう、オナニーなんてしなくて良かった、情動や情欲は全部早苗がその女体で受け止めてくれる上に。
あるいは神奈子や諏訪子だって、早苗に対して射精をぶつける手助けをしたり、あまつさえ神奈子や諏訪子もセックスの相手をしてくれる。
早苗も例え自分以外であろうとも、例外中の例外がこの二柱であった。
この二柱が相手であるならば、早苗だって神奈子の大きなおっぱいは大好きだし、諏訪子の金髪の髪の毛はサラサラで気持ちよくていつまでも触っていたい。
だが一番重要なのはこれらの女体が、オナニーと言う一人遊びからこの子を解放してくれていた。
したければ早苗や神奈子や諏訪子が、情欲を満たすための遊び相手になってくれる、いつ何時だって付き合ってくれる。

そして今回は、早苗の女性器に対してひたすらに勃起したおちんちんを突き上げて、熱と勢いを叩きこみ続けていたし。
早苗の方もこの子が相手であるのならば、熱と勢いはいくら強くても構わなかった。

「ん、んー!」
この子は自分と早苗の位置がずれないように、上から覆いかぶさってくれている早苗に対して、がっしりとしがみつき始めた。
「あふっ、あっ、ふふふっ。んー!んっ!!」
早苗もこの子が早苗の女体を求めてくれたのならば、むしろしがみつきやすいように早苗の方からグイグイと、前に出てくれるし。
そうであるならば、この子にとっては早苗とのキスハメを続行しやすくもなってくれる。
早苗も早苗でこの子とキスが出来る上に、この子自ら勃起したおちんちんを突き立ててくれるのならば、下がる意味はどこにも存在しない。
早苗とこの子が互いに互いを求めあっているのはいつもの事と、そう分かっていた神奈子と諏訪子でさえも、その求めあう勢いがいまだに増し続けるのには驚き以外の感情はなかった。

「ふぅ!ふぐっ!んっ!!」
早苗は喘ぎ声を上げつつも、この子にしがみつかれたいし、早苗の方からしてもこの子と密着を続けたかった。
この子とキスもしたい、この子から勃起したおちんちんで突き上げられたい、しがみついてくるこの子の為に自分の女体を与え続けたい。
早苗が抱くこの子に対する欲求、情欲、情動。
それらをすべて満たす為に行うべきことは、幸いにも早苗はもう見つけていた。
ただただこの子の好きなように、自分の女体を扱わせればいい、それで早苗の心も満たされるのであった。
間近で見ている神奈子と諏訪子には、早苗が自身の女体に関する何もかもの裁量権を、とんでもない勢いと熱量を持って与えているのが手に取るように分かっていた。

886故に神たりえる存在 27話:2024/04/16(火) 02:25:57 ID:tAqFCkkQ
ただただ、好きなように、この子は自身の情動情欲のままに動けていた。
好きなように動けば動くほど、早苗は甘くて淫らな顔と声で反応してくれるのだから、この子の方もタガと言う物が外れてしまっていた。
しかもそれは、早苗が自身の美少女としての魅力を余すところなく用いながら、手取り足取りどころかその女体の全てを使って。
丁寧に、優しく、タガ何て外しちゃいましょうと誘導されていると言ってよかった。
もうこの子の頭の中にあるのは、このまま早苗の女性器の中で果てると言う事。
早苗の女体を五感の全てで味わいながら、早苗に対して中出しをすると言う事で、頭の中はいっぱいであった。

この子が早苗に対して。
キスをすれば喜んでくれて、抱き着けば同じかそれ以上の勢いで抱き着き返してくれて、それでこの子のオスとしての部分が反応、勃起を見せても。
早苗の女体で勃起してくれた事も喜んでくれて、むしろお礼まで言ってもらえる。
自分が君のオスの部分を満足させられるような美少女で良かったと、これからも君の為に美少女のままでいられるように頑張りますねとまで言う。
そしてその勃起の処理、射精を行うために早苗は嬉しそうに服を脱いでくれる、女体を与えてくれる、それは今だってそうだ。

「あひっ!」
何の不自由もなく、何の疑問も無く、この子はただただ早苗の女性器に対して。
勃起したおちんちんを今の場合では、早苗が覆いかぶさってくれているから突き上げるように挿入すればいい。
「ひん!あっ!ひゃっ!!」
甲高く喘ぎ声を出す早苗だけれども、彼女が後ろに、この子から離れるような素振りは一切無かった。
キスこそこの子の突き上げる勢いが、早苗を求める情欲が上昇するとともにそちらも上がったから、キスと言うよりは早苗が喘ぎながら出した舌にこの子がかぶりついたり。
あるいは早苗の顔面全体、あるいは頬だったり首筋だったりに唇や舌を這わせると言う形で。
ほとんどこの子が早苗の事を舐め回している様子であったが、この子が悦んでいるから、早苗も悦んで自分を差し出していた。
この子が気持ちよく自分とセックスをしてくれるのが、早苗にとっても一番気持ちのいいセックスなのだ。

そのままこの子は、早苗がすべてを受け入れてくれるのだから、全力で自分にかぶさってくれている早苗に対して。
勃起したおちんちんを突き上げるような挿入を繰り返した。
「あうっ!あっ!んっ!あう!!」
突き上げられるたびに早苗は乱れて、喘ぎ声を出すけれども、それらのすべては嬌声であり淫らな姿であったし。
何より嬉しそうなのは間違いがなかった。
嬉しそうに乱れて、喘いで、嬌声を上げてくれるのだから、この子が勢いづく材料しか無かった。
そして突き上げられるたびに、早苗の女体は当然の事で浮き上がるのだけれども。
とにかく早苗はこの子と離れたくないから、密着を続けたいのだから、この子がしがみつく以上に早苗の方が必死にしがみついているのかもしれなかった。
ただそのお陰で、この子は遠慮なく力の限りで、腰を勃起したおちんちんを突き上げる事が出来るから、早苗としてはそっちの方が良いに決まっていた。

早苗が必死にしがみついているお陰で、いくら力強く腰を跳ね上げ打ち付けても、早苗とこの子の性器どうしの結合が外れる事はなかった。
この子も、どれだけ自分が腰を振り回しても早苗はそのすべてを嬉しそうにして受け入れてくれるのなら。
後はもう射精を、中出しの事だけを考えていればいい。
気付けばこの子もキスはもうそっちのけで、腰を跳ね上げて勃起したおちんちんを早苗の女性器にねじ込むことに集中していたし。
「えへ!はひ!」
早苗も突き上げられるたびに、どんどんすっとんきょうな喘ぎ声や嬌声に変わっていくけれども、必死にしがみつく力具合だけは増す事こそあれども、弱くはならなかった。
むしろより効率的に、この子は早苗の女性器に対して勃起したおちんちんをねじ込めるし。
とにもかくにも、早苗はどれだけ乱れようともこの子を求め続けていた。
そこだけは一切変わらなかった。

887故に神たりえる存在 27話:2024/04/16(火) 02:26:47 ID:tAqFCkkQ
「おー……」
真横で見ている諏訪子は思わず感嘆の声を上げた。
この子が腰を跳ね上げて、勃起したおちんちんで早苗の女性器を突き上げる度に、二人の身体が拳何個分か跳ね上がっているのを見て、自然と声が出た。
別に全く構わないのだが、早苗とこの子が跳ね上がるたびに二人の汗やら体液やらがまきちって、諏訪子の方にもかかることがある。
そこに早苗の香水を含む美少女の香りが、この子のオスの香りで徐々に覆われて行くのも諏訪子は嗅覚で感じ取っていた。
見た目だけならば、早苗がこの子に覆いかぶさってむさぼっているようだけれども。
実情としてはこの子の情欲、オスの部分でぐちゃぐちゃにされるのを、早苗が強く望んでいる。
この後、早苗とやり続けるかそれとも諏訪子やかな子の事も求めるかは分からないけれども。
間違いないのは、この部屋の空気は最終的に、この子がまき散らすオス的な部分で。
早苗だけではない、諏訪子や神奈子だってこの子のオス部分でぐちゃぐちゃになってしまうだろう。
それも実際に女性器に勃起したおちんちんをねじ込まれたり、この子のオスで汚すだけならこの後、頭を掴まれながらお掃除フェラをするだけで、かなりの物になるだろう。
そして神奈子も諏訪子も、口でも女性器にでも、突っ込みたいなら突っ込んで良いよと、相手する気しかない。

まぁ、早苗はもちろん神奈子やこれを思う諏訪子だって良いのだけれども、こちらの女体だけでなくこの部屋の空気までしばらく変わりそうだなとは少し思うが。
ここに案内してきたと言う事は博麗霊夢も分かっているはずだ、男の子連れの女を同じ部屋にいれたらセックスが開始されることを。
分かってて連れてきただろと言わせてもらおう、もしも何か文句とまではいわなくとも渋い反応をされたら。

「あー!あー!」
早苗の嬌声がまたいくらか変化して、声は大きいが間延びしたものに変わった。
まだこの子は射精をしていない、相変わらず腰を跳ね上げて勃起したおちんちんを先頭に、早苗の女性器を突き上げているが。
射精そのものはもうそろそろ、近いはずだ。
「早苗とこの子の飲み物探してくる」
神奈子は早苗とこの子の行為が終わったら、何か、特に水分を欲しがるだろうと思って先ほど出て行った。
早くしないとこの子の射精の瞬間に間に合わないぞ、多分神奈子もこの子が果てた瞬間から、頭をなでたり汗を拭いてやりたいような欲求はあるだろうからと思っていたが。
「博麗霊夢に売りつけられた」
そう呟きながら、神奈子はすぐに帰ってきた。
「母屋の出入り口近くに霊夢が、無人販売所をこさえてたよ」
この場に来ている以上に案内された者ならば、博麗霊夢を相手に商品を盗むような馬鹿はいないと見越しての事だろう。
苦笑しながら神奈子は飲み物をいくつか脇に置いた、それ以上に何か買いに行くために来た服をまたしても脱いでいった。

