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【オリスタ】フレイム・スカール【SS】

1 ◆XYGGp0uo6g:2011/06/10(金) 22:27:32 ID:V4cO6R/g0
願わくば・・・
願わくばいまから刻む物語が
『完結に向かう道』を辿れることを
祈る・・・

28 ◆XYGGp0uo6g:2011/06/19(日) 00:31:20 ID:YKkfPObY0
『ブラック・サンダー』が、俺を吹っ飛ばしたのだ。
そして『ブラック・サンダー』が両手を突き出すと……。

「やれッ『ブラック・サンダー』ッ!最大だッ!」

『ブラック・サンダー』の手から黒い電気が発生して、俺を包み込んだ!

「おじさーんッ!」
「ハッハハハーッ!この夜闇での最大パワーだ!俺の電気は暗ければ暗いほど威力が高まるッ!
こいつを喰らって、生きてたやつはいままでにも片手で数えるほどしか……」
「じゃあ俺もそのうちに入るな。いや、次の手か?」
「えっ」

飛び出した俺の左腕は、寸分違わずやつの首を掴んでいた。ちょっと今回は運がよかったぜ。
ジュウウと焦げる音がする。当然だ、俺の腕は炎に包まれているんだからな。

「うあっぢぢぢーッ!な、なぜだ!?なぜ俺の電気を喰らって……!」
「馬鹿かてめー、電気ってのは普通筋肉に作用するもんだ。いまの俺の体は炎だぜ?んなもん通用するかよ」
「んな……阿呆な……!」
「それとな、いまお前、名前付けてたよな?その『スタンド』とやらによ。
どうせだから俺もつけてみたぜ、名前。『バーンド・ファントム』ってんだ・・センスない割りに、なかなかいいだろ?
俺はもう死んでるも同然だから『亡霊(ファントム)』……それに燃えてるから『バーンド』だ。『焼ける』じゃないのは放っておけ」

俺は右手を構え、そして渾身のストレートを放った。
それは見事にやつの鼻っ柱に決まった。そのままぶっ飛んでいった。顔に焦げあとがついていた。ゴミ箱に落っこちた。

「喰らって寝てろ。明日の昼までとっぷりとな」

にやっと笑って、俺は言ってやった。
まあ、骨しかねえから、笑えてるかどうかは謎だったがな……。



本体名:ギターの男(虎岸 渉斗)
スタンド名:ブラック・サンダー
定熱の炎のパンチを顔面に喰らい、気絶し吹っ飛んだ。再起不能。

29 ◆XYGGp0uo6g:2011/06/19(日) 00:32:29 ID:YKkfPObY0
オッサンやっと覚醒しました。格好良く書けたかなぁ。というか後半駆け足過ぎないかコレ。
というかこの敵のスタンドのステータスが普通に高性能で少し困った・・・。まあ問題ないか。
というわけで主人公のスタンドを描いていただいた皆乙さんには感謝、案を書きながら『こんな始まりかなぁ……』と妄想してたのが現実になりました。
コレを書きだせる勇気を持って、良かったと思います。・・・こんなセリフは、完結したときに言うもんだな。

今回使用したスタンド
No.2199
【スタンド名】ブラック・サンダー
 考案者:ID:gj/n3lUo
 絵:ID:kMrMxsDO

No.3574
【スタンド名】バーンド・ファントム
考案者:(自分)
絵:ID:gIcsV4Oi0

……あ、続くって入れるの忘れてた

30名無しのスタンド使い:2011/06/19(日) 00:42:57 ID:LJl8YQr60
乙です!デザインした者です
おっさんのスタンドはタイトルですぐ気付きましたが、ずっとドキドキしながら読んでましたw
そしてもっとカッコいいおっさんにすれば良かったと後悔してます…

覚醒シーンの緊張感とおっさんの心情がたまらない!
次回も楽しみにしてます!!

31名無しのスタンド使い:2011/06/19(日) 01:00:22 ID:SIn9tqlc0
更新キテター
炎の骸骨ってことかいな!
ウィキで検索してもryという罠にはまった人間がここにいますよ

34 ◆XYGGp0uo6g:2011/07/03(日) 02:34:18 ID:L/BPYxOw0
襲撃戦線異常ナシ・前編

あのギターの男――虎岸渉斗(こぎし しょうと)ッつー名前らしい――をフルボッコにした翌日、俺は嶺を久々に自分の家に上げていた。
用件はもちろん、この『スタンド』ってやつについてだ。ここで、いままで嶺が俺に今まで話したかったこともついでに話すこととなった。
まず、嶺は『SPW財団』てとこに所属している『スタンド使い』ってやつらしい。
正直、たまげた、というのが俺の正直な感想だ。どこまで行っても、多少おせっかいなところはあるがごく普通の高校生だと思っていたからだ。
SPW財団てのは、俺も少し耳に挟んだことがある。確か医療技術に大きく貢献してるって話を近所のばーさんが話していたのだ。
しかし裏ではこういう『スタンド』だとか普通に考えればありえない、いわゆる『超常現象』ってやつの調査もしているのだそうな。

次に、『スタンド』について。コレは個人個人の『精神の具現』なのだという。そういいながら、嶺は自分の『スタンド』である『リトル・スター』を自分の隣に出現させる。
多分1.3m程度の小柄な体に、流れ星のマークを刻まれたその『スタンド』は、床につくかつかないかという微妙な位置で浮かんでいる。
嶺曰く、『スタンド』って名前は「そばに『立つ』」だとか「『立ち』向かう」だとか、そういう言葉にちなんでいるのだそうだ。
試しに俺も『スタンド』を出してみる。ぐぐぐ、と念じると、自分の手の平に妙な手ごたえが・・・。手元を見ると、そこにはあの時と同じように、『キセル』が握られていた。
発現させたはいいが、正直やることもない。また火に変わったら家が燃えちまう。とりあえず、くわえておくことにする。うん、変哲のねーただのキセルだ。

そして『鏃』、コレが謎だった。
『スタンドを発現させる』、つーとんでもない力を秘めた一見、おもちゃにも見えてしまうこの鏃、虎岸が言うには『奪ってきたら大金をやる』と言われ、嶺を襲ったらしい。
誰に教えられたのか、そこまでは分からなかった。顔合わせもせずに、メールだけ受け取ったらしい、安直過ぎるぜ。

最後に話されたのは。

「おじさん、SPW財団に入らない?」

嶺は、そう言った。自分の身内が、いつまでも自堕落な生活をしているのは、どうにも耐えられなかったらしい。
このあたりは、やっぱり嶺だった。お節介は、どこまで行ってもおせっかい好きらしい。

結論から言うと、即答は出来なかった。
姪っ子が所属しているっつー時点で怪しいと思う点はほぼ皆無だが、いまの生活が気に入っているのだ、俺は。
何ぞ面倒な仕事などしたくはない。そう言うと

