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500字くらいでプレレンすうヌレ^p^

53こっぺもん^p^:2009/11/04(水) 21:14:57
こっぺもん^p^

 晩秋の夕暮れ時、赤い夕陽が沈みかけるころ……。
 六年長屋で大きな影が重なった。
「ふ、っく……」
「息を止めると苦しくないか?」
 濃紺のふさふさした髷が文次郎の上で揺れた。七松小平太は潮江文次郎の上にのしかかり、口づけていたのだ。
「お、お前が息をさせないんだろうが……」
「はは、それもそうか」
 小平太は文次郎の耳元に口唇を寄せる。
「わたしの口づけはどうだった? 感じたか?」
 男の手は既に文次郎の制服にかかっていた。帯を解こうとする片手を掴み、小平太を見上げる。
「も、もう……か?」
 文次郎は言いながら横を向いてしまう。向いた先にある中途半端に開いている戸と戸の隙間からは、
空が見え、一番星が輝き始めていた。
 いつもこの状況でこんなことは言わないのに、今日はどうしたのだろう。小平太だけでなく、文次郎自身も思っていた。
「なんだ、嫌なのか」
 少しむくれる小平太。掴まれなかった方の指先は文次郎の鎖骨をずっとなぞっている。
「そういうのじゃあないが……、もう一言二言、何か……欲しい……。だめか……」
 ぐっと掴んだ腕を離すと、文次郎は己の上に跨った小平太の顔を両手で包んだ。
「た、例えば……す、好きだ、とか」
「……そ、そんな、そんなの……」
 小平太の顔が夕焼けのように赤い。文次郎が顔を包んだ手を振り払うように何度も何度もぶんぶん顔を振る。
「うわわっ」
「も、文次郎が、そういうこといってくれたら、言う」
「……はあ? ……しゃーねえな。 耳貸せ」
「返してくれるのか?」
「やめるぞ」
「あっごめん!」
 小平太は身をかがめて文次郎の口元に耳を持っていく。
「俺は、お前が……好き、だよ。……あー、改めてこんなこと言うことになるとは思わなかった!」
「わ、私もだぞ!! 大好きだ文次郎!!」
 小平太に力の限り抱きしめられた文次郎は、顔を赤くした後、にっと笑った。

 その後、文次郎と小平太がお互いの気持ちを確認して、ようやく部屋から出てきたのは夕飯の時間も終わって月が
ぽっかりと空に浮かんでいるころだったという。

終わり^p^


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