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都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……代理投下スレ

1花子さんとかの人  ◆nBXmJajMvU:2011/04/23(土) 22:23:12
規制中・本スレが落ちている、など本スレに書き込む事ができなかったり
ちょっと、みんなの反応伺いたいな〜…って時は、こちらにゆっくりと書き込んでいってね!
手の空いている人は、本スレへの転載をお願いいたします

ぶっちゃけ、百レス以上溜まる前に転載できる状況にしないときついと思うんだぜー
ってか、50レス超えただけでもきっついです、マジで
規制されていない人は、そろそろヤバそうだと思ったら積極的に本スレ立ててね!
盟主様との約束だよ!!

951 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/03(土) 23:14:53
「それは幻のレアカードじゃない、なんで貴方が……!」
「なんかデッキトップ光ってるなとおもったら何時の間にか手札に有った。」
「ねーよwwwwwwww」
「嫌だってまじで」
「アニメや漫画やSSじゃないんだからwwwwww」
「だって……でたんだもん」
「貴方がそれを持ってる理由については今は聞かないわ。
 貴方が負けてからゆっくりしゃべってもらうとしましょう。
 私はカードを二枚伏せてターンエンドよ!」


こよみLP:4000 手札:3

モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「風帝ライザー/2400/1000」 5「/」
魔法・罠:1「???」2「???」3「」4「」5「」

「俺のターン、ドロー!」
「させない!はたき落としを発動するわ!」
「え!?」

《はたき落(お)とし/Drop Off》 †
通常罠
相手のドローフェイズ時に、相手が通常のドローをした時に発動する事ができる。
相手はドローしたカード1枚をそのまま墓地へ捨てる。

「くそっ!俺は異次元の女戦士を召喚!」
「その瞬間、私は伏せていた激流葬を発動!」

《異次元(いじげん)の女戦士(おんなせんし)/D.D. Warrior Lady》 †
効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻1500/守1600
このカードが相手モンスターと戦闘を行った時、
そのモンスターとこのカードをゲームから除外する事ができる。

《激流葬(げきりゅうそう)/Torrential Tribute》 †
通常罠(制限カード)
モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動する事ができる。
フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

「ば、馬鹿な!?」
「残念だったわね!これで場はリセットよ!」
「くそ……俺はカードを二枚伏せてターンエンドだ。」


零人LP:1600 手札:2

モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「/」 5「/」
魔法・罠:1「」2「???」3「???」4「」5「」

952 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/03(土) 23:15:33
「私のターン、ドロー!
 私は黄泉ガエルを蘇生!
 更に大嵐を発動!
 この子を贄として炎帝テスタロスを召喚するわ!」


《炎帝(えんてい)テスタロス/Thestalos the Firestorm Monarch》 †
効果モンスター
星6/炎属性/炎族/攻2400/守1000
このカードがアドバンス召喚に成功した時、
相手の手札をランダムに1枚捨てる。
捨てたカードがモンスターカードだった場合、
そのモンスターのレベル×100ポイントダメージを相手ライフに与える。

「さあ、この手札を捨ててもらおうかしら!」
「そ、それは!?俺の切り札が!」
「あらあら、ラッキーだったわね。
 ヘリオス・トリス・メギストスなんて渋いカード使うじゃない。
 テスタロスで攻撃!」
「和睦の使者を発動!」
「ふぅん。命拾いしたわね。私はターンエンドよ。」

《ヘリオス・トリス・メギストス/Helios Trice Megistus》 †
効果モンスター
星8/光属性/炎族/攻 ?/守 ?
このカードは自分フィールド上の「ヘリオス・デュオ・メギストス」1体を
生け贄に捧げる事で特殊召喚する事ができる。
このカードの攻撃力と守備力は、ゲームから除外されている
モンスターカードの数×300ポイントになる。
このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた場合、
エンドフェイズ時に攻撃力・守備力を500ポイントアップさせて特殊召喚される。
相手フィールド上にモンスターが存在する場合、
もう1度だけ続けて攻撃を行う事ができる。



零人LP:800 手札:1

モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「/」 5「/」
魔法・罠:1「」2「」3「」4「」5「」



こよみLP:4000 手札:3

モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「炎帝テスタロス/2400/1000」 5「/」
魔法・罠:1「」2「」3「」4「」5「」

「くそ……このままじゃあ!」
「兄様……。」

 地面に伏したままの陽子が顔を上げて彼の方を見つめる。
 視線と視線が絡み合う。

「妹さんは助けてくれないよ?デュエルってのは孤独な戦いさ。」
「ああ、そうだな。あいつは今俺を助けられない。」
「諦めたら?」
「いいや。」
「は?」
「あいつが助けてくれないってのは事実だ。
 俺が助けるんだから。
 それとデュエルが孤独な戦いってのは違うね。
 俺のデッキとの絆は……決して断ち切れない!」
「ふん、そんな状況で……」
「それにほら、俺の目の前に君がいる、なんてね。
 デュエルってのは互いの魂のぶつけ合いだぜ?」
「――――――――――なっ!?」

 ※ここでThe people with no nameを聞いていただけると幸いです

953 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/03(土) 23:16:29
「恰好いいだろ?」
「馬鹿にしないで!たった一枚の手札で何が出来るっていうの!?」
「一枚じゃない!俺のターンドロー!」
「どうせ勝てないわ、早く負けを認めなさい。」
「いいや……俺の勝ちだね。」
「なに?」
「俺は異次元の女戦士と冥府の使者ゴーズを除外してカオス・ソルジャー −開闢の使者−を召喚する!」
「え?」
「さらに手札から突進を発動!第一打!第二打!」
「む、無念……」

《カオス・ソルジャー −開闢(かいびゃく)の使者(ししゃ)−/Black Luster Soldier - Envoy of the Beginning》 †
効果モンスター(制限カード)
星8/光属性/戦士族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の光属性と闇属性モンスターを1体ずつゲームから除外して特殊召喚する。
自分のターンに1度だけ、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●フィールド上に存在するモンスター1体をゲームから除外する。
この効果を発動する場合、このターンこのカードは攻撃する事ができない。
●このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、
もう1度だけ続けて攻撃を行う事ができる。

《突進(とっしん)/Rush Recklessly》 †
速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力は
エンドフェイズ時まで700ポイントアップする。


こよみLP:0 手札:3


モンスター:1「/」 2「/」 3「/」 4「/」 5「/」
魔法・罠:1「」2「」3「」4「」5「」




 零人WINS!

「ガッチャ!いいデュエルだったぜ!」
「な、なによ……。」
「一度デュエルをしたら友達さ。」
「……調子崩れるなあ。」

954 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/03(土) 23:17:06
「「ひゅー、向こうもやってるねえ。」」
「中々やるじゃ無いか……、僕のデータを尽く上回ってくるなんてセキュリティにしておくのは勿体無いよ。」
「「ヒハハ!褒めてくれるならそのロリパイをふにふにさせるんだな!」」
「ちょ、人の身体でなんつーことを言ってるんだ!?」
「気にすんなよー」
「ったく……!」

 黄昏兄弟と橙の戦いは佳境を迎えていた。

橙・レイモンLP:4000 手札:1
(エフェクト・ヴェーラー)
墓地:ワーム×16

モンスター:1「/」 2「」 3「攻撃表示 ワームゼクス/」 4「攻撃表示 ワームヴィクトリー/8000/2500」 5「/」
魔法・罠:1「魔宮の賄賂」2「」3「波動キャノン(カウンター×2)」4「」5「次元幽閉」




黄昏兄弟LP3000: 手札:5
(非常食、処刑人マキュラ、デビルコメディアン、大嵐、リビングデッドの呼び声)
墓地:無し
デッキトップ:???

モンスター:1「/」 2「/」 3「スナイプストーカー/」 4「太陽龍インティ/3000/2800」 5「/」
魔法・罠:1「」2「」3「」4「」5「」


デッキトップは赤き竜の加護で好きなカードを一枚選べます
皆もこの状況で勝つ方法を考えてみよう☆
ヒントは今までの戦いの中に含まれています
カードの効果はここで書いちゃうとヒントになるから書かないぜ

955 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/03(土) 23:17:53
※解答編















「ふはははは!これが私のワームの力だ!
 君たちに残された勝利の可能性は0%、早く降参したまえ!」
「もうだめなのか……」
「兄さん、諦めてはいけないよ。」
「勝つ手段が有るっていうのか!?」
「兄さんが昨日ふざけて作った紙束で勝負を挑まなきゃ楽勝だったけどね!」
「だってセキュリティ権限で禁止カード一枚入れて良いって言うから……
 あ、急にデッキトップが光りだした!」
「遊戯王お決まりのパターンさ!」
「はっはっは!一人芝居は終わったか!?」
「まあ良いよ、勝利の方程式は出来上がった。」
「え?」
「大嵐を発動!」
「魔宮の賄賂だ!」
「一枚ドローさせてもらうぞ!」
「スナイプストーカーの効果を発動!マキュラを捨てて……」
「チェーンでエフェクト・ヴェーラーの効果を発動!破壊はさせん!」
「しかしコストで捨てたマキュラの効果を発動!」
「デビルコメディアンだな!」
「違う!リビングデッドの呼び声を発動だ!」
「え?」
「マキュラを特殊召喚!」
「更に手札からDNA改造手術を発動!マキュラとスナイプストーカーをエクシイイイイイイイズ!
 出てこい!エヴォルカイザー・ラギア!」
「わ け が わ か ら な い よ」
「すげえぜ正義!」
「デビルコメディアンをセット!ここで非常食を発動!フィールド上の DNA改造手術 リビングデッドの呼び声 デビルコメディアン を墓地に送る!
 これでライフポイントを3000回復!
 これで僕達のライフは6000だ!
 インティで攻撃!」
「次元幽閉!」
「ラギアで無効だ!」
「ヴィクトリーに破壊されたことによってインティの効果発動!
 あんたに4000ダメージだ!」
「うわああああああああああああ!」


 黄昏兄弟 WIN!

