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仮投下・修正用スレ

1名無しさん:2009/05/10(日) 23:38:31 ID:pmy889Lc0
2chの規制や意見を聞きたいなどで本スレに投下できない時にどうぞ。

前スレ
一時投下・修正用スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/10906/1203948076/
避難所スレ
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/10906/1204105308/

2銀色の夜天(修正版) ◆7pf62HiyTE:2009/05/11(月) 01:12:56 ID:AnmqfIPM0
新したらばの方乙でございます。では、早速修正を。
本スレ>>50の修正版です。『地上本部のレジアス・ゲイスに転送され』を『地上本部のレジアス・ゲイスの部屋に転送され』に修正。

■■■■■

「私だってそうや、もしもこんなアホな戦いでシャマルやヴィータ達がみんなおらんくなったらみんなを取り戻す為になのはちゃんやフェイトちゃんを殺してでも優勝を狙うかも知れん」
 はやてもシャマル達がいなくなれば同じ事をする可能性があると語る。
「はやてちゃん……」
 シャマルとしてははやてにその手を血で汚させてまで自分達を生き返らせる事を望みはしない。しかし、はやての考えそのものを否定する事は出来はしない。
「私らだってそうなんやからキャロがエリオを生き返らせる為に殺し合いに乗る事自体は理解出来る……」
 そして、放送の言葉に従うがままに殺し合いに乗る事を肯定するが、
「でもな。そんな安っぽい口車でホイホイ人殺しをするなんてほんまもんのアホや、そんなのは只の逃避か思考停止でしかない」
 と、安易に殺し合いに乗ったキャロ達を完全否定した。
「私らのすべき事はこんなアホな事をするプレシアを止める事や、違うか?」
 はやての言葉に頷く2人だった。

「今度ははやてさんの話を聞かせてもらえます?」
 と、クアットロがはやてがこれまでに誰と出会ったかについて聞く。
「ああ……」
 はやては自分が最初に地上本部のレジアス・ゲイスの部屋に転送されその後キングという少年と出会い、彼からベルト以外の支給品を渡された事を語る。
「そのキングって子何を考えているんですか?」
「私もその時はあまり深くは考えんかったけど……正直、失敗やった……」
 その後、はやては幸運にもヴィータと再会出来たが、そのヴィータに偽物扱いされ戦う羽目になった事を語る。それを聞いて驚愕する他の2人ではあるが、
「全てキングが悪いんや……」
 はやては起こった事を語る。キングが外の様子を見に行ったらヴィータが赤い巨大な恐竜に襲われているという話だったので、はやてはすぐさまヴィータを助ける為にそこに向かった。
 そして、キングから渡された武器を使い赤い巨大なトカゲを仕留めたのだ。だが、その直後ヴィータが逆上してはやてに襲いかかったと。そしてヴィータははやてを偽物だと言い放ったのだと。その話を聞いた今でもシャマルは信じられないでいた。その一方、
「あの、それって本当は恐竜とヴィータちゃんは仲間同士で、仲間が殺されたから逆上したんじゃないのかしら?」
「ああ、今にしてみればクアットロの言う通りやったと思う。つまりキングに騙されたということや。何しろヴィータにコテンパンにやられた後は思いっきりキングに馬鹿にされたしなぁ……」
 はやての顔は明らかに不機嫌な顔をしていた。
「それでヴィータちゃんは?」
「あの後どっかに行った」
 その後、追い掛けようとしたがまたしてもキングによって足止めを喰らった。キングは地上本部を調べないかと提案してきたのだ。はやてとしては断りたかったがキングはこっちの言葉を聞かず一方的にはやてと分かれ別行動を取ったのだ。
 そしてはやての方は何も見付けられなかったが、キングの方は後にシャマル達も使った魔法陣を見付けたのだ。キングとの合流後それを使ったわけではあるが、
「私としてはヴィータに会いたいと思ったんやけど」
 はやてが転移した場所は図書館。しかし、目的の人物であるヴィータには会えなかった。なお、不幸中の幸いかキングと離れる事には成功している。
「正直またキングに一杯食わされたと思ったわ」
 その為、はやてはあの魔法陣は参加者を分断する為の罠だと考えたのだ。
「でも、シャマル先生の場合は会えたんですから、はやてさんの場合も多分転移した時点では近くにいたんじゃ……例えば図書館のすぐ外とか」
 クアットロの指摘通り、はやては気付かないものの彼女が転移した場所は図書館の二階、その時点では丁度ヴィータは図書館を出た所であった。つまり、すぐにでも図書館を出ればヴィータと再会出来た可能性は高い。
「ああ、私もシャマルの話を聞いてそう思ったわ。でもな、アレはかなり使い勝手が悪いで。参加者を分けるという意味ではやっぱり罠やし、転移場所も割と距離が離れている所になる可能性は高いからあんまり使えるものではない事に変わりはないな」
 はやてはシャマルが無事に自分と再会できたことから魔法陣が罠ではない事については納得しているが、使い勝手が悪いと考えている。
「そこで放送を迎えてこれからの事を色々考えていたらシャマルがやって来たと」
 そして、クアットロのいる地上本部に戻ろうとしたらクアットロがやって来たというわけである。

3マスカレード ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:45:28 ID:bFC6P61.0
遅れて申し訳ありません。
只今より予約分の仮投下を開始します。

4Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:48:58 ID:bFC6P61.0
頭上に燦然と輝く太陽。その光がこの場にいる参加者たちを照らし出す。
太陽の位置から考えると、今が調度正午くらいなのだろうという事はすぐに判断出来た。
正午とは、それ即ち6時間毎の定時放送の時間。既にいつ放送が始まっても可笑しくはない時間だ。
されど、それについて考える時間は与えては貰えなかった。
ウルトラマンメビウスの眼前に立ちふさがるのは、楕円型の見慣れぬ浮遊機械。
ジェイル・スカリエッティが造りし兵器の一つ、ガジェットドローンだ。
心を持たないただの機械が、メビウスの問いかけに答えることはない。
ガジェットはただ、チンクに与えられた命令を果たすべく、メビウスに突撃する。

幾度かの突撃をかわしたメビウスに、この浮遊機械の動きを読む事は容易かった。
ただ真っ直ぐ、自分に向かって突撃を仕掛けるのみ。それ以外の動きは見せようとはしない。
そんな単調な動きを数多の戦いを勝ち抜いてきたメビウスが読めない訳もない。

(近くには誰も居ないのか……? ならこいつは一人で動いてるのか?)

メビウスは思考する。
ガジェットとの間合いを取りながら、周囲に人の気配が無いか確認。
しかし、それらしきものは皆無。ウルトラマンの超感覚を持ってしても何の反応も見当たらない。
ならばこの機械の目的は一体何なのか。こんな単純な攻撃で参加者が仕留められるとも思わない。
だとすれば、考えられる罠はやはり、自動で動く爆弾か何かだろうか。
再び突撃してきたガジェットをひらりとかわす。
その時だった。

『――――OOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

メビウスの耳を打つ咆哮。
まさしく、大怪獣が発する雄々しき叫び声。

(何だ……今のは!?)

相手を委縮させるような鳴き声に、メビウスも混乱する。
同時に、胸のカラータイマーの色が青から赤へと変化。
ウルトラマンの活動時間が残り少ない事を、その色と音で表す器官だ。
もう時間がない。恐らくメビウスに変身していられる時間は残り1分も無いだろう。
それでなくとも早くあの銀髪の男に追いつかねばならないのに、こんな所で時間を食うのは惜しい。
今の鳴き声は確かに気になるが、仕方がない。メビウスはガジェットから距離をとるため、大きく後ろへ飛び退いた。
着地すると同時に、右手をメビウスブレスに翳す。
ブレスから得たエネルギーを右手に宿し、メビウスはガジェットに向かって右手を突き出した。





太陽の光を反射して、きらきらと輝く川。そこに掛けられているのは、一つの大きな橋。
しかし最も目を引くのは、川でも橋でもない。橋のすぐ傍の地面だ。
橋から数十メートル離れた位置まで、抉るように地面に描かれた深い傷。
それはまるで、空から落ちる筈の雷が、地面と平行に駆け抜けたようだった。
抉られた地面の傍らに真紅のバイクを停め、天道総司は目を据えた。

5Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:49:35 ID:bFC6P61.0
 

「なるほどな。エネルとか言う奴はここで誰かを襲った訳か」
「うっわ……ねぇ、こんなとんでもない攻撃する奴と本気で戦うつもりなの?」

呆れ顔のキングに、天道は無言で返す。
二人はバイクでの走行中、彼方から聞こえた耳を劈くほどの雷撃音を聞きつけてここにやってきた。
その収穫は一切無し。ただ電撃の痕を見せつけられただけで、エネルが何処へ向かったのかも解りはしない。
しかし、それでも天道の目は「当然だ」と言わんばかりにキングを見据えていた。
だが、天道も馬鹿では無い。カブトゼクターが無い今、何の策も無しでエネルに挑んで勝てる等とは思ってはいない。
かといって武器を探している時間もないし、キングの力を宛てにする事も出来ない。
今はとにかく、エネルを追いかけながら、武器となるものを探すしかない。
天道自身も、その内心では僅かな焦りを感じ始めている自分に気付いていた。
だが、それを表に出す事はしない。それが天道総司という男だ。
ふと、太陽に視線を向けた。

(正午まではまだ時間があるか……)

天道が意識するのは、太陽の位置だ。
見たところ、太陽が頭上まで昇り切るにはまだ暫しの時間があるように見えた。
つまりは、放送までまだ暫くの猶予が存在するという事。
まだ午前になってからそれほど時間が経過していないと考えると、恐らく1時間以上の猶予が存在する。
放送にはまだ時間がある。が、エネルが暴れまわっている今、急がなければならない現状には何ら変わりはない。
故に次の行動を早急に決めなければならない。
天道はキングが眺めていた地図をひったくって、何処へ向かうべきかを思考する。
さて、と心中で一言。天道の考えはこうだ。
現在自分達が居るのはD-5エリア。地面を抉る穿孔は、D-4の方向からD-5の川の方向へと伸びていた。
恐らくエネルが居たのは、D-4の方向。そこから雷撃を放ち、川の傍にいた参加者を襲ったのだろう。
次にエネルが何処へ向かったのか。
考えられるのは、橋を渡り、フィールド中央の市街地エリアに向かったか。
もしくはこのまま橋を渡ること無く、北にある施設に向かったか、だ。
地図を睨み、考える。
暫しの沈黙。ややあって、それを破るように天道は歩き出した。
愛車の手前で止まり、ヘルメットを被る。バイクに跨りながら、天道は言った。

「D-4を迂回して北に向かう。お前も着いて来い」
「え、ちょっと待ってよ。もしかしたらこの橋を渡って行ったって可能性も――」
「俺が行くべき道は俺が決める。他の誰にも指図はされない」
「……はいはい」

D-4方面の大通りから、その付近の施設を探す。それが天道の出した答えだ。

6Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:50:33 ID:bFC6P61.0
やれやれとばかりに肩を落としながら、キングは後ろに跨った。
元より天道はキングの言葉に耳を貸すつもりなど毛頭ないし、自分の判断が誤っているなどとも思ってはいなかった。
天道は、エネルは北に向かったのだと確信していたからだ。
態々丸太で橋を作って行った男が、この橋を渡って元の陸地に出戻るような事をするとは思えない。
恐らく何らかの理由があってこのエリアまで来たエネルは、ここで何者かを襲い、元の道に戻ったのだろう。
ただでさえ情報の少ない今、天道の絶対的な自信が、それを信じて疑おうとはしなかった。
キングはそんな天道の肩を軽く叩いて、行くならとっとと行こうと促す。その声には僅かな苛立ちが感じられた。
対する天道も、言われるまでもないと一言。勢いよくアクセルを握り締めた。





時刻が午前と呼ばれる時間帯になってから、暫しの時間が経過した頃。放送まで残された時間は僅か。
そんな中、黒の騎士団専用車両が停められていた車庫を背後に、北へと駆け抜ける影が二つ。
一つ目の影が北へと走り去ってから、二つ目の影――ゼスト・グランガイツがそれを追随する形で駆け出した。
ゼストにしてみれば、本来見ず知らずの人影など放っておいても良い問題であった。
それよりも、C.C.との約束を守るためにも、一刻も早く商店街に戻り、報告しなければならない。
黒の騎士団専用車両は既に誰かに乗り去られた後だった、と。しかしそうなると、何の収穫も無しの無駄骨と言う事になる。
あのC.C.に収穫なし等と言えば、それこそ嫌味の一つでも言われるのは間違い無い。
嫌味を言われるのがどうしても嫌という訳ではないが、それならば一人でも多く仲間を連れて帰った方が面目も立つというもの。
それが原因でまた帰ってくるのが遅いなどと愚痴を零されるかも知れないが、どうせ小言を言われるなら可能性に賭けてみるのも悪くはない。
勿論、仲間になってくれる保証など何処にもないのだが。
しかしもしも仲間になる可能性があるなら、“高町なのは”の情報を持っているかもしれない。
この会場に居る参加者の中で、自分がこの手で命を奪いたいと思っているのは高町なのはのみ。
そんなゼストが、なのはの情報を求めていない訳がなかった。

(まずはさっきの影に追いついて、情報を聞きだすか……)

ゼストは、白銀のローラーブーツを走らせる。
その速度は並の人間の走行速度とは比較にもならない。
その性能に感嘆しながらも、先程の影が駆け抜けていった道を真っ直ぐに駆け抜けていく。
ややあって、ゼストの視界に入って来たのは、一人の男の影。
地図で見れば、黒の騎士団専用車両車庫から真っ直ぐ北に進み続けた道とは垂直に造られた道――大通りだ。
そこで目の前の男は、ようやく体力が切れたのだろうか、膝を押さえて立ち止まった。

「おい、そこの男……聞こえるか!」
「……!?」

念のため男からは数十メートルの距離を取り、声を上げる。
男はその声に動揺したように振り向いた。
黒いコートに、黒い髪の毛。鋭い漆黒の眼光がゼストを見据える。その風貌は、どこまでも黒をイメージさせる。
だが、その瞳には覇気が感じられなかった。言うなれば、何かに怯えるような瞳。
騎士として数多の戦場を駆け抜けてきたゼストには、相手の瞳を見れば戦意の有無は一目で解る。
目の前の男は、少なくとも高町なのはのような敵意を剥き出しにはしていなかった。
故にゼストは距離を取ったまま、両手を下ろす。同時に、ブリッツキャリバーを待機状態へと移行させる。

7Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:51:05 ID:bFC6P61.0
自分に戦う意思は無いという表明だ。

「俺はこのゲームには乗っていない……出来れば情報を交換したい」

ゆっくりと距離を詰めながら、穏やかに告げる。
これまで何人もの人間を殺してきたゼストだが、この会場でまでプレシアに良いように使われるつもりは無い。
邪魔をするなら命の保証は出来ないが、それで無ければこのゲームから脱出するまでは仲間でいた方が色々と有利だ。
ゼストが男に近づこうとした、その時であった。
突如として鳴り響いた爆発音が、二人の耳朶を叩いた。咄嗟に振り返った二人の視界に入ったのは――二匹の、巨大な龍。
轟轟と燃え盛る爆煙の中。赤と白の巨大なドラゴンが空を舞い、壮絶な争いを繰り広げていた。

「あれは……」
「モンスターだ……また、誰かがモンスターに……」
「何……?」

怯えるように瞳を見開き、少年は彼方で繰り広げられる死闘を凝視する。
モンスターという表現は確かに正しいと、ゼストは思った。
ゼストのような戦い慣れた騎士ならばまだしも、一介の民間人の目から見ればあれはまさしくモンスターだろう。
しかし、この少年の怯えようは尋常では無い。まず間違いなく、あのモンスターについて何らかの情報を持っているのだろう。
ゼストにしてみれば、出来れば話を聞いてみたい所。だが、悠長なことを言っている暇もない。
あのドラゴンが戦っている場所は、まさしく商店街。C.C.が待っている筈の場所だ。
となれば、あのドラゴンはC.C.が関係している可能性が非常に高い。
どうするべきか、と。ゼストは思考を巡らせる。





「――あいつはまだ帰ってこないようだな」

周囲を明るい蛍光灯に照らされた家電量販店の中、C.C.はぽつりと呟いた。
浮かべた表情は、困惑。ゼストが帰ってこない今、下手に行動するのは避けたい。
だが、同時にこれはチャンスでもあるのだ。
ここまでゼストと二人きりで行動していたが、大した情報は得られなかった。
確かにピザを貰った恩はある。だが、恩を果たす為だけにこの場をやり過ごすのもあまり賢い手段とは言えない。
第一、誰かと出会うたびに一々ゼストの指示を仰ぐのもC.C.の性には合わない。
ならばここでC.C.が行動し、もしも今商店街に入ってきた奴らを仲間に引き込めたなら。
それこそ「仲間を増やした」とゼストに胸を張って言えるし、ピザの対価分くらいは役に立ったというものだろう。
上手くいけば、そのまま黒の騎士団の駒としても役に立つかもしれない。
だが、それはもしも奴らが殺し合いに乗っていない人間なら、という仮説の上に成り立つ話。
C.C.が行動するかどうか決めかねている理由は一つだ。

8Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:51:50 ID:bFC6P61.0
 
(奴らがもしゲームに乗っていたら……下手な行動は出来ないな)

もしも奴らが殺し合いに乗っており、何らかの武器を確保していたら。
もしもこの場所が見つかり、自分の命が危険に晒されたら。
そうなった場合は、ピザの対価どころか逆にさらなる借りを重ねてしまう事になる。
こんな状況下でも貸し借りについて考える余裕があるのは、やはり不死身故か。
この場所でなら、本当の意味で死ぬことが出来るかも知れないと、念頭に置いてはいる。
だが、それはやはり希望的観測に過ぎないし、素直に死ねる保証はどこにもない。
やはりどんなに考えても、これまでの彼女の経験が、死の恐怖を和らげてしまう。
その一因として、“ルルーシュとの契約を果たすまで死ぬつもりはない”という信念も多分に影響しているのだろうが。

(さて、どうするか……)

相手が殺意を持った人間かどうかは一目見れば解るし、このまま店の奥に引きこもっていてもどうにもならない。
暫し考えた結果、C.C.はまずは相手の容姿から確認することにした。
デイパックからスティンガーを取り出し、その手に握り締める。
商品が並べられた台の物陰に隠れながら、息を殺して家電量販店の入口へと接近していく。
閉ざされたガラス張りの自動ドアの手前。上手く身を隠せる柱にその身を隠し、頭だけを覗かせる。
見える人影は二つ。茶髪の女性と、中年の男性が一人ずつ。二人が何かを話しながら商店街を歩いている。
見たところゲームに乗って人を殺して回るようなタイプには見えないが、軽率な行動は出来ない。
息を潜めてどうするべきかを思考する。
が、ここで一つ。C.C.が完全に失念している事があった。

『キュクル〜?』
「お前……フリード!? ……おい、馬鹿、あまり顔を出すな!」

フリードがC.C.の頭上を飛び越えて、ガラス張りのドアの向こうを見つめていた。
咄嗟にフリードの存在を思い出したC.C.は、声を押し殺して怒鳴る。
そう。C.C.は自らの支給品、白き翼竜フリードリヒを完全に失念していたのだ。
本来の主人が居ない今、フリードはC.C.に追随するしかない。
だからフリードはC.C.の背後を羽ばたいて居たのだが、思考に夢中になっていたC.C.は完全にフリードを失念していた。

気付けばフリードはC.C.の制止を振り切って、ドアへ向かって移動していた。
嬉しそうに鳴き声を発しながら、元気よく羽ばたく。やがてドアの手前、センサーの真下で静止。
自動ドアの赤外線センサーは、フリードの影を認識。開いたドアから、フリードは勢いよく飛び出して行った。
何て事をしてくれたんだ、と。心中で舌打ちをしながら、C.C.は咄嗟に商品棚の物陰に隠れる。
ややあって、店内に誰かが入ってくる。かつかつと、靴が地面を叩く音がC.C.の耳朶に触れる。

(チッ……こんな時、お前ならどうする……ルルーシュ)

今はいない共犯者の名を心中で呼ぶ。
ルルーシュならば、こんな時どんな対処を取るだろうか。
思考を巡らすC.C.に掛けられた言葉は――





学校で金居と弁慶と別れてから、ペンウッドと二人で歩き続けること数十分。

9Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:52:23 ID:bFC6P61.0
距離にして2キロと少し程の道のりを、二人は特に誰と出会う事もなく商店街にたどり着くことが出来た。
ここでなのはが一番に気になったのは、商店街中の店の電気が点けっ放しにされていたこと。
ゲームが始まったのが深夜だった事を考えれば、その時から電気が点けっ放しにされていたと考える事も出来る。
ここに来る参加者の事を考えて、最初から電気を点けておいたか。
もしくは、ここに訪れた先客が商店街を調べるために電気を点けたか。
歩を進めながら、ケリュケイオンを起動する。

「試しにエリアサーチを掛けてみます」
「エ、エリアサーチ……?」
「はい、簡単に言えば、ここに誰か居るのかを――ッ!?」

刹那、なのはの声が途切れる。
説明を続けようとしていたなのはの耳朶を叩いたのは、自動ドアの開閉音。
それも、すぐ近くでだ。なのははすぐに音が聞こえた方向に振り向き、敵の襲来に身構える。
ペンウッドはこの一瞬の出来事に状況が把握し切れていないのか、あたふたと慌てている。
しかし、そんな二人の心配をよそに、開いた自動ドアから飛び出して来たのは――

『キュクル〜!』

聞きなれた鳴き声。
瞬間、なのはの表情から警戒の色が無くなる。
開きっぱなしのドアから飛び出してきたのは、なのはもよく知る小さな仲間。
機動六課の新人フォワード、キャロ・ル・ルシエの守護竜こと、フリードリヒであった。

「フリード! どうしてこんな所に!?」
「え……え? この竜は一体……」

フリードを抱え、ようやく出会えた仲間に喜ぶ。
一方で、なのはとは対照的に、混乱するペンウッド。
この竜の名前はフリードリヒと言って、自分達の仲間だと。ペンウッドに簡単に説明する。
それを聞いて安心したのか、ペンウッドは肩の力を抜いて、今度はフリードが現れた家電量販店を眺めた。
ペンウッドが家電量販店の中に視線を向けた理由はなのはにも解る。
当然、なのはも「何故突然この店からフリードが現れたのか」、という疑問を抱いているからだ。
フリードから手を離し、今度は家電量販店へと歩を進める。