「だからおじさんはダメなんじゃない!ああ、昨日のかっこよかった姿はなんだったのかしら」

俺だって好きでやってたわけじゃない。無我夢中ってやつだ。

「成り行きってやつだ。人間誰しも好きなようにはいかねーだろ」
「って言ったってさあ・・・」

嶺はいらいらと呟く、未練がましい、いや、それは俺のほうか……。

「とりあえず今日のところは帰るわ。次に会うときまでに、決心しておいてよ!」

35 ◆XYGGp0uo6g:2011/07/03(日) 02:35:33 ID:L/BPYxOw0
なにやら勝手なこと言いながら、大股で玄関まで歩いていき、バタン!と思いっきりドアを閉めて出て行った。
一人残された俺は、寝転がって手の平のキセル……『バーンド・ファントム』と名づけた自分の『スタンド』を見つめる。
見た目は普通のキセルだ、だがよく目を凝らすと、天井が透けて見える。
『スタンド』は『スタンド使い』のみその姿を見ることが出来る。俺はあの時、土壇場で『スタンド使い』として覚醒できたから、助かった。
つまり、普通の人間には『スタンド』を用いた犯罪は止められないということだ。
嶺は正義感が強いやつだ。お節介焼きなのも少なからず関係しているだろう。
ようするに、『スタンド使い』として覚醒した俺にも、手伝ってほしいということだろう、しかし。

「俺にそんなこと出来るわけねーだろうに……」

俺は一般人だ。よく主人公にあるような「俺に任せろ!」見たいなセリフを吐けるような性格なんてしちゃいない。
確かに『スタンド』には目覚めた、だがそれまでだ。俺はこれ以上進む気はない。

「『立ち』向かうことも、『立ち』上がることも・・・。
俺には出来そうにねーからな」

そんなことを呟いた……そのときだ。嶺が血相変えてドアを開けてきたのは。

「おじさん!今すぐ逃げて!」
「・・・は?」
「ああもう!『リトル・スター』ッ!」

説明する暇もなく、スタンドを繰り出すと、そこらへんに落ちてたゴミくずを二つほど握って、

「コレもって!早く!」
「う、うおお!?」

光り輝くなにかを押し付けてくる。そして、嶺もそれをしっかりと握りこむ。

「私の『リトル・スター』は握ったものを『流れ星』に変える能力を持つ。
そして、『流れ星』は私の『ある合図』で一斉に飛ぶ……!行くよッ!」

窓の外に向かって、指を向ける。突如浮遊感に襲われ……。

「どわあああ――――ッ!?」

俺の体が、握った『流れ星』に引っ張られて、飛翔を始める!ぐんぐんと窓に近づいて

「ぐわッ!」

窓をぶち抜いて、外に飛び出る、その後ろから嶺が追いついてきて、次の瞬間、

ドゴオォォォ――――ン!

ものすごい轟音と共に、俺の住んでいたアパートが吹っ飛んだ。
跡形もなしに、粉々だ。俺はそんな光景をあっけにとられながら、見送った。

36 ◆XYGGp0uo6g:2011/07/03(日) 02:37:24 ID:L/BPYxOw0
約五分もの飛翔の後、俺たちはどこぞのビルの屋上にいた。
どうも『流れ星』とやらの維持には体力がいるらしく、嶺は額に汗を浮かべていた。
しかしいまの俺にとっちゃあ、そんなことはどうでもよかった。

「なんだあ今のは!?」

まずそれだ。一体何がおきたって言うんだ!?

「『敵』よ……おじさん……私達を狙って、敵が攻撃を仕掛けてきたの……。
アパートの前で待ち伏せしてた……」
「なんだその『敵』ってのは……ハッ!」

ゴゴゴゴ・・・・。

「『スタンド使い』……ってやつか?」
「そういうこと……」

そういうと、ようやく上がった息が戻ったのか、立ち上がる。

「敵は確実に、私か、もしくはおじさんを狙ってるわ」
「……虎岸をぶっ倒しちまったせいか」
「……うん、ごめんね、おじさん。巻き込んじゃって」
「今更過ぎるぜ。こうなりゃなるようになれだ。どんなやつだったんだ、敵は」
「ええと……確かすごいド派手な服を着てたよ」
「見りゃ分かるってことか……とりあえず降りるぜ。一般人巻き込んじゃあ大変だ」

言うが早いか、俺はさっさと階段に向かう。

「……ごめんね」

背後で嶺が何か言ってたが、あいにく俺の耳には届かなかった。

37 ◆XYGGp0uo6g:2011/07/03(日) 02:51:01 ID:L/BPYxOw0
・・・はい、今回はここまでです。みじけえ。
なにやら削除がありましたが、とくに問題はありません、ええ、私は元気です。
中編はない予定、予定です、アテになりません。

>>30
うおお皆乙さん!読んでいただきありがとうございます!やっぱりばれる人にはばれるな。
かっこよすぎないのが・・・いいんじゃあないかあ・・・と自分はおもうわけです。

>>31
やーい引っかかったー!はいスミマセン。
アレはSSのタイトルのつもりですから……。
インハリさんとかセクターさんとかいいセンスしてますよね、憧れます。

そうそう、今回からタイトルつけてみました。
……いや、単なる気まぐれですが、まあ個人的に区別付けやすいのと、アクモン読み直したら、なんか付けたくなって見たりだとか……まあ大したことではありません、要するにやりたかっただけです。

38名無しのスタンド使い:2011/07/04(月) 00:52:12 ID:X1p2hNo20
乙!
SPW財団……だと……

39名無しのスタンド使い:2011/07/06(水) 19:24:45 ID:0fBwhT.gO
乙です!!
自分の発現したスタンドをしばらく観察するようなやりとりって新鮮でいいですね
家が燃えちまうってのが妙にツボでしたww

40 ◆WQ57cCksF6:2011/07/10(日) 01:18:21 ID:.cGID5r60
おっちゃんがやたらかっこいいシリーズきましたねこれ!
覚醒直後に平然と敵をボコるというのは年の功が成せる所業か…w

乙です!期待してます!

41 ◆U4eKfayJzA:2011/07/13(水) 23:11:26 ID:V7MRGlco0
いきなり変な争いに巻き込まれるは、家が吹っ飛ぶは、おっちゃんのなんと不幸なことよ……
乙でした!

>いいセンス
いいえ、単なる厨二です

42 ◆XYGGp0uo6g:2011/07/26(火) 14:58:53 ID:YzDA7c9s0
>>38
そう……あの財団です……。
原作設定を使うのはなんだかうきうきします。

>>39
最初は無我夢中でも、後から考えると「むう」みたいなのってあるじゃないですか。
あれとおなじです、多分。

>>40
まさかのWQ先生の感想……だと……。
格好良く……かけていたか……よかった……。
あれですよ、若い頃は色々馬鹿やってたんですよきっと。

>>41
こうでもしなきゃ巻き込まれませんよ、非日常なんてのは。
まあ、だいぶ無茶振りした気もしますが。
あと、自分にとっては厨二=素晴らしき文化なのでいいセンスなのです、ひゃっほい!

さあ続きだッ!準備はOK、書き込むぜッ!

