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真贋バトルロワイヤル
その絆、本物?贋物?
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「う……ここは?」
堀北鈴音が目を覚ましてまず感じたのは困惑だった。
暗黒一色のそこは間違いなく自分の部屋ではないし、いくら事あるごとに試験という名の退学のかかった試練を与えてくる高度育成高校といえど、最低限のルール説明はされるし、拉致まがいのことまではしない。
(それに随分と肌寒い……これは?)
無意識に二の腕をさすると、服の下に何か装着されているのが分かった。
光源がないのでいまいちよく分からないが、後で確認すべきだろう。
今それ以外のことは、ここの床が寝るのには適さないぐらい硬いことと、ざわめき声から自分以外に何人もいることしか分からない。
(いったい誰がなんの目的でこんな……)
そう考えていると、急に鈴音の少し手前にスポットライトが降りた。
檀上に立つのは、見慣れない制服を着て、緑色の髪を床につくほど伸ばしたグラマラスな少女だ。
大怪我でもしたのか、前髪の奥から額には大きな縫い目が時折覗く。
「そうでない者たちも居るが、一応はじめまして。
私の名前は羂索。
私と同じ世界の出身者、或いは呪術を知る者には呪胎九相図を造り出した加茂憲倫と同一人物だと言えば伝わるかな?」
そう言いながら少女、羂索は前髪をかき上げると、額を縫う黒い糸を器用に外し、頭蓋の上半分を持ち上げる。
脳汁をこぼしながら露出した脳には本来ならない口のような部分がついていた。
それだけでも十分おかしいのだが、こんなに簡単に開頭がなされてしまう点も含めて彼女は異常異質と言えた。
「……」
絶句する一同をよそに羂索はしゃべり続ける。
「見ての通り肉体を渡り歩いて生きながらえる力を持っている。
この肉体……梔子ユメもかつて使った加茂憲倫同様数ある器の一つでしかない。
だから加茂憲倫でも梔子ユメでもなんとでも好きに呼んでくれ。
さて、本来異能力や異形の存在しない世界の者たちにもこの手の物は存在すると実感してもらったところで、そろそろ本題に入ろうか」
くるくると片手で弄んでいた頭蓋の上半分を戻し、羂索は告げる。
「これから君たちには我々の用意したゲームをプレイしてもらう。
形式はバトルロワイヤル。
己が存在と理想を叶える権利かけて最後の1人になるまで殺し合うんだ」
いきなりドッキリにしても趣味の悪い光景を見せつけられ、挙句告げられる物騒なゲームに動揺が広がる。
「詳しいルールは……」
「おいさっきからなんなんだよ!」
羂索の説明を遮って怒号が上がった。
するともう一個のスポットライトが降りる。
羂索の前に立つ赤い髪のガラの悪い少年、鈴音にとっては見慣れたクラスメイト、須藤健が前に出た。
「落ち着いて須藤君。
今下手に誘拐犯を刺激しても良いことは……」
「黙ってろ堀北!
どいつもこいつもごちゃごちゃ面倒な理屈押し付けやがって!
やってられっか!さっさと帰せ!」
「大丈夫?」
止めようとして掴んだ振りほどかれて尻もちをついた鈴音を横に居た青いマントの少年が助け起こした。
「ありがとう。それよりも須藤君は……」
振りほどいてステージの上の羂索に詰め寄る須藤。
詰め寄られた羂索は頭蓋を元に戻しながら盛大な溜息を吐き、
「……一人や二人居るとは思ってたさ。
けど本当に君は分かりやすいな、須藤健。
予想通り過ぎて失望すら感じるよ」
「人を舐め腐るのもいい加減にしやがれ!」
「そうよ!私はゼロを!ユーフェミア様の仇を討たないといけなにの!
さっさとトウキョウ租界に帰して!」
そう言って須藤に続いて丸眼鏡に三つ編みの地味な学生服の少女もステージに上がってきた。
「君もか、ニーナ・アインシュタイン」
心底残念、とでも言いたげな羂索はニーナに気を取られている隙に殴り掛かってきた須藤の拳を簡単に躱すと腕を捻り上げて脇腹に二発拳を叩きこみ、トドメにアッパーカットで須藤はダウンさせる。
「須藤君!」
「ぐっ……うぅ……テメェ……」
「人選への文句は私じゃなくてクルーゼか茅場に言ってくれ。
にしても本当に君は浅はかだな。
今回のゲームのために呪霊操術の肉体からこのアビドス高校生徒会長の肉体に乗り換えた分、いくらか戦闘能力は低下しているが、それでもキヴォトス人の肉体に呪力を上乗せすれば君程度の、彼風に言えばサルごとき簡単に……って、私の事よりこのゲームのルールだ。
今みたいにゲームの侵攻を著しく妨げる行為には最も重いペナルティが下る。
こんな風に!」
羂索が指を鳴らすと、須藤、そしてステージに上がったはいいが震えあがって動けなくなってしまっていたニーナの腕輪から短い電子音が鳴る。
それとほぼ同時に二人の身体にオレンジ色のノイズが走り、さっき叩きのめされたのを抜きにしても尋常ではないほど苦しみだした。
「須藤君!?須藤君しっかり!」
「梔子!そいつに……いや俺たちに何をした!?」
青いマントの少年、一ノ瀬宝太郎が羂索に怒鳴る。
「仮面ライダーガッチャードか。
君の先輩、仮面ライダーエグゼイドが戦った脅威、バグスターウイルス感染症だよ。
お集りのプレイヤー諸君には!
このゲーム特有のウイルスを投与させてもらった!
腕に装着されたレジスターには50時間分の鎮静剤が入っているが、供給の停止はこちらの合図一つでいつでも行える。
別に逆らってもらっても構わないが、ゲームその物を放棄することはお勧めしない!」
羂索が宣言する間に一通り苦しんだ須藤とニーナは景色に溶けるように消えてしまった。
後にはレジスターだけが空しく落ちる。
血も肉も何も残さずこの世から掻き消えてしまった。
「ニーナ!」
「須藤君……そんな」
鈴音と、鈴音と宝太郎の後ろに居た白い貴族服の少年が思わず声をあげる。
「バグスターだかバイスタンダーだか知らないけど、こんなことがお前のガッチャか!?」
「いいや!全ては手段。
私のガッチャは、ある意味君のガッチャと同じだよ」
「お前、錬金術師なのか?」
「いいや。私は呪詛師だ。
さて、これで私達の機嫌を損ねるとどうなるか分かっていただけたところで、他のルールを説明しよう。
君たちの持ち物は武器でないポケットに入る程度雑貨以外は全て没収させてもらっている。
我々が用意したアイテムと合わせてランダムに三つ、このリュックにいれて再配布するから、上手く使って勝ち抜いてくれ」
そう言って羂索はどこからか取り出したリュックを掲げた。
「このリュックは魔戒騎士の纏う魔法衣と同じ素材で出来ていて、生物以外はどんな物でも収納する事が出来る!
支給品と合わせて上手に活用してくれ」
そこまで行ったところで羂索がリュックを地面に降ろし、指を鳴らすと無数の宙に浮かぶスクリーンが現れ、どこかの街の様子が移された。
そこでは異形の怪物や機械の兵士が動き回っているのが確認できる。
「バトルロワイヤルの舞台、ゲームエリア内には君たちの記憶や記録からある程度の能力と容姿を再現した存在であるNPCモンスターが跋扈している。
精々無意味に死ぬことがない様に足掻いてくれたまえ!
地図やその地点での残りプレイヤーも気になるだろうが、それはゲーム開始から2時間がたったらこのホットラインが使用可能になる。
以後、ホットライン上で閲覧可能な情報は6時間ごとに更新されるから定期的に見帰すといい」
ポケットからスマートフォンに似た電子端末をみせる羂索。
そして「それから」と前置きして
「君たちの中にはその能力を十全に使えてしまうと一方的にこのゲームを勝ち切れてしまう者もいる。
なので君たちには全員、ある程度の制限を課させてもらった」
「ほう?では試させてもらうとしよう。
おい!こっちを向け加茂憲倫!」
先ほどニーナの名を呼んだ貴族服の少年が声をあげる。
羂索はデモンストレーションにはちょうどいいと判断したのか、ペナルティなどは下さず素直に少年の方を見た。
少年は両目につけていたカラーコンタクトを外し、羂索と目を合わせると
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!死ね!」
そうすることが当然であるかのように叫んだ。
しかし何も起こらない。
「え?なにやってんの?」
「可哀そうに。恐怖で頭がおかしくなってしまったのね」
ルルーシュは視線を横にいる鈴音と宝太郎にやり、鈴音の方の眼を見ながら続けて命じた。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!
今からお前は一人称を『僕』、二人称を『君』に変えろ!」
と宣言する。
一瞬立ち眩みのような物を感じた鈴音だったがすぐにかぶりを振ると
「本当にさっきから何がしたいのかしら?
君の無為で無駄な行為は周囲を混乱させるだけだと……え?
嘘でしょう今僕は……!!?」
「オーマイガッチャ!
本当に自分のこと僕って言ってる……」
(特段疲労がたまるようなこともなく使えはするか。
だがもっと強制力の高い命令だとどうなるか分からんな)
「理解してくれたようだね。
だがそれだと面白みがないのも事実。
そこで一つ救済措置がある。
右手か左手の甲にシールが貼られているはずだ。
はがして見てくれ」
そう言われて一同が手の甲を爪を立ててみると、本当に薄いシーツが張られており、その下の概ね三画で構成された赤い入れ墨が隠されていた。
「その入れ墨は令呪といって、一画消費することで99.9秒間だけゲームその物を崩壊させない範囲で本気を出せる刻印だ。
対象は自分でも他者でも、なんなら道具でも構わない。
ただし制限時間内になら乱発できるわけでもないし、使い切ると脱落になるから使いどころはよく考えることだ。
あ、元々聖杯戦争の参加者だったって人はこの限りでないし、サーヴァントも奪ってないから安心すると良い」
「つまりそのサーヴァントを持たない者は実質二回しか本気が出せない訳か」
得心がいったようにつぶやくルルーシュ。
「そしてこのゲームの決着だが、3種類ある。
プレイヤーの中から誰かひとりだけが生き残る最終勝利、我々ゲーム運営を打倒す叛逆、そして君たちプレイヤーの全滅だ。
我々を倒せるものなら倒してみると良い。
それこそが我々の観たいガッチャでもある!」
それを聞いてプレイヤーたちは何を思っただろう?
呆れか、、困惑か、あるいはそれ以外か。
「基本的に禁則事項はゲームその物を放棄すること、あるいは何もかもを崩壊させることのみ。
参加者同士でどんなことをしようと自由だ!
現実では無力の者のためにアバターの身体や、モビルスーツやナイトメアフレームをパワードスーツに落とし込んだ支給品、用意したし、御刀や仮面ライダーへの変身アイテムのように本来なら一定の資格が必要な武具もある程度敷居を下げて配り、本来習得不可能な魔法やスキルもソードスキルに落とし込んで支給した!
それに加えて!
ゲームエリアには一発逆転のエナジーアイテムまで用意した!
覚悟さえあれば、戦えないことはない!
だから思う存分呪い合え!
……失礼、少々エキサイトしてしまった。
兎も角詳しくはランダムアイテムの説明や開始二時間後で解禁されるホットラインを参照してくれ。
バトルロワイヤル、開幕!」
一斉にプレイヤーたちはゲームエリアに転送され、高笑いをあげる羂索だけが残された。
【真贋バトルロワイヤル GAME START】
【残り ??/??人】
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【須藤健@ようこそ実力至上主義の教室へ 死亡】
【ニーナ・アインシュタイン@コードギアス反逆のルルーシュ 死亡
【運営側】
ボス
〇ラウ・ル・クルーゼ@機動戦士ガンダムSEEDシリーズ
〇茅場晶彦@ソードアート・オンラインシリーズ
〇羂索@呪術廻戦
肉体:梔子ユメ@ブルーアーカイブ
【羂索@呪術廻戦】
状態:正常
服装:アビドス高校の制服
装備:なし
令呪:なし
肉体:梔子ユメ@ブルーアーカイブ
道具:見本のリュック、見本のSA・ホットライン
思考
基本:このゲームを円滑に運営する。
01:報酬に見合う程度の働きはする。
02:それはそれとしてこのゲームで人間がどう輝くかも興味深い。
03:もし二人が報酬を踏み倒すなら、その時はその時。
参戦時期:少なくとも一度は夏油傑の肉体を得た後
備考
※夏油傑の肉体ではない為、当然呪霊操術は使えません。
ただし肉体を乗っ取る術式、反重力機構、反転術式、梔子ユメの神秘の力は使用できます。
【堀北鈴音@ようこそ実力至上主義の教室へ】
状態:健康、動揺(大)、絶対遵守のギアス(極大)
服装:高度育成高校の制服(女子)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:なし
思考
基本:このゲームから生還する。
00:『一人称は僕、二人称は君を使う』
01:須藤君……なんてこと
02:羂索にルルーシュ・ヴィ・ブリタニア……。
まさか魔法が実在したなんて。
03:戻った時に何て言われるかしら
参戦時期:少なくとも髪を切る前
備考
※絶対遵守のギアスをかけられました。
異能力解除の異能力をかけられない限り一人称が僕、二人称が君のままです。
【一ノ瀬宝太郎@仮面ライダーガッチャード】
状態:正常、困惑
服装:錬金アカデミーの制服(青)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:なし
思考
基本:このゲームをぶっ壊す。
01:もし呼ばれているなら仲間を探す。
02:呪詛師ってなんだ?ルルーシュのも錬金術じゃない?
03:奪われケミー達を取り返す。
参戦時期:101体のケミーフルガッチャを達成した直後
備考
※
【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュR2】
状態:正常
服装:皇帝服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:なし
思考
基本:このゲームから生還し、ゼロレクイエムを完遂する
01:羂索、クルーゼ、茅場を知る者を探す。
02:同時並行して仲間を揃える。
03:ニーナ……必ず仇は討ってやるぞ。
参戦時期:皇帝位を簒奪した直後
備考
※絶対遵守のギアスは制限が駆けられています。
少なくとも自害の命令は令呪なしには発動できないようです。
※堀北鈴音にギアスを使いました。
彼女が能力無効化の異能力をかけられない限り、もう一度ギアスをかけることはできません。
オープニング、投下終了です。
続いてコンペ及びロワルールを投稿します。
〇このロワその物に関して
・コンペ形式です。皆さまより候補話を募ります。
・投下時には投下宣言、投下終了時には投下終了をしてください。
・オープニングで参戦が確定したキャラクターが登場するエピソードは複数話投稿されない限り、採用されます。
複数話投稿された場合は、その中から企画主が一番いいと思ったエピソードを採用します。
・基本的な禁止事項はゲームその物を放棄すること、あるいは何もかもを崩壊させることのみ。
・候補話の締め切りは9月23日の正午までとします。
皆様からの候補作、心よりお待ちしております。
〇キャラクターに関して
・公式がこの手の二次創作を禁じている場合、オリジナルキャラクターである場合を除きどんなキャラクターも登場させて構いません。
・登場させるキャラクターの上限数も特には決めません。
・キャラクターには特殊なバグスターウイルスが投与されており、装着されたレジスターに入っている鎮静剤の投与が切れると肉体の消滅が始まってしまいます。
・レジスターは運営の発する電波の届く範囲内にないと即座に機能を停止します。
つまり運営が立ち入り禁止に指定したエリアにプレイヤーが侵入すると間も無く死亡します。
・レジスターには装着者の能力をロワを崩壊させない範囲に弱体化させる機能がついている。
・プレイヤーには令呪が三画与えられ、一画消費することで99.9秒間ロワを崩壊させない範囲で本気を出せる。
・令呪全てを使い切るとプレイヤーは失格となる。
・ただし元から聖杯戦争に参加しており、最初から令呪を所持していたプレイヤーに上記のルールは適応されない。
・現実で戦う力のない者のためにゲームアバターでの参戦しているプレイヤーもいる。
〇支給品に関して
・キャラクターの元々の持ち物は武器でないポケットに入る程度雑貨以外は全て没収される。
・ロワを崩壊させ得る性能を秘めている場合でも制限を加えればどんなものでも支給して構いません。
・地図、名簿、メモなどはゲーム開始から二時間後に使用可能になる共通支給品ホットラインから確認可能である。
これはスマートフォンのような形をしており、操作感もスマートフォンと大差ない。
・プレイヤーから没収したアイテムは運営が集めたアイテムと合わせてランダムに最大三つ、特殊なリュックにいれて支給される。
・リュックは魔戒の戦士の魔法衣と同じ素材で出来ており、どんな物も収納できる。
物理的耐久の話をすると刺突に弱い代わりに衝撃に強い。
・モビルスーツやナイトメアフレームなどはパワードスーツに落とし込まれ、起動鍵を変身アイテムとして支給する。
・本来特定の条件を満たさなければ扱えない道具も敷居が下げられている場合もある。
例:特定の女性しか使えない→女性なら誰でも使える など。
・本来習得不可能な魔法やスキルを内蔵したアイテムが支給されることもある。
例:ダークリパルサー@SAOシリーズ キリト君の使ってたソードスキルが使用可能になる など
〇ゲームエリアに関して
・地図はこのようになっております。
・ゲームエリア内の建物などは自由に生やしてもらって構いません。
・ゲームエリア内にはエナジーアイテムとNPCモンスターが配置されています。
・エナジーアイテムは獲得すると一定時間対象に特殊効果をもたらします。
一覧:高速化、鋼鉄化、挑発、ジャンプ強化、マッスル化、縮小化、伸縮化、透明化、混乱、回復、分身、発光、反射、逆転、モノマネ、暗黒、幸運、終末、ランダム
・NPCモンスターはプレイヤーの記憶や記録からある程度の能力と容姿を再現した存在です。
キャラクター同様公式がこの手の二次創作を禁じている場合、オリジナルキャラクターである場合を除きどんな者も登場させて構いません。
ただしロワを崩壊させないために調整が必要な場合はそれを加えてください。
・NPCモンスターは倒すと稀にアイテムをドロップします。
・各エピソード終了時点で登場した参加者の状態表を以下のように書いてください。
・候補作では、キャラクターのいるエリア名を指定しないでください。
ただし、特殊な施設にいる場合はその事を指定しても構いません。
投下します。
綾小路清隆にとって恐怖とは縁遠いモノであった。
心無い親から生まれたからか、それとも白い掃きだめで育ったとても誇れるような生い立ちではないからか。
どちらが理由か、はたまた両方か知らないが、それでもヒトの子には違いない。
寒ければ外套を羽織り、喉が渇けば水を乞い、腹が減れば飯を食う。
彼の才能はあくまで人間の極限かも知れぬが異常であっても異端ではない。
つまり……
「動かせる駒がない」
負ける時は負けるし、得手不得手がある。
しかしチェスは清隆も普通に習得している技能の1つだったはず。
だが、戦いには兎も角、勝負には完敗していた。
「ステイルメイト。一勝一敗一引き分け。
中々やるな、綾小路清隆」
よく言う。一戦目は明らかに手加減していた上に、自分の駒が全て動かせなくなるように仕向けたのはお前だろうに。と、言いたかったが出来なかった。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア……」
白い貴族服を身にまとい、世界一の帝国の皇帝を名乗るこの男を前に清隆が感じるのは圧倒的『恐怖』だ。
奥歯が渇いて仕方ない。
水が欲しいのに胃は痙攣して何を飲んでも戻してしまいそうだ。
寒くて仕方がないのに背脇腹を伝う汗が止まらない。
自分と同等かそれ以上の頭脳、銃でもナイフでも薬物の入った瓶でも、下手をすれば素手でも秒で制圧できる距離に居ながら不敵に笑い続ける胆力。
そして何より
(オレはこいつの質問に『包み隠さず答える』ことしかできない)
この一局が始まる前。
一勝一敗の後、ルルーシュは急にこう言ったのだ。
「なあ、清隆。ここらでそろそろスリルを加えないか?
例えば『次のゲームで俺が負けなかったらお前は俺の質問に包み隠さず答えなければならない』、、なんてどうだろう?」
そう言われた直後の記憶が清隆にはない。
気が付けばゲームが始まっていた。
最初は警戒しながらも条件を『勝たなければ』に設定しないで引き分けでもいい様に予防線貼ってる当たり、精々自分と同程度の腕前と侮ったが最期。
一手一手を操られるように誘導され、ステイルメイトに持ち込まれた。
ルール上は引き分けだが、明らかにルルーシュが優勢の上で互いの駒が動かせない状態にされてしまった。
ゲームでは引き分けだが、この勝負、綾小路清隆の完敗だ。
(加茂だか梔子だか羂索だかと色々名乗っていた脳味噌女に、二度の瞬間移動。
常識外の力を警戒するだけの要素はそろっていた。
その上ルルーシュはあの場で今俺に使ったのと同じ力で脳味噌女や堀北に命令を下した場面はオレも見ていた。
なのに、まんまと術中に嵌ってしまった)
たった二回の対局で人となりを読まれ、『負けなかったら』という清隆を最も油断させる一言で警戒心をはぎ取り、チェスでは完敗を突きつける。
坂柳有栖のように知略に優れ、龍園翔のように強引。
そして一ノ瀬帆波のように人心掌握に長け、堀北鈴音のように自分の優れたる部分を疑わない。
そして目を見て命令した相手を従わせる王の力。
清隆以上の総合能力を持つと考えていいだろう。
(握った拳が開かない。
そしてこの場から全力で逃げ出す勇気すら持てない。
こんなの生れて初めてだ。
どうする?『包み隠さず答えてしまう』都合上暴力以外での勝機はほぼない。
その上に三局目の前に仕込まれた催眠術?のような出鱈目な手段まであるとなると……)
「そんなに怯えるなよ、清隆。
なにもとって食おうなんて思っちゃいないさ」
「……どうかな。
少なくとも今の手札でオレはお前に勝てない」
「クックックッ。
まるで手札さえあれば俺に勝てるかのような物言いだな。
実際そうだとしても、運も五分の状況を作るのも実力の内だ。
お前は、俺に勝てない」
「……」
「なあ清隆。
確かに碌でもない戦いこそ、勝たねば意味はないだろう。
それには全面的に同意だ。
だがお前は三局目にして俺を侮った。
勝利を条件にいれないこと聞いたその瞬間、俺のことを取るに足らないと判断したと言い換えてもいい。
その結果まんまとギアスをかけられた。
それでもお前の頭脳をもってすれば俺を倒すことも出来たはずなのにこうして引き分け。
何故だ?その理由を『包み隠さず答えろ』」
勝者の特権をためらいなく行使するその姿は正しく皇帝。
清隆は隠すだけ無駄だと思い、洗いざらい話した。
自分、父、ホワイトルーム、そして高度育成性高等学校でのこともすべて。
「(あの時ギアスをかけた女は堀北鈴音で間違いないか。
それはさておき、)お前の周りの大人は聞けば聞くほどくだらないな。
宇宙にすら食指を伸ばし、仮想の世界を現実に上書きするような術すら生み出す世界に生れておきながら、お前の父は完璧などという無駄な妄想に酔っぱらうか」
毛色や規模は違うが、嘘のない完璧な世界を本気で作ろうとした父を持つ身としては他人事とは思えないと感じるルルーシュであった。
父親とはどうしてこうも愚かなのだろう?
「ルルーシュ」
「なんだ?」
「オレの質問にも、答えてほしい。
お前はこの世界が平等だと思うか?」
「ああ。平等だとも。
生と死、そして不平等という事実などごくごく一部に限りな」
「平等に、不平等だと?」
ルルーシュは立ち上がり、まるで清隆を鼓舞するように語る。
「ああ。人間とは不平等であると同時に不完全だ。
完璧を目指してつくられたお前すら俺に引き分ける。
先天的に顎が無くて産声すら上げられない者もいる。
後天的に自力で歩けない者、目が見えない者もいる。
最期に泣けるか笑えるかも誰にもわからん。だが……」
立ち上がり、マントをはためかせながらルルーシュは続けた。
「変えることはできる!
世に絶対があるとすれば、絶対など存在しないということ!
この俺の支配すら!いつかは必ず破壊される!
ならばこの世に変えることが出来ないモノなどただの一つもない!」
ただし覚悟はいるが、と付け加え、清隆を見下ろす。
「撃って良いのは撃たれる覚悟のある奴だけ、というやつさ。
綾小路清隆!
過程はどうあれ、お前の得た力は素晴らしい。
撃たれる覚悟を持ち、お前の敵を撃ちたいと思うなら、この俺に膝をつけ。
連れて行ってやろう!
ただ流されるままに力を剥きだすだけの、部品に劣る道具のお前を、俺の勝利の為の駒にしてやろう!」
「駒だと?」
「ああ。気に食わなければ、私を撃っても構わんぞ。
プロポーションはポーンの特権だ。
それも覚悟のうえで、俺はお前を勧誘している。
お前にはあるか?
俺に途中で使い捨てられることを覚悟で、本当に欲しい物を得る気骨が。
自由を得たその先で成し得たい世界が!」
「ない。俺に情熱と呼べるなにかはない。
その点ではあの父親にすら劣る」
「それで?」
「もしそんなオレも、自由の先を、夢を得れるのか?お前の元なら」
「ああ。俺は悪逆の皇帝として今後1000年語り継がれるだけの事をしてきたが、忠義には報いる。
お前に奇跡を魅せてやろう。
この腐った遊戯の仕掛け人たちに、完全勝利をおさめて魅せよう!」
そういうとルルーシュは腰に巻いた歪な機械から光が照射され、無骨な装置が生成される。
その名もフォースライザー。
ある世界において超常の戦士、仮面ライダーに変身するためのアイテムである。
「さあ、決めろ。
俺に膝をつくか、それとも俺に剣を向けるか。
お前はどっちだ?綾小路清隆」
「オレは……」
清隆は投げ渡されたフォースライザーを拾い上げ、
「自分の夢を見つけたい。
だからお前を、いや、貴方を踏み台に高く飛ぶ!
貴方に利用される覚悟をもって、貴方を利用する!」
「では忠誠を誓え!
今より俺に対して許される返事はただ一つ、『イエス。ユア・マジェスティ』だ!」
「イエス。ユア・マジェスティ」
「良し。では往くぞ!」
「まずはどちらに?」
「テレビ局、なければ映像を配信できる設備の整った場所だ!」
今ここに、悪逆皇帝は臣下を得た。
白い覇道を突き進むために
【綾小路清隆@ようこそ実力至上主義の教室へ】
状態:正常
服装:高度育成高校の制服(男)
装備:フォースライザー
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを利用して自分の夢を掴む
00:『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアへの質問には包み隠さず答える』
01:ルルーシュに仕え、このゲームをひっくり返す。
02:堀北ら知り合いへの対処はその時次第。
03:これ(フォースライザー)は一体どう使うんだ?
参戦時期:少なくとも船上試験よりは後
備考
※絶対遵守のギアスをかけられました。
異能力を無効化する異能力をかけられない限り、新たにルルーシュのギアスの影響を受けることはない代わりにルルーシュからの質問に包み隠さず答えます。
『まず一人か。
大したペテン師っぷりだな、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア』
(ルルーシュで構わないぞ。我が共犯者、超知能アーク)
清隆を伴い進むルルーシュの脳内に直接声が、否、意志が届く。
その名もアーク。
腰に装着したアークドライバーゼロに宿りし悪意を極端にラーニングした人工知能である。
一度は人類滅亡を目論み超知能ゼアの化身たる仮面ライダーゼロツ―に敗れ消滅したアークだが、善意を極端にラーニングし、正義という仮面をかぶった別のナニカになり果てた超知能ゼインの出現に際して復活させられ、今は新たな結論の行く末を見届けるべく行動している。
ソードアート・クロニクルに組み込まれたアークは最初はルルーシュを乗っ取って行動しようとしたが、ルルーシュの自身を悪意の生贄にすることによる世界救済、『ゼロレクイエム』に興味を持ち、契約を結ぶことにしたのだ。
『これからどうするつもりだ?
まさかお前程度が変身したアークゼロとフォースライザーの仮面ライダーの2人だけで勝てるとは思っていまい』
(ああ。黒の騎士団やスザク、ジェレミアと同程度……は、流石に高望みが過ぎるが、それなりの戦力を確保する必要はある。
そして羂索やクルーゼ、茅場を知る者やゼアとの接触もか)
『情報収集のために積極的に他者を探すのは理解できるが、ゼアも探すのか?
提案した私がいうのもおかしいが、第三のシンギュラリティなど不確定要素の塊だぞ?』
(ずっと自分と手ゴマしかいなかったお前には分からないさ。
一見正反対に見える二人が手を組むと、意外にも上手くいかないなんてことはないんだぞ?)
『私とゼアの関係はお前と枢木スザクの関係とは別物だが、まあいい。
それがお前の結論だと言うなら、しばらくは付き合ってやろう』
(安心しろ。イレギュラーさえどうにかすれば俺の盤面はゆるぎない)
絶対の自信の元、ルルーシュはいつもゼロの仮面の下で浮かべていた邪悪な笑みを深めた。
【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュR2】
状態:正常
服装:皇帝服
装備:アークドライバーゼロ@仮面ライダーアウトサイダーズ
令呪:残り三画
道具:チェスセット@現実、ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:このゲームから生還し、ゼロレクイエムを完遂する
01:羂索、クルーゼ、茅場を知る者、そしてゼアを探す。
02:同時並行して仲間を揃える。
何をするにしても現状戦力も情報も足りない。
03:アークの力は最大限利用させてもらう。
にしても仮面ライダーアークゼロ、か。偶然とは思えんな。
04:まずはテレビ局、なければ映像を配信できる設備のある場所に向かう。
05:ニーナ……必ず仇は討ってやるぞ。
参戦時期:皇帝位簒奪を宣言した後
備考
※絶対遵守のギアスは制限が駆けられています。
少なくとも自害の命令は令呪なしには発動できないようです。
※堀北鈴音と綾小路清隆にギアスを使いました。
彼女らが能力無効化の異能力をかけられない限り、もう一度ギアスをかけることはできません。
【支給品解説】
・アークドライバーゼロ@仮面ライダーアウトサイダーズ
…ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュR2に支給。
人類の悪意をラーニングした超知能アークを内包するドライバー。
アークは元々真っ当な倫理観を備えたAIであったが、悪意ばかりに偏ったラーニングを重ねた結果、最初は純粋に悪意と不可分の存在である人類が地球にとって害になるという形だったはずの結論は悪意によって人類を滅ぼすという方針に切り替わってしまった。
本来はヒューマギアなどのボディを乗っ取り活動するのだが、今回はルルーシュの悪意を持って優しい世界を創る意志に同調し、依り代を支配してはいない。
仮面ライダーとしてはエボル・ブラックホールフォームをも上回る基礎スペック、荷電粒子砲、液体金属を用いた変幻自在の攻撃、対消滅フィールドを用いた防御、各種センサーにハッキングなどの電子攻撃、数億通りの事情に対する結論を導き出すラーニングと情報分析、人間の脳波への干渉、挙句の果てにビームエクイッパーによる物体精製によりデータを読み込んだ武器どころか変身アイテムすら精製可能。
だが最も恐ろしいのは容赦なく悪意に満ちたアークの意志その物である。
・チェスセット@現実
…ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュR2に支給。
持ち運びができるタイプの小さなチェスセット。
駒の底と盤面に磁石が仕込まれているので、軽く手があった程度では駒が倒れない。
盤面は真ん中で折り畳めるようになっており、その内側に駒をしまう事が出来る。
投下終了です。タイトルは、オレが最強の仮面ライダー です。
@wikiさんの方で、ウィキを開設しました。
執筆のお役に立てれば幸いです。
h ttps://w.atwiki.jp/sinjitsurowa/
投下します
ロロ・ランペルージにとって兄とは、ルルーシュとは法にして正義である。
ただ監視のために本来のルルーシュの家族であるナナリーの立場を奪って得た弟という仮の身分でありながらそのような感情を持つに至ったのは、彼がそれまでギアス嚮団という秘密組織に暗殺者として良い様に使われてきたからだろう。
殺しばかりの自分の人生に降って湧いた平穏な時間。
優秀なくせにサボり魔で、悪友と共に賭けチェスや賭博に繰り出し、その一方で家族思いで家計簿つけてるほどの主夫で料理上手。
ロロにとってこれほど充実した時間をくれる相手は居なかった。
兄は、ルルーシュはロロを人間にしてくれたのだ。
だからだろう。
組織から排外される兄を庇って死ぬその時、自分を弟と認めてくれた一言で本当に満足だった。
だからこそ
『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!』
こんな催しに兄を巻き込んだ羂索たちを許すという発想はロロになかった。
必ず兄を生還させる方法を見つけ出し、全員を引きずり出して親兄弟に至るまで殺してやろうとすら思っている。
(そのためにはもっと武器を見つけなきゃ。
KMFは使えるしギアスもあるけど、前みたいに一方的に追い立てられるなんてことがあればかなりキツい)
前は相手の体感時間を止めれる代わりに自分の心臓も止めてしまう『絶対停止のギアス』をフルに使って兄を逃がせたロロだが、兄の『絶対遵守のギアス』が制限されているというなら、一方的な攻撃を可能にするロロのギアスも制限されているのだろう。
ならば武器はもっと必要だ。
(そして僕が上手くできるか分からないけど、仲間、それが無理ならせめて協力できる味方が必要だ)
最期に兄を託したマーヤ・ガーフィールドの様な味方が。
いや、流石に能力的な部分は余程足手まといにならない限り高望みはしないが。
(考えろ。
兄さんはギアスを使わないで味方を得ようと思ったらどうする?
人を信用させて、僕みたいに命をなげうつほどってのは難しけどせめてそう簡単に見捨てないと思わせるには……)
そう考えていると、ロロの視界に女の子が一人映った。
背は低く、白い髪を短く切りそろえており、手には日本刀を持っている。
戦闘慣れしているのはどうかは体運びからも分かるが、ロロの眼には風が吹いたら折れてしまう程頼りなく映った。
(……そうか。そうだそうだ!
僕が兄さんにしてもらったようにすればいいじゃないか!)
天啓を得たロロは支給品のKMFの起動キーを懐に忍ばせると、早速残る支給品を使って策を練り始めた。
糸見沙耶香は無心の刀使である。
刀使とは荒魂と呼ばれる存在を鎮める巫女であり、御刀と呼ばれる特殊な剣を振るい、写シを始めとした超常の特殊能力も有する。
だが沙耶香はそれだけであった。
心無き剣士。ただひたすらに命じられるままに敵を屠る。
彼女の御刀、妙法村正の前任者、高津雪那に命じられるままに戦い続けてきた彼女だが、いざ完璧な刀使となるべく人体改造を受け入れようとした時、初めて抵抗した。
自分が自分で亡くなるのだけは怖かったのだ。
そして、友達になったばかりの柳瀬舞衣に頼ろうとしたその時、このゲームに巻き込まれた。
(私に、人を斬れっていうの?)
あの羂索とかいう怪人が自分に求めているのは、多分そうゆう事だろう。
高津学長と同じように、最強の戦闘機械(キラー・マシン)としての働き。
効率的に敵を倒す為だけの無心の……。
(嫌だ)
あの時舞衣や衛藤可奈美がくれた温かさを手放したくない。
だが、このゲームはそんなことを許してくれるだろうか?
「ッ!」
などと考えていると、沙耶香の足元に弾痕が生じた。
御刀を手に写シを張りながら一歩下がる。
現れたのは、白いバトルスーツと薄い緑色の鎧で全身を覆い、顔もフルフェイスの仮面で隠した鎧武者だった。
仕込み銃付の片刃剣と大盾を持ち、こちらを静かに見ている。
ヘルヘイムの浸食を受けた世界にて、アーマードライダー斬月と呼ばれる戦士である。
「……」
「……」
得意のスピードで一気に距離をつける沙耶香。
手にする武器は愛刀の妙法村正ではなく孫六兼元。
あの柳瀬舞衣の御刀だ。
刀使としての特殊能力は使えても本領発揮からは遠い。
「!」
盾に体を隠しながら斬月は堅実に守り、斬り、時に撃って来る。
攻守整った斬月は持久戦に強い。
対してスピードでの攪乱、集団戦での遊撃手を本領とする沙耶香では攻めあぐねる。
実際に斬月は沙耶香と同じ機動性の高い上に高性能の斬月・真相手に変身者の実力の差もあり対抗出来たこともある。
<イヨ〜!メロンスカッシュ!>
盾で隠した太刀筋から高エネルギーを纏った斬撃が放たれる。
飛びのいて躱す沙耶香だが、掠っただけで写シが剝がされてしまった。
写シは刀使の基礎技の1つ。
自分自身に身代わり状態を付与する能力である。
人によっては一度剥がされても再度張れることもあるが、沙耶香はスピードを追求し過ぎた弊害か連続して写シを張れない。
(まずい!)
「ふっ!」
沙耶香の顔に焦りが浮かんだ。
それを見て斬月は勝負を決めようとするが、頭上から現れた新しい人影に足を止めた。
(ロボット?)
黒いボディに金色の装飾を持つそのナイトメアフレームの名は零陽炎。
黒の騎士団のトップ、ゼロの専用機である。
巨大ファクトスフィアや腕部のグレネードランチャーなどの強力な装備を有している。
搭乗、否、チェンジしているのは当然ロロだ。
闖入者を前に斬月はさっき以上に盾に体を隠し、零陽炎と沙耶香から見て左に走る。
『逃がすか!』
アサルトライフで銃撃するロロだったが、斬月はメロンディフェンダーを防御ではなく大きく後方に向けてぶん投げると、それを足場に二段ジャンプで近くの建物屋上に飛び乗る。
一度だけ零陽炎と沙耶香の方を振り返ったが、そのまま屋上や屋根を伝って撤退していった。
「大丈夫?」
「……」
斬月が居なくなったのを確認し、ロロが振り返りながら尋ねる。
沙耶香が小さく頷くと、ロロはチェンジオフし元の少年の姿となった。
「モビルスーツ?それともナイトメアフレーム?」
「後者だよ。
当たりアイテムが配られて良かった。
君を助けることも出来た。
僕はロロ・ランペルージ」
「糸見、沙耶香」
「よろしく沙耶香」
刀を納めた沙耶香を見て、ロロは内心ほくそ笑む。
(よし。正直、あまりいい気分はしないけど兎に角成功だ!)
ガウェイン以外のロロの支給品は仮面ライダー斬月に変身するための戦極ドライバーとメロンのロックシード。
そして歴代ハサン・サッバーハの力を引き出せるクラスカードであった。
使う者によって歴代のどのハサンの力が使えるか分からないカードではあるが、ロロが引き当てたのは百貌の二つ名と共に伝承されてきたハサンの力であった。
多重人格による先鋭化された多芸を本懐としたこのハサンの力は分身として発現する。
ロロはカードで作ったもう一人の自分によるマッチポンプを行ったのだ。
さながらグラストンナイツを利用してロロの信頼を勝ち取ったルルーシュのように。
(このままこの子の信用を得て味方にする)
その為にロロは情報交換を提案し、近くの民家に入る。
お茶を用意し、沙耶香の身の上を聞き出すべく、親切にふるまうことにした。
「お砂糖入れる?
ジャムもあるからロシア紅茶にも出来るけど」
「ロシア紅茶?」
「ジャムと一緒に紅茶を飲むんだ。
甘くておいしいよ。やってみる?」
「……うん」
ジャムごと紅茶をすくったスプーンをふーふーと息を拭いて覚ましながらちびちびと飲む姿は、元々ちょっと困ってるような顔つきなのも相まって庇護欲をそそる。
少しだけ、ほんの少しだけルルーシュがナナリーをかわいがる理由を知れた気がするロロだった。
「沙耶香は今中学生?
歳の割には戦い慣れしているように見えたけど、誰かに習ったの?」
「私は、刀使だから。
ロロは外国人みたいだし、しらない?」
「トジ?」
ぽつぽつと語られる沙耶香の身の上にロロはギアス以外にも存在した異能力や怪異に驚きながらも、最も重要な沙耶香のパーソナルを分析する。
(間違いない。この子は僕だ。
兄さんの弟になる前の僕で、今の僕でもある。
そして何より、ナナリーになろうとしている子でもあるんだ)
糸見沙耶香という名誉ブリタニア人(学生服姿でイレブンの名前だからほぼ間違いないだろう)は甘い紅茶と柳瀬舞衣とかいうイレブンの事を話す時だけ眼に光が宿る。
きっともう少し一緒にいる時間が長ければ、舞衣はこの子の『姉さん』になっていたんだろう。
……正直少し心苦しく感じるが、ロロにとって優先すべきは兄であるルルーシュのみ。
ルルーシュの為にも斬月とあれだけ戦える沙耶香を手放す理由はない。
(この子に離れがたい温もりを与えて、僕がこの子の『兄さん』になる!
そしてもしその時が、兄さんの為に使い潰さなければならない時が来たら、迷わず使い潰す!ボロ雑巾のように!)
自身の心をチクチクと蝕む決意は、意図せずルルーシュがグラストンナイツを利用してロロに信頼を植え付けたのと酷く似ていた。
【ロロ・ランペルージ@コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズ】
状態:正常、罪悪感(中)、羂索たちへの殺意(大、今は冷静)
服装:アッシュフォード学園の制服(男子用)
装備:零陽炎の起動鍵@コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズ
令呪:残り三画
道具:ホットライン
思考
基本:兄さんを生還させる。
01:兄さんをこんなことに巻き込んだ連中は皆殺しにする。
02:もし他の黒の騎士団や邪魔者が居れば、殺す。
03:沙耶香にも舞衣にも悪いが、沙耶香最大限利用するために『兄』を演じる。その時が来たら使い捨てる。
04:分身は折を見て回収する。
ドライバーは、どう処分しようかな?
参戦時期:死亡後
備考
※クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid linerで作った分身に戦極ドライバー(斬月)+メロンロックシード@仮面ライダー鎧武を持たせました。
分身はロロの命令には従います。
※刀使に関するある程度の情報を得ました。
ロロ・ランペルージと話して、糸見沙耶香が感じたのは多分羨ましいという思いだった。
ロロは、あまり会話慣れしていない。
どこか手探りで、同姓ともあまり会話がないのでは?と思えるほどだ。
だが兄の、ルルーシュの話となるとどこか饒舌になり、目には光が宿ったように見える。
(もし、あのまま舞衣に連絡出来たら、私もロロになれたのかな?)
ガウェインの起動鍵を弄びながらルルーシュとの思い出を語るその姿は、満ち足りている。
空っぽの自分とは程遠い。
(私は、ロロみたいになりたいのかな?)
「ねえロロ」
「なに?」
「そのルルーシュって人の事、本当に大事なんだね」
「勿論。たった一人の兄さんだ」
「そっか。いいな」
「……沙耶香にもきっとできるよ。
舞衣は良い子なんだろう?また会えた時に友達になれるさ」
「そうかな?」
「そうだよ。僕が保証する」
そう言って柔らかに笑ったロロに少しは信じていいかもしれないという気持ちを感じながらも、その顔に影が差しているようにも見えた沙耶香だった。
【糸見沙耶香@刀使の巫女】
状態:健康、疲労(小)
服装: 鎌府女学院の制服
装備:孫六兼元@刀使の巫女
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:未定。でも人を斬るつもりはない。
01:ロロのこと、多分羨ましい。
02:あの白兜(斬月)には注意する。
03:舞衣の御刀……もしかして舞衣もどこかに?
04:舞衣や可奈美とまた会えたら、ちゃんと友達になりたい。
参戦時期:高津雪那に冥加刀使にされかけて脱走した後
備考
※ロロから少しだけコードギアス世界に関する情報を得ました。
【支給品解説】
・零陽炎の起動鍵@コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズ
…黒の騎士団が開発……出来なかった幻のナイトメアフレーム。
武装はアサルトライフルに腕部グレネードランチャー、チャフスモークなど。
指揮官用のワンオフ期として完成する予定であったが、それ以前にガウェインが鹵獲されて運用されることとなったためお蔵入りになった。
後に蜃気楼の原型になったと思われる。
・クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid liner
…ある世界の聖杯戦争にてピトスの泥を用いて作られる魔術礼装。
正式名称はサーヴァントカードといい、カードを英霊の宝具に変身させる限定展開(インクルード)と自身に英霊の力を降ろす夢幻召喚(インストール)の二種類の使い方がある。
山の翁と呼ばれる英霊たちの座に繋がっており、使用者によって引き出される英霊の力は異なる。
ロロの場合、百貌の二つ名を持つ英霊の力を引き出せる。
・戦極ドライバー(斬月)+メロンロックシード@仮面ライダー鎧武
…メガヘクスが葛葉紘汰の記憶を元に複製した戦極ドライバーの1つ。
そのせいか戦極ドライバー共通の機能は問題なく使えるが、量産型と初期型の特性が混在している。
見た目は初期型の改修版と同じでカラー有のフェイスプレートと銀色のベルト。
イニシャライズ機能はあるが誰でも使える。
ロックシードの方は高司舞が創ったヘルヘイムの実から生成された物で、メガヘクス製ではない。
・孫六兼元@刀使の巫女
…珠鋼という特殊な金属で出来た日本刀、御刀の一種。
適合者は柳瀬舞衣。
御刀は一部例外はあるが正の神性を持ち折れたり錆びたりすることがないく、適合者は御刀に触れた状態であれば写シや迅移などの特殊能力が使えるようになる。
当ゲームでは女性ならば刀使や適合者でなてもある程度その力を引き出せる。
投下終了です。タイトルは 偽り の 信頼 です
投下します
ロゥジー・ミストという剣士にとって、殺し合いであろうやるべきことは変わらない。
親愛なる姫テルティナ様の元に帰るという事が彼にとっての最優先条件。
魔力を持たないがため、忌み子と迫害され蔑まれ、唯一の拠り所となる姫と出会うまで孤高であり孤独であった勇者。
「あらあら、面白いものを持ってるわね?」
その勇者が、政権を構えて一体の修羅と対峙している。
神像をも超えると思わしき美麗さたる純白の躯体。
修羅はびこる世界における最強種である竜(ドラゴン)、その一体。
ロゥジーの保有する王家の聖剣はたとえ持ち主だろうと魔力を無差別に吸収する。魔力を持たない特異体質であるロゥジーだからこそ扱えるのである。
白竜もまた、その聖剣の異質さを察知し、その口元を喜びで歪ませてる。
魔力を吸い取られるような感覚は、白竜にとって未知の経験。
未知の世界、未知の催し。未知の相手。
自分の知らないもので構築されたこの舞台は、白竜(かのじょ)にとって何者にも優る喜び。
「お前が何者かはわからんが、殺すことを楽しむような魔物には」
「魔物? この私をただの魔物よばわりだなんて。今まで長く生きてきたけれど、こんなおばあちゃんにそんな口を利くなんて、礼儀知らずでも強いのならわたしは気にしないわ?」
白竜が勇者を襲った理由など、興味本位の一言。
その興味本位の行動が多少はできる相手を引き当てた。
勇者を名乗ったこの男に、興味を持った。
「その面白そうな武器なら、私の身体に傷をつけられるかもしれないわ。うふふ……」
「………貴様は」
手足の爪先を含めた全身が凍えるような感覚。
ロゥジーが今まで感じたことのない、初めて出会う強者によるプレッシャー。
絶対零度を体現するかのような白。
「だから、退屈させないでね?」
「貴様を退屈させるつもりも、そして俺はここで無様に死ぬつもりもないっ!」
それでも、ロゥジー・ミストにとって、戻るべき居場所がいる。
自分を孤独から掬い上げてくれた姫様と、旅の最中で出会った絆バカとその付添いの魔導士。
第一優先は姫様であるが、これを野放しにしておけば、仮にこの場に姫が巻き込まれていたという最悪の想定の末に、姫の死がこの白竜によって齎される可能性。
そんな事、あってはならない。絶対に。
「うおおおっ!!」
聖剣の形が変わる。勇者が炎を纏った大剣を振るう。
第二聖剣「核熱怒業(ドラグラース)」。七つの聖剣の融合体たるこの神器は、七つの姿形を持つ。
核熱怒業(ドラグラース)はその名の通り熱を纏う業炎の一撃。
大振りながらも振り下ろされた一撃は、鋼鉄が弾かれた音と共に、ドラゴンの鱗によって防がれた事実を示した。
「ウッフフフフ!」
「微動だにもしないか!」
燃え盛る大剣は防いだ、だがそれを片手で難なく振るうロゥジーに白竜は期待を隠さない。
白竜が軽く爪牙を振るう、爪牙が大剣に掠り、その衝撃だけでロゥジーの身体が飛ばされた。
「……ッ、ならばこれはどうだ!」
再び、聖剣の形は変わる。第五聖剣「飢生疾風(グラトシルフ)」。
正しく刃の暴嵐。蜘蛛の巣に等しいナイフの濁流が白竜を飲み込もうとする。
竜の白翼がはためき、刃の嵐は竜を傷つけることなく四方八方へと飛散する
その隙間を縫うように、三度聖剣を変化させたロゥリーが接近していた。
「隙を見せたな。その余裕が命取りだ!」
「面白い、面白いわね!」
第三聖剣「羨姫絶響(エンヴィーネ)」。生物を体内より破裂させる水の糸。
白竜が盾にした竜鱗の一枚が、水の糸が打ち込まれたと同時に破裂する。
「すごいわあなた。あなたに目をつけたのは間違いじゃなかった! もっと、もっと楽しませて、名も知らない強きあなた!」
「目をつけられた俺からすれば迷惑千万極まりないがな!」
白竜の歓喜の感情が、そのままプレッシャーへとなったそれがロゥリーの身体を突き抜ける。
喜び、楽しさ。正の感情そのものが殺意として襲いかかる感覚。
この白竜は、生粋の戦闘狂(バトルジャンキー)だ。
「だったら見せてみろ、楽しみたいというのなら俺に得意の一撃を与えてみせるがいい!」
この白竜は圧倒的に強い、だが付け入る隙が無いわけじゃない。
第三聖剣の力は、少なくとも堅牢と思われた鱗を破壊した。
だが鱗一枚一枚を破壊し続ける、という手段を相手がいつまでも許すわけがない。
「ウッフフフフフフ! じゃあ、あなたも私に最高の技を繰り出してみなさい! 私も真っ向から迎え討ってあげるわ!」
「自分から敗因を作ろうとするとは、だがこれで俺が勝てる道筋は見つかった!」
うまく挑発に乗ってくれた。白竜は喜びの声を浮かべ、その口を大きく開く。
「口を開く」ことが大技の条件なのか、息吹(ブレス)の類だろうと予想しておいたのが功を奏す。
「一つの力で足りないなら、二つの力を合わせて!」
聖剣の姿が変わり、水を纏い、回転する突撃槍として白竜の口元へと迫る
第三聖剣「羨姫絶響(エンヴィーネ)」+第六聖剣「星蝕浄咬(ラストノワール)」の合体技。
第六聖剣の突破力と第三聖剣による内部破壊。
そして口元へ突っ込んでそのまま突き破る、たとえ運悪く飲み込まれようがそのまま破裂させてしまえばいい。鱗がどれだけ硬かろうと、中身までは硬いはずがないのだから。
たった一呼吸、その隙さえあればそれでよかった。
c o c h w e l n e
「【コウトの風へ】」
清澄なる声が、勇者の耳元に響く。
一呼吸の隙間さえあればいい、それはロゥリーだけではない。
竜(ドラゴン)の息(ブレス)は、一呼吸の動作だけでいいのだ。
そんな事は承知の上。だから突破力に長けた第六聖剣をロゥリーは選んだ。
多少のダメージは覚悟の上、それでもこの白竜は倒さなければいけなかった。
これを生かせば、愛しの姫様だけでなく、あの絆バカであるトーゴにまで被害が及ぶ。
彼の事は好きではないし気に入らないが、今となっては嫌いでもなくなった。
それに、彼が死んだから悲しむ人間もいる。自分が死んだから姫様だけでなくそいつも悲しむだろう。
いつの間にそんな甘くなってしまったのかと思いながらも、そんなロゥリー・ミストが紡いだ「絆」から生まれた一撃が、白竜へと迫る。
白竜は、何も動じない。
老耄した自分が珍しく相手の挑発にのったという事実が、感慨深いものだと感じたこと以外。
そしてこの勇者は鳥竜(かれ)よりも弱い。だがうちに秘める"熱さ"は、鳥竜(かれ)に似ていたと思ったから。
これは感謝であり、一つの返礼である。
いざ刮目せよ、季節なき世界において、季節の一つを異名と冠した竜の、その白き終焉の息吹を。
c y u l c a s c a r z
「【果ての光に枯れ落ちよ】」
――世界が/視界全てが/裏返る
勇者が最後に目の当たりにしたのは、"白"だけだった。
■
白く砕けた残骸だけが、竜の眼前に広がっている。
純白に染まった戦火の痕跡の上に、真なる静寂の世界の中心に竜が立っている。
「――とても、とても楽しかったわ」
感謝の言葉。自分が殺してしまった歴戦の勇士へ捧げるもの。
この場に竜だけしかいない。この戦場の影に潜んだ凶暴なNPCは竜の息一つで死滅した。
竜の息吹は、絶対零度を齎すそれは物理的な破壊ではなく、ただ極限まで冷やすという現象にて万物を崩壊させる。
だが、この息吹は簡単には披露しない。相手するべき相手に魅せるもの。だが彼女はその息吹を披露した。
彼女は名を知る前に殺してしまった、ロゥリー・ミストという勇者に魅せられた。
魅せられたのだから、敬意を持って応えた。
「でも、これだけじゃないのでしょう? ケンジャク?」
期待を込めた声が、白の世界に木霊する。
彼も素晴らしかった。ならば他にも自分を満たす英雄がいるのだと。
あの鳥竜に、星馳せアルスにも匹敵する、もしかしたら自分以上の力を持つ誰かと巡り会えるかもしれない。
多少途中で退屈するとしても、その可能性が生まれただけで値千金の価値は出来た。
「ルールは出来る限りは守るわ。でも守りさえすれば好きにしてもいいってことよね。楽しみだわ、ああ、待ちきれないわ! 次はもっと素晴らしい戦いが待っているのでしょう!?」
羂索には感謝しても感謝しきれない。
こんな素晴らしい舞台に招待してくれた。
幾千もの英雄に巡り会えるかもしれない機会を自分にくれた。
白く染まった世界にて、彼女の瞳に映る景色はどこまでも輝いていた。
壊された一枚の鱗が、彼女が何より望んだ未来の一つだった。
「ああ、本当に楽しみ。次に巡り会える出会いが!次の戦いが! 次の英雄が!」
その竜は高らかに喜んだ。おもちゃを貰った子供の歓喜のようだった。
ここは異なる修羅たちが集う大地、英雄も反英雄も怪物も集う混沌という可能性の空の下。
「ウッフフフ、ウッフフフフフ!」
死滅の白の上に、竜が未来に、可能性に喜び、笑っていた。
□
それは、極限の絶対零度をただの一息にて実現する白き災害である。
それは、数多の英雄を殺し尽くした最強種の頂に君臨する生物である。
それは、季節なき世界にて「冬」の名を冠する英雄にて怪物である。
この殺し合いにおいて、永久氷獄(ニブルヘイム)の災禍を容易く撒き散らす、白き死(おわり)の象徴である。
凍術士(サイレンサー)。竜(ドラゴン)。
冬(ふゆ)のルクノカ。
【冬のルクノカ@異修羅】
状態:健康、歓喜、羂索たちに対する感謝
服装:なし
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3
思考
基本:この殺し合いを楽しむ、喜びのままに(一応ルールは守る)
01:英雄と出会ったら戦う
参戦時期:「第二試合 その4」終了後
備考
※凍術にロワが崩壊しない程度の制限が駆けられています
投下終了します
タイトルは「ホワイトレクイエム」でお願いします
早速候補話をありがとうございました!
どちらも見把握の作品ですが、仮にも皇国最強騎士を制限付きで倒せる冬のルクノカは強敵ですね!
wikiの方でロゥリーの死亡表記だけ追加して収録させていただきました
企画主の伊勢村です。
開始して早々ですが、一つルールを追加させていただきたいと思います。
・ディスコードチャンネルにて候補話の代理投下を受け付ける。
です。
皆さま、どうぞ振るってご応募ください。
ディスコードチャンネルのコードは、伊勢村が勝手がわからず間抜けにも頭の方でくっつけてしまったメアドがあるのでそちらから連絡いただければお教えいたします。
投下します
狭い路地から甲高い鉄のぶつかり合う音が響く。
此処が殺し合いの場であれば、これが剣戟の音だと気づくものは少なくないだろう。
狭い路地で攻防を繰り広げているのは、どちらも子供の姿をしていた。
マインゴーシュと聖杯のような杯を持った金髪の少年と、茶色の制服に身を包んだ薄紫の髪の少女。
西洋と和洋の得物を持った二人は、開始からほどなくして刃を交えながら会話をしていた。
「アハッ! いいね! おにーさんすごい立ち回りだね!」
左手に聖杯を持っていて何をするのかと警戒するも、
相手は剣術だけじゃなくて体術も使って対応してくる。
回し蹴りを華麗に避け、低姿勢からの無数の突きが飛び交うもすぐに後退し無傷で済ませる。
(なんて強さだ。膂力も剣筋も素人じゃない。天才のそれだ。
相当な鍛錬を積まなきゃここまで卓越した剣術はできないはずだ。)
彼女と出会って早々に彼、月島劉都は襲撃に遭っていた。
相手が一体どんな理由で襲い掛かってきたのかは定かではない。
単に殺し合いに乗っているのか、錯乱しているのか。発言から前者よりに近いが。
迫ってくるのであれば対応せざるを得ず、自身が持つ力、カタルシスエフェクトを以って応戦していた。
彼が握ってる二つの得物は、その力の発現によるものだ。
「ほら、守ってばかりじゃなくておにーさんも攻めてよ!」
先ほどから劉都は察してることだが、遊ばれている。
彼は元々頭がいい。ギフテッドとして悩み、ある仮想世界へ招かれるぐらいに。
だから分かってしまう。彼女は全然本気で戦っていない。実力を測ってる最中だ。
故に此方も本気では戦わない。本気で戦えば手の内をさらし、余計に不利になるだけである。
手の内を晒さないとなれば彼に勝ち目がない? 否。彼は逃げながら探していた。
「高速化、これか!」
会場中にばらまかれているエナジーアイテム。
その中でも最も今に適したアイテム、高速化のエナジーアイテムを、
ルールを速読していた劉都はこれを得るために走り続けていたのだ。
手にした瞬間身体が軽くなる。普段から回避を専念していた身ではあるので、
その敏捷性は格段に上がり一気に距離を取ることに成功する。
「そんなのに頼らないといけないなんて、おにーさん……ひょっとして弱い?」
「な───」
高速化で移動速度を上げたはず。
今ならば車でも今の速度であれば振り切れなくはないはず。
にもかかわらず、少女は並走してきていた。
それもそのはず。少女、燕結芽は刀使なのだ。
手にした御刀から得た力を使うことで迅移という高速移動を可能とする。
本来ならば選ばれた御刀でなければ行使することはできないはずなのだが、
何故か結芽が所属する親衛隊の一人の御刀、薄緑でも発揮することができた。
理由は分からないにせよ少し興ざめといった表情で劉都を見やる結芽。
バッと劉都が距離を取ると、同じように結芽も距離を取る。
「アハッ、やる気になった?」
「……ならないな。俺らには殺し合いをする理由がない。」
「んー、まあ結芽も殺し合いには興味ないかも。」
顎に指をあて、空を眺めながら答える。
思いもよらぬ答えに、少しばかり戸惑う劉都。
「殺し合いに興味はないなら、なぜ俺を狙う。」
「だっておにーさん、開始早々周囲の警戒をして武器を出したでしょ?
それに焦ってない。おにーさん、相当場数を踏んでると思ったんだ。」
そして襲ってみれば案の定対応してきた。
防御に徹しながら逃げの手段を得て逃亡を図った。
並みの一般人ではこうはいかないだろう。
だからワクワクしている。手の内を晒してない相手だ。
本気を出して戦って、そんな彼に勝てばもっと強くなれると。
「つまり、アンタは戦えればそれでいいのか?」
「そうだよ? 結芽は強い人と戦いたいの!
ナイトメアフレームとかが何かは知らないけれど、
一般人だって強くなれる場所なんて夢みたいな場所なんだ!
結芽にとって、最期の場所として楽園みたいな場所だよ此処は!」
「最期って……あんたも病を抱えているのか?」
「隠すほどじゃないからいっか。そうだよ。結芽はもう長くないよ。」
「長くはない、か……」
またか、となった。
医療ミスで足を動かせなくなったクランケ。
寝たきりの生活を強いられている水口茉莉絵。
それどころか目の前の彼女に至っては余命僅かときた。
こんな場所でも重症患者に出会うとは思いもしなかった。
医者ならばさじを投げたくなるところだろうが、
「───治せる手段があるといったら、どうする?」
彼は投げない。
投げれば彼が否定した駄目な大人と変わらないから。
医者を志した彼は、いい意味で諦めの悪い少年へと育った。
それはひとえに帰宅部の、特に部長のお陰だろう。
「結芽の病気、医者も諦めたぐらいなんだけど。」
皆離れていった。期待していた人たちも、親も、誰も彼もが。
唯一の拠り所は折神紫と、その親衛隊がいるあの場所だけだ。
だから彼の言う治せる手段にも大した期待はしていない。
「具体的な根拠はない。
だがこの舞台では少なくとも、
俺が知らないような技術や異常事態が起きている。
それなら、アンタの病状を緩和か回復できるものだってあるかもしれない。
もしかしたら、エナジーアイテムの回復で治せる可能性だってありうることだ。」
「おー、なるほど。」
言われてみればと手をポンと叩く。
脳をあんなふうに空けられる人間は普通はいない。
こんなふうに高速移動ができる人間は普通はいない。
理想の世界なんてものにいた劉都もまた、異常事態の経験者だ。
「俺は無駄なこと、ひいては非効率は避ける性分だ。
だからその病気を治す手段を見つけたら、俺に協力してくれ。
この殺し合いを止める。止めるために俺の指揮下に入ってもらう。」
「それまでの間は?」
「逆にアンタに協力する側になる。
戦ってる最中に邪魔が入らないようにするぐらいしかできそうにないが。」
対価が随分安いものだと結芽は少し不満そうになる。
別に群れないのであれば複数が相手だって困らないのだから。
しかし、もしも病が治せるのであれば。戦いそびれた千鳥の刀使と本気で戦える。
病なんか気にせず戦えるというのは、とても魅力的な提案だった。
「んー……じゃあ暫くの間だけならいいよ。
結芽が『それはない』って諦めがついたら決裂ってことで。」
劉都の言う通り当てもなければ根拠も今一つ。
本当に治せるかどうかが分からないまま、満足に死ねない。
そちらの方が彼女にとってはよほど深刻な問題である。
「それでも構わない。まずは試しに回復のエナジーアイテムを探そう。
どんな病状かわからない以上、余り期待できるものではないが試すだけ試すのがいい。
回復する量も今後の参考になるかもしれないからな。」
「はーい。」
かくして、二人の天才の戦いが始まる。
互いに才能を持ち、そして呪われた者同士による。
【月島劉都@】
状態:高速化(時期に切れる)
服装:リドゥでの制服
装備:カタルシスエフェクト(マインゴーシュ、聖杯)
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:この舞台からの脱出
00:彼女(結芽)を治す方法を探す。
01:ほかの部員、あるいは学士はいるのか?
参戦時期:少なくともエピクロスの塔でドクトルを倒した後。
備考
※カタルシスエフェクトは問題なく発動できます。
※部長とのコミュは10です。
【燕結芽@刀使ノ巫女】
状態:不治の病
服装:折神親衛隊制服
装備:薄緑@刀使ノ巫女
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜2、SA・ホットライン
思考
基本:強い人と戦いたい
00:おにーさん(劉都)の提案にしばらく乗ってあげる。
01:千鳥のおねーさんもいるのかな? それとも親衛隊のみんな?
参戦時期:少なくとも4話以降
備考
・薄緑@刀使ノ巫女
珠鋼という特殊な金属でできた日本刀。御刀と呼ばれるもので、本来の適合者は獅童真希。
当ゲームでは女性ならば刀使や適合者でなくてもその力を引き出すことが可能(十全かは不明)
以上で投下終了です
投稿します
かつて少年は両脚が無かった。
それに加えて皮膚は月明かりに焼かれるほど脆く、外に行くなど夢のまた夢。
傀儡を使役する術式を持ち得なければ外を知る事すらできなかったかもしれない。
そんな彼の生まれ持った呪縛には類稀な呪術師としての才能という対価があったが、彼に言わせれば余計なお世話。
それを捨てて肉体が健全になるなら喜んでそうすると断言するレベルで苦痛に満ちた毎日を17年過ごして来た。
しかし彼は悪しき呪いたちに取引を持ち掛けられ、協力の見返りとして魂レベルの整形の末に健康な肉体を手に入れた。
そして自分の罪を清算し、仲間たちを守るべく自信を治した呪いに勝負を挑んだが負けた。
……はずだったのだが最悪の三人組に死してなお道化としてよみがえらせられた。
(一体一体は大したことがないはず!
だが、これが生身の身体を動かす感覚っ!
東堂たちはよくあんなに動けるものだ!)
そんな彼は今、大正風のもだんな街並みが並ぶエリアにて、ダスタードと呼ばれるシノビのような恰好をした怪人たちと戦っている。
少年の名前は与幸吉。
所属は呪術高専京都校。
支給された蛮刀・毒泡沫を振るい、向かってくる敵を斬る。
(そろそろきついな)
恐らくは準一級の呪具と同等程度の毒泡沫に、魂に干渉する呪霊、真人による根本的な治療により取り戻した肉体をもってすれば撃退だけなら容易い。
だがこうも数が多いとそう余裕はない。
健全な肉体を得たばかりという事は、生身の戦闘は文字通り生まれて初めてなのだ。
体力配分も分からなければ剣での戦いもこれでいいのかよく分からない。
(そろそろ逃げるか決着をつけるかしないと死ぬ!)
焦りが出て来たのを察したのか、幸吉を囲むように動き出すダスタード。
袋叩きを覚悟して幸吉は突っ込もうとする。
「鉄砕拳・激烈突破!」
「アンキドンハンマー!」
それより早く幸吉から見て左右のダスタードがそれぞれ鉄球状、ハンマー状のエネルギーに撃破された。
驚いた幸吉だったが、真正面に残ったダスタードたちに呪力を上乗せした斬撃で倒してすぐさま振り返る。
そこには首輪とチェンアレーが一体化した武器を振るう丸眼鏡の男と、犬か動物の耳が生えてるような変わった髪形をしたシアン色のマフラーの女学生が残るダスタードを相手にしていた。
「おおおらぁあああああああ!」
丸眼鏡が無茶苦茶に振り回した鉄球にダスタードたちが飛び退く。
「ロコチ!」
「ん!」
その隙に丸眼鏡と入れ替わるように前に出たマフラーの少女が手にしたDC-15Aブラスター・カービンを撃つ。
的確に弱点を攻撃されたダスタードたちは爆散して消失した。
「よう!危なかったな」
「ん、大丈夫?」
「……ああ。助かった」
「なんだよ、乗り悪いな。
折角主人公様とそのヒロインが助けに来てやったんだから喜べよ!
えーっと、名前は?」
「与幸吉だ。そう言うお前は?」
「風祭小鳩。こっちがロコチこと砂狼シロコ。
よろしくな、ムタキチ」
「ん、よろしくムタキチ」
「ムタキチ?」
「あだ名だよ。
ムタコウキチ、縮めてムタキチ。
悪くねえだろ?」
宗自信満々に言う小鳩に内心少し呆れながら横にいるシロコに問いかける。
「もしかしてシロコちゃんだからロコチなのか?」
「ムタキチが呼びにくかったらシロコでもいい」
別ベクトルだがマイペースには違いないだろう二人を前に、まあメカ丸と呼ばせるわけにもいかないか、と思った幸吉であった。
「まあ、呼び方はは何でもいいが、それより一つ聞きたいことがある」
「ん?なんだよ」
「お前たちはこのゲームをどう生き延びるつもりだ?」
「勿論、あの脳味噌女をカッコよくぶっ飛ばすんだよ」
「ん、アビドスの先輩を騙った罪を血で購わせる」
そう言って武器を構えた二人に同じ学校の筋肉ゴリラのアイドルオタクを思い起こす幸吉だった。
「なるほど、良く分かった。
どうやら俺とお前たちの目的はそう変わらないらしい」
一拍置いて幸吉は信用されなくなる可能性も考慮したが自分の知る全てを話すことにした。
「俺はこのゲームが始まる前から羂索を知っている。
奴の思考が全てわかるって訳でもないが、お前たちより知っている事も多いはずだ」
「マジか!じゃあ色々教えてくれよ」
「ああ。まずは移動しよう」
もしかしたらこのゲームで一番凸凹な3人がチームを組んだ瞬間であった。
【砂狼シロコ@ブルーアーカイブ】
状態:正常
服装:アビドス高校の制服
装備:DC-15Aブラスター・カービン@スターウォーズシリーズ
7番の獣電池×3@獣電戦隊キョウリュウジャー
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1、ホットライン
思考
基本:ん、羂索たちを倒す。
01:ん、小鳩先輩もムタキチもよろしく
02:対策委員会の皆や先生が来ているなら合流したい。
03:もし梔子ユメがアビドスの先輩なら、羂索に私たちの掟を教えてやる。
参戦時期:少なくともアビドス編二章終了後
備考
※
【風祭小鳩@Caligula2】
状態:正常、カタルシスエフェクト発動中
服装:学生服
装備:カタルシスエフェクトのチェーンアレイ
8番の獣電池×3@獣電戦隊キョウリュウジャー
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:あの脳味噌女をぶっ飛ばしてカッコよくハッピーエンドだ!
01:ここってもしかしてリドゥ?
02:あの脳味噌女、ロコチのパイセンの身体で好き勝手してるみてぇだし遠慮なくぶち殺す。
03:ブッチョやノトギンたちも来てんのか?
04:ムタキチから脳味噌女の事を聞き出す。
参戦時期:帰宅部入部後
備考
※部長が男性か女性どちらかのルート化は後の書き手様にお任せします。
【与幸吉@呪術廻戦】
状態:五体満足、健康
服装:呪術高専の制服
装備:蛮刀毒泡沫@侍戦隊シンケンジャー
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜2(傀儡はない)、ホットライン
思考
基本:羂索たちを打倒し今度こそ皆の元に帰る。
01:毒泡沫、というより生身の動かし方を物にしたい。
02:傀儡も確保したい。
03:ムタキチか。まあ、メカ丸と呼ばせるわけにもいかないか
04:風祭の鉄球……呪いに近いな。
真衣の構築術式に似たような術式か?
05:もし他の術師や呪詛師も呼ばれているなら……。
参戦時期:死亡直後
備考
※呪力出力そのものへの制限はありませんが、傀儡操術には制限が駆けられています。
詳細は後の書き手様にお任せします。
【支給品解説】
・蛮刀毒泡沫@侍戦隊シンケンジャー
…はぐれ外道の1人、腑破十蔵が使用した剣の一つ。
本来の愛刀である裏正同様変身前後を問わず使用していた。
オイノガレという外道衆が使用していた油坏滑蛮刀とよく似ている(メタ的に言えばリペイント)。
裏正が折れてしまい、裏正の作成者である筋殻アクマロに修理の対価として用心棒を任された時に貸し出された武器。
業物には違いないのだが、十蔵本人からは両刃の長刀である裏正に比べ、刀身が短く分厚い毒泡沫は彼の実力を真に発揮するには不十分らしく「裏正ならば……」とこぼす場面もあった。
それでも良い武器には違いない。
・7番の獣電池×3@獣電戦隊キョウリュウジャー
…風祭小鳩@Caligula2に支給。
黄金の地に集うキョウリュウスピリットが込められたアイテム。
十大獣電竜のうち一体にして、鋼の勇者の相棒アンキドンのスピリットが込められている。
キョウリュウジャーがキョウリュウチェンジやブレイブフィニッシュの発動に用いる。
当ゲームではこれを所持することでプレイヤーは初代キョウリュウシアンの持ち技であるアンキドンハンマーを使えるようになる。
3本セットで一つの支給品として扱う。
・8番の獣電池×3@獣電戦隊キョウリュウジャー
…風祭小鳩@Caligula2に支給。
黄金の地に集うキョウリュウスピリットが込められたアイテム。
十大獣電竜のうち一体にして、史上初の強き竜の者の相棒ブンパッキーのスピリットが込められている。
キョウリュウジャーがキョウリュウチェンジやブレイブフィニッシュの発動に用いる。
当ゲームではこれを所持することでプレイヤーは初代キョウリュウグレーの持ち技である鉄砕拳・激烈突破を使えるようになる。
3本セットで一つの支給品として扱う。
・DC-15Aブラスター・カービン@スターウォーズシリーズ
…砂狼シロコに支給。
銀河共和国時代末期の正規軍、クローントルーパーのために開発された光線銃。
ビームの色は青。
投下終了です。タイトルは 字呼び奇々怪々 です
すいません、拙作の部分で作品名忘れてました
【月島劉都@Caligula2】
投下します
目が覚めた時には、走っていた。
病弱な自分が下手に走っては悪影響なのはわかってる
それでも私――小早川ゆたかは――
何処かに走って逃げたかった。
◆
幸いにも近くに民家があった、平屋の数個の家具が置かれた、シンプルな家。
すぐさま、部屋の隅へと走り出し、うずくまる。
「怖いよ…殺し合いなんて…」
少女に襲ったのは、殺人と得体のしれない場所に送り込まれたゆえの、恐怖。
病弱な事ゆえにスタミナはそんなないのに、100m近く走れたのも、恐怖から出たゆえの異能力であろう。
「…そういえば、バッグに何か入っているんだよね…」
何か使えるものがあるかもしれない、ディパックに手をかけ、開けようとした、その瞬間だった。
「!?」
ガチャリと、ドアが開く。
誰かが――入ってきた。
友人や姉たちかもしれない、しかし、もちろんそんな都合のいいことは起こらないであろう。
結局出てくる賽の目は、殺し合いに乗ってる者。
完全に終わった、そう絶望する。
こんな狭い部屋じゃ、暗さがあろうともすぐに見つかる。
足音が近づいてくる、おそらく相手も夜目に慣れてしまえばこちらを認識して来るであろう。
(やだぁ…みんな…助け…)
そんなことを心で思っていた時であった、その来訪者が彼女に掛けた言葉は、優しいものであった。
「安心して、僕は乗っていない」
同じく夜目に慣れた彼女が見たのは、特徴的な髪型をした、フランス人であった。
◆
「それじゃニコラさんも…気づいた時には…」
「あぁ、こんな悪趣味なものに、僕もね」
ゆたかの出会ったその男は、ニコラ・レ・バンナと名乗った。
フランス軍の特殊部隊の一員であり、軍が絡んでるのではないかと疑っていること、そして、あのとき出てきた主催側には知ってるものがいないことを教えてもらった。
「とにかく驚かせて済まなかった、ミス・コバヤカワ」
「ゆたかでいいです」
「了解(ダコー)、ミス・ユタカ、それと早速で悪いけど…」
ニコラが立ち上がり、月明かりに照らされる。
後ろの腰に手を当てて、何かを掴む、それは光に当たり、黒びやかになり、そして――
「世界の調和のために…死んでくれ」
「え?」
瞬間、鋭利な何かがゆたかの首に突き刺さる、日本の古武術などで使われる投擲武器の一つ、六角手裏剣。
(な…ん…で?)
喉が潰された彼女は、その真意を薄れゆく心の中でしか感じれずに、その問いを投げきれずに…絶命した。
◆
「まずは…一人…」
突き刺した六角を身を拭いて回収し、彼女のバッグを漁る。
「これとか…使えそうかな…?」
でてきたのは騎士が使うような剣と、レバー式のショットガン。
「小回りとかは効かないが…まぁ、文句は言わないさ」
そういいながら、武装を装着していく。
「準備は整った…さぁ行こうか」
自身を調整者を自負する彼にとって、この殺し合いは意味があると感じた。
「ここにいるものは主催含めて殺されるべき者たちであり、自分はそれらをまとめて殲滅するためにここに呼ばれたのだと」
常人には理解できない思想――それがニコラの根幹。
「さて…世界のために…すべてを殲滅しようか」
外に出て歩いていく彼の手には、ピンク色のハンカチが握られていた。
【小早川ゆたか@らき☆すた 死亡】
【本物のニコラ・レ・バンナ@ケンガンオメガ】
状態:正常
服装:白シャツと黒の短パン
装備:六角手裏剣@現実
岩崎みなみのハンカチ@らき☆すた
ピースキーパー@Apex Legends
レヴァンティン@魔法少女リリカルなのはシリーズ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1、ホットライン
思考
基本:主催と参加者、両方を殲滅する
01:さて、次の獲物を探そうか
02:ナイフなどの小回りの利く武器がほしい
参戦時期:ジャン(偽ニコラ)に殺される前
備考
小早川ゆたかのディパックに入っていたランダムアイテムは、すべて抜き取りました
【支給品解説】
六角手裏剣@現実
5個で1セット、日本の古武道家などが使う飛び道具。
よくある手裏剣などとは違い、小型の鋭利な鉄棒のようなものであり、当たりさえすれば簡単に相手に刺さる。
また、扱い慣れれば近接武器としても使用できる。
岩崎みなみのハンカチ@らき☆すた
受験の際、ハンカチを忘れた小早川ゆたかに対して貸し出したハンカチ。
ピンク色の普通のハンカチ
ピースキーパー@Apex Legends
レバー式のショットガン、10発の弾が付属。
玄人向けであり、少しズレただけでも威力が変わってくる。
レヴァンティン@魔法少女リリカルなのはシリーズ
烈火の将、シグナムが扱う武器、カートリッジが10個付属。
一見すると魔力を帯びている以外は普通の剣だが、カートリッジを使用することで、刃が蛇のように蛇行し切り刻む蛇腹剣としての形態や、更に、弓へと変形機構も持つ。
本ロワでは弓への変形は制限されている。
投下終了です
投下します
『なんだよ、ガムねーのかよ、しけてんなあ』
殺し合いの舞台にて、一人の犬がリュックを漁って悪態をついていた。
その犬…イギーは溜息をつきながら思う。
人間という奴は勝手だと。
ジョースターとかいう奴にDIOとかいう化け物を倒す旅に無理やり同行させられたかと思えば、それも終わらぬうちに今度は殺しあえと来た。
まあ、あのカモだかユメだかって奴は、人間じゃなくDIOとかいう奴と同じ化け物なのかもしれないが。
イギーにとって傍迷惑な連中であるという点では、ジョースターもDIOもこの殺し合いの企画者も同類だ。
『とりあえず、ジョースター達を探すとするか』
自分を化け物退治の旅に巻き込んだ迷惑な人間達ではあるが。
それでも、こんな殺し合いを開く奴らよりはマシだ。
どいつもこいつも正義ぶったお人好しだから、殺し合いに乗ることはないだろうし、戦力としてもあてになる。
ジョースターのジジイなら、コーヒーガムも持ってるかもしれないし。
もしいるなら、合流しておきたい。
「いろはー、どこにいるワン〜!?」
そんなことを考えていると、人間の女の声が聞こえてきた。
チッ、とイギーは舌打ちする。
声の感じからしてまだ色気のねえガキの女みたいだが、ここが殺し合いの舞台だって分かってんのか。
もし殺し合いに乗った危険な奴らが寄ってきたら、どうする。
ポルナレフだって、そこまでバカじゃねえぞ。
大体語尾がワンって、なんだよ。
『…まあ、頭の緩いバカ女とはいえ、あんな語尾使うくらいだから、犬好きなのかもしれねえ、行ってやるか』
そうしてイギーは、声がする方へ走った。
そして声の主を見つけ…目を丸くする。
「いろは〜!」
そこにいたのは、人間の女ではなくて。
人間の言葉を喋るそいつは、自分と同じ犬だった。
「あっ、ねえねえ、いろはって人間の女の子知らないかワン!?」
『お、お前…なんで人間の言葉喋ってんだ!?』
********************************************************************************************
『ワンダフルパクトに、プリキュアねえ…』
「うん!これをジーっと見て、ピカーってなって、人間になるんだワン!」
そういうと、人間の言葉を喋る犬…犬飼こむぎはワンダフルパクトを取り出す。
そうすると彼女の身体がピンクに発光したかと思うと、その姿は子犬から人間の女の子の姿になっていた。
その光景に、再び目を丸くするイギー
自分や自分の周りの人間もスタンドなんていう変わった力を持っているが、こいつは別ベクトルで変わってる奴だった。
『…で、さっき叫んでたいろはって奴は、お前の飼い主なのか?』
「うん!いろは、どこにいるのかなあ…」
『そもそもいるとは限らないだろ?』
まあ自分もジョースター一行をあてにしていたのであまり人…いや、犬のことは言えないが。
「ええ!?いろは、いないの!?」
『こんな場所だし、いないならそれはそれでいいんじゃねえ?』
「あっ、それもそっか!」
『…お前、同じ犬だってのにバカだな』
「そういうイギーは大福みたいにクールだね!」
ともかく、こんなバカ犬とバカな会話をしている場合ではない。
ここは、殺し合いの場なのだから。
とりあえずこのバカ犬は殺し合いに乗ってることはなさそうだが、どの程度役に立つのか見極めなければ。
『なあ、そのプリキュアっての、もっと教えてくれないか?』
「うん、いいよ!」
そうしてこむぎはイギーにプリキュアについて話した。
いわく、この人間の姿からさらに変身することが可能で、それがプリキュアという存在で。
人間離れしたプリキュアの力を使って、ガルガルという闇にとらわれた動物を救ってきたらしい。
(…思った以上に使えそうだな)
イギーの言葉を理解できて人語を喋れるという時点で、他の参加者との意思疎通という面で有用ではあったが。
ただ人間になれるだけでなく、戦う力も持っているらしい。
こいつについていけば、生き残れる可能性は高まりそうだ。
『話は分かった。とりあえず、いろはっていうお前の飼い主を探すか』
「ええ、いいの!?その、いるかどうか分かんないのに」
『お前、そのいろはって奴に大切に飼われてたんだろ?』
「うん、いろはは私にとって、恩人で…ずっと一緒にいたいパートナーなんだワン」
雨の中自分を拾って、大事にしてくれたいろは。
彼女と一緒にいられないなんて、考えたくもない。
犬として、人間として、もっともっといろはと色んな事をしたい。
『…だったら決まりだ。そいつ探すぞ』
こむぎの言葉を聞き、イギーはそう返して歩き出した。
こむぎの話によればそのいろはって飼い主もプリキュアらしく。
戦力としてあてにしたいという打算もある。
だけどやはり、それ以上に…
『犬好きの人間を見殺しには…できねえぜ』
【イギー@ジョジョの奇妙な冒険】
状態:健康
服装:なし
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:生き残る。殺し合いをする気はない
01:こむぎと行動を共にする、いるならいろはって飼い主を探してやってもいい
02:ジョースター一行がいるなら合流しておきたい
参戦時期:ペットショップ戦以前
備考
※わんだふるぷりきゅあ世界のプリキュアについておおむね把握しました。
【犬飼こむぎ@わんだふるぷりきゅあ!】
状態:健康、人間体
服装:人間体での服
装備:ワンダフルパクト@わんだふるぷりきゅあ!
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:元の世界に帰る。
01:イギーと行動し、一緒にいろはを探す
参戦時期:ニャミーとリリアンが仲間になって以降
備考
・ワンダフルパクト@わんだふるぷりきゅあ!
犬飼こむぎと犬飼いろはがそれぞれキュアワンダフル、キュアフレンディに変身するためのコンパクト型の変身アイテム。
こむぎの場合は犬から人間の姿になるときにも使用する。
投下終了です
投下します
燃え盛る人の形をしたものがいた。
焼き付いた赤い影のようなものが、自我を得て動き出したかのような歪な何か。
だが、その赤い影は間違いなく人の形をしている。頭上に瞳のような形の、まるで天使の輪っかのようなものがある。
彼女の名は小鳥遊ホシノ。学園都市キヴォトス、アビドス廃校対策委員会"元"委員長。
過去に償いきれない過ちを犯し、未だその罪に苦しむものであり。
「死」が重大なものであるキヴォトスにおいて、数少ない「死」を知る者。
己が罪悪に潰れ、反転し、恐怖(Terror)へと堕ちたもの。
「ゆめ…せん…ぱ…」
つぶやく譫言は、過去の残骸。
己の過ちによって死に至った梔子ユメという先輩の名。
彼女にとっての青のすみか、青春の記憶そのものなのだから。
だが、失ったものは戻らない。死者は蘇らないとは万物の常である。
「……せん…ぱ……」
梔子ユメの身体は蘇った。
その中身のみ、醜悪なる混沌のものとして。
常識はひっくり返る、本質が反転した中でも、それだけは紛れもなく真実である。
「………分から、ない」
だが、今の小鳥遊ホシノに、全ては無価値であり、無意味である。
ユメが残した手帳を探し求め、理不尽を齎す世界への怒りにて全てを壊す色濃き厄災。
世界を滅ぼすのは、いつだって誰かの怒りと悲しみ。
「この悲しみは、誰にも……」
誰にわかるものか。この胸の内の絶望を、後悔を、罪悪を。
この後悔は、自分自身だけのもの
何も知らない癖にと、無意識の衝動が憎悪と怨嗟の代わりとなって世界を焼く。
■
それは、青春の物語という名のフラスコに放り込まれた忘れられた神々の一つである。
それは、拭いきれぬ後悔を背負い生き続ける天空の隼である。
それは、一個人にて立ちふさがる全てを打ち払う最強の一角である。
青の箱庭で唯一無二の「死」という現象を目の当たりにした、最強の神秘。その反転体である。
生徒(スチューデント)。恐怖(テラー)。
暁のホルス。
【小鳥遊ホシノ@ブルーアーカイブ】
状態:テラー状態
服装:アビドス高等学校学生服(黒く変色)
装備:Eye of Horus@ブルーアーカイブ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2
思考
基本:ゆめ、せん、ぱ……
01:手帳……
02:この悲しみは、誰にも……
参戦時期:対策委員会編3章32話「唯一の真実(2)」、反転した直後から
備考:反転し恐怖となったため暴走状態です。ただし歪な形での反転のため、他の参加者次第でもとに戻る可能性があります。
・Eye of Horus@ブルーアーカイブ
…小鳥遊ホシノに支給。
ホシノが愛用しているシンプルなデザインのショットガン。
基本的に怠けたがりの彼女だが、銃の整備だけは絶対に怠らない。
ただし反転している現在のホシノが使うその威力は常軌を逸している。
投下終了します
投稿します
見えない目でそれを取り出すのも苦労した。
指先の感覚だけを頼りに支給されたガジェットにカードをいれるスリットがある事を知ったナナリー・ヴィ・ブリタニアは膝に落としたカードをどうにか正しい向きで装填する。
ナナリーは8年前に母を亡くした事件のけがと精神的ショックから自分の足で歩くことも、その目で世界を観ることも叶わない身なのだ。
それなのにこんな最悪のゲームに巻き込まれれば悲観に暮れてもしょうがないのだが、彼女はあきらめていなかった。
敬愛する実の兄、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアもまたこのゲームに呼ばれているからである。
なぜあの場面で自らの素性を明かしたうえであんな命令をしたのかナナリーにはさっぱりわからないが、あの兄が意味のないことをするようには思えない。
それにこの場所のどこかにいるなら、兄に会いに行く以外の選択肢はナナリーになかった。
「音楽?もしかして、まだ何か?」
待機音が流れだしたのでどうにかスイッチを探すと三角形のボタンがあるのに気付いて押し込んでみる。
<ケミーライズ!仮面ライダータイクーン!>
ドサッ!と何か重いなにかが地面に落ちる音がした。
「な、なにが!?」
「ここは……キミは?」
「え?あなたは、人間ですか?」
急に足音もなしに現れた男性(多分声からもそうだ)にナナリーは恐る恐る話かける。
「うん……キミ、もしかして眼が」
「はい。8年前から見えません。
この脚も、同じころに負った怪我で……」
「そっか。ごめんね、辛い事を聞いちゃって」
「いいえ。構いません。それで、あなたは?」
「俺は仮面ライダータイクーンの桜井景和」
「桜井?もしかして、日本人ですか?」
「うん。てことは君は外国人さん?」
「? はい、ナナリーと申します」
ヴィ・ブリタニアと名乗るべきか、ランペルージと名乗るべきか一瞬悩んだが、どんな姓を名乗っても恐らく意味はないと考えただナナリーと名乗った。
「よろしくね、ナナリーちゃん」
自己紹介を終え、ナナリーはタイクーンに車いすを押してもらって屋内に移動した。
「それじゃあ、お兄さんと友達が……」
「はい。しかも、ニーナさんの言っていることが本当ならユフィ姉さまももう……」
一度は姉の仇を討つために邪法に手を染めたこともあるタイクーン/桜井景和にとって兄の身を案じ、腹違いの姉と友の死を嘆く幼い少女はどうしても放っておけない存在に思えた。
何より彼の目指す理想の世界は、ナナリーのような少女にこそ幸せになることができる世界である。
「ナナリーちゃんの代わりに俺が戦うよ。
お兄さんの元にナナリーちゃんが帰れるまで、ナナリーちゃんとお兄さんがお姉さんをちゃんと弔ってあげれるように俺が無事に送り届ける」
「タイクーンさん……いいんですか?
私は、ただでさえ自分で歩く事も出来ないのに」
確かに今までのように逃がせればいいという話でもないだろう。
自分で動けないナナリーを片手に戦わなければいけない場面だってあるだろう。
それでもタイクーンはナナリーの手を取って優しく握った。
「約束する。俺がナナリーちゃんの平和な世界を守るよ」
「……ありがとうございます、タイクーンさん」
歩けもしなければ目も見えない自分の不甲斐なさを呪いながらナナリーはタイクーンの強化スーツ越しの腕を握り返した。
【ナナリー・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】
状態:盲目、自立歩行不能
服装:アッシュフォード学園中等部制服(女子用)
装備:車いす@コードギアス反逆のルルーシュ
ケミーライザー@仮面ライダーガッチャード
ケミーカード(タイクーン)@仮面ライダーガッチャード
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1、SA・ホットライン
思考
基本:お兄様と合流して帰りたい
01:お兄様、どうかご無事で
02:ニーナさん……そんな
03:ありがとうございます、タイクーンさん
参戦時期:少なくともブラックリベリオンよりは前
備考
※
【支給品解説】
・車いす@コードギアス反逆のルルーシュ
…ナナリー・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュに支給。
ナナリーがいつも使っている車いす
・ケミーライザー@仮面ライダーガッチャード
…ナナリー・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュに支給。
ケミーカード(タイクーン)とセットで支給されている。
ケミー回収任務に従事する錬金アカデミーの生徒に支給されたガジェット。
通信、ケミーの探知、ブランクカードへの封印、セットしたケミーの力の限定解放、ケミーをカードから解放しての使役など支給品のガジェットとは思えない程高性能で多機能。
投下終了です。タイトルは I Peace です
皆様投下お疲れ様です
自分も投下します
この世の地獄と言うものが実在するなら、ここに広がる光景こそが正にソレだ。
大地が泣き叫ぶ、自らの儚い終わりを受け入れられないが故に。
天が狂い笑う、己が眼下の悪夢に正気を保てないが故に。
どうか幻であってくれと誰もが願い、紛れも無い現実と思い知り絶望するだろう。
『ハッハァ!!!』
「ぬぅええええええええい!!!」
行われているのは闘争。
真紅の王が狂喜乱舞し、漆黒の王が怒号一閃の剣を放つ。
感情任せの未熟な刃、そのような嘲りがどうして出来ようか。
速い、音を置き去りに、振るった腕の輪郭すらも視認不可能。
強い、叩き割られた空気が四方八方へ弾け、周囲の木々が消し飛んで行く。
数千数万の素振りをやったとて到達は出来ぬ。
日々の弛まぬ鍛錬と試合を重ねた所で、足元にも及ばぬ。
或いは数人を手に掛け血飛沫を浴びようとも、所詮は児戯の枠に収まるのみ。
数百を超える数を斬り、数多の戦場を練り歩き、骨の髄までどっぷりと死に浸かった者のみが到達する領域。
名を織田信長、恐怖を以て世を支配せんとする第六天の魔王。
歴史研究家が見たら発狂し、自身の両目を潰すに違いない。
鈍色の甲冑が壮年とは思えぬ肉体を覆い、血の池に浸した色の外套を靡かせ、
人の形をしていながら、人とは思えぬ邪悪な気を放つ。
これが、こんなものが過去の日本で名を馳せた英雄など信じられようか。
尤も、更に信じ難い展開はここからだ。
天を、地を、世界を斬り己が踏み付ける屍へ変える信長の剣が止められた。
ガキィンと金属同士の衝突音が木霊し、防がれた魔王は僅かに眉間へ皺が寄る。
自身の剣を真っ向から受け止める者など、戦国の世においてもそう多くは無い。
甲斐の虎、越後の軍神、そして戦国最強。
いずれも名だたる一騎当千の英雄、滅ぼすべき相手なれど決して油断は抱かぬ敵達。
だが今、新たな顔をそこに加える必要があった。
何せ眼前の相手とは既に百を超える程剣をぶつけ合い、未だ互いに一太刀も受けていないのだから。
『わ・る・く・ねェ。仮面ライダーでもない人間にしちゃ、良い腕してんなァ!』
赤。
信長の外套と同じ、血をぶち撒けたかの如き真紅の装甲。
胸部と肩部、腹部の三か所は蜘蛛をモチーフにした意匠。
素顔を隠す仮面もまた赤く、毒々しい輝きの瞳が魔王を射抜く。
コレは英雄ではない、それぞれが異なる形とはいえ日の本を治めんと戦った戦国武将達とは程遠い。
彼が求めるのは破壊一択。
自分自身も含めた宇宙全ての命が朽ち果てる、完全なる終焉を望む王。
名をキルバス、星狩りの一族に生まれながら、同胞や実の弟にすら異端と扱われた怪物。
偶然出会った両者の間で闘争が起こったのは至極当然の流れだ。
自身に枷を填め、あろうことか殺し合いを強要する主催一派の愚行を許す気は無い。
が、かといって他の参加者と仲良く手を組むなど以ての外。
参加者も主催者も等しく皆殺し、共通の方針だった。
彼らが激突し早数分、現在位置を焦土に変える死合にも変化が表れる。
『人間にしては楽しませてもらったぜェ。だがまあ、お前一人と遊んでもいられない。そろそろ…ジ・エンドってなァ!!!』
『Ready Go!』
『KILLBUS SPIDER FINISH!』
腹部の機械に手を添え、レバーを回転。
エネルギーが流し込まれたのは背中に装着された、巨大な蜘蛛の足。
禍々しい輝きを放つ魔槍が四本、魔王の頭上より迫り来る。
「笑止!小童の絡繰如きで、余を破ろうなどと片腹痛いわっ!!!」
常人ならば、いやたとえ百戦錬磨の戦士であろうと恐怖を抱かずにはいられない光景を鼻で笑う。
この程度の殺意が何だと言う。
360℃、全方位から死が群れを成して襲い、常に喉元へ刃を突き付けられるかのように死が付き纏う。
かの戦場の空気に比べれば、そよ風にも等しい。
成程、吠えるだけが能の犬ではないと認めはしよう。
しかし第六天魔王を、織田信長を仕留められるなどの思い上がりは死を以て償わせてやる。
「ぶるあああああああああああああああっ!!!!!」
地獄の悪鬼も裸足で逃げ出す咆哮は、敵を威圧するのみに非ず。
邪気が形を変え、信長の背後に出現。
六魔ノ王と名付けた、魔王の血筋のみが操る力。
一人と一体、魔王達が掲げた剣がドス黒くも眩い輝きを放つ。
振り下ろした魔刃は魔槍を迎え撃ち、暫し拮抗を見せる。
『大したもんだァ!だが…滅びるのはお前の方なんだよォオオオオオオオオオオッ!!!』
「ほざけィ!下郎がァ!世迷言は聞き飽きたわぁっ!!!」
互いに勝利は譲らない、敵の死に妥協はしない。
ここから一歩も下がりはしない、死ぬのはお前だと叩きつけ合う。
そうして訪れた結末は、どちらにとっても納得のいかないもの。
生半可な力の持ち主では無いが故の衝突により、双方あらぬ場所へと弾き飛ばされた。
踏み止まるには放った技の威力が高過ぎて、あっという間に戦場から消失。
死を振り撒く王達が去り、残ったのは静寂だけ。
◆
異なる場所で王達はのそりと身を起こす。
多少の傷こそあるが死には至らない。
どうにもつまらない終わりとなったが、これはまだ初戦に過ぎない。
まだ見ぬ子羊共が、或いは因縁深い贄達は生きている。
生きて、自分達の手による終焉を逃れている。
だったら話は早い。
殺し合い?馬鹿な、これから始まるのはそんなお優しいものな訳があるか。
「最っ高の終わりを見せてやるよ、人間どもォ!!!」
「今宵皆殺しぞ…うつけ共がァ…!!!」
取るに足らない弱兵如きが対等に渡り合うなどと、驕りを捻じ伏せる王達の虐殺劇に他ならない。
【キルバス@仮面ライダービルド】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(小)、柿崎悟志に擬態
[装備]:ビルドドライバー+キルバススパイダー+キルバススパイダーフルボトル@仮面ライダービルド
[令呪]:残り三画
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:参加者も主催者も全て滅ぼす。
1:地球の仮面ライダー共とエボルトがいるなら優先して殺す。
2:パンドラボックスがあれば回収しておく。
[備考]
※参戦時期は『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』で死亡後。
【織田信長@戦国BASARAシリーズ】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(小)
[装備]:魔王の剣@ドラゴンクエストⅪ
[令呪]:残り三画
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:皆殺し。
1:参加者を探し殺す。
[備考]
※参戦時期は採用された場合後続の書き手に任せます。
【ビルドドライバー@仮面ライダービルド】
桐生戦兎が所持するドライバー。フルボトルをセットする事で仮面ライダービルドに変身が可能。
作中では新世界にキルバスが現れた際に奪われ、仮面ライダーキルバスの変身に使われた。
【キルバススパイダー@仮面ライダービルド】
桐生戦兎が開発した蜘蛛型のガジェットを、キルバスがブラッド族のエネルギーを流し込み新たに作り替えたアイテム。
ビルドドライバーに加え、後述するフルボトルとの組み合わせで変身が可能。
【キルバススパイダーフルボトル@仮面ライダービルド】
キルバスがブラッド族の能力で創造したフルボトル。
戦兎達が所持するボトルとは意匠が異なっている。
単体では意味が無い為、ビルドドライバー、キルバススパイダーとのセットで支給。
【魔王の剣@ドラゴンクエストⅪ】
勇者のつるぎ・真がウルノーガに奪われ変質させられた姿。
元は片手剣であったが、こちらは両手剣となっている。
ウルノーガの武器として使われるが、第二形態の撃破後は入手可能。
またホメロスとの戦闘では邪悪なバリアを破壊可能な唯一の武器である。
デザインに関して仲間からの評価はすこぶる悪い。
投下終了です
投下します
帰らなきゃ 帰らなきゃ 帰らなきゃ 帰らなきゃ 帰らなきゃ 帰らなきゃ 帰らなきゃ
元の世界に帰らなきゃ。
しおちゃんを一刻も早く見つけないと……
しおちゃんがいなくなった。
苦い
感情が抑えられない。
苦い 苦い
口の中に苦みが広がっていく。
もしアイツがしおちゃんを連れて行ったと考えると……
苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い!!
こんな世界に1秒だって居たくない。
早く取り戻さないと、私の大事な大事なしおちゃんを
もし、私としおちゃんの邪魔になる存在が現れれば……
「おねぇさ〜ん!」
バイク音と共に耳障りな男の声が響き渡る。
「今から俺らとあそばなぁい?」
さとうの行く手を阻むようにバイクが立ち塞がる。
「さすがタクさん、すげえ美人ゲット♪」
バイクから降りた二人組の男がさとうの前に現れる。
彼らはさとうを見つけるなりターゲットにさだめて声をかけたのだ。
「貴方達は……?」
「俺、渋井丸拓男。略してシブタク♪」
「葉多平ツネキチで〜す。ヨロシクね〜♪」
ニタニタと薄気味悪い笑みを浮かべながら挨拶をする二人。
さとうの体を舐め回すようないやらしい視線で見つめていた。
「へへへ、付き合ってよ〜素敵なお姉さぁ〜ん」
「あの、困ります」
「困りますぅ、だって〜」
「きゃわいい〜〜、アハァ♪」
「すみません、先を急いでいるので失礼します」
彼らはどう見ても友好的な存在ではない。
身の危険を感じたさとうは二人から離れようとすると
「そんなつれないこと言わないで俺達と一緒に行こうよ〜」
「そうそう、女の子が一人で夜道を歩くのは危険だぜぇ」
(危険なのは貴方達の存在なんだけど)
苦い 苦い 苦い 苦い 苦い
視界に映る不快な男達の存在のせいで口の中に苦みが広がっていく。
「貴方達に構っている時間はありません」
「そんな冷たいこと言わないでさぁ、お姉さぁん。俺らとイイコトしようよ〜」
「その代わり俺達が守ってあげるからさ。悪い話じゃ無いだろ」
シブタクとツネキチの二人はさとうをこのまま帰す気は毛頭なかった。
こちらが男二人なのに対し、相手は女一人、いざとなれば力ずくでどうとでもなると考えていた。
「結構です。貴方達に守って貰わなくても自分の身ぐらいは守れます」
「お姉さんさぁ。こっちが下手に出てるからってあんまり調子に乗らない方がいいぜ」
「もういいよ。やっちまおうぜタクさん、どうせ誰も助けになんか来ないさ」
ツネキチがさとうの腕を掴むと強引に引き寄せた。
「別に俺は嫌がってる所を無理やりでも嫌いじゃねえから、なぁ!」
嗜虐に満ちた表情でツネキチはポケットからナイフを取り出す。
さとうのYシャツに向かって振り下ろした。
ビリビリとYシャツが引き裂かれ、ピンク色のブラが露わになる。
「イヒヒヒ!ツネキチくんも中々鬼畜だねぇ!」
「こういう生意気な女は一発痛い目に遭わせて分からせた方がいいだろ?」
「そうだな。俺達が躾けて素直にさせるのも男の役目というものだ」
ウンウンと頷き、自分達の行為を正当化するシブタク。
(ああ、もういいや)
さとうは理解した。彼らは自分のことしか考えていない。
彼らは自分の性欲を発散させる。
ただそれだけのために平気で他人を傷付ける連中なんだ。
「お兄さん」
「あん?」
さとうは両腕を伸ばしてツネキチを抱擁した。
突然のアプローチに違和感を覚えたツネキチ。
それを理解するよりも早くツネキチの体に衝撃が走った。
「あぎゃああああああっっ!!!!」
「つ、ツネキチくん!?」
間抜けな悲鳴を上げて倒れるツネキチ。
驚いたシブタクがさとうを凝視すると
彼女の左手にはスタンガンが握られているのに気付いた。
「よくもツネキチくんを!」
(こんな奴らに時間なんてかけてられない。さっさと消さなきゃ)
バイクに乗り込んだシブタクは、さとうを轢こうとするべく走らせる。
さとうは足元に落ちたツネキチのナイフを拾い上げると
迫りくるシブタクの顔面に向かってスタンガンをボールの様に投げつけた。
「いでっ!」
顔面にスタンガンを受け、痛みでシブタクの視界が一瞬奪われる。
その隙を付いてさとうは、シブタクの乗るバイクに迫る。
「てめえっ!」
「さようなら」
バイクがさとうの前を通り過ぎる寸前、シブタクの喉元にナイフを突き刺した。
加速したバイクの勢いによってシブタクの喉は横一線にぱっくりと切れ目が入った。
「ヒュー!ヒュー!」
シブタクの喉から鮮血が吹き荒れる。
乗り手が致命傷を受けたことでコントロールの効かなくなったバイクはコンクリートの壁へ直進し
曲がることもブレーキをかけることも出来ず、激しい衝突音を起こした。
バイクは曲がり、ひしゃげて、シブタクは一切受け身を取ることも出来ないまま壁に激突。
血溜まりの中で痙攣を繰り返し、徐々に動かなくなった。
「何の音だ……?ひっ、お前は!?」
未だ痺れて動けないでいるツネキチを見下ろすさとう。
その手にはシブタクの血で刃が真っ赤に染まったナイフが握られていた。
「ま、待ってくれ……俺が悪かった。もう二度とこんなことしないから!」
「貴方の言うことは信用出来ません、後で恨まれても面倒なのでここでさようならです」
「そんな!やめ」
ツネキチの命乞いは最期まで言い終えることは無かった。
【渋井丸拓男@DEATH NOTE 死亡】
【葉多平ツネキチ@無能なナナ 死亡】
(待っててねしおちゃん。すぐに会いに行くからね。そのためなら私の障害になるものはなんだろうと……)
さとうは進み出す。
さとうとしおの二人だけの世界を取り戻すために。
【松坂さとう@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:健康、不安による焦り、制服のYシャツの一部が引き裂かれている
[装備]:キルアのスタンガン@HUNTER×HUNTER、サバイバルナイフ@現実
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:元の世界に戻ってしおちゃんを探したい
1:元の世界に戻る方法を探す
2:邪魔をする存在には容赦しない
※参戦時期はアニメ3話でしおちゃんが家にいないのを気付いた頃
投下終了です
投下します
「うふふ、ここは一体どこなのかしらねぇ」
埃に塗れた廃屋の中をふらふらとさまよう様に歩く妙齢の女性がいた。
彼女はさとうの叔母、本名は不明である。
全身に包帯や絆創膏を付けており、髪はボサボサで服も薄汚れている。
劣悪な衛生環境で過ごしていたのが伺えた。
彼女の表情は不安さを全く感じさせない笑顔だった。
強制的に殺し合いに参加させられたというのに
喜怒哀楽から楽以外の感情を取り除いたかの如く
怒りや恐怖といった物が全く存在していない。
まるで探検を楽しむ子供のように鼻歌を歌いながら呑気に廃屋の中を移動していると。
「――動くなコラ」
「んん〜っ?」
すると何者かが廃屋に侵入し、叔母の後頭部に固くて冷たい金属の物が押し付けられる。
殺し合いが始まってる中、それが何なのかは説明されなくても分かるだろう。
「……なあオイ、てめぇよォ、銃を頭に突き付けられたことはあるか?
もしもなかったら……いい機会だ、勉強しとけ。コイツが、後頭部に銃を銃を突き付けらてる感触って奴だ。
この先、経験することがあるなら、その時は無闇に動くんじゃねーぞ。命が惜しいならなぁ、いいか?」
「分かりました。動きません♪」
いきなり背後から現れた男に銃を突き付けられ脅される。
普通の人間なら怯えて縮み上がるだろう。
そんな状況なのにも関わらず、叔母は平然としていた。
「随分素直な女じゃねえか。とりあえず俺に従え。分かったな?」
「は〜い♪」
銃を持った男に恐喝されても叔母は一切恐怖せずに答える。
「てめえ、自分の立場が分かってるんだろうな?」
「分かってるわよ〜。逆らったら殺されるのよねぇ」
「……まぁいい、とりあえずてめえの持ってるバッグを足元に置きな。妙な真似はするなよ」
男の指示通りに叔母は一切抵抗しないままデイバッグを足元へとゆっくりと下ろした。
それを眺めた男は廃屋の入り口の方へ顔を向けて。
「おいネズミィ!こっちに来いや!」
「は、はい!黒河くん!」
入り口からもう一人の男が出てくる。
小心者で卑屈でおどおどしたこの男の名はネズミ。
決して本名では無いが名簿ではネズミと記されている。
「ネズミ、そこの女の側にあるバッグを拾って来い」
「分かりました!」
ネズミに指示を出している男の名は黒河正規。
他の二人とは違い本名で名簿に記されている。
金髪でムキムキの屈強な肉体に、野獣の様に目つきが鋭く。
如何にも不良といった素行の悪い危険人物である。
「持ってきたよ!黒河くん!」
「よし、それを俺に寄越しな」
言うなり黒河はネズミからデイバッグをひったくる。
「んじゃ、次はその女のボディチェックだ」
「え?ボディチェック?」
「刃物とか銃とか隠し持ってるかもしれねえだろ。おらっ、さっさとしろ」
[わ、わかったよ……]
黒河に言われるがまま渋々と叔母の身体を調べようとするネズミ。
逆らえばすぐさま殺されると理解してるネズミは黒河の子分としてこき使われていた。
「じゃ、じゃあ……失礼するね……」
「はぁい、どうぞ〜♪」
ニコッと微笑みながら、まるでネズミにハグを求めるかのように両腕を広げる。
その仕草にネズミはドキドキと胸を高鳴らせながら
恐る恐ると叔母の衣服に手を伸ばす。
「ほらぁ、遠慮なんかしなくてもいいのよぉ。えいっ♪」
「え?あ、ちょっ」
ネズミは叔母の体に極力、触れない様に慎重に衣服を調べようとした時だった。
叔母はネズミの右手に触れると、そのまま自らの乳房へと押し当てた。
「ひゃああああああっ!!!」
「ボディチェックなんだから胸も、お尻も、アソコも、好きなだけ触って確かめて♪」
思いがけない自体に情けない悲鳴を上げるネズミ。
反射的に叔母から距離を取ろうとするも、既に左手も掴まれて離れることが出来ない。
叔母の豊満な乳房がネズミの手の平でムニュムニュと形を変える。
「んふふ〜、どう?」
「や、柔らかい……です」
ネズミは顔を真っ赤にしながら答える。
叔母は愛おしそうな顔でネズミを見つめながら
ネズミの右手を自らの下半身へと誘導していく。
「じゃあ次はここね♪」
「えっ!ちょ、そこはっ!」
ネズミは更に顔を赤くし、視線を逸らしながら抵抗する。
そんなネズミの反応を楽しむかのように微笑みながら。
「もしかしたらお股に武器を隠してるかもしれないでしょ」
「……だ、
だけど……」
「ほらぁ、遠慮せずに触ってごらん♪」
「う、うわああ!」
下着越しから伝わる股の柔らかい感触にネズミは驚きの声を出す。
続けて手を動かしてみると、下着の布地が微かに湿っているのが分かった。
その瞬間だった。
「馬鹿野郎!何してんだ!!」
突然黒河が怒鳴り声を上げてネズミをぶん殴った。
「かはっ!」
黒河の拳によってネズミは廃屋の壁まで吹っ飛び背中を強打する。
「おいおいおいおい!ネズミさんよぉ、俺はボディチェックをしろと言ったよなぁ?乳繰り合えとは言ってねえよなぁ?ああっ!?」
「ご、ごめんなさい!黒河くん。つい魔が差しちゃって!」
すぐさま土下座して頭を地べたに擦りながら謝罪するネズミ。
黒河は舌打ちをしながら叔母を睨みつける。
「なにネズミに色仕掛けやってんだ女、ここで死んどくか?」
「いいわよ。それが貴方のしたい事なら我慢しないで
胸でも、お腹でも、額でも、好きな所を撃ってスッキリしちゃお♪」
(この女……イカれてやがるのか)
余裕の態度を崩さない叔母に黒河は得体の知れない何かを感じていた。
「それとも私を殴る方がいい?
私を押し倒して馬乗りになって顔や体を思いっ切り殴って
衣服を無理やり脱がせて犯していいのよ
貴方の望むことなら何でも受け止めてあげる。それが私の愛なの」
「とりあえず、てめえは口閉じてろや」
(こいつはここで殺すか、それとも……)
おつむのネジが外れたこの女の処遇をどうするか思考する。
支給品さえ手に入れば、これ以上要は無い。
見た所、この女が戦闘で役に立つとは思えない。
足手まといになりそうならここで切り捨てておくか、と黒河が判断しようとした所で。
「ねぇねぇ、黒河くん……あの人も一緒に連れて行くのはど、どうかな?」
「あん?てめえ、奴隷の分際で俺に命令か?ずいぶんとまぁ偉くなったもんだなぁ、ネズミさんよぉ〜」
「いえいえいえ!命令だなんてそんな滅相もない!
ただ、黒河くんが戦えない人達も見捨てない善人だと伝われば他の参加者も安心して従うようになると思ってさ、へへっ」
ネズミをぶん殴ろうとする黒河の手が止まる。
確かにこいつの言う事も一理はある。
役立たずだからと迂闊に殺しまくれば、参加者も警戒する。
疑心暗鬼に陥った奴隷が裏切りに出るかもしれねえ。
不用意に全てを敵として排除するのは危険か。
ここは弱者でも裏切らない限りは殺さない証明として
この女を生かし、利用するのも悪くはない。
「いいぜぇネズミ。てめえの案に乗ってやるよ」
「ほ、本当!?」
ダメ元で聞いた提案が受け入れられ、ネズミの顔に笑みがあふれる。
「おい女!ここで俺の奴隷になるなら特別に殺さずにおいてやる」
「奴隷、それが貴方の望みなのね。ふふっ、いいわ。これから私は貴方の奴隷になるわ。
いつでも、どこでも、好きな時に私を殴りつけるなり、押し倒して犯すなり、好きに私を愛して頂戴」
「アイアイアイアイうっせーよ!おサルさんか?おめーはよぉ!
お前はただ俺の言われたことだけに従っていればいいんだ」
「は〜い」
他の参加者の前であんなイカれた言動でもされれば面倒な事になる。
こいつは『足手まとい』でも見捨てない体をアピールするための道具以外の価値は無い。
それすら果たせないならこの女は用済みだ。
「それじゃあネズミ、おめえがこの女の面倒を見ておけよ」
「え?俺が?」
「言い出したのはお前なんだからな。だったらお前が面倒を見るのがスジだろうが
もしこの女が俺の足を引っ張ってみろ……、その時は容赦しないからな」
「は、はい!そうならないように気を付けて見張ってます!」
「だったらいい。おら奴隷共、さっさと行くぞ」
「はい!」
「うふふっ」
そう言うと黒河とネズミは叔母と共に、廃屋を後にした。
「よ、よかったね。黒河くんに殺されずに済んで」
「ありがとう。優しいのねネズミさん」
「でへへへへへへ〜」
叔母に微笑まれたネズミは鼻の下を伸ばしながらニヤつく。
「なんだネズミ、おめえはこんなおばさんが好みかよ」
「だって結構美人だし、優しいし」
「ったく、こいつはよぉ……」
それに続いて小声で「おっぱいも大きいし」と呟いてヘラヘラ笑うネズミの姿に
さすがの黒河も呆れ顔になっていた。
「ふふふ〜ん♪」
呑気そうに鼻歌を歌いながら男達の後をついて行く叔母。
まるで見た者の全てを見透かしそうな虚ろな瞳。
とても優しい声なのに耳にこびり付くような不快な声。
彼女の存在はまるで蜜のようにとても甘く。
だけど吸いに来た者を死に追いやる猛毒の花のような。
そんな危険さを感じずにはいられない。
叔母という毒を手にした黒河達。
それをどう使うかはこの先次第である。
【黒河正規@シークレットゲーム COOE:Revise】
[状態]:健康
[装備]:コルト・パイソン(6/6)@現実
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品、予備弾数(18/18)、ランダム支給品2〜6
[思考・状況]
基本方針:このゲームで優勝して生き残る。
1:他の参加者を殺す、奴隷になるなら生かしてもいい。
2:ネズミは奴隷として利用する。
3:叔母が足手まといになるようなら切り捨てる。
[備考]
※参戦時期はREBELルート死亡後。
【ネズミ(池田中太郎)@彼岸島 48日後...】
[状態]:精神的疲労(中)
[装備]:無し
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:死にたくない。
1:黒河くんに従って行動する。
2:ハァハァ、あの人。結構美人だなぁ。
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。
※本名は池田中太郎ですが名簿ではネズミと記されています。
【本名不詳(さとうの叔母)@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:健康
[装備]:なし
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:今までと同じように振る舞う。
1:黒河の言う奴隷となる。
2:黒河とネズミからの愛を受け入れる。
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。
※名簿ではさとうの叔母と記されています。
投下終了です
投下します
鋭い風切り音と共に、振われた杖から鮮血が飛び散った。
「何だ此奴等は、A国とR国の大統領に似ているが」
たった今撲殺した2人の骸見下ろして、まさかな、と男は浮かんだ疑念を振り払う。
男の名は菅野直哉。全共闘時代に72名の警官を殴り殺した練達のゲバ棒使いにして、元国会議員。現在は公職選挙法違反及び治安維持法違反で、巣鴨拘置所─────通称巣鴨プリズンに収監され、法の沙汰を待つ身である。
それがいきなり訳の分からない事態に巻き込まれ、訳の分からない場所へと放り出された。
阿倍野の差金を疑うものの、流石にこんな事をする意図が読めない。
大体にして、阿倍野が自分を殺したいのならば、食事に毒でも混ぜれば良い。こんな事をする意味が無いのだ。
取り敢えず殺し合いをしろと言われて、放り出された先で殴り合っていた男2人を即座に殺害した。
あの気味の悪い女の言う通りならば、50時間経過で死ぬ事になるのだ。人を殺し慣れた身には、躊躇いなど存在しなかった。
「何だかよく分からんが、阿倍野が居れば、この場で殺してもやるんだがな」
【あの男@ TOUGH外伝 龍を継ぐ男】死亡
【トラムプ@刃牙シリーズ】死亡
【菅野直哉@テコンダー朴】
【状態]:健康
[装備]:ドラゴンのつえ@ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝する
1:阿倍野がいたら殺す
※ドラゴンのつえ
ドラゴンクエストのの主人公が装備出来る杖。攻撃力は主人公が装備出来る武器の中では最強クラス。
道具として使用するとドラゴンに変身して炎の息吹を吹ける。
なお変身時間は短い上に、炎の威力も弱くなっている
投下を終了します
投下します。
軽井沢恵は走っていた。
聞いたこともないウイルス、狂ったゲーム、悪魔の如き仕掛け人たち。
多少特殊な高校に通っている程度の彼女のこのゲームはあまりに刺激的過ぎた。
混乱して喚き散らしても誰も責めやしないだろう。
「待ちなよ軽井沢!
今なら一撃で殺してあげるからさあ!」
最も憎悪を持って迫って来る人間はいるようだが。
恵を追っているのは全身をバトルスーツとコオロギを模した仮面と鎧に包んだ怪人、仮面ライダーアバドンであった。
変身しているのは真鍋志保。
恵とは高度育成高校の同級生で、あるトラブルがきっかけで恵を虐めてから転落を続け終には退学まで追い込まれた自業自得女である。
詳細を話すと長くなるし、尚且つ高度育成学校の割と理不尽な上に不平等かつ、公平とも言い難い実態を語り続けなければならないので割愛させていただく。
今この場で重要なのはアバドンこと真鍋が恵を殺す理由足るだけの悪意の持ち主であることのみ。
それだけ理解してくれればいい。
「ま、待って!やだ!やめて!」
「泣いたって土下座したって許さない!
アンタもアンタの男もバラバラに引き裂いてやる!」
そう言ってスラッシュアバドンライザーを逆手に振り下ろそうとした。
しかし、その瞬間。
真鍋も恵もまるで静止画の世界の放り込まれたように動けなくなる。
しかし意識ははっきり残っており、動き出した瞬間意識と肉体の動きの顔入りにひどく混乱することになった。
「なに!?誰かいるの!?」
見ると二人の元に白地に金がアクセントカラーになった軍服モチーフのアーマーの仮面ライダーが居た。
「何よアンタ……」
「ゼイン。全ての悪意を駆逐する仮面ライダー」
「誰だか知らないけど、ジャマすんじゃないわよ!」
切りかかる真鍋だが、ゼインは最小限の動きでそれを避けるとワンツーパンチで吹き飛ばし、その隙にゼインカードを取り出す。
<ストロンガー!>
ドライバー中央のスロットにカードを装填。
レバーを引いてカードを裁断しながら読み込む。
<執行!ジャスティスオーダー!>
「こんのお!死ねぇええええ!」
「エレクトロファイヤー!」
突っ込んでくるアバドンを避ける素ぶりも見せず、地面に拳を振り下ろす。
地面を伝って流れた高圧電流がアバドンに体中を巡って暴れ狂う。
「うっ!あ、ああああっ!」
「とぉっ!」
バチバチと無茶苦茶に火花を散らしながら膝をついた真鍋にゼインは飛び上がり、右足を前に突き出す!
「ストロンガー!電!キック!」
「いいいぃいいいいやぁあああああああああ───ッ!」
戦車すらも一撃で破壊する必殺キックをもろに受けた真鍋は今度こそアバドンの鎧が帯電限界を超えて大爆発。
轟音と火柱の中に消えた。
「がぁっ……ううっ……」
ゼインがその火柱に手をかざすと、中から一枚のカードが飛んでくる。
真鍋を、仮面ライダーアバドンを倒したことにより生成されたゼインカードである。
ゼインは手に入れたばかりのカードをベルトにセットしながら恵の方を向く。
「ちょ、ちょっと嘘でしょ?やめて!こないで!」
<執行!ジャスティスオーダー!>
真鍋諸共アバドンのカードを裁断しながら読み込み、ゼインの手にスラッシュアバドンライザーが握られる。
<ヒット!>
「はぁあああ……」
「い、いやぁ!」
<クラウディング!エナジー!>
刃から斬撃状のエネルギーが飛ばされ恵……の後ろにいつの間にかいたゴキブリ型怪人、ダークローチを真っ二つにして撃破した。
「あなたが今後悪意の元に行動するなら、その時はあなた事斬るでしょう。では」
そう言ってゼインは恵を置いて去って行った。
「あは……ははは。あっはっはっはっはっはっは!」
そして残された恵は笑っていた。
ダークローチが爆散したことで受けた体液も煤も気にせずその場に座り込んで涎が垂れるのも涙があふれるのも構わず座り込んでゲラゲラと笑い続ける。
一度切れた緊張の糸は中々戻らず、その心に仮面ライダーという特大のトラウマを刻み付けたまま笑い続けた。
【仮面ライダーゼイン@仮面ライダーアウトサイダーズ】
状態:正常
服装:変身中
装備:ゼインドライバー@仮面ライダーアウトサイダーズ
ゼインプログライズキー@仮面ライダーアウトサイダーズ
ゼインカード一式@仮面ライダーアウトサイダーズ
令呪:残り三画
道具:ホットライン
思考
基本:悪意に満ちたこのゲームを破壊する。
01:このゲームの運営についての情報を集める。
02:邪魔する者は排除する。
03:悪意に満ちた参加者は見つけ次第排除する。
参戦時期:仮面ライダーゼロスリーと対峙するよりは前
備考
※変身者は桜井侑斗@仮面ライダーアウトサイダーズです。
しかしあくまでゼインのボディーに過ぎないので名簿には記載されません。
【軽井沢恵@ようこそ実力至上主義の教室へ】
状態:肉体は健康、???
服装:高度育成高校の制服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:???