「フリード、もしかして中に誰かいるの?」
『キュックル〜』

そうだと言わんばかりに、フリードが頷きで返す。
フリードは人語を理解できる。それを知ってるなのはだからこそ、フリードにこうして尋ねた。
頷くフリードの返答は、表情に例えるならば『笑顔』だ。
中に居るのが危険人物であれば、優しいフリードがこんな穏やかな表情をする事はないだろう。
そう判断したなのはは、家電量販店の自動ドアの前に立った。
自動で閉ざされた扉。そのセンサーが、なのはに反応し再びドアを開けさせる。
数歩店内を進み、なのはは息を吸い込んだ。

「誰か居ますか?」

店内によく通る声が響く。

10Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:53:00 ID:bFC6P61.0
数秒待つが、返事は無し。ならばと、次の一声を掛ける。

「私は時空管理局の高町なのはです。この殺し合いには乗っていません。
 絶対に悪いようにはしませんから、誰か居るのなら出てきて貰えませんか?」

簡単な自己紹介。だが、やはり返事はなし。
高町なのはという名前を出せば、何らかの反応で返してくれると思っていた。
いや、実際には反応しているのだ。なのはが呼びかける相手もまた、“高町なのは”という名前をしつこく聞かされていたのだから。
勿論、相手が認識する高町なのはという存在は、なのは自身には考えも及ばないような存在なのだが。
仕方がないな、と。簡単に店内を調べようと、なのはが一歩を踏み出した。

『キュクル〜』
「フリード……?」

同時にフリードが、なのはの横を通り過ぎる。
そして、眼前で一度静止。羽ばたきながら、再び奥へと進む。
着いて来いと言っているのだろう。フリードのサインを把握したなのはは、再び歩を進める。
数歩進んで、フリードが羽ばたきを止め、着地。愛らしい鳴き声を発しながら、商品棚の奥に視線を向けていた。
なのはもすぐにフリードに追い付き、同じ方向に視線を向ける。
そこにいたのは――

「貴女は……」
「……」

光を受けて煌めくエメラルド色のストレートヘア。何処かサディスティックな雰囲気を漂わせた黄金の瞳。
ドレスにもスーツにも見える白装束。全身を覆う白の中、自身を拘束するかのような黒いベルトが見る者の目を引いていた。
その手に握り締めるのは、黒金に輝く鋭利な刃物。見覚えがある。更生した戦闘機人の一人、チンクの固有武装だ。
黄金の眼光はまるで、相手を威嚇するかのようなプレッシャーを放ち、鋭くなのはを見据えていた。

「聞いていた話とは随分と違うな……」
「え……?」
「お前……本当に高町なのはか?」

此方から問う前に、エメラルドの少女が口を開いた。
予想外の質問。“本当にゲームに乗っていないのか”と言った質問ならなのはにも想像はできた。
だが、問われた質問はそれ以前の問題だ。“本当に高町なのはなのか”とはどういうことだ。
骨が折れるが、どうやらまた一から情報を整理しなければならないらしい。

11Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:53:53 ID:bFC6P61.0
 




商店街に立ち並ぶ店のうちの一つ。家電量販店の奥の事務室に、三人は座っていた。
まずはなのはとペンウッドから、自分達のこれまでの経緯をC.C.に話していた。
椅子に腰掛け、デスクに頬杖を付きながら、C.C.は考える。

(なるほどな……やはり参加者も皆別の世界の住人という訳か)

目の前のなのは達に聞いた話を簡単に纏めると、こうなる。
まず、目の前にいる高町なのはは、機動六課スターズ分隊の隊長。
傍らに居るシェルビー・M・ペンウッドはC.C.は知らない地球の、英国海軍の中将。
二人はそれぞれ別の世界の人間で、出会ったのはここに来て初めてだという。
現に“自分”でも知らない“自分”を知っている参加者ともここに来るまでで出会ったらしい。
確かにそう考えるなら、ゼストが言っていた“悪鬼”高町なのはと、目の前の高町なのはのイメージが食い違う事にも説明がつく。
疑念に抱いていたスバルについても、なのはと同様に納得がいく。

「つまり、ルルーシュも私とは別の世界の住人かもしれないということか」
「ルルーシュ……?」
「ああ、私の共犯者……まぁ、仲間だ。私にとっては大切な男なんだがな」

それを聞いたなのはが、デイパックから参加者名簿を取り出した。
どうやら敵味方と死亡者の区別を付けているらしく、デスクに置いてあったペンを手に取り、ルルーシュの名前を丸で囲む。

「一応聞くけど、ルルーシュさんはこのゲームには乗らないってことでいいのかな?」
「さぁ、どうだろうな。少なくともプレシアの言いなりにはならないだろうが」
「なら、敵じゃないね」

安心したような表情で、話を続ける。
別にプレシアの言いなりにはならないだろうと言っただけで味方とまでは言っていないが。
まぁ、変に敵意を持たれてルルーシュの仇になるよりはマシだが。
そうだな、と肯定の返事を返す。

「じゃあ、次にC.C.の話を聞かせて貰えるかな。出来れば、さっきの反応の理由も」
「さっきの反応……? あぁ、私の第一声についてか」

なのはに問われ、今度はC.C.が自分の情報を開示する。
今回はゼストの時とは違う。それぞれが並行世界から連れて来られたという問題が話の前提である為に、ゼストよりも詳しく話さなければならなかった。
単にゼストの方がなのはと比べて相手に無関心だから、という理由も多分にあるのだろうが。
故に、まずは自分が元居た世界の出来事について話す。
自分はブリタニアという大国が、世界の半数以上を支配している地球の住人だということ。
自分とルルーシュ、シャーリー、カレン。それから、転校してきたスバル・ナカジマは、
ここに飛ばされる直前まで確かに、占領された日本――即ちエリア11に居たということ。
ここまで話した所で、なのはの反応が変わる。日本が占領されたことも気になるが、やはりその世界でのスバルの役割が最も気に掛ったらしい。
C.C.自身もスバルと直接関わりがある訳ではないため、学生として転校してきたということまでしか知らないと告げておいた。

12Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:54:56 ID:bFC6P61.0
しかし、全ての情報を話した訳では無い。言わなくてもいい情報まで下手に漏らす必要はないからだ。
故に、黒の騎士団とゼロに関する情報は避けて話す。
自分はあくまでアッシュフォード学園に通うルルーシュ・ランペルージの仲間だと言う事で話を通した。
ここまで話した時点で、なのははシャーリーについても友好的な関係を示す丸を付けていた。

そしてここから話すのは、この会場に来てからの出来事。
自分が最初に転送されたのは、ここより北の神社。初めて出会った相手は、ゼスト・グランガイツと名乗る武人。
神社で簡単な自己紹介と情報の交換を済ませた二人は、この商店街に仲間と情報を求めてやってきた。
ギブアンドテイクの暗黙の了解の元に成された契約については話していない。別に話す必要も無いと考えたからだ。
ここでなのは達が疑問に感じるのは、一緒に行動していた筈のゼストは何処へ行ったのか、という事だろう。
それについては、別に隠す必要はない。寧ろそこを有耶無耶にすれば、かえって怪しまれる可能性もある。
ゼストは現在、付近の施設を調べるために、まずは地図上の「黒の騎士団専用車両」に向かった、と答えた。
その理由を付けるのは至って簡単。商店街を調べるだけならばC.C.一人で十分だし、ブリッツキャリバーを持っているゼストの方が移動が楽だからだ。
商店街中の電気が点いている理由は、その際に自分が点けて回ったからだ。簡単に見て回ったが他に人は居なかった、とも付け加えた。
なのはとペンウッドは何の疑いも持たず、ここまでの話を聞いた。
実際、それ程大きな嘘は言っていないのだが。

「な、なるほど……な、なら我々はここでゼストという男を待った方がいいのかな……」
「ちょっと待って。C.C.、貴女はさっき私を見た時、聞いていた話とは違うっていったよね?
 それは騎士ゼストから聞いた話ってことでいいのかな?」
「あぁ、そうだな。どうやら随分とお前に御執心だったようだぞ?」
「その話、詳しく聞かせて貰えるかな」

御執心と、随分と遠まわしな表現を取る。一応嘘は言っていない。
C.C.は含み笑いを浮かべるが、なのははまるで意に介さず、話を続ける。
なんだ、こいつも冗談が通じないのか。などと心中で漏らしながら、C.C.はゼストについて話すことにした。

「騎士曰く、“高町なのはは災厄を撒き散らし、復讐の為なら無関係な人間をも殺害する悪鬼”だそうだ。詳しくは知らないが」
「な……ッ!?」

これには流石に面食らったらしい。
至って冷静な表情でC.C.の話を聞いていたなのはも、驚かずには居られなかった。
無理もないだろう。並行世界とはいえ、自分が復讐の為に殺人を犯しているなどと考えたくもない。

「まぁ、奴が私に話した内容を他の誰かに話さないという保証は何処にもないし、
 本当にこのゲームを終わらせたいなら、早いうちに誤解は解いた方がいいだろうな」
「た、確かに……早く誤解を解かないと、無駄な争いに発展するかも知れない……」

C.C.の言葉に、ペンウッドも同意する。
無言のなのはも、事の重大さは理解している筈だ。
自分はこんなにゲームを終わらせたいと願っているのに、同じ脱出派の人間から命を狙われてしまったのでは目も当てられない。
とにかく今は行動するしかない。出来る限り早くゼストの誤解を解いて、一緒にプレシアに立ち向かうしかない。
それはなのはにも解っているのだろうが……と、C.C.は冷静な瞳でなのはを観察する。

「そうだね……今はまず騎士ゼストの誤解を解いて、一刻も早く仲間を集めないといけない
 でも、本当にゲームに反対する人なら騎士ゼストの話を聞いたとしても、いきなり襲いかかってくる前に私達の話を聞いてくれる筈だよ」

言いながら、立ちあがる。

13Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:55:28 ID:bFC6P61.0
確かになのはの言い分には一理ある。現にゼストの話を聞いたC.C.もこうして誤解を解くことが出来たのだ。
それも割と簡単に。いきなり襲いかかってくるような相手なら骨が折れるが、そうでなければ話をつけるのもそう難しい話では無い。

「だから、私たちの行動方針は変えません。この付近の施設を巡りながら工場に向かいます。
 その途中で騎士ゼストと合流出来た場合は、誤解を解いて仲間になって貰えばいい。」

ゼストもまた殺し合いに反発しているのであれば、そう難しくはない筈だと付け加える。
ペンウッドも了解した、と立ちあがる。二人が立ちあがった手前、自分だけ座っている訳にも行かない。
やれやれとばかりに、C.C.も立ち上がり、二人に肩を並べた。

「で、これからどうするんだ?」
「C.C.はまだこの商店街の全てを把握した訳じゃないんだよね?」
「あぁ、正直私はあまり真剣に探索していないからな……ただ電気を点けて回っただけと言ってもいいな」
「や、ややこしい真似を……」
「何か文句でもあるのか? ペンウッド」
「い、いや……別に何も……」

小声で言うペンウッドをきっ、と睨む。臆病者の海軍中将はすごすごと目を反らした。
元々自分が誰かの下につく事は滅多に無いのだが、ペンウッドの配下に付く事はもっと特別あり得ないなと、この瞬間判断した。
黒の騎士団で例えるならば、あの玉城真一郎の下に付けと言われるくらいあり得ない話だ。

「それじゃあ、もしかしたら騎士ゼストが帰ってくるかもしれないから、三人でもう一度この商店街を探索しよう
 手分けして探せば、もしかしたら何か役に立つものが手に入るかも知れないからね」
「わ、わかった。そうしよう」
「あぁ、私もそれで構わないぞ」

次の行動が決まれば話は早い。なのはもペンウッドも、自分の荷物を纏めて事務室から出て行く。
C.C.も少しくらいいは役に立たなければ、となのは達に追随する。
そんな時だった。ペンウッドが、小さな黒い箱を取り出し、自分のポケットにしまった。
C.C.は、その一瞬の行動を見逃さなかった。

(あの箱……確か私の支給品にも……)

デイパックの中身を思い起こす。
確か、フリードが詰められていた時、調度あれと似たような“茶色の箱”を見たような気がした。
特に説明書も見当たらなかったし、使い道もさっぱり解らなかった為にずっと放置していたのだが。
まぁいいか、と。暫し考えた挙句、C.C.はそれについては深く考えないことにした。
大した役に立つ物とも思えないし、考えるだけ時間の無駄だと判断したのだ。

14Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:55:58 ID:bFC6P61.0
 
C.C.は気付いていなかった。
今自分が目撃したのは、カードデッキと呼ばれる立派な武装。
そして、自分の支給品にもまた、カードデッキと呼ばれる物が入っていた事。
カードデッキにはその危険性と、使用方法を記した小さな紙切れ――説明書が付属していること。
しかし、デッキと一緒に支給されたのはフリード。生き物であるフリードが、長い時間デイパックに閉じ込められればどうなるか。
勿論、心理的なストレスも溜まる。そうなれば、デイパックの中で必要以上に動きまわる事もある。
その結果、本来C.C.が読む筈だった説明書はぐしゃぐしゃに丸まり、デイパックの奥底に追いやられてしまったのだ。
デイパックの奥に追いやられた紙屑など、C.C.は気にしなかった。
故にC.C.は気付かない。カードデッキが、残り少ないタイムリミットをカウントしていたことにも。





商店街の中の小さなスーパー。地図にスーパーと書かれる程の大手スーパーと比べると、やはり見劣りする。
どんな商店街にでも一つ以上はあるような、小さな小さなスーパーマーケットだ。
売っている物や規模から考えても、先程見て回ったスーパーの食料品売り場を小さく凝縮したような印象を受ける。
それでも何か役に立つものは、と商品棚を物色する。
その手を進めながら、同時に考える。

(騎士ゼストの世界では私が殺人者……一体どういうことなんだろう……)

どうせ並行世界だ。そんな事を考えてもどうにもならないという事は良く解っている。
それでも考えられずには居られなかった。数時間前スーパーに立ち寄った際に、金居はこう言った。
世界は違っても、人物の特徴までは変わらない、と。それは他の世界のスバルやティアナの話を聞けばわかる事だ。
だが、まさか自分が殺人者になるとは、考えも及ばなかった。
そして、なのはが懸念する事はもう一つある。

(もしもここで、私の目の前で大切な人たちが殺されたら……私はどうなるんだろう)

考えたくはない。だが、もしもそうなってしまったら。
もしもティアナやエリオを、明確な殺意を持って殺した奴が目の前に現れたら。
自分はもしかしたら、復讐をしようと考えるかもしれない。
このゲームは、そう言った事が簡単に起こりうるゲームなのだから。

(って、今はまず誤解を解こうとしてるのに、こんなこと考えてちゃいけないよね)

気付かぬうちに暗い考えに捉われそうになっていた自分に気付く。
そうだ、自分がこんな様子では、誤解を解くこと所ではなくなってしまうではないか。
自分の目的は出来る限り多くの命を保護し、脱出することの筈だ。今は極力前向きに考えよう。
自分の頬を軽く叩き、喝を入れる。

15Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:56:29 ID:bFC6P61.0
 
「はぁ……ここも食料らしい食料は無しかぁ」

気を取り直し、いつも通りの顔で呟く。
先程のスーパー同様、生で食べられそうな物は野菜のみ。
といっても、いつから放置されているか分からない野菜を食べるのも気が引けるが。
仕方ないとばかりに、なのははスーパーを後にした。





様々な店が窮屈に並んだ商店街を歩きながら、C.C.は考える。
何か面白みのある店はないものか、と。
どうせ商店街なんて探したって大したものが見つかる訳もない。最初から何の期待もしていない。
ましてや一度全ての店に入ったC.C.にしてみれば、興味を引かれる物が何一つ無いということくらいは解り切っていたのだ。
しかし、空気的に自分だけサボるのもどうかと思ったので、一応は探す素振りを見せてはいるが。
ふと、立ち止まった。
C.C.の目の前にあるのは、一件のブティックだ。
ショーウィンドウには様々な婦人服が並べられており、華やかな雰囲気を演出していた。
気付けばちょっとした好奇心が、C.C.の心を満たしていた。

店内に入り、大量に掛けられた服を物色していく。
どうせ持って行くなら、出来るだけ自分のセンスに合った服がいい。
想像するのは、ルルーシュと共にガウェインに乗る時に来ていた白いスーツ。
あれならば動きやすいし、見た目も恥ずかしくはない。
そんな感じの婦人服は無いかと服をかき分ける。
やがて、C.C.の前に現れたのは、一着の紫の服。

「なんでコレが此処にあるんだ……」

ぽつりと呟く。
C.C.の視線の先、ハンガーに掛けられた服は、自分も見慣れたスーツだ。
紫の紳士的なデザインに、全てを覆う黒いマント。

16Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:56:59 ID:bFC6P61.0
それを手に取り、物色する。だが、見れば見るほど間違いない。

「ゼロの衣装……予備か?」

黒の騎士団の頭、ルルーシュが着るべき衣裳が、そこにはあった。
婦人服でもないのに、何故これがここにあるのか。C.C.には考えても思い当たる理由はない。
いや、一つだけ考えられるとすれば。

――私がここに来る事が解っていた?

C.C.の脳裏にそんな仮説が浮かぶ。確証はない。
だが、そうと考えれば態々ゼロの衣装の予備を用意してくれていた事にも説明が付く。
まぁ、相変わらず何を考えているのかはさっぱり解らないが。
それでもこれは結構な収穫だ、と。誰かに見られる前にゼロの衣装を自分のデイパックへとしまい込む。
背後で一匹この光景を眺めているチビ竜が居るが、別に問題はないだろう。人語が理解できても話せなければ意味が無い。
デイパックを抱え直す。良い物を見つけたとばかりに、含み笑いを浮かべる。
次は自分の衣装を――と思ったが、ふとガラスの窓から外を見れば、既になのはとペンウッドが集まっていた。
心中で舌を鳴らし、最初に暇つぶし感覚で時間を無駄にした事を悔やむ。

(……まぁいい。ゼロの衣装が手に入っただけでも良しとするか)

思考を前向きに、C.C.はブティックを後にした。





「何か変わった事はあった……?」

なのはが問う。
質問の相手は、ペンウッドとC.C.の二人だ。
それぞれが商店街の探索を始めてから約10分と少し。なのはは特に何の収穫も得られなかった。
一応二人にも結果を聞くが、二人もなのはと同じらしい。
落胆の表情を浮かべながら、収穫なしをいう旨を告げる。
ペンウッドは相変わらずの不安そうな表情。C.C.は何を考えているのか解らない不敵な表情。
二人の顔を見比べながら、なのはは小さく肩を落とした。

17Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:57:29 ID:bFC6P61.0
 
「あ、いや……でも、変わったことというか……その……」
「何かあったんですか? ペンウッドさん」
「その……変な音が、聞こえるんだが……金属音みたいな……」
「金属音?」

頭に響くような金属音。ペンウッドが不安そうに告げる。
が、なのはには何の音も聞こえない。恐らくは空耳か、耳鳴りだろう。

「それは多分、ただの耳鳴りか何か――」
「いや。私にも確かに聞こえるぞ……何だこれは」
「C.C.も……?」

見れば、C.C.もペンウッドの傍らで、同じように耳を押さえていた。
流石に不審に思った。もしかしたら何かが近くで音を立てているのかも知れない。
きょろきょろと頭を回し、周囲に気を配る。
ふと、視線に入ったのは。ペンウッドの背後のショーウィンドウのガラスから飛び出してくる、赤い影だった。

「危ないッ!?」
「うわ……っ!?」

咄嗟に前方のペンウッドを押し倒す。
ペンウッドに覆いかぶさる形で、なのはが頭を伏せる。
同時になのはの頭上擦れ擦れという位置で、赤い龍が駆け抜けていった。

「あ、ああ……あのドラゴンが突然……!」
「くっ……フリード!」
『キュックル〜!』

慌てふためくペンウッドをその場にしゃがみ込ませる。同時、フリードに臨戦態勢を取らせた。
何故あのドラゴンが突然襲い掛かってきたのか。その理由を、なのはは知らない。
カードデッキに定められた制限時間が切れた事も。
既にこの世には居ないクロノ・ハラオウンが、龍騎の力を使用した事で、その刻限は縮まっていたことも。
ただ一つ、今自分に出来る事があるとすれば、それは戦う事のみ。
絶対に誰も死なせない。今はなんとか、あのドラゴンに対抗するしかない。
即座にケリュケイオンを起動。なのはの手甲に、桜色の宝玉か輝いた。
真紅の無双龍が、再びガラスから姿を現す。
瞬間、ケリュケイオンの宝玉に文字が浮かぶ。

18Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:58:54 ID:bFC6P61.0
 
「レストリクトロック……!」

元々なのはが10年前に習得した魔法――レストリクトロック。
対象を拘束するバインド系の魔法だ。いくつもの桜色の輪が発生し、無双龍を取り囲む。
その巨体を押えこむにはやはり力が足りない。
拘束したそばから、その輪を一つ一つ引きちぎられていく。
最大級のバインド魔法を持ってしても、ドラゴンの動きを抑えきれない。
なのはの額を嫌な汗が伝う。

――Boost Up――

瞬間、ケリュケイオンが再び宝玉を輝かせた。
作動する魔法は、ブーストアップ。対象に何らかの補助効果を与えるブーストデバイス特有の魔法だ。
ブーストアップにサポートされたレストリクトロックは、より強固な枷となってドラゴンを縛りつける。

「なんで……私、詠唱してないのに!?」
『私が使用しました。』
「ケリュケイオン……!?」

疑問符を浮かべるなのはに、ケリュケイオンが答える。
目の前のドラゴンを拘束する為に、ケリュケイオンが自分の意志で魔法を使用したというのだ。
しかし、いくらケリュケイオンを使ったからと言って、補助系の魔法を覚えていないなのはがブーストアップを使える理由にはならない。
とすれば、思い当たる理由は自然と絞られてくる。
この会場内でだけ、魔法の制限が甘くなる、という説。
コンピュータで特殊効果を疑似的に再現する管理局の模擬戦を考えれば、この会場内でだけ許された芸当だと考える事が出来る。
もしくは、プレシアがデバイス自体に何らかの細工を施したか、という説。
この理由ならば、特に深く理由を考えずともプレシアの超技術で説明がつく。