服を脱いでいきながら、神奈子は鼻を少しひくつかせていた。
少しの間とはいえ外に出たのなら、この部屋の空気がこの子と早苗の行為によって、一気に変容しているのが。
特にこの子のオスとしての匂いが、まき散らされる早苗の匂いよりも強烈で、なおかつ多い事も理解できるはずだし。
それはいずれ神奈子の方向にも向かう物である、神奈子も早苗ほど声高に自称しないが自身が美女である自覚はあるし維持にも努めている。
だが神奈子はふふっと、柔らかく笑うのみであった。
このオスの情欲の固まりがいずれ神奈子の方に向かうと分かっていても、臆した部分はなかった。
裸で次に来てもいい様に待っているとはいえ、目の前でオスとなったこの子にともすれば蹂躙されている早苗を見ていても。
神奈子の柔らかい様子は、一切の変化をしなかった。
それ所か。
「そろそろだな」
神奈子はハンカチまで用意して、この子が早苗を相手に果てる、中出しを果たした後に汗をぬぐってやるために準備までしていた。

諏訪子は思わずひゅうっという口笛のような甲高い音を出したけれども。
「もっと!もっと!突いて!中に出して!」
早苗が思いっきりおねだりをする、大きな声によって、完全にかき消されてしまった。

888故に神たりえる存在 27話:2024/04/16(火) 02:27:59 ID:tAqFCkkQ
ただただ楽しそうにセックスがしたいと言うよりも、この必死のおねだりはこの子に対して大きな影響を与える事が出来た。
「お?」
諏訪子が気付いた通りで、早苗の女性器に対して突き上げるように、腰を勃起したおちんちんを打ち付ける音が明らかに高くなった。
それは一段だとか徐々にでは無くて、明らかに、一気に大きくなった。
射精を果たそうと、早苗に対して中出しを決めに行っているのは、全くもってして明らかであった。
この子が早苗に対してしがみつく様子も、見ているだけでその力が増したのが分かった。
いっそ痛いぐらいにしがみつかれていないかと諏訪子は思ったが、見えてくる早苗の顔は淫ら煮崩れているが、笑顔であることもまた間違いがなかった。
そんな顔で早苗はあの子に対して頬ずりをしていた。
だったら問題はなかった。

この子も早苗から頬ずりをされて、自分の方からも早苗に対して顔を寄せたいと思って当然であった。
それ以上だって、要するにまたキスもやりたくなる。
そこで見る早苗の顔は、とにかく淫らなくせに嬉しそうで、この子から突き上げられる勃起したおちんちんの一発一発にも喜んで。
「中、中に、中にバーっと、めっちゃくちゃな方が良い」
中出しを早苗はこの子の目と鼻の先で、この子に対して思いっきり懇願してきた。

徹底的にこの子からの情欲をぶつけられたくて、おねだりして、その表情は淫らさと嬉しさが入り混じった早苗の姿。
この子が射精を決めにかかってるなと諏訪子は思っていたが、その様子を見た瞬間にその考えは、決まったなと言う物に変わった。
思いっきりしがみつき、パンッとこの子の腰が勃起したおちんちんが、早苗の腰と女性器に突っ込んだ音が一回なったが。
その後はこの子が早苗に対してしがみついたままだったので、両名はいっそ畳の上に落下するぐらいの物であった。
「あっ!」
早苗が一声喘いだが、それは落下の物ではないと諏訪子は断言できた。
この子が早苗に対して両手両足で組み付きながら、全身を震わせて、特に腰とおちんちんの辺りが一番震えていたが。
それでいてその腰とおちんちんは、早苗の腰と女性器に何としてでも密着しようと、懸命であった。
「あっ、あっ、あっ……」
この子が震える度に、それが特に射精の勢いを増した瞬間なのだろう、早苗の喘ぎ声もそれに合わせて発生していた。
「……気持ちいい」
そしてこの子からの震えが無くなった、射精を全部出し切ったようだなと言う辺りで、間違いなく心の底からの一言ともに、早苗もこの子も溶け落ちるように横になった。


「頑張ったな」
早苗を相手に好きなだけ、最終的に中出しを決めた後の言葉としては何とも、適当とは絶対に言い難いのだが。
それでも神奈子は迷わずにこの子に対して、頑張ったと言う言葉を使った。
これらの積み重ねで自然と、この子は早苗や神奈子や諏訪子に対して、性欲を抱いて最終的には中出しを決める事を肯定され続けている。
今日の早苗とのセックスは特に濃密な物であったが、それも褒めてくれた。
意識するか無自覚かどうかは分からないけれども、次に誰かとセックスするときは今回よりも積極的になるかもしれない。
だけれどもそうなってほしいのだ、早苗と神奈子だけでなく、諏訪子だってそっちの方が楽しいから問題はない。

そのまま神奈子は溶けるように横になっている早苗とこの子の身体を、ハンカチである程度拭ってやっていた。
よく見ればハンカチと言うよりは厚手で大きな物だ……最初からこうなっても良い様に神奈子は備えていたと言う事か。
その間も早苗とこの子は溶けていたのだけれども、それでも眠っていないのならばまだまだ、互いを求める意識は強力なままだ。
そのままこの子は手の方も物寂しいから、早苗の身体をまさぐっていたら自然と、女性器の方にも向かった。
「あっ……」
セックス中ほどの派手な物ではないが、早苗の身体は反応して甘い声が漏れるし、少々ひく付く身体を早苗は見せた。
きっと女性器の方もひく付いているはずだ、その反応が愉しくてこの子の指は早苗の女性器をいじり続けていたし。
ちゅっちゅとこの子に口づけを続ける早苗の姿から、この子も早苗の女性器をいじり続けるのを、続行して良いと分かる事が出来る。

889故に神たりえる存在 27話:2024/04/16(火) 02:28:35 ID:tAqFCkkQ
そのうち、神奈子がこの子の身体を拭いてやるその手がこの子のおちんちんの方にやってきた。
残滓はほとんど無いけれども、射精を今までにないほどに力いっぱい行ったから、敏感になった切っ先に神奈子の手指が触れるだけで、この子は身体をややビクンとさせた。
だけれどもそれは不意だけれども、心地いい刺激であった。
「神奈子様ー、私も付かれてるからあそこちょっと拭いて―」
「はいはい」
そのまま神奈子は早苗の求め通り、早苗の女性器周辺も軽く拭いてやりながら、この子の方も忘れてはいなかった。
早苗とこの子の、敏感になった女性器とおちんちんを交互に拭いてやる事で、どちらともが心地の良いビクつきを得ていた。
早苗とこの子の両名にとっては、ビクンビクンと気持ち良くなりながら相手のビクンとした動きも身体で感じたくて。
いつの間にかまた、両名はイチャイチャしだした。
「神奈子様ー、今日寝る時は神奈子様のおっぱい感じたいー」
そのうちまた早苗がおねだりを始めたが、もしかしたらそれより前にこの子が神奈子の大きなおっぱいに手をやっていたかもしれない。
ただどっちが早いかだなんて、極めて些細な問題だと言えた。

「お風呂は?」
神奈子の問いかけに早苗はちょっとだけへそを曲げだした。
「えー、この子が私で思いっきり性欲ぶつけてくれたんだから、この感触をもうちょっと身体に残したい〜。お風呂は明日で良いですー」
やっぱり早苗は、この子がオスとなってほとばしらせた物を、そう簡単には落としたくなかったようだ。
「まぁ、良いけれども」
ただ神奈子はすぐに退くどころか、この子の目線からキスを求めていると感じたのか、そのまま前に向かって口づけを始めた。
あの様子では神奈子だって、セックスをするかどうかは分からないが、キスをしたのならおっぱいを中心に自分の身体で遊ばせてしまうだろう。
そうなると早苗ほどじゃないだけで、神奈子だってこの子がオスとなるほとばしらせるものが身体にまとわりつくが。
喜んで受け入れこそすれども、問題にはしない雰囲気であった。
そのまま神奈子は、早苗とこの子に横にさせられて、神奈子を真ん中にして早苗とこの子が神奈子の女体の包容力を愉しみ始めた。
セックスの本番では無いけれども、キスを求められおっぱいへかぶりつかれては、神奈子もこの子のオスにまみれつつあった。

「へっへっへ」
早苗は犬でもないのに、かなり犬っぽい声を上げていたが……何となく声にかすれがあって顔の紅潮も興奮以上の物があるなと諏訪子は思ったし。
諏訪子が思った部分は、この子にしたってそうであった。
さすがにあれだけ力強くセックスをして、待った疲労を抱えていないはずが無い。

「飲み物あるから、飲んどきなよ。まだまだ明日の朝までは長いんだから、ちょっと休憩しながら神奈子と遊びなよ」
あるいは神奈子の包容力を感じて、遊ぶのが、早苗とこの子にとっては休憩のような物なのかもしれないが。
全く飲まずでは、休まる物も休まらない。

890故に神たりえる存在 27話:2024/04/16(火) 02:31:07 ID:tAqFCkkQ
諏訪子はこの子と早苗に飲み物を渡して、やはり本人が何となくわかっていないだけで身体は乾き始めていたようで、どちらも一息で飲み干してしまった。
そして無論、それだけではなかったし諏訪子も心の準備はとっくに付けていた。
この子は諏訪子にも抱き着いてきたが、諏訪子はヨシヨシとしてやりながらこの子からの抱き着きを受け入れた。
少しどころではなく汗と、オス臭さが諏訪子の身体にもぶつけられたが。
何ならこれをぶつけられたかった、ぐらいの事は諏訪子も思っていた。


早苗も、神奈子も、諏訪子も。
全員この子に性欲や情動から来る欲求があれば、気付けばすぐに両手を広げて迎え入れる事が出来る。
早苗に至っては常日頃から、この子が気に入る食べ物や飲み物を用意して置いてくれている。
神奈子もセックスが終わったら飲み物ぐらいは欲しがると思って、用意してやったり、終わった後の汗やら体液やらも自分のハンカチで少しばかり拭ってやっていた。
諏訪子も抱き着きたかったら抱き着かせてやり、それだけでなく諏訪子の方からキスしてやって、体中荷も同じように口づけを施し、そのうちお掃除フェラにまで突入した。