956 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/03(土) 23:18:23
「ひゃっはー!俺たちの勝ちだぜ!
 さあレモンちゃあああああん!そのツルペタバディを思う存分貪らせてもら……」
「誰かああああああああああああ!けいさああああああああああつ!」
「俺たちが警察だ!」
「俺の身体で犯罪起こすな!」
「ぎゃあ!」

「く……私たちが負け越すなんて。」
「ごめんね。」
「不覚をとったよ……。」
「まあ良いわ、今回だけは見逃してあげる。覚えてらっしゃい!」

 謎の三人組はそそくさと逃げてしまった。

「あ、待てー!」

 セキュリティの黄昏兄弟は彼らを追いかけて行ってしまった。
 あとには兄妹二人だけが取り残されたのである。


「落ちは無いけど別にイイよね!」

【極光の紗綾(番外編・このスレのキャラがデュエルをおっぱじめるようです)】

957名も亡き都市伝説契約者:2011/09/03(土) 23:51:13
>>952
「あらあら、ラッキーだったわね。
 ヘリオス・トリス・メギストスなんて渋いカード使うじゃない。
 テスタロスで攻撃!」
「和睦の使者を発動!」

「あらあら、ラッキーだったわね。
 ヘリオス・トリス・メギストスなんて渋いカード使うじゃない。
 テスタロスで攻撃!
え……、効いてない!?」
「俺はさっきの大嵐の時にこのカードを発動させてたのさ!!」
「そ、それは!?」
「そのとおり!!これは和睦の使者!!」
「和睦って?」
「ああ!」

958 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/04(日) 23:22:03
【電磁人の韻律詩66〜おしまい〜】


「……っぷはぁ。」
「あれ、眼を覚ましたみたいだね?」
「俺気絶してたの?」
「うん。」
「イザークさんとジョルディさんは?
 ていうかこの町は大丈夫だったの?」
「やだなあアスマ、アスマが寝ている間に全部終わってるよ。」
「なーんだ……。」

 無論、終わってない。
 明日真が起きたのは彼が気絶してからわずか一時間後。
 この町のそこかしこで戦闘は続いていた。
 だがすくなくとも明日家では戦闘は終わったことになっていた。

「……なあ恋路」
「どうしたんだい?そんな神妙な顔つきしちゃって。」
「俺、なんか俺じゃない。」
「は?」
「気づいたんだよ。俺は確実に昔の俺じゃなくなってる。」
「いやそりゃあ強くなったし、変わったとは思うけど。」
「もう……怯える側じゃない。」
「まあそうだね。」
「怯えられる側だ。」

 その時、恋路は明日真の瞳に危うい物を感じた。
 何か取り返しがつかないことが起きそうな予感。

「俺は最初良く分からないままにお前と契約した。」
「私が都市伝説化してたからね。」
「でも二度目の、狂骨との契約は違った。」
「そうなの?」
「ああ、俺はあの時、心から力を求めて、得た。
 助けるための力、守るための力が欲しいって思って。
 悪を叩き潰す力が欲しいって思って。」
「…………。」
「なあ恋路、正直に言ってくれ。
 今の俺ってさ……正義の味方だよな。
 もう俺は正義の味方を夢見る少年じゃないんだよな……。
 冷静に考えればあの時点でもうとっくに俺は正義の味方になってたんだよな。」

 ついに来たか、と恋路は溜息をつく。

959 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/04(日) 23:23:22
「ああ、そうだよ。君はなったんだ。もうとっくになっていた。
 君自身がなりたかったものに。」
「そっか……。じゃあもう正義の味方になろうとした少年の物語はオシマイだな。」
「思えば君は力を手に入れてからずっと正義の味方正義の味方うるさかったね。」
「うん。」
「今まで一度も聞いてなかったよ、なんでさ?」
「姉さんが昔正義の味方をやっていた。」
「へえ。」
「ってのはあくまでヤツの勝手な推測で。」
「え、違うの?」
「違います。」
「うわあ…………。」
「じつは、特に理由なんて無いんだ。」
「無いの?」
「子供の頃、普通のこどもと同じようにテレビを見て育ち、テレビのヒーローに憧れた。
 そして、未だに憧れ続けているだけさ。
 意味なんて無い、理由なんて無い、困っている人が居るから助けたかっただけ。
 しかも力を手に入れるまでは臆病で、何もできていなかった。」
「そうだったんだ。」
「力を手に入れてからしばらくはずっと力に酔ってたと思う。
 あの時に誰にも倒されなかったのが不思議だよ。」
「神様に愛されてるんじゃないか?」
「そうかもな。力に酔って人を助けて回って……」
「でも助けてもらった人が居る、って素敵だよね。」
「うん、素敵だ。」
「俺はとある契約者から力が無くては何も出来ないということを学んだ。
 俺は別の契約者から人間は不平等にできていることを学んだ。
 俺はまた別の契約者から生まれつきの悪としか言えない人間が居ることも学んだ。
 俺はまたまた別の契約者からいくら力が有っても結局それは正義を貫くこととは別なのだということを学んだ。
 契約してから出会った人達から沢山の事を学んで、今の俺になった。」
「正義の味方になれたってことかい?」
「うん。俺が今正義の味方ならばそういうことさ。」
「はぁ……そっか。」
「残念そうだな。」
「いやあ、男の子って成長早いなーって。」
「男子三日会わざれば刮目して見よ、と言うんだぜ。」
「毎日顔突き合わせているけどね。」
「まあそれはそれ。」
「で、正義の味方になった真君はなにがしたいんだい?」

 恋路はいたずらっぽく問いかける。

「決まってるだろ、そんなこと。」

 誇らしそうに笑って明日真は立ち上がった。

960 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/04(日) 23:23:57
「最終回なんだぜ?ラスボス倒して、エクストラステージ終わらせて、やることといったらたった一つ!」
「今の君の言うことなら私も反対しないよ。」

 ああ、飛び立っていってしまう。
 私の手の中から行ってしまう。
 もう私じゃ彼を引き止めてはいられない。
 そんな思いに恋路は胸が張り裂けそうだった。

「宿命のライバルと決着つけに行かなくちゃ!」
「友人の仇からライバルか、随分ランクアップしたね。」
「不思議なことにあいつが暴れれば暴れるほど他の悪党がおとなしくなる法則に気づいたからな。
 あとあいつ、なんだかんだ言って墓参りして回っているんだぜ。」
「え?上田さんが?」
「聞いたら
 『俺がやったことは肉食獣が草食獣を食らうのと同じ行為だ。
  だが俺も元は人間だ、ご馳走様くらい言っても良いだろう。』
 だってさ。
 あいつもあいつなりに思うところはあるみたいだよ。
 つーかあいつがああなったのって姉さんのせいも有るみたいだし。」
「絶対に遺族の方に聞かせられないね。」
「うん。」
「何時行くの?」
「今から……は無理だから一週間後。」
「武器は?」
「要らない、俺使いこなせないもん。」
「そうだったね。君は胸に一本正義を持ってけば其れで良いよ。」
「というわけで今日はねるぞー」

 まだ戦いが続く学校町。
 そんな中で傷ついた正義の味方はそっと眼を閉じた。

【電磁人の韻律詩66〜おしまい〜】

961なんかひろった:2011/09/05(月) 22:49:00

「たっだいまー!」
「おかえ……なにそれ。」

 すりすりすりすり

「なんかひろった。」
「なんでそう君は妙なものに好かれるかな……。」
「私の人徳のなせる業です。」

 すりすりすりすりすりすりすりすり

「さっきから足、くすぐったくない?」
「ただただ愛しいばかりです……ッ!」
「ダメだこの子本物だ。」

 すりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすり

「可愛いなぁもう可愛いなぁスネオ可愛い。」
「スネオ!?」
「『すねこすり』だからスネオ。」
「……まぁ君がいいならいいんだけどさ。」

 すりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすり

「じゃあ私はスネオをお風呂に入れてくるぞ。」
「……ん、いってらっしゃい。」
「さあスネオこっちだぞー。存分に洗ってやるぞー。」

 すりすりすりすりすりすりすりすり…………

「配水管、詰まらなきゃいいな……。」


    ・
    ・
    ・

962なんかひろった:2011/09/05(月) 22:49:49

 カチャッ コチコチ trrrrrrrrr……ピッ

「あ、黒服さん。申し訳ないですけれどまた回収お願いします。今回は『すねこすり』です。」
『2日前にも『ツチノコ』を受け取りにお伺いしたはずですが……相変わらずですね、あの人は。』
「良くも悪くも『動物に好かれる体質』ですから。」
『ではいつものように明日の早朝で?』
「はい、お願いします。」

 ピッ パタン

「あーさっぱりしたー。きれいになったなースネオ。」

 すりすりすりすりすりすりすりすり

「はっはっは、嬉しいか?嬉しいのかこのぉー。」
「その様子だと暴れたりはしなかったみたいね。」
「うん。面白かったぞー、スネオを泡まみれにしたらすりすりしてきて体を洗ってくれてな。さしずめ全自動スポンジってとこだ。」
「……そいつが?」
「うん。」
「君の体を?」
「うん。でも、全身洗ってもらおうと抱きしめたら嫌がってな。結局膝から下しか洗ってもらえなかったよ。」
(……落ち着け、珍妙生物に嫉妬したら負けだ……。)
「さ、そろそろ晩御飯だな。ところでスネオって何食べるんだろ?」
「んー……前に人面犬拾ったときのドッグフード余ってたから、それでいいんじゃないかな?」
「なるほど……よし、試してみよう!さあスネオ、晩御飯だぞー。」

 すりすりすりすりすりすりすりすり……

「無理して食べさせるなよー。あと、こっちももうすぐご飯できるぞー。」
「おー、スネオが食べるの確認したら行くー。」


    ・
    ・
    ・

963なんかひろった:2011/09/05(月) 22:50:25

 ホーウ……ホーウ……ヒョーヒョー……

(またあいつは名前なんか付けて……別れのときはいっつも泣くくせに愛着持つようなことするんだから……)

 すり……

(……うん?)

 すりすり……すりすり……

(スネオ?たしかあいつのところで寝てたはず……寝ぼけてこっち来たのか?)

 すりすり……すり……

(ん……ちょっとくすぐったい……けどまぁ、たしかにこうして見ると可愛い……)

 ゾリッ

「痛っだあああああああああああ!!?」

 ビクッ! スササササ……

「いっ……今一瞬やすりみたいな感触が……!?」
「おいなんだうるさいぞ!」

 すりすりすりすりすりすり

「そ、そいつが俺のすねを……。」
「うん?大方寝ぼけて蹴飛ばしでもしたんだろ。ほら見ろ、スネオがこんなにおびえて……。」

 すりすりすりすりすりすりすりすりすりすり

「いやどちらかというと寝ぼけたのはスネ……」
「言い訳するな見苦しい。よーし怖かったなースネオ、あっちで私と一緒に寝ようなー。」

 すりすりすりすりすりすりすりすり………

「……理不尽だ。」


    ・
    ・
    ・

964なんかひろった:2011/09/05(月) 22:51:35

 チュン……チュンチュン……

「では、この子は確かにお預かりしました。」
「ぐすっ……スネオおおぉぉぉぉおぉぉ達者でなああぁぁあぁぁぁあ!!」
「あ、行っちゃってください。どうせしばらく泣きやまないんで。」 ポンポン
「え、ええ。では、いつもご協力ありがとうございます。失礼いたします。」
「スネオおおぉぉぉぉあああ!えぐっ……元気でなああぁぁぁあぁぁあ!!」

 ブロロロロロロロ……

「う゛ああああぁぁぁぁぁあぁあ!!スネオおおおぉぉぉぉぉぉお!!」
「大丈夫だって、あの人のとこなら絶対スネオを幸せにしてくれるから。」
「スネオおおぉぉぉぉ……ひぐっ、うっ……うあああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあ!!!」
「……そろそろ中、入ろうか。泣きやんだら朝ごはんにしような。」 ギュッ
「ぐすっ……こういうときばっかりカッコつけて……ずるいぞこのっ…バカ……ッ。」
(ずるいのはどっちだよ……可愛すぎだろちくしょう……。)

