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避難所スレ(3代目)
1
:
管理人1号★
:2014/06/15(日) 17:54:26 ID:???
本スレが消滅しているとき・機能していないとき等に、
SS投下や雑談にご利用ください。
なお、スレッドや避難所の方針そのものに関わる話題は、
「方針検討スレ」でお願いします。
===(以下、本スレのテンプレ)===
悪の組織その他、悪辣な女悪役が、
正義役に屠られるのが基本ライン。
・創作/二次創作、どちらも歓迎。ただし実在人物はNG。
・エロ・グロ表現の有無・程度は書き手の任意。
・スレタイは「屠る」となっていますが、
屠るかどうか(死 or 戦闘不能)も書き手次第。
・雑談や感想レスなど、書き手が投下しやすい環境を心がけましょう。
・特殊属性につきsage推奨。
2
:
クレイバンの人
:2014/06/21(土) 00:02:41 ID:.3nDWFuM
前々スレに引き続き、前スレも『埋めネタ』で埋めさせていただきました。
感想いただければ有難いです。
また、管理人1号様★、避難所の運営、本当に感謝しております。
避難所スレ(3代目)も盛況となることを心から祈念いたします。
3
:
名無しさん
:2014/06/21(土) 00:06:22 ID:t0HAJXB6
>>2
お疲れ様です!『埋めネタ』、ナイスでした!
ラストが気になりますね…。
4
:
名無しさん
:2014/06/21(土) 01:14:10 ID:w4yKu76I
>>2
乙です!
埋めネタをきっちり「埋める」ネタで書くサービス精神に頭が下がりますw
5
:
名無しさん
:2014/06/21(土) 05:01:36 ID:U7PQcz4.
>>1
乙
>>2
相変わらずの完成度の高いSS乙、GJであります、いかにも悪女なのを性的な懇願を無視した無情さに勿体なくてたまりません。
6
:
名無しさん
:2014/06/21(土) 06:23:01 ID:VH0du2JM
>>2
お疲れ様です、きっちりと楽しませていただきました!
私も張り切って書かないと……
7
:
名無しさん
:2014/06/21(土) 14:02:07 ID:2vLlcLU2
主人公さん、命の大切さを教えこむつもりなら教材が悪い、そりゃ割りますがなwww
流石のクオリティです、素晴らしいSSありがとうございました〜
>>4
そうか埋めるネタで埋めネタ……それには気がつかなかった!
私もスイカ割りしたいですw
8
:
モンスター娘好きの人
:2014/06/21(土) 17:12:06 ID:VH0du2JM
どうも、お久しぶりです。
では、まず最初に注意をば。
この作品はふたなりモノなのでご注意ください。
9
:
加賀の荒神退治
:2014/06/21(土) 17:12:57 ID:VH0du2JM
時は戦国―――いや奈良、平安か。とにかく、とてつもなく昔の話である。
一向宗もまだおらぬ頃、加賀国辺りでは農民たちが田畑を耕していた。皆貧しかったが笑顔の絶えぬ、よく働きよく笑う村人達であったが、ある日突如一人の男が村から姿を消した。
不審に思った村人は夜なべ松明を片手に探したところ、山で見るも無残に干からび果てた姿で見つかった。
村人たちは皆この奇怪な出来事を村長に話したものの、村長さえも全く聞いたことも体験したこともない出来事に首をひねるばかりである。
その日を皮切りに、男が一人一人と村からだんだんと消えていった。ある者は山を越える時に、またある者は田畑の仕事休みの最中に、目を少しばかり放した途端に消えているのだ。そして翌日には干からびた姿で発見される。
ある時に修行中の僧が村を訪れ、話を聞きその怪奇の根源を突き止めるべく村に数晩泊まっていたが、その僧もすぐに消えてしまった。村人達は僧も死んだのだろうと思い遺体を捜したものの、結局見つからず仕舞いでそれっきりである。
とうとうある日、男が村から一人残らず消えてしまった。しかし女共は夫、または若い子を亡くし悲しみに明け暮れつつも生きるために田や畑を互いに支えつつ耕していく。
しかしとうとう、ある日恐るべきことが起きてしまった。女が一人また男達の様に消え去ったのだ。まだ若く嫁の貰い手を捜し始めたばかりである女であったが、消えた翌々日には無残にも処女を散らし首を折られた姿で発見される。
女達はいつ自分が死ぬかという恐怖におびえ、泣く者もいたがそんな折。一人の女が村を訪れる―――。
10
:
名無しさん
:2014/06/21(土) 17:14:05 ID:VH0du2JM
その女の草鞋に笠、そして白い衣を身にまとうその姿は明らかに農民のそれとは違っていた。名は加茂明子(かもの みょうし)という。明子は怪訝そうに女しかいない村を一通り見て回ると、泣いている女に声をかける。
「もし、そこのお方。何ゆえに泣いておられるのです」
話しかけられた女は明子に気づくと、身なりからそれなりの身分の出であると察すると頭を下げた。
「改まらないでください。私はこの村に怪しい気配を感じて立ち入っただけの身です」
そう明子が優しく語りかけると、恐る恐るといった様子で女は顔を上げて口を開く。
「実は―――」
女は明子にこれまでの出来事―――男が干からびた死体になり、僧は行方不明になり、女が一人犯され殺されたこと―――をたどたどしくも語る。
明子は話の折々で頷きながら真剣な表情でそれを聞き終わると女に話しかける。
「わかりました。おそらくは全ての出来事は物の怪の類の仕業でございましょう。ただ、僧ですら太刀打ちができなかったとするのなら、相当の力を持つ存在なのでしょうね……」
女はその様な事を言い出した明子に対してすがりつく思いで頭をまた下げた。
「お願いします、これだと村は男すらいないのに私達までもがいなくなってしまいます! どうか、どうかその物の怪を退治してください……!」
嗚咽の混じったその様子に明子はひとしきり何かを考えた結果、決心した様子で頭を縦に振ると口を開いた。
「わかりました、では用意して欲しいものがあります」
※
明子は女達に頼み手に入れたものを袋に背負い山に入り、しばらく歩き続けると話に聞いていた泉が佇んでいた。透き通った水は村人の飲み水や田畑に重宝されていたが、あの出来事以来山には極力入らないようにしているとの事であった。
明子は辺りを見回し、人気がないことを確認すると一枚一枚身に着けた衣を脱いでいく。そして最後にはまだ男にさえも触れられたことのない、美しい乳房や肢体が露わになった。
そのまま彼女は桶で泉の水を掬い、行水で身を清める。ひとしきり水を体に掛け回し、泉に体を浸していると、何者かの視線を感じるのと同時に不穏な気配が辺りを包み込んだ。
11
:
加賀の荒神退治
:2014/06/21(土) 17:15:09 ID:VH0du2JM
「……! 何者ですか!?」
明子はその視線のする場所を睨み付け、一喝する。
すると、一人の女が疲れ果てた様子でたどたどしく明子の元へと歩み寄ってきた。身なりは多少着くずれしているが、おそらくはあの農村の女達の一人のようだ。
女は目に涙を浮かべながら、今にも消え入ってしまいそうな声で明子に話しかける。
「お助けを……化け物に追われているのです」
それを聞いた明子は女に駆け寄ると、女は明子の裸体にしがみ付きながら安心したのか、彼女の胸元で震えながらさめざめと泣き始めた。
明子は女の頭を労わるように撫で、周囲を警戒しつつも女に問いかける。
「一体何があったのですか?」
女は顔を俯かせたまま、わずかではあるが少しずつ語り始めた。
「おぞましい、化け物に追いかけられ……命からがら逃げてきました」
そう女は言うと押し黙ってしまい、明子は優しく抱きしめると落ち着いて言い聞かせるように女に話しかける。
「今すぐに山から離れましょう、ここは危険ですから」
明子は女を連れ出そうとするものの、女は恐怖で足がすくんでしまっているのか、動けないようだ。それを見た明子は恐怖を打ち消すように励ます。
「私がついていますから大丈夫です、まだ化け物は来ていませんから今のうちに……!」
しかし、女は俯いたままこう呟いた。
「もう遅いんです……だって、貴女の目の前にいますよ?」
その瞬間女は明子の頭に手をかけると明視の唇を強引に奪う。女の舌は彼女の唇をこじ開け、彼女の舌を蹂躙した。
明子はあまりの出来事に最初は抵抗も出来なかったが、なんとか女を引き剥がそうとするも、女から口づけをされ続けるうちに体から力が抜け、貧血のような感覚に襲われてとうとう立てなくなり座り込んでしまった。
「一体、何を……?」
明子は女を見上げるとその顔は嗜虐性に溢れた笑顔で満たされており、とてもつい先ほどまで化け物に追い回されて怯え泣いていた人物とは思えない。
「美味い。お前の精は美味いぞ……これなら、私の力もより高まるに違いない」
先ほどとは一転し口調を変え、手で口をぬぐう女に対してようやく明子は目の前にいる存在が人外であり村の人々を襲った張本人だと気づいた。
12
:
名無しさん
:2014/06/21(土) 17:16:12 ID:VH0du2JM
「何故、このようなことをするのですか?」
身長に言葉を選びながら、相手に気取られぬよう明子はゆっくりと後ずさり、畳んで置いてある服へと手を伸ばす。しかし女はその手を掴むと押し倒すように覆いかぶさり、そのまま女は空いた手で明子の胸や体を値踏みするように弄りながら笑う。
「食事をすることに何の理由が必要なのだ? お前たちは私に精を寄越せばいいだけだ」
女はそう言いながら手を更に下へと伸ばし、明子の秘所へと指を軽く触れると明子はわずかに反応し、女は明子が男を知らぬ体であることを知ると目を細めた。
「ほう……処女か。いいぞ、私の贄となるにふさわしい」
女はそのまま明子の乳房を異様に長い舌で舐め、乳頭を口に含んで弄ぶ。舌はコロコロと乳首に巻きつくようにしながら乱暴に吸い上げた。
「人を殺めずとも……んっ! 精を貰うことは可能なはずです。なぜそれができないのですか……?」
甘い声を洩らしつつも明子は説得を続けるが、女は特に気にもかけずに胸を執拗に責め立てる。やがて十分満足したのか胸から口を離すと、明子の顎に手を回して口を開いた。
「殺さない必要がない。そして、私を神として崇めぬ人間なぞ生きる必要もあるまい?」
明子は一瞬”神”という言葉が理解できずに居たが、女が身に着けている衣服を脱ぐとその意味を理解する。
女の体には通常ではありえない男根が雄々しくそそり立ち、明子の体を喰らわんと震えていた。女はその魔羅をゆっくりと手で扱きあげながら恍惚とした表情で女に迫る。
「これぞ、私が神たる所以だ……。男も女も超越したこの肉体こそ神にふさわしい! 私を崇めろ! さもなくば私の贄となり朽ち果てるがいい!」
女はそう言いながら明子を犯そうと彼女の陰部にイチモツをあてがった瞬間―――
「油断しましたね……”束”!」
明子がそう唱えると、女の体が金縛りにあったかのように動かなくなる。まるで自分よりもはるかに巨大な何かに押さえつけられる感覚に女は戸惑いを隠せないでいた。
「これは……何だ! 体がっ、身動きが取れないだと!?」
明子は狼狽する女を後ろ手に組ませ、地面に仰向けになるようにすると足を広げさせながら女に話しかける。
「貴女が私を襲う前に束縛の札を貼らせてもらいました。これでもう身動きは出来ませんよ」
明子は完全に女の股を開かせると、今度は畳んだ服からもう一枚札を取り出し、しばらく何かを唱えると下腹部に札を貼り付けた。
そして明子は女のいきり立った男根に手を添えると耳元で囁く。
「なぜ、これで男も知らぬ者の処女を散らしたのですか……?」
それに対し女は不敵に笑い、なんの悪びれる様子も見せずに答えた。
「快楽に果てるその瞬間、その時に味わう精は量が多くとてつもなく美味い。男でも、女でもそれは変わらない。食事を美味くするのは当たり前のことだ」
それを聞いた明子は、そうですかと一言だけ呟くと女の男根を掴みなおして強めに扱き上げる。突然の快楽に女は震え、魔羅も喜びを示すようにビクビクと脈を打った。
「くぅっ! いい、良いぞ……もっと激しく、強くっ……!」
明子は的確に女が喜ぶ場所を丹念に扱き、また時折その先端を5本の指をこすり合わせるように愛撫する。その快感に堪らず女は早々に絶頂へと達した。
13
:
加賀の荒神退治
:2014/06/21(土) 17:16:52 ID:VH0du2JM
「果てる……で、出る! 出るぞっ!」
喜びの悲鳴を上げながら女は魔羅から白濁とした液体を吐き出した。女は絶頂の余韻に浸ろうとするが明子は女の男根を扱き上げる手を休めない。
「もっともっと搾り出させてあげましょう……さあお出しなさい!」
明子の手は牛から乳を搾り出すように扱きあげたかと思えば手のひらで優しく亀頭を包み込みながら弄び、それから裏筋を軽く引っかくようになで続ける。
絶頂に達したばかりの怒張は休む暇もなく快楽を与え続けられ、女はその快感に悶えながら叫ぶように声を上げた。
「激しっ、激しすぎるぅっ! あんっ、そこを触られるのはっ! またすぐにっ―――!」
そう言い終わる前にまたしても女は絶頂に達した。体は震え、イチモツは先ほどと変わりのない勢いで大量に射精する。
絶頂の余韻に浸りながら、女はあまりの快楽に目に涙を浮かべつつも明子に上目遣いで甘い声を発した。
「わ、私に口づけをしてくれ……頼む、お前の唇が欲しい。もししてくれるのなら何だってしてやる、だから……」
今にも消え入りそうなほどか細く弱弱しい声で懇願する女に、明子は優しく微笑みながら顔を近づける。
鼻と鼻が近づき、明子の唇が女の唇に触れるその瞬間。明子は女の男根を思い切り強く握り締めた。
「ぎゃぁっ!」
女は堪らず悲鳴を上げ、明子を睨み付けると明子は少し悲しそうな目で口を開いた。
「これで貴女が本当に私の言葉を聞き、人を殺めないと誓ってくれたのならばと思っていましたが―――どうやら貴女は魂の底から穢れで満ち溢れているようです。そう乞いながら口づけをさせて、私から精を奪い取る気だったのでしょう? 貴女はどうやら口でしか精を奪うことはできないようですからね」
明子はそのまま唇を女の首筋に触れさせ、そこからゆっくりと女の胸を口で愛撫する。
「ですが、私の唇が欲しいのなら口づけのかわり代わりにいくらでも差し上げましょう。貴女が味わう快楽ももうあまり残されていませんから」
そう告げられた女の顔色は瞬く間に変わっていき、快楽と余裕で満ち溢れていたそれは恐怖や焦りの混じっていくものとなった。
「何っ!? どういう……はぁんっ! い、意味だ!」
明子は女の胸を優しく吸い上げ、舌で乳首を弄びながらひとしきり愛撫すると、口から離して女の問いに答える。
「体をよく見て御覧なさい。それに体から力が入らないのでは?」
それだけ言うと、明子はまた女を責め立て始める。今度は女の濡れた淫部に口を付け、淫らな接吻をしながら魔羅を扱き上げ、男と女の両部分を丹念に愛撫した。
「やめろっ、やめてくれぇっ! そこだけは弱いんだっ、あっ、ああんっ! も、もう出るぅっ!」
たちまち三度目の絶頂を迎えると、女の体に変化が現れた。程よく割れていた腹筋が徐々に軟らかくなり、足や腕などの力がだんだんと弱っていく。
「ま、まさか……私の体から、精が放たれているのか……?」
「ご名答、貴女が奪った精気を私が解き放っているのです。貴女が快楽に溺れ、絶頂に達すればその度に貴女の体から精が出て行きます……。さあ、お覚悟を」
明子はそう言いながら女の体を起こすと後ろに周り、女の胸を鷲掴みにした。
「きひぃっ! 待ってくれ、頼む……それだけは、それだけは止めてくれ―――くぅん! 精を失えば私は……!」
必死の命乞いに明子は聞く耳を持たず、女の両乳に更に札を貼り付けると乳首を掴むと乳絞りのように捻り上げる。
すると、女の胸からは白い母乳のようなものが出てきた。それは女の胸を伝い宙へと落ちると地面に触れる前に解けるようにして消えていく。
14
:
加賀の荒神退治
:2014/06/21(土) 17:18:06 ID:VH0du2JM
「今度はあなたの胸からも精気を放出させるようにしました。さあ、悶えなさい!」
明子は女の耳を唇で責め、両手で胸を絞り上げ、足で男根を扱き上げた。身動きも出来ず抵抗すらできない女は精気を放出し、その快楽と引き換えに命を削り続ける。
「許し、許してくれっ! 命を見逃してくれるならどんな願いも聞こう、だから命だけは!」
涙を流し無心の思いで命乞いをし続ける女に明子は責める手を止めずに怒りを孕んだ声で返した。
「貴女はそうやって助けを乞う人間を無理やり犯し、命を奪ったのでしょう? ならば、同じことをされても無理はありませんね―――さあ、お逝きなさい!」
胸をひと際強く揉み拉くと、女は最後の絶頂へと達した。胸や男根から大量の精気を吐き出し、淫らな肉壺からは潮を吹き出す。
精気を噴き出す勢いは衰えることもなくドクドクと放出し続け、女の体は筋肉が衰えて正体を現し始めた。
女の四肢をすべすべとした緑の鱗が包み込み、やがて女の顔から股間、内股以外の部分が鱗に包まれる。
「なるほど……元は珍しい両性具有の蛇でしたか。人を助け、邪心を生まなければ崇められ祭り上げられ、まさしく神になれたでしょうに」
明子は哀れみの目で女を見つめると、女は絶え絶えではあるがまだ息があることに気づいた。うつろな目で震える女の男根に明子はそっと口づけをすると、女の体は一度大きくビクン! と痙攣し、僅かな精気を吐き出すとゆっくりと息絶える。
女が絶命したことを確認した明子は体を泉で清めると、服を身にまとい変わった型をした紙に息を吹き込んだ。すると、それは小さな少女となり明子に頭を垂れる。
「私一人では担ぎきれないので、あれを村まで運んでいってください」
そう告げると少女は女の骸を軽々と担ぐと、明子のあとに続く。
※
明子達によって女の淫らな骸はその痴態を農民の目に晒されることとなった。明子は怒り狂い死体に石を投げる女達を諌めると丁重に弔い、社を建てるように説き伏せると村をあとにした。
時は経ち、その出来事も風化したある時からその社は祭り上げられ、そのご利益のせいか村はいつしか栄えるようになったという。
15
:
名無しさん
:2014/06/21(土) 17:20:59 ID:VH0du2JM
以上です。いかがだったでしょうか。
久しぶりの投稿で色々とおかしな部分はないかとハラハラしておりますが
楽しんでいただけたなら幸いです。
16
:
名無しさん
:2014/06/21(土) 23:54:45 ID:KCvbpfRc
>>15
最高でした!
人外のやられいいですね
17
:
U・N・オーエン
:2014/06/22(日) 16:54:31 ID:swsTc./c
「貴女の相手は私です。」
侵入者の迎撃に向かう秘密結社の女怪人、蜂女の前に立ち塞がったのは電波ガール、タックルだった。
愚かにも秘密結社に戦いを挑む謎の改造人間コンビの片割れである。
手には倒した女戦闘員から奪ったであろう細身の剣を持っており、フェンシングの構えをとる。心得があるらしく、その姿は中々様になっていた。
「まさか、この私に剣の腕で競おうというの?」
剣を構えるタックルの姿を見た蜂女の口元に小馬鹿にしたような笑みが浮かぶ。
蜂女は元々、フェンシングのオリンピック候補に選ばれるほどの腕前を持つ天才女子大生だった。
だが、ある大会で内心格下と見なしていたライバル選手にまさかの敗北を喫し、プライドをズタズタにされた彼女は自ら秘密結社に売り込み、最強の剣士として改造されていた(なお、改造のきっかけをライバルは改造実験の成果を試す意味で家族共々抹殺した。苦しめる意味であえてライバルのみはトドメを刺さなかったが、あの傷では助からないのは確実である)。
現在でも剣の使い手としては組織の中で彼女の右に出る者はいなかった。
「フフフ、良いわ・・・実力の違いを思い知らせてあげる」
不敵な笑みを浮かべたまま蜂女もフェンシングの構えをとる。
その構えからは優雅さと共に己の力量に絶対の自信を持つある種の傲慢さもにじみ出ている。
「「勝負!!」」
甲高い金属音を立てながら、二本の剣が交差する。
フェンシングの基本は素早い全身とバックステップを組み合わせたヒット・アンド・ウェイであり、タックルと蜂女は互いに繰り出す鋭い突きをある時は剣でさばき、またある時は避けながら、相手の隙をついて突きを繰り出す。
その攻防は何十回も続き、まるで優雅な剣舞を舞っているようにも見えた。
「・・・中々やるじゃない・・・」
剣がぶつかり合い、鍔迫り合い状態になりながら 蜂女がタックルに囁く。
「まさか私を相手にここまで粘るなんて、褒めてあげる・・・」
「・・・そう言う貴女は同じですね・・・」
応じたタックルの声はどこか悲しげであった。
18
:
名無しさん
:2014/06/22(日) 16:56:56 ID:swsTc./c
「えっ・・・?」
思わぬ言葉で意表をつかれた蜂女の力が僅かに抜けた瞬間、タックルは一気に均衡状態を崩して鍔迫り合いから脱出する。本来ならばそこでバランスを崩した蜂女に攻撃を加えるべきであったが、タックルは追撃をせず連続バク転で間合いをとった。
「あの試合の時と少しも変わっていません・・・」
タックルの言葉にそれまで不敵だった蜂女の顔に僅かに動揺の色が浮かぶ。
「あの時の試合・・・?お前は一体何者だ・・・?」
「・・・まだ分かりませんか・・・?」
剣を構えるタックルの顔に、ある少女の顔が重なる。
試合に負けて自失呆然としていた彼女の前で、試合用のフェンシングマスクを脱ぎ、「素晴らしい試合でした」と笑顔で握手を申し込んできたお嬢様風の大人しそうな顔。
それはかつて蜂女が人間だった頃の唯一の屈辱の記憶を蘇らせるものだ。
「まさか・・・お前が生きているはずが・・・あの女は私がこの手で・・・」
「その文句は貴女が仕えている組織に言って下さい・・・あの時、瀕死だった私を回収し、改造人間としての素体に利用したのですから・・・」
本来ならば脳改造まで施されて、蜂女とは互いの正体に気づかないまま、改造人間テントウムシ女として共に組織に忠誠を誓う同僚となっていたはずだ。
だが幸運にも、脳改造が施される前に現在のパートナーに助けられ(彼もまた組織に復讐をする為にあえて自ら改造手術を受け、隙をみて脱走したという話である)、自身の記憶と意志を保ち続けることが出来たのだった。
「そう・・・そう言うこと・・・」
事情を理解した蜂女に再び余裕が戻る。
それはこれまでもなく残酷な笑みだった。
「フフフ、せっかく助かった命なのに、再び私の前に現れるなんてお本当に愚かね・・あの勝利が単なるまぐれだと言うことに気づいていないのかしら?」
「・・・ええ、あの時の勝利がまぐれだというのは否定しません」
タックルは剣を握り直して、再びフェンシングのポーズをとる。
「でも、今の貴女には負ける気がしません・・・・」
「何を馬鹿な、改造手術を受けてあの時よりもパワーアップした私に本気でそう思っているの?」
蜂女も剣を握り直すと改めてタックルに剣を突きつける。
「遊びは終わりよ、お前の体を串刺しにしてあげる。」
「ええ、決着をつけましょう」
19
:
名無しさん
:2014/06/22(日) 16:57:55 ID:swsTc./c
先程の激しい攻防とはうって変わり、今度は両者とも剣を構えたまま容易に突こうとせず、ジリジリと横に移動しながら相手の隙を窺う。
「「ハッ!!」」
鋭いかけ声とともにタックルと蜂女が同時に動いた。
「キエエエエエエエエエエエエエエ」
奇声と共に繰り出されるこれまでにないほど早い蜂女の突き。
「タアッ」
だが、タックルの一閃が蜂女の剣をはじき飛ばすと、その勢いのまま蜂女の体を横一文字に切り裂く。
「ウッ!?」
タックルと蜂女は互いに背を向けた状態でまるで時間が停止したかのように止まった。
はじき飛ばされた蜂女の剣が回転をしながら落ちてきて、地面に突き刺さった。
「そんな・・・パワーアップしたのに、何故・・・・」
「貴女は自分が強くなったと思っていた様ですが、それは勘違いです。」
切り裂かれた胸を押さえながら喘ぐように呟く蜂女にタックルは冷たい声で告げた。
「改造手術を受けて身体機能が向上しただけで、剣の腕は少しも変わっていませんでした。自身を鍛えるという剣士として一番大切なことを忘れてしまった時、貴女の敗北は確定してしまったんです。」
「認めない・・・こんな結末は認めないわ」
よろめきながらも振り返った蜂女の形相は悪鬼そのものだった
「・・・こうなったら、お前も道連れよ」
負けを認められない執念が最後の力を与えたのか、自身の爆発に巻き込む為に蜂女がタックルに飛びかかる。
「死ねええええええ」
「電波投げ!!」
組み付かれる寸前、タックルの必殺・電波投げが蜂女の体を投げ飛ばし、少し離れた地面に叩き付ける。
「キィィィィィィィィィィィィィィ」
体を痙攣をさせながら苦しむ蜂女。
力尽きたように四肢がぱたりと地面に落ちた瞬間、かつて天才フェンシング選手として栄光に溢れていた彼女の体は大爆発起こしてこの世界から消滅した。
「・・・・・・・・」
蜂女は家族の仇であり、そして自分を修羅への道に向かわせた憎い敵である。
しかし、彼女の心にあるのは仇をとったという喜びではなく、悲しみだった。
どこかで道を誤らなければ、彼女とは良いライバルとして競い合い、互いに剣士としての高みへと上れたかもしれなかった。
(いずれ私もそっちへ行きます・・・そしたら今度は友人としてやり直しましょう。」
タックルは悲しげに剣を顔の前に構え、フェンシングの礼をとった。
20
:
名無しさん
:2014/06/22(日) 17:07:05 ID:swsTc./c
ヘルガールズの続きを書くはずが何故かこんな作品書いてしまいました(汗)
一応コンセプトとしては、この前、レンタルで見直した某ライダー映画でタックルと蜂女の戦いから想像を広げたものです。
想像を広げる方向性は
・因縁はもっと欲しいよね
・蜂女と戦うならばフェンシング戦でしょ
というもので、フェンシングをする女性=お嬢様というイメージからタックルのキャラも変えています。
如何だったでしょうか?