みんなそれらを、自発的に行っている。
現人神であり、神同然の早苗も。
正真正銘の神様である神奈子と諏訪子も。
供物をささげられたわけでもない、必死に拝み倒して信仰している訳でもない。
神様たちが自発的に、こうやったらこの子は気持ちよくなってくれると思ったら、そうしてやっていた。
この子は神様たちから心を砕かれて、喜んでもらえそうな事を次から次へとやってくれるし、この子が求めたら無条件で受け入れている。
この子はどのような存在と言えるのだろうか、確かに初めは早苗にほだされてくれた事がきっかけだ。
でも今となっては、神様に常日頃から愛されてしまうこの子は、愛してくれている神様たちと同じように、神足りえる。


終わり
守矢神社編完結
次回はまた男の子も勢力も変えて、博麗神社編
霊夢とあうん中心で話を書こうと思います

891ちゅっちゅする程度の能力:2024/04/16(火) 07:07:42 ID:MfzmJOCU
乙です
色々あってハラハラしたりもしましたが最後はガッツリイチャエロで、やっぱり早苗さんはいいなぁと思いました
欠乏していた甘々エロエロ成分が補充された……
素敵なお姉さんと満足度の高い絡み合いやっぱり最高ですね
次も楽しみです

892あうんがあなたの帳尻を合わせます 1話:2024/04/30(火) 00:22:22 ID:wayW9bFE
予告通り博麗神社編で開始します

朝、目が覚めた博麗霊夢は真っ先に横を確認する、視界にはあの子が、霊夢が今現在保護している男の子が眠っていた。
その更に向こう側にはいつだかの折から霊夢の住まう博麗神社、ここに居ついた高麗野あうんが寝ていた。
そして、あうんはこの男の子にも懐いていると言ってよかった。
霊夢とこの子とあうんの布団は、横並びになっているけれども、明らかにあうんの方から手を伸ばして、この子の布団の中で、手を繋ぎながら眠っていた。
霊夢は目に見えるその光景に対して、微笑ましさと愛しさを抱いた、あうんのいじらしさもあるけれども何よりやはり、この子の方もあうんを受け入れている様子があるからだ。
そして微笑ましさと愛しさを抱いた後に霊夢の中から出てきたのは、安堵と守護せねばの感情であった。

安堵の感情に対しては、この子が博麗神社での暮らしに何の不安も抱いていないから。
守護の感情は一言では言い表せない、霊夢の中でこの子を預かった時の情景がどうしても思い出された。
言葉では無く、何があったかの全てをもってしてこそ、霊夢がこの子に対して守らなければと言う感情は説明する事が出来ない。

『めずらし……』
ある時を境にして、博麗神社では子供が1人で遊ぶ光景を見かけるようになった。
初めはあまりにもこの子の存在が珍しすぎて、妖精ではなさそうだと思った物の人間と言うよりは座敷童だとか、そう言う存在のようにすら思えた。
だから自分と同じ人間だと気付いた時、霊夢は何度かいやいやと思って、人間がこんな場所に。
――自分の住処である神社を、自然とこんな場所としか表現できない霊夢も、いささか落ち込んだが。
こんな場所と言う表現は使わなくとも、いささかへんぴな場所であることは自覚している。
少なくとも子供が遊んでいて面白い場所ではない。
『霊夢さん、霊夢さん。あの子、マトモに誰かと喋った事あんまりないっぽいですよ?文字は読めるけれども発音が苦手と言うか、慣れて無い』
何と無しに心配してあの子に近づいたあうんから知った、あの子の置かれている状況の一端から、この時には少し心配だから目をかける対象になりつつあった。
そうでなくとも博麗神社で一人遊びをするしかないと言うのが、心配の種なのだけれども。

『人間と言うよりも、人懐っこい犬を相手にしているみたいです』
何とか意思疎通を、喋る事は不慣れなようだから紙を大量に使ってほぼ筆談で、あうんは毎日あの子の事を知ろうとした。
『あとあの子、結構体力あるからほんと人間と言うよりも、動物っぽいなとも思っちゃいました。失礼だとは承知ですけれども』
とはいえ、人間と言うよりも人懐っこい犬っぽいとまでは言われてしまっているが。
あの子は元々穏やかな性質であったようだから、穏やかで善性の強いあうんとは相性が良かった。
『私案外、雑な所あるから、適任かもねあうんの方が』
霊夢の自己評価にあうんは微妙な顔を浮かべたけれども、同時に時間をかけた方が良いだろうと言うのもあうんは思っていた。

893あうんがあなたの帳尻を合わせます 1話:2024/04/30(火) 00:23:17 ID:wayW9bFE
朝、目が覚めた博麗霊夢は真っ先に横を確認する、視界にはあの子が、霊夢が今現在保護している男の子が眠っていた。
その更に向こう側にはいつだかの折から霊夢の住まう博麗神社、ここに居ついた高麗野あうんが寝ていた。
そして、あうんはこの男の子にも懐いていると言ってよかった。
霊夢とこの子とあうんの布団は、横並びになっているけれども、明らかにあうんの方から手を伸ばして、この子の布団の中で、手を繋ぎながら眠っていた。
霊夢は目に見えるその光景に対して、微笑ましさと愛しさを抱いた、あうんのいじらしさもあるけれども何よりやはり、この子の方もあうんを受け入れている様子があるからだ。
そして微笑ましさと愛しさを抱いた後に霊夢の中から出てきたのは、安堵と守護せねばの感情であった。

安堵の感情に対しては、この子が博麗神社での暮らしに何の不安も抱いていないから。
守護の感情は一言では言い表せない、霊夢の中でこの子を預かった時の情景がどうしても思い出された。
言葉では無く、何があったかの全てをもってしてこそ、霊夢がこの子に対して守らなければと言う感情は説明する事が出来ない。

『めずらし……』
ある時を境にして、博麗神社では子供が1人で遊ぶ光景を見かけるようになった。
初めはあまりにもこの子の存在が珍しすぎて、妖精ではなさそうだと思った物の人間と言うよりは座敷童だとか、そう言う存在のようにすら思えた。
だから自分と同じ人間だと気付いた時、霊夢は何度かいやいやと思って、人間がこんな場所に。
――自分の住処である神社を、自然とこんな場所としか表現できない霊夢も、いささか落ち込んだが。
こんな場所と言う表現は使わなくとも、いささかへんぴな場所であることは自覚している。
少なくとも子供が遊んでいて面白い場所ではない。
『霊夢さん、霊夢さん。あの子、マトモに誰かと喋った事あんまりないっぽいですよ?文字は読めるけれども発音が苦手と言うか、慣れて無い』
何と無しに心配してあの子に近づいたあうんから知った、あの子の置かれている状況の一端から、この時には少し心配だから目をかける対象になりつつあった。
そうでなくとも博麗神社で一人遊びをするしかないと言うのが、心配の種なのだけれども。

『人間と言うよりも、人懐っこい犬を相手にしているみたいです』
何とか意思疎通を、喋る事は不慣れなようだから紙を大量に使ってほぼ筆談で、あうんは毎日あの子の事を知ろうとした。
『あとあの子、結構体力あるからほんと人間と言うよりも、動物っぽいなとも思っちゃいました。失礼だとは承知ですけれども』
とはいえ、人間と言うよりも人懐っこい犬っぽいとまでは言われてしまっているが。
あの子は元々穏やかな性質であったようだから、穏やかで善性の強いあうんとは相性が良かった。
『私案外、雑な所あるから、適任かもねあうんの方が』
霊夢の自己評価にあうんは微妙な顔を浮かべたけれども、同時に時間をかけた方が良いだろうと言うのもあうんは思っていた。

894あうんがあなたの帳尻を合わせます 1話:2024/04/30(火) 00:24:02 ID:wayW9bFE
『……あ、今、雨粒が』
まだこの子が帰りそうな時間では無かったけれども、霊夢が懸念していた通りでやはり空模様は悪くなる一方であった。
近場で待機している二体目のあうんとも目が合った、彼女にも雨粒が落ちてきたのだろう、このまま外に居続ける事に対してあうんも懸念の表情を浮かべていた。
中に入れた方が絶対に、良いに決まっている状況であった。

『中、入らない?雨降ってきたわよ』
その子は困ったような顔を浮かべた、相変わらず会話は成り立たない。
霊夢の行っている言葉は、多分、分かっているような気はするのだが。
だけれども確実に伝えるために、あうんが急いでノートに文字を書いて中で雨宿りをしようと言う事を伝えた。

押し問答こそなかったが、逡巡しあう空気が出来上がっていた。
そうしているうちに、この場にいる者たちの肌に落ちてくる雨粒の量は増えて行った。
霊夢はもう、この子の腕を引っ張ろうかとも思ったが。
あうんからこの子は身体を触られるのに慣れていない、嫌がる、と言うのを思い出して二の足を踏んでいた。
それに、霊夢はずっと奥の方で見ているだけであった、この子との交流はほとんどあうんが受け持っていた。
別に追い出そうとはしなかった、神社で遊んでいるのを黙認は霊夢だってしていたが、それを持ってして恩を売るのはあまりにも内容としては軽くて恩着せがましいとしか言いようがない。
ここは、あうんがずっとこの子と一緒にいた、その時間が両名の間に信頼関係を築いていると言う部分に賭けるしか無かった。

そうしているうちにも、雨粒はどんどんと勢いを増していく。
もうそろそろ、傘無しで外に出るのは頭がどうかしていると言われるような天候だ。
結局伏せていた二体目のあうんが、我慢できずに傘を持ってきてあの子の頭上に広げてやった。
何よりも、一体目の自分をこの子の視界の外に置きたくなかったのだろうと言うあうんの思考は、霊夢にも理解できた。

そして霊夢は賭けに勝利した。
少なくともこの子は言葉を発するのは苦手と言うか、話す事が極端に少ないから発声に難を抱えているが。
あうんの書いた文字は読めているし、まだ身体を触られるのは苦手と言うか徹底的に避けているようだが、あうんの事は信頼していた。
大丈夫かなと言うような思考は見えたが、歩み始めてくれた、神社に向かって。
あの子の保護者を探すと言う考えは停滞を見せたが……いや、清潔な服を着ているから保護者に情が無いわけでは無いはずだ。
このまま帰ってこなければ、探しに来る可能性に霊夢は望みを得ていたと言うか。
探しに来なかったら何を考えているんだと、詰め寄ってやりたかった、居間でも十分詰め寄る理由はあるのだけれども。
放置しているのかしていないのかよく分からないし、発声に難があるのは明らかにおかしい、医者に見せるべきだ。

