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【P・D・D】ライジング・ストライプス −七人の守護神−【S・D・S】
1
:
◆4aIZLTQ72s
:2011/11/07(月) 02:05:07 ID:hFmuL1zA0
はじめます。
338
:
第十二話
◆4aIZLTQ72s
:2013/08/14(水) 13:53:18 ID:AcV7FYnQ0
メンバーの視線が、若菜の指先が示す方向へ集中する。
屋上に、一人の男が立っていた。ホワイトパーカーにグレーのジーンズ、両手にはスタンド使いのみが視認できる、“白と黒”の双剣。
そして手首に虹色の「ユリシーズ・リング」。
「ライジング・ストライプス」のもうひとり、堂島 海斗がビルの屋上から、「クリオネ」の連なる川を見下ろしていたのだった。
海斗「……」
宗次郎「……海斗!?」
海斗は“白と黒”の双剣『ディア・デッドマン』を構え、屋上のへりを蹴った。
海斗は身体を投げ出して、重力に引かれるがまま、凄まじい速度で落下していく。
彼が『ディア・デッドマン』を構える先、その先にいるのは、一匹の「クリオネ」だ。
洋平「おいッ! あいつ、やる気か!?」
宗次郎「……!」
息を飲み下して、六人は海斗の姿に釘づけになった。
「クリオネ」との距離は、5メートル、4メートル、3メートル!
肉薄した海斗が、『ディア・デッドマン』を振り抜いた、その瞬間。
【ミュンミュンミュンミュン……】
不気味な鳴き声と同時に、無数の「クリオネ」たちの内臓の色が、一斉にオレンジから赤へと染まった。
そして、小さな羽根が急に大きく伸びて、「クリオネ」はそれを曲げるように、先端を海斗へと向けた。
海斗「なにッ―――
予想外の反応、スピード。そして――威圧感。大きく目を見開き、肌を粟立てた海斗も、恐怖するにはもう手遅れである。
重力は身体をおもうがまま弄び、「クリオネ」との衝突を回避させない。
「クリオネ」の羽根が海斗の胴体に羽衣のような優しさで触れて、その肌をなでる。
そして、相手に痛みを与える刹那もなく、肉体をいともたやすく粉々にした。
まるでくゆらせた紫煙を、息で吹き飛ばすかのように――
駿介「……!!」
命を砕く音すら立てず、堂島 海斗を手品みたいに一瞬で消してみせたのだ――。
麻栗「う、……うっ……!」
若菜「……あ、あぁぁぁ……!」
宗次郎「……にッ、…………にっ、……に――――」
――赤信号のような内臓を抱えて、「クリオネ」たちが一斉に「ライジング・ストライプス」の方を向いた。
どれが目だかはわからないが、間違いなかった。六人は、そいつらの標的となったのだ。
「ライジング・ストライプス」は理解した。もはや、闘う、闘わないの次元ではない―――
宗次郎「逃げろォォォーーーーーッ!! マンホールまで走れェェーーーーーーーッ!!!」
――そいつらは、目を合わせることすら許されない存在なのだと―――。
【ミュェェーーーーーーーーーーッ!!】
339
:
◆4aIZLTQ72s
:2013/08/14(水) 13:54:16 ID:AcV7FYnQ0
今日はここまで。
いよいよ“終末”が始まるようです。
340
:
名無しのスタンド使い
:2013/08/15(木) 17:37:48 ID:RH0zL9zU0
か、海斗ォォォォォッ!!?
なんだこの詰みゲーは!?
たてがみ野郎も可愛くみえるクリオネに鳥肌たったわ・・・乙!
341
:
第十二話
◆4aIZLTQ72s
:2013/08/18(日) 02:19:15 ID:xaQnxB5g0
六人がまず咄嗟に目にしたのは、5メートルほど前方のマンホール。
駿介たちから最も近く、最短距離でたどり着けるのはそこだ。
しかし、そこに「ユリシーズ・リング」を放ろうと考える者はいなかった。
「クリオネ」からロックオンされた状況で、リングを手首から外すのは不可能だった。
マンホールまでたどり着くのに2秒、専用アプリの起動に5秒、転送準備に7秒――
転送自体は一瞬だが、それが整うまで12秒を、リングを外した状態で耐えられるわけがなかった。
それを六人は痛感していたのだ。
リングを装着した“最強の男”でさえ、1秒と持たずに散ったのだから。
宗次郎「クソォッ、行けッ、行け行けッ! 走れッ!」
当然のように六人は、目の前のマンホールを踏み越えて、別のマンホールを探して走る。
「ユリシーズ・リング」のパワーで底上げされた脚力、持久力を惜しげもなく使い、新宿の街を疾走する。
背後を振り返る者はいない。そんなこと怖くてできない。六人の後ろに、ピッタリと張り付き後を追う「流氷の天使」たち――。
奴らを振り切るまで、「ライジング・ストライプス」の“死の長距離走”は終わらない。
【ミュェェェェェーーーーーーーーーーーーッ!!】
駿介「ハァッ、ハッ! くそっ、くそっ! 離れねぇーッ、こいつらッ!」
直哉「ハァ、ハァ……こっち来んじゃねーよッ、ふざけんなよォッ!」
洋平「ハァッ! 追いつかれたら“即死”だッ! 死んでも止まるなッ!」
必死に腕を振って、一つ、また一つと転送のチャンスを通り過ぎる。唇を噛み締めてマンホールを踏み、地面を蹴る。
宗次郎は、走りながらにスマホを取り出して、転送用のアプリを起動させた。
自分たちの活動拠点を転送先に指定し、アプリが「ユリシーズ・リング」の非接触認証を要求する。
準備までの12秒は稼げた。あとは、転送だけだ。宗次郎は「フゥッ」と息を吐き出して、五人の前に抜きん出た。
そしてリングを外し、起動中のアプリに従い、リングをスマホにかざす。リングが、位置情報を読み込んだ。
10メートル前方のマンホールに向かってそれを投げると、リングが空中で拡張、マンホールを縁取るように設置され、蓋が消滅。
虹色のワープホールが誕生した。
宗次郎「俺のリングで転送するッ! みんな飛び込めッ!」
ようやく見えたゴール。駿介たちはそれまで以上の力を込めて、地面を蹴って飛ぶ。
宗次郎を追い越して、まずは先頭を走る駿介、続いて直哉がワープホールへ飛び込んだ。
二人の離脱を確認して、宗次郎は背後に迫る「クリオネ」たちの姿を確認する。
「クリオネ」は肌触りの悪い息遣いを感じさせるまでに、残る四人のすぐ後ろにまで近づいていた。
正直に言って、それはもう敵の射程範囲内だった。
宗次郎「……ッ!!」
残りはほんの3メートルほど――しかし、間に合わない!
――すると、そのとき。
342
:
第十二話
◆4aIZLTQ72s
:2013/08/18(日) 02:29:55 ID:xaQnxB5g0
若菜「……ふぅっ!」
若菜が足を止めて背後に振り返り、バナナの刀剣「バナナソード」を抜き、構えたのだった。
そして眼前の「クリオネ」に向かい、流麗な黄色の刀身を突きつける。宗次郎たちを逃がすために、浮遊する無数の悪魔と対峙しようというのだ。
たったひとり、たっちひとつの剣で。
意を決したような彼女の背中に、思わず宗次郎が息を飲んだ。
宗次郎「……若菜ちゃんッ!」
若菜「行ってください! 私が時間を稼ぎます!」
麻栗「ダメだ! ホシワ――」
言いかけた麻栗は、ふいに伸びた洋平の腕にとらえられ、そのままワープホールへと押し込まれた。
洋平は、若菜の決意を有無を言わずに受け止めたのだ。彼女の行動も、それが何を意味するのかも、全て胃の中へ収めるように飲み下して。
洋平は何も口に出さず、ただ黙って宗次郎、麻栗の二人をワープホールまで引っ張った。
若菜と洋平は、一瞥せずとも、互いの意思を読み取った。そしてその行動を理解し、納得した。
これでいい。
洋平(……嬢ちゃん!)
【ミュッェェェッェェェ】
若菜「はぁっ!」
三人が転送を終えたのを背中に感じ取り、若菜は「バナナソード」を思い切り振り抜いた。
長い刀身が一匹の「クリオネ」の胴体に命中。だが、刃はその身体に突き刺さらない。
かざした剣はいともたやすく弾かれる――ペキン、と味気ない音を立てて、あっさり「バナナソード」は折れた。
若菜「……ッ!!」
恐怖に顔が引きつり、絶望が胸を引き裂くようだった。
こんなの、どうしろっていうの。
泣き出したい気分の若菜だったが、そんないとますら与えまいと、「クリオネ」たちは無慈悲に彼女を囲む。
吐き気がするほどに透き通った身体、目に嫌というほど焼き付く鮮烈な赤色の内臓。凶器以外の何にも見えない羽根――。
【ミュンミュンミュンミュンミュンミュン】
――「追いつかれたら、“即死”」。
若菜「はぁ、はぁっ……はぁ、はぁ……」
背筋の凍る言葉と、生唾を飲み下す生々しい音が、若菜の中に反響した――。
343
:
第十二話
◆4aIZLTQ72s
:2013/08/18(日) 02:32:19 ID:xaQnxB5g0
**
宗次郎「――くそぉ! 若菜ちゃん……若菜ちゃんが……!」
一方、「ライジング・ストライプス」アジト。
宗次郎は転送されてくるなり、若菜の名を何度もつぶやいてうろたえていた。
瑠樹、駿介、直哉の三人は、宗次郎の様子に驚いた。彼は、普段はこんな感じでわかりやすく動揺するようなタイプではなかったからだ。
彼と同時に帰ってきた麻栗と洋平は、何も言えずにただ乱れた呼吸を整えている。――そして、若菜の姿がない。
「なにがあったの!?」と、瑠樹。駿介は答えを待たず、宗次郎に駆け寄って肩を掴んだ。
駿介「……若菜がどうした!?」
宗次郎「……俺たちを逃がすために、あの子が残って……」
駿介「まだ向こうにいるのか!?」
こくりと力なく頷く宗次郎。駿介は宗次郎の肩から手を離して、手首の「ユリシーズ・リング」を外した。
すると、「待ちなさい!」と咎めるような強さで、瑠樹が駿介を制止する。
瑠樹「……新宿に戻ることは許可できないわ。ここにいて」
駿介「……なんだと?」
瑠樹「地上は危険すぎる。助けに行くのは無理よ。……駿介は、“候補者”なんだよ?