(いや、今はそんなこといいか……それより――)

いくらバインドが強化されたからと言って、ドラゴンの強靭なパワーを完全に抑え込むには至らない。
今自分がこうして考え事をしている間にも、バインドの力は少しずつ弱まっているのだから。
ドラゴンが、その牙の隙間から灼熱の炎を漏らす。
誰かに裂かれたのか、ドラゴンの口には治り切っていない大きな傷が見受けられた。
その傷口からも熱気は漏れ、なのは達を照らす。
あの大きな口から、火炎攻撃を仕掛けるつもりだ。なのはにも、それは一目で解った。
とにかく今は逃げるべきか。いや――

『キュクル〜!』
「フリード、行けるの……?」
『キュックル〜!』

まだ戦える。少なくとも、フリードは戦うつもりだ。

19Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 02:59:33 ID:bFC6P61.0
なのはを、なのは達を守ろうとしている。闘志に燃えた瞳が、それを訴えかけていた。
それは機動六課で共に戦ったフリードだからこそなのだろう。
なのはを守り抜いて、再びキャロと一緒に元の世界に戻りたい。その思いは、なのは達人間に負けはしない。

「今なら、行けるよね……!」

フリードの闘志を受けて、なのはもまたその眼差しに闘志を宿す。
特殊な制限下のこの場所でならば、使える筈だ。フリードの力を発揮し、この場の皆を守る為の魔法。

――Drive Ignition――

ケリュケイオンの宝玉から、数本のラインが奔る。
光はなのはの指を伝い、デバイスが完全な起動を果たした事を示す。
なのはとフリードを桜色の光が包みこむ。
ただ見ているだけしか出来ないペンウッドとC.C.をよそに、光は拡がって行く。
守ってみせる。全ての命を、この手で守り抜いて見せる。その思いを胸に、キャロの姿を心に思い浮かべる。

「蒼穹を走る白き閃光。我が翼となり、天を駆けよ……!」

羽ばたくフリード。それを覆い隠すように現れた巨大な魔法陣。
次第にフリードの姿は見えなくなっていく。
同時に、無双龍の口元は今にも爆発しそうな熱気を放つ。
しかしそれでも、なのはは詠唱を止めようとはしない。

「来よ、我が竜フリードリヒ……!」

周囲を包みこむ光が、半透明から完全な桜色に変化。
最早外側から光の球体の中は見えはしない。
輝く球を、桜色のベールが包みこむ。
魔法陣から、光り輝く巨大な“龍”の姿が浮かび上がる。
目の前の真紅龍にも勝るとも劣らない巨大な体躯。羽ばたきだけで全てを吹き飛ばさんとする巨大な二対の翼。

「龍魂、召喚ッ!」

なのはが声を張り上げる。
同時、無双龍がその口に溜めこんだ火炎弾を吐き出す。
されど、その炎はなのは達には届かない。吐き出された炎をかき消さんばかりの勢いで、なのは達を包む光が弾ける。
現れたのは、白銀の翼竜。アルザスの守護竜――飛竜フリードリヒ。
その名の如く、空を羽ばたく巨大な竜。白銀の翼は風を巻き起こし、その雄々しき咆哮は周囲のガラスを粉々に砕く。
真紅眼の白竜は巨大な白き翼を羽ばたかせ、凄まじいプレッシャーで無双龍を威嚇していた。
全身のバインドを力づくで引き千切った無双龍もまた、その全身から放つプレッシャーで、フリードリヒを威嚇する。

『GUUUUUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

二頭のドラゴンの咆哮は、聞く者全てを委縮させる程の威圧感を放っていた。

20Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:00:35 ID:bFC6P61.0
 




彼には誇りがあった。
無双の名を冠するだけの誇り。
ミラーワールド最大級のモンスターとしての誇り。
その誇りを踏みにじった赤いコートの男を許すつもりはない。
あの男と再び戦えるなら、何度でも立ち上がってやる。
そんな彼の前に現れたのは、かつて共に戦った男と、何処か似た雰囲気を持った女。
出来る事なら、心身共に傷ついた自分を救いだしてくれたこの女と共に。
出来る事なら、この女の為に戦いたい。
それが無双龍――ドラグレッダーの確かな自我だった。
だが、どういう訳だろうか。ドラグレッダーの感情を無視して湧き上がる本能。
人間と共に戦いたいという思いは、しかしその本能に押し殺されてしまう。

目の前で咆哮する白銀の竜は何処か、自分に似ている気がした。





大通りを駆け抜ける真紅の影が一つ。
通常のバイクの速度を遥かに凌駕したそれは、疾風となって北へと走り抜ける。
やがて現れた大きな曲がり角。場所は地図で表す所の、C-4。

「ねぇ、もしかしてまだ僕の事疑ってる? ホントにあっちの方から大きい鳴き声が聞こえたんだって!」
「煩い。いいからお前は黙って道案内をしろ」
「何だよその態度!」

バイクに跨りながら、キングが声を張り上げた。
確かにキングは、まるで巨大なモンスターが叫ぶような泣き声を聞いた。
そう言って、天道に北へと進むように仕向けた。だが、このいけ好かない男は本当に自分の事を信じてくれてるのかどうか。
まず間違いなく不審に思っているのであろうが、如何せんこの男は本心が読めない。
それが、キングに苛立ちを感じさせていた。

「一つ聞かせろ。何故俺には聞こえない声がお前には聞こえるんだ」
「そんなの決まってんじゃん。僕がカテゴ――」

そういえば自分がまだアンデッドだと言っていなかったな、と思いだす。
別に隠すつもりは無いし、これ以上疑われるのもウザい。だからここでハッキリさせておこうとした。
しかし、キングの声は最後までは発せられず。

「何が決まってるんだ。」
「あ、アレ……アレ見てよ!」
「アレでは伝わらん。ハッキリ言え」
「いや、違うってほら、停めて停めて! アレ見てってば!」
「何だ、騒がしい奴だな……」

言いながら、渋々ブレーキを握り締める。
キキっと音を鳴らしながら、真紅のバイクはアスファルトにタイヤの軌跡を残して停車。
キングが指さす方向を、天道も目を細めて見つめる。
差した指の先。ここから少し離れた空を飛びまわるのは、二匹の巨大な龍。

21Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:02:03 ID:bFC6P61.0
 
「何だ、あれは……」
「僕はあいつを知ってる……無双龍、ドラグレッダー!」
「無双龍だと……?」
「そう、仮面ライダー龍騎の契約モンスター。僕の世界の仮面ライダーだ!」
「ほう……」

それぞれが別々の世界から呼ばれているであろうと言う事は既に天道にも話している。
それ故に“僕の世界の仮面ライダー”という言葉にはあまり反応を示さなかった。
いや、それよりも天道が最も反応を示したのは、「仮面ライダー」という言葉についてだ。
この男にしてみればどこの世界の仮面ライダーであろうが関係はないのだろう。
それに、キングの世界の仮面ライダーという言葉にも語弊がある。
確かにキングの世界にも龍騎は居るが、目の前のドラグレッダーはキングの知る龍騎の契約モンスターでは無い。
勿論キング自身もその可能性には気付いているのだが、同じライダーならどちらにせよ関係のない事だ。

「マスクドライダーか……面白い。行くぞ」

それだけ言うと、天道は再びアクセルを握り締めた。
突然の発進に慌てたキングは咄嗟に天道に捕まり、姿勢を立て直す。
これは面白い事になりそうだ、と。内心でほくそ笑みながら、二人は戦場へと向かうのであった。





「フリード! フリード!」

燃え上がる商店街で、なのはが呼びかける。
しかしフリードは、まるで意に介さないように、大空を舞い続ける。

『GUUUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』

咆哮。
次いで、その大口から吐き出されるは灼熱の炎――ブラストレイ。
標的は真紅の無双龍――ドラグレッダー。細い体を巧に動かし、その機動性で灼熱を回避。
反撃と言わんばかりに、ドラグレッダーもまた空に舞い上がる。
フリードの眼前に飛び立つと同時。口から放つは、5000度の高熱――ドラグブレス。
当然、黙ってやられる飛龍ではない。その巨大な体躯に備わっているのは、尋常ならざる筋肉。
その怪力で以て翼を羽ばたかせる。巻き起こった疾風がドラグブレスを掻き消し、眼下の全てを吹き飛ばす。
彼らの決闘には最早、誰の声も届かない。生きるか死ぬか。倒すか倒されるか。

22Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:02:33 ID:bFC6P61.0
勝利か、敗北。その二色に分かれるまで、破壊の限りを尽くすつもりだろう。

「どうにかならないのか、あいつらは!」

C.C.が、その態度で苛立ちを表現する。怒声にも似た声が、なのはの耳朶を叩いた。
何も言い返せない。今の自分に、フリードを制御する事など不可能なのだから。
キャロを守るため、過去にもフリードが大暴れした事が幾度かあると。報告では聞いていた。
かと言って、あの状況下で他に打つ手など考えられただろうか。否、これしか無かった。
あの無双龍を鎮めるためには、今はフリードに頼るしかない。そう判断したからこそ、龍魂召喚を使ったのだ。
だが、結果はどうだ。フリードは暴走。ドラグレッダーは手が付けられない。
これでは何の解決にもなりはしない。

「フリード! お願い、言う事を聞いて!」

それでも、声を張り上げる。
フリードは、自分を守るために力を貸してくれた。そんなフリードだからこそ、なのはは呼びかける。
例え届かなくても、何度でも、何度でも。





なのはの声が、聞こえた気がした。
いや、実際聞こえている筈なのだ。フリードの心にも、眼下で叫ぶなのはの声は届いているのだから。
されど、今のフリードは自分を制御出来ない。
ただ目の前で暴れ回る“敵”を倒すまで、本能に身を任せるしか無かった。





ドラグレッダーがその身を翻す。眼前のフリードに、尻尾に備わった鋭利な刃を叩きつける。
その体に衝撃を受けたフリードは、痛みを堪え切れずに、大きく咆哮する。
目の前の敵の高度が下がる。さしずめ飛龍と言えど、突然の打撃には痛みを伴うのも無理はない。
無双龍はその一瞬の隙を逃しはしない。
痛みに怯んだフリードに、必殺のドラグブレスを浴びせかける。

23Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:03:04 ID:bFC6P61.0
 
『GUUUUUUUUUUUUUUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAA――』
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

炎に焼かれ、燃え落ちるフリード。
すかさずフリードに高度を合わせ、蛇をイメージさせる長い体をフリードの体躯に巻き付ける。
その巨大な翼は、ドラグレッダーから離れない限り、羽ばたく事も敵わない。
相手の動きを完全に封じた。力の限り締め付け、フリードから自由と、体力を奪う。
されど、それは同時にお互いの飛行手段を失った事になる。
推進力を失った二頭の身体は、重力に引かれて商店街へと落下するのみ。

『GUUUUUUUUUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO――ッ』

響いたのは、轟音。
周囲に居る全ての人間の耳を劈かん勢いで、建物が倒壊する破壊音が響く。
ドラグレッダーは、建物に激突する瞬間、フリードの身体を離したのだ。
勢いよく突き放されたフリードの身体は、その体重で商店街のありとあらゆる建物を粉々に砕く。
その影響で、舞い上がるのは大量の塵。一時的に太陽の光さえも遮断してしまう程の塵がドラグレッダーの視界を奪った。
何処に居る。砂埃の中に飛び込み、周囲を探る。ドラグレッダーの背後に、真紅の眼光が煌めいた。

『GUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!』
『GYAAAAAAAAAAAAAA――!?』

一瞬の不覚。
塵を吹き飛ばす突風が巻き起こると同時、ドラグレッダーの背に鈍い痛みが走った。
慌てて背後を確認。痛みの正体は、フリードリヒによる強烈な頭突きだ。
その翼を力一杯羽ばたかせ、弾丸の如く速度で打ち出された頭突きは、ドラグレッダーを怯ませるには十分だった。
塵が晴れる。気づけば商店街の建物にのめり込む形になっていた事に気づく。
ドラグレッダーの視線の先に映るのは、仰向けに倒れた自分に跨るようにして吠える白銀の竜の姿。
危険を感じた時には既に遅い。距離にしてほんの数メートル。フリードの口内には灼熱の炎が渦巻いていた。
それをドラグレッダーに向かって放射する。

『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?』

想像を絶する高熱に、叫ばずには居られなかった。
だが、それでも負けるわけには行かない。頭を振るい、熱を逃がしつつ細い体をうねらせた。
ドラグレッダーは尻尾の刃を、馬乗りになったフリードの背後から叩きつけた。
強い衝撃に、フリードの巨体が数十メートル前方へと吹っ飛ぶ。ドラグレッダーを焼く炎からも解放された。
その体を靡かせ、再び上空へと舞い上がる。対するフリードも、力を振り絞って起き上がる。

『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!』
『GUUUUUUUUUUUUUUUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!』

咆哮する。
まだ戦える、掛って来い。そう言わんばかりの咆哮。

24Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:03:34 ID:bFC6P61.0
崩壊した商店街の空に、再び二頭のドラゴンが舞い上がった。
ドラグレッダーは下方に向かって加速。真逆、フリードは上空に向かって翼を羽ばたかせる。
クロスレンジの一瞬。がつん、と鈍い音が響いた。続いて聞こえるのは、消え入るような二頭の鳴き声。
頭突きだ。ドラグレッダーとフリードリヒは、お互いの頭をぶつけ合ったのだ。
脳が揺れ、一瞬の判断が鈍る。
それでもフリードは羽ばたき、ドラグレッダーと同じ高度を保とうとする。
上等だ、と。ドラグレッダーもまた、天を舞う竜神の如く優雅にその身を靡かせていた。





「こ、こりゃあ……凄いね……! 流石の僕もびっくりだよ!」
「そんな悠長な事を言っている場合か。まだ商店街に誰か居るかもしれん」

商店街の手前。停車させたカブトエクステンダーに跨ったまま、キングが楽しそうに笑っていた。
何が面白いんだ、と。キングに対し今日何度目か分からない苛立ちを覚えながら、天道は駆け出して行った。
あのドラゴンが暴れているという事は、何処かに仮面ライダー龍騎とやらが居る筈だ。
まずはそいつに会って状況を問いただす。
その為に、天道は既に商店街の原型を留めていない廃墟群の中を進んで行く。





崩壊していく商店街を凝視しながら、ゼストは傍らの少年にちらりと目をやった。
相当怯えているらしく、頭を抱えてしゃがみ込んでいる。
その言動からも、この少年があのモンスターと何らかの関わりを持っている事はまず間違いないと判断。
おい、と声をかけながら、肩を揺さぶる。しかし、無反応。
続けて少年の肩を揺さぶる。

「おい、しっかりしろ! あれは一体何なんだ!」
「見ての通り、モンスターだよ……! 奴等は人間を食うんだ!
 それで……それで俺はかがみさんを……!」
「かがみ……? 君の名前は?」
「万丈目……サンダー」

すぐにデイパックから名簿を取り出した。

25Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:04:28 ID:bFC6P61.0
今聞いた二つの名前を確認。それを見つけるのに、それほどの時間は必要としなかった。
柊かがみ。万丈目準。確かにこのデスゲームの名簿に記された名前だ。
サンダーの意味は良くわからなかったが、敢えてそこには触れないことにした。

「君はこのゲームに乗ったのか……?」
「冗談じゃない! 誰がこんなゲームになんか乗るものか!」
「なら、話してくれないか。一体君の身に何が起こったと言うんだ」

ゼストの問いかけに、万丈目は相変わらずの無言。
どうやら話したくはないらしい。いや、別に聞かなくても問題はないことなのだが。
しかし、この分ではこの男から情報を得ることは難しそうだ。
いっそ見捨ててC.C.を助けに行くか。そんな考えが浮かぶが、却下。
この男を見捨てることは出来ないし、何よりもこの男はあのモンスターについての情報を持っている。
何が起こるか分からないこの殺し合いにおいて、情報がどれだけ重要かと言う事はゼストにも良く解る。

「疑っているのなら安心してくれ、俺は君の味方だ。君をどうにかするつもりはない」
「もう放っておいてくれよ! 今は一人で居たいんだ!」
「そういう訳には行かない! 君を放っておく事は俺には出来ない!」

声を張り上げる。一瞬だが、万丈目の身体がびくんと震える。
だが、まだ話すつもりにはなってくれないらしい。どうしたものかと、思考する。
この少年から話を聞きだすのは、随分と骨が折れる事になりそうだ。


【1日目 昼】
【現在地 B-2 大通り】
【ゼスト・グランガイツ@魔法少女リリカルなのは 闇の王女】
【状態】健康
【装備】ブリッツキャリバー(待機状態)@魔法妖怪リリカル殺生丸
【道具】支給品一式
【思考】
 基本:高町なのはの捜索・抹殺、プレシアの抹殺、ルーテシアの保護。
 1.この少年をどうするか……
 2.1の後、商店街に戻ってC.C.と合流する。
 3.行動を共にする仲間を増やす(市街地は危険そうなので武装が整うまでは基本的に避けたい)。
 4.なのはと戦う事になればギア・エクセリオンの発動も辞さない――己の命を削ってでも。
【備考】
※なのはとルーテシアが『健全な』歴史(StrikerS)から来た事を知りません。
※C.C.との協力関係はギブアンドテイクという暗黙の了解の上に成り立っています。
※ギア・エクセリオンによる負担の程度は不明(ゼストは自分のデバイスのフルドライブ同様に命を削る可能性もあると推測)。
※プレシアにはスカリエッティと同等かそれ以上の技術があると思っていますが、プレシアを全く信用していません。
※幕間「修羅のように」(シグナムを倒した直後)からの参戦です。
※ヴィータとプレシアの間で何らかの約定があったかもしれないと考えています。
※スバルが『スバル・ナカジマ』の名前である事に疑問を抱きました。

26Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:04:58 ID:bFC6P61.0
 

【万丈目準@リリカル遊戯王GX】
【状態】疲労(中)、かがみに対する強い罪悪感
【装備】なし
【道具】支給品一式、ルーテシアのカレー@魔法少女リリカルなのは 闇の王女、考察を書いたノート
【思考】
 基本:殺し合いには乗りたくない。仲間達と合流し、プレシアに報復する。
 1.今はそっとしておいて欲しいが……
 2.かがみ君……すまない……。
 3.十代……。
 4.余裕があればおじゃま達を探したい。
【備考】
※チンク(名前は知らない)を警戒しており、彼女には仲間がいると思っています。
※エリアの端と端が繋がっている事に気が付きました。
※デスベルトが無い事に疑問を感じています。
※パラレルワールドの可能性に気づきました。
※柊かがみはLという危険人物から逃げてきたと思っています。
※かがみとつかさは他人だと思っています。
※かがみが生き残る可能性は非常に低いと考えています。





巨大なドラゴンが暴れまわる商店街で、一ヶ所だけ破壊を免れている場所が存在する。
桜色に輝く半透明の半球。その内部で外の様子を眺めているのが、なのはとペンウッド、それからC.C.の三人だ。
なのはは半球のバリア――サークルプロテクションを維持しながらも、フリードに呼びかける。
一方でC.C.とペンウッドの二人は、何も出来る事は無いが為になのはの後ろで座り込んでいた。

「や、やっぱり……こんなもの、持ってこない方が良かったんだ……」

ふと、ペンウッドがポケットから黒い箱――デッキを取り出した。
デッキの中心に描かれた金の紋章が、あの無双龍との繋がりを現している。
ペンウッドの呟きに気付いたC.C.が、デッキに視線を向けた。

27Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:05:35 ID:bFC6P61.0
 
「ペンウッド……その箱は一体何なんだ」
「わ、わからない……ただ、この箱を持っているとあのドラゴンも着いてきたんだ……!」
「そうか……所で、お前はまだ金属音が聞こえるか?」
「え……き、聞こえるけど……それがどうかしたのか……?」

考える素振りを見せる。ややあって、少しの間を開けてから、C.C.が自分のデイパックを漁り始めた。
手を突っ込んだままごそごそと探す。暫しその作業を続けた後、C.C.が「あった」と呟いた。
デイパックから取り出したのは、ペンウッドが持つものと同じ――カードデッキ。
茶色の箱に、鹿のような紋章が描かれたデッキであった。

「実は私もそれを持っているんだが」
「…………えーーーーー!?」

唾を飛ばして、ペンウッドが叫んだ。
C.C.は少し身を引き、ペンウッドから距離を取るような仕草を見せる。

「最初から鞄に入ってたんだから、仕方がないだろう」
「わ、悪い事は言わない! そんな物はすぐに捨てるんだ!」
「ちょ、ちょっと待て! 何をする、これは私のだ……!」

無理矢理茶色のデッキをひったくろうとするペンウッド。
C.C.もそうはさせるかとばかりに全力で以てそれを阻止する。
こんな頼りない中年男に自分の支給品を取られてたまるかと、心中で喚き散らしながら。
そうして揉めている間に、やってきたのはタイムリミット。
ゲーム開始以来、一度たりとも餌を与えらなかった。というよりも使われさえしなかったデッキのモンスター。
それらが、周囲のガラスの破片から一斉に飛び出した。

「……うわッ!?」
「ぐは……っ!」

一瞬の出来事に、何とかC.C.は回避に成功する。
というのも、引っ張り合っていたカードデッキから手を離した事で、後ろに倒れてしまっただけだが。
同時にペンウッドも、その勢いでC.C.とは真逆、反対方向へと倒れて込んでいた。
しかし、その手にカードデッキの姿は無く。

28Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:06:56 ID:bFC6P61.0
 
「「……あ」」

珍しく、今度はC.C.とペンウッドが同時に声を上げる。
二人の息が揃ったのは、ここに来てから初めての事だった。――勿論C.C.にとっては不服極まりないが。
視線を移し、足元をじっと見据える。二人の視線が交差する場所に転がっていたのは。
アスファルトへの落下の衝撃で、バラバラに砕け散ったカードデッキであった。
――コレはまずい、と。二人は直感的にそう思った。

たった今二人が破壊してしまったのは、レイヨウ型のモンスターと契約したデッキ。
しかし、他のデッキと違って契約対象は一体では無い。
一枚のアドベントカードで、大量の数のモンスターと契約しているのだ。
それら全てを使いこなし、人海戦術を主な戦法として戦う仮面ライダー。
仮面ライダーインペラーに変身する為のカードデッキであった。
しかし、最早このデッキにその存在意義は皆無だ。理由は至って簡単。
デッキも破壊され、モンスターとの契約は破棄された。また、仮面ライダーへの変身も不可能となった。
つまり、このデッキ“だったもの”は、ただ大量のモンスターを呼び寄せるだけの餌となったも同然なのだ。





――私は、何処で間違ってしまったんだろう。

茶色の髪をサイドテールに束ねた少女は、アスファルトに膝を付き嘆いた。
目の前に横たわるのは、大切な仲間。
無能で、臆病者な。しかし、誰よりも勇気を持っていた筈の男だ。
その脇腹からは、周囲を漆黒に染める程の血液が流れ出ていた。





どうしたものか、と。海軍中将は戸惑っていた。
自分のミスの所為か、目の前に大量のモンスターが召喚されてしまった。
巨大な槍を携え、周囲を跳ねまわる茶色のモンスター――メガゼール。
二股に別れた刃物を構え、メガゼールと共に群れを成す紫のモンスター――ギガゼール。
それぞれが武器を構えて飛び回る。勿論自分には何の対抗手段も無い。
このままでは、自分達はドラゴンにやられる前に残らずこのモンスター共に殺されてしまう。
今はなのはが、魔法による誘導弾を使って最低限の対処をしてくれているが――いつまで持つか解らない。
デッキが破壊された事で、明確な攻撃対象が無くなったモンスターは最早、野生のモンスターと何ら変わりはない。
ただ人を襲い、その肉を食らう。自分達が生き残るために、餌となる人間を貪り食う。
そうなってしまっては、もう手が付けられない。少なくとも、何の力も持たない自分には。

29Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:07:26 ID:bFC6P61.0
 
――い、いや……本当にそうなのか?