『あうん、二体目のあんたはまだ出したままにして。今、傘を使ってるあんたと入れ替わりで、辺りを探っておいて……探しに神社に来たならそれで良いのだけれども』
『探しに来ても何か言いたい事ぐらいあります』
実際に筆談で意思の疎通を図り続け、遊び相手もやっているあうんの方が、霊夢よりも憤りが深く言いたい事も強くありそうな雰囲気であった。
『……一回こっちに、私の所に連れてきて』
霊夢としても何も言わない、聞き取らないと言うのはあり得なかったけれども。
この言葉に関しては若干以上に、怒りを溜めつつあるあうんに対する、やり過ぎないようにする牽制の意味が大きく存在していた。

895あうんがあなたの帳尻を合わせます 1話:2024/04/30(火) 00:25:02 ID:wayW9bFE
雨が本降りになって来て、この子も――まだこの子が本気で何なのかは、霊夢もあうんも気付いていなかった――初めは外を伺っていたが、この雨では……と言う諦めと。
何のかんので信頼を持つ事が出来ているあうん、そもそもで彼女の献身も功を奏した。
この子は―霊夢は今思えば、何でもっと早く招かなかったと思う―初めて入るはずの神社内部でも、あうんとお手玉をして遊んでいた。
霊夢はその様子を、外でよりは室内の方が近くて表情をしっかりと見れたから。
それにせっかくだからお茶でも出さないと、と言うのでより近くでこの子を見る事が出来た。
『まさか』
勘が良い事もあり、霊夢はすぐに気づいた。
この子の見た目は、服は地味だし少し髪の毛の手入れがおろそかだとは思ったが。
服はちゃんと毎日清潔な物を着ていたし、髪の毛も髪型がやぼったいだけで洗髪は行っていたのは明らか。
強いて言うなら前髪が長すぎて目に入らないかとは思ったが……
全てに理由があったのだ。
『あなた、男の子?』
男の子であることを隠す為に、服は出来るだけ地味にして髪型はやぼったい上に前髪を伸ばして顔を分かりにくくさせていたのだと、ようやく霊夢は気付いた。

考えればあうんが気付かなかったのは、無理もない。
彼女は、受肉してから女性としか接していないし、その前から狛犬として博麗神社を見守っていた時も、男を見たかどうかも怪しかった。
何故、とは思うけれどもはっきりとした理由は知らないが、幻想郷では男と言う存在が恐ろしく貴重であった。
ようやくこの時霊夢は、少し分かった気がした、この子は放っておかれていたのでは無くて、苦肉の策で博麗神社に毎日向かいなさいと、誰かから言い付けられていたのだ。
はっきり言って数が少なすぎると言う事それ自体が、生きにくさを抱える理由として十分であったし。
貴重であると言う事実だけで好奇の目にさらされる、下手をすれば狙われる、その理由としてもやっぱり十分であった。
身体を触られるの避けていたのも、男の子だとバレるのを避けるためと考えれば合点がいった。

とはいえだ。
博麗神社をこの男の子の保護者ないし親が、ここならばこの子は安全なはずだと選んだことそれ自体は、霊夢としては全く構わなかったのだが。
この子を預けたのが誰かは知らないが一言欲しかった、それが純粋なため息交じりの文句であった。

続く
エロシーン無くて申し訳ありません

896ちゅっちゅする程度の能力:2024/05/01(水) 04:36:05 ID:cGySMKB6
新シリーズ来た! 乙です
出会いからスタートのかつてない切り口だけどあうんちゃんの頑張りでうまくいってるかも
犬的優しさ面倒見のよさはいいですよね……とてもいい

897あうんがあなたの帳尻を合わせます(補足) 1話:2024/05/01(水) 23:11:06 ID:tznlOMwI
貼り付けミスがありました
この投降を>>893と>>894の間に入れてください
申し訳ございません

『あの子、身体を触られるの苦手っぽいんですよね。手を繋ごうとしたら避けられたんで』
『そう言う子もいるでしょう』
その時はその程度にしか霊夢もあうんも考えていなかったし、それよりも。
『そもそも、あの子の親は?人間だとは思うけれども、血色は良さそうだから親でなくとも保護者はいそうだけれども』
霊夢のこの疑問にはあうんも、その時は腕を組んで悩んだ顔をしていた。
『お弁当を持ってきているから、いるはずなんですよね。でも親とか保護者の事も何かイマイチ分かってない……?』
『……どう言う事?』
『んー……聞こうとしてもそもそも、言葉をしゃべり慣れていないし。筆談で何とかしようとしても……親とかの部分だけ知識が抜け落ちている、それ以前に保護者を除けば私たち以外に交流が感じられない』
霊夢にとって眼が点になるとはこの事であった。
『でも博麗神社に来たのは偶然じゃないと思います。目を離した隙にどこかへ帰って行っちゃってますが、どこをどう通るべきかってのは、地図のような物を持ってたの見ましたもん』
その時霊夢は、色々と考えを巡らせていた。
だけれどもそこに、あんな子を放っておくだなんてと言う憤りは合っても、博麗神社に預けてしまうここなら安全だと思われている事には、怒りも憤りも存在していなかった。
『明日あの子が帰る時に私、後を付けるわ。あの子をどうしたいのか、一回保護者から聞き出しておかないと』
『……私も付き合っていいですか、霊夢さん?』
あうんにも同じような感情があった、ましてやあうんの場合は自分に懐いてくれているから、余計に憤りの感情があったのだろう。
『助かるわあうん、あなたって二体になれるから手数は多ければ多いほどいいわ』


『私は遠巻きに眺めて気配を消しておくから、二体目のあうんは隠れていて』
その日も朝早くからあの子はやってきた、だけれどもあの子への不安や心配や守っておきたいと言う感情はあるから、あうんはいつも通り意思の疎通を試みながらあの子の遊び相手を務めていた。
その間、霊夢と二体目のあうんは気配を出来るだけ消しながら、さりとてあの子を視界に収められる位置に、常についていた。
その日は少し空模様があまり良くないのも、霊夢とあうんにとっては気がかりであった。
そう言えばと思う、雨の日はあの子は一体どこで何をやっているのだろうか。
今までは姿が見えなくても、特に気にしていなかったが……今となっては保護者への疑念が湧き上がっているから、不安要因足りえる。
まさか放っておかれているのではないかと思いつつ、弁当は持たされているし衣服も地味だが清潔な物を着用している。
少なくとも全く放っておかれている訳ではなさそうだが、しゃべりなれていないと言うのがやはり気がかりであった。
あうんとの筆談はある程度成功しているから、知能は標準以上のはずなのだが……
考えれば考えるほどいびつな様子を持った、いやこの時には持たされている子とすら思っていた。
この子はどうにも、周りに恵まれていない気がしてならなかった。
しかし次の瞬間には霊夢はこう思った、じゃあ私やあうんが良くしてやって、恵まれた状況をこの子に与えれば良いと。

898ちゅっちゅする程度の能力:2024/05/02(木) 20:53:03 ID:D0916QVw
補足把握
霊夢ちゃんはいい子

明日の例大祭の甘え同人楽しみだなー
メロンで買うから手に入るの後日なんだけど

899あうんがあなたの帳尻を合わせます 2話:2024/05/04(土) 17:27:08 ID:ZuXZAve6
>>897の続きです

『霊夢さん、雨やみそうにないですね』
何気なく、あうんが霊夢の方に声をかけてきたが、それ以上に目線をしっかりと合わせてきていた。
ただただ、天気の話をするだけであるならばここまで力強く、あうんは霊夢と目を合わせる必要はないはずだ。
『表を見てくるわ、雨どいとか閉めた方が良いかもしれないし』
あうんに頼んでいた事が進展したと、霊夢は即座に気付いたので、それとない言葉で立ち上がった。
あうんもくだんの、まさか男の子だったあの子に対してまた遊びの続きを、何よりも筆談で何とか意思の疎通を図ろうと努力していた。
その時のあうんの声は、確かにこの子の事を気にするようになってからはずっと、怯えさせないようにと、そこから一歩進んで近くにいてもらえるようにと、声色も振舞いも気を使い続けていたが。
霊夢に対して、状況が動いたことをそれとなく知らせた後は、声色の高さと動きの派手さが明らかに増していた。
酒抜きであの勢いを出すのはなかなか難しいぐらいの物ですらあった、何となく呆気にとられたような顔をあの子、あの男の子は出していたけれども。
あるいはどころか、それなり以上の確率ですらなく、間違いなく剣呑な空気になるだろう。
実力行使と言うか、あうんにせよ霊夢にせよが詰め寄り過ぎて拳を振るう可能性はまだ、絶対と言う程高くはなかったが。
間違いなく憤りをより強く高めていたのは、毎日あの子の相手をしていたあうんの方であった。

(あうんに教えとかないと、男の子が幻想郷で生きていくのは、数が少ないがために狙われないように気を配る必要があるから、難易度高めって事……)
そしてあうんに対する霊夢の、ほっといたら彼女の憤りが強くなりすぎて不味い事になりそうだと言う。
もはや危機感までにも発展できる光景を霊夢は目にする事になった。

玄関先で、多分あれがあの子の母親だと言う感じの年齢の女性の、その後ろ側に周ってこれでもかと言う程近い位置に立ち続けていた。
妙な事があればすぐに相手を引っつかんで、後ろなり前なりのどこへでもぶっ倒してやる事が出来る位置取りであった。
剣呑その物であった、思わず霊夢はうわー……と言うような表情を浮かべざるを得なかったが。
そんな霊夢の感情と表情に対して、霊夢に対しては下手をすれば霊夢が何かを頼む前から、ハイハイ何ですかと快く、手伝いをするために辺りをばたばた跳ねまわりかねないあうんなのに。
本当にこの時だけは、霊夢のもう少し穏やかに収める事が出来るのであればと言う姿勢に対して、それが分かった後でもあうんは憮然としていた。
私のこの感情は間違っていないと、そんな自信にもあふれている姿であった。
だけれども霊夢は、本当に穏やかに収められる手段や機会があるのであれば、そちらを取りたいと思っていた。