01:あは、ははは……
参戦時期:清隆と恋仲になった後。
備考
※
【真鍋志保@ようこそ実力至上主義の教室へ 死亡】
【全体備考】
・裁断された仮面ライダーストロンガー、及び仮面ライダーアバドン(真鍋志保)のゼインカードは放置されています。
回収すればライダーのデータを得ることができるかもしれません。
【NPCモンスター解説】
・ダークローチ@仮面ライダーシリーズ
…ゴキブリのような姿をした怪人。
バトルファイトの最終勝利者がジョーカーアンデッドだった場合、息とし生ける全てを滅ぼすために無限に出現する。
一体一体は別段強くない上に不死身な訳でもないが、上記の特性から実質対処不能な災害である。
【支給品解説】
・スラッシュアバドンライザー&クラウディングホッパープログライズキー@劇場版仮面ライダーゼロワン REAL×TIME
…真鍋志保@ようこそ実力至上主義の教室へに支給。
仮面ライダーアバドンに変身するためのアイテム一式の一つ。
剣型のスラッシュライザーで変身する都合上近接戦に特化している。
量産型ながらスペックはそれなりに高いが、変身者の戦闘センスがもろに出る使用上、正規の訓練を積んだ者に生身のまま制圧、撃破される事すらあった。
・ゼインドライバー&ゼインプログライズキー@仮面ライダーアウトサイダーズ
…仮面ライダーゼイン@仮面ライダーアウトサイダーズの持ち物だが、没収出来ない都合上、配布する支給品の上限を削ることで引き続きの所持、使用が認められている。
複数のライダーシステムのエッセンスを使用、参考に開発された超知能ゼインの器。
使用者を仮面ライダーゼインに変身させる。
ゼロワン系仮面ライダーに備わっている能力を高水準で保持し、リバイス系仮面ライダー由来のあらゆる武器を自身に最適化して使いこなす能力などを用いて正義を執行する。
・ゼインカード一式
…ゼイン@仮面ライダーアウトサイダーズに支給。
ラウズカードシステムをベースに人類基盤史研究所がショッカー製仮面ライダーの技術もも参考にして開発したカード。
仮面ライダーから写し取った能力や武装のデータが込められてる。
見た目はディケイドやディエンドが持つカメンライドのライダーカードそっくりだが、裏面の紋章がゼインの物で統一されているか否かで見分けることができる。
乱用を防ぐために使用後は機密保持協定に基づき裁断される。
つまり仮面ライダーの力を正義の名のもとに使い潰すということである。
昭和ライダーの基本形態のカード、平成主人公ライダー、ギーツまでの令和主人公ライダーの物がセットで支給されており、支給品の枠を二つ使っている。
今回のエピソードでストロンガーのカードは再使用不可能となった。
投降終了です。タイトルは ワタシが正義で仮面ライダー です
投下します
少女は、かつての仲間に刃を向けてでも恩人の為に戦いそして命を散らした。
少年は、恩人と親友の板挟みになった末親友の"明日"の為に恩人を撃ってしまい、その恩人と共に命を終えた。
そして男は、恋人と戦友を奪われ憎悪に囚われた。
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「……少なくとも、今ここに居る私は…荒魂では無いようですね」
先端のみが黒で、後は白の髪色をしている無感情のように見える、荒魂を鎮めし巫女である刀使の少女…皐月夜見は一瞬キョトンとした様子をした後、少し考え呟く。
自らの身体に取り込み続けた不純物ノロにより、適切な処置を行われなければ死後ノロの集合体荒魂へと変質。
記憶を持っていたとしてもそれは生前の人格とは同一とならない…そんな人の域から外れてしまった冥加刀使である彼女がまず考えたのは、死んだ筈の自分が本当に自分なのかという疑問であった。
最もその疑問は、死に至るまでの過去を回想する中で消え失せる。少なくとも自己の連続性は保てていて、それまでの自らが自分では無いように感じれる…といった事も無かったからだ。
(…どうしましょうか。殺し合いに勝ち残れば願いが叶うと…あの何処か私に似た声の少女…の身体を使った"羂索"は言っていましたが…)
殺し合いの開幕を告げた呪詛師とやらの言ってた事を、夜見は今一度考える。
(…先程、堀北と呼ばれていた少女に命令で一人称と二人称を変えさせた…ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと名乗った少年。彼のような、刀使とはまた別の異能らしき力を持った存在も招かれている以上…御刀がこの手にあるとはいえ、殺し合いに乗っても勝ち残れるとは到底思えません)
バッグの中にあった御刀、にっかり青江を取り出しながら夜見は思考する。
ノロの力で親衛隊にまで抜擢されたとはいえ、元が非才・御刀にすら選ばれない所だった少女。それもあって殺し合いに乗るという選択肢は彼女の中から消えた。
元より恩人である高津学長を助けれた他、荒魂化していない以上おそらく自らの肉体に適切な処置は行われている=高津学長も助けられていると推測したのも理由である。
(……燕さん……)
「……──そうですね、ここは初心に帰って…ひとりの刀使として、戦ってみましょうか」
にっかり青江を見ながら夜見は、元の持ち主である自分より先に若くして旅立った仲間の刀使、燕結芽の事を浮かべる。そしてそこから暫しの熟考の末、やがて夜見は方針を定めた。
最初は故郷のみんなの期待に応えようと、上京し刀使として人々を守ろうと考えていた事。それが彼女の原点あるいは起源(オリジン)。
血の滲む努力を以てしても、決して埋められぬ才能の差から挫折と絶望を味わい、恩人による救いとノロによる強化を経て必要なら非情な手段を平然と取れるようになってしまったが…それでも、彼女の初心は間違いなくそこにあった。
(一先ず、「羂索」に彼が言っていた「茅場」に「クルーゼ」とやら…それに肉体を使われている「梔子ユメ」、それらを知っている人を探してみましょう。
主催者達と思われる彼らについて、何か情報が得られるかもしれないので。
…後は、あの場の人物だと少なくとも「一ノ瀬宝太郎」…仮面ライダーガッチャードと呼ばれていた彼は主催に抗いそうな人物に見えました。なので一ノ瀬さんや彼の知り合いも探してみるのもいいかもしれません。
…堀北という少女については、先程殺された「須藤健」という方とは知り合いのようで、ショックを受けた様子ではありますが…情報が足りないので保留とします。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは……堀北さん同様、「ニーナ・アインシュタイン」という方とは知り合いで、ショックを受けてるように見えましたが…警戒した方がいいかもしれません。あの場での行動だけでは殺し合いに乗るかどうかは分かりませんが……あの人を操る異能は、殺し合いに乗っていた場合脅威になり得るので。
後は……知り合いがもし居たら、戦いになるかもしれませんが…探してみるのもいいでしょうか。)
一通り考えを纏めた夜見は、他参加者を探そうとし……。
「…なるほど。とりあえず、燕さんのこの御刀でも刀使としての能力は使用可能。それと…荒魂の生成も出来るようですね。大量にとなると…アンプルが必要になるでしょうが」
刀使として使用可能な技能を試した後、なんの躊躇いもなく、にっかり青江により自らの腕を斬り自傷、その傷口から橙色をした蝶型の荒魂を数体生成した。
体内に取り込んだノロを荒魂としての生成に使用し敵の足止めや斥候に利用可能なのが、ノロの力を得てなお、刀使としては非才な皐月夜見の固有の異能と呼べるだろう。
「では…行きなさい。この殺し合いを打破する為の足がかりを掴むために」
そう荒魂達に命じ、索敵に向かわせる。
そして暫く後…荒魂が戻って来た。
「そうですか。…わかりました、向かってみましょう」
荒魂から他参加者の発見を知らされた夜見は、そう言うと同時に御刀によって迅移を行い…その場所へと高速で向かう。
やがて到着した彼女が見たのは…
「…ラウ…、どう、して……死んだ、はず…じゃ……なのに…っ…」
見るからに焦燥した様子の中性的な、白金色の髪色の少年の姿であった。
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『ラウは…もういないんだ。だが君もラウだ』
『それが君の運命なんだよ』
恩人にそう告げられ、かつて自らを救い出した同じクローンの名を、役割を、少年は背負う。
『分かるだろ?お前には…俺はラウ・ル・クルーゼだ』
『人の夢!人の未来!その素晴らしき結果!キラ・ヤマト!』
『ならばお前も、今度こそ消えなくてはならない!俺達と一緒に…生まれ変わるこの世界の為に!』
そう言い、クルーゼを討った目前の…人の業そのものの相手(キラ・ヤマト)と共に消えようとした少年だったが、滅びるべき相手の言葉が抱えていた迷いに刺さった。
『でも違う!命は…何にだってひとつだ!』
『だからその命は君だ!彼じゃない!!』
その結果敗北を喫し、それでも少年は恩人の為キラを撃とうと向かう。
『だが君が言う世界と私が示す世界、皆が望むのはどちらだろうね?
今ここで私を討って…再び混迷する世界を君はどうする?』
『…覚悟はある。僕は戦う』
だが恩人とキラの対峙の中、キラの放った決意の籠もった言葉により、抱えていた迷いと、戦争の無い平和な世界を望む親友への罪悪感が爆発し……気付くと少年は恩人を撃ってしまっていた。
撃ちたかった訳でも、ましては憎かった訳でも無く…ただ、少年は慟哭する。
『ギル…ごめんっ、な…さい…でも…彼の、明日…は…』
親友の明日は、自分や恩人の望む世界には無いと、目を背ける事に限界が訪れてしまっていたのであった。
そして少年は、恩人と恩人の元恋人と崩れ落ちる要塞と運命を共にした……筈だった。
『人選への文句は私じゃなくてクルーゼか茅場に言ってくれ』
羂索と名乗りし、梔子ユメとやらの肉体を使ったそれの発言は、死んだ筈だった少年を混迷へと導くには余りにも十分であり…少年は座り込み、自失同然で焦燥する他なかった。
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「…誰…だ…お前は、殺し合いに…」
私に気付いた彼は、居た堪れない様子でそう話しかけて来ました。
…見るからに焦燥した様子なのに、私に気付き、主催の話も頭に入っている…そうならなければ死ぬような、過酷な環境に身をおいていたのでしょうか?そうであれば…場数を踏んでいる戦える人間と見ていいのかもしれません。
「…私は元折神家親衛隊第四席の刀使、皐月夜見です。殺し合いには乗るつもりはないので、ご安心を」
「……レイ、レイ・ザ・バレル……ザフト軍所属の…FAITHだ」
ひとまず敵意が無い事を示しつつ、名乗ってみると彼は…レイさんはそう名乗り返してくれました。
…ザフト軍…FAITH…??
「…早速ですがレイさん、ザフト軍やFAITHというものは…何でしょうか?聞き覚えが…無いんですが」
「…こちらも、貴女の言う…刀使や折神家という言葉は、初めて聞く。
……そういえば、あの場に居た連中は…呪詛師や錬金術、仮面ライダー等と…聞き覚えのない事を言っていたが…貴女も初耳か…?…皐月夜見」
「皐月でも夜見でも、好きに呼んで下さい。
…私も出てきた単語については、御刀…刀使が使う刀以外は初耳な物ばかりでした」
そうまで言って、私は御刀が隠世…ある種の異世界から力を引き出す為の道具だという事を思い出しました。
…レイさんが刀使等の言葉を知らず、私が彼の言うザフトやFAITHの事を知らないという事は…隠世のような異世界が他にもあって、私達の居た世界も含めたそれらから、「茅場」や「クルーゼ」が人選を選んでこの殺し合いに招いた……という事もあり得るのかもしれません。
それをレイさんに伝えてみると…「…そうか」とだけ言って、そこから黙り込んでしまいました。
レイさんのその姿はまるで、何か悔恨…後悔を抱いてるかに見えて。
「…ところで一つ質問を。…先程レイさんは『ラウ』という方が生きている事に混乱しているようでしたが…もしかして、主催かあの場に出た誰かが」
「…そう、だ……あの羂索が言っていた…クルーゼ…ラウ・ル・クルーゼは…俺と同じ、クローンで…俺を救ってくれた恩人だった…だがラウは…全てを滅ぼそうとして…キラ・ヤマトに討たれた……その、筈だった…。
…死んだ筈なのは、俺も一緒だ…だが、ラウが何故主催側に居るのかっ……わからないんだ…」
聞いてみた所、言葉を遮りレイさんはそう、困惑を隠せない様子で語りました。彼も同じく死んだ筈という所に私は引っ掛かりを覚えましたが…それを聞く前にぽつりぽつりと、堰を切ったかのように、レイさんは自分がMS(モビルスーツ)とやらのパイロットで、ザフトという軍に所属していた事、それに殺し合いに巻き込まれる前の出来事を話し出して…。
私と同じように、生前恩人(ギルバート・デュランダル議長ことギルという方だとレイさんは言っていました)の為に戦って…私とは違い親友(シン・アスカという方らしいです)と恩人の板挟みになった果てに、恩人を撃ってしまった彼の顛末には……思う所はあります。
…私にとっての高津学長に当たる恩人が2人いて、片方が世界を滅ぼそうとして討たれ…もう片方を本意でないまま自分の手で殺める事に繋がってしまい、そしてこの殺し合いに、討たれた筈の恩人が関わっているとなれば……ああなるのも無理はないとは。
自分がもし同じ立場なら…平常心を保てる自信は無いですから。
「……そんな事が。
…それで…レイさん。あなたは…この殺し合いの場でどうしたいんです?」
…彼がどうするつもりなのかを言っていなかった事に気付いた私は、そう問いかけます。
私と違って、深く強い後悔を抱えたままその生を終えたレイさんは……恩人の為に、この殺し合いに乗るかもしれない。
「……俺、は……俺はっ…ギルに…もう一度……でもっ…シンに…謝り、たく……て…」
返って来たのは要領を得ない、迷っているのが良くわかる答えでした。
…こんな状況でなければ……とは思えど、そんな余裕はどうやら無いようです。
飛んできた緑色の光線を、咄嗟にレイさんの前に立つ形でにっかり青江で切り払った先に…敵が現れたからです。
…殺し合いに乗るかもしれないとはいえ、彼の生前の結末を知ってみすみす殺させるのは気が引けたのと、味方になれば心強いという打算もありきではありますが。
それ以上に……刀使になったのは、人々を守る為。例えクローンとやらでも、守るべき人間である事に変わりはないので。
「…レイさんが殺し合いに乗るなら、その時は刀使としてあなたを止めましょう。乗らず抗うのなら…協力も可能かと。
……どうか後悔しない選択をする事を、願っていますとだけ」
「…待て…貴女ひとり…では…!」
それだけを告げると、レイさんには答えず私は、鬼気迫る叫び声と共に日本刀のような武器を振りかぶって来た、機械のような物を纏う参加者と対峙。そのまま刀をにっかり青江で受け止めて斬り合いになります。
…あんな精神状態で、鬼気迫っているこの相手とまともに戦えるとは思えなかったので。
おそらく目前の相手は先のレイさんの話と羂索が言っていた事からして、MSをパワードスーツ…S型装備のような物に落とし込んだ物を着た参加者。
「…殺し合いに乗っていると云う事で、いいでしょうか」
「我らの願いは一つ!!ナチュラル共もそれに迎合する誇りを忘れたコーディネイター共も勿論…!!そして唯一正しい道を取ろうとしたパトリック・ザラ議長を嵌めたラウ・ル・クルーゼも!!全てを倒しそして今度こそは、偽りの世界を正す事!!
アランやクリスティンの…我ら同胞が喪った者達の味わった痛み!!その万分の一でも味わえ!!」
「妄執に囚われている事は、っ…理解、出来ました」
狂気のまま刀を振るい、また光線を放ってくる鎧の相手。
殺す事に躊躇う気はありませんが、果たして刀使としての才が無く、アンプルも手元にない私が何処まで食い下がれるか。
そうまで考え、にっかり青江を見た私は燕さんの事を思い浮かべて…。
(燕さん…私はあなたのように強くはありませんが、それでも…この御刀を使う以上は、あなたのように…最期まで、戦います)
刀を振るう相手に、にっかり青江で受け止めつつ突きを狙い…ひとまずダメージは与えたようですが、次撃は盾で受け止められて…長引きそうな戦いになるだろうと、そう思いました。
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彼女が…皐月夜見が戦っている相手。アレはかつてユニウスセブンを地球に落とそうとしたテロリストだ。
…羂索が言っていたMS…相手の場合はジンハイマニューバ2型。それを落とし込んだ物を着込んでいるんだろう…。
斬り合いになる両者、皐月夜見は…防御を顧みず、突きによる攻撃でダメージを与えていて、常人離れした動きの回避や攻撃速度を時たま見せる。
一方テロリストは、ダメージを意に介さず刀同士の鍔迫り合いを行いつつも、スラスターやサブスラスターを活用し機動で撹乱を図り、それだけでなく…ビームカービンの攻撃も織り交ぜる。
カービンを着弾させ、爆風が起きる中相手は目眩ましにし刀の一撃で皐月夜見にダメージを着々と蓄積させ…シールドを犠牲としながらも、とうとう片腕を斬り捨ててられてしまった。
だが皐月夜見は躊躇わず痛がる様子も無く、戦いを続行する。
……こんな時、シンなら…迷いなく彼女を助けに行くだろう。だがそれをすれば俺は…ギルとの再会を諦める事とほぼイコールになる。
バッグの中にある因縁の機体をパワードスーツに落とし込んだ鍵を見ながらも、俺は──。
『……どうか後悔しない選択をする事を、願っていますとだけ』
先程言われた言葉を思い返す。
……改めてごめん、ギル。でも…決めたんだ。後悔しないよう、戦うって。
そう決心したと同時に俺は、鍵を使いMSをパワードスーツに落とし込んだ物を装着した。
……まさか俺が、この機体で戦う事になるとはな。
だがシン、ルナ、それにキラ・ヤマトにアスラン…きっとお前達なら…同じように、するんだろう?
そして俺はストライクフリーダムとなり…夜見に再び刀を振りかざそうとするジンハイマニューバ2型の片腕を、ビームライフルで貫く。
…この機体の性能もあるとはいえ、彼女がダメージを与えてくれていたからだろう。
すると不利を悟ったからか、相手は地面めがけてビームカービンを乱射、爆風により撤退したのか晴れた後そこに相手は居なかった。
「…俺は…俺は、この殺し合いに抗う。抗って…どうして主催にラウが居るのか、直接問いただす。
…残り幾ばくもない命とはいえ、乗ってしまえば俺は、シン達に顔向けが出来ない。
……まともに、さよならも言えないままだったからな」
「…強いですね、あなたは。
…あの方に逃げられたのは痛いですが、あなたが殺し合いに乗らない選択をしたのは心強いです」
そう話す皐月夜見…夜見は、戦闘を終え納刀。俺もとりあえずパワードスーツを解除して……その後少しすると…斬られた筈の腕が…治った…だと…??
「…先程斬られた筈では…どういう事だ、夜見」
「…言ってませんでしたね。刀使が御刀を通して使う異能のひとつ、写シによるものです。
…まずはそこから話しましょうか」
【皐月夜見@刀使ノ巫女】
状態:手に自傷で付いた切傷、精神的疲労(小)
服装:隊服
装備:にっかり青江@刀使ノ巫女
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:刀使として、この殺し合いに抗います。
01:ひとまず今は、レイさんと情報交換を。…刀使等について、言い忘れてましたからまずはそこからですね。
02:一ノ瀬さんやその知り合いを探してみましょう。堀北さんは保留で、ルルーシュさんは少し警戒しておきます。
03:羂索やクルーゼ、茅場や梔子ユメの知り合いを探せば、情報は得れるかと。
04:ノロのアンプルがあれば確保しておきたい所ではありますが。
05:知り合いがいたら探してみましょう。
06:…燕さん、私も…あなたのように、最期まで戦います。
参戦時期:アニメ22話の「隠世の門」にて死亡後から。
備考
※荒魂の生成は多量に行う場合はノロのアンプルが必要となります。
【レイ・ザ・バレル@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
状態:精神的疲労と困惑(中)
服装:軍服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ストライクフリーダムガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY、ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:この殺し合いに抗う。
01:ラウ(クルーゼ)…どういうつもりなのかは、直接聞きに行く。
02:夜見から話を聞く。
03:あのテロリスト(サトー)は次は倒す。
04:まさかこの機体(ストライクフリーダム)を、俺が使う事になるとはな。
05:シン…ルナ…アスラン、キラ・ヤマト…俺も、お前達みたいに。
06:…この残り少ないだろう命、殺し合いの打破の為に使わせて貰おう。
参戦時期:PHASE-50もしくはHDリマスター版のPHASE-49の「最後の力」にて、死亡後から。
備考
※余命少ないクローンですがこの殺し合いでどうなってるかは後続にお任せします。
【支給品解説】
・にっかり青江@刀使ノ巫女
珠鋼という特殊な金属で出来た日本刀、御刀の一種。
適合者は燕結芽。
当ゲームでは女性ならば刀使や適合者でなてもある程度その力を引き出せる。
・ストライクフリーダムガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY
ファクトリーにより開発されたモビルスーツであり、キラ・ヤマト准将の新たなる剣。
武装は機関砲に二振りのビームサーベル、二つの高エネルギービームライフルにカリドゥス複相ビーム砲、クスィフィアス3レール砲にスーパードラグーン等。
またVPS装甲やハイパーデュートリオンエンジンも搭載している。
なおミーティア装備はこの起動鍵だけでは不可能。
ちなみにDESTINYとFREEDOMの間に起こったフリーダム強奪事件にて強奪され破壊されたらしい。
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こうして2人の、恩人の為に戦いながらも正反対の結末を迎えた元死者は戦闘を乗り越え、対主催としてこの殺し合いに臨むこととなった。
そして一方、1人の妄執の亡霊は…逃走に成功、パワードスーツを解除し息を荒げる。
「おのれ…ヒヨッコ風情に、ヤキン・ドゥーエのフリーダムめ…!!
今は逃げるしか無かったが、次は無い。我らが背負った無念と苦しみを、少しでも他の奴ら共に払わせなければ…彼らは決して浮かばれない…!!
…ユニウスセブン…クリスティンの墓標を落としはしたが…死んだ筈のラウ・ル・クルーゼが生きている以上、まだ足りぬ!!世界を真に正すには…参加者も主催も、皆殺しにせねば果たされぬわ!!」
怒りと留まる事を知らない狂気が燃え上がる。
『我が娘の墓標!落として焼かねば世界は変わらぬ!!』
「…落として焼いて、それでも変わらぬと云うのならば…死んで行った同志達の無念は、何処へ行くと言うのだ!!」
自分と共に散った筈の同志達の言葉を思い出し、元ザフト軍所属のテロリスト、サトーは皆殺しを決める。
その憎悪はブレる事なく、ひたすらに己が願いの為彼は戦うのだろう。
【サトー@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
状態:ダメージ(小)、精神的疲労(小)、怒りと狂気(極大)
服装:パイロットスーツ
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ジンハイマニューバ2型の起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY、ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:参加者と主催を皆殺しにし偽りの世界を今度こそ正す
01:ヤキン・ドゥーエのフリーダムとあのヒヨッコ(夜見)は次こそは殺す。
02:この偽りの世界、今度こそ正さねば同志達が浮かばれぬわぁ!!!
03:ラウ・ル・クルーゼ…パトリック・ザラを貶めた貴様は絶対に許さぬ!
04:あのラウ・ル・クルーゼに似た男(レイ)も殺す。
参戦時期:PHASE-6の「世界の終わる時」にて、死亡後から。
・ジンハイマニューバ2型の起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY
ジンハイマニューバの再設計機。スラスターを強化・変更し武装も取り回しの良い物にしシールドを追加、アンテナの改良で通信性も良くなった。
ザフトにより生産されたものの、時期がSEED本編終了間際だったのもありその量は少ない。
武装はビームカービン(ショートバレル型のビームライフル)に斬機刀、対ビームシールド。
操作性や信頼性で高い評価を得ている機体。
なおこの候補話内でシールドと片腕を破損しましたが、次回使用時にどうなっているのか、また使用不能になっているか等は後続にお任せします。
投下を終了します、タイトルは「死者たちの新たなる戦い」です。
自作にミスがあったので修正します
「…私は元折神家親衛隊第四席の刀使、皐月夜見です。殺し合いには乗るつもりはないので、ご安心を」
→「…私は元折神家親衛隊第三席の刀使、皐月夜見です。殺し合いには乗るつもりはないので、ご安心を」
投下します
「クハハハハハハハ!!!」
殺し合いの場に相応しく無い、或いはこの上なく相応しい吼笑を上げる男。
190cmの長身に、鍛え抜かれた巌の如き肉体の男の名は石動雷十太。
古に失われた剣技を、独学で明治の御世に蘇らせた才人である。
「いよっしゃああああ〜〜〜〜!!!!承太郎にポッキーの様にへし折られて、ナイルの底に沈んじまって以来の陸(おか)の空気だぜ〜〜〜〜〜!!!!」
だがしかし、今現在雷十太の肉体を支配する精神は、雷十太のものでは無い。
五百年前に鍛えられた刀剣がスタンドと化し、刀を手にした者の肉体を支配する妖刀魔剣。アヌビス神の名と像(ビジョン)を持つ意志持つ刀剣である。
「この身体。凄ェ剣技を持ってやがるっ!これならポルポルだろうが承太郎だろうが、敵じゃねぇ〜〜〜!!!
全員ぶった斬って第3部完!してやるぜ〜〜〜〜!!!!」
そもそもが、石動雷十太はこの殺し合いの参加者では無い。
色々あって精神崩壊した雷十太は、単独では何も出来ない身である。そこでこのロワではアヌビス神の支給品として扱われる運びとなったのだ。
防御不能の斬撃と、不可視の飛ぶ斬撃とを使う雷十太の肉体は、成る程アヌビス神の支給品にはもってこいと言えよう。
「さぁいくぜぇ!最初にぶった斬られるのはドイツだぁ〜〜〜っ!!!」
【アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダーズ】
【状態]:健康
[装備]:石動雷十太@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:優勝する
投下を終了します
皆さま投下お疲れ様です!
また新しいロワのスタートを祝します。
投下します。
「夢じゃないんだ……」
たちの悪い悪夢であればどれだけよいのだろうか。
しかし、現実は無常。
織子の眼前に見えるは”腕輪”と”令呪”
つまり、羂索が口に出した”殺し合い”は現実であると突き付けている。
「最後の一人になれば理想を叶える権利がもらえる……」
当然、織子にも理想や願いがある。
祖母が経営している旅館春の屋そのままにしつつ、代わりに別館をたてて今よりも大きくしたいとか、給食メニューの元気もりもりうどんを毎回お代わりできるようにしたいとか
「でも……やっぱり人を殺して叶える権利なんて絶対におかしい!」
「それに、お客様の笑顔を大切にする春の屋の若女将が、笑顔を奪うなんて行為は絶対にできないわ!」
うん。ウリ坊に美代ちゃん。鈴鬼くんもきっと私と同じはず。
それに、お■さんやお■■さんも
……あれ。……?何か■■■■ような
「……気の所為ね。よーし!それじゃあ、まずは行動よ」
方針を定めたのなら行動あるのみ。
織子は参加者を探そうと移動を開始しようとする。
そのとき―――
「お、君も参加者だよね?……って小学生!?」
さっそく参加者の一人と遭遇した。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「へぇ〜織子ちゃんって小学生なのに旅館の女将なんだ、すげー」
「いえ、女将といってもまだまだ修行中の身なんで」
二人は親睦を深めるためにも自己紹介をしている。
織子が出会った参加者の男子。
名は山内春樹。クラスのリーサルウェポン。
「いや、それでも凄いって。まっ!俺も小学生の頃、卓球で全国に行ったことあるんだけどね」
「山内さんって卓球がお上手なんですね」
「ああ!そんで中学は野球部でエースだったんだ」
「え!?卓球じゃなくて野球に替えたんですか!?」
「まぁ〜、卓球はあきちゃってさ。でも4番でインターハイまでいったんだぜ!」
「す……凄い」
(全国行けるほどの腕前なら、そのまま卓球を続ければいいのに。野球でインターハイまでいけちゃうなんて、山内さんってスポーツが本当に上手なんだ)
当然だが、室内スポーツである卓球と屋外スポーツの野球は、球を目がけて振るという動作こそ同じだが、性質は全然違う。
卓球で全国。野球でインターハイにいった山内の経歴に織子は感嘆な表情を見せる。
「……まぁ、そのインターハイで怪我したから今はリハビリ中なんだけどね」
山内はバツが悪そうに頬をポリポリとかく。
そして、その表情に笑顔はない。
「そ、そうなんですね……あの、怪我は治りそうなんですか?」
「おう!そこはやっぱ俺だね。このまま順調にいけば、OKだって医者がいってる」
「よかった〜。このまま怪我が治らず引退となったら嫌ですもん」
「心配してくれてサンキュ。ふふん。今度、織子ちゃんにサインでも書いてあげるよ」
「本当ですか。嬉しいです」
よかった……山内さんの表情が笑顔に戻っているわ
それに殺し合いといっても山内さんのような人ばかりなら殺しあわなくてもよさそう。
最初は殺し合いに不安しかなかった。
だが、最初に出会えた参加者の山内の言動から希望が見えた。
このゲームを殺しあわずに終わらせる希望が。
しかし、残念ながら希望はすぐに絶望にかわる。
「ところで、織子ちゃんはどういうのが支給された?俺は、このかっこいい剣が支給されてさ」
山内は支給品の剣を織子に見せる。
「あ!そういえば、まだでした。今、確認しますね」
山内の言葉から織子は支給品の存在を思い出す。
勿論、支給品で参加者を殺すつもりはないが、自衛にはなる。
織子は山内に背を向けて支給品を確認する。
(……リングかしら?アクセサリーみたいだけど、支給品だよね)
最初に出てきた支給品の一つはアクセサリーのリングだった。
とりあえず、自分の腕にリングをはめる。
参加者のサイズに合わせてあるのか、問題なく身につけることができた。
(えっと……他はないのかしら?)
残りの支給品も確認しようとする。
―――そのとき
オイ!ハンシン!気をつけろ!
「……え?きゃっ!?」
突然、刀が勢いよく振り下ろされた。
謎の声により、間一髪。織子は避けることが出来た。
「え?え?山内さん?」
刀が地面に突き刺さっている……
今、もしそのまま動かずにいたら私……
ゾッとする。
よく見ると山内の表情が変化していた。
今まで人当たりが良さような顔が今は恐ろしい形相。
”殺人鬼”という言葉がとても合いそうな形相。
「ちっ、面倒になったな」
山内は舌打ちする。
しくじったことに。織子を殺すのを失敗したことに。
山内は気を取り直して剣を構えなおす。
すると―――
マイクテスト、マイクテスト。あーー、もしもし、聞こえるかー?
「な、なんだ!?この声は!?」
山内は、謎の声に周囲を見渡す。織子も。
しかし、見当たらず。
「もしかして……さっきの声ってもしかして私の頭から!?」
先ほど、自分の命を救ってくれた恩人の声は、なんと自分の頭から聞こえたのではないかと織子は推測する。
すると―――答え合わせが。
Are you Ready?―――
ピシィ!!
「何!?何なの!?」
言葉に反応して、織子の胸に硝子の氷柱が飛び出す!
まるで、ガラスの心が反応したかのように。
GO Liiiiiiive!!
「えええええ!!!!!!?????」
織子は驚愕する。無理もない。
なぜなら頭から声が聞こえてきたと思ったら、次は身体から人?が飛び出してきたのだから。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「ハロー!ニンゲン!キィの名前はキィという!よろしくな!」
「わ、私は関織子。よ……よろしくお願いします」
たったいま、知り合った参加者に殺されかけている場面だが、挨拶され、織子も自己紹介を交わす。
「そうか、キィの新たなハンシンはオリコというのだな?いやー、それにしても危ないところだったな。キィのおかげだぞ」
キィと名乗る少女は自分のナイスアシストに腕組みしながらうんうんと自己肯定しながら頷いている。
「な、な、なんなんだよお前は!?」
山内は剣を構えながら狼狽する。
キィの登場に驚愕したのは織子だけでなく山内もだった。
「ん?さっきキィと名乗っただろ。もしかして耳が悪いのか?そんなことより……おい!そこのニンゲン!殺し合いに乗るなんて馬鹿な真似は今すぐにやめろ!」
「う……うるせぇ!馬鹿はお前らだろ!」
山内は喚く。
醜く。
「あの変な女に逆らった須藤と知らない女がどうなったかわかるよなぁ!この腕輪がある限りどうすることもできねぇに決まってるだろ!」
山内は織子と同じ腕輪を見せる。
そう、逃れられない腕輪を。
「それに、殺し合いで最後の一人になれば、願いを叶える権利が手に入るんだぜ!?だったら乗るしかねぇじゃねぇか!」
山内が見せる笑顔。
しかし、それは―――織子がいつも求める笑顔ではなかった。
「で……でも、だからって、殺してまで叶える権利なんて間違ってますよ!」
「はん!旅館の女将修行をしていてもやっぱり小学生の子供だな!いいか!世の中はそう単純じゃねぇんだよ!親しげに近寄ってきても裏切るような女に、クラスメイトを退学させようとする奴らに担任!そんなクズが大多数なんだよぉ!」
魂の叫び。
まずこの一年間のあなたのクラスへの貢献度は極めて低い
脳裏に浮かぶは山内にとっての現実(じごく)
「フン……先ほどから聞いてみればオマエの性根が腐ってるだけの話だ」
「あ゛あ゛!何だと!」
「キィの知っているニンゲンたちも後悔を抱えていた。現実に目を向けるのに苦しんでいた。でも、オマエのように前を向かず楽な道に逃げる奴は一人もいなかった!」
「勿論、オマエにもつらい現実があったのだろう!だが、殺しという選択肢を躊躇なく選べるオマエは心の底から腐ってるんだ!」
(キィたちも悩んだ……苦しんだ。殺すしかないのかと)
しかし、キィたち帰宅部は”殺す”を選択しなかった。
だからこそキィは否定する。
ニンゲンの強さを学んだからこそ。
山内の選択を。
「いいか!そこのニンゲン。今からキィとオリコがオマエの性根を叩き直してやるぞ」
「ははは!どうやって叩き直すんだよ!武器もないくせに」
キィの宣言に山内は見下す。
口だけだろうと高をくくる。
「ハンシン!その腕につけたリングを使え!」
「え!?使えって……どうやって使うの!?」
「とにかく、念じてみろ!キィと同じ支給品。武器が出てくるはずだ」
「わ……わかった!う〜ん出てきて!」
織子の言葉に反応したのか、織子のリングから武器が―――
箒がでてきた。
「これって……箒!?」
(えええええ!?確か箒は使い慣れてるけど、山内さんの剣にどうやって戦うの!?)
リングから出たのは一見普通の箒。
これでどう戦えばよいのかと織子は困惑する。
「笑えるぜ!箒で剣に適うわけねぇだろが」
山内は嗤うと織子とキィに向かって剣を振り下ろそうと走り出す。
「オリコ!勢いよくその箒を振ってみろ!」
「う……・うん!」
キィに言われた通り箒を振るうとなんと風が舞い上がる。
「うおぉぉぉ!?」
急な風に山内は体の軸足が耐えられなかったのか転がる。
無様に。
「な……なんなんだよ。その力」
まるで魔法。
山内の分かりやすい武器と違って得体のしれない箒に怯える。
無理もない。ファンタジーとは無縁の世界の人間なのだから。
そして―――山内の現実(じごく)が再び。
横並びの彼らと比べてもあなたは半歩劣るのよ
「うわーっ!納得いかねー!」
絶叫。溢れんばかりの。
阿鼻叫喚。
「山内さん……」
この姿が本当の山内さんなの!?
織子は困惑する。無理もない。
自己紹介をしていたときの姿と余りにもかけ離れているのだから。
―――ザッ
―――ビクッ!
「くっ……くそ!」
山内は織子が近づくと体を震わせると、踵を返し、一直線に逃走した。
「……はぁ〜〜〜〜怖かったぁ」
山内を追いかけず立ち去るのを見届けると、織子は緊張の糸が切れたのかペタンと腰を下ろす。
そして、自分を助けてくれた不思議な少女キィに顔を向ける
「ふふん。やったなハンシン」
キィは織子に向けてVサインをしていた
☆彡 ☆彡 ☆彡
―――くそっ!くそっ!!くそっ!!!
―――あんな小学生の子供一人仕留めそこなうなんて
最後の最後まで君は惨めで醜く救いようのない不良品というわけか
―――違う!俺はできる男なんだ!
―――この殺し合いで権利を手にして、もう一度返り咲くんだ!!
―――そして俺をコケにしたクラスの連中全員を俺の下僕にしてやるんだ!!!
―――俺を裏切ったAクラスの坂柳もな!!!!
―――ッ!?
「へ……へへっ……へへへへへ」
目の前にスーツの男が。
身なりからして高級そうなブランド品のスーツに見える。
若いサラリーマン風情がそんなスーツ着てるんじゃねぇよ!
そうだ、さっきの小学生の代わりに、この気取ったサラリーマンを殺してやる!!!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
このまま真っ二つに斬ってやるよぉぉぉぉぉ!
―――スッ
「えっ?」
そして批判表の一位は…残念ながらお前だ。山内春樹
ダァン―――
「がっ!?」
小学生を殺すことができず、プライドをズタズタにされた。
故に山内は再起をはかろうとした。
しかし運命の女神は微笑むことはなく、山内の意識はあっけなく闇に堕ちた。
山内春樹。
退学したとはいえ彼は全国屈指の名門の高度育成高等学校に籍を置いていた。
学校側からの”推薦”でしか入学できない仕組み上、山内も並の中学生ではなかったということとなる。
しかし、退学を経験をしてもなお、彼は省みることなく羂索の殺し合いに乗った。
余談だが、堀北からの評価は【どうしようもない人】
つまるところ、山内はどこまで堕ちてもどうしようもない人だったということだ。
【山内春樹@ようこそ実力至上主義の教室へ 死亡】
「……まったく、奇声を上げて向かってくるなんて殺してくださいといってるもんだ。はぁ……コーディネータ共も全員こうなら手間がかからないんですがねぇ」
山内を撃ち殺した男は荷物を回収して呟く。
「ふん。……僕は勝つんだ。いつだってね」
【ムルタ・アズラエル@機動戦士ガンダムSEEDシリーズ 】
状態:正常
服装:普段着ているスーツ
装備:第17号ヴァルキューレ制式拳銃 @ブルーアーカイブ 竜骨@呪術廻戦
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜2、山内のランダムアイテム×1〜2、SA・ホットライン
思考
基本:生きて帰る。最後の一人になる終わらせ方を選択するかは保留
01:とりあえずまともそうなナチュラルと接触を試みる
02:殺し合い……野蛮なコーディネーター共が考えそうなゲームだ
03:クルーゼ……ラウ・ル・クルーゼのことですかね
参戦時期:本編死亡後
備考
※この殺し合いはコーディネーターたちが裏にいると推測しています。
※羂索が口にしたクルーゼをラウ・ル・クルーゼのことを指しているのではと推測しています。
【支給品解説】
・ 第17号ヴァルキューレ制式拳銃 @ブルーアーカイブ
ムルタ・アズラエルに支給。
元々は狂犬の通称をもつ尾刃カンナが所持している拳銃。
このゲームでは、普通の拳銃として使用される
狂犬の名を、一度は聞いたことがあるだろう? by尾刃カンナ
・ 竜骨 @呪術廻戦
山内春樹に支給された呪具の剣。
刃で受けた衝撃と呪力を蓄積し遣い手の意図に合わせ峰から噴出する
あぁアイツが持ってちまったからなby禪院真希
☆彡 ☆彡 ☆彡
「というわけで、キィたち帰宅部は無事にリドゥから現実へ帰ったのだ」
「そ……そうなんだ」
命の恩人。キィから聞かされた帰宅部による冒険譚。
機械に疎い織子は、いまいち実感が沸かないが、ウリ坊や美代ちゃんや鈴鬼くんといった幽霊に魔界の住人がいることから、織子はキィの話を信じることにした。
「キィはこの殺し合いが許せない。最後の一人には理想の権利を与えるといってたが、そんなの偽りの幸福を与え続けていたリドゥ……ブラフマンと同じだ」
キィは憤りを隠せない。
ブラフマンのような人間による自分勝手な欲望をまき散らす悪意に対して。
「羂索は、このゲームを終わらす方法を3つ提示した。勿論、キィたちはゲームの打倒だ」
「……うん。山内さんにも言ったけど、殺して叶える権利なんて間違ってる」
一度は、権利を頭によぎったが、今はきっぱりと否定できる。
そして、そういう手段は、山内さんのような人を生み出す。
歪んだ笑顔の人を。
春の屋の若女将としてそんな笑顔は許容できない。
織子はケツイした。
キィと共にこのゲームを殺すのではなく叛逆で終わらせることを。
「うんうん!流石は、キィの新たなハンシンだけあって偉いぞ〜」
キィは織子のケツイに満足そうに頷くと、くしゃくしゃと織子の頭を撫でる。
その表情は笑顔。山内のような笑顔ではなく、かつて春の屋へ泊りに来た客たちのような溢れる笑顔であった。
「ちょ、ちょっと、キィちゃん……」
「キィの呼び名はキィで構わん。なんてったって、キィとオリコは半分を分け合ったハンシンなんだからな!」
「え!?そうなの!?」
そう、キィは織子の支給品。
そしてリドゥのときの部長と同じくキィと織子は分け合っている。
「ま、そういうことだからよろしくな♪」
キィは改めて織子の顔を見つめると―――
っ!?
―――織子の心の奥に踏み込みますか…?
はい いいえ
「?どうしたのキィ」
「……いや、なんでもない」
そうか……キィがオリコの支給品となったのはこういうことか
オリコは部長と比べると戦う力は下から数える方が早い
さっきは、勇ましく叛逆を口にしたが、果たしてキィたちにできるのだろうか?
いや……キィが弱気でどうする。キィは沢山学んだ。帰宅部の皆から。
だから、今回もできる!
それに、バーチャドールは人の想いを痛みを引き受け、受け入れるのだから
「さて、オリコ。せっかくだから部活を決めるぞ!」
「部活って……キィたちの帰宅部みたいなの?」
「うむ。ただ、同じ帰宅部だと芸がない」
(それに……キィにとっての帰宅部はアイツラとのだしな)
キィは懐かしむような表情を見せる。
「ハンシンは旅館の若女将なんだよな?……うむ。決めた!キィたちの新たな部活名は”日帰り温泉部”だ!」
「日帰り温泉部……うん。いいんじゃないかな。」
(おそらく、”帰宅”と”旅館の若女将”をかけたのかな)
織子はキィの発案に異論なく笑顔で受け入れる。
「うんうん!そうだろそうだろ。キィのネーミングセンスは衰えてないぞ!」
こうして、できたチーム名は日帰り温泉部。
部活活動は羂索のゲームへの叛逆
「よーし!キィと一緒にこのふざけたゲームをぶっ壊すぞ!」
「うん!……おー!」
【関織子@若おかみは小学生(映画版)】
状態:正常
服装:若おかみの着物
装備:キィ@Caligula2 ゼピュロスブルーム@ MÄR
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:決着2のゲーム運営への叛逆
01:キィと共に叛逆の仲間を探す
02:山内さん……
参戦時期:交通事故の関係者である木瀬一家が春の屋に泊まりにくる前
備考
※キィからリドゥでの一連の出来事を知りました。
※山内の経歴が誇張されたものだと知りません。
※両親の死に直視できていません
【支給品解説】
・キィ@カリギュラ2
関織子に支給。
バーチャドールであり、μの後継機。 普段は織子の体内にいる。
特殊な支給品であるため、ハンシンであるキィが死ぬときは織子も死ぬ。
逆も然り。
令呪を発動されることで、全開に近いフロアージャックを行うことができる。
・ ゼピュロスブルーム@ MÄR
リング状の特殊能力を持つアクセサリー。
発動後は風を操る、柄には刃が付いた銀の 箒が出現する。ネイチャーÄRM
自分の周りに風の盾や切り裂くカマイタチを起こす。乗って空を飛ぶこともできる。 本ゲームでは、織子のような魔力がない子供でも使用することができる。
投下終了します。
皆さま投稿ありがとうございます!
私も投稿します。
投下します
彼の名前は伊集院茂夫。罪なき人々の恨みを晴らすために、法から外れた外道に拷問を行う……「拷問ソムリエ」だ。
日々、罪なき人々の想いを背負い、涙を汲み、法から逃れ反省の色もなくのうのうと生を謳歌する外道を捕らえ、拷問を以て処刑するのが彼の生業だ。
では、今回の依頼はどうか。
【依頼内容:参加者全員の殺害】
馬鹿げているとしか言いようがなかった。恐らくこの殺し合いに巻き込まれている人の多くは、最初に見せしめのように殺された2人の少年少女のような人々だろう。
元いた世界にいる彼の助手や天羽組・京極組の奴らに、例の貴族のような服装をした少年のように何かしらの力を持っていれば話は変わるかもしれないが。
(しかし奴らは、運営を打ち負かす事でもこのゲームとやらを終わらせることができると言っていた。余程自信があるのだろう。この私によく挑発が出来たものだ)
羂索が言っていた『ゲーム終了の条件』。そのひとつである『運営の打倒』を伊集院は自らに対する挑発と受け取った。
無論、伊集院自身も自分一人で主催を打ち負かすことが出来るとは思っていない。
外道を騙すために、か弱い犠牲者を演じて自らを誘拐させた事はあっても、世界中のありとあらゆる戦闘術を習得し、気配察知能力にも非常に優れた彼を彼の気づかぬ間にこの場に誘拐したのだ。相当な手練であることは想像に難くない。
故に、彼は力を持たない者の保護を最優先にしつつ、協力関係を持てる者とはなるべく協力出来るように動くことにした。無論、こんなゲームに乗るような外道には相応の裁きを下す。
「罪なき人々を理不尽に殺し合わせ、それを愉しむ外道が……貴様らはこの伊集院が天誅を下す」
支給品袋には、基本的なそれの他にも3つの円形のスロットがあるドライバー、それにピッタリと入るであろう3つのメダルが入っていた。
「ふむ、『下腹部にドライバーをあてがい、左からタカ・クジャク・コンドルの順に装填し、変身と宣言してください』か……先程のものといい、どこかの特撮か何かの世界なのか?」
この支給品がどのような力を持っているのかを確かめねば、実戦でどれだけ使えるのかは分からない。そう判断した伊集院は下腹部にドライバーをあてがう。するとドライバーは不思議とその場に固定され、ドライバーの詳細な扱い方が伊集院の頭の中に流れ込んでくる。
(これは……!? 新たな知識が付与されたか。それに……不思議と力が沸いてくる)
そして、伊集院はメダルをスロットに装填しスロットを傾けると、円形のオースキャナーを手に取ると、スキャナーでメダルを読み込ませた。
「変身」
タカ!クジャク!コンドル!
♪タ〜ジャ〜ドルゥ〜!
すると、どこからともなく歌のような音声が流れ、伊集院の身体をタカとクジャク、そしてコンドルを思わせるスーツがすっぽりと覆う。元より超人的な身体能力を誇っている伊集院だが、更なる力が漲ってくるのを彼は感じた。
(素晴らしい……!この力は。しかしこれは……ファルコマンに似ているような)
【伊集院茂夫@ヒューマンバグ大学】
状態:正常、羂索たちへの怒り(大)
服装:変身中
装備:なし
令呪:3画
道具:オーズドライバー+タカメダル・クジャクメダル・コンドルメダル@仮面ライダーOOO、不明支給品0〜2
基本:最初の女(羂索)どもを捕らえ、拷問する。裏に黒幕がいた場合は其奴らも標的にする。
01:罪なき人たちを保護し、協力出来る人とは協力する。
02:ゲームに乗るような外道を見つけたら容赦なく殺し、拷問も厭わない。(拷問はなるべく他の参加者達が見ていないところで行う)
03:流川くんや伍代たちも呼ばれているのだろうか……?
04:この姿……ファルコマンに似ているな……?
参戦時期:少なくとも虫とファルコマン回以降
備考
『ヒューマンバグ大学』はYouTubeで無料で視聴可能。
以下URLとなります。
h ttps://youtube.com/playlist?list=PLnq6Zem-vrQCGV_VyMBDQtkl5XPKKPorY&si=WHAUnmIfP_md4vox
投下完了です
「ルルーシュ」
不浄の殺し合いの中、安堵したとも不安でたまらないともとれる複雑な表情でつぶやく女性が居た。
彼女の名前はコーネリア・リ・ブリタニア。
神聖ブリタニア帝国第三皇女にして、ブリタニアの魔女と恐れられる無慈悲にして剛健な女将軍である。
植民エリア11の総督も務める彼女だが、身内、特に同腹の妹のユーフェミアに対しては深い愛情を抱く家族想いな女性でもある。
そんな彼女がこんな場所とは言え、7年前に死んだとされていた腹違いの弟を、ルルーシュを見つけることが出来たのだ。
喜ばずにはいられない。
しかしコーネリアの最期の記憶は突如日本人虐殺を命じたユーフェミアが日本独立を支持するテロリスト、ゼロに殺されたという知らせを受けた直後。
最愛の妹の死で呆然としていたところにこの事態に巻き込まれたのだ。
(待っていろルルーシュ。
7年も待たせてしまったが、必ずお前を無事に返す!)
それにルルーシュに会えれば、ルルーシュの同腹の妹、ナナリーの手掛かりを得れるかも知れない。
(ユーフェミアもクロヴィスも間に合わなかった。
だからこそ、ルルーシュだけは!)
狙撃されにくい位置に移動し、支給されたアイテムを確認していく。
(この世界断絶障壁とかいうのはキロ単位で敵を閉じ込められるのは良いが、令呪を使わされる上に99.9秒……2分も持たないことを考えるとそこまで有用とは思えんな。
こっちのベルトはさっき言っていたパワードスーツの類か。
個人的にはグロースターでも使わせてもらった方がよかったが、戦えるならなんでもいい)
そして最後の支給品を確認しようとした時、コーネリアは戦場でよく聞いた音を耳にした。
身を隠しながら様子をうかがうと、紫色のバトルスーツに銀色の仮面の騎士と、堕天使のような煽情的な格好の少女がそれぞれの得物を片手に戦っている。
(あれはイレヴンどもの開発したグラスゴー擬き……確か無頼とか言ったな。
誰かがアバターチェンジして……いや、動きが慣れていないにしても単調すぎる。NPCか)
近接用トンファーを展開した四機の無頼は二人を囲むように回りながら波状攻撃を仕掛ける。
「リリちゃん!上を取って!」
「はい、兄様!」
リリと呼ばれた堕天使の少女は飛び上がって手にした赤いデスサイズ、クレセントローズを変形させて狙撃中にして無頼を撃つ。
射撃の心得などないリリには一発も当てることが出来なかったが、乱れた陣形に指示を飛ばした騎士、仮面ライダーカリバーに変身したプリンセスナイトの少年(仲間たちからは騎士クンと呼ばれている)が斬り込み、広範囲のエネルギー斬で二機の無頼を破壊。
残る二機の攻撃も背中に目でもついているかのように簡単によけると、一対一に持ち込んで仕留める。
そんな2人にコーネリアは
「抜けている、呆けている、堕落している」
戦極ドライバーを装着しながら姿を現した。
すぐさま構える二人に、コーネリアもドライバー装着と同時に出現した無双セイバーを引き抜き、リリに向ける。
「そっちのお前は特に酷い。
なにか特殊な力を元々持ち合わせている様子だが、まるで使いこなせていない。
スペックだけの強引な攻めはいつか必ず敗北を招く」
「ッ!」
次いで切っ先をプリンセスナイトの少年に向けた。
「そして仮面のお前。
そっちの女よりマシだが、その実力では多少感が良い程度小手先にすらならん。
意志無き兵士程度はどうにかなっても悪意の参加者から妹は守れない。
……私のように」
「まさか、妹さんを……」
<ブラッドオレンジ!>
返事はせず、コーネリアは左手で血の色のロックシードを解錠し、ドライバーに装着。
頭上に限定クラックが生成され、そこから鋼の果実が出現する。
「変身!」
カッティングブレードがエレキギターのメロディーと共に降ろされ、ロックシードが展開!
<ブラッドオレンジアームズ!邪の道!オン・ステージ!>
頭上に待機していた鋼の果実がコーネリアの頭部に突き刺さり、暗い紺色のライドウェアが装着される。
そして果実が割れて鎧に変形。
再び現れた頭部は三日月の飾りのついたフルフェイスの兜に覆われていた。
それは敵の返り血か、それとも肉親を守れなかった後悔の血涙か。
鮮血纏いし剛健魔女、武神ライダー鎧武推参!
「構えろ。
このコーネリア・リ・ブリタニアがお前たちを叩き直してやる」
自動で出現した固有装備、ブラッド大橙丸と無双セイバーを合体させて薙刀にして構える武神鎧武。
「私のようになりたくなければ!
……妹を守り抜きたくばこの程度凌いで見せろ!」
「はい!」
「……胸をお借りします!コーネリア様!」
二人の仮面ライダーと堕天使が激突した。
【コーネリア・リ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】
状態:健康、武神鎧武に変身、決意(大)
服装:ブリタニア軍の軍服
装備:戦極ドライバー(武神鎧武)+ブラッドオレンジLS@仮面ライダー鎧武
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
世界断絶障壁@OVER LORD
思考
基本:羂索ども倒し、ルルーシュと共に帰還する。
01:ルルーシュ……よく生きていてくれた。
必ず会いに行くぞ。
02:魔法、か。あり得ないとも言い切れないな。
03:剣を執れ。妹を守りたくば死ぬ気で戦え。
参戦時期:ユーフェミアの死を知った直後
備考
※ユウキとリリを血のつながった兄妹と勘違いして自分とユーフェミアを重ねています。
【ユウキ@プリンセスコネクト!Re:DIVE】
状態:健康、変身中
服装:いつもの服装
装備:邪剣カリバードライバー@仮面ライダーセイバー
闇黒剣月闇@仮面ライダーセイバー
ジャアクドラゴンWRB@仮面ライダーセイバー
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜2、ホットライン
思考
基本:この戦いを終わらせる。
01:リリちゃんを守る。
02:他に仲間が呼ばれていないか探す。
03:コーネリアさんに訓練をつけてもらう。
参戦時期:アルターメイデンとある程度の仲になってから
備考
※闇黒剣の力は少し先の一番悪い未来が時々見える程度に制限されています。
【リリ@プリンセスコネクト!Re:DIVE】
状態:正常
服装:いつもの服装
装備:クレセントローズ@RWBY
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:この魑魅魍魎跋扈する殺し合いから帰還する。
01:兄様と合流出来たのは暗雲低迷の中、幸いでした。
02:クリアさんたちも連れてこられているのでしょうか?
03:コーネリア様……力戦奮闘、参ります!
参戦時期:少なくとも美食殿とある程度の仲になってから
備考
※
【支給品解説】
・戦極ドライバー(武神鎧武)+ブラッドオレンジLS@仮面ライダー鎧武
…コーネリア・リ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュに支給。
武神の世界において全ての武神ライダーを倒した武神ライダーが使っていたベルト。
見た目は初期型戦極ドライバーと同じ蛍光イエローの帯にカラーのフェイスプレート。
使用者が一人しかいなかったため、認証機能の有無は不明。
完全に鎧武の世界とは根本から異なる世界の産物とあって戦極凌馬もメガヘクスも関わっていないはずのドライバー。
ロックシードの方に関してはDJサガラこと蛇の関与が示唆されているが詳細不明。
当ゲームでは誰でも変身出来る仕様にされた上で戦闘能力のみ使用可能で、クラックや怪人を使役する力は使えない。
・世界断絶障壁@OVER LORD
…コーネリア・リ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュに支給。
『転移後の世界』に元々存在した魔法の一種で、HPを消費する代わりに術者を中心にキロ単位で脱出不可能の結界を張る魔法。
ワールド・アイテムによる干渉でも行わない限り破壊不可能。
当ロワでは発動するたびに令呪の消費を強制され、持続時間も1回99.9秒(ただし術者が死なない限り)とオリジナル以上に燃費が悪くなっている。
・闇黒剣月闇@仮面ライダーセイバー
…ユウキ@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。
邪剣カリバードライバーとジャアクドラゴンWRBとセットで支給される。
最も最初に造られた聖剣で、仮面ライダーへの変身以外にも複数通りの最悪の未来とそれを解決する未来をひとつだけ見せる、空間を切り裂き闇に至る、対を成す光剛剣や人造聖剣を封印する、世界の崩壊の余波すら遮断する結界を張るなど、原初の聖剣に相応しい様々な特殊能力を持つ。
ただし、使いこなすには剣士としての技量、そして何より最悪の未来に屈さない強靭な精神力を求められる。
当ゲームでは未来視に関しては少し先の一番悪い未来が時々見える程度に制限されています。
・クレセントローズ@RWBY
…リリ@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。
レムナントと呼ばれる世界でルビー・ローズという少女が使う可変武器。
狙撃中と大鎌の形態を持つ。
すみません、タイトルは『拷問ソムリエ 伊集院茂夫』です。
申し訳ありません、割り込み投下をしてしまいました。
◆Drj5wz7hS2様には深くお詫び申し上げます。
投下終了です。
タイトルは 優しい魔女と臥竜鳳雛です
いえいえ!お気になさらず。
◆XF4b3sY0akさん、作品をありがとうございます
もう1つ失礼致します。
拙作『拷問ソムリエ 伊集院茂夫』に以下の解説を追加致します。
【支給品解説】
オーズドライバー@仮面ライダーOOO
伊集院茂夫に支給。
元はグリードと呼ばれる怪人をメダルの状態で封印していた石棺。
普段はバックルのみの形状だが、腰にあてがうことでベルトやオースキャナーが出現し、ベルトに3枚のコアメダル(それぞれオーズの頭部・腕部・脚部の3か所に対応)を装填し、オースキャナーでスキャンしコアメダルを読み込むことにより変身する。
ss0601氏の代理で投稿させていただきます
「……はぁ、ツイてないなぁ〜」
誰に言うでもなく呟くと、足元にあった小石を蹴っ飛ばす。
普段なら、というよりか本来ならアイドル志望の少女がすべき行動ではないが、今くらいは許して欲しい。
あたしは、鈴木羽那。
アイドルとなるために岡山から東京へ行く途中、突然視界が暗転して気づいたらここに居た。
つい先ほどまどは、アイドルとなったと自分を想像して胸が高鳴っていたが、今や完全にお通夜気分である。
「にしても、殺し合いに勝てば願いが叶う……か。んー、違うんだよね」
そう、違う。
こんな形であたしの願いは叶ってはいけない。
アイドルとは、人を笑顔にするもの。
断じて、血に汚れた手で掴んでいいものではない。
「じゃあ、このゲームに逆らう? アハハ……、あたしひとりじゃちょっと想像つかないな」
あたしはごくごく普通の女の子。
使えそうな支給品はあるが、これを使ってあの羂索を倒せるかというと……まぁ、無理だろう。
しかも、参加者の中にもルルーシュさんのような得体の知れない能力を持った人がいる訳で……。
「仲間……うん、仲間を探そう」
1人じゃ無理なら誰かに頼る、当たり前の論理だ。
あたしは小石を遠くまで蹴り飛ばすと、仲間とともにこのゲームに抗う決意をした。
「誰もいない……」
あれからしばらくたった。
残念ながら、未だに誰とも会っていない。
他の参加者も確実にいるはずではあるんだけど……。
そんな事を考えながら歩いていると、ついに私の待ち望んだ他の参加者に出会う。
しかも、高校の制服を来ている少女、話しやすい相手だろう。
ただ、やや気になるのはこんな状況にも関わらず彼女が地面に座り込んで本を読んでいたことだが……まぁ、些細なことだろう。
そう思い彼女に近づこうとした瞬間、あるものが視界に入る。
本を読んでいる彼女の背後に、得体の知れない化け物がいた。
彼女は本を読むのに夢中で、アイツに気づいていない……どうしよう。
彼女を見捨てて、逃げる?
あたしのスペックを考えたら妥当……でも、それは違う。
私はアイドルに……人を笑顔にする人間になると決めた。
それに、このゲームに抗うと決意もした。
なら……!
あたしはリュックから起動鍵を取り出す。
このウィングゼロカスタムなら……。
しかし、あたしが起動鍵を使うまでもなく、空中から穿たれた光線により化け物は蒸発する。
「……え?」
全くもって予想外の結末。
だから、あたしの口から出た間抜けな声も許して欲しい。
そして、"それ"はゆっくりと地上に舞い降りる。
おそらく、"それ"はあたしが使おうとしたものと同系統の兵器だと直感的に理解する。
ただ、あたしと違って使い手は本職だろうが。
「アンタ、一般人だろ? 無茶するなよな」
パワードスーツを解除して、現れた少年はそう言う。
呆気に取られていた私は、何も言うことが出来ない。
そして、そんな私から離れて未だに本を読んでいた少女に近づいて、肩を軽く叩いた。
「? あぁ、あなたもこのゲームの参加者ですか?」
「神経が図太いというか何というか……アンタはもっと警戒心を持ってくれ」
本当にあの子、気づいてなかったのか。
あの黒髪の少年もこれには困惑しているようだ。
これは……中々クセの強い人たちが集まってしまったかな?
まぁ……でも。
「えーっとね。あなたは後ろにいた化け物にやられそうになってたんだけど、この人が助けてくれたんだよ!」
「あぁ、そうだったのですね。ありがとうございます」
「いや、あぁ、うん。今度からは気をつけろよ」
「はい、そうします。ところで、自己紹介でもしませんか? このような状況で私たちは出会ったのですから、出来れば協力したいのですが。私は椎名ひよりです」
「それもそうだな……俺はシン・アスカ」
「あたしは鈴木羽那! よろしくね、二人とも」
この3人なら、やっていける気がする。
【鈴木羽那@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
状態:健康、決意
服装:私服(女子)
装備:ウィングゼロカスタム(EndlessWaltz版)@新機動戦記ガンダムW
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:このゲームに抗う。
00:こんな願いの叶え方は間違ってる!
01:あたしは……人を笑顔にするんだ。
02:常識は通用しないかも?
03:シン・アスカさんに椎名ひよりさん、クセは強そうだけど上手くやれるかも。
参戦時期:岡山出立直後
備考
特になし。
【椎名ひより@ようこそ実力至上主義の教室へ】
状態:健康、冷静
服装:高度育成高校の制服(女子)
装備:ガンダムSEED(ノベル版)@現実
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:このゲームから生還する。
00:争いごとは嫌いです、しかし……。
01:須藤さん……残念です。
02:羂索にルルーシュ・ヴィ・ブリタニア……そしてあの異能、難しい盤面ですね。
03:シン・アスカさんに鈴木羽那さん、いい人たちに出会いました。
参戦時期:少なくとも2年生編の前
備考
特になし。
【シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
状態:精神的疲労と困惑(小)
服装:軍服
装備:ライジングフリーダムの起動鍵@ 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:この殺し合いに抗う。
01:ラウ・ル・クルーゼ、どうして今更!
02:今度こそ、今度こそ戦争のない世界を作るんだ……議長でもましてや羂索とかいうヤツの意思じゃなくて、俺自身の意思で。俺自身が納得出来るやり方で。
03:鈴木羽那に椎名ひより……一般人だろうけどやたら平和ボケしてるというか何というか。
04:アスランにあったら再戦する。少なくとも一発殴る。
05:デスティニーがあれば……。
参戦時期:HDリマスターエピソード49直後から参戦。
備考
特になし。
【改造人間@呪術廻戦】
状態:NPC
投下終了です。
タイトルは 舞い降りる剣 です。
コンペロワアナザーに投下したものを流用して投下します。
「わけがわからないの……」
殺し合いの会場のどこかに、一人の少女が佇んでいる。
その少女は頭につけた大きなリボンとゴシックロリータ的な服装に金髪の髪色で、例えるならお人形さんといえるようなかわいらしさが特徴的だ。
しかし、彼女を見て一番目を引くのは、手に携えている包丁だろうか。
彼女の名前はメリーさん。
電話を掛けながら少しずつ電話先の相手に近づき、最後には背後に立つ都市伝説でお馴染みのメリーさんである。
もっとも、彼女は元々の話とは違い少女ではなく、埼玉に上京してきた男子大学生、内原平和の命を狙っているが。
メリーさんは元々、平和に捨てられた人形として彼の命を狙うべく、電話を掛けながら少しずつ彼に近づいていった。
そして紆余曲折の末彼が住むアパートにたどり着きそうになったその時、彼の隣の部屋の邪教の信者たちが生贄として彼女を捧げた結果、なぜか彼女は異世界に転移していた。
その世界はいわゆるファンタジー世界で、レベルとかもあるテンプレなナーロッパだった。
そこで彼女は強くなり、魔王を倒して元の世界に帰り今度こそ平和の寝首を掻くと決意した――
ところでこの殺し合いだ。
メリーさんも当然の如く困惑し、平和に電話したが繋がらない。
異世界に行っても通じたのに、と思ったが彼女は即座に思考を放棄し、とりあえず殺し合いに優勝することにした。
彼女ははっきり言って根本的に知能が低く短絡的で、おまけに基本的に問題を皆殺しで解決しようとする質だった。
もし平和と電話がつながっているなら、彼が何とか主催を倒すように誘導で来たかもしれないが、そんな未来は多分ない。
そんなメリーさんだから、ルールもロクに把握していない。
自身のスマホの代わりに入っていたSA・ホットラインを見て怒りを覚え、奥に自身のスマホが無いかと漁ったデイパックの中に見つけた、元々持っていたものより出来がよさそうな包丁を見つけ、満足してしまった。
おかげでルールすら読んでおらず、彼女はある勘違いをしていた。
それは――
「とにかくレベルアップしたいの……」
この殺し合いの世界にも、さっきまでいた異世界と同じくレベル制が採用されていると思い込んでいた。
だがこの殺し合いにそんなルールはない。
特別な支給品の効果で強くなることはあるかもしれないが、ただ敵を殺すだけで強くなるようなルールなどない。
かくして、勘違いしているメリーさんの殺し合いが始まる。
手にあるのは武器としては強い包丁だけ。
知能も勇気も持ち合わせない、ただ攻撃性だけは高い少女の殺し合いは、はたしてどうなるのだろうか。
【メリーさん@あたしメリーさん。いま異世界にいるの……。(漫画版)】
状態:正常
服装:普段着
装備:包丁@ファイナルファンタジーシリーズ
令呪:残り三画
道具:基本支給品、ランダム支給品1〜2、SA・ホットライン
思考
基本:優勝して元の世界へ帰って、今度こそあの人を殺すの
01:とりあえず見つけた人を殺すの
02:レベルアップしたいの
03:私のスマホは返して欲しいの
参戦時期:1話終了後
備考
※参加者に限らず生き物を殺せばレベルアップできると思い込んでいます。
【支給品解説】
・包丁@ファイナルファンタジーシリーズ
メリーさんに支給。
FFにおいてトンベリが使う包丁。
作品によって即死攻撃であることも多いが、このロワでは攻撃力高めの包丁として扱う。
投下終了です
投下します
「笑えないジョークだ。」
紫と黒が混合させたジャケットが特徴的な男、
黒鋼スパナは一人彼にとってのいつもの口癖を街中で呟く。
羂索によって始まったバトルロワイアルは本当に笑えないジョークだ。
悪辣さはグリオン程かどうかは比べるのはともかくとして、悪趣味にもほどがある。
人間同士の醜い争いはうんざりだ。血眼になってケミーを探そうとする民間人やマルガムになる犯罪者。
いやというほど見てきたというのに謎の存在によってまたも人同士の醜い争いを要求してくる。
無論、彼は乗る気などない。確かに彼は時折ドライなところもあるが、
一度はマルガムもケミーも、そして仮面ライダーもいない平和な世界を作るべく覚悟した男だ。
殺し合いなんてもので理想をかなえるなど、本末転倒である。
「……」
一ノ瀬宝太郎がいたことはあの舞台でも確認できた。
あのお気楽な錬金術師ならば、殺し合いにも抗うのは間違いない。
仲間を捨てたりしないといった、あの男なら必ず。
『俺たちの道は交わらない……だから、お前はお前の道を行け……』
採石場での戦いに敗北した後、そう言って別れを告げた。
だが今回の目的は同じだ。この殺し合いを止めるべく同じ道を交わる。
交わらないと言っておいて早々に交わることになるのは少しアレではあるが、
あくまでケミーに対する見解については交わることはないだけで平和を望むのは同じだ、
そこだけは変わることはないだろう。
「貴様はいつまで隠れてるつもりだ?」
ただならぬ殺気と視線をずっと感じていた。
近くの植え込みからガサゴソと音を立てながら出てくるのは、
左腕に緑色の光を放つ銀色の機械を身に着け、と護拳のついた双剣を持った男だ。
少なくともカタギの人間でないことはその眼差しといでたちから察せられる。
「オレはザギ……お前を殺す男の名だ……覚えておけ。」
「フン、笑えないジョークだ。」
ケミーを徒に犯罪に利用しようとする輩と変わらない。
そう判断しながら取り出した武器は明らかに大きめのサイズの二本のスパナ。
ヴァルバラッシャーという巨大なスパナを武器にして戦っていたので、
別に巨大なスパナが武器であることについての違和感はあまりなかった。
あくまで武器であることについてはだ。殺し合いではあまり心もとない類だ。
(やはりヴァルバラドライバーはない、か。)
宝太郎との戦いで壊れたものを期待しても仕方ない。
今あるものはこのスパナとケミーとは別の何かのカード。
これだけが彼にとっての武器であり、迫る刃をスパナを交差させ弾く。
「刃が疼く……殺らせろ、殺らせろぉ!!」
闘争心をむき出しにしたラケシスに負けず劣らずの闘争心。
少なくとも修羅場を相当くぐった経験のあるものだと察する。
(このスパナ、武器としては有用か!)
相手が持つ剣を受け止めることができた。
少なくとも戦いにおいて十分扱える武器だとわかり、
押し返すとともに鳩尾を蹴り飛ばす。
「空破特攻弾!」
ダメージなど皆無かのように、
距離を取らせた瞬間距離を詰めるように、
ロケットのように直進し両手を突き出すザギ。
生身で受けられる攻撃ではないと転がるように回避。
近くの街灯を破壊するだけに留まるも、振り向けば狂気的な笑みを浮かべる。
「いいぞ、そうでなくちゃあ面白くねえ! もっと本気で来い!」
「貴様に言われるまでもない!」
振り返ったザギへ、熟練スパナと呼ばれる武器による無数の乱舞。
乱舞に合わせるようにザギも体術と剣術と左腕の機械で防がれていく。
超A級錬金術師だけあって二刀流もできなくはないが、やはり得物の強さが厳しい。
思うように攻め切ることができず、反撃を許してしまう。
「魔導爆炎昇!」
地面を叩きつけながら衝撃波を放ち、咄嗟に距離を取る。
距離を取ったところをザギは腕から赤いビームを放ち、顔を逸らすことで頬をかすめる程度に留める。
(やはり変身なしでは限度があるか!)
仮面ライダーヴァルバラドへ変身できればここまで後れを取ることなどない、
なんて言い訳じみたことだなとすぐに思考を目の前の男へと集中させる。
この程度のことも切り抜けられないようでは、超A級錬金術師の名が廃れるというものだ。
一応対抗策はある。
もう一つケミーとは違うカードを使えば切り抜けられるか、
あるいは奴を倒せるかもしれない可能性があると。
だが使用すれば十二時間は使用不可という重い制限を課せられている。
それだけ強いものなのだろう。だからこんな序盤で使うわけにはいかなかった。
(だがこのまま戦っても厳しいのは事実。何か手段はないか……)
エナジーアイテムを周囲に探してみるが、
そんなものは都合よく存在していない。
逃げながら戦うにしても、先ほどからの動きで相手の機動力は優れている。
生身でも人間離れした機動力を前に逃げ続けながらは困難を極めるだろう。
(仕方がない。このカードを……)
「来い、ジライヤ!」
突如ザギを風で吹き飛ばす、白い衣装と赤いマフラーを巻いた人型の異形。
腕にレジスターがないため説明にあったNPCかと身構えそうになるが、
先ほどの掛け声の主の方が気がかりでもありそちらの方を確認した。
茶髪の黒い学生服の、どこにいてもおかしくはなさそうな青年がジライヤと呼ばれたそれのそばに立つ。
「なあアンタ! 大丈夫か……ってああ! そのスパナ!」
青年、花村陽介は攻撃が近かったことで巻き添えになってないか心配してたが、
彼が持ってる熟練スパナを見て声を上げる。
「これがどうかしたか。」
「なあ悪いアンタ! そのスパナ俺がちょっと使ってたやつなんだ、貸してくれねえか!?
代わりにこっちのでっけえスパナやっから! 寛二じゃねえし俺にはこの重さは無理なんだよ!」
でっけえスパナと言って出されたのは、
一メートルはあるであろう巨大なスパナだ。
普通だったら驚くだろうが、スパナは別の意味で驚く。
彼にとってそれはあまりにも見覚えのあるものだった。
壊れた以上再会することもないと思っていたヴァルバラッシャーが出てきたのだから。
ラケシスが持ってた量産品の方か、それとも修理されたのかは定かではない。
だがどちらにせよ今のスパナを持つよりもよほど戦力に足りうる代物だ。
「! それなら話は別だ、今すぐそれを渡してもらう!」
「え!? 要求してるの一応俺だよな!? いや別にいいけどよ!」
急に態度が変わって戸惑う陽介だったが、
彼にとってもそれが重要な武器なのだろう。
ザギが起き上がる前に互いの得物を交換し合う。
「それとこれ以外にケミー……何かカードはもらってないか。」
「あ、これのことか? もしかしてこれも必要なのか? なら渡しておくぜ。」
そう言って渡されるのは、車のようなイラストが描かれたカード
これも見知ったものだったが、そこに描かれていたのは、
「マッドウィールだと……!?」
ケミーカードであったのはよかったものの、
そこにあったのはマッドウィールのケミーカード。
スパナに呼応して再錬成を果たしたマッハウィールではなかった。
加えて渡されたのはマッドウィールだけ。ほかのカードは渡されなかったのもあってか、
これでは仮面ライダーヴァルバラドに変身することはできない。
「……まさか、久しぶりにこれになるとはな……」
しかし、それでも問題はなかった。
元々、スパナは仮面ライダーにならずとも戦ってきたのだから。
『ガキン!』
『ウィール!』
六角ボルト型スイッチリベルタラチェットのグリップを倒すと、
ライドケミーカードハンガーが開き、そこへ受け取ったカードを装填して閉じる。
さながら銃のシリンダーに弾を込めるようにすると、
『MADWHEEL! ゴキン!』
「久々にやるな……鉄鋼。」
装填を終えると、武器の方のスパナの引き金を引く。
『ヴァルバラッシュ!』
『TUNE UP! MADWHEEL…』
その瞬間、一瞬にして黒鋼スパナの姿は変わった。
武器を持ってなければ、同一人物と認識できないほどに恰好が変わっている。
上半身には錆びた赤紫色の鎧を纏い、下半身は煤で汚れた作業服のような白いスーツと言う、
先ほどまでの彼の身綺麗な姿とは裏腹にどこか寂れた姿へと変貌を遂げる。
嘗て仮面ライダーになることができなかったスパナが鉄鋼化錬成で変身した姿、
対マルガム用強化スーツ『ヴァルバラド』へと回帰することとなった。
「おわ、特撮ものみてーな変身してきた!?」
「ハハハハハ! さあ上がってきた上がってきた! いい感じじゃないか!」
二対一、形勢逆転。
そのはずだがザギは逃げるどころか、
寧ろテンションを上げながら刃を振り回す。
「うわ、なんだよアイツ!」
ジライヤを引き下げながら、
迫る刃をもらったスパナで防ぐ。
獲物は短いというのその扱い方は、
スパナから見ても優れたものであることが伺える。
自分が使っていた武器というのはどうやら嘘ではないらしい。
「当たると無事では済まんぞ。」
そう言いながらスパナの先端を向けると、
光弾のフォトンバレトが複数放たれザギを襲う。
のけぞるように回避するとそのままバク転し、
今度はスパナの方へと襲い掛かる。
ヴァルバラッシャーと双剣の剣戟が火花を散らす。
手数ではザギの双剣に分があるが一撃の重さはスパナにある。
故に実力は拮抗に近いが、それで済むはずもなし。
「猛進四連撃!」
更なる怒涛の連撃に防御に回らざるを得ない。
一部が防御をかいくぐり被弾し火花を散らすが、
生身で受けるよりはずっと軽微なダメージで済む。
「それ以上させるか!」
陽介のジライヤが放つソニックパンチが放たれ、
攻めをやめて距離を取ると、再び左腕から赤いレーザーを放つ。
狙いを定めてるため連射はそこまでだが、何発も来る拘束の攻撃に疲弊は免れない。
「貴様ら強いな! 強い! 強い! 名前はなんだ!?」
「え、は、花村陽介だけど。」
「黒鋼スパナだ。」
「スパナに陽介だな、覚えたぞ!」
出会ったばかりで二人だがここまで戦える。
ザギにとってはたまらない極上の場所だ。
此処には一般人でも強者になれる可能性を秘めている。
ならばこの舞台はどこまでも退屈しない場所になるだろう。
「覚える必要はない。貴様はこの俺がこの場で───」
スパナが言葉を紡ぐ途中、
突如緑色に光っていたザギの腕が赤く光り輝く。
腕を抑えながらその様子に彼は苛立った表情へと変わる。
「魔導器(ブラスティア)風情が、また俺の邪魔をするのか!!」
魔導器を二人へ、火球を空へ放つ。
火球は近くの地面に落ち、派手に爆発する。
そんな目立つ行動をしたせいか、近くにいたNPCが溢れるように周囲に殺到し始める。
「チィ……俺の邪魔をするなぁ!!」
暴走した魔導器に振り回されながらも、
殺到しだしてきたNPCへと襲い掛かるザギ。
次々とNPCが切り刻まれる光景が二人の前に展開されるが、
その様子を一瞥した陽介がスパナの手を引いて走り出す。
「なんかわかんねえけど此処はやべえぞ、一旦退くぞ!!」
「NPCがこうも多いと隙を晒しかねないな……仕方あるまい。」
もしNPCの処理の中でザギに狙われたらたまったものではない。
此処で倒しておきたかったが痛み分けという形でこの場を退くことを選ぶ。
(使わないでおいて正解だったか。)
ケミーとは別のカードを見ながらスパナは逃走する。
宝太郎と同じガッチャを志す少年から生まれたカード。
E・HERO(エレメンタル・ヒーロー)ネオスを手に。
【黒鋼スパナ@仮面ライダーガッチャード】
状態:頬にかすり傷、疲労(小)
服装:いつもの、ヴァルバラドに変身中
装備:ヴァルバラッシャー@仮面ライダーガッチャードマッドウィールのライドケミーカード@仮面ライダーガッチャード、E・HEROネオス@遊戯王OCG
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:この殺し合いを終わらせる。
00:陽介と今は逃げる。
参戦時期:47話で別れた後
備考
※ダイオーニのライドケミーカードがないため、
仮面ライダーヴァルバラドにはなれません
【花村陽介@ペルソナ4】
状態:疲労(小)
服装:八十神高校制服・冬
装備:熟練スパナ@ペルソナ4
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いはしない
00:今はスパナと一緒に逃げる。
01:何なんだあのヤベー(ザギ)のは。
02:捜査部のメンバーはいるのか? いねえといいんだが。
参戦時期:少なくとも直斗が仲間に加わって以降。
備考
※コミュは採用され次第書き手にお任せしますが、
最後まで行ってません(ペルソナがスサノオではないため)
適当にNPCをあしらった後、ザギは周囲を散策する。
逃げられた。せっかくの得物を雑魚によって逃したことに苛立つが、
まだ見ぬ敵を求めて適当に走り始めた。
「一番の優先順位はお前だぜ、ユーリ……」
初めて傷つけた男に対する感情は忘れることなく。
【ザギ@テイルズオブヴェスペリア】
状態:ダメージ(中)、磨導器の暴走(時期収まる)、テンションが上がっている
服装:いつもの+魔導器
装備:ザギの双剣@テイルズオブヴェスペリア、魔導器@テイルズオブヴェスペリア
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:戦いを思いっきり楽しむ。ユーリがいたら最優先で狙う。
00:スパナ! 陽介! 覚えたぞ!
参戦時期:闘技場(作中で言うザギ三戦目)で撤退後以降
備考
※本来魔導器はエアルがないと使えませんが
本ロワでは使えます。
※魔導器が支給品枠として扱われてます。
・ヴァルバラッシャー@仮面ライダーガッチャード
陽介に支給。黒鋼スパナが基本武器とするもの
現在はダイオーニカードがないため仮面ライダーにはなれない
・マッドウィールのライドケミーカード@仮面ライダーガッチャード
陽介に支給。主にスパナが使用しているビークル系のケミーカードの一枚。
何かしらのきっかけがあればマッハウィールになるかもしれない。
・熟練スパナ@ペルソナ4
スパナに支給。とある場所で拾える陽介の専用武器
序盤で手に入る武器にしては強く、SPも増える
・E・HEROネオス@遊戯王OCG
スパナに支給。効果を持たない通常モンスターでテキストは以下の通り
通常モンスター
星7/光属性/戦士族/攻2500/守2000
ネオスペースからやってきた新たなるE・HERO。
ネオスペーシアンとコンタクト融合する事で、未知なる力を発揮する!
召喚すると破壊されるまで共に戦ってくれるが、
破壊されるなどされると12時間使用不可能になる
・ザギの双剣@テイルズオブヴェスペリア
ザギ(三戦目)で使用してる双剣
護拳がある以外特筆すべきことはない
以上で投下終了です
投下します
「結梨ちゃん……」
助けたかった。
おさげを結った浅紫のロングヘアーの女の子。
私にとって妹のように大事な、とても大事な女の子だった。
助けられなかった。
結梨ちゃんの元へ駆けつけようとしたけど、間に合わなくて
皆を守るためにヒュージと戦い、爆発に巻き込まれて結梨ちゃんは……。
「どうして……」
どうして結梨ちゃんが死ななければならなかったの?
さっきまで一緒にお話していたのに。
これからもずっと一緒にいたかったのに。
「私の、せいで……」
私がもっと上手くやれていれば結梨ちゃんは死ななくて済んだんじゃないか。
私がリリィとしてもっとしっかりしていれば。
いくら後悔してももうどうにもならない、起きてしまった事は二度と取り戻せない。
「結梨ちゃん……っ」
私のせいだ。
元はと言えば私が結梨ちゃんを学園の外に連れ出したりなんてしたから。
私のせいで結梨ちゃんは死んだんだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……っ」
自負と後悔の念が彼女の心を蝕む。
結梨ちゃんにもう一度会いたい。
「会いたい、会いたいよ……結梨ちゃんっ……!」
一柳梨璃は殺し合いの場に連れ去られてからというもの
一歩も踏み出すこともなく
力無く項垂れて、しゃがみ込んでいた。
すると、彼女の方へとゆっくりと近づく足音が聞こえてきた。
足音は徐々に大きくなり、彼女の目の前まで辿り着き歩みを止めた。
梨璃は近づいてきた者へ向けて見上げると、そこには緑のスーツを着た金髪のロングヘアーの男が立っていた。
「とても辛そうな顔をしているけど大丈夫かい?お嬢さん。私で良ければ力になるよ」
男は優しく微笑むと梨璃の手を取り、立ち上がらせてくれた。
「あの、ありがとうございます」
「困った時はお互い様さ。それで、もし不都合が無ければ君の知ってることを教えてくれるかな。」
「私の知っていること?」
「あぁ、私は一刻も早くこの殺し合いを止めたいと思っている。そのために主催者は一体何者なのか。どのような人達が集められたのか。少しでも情報を集めておきたいんだ」
「分かりました。私の知っていることで良ければ……」
「そうか、ありがとう。私の名前はエンブリヲ。君の事も教えてもらえるかな?」
「はい。私は……」
梨璃は自分の名前を明かすと、彼女の知る情報で役に立ちそうな情報を全て話した。
彼女のいる世界では『ヒュージ』と呼ばれる謎の生命体と人類が戦いを続けていること。
人類の敵であるヒュージに対抗するために『リリィ』が結成されたこと。
一柳梨璃も、そのリリィであることをエンブリヲに話した。
エンブリヲにとってリリィもヒュージも知らない存在であったが一切疑いを持つこと無く、梨璃の言葉に相槌を打ちながら真剣に耳を傾けた。
彼曰く「もしかしたら私達は違う世界から連れてこられたかもしれない」とも呟いていた。
梨璃のいる世界とは別の世界もあるなんて不可思議な話ではあるが、現状を顧みるとエンブリヲの言葉には信憑性を感じられた。
その後、私は今まで悲しみに暮れていた出来事もエンブリヲに打ち明けた。
自分には結梨という大切な友人がいて、その友人がヒュージから自分を庇って死んでしまったことを。
討伐対象となった結梨ちゃんを救おうと自分が学園外に連れ出さなければ結梨ちゃんは死なずに済んだのじゃないか。
自分の取った選択のせいで結梨ちゃんが死んでしまったということを。
梨璃は胸に秘めた自負の想いを吐き出した。
エンブリヲは彼女の話を真剣に聞き、梨璃の悲しみに暮れる気持ちに寄り添った。
「そうか、そんな事があったのか……」
「……はい。」
「辛かったね……でももう大丈夫だよ。私が付いているから」
エンブリヲは梨璃を優しく抱き寄せた。
「あ……」
エンブリヲの端正な顔立ちが梨璃に近くなる。
耳元では蕩けるような美声で優しく囁かれる。
異性との色恋沙汰を一切知らずに育った梨璃にとって男の免疫は皆無であり
美青年に抱きしめられた梨璃の心音は高まり続けた。
「君は何も悪くないさ。悪いのは君じゃなくてヒュージだ」
「だけど私は……」
「大丈夫。君のせいなんかじゃないよ」
エンブリヲは梨璃を慰めるように、梨璃の頭を撫でた。
「君の悲しみを癒すことは私には出来ないけど、こうして君に寄り添うぐらいなら出来るから」
「あ、ありがとう……ございます……」
梨璃は安心しきってしまい、思わず目から大粒の涙が溢れてしまう。
「我慢なんてしなくていいんだ。泣きたいときは思いっきり泣いて良いんだよ?」
「ぐすっ……うっ……うわぁぁぁん!結梨ちゃん!結梨ちゃんっっ!!」
「よしよし……」
エンブリヲは梨璃の頭を撫でながら、彼女の涙が収まるのを待った。
そしてしばらくして、ようやく落ち着いたのか梨璃はエンブリヲから少し離れて涙を拭いた。
「すみません、取り乱してしまって」
「いいんだよ。泣きたい時は泣いた方がいい。その方がスッキリするからね」
「……はい」
「それで、君はこれからどうしたい?」
「え……?」
梨璃はエンブリヲの質問の意図が分からず、困惑した。
そんな梨璃に対してエンブリヲは優しく語りかける。
「これからどこか安全な所を探して避難するのか。それとも他に何かしたいことがあるのかな?」
「……私は……」
梨璃は少し考えた後に答えた。
「私は結梨ちゃんのためにもリリィとして戦追うと思います」
「リリィとして戦う、か。それはつまり、このゲームの主催者に抗うということかい?」
「はい!」
梨璃は力強く返事をした。
「わかった、なら私が梨璃をサポートしよう」
「本当ですか!?」
「あぁ、もちろんだとも」
エンブリヲは笑顔で答えた。
そんなエンブリヲに対して梨璃は感謝の言葉を口にする。
「ありがとうございます!エンブリヲさん!」
「いいんだよ。私は君の力になりたいんだ。とても有益な情報をくれた礼もしたいからね」
「エンブリヲさん……」
大切な人を失い、一度は歩みを止めた梨璃だった。
しかし彼女と出会ったエンブリヲの励ましによって再び前へと進めるようになった。
「これは……」
「どうしたんだい梨璃?」
ようやく支給品を確認しだした所で梨璃の目に飛び込んできた物。
それは結梨が使っていたグングニルと全く同じCHARMだった。
本物はヒュージの爆発に巻き込まれて以降、破損していたが
以前の状態と同じ様に復元されていた。
「結梨ちゃん……」
グングニルを握りしめると梨璃のマギが流れ込み、CHARMが起動する。
「梨璃、君はそれを使えるのかい?」
エンブリヲは驚く様子を見せた。
「はい。マギを流し込んだら起動できました」
「そうか……だが戦えるからと行って油断してはいけないよ。このゲームは力を持った参加者が数多くいるはずだ」
「分かりました!」
「よし、それじゃあ早速行こうか」
「はい!」
梨璃はグングニルを握り直すとエンブリヲと共に歩き出した。
この先、無事に帰れるか分からないしとても不安になる。
だけど、このCHARMを握っていると結梨ちゃんが力を貸してくれているみたいで元気が出てくる。
(いつまでも泣いてばかりじゃ結梨ちゃんやお姉様に叱られちゃう。前を向いて進まないと!)
一柳梨璃はエンブリヲと共にゲームの脱出を目指すのだった。
【一柳梨璃@アサルトリリィBOUQUET】
[状態]:健康
[装備]:グングニル@アサルトリリィBOUQUET
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本:リリィとして皆を守り、ゲームから脱出する。
1:エンブリヲさんと一緒にゲームの脱出を目指します。
2:結梨ちゃん、私頑張るからね
[備考]
※第9話で一柳結梨が死亡した時期からの参戦です。
◇
(ずいぶんと下品で悪趣味な催しを開いてくれたものだな)
まるで飼い犬のように腕輪を付けられ、デスゲームに強制参加させられたエンブリヲ。
調律者である自分がこのような辱めを受けるのははっきり言って屈辱であり、到底許し難い行為である。
だが、彼にとって何も悪いことばかりではなかった。
(私はあの時、確かに死んだはずだ。奴らは私と同等に死者を蘇らせる力を持っているようだな)
エンブリヲは一度、死んだ身である。
アンジュやタスクの手によって人間態であるエンブリヲとその半身であるヒステリカを同時に破壊され
自らの蘇生が不可能となったエンブリヲはそのまま命を失った。
(私を蘇らせた礼だ。今はこの余興に大人しく従うとしよう。それに……)
己の知らぬ世界の人類と出会えたのは何よりの収穫だった。
リリィと呼ばれるマギを扱う人類を解析し、利用すれば新世界の創造に大いに役立つだろう。
他にも様々な世界から異なる人類が集められているかもしれない。
そうしてあらゆる人類を解析すれば私の悲願も達成されるだろう。
(次こそは完璧な新人類を作り出して見せる。そのためにもサンプルは必要)
エンブリヲの目的は優れた人類による恒久な平和である。
かつて自らが滅ぼした旧人類は他者から奪うことばかりを考え戦争を繰り返す、獣同然の野蛮な種族だった。
その後、エンブリヲは新たなエネルギー源であるマナと、それを扱える新人類ホムンクルスを創造した。
だが戦争こそは起きなかったが民衆はやがて思考を放棄するようになり、堕落した人間となっていった。
(失敗した人類は消去し、新たなる世界を作り変えなければならない。そして……)
エンブリヲは梨璃の方を見つめる。
蘇生されたエンブリヲにはもう一つの目的があった。
それは自分の理想となる妻を探すことである。
エンブリヲにふさわしい、強く賢い女達を花嫁として迎い入れて共に連れ出すこと。
このデスゲームの過酷な環境はそんな女性達を選別するのに役立つだろう。
現に今こうして側にいる少女、一柳梨璃。
彼女は大切な友を失う辛い想いをしたばかりでありながら
殺し合いを打破するために行動に移せる強く、美しい心を持った女性だ。
今後の生き様次第では梨璃を私の花嫁として迎い入れても良いだろう。
そう思えるほどに惹かれる女性だった。
(男への免疫は低いようだが、それはそれで調教のしがいがあるというものだ)
女達は私によって選ばれ、導かれ、愛されることで幸福になれるのだ。
私の愛を拒絶したアンジュなど既に不要。
ここで私は新たな花嫁を探し出して脱出するとしよう。
もちろん、私の作る新世界に私以外の男は不要。
主催者達さえ始末すればサンプルに利用出来そうな者以外の男は必要無くなる。
私の半身であるヒステリカは復元されておらず、蘇生が出来ない状態ではあるが
調律者としての力は完全には失われていない。
それにこの私の頭脳があれば、この忌々しい状況を打破することなど容易い。
ゲームの進行を阻害すればペナルティが下ると主催者はほざいていたが
生殺与奪を奪われた状況に甘んじ受け入れるほど、他者を盲信するつもりはない。
約束というものは互いが対等の状態を維持してこそ初めて効力を発揮するものだ。
今でこそバグスターウイルスという未知の病原菌で私を縛り付けているが
私の天才的な頭脳を持って必ず解析し、除去してみせよう。
その時こそ、主催者共の終わりの時だ。
【エンブリヲ@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞】
[状態]:健康
[装備]:無し
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:ゲームから脱出し、主催者共を皆殺しにする。
1:バグスターウイルスを解析するためのサンプルと設備の確保。
2:脱出及び、主催者を殺害するのに必要な手駒の確保。
3:我が花嫁となるのにふさわしい女がいれば共に脱出する。
4:リリィという人類に深い興味、いずれ解析して利用したい。
5:一柳梨璃を花嫁候補として愛してやってもいい。
[備考]
※死亡後からの参戦です。
※死者の蘇生は不可能となっています。
※調律者としての力に制限がかかっているのにも気付いています。
支給品紹介
【グングニル@アサルトリリィBOUQUET】
一柳結梨が使用していたCHARM
本来のCHARMは持ち主でしか運用出来ないが
このロワではリリィ以外参加者でも使用可能となっている。
投下終了です
投下します
羂索の仕掛けたバトルロワイヤルのゲームエリア、倉庫街の一角で戦闘が起こっていた。
戦っているのは一人の少女を守りながら戦う仮面の射手と、射手を守る物事叩き切らんと猛然と襲い掛かる赤い怪人の2人。
戦闘中にその仮面の下から漏れ聞こえる声から察するに、射手は女性の様である。
よく観れば、体つきも白い強化スーツ越しにも乏しいながらも柔らかな起伏を確認できる。
近接戦は不慣れなようで怪人の剣戟には防戦一方だが、射の構えはなかなかのもので、普段から弓に親しんでいるのだろう。
「やるな雫」
赤い怪人、古き世界を否定する破壊者ロード・バロンが賞賛の声を送る。
しかし射手の女性、日野森雫は全く気を緩めることはできない。
「死にたくなければ戦え。生き残れるのは、強者のみだ!」
そう言って戦う力を、仮面ライダー斬月・真の力を渡されたはいいが十全に使いこなせず妹を守りながら下がり続けるのが精いっぱいだったのを助けて切れたのはロードバロン、より正確に言えばロードバロンの人間態である駆紋戒斗が変身した仮面ライダーバロンだった。
彼前衛を務めてくれたお陰で群がってきたNPCモンスター、ストライクダガーの一隊を退けられたのだ。
「あの!助かりました!私は日野森雫といいます。
こっちは妹のしぃちゃ……志歩ちゃんです」
戒斗が先にレモンエナジーロックシードを外して変身解除したのを見て雫も変身を解除して話しかけた。
「日野森志保です。その、助かりました」
「雫に志歩か。
……貴様らが」
ようやく一安心という所に戒斗は怪人態に変身して襲い掛かってきたのだ。
「やめて戒斗さん!」
説得は試みた。
拘束しようとも試した。
だがそれらすべては悉く無駄に終わり、雫は志歩を連れて逃げの一手に出たのだが、敵前逃亡を許すロードバロンではなかった。
逃げ回るなら大雑把にやるまでと、愛剣グロンバリャムにエネルギーを貯め始める。
横凪に放っても直線に放っても変身している雫は兎も角、仮面ライダーやナイトメアフレームなどの力を与えられなかった志歩はひとたまりもないだろう。
志歩はさっきから全く状況が理解できておらず呆然とするばかりですぐには動けそうもない。
放たれる真正面への一撃に雫は迷わず動いた。
「……」
炸裂と同時に充満した煙が晴れるのを待つロード・バロン
しばらくして、せき込むような声が聞こえ始める。
そこにあったのは……
「お、おねえ、ちゃん?」
妹を庇う様に大の字で立ちふさがり、攻撃全てを引き受けた雫の姿だった。
ダメージを受けすぎてしまったのか、彼女の頭部を守る白兜は解除されたか破壊されたかしており、その整った美貌は鮮血で濡れている。
片眼を閉じているが、こちらは血が目に入っただけのようだが、アーマーからはバチバチとエネルギーがスパークしており、変身をこのまま維持できるかすら怪しく思える。
「しぃ……ちゃん……大、じょう、ぶ?」
妹の分までその圧倒的な破壊をその身に受けてなお、斬月・真は、雫は志歩を気遣う言葉をかける。
いくらゲネシスドライバーのライダーと言えど、オーバーロード相手にこのダメージで済んだのは御の字以外の何者でもないが、残念ながら彼女にもう志歩と共に逃げれるだけの体力はない。
「たて、る……なら、逃げて」
だがそれでもできることはある。
震える指でベルトからロックシードを外し、何とか破壊されずに残ってくれた武器、創世弓ソニックアローのスロットに装着。
<ロック・オン>
ここで自分が戦わなければ妹は殺される。
それも自分を助けてくれた優しい怪人に。
そんな事は嫌だった。
<メロンエナジー!>
弓を引く。
動くたび背中に激痛が走るがそれでも戒斗を止めようと何射も放つ。
ロード・バロンは雫の戦意全てを受けとめる様にまっすぐに突き進んだ。
時に剣で、時に拳で光の矢を次々はたき落とすか打ち砕き距離を詰める。
「あああああっ!」
「はぁっ!」
たった一斬でダウンさせられる斬月・真。
続く攻撃でソニックアローも手から零れ落ちる。
それでもなお志歩の盾になろうと立ち上がる。
一瞬だけ驚いたのか立ち止まるロード・バロン。
しかし本当に一瞬で、すぐに次の攻撃に移る。
「ぶふっ!」
「あ、ああ……」
激しい火花と共にメロンエナジーのアーマーがグロンバリャムに刺し貫かれる。
白い光に包まれて変身が解除される雫。
グロンバリャムだけに体重を支えられながらも振り返った彼女は最愛の妹に
「にげて」
消え入りそうな声でそう伝えた。
グロンバリャムが引き抜かれ、夥しい血液をぶちまけながら雫はその場に倒れ伏した。
「……雫、お前は強い」
変身を解除したロード・バロン、駆紋戒斗は雫の亡骸を横たえると、その瞳を閉ざした。
雫のドライバーを奪う事も、志歩の命を奪うこともしなかった。
戒斗にとって尊敬とは、理想とは、信念とは強くあることだからである。
日野森雫は己が信念に殉じ、妹を守らんと気高く戦った『強者』であった。
その魂の尊厳を冒涜することは何人にも許されない。
否、駆紋戒斗が許さない。
「志歩。もし次に会う事があれば命はない。
精々それまで強くなっておくことだ」
志歩を手にかける事もしなかった
少なくとも今この時は。
【駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武】
状態:人間態
服装:チームバロンのコスチューム
装備:ゲネシスドライバー@仮面ライダー鎧武
レモンエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:俺の前に立ちふさがる何物をも倒し、最強の力を手にいれる。
01:向かってくるものは倒し、このゲームの仕掛け人も滅ぼし、全てを変える力を手に入れる。
02:雫、お前は優しく強かった。
03:志歩、もし再び俺の前に現れるなら容赦しない。
参戦時期:本編終盤ザックを戦闘不能にした後
備考
※怪人態への変身は問題なく行えます。
ただしヘルヘイムを操る力には制限がかかっているい様です。
【日野森雫@プロジェクトセカイ 死亡】
日野森志歩はしばらくその場を動けなかった。
姉が、生まれた時から側にいて、時々うざったい程に身近だった姉が、物言わぬ死体となって目の前にいる。
いくら超常の『セカイ』を知る志歩とは言え、人間に化ける怪物の存在に姉を奪われるなど、どうやって想像できただろうか?
「……」
血だまりの真ん中で眠る姉の乱れた衣服を整える。
口元から唾液と混じってユルユルと流れ落ちる血を拭って、腰に巻かれた奇妙な装置を外し、自分で取り付ける。
そして変身解除と同時に消滅したソニックアローがあった場所に唯一残るエナジーロックシードを拾い上げ、解錠。
<メロンエナジー!>
<ロック・オン>
「……変身」
<ソーダァ!メロンエナジーアームズ!>
姉が使っていた戦う姿へと変身した志歩は、姉の亡骸を運んだ。
本当は埋葬してあげたかったがそんな時間はなかったので倉庫の管理者用のスペースにあった仮眠用ベッドに横たわらせ、冷蔵庫から持ってきた保冷剤などを敷き詰め布団をかける。
「ごめんなさい。
ちゃんと清めてあげられなくて。
でもすぐに迎えに来るから」
変身を解除すると一度だけ血の付いていない方の頬に口づけし、その場を後にした。
つい今しがた自分を見逃した怪人を追って。
【日野森志歩@プロジェクトセカイ】
状態:喪失感(大)、戒斗への復讐心(大)
服装:宮女の制服
装備:ゲネシスドライバー@仮面ライダー鎧武
メロンエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3(志歩)、ホットライン(志歩)
ランダムアイテム×0〜2(雫)、ホットライン(雫)
思考
基本:お姉ちゃんの分も生きる。生きて、戦う。
01:レオニやモモジャンの人たちも呼ばれているなら合流したい。
02:お姉ちゃん、絶対迎えに来るからね
03:駆紋、戒斗……ッ!
参戦時期:参戦時期は不明です
備考
※志歩の支給品には少なくとも変身して戦えるようになるアイテムはありません。
【支給品解説】
・ゲネシスドライバー@仮面ライダー鎧武
…駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武、日野森雫@プロジェクトセカイに支給。
戒斗の物にはレモンELSが、雫の物にはメロンELSが付属する。
エナジーロックシードをゲネシスコアにセットし、レバーを押しこむことで使用者を新世代型アーマードライダーに変身させる。
前身となった戦極ドライバーと基礎原理は同じだがエネルギーを直接解放せず、液状のエネルギーに変換して全身にいきわたらせることで高スペックを実現している。
イニシャライズ機能はオミットされており誰でも変身可能。
血縁が近い者が同じベルト、同じロックシードを使った場合同じライダーに変身出来る。
また、変身せずとも装着しているだけでヘルヘイムの森の浸食症状を抑制可能。
ゲネシスコアは取り外し可能で戦極ドライバーの拡張パーツとしても使用可能。
また、戦極凌馬の専用機とメガヘクス製の物以外は自壊システムが組み込まれており、知らなければ対応不可能。
投下終了です
タイトルは 亡失の強さ です
投下します
静まりかえった、会場の一角。
なんか青くてプルプルしたやつが、恐る恐る歩を進めていた。
彼の名は、ところ天の助。
全人類の頭髪を刈ろうと企む悪の帝国と戦う、賞味期限切れのところてんである。
何を言っているかわからない? この程度で振り落とされてたら、ボーボボは読めないぞ。
「やべえよ、やべえよ……。殺し合いとか……。
ボーボボいないかなあ……。この際、首領パッチでも……」
仲間の姿を求めながら、天の助は歩き続ける。
やがて彼は、他の参加者と遭遇するとことになる。
ただし、相手はすでに事切れていたが。
「な、なんじゃこりゃあ……」
路上に転がる三つの死体を見て、天の助は戦慄する。
死んでいたのはおにぎりっぽいやつ。パンみたいなやつ。そして、ラーメンのようなやつだった。
「何? 食べ物限定の殺戮者? だったら俺もヤバいじゃん!」
おのれも標的にされるのではという想像が頭をよぎり、天の助はその体を激しく震わせる。
だがその一方で、彼の中では愉悦の心もわずかに芽生えていた。
米、パン、麺。日本における三大主食である。
ところてんを人類の主食にするという野望を抱く天の助にとって、その三つが地に伏している光景は決して悪いものではなかった。
無自覚のうちに、天の助は醜悪な笑みを浮かべていた。
そして、それが望ましくない事態を引き起こすことになる。
「そこのおまえ!」
突然響いた声に、天の助は我に返る。
慌てて声のした方向に顔を向けると、そこには全身を黄色い戦闘スーツに包んだ人間がいた。
天の助の知識でも、それがいわゆる「ヒーロー」であることは想像ができた。
「はい!? な、なんですか!?」
「とぼけるんじゃない! この死体……おまえの仕業だな!」
「えーっ!?」
若干甲高い声で指摘されて、天の助は初めて俺の振る舞いのまずさに気づく。
死体が並ぶ前で、邪悪に笑う男。
どう考えても、下手人以外の何者でない。
「ち、違います! 違うんです!」
「そんな言い訳、信じると思ってるのか!」
とうとうヒーローは、武器を取り出した。
説得は不可能と判断した天の助は、一目散に闘争を始める。
「こら、待て!」
「誰が待つかぁぁぁぁ!! 『ぬ』の神よ! 我にご加護をォォォォ!!」
『どんな神様だよ!』。
そんなツッコミを入れてくれる仲間は、今の天の助にはいなかった。
◆ ◆ ◆
「何やら騒がしいと思って戻ってきてみれば……。これは好都合」
追いかけっこを繰り広げる天の助とヒーローを、物陰から見つめる影が一つ。
白骨化したシャケのような顔立ちをしたその怪人の名は、サモーン・シャケキスタンチンという。
彼こそが、3体の参加者を殺害した真犯人だった。
「しかし、あのパワードスーツの戦闘力はなかなかのものだったな。
デザインも、どことなくシャケっぽかったし。
おかげで、こんなに早くキルスコアをあげられた。
まあ俺様は本来、暴力に頼るのは好きではないのだが……。
この状況では、そうも言ってられまい」
決して殺し合いという状況にビビり、過剰に暴れてしまったわけではない。
サモーンは、自分にそう言い聞かせる。
「何はともあれ、あのところてん野郎が勝手に濡れ衣を着てくれたのは好都合。
この隙に、俺様は次の獲物を探すとしよう。
全ては、シャケのある食卓のために!」
決意を新たにすると、サモーンはその場を立ち去った。
なお、彼が自分が殺した参加者の支給品を回収しておけばよかったと気づくのは、しばらく後のことだった。
【ところ天の助@ボボボーボ・ボーボボ】
状態:正常
服装:なし
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:死にたくない
01:ヒーローから逃げる
02:ボーボボたちを探す
参戦時期:無印終了直後
【スパーダ@宇宙戦隊キョウリュウジャー】
状態:正常、カジキイエローに変身中
服装:シェフ服
装備:セイザブラスター&カジキキュータマ@宇宙戦隊キョウリュウジャー、キューザウェポン@宇宙戦隊キョウリュウジャー
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを止める
01:プルプルしたやつを捕まえる
参戦時期:TVシリーズ終了後
【サモーン・シャケキスタンチン@快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー】
状態:正常
服装:なし
装備:ハイゴッグの起動鍵@機動戦士ガンダム0080
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:シャケを食え!
01:優勝を目指す
参戦時期:死亡後
【団栗林むすび@あはれ!名作くん 死亡】
【大化ケット@妖怪ウォッチシリーズ 死亡】
【ラーマン@格闘料理伝説ビストロレシピ 死亡】
※3人の支給品は、死体と共に放置されています。
【支給品解説】
・セイザブラスター&カジキキュータマ@宇宙戦隊キョウリュウジャー
セットで一つの支給品として支給。
セイザブラスターは腕に装着する、キュウレンジャーの変身アイテム。
銃として使用することも可能。
カジキキュータマはかじき座の力が込められたアイテムで、カジキイエローへの変身に必要。
本来は救世主の資格を持つ人間にしか使えないが、このゲームではアバウトに「海」や「魚」に縁がある人物なら使用可能。
・キューザウェポン@宇宙戦隊キョウリュウジャー
キュウレンジャー初期メンバーの共通武器。
三つのパーツで構成されており、組み合わせ方により様々な武器になる。
スパーダは短剣型の「キュースラッシャー」を主に使用している。
・ハイゴッグの起動鍵@機動戦士ガンダム0080
ジオン軍の水陸両用モビルスーツ「ゴッグ」を再設計した機体。
ズゴックEと並び、一年戦争における水陸両用モビルスーツの頂点と言える存在である。
主な武装は、両腕のビーム砲とミサイル。
投下終了です
「あーあ、なんだかよくわかんねえことになったな。」
殺し合いの舞台と化した会場のどこか、
第6宇宙の破壊の神、シャンパもまた
殺し合いに招かれていた。
「ゲ、ギョゲ〜私を誰だと…この世界の愛と慈悲を踏みにじり、
あらゆる悪をひたすら盛り上げる…」
「盛り上がってんのはお前のおしゃべりだろ。」
冷静で的確なツッコミとともに、神は大魔王を蹴り上げる。
シャンパは早々に、『仕方ない!げぎゃぎゃ〜この大魔王の記念すべき初めての生け贄は貴様というわけよ〜!』
などとほざいた大魔王サタンに闘いを挑まれた。
結果は残酷の一言に尽きた。
並の者であれば圧倒できる大魔王も
正真正銘の神の前ではとにかく可哀想なくらい無力だった。
「しかしおまえも馬鹿だよ、どうせ理想を叶える権利ってのを真に受けたんだろ。」
「理想を叶える…馬鹿めこの悪のシンボルサタンが
あんな小童どもに縋ってまで野望を成し遂げるざこに見えるか…」
大魔王サタンの目標は一言でまとめるなら脱出、
さすがに理想を叶えるという甘言を信じたわけでは無い。
仮に真実だとしても、どうせ手痛いしっぺがえしがあるはず。
「見える」
おろかな超人どもを唆し、利用する側のサタンにとって
都合の良い言葉の裏に何があるかは熟知しているつもりだ。
馬鹿正直に奴らに従って一人になるまで生き残り
願いを渇望しても最後には『馬鹿めぇ〜〜真に受けやがって〜』という感じの台詞を吐かれて、
反故にされて始末される可能性が非常に高い。
そこでサタンは生きて抜け出すために
邪魔者や厄介になりそうな奴らをを蹴散らしつつ
どうにか羂索たち主催者の隙をついて殺し合いからおさらばしようというのだ。
はじめはシャンパに共に殺し合いに逆らおうと誘いを持ちかけたが
いかにも悪の親玉というあまりにもわかりやすいビジュアルのため警戒されてしまう。
シャンパは以前、第7宇宙のとの超ドラゴンボールを賭けた試合の際に
フロストといういくつもの賞を受賞するほどの屈指の善人、
フロストを選手を側近のヴァドスが加えてくれたが
根は他者を欺き自作自演を繰り返す極悪人とクズと判明した。
騙された経験もあって、多少疑り深くなってしまったシャンパ。
大魔王サタンの悪役としか表現しようのない見た目もあり、
主催者に立ち向かうという綺麗事も極めて怪しく聞こえる。
このままではシャンパを利用することができないと判断したサタンは
『疑り深くめんどくさい奴めが!こうなればその支給品だけでもいただいていくぜ!』
『ゲギャギャ〜この大魔王の記念すべき初めての生け贄は貴様というわけよ〜!』と
ケンカを売ってしまう。
「舐めるなよぉ!このまま終わり屈辱だけが残るわけがあるかあ!
必ずや勝利という栄光を握り、生き残るのはこの私なのだ!」
「無理だろ」
威勢を良くしても戦況を改善することはできなかった。
右ストレートを真っ向から受けてしまったサタンは大きく吹っ飛ばされ後方に激突する。
「こ、このサタン様をチンケな扱いしやがってーっ」
「つまらねえし飽きたなもう、…破壊。」
殴り飛ばしたサタンに接近し片手の掌を向ける。
「ゲギョギョガァァ〜〜これはなんだああ…」
サタンの厳つい巨体が紫の光に覆われ粒子の如く霧散していく。
仮に滅ぶほどの損傷を叩き込まれ再起不能となっても時間をかければ復活できる。
しかしこのはかいとやらなにかが違う、
まるで自分の全てを消去されるような圧と絶望感は…
嫌でも自覚する、これは再起や復活はありえない
文字通り蘇ることは許されない確実にして絶対の破壊。
「ば、ばかな!いつか全世界の超人を制圧し、支配するはずのサタンが…!!」
ああ、もうダメなんだ、唆した超人たちはことごとく敵対の超人に敗れ去り
やむを得ず実体化してもザ・マンの手下なんかの
ジャスティスマンにもこてんぱんにされる。
野望を台無しにされ、幾度無く、くじけそうになっても諦めたくは無い。
しかしもうむりだ、このサタン様は破壊によって完膚なきまでに消去されてしまう
だが、だけど、それでも、必ずいずれは。
「ゲギャギャあああ…は、破壊がなんのその〜
遠い日に必ずや蘇って野望を成し遂げ仇なす者は殺し尽くしてやるわ〜〜!!」
諦めなんて言葉は大魔王の辞書にはなかった。
肉体と魂は破壊されても
その事実だけは破壊されることはなかったのだ。
【大魔王サタン@キン肉マン 破壊】
「さぁーて、まずなにから手をつけてやるかな」
やけにうるさい大魔王とやらだった、
あまりにもやかましくうるさいので久々に破壊の力を披露して
完璧に消し去ってやった。
蘇るなんて言っていたがまあ無理だろう。
「げっ!しまったこいつの道具まではかいしちまった!」
対象を絞らず破壊を雑に行ったせいか
サタンのみならず身につけていた道具まで破壊してしまった。
うっかりしていたやつのバッグの中には有用な支給品だって在るかも知れなかったのに。
「さっそくミスっちまったか、まあこんなミスくらいなら気にする必要もねえか」
「そんじゃさっさとどっかに行ってみるか、
あの羂索とかいうのは何がなんでも破壊してやんなきゃな。」
シャンパは破壊神として有能かどうかは疑問が残る。
めんどくさがりだし大雑把だ。
不摂生な食事も繰り返したせいかすっかり太り
兄弟のビルスとの実力も「体型を見ればわかる」と言われたように
極端なほどの差はないが、恐らく劣ってはいる。
「図に乗れるのもはじめだけだ、すぐに理解させてやるよ…、
お前らは後悔することになるぜ、恐れも多くも破壊神を呼んだ自分たちが大馬鹿だったてなあ!」
まぬけな印象もあり、威厳に欠けてることは否定できないが
間違いなく並ぶ者はあまりに少なく、超越的なパワーを持った本当の破壊神だ。
そんな破壊の神である自分を簡単に、気づかない間に殺し合いに引き込んだのだ。
羂索を筆頭とした主催者たちもただ者ではないのはもちろんわかる。
しかし仮に羂索たちが神を欺き、実力をも超える集団だからといって引くことはない。
シャンパはただ怒りを覚えていた、
一度激怒すればその怒りの要因になった惨めな奴らを
破壊し尽くすまでその怒りが収まることは無い。
ちょっと小細工をして破壊神を殺し合いに放り込めたからっといって
本当にただの殺し合いの駒として終わると思っているならお笑いだ。
星々をたやすく崩壊させ、神にまで上り詰めた比類無い力が
どれほど恐ろしく絶大か思い知る必要がある。
破壊の頂点に君臨する神を引き込んだ罪は、
いかなる罪よりも深い大罪であることを理解させてやる。
【シャンパ@ドラゴンボール超】
[状態]:激怒
[装備]:特になし
[令呪]:残り三画
[道具]:共通支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催者どもは絶対に破壊する。
1:主催たちに繋がる情報をさがす。
2:邪魔する奴は蹴散らす。
[備考]
※参戦時期は少なくとも破壊神シャンパ編終了以降です。
※制限により超弱体化しています。
投下宣言を忘れてしまい、申し訳ありませんでした。
SSの投下は以上となります。
投下します。
「殺し合いなんて……絶対に許せません!」
殺し合いの場の一環、そこにはヒーローのような衣装を纏い、主催に怒りを燃やしているキュアスカイことソラ・ハレワタールの姿があった。
伝説のヒーロー・プリキュアとして、アンダーグ帝国との戦いの日々を送り、そして遂に全ての元凶であるダークヘッドを打ち倒し、スカイランドとアンダーグ帝国は再び和解の道を進み出した━━その矢先の、こんな殺し合い。
当然、ソラがこんな殺し合いに乗る筈がない。立ちはだかる怪物であったランホーグやキョーボーグを『浄化』することはあっても、人の命を奪うなど、絶対に許されることの無い禁忌だ。
ましてソラは、恩師であるシャララ隊長がバッタモンダーによって命の危機に晒された際、戦う意味を見失ってしまった程なのだから。
そして、会場を駆けていたソラの足は、1つの人影によって止まることになる。現れたのは、ソラと同い年くらいの、青い装束に身を纏った木蘭色の髪をした少女だった。
「……貴方は?」
「質問に答えろ、お前は……この殺し合いについて、どう思っている?」
「私は……この殺し合いを、止めたいと思っています。こんな事……絶対に許されるような事じゃありませんから」
ソラがそう答えると、少女はソラに向けていた刀を収め、
「そうか、貴方もこの殺し合いを止めたいと思っているのだな。
試すような真似をしてすまなかった。私は乃木若葉。四国の勇者だ」
「勇者、って……もしかして、あなたもヒーローなんですか!? 私、ソラ・ハレワタールと言います」
「!!? ああ。ヒーロー……か」
「若葉さん……? どうしましたか?」
「いや、何でもない。よろしく、ソラ 」
異なる世界からバトル・ロワイアルに呼び出された2人の蒼きヒーロー。
殺し合いを止めるため、ヒーローの出番だ。
【ソラ・ハレワタール@ひろがるスカイ! プリキュア】
状態:正常、キュアスカイに変身中
服装:キュアスカイの衣装
装備:
令呪:3画
道具:基本支給品一式、ミラージュペン@ひろがるスカイ! プリキュア、不明支給品0〜2
基本:必ずこの殺し合いを止める
01:若葉さんと一緒に行動する
02:ましろさん達を探す
参戦時期:最終回後
【乃木若葉@乃木若葉は勇者である】
状態:正常、勇者に変身中
服装:勇者装束
装備:生太刀@乃木若葉は勇者である
令呪:3画
道具:基本支給品一式、乃木若葉の勇者システム@乃木若葉は勇者である
基本:必ずこの殺し合いを止める
01:ソラと共に行動する
02:友菜やひなたも巻き込まれているのか…?
03:ヒーロー、か。私は……
参戦時期:原作16話、千景の死亡後
投下完了です。
拙作にて、出展作品の表記を間違っておりました
申し訳ありません
×宇宙戦隊キョウリュウジャー
○宇宙戦隊キュウレンジャー
wikiではすでに修正済みです
投下します
一人の軍服の青年が、大橋を歩いていた。
「人は…いないか…」
黒髪を風に揺らしながら、歩く青年、名をドミニク・ソレル。
あの日、司令クラスター――あの先にいるたった一人の少女を助けに行こうとしたとき、彼はこの場に案内された。
(早く変えないと…アネモネの身や彼らの身も…)
そう急ぐドミニクであったが、ふと冷静になり、ある事実に気づく。
(まて…僕も気づかないうちにここにつれてこられた…厳戒態勢の館内でだぞ…?)
つまり、相手はどんな状態な人でも、簡単に連れ去ることができる。
(もしかしたら彼らやアネモネも…!?)
そんな身を案じているときであった。
自分でも、警戒は高めているつもりではあった。
だが、思考に力を入れすぎたのであろう。
人のものではない足跡が近づいてくる、ズシンズシンと、明らかに猛獣の足跡だ。
「なん…!?」
振り返ったドミニクは絶句した、その目の前に現れた獣の強大さに。
それは青色の毛をした大熊であった、たしかにこれだけでも十分に恐ろしい。
だが、それは大熊の範疇を超えていた、現代で一番大きいとされるヒグマより体格が遥かに凌駕していた。
まるで古代の獣のような。
「く、来るなぁ!」
懐から拳銃を抜く、銃弾を放つ、しかし、反動が大きく当たらない。
ドミニクは軍人だ、銃の技術はもちろん取得してるし、並大抵の銃ならすぐさま扱えたであろう。
しかし、彼が手に取った拳銃――ウィングマンは反動が大きく、プロでさえ当てるのを難する物。
ましてや手に取ったばかりなら、目の前の巨獣――青熊獣アオアシラに、勝てるわけがない。
「ッ…!球切れ…クソッ!」
球切れ、万事休す、すでにアオアシラは猛スピードで彼に迫っていた。
例え修羅場をくぐり抜けた軍人も、猛獣相手には無力。
ここで散る――
◆
「オラァ!」
否――球が飛び散る、横から現れたそれは、アオアシラの皮膚を削っていく。
現れたのはSMG――サブマシンガンをもった、メイド服に身を包んだ少女。
「…でけぇな…さすがにデカグラマトンとかなんとか
には及ばねぇが…十分だ」
少女は青熊の正面に立つ。
「き、君――」
「下がってな、あんた、私が、相手どってやるよ」
少女が、閃光弾を投げつける、少女を除く一匹と一人が目を覆う。
気づいたときには、アオアシラの懐に少女がいた。
「オラオラオラァ!」
SMGが音を鳴らす、猛獣が2番目に弱点とする部位、それは柔らかい腹。
ましてや制圧力にたけるSMGでそれをもろに食らうのだ。
たとえそれが、数多の狩人を引き裂いてきた、獣であっても――
背中から大量の銃弾を吐き出しながら、アオアシラは絶命した。
◆
「さて…片付いたな…」
倒れた死体を横目に、少女が一息をつく。
少女の見た目は本人の性格もあいまり個性的である。
メイド服に身をまとっていながら、さながら言動はスケバンのよう。
荒々しい女龍のような少女――そんな少女に、立ち尽くしていたドミニクは話しかける。
「君は…何者なんだ…?」
「私か?あぁ、分かった」
少女は快諾した。
「…美甘ネルだ、あんたは?」
「…ドミニク・ソレル」
「ドミニク、か、それでだ、あんた…いや、答えは出てそうだな…」
言の契を交わさなくても、わかったのはなぜだかわからない。
でも、とにかく、言いたかった。
「…この殺し合いに、"反抗"、してくれるか?」
「…当たり前だ、行こうぜ、ドミニクさん」
「わかった、ネル」
勝利の象徴は、いま、輝き出した。
【ドミニク・ソレル@交響詩篇エウレカセブン】
状態:健康 多少の疲労
服装:州軍の軍服
装備:ウィングマン(残弾なし)@Apex Legends
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:殺し合いから脱出し、アネモネを救う
01:ネルと行動を共にする
02:アネモネや彼ら(レントンとエウレカ)がいるなら探す。
参戦時期:司令クラスターに突撃する前
備考
【美甘ネル@ブルーアーカイブ】
状態:健康 多少の疲労
服装:C&Cの制服
装備:ツイン・ドラゴン@ブルーアーカイブ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:殺し合いをぶっ潰す
01:ドミニクと行動する。
02:先生や他のC&C、ゲーム部を筆頭にキヴォトス人がいないか探して回る。
参戦時期:時計じかけの花のパヴァーヌ編 2章終了後
【NPCモンスター解説】
アオアシラ@モンスターハンターシリーズ
青い体毛が特徴の牙獣種。
山の中や渓谷に住み、魚などを食べて過ごす。
凶悪な爪や牙を持つが、動作が大振りであるため、熟練のハンターには簡単に倒される。
所謂初心者ハンターの練習相手的存在。
【支給品解説】
ウィングマン@Apex Legends
ライトアモ弾ではなくヘビーアモ種弾を使うハンドガン。
一撃に優れるが反動が強く、熟練でも当てるのに難を要する銃。
しかし、使いこなせればハンドガンの連射性を持ちながら高火力性を持つ銃に早変わりする。
ツイン・ドラゴン@ブルーアーカイブ
美甘ネルの愛銃。
龍の紋様が入った黄金の、"勝利の象徴"にふさわしいSMG。
投下終了です
投下します
──扇要は死にたがっていた。
「俺は…最低な人間だッ……。あれだけ日本の為尽くしてくれたゼロを………、俺は……俺は……!」
無論それはメンヘラが口にする「死にたいんだよねー」と一緒で、一切死ぬ気はない。
要は、扇は悲劇の主人公を演じる自分に酔っているだけである。
──それと同時に、扇要は物凄く不幸な男だ。
「死にたい…。誰か、殺してくれ…………」
ただ、そんな絶望の淵(笑)にいる扇を、天高き空にて眺める『神』の目にはどう映ったか。
膝を折って頭を抱える扇。
そんな哀れな男に救いを…。彼にも希望を……。、と。
神はそう思ったのかもしれない。
奇跡とはいかなるものか。彼が口々に呟く『願い』をかなえるため、神様は奇跡の連発を恵むのだった。
『死にたい』…という願いをかなえるために。
「もう自分が嫌だ……。もっ、────ぐっげげえぇっぇええええっ!!!?????」
扇は突如として首を抑え苦しみ始めた。
理由は一つ。『首輪型爆弾』が突如縮みだして、喉頭を締め出したのである。
言わずもがな、金属という物体は温めれば体積が縮小する性質がある。
今現在の気温は39度。
到底金属が縮小始める熱量に達していないのだが、これこそ『神の奇跡』といえよう。
死にたがっている扇を楽にするため、首輪型爆弾は指輪サイズまでに急縮小。扇の顔をブルーまじりの真っ赤にさせる。
「ぎょがっががああああがっがっがgっがっがgsbj」
必死に首輪を外そうとする扇。
だが、抵抗も虚しい。
伊達に硬度1800+を誇る鉄製の首輪なんか外れるわけなく、替わりというように、
バキッ、ブチッギイイイ、ギチギチイイ
「じんみいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!」
首輪外しに取り掛かった爪が何とも言えない音をたてて剥げ落ちていく。
指の、真っ赤になった爪跡……むき出しの肉が我々の目には痛い。
(こ、このままじゃ……死ぬ!!!)
(やだ…そんなのやだ!!! びょ、病院にいぃいい!!!)