ふと、ペンウッドの心に疑問符が浮かぶ。
本当に自分は何も出来ないのだろうか。このまま何も役に立たず、ただ殺されてしまうだけなのだろうか。
アリサという少女の思いを無駄にしないと誓ったのは、嘘だったのか。

――だけど、私には何も出来ない……

諦めの感情が、ペンウッドの心を包む。
どんなに願っても、その力が無ければ何も出来はしない。
出来る事なら、皆を守るだけの力が、自分にも欲しい。なのは一人だけに戦わせるのはもう嫌だ。
でも、今の自分にはどうにも出来はしない。この状況を打開する策も思いつかないのだから。

ふと、視界に入ったのは、眼前に飛び出したギガゼール。
ギガゼールがその槍の矛先を向けているのは。命を奪おうと狙っているのは。
紛れもない、私たちの為に戦ってくれている、高町なのはであった。
なのはは気付いていない。数十匹という数の大量のモンスターからC.C.と私を守るために必死だからだ。
もしもなのはが、自分の為だけに戦っていたらこんな事にはならなかったのだろう。
ペンウッドは思い出す。先ほど、自分が赤き龍から救われた時の事を。あの時自分を救ってくれたのも、紛れもない高町なのはその人なのだ。

――や、やらせてたまるか……!

瞬間、ペンウッドの表情が変わった。
心に浮かんだのは、絶対に死なせたくないという感情。自分が今すべき事は、なのはを救うこと。
そう判断した時には既に、ペンウッドは走り出していた。なのはが立っている方向へと向かって。
ペンウッドは気付かなかった。この時、自分のデイパックの中で、青い輝きを放つ支給品が存在していた事に。





瓦礫の山と化した廃墟の中で、突如として大量に沸きだしたモンスターに愚痴を零す男が一人。
黄金の身体。雄々しきカブトムシを彷彿とさせる角。手に持った武器は、何物をも両断する破壊剣。
コーカサスオオカブトムシの祖たる不死生物――コーカサスアンデッドだ。

30Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:07:56 ID:bFC6P61.0
 
「邪魔なんだよ」

大層つまらなさそうに呟く。直後、飛び込んできたのは槍を携えたギガゼール。
その巨大な槍を力一杯にコーカサスアンデッドに向かって振るう。
刹那、現れたのはソリッドシールド。何者の攻撃も、黄金の身体を傷つける事は敵わない。
ふん、と一声。破壊剣オールオーバーを、ギガゼールに突き立てる。
めきめきと、不吉な音が響く。その剣先はギガゼールの鎧をいとも簡単に砕き、貫通。
瞬間、爆発。
ならばとばかりに、茶色と紫のレイヨウはコンビネーションを組んで四方からコーカサスアンデッドに接近。
前後左右、全ての方向からの同時攻撃だ。されど、結果は変わらない。
完全にタイミングを合わせての同時攻撃など出来る訳も無く、全ての攻撃がソリッドシールドによって防がれる。

「無駄無駄。君たちじゃ約不足だってば」

前方のギガゼールの顔面を掴み、持ち上げる。瞬間的に、顔面の鎧を握りつぶさんばかりの握力がギガゼールを襲う。
しかし、苦しみは一瞬だ。すぐに右隣にいたメガゼールへと投げ捨てられる。二匹が激突した一瞬の隙は逃さない。
右腕に持ったオールオーバーで、二匹纏めて串刺し。すぐに引き抜き、自分の背後に向かって振るう。
その刃は確かに残りの二匹のメガゼールを切り裂き、四匹のレイヨウは同時に爆発。

「ったく、カブトの奴、僕がいなきゃ碌に戦えもしない癖に……!」

再びこぼす愚痴。不機嫌そうに、肩を落として。
その怒りをぶつけるかのように、歩きながらオールオーバーを振るう。勿論、出鱈目に振っている訳では無い。
その刃は百発百中。一振りでモンスターの心臓部を確実に破壊。一撃でレイヨウの身体を粉砕しながら進んでいた。
最強のアンデッド、コーカサスアンデッド。彼が通った後に残るのは、爆発し、息絶えたモンスターの死骸のみ。
ミラーモンスターの数を着実に減らしながら歩を進めるコーカサスアンデッド。その目的はただ一つ。
“勝手に先行した天道に追いつくこと”であった。
カテゴリーキングである彼にとって、参加者ですらないミラーモンスターなどは恐るるに足らない。
そうして進んで行った先。コーカサスアンデッドは、何やら興味深い集団を発見した。





『『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!』』

空を見れば、二頭の龍は未だに激戦を繰り広げていた。
お互い既に満身創痍と言っても過言では無い体の筈なのに、それでも尚戦いを続ける。
ドラグレッダーの咆哮に答えんと、フリードが翼を羽ばたかせる。
猪突猛進。それが、今のフリードを形容するに相応しい言葉であった。
フリードは眼前の敵に向かって真っ向から飛びつく。ドラグレッダーも負けじと身体を翻す。
だが、逃がすつもりはない。長い体を靡かせて移動するドラグレッダー。
フリードからすれば、ドラグレッダーの動きはまさに蛇足だらけ。ひらひらと身体を靡かせること自体が、無駄。
自分の攻撃範囲内から出る前に、フリードはその翼でドラグレッダーの進路を阻む。
一瞬動きを封じられたドラグレッダーに、フリードは力の限り牙を立てた。
何度目か分からない咆哮。ドラグレッダーも負けじと頭をフリードの背後へと回し、その鋭い牙をフリードの体躯に食い込ませる。
絡み合った二頭は、再び落下。砂塵を巻き上げながら、固いアスファルトに激突した。

31Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:08:34 ID:bFC6P61.0
 
「誰か……誰か居ないのか!」

それでも、砂塵の中を天道は進む。この争いの元凶となった人物が何処かにいる筈だ、と。
同時に、ガラスから飛び出してきたのはギガゼール。振るわれた槍を、寸での所でかわす。
そのままギガゼールが通り過ぎる前に、カウンターとばかりに強烈な回し蹴りを叩きこむ。
天道の蹴りは見事にギガゼールの脳天を直撃。その威力の大きさに耐えられずギガゼールはその場に片膝を付いた。
その隙は絶対に逃さない。片手に持った妖刀――爆砕牙。すかさずそれを抜刀し、ギガゼールの身体を真っ二つにした。
歩き続ける天道の背後で、身体を切断されたモンスターが爆ぜる。
ライダーとしての感覚は取り戻しつつある。脇腹の痛みが天道の歩みを鈍らせはするが、それも許容範囲内だ。
天道はそのまま、現れる敵をあしらい、歩き続けた。
ふと、天道の耳朶を叩いたのは、僅かな戦闘音。
この先に誰かが居るのは間違いない。
そう判断し、天道は再び足早に走り出した。

「あれは……」

それからややあって、天道は音の発生源へとたどり着いた。
そんな天道が目撃したのは、一人の男がモンスターにその身体を貫かれる瞬間。
白い服を着た女性を襲わんと飛び出したモンスター。モンスターの攻撃から彼女を守ろうと、飛びだしたのは中年の男。
結果的に、彼女は助かった。中年の男が彼女を突き飛ばしたお陰で、彼女の命は奪われずに済んだのだ。
されど、代わりにモンスターの槍に貫かれたのは――言うまでも無かった。
再び天道は、彼女たちの元へ向かって走り出していた。





「あ、危ない……高町ッ!」
「え……っ!?」

突然の自体に、なのはは素っ頓狂な声を発した。
モンスターの襲撃を可能な限り防いでいたなのはを、突然何者かが突き飛ばしたのだ。
アスファルトに倒れ伏したなのはは、しかしすぐに起き上がった。何事かと、眼前の状況を整理する。
なのはには訳が解らなかった。気づけば、先ほどまで自分が居た筈の場所に、ペンウッドさんが居る。
ペンウッドさんは、どういう訳か右の脇腹を鋭い槍に貫かれて――傷口からは、止めどなく血を流し続けていた。

「ペンウッド……さん!?」
 
桃色の弾丸――アクセルシューターを飛ばし、ペンウッドを貫いたギガゼールを追い払う。
しかし、最早間に合いはしなかった。どさっ、と。その場に倒れたのは、ペンウッドだ。
倒れたペンウッドの元に駆けつけ、その体をそっと抱きかかえる。

「ペンウッドさん……なんで……!」

瞳から一滴の涙を零す。
しかし、ペンウッドは答えない。何も言わず、朦朧とした瞳で、何かを訴えようとしているようだった。
震える手を動かして、ポケットから小さな箱を――龍騎のカードデッキを取り出す。
受け取れと、言っているのだろうか。

32Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:09:04 ID:bFC6P61.0
 
「仮面ライダー龍騎のカードデッキ。君たちが持ってたんだね」
「え……?」

背後から、純粋そうな、子供の声が聞こえた。
咄嗟に振り返る。だが、子供なんて何処にも居ない。そこにいるのは、金色のカブトムシに似た鎧の化け物だけだった。
あれに似た姿に、なのはは確かな見覚えがある。つい先ほどまで行動を共にしていた不死生物――アンデッド。
金居こと、ギラファアンデッドの姿によく似ていた。

「貴方は……ジョーカー? それとも……」
「あぁ、僕の事はキングって呼んでよ。一番強いって意味のね」

言いながら、周囲に迫りくるレイヨウ達を一撃の元に斬り伏せていく。
恐怖心を抱くほどの強さ。そこも金居とよく似ている。
しかし、金居の言うとおりならば。このキングという男は殺し合いに乗った危険人物。
なのはが、次の言葉を発しようと口を開く。が、それは背後から現れたもう一人の来客によって中断させられた。

「やはりそう言うことか。キング」
「あれ? こんな所に居たんだ、天道総司」
「あの……貴方たちは一体……」

なのはの視線の先で、キングと名乗った化け物は、もう一人の青年を天道総司と呼んだ。
この名前にも聞き覚えがある。確か金居が言っていた、正義の味方――仮面ライダー。
瞬間、なのははハッ、と顔を上げた。
天道総司は仮面ライダー。ペンウッドが持っている箱もまた、仮面ライダーの物。
ならばもしかしたら、このデッキはこの男ならば使いこなせるのではないか、と。
しかしそう問う前に、天道は既に移動していた。ペンウッドを抱きかかえる自分の手前で、ペンウッドを見下ろす。
浮かべた表情は、無表情だ。最初はなのはもそう感じた。

(違う……この人は……)
「まだ生きている。このまま下手に動かすな。いいな?」
「え……は、はい!」

天道の眼光に見据えられたなのはは、つい反射的に敬語で返事を返してしまった。
一瞬だが、確かなプレッシャーを感じた。だからこそ、なのはは思った。この男は、只者では無いと。
天道総司は、崩れ落ちたペンウッドの手からカードデッキを拾い上げ、立ちあがった。

33Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:09:44 ID:bFC6P61.0
 
「何故ドラグレッダーが暴れている……?」
「あ……あの赤い龍がいきなり襲いかかって来て……
 フリードが応戦してくれたんですが、私の力不足で暴走してしまったんです」
「奴らを大人しくさせる方法は?」
「解りません……私たちにも何が何だか全く……」

そうか、と一言呟いた天道は、再びキングへと向き直った。
カードデッキを見せながら、頭上で暴れまわるドラグレッダーに視線を向ける。

「お前なら、どうすればいいのか知っているんじゃないのか?」
「さぁね、流石にそこまでは解らないよ。試しにデッキをそこら辺のガラスにでも翳してみたら?
 そしたら変身出来るし、龍騎になればドラグレッダーだって力を貸してくれるかも知れないよ」

楽観的なキングの言葉に、なのはは呆れにも似た感情を感じた。
確かに金居の言うとおり、面白ければ何でもいいというイメージがしっくり来るアンデッドのようだ。
しかし、一方で天道も引きさがる事を知らないのか。既にデッキを地面に散らばったガラスの破片へと翳していた。
なのはの目の前で、天道の腰に銀のベルトが装着される。

「いいだろう。どんなライダーシステムであろうと、俺は使いこなして見せる」

凄い自信だ、となのはは思った。
じっと見詰めるなのはの眼前。左手でデッキを鷲掴みにし、ゆっくりと顔の手前へと持っていく。
そして、その声に力を込めて、叫んだ。

「――変身ッ!」

同時に、腰まで降ろした左腕のカードデッキをベルトに装填。
いくつもの虚像が何処からともなく現れる。閃光は一瞬だ。
次の瞬間には、天道総司の身体は赤いライダースーツと、銀の鎧に包まれていた。





変身を完了した龍騎が歩を進める。
現れたのは、緑のレイヨウ。特別な種族らしく、他と違って武器は持ってはいなかった。
名前はマガゼール。丸まった角に、腕に備わった刃で戦う変種だ。
龍騎は飛びついてくるマガゼールを軽くいなし、ベルトから一枚のカードを引き抜く。
再びマガゼールが自分に向かって突撃を仕掛ける頃には、既にカードを左腕のバイザーに通していた。
龍騎が今、最も必要だと感じたカードが自動的にデッキの中から選択された。
そのカード名は――

34Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:10:16 ID:bFC6P61.0
 
――SWORD VENT――

同時に、遥か上空で戦闘を繰り広げていた筈のドラグレッダーが、一時的に宣戦を離脱。
真っ直ぐに龍騎の頭上へと飛来。ドラグレッダーの尻尾の先に備わった刀と同じ形をした刀を龍騎へと届ける。
ドラグセイバー――仮面ライダー龍騎がソードベントで繰り出す、ドラグレッダーの尻尾を模した刀だ。
カードを使った場合は大人しく従うのか、と判断する。それならばいくらでもやりようはある。
くるりと、龍騎へと突撃を仕掛けてきたマガゼールに向き直る。

「ハァッ!」

刹那、ドラグセイバーが閃いた。同時にマガゼールの鎧が斬り裂かれる。
続いて、何処からか取り出した爆砕牙を、上段からマガゼールに叩きつける。
そのまま前進。背後で爆発するマガゼールなど意に介さず、次々と沸いてくるモンスターを倒し続ける。
龍騎とコーカサスアンデッドが、ギガゼールとメガゼールを次から次へと爆ぜさせる。
やがて現れたのは、一際巨大な角を持ったレイヨウ。他のレイヨウ達と比べれば遥かに巨躯だ。
青き鎧に身を包み、全てのギガゼールとネガゼールを束ねる長の役割を担う、所謂ボス――オメガゼール。
こいつを倒せば、全て終わる。
龍騎は、爆砕牙を傍らに置き、再び一枚のカードを引き抜いた。
巨大な槍を構えて、高く高く舞い上がるオメガゼール。龍騎は引き抜いたカードをちら、と眺める。
この瞬間、天道総司が求めたカードは“ライダーキック”に相当する何らかのカードだ。
カードに描かれていたのは、龍騎の紋章としてカードデッキにも施されたマーク。
なるほどな、と心中で呟く。
槍を構えたオメガゼールが、空から舞い降りるよりも早く。龍騎はカードを読み込ませた。

――FINAL VENT――

鳴り響く電子音。再びドラグレッダーが、自分の背後へと飛来した。
ドラグレッダーと共に、天高く飛び上がる。宙で回転を加えながら、右足を下方へと突き出す。

「ライダー――」

落下途中であったオメガゼールは、空に舞い上がる龍騎には反応することが出来ない。
しかし、落下途中にそれに気づいたところでもう遅い。着地をしてすぐに上空を見上げる。
鏡のように反射するオメガゼールの鎧が、その姿を映し出していた。
眩いばかりに輝く太陽と。天を舞う巨大な無双龍の姿を。

「――キック!」

龍騎が、その技名を力強く口にした。
いつも通りの口調。それは、仮面ライダーの誇りとも言えるキック技だ。
太陽に照らされた龍騎の背後、ドラグレッダーが灼熱の炎――ドラグブレスを放った。
ドラグブレスは龍騎の身体を燃え盛る炎で包み込み、その威力をさらに高める。
炎の弾丸となった龍騎は、重力に引かれるままに急降下。オメガゼールの胴に、爆発的な威力のキック技を叩きこんだ。
その体を粉々に砕かれたオメガゼール。砕かれた身体は爆発し、周囲に爆風を巻き起こす。
仮面ライダー龍騎最大の必殺技――ドラゴンライダーキック。パートナーとなるモンスターと共に繰り出す、合体攻撃。
爆風の中、龍騎がその腕をそっと頭上に掲げる。人差し指を立てて、指さす先は太陽。
ややあって、龍騎は足元に落ちていたデッキの破片に気付いた。
その中に二枚だけ、残ったカードが存在していた。龍騎は一度腰を屈めて、それを拾い上げる。
そのカードに記されていた単語は――

35Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:10:46 ID:bFC6P61.0
 




『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――ッ!』

龍騎が指さす頭上に浮かび上がったのは、青白く輝く命の輝き。
倒したオメガゼールの身体から放出した、漲るエネルギー体だ。
ドラグレッダーは大口を開けて飛び付く。誰が反応するよりも早く、それを捕食。
同時に、全身をボロボロにされた筈のドラグレッダーの傷が癒えて行く。
良く見れば、空には無数の魂が浮かんでは消えていた。それら全てが、ここで倒されたギガゼール達の命の輝きだ。
ドラグレッダーは出来る限りのエネルギー体を取り込み、そのダメージを癒す。
勿論、回復するのはダメージだけでは無い。体についた傷をある程度癒した時点で、摂取したエネルギーは別の理由に活かされる。
そう。カードデッキのルールにより定められた、猶予時間の回復だ。

プレシアが参加者に与えたカードデッキの説明書には、“生きた参加者”を食べさせる事で猶予時間を回復できると記されていた。
だが、本来ライダーと契約したモンスターは、同じモンスターを倒して、現れたエネルギー体を捕食して生きている筈なのだ。
そもそもプレシアはこのゲームにあまり大量のカードデッキを支給しては居なかった。
故にモンスターが本来の生態に基づいた行動――即ちモンスター同士での捕食をするであろうという事は、想定外だったと考えられる。
プレシアとしても「モンスターの餌は生きた参加者のみとする」という先入観を植え付けておいた方が殺し合いが円滑に進むと判断したのだろう。

といっても、やはりこの会場で首輪を付けられた参加者達の命の力は大きい。
この会場のモンスター達は、何らかの理由で12時間毎に“餌”を食べないと暴走するという足かせを付けられた。
その条件をクリアする為には“この会場内で参加者を食わせる事でのみ12時間の猶予が与えられる”というルールに従わなければならない。
それに反してモンスターを食わせたところで、モンスターの命の力は所詮たかが知れている。
今回の場合は、浮かび上がった大量のエネルギーを全て捕食したとしても、
元々相当なダメージを受けていたドラグレッダーが猶予時間の完全回復を図る事は難しかった。
大型のモンスターならまた話は別だが、ギガゼール程度の小型のモンスターならば、せいぜい一匹につき回復できる時間は1時間が限度だろう。
受けた傷を出来る限り全快の状態にまで回復させる為に捕食したエネルギー。
余った分で、猶予時間を回復させるために使われたエネルギー。
今回、仮面ライダー龍騎が回復出来た猶予時間は――





爆風が晴れた時、そこにいるのは仮面ライダー龍騎ただ一人だった。
全てのギガゼールはドラグレッダーの餌として捕食されたのだ。
しかし、まだ問題は解決してはいない。

36Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:11:16 ID:bFC6P61.0
 
『GUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAA!!』

最早敵など何処にも居ない。
されど、暴走してしまった竜は全ての力を使い果たすまで元の姿には戻れない。
苦しげに、咆哮する竜――フリード。
フリードの眼下、なのはが再び呼びかけを続けていた。
何度も、何度も。フリードの名前を呼ぶ。しかし、フリードは答えない。
どうすればいいのかと、流石のなのはも落胆の表情を浮かべずにはいられなかった。

「――おばあちゃんが言っていた」

ふと、背後から聞こえた声に振り向く。
そこにいたのは、先ほどまで仮面ライダー龍騎として戦っていた男――天道総司。
その整った顔立ちで、きっとなのはを見据える。さっきなのはが見たのと同じ表情だ。
天道は、再び人差し指を天に翳した。太陽光を受けて立つ、眩しい姿だ。
何を言い出すのかと、なのはは目を細めて天道を見つめた。

「絆とは、決して断ち切ることの出来ない深い繋がり。たとえ離れていても、心と心が繋がっている、ってな
 本当に仲間としての絆で繋がれているなら、お前の声は奴に届く筈だ……心からの言葉を、聞かせてやれ」

天道に返す言葉は特に無い。
けれど、天道が自分に言いたかった事は確かに解った気がした。
だからなのはは、すぐにフリードに向き直った。大きく息を吸い込み、フリードに呼びかける。

