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【オリスタ】Change a gear,Change THE WORLD【SS】

107 ◆gdafg2vSzc:2017/09/14(木) 10:27:52 ID:s3c4TBVg0
>>106
「ぐおおおぉ!? くそ、アーケイド・ファイア!」

 突然の事態に混乱しながらも、油谷は自らのスタンドを傍まで戻し。

「……ち、一撃でブチのめせなかったか」

 身を守りつつ、ギア・チェンジャーを展開する汀を睨む。

「ぐうぅ、畜生……挟み撃ちかぁ」

 顔を押さえる油谷の手の下から、鼻血が流れ落ち。

 アーケイド・ファイアの炎に触れ、じゅ、と嫌な臭いと煙を残し蒸発する。

「だが、貴様の仲間の女は……燃やして」

「生憎だな、沙枝なら無傷だ」

「!?」

 驚く油谷の耳に。

「大丈夫、汀君!?」

 南側の階段の方から、心配そうに問いかける沙枝の声が聞こえてくる。

「ああ、大丈夫だ。だが、まだ終わってない。下で待ってろぉ」

「分かった、でも、気をつけてよね」

「おおー」

 視線を油谷から階段の方に向け、大声で返事をしたのち。

「ば、馬鹿な!? じゃあ今のは」

 納得いかなそうに唸る油谷に対して、汀は不敵に笑いかける。

「此処が木造で良かったぜ。沙枝のスタンドは植物やその加工品を操る……」

「……!」

「分かったみたいだな。階段をわざと大きな音で軋ませて気を引く。懐中電灯は壁側の木の板を操って、蔦の様に絡ませて動かして、階段を上がってくるように見せた」

「じゃあ、俺が焼いたのも」

「床板を引っぺがすように跳ね上げて、そう見せただけさ。まぁ、沙枝自身もあまり離れられないから、多少の危険はあったが……うまくいったよ。さて」

 汀の顔から笑みが消え、代わりに怒りが満ち満ちていき。

 ぎゅ、とギア・チェンジャーが拳を握る。

「覚悟はいいな? この放火魔野郎」

「……覚悟、な。ああ」

「へぇ……? なら」

 顔から手を離し、先に汀がしていたように、不敵に微笑む油谷。

 その態度に、嫌な予感を感じつつ。

「ぶっ飛ばされろぉ! ギア・チェンジャー!」

 ギャオン!

 ギア・チェンジャーの拳が、油谷に向けて放たれ――

「って、出来るわけねぇだろがぁ! 馬鹿が! アーケイド・ファイアぁ!」

「っ!?」

 拳が命中する直前、ごおぉ!

 2人の間に、激しい炎の壁が展開され。

「あはは、貴様が話したり余所見してる間に、油を垂れ流してたんだよ!」

 油の流れに乗って、炎の壁が汀を取り囲むように迫り。

「ぐあああああぁ!」

「はははは! ざまぁ見ろだ! しかし」

 油谷に背を向け、法被を被るようにして頭を抱え屈む汀を、猛火が包み込む……

「ああ、人間を焼くのも、良いかも知れないなぁ」

 その様に、油谷が一瞬見とれた――直後。


 ギャオォン!

「だりゃああぁ!」

「ぐべっ!?」

 同じように身を屈めていたギア・チェンジャーが突如起き上がり、油谷の頬を殴り。

「……っつ、やっぱあぢいいぃ!」

 燃え盛る法被を脱ぎ捨て、汀が立ち上がる。


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