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【オリスタ】Change a gear,Change THE WORLD【SS】

153第10話 ◆gdafg2vSzc:2020/08/13(木) 22:02:44 ID:nz4xnrN.0
>>152
「駄目だった、SPW財団のデータバンクを駆使しても合致するものは無かったよ」

 溜息を吐きながら、残念そうに首を横に振り肩をすくめるネルソン。

「ただ、逆に言えばmicroな規模……例えばこの街の、インターネット販売とかもやらないような小さな会社とかが作ったモノなら引っかからないかもね」

「……そういう業者を虱潰しに当たっていかないといけないのか……面倒くせぇ」

「はは、まぁそっちはエージェントに当たらせるよ」

 面倒ごとに露骨に嫌な顔をする汀に対し、苦笑して返すネルソンだったが。

「ま、私たちも少しは手伝うわよ、言い出したのは私だし」

「ええー、任せときゃいいじゃんよー」

「んもー、またそういう事言うー」

 沙枝と汀のある意味いつも通りのやり取りに、自然と頬を緩めていた。

「まぁ、調査協力は在り難いよ。警戒は怠らないでほしいけど」

「ん。今はそれとレジストロの件しかないしね」

「そうだな……くっそ、もっとこう、分かり易い目標がありゃあいいんだが……」

 具体的な行動がとれない現状に苛立たしさを覚え……ぱん、と汀が右の拳で左掌を打ち、空を仰いだー




 その同じ頃。

【10:黒幕とその仲間、その心情と内心と】

 南風市、某所。



 周囲を白い壁で囲まれ、壁際や複数置かれた机の上に顕微鏡などの機材の置かれた、研究室のような部屋。

「……どうしたんだ、淵谷(ふちや)さん?」

 部屋唯一の入り口であるドアの近くに立つ大澱が、部屋の中央に座るボサボサ髪で眼鏡をかけた、くたびれた風体の中年男……淵谷に声をかけた。

「お、大澱……さん、まだ、要るんですか? これ」

 淵谷は困惑しつつ、眼前の机の上に置かれている顕微鏡と、大澱の顔を交互に見る。

 顕微鏡には無色の液体の入ったビーカーが設置され、一見、液体だけのように見える。

「確か『培養』のメドは立ったって、言ってたんじゃ」

「それだけでは足りんからだよ。いいから、やれ」

 淵谷のを鋭い眼光と共に一蹴し、淵谷が恐怖に委縮する……そして。

「分かりました……《ドグラ・マグラ》……!」

 淵谷の側に……全身が真っ黒で、虚ろな目をしたスタンドが現れる。

 全身が黒い中、腰に巻かれている帯は赤、青、白、緑、紫、等々色彩豊かであり……それが逆にこのスタンドの異質さを際立たせているようであった。

「……お願いします、《ドグラ・マグラ》」

 言いながら顕微鏡のレンズを覗く淵谷……その中ではビーカーの中で蠢く楕円上の細菌……バクテリアが無数に蠢いていた。

 そして、ドグラ・マグラが指先をビーカーに入れた瞬間

 ぶわ……!
バクテリアが、在り得ないスピードで増殖を始めた。


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