もし、あの子が帰ってこれなかったら……駿介まで失うわけにいかないの」
そう言って、瑠樹は目を伏せた。駿介は瑠樹に振り返り、「なんだよそれ」と彼女を睨む。
駿介「“見捨てろ”って言ってんのか……? アイツを……」
瑠樹「……“守護者”は、誰かが継がないと……。……若菜が死んだら――」
駿介「それ以上言うな!」
心底続きが聞きたくなくて、駿介は声を荒げた。
ぐっ、と口をつぐむ瑠樹。宗次郎たちは、二人の様子をただ静かに伺うしかない。
彼らの視線を集めながら、駿介は爪が食い込むほどに強く拳を握りしめていた。
駿介「……それ以上、言うな……!」
344
:
第十二話
◆4aIZLTQ72s
:2013/08/18(日) 02:38:55 ID:xaQnxB5g0
震える声で言う駿介。その肩は、微かにだが震えている。
そして駿介は、怒りのこもった声色で、「……なにが、“候補者”だよ……!」と絞り出すように呟いた。
駿介「どうでもいいんだよ、そんなの……!」
瑠樹「駿介……」
いまにもはちきれそうで、見ていられなかった。洋平は駿介に近づいて、語りかけるように話す。
洋平「……待て坊主。気持ちはわかるが、ミルキーの言うことは間違ってない。
外は危険だ。今のこのこ出て行くのは自殺行為だろ。違うか?」
駿介「……」
洋平「大丈夫だ。あの子は簡単に死んだりしない。すぐ帰ってくるさ。
お前が鍛えた子だろう? 信じてやれ」
駿介「……」
駿介は唇を噛み締めて、堪えるようにうつむいた。
しばらくして、「わかった」と静かに一言つぶやいて、洋平は駿介の頭をわしゃわしゃと撫でた。
駿介も少し落ち着いたようで、その場にどかっと尻を置いて、壁に背中をつけて座った。
その姿にほっとしたのか、すると四人に全力疾走の疲れが押し寄せて、彼らもまた床に座っていった。
駿介「……」
直哉「……」
宗次郎「……」
洋平「……」
麻栗「……」
瑠樹「……」
六人は、必要以上の言葉を交わさず、ただじっとマンホールを眺めた。
穴の底から虹色の発光が始まって、燐光の中から若菜が出てくるのを待ち続けた。
だが結局、その後何時間待っても、彼女は帰ってこなかった。
345
:
第十二話
◆4aIZLTQ72s
:2013/08/18(日) 02:40:41 ID:xaQnxB5g0
**
天より“光球”が降り注ぎ、「流氷の天使」が空を舞った午前が終わり、午後――。
アジトにて若菜の帰還を待つ六人は、とうとう帰らない彼女を探すため、地上へ戻ることを決意した。
駿介たちが再び降り立った新宿の街は、人もまばらで、「クリオネ」の姿ももう見えない。
ついでにいえば、「クリオネ」による被害らしきものも、見当たらなかった。
奴らがどこに行ったのか、何をしにきたのはわからないが、捜索のチャンスであることは明らかだった。
五人は、大声で若菜の名を呼びながら、街を練り歩いていく。
――が、彼女は一向に見つからなかった。
午後3時前、突然、「あ、そういえば」と直哉が思い出したように口を開く。
駿介「あ? なんだ?」
直哉「いや、もうすぐ……“アレ”の時間だな、ってさ」
麻栗「“アレ”ってなんですの?」
直哉「ほら、昨日きたメールの……『人類救済戦線』? そいつらの集会だよ」
12月19日の朝方にスタンド使いたちが受け取った、「人類救済戦線」なる団体からのメール。
謎の団体は決起集会を予定していて、それは20日の午後3時――ちょうどここらの時間に開かれるものだった。
直哉の発言に、宗次郎は「ふむ」と顎を撫でる。しばらく考えて、宗次郎はおもむろに口を開いた。
宗次郎「……なぁ、ちょっとそっち行ってみないか?」
麻栗「ちょっ……ホシワカは!?」
宗次郎「わかってるが、もうランペイジはいないし、生きてるんならどこかに隠れてるさ。大丈夫だよ。
それよりその『人類救済戦線』……だったか。そいつらが気になるんだ」
直哉「何が気になるんすか?」
宗次郎「どういうやつらなのかも知りたいし、妙に都合がいいと思ってさ。今朝あんなことがあってからの、集会だぜ」
確かに、と四人は心の内に呟いた。「人類救済戦線」は、まるで今日のことをあらかじめ知っていたかのように思える。
洋平「……調べてみてもいいかもしれんな」
宗次郎「それにもしかしたら、若菜ちゃんもそっちに向かったのかもしれないしな。
どうだ? 駿介。一旦集会の方に行ってみないか」
そう訊くと、駿介も迷っているようだった。
若菜を見つけることが何よりだが、決起集会とやらも看過できない。
それに宗次郎の言うとおり、集会の場所で見つかる可能性もなくはない。何故なら彼女も、同じメールを受け取っているはずだ。
駿介「……わかった。だが、終わったらまたここで若菜を探すぞ」
宗次郎「もちろんだ。それじゃ、行ってみよう」
少し考えて、駿介は宗次郎の提案に乗ることにした。
ほかのメンバーも納得したらしく、それぞれ受け取ったメールを開いて、会場の住所を確認する。
五人は互いに顔を見合わせて、宗次郎の作ったワープホールへ飛び込んだ。
346
:
第十二話
◆4aIZLTQ72s
:2013/08/18(日) 02:43:02 ID:xaQnxB5g0
**
午後3時。東京、日比谷の駅から歩いて数分、お目当ての「Club atena」に着いた五人。
「人類救済戦線」の決起集会が行われるというそのクラブの入口には、スーツの男の姿が見えた。
駿介たちは男に近寄り、「決起集会に参加しにきた」と受け取ったメールの画面を見せた。
男は文面を確認して頷くと、「スタンドを見せてください」と言った。
駿介たちは、それぞれのスタンドを発現させる。スーツの男は一通り確認して、「どうぞ」と五人を中へと促した。
ラウンジから地下への階段を下りると、広い空間へとつながっていた。
「Club atena」のメインスペースであり、木目調の内装に、柔らかな照明が暖かい場所だった。
奥には色とりどりの酒瓶が並ぶ、バーカウンターも見えた。
人の姿は想像したより多く、50〜60人はいるようだった。
バーで酒を飲むのもいれば、本を読む者、談笑する者など、老若男女様々。
共通するのは、ここにいる全員が同じメールで招待された、スタンド使いであるということだ。
駿介たちは奥の方へと進み、開始の時を待つことにした。
少しすると、カツカツとした規則正しい足音がフロアに響いた。
見ると、ぞろぞろと連なって階段から降りてくる、黒服を身にまとった男たちがいた。
黒の制帽らしきものをかぶり、褐色のシャツに、黒いネクタイ。その上から黒いジャケットを羽織い、同じく真っ黒のパンツにブーツ。
そしてベルトにぶら下げるナイフ――それは、ナチス親衛隊の軍服に非常によく似ていた。
まったく同一とも思えるが、一際目を引く襟章、腕章のデザインはナチスのそれとは異なっていた。
特に腕章には、有名な「卍」ではなく、炎のような独自のマークが記されていた。
フロアに揃った“軍服らしき服”を纏う男たちは、30人近くはいるようだった。
後ろ手に組んで、男たちはぴしっと直立不動。周囲はざわざわしだして、それは駿介たちも同じだった。
駿介「なんだこいつら……?」
怪訝そうに、駿介が呟いたときだった。遅れて、一人の男が降りてきた。
全く同じデザインだが、黒い男たちとは対照的に白い服を纏った男だった。
二十代か、行っても三十代前半にしか見えない顔つきだった。
黒服の男たちは、白服の男に敬礼し、男が彼らの前にあゆみ出た。
そしてフロアに集まった人々の顔を見回して、納得したような表情になると、握ったマイクの電源を入れた。
男のほどよく低く、そして力強さを感じさせる声が、耳朶をうつ。
「諸君、よくぞ集まってくれた! 我々は、『人類救済戦線』である!」
第十二話「前夜祭」おわり
→To Be Continued...
347
:
◆4aIZLTQ72s
:2013/08/18(日) 02:47:49 ID:xaQnxB5g0
投下終了です。
非常に中途半端なところで申し訳ないのですが、次回更新はかなり先になると思います。
なるべく早く書きたいところですが、ちょっと忙しくなってきたもので。
よろしくお願いします。
348
:
名無しのスタンド使い
:2013/08/18(日) 02:49:45 ID:RdvyQvowO
更新乙!!
ってうわああああ!!
若菜ちゃんは無事なの!?軍服達の正体は!?
気になることが多すぎんよォ〜、続きがめちゃんこ楽しみだ!!
349
:
名無しのスタンド使い
:2013/08/18(日) 15:15:27 ID:xv2611ys0
若菜ちゃん大丈夫なのん...?
主人公が死ぬわけはないけど腕モゲて帰って来ることだけはないと祈りたい...