それはこの母親らしき女性の持ち物にあった。
明らかに小さい傘がその手にあったからだ。
相変わらず地味な色彩で、きっと折り畳み式の持ち運びが簡易な物であるのは大人が使ってもおかしくないと言う偽装工作。
きっとあまりにも心配なのだろう、大人が使ってもおかしくないを通り越して、最近では年寄りだってあそこまで地味なのは嫌がるぞと言う方向にも足を突っ込んでいた。
だけれども霊夢には絶対にと断言できた、あの小さい折り畳み傘はあの子の分だ。
最もあうんから言わせれば、何で最初から持たせなかったとなりかねないが……実際に空模様は朝からずっと怪しかったから。

900あうんがあなたの帳尻を合わせます 2話:2024/05/04(土) 17:29:56 ID:ZuXZAve6
『私、霊夢さん程は甘くはないですよ』
ひとまずその女性を奥の部屋に、少なくとも霊夢は淡々としていたがさりとてあうんのように剣呑さを出さずに招き入れたが。
あうんは納得いかないと言う具合に、少なくともここに不満と憤りを溜めている存在がいる事は、強く主張していた。
それと反比例するように、奥の部屋からは甲高くて機嫌のよさそうな声が聞こえてきた。
何の遊びをしているかは分からないが、機嫌がよさそうなは実に何よりであったし。
やはりこの女性は、あの男の子に対して目立たないように苦心しているし弁当を持たせたり清潔な衣服を用意しているから、愛情がないはずは無い。
機嫌のよさそうな声の中には当然、発声と言うか言葉をしゃべるのは相変わらずあの子は苦手と言うか、言葉をしゃべれば男の子とバレるかもしれない。
『数が少ない男の子って、生きづらいのよ』
『じゃ、私がそばにいます。霊夢さんだって最悪うちに、博麗神社に泊めるかぐらいは考えてるでしょう、とっくに。私見てましたもん、布団をもう一組探してたの』
霊夢はあうんをなだめるように、説得するように、そして遠回しだけれどもこの母親らしき存在にも肩を持つような事を言ったけれども。
私がその分動けば良いと言う暴論にも近い理屈で、あうんは霊夢からのなだめと説得から遠ざかってしまった。
だけれどもこの母親は、自分の事をただの人間だと良くも悪くも分かり切っていた。
私一人で守るよりは、分が良くなった。
そう吐露して、安堵のため息すらついた、真後ろでは相変わらずあうんがあの子を放っておくだなんてと言うような、威圧感を遠慮なく振りまいていると言うのに。
この者からすれば、強い何かがあの子の近くにいるだけでなく、あの子の事をよく思ってくれている。
そう言う認識を抱くまで……あるいは追い詰められていたのかもしれない。

『……っ』
あうんも思わず、先ほどまでの勢いと鋭さが大きく減じられてしまった形を見せた。
あうんから真後ろで威嚇されていても、諦めとは明らかに違う穏やかさでいられると言うのが、彼女にとっては意外としか言いようがなかったのだ。

『助け船、いる?』
そしてその紫色のうさんくさい声は、間違いなくこの母親らしき存在への助け舟でもあった。
『ごめんねー、男女比人口の資料とか、男の子が巻き込まれた事件とか、あと細々としたものも含めたのを、どこに置いたかなで探してたから』
八雲紫が、空間に対して無秩序にぱっくりと開いたスキマから、身体を乗り出してくるどころか。
よいしょっと、等と言う風にやや所か間違いなく演じた、そしてわざとらしい雰囲気で博麗神社の廊下に降り立った。
『立ち話も何でしょ?』
そう言って紫はと言うと……あうんの方を連れて行こうとした。
『ちょっと……』
あうんは抵抗をしたが、さりとて派手には動けなかった、派手に声や音を出せば奥の部屋いにるあの子に、変な空気を気づかせてしまうからだ、それをあうんは嫌がった。
『紫……』
ジタバタしようにも出来ないあうんに、せめてと霊夢も前に立とうとしたが。
『核たる数字と実例による理攻めなら、私の方が霊夢より得意な自信があるわ。霊夢はあの男の子のお母様の相手をしてよ』
そう言いながら紫は、再び空間のど真ん中に裂け目を入れ、恐らくは自分の部屋に無理やりあうんを招待してしまった。
二体に増えられるあうんゆえに、二体ともいっぺんに連れていかれていないから、究極的な事を言えばあうんは大丈夫とはいえ。
『ちょ……』
さすがに片割れがよく分からない場所に連れていかれる瞬間は、大きく抵抗を見せようとしたが。
こういう仕事に関しては、八雲紫と言う存在はあまりにも上手であったと言う事だ。
あうんが何事か、抗議や怒りだったりでうなり声を上げる前に、紫はスキマを完全に閉じてしまった。
夕飯時までには帰って来るだろうけれども、残ったもう一体のあうんの様子が非常に心配になってしまう出来事だった。
だが紫がはっきりと、この女性の事をあの子の母親だと表現した以上に、この母親が紫の事を既に知っている。
紫から助け舟を出されているのには気づけた、深々としたお辞儀が初めてやったわけではなさそうな堂の入り方であったからだ。
考えれば、博麗神社にまで探しに行くと言う肝の存在も、八雲紫からの知己(ちき)を得られているが故と言う事かとも、想像するのは霊夢としては難しくなかった。

901あうんがあなたの帳尻を合わせます 2話:2024/05/04(土) 17:30:40 ID:ZuXZAve6
『……必要があるのは分かったので、謝っておきます』
紫に連れていかれたあうんは夕飯時まで待たずに、小一時間ほどで帰ってこれたが。
数字と実例を示した資料でガンガンに理攻めをされたのは、普段お気楽な性分であるがため。
失礼ながら難しい事をそこまで考えないあうんには、しかも予告なしでそんな事をされたから、表情から大きく疲れの色を見て取る事が出来た。
『でも、博麗神社に放り込むような真似じゃなくて、私達に会ってからとかにして欲しかったです』
『……お疲れ様』
霊夢もさすがにあうんに対して、一言ねぎらいの言葉をかけざるを得なかった。

『それから、少し相談したのだけれども。あの男の子はやっぱりうちでしばらく預かる事にするわ』
ひとまずあうんが喜びそうなことを示して、さきのお疲れ様よりも即効性のある慰めを与えたが。
『しゃべる事も教えたかったんで丁度良いですよそれ!』
霊夢にはまだ言っていなかったが、あうんは自分をあの子の発声やしゃべりの練習をする相手に、もう手を上げる所か決めていた素振りであった。
だが何よりもその時のあうんからは、守護獣としての雰囲気の方が強かった。
『大は小を兼ねるって言うでしょう?やる気があって損はしないだろうし』
紫は悪びれもせずに、勝手にお茶菓子をひとつまみしながら慣用句を口に出して自己の行為の正しさを主張したが。
霊夢の心中には、過ぎたるはなお及ばざるが如し、と言う言葉をぶつけてやりたかったけれども。
あうんのやる気に水を差してしまう事の方が、あうんが可愛そうだと思ったし。
それ以上に、恐らく八雲紫は事件の存在も、内容の大なり小なりと時期の遅いか早いかの違いでしかなく、自分には阻止をしきる事が出来ないと判断していたはずだ、もうその時には。


『これは、これは……』
ある日、博麗神社に八雲紫は自分だけでなく、四季映姫・ヤマザナドゥも伴ってやってきた。
何か不味い事やったかなと霊夢は瞬間、不安になったが。
『あの子の母親が襲われました、幸い命に別状はありませんし治る程度の怪我ですが……博麗霊夢、あの男の子はまだまだしばらくあなたが預かりなさいと言いに来ました』
こんな事件の報告を受けるぐらいなら、博麗の巫女としての仕事ぶりの至らなさを指摘された方が。
話が自分の事だけだから、とてつもなく楽な気分でいられた。

続く

902ちゅっちゅする程度の能力:2024/05/04(土) 20:38:55 ID:8b81qVNI
まさかの母親登場からの不穏な引き

お姉さんに甘やかされる、いちゃ甘エッチ、養ってもらう、守ってもらう
いずれも最高のシチュエーションだけど今回のあうんちゃんのように何か教えてもらうってのは初めてかもしれない
そしてとてもいいシチュエーションかもしれない
姉ぶるお燐に獲物(地霊殿の女の子限定)の狩り方レッスンとかされたい
獲物役のお空を上手に押し倒せたとかで褒められてご褒美3Pに持ち込まれたいわ

903あうんがあなたの帳尻を合わせます 3話:2024/05/11(土) 05:32:41 ID:uEpo8PbQ
>>901の続きです

数秒ほど霊夢の思考回路は空回りと言うのを見せた。
『追いはぎにでも合ってしまったの?』
やっと出てきた言葉にしても。
『でしたら、四季映姫を伴うなどと言う事はありませんわ。私1人で十分、メッセンジャーの役目は出来るでしょう?』
紫から即座にすべてを否定されてしまったし、何よりもきついのは霊夢自身その言葉に何も言い返せない事だ。
これ以上の肯定がどこにあると言う。
『もともと質の悪い輩から目を付けられていたとはいえ……先日の雨の日に大急ぎで傘を届けに行ったのを見られたのが、最後の一押しでしたわ』
結局霊夢に出来る事と言うのは、紫からの状況報告を黙って聞く事だけであった。
『傘をさしているのに、後生大事に折りたたみ傘を抱えて、どこかに走り去っていくのが自分以外への傘を届けに行く以外の何の意味があるのか』
全くもって紫の言う通りであった、彼女の理論展開に異論をさしはさむ余地がなかった。
『それでやっぱり、あの者には男の子がいるとバレたに近かった。おこぼれに預かりたがる質の悪い輩が、ここに来てわっとなってしまったと言う事ですわ』
きっとあうんも、こうやって冊子や書類に書かれた数字や文章を見せられながら、小一時間程で帰ってきたが、小一時間ぶっ通しで理詰めされたのだろう。
『実際問題、神霊廟の豊聡耳神子が囲っている男の子を見れば。なぜか男の子が貴重な幻想郷においては、あの一目みたいと言う熱狂は一歩間違えれば狙われる類のものですから』
その時の気分を霊夢も、端的にではあるけれども味わう事になってしまったが。
霊夢の場合は、言い返せる機会があればやってやるぐらいの気概はあった。