21
:
名無しさん
:2014/06/24(火) 18:51:35 ID:BuyXCKHg
>>20
素晴らしい!
最後は爆発してしまうのはまさしく王道、お約束ですよね
22
:
FFやられの人
:2014/06/27(金) 02:54:38 ID:gDpednNs
新しいスレでも新作が盛んですね。
淫闘にゾクッときて、映画では不完全燃焼だった蜂女とタックルの対決。
女同志のシチュにもえる私としてはうれしい悲鳴です。
あと、前スレの「廃工場の救出劇」の作者さま、今回も楽しませていただきました。
さて、ヴォーグブレイカーの新作できましたので、投下させて頂きます。
サブタイトルは、第4話「この世を乱す馬と蛇! 漆黒の剛魔サラヴォーグ と 赤の淫魔ガーラヴォーグ」 です。
23
:
ヴォーグブレイカー 4話 ①
:2014/06/27(金) 02:56:37 ID:gDpednNs
「サラ様、本日は当競馬場に足をお運びくださり、誠にありがとうございます」
二十代の男スタッフ二人と眼鏡をかけた女秘書を従えた恰幅(かっぷく)のいい中年男が、背を向けガラス越しにコースを見つめている若い貴婦人に慇懃(いんぎん)にあいさつをした。
ここはアジアのとある競馬場。
真夏のナイター競馬が終わり、観客も全て帰途へ就いた時間。
今、最後の照明灯も消されて、コースが真っ暗な闇に包まれる。
その中でいまだ煌々(こうこう)と明かりの灯る特別貴賓室から、その女性はまだ外をじっと見つめていた。
黒いドレスと赤薔薇の付いたチョーカーで身を飾り、下に伸ばした両手には黒色のつば広帽子が握られている。
背中の中ほどまで垂らした金色の束ね髪は鮮やかに光り輝き、後ろ姿からでも気品に満ちあふれていた。
だが、中年男は窓ガラスに映る女性の前身のほうにばかり視線を奪われ続けている。
黒い真珠のような瞳をした二十代前半のすらっとした長身の若々しい白い肌の美女。
しかも服の上からでもはっきりと見て取れる巨乳の持ち主ときては、無理からぬことかもしれない。
中年男は自然とほおがゆるんでくるが、ガラス越しから美女の睨みつけるような鋭い眼差しがむけられると、慌てて居住まいを正した。
「それにしましても、本日は全てのレースで単勝が万馬券と大荒れでしたのに、見事に全部的中させるとは、サラ様にはよほど幸運の女神が付いておられるのですな」
競馬場の最高責任者である中年男のこの言葉に、美女はふっとうすら笑いを浮かべた。
「幸運の女神? 残念ながら、幸運ではありませんわよ。わたくしは馬と話せますの。勝ち馬を命じることぐらい造作もないことですわ」
「さ……さようでございますか。優れた調教師や騎手は馬と心通わせると言いますからな。サラ様もその域に達していらっしゃるとは感服いたします」
「ふふ。彼らは単に心通わせていると思っているだけですわ。わたくしのように、指定した馬を勝たさなければ殺す、などと全ての馬に命令などできませんでしょう」
穏やかな言葉ながらも物騒なことを言う、しかもありえないことを平気で言う女に、中年男は少し戸惑うが、その女の脇にある多額の配当金が入ったジュラルミンケースを見て、すぐに愛想笑いをうかべた。
「馬にお命じ出来るとは、ますます感服いたします。それが出来ればまさに負け知らず、向かうところ敵(てき)無し、でございますな。今日のように配当のほとんどがサラ様のお手に」
中年男はここで言葉を一旦切って、さらに低姿勢になる。
「ですが、本物の淑女はやはり格が違います。スタッフより聞きましたところ、なにやら多額の寄付を当競馬場にしていただけるとのことで」
傍らにいるスタッフを横目でちらっと見ると、中年男はすぐに目線を戻し、彼女の回答を待った。
「フフ、向かうところ敵なし。あなた、わたくしに最も相応(ふさわ)しいことをおっしゃるわね。でも、勘違いは困りますわ。多額の寄付はこの競馬場にではなく……、われらレディー・ダークにしていただきましょうか」
女はそう答えると、意外な言葉で面喰らっている中年男たちの方に振り向き、両手に持ったつば広帽子を下から上へとかざして投げ飛ばした。
女の姿がみるみるうちに、ひと際足の長いヴォーグ姿へと変貌を遂げる。
赤薔薇の付いた黒いチョーカーはそのままの黒いチューブトップビキニとパンツ。
そして、黒いブーツに、黒い指抜きグローブ。
彼女こそ、馬、サラブレッドの能力を身につけた漆黒の剛魔、サラヴォーグ。
24
:
ヴォーグブレイカー 4話 ②
:2014/06/27(金) 02:58:07 ID:gDpednNs
「あわわわ!? なんだ、おまえは?」
驚いて後ずさりする中年男の問いかけに、
「わたくしの名はサラヴォーグ。この競馬場にある金は全て頂くわ。そして、あなたたちには永遠の死を与えてあげる。このわたくしの美しい足でね。光栄に思いなさい」
と答えると、女悪魔は跳び跳ねて男スタッフの一人に近づき回し蹴りを見舞う。
声を上げる間もなく男は壁に叩きつけられ、力なく地に伏した。
「ヒィ! だれか!」
中年男は逃げようとするが足元おぼつかず、つまずくやうつ伏せに倒れてしまう。
顔を起こすと、そこには四つん這いになったサラヴォーグの黒いパンツと尻があった。
あまりの美尻に、中年男は状況を忘れつい見とれてしまうが、
「とある推理小説でもあるでしょう? 馬の後ろは危ないのよ!」
サラの両脚から馬の尻っぱねのようなキックが放たれて、中年男はすっ飛び勢い余って天井を突き破る。
室内にがれきやほこりが舞うが、中年男の身体はそのまま落ちては来なかった。
「キャァァァ! 誰か、助けて!」
女秘書は逃げ出しドアに駆け寄るが、スタッフの男が彼女を押しのけてわれ先にノブに手をかける。
が、ドアを開けた目の前には……。
「フフフ。誰一人逃がさないわよ」
そう言い放つは、バレーボールの選手のように長身で白い肌をした巨乳の美女ヴォーグ。
カラス羽のような黒いストレートの髪を背中まで伸ばし、小さな唇は真っ赤な口紅をきつく塗ったようで艶やかに光っている
瞳の色もまたルビーのように赤く美しいが、反面、目つきは恐ろしいほど鋭く冷たかった。
そして、身につけているチューブトップやチョーカー、ブーツ、指抜きグローブは全て赤。
彼女こそヒメガラガラヘビの能力を身につけた赤の淫魔、名付けてガーラヴォーグ。
「男に興味はない! とっとと死ね!」
ガーラヴォーグは男の首筋に、二つの鋭く尖った犬歯を食い込ませた。
「ウアァァ!」
男が悲鳴を上げると同時に、ガーラは牙を抜く。
床に倒れた男は既に意識なく、やがて骨一つ残さずその身を溶かして行く。
「キャッ!」
握りこぶしを口元に持ってきて悲鳴を上げる女秘書に、ガーラヴォーグは近づくと容赦なく前から抱きしめて拘束する。
女秘書は長身なガーラの巨乳の谷間に顔をうずめられて息が出来なくなっていた。
「ホホ、あなたは赤き死の抱擁、それともさっきの男に使った赤き死の毒。どちらで死ぬのがお好み?」
ガーラは舌を出して女秘書の耳をなめながら聞くが、もちろん答えられるはずもない。
顔を紅潮させて、ただ身悶えさせるばかり。
「どちらでもいいのね。じゃあ、赤き死の抱擁で殺してあげる。いい音を出してね」
ガーラヴォーグは足を絡めると女をさらに強く抱きしめた。
巨乳改造人間ヴォーグのパワーに、普通の人間である彼女に抗うすべはない。
ガーラに絡められた足で、抱きしめられた腕で、挟まれた胸の谷間で、みしみしと音を立てて骨が折られていき、女秘書は瞬く間に死を迎えた。
ガーラが笑いながら手を離すと、女の身体が力なく地に崩れ落ちる。
「ガーラ、首尾は?」
「問題なし。黒ビキニと私の赤き死の毒で、この競馬場にいたやつらはみな始末したわ。あとは有り金を全部いただくだけ」
「日本にいるミストレス様への良い手土産ね。でも、もうひとつ手土産がほしいわ」
サラヴォーグは意味ありげに、笑みを浮かべた。
25
:
ヴォーグブレイカー 4話 ③
:2014/06/27(金) 02:59:46 ID:gDpednNs
二人のヴォーグと黒戦闘員達が密かに日本へ上陸した先は、海岸から伸びる砂丘地帯だった。
まだ夜明け前で空には星がまたたき、低い位置で大きく見える満月が辺りを明々と照らしだしている。
悪女たちは砂丘を進み、三方を砂山で囲まれた袋小路手前で止まると、ガーラヴォーグが一人、一歩前へと進み出た。
「ヒュー」
ガーラが口笛を吹くと、彼女の眼前にある地面から大きな釣鐘がせり出してくる。
釣鐘は巨大で、寺で普通に見受けられるものに比べて三倍の大きさがゆうにあった。
「シュー!」
続いてガーラがのどを鳴らすと、彼女の赤い両目がピカッと光って鐘にあるセンサーが反応し、鐘の突かれる場所である撞座(つきざ)部分が開いて、ぽっかりと丸い穴ができる。
とはいえ、その穴は頭が通るぐらいの大きさしかなかった。
だが、ガーラヴォーグは頭をその穴へすっぽりと入れると、徐々に身体の形を穴の大きさに合わせて細く変えて行き、どんどん中へと入って行く。
容易く穴を通り抜けると、ガーラは鐘の内側にある操作パネルでパスワードを入力した。
すると、ガーラの通り抜けた穴の逆側が今度は人がゆうに通れるほどに開く。
また同時に鐘内部の地面の一部が円状に開き、梯子の付いた穴が姿を現す。
「相変わらず、すごい能力ね」
鐘の裏側から姿を現したガーラに、サラが声をかけた。
「ヘビの能力は伊達じゃないわよ。頭の大きさがあれば、どんな穴だって。それよりサラ、どうして、私たちが訓練を積んだ昔のアジトにわざわざ来たの? ミストレス様にお金を渡す予定を一日延ばしてまで?」
「フフ。 手土産をもう一つ、持っていくためよ」
「手土産? 競馬場でもそんなこと言っていたけれど、一体なんなのよ?」
「もうすぐ、わかるわ」
はぐらかしてじらすサラに、ガーラがさらに声をかけようとしたときだ。
悪女たちの頭上に、大量の赤いバラの花びらが降り注ぐ。
「なに?」
ガーラと黒ビキニたちは驚いて、急いで花びらが飛んで来た頭上を目で追うが、サラだけはうれしそうな表情を浮かべ、一人ゆっくりと顔を上げるのだった。
26
:
ヴォーグブレイカー 4話 ④
:2014/06/27(金) 03:02:40 ID:gDpednNs
「あそこよ!」
いち早く何かに気づいた黒ビキニの一人が、砂山の上を指差す。
そこには稜線間近の満月をバックに、腰をくねらせてベリーダンスを踊る二人の女性の姿があった。
悪女たちから見て左側の女性は、口元にベール、胸にチューブトップ、腰にサイドスリットの入ったスカートのベリーダンス衣装で、その色は全て赤。
そして、右側の背の高い女性も同じ衣装だが、こちらの色はピンクで統一されている。
二人の動きは艶めかしく腰を振るたびに、見事なまでの巨乳がビキニに付いた金色の飾りひもと共に大きく揺れていた。
やがて、背の高い方の女性がもう一人をエスコートして抱き寄せると、ステップを踏みながら互い違いに股間を相手の太ももにつけては腰を振り始める。
満月を背にした舞台とランバダ風の妖艶な踊りにあてられ、悪女たちはただ見とれ続けていた。
その淫靡さに、特に淫魔ヴォーグであるガーラは子宮口が疼いてたまらなくなってくる。
いつしか股間へ手が伸びて行くが、指がその敏感な部分に触れる前に、はっとガーラは我に返った。
「私たちレディー・ダークの眼の前で、ふざけた真似を! おまえたち、一体、何者!?」
ガーラヴォーグが叫ぶと、踊っていた二人は動きを止めるが、まだ身体を密着させ続け、顔だけを悪女たちに向ける。
「待っていたわ、女悪魔ども! 挑戦状、たしかに受け取ったわよ!」
「これ以上の悪事は、私たちが許さない!」
「今、踊ったランバダは、この世を乱す馬と蛇に贈る、この世の名残の死の踊り!」
「たっぷり眺めて、あの世へ行くがいいわ!」
赤い衣装のベリーダンサーと背の高いピンクのベリーダンサーが交互に悪女たちに言葉を投げつけると、ガーラヴォーグの頭にさらに血が上った。
「挑戦状!? 何のことよ! とにかく、私たちの姿を見たからには死んでもらうわ! よし、おまえとおまえ! あいつらを捕まえておいで! ここであたしが死刑にしてやる!」
「イィィィ!」
ガーラに指差しで命令された二人の黒ビキニが、砂山を勢いよく駆け上がっていく。
「やれやれ、もっと踊りを見て行きなさいよ!」
そう言って、ピンクのベリーダンサーに背後から抱えあげられた赤のダンサーが、最初に上ってきた黒ビキニの胸に両足キックを見舞った。
「キィィィ!」
女戦闘員は叫びながら砂山を転がり落ちて行き、やがて地面にひれ伏すと黒ずみと化し、この世から消える。
「イィッ!」
続いて上がってきた黒ビキニが攻撃を仕掛けるが、赤のダンサーを下ろしたピンクのダンサーが迎え撃つ。
「イッ?」
巧みに股間へ太ももを当てられ面くらう黒ビキニに、ピンクのダンサーが太ももを小刻みに動かした。
「イ、 イイッ!」
黒ビキニはいつもの掛け声なのか、はたまた別の意味かわからぬ声を出してしまう。
だが、それも長くは続かなかった。
ピンクのダンサーが太ももを離すや間髪いれず、トゥーキックを放ったのだ。
「ギィィィ!」
股間を思い切り蹴りあげられた黒ビキニは、早くも空中で白目をむいて逝き、地面に身体が落とすと同時に黒ずみと化した。
27
:
ヴォーグブレイカー 4話 ⑤
:2014/06/27(金) 03:03:42 ID:gDpednNs
「なっ!?」
思いもよらぬ瞬殺劇に、黒ビキニたちとガーラヴォーグが呆気にとられるなか、
「フフ、さすがはヴォーグブレイカー。やりますわね。そろそろ正体を現したらどう?」
ただ一人、サラヴォーグだけが余裕ありげに砂山の上にいる二人に声をかけた。
「えっ!?」
ガーラが驚きの顔でサラを見やり、それからダンサー姿の二人へと視線を移す。
「じゃあ、お望み通り、見せてあげる! ブレスト・チェンジ!」
二人のヴォーグを睨みつけて、まずは赤のダンサー姿のヒトミが、胸の両乳首のボタンを交差した手で同時に押した。
「ブレスト・チェンジ!」
続けて、ピンクのダンサー姿のレイナも、同じ変身動作をおこなう。
「最強と化した腕が悪の女を砕く、ハートブレイカー・ヒトミ!」
「最強と化した腕が不埒な女を散らす、ハニーブレイカー・レイナ!」
「二人揃って、ヴォーグブレイカー!!」
「私達の真の姿を見たからには!」
「悪の女に明日は無いと知れ!」
山の稜線ぎわの満月をバックに、正義のヒロインに変身したヒトミとレイナがいつもの名乗りを上げた。
それを聞いた黒ビキニたちは、
「イィィィ!」
と奇声をあげ、ナイフを手にするや振りかざし、降りて来いとばかりに猛る。
ヒトミとレイナは互いに顔を向けて大きくうなずくと飛び上がって空中回転し、白いマフラーをなびかせながら、黒ビキニたちが集う場所へ着地した。
「イィィ!」
まずは、レイナめがけ黒ビキニの一人がナイフをかざして突進する。
だが、レイナは容易くナイフを奪い取ると、女戦闘員の美乳めがけその刃を横に一閃させた。
「ギィィィ!」
直線に裂けた黒いビキニの隙間から二つの乳首が覗かせながら、女戦闘員は仰向けに倒れると、傷ついた乳首から火花を発して黒ずみと化した。
「おのれ!」
「イィィ!」
仲間の死に黒ビキニたちはさらに猛って、ヒトミとレイナに襲いかかって行く。
28
:
ヴォーグブレイカー 4話 ⑥
:2014/06/27(金) 03:05:10 ID:gDpednNs
「ヴォーグブレイカー。日本に行けばいつかは会えると楽しみにはしていたけれど、まさかこんなに早く? どうして私たちがここにいるとわかったのかしら?」、
黒ビキニとレイナ達の闘いを目で追いながら、ガーラはサラに話しかけた。
「フフ。当然ですわ。わたくしが教えてあげたのですもの」
「なんですって?」
驚きでガーラは思わず、サラの方へ顔だけでなく身体まで向けた。
「日本にいる黒ビキニに密かに命じて、わたくしたちが始末した女科学者の廃墟に挑戦状を置かせたのよ。今夜、相手してさしあげるから、ここへおいでなさいってね。あいつらがどこにいるかわからないから、ちゃんと届くか心配でしたけれど、どうやらうまくいったようね。あいつらの住みかはあの近くにあるのかもしれないわ。まっ、ここで殺してしまうのだから、どうでもいいことだけど」
「そう、それで……。でも、勝手を嫌うミストレスさまよ。黙ってこんなことをしたと後でわかりでもしたら……」
「なに言っているの? ヴォーグブレイカーの首よ。ミストレスさまにこれ以上の手土産もないでしょう。別に不満でしたら、あなたは黙ってみていてよろしいのよ。わたくし一人でヴォーグブレイカーを片づけますわ」
サラのこの言葉で、ガーラは視線を再び戦いの場に、いや、レイナに目線をずっと合わせ続けた。
レイナの美しいプロポーションを見て、ガーラは思わず舌なめずりをする。
「冗談、私もやるわよ。その代わり、ハニーブレイカー・レイナは私の獲物! いいわね?」
「よくってよ。では、わたくしはハートブレイカー・ヒトミを。わたくしの相手には少し物足りなさそうですけれど」
サラはヒトミに目線を向けた。
「ヤッ!」
それは丁度、最後に襲い来る黒ビキニのナイフをかわしたヒトミが、鋭い手刀を彼女の胸の谷間へ突き入れるところであった。
「グェッ!」
女戦闘員は力なくヒトミの身体をかするように前のめりに倒れ、やがて消えていった。
ほんの数秒だが、しばしこの場に残った四人のにらみ合いが続く。
今や空は少し明るみ、もうすぐ日の出を迎えようとしていた。
「ハートブレイカー・ヒトミ。あなたとわたくしの決戦場、いえ、あなたの死刑場がこの砂山の向こう側に用意してありましてよ! さあ、ついてらっしゃい!」
「いいわ、サラヴォーグ! でも、そこで死刑になるのは、おまえの方よっ!」
「口だけは達者だこと。格の違い、とくと見せつけてさしあげますわ」
砂山を軽やかに上がって行くサラに、ヒトミも勢いよく駆け上ってついて行く。
「ヒトミ!」
レイナが思わずヒトミの背中に声をかけた。
なぜ、かけたのか、自分でもわからないままに。
「任せて、レイナ! そっちのヘビ女は頼んだわよ!」
だが、ヒトミの見せる笑顔にレイナは気を取り直し、ガーラと相対するのだった。
29
:
ヴォーグブレイカー 4話 ⑦
:2014/06/27(金) 03:06:09 ID:gDpednNs
「フフフ。再び会えて、うれしいわ、レイナ!」
ガーラヴォーグがレイナの足元から頭の先まで目で追いながら舌なめずりをする。
「ガーラヴォーグ! あなたのその気持ち悪い舌が私の身体を這ったときのおぞましさ! 今でも忘れられないわ! その借りを返させてもらうわよ!」
「やれるものなら、やってごらんよ!」
言うやいなや、ガーラはがレイナに飛びかかった。
だが、レイナは冷静に見据えて攻撃をかわし、カウンターパンチをガーラの頬に叩きこむ。
「グッ! よくも!」
ガーラはなおも襲いかかるが、レイナにことごとく交わされ、そのたび蹴りやパンチのカウンター攻撃をその身にくらった。
レイナの余りの隙のなさにガーラは驚き、早くも身体を少しすくませてしまう。
「来ないなら、今度はこっちから行くわよ!」
鬼神のごとく鋭い目でにらむレイナに、
「ヒィ!」
と、ガーラは思わず叫ぶと、まにわにうつ伏せとなるや、ヘビのように身体をくねらせ、巨大な鐘めがけて猛スピードで逃げ始めた。
その人間離れした異様な光景に、さすがのレイナも動きを一瞬止めてしまうが、すぐにその後を追い始める。
だが、ひと足早く鐘にたどりついたガーラに、撞座(つきざ)にできた円い穴から内部へと逃げ込まれてしまった。
そして、ガーラが中で何か操作をしたのだろうか、撞座(つきざ)の穴が閉じると、鐘が土煙を上げて地中へと沈み始める。
「クッ! 逃げる気?」
鐘が地面に埋まり土煙がおさまると、レイナは鐘のあった場所に立ち、足元を強く踏みつけた。
続けて、砂の中に手を入れ、鐘の上部にある鐘を釣るための突起、龍頭(りゅうず)を掴んで引っ張ってみるが、改造人間であるレイナの力をもってしてもびくともしない。
レイナはあきらめて龍頭から手を離すと、背筋をのばして立ち上がった。
そのときだった。