軍服逹は新たな味方陣営と見ていいのかな
気長に待ちますん
350
:
名無しのスタンド使い
:2013/08/18(日) 16:38:34 ID:NsnJm87E0
更新乙です!
しかしこの状態で更新中断とか、サドか!サディストなのか!
気になるわい!
351
:
名無しのスタンド使い
:2013/08/18(日) 23:38:51 ID:x3vlpx5g0
胡散臭い組織キター!「人類救済戦線」は味方なのか!?
気になることばかりだが・・・しゃーない!
ママクリちゃんに次会える日を楽しみにしておくよ!!!
352
:
◆4aIZLTQ72s
:2013/11/25(月) 19:08:30 ID:ZvqILsAE0
お待たせしております。来年二月、再開予定でございます。
すみませんが、もうしばらくお待ちください。
Next
→第十三話「開戦」
人類救済戦線の会合に参加した駿介たちは、一時的に彼らの軍門に下り、共に“終末の日”に備えることに。
そして迎える“終末の日”。“あちら側”の世界から、武装兵士が大挙して押し寄せ……。
353
:
◆4aIZLTQ72s
:2013/11/25(月) 19:13:05 ID:ZvqILsAE0
>軍門に下る
配下に入る、の間違いでした。
別に闘わないし負けもしません。失礼しました。
354
:
◆4aIZLTQ72s
:2014/04/20(日) 17:11:08 ID:nsb17It.0
(更新できてなくて)すまんな
仕事中上司の目を盗んでこっそり書いてるんでもうちょっと待っててくだしあ
355
:
名無しのスタンド使い
:2014/04/20(日) 19:05:34 ID:Po7cGxeU0
待ってますよ!wktk!
356
:
名無しのスタンド使い
:2014/04/20(日) 19:05:53 ID:Cdhom8ac0
>>354
自分いつまでも待ち続けるっす!
どうぞゆっくりがんばってください!!
357
:
名無しのスタンド使い
:2014/04/21(月) 16:25:44 ID:8Gmu1lzs0
待ってますぜボス!!
358
:
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/11(日) 14:16:13 ID:x2LYdhFE0
『ライジング・ストライプス』前回までは……
2012年、春。大学一年生になったばかりの星 若菜(ほし わかな)はある日、スタンド使いの命を狙う謎の生物『ランペイジ』と、
ランペイジに対抗するSPW財団直属のスタンド使いチーム『ライジング・ストライプス』の存在を知る。
度重なるランペイジとの遭遇のなか、若菜はライジング・ストライプスに加入することを決め、
同チームの服部 駿介(はっとり しゅんすけ)や、阿佐見 瑠樹(あさみ るき)といったスタンド使いの仲間たちと共に、ランペイジと闘う道を選んだ。
若菜に続いて新メンバーに秋山 麻栗(あきやま まくり)を加え、7人体勢となったライジング・ストライプス。
順調にランペイジを討伐していく彼女らの前に、装備を同じくする謎のスタンド使いチーム、『花鳥風月』が登場。
花鳥風月から突然の攻撃を受け、混乱する若菜たち。そんな状況に畳み掛けるかのように、ランペイジの生態にも変化が。
スタンド使いしか狙わないハズのランペイジが非スタンド使いの人間も襲うようになり、更にこれまでとは比べ物にならないほど強力な個体、『たてがみ野郎』までもが現れてしまう。
花鳥風月と、たてがみ野郎の攻撃に、壊滅寸前にまで追い込まれるライジング・ストライプス。
彼らの窮地を救ったのは、滅多に姿を見せないチーム最強の男、堂島 海斗(どうじま かいと)だった。
同年、12月。若菜たちは瑠樹の口から、世界終焉のときと言われている“終末の日”が近づいていることを告げられる。
それに加えて、瑠樹の正体が世界を守る“守護者”であり、若菜と駿介がその跡を継ぐ“候補者”であることも語られた。
候補として選ばれたのがなぜ自分なのか? 一体なにをすればいいのか? 答えを見いだせない若菜だったが、“終末の日”は確実に近づいていた。
そして迎える“終末の日”前日。おびただしい数のクリオネ型ランペイジが空を覆い、街中が大混乱となる。
圧倒的な物量の前に怯えることしかできないライジング・ストライプス。一人、勇ましく挑んだ海斗も、クリオネの圧倒的な力の前に、なすすべなく瞬殺されてしまう。
パニックを起こし、その場からの離脱を図る彼らだったが、その最中、全員を逃がすために若菜が囮役を買って出る。
その甲斐あって無事避難できた駿介たちだったが、その後若菜は帰ってこなかった……。
若菜を探すため街へ戻った駿介たちだったが、彼らは捜索を一時中断し、『人類救済戦線』なるグループの集会に参加することに。
そこで駿介たちが出会ったのは、謎めいた軍服姿の男たちだった……。
359
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/11(日) 16:42:50 ID:x2LYdhFE0
第十三話「開戦」
『充分に発達したテクノロジーは、魔法と見分けが付かない』――――アーサー・C・クラーク(1973)
360
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/11(日) 16:48:39 ID:i5oMeAtM0
**
――――「諸君、我々は人類救済戦線である!」
club atena地下にずらりと並んだ、『人類救済戦線』 と名乗る黒い軍服姿の男たち。
その中で一際目を引く白い軍服の男は、集会に集まった参加者たちの顔をみて、高らかにそう告げた。
白い軍服に、黒い長髪を靡かせた、長身の男だった。青年のようであり、しかし壮年のようでもある見た目からは、年齢を窺うことはできなかった。
白い軍服の男の名は、『烏丸 傑(からすま すぐる)』。
黒い軍服の男たちを従える、人類救済戦線の代表者だった。
烏丸「私は代表の烏丸 傑だ。早速だが、今日君たちは空を覆う無数のクリオネのようなものを目撃したと思う。
突如発生した正体不明の怪物。我々は奴らのことを、“変数”と呼んでいるが、実は“変数”の存在が確認されたのは今日が初めてではない。
“変数”は以前から、世界中で度々目撃されていた。東京、上海、シドニー、ベルリン、ニューヨーク……。
先月起きた『国際展示場動物異常発生事件』も、“変数”の発生によるものなのだ」
烏丸は、突然つらつらと参加者たちに向けて説明を始めた。何故か、その声質と話し方は、聴衆の関心をいやにひきつけた。
音をシャットダウンしようとすれば、できる。聞こうとしなければ、ただのノイズになりさがる声のはずだった。
しかし一度耳を傾けたら、聴衆は彼の話を聞かずにはいられなかった。話の内容は、“聞く”という前提のあとについてくる。
妙な現象だが、とにかく烏丸の声と話には、一度人を捕らえたら決して離さない何かがあった。
烏丸「――万物には、基本となる数が定められている。“自然界の基礎定数”だ。物事の流れは全て決められた数の中で起きている。
しかし十年ほど前、そうでないものが現れた。それが自然界のどれにも属さないx――“変数”だ。
そいつがいるだけで、周囲の数字が一気に乱れる。この世界の法則を無視し、破壊する、とんでもない害虫が現れたのだ。
我々はこの十年、“変数”を研究し続けてきた。そして、ある事実を知った」
そこまで話すと、烏丸は他の軍服の男に合図し、背後の壁に埋め込まれた巨大モニターに映像を映させた。
モニターには一面に広がる世界地図と、各地にポツポツと点る赤い光、謎めいた数字の羅列が表示されていた。
数字の羅列は、おそらく烏丸の言う“自然界の基礎定数”であると、聴衆はあたりをつけた。
赤い光が“変数”。“変数”があちこちで光るたび、基礎定数はその値を変化させていた。
烏丸「この図表は、世界の“基礎定数”と“変数”の発生によって生じる数値の変化を表したものだ。
さらに、我々が見つけたある特殊な方程式で、計算した結果によれば――」
するとモニターの世界地図の上で、無数の赤い光が地図を埋め尽くすかの勢いで大量発生する。
基礎定数はその値を大きく変動させ、やがて世界が完全に赤い光に飲み込まれた。
聴衆のざわつきが大きくなり、場内を満たす。烏丸は、そんなことは御構い無しにと説明を続ける。
烏丸「明日――12月21日。この世界の定数が観測史上最大数値で変動する。異常な数の“変数”が、全世界に同時に発生すると考えられる。
“天変地異”“終焉”“神の裁き”――なんと呼称してもらって構わない。何が起こるにせよ、明日、私たち人類が窮地に立たされることは間違いない。
今日諸君らに集まってもらったのは、我々と共に闘う同志を欲したからである。どうか、我らと共に敵を撃退し、人類を救済してほしい!」
そこまで聴いて、聴衆の意識は完全に烏丸の言葉に集中していた。妙な雰囲気だった。
全員が全員、もう首を縦に振りかねない空気が、そこにひろがっていた。
その中の一人の男が、「撃退って言ったって、どーやるってんだよ?」と烏丸に問いかけると、周囲の者もはっとしたようにそれに続く。
「そうだ!」「こんなの無理じゃない!」「俺たちに何ができるっていうんだ!?」
参加者たちは、これまで黙っていた反動と言わんばかりに、強い言葉をそれぞれ口にした。
烏丸は、そんな彼らの表情を一つ一つ丁寧に観察しながら、握ったマイクを再び口元へ運ぶ。
361
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/11(日) 16:51:37 ID:x2LYdhFE0
烏丸「私にも、君たちにもスタンドという特別な才能があるし――策も用意してある。
それは追々話すが……重要なのは我々が一人ではないということだ。個々の力はそれほどでも、人間には手を取り合い、力を合わせられる強さがある」
駿介「……」
烏丸「我々が結束すれば、それを破れるパワーなど存在しない! 人類の強さは意志の強さだ。頑強な意志こそが、迫り来る悪意を跳ね返せる!