43 ◆XYGGp0uo6g:2011/07/26(火) 15:00:15 ID:YzDA7c9s0
襲撃戦線異常ナシ・後編

「ゲヒャハハハ……どこ行きやがった?あの小娘はよ……」

嶺がいっていたような、ド派手な服装をした男……馬缶撃尾(ばかん うちお)は、嶺とその身内が飛んでいった方角に向かって、走っていた。
上司に言われ、『鏃』を回収する、などという地味な命令を、彼は好まなかった。
だからこそ、金で釣っていた虎岸がやられ、あえなく出る事となった彼は、なかなかに『不機嫌』であった。
それなりに大口を叩いていたから任せたのだが……期待はずれだったのか、相手が強かったのか、それはわかってはいない。
だが、そんなことは関係ない。『気に入らなければぶっ壊す』、それが馬缶のポリシーだ。
今回も、『気に入らないもの』をぶっ壊すため、スタンドの腕だけを発現させ、ギュパッ、ギュパッと握ったり開いたりする。

「ぶっ壊してやるぜェ……ゲヒャハハハ……!」

口元に、獰猛な笑みを浮かべ、走る。
ぶち壊せる、ただそれだけしか、今の彼に楽しみはなかったからだ。

----

「……見事に壊されてやがる」

その数十分後、アパートに戻ってきたんだが……まあ見る影もない。
二階の俺の部屋の部分が、ものの見事に消えていやがった。大家のおばはんになんて言い訳しようか、住む場所をどうしようだとか考える。
あ、そういえば預金通帳とかは置きっぱなしだった……。どうしたもんか、回収は望めそうにない。

「……弁償だったら、私のとこでどうにかするよ?」
「まあ、そうさせてもらうしかねえな、こりゃ……。
だが、今はおいとくぜ、ふっ飛ばしたやつをぶん殴るのが先決だ」

右手に『キセル』を発現させ、口にくわえる。

「もれなく百倍返しだぜ」
「……おじさん、性格変わった?」

怪訝な顔で言われる、確かにそんな気がしないでもない。

「……かもしれねーな。この『バーンド・ファントム』が発現したから、かもな」

にや、と笑って言ってやる、嶺はなんだか、複雑そうな顔をしていた、なんでだ。
まあ後で聞くとしよう、そう思っていたら、

「……!おじさん、こっちに!」
「……おおっと!?」

突然服のすそをつかみ、物陰に移動させられる。なんとなく意図が読めたので、そのまま従って残骸に隠れる。
そのうち、そこにゆっくりと歩いてきたのは……なんていうか、『ド派手な男』だった。
何か探しているのか、キョロキョロと周囲を見渡している。

「……なるほど把握、あいつだな」
「うん……なんていうか、目立ちすぎだよね、あれ」
「いってやるな。まあなんにしてもお返しはしてやらにゃあな」

いきこんだ、その瞬間だ。

『ザリ』

思わず、足音を立ててしまった。その瞬間、男がこっちを向く。

「げ」
「ちょ……!」

男は、口の端を思いっきり吊り上げたかと思うと、スタンドを発現させる。
背中に二本のカタパルトを備えたそいつは、拳を構える。なにをする気だ?

「逃げ……!」

嶺が何か言った、だが遅かった。
スタンドが拳を振りぬいたその瞬間、衝撃波が俺たちを襲って、残骸ごと吹き飛ばした。

44 ◆XYGGp0uo6g:2011/07/26(火) 15:02:13 ID:YzDA7c9s0
「見つけたぜーぇ、ゲヒャハハハハ!」

笑い声を上げて、吹き飛んだ残骸を眺める。
そこには、倒れた二つの影があった。
一つは、くたびれた風なオッサン、もう一人は、俺が追ってた小娘だ。
小娘のほうは完全に気を失ってるみてーだな、だがオッサンのほうは意識が残ってるらしい、頭を振りながら、こっちに向かって顔を向けた。
アイツが、虎岸をやったって話だが。

「やりやがったな……テメー」

そんなこといってたよーなきがする、どうでもいい、ただぶっ壊すだけ出しなあ。だが、

「家を壊した借りを返したいところだが……ちょっと今は逃げさせてもらうぜ」

この言葉は、はっきり覚えていた。要するに、印象付けた、って所なんだろう。

「おっと、そいつは聞き捨てならねーなあオイ?そんな簡単に逃がすと思ってるのかよ……。
なあ?『ファウストパトローネ』ッ!」

叫んで、俺は『スタンド』を繰り出す。
そして、拳を構えさせて、少しばかりの『チャージ時間』を作る。

「そりゃそうだ、逃げるといわれてハイそうですかって逃がすやつはいねーだろ」
「わかってんじゃねーかオッサンよォ!?喰らえッ!」

繰り出した拳は衝撃波を放ち、やつのところへ飛んでいく。
俺の『ファウストパトローネ』は、衝撃波を撃ち出す能力、そしてそれは、溜めればためるほど強くなる!
こいつは、さっき残骸を吹き飛ばしたときよりも溜めた……これなら、耐えられねえ!

バゴォォォンッッ!

「どうだ!……あ?」

姿が見えねえ。オッサンはもとより、小娘までいない、どこだ?

「残念、スカだ」

右だ、大急ぎで首を回すと、ずいぶんと距離を開けられていた。
小脇に小娘を抱えてやがる、つーか速いぞこのオッサン、というか火達磨だ、これがこいつのスタンドか?

「じゃ、俺は逃げるぜ」

そういうと、脇目も振らずに逃げ出しやがった!

「ま、まてコラァ!」

しかし、逃げるといわれておとなしく逃がすやつがいないように、待てといわれて待つようなやつも存在しない。
スタンドに衝撃波を飛ばさせるも、命中することなく地面に突き刺さり、アスファルトの飛沫を飛び散らさせただけで終わった。

「チクショウが……!絶対ぶっ壊してやる……!」

ギリギリと歯軋りをする。
俺は極彩色に染めたコートの内ポケットを探り、『あるもの』を取り出した。

「こいつで……跡形もなくな……!ゲヒャハハハハハハハ……」

黒く鈍い輝きを見せるそいつを見て、俺はにんまりと笑った。

45 ◆XYGGp0uo6g:2011/07/26(火) 15:03:28 ID:YzDA7c9s0
「ここまでくりゃー大丈夫だろ」

いや、焦った。まさか、まさか『衝撃波』なるモノをぶっ飛ばしてくるとは。
つくづくマンガみてーなやつばっかりだな、『スタンド使い』ってやつは。まあ俺も某映画の主役に似てないこともないから人のことは言えない、鎖は使わんが。
ところでさっきから不思議に思ってたんだが、小脇に抱えてた嶺なんだが、大丈夫だろうか。
いや、気を失ってるってのもあるんだが、熱くねえのか、と思ってちょっと様子を見たら、熱がるどころか、焦げ跡すらなかった。
焼く対象を選べるのか?まあかまわねえ、ご都合主義だとしても、俺にはいい情報だしな。これなら家を焼くこともねえだろう。
そんなことを考えてたら、嶺がもぞもぞ動き出した。ようやく目を覚ましたか。