レイナの後ろの砂の中からガーラヴォーグが姿を現して左手でレイナの首を締めあげ、そのまま背後から抱きつく。
「かかったわね! スイッチを押した後、後ろの扉から出て、砂の中にずっと隠れていたのよ! もう、離さないわ! 死ぬまでずっと抱きしめて、あ・げ・る! フフフフ!」」
ガーラヴォーグは勝利を確信し、高笑いを上げた。
30
:
ヴォーグブレイカー 4話 ⑧
:2014/06/27(金) 03:07:17 ID:gDpednNs
ガーラとレイナが闘っている場所から砂の山一つ越えた場所には、白い木の柵が楕円に連なり、さながら競馬場のダート(=砂)コースのようになっていた。
木の柵は直径十センチほどの丸で出来た杭と杭の間に、長方形の薄い板が二枚張られているだけの簡単なもので、ところどころ白いペンキがはがれている。
「どう? ここはわたくしがヴォーグに成ったばかりの頃にトレーニングを積んだ場所。淑女であるわたくしにダートなど似合いませんけれど、おかげで足腰は十分に鍛えられましたわ。わたくしのキックは、世界一! もはや敵なし! あなたを今からここで、永遠の眠りにつかせて上げるわ」
「フン! 御託なんて並べてないで、さっさとかかってきたらどう! 博士の家でお前に踏みつけられ骨を粉々に砕かれたあの痛み、今、倍にして返してやるから!」
「ああ、やだやだ。これだから下品なガキはいやよ。言葉が乱暴で、聞くに堪えませんわ」
「言葉が汚くて、悪かったわね!」
ヒトミはこぶしを握りしめると、そのままボクシングのような構えをとった。
砂の上で軽やかにフットワークを踏みながら。
「それで、わたくしの蹴りをかわせるおつもり」
サラヴォーグは笑みを浮かべると、ヒトミのこめかみを狙ってハイキックを見舞う。
ヒトミは指なしグローブをつけた手の甲で、見事に受け止めた。
「フフ、これはほんの挨拶代わり。これからが本番でしてよ!」
サラヴォーグは左右の足を巧みに入れ変えながら、ミドル、ロー、ハイとコンビネーションキックを矢継ぎ早に放つ。
サラのキックは素早さに加え一撃一撃の重さが尋常ではなく、ヒトミは防戦一方になるが、フットワークを駆使し、時には足でキックを受け止め、必死に耐え忍んだ。
「もっと楽に倒せるかと思いましたのに、案外しぶといですわね。でも、防御ばかりでは何時(いつ)まで経っても、わたくしに勝てませんわよ」
「対あんた用に足技の得意なレイナが、わたしに訓練を施してくれたわ! そのレイナの思いに答えるためにも私は勝つわ!」
「そう。わたくしに見立ててね。じゃあ、そのレイナ先生はわたくしがこういう手を使うと、ちゃんとあなたに教えてくれたかしら?」
サラヴォーグはそう言うと、ヒトミの顔めがけて足元の砂を蹴った。
「アッ!?」
一瞬ひるむヒトミに、サラは後ろを向いて四つん這いになると得意の尻っぱねキックを彼女の巨乳めがけて放つ。
両足は狙いたがわず胸にヒットして、ヒトミは宙高く舞うと頭から落下した。
「ウウッ!」
仰向けになりすぐには動けぬヒトミに、サラヴォーグは容赦なく顔面や巨乳を激しく踏みつける。
その個所が腕で防御されると、今度はがら空きになったヘソ周りを思い切り足で踏んづけた。
「アガッッ!」」
ヒトミはお腹を両手で押さえると横になり、身体を少し丸めて身悶える。
「ホラ、お寝んねは、まだ早いわよ!」
サラヴォーグはヒトミの髪を掴んで顔を自分の腰まで持ってくると、容赦なく何度も顔を蹴りあげた。
ヒトミが腕をだらりと伸ばし半ばグロッキー状態になると、サラは髪をひっぱって顔を上げさせ、自分の方へとむかせる。
ヒトミの頬や目の周りには、うっすらではあるが痛々しい青あざができていた。
「ひ……、ひきょう……もの!」
ヒトミはかすれながらも声を振り絞り、サラを睨みつける。
「卑怯? 淑女であるわたくしに対して、なんて無礼な物言いかしら! 許せませんわ!」
サラはヒトミの頭を両手でつかむと、ヒトミの顔面を思い切り膝小僧で蹴った。
ヒトミの身体が少し浮いて、大の字で仰向けに倒れこむ。
「このクソガキが!」
身勝手に逆上したサラは、ヒトミの身体のいたるところを踏んでは何度も痛めつけた。
31
:
ヴォーグブレイカー 4話 ⑨
:2014/06/27(金) 03:08:23 ID:gDpednNs
一方、背後から首を左腕で絞めてレイナを拘束したガーラヴォーグは、レイナの耳たぶをひと舐めすると、顔をさらに耳元へと近づける。
レイナも背の高い方であるが、ガーラはさらに長身で、彼女の口がちょうどレイナの耳の穴の高さに位置していた。
「ああ、素敵よ、レイナ! 艶やかな髪、すべすべとした肌、吸い込まれそうな瞳、あでやかな唇、そしてなにより……」
ガーラは右手でレイナの巨乳を軽く揉むと、その手を徐々に腰へと這わせていく。
「出るところは出て、くびれたとことはくびれた、まさに黄金比率を体現したような理想のプロポーション! ああ、何もかも最高よ!」
ガーラはレイナの頬にすりすりと頬ずりをして、その喜びをあらわにした。
「あの時もほかに淫魔ヴォーグさえいなければ、こうしたかったのよ。あなたの身体を骨が折れるほど強く抱きしめる、この赤き死の抱擁をね! だから、あなたが甦ったと知ったときは、どれほどうれしかったことか。早くあなたに会いたくてうずうずして、時に焦がれてこの身が焼けそうになったわ。 ああいとしのレイナ、もう放さない!」
ガーラの手が腰から股間へと伸びていく。
その時だった。
「まるで、き、清姫(きよひめ)ね」
かすれ声でレイナが言い、ガーラは指の動きを止めた。
「キヨヒメ? 何、それ?」
「に、日本の……む、昔話に出てくる女性よ。わ、若い修行僧に恋した清姫が、思いを受け入れてくれぬ、そ、その男を追い続けた挙句の果て、大蛇に変貌してしまう話よ」
「ふうん? で、そのキヨヒメはどうなったの?」
「愛しい男が隠れた鐘に巻きついて火を吹き、その男を焼き殺したわ」
「鐘に蛇、確かに似ているかもね。 特に今からあなたを殺そうってところが!」
ガーラは足を絡めると力を込め、赤き死の抱擁の体勢に入った。
「ウッ!」
ガーラの強烈な絞め技に、レイナは必死にこらえる。
「フフ。やはり改造されただけのことはあるわね。こんなに長く楽しめるなんて……。やはりあなたは最高よ! この技で百人近く殺してきた女の誰よりもね!」
ガーラのこの言葉に、レイナの身体がピクッとなった。
(なんですって!)
首を絞められて声にならなかったが、喉は動き、ガーラがそれに気づく。
「ん、何か言った、レイナ?」
(ゆ、許さない!)
「え?」
やはり、よく聞こえず、ガーラは首を絞める力を少し緩めた。
「許さない! って、言ったのよ!」
声を出せるようになったレイナはそう言うと、手からイバラの鞭を取り出して、縦に振るう。
鞭はガーラの顔の真ん中に見事にヒットした。
32
:
ヴォーグブレイカー 4話 ⑩
:2014/06/27(金) 03:09:21 ID:gDpednNs
「アアッ!」
ガーラは赤き死の抱擁を解き、顔を両手で押さえる。
顔には赤いスジが走り、抑えた手にもその色がつく。
ヴォーグの能力でケガはすぐに治癒したが、ガーラの怒りはすぐには消えなかった。
「おのれ、レイナ、よくも! こうなったら赤き死の毒で醜く溶かして殺してやるわ! 死ね!」
ガーラは首筋に噛みつこうとするが、レイナは素早くかわしてバックを取る。
そして、左腕でガーラの左腕を挟み、右腕でガーラの目のあたりの顔面を挟んで左足を入れると腰を下ろすストレッチプラムを決めた。
「ガァァ!」
苦しむガーラヴォーグに容赦なく、レイナはさらに締め上げる。
「アグァ! ウゥッ!」
普通の人間ならとうに命を落とす段階まで締め上げると、レイナはようやく手を離した。
ガーラはそのまま、うつ伏せに倒れて、しばし身体をぴくぴくと震わせる。
「自分が逆に絞められる気分はどう、ガーラヴォーグ?」
仁王立ちで自分をにらむレイナに、ガーラは心底恐怖を覚えた。
不意打ち以外は何をやっても通じない。このままでは、私は……。
「ヒィィィ!」
ガーラは身体をくねらせて、今は地中に沈んでいる鐘めがけて一目散に逃げ出した。
今度は、本気で逃げようとして。
だが、今回は前とは状況が全く異なっていた。
「ヒュー!」
と、途中で口笛を吹いて鐘を地中からせり出させ、全て姿を現したところで、目を光らせて撞座(つきざ)の円い穴を開けなければならない。
どうしても、前よりロスが出てしまう。
いや、それよりなにより、同じ轍を踏むレイナではない。
ガーラが逃げ出す寸前には、その顔色と目線からとうに見抜いていたのだ。
穴が開いてガーラが頭を入れた瞬間に、レイナは女悪魔の右足をむんずと掴んだ。
33
:
ヴォーグブレイカー 4話 ⑪
:2014/06/27(金) 03:10:13 ID:gDpednNs
「は、離せ!」
身体をくねらせてガーラは必死で振りほどこうとする。
だがレイナにしっかりと掴まれてらちがあかず、逆に左足まで掴まれると体勢を入れ替えられ、おへそが上になる仰向けにされた。
「ええ、今離してあげるわ! あなたにこれをプレゼントしたらね!」
レイナは右手を離すと、大きく振り上げる。
「クロッチ・エンド!」
レイナの必殺技が、ガーラヴォーグの股間に炸裂した。
赤いパンツ装甲が裂かれ、むきだしになった淫乱な女悪魔の割れ目から、子宮口にある淫魔回路を破壊する電磁波が送られる。
「ウッ! アフゥゥン!」
激しいバイブレーションを受け、一瞬吐息を漏らすガーラヴォーグ。
だが、すぐに、
「ヒギャァァァ!」
と、金切り声を上げる。
クロッチ・エンドを受けた後に胸まで穴に入れたものの、そこで淫魔回路がショートして完全に機能が失われ、穴を通り抜ける蛇の能力を失ってしまったからだ。
元に戻った体型に撞座(つきざ)の穴は余りに小さく、なまじ巨乳であるがために、その圧迫は計り知れない。
もし、ヴォーグ用の人工骨と人工臓器が使われていなかったら、とっくに圧死していただろう。
だが、逆に言えば……。
「ガーラヴォーグ! お前が骨を折って殺してきた女たちの痛み、少しでも味わって地獄へ逝くがいいわ!」
レイナが女悪魔に浴びせたこの容赦ない言葉が、そのすべてを物語っていた。
手ごたえを感じたレイナは後方にジャンプし、爆発に備え距離を取る。
「ギャァァァ、痛い! 痛い! イヤッ! イヤッ! アァァァ!」
ガーラヴォーグは鐘から外に出ていたむきだしのへそと下半身をまるで早回しのベリーダンスのように何度も激しくくねらせた。
やがて、股間から火花が飛び、ガーラの股間が急激に高熱を帯びる。
「ヒッ! ヒギャァァァァァ!」
淫乱な蛇女は最後にもう一度大きく腰をくねらせると、爆発を起こしてこの世から消えた。
爆風で鐘も少しだけ舞い上がるが、余程頑丈なのか割れることなく砂の上へ横倒しになると、少しだけ転がって止まる。
(蛇になった清姫は鐘を炎で燃やしたけれど、レディー・ダークの蛇は逆に鐘の中で炎に包まれたわね)
レイナはそう心で言い放つと、鐘から目を外し、砂丘の向こう側へ視線を移した。
今まで先に戦闘を終えていたヒトミが今日は……。
一抹の不安を覚えながら、レイナは砂丘を駆け上がって行く。
空は今や日の出を迎え、夜明けを迎えていた。
34
:
ヴォーグブレイカー 4話 ⑫
:2014/06/27(金) 03:11:17 ID:gDpednNs
「フフ」
ヒトミをさんざ痛めつけて満足したサラヴォーグは、彼女の腹を踏んで居丈高になっていた。
仰向けになったヒトミの身体の至るところには痛々しく、少し黒ずんだ打撃痕が出来ている。
「あらあら、いい格好ね。それにしても、あなた改造人間のくせに、わたくしたちヴォーグと違ってすぐにアザが消えないのね。とんだ粗悪品だこと! ホホホ」
サラの言葉に、ヒトミの身体が反応する。
「わ、私は粗悪品なんかじゃ……ない!」
ヒトミはこぶしを握ると最後の力を振り絞って上半身を起こし、サラに殴りかかろうとした。
だが、サラにヘソを強く踏まれ、ヒトミは再び悶絶して仰向けになる。
その時、砂の山の向こう側から爆発音が聞こえてきた。
「どうやら、向こうは決着がついたようですわね。勝ったのは、とちらかしら? ま、どちらにしろ、こちらもそろそろ終わらせましょうか? あなたの顔も見あきたことですしね」
サラはヒトミから離れて助走をつけると、空高く跳び上がる。
そして、両足をそろえヒトミめがけて急降下した。
下を見るとヒトミはぐったりしていて、逃げ出せそうな気配はない。
(その巨乳に食らわせてあげるわ! 砂にめり込んでお死に!)
勝利を確信するサラヴォーグ。
だが、
「ヤァァァ!」
と間一髪、レイナが横から飛び蹴りを放ち、サラヴォーグを吹っ飛ばした。
横に飛んだ女悪魔は木の横柵を突き破ったあと砂の上に落ち、しばし転がって行く。
「ヒトミ!」
レイナは膝をつくと、痛々しい姿になったパートナーをそっと抱きあげだ。
「レ、レイナ!」
少し笑みを見せるものの、痛みを必死にこらえているヒトミに、レイナはたまらなくなり、それと共に怒りの感情がふつふつとわき上がってくる。
「おのれ、レイナ! よくも邪魔をしてくれましたわね! しかも、わたくしの美しい肌に蹴りを入れるなど、わたくし怒りましたわよ!」
自分が突き破った柵まで戻り、杭に打ちつけられて残っていた横柵の残骸を、八つ当たりで全て蹴り外しながら言い放つサラヴォーグの声を背後で耳にしたレイナは、ヒトミをそっと寝かせると、スクッと立ち上がった。
「怒り? 怒っているのは私の方よ! よくもヒトミをひどい目にあわせてくれたわね、サラヴォーグ!」
レイナは振り向いて怒りに満ちた鋭い目線をおくると、サラにじりじりと近づいていく。
35
:
ヴォーグブレイカー 4話 ⑬
:2014/06/27(金) 03:12:23 ID:gDpednNs
「レ……」
ヒトミは自分が受けたサラヴォーグの卑怯な手を伝えようとしたが、痛みで声が詰まり、その間に、二人の間合いはほとんど縮まっていた。
少し、心配をするヒトミ。だが、それは杞憂に過ぎなかった。
サラが砂を蹴りあげた時には、レイナは軸足を回転させてしゃがみつつ後ろを向いていた。
さらに回転を続けるレイナは足を伸ばし、女悪魔の軸足を後ろから蹴って仰向けに倒れさせる水車蹴りを決める。
だが、レイナの一連の動きはまだ終わらない。
レイナは素早く立ち上がると、左の足で仰向けのサラの右足を踏みつけ、右手でサラの左足首をつかんで持ち上げた。
黒いパンツを履いた女悪魔を大股開きさせたところで、レイナはようやく動きを一段落させる。
「どうせ、汚い手を使うだろうと思っていたわ。でなければ、普通に闘ってあの娘があなたに負けるはずないもの」
「フン、生死をかけた闘いに、卑怯も汚いもあるもんですか!」
「その通りよ。いいこと言うわね、あなた。だから私も遠慮なくあらゆる手を使って、あなたを痛めつけさせてもらうわ!」
レイナは弾むと、左足を掴んだまま膝落としをサラの左股関節に放った。
「アウッ!」
うめくサラに委細構わず何度も左足に膝落としを決めると、次にレイナは右足に狙いを定めた。
うつ伏せにさせて背中にのると、右足だけに逆エビ固めを決める。
「アアアッ! アウッ!」
足どころか背骨が折れそうになるまで曲げられ、サラヴォーグは激しく砂を叩いて苦痛にむせんだ。
「まだまだよ」、
足技を解いたレイナはうつ伏せのサラヴォーグの腹に腕をまわして起き上がらせる。
そして、背後から抱きかかえたまま高く斜めにジャンプした。
やがて共に落下を迎えるが、その落下地点はサラが突き破った柵のところ。
レイナの真下にはサラが横柵をすべて取り払ったので砂の地面しかないが、女悪魔の真下には、そう直径十センチの丸太の杭。
「ヒギャッ!」
女の大事な股間を思い切りぶつけ、サラヴォーグは大きく口を開けて悲鳴を上げた。
レイナが手を離すと、サラヴォーグはドサッと砂の上に仰向けに落ち、股間を押さえて右に左に身体を揺らせて悶絶する。
36
:
ヴォーグブレイカー 4話 ⑭
:2014/06/27(金) 03:13:13 ID:gDpednNs
「ウゥ! レイナ!」
サラヴォーグは股間を押さえたまま膝立ちになると、憎々しげにレイナをにらむ。
「サラヴォーグ! 次でおまえの最後よ! 覚悟するのね!」
レイナは股間にあるサラの手を払いのけると、そこに手を入れて持ち上げ、肩で抱きかかえた。
(ヒッ!?)
次は何をされるかとサラは恐怖におののくが、
(エッ!)
それは、ただのボディースラム。しかも軽く投げただけで威力もない。
「何のつもり? こんなのが効くとでも思ってるの? とんだ拍子抜けだわ! 剛魔回路のおかげで今までの痛みももうすぐ無くなる! 闘いはこれからね!」
地平線から登ったばかりの太陽を背に立つレイナに向けて、思わず笑みをもらすサラヴォーグ。
だが、
「いいえ! あなたはもう終わり!}
レイナはそう言うと、身体を少しずらす。
強くなった日差しの眩しさに、思わず目を細くするサラ。
だが、よく目を凝らすと、そこに木の杭があり、その上に人影が立っていたが、すぐにその影は跳び上がって視線から消えた。
その影とはハートブレイカー・ヒトミ。
なけなしの力を今振り絞り、腕をクロスさせて仰向けのサラめがけ落下する。
「ブレスト・エンド!」
ヒトミの必殺技が、サラヴォーグに胸に炸裂した。
黒のビキニ装甲が破れ、白い巨乳があらわになる。
そして、ヒトミの手から発せられるバイブレーションがその女悪魔の乳首を小刻みに震わせた。
「ア、ア、ア、アウン!」
サラは我慢できず、首を激しく振って快感に酔いしれる。
だが、その一方で剛魔回路は確実に破滅に向かっていた。
その手ごたえを感じたヒトミは、サラの巨乳の弾力を使ってバク転し地に降りるが、もはや力尽きてサラの側から離れることが出来ない。
「ヒトミ!」
レイナはヒトミを抱きかかえると、素早くジャンプして距離を取った。
「アアアアア! そんな!? そんな!?」
片やサラヴォーグは立ちあがり、最後の時を迎えようとしていた。
「うそよ! このわたくしが、死ぬなんて! 冗談よ! そんなこと、ありえるはずがないわ!」
だが、その言葉と裏腹に、サラの夜乳がブルブルと震え、火花がほとばしる。
「アアア! イヤァァ!」
恐怖で顔をひきつらせたサラヴォーグは、最後にレイナの方へ目を向ける。
「おのれ、レイナ! お前さえいなければ、お前さえいなければぁ!」
と断末魔を残して木の柵に力なくもたれかかると、火柱をあげて爆発した。
「レイナ、勝ったのね」
「ええ、ヒトミ」
ヒトミはレイナに微笑身を向けると、レイナの巨乳にもたれかかり目を閉じた。
「ヒトミ、よく頑張ったわ。身体の回復のために、ゆっくりお眠りなさい」
レイナはヒトミを抱きかかえたまま、死闘の終えた決戦場を後にするのだった。
37
:
FFやられの人
:2014/06/27(金) 03:17:05 ID:gDpednNs
以上です。
ここでの作品投下は1年ぶりなんですね。そんなに間があいたとは、自分でもびっくり。
ほんとに遅筆で、いやになります。
38
:
名無しさん
:2014/06/27(金) 17:01:03 ID:tB1FBvnc
>>37
乙です!
お得意の百合的美しさに満ちていて、たまりません!
やられ役ももちろんイイのですが、ヒロインの二人も雰囲気があって好きですw
39
:
名無しさん
:2014/06/28(土) 19:24:57 ID:l8AA9aGI
>>37
あなたの作品を待っていた!お疲れ様です!!
サラヴォーグの高慢ちきさとボコされっぷりがたまりません!
個人的にはアントちゃんと並ぶベストヴォーグですね…。
40
:
U・N・オーエン
:2014/06/28(土) 22:05:07 ID:7THMxHvY
ちょいと質問です。
実はくノ一ネタを思いついたのですが、ここに投下して良い内容か少し迷っています。
何故なら抜け忍ネタで追撃してくるくノ一が相手となっているからです。
敵ではありますが悪ではないんで、ここに投下して良いものでしょうか?
41
:
名無しさん
:2014/06/28(土) 23:31:40 ID:DZs6oqr2
今までにもそういうのはありましたし大丈夫では?