大切なものを守るために立ち上がれ! 結束という名の最強の武器で、我々が敵を討ち滅ぼすのだ!」
拳を頭上に突き上げて、烏丸は力強くそう告げた。
その時点で、烏丸に意見しようとする者は一人もいなかった。納得したかしないかは別にして、聴衆は烏丸の言葉を一字一句漏らさずに聞ききったのである。
そこにいる誰もが、これが異常な演説であることに気づいていた。気づいていて尚、それを話の判断材料にしなかった。
やがて誰かがパチパチと手を叩き、また一人が手を叩き、やがて大きな拍手の波がフロアに押し寄せた。
烏丸「ここからの選択は君たち自身の意思に委ねる。共に闘う者はここに残り、そうでない者は去ってくれ。
ひとりでも多くの者が残ってくれることを期待する。以上だ」
黒軍服「それでは、闘うつもりの人は僕のところに集まってくれ! 僕たちが着ている制服を配布する!」
烏丸は話を切り上げて、マイクを他の軍服に渡し、一階への階段を上がっていった。
出し抜けに、黒軍服の中で最も若い少年が、手を上げて参加者たちに告げた。
参加者たちは、少年に引き寄せられ、少年の前には長い列ができあがっていた。
駿介たちは、スタンド使いたちの長い列を眺めながら、並ぶべきかどうか決めかねていた。
直哉「……俺たち以外に、ランペイジを調べてる奴らがいたンすね」
宗次郎「どうする? こいつらの話……乗っかるべきだと思うか?」
宗次郎が、ほか四人の様子を伺い、言う。
洋平「結束だのなんだの胡散臭いが……ランペイジの情報に関しては正確だな。“終末の日”も知ってる。
烏丸だっけか。奴の話を聞く限りじゃあ、人類救済戦線やらと俺たちの目的は共通してるようだ」
麻栗「協力しよう! 仲間は多い方がいいに決まってますわ!」
宗次郎「駿介、お前はどう思う?」
壁に背をあずけて、腕を組み、駿介はじっと列を眺めていた。
宗次郎の問いかけに、静かに口を開く。
駿介「隣に誰がいようと関係ない。俺たちは俺たちの仕事をするだけだ」
洋平「だな」
直哉「ゆーて俺ら、ベテランだし? 力貸してやったほうがいいッスよ。こいつらイマイチ頼りねーし」
宗次郎「決まりだな」
362
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/11(日) 16:56:08 ID:x2LYdhFE0
駿介たちは列がなくなるのを待ってから、軍服の少年に近づいた。
短くかりあげた髪に、まだ幼さの残る顔つきの少年だった。年は、駿介や直哉とそう変わらないように見えた。
少年は駿介たちに気づくと、名簿を脇に挟み、右手をすっと差し出した。
黒軍服「残ってくれてありがとう。僕は『道祖土 将生(さいど まさき)』。君たちの名前を教えてくれ」
駿介「服部 駿介だ。右から順に、槌田 洋平、湊 宗次郎、秋山 麻栗、日下 直哉」
将生「五人だな。では、この制服を着てくれ。フリーサイズだから安心していい」
そう言って、道祖土 将生は足元のダンボールから、新品の黒軍服を五着分取り出して、駿介たちに手渡した。
ナチスのものに良く似たデザインのそれが、人類救済戦線が指定する制服であるらしい。
「趣味じゃない」と言いたげに五人は眉をひそめた。
直哉「だっせぇ……。どうしても着ないといけねーの?」
将生「野球もサッカーも、私服で試合に出る選手はいない。心を一つにするには、まずは格好からだ。
気持ちはわからなくもないけど、ここは協力してほしいな」
洋平「なるほどねぇ……」
仕方なく、五人は軍服を受け取った。将生は納得したように頷いた。
将生「今日はここに泊まってもらう。人数分の布団と夕食を用意してるから、あとで取りに来てくれ」
宗次郎「外には出れるか? はぐれた友達を探してる最中なんだ」
将生「いまの時間なら構わないが、18時までには戻れ。夜間の外出は禁止だ。
それと20時から烏丸代表から明日の説明がある。そのときは五人とも、制服に着替えてくるように。いいか?」
麻栗「ええ。了解しましたわ」
一通りの説明を終えて、将生は名簿とダンボールを持って、地上への階段を上がっていった。
フロアの隅に受け取った制服を一旦置いて、若菜の捜索を再開すべく、駿介たちも外へと向かう。
駿介(若菜……どこにいる?)
唇をがり、と噛み締めて、駿介は胸の内にそう問いかけた。
363
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/11(日) 17:02:38 ID:x2LYdhFE0
**
2012年 12月20日 18時50分
『終末の日』、前日
早朝の悪夢の発生から、半日が過ぎようとしていた。
若菜が最後に目を閉じる前、彼女の視界一面は鮮烈な赤色で塗りつぶされた。
眼前にまで肉薄したクリオネ型ランペイジの、透けた身体越しに見た内蔵の赤色。それが最後に見た景色。
恐怖が臨界点を突破し、思わず目を閉じた――それが現存する最後の記憶である。
次に若菜が瞼を開いたとき、最初に目に入ったのは、真っ白な高い天井だった。
若菜「……ここは……?」
背中の下の柔らかな布団の感触と、シーツの手触りと、潔癖な空気の匂いがした。
そこが病院のベッドの上だと気づくのに、あまり時間はかからなかった。
むくりと身体を起こし、するとぴしりと頭痛が走ったので、若菜は顔を歪めた。
あのあと、何が起きた? クリオネはどうなった?
いくら考えてみても、思い出すことはできなかった。自分の身体をくまなく確認してみるが、特に目立つ怪我はなかった。
奇跡か実力か、どうやら生き延びることができていたらしい。必死すぎて覚えていないのかはわからないが、とにかくどこかで意識を失い、ここに運ばれたのだ。
若菜「……あっ! そうだ、みんなは……!」
駿介たちとの最後の瞬間を思いだし、はっとしたように若菜は呟いた。
無事に逃げられたのだろうか。確認すべく自分のスマホを探してみるが、ポケットにもベッド脇のテーブルにもなかった。どこかで落としたようだ。
すると、「若菜!」とよく聞きなれた声が、彼女の名を呼んだ。
声の方向を見ると、足早に近づく若菜の母の姿が見えた。
若菜「お母さん!?」
母「よかった……意識が戻ったわ! もう、心配したのよ!」
心の底から安堵して言い、母は困惑する若菜の身体を抱き寄せた。
若菜は母から、自分が神田川の河川敷で倒れていたこと、それを近隣住民が発見したこと、それから病院に搬送され意識を失っていたことを聞かされた。
かろうじて残っていた荷物から、病院が実家の連絡先を割り出し、若菜の母に連絡が行ったということだった。
母「一体何があったの!? 今朝の変な怪物となにか関係があるの!?」
若菜「なんでもないよ……それより、私のスマホ見てない?」
母「見てないわ。失くしたの? ……でも、ホントに無事でよかった……! あなたが起きなかったらって、私……!」
若菜「ちょっ、お母さん……。大丈夫だから、泣かないで……」
母の胸に抱かれながら、若菜は右手首のユリシーズ・リングと、それから部屋の時計を確認した。
現在午後七時前。その時間は、今朝の戦闘から十一時間以上が経過し、同時に“終末の日”まで残り六時間を切っていることを示している。
すぐにでもチームと合流する必要があるが、スマホがないためリングの転送も、メンバーと連絡を取ることもできない。
もう時間がない。“世界の終わり”が始まってしまう!
全身を安堵感でいっぱいにする母とは対照的に、若菜は一人、じりじりと焦りを募らせていた。
364
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/11(日) 17:04:03 ID:x2LYdhFE0
ようやく再開できました。これからがんばっていきまーす!
とりあえず、前半部分を投下しました。
365
:
◆ca4X5rRcHM
:2014/05/11(日) 18:53:02 ID:8Z89cAEY0
更新乙!
やはり人類解放戦線……うさん臭すぎる……
366
:
名無しのスタンド使い
:2014/05/11(日) 19:30:17 ID:RhqzXg3k0
久しぶりの更新乙!
解放戦線の人たちは一体何者なんだ…謎が謎を呼ぶぜ
若菜がどうやって助かったのかも気になる!