「う……、あれ、ここは……?」
「目が覚めたか、痛え所とかはあるか?」
「ん……いや、大丈夫みたい。……ハッ、アイツは!?」

思い出したように慌てだす、まずは落ち着かせるか。

「ヤバかったんで逃げてきた、多分俺たちを探してるはずだ」
「……それ、やばくない?」
「多分な、だが多少なりとも考える時間はある……立てるか?」
「あ、うん」

多少不安だったが、下ろしてやる。杞憂だったようだ、足元が覚束ないなんてことはない。

「で、どうするの?」
「多分、俺の見立てじゃあれは小回りは聞かねえタイプとみたぜ、パワーはあるがってやつだ。スピードで押せば問題ないだろ」
「……おじさん、結構見てるんだね」
「定石ってやつだ。パワーもスピードもあって、しかもこまかい動作が出来るなんてやつがいたらチートだろ」
「……。そうだね」

なにやら間があったような気がするが、まあいいか。

「不意が打てれば、十分だ。顎を狙うんだ、顎を」
「脳震盪狙いってこと?でも大丈夫かな」
「そうそう、そう簡単にやられるかってんだよォ〜……なぁ?」
「!」「!?」

後ろだ、バッと振り返る、やつがいた、宙に、宙に黒いものが。
丸いぞ、落ちてくる、なんだあれは。見たことがある。
『実際に』じゃない、マンガだとか、映画だとかそういうやつでだ。
ああ、分かった、果物の名前で呼ばれてるやつだ、そう、その名は確か―――

「『パイナップル』だッ!ゲヒャハハハハハーーーッ!」

声が響いた、そうだ、『手榴弾』だ!
そう思った、体が勝手に動いた、俺は今にも爆発する『それ』に飛びついて、

「うおおおおおおおおおおりゃあッ!」

思いっきり、蹴り上げた、上空にだ。
火事場の馬鹿力なのか、『バーンド・ファントム』のおかげなのか分からないが、それはものすごい勢いで飛んでって、はるか上空で爆発した。
まあそのあと、しりもちをついたわけだが。

「うおっ!」

炎化しているせいか、痛みはそれほどなかった。すぐに立ち上がり、やつと相対する。

「チクショーッ、またもや回避しやがったかテメーッ!シブてえんだよ速くぶっ壊れろよ!」
「そんなんで殺されてたまるか!」

そのまま駆け寄って……とやりたかったが、拳を突き出してきたので横に飛ぶ。
どうやら、威力よりも数で押す気らしい、パンチを連続で繰り出す、それに従うように衝撃波が飛んでくる、近づけねえ。
仕方なく、後ろに下がる。

「クソ!」
「おっと、今度は逃がさないぜェ〜、衝撃波はためないととどかねえが……これならどうだ!」

そういうと、やつのスタンドが姿勢を低くした。
すると、背中についていたカタパルトが伸びる。……『カタパルト』?

「へっへっへェ〜〜……吹っ飛びなァ!」

ピンを外した手榴弾が、そこにセットされる、瞬間。

「伏せろ嶺ェェーーーーーーーーーーッ!」
「!?」

射出された。手榴弾がだ。
とっさに、嶺をかばうように立ち位置をかえ、腕をクロスさせて爆風をガードする。

「うぐおっ!?」

吹っ飛ぶ。当たり前だ、爆風をガードしたんだから。
炎の体じゃなかったら多分ばらばらだっただろう、つくづく便利だなこの体、スタンド使いバンザイ
しかしそんな場合でもない。すぐに起き上がって、嶺に向かって叫ぶ。

「嶺!逃げるぞ!」
「う、うん!」

再び手榴弾を撃たれる前に、走り出す。

「逃がすかよォ!」

背後から野郎が追ってくる気配がする、というか声が聞こえる。

「どうするのおじさん!?」
「俺に考えがあるッ!」
「ちょ……その言い方はちょっと……」
「だぁーッ、言っとる場合かーッ。
いいから耳かせッ!」

漫才をしてる場合ではない、走りながら、俺は嶺に耳打ちをした……。

46 ◆XYGGp0uo6g:2011/07/26(火) 15:04:58 ID:YzDA7c9s0
「やっと止まりやがったな……ええおい!?」

袋小路、そこにてついに小娘は止まった。しかし、火達磨のほうがいない。途中で見過ごしたか?

「おいおい、あの火達磨はどこに行きやがった?お前を置いて逃げたのか?」
「さーどうでしょうね?」
「まあどっちだってかまわねえ、まずはお前からぶっ壊すだけだ」
「……単純な頭してるわねえ。それじゃ、あの虎岸のやつと変わらないわよ?」
「……んだと?」
「だって、私は全く持って考えなしの能無しのアンタとは違うからね」

しばしの沈黙。

「てめえからぶっ壊すッ!」
「やってみなさいッ!」

もうあの火達磨のことはどうだっていい。そんなものは後回しだ。
手榴弾がカタパルトにセットされ、バシュゥッ!手榴弾が嶺に向かって射出される!
だが嶺は避けない。『リトル・スター』を出し、それを待ち受ける。

「スタンドってのは、自分の『精神の在り方』……!
私の『リトル・スター』は精密な動きが得意なわけじゃないけど、精神統一して、それに取り組めれば、出来ないことなんて……!」

『リトル・スター』の手が、高速で動く。手榴弾に向かって、しかし殴る動きではない。
両手が、手榴弾を包み込んで―――

「ないッ!」
「なにィッ!?」

手榴弾は、間違いなく嶺の、『リトル・スター』の手の中にあった。

「返すわ」

すかさず、手榴弾に『流れ星』を貼り付ける。そして指差す先は当然。

「あなたにねッ!」

馬缶にだ。『ファウストパトローネ』によるカタパルト射出にも劣らぬ速度で、戻っていく。

「う……うわあああああッ!
(どうする!?俺の『ファウストパトローネ』じゃあ、掴み取って返すことなんざ不可能だ!仮に掴めたとしても、その前に爆発するッ!)」

馬缶に残された選択肢は、一つしかなかった。

「『ファウストパトローネ』ッ!その手榴弾を吹っ飛ばせェーーーーッ!」

『ファウストパトローネ』が動き出す。向かってくる手榴弾を、アッパー気味に打ち上げる。
そして放たれる衝撃波。これなら多少狙いが甘くても、問題ない。

実際、問題はなかった。アッパーは少し遅めだったが、衝撃波がそれを打ち上げ、直撃ルートを避けた手榴弾は馬缶の後ろに飛んでいき、

ドゴォォォンッ!