42
:
名無しさん
:2014/06/29(日) 10:13:25 ID:lz2ifCZ6
神経質になりすぎ
43
:
U・N・オーエン
:2014/06/30(月) 01:51:21 ID:hgcyy48w
恋人であった甲賀「扇谷衆」の跡取り、甲賀剣之介と共に里を出てからの1年、住まいとして使っていた山奥の廃寺で、最愛の夫に抱かれながら幸せな微睡みに浸っていた元・伊賀「刃隠れ衆」の姫、螢は、ハッと意識を覚醒させた。
「・・・剣之介様・・・・」
「・・・ああ、分かっている・・・」
螢のささやきにやはり目を覚ましていた剣之助が短く答える。
殺気を帯びた者達(もっとも殺気は押し殺しており、剣之介や螢でなければ気づけなかっただろう)が複数人、この寺に接近している。
剣之助いまだに目を開けていないのは、精神を統一させて気配を窺っているからだろう。
螢は邪魔をしないようにそっと寝床を抜け出すと、静かに身支度を調える。
普段は穏やかで優しい性格の女性であるが、今の彼女の眼光は忍びの姫君に相応しい鋭いものへと変わっていた。
「・・・正面から20人、後方から10人・・・全部で30人か・・・」
目を開くと剣之介は小さく溜息をつく。
自分と螢、元次期頭領の男女とはいえ、たった2人の抜け忍を抹殺する為には大げさすぎる数と言えた。
否、実を言えばそれ程大げさという訳ではない。
数だけの追っ手ならば剣之介の特殊能力で十分に対抗できる。
問題は、その30人はいずれも2人の抹殺という任務で選抜されて派遣された者達だということだ。
当然の事ながら、特殊能力対策は万全と考えるべきであり、それに数の暴力が加わるとするならば2人が生き残ることは極めて至難であると言えた。
「どうぞ・・・」
身支度を終えた螢が、夫に着替えの服と愛刀を差し出す。
螢自身は普段愛用している白い着物ではなく、編み目の細かい全身鎖帷子の上に白い忍び衣装という姿だ。長く美しい髪も邪魔にならないように後ろで結んでいる。
「・・・螢、俺がここで追っ手を食い止めるから、お前は隙を見てにげ・・・」
「嫌です・・・」
着替えなが優しく語りかける夫の言葉を螢は首を横に振って最後までいわせなかった。
「一緒に里を捨てた時、約束したはずです・・・これからは、どんな時も一緒にいると。」
彼女にとって剣之介と一緒ならば死も怖くはなかった。
怖いのはただ1つ、彼と別れてしまうことだ。
「あなたが戦うというならば、私も戦います。そしてあなたがここで命を落とすなら・・」
一端、そこで区切ると螢は夫の目を正面から見つめて再び口を開く。
「私の死に場所もここです・・・」
何の迷いも躊躇もない言葉。
それだけにその決意は鉄よりも固いことを夫である剣之介は既に理解していた。
「分かった・・・ならば2人で何処までも一緒に逝こう・・・」
「はい」
夫の言葉に命は心からの微笑みを浮かべた。
44
:
名無しさん
:2014/06/30(月) 01:53:25 ID:hgcyy48w
夜の闇に紛れるように廃寺の後方から迫るのは異様な女達の集団だった。
先頭を走るのは白ずきんを被った若い尼である。
歳は剣之介や命と同世代だろう、左目の下に泣き黒子がある絶世の美女だ。僧衣の上からもはっきりと分かる巨乳であり、まさに「女」というものを体現しているようである。
その後方には尼を護衛するように武士装束姿の若い男装の女が2人続き、更にその背後には生気を一切感じさせない人形のような遊女達が7人続く。
これこそ、甲賀扇谷衆の精鋭くノ一集団「陽炎衆」だ。
(あの寺に剣之介様が・・・)
先頭を走る尼姿の女、“陽炎衆”組頭である命(ミコト)は、日頃から想いを寄せていた幼馴染みの顔を思い浮かべてながら病んだ笑みを口元に浮かべる。
彼女は甲賀扇谷では剣之介の家に次ぐ名家の娘であり、幼い頃から彼の妻になることを夢に見ていた。
だが、代々、一族の女が背負うべき秘密を知った時、彼女は自身の運命を呪いながらも全てを諦めた・・・と自他共に思っていた。だが、彼女の剣之介への執着は彼女の心を確実に蝕み、いつしか彼に近づく他の女を人知れ事故死させることに喜びを覚えるようになっていったのである。
剣之介が扇谷衆の宿敵である伊賀葉隠れ衆の次期頭領、螢と逢い引きをしている事実を知った時は、嫉妬心からも相まって反対派の急先鋒として他の忍び達を扇動、同時に秘かに螢抹殺の計略も練っていた。
ただ彼女にとって誤算だったのは、この様な空気に危険を察知した剣之介が全てを捨てて螢と共に姿を消してしまったことだ。
この事態に対して、彼女は伊賀葉隠れ衆における婚姻反対派であった薬師天山と結託すると、「忍びの掟」を大義名分に剣之介の祖父を始め穏健派を粛清、忍び里の実権を握り(同様のことは天山の指揮の下、伊賀葉隠れの里でも起きた)、姿を消した剣之介と螢の捜索に全力を投入したのである。
やがて、廃寺を住居に定め、薬師として2人が細々と隠れ済んでいる事実を知った命は、自らの子飼いである陽炎衆を引き連れて、同様に自ら出陣した天山の一行と合流し、剣之介と螢の抹殺に向かったのだった。
(まあ、天山ごときに剣之介様が討ち取れるとは思えないけど・・・・)
正面から寺に向かっている天山の手勢を思い出して命は内心冷笑する。
彼の手勢は数こそ多いが、忍びと言うよりも剣客や鎖がま使いなど武芸家が多かった。
その様な者達が相手である限り、例え百人いても「害意が攻撃者本人に向けられる」という無敵の瞳術を持つ剣之介に勝てるはずもなかった(なお、剣之介の能力について天山から聞かれた時、剣之介を天山に害させるつもりがなかった彼女は嘘を教えていた)。
天山は螢を殺害してくれれば御の字、仮に無理だとしても2人を足止めしてくれれば十分である。
(剣之介様を殺せるのは私達だけよ・・・)
今や彼女の望みは剣之介を自らの手で殺して、彼を永遠に自分のものにすることだけだ。
(ああ、やっと・・・私だけの剣之介様になるのね・・・・)
手に入れた剣之介の死体を心ゆくまで楽しむ自分の姿を想像し命はゾクゾクと体を震わす。その時、彼女の暗い欲望の炎を宿す命の瞳が薙刀を手にして裏門の前に立つ忍び装束の女を捉えた。
45
:
名無しさん
:2014/06/30(月) 01:54:48 ID:hgcyy48w
「お前は螢・・・・」
「貴女は確か扇谷衆の命さん・・・でしたね・・・」
門から数メートルの距離を置いて立ち止まった命達を前にして、螢は薙刀を構えた。
その表情は決して剣之介には見せたことがない冷ややかなものだ。
「初めてお会いした時から、貴女とは何時かこうなる日が来ると思っていました。」
以前、剣之介に呼ばれて扇谷を訪れた時、螢は命と面識を持っていた。
この時は気づかないふりこそしたが、命の剣之介に対する執着と、自分に対する凄まじい嫉妬は明かであり、いずれ彼女と全ての決着をつける日が来る事を螢は予期していた。
「フン、それはこちらも同じよ・・・あの時は虫一匹殺せないような顔をしていたくせに。あの猫を被った態度で剣之介様を誑かしたと言う訳ね・・・」
そう応じつつ命は自らの手でこの女を嬲り殺す絶好のチャンスを得たことに心の中で喜びを感じていた。
「私の幻之介様を汚した罪、その体で償ってもらうわ」
命の言葉と同時に、配下のくノ一達が一斉に戦闘準備に入る。
2人の武士装束の女−千早と龍夜という名前だ−が獲物である槍と刀をそれぞれ構え命を守り、7人の遊女風の女達が着物を脱ぎ捨てる。
彼女たちは全員、両腕両足の鎖帷子以外は無いも身につけていない文字通りの産まれた姿で小刀を身構えた。
「フフフ、天山から聞いたわよ・・・『葉隠れ衆の螢姫は薙刀の使い手だけど、肝心の忍術の才や能力を持たない無能者だって・・・」
忍びの戦いにおいては純粋な戦闘力よりも忍術や特殊能力の優劣が全てを左右する。
とくにある理由から陽炎衆にとっては武器しか使えない相手は格好の獲物でしかなかった。
「そう・・・天山がそんなことを・・・・」
「陽炎衆が誇る裸忍の恐ろしさ、その身にじっくり教えてあげるわ・・」
どこか勝ち誇った命が指を鳴らすと、2人の裸忍が無言で螢に襲いかかる。
不思議なことに彼女たちの動きは護身術を受けた一般人よりはややマシというレベルだ。そんな彼女たちが薙刀の達人である螢を相手にするのはあまりに無謀であった。
「ハアッ!!」
鋭い声と共に繰り出された薙刀の鋭い斬撃。
「アグッ」
「ヒギャ」
一合も刃を交えることなく1人は横切りで首を、もう1人は袈裟斬りで右肩から左脇腹にかけて、2人の裸忍は一瞬で切り捨てられた。
「かかったわね・・・」
だが配下の者があっさり倒されたにも関わらず、命の口元には余裕の笑みが浮かんでいた。
「毒の霧からお前はもう逃れることは出来ないわ」
46
:
名無しさん
:2014/06/30(月) 01:56:16 ID:hgcyy48w
陽炎衆くノ一の秘密、それは命を含めた全員が毒女(ぶすめ)ということだ。
毒女とは、毒が効きにくい体質の女が様々な毒を少しづつ混ぜた食事を与え続られた結果、吐く息から血、唾や愛液までありとあらゆるものが毒となった女である。
性行為だけではなく、キスをしただけでも相手を死に追いやることが出来る為、特に男を標的とした暗殺において抜群の力を発揮した。
しかも、暗殺者であることに気づいて彼女たちを斬り殺した場合も、流れる血が毒ガスとなって、自分を倒した相手の命を奪う恐るべき存在であった。
なお、陽炎衆の下忍に相当する裸忍はそんな毒女の戦闘時の有効性に目をつけた命が、若い女をさらって薬で自我を奪い、短期間で無理矢理仕上げた毒女であり(耐毒性など無視だから最終的な仕上げ後、数時間しか生きられない)、斬られて相手を道連れにすることが彼女たちに与えられた唯一の役割であった。
「フフフ、その女達の毒はあえて神経毒にしておいたわ。命に別状はないけどすぐに動けなくなるわよ・・・」
相手をいたぶるような声で命は告げる。
毒が回って動けなくなったところを徹底的に嬲って、剣之介を奪われた恨みを晴らす。
それが彼女の思い描いた未来図だった。
だが・・・
(・・・えっ!?)
「はああああああああああああああ!!」
螢はケロリとした様子でそのまま命達に向けて駆ける。
「嘘・・・」
信じられない光景に愕然とする命。
「ち、近寄らせるな!!」
「全員でかかれ!!」
思いがけない光景に主と同様に動揺したのか、命の命令を待たずに千早と龍夜が迎撃の命令を下す。
その命令に応じて機械的に螢の前に立ち塞がる裸忍達。
だが、「一応、それなりに戦えればよい」程度の訓練しか与えられていない彼女たちに螢を倒すことが出来るはずもなかった。
「そんな・・・そんな馬鹿な・・・」
短刀で斬りかかってくる裸忍達を足を止めることなく一刀のもとに斬り倒しながら迫る螢の姿に愕然とす命。
普通ならばあれだけの毒女を斬り倒して無事でいられる訳がない。
そんな疑問にとらわれて有効な指示を出せぬ間に裸忍達の数はみるみる数を減らし、気づいた時は裸忍達は全滅し側近の千早と龍夜までも倒されていた(槍使いの千早は突いた槍を両断され、その勢いのまま縦一文字切りでその体を真っ二つにされ、居合い使いの龍夜はすれ違いざまに斬り倒された)。
47
:
名無しさん
:2014/06/30(月) 01:58:00 ID:hgcyy48w
残りは貴女1人です・・・お覚悟を・・・」
抜刀した姿勢のまま胸から血を吹き出して崩れ落ちる龍夜を尻目に、螢は薙刀を一振りして刃についた血を振るい落とす。
「何故、お前には私達の毒が効かない・・・?」
毒が効かない理由は1つしかない。
螢もまた同じ毒女と言う可能性だ。
だが、そうであるならば剣之介と一緒にいられる訳がないし、天山もまたこの女にそんな特性があるとは言っていなかった。
「本当に天山は貴女に何も教えてくれなかったのですね・・・」
命を見つめる螢の表情は相変わらず冷ややかであるが、その瞳には僅かに憐憫の色が浮かぶ。天山が何故、命に自分の特性を教えなかったのかその理由が分かったからだ。
(要するに彼女は天山にただ利用されたという事ですね・・・)
剣之介の瞳術や命が毒女としての特性を持つように、螢もまたある能力を持っている。
それは彼女に見つめられた者はあらゆる忍法や魔技が無効化されるというものだ。
倒した者を必ず道ずれにする恐るべき毒女達もまた彼女の前では戦闘力の劣る普通のくノ一でしかなかった(逆に言えば、彼女を倒すには忍びの戦いとしては異例であるが、通常の戦闘力に訴えるしかなく、天山が今回の戦いで普通の武芸者を集めていたのはそれが原因だった)。
伊賀者であるならば誰もが知っているこの秘密を天山が彼女に教えていないと言うことは、ここで彼女たちを自分達共々共倒れさせる気だと言うことに他ならなかった。
「理由は教えられませんが、私には毒が効かない・・・それだけのことです」
「・・・天山め、私を騙したと言うの・・・本当に信義の欠片もない男ね」
天山の思惑にようやく気づいたのか、命はその美しい顔を歪めた。
余談であるが、同時刻、正面門で剣之介の瞳術の前に手勢を全て失った天山が命に対して「あの売女・・・良くもワシを騙したな・・・」と呟いていた事実を命は知らなかったった。
「・・・これ以上私達に関わらないとお約束出来るならば、ここで終わりにしますが・・」
「何を馬鹿な、毒が効かない程度でいい気にならない事ね」
螢の降伏勧告に命は鼻で笑うと着ていた法衣を脱ぎ捨てる。
宙を舞う法衣が螢の視界から命の姿を隠した。
「っ!!」
殺気を感じた螢がとっさに後方へと下がる。
法衣を払いのけるように繰り出された鋭い鉄爪が螢の忍び衣装を切り裂いたのはまさにその瞬間だった。
48
:
名無しさん
:2014/06/30(月) 01:59:40 ID:hgcyy48w
幸い切り裂かれたのは上に着ている忍び衣装だけであるが、後退しなければ肉体ごと斬り割かれていただろう。
もはや着物の残骸と化した忍び衣装を脱ぎ捨て、全身鎖帷子のみの姿となった螢が改めて命と対峙する。
「チッ、勘が良いわね・・・」
両手に鋭い鉄爪を装着した命が舌打ちした。
法衣を脱ぎ捨てた命が着ているのは現代風に言えばボディスーツや全身レオタードと表現しても良い黒色の体に密着した忍び衣装だ。頭の白頭巾も脱ぎ捨てており、腰辺りまで伸ばしたやや癖のある髪が大きく波を打っている。
豊かさと引き締まった筋肉を両立させたプロポーションは同性ですら息を呑むであろう女の魅力があふれていた。
「・・・鉄爪・・・それが貴女の武器という訳ですか・・・」
だが、螢は他者ならば圧倒されるであろうそんな命の魅力に呑まれることなく冷静そのものだ。普段の穏やかで優しい性格と忍びとしての冷静さ、それを両立させている彼女は流石は元伊賀刃隠れ衆の次期頭領というべき女性であった。
「フフフ、そうよ・・・私が毒しか能がない女だと思って? 鎖帷子で全身を守っているようだけど、そんなものこの武器の前には紙も同然よ。切り刻んだお前の無惨な死体を剣之介様に見せてあげるわ・・」
クスクス笑いながら挑発するように爪先を舌で妖艶に舐める命を前にして、螢は小さく溜息をついた。
「・・・そんなことをするような女を剣之介様が愛すると本気で思っているのですか?」
「何をいっているの?他の女を選ぶような心なんていらないわ。私はこの手で剣之介様を殺して永遠に私だけのものにするの。もう誰にも渡しはしない・・・・」
この言葉で、同じ男を愛している者同士という命に抱いていた僅かな親近感と彼女から愛する者を奪ったという後ろめたさは螢の中から完全に消えた。
この女は剣之介を愛している訳ではない。
自分自身を愛している結果、自分にとって都合の良い剣之介を求めているだけなのだ。
「そう・・・ならば私は貴女だけには負ける訳には参りません・・」
自分を選んでくれた最愛の人の心、それを否定する様な行為だけは決して許せない。
「甲賀剣之介が妻、螢・・・お相手致します。」
螢は薙刀を構え直すと、静かにそして高らかに宣言した。
それは本来ならば何でもない名乗りあげ。
だが、命に対しては嫉妬心を爆発させるこれ以上にもない挑発的宣言であった。
「剣之介様は私のものよ!!」
案の定、感情を爆発させた命が声高に叫ぶと螢に向けて跳躍する。
「ハッ!!」
それに応じるように螢もまた地面を蹴る。
ボディースーツ姿の妖艶なくノ一と全身鎖帷子の清楚なくノ一が空中で交差した。
その瞬間、肉を切り裂く音が辺りに響く。
数秒後、互いに背中を見せる様な感じで螢と命は着地した。
「クッ・・・・」
右肩を押さえながら先に膝をついたのは螢の方だった。
鎖帷子が切り裂かれた肩からは血が噴き出す。
一方、命の方は無言である。
当然だ。
着地した彼女の体には首から上が消失しているのだから。
体に遅れること数秒、憎しみに満ちた表情を浮かべたままの彼女の首が地面に転がり、それに合わせるように体もまた崩れ落ちる。
これが甲賀扇谷陽炎衆組頭、命の最期であった。
この後、螢は見事天山を倒した夫と再会を果たし、いずこともなく姿を消した。
その後の2人の行方は誰も知らない・・・
49
:
U・N・オーエン
:2014/06/30(月) 02:20:47 ID:hgcyy48w
土日を利用して書いたくノ一ものです
「ヘルガールズの続きはどうした?」とは突込まないで下さい。
気が乗らないと書けないタイプなのもので・・・(苦笑)
元ネタはお気づきの方も多いと思いますが山田風太郎氏の代表作である「甲賀忍法帳」です。
毒女設定については映画の「里見八犬伝」ネタも取り入れています。
当初案よりも悪女要素を多めにした命さんですが、ラストのヤラレに関しては少し弱いかな〜と思っています。
もう少し毒女設定を活かして自滅とかやってみたかったんですが設定上、無理でした。
要反省です。
今回のヒロインである螢さんは、イメージとしては「朱色の月」というエロゲーに登場した和泉と言うキャラを使っています。
敵として登場する薙刀使いなのですが、愛する人にひたすら尽くすというキャラでお気に入りでした(ちなみに彼女の想いはちゃんと報われます)
好きな映画やゲームの要素をごちゃまぜにした完全にmy趣味を突き詰めた作品でしたが、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
50
:
名無しさん
:2014/07/01(火) 11:38:45 ID:x3gzP5zQ
>>49
乙です!
ヤンデレ悪女、報われない感じがイイですね。
護衛の二人も気になるキャラでした。
元ネタのイメージでいくと、天山は不死身そうなので、実は命さんと相性が良かったのでは……なんて思いましたw
51
:
U・N・オーエン
:2014/07/07(月) 00:55:40 ID:jDuPjNDo
以前から書きたかったヘルガールズ小説です。
としあき様が後悔しているキャラの中で一押しのキャラ、水谷綾ですが、作中で既に死亡している為書きたくても書けなかったのですが、今回、ある禁じ手を使って再登場させました。
今作品のテーマは水谷綾ヒロイン化&無双化
全3話になる予定で、ヤラレ自体は2話から始まる予定です。
今回はヒロイン化のフラグ成立&ヤラレキャラの顔見せですがご容赦下さい。
2話は既に書き始めているので、今週中に公開予定です。
なお、以前書いたヘルガールズ作品はもう忘れて下さい(汗)
キャラが動いてくれなくてもうどうしようもないです・・・
52
:
名無しさん
:2014/07/07(月) 00:57:01 ID:jDuPjNDo
ヘルガールズ外伝
水谷綾、再び
第1話
その港はあの日と少しも変わらず相変わらず寂れており、人気がなかった。
「港と言えば、やはりここだよな・・・」
龍根剣は周囲を注意深く警戒しながら、服のポケットから一枚の手紙を出す。
『あの港で待っています。綾』
今朝方、靴箱に入っていた手紙にはそれだけ記されていた。
文面だけ見れば指定場所に目をつぶればお約束のラブレターの文面だ。
だが問題は差出人の名前である。
剣が知る限り、綾という名の女性は1人しかいない。
水谷綾
かつて剣を慕っていた後輩の少女。
だが彼女はヘルガールズによって怪人に改造され、この港で剣の手によって倒されていた。
『先輩に倒されるならば本望です・・・』
その言葉を残して微笑みながら消滅していった彼女の最期は、今でも思い出すことができる。彼女のことは絶対に忘れない、それがそれ以外の方法がなかったとはいえ、この手で倒した彼女へのせめてもの償いである。
だからこそ、この手紙を受けとった時、罠の可能性を考えもながらもあえて再びこの港に剣はやってきたのだ。
「先輩!!」
その時、聞き覚えるのある少女の声と共に、突然腕に誰かが抱きついた。
上着のフードで顔を隠した私服の少女だ。
その大きな胸の感触は剣に懐かしい記憶を呼び起こすものだった。
「会いたかった・・・本当に会いたかったです、先輩・・・」
剣の体に顔を埋めて肩を振るわせる少女の足下にポタポタと水滴が落ちる
「まさか、本当に綾なのか・・・?」
「はい、先輩が私を覚えてくれていてくれて嬉しいです」
剣の言葉に顔を上げた少女の顔は間違いなく水谷綾だ。
記憶にある通りの笑顔を浮かべ、両目から溢れるような涙を流している。
「だが、君は確かにあの時・・・」
「・・・ええ、確かにあの時私は先輩に倒されました・・・でも幽霊ではありません」
ようやく剣の体から離れると、綾は涙を拭いてちゃんと足があることを強調するように、白いストッキングを履いた足を剣に見せつける。
「簡単にいえばTVのヒーローものによく登場する再生怪人です。組織の科学技術で先輩に倒された怪人を蘇らせているんです。」
「まさか、本当か・・・?」
驚く剣に綾はコクリとやや真剣な面持ちに頷く
「ええ、私がここにいるのがその証拠です・・・でもあまり先輩には関係ないかもしれませんね」
「えっ・・・?」
「組織では私達のような再生怪人を先輩に対する戦力としてではなく、別の目的で蘇らせたんです。だから、特殊な理由がない限り先輩が再生怪人に出会うことはないはずですよ。」
剣は綾の言葉に僅かに首を傾げた。
明らかに彼女の説明は矛盾していた。
ヘルガールズが過去の怪人を蘇らせたのは理解した(どうやってあの様な倒され方をした怪人を蘇らせているのかはこの際考えないことにした)
また、その目的が自分に対する戦力ではなく、別の理由であることも理解した。
しかしそれならば、綾が今ここにいる理由が説明がつかないのだ。
「綾、それならば、何故君がここに・・・?」
「・・・先輩、お願いがあります・・・」
剣の質問をスルーして綾はにこりと笑顔を浮かべると、服に手をかけてそのまま脱ぎ捨てる。
一瞬にして彼女の姿は、青いスクール水着のような戦闘服を着たヘルガールズの怪人に変わる。その姿は前回の戦いの時とほぼ同じであるが、足には白タイツをはいている。
「私ともう一度戦って下さい・・・」
53
:
名無しさん
:2014/07/07(月) 00:59:31 ID:jDuPjNDo
「・・・2つ聞いて良いか・・・?」
剣の言葉に、綾は「私に答えられる範囲でしたら」とにこやかに応じる。
「白タイツを履いているのは復活怪人の特徴なのか?」
「あっ、いえ・・・」
剣の指摘に綾はさっと顔を赤らめた
「そろそろ冬ですし、素足だと結構きついんです・・・あの似合っていませんか?」
そう問われて、剣は改めて綾の姿を見直す。
スクール水着型戦闘服と白タイツの組み合わせは戦闘服のみよりも露出が少ないはずなのに異様にエロかった。
「・・・・・いや、大人っぽくて良いと思うよ」
「あ、ありがとうございます、先輩にそう言って貰えて嬉しいです」
生死をかけた戦いを挑んでいるにもかかわらず、先輩・後輩の関係であった頃と少しも変わらぬ様子で喜ぶ綾を複雑に想いながら剣は二つめの質問を口にする。
「戦う以外に選択肢はないのか?」
「・・・ありません」
笑顔はそのままにスッと目を細めて綾は答えた。
「先輩、私にはもうこれ意外に選択肢がないんです・・・」
彼女は語る。
組織が自分を蘇らせた理由は新型怪人の性能テスト用標的なのだと。
「私を殺して良いのは先輩だけです・・・だから私は組織を脱走したんです。ここで先輩と戦わなくても私は遠からず脱走者として組織に消されるか、エネルギー切れで消滅するしかありません。それくらいならば先輩と一緒に死にたいんです・・・私の身勝手の道連れにするようで、先輩にとっては迷惑な話であること理解しているのですが・・・」
要するに、自暴自棄になって無理心中を計画したと言うことだ。
本来ならばこの様な馬鹿馬鹿しい話に付き合う必要はない。
だが剣は小さく溜息をつくと、戦闘スーツであるドラゴンメイルを装着した。
「綾、君と一緒に死ぬ気はない・・・だが、戦って欲しいという君の願いには応じるよ」
「・・・先輩はやっぱり優しいですね。私はこれから全力で先輩を殺しにいきます。もし先輩が勝ったのなら私みたいな女のことはもう忘れて下さい。」
どこか救われたかのように綾は一瞬だけ満面の笑みを浮かべると、顔を引き締めて身構えた。それに合わせるように剣も身構えた。
「やああああああ」
先に動いたのは綾の方だ。
意外にも特殊能力である水圧銃は使用せず、素手で剣に吶喊する。
(まさか玉砕戦法か・・・?)