『男の子の親だと気付かれたのも、襲われたのも残念ではあるけれども。何も出来なかったの?』
少なくともこれぐらいは、霊夢は言っておきたかった。
もっと言えば報告に来ただけのような立ち位置の、四季映姫に対しても何か言いたかったが、いきなり喧嘩だけは売らないではおいてやった。
それでも、霊夢の鋭い視線が映姫の方向にも注がれている時点で、彼女はやや以上に喧嘩上等の神経でいたのかもしれないが。
『私は、あの男の子の母親からやや避けられていますから。神出鬼没で隠れて行動できる八雲紫との仲の方が、ある程度深くなるのは仕方ないと言うか……』
四季映姫は霊夢からの視線に気づくと悲し気な顔で言葉を続けるが、意を決したように自らの事にも言及しだした。
『閻魔と仲良くしたがる親と言うのが、果たしているかどうか。子供が自分より先にはもちろんですが、親本人だってそう簡単にはいなくなろうとはしないのが健全ですから』
そう言う観点では、あの親子は健全だったし、映姫も私だって気を付けるようにと情報を耳に入れてやって言葉はかけ続けていたと。
映姫はそう話を締めくくったし、紫の方もそれに関しては同じくであった。
ただ生来の霊夢の性格が、やや以上に勝気だからなのかもしれないが、そこでふーん……と言う風には終わらなかった。
『言葉をかけてやっただけ?手は貸さなかったんだ』
ただ、むしろ終わらない事の方が、ここに来て嫌味の1つも霊夢が残した事の方が八雲紫や四季映姫を喜ばせた。
この様子なら大丈夫そうだと、思う事が出来たからだ。

904あうんがあなたの帳尻を合わせます 3話:2024/05/11(土) 05:33:24 ID:uEpo8PbQ
『あの母親は、無理難題だとは思いつつもそれでも。見世物にもならずに、さりとて異常に保護されるような生涯を、あの男の子には歩んでほしくないと思っているのですよ。だから私達の事も、ほとんど頼ろうとしませんでした』
だけれども映姫から、あの母親の方からして上位の存在からの助け舟を必要最低限にするような素振りがあったと聞かされた時には、霊夢は虚と言う物を完全に突かれてしまった形であった。
『さすがに、こちらから助け舟を持ってきて与える所まで行けば。それを袖にしてしまう程ではありませんけれども……自分から助け船を寄こせと唱えない高潔さは汲み取ってやるべきよ』
紫から続けられた言葉は霊夢にとって完全な、ダメ押しの一撃と言う奴になってくれた。
何よりも見世物にも、過剰な保護も嫌がると言う部分に霊夢は、大いに感じ入る部分があった。
考えれば、自分が行う博麗の巫女としての家業も、あんまり礼賛されたいとは思わないのが実際の所だからだ。
正直、霊夢が求める平穏とは真逆の、邪魔と思うような感情すら湧き上がるからだ礼賛されてしまうと言う事は。
そう言う部分と、見世物にもなりたくないし過剰な保護も必要ないと言う部分を、霊夢はどうしても同一視する事になった。
神社に来たなら賽銭ぐらいは入れろと言う部分とは、全くの別問題である。

『最も……男の子がい所に少ない幻想郷に置いて、過剰な保護無しと言うのは難しいかもしれませんが……』
映姫が悲しそうに言葉を出したことに、博麗霊夢はだったら私がやってやると言う気概が出てきた。
『じゃあせめて、見世物にならないようにぐらいには守ってやるわ。私だって必要以上に、天狗のブンヤから写真撮られたりするの、鬱陶しいし』
そう言い残して霊夢は、神社の奥、母屋の方に向かって行ってしまった。
今はあうんがあの子の世話をしているから大丈夫だけれども、信頼もしているけれども。
急にその姿を、霊夢は直にその目で見ないと不安だと言う気持ちになってしまったからだ。

紫も映姫も、追いかけて来なかったし声を出して引き止めたり、異論などをさしはさむことはなかった。
彼女たちも霊夢の気概に、その気持ちを汲んでやると言う意思を見せてくれたのは明らかであった。
ただ一言だけ紫が。
『こっちは下手人も含めて、私達で対処しますから。襲撃の事は阿野子には言わないでと、お母さまから』


『あー、霊夢さーん。何かあったんですか?』
『紫からのお小言よ、振り切ってきたわ』
本当はそれ以上の事を伝えられたのだけれども、あうんにも伝えるべきなのだがそれは今ではなかった。
少なくともこの子には、心配をかけさせたくなかったのもあるし紫の言う通り、伝えない方が良いのかもしれない。
それよりも目の前の光景の方が重要であった。

『あうん、あんた何やらせてるの?』
この子が、あうんの髪の毛を熱心にくしを使って整えている場面であった。
『んー、この子の髪の毛とか洗ったりしてやりたいんですけれども。この子、身体に触られるの慣れてないでしょ?だから、まず私の身体を君から触って、他人に慣れる練習して良いよって』
とてつもない献身をあうんはこの子に見せていた。
それはとてもいい光景を作り出してもくれていたし、霊夢は自然とこの光景を守りたいと言う気持ちになった。

続く

905ちゅっちゅする程度の能力:2024/05/12(日) 00:25:46 ID:6ENwTe3A
男の子をめぐる幻想郷の情勢が想像の10倍くらいやばかった
最後のふれあいはいいね……癒される

906あうんがあなたの帳尻を合わせます 4話:2024/05/16(木) 06:49:57 ID:X8oGgVzw
>>904の続きです

あうんのおよそ無尽蔵の献身は霊夢にとってあまりにも穏やかな光景として目に映っていた。
もちろんの事でその献身は、あうんが自発的に出したものであり、一切の打算が存在していない所か。
打算が存在していないからこそ、あうんも中々に楽しむ事が出来ていた。
その日もあうんは、この子が他者の身体に、それ以上にこの子の精神や実情を考えれば保護者の存在は不可欠だ。
あうんはもちろんだけれども霊夢の方も徐々にだが気になっていることがあった、風呂には一人で入れるようだけれども、出来ればもう少し隅々まで洗ってやりたいと言う欲求があった。
それに長めの髪の毛が、この子が男の子だとバレにくくするための偽装や擬態であることは十分承知しているけれども。
それを承知しつつも、伸びるに任せた上に整える事も行っていない髪の毛だって、いくらかは散髪して整えてもやりたかった。
だけれども全てに順序と言う物がある、身体に触られることに全く慣れていないのに、頭を洗うどころか散髪なんて、いきなりやれるはずが無かった。
無理に整えようとすれば、この子が男の子だと気付いて無理を通そうとした不逞の輩、ともすればこの子の事を見世物にしたり過剰な保護を行う、そんな連中と同じになってしまう。

それに最初から今までの事を考えれば、この子が最も気を許している相手と言うのは間違いなく、あうんであった。
霊夢からすればその時の事は、本当に気を揉むことしかできない時間であったけれども。
それでも霊夢は気をいくら揉もうとも、待つことしかできない、許されていないぐらいにまで霊夢は自身の立場を考えていた。
むしろ見方を変えたり、広く物を見れば、絶対的な安全圏である博麗神社を維持管理し続ける事が、悪漢に襲われたあの子の母親に対する、安心を与える材料のはずだ。
それが行き過ぎて、恐らくはどころかこれを信頼できなければ誰を信頼するのだとも言える、上白沢慧音。
彼女がそれとなく博麗神社を訪れて、様子を見に来た時でさえ、追い出すとまではいかないけれども全くもって釣れない、悪く言えば冷たく相手してしまった。
ただ慧音は一言、分かった、と言って帰ったっきりまた博麗神社に訪れて来ることは無かった。
分かったと言う言葉の通り、霊夢に事態や状況のかじ取りをほぼ全て与える、邪魔をしないと言う事を意味する言葉だったのだろうか。

……多分そうだとは思うのだが、里の守護者である慧音があの子の母親が襲われた事を知らないはずは無いし。
博麗神社を訪れたあの日は最初から、慧音の態度と言う物は固いの一言であった。
何か気がかりが、考えている事が、調べたい知りたい事が、それらが存在するのは明白であった。
今思えば、二体目のあうんがずっと遠くから霊夢と慧音と言うよりは、慧音の事をずっと見ていたし。
慧音が何事かを感じ取れないはずは無い、あの時のあうんの姿と言うか雰囲気は守護獣のそれでしかなかったから。

907あうんがあなたの帳尻を合わせます 4話:2024/05/16(木) 06:50:53 ID:X8oGgVzw
あうんが自分の身体を好きに触って、それで他人の身体に慣れる練習相手にしてから何日か経過した。
さすがにこれでも気を使ってますよ受肉してからは、自分の身体に関する事は。
と、いつだかにあうんが言った通りで、彼女の肉体は均整が取れていて非常に引き締まっているし、どちらかと言えば駆け回る方が好きな性分のため、力強さはあるけれども。
その力強さは全くもって、受肉したあうんの美少女と言える外観を、損なう事はなかった。
むしろ山にいる白狼天狗などと同じで、あうんのその肉体は健康美と言う物を有していた。
そんな物を有している美少女、それがあうんだ。
そんな存在が、じっと座って髪の毛を整えると言うよりは、この子はまだいささか以上に他人の身体と言う物に慣れていないから。
髪の毛を整えると言うよりは、あうんと一緒に遊んでいる延長線上で彼女の髪の毛をいじくっているに近かった。
だけれどもそれだって、初めに比べればかなり様になっていたし。
仮に遊びの延長線上にいたとしても、お互いの距離が近づいている、この子があうんの身体を触りたければ、どこだって自由にさせていた。
それだけの信頼感と言う物を、あうんはこの子に対して既に持っていた。
どちらに転んだとしても、霊夢の目には穏やかでよい光景と言う風に映っていた。