爆風を撒き散らした。やった、まだ生きてる。そう安堵した馬缶の耳に入ったのは、その安堵を終了させる一言だった。

「『隙』だぜ?決定的に、な」

背後からの声だった。恐る恐る、後ろを振り返る。そこにいたのは、あの火達磨だった。

「私の『流れ星』で、すでにおじさんは後ろに回っていたわ。後は、隙をつくだけだった……。
それは、成功したようね」

小娘の声が響く。即座に反撃しようとした、しかしそれはすでに遅かった。
なぜなら、馬缶の『ファウストパトローネ』と、この火達磨のスタンドでは、速度に差がありすぎた。

「BRUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUNDE!!!!!!」

咆哮と共に、全力のラッシュが放たれる。
全身に灼熱の拳が叩き込まれる。体中に焦げ目が出来、次に燃え上がった。特徴の一つであった派手な服は、もはや見る影もなくなっていた。
最後に、両手の掌底を腹にぶち込まれる。そのまま吹っ飛び、塀にめり込んだ。

「借りは返したぜ」

キセルをくわえ、そう言い放つ。まあ、すでに馬缶の意識はなかったわけだが。


本体名:馬缶 撃尾
スタンド名:ファウストパトローネ
灼熱のラッシュを受けて全身火傷&全身打撲。再起不能。

47 ◆XYGGp0uo6g:2011/07/26(火) 15:07:01 ID:YzDA7c9s0
ハイ、打って変わって長いですね今回、とはいえただ偏ってるだけです、前の時点でもっと書いとけよこのダボがぁーッ。
ちょっと同人ゲームだとかアルバイトだとかにのめりこんでたらここまで遅くなりました。構想だけなら半月前にすでに終了してたって言うのに。まあ一ヶ月かかってないからいいよね(コラ
あと『リトル・スター』の無理やり解釈がひどいな、と改めて思います。銃弾ほど小さくはないとは言え、飛んでくる手榴弾掴むって……。
目標は『一ヶ月以内の更新』を目安にしようかと思います、次あたりで破られそうなフラグがぷんぷんです、やだなあ。
後、地の文で一人視点は難しいので、じわじわ変えていきます、もうむりぽ。

今回使用したスタンド
No.2300
【スタンド名】ファウストパトローネ
考案者:ID:6qRpUAxo0
絵:ID:pHR.AAYo

48 ◆79EFR1u8EY:2011/07/26(火) 16:47:53 ID:NSNcTMcE0
乙です!
おっさんとキセルの組み合わせがいちいちカッコいい……
バトルも二人のコンビプレーがとても面白いです!

49名無しのスタンド使い:2011/07/30(土) 19:33:46 ID:t4GlccvUO
乙です!
某映画ネタに思わずニヤリでしたw
おっさんvsファウストパトローネとか俺得過ぎる!場面が頭の中に浮かんできます!
しかし当時の自分の絵を見られるのは辛くてたまらない…w

50 ◆XYGGp0uo6g:2011/08/31(水) 14:39:36 ID:clEllr3Q0
>>48
自分にはこのレベルが精一杯です。
もっと複雑かつ、面白いバトル(と思える)を描写したいです。荒木御大スゲー。

>>49
案を考えてから「そっくりじゃね?」と思った次第です。
どこぞでは同じことかかれてましたし。

更新、行っきまーす!

51 ◆XYGGp0uo6g:2011/08/31(水) 14:40:02 ID:clEllr3Q0
再会と一撃

「……おじさん、大丈夫?」

開口一番、そんな声をかけたのは嶺だ。
しかしそういいたくなるのも無理はない、彼女が話しかけた相手、定熱は橋の下にダンボールで作った家にいたからである。
まあ、つまるところホームレスなわけだ。

「大丈夫に見えるか。やれやれ、厄介なことになっちまったぜ……嶺、スピードなんたらの『弁償』はどれくらいに目処がつく?」
「スピードワゴン、ね。それはもうちょっと先になりそう……。なんだかんだで手続きが必要だし……」
「……やれやれだ」

そこらの石と流木で作ったらしいテーブル(台?)に頬杖をつき、ため息をつく定熱。

「……と、とりあえず私は寮に戻るね。明日はおにぎりでも買ってくるよ」
「……ああ、頼む」

(無気力感が増した……)と心中で思い、ダンボールの家を出て行く。
それを見届けた定熱は、欠伸を一つすると、そのまま寝転がって、間もなくいびきを上げ始めた。

52 ◆XYGGp0uo6g:2011/08/31(水) 14:40:42 ID:clEllr3Q0
「おはようおじさん……うわだらけてるね」
「仕方ねえだろ……仕事場のほうにはしばらくいけないって言っちまったし、やることねえからな……」

翌日、再び定熱の家(?)にやってきた嶺は、脱力しきった伯父の姿を見た。

「んで今日はなんだ」
「うん、財団から連絡があってね、私の『母さん』のところでしばらく待機してほしいって」

それを聞いた途端、定熱の体が跳ね起きた。

「……おい、そりゃ正気か」
「本当だよ……。私も、伯父さんと母さんの関係は知ってる。
財団のほうはそんな事情まで把握しちゃあいないけど、私は分かってる。だからこそ、それが正しいと判断したの」
「……だがあいつは、それを承知するか?」
「大丈夫、もう電話で連絡はしたわ。だから、後は伯父さんが決めるだけ」

完全にお膳立てされていた。むしろ包囲された、というほうが正しい。
フゥゥー、とため息を吐きつつ、立ち上がる。

「……電車代は持ってるんだろうな」
「……うん!それぐらいなら私のお小遣いで出せるから!」

それは肯定の意味を持った言葉だった
顔を明るくする嶺、すぐさま、家から出て、また顔を出す。

「それじゃ、駅で待ってるからね!」

それを言うと、また顔を引っ込めた。隙間から石をいくつか握ったのを見ると、スタンドを使って移動する気だろう。人目とかは気にしないのか?

「やれやれ……。生きてるうちにまた勝美(かつみ)と顔を合わせるとはな……」

53 ◆XYGGp0uo6g:2011/08/31(水) 14:41:23 ID:clEllr3Q0
電車で揺られて、早30分が経過した。
車窓は、外の風景をころころと変えつつ映し出す。
しかし、二人の間に会話はない、空気が重い。

「……」
「……」

景色に目をやることもなく、定熱は目を閉じて腕組みをし、嶺は俯いていて。
先が見えぬまま、電車は走る。
不安を、乗せたままで。


電車を降り、駅を出たところは、いわゆる『田舎』というところだった。
蝉がやかましく鳴き、太陽の光がさんさんと降り注ぎ、木々の緑がまぶしい。
それでも、この二人の憂鬱を消すには力不足だったが。

「着いちまった……な……」
「……そうだね。早く行こう」
「おう……」

彼らは向かった、彼の『妹』であり、彼女の『母親』である存在の元へ。

54 ◆XYGGp0uo6g:2011/08/31(水) 14:42:23 ID:clEllr3Q0
『ピンポーン』

嶺がドアの呼び鈴を押す。
二人とも、心中穏やかでないものがある。
ややあって、ホンから声が返ってくる。

『どちら様でしょうか?』
「あ、母さん?つれてきたよ……。
伯父さんを……」
『……』

ガチャ、と音が響く。

「今更ながら、嫌な予感しかしないぜ」
「ファイトだよ、伯父さん……」

そんなことを言っていると、ドアの鍵が開く音がする。
そして、ドアが開く。出てきたのは、長身の女性。

「あ、母さ……」

そのセリフは、最後まで続くことはなかった。その女性は、定熱の姿を認めるなり、急接近し―――

「ぶげぇッッ!」

その一瞬の後、繰り出された右ストレートで、3メートルほど、吹っ飛ばされたからだ。
嶺がその横で、唖然とする中、長身の女性―――崇緋勝美(すうひ かつみ)は、嫌悪感に満ちた声で言い放った。