無謀と言える綾の動きに意表をつかれた剣だが、すぐに気を引き締めると、突撃してくる綾の腹部に向けて蹴りを放つ。
「タアッ!!」
「ハッ!!」
だがその蹴りを綾はジャンプでかわすとそのまま体を回転させながら剣を飛び越え背後に着地する。
それは体操選手の動きだ。
(しまった・・)
二重の意味で剣は判断ミスを後悔する。
1つは、純粋に綾の意図を読み間違えたミス、もう1つは学生だった時の彼女が所属していた部活を失念していたことだ。
即座に距離をとろうとする剣だが、その判断は少し遅かった、
背中に綾の体が密着し、首に細腕が巻き付かれる。
「先輩油断でしたね、私は元々体操部ですよ・・・助走をつけてのジャンプは得意なんです。」
クスクスと耳元で囁きながら綾は剣の首を締め上げる。
前回の戦いで特殊能力キックやパンチなどの打撃戦法も剣のドラゴンメールに通用しないことを学習していた綾は、絞め技に唯一の勝機を見いだしていた。
首をグイグイと締め上げる綾に対し必死にもがいていた剣だがふと動きを止めた。
「あれ、先輩・・もう諦めたのですか・・・?」
「・・・ご免、綾・・・」
「えっ?」
突然の謝罪の言葉を聞いてキョトンとする綾。
次の瞬間、剣は後ろ向きに倒れた。
「きゃああああああ」
重力に従う剣の重みに持ちこたえることが出来ず、綾は地面と剣の間でサンドイッチになる。両手はふさがっていた為、ろくに受け身をとることも出来ず全身を強く打ちつけ、悲鳴を上げた。
その隙に脱出し、体勢を立て直す剣。
だが即座に追撃することはせず、綾がダメージを回復するまでジッと待った。
「・・・流石は先輩・・私の浅知恵は通用しませんか・・・」
痛みに耐えるように顔を歪め、よろめきながら綾は起きあがる。
「もう終わりにするよ・・・」
剣は必殺「龍根剣」のためにドラゴンメイルを解除する。
「ああ、先輩の輝きってやっぱり綺麗ですね・・・」
剣の男根にエネルギーが集まるのを微笑みながら見守る綾は、自ら水着状の戦闘服と白タイツを脱ぎ捨て、産まれたままの姿になった。
「でも私だってこのままでは終わりませんよ」
54
:
名無しさん
:2014/07/07(月) 01:07:05 ID:jDuPjNDo
「龍根剣!!」
裸で身構える綾に、剣は跳躍すると男根に集まったエネルギーで出来た光の剣を綾の頭上めがけて振り下ろした。
「負けません、龍根剣挟み!!」
綾は僅かに後退して頭から両断されるのを回避すると(二度目だから出来たのだ)、胸を寄せて、剣の男根を挟み込んだ。
全エネルギーを胸に集めて龍根剣のエネルギーに対抗する。
ほとばしるエネルギーのぶつかり合いが剣と綾を包み込んだ。
再び静寂が戻った時、仁王立ちした剣に対して膝で立った綾がパイズリをしているような姿で微動だにしなかった。
「・・・先輩・・・私が考案した対龍根剣の奥の手、どうですか・・・?」
「正直、驚いている・・・こんな形で龍根剣を正面から防がれたのは初めてだし・・・」
「そう・・・ですか・・・」
剣の言葉に綾は満足そうに微笑むとふらっと崩れ落ちる。
とっさに剣が綾の体を抱きしめた。
「・・・でも勝負は・・・私の負けですね・・・全エネルギーを使っちゃいましたから・・・でもいいんです・・全力で戦えて、こうして大好きな先輩に抱きしめて貰えたんだから・・・」
私、今すごく幸せです、と綾はエヘヘと少し恥ずかしそうに笑いながら綾は剣に話しかける。
「セン・・パイ・・・約束通り、私のこと・・・忘れて・・下さい・・・」
そう言い残すと、力尽きたように綾は静かに目を閉じた。
「綾・・・」
剣の呼びかけにも綾はもう何も答えない。
辛うじてまだ生きてはいるが、まもなく命の炎が燃え尽きることは剣の目から見てもはっきりと分かった。
「・・・俺も案外、馬鹿だな・・・」
これが正しいことなのかかどうか分からない。
むしろ情にほだされただけの愚かな行為と呼べるだろう。
だがそれでも、目の前で死にかけているこの少女をこのまま死なせたくはなかった。
剣は自身の男根に再びエネルギーを集めると瀕死の少女の陰部を貫く
「アッ・・・」
無意識だろうが綾は小さな悲鳴を上げてビクッと体を震わす。
「ゴメン・・でもすぐに終わるから・・・」
囁くよう謝ると、剣は綾の体の中にエネルギーを解放する。
龍根剣のエネルギーは、生命エネルギー
度を超せば龍根剣という相手の命を奪う武器になるが、適度な量であるならばそれは逆に他者を救うエネルギーになるのだ。
エネルギーを放出するのと比例して、土気色だった綾の顔色がみるみる回復し、止まりかけていた呼吸も規則正しいものへと変わっていった。
綾の陰部から男根を抜くと、剣の体に極度の疲労が襲ってくる。
二度のエネルギー放出が体に相当な負担を与えたのだ。
「・・・また命を狙ってくるかな・・・?」
それはそれで構わないと、剣はぼんやりとした頭で考える。
少なくとも彼女が組織に戻り、悪事に手を染めることは二度とないだろう。
自分だけを狙ってくるだけなら、何度相手をしても一行に構わなかった。
そんなこと取りとめもなく考えていた時、剣はふと自分達以外の気配を感じた。
「誰だ!!」
「キャハハ、そんなゴミを助ける為に自らのエネルギーを使うなんてとんでもないバーカ・・・」
剣の誰何の声に応じるように現れたのは、白地に黒のブチが入った(剣はその柄に牛を連想した)スクール水着型戦闘服を着た少女った。
歳は自分や綾と同世代だろう。
恐らく染めたのだろう長い金髪にパーマをかけたにヤンキー風の少女で、ガムをクチャクチャとかんでいる。
秩父有子、それが彼女の名前だ。
「まあそのゴミは今回だけは褒めても良いわね・・・おかげで私が労せずして功績を挙げることが出来るんだから。」
ニヤニヤ笑いながら近づいてくる少女に対し、剣は綾を庇うように立ち塞がる。
「そんなフラフラな体で私に勝てると思っているの・・・?」
少女は小馬鹿にした笑みを浮かべると剣の顔に強烈な回し蹴りを喰らわす。
「キャハハハハハ、かっこわるいの」
吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた龍根剣の意識は有子の笑い声を聞きながら暗転した
to be continue
55
:
名無しさん
:2014/07/09(水) 19:28:08 ID:UFfTJqSU
ワッフルワッフル
56
:
U・N・オーエン
:2014/07/13(日) 23:28:05 ID:PcRdyQEE
ヘルガールズ外伝
水谷綾、再び
幕間曲
武器を手に奇声を上げながら襲いかかってくるヘルガールズの女戦闘員達を、剣は次々と叩きのめしていく。
「あれが先輩の本当の姿・・・・」
少し離れた物陰からその光景を見ていた学生服姿の綾はかぶりつくようにその光景、否、正確には複数の女達を相手に戦う剣の姿を見つめていた。
彼女がここにいるのは偶然ではない。
大好きな先輩のことをもっと知りたくて、イケナイ事だと知りながらも秘かに後をつけた結果だった。
無論、彼女は剣と戦っているスクール水着の少女達の正体も、そして何故剣が彼女達と戦っているのか、その理由も知らない。しかし、そんなことは彼女にとって重要ではなかった。
(ああ・・・先輩・・・良いです・・凄く格好いいです・・・)
いつもの優しい先輩は勿論好きだ。だが、「女?なにそれ?」と言わんばかりに情け容赦なく美少女達を叩きのめしていく剣に強い雄を感じて綾の中にある雌の部分が激しく反応していた。
やられている少女達を頭の中で自分に置き換えて、綾は剣と自分が戦う姿を妄想する。
その妄想に応じるように胸と陰部に両手が伸びた。
(あんなに感じで・・襲いかかる私を・・先輩は・・情け容赦なく・・・・)
綾はいつの間にか激しい自慰行為を行っていた。
だがそれでも視線は剣から片時も外れることはない。
まるで彼の全てをその目に焼き付けるように。
(敵意でも殺意でも良い・・・例え僅かな時間でも先輩の心を私で一杯に出来るなら)
この時、綾の心の中に自分が進むべき道がはっきりと形を為した。
それは明らかに自身自身を滅ぼす破滅への道。
しかしそれでも彼女はこの道を歩むことに些かの躊躇はなかった。
「先輩・・・いつの日にか、私と・・・」
自身でも気づかないうちに流していた涙と共に心からの願いがこぼれる。
「私と・・・殺し愛しましょう・・・」
ヘルガールズのことを調べ上げた綾が自ら組織にその身を売るのは数週間後のことであった。
57
:
U・N・オーエン
:2014/07/13(日) 23:32:46 ID:PcRdyQEE
ヘルガールズ外伝
水谷綾、再び
第2話
「この萌様を舐めるな〜!!」
銀髪の髪をツインテールにした小柄な少女−遠城萌−は、右手を突き出すと凄まじい炎を放出する。
「燃えちゃえ!!」
炎は棒立ちの相手を包み込み込み、その姿は見えなくなった。
(フフン・・・アイツ、新怪人って話だったけど、この萌様の敵じゃなかったわね・・・)
駄目押しとばかりになおも火炎放射を続けながら、萌は安堵感から頬を緩めた。
秘密結社ヘルガールズでは敗北は決して許されず、そのタブーを犯した者は、仮に死亡していても再生され、新しく生み出された新兵器や新怪人の試験に使われて処刑される。
このある意味無駄な仕組みは負け犬に戦死という「名誉ある死」を許さない為と、実戦データをフィードバックさせる為の効率の良い廃棄物利用という二重の理由があった。
もっとも、これは敗北者にとってもラストチャンスであり、仮にこの試験で対戦相手の新怪人を返り討ちにするなどすれば、敗北の罪は許され、再び組織の一員として迎えられるのだ。
(当たり前、元々、萌があんな男に負けたのも全て使えない部下に足を引っ張られたからだし・・・)
あんな男、龍根剣に倒された記憶を都合良く改竄している萌は、「萌が少し本気を出せば、こんなものよ」と既に勝利を確信していた。
その時、炎の中から放たれた何かが萌の体を掠めた。
「あ・・・れ・・・?」
両腕が肩の付け根から切断され、ボトッと地面に落ちる。
綺麗な切断面で、傷口は既に焼かれており血が出ない。
「なんで・・・何で萌の腕が落ちているの・・・?」
萌は痛みこそ感じることはなかったが、それだけに何が起きたのか理解するに従い、恐怖が彼女の心に広がっていく。
「アハハハハ、そんなちゃちな攻撃でこの私を倒せると本気で思っていたの?チョーウケる〜!!」
笑い声と共に炎の中から現れたのは長めの髪を金髪に染め、パーマをかけた不良風の少女(不良のお嬢様という感じだ)だ。まずは美人という顔立ちだが、ガムをクチャクチャとかみながらニヤニヤと小動物をいたぶるような残酷な笑みを浮かべている。
彼女の名前は秩父有子。
元々はあるお嬢様学校の学生で、大物政治家であった父親の持つ権力と財力を後ろ盾に学園を支配し、エンコー組織の運営や処刑ショーの開催など自身の欲望の赴くままに生きていた少女である。しかし、父親の失脚と自殺により後ろ盾を失った彼女は、新しい力と快楽を求めてヘルガールズの一員に加わっていた。
戦闘服は、白の生地に黒いブチの入ったスクール水着型であり、日本人離れした巨乳が入りきらないのか、その部分だけは生地をくり抜いて露出させている。
凄まじい温度の炎で焼かれたにもかかわらず、その体にも戦闘服にもダメージは一切無かった。
58
:
名無しさん
:2014/07/13(日) 23:35:17 ID:PcRdyQEE
「馬鹿は本当に死んでも治らないわね、アハハハハハハ」
「・・・イヤ・・・イヤだよ・・・」
既に両腕を失い戦闘力を喪失した萌は、首を左右に激しく振ると有子に背を向けて走り出す。深く考えてのことではない。
恐怖心が彼女にその様な行動をとらせたのだ。
「アヒッ!?」
だが少しも走らないうちに萌は地面に倒れ込む。
転けたのではない、両腕と同じように両足が膝の部分から切断されたのだ。
ダルマ状態になった萌はもはや身動き1つ出来ず、ただ恐怖に怯えながら涙を流すことしかできなかった。
「イヤだ・・・萌はまだ死にたくない・・・見たいテレビもやりたいことも一杯、いっぱいあるのに・・・」
「さあ、今度は何処を切り刻もうかな?」
上機嫌に鼻歌を歌いながら有子が萌に近づいてくる。
「お、お願い・・・何でもするから萌を殺さないで・・・」
「・・・本当に何でもするの・・・?」
萌の命乞いに有子は「う〜ん・・・どうしようかな・・・」と少し考える仕草をした。
(もしかしたら助かるかも・・・)
僅かな希望が萌の心に宿る。
だが有子はそんな萌の心を見透かすようにニヤリと嫌な笑いを浮かべると、自身の巨乳を両手で持ち上げると萌の体に向けた。
「えっ・・?」
次の瞬間、有子の乳首からレーザーが放たれ、萌の体を頭から両断した。
「なーんてね、少しは助かると思った?アハハハハハ、僅かな希望を踏みにじるって、本当にサイコーよね!!」
そんな有子の笑い声を聞きながら、萌の意識は永遠に消滅した。
59
:
名無しさん
:2014/07/13(日) 23:39:10 ID:PcRdyQEE
「貴女、気が狂ったの・・・?」
萌の最期が映し出されている大型モニターの前で、その白衣の女はヒステリーに叫ぶ。
歳は二十代半ばだろうか、比較的に10代後半の外見が多いヘルガールズのメンバーの中では珍しく大人の色気を漂わせた眼鏡美女だ。
彼女の名は綾小路麻里子。
ヘルガールズの誇る科学陣のエースだ。
「・・・先輩はどこですか・・・?」
親指を立て、人差し指を伸ばし、他の指は軽く握る指鉄砲を麻里子に向けながら、青いスクール水着型戦闘服を着た少女、水谷綾はにこやかに尋ねた。
彼女の背後には何人ものヘルガールズの戦闘員達や白衣の女達が倒れている光景が広がっている。全員、眉間や胸を撃ち抜かれて絶命していた。
龍根剣と共にヘルガールズに回収された綾は、データ収集の為に麻里子のラボに回されたところで意識を回復、麻里子を含めた研究員達が有子の戦闘訓練の視聴で警戒感が薄れたところを一気に襲撃したのだ。
「そんなこと・・・貴様が知る必要はないわ」
吐き捨てるように麻里子が答えた途端、肩に激痛が走る。
綾の指先から発射された水柱が麻里子の肩を撃ち抜いたのだ。
「もう一度聞きます・・・先輩は何処ですか・・・?」
「ま、待って・・・答えるから殺さないで」
肩を押さえ、涙を流しながら麻里子が悲鳴を上げた。
血も涙もない冷酷な研究差である彼女だが、自分の痛みは少しも我慢することが出来なかったのだ。
「あの男なら有子がエネルギー源として利用しているわ。」
「・・・どういう事ですか・・・?」
綾の表情から笑みが消え、スッと目が細くなる。
「彼女は男の生命エネルギーを吸収して体内でレーザーエネルギーに転換しているの・・・これまでは拉致してきた男どもを使っていたけど、どいつもこいつもすぐに衰弱死してしまうことが最大のネックだったわ。でも、あの男を手に入れたことで遂に解決した訳」
研究者としての性分が即発されたのか、最初は命乞いで始めた説明もどんどん熱を帯びて自慢話へと変わっていった。
「貴女も見たでしょ、あの萌ですら一蹴したあの力・・・あのエネルギーがある限り有子は無敵よ。いいえ、彼女だけではないわ。あのエネルギーを解明できれば、最強の軍団を作り上げることも可能なのよ・・・ウフフ・・・アハハハハハハ」
彼女は話しているうちに自分の死刑執行書にサインを推していた。
「・・・・パン」
「ブヒャ・・・?」
綾の小さな呟きと共に放たれた水柱が麻里子の眉間を貫いた。
真っ二つになった眼鏡が床に落ち、少し遅れて馬鹿面を浮かべた麻里子が崩れ落ちる。
「・・・許せない・・・」
物言わぬ骸となったマッドサイエンティストを見下ろしながら、綾はポツリと呟く。
何が許せないのか彼女自身にも分からない。
大好きな先輩に酷いことをしていることに対する怒りなのか、それとも、自分以外の女が彼の体を抱いている事実に嫉妬したのか。
だが自分の心が分からなくても、彼女には自分の為すべき事はしっかりと分かっていた。
「先輩、絶対に私が助けます・・・例えこの命と引き替えにしても・・・」
本来ならば既に二度も死んだ身だ、いまさらもう一度失っても惜しいものではない。
ましてやそれで大好きな先輩が助かるならば、迷う必要などなかった。
綾は手近なコンピューターで基地の地図を呼び出し有子の部屋を確認すると、体操部の大会で気合いを入れる時にそうしていたように長く伸ばした髪をポニーテールにしながら
天井の通風口を見上げた。
60
:
名無しさん
:2014/07/13(日) 23:41:09 ID:PcRdyQEE
第二話終了です。
予定通りあと1話で終了ですが、数日前からパソコンの調子が悪いので、最終話のアップは少し遅れるかもしれません。
それにしても再生怪人の萌ちゃん、かませ犬にしてご免なさい
61
:
名無しさん
:2014/07/16(水) 18:38:54 ID:.ZuxbL36
いつもありがとー!
全裸でまってます!!
62
:
名無しさん
:2014/07/16(水) 22:34:30 ID:FQ27FQcg
すごくいいです!
綾ちゃんの狂い具合とか有子の残虐っぷりとか
続き楽しみにしています!
63
:
名無しさん
:2014/07/29(火) 00:24:02 ID:VEPeYDbQ
土用の丑の日は全身ぴっちりタイツかラバースーツでウナギっぽくした女戦闘員や女怪人を倒したい
出来ればY字立ちとか軟体アピールをして貰いたい
64
:
名無しさん
:2014/07/29(火) 13:13:06 ID:MdhqmYZs
目打ち→捌きまで行っちゃうとグロ入っちゃうしなぁ…
それに代わる退治方法も考えないと。
65
:
名無しさん
:2014/07/30(水) 02:19:00 ID:Pz0q0wGk
(逆にウナギを使って悪女を倒すとかでもよいのではなかろうか?)
66
:
名無しさん
:2014/07/30(水) 11:08:57 ID:eaG//GPo
「そこまでだ!怪人梅干女!!この鰻の蒲焼きを喰らえっ!!」
67
:
名無しさん
:2014/07/30(水) 11:48:51 ID:V.HtacFg
ウナギで使えそうなネタを考えてみた
股間や口から体内に侵入。エロい
ヤツメウナギ 吸血により敵の体力を奪う
デンキウナギ 放電により敵を感電死させる
ヤツメウナギはウナギじゃないというツッコミは無しで
68
:
名無しさん
:2014/07/30(水) 12:22:13 ID:wHaUEm4A
調教した電気うなぎを黒ビキニで武装した悪の美巨乳ボクっ娘女戦闘員の股間へ侵入させて膣攻めと弱電撃でねちっこく快楽攻めにして機密情報を吐かせた後に強電撃でトドメをさしたい
そんな正義のうなぎ使いに私はなりたい
69
:
名無しさん
:2014/07/31(木) 01:24:54 ID:GMKv.nBc
軟体を誇る女怪人だったらその軟体の限界を超えさせて…360度開脚とか。
「裂ける」とか言わせて命乞いさせて…股関節ゴキッとか。
70
:
名無しさん
:2014/08/07(木) 00:23:20 ID:NSA6wUt6
昔考えてた作品で、「命乞いする悪女・敵女をいかに無残に殺すか」みたいなことに力入れまくったな
例えば
・ハニートラップしかける相手の股間に拳銃差し込んで射殺
・わざと後ろから攻撃させるように仕向けた挙句、先に仕掛けたワイヤーに突っ込ませて首を刎ねる
・命乞いしたら助けてやる、みたいに言い、相手が口を割ろうとした瞬間銃を空に向けて撃ち「ごっめーん、銃が暴発して聞こえなかった☆ じゃ、さいなら♪」→射殺
・制限時間を提示しておいて命乞い開始した瞬間射殺、死体に向けて「あっいっけね、サマータイムにしたまんまだったぜ。ドジだなあ俺」
・「じゃあ今から言ったことを一字一句間違えずに言えたら殺さないであげる」→その通り相手が平謝りし始める→射殺→「馬鹿な奴だ、『じゃあ今から言ったことを』を入れ忘れるとは」
・フルオートのアサルトライフルでロシアンルーレット
こんな感じで
71
:
名無しさん
:2014/08/15(金) 23:46:11 ID:0SgdSLa.