「bbぬげげうええええっっっっっっ……」
圧迫的息苦しさと指の鋭い痛み、二つの地獄が重く背中に伸し掛かる中、扇は必死こいて歩き出した。
…歩いたといっても、生まれたばかりの赤ん坊のよう。いや、ゴミムシみたいに這いずる様態であるが、とにかく救院を求めて動く。
扇は死にたくなかった。
厳密にいえば、百歳ごろをめどに死にたかった。
首相となり、国のリーダーとして悠々自適な生活を送り、老後は愛する孫たちに囲まれながらティータイム。
そんな人生設計を描いていたため、こんなところで死ぬなんてエラーもまたエラーだ。
「ぎびいいっ!!!!!!!!!!」
それが例え、這いずってる最中、鋭利な木片が太ももにぶっ刺さり苦悶に悶えようとも。
赤赤赤紅。手から、足から、顔までもが真っ赤の極み。
五体満足かつ目立った裂傷なしでここまでレッドに染まるのは非常に珍しい。
ここまできたらもうあきらめた方が楽と思うが、彼は生にしがみついた。
「んうぇいひえ……っ!!! んふぇうふふぇぶ……………!!!!!!!!」
────なぜなら、すべては愛するヴィレッタのたわわな胸にうずくまれば。全回もいいところの癒しが待っているのだから………。
一歩、這いずり…
「ぎんびいぃっ………」
涙があふれても、なお這いずり……
「じいいばっばあああああ……………」
男は、全身の激痛と闘いながら、また這いずった……
「ヴィれ…だあああが………っがっがっ……がぎゃあ…………………」
────バシュッ
そして、扇は死んだ。
「…哀れな男よ。これにはさすがの拙者もニガ笑い」
扇の首を切断した大男は、刀を携え和服。そしてマゲを結った髭面の容姿だ。
ただ、『侍』と呼ぶにはあまりにも黒すぎた……。
武士道というもの、心を清め修行にはげくみ、そして一切の邪心を捨てる『真の男』が通る道なのだが。
この侍の心は邪悪に汚れており、内面は残酷かつ我儘。真っ黒なのである。
──いや、黒いのは見た目にもはっきり表れている。
「いいか? 侍の起源は我々アフリカだ。すなわち、アフリカが発祥の『バトル・ロワイヤル』を貴様らチョッパリが参加する資格はないッ!!!」
「反省しろッ!!!!!」
────バッサリ、と。
『ラストサムライ』弥助は、意味もなく扇の豚腹を掻っ捌いて、この場を去っていく……。
【扇要@コードギアス反逆のルルーシュ 死亡】
【黒人侍@テコンダー朴】
状態:正常
服装:和服
装備:刀
令呪:3画
道具:基本支給品一式
基本:チョッパリを全員殺し、アフリカの恐ろしさを思い知らせる
01:くだらん…
投下終了です
我ながら悪ふざけが過ぎました
>>156-159 はなかったことにしてください
レスの無駄使い申し訳ないです
投下します。
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『僕は認めない…!』
『僕が…僕達が、純粋種が出現すれば用済みの踏み台の為"だけ"に作られたなんて…認められるか…じゃあ僕は、何の為に…これまで生きてきたんだ…!!!?』
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「…上位種たるこの僕にこんな物を着けて、愚かな人類が行うような殺し合いを強要させるとは…随分と舐めた真似をしてくれるね」
殺し合いの会場の一角にて、薄い緑寄りの髪色をした中性的な少年のような外見をした者は、レジスターを横目にしつつ呟く。皮肉るかのような言葉選びとは裏腹に、苛立を隠せない様子であった。
「…どうやって肉体が滅びヴェーダに封印されていた筈の僕をここに招いたかは気になるけれど、それ以上に……これは僕に対する当て付けかな?」
バッグの中から取り出した、因縁の相手が未来にて乗る可能性もあった、対話を拒絶したMSを落とし込んだパワードスーツの起動鍵と説明文を見、彼は1人ごちる。
「僕が導く筈だった来たるべき対話を拒むような物、それもよりにもよって純粋種の彼が搭乗する事を前提とする機体を…支給品として用意するとはね。
…まあいいさ。このソードスキルとやら共々活用させて貰おう」
(純粋種達のように…僕に従わない者、使い物にならない者…そして羂索達主催者…上位種のイノベイターたる僕が、君達を裁こう)
自らに支給されていたソードスキルを使用した上で、そのスキルに落とし込まれた異能の特性も併せて…怒りをどうにか取り繕い、純粋種(イノベイター)を自称・僭称する性別なき戦闘型・中性の人造人間(イノベイド)。
リボンズ・アルマークはこの殺し合いでの方針を定めた。
(まずはスキルやこの機体に慣れる為、他の参加者を見つけて…こんなに早く見つかるとはね。
…始まって間もない内に戦闘とは、やはり人類は戦いをやめられない生き物……いや、本当に彼らは人間なのかい?)
そうまで思考し、漁夫の利でも狙おうかと小物らしい姑息な考えをしつつも戦闘現場を見たリボンズは驚愕する。
方や人間離れした動きで、日本刀を振るいながらも黒い斬撃波を放つオレンジ髪の青年。もう方や、両耳を塞ぐかのような角が生えた白き肌をした、二刀を操り斬撃波を切り払おうとする少女。
(特にあの少女の方は…凡そ、僕の知る人類とは思えないが…兎に角、どちらも実力は高いと見た。今は機を伺うべきだね)
リボンズは一先ず、息を潜め介入の機を伺う。
かつてガンダムマイスターとして武力介入を行った時とは違い、使い慣れていない装備と能力のまま手練れと見た2名の戦いへ介入を行うのは自殺行為だと判断したのである。
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事の始まりは単純であった。己の支給品を確認し、殺し合いに抗う事を決めたオレンジ髪の青年──死神代行・黒崎一護が、既に己の支給品を確認し終えたのか襲撃してきた白肌二刀の少女──大荒魂・タギツヒメとの戦闘に突入。
己が斬魄刀の卍解・天鎖斬月を発動した一護は、片方の日本刀から斬撃波を放つタギツヒメに自らの霊圧を放出した斬撃波である月牙天衝で相殺。
そこから2人の斬り合い及び斬撃波の撃ち合いは始まる。
「いきなり斬り掛かってきやがって…てめえ、殺し合いに乗ってんのか!?」
「無論。我は人間への怒りを原動力とする大荒魂にして神…タギツヒメぞ。この殺し合いという催しを開いた人間共も纏めてあの世へ送るが、参加者共に歩み寄るつもりも無い。
…刀使でも無いと云うのにその力、貴様は羂索とやらが言っていた「仮面ライダー」や「呪詛師」、「錬金術師」に「魔戒騎士」、「聖杯戦争の参加者」、或いはあのルルーシュとやらの同類か?」
「どれも知らねぇ、てめえの言う「刀使」や「荒魂」も含めて聞いた事もねえし違えよ!(ルルーシュと)似た声の知り合いはいるけどな!それと貴様じゃねえ、俺は死神代行、黒崎一護だ!!」
「死神代行…聞き覚えは無いが、代行とはいえ死神であるならば、我の命を奪うつもりなのだろう?我が人の世に齎すは終焉である以上、貴様と分かり合う余地は皆無ぞ」
「そうかよ…ならてめえはここで、俺が止める!」
(…こいつはこう言ってるってのに、何だ、刀から伝わって来る…人への怒りに紛れたこの違和感は…!)
剣を合わせた相手の考えや、戦う理由を理解出来る限定的な読心めいた事が可能な程の感受性を持つ為それに一護は違和感を抱く。
だが御刀である妙法村正に、所有者の魔力を吸い、この殺し合いではそれを持ち得ない参加者からは体力を吸う妖刀、烈風丸を振るい斬撃波を放つタギツヒメの攻撃に対応するのが先とし一護は斬魄刀の天鎖斬月を振るう。
二天一流による二刀攻撃を一刀で受け止め流しながらも、斬撃波として月牙天衝を放ち一護は攻め、一方タギツヒメはまるでそれらを"予測"するかのように回避或いは剣で受け止めて、そこから何撃も一撃と斬撃波を放った。
しかし一護はこれを避け、或いは受け流す。
「ほう、だが貴様はこの速度に追いつけるか?黒崎一護!」
そう言い放つやいなや、御刀の力によりタギツヒメは迅移による加速を行い、双剣による連撃に斬撃波を織り交ぜ攻める。
だが対して一護は、更に速度を上げたのか難なく追い付き、再び二者の剣は合わさり剣戟へ至った。
「…貴様、本気では無いのか?言った筈だぞ。我はこの世に終焉をもたらすと…加減する理由は無いだろう?」
「…分からねえ。剣を交えても…本当にてめえが望んでいる事がそれなのか、分からねえんだ…それに、好き好んで殺しなんて……誰がするかよ!」
「……死神の癖に死を忌避するか。甘いな、貴様は!!」
「死神"代行"つってんだろ!」
舐めているのか、死ね!と言わんばかりに攻撃の勢いを強めるタギツヒメに、一護はここで霊圧を貯めた上で必殺技(当人の主観)で牽制を行う。
「月牙…天衝!!」
先程までのそれとは見るからに威力が違うと認識可能なそれを、タギツヒメは烈風丸に備えられた技を持って迎え撃つ。
「ならば我も使ってみるとしよう…烈風斬!」
刀身から放たれた斬撃波の一撃が、月牙天衝とぶつかり合いそして相殺される。
「御刀ではない扶桑刀とやららしいが、中々に使えるな…!」
言いながらタギツヒメは迅移の段階を上げ、もう片方の御刀である妙法村正で一護の首めがけて斬りかかるが…更に速度を上げたのか、首にそれは刺さらず彼の胴体と服に傷を与えたに留まる。
「…どうした、タギツヒメ。さっきみてえに俺の動きを先読みしてみろよ」
ダメージを負いながらもそれを感じさせない様子で、一護は挑発を行う。
(もう少しこいつと、剣を交えたら…こいつが抱えてる、怒り以外の何かが分かる気がするんだ…!!)
決して舐めプという訳ではなく、(極力会話の通じる相手を殺したくないというのはあるが、殺人を忌避する人として当たり前の感性故である)目前の敵が訳アリの類と悟りそれを理解しようとするが為、一護は挑発をした。
「……減らず口を叩くか、黒崎一護。…初戦から本気で挑み消耗するのは馬鹿の所業と思ったが…興が乗った。貴様に我の本気を見せてやろう…我の心を躍らせてみるがいい!!」
「…そうかよっ!!」
挑発に乗ったタギツヒメは、迅移の段階を更に早め斬撃波を四方に放つ。だがそこに霊子を使った死神の高速移動法である瞬歩を使用した上で、一護の放った月牙天衝がぶつかり…全てが相殺された。
「…やはり気付くか…面白い…!!」
(…やっぱりな、予測は出来ても速度が早ければ対応し切れずに、先読みは出来ねえ訳だ!)
超スピードでの斬り合いになりながらも一護は、相手の異能のカラクリを看破する。
そしてその読みは合っていた。タギツヒメは演算による予測能力により相手の動きを読むが、あくまで予知ではなく予測である以上、例えばその場に居なかった相手からの不意打ちや、単純に対応し切れない速度で攻める相手には後手に回らざるを得なくなる弱点を持っている。
さりとてそれはタギツヒメも激突の中で承知の上で、再び烈風斬を放とうとするも…。
「…ようやく、分かったぜ。てめえが抱えてる、怒りや憎しみ以外の想いってのが。少しだけ」
「……貴様程度が、死神風情が我の何を理解したと…?」
「さっきから代行つってんだろ。俺はあくまで人間、そのつもりだ」
「ならば人間風情め。我の何を、理解した等と巫山戯た事を言うか答えてみるがいい」
明らかに苛立った様子で、聞き届けたと同時にこいつの生を終わらせてやろうと言いたげにするタギツヒメを他所に、一護は違和感の正体を述べた。
「…タギツヒメ。てめえは……いや、お前は…孤独だったんだろ?
…本当は、ずっと誰かと分かり合いたくて、孤独を埋めたかった…違えのか?」
「…っ───!?」
あからさまに動揺を見せるタギツヒメを意に介さず、一護はかつて戦った強敵の抱えた孤独を想起しつつ自らの見解を述べる。
「…前に、孤独を抱いてた奴と戦った事がある。そいつはお前と同じめちゃくちゃに強くて、お前とはなんつうか、方向性の違う面倒臭さをしてて…人間を見下して…でも、それ以上に……強者故の孤独を嫌ってた。
…だからベクトルは違えけど、お前もあいつみてえに孤独を持ってる奴なんだって…斬り合いの中で、気付けた」
「…何を言うかと思えば、下らん馬鹿の戯言か…!我が他者との分かり合いを求めている、だと…!?……そんな訳が無い。我は神で、人の世を滅ぼそうとする者ぞ。貴様の言う破綻者の人間と一緒にするでない…!!」
「破綻者かどうかで言うなら、そうだろうな。でもそいつは死神だったぜ」
「……だから何だと言う、貴様は!我が真に望むのはひとつ!我ら荒魂を斬り刻んできた刀使共を含めた人間の世が滅びを迎える事のみ…!
分けられた他の姫や、分けられる前の我と融合したのならまだしも、何の関わりも持たぬ貴様が…分かったような口を利くな!!
…貴様はここで殺してやる、黒崎一護!!」
「…お前は…!!」
(…剣で感じ取った、分かり合いたいって想いは間違いなく嘘じゃねえ。
…認められねえのか…目を背けてるのか…倒すしか、ねえのかよ…クソっ…!!)
怒りと激情のまま、タギツヒメは自らの令呪を切った上で、烈風丸により真・烈風斬を発動。
先程の烈風斬よりも上の威力を持つ、体力から変換された魔力を纏い刀身が長くなった妖刀が振り下ろされんとする中、一護は……自らの斬魄刀に、月牙天衝を纏わせた上で霊圧を貯め…迎え撃とうとする。
「真・烈風…斬っ!!」
「月牙…天衝!!」
そして双方の一撃は交差しぶつかり合い……暫し均衡するもやがて令呪により制限を一時的に脱したタギツヒメの方が上回り、一護はふっ飛ばされる。
だが受け身を取った上で、一護は瞬歩による高速移動をしながら、近隣の建物である天ノ川学園高校の体育館に転がり込んだ。
一方殺しきれてないと判断したタギツヒメはそれを追う事とし……機を伺っていたリボンズ・アルマークは起動鍵を使用した上で、後からそれを追いかけた。
…因縁の相手が其処に居る事を知らぬままに。
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「…羂索。貴様達はガンダムでは無い…!」
そう青年、刹那・F・セイエイは初期位置であった体育館にて呟く。
彼の云う所のガンダムは様々な意味があるが、戦争を止める為の力を意味している所もある。その点から見れば参加者に殺し合いを強いる羂索達がガンダムである筈が無いのだ。
ガンダムマイスターにして、純粋種たるイノベイターに変革を果たしイノベイドを打ち破った彼の方針は当然、殺し合いへの反逆。
とりあえず体育館内を探してからバッグの中身を確認すると、転移用アイテムと自らの機体、それに因縁の機体を落とし込んだ鍵を2本発見。
一先ず校内を捜索しようとした所…体育館に転がり込んで来たのはオレンジ髪の青年黒崎一護。
「…誰だ」
「黒崎一護、死神…代行だ。殺し合いには乗ってねえ。
それと悪りぃ、今…俺を殺そうとしてる奴に追われてんだ。詳しい事情を話してる暇はねえが、そいつは本当は…」「…状況は理解した。少し時間をくれないか」
「分かりあいたいって……いや、分かってくれるのは助かるけどよ、最後まで言ってねえぞ!?」
「…こちらも説明している時間は無いようだ。お前が対話を望むのならば、俺も出来る限りの協力はさせて貰う」
(『嫌だって言ってんだ……こんな勝ち方があるかよ!!』)
「…知っちまったからには、殺す以外にどうにか出来る方法を選びてえよ」
「…そうか。ならばすまないが対象の足止めを頼む」
「おう、任せてくれ!」
脳量子波により一護の意思を理解した刹那は、かつての苦い『勝利』の記憶を思い出す彼と短い会話を交わす。
そんな中高速移動し体育館へと突入して来、斬撃波をまた放ってきたタギツヒメを目にし、一護は天鎖斬月で受けてから再び剣戟を仕掛けた。
「死ぬがいい黒崎一護!!下らぬ戯言を神たる我に吐いた貴様はっ、斬り刻んで塵にしてやらねば気が済まぬ!!」
「生憎と、俺がここで死んじまったら…背中にあるもんがみんな壊れちまうんでね!!!」
その一方、支給させていた起動鍵の内使い慣れた方を使用した刹那は、彼が…黒崎一護が望む対話の為、迷う事なく令呪を切った。
「…他参加者を味方につけたか、黒崎一護…!!」
「っ…させねえ…よ!!まだ俺は戦える、逃げんのかタギツヒメ!」
「安い挑発に乗ってやる程、我は阿呆ではない!」
「逃げるってなら、こっちにも考えはあるぜタギツヒメ…!」
「…口ではああ言っておきながら令呪を切るとは!ここで我を倒そうと、そういう魂胆か…!!」
一護以外にもう一人居る事に気付いたタギツヒメはそちらを狙いに向かおうとするも、ここで一護は令呪を切った。対しタギツヒメはどこか失望を感じさせる様子で、吐き捨てるかの用に言い放つも…彼が貴重な令呪を切った理由はそこでは無い。
「違えよ。お前を止めて、殺させねえ為だっ!!」
(斬月のおっさん…もう一人の俺…力を貸してくれ!!)
「──月牙、天っ……衝っっ!!!」
かつて藍染惣右介との戦いにて発動した最後の月牙天衝には劣るものの、霊圧を最大限貯めた上で…これまでで最大の一撃を放った。
対しタギツヒメは再び、自らの体力消耗を無視し真・烈風斬を放つ。
二撃が交差し再びぶつかり合う。令呪による制限の限定解除を行った一護と、先の令呪の効果がギリギリ残っていたものの、やがて切れたタギツヒメ…暫しの後均衡は崩れ、衝撃で体育館内部が破損、屋根も崩れ落ちる中…先程とは異なり今度はタギツヒメが押し切られ、ふっ飛ばされた。
「ぐ、ぁあっ…!?…まだ、まだ我は戦えるっ…貴様に負ける訳には行かぬ…黒崎一護!!…ここで、負ければ……我は…我はぁっ!!」
怒りの感情を剥き出しにし、何かを頑なに認めようとしない様子で食い下がろうと、両刀を支えにし立ち上がるタギツヒメ。
向かってくる一護に対し、刀を構え迅移を一気に加速させようとし──
「トランザム・バーストッ!!」
壊れた体育館内部の様子すら目に入らず、消耗もあり黒崎一護しか見えていない状況、未来予測もそこに居る事を忘れ去っていた現状では機能せず……最終決戦用にチューンナップされたダブルオーライザーをパワードスーツとして纏った刹那・F・セイエイの奥の手(対話の為の力)、トランザム・バーストにタギツヒメは巻き込まれる形になった。
イノベイターとして覚醒した刹那の脳量子波と、ダブルオーライザーのツインドライヴシステムの連動により、高純度のGN粒子による意識の伝搬を引き起こし、分かり合うための空間を作ったのである。
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「そうか、タギツヒメ。お前は孤独を埋めたいが為に…」
…やめろ…黒崎一護だけでなく、貴様まで…我を分かったかのように、っ…!!!
「…人間への怒りも、確かにお前の中にはある物だった…それに引っ張られてお前は、ああいうやり方しか出来なかったんだな」
黙れっ…黙れ黙れ!!黒崎一護……!!
……っ…これは、この謎の粒子によって我の想いが奴等に…奴等の想いが我にっ…伝わって、来ると云うのか…!!
……我を味方に引き入れれば…等という考えはそこに無く、伝わったのは…奴等が断固として持つ、殺し合いに抗おうとする意思と、我との対話を望む想い。打算なしにこの馬鹿2名は、生命線でもある令呪を我との対話の為に1画切ってしまったのだ。
…既に我と一体化しているタキリヒメやイチキシマヒメには兎も角、我自身にとってこれは…はじめて向けられた…感情だった。
──そうか、これが……孤独が埋まる、感覚…なのか……これでは認める他に……ないではないか。
…人や刀使への怒りを…孤独からの解放感が上回っていく……まったく。
…自我を得てから我がずっと感じていた孤独を、欠落を埋めてしまうとは…呆れる程のお人好しの阿呆共め。
「……やめだ。殺し合いにはもう…乗る気にならん。
…一護に…」「刹那、刹那・F・セイエイだ」
「…一護に刹那、お前達のように、我の消える事の無い筈だった孤独を埋める者が居ると知ってしまった以上…人の世を滅ぼす気にもならんわ」
「…じゃあこれで、一安心だな…タギツヒメ、刹那…」
トランザム・バーストとやらが解除されると同時に、疲れを隠せない様子で呟く一護。
…我も、疲れたな…ここまで我と渡り合えるす者が、居るとは…今にして思えば、奴との戦いは心が躍らされたな……そう思考が向く中、
「…いい加減、我慢ならないな。君は救世主にでもなったつもりかい?純粋種(刹那・F・セイエイ)。
だが君達の奮闘は救世主たる僕の手で無に帰すんだよ」
闖入者の声が響く。同時にそれが放った物だろう剣と銃が一体化したような何かが我目掛けて飛来し──
「このままではっ…ぐ、うああ!!」
一護は消耗もあってか寸でで間に合わず、同じく消耗もあって反応が遅れた我はそのまま…それに貫かれる筈だった。
だが貫かれたのは…我を庇った刹那で。
パワードスーツとやらを身に纏っているとはいえ、胸に深々と刺さっている。深手な事は…我を庇った結果こうなった事も踏まえて……わかりきっていた。
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ダブルオークアンタ・フルセイバー。対話ではなく殲滅の為の戦闘力に特化した、刹那・F・セイエイの機体になる可能性もあったガンダムを超えしMS。
その起動鍵を使用した上でタギツヒメの後を追い機を伺い続けていたリボンズは、起動鍵を使いダブルオーライザーを身に纏う刹那・F・セイエイを目撃し…怒りが沸く。
(僕を倒した忌々しい純粋種め!ここで始末を……いや、どうせなら戦いが終わった後迄待って…3人も居るのなら、力を試すのも良いだろう)
しかしそれを抑え、壊れゆく体育館の外で息を潜め待ち続ける。脳量子波による思考の感知は制限によるものか、直接顔を合わせなければ不可能となっているのも…不本意ながらも今の彼には追い風であった。制限が無ければ即座に位置を見抜かれていただろう。
そしてその時が来…外見相応の少女のような表情を見せたタギツヒメを目にしながらも、迷う事なくリボンズはGNソードビットをタギツヒメ目掛けて放つ。
彼女がこれで死ねば純粋種達の行動は無駄となる。消耗の激しいオレンジ髪(一護)は間に合うまい。これで純粋種が庇えば深手は必須、この手でリベンジを果たすチャンスとした。
結果…まんまと人間離れした少女を庇い純粋種は深手を負った。
「…刹那っ…!!」
「刹那!?てめえ…!!」
「…その、声に態度は…リボンズ、アルマーク…その機体は…何だ!?」
「君が未来で乗るかもしれなかった、ガンダムを超えた機体…ダブルオークアンタ・フルセイバーだよ」
満身創痍ながら斬りかかるタギツヒメと一護に、直接刺突する以外にビームガンを放つ事も可能なソードビットで対応しながらリボンズは刹那目掛けてGNソードIVフルセイバーをフルセイバーモードで振るう。
最もそれは刹那のGNソードⅢで防がれるも、この程度リボンズにとっては想定の範囲であった。
「そうだ、そうでなくてはね純粋種!!そうでなくては意味が無いんだよ…僕の存在、其の物にも!!」
「答えろ、っ…リボンズ・アルマーク…貴様は殺し合いに乗っているのか!?」
「僕にとっての抹殺対象は君だけではない、主催者達もだよ。だからといって、恭順する者以外の劣等共と、仲良しこよしするつもりは無いよ!
恭順を選ばないならば、レジスターの確保の為に死んでもらう!」
生前散々策を弄したかからなのか、或いは未知の強大な力を手に入れたか故の傲慢さか…実質的な無差別マーダー宣言をするリボンズ。
「貴様という世界の歪み、っ…ごほっ、ここで…再び断ち切る!」
「やれるものならやってみるがいいさ。最も君より上位の機体相手にその傷で、何処までやれるかな!」
フルセイバーとGNソードⅢの剣戟を交える両者。しかしやはり…性能差と負傷もあり優勢なのはリボンズであった。
血を吐き出血が止まらない刹那に対し、余裕を見せつつ押し続けるリボンズはここでトドメを刺そうとトランザムを使用。
「人間風情が!!僕が、僕こそが革新者で、救世主だという事を…君の死を以って示す!!」
そのままフルセイバーによる連撃を行おうとするが…先程まで居た刹那の姿が掻き消える。
量子化による短距離テレポートによって攻撃から抜け出したのだ。
「おっと、君だけがその量子化テレポートを使えるとは思わない事だね」
「なっ…!?…主催の仕込みと、いう事か…!」
「主催者達は甚だ気に食わないが、これについては感謝しているよ」
しかし主催によりクアンタ・フルセイバーを纏ってさえいれば、量子化を使用可能という風に細工されたのもあり抜け出した刹那をリボンズは、強襲で更にダメージを与える。
だが、そこに飛ぶは黒い斬撃波。量子化を試みるが一度使用すれば暫くは不可能となっており、ソードビットのバリアを使おうともするがビットが来ない。
(…まさかソードビットを、全て破壊したと云うのか!?)
「チッ」
この場の全員にも主催にも、そして自分自身に対しても向けた苛立ちの籠もった舌打ちをしつつ、フルセイバーで斬撃波を受け止め、返す刀で斬りかかろうと試みていたタギツヒメを吹っ飛ばす。
受け身を取った彼女は一旦無視し、リボンズは目前の黒い斬撃波…月牙天衝を纏わせた斬魄刀・天鎖斬月を振るう一護に対してフルセイバーで受け止めにかかった。
「君も何故、純粋種やそこの少女を護ろうとする?その消耗で僕に敵うと思っているのかい?」
「…確かにてめえは強えよ。けどな…てめえが俺より強いからって、俺が諦める理由にはなんねえんだ!!
…もう誰も、殺させるかよっ!!」
リボンズの傲慢な問いに、答える一護。
(須藤やニーナ…だったっけ、そいつらが殺された時も、俺はっ…何も出来なかった…お袋や茜雫の時みてえな思いはこれ以上、したくねえんだよ!!)
見せしめで殺された2人の事を思い、かつて自分を庇ったせいで死んでしまった母真咲や、護れた筈だったのに喪った少女茜雫の事を想起しながらも…一護は満身創痍の身体に鞭を打ち吠え、鍔迫合いをし続ける。これ以上、極力誰も殺させない為に。
「甘いね。だから君はここで死ぬんだよ」
やがてリボンズは呆れながらフルセイバーを引かせた上で、斬らずにぶつけて一護を殴打。
蹌踉めきながらも立ち上がる一護に対し、ここまで温存していたフルセイバーのGNランチャーモードを披露。フルセイバーモードから変形させ心臓を撃ち抜こうとする。
「…させんぞ、リボンズ・アルマークっ…!!」
(…これ以上、我の孤独を埋めた阿呆共を傷付けさせては…大荒魂の名折れでな…!)
体勢を立て直した上で、リボンズ目掛けて烈風斬を放とうとするタギツヒメ。
対しリボンズは文字通りの片手間で、GNガンブレイドとGNカタールを投擲し彼女の片腕片足に刺して動きを止める。
一護を殺してなお動けないのなら次は彼女からと、純粋種に絶望を与えるのも悪くないねと考えつつも、リボンズはGNランチャーを放とうとし……再び令呪を切った刹那が、GNフィールドとシールドを展開し一護を庇い防御を行う。
だが性能差と負傷により防御は貫かれ…刹那は吹き飛ばされ致命傷を負い、地面に血溜まりが出来ていた。そして一護は刹那の防御もあり減衰したとはいえGNランチャーによるダメージで、限界を迎え気絶してしまった。
…これが制限の限定解除を行った時であれば、一護の内なる虚(ホロウ)ホワイトが肉体を乗っ取る完全虚化を発動させていただろうが…制限下にある以上それは出来ず、ただ倒れ伏すのみであった。
「せつ、なっ…一護、貴様っ…!!」
どうにか投擲された剣を引き抜き、ボロボロになりながらも2人に駆け寄るタギツヒメ。
しかし刹那はここで、ある決断を固めた。
「…お前達は逃げろ」
「…何をっ、逃げるというなら…お前も共にだ阿呆!!」
「この傷で逃げても助かると思える程、状況を…見誤ってはいない。回復アイテムがあるという…訳でもないだろう…?」
「…見捨てろと、そう言うのかお前は…我を孤独から、解き放つだけ解き放っておいて…まだ我は…お前や一護に、なにもっ…!!」
「…そんな必要など無い。俺には生きている意味等…」
「おっと、確か君は…幼い頃言われるがままに両親をその手で撃ち殺したんだったね。刹那・F・セイエイ…いや、ソラン・イブラヒム」
反発するタギツヒメに、諭すかのように言う刹那だったが、割り込んだリボンズが刹那の本名とその過去─ガンダムマイスターとして推薦した際知ったと思われる─をしれっと暴露する。
「……お前…お前は、何という……」
「……そうだ、リボンズの言う通り…俺は言われるがままに両親を殺めた、愚かな男だ。死んで当然の、生きていていい存在ではないんだろう。
…だが、俺のような人間でも…イノベイターとやらになる事は出来る。
……人は、変われるんだ。…生きろ、タギツヒメ。生きて…俺の分まで変われ」
人間が紡き受け継がれていく生命の輪に、入れず縁を結ぶ事も出来ない存在故に孤独を感じていたタギツヒメからすれば…子が親となったつがいをその手で殺めるという事が、どれほどの異常事態なのかを理解する事が出来…それ故、何も言えなかった。
対してリボンズの事は殆ど無視する形で、遺言かのようにそう言葉を告げた刹那は、息も絶え絶えながら…リボンズへ向かうと同時に、鍵と…対象と周辺の人物2名迄を会場内にランダムに飛ばすアイテムをタギツヒメ目掛けて投擲した。
"先程まで使用していた鍵"とタギツヒメ、一護の姿が消えて行く姿を見た刹那は、最期に言葉を遺す。
「…どうか、憎しみに囚われないで欲しい…そして彼の…一護の事を頼む」
溢れんばかりの罵声を浴びせるタギツヒメの事を無視し刹那は、転移などさせる物かと攻撃を加えようとするリボンズに対して……自分がガンダムになろうと決めたきっかけであり、目前の自称救世主にして世界の歪みがかつて乗っていた機体・0ガンダム、それの改修機を身に纏い妨害を図った。
「その機体は僕が一番上手く使いこなせるんだ。君に…ましてや半死半生の状態で、まともに使えるとは思えないけれど…ね!」
「…貴様の妨害が出来れば、それで十分だ…!!」
──だが、先程より更に開いた性能差を覆す事は不可能だった。
ビームガンは2つに斬られた。サーベルは根元から折られた。それでも拳を、リボンズの頭にぶち当てるが…同時に、フルセイバーモードによる袈裟斬りにより0ガンダムは解除。鍵自体もダメージのせいか2つに割れて使用不能となってしまった。
(……タギツヒメ…一護…お前達が生きて、この殺し合いの打破を果たせば……血塗られた俺の人生も、生きている意味が…あったと……言えるだろう、か)
刹那の思考はそこで止まり……本来の歴史にて辿り着けた答えについぞ届かぬまま、遺体はリボンズが身に着けたソードスキル・異能により剣へと変化。変化した事によってレジスターがカタンとその場に落ちる。
それはガンダムエクシアのGNソードに酷似しており…リボンズに付随するようになった。
来たるべき対話を迎える前に、命を落とした純粋種の肉体はこうして、宿敵により有効活用される事となった。
【刹那・F・セイエイ@機動戦士ガンダム00(2ndSeason) 死亡(肉体は剣化)】
「…フフフ…救世主…旧人類共からすれば神である僕に逆らった罰だよ、純粋種!!
…しかしやってくれたね、人間風情め。
だが残り2人も消耗は激しい筈だ。それにこちらにはまだ使用可能な令呪が2画残っている。
次に遭遇したら、御披露目と行こうか。変わり果てた仲間の有り様を見た時…どうするんだろうね、彼と彼女は」
クアンタ・フルセイバーへの変身を解除した上でレジスターと、一応と2つに割れた起動鍵、ホットラインを拾ったリボンズは…そう言った後、校内の探索を行う事とした。
…口調とは裏腹に、自らの存在する意味を純粋種を打倒するという手段で実証した筈にも関わらず、リボンズの表情はどこか晴れないそれであった。
イノベイド、人造人間でありながら良くも悪くも人間臭いのがリボンズ・アルマークである。
こんな形でリベンジを果たした事に思う所が1mm程度はあるのか、或いは…仮にも自分が見出したガンダムマイスターを自身の手で殺めた事に、感じた所が0.5mm程はあったのか……それを理解出来る者は、もうここには居ない。リボンズ自身も、このままだとそれには気付かないだろう。
──対話を拒んだのは他ならぬ、リボンズ・アルマーク自身なのだから。
【現在位置:天ノ川学園高校@仮面ライダーフォーゼ】
【リボンズ・アルマーク@機動戦士ガンダム00(2ndSeason)】
状態:ダメージ(小)、疲労(中)、主催への苛立ち(中)
服装:普段の服装
装備:刹那・F・セイエイの遺体が変化した剣
令呪:残り三画
道具:ダブルオークアンタ・フルセイバーの起動鍵@機動戦士ガンダム00V戦記、0ガンダム(実戦配備型)の起動鍵(真っ二つ、現状起動不能)@機動戦士ガンダム00(2ndSeason)、ランダムアイテム×0〜1、ホットライン×2、刹那・F・セイエイのレジスター
思考
基本:恭順を望む参加者以外の全てを皆殺しにする。
01:まずは校内の探索でもしてみようか。
02:ソードスキルを用いて剣を増やして行くとしよう。
03:あの2人(黒崎一護、タギツヒメ)は次は確実に殺す。その時はこの剣を見せてあげよう。
04:…僕は用済みの、純粋種の踏み台なんかじゃない…!!
05:使える物は何だって使うさ。
参戦時期:第25話「再生」にて、刹那に肉体を討たれた後から。
備考:支給されていたソードスキルにより、上位竜ランサーの異能@月が導く異世界道中を習得しています。
またイノベイドを脳量子波で操る能力は制限されています。至近距離でないと発動しません。
他、脳量子波による思考読み取りも至近距離でないと発揮されません。
【施設解説】
・天ノ川学園高校@仮面ライダーフォーゼ
フォーゼ本編での主舞台となる高校。
作中だとコズミックエナジーが降り注ぐザ・ホールの真下に建てられており、それもあってかゾディアーツ(敵怪人)の事件が起こりやすくなっている。
ちなみに本編以降は新・天ノ川学園高校と名前が変わっている。
今ロワでは約2名のせいで体育館の屋根が崩落している状態となった。
【支給品解説】
・ソードスキル:上位竜ランサーの異能@月が導く異世界道中
リボンズに支給。
竜でありながら人としての命も持つ、刃竜ランサーが行使する異能がソードスキルとして落とし込まれた物。
自らが殺害した相手の遺体を剣へと変性させ行使する事が可能。
この殺し合いだと剣に縁がある(使用してる武器・武装が剣等)相手はそれに似た剣へと変性する。それ以外の相手がどうなるかは採用された場合後続にお任せします。
・ダブルオークアンタ・フルセイバーの起動鍵@機動戦士ガンダム00V戦記
リボンズに支給。
ダブルオークアンタにツインドライヴが同調しなかった様の安定機兼、対話ではなく敵の殲滅を目的とした幻の追加武装。
安定機無しでツインドライヴが安定した同調稼働を見せたのと、ELSとの対話をメインパイロットである刹那・F・セイエイが望んだ為この装備が運用される事はなかった。
またクアンタとは異なり、クアンタムバーストは使用不能となっている。
武装はGNソードビットにライフルやランチャーと剣を兼ねたGNソードⅣ フルセイバー、GNカタールにGNガンブレイド等。
両肩にシールドも用いている。
主催により起動させさせていればイノベイターでなくとも量子化が使用可能だが、一度使うとある程度インターバルを置く必要がある。(どれくらい必要かは採用された場合後続にお任せします)
トランザムは一度使用すると6時間使用不能となる。
またこの起動鍵では素のダブルオークアンタにはなれない。
・0ガンダム(実戦配備型)の起動鍵@機動戦士ガンダム00(2ndSeason)
刹那に支給。
ソレスタルビーイングが最初に開発した原初のガンダム…を、イノベイターとの決戦の為に改修した機体。改修時にトリコロールカラーに塗り直されている。
最終決戦ではラッセ・アイオンがGN粒子貯蔵タンクに換装した状態で搭乗したが戦闘の最中粒子切れで廃棄され、後にリボンズ・アルマークに回収、奪取していたオリジナルの太陽炉に変更した上で運用された。
武装は手によるパンチに、ビームサーベルとビームガン。
また盾としてガンダムシールドを用いている。
この殺し合いでの機体はオリジナルの太陽炉ことGNドライヴ搭載型の仕様となっている。
なお現状では鍵が真っ二つとなっており、何らかのの方法で修復しない限りは現状起動不能となっている。
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「…俺……が……護、っ……」
話を聞かぬあの馬鹿により、無理矢理何処かへ飛ばされてしまった我の耳に届いたのは、同じく飛ばされたものの意識の戻らぬ一護の呻き声。
「…阿呆…此奴が…一護がお前の決断を知ったらどう思うのか…考えが及ばぬ訳もなかろうに…。
……なんと、説明すれば良いと言うのだ……ソランの、馬鹿めっ…」
どうしようもないお人好しのこいつが、ソランの死と、それで逃された事を知ったのならば……己で己自身を責め続けてしまうだろう。もし意識があれば、最後まで何としてでも…こいつは残って戦おうとしただろう。我一人を逃がそうと、ソランと結託していたのかもしれない。
……本当に、どう言えばいいというのだろうか。
『人は、変われるんだ。…生きろ、タギツヒメ。生きて…俺の分まで変われ』
『…どうか、憎しみに囚われないで欲しい…そして彼の…一護の事を頼む』
…今際の際が近いからと、無茶ぶりばかりを言いよって。そもそも我は人では無い、大荒魂と云うのに。
…奴の言葉を思い返しながら、我は一先ず…託される形になった起動鍵を手に取る。
……使いこなせるとは思ってはいない。ましてやソランのように、分かり合うために使えるとも…だが、それでも…色々と、任されてしまった以上は……受け継ぎ戦うしかあるまい。
…疲労からか、烈風丸を使い倒したせいか、意識がふらつくな……だが、ここで失い気絶すれば…一護諸共我も殺されるだろう。
先のリボンズのような奴に出逢えば一巻の終わり。…ソランや一護のようなお人好しが、早々いるとまでは思えんのでな。
…せめて休ませれる場所か何かを……探さねば。
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方針を定め、周辺を警戒しつつ捜索するタギツヒメ。
その瞳からは……孤独を埋めてくれた存在の片割れの喪失への悲しみか、零れる何かがあった。傍から見ればそれは、相応の少女の姿に見えただろう。
最も…それに気付ける者は──未だ死神代行が目覚めぬ以上、今の所は居ない。
【タギツヒメ@刀使ノ巫女】
状態:ダメージ(大)、疲労(極大)、孤独感から解放された喜び(大)、ソラン(刹那)を失った悲しみ(小程度?)、リボンズへの怒り(大)
服装:いつもの服装
装備:妙法蓮華経@刀使ノ巫女、烈風丸@ストライクウィッチーズ2
令呪:残り二画
道具:ダブルオーライザー(最終決戦仕様)の起動鍵@機動戦士ガンダム00(2ndSeason)、ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:殺し合いに乗ろうと考えていたが…やめだ。抗おう。人の世を滅ぼす気も失せた。
01:一護を休ませれる場所を探す。出来れば我も休みたい所ではあるが…。
02:皐月夜見に似た声をした梔子ユメの身体を使っている羂索が、わざわざ御刀に触れたという事は……刀使も招かれていると、見た方がいいだろうな。
03:…ソランの事を我は一護に…どう伝えれば、いい…?
04:ソラン…お前のようにやれるとは思わぬが、出来る事はしてみせよう。
05:刀使とは極力会いたくない。乗ってないと言って、奴等が信じるとは思えん。
06:リボンズ…憎しみに囚われないで欲しいとは言われたとはいえ…貴様は…!
07:ルルーシュのあの異能…我にも通じるのだろうか。
参戦時期:アニメ版の第22話「隠世の門」にて、取り込んでいた姫和を可奈美達に救出され撤退されてから。
備考:少なくとも残ったランダム支給品は回復系の物ではありません。
また他者への憑依或いは融合は制限により不可能となっている他、演算による未来予測は何度も使用していると暫く使用不能となります。インターバルが必要になる回数やインターバル期間は採用された場合後続にお任せします。
【黒崎一護@BLEACH】
状態:ダメージ(大)、疲労(極大)、リボンズへの怒り(大)、気絶
服装:死覇装
装備:なし
令呪:残り二画
道具:天鎖斬月@BLEACH、ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:殺し合いには絶対乗らねえ。
01:──(気絶)
02:…刹那…。
03:…また俺は……護れ、ねえのか……。
04:…タギツヒメと分かりあえて、とりあえず一安心と思ってたら……リボンズ、てめえ…!
参戦時期:死神代行消失篇終了後(アニメで云う第366話「変わりゆく歴史、変わらぬ心」以降、原作で云う479話、単行本54巻収録の「Goodbye to Our Xcution」以降)から。
備考:少なくとも残ったランダム支給品は回復系の物ではありません。
完全虚化や最後の月牙天衝は令呪による限定解除中でなくては発動出来ません。
また参戦時期の都合、静血装は現状自発的には使えません。
・脱出キット@セブンスドラゴン2020
刹那に支給。
この殺し合いでは発動対象と対象とした2名やその間にあるアイテムを、マップの何処かにワープさせる効果がある。
一度使うと消滅する使い切りの消耗品。
・妙法蓮華経@刀使ノ巫女
タギツヒメに支給。
珠鋼という特殊な金属で出来た日本刀、御刀の一種。
適合者は糸見沙耶香。
当ゲームでは女性ならば刀使や適合者でなくてもある程度その力を引き出せる。
・烈風丸@ストライクウィッチーズ2
タギツヒメに支給。
扶桑(現実での日本国に相当する国)軍人の坂本美緒少佐が自らの魔法力を込めた扶桑刀にして妖刀。
刀身そのものがウィッチのシールドの役割を果たせる他斬撃波を放てるが、使用者の魔法力を吸い取っていく諸刃の剣でもある。
また烈風斬や真・烈風斬を放つ事が出来るが、相応に魔法力を持って行かれるので乱発は普通は不可能。
この殺し合いでは魔術等を使用可能な者は魔力を消費する事で効果を使用出来、そうでない者は魔力の代わりに体力を消費する仕様となっている他、烈風斬や真・烈風斬も使用自体は可能となっている。
・ダブルオーライザー(最終決戦仕様)の起動鍵@機動戦士ガンダム00(2ndSeason)
刹那に支給。
オーライザーとダブルオーガンダムがドッキングしたダブルオーライザーの武装追加版。
武装としてはGNソードがⅡからⅢへと変更された他はダブルオーライザーと共通。
この殺し合いではトランザムせずとも量子化が使用可能(インターバルは必要)になっている他、トランザム起動時にはライザーソードやトランザム・バーストが使用可能。
またこの殺し合いではイノベイターでなくとも量子化やライザーソード、トランザム・バーストは使用可能となっているものの、内ライザーソードは一度使うと6時間使用不能となり、トランザム・バーストは一度使うと12時間使用不能となっている。
・天鎖斬月@BLEACH
黒崎一護の斬魄刀である斬月が卍解した姿。
卍解により出刃包丁のような巨大な刀から全てが漆黒の日本刀に似た姿へと変化する。
卍解時は攻防速全てが上昇している他、消費霊力が低いのか、作中だと2回目のウルキオラ戦で瀕死になった時を除けばダメージによる解除はされていない。
また死覇装がロングコート型になるが、一護曰くこれは卍解の一部という。
なお成立経緯が色々とややこしいとはいえ斬魄刀なのと、この殺し合いでの仕様もあって、他者が使用することが可能、月牙天衝を放つ事も出来るようになっている。
投下終了します。タイトルは「癒えない痛み悲しみでキズついた君よ」です。
投下します
<CHAIN ARRAY STRIKE!>
遠心力を付けたオレンジ色のチェーンアレイがエネルギーを纏って振り下ろされる。
ヒットと同時に破壊音と煙が立ち込めるが、金色の刃がすぐさま煙を切裂き浅利切人こと仮面ライダーターボンに迫る。
最も強度の高いショルダーショルで受けたにも関わらず装甲どころか中身の皮、肉、骨まで断ち切られる。
悲鳴を上げて膝をつくターボンの顔面を蹴りつけ、立ち上がれない様に胸部を踏みつける。
「なんたる惰弱。その程度では俺にとっては児戯にもならんぞ?」
赤い豪奢な服を着ているのがむかつくからというだけの理由で挑みかかったのをターボンは今更になって後悔していた。
手下に引き入れた……というより利害の一致で手を組んだ二人、元海賊のエンシンと元ギャングのセッコは何故か赤い服の男が戦い始めると続々と集まってきた昆虫型のNPCモンスターに良い様にやられてしまっており、エンシンに至ってはトンボの怪人、トンボアマゾンにもう食われている始末だ。
「くそっ……くそがぁ!」
「糞はお前だ」
それがターボンが聞いた最後の言葉であった。
【浅利切人@仮面ライダーギーツ 死亡】
【エンシン@アカメが斬る! 死亡】
【セッコ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 死亡】
十条姫和が眼を覚ますと、そこは地獄の光景だった。
恐らくはさっき自分をナンパ、と呼ぶには強引に誘って来た3人だったと思しき肉塊に、アバンギャルドな裂傷が刻まれた建物がまき散らされた炎で照らし出されて不気味な影を創っている。
(確か、私は……)
迅移に関するシフトチェンジ無しでの三段加速という特異な才能とそれを活かすだけの能力を兼ね備えた彼女は正式な刀使としての経験が他に比べ短いにもかかわらず優秀な刀使であった
何故過去形なのかといえば、令呪を使った必殺の一太刀も刃が届く前に右腕の肘から先をぶった切られて返り討ちにされて終わってしまい、もう権を握れなくなってしまったからである。
(こんな……こんな形で!)
「ザコどもが……。
ゴミ(羂索)め、この宇蟲王ギラの敵とするならばもう少し歯ごたえのある者を用意せぬか」
そんな姫和を無意識に煽る様に吐き捨てるは本来存在しない男。
宇宙の支配者の力を本来の歴史異常に発揮し、始祖たるダグデドを滅ぼしチキュー全てを支配する宇蟲王ギラである。
彼は姫和が落した御刀、千鳥を拾い上げると下僕の1人であるバタフライオルフェノクに投げ渡す。
「歓待もなっていなければ、この俺に畜生の如き戒めをつけるなど言語道断。
目先の塵芥どもを掃除したらカス(クルーゼ)とチリ(茅場)共々片付けてくれる……行くぞ」
手にした剣の血を払うと、最強にして最恐の王は下僕たちを引き連れてどこまでも自分勝手な王道を進んだ。
【宇蟲王ギラ@王様戦隊キングオージャ―】
状態:人間態
服装:王の装い
装備:オ―ジャカリバーZERO@王様戦隊キングオージャ―
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:塵芥ども悉く捻り潰し最後の勝者となる。
01:取るに足らん雑魚ばかり、手温い歓待だ。
02:他の雑魚どもも殲滅する。
03:最後の勝者の証を得たらゴミ(羂索)とカス(クルーゼ)とチリ(茅場)も片付ける。
参戦時期:ヤンマたちを処刑しようとしてキョウリュウレッドと戦闘になった直後。
備考
※あらゆる昆虫生命体を支配する力はある程度制限されていますが、発動自体は問題なく行えます。
※奪取した千鳥@刀使ノ巫女をバタフライオルフェノクに持たせました。
【支給品解説】
・オ―ジャカリバーZERO@王様戦隊キングオージャ―
…宇蟲王ギラ@王様戦隊キングオージャ―に支給。
シュゴッタムに伝わる伝説の王剣。
イーヴィルキングへの王鎧武装に用いる。
近接武器としての使用なら兎も角王鎧武装はあらかじめDNAを登録された者にしか行えない。
当ロワでは王の資格を持つ者なら誰でも王鎧武装出来る様にされている。
・千鳥@刀使ノ巫女
…珠鋼という特殊な金属で出来た日本刀、御刀の一種。
適合者は衛藤可奈美。
御刀は一部例外はあるが正の神性を持ち折れたり錆びたりすることがないく、適合者は御刀に触れた状態であれば写シや迅移などの特殊能力が使えるようになる。
当ゲームでは女性ならば刀使や適合者でなてもある程度その力を引き出せる。
【NPCモンスター解説】
・トンボアマゾン
…野座間製薬が開発した生物兵器、アマゾンの一種。
ランクはB。強靭な顎と広い視野を持つ。
・マンティスマルガム(レプリカver)
…グリオンが悪意人形とカマンティスのレプリケミーカードを用いて錬成したマルガム。
取り込んだ暗黒の波動の影響か、オリジナルに比べ攻撃力は大幅に上がっている。
・女王蜂のイリアン
…宇宙虐滅軍団ウォースターに所属する戦士。
ブスワ星出身。
生体を麻痺させる毒液と左腕の鞭が武器。
麻痺させた男性でインテリア家具をつくるのが趣味。
・バタフライオルフェノク
…軽やかな動きが特徴的なオルフェノク。
一応、仮面ライダー555の映画で登場したのだが草加雅人が変身したカイザにグランインパクトで真っ先に倒されぐらいで影は薄い。
ディケイド本編10話の冒頭でリマジファイズと戦った時の方が存在感がある。
1人だけ自前の武器も特殊な能力もないのに気付いた宇蟲王ギラに千鳥@刀使ノ巫女を渡された。
【全体備考】
・浅利、エンシン、セッコのの死体と使い残した支給品が残されています。
ただし死体は凄惨な状態で、支給品もいくつかは壊れていると思われます。
リュックの肩ひもを引きちぎって断面よりやや上に巻き付ける。
失血死する前に宇蟲王たちが去って行ってくれたおかげで辛うじて生き残った姫和は残ったはずの左の五指もしびれて動かせなくなる前にどうにかしようと藻掻いた。
利き腕も御刀も失ったがどうしても自分の命を諦められなかった。
だが
(……うそ)
そんな姫和に最悪が重なる。
弱り切った彼女の元に、一人の怪人が現れた。
先ほど宇蟲王に味方した連中とは違う赤い鳥の意匠の怪人だ。
怪人は芋虫よりも愚鈍な動きで逃げようとする姫和にゆっくりと右手を伸ばす。
その掌には真赤な炎が揺らめいた。
どうやら怪人は火鳥、幻獣も含めた鳥系のイメージを内包する怪人であったらしい。
「こん……のっ!来るな!来る、な!」
御刀を失った姫和にもう武器はない。
進退窮まった彼女は紐のちぎれたリュックの中身を手当たり次第に投げつけた。
ホットラインは軽く弾かれ、次いで投げた割れたメダルは、いかなる原理か怪人の身体に吸い込まれるように消えてしまった。
「……くっ、そぉ」
万策尽きた姫和は悔し気に呟く。
母の仇どころか、余計な横やりを入れて来た羂索も倒せず、自分勝手な復讐と逃避行に付き合ってくれた、多分友と呼べる彼女たちに報いることも出来ない。
「お前の欲はなんだ?」
淡々と姫和を追い詰めるだけだった怪人が口をきいた。
一瞬驚く……なんて余裕はなく、姫和が返答出来たのもほぼ条件反射だった。
「死ね、ない……母の仇も!羂索も!わた、しが、私が……」
「その欲望、解放しろ」
ジャラジャラと何か金属を山のように積んだのを崩したような音を最後に姫和は意識を失った。
【十条姫和@刀使ノ巫女】
状態:出血多量(処置済み)、疲労(大)、右腕欠損(肘から下)、気絶
服装:平城学館の制服(女性用、右袖欠損、血濡れ)
装備:なし
令呪:残り二画
道具:なし
思考
基本:このゲームを脱出し、母の敵を討つ。
00:まだ何も成していない。死ぬわけにはいかない。
01:……
参戦時期:少なくとも一期十一話より前
備考
※支給品の入ったリュックを自分で破壊しました。
「女の身体は初めてだが、こんなもんか」
ブティックから一人の少女が出て来る。
顔も声もまぎれもなく十条姫和だ。
だがその服装は凡そ彼女らしくない赤を基調とした男性的な物で、髪型も編み込みをつくりそこに赤い布を編み込んでいる。
そして何より違うのが、失ったはずの右腕が先ほど彼女を襲っていたはずの怪人の物であることだ。
致命的損傷を負った姫和の肉体を動かしているは先の火鳥怪人、アンクである。
本来なら単なるNPCモンスターとして人を襲うだけのダミーグリードでしかなかったはずだが、本物のアンクの意志が宿った割れたタカメダルを偶発的に取り込んだことで運営の手元を離れて自立したのだ。
(この女の欲望はなかなかのもんだ。
上手く利用できりゃあこのしみったれた儀式が終わるぐらいまでは持つだろう)
別に復活を急いでいるつもりはなかったが、再び映司の手元から自分の意志のメダルが離れてると考えるとあまりのんきしてられる状況でないのかもしれない。
「とりあえずこの女の体力を戻さないとな」
そう言ってアンクは大好物の氷菓子を探し始めた。
【アンク@仮面ライダーオーズ】
状態:右腕を失った十条姫和に憑依
割れたタカメダル@仮面ライダーオーズ
財団X製の鳥系コアメダル@仮面ライダーオーズ
服装:現地調達
装備:なし
令呪:残り二画(姫和)
道具:ホットライン
思考
基本:この女の身体を使ってこのしみったれた儀式に抗う。
01:もしこの女の知り合いも呼ばれていたら協力させる。
02:映司、アイツまさか下手うったんじゃないだろうな?
03:とりあえずアイスでも探すか
参戦時期:本編死亡後
備考
※あくまでアンクはNPCモンスターなので名簿には十条姫和の名前のみが載っています。
※泉信吾の肉体を使っていた時のように怪人態への変身は問題なく可能です。また、姫和と表面的な記憶を共有できます。
なので刀使ノ巫女に関する知識をある程度入手できています。
逆に姫和も仮面ライダーオーズに関する知識は少しは得れているはずです。
※ある程度回復すれば姫和の意識も戻りますが、今は無理なようです。
【支給品解説】
・割れたタカコアメダル@仮面ライダーオーズ
…鳥系グリード、アンクの意志が宿るコアメダル。
恐竜グリードの攻撃が原因で二つ割れてしまい、機能しなくなってしまっている。
しかし意志が消滅したわけでもメダルが全損したわけでもないのでなんらかのイレギュラーが重なれば限定的に復活する場合もある。
・財団X製の鳥系コアメダル@仮面ライダーオーズ
…厳密には支給品ではなくNPCモンスターとして配置されたダミーアンクを構成する部品だが便宜上こちらに記載。
人造コアメダルの一種で、正規品は縁が金色だがこれは縁が銀色。
通常のコアメダルより劣る部分があることは間違いない。
仮面ライダーオーズへの変身は問題なく行える。
正規品は1系統につき10枚(3種3枚で1種だけ4枚)だが、3種3枚のみで完全体のダミーグリードを作れる。
投下終了です。
タイトルは INFERNO-LEGAL SIDE- です
投下します
「ど、どういうことなのこれ……!?」
殺し合いの会場のどこかで、一人の参加者が戸惑い動揺している。
動揺しているのはツーサイドアップのロングヘアーと、どこかの高校の制服のブレザーの中にパーカーを着た姿が特徴的な、可愛らしい高校生くらいの女の子だ。
――否、女の子ではない!
その証拠、制服の下はスカートではなくズボンである。
そう、この子は一見すると女の子にも見えるが性別は男。いわゆる男の娘である。
名前は三咲泉、高校二年生だ。
そんな彼が動揺しているのは、殺し合いについてだけではない。
だが理由を説明するには、まず彼の元居た世界について語らなければならない。
三咲の元の世界は一言で言うなら、ギャルゲーのようなものである。
主人公が居て攻略対象のヒロインが居て、その他主人公のライバルキャラや親友キャラがいるような、そんな世界だ。
そこで主人公がヒロインのうち誰かのルートに入らないと、世界は主人公が高校一年生の頃からやり直しになるという、そんな世界だ。
そんな世界の主人公の親友キャラポジション、それが三咲泉である。
だが彼の元の世界は学園モノであり、デスゲームだの錬金術だのが出てくる世界ではない。
だから今の状況は、世界の根幹そのものを揺るがす異常事態なのだ。
「どうしよう……とりあえず支給品を見よう……」
この状況に置いて、とりあえず三咲は目の前のことから片づけることにした。
正直、スケールの大きい異常事態過ぎて、何をすればいいのか見当がつかないのだ。
なのでとりあえず、まずは自分の身を守るべく支給品を確認することにした。
「何だろうこれ」
そうして検めたリュックから最初に出てきたのは、一枚のカードだった。
ピンクの長髪で小学生くらいの体格の女の子が描かれており、隅の方には何やらステータスらしき数字が描かれていた。
何かのゲームのカードかな、と推測くらいはできたが、あいにくそういうのに詳しいわけでは無い彼には、このカードがどういうものかよく分からない。
ただ、カードについている説明書き曰く、これを掲げて「エントリー!」と叫ぶと描かれている女の子が現れて戦ってくれるらしい。
正直、彼からすれば半信半疑の説明書きだった。
「ガルルルルル」
なんて考えていると、三咲の前に犬が一匹現れた。
現れた犬は灰色の体に赤い瞳を持ち、おまけに肉の一部が剥がれ中の骨が見えていた。
とてもまともな存在ではないと彼は思うがそれもそのはず、この犬はゾンビドッグだ。
「え、エントリー!」
ゾンビドッグを敵だと考えた三咲は、さっきまでの半信半疑を脇に置きとにかく叫んだ。
すると、カードに描かれた通りの女の子が飛び出し、彼を守るように犬に立ちはだかり、銃を構え、放つ。
ズドン!!
女の子の放った銃弾は一発で犬の頭を吹き飛ばし、あっさり動かなくなる。
「す、すごい……!」
女の子の強さを目の当たりにした三咲は、女の子に守ってもらうことに一抹の情けなさを感じつつも、とにかく他の殺し合いに乗っていない参加者と合流しようと考え、一歩足を踏み出すのだった。
ところで、三咲は気にしていないがカードに描かれた少女にも名前はある。
彼女の名前は小鳥遊ホシノ。
最初の場で主催者である羂索が見せた肉体、梔子ユメの後輩であり、アドビス高校の一員である。
そんな少女を召喚し使役していると他のアドビスの面子がしれば、もしかしら三咲を主催者の手下か何かかと疑われるかもしれないが、それは起こるか分からない可能性の話。
【三咲泉@三咲くんは攻略キャラじゃない】
状態:正常
服装:制服
装備:任務中 ホシノ@Re:バース(召喚中)
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:死にたくない
01:殺し合いに乗っていない参加者と合流したい
参戦時期:1話終了後
備考
※今話で召喚されたホシノが喋っていませんが、たまたま喋っていないのか仕様で喋れないのかは次の書き手氏にお任せします。
【支給品解説】
・任務中 ホシノ@Re:バース
コスト4、ATK5、DEF6 のキャラクターカード。
本ロワではこのカードを掲げて「エントリー!」と叫ぶと制服姿の小鳥遊ホシノ@ブルーアーカイブ が召喚される。
召喚されたホシノは召喚主を守護、もしくは命令を聞くように動くが、一定時間経つと消滅する。
再召喚するには一定時間のスパンを置かなければならない。
戦闘方法、能力は本編のホシノに準拠する。ただし銃の弾切れはなく、リロードもない。
任務中 ホシノ@Re:バース が召喚から消滅するまでの時間、また再召喚までのスパンの時間は当選した場合、次の書き手氏にお任せします。
【NPC解説】
・ゾンビドッグ@MOTHER2
原作ではスリーク周辺に現れる雑魚敵。
灰色の体に赤い瞳を持ち、体の一部の肉が剥がれ骨が見えているという、恐ろしい姿の犬のゾンビ。
どくのキバは噛まれると結構痛い上に、毒状態にもなるので注意。
投下終了です
投下します。
なんつーか 一度人を殺したら「殺す」って選択肢が俺の生活に入り込むと思うんだ
虎杖悠仁
「……」
草むらに仰向きで寝そべる男。
男の名は黒川信之。
妻に一人娘の家庭を持つごくごく普通の公務員の一家の大黒柱。
と思うが、実はそうではない。
信之には大きな秘密がある。
秘密そのものは人なら誰しも一つや二つあるもの。
だが、黒川の秘密は―――
―――これは”罪”なのか?
25前のあの夜。
美花ちゃんを襲っていた男を■したことへの
■■は津波という災害で流された
だが25年がたち、掘り起こされた
埋めなおしたと思ったら、今度は殺しあえときたもんだ
美花ちゃんに輔に羂索と、どうして誰でも彼でも俺が■すのを望むんだ?
―――ス
右腕を空にむける。
右手にはスコップが握られている。
勿論、殺しあうための支給品。ただのスコップではない。
支給品の説明には”大地のスコップ”と書かれているが、信之にとって重要なのはそこじゃない。
”スコップ”が支給されたことだ。
羂索(あの男)は、知ってるのか?
俺がスコップで弟分である”輔”を■したことを
「俺は……」
最後の一人になれば理想を叶える権利を得られる。
25年前の■しをなかったことにするのか?
25年前、輔が父親に虐待されていたことをなかったことにするのか?
娘の椿が変態にぶち込まれたことをなかったことにするのか?
椿を襲った変態を探して■すのか?
妻が不倫(ゴミ溜め)でぶち込まれてたことをなかったことにするのか?
それとも―――好きな女(美花)を手に入れるのか?
生き物は■して生きる。
人は、好意を持たれると簡単に利用できる最悪さを有する。
「俺はどうすればいい?」
空にむけた手を下すと信之は考える。
羂索の言う通りゲームの乗って■すべきか否か
普通に考えれば、俺は勝ち残れない
人に暗示めいたことをできる外国人らしき子供といった、到底一般人とは思えない参加者がいることは、あの場で明白だ
片や俺は役所勤めの一般人
だからとって……殺されるのを座して待つなんてことはしない
暴力で傷つけられたら、暴力で返すしかない―――
ぐる ぐる ぐる ぐると駆け巡る
潮流のように
すると―――
「あのー!、だ……大丈夫ですか!?」
少女は走って近づくと顔を覗きながら声をかけてきた。
どうやら倒れていると勘違いをしたそうだ。
信之は起き上がると少女に向き合う。
「君は……?」
「私は衛藤可奈美といいます」
少女の名は衛藤可奈美。
美濃関学院中等部二年の刀使。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「黒川さんって役所で働いているんですか」
「ああ。可奈美ちゃんは、剣術が大好きなんだね」
互いに自己紹介をかわす。
会話を進める中、二人は衝撃的な事実にたどり着く。
それは、二人の認識している日本が違うということ。
信之からすれば荒魂なんて霊的な存在なんて荒唐無稽。
可奈美からしたら相模湾大災厄を知らないこともそうだが、公務員である信之が荒魂の存在を全く知らないなどあり得ない。
しかし、ゲームと称している羂索が、頭蓋を平気でパカリと持ち上げる人物。
それに加え、申告したことが事実なら、他人の身体を渡り歩いているのらしい。二人が、別々の世界があるのではと推測するのは自明の理であった。
「はい。小さい頃からお母さんに剣の稽古をつけてもらうのが大好きだったんです」
「じゃあ、その刀は君のなのかな?」
信之は可奈美の支給品であろう刀を指さす。
可奈美は首を横に振ると心配そうに眼を細める。
「いいえ。これは姫和ちゃん……友達の御刀なんです」
(でも、どうして姫和ちゃんの御刀が……もしかして、姫和ちゃんや皆もいるのかな……)
「……そうか。友達が巻き込まれていないといいね」
「……はい」
先ほどまでの明るさから重くなる空気。
それを察したのか、可奈美は明るく振る舞う。
「で、でも、安心してください。千鳥じゃないんですが、刀使としての力は発揮できるみたいなので」
(だけど、千鳥と小烏丸では、間合いも変わるから……過信は厳禁)
本来、適合した御刀でなければ写シや迅移といった刀使としての戦闘術は使えない。
しかし、どうやらこのゲームにおいては扱うことが可能のようだ。
だが、当然ながら手に馴染む自身の御刀”千鳥”ではないことに加え、羂索により制限がかけられている。
得物が違うのだから、たとえ剣術に長けた武芸者であっても油断は禁物。
自然と神妙な顔つきになる。
「……大人が中学生の女の子に守ってもらうなんて、申し訳ないし、情けない気持ちのほうが大きいよ」
(……俺に気を遣って無理に明るく振る舞ってるな)
一方、信之は可奈美の心境を察する。
「いえいえ大丈夫です。気にしないでください。市民を守るのは刀使としてのお役目なので」
「そうか……じゃあ、遠慮なく頼りにさせてもらうよ」
信之は、可奈美の頭を撫でる。
「……」
―――この子も俺にお願いをするのだろうか
自分の代わりに■してほしいと
話しぶりからこの子の剣の腕前はそうとう高いとみた
市民を守るというのも偽りはないだろう
だが、その力はあくまで荒魂を祓うためであって、殺しあう場で発揮するのは難しいはず
参加者の無力化はできるかもしれないが、■すのは……おそらく
なら、そういう汚れ役は俺が引き受けよう
それにこの子は、俺と似ているところがある
それは、自分から言わないところ
支給された刀が友人のだと判明したとき、今すぐにでも友達がいるのか確認したい。いるのであれば合流したいといった風であった。にも関わらず彼女は気持ち(それ)を抑え込み、俺を守ることを選択した
可奈美の悲しくても笑顔でごまかし明るく振る舞う癖。
信之も本心を出さない。
故に可奈美の”それ”に気づく。
―――どちらにせよ、俺はただ生きるだけ
なら……この子に掛けてみるか
「……それじゃあ、そろそろ行こうか」
「はい」
二人は歩き出す。
歩く。歩く。歩く。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「……」
この子は、刀使とは荒魂を祓うお役目と説明していたが、祓うとは■すとも置き換えられる
なぜなら、祓うとは穢れを清めること
そして穢れは不潔や不浄などの”罪穢れ”とも指す
あくまで人間や獣ではなく対象が荒魂だから”祓う”という表現
”死”は穢れ
もし俺が荒魂ならこの子は祓うのか?
人を■した罪穢れの俺を―――
信之には美花が全てだった
だから罪を再び繰り返した
いや、するべきことをしただけ
■すことも愛
想いが成就することはないとしりながらも
あの日以降、幸も不幸もなくただ生きているだけ
それは―――
黒川信之の現実(じごく)
【黒川信之@光(映画)】
状態:正常
服装:スーツ
装備:大地のスコップ(+植物の種)@ MÄR
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:ただ生きていくだけ(そのために可奈美にかける)
01:可奈美と行動を共にする
02:この子(可奈美)は、俺に望むのか?(いざというときは汚れ役を引き受ける)
参戦時期:輔を殺した後、ホテル滞在中(美花と一連の騒動の区切りをつける前)
備考
※可奈美との情報交換からいくつかの世界が存在するのではと推測しています。
※可奈美から刀使や荒魂について簡単に理解しました。
※25年前の殺しと輔を殺したことは可奈美には話していません。
▪大地のスコップ@ MÄR
スコップのネイチャーÄRM 。
元々はバトルスコップで強化された結果、植物を操ることができる
植物の種が付属されている。
オイラにぬかせてください!パノさん!!byジャック
【衛藤可奈美@刀使ノ巫女 】
状態:正常(若干焦り)
服装:美濃関学院中等部 の制服
装備: 小烏丸 @ 刀使ノ巫女
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:信之を守りつつゲーム運営への叛逆
01:信之と行動を共にする
02:刀使として信之さんを守らなないと(だけど、信之さんの目……なんだろう?)
03:小烏丸 ……姫和ちゃんや他の皆もいるのかな……(いるのなら探しにいきたい……でも)
参戦時期:波瀾編以降、姫和が禍神となる前
備考
※信之との情報交換からいくつかの世界が存在するのではと推測しています。
※自分の知る日本と信之の知る日本の差異を知りました。
※信之の静かな狂気が何となく視えています。
▪小烏丸 @ 刀使ノ巫女
可奈美に支給された御刀。
本来の適合者は十条姫和。
このゲームでは、適合者でなくても刀使や女性ならある程度その力を引き出せる。(あくまである程度)
これが私の……真の一の太刀だ!!by姫和
投下終了します。
誤字や説明不足なシーンがあると判断したため、拙作 INFERNO-LEGAL SIDE- をwikiの方にて加筆修正させていただきました。
新ロワ開設お疲れ様です。
私も投下します
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチィッ!!!!
雷とは異なる、激しい電気の音が響いた。
「おわあっ!! 何だ今の音は!?」
驚いたのは浅黒い肌と白い髭、それにターバンが印象的な男だ。
小太りの体系に似合わぬ身軽なステップで、音が聞こえた方向に走って行く。
彼は城の主であると同時に、8度の冒険を生き残った冒険者だ。
そしてどんな悪にも屈さぬ、正義の心を持つ船乗りでもある。
彼の勇姿は、未来の子供たちを何人も魅了して来た。
勿論、こんな殺し合いなど恐れたりはしない。
むしろこの殺し合いを開いた者達を全員倒し、故郷へ帰るつもりだ。
音のする方向に向かったのは、青い髪と青いスーツを着こなした少年だった。
だがそれ以上に印象的なのは、右目を隠している眼帯だ。
片目にケガをしているから付けているのではない。少年とは初対面だが、何となくそうだと男は感じた。
「巻き戻し(リトライ)が使えなくなってる?どういうことだ?」
「さっきの音の原因はきみか?」
「……いえ、違いますよ?おれもここの音を聞いて、やってきた……」
「嘘をつくな。」
男はサーベルを少年に突き出した。やや大ぶりな剣だったが、そう感じさせぬほど男の動きは俊敏だった。
少年が少しでも動けば、彼の首に傷が出来るだろう。
男は冒険家で在った。当然何度も死に瀕しており、その倍、下手すれば10倍悪意ある者に騙されたこともあった。
少年が付いた嘘が見抜けるのも、亀の甲より年の劫と言った経験の賜物だ。
「仕方ないな…こうなればもう一度、巻き戻し(リトライ)!!」
少年は左手で眼帯を思いっ切り引っ張った。
何をしているのかと思ったが、そう感じる暇は無かった。
★
時は遡り、いや、巻き戻される。
丁度眼帯の少年と男が出会う数十秒前だ。
(巻き戻し(リトライ)は使えるみたいだが…あのオッサンとの出会いは避けられないみたいだな…)
青い髪の少年、クロノの眼帯は、アクセサリーや治療道具に非ず。
時間を簡易的に逆行させる道具(タイムマシン)であり、彼もただの少年ではない。
“巻戻士”と言われる時空警察特殊機動隊の一人だ。
不慮の事故、事件で亡くなった者を救おうとする彼は、殺し合いの始まりで犠牲になった者を救おうとしたが、それは作動しなかった。
会場に飛ばされた直後、それでも戻ろうとしたが、激しい電磁波が起こり、同じ結果に終わった。
(変だな…故障したって訳じゃないみたいだが……)
その後、白ターバンの男と出会い、どうにか自分が巻戻士であることを隠そうとした。
だが、相手に見破られてしまった今、失敗する覚悟でもう一度リトライを試みた。
成功はしたが、戻れたのはほんの数十秒前。
既に向こうの方に、先程の男の姿が見えている。
こんな状況でも自分が巻戻士であることを、なるべくならば伝えたくはない。
時間という重大な存在に干渉する職業で在る以上、出来るだけスマートに事を運びたい。
「さっきの音の原因はきみか?」
言葉どころか話の速さ、声色まで寸分違わず、戻る前と同じことを男が聞いてくる。
「はい。おれが持っている“道具”を試そうと思っていました。」
嘘は見破られていないと言うのなら、嘘を付かなければ良いだけだ。
タイムマシンのことは話さず、ただ道具と話した。
きっぱりとした口調は、嘘をついている様には聞こえない。
「ふむ。そのふしぎな道具とは何だ?言えぬ物なのか?」
それでも、疑いの視線が消えることは無かった。
明らかに目の前の男は自分のことを警戒していると、クロノにもよく伝わった。
それにもう一つ気付いたことがあった。
男はなぜ、『“ふしぎな”道具とは何だと』聞いたということだ。
(このオッサン、何を分かっているんだ?)
リトライをしようと考えたが、いつ使えなくなるかの不安もあり、敢えて話を続けてみることにした。
先程は成功したが、巻き戻せる時間は大きく減っている。
巻き戻しに頼りすぎるのは危険だという判断だ。
「この眼帯のことです。これを使えば、もしかすれば殺し合いを無かったことに出来ると思いました!」
クロノは正直に話を続ける。
巻戻士のことは明かさずに、話を続けるだけだ。
その話を聞いて、男は何やら考えているような素振りを見せていた。
「…きみは、アブドーラ、いや、ドラえもんという人物を知ってるのかね?もしくは、タイム…トラ……ベラーとかいう未来から来た者でもいい。」
「知りませんが…もしかするとおじさん、巻戻士を知っているのですか!?」
自分達の役職については、隠しておこうと考えていたのだが、そのような質問をされると、聞かざるを得なくなる。
タイムという言葉を聞いて、クロノの頭に一つ疑問が生まれた。
この男は以前、巻戻士に助けられたのではないかということだ。
もし知っているならば、信頼できる味方になる可能性が高い。
「マキモドシ?そのような名前は聞いたことは無いが、とにかく別の時代からやって来た、不思議な力を使う者達だった。」
「その時の話を、聞かせてくれませんか?」
「聞かせてもいいが、君がそのことを教えるに値する人間なのかね?」
「え?」
途端に男の顔が険しくなり、徐に剣を抜いた。
折角話が出来る相手だと思ったというのに、これにはクロノも驚くしかなかった。
もう一度リトライを行うか、それともこのまま戦って無力化どうするか悩む。
「ワハハハハハ。冗談だよ。」
「ええ!?」
険しい顔つきから一転、男は高笑いを始める。
今一つこの男の本性が掴めず、困惑するばかりである。
巻戻士として活躍する中、様々な人に会って来たクロノだが、彼のようなタイプには初めて出会った。
「知らない人に会うとね、どうしてもからかってしまうのさ。一人暮らしの悲しいサガという奴だね。」
そのまま笑いながら、何事も無かったかのように剣を鞘に収めた。
クロノはぽかんと口を開けたまま、呆気に取られている。
彼自身は知る由もないが、男は王宮に訪れた子供たちを、ライオンに変身して脅かすような、お茶目な性格の持ち主だ。
「え、えーと、信用してくれるのですか?」
「勿論だとも。二度もふしぎな力を持つ物に助けられたのだからね。
改めて名乗ろう。わしは8つの冒険を生き残った船乗りにして、黄金宮の主、シンドバッドというものです。」
「…………クロノと言います!」
「ん? あまり凄い反応じゃないんだな?わしはどうやら、未来の子供たちに人気と聞いたが…」
「え、えーと、シンドバッドって、誰だっけ?」
こういう場合、いつものクロノならば巻戻士のナビゲーターである、スマホンが教えてくれる者だが、今回は彼は不在だ。
クロノは判断力や創造力こそ、巻戻士として目を見張るものがあるが、あまり知識そのものには優れない。
当のスマホンからも抜けている所があると言われるほどだ。
シンドバッドの言う通り、男は7度航海に出て、人跡未踏の島や国を訪れ、その度に死にそうな目に遭いながら、生還を遂げた。
その名は未来の人々に物語を通じて伝わり、彼の冒険は多くの子供たちを魅了した。
「…まあいい。大方きみは、時間を巻き戻して、最初に死んだ人を助けようとした。だが出来なかった。間違いないな?」
「はい。」
「わしにはその失敗の原因に思い当たる。この世界は、“開けゴマ”の洞窟のような物だ。」
「ゴマの洞窟?」
シンドバッドが説明したのは広大な砂漠の真ん中にある、彼の城へ行く上で重要な場所だ。
彼の城に行くには、『地獄のナベ底』と呼ばれた砂漠を10日以上歩き続けねばならないが、その洞窟を通じて、すぐに行くことが出来る。
「言ってしまえば特別な次元であり、時間の流れや空間が、外界とは異なっている場所だ。
まずは外に出なければ、この殺し合いを戻すことは出来ないだろう。」
「じゃ、じゃああの人を助けることは出来ないんですか?」
クロノはその言葉を聞き、焦りを覚えた。
何しろ任務中での彼の目標は、被害者のみならず、周りの人間、さらには空を何気なく飛ぶ鳥さえも救うことだ。
加害者も被害者も全員救うのが彼の目標だというのに、いきなりその前提を打ち砕かれたのだから、焦るのも無理はない。
「出来ないも何も、現に君が証明しているだろう。」
「おれは嫌だ!全員を助けたい!!」
彼の巻戻士としてのはじまりは、妹のトキネの死からだ。
だからこそ、1人も犠牲にすることなく助けると決意する。
そんな彼に、この世界はあまりにも残酷だった。
「ならばまず、この世界から出ることが重要だろう。この世界は、タイムトラベラーには出来ないことが大きすぎる。」
「…………。」
今回は今までとは勝手が違い過ぎる。
リトライアイが使えなくなったことはあるが、今回はそれとも違う。
この世界が、外の時間とは全く関係なしに動いているということだ。
「なら、諦めるか。」
しばらくの沈黙の末に、クロノはきっぱりと言い放った。
もう少し反対するかと思ったシンドバッドだったが、素直に受け止めてくれたと安心した。
「それが一番…「この世界で全員を救うことを諦める!!」
急に大きな声を出されて、今度は驚いたのはシンドバッドの方だった。
「まずはこの世界から出て、この殺し合いで時間を操っている奴を倒して、それで死んだ全員を助ける!」
如何なる逆境と言え度、決して全員救うことを諦めぬのが彼の強さだ。
時間の流れがおかしい世界というのなら、巻戻士の宿敵たるクロックハンズのような、時間を操る存在が黒幕にいるはず。
まずはシンドバッドの言う通りこの世界から脱出し、その黒幕を倒し、それから”この世界の”時間を巻き戻す。
それが彼の考えた全員救済ルートだ。
「それは途方もなく難しいぞ。出来るのか?」
「おれはやるといったらやる!!シンドバッドさんも協力してくれ!!」
「仕方ないな。まあ、タイムトラベラーに助けてもらった恩返しということにするか。」
“CASE EXTRA” バトルロワイヤルの生還と、犠牲者の救済。
難易度はクロノの妹の事故と同じSS。もしかすればそれ以上だ。
だが彼のやることに変わりはない。目指すは主催者を倒したうえでの、全員救済のみだ。
【クロノ@運命の巻戻士】
状態:正常
服装:巻戻士の服(スーツ姿)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3
思考
基本:まずはシンドバッドと共に、脱出を目指す
1. 主催者を無力化し、この殺し合いで犠牲者になった者を時間を戻すことで救う
参戦時期:少なくともスパイミッション編クリア後
備考
※リトライには制限がかかっています。長くとも1分までしか巻き戻せません。
また、使用回数の制限や、どうしても時間を戻せない場面があるかもしれません。
【シンドバッド@ドラえもん のび太のドラビアンナイト】
状態:正常
服装:いつもの服
装備:七宝のナイフ@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2
思考
基本:クロノと共に、この世界からの脱出を目指す
参戦時期:本編終了後
【支給品解説】
七宝のナイフ@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド
シンドバッドに支給された片手剣
ナイフというよりサーベルに近い形状を持つ。
ゲルド族の英傑、ウルボザの愛用品で在り、ダイヤモンドを使用しているからか、その切れ味は似たデザインのゲルドのナイフとも一線を画す。
投下終了です
投下します。
「ここは……、僕は一体どうしてこんな所にいるんだろう……」
殺し合いの舞台のどこか、全身緑色に丸い目、背中に背びれ、臀部に尻尾が生え、直立した二足歩行のトカゲのような見た目をした不思議な生き物が自らが置かれた状況に対して戸惑いの表情を見せていた。
彼の名はちびゴジラ、あの有名な大怪獣ゴジラの息子であり、父親にギュッと抱きしめてもらう、つまりは父に認められるような立派な怪獣王になる夢を抱き、日々を怪獣島で過ごしていた最中、今回の殺し合いに巻き込まれてしまったのだ。
「うーん……、でもどうして僕はこんな企画に急に参加させられちゃったんだろう……」
彼は今回の殺し合いに呼ばれた理由が分からず、思考錯誤していたのだがやがてある一つの結論に達する。
「うん!分かった!これは僕が立派な怪獣王になれるかどうかテストされてるんだ!あはは、それならそうと早く言ってくれればいいのに!」
そう、彼はどこかズレた考えを持った変な性格の持ち主であり、今回の殺し合いに呼ばれたのも、「これは自分が怪獣王になれるかどうか試されている試練」と彼自身は勝手に思い込んでいた。
「そういえば怪獣島の他の皆はどうしているんだろう?参加しているのかな?……まっ、探していれば多分いつか会えるからいっか!」
また彼はいつも明るくポジティブな性格の持ち主でもあり、同じ怪獣島の仲間たちにもいつか会えるだろうと深く考えずに自分に支給された荷物をまとめて適当にどこか別の誰かがいないかどうか探すために歩き出していた。
暫く歩いているとちびゴジラは他の参加者であろう一人の少女を発見した。
その少女は癖毛気味の長い黒髪に頭の上に緑の大きなリボンを付け、服装は白いブラウスに緑色のスカートを履いていたが、それ以外は明らかに普通の人間とは全く異なる容姿をしていた。
まず右腕には筒とも大砲ともとれるようなものが装着され、背中にはカラスを思わせる黒い巨大な翼が生えており、右足は溶けた灰色の鉄のようなもので覆われていた。
少女の名は霊烏路空、彼女はとある世界『幻想郷』における勢力『地霊殿』の主である古明地さとりのペットであり、主に地底における灼熱地獄跡の管理を任されていた少女である。
「さとり様……、こいし様……、お燐……、三人とも今どうしているんだろう……、私がいなくなって心配しているのかなぁ……。」
彼女は自らの主人であるさとりとその妹である古明地こいし、そして同じくさとりのペットであり一番の親友である火焔猫燐の名を呟きながら途方に暮れた様子でトボトボと歩いていた。
そんなお空が気になってちびゴジラは彼女に近づいてみるが、間近まで近づいても尚、彼女はちびゴジラに気付く様子がなかったため、ちびゴジラは親である本家ゴジラ譲りの青い放射熱線をお空に向かって吐きかける。
「!?うにゅううぅ!!?……え!?君は誰!!?」
「あ、気付いた。」
熱線を軽く吐きかけられた場所をさすりながらちびゴジラに問いかけるお空に対し、ちびゴジラはそれに答えるかのように自己紹介をする。
「ここはちびゴジラ、僕はよく分かんない所だよ!」
「え?それって逆じゃないの?」
「そう、逆!!」
「な、何で逆を言ったの……?」
軽いコントを済ませた後、ちびゴジラはお空に対して改めて自己紹介をする。
「僕はちびゴジラ、君は?」
「うん、私の名前は霊烏路空、地霊殿の主の古明地さとり様のペットで灼熱地獄跡の管理を任されているよ!」
だがお空の自己紹介に対し、ちびゴジラの反応は実に淡白なものであった。
「……へえ、そうなんだ。別に興味ないからいいや。」
「そっちから聞いて来たくせにその反応は酷くない!?」
ちびゴジラの反応に対しお空は最もなツッコミをするとその直後、何かに気付いたかのようにちびゴジラに対して顔を近づける。
「な、何?急に一体どうしたの?」
突然お空の様子が変わったことに対してちびゴジラは戸惑った様子を見せると、その直後お空の口からその理由が語られる。
「ふんふん……、ねえ、あなたから核の匂いを感じるんだけど?」
「え!?君、何でそんな事が分かるの!?」
ちびゴジラにとっても全く予想外の反応を見せたことに彼は戸惑いの気持ちを感じるがその直後、彼の疑問の答えがお空の口から語られる。
「うん、それはね……、私の能力は『核融合を操る程度の能力』といってこの能力のおかげで核の制御や探知する力は他の誰よりも優れているんだ。」
「!!よく分かったね!!そう!!ボクのお父さんは水爆大怪獣のゴジラ!!お父さんは僕の憧れで僕はそんなお父さんみたいな立派な大怪獣になってお父さんにギュッとしてもらうのが僕の夢!!僕はこの夢に向かって日々頑張っているんだ!!」
「やっぱり!大丈夫だよ!君ならきっとお父さんみたいな立派な大怪獣になれるよ!!」
「がんばるゾー!!」
そう、お空は幻想郷の外の世界から幻想郷に流れ着いた資料を見て、日本を代表する大怪獣『怪獣王ゴジラ』の事を知っていた。そんなゴジラに対し、『核融合を操る程度の能力』を持つお空は密かにそんなゴジラに対して憧れの気持ちを抱いていたのだ。そのゴジラの息子に会えた事に対してお空は驚きと感動の両方の気持ちを同時に感じていた。
「あの羂索って奴が何者なのか分からないけど私とゴジラさんが一緒ならあいつにもきっと勝てるよね!」
「うん、そうだね!僕と君とで一緒に頑張ってあいつを一緒にやっつけよう!」
そういってちびゴジラと霊烏路空の二人が双方手を差し出して握手した直後、突如としてまた別の第三者が二人に対して声を掛ける。
「あのー、お取込み中すいませんがちょっとよろしいでしょうか〜?」
「?」
「!!?」
ちびゴジラと霊烏路空の二人が驚いて声がした方向を向くと、そこには異様に怪しい恰好をした一人の女性がいた。
その女性は右半分が白い肌に金髪ロール、左半分が浅黒い肌に角刈りという左右非対称な姿をした、明らかに怪しい怪人のような姿をした女性であった。
その女性に対しちびゴジラは興味津々、お空は警戒心剥き出しの表情で女性を睨みつけるがそんな二人に対し、女性は更に言葉を続ける。
「ワタクシ、地下帝国人材派遣の『あしゅら』と申します。この度はお二方の助けになれればと思い、この度派遣された者でございます。」
……だがお空は警戒を解くことなく、『あしゅら』と名乗った女性に対して頭の中にまず浮かんだ疑問を投げかける。
「……ねえ、オバサン。あんた、本当に派遣会社の人?」
「お、オバ……」
お空の『オバサン』呼ばわりに対してあしゅらはショックを受けるがなんとかその場を取り繕ろうと引き攣った笑みを浮かべながらお空に対して言い訳を始める。
「な、ななな何を仰られますぅ?わ、私は何処からどう見ても善良な派遣社員……お、オホホホホホホホ……」
「嘘つき。大体地底は全部さとり様と地霊殿が管理しているんだよ?『地下帝国派遣会社』なんて聞いたこともないし初対面の、それもそんな怪しい恰好のオバサンの言う事なんて信用できないんだけど?」
「というか、この人女の人なの?それとも男の人?」
するといつの間にかあしゅらの背後に回っていたちびゴジラがいきなり服を掴んで捲り上げ、彼女の下着を確認する。
「あ、女物の下着だ。」
「ちょ、ちょっとゴジラさん……。」
下着を見られたことで反射的にその場から離れるとあしゅらは涙目になり、そして下着を覗いたちびゴジラをお空が嗜める。
「うー、大人を弄んでェ!」
「なーんだ。普通に女の人じゃん。」
「ゴジラさん、ダメだよ女性の下着を覗いちゃあ……」
するともう誤魔化すのは不可能だと判断したのか、あしゅらは開き直ったかのように自らの正体を二人に対して明かす。
「……もうこんな回りくどい事やってらんないわあ!聞けえぃ!!私は悪の天才科学者Dr.ヘル様によって造り出された機械獣ガールズを指揮するあしゅら男爵!!」
「な、なんだってェ!?」
ちびゴジラも流石に状況を飲み込めたのか驚いたようなリアクションをとる。
「このバトルロワイヤルの優勝と世界征服の悲願を達成するため!ゴジラ!!貴様を捕え、最強の機械獣ゴジラN10に改造してくれる!!」
「核熱バスター!」
「う、うひゃあ!?」
突如としてお空の右手の筒から火球が発射され、あしゅらは間一髪のところで攻撃を回避する。
「そんな事させる訳ないじゃん。今なら見逃してあげるからとっとと消えて。もし引き下がらないんだったら次はメガフレアを喰らわすよ?」
「くっ……あくまで抵抗するか……ならばガラダK7、ダブラスM2……じゃなかった。我が新たなる僕、最強の機械獣ガタノゾーアM9よ!奴らを叩きのめしてしまえ!!」
するとあしゅら男爵の背後から一人の少女が現れた。そこにいたのは幼い少女であった。毛先が紫色のピンク色のロングヘア―にスク水を着て、手先には鋏のような形状の大型の手袋をはめ、頭部にアンモナイトのような大きな貝殻を被った少女であった。
……そしてその少女は何故か立ったままスヤスヤと寝息を立てていた。
「ちょ、ちょっと何寝てんのよ!?ほら、寝てないでさっさと起きな、さい!!」
あしゅら男爵が慌てて『ガタノゾーア』と呼ばれた少女の肩を掴んで揺すると、少女はゆっくりと目を開け、そして口を開く。
「……喉乾いた。」
「……はい?」
「なんか飲みたい。」
「ちょ、ちょっと?バトルロイヤルはまだ始まったばかりよ?ほら、あの二人を倒したら飲ましてあげるからもうちょっと我慢しよう?ね?ね?」
……だがその言葉を聞いた直後、ガタノゾーアの目から涙が溢れだし、地団駄を踏みながらワガママを言い始める。
「やだー!やだやだやだー!!飲みたい飲みたい飲みたい!!」
「あっ、ご、ごめんねごめんね無理言っちゃって悪かったわね。ほら、お乳の時間だからこれ飲んで元気を出して?ね?ね?……あっ、二人ともごめんなさいね、この子ったら何かあるとすぐグズってこうなっちゃうんだからどうかその辺は大目に見てね?ね?」
そう言いながらあしゅら男爵はガタノゾーアを抱きかかえると服をめくって片方の乳を露出させ、ガタノゾーアはその乳に吸い付き、母乳を吸引し始める。
「んっんっんっんっんっんっんっん。」
一連の寸劇を呆れたような表情で見ていたお空に対し、ちびゴジラは幸せそうな表情で母乳を吸引するガタノゾーアを興味津々な様子で見つめる。
「へえー。子供ってああやってお母さんからおっぱいを飲むんだぁ。」
「ちょ、ちょっとゴジラさん!見ちゃダメだって!」
「どうして?」
「どうしても!」
そんな寸劇をちびゴジラとお空が繰り広げる中、あしゅら男爵がコホンと咳払いするとガタノゾーアを地面に降ろし、彼女に最初の命令を下す。
「き、気を取り直して……さあ、機械獣ガタノゾーアM9よ!奴らにお前の力を見せつけてやるのだ!」
「……分かった、やる。」
あしゅらの命令を二つ返事で了承した直後、ガタノゾーアの目が不気味に赤く輝き、頭部の貝殻が巨大化し、二つの穴から紫色の大蛇がそれぞれ飛び出し、ちびゴジラとお空に同時に襲いかかる。
「「!!」」
大きな口を開け、そのまま丸のみにしようとする大蛇に対し、ちびゴジラとお空は両手両足で大蛇の口を抑え、飲み込まれまいと必死に抵抗する。
「はっはっは、どうだ!機械獣ガタノゾーアM9の力は!今なら降伏すれば機械獣に改造して配下にする程度で許してやらない事もないぞ!」
勝利を確信し、勝ち誇るあしゅら男爵であったがお空はあしゅら男爵に対し、予想外の返答を返す。
「……お断りだよ……それに……この程度で勝ったとは思わないでよね!!」
「!?」
するとお空は大蛇の噛みつきを躱す様に側面に回り、両手を大蛇の首に回すとチョークスリーパーの要領で大蛇の首を締め上げ始める。
そしてあしゅらが慌ててもう一方の大蛇の方を見ると同様にちびゴジラが両手で大蛇の首を締め上げていた。
「ば……馬鹿な……お前たちは一体なんだというのだ……」
霊烏路空……彼女はかつて守矢の二柱の神、八坂 神奈子と洩矢 諏訪子に力を授けられ、地上を破壊しようとした異変の元凶そのものであり、火力だけなら幻想郷においても随一と言ってもいいほどの力の持ち主である。
そして怪獣王ゴジラ……ゴジラは1954年に東京に初上陸して以降、幾度となく人類の前に立ちはだかり、そしてその中で数多くの怪獣と戦い、それらの怪獣を倒してきた不滅の怪獣王でありその息子であるちびゴジラもまた、その父親の素質を秘めた存在でもあった。
凄まじい力で首を締め上げられ、苦しそうに悶える大蛇とそんな光景を慌てふためきながら見ていることしか出来ないガタノゾーアをよそに、お空はちびゴジラに対して合図を送る。
「いくよ、ゴジラさん!」
「うん!!」
「「いっせのー、せいっ!!」」
そしてちびゴジラとお空は背負い投げの要領で同時にガタノゾーアを貝殻ごと投げ飛ばすとガタノゾーアは頭から地面に叩きつけられ、目を回し気絶してしまう。
「どう!?私とゴジラさんの力は!さっきの言葉をそのままお返しするわ!謝って許しを請うなら命だけは助けてあげない事もないけど!?」
「お、おのれぇ……こうなったらなりふり構っていられないわぁ!!令呪を持って命ずる!!邪神ガタノゾーアよ!!その真の力を解放せよ!!」
あしゅら男爵が手の甲を掲げて宣言すると、彼女の手の甲に刻まれた令呪が一画消失し、その直後先ほどまで気絶していたガタノゾーアの目が見開かれたかと思うと彼女の髪の毛がまるで触手のように動いて地面に深々と突き刺さり、彼女の体が天高く持ち上げられたかと思うと貝殻と大蛇が巨大化、頭髪が触手に変化し、ルルイエの邪神たる本家ガタノゾーアを彷彿とさせるような巨大で異様な姿へを変貌してしまう。
「ハーハッハッハッハッハ!!これが邪神ガタノゾーアの真の姿だ!!羂索の奴め、令呪を使わなければこの姿になれぬよう小癪な制限を課したようだがお前たちにはその令呪を使うだけの価値があると判断した!!さあ、邪神ガタノゾーアよ!!あの二人を殲滅せよ!!」
あしゅら男爵の命令の直後、ガタノゾーアの触手がまるで生き物のように動きながらちびゴジラとお空の二人に向かって殺到してくる。
「「!!?」」
殺到する触手に対し、ちびゴジラは熱線を吐きながら触手を迎撃し、お空は背中の翼を補助的に使って滑空しながら触手による攻撃を避け続ける。
(このまま逃げ続けてもいつか捕まる……なら!!)
お空は反転すると右手の筒を構え、ガタノゾーアに向けて狙いを定める。
「熱血!!」
お空が自身のソードスキル『精神コマンド』を発動するとお空の身体から炎のエフェクトが発生する。
「砕け散れ!!メガフレア!!」
すると右手の筒からお空が現時点で使える最強の必殺技が放たれ、エネルギーの奔流がガタノゾーアに直撃し、大爆発が起こる。
「どうだ!!『熱血』付与メガフレアは!!これならいくらあいつでも……」
『熱血』。この精神コマンドは『与える最終ダメージを1.5倍にする』という強力な精神コマンドでありスパロボや『幻想少女大戦』において主力級が覚え、数々の実績を残してきた精神コマンドであった。
……だが煙の中から鋏付きの大型の触手が飛び出し、お空に向かって直進してくる。
「!?『不屈』!!」
攻撃が直撃する直前、お空は寸前の所で精神コマンド『不屈』を発動し、鋏付きの触手による攻撃を食らってお空は吹っ飛ばされるも精神コマンドの効果によって何とか微量のダメージで済ましたお空は空中で何とか態勢を立て直す。
そして煙が晴れた後、そこには左程大きなダメージを受けた様子もなく、以前健在なガタノゾーアの姿がそこにはあった。
「うそ……『熱血』メガフレアが効かないなんて……どんだけ化け物なの……?」
邪神ガタノゾーア……3000万年前、ゴルザやメルバやゾイガーを始めとした超古代怪獣達を率いて光の巨人たちと激しい死闘を繰り広げ、最終的に当時の超古代文明を滅ぼした元凶であり、現代に復活した際にはウルトラマンティガの攻撃すら全く寄せ付けず、ティガを倒し石像に戻して敗北へと追いやり、世界を闇で覆いつくして全人類を絶望の淵に追いやった最強クラスの怪獣であり、同じくウルトラマンを倒したゼットンに匹敵、もしくはそれ以上の強さを持つという評価まで下されているほどですらあった。
(どうする……令呪を使って『リミッター解除』をする……?いや、まだ始まったばかりなのにここで使う訳には……)
だがお空にも対抗する手段がないわけではない。ガタノゾーア同様、令呪を消費さえすれば切り札の『リミッター解除』を使えるのだが令呪を使い切ってしまったら失格になる関係上、2回しか使えない令呪を後先考えず早々に使ってしまうのはあまりに早計だという風に感じられた。
(何か他に方法は……あっ!そういえばあれなら何とか出来るかも……)
突如お空は何かを思い出したかのようにバックを漁ると自らの支給品を取り出すがその直後叫び声が聞こえたためお空は驚いてその方向を向き直る。
「うわー!助けてー!!」
見るとなんと触手を捌ききれなかったのであろう、触手に捕えられ全身を締め上げられているちびゴジラの姿がそこにあった。
「!!ゴジラさん!!」
しかも触手に捕えられたゴジラを大蛇が丸呑みにしようと大口を開けて迫ってくる光景まで目に入ってきた。
「させるか!!八咫烏ダイブ!!」
そうはさせまいとお空は急加速すると大蛇に対し思い切り体当たりをし、不意の一撃で怯んだ隙に何とかちびゴジラを救出する。
そして右腕でちびゴジラを脇に抱えると残った左手で支給品の銃を持ち、その銃口をガタノゾーアの方へ向ける。
「はっはっはっはっは!!無駄だ!!何をしようとガタノゾーアに傷を付ける事は……何っ!?」
だが銃口から発射されたのは銃弾ではなく、煙のようなものが噴出しその煙がお空とちびゴジラの全身を包み始める。
「くっ、目くらましのつもりか!小癪な真似を!ガタノゾーアよ!!あの煙を攻撃せよ!!」
あしゅら男爵の命令を受け、ガタノゾーアの二頭の大蛇が煙に食らいつくも、煙の中には二人の姿は既になく、まんまと逃げられてしまった事に対してあしゅらは悔しそうに地団太を踏む。
「ムキィィイイイ!!こっちは令呪まで使ったのに尻尾を巻いて逃げるなんて卑怯よ!!ガタノゾーアよ!!あの二人を追撃せ……よ……?」
だがあしゅらが命令を下した直後、ガタノゾーアの貝殻と大蛇が縮小していき、触手が頭髪に戻っていき、その身体がどんどん縮小していく。
令呪によって本気を出せる99.9秒の時間制限を迎え、その効果が切れてしまったのである。
そして最初の幼い少女に戻り、空高くから落下してくるガタノゾーアにあしゅらは慌てて駆け寄り、その身体を受け止める。
「疲れた……眠い……」
「あーはいはいよく頑張ったわねー偉いねーホントガタちゃんはいい子でちゅねー」
「おんぶして」
「うんうん分かったから今はいっぱい休んで次またいっぱい頑張ろうねー」
「うん」
そういってあしゅら男爵がガタノゾーアをおんぶすると彼女は寝息を立てながらスースーと眠り始める。
そしてガタノゾーアをおんぶしながら歩きつつ、あしゅらは自身の手の甲を確認し、思考を始める。
(どうしましょう……さっきは勢いに任せて令呪を使っちゃったけど確かあの羂索って奴、『令呪を使い切ったら失格』って言ってたわよね……とすると私が使える令呪は残り一画……ガタちゃんの使っていい分も含めても残り三画……ああ、こんな調子じゃあ先行き不安だわ〜〜)
そう、あしゅら男爵はガラダK7やダブラスM2を始めとした機械獣ガールズを率いてチームZの三人、マジンガーZ、グレートマジンガー、グレンダイザー達と戦い続けてきたのであるが毎回毎回いつもボロ負け、たまにいい線までいっても詰めの甘さを露呈して最後には逆転負けという苦い経験を何度もしてきたため、今回のバトルロワイヤルに関してもこの調子じゃまたいつものように最後には負けてしまうのではないか……そんな弱気な考えがあしゅらの脳内をどうしても駆け回ってしまっていた。
(ううん、弱気になっちゃ駄目よあしゅら!!このバトルロワイヤルに優勝したら買収されて潰れた地下帝国を再建し、今度こそチームZにリベンジして世界征服を達成してやるんだから!!そのためにも何としてゴジラを捕まえて最強の機械獣ゴジラN10に改造しなくては!!)
あしゅらは今度こそ決意を固めるとガタノゾーアと共にバトルロワイヤルの優勝に向かって歩き出していくのであった……
【あしゅら男爵@ロボットガールズZ】
[状態]:健康、決意(大)、ちびゴジラと霊烏路空に逃げられた悔しさ(小)
[装備]:無し
「令呪」:残り二画
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本:ゲームに優勝して運営に特典をおねだりして特典を使って地下帝国を再建するなりチームZを叩きのめすなりして最終的に世界征服を目指す
1:ガタちゃんの圧倒的強さがあればどんな敵が現れても恐るるに足りないわ!
2:でも開始早々令呪一画使っちゃった……どうしよう……
3:ゴジラの奴を捕えて最強の機械獣ゴジラN10に改造してくれる!
[備考]
※最終話以降からの参戦です。
【ガタノゾーア@怪獣娘(黒)〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
[状態]:健康、疲労(小)、ダメージ(小)、睡眠中
[装備]:無し
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:???
1:つかれた……ねむい……
2:あしゅら男爵……大好き……
[備考]
※映画終盤でダークゾーンの中に封印された後からの参戦です。
※令呪を使わなければ最終形態にはなれませんが、使わなくても途中の大蛇を使った戦闘形態にはなれます。
◇
先ほどの場所から少し離れた所、追撃を振り切ったことを確認し、安堵して腰を下ろして一息ついたちびゴジラと霊烏路空の姿がそこにはあった。
「はぁ……追撃はもうないみたいだね……」
「よかったねー」
「いや、ゴジラさん。さっきまでピンチだったのにそんな能天気に振る舞われても……」
さっきまで危機一髪だったというにも拘らず、相変わらず能天気なちびゴジラとそんなちびゴジラにツッコミを入れるお空だったが、その直後、ちびゴジラの雰囲気が変わり、そしてこう宣言する。
「でも、お父さんだって今まで何度もピンチになっても最後は絶対に勝ってきたんだ。だからそんなお父さんに追いつけるように僕だってこんな所でへこたれていてはいられないんだ!」
「うん、そうだね!私だってこのバトルロワイヤルに生き残って幻想郷に、地霊殿に帰らないといけないからね!それにこのバトルロワイヤルにさとり様やこいし様やお燐もいるかもしれないから皆に会うまで死ぬわけにはいかないもんね!」
「へえーお空ちゃんにはそんなに仲間がいっぱいいるんだー。ひょっとしたら他の怪獣島の仲間も参加しているかもしれないから皆を探すついでに一緒に探してあげるね!」
「うにゅ?ゴジラさんの他の怪獣島の仲間って他にどんなのがいるの?
「一杯いるよ!ちびメカゴジラにちびギドラにちびモスラにちびラドンにちびアンギラスにちびヘドラにちびビオランテにちびガバラにちびチタノに……そしてちびミニラ!」
「うにゅ?そのちびミニラって?」
「ちびミニラは僕の従弟で同じ怪獣島の仲間なんだ!……でも、あんまり戦闘が得意じゃないから参加しているかどうか心配なんだけど……」
「……そっか……」
「でも多分何とかなるからきっと大丈夫でしょ!」
「いやそんな考えでいいんかい!!」
ちびゴジラとお空の間に軽いコントが終わった後、ちびゴジラとお空は同じ方向へ向かって歩き出していた。
「まずは他の怪獣島の皆を探そう!その途中でその『地霊殿』の人がいたら一緒に合流しよっか!」
「うん!有難う!ゴジラさん!!」
そうやってちびゴジラと霊烏路空の二人はともに一緒に歩き出し始めるのであった……
【ちびゴジラ@ちびゴジラの逆襲】
[状態]:健康、疲労(小)、ダメージ(小)、
[装備]:無し
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:ゲームで生き残り、怪獣島に帰還する。
1:他の怪獣島の皆も参加しているのかな?
2:お空ちゃんと僕は何かすごい親近感を感じるよね!!
3:『地霊殿』にいる他の皆も折角だから一緒に探してあげよう!!
[備考]
※第33話終了後からの参戦です。
【霊烏路空@東方project】
[状態]:健康、疲労(小)、消耗(中)、
[装備]:ソードスキル『精神コマンド』@幻想少女大戦、トランスチームガン@仮面ライダービルド
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本:ゲームに生き残り、幻想郷の、地霊殿に帰ってみんなと再会する。
1:さとり様もこいし様もお燐もひょっとしたら参加していたりするのかな?
2:ゴジラさんと私って何かすごく親近感を感じるよね!
3:怪獣島の皆も探してあげたいし、皆で生き残って元の幻想郷に帰ろう!
[備考]
※東方非想天則後からの参戦です。また『幻想少女大戦』の一連の出来事も経験しています。
※令呪を使わなければリミッター解除は出来ません。
支給品紹介
【ソードスキル『精神コマンド』@幻想少女大戦】
霊烏路空に支給。スパロボや幻想少女大戦においてお馴染みの要素でSPを一定量消費する事で精神コマンドごとに決められた効果を発揮する事が出来る。例えば『必中』なら攻撃が絶対命中、『不屈』なら一度だけ攻撃のダメージを10だけに抑える、『熱血』なら次の攻撃のダメージを1.5倍にアップするなど。指定された量のSPを支払えなければ使用する事が出来なくなるがSPは時間経過で少しずつ回復させることも出来る。このスキルによりお空は原作『幻想少女大戦』において使えた『必中』『不屈』『自爆』『気合』『友情』『熱血』の精神コマンドを使用する事が可能。
【トランスチームガン@仮面ライダービルド】
霊烏路空に支給。秘密結社『ファウスト』の幹部たちが使用する拳銃型変身デバイスで「トランスチームシステム」という変身システムを使い、フルボトルスロットにバットフルボトルをセットする事でナイトローグに、コブラフルボトルをセットする事でブラッドスタークに変身する事が出来るが変身デバイスではない普通の拳銃として使用する事も可能で高熱硬化弾「スチームビュレット」を弾丸として発射して攻撃するほか、銃口から所有者自身と周囲の人物を包み込み、包み込んだものを一定の距離まで瞬間移動させる撤退、緊急避難用の煙幕を張ることも可能なものとなっている。
投下終了です。
お久しぶりです。一時期色々事情があって多忙でこの界隈から離れていましたが
それらも大体落ち着いてスレッドを探していた所今回のコンペを発見し参加させていただくことになりました。
タイトルは『ゴジ空は俺の核融合』で作者名は『◆A1Sj87dFpOM』です。
新ロワ開催おめでとうございます。まだ始まったばかりですし期間も余裕があるのでまだまだ候補作を順次投下させていただきます。
どうかよろしくお願いします。
投下します
鬱蒼とした森の中。
此処は静寂に包まれ───てはおらず、
逆に嵐のような戦闘音が周囲へと轟かせていた。
その音の主は、精錬で可憐な姿をした女性だった。
白い鎧とドレスに身を包まれながらも戦う彼女はさながら戦場の女神。
そんな彼女が殺到する緑の亜人の集団、ゴブリン突撃部隊を次々と蹴散らしていく。
本来森の中で槍を振り回すなど槍の長所を殺してるようなものではあるが、
彼女の力は凄まじく木をそのいきおいのままになぎ倒してしまっている。
「あの! 私も何かお手伝いを……」
そんな白亜の女性に守られるように背後にへたり込んでいるのは一人の少女。
「どこか行きたい」と言う言葉とともに、気の抜けた表情のラッコがプリントされたTシャツを着ており、
おおよそ戦場にはとても似合わないであろう、一般的な格好をしていた。
当然だ。彼女こと花里みのりは確かに特殊なセカイへ行けるものの、
こんな殺し合いどころか、戦いとは無縁のアイドルなのだから。
「いいんですよ、ミノリさん。私一人の力があれば、この程度。」
戦闘中に長い橙色の髪を靡かせながら振り向く白亜の女性。
隙ありとトゲつきの棍棒で殴りかかるゴブリンだが、
背後にいた彼らを彼女は目もくれず紅の槍を振るうと、
その風圧だけで相手を吹き飛ばしていく。
「見ての通り、大したことはありませんよ?」
これだけ無法な強さを見せつけられては、
自分がいくら何かしたところでさして状況は変わらない。
寧ろ足を引っ張ってしまうか、攻撃の巻き添えになるか。
このままへたり込んでしまうままでも戦いが終わりそうだった。
「それに、貴女は戦うことができる手段はあれども、
他者を傷つけることには得手ではないこともお気づきかと。」
戦いながら問いかける白亜の女性。
その問いにみのりは答えをうまく出せない。
「それ、は……」
殺し合いや戦場において戦える手段を持ったとしても、
何の葛藤もなく戦い続けられるかと言われたらそれはNOだ。
きっとこの先もそれに悩まされる、迷わされる、苛まれるだろう。
それはこの殺し合いが終わっても、ずっと続くものになるはずだ。
アイドルに戻っても、きっとそれは終わることのないものになるのだと。
握手会で握るその手は誰かの血で汚れたものとなり、その笑顔は誰かの死の上に成り立つ。
故に取れない。戦うための剣は支給品にはあれども、それを取る『覚悟と言う手』が彼女にはなかった。
「こういうのは私のような者に任せればいいんです。
戦いには慣れてますし、こう見えて戦争にも参加したことがあるんですよ?」
会話を片手間に敵を倒しつくす白亜の女性。
周囲のゴブリンは倒され、木々も鉛筆を折るかの如く容易く倒木しており、
この惨状を見渡してしまえば、誰が見ても彼女の言葉を疑う者はいないだろう。
「ですから遠慮なく私を頼ってください。
御友人がもしも参加してた場合、元気な姿でいることこそが大事だと私は思います。」
戦いは蹂躙の一言で終わるぐらいあっさりだった。
先の轟音はどこへやら、周囲は静寂を迎える。
終わると地に膝をついていたみのりへと手を伸ばす。
「そう、ですよね……お言葉に甘えさせてもらいます。」
もし同じグループのMOREMOREJUMP!の皆や友達が参加していたら。
そんなの想像したくないが、決して可能性はゼロとは言い切れない。
彼女の言う通り、無事でいることこそがみのりの一番の目標だと思えた。
立ち止まってる場合じゃない。皆を、同じように戦えない人を探そう。
そう胸に抱きながら彼女の手を取りみのりは立ち上がった。
自分にできることを精一杯する。それは日常と変わらないのだから。
「あの、改めて助けていただいてありがとうございます───」
「エニュオさん!」
【花里みのり@プロジェクトセカイ】
状態:不安
服装:普段着
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3(武器になるものがある)、SA・ホットライン
思考
基本:無事に帰りたい
00:知り合いが参加してないか不安
01:エニュオさん、綺麗で頼れるなぁ。
02:今の私じゃ戦うこともできない……
参戦時期:少なくともシナリオ「スクランブルファンフェスタ」以降。
備考
今のところなし
(ああ、楽しみですね。彼女を蹂躙できるその時が。)
後ろを歩くみのりを尻目に彼女、エニュオは笑みを浮かべる。
彼女を助けているのは善意からくるものではない。寧ろその逆だ。
エニュオは覇空戦争と呼ばれる戦争で作られた星の民の兵器、星晶獣。
星晶獣には役割が与えられ、彼女が担うのは───破壊と蹂躙の二つ。
最初こそこの役割に疑問を感じていた。
人々の喜ぶ顔を見る方が余程気分がよかったから。
しかし、ある日を境にエニュオはその役割に従うことにした。
残虐で非道な手段も辞さない、文字通りの蹂躙すら彼女は躊躇はしない。
弱者の悲痛な声を聴くと心が躍る。強者の慟哭を聴くだけで笑いが止まらない。
大切な人を目の前で殺され嘆く人の姿はいかなる甘味よりも甘く感じる。
性を受け入れてからと言うもの、エニュオにとって破壊と蹂躙は最高の悦楽だ。
みのりと一緒にいるのもその蹂躙の対象にしているからだ。
彼女の仲間がいればその人物を目の前で蹂躙してあげたい。
アイドルについてはさほど詳しくはないが、人を魅了する職業の様子。
なら、その魅了を形成する部分を破壊してしまえばどうなってしまうのか。
そうすればみのりはどうするのだろうか? 泣き叫ぶのか? 戸惑うのか?
自分の命を差し出して友を救うのか? 逃げるのか? 戦うのか? 後を追うのか?
どの結末に至ろうとも彼女の矜持や想いを、悉くを蹂躙してしまいたい。
つまらない反応でないことを期待したいものだと。
内心では彼女はそう願って共に行動していた。
(それに、もしアテナ達がいたとしても保険になりますからね。)
もしもだが、自分の知り合いがいた場合のことだ。
自分の手で倒したい存在、アテナや団長達が此処にいたら色々面倒だからである。
未成熟な彼らを蹂躙するのはまだ早い。こんなところで消化したくない存在。
だからこそ我慢を続けていた。こうして非力な参加者の味方をしていれば、
この舞台でアテナ達と邂逅しても咎められることはないのも一つの理由でもあった。
では、もしその知り合いが誰もいなかったその時は?
無論、破壊と蹂躙の獣が殺し合いの舞台に解き放たれるだけだ。
みのりは知らず知らずのうちに、とんでもない怪物と出会ってしまった。
(ミノリさんの御友人、早く会ってみたいものです。)
【エニュオ@グランブルーファンタジー】
状態:高揚
服装:いつもの
装備:破魔の紅薔薇@Fateシリーズ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:破壊と蹂躙がしたいのですが、今は我慢。
00:ミノリさんのご友人に会ってみたいものですね。蹂躙してみたいです。
01:参加者に団長達がいなかったら、その時は……
参戦時期:少なくとも騎空団に加入以降
備考
※キュドイモスは三体まで召喚可能。
キュドイモスが倒された場合六時間使用不能。
支給品解説
・破魔の紅薔薇@Fateシリーズ
エニュオに支給。ディルムッド・オディナの宝具。
穂先に触れた物体の魔力を打ち消す効果を持つ槍。
NPC解説
・ゴブリン突撃部隊
攻撃力は高いが守備力が皆無の集団
以上で投下終了です
因みに、企画主の伊勢村誠三さんに質問ですが、ケミーカード、アバタロウギア、アナザーウォッチ等の小物をセットとして支給する場合、1つの支給枠で幾つまでが上限でしょうか?
目安程度に考えていただきたいのですが、例えばガッチャード系のだいたいのドライバーは2枚以上ないと変身出来ないので複数枚持たせても問題ないと思っています。
後はフォームチェンジなども考えると1つのアイテムにつき2〜4枚といったところでしょうか?
ベルト以外に武器等にアイテムを付属させて一人のキャラクターに4枚以上カードを持たせるのは禁止しません。
ドレッドライバーなどのカード使い切り前提のアイテムは変身用なら10枚近く持たせないと使い勝手が悪すぎると思うので、正直ケースバイケースですが。
私も自分の候補話で仮面ライダーゼインに全部基本フォームのカードとは言え支給品の枠二つ使って大量にゼインカード持たせているので、使い切り出ない場合、多くて6枚ぐらいまで。
使い切り系の場合10枚以上でも構わないぐらいに考えてくださると良いかと思います。
そういえば本ロワの開始時間は夜なのでしょうか?朝なのでしょうか?
投下します。
「あーもう!一体何であたいがこんな企画に参加させられなければならないのさ!!」
バトルロワイヤルの舞台の何処か、水色の髪に青色の大きなリボン、青い瞳に青いワンピースを着て背中に六枚の氷の羽を生やした幼い少女が自らの置かれた状況に強い憤りを感じていた。
彼女の名はチルノ、紅魔館の近くの霧の湖に普段は住んでいる妖精であり、自ら『最強』を自称し色んな所を遊び歩いて色んな相手に喧嘩を売ったり色んな事件に首を突っ込んだりする日々を過ごしている少女である。
彼女は今日、一番の仲良しである大妖精と遊んでいる最中に急にこの企画に無理矢理参加させられ、そのせいで彼女は現在不満たらたらであった。
「大体何なのあの脳みそはみ出し女!『れーじゅ』だとか『あばたー』だとか『そーどすきる』だとか難しい言葉ばかり並べちゃって!あたいにも分かるように説明しろっての!」
そう、彼女は⑨と称されるほど頭が悪く、そのため羂索の説明もあまり理解していなかったのであるが、それでも「殺し合いをしろ」と言われたという程度の理解はしていたため、彼女に対して怒りの気持ちを感じていたのはそういった部分の要素も大きかったのもまた事実であった。
「でもあいつ、『そーどすきるをしきゅうします』と言っていたけど幾ら何でもあたいにも支給してあるよね……どれどれ……」
早速自身のリュックを物色しながら支給品を探しているとチルノは自身に支給された『ソードスキル』を見て首をかしげる。
「精神……コマンド?何それ?」
『精神コマンド』というソードスキルの使い方をチルノはよく分かっていない様子であったが取り敢えず折角支給されたのだからとソードスキルを装備し、早速物は試しと使用してみる。
「『ド根性』!!」
早速チルノは自身のソードスキルを発動する……が、彼女が体感できる感じで効果が得られたとは感じられず、ただ無駄に何かが減った感覚だけが残るのみとなった。
「むきーーーっ!!何さ何さ!!何で折角使っても分かりやすく実感できる効果が発動しないのさ!!」
『精神コマンド』の使い方をよく分かっていない様子のチルノであるが一人で勝手に怒り狂うチルノに対し、背後から急に声が掛かる。
「あ〜お取込み中の所すいませんがちょっといいっすか?」
「何さイライラしている所に!!」
イライラしている所に急に声を掛けられたため、不機嫌さを隠そうともせずチルノは声の方角に振り返る。
そこにいたのは一匹の生物であった。体型は人間のようであるが濃い緑色の身体に黄色くて短い髪に大きな一本角に厚い唇をした生物であった。
「な……何さあんた一体……?」
「あー、自分『ちびガバラ』って言うッス。ガマが変異した怪獣っすのでそこんとこ宜しく。」
「ガマ……」
自ら『ちびガバラ』と名乗った生物をチルノはまじまじと見つめる。チルノは幻想郷ではよくガマを捕まえては凍らせて遊ぶことを繰り返し、そのせいで妖怪の山に住む大蝦蟇に食べられたことがあるのだが、それほどまでにガマを自らの日常の中で多く触れてきたチルノにとってちびガバラの言葉を直ぐに信じることは出来なかった。
確かに体色は緑色だが長身痩躯の人間に似た体型に頭髪に一本角と、あまりガマに似ていない容姿のちびガバラの言葉を信じられず、チルノは疑問の声を投げかける。
「あんたホントにガマ?あんた、あたいが知ってるガマとちっとも似ていないんだけど?」
「いや、そんな事言われても困りますよお客さん。自分バイトなもんで。」
「バイト関係なくない!?」
だがその直後、ちびガバラの様子が先ほどまでとは明らかに変化し、チルノに対し自分語りを始める。
「……実はさあ、俺には夢があるんだ。今はその夢に向かってる途中なんだよ。」
「え?急に何?あんたの夢の話なんて聞いてないんだけど?」
チルノのツッコミを無視し、ちびガバラは自分の夢を語り始める。
「俺、プロのミュージシャンになりたくてバンドやってるんだ。」
「あ、ああ……そうなんだ……あたいの友達や知り合いにもミスティアやプリズムリバー三姉妹っていう音楽が得意な歌手や楽団を知ってるから今度紹介してあげるよ。……で、何でそんなこと今語りだしたの?」
「夢を追っている途中なのをアピールすれば優しくされることあるじゃないですか。だからお客さんがクレームを入れてきたら夢を語るようにしているんです。」
「あんたってサイテー!!」
ちびガバラとチルノがそんな寸劇を繰り広げる中、ある一人の人物がそんな二人に対し、声を掛ける。
「あ……あの……二人ともちょっといいですか?」
「お客さん、今面接中なんですから後にしてくれます?」
「あっ、はい!すいません!!」
「いや、別に面接してるわけじゃないんだけど」
ちびガバラとチルノが声の方向に向き直るとそこには一人の少女の姿があった。その少女は女子高の制服に頭の上に角のような形で髪をまとめた少女であった。
「君は?」
「あっ、私は平賀サツキって言うんです。後、私以外にももう一人いるんです。ほら、恥ずかしがらなくてもいいからおいで。」
サツキが合図すると物陰から一人の少女が出てきた。
その少女は側頭部に角が生えた被り物に昔の戦士のような恰好をした少女であった。少女は顔を赤らめ、もじもじしながらちびガバラとチルノに対して自己紹介をする。
「あっ……あの……初めまして……私は機械獣キングダンX10と申します。どうか、よろしくお願いします……」
『キングダン』と名乗った少女は二人に対し礼儀正しく礼をする。
「えー、じゃあ人数も揃ったんでバイトの面接を始めまーす。……で、何で履歴書が三枚あんの?」
「いや、履歴書出してないし3人揃ったのは偶然だし」
「え?あ……あの……一体これから何が始まるんですか?」
「ひゃ……ひゃうう……」
突如として始まったバイトの面接に対し、チルノはツッコミを入れサツキは戸惑いの表情を浮かべキングダンは恥ずかしさのあまり委縮して小さくなってしまう。
「えーと、まずキングダンさん、貴女、何か特技はあります?」
「あっ……はい……あの……と、特技は身を守ることです……」
「それだけ?相手に対して何か攻撃手段は?」
「えっ?い、いや……あの……その……えっと……」
「あーあ、これだから若者は。追放ものだとそういった奴はまず真っ先に『無能な役立たず』呼ばわりされて追放されちゃうよ?」
「うっ……うっ……」
「はい、3,2、1、やる気ないんだったら帰ってくれていいんだけど!!」
「うっ……うっ……う、うえぇぇぇぇぇん!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさーい!!」
ちびガバラの圧迫面接に対し、キングダンはとうとう耐え切れずに泣き出してしまい、その直後サツキとチルノはキングダンを庇うようにちびガバラに抗議をする。
「ちょ、ちょっとガバラさん、何もそんな言い方をしなくても……」
「そうだぞ!女の子を泣かしちゃいけないんだぞ!!キングダンに謝れ!!」
「やめてー!私のためにケンカなんてー!!うえぇぇぇぇぇん!!」
ちびガバラを糾弾するサツキとチルノ、その光景を見てますます泣き出してしまうキングダンであったが、ちびガバラはそれを無視し、次はサツキに対して質疑応答を開始する。
「じゃー、はい、次は平賀サツキさんね。貴女の事をまず教えてくれますか?」
「えっ?次私ですか?あっ、じゃあ、はい。履歴書代わりにこれを……」
するとサツキは自身が所有していたホットラインのようなスマホのような外見でありながらも、また違ったデザインの電子端末の画像を見せる。
この電子端末の名は『ソウルライザー』といい、怪獣娘が人間形態と怪獣娘形態を使い分ける際に必要なアイテムであり、このソウルライザーはブラックスターズが全員で共有して使用していた一品なのであるが、サツキとキングダンが出会った際、『あっ、こ、これってサツキさんの所有物だったんですか?あ、あの、良かったらこれ差し上げます。い、いえいいんですよ私が持っていても無用な長物なんで……』といった感じで何とか取り戻したものであった。
ソウルライザーの画面にはサツキのプロフィールが書いてあり、そこには『生年月日:非公開 血液型:非公開 出身地:非公開 趣味・特技:なし プロフィール:ペガッサ星人のカイジュ―ソウルを宿す怪獣娘。 特徴・能力:周囲の物体を吸い込む異空間(ダーク・ゾーン)を発生させる能力を持つ。』と書いてあった。
「おいおい、生年月日、血液型、出身地全部非公開って……そんなんで面接通ると思ってんの?しかも特技に至っては『なし』だし……」
「あ、あのっ、私には特技はありませんけど私はこのソウルライザーを使ってペガッサ星人の怪獣娘に変身できます!」
「で?それで変身して何が出来んの?」
「はいっ!ここに書いてあるようにダーク・ゾーンを発生させることが出来ます!」
「じゃあやってみてよ。」
ちびガバラに促されるとサツキはソウルライザーの画面に五芒星を描き、その直後現れた可愛らしい髑髏のマークをタッチする。
『ソウルライド!ペガッサ星人!!』
サツキがソウルライザーを掲げ宣言すると、まるで魔法少女アニメの変身シーンのようにサツキの服が分解され、代わりに本家ペガッサ星人の意匠を盛り込んだデザインの服が形成されていき、そして頭部の角状の部分に目が発生、頭髪も変形しペガッサ星人の首を彷彿とさせるような形状の髪型へと変化し、一連のシークエンスが終了した事でペガッサ星人の怪獣娘への変身が完了する。
「……で、変身できることは分かったけどダーク・ゾーンはどう発生させんの?」
「あ、あのっ、直ぐには発生させることが出来ないというか発生には条件と手順があって……」
「遅い遅ーい!社会ってね、そんなに甘くないのよ?」
「だ、だから発生には条件と手順が……」
「はい、3、2、1、やる気ないんだった帰ってくれていいんだけど!?」
「……はは……そう、ですよね……。こんなどうしようもない私じゃ……『役立たず』と言われても……仕方ない……ですよね……。」
ちびガバラの圧迫面接にサツキはすっかり自信を失ってしまい、悲壮感に暮れた表情で打ちひしがれてしまうが、それが『ネガティブな感情になる』というダーク・ゾーン発生の条件を満たしたことでサツキの頭上の空中にダーク・ゾーンが発生、周囲の物体を物凄い吸引力で吸い込み始める。
「あ、アーはいはい分かった分かったから早くダーク・ゾーンを止めて!!」
「あっ、は、はい!変身解除!」
吸い込まれまいと物を掴んで抵抗しながらちびガバラが必死になって指摘すると、サツキは慌ててソウルライザーを操作し、自らの変身を解除、それと同時にダーク・ゾーンも消失する。
「あーもう!危うく死ぬところだったじゃないさ!」
「いや、あの……ダーク・ゾーンに吸い込まれても一応死なないんですけどね……?」
危うく吸い込まれそうになって抗議するチルノと、ダーク・ゾーンの安全性を説明するサツキであったが、それでもう満足したのか、ちびガバラが結論を3人に対して言い渡す。
「よし、採用!!」
「……え?」
「あ、あの、ありがとうございます。でも何でですか?」
「というかあたいは!?」
チルノの抗議をサラッとスルーし、ちびガバラは3人に対して理由を説明する。
「一応面接はしたけど、そもそも俺、運営に雇われたバイトじゃなくてただの参加者なんでそもそも決定権ないんだよね〜。というか俺、運営のバイトじゃなくてファミレスのバイトなんで。」
「『バイト』ってファミレスのバイトの事だったんだ!?というかあたいは無視!?」
「はいはい氷氷。」
「適当!!」
「ま、まあ……面接無しに即採用というのはそれだけ優秀であるという事の証明ですから……」
適当にあしらうちびガバラとそれに憤慨するチルノに対し、サツキは何とかフォローを入れるがその直後、チルノの態度が変わり得意げに胸を張る。
「優秀だって!?やっぱあたいってサイキョ―ね!!」
「あの……だからってそうやって直ぐ調子に乗るのもどうかと……」
調子に乗り始めたチルノに対しサツキはやや苦笑するがそんな3人に対し、ちびガバラは意思確認の意図を込めて3人に質問をする。
「で、どうすんの?本気の奴しか、続かないぜ?」
急に先輩風を吹かせてきたちびガバラに対し、まずはキングダンが挙手をする。
「あ……あの……こんな私でもDr.ヘル様によって造り出された機械獣ガールズですから……何より地下帝国に帰りたいですし……みんなと一緒にいさせてもらってもいいですか?」
続いて挙手したのは平賀サツキだ。
「わ、私も『須藤』って人と『ニーナ』って人を殺した『羂索』とその背後に潜む『クルーゼ』『茅場』は許せないですし、私はGIRLS所属じゃないですけどこれでも怪獣娘ですしみんなのために戦わせてもらってもいいですか?」
最後に挙手したのはチルノだ。
「あたいは最強の妖精よ!今までも色んな異変を解決してきたし今更怖気づくあたいじゃないわ!みんなもあたいに遅れるんじゃないわよ!」
まあ、こんな感じでなんやかんやで運営の打倒(または元の世界への帰還)という目的が一致していた事もあり、4人は共に目的を果たすため共に歩き出すことにしたのだった……
【チルノ@東方project】
[状態]:健康、消耗(小)
[装備]:ソードスキル『精神コマンド』@幻想少女大戦
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本:ゲームに生き残り、幻想郷に帰ってみんなと再会する。
1:大ちゃん、あたいがいなくなって心配していないかなぁ……
2:他の皆も参加していたりするのかな?ルーミアとかミスティアとか、他はリグルとか
3:ちびガバラって変な奴。後アイツ、絶対ガマじゃないでしょ
[備考]
※東方非想天則後からの参戦です。
【ちびガバラ@ちびゴジラの逆襲】
[状態]:健康、
[装備]:無し
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:ゲームで生き残り、怪獣島に帰還する。
1:あー、無断欠勤している間にバイトクビになっていたりしたら不味いなあ。
2:こいつら(チルノ、サツキ、キングダン)で大丈夫かよ。先行き不安だわ
3:あー、ミュージシャンになりてーなー。
[備考]
※第30話終了後からの参戦です。
【平賀サツキ@怪獣娘(黒)〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
[状態]:健康、
[装備]:ソウルライザー@怪獣娘(黒)〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:ゲームで生き残って元の世界に帰還し、ブラックスターズの皆と再会する。
1:ブラックさん……シルバーさん……ノーバさん……皆さん心配しているんでしょうか……?