「よくもまあ、のこのことやって来れたもんだねえ……なあ、兄貴?」

俺の一存じゃあねえ……そんなことを心中で思いながらも、定熱は遠くなっていく意識に逆らえず、気を失った。

55 ◆XYGGp0uo6g:2011/08/31(水) 14:43:09 ID:clEllr3Q0
幕間です。短いのは仕様です。でももうちょっと頑張れよ、熱くなれよ!
個人的に、こういう切り方はやってみたかったのです、しかし強引です、何事かと思われます。

SS雑談での『上か、下か』のアンケート、皆さんご協力ありがとうございました。しかしみんな揃って下……そういう意味じゃないですよ!
どういうことかというと、上(姉)か、下(妹)か、ということでした。だからそういう意味じゃ(ry

あと、MJ先生と出したいスタンドがかぶっているような気がしてなりません。何これ気まずい!
まあ、すでに被っているスタンド(まだ登場してないよ)も結構あるから気にしません。気にしたら負けかなと(ry

使用したスタンド
なし

56名無しのスタンド使い:2011/09/02(金) 19:37:01 ID:r8Qbyu660
おつおつ

定熱、嫌われ過ぎわろたw

57名無しのスタンド使い:2011/09/08(木) 20:42:01 ID:RLz3tU8kO
乙です!
ホームレスやってるおじさんが何故これほどしっくりくるんだろうw

ついに嶺ちゃんのお母さん来ましたね
色んな意味で熱い兄妹喧嘩に期待!

58 ◆U4eKfayJzA:2011/09/10(土) 22:25:21 ID:a9FmAlDE0
スタンドがかぶるということは、それだけ「使いたい」と思われるわけですからオリスタには名誉なことだと思います。
そして、ホームレス化がここまで似合う主人公がこれまでにいただろうか! ……いや、ボスならいたけどさ。どこぞのダメ親さんとかw
乙でした!

59 ◆XYGGp0uo6g:2011/10/05(水) 22:35:06 ID:9W.9qFPQ0
>>56
嫌われてます。はい、仕方ありません。

>>57
ホームレス=オッサンはもはや確定してますよね。
ちなみに自分の好きなホームレスは「神さま」です、これだけで分かるんかこのネタ。

>>58
あんまり深く考えないほうがいいかもしれませんね。
主人公がラスボスに!え、違う?

「おはようございます!」
「KYG、遅刻」

60 ◆XYGGp0uo6g:2011/10/05(水) 22:36:17 ID:9W.9qFPQ0
交わす視線と交わる拳


「んお……」

頬の痛みで目が覚めた。背中には程ほどにやわらかい感触。

「あ、起きた。
大丈夫?伯父さん、痛むところある?」
「頬が痛てえ」

声が聞こえたので、とりあえず返事をする。そっちを見ると、嶺が心配そうな顔で定熱の顔を覗き込んでいた。

「思いっきりやったからな、少しはすっきりしたよ」

その向こうの部屋に、勝美が椅子に座っていた。不機嫌そうな顔をしている。

「本当にご挨拶だな。いきなりパンチかますか」
「ああ、挨拶代わりだからな」
「まさか会うたびやる気かお前……」

当たり前だ、といった感じの勝美、渋い顔の定熱。
それを見て、くすくすと嶺が笑い声を立てる。

「笑い声じゃねえぞ嶺……」

たしなめては見るが、あまり威圧感はない。
とりあえず身を起こす、どうやら布団に寝かされていたらしい。
しかし、勝美の対応を仕方ないとは言える。そりゃ、あんなことがありゃあな……。

「ま、財団からの命令なら仕方ない、とりあえず泊めておいてやるよ」
「迷惑かけるな」
「なーに、なんだかんだで『矢』と嶺を守ってくれたってんだからね」

そんな大したことじゃなかった、とは思う。
だが、それはあくまで定熱の感覚だ。『救われた』、それは人によってはかけがえのないものである。

「さて、そろそろ晩飯が出来るよ、さっさと起きな」
「もう晩飯……だと……」

外を見やると、すっかり太陽はその顔を隠していた。
結構な時間寝ていたらしい、つまりそれほどパンチは強かったということだ、酷いものである。
考え事ばかりしていても仕方ないので、立ち上がる。

「そいじゃ、いただくとするか」

61 ◆XYGGp0uo6g:2011/10/05(水) 22:38:11 ID:9W.9qFPQ0
「お、上手くなってるな」

見事な焼き色をつけた卵焼きをほおばり、定熱は感嘆の声を漏らした。

「当たり前だろ、結婚して何年になると思ってんだ」
「いや、最初の頃は桜紀(おうき)さんが料理してたからな、そういうこととは無縁かと思ってたぜ」

桜紀さんというのは、嶺の父親、つまりは勝美の夫だ。
丸眼鏡の似合う穏やかな雰囲気をまとった男だった。今はいないようだが。

「失礼な、いくらアタシでも学ぶことぐらいはするぞ」
「まあ、なんだかんだで要領よかったからな、お前は」

『食事』という行為は、人の心を穏やかにする。この連中にしたって、例外ではない。
最初に再会したときの険悪な雰囲気はすっかり鳴りを潜め、笑い声さえこぼれていた。

「でも母さん、最初は失敗ばかりだったじゃない。目玉焼きさえ焦がしてたのに」
「何年前の話をしてんの嶺」
「いいじゃねえか、その話聞かせろよ」
「兄貴もやめんか!」

昼の光景が嘘のようである。時と食事、そして談笑は進み、何時しか食卓は空になった。

「うーん、まともな飯は久しぶりだぜ、ご馳走さん」
「ご馳走様でした」
「はいはい、お粗末さん」

手際よく食器を片付ける勝美。
その姿を見て、つくづく思う。結構な時間が経ったんだなあ、と。

「ところで、俺の寝床はどうするんだ?」
「そこらへんのソファにでも寝っころがっとけば?」
「母さん、それじゃあんまりにもあんまりだよ……」
「あー?仕方ねーな、じゃあダンナの部屋でも使っとけ」
「桜紀さんの部屋か?今いねーのか」
「ああ、仕事で海外に出張しててね、後一ヶ月は帰らない。あんまり部屋の物いじんなよ、仕事道具とかあるし」
「ガキじゃねえんだからよ」

嶺の案内で桜紀さんの部屋に移動する。
また襲撃されねえだろうな……と思ったが、まさか連続ではないだろう。
何より、妙なフラグなんて立てるものじゃない、と思い直し、定熱はさっさと眠りに入ることにした。
思いのほか、眠りは早くやって来た。

62 ◆XYGGp0uo6g:2011/10/05(水) 22:39:45 ID:9W.9qFPQ0
目元に差し込む日差しで、目が覚めた。
ああ、やはり布団はいい。川原は背中がゴツゴツして敵わなかったからな。
伸びをしつつ、体を起こすいい朝だ。