『あうん、そっちの二体目は私が整えてやるわ』
ある日の事、この子に整えてもらっていると言うべきか遊ばせていると言うべきか分からないあうんのすぐ近くで、自分の片割れとあの子を見守っている分身した二体目のあうん。
それがずっと置いてけぼりな感じが霊夢にはしたので、そっちの方は霊夢が整えてやっていた。
その時、しかたのない事ではあるのだけれどもこの子が整えている方のあうんよりは、霊夢が整えている二体目のあうんの方がキレイに、そして素早く仕上がっていた。
『大丈夫ですよー、私の事は練習台で』
出来栄えを気にしているのかと思ったあうんは、こっちの方は気にしなくて良いと言う風にすぐさま声をかけてやった。
もちろんこの子が気にしたのはそれもあったけれども。
ふと、この子がすぐそばにある鏡台に映った自分の事も気にしていた。
……まぁ、あまりいい姿をしていなかった。
着ている物は地味ながらも、間違いなく清潔でこの子の身体の大きさにあった物を着用していたし。
博麗神社にいるのだから、三食も睡眠も、十分に何よりも安全な場所で得られているので血色も良かったが。
やはりこの子が自分でおぼつかない様子でやっている、洗髪と髪型の整えはと言うと、ボサボサと言う評価しか出てこなかった。
この子の姿はあうんや霊夢に比べて、かなりとっ散らかった印象を与える姿であるのが素直で正直な評価であった。

『……あなたにも出来るわよ?』
霊夢はおずおずと、この子は触られることに慣れていないのだから、本当におずおずと提案した。
少しばかり沈黙が部屋の中に充満した、次の声や動きを待つ時間と言うのは霊夢にとってもあうんにとっても、一秒ですら息が詰まる物であった。

だけれども、この子はそもそもの母親の性格が真っ当であったからだろう、かなり素直な性質を持っていた。
座ったままで微動だにしないで、さりとてこっちに来てくれるなら拒否は絶対にしないと言う霊夢の方にやってきてくれて。
彼女の目の前に、無防備な後姿をさらしながら、ストンと座ってくれた。

続く

908ちゅっちゅする程度の能力:2024/05/16(木) 07:32:04 ID:WF609wnM
穏やかな環境は精神衛生上とてもいい
平和だ……世界は常にこうあって欲しい
霊夢が一歩踏み出せてよかったよかった

909あうんがあなたの帳尻を合わせます 5話:2024/05/20(月) 18:53:44 ID:dUhYK4Ks
>>907の続きです

極めて慎重に、霊夢はこの子の髪の毛をキレイに整えて、髪型もそれなり以上に様になるように作業を始めた。
霊夢が極めて慎重なのは、恐らくはこの子にとって髪をここまでまともに整えて貰うと言う経験は、初めてのはずだからだ。
痛いとか辛いとかと言った負の思い出を、その欠片だって絶対に霊夢はこの子に与えたくなかったが。
そうは言っても、自分で自分の髪の毛を整えたりしている時でさえも、何かのはずみで髪の毛がくしに引っかかって、『ぐぇ』と言うような声を自分ですら上げたことがある。
無論の事だが、霊夢はこの子にそんな声を上げさせたいなどとは思わない所か、何が何でもそんな声を出さないで済むようにしたかった。

あうん相手に髪の毛を整えてやっている時とは、全くもって比べ物にならない緊張感を霊夢は持っていた。
実を言うとどころか、あうんが呻かないだけで霊夢からしても手ごたえから、しくったな今の引っ張り過ぎた、と言うような事は何度もある。
あうんは、霊夢が別に力加減をしくじっても唸ったりすることは無い、わざとではないと分かっているし他意も存在していないから、全くもって許せている。
だけれどもこの子の場合となると、むしろ自分だけの話にならないからあうんは本当に珍しく霊夢に対して、冷たくこそはないが注視するような目線を向けた。
今回ばかりは、少しでもしくじればあうんは霊夢に対して大いに不満と言う物をぶつけるだろうと、霊夢は直感を覚えた。

けれども霊夢は、そのあうんから発せられる注視から覚えた緊張感を、精神を張り詰めなければと思うような気持ちこそあったが、圧力だとかそう言う負の感想は思わなかった。
間違いなくこの子は、あうんとの仲の方が今現在においては圧倒的に深い。
そしてあうんからしても、この子に対して元が狛犬からの変化らしくと言えば良いのだろう、この子に対する態度は完全に、守護する存在のそれであった。
しかもかなり強烈な物であった。

あうんの期待はもちろんだが、この子が霊夢を受け入れてくれたその期待だって不意に等するわけにはいかなかった。
『あうん、私が使ってる髪留め持ってきて。思ったより毛の量が多いし長い』
今から祝い事の儀式でもあるのか、と言うぐらいに霊夢は全神経を投入して、この子の髪の毛を整える所か、霊夢の私物まであてがってやりだした。
一瞬、霊夢も男の子に対して明らかに女物の、霊夢が使っている髪留めを使うのはどかと思ったが。
悩んだのは本当に一瞬程度の時間しか存在していなかった。
何せあうんが、霊夢がこの子に髪留めが必要だと言うや否や、寝室に置いてあった予備の髪留めを飛ぶようにして取りに行き。
行っちゃった……と言う風に、あうんのあまりの勢いに霊夢が呆気に取られているうちに、あうんが戻って来て髪留めを。
もしかして全部持って来たらしく、あうんの両の手のひらには霊夢が使っている髪留めの予備が、小高い山になっていた。
だけれどもその時のあうんの笑顔と、ぶんぶん振り回される尻尾も彼女の上機嫌さを視覚でもよく表してくれていて。
何よりもこの男の子が、霊夢の使っている髪留めに対して全く違和感を抱かず、この子も嬉しそうな表情を出してくれたのが。
その雰囲気が、後頭部だけでも分かったし、横からチラリと表情を確認すれば、この子の笑顔に霊夢も自然と笑みがこぼれた。

910あうんがあなたの帳尻を合わせます 5話:2024/05/20(月) 18:54:52 ID:dUhYK4Ks
そのままあうんは……なぜか霊夢の予備の髪留めを、この子に全部渡してしまったけれども。
それはそれで、まぁ良いかと霊夢はすぐにそう思ってしまった。
そのまま犬がじゃれつくみたいに、あうんは間違いなくそんな風にこの子と肌の触れ合いと言うのを行いたかったはずだと言うのが、霊夢には一目でその感情が理解できた。
だがその感情を維持したまま、あうんはこの子にじゃれつく寸前の所で、この子がそもそもで他人から触られるのに慣れていないのを思い出した。
ひきつってこそいないが、危なかった……と言うような感情のあるあうんの表情と、そうは言ってもこの子と一緒にいられる嬉しさから、尻尾はまだぶんぶんと振られていたが。
直に触れ合っていないだけで、その距離感と言うのはちょっと違和感と言う物が存在するぐらいに近かった。
ここまでの距離の近さ、お互いの吐息は間違いなく聞こえるし何なら体温だって感じ取れるぐらいではないか。
あるいは鼻先ぐらいならば、もう既に触れているとまで霊夢はあうんとこの子の距離を見て、すぐにそう思った。
あうんには悪いけれども、踏みとどまる必要がある事に気付けたのは良かったのだが、残念ながら気付くのが遅かったような気しかしなかった。

でもあうんのこれまでの献身の存在はもちろんだけれども。
既にこの子はあうんよりは仲良くなるための時間、それがあまり多くなかった霊夢にもこの子は、無防備な後姿を見せる事が出来ている。
霊夢に対しても非常に心穏やかに、心を許せている状況なのならば、あうんにたいしては更に穏やかであり心許せると言う事で良かった。
何となく所ではなく、あうんがこの子に抱き着きたがっているのは、この子だって理解できていた。
この子があうんに渡された霊夢の予備の髪留めは、既に脇の邪魔にならない所に置かれていた。抱き合うのにこれを持ちながらは、さすがに難易度が高すぎる。


この子はあうんがそうしたいと思っただけではなく、この子もあうんが相手なら構わないという感情を持って。
そのままあうんが中途半端に開けてしまった、お互いの距離としてはあまりにも近すぎる空間は、この子の方から前に出て埋めてくれた。
『え?あ!大丈夫!?』
この子から抱き着かれる形になって、あうんは自身の嬉しいと言う感情よりも、この子が他人と肌を合わせるのに不慣れであると言う、その部分をとにかく気にしていた。
『大丈夫みたいよ、それよりあうん、この子が動かないように少し抱き留めておいてあげて』
だが霊夢が思った通りで、心配はなかった。
むしろこの子の感情、あうんと更に近づけたと言う喜びで、霊夢がこの子の髪の毛を整えるのに少し難儀するぐらいに動き始めた事の方を、霊夢は気にした。
この子が大丈夫だと思っているのならば、この子とあうんが抱き着き合う事には何の疑問も問題も霊夢は感じていなかった。
それよりもぼさぼさとしか言いようのなかった、この子の髪の毛の手入れの方が重要であるぐらいだ。
それ以上がこの子の感情から持ち上がったとしても、それでもやっぱり霊夢の意見は変わらない、この子の髪の毛を手入れし続ける。

911あうんがあなたの帳尻を合わせます 5話:2024/05/20(月) 18:56:49 ID:dUhYK4Ks
しばらくこの子とあうんは抱き合い続けた。
最初は犬がじゃれついてきたから、じゃあこっちからも迎えてあげようと言うような雰囲気だったが。
『はい、キレイに整え終わったわよ』
霊夢からの終わったわよと言うような声が出てきても、この子もあうんも、両方ともがまだもうしばらく抱き合っていたような雰囲気を出していた。
やはり、持ち上がったと言う事か、そう言う気持ちがただ遊びの範囲でじゃれつくような感覚よりも一歩先の、情欲と言えるような物が。
『別に私は、いつでもどこまでもどれだけだって、君なら私の身体に触りたいってなっても、構いませんよ?』
もしかしたらこの子は自分の感情に対して説明が付いていないのかもしれない、だからあうんは非常に優しい言葉をかけ続けて。
しかも、まだ続けても構わないとまで。
『男の子だからしかたありませんよ〜もっと言えば私だって、自分の身体に自信が全く無いわけじゃありませんから』
紫をはじめとして、妙におっぱいの大きい女性が幻想郷には多いけれども。
あうんが自分の身体への自信を口に出した通り、凄く大きいわけではないけれども、あうんの身体だって十分に女体と言える物を。
つまりはおっぱいと言えるふくらみを、十分に持ち合わせていた。
その上で、髪の毛も肌も、女体らしくなめらかな感触を持っている、男の子でなくてもキレイねと思うし何なら触りたい。
であるのならば、男の子ならばなおさらであると、あうんは十分に理解していた。