2:私だって怪獣娘なんだし……GIRLSの皆さんみたいに私も頑張らないと……
3:他のガールズの皆さんも参加しているんでしょうか?GIRLSの皆さんとかブラックスターズの皆さんとか。
[備考]
※映画エンディング後からの参戦です。
【機械獣キングダンX10@ロボットガールズZ】
[状態]:健康、不安(大)
[装備]:無し
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:ゲームに生き残って地下帝国に帰りたい。
1:早く地下帝国に帰りたい……
2:ああは言ったけどやっぱり私なんかにはこういった事は向いていませんよぉ……
[備考]
※第二話終了後からの参戦です。
支給品紹介
【ソードスキル『精神コマンド』@幻想少女大戦】
チルノに支給。スパロボや幻想少女大戦においてお馴染みの要素でSPを一定量消費する事で精神コマンドごとに決められた効果を発揮する事が出来る。例えば『必中』なら攻撃が絶対命中、『不屈』なら一度だけ攻撃のダメージを10だけに抑える、『熱血』なら次の攻撃のダメージを1.5倍にアップするなど。指定された量のSPを支払えなければ使用する事が出来なくなるがSPは時間経過で少しずつ回復させることも出来る。このスキルによりチルノは原作『幻想少女大戦』において使えた『不屈』『必中』『ド根性』『熱血』『友情』『勇気』の精神コマンドを使用する事が可能。
【ソウルライザー@怪獣娘(黒)〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
キングダンX10に支給。その後平賀サツキに譲渡されている。怪獣娘が人間の姿から怪獣娘へと変身するために用いるアイテムでスマホそのものな外見をしている。本来のスマホと同じ機能も有している他、紛失した場合は再発行してもらう事も可能だがその場合は24800円という高額な手数料を支払わなければならない。
このソウルライザーはブラックスターズがただ一台だけ所有し共有している一品でノーバが裏ルートから入手したものであるが複数の怪獣娘たちの間で使い回す事も可能なほか、自身だけでなく他の怪獣娘に対しても使用する事も可能。
投下終了です。タイトルは書いていませんでしたが、
タイトルは『バイトと面接』で作者名は『◆A1Sj87dFpOM』です。
早速2作目も投下させていただきましたが、まだまだ時間もあるのでこれからも
投下させていただきますのでどうかよろしくお願いします。
>>219
決めていませんでしたが、ゲーム開始時点で夜明けの二時間前、つまり名簿解禁(コンペ終了)と同時に夜明けとしたいと思います。
こんばんは。
面白そうなので投下させていただきます。
コンペロワに投下して落選した作品を一部手直しした作品になります。
あちこちで血生臭い殺し合いが巻き起こりつつあるバトル・ロワイアル会場。
その片隅で………
「…………」
オレンジ色の髪にブレザー姿の寝ぼけ眼をした少女が一人、とぼとぼと夜道を歩いていた。
「……」
歩き続けた先に、寝ぼけ眼の少女は小さな公園へとたどり着いた。
ブランコと滑り台とシーソーしか遊具が無く、あとは公衆トイレとベンチしかない……本当に小さな公園だった。
「!」
公園に入ってすぐ、寝ぼけ眼の少女はベンチに人が座っているのに気がついた。
赤い髪に左手だけの手袋が印象的な、自身と同い年位の少女だった。
「……」
「あ、あの……」
「!?」
突然寝ぼけ眼の少女に話しかけられ、赤い髪の少女は目を丸くする。
「と、隣……良いかな?」
「ど……どうぞ」
赤い髪の少女から許可を貰うと、寝ぼけ眼の少女は赤い髪の少女の隣に腰を下ろす。
ただし、二人の少女の間には人一人分のスペースが開いていた。
「え、えっと……君も参加者、なんだよね?」
「うん……でも、人殺しをする気は無いから、安心して」
寝ぼけ眼の少女からの問いかけに、赤い髪の少女は恐る恐るといった様子で頷いた。
「あ、うん……えっと、ボクは宮下アキ。友達からは『アギラ』とか『アギちゃん』って呼ばれてるよ」
「……私はチセ、羽鳥智世。よろしくね」
寝ぼけ眼の少女……アキと赤髪の少女……智世の二人は、自己紹介を済ませるとそのままベンチに座ったまま、再び口を閉ざした。
「「……」」
アキも智世も傍目からは冷静沈着に見えたが……
(き……)
(気まずい……!)
………内心では、もの凄く気まずい思いをしていた。
片や智世は、人ならざる存在を惹き付ける『夜の愛し仔(スレイ・ベガ)』と呼ばれる特異な存在であると共に、イギリス在住の本物の魔法使いの弟子(兼未来の嫁)。
片やアキは、『カプセル怪獣 アギラ』の魂をその身に宿した怪獣娘。
出自も能力もバラバラだったが、共通して『初対面の相手との能動的なコミュニケーション』という物が余り得意な方ではなかった。
しかも、今二人がいるのは殺し合いの場。
初対面の相手と気軽に仲良くなれるような環境ではない。
「「……(どうしよう………?)」」
相手とどんな話をすべきなのか分からず、
智世もアキも互いをチラチラと見ながら黙りこんだまま、ベンチに座り込んで数分が過ぎていく……。
……と、その時であった。
「もしもーし」
『?』
不意に背後から声をかけられ、二人はつい振り返った。
そこには……
「バアッ!!」
『うわああぁぁ!!』
大人の背丈程の巨大な髑髏が血走った目で二人を睨み付けており、二人の少女は思わず悲鳴を上げたのだった。
「……へっへっへっへっへっ」
巨大な髑髏は、まるでイタズラが成功した子供のような笑い声をあげると……
「……よっと!」
……一瞬にして、青い繋ぎの服を着たアキや智世よりも年下の金髪の少年に変化したのだった。
「驚かしてゴメンな。女の子が二人して思い詰めた顔してたから、和ませようと思ってさ」
金髪の少年は屈託の無い笑顔を浮かべてる。
突然の事態に智世もアキも言葉が出ない。
そこへ智世が少年に声をかけた。
「き、君は……?」
「オイラは、オバケの風郎太。よろしくな♪」
「お、オバケ……?」
「うん、オバケ」
少年……風郎太は満面の笑みを浮かべながら、自身を『オバケ』と自称した。
魔法使いの弟子(兼未来の嫁)として、普段から妖精や精霊といった『人ならざる存在』と親しくしている智世であったが、
自ら『オバケ』と名乗る者と会うのは初めての事であった。
「……でも足あるし、頭に三角形の布も無いよ?」
その一方、アキは風郎太を指差しながら、
いささかトンチンカンな発言をしたのだった。
「いや、それは『オバケ』じゃなくって『幽霊』の特徴だから」
「………?」
アキの発言に風郎太は真顔でツッコミを入れるが、アキはまたも首を傾げた。
「えっと……『オバケ』も『幽霊』も同じじゃないの?」
「いや、全然違うから!」
「あ、あのね宮下さん……」
「『アギラ』でいいってば」
その後、智世と風郎太は『オバケ』と『幽霊』の違いについて、アキが理解できるように詳しく説明したのだった。
☆☆☆
風郎太のおかげ(?)で、幾分気持ちがほぐれた智世とアキの二人は、風郎太も交えて三人で情報交換を開始した。
だが………
「『超人』に……『超人課』?……ごめん、聞いた事ないや」
「『怪獣娘』……『GIRLS』……そんなの、聞いた事ないけど……」
「『魔法使い』って……輝子さんの仲間か?」
……お互いの『常識』があまりに違い過ぎて、3人の頭上には大量の?が浮かんでいた。
アキは自らを『国際怪獣救助指導組織、通称『GIRLS』に所属する怪獣娘の一人』と説明したが、智世も風郎太も『GIRLS』という組織だけでなく、『怪獣娘』の存在すら知らなかった。
アキが怪獣娘について、『過去に地球に出現した怪獣の魂を宿した女の子の事』と説明して風郎太は一応理解したのだが……智世にとって『怪獣』とはテレビや映画の中だけの『架空の存在』であり、それが実際に出現したなんて話は一度も聞いた事がなかったのだ。
同じく、智世が自分について『イギリスで修行している魔法使いの弟子』(※嫁云々は話がややこしくなるので伏せた)だと語っても、アキにとって『魔法使い』とは『絵本の中だけの存在』という認識だったし、風郎太にいたっては「魔法使いって、魔女っ娘の仲間かなんかか?」とか真顔で聞いてくる始末だ。
そして、風郎太は自らを『人々の平和を守る『超人』達を守る超過人口審議研究所、通称『超人課』の一員』と語ったのだが………やはりアキも智世も『超人課』なる団体を全く聞いた事が無く、そもそも『超人』というものに関しても、テレビや映画等に出てくるいわゆる『正義の味方』的な『架空の存在』としか認識していなかったのだ。
「えっと……ところで、今年は何年か分かる?」
智世が話題を変えようと、何気なくそんな質問をすると……
「えっ?『神化45年』だろ?」
風郎太は真顔でそう答えた。
「『しんか』………?」
「えっと……しんかって、何?」
風郎太の返答に、アキと智世はまたしても首を傾げた。
「何って……今年の年号に決まってんだろ?」
「えっ?いや、今年の年号は『平成』だよ?平成29年」
「……はぁ?『へいせい』?なんだそれ?」
アキの返答に今度は風郎太の方が首を傾げる。
二人の話を横で聞きながら、智世の背中に何か……吹雪が吹き荒れる荒野を裸で歩くような冷たい感覚が走った。
「え、えっと……できれば、『年号』じゃなくて、『西暦』で言ってくれると、助かる……かな?私、今イギリスで暮らしてるから」
「えっ?『西暦』だと……確か……」
風郎太は少し考えた後に答えた。
「……19××年くらい、だったかな?」
『えっ?』
風郎太の言葉に、アキも智世も目を丸くする。
「な……何言ってるの?今は2017年だよ?」
「……はぁ?」
アキが口にした年代に、今度は風郎太が目を丸くする。
「ね、ねぇ?そうだよね?」
アキは見るからに困惑の表情を浮かべながら、智世に同意を求める。
だが……智世の顔はアキ以上に青ざめていた。
「いや……私がここに来る直前に見たカレンダーには……『2023年』って書いてあった……」
『………どういう事(だよ)?』
お互いの常識だけでなく、時間の認識すら異なっている。
更に詳しく確認してみれば、アキと智世は19××年代の日本の年号は『神化』ではなく、『昭和』だと認識していた。
一体これはどういう事か?
その時、智世の脳裏にある事が浮かんだ。
「……別の世界」
『?』
智世が口走った言葉に、アキと風郎太は首を傾げる。
「つ、つまり……私達はそれぞれ『似ているけど全く違う別の世界』……『パラレルワールド』とか、そういう感じの場所からここに連れて来られた。だから、お互いの『常識』も『時間』も、全然違う……そういう事、なんじゃないかな?」
『………』
あまりに突拍子も無い話だったが……アキも風郎太も、確かにそう考えるとつじつまが合う気がしていた。
過去に怪獣が出現し、その魂を宿した『怪獣娘』が存在する世界。
世間一般から隠された場所で、『魔法使い』が実在している世界。
『昭和』の代わりに『神化』という年号が採用され、『超人』的な存在が人助けを行っている世界。
少なくとも、アキや智世、それに風郎太は全く異なる3つの世界から連れて来られたと考えれば……全てのつじつまがぴったりと合った。
「なんだか……SF映画みたいな話だね?」
「……まぁ、どっちかって言ったら、『ファンタジー』か『オカルト』だけどね」
アキのこぼした感想に智世は苦笑いを浮かべるしかなかった。
「えっと……つまり、あれがああだから……」
一方、風郎太は智世の話を理解しようと、必死に頭を動かしていたのだった。
☆☆☆
「………で?これからどうするんだ?」
それから数分後、
智世の話をどうにか理解できた風郎太が、アキと智世に今後の方針を聞く。
「どうする?って言われても……」
「……どうしようか?」
アキと智世はお互い顔を見合せながら、首をひねる。
進んで人殺しをするつもりは無い。
だからといって、この会場から脱出する為の手段も方法も思い付かない。
そもそもアキも智世も、自分から能動的に行動するのはあまり得意ではなかったのだ。
「「…………」」
アキと智世はまたしても、黙り込んでしまう。
そんな二人の様子に、風郎太は頭を掻きながらため息を漏らした。
「はぁ〜………あのさぁ、一々考えこむ度に難しい顔して黙り込むの、止めようぜ?一応ここ、『殺し合い』の場なんだし」
『ウゥ……』
風郎太に痛い所を突かれてしまい、アキと智世は苦い顔を浮かべながらその意見に納得する。
ここは殺し合いの場。
殺人に嫌悪感や拒否感を持つ者ばかりとは限らない。
中には『どんな願いも叶える』という甘い誘惑に乗る者もいるはずだ。
それにもしかしたら……自分たちの友人や知り合いも、この会場のどこかにいるかもしれない。
『………』
そこまで考えて、アキと智世は互いの顔を見合せながら静かに立ち上がった。
「えっと……とりあえず、もうすぐこの『ホットライン』って言うので参加者の名簿が見られるらしいから、まず名簿を確認しよう。それでもし、名簿の中に知り合いの名前があったら、探して合流しよう」
「……うん。私もそれでいいよ」
アキが今後の方針を決めると、智世もそれに同意し、二人は顔を見合せながら笑った。
「よーし!んじゃあオイラは、この会場から出られるまで、二人の事を守るぜ!違う世界の人でも、『超人を守る』のが超人課の仕事だからな!」
風郎太はニッカリと笑いながら、自身の胸を叩いた。
その姿を見ながら智世は苦笑する。
「『超人』って……私は『魔法使い』であって、超人なんて凄いものじゃないよ?」
「問題ねぇよ。オイラの入っている超人課じゃあ、宇宙人でも怪獣でもロボットでも妖怪でも魔女っ娘でも、『人間より凄い力を持ってて、その力を人間を助ける為に使う奴』は、み〜んな『超人』って扱いだからな♪」
「………なんか『アバウト』っていうか、結構『いい加減』なんだね」
「………確かに」
風郎太の語る『超人』の定義に、少し唖然となるアキと智世であった。
【羽鳥智世@魔法使いの嫁】
状態:健康、少し気持ちがほぐれた
服装:普段着、左腕に長手袋
装備:無し
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本行動方針:人殺しはしたくない
1:名簿を確認して、知り合いがいたら合流する
2:宮下さんと風郎太と行動する
3:……私は『超人』じゃなくて、『魔法使い』なんだけどなぁ?
備考
アニメSEASON2第1話開始直前から参戦。
アキと風郎太より、『怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜』世界と『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』世界に関する大まかな情報を入手しました。
『竜の呪い』関連の制限は後の書き手さんにまかせます
【宮下アキ(アギラ)@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
状態:健康、少し気持ちがほぐれた
服装:普段着
装備:無し
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本行動方針:人殺しはしたくない
1:名簿で知り合いの名前があったら、探して合流する
2:智世ちゃんと風郎太君と行動する
備考
アニメ第二期からの参戦。
智世と風郎太から『魔法使いの嫁』世界と『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』世界に関する大まかな情報を入手しました。
現状、ソウルライザーが無いと怪獣娘に変身できません。
【風郎太@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
状態:健康、頭を使って少し疲れた
服装:青い繋ぎ
装備:無し
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本行動方針:人殺しはしない
1:超人課の一員として、アキと智世を守る
2:知り合いがいたら合流する
3:違う世界の人でも、『超人』を守るのが超人課の仕事だ!
備考
神化45年頃(第一期終盤(神化43年)から第二期序盤(神化46年)の間)からの参戦
アキと智世から『怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜』世界と『魔法使いの嫁』世界の大まかな情報を入手しました。
アキと智世を『違う世界の超人』と認識しています。
細かい能力制限等は、他の書き手さんにお任せします。
投下終了します。
二作連続で投下します。
「1つ問おう!この殺し合いを終わらせるには何が必要だと思うかね? そう……優勝だ!」
【ダークマイト@僕のヒーローアカデミア】
状態:正常
服装:スーツ
装備:金の指輪と金貨@僕のヒーローアカデミア
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:象徴を引き継ぐ者として、このゲームを破壊して優勝する
01:次は……俺だ!
参戦時期:本編、日本に襲来する前
備考
※本編での敗北前なので粗暴、ナルシスト、傍若無人の3つが合わさった自己顕示欲の塊かつオールマイトとは似ても似つかない全方位に迷惑しかかけていない秀逸な場違い野郎です。
金の指輪と金貨@僕のヒーローアカデミア
ダークマイトに支給。
元々自身の持ち物で、錬金で使用する触媒。
制限により建造物や多数の錬金兵を生み出すことはできない。
あとにしてくれ! by轟焦凍
私たちを父子とするのは、血肉ではなく、心である。
フリードリヒ・フォン・シラー
「はぁ……はぁ……はぁ……」
必死に走る女性。
女性の名は九堂りんね。
東京都砧区襟草にある富良洲高校に在籍する2年生。
いわゆる花のJK。
しかし、その正体は学校の地下にある錬金アカデミーに通う錬金術師。
「いい加減、鬼ごっこはそこまでにしてもらおうか」
りんねを追いかけるのは金色の仮面男。
名はブラフマン。
―――ス
ブラフマンの手信号に呼応した護身剣がりんねを切りつける。
「いっ……た!?」
一本はなんとか避けることはできたが、ブラフマンの護身剣は二本ある。
二本目の切っ先がりんねのふとももをピッと切り裂く。
痛みもあり、りんねはよろけると転ぶ。
「案外、手こずらせたものだ。それで……君はあの場にいた、一ノ瀬宝太郎 ……いや、仮面ライダーガッチャードとも呼ばれていた男と同じ服装をしている。 知っていることを話してもらおうか?」
(狙われるとは思っていたけど……)
あの場にいた同級生の一ノ瀬宝太郎と同じ服装をしていることから、自分は、他の参加者たちの注目にはなると思っていたが、まさかゲームに乗った参加者にいきなり襲われることにりんねは自身の運の無さを恨む。
「だれが……貴方なんかに教えるものですか」
(錬金術を……ダメ!一般人に錬金術を使うのは掟に反する)
九堂りんねを称するなら”優等生”
勿論、この状況が普通ではないことはりんねも百も承知。
しかし、この危機的状況においてもりんねを縛り付ける。
”ルールを守ること”
無理もない。
錬金術は大いなる力だ。正しくルールを守り希望を照らすために使うべきだ
それが父、九堂風雅の教えなのだから。
☆彡 ☆彡 ☆彡
あれからりんねは、ブラフマンに腹を蹴られたりしていた。
それでも、りんねは口にしない。
おそらく、この男は、情報を引き出せるだけ引き出したら、自分を殺すと確信しているから。
「思ったより、強情だな……ここで、無駄な時間をとるわけにもいかない」
ブラフマンはやれやれ時間の無駄足だったと言わんばかりに首を左右に振る。
「どちらにせよ、僕たちは殺し合いをしなきゃ生きて帰れない。それがこのゲームのルールだ」
「君も見たところ学生みたいだが、なら、わかるだろ?校則というやつだ」
「うるっ……さい!」
りんねは、よろよろと立ち上がる。
そして、唱える。
「万物は、これなる一者の改造として、生まれうく」
錬金術を。
「うおっ!?」
突如、地面から柱が出現する。
ブランマンは、急いで距離をとる。
未知なる錬金術なため。
「私のルールは!私が決める!」
掟は大事だ。
でも、ここで自分は死ぬわけにはいかない。
そう、りんねには、やらなきゃいけないことがある。
それはおそらく生きているであろう父に会うこと。
掟を破り、姿を消した父に。
そして、思いっきり文句をいうために――――
「ふん。くだらない精神論だ」
ブラフマンは仮面の奥で嗤う。
りんねのケツイを。
そして、結論を出す。
りんねを殺すと。
再び護身剣がりんねを襲う。
今度は命を刈り取ろうと。
また、錬金術を……ダメ!間に合わない――――
やっぱり、私ここで死ぬの?
一之瀬……お父さん――――
SMASH!!
「なっ!?」
「……え?」
絶対窮地を救ったのは―――
「麗しき少女よもう大丈夫!俺が来た」
象徴を引き継ごうとした男
☆彡 ☆彡 ☆彡
「俺は……象徴になれなかった……」
「所詮、ただのマフィアのドンでしかなかったのか……」
魂が抜けたようにぶつぶつと呟く男の名はバルド・ゴリーニ。
ヨーロッパ最大のマフィア【ゴリーニ・ファミリー】の首領(ドン)
オールマイトの力を上辺だけしか見てなかった狂信者。
そして今は、オールマイトになりたい者の末路。
敗北者。
力のみによる支配は恐怖しか生み出さない
それは、父の言葉。
息子の想いを理解してくれなかった父の。
だから、殺した。
そして宣言した。
オールマイトの次は俺だと。
―――次は、君だ
しかし、すべては夢の跡。
象徴生誕の地である日本で華々しくデビューするはずが、あっけなく散った。
オールマイトが本当に託した次代の若者達によって。
理想(ゆめ)が潰えた彼は、牢獄でただ生きるのみ。
それは、ダークマイトの現実(じごく)
「……ッ!!!!!」
「この声は……?」
声が聞こえた。
覚束ない足とりで声がする場所へ歩く。
すると目撃した。
日本人らしき少女が金仮面に襲われているのを。
救わなければ
”オールマイトならそうする”
しかし、足が進まない。
一歩も。
「無理だ……俺はオールマイトの次ではなかったんだから」
おめーがオールマイトを騙ってんじゃねえ!!!
俺の顔がァァァァ!!!!
そう。ただの勘違いのニセ筋。
あの少女は、他の参加者が救うだろう。
―――次は、君だ
オールマイトとは似ても似つかない…!!
この場には仮面ライダーなる者やパワードスーツなるサポートアイテムなどがあるらしい。
なら、英雄は必要ない。
「俺は……」
―――次は、君だ
関係ない人たちを巻き込むなんて事 オールマイトは絶対にしない!!!
そうだ……俺は間違っていた。
俺よりもあの少年の方がオールマイトのことを理解していた。
「……俺はッ!」
わかってる!わかってるんだよ!
それでも!俺は!
―――次は、君だ
「次は!俺だぁぁぁぁぁ!」
男は走り出す。
今度こそ、継承者となるために。
世界の象徴となるために。
PLUS ULTRA
☆彡 ☆彡 ☆彡
「……君は、一体どこの誰かな?」
「俺か?ふっ……俺はダークマイト。次代の象徴となる男さ」
ブラフマンの問いかけにダークマイトは自信満々に答える。
その姿は先ほどまでの無様さとは余りにも無縁。
時代の敗北者ではなく自信満々の王者の立ち振る舞い。
一方、ブラフマンもダークマイトが口にした”象徴”という言葉にピクリと体を震わす。
「象徴……だと?」
「1つ問おう!この殺し合いを終わらせるには何が必要だと思うかね? そう……叛逆さ」
「問おうと聞いておきながら、自己完結するなんて随分自己中心的な象徴だ」
「当然さ!象徴とは自分の力を疑わない。だから、象徴は地位と名誉を手にするのだよ!」
ダークマイトはポージングをすると、自慢の筋肉を見せつける。
白い歯も忘れずに。
「ふ……己惚れもここまでいくと見ていられん」
(……ふざけるなっ!)
”こんな痛い奴”が象徴であってたまるか
もし、自分の会社の部下だったら即刻、懲戒処分……解雇を言い渡しているだろう
「君のようなのがかい?はっ、ジョークがお上手のようだ」
「象徴とは……そう!リグレット様のことを指すのだよ!」
ブラフマンの言葉と同時に護身剣が襲い掛かる。
自称象徴を刈り取るために。
「……」
オールマイト……叶うならもう一度俺が……
この俺が貴方を……象徴を引き継ぐことを許してほしい!
「これが、象徴の力だぁぁぁぁぁぁ!」
巨大な黄金の手がブラフマンを―――
包みーーー
「す……凄い」
りんねは驚愕する。
突如、現れた人物の力に。仮面ライダーに匹敵するその力に。
一方、りんねの想いとは裏腹にダークマイトは勝利とは無縁の表情。
なぜなら―――
「……逃げたか」
その場にブラフマンはいなかったからだ。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「まったく……あと少しだったというのに」
ブラフマンは落胆する。
出鼻を挫かれたことに。
自称象徴の思わぬ力にブラフマンは、瞬時に身の危険を察し、りんねを襲う前に会場で手にしたエナジーボールの力で危機を脱出した。
「まぁ、いい。最後に勝ち残れさえいればいいのだから」
ブラフマンの望みは、参加者を殺すことではない。求むは理想の権利のみ。
「小夜子、待ってなさい。今度こそリ・リドゥを超える新世界をお前に与えるからね」
くふふ、くふふふふ……
引きこもりの娘とのコミュニケーションが満足にできなかった結果が”これ”。
どこまでも恥を知らぬ父親の愛。
それは、ブラフマンの現実(じごく)
【ブラフマン@カリギュラ2】
状態:正常 疲労(小)ダークマイトへの苛立ち(大)
服装:リドゥでのアバター
装備:マクアフィテル@ソードアート・オンライン 護身剣×2@ Caligula2
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:小夜子への愛のため、優勝して理想の権利を手に入れる
01:ひとまず、休憩する
02:象徴は奴(ダークマイト)ではない。リグレット様(小夜子)だ
03:私は負けない……愛はなによりも強い!
参戦時期:本編終了後
備考
※名簿には本来の苗字と肩書である人見課長ではなくブラフマンとして記載されています
マクアフィテル@ソードアート・オンライン
ブラフマンに支給。
ユウキが愛用する黒曜石の剣。
本ゲームでは、絶剣と謳われたユウキのソードスキルを使用することができる。
今を精一杯生きなきゃ……でしょbyユウキ
護身剣×2@ Caligula2
ブラフマンに支給。
ブラフマンを守護する自律行動する2本の剣。
……これが愛だ。愛はなによりも強いbyブラフマン
☆彡 ☆彡 ☆彡
ブラフマンが去った後、ダークマイトとりんねは互いに知っている情報を交換した。
「え〜っと、つまりダークマイトさんは、憧れの人に託された意志を引き継いで、象徴になろうとしているんですね?」
「そうだとも〜!りんね。君は聡い子だ。」
「……どうも」
(でも……話を聞く限り、この人オールマイトって人のこと理解しているようで理解できていないような……だけど、助けてもらったし、それを指摘するのはかわいそう。……黙ってようかな)
世界が違うため、当然りんねはオールマイトを知らない。
だが、ダークマイトの言葉のみで容易に推測できた。
ダークマイトのオールマイトなる人物への理解の浅さと曲解を。
ついでにいうのなら言動の節々にある自己顕示欲にも。
故にダークマイトの称賛にりんねは苦笑をするしかない。
「……」
お前は光ではなく。闇を求める敵(ヴィラン)だ!
―――親愛なるオールマイト。このダークマイト(ネーム)は貴方から授かった
俺は間違っていた……同じ過ちは繰り返さない
だから、もう一度ダークマイトとして名乗り、活動することを許してほしい
そして、貴方に認めてもらいたい……か弱き参加者たちを導きつつ、この愚かな主催者共に叛逆を成し遂げた暁には、敵(ヴィラン)ではなく英雄(ヒーロー)として
「さぁ!りんね。俺の錬金と君の錬金でこのゲームを終わらせようじゃないか!ここから、ダークマイト伝説の再上演(リサイタル)だぁぁぁぁぁ!」
がしっ!とりんねの肩を掴み引き寄せるとダークマイトは宣言する。
今度こそ象徴となるために。
オールマイト(憧れ)に認めてもらうために
オールマイト(憧れ)を超えるために――――
「……あの、女性に対して軽々しく体に触らない方がいいですよ?はっきりいってセクハラです」
「……おじさん、ちょっぴり悲しいねぇ」
【ダークマイト@僕のヒーローアカデミア】
状態:正常 疲労(極小)
服装:ヒーローコスチューム
装備:金の指輪と金貨@僕のヒーローアカデミア
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:オールマイトの後継者としてゲーム運営への叛逆
01:九堂りんねと行動を共にする。ダークマイト伝説の再上演(リサイタル)だ
02:同士となる参加者を募りつつゲームに載った敵(ヴィラン)を退治する(基本は殺しはしない)
参戦時期:映画終了後(敗北後)
備考
※デクたちとの闘いで敗北したことで自分を見つめなおした結果、か弱き人々を救おうとする思いやりが生まれました。また、粗暴、ナルシスト、傍若無人の3つが合わさった自己顕示欲は多少鳴りを潜めています。(ところどころ出る)
※りんねの錬金術について理解しました。
※りんねの世界(ガッチャ―ド)について理解しました(りんねが知っている範囲)
※りんねには、本編での愚行を話してはいません。(父殺しも含め)
金の指輪と金貨@僕のヒーローアカデミア
ダークマイトに支給。
元々自身の持ち物で、錬金で使用する触媒。
制限により建造物や多数の錬金兵を生み出すなどといったことはできない。
旧態にしがみつく者どもよ、新たな象徴を前に己の脆弱さを思い知るがいい byダークマイト
【九堂りんね@仮面ライダーガッチャード 】
状態:正常 疲労(小) 負傷(中)
服装:錬金アカデミーの制服(青)
装備:アルケミストリング@仮面ライダーガッチャード
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:決着2のゲーム運営への叛逆
01:ダークマイト共に叛逆の仲間を探す(一ノ瀬宝太郎など)
02:このダークマイトという人……いや、
03:一之瀬……無茶してないかしら?
参戦時期:最強ケミー★ガッチャ大作戦より前
備考
※参戦時期の関係から父の真相を知っていません。また、現時点では仮面ライダーマジェードには変身できません。
※ダークマイトからヒロアカ世界のことを何となく理解しました
※ダークマイトの個性(錬金)について理解しました。
※ダークマイトが劇中に行ったこと(愚行)は知りません。(父親を殺したことも含め)
アルケミストリング@仮面ライダーガッチャ―ド
九堂りんねに支給。
元々自身の持ち物で、錬金で使用する専用の指輪。
無理でもやらなきゃ!それが私の… 錬金術師の使命だから! by九堂りんね
投下終了します。
2作目のタイトルは「If you love what you are doing, you will be successful.」です。
投下します
この会場には、ショッピングモールが存在している。
3階建て、映画館や観光地にもなる娯楽施設、レストラン街、食品館に無数のファッション用品店。
ここが普通の場所であれば、休日は人で賑わっていたであろう。
そこには、場違いな男がいた。
服装は道着、格のある武道家のような男であった。
どことなく、世間知らずな雰囲気を醸し出していた男は、3階を歩いていた。
「…むっ」
道着をなびかせながら、男は何かを見つける。
泣いている――顔は見えぬ、ちょうど柱の下でうずくまっている。
(何かがあったか…)
その男はそう思い、近づいていく。
少女との距離は数十メートル、下手に走ると怯えられると思い、ゆっくりと歩く。
そうして、少女の目の前に立つ。
「君、大丈――」
その瞬間、少女の目つきが変わった。
それは獲物を待って牙をむき出した獣のように、腕についた鉤爪のようなものであり、男に襲いかかる。
◆
ここで一つ、疑問を投げかけよう。
この瞬間、勝者は男であることが決まっている。
それは何故か?
答えは頬にかすった際に起こった摩擦だ。
しかし、男は能力者ではない、つまりこれは一人の男が放とうとしている「武術」なのだ。
少女も「普通」に則り、勝利の笑みのようなものを浮かべて襲いかかったのであろう。
しかし、それは不可能であった。
なぜなら、それは襲った相手は不運にも――
柔応――嵐山十郎太なのであったのだから。
◆
「へ?」
瞬間、少女は投げられた。
投げたのは吹き抜け側ではなく、店舗側、嵐山がこれを行ったの理由がある。
できれば人は殺したくない、ひとえにそれであった。
別に彼は不殺主義者ではない、別に最悪の選択を取らなければならないなら、苦虫を噛み潰しめても選択するのであろう。
しかし、今は余裕がある、少なくとも、頭は思いっきり打つだろうから、数十分は動けないが、ダメージは抑えれるだろう。
(私には…やらねばいけなことがある…)
道着をなびかせながら、嵐山は少女の元を後にした。
【嵐山十郎太@ケンガンオメガ】
状態:正常
服装:道着
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:殺し合いからの脱出
01:各地を歩いて回る
02:もし…目黒殿がいるなら…
参戦時期:対抗戦第8試合前
(あーくそ…!やられた…脳に結構くる…!)
"振られた"少女は、その場に頭を押さえながら転がるしかなかった。
眼帯の少女、結城奈緒は、ここに来る前から「殺し合い」に放り込まれていた。
(どこ行っても…あたしはこんな目しか…とにかく…今はどうにも…)
うずくまりながら、エレメントを研ぐ。
少女の反抗心は、未だ研ぎ澄まされていた。
【結城奈緒@舞-HiME】
状態:正常 ダメージ(中)
服装:風華の制服
装備:自身のエレメント@舞-HiME
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:どんな手を使ってでも生き残る
01:とにかく今は体を休める。
02:とにかく生き残る、そのためならなんだってする。
参戦時期:少なくとも失明後から
備考
※チャイルドは制限で使用不可となっています
【施設解説】
ショッピングセンター@現実
会場内の何処かに設置されたショッピングセンター。
地上3階建て、300台止めれる駐車場あり
主要テナントは
1階 スーパーマーケット、大型雑貨店、フードコート
2階 家電用品店、大型書店、大型衣料品店
3階 レストラン街、ゲームセンター、映画館、屋内運動施設
その他衣料品店や雑貨屋あり。
投下終了です
投下します
「男爵もシュマロもいないか。
そもそもここは何処だ。殺し合いだなどとふざけたことを。」
森林のようなゲームエリアを、ビスケット王子は額に青筋を浮かべ大股で歩いていく。
小さな王冠を乗せ、王族然とした仕立てのいい服に身を包んだ彼は、忌々しそうに顔を歪めている。
妹を探す最中突然殺し合いに巻き込まれたこと。王族である自分がただ一人でどことも知らない場所に放り出されたこと。
その全てに苛立ちを覚えている彼だが、目下気にするべきは彼の武器だ。
その右手には、ポテトチップスが連なったかのような曲剣が握られている。
目に見えてわかる武器が支給されている時点で、殺し合いにおいて優位に立っているともいえるはずだが。王子はこの武器――王子が知るのはもう少し先の話だが、ザクザクチップスラッシャーという名前である――にあまり納得していなかった。
悪い剣だとは思わなかった。長さのわりに非常に軽く扱いやすい。
だが、この剣を得る代わりに本来の武器が失われているのはリターンが見合っていないだろうと、運営への恨みを込めた目で胸ポケットに視線を落とした。
今は埃1つ残っていないすっからかんのポケットには、彼の武器...ビスケットが入っていたはずだ。
「羂索だか梔子だかの話では、ポケットに入る程度の雑貨以外は没収されるとのことだが...まさかビスケットまで没収されるとはな。」
それも仕方ないか。焦りと不安を抑え込むように彼は自分に言い聞かせる。
菓子能力者(カシマスター)である彼の能力は、対応するお菓子(ビスケット王子の場合はその名の通りビスケットである)を食べてこそ。
他の人間であれば、ポケットに収まるビスケット数枚程度、よほどの理由がなければ取られることはないだろうが、菓子能力者であればその菓子は強力な武器に等しい。
ビスケットの菓子能力者である彼にとって、普通のお菓子であろうと家族で食べた思い出の品であろうと武器。そういうものなのだろうなと強引に納得する。
その事実に物悲しさを覚えながらも、王子の足は止まらない。
他の参加者――当然、殺し合いに非協力的な相手のことだ。――と合流し、一刻も早くこの場所から出たくて手出たくて仕方がないのだ。
彼は幽閉されている妹を探すために行動していた。殺し合いに巻き込まれたのは、その矢先の出来事だったのだ。
焦る王子の足が、がさがさと茂みが揺れ動く音を拾う。
足の震えを隠しながらチップスラッシャーを向けた先には、茶色の毛並みの猫がいた。
ビスケット王子の知る猫と異なる点は、その猫が服を着て、二足で歩き、目の前の王子を見て悲鳴をあげそうなほど真っ青な顔をしていたことか。
膨らんだ胸と露出の多い真っ白な服装から女性であると分かるが、獣人と会った経験などないビスケット王子にとって、猫頭の女は”怪物”でしかない。
カタカタと震える声でチップスラッシャーの切っ先を女に向け。合わせて女も悲鳴を上げた。
「ば、化物!!」
「待ってください!違うんです!これはさっき食べたビスケットのせいで……」
「何!ビスケットだと!
貴様ビスケットを持っているのか!?」
茂みから飛び出した猫の顔をした女に対する怯えは、彼女の発言と共に吹き飛んだ。
女の口から出てきた、喉から手が出るほど欲しいビスケット(ぶき)のこと。
支給品にあった見たこともない武器より、ビスケット王子にとってよほど必要なアイテムを前に。剣を投げ捨て目の色を変えて掴みかかる。
当然、女もまたいきなり血相を変えて男につかみかかられて冷静ではいられない。自分の姿が原因とは言え、先ほどまで剣を向けられた相手であればなおさらだ。
「お、落ち着いてください!」
「これが落ち着いていられるか!!ボクにはそのビスケットが必要なんだ!!」
猫女とビスケット王子の喧しい叫びが、森の中でこだました。
◆◇◆◇◆
頭を冷やしたビスケット王子は、近くの洞窟に腰を下ろしていた。
向かいには先ほどの女が同じく疲弊した様子で、岩に腰掛けている。
既にその姿は猫頭ではなく、ビスケット王子より少し年上の温和な雰囲気をした美女であった。
ふわりと金色の髪をなびかせ、露出こそ多いが清廉とした印象を与える衣服に身を包む女。
先ほどまでの怪物じみた姿は、彼女に支給されたアイテムによるものだという。
少し冷静になった両者(主にビスケット王子)は、互いに戦闘の意思がなく、殺し合いにも非協力的だと分かり。自己紹介を兼ねた情報交換を行っていた。
「ジオ・テオゴニアのプリンセス・ライラエル……」
「オアズーケ王国のビスケット王子。ですか……」
互いに自分たちの情報をすり合わせながら、王子は違和感を抱く。
自分の世界では既に常識になりつつある(王子の属するオアズーケ王国が行っているので、『させつつある』のほうが適切だが、心象が悪くなる可能性を考えぼかして説明した)お菓子禁止令どころか、オアズーケ王国も菓子能力者(カシマスター)も知らないという。
逆に王子もライラエルの説明にピンとくる用語は1つもなく。彼女がジオ・テオゴニアという世界を収める存在であることと、その世界には人間以外にも多数の種族が住んでいることを理解するので精いっぱいだ。
よくよく見ると白い翼を背に生やした彼女の姿には、美貌も相まって物語に出てくる天使をビスケット王子は連想したが。曰く彼女は人ではなく、天使族と呼ばれる種族なのだという。
「しかしどういうことだ。ボクのことを知らないくらいは覚悟していたがここまで情報が食い違うとは。
天使が治める竜人や妖精が暮らす世界なんて、まるで何かのゲームのようじゃないか。」
「私も驚いています。お菓子を食べることが許されない世界なんて……。私でしたら耐えられません。」
ビスケット王子はファンタジー世界のようなライラエルの話に頭を抱え、甘党のライラエルはお菓子禁止令の存在を嘆いている。
互いに相手の品格ある立ち振る舞いから語られた内容は事実だと、ビスケット王子もライラエルも確信していた。
だが、相手の話が下手な冗談ではないのならば、なぜこうも情報が食い違うのか。
そこだけが腑に落ちず悩む王子に、「推測なのですが。」とライラエルが切り出した。
「貴方と私……いいえ、この殺し合いに参加させられているのは、別の世界の方なのではないでしょうか。」
「別の世界?そんなものあるわけが...」
思わぬ発言に否定的な返答を返すが、ライラエルは王子の発言に首を横に振る。
「私は元居た世界で、別の世界の人間と出会い友誼を結んだことがあります。
それにあの羂索という者の発言。彼女の言葉の節々からは、別の世界があることを仄めかされていたように思うのです。」
「ふむ...」
ビスケット王子が思い出すのは、羂索が全参加者に名乗った時の発言だ。
――『私と同じ世界の出身者、或いは呪術を知る者には呪胎九相図を造り出した加茂憲倫と同一人物だと言えば伝わるかな?』
(確かに、ライラエルの言う通り自分とは違う世界がなければ、”同じ世界の出身者”と言った言い回しはしないだろう。
『仮面ライダー』に『魔戒騎士』に『聖杯戦争』といった言葉に、あの人を操る力を持つ青年に動物になるビスケット……随分と不思議なものも、別世界のものであるとすれば納得もできるか。)
別世界との交流経験があるライラエルだからこその推察だが、ビスケット王子にしてみてもそう考えれば腑に落ちる。
彼の15年生きた常識から外れた考えだが、そもそもグッド・テイス島に居たはずの自分がどことも知らない場所に拉致されていること自体が、自分の常識から全く異なっているのだ。
疑念や不安が無いとは言わないが、頭ごなしにその説を否定する要因もなければ理由もなかった。
「ライラエルさんの推測は恐らく正しい。というか、そう考えるのが今は最善だろう。
……普段のボクなら、荒唐無稽と断じただろうが。今は状況が状況だ。
一刻も早く元の場所に戻るためなら、どんな夢物語だろうと受け入れるさ。」
拳をわなわなと震わせるビスケット王子に、ライラエルは不安そうに顔を向けた。
軽く情報交換をしただけの相手だ。相手のすべてを知っているわけではなく、互いに伝えていないこともあるだろう。
だが、彼がなぜビスケットを求めるのか。そして焦りさえ感じるほどに一刻も早く戻りたがっているのか。その理由についてはすでに聞いていた。
「ビスケット王子。貴方の妹さんが、元居た島に幽閉されているのでしたね。」
「正直な話。普段のボクならあの羂索だか梔子だかいう女の甘言に乗っていたかもしれない。
だが、今は違う。ボクを元の場所に戻し、クッキーを救うことが出来るのなら。理想を叶える権利などどうだっていい!」
岩壁を荒々しく叩き、ビスケット王子は息を切らせる。
その姿を前にライラエルは優しく微笑み、自分のリュックから金属製のケースを取り出した。
ポコンとケースを開く音が洞窟に響き、中にある無数のビスケットが露になる。
様々な種類の動物の姿で美味しそうに焼き上げられたそれは、22世紀の秘密道具の1つ。
先ほどはライラエルとビスケット王子を大きくふためかせたアイテム、動物になるビスケットであった。
「ライラエルさん。これは...」
「菓子能力者(カシマスター)とおっしゃいましたね。
あなたはビスケットを食べることで、菓子に準じた能力が使えるようになると。
であるのなら、このビスケットは私より貴方が持っておくべき物ではないですか?」
ライラエルの言葉に、灯に引き寄せられる虫のようにビスケット王子の手が伸びる。
そのビスケットは、ビスケット王子にとっては喉から手が出るほど欲しいものだ。
自分の能力を使えるだけにとどまらない。さっきライラエルが変身したのは猫だったが、肉食の動物になればそれだけで攻撃力も増大する。
ごくりと喉を鳴らす王子だったが、その手はケースを受け取る直前で止まった。
「いいのか?ボクは仮にもあなたに武器を向けたんだ。
それに見たところ、そのビスケットには鰐や熊など変身するには危険な動物も混ざっている。そんな動物にボクが変身すれば、貴方を抑え込むのは難しくないだろう。
これまでの話は全て貴女の信頼を得るためのウソで、ビスケットを手に入れた瞬間ボクが襲ってくるとは考えないのか?」
「王子がそのような人物なら、ここで話し合いなどせず初めに猫の姿で出会った時に斬りつけていたのでは?」
「んっ……それはそうかもしれないが。」
「それに、私は確かに王子のことをほとんど知りません。何か秘密を抱えているであろうことは想像がつきます。
そんな私にも、王子が妹さんを救いたいという思いははっきりと伝わってきましたよ。」
――貴様のようなクズでも妹には愛情があることが分かった。だからオレは協力したいのだ!
(どいつもこいつも。似たようなことを……)
グッド・テイス島であの憎らしい鐘木チョコにも同じようなことを言われたことを、ビスケット王子は思い出す。
よくよく考えれば、あの島では憎らしいレジスタンスと休戦することもできたのだ。今更見知らぬ姫と手を組むことなど、妹のためなら難しくもなんともない。
伸ばしていた手で差し出されたビスケットのケースを掴み。数枚取り出しポケットにしまう。
おやつを隠しただけのように見える動きだが。菓子能力者(カシマスター)であるビスケット王子にとっては戦闘に対する備えなのだ。
「分かった。このビスケットはありがたくいただこう。
だが貴女は見たところ丸腰だ。何か武器は持っていないのか?ないのなら例と言っては何だがボクに支給された武器を1つ渡せるが。」
「そのスナック菓子のような剣でしょうか。生憎、そういった武器には不慣れでして……。
それに、私にはもともと使用していた”王家の装備”が支給されています。足手まといにはならないかと。」
そう言ったライラエルの背後には、虹色に発光する三日月状の武装がふわふわと浮いている。
てっきりそういう装飾品だと思っていたビスケット王子だったが、ライラエルによると広範囲に雷撃を撃つことできるきわめて強力な装備だという。
もはや魔法のアイテムだなと、改めて目の前の女が違う世界の住人だと実感する。
「そういうことなら。この剣は変わらずボクが使おう。
ボクのビスケットのように、使い慣れた武器があるのならばそれが一番だからな。」
袋から飛び出たポテトチップスを思わせる、波打つ刃を王子は掴む。
ポテトチップスが武器とは改めて思うと因果なものだなと、一番信頼を置くポテトチップスの菓子能力者を思い出す。
だが、今ビスケット王子の隣にいるのは付け鼻をした男でも、マシュマロを扱う少女でもないのだ。
お菓子の国の姫と同盟を結んだ、お菓子を奪う国の王子。
少なくとも今この場においては、信頼のおける相手であることに間違いはなかった。
「ではプリンセス・ライラエル。暫くの間よろしく頼む。」
「王子は妹さんのために、私は私を待つジオ・テオゴニアの皆のために。お互いに生きて帰りましょう。」
こうして、ゲームエリアの片隅でまた1つ同盟が成立した。
おかしな同盟の行く末は。果たして。
【ビスケット王子@KASHI BATTLE】
状態:健康
服装:ポケットが無数につけられている王族服
装備:動物変身ビスケット@ドラえもん ザクザクチップスラッシャー@仮面ライダーガヴ
令呪:残り三画
道具:動物変身ビスケット@ドラえもん ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:元の世界に帰り、妹を助ける
01:ライラエルと協力 可能であればより複数の仲間を集めたい
02:別の世界があるとは。信じられないが信じるしかないな
03:ビスケットが手に入ったはいいが...動物になるビスケットか。食べても大丈夫なんだろうなこれ。
参戦時期:グッド・テイス島にて鐘木チョコと遭遇(新49話)〜クッキー姫との再会(新60話)までの間
備考 もともと持っていたビスケット@KASHI BATTLEは『武器』と判断され没収されています
他のKASHI BATTLE出典キャラにこの法則が適用されるかどうかは不明です
【ライラエル@プリンセスコネクト!Re:Dive】
状態:健康
服装:いつもの服装
装備:傲慢の王家の装備@プリンセスコネクト!Re:Dive
令呪:残り三画
道具:傲慢の王家の装備@プリンセスコネクト!Re:Dive ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:元の世界に帰る。
01:ビスケット王子と協力 可能であればより多くの仲間を集めたい
02:お菓子禁止令に菓子能力者...私の知る別世界とはまた随分違うのですね。
参戦時期:第三部4章終了後
備考
【支給品解説】
ザクザクチップスラッシャー@仮面ライダーガヴ
・ビスケット王子に支給 仮面ライダーガヴザクザクチップスフォームが使用する長剣
袋から飛び出たポテトチップスのような形状をしている
動物変身ビスケット@ドラえもん
・ライラエルに支給→ビスケット王子に譲渡 食べると一定時間経過した後ビスケットと同じ形をした動物と同じ姿になる。本人に変身した自覚はない。
習性・能力もその動物と同じになり、鳴き声を上げるようにもなる。効果は約5分 一度食べると効果を止める方法はない。
ビスケットであるためビスケットの菓子能力者の能力を発動させることが出来る
傲慢の王家の装備@プリンセスコネクト!Re:Dive
・ライラエルに支給 巨大な三日月のような形状をした武装
装備者の背後に浮遊しており、周囲の敵に雷光を放つ能力を持つ。
通常は紫に発光しているが、使用時には橙色に発光し使用者の人格を傲慢なものに変化させる
本ゲームにおいては装備すれば誰であろうと使用することが可能であり。令呪使用時などを除いて威力は通常より低下している
投下終了です
タイトルは「甘くない世界と、甘い同盟」です
ss0601氏の代理で投稿させていただきます。
……ゆっくりと歩く。
今にも転けそうな、不確かな足取りで。
でも、決して止まることはない。
「ハハッ……バカだなぁ」
口から溢れるのは自身への嘲笑。
意識がアヤフヤな状態な私の記憶曰く、私たちはイカれた殺し合いのゲームに巻き込まれたらしい。
……もう、私にとってはそんなことはどうでもいいハズだ。
命の危機とか可能性が絶たれるとか、夢を叶えられるとか。
そんなことは……もう、気にしなくていいはずだった。
「だって……私はっ!」
馬鹿な、愚かな、最高にカッコ悪い自分に苛立ち、衝動的に強く建物の壁を殴り付ける。
手は痛くない、ただ血が流れ落ちているだけ。
「何も……なんも……手にッ……入らなかったんだから」
遅れて嗚咽と涙が溢れる。
私の、東ゆうのコンパスは壊れていた。
だから、もういいだろう?
ココにずっと居て、死ぬのを待てばいい。
私の心は、そう囁いている。
でも、私の身体は止まらない。
まるで、まだ未練があるかのように決して止まらない。
もう、行くべき場所も、計画も、ノートもないのに。
まだ未来があるからもがき続けろとでも言うかのように歩き続ける。
……。
…………。
………………。
無心で歩き続けてどれほど歩いただろうか?
「〜〜〜」
声が聞こえた気がした。
人の声だ。
声が聞こえた方へと歩く。
まるで、救いを求める囚人かのように。
「嘆き 光 波にのまれ」
「痛みの中 君は目覚めて」
そして……音楽が聞こえた。
瞬間、今まで白黒だった視界に色がついた。
手からジンジンとした痛みを感じた。
無音だった世界に音が生まれた。
ーーー消えていた、小さな儚い灯火が心についた。
「傷つけながら 出来る絆が」
「孤独を今 描き始める」
私はその方向へと走る。
途中石に躓いて、こける。
足が痛い。
でも……私は!
「注ぐ命 刻む羽根で」
「君よどうか 傷を包んで」
立ち上がって、しっかりと前を向く。
そしてまた、かけ始める。
心はまだ重い。
でも、歩けないほどではない。
「光はまた 空に堕ちる」
「望むだけの 熱を捧げて」
……ここか。
ついに、声の発信源のビルを見つける。
そう時間は経っていないだろうに、何故か懐かしく感じる建物。
指を首に当てて、勇気を絞り出す。
扉に近づくと、恐らくこの歌の最後のフレーズが聞こえた。
「崩れ落ちゆく 過ちの果て」
「最後の夢を 見続けてるよ」
……美しい、あまりにも美しい歌声だった。
壁を隔ていてこれだ、彼女たちの実力は計り知れない。
思わず、拍手したくなるほどだ。
でも、拍手は出来ない。
私の心には、火がついてしまった。
小さな、小さな……だがしかし、確かな光が目の前にあるのだ。
だからもう、軽率な行動は出来ない。
「デスティニー……運命、か。期待しても、いいのかな?」
故に、私は拍手をするのではなくデスティニーと呼ばれるものの起動鍵を握りしめる。
中にいるのが、マトモな人とは限らないから。
あと、願掛けも兼ねてる。
どうか、今度こそ……東西南北みたいに間違わずに、未来を切り開けますように。って
心は決まった。
だから、扉を開く。
そうして、私が入ったのはかつて私が、私たちがアイドルとしてデビューしたスタジオで。
「……! みんな? いや、違う……」
一瞬、見えた彼女たちの幻を振り払った先に見えたのは、ピンク髪の少女と青髪の女性であった。
彼女たちは楽しそうに談笑していたようだが、私が入ったことに気づいたのか二人が一斉にコッチを向く。
さぁ、どうなるか。
友好的なら嬉しいが……もし、敵だったら?
その時はーーー。
私が右手の起動鍵を握りしめて緊張していると、ピンク髪の少女の方が私の元にやってきた。
そして真顔で私のことを数秒ほど見たあと、笑顔を見せた。
「まぁディーヴァさん、どうやら観客がいたようですわ」
「ラクス、あまり軽率に近づくと危ないですよ。その子が味方とは限らないですし……」
「あら、軽率ではないですわ。この子に殺意がないのは分かっていましたし」
そんな彼女たちの会話を聞いていたら力が抜けてしまい、身体が倒れそうになる。
が、私の身体は誰かが支えてくれたお陰で倒れなかった。
首をやや後ろに曲げると、ディーヴァと呼ばれていた青髪の女性が私の身体を支えているのが分かった。
さっきまでちょっと離れたのに……速い、速すぎる。
「大丈夫?」
「は、はい。ありがとうございます」
と、私が立ち直したのと同時にラクスと呼ばれた少女がしゃがみ込み、私の足元から何かを拾う。
「これは……」
「あ、それは私の支給品の……ありがとうございます」
ラクスさんが拾ってくれたデスティニーの起動鍵を受け取ろうと手を伸ばすと、ラクスさんは起動鍵を持っている手を遠ざける。
なんで?と思い、私が首を傾げながら考えていると、彼女が私に問いかける。
「このモビルスーツの力は強大です。恐らく、これがあれば他の参加者の多くを倒すことができるでしょう……あなたはこの力をどのように使うおつもりですか?」
私はわずかな間の後に答える。
「元の世界に帰って、やり残したことをやって……今度こそ正しいやり方で私自身の夢を叶えるためです」
そうだ。
私は、まだ友達に謝っていない。
そして、まだ私は夢を諦めきれていない。
だから、デスティニーの力で切り拓くんだ。
誰かを笑顔にできる、アイドルになる未来への道を。
「迷いがなく、それでいて澄み切っている……いい目をしていますね」
そう言いながら、私に起動鍵を返してくれた。
にしても、まるでこの機体を知ってるかのような言い方……もしかして、ラクスさんはデスティニーが存在していた世界の住人?
まぁ、そこら辺のことは後で聞くとしよう。この人たちとは協力できそうだし。
「わたくしの名はラクス・クライン。あなたは?」
「私は東ゆう……東でいいよ」
「知ってると思うけど私も自己紹介をしておきます。私はディーヴァ、ここには知らない人もいるらしいので言っておくと、私はAIです」
「えっ⁈ ディーヴァさん、AIだったんですか⁈」
「ここ見てください」
「あ、ライトが光ってる!……くるみが居ればなぁ」
「ふふ、わたくし達うまくやっていけるかもしれませんね」
【東ゆう@トラペジウム】
状態:精神的疲労(小)、覚悟(大)
服装:制服(城州東高校)
装備:デスティニーの起動鍵@ 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:元の世界へと帰る
01:ラクスさんとディーヴァさん、この人たちと協力したい。
02:結果が全てじゃない。だから、このゲームに乗ってアイドルになっても意味がないんだ!
03:みんな……ごめん
04:今度こそ、人を笑顔にできるアイドルに!
参戦時期:東西南北崩壊後
備考
特になし。
【ラクス・クライン@機動戦士ガンダムSEED FREEDOM】
状態:通常
服装:和服?(戦艦乗艦時のあれ)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:この殺し合いに抗う。
01:ラウ・ル・クルーゼ…亡霊が今生きる人に干渉してはなりません!
02:東ゆうから話を聞く。
03:まさか別の世界の歌姫に会えるとは思いませんでしたわ。
04:キラやアスランもいるのでしょうか?
参戦時期:ファウンデーションがやらかす前
【ディーヴァ@Vivy -Fluorite Eye's Song-】
状態:システムは正常に作動中
服装:軍服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:iPod@現実、ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:この殺し合いに抗う。
01:もうシンギュラリティ計画は終わった。だから、今の私はただのディーヴァ。
02:マツモトはいるのかな?
03:コズミックイラ…なんというか凄いな。
04:東ゆうも私のいた世界とは別の世界から来たんだろうな。
参戦時期:アーカイブからの課題をクリアした直後
備考:プロローグのショート髪の方ではないです。ロングの方のヴィヴィです。
「……歌? 参加者か。なら」
オレは、デザイアドライバーにブジンソードバックルをセットする。
ルルーシュ、君はついに皇帝を名乗った。
そして、相も変わらず呪いの力を振りまく。
だから、これは......君への罰、復讐だ。
《SET AVENGE》
ルルーシュ、君のせいでユフィを失った。
死という最後の望みも絶たれた。
そして、フレイヤで全てを焼き払った。
《BLACK GENERAL》
オレは、全てを失った。
故に、答えに行き着いた。
大事なのは過程じゃない、結果だ。
《BUJIN SWORD》
だから、羂索らのゲームに乗ろう。
全てを殺しつくそう。
その果てに、オレの理想の世界をかなえるんだ。
《READY FIGHT》
【枢木スザク@コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズ】
状態:狂気
服装:軍服(ナイトオブラウンズ)
装備:デザイアドライバー@仮面ライダーギーツ、ブジンソードバックル@仮面ライダーギーツ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:この殺し合いにのる
01:ルルーシュ...君が悪いんだ。
02:みんな、みんな殺すんだ。
03:これが僕の...オレの選んだ道だ。
参戦時期:フレイヤ射撃後
備考
※業スザクではないです。
投降終了です。
タイトルは 方位磁針の向く先 です
続けて自分の話も投稿します。
未来の大物錬金術師を目指す少年、一ノ瀬宝太郎と!
謎の呪詛師羂索とその一味が仕組んだ殺し合いゲーム、バトルロワイヤルとガーーーッチャンコッ!
肉体にバグスターウイルスを盛られ、鎮静剤の投与が切れれば命はないと脅される中、殺し合いを止めることを決意する宝太郎。
送り込まれたゲームエリアで出会ったのは……
須藤健やニーナアインシュタインを助けられなかった悔しさ、得体のしれない羂索への不気味さ、もしかしたら他の仲間たちも巻き込まれてるのではないかという不安。
色々な感情を抱えながらガッチャードに変身した一ノ瀬宝太郎は走っていた。
走って走って、そして襲われている他の参加者を見つけた。
如何にもなお嬢様スタイルの少女で、年齢は多分宝太郎とそう変わらない。
支給品らしき拳銃片手にNPCモンスターに応戦しているが、狙いはブレブレ、一発撃つたびに両腕が大きく跳ね上がっておりとてもではないが抵抗し続けられそうにない。
どう見ても素人。
まあ、宝太郎も戦い始めて一年足らずではあるが、くぐってきた修羅場の数は並みの戦士の比ではない。
なぜなら彼はどデカい夢をガッチャする仮面ライダーなのだから。
「はあっ!」
手にしたガッチャートルネードで少女と囲んで追い詰めていたNPCモンスター、カッシーンを斬りつける。
怯んだところでさらにクワガタムシを象った装甲の付いて脚部で蹴り挙げてやればエネルギーが刻印のように浮かび上がり、バチバチと赤いスパークを挙げて動かなくなる。
機械ゆえか、行動不能になった仲間を見ても怯む様子もなく突っ込んでくるカッシーンたち。
その数はかつて戦ったアルファやハンドレッド四人衆の残党が率いた連中よりかは少ないが、それでも油断はできない。
<ケミーセット!>
だがドライバーはアップデートされ、宝太郎自身も戦闘経験を重ね実力を伸ばしている。
それに時間をかけられないのなら、一撃で決めればいいだけのことだ。
「伏せて!」
<ケミースラッシュ!>
驚くべき素直さで頭を守りながら伏せた少女。
その上を銀色の空間ごと断裂させる斬撃が通過していった。
少女が顔をあげるとそこに残っていたのは首より上を失ったカッシーンだけであった。
「大丈夫?怪我とかない?」
ガッチャートルネードから仮面ライダーオーズのカードを引き抜き、納刀すると今度はドライバーから仮面ライダークウガと仮面ライダーファイズのカードを引き抜く。
変身が解除された宝太郎の姿を見た少女は、スカートの泥を払いながら立ち上がり
「はい。危ない所を助けてくださりありがとうございました。
仮面ライダーガッチャードさん」
「え!?俺のこと知ってるの?」
「先ほど、羂索という方に呼ばれていましたから」
そう言われてそっかー、と軽い調子で返す宝太郎。
「改めて、俺は仮面ライダーガッチャードの一ノ瀬宝太郎。
ガッチャードは字だから、一ノ瀬か宝太郎って呼んで」
「では、一ノ瀬さんと。
わたくしは華鳥蘭子と申します。
親しい友人からは南さんと呼ばれていますので、是非そう呼んでくださいまし」
「よろしく南!」
自己紹介を終えた二人は移動しながらお互いの身の上を話した。
錬金術や仮面ライダーなど、宝太郎の方が羂索の語った重要な要素の当事者であるとだけあって、話の比率としては宝太郎の方が多い。
ケミー達と運命の再会を果たしたこと。
冥黒の三姉妹やグリオンの陰謀。
釘宮リヒトや異世界からの侵略者ハンドレッド。
様々な困難の果てに101体のケミーフルガッチャを成し遂げ、後は冥黒王を倒すのみとなったこと。
一筋縄ではいかないことばかりであったが、冒険譚を語る宝太郎の表情はとても明るい。
「錬金術にケミー……羂索もそうでしたが、世界には不思議なことが本当にあるのですね」
「俺は初めて知った時は驚いたよ。
本当にこの一年驚かなかった時はないな〜」
そう言って宝太郎はさっきまで使っていたカードを取り出した。
「これが他の世界の仮面ライダーですか?」
「うん。これはさっき言ったカグヤ……レジェンドっていう金色の仮面ライダーに貸してもらったカードなんだ」
「普段使っていないカードなのに良く普通に戦えましたね」
「二回は使ったことあるし、これぐらいできないと、俺のガッチャはつかめないからな!」
「ガッチャ……未来の大物錬金術師ですか?」
「そう!未来の大物錬金術師になって、人とケミーが手を取り合って暮らせる世界を創る!それが俺の掴みたいガッチャ!
だから俺の変身する仮面ライダーは、ガッチャードなんだ!」
そう言ってどこまでも澄み渡る青空に心躍らせる少年のように語る宝太郎に、どうしても少し危うい物を感じずにいられない南は、思わず尋ねた。
「そのガッチャは、マルガムという存在がある以上果てしなく困難な道のりになるでしょう。
もしかしたら大切な人を傷付けてしまうかもしれません。
そうだとしても、続けますか?」
「……そりゃあもちろん!
料理と一緒だよ。
出来ないからって諦めたら、新しい味には出会えない。
それに今では、応援してくれる人たちも居る。
もう俺だけの夢じゃないんだ。
だから、諦めるなんてできない。
あ、ここ良さそうだな。ちょっと休憩してこうよ」
そう言って宝太郎は通りに面した個人営業のレストランらしき建物ドアを開ける。
「そう、ですね」
宝太郎の夢に向かう姿勢に『アイドル』に固執する友人の姿を思い出す南だが、先ほどの戦闘経験や、傀儡にされた挙句に漆黒の仮面ライダーに変身させられた先輩との衝突、恩師の裏切りといった経験を経ていると思うと、ただの理想家とも、夢に潰れかねない危うい少年にも思えない。
だがあの苛烈に戦う姿と外したマントの代わりにエプロンをつけて80年代懐メロを口ずさみながら料理をする姿は……料理?
「一ノ瀬さん!?一体何を?」
「え?いや、なんか南の元気がなさそうだったからお腹でもすいてるのかなーって」
なんてこともない様にそう言って料理を続ける宝太郎に、南は思わず笑いだしてしまった。
「え?どうしての急に?」
「それはこっちの台詞ですわ!ふっふっふっふっ。
錬金術に関しては一ノ瀬さん以上に知りませんが、確かに一ノ瀬さんなら」
「そう?ありがとう南」
「どういたしまして、一ノ瀬さん。私も手伝いますわ!」
「あ、じゃあお米の用意お願い」
「一ノ瀬さんは卵の用意をしているという事はオムライスですか?」
「ただのオムライスじゃないぞ〜!
俺が今考えた『南スペシャル ワカメご飯の和風オムライス』だ!」
【一ノ瀬宝太郎@仮面ライダーガッチャード】
状態:正常
服装:錬金アカデミーの制服(青、マント無し)
エプロン(現地調達)
装備:ガッチャードライバー@仮面ライダーガッチャード
レジェンドライダーケミーカード(クウガ。ファイズ、ダブル、オーズ、フォーゼ、ビルド)@仮面ライダーガッチャード
令呪:残り三画
道具:ホットライン
ガッチャートルネード@仮面ライダーガッチャード
ガッチャージガン@仮面ライダーガッチャード
制服のマント@仮面ライダーガッチャード
思考
基本:このゲームを俺のガッチャでぶっ壊す。
01:もし呼ばれているなら自分や南の仲間を探す。
02:よろしくな、南!
03:呪詛師ってなんだ?ルルーシュのも錬金術じゃない?
04:奪われケミー達を取り返す。
カグヤのカードも本人に返したい。
05:『南スペシャル ワカメご飯の和風オムライス』を完成させる。
参戦時期:101体のケミーフルガッチャを達成した直後
備考
※レジェンドライダーのカードはそれぞれの武器に二枚づつセットで支給されています。
【華鳥蘭子@トラぺジウム】
状態:健康
服装:テネリタスの制服、現地調達のエプロン
装備:スタームルガーP100@現実
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:私自身のガッチャを掴むために、必ず生きて帰りますわ!
01:一ノ瀬さん、どうぞよろしくお願いいたします。
02:皆さん……もしこの場に居るならどうかご無事で
03:一ノ瀬さん、あなたはきっと本当にガッチャを掴むんでしょうね。
04:ワカメご飯の和風オムライス……楽しみですわ
参戦時期:東西南北(仮)が一度解散した直後
備考
※仮面ライダーガッチャードの101体のケミーフルガッチャまでの流れを大体把握しました。
【支給品解説】
・ガッチャードライバー@仮面ライダーガッチャード
…一ノ瀬宝太郎@仮面ライダーガッチャードに支給。
最初はこれしか錬金連合の定義する仮面ライダーに変身出来るドライバーが無かったため、単にドライバーとしか呼ばれていなかったが、宝太郎により仮面ライダーガッチャードの字と共にガッチャードライバーと命名された。
左右のスロットにガッチャンコケミーのカードを装填し、レバーを引くことで人間とケミーの多重錬成を実行。
使用者を仮面ライダーに再錬成する。
元々はケミーカードしか使えない仕様だったが、レジェンドの世界で修理、改修されレジェンドライダーケミーカードも使えるようになった。
クウガとファイズのレジェンドライダーケミーカードとセットで支給。
・ガッチャートルネード@仮面ライダーガッチャード
…一ノ瀬宝太郎@仮面ライダーガッチャードに支給。
仮面ライダーガッチャードアッパレスケボーの初変身時に錬成した武器。
オレンジ色の刀身を持ち、剣と弓の機能を併せ持つ。
スロットにケミーカードをセットしてその力を付与した攻撃を放つことも可能。
ダブルとオーズのレジェンドライダーケミーカードとセットで支給。
・ガッチャージガン@仮面ライダーガッチャード
…一ノ瀬宝太郎@仮面ライダーガッチャードに支給。
エネルギー弾を発射する銃撃武器。
マネーガンに似た形をしている。
スロットにケミーカードを読み込んでその力を付与した攻撃を放つことも可能。
フォーゼとビルドのレジェンドライダーケミーカードとセットで支給。
・スタームルガーP100@現実
…華鳥蘭子@トラぺジウムに支給。
装弾数6発のダブルアクションの拳銃。
安全装置はトランスファー・バーのみ。
スタームルガーセキュリティシックスを雛形にした拳銃で精度良く頑丈。
ガンベルト、ホルスター、予備弾がセットで支給。
弾の数は後の書き手様にお任せします。
投下終了です。
タイトルは 南から北、夏空のガッチャへ です
wikiの方にて拙作 亡失の強さ、南から北、夏空のガッチャへ を加筆修正させていただきました。
誤字脱字と少し表現を買えたぐらいで、大きくは変えていません。
皆様、投下お疲れ様です。
僭越ながら、2作品程投下させていただきます。
以前、コンペロワに投下して惜しくも落選してしまった作品を一部追記修正した作品になります。
「そ、そんな………どうして、あんな………うっ!うげっ!!」
眼鏡をかけたブレザーの学生服姿の少年………水篠颯太はついさっき起こった羂索と名乗った少女による『殺し合いの開催宣言』と、
見せしめとして跡形も無く消滅してしまった二人の姿を思いだし、
胃袋の内容物を何度も地面に吐き下していた。
突然『物語のキャラクター』が現実に出てくるという異常事態に巻き込まれてしばらく経つが、
本来の颯太は投稿サイトにイラストの投稿を行っている事を除けば、
どこにでもいる平凡なオタク少年。
こんな何年か前に、
藤原竜也主演で映画化された高見広春の小説みたいなイベントに強制参加されて平常心を保てる程、
図太い精神など持ってはいないのである。
「ハァ………ハァ………」
胃の内容物を粗方吐き終え、颯太は荒い息を漏らしながらブレザーの裾で口を拭った。
とりあえずは他の参加者に会う前にどこかに隠れなければ………。
とりあえずの方針を決めると、颯太は自身に支給品がされたデイバッグに手を伸ばし………直後にその動きを止めた。
いや、『止められた』というべきか。
突如、颯太の首筋に冷たく硬い物が押し当てられ、颯太の動きは封じられてしまったのだ。
「動くな。動かなければ悪いようにはしない」
背後から若い女性の声が聞こえ、颯太は冷や汗を流しながら大きく唾を飲み込んだ。
「お前はこの殺し合いに」
「の、乗ってない……です……」
背後からの問いかけに、颯太は少々早口になりながら即答する。
しばしの沈黙の後……颯太の首筋から冷たい感触が消えた。
「……ハァ〜」
颯太は大量の冷や汗を流しながら、安堵のため息を漏らした。
「驚かして申し訳ない。私も、無闇に人の命を奪うような真似をするつもりはない」
「い、いえ……こんな状況ですし……」
仕方ない、と続けようとして背後を振り返り……颯太は目を丸くした。
そこには緑を基調としたチャイナドレスのような服を着用し、長く美しい黒髪をサイドポニーテールでまとめた颯太と同年代と思われる美少女が、包丁を手にして立っていた。
持っている武器こそ違うが………颯太はその少女を知っていた。
「か、関羽雲長……愛紗?」
そう……今颯太の目の前にいるのは、
『三国志』をモチーフとしたアダルトゲームを原作とするメディアミックス作品『恋姫†無双』シリーズに登場するヒロインの一人『関羽』こと『愛紗』だったのだ。
「!」
颯太の呟きを耳にすると、愛紗は目の色を変えて颯太に飛びかかり、颯太の体を地面に押さえつけた。
「うわあぁぁ!?」
情けない事に、颯太はろくに抵抗らしい抵抗もできずに 大して歳の変わらない少女に地面に押さえつけられてしまい、その喉元に包丁を突きつけられたのだった。
「貴様……何故、私の『真名(まな)』を知っている!?」
愛紗は今にも颯太の喉に包丁を突き刺さんとするかのような剣幕で、怒りを露にしていた。
『真名(まな)』とは、『恋姫†無双』シリーズの大半のキャラクターに設定されている『モデルとなった三国志の人物のものとは違う、もう一つの名前』で、今颯太の目の前にいる蜀の武将『関羽雲長』がモデルの少女の『愛紗』という呼び名もその一つである。
この『真名』は恋姫シリーズの作中世界において『本人が心を許した証として呼ぶことを許した特別な名前』であり、これを本人の承諾無しに呼ぶ事は、問答無用で切り殺されても文句が言えない程失礼な行為なのである。
「あ、あの……愛……」
「貴様に真名を許した覚えはない!」
「は、はい!ごめんなさい関羽さん!!」
とても自分と大して歳の変わらない少女とは思えない剣幕を見せる愛紗に、颯太はろくに反論する事もできなかった。
「貴様、何故私の名を……真名までも知っている!?貴様はあの羂索とやらの仲間か!?」
「いや……その………」
「貴様は何者だ!?」
「は、はい!み、水篠……水篠颯太!です………」
颯太は内心、『セレジアさんと最初に会った時みたいだなぁ………』などと現実逃避的な感想を抱きながらも、何とかこの場を切り抜けようとしていた。
「か、関羽さん!僕は羂索って奴とは全然関係無いんです!僕も、貴女と同じで、無理矢理ここに連れて来られて……」
「………」
颯太は必死に弁解するが、愛紗は颯太の喉元から包丁を離そうとはせず、颯太に疑いの眼差しを向けていた。
「あ、あの!原作のゲームはやった事無いけど、ノベライズとコミカライズは読みましたし、アニメ版は全部見ました!『桃園の誓い』のシーンは凄くて……あの」
「………『原作』?『アニメ』?何を言って……」
途中から弁解ではなく、『恋姫†無双』シリーズの感想を述べ始める颯太に、愛紗は首を傾げるが……
「!」
颯太の口にしたある言葉に気づいて目を丸くした。
「『桃園の誓い』だと!?姉上や鈴々と義姉妹の誓いをたてた時の事か!?」
『桃園(とうえん)の誓い』とは、
三国志演義の序盤において、後に『蜀』を建国する事になる劉備、関羽、張飛の三人が
義兄弟の契りを結ぶシーンの事であり、
三国志をモチーフとする恋姫†無双シリーズにおいてはアニメ版第二期のオープニングテーマのタイトルのモチーフとなっているのだ。
「どういう事だ!?あの時、あそこには、お主のような者の姿はいなかった!どうしてお主が知っているのだ!?」
「そ、それは………」
颯太は恐る恐る語り始めた。
何故自分が愛紗の真名や義姉妹との誓いを知っているのかを、
そして『恋姫†無双』という物語についてを……。
ちなみに念のため、原作ゲームにおける主人公である『北郷一刀』について知っているかを聞き、愛紗が『知らない』と答えたので、アニメ版を中心に話している。
☆☆☆
「………と、いう訳……なんです」
「………」
颯太が話を終えると、愛紗はその豊満な胸の前で腕組みをしながら神妙な表情を浮かべていた。
ちなみに現在、颯太は拘束を解かれて、愛紗と向かい合う形で共に地面に正座している。
「つまり……私はお主の世界で造られた『物語の登場人物』だと、そういうのだな?」
「は、はい……その、いきなりこんな事言われて、信じられないかもしれませんけど……」
「……当たり前だ!!」
愛紗は地面に自身の拳を叩きつけながら激昂し、颯太はビクリッ!と震え上がった。
「私のいた場所が、私の仲間や義姉妹達が、そして私自身やその人生が………『娯楽』の為に造られた『絵空事』だと!?そのような世迷い言、信じられる訳ないだろう!!」
「いや、あの、僕に言われても!?」
いかに大して歳の変わらない少女とはいえ、相手は百戦錬磨の武将。
ただのオタク高校生に過ぎない颯太は、その剣幕に涙目を浮かべながら震え上がるしかなかった。
「……あぁ、いや……すまん」
激昂した後、愛紗は頭を抱えながらため息を漏らした。
「……正直信じられないのは本当だが、嘘をつくならばもう少し本当らしい嘘をつくだろうし、私や義姉妹達についてあそこまで詳しいとなると……信じざるえないようだ」
「そ、そうですか……良かった〜」
愛紗がとりあえずではあるが納得してくれたので、颯太は再び安堵のため息を漏らした。
「……それで、話は分かったが……お主、これからどうするのだ?」
「えっ?そ、そうですねぇ………えっと……」
愛紗に今後の方針を問われ、颯太は黙りこんでしまった。
先ほどから何度も書いているが、颯太は平々凡々としたオタク少年。
友人であるセレジアやメテオラ等『被造物』、そして今目の前にいる愛紗とは違い、戦う力など持っていない。
何より……颯太には気がかりな事があった。
目の前にいる愛紗やこの殺し合いを主宰し、他人の体に脳ミソを移し替えて生きているという羂索の存在。
そして羂索の語った『仮面ライダー』『魔戒騎士』『聖杯戦争』といった聞き覚えが有りすぎる単語。
あの場にいた『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア』と名乗る少年。
そして自身の体に刻まれた『令呪』……これらの情報から考えるに、
この殺し合いにはあの『軍服の姫君』……『アルタイル』が一枚噛んでいる可能性と、
物語世界から現界した『被造物』が愛紗以外にも複数人近く参加している可能性すら考えられる。
ますます颯太にはどうにも出来そうには思えなかった……。
「えっと………えっと……」
颯太の頭の中は堂々巡りの考えばかりが過り、半ば思考停止状態に陥ってしまっていた。
「……ハァ、仕方ないな」
黙りこんだままの颯太の姿に愛紗はため息を漏らすと、颯太の手を掴んで立ち上がった。
「えっ!?か、関羽さん!?な、何を!?」
「いつまでもこうしている訳にもいかんだろう。とりあえず場所を変えるぞ」
颯太は愛紗に引っ張られるまま、歩いていった
はたして、この殺し合いにおける彼らの『物語』はどのような結末を迎えるのか…………?
それはまだ、誰にも分からないのだ。
【水篠颯太@Re:CREATORS】
状態:若干情緒不安定、胃の内容物をいくらか吐き戻した
服装:ブレザーの制服
装備:無し
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:人殺しはしたくないが、殺されたくもない
1:…………(思考停止状態)
2:他にも被造物が?
3:『仮面ライダー』に『聖杯戦争』、それに『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア』って、まさか…………
備考
アニメ第12話辺りからの参戦。
版権キャラやその出典作品に関する知識を持っています。
どの程度の知識があるかは後の書き手さんにお任せしますが、『Re:CREATORS』は2016年後半〜2017年前半が舞台なので、それ以降の時代に製作・発表された作品(※今ロワで言えば、2018年からジャンプでの連載が開始された『呪術廻戦』、2023年からテレビ放送が開始された『仮面ライダーガッチャード』等)に関する知識は持っていないものとします。
また、今回の殺し合いに関して『軍服の姫君』ことアルタイル@Re:CREATORSが関わっているのでは?と考えています。
【関羽(愛紗)@アニメ版恋姫†無双シリーズ】
状態:健康、動揺(中)
服装:普段着
装備:包丁@現実
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜2、SA・ホットライン
思考
基本:無用な殺人はしない
1:彼(颯太)と行動する
2:まさか自分が『物語の登場人物』だったとは……
3:もしこの場に義姉上(劉備こと桃香)や鈴々(張飛)がいるのなら、合流する
備考
アニメ版第三期『真・恋姫†無双 〜乙女大乱〜』最終話後からの参戦。
颯太の話を聞き、自分が『物語の登場人物』である事を知りました。
【包丁@現実】
どこの家庭にも一本はある、ごく普通のステンレス製包丁。
暗闇の中に、『スパイダーマン:スパイダーバース』のBlu-ray&DVDセットのケースが置かれた。
☆☆☆
OK!じゃあもう一度だけ説明するね。
僕はマイルス・モラレス。
放射性の蜘蛛に噛まれてから、今まで数ヶ月間、この世にたった一人の『スパイダーマン』だ!
後は知ってるよね?
僕は他の次元からやって来た『スパイダーマン』達と一緒にキングピンの野望を打ち砕いて、
僕の世界の初代スパイダーマン『ピーター・パーカー』の代わりに、街とそこに住む人達を救う毎日を送っていたんだ。
そしたらある日……突然妙な事が起きたんだ。
本当に妙な事が。
どういう訳だか……僕は人間1人を跡形も無く消してしまえるウィルスを注射された上に、『殺し合い』に強制参加させられてしまったんだ!
まるで『ハンガーゲーム』みたいだよ!
説明の場所には、僕以外にも何十人もの人達が集められ、まるで見せしめみたいに僕と同い年くらいの男の子と女の子が殺された………。
何の罪も無い人達を誘拐して、無理矢理殺し合いをさせるなんて、許さない!
僕は絶対に、この『殺し合い』を止めてみせる!
☆☆☆
会場についてすぐ、僕は森の中をスイングしながら移動してた。
幸か不幸か、僕のスパイダーマンコスチュームのウェブシューターは取り上げられなかったんだ。
僕が会場に送られた時、周りには他の参加者達の姿はなかった。
一刻も早く巻き込まれた人を助けないと!
僕は木々の生い茂る森の中を急いで移動していく。
しかし、こうやって森の中をスイングしてると、アルケマックスに忍びこんだ時を思い出すなぁ……なぁ〜んて僕が考えていた時だった。
突然目の前の空中に、背中から天使みたいな翼を生やした黒い服の女の子が現れたんだ。
しかも僕がスイングで移動しようとしていた場所に!
「うわぁっ!どどどいてぇー!!」
「………えっ?」
僕は女の子に向かって叫んだけど、少し遅かったみたいだ。
僕は天使みたいな翼のある女の子に、空中で正面衝突しちゃったんだ!
「うわあぁぁ!?」
「きゃあああ!?」
女の子の方も受け身が取れなかったみたいで、僕達二人は森の中に墜落しちゃったんだ。
「イタタタ……」
「うーん……」
幸い、小枝や落ち葉がクッションになっておかげで、僕も女の子にも目立つケガはついていなかった。
僕はぶつかってしまった女の子に覆い被さっている態勢になってて、女の子の方は地面に仰向けに倒れてた。
それにしても、改めて見てみるとキレイな娘だなぁ……。
歳はだいたい僕より少し上くらい。
銀色の髪を肩に付くか付かないかくらいに切り揃えていて、下手なアイドルやセレブ歌手以上に整った顔をしている。
背中から黒い羽根の翼が生えてる事と合わせて、なんだか教会の絵から抜け出したみたいな神々しさすら感じてしまう程の美少女だ。
グウェンやペニーとどっちが可愛いかなぁ〜………って、何を考えているんだ僕は。
「大丈夫!?ケガしてない!?」
「う、うん……平気」
「ゴメンね!いきなりぶつかったりして……」
「私こそ、よそ見しててゴメンね」
女の子が僕に謝りながら起き上がろうとした時だった。
ふにょん!
「きゃっ!」
「………えっ?」
僕の手が、なんだかものすごく大きくて柔らかくて手触りの良い感触を感じ、女の子が小さな悲鳴を上げた。
ま、まさか…………。
僕は恐る恐る視線を女の子の顔から下の方に下げる……そうしたら……。
僕の右手は、
目の前の女の子の、
スパイダー仲間のグウェンやペニーよりも三回りは大きな胸を、
鷲掴みにしていたんだ。
「うわあぁぁ!ご、ゴメン!!」
僕は慌てて、女の子の胸から手を離したけど………これが余計に不味かった。
ビリリッ!
『・・・えっ?』
僕はあまりに慌て過ぎていて、パワーの制御ができていなかったらしい。
僕の右手のひらは女の子の服にくっついていて………
僕が手を離そうと瞬間、女の子の服の胸元の辺りの布が一緒に破けて……
目の前の女の子の、
僕の数少ない女子友達であるグウェンやペニーよりも遥かに大きな胸が、
剥き出しになってしまったんだ!
「……キャアアアアアアア!!!」
「うわあぁぁ!?ごごごごゴメン!!」
女の子は剥き出しになった胸を両手で隠しながら悲鳴を上げ、
僕も慌てて女の子から顔を背けた。
クソっ!何やっているんだ僕は!?
いくらわざとじゃないからって、これじゃあ『痴漢』と変わらないじゃないか!?
僕が自己嫌悪と罪悪感に震えていると……。
「……どうした!?大丈夫か!?」
……僕と女の子の前に、また別の参加者らしき人が現れた。
黒い詰襟の服と赤いマフラーを身につけて、左手に包帯を巻き付けたピンク色の短髪の男の人だ。
ペニーに似ている顔つきからして、アジア系……それも中国か韓国か日本辺りの人だ。
「…………えっ?」
突然現れた男の人は、固まってしまっていた。
それはまあそうだろうなぁ………。
何せ今、僕は全身タイツにマスク姿という格好で歳の近い女の子に覆い被さっていて、その女の子は服が破かれて胸が丸出しの状態なんだから。
うわぁ〜………自分の事だけど、凄い犯罪チックな光景じゃないか。
「あ〜………」
男の人は僕達を眺めながら顔を赤くして、頬を指で掻きながら所在なさげにしていた。
そして………
「………す、すまない。邪魔をしたみたいだ。ち、ちゃんと、避妊するんだぞ」
………おもむろにそう言うと、僕達から背を向けて歩きだして……
「……いや待って!ちょっと待って!!」
ここで変な勘違いされたまま立ち去られると、不味いんだけど!
僕、レイプ犯扱いされちゃうよ!!
僕は必死に男の人を呼び止めた。
☆☆☆
暗闇に置かれた『スパイダーマン:スパイダーバース』のBlu-ray&DVDセットのケースの両脇に、
テレビアニメ版『うたわれるもの』のDVDボックスと
『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』のBlu-rayボックスが置かれた。
☆☆☆
私、カミュ!
オンカミヤムカイの第2皇女!
今はウルトお姉さまと一緒にトゥスクルって國にいるの!
トゥスクルはスッゴク良い國でね、アルちゃんって友達ができたんだよ!
それからねぇ………
(以下、省略)
☆☆☆
俺は人吉爾朗(ひとよし じろう)。
厚生省所轄『超過人口審議研究所』、通称『超人課』のメンバー……いや、『元』メンバーだ。
俺は超人課の一員として、人々を守る『超人』達を守り助ける為に努力を重ねてきたが……ある事情から超人課を出て、今は在野の一人として超人を守る活動を続けている……。
一応、俺自身は『ただの人間』を自認しているが……俺の体の中には、世界の破滅を望んでいる『怪獣』がいる。
今のところ、俺は自分の中の『怪獣』の力を制御できてはいるが……もしも暴走すれば、数えきれない被害が出るほどの危うい力でもある。
俺については……とりあえずこんなところだ。
☆☆☆
「ハァァァァ………」
僕は森の中で体育座りしながら深い深〜〜いため息をついていた。
後ろからはごそごそと衣擦れの音がしているけど、僕はまっすぐ正面を向いている。
そこに、あのピンク色の髪の男の人が僕の背中にポンっ!と手を置いた。
「まぁ、その……悪かったな。色々勘違いして……」
「いや……元はと言えば僕が悪いから………」
ピンク髪の男の人から背中を擦られながら、何だか自分が無性に情けなく思えてきた。
『参加者を救う』とか息巻いてたのに、見ず知らずの女の子に不可抗力とはいえ痴漢まがいのことをするなんて……大したヒーローだよ、僕は。
これじゃあ、ピーターやグウェンに笑われちゃうなぁ……。
「えっと……もう良いよ」
背後の衣擦れの音が止んで、あの黒い翼の生えた女の子の声がした。
どうやら支度が終わったみたいだ。
振り替えると、さっき僕がセクハラを働いてしまった翼の生えた銀髪の女の子が、大きな木の根元にちょこんと座っていた。
さっき僕が破いてしまった服の胸元には、隣にいるピンクの髪の男の人が首に巻いていた赤いマフラーが巻かれて、胸を隠していた。
まぁ、よく見るとだいぶ胸の谷間が見えるんだけど……丸出しよりはまだましな格好だ。
「……本当にゴメン!!わざとじゃないとはいえ、女の子にあんな真似しちゃって……本当にゴメン!!」
「もう………別にもう気にしてないって言ったじゃない。あれは『事故』!もう忘れようよ?ね?」
とんでもないセクハラをしてしまった僕を、女の子は軽く許してくれた。
優しい子だな……。
もし学校のクラスメートに同じ事したら、例えわざとじゃなくても一生口聞いてくれなくなっちゃうのに………。
「……あ」
そこで僕はまだ自己紹介をしていない事に気づいて、マスクを外した。
ピーターには『誰にも正体を明かすな』って言われてたけど、あんな真似を働いちゃった相手なんだからしっかり顔を見せて挨拶しないと。
「えっと……遅くなったけど、僕はマイルス。マイルス・モラレス」
僕は女の子に右手を差し出した。
「……私はカミュ。よろしくね?マイルス君」
女の子……カミュはニッコリ笑いながら僕の手を握り返し、僕らは握手を交わした。
散々な出会いだったけど、思えばグウェンの時も似た感じだったんだ。
きっとカミュとも良い友達になれる。
確証はなかったけど、僕にはそう思えた。
「……俺もまだ名乗ってなかったな」
それまで黙っていたピンク色の髪の男の人が、握手している僕とカミュの手の上に自分の手を置いた。
「……人吉爾朗(ひとよしじろう)という。よろしくな」
男の人……爾朗さんの顔には、優しげな微笑みが浮かんでいた。
ヒトヨシジロウ。
やっぱり日本人なんだ。
日本人は黒髪黒目が多いって聞いたけど、ピンクの髪の人もいるんだ……。
僕は変なところで感心してしまった。
「うん!よろしくね、ジロウおじ様!」
爾朗さんに向けてカミュは笑顔を向けていたけど、それに対して爾朗さんはなんだか複雑そうな表情を浮かべていた。
「お、『おじ様』……俺はまだ、20代なんだが………」
あぁ〜。
爾朗さんの呟きを聞いて、僕は爾朗さんの気持ちを理解してしまった。
確かに……20代そこそこの人が若い女の子から『おじ様』と呼ばれるのは色々複雑な気持ちだろう。
というか、『おじ様』というのは単に『おじさん』と呼ばれるよりも老けているイメージがある呼び方だ。
僕の知り合いだと、ノワール辺りにピッタリなイメージがある。
まぁ……ノワールも若い女の子から『おじ様』なんて呼ばれたら、複雑な気持ちになりそうだけど。
「あっ!ゴメンね、ジロウ『お兄様』!」
「いや………その呼び方もちょっと………」
「………ハハハ」
カミュとコントみたいな掛け合いをする爾朗さんの姿が滑稽に思えて、僕はつい笑いを漏らしたんだ。
【マイルス・モラレス(スパイダーマン)@スパイダーマン:スパイダーバース】
状態:健康、罪悪感と自己嫌悪
服装:スパイダーマンコスチューム@スパイダーマン:スパイダーバース
装備:スパイダーマンのコスチューム@スパイダーマン:スパイダーバース、ウェブシューター@スパイダーマン:スパイダーバース
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:巻き込まれた人を助ける
1:カミュと爾朗と行動する
2:僕はなんて事を!
3:カミュの胸……柔らかかったな……
4:スパイダー仲間がいるなら、合流する
備考
『スパイダーバース』終了後『アクロス・ザ・スパイダーバース』開始以前からの参戦。
ウェブシューターはコスチュームの付属品です。
【カミュ@うたわれるもの】
状態:健康、服胸元が損傷
服装:普段着+人吉爾朗のマフラー@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜
装備:人吉爾朗のマフラー@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:人殺しはしたくない
1:マイルスや爾朗と行動する
2:知り合いがいるなら合流する
3:触られたし、見られちゃった…………早く忘れよ!うん!
[備考]
アニメ版から参戦。
服の胸元が破けており、人吉爾朗のマフラーを胸元に巻いています。
マイルスと爾朗を『トゥスクルから遠く離れた國の人』と思っています。
【人吉爾朗@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
状態:健康、いつもより首周りが涼しい、少しショック
服装:黒の詰襟服
装備:無し
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:巻き込まれた人々を助ける
1:マイルス、カミュと行動する
2:『おじ様』と呼ばれてショック
3:知り合いがいるなら合流する
[備考]
第二期(THE LAST SONG)の中盤から参戦。
まだ『おじ様』と呼ばれるような年齢ではありません。
カミュに自身のマフラーを貸しています。
マイルスとカミュを『海外の超人』と思っています。
【スパイダーマンのコスチューム@スパイダーマン:スパイダーバース】
マイルス・モラレス(スパイダーマン)@スパイダーマン:スパイダーバースの初期装備。
マイルスやピーター・パーカーを初めとする蜘蛛の力を持ったスーパーヒーロー『スパイダーマン』達が、ヒーロー活動を行う際に着用しているクモの巣模様の全身タイツ。
マイルスの物は黒地に赤いクモの巣模様が描かれている。
【ウェブシューター@スパイダーマン:スパイダーバース】
スパイダーマンのコスチューム@スパイダーマン:スパイダーバースの付属装備。
化学合成した蜘蛛糸を発射するスパイダーマンの代名詞的アイテム。
元々は『初代スパイダーマン』ピーター・パーカーが開発した物だが、マイルスが装備している物はピーター・パーカーの叔母・メイが作った物。
【人吉爾朗のマフラー@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
人吉爾朗が元々所属していた超過人口審議研究所(通称・超人課)からの出奔後に常に首元に巻いている真紅のマフラー。
※現在は服の胸元が破けてしまったカミュ@うたわれるものに貸し出され、カミュの胸元にさらしのように巻かれている。
以上、投下終了します。
お目汚し失礼しました。
投下します
いつも私は騙されていた。
いつもそう。故郷から攫われた時も、
先代が殺された時も、助けた人にも、何度も何度もわたしは騙された。
分かっている。きっとわたしはバカなんだろう。人を見る目がないんだろう。
だからずっと騙される。何度も何度も騙される。
そうして、いもしない仇を探し続けて、
騙されたことを知って私は死んだ。
騙されるのは私がバカだから仕方ない。
それでも、誰かを騙すよりはきっといい。
でもなんだろう。いくらバカでもそこまで意地を張ることなんてなかった気がする。
もしかしたら私はずっと探していたのかもしれない。
いるはずもない、そういう人を。
「よっと!」
人のいなくなった、
しかし寂れた様子もない工業地帯。
そこで戦うのは二人の男だ。
一人は巨大な刀を空中で、それを平然と振り回す男だ。
黄色い羽織に虎の毛皮の手袋、頭には巨大な羽飾りをつけていて、とても派手な格好をした男性だった。
京都へ行けば、整った顔立ちもあって人気者になったのは間違いないだろう。
この工業地帯においては、場違い極まりないが。
「ハッ、届かねえ届かねえ!!」
地面を砕くほどの強烈な一撃を、
もう一方の男は自由に空を舞うことで容易く躱す。
此方は彼とは対照的で黒い装甲と銃を装備し、
薄い羽根で空を舞う姿はさながら蠅に近しかった。
空と言う人間にとって死角になりやすい場所から老手に持つ銃撃の雨を降らせる。
降り注ぐ攻撃を刃を豪風とともに振るいつつ躱していく。
「ああも高いとなかなか攻撃が続かないな……」
(チッ、なんだこいつは!? まさかヴァンパイアなのか!?
いや、だったら俺と同じで変身して戦うはずだ、素であれなのか!?)
空を舞う男の名は北ノ城篤。
ある日火山灰を被ったことで、ヴァンパイアとしての力を得た元半グレだ。
北ノ城は焦っていた。相手の男と出会って殺し合いに発展したものの、
相手の強さが相当なものでうまく攻めあぐねている状況だった。
相手は生身の人間。そう高をくくったことは否めないものの、
此処まで攻め切れないものだとは思いもしなかった。
「なあアンタ! 殺し合いなんかやめねーか!
俺は喧嘩は好きだが、殺しはしない主義なんだ!」
呑気なことをほざく相手に青筋が浮かぶ。
殺し合いを要求された中で相手は銃を向けた北ノ城にもそう言う。
とんだ甘ちゃんだ。まるでどこかの七原を思い出すかのような甘さだ。
そうだ、七原健。あの男によって全てが狂わされたと言ってもいい。
あいつを命乞いをさせたり、おびき寄せたりさえしなければ、
カラス野郎にぼこぼこにされることもなければ、死ぬこともなかった。
怒りに手が震え照準がずれそうになるほどに、
相手が呑気な負け犬が重なって見える。
(夜明けもそう遠くねえ。D・ナイトを使い切るか?)
ヴァンパイアは再生能力と強い力を得られるが、
朝になればその力を使うことができなくなってしまう。
だから支給品を確保する。それが彼の目的だったが、
思うように戦えない状況で時間だけが過ぎていき、決着を考えたその時だ。
「!」
空にいたことで相手より先に視界に入った。
赤いボロボロの陣羽織を羽織った、銀髪の少女。
別に支給品目当てであれば、そこのガキでも構わなかった。
加えて相手は甘ちゃんだ。誰であってもきっと庇うだろうと。
そう判断した北ノ城は狙いをそちらへと定め、銃撃の雨を再び降らせる。
「! あぶねえ!」
銃口が別を向いたことで男も気づいた。
咄嗟に彼女を庇うように刀を振るうも、
全弾を弾くことはできず数発が彼の身体を掠める。
「イッツ……」
「いーい光景だなぁ。オレの行動で弱っていく姿は。」
さっきまで殺し合いはしませんとかのたまっていた男が苦痛にゆがむ顔。
それが堪らなく愉快で仕方がなく、下卑た笑みを浮かべる北ノ城。
怒らせた奴だけは許さない。ゆっくりとガキをなぶり殺し、
そうやって守ろうとしたものを守れず死んでいく姿を晒してやると。
「あなた、大丈夫?」
「へーきへーき、こんなのかすり傷みたいなもんさ。
それより大丈夫か? アンタが無事ならそれでいいんだ。」
「なんでわたしを守ったの?
わたしはあなたのこと何も知らない。助けられる義理も───」
「俺には惚れた女がいるんだ。」
「は?」
突然の惚気話に、少女も思わず変な声が出てしまう。
「惚れた女は死んでも守る。俺はある人にそう言った。
けど、惚れた女がか弱い女の子を見捨てるような男に惚れると思うかい?」
『これから君たちには我々の用意したゲームをプレイしてもらう。
形式はバトルロワイヤル。
己が存在と理想を叶える権利かけて最後の1人になるまで殺し合うんだ』
殺し合い。それは私にとってありふれたことだ。
殺し殺されの時代の中、私は契約さえすれば誰の味方にでも付いた。
たとえ敵が、前の契約者であったとしてもその引き金を引くだろう。
事実、私たちはそれで疎まれ掟もあり、組織として破綻していくことになった。
そんなバカを喚んだ羂索達は何がしたかったのかわからない。
わたしを雇うことなく、ただの野良サーヴァントとして召喚して放置された。
騙しもせず、ただ放置された私は何をすればいいのか分からなかった。
単なる聖杯戦争かと思えば、サーヴァントであるわたしにまで令呪を与えられている。
野良サーヴァント。つまり好きにすればいいが、私は雇用主がいて初めて成立する。
成立する、と言うのはスタンス的な意味であり、主従なくしては動けないわけではない。
単独行動スキルもある。一人でも割と動けて優秀。おなかがすくのでおにぎりは欲しいけど。
けれど私は誰の味方でもある。誰の敵でもある。孤独に戦え、と言う合図なのだろうか。
聖杯戦争で叶えたい願いはあるけど、自分で叶えるものだと思うからそれで動くこともなく。
どうすればいいか分からないまま、私は彷徨い続け工場地帯へとたどり着いて───
「惚れた女は死んでも守る。
けど、惚れた女がか弱い女の子を見捨てるような男に惚れると思うかい?」
多分、わたしは運命に出会った。
それはまるで、先代のような───残念な男だ。
「……先代みたいだ。」
先代もそうだった。
仕事の時間には遅れる、男の依頼人だとやる気を出さない、女の依頼人にはすぐ言い寄る。
そういう何とも言えない人だったが、その技と魂は組織に恥じない物だったし、依頼も最終的に上手く収めてた。
全てと言うわけではないが、目の前の彼はどこか先代を思い出させてくれる性格をしていた。
「……ねえ。わたしを雇う気はない?」
「え?」
だからだろうか。
今まで騙され続けてきた中で、
他人に依存するばかりの彼女が自らを買って出る。
「手付金と成功報酬は食事は日に三度。昼寝もあると嬉しい。」
「ちょっと待って、どっかで聞いた雇用形態だなそれ!?」
雇用形態に思わず変な声を上げる。
と言うより、その惚れた女から提示された雇用形態と昼寝以外は同じだからだ。
けれど、子供一人雇うにしては余りにも安い条件とも言えた。
こんな殺し合いの中昼寝ができるかどうかは別として、
何ができるかはともかく味方ができるのであれば心強い。
「昼寝は約束できねえけど日に三度の飯なら……あれ、大丈夫なのか?
まあいいや、それでいいってんなら俺は契約成立ってことでいいぜ!」
「じゃあ、契約成立。」
契約が受理されると、どこからともなくゴーグルをかける少女。
ただの少女だったはずが、どこか頼もしい姿に見えた。
「目標確認。数一……これより雑賀を開始する。」
男を置いて少女、雑賀孫一は駆ける。
駆けると同時に彼女の手には少女には似つかわしくない、アサルトライフルが握られた。
小柄な少女のどこにそんなものをしまっていたのかを考える時間は二人にはない。
アサルトライフルは無数の弾丸を放ち、北ノ城へと殺到する。
「は、とんだノーコンだな!」
が、まるで当たらない。
その場に留まってるだけで弾は何処にも掠めることすらない。
お返しとばかりにガトリングのごとく両手の銃を放つが少女はダッシュでそれをよけていく。
避けた先に壁に穴がハチの巣になるほどの威力のものを恐怖することもなく走る。
「だったら、当たるまで撃つ。」
弾数なんて知らない、とでもいうかのように弾を湯水のように使う。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。その言葉通り流石にに数が数だった。
何発かあたり北ノ城の装甲を貫いて血を噴出させることに成功する。
「ガッ……てめえふざけやがって!」
北ノ城も負けじと銃をガトリングのごとく放つが当たらない。
相手が機敏だからと言うのもあるが、怒りで照準がぶれてるからだ。
近くの非常階段を少女が蹴り、一気に至近距離まで詰めたところで蹴りと同時に銃を放つ。
「ガハッ!」
銃撃もだが、蹴りは少女のと思えぬほどの威力を誇り、
ヴァンパイアでも無視できない威力のダメージを受けた。
空中と言う優位を取っていた男はついに近くの工場の屋根へと墜落する。
「まだだ、まだ俺は!」
即座に立ち上がり銃を構える北ノ城。
しかし目の前には銃剣を握る少女が片方の銃を切断する。
「な……」
驚嘆で怯んだ隙に続けざまにもう片方の銃も切断し、
後方に跳躍しながら少女の足からも銃撃が放たれ、太ももを撃ち抜く。
「グガッ!」
空中戦の都合慶次ではどうにもならなかったが、
空中においても凄まじい動きに慶次は驚かされるばかりだ。
「すげーなアンタ。まるで孫市みてーだ。」
「孫一? 何で私の……」
会話をするのも束の間。
屋根から逃げるように飛び立つ北ノ城。
予想外だった。ガキと不殺の甘ちゃんのコンビなんぞ、
敵じゃないと思っていたのに結果はこのざまだ。
このまま戦えば負けではない。死だ。もう死ぬのはごめんだし、
死ぬような思いも二度としたくない。生前のトラウマが刺激され、
ハエトリグサから逃げるように北ノ城はその場から逃げていった。
「逃がさない。雑賀決戦仕様展開、フルバースト!!」
逃げる北ノ城に、少女は大量の重火器を装備。
赤い重火器はすべてが北ノ城に向けられており、
それを見た北ノ城は叫ばずにはいられなかった。
「なんじゃそりゃあああ!!」
フルバーストの名に恥じぬ全弾発射が飛び交い、北ノ城を襲う。
球数が多すぎで全弾とまではないかないが多数が命中し、空中で大爆発を起こして遠くへと墜落する人影が一つ。
この場を勝利に収めた二人は一先ず地面に座り込んで一息つく。
「ふー……さっきはありがとな。俺は前田慶次。アンタの名を聞かせてくれ。」
「私は雑賀孫一。私が味方をする以上、必ずあなたを勝たせて見せる。
それじゃあ早速手付金と成功報酬としておにぎりを所望する。それと雑賀の八咫烏、貴女に預ける。」
互いの自己紹介が終わると、一瞬の沈黙。
沈黙ののちに出た言葉は
「へ? ま、ままままま、孫市ィ!?」
予期せぬ名前に、絶叫を上げる慶次だった。
なぜなら、慶次が惚れた女の名前は───雑賀孫市なのだから。
【雑賀孫一(蛍)@Fate/Grand Order】
状態:魔力消費(中)
服装:いつもの(防刃・防弾装備着用)
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:契約者である前田慶次に従う。
00:なぜ私を知ってる?
01:おにぎりが食べたい。あるいは肉。
参戦時期:なし
備考
※野良サーヴァントです
そのため川中島の戦いも、カルデアの記憶もありません
【前田慶次@戦国BASARA3】
状態:ダメージ(小)
服装:いつもの
装備:祢々切丸@刀使ノ巫女
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いはせず帰る。喧嘩だけは買って出る
00:ま、孫市ィ!?
参戦時期:関ケ原乱入ルート終了後
備考
「クソ、が……」
北ノ城はあれだけの攻撃を受けても生きていた。
否。遺灰物(クレイメン)さえ無事であればヴァンパイアは死ぬことはない。
だがしかしダメージが甚大だった。時間経過で元に戻るだろうが、
そのころには朝だ。疲弊した状態で人間に戻らなければならない。
そうなれば十二時間は人間として戦わなければならないだろう。
昔を思い出す。最初の掴みをミスった。
半グレ集団に入った際、つい委縮してヘコヘコした結果ナメられた過去。
ヴァンパイアになって、D・ナイトも習得して、死んだのに生き返った。
もう二度とミスはしない。だと言うのに最初からこのありさまだ。
「何か、武器を……」
ボロボロの状態でも武器をあさる。
今度は失敗しない。そう決めた男は生き足掻く。
まるで死者にたかる蠅のように、必死に。
諦めるという言葉をこの男は知らない。
【北ノ城篤@血と灰の女王】
状態:ダメージ(大・再生中)、焦り
服装:ヴァンパイア態
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、SA・ホットライン
思考
基本:今度こそ失敗しない。優勝してやる
00:あのガキ(孫一)と甘ちゃん(慶次)はいつか必ずぶっ殺す
01:何か武器はねえのか……?
参戦時期:死亡後
備考
※D・ナイトの使用制限は採用され次第後続にお任せします
支給品解説
・孫市の服@Fate/Grand Order
雑賀孫一に支給と言うよりデフォルト装備
数々の銃器や、防弾防刃処理、その他雑賀の秘密が詰まっているらしく、
苦手な寒さも防げるとのこと。足から銃撃もできる。不思議。
・祢々切丸@刀使ノ巫女
前田慶次に支給。詳しくは他の御刀参照。
刃の部分だけで2mは超える巨大な御刀。
全長は324.1cmと振り回すだけでも相当な膂力が必要になる。・
慶次は男性のため、刀使の能力は発動することはできない。
以上で『蠅と傾奇者とM51』投下終了です
投下します
※この投下ではR-18な過激性的描写があります、覚悟の準備をしておいてください
★ ★ ★
「必殺の、金メダルを取ったスパイクだぁっ!」
「うああああああああああっっ!?」
巨腕から繰り出された鉄球(ボール)のシュートが、少女の華奢な身体を軋ませ、吹き飛ばす。
何やら防ぐ手段を持ち合わせていたのか、少女のダメージが衝撃の威力に反して低いように見える。
体中には擦り傷が目立ち、衣服もボロボロで下着や肌が露わ。それでも立ち上がろうというのは、背後にいる少女が、巨腕を持つ欲望の怪物の毒牙に掛かることを防がんとする気持ち一つのもの。
「可奈美君!」
「大丈夫、私は、まだっ……!」
自分を守り、窮地に立たされている自分を守る「可奈美」の名を叫ぶのは堀北鈴音。
ルルーシュという男に妙な事をされたせいで、一人称二人称がおかしくなったのに不信を抱かず、自分を守ってくれると言ってくれたこの刀使の少女に守られて、自分では何も出来ないこの状況がもどかしく、無力だ。
自分に充てがわれた道具で彼女を手助けできるか、なんて幻想を抱いたが、あまりにも難しい。
何せ可奈美が相手している怪物、自らを「鴨志田卓」と名乗る下品な男には、二人の取り巻きがいる。
「クスクス。足手まといを連れたまま、よく彼の攻撃を凌げるわねぇ」
片方は、サキュバスを象ったような淫靡な黒いボンテージに身を包む少女。
赤黒い瞳で見下す少女は、かつて愛聖天使ラブメアリップと呼ばれた正義のヒロイン、朝比奈あかりであった頃の面影は残っていない。
性欲を煽る衣装は男子であれば勃起は免れない、そのような技術を持ち合わせているとばかりに舌を出しながら少女二人を挑発する。
悪性艶雌サキュメアリー、闇の聖母。それが色欲の化身の側近として、敵対者たる獲物を嘲笑う。
「全ては、鴨志田様の為に」
もう片方は正気を失った瞳ながらも鴨志田のサポートをしている水着の少女。
何故水着なのかはともかく、継ぎ接ぎを直したような機械の翼や天使の輪っか、歯車等と、不気味と同時に可憐さが目立つ。水着の少女のお腹には印のようなものが、淫紋と呼ばれるタトゥーが刻まれている。
それが原因なのだろうか、水着の少女から年相応とは思えない蠱惑的な態度が見受けられる。
「妙なバリアは俺様のシュートで剥がさせてもらった。次喰らえばひとたまりもあるまい」
事実、水着の少女による不可思議な力での援護が鴨志田にあった。
衛藤可奈美という少女の、刀使たる剣士の写シという回数制限のある身代わりのようなものは、強化された鴨志田による『必』ず『殺』すシュートの一撃によって全て吹き飛んだ。
衛藤可奈美が弱いわけではない、むしろ彼女は剣士としては間違いなく強者。扱う得物が自らの御刀ではないとしても。そんな彼女ですら届かない強さが、今の鴨志田卓の実力なのだ。
「もし降参して、俺様の奴隷になると言うのなら、丁重に扱ってやっも構わん。断るなら、死んだほうがマシだと思える目に遭う事を忘れるなよ?」
鴨志田卓の目的は唯一つ。生き残ることでである。
生き残ったうえで、全てを支配する王になること。
認知の世界より生まれし己の分身、欲望の化身。それを本来の己自身へとフィードバックし、実体化させることを可能とした。
ある淫魔の少女との出逢い、自らに支給されたものを経て、色欲の体罰教師はこの殺し合いに置ける脅威の一つと繰り上がった。
そしてせっかくなのだ、気に入った女もまた自分のものにする。
(……どうすれば)
堀北鈴音は、動けないでいた。
序盤こそ拮抗していた可奈美も、水着の少女の支援が入ったあとはこの有り様。
写シというのも一発で全部剥がされ、満身創痍。
では頭脳だけが取り柄の、その頭脳ですら活かそうとしても潰されかねない戦場で。
本物の悪意と殺意が蔓延るこの場所で、自分ができること。
(……これ)
起死回生の一手があった。勝つためでなく、二人揃ってこの場所から逃げられるかもしれない唯一の。
細長く赤いクリスタル状の小さな物体。『テレポートジェム』という、錬金術師が作り上げた移動手段。
転移する先は、それで何が起こるかはわからない。それでも二人揃って死ぬよりはまだマシと。
「何しようとしてるのかなぁ?」
しかし、サキュメアリーがそれを黙ってみているわけもない。
支給品に目を向けたその一瞬の間に、鈴音の背後に闇の聖母が回り込む。
「こういうのは、さっさと潰した方がいいよねぇ?」
「させ、ないっ……!」
サキュメアリーの凶手に気がついた可奈美。
ボロボロの身体を無理矢理立ち上がらせ、なけなしの気力を振り絞る。
迅移による高速移動。それでもダメージが響く今の身体では一度使用するだけで精一杯。
それでも、その放った突き技がサキュメアリーに防がれたにしても。
「これで……!」
堀北鈴音が行動を起こすその一瞬の時間だけで十分。
砕かれたテレポートジェムを中心に赤く光る六角形の陣。
鈴音の転移は始まっており、妨害さえなければこのまま逃げる。
「可奈美くんも早く!」
「わ、わかっ……」
「させると思ってるのかクソ女(アマ)どもがぁっ!!」
鴨志田による、今度は直接の攻撃。
妖しく輝ける殺意のサーブが二人に迫り。
「……鈴音ちゃん、……ごめん」
「……っ!」
鈴音と転移陣を守るかのように飛び出した可奈美の姿。
無駄なあがきだと言わんばかりに見つめるサキュメアリー。
鈴音が咄嗟に可奈美に手を伸ばそうとして、それが届くことなく堀北鈴音の転移は完了する。
そしてそれを見送った可奈美の眼前に、鴨志田の手のひらが迫り、衛藤可奈美は自らの敗北を悟った。
【堀北鈴音@ようこそ実力至上主義の教室へ】
状態:健康、動揺(大)、絶対遵守のギアス(極大)
服装:高度育成高校の制服(女子)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:このゲームから生還する。
00:『一人称は僕、二人称は君を使う』
01:須藤君……なんてこと
02:羂索にルルーシュ・ヴィ・ブリタニア……。
まさか魔法が実在したなんて。
03:戻った時に何て言われるかしら
04:可奈美君……
参戦時期:少なくとも髪を切る前
備考
※絶対遵守のギアスをかけられました。
異能力解除の異能力をかけられない限り一人称が僕、二人称が君のままです。
・テレポートジェム@シンフォギアシリーズ
堀北鈴音に支給。錬金術師が離脱の際に使用するアイテム。今回においては座標固定等がされていないため、使用時にどこに飛ばされるかは完全にランダム。
★ ★ ★
「おらぁ、俺の下のシュートも中々なもんだろう?」
「や、やだっ、太いっ! わたし、壊れっ、おっごおおおおっ!」
森林にて、パンパンと叩きつけられる音が静寂裂いて鳴り響く。
怪物の身体から、人間の体へと戻った鴨志田による肉欲の宴、その前夜祭だ。
叩きつけられるビッグマグナムに、少女の体は文字通り大きく膨らみ、歪む。
衛藤可奈美の身体には到底大きすぎる肉のサーブ、鴨志田によって叩き込まれ、下品な嬌声を挙げさせている。
「ごんなの、はいらないのに、はいってるぅぅぅ! わたしのからだ、おかしぐなるぅぅぅ!!! きもちよくなりたくないのぃぃぃぃ! あぐぅぅぅぅ!」
嬌声というよりも、悲鳴も同然だった。
刀使として戦い続け、恋沙汰などというものに無縁だった剣術少女が。性の暴力という形で過度の快楽を叩きつけられている。
サキュメアリーによって刻まれた腹部の淫紋が輝き、可奈美の身体を駆け巡る「快楽」が加速する。
「痛い、はず、なのにぃぃ、なんでぇぇぇ!? なんでこんなに、キモチイイのぉぉぉ!?」
痛みも苦しみも全てが快楽に変換される。乱暴に胸を揉まれ、無理矢理にファーストキスを奪われ。
それでもなお気持ちよさだけが増し、発狂しそうになる快楽から辛うじて耐えている。
それが今の衛藤可奈美の惨状であり、空しき抵抗の結果。
「さっさと堕ちれば楽なのにね。私だって最初はあなたと同じだったの、大切な人もいたの。でも、今は鴨志田様のそれを味わったら、それ以外どうでも良くなった。それに大切だったあいつなんてどう考えても短小でしょ? 男して負け犬なやつにも興味なんてないわ」
水着の少女が、嘲笑うかのように可奈美に語りかける。
彼女は既に堕ちた側。最初は抵抗したものの、サキュメアリーの手助けと、鴨志田のテクニックによって。
大切に思う彼(プリンセスナイト)はいたが、その思いは快楽という白濁によって塗りつぶされ、歪んでしまったのだ。
「だから、何もかも忘れてしまいなさい。全てを鴨志田様に身を委ねれば、あなたは救われるの」
「い、やだっ……忘れたくなんて、ないっ! だって……」
「……忘れてしまえばいい。忘れて、ただ鴨志田様に捧げる剣になってしまえばいいの。そうすれば、あなたはずっと孤独(ひとり)にならなくてすむから」
「――あ」
だから、容赦はしない。
強者故の孤独を、水着の少女は見抜いて、優しい言葉という毒を仕込む。
自分だけがずっと遠い所。友達に突きつけられた現実が、遅効性として衛藤可奈美へのトドメへと。
「ほらっ、ラストスパートだっ! 精々ヨガって俺様のものになれ!」
「やっ、まだ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!」
子宮にすら届き劈こうとする鴨志田のラッシュ。
剣術は得意でも、この鴨志田の連続突きの攻勢には防御すらままならない。
身体に刻み込まれようとする「敗北」の二文字が、衛藤可奈美の脳裏によぎる。
「ダメッ、ほんとダメッ、イく! イっちゃう! 壊れちゃうっ!」
「だったら壊れちまえっ! 壊れて俺様の奴隷になれっ!」
加速するピストン。可奈美が壊れようともお構いなしに超加速する。
今の鴨志田の精力とスピードは常人を遥かに超えている。
「忘れたくないのに、大切なもの全て忘れちゃうのぉぉぉ!!」
染まっていく。快楽に全てが。邪なる力を得た鴨志田によって、衛藤可奈美が塗りつぶされていく。
大切なものも、友達も。何もかも。
でも耐えようとして、脳裏に浮かんだ友達のことも。そして十条姫和のことがほんの少しだけ浮かんで。
「ほらっ、出すぞ。そのまま全部忘れて俺のものになれぇぇぇぇぇっ!」
「はぃぃぃぃぃ! 衛藤可奈美は、全部忘れて鴨志田様を守る剣兼性奴隷になりまぁぁぁす!」
「よく言った!、俺からのご褒美を受け取れぇぇぇぇっ!」
「イックゥゥゥゥゥゥッッッ!!!!」
鴨志田卓の性の放出と同時に、衛藤可奈美は屈服し、敗北した。
もう、孤独じゃなくて住むという、安堵と。ある一人への懺悔を心に奥に沈めて。
★ ★ ★
「はひ、はひぃ……かもしだ、さまぁ……」
「ふぅ……こんなに出したのは久しぶりだ。満足したぜ」
白く濡れ、鴨志田への屈服が決定した衛藤可奈美。
そしてその姿に満足し、全裸のまま笑みを浮かべる鴨志田卓。
その二人の姿に、面白いものが見れたと微笑むサキュメアリーの姿。
(……まさか、こんな男がエルゼアム様と同化……そもそもこんな事になるなんてね)
実際の所、サキュメアリーにとって、鴨志田卓の変化は想定外のものだった。
彼の支給品に、かつて自分が出産した堕邪神エルゼアムの。その生まれたて状態のものがこの男に支給されていた。
偶然か必然か、彼の胸のうちに、"認知の中"にあった鴨志田の本質と結びつき融合、鴨志田卓という男が事実上エルゼアムみたいなものとなったのだ。
(どういう原理かはわからないけれど、エルゼアム様と同化した彼を殺すのはまずい)
認知の鴨志田の本性とエルゼアムとの同化。それにより実際の鴨志田卓もまた過激かつ本性が表面化したこととなった。巨大化した異形の姿もエルゼアムの力の応用だろう。
その底しれぬ実力と性欲を試すために、アメスとかいう少女を鴨志田の手で堕とさせた結果、その彼女もあのようなものだ。
(今は素直に従うしかないかな。でももし、分離する手段があるなら)
兎角、鴨志田とエルゼアムを引き離さなければ後々面倒になることは明白。
このまま同化させたままというのも良いはずなのだが、いかんせんこの男の本性からなる欲望は少々手に余る。上手に手綱を引いて、利用するのが最適解。
(その時は、本当の意味でエルゼアム様の復活を)
悪性艶雌サキュメアリー。かつての正義のヒロインだったものの名残は既に存在しない。
大いなる邪神を利用せし不届きものを利用し、この殺し合いを使いエルゼアムの真の復活を為す。
快楽に落とされた刀使、堕邪神の力を振るう色欲の体育教師、既に落とされたガイド妖精。そして悪性艶雌。
鴨志田卓という男の欲望が引き起こされた邪悪なる奇跡の行先は、まだ誰も知らない。
【鴨志田卓@ペルソナ5】
状態:堕邪神エルゼアムと同化、上機嫌、絶好調
服装:全裸
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:優勝して、俺様の王国を作る。元の世界に戻ったらあのクソガキどもに思い知らさせてやる
01:気に入った女は奴隷にする
02:
参戦時期:少なくとも「心の怪盗団」による予告状が出された後
備考
・支給品にあった「堕邪神エルゼアム」と事故同然の融合により、認知世界の鴨志田の扱えるようになっています。
【朝比奈あかり@愛聖天使ラブメアリー 悪性受胎】
状態:正常
服装:サキュメアリー衣装
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:前提として生き残ることを優先
01:鴨志田と融合してしまったエルゼアム様をなんとか引き離し、真の意味でエルゼアム様を復活させる
02:堕とした女の子たちは鴨志田同様に有効に使う
参戦時期:少なくとも闇落ちした直後
備考
【衛藤可奈美@】
状態:快楽堕ち、処女喪失、衣服破損(中)、全身白濁塗れ、淫紋
服装:美濃関学院の制服(破損)
装備:小烏丸@刀使ノ巫女
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:鴨志田様の剣
01:鴨志田様ぁ♥
02:何だか大切なものが、忘れちゃいけないことがあった気がするけど……まあいっか♥
03:私はもう、一人じゃないんだぁ♥
参戦時期:第十三話、沙耶香に「可奈美ならわかるはず。可奈美だけ一人遠い所にいる事」と言われた後
備考
・鴨志田によって堕瘴気を注ぎ込まれた結果、鴨志田の奴隷として屈服しました。
【アメス@プリンセスコネクトRe:Dive】
状態:快楽落ち、淫紋
服装:水着
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:全ては鴨志田様の為に
01:プリンセスないと? あんな短小童貞のことなんてどうでもいいわ?