「……7時か。俺にしては早起きだな」

そばの時計を見る。そういえば着替えてなかった。
どころか風呂にも入らずにそのまま寝床に入っちまったんだった。桜紀さんには今度謝っておこう。

「とりあえず下行くか」

バリバリと頭をかくと、布団から出て、階下に向かった。


「お、早起きじゃないか兄貴」
「さっき自分でそうおもったところだ。……なんか喰うもんあるか?」
「パンでも喰っとけ」

仕方ないので適当にバターロールを手に取り、かじる。
……会話が少ない。

「そ、そういや嶺はどうした?」
「嶺ならもっと早く起きて、学校の寮に向かったよ」
「そういわれてみりゃ、学生だったな」
「そういうことだ。……さて」

そういうと、勝美は壁にかけてあったジャンバーを羽織る。

「どっかでかけるのか?」
「お前もだよ兄貴」
「は?」

呆けた返事をする定熱、外に出る勝美。

「それ喰ったら、家の裏に来な」

体育館の裏じゃねえんだからよ……そう思ったが、言うのはやめておいた。
仕方ないので、さっさと呑み込むと、定熱も外に出た。

63 ◆XYGGp0uo6g:2011/10/05(水) 22:40:22 ID:9W.9qFPQ0
季節は夏だが、早朝なので涼しいものである、ランニングには丁度よさそうな気温だ。
ぐっ、と背伸びをする、背骨が鳴った気がするが、まあ気にしない。
勝美に言われたように、家の裏に回りこむ。

「……庭か、こりゃ」
「ああ、もっぱら鍛錬用だけどな」

どちらかというと、空き地っぽかったが。片隅に古びたトレーニング機器が見て取れる。

「で、何を始めるんだ?」
「決まってんだろ」

すると、両手を握り締め、腋を締める。

「お、オイ……」
「決まってるだろ、兄貴、あんたの力はいかほどか……試すのさ」

勝美の周囲に、『白い揺らめく炎』が浮かび上がり始める。

「構えな、あんたの『スタンド』を」

定熱は、思わず気おされる。
その顔は、正真正銘、『戦う者』の顔だった。

64 ◆XYGGp0uo6g:2011/10/05(水) 22:40:33 ID:9W.9qFPQ0
遅刻しました、スイマセン。
「いいところで切る」って言うと聞こえはいいけど、実際はただの先延ばしです。あー、この先どうしよう。
しかしこの団欒である、さっきのあのパンチはなんだったんだよ、険悪状態を持たせるのがダメでした、チクショウ。
とりあえず兄妹ケンカさせたかったというテスト、うーん、難しいねこれは。
勝美のスタンドは?やはり定熱はボコボコにされてしまうのか?次回へ続く。
早くスタンド明かしたいよう、というか出したい、まだ四体しか出てねえ!

今回使用したスタンド
なし

65名無しのスタンド使い:2011/10/07(金) 00:55:33 ID:e.6wvo2.0
更新乙でし!
どうしてだろう、ボコボコにされる定熱を期待してしまう……

66 ◆R0wKkjl1to:2011/10/07(金) 19:16:08 ID:BxdDfWVAO
更新乙です(^O^)
日常パートって良いですよねww
それにしても定熱さんはボコボコにされちゃうんでしょうかwww

67 ◆XYGGp0uo6g:2012/01/27(金) 16:35:01 ID:dZQ/0SZI0
>>65
ここまでボッコを望まれる主人公がいたでしょうか?
いや、いない(多分

>>66
日常パートはね……なんていうか(ry いや読んだことないんですけど。
結果は一番最後にて。

どれ位振り?数える気も失せました。
状況を再開始します。

68 ◆XYGGp0uo6g:2012/01/27(金) 16:35:49 ID:dZQ/0SZI0
炎と炎


「本気か……!?」
「本気も本気、昨日の『挨拶』と一緒にしたら……」

勝美の周囲の『白い炎』が集っていく。
それは頭には王冠が据えられたような、スーツの形をとっていた。
これが、勝美の『スタンド』である、

「火傷じゃ済まないよッ!『ホワイト・ヒート』ッ!」
「うおっ!」

繰り出されたフックを皮一枚で回避し、バックステップで距離を取ろうとする、が

「逃がすか!」
「…ッ!」

それを許さぬように、勝美が一気に距離を詰めて、ストレートを繰り出す。
吸い込まれるように顔面に拳が迫っていく、が。

ガシイィィンッ!

それは寸でのところで、同じ『炎の腕』によって掴まれていた。

「やっと出したね…、兄貴、『それ』の名前は?」
「……『バーンド・ファントム』だ!」

言うが早いか、掴んだ拳を引っ張り、

「オリャァッ!」

蹴りを繰り出す。が、引かれながらもその蹴りを手で受けて、

「……とっ!」

そのまま定熱の後方に飛ぶ。

「しかし、随分と不気味な見た目ね?しかも、私と同じ『炎のスタンド』とはね」
「なんでかは知らんがな、しかし唐突すぎるだろ、お前」
「うるさいね、これも仕事の一環だよ」
「仕事……?」

そういうと、勝美はやれやれと肩をすくめる。
周囲に白い火の粉が舞い散る。

「当然、『SPW財団』の仕事よ」
「それが何だってこんなことにつながるんだ……」
「ぶっつけ本番で殺す気満々だったスタンド使いを、二回も退けた兄貴の実力を計る必要がある、それに……」
「それに?」

尋ねる定熱、すると、勝美は再び両の拳を構えて、吠える。

「兄貴をボッコボコにする口実にもなるッ!」
「いいっ!?」

再び勝美が突撃する。右の拳を思いっきり引き、定熱の顔面に狙いをつけて、

「でえッ!」
「ぬわっ!」

と見せかけ、繰り出されたのは足払い。
倒れこむ定熱、しかし起き上がろうともがこうとせず、そのままの体制で回し蹴りを放つ。
勝美はそれを後方に逃れることで回避する、が、定熱は逆立ちのような体勢に移行し、思いっきり仰け反り、

「こなくそ!」

回避に入った状態の勝美に対してドロップキックを放つ!

「ちッ!」

舌打ちしつつ、腕をクロスさせて防御する。
蹴りを防がれ、逆側に飛んだ定熱は着地するや否や、地面を蹴って勝美に連続のストレートを繰り出す。

「結構、喧嘩慣れしてるね……!」
「昔、馬鹿ばっかりやってたのを知ってるだろう!?」
「もちろん、けど、これはただの喧嘩じゃない」

繰り出される連続攻撃を紙一重でかわしつつも、余裕の表情を崩さない。

「『スタンド使い』の戦いだ、兄貴はそれを忘れている!」

69 ◆XYGGp0uo6g:2012/01/27(金) 16:37:27 ID:dZQ/0SZI0
勝美が告げた瞬間と、定熱のストレートが放たれたのは同時だった。
しかし、その一撃を今度は避けない。

「(ボコられるのは勘弁なんでな……!)」

そんな思いと共に放たれた拳は、しかし空を切った。

「な……!?」
「言っただろう?これは『スタンド使い』による戦いだってさ!」

どこからか、しかしかなり近い場所から勝美の声が聞こえる。
次の瞬間、下から襲いかかるアッパーを、定熱は避けることができなかった。

「ご……ッ!」

鈍い音が響き、定熱の体が宙に浮く中、定熱は見た。
勝美が、地面に空いた『白い炎』が散る穴から飛びだしてきたところを。

「油断したね」

飛び上がった勝美が着地するのと、定熱が地面に墜落するのも、ほぼ同時だった。

「私の『ホワイト・ヒート』は触れたものを『白い炎』に変える……つまり『すり抜けられる』。一瞬で穴を掘るのなんてお手の物さ。
まあ、兄貴にしては良くやったほうだね……!?」