「お前らの考えたオリジナル怪人・怪獣を書き込むスレ4」より、使えそうなネタを。
非公認戦隊アキバレンジャー痛
アサガオコジョシコウセイ
ツー将軍が作り上げたトリノイド型怪人でアサガオとオコジョと女子高生をモチーフにしてる
通常時の外見はアサガオを纏わせたオコジョの耳と尻尾を付けた茶髪の女子高生で
オコジョの華麗な舞で幻惑させアサガオの蔓やドリル状のつぼみで奇襲攻撃をする
そしてブチ切れると銀髪赤目のよりオコジョっぽい姿の「激おこモード」となり
アサガオの花から爆音衝撃波や実を炸裂弾にする
72
:
名無しさん
:2014/08/19(火) 15:18:19 ID:Icri7R/E
赤い髪の女、ティナリスは猛っていた。
「ぶっ殺してやるぜ!」
この女、可愛らしい顔をしているがその実、己の快楽のために人を殺す屑である。昨今大陸を震え上がらせている極悪非道の海賊ギルド(この場合本当の海賊というわけではなく、本質的には盗賊のようなもの)、『リヴァイアの一味』の団員であり、齢18でありながらこれまで殺傷してきた人間の数は50を超える。情状酌量の余地はないと言っていい。
「賞金稼ぎだかなんだか知らねぇが、このオレをリヴァイアの一味が一員、ティナリス・バーンズと知ってて喧嘩売ってんだろうな?」
「――ええ、その通りよ」
感情的になっているティナリスに反し、対面する黒髪の女は極めて冷静に言葉を返す。
「罪のない人を大勢殺した生きる価値のない外道。あなたみたいな人間を皆殺しにするために、私は賞金稼ぎをやっているの」
黒髪の女、ナオミは、愛刀である剣を構えたままで答える。彼女は凄腕の賞金稼ぎ、『一刀両断のナオミ』と言えば、この大陸で知らぬ者はいないほど。両親を悪党に惨殺されたからか、悪を誰よりも憎んでおり、特にこのティナリスのように、自分勝手に他人の命を奪う輩を許さない。今年で23を迎える彼女だが、数多の死線を潜ってきたからか、纏っている雰囲気は二十代の女のそれではない。整った容姿も相まって、まるで死神のような威圧感を周囲に与えていた
「はっ、そりゃまたご立派なこって。だけどよ、まさかお前一人で、オレに勝てると思ってんのか?」
ティナリスは言いながら、自身が持つ鎖鎌を自慢げに振るった。笑っているからか、口元から、チャーミングな八重歯が覗いている。ついでに96㎝の、大きな胸も揺れている。ティナリスは鎖鎌の名手で、その腕前に圧倒的な自信を持っている。彼女は小柄なのだが、自分よりも何倍も大きく屈強な男たちを、鎖鎌で首を刎ねることで打ち倒してきた。そんなティナリスにとって、目の前の華奢な女を殺すことなど造作もない。少なくとも本人はそう信じている。そんな慢心が、彼女にはある。
「こいつもよぉ、早く血を吸いたいって疼いてるんだ。オレの髪の色みたいな、真っ赤な返り血をな」
「……疼いているのはあなたの下半身じゃないの?」
ナオミはうんざりしたように吐き捨てた。彼女の言う通りである。ティナリスは殺人に性的な快楽を覚える異常性癖の持ち主で、特に自分よりも脆弱な、幼い少女などを惨殺することを好む。ついこの間も、近隣の村で10歳になろうかという娘を解体(バラ)したばかり。そして今もティナリスの下半身は大いに湿っていた。
73
:
名無しさん
:2014/08/19(火) 15:18:52 ID:Icri7R/E
「発情するのは勝手だけど、人を巻き込むのは止めてほしいわね。自分で自分を傷付けて、一生自己満足(オナニー)に浸っていればいいじゃない」
「……おなにー? なんだそれ?」
ティナリスは首を傾げた。彼女は18だが、性に対する知識は子供のそれに等しい。どうやって子供が出来るかどうかさえ分かっていない。人を殺すときに感じる快楽も、それがどうして気持ちいいのか、どういった気持ちよさなのかはまるで理解できていないのだ。だからこそ彼女は、その未知の快楽から抜け出せない。虜になってしまっている。
「……そう。いや、なんでもないわ」
ナオミは少しだけ、憐憫に満ちた目をティナリスに向けたが、それもすぐに冷徹な眼差しに戻った。
「よく分からねぇけど、そろそろお喋りも飽きてきたな」
「ええ、それについては同感よ」
お互いの表情が更に険しくなる。空気が張り詰める。二人が対峙している場所は荒野、他には人っ子一人いない。つまり、どこからも邪魔は入らない。
「――死ねっ!」
先に動いたのはティナリスだった。やはり大きな胸を揺らしながら、遠心力を利用した鎖鎌独特の攻撃をしかける。地を這うようにして、鎌の切っ先はナオミの首筋へと向かっていく。
「――甘いっ!」
ナオミは慌てることなく、持っていた剣で鎌の攻撃を弾いた。ガキンっ、と凄まじい金属音が辺りに響く。ナオミは衝撃に痺れる腕のことはまるで意に介さず、間髪入れずにティナリスに向かって駆け出した。鎖鎌は弾いても意味がない。鎖で繋がっている異常、鎌はやがて使い手(ティナリス)の元へと戻ってしまう。ならばこそ、ナオミは鎌を弾いた瞬間、つまりはティナリスが無防備である内に、一気に勝負をつけようとしたのだ。
「あぁっ!? ちっ、くそっ!」
ティナリスはナオミの意図を察したのか、慌てたように分銅を使って鎌を引き戻そうとする。が、物理的な問題もありそこまで早くは戻ってこない。そうこうしている内に、ナオミはティナリスの鼻先にまで迫っていた。
「終わりよ、ティナリス・バーンズ」
ナオミの剣の切っ先が、怪しく光る。
「――〜〜っっ、なっ、舐めんなっ!」
ティナリスは諦めず、残っている分銅を振るった。至近距離でナオミの頭蓋を砕こうとしたのだ。彼女の動物的勘が導き出した、この場合では最良の行動である。しかしそれより一瞬早く、ナオミの斬撃がティナリスを切り裂いた。
74
:
名無しさん
:2014/08/19(火) 15:20:10 ID:Icri7R/E
「ぎゃっ!?」
ティナリスは短い呻き声をあげ、後方の地面へと倒れ込む。それと同時に、自らの四肢の感覚がなくなってしまっていることに気付く。今の一瞬で、しなやかな彼女の両手両脚は、ものの見事に切断されてしまったのだ。当然のことながら、切断面から血が噴き出す。
「――!? な、なんだよ、これ!?」
ショックで痛みが麻痺しているのか、ティナリスは叫び声を上げず、ただびっくりしたように自分の身体を見渡している。
「残念、致命傷よ。その傷ではもう助からないわ」
ナオミは言いながら、だるま状態になったナオミの豊かな胸を思いきり踏みつけた。ティナリスが短い呻き声を上げる。
「安心しなさい、ひと思いには殺してあげないから。あなたの身体をズタズタにして、もう死んだ方がマシだと思うくらいまで痛みを与えて、自分の行いに心の底から反省させたあとに、その首を刎ねてあげる」
ナオミの表情は冷淡だ。普段は優しい彼女だが、悪には一切の容赦がない。例えティナリスがどんなに泣き喚こうと、命乞いをしようと、決して救いの手を差し伸べることはないだろう。確かにティナリスは、そうされても仕方のないほどの悪行を重ねてはいるが。
「……お、オレ、助からないのか?」
と、ティナリスがどこか弱弱しい声を出した。
「ええ、無理ね。こんな荒野のど真ん中じゃ、血を止めることも出来ないし」
「……オレは、死んじゃうのか?」
ティナリスは短く呟いてから、やがて子供がぐするように泣き出した。
「い、いやだ……こんなところで……死にたくないっ!」
「……一度、自分の行いを省みたらどう?」
ナオミはぐりぐり、とティナリスの胸に足の力を込める。
「あなた、少し前に近くの村で、一人の女の子を殺したでしょ? あの子ね、私の友達なの。病弱だけど、こんな私にも優しくしてくれる、親切ないい子だったわ。……それが、この前村に立ち寄ったら、あの子は肉の塊になっていた。今のあなたみたいに手足がもがれて、眼球は二つともなくて……ズタズタになった子宮が外に――っっ!」
ナオミは堪え切れなくなったのか、そこで言葉を切った。その瞳には尋常ではないほどの怒りが込められている。
「……うう、寒い。いやだ、いやだ、死にたくない」
対してティナリスは、もはやナオミの言葉など聞こえていないらしい。ただひたひたと迫ってくる死に怯え、自分の存在の終わりについて怯え、がたがたと震えている。その姿は、彼女の非道な行いを鑑みても哀れだった。
「……お、お姉ちゃん、助けてよ。わたしまだ死にたくないよ。いやだっ、お姉ちゃん!」
恐怖が臨界点を超えたのか、ティナリスの言動がどんどんと幼くなっていく。否、これが彼女の素であった。何十人もの命を無慈悲に奪ったティナリスだが、その精神年齢は極めて幼い。子供のように純粋であったからこそ、外道に身を落としてしまったのだ。もし彼女がまともな教育を受けていたら、こうはならなかったかもしれない。
「わ、わたしなんでもするよ! なんでもいうこと聞くよ! もう悪いこともしないから、だから助けてよぉ!」
「…………」
ナオミは黙ったまま、剣をティナリスに向けて振り下ろした。
「え? や、やだ、待って――ふぎゃっ!?」
ごろん、とティナリスの首が転がる。ティナリスは絶命した。
「……もしかしたら、あなたには更生の余地があったかもしれない」
ナオミは剣を鞘に収めながら、静かに語る。
「だけど、あなたのしたことは決して許されることじゃない……何より、私は許せない」
そしてナオミは転がった首を掴んだあと、ティナリスの残りの死体に背を向けて、荒野の果てへと歩き始めた。わざわざ墓を作ってやる義理は彼女にはない。こうしてティナリスは、このすぐあとに来た盗賊の一行に、まだ温かい死体を慰めものにされることになるのだが、それはまた別のお話。
75
:
名無しさん
:2014/08/20(水) 14:11:26 ID:c/8/oTc.
その瞬間に助けて俺の嫁にという妄想を何回してきたことか。
でもその反面、容赦無いところも非常に萌えるわけで・・・。
GJです!
76
:
名無しさん
:2014/10/12(日) 00:41:42 ID:PPhXYJ0Q
「ったく、面白いこともあるもんだ」
全身に強化スーツを身に着けた青年、グランツ・ハイウインドは苦々しい笑みを浮かべた。
「まさか銀河帝国ウルスラの最高幹部が、こうして一度に攻めてくるなんてな」
グランツの周囲を囲んでいるのは、7人の女たち。一見すれば普通の人間のように見えるが、纏っている威圧感は尋常のそれではない。それもそのはず、彼女たちは世界征服を目論む悪の秘密結社『銀河帝国ウルスラ』の最高幹部、『六曜将軍』なのである。
「かかっ、流石のお主も驚きを隠せぬようじゃな。ええ? グランツよ?」
グランツから見て丁度正面に立っている、白髪の幼女が嘲るような口調で言った。この幼女こそ、銀河帝国ウルスラの皇帝シャイナ・ウルスラその人であり、外見年齢は12歳だが実年齢は100歳を超える。世界を自分のものにするという野望を実現すべく、世界を混沌に陥れた張本人である。大きく背中の空いたドレスを着ており、雪のように白く澄んだ肌が月明かりに怪しく照らし出されている。
「散々わらわの兵隊たちを屠ってきたのじゃ。お主にも当然、その報いを受けてもらうぞ。くかかっ!」
愉快そうに高笑いするシャイナ。口元から、チャーミングな八重歯がちらりとのぞく。
「調子のいいことを言うな! お前の部下どもに、一体何人の人間が殺されたと思ってるんだ!」
「かっ、そんなものわらわの知ったことではないわ。下等な人間がいくら息絶えようと、わららにはなんの関係もないからの」
「……っっ!」
グランツは悔しそうに歯噛みする。目の前のこの幼女を殺せば、長きに渡る戦争も終結するというのに、彼を取り囲む6人の敵がそれを許してくれないのだ。
「…………シャイナお姉様。こんな虫けら相手に口を利くことないです」
シャイナの傍らに立つ、190㎝を超える大女が平坦な口調でそう言った。氷のような無表情に、切り揃えられた味気のない前髪は、『六曜将軍』の筆頭ルーナで間違いない。年齢は23歳、シャイナの側近を任されている忠臣であり、シャイナの命令とあらばどんな非道な行いにも手を染める。身長に比例するように、乳房の方もまた大きく、サイズはHカップ。肌にぴったりとフィットするレオタードで肉体を絞めつけている。シャイナと同じ色の白髪は、ルーナが憧れの気持ちで染色したものである。
「…………あなたも、シャイナお姉様に生意気な口を叩かないで」
ルーナはぎろりとグランツを睨み付ける。シャイナを神のごとく崇めている彼女にとって、それに歯向かうグランツは憎悪の対象でしかない。すぐにでも飛び掛からないのが奇跡な程だ。
77
:
名無しさん
:2014/10/12(日) 00:42:20 ID:PPhXYJ0Q
「あははっ、言いざまねグランツ! 正義の味方気取りなんてしてるからそうなるのよ!」
次に口を開いたのは、燃え盛るような赤い髪を尻のあたりまで伸ばした女。名前はラーズで、六曜将軍の一人である。胸元に丸い穴の開いたチャイナ服型の衣服を着ており、スリットからは肉感的な太ももがいやらしく覗いている。乳房の大きさは、ルーナよりやや小さくGカップだが、全体的なスタイルの良さでいえば恐らくラーズの方が上だ。弱い人間を嬲り殺すことに生き甲斐を感じる真性のサディストであり、27歳にして殺してきた人間の数は数えきれない。
「うーん、面倒くさいなぁ。これボクがこなくてもよかったんじゃないのかなぁ」
気だるげに呟いたのは、これまた六曜将軍の一人、アーキュリーだ。水色の髪をマッシュルームボブにした20歳の女で、乳房の膨らみはDカップ。動きやすさを重視したのか、下に履いているのは何故かブルマである。どこか緊張感のない面持ちをしているが、これでもウルスラが誇る凄腕のアサシンであり、任務を受けて殺せなかった標的はこれまで一人もいない。常に遊び半分で行動しており、欠伸をしながら人を殺すというのは有名な彼女の逸話だ。今も退屈を凌ぐように、自分の髪の毛を弄っている。
「駄目ですよーアーキュリーちゃん。シャイナさま直々の命令なんですから、髪の毛で遊ぶなんていけません」
見かねたように、六曜将軍ユピテルが窘めた。たれ目がちの瞳とウェーブがかった緑のセミロングが特徴的で、優しげな笑みを浮かべている。童顔なので分かりにくいが、実年齢は34歳であり、よく見れば肉体のあちこちが衰えているのが窺える。六曜将軍の中で一番大きいJカップの乳房、巨尻は張りと弾力を失って垂れかけており、腹回りには摘まめるほどの贅肉がついていてだらしがない。痛々しいことに、年齢にそぐわないロリータ趣味のドレスを身に纏っており、しかし童顔であるためか意外にも似合っている。
「グランツよ。出来れば貴様とは一対一で決着を着けたかったが、シャイナ様の命とあれば仕方ない。せめてこの私の手で葬ってやろう」
ビキニアーマーを身に纏った、褐色の女の名はディナス。六曜将軍の一人で、病的なまでの戦闘狂として知られる。罪人ではあるものの武人気質で、卑劣な手を使わずに正々堂々と闘うことを好む。26歳の乙女とは思えないほどその肉体は引き締まっており、金髪のセミショートはどこか凛とした気品を漂わせている。これまで幾度となく死闘を演じてきたグランツとの決戦を前にしているからか、身の滾りを抑えられない様子で、獣のような眼差しをグランツへ向けていた。
「ていうか、ちょっと寒くないすかここ? 手早く済ませて研究所に帰りたいんすけど」
白衣の六曜将軍、サタノアはぶるりと身を震わせながら口をすぼめた。小柄な体格で、年齢も16歳とかなり若いのだが、これでもウルスラが誇る天才科学者である。可愛らしく、オレンジの髪をおさげにしてBカップの胸に垂らしているが、性格にかなりの難があり、人体実験なども平気で行ういわゆるマッドサイエンティストだ。生まれつき身体が弱いため、それこそ一般人にも敗れるくらいに戦闘能力は皆無だが、圧倒的な頭脳でそれを補い、現在の地位についている。
78
:
名無しさん
:2014/10/12(日) 00:43:13 ID:PPhXYJ0Q
「さて、グランツよ。お主もそろそろ、自分が絶体絶命であるということには気が付いたと思うが……どうじゃ? 今膝を折るというのなら、わらわの部下にしてやってもよいぞ?」
「……舐めてるのかお前?」
グランツは怯むことなく言葉を返す。彼はウルスラに敵対する組織に属する人間であり、世界征服という馬鹿げた野望を阻止するため、ウルスラが引き起こした戦争を止めるために行動している。何よりも悪を憎み、ウルスラの人間を憎んでいるグランツが、ウルスラの皇帝に頭を垂れることなどあるはずがない。
「舐めてなどおりはせんよ。むしろわらわは、お主のことを高く評価しておる。ここまでわらわを苦しめたのはお主が初めてじゃからな。正直、お主はただ殺すには惜しい男じゃ。わらわの部下になるというなら、それなりに高い地位を保証してやってもよい」
「へぇ、そりゃありがたい話だ」
「真面目に聞かんか――それに、そうじゃな。わらわの元にくれば、わらわを含めて、ここにいる六曜将軍たちは抱き放題じゃ。男として、それ以上の愉悦はあるまい?」
「…………」
グランツは黙って、溜め息をついた。
「あーそうだな。確かにお前たちは、揃いも揃って嫌味なくらいにいい女だよ。それは本音だ……だが、俺にはお前たちウルスラを許すことが出来ない」
「なんじゃと?」
「俺の親友が、ウルスラの兵士に殺されたんだ。いい奴だった。俺にとっては兄弟も同然の男だったよ。だから俺は、お前たちを許さない。お前たちの野望を潰えさせるまでは、俺は負けられない」
79
:
名無しさん
:2014/10/12(日) 00:43:55 ID:PPhXYJ0Q
「…………」
グランツの言葉を聞いて、シャイナは天を仰いだ。
「本当に、残念じゃよグランツ。そこまで死にたいというのなら、好きにすればよい」
「…………シャイナお姉様。悲しまないで」
ぶちぶちぶち、と血管が切れる音が響く。
滅多に表情の変わることのないルーナが、鬼の形相を浮かべていた。
「…………シャイナお姉様が、折角慈悲をおかけになられたというのに……よくも、よくも……」
ばっ、とルーナが両腕を掲げる。それを見て、グランツは咄嗟に後方へと跳躍した。
しばらく遅れて、凄まじい轟音とともに、先ほどまでグランツが立っていた場所が陥没した。ルーナが操る『重力』の力による攻撃である。
「くそっ、相変わらずおっかねぇ攻撃だ!」
グランツは忌々し気に吐き捨てたが、しかし攻撃はこれだけに留まらない。六曜将軍は他にもいるのだ。
「ほらほら、ぼーっとしてんじゃないわよ!」
昂ぶりを隠そうともせず、ラーズが宙に浮かせた炎球を次々と投げつけてくる。ラーズは『火』を操ることが出来、その火力はラーズの興奮度合によって増減する。ちなみに現在のラーズの興奮度合は、ほとんどMAXといっていい。
「あははっ! 燃えろ燃えろ!」
「――っっえらく愉しそうだなラーズ!」
紙一重で炎球を避けながら、グランツは叫ぶ。
「いつもはビビって、部下の陰から指示を飛ばすだけのお前が、今日はやけに積極的じゃないか! まさか、周りに強いお仲間がいるから調子に乗ってるのか?」
「なっ! ――だ、黙りなさい!」
図星であった。このラーズという女は、自分より弱い相手をいたぶることを無上の喜びとしているが、自分より強い存在に関してはその限りではない。彼女の実力では、どうやってもグランツに勝つことは出来ないため、ラーズは業を煮やしていたのだ。だからこそ、確実に自分の方が上だと実感できるこの状況は、彼女をどこまでも強気にさせた。
「む、ムカつくのよあんた! いつもいつも、私を見下したような目で見てきて! 私は偉いのよっ、特別な存在なの! あんたとは人間としての価値が違うの!」
顔をくしゃくしゃに歪め、激情を喚き散らすラーズ。まるで子供のようである。
「――えーい」
すると出し抜けに、グランツの懐にアーキュリーが飛び込んできた。
「なっ!?」
「死んでー」
気の抜けたような声を上げながら、アーキュリーは指先から高圧水流を噴出させた。彼女は『水』を操る六曜将軍、高圧水流の切れ味は日本刀の斬れ味にも勝る。
「くっ!」
流石の強化スーツでも両断は避けられないため、グランツはすんでの所で身をひねり水圧をかわす。が、アーキュリーの方も手を緩めない。
「さっさと死んでよ、面倒くさいなぁ」
「……お前、人を殺すときに良心の呵責とか、ないのか?」
「え? そんなのないよ。お仕事だし」
「……ああ、そうかよ」
言ってグランツは、またもや後方に跳んで距離を取った。そこに更なる追撃が襲い掛かる。
80
:
名無しさん
:2014/10/12(日) 00:44:32 ID:PPhXYJ0Q
「はいはい、油断はいけませんよー」
「ぐあっ!?」
しゅるしゅると、鞭のようにしなる二本の蔦が、グランツの強化スーツを強く叩いた。蔦が伸びる先は、ユピテルの指先。ユピテルは『植物』の能力をつかさどる。
「し、しまった……」
グランツは取り乱した様子で頭を抱えた。ユピテルの蔦に含まれた、凶悪な毒を恐れてのことだ。
「う、うう……」
ユピテルの毒に侵された人間は、洗脳されてしまう。ユピテルを、実の母親だと思い込むようになってしまうのだ。その効力は絶大であり、抗えるものは少ない。
「はーい、おかーさんがなでなでしてあげますよー」
ユピテルはにっこりとほほ笑みながら、グランツに向かって両手を開く。常人ならば、ここで耐え切れずユピテルの巨大な乳房に飛び込んでしまう所だろうが、グランツは鋼の精神力でそれに耐え切った。
「あれれー? いつもならこれで、おかーさんのためなら死ぬことも恐れない兵隊の出来上がりなのに、おかしいですね」
ユピテルは一見無害そうだが、親を失った孤児を洗脳して死ぬまで戦わせる外道である。
「悪いが俺のおふくろは、お前みたいに無理な若作りはしていない!」
「なっ……わ、私は実際にまだ若いんです! 34歳はおばさんじゃありません!」
しゅるり、と勢いを増した蔦が伸びてくる。今のグランツの発言が琴線に触れた様子だ。グランツは直撃を避け、上手く蔦をいなした。
「余所見をするなグランツ! お前の相手はこの私だ!」
「ディナス……お前は鬱陶しい奴だなホント」
『金属』の能力によって錬金された戦斧を振り回してくるディナスに、グランツは何とか拳を合わせる。
「ふははっ、やはり戦闘は愉しいな! グランツ、お前はどうだ?」
「お前と一緒にするんじゃねぇ」
「つれないことを言うなよ……ほら、見てくれ。私の身体、傷だらけだろう?」
ディナスは見せびらかすように、腹筋に残る無数の傷跡をなぞる。
「これはお前につけられた傷だ。とても痛かったぞ、とてもな……」
恍惚とした表情を浮かべるディナス。彼女は無自覚だが生粋のマゾヒストだ。戦闘にのめりこむ理由も、単に自分が痛みに飢えているからというだけであり、自分に多くの痛みを与えてくれるグランツは、彼女にとって特別な存在である。
「ちょっと皆さん、なにチンタラやってるんすかー?」
それまで状況を眺めるだけだったサタノアが動く。『土』の能力で地面を起こし、それを素材に一体のゴーレムを造り出した。
「はいゴーレムちゃん。ウチの代わりに頑張ってくださいねー」