参戦時期:少なくとも水着イベ終了後
備考
・鴨志田によって堕瘴気を注ぎ込まれた結果、鴨志田の奴隷として屈服しました。
・堕邪神エルゼアム(生まれたて)@愛聖天使ラブメアリー 悪性受胎
鴨志田卓に支給。堕瘴気を注ぎ込まれた朝比奈あかりがその身で産んだ堕邪神エルゼアム、その生まれたての塊。
何の因果か認知の鴨志田の欲望と結びついて鴨志田自体と融合した。
・小烏丸@刀使ノ巫女
衛藤可奈美に支給。本来の適合者は十条姫和。鋒両刃造(きっさきもろばづくり)という特殊な形状で構築されている。
このゲームにおいて元の持ち主以外もとい女性以外が所有しても一定の力がを引き出せるように放っている。
・範馬勇一郎のハンマー@戦闘破壊学園ダンゲロス
アメスに支給。希望崎学園生徒会所属の魔人、範馬勇一郎が能力行使に使用するハンマー投げ用のハンマー。ぶっちゃけ鉄球。鴨志田に譲渡しており鴨志田はこれを使用し必殺シュートを放つ。
ぶっちゃけ範馬勇一郎が投げているわけじゃないからあたっても爆発はしない。まあ鴨志田がなんかしたら爆発はしそう
投下終了します 可奈美の状態表に抜けがあったので改めて記載
【衛藤可奈美@刀使ノ巫女】
状態:快楽堕ち、処女喪失、衣服破損(中)、全身白濁塗れ、淫紋
服装:美濃関学院の制服(破損)
装備:小烏丸@刀使ノ巫女
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:鴨志田様の剣
01:鴨志田様ぁ♥
02:何だか大切なものが、忘れちゃいけないことがあった気がするけど……まあいっか♥
03:私はもう、一人じゃないんだぁ♥
参戦時期:第十三話、沙耶香に「可奈美ならわかるはず。可奈美だけ一人遠い所にいる事」と言われた後
備考
・鴨志田によって堕瘴気を注ぎ込まれた結果、鴨志田の奴隷として屈服しました。
すみません、少し気になったことがあります
◆j1W0m6Dvxw氏の投下作品についてです
氏がここまで投下した作品は、確かにコンペロワにありました
ただし、◆4kMBNI9QkEのトリで、です
そしてこの3作は、決闘ロワにもありました
◆j1W0m6Dvxw氏のトリで、です
最初は同一人物かとも思いましたが、コンペロワには◆j1W0m6Dvxw氏のトリの作品もあり、さらに◆4kMBNI9QkEと同日に投下した両者のIDが違います
なんらかの事情でコンペロワの時にはトリを使い分けていて、IDが変わったのも何らかの事情で別端末で書いたから、ならいいのですが
◆j1W0m6Dvxw氏が盗作を行っているのではという疑惑が浮上したので、指摘させていただきました
投下します
四つの骸が大地に転がっていた、
捩くれた四肢。あらぬ方向へとへし曲がった頸。血に塗れた全身。
断末魔の形相も凄まじく死んでいるのは『ツメゲリ部隊』。偉大なる航路(グランドライン)に存在する、砂漠の王国『アラバスタ』のエリート部隊。
アラバスタ王国の守り神と謳われたサー・クロコダイルの引き起こした『アラバスタ王国転覆事件』。
事件の最中、アラバスタの民と、敬愛する王とを守護る為に、遥か格上の存在であるクロコダイルを討つべく、一時の強化の代償に生命を失う『豪水』を飲んでクロコダイルに挑むものの。
卑劣かつ下衆な事極まりないクロコダイルは戦おうとせずにガン逃げし。
一太刀入れる事も叶わずに全員虚しく死を迎えた哀しき過去を持つ戦士たちである。
あくまでもクロコダイルが悪辣だっただけであり、アラバスタ王国の戦士達の中でも選び抜かれた精鋭であるツメゲリ部隊は決して弱くは無い。
それが、4人揃って無惨な骸を晒していた。
骸と戦闘跡を残して場を立ち去る1人の少女。
首から下を無骨な金属装甲で覆った姿が、異形の鎧武者かサイボーグを思わせる。
少女の名はキングジョー。かつて神戸港に沈んだ宇宙ロボットが人のカタチを得た存在。
怪獣墓場に暮らす擬人化怪獣たちと異なり、人の心を持たない破壊する為の機構である。
キングジョーは征く。全てを殺し、全てを破壊する為に。先程の戦闘でデスト・レイの出力低下を始めとして、機能に大幅な制限がかけられている事を知ったが、先程殺した程度のを相手取るならば問題無い。
無機質な足音を響かせ。少女の姿をした破壊機構は次の犠牲者を求めて歩き去った。
【ツメゲリ部隊@ONE PIECE 全滅】
【キングジョー@ウルトラ怪獣擬人化計画 feat.POP Comic code 】
【状態]:健康
[装備]:無し
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品 ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:全てを破壊する
投下を終了します
投下します。
見渡す限りの、綺麗な世界が広がっていた。
目に見えないほど小さな命が満ちた水槽では、サカナたちが優雅に踊っていた。その誘惑に手を伸ばしてみれば、透明なガラス板がその行く先を遮った。そんな当然の帰結を前に、夢見心地のまま目をしばたかせた僕を、隣であの子が笑っていた。もう名前すらも覚えていない、迷子だった女の子。
それは唾棄に塗れた記憶の中の、たった一つの、よい思い出。僕が世界に向けることができた、ほんのひと握りの愛。
けれどもう、あの一瞬には戻れない。
――透明な色をした水族館<アクアリウム>は、血の色に染まってしまったから。
■
僕には、"罪悪感"が欠如していた。
悲しみを、孤独を、好奇心を、怒りを……満たされないものを満たすためには、殺しとは最も手近で簡単な手段だった。
まずは、飼育員のお兄さんを殺した。次に、同級生の女の子を。通っていた教会の兄妹に、殺人者の僕にも優しくしてくれた、異国のお兄さんや看護婦さん。
挙句、両親を殺して自首した僕は、死刑囚にしか行われないクスリの治験が行われることとなった。
それは、僕に"罪悪感"を与えるための実験だった。よく分からないクスリを投与されて眠っている間、僕はずっと、夢をみていた。僕が殺してしまった人たちと、仲間として一緒にいられる、幸せな夢を。
そうして初めて覚えた罪悪感は、苦しかった。夢の中で手に入れた幸せは、僕が壊した誰かのものだって、気付いたから。
そうして。
自分が受けるべき罰を、この上なく自覚した上で。
『――いやだ、この夢を離れたくない。』
これが、七日間に渡る夢の中で僕――ラッセル・シーガーが出した答えだ。
僕がずっと壊すことしかできなかった幸せを、ようやく掴むことができたから。手にしたものをしがみついてでも離したくないと思ったのは、初めてだったから。
何か言いたげな情報屋を背に、僕はいつも通り、家に帰った。これが正解だったとはとても思えない。僕は、完遂者にはなれなかった。そうあるべき自分を捨てて、仮初の幸福に身を委ねた。
でも、これでいいんだ。だってもう僕は、幸せ……なのだから。このまま、眠ってしまおう。
そして僕は、ぐちゃぐちゃに歪んだベッドに横たわり、目を閉じる。でも、ここは夢の中だから、目を閉じても見えるものがある。たくさんの目が、僕を見ているんだ。失望の目で、僕を、じいっと……。
いつまでも消えない視線。夢が歪むとともに、それは次第に増えていった。誰かが僕を憎んでいる。誰かが、僕に死んでほしいと願っている。それが現実の僕だ。タバサも、ガーデニアも、ドグマもコーディも、閑照も、ミレイユも、ユーミも、あの世界にはいない。実験の完遂を諦めた僕に、生きていける場所なんてない。
そして、僕の意識はまどろみのなかに消えた。残りわずかになった余生を、幸せな世界の中で過ごすはずだった。
――この殺し合いの世界に、呼ばれるまでは。
ここは、僕に相応しい世界だ。
殺すことしかできない。壊すことしかできない。だから、それを求められるのは当然で、仕方の無いことなんだ。
ましてや、僕は役割の完遂すらも放り出した死刑囚。やってきたことを思えば、何をさせられることになっても、自業自得の末路だ。わかってる……わかっているのに。
「……僕は、あの夢の中で生きていたい。」
願うことすら傲慢な欲望を、僕は恥も外聞も無しに、吐き出した。そんな資格は無いと知ってなお、そう言わずにいられなかった。あの夢が、僕が息のできる唯一の場所。
「……そのためなら――」
続く言葉の意味を、僕はすでに知っている。もう、知ってしまった。
殺し合いに乗るということ。また誰かを、殺すということ。幾度となく繰り返した後悔をまたしようとしている僕は、きっと愚かなのだろう。だけど、どうしようもないほどに、あの夢の世界が愛おしい。
支給されたナイフを握ると、じわりと汗が滲んできた。殺したくなんてない。罪悪感を知った僕の、当然の感情。本来は、あの時に抱いていなくてはいけなかった感情。それを振り切るように歩き始めようとした、その時だった。
「――あなたは、お優しいのですね。」
声が、聞こえた。
その声のする方向を向くと、女の人が立っている。浮かべた笑みと、明るい茶髪のポニーテールが連想させる闊達な印象とは裏腹に、物静かにそこに佇んでいる様相は大人びた落ち着きを思わせる。
唐突に殺し合いを命じられた上でこの落ち着きようは、確かに異質ではあるのだろう。だが、僕に違和を伝えたのは、そんな箇所ではなかった。
「優しい……? 僕が……?」
ここはハッピードリームの世界ではないのに。目の前にいるのは、夢の住人なんかじゃない、実在する人なのに。
僕を殺人鬼とかイカレ野郎とかではなく、よりによって、優しいだなんて……それが、何よりもおかしく映った。
「例えそれが泡沫が如き夢であったとしても、幸せな世界を守りたい。尊くて、素敵な願いですわ。」
その女性は、一歩、また一歩と僕に近付いてくる。ただそれだけなのに、どことなく人間離れしていると感じ取れる。形容しがたいが、彼女はそんな風格を纏っていた。
「どうかわたくしに、その願いを叶えるお手伝いをさせていただけませんか?」
上品な所作に反し、どこか無邪気さを思わせる満面の笑みを浮かべながら、彼女はネックレスの先に付いた、石のような何かを僕に見せてきた。
「……これは、何?」
「"深海の石"といいます。これに願うと、願いが叶うと言われている宝石ですわ。」
「……願いって。そんなの、信じられない。」
馬鹿馬鹿しいと思った。
そんなものが存在し、いち参加者の手に容易く渡るのなら、願いを賭けて戦っているこの殺し合い自体が陳腐なものになる。
悪い人はいつも、善人の顔をして現れる。そして、甘言で人を奈落の底に誘うのだ。
幸せを運ぶ壺を売りに来た、にこやかな笑顔のお姉さん。みんなやっていると嘯いて麻薬を売っていたサングラスのお兄さん。お菓子をあげるよなんて、胸焼けするほど甘い言葉を囁いてきた誘拐犯のおじさん。
優しい人なんて、いない。優しく見える人というのは、汚い心を隠すのが、上手いだけだ。
「……そうですわね。確かに、この石の力は今、大きく失われています。願いがそのまま叶うほど、強い力は持っていませんわ。」
見たことか、と内心で毒づいた。証拠を求めれば、のらりくらりと躱そうとする詐欺師の手口。これが、願いなどという奇跡の正体だ。マッチ一本の火種からも守ってくれない神様のような、贋物の加護。
「……帰って。」
「そうはいきません。」
「いいから……帰ってよ!」
ナイフと共に、溢れんばかりの"さつい"を向ける。
それは、ただの威嚇のつもりだったのかもしれない。
まだ完全には決まりきっていない、他人を殺す覚悟。
自分から逃げてほしいと、そう思っての行動だった。
だけど、僕は驚愕することとなる。
「え……。」
殺意の向いた先、相対する少女の身体へと向けて、氷の刃が連なって放出されたのだ。正面から突き刺さった氷刃は少女の背中側から突き出る。
ミナ・ヒョウガと呼ばれるその特技は、本来僕の扱える力ではない。一体誰が……と、その氷塊の出処を探ろうとすれば、己の脚に纏わりつく違和感に気付く。
脚だった部位は、触手と呼ぶべきものへと変貌していた。あえて既存の知識で似たものを探すなら、海洋生物のタコの足がもっとも近いだろうか。
赤く、吸盤をその全体に備えているその様。間違っても、人間のものなどではなく、自身が異形と化している事実を認めざるを得なかった。
「一体、これは……。」
「クリーピー……深海の石が与える、あなたの願いを叶えるための力ですわ。」
ミナ・ヒョウガでその身を貫かれても顔色一つ変えることなく、彼女は口を開く。
「共に、この殺し合いを生き残りましょう? 互いの理想とする世界を保つため……。」
グチャグチャになった身体から血を滴らせながらこちらへ歩み寄ってくる彼女は、まさに"バケモノ"そのものだった。
「……僕、は。」
ナイフを握る手の震えが止まらない。
人を殺す想像――前まではなんともなかったはずなのに、罪悪感を知った今となっては、僕の最悪の記憶を想起させる行いだ。
――そのはずだったのに。
「……あれ?」
そもそも。
僕は一体どうして、人を殺したくないんだったっけ。
頭がボーッとする。浮かんでくるのは、屈託のない願い。
ハッピードリームの世界にいたい。そのためなら、正しくない選択も厭わない。確か僕は、そう決めていて――
「うん。一緒に、やろう。」
「はい、よろしくお願いします。……ところで、何とお呼びすればよろしいですか?」
「ええっと。…………そうだ。ラッセルって呼んで。」
「承知しました。わたくしはクリスと申します。」
スカートの端を持ち上げながら、クリスと名乗った女性は小さく一礼する。
「クリス……?」
「ええ、どうかなさいまして?」
「……何でもない。ただ、知り合いの名前と一緒だったから。」
その言葉を受けて、クリスは微かに眉を顰める。不機嫌そうに声のトーンを落とし、そして言った。
「……いいえ。わたくしがクリスですわ。」
別に同名の人くらいいるだろうに、妙なところで拘るんだなと、少しだけ気にかかった。
■
見渡す限りの、綺麗な世界が広がっていました。
水族館の水槽の中は、幸せで満ち溢れていました。夢見心地で水槽に手を伸ばす、たくさんのお客さん。向かいの水槽にいる、傷だらけのサメの親友。そして、天敵だらけの海から助けてくださった館長。
そんな、大切な者たちに囲まれた日常が、いつまでも続くものだと思っていました。もちろん、永遠じゃないことは分かっていたけれど、少なくともそれが壊れるのは――今日じゃないと、そう思っていました。
一発の銃声が水族館<アクアリウム>を血の色に染め上げた、その瞬間までは。
『――わたくしを人間にして!!!!!!』
私は館長を守りたくて、深海の石に願いました。そうして、館長と一緒にいられる、幸せな世界を作り上げたのです。
しかし、またその世界が脅かされようとしています。
わたくしはただ、あの幸せの中で過ごしていたい、ただそれだけなのに。
――どうして?
レトロと二人で作り上げた、皆が幸せに生きていける世界。それを……
「……どうして、壊そうとするの?」
――幸せな世界を壊さないで!
無力なまま、水槽の中で叫んでいたいつかのわたくし。あの時から、何も変わっていない。
「違う。」
「わたくしはもう」
「名前もない、かわいそうなクリオネなんかじゃない。」
「私はクリス。」
「館長の妻。」
「ええ、そうです。」
「いや、そうですわ。」
「わかりました。」
「わたくしは」
「私は」
「油断していた。」
「まだ、この世界の終わりは来ないのだと」
「永遠を信じていた。」
「だから」
「壊される」
「理不尽に」
「突然に」
「だったらどうする?」
「殺せばいい」
「奪われる前に」
「奪ってしまえばいい」
「そうして、邪魔者が消えた後の世界では」
「きっと永遠さえも、作り出せるでしょう。」
■
血に彩られた水族館<アクアリウム>から、目をそむけた。あの美しい思い出も、もはや罪悪の象徴へと変わり果てた。
そうして逃げ込んだ贋物の世界は、唯一息ができる、安息の場所。物語が終わった後に流れ続けるエンドロールにしがみついては、永遠を求めた。
本当に欲しかったのは、何ものにも替え難い、あの幸せな一瞬だったことさえ、忘れて。
【ラッセル・シーガー@END ROLL】
状態:クリーピー化(侵攻度:弱)
服装:いつもの服+タコモチーフの脚
装備:シルバーダガー@ペルソナ5
令呪:残り二画
道具:ランダムアイテム×0〜2
思考
基本:夢の世界を維持するために殺し合いを生き残る。
00:クリーピーって、何なんだろう。
01:……何だか、頭がボーッとする。HDのクスリが残ってるのかな。
参戦時期:七日目、「いやだ、この夢を離れたくない」を選んだ後です。
備考
※クリーピー化の影響で、ボス「思い出の少女」を再現した特技が使えるようになり、身体能力も向上しています。
※本ロワ特有の能力調整により、ハッピードリーム内で使える特技が使える等の能力が付与されています。
※クリーピー化の影響で、軽い記憶障害が起こっています。
・シルバーダガー@ペルソナ5
特に何の特殊効果もないダガー。ペルソナ5におけるパレス内と同様に、一般的な武器としての殺傷力を持っている。
【クリス@アクアリウムは踊らない】
状態:ダメージ(小)
服装:平常
装備:深海の石のペンダント@アクアリウムは踊らない
令呪:残り二画
道具:ランダムアイテム×0〜3
思考
基本:元の水族館に帰るために、殺し合いを生き残る。
00:殺し合いを生き残るのなら、優勝が最も手っ取り早いですわね。
01:利用できる相手は利用しましょう。特に、目的のある人間は御しやすいですわ。
参戦時期:少なくとも人間姿になった後からの参戦です。スーズ達やキティとの面識は、以降の書き手様にお任せします。
備考
・深海の石のペンダント@アクアリウムは踊らない
その魂と引き換えにどんな願いでも叶える「深海の石」を嵌め込んだペンダント。
クリスの魂は深海の石の中にある。この石を壊すか、力を使い果たすかしなければ、クリスの死亡判定にならないが、肉体がダメージを負うことで四肢欠損したり、動けなくなったりすることはある。
既に願いを叶えているため、願いを叶える効力は無い。本編中でラッセルをクリーピー化させているのは、深海の石の力ではなく、クリスの能力である。(この点でクリスは、少し嘘をついている。)
石の力を消費することで、自分(肉体)または他者の外傷を回復することができるが、その具体的な回数は以降の書き手様に一任する。
以上で投下を終了します。
投下します。
少年にとって全てが未知であった。
生まれ故郷の星の王、
ベジータ王には生まれ持った異常な戦闘力が危険視されたため小惑星バンパに追放される。
そして追放された少年、ブロリーは惑星の水すら無い過酷な環境に屈することなく適応し、
襲い来る強大な原生生物に捕食されることなく返り討ちにして生き延びていた。
本来なら父のパラガスがちょうどそれくらいの頃に迎えに来るはずだった。
しかしその父と対面する前に意思に関係なく、
殺し合いの舞台へ召喚されてしまった。
惑星バンパの壮絶な環境から一転、
殺し合いの環境は少なくともバンパの極めて荒れがちな環境よりは快適あった。
そして殺し合うと言っても原生生物との生存競争は日常茶飯事、
命やりとりはいつものこと。
そういった意味では羂索が開いた殺し合いは
少年にとって当たり前で特に変わった事は無いのかも知れない。
「おい小僧、そこで何をしている?」
しかし客観的に見れば命がたやすく散る舞台において
幼くてか弱く見える子供がさまよっているのはいささか異様な光景であった。
少年を目にした超人の名はまるでアゲハ蝶を人型に落とし込んだような外見だった。
◆
「リラリラリラ、これは我ら時間超人への挑戦状ということでよいのだな?」
蝶を模した羽を携え、胴体に至るまで超人の外見は
悠久の時を生きる蝶を思わせる。
刻の神の創造によって生誕した時間超人、その幹部格の五大刻の一員
名は“燦然の刻”パピヨンマン。
パピヨンマンは飛翔チームのリーダー、
キン肉マンマリポーサを難なく下し
その試合を一部始終目撃していた者どもに
刻の神の威光、そして五大刻の想像絶する力と
この世の新たな頂点に座する時間超人の底知れなさを見せつけてた。
時間超人に仇なす者どもへの見せしめのため
マリポーサの命を散らさんとしたが、始末する直前で
記憶は唐突に前触れも無く途切れた。
次に気づいたときはなぜか殺し合いの参加者として呼び込まれていた。
「羂索よ…旧式の超人にすぎぬお前が大層な真似をやってのけたことには大いに関心がある。」
古き世界は壊れゆき、新しい宇宙を統率する時間超人、
その中でも一億パワーすらも有する、すなわち神にも並ぶ
このパピヨンマンを気づかないうちに
無理矢理殺し合いへ引き込んだ実力と能力は認めるべきだ。
本体であれば激昂し、ひたすら主催となった超人たちに憎しみと殺意を向けるはずが
ここまで大胆な所業であれば一周回って感心する。
この殺し合いは受け入れよう、やがて全てに君臨する間超人への試練として。
そして存分に力、信念、威光を他の参加者にとことん思い知らせてやる。
パピヨンマンにとって殺し合いは試練という通過点にして
時間超人の偉大な力を試す挑戦状のようなものだった。
◆
「おい小僧、そこでなにをしている?」
殺し合いに乗り、有象無象を散らすため移動したパピヨンマンが
第一に発見したのは尾の生えたこどもの超人であった。
同胞の時間超人ではないことは少なくとも一目で理解できた。
「質問に答えてもらおう、坊主そこでなにをしていた。」
きょろきょろ周りを見渡す少年、ブロリーを見つけた。
「いや…わけもわからずとまどっていた…そんな様子か?」
時間超人を使い捨ての道具のように扱える超人が開いた殺し合いだ。
いまさまよっている超人はただの小僧では無い。
全力を発揮すれば、並の相手だとすぐさま返り討ちにできるほどの潜在能力を有するのかもしれない。
「どうだ、ここは一つ手合わせといかんか?命の補償は無用だがなあ。」
こやつをこのパピヨンマンの一人目の踏み台にすることにした。
ここに呼ばれている超人たちがどれほどの力を持っているのか。
このチビの小僧で体感してやろう、呼ばれた超人たちの平均的な実力が測れればそれで良い。
突き刺すような戦意と殺意を向けられたブロリーは警戒を一層強め形相が険しくなり睨む。
敵対される生物から目を付けられ、油断や隙を見せれば即座に死へ繋がる。
獲物と認識されたら選択肢は二つ、逃げるか立ち向かい返り討ちにするかだ。
「一寸もおびえが見えぬ面だ、戦う意思はありと見た!」
小僧の戦意に満ちた形相が闘いのゴングと判断する。
威勢の良さは確かだ、では実力はどうか。
「幼子といえど殺戮の会場に呼ばれるほどの実力!どれほどか見せて見ろーっ。」
小僧が自分を楽しませ存分に五大刻としての強さを振るえる猛者であると期待し、
双方前へ飛びあった。
「フン!」
スタート同時に取っ組み合いが始まると思いきや、ブロリーはパピヨンマンに顔面を即座に右手で掴まれた。
パピヨンマンとブロリーでは大人と子供の体格差によって
真っ正面から両手で取っ組み合うのは成立しがたい。
取っ組み合いというより一方的な握りつぶしとなる。
パピヨンマンの両手に小柄なブロリーの両手が掴まれそのまま握りつぶされるはずだ。
それをブロリー野生の勘か、または生まれ持った強さに含まれた
頭の回転の速さで判断したのか即座に両手を後ろへ伸ばし顔面に狙いを絞り頭突きを見舞おうとする。
「甘いな!それが読めぬと踏んだのか!」
ブロリーが間違いなく取っ組み合わず他の手段で攻めにでると
パピヨンマンは見抜いていた。
正面から攻めると思わせて、後退するか、
または両手以外を用いた攻撃をするのか。
どんな手段できようとも対応できる自信はある、顔部を直接狙ってきたがそれも問題は無い。
後方へ下がり、右手で顔面を鷲掴みにして
アイアンクローを喰らわせる形となった。
よって先制攻撃が許されたのはパピヨンマンだ。
「このまま潰され血だるまになりたければ何もするな、反対であれば思うがまま暴れてみせろ!」
ブロリーはこのまま潰されてたまるかといわんばかりにもがくも抜け出せそうな様子は無い
超人強度1億パワーの膂力はそこらのパワータイプの超人すらも大きく突き放すほど優れている。
その一億の力で顔面を圧迫されるのは想像が追いつかないほど苦痛を損傷をもたらす。
「片を付けるのはたやすいがこれで終わらせるのは詰まらん…リラ!」
サマーソルトキック、ブロリーを上空へ放り投げ
そのままパピヨンマンも跳躍し空中へ舞い
縦の弧を描くような蹴りを浴びせる。
蹴り上げられさらに上空へのぼったブロリーへ追撃を仕掛けるため中に上がるため地を蹴る。
両手で握りこぶしを作り、空上に上げられたブロリーを狙い叩き下ろした。
再度一億のパワーの力を喰らい地面におとされそのままめり込む。
起き上がる様子は無い、地にめり込んだまま微動だにしない。
「ちょっと腕を交えてみればすぐにこの始末か、あのマリポーサの方がよほどマシであっったわ。」
少し期待しものの、結局はほぼ対抗できず瞬く間に倒れる程度の実力、
期待外れも良いところだ、自分に完敗したが倒れるまで意地でも諦めず、
禁じ手だった飛翔の神による一億パワーの取得など持てる手段を全て使い、戦意を身とともに文字通り燃やし尽くしたキン肉マンマリポーサの気概を少しは見習って欲しいものだ。
「持っている道具はいただくとしよう、有用な物があれば私がせいぜい役に立ててやる。」
小僧とこの場所に用事は無い、小僧に支給された道具になにか役に立つ物を期待しつつ
動かぬ屍となった惨めな小僧の持つ、バッグへ手を伸ばした。
「…ほう、なんだ死んではいなかったのか。」
伸ばした手を小僧が起き上がり両手で掴んできた、一時的失神し、再度起き上がったようだが、何か変化が起きていた。
「この力…本領を今まで出していなかったらしいな貴様は。」
ブロリーの表情はさらに険しくなり、顔面の血管は鼓動と共に浮き上がり、緑色にゆらめくオーラを纏い立ち上がる、
時がたつたびに大地にはヒビが巻き起こり、大気が重さが増しブロリーの威圧感が肥大化する。
歯は食いしばられ、屈するどころかさらに敵意を爆発させて復活したのだ。
伸ばした手を掴まれたパピヨンマンは背負い投げをまともに受けて大地に叩きつけられる。
全身が一瞬砕けたのでは無いかと錯覚するほどの衝撃が
肉体を光のような速さで駆け巡る。
尋常ではないダメージを受けたものの、恐れるどころが
むしろ高揚せずにはいられない。
「追い込まれたがゆえに燻っていたパワーを放てたというわけか!」
これは面白い、この余興は楽しめそうだ。
小僧の眠れる実力が解放され、この五大刻に決して軽くは無い攻撃を浴びせた。
本気をかました小僧の強さはいかほどか、さらなる力を思い知らせて見ろ。
もし貴様が単なる旧式とは一線を画す猛者であれば在るほど良い。
旧式どもの中でも規格外に位置する貴様を始末できれば
その分時間超人、我ら五大刻の真価を証明できるのだ。
「リラリラ〜っ、並の旧式風情とは異なるのならさらに力を解き放つのだな〜!パピヨンザファール!」
蝶の羽を豪快に振るい浴びた存在を著しく吹き飛ばす突風を吹き付ける。
「な、なんと!」
マリポーサのような手慣れの超人ですら翻弄される突風を受けても
ブロリーは一切動じることは無かった、何も語らないが、
表情とその目はまるで『その程度のそよ風で吹き飛びようが無い』と、余裕をみせつけているように見えた。
「フン…バタフライエフェクト!」
右手を振るい小僧の背後の彼方へ過ぎ去った突風がUターンする。
逆方向を突き進み小僧の背中に突風が直撃するが、一切きかず無意味。
「まさしく期待以上という訳か…!」
小僧の真のパワーはこちらの見積もりを遙かに上回っていた。
今のパピヨンザファールに手加減はない、持てる力を全部込めて放ったが全く効かないとは。吹き飛ばし次の技へ繋げる狙いは失敗に終わる。
お前の手の内はもうどうでもいい、次はこちらが攻めをぶち込む番だ。
ブロリーはスライティングでパピヨンマンの股間の下をトンネルのように潜り背後へ回る。
死角に入られたパピヨンマンの後頭部を片手で握り、もう片方の手でラッシュを見舞う。
単純な膂力も倍増している、拳の一発ずつ攻撃が確実に削られるような痛みと損傷をもたらしていく。
連打の嵐はやみ、続いてさきほど仕返しなのかサマーソルトキックを放つ、ブロリーの縦に円を書くような脚技の精度と技巧は見事な物だった。
(まるで学習されているようだ!)
ブロリーは力と速度だけではなく、学習力も突出していた。
一度受けた技をまるでコピーしたように自分の技術として学び身につけ、
目まぐるしいくらいの早さで技巧と精密性を我が物としていく。
成長と進化のスピードにおいてブロリーに右に出る者は存在しない。
ブロリーのサマーソルトキックはパピヨンマンのサマーソルトキックを威力、精密動作などにおいて超越していた。
先ほどの再現のように天空へ蹴り上げられ、ブロリーは追尾し、距離を一瞬にゼロまで詰めて、咆哮を浴びせた。
咆哮は即座に生まれ変わり口部からの光線となって遅いかかる。
『相手を吹き飛ばすというのはこうやるんだ』
もし小僧がまともにしゃべれたらそのように勝ち誇っていたのかも知れない。
黄緑の色を有する光線はパピヨンマンの胴体を押し、即刻目に映すことができないほど離れた場所へ飛ばされていく。
実力の真価の片鱗を理解させたブロリーは少なくとも高揚していた。
難敵に対処できた達成感、闘争本能を満足させるほどの強者と戦えた楽しさ。
サイヤ人の生まれついての闘争心が燃え上がり、本格的な闘いの素晴らしさと面白さを理解しつつあった。
次は誰だ、強者はどこだ、戦いたい奴は俺と戦って見せろ。
戦いへの望みのままにブロリーは殺し合いの舞台を周遊するのか。
【ブロリー@ドラゴンボール超 ブロリー】
状態:戦いによる高揚。
服装:サイヤ人の戦闘服
装備:特になし
令呪:残り三画
道具: 基本支給品、ランダム支給品1〜3
基本:?
01:楽しませてくれる相手と戦いたい。
02:唐突に知らない場所に飛ばされた戸惑い、ここはどこなのか?
参戦時期: 惑星バンパに飛ばされてからパラガスとビーツに発見される前。
備考:超弱退化しています。
「ぬかったわ…リラリラ、」
どうやらこの殺し合いの参戦者は五大刻すら殺せる可能性を秘めた超人すら存在しているようだ。
「仇なす者は強大であればあるほど…時間超人の威光を示すことができるとも言えるな…」
仕掛けた技が通用せず一方的に攻撃されてどこかに大きく飛ばされたが、戦慄するどころか、むしろさらに楽しめてきた。
一筋縄ではいかず、苦労を強いてくる敵の方が、たやすく仕留められるもろい奴らよりマシなのだ。
簡単には勝てぬ猛者であればあるほど時間超人たちの偉大な気格を見せつけることができる。
なによりこの程度で屈し、果てればこの世界の永久の頂点、我らが刻の神の沽券に関わる。
悪魔は劣勢でこそ笑うという、しかしそれは五大刻もまた同じらしい
劣勢をものともせず勝利を掴めば、不利にながされない屈強を持つ証明となるからだ。
ダメージを受けはしたが、体は特に不調なく動くまだまだ戦える。
しかし慢心や油断は永遠の時を生きるパピヨンマンを
散りゆく命儚き蝶へ貶めていく。
一億パワーを宿し、現人神と称しても矛盾はないパピヨンマン。
しかし殺し合いの戦場では現人神すらも散らしかねない存在が蔓延るのもまた事実。
時間超人たちが次代からはじめる永遠の支配者として君臨し、
古き世界を崩壊させて、新の世を創造するにはまず、
羂索が開いた殺し合いという試練を乗り越えられるかどうかにかかっていた。
【パピヨンマン@キン肉マン】
状態:損傷(中)
服装:特になし
装備:特になし
令呪:残り三画
道具: 基本支給品、ランダム支給品1〜3
基本:他の参加者を残らず片付けて、羂索にとどめを刺す。
01:まずは休息をとる。
02:あの小僧(ブロリー)へのリベンジは必ず成し遂げる。
03:他の参戦者には死を与える。
参戦時期: キン肉マンマリポーサに勝利した後。
備考:どこに飛ばされたかは採用された場合、後続の書き手様にお任せします。
投下は以上となります。
拙作「悪性受胎・色欲邪王」においてハンマーの支給品紹介にミスがあったのでwiki掲載時に以下のように修正してくれると助かります
・範馬慎太郎の競技用ハンマー@戦闘破壊学園ダンゲロス
アメスに支給。希望崎学園生徒会所属の魔人、範馬慎太郎が能力行使に使用するハンマー投げ用の競技用ハンマー。ぶっちゃけ鉄球。鴨志田に譲渡しており鴨志田はこれを使用し必殺シュートを放つ。
ぶっちゃけ範馬勇一郎が投げているわけじゃないからあたっても爆発はしない。まあ鴨志田がなんかしたら爆発はしそう
>>299
どうも。
ご指摘の件ですが、盗作ではありません。
間違いなく全て僕が書いた作品です。
おそらくですが、同じトリップを使用しているつもりだったのが、手違いで違うトリップになってしまったのかと思います。
ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。
>>322
返答ありがとうございます
それならよかったです
万が一ということでの指摘とはいえ、あらぬ疑いをかけてしまいすみません
投下します
<ケミーライズ!パイレッツ!>
支給されたケミーライザーのセットしたケミーカードの能力の一端を部分錬成する機能を使って海賊刀を錬成する。
刀剣類が支給されていないと分かった時はどうしようかと頭を悩ませたが、これならばひとまず大丈夫だ。
間合いや重さなど気を付けなければいけないことはあるが無手よりは断然良い。
剣の、そして何より自身の肉体の感覚を確かめる様に振るう少年の名はユージオ。
黒の英雄キリトの無二の親友である青薔薇の騎士で、キリトに全てを託し死んだはずだった。
しかしなぜだか蘇り、殺し合いの参加者にさせられてる。
肉体を渡り歩いて生きながらえる怪物も居るのなら死者蘇生も不可能ではないのかもしれないが、自分が復活していること自体には驚いた。
(けど僕を復活させたのは間違いだったな、ケンジャク。
必ずお前やクルーゼたちの野望を阻止させてもらう)
決意を胸にキリトから教わった剣技を確かめていく。
問題ない。体は生前のように動かせる。
「良い剣だ」
『パイレッツ!』
そうだろう!と言いたげにケミーライザーに封印されたパイレッツが誇らしげな様子を見せる。
ユージオは海賊刀を一度納刀するとライザーからカードを引き抜き、
「君たちの力も、そのうち当てにさせてもらうよ」
『バンバンブー!』
『マックラーケン!」
ケミーライザーに付属して渡されたもう二枚のカードに封印されたケミー、バンバンブーとマックラーケンと共に一度懐にしまう。
バンバンブーとマックラーケンはガッチャンコケミーと呼ばれる最も相性のいい組み合わせで、まとめて支給されているのも納得なのだが、パイレッツの場合、マッドウィール一枚で運用可能な変身アイテムがあるせいか、バラバラに支給されてしまっているようだ。
『戦う分には問題ない武器が渡されているようですね』
「君みたいな規格外と比べると霞んでしまうけどね、ゼア」
ユージオの耳に女性的な声が届く。
だがユージオは三枚以上のケミーカードを所持していなければ、周囲に人影もない。
声はユージオにのみ腰に巻いたドライバーから直接届けられている。
その名も超知能ゼア。
飛電インテリジェンスが開発したアークをも超える人工知能である。
今は飛電ゼロツ―ドライバーにその意志が内包されている。
ユージオに支給されてすぐにゼアはあまり気は進まなかったがユージオのボディを掌握し、ゼロツ―ドライバーの前身である飛電ゼロワンドライバーにもついていたチュートリアルモード(超高速思考による現実の数分の一の時間で説明を済ませる)を使ってゼアの概要、そして仮面ライダーなどについての説明と協力を要請して来た。
最初はアドミニストレータが如き雰囲気に多少不信感を抱いたユージオだったが、害意はないと分かるとすぐに協力を了承した。
「にしても善意ゆえに人類を滅ぼそうとする仮面ライダー、か。
ガッチャードやアークと本当に協力ができると良いな」
『そればかりは出会ってみないと分かりません。
羂索がもし仮面ライダージオウの力を手中に収めていた場合、アークが人類滅亡を諦めていないころの時間軸から読んでいる可能性もあります』
「そんなことは僕が、いや僕たちがさせない。
いこうゼア!」
『ええ、行きましょう。
我々の望む未来へ』
電脳世界最高の騎士とゼロワンの世界最高の超知能のケミストリーが今、始まった。
<ケミーライズ!パイレッツ!>
支給されたケミーライザーのセットしたケミーカードの能力の一端を部分錬成する機能を使って海賊刀を錬成する。
刀剣類が支給されていないと分かった時はどうしようかと頭を悩ませたが、これならばひとまず大丈夫だ。
間合いや重さなど気を付けなければいけないことはあるが無手よりは断然良い。
剣の、そして何より自身の肉体の感覚を確かめる様に振るう少年の名はユージオ。
黒の英雄キリトの無二の親友である青薔薇の騎士で、キリトに全てを託し死んだはずだった。
しかしなぜだか蘇り、殺し合いの参加者にさせられてる。
肉体を渡り歩いて生きながらえる怪物も居るのなら死者蘇生も不可能ではないのかもしれないが、自分が復活していること自体には驚いた。
(けど僕を復活させたのは間違いだったな、ケンジャク。
必ずお前やクルーゼたちの野望を阻止させてもらう)
決意を胸にキリトから教わった剣技を確かめていく。
問題ない。体は生前のように動かせる。
「良い剣だ」
『パイレッツ!』
そうだろう!と言いたげにケミーライザーに封印されたパイレッツが誇らしげな様子を見せる。
ユージオは海賊刀を一度納刀するとライザーからカードを引き抜き、
「君たちの力も、そのうち当てにさせてもらうよ」
『バンバンブー!』
『マックラーケン!」
ケミーライザーに付属して渡されたもう二枚のカードに封印されたケミー、バンバンブーとマックラーケンと共に一度懐にしまう。
バンバンブーとマックラーケンはガッチャンコケミーと呼ばれる最も相性のいい組み合わせで、まとめて支給されているのも納得なのだが、パイレッツの場合、マッドウィール一枚で運用可能な変身アイテムがあるせいか、バラバラに支給されてしまっているようだ。
『戦う分には問題ない武器が渡されているようですね』
「君みたいな規格外と比べると霞んでしまうけどね、ゼア」
ユージオの耳に女性的な声が届く。
だがユージオは三枚以上のケミーカードを所持していなければ、周囲に人影もない。
声はユージオにのみ腰に巻いたドライバーから直接届けられている。
その名も超知能ゼア。
飛電インテリジェンスが開発したアークをも超える人工知能である。
今は飛電ゼロツ―ドライバーにその意志が内包されている。
ユージオに支給されてすぐにゼアはあまり気は進まなかったがユージオのボディを掌握し、ゼロツ―ドライバーの前身である飛電ゼロワンドライバーにもついていたチュートリアルモード(超高速思考による現実の数分の一の時間で説明を済ませる)を使ってゼアの概要、そして仮面ライダーなどについての説明と協力を要請して来た。
最初はアドミニストレータが如き雰囲気に多少不信感を抱いたユージオだったが、害意はないと分かるとすぐに協力を了承した。
「にしても善意ゆえに人類を滅ぼそうとする仮面ライダー、か。
ガッチャードやアークと本当に協力ができると良いな」
『そればかりは出会ってみないと分かりません。
羂索がもし仮面ライダージオウの力を手中に収めていた場合、アークが人類滅亡を諦めていないころの時間軸から読んでいる可能性もあります』
「そんなことは僕が、いや僕たちがさせない。
いこうゼア!」
『ええ、行きましょう。
我々の望む未来へ』
電脳世界最高の騎士とゼロワンの世界最高の超知能のケミストリーが今、始まった。
【ユージオ@SAOシリーズ】
状態:正常、ゼアを許容
服装:いつもの服装
装備:ケミーライザー@仮面ライダーガッチャード
ライドケミーカード(パイレッツ、バンバンブー、マックラーケン)@仮面ライダーガッチャード
飛電ゼロツ―ドライバー@仮面ライダーアウトサイダーズ
ゼロツ―プログライズキー@仮面ライダーアウトサイダーズ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1(刀剣類ではない)、ホットライン
思考
基本:この狂った儀式を止める(ユージオ)
下した結論に基づきこのゲームをクリアする。(ゼア)
01:居るのならばキリトとの合流を目指す。
02:前提を確定させるために羂索、クルーゼ、茅場に関する情報を集める。
03:
参戦時期:死亡直後(ユージオ)
アークと同じ結論に至った後(ゼア)
備考
※ユージオがゼアを許容した為、ドライバーを装着している間はゼアが肉体の主動権を握れます。
【支給品解説】
・飛電ゼロツ―ドライバー@仮面ライダーアウトサイダーズ
…ユージオ@SAOシリーズに支給。
ゼロツ―プログライズキーとセットで支給される。
仮面ライダーゼロツ―に変身するためのアイテムで、飛電ゼロワンドライバーをベースに多次元プリンター及びライダモデル射出機能が搭載されている。
ゼロツ―プログライズキーには超知能ゼアのデータを内包している。
当ゲームではゼアの意志が内在しており、装着者の肉体を同意の上で使う事も可能。
・ケミーライザー@仮面ライダーガッチャード
…ユージオ@SAOシリーズに支給。
ライドケミーカード(パイレッツ、バンバンブー、マックラーケン)とセットで支給される。
ケミー回収任務に従事する錬金アカデミーの生徒に支給されたガジェット。
通信、ケミーの探知、ブランクカードへの封印、セットしたケミーの力の限定解放、ケミーをカードから解放しての使役など支給品のガジェットとは思えない程高性能で多機能。
投下終了です。
多重投稿になってしまい申し訳ありませんでした。
タイトルは ボクが善意の仮面ライダー です
投下します
この世からみーんないなくなれば、ちょっとは楽になるのかな。
そんな事を、思った事がある。
でも。
ボクの方がいなくなれば全てが丸く収まるのか。
そんな事は、微塵も考えた事はなかった。
だから……。
「はぁっ、はぁっ……!」
誰もいない街並みを、出来る限りの全力で走る人影が1つ。
名前は暁山瑞希……不登校気味ではあるが、ある1点を除いてごく普通の高校生だ。
瑞希の後方には、左右を白と黒で分けたクマのような何か。
それが数体の群れを成して、瑞希に襲い掛からんとしている。
(何で、こんな事に……)
クマの群れから逃げつつ、瑞希は必死に自身の記憶を掘り返す。
最後に覚えているのは、夕暮れの屋上。
瑞希を“友達”だと言ってくれた少女に、どうしようもない“嘘”をついてしまったこと。
そこから紆余曲折あって、屋上から出ようとしたところで……記憶は途絶えていた。
だとしたら。
いま自分が置かれている状況は、その“嘘”に対する罰なのだろうか。
普通なら、そんな話は「アニメや漫画じゃあるまいし」と一蹴出来るだろう。
だが……瑞希は違った。
(これも、セカイの一種だったりするのかな……)
セカイ。
『Untitled』と題された音楽ファイル──今はタイトルがついているそれを再生する事で、どういうワケか辿り着く場所。
ある“空っぽの少女”によって形作られ、バーチャルシンガーという存在が佇む摩訶不思議な空間。
そんなセカイに……既に、自分自身が入り浸っている。
だから、不運な事に。
いま起きている現象を、セカイか、或いはそれに準ずる何かだと、すんなり飲み込めてしまっていた。
「っ……!?」
まずい。
少しヒビの入ったアスファルトに、足を取られて転んでしまった。
すぐに起き上がるが、クマの怪物たちはすぐそこに迫っている。
“仲間”たちの中では、瑞希はどちらかと言えば運動能力に自信がある方だった。
ただ、単純に怪物たちの足が速い。少しずつ距離を詰められていたところに、転んでしまったせいで大きな優位を与えてしまった。
そして、怪物のうちの1体が飛び跳ね、両手のツメを見せつけながら瑞希に飛びかかる。
ああ、終わったかも知れない。
そんな事を思いながら、瑞希は目を閉じて──
乗り物……バイクが近づくような音。
何かがぶつかる音や、機械の部品が飛び散るような音。
手首を掴まれる感触。
「乗れ!」
そんな声と、手首を通じて身体を引っ張られる感触。
ワケの分からぬまま、ボクはそれに乗り込んだ。
「それ、被っとけ」
「あ、うん……」
ゴーストタウンを駆け抜けるバイク。
今時にしては珍しいリーゼント……完全に暴走族の風貌をした青年から、ボクはヘルメットを渡される。
「えっと、ボク、暁山瑞希って言うけど……キミは」
「大和田紋土だ」
そう名乗った彼は、少し苛ついているようだった。
荒唐無稽な状況下だし、無理もない。
「えっと……助けてくれてありがとう、大和田くん。よろしく、でいいのかな」
「ああ。一応、ヨロシクな」
声をかけ辛い雰囲気ではあるけど……。
それでも、お礼はきちんと言っておくべきだよね。
【暁山瑞希@プロジェクトセカイ】
状態:不安、疲労(小)、紋土にしがみつく形でバイクに乗っている
服装:普段着
装備:ヘルメット
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:少なくとも、ボクは消えたくはない
01:ありがとね、大和田くん
02:大和田くんと話がしたい
備考:
参戦時期は「ボクのあしあと、キミのゆくさき」終了後
(ったく、何がどうなってやがる……)
瑞希を自身にしがみつかせながら、大和田紋土は心中で疑問符を浮かべる。
瑞希に襲い掛かっていた怪物が何か、紋土は良く知っていた。
モノクマ。希望ヶ峰学園の学園長を名乗る謎のロボットだ。
超高校級の暴走族と呼ばれる紋土はモノクマによって希望ヶ峰学園に閉じ込められ、
他の超高校級たちと共に、コロシアイを強いられていた。
胸糞悪い殺人事件と、学級裁判などという胸糞悪い催しを終えて、寄宿舎で休んでいた筈だった。
気付いた時には、舞台がコロシアイから殺し合いへと変貌していた。
理解が追い付かないまま、紋土はどこかの建物の中で目が覚めた。
そして、窓の向こうにモノクマに襲われている瑞希を発見。
いつも乗り回しているものとは違うけれど、偶然停められていたバイクを見つけ、今に至るというわけだ。
紋土は暴走族という、反社会的な存在ではある。
だが、目の前で人が襲われているのを助けないような薄情な人間ではない。
それに……何故だか、暁山瑞希という“少女”の事が、放っておけないような気がした。
瑞希を襲っていたのが、モノクマという見知った邪悪だったせいなのだろうか。
そんな事を考えながら、紋土はバイクを走らせる。
ある勘違いを抱えたまま。
【大和田紋土@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
状態:苛立ち、バイクに乗っている
服装:普段着
装備:特になし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:胸糞悪い催しはぶっ潰したい
01:なんでモノクマが……
02:どこか一旦落ち着ける場所を探したい
03:瑞希の事が気がかり
備考:
参戦時期:Chapter1終了後
また、市街地でバイク(ガソリン残量不明)を拾いました。
暁山瑞希は、ある秘密を抱えている。
カワイイものが大好きな瑞希は、普段から少女のような恰好をしているが。
瑞希の周辺に立っているある“ウワサ”が、今も瑞希を苦しめている。
大和田紋土もまた、ある秘密を抱えている。
彼には、大和田大亜という2つ上の兄がいた。
兄と交わしたある“約束”が、今も紋土を縛りつけている。
バイクは走る。
シークレット・ディスタンスを保ったまま。
バイクは走る。
致命的な秘密を抱えたまま。
【NPCモンスター解説】
モノクマ@ダンガンロンパシリーズ
身体の左右を白と黒で分けた、クマのようなロボット。
身軽で、ツメによる攻撃を主としており、自爆機能を備えた個体も。
投下終了です
もし、その辺でバイクを拾えたという内容が不味かった場合は
支給品に偶然あった、何かしら仮面ライダーシリーズに登場するバイク(書き直しが必要になった際に決めます)を取り出したという体裁に書き直します
投下します
殺し合いの会場の末端。一人の初老の男が、佇まっている。
灰色一色の髪をおさげにまとめ、口髭を携えた厳格な顔つき。
若くはない見たくれからは考えられない程に鍛えられた肉体と風格。
その男の名は、シュウジ・クロス。又の名は東方不敗マスター・アジア。
人類が宇宙に進出し宇宙コロニーに生活圏を移し始めた時代、未来世紀と呼ばれる世界にその名を轟かせる流派・東方不敗の継承者であり、第12回ガンダムファイト大会の“元”世界王者だ。
「羂索とやら。このワシをわざわざ生き返らせてまでやる事が殺し合いとはな」
東方不敗は堂々と大地に立ち、真っ直ぐに前を向いて言葉を発する。
この言葉の通り、彼の認識では自分は死した存在と感じている。
だが、気がついた時には暗黒一色の空間におり、頭部に大きな縫い目をした少女に最後の1人になるまで殺し合えと命じられ、更に気が付いたらまた別の地にいた。
ならばこの地は冥界であり、あの少女の姿は実は地獄の閻魔であり、大罪人たる自分を罰する地獄巡りの一環なのか――などという思いを脳裏に浮かぶが、自身の身体に伝わる感覚が生きているそれと変わりない。
何らかの手によって、主催の手によって蘇ったのだと結論づけていた。
「バトルロイヤル、殺し合い、人間の抹殺か…」
東方不敗は告げられたルールを口ずさむ。
かつての彼ならば、己の目的の為にゲームに乗り、参加者を殺し回る立場になる事に躊躇がなかっただろう。
何故ならば、生前は荒廃していく地球環境の浄化の為に、デビルガンダムという殺戮の悪魔の兵器を用いて人類の抹殺を掲げて暗躍をしていたのだから。
ガンダムファイトとは、地球をリングとし「ガンダム」と名がついた機動兵器を使った、地球の覇権を争う広大な代理戦争。
第12回大会で優勝し高みに立っていた彼は、ガンダムファイトの陰で荒廃していく地球の姿を目の当たりにし、自分自身の戦いも地球を荒廃させる一端を担っていた事に深く絶望した。
その後、ネオジャパンコロニーより飛来したデビルガンダムの暴走した自己理論が「人類の抹殺し、地球環境汚染の原因を絶つ」という結論に賛同し、人類の敵として動いていたのだ。しかし……
―――東方不敗、あんたは間違っている!!
―――何故ならば、あんたが抹殺しようとしている人類もまた、天然自然の中から生まれたもの!!
―――いわば地球の一部。それを忘れて何が自然の、地球の再生だ! そう、共に生き続ける人類を抹殺しての理想郷など!愚の骨頂!!
自らが武を教え、自らの野望に真正面から立ちはだかった一番弟子、ドモン・カッシュから放たれた言葉。
その言葉は、東方不敗の考えを論破させる言葉であり、同時に自身の弟子が師匠である自分を超えた瞬間であった。
そして、第13回ガンダムファイト大会決勝ラウンドという場をもって行われた決戦の場。弟子のドモンとの最終奥義の撃ち合いに競り負け、敗北した。
―――なあドモン…、お前には教えられたよ…。人類もまた自然の一部…、それを抹殺するなど自然を破壊するも同じ…。
―――ワシはまた、同じ過ちを繰り返すところであった…
以前から己に罹っていた不治の病の悪化もあり、限界が訪れた東方不敗が最期に見た光景。それは弟子との決着を終えた地にて、新たな王者となった最愛の弟子の腕の中で見た朝日であった。
自らが大罪人となろうとも守ろうとした地球の美しさ、それが生み育んだ命という自然の理を崩そうとした自らの過ちと愚かさを認め、流派・東方不敗の名乗りを共に口に出し、直後にその生涯を終えた。その筈だった。
東方不敗の体感では数十分ほど前にドモンと死闘を行い、分かり合い語らい合った状況から何もかも劇的に一変しているが、今の彼の心は明鏡止水の如く静かに落ち着いている。
澄み切った彼の精神に邪な思いは無く、一点の曇り無し。
今の東方不敗には、殺し合いに乗り参加者を殺し回ろうという意思は全くない。
人類抹殺の考えを捨てた自分が、この血で血を洗うゲームで出来る事は一つ。
即ち、主催者の打倒を志す者達と共に戦い、叛逆を仕掛ける事のみ。
少女の身体をした主催は最初のルール説明の場にて、ゲーム運営の叛逆を善しとした。自身がこうなる事も織り込み済みだろう。
元より自身は死した身。大体、人類抹殺の頃でなく生き返らせた後に呼ぶよう様な手間をかける事をした主催達が悪いのだ。
「しかし、死して尚病に掛かるとは、ワシは病とどうやら切れぬ縁らしいな」
東方不敗は自身の胸に手を当てて、己の身体の調子を確認する。
この会場に転移してから十分も経っておらず、まだ何もしていない段階だが、彼ほど武を極めた者ならば呼吸一つで自分の身体の調子を十全に知る事が出来る。
生前に侵された病の感覚は既にない。どうやら生き返らせる際に取り除かれたらしい。
一方でこの身体には、バグスターウイルスなる未知の病が蔓延している。身体に異変こそ感じないが、脳裏には留めておくべき問題だ。
何より一番懸念すべき点は、思っているより身体の動きに鈍さがある。
主催が最初に説明した時に話した制限が課せられているのだろうか。現状では流派・東方不敗の奥義も十全に放つのも厳しい有様だ。
だが、流派・東方不敗とは力で相手をねじ伏せ、見せつけるだけの武道ではない。
――― 新一派 東方不敗 王者之風 全新招式 石破天驚 看招 血染東方一片紅 ―――
常に新しい波乱に満ちているこの世にて、嘆きと助けを求める声は天を破ろうとする。
流派・東方不敗の役目とは、王者の風を吹かせ悲しみを鎮めることが至上とされる一派なのだ。
この殺し合いの状況など、正に嘆きと助けが満ち溢れる血に染まる世界。
ならば、本名を捨て流派の名を自身の名とした己こそが、命を燃やし王者の風を吹かせ、抗う者達にその手に黄金の勝利を齎す為に前に立つべきであるのだ。
東方不敗は顔を上げ、空に向かい大きく吠える。
我の存在此処に在りと、大きくアピールするように叫んだ。
「覚悟せぃ、羂索に他の主催達よ!流派・東方不敗の真髄をその身に教え込んでくれるわぁ!!」
人類抹殺という漆黒の野望を捨て、文字通り再誕を果たした男の新たな闘いが始まった。
【東方不敗マスター・アジア@機動武闘伝Gガンダム】
状態:健康
服装:いつもの服装
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:打倒主催
01:他の参加者と合流し、勝利に導く
参戦時期:死亡後
備考
※名簿には本名(シュウジ・クロス)ではなく、東方不敗マスター・アジアの名が載ります。
※流派・東方不敗の奥義は制限されています。少なくとも最終奥義・石破天驚拳は令呪を使わないと放てません。
投下終了です
投下します
「殺し合えだって? 冗談じゃない!
やっと……やっと戦争が終わったんだぞ!」
その少年は、怒りを燃やしていた。
彼の名は、アムロ・レイ。
一般人でありながら成り行きで地球連邦軍の新兵器「ガンダム」のパイロットとなってしまい、そのまま終戦までを戦い抜いた男だ。
彼はその後もいくつかの戦いに関わり、伝説的な存在となっていくのだが……。
今のアムロは、そんな自分の未来を知るよしもない。
「今さらこんなところで、死んでたまるか……。
戦えというのなら、戦ってやるさ!」
生きて帰るために、戦いを決意するアムロ。
だがその闘志は、決して殺し合いを肯定するものではない。
彼が戦う相手は巨大な敵、この殺人ゲームの主催者である。
「とはいっても、丸腰で生き残れるほど僕は強くない。
武器はどうしても必要だ」
冷静に判断し、アムロは支給品をチェックする。
あの脳の怪物は、「モビルスーツをパワードスーツに落とし込んだ」と言っていた。
アムロはそんな技術に心当たりはないが、何せあんな化物が実在するのだ。
何があっても不思議ではない。
そんなものが本当にあるのならば、ぜひとも使い慣れたガンダムがほしい。
そう願いながら、アムロはリュックの中を調べ続ける。
やがて彼の手は、一つの鍵をつかんだ。
「これは……当たりか!?」
付属していた説明書きには、「ガンダム」の文字があった。
望みどおりのものがあったと喜びの表情を浮かべるアムロだったが、すぐにその顔には困惑の色が混ざった。
「いや……違う?」
彼に支給されたのは、ガンダムにあらず。
「ガンダムF91」と、そこには記されていた。
「ガンダムの後継機種が開発されていたという噂は、聞いたことがあるが……。
これがそれなのか?」
動揺しながらも、説明書きを読み進めるアムロ。
程なくして、彼はさらなる衝撃を受けることになる。
「宇宙世紀0123……だと? 40年以上未来じゃないか!」
あの怪物は、時間すら越えられるとでもいうのか。
信じがたい情報ばかりを与えられめまいがしてきたアムロだったが、深呼吸してなんとか心を落ち着ける。
「とりあえず、これは置いておいて……。
他に何かあるか?」
アムロがさらにリュックの中を探ると、二つ目の支給品が出てきた。
それは、長方形のケースに収められた電子回路だった。
機械工学の心得があるアムロには、一目でそれが高度な回路であることを理解する。
同時に彼は、その回路にどことなく懐かしさも感じていた。
自らの中に沸き立つ感情に疑問を覚えつつも、アムロは説明書きに目を通す。
「テム・レイの回路……? バカな、これが!?
あれはとても使い物にならない代物だったじゃないか!」
テム・レイ。
ガンダムの開発者であり、アムロの実の父である。
彼は紛れもなく明晰な頭脳の持ち主であったが、戦闘に巻き込まれた時に酸素欠乏症となって正常な思考能力を失ってしまった。
再会した際に変わり果てた父から渡された回路は、とうてい役に立たない旧式の代物だった。
間違っても、こんな素晴らしいものではない。
「いったい、どういうことなんだ……」
困惑しながら、説明書きを読み進めるアムロ。
すると、気になる文言にたどり着いた。
「この世界のテム・レイは酸素欠乏症にならず」というものだ。
「この世界……? まるで、世界がいくつもあるみたいじゃないか。
まさか、本当にあるのか?
あの化物が言ってたわけのわからない言葉も、別の世界に存在するものだとすれば説明が……。
いや、でも……。そう簡単に信じられるものじゃ……」
未来のガンダムと、並行世界の父の作品。
一度に受け止めるにはあまりに強烈な情報を、アムロは肯定も否定もできず呆然とするほかなかった。
【アムロ・レイ@機動戦士ガンダム】
状態:強い混乱
服装:私服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ガンダムF91の起動鍵@機動戦士ガンダムF91、テム・レイの回路@スーパーロボット大戦30
ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:生還する
01:わけがわからない……
参戦時期:一年戦争終結後
【支給品解説】
・ガンダムF91の起動鍵@機動戦士ガンダムF91
MSの小型化を進める「フォーミュラ計画」により、宇宙世紀0123に開発されたガンダムタイプのMS。
基本的な武装の他に、「ヴェスバー」と呼ばれる強力なビーム砲を2丁装備している。
・テム・レイの回路@スーパーロボット大戦30
元ネタは「ガンダム」本編において、酸素欠乏症にかかったテムがアムロに託した時代遅れのパーツ。
「スパロボ」シリーズでは当初、「能力が大幅ダウンする代わりに、修理費が最低値の10になる」という効果の強化パーツだった。
しかし「30」においては移動力、射程、運動性、照準を上昇させる強力なパーツとなっている。
この世界におけるテム・レイは酸素欠乏症にかかっておらず、Hi-νガンダムにもこの回路の発展系が使用されていることが語られている。
このゲームにおいては基本的にパワードスーツに取り付けて使うが、ロボットやサイボーグの参加者がいれば直接装備することも可能。
投下終了です
投下します。
これはまだ、少女が”閃光”と呼ばれる前の物語。
「一体……何なの!?」
困惑を隠しきれない少女。
少女の名はアスナ。
「茅場って……おそらくあの茅場よね」
あの場で羂索がいった人名。
アスナには一人の男が思い当たる。
茅場晶彦。
SAO(ソードアート・オンライン)の開発者にしてゲームマスター。
2022年11月6日
この日はアスナにとって、いや巻き込まれた10000人にとって永遠に忘れられない日として招いた元凶。
「これも、クエストの一つなのかしら?」
――これはゲームであっても、遊びではない
はじまりの街で茅場が参加者全員に放った言葉。
そう、SAOでの死はリアルでの死と直結している。
アスナがSAOへ関わったきっかけは、ミト……学友の兎沢深澄に誘われたことだった。
しかし、受験もあり、家族……母親との関係がギクシャクしているため一度は参加を断った。
しかし、何の因果か兄への届け物を部屋にもっていったとき、ふと目に止まったナーヴギアとSAOのソフト。
せっかくだから……そんな軽い気持ちでゲームをスタートしたら、まさかのデスゲームへの強制参加。
今年は厄年なのかと疑いたくなるような不運の連続。
「ミト……」
――絶対にアスナを危険な目には遭わせない
それから、ミトとパーティを組んで、クエストをこなす毎日。
不安もあるけど、なんとか心が壊れることは、免れた。
しかし――――
「そういえば、私……どうして、生きてるの?」
アスナの心に今も残る”どうして?”
クエストの最中、仲間を呼び寄せる煙が出るモンスターを攻撃してしまったことによって、大量のモンスター襲われ、囲まれた。
アスナは限界まで耐えるが、絶望にさせるお知らせが届く。
mitoがパーティを離脱しましたというお知らせが。
体力も尽きかけ、死を覚悟していたはずだったが……
尽きない疑問。
「……」
おそらく、ミトは私を■■■■
勿論、悲しい。だけど、ミトの選択もわかる
私だって逆の立場だったら同じことをしていたかもしれない
でも……
(……自暴自棄になるのはダメ。でも……)
ぐるぐるぐるとアスナは迷う。
ログアウトできるのならしたいと。
そんなアスナの前に――――
「そこの女。恰好から平民だと思うが……」
アスナに話しかけてきた参加者の男。
男の名はウンベール・ジーゼック。
ノーランガルス帝立修剣学院 に在籍する次席修剣士。
☆彡 ☆彡 ☆彡
アスナとウンベールは会話を重ねる。
「……」
(この、ウンベールという人。SAOのプレイヤーではない?ということは、このゲームは一体……)
アスナは手を顎に当てながら考える。
ウンベールの様子から、SAOのプレイヤーではない。
つまり、羂索が集めた参加者はSAOのプレイヤーだけではないと言うこと。
(……)
私と同じ世界の出身者
あの言葉をそのまま受け取ると、私とこの人(ウンベール)は、別の世界の人間ということになる。
これも、茅場晶彦のいう目的に組み込まれているのだろうか?
でも、たしか茅場晶彦は言っていた。
”この世界を生み出し鑑賞するためにSAOを開発したと。
とすると、SAOプレイヤー以外の参加者を巻き込む必要はないのでは?
だめ。情報が少ない……
「平民、たしかアスナといったな。よく見たら、獣にしては結構……」
「……はぁ」
人の身体をジロジロと舐めまわすような視線
はっきり言って嫌いなタイプだ
大体、自分は平民ではないと何度繰り返しても、理解しない
おそらく、見下した相手には普段からそうした態度をしているのだろう
「……よし。アスナ。君を私の傍付きと任命しよう。普段なら君のような平民がごときが、私の傍付きに選ばれることなどありえないが……まぁこの非常事態だ。君も一人で心細いであろう?安心したまえ!この次席修剣士の傍にいれば、安心と言うものだ」
「ありがとう。でも、遠慮させてもらうわ。それと、私は一人で大丈夫」
悪寒がする。早くこの場から離れよう。
アスナはウンベールから一刻も離れるべく立ち去ろうとした。
それは、”ウンベールのような男”には悪手であった。
「……おい!この”次席修剣士”のオレに対して無礼ではないか!」
ウンベールはアスナの態度に腹を立てると、肩に手をかけると。押し倒すと馬乗りになる。
「いやっ……・!!何するの!?重い!降りて!」
「これだから躾のなっていない平民は困るのだ」
アスナの胸を揉むとウンベールは宣言する。
乱暴に。女性の気持ちを考えない揉み方。
「いたっ!……痛い!!」
(この人……まさか!?)
アスナは察する。自分を犯すつもりだと。
気丈にウンベールを睨みつける。
が、ウンベールはそんなアスナの表情に下種な笑みを浮かべる。
――――くやしい!
――――女を思い通りに出来ると思っている男の傲慢さに
「いいか!貴様はこの貴族であるオレに足して無礼を働いた!よってこれは、”帝国基本法”並びに”禁忌目録”に則った正当、厳粛なる貴族の採決である!」
言葉と同時にウンベールはアスナの頬を舐める。吐息が髪にかかる。
「はは!その卑しい体で媚びを売るがいい。そうすれば、生き残れるやもしれないぞ!」
「う… う… うう… くっ」
抵抗を試みたいが、トラウマがよみがえる。
フラッシュバック。
ジャイアントアンスロソーに殺される寸前の
アスナの目じりに涙が浮かぶ……
私……こんな最低な人に乱暴されるの?
絶望。
助けて……ミト!ミト!!!
無駄だと思いながらもアスナは願う。
この窮地を救ってくれる人がいないかと。
すると――――
「おい」
「なんだ!?今、いいところなんだ、後に……ぎゃあああああ!?」
「血っ!?腕が!?俺の腕がぁぁぁぁぁ!血が……血がぁぁぁぁぁ!」
救い人は現れた。
アスナの貞操を守ったのは一人の老剣客であった。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「天命が……天命が減っていくうううっ!」
「そこの若造。今すぐ、立ち去れば腕一本で終わりにしてやるぞ?」
腕を切り落とされ、狼狽するウンベールを老剣客は冷めた目で見下す。
「ジジイ!老いぼれごときがオレに……貴族に逆らっていいと思うのかよ!」
「よくわからぬが、貴族というのはそんなに偉いのか?」
「”貴族”も知らない無学のジジイが!禁忌目録を犯した大罪人だ!」
ウンベールは支給品の刀を手にする。
「やれやれ、長生きするのも強さの証なんじゃがの」
ふぅ……と老剣客はため息をつくと、宣告する。
「おのれは生かしておいても仕方あるまい」
「うるせぇぇぇ!まずは、キサマの腕を切り落として!そのあと、じっくりと切り刻んで殺してくれ……」
――――ビュ
「る゛ぇ!?」
言い終える前に喉元を斬られると、ウンベールはゆっくりと地に伏せる。
ウンベールは最後まで目の前の老剣客の強さを理解することはなかった。
ちなみに余談だが、ウンベールは仮想世界の住人。
故に、生身の人間の強さを肌で察することは元々、無理な話なのだろう。
【ウンベール・ジーゼック@ソードアート・オンラインシリーズ 死亡】
「……っ」
――――アスナは守ることばかり考えすぎなのよ。もっと攻めなきゃ
アスナは老剣客の太刀筋を見ていた。
いや、その見事な太刀筋を。
己の身に閃光が走った。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「……娘。大丈夫かえ?」
老剣客は刀をしまうと、アスナに近づく。
「は、はい。あ、あの……助けてくれてありがとう……ございました」
「なあに。あのような乱暴狼藉する輩は見過ごせぬのでの」
「私、アスナといいます。貴方のお名前は?」
「それがしは秋山小兵衛と申す」
老剣客の名は秋山小兵衛。
無外流の達人として知られる。
☆彡 ☆彡 ☆彡
それから小兵衛とアスナは会話を重ねる。
「なんと……そちの日本では、徳川の世から帝へとかわられたのか!?」
「はい」
(正確には、主権は国民で。封建国家ではなく民主主義国家なんだけど……そこまで言わなくてもいいわよね)
老齢となれど、剣客である小兵衛にとって、アスナの話は疑いたくなる内容。
だが、羂索なる者の姿に人が血も肉も残さず、消え去る事実を目にした以上、荒唐無稽と切り捨てることはできない。
故に小兵衛はアスナの言葉を信じることにした。
「あの……小兵衛さん。私に剣を教えてくれませんか?」
「……娘よ。なにゆえ、刀を握る?」
「負けたくないから……」
「なぬ?」
「たとえ怪物に負けて死んでも、このゲーム、この世界には負けたくないから」
アスナは小兵衛の目を真っすぐ見つめながら答えた。
その目は先ほどとは違う。
強気ケツイ。
「剣客として生きるのなら”うらみ”を買うことも承知できているのか?」
「はい」
二人の間に緊張が走る――――
やがて、小兵衛の方から口を開く。
「……うむ、ではアスナよ。今よりお主を娘ではなく一介の剣客として接する。よいな」
「はい!……よろしくお願いします」
「……うむ。それとわしのことは先生と呼びなさい」
「はい、先生」
もう、生き方は選べない。
でも……死に方は選べられる。
私が私でいるために。
それが、アスナの現実(じごく)
【アスナ@SAO プログレッシブ 星なき夜のアリア (映画)】
状態:正常 死に方を選びたい
服装:SAOでのアバター(服装は劇場版星なき夜のアリア)
装備:ウインド・フルーレ@SAO プログレッシブ 星なき夜のアリア (映画)
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:死に方を選ぶ、負けたくないため
01:先生(小兵衛)に師事しつつ強くなる
02:ミト……
03:茅場って……あの茅場よね?
04:どういうこと?これはSAOとはどう関係しているの?
参戦時期:ミトにパーティを解消され、ジャイアントアンスロソーに殺される寸前
備考
※キリトに助けられる前ですのでキリトとの面識はありません。
※ウンベールが仮想世界の住人とは気づいていません。(別世界の人間だと思っている)
※小兵衛との会話から時代を超えた人物が集められていることを理解しました。
ウインド・フルーレ @ SAO プログレッシブ 星なき夜のアリア
アスナに支給。
ミトとのパーティ時、ミトがレアエネミーからドロップしたレイピア
本来の時系列では、第一層のフロアボスとの戦闘中、再開したミトから手渡しされるのだが……
本名を大声で言わないで―!byミト
【秋山小兵衛@剣客商売(漫画)】
状態:正常
服装:剣客
装備:陽竜刀@ソードアートオンラインシリーズ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、 ラランダムアイテム×0〜2 (ウンベール)、アニールブレード@ソードアートオンラインシリーズ、 ホットライン
思考
基本:オールマイトの後継者としてゲーム運営への叛逆
01:とりあえず、情報収集する
02:アスナに手ほどきをする
参戦時期:少なくとも第1話女武芸者以降
備考
※アスナとの会話から時代を超えた人物が集められていることを理解しました。
※アスナを門下としました。
※ウンベールが仮想世界の住人とは気づいていません。(別世界の人間だと思っている)
陽竜刀@ソードアートオンラインシリーズ
秋山小兵衛に支給。
ソードアートオンラインアリシゼーションリコリスにてボスドロップで入手できる武器。
形状が日本刀なので、小兵衛は難なく扱うことができる。
神様さ、剣術の神様が天罰を下したのさ。恐ろしいのう、天罰は、よby秋山小兵衛
アニールブレード@ソードアートオンラインシリーズ
ウンベールに支給。
キリトがSAOで初期使用していた片手剣
本来は、アスナの窮地を救うのだが、救ったのは老剣客。本ゲームにおいて、アスナを襲う下種に支給されたのは、おそらく、嫌がらせの可能性が高い
い、嫌だこれを解いたらオレの天命が減る!!その命令は”禁忌目録”違反だ!byウンベール
投下終了します。
投下します
「羂索、お前を理解するぞ。
お前は人の可能性を欲している。
故に自身の呪いの力だけでは飽き足らず、我が創りし錬金術やモビルスーツやナイトメアフレームとかいう児戯にも手を出した。
そうであろう?」
銀色のバンドと複数の腕で構成される異形の身体を持つ人外が愉快そうに笑う。
彼はギギスト。
錬金術の至高たる賢者の石の欠片を宿す冥黒王である。
空間に干渉する錬金術を最も得意とし、理性を司る彼ならばこの事態を解決できないことはないだろう。
だがバグスターウイルスの件を差し引いてもギギストはそれをする気にはなれなかった。
何故ならギギストからすれば何年生きていようと羂索は人間に変わりなく。
理解できる。
故にこのままでも何の問題もない。
「ならば我がすべきことは変わらない」
支給されたリュックの中身を統べて取り出す。
やはり中身は全て錬金術に関わる物であった。
「なるほど、理解したぞ。ん?」
そうしていると少し離れた路地の方で煙が上がっているのが見えた。
炎による煙ではない。
破壊によって舞い上がった粉塵だ。
「どれ。錬金術以外の異能や異形とやら、見せてもらうとしよう」
そう言うとギギストは得意の空間転移で煙の出元まで向かった。
【冥黒王ギギスト@仮面ライダーガッチャード】
状態:正常、賢者の石の49.5%を保有
服装:なし(多分あれで全裸)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3(全て錬金術に関係する物)、ホットライン
思考
基本:異世界の力をも取り込み真の王座を得る。
00:我は羂索を理解した。このままでいい。
01:粉塵が起こった方に向かう。
異界の異能力や異形が居ると良いのだが
参戦時期:ガエリアの力を取り込んだ直後
備考
※羂索を本人なりに理解しました。
故に最終的に自分が総取り出来る気でいますが、実際のところは不明です。
「ぐっ……あぁあああ……」
「腹立たしい。
羂索にクルーゼに茅場の様ないたずらに社会を脅かす犯罪者も……」
時はギギストが粉塵を見た時より少し遡る。
狭い路地の一角で一人の男と一人の少女が対峙していた。
男の方は一体どんな匠が鍛えたのか、どこからどう見ても寸分変わらぬ二本の刀を持っており、苦し気に倒れる少女にそれはそれは恐ろしい視線を向けている。
情欲?優越感?否、ひたすらな殺意である。
切っ掛けは少女が友の仇を観たかと問いかけたことだった。
男はそれを聞いたが早いか少女に斬りかかり、いかなる理屈か彼女の動きをたった一太刀で止めてしまったのだ。
「貴様のような醜悪な贋物のヒーローも」
「なん……ですって?」
倒れ伏す少女の名前は成見亜里紗。
茜ヶ咲中学校に通う学生にして、魔女から人々を守る魔法少女。
そして魔法少女殺し天乃鈴音を追う者である。
「生ある限り、英雄の心は誰が為だけに捧げられるべき物。
だがお前は自分の復讐の為だけにその力を振るおうとしている。
これを贋物と言わずしてなんと呼ぶ?」
そう言って男、ステインは逆手に構えた剣で……
「ちっ!」
自分の腕を狙って投擲された剣を弾いた。
投げられたのは白い紋様が走る深紅の短剣だ。
そして恐らく短剣と対を成しているのであろう似たデザインの長剣を携えた黒づくめの少年が斬り込んで来た。
よくみると耳は西洋神話に出てくるエルフのようにとがっており、背中に透明な虫の羽のような物がある。
後退するステインを引きはがさんと距離を詰めながら剣を振るう黒づくめ。
「デク!」
そしてついにステインの姿勢を崩すと、合図と同時に黒づくめの頭上を越えて黄色いマントを羽織った少年が飛び出てくる。
「St. Louis SMASH!」
剣戟の合間を縫ってステイン目掛けて飛び上段蹴りが放たれる。
ギリギリで飛びのいたステインの表情は、驚きと喜びに染まっている。
そしてステインの頭の代わりに地面を派手に抉ったせいで巻き起こった粉塵が晴れると、ステインは予想通りの顔に改めて喜ぶ。
「保須の時の……見違えたぞ!」
「ステイン!」
デクと呼ばれた少年は右手のグローブを変形させながらデコピンのような構えを向ける。
「その様子……どうやらいい意味でお前は変わっているが、同時に変わっていないようだ。
嬉しく思うぞ、お前のような社会を正しく導けるかもしれん者の成長を」
「随分上から目線だな。
お前はヒーローの評論家かなんかか?」
デクと共に亜里紗を助けた黒づくめの少年、キリトが支給されたシャドーサーベルを構え直しながら吐き捨てる。
だがステインは気にした様子もなくキリトに話しかけた。
「そう言うお前は初めて見る顔だ。
お前は何者だ?」
「別に。デクみたいにヒーロー気取るつもりはない。
けど茅場たちもお前も止める。
二度とこんな地獄は繰り返させない。
だからお前に、いや、誰にも誰も殺させない」
ステインはプロヒーローとヴィランのみを狙った連続殺人鬼。
そして同時に『英雄回帰』を掲げる情熱家である。
自身の主観で理想的でないと判断したヒーローを贋作と唾棄し、欲望のままに力を剥きだすヴィランも醜悪と嫌悪する。
同時にただ守らんとするために見返りを求めず戦う原理主義に近いヒーロー像に合致すると判断した者には必要以上に攻撃を加えない。
なのでかつて保須市で未来の英雄の片りんを見たデク、そして今回デクとの見事な連帯で粉塵が晴れるより前に亜里紗を抱えて逃げる準備をしっかり終えているキリトにステインは大いなる喜びを覚えている。
「……ふふふ、悪くない!」
シリアルキラーか、ダークヒーローか。
ステインの本性は観る者によって真っ二つになることだろう。
だがそうなってもデクとキリトの心は同じだった。
(あの少年……デクの“個性”は以前よりも増した超パワー。
黒ずくめの方は、今は見えないが、さっき背中に見えた虫の羽での飛翔か)
キリトは現実では満足に戦える身体能力を持たないからか、ALOでのアバターの姿でこの殺し合いに呼ばれていた。
故に今まで培ってきた戦闘経験、ソードスキル、そして影妖精族の特性を持ち合わせている。
地味に血を舐めとるという予備動作が“個性”発動の必須条件であるステインからすれば不利な状況だ。
故に先にキリトとデクが数の利を生かすか、ステインが上手く亜里紗を始末して離脱するかで勝負が決まる。
「おい、動けるか?」
「む、り……身体が、動かない……」
「ステインの“個性”は舐め取った血の持ち主を動けなくさせるんだ!
血液型によって長さが違って、多分O型が一番効きが悪い」
「私、B型ッ」
「(俺の場合、現実の血液型なのか?
でも今の身体は影妖精だから……影妖精って血液型あるのか?)
兎に角、かすり傷でもアウトってことだな?」
「だからアイツの刃物に本当に気を付けて」
「作戦会議は終わりか?」
そう言ってステインが一歩前に出ようとした時
「それが異なる世界の異能力か」
ステインとデク、キリト、亜里紗の間に立つようにギギストが現れた。
「今度は、誰よ……」
「何だ貴様は?」
「我は冥黒の王、ギギスト。
あらゆる人間の理解者だ」
ギギストはさらに言葉を続けようとしたが、それより早くデクが動いた。
最初にキリトが投げたままになっていた短いシャドーセイバーを“黒鞭”で掴んでギギスト目掛けて振るう。
それに対してギギストは何の気なしに右手をかざすとまっすぐギギストに向っていたはずの剣はデクの頭上に出現する。
「うおっ!?」
どうにか白羽取りで受け止めたデクだが、ギギストに対して一切鳴りやまぬ“危機感知”に汗が止まらない。
故に思考も止めない。
「ワープゲートか!」
「ほう?たった一度見ただけで我が力の一端を理解したのか。
お前の聡明さとあきらめの悪さ、理解したぞ」
そう言うとギギストはリュックから一冊のバインダーを取り出し、そこから二枚のカード、仮面ライダー電王と仮面ライダーゼロワンのレジェンドライダーケミーカードを取り出す。
「お前が割れの力を受け取るに足るか、試してやろう。
冥黒に染まれ!」
二枚のカードを握りつぶすように拳に収めると、その指のスキマから銀色の液体が零れ落ち、それは二体の怪人の姿を成した。
電王とゼロワンの姿を歪に歪めたようなそいつらかつて仮面ライダージオウが戦ったアナザーライダーとほぼ同じ姿だが、本質的にはレプリverのマルガムに近い別のナニカだ。
「これが異界の技術と我が力の融合だ!」
危機感知に頼るまでもないギギストの脅威を理解した
「キリト君はその人を連れて逃げて」
「本気で言ってるのか?最悪4対1だぞ?」
「ワープゲートがある限りそう簡単には逃げれない。
なら、誰かが殿に残って止めるしかない!」
「その蛮勇と自己犠牲、理解するぞ」
そう言ってギギストはまた何かしようと手を伸ばすが、それより早くステインの刃がギギストを襲った。
「いたずらに力を振りまく貴様も粛清対象だ!」
「どんな世界でも愚か者は神の怒りを買う……だが我は許そう。
そしてその怒りと殺意、社会への怒りと渇望を理解しよう」
そう言ってギギストはステインに黒い炎を分け与えた。
ギギストの持つ力の中でも特に特殊な子の力は本来人間に堪えられるものではない。
どんなに優秀な錬金術師でも跡形もなく消失してしまうような代物だ。
「貴様のようなっ者も!贋物もぉ!すべて粛清対象だぁあああああーーーーっ!」
「何だと?」
だがステインはそれを振りはらった。
息も絶え絶え、武器を持つ手は震えているがそれでも生きていた。
「なるほど、その令呪なる刻印で強引に相殺したのか。
しかしそれでもすべてではなかったはず」
「黙れっ……全ては正しき社会のために!」
そう言って斬りかかって来るステインを簡単に避けるとギギストはデクたちも生み出したマルガム擬きを引き連れながらでは有ろうが逃げたのを察すると、面白い物を見せてもらったとばかりに笑いながらその場を後にした。
【冥黒王ギギスト@仮面ライダーガッチャード】
状態:正常、賢者の石の49.5%を保有
服装:なし(多分あれで全裸)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2(全て錬金術に関係する物)、ホットライン
ゴージャスカグヤファイル@仮面ライダーガッチャード
レジェンドライダーケミーカード(アギト、龍騎、ブレイド、ゴースト)
思考
基本:異世界の力をも取り込み真の王座を得る。
00:我は羂索を理解した。このままでいい。
01:あれが異界の能力か。
02:割れの力とするにふさわしき力を探す。
03:あの三人(デク、キリト、亜理紗)はマルガム共に任せる。
参戦時期:ガエリアの力を取り込んだ直後
備考
※羂索を本人なりに理解しました。
故に最終的に自分が総取り出来る気でいますが、実際のところは不明です。
※ゴージャスカグヤファイルには電王とゼロワンのカードも付属していましたが、マルガムのような異形へと変化させました。
デクたちを追跡しています。
【ステイン@僕のヒーローアカデミア】
状態:正常、黒い炎を耐えたことによる疲労とダメージ(中)、苛立ち(中)、歓喜(中)
服装:いつもの服装
装備:千刀・鎩@刀語
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:ヴィランも偽物のヒーローも粛清する
01:次に会った時、あの女(亜理紗)とギギストは粛清する。
02:黒衣の少年は様子見。真の英雄になり得ないと判断すれば殺す。
03:デク、か。覚えたぞ
参戦時期:少なくともデクと交戦し一度拘束された後。
備考
※元々発動までの手間が多かったためか、
【支給品解説】
・ゴージャスカグヤファイル@仮面ライダーガッチャード
…冥黒王ギギスト@仮面ライダーガッチャードに支給。
仮面ライダーレジェンドがレジェンドライダーケミーカードを保管するのに使っているカードファイル。
当ゲームではアギト、龍騎、ブレイド、電王、ゴースト、ゼロワンのレジェンドライダーケミーカードが付属する。
・千刀・鎩@刀語
…ステイン@僕のヒーローアカデミアに支給。
完成形変体刀十二本の内の一振り。
いくらでも替えが利く、恐るべき消耗品としての刀。
「千本で一本」と称され、全く同じ形状、同じ性能の刀が千本存在する。
その上オリジナルさえ残っていればいくらでも生産可能。
飛び道具のほぼ無い戦争で行われ続ける限りあらゆる国の軍隊が欲しがるだろう刀だが、完成形変体刀十二本の中では一番普通の刀。
「デク、どうだ!?」
「二体追ってきてる。
でもギギストの姿は見えない」
「うっ……」
「どうした?」
「降ろして!もう動ける!」
フルカウルと妖精の羽で移動していたデクとキリトは一度近くのビルの屋上に降りた。
ステインの“個性”が解けて亜里紗の身体が動くようになったのだ。
「一応、助けてくれてありがとう。
デクに、キリトでいいのよね?私は成見亜里紗」
「無事でよかったよ、成見さん」
「それじゃあ、悪いけどここで」
「待って!
ステインはヴィランだけど自分がヒーローらしくないって判断したヒーローとヴィランしか狙わない。
アイツと、何か話したの?」
「……一つ聞くけどさ、アンタらは友達を殺した奴を許しておけるほど人間が出来てる?」
「それがステインがお前を殺そうとした理由か?」
「ええ!アイツを、天乃鈴音を見てないかって聞いたら、見つけてどうするって聞き返して来たのよ!」
そして復讐を答えて戦闘に発展したのだろう。
「成見さん……」
「悪いがおしゃべりをしている時間はなさそうだぞ」
キリトがそう言うと、敵も建物の屋根や電柱を伝ってきたのか、電王モドキとゼロワンモドキが3人の前に降り立つ。
「成見さん、色々思う事とか言いたい事あるかもしれないけど……」
「今回だけだから!」
固有武器の大鎌を生成する亜理紗。
「一応聞く。
迎撃か?それとも撒くか?」
「勿論、SMASH!」
走り出したデクに亜里沙とキリトも続いた。
【キリト@ソードアート・オンライン】
状態:正常、ALOアバター
服装:いつもの服装
装備:シャドーセイバー(長)@仮面ライダーBKACK RX
シャドーセイバー(短)@仮面ライダーBKACK RX
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:このゲームを攻略する。
01:態々俺に一対の剣を支給するってことは、間違いなく羂索の言ってた茅場は茅場晶彦だろう。今回で完全に決着をつけてやる。
02:デクと共にクルーゼや羂索、仮面ライダーを知る者たちを探す。
03:もし呼ばれているならアスナたちやデクの仲間たち、ガッチャードなどの協力できそうな者を探す。
04:まずはこいつら、そして追ってくるならギギストとステインを撃退する。
参戦時期:少なくともマザーズロザリオ編終了後
備考
※アバターはALOの物です。
【緑谷出久@僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト】
状態:正常
服装:デクのヒーロースーツ@僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト
装備:同上
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜2、ホットライン
思考
基本:羂索らこのゲームを仕掛けた一味を逮捕する。
00:まずはこいつら(電王モドキ、ゼロワンモドキ)を倒す。
01:それが終わったら成見さんを説得する。
02:キリトと行動する。よし呼ばれているなら皆やプロヒーロー、キリトの仲間との合流を目指す。
03:落ち着けたら羂索たちの狙いや“個性”についてまとめたい。
04:ギギストやステインは要警戒
参戦時期:映画終了直後
備考
※“ワン・フォー・オール”がどの程度制限されているかは後の書き手様にお任せします。
【成見亜里紗@魔法少女すずね☆マギカ】
状態:切り傷(小)、健康
服装:魔法少女の服装
装備:大鎌、亜里紗のソウルジェム@魔法少女すずね☆マギカ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:殺し合いにはのらないけど、もし天乃鈴音が来ているなら話は別
01:まずはこのバケモンどもを片付ける。
02:天乃鈴音が来ているなら見つけ出して必ず殺す。
03:邪魔するならギギストだろうが誰だろうが容赦しない。
参戦時期:詩音千里死亡後〜奏遥香魔女化までの間のどこか
備考
※グリーフシードは支給されていません。
そのかわりに回復のエナジーアイテムでもソウルジェムの穢れを減らせます。
【支給品解説】
・シャドーセイバー@仮面ライダーBLACK RX
…キリト@SAOシリーズに支給。
シャドームーンが使用する長短一対の剣。
白いラインの入った深紅の刀身を持つ剣で、長い方が攻撃、短い方が防御を担当する。
ブラックRXのリボルケインと打ち合える業物。
一つの支給品だが枠を二つ使ってしまう。
・デクのヒーロースーツ@僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト
…緑谷出久@僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクストに支給。
彼の個性、“ワン・フォー・オール”を活かすために様々なギミックやサポートアイテムを組み込まれたヒーロースーツ。
黄色いマントは大師父グラントリノから託された物。
・亜里紗のソウルジェム@魔法少女すずね☆マギカ
…成見亜里紗@魔法少女すずね☆マギカに支給。
インキュベーターと契約した少女の魂が変質した物。
魔法少女の変身アイテムと魔女発見機を兼ねる。
当然魔法少女にとってはむき出しになった命も同然なのでこれを破壊されるor穢れが溜まり切ってグリーフシードに変質すると死んでしまう。
【NPCモンスター解説】
・電王モドキ
・ゼロワンモドキ
…厳密にはNPCモンスターではないが、便宜上こちらに記載。
冥黒王ギギストがレジェンドライダーケミーカードを媒介に造った怪物。
性質としてはマルガムよりもゴーレムに近い。
(作者が特撮で似たようなことやるならアナザーライダーの微改造で出すよな、と思ったから)見た目はアナザーライダーによく似ている。
投下終了です。
タイトルは 冥黒のヒーローモドキ です
投下します
辺りを一望できる高台の上。
ピクニックであればさぞ景色の良さに心が洗われる場所だろうが、
此処は殺し合いの場。どこへいこうとも争いからは逃れられず、
いずれ誰かの、あるいは自分の血を見ることになるであろう惨劇の舞台。
その地に立つ、黒い髪、黒い服装の剣士が一人立っていた。
SAOプレイヤー、黒の剣士キリト。
キリトは知っている。命がけのゲームを。
キリトは知っている。羂索が口にした茅場のことを。
SAOを作った開発した男にして、キリトが倒した存在。
何故彼の名が出たかは分からない。単なる同名の偶然か、
死んだはずの彼が何らかの方法で生き返って関係しているか。
どちらにせよ彼には関係なかった。こんな殺し合いは絶対にするつもりはない。
けれど此処にもきっといるのだろう。ラフィン・コフィンのような連中が。
だったらやることは一つだ。変わることはない。このゲームを終わらせる。
ラフィン・コフィンのような殺し合いに乗った連中を止めて、必ず茅場の元へと辿り着く。
黒曜石の剣を携え、黒の剣士が今動き出す。
「俺がこんなゲームを終わらせてやる───」
【キリト@SAOシリーズ】
状態:健康
服装:SAOのアバター(ただし今はSAOにおけるキリトの恰好)
装備:マクアフィテル@SAOシリーズ、???
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを■■■
00:???
参戦時期:少なくともアインクラッド編終了以降
備考
「……とでも思ってんだろうなキリトは。」
高台を飛び降りると同時に、
キリトからは出てきそうにない言葉遣いと下卑た笑みを浮かべる。
それもそのはず此処にいるのはキリトではない。キリトの姿をした別人だ。
名前をヴァサゴ……SAOではPohのハンドルネームで活動していた。
PK集団ラフィン・コフィンの首魁でもある男だ。
「全く、茅場の奴どうやって生き返ったんだ?
SAOで死ねば現実でも死ぬはずだったが……まあどうでもいいか。」
気になるところはあるが、そんなことは別に構わなかった。
またしても彼を含めた主催は殺し合いの場を設けてくれたのだから。
そこにあるのは感謝以外の言葉が出てこない。またPKや対立煽りができる。
これ以上のことはないだろう。それだけで心が躍る。
「俺がいるんだ。キリトもどうせいるんだろ?」
茅場がいるのであれば、
キリトがいるのは必然だろう。
あのSAOを攻略し生還した男だ。
この殺し合いが何のために行われてるかは知らないが、
茅場であればキリトを呼ばない理由はまずないだろうと断言できる。
「だったら存分に楽しませてもらうぜ、この姿でな。」
黒の剣士キリトの悪評が広まればどうなるだろうか?
対立するものが現れてもおかしくないし、殺し合いにだって発展するだろう。
そうなればいつかキリトも誰かを殺さざるを得ない。まあ、もう既に何人か殺した後だが。
もっと殺させて、同じ殺人鬼になってもらいたいものだと願わずにはいられない。
「さて、味方を増やしてからでも面白いかもしれねえがどうするか。」
ラフィン・コフィンの首魁ではあるが、
同時に討伐隊にアジトを密告させ高みの見物をするような男だ。
味方を増やしてから事を起こすのも悪くないし、ソロ活動も悪くない。
「何にせよ楽しもうじゃねえか。イッツ・ショー・タァーイム!」
黒衣の剣士は駆ける。
最低最悪な目標を掲げて。
【Poh@SAOシリーズ】
状態:楽しい
服装:SAOのアバター(ただし今はSAOのキリトの恰好)
装備:マクアフィテル@SAOシリーズ、変身の指輪@Fate/Grand Order、純粋な魔力の塊@黒い砂漠
令呪:残り三画
道具:SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを楽しむ
00:キリトもいるんだろ?
01:変身の指輪を使って対立煽りをする
02:味方を増やして戦わせるのも面白いな
参戦時期:少なくともラフィン・コフィン討伐戦以降。
備考
※変身の指輪は純粋な魔力の塊で賄ってます
・マクアフィテル@SAOシリーズ
黒曜石の片手剣。ALOでユウキが使用していた片手剣
スキルが付属されており、
・11連撃のマザーズ・ロザリオ
・水平四連撃のホリゾンタル・スクエア
のスキルが使用可能
・変身の指輪@Fate/Grand Order
貴婦人ライオネスから賜った、様々な色に変化する銀色の指輪
変身の魔術が込められており、姿を変えることができる
ガレスはこれを用いて身分を隠して試合に出ていたとか
変身中は当人の力が増減したりすることはなく、
元の力を維持したまま戦うことができる
魔術ではあるので魔力、或いは代替えが必要
・純粋な魔力の塊@黒い砂漠
無欠な魔力のブラックストーンの制作に使用できるが、
単体では魔力の塊の石でしかない。
Pohはこれで魔力を補ってる。
以上で投下終了です
投下します
いくら待ってもバスなど来ない、形だけのバス停。
そのベンチに、全身を黒メインのファッションで固めた美少女がふくれっ面で座っていた。
彼女の名は、ラケシス。
邪悪なる錬金術師・グリオンに生み出されながら、彼と決別したホムンクルスである。
「最悪ですわね……。なんで私がこんな目に……」
怨嗟を含んだ声で、ラケシスが呟く。
「とはいえ、ここで恨み言だけ言っていたところでどうにもなりませんわ。
少なくとも、一ノ瀬宝太郎はこのゲームに参加させられている。
ならば、他の錬金術師たちも参加させられている可能性は高い。
可能な限り速やかに合流すべきですわね」
ラケシスは、決して戦闘力が無いわけではない。
だがこの状況で単独での戦闘を続けるなど愚策であると、彼女は理解していた。
仲間は多い方がいい。いたって理論的な思考だ。
「そうと決まれば、さっそく……あら?」
ラケシスが立ち上がろうとした刹那、彼女の視界内に複数の人影が映る。
否、それは「人」と呼べる代物ではない。
名を屑ヤミー。錬金術と人間の欲望から生み出された、自我なき傀儡である。
「ルール説明で言っていた、NPCモンスターというやつかしら?
まるでお兄様たちのようですわね」
自分たちより以前にグリオンに生み出された、意志はあれど生物らしい姿を持たない「悪意人形」たち。
屑ヤミーの外見からそれを連想し、ラケシスは眉をひそめる。
「まあ、何にせよ……。
私に危害を加えるつもりなら、容赦はしませんわ」
不機嫌そうな表情のまま、ラケシスは支給された剣を抜く。
何やら曰く付きの剣で、選ばれた人間しか真価を発揮できないらしいが、雑魚相手ならそれでも充分だ。
ラケシスから発せられた殺気を感じ取り、屑ヤミーたちも臨戦態勢に入る。
いよいよ戦いが始まるかと思われた、その時。
「ぶるぁぁぁぁぁぁ!!」
奇声と共に、突如として緑色の球体が突っ込んできた。
「は?」
あっけにとられるラケシスをよそに、球体は激しく回転した状態で屑ヤミーたちに突撃。
瞬く間に壊滅してしまった。
「な、なんですの……?」
事態を飲み込めないラケシスの前で、緑の球体が消えていく。
その中から現れたのは、幾分かサイズの小さい、黄色い球体だった。
「ご無事ですか、シックな出で立ちのお嬢さん。
この超一流忍者にしてスーパーハンサムボーイ、音速丸が来たからにはもう安心ですぞ!」
どや顔で宣言する球体を前に、ラケシスはため息交じりに呟いた。
「笑えないジョークですわ……」
【ラケシス@仮面ライダーガッチャード】
状態:正常
服装:冥黒の三姉妹の装束
装備:ラミアスの剣@ドラゴンクエストVI
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:生還する
01:宝太郎及び味方との合流を目指す
02:なんですの、こいつ。ケミーの出来損ない?
参戦時期:錬金術師側に寝返って以降のどこか
【音速丸@ニニンがシノブ伝】
状態:正常
服装:全裸
装備:ハロの起動鍵@SDガンダムGジェネレーションシリーズ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:吊り橋効果でハーレム構築じゃあ!
01:音速丸ガールズ、一人目ゲットだぜぇ!
参戦時期:不明
【支給品解説】
・ラミアスの剣@ドラゴンクエストVI
勇者のみが使える、伝説の剣。
攻撃が命中した際、電撃による追加ダメージを与える。
また道具として使えば、攻撃力を上昇させるバイキルトの効果がある。
このゲームでは勇者でなくても使えるが、性能は低下してしまう。
・ハロの起動鍵@SDガンダムGジェネレーションシリーズ
アムロが作ったペットロボットを祖とする、ガンダムシリーズのマスコット的存在。
初代「Gジェネレーション」ではMSサイズに巨大化し、最強ユニットとして登場。
その後のシリーズでは最強の座こそ譲ったものの、強力な機体として登場し続けている。
【NPC解説】
・屑ヤミー@仮面ライダーOOO
人間の欲望から作り出される硬貨、セルメダルを二つに割ることで生まれる怪物。
上位のヤミーと違い独自の姿に成長することはできないが、人間に憑依して欲望からセルメダルを作り出すことは可能。
戦闘力は低いものの、耐久力は存外に高い。
投下終了です
投下します。
人は命に感謝しない。
もっと繊細にするには、恐怖を見せ付けなくては。
…奴らに違う生き方をするよう強いる。
それが『私』という恐怖だ────。
◆
「『殺し合い 脱出』…と」
…。
……。
……………。
「…はぁ〜〜。やっぱり引っかからないか…。…もう、なんなのよこれぇ〜……」
全く役に立たないグーグル……って、よく考えれば有益な検索結果なんか出るはずないんだけども、ね…。
私──不知火楓は、暗い路上でただ座り込むしかできなかった。
「殺し合いをしてもらう」とかなんとか。
ニュアンスだけだったら、シノブちゃんら忍者がやるような荒唐無稽のバカ騒ぎなんだけども……、──どうやらすごい『マジ』な奴っぽい。
はぁ〜〜ぁ……。
あくび混じりのため息が漏れちゃう。
……戦闘力0。基礎体力もお世辞には並以下の平凡な女学生。
アニメで言えば『ツッコミ常識ポジション』の、取るに値しない私に全力でバトれ…とは。
もうこの時点でやる気も生きる気も希望もスッカラカンな私だった。
「…こうゆう時に助けてくれないかな…………。シノブちゃん……」
あくびの作用で涙が大粒、零れ落ちる。
ポタリ、と一滴、スカートを濡らし、………ポタリ、またポタリ、と。
気づけば小雨を浴びたかのように、私のスカートは雫跡だらけだった。
……シノブちゃん……、ほんとに、助けに来てよ…。
どこにいるかも分からない、ラインも既読さえつかない──そんな友達という『希望』に、今はすがるしかなかった…。
「死のぶ……、か。死は『希望』だ」
「──えっ??!! うわっ、ビックリしたあ!!!」
…ひぃ、はぁはぁ……。
漫画チックな表現だと口から心臓がバクーンッ、と飛び出すくらい、『隣の声』に驚かされる…。
なんの前触れもなく、私に話しかけてきたのは………なんだろ、これぇ。
言うなれば、顔面真っ白の人形だった…。
うん、比喩表現とかじゃなく。見たまんまに気味の悪いお人形…。
「人間というのは生きることに感謝しない。自分の体だから──と簡単に自傷行為を行い、盗みや殺人で人を傷付け、それでいて明日も当たり前の日常を送れると確信し堕落に生き続ける」
「うわまた喋りだしたしっ!! …てゆうか声超こっわいんですけどぉ〜〜……」
「そんな人間共に、苦痛を与え生を実感させるゲーム……。そのゲームマスターを何十年近くもやってきた私であるが……」
「……へ?」
「…まさか参加させられる身になるとは……。………実に嘆かわしい。そして、実にこの殺し合いには『美学』がない……」
…………。
よくわかんないけど、本来ならケンジャク?さんと主催者やる筈だった人が隣にいるってわけ??
なんか真正面向いてブツブツ恨み言吐いてるけど……、無視すべきなのかなあ〜?
──と思ってたら急にこっちを向いてきた…!…こわっ!日本人形の心霊映像かよっ!!
「はじめまして、カエデくん。…あぁ、君の名前は、君が気絶してる間に下着から確認させてもらったよ」
「…あ、はっはじめまして〜〜。…って、今なんつったッ??!」
「…君も気になるようだが、この人形はあくまで『仮の姿』だ。いや、生まれ変わりというべき、かな。私はかつて『ゲーム』の失敗で死んだはずなのだが、こうして生きている。…姿かたちはまるで別物だがね」
「いやそんな話どうでもいいわっ!無視すんなってゆうのっ!!」
「私はもっと多くの人間たちに生を感謝させたい…。だが、このバトル・ロワイヤルゲームにはまるで緊張感が足りていないのだ……。だからこそ私は─────」
「──この殺し合いの主催を奪還し、真の『SAWゲーム』をリブートしたいと考えている…!」
「…その過程にて、カエデくん。私の後継者候補ともいえる君へ、私から直々に『生』と『恐怖』の結びつきを学ばせるつもりだ。ついてきたまえ…」
「…セイはセイでも『性』でしょうがっ! あんたは!! なに勝手にパ…パン……ツ…覗いてんのよっ…!」
つか勝手に後継者にされてるしぃ〜〜〜!
なんなの?!
私の周りには常に下着泥棒イエローボールだの、スケベ忍者集団だの、なんだのかんだの〜…。
……私にはそうゆうやつらが集まるフェロモンでもあるわけ………?
…はぁ〜〜〜〜〜っあ………。
「…どうせ来るならキレイな女の人に触られたいのに…………。シノブちゃん…とか………………………」
「死のぶ…、か。死は『希望』だ」
「いや一々反応すんなぁーー!! 小声で呟いたのに!」
私、カエデは…、ホントにバカHENTAIに絡まれてばかりの人生だ………。
◆
「…ところでカエデくん。他の参加者と出くわす際は絶対に私を『本名』で呼ばないよう心掛けてくれ。…破った際には命の保証はできんのでな」
「…へっ? いや…つか、私あんたの名前知らないんだけど…」
「…はっはっ。それは私としたことが失敬だったな。」
「私の名は────ジョン・クレイマー。…以降、『ジグソウ』とだけ呼びたまえ」
【ジグソウ@SAW】
状態:正常
服装:あの人形状態(ジョン・クレイマーの魂が宿っている)
装備:不明
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:主催を奪還し、自ら『新生バトル・ロワイアル』を指揮する。
01:後継者(と勝手にみなしてる)不知火楓を指導。
02:私は何故生きてる…?
【不知火楓@ニニンがシノブ伝】
状態:困惑
服装:制服
装備:未確認
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:死にたくないけど、生きれる気がしない…。
01:なんなのこれ?
02:忍@ニニンがシノブ伝に助けられたい。
※ジグソウの参戦時期は死後(『SAW3』以降です。)
投下終了です
投下します
「ふざける…なよ」
一人の青年が、目を見開き怒りの表情で呟いた。
「バグスターウイルス…俺が?俺は、バグスターだぞ」
バグスターウイルス感染症、通称ゲーム病。
それはコンピューターウイルスが変じて人間へ感染する病原体へと進化したものである。
そして、今ここにいる青年…パラドはその病原体が実体化した存在…バグスターという名の怪人であった。
「なんでバグスターの俺が、ウイルスに感染するんだよ!」
バグスターウイルスは、人間に感染するものだ。
自分たちバグスターは、ウイルスを与える側であって、与えられる側ではないはずだ。
それなのに、そんな自分が、ウイルスに感染?
「俺も、あんな風に死ぬっていうのか…!?」
最初の場所で消滅した男女を思い出す。
そして続けてパラドの脳裏に浮かぶのは、仮面ライダークロノスによって同胞であるバグスター、ラヴリカが絶版…消滅させられる光景。
「……クソ!」
苛立ちに任せて、リュックを足下に投げつける。
ラヴリカが死んだときは、引きずりつつもまだ平静でいられた。
仲間であるグラファイトが自分を激励してくれた影響もあるかもしれない
しかし今、そばに同胞の姿はなく、自分自身に死が、それも50時間というタイムリミット付きで突きつけられ、彼の心にはどうしようもないほどの恐怖が湧き上がって来ていた。
怖い、死にたくない、生きたい。
「はあ、はあ、はあ…!」
呼吸が荒くなる。
落ち着け。
本当に自分が感染したのなら、活性化する原因はストレス。
鎮痛剤が働いているとはいえ、過度のストレスはそれすらも突き破って身体を蝕むかもしれない。
「すう、はあ…」
息を整える。
少しだけ、落ち着いた。
そして何度かの深呼吸の後、改めて今の状況について考えてみる。
まず、自分たちは殺し合いの為に集められ、参加者にはバグスターウイルスが付与された。
ウイルスの鎮痛剤は50時間しかもたなく、それを過ぎるとウイルスにより消滅…
「…あれ?」
そこで、違和感に気づく。
そうだ、よく考えてみればおかしい。
まず、バグスターウイルスに感染したとしても、すぐには消滅しない。
バグスターウイルスには、手順というものがある。
まず発症後、ストレスなどにより病状が進行すると、自分たちバグスターが患者から分離する。
分離したバグスターは、ストレスの原因となるものを襲ったり壊したりして、患者のストレスをさらに高めて病状を悪化させる。
そして患者の病状が末期にいたり、患者の身体が消滅すると、バグスターは完全体となる。
「…生まれるはずの仲間は、どこへいった?」
最初の場所で男女が消滅した時。
その手前で、バグスターが分離して実体化するなどということは起きなかった。
あれほど早く消滅したとなれば既にどこかでバグスター本体は発生しており、自分たちは全員消滅寸前の末期状態ということも考えられなくはないが。
もしそうだとして、やはりどこにいるのか。
主催者に、捕らえられているのか。
バグスターが主催者に協力している、というのは考えにくい。
自分が参加者にいるからというのもあるが。
バグスターが完全体になるには、患者がウイルスによる消滅による死を迎えなくてはならない。
それ以外の原因で死ぬ者がほとんどであろうこの殺し合いはバグスターの利害と一致しないからだ。
もしバグスターが主催者に捕らえられ利用されているなら話は単純だ。
奴らから取り返せばいいだけなのだから。
しかしパラドは、もう一つ別の可能性に思い至っていた。
「まさか…あいつら、俺達をウイルスから引き離したんじゃないだろうな!?」
実体化した自分たちバグスターの肉体を、ウイルスという病原菌と分離して。
感染者を消滅させるという結果だけが残るウイルスを開発した。
かなり飛躍した考えかもしれないが、しかしもしそうだとしたら自分がウイルスに感染した理由にも説明がつくのだ。
つまり自分はウイルスという存在から分離させられて、人間と似たような存在となった。
だから、ウイルスに感染したのではないか。
「はは、は……はははははは!!」
乾いた笑いが、こだまする。
勿論ここまでの考察は、今のところ根拠の薄い憶測にすぎない。
バグスターは捕らえられてなどいないかもしれないし、ウイルスと分離されたというのも見当違いの推論かもしれない。
しかし、もし事実であるとすれば…
「心が、滾るな…!」
主催者たちへの怒りを込めて、吐き捨てる。
どちらの考察が当たっていようと、自分たちバグスターは人間どもにいいように利用されたということで。
特に後者の考察が事実であったならば、自分たちバグスターのアイデンティティを奪われたことになり、捨て置けない。
そしてどちらの考察も外れていようと、自分をこんな目に遭わせた連中を許す気はない。
それならば、どうするか。
悔しいが、パラド一人でどうこうできる相手ではない。
なにしろ向こうは、指パッチン一つでこちらの命を奪うことができるのだ。
参加者の中にグラファイトたちバグスターの仲間がいるかどうかも分からない。
「するしかないか…協力プレイ」
他の参加者と協力して、主催者たちを出し抜き、倒す。
元々仮面ライダークロニクルの為に黎斗と組んでいたことだし、利害の為に他の人間と組むことに抵抗はない。
そうと決めたパラドは、先ほど投げつけたリュックを拾い、中身の一つを取り出す。
「こいつは没収されてなかったか…」
ガシャットギアデュアル。
パラドが、仮面ライダーパラドクスに変身するためのライダーガシャット。
右に回すことでパズルゲーマーレベル50、左に回すことでファイターゲーマーレベル50に変身できる。
「待っていろよ、羂索。お前たちを倒して…ノーコンティニューでクリアしてやるからな」
主催者への怒りを燃やすパラド。
しかし、彼の心には未だ死への恐怖は消えていない。
今は怒りで目を背けていられているが、再びその恐怖に取り憑かれた時、彼は立ち上がることはできるのか。
【パラド@仮面ライダーエグゼイド】
状態:死の恐怖、主催者への怒り
服装:人間体での服装
装備:ガシャットギアデュアル@仮面ライダーエグゼイド
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:主催者打倒。同胞やウイルスを奪われているなら取り戻す
01:とりあえず協力プレイできる奴を探す
参戦時期:33話あたり
備考
※主催者が自分たちバグスターを捕らえているか、あるいはバグスターの肉体をウイルスから分離して、自分がウイルス感染しているのは後者により人間に近い身体にされたからではと考えています。
上記考察が事実でなかったとしても、どっちみちこんなことに巻き込んだ主催陣を許す気はありません。
投下終了です
投下します
「手を組まねぇか?」
差し伸べられた手は、正しく運命の選択肢なのだろう。
刀使たる十条姫和はそれを認識した。
刀使でありながら御刀は無く、荒魂ではない敵対NPCに襲われて万事休すと思われた時に。
頑強な肉体を持った二人の男子に助けられたという体たらく。
情けない、などと己を卑下する余裕もない。かつ男子二人のその片側は間違いなく御刀を持っていたとしても勝てるかどうかわからない実力者。
「組まない理由があるわけではない。だがお前たちが乗っているのであるならばその誘いは断らせてもらう」
だが、"間違ったやり方"を望むほど今の十条姫和は愚かではない。
かつての自分ならまだしも、今の自分には大切なものというものが増えすぎた。
己の復讐の根源も思い違いだと知った。何より、衛藤可奈美のことが放っておけない。
「手を離すな」と言っておいてこんな事で自分から約束を破ってしまってバツが悪い。
「手厳しい嬢ちゃんだ。その気難しさは堀北と似てるな」
「誰かに例えられるのは構わないが、先の返答の答えは」
「乗るつもりはねぇ。現時点はってとこだが」
二人組の片方。紫掛かった黒髪の青年が卒なく答える。
猛禽類の如き鋭い眼光。引き締まった体躯。
それでも刀使から見ればまだ常人の域。
ただし、男から感じる凄みは、恐怖(ころしあい)という脅しに屈しないというその意志だけは本物のように思えた。
「ただし、場合によっては、って話だ。殺しの引き金なんざ当然のように引く機会なんて訪れるだろうな。こんな場所じゃ当然か」
「貴様は、人を殺したことはあるのか?」
「そこまで落ちぶれちゃいねぇし、余程の事がなければするつもりもねぇさ」
この男にとっては「殺し」というのは最終手段でしかない。
あくまで、「余程のことがなければ」というのは当人としても好ましいことではないという事。
手段は選ばないが、一線を越えるのはなるべくは避ける、ともいう考えか。
「……かつてある人物に復讐しようとした私が言えたたちではないが、その一線は超えるべきではないな」
「そういうてめぇの方は殺そうとしたことあるのか?」
「殺そうと思っていたほど憎んでいた相手はいた。……今となっては過ぎた話だがな」
母の仇を打たんとして、その過程で知った真実は複雑なもの。行き場のない怒りのままに禍神へと落ちかけた。
「そんな私を、無理矢理にでも引きずりあげようとした人がいる。優しいけれど、自分本位」
「てめぇも難儀なら、そいつも難儀なやつってか」
「否定はしない。あいつは……可奈美はそういうやつだ」
そんな己を止めた友がいた、優しい反面で自分本位。
禍神を宿し、未来を視る眼を持ってなお勝てる未来視(ビジョン)が見えないほどに強く。
最後まで「半分持ってあげる」という言葉を守り抜いた。
そういう彼女である衛藤可奈美に自分は見事救われたのかもしれない。
「いつの間にか、私の回りにそういうものが増えてしまった」
辛い時に重たい荷物を一緒に持ってくれる大切な人、仲間たち。
復讐に捧げようとしたこの生を、一人闇へと向かおうとする自分に手を伸ばしてくれた皆がいたからこそ。
「そんな皆に。そして衛藤可奈美に救われてしまった。だから皆に恥じないような、そして刀使としても。私はこの殺し合いに抗う道を選ぶ。」
道を外れるわけには行かないし、彼女たちの思いを裏切る真似もしたくはない。
「それに、可奈美とのちゃんとした決着が。御前試合の決勝戦も中断したままだからな」
「……なるほどな」
透き通るほどに冷涼で、さりとて雷の如くまっすぐ貫く姫和の瞳を男は見た。
頑固だが、確固たる決意があった。
これを無理矢理従わせるのは骨が折れると、半ば諦め気味になった。
彼女は周りによって変わったというが、男の方というのも結局回りに動かされて動いたというべきか。
信頼と友情で繋がった彼女は、自分や"やつ"とは違う。
だがそれがどうしたと言わんところではある。そうと表明されたら仕方もない。
――少なくとも、その決意だけは及第点と認めた。
「おい、その可奈美ってやつにはちゃんとした舞台で勝ちたいってことか?」
「そういう解釈でも構わない。一度暴走していた私を止める形で可奈美と剣を交えた事はあるが、如何せん勝てるビジョンが文字通り全く見えなかった」
「……俺にもな。いや俺のは違うな。俺にはリベンジしたいやつがいる。ここで決着を付けてもかまわねぇと思ったが、どうせ果たすなら元の世界の方がいいだろとでも思っただけだ」
男の――龍園翔の脳裏に浮かぶ一人の存在。自らに闇を垣間見させ、恐怖を認識させた唯一無二の男。
己を負かした綾小路清隆という男に対して、このまま負けたままであることが気に入らなかった。
蠱毒を推し進めるような学園に興味はない。だが負けたままなのが不満だったから。
『俺は……俺は、龍園さんについていくって決めたんだよ』
『あんたは、勝つためなら何でもする男だった』
……それだけじゃない、かもしれない。
なんて下らない考えを頭の隅に思い浮かべて、「それはない」と振り払おうとして。
「もしかしたら、俺も回りに絆されたか? ……なんてな?」
「………」
何故そんな言葉が出たのかなんて、わからなかったが。
この女の態度が多少は軟化したのを考えれば、いい反応を見れたということか。
「……手を組まないか、と言う話だが、乗ることにしよう。……勘違いするな、あくまで監視も兼ねてだ。もし外道に堕ちるというのなら容赦はしない」
「そんじゃ、交渉成立だな」
手を出した龍園に、ぎこちないながらも姫和は握手をもって態度を示した。
思想も本質も真逆な二人は、ここに手を組むことを選択した。
○ ○ ○
(あっちはうまく行ったようだな)
建物の壁にもたれかかるように暇をつぶしていた男。
天与の暴君"伏黒甚爾"は二人のやり取りを見守っていた。
(だが、加茂憲倫か。あの御三家の汚点が、どこぞのガキの身体手に入れてこんな催しとはな)
呪術界御三家が一つ。加茂家の汚点。史上最悪の呪術師。
禪院家にて蔑まれてきた伏黒甚爾とて、加茂憲倫は耳に入っている。
そも死人が蘇って殺し合いを開く、というのも常軌を逸している。
呪霊にでも成り果てたか、とは思うものの。五条悟に倒された自分すらこうして蘇っているのだ。
(バックに誰がいるんだかし知らねぇが、それは俺の関与することじゃねぇな)
少なくとも、御三家絡みのいざこざに巻き込まれた、というわけではないらしいにしても。
自分のような猿まで呼び込んで、一体何を望んでいるのやら。
(もらった金の分の仕事ぐらいはこなすさ)
最初に出会った龍園翔から提出されたトランクケースに敷き詰められた諭吉の束。この状況で札束なんて自分のような金づるでなければ価値なんてあってないようなもの。それでも支払われた料金分の働きはする。
あれが冷徹そうに見えてその実甘ちゃんにも思える少女を引き込んだところで関係はない。
払ってもらった分の仕事は果たす。場合によっては殺す。
――あの二人の過去に何かしらあったか、それを断片的に知る術しかないとして。
暴君はただ見定める。異なり、その上で求めるものが似ている二人の男女を。
【十条姫和@刀使ノ巫女】
状態:健康
服装:平城学園の制服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いには乗らない、元の世界に帰る
01:業腹だが、この男(龍園)の誘いに乗る。あくまで監視のため
02:可奈美や皆のことが心配
03:殺すという手段は選びたくないが、もしもの時は……
参戦時期:最終回、隠世から柊篝と別れて可奈美と共に現世へと戻る最中
備考
【龍園翔@ようこそ実力至上主義の教室へ】
状態:健康
服装:高度育成高校の制服(男)
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:元の世界に戻る。恐怖に屈するつもりはない。
01:まずは仲間集め。一先ずはこの女を引き入れれたのは上出来か。
参戦時期:11巻、Bクラスに勝利後
備考
【伏黒甚爾@呪術廻戦】
状態:健康
服装:仕事用の私服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、SA・ホットライン、100万が入ったトランクケース@現実
思考
基本:生存優先。
01:支払われた報酬分はきっちり働く
02:加茂憲倫、と来たか
参戦時期:死亡後
備考
・100万が入ったトランクケース@現実
…龍園翔に支給。文字通り100万円分の札束が入ったトランクケース
この殺し合いにおいてお金の価値なんてあってないような気がするが、少なくとも金にがめつい傭兵をや糖分には役に立ったようである
投下終了します
投下します
殺し合いの参加者の一人、神戸あさひの人生はおおよそ不幸と言っても差し支えないものだった。
愛し合う二人ではなく、強姦の加害者と被害者の両親から生まれた彼は、手のかからない子供として育った。
だが父方と母方の祖父母が両方事故死してから、堰を切ったように父は自身と母、それから妹であるしおに家庭内暴力を振るう暴君となった。
あさひは母と妹を守るため一人家に残り、二人を外に逃がした。
唯一人虐待に耐える日々の中、彼はいずれ父以外の家族三人でまた仲良く暮らす日々を夢見て過ごしていた。
そんなある日、妹であるしおがいなくなった。
それを知った彼は、日雇いバイトで資金を稼ぎながら手作りのビラを作り配りながら、家にも帰らず公園のベンチの下で眠る日々を過ごしつつしおを探した。
紆余曲折と僅かな出会いの末、彼はしおを見つける。
しおは、松阪さとうという知らない女と暮らしていた。
どう考えても誘拐。どう考えてもおかしい。
家族と暮らす方が、どう考えてもまとも、幸せ。
なのに――
『さよなら。私は、私のために生きるね』
しおは、あさひではなくさとうを選んだ。
家族に別れを告げて、自分達から去っていこうとした。
だけど、松阪さとうは死んだ。
なんであんな死に方をしたのか、あさひは知らない。
だけどもういなくなった。
だから、今度こそ家族で暮らせると思った。
それなのに――
『ごめんね。私もう、そういうのやめたの』
『だって私は、生まれ変わったんだから』
しおの言葉に松阪さとうが重なって見えた瞬間、あさひは自分が望んだ理想は二度と叶わないと悟った。
彼は手に入れた大切なものも、最後に残っていた筈の大切なものも失ったのだ。
殺し合いに呼ばれたのは、その直後だ。
最初は理解が及ばなかった。
羂索だの、仮面ライダーだの、バグスターウイルスだの、何もかもが意味不明だ。
理解できたことといえば、殺しあいを強要されていることと――
『己が存在と理想を叶える権利かけて最後の1人になるまで殺し合うんだ』
理想を叶えられるということ。
こんな不思議なものを扱えるのなら、それくらいはできるかもしれない。
正直ただでさえ大人は信用ならないのに、さらに信用できない相手の言うことだけど、もうこれしかない。
少なくとも、決して叶わない理想の残骸を見ながら生きるよりは、とあさひは思った。
そうして彼は殺し合いの会場に降り立った。
あさひは最初にやったことは、武器を探すためにリュックを調べることだ。
そこで一番に出てきたものは、とある世界で悪魔と狼の名を冠するガンダムと呼ばれる巨大ロボが、殺し合いの為にパワードスーツとなったものだった。
乗れるのか? と彼は思うも、そこは殺し合いの為に用意された道具。
付属された説明書きさえ読めばどんな存在でも即座に使えるよう調整されていた。
そして乗り込んでしばらく移動していると、別の参加者と出会った。
あさひから見て自分と同じくらいの年齢の、見覚えのない男だ。
彼は即座にガンダムに付属していたメイスを振るいながら追いかけ始める。
男はガンダムを見て即座に逃げを選んだが、パワードスーツに生身で逃げられるはずもなく、あさひの振るうメイスであっさり体を両断された。
「うぷっ」
自分が殺した相手を見て、思わず吐きそうになるあさひ。
これで何も変わらない。
神戸あさひは身勝手な愛の為に人を殺した、松坂さとうと同じものになった。
いつかだれかが彼を称して言った「優しい」という言葉は、理想の為に踏みつけられる。
もう戻ることは決してない。
【神戸あさひ@ハッピーシュガーライフ】
状態:正常
服装:
装備:ガンダム・バルバトスルプスレクス@機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:優勝して理想を叶える
01:参加者を探す
参戦時期:本編終了後
◆
殺し合いの参加者のまた別の一人、小鳥遊夢見という少女は一見すると線の細いピンク髪の美少女だ。
他に特徴を上げるなら、彼女の従兄をお兄ちゃんと呼び、好意を持って慕っていることくらいだろうか。
しかしそれは嘘ではないが、正しくもない。
夢見という少女は狂気に染まりきっている。
彼女はお兄ちゃんを好いているのは本当だが、その度合いが尋常ではない。
お兄ちゃんをストーキングし盗撮するのは当たり前。撮影した写真は最早部屋の壁にこれ以上貼るスペースがないほどだ。
あと、割と女の子にモテるお兄ちゃんは盗撮写真に女の子と一緒に映りこむことが多いが、そこに映る女の子の顔には全て釘を刺している。
そして彼女はこの殺し合いに呼ばれる直前、恋敵を三人殺害している。
そのまま四人目に行こうとしたところで、この殺し合いに呼ばれた。
『己が存在と理想を叶える権利かけて最後の1人になるまで殺し合うんだ』
そこで主催者が言った台詞に、夢見は猛烈な怒りを覚える。
何せ、彼女の理想、お兄ちゃんはもう少しで自分のモノにできた筈なのに、邪魔された挙句理想を叶える為に殺しあえと言われれば、彼女でなくとも怒りくらいは覚えるだろう。
とはいえ、こうなってしまったものは仕方ない。
別に死人がいくら出ようとどうでもいいが、自分は死にたくはない。
なのでとにかく生存を優先して動こうと決めた所で、倒れている人間と傍にあるリュックを見つけた。
夢見は周りに他の参加者がいないことを確認しながら、倒れている人間へと近づいていく。
もし倒れているの人間が死体ならリュックだけ貰おうと考えたのだ。
そうして近づいていくと、倒れている人間は正しくは両断されていることに気付く。
なら気兼ねする必要はないとばかりに、彼女は死体に不用意に近づいてしまう。
そして見た。
今の時間が夜明け前故に、ここまで見えなかった死体の顔を。
【主人公@ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCDぎゃーーーっ! 死亡】
夢見が恋焦がれる、従兄のお兄ちゃんが死んでいる様を。
誰であろう、彼女が知る術は現状ないが、神戸あさひが手に掛けた男である。
「い、いやぁ―――――――――っ!!!」
夢見の絶叫が辺りに響く。さっきまでの慎重さなど何もかもかなぐり捨てて。
「なんでなんでお兄ちゃんがお兄ちゃんが死んでるのうそうそそんなのありえないなんでなんでなんで――」
夢見の絶望が辺りに木霊する。聞いた者が震えそうな怖気と共に。
「許さない許さない許さない許さない許さない――」
夢見の怒りが辺りに伝わる。理解した者が狂いそうな程の狂気を携えて。
「――殺してやる」
最後に夢見は決意する。
殺し合いに優勝して、お兄ちゃんを生き返らせることを。
いざとなれば自分の両親と思い人の両親の殺害すら視野に入れる彼女からすれば、見知らぬ他人を殺すことに躊躇などする訳もない。
こうして小鳥遊夢見の殺し合いが始まり、お兄ちゃんのリュックを手に取り出発する。
彼女は最早遺品となったリュックを、誰にも渡したくはなかった。
本音を言うなら遺体も持っていきたいと思っていたが、持ち歩いて不審がられても困るのでなくなく止めておいた。
「後で生き返らせてあげるから、許してねお兄ちゃん」
可愛らしい言葉とは裏腹にショックが抜けきらない夢見は知らない。
お兄ちゃんのリュックの中には、彼女と同じく一人の男が身勝手な愛の為に作った、ライダーと呼ばれるものに変身するためのデッキが眠っていることに。
【小鳥遊夢見@ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCDぎゃーーーっ!】
状態:正常
服装:普段着
装備:
道具:ランダム支給品×1〜3、SA・ホットライン、主人公@ヤンデレCD2 のリュック(ランダム支給品×0〜2、???のデッキ@仮面ライダー龍騎、SA・ホットライン)
思考
基本:優勝して理想を叶える
01:お兄ちゃんを殺した奴だけは絶対に許さない。
参戦時期:本編開始前
備考
※主人公@ヤンデレCD2 に支給されたデッキの詳細は、当選した場合次の書き手氏にお任せします。
【支給品解説】
・ガンダムバルバトス・ルプスレクス@機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
神戸あさひに支給。
鉄華団所属団員、三日月・オーガスが搭乗するガンダムフレーム。
メイス、テイルブレードなどの武装は付属している。
投下終了です
投下します
『はぁああああっ!』
黄金に魅せられたホムンクルスによって生み出されたホムンクルス、クロト―の強化形態クロト―レビスのハイキックがモノクルを付けた男の頭部に迫る。
男はその細見からは想像もつかない身体能力で避けると、腕から出現させた仕込み刀で斬りかかるが、クロト―レビスは持ち前の装甲と怪力で簡単に弾く。
「中々の体術に肉体変容のギアス……いや、もっと別のなにかか?