367
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 21:36:59 ID:1n03rTdo0
**
2012年 12月20日 23時00分
『終末の日』、前日
『終末の日』まで残り一時間を切った、午後十一時。
Club atenaでは人類救済戦線の作戦説明が終わり、明日の闘いに臨むスタンド使いたちが、それぞれ布団を敷いて眠りについていた。
各自の布団が敷き詰められた地下フロアは消灯され、起きている者はほとんどいなかった。戦士たちは、明日に備えて一分でも多く睡眠を取ることにしたのである。
そんな中で、駿介だけはどうしても眠れなかった。駿介は布団から出ると、階段を上がって一階へ向かった。
一階奥のバーカウンターには、一人酒を飲む烏丸の姿があった。駿介は、烏丸に近づいて声をかけた。
駿介「……隣いいか? 烏丸代表」
烏丸「君は……服部くんだったか。どうぞ、かけたまえ」
許可を得て、駿介は烏丸の隣についた。烏丸は高価なスコッチを味わっていた。
烏丸はカウンターの裏からグラスを取り、スコッチを注いで駿介に渡した。
烏丸「眠れないときはスコッチが効くぞ。身体が温まる」
駿介「アンタも眠れないのか?」
烏丸「ああ。同志が私のために和室を取ってくれたんだが……押入れのある部屋だった。恥ずかしい話、“押入れのふすま”が小さい頃から苦手でね」
少し照れくさそうに烏丸が言った。
スコッチをちびっと舐めて、駿介はグラスを置いた。
烏丸「子どもの頃、私の部屋には押入れがあって……夜、一人で寝ていると閉まったふすまがどうしても恐ろしかった。
ふすまの向こうに、何かの気配を感じるんだよ。何もいないはずなのに、確かに何かを感じるんだ」
駿介「……」
烏丸「朝になれば、ふすまを引いて安心できる。なにがあんなに怖かったのか、自分でもすっかりわからない。
だがまた夜になると、やっぱり怖いんだ。朝のようにふすまを引ければいいんだが、どうしてもそれができない。
押入れの中身は変わらないと頭ではわかってても、無理なんだ。夜、私はふすまの前で布団に包まるしかなかった。
あれから随分歳をとったが、いまでもなんとなく、夜の押し入れは苦手なんだ」
そう言って、烏丸はグラスを干した。空になったグラスに、スコッチを注ぐ。
烏丸「――私は朝までここにいるつもりだ。君はもう寝なさい。明日はシビアだぞ」
駿介「……そうするよ。じゃあ、また明日」
烏丸「また明日」
それだけ話して、二人は別れた。
駿介が地下へ降りたあとも、烏丸は酒を飲み続けた。スコッチの瓶が空になるまで、彼はカウンターから離れようとしなかった。
368
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 21:37:28 ID:1n03rTdo0
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2012年 12月21日 0時00分
『終末の日』
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369
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 21:50:30 ID:1n03rTdo0
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『終末の日』、一日目/早朝――――7:00
その日、ほとんどの人間が、夜が明けたことにしばらく気がつかなかった。
何故なら、窓の外があいも変わらず真っ暗なままだからである。
やがて人々は、テレビで、ラジオで、自らの目で直接確かめて、その理由を知る。
昇っているはずの太陽が何かとてつもなく巨大なモノに遮られ、朝の日差しが地上に届いていなかったのだ。
異変に気づいた者が一人、また一人と、寝巻き姿のまま外へ飛び出し、一様に空を見上げていた。
天を仰ぐと、見慣れたいつもの空――雲や、星や月や太陽が浮かぶ、あの空はそこにはなかった。
代わりにあったのは、とてつもなく広大な、見渡す限りに広がる“鉄色の何か”だった。
いつ頃現れたものか、いつからそこにあったのか、どれほどの規模をほこる物体なのか、それらを正確に把握している者は地上にはいなかった。
その“鉄色の何か”は、地平線の遥か彼方まで際限なく続いていた。ある一人の少女は、それを見て「大きな500円玉みたい」と呟いた。
まるでありえないほど大きな、途方もないほど大きな硬貨が、東京の空にぴったりと蓋をしてしまったかのようだった。
不安気に空を見上げるのは、人間だけではなかった。
犬は天に向かって吠え、猫は全身の毛を逆立て、鳥は混乱した様子で宙をおろおろと舞う。
ストレスで息絶えた家畜もいた。
天高く張り付いたその『蓋』は、その遥か下に暮らす全ての生き物を、等しく恐怖で萎縮させていた。
そして、午前八時。
『蓋』に変化が現れる。
金属板をねじ切るような、もしくは獣の断末魔のような、そんな全ての生物がDNAレベルで嫌悪する騒音が、破壊的な音量で突然鳴り響いたのだった。
空気が割れるか、窓ガラスが割れるか、鼓膜が切り刻まれるか、どれが真っ先に来るかわからない……それほど生物を慄かせる音だった。
そして音の発生と同時に、『蓋』の表面に何かドス黒いものが現れ、じわじわとひろがっていく。
いくら目を凝らして見ても、その黒いものが何なのかは、わからない。
しかし、黒いそれの中から、小さな何かがいくつも飛び出し、空を切って地上へ降りてくるのはみなが理解できた。
おそらく、その黒いものは“穴”だった。『蓋』の一部が開いたのだ。
そして、そこから飛び出してきたもの、それは見たこともない形状の“舟”だ。
失敗した飴細工のように歪なかたちをした、さながら舟よりも巨大なカプセルに近い『輸送艦』。
異形の来訪者たちと、数多の災いを詰め込んだ絶望の“方舟”が、地上に送りつけられてきたのである――――。
370
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 22:08:06 ID:1n03rTdo0
**
『終末の日』、一日目/朝――――8:00
突然鳴り響いた空を裂くような謎の音は、若菜と彼女の母親をも叩き起こした。
二人が目を覚ましたのは、若菜が借りているアパートの一室である。昨日、病院で意識を回復した若菜は、そのまま病院を飛び出し自宅へ直帰していた。
理由をしつこく問う母親には何も答えず、とりあえず自分の部屋で、母と共に『終末の日』を迎えることにしたのである。
そして翌朝、星母娘は奇妙な騒音に目を覚ます。
窓の外は夜中のように暗いが、デジタル時計は午前であることを告げていた。
「な、なんなのかしら……」と、若菜の母は声を震わす。彼女が娘の様子を伺うように見ると、その横顔は険しく、そして何か覚悟を決めたような表情だった。
母が19年間共にして初めてみる、娘の顔だった。
母「若菜……? 大丈夫……?」
若菜「……お母さん、私……ちょっと出てくるね」
母「え!? 出てくるって、何言ってるの……?」
若菜「私、行かなきゃ。お母さんは、部屋から出ないで」
思いがけない娘の反応に、母は言葉が出てこなかった。
咄嗟に若菜の細い手首を掴んだが、若菜は母の手を優しく、しかし有無を言わせぬ力で、手首から外した。
若菜は立ち上がると、手早く服を着替え、リュックサックに手当たり次第フルーツを詰め始めた。
母はそんな娘の後ろ姿に何も言えず、ただ泣き出しそうな目で見つめることしかできなかった。
そんな視線を痛いほど背中に感じつつも、若菜は玄関で、『ティンバーランド』のブーツの紐を締めた。
若菜「……絶対、帰ってくるから」
母「若菜!」
若菜「行ってきます!」
母の声を遮るように告げて、若菜は家を飛び出した。
外は恐ろしく寒く、肌を凍てつかせるような風がびゅうびゅうと吹き荒れていたが、若菜は駆けた。
走る足を止めるわけにはいかなかった。ブーツの底で地面を蹴って、蹴って、また蹴って、進んだ。
数100メートル先の交差点の真ん中に、人垣が見えた。
そしてその向こうには、今しがた地上に舞い降りたばかりの、歪な流線型の巨大カプセルが、見る者を威圧するかのように聳えていた。
371
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 22:14:04 ID:1n03rTdo0
人垣の近くまでたどり着いて、若菜がその流線型巨大カプセル――輸送艦を間近に見ると、それがいかに規格外の形状なのかがよくわかった。
輸送艦は、横の幅は約6メートルほどと狭いが、ひたすら縦に船体を伸ばすという奇妙な構造をしていた。
高さは大体30から40メートルといった感じで、舟というよりは“塔”に近かった。
船体はぐねぐねとねじり曲がり、材質が一切不明な表面には、ゆらゆらと怪しげな光がたゆたう。
どっかの国の芸術家が作った前衛的なオブジェ――だったらいいのだが、残念ながらそうではない。
触れず、一定以上近づけず、人々がそれなりの距離を置いていると、輸送艦の底が一瞬、ぴかりときらめいた。
そして、きらめいた部分が突然どろりと溶け出したかのように変化すると、その中から、四つの影が姿を見せた。
若菜「……!? なに、あれ……!?」
輸送艦から降りてきた四つの影――――それは、人の形をしていた。
頭があり、胴体があり、腕が二本で、同じく二本の脚で直立する2〜2.5メートルほどの高さの物体。
間違いなく、それは人間だった。
無数の泡を張り付けたような銀色の歪なアーマーを纏い、頭部はフルフェイスのメットで覆っている。
ランドセルのようなバックパックを背負い、そして右手は、これもまた形容しがたいデザインの武器を握っていた。おそらく銃だった。
突然の来訪者たち――その姿を生で目撃して、人垣のざわめきが大きくなる。
「ヤバイ! ウソウソ、ウソでしょ!?」「人間じゃん!!」「宇宙人かよ! すげーッ!」「やべぇよ! マジやべえ!」
「きた! 宇宙人きた!」「ちょっとヤバイヤバイ! すごいよこれ!」「本物かよこれ!? 映画の撮影とかじゃねーの!?」「ありえねーッ!」
スマートフォンのカメラを構え、泡アーマーの来訪者を撮影する人々。その後方で、若菜は一人背筋を凍らせ、息を飲んだ。
能天気すぎる。この人たちは、どうしてわからないのか。
泡のアーマー、バックパック、右手の武器! どう見たって、奴らは“兵士”じゃないか!