「ごめんね……フリード。私、何か勘違いしてた。龍魂召喚さえすれば、あとはフリードがあの龍を押さえつけてくれるって
 でも、それって違うよね。私も、フリードも、一人じゃなかったんだよね……」
『GUUUOOOOOOOOOOOOO…………』
「確かに私たちは、自分一人の為だけに戦う時もある……この手で……」

思い起こすのは、自分が龍魂召喚を行った瞬間。
キャロと自分と、何が違っていただろうか。なのはは、何故フリードを本来の姿に戻そうとしたのか。
それは、確かに皆で助かりたかったからと言う理由もある。いや、寧ろそれが一番の理由であることは間違いなかった筈だ。
だけど、それに最も必要だったのは、フリードとの絆。フリードと心を通わせて、一緒に戦おうとする姿勢。
なのははなのはで戦いつつ、フリードにはフリードの戦いを任せる。そんな事じゃ二人の息は合わなくて当然だ。

37Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:11:47 ID:bFC6P61.0
 
「でも、この手で相手の手を握る事も出来る。その時は私たちは、弱くても、愚かでも――一人じゃない。」
『…………』
「例えキャロと再会するまででも……今は私と貴女が、パートナーなんだよね……!」

フリードに向かって、手を伸ばす。
これからも一緒に戦ってほしい、と。パートナーで居てほしい、と。
大切な仲間の一人、フリードリヒに向かって。

『……キュクル〜』

気付けばフリードは、元の小さな姿に戻っていた。羽ばたきながら、なのはの元に舞い降りる。
フリードを抱き寄せるように、なのははその小さな体を引き寄せた。

フリードには、『参加者から50メートル離れれば首輪が爆発する』という特別なルールが存在する。
しかし、どの参加者から50メートルなのか、については特に言及されては居ない。
これはその時の持ち主から50メートル、という解釈でいいのだろう。
従って今この瞬間、フリードの“持ち主”はC.C.から高町なのはへとシフトした。
ロワ内では、道具の交換や譲渡、強奪などがよくある話である。
故に、もしも50メートル効果の対象として取る相手が最初の参加者のみの場合、支給品としての自由が無さ過ぎる事になる。
最初の参加者が死んだ時点で、その死体から離れられないでは話にならないのだから。
また、なのはは気付いていない。今回行った龍魂召喚にもまた、特別な制限が課せられている事に。
龍魂召喚の場合は、一度目の解放から凡そ6時間は力の解放が不可能となるのだ。
フリードもなのはも、その事実には気付いていないが、果たして――





キングの足元に顕在するのは、ヒビだらけになった家電量販店の看板。
少年の姿に戻ったキングは、こつんと看板を蹴り飛ばした。
しかし、蹴ってもまるで動かない看板に、足の爪の方が痛みを感じてしまう。
人間とはなんて不自由な生物何だ、と考えながらも瓦礫を一つ一つどけていく。

「うーん……運が良ければこの変にあると思ったんだけどなぁ」

言いながら、探し物を続ける。

38Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:12:17 ID:bFC6P61.0
キングが探し求めているのは、パソコンだ。別にノートでもデスクトップでも何でもいい。
情報戦に有利になる為には、何かとパソコンは使える筈だ。
家電量販店と言うからには、パソコンの一台くらいはあるだろうと考えたのだ。
しかし、今回は騒ぎが大きすぎた。商店街の半分以上を破壊してしまうなんて、規模が大きすぎる。
その影響で家電量販店はもはや建物ですらないし、いくつか見付けたパソコンも最早使い物になりはしない。
キングにしてみれば、このロワにやってきて最大のイベントであった。――それはそれで面白かったから問題はないが。
暫く探し続けて、ようやく閉じられたノートパソコンを発見。

「おっ、これなら使えるかな?」

嬉しそうな笑みを浮かべながら、パソコンを開けて見る。
スリープ状態になっていただけなのか、パソコンは問題なく起動。
その状態に満足する。だが、残念な事に電池はもうすぐで切れてしまいそうな状況であった。
充電器を探すが、流石にそこまでは見つからない。
結局役立たずかよ、とパソコンを捨てようとした、その時だった。

「ん……何だこれ?」

デスクトップの背景の隅で、メールアイコンが点滅していた。
キングにも、それがメール受信の知らせだという事は一目で解った。
だけど、一体誰がメール何か送るのだろうか。そんな疑問がキングの脳裏を過る。
まぁいいか、と。キングはカーソルをメールのアイコンに合わせて、クリックした。
メールの内容を心中ですらすらと読み上げていく。

「……は?」

それがキングの第一声だった。
各施設の調査。これは別に言われなくてもやる。大きなお世話だ。
地上本部の罠。これは自分にとっては有益だった訳なので、スルー。
放送内容の反復。これに至ってはあまり興味がない。故にスルー。
キングへの警戒。これが一番、キングを苛立たせた。
すずかというのは確か――なのは、フェイト、はやての友達だった筈だ。少なくともキングはそう記憶している。
そう考えると――というかそう考えなくてもこんなメールを送る人物はまず一人しか思い当たらない。

「あのタヌキ……やってくれるじゃん」

柄にもなく、苛立ちに表情を歪める。

39Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:12:52 ID:bFC6P61.0
自分と面識を持っており、地上本部の仕掛けを知っているもの。
さらに言えば、なのは、フェイト、はやての内の誰か。そこまで言われて気付かない筈がなかった。
ナメてるのかあのタヌキ女、と。堪らなく本人に直接言ってやりたい衝動に駆られた。
ここで一旦ため息を落とす。冷静さを欠いてはいけない。
そっちが僕に対してそういう挑発をするなら、こっちにも考えがあるよ、と。不敵に笑う。
取りあえずこの宛先にメールの返信でもしてやろうか――と思ったが、却下。
別に脱出派でもない。仲間が欲しい訳でもない。ならば下手に自分の情報を与える道理はない。
ならばどうするか。それならそれでキングにもやりようはある。
ポケットから携帯電話を取り出し、データフォルダを物色。
探すのは、赤い恐竜の死体を撮影した時の画像。

――あったあった

すぐに発見。何枚か撮影した内の数枚を表示させる。
赤い恐竜――ギルモンが血を流して死んでいる傍ら、殺害者であるはやてが写り込んでいる画像。
はやてがギルモンを殺した直後に撮影した画像なのだから、殺害直後のはやてが一緒に写っていても何ら不思議では無い。
しかも自分が殺しましたと言っているかのように、血に汚れたツインブレイズまで握りしめてくれている。

「ほらー、顔怖いよはやて」

携帯の画像に写ったはやてに、嬉しそうに笑い掛ける。
他者の命を奪った直後に人間が。特にはやてのような元々は平凡な人間が。
平然とした表情で居られる筈がなかった。
キングのデータフォルダに入ったはやての画像は、まさに修羅の如く歪んだ一瞬。
別にこんなことをする為に写真撮ってた訳じゃないけど、と心の中で弁明する。
そう、実際キングは趣味で“写メ”を活用しているだけに過ぎない。

――でも、そっちが先に僕に喧嘩売って来たんだし、仕方ないよね♪

悪びれる様子もなく微笑む。また面白い遊びを見付けたとでも言わんばかりの表情だ。
やはり八神はやてという女は面白い。キングを十分に楽しませてくれる。
非常に上機嫌そうに、キングは皆の元へ戻って行った。

40Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:13:22 ID:bFC6P61.0
 




そこは、見渡す限り虹色に輝いていた。
上も下も、右も横も無い。奇妙な浮遊感。

「私は、死んだのか……?」

宙に漂うような感覚に支配されながら、ペンウッドは呟いた。
そうだ。自分はなのはを守るために、死んだのだ。槍で体を串刺しにされて。
でも、後悔はない。自分の行動で誰か一人でも救う事が出来たのだから。
ペンウッドが瞳を閉じようとした、その時だった。

――君はまだ死んではいない。

「え……!?」

聞こえる声に、瞳をこじ開ける。
何処かに誰かが居るのだろうか。そんな不安が、全身を駆け巡る。

「だ、誰だ……!? 私が死んでいないとは、ど、どういうことだ……私は確かに――」

――君は目の前で散りかけた命を、その身を犠牲にして救った。
――俺は君の行動に感銘を受けた。君をこのまま、死なせたくはない。

尚も聞こえる声。何処か暖かいような、不思議な感覚。
しかし、ペンウッドの中の不安感は消えない。
手足をばたばたと動かす。が、虚しく虹色の空間を彷徨うだけだった。
姿なき声は、尚も説明を続ける。

――君が命を投げ出した瞬間、俺は君の身体と融合した。

「ゆ、融合……?」

――そうだ。もしも俺と分離してしまえば、君はまた死んでしまう。

「そ、そそそれは困る! どうすればいいんだ?」

一度は投げ出した命でありながらも、生き延びられるのであれば生き延びたい。
ペンウッドは、額に汗を浮かべながら慌てて問うた。

41Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:13:53 ID:bFC6P61.0
 
――俺と共に、このゲームを打ち破って欲しい。救える命を救い、ここから脱出するんだ

「そ、そんなことが簡単に出来たら……」

――ここには俺の仲間も居る。皆で力を合わせれば、必ず奴を打ち破れる筈だ

ペンウッドは思考する。生き延びる方法がそれしかないのであれば、自分はそれに賭けたい。
だけど、どうしても不安な事が一つだけある。

「わ、私はこのまま、ずっと君と融合していなければならないのか……?」

――ずっとでは無い。長期間融合していれば、君の身体もじきに回復する筈だ。

その言葉に、安堵の表情を浮かべる。
一気に肩から力が抜けて行くのを感じた。

――……そろそろ時間だ。君の仲間達が呼んでいる。

「え……え!? ま、待ってくれ……君の名前は!?」

声が急に何処か遠くへ行ってしまうような気がして、ペンウッドは慌てて呼び止めた。
ペンウッドの視線のずっと先に、青と銀色の姿をした宇宙人の様な影が垣間見えた気がした。

――俺の名前はヒカリ……ウルトラマン、ヒカリ

「ウルトラマン……ヒカリ?」

呟くペンウッドの先で、ヒカリと名乗ったウルトラマンの影が急速に遠のいていく。
しかし、遠のくだけでは無い。彼方から、眩い光を放ちながら、青い何かが近づいてくるのが見えた。
青い何かは、ペンウッドの腕に向かって――





――ペンウッド! おい、ペンウッド!

自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
この声は確か、エメラルドの髪をした女性――C.C.の声だったか。
そこで、ペンウッドは何処か不自然だと感じた。
そもそもさっき見た夢は幻だったのか。刺された脇腹はどうなったんだ。
そんな疑問を浮かべるが。

42Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:14:52 ID:bFC6P61.0
 
「……あれ!?」

がばっ、と。ペンウッドが起き上がる。
急いで全身を確認する。特に脇腹を念入りに、だ。
しかし、傷と思しき傷は何処にも見当たらない。
いや、そんな筈はない。くまなく全身を見渡すが――

「あ、あの……これは一体……?」

ふと、目に止まったのは、自分の右腕の装着された青いブレスレット。
ブレスレットに収められているのは、金色の短剣のような形をした装飾品だった。

「それ、確かペンウッドさんの支給品に入ってたブレスレット……ですよね?」
「支給品……そ、そうだ! あの時、何の役に立つのか解らなかったから……」

学校で支給品の確認をした際の出来事を思い出す。
確かにこんな形のブレスレットが、自分に支給されていたような気がする。
いや、今ではハッキリと解る。このブレスレットが、自分の命を救ってくれたのだろう。

「そうだ、このブレスレット……このブレスレットに私は救われたんだ!」
「そのブレスレットのお陰で、内臓を貫くほどの傷が回復できた、というのか?」

半信半疑な目つきで、C.C.がペンウッドを睨む。それでもペンウッドは勢いよく頷いた。
このブレスレット――ナイトブレスこそ、自分の命を救ってくれた支給品。
ウルトラマンヒカリと名乗った何者かの意志で、自分は助けられたのだろう。
だが、そう考えると何故プレシアはこんな支給品を参加者に配ったのか、という疑問が残る。
それについてこれ以上ペンウッドが考えたところで、答えなど出ないのだが。





それからややあって、チーム内での情報をもう一度纏める事にした。
皆の話を纏めるリーダー役を買って出たのが高町なのはだ。
C.C.達の話は既に知っているために、新しく合流した天道とキングの話を聞いてみたいと考えていたところだった。

43Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:18:03 ID:bFC6P61.0
とりあえずは、ペンウッドが寝ている間に簡単なお互いの自己紹介は済ませている。
金居という男からキングと天道総司という二人の話は聞いていた、と最初に説明を付け加えて。

「じゃあ、天道総司さんもキングさんも、殺し合いには乗っていないということで大丈夫ですか?」
「当然だ。俺を誰だと思っている。俺は天の道を往き――」
「まぁね。そりゃあギラファとはいつか決着付けなくちゃいけないけど、ここで殺し合ったってどうにもなんないし」

天道が、ゆっくりと人差し指を天に翳そうとしたところで、キングが喋り出した。
それも、わざと天道の言葉を遮断するようにだ。一度自己紹介された時に聞いた挨拶だからだ。
割とすぐに並行世界という説を理解してくれた天道だが、本人の話では10歳中頃の自分達にも同じような自己紹介をしていたという。
こればっかりはなのはも、キングの空気を読んだ行動を評価しながら、話を続ける事にした。

「じゃあ、少なくとも今は仲間だと……信じていいんですね?」
「まぁ、殺し合いにはあんまり興味無いし、どちらかと言うと味方でいいと思うよ」
「はぁ……解りました」

結論。キングはやはり要注意だ。
天道総司も、キングを睨む時の視線はまるで疑っているかのような視線だし、それが一番だろう。
とにかくキングはあまり信用し過ぎない方がいい、と。なのはが考えることにした。

次に、危険人物や保護対象の話を纏める。
現在の段階で、天道総司の証言により追加されたリストはこうだ。
 敵対的:アーカード、アンデルセン、相川始、浅倉威
 友好的:機動六課組、インテグラル
 要注意:クアットロ、キング(なのはの私見)

追加されたのは連続殺人、及び強盗犯の浅倉威だ。浅倉威もまた、天道と同じ世界の住人だと主張する。
一度は仮面ライダーとして戦った事もあり、その際には勝利した、と。

「それから、カードを使う黒い仮面ライダーにも襲われたな」

ふと、天道が言った。
この会場に呼ばれてからすぐに出会った仮面ライダー。黒い体に赤い瞳。カードを使うライダー。
そいつに突然奇襲を受け、自分は痛手を負った、と。
そこでキングが、ちょっと待って、と。携帯をいじり始めた。

「それってもしかして、コイツの事?」
「これは……」

44Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:18:39 ID:bFC6P61.0
 
キングが見せたのは、ベージュ色のコートを着た若い男が、黒いライダーに変身する瞬間の動画であった。
全員に見えるように、キングが携帯を皆の前で開き、再び動画を再生。
天道の証言が正しければ、その若者は危険人物と言う事になるが――

「ちなみにキングさんとその仮面ライダーはどんな関係なんですか?」
「は? 仮面ライダー? 違う違う、こいつはアンデッドだよ。53番目のね」

その言葉に、なのはは聞き覚えがある気がした。
そう。金居達と情報交換をした際にも、同じような話を聞いた気がする。

「それがもしかして……ジョーカー?」
「そうそう、正解。よく知ってるね」

ぱちぱちとわざとらしく拍手をしてみせるキング。
なのはは苦笑いを浮かべつつも、キングに拍手を辞めさせる。
しかし、キングの話はこれだけでは終わらなかった。

「あ、そうそう! まだ居るよ、危険な奴!」
「今度は何だ」

呆れ顔で言う天道に、キングが再び携帯をいじり始める。
やがて開いた画像に映っていたのは、血まみれになった赤い恐竜。
それと、血に濡れた双剣を携えた――

「はやてちゃんッ!? どういうこと……!?」
「そうそう、八神はやて。最初にここに飛ばされた時にちょっと一緒に行動してたんだけどさ……結構ヤバいよ、あの子」
「ヤバいって、何がですか……?」

友達を侮辱されたとあっては、流石のなのはも怒りを覚えずには居られない。
表情を曇らせたまま、なのははキングに詰め寄った。
しかし、キングは携帯電話の画面をなのはの眼前に押しつけながら、悪びれる様子無く続ける。

「あのはやてって子は優勝狙いだよ。この顔見ればわかるでしょ」
「そんな……そんな筈ありません……だって……」
「信じる信じないは君の勝手だけどさ。あんまり油断し過ぎない方がいいと思うよ」

その言葉に、なのはは心が揺さぶられるような感覚を覚えた。
確かに自分は殺し合いに対する認識は甘いかも知れない。
だけど、友達を疑うのはあまりいい事では無い。出来る事なら、信じていたい。
しかし、あの画像も偽物とは思えない。

(友達でも、信じちゃいけないって言うの……?)

心中で呟いた。質問に答えてくれる人間等何処にも居ないのに。
俯き、考える。このままでは完全にはやては悪者になってしまうが……。

45Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:19:12 ID:bFC6P61.0
 




天道は、考えていた。
本当にキングの言う事は全てが信じられるのかどうか。
写真にまで撮っているのだから、ジョーカーとはやての件は本当なのだろうが――

(どうもきな臭いな……)

やはり、キングは何かを企んでいる。相手がアンデッドならば、尚更だ。
アンデッドであるキングが、人間を貶めて一人勝ちを狙っているとしても何ら不思議では無い。
かといって、キングは中々ボロを出しはしないだろう。
どうするか、と。思考を巡らせる。
そんな天道の心中を知ってか知らずか、今度はキングが天道の顔を覗き込んできた。

「どうしたのさリュウキ。そんなに浮かない顔して」
「何だと……?」
「だって君は今日から仮面ライダー龍騎なんだろ? なら、カブトを取り戻すまで君はリュウキだ」

相変わらずの、バカげた言い分。
確かにこの情報交換で、自分は元の世界で仮面ライダーだったとは言ったが。
しばらくはリュウキで我慢するしかないか、と深いため息を落とした。
馬鹿の相手は一番疲れる、という意味を込めて。

その時だった。
ほんの小さな音だが。彼方より微かな爆発音が聞こえた。音が聞こえた方向に、一同が視線を向ける。
どうやら爆発が発生したのは、ここよりも少し南に位置する場所のようだ。
そこからもくもくと、黒い煙が天に向かって立ち上っていた。


【1日目 午前】
【現在地 C-3 崩壊した商店街】


【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、プレシアに対する怒り、悲しみと迷い、軽い不安
【装備】グロック19(14/15+1発)@リリカル・パニック、すずかのヘアバンド@魔法少女リリカルなのは、
    ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式
【思考】
 基本:誰の命も欠かす事無く、出来るだけたくさんの仲間を集めて脱出する。
 1.なんとしてもヴィヴィオを救出する。それは何よりも優先したい。
 2.南で起こった爆発を調べに行きたい
 3.出来る限り全ての戦えない人を保護し、仲間を集める。
 4.はやてちゃん……本当にゲームに乗ってるの?
 5.騎士ゼストの誤解を解かないと……
 6.情報処理室の事、言いそびれたな
【備考】
※金居を警戒しています。また紫髪の女子高生(柊かがみ)を気に掛けています。
※カードデッキの説明書を読んでいないので、その特性について把握している情報は「契約モンスターを呼べる」事くらいです。
※金居の話=『ペンウッドは銀色の奴と手を組んでいる可能性がある』は半信半疑です。
※はやて(StS)に対して疑念を抱いています
※キングの事は要注意人物として判断しています

46Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:19:44 ID:bFC6P61.0
 

【シェルビー・M・ペンウッド@NANOSING】
【状態】健康、若干の不安
【装備】ナイトブレス@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは
【道具】支給品一式×3、RPG-7+各種弾頭(榴弾5/照明弾2/スモーク弾2)@ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL、
    トランシーバー×2@オリジナル、菓子セット@L change the world after story、おにぎり×10、ランダム支給品(未確認1)
【思考】
 基本:自らの仕事を果たす。
 1.南で起こった爆発を調べに行く。
 2.ウルトラマンヒカリとは一体……
 3.アリサという少女の思いは無駄にしてはいけない。
【備考】
※なのはを支える事が今の自分の仕事だと無意識に思っています。
※ウルトラマンヒカリ@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのはと融合することで、ヒカリの力を得ました
※現時点でヒカリとの融合が解除されればペンウッドは死にます

【C.C.@コードギアス 反目のスバル】
【状況】健康
【装備】スティンガー×10@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【道具】支給品一式 、ゼロの衣装(予備)@【ナイトメア・オブ・リリカル】白き魔女と黒き魔王と魔法少女たち
【思考】
 基本:向かってくる者は殺すが、役に立ちそうな物や人材はルルーシュに届ける。
 1.この集団の中で行動するか……?
 2.ゼストとも合流しないとな
 3.ピザの対価を払う方法を考える。
 4.少なくともペンウッドよりは立場は上だ
 5.出来ればゼロの仮面も欲しい所だ
【備考】
※スバルが『StrikerS』から来た事を知りません。
※ゼストとの協力関係はギブアンドテイクという暗黙の了解の上に成り立っています。
※「ギアス提供」「精神干渉」「Cの世界との交信」が不可能となっている事に気付きました。
※再生能力も制限されている可能性があると考えています。
※このデスゲームの中では死ぬつもりはありません。
※プレシアのことは信用していません。
※ゼストにはルルーシュの駒になってもらおうと考えています。
※参戦時期は「STAGE9 ギ ア ス」(スバルを気絶させた後)からです。
※スバルとゼストは同じ世界の住人かもしれないと考えています。
※オリーブ抜きのピザ(10/12サイズ)は完食しました。

47Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:20:19 ID:bFC6P61.0
 

【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】右脇腹負傷(身体を動かすことはできるレベル)
【装備】カードデッキ(龍騎)@仮面ライダーリリカル龍騎、カブトエクステンダー@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】支給品一式、爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸、ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル
    アドベントカード(SEAL―封印―)@仮面ライダーリリカル龍騎、アドベントカード(CONTRACT―契約―)@仮面ライダーリリカル龍騎
【思考】
 基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。
 1.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。
 2.南で起こった爆発は一体……?
 3.エネルを捜し、他の参加者に危害を加える前に止める。
 4.カブトゼクターとハイパーゼクターを取り戻してみせる。
 5.俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。
 6.キングは信用できない。常に警戒し、見張っておく。
【備考】
 ※参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。
 ※なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。
 ※身体がいつものように動かない事を知りました。
 ※首輪に名前が書かれていると知りました。
 ※キャロがエネルと共にいて、かつ危険な状態に置かれている可能性が高いと踏んでいます。
 ※CONTRACTとSEALのカードは、破壊されたカードデッキ(インペラー)@仮面ライダーリリカル龍騎の中から拾いました
 ※SEALのカードがある限り、モンスターは現実世界に居る天道総司を襲う事は出来ません。
  