だがこのジェレミア・ゴットバルトには……」
「能書きはいい……とっとと血反吐ぶちまけろ!」
得意の蹴り主体の格闘でジェレミアに迫るクロト―レビス。
必殺の一撃を放とうと今まで以上に間合いを詰めた時、ジェレミアのモノクルが開き、青い逆さの鳥の紋様が浮かぶ義眼があらわになる。
「ギアス・キャンセラー!」
「なんだと!?」
クロトーレビスの黒装が解除されてしまった。
その動揺を見逃さず、ジェレミアは思い切り拳をクロトーの腹部に叩きこむ。
「肉体性能は兎も角、我がギアスキャンセラーの射程はある程度短くされてしまっているか」
「くそっ!ならばこれだ!
“金色に染まれ”!」
レビスが無理ならばマルガムに。
そう思って支給されたケミーカード……ゴリラセンセイとバグレシアを取り出す。
「無駄なことを!ギアスキャンセラー!」
だが悪意の波動でとらえたケミーたちもキャンセル能力で解放されて逆にジェレミアの手元に行ってしまった。
「くそっ!これも無効化するとは……」
「貴様らもルルーシュ様の為に我が下で戦うか?
良い心がけだ」
「ちっ!面倒な能力だ。
次会う時はその義眼をくりぬいてやる!」
そう吐き捨てるとベールをかぶって錬金術を発動して撤退した。
「逃がしてしまったか。
一応ルルーシュ様への献上品は確保できただけ良しとするか」
『バグレシ♪』
『ゴ〜リ〜!』
そう言ってカードを懐にしまうとジェレミアもその場を後にした。
【ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス反逆のルルーシュR2】
状態:改造人間
服装:いつもの服装
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
ライドケミーカード(ゴリラセンセイ、バグレシア)@仮面ライダーガッチャード
思考
基本:全てはルルーシュ様への忠義が為に!
01:我が忠義を果たすためにルルーシュ様の元へ参じる
02:もし他の皇族の方がおられるなら、ルルーシュ様が始末を命じない限り守りたい。
03:情報や味方は出来るだけ集めておく。
参戦時期:ルルーシュを仕えるべき主君と認めた後
備考
※ギアスキャンセラーは射程距離などが短くされていますが、改造人間としての機能は特に制限されていません。
【クロトー@仮面ライダーガッチャード】
状態:通常形態
服装:冥黒の三姉妹の衣装(強化後)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
ガッチャドローホルダー@仮面ライダーガッチャード
ライドケミーカード(バーニングネロ、ベロソル)
思考
基本:私のままに戦う
01:アトロポスやラケシスが居るなら合流を目指す。
02:一ノ瀬宝太郎は出会ったら必ず倒す。
03:ジェレミア・ゴットバルト……次会った時はそのうっとうしい目玉をくりぬいてやる!
参戦時期:ジェルマンに力を与えられるより前
備考
※ジェレミアのギアスキャンセラーを特殊な錬金道具の役割を持った義眼と勘違いしています。
投下終了です。
タイトルは 忠義の騎士と偏執の拳士 です。
投下します
投下します。
「なんでよ!?貴方大人でしょ!?私達を守るのは当然じゃない!!」
「くどい!!私はお前達の相手をしている暇など無いのだ!!」
「ねえ二人とも、喧嘩はやめようよ〜」
殺し合いの場には不釣り合いと思えるような学校内にて
二人の響き渡るような言い争いが起きていた。
事の発端はこうである。
殺し合いが始まると三人の参加者がこの学校内に転送された。
三人は程なくして合流し、自己紹介や情報交換等もスムーズに行われた、かと見えた。
参加者の一人である小学生の前田ひろみが参加者の一人であるロード・ジブリールにある事を頼んだのが始まりだった。
「ねえジブリールさん、この状況を何とかしてよ」
「そんな事、急に私に言われても困る!私も現状を全く把握していないのだからな!」
「何よ。大人の癖に頼りないわね。とりあえず私達の事守ってよね」
「ふざけた事を言うな!なぜ私がお前達を保護しなくてはならないのだ!」
それから二人の言い争いは始まった。
「二人ともガルガルしないで仲良くしようよ!」
その二人を仲裁しようとするもう一人の参加者は犬飼こむぎ。中学生の女の子である。
「犬飼さんは私の味方よね!?」
「お前も私の邪魔をしようと言うのか?」
「あうあう……こむぎは、こむぎはぁ〜」
急に二人に振られたこむぎはしどろもどろになり返事が出来ずにいた。
「ちょっと、はっきり言ってよ犬飼さん!私が間違っていると言うの?ねえ!」
「そ、そんなことないよ前田ちゃん」
前田に圧を掛けられて流されるように同意してしまうこむぎ。
「ほら、犬飼さんもこう言ってるじゃない。間違ってるのはジブリールさんの方よ」
「くだらん!付き合ってられるか!」
殺し合いの場で大人が小学生や中学生を保護するべきと訴える前田に
自分以外の命はどうでもいいと考えているジブリールでは
一向に意見が噛み合うはずもなく、これ以上は時間の無駄と考えて二人を放置して行こうとするジブリール。
「待ちなさいよ!なに逃げようとしてるのさ!」
すばやく教室の入口に回り込み通せんぼをする前田。
相手が小学生と言えどもここまでのワガママな振る舞いにジブリールの我慢も限界に近づく。
「無理に引き止めるのはやめよう前田ちゃん、ジブリールさんも困ってるよ」
「駄目よ!ジブリールさんは大人の男なのに、女の子達を置いていくなんてあまりにも卑怯よ!藤木と同じぐらいの卑怯者よ!」
(私が卑怯者だと……言わせておけばこのガキ……)
こむぎが宥めようとするも二人の怒りのボルテージは上昇していく。
「いい加減にしろ!私はお前達の保護者でも先生でも無いのだ!お前達を助ける義務など無い!」
「他の参加者にあったら言うわよ?ジブリールさんは私達を置いて見捨てたって!」
他者から保護を求めるのにここまで上から目線な態度を取る人間は今までいただろうか?
前田の傲慢な性格についにジブリールも怒りの限界を迎えた。
割り込みすみませんでした。
IOg1FjsOH2さんの次にします。
「貴様ぁぁ!!この私を脅すつもりかぁ!!ガキが調子に乗るなぁぁぁ!!!!」
バチィンッ!
「ああっ!前田ちゃん!」
ジブリールの平手打ちによって顔面を引っ叩かれる前田。
倒れた前田を心配するようにこむぎは寄り添う。
「前田ちゃんを叩くなんて酷いよジブリールさん!!」
「はぁはぁ……こいつが悪いのだ。ガキの分際で大人を舐めた態度を取るから」
ジブリールは一見紳士的に見えるが、実はヒステリックで激昂しやすい性格の持ち主であり
気に入らないことがあれば物に当たることもあるほどだ。
それを踏まえれば、むしろよくここまで怒りを我慢してきたと言えるだろう。
「ううっ」
むくりと前田が起き上がった。
「前田ちゃん大丈夫?」
「ううっ、ううっ」
前田の身を安全するこむぎだったが前田は全身がプルプルと震えており、とても大丈夫ではない。
彼女には困ったことが二つある。
一つは自己中心的でよく威張り散らすこと。
もう一つは……
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!!!」
人に注意されるとすぐにものすごい大きい声でワーワー泣きわめく厄介な性格の持ち主なのだ。
「私、何も間違ったこと言ってないのにぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!おおおおおわああああああああああああああああっっ!!!!!!」
「前田ちゃん泣かないでぇ……」
「ぶつなんて酷いわぁぁぁぁああああぁああ!!!!うおおおおおおおおおおおおおおおっっおおおっっおおおおう〜〜〜!!!!」
前田はいくら他人に迷惑をかけても、絶対に自分の行動が正しいと思い込む人間なので
正しいことをしているのに周囲に否定されていると考え、自分は理不尽な目に遭わされていると思い込むのだ。
「前田ちゃんがそんなに泣いてるとこむぎも……あおーん!!あおーん!!あおーん!!」
ついにはこむぎも前田に釣られて涙を流してしまう。
泣き続ける女子達に参ったジブリールはすっかり萎縮し、怒りが消え失せていた。
「ええい!!とりあえずお前ら泣くのを辞め」
ジブリールが二人を宥めようとした所で彼は気付いた。
前田がものすごい変顔で号泣していることに
まるでクリスマスの歌で登場するトナカイのように真っ赤な鼻をしながら
涙と鼻水を垂れ流しにして泣く、その顔はジブリールを笑いへ誘うのに十分だった。
(い、いかん!流石にこの状況でコイツの泣き顔を笑っては他の参加者達への悪印象が大きくなる。ここは抑えねば)
口元を抑えて笑いを耐えるジブリール。
だが、ここで終わりじゃなかった。
「なんで叩くんですがぁあああ!?ジブリールざぁぁぁんんんんんんん!!!!」
(よせ!顔を近づけるな!)
前田の号泣顔がドアップでジブリールへ迫ってくる。
さらに鼻水を垂らしながら鼻息を荒くしていたことで
前田の鼻からは巨大な鼻ちょうちんがぷくーっと膨らんだ。
「ぷっ、くくくく……あっ」
ジブリールの我慢は前田の鼻ちょうちんによって限界を迎え、ついに笑ってしまう。
自分が笑われたことに気付いた前田の顔は更に歪む。
「私がこんなに悲しんでるのにぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいい何がおかしいのよぉぉぉおおおおおおお!!!!!」
「なんで笑うのジブリールさん?前田ちゃんが可哀想だよぉ!」
「い、いや……それはだな……」
前田の顔があまりにも可笑しかったとは、到底言えるはずもなく返答に困るジブリールだった。
「どうせ皆、私のことなんて死ねばいいと思ってるんでしょおおおおおおおお!!!!うわああああああああああああああああんんんっっ!!!!」
大泣きで叫びながら教室から飛び出していく前田。
「前田ちゃん!!待って!!」
「……追いかけてやれ」
「う、うん!」
ジブリールの指示を受けて前田を追いかけるこむぎ。
「みんな、みんなだいっきらいよぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!」
依然として泣き叫びながら学校を飛び出していく前田。
殺し合いの場で大声を出すリスクなど彼女に考える余裕なんてない。
ただただ怒りと悲しみの感情に身を任せて泣き叫ぶことしか出来ないのであった。
【前田ひろみ@ちびまる子ちゃん】
状態:健康、深い悲しみ
服装:普段の服装
装備:無し
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:誰かに助けてもらう
01:ジブリールさん酷いわぁぁ!!
参戦時期:後続の書き手にお任せします
備考
【犬飼こむぎ@わんだふるぷりきゅあ】
状態:健康
服装:普段の格好
装備:無し
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:皆と仲良くしたいわん!
01:前田ちゃんをおいかけるわん!
02:ガルガルなんてしたら嫌だよぉ
参戦時期:後続の書き手にお任せします
備考
キュアワンダフルに変身可能かどうかは後続の書き手にお任せします
◇
「全くとんでもない目に遭った……」
もっとも生き残らなければならないのは私なのだ。
私でなくてはデュランダルを討つことは出来ない。
そのために私は再び、この世に生を受けたのだ。
ガキ共のお守りなどしている暇は私には無いのだ。
(しかし、生き残るためとはいえ、私自身が戦うのは流石にな……)
ジブリールは保身欲が強く、自分の不利を知るとすぐさま協力者を見捨て
自分だけ安全な場所へと逃亡する行為を繰り返していた。
良く言えばリスクマネジメントに長けた性格、悪く言えばビビりのヘタレである。
そんな彼が一人で積極的に殺し合おうとする度胸などあるはずもなく
結局は前田と同様に他者への庇護を考えていた。
これではせっかくの支給武器である『ガンダムシュピーゲルの起動鍵』も宝の持ち腐れだ。
【ロード・ジブリール@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
状態:健康
服装:スーツ姿
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ガンダムシュピーゲルの起動鍵@機動武闘伝Gガンダム、SA・ホットライン
思考
基本:私さえ生き残れればそれでいい
01:自分を庇護してくれる人物を探す。
02:あのガキ共とはもう会いたくない。
参戦時期:死亡後から
備考
ガンダムシュピーゲルの起動鍵@機動武闘伝Gガンダム
ロード・ジブリールに支給。
シュバルツ・ブルーダーが搭乗するネオドイツ代表のMF(モビルファイター)である。
モビルファイター以外でも扱えるようになっているが
優れた格闘家以外では性能を最大限には引き出せない。
投下終了です
s5tC4j7VZYさんどうぞ
IOg1FjsOH2さん、投下お疲れ様です(●^o^●)
それでは、私も投下します。
「ほれ、食うか?」
男は少女に焼いた肉を手渡す。
「いただくとするよ」
少女は頂いた肉に口をつけると、
「……うまい」
「そうだろ?ヒッヒッヒ」
肉をかぶりつき、表情こそ大きな変化はしていないが、旨さに目を見開く少女。
少女の名はアトロポス。冥黒の三姉妹の長女。
その正体はグリオンに■■■■■をモデルとして創られし錬金人形(ホムンクルス)
一方、アトロポスに肉を与えた男。
男の名はアブジル。アッバース朝の時代に生きる奴隷商人。
「羊はな、尾に脂肪を大量にため込む、だから肩から背中の辺りは特に旨くて高価だ。
お前が食べたのは所謂”ラムチョップ”味付けは塩と胡椒のみ。だが、味は折り紙つきだ」
「君の住む地域では、肉は避けられていると聞いたことがあるが」
アッバース朝とは、分かりやすくいうとイスラム帝国。
イスラム帝国では、ムスリム……イスラム教徒が構成員となっている。
そしてイスラム教では、豚肉を食べることを禁じされている。
その理由は、豚を不浄の生き物だとみなしているからだ。
「それは、イスラム教徒のことだな。豚肉はためだが、羊肉は禁止されとらん。それにわしは敬虔
なイスラム教徒じゃない。だから問題ない……イッヒヒ」
アブジルは説明しながら笑う。
悪党らしく。
ちなみにとある島国では、戒律で禁じられている酒を般若湯と称して飲んでるなまくさ坊主もいたといわれる。
案外、どこの宗教でもそんなものなのかもしれない。
勿論、真面目に守っている信徒が多いと思うが。
「それにしても……錬金術か……なるほどな」
「君のような前時代的な人間が理解できたのかい?」
「勿論、よくわかっておらん」
まさかのアブジルの言葉にアトロポスは怪訝な表情でアブジルを見つめる。
「だが、お前のような者や不思議な道具にわしは既に2度出会っている」
そう、アブジルは錬金術に劣らない未来の科学に出会っている。
1回目はシンドバットに救われたとき。
2度目はシンドバットの黄金宮を乗っ取ろうとしたとき。
「そして、あのとき、わしの邪魔をしたガキ共に青タヌキの正体は、未来人だということがお前の話からわかった」
「ああ、君のいう不思議なコレクションとやらのかい」
そう、アブジルは一度は黄金宮を乗っ取ることに成功したが、シンドバットとそれに組みする者たち(ドラえもん達)に敗れた。
そして、悪党はここで終わるはずだった
記憶を消され、放逐されるはずだった
それがアブジルの現実(じごく)
だが、彼の悪運はそこで尽きなかった。
殺し合いを強要されるとはいえ、こうして牢獄から釈放されたのだ。
ならば、やることは一つ、理想の権利を手にするのみ。
悪党ならその選択は至極当然。
「だけど、アブジル。君が勝ち抜けるとは僕には正直、思えないが」
「まぁな。あの謎の命令力を持つガキをはじめに、お前がいう仮面ライダーとかいう者。一筋縄ではいかなそうだ。だが、悪党には悪党の戦い方がある」
アトロポスの疑問は正しい。
アブジルは名が知れた悪党とはいえ、あくまで一介の奴隷商人。
それが、”仮面ライダー”や”ギアス”の力を持つ参加者と感嘆に渡り合えはしない。
アブジルはそれは百も承知。
すると―――
《カマ、カマ、カマ、カマ……》
「なんだ、コイツは」
「マンティスマルガム。マルガムの一種だね」
(だけど、既にそのマルガムはガッチャードによって倒され回収されたはず。……つまり、羂索は僕たち参加者の記憶を元に錬金してるのか)
2人の前に現れたのは、マルガム。
だが、アトロポスの言う通り、既にそのマルガムはガッチャードによって倒され、ケミーカードへと戻った。
「まぁ、いい。見ておれ小娘。太陽の力を」
アブジルは腰につけていた支給品のベルトに手をかけると、宣言する。
これこそが、アブジルの根拠。
悪党でも勝ち残れる強い根拠。
「変身!」
言葉と同時にアブジルは変身した。
仮面ライダーBLACKRXへと。
「わしらイスラムでは、太陽は神の徴。この力があれば、わしにも勝ち目はあるというもんだ」
強烈なパンチで、マルガムを怯ませると、すぐさま支給品の刀で真っ二つに斬り裂いた。
それは、圧倒的な暴の力であった。
「僕が知るのとは違う仮面ライダーだね。なるほど、これならアブジル。君でも善戦できそうだ」
アトロポスは感心する。確かに”仮面ライダー”の力を扱えるのであれば、夢物語ではないと。
アブジルは変身を解く。
そして、アトロポスを見据える。
「ふん……生意気な。それで小娘、アトロポス。お前はどうする?」
「僕は様子見だ。りんねちゃんがいるかどうか分からないからね」
「ふん……自由な娘だ。だが……悪党らしくていいぞ」
アトロポスの選択にアブジルは微笑む。
自分のやりたいようにやる。それが悪党なのだから
互いに価値がなくなれば、それまでの関係。
「ま、最後に笑うのはこのアブジル様だ。イーヒッヒッヒッ……」
【アブジル@ドラえもんのびたのドラビアンナイト(映画)】
状態:正常
服装:アッバース朝の服
装備:サンライザー@仮面ライダーBLACK RX 釈魂刀@呪術廻戦
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:権利を手にし、黄金郷を手にし、世界を手に入れる
01:悪党のやり方で権利を手にする
02:ひとまずアトロポスと行動を共にする(利害目的)
03:未来か……なるほな、イ―ヒッヒ
参戦時期:映画終了後
備考
※映画終了後、忘れ薬を飲まされる前なので、ドラビアンナイトの出来事を覚えています。
※アトロポスから錬金術について知識を教わりました。
※自分より未来の人間・技術があることを理解しました(アトロポスが錬金人形だとは知りません)
※アトロポスとの邂逅により、自分の野望を阻止した者と不思議なコレクションは未来に関係すると推測しました。
▪サンライザー@仮面ライダーBLACK RX
アブジルに支給。
所謂”変身ベルト”
仮面ライダーBLACK RXは”太陽の子”という異名をもつ。
イスラムにとって太陽とは神の徴。奴隷商人に神の徴の力(BLACK RX)が支給されるとは皮肉。
おのれゴルゴム!ゆ゙る゙ざん゙!! by南光太郎
▪釈魂刀@呪術廻戦
アブジルに支給。刀の呪具。
アブジルは素質が無い(無生物の魂すら観測する眼 )ため、刀の真価を発揮できない(あやゆる物や魂はきれない)が、それでも本ゲームでは、たいていの物の硬度を無視し、斬ることができる。
まずはバカ共を使って削るby伏黒甚爾
【アトロポス@ドラえもん(映画)】
状態:正常
服装:冥黒の錬金服(ドレス)
装備:ドレッドライバー@仮面ライダーガッチャード
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:ガッチャードライバーは手に入れる。ゲームの終了の手段はまだ思案中
01:ガッチャードライバーは手に入れたいが、とりあえず様子見。
(りんねちゃんがいるかどうかで考える)
03:ひとまずアブジルと行動を共にする(利害目的)
02:りんねちゃん。もし、いるのならこの殺し合い、全部、君のせいだよ
参戦時期:27話でグリオンが一度退場するよりは前
備考
※参戦時期の関係からりんねを絶望させて殺すより、あそぶ意識が強いです。
※会場のNPCは参加者の記憶に関係する者だと推測しました。
※制限により洗脳は体力並びに精神が著しく衰弱していないと効果がききません。
▪ドレッドライバー@仮面ライダーガッチャード
アトロポスに支給。
所謂”変身ベルト”
ドレッドライバーと変身に使用するレプリケミーカードがもセットで付属している。
りんねちゃん、遊ぼbyアトロポス
投下終了します。
それと、すみません……以前投下した閃光閃耀にて秋山小兵衛の基本姿勢が前に投下した作品のキャラのままでした。
後ほど、wikiの方で修正いたします。申し訳ありませんでした。
ちなみに剣客商売の漫画は、作画大島やすいちさんのです。
それと、【アトロポス@ドラえもん(映画)】でなく、【アトロポス@仮面ライダーガッチャ―ド】
確認不足でした。すみません!
投下終了します。
投下します
ズバッ…ドカーン!
たった一振りの日本刀の斬撃が、道路に放置されていた車を斬り伏せた。
「もう逃げ場はねぇぜ嬢ちゃん…大人しく斬(まっぷ)たつになりな…」
その男が握るものは、業物。
その名は斬破刀、数々の雷を操りし猛獣太刀を仕留めて作られた、太刀。
そして男の名は、詩隈殴偉人、暴走師団、聖華天が幹部。
最後に、業者を向けられるのは、一人の少女。
◆
少女はわかっていた、ここから打開するすべは無いと。
手元にあるのは、一本の刀。
自分は戦闘はまともにしたことない、けど、少女・モーダは。
「…やれるなら…やってみてください!」
手を震わせながら忍者刀を握り、詩隈へと向ける。
「いいぜぇ…それじゃあ斬られなぁ!」
少女に日本刀の狂人が触れそうに――なったその瞬間であった。
「あっ?…うぁぁぁ!?」
詩隈とモーダの間に、空から来た何かが現れる。
それは鉄巨人であった、前述の羂索の話の通り、少し背の高い人間ぐらいの大きさになっているが、特筆すべきはその武装。
両手には二門のガトリングが、顔にはピエロを模したような仮面をつけており、肩と足には開けそうな何かがついている。
「ふひひ…本来ならSRTは武力介入は駄目…いや、そもそもそんなこと言ってる場合じゃないか…」
中より声が聞こえる、まるで何かに高揚するような少女の声。
「なんだこの稚児(ガキ)!?だが俺の官憲斬棄(ポリストラッシュ)の前には…」
詩隈は剣を振り上げ断ち切ろうとする、しかし――
「邪魔!」
「へ?」
瞬間、詩隈が蜂の巣になる。
新調した特攻服も、業物、三代鬼徹も、全てが、ガンダムヘビーアームズの前に蜂の巣にされた。
あとに残ったのは、穴だらけの骸
【詩隈殴偉人@忍者と極道 死亡】
◆
「あ、あの…」
「ん?何さ?」
ヘビーアームズが鍵に収まり、中から飴を咥えた少女が出てくる。
「…助けてくださり…ありがとう御座いました!」
「ん…ありがとう、感謝は受け取っとくよ」
舐め終わったのか、新しい飴に交換する、ポケットには、飴が無数に入っていた。
「…これから、どうなさるんですか…」
「ん〜…ミヤコたちがいるかもわからないし…まぁ少なくとも、殺し合いに乗らないってことは言えるよ」
それなら――とモーダは声をあげる。
「ならば、一緒に行動しませんか?」
「…まぁ、いいけどさ、あっ、弾丸とか見つけたら私に見せて、いろいろ解…分かるからさ」
なんか一瞬欲が見えたような気がするが、気にしてはいけない。
「…私はモーダ、あなたは?」
「…風倉モエ、んじゃあ、よろしく頼むよ〜」
月が、彼女たちを照らしている
【モーダ@ONE PIECE】
状態:正常
服装:2年後、桃ひげに襲撃されたときの服装
装備:岸本隆太郎の忍者刀@ヒューマンバグ大学
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを破壊する
01:とにかく協力者を探す、モエと行動する
02:革命軍の皆様などを探す
参戦時期:桃ひげに勝利したあと
【風倉モエ@ブルーアーカイブ】
状態:正常
服装:普段着
装備:ガンダムヘビーアームズ改(EW)の起動キー@新機動戦士ガンダムW Endless Waltz 釈迦の飴@終末のワルキューレ
道具:ランダム支給品×0〜1
思考
基本:殺し合いに乗ることはないが、支給される銃器等は積極的に集める
01:モーダと行動する
参戦時期:本編開始前
全体備考
詩隈のリュックとランダム支給品0〜2が放置されています。
【支給品解説】
・ガンダムヘビーアームズ改(EW)の起動キー@新機動戦士ガンダムW Endless Waltz
風倉モエに支給
オペレーション・メテオで開発された重武装のガンダム。
無数のガトリングとミサイルを装備する。
・釈迦のキャンディー@終末のワルキューレ
風倉モエに支給
神側代表、釈迦が普段から食べているキャンディー10個入り。
味とかは市販と変わりなし。
・岸本隆太郎の忍者刀@ヒューマンバグ大学
モーダに支給
天王寺組武闘派、岸本隆太郎が愛用している忍者刀。
岸本は忍者の系譜ではないが、これを見事に扱いこなしている。
・三代鬼徹@ONE PIECE
詩隈殴偉人に支給
業物の一つ、鋭い切れ味を持つ一方、「持ち主を殺す呪いが掛けられている」という噂があり、ローグタウンでは本来100万ベリーの価値がありなから、5万ベリーで売られていた。
ヘビーアームズに詩隈ごと蜂の巣にされた。
投下終了です
>>409
追記
自作、「ファタール」の誤字を修正したことをご報告します
投下します
滝のそば故か、荒々しい流れをする川のそばの崖にて、一人の少女がいた。
長い黒髪にスタイルの良さ。多くの人が彼女を美少女だと答えるだろう。
そして同時に、殺し合いの場所で最初に見かけた人物の一人とも答えるはずだ。
堀北鈴音は冷静に今の状況を考えこむ。
須藤のことについては残念には思っている。
お世辞にも普段からして素行がいいとは言えないし、
問題児の多いD組の中においても特に目立つ存在だ。
学園生活序盤から彼に振り回されたのは今も忘れてない。
しかし、このような場所で死ぬような人物ではなかった。
クラスには馴染んでいたし、少なくとも堀北よりは社交的だ。
バスケに対しては真剣に取り組み、冷静さも次第に生まれていた、
仇を取る、とまではいかないにせよ静かに彼の死を悼みながら、
羂索が言っていた言葉の中から気がかりになるものを思い返す。
キヴォトスや魔戒騎士、茅場にクルーゼと聞き馴染みのないワードは避け、
彼女が最も気になったのはゲームの決着方法についてだった。
『そしてこのゲームの決着だが、3種類ある。
プレイヤーの中から誰かひとりだけが生き残る最終勝利、我々ゲーム運営を打倒す叛逆、そして君たちプレイヤーの全滅だ。
我々を倒せるものなら倒してみると良い。
それこそが我々の観たいガッチャでもある!』
最も気にかかったのはこの言葉だ。
特に『二つ目のゲーム運営を打倒する』ということ。
即ち、この殺し合いには意図的に作られた穴がある可能性が高い。
そうやって可能性を示唆するだけで本当はない可能性も十分にある。
だが、態々ゲーム進行が停止しかねない発言をするとは思えなかった。
逆らうことを許容しているし、攻略されることを寧ろ望んでるとも受け取れる発言、
『それが我々の見たいガッチャでもある』とも言っている。故に堀北は運営の打倒そのものは不可能ではない、
と言う考えを持っていた。
「僕だけでは難しいわね……まったく、なんで僕なのよ。」
無論考えだけであり、どのようなロジックを覆せばこの状況を打開できるのかまでは不明だ。
此処は異なる世界からも人が集められている。魔戒騎士、仮面ライダー、ギアス、呪詛師など。
どれも何も分からないものの、ギアスの効力については今こうしてその身をもって理解している。
異世界のオーバーテクノロジーを前にしてしまえば、一学生にできることなどたかが知れてる。
自分の弱さは下から数えた方が圧倒的に早い、と言うことについては理解している。
彼女は何の異能も持ち合わせてない。頭脳や身体能力はD組の中でも群を抜いて高い方だとしても、
あくまでそれは人間の範疇だ。人間の範疇を超えた異能を相手に立ち向かえるだけの力はない。
(まずは武器の確保。最低限身を守れなければ、あの跋扈するNPCにすら殺されかねない。)
そうして武器を漁り出てきたのは一本の剣。
赤い柄が目立つ、身幅の広い両刃の一般的な西洋剣にも見えるが、
「何このソードスキルの量……!?」
思わず声が出るほど驚かされた。
一つの武器に二つか三つ程度のものかと思えば、
数十にも及ぶ程のソードスキルが内包された武器だった。
中にはソードスキルと言うより魔法のようなものまであり、
少なくとも何の異能もない堀北にとっては当たり、かと思われたが。
(いえ、ここまで行くと僕には無用の長物、と言ったところかしら。)
確かに技の数々は魅力的だろう。
これだけあれば大概の動きに対応できる。
しかしそれは使いこなせるだけの判断力があればの話。
これだけの技を、殺しの経験なんてない彼女が扱うのは難しい。
最適解に使えるとしても精々が十数個ぐらいだろう。
それでも常人からすれば十分多い部類だろうが、
その辺は堀北の才能によるものである。
(他は……武器にはならなさそうね。)
武器は説明書を見た限りでは剣だけだ。
一学生としては少々心もとない武装ではあるが、
大量のソードスキルを保有した武器の反動として受け取っておく。
剣を強く握りしめると、軽く数回素振りをしてみる。
重くはあるが自分でも振ることができないものではない。
ソードスキルは行使すれば自動的に動いてくれるとのことなので、
技の使い方を知らない彼女であっても技を扱うことは難しくないだろう。
問題なのは精神的な方面だ。これを生物や人に振れるかどうかにある。
退学と言う社会的な死とはよく隣り合わせだった堀北ではあるが、
生命としての死とは縁遠く、何より人が人の命のを奪い合う場だ。
覚悟を決められるか不安に思っていると、
「!?」
上から声が聞こえて視線も自然と上に向く。
声とともに木の枝から飛び降りてきたのは、小柄な男だ。
角のようなものが生えた兜のようなものをを被った、少年らしからぬ姿をした男性で、
例えるならば侍と言うのがよく似合うであろう風貌をしていた。
「こ、子供?」
「ああ、ケンジャクが言うちょった別の世界の人か。
ならわしのようなハーヴィンも知らんのは仕方のないことぜよ。
こう見えてわしは齢三十はすぎちょる。まあ、年功序列だなんだの言うつもりもないがの。」
兜のようなものを取ってその顔を見せる。
堀北より頭二つ以上は小さいであろうにしては、
明らかに子供とは思えぬ顔つきをしていた。
年齢が年上であるのは、間違いないのだろう。
「君は殺し合いには乗らないの?」
隙だらけだった。
上と言う人間の死角。
その気になれば殺せたはずだ。
なのでこの質問は無駄に近かったが、
今後の人脈に繋がる可能性は高い人物だ。
念のためどういう人物かを確かめておきたかった。
「汚れ仕事は受けるが、流石にそこまで人間腐ってはおらんからな。」
腰に携えた身の丈ほどの刀を一瞥しながら男は答える。
身の丈かそれ以上ある刀は様になっており、加えて汚れ仕事。
何を意味するのか分からない堀北ではなかったが、それは聞かなかった。
これは聞くだけ時間の無駄であり、優先するべきは協力者になるかどうかだ。
「僕とこうして話をしてると言うことは、協力の意思がある。そうよね?」
「それと、簡単な程度になるが剣の手ほどきもな。
嬢ちゃんの振り方じゃ、危なっかしくて見てられんぜよ。
そういえばまだ名乗っておらんかったな。わしはサビルバラ。よろしく頼む。」
「堀北鈴音よ。僕はそういう世界で生きてきたわけじゃないから、
こればかりはどうしようもないわ。剣の指導、よろしくお願いします。」
「そう改まらなくてもわしゃ気にせんが……」
自己紹介の後、短時間ではあるが剣の基礎を学ぶ堀北。
サビルバラは古い流派の跡取りでもあり、剣術には一日の長がある。
加えて短期間で物事に対する呑み込みが早い堀北の特性とソードスキルの手軽さ。
様々な要素が合わさることで短時間の鍛錬でそれなりのものに仕上がった。
あくまでそれなりだ。念のため実践を経験するべく、NPCと交戦する。
「スズネ! そいつをこっちに!」
「わかったわ、獅子戦吼!」
獅子と見まがうようなオーラを堀北が放ち、
耳が翼のような兎を勢いよく吹き飛ばす。
吹き飛ばした兎を、サビルバラが一刀をもって伏せる。
「この短時間で大したもんじゃ。もう少し時間をかければ対人もいけるかもしれんな。」
才覚があるのか、この世界由来だからか。
堀北は少なくとも剣を初めて手にした割にはいい動きができていた。
使う技を絞り、使う技の性能を理解するのを優先した結果とも言えるだろう。
堀北は戦いなれしてないがゆえに、主にサビルバラの補助に回って戦ってみた。
魔神剣で敵の逃げ道を塞ぎ、獅子戦咆で敵を吹き飛ばし、ファイヤーボールで遠距離攻撃。
まだ拙いところはあるものの戦闘時におけるサポートとしては中々のもので、
成長すればソードスキルの数も相まって、頼もしい存在になるだろうとサビルバラは感じた。
「でもやっぱり無用の長物に近いわね……まだ使ってない技が多いわ。」
数を絞って何とか戦える形にできたものの、あくまで基礎だ。
より多くの技を理解し、状況に対応できるようにものにしなければならない。
そうすれば本来ならば下である自分にもより生き残ることができるだろうと。
何よりまだ人との戦いができるかどうかの問題もある。そこは気遣わなければならない。
「ほう……音を辿ってみれば、よもやこんな場所で出会うことになるとはな。」
一息ついていると、一人の男が木陰から姿を見せた。
全身が肌に張り付くような服装からは何処を見ても鍛え抜かれた筋肉が目立つ、
片手で金の刃の斧を持ち上げる、水色の髪を風に靡かせている浅黒い肌の男だ。
既にこの時点で常人ではないと受け取れるが、
それ以上に感じたのは殺気の存在。
人から向けられる殺気に、堀北は思わずたじろぐ。
「……君の知り合い?」
「いや、わしには見覚えがないな。」
『バルバトス・ゲーティア!』
どこからともなく声が聞こえ、
辺りを見渡す堀北だがその姿はない。
「え、今の声どこから……」
『君が持っている剣が喋っている。詳しいことは後で話す。』
そう言われて、手に持つ剣を見やる。
冗談かと思ったが周囲に人の姿はなく、
他の二人とも違う声も相まって本当に剣が喋ってるのかと感じる。
詳しいことを知りたいものの、剣の言う通りしている暇はなかった。
「ディムロス、何故貴様がいるかなどはどうでもいい。
今はただ一つだ。この殺し合いの舞台に招かれたならば、
貴様らと俺が戦うのは必定! さあ、来い! 貴様ら全員微塵切りにしてやるぜ!!」
斧を向けながら戦意を示す男、バルバトス。
まだ戦闘する気がない様子もあり、サビルバラは刀を抜き振り返る。
「スズネ! こいつは危険ぜよ! はよ逃げろ!」
戦う術は得た。
経験もそれなりに得ている。
でもだめだ。この殺気に気圧され、
経験者であるサビルバラが逃げろと言うほどの男だ。
相手が相当な手練れであるということは理解してしまった。
「……それが最適解なのが悔しいわね。」
合理的に考えれば逃げるしかない。
先ほどまで練習していたNPCとは次元が違う。
基礎だけで戦える相手ではないことを嫌でも理解させられ、
足手まといにならないよう森の中へと全力疾走で逃げていく。
「随分優しいのう。見逃してくれるとは思わんかったぜよ。」
「奴程度では俺の渇きを癒せなどしないからな。
さあ貴様はどうだ? 灼熱のバーンストライク!」
バルバトスは無手となる右手を地面に叩きつける。
彼の背後より地面に向けた炎の槍が複数飛来して、サビルバラに襲い掛かる。
「っと!」
華麗な身のこなしで全弾回避し、
小柄ながらも素早い動きで刀を振るう。
「せいっ!」
身の丈に匹敵するであろう大太刀を軽々と振るうが、
元々サビルバラはそれぐらいの長さの武器を普段から得物としている。
寧ろ長さ的にちょうどいいぐらいであり、慣れた武器のように扱っていた。
バルバトスも斧を振るい、武器がぶつかり合い甲高い音を奏でる。
(なんちゅー膂力じゃ! 片手の時点で分かっておったが!)
斧を片手で握り軽々と振り回すなど常人ではとてもできないことだ。
両手で構えた武器を手放しそうになる一撃に、いっそ威力を使って距離を取る。
「男に後退の二文字はねぇ!!」
距離を取った瞬間一気に距離を詰めるバルバトス。
咄嗟に転がる形で回避するも、地面を転がるサビルバラを踏みつけんと足が襲う。
「ッ!」
何とか雷撃のような足踏みの連撃を回避しきり、
勢いと同時に起き上がりながら逆袈裟斬りを見舞う。
相手も距離を取り刃は掠める程度ではあるがバルバトスの頬に刻まれる。
「圧殺のエアプレッシャー!!」
お返しとばかりに重力に押し潰れるような感覚に襲われる。
重みで身動きが取れなくなったところを空を飛びながら多数の弾幕を飛ばす。
「流派は廃れど我が刃は死せず……いざ! 桜下散華!」
無数に来る弾幕を、独楽のように高速回転しながら弾く。
「まだまだいくぜよ! 桜下散華!!」
勢いをそのままに、さらに回転速度を上げながらバルバトスへと向かう。
それをバルバトスは着地と同時に薙ぎ払いでサビルバラの攻撃を受け止める。
「どうした、この程度か?」
(なんちゅー怪力じゃ! ハーヴィンの種族差は埋めにくいとはいうが此処までか!)
ハーヴィンと言う種族は成人しても小柄ゆえにあまり戦いが得意でない種族だ。
剣聖と呼ばれるものや騎士団長に上り詰めたハーヴィンも存在するので、
一概に劣ってるわけではないし、サビルバラも相当な努力をしている。
それでも相手が上だ。悔しいがこの事実は覆ることはない。
「吹き飛べ!!」
闇のオーラを周囲へと放出し、サビルバラを吹き飛ばす。
近くの木へと衝突し、倒れそうになるが何とか立ち上がる。
「無様に砕け散れい!!」
だが挽回を許すことはなく、
肉薄したバルバトスが立ち上がったサビルバラの頭を掴み、容赦なく地面へと叩きつける。
今までダメージを何とかしのいでいたサビルバラにとって、意識が飛びそうな一撃が入った。
暗転しかける視界。死を予兆させるには十分すぎるものだった。
(ガラン、サラス……)
妹と義弟の忘れ形見。それが彼の一番の心残りだ。
忘れ形見は一般常識を含めてあらゆることへの知識がない。
こうして今目を離すことですら不安になって仕方ない存在だ。
だから一刻も早くこんな殺し合いを終わらせ、帰って彼の面倒を見る。
ありふれた願いだが、亡き妹たちの忘れ形見だ。放っておくことなんてできなかった。
「わしの刀は折れておらんぜよ……!!」
刀を杖代わりに立ち上がり、闘志を見せるサビルバラ。
令呪を使ってでもこの場を、相手を仕留める。
「いいぜ、貴様の死に場所は───」
「おおおおおッ!」
令呪を使用しようとした瞬間、突如乱入してくる一人の男。
黄色いパーカーが目立つ、堀北より少し年上ぐらいであろう青年。
乱入してきたものの攻撃手段は籠手を着けただけの単純な右ストレート。
だが受けるのはまずい。戦士の勘がそう告げたことでバルバトスは避けに徹する。
「ハッ! セイッ!」
続けざまに来る拳の連撃。
試しにと手に持つ斧を振るうが、
なんとその一撃を両腕の籠手で受け止める。
ズン、と周囲の地面にひびが入るほどの一撃を。
「サビルバラさん!」
先ほどまで聞いていた声。
振り返れば堀北が息を切らしながら姿を見せる。
「スズネ!? 何故戻って来ちょるんじゃ!?」
「僕が逃げていたら、偶然そこの彼と出会って、
それで彼が助けに行くって言って、飛び出して……」
「心配で追いかけたっちゅーことか。しっかし、世の中は広いのう。」
サビルバラでも受け止めるので手一杯だった斧の一撃。
それを籠手があるとは言え拳で華麗に防ぎながら、バルバトスにアッパーカットの一撃を叩きこむ。
怯みはすれど体は浮き上がることなく斧で薙ぎ払う。
「っと!」
防御は困難と判断した男は距離を取る。
同時に男に後退の二文字はないと肉薄し掴もうとするが、
「ハァッ!」
カウンターで右ストレートを左頬に叩き込まれ、後退させられる。
普段カウンターを戦術とするバルバトスにとって、逆にカウンターをされたのは初めてだ。
だからか、左頬に手を当てながら笑みを浮かべる。これはより楽しめそうだと。
「貴様、さぞ名のある英雄か?」
異なる世界があるのであれば、
自分の知らぬ英雄だって参戦しているのだろう。
少なくとも僅かな戦いでこの男が英雄足りえる存在だと、
英雄殺しをしていただけあってバルバトスは彼の素質を見抜いていた。
サビルバラよりもずっと楽しめる存在を。
「わしは誰よりも見続けてきたのだ。
英雄たちの背中を。おそらく、それが理由だろう。」
「そうか……楽しみが増えたというものだ。
だが皆殺しだ! ジェノサイドブレイバー!!」
いい標的を見つければ他の連中など邪魔でしかない。
斧を前方に構えると、強烈な波動の一撃が放たれる。
「ッ、危ない!」
とっさの判断で青年は二人と突き飛ばし、当人はジャンプ。
そうすることで何とか全員が大技の一撃を回避することに成功する。
そのまま青年が振り返り向かってくるであろうバルバトスに対応しようとするも、
「? いない……?」
「消えたの?」
『いや、よく見るんだ。バルバトスの足元は崖際だった。
それに耐え切れず崖に落ちて川に流されてそこの滝へと落ちたのだろう。』
再び聞こえる剣とやらの声。
言われてみればバルバトスのいた位置は崖際であり、
彼の一撃に地面が耐え切れず崩落してしまったのだろう。
剣から聞いた推測と言うのは混乱を招くため黙っておいて、
堀北は二人に同じように説明する。
「とんでもない化け物だったぜよ……団長でも苦戦しそうだ。」
「できることならあの男を何とかおきたいが、君たち二人を残すわけにもな。」
かたやかなりの負傷、かたや兵士ではない民と青年は見た。
とてもではないがバルバトスを追うために置いていくことができる存在ではない。
NPCも跋扈している以上、どこか安全な場所へ避難させるのが最優先だろう。
「何にせよ礼を言わんとの。わしはサビルバラ。
そんでこっちは……説明せんでも最初の時に知っておるか。」
まだ戦うつもりではあったが、はっきり言って敗色濃厚な状態だった。
彼の介入のお陰で命を拾うことができたし、令呪も使わずに済んだ。
頭を押さえながら立ち上がり礼を言うも、まだ頭を叩きつけられたせいでふらつき、堀北が軽く彼を支える。
小柄ゆえに彼女でも支えることは容易だ。
「それがしは徳川家康。絆の力でこの戦いを終わらせる者だ!」
「……なんですって!?」
予期せぬ名前に、思わず声を上げてしまう堀北だった。
【堀北鈴音@ようこそ実力至上主義の教室へ】
状態:困惑(大)、絶対遵守のギアス(極大)
服装:高度育成高校の制服(女子)
装備:ソーディアン・ディムロス@テイルズオブデスティニー(DC版)
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2(武器以外)、SA・ホットライン
思考
基本:このゲームから生還する。
00:『一人称は僕、二人称は君を使う』
01:須藤君……なんてこと
02:羂索にルルーシュ・ヴィ・ブリタニア……。
まさか魔法が実在したなんて。
03:戻った時に何て言われるかしら
04:喋る剣に、小柄な三十代に、徳川家康……???
05:喋る剣については後で話す。
参戦時期:少なくとも髪を切る前
備考
※絶対遵守のギアスをかけられました。
異能力解除の異能力をかけられない限り一人称が僕、二人称が君のままです。
※ソーディアン・ディムロスにスタン・エルロンの術技がソードスキルとして内包されてます。
【徳川家康@戦国BASARA3】
状態:疲労(小)
服装:いつもの(籠手含む)
装備:家康の籠手@戦国BASARA3
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:絆の力でこの戦いを止める。
00:ん? わしがどうかしたのか?
参戦時期:赤ルート、関ケ原前
備考
※籠手が支給品の代わりとなってます。
【サビルバラ@グランブルーファンタジー】
状態:ダメージ(大)、疲労(中)
服装:いつもの(ゲーム上における火SSRの恰好)
装備:蛍丸@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:汚れ仕事はやる。だが殺し合いには乗らん。
00:団長達もきちょるんか?
01:あいつ(バルバトス)とんだ化け物だったぜよ……
参戦時期:「待雪草祈譚」終了後以降。
備考
※男性のため御刀の力は引き出せません。
「戦いの場所は考えるべきだったか。」
滝の下の方ではバルバトスは陸へと上がった。
ずぶぬれのまま滝の上を見上げるも、
高さからしてバルバトスでもすぐに家康の下へ戻るのは困難だろう。
相手も英雄であるならば弱者や怪我人を捨て置けない。
恐らく追ってくることもないのだろう。
「……仕方あるまい。次の敵を探すとしよう。」
三度目の生を迎えた英雄殺しは歩き出す。
己の本能の、闘争の向くままに。
【バルバトス・ゲーティア@テイルズオブデスティニー2】
状態:ずぶぬれ、疲労(小)
服装:いつもの
装備:黄金喰い(ゴールデンイーター)@Fate/Grand Order
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:優勝して英雄になる(英雄になるのはついでで戦いたいだけ)
00:あの男(家康)と決着をつける。
01:戦いたい。
参戦時期:死亡(二回目)後
備考
※黄金喰いに黄金大両断のソードスキルが内包されてます。
支給品解説
・ソーディアン・ディムロス@テイルズオブデスティニー(DC版)
堀北に支給。ハロルド・ベルセリオスが完成させた地上軍の切り札。身幅の広い両刃の剣。
人間の記憶や人格を、高密度に高熱集積したレンズ「コアクリスタル」に投射し、
剣に装着した意思を持つ剣。投射された人格は地上軍第一師団師団長、ディムロス・ティンバー中将。
ソードスキルとしてスタン・エルロンの術技が行使可能になっている。
スタンの技が多すぎるため使えるソードスキルの内容は省略。
本ロワでは所持者であればだれでもディムロスの声が聴ける。
・蛍丸@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火
サビルバラに支給。調査隊の一人である山城由依が使用する御刀。御刀については他参照。
蛍丸は一メートル以上の大太刀なので腕力や持久力が要求される。
・黄金喰い(ゴールデンイーター)@Fate/Grand Order
バルバトスに支給。坂田金時の宝具。本来は金時の怪力なくしては扱えない重量。
本ロワでは力が必要ではあるが誰でも持てる程度の重量にまで調整されている。
雷神の力を宿しているマサカリ。雷を込めたカートリッジが15発装填されており、
その爆発で攻撃力を上げることも可能。そのカートリッジを3発分利用することで、
宝具である黄金大両断、もとい黄金衝撃(ゴールデンスパーク)のソードスキルを内包。
NPC解説
・ウィンドラビット@グランブルーファンタジー
翼のような耳が特徴的な魔物。かわいらしい見た目に反して、
牙と爪から繰り出される攻撃は鋭く油断は禁物である。
以上で投下終了です
投下します
※このSSには現在公開中の映画 仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイクの盛大なネタバレが含まれております。
ご注意ください。
ある滅び去る運命の世界があった。
突如出現した厄禍を跳ねのけることは出来ず、信じていた未来が、仲間が、無関係の人が、守りたかったはずの場所が時間がたつにつれて奪われて踏みにじられていった。
大事ななにかがその両手から零れ落ちて行くのに歯止めは効かず、
ある一人は誇り諸共打ち砕かれ息絶えた。
ある一人は絶望の中煙のように消えてしまった。
ある一人はその身が削られていった果てに命尽きた。
とうとう最後に残された者は、そんな絶望的状況でも戦った。
仲間たちの形見を手に自らの痛みも傷も顧みず戦った。
戦う度に楽しかった思い出は摩耗していった。
戦う度に苦しく辛いことが増え続けた。
戦う度にこの今をどうにか出来ない自分へのいら立ちが募って行った。
そして元々の自分すら完全に失った頃に、自分のせいで最も失いたくなかった者を失った。
残された者の慟哭は自分自身の魂すらも焼き焦がし、その在り方を大きく変えさせた。
原型を失いながらもたった一人残ってしまった者は戦う事を辞めることだけはしなかった。
はかり知れぬ激情を抱えたまま世界を壊すために戦って戦って戦って……とうとう最後の希望に目を向けた。
皆の原典にして、遍く奇跡の始発点。
まだあのどこまでも青く澄み渡る青空にかかる虹の様な祝福を信じ、青春の物語を紡いでいた夢の中で踊るような日々の頃。
即ち過去に跳んだ。
こんなことをしても無駄だと、今自分の生きるべき時間に何の影響がないと分かっていても過去を変えずにはいられなかった。
本来そこに居ない未来の存在の干渉により、全く新しい歴史が生まれ落ちた。
最後の一人は本当に微かな救いを得たのだ。
同時にそれは、自分の絶望の世界は今からではどうしようもない事を嚙み締めた形でもあったが、それで十分だったのだ。
だが運命はどこまでも残酷に最後の一人を苦しめんとする。
無理矢理創り出した晴れの未来を濁すべく、最後の一人は過去の自分と肩を並べ挑む。
そうして打ち砕かれるはずだった最悪は今、この地で一人の希望を摘み取らんと笑っていた。
人の頭を蹴とばす鈍い音がする。
遅れて来た首と額の痛みに蹴とばされたのは自分の頭だと分かる。
「ねぇ〜えええ〜〜〜。さっさとくたばってくんない?
オレたち別に暇じゃないんだけどぉ」
滅茶苦茶に動いた視線を元の位置に戻すと、柔らかな桃色長い髪の少女が、いつも自分の事おじさんとかいってゆるゆると昼寝している先輩と同じ顔の誰かが年頃の乙女らしからぬ仕草でダルそうに吐き捨てる。
ジンジンと蹴られた場所が痛い。
血が出てるしコブも多分出来ちゃってるだろう。
「不真面目だぞホシノ」
そう言って赤い眼鏡に黒い短い髪の少女が、唯一の同級生と同じ顔の誰かが桃髪の誰かを嗜める。
その声は喉に管でも刺さっていたような穴が残っているせいもあるのか、酷く掠れている。
「いいではないですかアヤネ。
折角いい声で鳴く子ネコちゃんなのですから、しっかりと遊び潰さないともったいないでしょう?」
そう言ってくすくすと口元に手を当ててグラマラスな、多分実家の太い二年の先輩に似た誰かが嗤う。
全員羂索……もっと正確に言えば羂索が利用している梔子ユメと同じアビドス高校の制服を着ている。
だが私は、アビドス高校一年生の黒見セリカは知っている。
こいつらは私の知ってる対策委員会の皆どころかキヴォトスの生徒ですらない
「どんな気分だ?
本来なら背を預け戦うはずの仲間に殺される気分は?」
贋物共に嬲られて地面を舐める私を、この状況を創り出してくれやがった髭の男が金色のルービックキューブを左手で弄びながら嘲笑ってきた。
「ざっ……けんなぁ!
なにが、仲間よ!
どいつもこいつも見てくれだけのバケモン共でしょうが!」
口元の血を拭ってから叫ぶ。
このゲームに放り込まれた私は、不幸にもこのグリオンと名乗った男に出会ってしまった。
なんでこんな男に私が話しかけたかといえば男のリュックの中身が私の良く知る仲間たちの愛用武器とうり二つだったからだ。
そしてその事を知ったグリオンは今私に向けているのとまったく同じ笑顔を浮かべ
「“冥黒に染まれ”」
謎の呪文と同時にルービックキューブを使ってそこら辺の砂や砂利と仲間たちの武器で仲間たちの贋物を作って見せた。
顔はよく似ているが、頭上にはキヴォトスの生徒ならば意識ある限り浮かぶはずのヘイローがない上に私からすれば見覚えのない傷や衣装の差異も見受けられたから贋物なのはすぐに分かった。
でも心で納得できるかは別だった。
厳密にはキヴォトスの生徒ですらないと分かっていても攻撃は躊躇してしまうし、こいつらもこちらの事情を分かっているのか決定的な瞬間を掴んだ!と思ったその時にまるで本物の仲間たちかのような行動を取り、その隙を潰してくる。
「そんんあ見てくれだけの化物にお前は殺されるのだ。
トドメは誰がいい?
ホシノか?アヤネか?ノノミか?
それとも、自分の武器で私に殺されるか?」
そう言ってグリオンは私の愛銃シンシアリティとうり二つの武器を相手た右手で構えて近づいてくる。
「グリオン様ぁ。
こんな奴相手にするだけダルいっすよ!
さっさと片付けちまいましょうや」
「悪いなホシノ、私は大好きなんだ。
未来無き者達の無駄な抵抗……という奴がなぁ……!」
それを聞いて偽のホシノ先輩はニッコオ〜と下衆な笑みを浮かべ、偽のノノミ先輩は済ました笑みを浮かべたままだが、その眼を視れば加虐心が踊り狂っているのが分かる。
最後の一人は……顔を観たくない。
くっそ……くそくそくそ!
こんな、こんな奴らなんかにぃ!
「伏せて!」
そんな私のピンチに颯爽と現れたのは、バッタの意匠のオートバイに乗った同じ猫の特徴を持つ生徒だった。
まずグリオン、そしてデスマスクの3人にそれぞれ一発づつ手にしたグレネードランチャーM32が火を噴く。
火を噴くと言っても装填されているのは一応非殺傷の煙幕弾だ。
なので胴体に直接撃ち込んで吹っ飛ばす様に使う。
避けられても着弾先で炸裂すれば噴き出る煙で十分虚を突ける。
そう判断して猫耳のライダー、シノンは撃ち尽くした武器を捨てて倒れるセリカを拾い上げてまっすぐ逃げる。
追ってくるのなら武器はもう一個飛び切りのがあるし、追ってこないならこのままこのバイク、バトルホッパーの性能に任せて走り抜けるだけだ。
【シノン@SAOシリーズ】
状態:正常、ALOアバター
服装:いつもの服装
装備:バトルホッパー@仮面ライダーBLACK
カリスラウザー@仮面ライダーディケイド
ラウズカード一式(♡A〜10)@仮面ライダーディケイド
令呪:残り三画
道具:ホットライン
思考
基本:このゲームに抗う。
01:茅場って、あの茅場晶彦?
だとするとこれはリメイクされたSAO?
02:この人(セリカ)を連れて逃げる。
追ってくるならカリスの力で迎え撃つ。
03:来ているならキリトたちと合流したい。
参戦時期:少なくとも死銃事件解決後
備考
※バトルホッパーの意志は精々便利なオート操縦機能程度に思ってます。
※グレネードランチャーM32@現実
【黒見セリカ@ブルーアーカイブ】
状態:心身ともにダメージ(中)、魔王グリオンへの怒り(大)
服装:アビドス高校の制服(リンチにあったため汚れ 大)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:こんな殺し合いにはのってやらない
01:グリオンにバケモンども……覚えてなさい!
02:助かったはいいけど、こいつ味方なのかしら?
03:本物の皆に会いたい。
参戦時期:少なくとも遍く奇跡の始発点編終了後
備考
※
【支給品解説】
・グレネードランチャーM32@現実
…シノン@SAOシリーズに支給。
南アフリカのミルこー社が開発したグレネードランチャー。
アメリカ海兵隊などで運用される擲弾銃で、5万丁以上生産されている。
装弾数6発。回転弾倉式。ダブルアクション。
火力と発射速度が売り。
当ゲームでは6発全て煙幕弾が装填されている。
使い切ったため放棄した。
・バトルホッパー@仮面ライダーBLACK
…暗黒結社ゴルゴムが世紀王のために開発したバイク型生体メカ。
自らの意志を持ち、世紀王の呼びかけに応えて自動で駆けつける。
命尽きない限り自己回復できる機能を持ち、仮面ライダーBLACKとの連帯攻撃や必殺技も持つ。
作中の描写を見るに涙も流せるし、ちょっとだけなら人語も喋れる。
当ゲームではよほど本人(本機?)が拒絶しない限り大体のプレイヤーに従う様に調整されている。
・カリスラウザー@仮面ライダーディケイド
…シノン@SAOシリーズに支給。
仮面ライダーカリス、及び改造実験体ジョーカーへの変身アイテムで、対アンデッド組織BOARDが開発したライダーシステムの一つでありながら他のBOARDのライダーからは伝説と呼ばれている。
使用者は四条ハジメ。
♡A〜10のラウズカードも付属する。
「無駄なことを」
遠ざかっていくバイクを見送りながら魔王グリオンは不敵に呟いた。
そして最後の支給品であるガッチャードローホルダーから4枚のケミーカードを取り出す。
奇しくも4枚全て本来の時間軸でグリオンが黄金マルガムの素材としたケミーを封じたカードだ。
「さあ、誰が行ってくれる?」
そう言うとホシノのデスマスクがひらひらと手振りながらその場に胡坐をかいた。
「オレはパ〜ス。いちいち雑魚相手にすんのもだりぃし」
「あら?では私に譲ってくださるのですか?」
「ノノミ、貴女は自分の趣味が理由だろう?
グリオン様の命令に余計な感情を差し込むな」
「そんなに言いうならアヤネ、お前が行けばいいじゃんか」
体よく仕事を押し付けられるとばかりホシノデスマスクが食い気味に言う。
「……いいでしょう。少なくとも二人よりは確実に仕事を全うしますよ」
「ではこれを持っていくと良い」
そう言ってグリオンはネミネムーンのケミーカードをアヤネのデスマスクに手渡した。
「有難き幸せ」
恭しくそれを受け取るとアヤネのデスマスクは早速ムーンマルガムに変身し、二人の後を追いかけた。
【魔王グリオン@映画 仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク】
状態:正常、冥黒のアビドス対策委員会を率いる
服装:いつもの服装
装備:金色のルービックキューブ@仮面ライダーガッチャード
令呪:残り三画
道具:ホットライン
テラー世界線のシンシアリティ@ブルーアーカイブ
ガッチャードローホルダー@仮面ライダーガッチャード
ライドケミーカード(ヨアケルベロス、エンジェリード、ワープテラ)
思考
基本:このゲームを利用して目的を達成する。
01:まずは悪意を振りまき、抗う者たちを蹂躙する。
02:手ゴマも手に入れたことだし、まずは黒見セリカとバイクの少女を追わせる。
03:アビドス高校か。別の歴史の一ノ瀬宝太郎共々絶望を見せてやろう。
参戦時期:少なくとも本編時間軸にドレットルーパー軍式を送り込み始めた後
備考
※■■■の意■に肉体を■■■られています。
※アヤネ(デスマスク)をムーンマルガムに変身させたうえでセリカたちを追わせました。
【NPCモンスター解説】
・冥黒のアビドス対策委員会
…厳密にはNPCモンスターではなく魔王グリオンが自前で錬成した土人形だがこちらに記載。
支給されたシロコ*テラーの世界戦の対策委員会たちの形見を元に錬成した傀儡。
見てくれは元になった生徒たちとほぼ同一だが、冥黒の三姉妹や冥黒のデスマスク同様記憶は殆ど継承しておらず性格も別物。
戦闘スタイルに至っては銃撃どころか錬金術をベースにした物に変わっている。
黒見セリカに相当する土人形は錬成していない。
恐らく一時の戦力集めとセリカへの嫌がらせが目的だからであろう。
以下、それぞれの特徴
〇ホシノ(デスマスク)…一人称はオレ。乙女らしからぬガサツなふるまいをする。
〇アヤネ(デスマスク)…喉に管が刺さっていたような穴があり声は掠れている。
ムーンマルガムに変身可能。
〇ノノミ(デスマスク)…気取った丁寧口調。恐らく酷いサディスト。
〇共通点…全員下の名前で呼び捨てで呼び合い、グリオンの事は様付け、錬金術を使用可能。
投下終了です。タイトルは 魔王の悪戯、笑えぬ仕業 です
投下します
※このSSには残酷な描写が多々含まれています。
それらが苦手な方には不快となる内容なのでご注意ください。
「なんでこんなことに……夢じゃないのよね?」
月明かりの照らす薄暗い森の中を一人の少女が歩いていた。
名前は喜多郁代。
赤髪の明るい女子高生であるが、突如殺し合いの舞台に連れてこられた少女は
不安と恐怖でその明るさも鳴りを潜めていた。
一人でいるのはとても心細い。
郁代の胸中にあるのは結束バンドの仲間達の顔。
彼女達に会いたい、と考えていた所で慌てて思考を改めた。
(私の馬鹿!こんな所で会うってことは皆も殺し合いに巻き込まれてるってことじゃない!そんな事を願っては駄目よ!)
いくら心細くても、そんなことを考えてはいけない。
後藤さんも伊地知先輩もリョウ先輩もかけがえのない大切な人だから。
(どうかこんな悪夢のような世界に連れてこられませんように)
結束バンドの無事を願いながら彼女は歩き続けると。
郁代の目の前でパキパキと音を鳴らしながら盛大にずっこける少女が現れた。
「え、なに?」
「…………っ!」
どうやら茂みに足が絡んで引っかかったのだろう。
黒髪の小柄な女の子は声を出すことも無く、上目遣いで怯えた様子で郁代を見つめていた。
(こ、この子……)
郁代は目の前にいる少女を見てビビッと体に電流が走る。
オドオドと震え、健気で儚で、誰もが守ってあげたくなるような存在。
まさにナチュラル小動物。
(なんて可愛い生き物なの!お持ち帰りしたいわ!)
キターン!と効果音を発しながら瞳を輝かせる郁代。
目の前の少女、好本静の存在が郁代のハートを鷲掴みにしたのだった。
◇
「そうなの、貴女も心細かったのね」
『孤立無援、闇の中で小生は彷徨い続けていた』
「うんうんわかるわ、私も同じ気持ちだもの」
郁代は小動物を愛でるように優しく静を撫でながら会話する。
小動物こと静は最初こそ怯えていたが、郁代の優しさに触れ次第に心を開いていた。
「ねえ、静ちゃん。貴女は誰かの命を奪ってでも生き残りたいと思う?」
『あっしにはそんな恐ろしいこと出来ないでヤンス!命はおもちゃじゃないんだぞ!』
さっきからスマホを介して会話をしている良本静。
彼女は自分の声で話す事が苦手なため
スマホに登録されているテキスト読み上げアプリを使って会話をしているのだ。
(そうよね。殺し合いなんて誰もやりたくないに決まってるわ。皆で力を合わせればきっと……)
静と出会えたことで郁代の不安も徐々に薄れていく。
自分と同じ様に殺し合いを拒否する参加者がいること。
それが彼女の心の支えになった。
「私も静ちゃんと同じ意見で殺し合いなんてしたくないわ。だから脱出するための協力者を探そうと思うの。
もし、よかったら静ちゃんも一緒に来ない?」
『とても素晴らしい考えです喜多さん。私も喜んでお手伝いさせていただきます』
「ありがとう静ちゃん!とっても嬉しいわ!」
『ふ、ふつつか者ですが、よろしくお願いします』
郁代にぎゅっと抱擁された静は照れくさそうに微笑んだ。
太陽のように明るく元気で優しく、誰からも好かれるような美少女の郁代に抱き着かれては
同性である静にとっても胸がドキドキと高鳴ってしまうのは何らおかしくもない。
「それじゃあ行きましょう。私達が目指すのはこの島からの脱出!皆で協力して生き残りましょう!」
『おー!』
こうして二人の少女は出会い、共に協力し脱出を志したのであった。
◇
「ねえ静ちゃん、あそこにいるのって……」
『かの者も、この世界に呼ばれし異世界者……』
郁代と静が歩いていると前方に人影が見えた。
後ろ姿から見えたのは金髪のサイドテール。
郁代には見覚えのある髪型だった。
同じバンド仲間であるメンバーでとても仲の良い人物、それは……
「もしかして、伊地知先輩?」
『その人は喜多さんの友?』
「ええ、伊地知せんぱーい!!」
「ん?」
郁代の声に反応して金髪のサイドテールの人物が振り返った。
「あっ……」
その者は郁代の知る伊地知虹夏とは別人だった。
金髪のサイドテールだが伊地知虹夏とは違い、目の前にいるのは男である。
景色が薄暗かったのもあり、髪型を見て郁代は知人と思い込んだのだった。
「ご、ごめんなさい!、知り合いと見間違えました……」
「え、なに?ナンパ?もしかして俺って今モテ期?いや〜、参っちゃうな〜♪」
「あはは……」
『ドンマイです』
男のハイテンションな返しに陽キャの郁代でも流石に苦笑いしてしまう。
「ねえ、私達はこれから人を集めてここから脱出しようと思うんだけど、よかったら貴方も一緒に来ませんか?」
『旅は道連れ世は情け』
ここで出会ったのも何かの縁、郁代は彼を仲間に誘うと声をかける。
すると男は満面の笑みを浮かべて。
「うわ〜、こんな可愛い女の子二人に誘って貰えるなんて?マジで俺、すっげー嬉しいよ♪」
(ここまで喜ぶって……でもこの様子なら)
大はしゃぎで喜ぶ男に呆れ気味になる郁代。
男の態度からして返事はOKだろうと郁代が考えた時だった。
「でもさぁ」
満面の笑顔だった男は真顔になり、郁代達を見つめる。
「ここってさ。殺し合いをする場だよね?だったら殺し合わずに脱出はルール違反じゃないのかなぁ?」
「だって殺し合いなんておかしいじゃない!そんな残酷な行為許される筈がないでしょ!」
『私も、誰も傷付けたくありません』
男の言い分に郁代は抗議し、静も同意するように頷いた。
「ふーん……」
そんな二人の反応を見た男は興味深そうに眺めながら……
「じゃあさ。二人とも抵抗しないで俺に殺されてくれるんだよね?」
「え?」
『それはどういう意味で?』
突然、男の雰囲気が変わったことに二人は驚く。
(な、なにこの人?急に……)
先程までのおちゃらけた態度から一変して無表情になった男に郁代と静は恐怖を感じる。
「だって傷付けたり、殺したりするのが嫌なんでしょ?だったら戦わずに一方的に殺されるしかないよねぇ」
「っ!」
『そんな恐ろしいことを』
男の発言に郁代と静は思わず身構えた。
この男から放たれる殺意は明らかに冗談ではなかった。
男はディバッグから一振りの刀を取り出す。
(この人……本気なの!?)
まるで鋸のように刀身がギザギザに刃毀れした刀を見て男は嗜虐的な笑みを浮かべた。
「さ〜て、どの子から殺しちゃおうかな〜♪」
「どうして……」
「んんっ?」
「どうしてこんな酷いことをしようとするの?いくら殺し合いを強制されてるからってあんまりよ!」
郁代は涙を浮かべて男に抗議する。
男はそんな郁代の悲痛の叫びを聞きながらも平然と答えた。
「どうしてって……ここはそういう場所だから」
「そんなことで!」
「って言うかぁ、理由ってそんな大事ぃ?」
「えっ?」
「いーじゃん!いーじゃん!楽しいじゃん!俺が楽しければそれでいいじゃん!」
『な……なんという』
男の答えに静と郁代は絶句した。
(この人……狂ってる)
目の前の男が自分達と同じ人間とは思えなかった。
いや、同じ人間だと思いたくもなかった。
平和な日常の中に生きてきた郁代や静には信じられない存在だった。
殺し合いを強要されるまでも無く、自らが進んで他者の命を弄ぶ参加者の存在なんて想像出来なかった。
この男、重面春太は呪詛師である。
彼は今まで自分の快楽に従って生きてきた。
特に女子供のような弱者を一方的に嬲るのを好む卑劣な男である。
「うん、決めた!最初はこの大人しそうな子を殺しちゃおうっと♪」
「あぅ……」
春太は静を見ながら舌なめずりすると刃毀れした刀を振りかぶる。
「っ、止めて!」
二人の間に割って入った郁代は静を庇うように覆い被さる。
そして……
「が……はっ……」
「ああっ……」
春太の刀は郁代の体を袈裟斬りにし、その背中を大きく切り裂いた。
(い、痛い……!でも私がここで倒れたら静ちゃんが殺されちゃう)
痛みで意識を失いそうになるも、郁代は歯を食いしばり堪える。
「ちょっと〜、邪魔しないでよぉ〜。それともなに?君から殺してほしいのぉ?」
『お願いします。どうか辞めてください。お願いします』
静は涙を浮かべながら春太に懇願する。
このままでは郁代が殺されてしまう。
せっかく仲良く、お友達になれたのにそんな悲しい別れは起きてほしくはない。
そんな静の姿を見て春太はニタリと笑みを浮かべながら。
ザクザクザクッ
「ひっ……うああああああああああああああ!!」
『喜多さん!』
郁代の太ももが何度も滅多刺しにされ、春太に弄ばれる。
「え〜?辞めさせてよぉ〜、俺にこれ以上罪をきゃせ……噛んじゃった〜♪」
『もう、これ以上は……!本当にお願いします!』
「ええ〜、どうしよっかなぁ♪」
春太の凶行に静は必死にお願いするが彼はやめる気配を見せない。
「というか、さっきから君は何でスマホで喋ってるの?」
『私は会話を不得意としているので……』
「へぇ〜、君って面白い子だねぇ〜。そうだ!」
妙案を思いついた春太は静を見下ろして……
「どれぐらい切り刻めば君の可愛い悲鳴が聞けるのか試して見たくなっちゃったなぁ〜」
(このままじゃ静ちゃんが危ない!)
太ももを切り刻まれ立つことがままならない郁代だったが
残った力を振り絞り、匍匐前進で春太に接近して足にしがみついた。
「おっ?意外と頑張るねぇ」
「静ちゃん!!急いでそこから逃げて!!」
『でも……喜多さん……』
「お願い、誰か助けを呼んで!早く!!」
「ううっ……」
郁代を置いて行きたくはなかった静だったが
このままでは命を賭して時間を稼ごうとする郁代の行動が無意味になってしまう。
涙を零しながらも静はその場から急いで走り去った。
◇
「はぁ……はぁ……」
『お助けあれ』『お助けあれ』『お助けあれ』『お助けあれ』
静は走った。
人より体力も少なく、か弱いながらも全速力で走っていた。
(喜多さん……どうか無事でいて、どうかお願い……神様)
『お助けあれ』『お助けあれ』『お助けあれ』『お助けあれ』
あの殺人鬼から郁代を救出できる人物を探すために
静は体力の全てを使い切ってでもひたすら走り続けるのだった。
【好本静@君のことが大大大大大好きな100人の彼女】
状態:疲労(大)
服装:制服姿
装備:無し
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、静のスマホ@君のことが大大大大大好きな100人の彼女、SA・ホットライン
思考
基本:この島からの脱出
01:殺し合いには乗りたくない
02:喜多郁代を助けてくれる人物を探す
参戦時期:愛城恋太郎の彼女になって以降、具体的な時期は後続の書き手にお任せします
備考
※静のスマホにインストールされている読み上げアプリには参加者の名前も登録されています。
◇
「あ〜あ、逃げられちゃった。つーか、いい加減離れてくれないか、なぁ!!」
ザクザクザクッ!グシュリッ!ズシャッ!!
「うああああああああああ!!」
郁代の背中、肩、腕、腰など体の至る所を滅多刺しにしていく。
その度に郁代は悲鳴を上げるも春太の手が止まる気配が無い。
(痛い、苦しい……でも静ちゃんはこれで逃げられたのよね……)
体中の激痛で今にも気を失いそうだが、郁代は耐え続ける。
目の前にいる殺人鬼の脅威から友達を守るために。
「ねえ、どうして君はそこまでしてあの子を助けようとするの?」
唯一残された郁代に春太は問いかける。
そんな彼の質問に対して郁代は痛みに堪えながらもしっかりと答えた。
「……そんなの決まってるでしょ!静ちゃんが私にとって大切なお友達だからよ!」
「ふーん、お友達ねぇ。でもさ、あの子って君を見捨てて逃げたんだよ?薄情な子だよねぇ」
「違うわ!静ちゃんは絶対にそんなことしない!」
「どうして言い切れるの?そんな長い付き合いでも無いんでしょ?」
「……確かに私は静ちゃんとは出会ったばかりの仲よ。でも、それでもわかるの。あの子はとっても優しくて友達想いの子だってことが!」
彼女はまだ出会ってから間もないが静と接して友達として信頼している。
故に彼女が見捨てる筈が無いと信じている。
「あんたみたいな悪い奴をやっつけてくれる人を必ず探してくれるって私は信じてるわ!」
郁代は激しい苦痛の中で断言して春太を睨みつけた。
「まぁ、どっちでもいいけどさ。どのみち君は」
ズブズブズブ……
「ひ、ぎぃぃいいいいいいい!!!!」
春太が郁代の脇腹に刀を刺し込むとそのまま力任せに押し込んだ。
郁代の柔らかな肌の中に鋸のような刀がズズッと沈み込み皮膚を斬り裂いていく。
「ここで死ぬんだからさ」
「いや……やだぁ……おねがい、もうやめ」
苦しみのあまり郁代は震えながら弱音を吐き出してしまう。
その様子を満足気に眺めながら、更に刀に体重を掛けてグリグリと刀を押し込み、脇腹を抉り続ける。
グチャッ、ザクッ……ズブブッ!グジュリ……
「あっ、がっ!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃ!!!!)
郁代は腹部に走る激痛で悶絶する。
春太の刀が深く突き刺さり彼女の傷口から血が止めどなく滴り落ちる。
(痛い!痛いよぉぉ!!助けて、誰か、助けてよぉぉ!!)
「ごぽぉ!」
逆流した血が口の中からゴボゴボと零れた。
「いいねぇ、その苦しそうな表情、すっごい興奮してくるよぉ♪」
「うぅぅぅ……うぅぅぅ……」
先ほどまで反抗的な目をしていた郁代だったが今では恐怖と苦痛で目元から涙がポロポロと溢れ
すっかり抵抗する意思を奪われてしまっていた。
今は一刻も早く、この地獄のような責め苦からの開放を願うのみである。
「本当は、もっと君で楽しみたかったけど、時間に余裕も無いからそろそろ終わらせちゃおうかなぁ」
(終わる……もうここで私終わっちゃうんだ……もっと生きたかったな)
もっと学校で友達と沢山思い出を作りたかった。
沢山ライブに出てもっともっと皆に結束バンドを知ってもらいたかった。
学校を卒業して社会人になっても色んな出会いや経験を得て、それから
彼女の首元に刀の冷たい感触が伝わった。
「それじゃあ、バイバ〜イ♪」
ズズズ…… ズズズ…… ブシュウウウ!!
「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ーーーッ!!!!」
春太は鋸を扱うかのように、刀を左右に引き、郁代の喉を斬り裂き始める。
「うぅぅうう!!!!うぅううう!!!!」
(痛い!痛いっ!苦しいっ!もう、やめてぇぇぇえええ!!)
あまりの激痛に郁代は声にならない声で絶叫する。
全身がビクビクと痙攣を起こし、股からは小便が垂れ流される。
ズタズタに切断された皮膚から鮮血が噴き出し、彼女の命の源が無残にも斬り裂かれていく。
「アハハハハハハハ!!、いいねぇ。その悲鳴と表情、写真にとって飾りたくなるよ!!」
春太は狂気じみた笑い声を上げながら更に刀を引き続ける。
(死にたくない……こんな所で、こんなところでぇ……だれか……)
「ン゛ン゛ン゛……ンゥウウ……ゥウ……」
やがて郁代は呻き声すら上げられなくなり
恐怖と苦痛と絶望に染まった彼女の瞳孔の光は完全に失われた。
「あーあ、もう壊れちゃったか。まぁいいや、これだけ楽しんだし」
血まみれの郁代の亡骸を見下ろしながら春太は最後の仕上げにと再び、刀を引き続ける。
すると郁代の頭部がごろん、と胴体から離れて転がり落ちた。
「俺さ。良いことを思い付いたんだよね〜」
郁代の生首を持ち上げながら春太は考えた。
それはこの先、逃げたもう一人の女の子と出会った際に……
『はーい!君の大事な友達だよー!』
彼女の前に友達の生首を見せつけることで
『うわー!驚いたー!あれ?声が出せるようになったー!ありがとう春太さん!』
春太はそんな妄想を考えていたのだった。
「どうせ殺すんだったら最期に声が出せるようにお手伝いしてあげようっと♪いや〜俺って優しいな〜♪」
てへっと笑いながら郁代の頭部をリュックに仕舞う春太。
ついでに郁代が所持していたリュックも引き剥がす。
「君はもう死んでるからいらないよね。ついでに腕も切り落として腕輪を回収して、俺が有効にかちゅよ……ま〜た噛んじゃった〜♪」
ひとしきり笑った後で春太は移動を始めた。
郁代が逃がしたもう一人の同行者の移動した方角を目指して。
【喜多郁代@ぼっち・ざ・ろっく! 死亡】
【重面春太@呪術廻戦】
状態:健康、奇跡の紋様:六画
服装:普段着
装備:嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×2〜5、嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃、参加者の腕輪、喜多郁代の頭部、SA・ホットライン
思考
基本:優勝狙い
01:弱者、負傷者等の簡単に殺せそうな参加者を狙う。
02:郁代が逃がした参加者(好本静)を探し出す。
参戦時期:渋谷事変が始まる前からの参戦
備考
【嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃】
形状は刀身の物打が鋸の様に削られた刀が二振り。鞘は無く普段はサラシ布を巻いている。
この鋸の様に刃毀れした刀身は、鋸引きの如く対象を斬り裂く事が出来る。
伊之助は二刀流として使っているが重面春太は一振りのみで使用している。
投下終了です
投下します。
Q もし、日本人と遭遇したら貴方はどうしますか?
A ■■
〜 case1 人外 〜
「……」
少女は歩く。
使命があるため。
その瞳は確固たるケツイが込められている。
いや―――込められたが正しい。
故に少女は歩く。
歩みを止めるわけにはいかないのだ。
そんな少女の前に―――
「ばぁ〜〜〜〜っ!驚いた?驚いた?」
突如、傘を持った少女が大声をあげながら驚かせにきた。
少女の正体は妖怪。
名は多々良小傘。愉快な忘れ傘。
人間を驚かせる程度の能力。
「……貴方は日本人ですか?」
一方、少女は、小傘の驚かしに一遍も表情を崩さない。
むしろ、小傘に逆質問をする。
「え?私”妖怪”だよ?唐笠お化けのね。べろべろばー!」
小傘も小傘で少女の質問に正直に答える。
すると、少女は―――
「そうですか。このゲームの裏には、卑劣で下劣な日本人たちが関わっています。小傘さんも気を付けてください。……日本人には」
少女は小傘の驚きに一遍も表情を変えずに一方的に日本人への警戒を忠告すると、その場を立ち去る。
小傘はそれを見送ることしかできなかった……
「なんか、変な人間だったわ。外の人間ってあんなのばかりかしら?……ってそれよりも」
小傘は体をプルプルと震わせると叫ぶ。
いつものように幻想郷で人を驚かそうと日々暮らしていたはずが、いつのまにやら殺し合いに参加。
しかし、そこは幻想郷を生きる妖怪。”そうなの”と気持ちを切り替えると、おそらく外の人間たちばかりであろうことから驚かせようとした。
結果はご覧の有様だよ!
「も〜〜!なんで誰も驚いてくれないのぉ〜〜!?」
小傘の存在意義。
それは、人間を驚かせること。
故に小傘は殺し合いでも変わらない。
”心を食べる妖怪”それが小傘の妖怪としての存在意義なのだから。
【多々良小傘@東方project 】
状態:少し空腹
服装:いつもの服装、
装備:いつもの傘
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:参加者たちを驚かせる。ゲームへの取り組みは考え中
01:次こそ驚かせる
02;さっきの人間……変だったわ……えっと、日本人に気を付けろっていってたわよね
参戦時期:東方星蓮船 以降
備考
※手に持っている紫の傘は、身体も傘も”本体”のため支給品扱いとは別です。
※小傘の持つ鍛冶スキルは本ゲームでは、異世界の武器でも対応可能です。
〜case2 外国人 〜
少女は引き続き歩き続ける。
探し人を。
いや人種を。
「貴方は日本人ですか?」
「日本人?いえ、私は違いますが……」
「失礼ですが、お名前を伺ってもいいかしら?」
「……ムーンです」
「……確かに日本人ではなさそうですね。気を付けてください。このゲームの裏には、卑劣で下劣で劣悪な日本人たちが関わっています。ムーンさんも気を付けてください。……日本人には」
「……」
少女は、ムーンに日本人への警告を伝えるとその場を立ち去った。
日本人を探すため。
日本人を■■ため。
「……あの人」
ムーンは気づいた。
先ほどの女性の異常さに。
それは、一種の職業病が生かされたため。
(……)
あの様子は薬の影響かしら?それとも、催眠?
……どちらにせよ、あれ以上の会話は危険。日本人があの女(ひと)と出会わないことを祈るわ。
ムーン。
別名ミス・ポイズン
シンオウ地方の高名な学者の家に生まれ、幼いころから優秀すぎる才能を開花させていた天才少女。
専攻は【毒】”毒ポケモン”への興味に始まり、【毒】そのものへの探求から自ら【毒】そのものを作ることを始めた。
6歳のときには博士号を取得。
その後、【防毒】【解毒】【薬学】にも興味を持ち、【薬剤師】として目まぐるしい成果を出している。
(あの、羂索という人が言った”バグスターウイルス感染症”聞いたことない病名だけど、ウイルスと言っていた。つまり”毒”)
ムーンは腕に装着されているレジスターに目を向ける。
(そして、このレジスターに鎮静剤があるということは、解毒可能ということだわ)
羂索の言葉を想起するムーン。
そこに勝機見出している。
(なら、薬剤師としてこのゲームに負けるわけにはいかないわ!)
カッと目を見開き宣言する。
「見てなさい。私はこんなゲームに負けないわ。だって……私に作れない薬はないのだから」
それは、薬剤師としての矜持。
ムーンには使命がある。
やらなくてはいけない使命が。
ムーンはケツイを新たに他の参加者を探しに歩き出した……
【ムーン@ポケットモンスターSPECIAL サン・ムーン コロコロコミック版】
状態:正常
服装:トロピカルなアローラでの服装(1〜4巻)
装備:弓とモンスターボールつき弓矢×10@ ポケットモンスターSPECIAL サン・ムーン
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:バグスターウイルス感染症の解毒薬を作る
01:バグスターウイルスについて情報を集める
02:先ほどのドレスの女性には注意する。日本人の参加者に出会ったら危険なことを知らせる
03:運び屋さん(サン)もいるのかしら?
04:殺し合い……
参戦時期:エピソード24の最後、運び屋(サン)とともにウルトラスペースへいった直後
備考
※ムーンは、コロコロコミック版です。
▪弓とモンスターボールつき弓矢×10@ ポケットモンスターSPECIAL サン・ムーン
ムーンに支給。
弓の名手であるムーン
本ゲームのモンスターボールは、ポケモン以外のNPCや参加者をボールに入れることが可能。ただし、当たり前のようにポケモンではない生物はゲットすることができず、地面に堕ちてから少し、時間が立つと(2〜3秒)真っ二つに割れて壊れてしまう。
最後に、この言葉を忘れないでほしい……・ひとのものをとったらどろぼう!
温暖なリゾート地。アローラ地方。青い空、青い海。輝くビーチ。咲き乱れる原色の花。は〜〜〜〜すべてがわたしのキャラと合ってない。思わない?ロトムbyムーン
〜 case3 日本人 〜
「貴方は?」
「わいか?わいの名はキバオウや」
少女が次に出会ったのは、男性プレイヤー。
名はキバオウ。SAOのデスゲームに巻き込まれた10000人の一人。
「それにしても、あんたのアバター、まるでどっかの国のお姫様みたいやな?ま、安心せえ。アインクラッド解放隊(ALS) を率いているワイがまもってやるさかい」
キバオウはか弱そうな少女を守る騎士のように振る舞う。
もっとも、目の前の少女の異様さに気づけずかつ、その選択は悪手であるのだが。
「キバオウさん……名前からして貴方も日本人ではないのですね」
キバオウという名から少女は目の前の男が日本人でないと判断し、安堵した微笑みを見せる。
「ん?いやいや、この名前はオンライン上での名前に決まっとるやないか。ワイは日本人やで。王女さん、もしかして外人プレイヤーか?」
「……そうなのですね。じゃあ、死んでください」
「……は?」
パァン
少女はキバオウの自己宣告を聞くや否や、手に持っていた銃でキバオウの腹を撃った。
「がぁ!?はっ……」
キバオウは、腹を撃たれて両手で歌えた箇所を押さえながら崩れ落ちる。
「なんでや……なんでわいが撃たれなあかんのや?」
キバオウの頭の中に浮かぶのは大量の?
それもそうだ。日本人と言うだけで撃たれるなんて普通、考え付かない。
「だって、貴方は日本人なのでしょう?日本人は殺さないといけないの」
少女はそんなキバオウを見下ろしながら、さも当然のように言い放つ。
「ちくしょう……わいがこんなところで……なんでや!!!!!」
―――パァン
それが、キバオウの最後の言葉であった。
余談だが、彼は後に攻略組から脱落し、転落の道を歩む。
その道を辿らず、ここで死ねたのはある意味幸せであるかも知れない……
【キバオウ@ソードアート・オンラインシリーズ 死亡】
「まずは、一人日本人を殺せました。これも神の思し召し……」
少女は殺害対象の日本人を仕留められ、神に祈りをささげる。
しかし、足りない。
もっと……もっと日本人を殺さないといけない。
虐殺皇女は、日本人を殺すべく探し求める。
過去も今も変わらない。
それは、ユーフェミアの現実(じごく)
Q もし、日本人と遭遇したら貴方はどうしますか?
A 虐殺
【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ 】
状態:日本人を殺さなきゃという強いケツイ(ギアスによる絶対遵守)
服装:虐殺皇女のときのドレス
装備:ブリタニア軍制式拳銃@ コードギアス反逆のルルーシュ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ランダムアイテム×0〜3(キバオウ)、ホットライン
思考
基本:日本人を殺す。日本人であろう主催の羂索も当然
01:日本人を名乗る皆さん!お願いがあります。死んでいただけないでしょうか?
02:日本人を殺す
03:日本人でない参加者には、日本人に気を付けるよう注意喚起を行う
04:日本人を殺す……違う!だめ!そんなこと考えちゃ……
参戦時期:本編、死後
備考
※生前、ルルーシュのギアスによる暴走でかかった”日本人を殺せ”の絶対遵守がいきています。
▪ブリタニア軍制式拳銃@ コードギアス反逆のルルーシュ
ユーフェミアに支給。
ブリタニア軍の制式されている自動拳銃。レーザーサイトが標準装備
全ては過去。だが、過去は再び繰り返される。
え〜と……自殺してほしかったのだけどダメですか?じゃあ、兵士の方々皆殺しにしてください!虐殺ですbyユーフェミア
投下終了します。
投下します
「なあ、アトロポス」
「なんだい、ルークくん」
赤髪の青年、ルーク・フォン・ファブレが、同行者の黒いゴスロリ少女、アトロポスに声をかける。
ルークの呼びかけにアトロポスは、椅子に座ったまま読んでいる本から目を離さず、ルークの方も見ずに返答する。
「いや、動かなくていいのかよ?」
会場にやってきてすぐに出会った彼らは、お互いに殺し合いに乗る気はないことを確認し合い、行動を共にすることになった。
そしてひとまず民家に立ち寄ったのだが、アトロポスは民家の椅子に座り込み、リュックから何やら本らしきものを取り出すと読みだしてしまったのだ。
その間ルークは自分のリュックの中身を確認したりしつつアトロポスの様子をうかがっていたのだが、さすがにこのままではよくないのではと考え、声をかけたのだった。
「最初の場所で言っていただろう?2時間ほどでホットラインの情報が更新されるって。それを待ってからの方が今後の方針を決めやすい」
「そりゃそうだけど…こうしてる間にも、その…」
「人が死ぬのが怖いかい?」
「当たり前だろ!」
思わず叫ぶルーク。
彼はどうにもこの雰囲気が見た目にあってなさすぎる少女に苦手意識を感じていた。
なんというか、情がないティアって感じだ。
可愛いものとか見ても目を輝かせたりとかしなそうだ。
「それなら、一人で行くといい。僕は2時間経つまでここにいるから」
「いや、そういうわけにも…いかねえだろ。アトロポスのこと、置いてなんていけねえよ」
「…僕のこと心配してくれるのかい?年下なのに」
「…は?年下?」
「君は7歳児なんだろ?」
「はあ!?」
アトロポスの言葉にルークは驚愕する。
ルークは表向き17歳で、見た目もその年齢相応である。
だがしかし、彼は7年前に、今はアッシュと名乗っている本物のルーク・フォン・ファブレの劣化複製人形…レプリカとして誕生したのだ。
だから、アトロポスの言う7歳児というのはある意味間違いではない。
問題は、何故アトロポスがそんなことを知っているかということだ。
自分は彼女にレプリカのことなんて話していないのに。
その理由をしばらく考え、ハッとする。
「…お前、まさかさっきから読んでるその本は」
「君の日記だよ」
「おまっ…勝手に読むなよ!」
ルークが慌てて自分の日記に手を伸ばそうとすると、アトロポスは椅子から身体を離してひょいと躱してみせる。
「人の支給品を強引に奪おうとするなんて、乱暴だね」
「お前の支給品である前に、俺の日記だっての!」
「いいじゃないか、この日記のおかげで、僕は君に親近感が湧いたよ。…まさか君が、僕と似たような境遇だったなんてね」
アトロポスもまた、10年前に錬金術師グリオンによって生み出された錬金人形、ホムンクルスだ。
ルークのレプリカと違って10年前から姿が成長することはないが、彼と同じく元になった人間―工藤りんねがいる。
そして、ルークが師匠として慕っていたヴァンに裏切られたように、彼女もまた自分の生みの親であり、実際に父親のように慕っていた主、グリオンに裏切られた。
誰かのコピーとして作られ、慕っていた相手の裏切りを受け、最終的に死ぬ。
歩んできた道程こそ全く違うものの、似たような境遇のルークに、アトロポスは親近感のようなものを覚えていた。
「似たような境遇…それって…」
「聞きたいかい?」
「…いや、別にいいよ。あんま楽しそうな話じゃなさそうだしな」
「そうかい」
アトロポスは短く返答すると、再び椅子に座ってルークの日記を…
「いや返せっての、なにしれっと話終わらせようとしてんだ」
「しかたがないね」
ルークの日記は本人に返却された。
ルークは日記を受け取ると、最後のページを開いた。
日記は、エルドラントでヴァンと対峙する直前で終わっている。
この日記を書いた後、ルークはヴァンを倒し、ローレライを解放し、アッシュの遺体と共に光に包まれたかと思えば…ここにいた。
結局自分がどういう状態になったのかは、分かっていない。
この身体が、音素乖離から解放されたのか、それともやはりまた消えてしまうのかもわからない。
しかし、ともかくせっかく拾った命なのだ。
この殺し合いの舞台から抜け出して、父上や母上、ティアに、ジェイドに、アニスに、ガイに、ナタリアに、ミュウに。
家族に…仲間たちに会いたい。
(帰って来るって…約束、してたからな)
***********************************************
「そういやアトロポス、お前の支給品って他にもあるのか?」
日記をしまった後、ルークはアトロポスに聞いた。
「俺の支給品は、この洞爺湖って木刀とさつまいもの斧なんだが」
「ふーん……さつまいもの斧?」
思わずルークの方を見ると、そこにあったのは立派なさつまいもだった。
「このさつまいも、斧らしいぜ」
「…そのジョーク、笑えないよ」
「俺はとりあえずこっちの木刀があればいいし、なんだったらこのさつまいも譲るぜ?撲殺用の武器としては使えるだろ」
「別にいらないよ。僕は武器なんてなくても戦えるし、それに一応、これもあるからね」
そういってアトロポスが取り出したのは、一つのベルト。
フォーゼドライバーと呼ばれる、アトロポス達の世界とは別の次元で活躍する仮面ライダーの変身ベルトである。
(『学校の全員と友達になることを夢見る男』が変身していた、ね…)
説明書に書かれていた一文に、アトロポスは思い返す。
死の間際、自分の複製元であった因縁ある少女と交わした言葉を。
『僕は…ずっと、君が羨ましかった。お父さんから、愛される君が……でも、違った。本当に欲しいものは……りんねちゃんみたいな「友達」だったんだ……』
(あの時のことを擦ってるのかな?これを支給した連中は、趣味が悪いね)
あの時のことを思い出すと、自然とりんねのことを考えてしまう。
一ノ瀬宝太郎や自分が呼ばれているなら、彼女も呼ばれているかもしれない。
『もし私がジェルマンを倒したら、もう誰かを傷つけないって、約束出来る?』
(約束、守るよりんねちゃん。だからもし君がここにいるなら…無事でいてくれよ)
【ルーク・フォン・ファブレ@テイルズオブジアビス】
状態:正常
服装:いつもの服
装備:洞爺湖@銀魂
令呪:残り三画
道具:ルークの日記@テイルズオブジアビス、さつまいも@テイルズオブデスティニー、ホットライン
思考
基本:ここから脱出して家族や仲間たちのもとへ帰る
01:アトロポスと行動。ひとまずは待機
参戦時期:ローレライを解放して光に包まれた直後
備考
※音素乖離は収まっています。ビックバンによりアッシュとの間で起きたことは反映されてないものとします。
【アトロポス@仮面ライダーガッチャ―ド】
状態:正常
服装:冥黒の錬金服(ドレス)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、フォーゼドライバー&アストロスイッチ「ロケット」「ランチャー」「ドリル」、「レーダー」@仮面ライダーフォーゼ、ホットライン
思考
基本:ここからの脱出。りんねとの約束を守るためゲームには乗らない。
01:ルークと行動。ひとまずホットラインの更新まで待機
参戦時期:死亡後
備考
※洗脳は相手の体力や精神力が著しく低下している場合にのみ有効です。
※ルークの日記を読んでルーク・フォン・ファブレの本編での動向についておおまかに知りました。
・洞爺湖@銀魂
ルークに支給。
坂田銀時が愛用する「洞爺湖」の銘が彫られた木刀。
その正体は『名刀「星砕」』と呼ばれる宇宙で作られた木刀。
・ルークの日記@テイルズオブジアビス
アトロポスに支給。
ルーク・フォン・ファブレの本編中の動向が記された日記。
いわゆるあらすじであるが、ルークの心情がちょくちょく垣間見ることができ、切ないものがある。
・さつまいも@テイルズオブデスティニー
ルークに支給。
斧に分類される武器。
誰が何と言おうと立派な斧である。
・フォーゼドライバー&アストロスイッチ「ロケット」「ランチャー」「ドリル」、「レーダー」@仮面ライダーフォーゼ
アトロポスに支給。
学校の全員と友達になることを夢見る高校生、如月弦太郎が変身していた仮面ライダー。
4種のアストロスイッチの組み合わせによって様々な形態に変身できるが、アトロポスに支給されたアストロスイッチはベースステイツのもののみである。
投下終了です
一作投下させていただきます。
キャラクターに被りが発生していますが、ご容赦ください。
息が苦しい。心臓の鼓動が煩い。焦りで時折足が縺れる。
幾多の要素が逸る彼女の疾走の邪魔をする。
しかしそのままならなさが、とても心地良く思える。
全身に感じるもどかしさや苦しみ。その全てが生命の営み。"生者"の証だ。
羂索が謳う殺戮の先にある理想など不必要。
自分の最も切なる願いは、こうして既に叶っているのだから。
眩い朱色の鬣を揺らしながら、駿馬の如く駆け抜ける仮面の少女。
清廉な雰囲気漂う純白の鎧とローブを纏い、太陽の輝きを胸に秘めた幻想と惑星の戦士。
若き錬金術師九堂りんね、字は仮面ライダーマジェード。
浄化の光で闇を照らしながら、彼女は一つの希望を求め、一心不乱に戦場を走り続ける。
12月25日、クリスマス。一年で最も聖なる日に災厄は訪れた。
グリオン。父を裏切者に仕立て上げた闇の錬金術師。
彼の実験場(遊び場)となった世界は、絶望の未来へと舵を取り始めた。
ケミストリーと称し、人とケミーの命を弄び、己の悦楽と狂気の為多くの悲劇を産む。
当然りんねの所属する錬金アカデミーも黙っていなかった。
クリスマスの惨劇で大敗を喫しても尚、誰一人屈せず総力を挙げて果敢に立ち向かった。
だが闇の錬金術師の力は余りにも強大過ぎた。
グリオンや彼の産み出す強力なマルガムに対抗する術もなく。
スパナ、錆丸先輩、蓮華先輩、ミナト先生、鏡花さん
敗北や失敗を繰り返す度一人、また一人と仲間が散っていく。
本当は反逆者を一息で消せる力を有しているにも関わらず。
グリオンはじわじわと真綿で首を締めるように、仲間を殺していった。
遺された未来無き者達の心を、少しずつ自分好みな不変の絶望に染め上げる為に。
生命を与える錬金術も、失われた命は錬成出来ない。
錬金術師だけでなく、人類に与えらえた絶対の掟(ルール)
如何なる覚悟を以てしても抗い難いルールに流され、気が付けば。
錬金術師の学び舎で共に過ごした在りし日の記憶。
滅びゆく世界でその過去を共有できるのは自分含め二人だけ。
頼りになる先輩たち、先達として導いてくれた先生。
彼らを失っても闘いは続く。
各地に散らばったケミーや抵抗勢力を何とかかき集め、必死に食らいついた。
頼れる仲間を殆ど失い夥しい墓標の地平を前にしても。
心折れずに闘えたのは、まだ一つ希望が残っていたから。
仮面ライダーガッチャード、一ノ瀬宝太郎がいたからだ。
人とケミーが一緒に自由に生きられる未来を信じる
掟も常識もお構いなしの型破りで夢見がちな青年。
持ち前の前向きさと情熱で、困難や絶望を打ち壊して来た彼ならきっと。
破滅に向かう未来も変えられると、確信させてくれるだけの何かがあった。
大切な仲間に家族、右目さえも奪われて。
それでもと。何とか彼は前に進もうと苦しみ藻掻いている。
その中で、自分一人が心の弱さに打ちのめされている場合ではない。
もう仲間に守られるだけの弱い自分じゃない。
何があっても仲間を守るため戦い抜き、希望を未来へ繋ぐ。
それが己の信念に基づいて決めた大切なルール。
だから、暗黒の扉が開かんとした最期の日。
最後の希望の為に、命の限りを尽くす事にも躊躇いはなかった。
ドライバーを奪われ変身出来ない彼の代わりにケミーを救い出す。
必ず果たすべき使命を全うする。凶爪によって己が命を奪われる結果であっても。
この身が滅びようと後悔は無い。だって信じていたから。
宝太郎なら取り戻した沢山の仲間(ケミー)たちと共に世界を救ってくれる。
グリオンが創り出した冥黒の暗雲を祓い、澄み渡る青空のような未来をガッチャしてくれると。
だが直ぐに。
取り返しのつかない程に絶望へと染まった希望を見て。
彼女は犯した間違いを悟った。
宝太郎は既に限界だった。
悪化する戦況に心身共に疲弊し、夢に邁進する嘗ての輝きを彼は失いつつあった。
胸中に積み上がるのは己の弱さで仲間を死なせた無力さと罪悪感のみ。
其処に目の前の死/罪を背負いきるだけの心の余裕など、当に残されていなかった。
涙を零して縋りつく彼の腕に抱かれ、気づく。
自分がすべきだったのは、死と引き換えにしてでも、希望を未来へ繋ぐ事じゃない。
何があっても生き残り、宝太郎の傍で支えてあげる事だった。
真に守り通すべき、大切なルール。もう取返しの付かない答えをはっきりと理解した時。
無いと思い込んでいた後悔が、止めどなく溢れ出した。
私の死を宝太郎の重荷にしたくない。
宝太郎が掴むガッチャを見届けたい。
宝太郎を置いていきたくない。
まだ宝太郎と一緒に戦いたい。
流れ出る命と共に零れた、万巻の想いを込めた願い。
祈りは絶望と悲しみの慟哭に溶け、轟々と燃え盛る魂の業火に包まれた──その先で。
気が付けば何故か、少女は最悪の遊戯の最中にいた。
死人の身体を渡り歩く悪魔、羂索が催す殺し合い。
動揺、困惑、疑問、不安、恐怖。蘇った彼女に渦巻く無数の感情。
それらは一つの声を聴いて、即座に霧散した。
『梔子!そいつに……いや俺たちに何をした!?』
平然と人の命を消し去った呪詛師へ、臆する事なく怒りの声をあげる青年。
痛々しい傷跡を隠す眼帯はなく、巨大な夢への希望と正義感に満ち満ちていた若き錬金術師。
クリスマスの惨劇が起こる前の、在りし日の一ノ瀬宝太郎が其処には立っていた。
今いる世界が死の瀬戸際で繰り広げられる幻覚なのか。
それとも最期の祈りが歪んだ形で聞き届けられた結果なのか。
真偽は不明だ。自身の蘇生も、宝太郎の変化の訳も皆目見当が付かない。
だとしても、自分は此処に生き、彼もまた同じ大地に立っている。
そして主催者達が与える不条理や絶望に抗おうとしている。
ならば、成すべき使命は一つ。
(宝太郎、貴方をもう絶対に一人にはしない!必ず生きて最後まで支え抜いて見せる…!)
例え自分が知りうる彼と現在の彼に違いがあったとしても関係ない。
メラメラと燃える正義の心は、何一つ変わっていなかったのだから。
生きて宝太郎の元へ辿り着き、最後まで一緒に戦い抜く。
人々とケミーの笑顔を守り、救える命は全て救う。
己の信念に基づき決めた、最も大切なルールに従って。
最期に届かなかった祈りを今現実へと変える。
亡き過去への誓いを胸に、絡みつかんとする不安を振り切り、彼女は疾走する。
「おっと〜、早速第一参加者(プレイヤー)はっけ〜〜ん!
しかも初見の仮面ライダー!俺も中々運がいいんじゃない?」
そんな決意を抱いた走りは、歓楽に満ちた声に阻まれた。
声の主はド派手な極彩色のスーツにシルクハットを身に着けた軽薄そうな男。
奇怪なフェイスメイクや服装はさながらサーカスの劇団員や道化師の様なコミカルさを際立たせる。
しかし、目の前の男が人々に夢と笑顔を齎すエンターテイナーなどである筈が無い。
殺し合いの場にも関わらず、仮面を纏った異質な相手に一切警戒せず接触する堂々とした立ち振る舞い。
その頬に浮かべるは心和ます温かな笑みではなく、獲物を見定める狂気的な笑み。
瞬間、りんねの脳内で想起された悍ましいビジョン。
人々の無意味な足掻きを前に愉悦に頬を歪める錬金術師グリオンの姿。
最も忌むべき敵の面影が、姿形など似ても似つかない男の笑みでフラッシュバックする。
その時点で、この道化師が常人と一線を画す悍ましい何かである事は疑いようもない。
「仮面ライダーを知ってる?あなた…いったい何者?」
「俺かい?俺はメラ、神殺しのメラ様だ!
メラメラと燃える俺の熱〜い情熱が伝わってくるイイ名前だろ?」
「名前もそうだけど、そういう意味で聞いたんじゃなくて…!」
「いや〜、ゲームを仕掛けられる側なんて俺久々過ぎて超新鮮でさあ〜
丁度世界滅亡RTAもひと段落したとこだったし…だったらとことん楽しむしかないじゃ〜〜ん!?
…ま、アポなしで拉致られたのはちょこ〜っとだけムカつくけどね。」
話が通じてるのか通じてないのか。一方通行な自分語りの内容。
神殺し、世界滅亡RTA。脳が理解を拒否するほどの悪意に満ちた単語。
世界を絶望へ塗り替える、救いようのない悪党である事実は疑いようもない。
聞き捨てならない、命の尊厳を踏み躙る物言いにりんねの握る拳に力が籠る。
「…ゲーム?貴方にとって人の生き死にが、単なる遊びだって言うの!?」
「どうせお前ら現代人は百年ぽっちで死ぬし、世界だっていつかは無惨に滅びゆく…
なら、今面白おかしく死んで行こうぜ〜!この瞬間を全力で楽しまなきゃ損損!
理想を求めて殺し殺されどんちゃん騒ぎ。それが俺達のいるこの世界(ゲーム)のルールだ!」
「そんなものが守るべきルールだって言うなら、私はそれを絶対に認めない。
私は、私のルールに従って貴方を倒して、仲間と一緒にこの殺し合いも終わらせる!」
「うわ〜お堅〜い!そんなんじゃ残り短い人生もつまんないままジ・エンドだぜ〜?
じゃ…ここで堅物のお嬢ちゃんでもテンションMAX間違いなしのスーパーアイテムをご紹介!」
ロングジャケットを大袈裟に翻し、メラが見せ付けて来た物にりんねは瞠目する。
同時に男が何故仮面ライダーを知り得たのかを理解した。
中央に黒い狐の刻印が施されたコアが埋め込まれたドライバー。
錬金術師達が保有するソレとは全く異なるデザインだが、見間違うはずもない。
りんねが仮面ライダーの字を得るきっかけとなった事件。
その渦中で出会い共に戦った戦士達。
彼らも同じく仮面ライダーの名を冠し、メラと同一のベルトを着けていたから。
「あれ?もしかしてもうご存じ?デザグラも有名になったもんだね
なら…俺のイカしたハンサムフェイスがどう変身するかも分かるかな?」
嬉々として懐から取り出したるデバイスは、Ⅹギーツレイズバックル
創世の力と神殺し、双方の力を宿したバックルを二つに分離し、デザイアドライバーにセット。
『X GEATS』
『BLACK OUT』
聴く者の心を搔き乱す不穏な待機音が響き渡る。
その狂騒さえ心地よいと言わんばかりに道化師は不敵な笑みを浮かべ──
「変身〜!」
『REVOLVE ON』
小気味よい音を奏でるフィンガースナップが滅びの始まり。
ドライバーを180度回転し、露わになったのは黒と青に染まった九尾の狐。
展開されたハンドル、ブーストスロットルレバーを引くと同時、バックルから紫焔が吹き上がった。
『DARKNESS BOOST』
『X GEATS』
瞬間、瘴気が解き放たれる。天に燦々と輝く太陽さえ覆い尽くす黒く深き闇。
暗闇より出現したのは己の名を示すロゴマーク
空を駆け巡り唸りを上げる黒狐、レジェンドキュウビ。
それぞれが旋回しながら下半身、上半身のアーマーへ変形。
溢れ出る瘴気と抑え込み融合する様に変身者へと換装。
九尾の尾に似たマントを風に靡かせ、殺し合いの地に降り立った創世と滅亡を司る邪悪なる遊び人。
紫の複眼から覗く禍々しい瞳が鋭く光り、遊び相手となる新品の玩具に照準を定める。
「黒い…仮面ライダーギーツ…?」
降臨した黒の仮面ライダー。この姿もりんねは知っている。
仮面ライダーギーツ。浮世英寿。
だが、彼女が知りうる存在と目の前の存在。性質は全くの逆だ。
神聖で神々しさを抱く純白ではなく、無に塗り潰す悍ましい漆黒。
内に秘めた情熱を示す様な赤ではなく、血が凍り付く様な底冷えた青。
誰もが幸福な世界を願う白狐の神様とは、似て非なる黒狐の神殺し。
少女の口から零れた名に、メラは違う違うとヒラヒラ指を振る。
「ブッブ〜!正解は仮面ライダークロスギーツ!
不正解のお嬢ちゃんには残念賞──死のペナルティだ!」
『READY FIGHT』
遅れて聞こえて来た変身完了の音声が試合開始のゴング。
おどけた様子で両手に握られた双剣でバツ印を作るとそのまま勢いよく斬り払った。
クロスレイジングソード、ギーツバスタークロス。
二振りの凶刃から放たれるX状のエネルギー波は、人一人など殺して余りある威力。
断じてふざけたクイズの残念賞と称して繰り出していい技ではない。
黒いギーツの出現に困惑する脳に喝を入れ即座に回避行動を取り、躱した斬撃は後方で爆裂。
爆発音が殺し合いの舞台に木霊し、大地には揺らめく蒼い炎が広がった。
アレが直撃すればどうなっていた事か、繰り広げられた光景を見れば想像は容易い。
ほっと息を付いた直後全身を襲う謎の寒気。今すぐに顔を逸らせ。さもなくば死ぬ。
未だかつてない最大級の警鐘に対し、直感を信じて上体を横にずらせば、耳に響くは鋭い風切音。
先程まで首が存在した位置にクロスレイジングソードの剣先が煌めいていた。
「おお〜!ナイス反応!」
神殺しの黒狐の頭部は既に目と鼻の先に。
充分にあった筈だったセーフティラインは一足飛びでゼロへ。
冷や汗が仮面の下を伝う。りんねの知り得る最速を遥かに超えた規格外の域。
口にもない賞賛の言葉など耳に入る余裕は皆無。集中すべきは敵の次手ただ一つ。
マジェード、サンユニコーンの戦闘スタイルは敵の動きを見切る事から始まる。
攻撃を徹底的に防ぎ、躱し、生まれた隙を突いて、決定打を叩き込む後の先が軸。
本来であれば集めたケミーの力を借り、豊富な手数で攻められるのだが、
その殆どが奪われ、多重錬成にてマジェードを構成するザ・サンとユニコンのみ。
確かに戦力で言えば、この強敵相手には不十分かもしれない。
だが、りんねの傍には共に立ち向かい勇気をくれる仲間(ケミー)が二人。
仮面ライダーとして死闘に臨むには、それで充分過ぎるくらい頼もしい。
「んじゃ、いっくぜ〜!?」
上段から振るわれた銃剣、バスタークロスの斬り降ろしをタイミングよくいなす。
銃剣の持ち手を傾け、続けざまに放たれた光弾は、氷上を走る様な滑らかなスライディングで避けた。
地面スレスレを往くアクロバティックな回避に、メラの視界からマジェードの姿が一瞬消え去った。
お目当ての少女は既に背後。彼女の視界には妖狐のがら空きの後ろ姿が晒されている。
「はあっ!!」
完全なる死角から仕掛ける高速の足払い。
一角獣の刺突と同等の鋭さを誇るマジェードの蹴り。意識外から喰らえば、体制を維持するのは至難。
此処を起点に乱れた敵を一気に突き崩す。優等生の算段は黒狐の奇行により覆された。
「あらよっと!」
一体何を思ったか、クロスギーツがレイジングソードを地面に突き立てた次の瞬間。
柄頭を土台に身体を器用に持ち上げ、マジェードの足技を空かす。
片手一本での逆立ち。まさに大道芸じみた芸当は、先のスライディングの意趣返しか。
攻撃を察知されるのは彼女も予想の範疇。
しかし、予想の斜め上を行く回避行動に、思わずあっけに取られてしまう。
そのまま片腕でぴょんと跳ね上がると、道化師は己を唖然と見上げる少女に銃撃の雨を降らせた。
「これで決まりかな〜?」
「そう決めつけるにはまだ早い!」
意識を乱されもう回避は間に合わないが、防ぐ手段は他にもある。
降り注ぐ凶弾を前に物怖じせず、真正面からマントをひらりと翻す。
マジェードが装備するマント、メイデンシェードはあらゆる攻撃の流れを変え、受け流す効果を持つ。
今回は攻撃のベクトルを正反対、すなわちクロスギーツの方向へと設定。
ニヤケ顔で贈り付けて来た死のプレゼントをそっくりそのまま綺麗に突き返した。
「うっそ!?」
迫り来る光弾は軽々と斬り捨て難なく切り抜けるも、着陸先で待ち受ける錬金術師のお出迎え。
苦し紛れにバスタークロスで刺突を放つが、マジェードにとってそれは攻撃ではなく単なる隙。
伸ばした腕を掴み、敢えて自分側に一気に引き寄せ、クロスギーツを大きくつんのめらせる。
勢いが止まらない漆黒のボディにザ・サンの灼熱を纏った痛烈なキックを見舞う。
蹴りの反発力を活かして瞬時に距離を離し、残心を取る事も忘れない。
「痛ってぇ〜〜、お嬢ちゃんけっこうやるじゃん。」
口では苦戦を訴えているクロスギーツだが、響いてる様子は皆無。
どころか蹴りの勢いを利用した空中での華麗な一回転を披露する余裕っぷり。
遊ばれている。競り負けたにも関わらず、飄々とした態度は何一つ変わらず。
この男は自分を命を賭けた真剣勝負の相手として捉えていない。
アマチュアとプロ、子どもと大人、人間と神。不真面目にやって当然の関係性。
神殺しなんて大層な異名が、伊達や酔狂で名乗っていない事は短い攻防でも伺い知れる
「さ〜て、具合も大体わかって来たし、ここ等でオーディエンスを盛り上げに行っちゃおうかな〜!?」
そう楽し気に宣言すると再びクロスギーツは奇行に走る。
右手に握った武器を真上へと力一杯に放り投げたのだ。
高く、高く。微かな点すら見えない程空の彼方へと消えていくバスタークロス。
何故と疑問符が浮かぶふざけた行動にマジェードの意識が上へとぶれる。
1秒にも満たない僅かな時間だが、神殺しの前では命取り。
「ヘイヘイヘーイ、余所見してていいの〜?」
鋭い鉄拳がマジェードの視界下から見舞われる。
事象の加速を具現化するギーツテールナインと同種の力を持つクロスギーツのマント。
その力を自身に適応する事で、常人を遥かに超越した高速移動を実現可能とする。
例え制限が加えられていようとも、数メートルそこらの距離を一瞬で埋めるくらい朝飯前。
ましてや注意散漫な相手の懐へ潜り込んで、インファイトに持ち込むなど更に簡単な作業だ。
「うっ…!不意打ちのためにわざわざ武器を…!?」
「ノーノ―!そんな小細工なんて要らねーよ。
本気で問題ないから捨てただけ。いわゆる…縛りプレイってヤツ?」
だからこれも要らな〜い、と嗤って残りの武器さえも粗雑に投げ捨てる。
終いに、明らかに人を小馬鹿にしたファイティングポーズ。
小刻みにシャドーを繰り返しながらかかってこいよとマジェードを肉弾戦に誘う。
お前を倒すのは素手で充分。誰にでも分かるあからさまな挑発行為。
「嘗めるのは勝手。だけど、痛い目みても知らないから」
「ワーオこわ〜い!ま、痛い目見るかやってみりゃ分かるさ」
直情的になれば相手の思う壺。大きな差が更に広がる一方だ。
努めて冷静に構えを取り、依然ヘラヘラとした態度でステップを取る道化師と対峙する。
「ほい!」
なんとも軽い掛け声と共に見舞われるジャブ。
所詮牽制、冷静に掌底で受け流し対処出来る。
しかし伸ばした手は即座に弾かれ、一段速い拳が頬を鋭く叩く。
驚く程に的確で流麗な動作。長年の経験に裏打ちされた力の真髄。
素手の縛りが単なる慢心ではないと、この一手で見せつけられる。
「ほいほい!」
遊びに興じる黒狐は呻く暇さえ与えない。
焼き直しの様に再び軽い掛け声から打ち込まれるジャブ。
今度は受けず回避を選択するが、それを予測したかの如く避けた先に待ち受ける第二打。
吸い込む様に腹部に拳が捻じ込まれ、彼女の肺の空気を空っぽにした。
「かはっ…!」
「ほいほいほい!」
苦痛に喘ぐ少女に鞭打つ駄目押しの三連打。
回避も防御も、取る余裕はない。最早甘んじて受け入れる他なく。
無慈悲な暴力を浴び、マジェードはダウン。地面に崩れ落ち、純白のローブを穢す。
「ぐうっ…!」
「ね?言った通りでしょ。縛りプレイでも問題ないって…さ!!」
馬鹿にされ、嘲られ、完膚無きまでに打ちのめされる。
此処まで宣言通りやられれば、悔しいが認めるしかない。格闘戦でこの男と戦うのは至難の業。
なれど、勝負を諦めたわけではない。一つの分野で勝てないならば、同じ土俵で戦わなければいい。
マジェードはまだ己の真骨頂を見せた訳では無いのだから。
「あれれ?」
確信を持って振るったパンチは、突如出現した壁に阻まれる。
二人の間に割って入った透明な壁は彼女が錬金術で創り出した代物。
周囲の元素を元手に盾を形作り、己の身を守ったのだ。
さらに造り出した盾を細かな礫に変え高速で射出。困惑するクロスギーツの全身を狙い撃つ。
「いてっ!いてっ!ちょ、それズルくない!?素手以外とか反則じゃん!」
「何が反則よ、貴方が勝手に決めただけでしょ!」
身勝手に卑怯と罵られようと、抗議など一切受け付けない。
押し付けられたルールにむざむざ従う程、自分は優等生ではないのだから。
物質に生命を与え、自在に操り形質を変える。環境と知識を利用する闘いこそ錬金術師のスタンダード。
彼女の錬金術はまだ終わらない。マジェードが足元に手をかざすと周辺の地面が流動。
クロスギーツに纏わりつくと忽ち下半身に覆い尽くし、圧し固める拘束具と化した。
「んだよさっきから!創世の力のパチモン風情が…!」
「違う、これは錬金術。
生命を探求する人々が脈々と受け継ぎ、創り出した英知の結晶!」
この程度の拘束など破壊は容易。だが今は一瞬さえあればそれでいい。
あらん限りの力を込め、繰り出される強烈なドロップキック。
渾身の一撃に拘束諸共吹き飛ぶクロスギーツ。
無防備な状態で受けた影響か、立て直そうとするもガクリと膝を付く。
決着を着けるには今をおいて他にない。
ダメージの響く身体を奮い立たせ、マジェードは勝負に出る。
「やっべ!」
「これで終わらせる…!」
ドライバー上部のアルケミスリンカーにハイアルケミストリングをかざす。
両側のレバー式錬金術発動装置、セミアルトヴォークを操作し錬成開始。
錬金術の象徴たるエンブレムを象ったエンブレムアルケミキサが輝きを増す。
光速で展開され続ける幻想と惑星の多重錬成が、錬金術師一人の技量を遥かに超えた必殺技を解き放つ。
『アルケミスリンク!』
『サンユニコーン!ノヴァ!』
妖精のように軽やかに、舞い上がったマジェードの飛び蹴りが焦るクロスギーツを穿つ。
一度だけでは終わらない。空中に留まり続け、ここぞとばかりに放たれる連続蹴り。
ユニコンの健脚が巨悪に浄化の楔を刻み、サンの灼熱の炎が黒狐が纏う闇を祓う。
全ての蹴りの衝撃が一斉に襲い掛かり、爆発と共にクロスギーツを天高くへと吹き飛ばした。
「どわあああああああああ────!!」
必殺の一撃を成功させたマジェード。それでもまだ終幕には遠い。
完全に押し切るには、更に一段上の必殺技ハイアルケミスリンクの発動が必須。
序盤も序盤でこうも錬金術を使い過ぎれば、それだけ限界も速まる。
だが、全て出し切らなければ生への道は切り開けない。メラはそれだけの強さと悪意を持った怪物だ。
代償を払う覚悟を決め、りんねはハイアルケミストリングをリンカーへと伸ばした。
「あああああああああ──────なんちゃって」
仮面の下で嘲笑う黒狐に化かされたとも知らずに。
真上から示し合わせたかの如く飛来した物体をクロスギーツは手に取る。
無様に衝撃に流されていたのが嘘だったかのように、平然と空中で体勢を変えた。
勝機に動くマジェードの視界で、クロスギーツが投げ捨てた筈の銃口と目が合った。
「はいここ」
『BOOST CHARGE』
『BOOST TACTICAL VICTORY』
「ああああっ!!」
迅速かつ淡々と。クロスギーツはトリガーを引き、バスタークロスの真価を発揮。
即座に充填された膨大なエネルギーが、必殺の銃撃として火を噴いた。
メイデンシェードで受け流そうとするが、マントが生み出す流れを圧倒的力が蹂躙し突き破る。
耐えきれず変身が強制解除。苦痛に表情を歪める少女が地面へと投げ出された。
「イエスッ!大成功〜ッ!」
いたずらが上手くいった子どものように無邪気にはしゃぐ神殺し。
足元に転がるりんねを尻目にガッツポーズを取り、全身で喜びの感情を表現する。
「ぐっ…!さっき武器を投げ捨てたのは…縛りなんかじゃなくて…」
「半分ホントで半分ウソ…って感じ?要は演出だよ。演出!
ちょっとしたピンチを乗り越えて、一発逆転大勝利〜!