『……ああ、でも一個だけ』
だけれどもあうんには、きっと紫から懇切丁寧に小一時間ぶっ通しで理詰めされた、男の子が少なすぎる幻想郷における、男の子の周りが案外危ない目にあいやすい事の知識。
それがあるからこそだろう、あうんから明らかに危機感が持ち上がった。
『私と霊夢さん以外には、いわゆる女体と言う物に興味を示していても、それは表に出さない方が良いですよ……何なら私が全部見ますから、興味があっても』
実際あの子の母親は、男の子の親だと言う事がばれて横取りすら企図する不逞の輩に襲撃された。
あうんも既に、その事を知っている、知らせなければならなかった。
だからあうんの危機感は最もとしか言いようがない。
けれども霊夢としては、あうんの危機感は危機感のままで、やっぱり何かあったと言う事が無い様にと、祈らずにはいられなかった。
だが霊夢は直感の非常に強い存在だ。
直感がどうしても祈りを否定してくるのだ。

続く

912ちゅっちゅする程度の能力:2024/05/21(火) 07:56:29 ID:57pD3nMU
今回も良かった!
初対面から少しずつ着実に仲良くなっていて……霊夢とあうんちゃんの優しさが沁みますねぇ
とてもいいふれあい
男の子は今のところアクションを起こしてないけどあうんちゃんがちょっとそっちの方に持っていってるしワクワク
そして最後またちょっと不穏でハラハラする……

913あうんがあなたの帳尻を合わせます 6話:2024/05/31(金) 02:40:41 ID:HZrd2kGg
>>911の続きです

霊夢はどうしても、直感の強い存在だ。それで何かありそうだなと当たりを付けて、いわゆる異変呼ばわりされるものを何とかした経験は何度もある。
だから余計に、霊夢はこのまま何も起こらない事を祈りつつも、どうしてもその直感が自分で自分の祈りを否定してくるのだ。

なのだけれども今だけは、今だけはまだ、その事を考えないでいられた。
起床してしばらくの間、霊夢はあの子とあうんが並んで寝ている姿を眺めていた。
あの子にとっても、博麗神社の存在はもちろんだけれども。
ようやくあの子からの信頼が結実するようなと言う形で、あの子から触れてもらったどころか。
あうんが勢い余ってこの子に抱き着きかけたけれども、勢い余ってやらかしたと不安になったあうんの心配は全くの杞憂で。
きっとこの子は、根がもういっそのことで霊夢にとっては不安になるほどに真っ当だから、打算や裏の存在と言うのを、果たしてその概念が存在しているかどうかも不安だった。
今では、今日はあうんの方から手を伸ばしたようだけれども、どちらともなく寝入りばなには手を伸ばして。
そして言葉こそないけれども手を繋いだり、手遊びを行ったりしながら、そのままお互いに眠るのが最近のお決まりであった。
たまに互いに互いを求め、気にし合ってもいるから、やや白熱してゴソゴソ動き続けていると、とっくに眠ろうとしている霊夢からの小言もはいるけれども。
そんな霊夢からの小言も含めて、この子とあうんは楽しんでいるのは間違いがなかった。
何と無しにあうんの方から情欲を感じなくも無いのは……強いて言えば気がかりとならない事も無いけれども。
だけれどもあうんも自分から行くのは、この子の感性や性格を考えれば不味いやり方だと言うのは理解している。
本当にこの子は、過ぎると言う言葉を使わなければならないほどに、真っ当あるいは純粋だ。
ただそれゆえに、そう遠くない時において、自身の情欲に気付いたこの子があうんの事を、もしかしたら霊夢の事も求めてきたとしても。
それが悪い事だとは、霊夢は全く思っていない所か。
あうんの方からすれば、自分がこの子を求めるのはともかく、この子から自分を求めてくれたのならば全く問題はないぐらいには考えていそうだ。
寝入りばなに手遊びをやるだけあり、あうんが相手ならばこの子は手を繋いだりして散歩に出かけるのも、自然な動作で最近は行えていた。
むしろこのまま、迫って来てくれないかなとあうんは、この子に対して思っているのではないか、それぐらいの物を霊夢はあうんに感じていた。
……とはいえ、むしろそれぐらいの勢いを、この子は得るべきではないのかと思う事すら、霊夢にはあった。

914あうんがあなたの帳尻を合わせます 6話:2024/05/31(金) 02:41:45 ID:HZrd2kGg
真っ当なのはいい事なのだけれども、純粋すぎても悪意に対する防御能力は著しく低くなる。
何かあった時以外は基本的にお気楽さの方が上回っている霊夢も、ここの所はこの子の身の回りに関して心を砕いている状態であった。
別にいつまでも、霊夢はこの子を預かってやるわよと紫や四季映姫にも啖呵を切れるけれども。
博麗神社の外に出られる日は来るのだろうかと言う心配になると、霊夢の心中には曇った物が出てこざるを得なかった。
何と無しに、寝ているこの子の頭をなでる霊夢の手も、恐れや悲しみの感情から震えのような物があった。
あるいは執着か、この子を離してはならないと言う。

「あら、起こしちゃった?」
多分霊夢が覚えた不安感やそこから来た手の震えに執着は、関係無いとはもうけれども、この子の頭をなでたら目を覚まさせるどころか、起き上がる所まで行ってしまった。
慌てて声と表情を霊夢は繕うが、どちらもどうにも上ずった物があるのはとうの霊夢が一番よく分かっていた。
しかし、この子が起き上がったのならば就寝中はずっと手を握っていたあうんも、呼応するように起き上がってくれる。
「あー、霊夢さんおはようございますー。じゃあ、この子と顔を洗いに行ってきますねー」
あうんは霊夢の上ずった様子に気付いているのかいないのか、そこに関しては全くもって定かでは無いのだけれども。
あうんが相手ならばこの子は、初めの時とは比べ物にならないほど他者と言う物に慣れてくれていた。

ややおぼつかない髪の毛の手入れはもちろん、洗顔もあうんが見てくれていた。
あうんからすれば本音は、そこから一歩以上進んだ事だけれども身体も洗ってやりたいとは霊夢に対してぼやいていたけれども。
確かに何と無しに、まだ風呂は1人で入らせざるを得ない物の、その間もあうんがずっと出入り口で待ってるし、会話まで行っているが。
あうんの行動は全くもって好意と善意から来ている部分だから別に良いとしても、あの子は身体をちゃんと洗えているのか?と思う節はあった。
どうにも精神的につたない部分がある以上、動きにもつたなさがどうしても見えてきてしまう。
だからあうんの言う通り、身体も洗ってやりたいと言うのは全くもって自然な発想のはずなのだけれども……
あんたの更なる本音は、あの子が自分に情欲を抱いてくれて、性欲の対象としてくれる事じゃないのか?と霊夢は思ったけれども。
もはや今更の事で、あうんがこの子に不義理を働いたりすることは考慮の外と言える、なので思っただけで留めておいてやった。

915あうんがあなたの帳尻を合わせます 6話:2024/05/31(金) 02:44:03 ID:HZrd2kGg
パタパタと、すっかりと自然な動作であうんはこの子の手を握る事が出来ているし。
何ならあの子の方からも、あうんの近くにいたいと言うような思考とそこから導き出される動作があった。
微笑ましいと思いながら、霊夢は布団を片付けようとしたのだが。
見慣れたはずの室内なのに、どうにも異物感と言う物をぬぐえない、そんな感覚が急に沸いた。
「紫?」
仮に外れていても、あうんとあの子は顔を洗いに行って今は自分一人なので、恥ずかしい事も何も無いのだけれども。
「はぁい、やっぱり気付いたわね。まぁ霊夢なら気付けるか」
妙な感覚や嫌な感じと言うのは、杞憂で終わってくれない場合の方が往々にして多いものである。
八雲紫だけに許されたと言っても良いお家芸である、スキマを操る能力。
こいつでどういうカラクリかは知らないけれども、空間に裂け目を作って好きな場所に移動してくるのだ、八雲紫と言う存在は。
「ぬるっと出てくるわねあんたは、本当に」
霊夢の声色は、決して褒めている風の声色では無いのだけれども、紫は褒め言葉として受け取りますわと言わんばかりに、扇子を口元に当てて笑っていた。

「で、本題は?あんたと会話してたら、不穏な事をあうんとあの子が感じて、怖がるかもしれないでしょう」
だが、霊夢も分かっている。
八雲紫がただただ、お茶とお菓子をたかりに来たわけではないと言う事ぐらい。
本当にお茶とお菓子をたかりに来たのならば、スキマでいきなり霊夢の寝室に上がり込むことはしない、ちゃんと表から入るぐらいの分別はある存在だ。
「今度はあの子を取り上げた産婆がね、昨晩に自宅で襲われたわ、ちなみに私の知り合い」
先ほど霊夢からぬるっと出てくる、等と呆れ混じりの言葉にも笑みを見せる余裕はあったけれども。
本題に入るとき、口元に当てていた扇子を開いて表情を半分隠すようにした。
霊夢は朝の起き抜けに悪い一報を叩きつけられて、虚を突かれているけれども。
紫にとっては、知り合いと言うのだからそれなり以上に交流がある相手が非道に出会ってしまったのだ。
扇子で表情を一部隠しているが、怒りがにじんでいるのは顔の上半分だけで十分理解できた。

「男の子がどこにいるかの情報を、産婆と言う職業柄知っているけれども、あの産婆は信用できるわ、一言も漏らさない所か産湯を与える桶で横っ面をぶん殴ったって」
ほぼ一息で紫は状況を説明したが、妙な早口は紫ですら神経が昂らざるを得ない事を如実に示していた。
「その口ぶりだと、産婆さんはちゃんとまだ生きているのよね?」
「ええ、むしろさっきも言った通り桶で横っ面をぶん殴れるぐらいには気も身体も強いから、むしろ撃退した側」
ひとまずはとは、全くもってこの事であった。
だがやはり霊夢の祈りは、霊夢の直感が否定した通りであった。

続く


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