そのとき。
『泡アーマーの兵士』の一人が、右手に握った銃を、一般人に向けた。
一瞬で、場の盛り上がりは跡形もなく吹き飛び、空気が凍りつく。
「逃げて!」と若菜が叫ぶよりも、断然早く――――
泡アーマー兵1「――――dslsl」
――――謎めいた言語を口にして、泡アーマーの兵士は、その引き金を無慈悲に引いた。
ぶおん。
それは、まるでドライヤーのような機械だった。生ぬるい風が銃口から吹き、スマホを掲げる一人の男の肌を撫でた。
男は、一瞬何が起きたのかわからないといった顔を見せていたが、それは本当に一瞬だけだった。
どろり。
次の瞬間、男の全身は火にかけられたアイスクリームのように、どろどろの液状と化して地面に落ちた。
372
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 22:21:11 ID:1n03rTdo0
混乱。硬直。思考停止。
そして行動再開――――人垣は、一斉に崩壊した。
「うわぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「いやあああああああああああぁぁっぁぁぁぁああああああああああああああああぁっぁぁぁっぁぁぁっぁああああ!!!!!!」
「ぎゃああああああああああぁぁっぁぁあああぁぁっぁっぁああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
悲鳴。絶叫。阿鼻叫喚。
人間が考えうる限りの地獄絵図が、交差点のど真ん中に突然誕生した。
どろどろに溶かされた一人の男の顛末が、その合図だった。人々は一斉に踵を返し、となりの人間を押しのけて、走り出した。
しかし彼らは、“敵に背を向ける”という行為がどれほど危険であるかを、根本的に理解していなかった。というよりも、知らなかった。
何故なら想像したことがないし、対応マニュアルも存在しない。
異形の兵士に侵略される状況など、誰も考えない。
泡アーマー兵1「;lakpewkjencuwoam」
泡アーマー兵2「nosdja! iwoacspkcpo!!」
泡アーマー兵3「jujujujujujujujuju! jsacmioeiwojwo!」
泡アーマー兵4「ahdaopjaw? mal?? sjdsijefoijfa;!」
無防備に背中を晒す人々を、泡アーマーの兵士の四人は、情け容赦なく淡々と撃ち殺していく。
『ドライヤー銃』を構え、笑い声と共に、引き金を引いていく。
送風が人々の背中に命中すると、一瞬で溶けて人の形ではなくなった。原型は崩れ去り、あとに残されるのは吐瀉物のような液状のタンパク質である。
あまりにおぞましく、理解を超え、そして残酷すぎる光景だった。
不自然だったのは、溶かされるのは男性のみというところだった。
泡アーマーの兵士たちは、女性にはドライヤー銃を向けていない。これは、11月のビッグサイトでのたてがみ野郎の一件にも通じる特徴だった。
すると、兵士たちはドライヤー銃のグリップ部分の突起に、指をかけた。それは、ダイアルのようなものだった。
兵士たちがダイアルを調節すると、今度は銃口を女性の背中に向けた。そして、兵士たちは引き金を引く。
生ぬるい風の代わりに発射されたのは、小さなマグネットのような物体だった。
「うぐっ!」「いたいっ!」「なに!? なに!?」
すると、マグネットを背中に受けた女性たちの身体が、突然ふわりと持ち上がり、輸送艦へ向かって加速した。
びたん、と船体に張り付くと、そのまま船体はずぶずぶに軟化し、彼女たちの身体を内部を取り込んでいく。
涙も、絶叫も、助けを求めて伸ばした手も、輸送艦はなにもかも飲み込んでしまった。
一人、また一人と、マグネットを付けられた女性が輸送艦に引き寄せられ、歪な流線型のなかに姿を消した。
若菜(こんな……! こんなことが……!)
悪夢、それ以外に名状できない惨状。目の前で母親を連れて行かれた子ども、愛する人を溶かされた女性、親友だった液体に足を取られ転倒する青年――――
数々の人生が、生命が、尊厳が、理不尽に踏みにじられている。蹂躙されている。
ぞわぞわと全身の肌を粟立てながら、若菜は立ち尽くした。立ち尽くして、両の拳を握り締めた。彼女は葛藤していた。
若菜(ここで私が闘わなかったら、この人たちは皆殺しにされる! でも――――)
闘うということは、相手の兵士を殺すこと――――同じ“人間”を殺すということ。
373
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 22:22:43 ID:1n03rTdo0
若菜(でも……でも……! でも……!)
「いやぁぁぁぁぁぁぁ」「助けてくれぇぇぇぇぇ」「殺さないで! 殺さないでください!! お願いします!!!」
「ママぁぁぁぁぁぁ行かないでぇぇぇぇぇぇ」「妻を連れて行くなあっぁぁぁぁっぁぁ」「神様……神様……お救いください、おすくいください……!!」
「死なないで、死なないで! あああああああ」「子どもだけは助けてくれ! 頼む! うわあああああああああぁぁぁっぁあぁっぁぁぁぁ」
若菜(でも…………っ!!)
泡アーマー兵2「jujujujujuju!! jujujujujujujuju!!!」
泡アーマー兵3「hau! f,s;lfwl@sapo!!」
若菜(こんな……)
泡アーマー兵4「jujujuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu!」
若菜(こんなやつら――――)
泡アーマー兵1「jujujujujujujujuju!」
若菜(――――同じ人間なんかじゃない!)
泡アーマー兵1「jujuju……。……ojwo?」
若菜「『サニー・デイ・サンデー』!」
374
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 22:30:54 ID:1n03rTdo0
右手首のユリシーズ・リング。虹色の燐光が、夜の闇をかき消すかのように強く輝く。
ふぅっ、と息を吐いて、若菜は地面を蹴って跳んだ。
傍らには、スタンド『サニー・デイ・サンデー』を携え、右と左のそれぞれの手に握るは、二本のバナナソード。
その剣が狙うは、一人目の兵士。
若菜「せいやぁぁーーーーーーーーーっ!」
泡アーマー兵1「!!!????? fj;aj;cm――――」
叫びとともに、頭上から飛びかかる“敵”。泡アーマーの兵士は、突然の事態に反応が遅れた。
迫り来る敵に慌ててドライヤー銃を向けるも、行動があまりにも遅すぎた。
ユリシーズ・リングで強化された、斬れ味抜群の黄色い刃。右の刃は、兵士の左腕をばっさり切り落とした。
そして左の刃は、その首を叩き斬り――――
泡アーマー兵2「!!!!!!!!!」
――――次の獲物の足元へ、斬り飛ばした頭部を投げてよこした。
若菜「ふぅっ!」
右足から着地し、その勢いを再利用して、若菜は全力で死の領域を駆け抜ける。
二人目の兵士が、超スピードで接近する若菜を狙い、ドライヤー銃の風を打ち放つ。
風という見えない弾丸。しかし、ユリシーズ・リングによって極限まで強化された若菜の身体能力と、反射神経の前では、その弾はあまりにも遅すぎた。
見えてなくても、余裕で躱せる――――。若菜はトップスピードを維持したまま姿勢をがくりと落とし、屈みながらにバナナソードを構えた。
たん、たん、と数歩で距離を詰めると、思いきりソードを振り抜く。刃は、泡のアーマーごと、敵の胴体を真っ二つに切り裂いた。
泡アーマー兵3「slpapwpefkpaf@pow!!! jdwadflnf;w!!!」
二人目の兵士が二つに分かれたその直後、半狂乱気味の三人目。混乱とともに撒き散らした風の弾丸が、バナナソードの一つに命中。
どろりと溶けて、ソードだったそれは若菜の手からこぼれ落ちた。
咄嗟に、若菜は残った一本を三人目の頭部に目掛けて投擲する。若菜の手から離れたバナナソードは、空を切りながら三人目の頭部を目指して飛ぶ。
一秒後、バナナソードはフェイスガードごと、三人目の頭を貫いた。ぐらり、と三人目は後ろに倒れ、動かなくなった。
泡アーマー兵4「mpwfw:af@:e,@v!!! lrfkrgnrtkgnkrm;r,:s!!!!」
若菜「『サニー・デイ・サンデー』、パインスパイクッ!」
残すは一人。バナナソードを二本とも失い、しかしその次の瞬間には、若菜の右腕には新しい武器が装着されていた。
パイナップルのスパイクハンマー・パインスパイクが、荒々しく生やした無数の槍を、敵に容赦なく見舞う。
隙をついて、相手の懐に潜り込み、若菜はパインスパイクの右腕で四人目の頭部を殴り抜いた。
槍がメットを貫いて、中身を穴ぼこだらけにする。ぼこり、と頭蓋骨が陥没した鈍い音と、槍が肉を貫いた両方の音が、あたりに響いた。
突き刺さったパインスパイクを引き抜き、最後の一人がどさり、と地面に倒れると、いつしか人々の悲鳴は止んでいた。
つかの間の静寂が生まれ、若菜の息を整える音だけが聞こえた。しかしそれは、直後発生した絶叫に近い歓声の渦にかき消される。
若菜が周囲を確認すると、生き延びた人々が、若菜の行為を称え、惜しみない称賛の声をあげていたのだった。
「うおおおおおおおおおーーーーっ!!」「すげぇよ、マジすげぇよアンタ!」「ありがとう、ありがとう……っ! 本当にありがとう……!」
「助けてくれてありがとう! ありがとうっ!!!」「女神だよ! アンタ、女神さまだよ!!」「ううぅっ、ありがとう、ありがとう…!」
「ありがとう! みんなを救ってくれてありがとう!!」「本当にありがとう!!」「キミがいてくれてよかった! 助かった!!」「最強のおねえちゃんだ!!!」
若菜「……」
老若男女、様々な年代の人々が、若菜に駆け寄り、その周りを囲んだ。みな、涙でぐずぐずになった顔で、ひたすら感謝の言葉を口にしていた。
肩を叩き、握手を求め、人々は彼女から離れようとしなかった。若菜は頬についた返り血を手でぬぐいつつ、自分を求める周囲の声を、ただ静かに受け止めていた。
375
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 22:35:35 ID:1n03rTdo0
**
『終末の日』、一日目/午前――――10:30
敵の攻撃から二時間が経過した、午前十時。
東京・日比谷のとある高層ビルの屋上に、百人近い黒軍服の集団があった。
人類救済戦線である。
ライジング・ストライプスも含め、決起集会に参加したスタンド使いのほとんどが、グループに新しく加わったのだった。
駿介、直哉、宗次郎、洋平、麻栗の五人も、黒い軍服に身を包み、装いを新たにしている。
屋上からは、様相の変わった東京の街が一望できた。
不気味なオブジェが街のいたるところに乱立し、いたるところに炎が見え、煙が立ち上っていた。
上を見れば途方もない『蓋』、下を見れば地獄だった。
身を切るような鋭い風が吹き荒び、これから地獄に降り立とうとする戦士たちを、風は容赦なく殴りつけた。
一人、白い軍服を纏った烏丸は、双眼鏡で街の様子を隅々まで観察する。
その後ろで、道祖土 将生は無線機を使い、先に戦場へ降りた仲間と連絡を取り合っていた。
将生「――了解。予定通り、指定ポイントで合流しよう」
無線越しにそう伝えて、将生は交信を終えた。
将生「代表。兄からの報告です。やはりあれは、代表の読み通り敵の輸送艦のようです。
一つの艦につき、武装した兵士が四人。奴らは男だけを殺して、女を舟の中へ収容しています」
烏丸「連れて帰り、自分たちの子供を産ませるつもりなのだろう。野蛮人どもの考えそうなことだ。敵の装備についての情報は?」
将生「物質を溶解させる特殊な銃を使うそうです。大きさは拳銃と変わりませんが、中にはでかいガトリング砲タイプを装備した兵もいるとのこと」
烏丸「『重装備兵』もいるか、なるほどな……。よし、全員集まれ!」
双眼鏡をしまい、烏丸は声を張り上げた。
黒い軍服を纏った戦士たちが、烏丸の号令で一箇所に集う。
烏丸「これより作戦を開始する! 昨晩説明した通り、我々人類の“切り札”が『東京ドーム』に用意されている!