どう?オーディエンスも大興奮間違いなしのシナリオでしょ?」
これまでの会話と戦闘で対戦相手の性格は分析済み。
常識から外れた行動を取れば、一瞬といえ思考が鈍る良くも悪くも優等生タイプ。
武器の放棄をフェイントの布石に一度使用し、悪ふざけの縛り宣言まで行えば。
彼女の脳から飛んでった武器への注意は完全に消え去る。まだ本命の役割が残っているとも知らずに。
後は武器が戻ってくるタイミングに合わせて、適当にやられつつ落下予測地点に向かうだけ。
初見殺しの錬金術で多少のイレギュラーこそあったが、結果は一目瞭然。
圧倒的な戦闘力で敵を捻じ伏せ、必殺技さえ耐えきってみせる『力』
敵の性格と動きを読み切り、確実に虚を突く戦略を練り上げる『知恵』
そして自分の思い描いた理想の展開を現実に引き寄せる『運』
デザイアグランプリで不敗神話を築き上げたスター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズ。
創世の神、浮世英寿の全てを奪い取ったメラだからこそ実現したハイライト。
「と、いう訳で!記念すべき初勝利っ!メロもどっかで見ててくれたか〜い?」
基本的に自分と相棒の二人で楽しめればOKだが、今いるのは人様の闘技場。
例え無理やりでも愉快なゲームにご招待頂いたのだから、盛大に盛り上げてやらねば無作法というもの。
観客の有無に明言などなかったが、誰も見ていないデスゲームなど意味がない。
主催者を筆頭に争いを楽しむオーディエンスが必ずいる筈だ。
でなければ折角のデザグラ並みの大規模ゲームなのに盛り上がりに欠ける。
眼を閉じ耳をすませば伝わるオーディエンスの歓声と熱狂。
決めポーズを収めるカメラが見当たらないのがとても残念だ。
些かの物足りなさを感じながらも、負け知らずの神殺しは勝利の余韻に酔いしれる。
だが、敗北を知らないからこそ。
本来先の未来に待っていた運命を知りえないからこそ。
彼はまだ肝心な事を理解していなかった。
力、知恵、運。
その全てで上回り捻じ伏せたとしても。
相手の胸に宿る、一番大切な"もの"を打ち負かせない限り。
「ま、だ…」
───勝負(ゲーム)は決して終わりを迎えない。
「はい?」
「まだ、終わってない…。」
「いやいやどー考えても終わってんじゃん。何起き上がってんの?
そこは潔く脱落(リタイア)しとけよ、空気読みなって」
よろよろと立ち上がった敗者をメラは見やる。
整った制服は傷だらけ。小奇麗な顔の要所から血を垂れ流す。
一方で此方は五体満足。
ダメージは多少受けたがあくまで演出の一環、さした痛手にはなっていない。
これの何処が『終わってない』というのか。寝言は死んでから言って欲しい。
往生際が悪すぎる。最高にカッコよく決めたと言うのにこれでは台無しだ。
軽薄な口調こそ崩れずとも、メラの言葉の節々はその苛立ちを隠しきれていなかった。
「空気や自分の弱さなんかで…守りたいものを諦めて流される…。
守りたくないルールに縛られるのは、もう止めるって決めたから。」
「決めたからなにー?諦めなきゃいつか俺に勝てるとか、本気で思っちゃってるわけ」
「勝てる勝てないじゃない。まだ宝太郎が、思い描いた夢の為に前を向いて必死に闘ってる。
私一人勝手に倒れて…彼を置き去りにするなんて、もう絶対に嫌なの…!」
「あん?夢…?」
「グリオンを倒して、人とケミーが笑顔で一緒に生きられる世界を実現する…。
宝太郎と…みんなとの理想を叶えるまで、私は…なにがあっても諦めない!」
『──諦めない限り、思い続ける限り、いつか願いは叶う…!』
「────理想…理想ねぇ…。」
りんねの叫びにピクリ、とメラのこめかみに青筋が立つ。
何故勝者である筈の自分がこうも苛立っている。
何故この女に、治める世界諸共消してやった"搾りカス"の顔がダブる。
力も知恵も運も、何もかも劣ってる癖に散り際も弁えない負け犬仲間だから?
それもある。
だが、一番の原因はなんとなく理解出来ていた────『眼』だ。
何時までも未来を諦めようとしない、煌々と輝く眼がどうしようもなく癪に障る。
「あーあーあー、もういいって!鬱陶しい!
お前"ら"とのゲームはもう終わってんだよ!────敗者は黙って消えろ!」
うんざりだ。思い出したくもない。
勝敗の決したゲームに延々と待ったを掛ける見苦しい連中の顔は。
このままダラダラ生かし続けていたら折角の楽しいバトロワにケチが付く。
此処に来る前と同じように、さっさと滅ぼして片を付けてしまおう。
不快感を払拭するべく、再びトリガーを引き、足掻く敗北者を終わらせにかかる。
「…ごめんね、ユニコン、ザ・サン。──最後まで、私と一緒に闘って!」
『ユニコ〜ン!』『ザ・サン!』
命の保障の無い死地へ共に挑んで欲しい。
余りに酷な願いをカードに宿る仲間達は力強く応える。
眩い輝きを放つ信念は陰る事を知らずとも、力の差は歴然。
太陽の光は忽ち闇に吞まれ、バッドエンドは必然に訪れる。
「絆創チェンジ…!」
だがそれでも──と。
高らかに反逆の声を上げ、理想の世界(ハッピーエンド)を望む希望の灯が────
≪ベッDOWN!!≫
絶望の運命(バッドエンド)を焼き尽くす、絆の炎を呼び起こした。
「────はぁ?なにこれ?」
若き錬金術師の滅びを告げる銃声は一向に木霊しない。
代わりに、常に一定の余裕を保っていたメラから、心からの困惑が漏れ出す。
何処からか現れた"赤黒い布"
それがクロスギーツの身体へ何重にも巻き付き、硬く縛り上げていたからだ。
「絆、創膏…?」
「なんだってそんなもんが────おわああ〜〜〜っ!?」
傷口を塞ぎ、外気から人体を保護する衛生材料。
荒唐無稽だがそれ以外にその布を形容する言葉が思い当たらない。
混乱する周囲を他所に、伸びた絆創膏が大きく撓り、捕らえた怪人を引っ張りあげる。
急展開にさしもの神殺しも咄嗟の踏ん張りが取れず。
引力に逆らえないまま素っ頓狂な叫び声をあげて連れ去られた。
異質な絆創膏の捕縛縄。
その終点に待ち受けるはクロスギーツと同じ漆黒の仮面戦士。
戦士を彩る黒の正体は、自他共に焼き焦がす執着の業火。
身体の各所に幾重にも巻き付いた絆創膏。単なる装飾に映るそれは、
無限に溢れ出る黒々とした負の感情を、辛うじて繋ぎ止める拘束具にも見え。
ヘルメットに刻まれた一筋の線が意味するは、決して消える事のない罪過の象徴。
見る者を震わす禍々しい雰囲気に、頭部に伸びた天を突く二本角
地獄の底より罪人を裁きに迷い出た黒鬼。そう見間違う者も少なからず居よう。
「なんなんだよ、お前はさぁ…ッ!?」
問答無用。残忍なる悪党に制裁を下す怒りの鉄拳。
獄炎の拳が無抵抗の顔面を叩き、解放された五体は強力な衝撃を伴って民家の壁面をぶち抜いた。
直前にメラが残した疑問を聞き入れてか否か。
昏き天に手を伸ばし、低く、重く、されど力強い声で戦士は名乗りを上げる。
「焼き尽くす深き執着の戦士────キズナブラック!」
轟音。
後方より突如として巻き起こる大爆発。
新手かとりんねはキズナブラックの周囲を見渡すも、終ぞ原因は見当たらず。
当の本人は此れがさも当然であるかの如く、己を照らす爆炎を受け入れていた。
「あの…助けてくださってありが「…名前は」──え?」
傍観者であったりんねは理解が追いつかない事ばかり。
はっきりしているのは、キズナブラックと名乗る戦士が命の恩人である事実。
まずは感謝をと礼を伝えるが、それを遮ってブラックは彼女に尋ねる。
「えっと、私の名前は九堂りんね…」
「違うあんたじゃない。さっきの狐野郎の名前だ。分かるか?」
名を尋ねる意図は気になるが、それが彼にとっての最重要事項なのだと理解。
疑問を抱えつつも口には出さず、尊大に語っていた神殺しの名をキズナブラックへ伝える。
望みの答えを聞きそうかと彼が頷いたのも束の間、四方から絆創膏が飛び出し二人を守る様に包み隠す。
直後、襲い来る凄まじい衝撃。絆創膏の覆いが晴れた先には、瘴気を放つ黒狐の姿。
己の健在を誇示するかの如く、自身の獲物を担ぎ悠々と立っていた。
「効いたぜ〜今のパンチ。ヒロイン助けられてご機嫌かい?正義のヒーロー君。
で、まさかこのまま勝てるとか甘い事考えちゃってる?」
「…貴様は必ず俺が殺す。だが、今は彼女の安全が最優先だ」
「ハッ、即退散だなんてだっせーの!ていうかさー、逃げれるって考えも甘過ぎなんだよッ!!」
闘いを邪魔され、不意とは言え一撃を貰った屈辱。
加えて、逃げおおせられると自惚れられれば黙って見逃す道理は皆無。
トン、と軽く地を蹴れば、黒狐は黒い弾丸となって距離を一瞬で詰め切る。
事象の加速を応用した高速移動。先の闘いで見せた脅威が再び彼女らに牙を剥く。
「俺達が逃げるんじゃない。貴様が此処から消え失せるんだ!」
桁違いの移動速度を目の当たりにして尚、迎え撃つ戦士に一切の動揺なし。
迫る脅威に対抗するべく、ブラックは一枚のカードを取り出した。
「左遷(レルゲイト)オン──メラ!」
宣言した瞬間、カードから飛び出す一条の光。
溢れだした光は一直線にクロスギーツへと突き進む。
速い。しかしその尺度は一般的な物。クロスギーツから見れば欠伸が出る程に遅い。
高速移動の最中、姿勢を器用に調節しひらりと身をかわす。
こんなちんけな代物で退けられる算段ならば片腹痛い。
そう鼻で嗤ったのもつかの間、光は其処で急転換し再びクロスギーツを狙う。
「なんだとぉ?」
再度迫る攻撃も避けるが、三度光は急転換。
まるで意思を持つかの様に、狙った対象を何処までも自動追尾する。
「チッ…!うざってぇ、ヒーローが狡いもん使ってんじゃねーよ!!」
発動した時点で回避は不可能。
攻撃の性質を理解し、観念したクロスギーツは防御体勢を取り、光を真っ向から受け止めた。
痛みは皆無。だが次の瞬間、己の意思とは無関係に上空へ飛ばされる身体。
宣言通り、まんまとしてやられたと悪態を吐く暇も与えない。
空の彼方へと飛び去る光に連れ去られ、後には束の間の静寂だけが残された。
◆◆◆
突如として現れた漆黒の戦士。
彼が来てからの全てはまさに驚きの連続だった。
一度は命を失う覚悟をしたにも関わらず、今もこうして生きている。
硬く誓った掟を再び破らんとするバッドエンドから救ってくれた希望(ヒーロー)。
絶望的状況から繰り広げられた怒涛の展開に、頭の整理が追いつかない。
「…大丈夫か?りんね」
呼びかけられた自分の名が、意識を現実へと引き戻す。
りんねは改めて御礼を述べると彼は振り返りはせず、ならいいとぶっきらぼうに一言だけ返して来た。
そのままりんねには近づかず、正反対の方向へブラックは一目散に歩を進める。
「何処へ行くんですか?」
「あの狐…メラが飛んで行った後を追う。
緊急避難であのカードを使ったが倒せたわけじゃない。
他の誰かに被害を出す前に俺の手で始末を付ける。」
「なら、私も闘います。私を守る為に逃がしたんだったら責任がありますから」
最優先は言うまでも無く宝太郎との合流だ。
しかし目的があるからと言って、命の恩人に全てを丸投げしていい理由にはならない。
救える命を救うのも、護るべき大切な掟の一つ。
尋ね人の宛も無く探し回るより、協力を結びながら脅威を止めつつ先へ進む。
それこそ宝太郎との合流や他の巻き込まれた参加者の助けに繋がる筈だ。
「無茶するな。あいつにやられたばっかりだろ。その傷で戦えるのか」
「貴方のお陰で令呪も体力も全て出し切らずに済みました。
仮面ライダー…貴方と同じく変身も可能ですし、錬金術でのサポートもまだ充分出来ます。」
「錬金術…魔法みたいなもんか。」
「魔法と言うよりかは科学に近いんですけど…今はその解釈で大丈夫です。
とにかく、アイツが一ノ瀬や誰かを傷つけるなら、知らない振りなんて私は出来ません。」
「凄い度胸だな。そんだけ傷だらけにされてまだ戦おうだなんて。
…そういう所まで似てるのかよ」
一体何か呟いたのか。疑問を言葉にする前に何かが投げ渡される。
それが支給品の入ったリュックだと気づいた直後、ブラックは右腕をりんねの前に突き出した。
≪絆創拘束(バンソウバインド)!!≫
次の瞬間、電子音声が鳴り響き、手首のブレスから射出される絆創膏。
飛び出した絆創膏は彼女にベタリと貼り付くと、近くの壁に彼女を抑え付ける。
クロスギーツさえ縛り上げた強力な拘束。
仮面ライダーでもない今の力では当然びくともしない。
「…ッ!これは…!?」
「安心しろ。直ぐに解ける様にしてある。NPCや他の参加者に襲われたら意味がない。
ただ…もしりんねが"イドラ"と同じ様な性格なら。
きっとこうでもしないと、意地でも追いかけて来るだろうと思ってな。」
「どうして?私が足手纏いになるから…!?」
「違う。俺はもう誰とも絆を結べない。俺は…独りで闘い続けなきゃいけないんだ。」
強迫観念に駆られた確固たる決意。
其処に秘めた思い全てを察するのは初対面のりんねには不可能。
隠そうとしても滲み出る、声色から伝わる激しい後悔と罪悪感の感情が。
威風堂々と戦場へ進む戦士の歩みを、後ろめたさから来る逃避と錯覚させた。
絶対に放っておけない。自分の中に定めた掟は彼を止めなくてはと囁くも。
直ぐに伸ばそうとした手は、絆創膏に阻まれ伸ばせない。
「待って!」
「りんね、あんたは生きろ。生きて自分の大切な絆を守れ。
いつか未来で…皆を笑顔にする夢を叶えてくれ。」
叫ぶ声のみでは想いは届かず。
纏う漆黒を夜の闇に紛れさせ、キズナブラックは消えて行く。
神殺しと対峙した際、とても頼もしく、大きく見えた希望の背中。
その後ろ姿が小さく見えたのは、きっと距離だけのせいではなかった。
【九堂りんね@映画 仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク】
状態:正常、ダメージ(大)、拘束中(すぐに解除)
服装:錬金アカデミーの制服(ボロボロ)
装備:ハイアルケミストリング@仮面ライダーガッチャード
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、浅垣灯悟のランダムアイテム×1、ケミーカード(ザ・サン、ユニコン)@仮面ライダーガッチャード、ホットライン
思考
基本:今度こそ宝太郎と一緒に戦い抜く
01:宝太郎を探し出す。自分の知る彼とは違ったとしても。
02:拘束が解けたらキズナブラックを追う…?
03:メラへの最大級の警戒
参戦時期:冥黒王に殺害された後、意識をザ・サンへ移す直前
備考
※
【支給品解説】
▪ハイアルケミストリング@仮面ライダーガッチャード
九堂りんねに支給。
アルケミスドライバーを呼び出す特殊なアルケミストリング。
本来は錬金術師が錬金術に用いる為に利用する通常のアルケミストリングだったが、
りんねの父、九堂風雅より力を授かり、進化。宝石の色も青からオレンジへと変化した。
召喚したドライバーに付属するケミーカードを使用する事で仮面ライダーマジェードに変身出来る。
◆◆◆
強制的な空の旅を終え、新たな大地に降り立つ黒狐。
敵影が無い事を確認すると、バックルを外しクロスギーツの変身を解除。
先の闘いで散々溜まった此処までの不満をため息に変える。
「ったくさ〜どいつもこいつも空気読めない奴ばっかで参っちゃうって。
こんなんばっかだと、俺もオーディエンスも愛想つかしちゃうよ?」
敗者の振舞いを弁えない錬金術師の女もだが、
その間に割り込んで来たキズナブラックを名乗る男も癪に障る。
戦闘中の乱入もバトルロワイアルの華だ。不意打ちで一撃見舞われるのは仕方ない。
確かに鬱陶しくは感じたが、やる気があるなら相手してやるつもりだった。
それが強引にノーゲームにされたとなると、高揚した気分も萎えてくると言うもの。
何時でもテンションの高まる合いの手を挟んでくれる愛しい相方のメロが恋しくなる。
「折角次のゲームを俺に放り出させてまで連れて来たんだ。
もっと盛り上げてくんないと、お前の世界の神と一緒に滅亡させちゃうぜ羂索?」
数多の神話を滅ぼし、時と世界を渡り歩く時間犯罪者。
デザグラを運営する未来人さえ手を焼く、稀代の神殺し様をこうも容易く捕らえたのだ。
苛立ちこそあれ、今回のGMには一目置いている。彼らが運営するこのバトロワも。
世界滅亡ゲームとは異なる新鮮さを提供してくれると信じよう。
そうでなければ、この世界諸共綺麗さっぱり滅ぼすまで。
まずは一周。華々しい活躍でサクッと優勝を飾る。
もし殺し合いが愉快なものであれば、自分か羂索らにまた参加者を収集させ。
バトルロワイアルRTAをやってみるのも一興か。
既に勝ちを確信した、傲慢な未来を思い描くと、自然と下がった気分も盛り上がる。
「さ〜て気を取り直して行きますか!次回のメラ様の活躍にこうご期待!」
不敗神話を築いた白狐の神さえ滅ぼし取り込んだ黒狐の神殺し。
殺戮遊戯すら鼻歌混じりで練り歩く享楽家は、己の勝利(ハッピーエンド)を信じて疑わない。
心と体に敗北の二文字を刻んだ、最悪の結末(バッドエンド)を未だ知らぬが故に。
【メラ@仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐】
状態:正常、ダメージ(小)、不快感(中)
服装:いつもの服装
装備:デザイアドライバー@仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐
Ⅹギーツレイズバックル@仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:愉快に楽しくバトルロワイアル
01:狙うは優勝。派手にカッコよく決められれば更によし。
02:次キズナブラックに会えば、サクッと殺す。
03:錬金術使いの仮面ライダー(りんね)に若干の不快感。
参戦時期:クロスギーツビクトリーで世界を滅亡させ帰還した直後
備考
※ロキの変身能力が使えるかは採用時後続の書き手さんにお任せします
【支給品解説】
▪デザイアドライバー+Ⅹギーツレイズバックル@仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐
世界を4つに分断する事で同じく4つに分かれた創世の神、浮世英寿の力、知恵、運の要素を奪い取り、それを元に創り出した変身アイテム。
XギーツIDコアを埋め込んだ変身用のベルト、デザイアドライバーに装填する事でクロスギーツに変身する。
変身時にはクロスレイジングソード、ギーツバスタークロスが付属する。
◆◆◆
俺の胸には、いつも大きな穴が開いていた。
この世で一番の絆(アイ)を注いでくれる両親を失ってから。
底の見えない"孤独"と言う名の傷が。
決して癒えないその穴からは、不安や恐怖が黒い濁流となって溢れ出る。
幾ら身体を張ろうとも、ちっぽけなこの身一つでは傷口を塞げない。
激流に抵抗虚しく飲み込まれるか、深く暗い穴の底へするりと抜け落ちるだけ。
ならばどうする、と子どもながらに考えた。
医療のいの字も知らない無知な少年にとって。
傷口を塞ぐ手段などたった一つしかない。
"絆創膏(キズナ)"を貼り付ける事。
それが俺に出来る唯一の治療法だった。
絆創膏を張れば忽ち穴は塞がり、不安も恐怖も流れ出ない。
心に濁った水は溜まらずに安らぎが訪れる。しかし平穏は一瞬だけ。
新品の絆創膏は徐々に黒く滲み、やがてペロリと剥がれ落ちる。
再び溢れ出た濁流を抑える為に、俺は慌てて新たな絆創膏を張り直す。
貼って、剥がれて、貼って、剥がれて。俺の人生はその繰り返し。
無限の孤独を無限の絆で塞ぐ。
不毛なイタチごっこが終わりを告げる日はなかった。
時は流れ、少年から青年へと移り変わり。
ゼツエンダーから絆を守る戦士、キズナレッドに俺はなった。
誰かの、皆の、全ての人の絆を守りたいと願う心が、孤独だった俺を強く成長させ。
絆装戦隊としての日々は、苦楽を共にした仲間との何物にも代えがたい大きな絆を育んだ。
その一方で、掛け替えのない絆を結んで行く度に理解した。
絆を結べば結ぶほど、全てを失う事への恐れも同じだけ膨れ上がっていく。
強い絆創膏を重ねるだけでは、傷穴は消えず、絆への執着が全てを黒く押し流す。
身体と違い、心の傷は絆創膏で塞ぐだけじゃ勝手に治癒などされやしない。
癒えない執着はやがて漆黒の業火となって燃え盛り、大切な仲間すらも巻き込む暴走を引き起こした。
絆への飢えがある限り恐怖と不安は永遠に続く。
あの日開いた傷穴をすっぽりと埋める代わりなど存在しない。
執着の元たる絆を捨てる選択肢はない。それは絆を結んだ全ての人への裏切り。
何より手放せば最後、流れ出る負の感情に吞まれ、二度と元には戻れなくなる。
胸に抱えた闇と一生付き合って行くのだと、俺は覚悟を決めていた。
世界の命運と俺の人生。全てが一変した運命の日までは。
ゼツエンダーの首領、絶縁王との最終決戦。
壮絶な一騎打ちの末、結果は相打ち。
遺していく仲間への謝罪と絆を守り抜けた達成感を胸に眠りにつき。
次に目覚めた時、俺は何故か異世界へと飛ばされていた。
見慣れぬ土地に見知らぬ人々。
馴染みある世界と変わらない、人と人との絆を守りながら。
帰還の手がかりを模索するも見つからず。協力者探しは空振り続き。
もうこの世界で生きていくしかない。元の世界で得た絆とはもう会えない。
孤独な夜に、絶望と諦念の闇が色濃く心に根差た時。
夜明けの光を俺に差し込んだ希望(ヒーロー)が、イドラだった。
『────帰れなくて困ってる人がいるみたいだから 私の魔法で助けてあげるわ』
孤独を隠して気丈に振る舞う俺に、何かと振り回されながらも。
いつも俺が一番欲しい言葉をかけ、当たり前の様に手を差し伸べてくれた。
負の海から引っ張りあげてくれた、イドラの優しい声やはにかんだ表情が、今でも忘れられない。
冒険者として共に過ごし、苦難を乗り越え、寄り添う時間が。
埋まる筈のなかったと底なしの傷穴に、胸いっぱいの絆を注いでくれた。
旅路の途中で彼女が語ってくれた、一つの理想。
亡き父親の意志を継ぎ、魔法で世界中の人々に笑顔をする。
何よりも困難で、子どもっぽく、現実離れした、輝かしい夢。
応援したいと思った。特別だと思えた少女の大きな夢を。
絆を守る戦士としてだけでなく、一人の男として。
俺はイドラが結んでいく絆を守る。夢見た世界を一緒に掴み取る。
そうして互いの心に、硬い絆で結んだ約束を交わし。
『────ごめん ね…。元の世界に…帰して…あげられ…なくて』
そして──失った。
どんな絆も全て大切だと信じた、俺の愚かな選択のせいで。
かつての宿敵、ウラギリス。元の世界との結んではいけない絆に手を出し。
ツケとして払わされた、裏切りと言う最悪の代価(バッドエンド)。
埋まりかけた穴は再び広がり。そしてもう二度と、塞がる事は無かった。
代わりに。敵への憎悪と執着が招く暴走を、俺は一切起こさなくなった。
死に物狂いで抑えようとした濁流に、ドス黒い激情の炎に身を任せた瞬間に。
摩耗した心は不安や恐怖を受容した。より多くの絆を守れる力を手に入れたのだ。
一番護りたかった肝心の絆はもう何処にもないと言うのに。
途切れ途切れの記憶の果てに。やがて辿り着いたのは忌まわしき過去。
施された封印を破壊し、最悪の未来を招く憎き仇を叩き潰す。
果たすべき贖罪を終える。
今は亡き絆に誓った俺の前には、少女の皮を被った悪魔が立っていた。
突然現れたその悪魔、羂索は無慈悲に人々の自由と絆を奪い去り。
その心にもう二度と修復出来ない傷穴を残す。
直ぐに理解した。
コイツはイドラの未来を奪った怨敵と同等に倒すべき邪悪であると。
なのに。
皆が思い思いに声を上げ反旗の意思を示す中で。
俺は一人、バカみたいに呆然と立ち尽くし動けないでいた。
自分もまた、名前も声も知らない誰かと同様に。
その悪魔に小さな"傷穴"を付けられていたから。
ふと、考えてしまった。
もしも奴の言葉が真実ならば。もしも己の理想が叶うなら。
俺の過ちで失った大切な絆を取り戻せるのではないか。
その為なら、顔も名前も知らない赤の他人の絆など、踏み躙ってもいいのではないか。
吐き気がした。
家族に誓った夢に唾を吐き捨てる、己の物とは思えぬ狂気の思考。
余りの悍ましさに、腹から込み上げたモノをありったけぶちまけた。
例えそれが魔が差したと呼べる程度だったとしても。
例えそれが一瞬とさえ呼べない刹那であったととも。
絆を守る戦士として、絶対に許されない思考。
人々の大切な絆を断ち切る悪意ある選択など、ゼツエンダーや魔王族と何が違うという。
キズナファイブや勇者に滅ぼされて当然の悪そのものだ。
何より邪道に堕ちてでも得た未来を、イドラは喜んだりしない。
お前の命は数多のバッドエンドの上に成り立っているだなどと。
彼女が描いた"世界中の人々を笑顔にする夢"に真っ黒なペンキをぶちまけたに等しい。
他ならぬ俺自身がイドラをバッドエンドに導く存在へとなる。
そんな最低最悪の未来は、彼女を失う以上に耐えられない。
でも、どうしてもダメだった。
羂索に付けられた傷からドロリと流れ出した"何か"が。
大穴から絶えず溢れる濁流よりも緩慢に。
しかし確実に、激情の洪水に流れ落ち、混ざり合い、黒く心を蝕む。
一人で抑えたってどうしようもないのは幼少期から分かってる。
一度空いてしまった穴を塞げる絆は、もう無い事も理解している。
俺の弱さが何時か誰かの絆を奪うなら。
俺の未来が彼女の理想を閉ざす位なら。
命を絶つ他ない。
そう考えた矢先だった。
耳をつんざくような爆発音が聞こえたのは。
苦悶と絶望の中で尚も身体が動いたのは。
誰かを守るヒーローであった故の性か。
誘蛾灯に誘われる蛾の様に覚束ない脚で現場へ近づく。
視界に捉えたのは二つの人影。
傷だらけで倒れ伏す少女と勝利に酔いしれ嗤う仮面の黒狐。
護るべき絆、倒すべき悪。何方も明白。しかしそれ以上足は進まない。
他人の絆を奪う怪人が、一体どのツラを下げて正義の味方を気取る。
新たな傷が生み出す黒で染まり切る前に、速く全てを終わらせなくては。
今の俺に誰かの絆を守り、結ぶ資格などありはしない。
失われゆく命を虚ろな目でみながら、フラフラと立ち去ろうとして。
不意に映った、ゆっくりと立ち上がろうと少女の姿に───
──己の過ちで永遠に失った、かつての希望(ヒーロー)を垣間見た。
彼女とイドラは全く似てない。
人種が違う。服装が違う。住む世界が違う。
胸だって別に大きい訳でもない。
外見で似てる部分など長い黒髪くらいなものだ。
それでも。
彼女と同じ、困難を前にしても諦めない輝かしい勇気が。
彼女と同じ、子どもっぽくて現実味ない大きな大きな夢が。
燃えカスの様になっていた俺の身体を突き動かした。
微かに感じた、あの日の彼女の幻影。
在りし日の希望へ縋りつく様に、俺は戦う理由を見出した。
もう誰かと絆を結ぶ資格のない罪深い俺が、最後に出来る事は一つ。
彼女の様な誰かの希望が、バッドエンドに至る未来を変えて見せる。
ハッピーエンドを阻む最悪の可能性。その一片さえ叩き潰す。
その為に、俺は仮初の絆創膏を張って、絆を奪う悪を葬る戦士と成ろう。
だがもし。
護るべき絆が何処にも存在しなくなってしまったら。
急ごしらえの絆創膏が黒く染まり、剥がれ落ちてしまったら。
新たな傷口から溢れる、執着や恐怖よりも黒く恐ろしい"欲望"(ナニカ)。
その黒に心が染まった時に、果たすべき役目はもう理解している。
イドラをバッドエンドに導く可能性は何者だろうと潰す。
それが俺が一生かけて贖うべき贖罪なのだから。
【浅垣灯悟(バッドエンド)@戦隊レッド 異世界で冒険者になる】
状態:正常、キズナブラックに変身中
服装:いつもの服装
装備:キズナブレス@戦隊レッド 異世界で冒険者になる、ブラック絆装甲@戦隊レッド 異世界で冒険者になる
令呪:残り三画
道具:ホットライン
思考
基本:バッドエンドに導く存在は全て消す。自分自身も例外なく。
01:メラを探し出し殺す。
02:イドラと似た夢を持つりんねには生きていて欲しい。
03:自分の中の悪意を抑えきれなくなれば、誰かの絆を奪う前に自害する
参戦時期:ウラギリスの封印を破り、灯悟たちと対峙する前
備考
※キズナブラックの装備は採用時後続の書き手様にお任せしますが、最低限握手カリバー、縁結ビームガンは召喚可能です。
【支給品解説】
▪キズナブレス+ブラック絆装甲@戦隊レッド 異世界で冒険者になる
絆創戦隊キズナファイブに変身する為の変身アイテム。
腕輪型アイテム、キズナブレスに絆創膏型アイテム、絆装甲(バンソウブレード)をセットする事で変身。ブラック絆装甲の場合、キズナブラックへ変身可能。
絆に対する強い執着と孤独への恐怖、そして絆を奪おうとする敵への憎悪によって
限界以上の力を引き出し暴走を起すが、失った絆への膨大な執着を糧に強引に暴走状態を抑えている。
▪左遷(レルゲイト)@HUNTER×HUNTER
念能力者専用ゲーム、グリードアイランドで使用されていたスペルカード。
呪文と名前を宣言する事で、対象プレイヤー1名をゲームエリアのどこかへ飛ばす。
以上で投下終了します。長文大変失礼いたしました。
タイトルは「それでも、ハッピーエンド/バッドエンドのその先で」でよろしくお願いいたします
皆様投下お疲れ様です
自分も投下します
負傷……不要
病……不要
背信……不要
悪……不要
なら、あとに残るのは?
◆
「どういう…ことなんだ…?」
理解が追い付かないとは正にこのこと。
両目を見開き、口から漏れるは困惑をこれでもかと煮詰めた言葉。
一目見て、強いと感じさせる青年だった。
短く切り添えた髪は青、空の色ともまた違う鮮やかさは夜闇に包まれても存在感を損なわない。
顔立ちもまた、それに見合う造りである。
ハンサム、美男子、イケメン、俗な言葉で表すならそれらがこうも似合う男は滅多にいない。
青年…トランクスにとって現状を正しく理解するのに少しばかりの時間を要した。
何も彼が判断力と冷静さに欠けた、言わば顔だけの愚図という事では断じて違う。
しかしながらトランクスは先の光景、呪詛師が最悪のパフォーマンスを行う少し前に戦いを終えたばかり。
人間0計画。
人造人間の脅威が去ったのも束の間、神をも恐れぬ邪悪の所業により未来世界は再び大混乱に陥った。
何よりも最悪なのは計画を実行したのが正真正銘の神であること。
正義の名の元に地球人を全滅寸前へと追いやった。
過去へ跳び、父や尊敬する戦士達との協力を経て、死闘の末に神を撃破。
しかし神はしぶとく生にしがみ付き、あろうことか時空すらも越え地球人の抹殺を目論み、最終的には失敗に終わる。
全宇宙を統べる王の手で、自身が滅ぼした未来世界共々完全な消滅という形で以て。
帰るべき元の世界を失ったトランクスは、分岐した別の未来へ向かう事を選んだ。
不安が無い訳ではない、だが一人では無い。
両親や仲間に見送られ最愛のパートナーと共に旅立った、その筈がこんな場所に連れて来られてしまっている。
タイムマシンは見当たらない、マイも傍におらず気を感じ取れない。
時空を渡る際にトラブルが発生し、気を失い夢でも見てるんじゃあないか。
困惑から生じる弛んだ想像は、頬に伝わる夜風の冷たさで急速に引き締まる。
断じて夢ではない、マイが自分を揺さぶり起こし悪趣味な光景とおさらばとはいかない。
自分は本当に殺し合いを強制され、一参加者としてこの地にいるのだ。
羂索なる、少女の皮を被った怪人物の目的は不明。
何を得ようとデスゲームを開いたのか。
大それた目的などない、娯楽の延長に過ぎないのか。
圧倒的に情報が足りない現状、ハッキリしてるのは一つ。
羂索の望みが何であろうと、トランクスは殺し合いを決して認めない。
食って掛かった少年と少女が呆気なく命を散らし、微塵の罪悪感を抱かぬ言動と態度。
同じだ、人造人間達やザマスと。
大切な人々を菓子でも喰らうように容易く奪う宿敵達と。
であれば、殺し合いでの方針は決まったも同然。
羂索とその協力者達を打ち倒し、これ以上意味なく人が殺される事態を防ぐ。
決意するまでが我ながら遅い、状況に振り回され過ぎだ。
父が見たら叱責されるに違いないと、僅かな苦笑いを浮かべる。
(そういえば…参加してるのはオレだけなのか?)
タイムマシンを動かしたタイミングでされたのを考えれば、近くにいた者達も巻き込まれた可能性は低くない。
ベジータや悟空も参加者に相応しいと目を付けられたのか。
まさかマイやブルマまで参加させられたのでは。
彼ら彼女らの存在を手っ取り早く知る方法は、残念ながら手元に無し。
名簿が閲覧可能となるのは2時間後、気の探知もどういう訳か上手くいかない。
何と言えば良いのか、普段よりも精細さを著しく欠いている。
「…奴の言う制限はハッタリじゃないらしいな」
視線は手首へ落とされ、バングルをじっと見つめる。
自身の力を縛る枷にして、生を引き留める命綱。
バグスターという未知のウイルスによる消滅を、トランクスは侮らない。
あの悟空でさえ自分の世界では病に倒れたのだ。
サイヤ人の肉体だろうと蝕む病原体に、今更驚きはしなかった。
バングルを着けたままでは本来の力を発揮不可能。
一方でバングルが無ければ消滅は免れない。
解決策はバグスターウイルスの特効薬を作り、体内から除去すること。
言うは易しでも実現可能かは別。
タイミリミットが設定され、尚且つそれが本当に出来るのかという問題も生まれる。
ブルマであれば可能かもしれないが、トランクスの望みとしてはこのような凄惨極まる催しに巻き込まれて欲しくない。
なら、自分がどうにかするしかない。
まずは他の参加者との接触だ。
リュックから取り出した剣を背負い、近場の参加者の位置くらいなら分かる筈と気を探り、
「――――っ!!!」
ゾワリと、全身の毛穴が総毛立った。
喉が異様に乾く、体中が不自然な程に重い、こめかみが軋み痛みを訴える。
無視など出来る訳が無い、圧倒的という他ない存在感。
これに近い気配を一つ、トランクスは既に知っている。
「ゴクウブラック…!?いや、だがこの気は……」
近いようでいて違う。
孫悟空の肉体を奪ったあの男ではない。
答え合わせの如く、気の正体がトランクスの前に現れる。
黒い男だった。
日に焼けたのでも、人種故の黒さでは無い。
命の宿る身体でありながら、ブラックダイヤのような黒い肌。
四肢も胴も細い、トランクスの知る戦士達と比べれば華奢な体型。
しかし男を見て脆弱と口にできる者が、果たしてどこにいようか。
無駄な筋肉や脂肪を削ぎ落とし完成させた体の持ち主が、トランクスと視線を合わせる。
「…っ」
射抜かれた当人は鳥肌が止まらない。
これが本当に生きている者を見る目か。
人造人間やザマス達のような、見下し嘲笑うものは含まれない。
そもそも、感情らしい感情が微塵も宿っていない。
「お前は…何なんだ……?」
乾いた声に一切表情を変えず、相手の口が開かれる。
「……私は…………神だ」
堂々と言い放ったのではない。
因縁深い界王神のように、自らの立場を絶対的と驕ってもいない。
淡々と、事実確認のように口にした。
自らを神と名乗る者など、現代においては狂人かジョークの類としか見なされないだろう。
だが少なくともトランクスは男の言葉にどこか納得してしまった。
界王神や破壊神など、自身の知る神のどれとも一致しない。
けれど男が神であるとの言葉を、事実として頭が受け入れている。
「………混じっているな……」
「なに?」
「人の血と……蛮族の血……戦を求む……穢れた血だ………私の世界に……戦を持ち込む悪は不要……」
話がマズい方に向かってる気がしてならない。
初対面で自らに流れるサイヤの誇りを、悪意を感じずとも罵倒されて良い気分になろう筈が無い。
それについて面と向かって文句を言う暇は、どうやら無さそうだが。
男はトランクスに敵意を向けていない。
目の前にゴミが落ちているから片付ける。
汚れた箇所を見付けたから綺麗に拭き取る。
ごく当たり前の、特別な意味を持たない理由で、トランクス目掛け光線が放たれた。
「くっ…!」
男はその場から一歩も動かず、指の一本も動かさない。
攻撃は周囲に浮かぶ光球から。
冷えた空気をたちまち熱し、光の筋が戦士へ牙を剥く。
無論、トランクスとて男相手に無防備を晒したつもりはない。
強張りながらも隙は見せじと己に喝を入れ、いつでも動ける準備は完了済み。
気を抜かぬ姿勢は正しく、即座の対応が叶った。
真横へ飛び退き光線を回避、哀れ贄と選ばれたのは背後の木々。
途端に立ち込めるすえた臭いには両者構う様子無し。
初撃へ見事対応してみせた戦士への称賛が、男の口から語れる事は無く。
言葉無き男へ変わり光球が輝きを増す、今度は複数同時にだ。
放たれる熱線の量も倍、位置を変えてトランクスを狙い撃つ。
「問答無用か…!」
戦闘になる可能性が高いと分かってはいた。
敵意が無くとも、友好的なものもまた一切男に感じられなかったのだから。
故に悪態は一言に留め、迫る膨大な熱へと意識を集中。
鼻歌交じりに倒せる敵などと、口が裂けても言えない。
地を蹴り男の元へと疾走。
真正面よりの光線を、上体を捩り躱す間も速度を緩めない。
続けて斜め上から発射、数歩分横へ動いて事無きを得る。
ほぼ同じタイミングにて頭上から襲来、脚の力が籠り速さが一段階上昇。
またも複数同時の発射を確認、問題無しだ。
両眼だけに頼っていてはあっという間に丸焦げ死体の完成。
空気の振動を肌で感じ、光線の発射音を耳で捉え、形容し難いにおいで位置を読み取る。
大袈裟な動きに出ては次の回避が間に合わない。
動作一つ間違うだけで即死確定の光の雨が降る中を、トランクスは無傷で駆ける。
修行と実戦、戦わねば数秒先の未来を生きる事すら叶わなかった絶望の世界を生き抜いた証。
培われた能力を存分に発揮し、ついに間合いへ到達。
抜刀の勢いを殺さず、男の胴体へと刃を走らせた。
元々愛用していた剣では無いが、不思議と力強さを覚える輝きを放っている。
嘗ての宇宙の帝王と同じ末路を名も知らぬ男が――
「なっ!?」
辿らない、呆気ない決着は実現しない。
刀身は男の剥き出しの肌を撫でた、それだけだ。
どれだけ力を籠めても進まない、肉も骨も断てない。
己へ攻める剣を視界に捉えて何故男が反応を見せなかったのか。
答えは単純、避ける必要が一切無かったからに過ぎない。
斬れぬ獲物へ苦戦するトランクスの瞳に、持ち上げられる腕が見えた。
瞬間、脳が大音量で警鐘を鳴らす。
細い指をピンと伸ばし作った貫き手。
無手のそれがどういう訳か、己を滅ぼす剣に思えてならない。
防御の選択は真っ先に外す。
具体的な理由は無い、ただトランクスの直感が告げた。
男の攻撃を己が身で受け止めてはならない。
戦場での勘というやつは馬鹿にできない、逆らわずに全力で後退。
舞空術を維持し、地から足が離れたまま距離を取る。
五指がトランクスの血で浴びる結果にはならず、再度だらんと腕は下げた。
チラと、剣の当たった箇所を見やれば極細の赤い一本線。
目を凝らさねば気付けないが、確かに傷が付けられている。
男を知る者がいれば驚愕の光景もトランクスには関係無い。
光球が男の元を離れ、トランクスを取り囲む。
どこにも逃がしはしない、無駄に死から逃れた代償を払う時だ。
一斉に放たれた熱線により、光の檻へ閉じ込められる。
回避、防御、迎撃。全てが悪足掻きと知るがいい。
目も眩む絶望に包まれた青年の最期がここに――ない。
「はああああああああああああああああっ!!!」
檻が消し飛ぶ。
男が齎す絶望を上回る輝きが、希望という名の衣を纏い現れた。
逆立ち黄金色に光る髪、爆発的な気の上昇に大気が絶叫。
喪失と引き換えに覚醒を果たした力。
もう二度とあの時と同じ悲劇を繰り返さない決意の証明、超サイヤ人だ。
「魔力の……急激な上昇を感知……」
呟きに感情は籠められずとも、トランクスの変化に無反応ではいられなかったらしい。
光球を操作し青で構成された馬を召喚。
蹄が地を蹴り付け突撃、叩き伏せ引き摺り回すつもりだ。
だが遅い、敵が通り過ぎたと気付かぬ内に首が落ちた。
霞と化す馬には目もくれず男へ急接近、剣を納め拳を叩きつけた。
「せりゃあああああああっ!!」
殴る。
殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴り続ける。
拳一発が必殺級、常人ならば原型を留めず周囲へ散らばる肉片に早変わり。
そのような殴打の暴風を幾度も叩きつけられ、尚も男は涼しい顔。
無駄の二文字を完璧に取り除いた動きで両腕を駆使、トランクスの一撃を捌き続ける。
筋肉の張りはトランクスが上、にも関わらず皮一枚すら裂けなかった。
(くっ…動きのキレが悪い…!これも制限ってやつか…!)
こうして戦ってみれば自身の不調が嫌でも分かる。
弱い、本来の超サイヤ人への変身時に比べて力がイマイチ出ない。
気の消耗が激しいとはいえ、幾ら何でも疲れが大きい。
一方的な蹂躙が起こらない為の防衛措置。
殺し合いでのバランスを考えた仕様も、トランクスにとっては余計の一言に尽きる。
最も、制限下にあっても爆発的な能力の上昇を可能にするのが超サイヤ人だ。
だというのに目の前の男は動揺一つ見せず対処を続け、未だ一発も届かない。
しかし勝機はある。
剣で斬り付けた時と違い、防御に動いているとのは直撃を向こうも避けたい証拠。
超サイヤ人になった今ならば、有効打を与えられる筈。
時間にすれば十秒経つか経たないか。
百を優に超えた打撃を中断、蹴りを放てば男は両腕を交差し防御。
当然の如く痣も付かないが幾らか距離を取らされた、機を逃さず技の構えに移る。
男も黙って的になるつもりはゼロ、背後へ浮遊させた廻剣を操作。
互いに準備は完了、眼前の敵へ放つのみ。
「魔閃光!!」
重ねた両掌に気を収束、左手で突き出した右手を押し出すように放出。
今は亡き師、悟飯がピッコロから学びトランクスへと継がれた技だ。
対する男も廻剣を弓状に構え、己が力を一点に集中。
只人ならば目に触れただけで焼き潰される魔矢を放った。
真っ向からの激突により空気は泣き叫び、震えが周囲を削り取る。
熱線を食い千切りながら魔矢が徐々に近付く。
押し返さんと踏ん張るがどこまで意味があるのやら。
思わず苦悶の声がトランクスの喉を上り、
パキリという音が、二人の耳に届く。
「――――っ!?」
「……」
対照的な表情が見つめる先は同じ方向。
戦場より離れた場所、闇に隠れた位置に『彼女』はいた。
「っ……」
強大な力の衝突に掻き消されるより早く、トランクスが拾い上げた声。
少女の短い悲鳴。
対峙中の男の圧倒的な気に呑まれる程小さい、だけど確かに感じられる存在。
尻餅を付いた姿へ、戦う術を持たない非力な子供と分かった。
(マズい……!)
自分だけでなく男も少女へ意識を割いた、男にハッキリ認識されてしまったのだ。
無機質な瞳が射抜くは少女の足。
激突の余波で飛んだ石か枝で切ったのか、白い足を汚す赤が見えた。
「己の足で歩くことも……ままならぬ者……不出来………」
何を基準に判断したのか理解が及ばない。
分かるのは男が少女にも牙を剥かんとしている事だけ。
そのたった一つがトランクスを動かす理由になる。
自分の目の前で、これ以上命は奪わせない。
幾度となく味わった光景を、現実になどさせてたまるか。
「っああああああああああああああ!!!」
更なる気の上昇を受け、矢を押し返すどころか消し去った。
自分が勝ったなどと阿呆のように喜ぶ素人ではない。
既に少女へ攻撃は放たれた。
サイヤ人の血を引く自分でさえ警戒する光線だ、少女が受ければどうなるかは考えるまでも無い。
「きゃっ……」
自分を焼き殺す光線が迫っていると、少女には理解ができない。
何が起きたか分からずあの世へ一直線、彼女一人なら避けられなかった結末。
悲惨な死を覆す青い風が吹かなければ、きっとそうなっただろう。
超サイヤ人に変身中の恩恵により、光線が撃たれた後にも関わらず一手早く少女の元へ到達。
抱きかかえるや否や、速度を更に上げて離脱。
「えっ、わ、空飛んで…!」
「ごめん、今はじっとしててくれ」
信頼できる仲間がいれば任せられたが、不在である以上はトランクスが守らねばならない。
よって戦闘続行よりも少女を連れての迅速な撤退を選んだ。
殺し合いに乗った男の放置に全くの抵抗が無いと言えば嘘になる。
しかし腕の中の小さな命を投げ出すなんて真っ平御免だった。
ある程度離れ、ようやっと超サイヤ人を解除。
疲労は普段よりも多いが動けない程でも無い、とにかく今は少女を安全な場所へ降ろすのが最優先だ。
◆◆◆
逞しい腕に守られるのは不思議な気分だった。
父とは違う。
兄とも違う。
大好きな『彼女』とも、全然違う。
多分、というか間違いなくこのお兄さんの方が『彼女』よりも力は強いのだろう。
本当は味方してあげたいけど、さっきの光景を見てしまったから仕方ない。
でも、安心できるのは『彼女』の方が何倍も上だ。
力で叶わなくても、愛の強さなら間違いなく最強。
人を殺した、人を騙した、何人もの人を悲しい目に遭わせた。
全部自分の為に、自分との生活を守る為に。
だって『彼女』は自分をずっとずっと好きでいてくれて、自分も『彼女』が大好きだから。
もぞもぞと動き目をあっちこっちに向ける。
二人で暮らしたお部屋よりも、ずっと近くで見れる星空。
『彼女』と一緒に見れたら、きっと凄く幸せな気持ちになれるだろう。
あの日、自分達を追い立てた火の海が最後に見た景色。
そんな結末で終わらせられない。
もっと二人で色んなものを見て、これから先も笑っていられる。
実現する事の無い夢物語を、本当に出来るチャンスを自分は手に入れた。
理想叶える、頭をバカっと開いた女の人の言葉が嘘でないなら。
不思議な力が本当にあるなら、そこへ辿り着かない選択はない。
『彼女』が自分の為に色んなことをしてくれたから。
今度は自分が『彼女』の――『さとちゃん』の為に頑張る。
(だから、お兄さんにも力を貸して欲しいな)
帰る世界を失った青年を、帰る場所を取り戻さんとする少女は澱みの無い瞳で見つめた。
【トランクス(未来)@ドラゴンボール超】
状態:疲労(中)、飛行中
服装:ジャケットと赤いスカーフ(いつもの)
装備:燦然と輝く王剣@Fate/Grand Order
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:羂索を倒し殺し合いを終わらせる。
01:少女をどこか安全な場所に降ろす。
02:自分の知っている者が巻き込まれていないか気掛かり。特に母さんやマイがいたら…
参戦時期:分岐した未来へ向かう直前。
備考
※殺し合いを破綻させない程度に能力を制限されています。
【神戸しお@ハッピーシュガーライフ】
状態:右ひざに切り傷、トランクスに抱っこされてる
服装:いつもの
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:生き残って願いを叶える
01:強い人がいっぱいいるなら、さくせんを考えないとだめだよね
参戦時期:さとうと共に飛び降りを決行する直前。
備考
◆◆◆
離れて行く二人を暫し見つめ、ややあって視線を外す。
逃げられた事に悔しさも怒りも無い。
追跡は可能だが積極的に行う気も無い。
今殺すか後になって殺すか、順番が変わるだけ。
全ては些末、興味も引かれず心も震えない。
「戦を望み……血を降らせるか……ならば、私はお前達を断罪し……悪なき世界を創ろう……」
場所が変わろうと、見える景色が変化しようと。
男がやるのは同じ。
神として、否、最早神とも呼べぬ舞台装置の役割を果たすのみ。
内へ宿した己が不出来を引き摺り出す、日輪の輝きが現れるまで。
【アルジュナ・オルタ@Fate/Grand Orede】
状態:疲労(極小)、ダメージ(超々軽微)
服装:いつもの
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:一切の邪悪を断ち、世界を救う
01:全て些末……
参戦時期:創世滅亡輪廻ユガ・クシェートラ、19節でカルナと相対する前。
備考
※殺し合いが破綻しない程度に能力を制限されています。
【燦然と輝く王剣@Fate/Grand Order】
モードレッドが所有する剣であり宝具の一つ。
本来は王位継承の際に与えられる剣であり、王気を増幅する為に使われる。
投下終了です
投下します
羂索の話を聞いた鬼方カヨコは、周囲の安全を確認するとバックパックを手に取った。
愛用の銃は当然というか没収されており。デスゲームと銘打たれた環境を手ぶらで歩き回るのは鉄火場に慣れたキヴォトスの生徒としては安心できないもの。
何より、カヨコの不安点はそこだけではなかった。
「あの羂索とかいう奴、キヴォトスの生徒の姿をしてた。
……だとすると、私以外にもキヴォトスからやってきてる参加者がいるかもしれない。」
羂索と名乗ったキヴォトスの生徒。カヨコにとってその人物は他人に等しく、梔子ユメという名前を聞いても「何かの資料で見たことがあるな。」くらいの間柄である。
だが。自身と梔子ユメだけが例外であり、他のキヴォトスの人間が無関係でいられると思うほど。鬼方カヨコはのんきではなかった。
もし便利屋68の誰かがこの殺し合いに巻き込まれているとしたら。
そう考えるだけでカヨコの心臓は早鐘を打ち。指が震える。
どうにかホットラインを取り出したが、まだ2時間たっておらず地図も名簿も確認できない。
舌打ちを響かせ、右手をバックパックに突っ込むと、何か固いものが手に触れた。
「何これ?メダル?おもちゃ……じゃないよね。」
カヨコが取り出したものは、扇のような形をした水色の装置と、硬貨ほどの大きさをしたメダルだった。
メダルには文字とも模様とも取れる装飾が施され、その中央には大きく目の吊り上がった漆黒の人物が描かれていた。
カヨコは知らないことだが。名を、ウルトラマンベリアルという。
おもちゃのようにも見えるメダルからは、何か強い力を感じ取れる。
ウルトラメダルと呼ばれるものの中でも、殊更強い力を秘めたメダルだ。
自身に支給されたそのアイテムについて、鬼方カヨコが意識を向けることはごく自然のことであり。
カヨコの背後に迫った存在は、その瞬間を逃さなかった。
がさがさと、しゃがみこんでいたカヨコの背後の茂みが揺れる。
「何!?」
カヨコは勢いよく振り返り、背後にいる生物を見た。
1mほどの大きさの、エイやカブトガニに似た怪生物。カヨコの知識にはないその生き物が、茂みから飛び出し勢いよくカヨコにとびかかった。
このままだとぶつかるんじゃないか。避けないと。
とっさにそう判断する。脳が指令を筋肉に送り、カヨコの肉体は足を曲げた。
瞬間。鬼方カヨコの意識は途切れた。
カヨコを襲った怪生物。
セレブロと呼称されるその生物は。星々を渡り、生命に取り付き。兵力を高めて自滅に追い込む。滅亡遊戯を愉しむ。
この瞬間。鬼方カヨコの肉体はセレブロに乗っ取られた。
カヨコの自我は深く沈み。セレブロが離れない限り戻ることはないだろう。
鬼方カヨコの脳が最後に送った指令により、倒れ込んだ鬼方カヨコ。
その皮を被った生物は、衝撃や痛みには反応を示さず、陸にあげられた魚のような不自然な動きと共に立ち上がる。
左目を赤く光らせた少女は。既に鬼方カヨコではなく。
「キエテ・カレカレータ……」
無表情に告げられた淀んだ声には、少女の意思はもうどこにもなかった。
◆◇◆◇◆
天川薫子が足を止めたのは、目の前の少女の頭にピカピカと浮かぶ環(ヘイロー)が理由だった。
薫子の知る中で、頭上にそのようなものを浮かべた人間はただ一人。
自分を殺し合いの只中に放り込んだ梔子ユメだけだ。
「頭の上にけったいなもん浮かせとんな。
あんたはん、あの羂索とかいうんの仲間ちゃうやろな?」
無人の住宅街の中、頭上に指を向けて薫子は問いかけた。
冗談半分。警戒半分。
薫子だって、目の前にいる白黒の髪をした同年代の女が羂索の仲間だとは思っていない。
違うといわれてもすぐに信用はしないだろう。だが、相手がどんな反応をするのかを確認したかった。
「……」
「返事くらいしーや。愛想のない。」
薫子の期待とは裏腹に、頭上に環を浮かべた少女は彼女の言葉に無言を貫いた。
人でも殺していそうな鋭い目つきを向けられているのに。驚いているのか、怒っているのか、もっと陰湿な感情を抱いているのか薫子には分からない。
ポーカーフェイスというには冷たすぎるその姿は、エノルミータのネロアリスが感情豊かに思えるほどだ。
「仮面でも被っとるんちゃうやろな?」舌打ちとともに薫子は少女に向けて歩を進めた。
近づいていく薫子を前に、少女は水色の扇のようなデバイスを取り出す。
「何してるんや?」そう問いかける薫子と、少女の距離は数mにまで迫っていた。
やはりというか、少女――鬼方カヨコは何も答えない。
だが、無言を貫いていた先ほどとは異なり。薫子は一言だけ少女の声を耳にした。
「検証実験に入る。」
囁くようなか細い声に底なしの悪意を詰め込んだような声からは、感じたことのない気色の悪さがあった。
思わず距離を取った薫子には目もくれず、ポケットからカードと3枚のメダルを取り出す。
『Kayoko Access Granted.』
不気味な色合いのカードを装填し、デバイス――ウルトラゼットライザーから電子音が響く。
ただそれだけの動作が、薫子には不気味に思えてならなかった。
カヨコがゼットライザーを動かすたびに、薫子の本能が強く警鐘を鳴らしていく。
気が付くと彼女は、ポケットにある支給品を取り出し構えていた。
本来、彼女自身が持っていたもの。ハート形のトランスアイテムを構え、叫ぶ。
「トランスマジア!」
瞬間。金色の少女は美しく光を纏った。
天川薫子の言葉に呼応し、トランスアイテムの光が全身を包む。
白と黄色を基調とした、清廉でキュートな衣装に身を包む正義のヒロイン。
魔法少女マジアサルファは、目の前にいる悪を前に拳を構えた。
「ベリアル。宇宙恐竜。宇宙ロボット」
『Belial』『Zetton』『KingJoe』
「キエテ カレカレータ!」
『Pedanium Zetton.』
瞬間。黒白の少女は醜く膨らむ。
3m近い大きさの、機械と怪物の交じり合ったような異形の姿。
黒い装甲の上に黄金の機械を生やした怪物。頭上と肩に赤い結晶のような角を生やし、橙色に発光した顔と胸部が音を立てて点滅していた。
変身した少女との共通点など、頭上に浮かぶ環(ヘイロー)くらいのものだ。
両目のあるはずの部位は黒く窪み、それでも見られている感覚があることに天川薫子……マジアサルファの背筋が凍る。
「変身するんはうちもシンパシー感じるけど。
そのけったいな姿はなんや?趣味悪いで。」
「……」
「返事なしかい。愛想のない。
どうせロクなことせんやろし、一発シバかしてもらうで!」
頭の中で警鐘がなり続けている。
天川薫子という少女が持つ、ごく一般的な危機感と。
マジアサルファという百戦錬磨の魔法少女が持つ、戦士の直感が。
その直感の正しさを証明するかのように対する怪獣――名をペダニウムゼットンという――は、肩と頭部の突起物を急速に光らせ雷撃を撃ちだした。
「マジか!」
ぺダニウムスパークと呼ばれる赤い閃光が、マジアサルファの視界を埋め尽くし、とっさにバリアを張ることで直撃を防ぐ。
サルファのバリアの範囲外では、稲妻が見せかけの住宅街を粉々に粉砕していく。その様には嫌なリアリティがあった。
「くッ!頭に輪っかつけとるヤツにはロクなのがおらん!」
吐き捨てつつも、ぺダニウムスパークの威力に思わず冷汗が垂れる。
直撃すれば重傷は避けられないことくらいは予想していた。だが問題はその範囲の広さだ。
マジアサルファだけでない。肩と頭の計4つの角から放たれる雷は、その威力を試すかのように周囲の家屋や道路を手当たり次第に雷撃が削り黒々とした焦げた大地を生み出していく。
電線が千切れ、コンクリの地面がえぐれ、張りぼての民家が音を立てて壊されていく。
バトルロイヤルのためのゲームエリアでなければ、何人の被害者が出た事だろう。
サイズが3mほどしかないことを除けばペダニウムゼットンの不気味な佇まいと目の前の所業は、まるで特撮番組の怪獣が暴れているようだった。
「舐めんなァ!」
ぺダニウムスパークが止んだその瞬間、サルファは両足に力を込め勢いよく空を駆けた。
マジアサルファには既に逃走という選択肢はない。
背を向けると同時に雷撃でやられる光景は目に見えているし、彼女の矜持がその判断を認めない。
何より、無差別に攻撃をバラまくペダニウムゼットンを、ひいてはその変身者の存在を看過することは出来なかった。
飛び掛かるマジアサルファの右腕が白黄色の炎に変わる。
巨大な炎を黒いベルトで束ねたように変化し、拳は彼女の体と遜色ないサイズにまで変化している。
マジアサルファが本気で攻撃する時に使う、魔法少女らしからぬ殲滅の拳。
それが今、ペダニウムゼットンの眼前にまで迫っていた。
必殺の威力を秘めているであろう拳を前に、ペダニウムゼットンの発行体が高速で明滅を繰り返す。
慌てているのだろか、それとも分析しているのだろうか。
それさえ分からないサルファの前に、ペダニウムゼットンは淡く光る両腕を掲げた。
腕の光がどんどん強烈なものとなり、ぺダニウムスパークによく似た赤い雷を纏い始める。
(アカン!何かチャージしとる!)
反射的にバリアを展開し、ほぼ同時にバリア越しの視界が光の奔流に呑み込まれる。
両腕から打ち出す光線。ぺダニウムフレア。
ウルトラマンジードの必殺光線と打ち合うほどの大技である。
だが怪獣の体躯は本来の20分の1を下回り、更に調整という名のバグスターウイルスによる下降補正(デバフ)も加わっている。
サルファにも同様にバグスターウイルスの影響があるとはいえ、その威力は本来よりも格段に落ちるのは間違いない。
それでも、人ひとり殺すには過剰ともいえる威力を誇る。
「まだこんな技もっとんかい……」
ぺダニウムスパーク同様、光球のようなのバリアを展開しマジアサルファは身を守る。
どうにかぺダニウムフレアの奔流を抑え、彼女自身のダメージはさほどないが。
半透明の壁の前には轟音と灼熱が渦巻く地獄のみだ。
(うち一人やと攻めきれん!電撃も光線も威力と範囲がデカすぎる!
せめてマゼンタかアズールがおってくれたら……)
思わずサルファが毒づくのも無理はない。
サルファの拳には、ペダニウムゼットンが警戒するほどのものがあった。
だが、苛烈な雷撃や光線を防ぐためにバリアを張っていては、その拳を叩きこむ余力がなくなる。
何よりサルファのバリアとて、無限に耐えられるわけではないのだ。
このまま光線を受け続けていたら、先に魔力が尽きるのはサルファであろうことは容易に想像できた。
(後1手、一瞬でええから奴が隙を見せてくれたら!)
サルファが勝つには、1手足りない。
マジアサルファもペダニウムゼットンも、その事実を正確に理解していた。
だから、ペダニウムゼットンは――セレブロは両手から放つ光線を止めない。
激流のようにとめどなく放たれる熱線は、サルファが諦めるまで止めることはないのだろう。
ピポポポと奇怪な音を立てるその怪獣が、まるで勝鬨でもあげているかのように見えた。
15秒。20秒。30秒。
一瞬の隙を探し、マジアサルファは耐え続ける。
その眼はまだ死んでいない、諦めてなるものかと星のような光を強く光らせて。
あと何秒耐えられるかなど、サルファ自身にも分からない。
だが途中で諦めるという考えは、思考のどこにも存在しなかった。
「…………」
その姿を前に、怪獣はピポポポと不気味な音を奏で続ける。
変身した白黒の少女の意思や殺意が微塵も感じられない。サルファとは対照的にその怪獣は冷たかった。
何十秒経ったのか、バリアに微かなヒビが入る。
その軽いガラスが割れたような音が、サルファの耳に入り、遅れてペダニウムゼットンも反応する。
あと数秒で勝負が決まる、ペダニウムゼットンがそう確信する瞬間は。
「てめえかぁ!このあたりを廃墟(ズタボロ)にしやがったのは!」
コンクリートの外壁を砕いて、闖入者が現れる瞬間と同時だった。
2mほどの巨躯(ガタイ)をした、筋骨隆々で美髪の青年。
先ほど雷撃で砕けた家屋から、瓦礫を砕いてその男は現れた。
中にいたのか、それとも戦闘音を聞いてここまでやってきたのか。
そんなことは今のマジアサルファが気にするべきことではない。
確かなことは、怪獣の注意がこの瞬間確かに逸れたということだ。
好機と捉えたマジアサルファは、急上昇することでぺダニウムフレアの奔流から離脱する。
拳を握り、今度は両腕を巨大化させ。強く構える。
その光景を、地上から男は――邪樹右龍は感心するように眺めていた。
「そこの飛翔(とん)でる嬢ちゃん!まだいけんのか!?
答えれる範囲でいいからどういう状況か教えてくれ!」
「うちも知らん!頭に輪っか浮かべた女がバケモンになりよった!」
「バケモンに変化(な)ったぁ?
つまり、ここで暴れてんのはNPCモンスター(モブ)じゃねえんだな!」
右龍にとって、目の前の怪獣と魔法少女はともに初対面だ。
だが、魔法少女の周囲にある廃墟となった住宅街を見て、この惨劇の原因は怪獣にあると知る。
あれが参加者だというのなら、無秩序に破壊をもたらし平気に他の命を奪う存在であることは明白だ。
魔法少女の正体はまだつかめないが、少なくとも邪樹右龍の敵はあの怪獣。
右龍は確信と共に右腕を上げ、五本の指全てを一点に集約するように構える。
その構えに、マジアサルファの拳と似た危険をペダニウムゼットンは感じ取った。
マジアサルファの拳のように目に見える威力は感じないが、コンクリートを平然と砕くような人間の攻撃が見掛け倒しなわけがない。
ペダニウムゼットンは角を光らせ、再度ぺダニウムスパークの構えをする。
「もう撃たせへんぞ!」
赤い雷の充電を前に、マジアサルファは正面から突っ込んだ。
さっきまでの孤軍奮闘とはまるで違う。飛翔しているうえに注意が分散している今が最大の好機なのは間違いない。
散々してやられた激情を込め、拳を振るう。
「嬢ちゃんへの攻撃にエネルギー使いすぎた見てえだな!充電(チャージ)が遅漏(トロ)いぜ!」
赤い雷撃に関しては、右龍も遠目で確認している。
その雷が都市を破壊している光と黒煙を見てここまで来たというほうが正しい。
飛翔する魔法少女の焦りを見て、角の発光は危険なものであること。
その後放たれるであろう赤い雷撃を撃たせる前に叩くことが最善(こたえ)であることを、右龍の直感が告げていた。
右龍もまた直感を信じ、忍者の全速力を込めて”暗刃”を叩きこまんと攻め込む。
距離にして5mほど。
煙幕を巻いたその一瞬に敵の背後に移動できる魔法少女の全速力と、一般人に気づかれないほどの高速戦闘をこなす忍者の全速力(トップギア)。
ぺダニウムスパークを放つ時間など、ペダニウムゼットンには――セレブロには残っていない。
真正面にまで接近したマジアサルファと右龍の拳は、大きく勢いづけて撃ち込まれ。カキンと硬い何かに阻まれる。
見ると角の発行は収まり、代わりにペダニウムゼットンと両者の前に薄い金色のバリアが張られていた。
マジアサルファの円状のバリアとは違う、巨大な盾を思わせる障壁。PZウォール。
光の戦士の光線さえ防ぐその防壁が、2人の勇士の拳を押しとどめる。
「バリアまであるんか、随分多芸やね!」
「だが、関係(いみ)ねえなぁ!」
折れそうなほどに歯を食いしばり、2人の戦士は拳を押し込み続ける。
金属が砕けるようなバキンという音が同時に2つ響き、無数の破片が周囲に飛び散る。
忍者の突きと魔法少女の鉄拳が、黄金色のバリアPZウォールを粉々に砕いた証拠だった。
サルファの巨大な拳が左胸を。
右龍の骨太な一撃が右脇腹を。
鋭くペダニウムゼットンの肉体に拳が食い込み、2つの鈍い音が重なって聞こえた。
生物に一発撃ちこんだ確実な手ごたえがあり。
同時に、金属の壁を殴るかのような衝撃が両者の拳に反響した。
「強(カ)ッ固(テェ)なぁオイ!」
「だけどノーダメージっちゅうわけやないやろ!」
「……!?」
サルファの言う通りペダニウムゼットンはその巨体をよろめかせ、ふらふらと片膝をついて倒れこむ。
その瞬間を逃がす二人ではない。
破壊をもたらす怪獣は、この場で倒す必要がある。
だが、変身したという少女のこともある。この場で殺すわけにはいかなかった。
「ようやっとおとなしゅうなったなぁ!」
「確認しなきゃいけねえこともある。
ブッ殺すわけにはいかねえが、退場(おねんね)はしてもらうぜ。」
再び拳を構え、一切の躊躇なく怪獣に打ち込む両者。
PZウォールを砕くほどの一撃だ、負傷した怪獣相手に戦いを終わらせるはずのものだった。
ペダニウムゼットンの頭部を捕らえた2人の一撃。
次の瞬間、その拳は虚しく空を切る。
「は?」と呆けた声を二人があげたその頃には、怪獣もヘイローを持つ少女もこの場にはいなかった。
何が起きたか、2人には分からず顔を見合わせる。
先ほどまでの戦闘が幻覚なのか疑いたくなるほど、この場には怪獣の痕跡は残っていなかった。
何が起きたは分からない。だが、どうしようもない状況であることは明白だった。
「消えた……いや違う!転移(にげ)た!」
「テレポートまで使えんの!?アホちゃうか?機能盛りすぎやろ!!」
ペダニウムゼットンのテレポート能力。
距離や発動回数が無制限では決してないが。戦線離脱は可能となる厄介な能力だ。
その事実を前に、魔法少女と忍者は顔を見合わせ。
その叫びは無人の廃墟に、むなしく響き渡った。
「「待てやこの怪獣(デカブツ)!!!」」
◆◇◆◇◆
「ハハハハハハハハ!!いいじゃないか羂索!!
他人のゲームに参加するのも!!悪くない!!」
ペダニウムゼットンの姿を解除し、荒野にごろんと転がるセレブロ。
とっさの転送のためどこにいるかはセレブロにも分からないままだが、そんなことはどうでもいい。
右龍の突きを受けた右脇腹を中心に痛みと痺れが半身を襲う。
サルファの拳を受けた左胸では、痺れこそないがより鈍く広い痛みが残り続けている。
あくまで、ペダニウムゼットンの出力テストのつもりだった。
目についた地球人一人焼き殺す、ただそれだけの試運転(チュートリアル)。バグスターウイルスで抑制されているとはいえその程度造作もないはずだった。
だがどうだ、結果は痛み分け。むしろ受けているダメージで言えばこちらの方が大きいくらいだ。
テレポートが数秒遅れていたら、敗北していたのはこちらだっただろう。
大きな誤算ではあったものの、その痛みに比例するようにセレブロはゲームに楽しみを見出していく。
セレブロの好むゲームは、文明に怪獣という恐怖を与え、恐怖と比例するように兵器を作成させる。強大な力を手にした原住民が、制御しきれず自滅に追い込む様を愉しむ『文明自滅ゲーム』だ。
そういう意味では、羂索らが行う殺し合いとはよく似ている。
しいて違いをあげるなら、この殺し合いでは「強力な力」は大多数の参加者が持っているということだ。
天川薫子や邪樹右龍のように兵力を持った参加者もそうだが、そうでない参加者にも平等に武器や力を与え殺し合いに追い込む。
その渦中に連れてこられたことに初めは苛ついていたが、巻き込まれたゲームは想像以上にセレブロを愉しませるものだった。
たまには裏側からでなく盤上の駒として、暗躍を繰り返すのも悪くない。むしろ新鮮に感じられたくらいだ。
ただ楽しい。ただ高揚する。未知の遊戯を前にする享楽。
興奮がアドレナリンとなり奪い取った脳に溢れ出て、鬼方カヨコの顔が感情に沿ってぐにゃりと歪んだ。
更に、自身の寄生した鬼方カヨコもまた、彼を高揚させる理由だった。
忍者と魔法少女の攻撃を受け軽傷で済んだのは、ペダニウムゼットンのバリア。PZウォールの強力さや、早期にテレポートでの逃げを選択できたことは要因ではある。
だがそれ以上にキヴォトスの神秘を有する鬼方カヨコが、通常の人間とは比較にならないほど頑強だったことも無関係ではない。
ゲームの序盤で失うには惜しい。そうセレブロに思わせるほどに、鬼方カヨコは優秀だ。
無論、ゲームの駒として。
使い捨てができる道具として。
殺し合いの遊戯は彼も好むもの。自分をまきこんだ羂索への怒りなど、とっくに残っていない。
あるのはただ、虫を千切り殺す子供のような。純粋な楽しみだけ。
「キエテ カレカレータ……(いい気分だ)」
もっともっと盛り上げてやる。あわよくば俺好みに作り替えてやる。
そういわんばかりの悍ましい笑顔には、鬼方カヨコの表情は欠片も残っていなかった。
【セレブロ@ウルトラマンZ】
状態:興奮(大)
服装:鬼方カヨコと同一
装備:鬼方カヨコ@ブルーアーカイブ
ウルトラゼットライザー@ウルトラマンZ ベリアルメダル・ゼットンメダル・キングジョーメダル@ウルトラマンZ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:このゲームを楽しむ
01:キヴォトスの神秘、頑強で面白い
02:羂索たちのゲームは実にいい 俺がもっと盛り上げてやる
参戦時期:ウルトラマントリガー・エピソードZ終了後
備考
【鬼方カヨコ@ブルーアーカイブ】
状態:セレブロにより意識不明・洗脳状態 ダメージ(中) 痺れ(小)
服装:普段の服装
装備:ウルトラゼットライザー@ウルトラマンZ ベリアルメダル・ゼットンメダル・キングジョーメダル@ウルトラマンZ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:キヴォトスの生徒が参加していないか探す。現在はセレブロにより自意識が封じられている
01:キエテ カレカレータ…
参戦時期:対策委員会編2章終了後
備考 各イベント・便利屋日誌における出来事をどこまで経験しているかは、後述の書き手様にお任せします
◆◇◆◇◆
砕けた外壁にもたれ掛かり、薫子と右龍は先ほどの怪獣について話し合っていた。
暫く周囲を探したが、この近くで自分たち以外の参加者は見つからなかった。
戦闘の巻き添えで死んだ人がいないのは僥倖だったが、テレポートで消えた怪獣もといヘイローを持つ少女も見つからなかったということだ。
「それで、怪獣(デカブツ)に変身した女の子ってのはどんな奴だったんだ?」
「ん〜年はウチと同じくらい。白黒の髪に黒いパーカー。
頭にはあの羂索とかいうんと同じで輪っかが浮いとる。羂索と違うて灰色やったけど。」
ぱちぱちと桃色の髪留めを止めながら、薫子は右龍に説明を続ける。
彼女の支給品。魔界777能力(道具)の1つ、泥の指輪(イビルディバーシ―)には魔力を回復する効果がある。
ペダニウムゼットンとの戦闘で疲弊した薫子にとって、これ以上ないアイテムだ。
「何より、様子がおかしかったのは間違いないな。
感情が感じられんというか……あの女本人がやろうとしてる感じがなかったんよな。
全然しゃべらへん悪の幹部は知っとるけど、ああいうのはもっと無表情なりに感情があるもんなんやけどな。」
「成程。」
エノルミータの幹部、ネロアリスのことを薫子は思い出す。
まともにしゃべった姿を見たことがなく、そもそもほとんど知らない相手だ。
だが数度見た限りでは、鬼方カヨコのように無表情ではあっても無感情ではなかったはずなのだ。
鬼方カヨコのことは、ネロアリス以上に知らない薫子だ。名前さえ知らないし、はっきり言って興味もない。
だがあの少女が自分の意思で怪獣に変身し、町を破壊し自分を殺す一歩手前まで追い込んだのかと聞かれると。即答で断言できないほど、少女の様子はおかしかった。
「それで、嬢ちゃんはどう推測(おも)う。その無感情のカラクリが何かあるってことなんだろ?」
「何かに操られてるとかやろな。例えば、あのルルーシュとかいうスカした奴みたいな。
自分で考えたり、自分の意思で動いたりできひんようになってるんやないかと思うんや。」
薫子の言葉に、「成程な。」と右龍も同意する。
あの謎の空間で見せたルルーシュなる青年の異能(ちから)。制約こそあれ、人を操るにはあれ程適したものはないだろう。
ルルーシュだけではない。同様の能力を持った参加者や類似した効果の支給品もあるだろう。
「どっちにしたって不愉快(いけすか)ねえ話だな。
……ちなみに、そう考えた根拠を聞いてもいいか?」
「……ああいう洗脳系で、昔ひどい目にあったとだけ言うとくわ。」
ネロアリスのドールハウスで、幼子のように仲間の乳房を貪る恥辱を天川薫子は思い出す。
顔を真っ赤にして言い渋る薫子に、「……まあ、言いたくないことまでは聞かねえよ。」と右龍は大人の対応を見せた。
気を聞かせてくれた右龍にそれ以上何も言わず、髪留めを全て止め終えた薫子は立ち上がり体を伸ばす。
話題の切り替え。というより、今後の行動についての話だ。
「オッサン。殺し合いとかする気ないやろ?ちょっと手ぇ組まへん?
うちの力はさっきの戦いで分かったやろうし、今なら安くしたるで」
共闘の持ちかけ。
互いにPZウォールを破壊するほどの攻撃力を持った参加者だ。その実力は確信できたし、その後の会話で互いに殺し合いに否定的なことは分かっていた。
待っていましたといわんばかりに、右龍はニッと笑顔を向けた。
「殺し合いは当然論外(しねえ)し。共闘はバリバリ了承(オーケー)だぜ。
お嬢ちゃんが言わなきゃ、こっちから言おうと思ってたくれーによ。」
薫子の華奢ながら芯の強い手と、右龍の骨太な手ががっしりと握られる。
両者はともに、悪の敵。
対峙するのが悪の組織か極道かの違いはあり、その環境もまるで違うが。
その精神(なかみ)はよく似ていた。
「あの怪獣(デカブツ)は嬢ちゃんから見てそれだけ危険だってコトだろ。
俺から見ても電撃に光線に防壁(バリア)に転送(テレポート)なんざ、危険な奴に持たせていいものだとは思えねえしな。
……あいつはブッ殺さなきゃならねえ。それが変身した嬢ちゃんなのか、その裏にいる誰かなのかは知らなきゃならねえがな。」
「ええな。分かりやすうて話が早いわ。
うちも全く同じ気持ちや。
いずれはこんなバカバカしいイベントに巻き込んだ羂索も倒さなあかんけど、優先するんはあの怪獣や。」
いずれはこの遊戯(ゲーム)を終わらせたい2人だが。目下の敵はあの怪獣だ。
平気で町を壊し、人を襲い。それを成す力があり。
――恐らく、何者かにより精神を支配されている少女。
自分の領域(なわばり)で悪を成す相手には、彼ら/彼女らは必ず現れる。
正義のヒロインの誇りを胸に。
忍者の矜持を生き様で示す。
ここにいるのは、そんな2つの雷(せんし)だ。
滅んだ町の只中で、彼らの決意が叫(とどろい)た。
「「あのデカブツは、必ずブッ潰(ころ)す!」」
【天川薫子@魔法少女にあこがれて】
状態:疲労(大) ダメージ(中)
服装:学生服
装備:トランスアイテム@魔法少女にあこがれて 泥の指輪@魔人探偵脳嚙ネウロ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:殺し合いに巻き込んだクソッタレをぶん殴る
01:頭に輪っかつけてる連中にはロクなのがおらんな
02:あの怪獣(=セレブロ)は絶対に倒す。
03:騒がしいオッサンやけど強いな。これで変身しとらんのやから恐れ入るわ
参戦時期:アニメ13話以降 おおむね原作24話以降
備考 鬼方カヨコが正気ではないと思っていますが、その理由や状況までは分かりません。
現状としてはルルーシュのギアスを疑っています
【邪樹右龍@忍者と極道】
状態:疲労(軽)
服装:私服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:殺し合いを終わらせる デカブツ=セレブロは倒す
01:女の子が怪獣みてーになっちまうとは。
02:忍っちの好きなプリンセスみてーな嬢ちゃんだが 見た目以上に気骨(ガッツ)があるな!
参戦時期:幼狂死亡友戯終了後から極契大壊嘯までの間 原作82話〜87話のいずれか
備考
【支給品一覧】
ウルトラゼットライザー@ウルトラマンZ&ベリアルメダル・ゼットンメダル・キングジョーメダル@ウルトラマンZ
・鬼方カヨコに支給
ウルトラマンあるいは怪獣のメダルを3枚使用することで、変身や必殺技の発動が可能になるデバイス。
現在はウルトラマンベリアル・ゼットン・キングジョーのメダルで『ベリアル融合獣 ペダニウムゼットン』へと変身が可能である。
本ロワにおいては変身後のサイズは3mほどであり、攻撃の威力も本来のものより格段に劣る。
また、本来のウルトラゼットライザーには別空間であるインナースペースを作る機能があるが、本ロワではオミットされている。
トランスアイテム@魔法少女にあこがれて
天川薫子に支給 薫子を魔法少女マジアサルファに変身するためのハート型のアイテム
手のひらに収まるサイズであり、これを手にして「トランスマジア」と唱えることで変身が可能になる
泥の指輪@魔人探偵脳嚙ネウロ
天川薫子に支給
魔力の詰まった魔界の電池であり、束ねるあるいは噛み砕くことで魔力を回復することが出来る
本ロワにおいては”魔力”およびそれに類する力は世界に問わず回復が可能である
投下終了です
こんばんは。
面白そうなので投下させていただきます。
コンペLSロワに投下して落選した作品を一部手直しした作品になります。
殺し合いの会場の中を、条河麻耶が必死に逃げ惑う。
そしてそんな彼女を特撮ヒーローめいた、騎士風の仮面をかぶった少年が追いかけていた。
マヤはここに飛ばされた当初、どことなくヒーロー然としたその男に話しかけようとしたが、それを見た男は仮面越しにでもわかるほどの邪悪な笑みを浮かべた後、こぶしを握り締めて彼女に殴りかかろうとしてきたのだ。
その突然の出来事に思わず呆気に取られてしまったマヤだったがすぐに我を取り戻してその場から逃げ出していた。
「わはは――!!くらえ、ライダーキーック!!」
だがそうやってしばらく彼女が逃げ続けていると、男のその叫びと共に彼女の膝から下の部分に灼熱感が襲い、彼女は走っていた時の勢いのままに地面へと転がっていってしまった。
「…いっ…あがあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁっっっ!!?!?」
そしてうつぶせの状態で倒れ込んでしまった彼女は自らの足を確認すると、そこには不自然な方向に曲がっている上に折れて鋭く尖った骨が筋肉と皮膚を突き破って露出している光景があった。
当然ながら彼女は泣き叫んだ。これ以上ないというくらいに声を張り上げ、喉が張り裂けんばかりに絶叫を上げたのだ。
「ライダァ〜〜……、キーック!!キーック!!うわはははははーっ!!!」
しかし男はそれでも容赦せず、そう叫びながら彼は足をへし折られて地面に倒れ込んだ彼女の背中を何度も踏みつけていったのだ。
「がっ!ぎっ!いっいぎぃぃぃぃぃっっっ!!!」
当然そんなことをされて痛がらないはずもなくマヤは彼に踏みつけられるたびに背骨にひびが入るほどの凄まじい苦痛を与えられて何度もうめき声をあげ、時には絶叫したがそれでも男は彼女の背中を強く踏みつけていった。
「わははは!!とどめだオラー!!」
そうやってしばらくすると男はなんと、その言葉と共にまるでサッカーするかの如く彼女の顔めがけて蹴りを入れ、吹き飛ばしたのだ。
「ぐあぁあああっ!?」
それにより彼女はゴロゴロと地面の上を転がっていくとそのまま壁に激突し仰向けの状態でようやく止まったが、その蹴りによって鼻の骨が砕かれたのかそこがつぶれてしまい大量の鼻血を噴き出した状態になってしまい、更には先ほど折れた脚はその衝撃でどこかへ千切れ飛んでしまうという有様だった。
「く……そぉ…………」
だがそれでもまだ意識があったようでマヤは這ってでもなんとか逃げようとしたのだがそこで仮面の男からさらに追い打ちをかけられてしまう。
「よっしゃー!!じゃあそろそろ死ねやオラァア!!」
そう言うとその男はマヤの身体に馬乗りになった状態で、彼女の顔を両の拳で幾度となく殴打してきた。
「ぶっ!げほっ!ごぼぉおっ!」
それにより口の中を切り歯も何本か折れてしまった彼女は口から赤い泡を吹き出し始め、愛らしい顔は無残に腫れあがっていきその面影を無くし始めていった。
「な゛…な゛んでぇぇ…ごんなごどぉぉぉ……ずんだよぉぉぉ……!わだじがぁ…何じだっで…言う゛んだよぉお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛……!!」
そんな状態で彼女は叫んだ。何故こんな酷い事をするんだと、涙と鼻水と血にまみれた顔でそう叫んだ。
「楽しいからだよ!こうやって圧倒的な力で他人を甚振っていくのがよ!!」
しかしそれに男はとても残酷な言葉で答えた。ただ楽しいから、人をいたぶるのが楽しいからだと、殴る手を一切止めることなくそう答えたのだ。
「ざけんな゛ぁあ゛あ゛……!ぜっだいゆるざねぇえぞぉぉぉ……!!」
それを聞いた瞬間マヤはほとんど見えていないその瞳に殺意を込めて目の前の男を見つめるとそう叫び散らした。だが、それも無駄に終わることになる。
「うるせぇ!黙れクソアマが!!」
そう言って男はまた彼女を殴りつけたからだ。そしてそれが何度も繰り返されるうちに次第に彼女の反応が無くなっていき、やがて完全に動かなくなったところでやっと男は彼女の上から降りた。
「うーわ、ブッサイクなツラ!」
そうして幾度となく殴打されたことでマヤの顔はボロ雑巾のような無残に変わり果てたものとなり、それを見た男は彼女の死体に向かってそう吐き捨てるのだった。
【条河麻耶@ご注文はうさぎですか? 死亡】
「よーし、まずは一人目だ!本日もオレさま絶好調ー!!わはははは!!」
そして彼女が完全に死亡したことを確認した男は両腕を天高く上げた状態でピースをし、悪辣とした笑みを浮かべながら下種な悪党としか言いようのない笑い声をあげていた。
この邪悪としか言いようのない男の名は"仮面ライダー龍騎"。仮面ライダーしかおらず、ライダー同士が戦う異世界において非道の限りを尽くした戦い方で勝利を重ね、契約モンスターにすらその命を狙われるほどに人望の無い腐れ外道である。
そんな彼が何故このようなことをしているのかと言うとそれは至極単純な理由であった。
「この調子で全員ぶっ殺して、その後にあのいけ好かねぇの全員ぶっ殺してヤツらの力を全部奪って、全ての異世界をオレのものにしてやるぜー!!」
それは今までのライダーたちとの戦いとは違い、今度の戦いでは最後に生き残った者の願いが叶うというものだったからだ。
彼はそれを使って自らの夢である『すべての異世界を我がものにして好き勝手やる』という身勝手な願いを叶えるつもりだったのだ。
そして自分の欲望を満たすためだけに何人もの命を奪い、これからもまた同じように誰かを犠牲にしていく『最低、最悪、最凶の仮面ライダー』がこの殺し合いの会場に放たれるのだった……。
【竜生(仮面ライダー龍騎)@駈斗戦士仮面ライダーズ 超変身ギャグ外伝!!】
状態:健康
服装:仮面ライダー龍騎そのものの姿、返り血まみれ
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×2〜6(条河麻耶の分もあり)
思考
基本:優勝してあの気に食わない主催者どもを全員ぶっ殺した後、ありとあらゆる世界をこの手で征服する。
01:手当たり次第に戦い、全員ぶっ殺す。
02:使えそうなやつがいたら同盟を結んで、用が済んだらさっさと裏切って殺す。
03:卑怯?汚い?正義のライダー失格?知るか!勝負は勝てばいいんだよ!!
04:あー、早くだれかぶっ殺してぇー。
参戦時期:最終回、ようやく元の世界に帰れると思った矢先に真のライダーNo.1決定戦が始まった後。
備考
※参戦作品の関係上、変身を解くことができず常に仮面ライダー龍騎の姿となっています。また制限により、サバイブ龍騎からノーマルの龍騎に戻されています。
※条河麻耶のディパックに入っていたランダムアイテムは、すべて抜き取りました。
投下終了です。
以上、ありがとうございました。
TruULbUYroさん
お気になさらず。コンペですので書きたい出したいが被ることは必然です(●^o^●)
長文ではなく大作の投下お疲れ様です!
私も投下します。
猫を飼うことはできても 支配することはできない。
Kate Sanborn
ドルルルルル ド ド ド ド ド
ガトリングの鳴り響く音。
それは周囲を破壊する音。
しかし、その破壊を招いているのは、人ではない……”ネコ”であった。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「ふぅ……まっ、とりあえず問題なく使えることがわかったな」
満足そうに武器をしまうネコ。
ネコの名はクロ。特に血統書つきでもなく雑種のどこにでもいるような元黒猫。
親しき者たちからは”クロちゃん”と呼ばれる元黒猫。
なぜ”元”がつくのか。
それは、世界征服をたくらむドクター剛によりサイボーグへと改造されてしまったからなのだ。
ボディもサイボーグなだけあって、メタリックボディなので、ゲーセンから手に入れた中国製のぬいぐるみをかぶっている。
「それにしても、殺し合いねぇ……作者の奴、ネタ切れなのか?」
いつものように飼い主であるじーさん、ばーさんの家の縁側で気持ちよく昼寝をしていた。
それがいつもまにやら、寝てる間に拉致され頭をパカっとする変態な女の身体をした人間に殺し合いを命じられたのだ。
ジャングルに異世界と様々な舞台で暴れたが、ここにきて”殺し合いのゲーム”
だが、だんじて作者の横内なおき先生は関係ない。いやありません。
「ま、あの頭パカ人間をぶん殴れば、帰れるだろ?なら、オイラがやることはいつも通り暴れまわるしかないよな」
ニヤリと笑う。
破壊のプリンスは変わらない。
羂索の言うことに従う道理はない。いつものように暴れるだけ。
バグスターウイルスで飼うことはできてもゲームで支配することが出来ない。
「……ん?あの人影は」
クロの視線の先には、必死に走ってくる女の子が見えた。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「……」
とぼとぼと歩く少女。
思い悩むその表情は、見る者にも悲痛や悲愴を抱かせる。
アンタ、知ってんの? 昔この辺りで暮らしてたアタシ達狼が、どうしていなくなったのか!
「私は……」
人間は、オイラ達狼を危険な獣だと決めつけて、攻撃してきた…
「貴方たちと友達になりたかったの……」
アタシ達は、住みかを追われて、数を減らし、そして、絶滅した・・・
絶滅したのは、アンタ達人間のせいなんだよ!
「……っ!」
そんな相手と仲良く友達になんかなれると思う?
なれる訳ねぇ! なりたくもねぇ!
「やっぱり、悪いのは私達なの?」
世界中の動物と友達になりたい。
それが、いろはの夢。
そんないろはの前に壁が現れた。
簡単には乗り越えられない壁。
それは、人間という種全体に憎しみを抱く動物。
二ホンオオカミだけではない。
二ホンカモシカ、ドードー、モアと人の手で絶滅させられた動物はたくさんいる。
それは、人間の暗部。
答えが出せない。
この問題に真摯に向き合い、自分なりの答えが出ない限り、わんだふるな未来はありえない。
しして、ここにきて殺し合い。命を奪い合う。
正に犬飼いろはの現実(じごく)
ガルルルルル ドルルルル!!!!!
「な、何!?まさか……始めてるの!?」
突如、けたたましい音が耳に響く。
それはTVや映画でしか耳にしたことが無い音……銃声。
脳裏に浮かぶ。
こむぎが……悟君が……まゆちゃんにユキちゃんが、血の池に斃れこんでいる姿が。
最悪の光景が。
はぁ…!はぁ……!
自然と息が荒くなる。
足が震える。
だけど、この音から逃げちゃいけない。
もし、逃げたら二度とトラメ・ザクロ(二人)と仲良くできないと思うから―――
そう思ったら足は動いていた。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「殺し合いなんてダメだよ!今すぐやめてっ!……ってあれ?」
「ミー!ミー!」
「……」
「なんだ……空耳か」
いろは、はトボトボと立ち去ろうとする。
汗をダラダラと流しながらそれを見送るクロ。
(ふぅ〜〜〜〜、あぶねぇ、あぶねぇ。オイラが喋れることを知られたらメンド―になるところだった)
見知らぬ人間との同行なんて、暴れるには邪魔。
クロはふぅ〜と安堵の息を漏らすと……
「やっぱり、喋ってたよね!?それに腕についてるそのレジスター!ってことは、私と同じ参加者!?もしかして、ニコガーデンと何か関係あったりする!?」
「わ――っ!」
「「……」」
「忘れろ――――!!!」
シパー―――ン!
「あいたぁ!?」
犬飼いろは。この最悪な日は、人生で初めてネコに回し蹴りをくらった日でもある。
【クロ(キッド)@サイボーグクロちゃん(漫画)】
状態:正常、ウキウキ
服装:中国製の黒猫のぬいぐるみ
装備:ガトリング砲とラッシー君@サイボーグクロちゃん
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:暴れようとウキウキ 頭パカ人間(羂索)をボコして帰る
01:忘れろ――!
02:目の前の人間に対応する
03:殺し合いねぇ……まっオイラがやることはいつも通り暴れることだよな
参戦時期:本編終了後
備考
※内蔵されているミサイルは一度きりしか使えません。
ガトリング砲とラッシー君@サイボーグクロちゃん
クロに支給。
腕に装着するドラム式のガトリング砲。
銃撃用ロボ。体内に弾薬が大量にある。本ゲームでは、ガトリング砲とセットで支給されている。
「キッド」だ!頭によくたたき込んどけbyキッド(クロちゃん)
【犬飼いろは@わんだふるぷりきゅあ !】
状態:正常、狼たちへの罪悪感(大)
服装:普段の私服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:殺し合いにはのらない、なんとかして帰る
01:あいたぁ!?
02:目の前の喋るネコと会話する
03:こむぎ……悟君にまゆちゃんにユキちゃんもいるのかな?
04:悪いのは私達人間なの?
参戦時期:29話終了直後
備考
投下終了します。
投下します
俺が賽の目を振る。一が出る。
死神が賽の目を振る。六が出る。
俺が賽の目を振る。一が出る。
死神が賽の目を振る。六が出る。
俺が賽の目を振る。一が出る。
死神が賽の目を振り、俺は───
森を抜けた先にある開けた草原。
岩などの遮蔽物は多少あれど身を隠せるものではなく、殆どは草原だ。
そよ風に合わせ、金属のぶつかり合う甲高い音が周囲へと響き渡る。
甲高い音を、刃を交えているのは二人の男女だ。
一人は紫の和服の男。武士や侍と言った風貌をしており、
必死の形相で刀を振るい続ける姿は、鬼と言うほかないだろう。
「お前を殺して優勝する! それ以外に俺の双六に上がりはないんだよぉッ!!」
同じく刀を持った、紅白の学生服の少女が一撃を受け止めるも、
そのパワーに圧され、地面を後ずさりする形ではあるが攻撃を防ぐ。
攻撃こそ防いだものの、相手の強さに驚嘆と同時に───少しだけワクワクしていた。
(この人、強い! 剣の腕もだけど、力もすごくある!)
少女、衛藤可奈美は剣術オタクだ。
趣味が立ち合いであり、ことあるごとに立ち合いを所望するぐらいに。
「何を笑っているんだ貴様はぁ!!」
命がけの殺し合いと言う最中であっても、それが隠しきれてなかった。
とは言えこれは刀使同士との立ち合いではない。本物の死と隣り合わせの命がけの戦い。
ワクワクこそしているものの、一方でその強さと圧には少しばかり圧倒されかける。
彼女が持つ武器は千鳥でもなければ、御刀でもない別の刀だ。
刀使としての力は扱えないまま戦うことになっていた。
続けざまにくる力強い剣戟を可奈美は受け止めず、なるべく避けを優先する。
八幡力なくしてはこの男との打ち合いは危険と判断。事実、この男は木を一刀で伏せる威力だ。
生半可な防御では受けきれない上に素早い太刀筋を相手に可奈美は攻めすら許されない。
(凄く追い詰められてる剣……この人にも負けられない理由がきっとあるんだ。)
可奈美は剣を交えることで相手を理解することがある。
事実、今相対している男、五大院宗繁は後がない男だ。
妾の子の首を売ってもその鬼畜の所業故に新田方から追い出され、
最後の手段となる正室の子である北条時行を狙うもこれに失敗。
最期は逃げながら戦うという奇抜な戦法により、首を刎ねられて死んだ。
素早く状況に適応できるのが五大院の長所。
生きるためであれば主君の子すら秒で売れるほどの鬼畜な武将だ。
故に生き返った瞬間の行動は一択だった。この殺し合いと言う名の双六を踏破し返り咲く。
理想を叶える力が本当であるということは、自身の復活で身をもって理解していた。
理想を叶えれられれば足利など目ではない。
自分が天下に上り詰めることだって可能なはずだ。
故に彼の行動に迷いなどなく、しかし命がけの戦い。
自分だけが優位でないことは分かっており、死に物狂いで相手の命を狙う。
賽の目を、双六で素早く上がるためにはまず必要なのは支給品を追加で手に入れる。
それに選ばれたのが偶然この草原で見かけた可奈美と言うわけだ。
何の偶然か、時行と戦った場所に酷似した場所ではあるがそんなことはどうでもよかった。
「ちょこまかと時行みてえに逃げよって……だが俺にはこれがある。」
踏み込むと同時に前方へと跳躍しながら肉薄し、真一文字の斬撃を行う。
しかしただの水平斬りではない、可奈美は一瞬錯覚した。
攻撃の際、流れる水のような勢いがあり、太刀筋が急に変わったと。
「水の呼吸、壱の型水面斬り!」
迫る一撃を手に持つ刀で受け流すように防いだものの、
続けざまにその勢いを維持したまま横へ回転してからの突き技。
速度が上がった突き技を回避は完全には間に合わず、首筋に血が滴る。
ただでさえ早かった太刀筋が、さらに速度が増していた。
「ハーハッハッハ! どうだ! 鬼をも殺す技術の呼吸だ!
そーどすきるとは何やら奇怪な名前に疑念を抱いたが、
使ってみればどうだ、こういうこともできるんだよぉ!!
この力があれば時行なんぞ、その逃げにも劣る貴様も敵ではないわぁ!」
五大院が持つ刀は富岡義勇の日輪刀。
それに内包されるのは鬼を殺すための呼吸の中でも古参たる『水の呼吸』。
護衛を任される程度に強い剣の腕、木をも刀で倒せる膂力、そして水の呼吸。
元より格上の鬼を狩るための呼吸により賽の鬼はより力を増して迫ってくる。
迫る攻撃を受け止めるだけの力がない可奈美には防戦一方だった。
上空から降り注ぐ滝壷を転がるように回避し、
流れるように迫る流流舞いを受け流す形で攻撃を正面からは受け取らない。
(こいつ、ただのガキじゃないな。太刀筋は俺よりもいい。
何処かの武家の出の者とみるが、得物の長さのせいで全力を出し切れてないな!)
攻めているのは五大院だ。それは誰が見てもそう答えるだろう。
可奈美は必死に対応をし続ける。彼女は別に逃げ上手ではない。
水車、打ち潮、ねじれ渦。水の呼吸から繰り出される数々の技を前に、
避けに徹するのは容易ではなく、避けきれず刀傷を増やしていく。
しかし、だ。
(何故だ、何故当たらなくなってきた!?)
剣術オタクであり、天賦の才を持つ可奈美にとって、
剣術を基礎に沿った技が基本とされる水の呼吸は相性が最悪に近かった。
加えて水の呼吸は元々攻めよりも防御に重きを置いた呼吸でもあるのも大きい。
もしも彼が得たのが炎の呼吸や風の呼吸であればより優位に戦えただろうが、
攻撃に慣れ始め、その身に受ける傷の回数も僅かな時間で被弾はなくなっていき、
水の呼吸をもってしても避ける、受け流すことにより最初の時と変わらない展開になる。
(相手は時行ではないのだぞ! 全力も出し切れてない、
こんな小娘一人に俺の双六が立ち止まっていいはずが……)
攻撃が当たらなくなってきてることに次第に焦り始める五大院。
水面斬りを可奈美がジャンプする形で回避された瞬間、
彼の目には信じられない光景を目の当たりにした。
「確か…… 捌の型、滝壷!」
可奈美が呼吸を整えると、刃を縦に振るう。
単なる見様見真似の一撃。容易く防いで反撃しようとしたその時だ。
五大院にも見えた。まるで彼女の刃が滝のように迫ってくるのを。
受けては刀が折れるのでは? とすら錯覚しかねないその一撃。
防ぐことをやめて咄嗟に距離を取ってからの雫波紋突き。
「参の型、流流舞い!」
それを流れるような太刀筋で弾き、五大院の刀を手放させようと指を狙うも、
攻撃の動きに気付いた五大院が距離を更に取ることで失敗に終わる。
「い、今のは滝壷に流流舞い……だと? 何故貴様がそれを扱える!?」
相手が使ってきたのは見様見真似ではない。
完全に彼が使用し、そして再現されている水の呼吸だ。
刀の一撃にも重みが出ており、呼吸による身体能力の底上げもされていた
今まで防戦一方だった以上ソードスキルはなかったはず。
だというのに今の動きは完全に水の呼吸のそれである。
「私の刀にも、ソードスキルがあるからだよ。」
可奈美が持つ刀もまた、ソードスキルが内包されていた。
英霊へと召し上げられた人斬り、岡田以蔵が所持していた刀。
見た剣技を覚える対人魔剣『始末剣』をソードスキルとして獲得している。
一度見た剣技を忘れない上に努力すればそれを模倣をもできる可奈美に、
一度見てしまえば完全に技を覚えられる始末剣の相性は言うまでもない。
後は天賦の才を持つ可奈美の剣技によってその性能は五大院を上回る。
「……相手の技を模倣できるそーどすきる、だと?
そんな、そんな無法なことがあってたまるかぁーッ!!」
今までソードスキルを使わず戦ってきて、
突然ソードスキルを使うようになってきた。
それが相手の技を模倣するものだと理解してしまう。
理解すると同時に激昂し、力業で刃を振るいまくる。
呼吸は使ってないが元の膂力のある一撃なのは変わらない。
水の呼吸を覚えても可奈美には五大院と決定的な違いがある。
「俺は時代に適応したんだ! 足利の掲げる戦国の時代に!
この殺し合いだってそうだ! ただの乱世と何ら変わらない!
この殺し合いと言う乱世に適応できた俺こそが勝者となるべきだ!」
彼女の剣は荒魂を祓う為にある。人を殺すための剣ではないのだ。
そこが決定的な違いであり、殺そうと思えばいつでも殺せていた。
だがそれをしない。無力化しようと画策して先ほども指を狙っている。
ついでに言えば鎮痛剤となるレジスターが腕にあるのも邪魔な要因の一つだ。
この差が大きな差を生んでおり、可奈美は避けや防御に徹せざるをえなかった。
「刀を手にしとる癖に腰の引けた小娘なんぞに俺が倒されてたまるかぁッ!!」
攻撃を避け続ける可奈美ではあったが、
ついに受け流すことができず一太刀を防いでしまう。
宙を舞う刀。無手となる可奈美に五大院の日輪刀を防ぐ手段は存在しない。
「取ったぁ! 刀のない貴様に水の呼吸の真似事なんぞできるかぁ!!」
滝壷によって振り下ろされる日輪刀。
頭から下半身まで両断するであろう一撃を、可奈美は左へと避ける。
それまでは別によかった。すぐに着地し水面斬りに対応すればいいだけの話だと。
問題はそこではない。高速で振り下ろされた日輪刀の柄を右手で掴み、峰の部分を左手で抑える。
可奈美が柄を始点に回すと、五大院の手から日輪刀が離れていったのだ。
『逆取り』と呼ばれる無刀取りの一つであり、テコの原理を利用して刀を奪い取る技。
刀の振るった威力を利用しているため無理に逆らえば刀が勢いで急所に突き刺さり致命の一撃。
此処で逃げるとしても刀を放棄すると言う選択に迫られる。
自分へと襲い掛かる刃を回避するべく距離を取るものの、
今度は逆に五大院自身が無手となってしまう。
「降参して。刀は返せないけど、私は命までは取らないから。」
日輪刀を向けながら、地面に突き刺さった以蔵の刀も回収する可奈美。
水の呼吸は身体能力を底上げする能力も備わっている。
五大院は確かに強いが、相手が呼吸を使ってくる以上、
逃げきれるかどうかが怪しい。この間の思考は凄まじく短い。
状況に適応するのが長所。それが五大院なのだから。
「グヌヌ……ああ、わかった、降参───」
故に選ぶのは休戦、撤退だ。
この殺し合いの乱世で殺さないなどと言う、
時行よりも甘っちょろい考えを持つ小娘なぞ容易に騙せる。
まだ武器は残されている。故に此処では身を引くのが先決。
「ちょっと待ちな。」
そんな五大院の考えを崩す男が一人現れた。
茶髪で黒い服に身を包んだ、壮年の男性。
少々厚着ではあるが、それ以外は何処にでもいそうな青年だ。
彼が手に持つそれが何かを理解してる可奈美は、
咄嗟に刀を握りしめて構えるも男が先に右手を突き出し制する。
「お前に向けるつもりはねえ。
一部始終は見ていたからな。
おっさん。今から俺の質問に答えろ。
嘘は吐くなよ? 吐けばこいつをぶっ放す。」
「な、なんだその黒い物は?」
「チッ、銃すら知らねえ人間まで呼んでるのかよ……ほらよ、こういう武器だ。」
近くの木へと向けると、銃声と共に木の側面を抉り取る。
当時中国では存在していたとはいえ鎌倉時代の日本人に、現代の銃など理解が及ばない。
だが今ので分かった。あんなのが当たってしまえば確実に殺されると。
甘っちょろいガキと違って事と次第で本当に殺すと言う目をしている。
だから慎重に言葉を選ぶ。
「当たれば痛いじゃ済まねえぞ。名前は?」
「ご、五大院宗繁だ。」
「殺し合いには乗ってるのか?」
「も、もう乗らない! 俺は無手だぞ!? 戦う術なんぞもうない……」
パン、と乾いた音が響く。
五大院の足元に銃弾が撃ち込まれ、
一瞬撃たれたと勘違いして彼はへたり込んでしまう。
「特別に外してやった。『顔をよく見せながら』本当のことを言いな。
もしも次に嘘を吐いたら眉間にぶち込む。二度目はないと思えよ。」
何故嘘と分かったのか。
可奈美と五大院には分からない。
ただ分かるのは彼には次がないということだ。
「待って! この人はもう戦意がないんだよ!」
「これ以上殺し合いに乗ってない奴を殺さないって誓えるか?」
可奈美の言葉を無視し、男は淡々と問いかける。
「お、俺はもう死にたくないんだ!
必要ならアンタらにだっていくらでも媚びを売る!
だからお願いだ! 命までは取らないでくれ! 頼む!
誓う! 誓うとも! 殺し合いに乗ってない奴は殺さない!」
必死に土下座をして命乞いをする。
生きるためであればどんなことでもする意地汚さ。
本当に必死であり嘘ではないと可奈美は感じていた。
「ああ、そうかい。分かったぜ。」
分かってくれたのか。
涙や鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を上げる五大院。
よかった。この死の淵において生き延びることができたと。
殺し合いを諦め、生存の道をこの二人とともに獲得する。
(俺のツキはまだ終わっちゃいない。まだ双六は続いている!!)
当然嘘である。
彼は隙を見計らって銃を奪い、形勢逆転を狙うつもりだった。
『特別に外してやった。『顔をよく見せながら』本当のことを言いな。次に嘘を吐いたら眉間にぶち込む。』
(『顔をよく見せながら』と強調したのがてめえの失策だ、青二才!)
五大院は聞き逃さなかった。
相手は嘘を見抜くことができるのは事実だろう。
一方で『顔を見ながら言葉を聞かなければ分からない』のだと。
だから事実を交えながら土下座をして顔を隠し嘘を吐きとおした。
撃たれる可能性はゼロではなかったが、その博打を乗り越えて相手からの信頼を得ることができた。
双六はまだ終わりを迎えたわけじゃない。盤面はまだひっくり返ってない。
賽の目を振る機会は残されていると。
顔を上げると同時に、宣言通り眉間に風穴を空けられていた。
「……何、故?」
それが五大院の最期の言葉だった。
草原に倒れ、何故嘘がばれたかも分からず。
二度目の双六もまた、死神に刈り取られる形で終わりを迎える。
「なん、で……どうして撃ったの!? 殺さないって誓ったって……」
「お前、試しに嘘が混ざった発言をしてみろ。」
「え?」
「いいから答えな。それでわかる。」
「えっと、衛藤可奈美です。平城学館に通ってる刀使の十四歳で……あ、後納豆が好きです。」
「その中だと平城学館に通ってるのが嘘だな。
俺は相手の嘘が『言葉』で分かる。そう言う能力を持っているんだよ。」
嘘発見器(トゥルーオアライ)。
それが彼、前坂隆二が所有する異能(シギル)だ。
だからわかる。五大院は最後の誓いの言葉は嘘だと。
曖昧だったりはぐらかされると異能は発揮することができないので、
わざと嘘が吐けるように、念のため導線を敷いて罠を張っておいた。
そうして問いかけたら相手は引っかかり二度目の嘘を吐いた。
故に引き金を引いたわけである。
「こいつも途中までは本音だったさ。
だがちゃんと警告した上であいつは最後の殺さないことを誓えなかった。
だから撃った。納得できねえだろうが、そう言う世界なんだよ此処も……」
倒れる五大院から支給品を回収しながらリュウジは可奈美と話す。
ダーウィンズゲーム。リュウジがこの舞台に来る前から参加していた命懸けのゲーム。
子供を狙うのは少々寝覚めが悪いとは思う程度には良心はあるものの、人を撃つ覚悟はできている。
可奈美は違うのだろうと言うことは、先の戦い方を見て分かった。相手から無手で刀を実戦で奪えるなど、
シェエランのような卓越した技術でもない限り不可能だし、その後の行動だってそのまま斬ればいいのに、
降参を要求する辺り異能を使うまでもない。彼女は割り切れないだろうし、殺し合いにも乗らない。
スイのようなえげつない強さを持ってこそいるものの、人を殺めることには抵抗のある人物。
レインのような見る目が特別あるわけではないリュウジでも十分に理解できる人柄だ。
「にしても真剣の扱いは得意だったみたいだな。何をしてたんだ?」
「さっきも言ったけど、刀使って言う人を守る仕事を……」
荒魂を祓う為に御刀を振るう。
それが刀使の役割であることを説明する。
子供や学生が刀を使って治安維持とはどんな世界だよ、
とは突っ込みたくなったがダーウィンズゲームも似たようなものだ。
表沙汰にならないデスゲームを定期でやってる世界のことを考えると、
彼女の世界の方はよほどましな部類だと言えるだろう。
「……ありえない話ではないから話しておくか。
もしも王(ワン)がいたら気をつけろ。ドレッドヘアーの極悪面の男だ。
話し合いは通じねえ。此処にいたら確実にゲームに乗るし、見かけたら即座に殺す方がいい。」
五大院は銃を見ても何か分からなかった。
そこに嘘はなく、恰好を含め過去の人間であることは間違いない。
となればいてもおかしくない。過去に死んだ人間が此処にいる可能性。
奴が復活しているなら、もう一度息の根を止める。そう可奈美に語る。
「……って言ってできそうにないのは分かってるよ。
お前はどっちかと言うとスイみたいなタイプだっつーのは……」
「うん。私が斬るのはあくまで荒魂だけだから。
と言っても無力化するのは、難しいけども……」
刀使同士ならば写シで刃傷沙汰にはならないが、
此処ではそううまくはいかない。武装を奪っても、
改めて異能を知った手前無手であろうとも様々な能力が、
説明の際にはS装備のような特殊な支給品もあると言っていた。
いくら人を斬らないと決めた可奈美でも相手を無傷で制圧は不可能だ。
「可奈美。俺と即席でクランを組まねえか?」
「クラン? えっと、チームってことですか?」
「ああ。此処に俺の仲間がいるとも限らねえ。
それに動ける前衛がいる方が俺としては助かる。
銃器には心得があるから後方からのサポートもできるし、
交渉や敵か味方かも、異能の通り俺に任せれば優位に進められる。どうだ?」
「でも私、さっきも言いましたけど人は……」
相手が荒魂やNPC、異形の存在ならば斬れるだろう。
だが相手が人間ならばどうだ。先ほど忠告された王も、
もし相対して本当に斬ることができるかも怪しい。
五大院だって殺意を向けられたのに斬るとしても武器を奪うための腕ぐらいだ。
それも腕を斬り落とすレベルではなく、武器を手放す程度の傷にしようと抑えていた。
「その辺の汚れ仕事は俺がやる。元々殺し合うゲームで生きてきた奴だ。
今更一人二人増えたところで大して変わらねえし、気にする必要もねえ。
分かり合えない敵ってのは必ずどっかにいるもんだ。さっきの男とか、王とかな。」
「……わかり、ました。よろしくお願いします。」
嘘だ。分かってないことは異能で伝わってくる。
分かってないと言うよりは、割り切れないのだろう。
(納得はしきれてねえみてえだが、まあそりゃそうか。
やってることが警察や公務員と変わらない奴で、ガキなんだからな。)
似たような考えであるスイを思い返す。
彼女も最初は人を殺してまで生き残りたくないと言っていた。
けれど、生き残るには時に殺したり見殺しにする必要もあることをエイスとの戦いで思い知ったはずだ。
可奈美もきっと、それをこれから理解することになるだろう。
【五大院宗繁@逃げ上手の若君 死亡】
【前坂隆二(リュウジ)@ダーウィンズゲーム】
状態:健康
服装:Dゲーム時のもの、防弾装備@ダーウィンズゲーム(ただし、スカルフェイスはなし)
装備:ブラックテイル(弾数7/9)@バイオハザードRe:4、予備の弾(27発)
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3(自分の分0〜1、五大院の分0〜2)、SA・ホットライン
思考
基本:Dゲームじゃないみたいだしとりあえず様子見。
00:可奈美と行動する。
01:王が生きてたら絶対に仕留める。
参戦時期:少なくともエイス壊滅以降
備考
※名簿の名前が前坂隆二かリュウジかは採用され次第お任せします
【衛藤可奈美@刀使ノ巫女】
状態:迷い、刀傷(軽微)
服装:美濃関学院制服
装備:岡田以蔵の刀@Fate/Grand Order
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、富岡義勇の日輪刀@鬼滅の刃、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いには乗らない。
00:人は斬らない……できるの?
01:リュウジさんと行動。
参戦時期:アニメ本編終了後
備考
※岡田以蔵の刀のソードスキル『始末剣』により、
大半の水の呼吸のソードスキルを覚えています。
支給品解説
・富岡義勇の日輪刀@鬼滅の刃
五大院に支給。悪鬼滅殺の四文字が刻まれた刀身が青い刀。
使用する場合ソードスキル『水の呼吸』が使用可能。
呼吸を使用するに伴い身体能力が上昇する。
富岡義勇の日輪刀であるため拾壱の型『凪』も使用可能。
……身体能力がついていければの話ではあるが。
・岡田以蔵の刀@Fate/Grand Order
可奈美に支給。史実では肥前忠広を使用していたとされているが、
FGOでもこの名前が出たことはなく、便宜上岡田以蔵の刀と表記する。
使用する場合、見た剣技を覚えるソードスキル『始末剣』が使用可能。
習得した剣技は他者に渡っても引き継がれることはない。
・ブラックテイル(弾数7/9)@バイオハザードRe:4
リュウジに支給。作中における最も優秀なハンドガン。
弾丸の装填数は初期レベルの9。
・防弾装備@ダーウィンズゲーム
リュウジの支給品、と言うよりデフォルトの装備。
特筆すべきことはない、黒い防弾装備。
以上で投下終了です
投下します
「なんということでござる……」
まるで時代劇から出てきたようなサムライ口調に、派手派手の金色の靴に陣羽織のコスプレチックな格好の男がこの世の終わりかのような表情で膝をついている。
彼の名前は空蝉丸。
宇宙の悪魔デーボスから地球を守った強き竜の者、獣電戦隊キョウリュウジャーの一員にして、獣電竜プテラゴードンに認められた戦士、雷鳴の勇者キョウリュウゴールドである。
その気になれば恐竜とも生身で戦えるだけの力と、宇宙からの脅威などとの経験から羂索のような蛇蝎磨羯の類との交戦経験もある彼がどうしてこうも取り乱しているかといえば……
「またしても拙者のせいでこのような事態になってしまったのでござろうか?」
つい最近、空蝉丸は一切の悪意なく歴史的ターニングポイントで最もやってはならないことをやらかしたせいで星どころか宇宙の命運を根底から覆してしまった事があるのだ。
その時は自分で自分の責任を取ったのと、キングこと桐生ダイゴを始めとした他の獣電戦隊の面々や王様戦隊キングオージャーの活躍もあり歴史を修正することが出来たが、今回は空蝉丸自身も囚われの身であり、戦隊ほどではないが共闘したこともある仮面ライダーに魔戒騎士や呪詛師などの今まで全く耳にしたことのない存在や無辜の人々も大いに巻き込んでしまっている。
「何としてもどうにかしなければまたキング殿の家系図が滅茶苦茶になったり新しい宇蟲王が生まれたり拙者が結婚できずに死んでプロボーラーのひ孫が生まれないなんてことになるかもしれないでござる!」
何を言ってるか全く理解できないだろううが、全て以前のやらかしのせいで現実になりかけてしまった事の数々である。
最悪の未来が確定されるのを阻止するべく、空蝉丸は走り出した。
「まずは一刻も早くこの剣を届けねば!
流牙殿ー!道外流牙殿ー!」
【空蝉丸@獣電戦隊キョウリュウジャー】
状態:決意と罪の意識(大)
服装:いつもの服装
装備:牙狼剣@牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者
ガブリチェンジャー@獣電戦隊キョウリュウジャー
ザンダーサンダー@獣電戦隊キョウリュウジャー
6番の獣電池×6@獣電戦隊キョウリュウジャー
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:このバトルロワイヤルを止めるでござる
01:もしや、また拙者のせいなのでは?
02:獣電池は6本のみ。50時間持ってくれると良いのでござるが
03:流牙殿にこの剣を届けるでござる。
参戦時期:宇蟲王イーヴィルキングを倒した後
備考
※このバトルロワイヤルがまた自分が引き起こしたタイムパラドックスのせいなのでは?と思っています。
【支給品解説】
・牙狼剣@牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者
…空蝉丸@獣電戦隊キョウリュウジャーに支給。
人に憑依し、人を喰らう魔獣ホラーに有効打を与え封印出来る武器、魔戒剣の一種。
赤い鞘が特徴。
歴代のガロの鎧の継承者に認められたものが使う事でガロの鎧を召喚できる。
ソウルメタルと呼ばれる魔界の金属で出来ており、月の満ち欠けや使用者の精神に呼応して性質が変化する特性を持つ。
また、ソウルメタルは武器に加工するとその力が解放されている状態では腕に男性の人骨を埋め込むなど相当な無茶、無理をしない限り女性が振るう事が出来なくなり(特殊な鞘などで封じていれば持てることもある)、逆に言えば男性ならば戦士でなくとも言って以上の精神的爆発があれば持ち上げるぐらいは出来る。
魔戒騎士が鎧を召喚するとそれに合わせて変化し、その力も強力になる。
・ガブリチェンジャー@獣電戦隊キョウリュウジャー
…空蝉丸@獣電戦隊キョウリュウジャーに支給。
6番の獣電池×6が付属する。
獣電戦隊の創設者、賢神トリンがその命を削って造り上げたガントレット型変身アイテム。
6番の獣電池を装填し後部レバーを引きながら待機音にあわせて舞い踊り、解放することでキョウリュウチェンジが実行。
使用者をキョウリュウゴールドに変身させる。
エネルギークロスボウと仕込み刃が内蔵されており武器としても使用可能。
・ザンダーサンダー@獣電戦隊キョウリュウジャー
…空蝉丸@獣電戦隊キョウリュウジャーに支給。
直列獣電剣とも称されるキョウリュウゴールド専用の片刃剣。
エネルギーライフルとしても使える。
刀身内に最大三本の獣電池を装填できるスロットがあり、装填した獣電池に応じた技を使用可能。
空蝉丸は変身前後問わず使用する。
♦♦♦
「ハックション!」
同じころ、空蝉丸が探す魔戒騎士は制服姿の少女、そして緑色のシャツの若い男とともに歩いていた。
「道外さん、風邪ですか?」
心配そうに流牙の顔を覗き込む制服の少女は柳瀬舞衣。
美濃関学院に所属する学生にして、荒魂と呼ばれる負の神性から生じる異形から人界を守る巫女、刀使の一人である。
「いや、なんでもない。
羂索あたりにでも噂されているのかな?」
そう言って道外流牙は少しだけ鼻をすする。
「まあ、考えてみれば体調不良の人間同士が殺し合ってるのを眺めても面白くないか」
そう言って緑色のシャツの男、空蝉丸と同じ獣電戦隊の一員にして、獣電竜ザクトルに認められた斬撃の勇者、キョウリュウグリーンその人である。
『もし羂索の意図が戦士たちの殺し合いを見世物にすることならば、体調は万全、あるいは50時間ならば戦闘続行に支障がない者を選んでいるでしょう』
舞衣の左手から舞衣のとは違う女性の声がする。
見ると中指に見慣れない女性の顔を模した指輪が嵌められている。
魔導輪と呼ばれる魔戒の戦士の使う魔導具の一種で、人間を暴食しないホラーの魂をソウルメタルの器に宿すことでホラーの探知機兼知恵袋として働く物だ。
舞衣に支給された者はイルヴァといい、本来は光斬騎士ザンゴの相棒なのだが、今は事件を解決した後に寿命を100分食べさせる契約を舞衣と結んでいる。
「でも羂索はゲームと言ってたし、元々の能力を考慮してばらんバランスを考えてるってことはない?
私や道外さんの剣の事とかもあるし」
舞衣の持つ御刀は彼女に適合した孫六兼元ではなく舞衣の仲間の一人では古波蔵エレンの越前康継、流牙の持つ剣も牙狼剣ではなく戦死した仲間の一人であるイグスの使っていた魔戒剣である。
「確かに間合いや握り心地とか、全く問題ないとは言い難いが、大事なのは剣の種類や鎧の称号じゃない」
「それって……」
『舞衣、流牙、ソウジ。お客様がお見えです』
舞衣が何か言いかけた時、前方から二体の人影が現れた。
青い肌と三葉虫やオパビニアの様な意匠を持つ怪人だ。
「カンブリ魔!」
「立風館さん、知っているんですか?」
「ああ。10年前に元は断ってやったはずなんだが、羂索たちが俺の記憶から再現したか」
「悪しき魂、それも偽物なら遠慮はいらないな」
流牙はイグスの剣を、ソウジはガブリカリバーを引き抜く。
「舞衣、少しだけ時間を稼いでくれるか?」
「はい!」
越前康継を片手に写シを張りながら飛び出す舞衣。
パワー任せのカンブリ魔に対して良い眼を持つゆえに立ち回っている。
親友の衛藤可奈美みたいな剣術マニア、という訳ではないが、立ち振る舞いや構えから流牙もソウジも一級の使い手だとは見抜いていた。
ならば自分の仕事は確実に二人のトドメに繋げる事。
『舞衣!今です』
迅移を発動してその場を離脱する。
ふり返った舞衣が見たのは
「トリニティストレイザー!」
「閃光剣舞!」
緑色の光を纏ったソウジの三連撃。
そして金色の光で拘束した後に強烈な横一閃を放つ流牙の姿だった。
「すごい……」
『調子が悪いという訳ではなさそうですね』
「平時で2から3割減。
その気になれば1割とちょっと減る程度で済むって感じかな。
そっちは?」
「俺も似たような感じだ。
鎧召喚やキョウリュウチェンジ、だったか?
となると話が変わってくると思うが」
「魔戒の鎧は99.9秒しか持たないんだろう?
いざとなったら俺が一番前に出る」
「そっちこそ、変身の電池は使い切りが6個しかないんだろう?
50時間もつか?」
「もたせるさ。
その為にも流牙、舞衣ちゃん、イルヴァ。
力、貸してくれる?」
「ああ。」
「もちろんです」
『私も微力ながらお手伝いさせていただきます』
【立風館ソウジ@獣電戦隊キョウリュウジャー】
状態:健康、疲労(小)
服装:私服
装備:ガブリカリバー@獣電戦隊キョウリュウジャー
ガブリボルバー@獣電戦隊キョウリュウジャー
4番の獣電池×6@獣電戦隊キョウリュウジャー
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:この殺し合いを止める
01:流牙、舞衣ちゃん、イルヴァと行動する。
02:レジスターに削がれた力は全体で1〜3割減、ってところかな。
03もし来ているなら他の獣電戦隊の面々や流牙や舞衣ちゃんたちの仲間を探す。
戦えない人が来ているなら助ける。
04:羂索や名前だけ出たクルーゼや茅場に関して知ってる人も探す。
参戦時期:キングオージャ―VSキョウリュウジャー終了後
備考
※
【道外流牙@牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者】
状態:健康、疲労(小)
服装:魔法衣
装備:イグスの魔戒剣@牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:守りし者としての使命を全うする。
01:ソウジ、舞衣、イルヴァたちと行動する。
02:現状力は1から3割ぐらい削がれてるか。
03:イグス、もう少し力を貸してくれ。
04:羂索、人を纏う怪人たるお前はホラーも同然。
お前とその一味の企てを打ち砕き、牙狼剣を取り戻す。
参戦時期:ハガネを継ぐ者終了後
備考
※ハガネの鎧は令呪無しでも召喚出来ますが、牙狼の鎧は牙狼剣が手元にある状態で令呪を使わなければ召喚できません。
【柳瀬舞衣@刀使ノ巫女】
状態:健康、疲労(小)
服装:美濃関学院の制服(女子用)
装備:越前康継@刀使ノ巫女
魔導輪イルヴァ@牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:刀使として戦う。
01:道外さん、立風館さん、イルヴァと行動する。
02:よろしくね、イルヴァ。
03:可奈美ちゃんたちや、道外さんたちの仲間を探す。
戦えない人たちが居たら助ける。
04:道外さんたちの剣、可奈美ちゃんが見たら何て言うだろう?
