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『ニール・コドリング』は喋れない
1
:
◆Wf0eUCE.vg
:2016/09/14(水) 23:40:23 ID:XaELvotc0
※トーナメントで御馴染みの加賀さんをイジるためのSSです。
長編になる予定ですが、長編というほどの長さにはならないかも知れないです。
また、加賀さん及び、その他の既存キャラに関する独自設定や若干キャラ崩壊、
もしくは、筆者がキャラを掴みきれていないことに起因するミスがあるかも知れません。
ご容赦下さい。
おそらく、稚拙な文章になると思いますが、お付き合い頂ければ幸いです。
2
:
◆Wf0eUCE.vg
:2016/09/14(水) 23:42:25 ID:XaELvotc0
『前書き』
まず、今回の一連の騒動の内容に触れる前に、
この文章が、どこで、誰によって、何の為に、
そして、何について書かれているのか、を説明せねばならない。
まず、どこで執筆されているか、というと、羽田空港から
ロンドン・ヒースロー空港を目指す、DA869便の機内の、
トレー・テーブルの上で、である。
そのトレー・テーブルの上に乗せられた3冊の大学ノート、
その上でこの文章は書かれている。
では、誰に、何のためにという部分だが、それを説明するためには、
この飛行機が羽田空港を出発し、水平飛行に移った時点に話を戻すべきだろう。
3
:
◆Wf0eUCE.vg
:2016/09/14(水) 23:43:55 ID:XaELvotc0
機内に機長のアナウンスが流れる。
シートベルトの着用を指示するランプが消える。
加賀御守道はそれを確認すると、手元にあった
リュックサックの中をごそごそとイジり始めた。
リュックの中は、乱雑としていた。
いや、もともと机などと違い、物を適当に詰め込む
仕様になっているのだから、乱雑というのはおかしい気もするが、
だからといって、くしゃくしゃに丸まったチラシだとか、コンビニおにぎりの
包装プラスチックが詰め込まれたビニール袋だとか、明らかにゴミと
呼ぶべきものが適当に詰め込まれている様は、乱雑というほかにないだろう。
加賀は、そんなリュックの中から、3冊の大学ノートとアイマスクを取り出した。
すぐにアイマスクをまるで額あてのように頭に装着すると、
トレー・テーブルを引っ張りだし、そこにノートを放り投げる。
そして、着ていたスーツの胸元から万年筆を引っ張りだすと、
それをノートの上に置いた。
「あのね、ちょっとお願いがあるんだけど……」
加賀の隣に座っていた中年の男性が、ふと加賀のほうを見る。
「何か?」
「あ? ああ、別にあなたに様があるわけじゃなんだけど」
「え?」
とは言っても、窓際に座る加賀の隣には、彼以外に人はいない。
「いいから! 気にしないで! あんたに話しかけてるわけじゃないんだから!」
「あ、ああ、はい」
中年男性は、加賀から急いで目をそらした。
独り言の危険な女だ、と思ったに違いない。
4
:
◆Wf0eUCE.vg
:2016/09/14(水) 23:46:30 ID:XaELvotc0
「ねぇ……、『ニール・コドリング』?」
「何ダヨ、ウルセェナ……オッサンもビビってるジャアネェカ」
「お願いが、あるんだけど」
「……何?」
「あんた、インクを操れるんだから、自動筆記くらいできるでしょ?」
「出来ネェ事はネェ」
「だったら、この飛行機がロンドンに到着するまでの間に、
そのノートに今回の件の報告書を書いといてくれない?
本部長に出すやつなんだから、客観的に、ね。
私は疲れているから、到着までゆっくり寝るわ、
死ぬほど疲れているの」
そういうと、加賀は、アイマスクを下げて、目を覆ったと、思ったのも束の間……。
「……グゥ」
驚きの寝つきの速さで、ぐっすりと眠り込んでしまった。
さて、困ったのは『ニール・コドリング』だ。
彼(彼ト言ウベキか、彼女と言ウベキか、分ラネェンダケド……)は、
本体に従順な彼女のスタンドである。加賀の命令には絶対服従、
逆らうことは許されない。
だから、ロンドン到着までの5時間弱の間に報告書を書けと言われれば、
書く以外ない。(ツマリ、コノ文章ノ執筆者ハ、『ニール・コドリング』様ッテ訳サ)
が、『ニール・コドリング』は困惑すると同時に、イラッとした。
(『本体』のお前が疲れてるってことは、『スタンド』の俺も疲れてるってことなんだぜ……)。
それでも、本体の指示には逆らえない。
なぜなら彼は、彼女に従順で素直な、彼女のスタンドだからだ。
5
:
◆Wf0eUCE.vg
:2016/09/14(水) 23:47:58 ID:XaELvotc0
しかし、『ニール・コドリング』は、すぐに執筆を開始はできなかった。
なぜならば、加賀が彼に下した指令には、『ニール・コドリング』にとっては、
不明瞭な、曖昧な部分が含まれていたからである。
まずは、「報告書」という部分。
『何』の「報告書」が具体的ではなく、曖昧になっている、と『ニール・コドリング』は感じた。
文脈から察するに、今回、加賀が携わった事件の内容と顛末を書いて欲しいのかも知れないが、
いまいち確信が得られなかった。
ひょっとすると今回、日本で彼女が食べた料理に関する報告かも知れないし、
日本のトイレのビデ機能の報告かも知れない。
『ニール・コドリング』は今一度、加賀に確認を取りたかったが、
彼女はアイマスクをして眠り込んでいる。
そんな彼女を叩き起こすというのは、彼女に従順な彼女のスタンドとして、
あり得ないことである。
仕方が無い。ならば、今回の騒動のおおよそ大事に見える部分を大方書くしかないな、
と『ニール・コドリング』は思った。
その結果、加賀が人に知られたくないと思っていたり、それこそ『ニール・コドリング』しか知らない様な、
彼女の恥ずかしい秘密が含まれてしまう可能性はある。
しかし、加賀本人からそれを書くな、という指示を受けていないのもまた、事実である。
(別ニ、イラッとシタカラ腹いせに無茶苦茶な文章ヲ書イテヤロウって訳ジャアナインダゼ?)
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