【キング@魔法少女リリカルなのはマスカレード】
【状態】健康、上機嫌
【装備】なし
【道具】キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【思考】
 基本 この戦いを全て滅茶苦茶にする
 1.取りあえずはこの集団で遊んでみる
 2.天道で遊ぶ
 3.はやての挑発に乗り、こちらからもはやてを陥れる為に策を練る
 4.浅倉とキャロに期待
 5.はやてとの合流は後ででも良いかな
 6.はやてとヴィータの決着が着いたら、残ったほうに真実を伝えて、その反応を楽しむ
 7.シャーリーに会ったらゼロがルルーシュだと教える
 8.とにかく面白いことを探す
【備考】
 ※制限が掛けられている事に気がつきました
 ※ゴジラにも少し興味を持っています
 ※携帯電話は没収漏れです。写メ・ムービー以外の全ての機能は停止しています。
 ※携帯には相川始がカリスに変身する瞬間の動画等が保存されています。
 ※キングの携帯に外部から連絡出来るのは主催側のみです。
 ※カブトの資格は持っていません
 ※キングの携帯のお気に入りフォルダに『CROSS-NANOHA』へのリンクが存在します。
 ※首輪に名前が書かれていると知りました。
 ※全ての参加者の性格と、おおまかな戦闘スタイルを把握しました。特に天道に関しては、念入りに調べてあります。
 ※ゼロの正体がルルーシュだと知りました。

48Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:35:43 ID:bFC6P61.0
 

結果的にウルトラマンメビウスは、遠距離からのメビュームスラッシュという戦法を取った。
突き出された右腕から奔った閃光は、ガジェットをいとも簡単に貫いたのだ。
されど、本当に問題なのはここからだ。破壊するだけならば、誰でも出来る。
その影響で、大きな爆発音が響いた事だった。

目の前で爆ぜたガジェットの破片が、黒い煙をもうもうと立てている。
ガジェットに視線を落とす。同時にメビウスの変身を解除。
ヒビノ・ミライとしての人間の姿に戻る。

(相当な爆発音だったけど……誰か、来るかな)

不安に表情を曇らせながらも、ミライは思考する。
メビウスの変身も解けてしまった。人間態のままでは、胸の傷も中々に深い。
あの銀髪を追いかける方針を変えるつもりはないが、このまま追いかけても追いつける保証はない。
だが、それでも、ミライは進む。
例え自分がどんなにボロボロにされていても、誰かの命を救う為ならば、どんな事でもやってみせる。
それがウルトラマンメビウス、ヒビノ・ミライという男であった。


【1日目 昼(放送直前)】
【現在地 E-2とE-3の境界 大通り】

【ヒビノ・ミライ@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】
【状態】疲労(中)、胸に切り傷(そこそこの重傷)、強い決意、一時間変身不可(メビウス)
【装備】メビウスブレス@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは
【道具】基本支給品一式、『コンファインベント』@仮面ライダーリリカル龍騎、
    『おジャマイエロー』&『おジャマブラック』&『おジャマグリーン』@リリカル遊戯王GX
【思考】
 基本:仲間と力を合わせて殺し合いを止める。
 1.銀髪の男(=セフィロス)からはやてを守る。
 2.一刻も早く他の参加者と合流して、殺し合いを止める策を考える。
 3.助けを求める全ての参加者を助ける。
 4.2が解決した後は大通り沿いに北に向かい、商店街などの人が集まりそうな施設を巡る。
 5.なのは、フェイト、ユーノ、はやて、キャロと合流したい。
 6.ヴィータが心配。
 7.メビウスに変身出来なかった理由を確かめたい。
 8.アグモンを襲った大男(弁慶)と赤いコートの男(アーカード)を警戒。
 9.紫髪の少女(かがみ)を乗っ取った敵(バクラ)や、その他の未知の敵たちを警戒。
 10.自分の為に他の人間の命を奪う者達(主にマーダー)に対する怒り。
 11.さっき聞こえた鳴き声は一体何だ?
【備考】
※メビウスブレスは没収不可だったので、その分、ランダム支給品から引かれています。
※制限に気付いてません。
※デジタルワールドについて説明を受けましたが、説明したのがアグモンなので完璧には理解していません。
※参加者は異なる並行世界及び異なる時間軸から連れて来られた可能性がある事に気付きました。
※支給品の中にカードがある事に気付いていません。
※スーパーにかがみが来ていたことに気付きました。
 また、少なくとももう1人立ち寄っており、その人間が殺し合いに乗っている可能性は低いと思っています。
※彼が倒れていたE-3大通りの近くに、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、
 治療の神 ディアン・ケト(ディスクにセットした状態)@リリカル遊戯王GXが放置されています。
 また、ミライはその存在に気付いていません。

49Alive a life ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 03:46:17 ID:bFC6P61.0
これにて仮投下終了です。
今回気になった点は、以下の通りです。
1.C.C.に支給したカードデッキについて。
 ライダー系の変身グッズを出した場合は大方NGか修正とのことですが、
 話のきっかけをつくる為に出すだけ出して、終了時には破壊という形をとりました。
 結果的にライダーの数は変わっていないので、ライダー率などの問題はクリアしていると思いますが、一応不安なので……

2.なのはが龍魂召喚を使った件について
 これも本来なら使えない筈だと思いますけど、考察で書いた通りプレシア側の技術を使った事にしようと考えていますが、どうでしょう?

3.参加者では無くミラーモンスターを食べた場合の考察。
 これも考察に書いたとおりですが、説明書には書かれていない状況です。
 モンスターを食べたからと言って12時間フルに回復するのもどうかと思ったので、モンスターによって猶予回復時間は違うという有耶無耶な形をとりました。

4.ペンウッドのウルトラマン化について
 ミライのキャラ紹介を見ても解るとおり、メビウスはナイトブレスも合わせて初めてフォームチェンジが可能になります。
 ナイトブレスは前々から出そうとは思っていたので、ここでヒカリにペンウッドと融合するきっかけを与えるために一度モンスターに刺される事にしました。
 
その他、いくつか考察があったと思いますが、指摘などあればよろしくお願いいたします。
また、メビウス以外の各変身キャラの状態表に一時間変身不可が表記されていないのはこちらのミスです。
本投下時には修正しておきます。
それでは、よろしくお願いいたします。

50名無しさん:2009/06/01(月) 11:59:45 ID:0VlyV1UA0
仮投下乙でございます。
とりあえず指摘された問題点については自分から見て問題ないと思います。

51名無しさん:2009/06/01(月) 12:07:06 ID:xxgq7Sqk0
仮投下乙です。感想は本投下時に。
一応順に私見を。
1→それでいいかと。。
  でもカードデッキってアスファルトに落ちただけで壊れるほど柔でしたっけ?
  落とした直後にモンスターに踏まれて壊れるなら分かるんですけど…
2→StrikerS本編でもキャロ以外が使用したらどうなるか不明だった(と記憶している)ので別にできていいかと。
  個人的には曖昧でぼかしたままでいいですけど、プレシア云々については別に問題はないかと。
3→それでいいかと。
4→wikiと公式サイト見ただけで把握しかねたのでこれについてはノーコメントで。
  でも既にバクラとかリインⅡといるので、それほど問題はないのかな・・・判断し難い・・・

あとなのはの状態表のカードデッキの欄と天道の矢車の部分は削った方がいいかと。
それと全体見てて思ったんですけど放送前は「昼」なので「午前」は「昼」の間違いでは?(違っていたらすいません)

52名無しさん:2009/06/01(月) 12:29:24 ID:0VlyV1UA0
>>51
カードデッキの耐久性についてですが、実は龍騎原作でインペラーのデッキは(王蛇の攻撃を受けた際に)デッキが外れて落ちて壊れてしまったという経緯がありますので引っかかる点はあるものの自分から見て描写的に問題は無いと思っています。

53名無しさん:2009/06/01(月) 14:19:20 ID:xxgq7Sqk0
>>52
あれって直前にタイガと王蛇の攻撃受けて脆くなっていたからだとばかり。
でもカードデッキが落としただけで壊れるって・・・なんか引っ掛かる・・・けど、そうなのか。

とりあえずこういうふうに思った人もいた、という事で。

54名無しさん:2009/06/01(月) 18:26:45 ID:nx/RJvt6O
原作でタイガも王蛇もカードデッキ自体には直接攻撃してないのに、その後落としただけでデッキが陶器みたいに割れるのがそもそもおかしいんだと思う
まあ演出の問題だろうけど
一応デッキについては壊れるあたりの描写を追加した方が自然かと
その他については概ね問題は無かったと思います

55 ◆gFOqjEuBs6:2009/06/01(月) 23:55:26 ID:bFC6P61.0
ご意見ありがとうございます。
まず、アスファルトに落下して壊れてしまうカードデッキについてですが、これは確かに原作でのインペラーのデッキを意識しました。
ですが、ロワ内で落としただけで割れてしまうようでは、今後もすぐに破壊されてしまう事になってしまいますので、
本投下の際には、指摘通り修正を加えて、デッキが壊れるだけの理由を付け加えます。

状態表のなのはのカードデッキと、矢車についての備考。それから現時刻。
これらは単純に、全てこちらのミスです。
その他所々の状態表の不備も併せて、本投下時には修正しておきます。

他の箇所についてもいくつか思うところがありましたので、描写の加筆と修正をした上で本投下をしようと考えています。
また、今回の仮投下で少し尺が長すぎるように感じたので、本投下時には前編・中編・後編というような形で、数話に分けて投下しようと考えています。
明日中には全体の加筆修正を加えて本投下するつもりですので、暫しお待ちください。

56 ◆HlLdWe.oBM:2009/06/02(火) 12:12:13 ID:NHAZ0sD60
「Round ZERO 〜 JOKER DISTRESSED」に指摘箇所と細部を修正してwikiに収録しました。
話の大筋には変化はないので。

57名無しさん:2009/06/02(火) 12:13:45 ID:NHAZ0sD60
訂正:話の大筋に変化がない範囲で微修正しましたという意味です。

58過去 から の 刺客(修正版本スレ>>111差し替え) ◆7pf62HiyTE:2009/06/06(土) 13:58:13 ID:vZeZ6z7U0


 実はその瞬間、デパートには3人の参加者が集まっていた。そしてその際の戦闘によって起こった光は強く、周辺エリアにまで届くものだった。
 アンジールを眠りから覚まし、再び妹を守るために走り出すきっかけを与えたのはその光だったのだ。
 だが、アンジールがデパートに辿り着く時にはその場所にいる生きている参加者はたった1人だろう。1人は戦いによって川に落ちて流されていった。もう1人は残る1人を助けようとした際の事故より死んだ。
 そして残された1人を見た時、ある意味では拍子抜けするだろう。その最後の1人は本当に何の力も持たない一般人なのだから。ただ、強力な支給品を与えられただけでしかない。
 とはいえその支給品こそがある意味最強なのだろう。その支給品の力は絶大……それこそあの高町なのはとフェイト・T・ハラオウンが2人で戦ってようやく互角ぐらいなのだから……。
 既にその支給品は失われているが、その人の手元には再びその力を引き出すための道具がある。制限下の状況、アンジールが対抗しきれるかどうかは不明だ。
 その人物とアンジールの遭遇がどのようなものになるか……そして、今度こそクアットロを守れるのか……同時に、チンクが生存している事を知ったとしたらどう思うか……それはまだ誰にもわからない。
 それでも、この瞬間……アンジールは走り続けていた。


 その最中、デイパックの中にてレイジングハートは思案していた。
 元々レイジングハートが支給されたのはクアットロだった。だが、クアットロが危険人物だとわかっていたレイジングハートはクアットロに一切力を貸さなかった。
 その後、クアットロはレイジングハートをアンジールに渡した。ちなみにレイジングハートはアンジールを知らないがクアットロの兄と名乗っていた事もあり、クアットロ同様警戒し一切反応する事はなかった。
 実際、その直後クアットロとアンジールが組みシャマルを騙していたためその判断は間違っていない。
 但し、反応しないとはいえ周囲の音や会話はデイパックの中から聞いていた。マスターであるなのはや仲間達と再会出来た時に聞いた情報が役立てられると信じて……。
 だが、レイジングハートに待っていたのは辛い現実だった。放送で語られたなのはを含む多くの仲間達の死、さらに自分のすぐ傍で起こった八神はやての死とセフィロスと呼ばれた参加者の豹変等……
 それでもレイジングハートは挫けたりはしない……デイパックの中から聞いた程度でしかないが幾つか気になる事があった。
 まず、前述の通りアンジールの存在、それからクアットロの言動……どうも彼女の言動を見る限り『これから地上本部を襲撃する所だった』というのが推測出来た。
 レイジングハートの知る限り、地上本部襲撃どころか既にJS事件は終わっていて、クアットロは牢獄行きになっていたはずだ、少なくともシャマルの証言を聞いた限りそれが間違いないのは明白。だとしたらこれはどういうことなのだろうか?
 他にもセフィロスとアンジールの会話による差異など引っかかる点は数多い。この点を解明出来ればこの殺し合いを打破できるのでは無いのだろうか?
 そして、レイジングハートは考える……この状況下、今現在同じデイバックに入れられているグラーフアイゼンは何を考えているのだろうか? クアットロ達の言動から考えるにグラーフアイゼンが自分達の知るそれとは違う可能性はある。
 いや、仮に違っていたとしても、きっとグラーフアイゼンも自分のマスターであるヴィータ……そしてヴィータの主であるはやてが気になるはずだ。
 となればこの状況はある意味皮肉な状況だろう。何しろはやてを殺した人物が今の持ち主なのだから……もっとも、レイジングハートがそれを伝えない限り知る事はない話ではあるが……
 なお、前述の通りレイジングハートはデイパックの中にいる為周囲の様子は音や声でしかわからない……故に、アンジールに殺されたはやてが約10年前の幼い姿だった事を知らない……

59過去 から の 刺客(修正版アンジール状態表差し替え) ◆7pf62HiyTE:2009/06/06(土) 14:05:31 ID:vZeZ6z7U0
【1日目 昼】
【現在地 G-6】
【アンジール・ヒューレー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】
【状態】疲労(中)、全身にダメージ(小)、セフィロスへの殺意、深い悲しみと罪悪感
【装備】バスターソード@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、アイボリー(6/10)@Devil never strikers、チンクの眼帯
【道具】支給品一式×2、レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
 基本:クアットロを守る。
 1.デパートへ急行する。
 2.クアットロ以外の全てを殺す。特にセフィロスは最優先。
 3.ヴァッシュ、イフリートを召喚した奴には必ず借りを返す。
 4.いざという時は協力するしかないのか……?
【備考】
※ナンバーズが違う世界から来ているとは思っていません。もし態度に不審な点があればプレシアによる記憶操作だと思っています。
※制限に気が付きました。
※ヴァッシュ達に騙されたと思っています。
※チンクが死んだと思っています。
※ガジェットが無くなった事に気付いていません。
※レイジングハートは参加者の言動に違和感を覚えています。またアンジールに殺されたはやてが約9歳の姿(A's)だった事に気付いていません。
※グラーフアイゼンははやて(A's)の姿に違和感を覚えています。

60過去 から の 刺客(修正版本スレ>>180差し替え) ◆7pf62HiyTE:2009/06/06(土) 14:08:42 ID:vZeZ6z7U0

 ルルーシュの事情には踏み込む事は出来ない……だが、だからといって去っていったシャーリーらしき少女を放っておいて良い事にはならない。何とか彼女を保護しなければならないと考え、スバルは外を捜していた。
 ただ、シャーリーだった場合はまたシャーリーを傷付けてしまいかねないと考えていた。
 シャーリーから見た場合、今現在生き残っている知り合いはルルーシュとスバルだけ、だがここのスバルはシャーリーの知るスバルとは別人だ。出会えばすぐにその事はわかる、それを知ればシャーリーが落胆してしまうのは言うまでもない。
 とはいえ、何の力のない一般人のシャーリーを放置出来るわけもない……その事が気にかかるもののスバルはシャーリーを捜していた。

 結論から言えば彼女を見付ける事は出来なかった。既にデュエルアカデミアから遠く離れてしまったのだろう。
 もう少し範囲を広げて時間を掛ければ追いつけるかもしれない。しかし、デュエルアカデミアにはルルーシュ達戦闘に向かない仲間がいる。
 リインフォースⅡもいて、多少の武器はあるとはいえ赤いコートの男の様な参加者に現れれば全滅は確実。故に、シャーリーが気にかかるものデュエルアカデミアに戻り、最後にその周囲を捜してルルーシュの所に戻る事にした。
 正直な所、他に戦える仲間が無く、同時に相棒とも言うべきマッハキャリバーが無い状況がもどかしかった。一応手元にはレヴァンティンがあるから戦えるものの万全とは言い難い。
 スバルが自分の戦い方をするにはやはりマッハキャリバー、もしくは姉であるギンガの持つブリッツキャリバーが欲しい所だ。恐らく2つとも誰か別の参加者の手元にあるだろうが……流石にそう簡単には戻って来ないだろう。
 それに、後々複数の行動を同時に取る必要が出てくる。それに対処するためには戦える仲間が必要だ。仲間がいればスバルが戦いの場に向かい、もう1人がルルーシュ達を守る。もしくはその逆を行う事が出来るからだ。

「なのはさんかフェイトさん……それかギン姉辺りと合流出来れば良いけど……」
 そう考えながらアカデミア周囲を捜していると、ある人影が見えた。
「あれ……?」
 その人影は建物にもたれ掛かり座り込んでいる様に見え、すぐ前には何か黒い塊が落ちていた。最初は誰なのかわからなかったがその人物に近付いていく内にそれがわかっていく。
 その人物は小柄な身体で銀色の髪をしていた。大分焼けてはいたもののその少女が元々身に付けているコートも彼女は身に付けていた。
 何故か服装がレオタードだったりトレードマークとも言うべき眼帯が無くなったりしていたが間違いなく彼女はスバルの知る人物だった。
 彼女に何が起こったのかはわからない。だが、スバルから見ても彼女が重傷なのは間違いない、スバルはその少女に声を掛けた……

「チンク……?」

61 ◆7pf62HiyTE:2009/06/06(土) 14:20:39 ID:vZeZ6z7U0
以上、『過去 から の 刺客』の修正版投下致しました。
修正点は以下の通りです。

・レイジングハートがデイパックの中から周囲の音や声を聞いていたというのがわかりやすい様に(それに伴い状態表も一部修正。)。
・スバルの台詞の修正

デイパックの中からでは外の把握は無理という意見ですが、デイパックの中からでも周囲の音や声は聞こえる筈なのでそれを聞いていたという事で問題はないと思います。
また、周囲の様子を見ていたわけではないため、アンジールがはやてを殺した事は声や音でわかっていても(見たわけではないので)そのはやてがA'sの方だという事には気付いていないという事に触れています。
とりあえず、指摘された問題は大丈夫だと思いますが、また何かあれば指摘の方お願いします。

62リリカル名無し:2009/06/06(土) 20:46:29 ID:QCjil8020
>>61
多分それで問題ないと思います。

63>>7の差し替え修正稿(1/2) ◆gFOqjEuBs6:2009/07/05(日) 22:30:04 ID:gCDY8iWw0
 
『ところで宿主サマ……このホテルには誰か居ると思うか?』
「見た感じ誰かが荒らした形跡は無いけど……誰か居るとしてもこの規模じゃ探し切れないかも知れないわね」
『そうかい……まぁ、焦る事はないさ。まだデッキの猶予は十分にあるんだからよ』
「あのねぇバクラ? その余裕が後々命取りになるのよ」

バクラの言動一つ一つに突っ込みを入れずにはいられないのはやはり、かがみの元々の性格故だろう。
対するバクラはバクラで、かがみの背後で幽霊のような存在感を示しながらも、「んなこたぁ解ってんだよ」と、一言。
こうしたやり取りが出来るのも、かがみの精神が随分と落ち着いてきている証拠だ。
そう言う意味では、かがみの身体に寄生するバクラとしても安心していた。

「とりあえず、探索した後も出来るなら少し休みたいから、部屋の鍵を取りに行くわよ」

それだけ言うと、フロントに向かって歩き始める。
バクラはというと、かがみの背後に着いて行く以外に出来る事は無い故、黙ってそれに追随。
勿論かがみの案は悪くは無いし、寧ろ殺し合いに生き残る為に休息は必要不可欠と言ってもいい。
かがみのような本来何の力も持たない女子高生なら尚更の事だ。
寄生先の宿主に死なれてはバクラも困るし、同時に気分も良くない。
だからバクラがかがみを心配しているのも、あながち嘘では無いのだ。

フロントに侵入したかがみは、その棚から適当にカードを一枚引きぬいた。
数字に黒いラインだけが書かれたそのカードは、このホテルの部屋を使う為に必要なカードキー。
この殺し合いは恐らくまだまだ続く。それ故にこれを用いて、部屋で暫しの休息を摂るのが目的だ。

『で、そいつは何処の部屋のカギなんだ?』
「“0313”……三階の十三番目の部屋?」
『おいおい宿主サマ、普段じゃ来れないホテルなんだ。どうせタダで泊まるならもっと豪勢に行こうぜ!』
「あんたね……これは殺し合いなのよ? そんなこと言ってる場合じゃ……」
『だからこそさ。使えるモンは全部使うってくらいの精神じゃなきゃ生き残れないぜ?』
「あんたらしいっちゃらしい考えね……でもどれが一番いい部屋なのかなんてあんたに解るの?」
『そうだな……とりあえず最上階の鍵を選びな。こういうのは最上階が一番高いって相場は決まってんだよ』
「何でそんな事知ってんのよ……」

確かにバクラの考えにも一理あるな、とかがみは思考する。
言いながらも、先ほど引き当てたカードを元の場所に戻し、一番高い場所の棚からカードを一枚引き抜く。
一応言っておけば、この殺し合いは何が起こっても不思議では無い。
病院という大型施設を容易く破壊する参加者も居れば、街を一つ崩壊させる程の戦闘を繰り広げる参加者もいる。
そんな奴らが生き残りを賭けて戦うこの会場で、自ら逃げ場を塞ぐような場所に隠れるのは得策とは言えない。
だが、ゲーム開始から経過した12時間の間、このホテルに訪れた来客はただ一人。事実として、殆どの参加者がこの施設を探索してはいないのだ。
故にホテルは未だに手つかずの状態で残っている。そう考えれば、最上階で休息を摂るのも悪くはないのかも知れないが。