 パタン。



【終】

965煉獄の時間・暦は世界の意思に抗うようです ◆DkTJZY1IGo:2011/09/06(火) 21:40:28
やばい、尋常じゃないこれ。
サンジェルマンに頼んで装備を整えた私達は
ドッペルゲンガーを回収し
ワカンタンカ=ガイア仮説と戦っていた。

「もう帰っていいこれ!?正直神様舐めてたと言わざるを得ない!!」
暦は涙目になっていた。

(ないわ。マジでないわ)
(今すぐ私を助けなさい)
(エーテルさんが5分で沈むとかマジでありえない)
(海の具現の液状化でレーザー無効化とか)
(何処のバイオライダーだよこの地球儀)
(追撃の地母の晩餐とか何処の人修羅だよ)
(頭の中でどう足掻いても絶望とか最後まで抗えとか)
(そんなフレーズが飛び交ってる)
(もうね、仮面ライダーRXに挑む怪人の気分)

星の意思の怪物。
具現化した自然の暴威。
宝石の地球儀が青く輝き、強い意志の力が周囲の岩壁に放出されたかと思うと
洞窟の岩壁が瞬く間に赤く染まって膨大な熱気を帯び……
どろりと溶け出し殺到する。
星の内腑にたぎる溶岩の津波だ。
あんなものを喰らったら……
「げげっー!あんなんありかよ!」
「ワカンタンカは自然災害の全てを【創造】出来るんだ!」

966煉獄の時間・暦は世界の意思に抗うようです ◆DkTJZY1IGo:2011/09/06(火) 21:40:59
世界の全てが敵になる。
時間を止めても何処に逃げろというのだろう?
「衛悟!水の幕!咎利!ヒランヤで結界を!」
攻撃力が半端じゃない。防御だけで手一杯である。
凌いだら凌いだで次の攻撃が来る。
岩の槍が雨霰とこちらに向かって飛んでくる。
「くっ…!!」
周囲の時間を加速して岩の槍を蹴り壊す。
加速した時間の中では
サンジェルマンの作った靴の硬い強度はそのまま破壊力と化す。
それでも……時間稼ぎにしかならなかった。
2分31秒後に雷の嵐で衛悟が落ちた。
3分15秒後、咎利が避けられない津波で落ちた。
そして5分38秒後……

「……うっうう……えぐっえぐっ……無理ゲーでしょこれ……勝てんのこれ……」
体力の限界、時間停止の限界を超えた
回避しきれない物量の岩礫をくらって全身傷だらけになった暦が泣いている。

圧倒的な攻撃力。
自分は特別な存在なんだ、というちょっと調子に乗っていた自信を
「真正面から」「小細工なしで」「完膚なきまでに」叩き壊してくれる。
ワカンタンカ=ガイア仮説は何もしゃべらず只淡々と自然災害を繰り出してくるのもキツイ。
感情がまったく読めない。精神攻撃は望み薄だ。
かといって操作系で対抗してもこの物量と攻撃力を何時まで凌ぎきれる!?

「えぐっ……うぐっ……悔しい……」

逃げるような時間操作によるリセット。
レアード複葉機による過去へのタイムスリップを一体後何度繰り返さねばならぬのか……

to be……?

967白刃光は星の怒りを知る ◆DkTJZY1IGo:2011/09/07(水) 02:53:25

「理解してはいたが……」

エーテルはワカンタンカ=ガイア仮説に対して
絶望的な戦いを続けていた。
星の意思。イクトミの上司たる全ての精霊の長。
暦がいきなりワカンタンカ=ガイア仮説に喧嘩を売るとは予想外すぎた。
エーテルが手を出すより早く攻撃して、戦闘モードに移行させてしまったのだ。
相性が幾らなんでも悪すぎる。
ガイア仮説を守る水の幕は、エーテルの光の剣を無効化する。
数万度のレーザーも飲み込まれ、もし大海のシールドを突破したとしても
ワカンタンカの本体、宝石地球儀を構成する結晶の球体には
全て吸収、反射、無効、半減されてしまう。
地球の中心は364万気圧・6000度に達する超高圧高温状態の状態だ。
レーザーをぶち込んだとしても大して効果は得られない。
エーテルの剣技がいかに優れているとはいえ……
全ての山を、川を、海を、森を斬り崩せるとでも言うのだろうか?

「こう何もかもが歯が立たないとは……!」

かといって冷却レーザーは溶岩で蒸発させられてしまう。

「相性は最悪!使えるエネルギーの規模が違いすぎる!!」

その現象に使われている意思の力、心の力の強さは……
朝比奈 秀雄や上田の全力を想起させる。
しかもそれを淡々と継続している

968白刃光は星の怒りを知る ◆DkTJZY1IGo:2011/09/07(水) 02:54:04
「は、はは……そうだよな……
人としての生の終わりと一緒に信仰を捨てた俺が……認める……
こりゃあ……唯一神として認めても良いくらい
純正の……【神】だわ……
俺達人類を誕生せしめた……神が……
桁外れの心の器の持ち主より劣ってるわけないもんな……
イクトミの上司という時点でゼロナンバーを上回る力の持ち主だとは想定していたが……
……これほどとは想像すらもしてねえよ……」

エーテルの乾いた笑いにもワカンタンカ=ガイア仮説は無反応だ。
ここまで力の差があれば驕ってもいいはず。
他の都市伝説や人間を虫けら扱いしてもいいはず。
だがこの星の意思の化身、宝石の地球儀にはそんなものはない。
ただ、淡々と、粛々と、機械的にといっても良いくらいに
自然災害の創造を続行する。
人が抗えぬ自然のように人に対する試練を続ける。

大地が割れる、はぜ飛んで飛来する。

「ちいっ……斬り捌け……」
それでもエーテルは抗う。光剣とレーザーをフル活用して
飛来した飛礫の180個前後までは撃墜した。

「あ、っ……ぐあ……」

969白刃光は星の怒りを知る ◆DkTJZY1IGo:2011/09/07(水) 02:55:16
幾らエーテルが妖化し、人間の肉体を捨てた光と波の肉体を具現しようとも……
意思の力をたらふく込めた、土埃と石塊などを受け続けていれば幾らなんでも
光が減衰してしまう。霧や砂埃の舞い散る中では光は生ぬるく拡散してしまうように。
ワカンタンカ=ガイア仮説には全くダメージは通らないのに
エーテルには僅かだがダメージが入る。ジリ貧だ。
ダメージレースでは勝ち目が皆無。
こんなことを続ければ敗北も時間の問題だ。
この攻撃の苛烈さ、攻撃力、範囲。
一時間……いや十分ほども掛かるまい。

かといって絡め手が通用する相手でもない。
上田や、ハンニバルやサイレス以上にどうにもならない。

(上田や最上位の操作系能力者なら……
だが、自然支配に関しては明らかに支配力がこいつの方がうわまわっている……)
何時まで持たせられるか疑問だ。

ガイア仮説の一撃には深い怒りと悲しみを感じる。
人や都市伝説はどれだけ世界を破壊してきたのか……
人間の行ってきた環境破壊の業を悼む。
「だが人類にも、都市伝説にも、俺にもそれでも生きたいと言う業が有る!
俺の意地を、意思を、全霊の剣を……届けっ!!届けよぉぉぉぉ!!」

エーテル渾身の一振りは無駄ではなかった。
確かにワカンタンカの宝石の体に、かすかな切り傷をつけた。
だが……

970白刃光は星の怒りを知る ◆DkTJZY1IGo:2011/09/07(水) 02:55:59
「これが……精一杯だと……!?」

一人の人間、一人の都市伝説が星に傷つけられるのは、大したことのない髪の毛一筋の傷。
そう言われている様で酷く悔しかった。哀しかった。
ワカンタンカは絡め手の一切を使ってこない。
正面から堂々と自然災害の全てをぶつけてくる。

相手に与えられたのは一矢報いたとはとてもいえぬささやかな傷。
思えばこれほどの完全な敗北があっただろうか?
こう正面から圧倒され翻弄され叩き潰されることなどあっただろうか?
戦術や戦略をねじ込む隙もなく、勝機が全く見えないなどあっただろうか?

「世界のバランスを破壊するのは都市伝説や人間だとでも……言いたい……のか……」
鉄砲水がエーテルの体をしたたかに叩き、
彼の体は壁まで綿埃のように安々と吹き飛び、ズルズルと崩れ落ちる。
その間僅か五分と少し。
暦が戦闘を開始する少し前だった。

to be……?

971煉獄の時間・暦は世界の意思に抗うようです ◆DkTJZY1IGo:2011/09/08(木) 21:10:47
またこの時間軸だ。
イクトミから話を聞き
サンジェルマンに道具を用立ててもらうよう連絡した直後あたりか……

「う……ううう……あうううっ………くっそおおおおおお……」

戻ってくるなり暦は
歯噛みし、地に膝を着いて拳を叩きつける。
耳をふさいでのたうつ。
痛いほど力をこめた両手の指が床に爪あとを刻む。
(力及ばぬことが、悔しい……)

平凡な日々のタイムループと比べて
運命に挑む過酷な戦いのなんと厳しいことか

「こ、暦どうした!?どっか痛むのか!?」
衛悟が心配そうに声をかける。

「なんでもない。なんでもないよ」

972煉獄の時間・暦は世界の意思に抗うようです ◆DkTJZY1IGo:2011/09/08(木) 21:12:37
(心配してくれるのか……衛悟は優しいね……
でも、やっぱ駄目だなあ……私。
貴方達を、何度も、何度も死なせちゃった。
そのことを冷静に受け止めている私が居る
力が有るばかりで人として大切な基準になる物を持ってない
人ではないものを見つめすぎたせいかな……?)