勝利を確信した勝美の表情が、驚愕に変わるのはすぐだった。
今しがた地面に倒れ伏したはずの定熱の姿が……『ない』。

「(馬鹿な……!?今の一撃は確かに顎に決まったはずだ、普通なら脳震盪で動けないはず……。
いや待て、兄貴の体は炎で骨しかなかった……ということは!?)」
「油断禁物ってやつだろう?なあ、勝美?」
「……!」

声が聞こえたときは、遅かった。勝美は、自分の背中に何かが押し付けられているのを感じた。
定熱が、今の一瞬で背後に回り込み、拳をピタリと押し付けているのだ。

「なるほど……脳ミソも『ない』のね……?」
「そうらしいぜ。以前電撃を食らった時も平気だったからな」
「呆れた頑丈さだわ、しかも骨まで強化されてんの?」
「ああ、手榴弾の爆風にも耐えれたからな。で、まだ足りないのか?」
「勿論」

突然、予備動作もなく勝美の体が前に倒れていく。

「こんなもんじゃ私は認めない、どちらかが再起不能になるまで……!」
「……チッ!」

見れば、勝美の爪先の地面が白く燃えている。離れていく背中にパンチを打ち込もうとするが、

「戦いは終わらないッ!」
「うおッ!」

踵が持ち上がってきて、定熱の顔面を蹴り飛ばそうとする。
体を引くことでそれを回避するが、おかげで再び距離を取られた。

「クソッ!」
「相手を気絶させるなり殺すなりして黙らせない限り、戦闘は続行される。覚えておきな!」

そう言うと、勝美は背後にあるものを示した。

「さて兄貴、これがなんだかわかるかい?」
「……見りゃわかる、水道の蛇口だろ」
「そうその通り。ハンデだ、先に宣告してやろう。
今から兄貴に『水』をぶっかけようと思う」
「なるほど、そいつはやばそうだ」

定熱のスタンドは『炎』。確かに、水は弱点になりうるだろう、まだ食らったこと自体はないが。

「……表情が見えないから何とも言えないね」
「知るか。だが、簡単に当てれると思うなよ?」

定熱はこのスタンドの速度には自信があった。先ほど勝美の背中を取ったのは、まぐれではないのだ。
しかし、定熱と違って顔の見えるスタンドの勝美は、にやりと笑う。
                           ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「油断するな、さっき自分で言っただろう?誰がホースを使うといった?」
「……ハッ!」

言われて、定熱は気づいた。      ・ ・ ・
勝美の手が、バルブではなく、蛇口のパイプに添えられていたことに。

70 ◆XYGGp0uo6g:2012/01/27(金) 16:38:13 ID:dZQ/0SZI0
「てめ……!」
「遅いよ」

定熱は突っ込んだ。しかしそれは間違いだった。定熱は退くべきだった。
そうすれば、有利とはいえなくともまだ戦闘は続行できただろう。
勝美の白い炎に覆われた指が、パイプを引っかくように『炎に変える』。
瞬間、水が噴出した。

「ぬわっ!」

飛んでくる水を、思わず両腕で顔を覆うように防いで、

バシャッ!

次の瞬間、定熱の目に入ったのは、水にぬれた自分の『腕』だった。

「な……」
「成程、水を浴びると『元に戻る』らしいね、しかも自分でも知らなかったのか?」

そう言っている間にも水が飛んでくる。
回避する間もなく、その水しぶきを浴びて、定熱のスタンドが解除されていく。

「く、クソッ。『バーンド・ファントム』……」

キセルを咥え、再び炎をまとおうとするが、うんともすんとも言わない。

「(濡れてて……!)」
「もうスタンドの発現ができないみたいだな」

勝美がスタンドを解除すると、炎に変わっていたパイプの一部が元に戻り、水が止まる。

「さあ、フルボッコの時間だ」
「……!!!」

そして、瞬く間に勝美は距離を詰める。
固めた拳骨を、顔面に一発!

「うごっ……」
「まずは一発、だが次も一発目だ」

繰り出される鋭いパンチ、直撃するたびに定熱の体は後退する。

「これも一発目、そして次も一発目」

パンチはだんだん速度を増し、白い炎はうなりをあげる。

「全部、全部、全部……!」

パンチはやがてラッシュとなり、定熱の体を浮き上がらせる。

「『一発目』だァァァァ―――――ッ!!!
HEEEEAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAT!!!!!」
「ごふげッッ……」

盛大にぶっ飛んでいく定熱の体、もはや無事なところを探すほうが難しい状態で、地面に倒れ伏す。

「(これが……勝美の『怒り』……か……)」

地面に倒れ、薄れゆく意識の中、反抗する気は起きなかった。
遠くから、何故か嶺の声が聞こえたような気がした。


――続く

71 ◆XYGGp0uo6g:2012/01/27(金) 16:39:08 ID:dZQ/0SZI0
お久しぶりです。ええ、お久しぶりです。
何してたって?遊んでたんですよ、ええ、気の緩みとか他の目移りだとかそんなちゃちなもんじゃ(ry
ハイ、エターってたと持ってる人は正直に言ってください、自分でもそう思います。
あと、運び屋さんところとスタンドはかぶっていなかったようです。
それと、続く目処がついたかというと、別にそんなこともないです。1ヶ月更新なんてなかったんや。

今回使用したスタンド
No.1045
【スタンド名】 ホワイトヒート
考案者:ID:LPzwpYFb0様
絵:ID:mMS56XNH0様

72 ◆XYGGp0uo6g:2012/01/28(土) 15:01:09 ID:YVkTwu460
悲しくなってきたので上げる

73名無しのスタンド使い:2012/01/29(日) 22:20:36 ID:cB1Pdud60
更新キテルー!!
乙です!!次回も楽しみだwww

74名無しのスタンド使い:2012/01/30(月) 21:38:53 ID:JikSMaXwO
乙です!
負けたのは妹に花を持たせたんだと思い込もうとする俺が居る…
頑張ってくれ定熱…
次回も楽しみにしてます!!

75 ◆XYGGp0uo6g:2012/04/26(木) 03:07:33 ID:5snrZfTk0
えー・・・どうも。あえてsageたままにしておきます
つい先ほど、構想を練ってたメモ帳が消えました。しかも戻りません、バカです。
しかしこんなもんでへこたれはしません。とはいえ、もう3ヶ月も経とうとしてる今じゃ、説得力皆無ですが
ですが絶対更新して見せます。未練がましいといわれてもかまいません、バカの独白でした。最も、このSSを待ってる人がいるかどうかもわかりませんが

76名無しのスタンド使い:2012/04/28(土) 20:19:56 ID:pKtV8dDk0
ずっと待ってるんだぜ

77名無しのスタンド使い:2013/08/20(火) 17:03:23 ID:b94BE8sw0
・・・まだかなー


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