一つだけ、彼女らの考察に見落としがあるとすれば、それは過去にこの場所に訪れた来客――ブレンヒルトの存在だ。
実際にはブレンヒルトがこの場所に訪れた際に、カードキーを一つ持ち出しているのだ。
だがそれは、最初からろくに棚を見る事もせずにカードを引き抜いた二人の知るところでは無い。
しかし、奇しくもブレンヒルトが選んだカードキーと、かがみ達が適当に選んだカードキーには共通点が存在した。
そう。ブレンヒルトが持って行ったカードと、今かがみが所持しているカード。それらはどちらも同じ、最上階のスイートルーム。
勿論それを知る者は居ない。故に、もしかしたらブレンヒルトとかがみは、同じ部屋を選んだのかも知れないが――
やはりそれを知る者は、誰も居ないのであった。

64>>7の差し替え修正稿(2/2) ◆gFOqjEuBs6:2009/07/05(日) 22:34:11 ID:gCDY8iWw0
 
カードキーを確保したかがみ達は次に、ホテル内の探索を開始した。
何処までも続いているかのように錯覚する廊下と、隣り合わせに無数に存在する部屋。
それら全てを見て回るのは流石に骨が折れるし、それを実行する手間を考えれば、まさに無駄な時間と言っても過言では無い。
だから、宿泊客の部屋を除いたあらゆる部屋を順番に見て回る事にした。

最初に二人が入った部屋は、巨大なホールだ。
数え切れないほどの観客席。そこに座れば、二人の視線が向かう先は巨大な舞台。
まるで舞台劇を見ているような感覚――なのだが、二人にとってそこはそれ以上の価値は見いだされなかった。

「なんか時間の無駄だったわね」
『次行くぞ、宿主サマ』

バクラの声に従い、すっくと立ちあがる。
かつて骨董品によるオークションが行われた会場も、かがみにとっては何の意味もない。
華やかな飾り付けも、ライトアップも存在しないホールは、ただのだだっ広い部屋以上の感想は抱かなかった。

///////////////////////////////

まず、諸般の事情によりPCに触れる時間が無く、修正稿の投下に時間が掛ってしまった事をお詫びします。
時間が出来たので書いてみた結果、あまり修正する箇所は多く無く、少し追加しただけという結果になりましたが……。

さて、今回本文を数行追加した結果、一回のレスでは書き込み切れなかったので二分割させていただきました。
以上の文を、先日投下した「かがみとバクラが堂々とホテルで休憩するそうです」の>>7と差し替えでお願いします。
指摘された箇所はこれで大丈夫かとは思いますが、また問題などあれば連絡よろしくお願いします。

65 ◆9L.gxDzakI:2009/07/23(木) 09:54:29 ID:oACaoauk0
拙作「這い寄るもの」のLの状態表のうち、
「トレーラー(助手席)乗車中」を「トレーラー(居住スペース内ソファ)乗車中」
に変更お願いします

66 ◆HlLdWe.oBM:2009/08/21(金) 16:51:01 ID:lsZwz0LY0
第二回放送案を投下します

67第二回放送案 ◆HlLdWe.oBM:2009/08/21(金) 16:51:50 ID:lsZwz0LY0
「そろそろ連絡が来る頃だと思っていたわ」
『――――――――――』
「ええ、概ね順調に進行中ね。いくつか想定外の事もあったけど、問題ない程度よ」
『――――――――――』
「一応そちらにもデータは送っているから詳しい事はそれを見てちょうだい。あまり長話に付き合う気はないわ」
『――――――――――』
「それなら大丈夫。さっきも言ったけど現状デスゲームの進行に問題はないわ」
『――――――――――』
「ああ、確かにいくつか予定になかった設備を追加したわ。別にそれくらいの自由はいいでしょう。ここでの進行役は私なんだから」
『――――――――――』
「そちらは時期尚早よ。でもその時がいつ来ても困らないように調整を怠る気はないわ」
『――――――――――』
「あら、珍しいわね? 一応励ましの言葉として受け取っておくわ」
『――――――――――』
「そうね。もうすぐ放送の時間だから切るわ。ではまた後ほど」
『――――――――――』
「……切れたか。はぁ、まったく苦労するわ」

68第二回放送案 ◆HlLdWe.oBM:2009/08/21(金) 16:52:28 ID:lsZwz0LY0


     ▼     ▼     ▼


正午。
それは昼の12時を意味する時間。
それは何時如何なる時でも午前と午後を分かつ瞬間。
それは時期によっては太陽が最も天高く昇る頃合い。

その時間を聞いて人は何を思うだろう。
昼飯の時間を連想する者。
昼のバラエティー番組の開始を連想する者。
もう半日が終わったと感傷に浸る者。
まだ半日も残っていると嘆く者。
人により反応は様々である。

だがこのデスゲームの箱庭の中にいる者にとって正午は特別な時間だ。
六時間毎に行われる死者と禁止エリアを告げる定期放送。
それが今まさに始まろうとしていた。


     ▼     ▼     ▼


みんな聞いているかしら。
お待ちかねの放送の時間よ。

今回も禁止エリアから発表するからメモを取るなり覚えるなりしなさい。

13時から
15時から
17時から

以上の3エリアよ。

それでは続いて死者の発表にいくわ。

アレクサンド・アンデルセン
インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング
ギンガ・ナカジマ
ザフィーラ
……フェイト・T・ハラオウン
ブレンヒルト・シルト
武蔵坊弁慶
八神はやて
遊城十代

以上

この中には誤って殺された人や不幸な失態で死んだ人もいるわ。
ふふふ、馬鹿よね。
もしかして心当たりのある人いるのかしら。
でもさすがに第一回放送時より死者の数は減っているわね。
全体の人数が減ったから仕方ないのかもしれないけど、もう少し頑張ってほしいところね。
それでもこの人数は想定以上だわ。
次も期待しているから頑張って殺し合いなさい。

そして、ここからは私からの提案。
どうも私の力を疑う人が多いようね。
別に数人なら放っておいたけど、どうもそうもいかないみたいね。
もう一回誰か殺して生き返らせる様子を見せてもいいけど、それでは納得いかない人もいるでしょう。

だから今度はあなた達に聞いてみるわ。
どうしたら私の力を信じるか?
あなたが納得するやり方を言ってちょうだい。
例えば会場の天候を変えたら私の力を信じる、とか。
三分あげるからよく考えて応えるのね。
ああ、興味のない人は別に無理して答えなくてもいいわ。

では開始。
……。
………。
…………。
……………。
ああ、内容によっては当然出来ないものもあるわ。
例えばここから開放して、とか。
その辺りも考えて決めなさい。
……。
………。
…………。
……………はい、三分終了。

とりあえずそれなりに意見は出揃ったようね。
少し検討して実現できそうなものがあれば実行するわ。
そうね、早ければ15時の禁止エリア指定の時間に出来るかも。
実行する内容によってはそれより遅くなるけど、まあ期待して待っていなさい。

それでは今回の放送はこの辺りにしておくわ。
次は6時間後の18時。
それまでいったい何人生き残る事が出来るかしら。
次の楽しみだわ、ふはははははははははは――――。

69第二回放送案 ◆HlLdWe.oBM:2009/08/21(金) 16:53:04 ID:lsZwz0LY0


     ▼     ▼     ▼


とある薄暗い室内。
そこに今しがた放送を終えたばかりのプレシア・テスタロッサがいた。

「これでゲーム開始から半日が経過した。この半日で死んだ者は。予想以上に好調ね」

これまでの結果に満足の意を示しながらプレシアは部屋の明かりを点けた。
それまであちらこちらに設置されている空間モニターの仄かな光で不気味だった部屋に照明の光が満ちる。
だが部屋中の空間モニターは未だそれぞれの役割を果たしている最中であり、この部屋の不気味さが消え去った訳ではない。

「それでそっちの様子は? 今のところ変わった事はないかしら?」
「はい、以前不審な点は見当たりません。全て順調かと」

プレシアの問いに答えたのは少し離れた所で控えているリニスだ。
前回と合わせてリニスが放送の様子を見るのはこれが二度目だ。
別に放送の様子をわざわざ二度もリニスに見せる必要はない。
リニスはプレシアがどういう意図で己を同伴させているのか真意を掴みかねていた。

「リニス」
「はい」
「次の放送だけど、あなたがやってみる?」
「…………え?」

突然のプレシアの提案にリニスは思わず間が抜けた声を上げてしまった。
それと同時に顔には素っ頓狂な表情を浮かべたが、すぐにいつもの涼しげな顔に戻った。
あの顔はプレシアには出来るだけ見せたくないと心底思いながら。

「たまには別の人がやる方が気分転換になると思うのよ」
「あの、だからわざわざ放送の様子を見せていたのですか?」
「それは理由の一つでしかないわ。とりあえず次の放送までにどうするか決めておきなさい」
「命令、ではないのですね」
「単なる余興よ。別に深い意味もないわ」

プレシアはそれで用件は終わったと言わんばかりに目の前のモニターを操作して何やら作業を始めた。
今一つ要領を得ないリニスであったが、いつまでもここにいる訳にもいかないのでプレシアに会釈をしつつ部屋を後にした。

「そういえばプレシア。一つ聞いてもいいですか?」
「何かしら」
「放送前に誰かと話されていたようですが、誰だったんですか?」

リニスがこの部屋に入った時にはもう話は終わった後であったので、誰と話していたかまでは知らない。
だから気になって聞いてみたのだ。
プレシアの使い魔として。

「……………………」

だがリニスの問いに返された答えは無言。
その無言は重苦しく、まるで重力系の魔法をかけられているようだった。

「あなたが知る必要はないわ。さっさと持ち場に戻りなさい」
「……そうですか。ではまた3時間後の定期連絡の時に来ます」

その言葉を残してリニスは部屋から退室していった。
そして部屋に残ったのはプレシア一人のみ。

70 ◆HlLdWe.oBM:2009/08/21(金) 16:55:18 ID:lsZwz0LY0
投下終了です。
たぶん冒頭の部分や放送内でのプレシアからの提案がグレーゾーンかなと個人的に思っています。
よって不味いようならカットする方向で対応するつもりです。

71 ◆HlLdWe.oBM:2009/08/21(金) 17:03:24 ID:lsZwz0LY0
書き忘れていたので一応追記:

誤字・脱字、矛盾、疑問などありましたら指摘して下さい
(禁止エリアと死亡者はまだ明確には決まっていないのでそこはわざとです)

72リリカル名無し:2009/08/23(日) 00:29:12 ID:iRyoI.2o0
投下乙です。
概ね問題はないかと思いますが、3分という時間は少々短すぎるのでは、と感じました。
3分という短い時間では、提案の内容はひおぼ次の書き手さんに委ねられると思います。
しかし、その時間を1時間にするなり、15時の禁止エリア追加までとする、などある程度の猶予があれば、
参加者もその1時間を使って色々と考える事も出来るし、思考の内容を次の職人にリレーする事も出来るので、
出来るのならそうした方が面白いのでは、と感じました。
それから、プレシアから参加者への提案をするのなら、どこかにその事に関する描写も入れておいた方がいいのでは、とも思いました。
例えばどの程度までの願いを叶えるのか、プレシアが何を考えてそんな事をしようと思い立ったのか、など。
その辺の話を放送前か放送後の会話あたりに組み込んでおいた方が、後続の書き手さんもリレーしやすくなるのでは、というのが自分の意見です。
が、これはあくまで自分個人の意見なので、他の方の意見も聞いてみた方がいいと思います。

73リリカル名無し:2009/08/23(日) 11:35:51 ID:Gw7.oScU0
投下乙です。
内容的には自分も面白いと思いました。
ただ、この提案を見る限りちょっと引っかかった点があります。

1.真面目な話、3分間という短い時間でプレシアの意図通りにマトモに回答出来る人がそんなにいるのだろうか?
 正直死亡者が伝えられた後だと、冷静に回答出来る人がそんなにいるとは思えないんですよね(それが狙いかもしれませんが)。
 仮に答えられたとしても平静さを失っていた為実行出来なさそうな案である可能性もありますし……
 L辺りなら冷静に答えられそうですが、彼なら逆にプレシアの力を探るのに利用しそうな気がしますし。
 放送を見る限り、ある程度提案が出ているという前提で進めていますが大丈夫でしょうか?
 >>72の意見(タイムリミットの長期化)を取り入れればまだ大丈夫な気もしますが、これならこれで別の問題が……

2.進行に影響が出ないだろうか?
 放送後ある程度の時間で意見を聞いて、15時以降にそれを実行した場合、全員の意見が出揃ってからでないと15時以降(午後、夕方)の話を進めにくいという弊害があるんですよね。
 普通に考えれば放送後の予約がすぐに全員揃えば問題は無いんですが、第1回放送後の時の様に昼の話が書かれている所もあるのにまだ放送後の話が書かれていない所もあるという可能性も無くはないですからね。
 つまり、意見が出揃わないと15時以降の話が書きにくいという事なんですよね。

とはいえ、これらの点は真面目な話、書き手次第で簡単にクリア出来そうな問題なのである意味大した問題ではないかもしれませんが……
それに、まだ放送案がこれだけというわけでもないですし、放送前の話がもう投下されないと決まったわけでもないので他の放送案や意見をもう少し募った方が良いと思います。

74 ◆9L.gxDzakI:2009/08/24(月) 09:57:28 ID:0xaz4vOs0
自分もできましたので、放送案を投下します

75第二回放送案 ◆9L.gxDzakI:2009/08/24(月) 09:58:18 ID:0xaz4vOs0
 12時間。
 早いようで遅いようで、あれから既に12時間だ。
 この81マスの箱庭にて、血と狂乱の殺戮劇が幕を開けてから、実に半日が経過しようとしていた。
 表向きに言及することはなかったが、かの大魔導師が規定したタイムリミットは48時間。
 要するに、間もなく4分の1もの時間が経過しようとしているということだ。

 12時を迎える。
 デスゲーム開幕の瞬間から、実に12時間ぶりに、時計の両針が頂点を指す。
 12とはすなわち正午。
 午前と午後を二分する、境界の時間が目前に迫っている。
 12とはすなわち6プラス6。
 6時間ごとに行われる定期放送の2回目が、間もなく始まろうとしている。

 12時間。
 分数にして720分。
 秒数にして8640秒。
 これから流れる放送は、その膨大な時間の振り返りだ。
 黒髪の魔女が囁く時、彼らは果たして何を思う。
 後悔/恐怖/歓喜/安堵/悲哀/希望/失望/絶望。
 生き残った39人は、果たして何を抱くのか。

 かくて定期放送は始まる。
 個人の感情などはお構いなしに。
 ただ淡々と事実のみを語るため、2度目のメッセージが鳴り響く。



 6時間ぶりね。
 みんな、ちゃんと聞いているかしら。
 現在の時刻は12時ジャスト――第2回目の定期放送の時間よ。
 今回も最初に禁止エリアを発表させてもらうわ。しっかりメモを取るようにね。
 今のところはそんな事態になっていないけど、うっかり禁止エリアに入って、
 そのまま自滅なんて死に方されたら、こちらもあまり張り合いがないのだから。

 13時から
 15時から
 17時から

 以上の3エリアよ。
 ちゃんと記憶できたかしら?
 二度目は言わないわよ。聞き逃したからもう一度、なんて甘えは聞きたくないわね。
 一緒にいるお仲間にでも聞くか、他の参加者を脅して問い詰めるか、もしくは諦めて泣き寝入りでもしなさい。

 ……ああ、そうだったわね。
 これまでに命を落とした脱落者の名前も読み上げていくわ。

 アレクサンド・アンデルセン
 インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング
 ギンガ・ナカジマ
 ザフィーラ
 フェイト・T・ハラオウン
 ブレンヒルト・シルト
 武蔵坊弁慶
 八神はやて
 遊城十代

76第二回放送案 ◆9L.gxDzakI:2009/08/24(月) 10:01:04 ID:0xaz4vOs0
 以上、9名よ。
 前の6時間に比べて少しは減ったけど、まだまだ順調と言っていいペースね。
 貴方達のしたたかさと残忍さには、本当に感心させられるわ。
 果敢に戦って死んだ者、仲間を庇って命を落とした者、些細なミスが命取りになった者、ほとんど事故のような形で死んだ者……
 ……ふふ……全くもって貴方達は、私を楽しませてくれるわね。
 開始からこれまでの12時間は、最高に面白いショーだったわ。
 今後も私を飽きさせることのないよう、パフォーマンスの向上に努めることね。
 えてして観客とは無責任でわがままなもの……私がこの催しに飽きた瞬間に、全員ドカン、なんてことも有り得るのだから。

 ……そうね。せっかくだから、ついでにもう1つ話しておくわ。
 6時間前にご褒美の話をしたけれど、どうやら今のところは、あまり意味をなさなかったようね。
 この期に及んでこのゲームを止めようとする者が、まだまだ大勢いるみたいだわ。
 残虐非道なデスゲームに、敢然と立ち向かう正義のヒーローという構図はなかなかに面白いし、
 そうした連中が転落していくのも、見応えがないと言えば嘘になるのだけど……こうも数が多いと、少し鬱陶しいわね。
 貴方達がこの演劇のスパイスになっているのは確かよ。でも、いい加減食傷気味になってきたわ。
 もう一度言うわよ。
 私はその気にさえなれば、貴方達を一瞬で全滅させることもできる。
 最初に死んだ娘のことを覚えているでしょう? 彼女の末路を、改めて思い出しておくことね。

 ああ、それとも特典がお望み?
 全部終わった後の優勝賞品だけでは、いまいちやる気が湧いてこなかった?
 そうね、それもそうだったわね。
 確かに優勝した後のご褒美だけなら、ひたすら身を隠してやり過ごすだけでも手に入ってしまうものね。
 それはそれで面白いかもしれないわ。
 貴方達の好きなビデオゲームでも、敵を倒せば経験値と資金という見返りがある……そういうボーナスも悪くないわね。
 分かったわ。次の放送までに、何か考えておきましょう。
 何人か参加者を殺したら、他の誰かの居場所を教える、だとか、支給品がもう1つもらえる、だとか……
 改めて考えてみると、色々とアイデアは尽きないものね。この6時間で吟味してみることにするわ。
 貴方達からも何か要望があったら、その間に言っておきなさい。
 確実に採用されるわけではないけど、一応参考にはさせてもらうから。

 それから、最後にもう1つ。
 まさかとは思うけれど……私が心変わりしてこのゲームを中止する、なんて可能性を考えてる人はいないわよね?
 そういう温情は期待しない方がいいわ。
 さっき読み上げた死者の中に、フェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウンという娘がいたでしょう?
 私のフルネームはプレシア・テスタロッサ……
 ……ふふ、そういうことよ。
 実の娘が殺されても、黙って見てるような冷酷な人間に、最初から情なんて期待しないことね。
 貴方達が殺し合って、最後の1人になること以外に、このゲームに終わりなんてないのだから――。

77第二回放送案 ◆9L.gxDzakI:2009/08/24(月) 10:02:03 ID:0xaz4vOs0


「……よく言いますね。フェイトのことなど、娘とも見なしていなかった貴方が」
 魔女プレシア・テスタロッサの背に、投げかけられた声が1つ。
 茶髪の頭に猫耳を生やした娘は、かの大魔導師の使い魔・リニスだ。
「いいじゃないの。使える物はいくらでも使うべきだわ。このゲームをより円滑に進めるためにはね」
 くるり、と。
 言いながら、プレシアが振り返る。
 腰掛けていた椅子を180度反転させ、リニスの方へと向き直った。
 その顔は暗い。
 嘲笑気味の放送の割に、実際の表情は深刻なものだ。
「どうにも上手くいかないものね」
「ええ……数字だけは決して悪いものではないのですが、
 うち3人は同じ戦闘で死亡したわけですから、実質死者が出たケースは7つになります」
「一応譲歩はしてみたけれど、すぐにでも適当な特典をつけるべきだったかしら」
 そう。
 現状は、決して上手くことが進んでいるわけではなかった。
 余裕ぶって見せた態度も、ハッタリの要素がなかったといえば嘘になる。
 第1回放送までの6時間で、死者の発生したケースは合計12。
 一度の戦闘で複数死者が出たのは、アグモンとクロノ・ハラオウンの1回のみ。
 カレン・シュタットフェルトと高町なのはは、ギリギリ別々のタイミングと考えていいだろう。
 対して、今回は僅か7回。約半分の数字である。
 ギンガ・ナカジマをはじめとした3人が同時に死亡したことで、現在の数字は稼げたわけだが、
 言ってしまえばそれも運がよかっただけだ。
 2人同時に死亡はともかくとして、3人以上ともなると、そう易々と期待できるものでもない。
 そもそも彼女らが死ぬ直前までは、一瞬「もう駄目か」とも思ったほどである。
「万が一の時には、あの者達を会場に送り込むという手もありますが……」
「あくまでも最終手段ね。それに、今回のゲームの“目的”を考えれば、できうる限り取りたくない手でもあるわ」
 ふぅ、と溜め息をつきながら、プレシアがリニスの言葉に答える。
「まぁ、今はこうして手を打ったことが、どう作用するかを見守るほかないのだけど」
「先ほどのボーナスの話ですか」
「そうね」
 頼みの綱は、今のところそれだ。
 何らかの形でこちらの実力を見せ付ける、という手もあったが、それを取るにはもう少し熟慮を重ねる必要がある。
 下手なことをしてしまっては、ゲームバランスが狂うかもしれない。
 飴と鞭という形で、次の放送の時に、ボーナスと一緒に突きつけておいた方が無難だろう。
「問題は、何を特典につけるか、ということだけど……」
 故に、今はより制約の少ない、特典の方を先に考える。
 果たして彼ら参加者が求めているものは何か。
 一体どんな餌をばら撒けば、奴らは食いついてくるだろうか。
 プレシア・テスタロッサは思考する。
 このデスゲームをより円滑に進めるために。
 その先にある“悲願”を成し遂げるために。
「……貴方ならどうする?」



 第2回目の放送は終わった。
 デスゲームに臨む参加者達は、果たして何を思うのか。
 デスゲームを進める主催者達が、次に打つ手は果たして何か。
 運命は加速する。
 時の流れは加速する。
 個々の思いを流れに乗せて。
 思いを集めて群れと成して。

 次に動くのは、誰だ。

78第二回放送案 ◆9L.gxDzakI:2009/08/24(月) 10:03:28 ID:0xaz4vOs0
以上です。
何かまずいところや疑問がありましたら、ご指摘ください。

79リリカル名無し:2009/08/24(月) 22:54:21 ID:yULA.anQ0
仮投下乙です。
とりあえず気になった点は
>表向きに言及することはなかったが、かの大魔導師が規定したタイムリミットは48時間。
確か今回初めて出てきた事実ですよね。
自分は「気になった」レベルなのでこのままでいいのですが、人によっては意見がありそうな気がしないでもないです。

80リリカル名無し:2009/08/25(火) 20:31:16 ID:YlBvPY9E0
投下乙です。
タイムリミットの48時間については自分も気になりました。
真面目な話、48時間で決着を着ける必要があるのかがちょっと疑問です。
とはいえ、あった方が色々な意味で緊迫感が出るのもわかりますけれどね。
もっとも……現状のペースを考えれば杞憂な気もしますけどね(ペース的に6回ぐらいで終盤かな?)。
他にも意見がある人はいるでしょうか?