「……せめて……この化け物じみた力、貴方達の為に振るわせて」
聞き取れないほど小さな小さな呟きだった。

「暦……?ひょっとしてまたタイムリープを……」

「なんでもない。もう大丈夫……
未来を変える為に、出来ることをやらなくちゃ」
涙を拭うと、再び携帯を取り出して何処かへと連絡する。
ディスプレイに表示された名前は、笛吹探偵事務所。

「笛吹丁さん……いえ、上田明也さんは居ますか?
私は空野暦。彼に頼みたい大事な依頼があって電話しました」

程なく電話の相手が代わる。

「どうか貴方に……お願いしたいことがあります。
契約能力の行使がやはり身体に尋常ならざる負担を掛けていることは承知しています
それでも……ある超都市伝説を打倒もしくは制止するのを手伝ってほしい。
お金なら払います。とりあえず十億、用意しようと思います、もし足りなければまたお支払いします」

時間停止を活用すれば非合法に十億を手に入れることはさほど難しくはないだろう。

「相手は……ワカンタンカ。ガイア仮説とも呼ばれる星の意思の化身です。
戦闘能力はゼロナンバーを遥かに上回る怪物です
もちろんこんな無茶な依頼、断られてもしかたありませんが……
もし気が向いたら、興味でも好奇心でも何でもいいですから、私達を助けてくれると嬉しいです」

to be……

973 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/08(木) 23:34:56
【上田明也の探偵倶楽部after.act32〜依頼人〜】

「上田明也だ。依頼を承ろう。」
「どうか貴方に……お願いしたいことがあります。
 契約能力の行使がやはり身体に尋常ならざる負担を掛けていることは承知しています
 それでも……ある超都市伝説を打倒もしくは制止するのを手伝ってほしい。
 お金なら払います。とりあえず十億、用意しようと思います、もし足りなければまたお支払いします」
「相手は?」
「相手は……ワカンタンカ。ガイア仮説とも呼ばれる星の意思の化身です。
 戦闘能力はゼロナンバーを遥かに上回る怪物です
 もちろんこんな無茶な依頼、断られてもしかたありませんが……
 もし気が向いたら、興味でも好奇心でも何でもいいですから、私達を助けてくれると嬉しいです」

 神か。
 この調子だとサンジェルマンは既に動いていると見て良い。
 それでどうしようも無くなったからあいつが個人的に俺へ依頼すると……。

「その金は……君が正当な手段で手に入れた物か?」
「え?」
「綺麗なお金か綺麗にしたお金じゃないと俺は受け取らない主義だ。
 たとえば君が非合法な手段で手に入れたお金ならば俺は依頼を受けることはできない。」
「そうですか……。」

 暦の声の中に落胆の色が浮かぶ。

「おいおい、その程度で俺を引っ張り出すのを諦めるなよ。」
「え?」
「君には十億の値打ちがある。」

 暦が焦っている。
 確実に何かを勘違いしているようだ。

「え、えっとそれはその……」
「待て待て待て、お前は明確に爽快に愉快な勘違いをしている。」
「え?」
「お前のその時間を操る能力を俺に売れ。十億で買ってやる。」
「と、言うと……。」
「俺はお前の知る通り、我欲のために殺人鬼にまでなった男だ。
 そして俺が犠牲にしてきたのは他人の命だけではない。
 自分の命さえ削って契約の器や都市伝説の能力を強化してきたんだ。
 生きるために。」
「つまりそれは私に……」
「ああ、俺の指定するタイミングで俺に時間をよこせ。
 そうさな……お前の能力と俺の肉体の状態から見て……まあそこは後でゆっくり相談だ。」
「解った。でも聖杯に何も願わなかった貴方が……」
「俺は奇跡というものが嫌いだ。」
「そう……。」
「場所は?何処に行けば良い?」
「それは…………」

 俺は暦から指定された場所にむけて空間転移を始めた。
 脳を揺さぶられる感触に未だ慣れない。
 能力が弱体化を始めているのか?
 納得して代償を払ったはずだ。
 今更戸惑うな。
 その程度の覚悟でお前はこの世界に脚を踏み入れたんじゃないだろう。
 感触が薄くなる。
 眼の前には依頼人が居た。

974 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/08(木) 23:36:18
「笛吹探偵事務所所長、笛吹丁だ。」
「あ、あんたは!」
「エーテルの所の契約者か。俺の顔くらいは知っているだろう。」
「暦、こいつは……!?」
「私が今呼んだの。」
「この契約書にサインを頼む。」
「はい、これで良い?」

 契約書に書かれた名前を見る。
 これは俺が体内で飼っているハーメルンの笛吹きの一部だった悪魔に作らせた契約書だ。
 これに書かれた契約を破るなどそれこそ時間を無視出来る人間でなくては不可能である。
 つまり……こいつにならできなくもないってことだ。
 まあこういうのは形が大事ということで一つ。

「おい暦それにしたって!」
「少年、今回の俺は君たちの味方だ。臆するな。
 エーテルに電話するぞ、お前の所の契約者がうるさ……」
「それは待って。」
「……仕方あるまい。」

 やれやれ、とため息を吐く。
 電子煙草で軽く一服。
 
「さて、それでは作戦会議と行こうか。
 暦、君が持っている情報をありったけ出してもらおう。」

 可能な限りの情報を集め、あらゆる状況を予測し、最善手を選択。
 不可能と感じたら迷わず逃げる。
 人だった時も殺人鬼だった時も探偵になってもこれだけは変わらない。
 そして俺が最終的に勝つ事も変わらない。

【上田明也の探偵倶楽部after.act32〜依頼人〜 to be continued】

975手を差し伸べて (後編)  ◆nBXmJajMvU:2011/09/09(金) 22:06:26
 ……全て、話した
 と、言うより、話す羽目になった
 ぽん、と肩に手を置いてきている、悠里とか言う名前らしい青年のその力は意外に強く、逃れられない

 そして
 じっと、じっと
 こちらを見つめくる、目
 どこまでも真剣で、そして、こちらと、ユキの、両者を心配してきている眼差しに

(………あぁ)

 どこまで、この人はおせっかいで、優しいのか
 他人の事に、ここまで真剣に首を突っ込んできて
 …この人は、きっと、優しすぎる
 優しさと言うものが、時として刃になる事すら、きっとこの人は知らないのだ


「…うん、大体、わかった」

 徹の話を聞き終えた翼
 静かに、拳を握りしめた

「……とりあえず、だ、いったん、歯を食いしばれ、徹」
「え、あ、何を」

 ユキが、止めるよりも早く
 翼の拳が、徹に叩きこまれた
 その瞬間に、徹の肩に手を置いていた悠里は、さっと彼から離れていて
 徹の体が、軽くぶっ飛ぶ

「あ、あの!?」
「うん、まぁ、一発ですんだならいいんじゃない?正直、殺されても文句言えない事をしたんだしね、彼は」

 あわあわするユキの頭を撫でてから…悠里は、倒れこんだ徹に近づいた
 そして、ぽんぽん、と徹の体を軽く叩こうとして
 …徹に、その手を止められた

「どうした?痛いんだろ?」
「……「叩けば治る」とやらで、治すんだろう?……いらない」

 そうか?と、悠里はすぐに、徹から手を引いた
 翼は、真剣に…そして、怒りと、何か、別の感情が混ざった眼差しで、徹を睨んでいる

「…お前、どうして殴られたか、わかるか?」
「俺が、ユキに酷いことをしたからでしょう?」

 覇気なく答える徹
 それ以外に理由などないだろう、聞くだけ馬鹿らしい、とでも言うように

「半分はな」
「…半分?」
「半分は、お前が現実から目をそらしているからだ」

 何を、と
 言いかけた徹の胸倉を、翼はぐっと掴みあげた
 至近距離で、強く見つめられる

「お前が、お前自身が一人だって思いこんで。大切なものが近くにあったのに、見ようとしなかったから」」
「……れ、は」
「現実から、目ぇそらすな。ちゃんと、見ろ。お前は一人じゃないんだ。お前を救おうとしてくれていた相手が、すぐ傍にいたのにっ!」


 …………
 何故

 ナゼ、コノヒトガ、ナキソウナカオヲスルンダロウ?


「…どうして、気づけなかったんだよ」
「………」

 翼の、言葉に
 徹は何も答えず
 ユキが、慌てて二人の間に割り込んだ

「いいんです。私だって…結局、逃げてしまったんですから」
「でも」
「いいんです」

976手を差し伸べて (後編)  ◆nBXmJajMvU:2011/09/09(金) 22:07:51
 軽く、首を左右にふって
 …そして
 ユキが、徹を見つめる

「…ごめんなさい。何も言わずに、貴方の元から逃げてしまって」
「……ユ、キ」
「大好きでした、貴方の事が」

 少し悲しそうに、ユキは笑う

「…今でも、完全に、貴方を嫌っている訳では、ないです。信じてもらえないかもしれないけれど」
「………」
「私がいる事で、貴方が辛いのならば。私は、貴方の傍にはいられません。でも、もし、こんな私でも、貴方のお役に、まだ、たてるなら…」

 ……ユキの言葉を
 徹が、軽く手を挙げて、制した
 これ以上言うな、というように

「…戻ってきても。また、繰り返すだけだ」

 今は、傍に他の者がいるから
 翼や悠里がいるから、落ち着いていられるのだろう
 だが
 もし、また二人だけになったら
 ………自分がどうなるのか、どんな事をしてしまうのか
 徹は、かすかに予感して

「……御免、ありがとう」

 せめて
 これ以上、ユキを傷つけないように、とでも言うように
 そんな言葉を、口にした

「新しい主を、探せばいい。この街なら…多分、もっといい、人間がいるだろうから」

 だから

「………俺の事は、忘れてくれ」

 ユキが小さく震えた

 二人が、幸せに過ごした時間
 その思い出を、これ以上壊さないように
 徹はユキに、そう告げるしかできなかった




「本当に一人で帰るのか?」
「子供じゃあるまいし、大丈夫ですよ」

 …夜の闇に消えていったユキの姿を見送って
 徹もまた、帰ろうとしていた
 そんな徹を、翼は心配してくる


 …この人は、まだ、こちらを気遣うのか
 あんな事をした人間、すらも


「…大丈夫ですから、それじゃ…」
「あ…」

 立ち去っていく、徹を
 翼は呼び止めようとして…止めた
 「首塚」として、徹がした事は許される事ではない
 だが

「………くそっ」

 だが、それよりも
 徹に、そんな行為を働かせるに至った経緯の方が、翼は許せない
 「首塚」としても、許せる存在ではない

 許されるならば
 徹の心が堕てしまうに至った、その経緯を生み出した存在を、焼き滅ぼしたいと願う
 敵わないのだと、しても

977手を差し伸べて (後編)  ◆nBXmJajMvU:2011/09/09(金) 22:09:07
「…本当、優しいんだね、君は」

 くくっ、と
 そんな葛藤を抱えている翼を見て、悠里は笑う

「…悪いかよ」
「いや、悪くないさ。こんな世の中だから、君みたいな太陽のような人間が必要なんだろうね」
「……俺は太陽なんかじゃねぇよ」

 そんなたいそうな存在じゃない、と
 翼は、やや自嘲気味の表情を浮かべて
 ままならぬ現状に、苦しげな思いを抱えながら、この場を後にした



「………いいや、お前は、太陽だよ」

 翼の、その後姿を見て
 悠里は暗く笑い、呟く

「いつだって、どんな世界でだって、お前は誰かの太陽だ。誰かを護り、包み込み………だが、人によっては、お前の熱に耐えきれずに、焼き尽くされるんだ」

 暗い笑み
 嘲笑っているような、憐れんでいるような

 その嘲りは、憐れみは、果たして誰に向けられたものか

 悠里も、また、夜の闇に身を躍らせて消えていく
 夜の闇の中、一瞬、黒い着物を纏った少女の姿が、悠里の後を追うように姿を現したが
 それは幻であったかのように、すぐに消え失せたのだった








to be … ?