しかし“切り札”を使うためには、敵の輸送艦が必要不可欠である! 我々はなんとしても、輸送艦を奪取しなければならないッ!
敵を倒し、人々を救出しつつ、輸送艦を運びながら! 最終目的地・東京ドームを目指す!!」
暴風の轟音の中でも、烏丸の声ははっきりと明瞭だった。その声は、風を切り裂き、世界を覆う闇すら切り裂くようだ。
改めて言語化されたそれぞれの使命に、戦士たちは己を奮い立たせる。滾る闘士が血管を伝い、全身に熱を運んでいく。
烏丸「第一目標! “東京ドームへの到達”!
第二目標! “敵輸送艦の奪取および拘束された女性達の解放”!」
そして烏丸は、基準量をはるかに超えたアドレナリンを、喉から爆発させた。
烏丸「第三目標ォーー! “ひとり残らずブチ殺せ”ェッ!! 出撃だァーーーーーーーーーーーーッ!!!」
敵を討ち滅ぼし、人類を救済する。
激しい使命感と情熱で結束した、世界最初のカウンターパンチ―――人類救済戦線。
闇の中で誕生した漆黒の戦士たちが、満を持して、戦火燃え上がる地上へと舞い降りようとしていた。
376
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 22:40:34 ID:QtuV7lic0
**
『終末の日』、一日目/午前――――10:30
“こちら側”の反撃がいままさに始まろうとする、同時刻。
港区のとある三ツ星イタリアンの店に、ある男がいた。男は、高級スーツを身にまとい、マネキンの頭部のようなマスクで顔を隠していた。
“こちら側”に男の名前はなかった。が、彼を知る人はこう呼ぶ――“スカウトマン”と。
スカウトマン「――nskcfhmvlkamcJijfehrwjaacd? nscnshflreovlds」
スカウトマンは、生焼けのステーキをくちゃくちゃと噛みながら、キャッシュカードほどの厚みしかない“あちら側”を携帯電話を使い、通話中だった。
彼のマナー違反を注意するものはいなかった。そもそも店は営業していなかった。
無人の店内で、灯りもつけず、スカウトマンは一人愉しげにワインのボトルをあけた。
店の外では、泡アーマーの兵士が作業のようにひたすら人間を溶かしていた。
通話を終えたスカウトマンのテーブルに、若い三人の男女が近づき、席に付く。
奥村 美月、真砂 風太郎、花園 慶一。『花鳥風月』の三人だった。
スカウトマン「……む? 亜紀人くんはどウしました?」
美月「知らなーい。それより、なんの電話?」
スカウトマン「仲間からの朗報でした。イやー、ラッキーです。こんなに早く物事が進むとは……」
慶一「勿体ぶってないでさっさと言え。マネキン野郎」
スカウトマン「……実はですね、予てより探してイたモノの場所が見つかりまして。その報告をウけてイたのです」
風太郎「そんなイイモノが見つかったのか?」
スカウトマン「もちろん」
口を禍々しく歪めて、マネキンは嗤った。
スカウトマン「はやくも王手をかけられそウです」
377
:
第十三話
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 22:45:30 ID:1n03rTdo0
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『終末の日』、一日目/午前――――10:45
同日。某所のSPW財団所有ランペイジ研究施設地下――『ライジング・ストライプス』アジト。
そのときアジトでは、阿佐見 瑠樹が一人、モニターに次から次へと表示される被害情報と格闘していた。
人類救済戦線なる集団に参加中の駿介たちをサポートしたいところだったが、敵の大体な数を把握することさえ困難だった。
機動隊が全滅した、陸自も海自も全く歯が立たなかった、欧米諸国も同じように追い込まれた――――聞きたくもない現実ばかりが飛び込んでくる。
瑠樹は、焦っていた。
“守護者”として、この日のため、何百年もかけて準備をしてきた。自分の仕事に自信がないわけではないが、不安がないわけでもなかった。
もしも、駿介たちが負けるようなことがあれば。このまま敵の数に押し切られるようなことがあれば……。
そんな想像が頭をよぎっては消えて、またよぎる。
瑠樹(なにか、なんでもいい……。安心できる情報を頂戴……)
そんなささやかな望みを胸の中に願ったときだった。
突然、施設全体がぐらぐらと揺れた。地震かと疑ったが、すぐにそうではないと気づいた。
直後、緊急警報の音が施設全室に鳴り響いたからだった。
その警報は、施設が“外部の敵から襲撃を受けた”際に鳴ることになっていたものだった。
咄嗟に、瑠樹はメインフロアのコンピュータを操作し、保管された全ての研究データの破棄を開始する。
敵が侵入したのなら、奪われて困るようなデータは残しておけない。脱出は、全データを削除してからすればいい。
瑠樹「……!?」
――――そう考えた瑠樹だったが、それは彼女にしては珍しく“甘い”判断だった。
突然、フロアの天井が熱せられたキャラメルのごとく、その形状を崩し始めた。天井が“溶け始めた”のである。
そしてどろどろと穴を空けた天井から、侵入者が数名降りてきてしまった。
泡アーマーを纏った敵兵士と、大きなガトリング砲を二門背負った『重装備兵』が、瑠樹の目の前に現れてしまったのだった。
泡重装備兵「―――assfcseuueFeuxierljgaNenacuaj」
泡アーマー兵5「……! dskvk! dkskfskdfkawwfrceijcldaunvdkls」
泡アーマー兵6「jicspifre;jgarfnskw;pokdeogpdsodpa,fgej」
泡アーマー兵7「;iafpqe:@ox:xwvdfidhoadrg」
泡アーマー兵8「sxuefhkwhgureksurhgurni、hkfxkshfkehuw」
泡アーマー兵9「jxaifjeljfqij;jfeiop;wmfkrefmor」
――絶句だった。
なぜこの場所がバレたのか、どうやってここにきたのか、そんなどうでもいい疑問は一瞬で消し飛んだ。
今考えるべきは、二つ。
“自分には闘う力はない”ということ。“逃げ道を塞がれた”ということ。
瑠樹(あ、“あちら側”の……兵士……!)