主の言葉に呼応するように、ゴーレムは拳を振り上げるとグランツの方に殴り掛かっていった。
「出来れば生かしたまま持ち帰って、色んな実験試したいところっすけど……ここで解剖すれば一緒っすかね?」
サタノアはあらゆる鬼畜な実験を行ってきたが、その中でも『生きたまま解剖』というのが、彼女の一番のお気に入りである。色々な反応を観察することが出来るからだ。この間は、胎児を母親の胎内で解剖するという実験を行った。そのときはいい実験結果が得られたため、サタノアは上機嫌であったという。
6対1。いかにグランツが強者といえど、戦力差は明らかであり、徐々に戦況は六曜将軍側に傾いていった。
81
:
名無しさん
:2014/10/12(日) 00:45:10 ID:PPhXYJ0Q
「…………そろそろ終わりかな?」
ルーナが平坦な声で呟く。彼女の視線の先には、ぼろぼろになって片膝をついたグランツの姿がある。
「はぁっ……はぁっ……」
グランツは限界だった。常にギリギリで相手の攻撃を回避し、それに成功してもまた次の攻撃が降りかかってくる。延々と続く無限ループに、これほどまで耐え抜くことが出来たのは奇跡だろう。
「…………私の重力で、ぺしゃんこにしよう。お姉様の好意を無下にした報い……」
「はぁ!? なに言ってるの、私の炎で丸焼きにするのよ!」
「なんでもいいからさー、首ちょんぱして終わりでいいじゃん」
「私をおばさん呼ばわりしたんですからね。楽には死なせてあげませんよー」
「おい、とどめは私が刺す! 奴との決着を邪魔することは許さんぞ!」
「ちょい待ち皆さん。そんならウチが解剖した方が、後々組織のためになるっす」
グランツを眺めながら、六曜将軍たちは言葉を交わす。
「……ちっ」
グランツの、悔しそうな舌打ちが辺りに響いた。
「仕方ねぇ……半年何もできなくなっちまうが……リミッター解除!」
82
:
名無しさん
:2014/10/12(日) 00:45:43 ID:PPhXYJ0Q
瞬間、グランツの強化スーツが光り始めた。同時に、彼の肉体がどんどんと膨張していく。
「な、なんじゃ! なにをした!」
シャイナが叫んだが、そのときにはもうグランツは変わり果てていた。
「これが俺の切り札だ。肉体に馬鹿みたいな負担を掛ける代わりに、圧倒的な力を引き出す」
そしてグランツは、驚いたように目を見開いて固まっているアーキュリーを睨み付けると、目にも留まらぬ速さで相手の眼前に移動した。
「えっ? わ、わぁぁぁ!」
珍しく、慌てた様子で高圧水流を放つアーキュリー。しかし、グランツの肉体には傷一つつかない。
「え!? え!? な、なんで斬れないの!?」
「今の俺はダイヤモンドより硬い。水なんかじゃ斬れないさ」
言いながらグランツは、アーキュリーに向けて拳を構える。
「ちょ、ちょっと、タンマ! 降参、降参するから!」
アーキュリーはバンザイの格好をとり、媚びたような笑みをグランツに向けた。
「ま、まさか無抵抗の女の子を殺したり、しないよね?」
どんなときでも遊び半分、自分の身に危険が及ぶことなど考えたこともなかったアーキュリー。今この瞬間、絶望的なまでに近づいている死を前にして、身体の震えを止めることが出来ない。
「……それで済むと思ってるのか?」
「ひ、人を殺したことなら反省してるよっ! だからっ――ふげっ!?」
言い終わる間もなく、グランツの拳がアーキュリーのお腹に叩きこまれ、アーキュリーの肉体は爆散した。当然のことながら即死である。
「い、いいぞグランツ! それでこそ私の好敵手だ!」
目の前で仲間が殺されたというのに、悲しむどころかむしろ嬉しそうな面持ちで、ディナスがグランツに対して斬り掛かっってくる。
「悪いな。もうお前とは遊んでやれない」
グランツは、少しだけ悲しそうに呟いてから、アーキュリーに振るった拳よりはやや弱弱しい一撃をディナスに放った。
「かはっ!?」
衝撃を受けたディナスの身体が、派手に後方に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。衝撃に耐えかねたのか、ビキニアーマーの前のホックが外れて、彼女のFカップの乳房が露わになる。
「ぐ……が……内臓が……」
大量に吐血したディナスは、すぐに自分の命がもう長くないことを悟った。
「そうか……私は……死ぬのか……」
その瞬間、ディナスに到来したのは絶望ではなく、興奮。ほとんど無意識の内に、指先を秘部へと這わせていく。
「うっ、ああんっ! 死ぬっ! 死んでしまう! こんなっ、ところでぇ!」
武人のすることではないと、長らく避け続けてきた自慰に、ディナスの意識は溺れていく。
「はっ、あっ、痛いっ! 気持ちいいっ! 気持ちいいぃぃぃぃ!」
しばらくして、ディナスは絶命した。その表情は不思議と和らぎ、満足したような笑みを浮かべていた。
83
:
名無しさん
:2014/10/12(日) 00:46:15 ID:PPhXYJ0Q
「さあ、次はどいつだ?」
グランツはこきりと拳を鳴らす。
「ちょ、調子に乗るんじゃありません!」
不意に背後から、ユピテルが腕を回してきた。そしてグランツの首を掴むと、自分の身体を回り込ませ、相手の唇に自分の唇を押し付ける。
「んっ、ちゅっ、んっ……ぷはっ!」
やがて唇を離した後のユピテルは、勝ち誇ったような表情を浮かべていた。
「ふ、ふふ。残念でしたね、私の勝ちです。唾液に溶かした毒を流し込みましたから、もう洗脳は解けません」
「…………」
グランツはなにも答えない。
「さあ、おかーさんのおっぱいに飛び込んでいいですよ。母乳は出ないですけど、思いきり甘えさせてあげます」
「…………」
グランツは、ユピテルの乳房を乱暴に掴んだ。
「きゃっ! ちょっ、ちょっと、触るのはいいですけどもう少し優しく――」
「生憎だが、今の俺には洗脳の類も利かないぜ」
「――えっ?」
みるみる内に、ユピテルの顔色が蒼白になっていく。
「柔らかいし大きいが、それだけの乳だな。下品で無様だ」
「お、おかーさんを殴るつもりですか!? おかーさんはあなたをそんな子に育てた覚えはありません!」
「お前に育てられた覚えもねぇよ」
「や、やだぁ……まだ本当の赤ちゃん産んでないのに――ひぎゃっ!?」
ユピテルの熟れきった身体が粉々になった。残りは半分である。
「ひ、ひぇぇぇぇ……」
腰を抜かしているのはラーズだ。情けなくも、股間のあたりに水溜りを作っている。
「ラーズ。とうとうお前も、人の痛みを知るときが来たようだな」
「ふ、ふざけんじゃないわよぉ……私は特別、選ばれた存在なのっ! あ、あんたなんかに、殺されて……たまるもんですかぁ!」
半泣きで喚き散らすラーズの姿は、哀れという他ない。
「ね、ねぇお願い、見逃してよぉ……なんでもする、なんでもするわっ! あんたの言うことならなんでも聞く! わ、私みたいに綺麗な女の子、早々いないわよ?」
遂に恥も外聞も捨て去り、ラーズは小物の常套句である命乞いを始めた。グランツは溜め息をつく。
「俺はつい今しがた、お前並みに可愛い女を三人ほど殺したばかりなんだがな」
「ぜ、全然違うわ! 私をあんなブスどもと一緒に――あぎぃ!」
恐怖におびえたままで、ラーズは爆散し、死亡した。
「お前は仲間でさえ見下していたのか……寂しい人生だな」
84
:
名無しさん
:2014/10/12(日) 00:46:45 ID:PPhXYJ0Q
「――すっげぇ! すげぇっすねそのスーツ!」
すると、場にそぐわない能天気にはしゃいだ声が響いて来た。
「皆さんが手も足も出ないなんて、どんなオーバーテクノロジーっすか! うー、早く解析したいっす!」
「……驚いたな。サタノアお前、まだ自分が生きて帰れるとでも思ってるのか?」
「――? そりゃ思ってるっすよ。ゴーレムちゃん!」
サタノアを守るように、ゴーレムがグランツの前に立ち塞がる。
「そのゴーレムちゃんは、いくら壊そうが無限に再生するっす。周囲に土がある限り、永遠に。見た所、そのスーツには活動時間に限界があるっぽいっすからねぇ。時間切れになった瞬間、ウチの勝ちっす」
「……なるほど、流石は科学者だな」
この圧倒的な力を、グランツが維持できるのはせいぜいあと数分。それ以上持続させようとすると、グランツの身体が壊れてしまう。
「だが、このスーツの能力のことは見誤っているらしい」
「はぁ? なにを言って――」
サタノアが言い終わるよりも先に、グランツの額から何やら電磁波のようなものが発せられた。
「このスーツは、相手の能力に干渉することが出来る――例えば、ゴーレムを暴走させたりな」
ぐごご、と音を立てながら、ゴーレムがサタノアの方向を振り向いた。
「へ? ちょ、ちょっと……どうしたんすかゴーレムちゃん?」
戸惑うサタノアの華奢な身体を、ゴーレムの大きな掌が包み込む。
「ご、ゴーレムちゃん!? 痛い、痛いっす!」
「無駄だぜ。もうそのゴーレムに命令を聞かせることは出来ない」
「痛い痛い痛いっ……本当に死んじゃうぅぅぅぅ!」
緩やかに、しかし確実に、ゴーレムがサタノアを握りしめる力は増していく。
「た、助けてください! このままだとウチ、死んじゃうっすよ!」
「死ねばいいだろ。俺に助ける義理はない」
「う、ウチは未成年なんすよ!? いたいけな少女なんすよ!? 助けるのが当然じゃないすか!」
「お前の場合は、早めに死んでおいた方が世の為だ」
「ふっ、ふざけんな! ウチが死ぬことがどれほど世界の損失になると思って――うぎゃぁぁぁぁぁぁぁっっっ!」
ぶちっ、と嫌な音を立て、サタノアの腹部が完全につぶれた。
「う、ウチの、おなか…………」
サタノアは絶望したように涙を流したあと、絶命した。それと同時に、ゴーレムの肉体も崩れ落ちる。
85
:
名無しさん
:2014/10/12(日) 00:47:15 ID:PPhXYJ0Q
「ど、どうなっておる? わらわの優秀な配下たちが、全滅じゃと?」
「シャイナお姉様、大丈夫です! まだ私がいます!」
シャイナを庇うように、グランツの前に立ち塞がるルーナだが、その膝は震えて安定していない。毛穴という毛穴から汗が吹き出し、頭からは湯気が立ち上っている。
「ま、負けない……絶対に、シャイナお姉様をお守りする!」
「馬鹿な奴だな、そんな小物のために……」
グランツは拳を解くと、平手の状態で腕をルーナに向かって振り下ろした。瞬間、激しい切断音とともにルーナのレオタードの前が割れる。束縛から解かれたルーナの乳房がぶるんっ、と暴れた。
「――!? きゃ、きゃぁぁぁ!?」
ルーナは真っ赤になって胸を隠す。
「だ、駄目……この身体は、全部お姉様のものだから……」
すると、レオタードが割れたラインに沿うように、ルーナの身体にも赤い線が縦に一本浮かび上がった。
「え? え――」
ぐるん、とルーナの両目が裏返ったかと思うと、
「お、お姉様、大好きです……」
ぱっくりと、ルーナの巨体が左右に両断された。
「る、ルーナ……」
「あとはお前一人だな、シャイナ=ウルスラ」
グランツはルーナの返り血を浴びながらも、ゆっくりとシャイナの方へと歩み寄っていく。
「さ、流石じゃな! わらわが見込んだ通りの男じゃ、お主は!」
「…………」
「わらわの部下になれとはもう言わん! どうじゃ、わらわの隣に立たんか? わらわとお主が協力すれば、世界征服もすぐに実現できよう!」
「……今、お前を心の底から尊敬し、愛していた女が俺に殺されたんだぞ? よくそんな言葉を吐けるな?」
「る、ルーナのことか? あれはただの、わらわが性欲を発散させるための道具じゃ。いい身体をしておったからの。向こうがどう思っておったかは知らんが、少なくともわらわはあ奴にそれ以上の感情を抱いたことは――もがっ!」
グランツの大きな掌に口を塞がれてしまったため、シャイナは声を出せなくなる。
「もういい、喋るな」
「……っっ〜〜」
シャイナは瞼に大粒の涙を浮かべ、それこそ幼女が泣きぐずるような表情を浮かべたが――グランツは惑わされない。
「死ね。これで全て終わりだ」
「――〜〜〜〜〜っっ」
断末魔を上げることも出来ずに、シャイナもまた肉片と化した。
これにより、銀河帝国ウルスラは完全に滅亡し、グランツの名は未来永劫に渡って語り継がれることとなるのであった。
86
:
名無しさん
:2014/10/13(月) 01:44:19 ID:oszT/NpY
これはまた強烈な…!
屠られ方が悪女の人間性に相応しているというのはいいですね。
因果応報であり、哀れさもあり、…ごちそうさまでした!
87
:
名無しさん
:2014/10/16(木) 01:10:16 ID:Iq3kFBvQ
久々の良作!投下乙です!
短編でありながら一人一人のキャラと屠りがしっかりして良い短編作品ですねー。
個人的にはラーズが一番良かったです、ユピテルもですが、もう少しじっくりした屠り、
隷属落ちや味見だけされてしっかり始末される、気が変わったとかお前もやってきたコトだろ?みたいに、サドや天然の抗議と希望を潰す・・・夢(ゲス)が広がる(o ̄∇ ̄o)♪
出来るならifや過去話を希望したいです・・・
違ったら失礼ですがもしや前スレで星座の魔女の話の方だったり?
88
:
名無しさん
:2014/10/17(金) 15:10:05 ID:K/Tdj1zc
ifというのは、個別やられ(一人ずつじっくり屠る)という意味ですか?
それとも、非やられ(生存ルート)という意味でしょうか?
89
:
名無しさん
:2014/10/18(土) 01:29:15 ID:XXXZfsfg
>>88
(´ヘ`;)ウーム…どちらか悩む所ですが強いて言うなら・・・一人ずつじっくり屠るですかね(。-_-。)
生存ルートは理由とか悪女の管理とかもややこしそうだし、最後の一人ぐらい取引やお持ち帰りがあっても良さそうだが、話の流れやそれにココ屠るスレ
ですし。
90
:
名無しさん
:2014/11/02(日) 03:21:16 ID:iRxSKyjw
劇場版ワンピースのお気に入り敵女のハニークイーンのやられを書いてみました
アニメも小説版もろくに戦闘をしない彼女をルフィと戦わせてみました
キャラは小説版準拠です
91
:
名無しさん
:2014/11/02(日) 03:22:17 ID:iRxSKyjw
「ベアキング様に逆らおうなんて馬鹿な男♡」
床に倒れたボロードを嘲笑いながらグリグリと踏みつけるハニークイーン
「やめろ!!」
その前に鉄パイプを構えたアキースが立ち向かった
「ん?なぁに坊や?もしかして私と戦うつもり?ハニークイーンこわ〜い♡」
ぶりっこでアキースを馬鹿にする彼女は余裕のポーズだ
「お前らなんか俺一人でやっつけてやる!覚悟しろ!」
「あら、生意気な坊やねぇ、お姉さんがおしおきしてあ・げ・る♡」
鉄パイプを構えたままのアキースは負けじと言い返す
「俺だって海の男だ!お前みたいな変な格好のおばさんになんか負けるもんか!」
「!!!・・・・なん・・・ですってぇ・・・・」
その瞬間ハニークイーンの目がまるで爬虫類のように鋭くカッと見開かれた
アキースはまだ十歳にもならない子供だ、そのアキースにして見ればふた回り程違う年齢のハニークイーンはおばさんといっても差し支えないかもしれない
しかし自分の美貌に自信を持つ彼女にこれ以上の侮辱はない
「このガキ・・・・この美しい私に向かって・・・・許さない!」
バッと振り上げた腕を液体化させてアキースに思い切り叩きつけた
「うわあああああ!」
大広間の壁にまで吹っ飛ばされるアキース
「ううっ・・・・」
ハニークイーンは一撃で動けなくなったアキースに歩み寄り、その体をヒールで何度も蹴りつけた
「ぐはっ!がはっ!・・・・」
「どうしたのぉん?私なんかに負けないんでしょ〜?ほらほらぁ♡」
ハニークイーンは笑いながらアキースを蹴り続ける、すでにアキースに抵抗する力は残されていない
「あらあら、もう動けないの?つまんないわねぇ」
「やめろ・・・・」
倒れていたボロードが這いつくばりながらアキースに向かう
「そいつは関係ないただの子供だ・・・・やめてくれ・・・・」
「関係ない?トランプ海賊団に逆らった馬鹿は皆殺しよ〜ん♡まずはこの子から♡どんな風に殺してあげようかしら?・・・そうねぇ・・・・スカイダイビングはどうかしら?」
「なんだと・・・・」
「そこのテラスからお空にダイブするの♡とぉっても気持ちよさそうでしょ♡」
タワー状に建っているトランプ城の最上階の大広間にそのまま繋がったテラスから人が投げ出されれば助かる見込みなどない
「やめろ・・・やめてくれ・・・頼む・・・」
しかし彼女はボロードの懇願に聞く耳を持たず
「だ〜め♡それじゃあ・・・・逝っちゃいなさい♡」
ハニークイーンはアキースを持ち上げ、そのまま腕を液体化させ強烈な水流でテラスの上空に向かって打ち上げた
「ばいばぁい、坊や♡」
「アキース!」
満身創痍のボロードが最後の力を振り絞り、走った
アキースの体が落下し始める
ボロードは落ちていくアキースに向かって、跳んだ
「アキースーーー!」
92
:
名無しさん
:2014/11/02(日) 03:23:08 ID:iRxSKyjw
身を投げ出してアキースをキャッチしたが二人の体は完全にテラスから飛び出してしまっていた
この高さから落ちれば確実に助からない
「あの女!ほんとに投げたの!?・・・ルフィ!」
ナミが言うより先にルフィが走り出す
「うおおおおお!!!!」
ルフィが行く手を阻んでいたブージャックを一撃でぶっ飛ばして、そのまま二人に向かって腕を全力で伸ばす
「ぶーーーっ!」
「ちょ、ブージャック!?」
どかんっ!ぶちゅ♡
ハニークイーンは正面からぶっ飛んできたデブの下敷きになった
その横をルフィの腕が通り抜ける
そのままテラスを突っ切って空中に飛び出した二人をつかもうとするが、
距離がありすぎた、あと少しが届かない
虚しくもルフィの手から二人がゆっくりと遠ざかり、テラスから落ちてルフィの視界から姿を消した
「ア・・・・・アキース・・・・ボロード・・・・・」
二人を救えなかったことにルフィがワナワナと肩を震わせる
「もう!私になんてことするのよぉ〜お肌に傷が付いちゃうでしょ!」
デブの下から這い出たハニークイーンが立ち上がる
「あらら、間に合わなかったみたいねえ?残念でした♡」
「てめぇ・・・・」
「それにしてもびっくりしたわ、だってあのお兄さんまで飛び出しちゃうんだもの、
あぁん♡これって美しき兄弟愛ってやつかしらぁん?笑っちゃうわね、ふふっ♡」
「なにがおかしいんだ・・・・・・?」
二人を嘲笑うハニークイーンにギリッと歯を食いしばるルフィ
「だって可笑しいでしょ?助けるつもりで自分も落っこちて死んじゃうなんて
とってもお・ま・ぬ・け♡ま、でも良かったじゃない、二人仲良く一緒に死ねて♡」
この言葉にルフィの怒りが爆発した
「お前だけは・・・・・・お前だけは許さねーーーーーー!!!!!!」
ルフィの怒号が大広間に響き渡る
ハニークイーンはたじろぐが
「ふん、私を侮辱したんだから死んで当然でしょ?それにあんな奴ら死んでも誰も困らないわよ」
全く悪びれない彼女にもはや人としての善の心など残っていない
容姿は美しいが心はおぞましい程の邪悪そのものだった
「ゴムゴムのピストル!」
ハニークイーンの言葉にキレたルフィは躊躇なく彼女の顔面にパンチを放つ
ハニークイーンの顔にルフィの拳がもろに命中した
しかしハニークイーンはトロトロの実の能力で顔を液体化させダメージを逃れる
パンチの衝撃で彼女の美貌がぐにゃりと歪むが何事もなかったかのように一瞬でもとに戻った
「くそー!全然きいてねぇー」
殴った際、拳についた口紅を服の裾で拭きながら言うルフィ
「この美しい私の顔を殴るなんて・・・おしおきが必要みたいね♡」
彼女の能力の前に打撃は全く意味を成さない
能力による優位性から余裕の表情で迫るハニークイーン
「なら・・・・ゴムゴムのムチ!」
ルフィは伸びるキックを放つが再び攻撃に合わせ体を液体化させるハニークイーン
93
:
名無しさん
:2014/11/02(日) 03:23:50 ID:iRxSKyjw
バシャっと液体の体を通り抜けるキック、やはり効き目はないようだ
そのルフィの足に液体化されなかったマントとレオタードが絡みついていた
とすれば当然・・・・・
「そんな攻撃効かないってば、お馬鹿さんねぇ♡」
そう言う目の前の彼女は裸に長手袋に網タイツ、ガーターとまさに痴女と言わんばかりの出で立ちだ
「きゃ!私の服が・・・・いや〜ん♡ハニークイーン恥ずかし〜い♡」
すでに2回もルフィ達の前で平然と裸体を晒しているはずの彼女はわざと恥じらいのポーズを取る
ほどの余裕っぷりだ、完全におちょくっている
「うわっなんだこりゃ?」
そんなお色気に無反応のルフィは足に絡みついた美女の温もりの残る脱ぎたての服を摘まみ上げる
「ふふっ♡強引に脱がすなんて、いったい私にどんなことするつもりなのかしらぁん?」
「決まってんだろ・・・・・ぶっとばす」
「ふぅん?強がっちゃって、ホントは私を押し倒してエッチなことしたいんじゃなぁい?この体に♡」
胸を揉みしだきながらクネクネと体を揺らして問いかけるハニークイーン
普通の男なら迷わず首を縦に振るだろうがルフィは
「んにゃ、全然?お前みたいなおばさんに興味ねーし」とポイッと持っていた服を床に投げ捨てる
「なっ・・・・また・・・おばさんですってぇ・・・・・」
自慢の体を見せつけても無反応どころか、再びおばさん呼ばわりされたことにハニークイーンが愕然とする
「馬鹿な男!もういいわ、お遊びはここまでよ!たっぷり痛ぶって殺してあげるわ!」
先程までの甘い声色とはうって変わって怒りに声を荒げるハニークイーン
その様子にルフィも身構える
「あなたも能力者なら水は苦手よねぇ?だから私の体で溺れさせて昇天させてあ・げ・る♡」
そう言うと彼女は残った手袋、網タイツ、ガーター、ハイヒールをスルッと脱ぎ捨てて一糸まとわぬ姿になった
「私をコケにしたこと、後悔しながら死んじゃいなさい♡」
そしてトロッと全身を液体化させるとルフィにドバッと襲いかかった
「うわっ!・・・ゴボゴボ!」
液体が瞬く間にルフィを包み込む
「うふ♡どうかしらぁん私のとっておきの技は♡」
球体状にルフィを包みこんだハニークイーンはその上部から上半身だけ半人型に戻した
「ゴボゴボ!」
ルフィは中で必死にもがくが動きに合わせて液体も移動し、まったく抜け出せない
「逃げちゃあ だぁめ♡」
ルフィのもがく様を見て笑みを浮かべるハニークイーン
「ゴボゴボ!ゴボボボ!」
「あぁん♡私の子宮掻き回されてるぅ♡きゃん♡やんっ♡」
ルフィが中でもがく度に顔を紅潮させていやらしい嬌声をあげて身をよじるハニークイーン
そんな様子とは対照的にルフィの顔は酸素を求めて必死の形相、顔色も真っ青だ
ルフィの口から空気が一切出ていない
もはや力尽きるのは時間の問題だと思われた
しかし
94
:
名無しさん
:2014/11/02(日) 03:24:38 ID:iRxSKyjw
「んっ♡・・・・はぁはぁ♡・・・なかなかしぶといじゃなぁい、ちょっとイっちゃたわ♡
でも・・・そろそろ限界かしらねぇ?