978 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/09(金) 22:38:32
【上田明也の探偵倶楽部after.act33〜服従するは我であり〜】

 目の前に聳える巨大な存在。
 あれが神だ、ワカンタカンタだ。
 この世界を、人間の世界を破壊する絶対的悪だ。
 俺は暦に依頼され、この神との戦いを行っていた。

「笛吹さん!津波が来る!」
「任せろ。」

 目の前にそびえる水の壁に向けて正宗を思い切り投げつける。
 正宗の持つ“切るべき相手を遠ざける力”を拡大解釈した斥力操作が働く。
 叩きつけてくる水の量が多ければ多いほどほどそこには強烈な分子同士の結びつく力が働く。
 その一部だけを正宗で無効化。
 そしてまた別の一部を村正で強化。
 そうすれば水は勝手に俺たちを避けていく。
 神の作った大海に俺の為の道ができる。

「今だ撃て!あの小さな傷に何度でも!何度でも何度でも叩きこむんだ!
 俺が時間もチャンスも稼いでやる!」

 暦がレアード複葉機だったかで作ったナイフを振るう。
 黒い月のような衝撃波が音もなく迫る。
 目の前の地球儀の姿をした神は液状化して回避しようとする。

「それはさせん!」

 巨大であるがゆえに重力の影響を諸に受ける。
 俺の重力操作にかかればあの程度のデカブツを釘付けにすることなど簡単だ。
 俺の投げた村正が液状化した奴をその場に固定させる。
 直撃。

“オノレエエエエエエエエエエ!”
「笛吹さん!次は雷!」

 赤い部屋の能力を発動、大量の鉄釘を空中に召喚。
 寸分違わぬ操作で鉄の屋根を作り出して電流を誘導、さらに誘導、次々鉄釘を操作して別方向へ誘導し……

「これでも……喰らえ!」

 暦の攻撃が直撃した後にワカンタカンタの放った雷がそれ自身へと突き刺さる。

“ニンゲンヨ、オマエラハモウテオクレナノダ”

 周囲の気温が一気に下がる。
 吹雪が舞い、極寒の大地の再現が始まった。

「今度は空間そのものに干渉を始めている!」
「なら好都合だ。」

 大量の電流を流されて赤熱した鉄釘が冷え切る前に上田は何処からとも無く取り出した燃料をばら撒く。
 彼の周囲は一瞬だけ業火に包まれる。

「笛吹さん私たちが燃えちゃう!」
「この程度の火、消えないわけ無いだろう!
 時間稼ぎだ!攻め手を緩めたら一瞬で持って行かれるぞ!」

 炎が消えるか否かの刹那。
 俺は指を鳴らした。
 それと同時に赤い部屋の能力が最大出力で起動し始める。
 赤い部屋はそもそもコンピュータにポップアップという“イレギュラー”の形で現れる。
 故に俺がその気になれば他人の作った異界に限ってならば“イレギュラー”を差しこみ、
 そのまま崩壊に繋げることができるのだ。

979 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/09(金) 22:42:06
“グアアアアアアア!?”

 断末魔。
 自らを捻じ曲げられ、狂わされる痛みの悲鳴か。
 こいつの異界展開は自らの存在を現実世界に対して拡張することで得られる物だ。
 干渉を仕掛けられればそれはそのまま奴へのダメージになるのだろう。

「痛いだろう!苦しいだろう!苦しみ続けろ!それが生きるという事だ!」
“スコシハハナセルカトオモエバキサマモマタニンゲンカ!”
「俺は最初から人間だ!」

 赤い部屋の中から巨大なミサイルを発射。
 水の壁は重力操作で最低限の穴を開けるだけにして突破させる。
 突如として現れる溶岩の壁。
 あれをどかすのは少々骨が折れそうだ。
 遠隔操作で溶岩の壁に触れる前に大爆発させる。
 溶岩の壁に穴が開く。出来た穴を斥力操作で無理やり固定する。

「暦もう一発!」
「任せてください!」

 黒い月が虚空に躍る。
 世界を裂いて、再び直撃する。

「やはりか、物理的な攻撃じゃなくて空間そのものに作用させるタイプの攻撃なら……
 防御に関係なくダメージが入るな。」

 強い敵であればあるほど、俺は戦いやすい。
 俺の人生は俺より強い者に追われ続けてきた人生だ。
 自分より強い相手であればあるほどにその力を逆用する方法は増えていくのだ。

「明らかに……弱くなっている?」
「どうした暦?」
「いや、私たちが戦った時よりも弱くなっているなあ……って。」
「ラッキーじゃないか。素直に喜ぼうぜ。」
“ニンゲン、ナゼオマエハソウマデシテタタカウ?”
「俺は人間じゃねえ!上田明也だ!」

 さっきとは真逆のことを言い放つ。
 口から出任せ……である。
 結構これで相手の調子が崩れることがあるのだ。

「さっきから誰と話しているの?」
「あの神様だろうが。何あいつ、暗くて嫌い。」
“コタエロ、ナゼタタカウ”
「女房と息子と部下食わせるためだ!悪いか!
 俺は生き物だ!生きている限り生きるために戦う!
 未来へと繋げるために、未来へとつながっていくために、過去を背負い今を戦い続ける!
 俺はこの世界が割と好きなんだ!だから俺の邪魔をするな!」
“フム……ダガソレデモ”

 聞こえる。 
 世界を押しつぶすような声が。
 死の間際となった星の断末魔が。

980 ◆2PnxfuTa8.:2011/09/09(金) 22:47:54
“ワレニアラガウコトトハセイメイソノモノヘノヒテイニヒトシイ”
「人が何時までもお前の被創造物で居ると思うな!
 人は自ら新しい価値を想像して無限に成長していく!
 今はまだ弱く愚かでも、すでに停滞を願い始めた貴様とは違うんだ!
 人は……!人ってのは……!それでも明日を求めようとする意思の生き物なんだよ!
 足を止めようとしている神と前に進み続ける人ならばどちらが未来への主導権を握るべきかは明白だ!」
“ナラバイマヤッテイルトオリニチカラデシメセ!”
「あの神と対話している……!?」

 突如として影に飲み込まれる視界。
 天を見上げる。
 空に浮かぶ巨大な岩石、隕石だ。
 
「躱せないならば……より早く!」

 鉄釘のレール……無理だ、雷と違ってあんな重い物受け止められる量の鉄釘のレールなんて作れない。
 重力を操作して直接に隕石の軌道を逸らし、ワカンタカンタに隕石を叩きつけよう。
 
 ――――――頭が割れるように痛い。
 
「くそったれ!」

 一瞬操作が遅れる。
 もう駄目だ。
 攻め手が一瞬だけ途切れた。
 敗北確定。奇跡を願う気にはなれない。
 ならば次に打つ手はたった一つ。
 
「笛吹さんまだ間にあ……」
「間に合わん!そんな大雑把に操作できるもんじゃないんだ!
 一旦引くぞ!時間を巻き戻せ!」



 視界が白く染まる。



「……ッ!」

 気がつくと事務所の中に居た。
 どうやら戻ってきたらしい。

「俺の攻撃じゃあ火力が足りなさすぎる……な。
 エーテルが居ればやれるか……?
 俺が隙を作ってエーテルが叩き込み……。
 ついでにサンジェルマンに核兵器の用意を……。
 いや違う、何かが違う。
 暴力で排除するだけがやり方じゃないんじゃないか?
 くそっ、もう一度相談しなおしだな……。」

 時間の繰り返しを意識できるのは不幸なのか幸福なのか。
 とにもかくにも俺はこうして一度神に負けた。

【上田明也の探偵倶楽部after.act33〜服従するは我であり〜to be continued】

981神力秘詞 † 楽海物語 ◆7aVqGFchwM:2011/09/11(日) 20:09:57
(漢>ぁ・・・れ、裂兄ぃ! け、怪我はない!?

麻夜達に華麗に殴り飛ばされた裂邪を心配して声をかける漢
さっきまで自分を襲っていたというのにどこまでも優しいおんnもとい男である
唸りながら起きあがる裂邪を見て、ほっと胸を撫で下ろすが、

(漢>――――――――あれ?

彼が、険しい表情で海を睨んだのを見て首を傾げる
しかしその直後、その表情の意味を理解することになる

(麻夜>にぃにぃ! 海の中、何かいる!!
(漢>と、都市伝説・・・!?

彼の周りでも、正義達がざわめき始めていた
すると、爆音のような音を立てて水飛沫が上がり、海中からぬるりと3つの影が飛び出した
丸い腹に8つの触手、その間の2つの目と水を噴き出す漏斗
それは全長60mにものぼる巨大なタコだった

(麻夜>うわぁ・・・たこ焼きいっぱい作れるね
(漢>ま、麻夜、あれは食べちゃダメだよ?
(正義>あ、イカだ!
(裂邪>いやタコだろどう見ても!?

砂埃をたて、漢と麻夜はその場でずっこけた
口に入った砂を吐き出し、水着の砂を払いながら2人は立ち上がる

(麻夜>もう、相変わらずなんだから、正兄ぃは
(漢>あはは―――――危ない!!

叫ぶと同時に、漢は右手の人差し指で空中に『飛』という字を書き、
浮かび上がったその文字を翼に変化させて麻夜を抱き寄せ、舞い上がる
直後、彼らがさっきまで立っていた砂浜にタコの触手が叩きつけられ、砂が飛び散る

(漢>ふぅ、何とか、避けられた・・・麻夜、大丈夫ッま、麻夜!?

漢が、麻夜の顔を覗き込んだ時だった
彼女は兄の腕の中で、顔を真っ赤にして息を荒げていた

(麻夜>っぁ・・・ふぁっ、あはっ・・・
(漢>麻夜! しっかりして、麻夜ぁ!!

漢は気づかない、気づく筈がない
妹がこのような状態になった原因が自分にあることを
愛しの兄に突然抱きしめられて恍惚状態に陥ってしまっただけだということを

982神力秘詞 † 楽海物語 ◆7aVqGFchwM:2011/09/11(日) 20:10:28
(漢>・・・ごめんね、麻夜・・・僕が、もう少し早かったら

翼をはためかせ、彼はゆっくりと戦場から離れた砂浜に降りると、
ぞっと麻夜をその場に寝かせ、

(漢>麻夜を傷つけるなんて・・・許せない!!

己の胸に左手を翳し、『神』の字を取り出して腕に雷を纏わせ、
地上すれすれを飛んで再び戦場に赴いた
狙うは無論、自分に攻撃してきた巨大タコ―――「ルスカ」の1匹

「オンミョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン」
(漢>少し痺れるけど、我慢して――――――ッ!?

空中で急ブレーキをかける漢
彼の目の前に、黒い液体の塊が迫ってきていた
「ルスカ」の吐き出した墨である
回避行動を取ろうとするが、余りにも咄嗟の出来事で、瞬時に対応できなかった
内心慌てふためく漢の目の前で、墨は跡形もなく消え去った

(漢>―――――、え?
(清太>大丈夫か漢兄ちゃん!
(漢>あ・・・せ、清太くん!

冷気を帯びた結晶となった右腕を構えた少年―――清太が、彼を「ルスカ」の攻撃から防いだのだ

(漢>ご、ごめんね、ありがとう
(清太>礼は良いから、それよりこいつを倒そうよ!
(漢>うん、分かってる!

襲い来る触手を、清太は右手を水晶化して衝撃を無効にし、
漢は腕に纏う雷をぶつけて防ぎきった

(清太>さっき師匠の動き見てたんだけど、こいつら足切ったら生えるどころか増えるみたいだ!
(漢>じ、じゃあ、切っちゃダメってこと?
(清太>俺は攻撃的な能力じゃないから、攻撃手段が少ないんだけど!
    漢兄ちゃん、何か得策とかある!?
(漢>そんなの、急に言われても・・・あ、ね、ねぇ清太くん、確か物を凍らせられたよね?
   この都市伝説の動き、止められないかな
(清太>OK、任せろ!!