“敵が自分を殺しに来た”ということ――――。
スカウトマン「阿佐見 瑠樹が死ねば、ユリシーズ・リングはただの飾りです。脅威はなくなったも同然です――――」
第十三話「開戦」 おわり
378
:
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 22:50:40 ID:1n03rTdo0
登場人物紹介
『ライジング・ストライプス』1/2
・服部 駿介(はっとり しゅんすけ)
スタンド:No.2006『パピヨン・ドリーム・デビル』/年齢:19歳/血液型:B型
『ライジング・ストライプス』メンバーの一人。若菜曰くスラっとしていて人形のような美形。
無愛想で不器用だが、根はいいやつである。抜群の戦闘センスを持つ。
瑠樹の次の“守護者”として予定されている、“候補者”の一人。
『パピヨン・ドリーム・デビル』は風を発生させる能力を持つ。
カマイタチや竜巻を発生させたり、風の壁を生み出して攻撃を防御することも可能。
考案者:ID:AXqM8Wg0 絵:ID:tfvj7PHAO
・星 若菜(ほし わかな)
スタンド:No.4761『サニー・デイ・サンデー』/年齢:19歳/血液型:O型
『ライジング・ストライプス』メンバーの一人。有名私立美大に通う女子大生。奥手で、人付き合いが苦手である。
ランペイジに襲われたところを救われたことから、ライジング・ストライプスに参加することに。
瑠樹の次の“守護者”として予定されている、“候補者”の一人。
『サニー・デイ・サンデー』はフルーツを武器にする能力を持つ。
現在作れる武器は、
1.リンゴハンマー(リンゴ) 2.バナナソード(バナナ) 3.マロンシールド(栗) 4.ザクロマシンガン(ザクロ)
5.スイカボム(スイカ) 6.メロンネット(メロン) 7.グレープバッグ(ブドウ) 8.アボカドキャノン(アボカド)
9.キウイグレネード(キウイ) 10.パインスパイク(パイナップル) 11.パインスライサー(パイナップル) 12.ドラゴンチェーン(ドラゴンフルーツ)
13.マンゴーナックル(マンゴー) 14.ザ・ジェノサイダー(白桃)
考案者:ID:wnnPvjhJI(自案) 絵:ID:01Kky4eJ0
・阿佐見 瑠樹(あさみ るき)
スタンド:No.4768『ユリシーズ』/年齢:不明/血液型:AB型
『ライジング・ストライプス』の運営を管理する少女。あだ名はミルキー。
戦闘に参加することはなく、仲間のバックアップを担当している。読心術に長け、人をコントロールするのがうまい。
『ミルキーウェイ』と呼ばれる不思議な場所で育ち、人々の“守護者”として、何百年という永い時を過ごしてきた。
『ユリシーズ』は未知なる強大なエネルギーを操るスタンド。遥か昔から、代々“守護者”に受け継がれてきたスタンドでもある。
ミルキーウェイからエネルギーを得ており、『ユリシーズ・リング』はその強い力を秘めた装備である。
考案者:ID:ptkTEV9ZI(自案) 絵:ID:ykFM5Fg90
・湊 宗次郎(みなと そうじろう)
スタンド:No.4697『トリプル・8』/年齢:25歳/血液型:A型
『ライジング・ストライプス』の実質のリーダーである青年。
チーム最古参メンバーでもある。明るく爽やかで、常に周囲への気配りを忘れない。左腕は義手。
『トリプル・8』は三匹の蜂のスタンド。
それぞれを頂点とした三角形の面を作り出し、攻撃や防御を行う。万能型スタンド。
考案者:ID:ob0HzJeZ0 絵:ID:AY2lsVPu0
379
:
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 22:52:15 ID:1n03rTdo0
『ライジング・ストライプス』2/2
・日下 直哉(くさか なおや)
スタンド:No.759『オンスロート』/年齢:19歳/血液型:O型
『ライジング・ストライプス』メンバーの一人。楽天家の青年。
チームのムードメーカーであり、同メンバーの秋山 麻栗に好意を抱いている。
『オンスロート』は殴ったものを“引き伸ばす”能力。
鉄を引きのばしてペラペラにしたり、自分の体を引き伸ばすこともできる。
考案者:ID:WIejhUDO 絵:ID:6T7Gykso
・槌田 洋平(つちだ ようへい)
スタンド:No.140『カルピス』/年齢:42歳/血液型:O型
眼鏡をかけた中年男性で、『ライジング・ストライプス』最年長メンバー。
おおらかで親しみやすい、愛すべきオヤジ。妻子持ち。
『カルピス』は粘土のようなスタンドで、取り込んだ複数の物質を合体させることができる。
武器と武器を組み合わせて新しい武器を生み出したり、ケガの回復にも役立つ。
考案者:ID:gtALg6d+0 絵:ID:gtALg6d+0
・秋山 麻栗(あきやま まくり)
スタンド:No.4276『デュアル・オ・ソレイユ』/年齢:17歳/血液型:O型
不良に憧れるお嬢様。その高い戦闘能力を買われ、正式に『ライジング・ストライプス』のメンバーとなる。
粗暴な言葉遣いを心がけているが、丁寧な口調が抜けず、ちぐはぐな喋り方をする。
『デュアル・オ・ソレイユ』は近距離パワー型のスタンドで、敵との“タイマン”時に
無類のスピードとパワーを発揮する。その強さは、『ユリシーズ・リング』なしでランペイジを圧倒するほど。
考案者: ID:KWGWjvEm0 絵:ID:lejdy/st0
・堂島 海斗(どうじま かいと)
スタンド:No.4770『ディア・デッドマン』/年齢:23歳/血液型:B型
『ライジング・ストライプス』の初期メンバーであり、滅多に姿を見せない“最強の男”。チームの切り札的存在。
使命感、正義感を持たず金や自分の興味関心でしか動かない。そのためチームで頭一つ飛び抜けた実力を持つが、瑠樹からの信頼は最も薄い。
『終末の日』前日、クリオネ型ランペイジとの戦闘で死亡する。
『ディア・デッドマン』は“黒”と“白”の双剣型スタンド。
“黒”はあらゆる物質を切り裂く斬れ味を持ち、“白”は切ったものを7秒後に再結合させる性質を持つ。
考案者:ID:ysXM8fynI 絵:ID:ykFM5Fg90
380
:
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 22:55:25 ID:1n03rTdo0
『人類救済戦線』
・烏丸 傑(からすま すぐる)
スタンド:不明/年齢:不明/血液型:AB型
スタンド使いたちを集めてレジスタンス『人類救済戦線』を結成した男。
独特の雰囲気を醸し出すカリスマ持ちの男性。白い軍服を着用している。
・道祖土 将生(さいど まさき)
スタンド:不明/年齢:18歳/血液型:A型
『人類救済戦線』に属する若きスタンド使い。烏丸の思想に共鳴し、人類を救うために闘う。
『ランペイジ/異世界の兵士』 1/2
・カマキリ野郎
4つの複眼、鎌状の8本の腕。背中に長い羽を持つカマキリに似たランペイジ。
体長は2mを超えている。駿介の『パピヨン・ドリーム・デビル』によって倒される。
・岩人形野郎
デパートを襲った、大きな体格のランペイジ。岩石でできた人形にような姿で、14体確認されている。
強大な腕力で黒ギャルを殺すが、「ライジング・ストライプス」によって殲滅。
・パクリ野郎1/2/3
子どもを狙ったランペイジ。1は「ドラえもん」や「うまい棒のあいつ」、
2、3は「コロ助」などといったキャラクターに良く似た姿をしている。「ライジング・ストライプス」によって倒される。
・擬態野郎/擬態巨人
人間の死体を纏うことでその人に擬態する、生活順応型ランペイジ。
言葉を発したり、電車を利用したり、電子機器を操ったりと、今までのランペイジに比べてかなり知能が高い。
現時点で五体確認されており、複数体が合体することもあるようだ。
一体は麻栗の『デュアル・オ・ソレイユ』が殲滅、残り四体は「ライジング・ストライプス」が捕獲、回収した。
・セミ野郎
「大阪城ホール」付近に現れたセミのランペイジ。物質を溶解する小便を飛ばす。
「ライジング・ストライプス」によって殲滅するが、実は花園 慶一の『コロラド・ブルドッグ』によって凶暴化していた。
・力士野郎
「花鳥風月」との対立時に現れた相撲取りによく似たランペイジ。体重は200kgを超え、厚い脂肪と筋肉に覆われている。
麻栗の『デュアル・オ・ソレイユ』が殲滅。セミ野郎と同じく、こちらも『コロラド・ブルドッグ』によって凶暴化していた。
・ビニ傘野郎
閑静な住宅街に現れたランペイジ。妖怪の「からかさ小僧」によく似た姿をしているが、ビニール傘である。
おそらく、「森崎 千草」を狙って行動していたものと思われる。「ライジング・ストライプス」によって殲滅。
・動物野郎(ウサギ、パンダ、ゴリラ、ポニー、キリン、ゾウ......etc)
「東京ビッグサイト」に突如大量発生した動物型ランペイジ。大型動物から小動物、哺乳類や猛禽類など、実に多種多様な動物たちが現れた。
動物同士では襲い合わないのと、人間の男性のみを選んで殺戮したことから、何かの意思によって動いているのだと推測される。
全体で300以上の数がいたが、「たてがみ野郎」の死と同時に、全ての動物たちが肉体を四散させて死亡した。
・たてがみ野郎
動物たちのボスと思われる獣人型ランペイジ。獅子の上半身に、ジーンズ姿が特徴。
現時点で最強クラスの戦闘力を持ち、その爪は「ユリシーズ・リング」の身体強化を容易に通過する。
無傷のまま、駿介、直哉、洋平の三人を死の寸前まで追い詰めるも、途中介入した堂島 海斗により討伐された。弱点は鼻。
381
:
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 23:01:57 ID:1n03rTdo0
『ランペイジ/異世界の兵士』 2/2
・クリオネ
『終末の日』前日、新宿の街に大量発生したランペイジ。見た目は完全にクリオネそのものだが、サイズは人間大。
個体としての戦闘力が非常に高く、『たてがみ野郎』を倒した堂島 海斗でさえ、適わなかった。
新宿での戦闘後、ぱったりと姿を消す。
・異世界の兵士(泡アーマー兵)
『輸送艦』に乗ってやってきた“あちら側”の武装兵士。
無数の泡を纏ったようなアーマー、物質を溶解する銃など、遥か進んだテクノロジーの装備で身を固めている。
382
:
◆4aIZLTQ72s
:2014/05/12(月) 23:04:49 ID:1n03rTdo0
投下終了です!
次回はようやく避難所で募集したスタンドが登場します!
めーーーーーーーーーーーーーーーーーっちゃお待たせしまして申し訳ありませんでした。
Next
→第十四話「禁断の果実」
383
:
名無しのスタンド使い
:2014/05/13(火) 09:17:27 ID:PM8Fi6lQ0
軍服の男達を敵側だと疑ってたけどそんな感じてはないのかな
今回は小さい謎が分かっていったと同時に最後が・・・
やべえ・・・やべえよ・・・
乙
384
:
名無しのスタンド使い
:2014/05/13(火) 18:48:40 ID:pp68uRMQ0
おん、もっ、しろくなってきたーーーーッ!!
個人的にはいままでで一番の回だった!
侵略される絶望感があるし、若菜ちゃんがかっこよかったし、烏丸と将生のスタンドも楽しみだ!
ついに瑠樹も狙われてしまったんだな・・・次回が気になりすぎる!!
乙!!
385
:
名無しのスタンド使い
:2014/05/17(土) 17:46:13 ID:HFzgjjos0
ランペイジのキル数ダントツ
擬態野郎を生け捕りする機転
花鳥風月を毒ガスで殺しかけた
最強の男(笑)を秒殺したクリオネから余裕の生還(ノーダメ)
開戦早々兵士を四人秒殺(ノーダメ)
若菜さんマジ武神
386
:
◆4aIZLTQ72s
:2018/07/09(月) 08:59:32 ID:jk2/Wyzg0
te
387
:
◆4aIZLTQ72s
:2019/03/24(日) 09:46:08 ID:bs5zIzOw0
tes
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