81 ◆9L.gxDzakI:2009/08/26(水) 09:08:56 ID:qMYuq2/60
了解しました。
48時間の明言に関しては、反対意見が多数出るようであれば削除することにします。
あと、プレシア達の懸念ですが、改めて見ると僅かに説明不足な感があったので、
この案が通って本投下となった際に、1〜2行説明を追加しておきます

82リリカル名無し:2009/08/26(水) 10:15:27 ID:S3Y3u3Jw0
>>81
その該当部分ですけど、個人的には本投下の前に見せてほしいところです。
あまり影響がないなら別にいいのですが。

83 ◆9L.gxDzakI:2009/08/26(水) 12:05:07 ID:qMYuq2/60
 そう。
 現状は、決して上手くことが進んでいるわけではなかった。
 余裕ぶって見せた態度も、ハッタリの要素がなかったといえば嘘になる。
 第1回放送までの6時間で、死者の発生したケースは合計12。
 一度の戦闘で複数死者が出たのは、アグモンとクロノ・ハラオウンの1回のみ。
 カレン・シュタットフェルトと高町なのはは、ギリギリ別々のタイミングと考えていいだろう。
 対して、今回は僅か7回。約半分の数字である。
 ギンガ・ナカジマをはじめとした3人が同時に死亡したことで、現在の数字は稼げたわけだが、
 言ってしまえばそれも運がよかっただけだ。
 2人同時に死亡はともかくとして、3人以上ともなると、そう易々と期待できるものでもない。
 そもそも彼女らが死ぬ直前までは、一瞬「もう駄目か」とも思ったほどである。
 今はいい。結果として、今は9人もの死者を確保できた。
 だがこのままのペースで減り続ければどうか。
 万が一、半分また半分と、死者の発生するケースが半減し続けていったならば。
 単なる不安材料かもしれない。杞憂に終わる可能性の方が高いかもしれない。
 だが現実化でもしようものなら、よくて20人弱が余ったところで、停滞を招いてもおかしくない。



こんな感じです。
……2行どころか倍の4行になっちまったが

84リリカル名無し:2009/08/26(水) 15:30:36 ID:S3Y3u3Jw0
>>83
素早い対応乙です
読んだらどうやら私の杞憂だったようで

85 ◆HlLdWe.oBM:2009/08/29(土) 01:08:51 ID:6fEBUhDM0
すいません、自分が出した放送案ですが少し思うところあって取り下げます。
色々修正していたら次の回した方が妥当な気がしてきたので。
どうもお騒がせしました。

86 ◆9L.gxDzakI:2009/08/29(土) 21:06:35 ID:zKlHHz820
第二回放送を本投下します

87第二回放送 ◆9L.gxDzakI:2009/08/29(土) 21:07:25 ID:zKlHHz820
 12時間。
 早いようで遅いようで、あれから既に12時間だ。
 この81マスの箱庭にて、血と狂乱の殺戮劇が幕を開けてから、実に半日が経過しようとしていた。
 表向きに言及することはなかったが、かの大魔導師が規定したタイムリミットは48時間。
 要するに、間もなく4分の1もの時間が経過しようとしているということだ。

 12時を迎える。
 デスゲーム開幕の瞬間から、実に12時間ぶりに、時計の両針が頂点を指す。
 12とはすなわち正午。
 午前と午後を二分する、境界の時間が目前に迫っている。
 12とはすなわち6プラス6。
 6時間ごとに行われる定期放送の2回目が、間もなく始まろうとしている。

 12時間。
 分数にして720分。
 秒数にして8640秒。
 これから流れる放送は、その膨大な時間の振り返りだ。
 黒髪の魔女が囁く時、彼らは果たして何を思う。
 後悔/恐怖/歓喜/安堵/悲哀/希望/失望/絶望。
 生き残った39人は、果たして何を抱くのか。

 かくて定期放送は始まる。
 個人の感情などはお構いなしに。
 ただ淡々と事実のみを語るため、2度目のメッセージが鳴り響く。



 6時間ぶりね。
 みんな、ちゃんと聞いているかしら。
 現在の時刻は12時ジャスト――第2回目の定期放送の時間よ。
 今回も最初に禁止エリアを発表させてもらうわ。しっかりメモを取るようにね。
 今のところはそんな事態になっていないけど、うっかり禁止エリアに入って、
 そのまま自滅なんて死に方されたら、こちらもあまり張り合いがないのだから。

 13時からA-4
 15時からA-9
 17時からE-6

 以上の3エリアよ。
 ちゃんと記憶できたかしら?
 二度目は言わないわよ。聞き逃したからもう一度、なんて甘えは聞きたくないわね。
 一緒にいるお仲間にでも聞くか、他の参加者を脅して問い詰めるか、もしくは諦めて泣き寝入りでもしなさい。

 ……ああ、そうだったわね。
 これまでに命を落とした脱落者の名前も読み上げていくわ。

 アレクサンド・アンデルセン
 インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング
 ギンガ・ナカジマ
 ザフィーラ
 フェイト・T・ハラオウン
 ブレンヒルト・シルト
 武蔵坊弁慶
 八神はやて
 遊城十代

88第二回放送 ◆9L.gxDzakI:2009/08/29(土) 21:08:09 ID:zKlHHz820
 以上、9名よ。
 前の6時間に比べて少しは減ったけど、まだまだ順調と言っていいペースね。
 貴方達のしたたかさと残忍さには、本当に感心させられるわ。
 果敢に戦って死んだ者、仲間を庇って命を落とした者、些細なミスが命取りになった者、ほとんど事故のような形で死んだ者……
 ……ふふ……全くもって貴方達は、私を楽しませてくれるわね。
 開始からこれまでの12時間は、最高に面白いショーだったわ。
 今後も私を飽きさせることのないよう、パフォーマンスの向上に努めることね。
 えてして観客とは無責任でわがままなもの……私がこの催しに飽きた瞬間に、全員ドカン、なんてことも有り得るのだから。

 ……そうね。せっかくだから、ついでにもう1つ話しておくわ。
 6時間前にご褒美の話をしたけれど、どうやら今のところは、あまり意味をなさなかったようね。
 この期に及んでこのゲームを止めようとする者が、まだまだ大勢いるみたいだわ。
 残虐非道なデスゲームに、敢然と立ち向かう正義のヒーローという構図はなかなかに面白いし、
 そうした連中が転落していくのも、見応えがないと言えば嘘になるのだけど……こうも数が多いと、少し鬱陶しいわね。
 貴方達がこの演劇のスパイスになっているのは確かよ。でも、いい加減食傷気味になってきたわ。
 もう一度言うわよ。
 私はその気にさえなれば、貴方達を一瞬で全滅させることもできる。
 最初に死んだ娘のことを覚えているでしょう? 彼女の末路を、改めて思い出しておくことね。

 ああ、それとも特典がお望み?
 全部終わった後の優勝賞品だけでは、いまいちやる気が湧いてこなかった?
 そうね、それもそうだったわね。
 確かに優勝した後のご褒美だけなら、ひたすら身を隠してやり過ごすだけでも手に入ってしまうものね。
 それはそれで面白いかもしれないわ。
 貴方達の好きなビデオゲームでも、敵を倒せば経験値と資金という見返りがある……そういうボーナスも悪くないわね。
 分かったわ。次の放送までに、何か考えておきましょう。
 何人か参加者を殺したら、他の誰かの居場所を教える、だとか、支給品がもう1つもらえる、だとか……
 改めて考えてみると、色々とアイデアは尽きないものね。この6時間で吟味してみることにするわ。
 貴方達からも何か要望があったら、その間に言っておきなさい。
 確実に採用されるわけではないけど、一応参考にはさせてもらうから。

 それから、最後にもう1つ。
 まさかとは思うけれど……私が心変わりしてこのゲームを中止する、なんて可能性を考えてる人はいないわよね?
 そういう温情は期待しない方がいいわ。
 さっき読み上げた死者の中に、フェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウンという娘がいたでしょう?
 私のフルネームはプレシア・テスタロッサ……
 ……ふふ、そういうことよ。
 実の娘が殺されても、黙って見てるような冷酷な人間に、最初から情なんて期待しないことね。
 貴方達が殺し合って、最後の1人になること以外に、このゲームに終わりなんてないのだから――。

89第二回放送 ◆9L.gxDzakI:2009/08/29(土) 21:08:52 ID:zKlHHz820


「……よく言いますね。フェイトのことなど、娘とも見なしていなかった貴方が」
 魔女プレシア・テスタロッサの背に、投げかけられた声が1つ。
 茶髪の頭に猫耳を生やした娘は、かの大魔導師の使い魔・リニスだ。
「いいじゃないの。使える物はいくらでも使うべきだわ。このゲームをより円滑に進めるためにはね」
 くるり、と。
 言いながら、プレシアが振り返る。
 腰掛けていた椅子を180度反転させ、リニスの方へと向き直った。
 その顔は暗い。
 嘲笑気味の放送の割に、実際の表情は深刻なものだ。
「どうにも上手くいかないものね」
「ええ……数字だけは決して悪いものではないのですが、
 うち3人は同じ戦闘で死亡したわけですから、実質死者が出たケースは7つになります」
「一応譲歩はしてみたけれど、すぐにでも適当な特典をつけるべきだったかしら」
 そう。
 現状は、決して上手くことが進んでいるわけではなかった。
 余裕ぶって見せた態度も、ハッタリの要素がなかったといえば嘘になる。
 第1回放送までの6時間で、死者の発生したケースは合計12。
 一度の戦闘で複数死者が出たのは、アグモンとクロノ・ハラオウンの1回のみ。
 カレン・シュタットフェルトと高町なのはは、ギリギリ別々のタイミングと考えていいだろう。
 対して、今回は僅か7回。約半分の数字である。
 ギンガ・ナカジマをはじめとした3人が同時に死亡したことで、現在の数字は稼げたわけだが、
 言ってしまえばそれも運がよかっただけだ。
 2人同時に死亡はともかくとして、3人以上ともなると、そう易々と期待できるものでもない。
 そもそも彼女らが死ぬ直前までは、一瞬「もう駄目か」とも思ったほどである。
 今はいい。結果として、今は9人もの死者を確保できた。
 だがこのままのペースで減り続ければどうか。
 万が一、半分また半分と、死者の発生するケースが半減し続けていったならば。
 単なる不安材料かもしれない。杞憂に終わる可能性の方が高いかもしれない。
 だが現実化でもしようものなら、よくて20人弱が余ったところで、停滞を招いてもおかしくない。
「万が一の時には、あの者達を会場に送り込むという手もありますが……」
「あくまでも最終手段ね。それに、今回のゲームの“目的”を考えれば、できうる限り取りたくない手でもあるわ」
 ふぅ、と溜め息をつきながら、プレシアがリニスの言葉に答える。
「まぁ、今はこうして手を打ったことが、どう作用するかを見守るほかないのだけど」
「先ほどのボーナスの話ですか」
「そうね」
 頼みの綱は、今のところそれだ。
 何らかの形でこちらの実力を見せ付ける、という手もあったが、それを取るにはもう少し熟慮を重ねる必要がある。
 下手なことをしてしまっては、ゲームバランスが狂うかもしれない。
 飴と鞭という形で、次の放送の時に、ボーナスと一緒に突きつけておいた方が無難だろう。
「問題は、何を特典につけるか、ということだけど……」
 故に、今はより制約の少ない、特典の方を先に考える。
 果たして彼ら参加者が求めているものは何か。
 一体どんな餌をばら撒けば、奴らは食いついてくるだろうか。
 プレシア・テスタロッサは思考する。
 このデスゲームをより円滑に進めるために。
 その先にある“悲願”を成し遂げるために。
「……貴方ならどうする?」



 第2回目の放送は終わった。
 デスゲームに臨む参加者達は、果たして何を思うのか。
 デスゲームを進める主催者達が、次に打つ手は果たして何か。
 運命は加速する。
 時の流れは加速する。
 個々の思いを流れに乗せて。
 思いを集めて群れと成して。

 次に動くのは、誰だ。

90 ◆9L.gxDzakI:2009/08/29(土) 21:09:49 ID:zKlHHz820
投下終了。最終的にはA-4になりました。
三回放送までのSSの予約は、明日か明後日ぐらいかからかな? 楽しみにしてます

91 ◆9L.gxDzakI:2009/08/29(土) 21:10:32 ID:zKlHHz820
アッー!
よく見たらここ本スレじゃねえ!!


orz

92狼煙(修正版) ◆9L.gxDzakI:2009/09/01(火) 19:24:16 ID:JJVmskwY0
俺は貴様を〜の部分の修正版を投下します。


「……もう一度言ってみろ」
 無性に腹が立っているのは。
 ぐ、と右の拳を握る。
 何故こんなにも怒りを覚えるのだろう。
 何故許せないと思うのだろう。
 彼女の生き様を否定することに、何故こうも腹を立てている。
 今まさにこの胸を震わせるのは、他人のために抱く怒りだ。
 己の正義に殉じたギンガの、その尊厳を守るための怒りだ。
 殺人者らしからぬ思考だとは思う。
 殺し合いに乗った自分が、彼女を擁護する理由など全く見当たらない。
 だが、そんなことは知ったことか。
 許せないものは許せないのだ。
 こんな最低な男などに、彼女の生き様を否定させてなるものか。
「その時は――」



あと、全体の備考を書き忘れていたので、これを最後尾に追加しておいてください。


【備考】
F-6にあったレストランにて火災が発生しました。
また、その影響で煙が立ち上りました。どこまでの範囲から確認できるかは、後続の書き手さんにお任せします。

93 ◆9L.gxDzakI:2009/09/08(火) 08:12:55 ID:z6qgAHpg0
ああ、そんな馬鹿な。アレックス達の現在地が、第一回放送で決まった禁止エリアのド真ん中じゃないかorz

というわけで、拙作「這い寄るもの」におけるアレックス達の現在地を、
H-4からG-3に変更お願いします

94リリカル名無し:2009/09/08(火) 08:26:58 ID:3aAw.JhQ0
>>93
別に禁止エリアになるのは11時からですからH-4で矛盾はないと思いますよ

95 ◆9L.gxDzakI:2009/09/08(火) 09:14:16 ID:z6qgAHpg0
>>93
いやいや、時間帯が「昼」だから十分禁止エリアじゃないですか

96 ◆9L.gxDzakI:2009/09/08(火) 09:15:17 ID:z6qgAHpg0
あ、違った。昼じゃなくて朝だったんだorz

じゃあ、修正願いは取り下げで

97リリカル名無し:2009/09/08(火) 09:57:28 ID:3aAw.JhQ0
なんか混乱されているようですが、とりあえず時間軸的に↓のようになっているかと。

【1日目 午前】(AM08:00〜AM10:00)【現在地 F-3 南部大通り上】「変わる運命」にてアレックス・L機動六課へ向かう
 ↓
【1日目 昼】(AM11:00以前)【現在地 H-4 大通り】「這い寄るもの」にて二人機動六課の崩壊確認後、地上本部に向かう
 ↓
AM11:00【H-4】禁止エリア化

98 ◆9L.gxDzakI:2009/09/29(火) 09:14:00 ID:Vh/mQH0A0
うひゃあ、すいません! 遅れました!orz
というわけで、修正版を投下します。

99 ◆9L.gxDzakI:2009/09/29(火) 09:15:26 ID:Vh/mQH0A0
「あっちに行けば、もっと手っ取り早く餌が見つかる……」
『だろうな。で、どうするよ?』
「まぁ……あたしもあっちに行くことに異論はないけど……」
 かがみの回答は、しかし語尾を濁すようにして勢いを失う。
 妙に不安げな色の宿った視線が、紫色のカードデッキを見つめた。
 そしてその不安の理由が、バクラには分かっていた。
『大勢の敵と戦うのは不安か』
 こくり、と。
 先ほどのヒステリーが嘘のように。
 すっかり意気消沈した少女が弱々しく頷き、紫色のツインテールを揺らす。
 恐らくあの狼煙を見た参加者は、自分1人だけではないはずだ。
 であれば、あの2人の剣士と戦った時のように、乱戦になる可能性が高いのは目に見えている。
 手元にある変身アイテムは2つ。
 バイオグリーザが撃破され、ほぼ無力化した仮面ライダーベルデのデッキ。
 高い戦闘能力を持つが、向こう1時間は変身できない仮面ライダー王蛇のデッキ。
 つまり今から約1時間は、ミラーモンスターのみで戦わなければならないということ。
 不特定多数の敵を相手に戦うには、生身というのはあまりにも危険すぎる。
 そうでなくともあの戦闘では、同じ仮面ライダーのデルタに変身していながら、一方的に叩きのめされたのだ。
 一対一のスバルとの戦いとはわけが違った。
『どうしても怖いってんなら、その時は俺が代わってやろうか?』
「アンタが?」
『俺様はデュエリストだったからな。こういうのの扱いには慣れてるのさ。
 それに千年リングのパワーが使えるってだけでも、だいぶ有利になるはずだぜ』
 アドベントカードとバクラの相性はいい。
 事実として万丈目に憑依していた時の対チンク戦で、バクラはベルデのデッキを巧みに使いこなしていた。
 千年リングの念力も、デルタギアの使用によって獲得した放電能力と併用すれば、強力なバリアになるだろう。
『もっとも、俺もいつになったら、また入れ替われるようになるかは分かんねぇけどよ』
 実際には王蛇の変身制限時間の方が、千年リングの憑依制限時間よりも早く切れる。
 だがそうとは知らないかがみにとっては、幾分と気休めにはなった。
「……そうね……じゃあ、その時はお願いするわ」
 ありがとう、と。
 声にならない感謝の言葉が、小さく現実の言葉と重なる。
 心の奥底でそっと囁いた言葉が、バクラの耳には届いていた。
(ったく、面倒なもんだぜ……)
 白髪の頭をぽりぽりと掻く。
 信用を獲得するというのは悪くない。そうすればより利用しやすくなる。
 だが元々盗賊王バクラとは、馴れ合いや友情とは縁の薄い一匹狼だ。
 いちいち感謝されたり恩義を感じられるのは、正直目的うんぬん以前にむずがゆい。
 それもあまり気に入らないタイプの女から向けられるとあれば、なおさらだ。
『まぁともかく、ちゃっちゃと行って済ませちまおうぜ』
 そしてそんな感情はおくびも表に出さず、バクラはかがみに道を促したのだった。
 こくり、と小さく頷くと、アスファルトの道路を進んでいく。
 かつりかつりと靴音を鳴らし、ゆっくりと北へと向かっていった。
『……つーか、防御が不安なんだったら、バリアジャケットぐらいでも着ておけばいいんじゃねぇか?』
「バリアジャケット……ああ、これに入ってる防護服か」
 左手に収められたストラーダへと視線を落とし、思い出したようにかがみが言った。
 バクラも今の今まで忘れていたが、確かにカードデッキの使えない今では、貴重な防御手段である。
『そりゃあ仮面ライダーよりは脆いと思うが、気休めくらいにはなると思うぜ』
「ええ、分かったわ」
 返事と共に、指示を出す。
 腕時計型のデバイスが発光。
 瞬時に衣服が分解され、スレンダーな素肌が露出される。
 衣服の上からは目立たなかったが、確かな膨らみを持つ2つの乳房。
 女性的なラインのウェストに、ややふくよかな印象を受けるヒップ。
 刹那の間に裸身を包むのは、あらゆる猛威を跳ね除ける奇跡の甲冑だ。
 真紅に映える長袖のセーター。漆黒のミニスカートとニーソックス。
 装着は瞬きの間に完了した。
 宿主の記憶を辿ってみれば、どうやら彼女の世界で人気のキャラクターの服装らしい。

100想いだけでも/力だけでも(修正版) ◆9L.gxDzakI:2009/09/29(火) 09:16:01 ID:Vh/mQH0A0
『ゲームキャラのコスプレか……発想は悪くねぇが、もうちょい強そうなのもあったんじゃねえのか?』
「さぁ……私も何でこれを選んだのか、よく分かんないんだけど……」
 分からないはずがない。
 バリアジャケットとは想いの形だ。自身の思い描く最強のイメージの具現化だ。
 故にその形状は、自身の意思と経験に大きく左右される。
 そして元よりこのゲームを知ったきっかけは、同じ学園に通っていた、あるクラスメイトとの交流。
 見た目には脆そうな服装であるにもかかわらず、わざわざこの形を選択した。
 すなわちそのイメージとは、未練を完全に断ち切れていないことの証明。
(思ったよりも殺し合いに向いてねぇのかもな……こいつは)
 柊かがみの未練を垣間見た盗賊王は、ほんの僅かに同情した。



 力がないのが悔しかった。
 だけど、今この手には力がある。
 仮面ライダーやミラーモンスターという武器があるし、バクラという頼もしい相棒もいる。
 だったら、もう生き残るためには何もいらない。
 この力さえあればいい。
 別世界のこなたやつかさが現れても、そんなことはもう関係ない。
 仮面ライダーと千年リングがあれば、もう仲間意識とか想いやりなんて必要ない。
 生き残るために。
 元の世界へ帰るために。

 私はこの仮面ライダーの力で、全てを薙ぎ払う。


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