すぐに清太は両手を広げ、掌に冷気を集中させる
その隙を突いて「ルスカ」も触手で攻撃を仕掛けるが、もう遅い

(清太>『アヴァランチ・ブレイカー』!!

2つの冷気の塊が「ルスカ」の触手に命中し、
そこからじわりじわりと凍り始め、8本の触手全てを凍てつかせた

(清太>こんな感じか!?
(漢>ありがとう! 氷の壁を作って巻き込まれないようにしてて!
(清太>おう!―――――――――ってそんなやばいの!?

清太の声も聞かず、漢は動けなくなった「ルスカ」を見下ろすような位置まで飛び、
両手で自分の胸に手を当て、右手に『漢』、左手に『神』の字を取り出す

(漢>ごめん、裂兄ぃ・・・『漢神』、行くよ!!

勢い良く両手を突き出すと、『漢』の字は炎と水、『神』の字は雷に代わり、
各々が絡み合って三つ編みのような螺旋を描きながら「ルスカ」に直撃した
その瞬間、着弾点で破裂音がしたかと思えば、
巨大な爆破音が辺りに轟き、「ルスカ」の巨体が一瞬飛び上がった
「ルスカ」はまたも水飛沫を散らしながら、ぐったりと力無くその場に倒れ伏すようにへたり込んだ

(漢>っふぅ・・・何とか、倒せたかな・・・

と、一息吐くも束の間、僅かだが、ぴくりと「ルスカ」が動いた

(漢>ッ!? まだ・・・

相手の反撃に応戦できるように、漢は再び己の胸に手を当てた

   ...物語猶続

983弟切草:2011/09/11(日) 22:01:10
 とある家の庭一面に咲く、小さく、黄色い、可憐な花。
 その花畑の横に、二人の青年が立っている。

「腕を出せ。」
「はい、兄さん。」

 ふたりはどうやら兄弟らしい。
 弟は兄に言われるがままに腕を差し出す。
 兄は手に持っていた銀色の刃を弟の腕に当て、刃を引く。

 プシッ

 弟の腕がみるみるうちに赤く染まる。
 その赤は弟の腕を伝い、床に置かれたタンクへと流れ落ちる。
 タンクを満たす水にぽたりぽたりと赤が混じり、すぐさま溶け失せる。
 それをしばらく続けた後、兄は弟の腕を紐で縛り、傷口に何かの葉をあてがう。

「押さえてろ。」
「はい、兄さん。」

 弟は兄に言われるがままに傷口を押さえる。
 兄はタンクを背負うとそこから伸びるホースを花畑に向け、バルブを捻る。
 パラパラと水が葉を打つ心地よい音があたりに響く。

「いっぱい育つといいね、兄さん。」

 赤い養分が混じった水を喜ぶかのように、弟切草はその黄色い花を風に揺らす。


【終】

984邪気殺し † Sea bathing 3 ◆7aVqGFchwM:2011/09/11(日) 23:24:05
(セキエ>ッ・・・清太、タッタ今邪気ヲ感知シタ
(清太>なっ、都市伝説!? よりによってこんな時に!

愚痴をこぼしつつも、俺はセキエを握りしめて戦闘準備に入る

(実>うおおおおおお!! 安心しろぉ!! 清太は俺が守ってやるううううううううう!!!
(清太>いや、あの、自分の身ぐらい自分で守るし、てかここ海だし
(実>浮輪があるから大丈夫だ!!
(清太>絶対そういう問題じゃないっ!?

そうこうしている内に海から何かが飛び出した
あれは・・・タコ? でかい、それも3匹
 
「「「オンミョォォォォォォォォォォォォォォォォン」」」
(正義>あ、イカだ!
(裂邪>いやタコだろどう見ても!?

腰から下の力が一気に抜けて、それこそタコのように俺は浜辺に倒れた
あぁダメだ、調子狂う・・・

(ローゼ>・・・えっと、あれは多分UMAの一種・・・「ルスカ」、かしら?

ローゼさんが確かにそう言っていた
「ルスカ」、か・・・聞いた事ないや

(清太>まぁ、とにかくいつも通りやっつければいいんだろ?
    おい実、邪魔したらタダじゃ―――――ん?

さっきまで気合十分だった筈の実が、急に黙りこくっていた
何かあったんだろうか?
と考えた時、ある事を思い出した

(清太>・・・実、お前確か・・・
(実>ぐすっ・・・タコ、嫌い・・・

やっぱり、そういうことだった―――――――――って、

(清太>早速足手纏いじゃねぇかあああああああああああああああああ!!??

突然叩きつけられそうになった触手を、右手の『イーヴィルブレイカー』で防御する
反応が遅れてたら実まで巻き添えに・・・あぁちくしょう、何でこんな奴を!

(清太>能力発動するなりして自分の身は守ってくれ!
    俺もなるべくお前の方に行かないようにしてやるから!!

それだけ実に伝え、俺はタコ野郎に向かって走った

   ...see you NEXT/戦闘はさっきの『神力秘詞』と被るので割愛

985こっくりさん:2011/09/12(月) 00:39:40
つづき


とりあえず母に、こっくりさんようのきんちゃくを頼み、母が厨房に向かった後、自分たちが食べるものを決めることにする。

築「うーん、久しぶりに洋カツにしようかな。大盛りで。」
き「じゃあ私は豆腐ステーキにしようかしら?」
築「こっくりさんは他に頼みたいもn…聞こえてないな。」

力んだ正座をして、座っている位置からチラリと見える厨房の方をガン見して怖いくらいだ。
きんちゃくを頼んで2分後くらいになるが、俺ときつ姉ぇの分を追加注文
さらに待つこと数分、まずはこっくりさんのきんちゃくが届く

カセットコンロとうすらデカイ土鍋がテーブルの上、こっくりさんの目の前に置かれ、着火。
すぐにコトコトと蓋が鳴り始めた。

母「もう少ししたら食べていいわよ。」

こ「・・・どのくらいじゃ?」

母「あとの二人のを持ってきたらちょうどイイくらいかな。」

聞こえてるんだかわからないこっくりさんに笑いかけ、母はまた厨房に戻っていった


こ「い、良いにおいじゃぁ…」

見開いた目で鍋を睨み、蓋を開けるときを待つ姿は、あまりに必死すぎて可愛さや楽しそうな様子ではない。
待つこと数分、俺ときつ姉ぇの分が運ばれ、テーブルに置かれコトンと音をたてるとその刹那、こっくりさんは蓋をオープンした。

こ「わはぁ〜・・・」

中身を見た瞬間、さっきまで修行僧かとツッコミたいくらいだった形相が一気にほころび、歓喜のため息をついた。
鍋の中にはきんちゃくが【三個も】入っていた。
一つの大きさが、やたらデカイ。ちょうど別冊コロコロ●ミックくらいだろうか。

こ「よいのか?ほんとうにわしがこれを喰ってよいのじゃな?よいのじゃな!?」

目をキラッキラさせ、ちょっとよだれを垂らし、尻尾をぼっふんぼっふん振り回しているこっくりさんは正直可愛かった。
だが

築「いいけど、その尻尾はなんとかしろよ…埃が舞うから。」

つづく

986名も亡き都市伝説契約者:2011/09/12(月) 01:55:21
こっくり乙ん
洋カツ豆腐ステーキきんちゃくの話をおはぎ食べながら読む
うむ贅沢だ

ときにまだ教会編終わってないのね
時系列的に地味に進行中なのは笛の未来編を除いて…誰だ
影雄か花いちもんめかやはり笛か

987渾身の単発:2011/09/12(月) 03:49:32
深夜の東名高速道路、小牧ジャンクション
少年と黒スーツの大人は全力疾走で車道を全力で逆走していた

「うおおおおっ来る来る来てるっ」
「うぁぁん、なんでこんな事になんのよぉぉぉっ」

黒スーツの操る車は150キロを出してるとはいえ
軽という事もあってか既に車体のあちこちが嫌な音を上げている

「うぁぁぁん、生きて帰れたら上司を告訴してやんだからぁぁぁっ」
「縁起でも無ェ事言ってんじゃ無ェよバカ!死にたくないし!」

少年の突っ込みな叫びも車体の轟音に掻き消される
ちらりとバックミラーを見やる
後方から猛烈な勢いで追走してくるのは、女
赤いコートを着込んだ生身の女が猛スピードで走って来ていた

「う゛あ゛あ゛あ゛ん゛っ、置いてかないでえええっっ」

元々女の口は大きなマスクで覆われていた筈だが
今やそんな物は吹き飛んでいた
女の口は大きく裂けており、目と鼻からは大量の液を撒き散らしている

「いやあああっ黒服さん置いてかないでええええっっ」

女――口裂け女の更に後方
爆走で追い上げている異形の存在
それの駆逐こそが、少年と黒服、そして口裂け女がわざわざ出向してきた理由である

「ヴォォォォオオオオオオエエエアアアアアアアアッッッィイイイェエエエアアッァアッッ」

その咆哮は常人のそれではない
眼から禍々しいほどの光を放ち、大口を開けて
口裂け女を、そして少年と黒服を乗せた自動車を追う、この男の名はターボじじい

「ォオオオオッァアアアアァァァアアアッ、*スゾ 東京モン ガァァァァアアアアッッ」

「逃げないで下さああああああいいいいっっ助けてえええええっっ」

「姉ちゃん!アクセル離すなよ!絶対だかんな!」
「わぁってるわよそんぐらい!あたし死にたくないよおおおぉぉっ」

都市伝説同士の逃走、追走劇は恐らく一晩中繰り広げられるだろう

【終】

988煉獄の時間・暦は世界の意思に抗うようです ◆DkTJZY1IGo:2011/09/12(月) 15:33:16
暦はどっと探偵事務所のソファーに突っ伏した。
「はあー、しんどい……もー燃料切れ
ちょっと休まないと死ぬ」
時間の巻き戻しで肉体的な疲労やダメージは復元されているものの
精神的な疲労がかなり蓄積されている。
レアード複葉機の燃料は心の器に満ちる精神力。
時の流れに逆らってレアード複葉機を飛ばし続ければ疲弊しきるのも当たり前だ。
只でさえ心をすり減らすような事を立て続けにやっているのだ。

ちなみに衛悟も咎利もちゃんと戦っていた。
衛悟は水の壁による防御と援護、咎利は行動解析とアイテム係。

「ワカンタンカ弱体化してあれって強いなんてもんじゃないわよ。やり直しがなかったらとっくに死んでるわ」
暦はブーツを脱ぎ捨てると再びぐったりする。
サンジェルマンに特製のブーツを作ってもらったのは時間加速による超加速状態の機動に並みの靴では耐えられないからだ。