おとなしく逝っちゃいなさい♡・・・・・って・・・・えっ?」
そのときハニークイーンは想定外の事態に驚愕した
なんとルフィを球体のように包んでいた液体がみるみるうちにしぼんでいくのだ
さらにその時彼女はあることに気づく
どこからかズゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!と奇妙な音が聞こえてきたのだ
「なっなにこの音・・・・?」
その音は彼女の下(彼女の言う子宮あたりらしい)から聞こえてきていた
そして彼女はそれが何かをすぐに理解した
それはルフィがハニークイーンの体をもの凄い勢いで吸い上げていた音だった
吸い込むに連れドンドン膨らむルフィの腹
膨大の量の液体を吸い込めるゴムゴムの実の能力だからこそできる芸当だ
「やぁん!吸っちゃだめぇ!」
ズゴゴゴと物凄い勢いでハニークイーンの液体化した体を吸い上げるルフィ
体を液体から元に戻そうにも下半身にあたる部分はほとんどルフィの腹に収まってしまったために
全身を元に戻すことができない
「あっ♡あっ♡私の体がぁ・・・・・もっもうだめぇぇぇ・・・・」
逃れようとしたハニークイーンの抵抗虚しく
シュポ っと全身まるごと吸い込まれてしまった
「げっぷ・・・うえ〜なんだこれ、甘ったるくてまじぃ〜」
腹を膨らませたルフィがしょうもない味の感想を言った
「だせー!このやろー!だせー!」
ルフィの腹がボヨンボヨンと揺れ、中からハニークイーンの声が聞こえて来る
これでは先ほどと立場が全くの逆だ
「出してやんないもんね〜お前なんかこのまま小便にして海に流してやる」
「こ、この私がしょ、小便!?冗談じゃないわ!あぁん!出せっ!このやろー!」
しばらくルフィの腹がボヨンボヨンと激しく揺れ続けたが、暴れる力が尽きたのか
とたんに静まった
「お・・・・・お願い!出して!出してくれたらなんでもしてあげるからぁ!」
自力では脱出できないと悟ったハニークイーンは命乞いを始めた
大勢の部下を率いる極悪海賊団の幹部がなんともブザマだ
「ならアキースとボロードを返せよ」
なんでもすると言ったがそんな答えが返ってくるとは思っていなかったハニークイーンは焦る
「か・・・返せって・・・・あいつらは死んじゃったじゃない!無理よぉそんなの!」
ルフィだってわかっている、二人がもう戻ってこないことを
だからこそこの女を許す気など微塵もなかった
「なら諦めろ」
「そ・・・そんな・・・ねえ、私たちと手を組まない?死んじゃった奴らなんて忘れてさぁ・・・」
「あ?」
「あんな汚いコソドロの奴らより私達と手を組んだほうがお宝だってたくさん手に入るわ、
それに私の体だって好きにしていいのよ?私、あなたみたいな強い男が好みなの・・・・ねぇ、だから・・・・」
「お前もう黙れ」
呆れ果てたという感じの冷めた声で自分の腹にパンチを食らわせるルフィ
「きゃあ!何するの!いやぁ!出してよぉ!た、助けてぇベアキングさまぁ!」
命乞いも通用しないと思ったハニークイーンはボスのベアキングに助けをもとめる
95
:
名無しさん
:2014/11/02(日) 03:25:18 ID:iRxSKyjw
「ハニークイーン!?貴様!愛しき兄弟をどうした!」
他で戦闘を繰り広げていたベアキングが仲間のピンチを察し、戦闘を中断して鬼気迫る勢いでルフィに向かってくる
「飲んだ、すげーまずかったけど」
「は?なんだと?」
予想外のルフィの答えに素っ頓狂な声を出すベアキング
「ここよぉ!ベアキング様!助けてえ!」
「ま・・・まさか・・・・」
ルフィの膨らんだ腹から聞こえてくるハニークイーンの声に本当だと理解したようだ
「貴様!兄弟を出しやがれ!」
「やーだよ、出すもんか」
ポンポンと腹を叩くルフィに激昂するベアキング
「舐めやがって!待ってろ兄弟、すぐに出してやるぞ!麦わら、てめえのそのちっぽけな頭をこいつで溶かしてなぁ!くらえホットボーリングスペシャル!」
カチカチの実の能力で腕を高熱化させルフィの頭を鷲掴みにしようとするベアキング
ゴムの体が衝撃に強いといっても熱には弱い、喰らえばたちまちルフィの頭など簡単に溶かされてしまうだろう
だがルフィは避ける素振りを見せない
それどころかベアキングにまっすぐに立ち向かう
そして
「へへっそんなら今すぐ出してやる」
ルフィは向かってくるベアキングに向かって思い切り頬を膨らませ
「ゴムゴムの水大砲!」
溜め込んでいた液体のハニークイーンを一気に噴射した
「なっ!ハニークイーン!?」
「ちょっ!嘘っ!いやああああああああ!!!」
いきなり解放されたハニークイーンは空中で急いで人型に戻ろうとしたが間に合わず
人型に戻りきる前にベアキングの真っ赤に熱した腕に顔面から衝突した
どかんっ!ぶちゅ♡
ジュウウウウウウウウウウウウ
「きゃあぁぁ!!!・・・・・・・・・・・・・」
いくらトロトロの実が打撃に対して無敵でも高熱には無力だ、哀れな美女は一千度にまでなった
鋼鉄の腕をもろに裸身で受け、跡形もなく一瞬で蒸発してしまった
ベアキングの腕から水蒸気が立ち上がり、その直後その水蒸気が一瞬人型のような形を成した
それは死にたくないとでもすがるように手を伸ばしたあと、崩れるように空気中に溶けていった
整った顔、豊満なバストにプリンとしたお尻、滑らかで柔らかな白い肌、理想的なプロポーションも全て蒸発霧散し、この世に美貌の女海賊がいた痕跡は、もはやベアキングの腕に残されたキスマークと脱ぎ捨てられた衣服のみだった
「へっ、ざまぁみろ、クソ女」
ハニークイーンの哀れすぎる末路に対し放ったルフィの言葉には一片の同情もなかった
「きょ兄弟を・・・貴様!よくも!許さん!!!」
ベアキングはうかつにも熱に弱いのはハニークイーンもであることを怒りで失念していたことを棚上げしてルフィに吼える
「自分でやっつけたくせに・・・・まぁいいか、いくぞ!」
蒸発したハニークイーンの甘い匂いの残り香たちこめる大広間で戦いは最終局面に突入した
96
:
名無しさん
:2014/11/02(日) 19:45:41 ID:NI5dPI.E
とある大陸辺境の村が、5匹のモンスターの群れによって襲われていた。
いわゆる『人間狩り』である。この大陸では珍しいことでもない。
「オラオラ! あたしを殺せる奴はいねぇのか!?」
猛々しい叫びを上げながら、斧を振り回しているのはミノタウロス。頭に二本の大きな角が生えた、勝ち気そうな眼差しの雌である。剥き出しの、ミノタウロスの特徴である巨大な乳房をこれでもかとばかりに揺らしながら、逃げ纏う人間たちの頭を次々に砕いていく。穏やかな気性を持ち、人間に友好的な個体が多いことで知られるミノタウロスだが、稀にこういった凶暴な個体が生まれることがあるのだ。
「ったく、もうちょい骨のある野郎を殺したいもんだぜ」
人間の五倍の力を持つと言われるミノタウロスに、ただの農民が敵う筈もない。この雌は、弱者を蹂躙する自らの力に溺れ、酔いしれていた。その慢心が、やがて致命的な隙になるのだということも知らぬまま。
「うー……気持ちいぃ……」
だらけきった表情で、既に首が切断された死体とまぐわっているのはゾンビだ。半開きの口からだらしなく涎を垂れ流し、大きいながらも張りと弾力を失ってしまった乳房を気だるげに揉みし抱きながら、激しく腰を上下に動かしている。ゾンビとは、人間の死体が勝手に動き出したモンスターであるが、この個体は脳みそが幾らか零れ落ちてしまっているため、あまり複雑な思考が出来ない。
「うへへぇ……ばかになるー……」
思考能力が欠如したこのゾンビにとって、唯一本能として求めるものが性的快楽であった。それも生きている人間相手でなく、犯すのは決まって自分と同じ死体。ちなみにこれが最期の交わりになるということを、ゾンビはまだ知らない。
「ふふ……美味しそうなぼうやです」
年端もいかぬ少年を蔦で縛り上げ、アルラウネは恍惚とした表情で舌なめずりしていた。上半身こそ、育ちのよさそうな美女に見えるが、下半身は植物の蕾のそれである。普段は森に生息し、美しい容姿と優しげな声で旅人を誘惑するが、それは全て餌である人間を食らうための手段である。特に中性的な少年を好物とし、一般的には清楚に見える固体ほど、内面は狡猾で食欲旺盛だと言われている。
「それじゃ、美味しくいだだきますね」
アルラウネはそう言って、恐怖のあまり失禁した少年を頭から蕾の中へと押し込んだ。文字通り、下の口で食べるのである。アルラウネが情けない声を漏らした。アルラウネの食事には、強烈な性的快感が伴うのだ。その快感を、この雌が味わうことはもう二度とない。
「キャハハハハ! 逃げ回りなさい虫けらども!」
高笑いしながら、ハーピーは軽やかに宙を舞う。一見すれば、幼い顔立ちをした少女のようにも思えるが、肩から先と、太ももから下の部分は完全に鳥類のそれである。悪戯好きで知られるハーピーは、人間の手の届かない空中から獲物を狩ることを好む傾向があり、このハーピーもそれにならって、先ほどから人間の喉を割いて回っていた。例え人間がどんなに抵抗しようとしても、空中のハーピーには絶対に危害を加えることが出来ない。
「劣等種族をいたぶるのって、本当に気分がいいわね!」
余談だが、ハーピーは出来るだけ身体を軽くするため、脂肪が付きにくい体質をしている。そういうわけで、5匹のモンスターの中では唯一の貧乳である。本人もそのことはかなり気にしており、いつか育ってくれることを夢見ていたのだが、その夢は今日潰えることになる。
「ほぉら、ボクの中に入ってきてよ、人間さん」
液体状の肉体を持つスライムが、怯える村人に纏わりついてそう囁いた。スライムといっても女性的な膨らみのあるフォルムで、胸はミノタウロスに次いで大きい。おっとりとした顔立ちをしているものの、その性質は残虐そのものであり、人間の殺し方は5匹の中で一番えげつない。獲物を自らの体内に取り込んでから、圧力で骨を一本一本へし折り、口や耳から流し込んだ消化液で内臓を溶かして殺すのである。
「あはは、人間さんって脆いなぁ〜」
全身が流動体であるスライムには、打撃や斬撃の類が一切通じない。つまり普通の方法では殺すことが出来ない、厄介なモンスターなのである。このスライム自身、防御力にはかなりの自信を持っていたのだが、それがあっけなく崩れ去るのは、これから数分のちのことだ。
97
:
名無しさん
:2014/11/02(日) 19:46:17 ID:NI5dPI.E
5匹のモンスターにより、村が阿鼻叫喚の渦へと変えられている中。
一人の少年剣士が、颯爽とその姿を現した。
華奢な外見であり、まるで少女のように真っ白な肌をしているが、たたえる瞳は平坦かつ冷酷だ。無機質な動きで鞘から剣を引き抜くと、そのままモンスターたちの方へと歩いていく。
「ん? なんだ?」
少年の存在に、最初に気付いたのはミノタウロス。
「まだ生き残りがいたのかよ……つってもガキだけどな。歯ごたえはなさそうだ」
ミノタウロスは溜め息を吐いて、アルラウネの方に視線を送った。美少年だったので、譲ってやろうと思ったのである。
「……すごいおっぱい」
乳首まで丸見えになっているミノタウロスの爆乳に、思春期の入ったばかりの少年はほんの少しだけ見惚れてしまう。が、すぐに元の平坦な表情に戻り、ミノタウロスに向けて無駄のない動きで跳躍した。
「もったいないけど、報いは受けてもらいます」
一足飛びでミノタウロスの懐に入った少年。当然、ミノタウロスは息を呑む。
「て、てめぇどうやって――」
「ミノタウロスのおねーさん、弱点を丸出しにするなんて馬鹿ですね」
少年はそう言って、ミノタウロスの乳首に吸い付いた。
「ふあっ!?」
ミノタウロスの口から、乙女のような声が漏れる。圧倒的な怪力を持つミノタウロスの唯一の弱点が、この搾乳の瞬間だった。常に母乳を出すことの出来るミノタウロスは、搾乳されているときは思ったように力が出せなくなるのだ。本来ならば、ミノタウロスが最も気を付けなければならない要素なのだが、この雌は自分の力を過信するあまり、防御を怠ってしまっていた。
「んっ……んっ……」
「こ、このエロガキ……やめろぉ……吸うなぁ! ぶ、ぶっころされたくなかったら……ひぃんっ!」
口調だけは凄んでいるが、ここまでか弱い声だと逆に滑稽である。
少年はそのまま、剣を引き上げてミノタウロスの胸元に照準を合わせる。
「ひっ……? ちょ、ちょっと待て……」
ミノタウロスは力のない声で命乞いするも、少年は聞く耳を持たない。
やがてミノタウロスの豊かな谷間に、少年の剣が深々と突き刺さった。「ふぎゃぁ!」
情けない断末魔と共に、ミノタウロスは背中側に倒れ込んだ。どくどくと、際限なく傷口から血が溢れていく。乳房を震わせて痙攣しているが、もう長くはない。乳首から母乳が、ぴゅーぴゅーと噴水の如く噴き出しているのがその証拠である。ミノタウロスは死の間際、乳房に溜まっている母乳を全て排出しようとするのだ。
ミノタウロスは、信じられないという眼差しで、虚空を見つめている。自分がこんな、恥ずかしくて目も当てられないような死に方をするなど、思ってもみなかったのだろう。目には涙が滲んでいた。
「……ごぐん。美味しかった」
少年は口元を拭って、残りの4匹のモンスターに向き直る。
「よっ、よくも仲間を! 美少年くんとはいえ、許しませんよ!」
アルラウネが蔦を奮って攻撃してくる。が、少年はいとも簡単に、全て剣で切り落とした。
「そ、そんな馬鹿な……」
「あなたは優しそうなおねーさんだけど、そういうアルラウネに限って、確か性格が悪いんですよね」
少年は無表情で、アルラウネに向かって歩み寄っていく。
「い、いやぁ! こないで!」アルラウネは悲鳴を上げて、蕾の中に身体を隠した。これはアルラウネの最大の防御形態であり、蕾に籠った本体に傷を負わせることは、一流のハンターであっても難しい。
「……仕方ない。フレイム」
少年は淡々と呪文と唱える。すると、アルラウネの周囲が突然発火し、囂々と燃え盛り始めた。
「ひゃっ……? な、なんですかこれっ、あつい!」蕾の中から、アルラウネの痛々しい声が聞こえてくる。「や、やめてください、あつくて死んじゃいます!」
「……フレイム」
少年は答えず、呪文を重ねがけした。
「あついあついあついっ! いやよっ、こんなっ、こんな死に方いやっ! ……いや……あつい」やがて、アルラウネの声がか細くなっていく。「……もう、だめ……死にたく…………」
アルラウネの蕾がぱっくりと開いた。中から、黒焦げの本体が転がり落ちる。
「植物モンスターは火に弱い。楽ちんですね」
98
:
名無しさん
:2014/11/02(日) 19:46:48 ID:NI5dPI.E
「――ふぅん。好き勝手やってくれたね」
続いて、少年の前に立ち塞がったのはスライムである。
「だけど、ボクには勝てないよ。キミがどんなに強くても、ボクの身体には傷一つ付けられないからさ」
「……? いや、付けられますけど」
少年は怪訝そうに言いながら、懐から薬瓶を取り出した。それの中身を剣に浸す。すると、剣が鈍く光り始めた。
「――!? な、なにさそれ! そんなので、ボクはびびったりしないもんね!」
スライムは若干怯えた様子だったが、それでも自分の肉体は無敵だという自負を捨てきれなかったのか、無策にも少年に向かって突っ込んでいった。
「じゃあ、さよならスライムのおねーさん」
少年はそれだけ言って、向かってくるスライムの腹部に剣を刺し込む。
瞬間、スライムの身体がバラバラに四散した。
「ひゃっ!? べ、別にバラバラにされたくらいで、ボクは死んだり……」スライムは言いながら、四散した身体を一か所に集めようとしたが、「あ、あれ!? 出来ない!? なんで!?」
「スライム専用のアイテムですよ。都じゃ常識の装備です」
形を保てなくなったスライムの残骸は、次々と蒸発していく。
「ボ、ボクがなくなるなんて……そんなの……」最後まで言い終わることなく、スライムは消滅した。
「あ、ああ……」
ゾンビは腰を抜かしてしまっていた。失禁し、歯をガチガチと鳴らしている。
「ま、また死ぬの私?」
命の危機に晒されたことで、ゾンビの脳裏には、生前に感じた死の恐怖が浮かび上がってきていた。「や、やだ……痛いのはもうやだ」
呟くと同時に、ゾンビは四つん這いで踵を返すと、近くに野ざらしにしてあった村人の死体にのしかかった。
「う、うへへへへ……きもちいいこと、きもちいいこと……」何かに取りつかれたように、ゾンビは村人の性器を自分の秘部に結合させる。快楽に身を委ねることで、恐怖を消してしまおうと考えているのだろう。「あっ……あっ……」
腰を振り始めたゾンビを見て、少年は顔を赤くする。
「…………」
ゾンビとはいえ、男女の交わりを見るのは、少年はこれが初めてであった。
「……一応隙だらけだし」
気まずそうに目を逸らしながら、少年は艶やかな声を上げ続けるゾンビの背後に経つと、うなじの辺りから脳髄にめがけて一気に剣を刺し込んだ。
「はひっ!?」びくんっ、と身体を震わせてから、ゾンビは繋がったままこと切れた。もう動き出すことはない。
「う、嘘でしょ……みんな」
ハーピーは、仲間が死んでいく様をただ呆然と眺めていたが、ようやく正気を取り戻した。「と、とにかく逃げないと!」
ハーピーは叫んで飛翔したが、それを少年が見逃すはずもない。
「逃がしません」
少年は跳躍すると、宙を舞うハーピーの尻の部分にしがみついた。
「むがっ!」
「――!? きゃ、きゃぁぁぁ! ど、どこに顔埋めてんのよ!」
「……そんなこと言われても、ハーピーの脚は捕まりにくいし」
「は、離れて! 重くて上手く飛べないわ!」
ハーピーは羽をバタバタと動かし高度を保とうとするが、人一人分を乗せている状態では満足に飛べるはずもない。高度は目に見えて下がっていく。
「こ、こうなったら……あんたを岩にぶつけてやる!」
ハーピーは敢えて高度を保つのを諦め、凄まじい速度で近くの崖に向けて滑空し始めた。
「あ、そうだ。忘れる所だった」
しかし少年は、別段慌てる様子も見せず、ハーピーの下腹部に手を回し、人間で言えば子宮に当たる部分を押し込んだ。
「ひゃっ!? ちょっとあんた、何やってんの!」
「ええと……確かこの辺に……あ、やっぱりあった」
ぐにぐにと、少年が力を加え続けていると、やがてハーピーの女性器の辺りから、小さな卵が転がり出してきた。少年はそれをキャッチし、満足そうに頷く。ハーピーの卵は高く売れるのだ。
「か、返しなさい。それは私の卵……」と、不意にハーピーの瞳が、とろんとしたものに変わっていく。「……うう、卵産んだ後だと……羽の操作が……」
制御を失ったハーピーの身体は、そのまま崖に激突した。衝撃で首の骨が折れ曲がり、「ぐえっ」という断末魔を上げてから、ハーピーは絶命した。
激突の瞬間、ハーピーの頭を蹴って崖の上へと飛び移っていた少年は、卵を見て残念そうに呟いた。
「うわ、色が悪い……これはあんまり高く売れないだろうな」
99
:
名無しさん
:2014/11/05(水) 01:47:09 ID:tlkHiVXo
おおっ更新が複数も!
>>95
懐かしいキャラでしみじみしてしまいましたよ( ´▽`)
>>98
淡々とした無常感のあるヤラレですね、アルラウネとその設定がイイと思いました。
もう少し会話や生への執着で泣き言とかあるともっと楽しめるかもー|ω・`)コソ
100
:
屋上モノ
:2014/12/09(火) 03:13:27 ID:oUcnknCw
麻薬組織ブラッドウィンドがこの町を支配してから、もう幾年にもなる。もはや平和だった頃の面影はどこにもない。町の至る所では餓死者たちの死体が転がり、かろうじて生きている者たちの瞳も死人のように濁っている。
ブラッドウィンドの構成員によってもたらされた大量の麻薬が、この町を変えてしまった。既に麻薬なしでは生きられなくなっている住民たちに、ブラッドウィンドは法外な値段で麻薬を売り付け、彼らの少ない財産を根こそぎ奪っていく。住民たちも、このままでは駄目だ、ということは分かっているのだが、それでも目の前の麻薬への欲求に抗うことが出来ないのだ。ブラッドウィンドの支配そのものを覆そうと、武装蜂起した者もいたが、ブラッドウィンドの暴力の前にたちまち鎮圧されてしまった。
ブラッドウィンドは、元は港の商業都市を縄張りとしていた麻薬組織であったが、そこでの縄張り争いに敗れ、落ち延びるような形でこの町へとやって来た。めぼしい対抗勢力もいないこの町は、彼らにとっては天国のような場所である。構成員はほとんどが麻薬で頭をやられているという噂で、どんな非道な行いにも平気で手を染める。そこまで大した力を持っている組織でもないのだが、最近は調子に乗っており、町の支配者を気取っているという話だ。
そんなブラックウィンドに、天罰を下そうという旅人が二人。
相原マキナと相原ユウのカラテ家姉弟である。幼少時代から歴史あるカラテの道場で修行し、現在は武者修行の道中である二人は、カラテの腕は当然として、悪を許さぬ正義の心をその身に宿している。特に姉であるマキナの方は、悪人が相手ならば殺すことも厭わないほどの徹底ぶりだ。反面、弟であるユウには、まだまだ甘い所があるのだが――とにかく、二人は町を訪れ、そしてブラックウィンドの悪行を知った。マキナもユウも、あまりの非道さに身を震わせ、やがてブラックウィンドのアジトに乗り込むことを決意したのだった。
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