「上田さんが加入してからワカンタンカは明らかに弱体化している
原因は上田さんが話しかけたからだと思う
会話しながら戦うのに慣れてないのよ」

「大海のよどみみたいな強烈なダークブルー。
憂鬱の青が基調だから
暗いだけじゃないわねー。人間じゃありえないくらい複雑な人格。
あれはコロコロと色が変わりすぎよ
どういう色彩か分かったかと思うたびに別人みたいになっちゃうんだもの」

彼らは再び戦略を練り直し、神に挑む。

989煉獄の時間・暦は世界の意思に抗うようです ◆DkTJZY1IGo:2011/09/12(月) 15:34:10

そして……

「ごめん、暦、君を守れない」

戦況が不利になったとき
衛悟が意を決したように呟いた。

「俺はお前らみたいに選ばれた英雄でも、すげえ才能が有るわけでもなんでもない。
只普通の契約者だ。
暦が神に抗おうと誓い
咎利が見つけ
エーテルさんが傷をつけ
上田さんが説得しようとした
俺は付いて来ただけだ……」

「俺では万に一つも、いや、完璧に勝ち目はゼロだ。だから……」

衛悟が走り出す。

「まさかっ!あの神と『契約』する気か!?無茶だ衛悟!やめるんだぁー!!」
「よせー!衛悟ー!どう考えたって器がパンクするに決まってる。
ワカンタンカと契約に成功した奴は居ないんだぞー!!」
エーテルと咎利が揃って止める。
「おいおいやめろって!脇役凡人がかっこつけてもどうにかなる相手じゃない!」
「やめて――!!」
上田と暦が叫ぶ。

990煉獄の時間・暦は世界の意思に抗うようです ◆DkTJZY1IGo:2011/09/12(月) 15:34:45

「凡人には凡人の意地ってもんが有るんだよ!」

自殺と変わらない衛悟の特攻。
当然の如くワカンタンカの攻撃を避けられない。

岩の槍が衛悟の心臓を貫く。
衛悟の心臓に埋め込まれていた水の記憶が外れて吹き飛ぶ。
それでも、彼は止まらない

「ごふっ……契約者と……都市伝説の繋がりが……深ければ……
契約者が死んだ瞬間……都市伝説側も消滅する……」

血反吐を吐き戻しながら
手を触れられた宝石の地球儀がひるんだ様に震えた。

「げほっ…………へへへっ……仲良く……しようぜっ!」

奇跡は起きた。招かれざる奇跡が。
荒ぶる神を静める方法の一つは……人柱。

石は最初に膨張し、次に収縮した。
最後にもう一度膨張した。
そして……爆発した。

エーテルはその力が只者ではないことを悟った。
この狭苦しい地下遺構で起こっていることがまともに広がれば
全世界をバラバラに引き裂いてしまえるほどの威力を含んでいることを。

991煉獄の時間・暦は世界の意思に抗うようです ◆DkTJZY1IGo:2011/09/12(月) 15:39:09
「……ごめん暦、やっぱり現実は現実だった。
ゲームや漫画みたいに……何もかも上手くいくわけじゃなかったよ……」

光の柱が垂直に立ち上り岩盤の全てを一気に貫いて地表に噴出する。
奇しくもその場所は中央高校の校庭に大穴を空けた。
学校町全体の地面が断続的に揺れ続け
その場に残った全員が落ちてくる岩や小石や砂を防ぐのに精一杯だった。
地震と光の柱が収まった後には、衛悟もワカンタンカも居なかった。
完全に、消滅していた。

「おい……奇跡って何だよ……
こんな終わり方有りかよ。
この俺上田明也とユカイな仲間達が神に華麗に勝利する所だろうが!
これだから奇跡って奴は嫌いなんだよ!
黙って見てりゃいいものを……凡人の癖に……無茶しやがって……」

上田が何時ものように傲慢に。そして少しだけ哀しそうに吐き捨てる

「衛悟……お前こんな時まで俺の教えに忠実じゃなくてもいいじゃないか……
命を捨ててまで世界を守るのは俺だけで沢山だってのに……」

エーテルが寂しそうに呟く。

「衛悟……やっぱお前、結構すげえ奴だったんだよな……
でも馬鹿だよ……俺以上の大馬鹿野郎だ」

咎利が力なくうめく。

「……こんな結末認められるかああああああああ!!!
認めてたまるもんですかぁぁぁぁぁ!!!」

暦が吠え、再び時間は繰り返す。

to be……

992名も亡き都市伝説契約者:2011/09/12(月) 22:04:01
笛の人、乙
まあなんだ…ふとききたい事思い出したんだけど
みんな連載の最終回って構想してたり…するんだ?

993っこ、このシーン書き忘れてた訳じゃないんだからねっ!  ◆nBXmJajMvU:2011/09/18(日) 21:41:01
 戦車に、氷の悪魔達が群がる
 その中に、生き物が、人間がいる事を、氷の悪魔達は理解しているのかいないのか
 ……理解してはいないだろう
 この凍れる彫像のような悪魔達に、自我などない
 ただ、動くものを、さらに言えば自分達を攻撃してくる存在に対し、敵対行動をとっているだけの事だ
 すなわち、この状況は…凍れる悪魔達を攻撃した戦車が、反撃を受けていると言うシンプルな状況
 凍れる悪魔に群がられ、戦車の表面はゆっくりと凍り付いていく
 途中までは、中から顔をだし、火炎放射器で反撃をしていたのだが…火炎放射器の燃料は、もはや使い切ってしまった
 何分、ここは町中だ
 戦車では、小回りが利かない
 脱出して逃げようにも、いくら武器有とはいえ生身の体ではきつすぎる

「くそ、パトカーにありったけ武器摘んで行動した方が良かったか!?」
「いえ、どちらにせよ危険度は変わらなかったと思います」

 後輩の突っ込みはひとまずスルーする
 さぁ、どうする
 どうする…!?



 …凍れる悪魔が群がり、動きを止めようとしている戦車
 それを見つけた彼女は、傍らにいた存在に、素早く命じた
 いや、命じたと言うより、頼んだ、というべきか

「…っお願いします、あの戦車を助けてください!」

 そして
 それは、彼女の願いを、忠実に聞き入れた
 カブ頭にぽっかりと空いた眼に、ちろ、と炎が燃えて
 それが手に持っていたランタンから、まるで竜の吐息のように、炎が噴き出した
 噴きだした炎は、戦車を取り囲む氷の悪魔達へと襲い掛かって
 氷そのものでしかなかったそれらを、一瞬で溶かし尽くした



「−−−−−っちぃ!?」

 っば!!
 戦車の中から、彼は顔を出した
 確かに、凍れる悪魔達は一掃され、凍りつきようとしていた戦車と、それに乗っていた自分達は助かった
 が
 …熱されて、それはそれで暑くて死ぬかと思ったわ!?

「…ご無事でしたか」

 聞こえてきた、声
 できれば、こういう状況においてあんまり聞きたくなかった声に、げ、と思いつつ、そちらに視線をやる
 そこにいたのは、自分の上司
 年下のその上司は、傍にカブ頭をした都市伝説らしき物体を従え、そこに立っていた
 じ、と、こちらを見上げてくる視線はきつい

「広瀬警部補、何故ここに?」
「町中を戦車が走っている、という通報を聞きまして」

 くそ、毎度毎度思うのだが、どうして氷の悪魔みたいなあからさまに人外の力が働いているのがスルーされて、自分達の使うロケランとかロケランとかロケランとか戦車は通報されるのか
 この街は理不尽すぎるっ!!

「駆けつけてみれば、どうにも危なかったようですので。誠に勝手ながら、手を貸させていただきました」
「…そりゃどうも」
「あの、広瀬警部補、そのかぼちゃお化けに似ているけど若干違う、それは…?」

 あちち、となりながら、後輩も戦車から顔を出した
 今日という日の寒さと、振り続ける雪が、一度熱された戦車の車体を再び冷やしていく

「ジャック・オ・ランタン、だそうです……友人が、今日の学校町は危険だから、と私の元においていきまして」

 ふよふよ
 ジャック・オ・ランタンと呼ばれたカブ頭のその化け物は、もじもじと上司の背後に隠れた
 まるで、人見知りの子供のような仕草だ
 外見はあからさまに人間ではないと言うのに、妙な所で人間臭い

「友人…あぁ、魔法使いを名乗っている、未経験なのを暴露しているような」
「セクハラです。訴えますよ。そして勝ちますよ」
「くそ、そのセリフを懐かしいと思ってしまう自分が嫌だっ!?」
「…困った事に、彼は本物の魔法使いです。貴方が先ほど仰ったような意味とは、別の」

 ふぅ、と彼女は小さくため息をついた

994っこ、このシーン書き忘れてた訳じゃないんだからねっ!  ◆nBXmJajMvU:2011/09/18(日) 21:41:43
 浮かべるは、魔法使いを名乗るその人物を信じながら、しかし、何か不安を感じている表情
 しかし、彼女は小さく首を振り、その表情を消し去ると、いつも自分達に向けてくる、あの冷たい上司としての表情を浮かべた

「…とにかく。その物騒な物を市民の目に入らない場所まで移動させてください」
「まだまだ、これよりも物騒な連中が町中で暴れているようだが?」
「弾切れしたらどうするんですか」

 …実際、残り弾数に関してはアレだが
 だからと言って、ここで引くわけにもいかない


 ……「人間」の、プライドにかけて


(だが、そうは言っても、この上司さまは引かないんだろうよ)

 あきれる程に真面目な、自分より年下の上司様は
 こちらが退くまで、自身も引こうとしないのだろう
 …普段ならばともかく、その傍に友から与えられた存在がいるのなら、なおさら

「第一、俺なんぞより、愛しい人の心配でもしたらどうだ。いい仲になったんだろう」
「…っだ、黙りなさい。とにかく、貴方達は引きなさい!」

 あぁ、わかりやすく赤くなって
 …大分、表情が動くようになったものだ
 そこだけは、良い傾向だと見てやるか

「蔵人さんなら、大丈夫です。私は、そう信じています」
「…はいはい、ご馳走様」

 さてと、自分達はどうしようか
 攻撃手段が大分削られてしまった戦車を前に、これからを思案した












to be … ?

995赤い妖星 † 女だらけの海水浴3 ◆7aVqGFchwM:2011/09/19(月) 00:20:05
(ローゼ>全く、油断も隙もありませんわ!
(ミナワ>ホントですよ、ご主人様ってば・・・

プンスカプンスカと、やや呆れ気味に怒っているローゼとミナワ
対象は無論、女癖の悪い裂邪である
しかし、ハァ、と2人して呆れを伴った溜息を吐いた直後の事だ

(ローゼ>――――――ッ!! こ、この気配・・・!

ローゼの目が赤く染まる
波間に忍ぶ悪意を感じて

(ミナワ>ッ! ご、ご主人様!

ミナワもその気配に気づいて、契約者である裂邪の元へと駆け寄る
正義や漢、清太達もどうやら察知したようだ

(ローゼ>(海の中に大きな気配が3つ・・・でも大した事は無さそうですわね・・・)

気配だけを頼りに、海に潜む怪奇の潜在力を見極める
だが次の瞬間、それが海中から勢い良く飛び出した
丸みを帯びたフォルム、絡まる8本の触手を持つ、全長60mはあろう巨大生命体が、3匹

「「「オンミョォォォォォォォォォォォォォォォォン」」」
(正義>あ、イカだ!
(裂邪>いやタコだろどう見ても!?

気がつけば、ローゼは空を見上げていた
幼い身体全体で、太陽に照りつけられた砂浜を背につけて
要は、こけていた
おほほほほ、と朗らかに笑いながら起きあがると、

(ローゼ>・・・えっと、あれは多分UMAの一種・・・「ルスカ」、かしら?
(勇弥>だけど、「ルスカ」は『ブルーホール』にしか生息してない筈なんだが・・・
(蓮華>場所なんてお構い無しにやってくる都市伝説もあるんですよ
(ローゼ>あら、蓮華ちゃん、それに皆さんも・・・

そこには、蓮華、ロール、レクイエム、凛々、羅菜の5人が、それぞれ戦闘の構えを取っていた
レジーヌがいないところを見ると、まだグロッキー状態のようだ
ロベルタとラピーナはライサと共に避難したのだろうか

(羅菜>むぅ、随分と大きなタコでござるな・・・今夜はタコ焼きでござろうか
(ロール>えー、それマジありえないっつーか
(凛々>タコ焼きやったらウチに任しとき! ちゅうても今は冷やすくらいしかでけへんけど
(レクイエム>・・・タコ焼きって何だ?
(蓮華>レクイエムさんまで何ボケかましてるんですか、来ますよ

振り下ろされる触腕
浜辺にいた者達はそれぞれ回避行動を取り難を逃れる

(ローゼ>蓮華ちゃん、それに皆さん! ここはワタクシが何とか致しますから、
     その間に一般客の皆様の避難誘導を!!
(蓮華>っ、で、ですが・・・
(ローゼ>早く! これは命令ですわ!!

彼女の怒声に、5人はただ縦に首を振り、指示通りに動き出した
さて、と一息吐き、彼女は標的を見据える
1匹の「ルスカ」―――他の個体は裂邪や漢と戦闘に入っている為、戦うべき相手はこの個体だけだ

(ローゼ>では・・・参りますわ!

ばっと両手を広げ、彼女は10の指先に赤い光を凝縮させた―――――

「待ってローゼちゃん!」

声に振り返ろうとしたその刹那、「ルスカ」の口から黒い墨が噴射される
しまった―――――――油断したと思い『フォトン・ベール』を作り出そうとするが、
その前に目の前が黒いツヤのある板で遮られ、タコ墨からローゼを守った

(ローゼ>鉄板・・・?
「間一髪だったか」

安全だと判断しもう一度振り返ると、そこには水泳用ハーフパンツの少年と、マントの男がいた
黄昏 正義と、その契約都市伝説「恐怖の大王」だ

996赤い妖星 † 女だらけの海水浴3 ◆7aVqGFchwM:2011/09/19(月) 00:20:36
(ローゼ>正義さん、ワタクシに何か・・・
(正義>ごめんねローゼちゃん、でもボクの話を聞いて
    キミの都市伝説って、「フォトンベルト」だったよね?
(ローゼ>えぇ、貴方の「恐怖の大王」と同じ世界破滅系の都市伝説ですわ
(正義>そこなんだ。 世界を壊す程の力が2つも集まってる、ってことでしょ?
    それってかなり危険な事だと思うんだ
(ローゼ>確かにそうだけれど・・・なら、何か良い考えがありまして?

ローゼの問いに、正義はにこっ、と笑みを返した

(正義>短い時間で・・・ううん、一瞬で決着をつけたいんだ
    あの都市伝説の隙を突いて同時に攻撃すれば、それも可能だと思う
    お願い、協力してくれないかな?
(ローゼ>そういうことなら、お安いご用ですわ!
(大王>案外軽いな、それで「組織」が務まるのか・・・?

鉄板の陰から、正義と大王、そしてローゼが2方向に飛び出した
狙いを定めようとした「ルスカ」だったが、どちらを攻撃するか一瞬の迷いを見せた
そう、“一瞬”だけ

(正義>大王!
(ローゼ>『フォトン・バレット』!

「ルスカ」の頭上に白い落雷が落ち、顔面に赤い光弾が命中した
苦しげな呻き声のようなものをあげると、
巨大なタコは痙攣しながら、ぐったりとその場に伏した

(ローゼ>・・・何とか、止められましたわね・・・

ふぅ、とローゼは胸を撫で下ろした
その後、次々と「ルスカ」が倒れ、海岸に再び静けさが戻った

   ...To be Continued

997人たちのひとたち:2011/09/19(月) 01:27:29
とある水曜日の朝のこと
わが校ではほぼ毎週水曜日に全校集会がある。
全校生徒が体育館に集まり、ダルーい時間を過ごすアレだ。
校長やら生活指導の先生やらの話を皆が眠そうに聞いている。

「えー、次は生徒会長のお話です。」

進行役のその一言で一同が目覚める
小柄な生徒会長が壇上に上がり、マイクの前に立ち、その高さを調節する。
調節が終わったとき…

\\\コウメチャーン///

全校生徒がひとつになった。

小梅「小梅ちゃんって言うなー!会長って呼べー!!」
かわいらしく、しかし真剣に怒る生徒会長に対し

\\カイチョー//
と再び全校生徒が返す
このコール&レスポンスはすっかりお馴染みの光景である。
ゴホンと咳払いをすると一応の生徒会長モードで話し始める
小梅「えー、みなさん、生活指導の国木田先生からもお話がありましたが、
   最近、我が校の校区内において、未遂ではありますが変質者や通り魔の類が出没したとの情報がありました。
   寄り道をせず、また、なるべく大人数で登下校をするようにしましょう。」

\\\ハーイ、コウメチャーン!///

小梅「だーかーらー、小梅ちゃんって言うなー!!馬鹿にしてんのかー!?連絡終わりー!!」

ぷんすかと怒って会長が降壇し、朝礼が終了した。


三日後。生徒の統率の取れた積極的自衛により犯人はフルボッコで逮捕された。
そして緊急全校集会が開かれた。

\\\コウメチャーン///
小梅「小梅ちゃんって言うなー!会長って呼べー!!」
\\カイチョー//

小梅「今日は皆さんにうれしいお知らせがあります。先日お知らせした不審者が捕まりました。
   聞けば、我が校の生徒の多大な活躍によるものらしく、警察から感謝状を頂きました。」
\\\ヤッター///

一同の歓声に、小梅は壇を強く叩き、それを静まらせた

小梅「ヤッター、じゃなーい!誰が積極的自衛権を行使しろと言ったー!?
   今回は良かったけど、もし返り討ちにあって怪我でもしたらどうするつもりだー!!?
   お前らがそれでかまわなくってもなー、私はなー!私は…グス…えぐ…」
\\\oh…///
\\\ナカナイデーコウメチャーン///
\\\ゴメンナサイコウメチャーン///
小梅「ぐし…う、うるさーい!小梅ちゃんゆーなー!!今後は危ないマネはしないよーに!!以上!!」
\\\ハーイカイチョー///


一同(バレてないだけで実は同じようなことを繰り返している)「小梅ちゃんを泣かせないように今度からは…」


「「「もっと、強くなろう」」」(心の声)

owari

998夢幻泡影 † 海へ行こう4 ◆7aVqGFchwM:2011/09/19(月) 21:38:43
静かになった海岸
だが、3匹の「ルスカ」は未だに息がある
微かに触手を蠢かせ、反撃のチャンスを伺っているようだ

(漢>まだ・・・動いてるの・・・?
(清太>っち、やっぱり身体の芯まで凍らせちまおうか!

漢、清太の2人は再び攻撃の準備に取り掛かった
ところが

(裂邪>やめろ!!

裂邪の怒声を聞き、姿勢を解いた
と同時に、ミナワと共に理夢に乗っている裂邪を見る

(漢>れ、裂兄ぃ・・・どうして
(裂邪>もういいだろ、こんな状態なんだし、勝てる道理もない
    命が勿体ないだけだよ
(清太>で、でも師匠! こいつら、ほっといたらまた人を襲うかも知れないんだぜ!?
(裂邪>わざわざ殺さなくて良い方法がある

ぴたり、裂邪は理夢の歩みを止めさせ、ひょいと跳び降りる
そして、ある少年の肩に、ぽん、と手を乗せた

(裂邪>後は任せたぞ、正義
(正義>え・・・?

突然の裂邪の発言に、驚きを隠せない様子の正義
そんな弟に、兄は続けた

(裂邪>決めてやれよ、『お前の説教(クレンズ・ジャスティス)』

親指を立て、笑顔で言い放った裂邪に対して、正義は

(正義>・・・分かった

こくん、と頷き、「ルスカ」の元へと歩いていった
何が起こるか分からないであろう清太と漢に「こっちへ来い」と合図をし、現場を整える裂邪
3匹の「ルスカ」がぎろりと睨んだ時、正義は大きく息を吸って、始めた

999夢幻泡影 † 海へ行こう4 ◆7aVqGFchwM:2011/09/19(月) 21:41:05
※本当はここで正義の説教を80行ぶち抜きで入れようと思ったのですが


※作者の腕不足で上手くまとまらず、一旦割愛という形を取らせて頂きましたorz


※完成し次第、チラ裏かどこかに投下しようと思います

1000夢幻泡影 † 海へ行こう4 ◆7aVqGFchwM:2011/09/19(月) 21:41:40
(裂邪>へぇ、真面目に聞いたのは今日が初めてだったけど、あんなこと言ってたのか
(ローゼ>あらあら、都市伝説にお説教だなんて珍しいですわね♪
(漢>ね、ねぇ裂兄ぃ、あれって、大丈夫なの?
(清太>そうだよ、やっぱ不安なんだけど
(裂邪>だから安心しろって、あいつの説教は俺の知る限り8割の確率で成功する
    現にあいつ、今まで戦った都市伝説の何体かが友達になってるし

え、と驚愕の色を見せる漢と清太
2人の様子を見るや否や、裂邪は「まぁ、無理もないよな」と苦笑した
すると、3匹の「ルスカ」が沖へと離れていく光景と、正義がこちらに戻ってきたのを確認した

(勇弥>正義、お疲れ
(裂邪>その様子じゃ、成功したみたいだな
(正義>うん、なんとか

にこっ、と心底嬉しそうに正義は笑った

(ローゼ>それでは、「組織」に連絡して事後処理を行いますので
     申し訳ないけれど、皆さんはこの場から離れて下さいませんこと?
(裂邪>んー、そういや日も落ち始めてきたし、そろそろ帰り時かもな
(正義>お父さん達も心配してるだろうし
(漢>あ、そ、そうだ、麻夜は大丈夫かな・・・
(清太>そういや実、お前の父ちゃん達も探さなきゃな
(ローゼ>申し訳ございませんわ、折角楽しい海水浴でしたのに・・・
(裂邪>ローゼちゃんが謝ることじゃないよ、それに何だかんだで十分楽しかったしさ
    お仕事頑張ってね、無理しないでね

皆それぞれが別れの言葉をかけあい、
海岸には、本部に電話をかけているローゼだけが残った

   ...To be Continued




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