参戦時期:少なくともアニメ本編12話以降
備考
※魔導輪イルヴァと契約しました。
【支給品解説】
・ガブリカリバー@獣電戦隊キョウリュウジャー
…立風館ソウジ@獣電戦隊キョウリュウジャーに支給。
獣電戦隊の共通装備の1つである片刃剣。
変身前後を問わず使用可能。
装填した獣電池に応じた技を発動可能。
変形させてガブリボルバーと合体させることでガブルキャノンにもなる。
刀身はかなり頑丈だがかなり無理な使い方をすると流石に折れる。
・ガブリボルバー@獣電戦隊キョウリュウジャー
…立風館ソウジ@獣電戦隊キョウリュウジャーに支給。
4番の獣電池×6が付属する。
初代キョウリュウバイオレットであるドクター・ウルシェードが開発した獣電戦隊の共通装備の1つにして変身アイテムである銃。
変身前後を問わず使用可能。
獣電池を二本装填可能なスロットがついており、そこに獣電池を装填することで変身を始めとした獣電池の能力の解放を行う。
変形させたガブリカリバーと合体させることでガブルキャノンにもなる。
また、ガブティラ・デ・カーニバルと合体させることでガブリカーニバルにもなる。
・イグスの魔戒剣@牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者
…道外流牙@牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者に支給。
アゴラの三剣士と称された魔戒騎士の一人、イグスが使っていた魔戒剣。
魔戒剣その物の性能に関しては牙狼剣の項目を参照。
この件で召喚される鎧はハガネと呼ばれるあらゆる名付きの鎧の原型になった鎧で、前任者が認めた者が使う事でハガネを召喚できる。
流牙はイグスに認められているのでイグスが使っていたハガネを召喚できる。
・越前康継@刀使ノ巫女
…柳瀬舞衣@刀使ノ巫女に支給。
珠鋼という特殊な金属で出来た日本刀、御刀の一種。
適合者は古波蔵エレン。
御刀は一部例外はあるが正の神性を持ち折れたり錆びたりすることがないく、適合者は御刀に触れた状態であれば写シや迅移などの特殊能力が使えるようになる。
当ゲームでは女性ならば刀使や適合者でなてもある程度その力を引き出せる。
・魔導輪イルヴァ@牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者
…柳瀬舞衣@刀使ノ巫女に支給。
光斬騎士ザンゴの相棒である魔導輪。
性別は女性。基本下の名前で呼び捨てだが、それ以外は礼儀正しい敬語口調で喋る。
CV鈴村ゆか
魔導輪の中身は人間に友好的なホラーであるため、当然人間の命を主食とする。
その為魔導輪と契約する場合、一か月に一日だけ仮死状態になる日が生じるが、今回の舞衣との契約は50時間限定の為、100分間と普段より対価は短くなっている。
投下終了です。
タイトルは 企画主が牙狼書かなかったら誰も書かないよね です
投下します
「とんでもねぇ事になったな…」
俺の名前は南雲梗平、殺し合いに巻き込まれた武闘派ヤクザだ。
「…獲物を引けたって言うのは幸先が良かったが…どうするか…」
俺が引いたのはなんと愛用の山鎌に火炎瓶…それと、奇妙な形状と色をした果物らしきものであった。
「まぁ…使えそうな物は沢山ありそうなところに呼ばれたみたいだが…」
俺の運ばれた位置は大通りのど真ん中…周りにはスーパーマーケットやホームセンターなどが点在していた。
「とにかくだ…探索をしなくちゃ、何も始まら…」
「待ってくれなお兄さん」
「ん…?」
振り向いた先にいたのは、車椅子に乗って、ルールブックらしき物を持っている女の子だった。
…こんな幼い子まで参加させてるとは…心底反吐が出るぜ…羂索。
「やぁお嬢さん、もしかして君も巻き込まれたのかな?」
「えぇ、その通りです、急に呼ばれて何が何だか…名乗りがまだでしたな、私は八神はやて」
はやて、と名乗ったその少女は、車椅子をこちらに近づける。
「俺の名前は南雲梗平、よろしくな、はやてちゃん」
「南雲さんか、よろしくお願いします」
「ところでだはやてちゃん、そのルールブック、読み解いてたのかい?」
「えぇ、何かしらの情報把握と、それと…友達が載ってないかなと…」
そんな話をしている最中だった。
(ん…?なんだ…このドローンみてぇな音…)
俺が後ろを振り向いた先にいたのは。
「なんだ…これ?」
そこにあったのは、オレンジ色のドローンのようなものであった。
(なんだ…なにか不味い…!)
瞬間、俺の感はあたった。
「ッ!不味いはやてちゃん!下がる!」
「きゃっ!」
そのドローンらしきものが放ってきたのは、弾丸のような物だった。
急いで後退した俺たちは、安全を確保したあと、戦闘の準備を整える。
「クソがぁ!なんだあれは!」
「…多分ですけど、NPCモンスターじゃないかと思います、もしくは人の乗った機動兵器か…」
クソ、どっちにしろ不味い!
(山鎌でやれる材質か…?幸いにも…俺にはこれがあったが)
「…ここは俺に任せてくれ、はやてちゃん」
「え…?南雲さん、何を」
天羽組武闘派、「山鎌の南雲」それが俺だ。
武闘派名乗っている以上、芋引くわけにはいかねぇ。
「行くぞぉ!ドローンさんよぉ!」
俺は猛ダッシュで走り抜ける!
片手には地面に極限まで近づけた火炎瓶!
そして摩擦で発火する!
「炎よもーえーろ!」
火炎瓶を投げつける、しかし、投げようとした場所が分離して当たらない!
さらに弾丸が俺の肩に当たる!
「やってくれるな!クソッ!」
無用に人のビットが近づいてくる、完全に俺を舐めてやがる。
「おらぁ!」
材質はそこまでであった、俺が力を振るえば、その分離したビットは一つ壊された!
「おらぁ!続けてこいや!」
そう啖呵をきった瞬間であった
(なんだ…またなんか来る…!?)
俺もドローンも動きが止まる、本当に語りかけてくるような獣の鳴き声。
その正体は…上だった。
「ヒッ!?」
「何が来やがった!」
俺たちの後ろに龍が現れた、頭は左右非対称、漆黒に染まった魔龍だ。
「ッ!危ない!逃げて!」
「な…」
既に爪がはやてちゃんの方向に振り下ろされる!
「やめろぉぉぉぉぉ!」
「い、いやや…こんなところでやだ…助け…」
叫びは虚しく終わった。
「嘘…だろ?」
魔龍が完全に、車椅子ごと…叩き潰しやがった。
「てめぇぇぇぇ!何しやがる!」
しかし、俺より先に動いたやつがいた、ドローンだ!
3つのビットともに攻勢をかける!しかし!
「!?!?!?!?」
ドローンのビットは軽く飛んだ龍に全て落とされる、さらにドローン本体も…そのまま爪の餌食となった!
「おいごら…無視してんじゃねぇぞ…」
武闘派として舐められ、挙げ句女の子を殺しやがった…到底許せねぇ…
「行くぞ!両足ぶった――」
そう言って戦闘の構えを取った瞬間には、そいつから発せられた謎の霧みたいなのから。
意識が、き、エ。
◆
望まれなかった龍は、荒れ狂う。
周りの建物を壊しながら、男と少女とNPCの死体をすり潰していく。
それでも、この苦しみは止まない。
彼が望むのは、すべての、鏖殺のみ。
【八神はやて@魔法少女リリカルなのはA's 死亡】
【南雲梗平@ヒューマンバグ大学 死亡】
【混沌呻くゴアマガラ@モンスターハンターシリーズ】
状態:健康?
服装:なし
装備:なし
令呪:残り三画
道具:
思考
基本:皆殺し
01:全員殺す
参戦時期:ハンター討伐前
備考
※ランダム支給品×1〜3、SA・ホットラインがどこにあるかは、採用された際におまかせします
南雲梗平と八神はやての支給品はすべて消失しました
【支給品解説】
・南雲の山鎌@ヒューマンバグ大学
南雲の愛用している山鎌、南雲の代名詞。
本来の用途と違うはずの人体の切断にも、南雲の技量であら不思議、まるで刃物のような扱いに。
・火炎瓶@ヒューマンバグ大学
天羽組元構成員、南田の使っていた火炎瓶、南雲に直伝されている。
普通の火炎瓶と違いバターが入っており、相手に絡み、火が途切れないようにさせている。
NPC解説
メビウスゼロ@機動戦士ガンダムSEED
地球連邦のMA、メビウスの原型機。
4つのガンバレルを装着し、かの「エンデュミオンの鷹」ムウ・ラ・フラガの愛機でもある。
投下終了です
ss0601氏の代理で投下します。
みんな、望んでいた。
私が国王になることを。
私の意思など、きっとさほど重要ではなかったのだろう。
(ホントウに?)
アルくんは王位継承権を失った。
残る王族は……私だけ。
そう、ミンナのため。
顔も知らない誰かのため。
そして、何より……ユフィが人であるため。
私の魂を、心臓を、意思を、時間を。
パレッティア王国に捧げなければならない。
だが、私には王たる資格……魔法がない。
でも、その問題はクリア出来る可能性が高い。
羂索とやらが示したこのゲームの結末の一つ、ひとりだけが生き残る最終勝利。
これを達成すれば、恐らく……。
(あの子はでも……)
いまだに、心の奥底で燻る声。
それを黙らせるかのように、私は起動鍵を手にする。
目の前には、恐らく民間人だった少女が1人。
ちょうどいい、王冠を手にするための生贄一号はあの子にしよう。
「アニスフィア・ウィン・パレッティア、プロヴィデンス……行くよ!」
「あぁ、もう! おにぃがあたしを無理やりベッドの下に押し込むから……えぇい!」
あたし……周防有希は実の兄にドッキリを仕掛けたら、ベッドの下に押し込められてしまった……そして、気づいたら。
「チッ、ちょこまかと……!」
あのゴツいパワードスーツを駆る怖ーいお姉さんに追いかけ回される羽目に。
まったく……ヤンデレものは二次元だから良いのであって、三次元に出て来られたらただただ迷惑なんだっつーの!
「でもまぁ……あたしの支給品にも起動鍵があったのは不幸中の幸いかな? って、危な!」
自分の真横に飛んできたビームにヒヤヒヤしながらも、あたしに支給された機体であるガンダムデュナメスの存在に感謝する。
もし、コレが支給されずに生身だったら……まぁ間違いなく死んでいただろう。
にしても、空を飛び回るというのは新鮮だ。
あたしの居た世界には、少なくとも人型の飛行物体はなかったし、あたしは別に飛行機のパイロットでもない。
だから、凄く新鮮だ。
もし、あたしを追いかけてくる存在が居なければ楽しめもしたのだろうが……。
相手のビームを避けた後に、あたしも牽制として飛行しながらGNビームピストルで何発か撃ち返す。
当然、ついさっきまで一般人だったあたしにアレを撃ち落とすことなど出来ない。
でも、射撃をすればアレは回避軌道を強いられる。
その分、あたしはアレから距離をおけるが……さて、いつまでこのチキンレースが続けられるかが問題だ。
「当たらない……でも、これなら! 堕ちろ!!!」
と、パワードスーツを駆る少女が叫ぶと同時に、複数のビットのようなものが飛んでくる。
「あっ……」
終わった。
そう悟った瞬間、ビットから発射されたビームによってデュナメスの機体はボロボロになっていた。
そして、空を飛ぶための動力を失ったデュナメスは地へと落ちる。
背中に衝撃を感じた瞬間、パワードスーツが解除され容赦なく強い衝撃があたしの身体を襲う。
「アッ……グ……!!! こん……な、ところ……で……ッ!」
死から逃れようと立ちあがろうとするが、上手く身体が動かない。
そして、あの機体が地上へと降りてきて、私の頭にライフルの銃口を突きつける。
あぁ、こんな……こんなところで……。
もっとしたい事があった。
成さなければならないことがあった。
でも、それらをあたしは叶えることが出来ない。
だって、ココで彼女の願いの生け贄になるのだから。
「ハ、ハハッ。あたしの願いを殺して……アナタは願いを叶えるんだ? 」
「……そうだね」
「でもきっと、未来は……多分ないよ? そんな叶え方をしても、きっと不幸になる」
「分かってる。それでも……私は叶えなきゃいけない。みんな、それを望んでるから。それに、愛する人をバケモノにしたくない」
「愛する人のため……か。そっか、そうだよね……それならしょうがない、か」
まさか、最後にあたしを殺す人と話せるとは。
でも、おかげで分かったことがある。
彼女は、きっといい人なんだろう。
だから、コレしか選べなかった。
悲しい話だ。
まぁ、ここで退場するあたしには関係ない話だが。
あばよ、兄者。あたしは先に……逝くよ。
「さようなら……ッ!」
彼女がライフルのトリガーに手をかけた正にその時。
金色の何かが、彼女の黒いパワードスーツに激突し、吹き飛ばされた。
そして、そんな光景をアホ面晒しながら見ていたあたしを守るように、金色の不死鳥が舞い降りる。
「今度は、今度こそ、私は……人を救ってみせる! お願い…… 力を貸して、ガンダム!」
【アニスフィア・ウィン・パレッティア@転生王女と天才令嬢の魔法革命】
状態:鉄心
服装:王女としていつも着ている服
装備:プロヴィデンスの起動鍵@ガンダムSEED
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:この殺し合いにのる
01:私が……パレッティアの国王だ!
02:みんなを贄に捧げる。
03:これが……私の選んだ道。その先が断頭台だとしても……。
参戦時期:アニメ11話から
備考:特になし
【周防有希@時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん】
状態:恐怖(小)、負傷(中)
服装:制服
装備:ガンダム デュナメスの起動鍵@ガンダム00
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:生きのびる
01:兄や友人も来てるのかな?
02:あたし……助かった?
参戦時期:アニメ5話から
備考:特になし
……私が殺した。
私が……お父さんを殺したんだ。
救わないと、救わないと。
これは私の義務。これは私の贖罪。
だから……。
力を貸して、フェネクス。
【宵崎奏@プロジェクトセカイ カラフルステージ feat. 初音ミク】
状態:覚悟、精神的ストレス(大)
服装:制服(中学)
装備:フェネクスの起動鍵@ 機動戦士ガンダムNT、超感覚@ソードアート・オンライン
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:他の参加者を助ける
01:救わないと……
参戦時期:お父さんが入院した直後
備考:特になし
代理投下終了です。
タイトルは 燻んだ願望器 です
投下します
殺し合いに巻き込まれた場合における当然の反応とは何か。
堀北鈴音のように戦慄し、非日常へ引き摺り込まれた現状へ混乱を抱く。
一ノ瀬宝太郎のように非道を強いる者達へ怒り、打倒主催者を決意する。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアのように可能な限りの情報を引き出し、勝利までのルートを組み立てる。
三人共に生まれた世界、取り巻く環境は違えど共通点は同じ。
羂索に言われるがまま他者の命を奪う事を良しとしない。
尤も、あくまで例として彼らを挙げたに過ぎない。
羂索達が参加者へ望むのは殺し合いだ。
手を取り合い自分達を倒す結末を口では否定せずとも、全ての参加者が互いに友好的かと問われれば否である。
上記の三人とは正反対、他者を蹴落としただ一人に許された願望成就の権利を奪う。
優勝狙いの危険な参加者も、当然の如くこの地へ招待を受けている。
正史では有り得ぬ邂逅を果たす、今宵二人の主演が該当者だった。
「よう、お互いこんな目に遭って災難だな?自己紹介代わりに、同情でもしてやりたいくらいだ」
姿を捉えるや否や、口火を切る銀髪の青年。
紡がれる軽薄な言葉に、現状への不安は全くと言って良い程感じられない。
むしろ己が置かれた異常事態を歓迎してる節すらあり、出会う全員に警戒心を抱かせるだろう。
「はっ、白々しいな。せめて笑いを隠したらどうだ?」
とはいえ、相対者もまた真っ当な倫理観の持ち主とは言い難い。
黒いジャケットを羽織った男は青年の戯言を鼻で笑う。
小馬鹿にする表情は強がりでもハッタリでもない、青年と同じく殺し合いへ恐怖を感じていない。
お互いを見下す不遜な視線が交差し、揃って確信を抱く。
同類だ、命を弄び、奪い、地獄を生み出す事を一切の躊躇無しにやってのける。
善の正反対、悪に分類される者だと。
彼らの個人的な心情としては、外れた道を平然と進む輩は嫌いじゃあない。
が、生憎勝ち残るべき勝者は一人だけ。
玉座を譲ってる気質はどちらも持ち合わせておらず、となればやる事は決まったも同然。
「悲しいもんだ。折角会えたってのに、仲良くなることも許されないなんてな」
「悪いが、俺は一人で良い。友達作りはあの世でやってろ!」
駆け出す男の右手に煌めく刃。
青年と出会う少し前、スタート位置の民家から拝借した刃物の一本。
本来の使用用途とは大きく異なり、包丁が青年の首を狙う。
疾走から得物を取り出し、急所を的確に狙うまで動きに無駄が無い。
男が殺しに慣れている何よりの証拠。
「ツレない奴だ。殺し合うにしても、もう少しお喋りを楽しむ気は無いのか?」
一瞬で決着が付けば文句なしの結果。
だがそれが現実にならないとは男も予想出来たこと。
青年の佇まいは一見隙だらけでありながら、その実どこから攻めても即座に殺せる予感がしなかった。
現にどうだ、手練れの傭兵ですら対処困難な一撃は防がれたではないか。
いつの間にやら手には鍔の無い長剣が、鞘から出さずに刃を阻止。
肉を斬る手応えを感じなかった瞬間に、次の動作へ移行。
腕を引っ込め蹴りを放つ、靴底が叩いたのは胴体に非ず。
包丁同様剣に防がれダメージには至らず、僅かに後退したのみ。
問題無い、僅かなりとも体勢を崩せば良い。
青年の視界から男が消失。
隙とも呼べぬ余りに短い猶予で死角へ動き、右手を突き出した。
狙うは心臓、左胸に切っ先が吸い込まれる。
「惜しかったな?俺じゃなけりゃ殺せてた、それは保障してやるよ」
得物を握る感覚が右手から消え、間髪入れずに胸を熱さが襲う。
包丁を蹴り飛ばし、男の手を離れ即座に青年がキャッチ。
逆に心臓を突き刺されたと、理解出来る者は実行した青年本人のみ。
実力はあったようだが自分には及ばない、これで一人脱落者が決定。
「その言葉、そっくりそのまま返してやろう。俺じゃ無けりゃお前が勝ってたかもな」
男がただの人間ならばの話だが。
目を細め距離を取り、男の様子を観察。
包丁は正確に心臓の位置を貫いた。
仮に即死を免れても、立ったまま平然と言葉を話せるのは不可能な筈。
青年の疑問を嘲笑うように包丁を引き抜き投げ捨てる。
今しがたの言葉に嘘はない。
自分で無ければ決着は付いた、敵の戦闘技能は中々のもの。
ならばこちらも、少しばかり本気を見せてやるとしよう。
「喜べ、風都や財団の連中意外じゃこれを見るのはお前が初だ」
『ETERNAL!』
包丁を捨てたのは間違っても白旗を挙げる為に非ず。
より自身に馴染む力で以て仕留める為だ。
USBメモリを思わせる白い機械が己が名を発し、赤いバックルへ装填。
準備は全て整った。
「変身!」
『ETERNAL!』
黒いジャケット姿から一変、真珠色の装甲が全身を覆う。
一つの汚れも見当たらないボディとは反対に、靡かせたローブは夜の闇よりも濃い黒。
蒼炎が四肢を燃え上がらせ、王冠に似た三本角の下でレンズが発光。
「何だお前…?魔戒騎士、とは別物か?」
「誰と間違えてるかは知らんが教えてやる。仮面ライダー…エターナルだ!」
白い戦士…エターナルが名乗りを上げ戦闘は再開。
得物は先の包丁など鈍ら同然のコンバットナイフ、エターナルエッジ。
武器を片手に標的の元へ疾走。
戦法は変身前と同じでも、速度は圧倒的に今が上。
瞬き一つを終えるかどうかの間に到達、風を切り裂き刃が唸る。
「親切な自己紹介ありがとよ!」
何百と味わった命を刈り取る実感は無し。
刃を阻む刀身と、折れず砕けない感触が小癪な抵抗を訴える。
またもや得物を翳し死を遠ざけた。
先程と違うのは鞘ではなく、抜き身の剣で防御を行った事か。
エターナルの視覚センサーでようやく捉えられた、恐るべき抜刀速度だ。
防いだ体勢のまま押し返さんと力を籠めるもそうはいかない。
エターナルもまた膂力を引き上げ、真正面へと押し出す。
生身で仮面ライダーと鍔迫り合う時点で大したものだが、純粋なパワーは相手が勝る。
みっともなく倒れはしない、しかしよろけてたたらを踏む。
立て直しの時間を与えてやる気は無し、すかさずエターナルエッジが斬り込む。
先の光景の焼き直しと言うには、エターナルが速過ぎる。
今度こそ仕留めた、見物人がいれば断言せざるを得ない。
尤も、青年の方は己のつまらない最期を断じて認めないが。
心臓到達まで1秒も無い中、電光石火の切り上げを難なく成功。
弾いたナイフが再び己を狙い、舞うように華麗に回避。
長剣を片手で一回転し、自分の番とばかりに斬り掛かる。
大人しく攻撃を譲りはしない、反対に喰い殺さんとエターナルエッジが迎え撃つ。
リーチで劣る分、取り回しが勝る点を活かし手数で押す。
機関銃の掃射にも等しい突きの嵐を、巧みに操る長剣がただの一撃も寄せ付けない。
刃と刃が弾かれ合い、先に距離を取ったのは青年。
「礼代わりだ!目を剥いて焼き付けろ!」
エターナルの出現をまるで脅威と思っていない。
楽しくて仕方がないとばかりに笑い、暗黒を身に纏う。
息が止まる程の邪気を放ち、出現するは赤い異形。
騎士にも、或いは狼にも見えるソレは青年が人を捨てた証拠。
より禍々しい形状の剣を構え、再度エターナルと斬り結ぶ。
「何だ、お前も化け物だったのか?なら、人間じゃない奴同士で殺し合うのも悪くないかもなぁっ!」
「あぁ、喜んでくれて何よりだよ。そのまま笑ってご退場すれば文句なしだ!」
異形と化したのはハッタリに非ず、能力が倍以上に強化されているのをエターナルは直に感じ取った。
剣を振るう速度も先程とは別物、大きさとは不釣り合いの勢いで四方八方より刃が襲い来る。
だがこれだけで勝ったと思ってもらっては困る、四肢の炎が激しさを増し刀身を蒼く染め上げた。
刃が互いを喰らい合い、空気の揺れがかまいたちの如き鋭利なものへ変化。
最早近付くだけでも細切れにされ兼ねない、怪物達の死合と化す。
揃って胴体を蹴り付け、別方向へと後退。
ローブと翼を振るえば暴風が発生、地面を削りながら衝突。
生半可な力を宿さないが故にどちらも霧散、舞い散る瓦礫を鬱陶し気に振り払い睨み合う。
「……やめだ」
このまま更なる激戦に発展し、脱落者が出るまで終わらない。
起こり得た展開を否定し剣を納めたのは赤い異形。
荒れ狂う歓喜と殺意が嘘のように散り、気怠い仕草で首を回す。
はいそうですかと同意しないのはエターナルだ。
仮面の下で訝し気な顔を作るも青年はお構いなし。
「このまま殺し合ってもどうせ俺が勝つが…こんな簡単に終わるのも勿体ないからな。お互いもう少し遊んでからでも、問題無いだろ」
「余裕ぶった態度は結構だが、それで俺が納得すると思ってるのか?」
「さぁ?納得しようがしまいが俺はもう決めた。どうしても遊んで欲しけりゃ、気合入れて探しに来るんだな」
広げた翼が再度暴風を発生。
ローブで身を包み凌いだエターナルが見た時にはもう、異形は影も形も見当たらない。
あの一瞬で飛び去った、ということか。
逃げ足の速い、厳密には走ってないので違うか。
「ふん…まぁいい。どうせ俺のやる事は変わらない」
そうだろう?と、力を齎した機械へ向けて笑う。
家族を切り捨て、仲間を切り捨て、二度目の死を迎えて。
それでも自分の手元に渡った、相棒と呼んでも差し支えない永遠の記憶。
己を打ち破った探偵達のような相棒関係とは違う歪さも、笑って受け入れる。
「さぁ、最初に地獄を楽しむのは誰だ?」
三度目の生を受けた悪魔は、生前と変わらぬ笑みをで歩き出す。
風はまだ、吹かない。
いつかのハーモニカの音色は聞こえてこなかった
【大道克己@仮面ライダーW】
状態:疲労(小)
服装:NEVERのジャケット
装備:ロストドライバー&T2エターナルメモリ@仮面ライダーW
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、細胞維持酵素×5@仮面ライダーW、包丁や果物ナイフ数本(現地調達)、SA・ホットライン
思考
基本:優勝し、風都を始め世界を地獄に叩き落とす
01:参加者を探して殺す
02:さっきの奴とは…次に会った時に殺せばいいか
参戦時期:『AtoZ 運命のガイアメモリ』で死亡後。
備考
※NEVERの肉体は映画本編と同じく、定期的に細胞維持酵素を投与しなければ崩壊します。
◆◆◆
全くおかしな事に巻き込まれたと、改めて思う。
復活はこれが初めてではない。
ラダンを巡る戦いで敗れ、復活後も同じ相手に敗れ。
究極の名を欲しいがままにする相手を挑む筈が、何故か此度の殺し合いと来た。
人間如きの病原菌で自分を縛るのは腹立たしいが、かといって魔戒騎士のように仲良く主催を倒そうという気は微塵も無し。
生前と同じく好きにやるだけ。
さっきの男を見逃したのも深い理由はなく、語った内容が全て。
お互い適当に遊んでからでも良いと、そう考えただけ。
のらりくらりと死地を歩き、何もかもを鼻で笑う青年が唯一譲れないもの。
今も生前も、執着するのは一人の男だけ。
「どうせお前もいるんだろ?道外……」
魂まで焼き潰す黄金を思い浮かべ笑う。
ホラー喰いのホラー、ジンガの帰還を祝福するように月は妖しく輝いた。
【ジンガ@牙狼-GARO- 神ノ牙-KAMINOKIBA-】
状態:疲労(小)
服装:着崩した黒い服(いつもの)
装備:ジンガの魔戒剣@牙狼-GARO- 神ノ牙-KAMINOKIBA-
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:好きにやる
01:道外がいれば……
02:さっきの奴がどう暴れるか少し期待
参戦時期:流牙に敗北後〜メシアに挑む前。
備考
【ロストドライバー@仮面ライダーW】
ダブルドライバーのプロトタイプである変身アイテム。これは克己が財団Xから奪ったもの。
メモリを挿入するスロットが一つだけなのが特徴。
対応するガイアメモリを装填し仮面ライダーに変身可能。
単体では意味が無い為、後述するガイアメモリと合わせ一つの支給品扱い。
【T2エターナルメモリ@仮面ライダーW】
永遠の記憶が内包されたガイアメモリ。
T2タイプのメモリであり、コネクタ手術を受けずとも直接人体に刺しドーパントに変身ができる。
ロストドライバーと組み合わせれば仮面ライダーエターナルに変身可能。
【細胞維持酵素@仮面ライダーW】
死者兵士であるNEVERの肉体を維持する為の酵素。
定期的に投与しなければ本来死体であるNEVERは肉体が崩壊してしまう。
【ジンガの魔戒剣@牙狼-GARO- 神ノ牙-KAMINOKIBA-】
ジンガが人間の時から愛用する黒い鞘の魔戒剣。
ホラーに変身すると剣も変化し、リーチと破壊力が増す。
投下終了です
投下します。
先に言っておきます。下ネタ注意です
「なんで……」
殺し合いの会場のどこかで、一人の男が怒りを滲ませた声で呟く。
青いバンダナとどこか露出度が高めな服装が特徴的なこの男の名前はワッカ。
2020年に放送された全ファイナルファンタジー大投票にて、キャラクター部門53位だったユウナのガードである。
ワッカは怒っていた。
それは勿論突如始まった殺し合いについてであったが、殺し合いそのもの以上に違うことに怒っていた。
何なのかというと――
「なんで殺し合いに機械がいんだよ……?
教えはどうなってんだ教えは!
お前ら禁じられた機械を平気で使ってんじゃねえか!
分かってんのか!?
「シン」が生まれたのは人間が機械に甘えたせいだろうが!
命取んのかよ!?」
自身に嵌められた腕輪と、支給品であるSA・ホットラインが機械であるという点だった。
熱心なエボンの信徒であるワッカには、機械という物がとにかく認められないのだ。
さて、ここまでで勘のいい人はこのワッカがどこかおかしいことに気付くだろう。
機械を認められないのはいいとしても、それは殺し合いを差し置いて怒る事ではないし、そんなことを言っている場合ではない。
そう、ここにいるワッカはFF10本編のワッカではない。
2022年にある音MAD動画がきっかけで大ブームになりネットミームと化したワッカである。
この彼は物語序盤から中盤の、熱心なエボンの信徒であるが故に機械やアルベドを忌み嫌う面がクローズアップされているのだ。
その為、彼は今殺し合いを差し置いて機会に怒りを覚えていた。
「くそったれ!」
ワッカはリュックからホットラインを取り出し地面に叩きつける。
そして怒りのままに踏みつぶそうとするが、そこに待ったを掛けるかが如く別の男がワッカの肩に手を掛けた。
「待ちな。そんなに怒ってちゃいい男が台無しだぜ」
「……あんたは?」
ワッカが振り向くと、そこには彼には見慣れない服装であるツナギを着た、どこかワルっぽいいい男がいた。
男を見てワッカは思わずこう思ってしまう。
(ウホッ! いい男……)
「俺は阿部高和。よければあんたの名前も教えてくれないか」
思わず見とれてしまうワッカをよそに、ツナギの男は名乗り、目の前の相手に自己紹介を求めた。
「俺はワッカ。ビサイドオーラカのコーチ兼選手だ」
応じてワッカは自己紹介をした。
そして阿部はこう言った。
「やらないか」
なぜそんなことを言ってしまったのか、阿部当人にも分からない。
だが理由を付けるなら、目の前の相手がいい男だと思ったからだ。
更に理由を付け加えるなら、この殺し合いという異常事態を前に、無意識に普段通りの行いをしたくなったのかもしれない。
そう、阿部高和はホモである。
それも、相手がその気ならノンケでも構わず、公園のトイレで食ってしまうような男である。
そしてこのワッカもホモである。
原作FF10では本編終了後、ルールーという幼馴染の巨乳美女と結婚しているが、ミームの彼は仲間のティーダという男とセックスをする仲である。
ティーダは阿部と違い、ワルっぽい男ではなく青臭く真っすぐなイケメンの年下であり、ワッカの好みであるとは言い難い。
しかし誘われて否を突き付けるには、阿部は少々いい男すぎる。
なのでワッカも思わず乗り気になり、なぜか近くにある公園のトイレに二人で行こうとした。
「俺も混ぜろ。俺ともSEXDAAAAAAAAAA!!」
するとそこに新しい男がエントリーする。
赤と白の鎧を纏った金髪な彼の名前はゼERO。
ニコニコでもうすぐ十七周年を迎えるMAD動画シリーズ『ゼEROシリーズ』に登場するレプリロイドというロボットだ。
もっとも、ロボットなのに異常な性欲を持ち、セックスもすればオナニーもする上うんこもするという、よく分からない存在である。
そしてホモである。
ゼEROシリーズは動画ごとに設定が異なり、ゼEROもホモだったりノンケだったり、ロリコンだったりおっぱいが好きだったりするが、ここにいる彼はホモだ。
突然の登場人物にワッカと阿部は少々面喰いつつも、ゼEROもまたイケメンである。
なので混ざることに否はなく、三人は改めて公園のトイレへと向かおうとする。
しかし――
「注射なんです〜!!」
「あああああああああああああああああ!!」
突如現れた制服を着た女子高生にゼEROは注射針を何本も打ち込み、彼を昏睡させてしまう。
彼女の名前は秋山優花里。彼女もまたゼEROシリーズの人物である。
本来ならガールズ&パンツァーの登場人物であり戦車をこよなく愛する女子高生だが、ゼEROシリーズでは恋愛対象であるゼEROにとにかく媚薬を盛りまくる危険人物である。
それはともかく、優花里は呆気に取られて何もできずにいるワッカと阿部を尻目に、支給品であるぶっとびカードを使用する。
この支給品は使用すると、会場のどこかにランダムで飛ばされる使い捨てアイテムである。
その力で彼女達はどこかへ飛んで行ってしまったのだ。
このスピード感あふれる異常事態に遭遇したワッカと阿部は思った。
流石にセックスとかしてる場合じゃないな、と。
目の前で起こる異様な展開に、二人は一周して冷静になり、賢者モードとなってしまったのだ。
賢者となった二人は決意する。
必ずこの殺し合いをどうにか止めることと、後どう見ても無理矢理攫われた金髪の男(ゼERO)を助けることを。
【ワッカ@ネットミーム】
状態:正常
服装:普段着
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:俺は殺し合いを認めない
01:あいつ(ゼERO)を探す
02:何で殺し合いに機械がいんだよ! 教えはどうなってんだ教えは!?
03:まさか主催者はアルベドじゃないだろうな……!?
04:阿部さん……好みじゃないけどいい男だぜ
05:ティーダのチンポが恋しいぜ……
参戦時期:少なくともティーダと知り合った後
備考
※出展はネットミームですが、殺し合いに参加するまではFF10と同様の冒険をしています。
【阿部高和@くそみそテクニック】
状態:正常
服装:ツナギ
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを何とかしたい
01:ワッカ……いい男だけど今はヤってる場合じゃないな
02:あの赤い男(ゼERO)を探した方がいいよな
参戦時期:本編開始前
◆
一方、転移した優花里とゼEROはというと。
「俺というものがありながらあああああ!!」
たまたま転移先にいた、青を基調としたレプリロイドの男に襲われていた。
彼の名前はSEエックス。ゼEROの同僚であり相棒であり、しょっちゅうセックスしたり幸せなキスをする仲である。
そんなSEエックスは、優花里とゼEROの距離の近さに嫉妬し、支給品である包丁を装備しゼEROへと襲い掛かった。
いや、ゼEROは昏睡してるしどう考えても優花里が悪いだろ、というツッコミはSEエックスには聞こえない。
彼はとにかく、愛しのゼEROが自分以外の誰かと距離が近いことが許せないのだ。
しかし――
ブスリ!
SEエックスは返り討ちにあい、包丁を刺されて死んじゃった。
【SEエックス@ゼERO 死亡】
こうして邪魔者はいなくなり、二人の蜜月が始まる。
誰も秋山優花里を止められない。
【ゼERO@ゼERO】
状態:昏睡
服装:普段着
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:イレギュラーハンターとして殺し合いを止める
01:……
参戦時期:イレギュラーハンターになった以降
備考
※ホモです。
【秋山優花里@ゼERO】
状態:正常
服装:大洗学園の制服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×0〜1、注射器&媚薬×45、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いはしない
01:ゼEROを襲う
参戦時期:ゼEROと出会った以降
備考
※身体能力は一般人並です。多分。
※SEエックスの遺体、彼のリュック(ランダム支給品×0〜2、SA・ホットライン)、西園寺世界の包丁@School Days(アニメ版)は会場のどこかに放置されています。
【支給品解説】
・注射器&媚薬×50@ゼERO
秋山優花里に支給。
注射するとレプリロイドでもなぜか通用し、何本も差せば割と昏睡することもある媚薬入り注射器。
人間に使うとどうなるかは不明だが、本ロワではレプリロイドと同様の効果をもたらす。
・ぶっとびカード@桃太郎電鉄シリーズ
秋山優花里に支給。
使用することで自身をランダムな場所に転移させることができるカード。
使い捨てなので、一度使うとなくなる。
・西園寺世界の包丁@School Days(アニメ版)
SEエックスに支給。
アニメ版School Days最終話で西園寺世界が伊藤誠を刺した包丁。
普通の包丁である
投下終了です
投下します。
何を笑うかによって、その人柄がわかる。
マルセル・パニョル
羂索による殺し合いのゲーム。
一人、目を瞑る少女がいた。
「……駄目です。マップ情報もマッピングできません」
落胆の声を出しながら目を見開く少女。
少女の名はユイ。
「これでは、パパとママがいるかもわかりません……」
キリトとアスナの愛娘。
そして、SAOのメンタルヘルスカウンセリングプログラム試作1号。すなわちAIである。
「でも、あの”茅場”が”茅場晶彦”なら、おそらくパパとママもいるはずです」
勿論、羂索が口に出した”茅場”が自身の生みの親の一人でもある茅場晶彦であるという確証はないが、女の勘というやつか身体が……心がざわつく。
しかし、SAOのプラグラムであった自分をわざわざこうして実体化させる必要があるのだろうか?
「……」
(実体化……ということは、パパとママと生身で触れ合える……)
今まではVMMOでしか、触れることはできなかった。
でも、実体化したのなら、現実でも触れることができる。
ユイの望みは何だい?
それは、愛するパパからの問いかけ。
その返答は今でも変わらない。
だから、自身をもって答えられる。
「私は……私はずっと一緒にいたいです!パパ!ママ!」
デスゲームにはメンタルヘルスカウンセリング は不要だとカーディナルによって切り捨てられた。
だが、二人は自分を必要だと認めてくれた。
娘であると認めてくれたのだ!
だから、会いにいかないと一刻も早く。
家族の一員として、愛する両親の元へ。
「貴様、あのときの妙なプログラムだな?」
ユイの前に現れたのは、妖精王オベイロン……須郷伸之。
愛する両親を苦しめた仇。
☆彡 ☆彡 ☆彡
須郷伸之。
総合電子機器メーカー”レクト”のフルダイブ技術研究部門研究員にしてアルヴヘイム・オンライン、通称ALOのGM【ゲームマスター)
「それにしても茅場のやつ……何度、このボクの邪魔をすれば気が済むんだ」
須郷は怒りを吐露する。
押さえきれぬ怒気。
幾度もなく味合わされる屈辱感。
「貴方は……」
(この人は……ママを悲しませ、パパを苦しませた人!!)
ユイはこのオベイロン(須郷伸之)が参加者にいることから、確信する。
羂索が口にした”茅場”は”茅場晶彦”だと。
そして、目の前の人間は、ALOの世界で愛する2人を
「ところで……先ほどパパとかママとかほざいたけど、まさか君のパパとママは英雄キリト君とアスナ君のことじゃないよな?」
「そうですが……それが何ですか?」
「は!プログラムが人間の真似事をしているなんて滑稽だ」
「ボクは知っているぞ。研究素材を拉致する際、ルーターに細工する過程において、破棄されたデータを含め隅々まで見たが、お前はただのプログラム」
「しかも、おままごとの家族ごっこに興じてるバグだ!」
笑う哂う嗤う。
「あのときは、気づかなかったが、今ならわかる。貴様がキリト(ゴキブリ)を本来なら入れぬ鳥篭へとナビゲートしたんだな!?お前があのとき、余計な手をかさなければ、ボクはアスナ君と無事に挙式を上げていたはずなんだ!このお邪魔蟲のプログラムがぁぁぁぁぁ!」
「いたいっ!」
子供の姿をしてようが、お構いなしに手を挙げる。
赤く腫れた頬を押さえるが、須郷はお構いなしに何度も手をあげる。
何度か叩かれ、地面に倒れこむ。
その姿を須郷は舌なめずりして恍惚の表情を見せる。
「ふぅ……ふぅ……まっ、このゲームの権利でボクの罪に関する記憶を消せば復権できる」
須郷の目的は権利を使い復権をはかること。
「そうすれば、今度こそ誰にも邪魔されずにティターニア……アスナ君と結婚する」
そして、妙案が思い浮かんだのか手をポンと叩くと、次は醜悪な表情を見せる。
「そうだ!アスナ君との子供の名前は”ユイ”と名付けようか!ははは、いい考えだろ〜〜!」
それは、自身に対する侮辱。
目の前の人間は人の心がないのではないか。
「貴方が、ママと子供をつくるですか……くす、面白い冗談……です」
「……なんだと」
「パパと…ママは…相思相愛です。あなたが間に入ることはありえません!」
そう、二人の絆はこのデスゲームでも変わらない。
確信している。なぜなら、二人から【愛や幸せ】を教えてもらったのだから。
――――ピキ
「バグが家族ごっこに興じてるんじゃない!」
「あ゛う゛っ!?」
幼き子供に容赦なく、腹に蹴りを入る。
何度も何度も。
そして、手に持つのは聖剣エクスキャリバー。
王が持つべき聖剣。
――――チャキ
悟る。
この剣で首を切り落とそうとするのを。
「いや!止めてください!」
ここで死んだら、二度と会えなくなる。
そんなの絶対に嫌。
パパ!ママ!――――助けて!
「都合よく助けにくるわけないだろ!お前の首を凍らせてボクとアスナ君の愛の部屋のインテリアとして飾ってやるよぉぉおお!」
振り下ろされる剣。
命を刈り取る王の剣がユイの首元へ。
――――ガシッ!
「このような、子供に対して大人げないと思わないかね?」
ユイの願いは届いた。
須郷の腕を握りしめるのは、和風な男性。
「キラキラ侍……?」
ユイの声に駆けつけてくれたのは、パパでもママでもない。
そう、パパのような黒でもない。ママのような白でもない。
金……黄金のキラキラ侍。
「誰だ?お前?」
「私は松平健……マツケンだ」
上様ではなく……松平健ことマツケンであった
☆彡 ☆彡 ☆彡
「は!英雄きどりのおっさんがちっぽけな正義感を振りかざすと大けがをするぞ」
オベイロンは振りほどくと、距離をとる。
そして、聖剣エクスキャリバーでマツケンに向かって振り下ろす。
それを、マツケンが支給品の刀……オベイロンと同じく、聖剣エクスカリバーで受けようとする。
――――が
なんと、刀をすり抜けマツケンを切り裂く
「む!?」
(受けきることができない……?)
幸い、須郷の腕とマツケンの光魔力の高速移動により、かすり傷程度の軽傷で済んだ。
「ほお……運のいい男だ」
「それは、エセリアルシフトです!」
「ふん、バグだとはいえプログラムだけあって知識はあると言うことか」
「その通り、この聖剣エクスキャリバーには、同じALOの レジェンダリーウェポンである”グラム”の効果が付与されている。貴様の剣など無いに等しんだよ!」
「……なるほど」
(よく分からぬが、奴の刀による力というわけか……)
エセリアルシフト ……それは、簡単にいうと透過能力。
剣や盾で受けようとしてもすり抜けて攻撃することが出来る。
勿論、欠点もある。それは、連続して透過することが出来ない。つまり二重で防御されると、透過しきれない。
――――あなたはこの世界の、希望の光なんです
「……私もここで死ぬわけにはいかないのでな」
そう、図らずも召喚された異世界。
正直、最初は困惑した。だが、レガブル王国の人々の顔を見てケツイした。
笑顔の花を咲かせると。
このゲームも同じ。
殺し合いなど言語道断。
「越後屋にも劣るそなたの所業、天が許してもマツケンが許さぬ」
「こ……このコスプレオヤジが。ボクに向かって……っ!」
「このボクは!幾多の妖精種族の頂点に立つ妖精王オベイロンだぞ!」
「神に逆らう愚か者がぁ!死ねぇぇぇぇぇ!」
たとえ、どんなに強い武器を手にしてようが、技術畑の素人剣術。
片やマツケンは、25年にわたって時代劇の主演を演じた。
何千通りの殺陣。演技とはいえ何十年と剣を振ってきた”経験”
それは……この殺し合いのゲームで活かされる。
「今、終わらせよう。成敗!」
―――― マツケン燦刃(サンバ) ――――
「がぁっ!?」
オーレ― オーレ― マツケンサンバー
光を纏いしその身で狙うは、オベイロンの胴。
見事な一文字切り。
オベイロン、いや須郷信之の意識は闇に堕ちた……股間を濡らしつつ。
”””””オレィ!”””””
☆彡 ☆彡 ☆彡
「……ふぅ」
――――チャキ
名俳優松平健。
刀を仕舞う仕草はやはり様になる。
お礼を伝えなければ……ユイは命の恩人マツケンに駆け寄る。
「あの……マツケン!わたしを助けてくれてありがとうです」
「それでよい」
「え?」
「子供は”笑顔”が一番だ。アミーゴ」
【マツケン(松平健)@マツケンクエスト〜異世界召喚されたマツケン、サンバで魔王を成敗致す〜】
状態:疲労(小)、負傷(小)、光魔力消費(小)
服装:マツケンサンバの衣装
装備:約束された勝利の剣@Fate
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ランダムアイテム×0〜2(オベイロン)エクスキャリバー @SAOシリーズ、ホットライン
思考
基本:殺し合いにはのらない、サンバで羂索を成敗いたす
01:ユイを保護しつつ他の参加者を探す
02:ユイの両親(キリト、アスナ)がいるのなら元へ無事に送り届けたい
03:アルティス……・そして皆は無事なのだろうか?
参戦時期:9話魔王との戦いの最中、折れた刀から発せられた光に包まれた直後
備考
※名簿には松平健ではなく、マツケンと記名されています。
※光魔力は太陽光など光を浴びることで回復します。
▪約束された勝利の剣@Fate
マツケン(松平健)に支給。
セイバー【アルトリア)が持つ宝具。
本ゲームでは、英霊でなくても使用することができ、光魔力を纏うマツケンとの相性は抜群。
令呪の発動で”宝具”を使用することができる。
問おう、貴方が私のマスターかbyセイバー(アルトリア)
▪エクスキャリバー @SAOシリーズ
オベイロン(須郷伸之)に支給。
ALO内の伝説の聖剣。
伝説級武器(レジェンダリーウェポン)
本ゲームでは”エセリアルシフト”の効果が付与されている。
システムコマンド!オブジェクトIDエクスキャリバーをジュネレート!…ゆうこと聞けぇ!ポンコツがぁ!byオベイロン(須郷伸之)
【ユイ@SAOシリーズ】
状態:負傷(小)
服装:SAOでの白いワンピース服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:パパとママ(キリトとアスナ)を探して、このゲームから脱出する
01:マツケンと行動をする
02:パパとママを探したい(おそらく、最低でもどちらかはいると推測)
03:茅場晶彦……このゲームにカーディナルも関係しているのですか?
参戦時期:ALO編終了後
備考
※破壊不能オブジェクトは付与されておりません。
※制限によりピクシーといったサイズを変更することはできません。
※令呪の発動でシステムに緊急アクセスできるほどの電子能力を発揮できます。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「……は!?」
あれから、時が過ぎたのだろう。
周囲を見渡すが、先ほどのゴキブリたちの姿は見当たらない。
「くくくく……とんだ甘侍だ」
(エクスキャリバーは……ないか。クソ!あの泥棒侍が!)
流石に支給品は奪われたようだが、問題ない。
命さえあれば何度でも再起できる。何度でもだ!
「よぉ」
「ああ?」
女がいた。
見るからに貧相な体。
とてもじゃないが、ティターニア……アスナ君とは比較対象にもなりゃしない。
ま、妾にぐらいしてやってもいいか。
「……」
女はじっと、オベイロンを見つめていた。
「なんだ?このボクの余りの神々しさに見とれたのかい?ま、それも仕方がない。なぜならボクは神に等しき容姿に力を持っているのだからね」
「おいおい、その目は腐ってるのか?鏡を見ろよ、このクソブサ野郎」
「なっ!?」
(何だ、この女。美的センスがないんじゃないか?)
オベイロンは、確かに性格・性質がクソ&クソな奴ではあるが、シルフをアバター元にしているだけあって、端麗で長い鼻。エメラルドグリーンの瞳に長髪の金髪といった、喋らなければ眉目(びもく)秀麗な美男子。
まごうなきクソではあるが、須郷が女の言葉に首を傾げるのは無理もない。
だが、女はそんな外見を見ていない。須郷伸之という人間を見ている。
だから、断定した。須郷伸之(クソ)だと。
「このボクの魅力に気づけないとは、身体だけでなく頭も貧相なようだな」
「あー、分かったから、その臭い口を閉じてろ」
女の口が歪む。
大きく。
捕食するために。
「くっ!」
すぐさま迎撃をしようと、腰の剣に――――
剣はない。既にマツケンたちによって取り上げられてるのだから。
クソでも気づく。GAME OVERだと。
「は……はは……ははは!」
――――このボクが死ぬだと
「おのれ!茅場晶彦ォォォギャアアアアアア!!」
怨念が込められし断末魔。
今度こそ、須郷伸之の意識は闇に堕ちた。永遠に。
【オベイロン(須郷伸之)@ソードアート・オンラインシリーズ 死亡】
須郷伸之。
茅場晶彦には劣るとはいえ彼もまた重村ラボに在籍していた優秀な技術者であった。
しかし、、本来持ち合わせていた利己的な野心と茅場への嫉妬心で自滅し、逮捕された。
裁判では実刑を受け、刑務所とはいえ住めば都。
死から免れたはずだったが、このゲームにより死を迎える。
どちらがマシであったかどうかは聞くまでもない。
これが須郷伸之の現実(じごく)
「やっぱ、クソまずだったな……」
味が予想できるほどのクソ。
げんなりするぜ……
「はらへったなあ〜〜〜〜っ 」
須郷に引導を渡した女。
それは――――
元星十字騎士団。
リルトット・ランパード。
ユーハバッハに与えられし聖文字は【G】
能力は
G L U
WWWWW
MMMMM
T T O N
【リルトット・ランパード@BLEACH 】
状態:正常、
服装:星十字騎士団の服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:クソ脳ミソ野郎の言う通りには動くつもりは今はない
01:さてと……どうするか
02:とりあえず他の参加者を探す。
03:権利か……いただけるのならいただくが……
参戦時期:本編終了後
備考
※”THE GLUTTON ”で食したのを消化するまでは大体6時間です
※THE GLUTTONにて知った能力は現在。
オベイロン
※令呪の発動でユーハバッハに奪われた”滅却師完聖体”を使用することができます。
投下終了します。
投下します。
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⚠この候補作には独自解釈等があります!ご注意下さい⚠
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「…どういう、ことだ…俺はあの時、確かにアスラン・ザラに……!!」
この殺し合いの会場内の何処かにて、動揺を隠せない様子で青がかった白髪の青年…シュラ・サーペンタインは言葉を発した。
コーディネイターを超えし存在として造られたアコード、その中でも最強の戦士の役割を背負わされそれを疑わぬまま戦った彼だが…コンパスとの最終決戦にてアスラン・ザラの奇策の果て、敗死した筈の自分が生きている事に混乱を覚えていたのである。
『強さは力じゃない!生きる意志だ!』
「…アスラン・ザラ…卑怯者め…神聖な戦いの場であのような破廉恥な思考に卑劣な策を…!!
……奴は最初にザフトに所属していた際、デュランダル議長の友であったクルーゼの部下だった…卑怯な策を用いたとはいえ、俺を打ち破った以上奴もこの殺し合いに呼ばれているに違いはない!
ならば…!この機に乗じて復讐(リベンジ)を果たさせて貰うぞアスラン・ザラ!
…生きる意志こそが強さとお前は言った!ならばこの殺し合いで勝ち残り生き続け、今度こそ…お前のような卑怯者ではなく俺こそが!最強の存在だと証明してやる!!」
等と勝手に推測と納得を重ね、子供じみた思考を振りかざしながら優勝を狙いつつリベンジを果たす事を第一と決めるシュラ。
しかしプライドの高さ故か生前の敗北の影響は大きかった。
もし同行者が存在したのならば、まるで自分に言い聞かせているかのよう、かつそれ以上考える事を…聞き慣れない単語の数々や、何故死んだ筈の自分がここにいるのか、まだ生きていたアコードのオルフェやイングリット、それに自分達の母たるアウラがどうなったのか等を…考慮せず投げ出しているかのような…そんな焦燥した様子が表情から読み取れただろう。
(羂索はMS等をパワードスーツに落とし込んだと言っていた、俺に支給されているかだが…)
だがどうであれ、シュラの方針は定まった。それもありバッグの中身を開け支給品を確認すると…中には因縁こそあれど、(彼の中では)既に格付けを終えた相手がかつて搭乗していた機体……のバリエーション機の起動鍵。
(…ブラックナイトスコード…シヴァか、そこ迄は無くともルドラなら…フェムテク装甲で優位に立てたのだがな。
フリーダムキラーのシン・アスカが乗っていたインパルスのバリエーション…それの改修型とは。
…だが最強の存在たる者、使い慣れていない機体であろうと使いこなせなくてはな!)
一瞬気落ちするも、そこから自分の意義である最強の存在である事を思い出し使いこなしてみせると決意を固めた。
その上でバッグの中身を更に漁る。
(…二刀流用の武器、それも日本刀の類か。
…
使いこなして生き延びてみろと、あの羂索達はそう言いたいのか?)
薄緑と云う二刀流用の双剣を手に取りつつ思考するシュラ。
他参加者を見つけた際はこの双剣で奇襲、相手が強者か見所のある相手なら起動鍵を使用と、対応を決めた。
そうと決まれば彼の中では話は終わりだ。シュラは他参加者を探し歩き始める。
…暫し歩き回る中、やがて彼は帯刀した少女を発見する。
(…この状況下で帯刀しているとは…強いかどうかは兎も角、戦える者と見た。
…この距離からでは読心は出来んか。
だがこれで強者であったのであれば、やはり強き者は美しいとそう言えるだろう…このシュラ・サーペンタインの手で試してやろう!)
黒を基調とした制服のような服を着ている、ワインレッド色のポニーテール寄りの髪型に、蒼の瞳を持つ何処か気品のある少女に対し、シュラは帯刀しているという一点で戦える者と判定。
そこだけを見て、手前勝手な理屈を以ってシュラは薄緑で少女に斬りかかろうとする。
そしてシュラによる双剣の一撃は──
「…いきなり殺しにかかるとは、随分と野蛮なようですわね?貴方は」
(…俺が気付かない内に抜刀しただと…!)
「今の攻撃を防ぐとは、やはり出来るようだな君は!
俺の名はシュラ・サーペンタイン。野蛮と言われようと構うものか、最強の存在である事を…俺の存在意義そのものを証明する為に…その命、貰い受けるっ!」
何時の間にか抜刀していた少女により防がれていた。
最もシュラは初戦からいきなり"出来る"相手と戦える事への高揚と、何としてでもここで勝ち、弾みをつけるという考えから防がれた事に対しては怒りは無かった。
対し呆れか、或いは哀れみか…「今の所」読心を使う気は無いシュラには読み取れず読み取る気もない為不明だが、そんな様子の表情をしながら少女は言葉を紡ぐ。
「…つまり貴方はこの馬鹿げた殺し合いに乗っている。そういう事でよろしくて?」
「無論だ、第一は神聖な戦いの場で破廉恥な事を考えた卑怯千万のアスラン・ザラへのリベンジだが…リベンジを果たした上でこの殺し合いで最後まで勝ち残りそして!
主催者をも殺す段階まで辿り着ければ…それは俺が、誰よりも強い最強の存在だというこれ以上ない証明となるだろう!」
(…口ぶりからして、アスラン・ザラという方に酷い負け方をして…高いプライドが砕け散ったと言った様子。…彼を見ていると、真希さんに最初に負けた時のわたくしを思い出しますわね。……あそこまで酷くはありませんが。
…雪辱を果たさなければ、自分自身の存在意義…アイデンティティが完全に崩壊してしまうからと。…哀れな方なのは分かりましたがだからといって、この命を明け渡す気にはなれませんわ)
「…はぁ。…随分そのアスラン・ザラという方に恨み真髄と言った様子ですが…その方が殺し合いに巻き込まれている保証や根拠はあるんですの?」
斬り合いに発展しつつ、呆れと哀れみを感じながらも、少女は冷静に分析した上でそう言う。
正直望み薄ではあるが、説得が可能とすればその一点だろうとの読みであったが…。
「根拠?卑劣な手を使ったとはいえ俺を一度は殺した男だ。俺をこの殺し合いに巻き込んでおいて奴を巻き込まない理由はないだろう?」
「……今、なんと…!?…聞き間違いでなければ貴方は一度、アスラン・ザラという方に殺されたと……」
「そうだ、俺は確かに死んだ筈だった。その記憶もある。だがそんな事は些事だ…復讐を果たすチャンスなのだからな!!」
何を当たり前の事をと言いたげなシュラに、少女は驚愕をし、剣を振るいながらも化け物を見るかのような視線を向ける。
だが意に介さずシュラは、相も変わらず読心を使わないまま剣戟を続けていた。
(っ…自分の死を認識していて、アイデンティティこそ崩れかかっているものの自己の同一性は保っているように見える……。
あの羂索とやらが言った数々の聞き覚えのない言葉からしても、御刀が隠世…一種の別世界から力を引き出している仕組みからしても、この方は荒魂と化した訳ではなく……恐らくは隠世とはまた別の世界の存在…と言った、所でしょうか。
先程会得したソードスキルからもこれは裏付け可能ですわね。最も、それら全てが同じ世界の存在や技術等とも思えませんが。
…彼の言い分が正しければ、羂索達には…死者を生き返らせる、方法が……)
「どうした!?動きが鈍くなっているぞ!!」
「…無神経な殿方は、嫌いですわ!!」
煽るつもりは無く率直に言ったシュラであったが、無神経極まりない事は変わりなく…死者を生き返らせる事が出来るとするならばと、脳裏に浮かんだ可能性に対する動揺をどうにか表に出さず少女は言い返し、自らの流派・鞍馬流の得意技たる、相手の刀を巻き落としそこから無力化にも追撃にも繋げる技『変化』を試みようとする。
…が、シュラの双剣の日本刀の内片方は落とせたものの、少女が追撃を行う前に落ちたそれをシュラは回収し、軽々と跳躍して立て直してしまった。
(…迅移を使っておくべき…いえ、本来の御刀で無いのもあって間に合うか微妙と云った所でしょうか。ソードスキルも同様かと…敵ながら凄まじい身体能力ですわね)
「…やはり剣術の使い手か。西洋剣で剣道の構えをしだすフリーダムキラーよりは、余程出来るな。
…君、剣の流派と名前は?」
読心はまだ使わずとも、目前の少女が丁度良い感じに強い相手だと認識したシュラは徐々に余裕を取り戻し始め、相手の名と流派を聞き出す。
…舐めているとしか思えないこの対応に内心苛立つも、少女は答える事を決める。
「そうですわね…──わたくしは特別警備隊所属の此花寿々花。学んでいる剣術の流派は…鞍馬流ですわ」
「…なるほど。ではスズカ・コノハナ!強き者は美しいと証明してみせるがいい!!」
「…その上から見下すかのような物言いを、何処まで貴方が続けられるか…見物ですわね!」
変わらず自分勝手な事ばかり言うシュラに、少女…寿々花はそう名乗りながら迅移により自らを加速、御刀による突きの一撃をシュラ目掛けて放った!
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「…悪趣味極まりないですわね」
それが元折神家親衛隊第二席、現特別警備隊所属であるわたくし、此花寿々花がこの殺し合いという催しに抱いた率直な感情でしたわ。
…目前で見せしめとして、遺体すら遺らない殺され方をしたお二方…袂を分かったとはいえ、それでも仲間だった方によく似た声で、こちらの神経を逆撫でするような事ばかりを喋った挙げ句、この右手に付けられたレジスターでわたくし達の生殺与奪の権を握る羂索達主催者。
…悪趣味さに腹が立つと同時に…お二方が殺されて、何も出来なかったわたくし自身にも…腹が立ちました。…お二方の行動は正直に言って、選択を誤った愚行ではありましたが……だからといって、弔うべき遺体すら遺らない殺され方をして良いわけでは、無かった筈ですわ。
…刀使として、人々を守るべきでしたのに…わたくしは、なにも出来ず……!
…後悔は何時だって出来ますわ、今はまず…戦える手段が無いかを…羂索が言っていた『魔法衣と同じ素材で出来た、生物以外なら何でも入れれるリュック』の事を思い出し、中身を開けます。
すると最初に目に入ったのは、起動鍵…おそらく『パワードスーツに落とし込んだ』支給品でしょうか。
それは…わたくしが直接使った事こそ無くとも、かつての敵にして仲間、そして今は同僚のお二方が使った事のある装備が落とし込まれた物でした。
…やはりと言うか、使用制限はあるようですわね。しかしこの状況下では心強いと、そう思いすぐ手に取れる場所へと起動鍵を忍ばせわたくしは次のランダム支給品を見ます。
すると出て来たのは…先程羂索が触れていた『本来習得不能な魔法やスキルをソードスキルとして落とし込んだ物』。
…羂索の言った単語は御刀以外どれも聞き馴染みは無く…魔法(ソードスキル)が目前にある上、隠世の存在も考慮すると…おそらくこれはわたくし達とは別の世界の技術なのでしょう。
説明文を読むとそれは…使いこなせれば出鱈目な強さを誇る物な一方、世界単位で縁のないわたくしに何処まで使いこなせるかという不安と、乗り物酔いのデメリットがありましたが……戦える手段は少しでも増やしておいた方がいいと、主催者を打倒し生き延びる事が先決とし、習得を選びましたわ。
…乗り物酔い…元の世界に戻れたらその時は…酔い止めで足りるかしら…。
そしてわたくしは、御刀が無いかと最後の支給品を確認し……手に取ったそれを帯刀して、そこから……。
「…なぜ、これが……わたくしの、もとに……?」
…確かにこれは、御刀ではあります。しかし……わたくしの手にあってはいけない…あるべきではない物でした。
「…水神切…兼光……高津学長の元に、ある筈では…」
水神切兼光。わたくしや真希さん…それに結芽と同じく、かつて同じ親衛隊の仲間で…袂を分かった刀使、皐月夜見……夜見さんが遺した唯一の形見。
彼女が最期まで、忠義を持って仕え続けた相手である高津学長が今は持っている筈の御刀……それがわたくしのリュックの中に、入っていたのです。
「…まさか、高津学長も…この殺し合いに巻きこまれて……だとしたら……夜見さんは、なんのためにっ…!!」
命に替えてでも守った相手が、この殺し合いに巻きこまれてしまった…それでは夜見さんが、あまりにも…報われないではありませんの…!!
『だって、獅童さんも此花さんも……何もわかっていないから』
…わたくしの脳裏に今でも残る彼女の…夜見さんの、断絶をわたくし達に告げる声。
……今なら言えますわ、真希さんも、わたくしも……夜見さんの事を…なにもわかってなど、いなかった。
…ずっと貴女は、恩人のために…戦っていたのに。なのにわたくしは、仲間だからとわかった気でいて……死に目を看取る事も出来ずっ……出来た事といえば、彼女の亡骸と共に死のうとしていた高津学長を、真希さんと一緒に止めた事ぐらいで。夜見さんの時だけじゃない、結局結芽の時も…。
…彼女が余命幾ばくもなく、ノロの力でも延命が手一杯な事はもちろん知っていましたわ。……いつか必ず、ああなるとは、終わりが来るとはわかって…いたのに…目を背けて、考えないようにしてっ……わたくしは……。
…後悔に引き摺られている場合ではない事は、分かっているのですけども。一旦落ち着かなければ。
……第一、羂索は『御刀や仮面ライダーへの変身アイテムのように本来なら一定の資格が必要な武具もある程度敷居を下げて配り…』と、そう言っていましたわ。
そう考えると、御刀をわざわざ手を加えた上で支給品として配った可能性も無くはないですが…それが可能ならいっそ、この殺し合い用に新造した方が早いのではないかとも思うのです。
その場合なら…高津学長がこの御刀を取り上げられたとも、巻き込まれたとも限らない筈。
…その方が厄介な気もしますが…今はそう考えて動くとしましょう。
……わたくしを選んだ御刀、九字兼定ではないとはいえ、写シ等の御刀経由での力は使える…敷居を下げて配ったが故、でしょうか?…本来程力を引き出せてる気はしないので…九字兼定も探したい所ではありますけれども。
…夜見さん、貴女のことを理解出来なかった、した気でいてその実、しようともしなかったわたくしには…この御刀を振るう資格はないと、そう貴女は言うのかも知れません。
ですが…せめて、この殺し合いを打破するまで、もしくは九字兼定を見つけ出すまでは……この御刀を、刃として振るうことを…許して下さいまし。
納刀した上で…次に考えるべきは、知り合いが巻き込まれていた場合、ですわね。
最も、殺し合いに乗るような馬鹿な真似をする方は居ませんが。
まずは真希さんは…今はマシになりましたが、それでも…自分一人で背負って、勝手に行動しだしてしまいがちな人なので、心配になりますわね。
それと、今は同僚の二方…益子さんと糸見さん。益子さんは…この状況下でサボろう怠けようと考える方ではありません。しかし根本的な体力不足が、この殺し合いでは響きそうですわ。巻き込まれていた場合は…真希さん共々、出来れば早期に合流したいですわね。
糸見さんは…柳瀬さんに少々依存してるような所が心配ですが、それを除けば実力的にも精神的にも安定しているので、合流を果たせたのなら…心強いですわね。
…巻き込まれていない方が、もっと喜ばしい所ではあるのですが。……もう、仲間を失うのは…御免ですもの。
知り合いだと他には…衛藤さんに十条さん、柳瀬さんや古波蔵さん…それに紫様辺りでしょうか。
衛藤さんや十条さんはタギツヒメ討伐の功労者…刀使としての実力も申し分はありませんわ。柳瀬さんはその二人に比べれば一段落ちますが…現場での指揮・作戦立案能力に長けています。
古波蔵さんも単独での実力は兎も角…5段階の金剛身を会得していて、剣術だけでなく体術も織り交ぜた柔軟な戦い方が出来るのは、この状況下では合流出来れば心強いかと。
紫様は…実力は申し分ないですが、一線からは退いた身。
流石に今のわたくしが紫様を超えている…などと不遜で自惚れた考えはしていませんが、不安は付き纏いますわね。
…万一高津学長が巻き込まれていた場合は、早急に合流を目指して、夜見さんの分まで…わたくしが守らねば。
それと…他では…羂索に食って掛かっていたあの「一ノ瀬宝太郎」という殿方は信用していいでしょう。彼の知り合いも…最も味方に限りますが…探しておきたい所ですわね。
…「堀北」と呼ばれてた彼女と、「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」と名乗って、堀北さんの一人称二人称を変えてしまった殿方は…ショックを受けたかのような反応からして、どちらも殺されたお二方…「須藤健」と「ニーナ・アインシュタイン」でしたか。
その二人の知り合いのようですので……警戒した方がよろしいのかも、知れませんわね。
…蘇生の為殺し合いに乗る可能性も考えられる他、特にルルーシュさんは…制限により対象の即殺こそ出来なさそうではありますが、あの異能めいた力は彼が殺し合いに乗った場合、間違いなく脅威になるでしょう。
後は…羂索や梔子ユメ、クルーゼに茅場と云った主催者の関係者、それに羂索が言った聞き馴染みの無い単語について、知っている方も探したい所ですわね。なにか手がかりを掴めるかも知れません。
…とりあえず考慮可能な点はこれくらい、ですわね。
では一先ず、他の参加者を……そう考えていた所でした。男が日本刀の双剣でいきなり斬りかかってきたのは。
…帯刀していて正解でしたわ、迅移による加速が無ければ対応出来たか怪しく…そこまでの速度を以ってして攻撃してきた男、シュラ・サーペンタインと名乗った相手は、恐らくは手練と判断。
言動から…かつて真希さんに負けてプライドを砕かれて、対抗心を最大限に拗らせてた時のわたくし…よりも数十段以上に酷い有様なのが見て取れたため、斬り合いの中で説得を試みては見ますが…想定以上に相手は子供じみた思考の持ち主だった為、この説得自体は時間の無駄でしたわ。
…衛藤さんは、タギツヒメと斬り合いの中で対話を果たしたと言っていましたが……彼女のようにはいきませんわね。
しかしそれ以上に、わたくしを揺るがせたのは…彼が自分は一度命を落とした筈といった意味の言葉を、ベラベラと喋り出した所でした。
…彼の言い分を信じるのであれば、死者ですら…この殺し合いに巻き込む、その為だけに蘇生されている可能性が……!
…そこまで考えてから、脳裏に浮かび上がったのは…結芽と、夜見さんの……亡骸。
…最期まで、刀使として戦えた結芽と、最期まで恩人である高津学長のため、命を賭けて戦った夜見さん……。
…目前の彼のように文字通り蘇生させられたのなら兎も角、明らかに死んでいる上で羂索に肉体を使われている梔子ユメのように…荒魂として蘇生されて、死者の尊厳すらも踏み躙られている。
──そんな最悪なif(もしも)が浮かび上がり…主催者の打倒という決意こそ揺らぎませんでしたが、危うく…押し切られる所でしたわ。
…一先ず切り替え、彼の持つ双剣を落とそうと試みたわたくしですが…片方こそ落とせたものの、追撃のため迅移を使おうとする前に彼は剣を回収…そのまま宙を舞い立て直してしまいました。
…余裕を見せだした彼には苛立ちましたが、それと同時に彼は叩き潰さねばどうにもならない相手と悟り、流派と名前を名乗った上で…迅移で加速しながら突きの一撃を放ちます。
結果は…傷を付けれはしましたが、彼は一瞬虚を突かれたような表情になった後、笑みを浮かべ…余裕を打ち砕くには至らなかったようですわね。
次は会得したソードスキルを…「なるほど。支給されたソードスキルを習得済みという訳か。抜け目が無い…やはり君は"出来る"側のナチュラルか」
……!?…今、わたくしがしようとしたことを…まさかタギツヒメのように演算による、予測っ…もしくは未来を予知したと、でも…!?「そこまで便利な物じゃない、そうであれば破廉恥なアスラン・ザラの策にも俺は対応出来た!」
…随分とベラベラ、聞いてもいないのに喋ってくれますわね。つまりわたくしの「すぐに辿り着くとは、目敏いな」
…やっぱり、わたくしの心を読んでる、そういう訳ですのね。
「卑怯とは言ってくれるなよスズカ・コノハナ。お前がその妙な高速化や、ソードスキルを使おうとするのと同じで俺もまた、持てる全てを使って戦おうとしているのだからな」
…そう言う割には、先程まで読心を使わずにいたではありませんの。卑怯と言う気はわたくしにはありませんがそれは「卑劣なアスラン・ザラのような真似をしてくる可能性を、除外出来なかった以上仕方はあるまい」
…何をすればここまで警戒されるのか、皆目見当はつきませんが……!
「っ…は…それでこそだ…それでこそ、倒し甲斐があると云う物!」
二段階目に加速した迅移でわたくしは、思考をするよりも早く身体を動かし双剣をどちらも弾きに行き、二刀とも彼の手から離すことに成功してみせました。心を読めても、反応が追い付くとは限らない…とはいえ、彼の余裕は崩れてはいない以上警戒は必須ですわね。
「薄緑では力不足のようだな、ならばこのモビルスーツの力、見せてやろう!」
──は??……その二刀が、薄緑…?
……薄緑といえば、わたくしが選ばれるはずだった所、真希さんを選んだ御刀。断じて二刀では無い筈……「どうやら同じ名の刀と君は縁があるようだな。あの刀は説明書曰く、西暦で云う所の2100年の物らしい」…やっぱり、別物ですわよね。しかし2100年とは…随分と遠……!?
「デスティニーインパルスR(リジェネス)の力、味わうといい!」
「…先程から力力と、喧しいですわよっ!」
…わたくしの思考が余計なことに取られている間に彼は、起動鍵を使い…機械仕掛けのパワードスーツ…モビルスーツとやらを落とし込んだそれをその身に纏っていました。
ヒーロー好きな益子さんなら、何かしら反応していたかも知れませんが…そんな余裕は無くわたくしは再び迅移により加速しながら突きを見舞います。
……しかしわたくしの一撃は、彼が防御体勢を取ったわけでもないというのに…先程とは異なり、手応えはあったにも関わらず傷ひとつついていませんでした。
「…剣術による攻撃が得意な君が相手にするには、俺の本来の乗機が持つフェムテク装甲よりも…この機体のVPS装甲の方が有利という訳だ。物理攻撃を無力化する装甲を持ったこのモビルスーツ、どう君は突破してみせる!?スズカ・コノハナ!!」
……今の彼とわたくしの相性は最悪。そうとしか言いようがありませんでしたわ。
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VPS装甲、正式名称はヴァリアブルフェイズシフト装甲。
バッテリーから一定以上の供給されてる電力が続く限り物理的な攻撃を無効化するPS装甲(フェイズシフト装甲)の発展形にして、通電量の変化で装甲の色や強度・耐弾性等も変化し、消費電力のロスを従来よりも抑えれるようになっている。
この装甲を持つモビルスーツは此花寿々花にとって、いやそれだけではなく……御刀か、それに加えて体術かが攻撃手段となる刀使にとっては天敵と言える存在だろう。
(物理攻撃が無効だなんて、反則ではありませんの!?それではわたくしに打てる手など……いえ、ここで諦めてどうするのです此花寿々花!)
流石に上記した詳細までは分からず、おそらく珠鋼のような特殊な物質を使用した物理攻撃無効のインチキ装甲という認識ながら…それでも寿々花の心は折れない。
(…まず、先程の突きは手応え自体はありましたわ。完全に無効であればその手応えすらない筈…おそらく何かしらの弱点があると見ていいでしょう。
それに…!)
「どうしたスズカ・コノハナ!当てる事すら出来ないとは!」
(あの態度には本当に心底、苛立たせられますわね。
…こほん、兎も角あれ以降、二段階目の迅移を使っていないのと…あの羽根から散布されてる何かしらのせいか攻撃を当てれていませんが。物理攻撃を無効に出来るなら、わざわざ避けに行く必要も無く…先程の一撃の時のように全て受ければいい筈ですわ。
…となると考えれるのは…ダメージは抑えれても、衝撃は無効化出来ない、無効化には何かしら限度がある…辺りでしょうか)
シュラの攻撃…飛んでくるビームライフルを躱し、CIWSを御刀で受け防ぎ、フォールディングレイザー対装甲ナイフと斬り結び、攻めあぐねながらも、羽根もといウイングユニットから散布し幻惑効果を出しているミラージュコロイドによる違和感に気付きつつ、"敢えて"推測を脳裏に浮かべていく寿々花だが、シュラが特段反応を見せなかった事であることに気が付いた。
(…先程のように心を読んでいれば、わたくしの考えは筒抜けな筈ですわ。だと云うのにわたくしの推測に反応する素振りは見えない…。
…心を読むにも、何かしら制限がかけられているんですの…?でなければこれまでのやり取りから推測した性格からして、ベラベラと聞いてもいないのに喋る筈…)
『神聖な戦いの場で破廉恥な事を考えた卑怯千万のアスラン・ザラ』
『卑劣な手を使ったとはいえ俺を一度は殺した男だ』
『そうであれば破廉恥なアスラン・ザラの策にも俺は対応出来た!』
『卑劣なアスラン・ザラのような真似をしてくる可能性を、除外出来なかった以上仕方はあるまい』
攻防を続けデスティニーインパルスRのウルフスベイン長射程ビーム砲塔、それの砲門から発信・出力された高出力ビームサーベルを避け切れず累積したダメージもあって、最初に張った写シを剥がされた為再度使用しつつも、そこまで思考を重ねる寿々花が想起したのはこれまでシュラがアスラン・ザラについて触れた言葉の数々。
(…自覚しているのか、無自覚なのかは知りませんが…言い分からしておそらくは、アスラン・ザラという方の心を読んだ結果トラウマを負い…読心を躊躇っている…?
……躊躇っているということはもしやわたくしがっ、破廉恥な事を戦闘中に考えるような人物と…そう思われてると…!?っ……心外ですわ!!
…落ち着きなさいわたくし、彼の余裕ぶった態度と併せてこれは…チャンスと見た方がよろしくてよ。
いつまた読心してくるかはわたくしからはさっぱりわからない以上…やるしかありませんわね、今!)
推測に推測を重ねた結果、内心ひとり勝手に動揺し危うくビーム砲塔の高出力ビームを受ける所だったものの、これを迅移でギリギリの所で回避。
続けて再びビーム砲塔からサーベルを出力したシュラに御刀で斬り結びながらも、どうにか冷静さを取り戻し寿々花は策を思考…そして実行へと移す事とした。
「どうしたんですの?先程からわたくしは、貴方をどう討ち倒すのか考えていると云うのに。持てる全てを使って戦うと言ったのは貴方ですわよね?シュラ・サーペンタインさん」
先ず彼女が行ったのはカマ掛けを兼ねた挑発。乗るにしても乗らないにしても、制限か躊躇いか或いは両方か…シュラなら相応のリアクションをするだろうと、これまでの戦いでのやり取りで寿々花は推察していた。
対し彼はサーベルを解除、再びフォールディングレイザーに持ち替え斬りかかり……暫しの沈黙の後、鍔迫り合いの中告げる。
「…この力にも忌々しいレジスターのせいか制限がかけられていてな。疲弊を防ぐ為ある程度は仕方があるまい…!」
「そう、ですの…!!)
(…制限だけに見せかけるよう言葉を選んでいたようですが…残念ながら語るに落ちてますわね。やはり彼は躊躇っている…推測するならば…最初のあの時とは異なり本気だからこそ、トラウマを踏み抜き負ける可能性を万に一つでも減らしたい…といった所でしょうか)
読みは当たったとし、推測しつつ次なる一手を講じる寿々花。
最もシュラが読心を生前とは異なり積極的に使おうとせず寧ろ消極的な事について、彼女がした推測が全て合っている訳ではない。
無自覚なトラウマと制限だけでなく…本質的にシュラ・サーペンタインというアコードが持つ、強者との戦いを楽しみ出来るだけ長く戦いを味わいたいからと本気を出さず戦闘をする悪癖もその一因だからだ。
最初に出会った相手が、自らは"本気"を出していないとはいえ、ここまで自分とやり合えることへの期待が取り戻した余裕と共に彼の中では膨らんでいた。
故にシュラは、目前の少女がこの膠着状態を抜け出す為か新たなる何かをしようとするのを見ても、敢えて見逃す選択を取る。
「…その余裕、突き崩して差し上げますわ!」
そしてそこまでの過程は兎も角、余裕から敢えて見逃すという行動をするという結果は…寿々花にとっての想定内であった。
この機を逃さず、起動鍵を迷わず発動。すると──…一瞬後にシュラが目にしたのは、見た目よりも機能性を重視したと思われる鎧を身に纏った此花寿々花の姿。
(起動鍵に落とし込まれているのにも、驚きましたが。まさかわたくしが、この装備で戦うことになるとは…。
変わらずある制限時間と、おそらく主催側により設定された再度の使用までのタイムラグは痛いですが…この殺し合いに抗う為、こんな所で死ぬ訳にはいきませんもの!)
寿々花が身に纏う鎧はストームアーマー、通称S装備。対荒魂用の強襲装備として作られた物の改良型。
起動している間は二段階の八幡力と金剛身が常時発動され、それによって身体能力と防御力が強化される一方改良されて改善されているものの、30分しか効果を発揮出来ないという短所がある。
「その鎧と先程考えていたソードスキルとやらが、君の突破口のようだなスズカ・コノハナ!ならば見せてみろ!」
一瞥しエネルギー残量を確認した後、再びフォールディングレイザーからビーム砲塔から出力したビームサーベルに切り替えシュラは斬りかかる。対し寿々花はそれを真正面から受け……
「言われなくともそのつもり、ですわ…!」
「…ほう…出力が上がっている、と言った所か…!」
先程とは異なり拮抗した剣戟にはならず、寿々花は御刀でそのまま押し切らんとしていた。
常時発動中の八幡力二段階に、更に当人の八幡力を上乗せする事で可能となった芸当である。
「その隙、貰いましたわよ!」
「っぐ…その程度で、このVPS装甲は破れん!」
押されるシュラだったが、高揚からかその表情は笑みを浮かべながらもこのまま押し切られればビーム砲塔が破損すると判断しサーベルを解除、装甲で御刀の一撃を受けた。
…結果はダメージは与えれず、しかし先の一撃よりも確実な手応えを寿々花は感じ取る。
(…この手応えに、受けた際の彼の反応…呻き声のような……やはり物理攻撃のダメージは殺せても、衝撃自体は消せずに来るようですわね)
推測しつつ攻勢を強める寿々花。しかし次撃以降は中々当てれず、また避けられてしまう。
相手の攻撃は避けるか金剛身により受け止めれてはいるが、このままでは時間の問題だろう。
(羽根から散布されている何かしらが鬱陶しいですわね…!…しかもそれだけではなく、彼の動きがどんどん良くなってきて…戦いの中で、パワードスーツに慣れて行っているん…ですの…!?
…となるとまだ余裕…油断が彼に残っている今こそ、あのスキルを使う絶好にして最初で最後の機会と…そう見ましたわ!)
推論をしつつ、ここで寿々花は策として温存していたソードスキルを行使する好機を見出した。この調子だとこのままではその内読心への躊躇いすら克服してきかねない、その前に勝負にかかると……そうと定めれば後は行動へと移すのみ、少女は息を吸い込み──
(…確か、行使するという意思があれば自動的に動き、その際技名も言う事になるのでしたわね。多少の気恥ずかしさはありますが…やむを得ませんわ!)
「火竜の…咆哮っ!!」
ソードスキルの仕様を思い浮かべながら、ここで使うという意思を以って叫ぶと同時に、口から魔法原理の炎のブレスが放たれた。
「それが君が温存していたソードスキルか。しかし…些か射程距離を計算し間違えていたようだな!」
放たれた炎はシュラに…デスティニーインパルスRには届かずその手前、虚空を焼くに留まる。
それをシュラは相手の射程ミスだと認識し余裕を崩さない。
…本来の使い手であれば、海底から発射したにも関わらず水面まで到達するレベルの射程に火力、ついでに速度も兼ね備えてた魔法の技。もし使い手当人やその関係者が見れば、拍子抜けしていたのかも知れない。
「最も、炎である以上VPS装甲を突破出来るとは思えないが…」
「…どうでしょうね?それに…この技が貴方に届かないのは『織り込み済み』ですわよ。わたくしの本命は……!!」
「っ…散布していたミラージュコロイドを…それが君の狙いか!」
最も寿々花も、本来の使い手よりは大幅に劣っている現状は理解済み。
その上で彼女にとって邪魔な、幻惑による攻撃ミスを誘発していた羽根部分から散布されている何かしらを一時的に薙ぎ払う為火竜の咆哮を使ったのであった。
(…ごめんなさい、夜見さん。しかし…今は…!!)
「そろそろ決着を、付けさせてもらいますわよ!!」
「ならば来るがいいスズカ・コノハナ!!俺が打ち破ってやろう…!!」
(ソードスキルを使い点火した上で、更なる加速をしようという魂胆か!
そうだ…これでこそ戦い!あんな破廉恥な男(アスラン・ザラ)との戦いで忘れ去っていたが…神聖なる一対一の戦いは、こういう物だったのだ!
そしてここで…俺は君を殺し、アスラン・ザラを殺し、生き抜き最強の存在である事を今一度、証明してみせる!)
本来の持ち主に内心謝りつつソードスキルによるものか、御刀に炎を纏わせまた加速しながら斬りかからんとする寿々花。対し戦いの楽しさを思い出し、シュラは無自覚に抱いていた読心への躊躇を投げ捨て全力を賭ける。
両者の刀が激突しようとしたその刹那──闖入者が現れた。
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緑色を基調とし、赤とも紅ともとれる差し色を使っているレジスター等何処にも見当たらぬそれは空を飛びながら、2人目掛けてプラズマ・バルカン砲を発射する。
その戦闘機の名はケルバーン2。それを構成する記憶の元となった世界では、火力と物量と理不尽な世界の理(ダメージ計算式)によりヒーロー達を蜂の巣にしてきた、戦闘船団国家ナガーにより造られた無人空戦用システムの後継機である。最も本来よりサイズは縮小されているが…参加者にとって脅威である事は間違いない。
対し、シュラも寿々花も咄嗟に離れ回避にかかる。
するとバルカンが着弾した、先程まで彼らが居た地点があっという間に穴凹塗れになってしまった。
「NPC風情が、神聖な戦いの場の邪魔をするな!」
「そんな戦いに臨んだつもりはありませんが。とはいえ…あの威力は脅威、わたくしも今は、あの戦闘機を破壊するため戦わせて貰いますわよ」
そのままなし崩し的に共闘する事となり、シュラはデスティニーインパルスにより飛行、寿々花は八幡力により跳躍した上で、先程しようとしたように御刀に炎を纏わせ──その時だった。
突如として波動が出現し…ケルバーン2が墜落、寿々花とシュラも巻き込まれ地へ落とされる。
「ぐぅ、ぁ…!?…何処から飛んで来たんだ…!?」
(わたくしだけで…なく、読心が使える彼でも対応が間に合わなかった…どういうこと、ですの…今の攻撃は…誰が…?)
そしていつの間にか現れたのだろう、2人の前に立つは記憶から再現されたNPC等ではない、真の闖入者。
「お前たちはクウガではないようだが…落下時に受け身を取り、まだ立ち上がろうとする余裕がある辺り…あの北京原人モドキのように中々戦えるリント(人間)のようだな。
…この殺し合いでの俺のゲゲル…お前たちリントの言葉で云うゲームは、全ての参加者と主催者の抹殺。そしてクウガへのリベンジだ。
……殺し合いに、死に抗うのならば足掻いて見せるがいい、人間!」
圧倒的な威圧感を持ちし、狼の怪人はそう宣いながら…2人目掛けて緑の雷撃を放った!
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それは、かつてある世界にて超古代に存在した戦闘民族の頂点にしてンの名を冠せし王である。
それは、蘇ったある時代においてあっという間に環境に適応した上で壊滅的な死と災厄を齎し、自らの死に際ですらなお破壊を振り撒いた歩く厄災である。
それは、他世界の技術を会得しまた取得した太陽と月の2つのゲブロン(キングストーン)と究極のベルトにより究極完全体となりし戦士である。
ある男色家の存在と世界の破壊者の死等が原因なのか、正しき歴史のそれからかけ離れた者に成り果て、戦闘民族から更なる逸脱を遂げた本来目覚める筈のなかった強者にして未確認生命体(グロンギ)である。
魔王(アークエネミー)。狼鬼(リカント)。
究極の闇ガミオ。
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(分かっているなスズカ・コノハナ!)
(言われずとも分かっていますわ、アレはここで倒さねばならないと…!)
ン・ガミオ・ゼダの放たれた緑色の落雷は、寿々花もシュラもギリギリの所で回避に成功。シュラ側がアコードに備わった、非アコードに対しても使用可能なテレパシーめいた力により語りかけ、それに寿々花も応えて共闘は継続と相成った。
シュラはビーム砲塔からまたサーベルを出現させ斬りかかり、寿々花は迅移による加速を行いながら突きの一撃を見舞おうとするも…どちらも直撃したにも関わらず、さしてダメージになった様子は無く。
そのままガミオが腕を振るい発生した衝撃波により、2人揃って吹っ飛ばされてしまった。
そこからガミオはレーザービームを追撃に放つ。回避に動いた寿々花に対し、シュラはウルフスベイン長射程ビーム砲塔によって打ち消しを狙おうとするが…減衰こそすれどレーザーは消えず、気付けばシュラはまたもや地面へと叩きつけられていた。ごふっと声が漏れ、パワードスーツ越しに血が滲む。
一方その隙を縫いソードスキルによって火竜の咆哮を近距離から当てた寿々花であったが、意に介さない様子のガミオは雷撃を放つ。
これをどうにか回避せんとした寿々花であったが……直前で直感から写シを咄嗟に張る。
その直後気付けばいつの間にか、認識出来ない程のスピードまで加速したのだろうガミオにより、強烈な打撃によるダメージを受け一撃で写シを解除されて地に伏せていた。
時間干渉による超加速…ハイパークロックアップによる攻撃である。
「…っい…ぁ…ごほ…っ…まさか…わたくしよりももっと、早く……!?」
「忌々しいこのレジスターによる弱体化は存外働いているようだ。
…とはいえクウガならこの程度、余裕で避けてみせるだろう」
「…出鱈目に、も…程が…ありますわ…!」
(スズカ・コノハナ…おそらく令呪を切らなけれねば、奴は…!)
(…やるしかないよう、ですわね…!)
そう言いどうにかふらつきながらも立ち上がる寿々花と、テレパシーによりそれを伝えるシュラ。
そして次の瞬間、2人は同時に令呪を発動。自らのブーストを行い再び攻撃を行う。
「ほう?令呪とやらによる力か」
シュラのフォールディングレイザーを片手で抑え受け止めながら、寿々花のソードスキルにより炎を纏った御刀の一撃を衝撃波を上げながら相殺しつつ、動きの変化や攻撃時の威力上昇に気付いた様子でガミオは呟く。
それは言外に「全力を見せてみろ」と、投げかけているように…少なくとも2人には聞こえた。
(…起動鍵を使える時間は僅か、ならばこれで…隙は作ってやる!)
遺されたバッテリー残量…パワードスーツを纏っていられ、VPS装甲を展開出来る時間が僅かとなったシュラはここで、デスティニーシルエットを分離。
分離すれば自立稼働可能な戦闘機となる仕様を土壇場で活かし……ビーム砲塔のサーベルを展開させそのままガミオ目掛けて加速。
そしてギリギリの所でインパルス本体のビームライフルによりシルエットを撃ち抜き、爆発によるダメージをガミオへと与える。
「ふっ…捨て身の戦法か?だがまだ俺は五体満足だぞ」
爆風と土煙、シルエットの残骸により視界を遮られながらも挑発するかのように言うガミオ。
しかし彼が対応するより早く動いたのは寿々花。
(使うのなら…今ですわ!)
迅移を1段階目から2段階目に、2段階目から3段階目へと加速させ…炎を纏った御刀で斬りかかる。
咄嗟にガミオはハイパークロックアップによる回避及びカウンターを行おうとするが、レジスターによる制限で出来た再使用までの時間に達しておらず使用不能。ならばとケルバーン2撃破後に現れた際使った超自然空間転移能力を使おうとするが、こちらも同様の理由で使用不能。
結果次善の策としてガミオは片手で一撃を受け、腕に刃が食い込みダメージを受けるもそのまま勢いを殺し切ろうとしながら、火炎放射で寿々花を焼き払うないし火傷により手を引き剥がさせそうとする。
そして炎が寿々花へと向い、咄嗟に残ったビームライフルによる援護をしようとするシュラ。
だがシュラが読み取った寿々花の内心から、"まだ"撃たないと決めた。
(炎を吐くとは好都合ですわ、このソードスキル…炎の滅竜魔法の本来の持ち主のようには行かないでしょうし…ぶっつけ本番ですが!!)
そして寿々花は──ガミオが放った炎を喰らった。
「…何?」
「っ!?ん…ゔゔ…ぁっ…喉が焼けるような痛み、ですわね…ですが耐えれた以上は…!!」
ソードスキルにより取得した炎の滅竜魔法。その特性は火や炎関連の属性を持つ攻撃等を吸収し自身の力へと変換する物。
火力の高さ故かはたまた本来の使い手のように慣れていないからか喉へのダメージを感じるものの、喰らった炎は確かに寿々花に力を与えた。
その上で彼女は、片手を御刀から敢えて離し、離した手の拳に炎を宿す。
「貴方程の相手に、手段を選んでいる暇はありませんので。……火竜の、鉄拳っ!」
再び内心、御刀の持ち主に謝りつつも御刀の耐久性に賭け、ソードスキルを行使した寿々花。
炎の拳の一撃を御刀にぶち当て、その勢いで刺さった刃を押し込みきり……ガミオの片腕を、奪った。
「…貴様、ら…!よくも俺の腕を!クソがぁ…!!」
そう小物のように怒った様に振る舞うガミオ。
「…あら、格下と見下していた相手に腕を奪われたのが、それほど悔しかったんですの?
先程までの威厳は──」(っ、まだだスズカ・コノハナ!奴は冷静さを失ってはいない!)
「…だがやはり、貴様達はクウガには及ばんな」
内心を読み取ったシュラが咄嗟に、挑発しつつも攻勢に出ようとした寿々花を引き止める。
その直後、ガミオは緑色のオーラを身に纏い、周囲の瓦礫を吹き飛ばした後次の瞬間、自らの会得した異能で……落ちた筈の片腕を、再生してみせた。
超自然治癒能力。究極のベルトだけでなくそこに更に太陽と月のゲブロンを身体に融合させる事で、究極完全体となったガミオが得た自己回復能力である。
「…完全に再生した……だと……!?」
「…心底…出鱈目ですわね…」
「そうでも無い。レジスターによる制限で暫くは使えん手だ。…今一度足掻いて見せるがいい。そうすればどちらかは逃げれるかも知れんぞ」
驚愕を見せる2人に、挑発し返すかのようにガミオは言い放つ。再生したのは肉体の負傷で体力面は影響を受けず疲弊してはいるのだが、それを教える義理も理由もなく。
再生した自らの腕を巨大化、それを2人目掛けて拳として振り下ろす。
──防御で手一杯だったのもあり、発生した爆風を力へと変換は出来ないまま、満身創痍ながらも写シを張り直し攻撃を受ける寿々花。
僅かなバッテリーを使い果たしてでもVPS装甲で受けようとするシュラ。
結果……大爆発が起こりそして収まった後そこに立っていたのは…ガミオだった。
寿々花もシュラも倒れる。寿々花はS装備を解除され御刀が手から離れてしまっており、シュラもデスティニーインパルスRを解除されてしまった。
だがそれ以上に……シュラ・サーペンタインの心は折れアイデンティティは崩壊してしまう。
…生前、アスラン・ザラも含め自身よりも圧倒的に強い相手とはついぞ戦う事は無く、この。殺し合いで戦った寿々花も、シュラより圧倒的に強いという訳ではなかった。
故に圧倒的なまでに、絶望を感じさせれる程に強く、今まで出した事の無かった本気を尽くしてなお叶わないガミオという強敵に…立ち直りかけていた心と、最強の存在として造られた事への自負やプライドそれにアイデンティティは凡て砕けてしまった。
立ち上がろうにも体力と、それ以上に気力が失せていた。
(…俺…は…何を……)
自身が井の中の蛙でしか無い事を分からされたシュラは、ふと寿々花の方に意識が向く。
自分のように彼女も…心が折れたのだろうか…そう思ったのか読心をする、も。
(…まだ…です、わ…この命、尽きるまでわたくしは……結芽、夜見さん、貴女達のように……!!…真希さん、益子さんや糸見さん、衛藤さん達でも…おそらくは、この状況なら!)
──彼女の、此花寿々花の心は折れていない。確かに恐怖を感じ抱きながらも、彼女の闘志は消えておらず。蒼眼からも闘争心が消えていない事は見て取れた。
満身創痍な身体に鞭打って、寿々花は御刀を取り立ち上がろうとする。
(…勝てないのは明白だ、何故…君は…戦おうと…?)
呆然と、逃げるという選択肢すら浮かばぬままにシュラはその様を見ていた。
「逃げないか、ならば2人揃って死ね!」
「…まだ…わたくし、はっ…!!」
ガミオはゲブロンもといキングストーンの力を解放。右足にその全てを集中させた上で、回し蹴りで直接寿々花を屠り、余波でシュラを殺そうとする。
寿々花がようやく立ち上がったその瞬間、無慈悲にもそのまま蹴りは放たれた……かに思われた。
「…貴方、は……??」
「…貴様は、クウガと一緒に居たあの北京原人モドキか…」
「クウガ?知らねーよ、そんなの。
さてはお前もあの羂索とかいうホモ野郎達の手先の手先か??
ならもう許さねぇからなぁ?お前もう生きて帰れねぇな?」
しかし、彼の回し蹴りが直撃したのは寿々花ではなく──ギリシャ神話の神々に匹敵するそのガタイで全てを受けきった、構えを向けている拓也でした。
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⚠︎ここからのSSの内容には卑猥なホモ表現が多数含まれています!注意してください⚠︎
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それは、かつてある世界にてホモの手先達と激闘を繰り広げた淫獣拓也である。
それは、強烈な体臭を持ちつつ他の多くの並行世界での自らとは異なり善良な正義のヒーローとして戦い抜いた激エロの漢(モロホスト)である。
それは、ガタイでの分析を行い、また拳での戦いで洗脳母雲丹とわかり合いを遂げ動物の目を見てその意思を理解する北京原人である。
簒奪する能力を持ち幾多の世界で人類の脅威となったホモの海豚軍団相手に、仲間達が倒れていく中何も奪われる事無く最後まで戦闘し続けた超人にしてウリ専。鍛え上げられた本物の英雄にして、優しさと強さを兼ね備えしサーフ系ボディビルダー拓也である。
英傑(チャンピオン)。人間(ミニア)。
くさい子のタクヤ。
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「…俺の知る北京原人モドキより、骨はあるようだ」
とか何とかわけわかんねーこと言いながらコイツマジで目がイっちゃてると思いつつ、ダメージでハァハァ喘ぎ続ける拓也は覚えた2つのソードスキルの内、カウンター用のスキルの効果を発揮。
「ウッス!」
ソードスキル:迎撃スタンスで、痛みで全身が痙攣する拓也は挨拶代わりの拳での一撃を狼野郎へとぶち当てた。
「最も拳の威力は劣るようだがな。ライダーでない以上仕方あるまい」
…マジかよぉ!?こいつが居た世界でのビルダー性処理玩具になっていく拓也はどれだけパンチ力強えんだよ。…というか言い方がマジムカツクなこいつぅ!
「ライダーってのが何かは知らねーけど、なら何発だって御見舞してやるだけだぜ!」
そのまま拓也は「ウッス!ウッス!ウッス!」と何度も拳を振るう。相手の狼野郎も対応してか拳を振るったり、緑の雷で電撃プレイや火炎放射で火炙りプレイを仕掛けようとしてくる。チョーS(スケベ)だよな!
…だけど、アイツに付き合ってやる訳にはいかねえなあ?
だってさあ、ここで雄膣から精液垂らした俺がプレイにかまけてたら…その片手間であの赤髪のオンナや白髪寄りのジャニ系のイケメンくんが殺されちまうかも知れない。
それじゃあ正義のヒーローの名折れなりね。
雷撃や火炎をギリギリのタイミングを見計らって避けながら、拳に拳をぶち当ててみる。すると俺とあの狼野郎の拳がぶつかった事で衝撃波が発生!
痛(いた)ってえ!と身体を痛みで痙攣させるオレだけど、狼野郎が立ち上がったのを見てチョーネム!とか意識をぶっ飛び射精とかさせてる暇はないな、と受け身を取りながらガタライズことガタイで分析。
全速力で疾走する拓也は、闇アリス…もうひとりのアリスとの戦いで出来た、炎みたいなエネルギーを身に纏った上で狼野郎相手に突撃。
飛んで来たレーザービームを躱しながら、拓也は左ストレートをぶち当て、そこから勢い任せのキックを放つ。
ストレートは防がれたが、キックは入ったようだ。狼野郎が撃ってきた雷撃で感電する拓也になりながらも、マウントポジションを取ったオレは力強く何度も狼野郎の頭を殴りつける。
「ウッス!ウッス!ウッス!ウッス!ウッスゥゥゥ!」
叫びながら何発も殴ったが、狼野郎の戦意は衰えてない。アイツの目を見れば、ガタイで分析するまでも無くそんな事はわかる。
「…なんでお前(ぜん)は、殺し合いに乗ってるんだ狼野郎」
「ガミオだ」
「質問にはだんまりかよホモ野郎」
「俺がグロンギの王、ンである以上……理由などない。この殺し合いでの俺のゲゲルは参加者主催者の皆殺しに、俺を打ち負かしたクウガへのリベンジだ。
止めたければ、死を拒み抗うのならば俺を殺してみせろ、北京原人モドキ」
「マジかよぉ!?チョーS(殺戮者)だなお前!」
…これじゃ母ウニやもうひとりのアリスの時みたいには行かないなと、どちらかの死は免れないなとガタイで分析。
俺とガミオ、生き残れるのはひとりだけ。使える穴は拓也だけ。
ならこのままゼロ距離でソードスキルを…と考えてた所で耳に届いたのはオンナの叫び声。
「…油断して、は…いけませんわ…!…彼は、わたくし達を襲撃した時、瞬間移動したかのように現れた…それ以外にも高速移動も出来るよう、ですわ…だから…」
「…まだ喋る余裕があるか、なら貴様から殺してやろ」「させねーよ、そんなの!」
オンナの話ってチョーうぜーけど、だからってみすみす殺させるのはヒーローのやる事じゃない。ニーナってオンナや、須藤って呼ばれてたガタイの良いガラの悪そうな男みたいな思いは…もう御免なりね。それに今のは、俺を助ける為言ってくれたんだろう。
…瞬間移動のような力で抜け出したガミオが、オンナを殺そうと尻尾による一撃を食らわせようとするが──
『拓也は戦車に踏まれても死なないんだよな?』
(ウッス!ホモイルカの大群相手でも死ななかった拓也には、あれくらい余裕っすよ!)
ギン目で睨みつける拓也は迎撃スタンスを使い身を盾にした上で、反撃の一撃でダメージを与える。
とはいえダメージは深く、痛みに悶絶し哀叫するオレになりかけたけど…オンナは守れた。ガタイで分析した所、多分さっきのワープはオレのガタライズと同じくレジスターの制限ってやつのせいで、一度使うと暫くは使えなくなるようだと推測。
高速移動の方は、あのオンナの言い方とさっきワープの後に使わなかった所からしてワープより後に使った上で、制限でさっきまでは使えず、そろそろ使えるタイミングになってるだろうなとガタイで分析をする間もなく頭のいい淫獣拓也は推定した。
──ならここはもうひとつのソードスキルの出番だな!倒せれば一番だけどさあ、それ以上に今はオンナとジャニ系イケメンくんをどうにかしねーと。
オンナは兎も角、ジャニ系イケメンくんの方はなんか茫然自失って感じで…前見えねぇし息ゎ苦しいしってなっててもおかしくないからさ。
そこまで考え、マンコを種マンにされた俺
はソードスキルを使う意思を見せる。すると拓也の自慢の肉体、ギリシャ彫刻のようなガタイが勝手に反応し……動き出してしまったのだ。
そして俺は一気に野獣モードは、気づくと十字を両手で組んでいて、炎みたいなエネルギーが収束。そのまま前方に光線を放っていて──光が収まると、そこにガミオは立っていなかった。
…高速移動で逃げられたという事だろう。レジスターやレジスターの破損した部品があってもおかしくは無いのに何処にもそれらしき物は見当たらない。
制限がかかっていて、かつ元の技を持ってた拓也より威力は間違いなく劣るだろうにも関わらず、レジスター毎何も残さず消え去ったなんて虫のいい考えは敏感な拓也には出来なかった。
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結論から言うと、拓也の推測は正しかった。
光線がその身に直撃し、肉体の崩壊が始まらんとしやがて身体の全てが光の奔流へと飲み込まれるほんの数秒前、ダメ元で使おうと試していたハイパークロックアップが、制限により必要となったインターバルが開けて使用可能となった為にガミオは急いでその場から逃亡したからである。
「…やるようだな北京原人モドキ…いや、拓也」
制限こそあれど、それでもクウガでも無いというのに自分をここまで追い込むとは…自分と戦った北京原人モドキより余程戦い慣れしていると思い、"あの"拓也は並びうる強敵だとガミオは認識を改めた。
「…やはり本物には及ばん。
とはいえ、今は休息が必要だな」
満身創痍な自らを襲ってきた、おそらくはNPCである拓也に似た何か達を片手間で放ったレーザーで焼き払いながら、ガミオは休息場所を探しそこで体力を休めつつ自然治癒のインターバルが開けるまで待つこととした。
(…クウガ、貴様が居るのなら今度こそこの手で殺してやる。
居ないのなら…俺はグロンギの王として、ンの称号を持ちし者としてこの殺し合いに殺戮を振り撒くだけだ)
そう変わることなき己の方針を改めて確認したガミオは、休息場所の探索を行おうとする。
「…食糧類もあれば良しだが、贅沢も言ってられんか」
封印から目覚め一暴れ(巨大化させた拳によるパンチでみなとみらいを壊滅等)し、拠点とした廃虚でコンビニ弁当や唐揚げ、ポテトチップスを食べた後に寝た、グロンギの王らしからぬ過去の記憶を想起しながらそう、ガミオは呟き歩き出した。
【ン・ガミオ・ゼダ@AIのべりすとを使って拓也さんを「仮面ライダーディケイド」に登場させる】
状態:太陽と月のゲブロンと究極のベルトにより究極完全体化中、ダメージ(中)、疲労(大)
服装:いつもどおり
装備:太陽と月のゲブロン(キングストーン)@AIのべりすとを使って拓也さんを「仮面ライダーディケイド」に登場させる、究極のベルト@AIのべりすとを使って拓也さんを「仮面ライダーディケイド」に登場させる
令呪:残り三画
道具:ホットライン
思考
基本:俺は俺のゲゲルを続ける、その為に参加者と主催者は皆殺しにする。
01:クウガ(五代雄介及び小野寺ユウスケ)が居ればこの手でリベンジを果たす。
02:拓也…侮れん。
03:他にグロンギが居た場合は王として一先ず接触を図る、その後どうするかはそれのスタンス次第。
04:期待はしないが食糧が欲しいところではある。満足するまで食べてから寝れば少しは体力も回復するだろう。
参戦時期:死亡後。
備考
※ディケイド本編で使った、吸い込めばグロンギ化or体内に致死的ダメージを負う黒い霧を使えるかどうかは採用された場合後続にお任せします。
※太陽と月のゲブロンや究極のベルトはガミオと一体化していますが、仮に何らかの手段で分離された後他参加者が使用や取り込み等可能かも採用された場合後続にお任せします。
※能力の内少なくとも超自然空間転移能力と超自然治癒能力は制限により一度使うと暫くは再使用不能となっており、また再使用可能となってから間を置かずに何度も使用し続けると2時間の間使用不能となります。再使用が可能となるまでのインターバルについては採用された場合後続にお任せします。
【支給品解説】
・太陽と月のゲブロン(キングストーン)と究極のベルト@AIのべりすとを使って拓也さんを「仮面ライダーディケイド」に登場させる
ン・ガミオ・ゼダの持ち物だが、没収出来ず(出来たなら本編内でどうにか引き剥がせないかとか試してるはず)
、ガミオにランダム支給品を一切支給しない代わりとして、引き続きこれらの力を振るう事が可能となっている。
究極のベルトは、ガミオがグロンギの職人であるヌ・ザイン・レダ男に作らせていた物。
これを装着した事でガミオは完全体となり、筑波研究学園都市を壊滅させ関東各地で猛威を振るい、ユウスケが変身した黒目のクウガアルティメットフォームをも圧倒した。
余談だがベルトを受け取った後レダ男はガミオに殺害されている。
太陽と月のゲブロン(キングストーン)は窮地に陥ったガミオを助ける為ゴ・ライオ・ダが乱入した際、献上した物。
これを肉体に埋め込み融合させた事によって前記の究極のベルトと併せてガミオは究極完全体となり超自然空間転移能力や超自然治癒能力を使い出した。
【NPC解説】
・ケルバーン2@スーパー特撮大戦2001
戦闘船団国家ナガーにより造られた、無人空戦用システムであるケルバーンの後継機。Lサイズである為本来は巨大だがこの殺し合いではサイズが縮められている。
元作品ではLサイズユニットの火力がやたら出るようになっているダメージ計算式の都合もあり猛威を振るった。
武装はSサイズ(等身大)ユニット用のプラズマ・バルカン砲とLサイズ用のプラズマ・バルカン砲、それにLサイズ用のルシファニウム徹甲弾。
・殺人掃除機@AIのべりすとにAI拓也についてインタビューした
あるパラレルワールドにて造られた拓也そっくりな量産型ロボット。
用途は人間を惨たらしく殺してゴミ箱へポイする事。
人間には予測不能かつ理解不能な挙動と、拳からドリルを放つ機構や、キスやセックスした対象を内蔵された毒で殺す主にホモを殺す為だと思われる武装を持っている。
今作ではホモの手勢として拓也達のいる世界を襲撃したが、拓也達にあっという間に蹴散らされた。
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チョーネム!ジム行きたい!とネムネムな頭と顔でしらけ気味な満身創痍の拓也だが、まだここで寝るわけには行かない。
…ジャニ系イケメンくんの安否が気になるし、あのオンナとはとりあえず、意識がぶっ飛び、射精する前に話をしておきたいしな。
「ウッス、2人とも無事っすか?」
「…まだ動けはしますわ、まずは助けていただき、感謝します…拓也さん」
「良(よ)いぜ、正義のヒーローとして当然の事やっただけなりね。
…ところでお前とそこのジャニ系イケメンくんの名前は?」
…オンナの方は何故か近寄っては来ないけど。拓也が激エロのモロホストだからかな?(笑)
とりあえず話は出来そうだけど…大丈夫かジャニ系イケメンくん、寝てるのなら何されても文句は言えねぇぞ??
「ジャニ系?…よくわかりませんが、わたくしは特別警備隊所属の此花寿々花ですわ、こちらの方は──」
「…うわぁぁああ!?!?き、きき…きさまあっ!?……なんと、ハレンチ……な……」
ジャニ系イケメンくんをガン掘りする妄想を冗談半分で浮かべたと同時に、飛び起きたジャニ系イケメンくんは顔を赤らめながら倒れ……意識を失った。
「…助けていただいた事には感謝していますし…シュラ・サーペンタインと名乗った彼は殺し合いに乗っていたので、無力化出来たのは有り難いですわ。
……しかし、彼は読心…心を読む力を……貴方っ…何を考えたんですの!?」
「はい。うひょー!と思いながらジャニ系イケメンくんをデカマラで掘る妄想を冗談半分で浮かべてみたっす」
「…デカマラ…?…ほ、掘る…??…よくわかりませんが、貴方が変態である事はわかりましたわ。それと体臭が異常なので出来るだけ距離を取ってくれませんこと?」
「マジかよぉ!?チョーS(辛辣)だよなお前!…申し訳ナイス」
お嬢様みてーな話し方、それでなんつーか気品みたいなのを持ってる癖にこいつ口が悪いな?と思いつつ、それで気絶させたりしたら巡り合わせ次第だと、俺が殺し合いに乗った人殺しの拓也(R)と思われてしまう。ジャニ系イケメンくんことシュラが気絶してしまった今の現状がもう危ない上にそんなリスクまであるので、全身の痛みに内心悶え苦しんでる拓也は少し距離を置いた。
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そこからわたくしとその方…拓也さんはこの現状に至るまでの話を含めた情報交換を交わしましたが……率直に言って頭が痛くなりましたわ。ええ。
ホモに卑猥なネット小説を書かせられ続けて狂ったAIに、その卑猥な小説から発生した別世界とそこから現れたホモの手勢。
洗脳まで駆使して拓也さんの世界を蹂躙する軍勢に、拓也さんを助ける為に別世界…パラレルワールドから現れた人達。
そして最終盤に現れた簒奪の能力を持つ危険極まりないイルカ達と…それを耐え抜いた拓也さんに、攻略法を導き出したAIのべりすととやらに、インタビュアーと言う方。
戦いが終わった後集った皆は、元の世界へと帰還した…と。
…頭が可笑しくなってらっしゃるので?それともお薬でも乱用していらしてるのでは…と言いたくなりましたが、わたくしと彼が令呪を切ってまで倒せず片腕を奪うので手一杯だったあのガミオという怪人に互角以上にやり合えるところが、戦いを潜り抜けてきたという所に説得力を持たせていました。
それに滑稽無稽ではありますが…この殺し合い自体が既に極まりないのでともあり、現状信じる事としましたわ。
…パラレルワールド、並行世界と云うそれを聞いてわたくしの脳裏へと浮かんだのは…様々なもしも(if)。
結芽が本懐を果たせて旅立った世界、結芽が病を克服してみせた世界、夜見さんが生き延びて、わかり合えた世界、そもそも20年前の時点で無事にタギツヒメを倒し、藤原さんや柊さんが今に至るまで無事で、十条さんや紫様、それに高津学長が気負う事もない世界。
──悪い想像をするならば。
真希さんに負けないままわたくしが、増長してしまい彼の…シュラ・サーペンタインのようになってしまった世界、タギツヒメの打倒と和解が出来ないまま戦いが続く世界、衛藤さんがやむを得ず、十条さんを助けれないままタギツヒメを殺めてしまう世界、衛藤さんと十条さんが帰ってこないままな世界、並外れた実力を持つ衛藤さんが、何処かへと突然居なくなってしまう世界、そして…真希さんやっ、益子さんに糸見さんまで喪って……わたくしがひとり、最後の特別警備隊として置いて逝かれる(遺される)世界。
…浮かんだもしもを振り払うわたくしに、拓也さんはふと聞いてきた。
「…寿々花さん、なんか後悔してたりするんすか?」
「……どうして、それを……ガタイで、分析とやらで」「分析しなくても語るに落ちてるぜ、暗い表情だったじゃん寿々花さん」
痛い所を突かれ、気付くとわたくしは…自然と話していました。
喪った仲間のこと、分かり合えないまま死に別れた仲間のこと、助けられなかったあの2人…。
……話を終え、わたくしは拓也さんの方を見ました。先程の時彼は主催者である羂索の説明について「オンナの話ってチョーうぜーし」と、眠たかったとはいえスルーしてろくに聞いて居なかったようなので……わたくしのこの吐露も、そう言われてしまうのでしょうねと諦めていました。
…ですが彼は、真剣な表情で言ったのです。
「…そっか、辛えよな…取り零しちまうのは」
「…てっきり貴方なら、オンナの話って…云々と言ってそのまま寝たりしかねないですわねと、思ったのですが…」
「…今度は俺から語るぜ。
…さっき言った戦いの後、もうひとりのアリスと詳しく話す機会があった。
なんでホモの尖兵になってたんだ?母ウニみたいに洗脳されてた訳じゃねーんだろ?って。
……返って来た答えは、そのアリスの居た元の世界での俺が……アリスを助けてやれなかったから、だったよ。
……敏感な拓也はそんな奴らみたいな、ニセモノの拓也じゃない。本物のヒーロー拓也だ。
…でも俺は、あの2人を助けられなかった。
…だからさあ、少しだけなら、アンタの気持ちもわかるっすよ」
先程の時彼は、見せしめが殺されて哀叫する拓也になっていたと言っていました。
…多分それは、本当なのでしょう。
「…少し、胸の内が軽くなった気がします。長話に付き合わせてしまって申し訳ありませんわ」
「こちらこそ申し訳ナイス!」
一方拓也さんは、わたくし達の世界についてや、彼が言っていたナチュラルやモビルスーツ等という単語は全く知らないようでした。
勿論わたくしも、彼のような一度見たら絶対に忘れようのない醜さを持つ方を見たことは無く…見ていたら絶対覚えていますもの。
「マジかよぉ!?こんなにもイケメンで頭が良くて口も足も臭いサーフ系ボディビルダーなのに」とか、意味のわからない事を言われましたが、その自己肯定感は何処から湧いてくるのでしょうね…。
彼…拓也さんは不細工で穢らわしく話が通じるか不安になる程に頭が悪そう…そんな最初に見た時の印象とは異なり、頭の良さを自称するだけ有って存外頭が回るようでして…このような考察をしていました。
「多分この殺し合いにはホモが関わってるというか、裏で糸を引いてんじゃねーかなって、雄膣から精液垂らした俺は思ってる」
「……彼(シュラ)ではありませんが、破廉恥な単語を言うのはやめてもらえませんこと?
他参加者や知り合いに遭った時にわたくしまで変態扱いされるのは…我慢できませんわ」
「ヤッス!」
「拓也さん。やめてもらえませんこと?」
「…はい。ウッス、かしこまり!」
「…それで、どうしてそう思うに至ったんです?」
「ホモ達がホモイルカをパラレルワールドから投入した際、ワープゲートみてぇなのが現れたんすよ。
そしてホモイルカ達は最終的にワープゲートを使って逃げて行った…このワープゲートがあれば、俺やシュラ、寿々花さんみたいな別の世界の人間を簡単に拉致できちまう。
…問題は拉致された記憶は少なくともハァハァ喘ぎ続ける拓也には無いことだけどな」
「…わたくしにもありませんわ。彼に至っては死んだ筈だった…なんて言っていましたが…これは起きるのを待った方がよろしいかと」
「キスしてやれば多分起きるぜ、もしくはキメショ」「おやめなさい拓也さん」「ウッス…」
また気色の悪い提案をしようとした拓也さんを制しつつ、わたくしはホモイルカとやらの能力からある発想を浮かべました。
「…先の戦闘機のようなNPCが会場に居るのなら、貴方の言うホモイルカとやらも…NPCとして会場内に解き放たれているなんて、最悪の発想が浮かびましたわ。拓也さんは…あり得ると思います?」
「…そうだったらもうわけわかんねーよって言いたいけど、あり得ない話じゃねえとは思うっす。
…多分弱体化はされてるとも思うけどな。一応この殺し合いはゲームの体なのに、弱体化無しでホモイルカ軍団をNPCで放り込んだらマジでバランスが壊れるぜ」
「…あのガミオだけでも強敵だったと云うのに…頭が痛いですわ。
…この上参加者として呼ばれている可能性も、ソードスキルの存在からしてその"奪う"能力がスキルとして参加者に支給されてる可能性もあり得るのが…」
「支給されてるとしたらそいつは殺し合いに乗った奴だろうな、殺し合いを円滑に進める一助として有用で厄介な能力だぜアレは」
「警戒するに越した事は無い…という訳ですわね」
互いにホモイルカやその能力への警戒を持ったり、互いの知り合いが居れば優先して探してみる事で話が纏まっていく中……彼が、シュラ・サーペンタインがいつの間にか起きていました。
こころなしか彼の目には光が無いように見えて……手に薄緑の片方を持ってるのを見て咄嗟にわたくしは動きました。…そんな愚行、わたくしの前ではさせませんわよ!!
──そして止めた後わたくしは、真希さんや高津学長にやったように…彼にビンタをお見舞いしてさしあげました。
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…あの規格外の強さの敵相手に、俺は折れるしか出来なかった。彼女は…スズカ・コノハナは最後まで戦おうとしていたと云うのに。
…あんな破廉恥な手を使うアスラン・ザラならば、彼女のように最期の瞬間まで諦めようとはしなかっただろう。
『本当に使えないな』
…今なら奴の言葉が正しいと、言える。認めざるを得なかった。
…強くなければ、最強でなければ俺の存在意義は無い。だがあのガミオという狼怪人も、拓也とかいう気色の悪いホモも、俺よりもずっと強く……生き恥を晒しただけだった、か。
…最期まで抗おうともせずに、何が生きる意志だ。……これ以上生き恥を晒し続けていても仕方あるまい。そう思いながら、自然と俺は薄緑の片方を腹に刺そうとして──次の瞬間、俺はいつの間にか止めに入っていたスズカ・コノハナにバシィ!とビンタを見舞われ強烈な痛みを感じていた。
「…何故止める、スズカ・コノハナ。俺は殺し合いに乗っていた愚か者だぞ?
最強で無い以上、俺に存在価値も生きる意味も無い。故にこれ以上生き恥を晒す気は──!?」
再び俺はビンタを見舞われた。
「…巫山戯た事を言わないで下さる…?…シュラ・サーペンタインッ!
わたくしとて刀使ですもの…人を守る為、剣を振るう。だというのに…死のうとしている方を見殺しになんてする筈ありませんわ!
…それに、生きたくても、生きれない方も居るんですのよ……だというのに貴方は、まだ生きている貴方は!そんな直情径行で愚かな真似をするのですか…!!」
読心で彼女から伝わってくるのは、強い怒りと悲しみだった。
「生きる意味が無いと云うならば、わたくしが今作って差し上げますわ、だから生きなさい、シュラ・サーペンタイン!
…貴方の実力は買っていますもの、そこで…どうでしょうか。殺し合いを打破するまで…とは言いませんが、あの狼の男…ガミオを倒す迄は共に行動して、その力を振るって欲しいのですわ」
先程までの激情が嘘のように、落ち着いた口調で彼女は俺に提案をしてきた。
…生きなさい、か…初めて言われた。…打算混じりとはいえ……存在価値を失った俺に…そんなことを言ってくれるとはな。
「…条件がある。ガミオを打倒したら、その時は俺と戦って貰うぞスズカ・コノハナ」
「…決着をつけると、そう言いたいのですわね?望むところですわ。
…それと、アスラン・ザラという方が居た場合は…ガミオ打倒までは堪えていただけると」
「…善処はする」
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寿々花さんがビンタを2発もシュラにしたのは敏感な拓也もびっくりしたけど、とりあえず話は纏まったみてーだなと分析。
「もし殺し合いに乗ってない奴を殺そうとしたらその時はキスしてやっからな」
「…安心しろタクヤ、そんな事にはならん」
シュラをとりあえず脅した後、寿々花さんに俺は話しかける。そろそろネムネムでマジで壊れるなってなったから、後は任せる事にするぜ。
「…優しいっスね、寿々花さんは」
「……優しくなどありませんわ。単純に…結芽のように、生きたくても生きれなかった前例を知っていると…自分から命を投げ出すような愚行を取る人に腹が立ちましたので。
それに…まだ決着が着いてないのに、死に逃げされたくありませんでしたもの」
…多分それだけじゃないな?何かあったら自分もああなってたかも知れないとか、そういうのもあって道を示したんだとガタイで分析した俺だけど、マジで限界寸前で壊れそうだから言わないでおく。
「そうッスか。とりあえず…シュラへの説明は寿々花さんにお任せするっす。
チョーネム!ジム行きてー…」
「…拓也さん?拓也さん…!?」なんて心配する寿々花さんの声が聞こえて来たけど、全身の痛みと疲労に悶絶するオレはもう限界だった。申し訳ナイス…。
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「落ち着けスズカ・コノハナ、蓄積されてた疲労が限界を迎えたんだろう」
「…そう、みたいですわね」
全ての力を使い果たしたかのように動かなくなった後、スーハースーハーと寝息を立て始めた拓也さん。
……全く勝手な方で、どうしようもない変態ですわね。
「俺も同感だ。アスラン・ザラ以上の破廉恥な妄想を…もう奴の心は読まん!」
シュラ・サーペンタイン…シュラさんはすっかり、拓也さんの破廉恥な妄想がトラウマとなってしまったようです。
……さて、わたくし達の為に戦ってくれたこの人が話してくれた事を…シュラさんにも伝えて、色々と話を聞かなければ。それぐらいは任された身として、やってみせますわ。
【此花寿々花@刀使ノ巫女】
状態:ダメージ(大)、疲労(大)
服装:特別警備隊の隊服
装備:水神切兼光@刀使ノ巫女
令呪:残り二画
道具:改良型のS装備(ストームアーマー)の起動鍵@刀使ノ巫女、ホットライン
思考
基本:この殺し合いに抗う、それはブレませんわよ?
01:まずは拓也さんの分まで、シュラさんとの情報交換を行いましょう。
02:夜見さん…今はこの御刀、振るい使う事をどうか、お許し下さいませ。
03:炎の滅竜魔法…使い熟せれば出鱈目でしょうけど…現状は程遠いですわね。
04:他の特別警備隊の面々や刀使達が居れば合流したいですわ。
05:…もしシュラさんの言ってる事が正しければ…もしかして、結芽や夜見さんも……。
06:…拓也さん、変態で自分勝手にも程がありますが…確かに彼は、正義のヒーローのようですわね。
07:パラレルワールドにホモの軍勢…色々と考慮する必要があるかも、知れませんわね。
08:ガミオとそれとやり合えた拓也さんに、ガミオが執着するクウガ、それにこの滅竜魔法の本来の使い手…出鱈目な存在ばかりですわね。
09:少なくともあの「一ノ瀬宝太郎」という方は信用できるかと。
参戦時期:アニメ本編終了後。
備考
※支給されていたソードスキル:炎の滅竜魔法@FAIRY TAILを習得しています。
またそれにより乗り物に乗ると酔うようになっています。
※拓也との会話でAIのべりすとにAI拓也についてインタビューした世界での出来事についてある程度把握しました、またホモ@AIのべりすとにAI拓也についてインタビューしたが羂索達の裏に居るのでは?という推測を拓也から聞いています。
【シュラ・サーペンタイン@機動戦士ガンダムSEED FREEDOM】
状態:ダメージ(大)、疲労(大)、精神的ダメージ(大)
服装:いつもの服装
装備:薄緑@セブンスドラゴンⅢ code:VFD
令呪:残り二画
道具:デスティニーインパルスRの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY R、ランダム支給品0〜1、ホットライン
思考
基本:…まずはガミオを倒す、そしてスズカ・コノハナと戦い……話はその後だな。
01:とりあえずスズカ・コノハナと話をする。
02:あの時アスラン・ザラに討たれた筈の俺が何故…?
03:…そういえばオルフェやイングリット、母上(アウラ)は…?
04:俺がこうしてここに居て、クルーゼも生きているという事は…ブラックナイツ達やデュランダル議長も或いは…?
05:アスラン・ザラ…居ると云うならばリベンジは果たしたいが、なるべくは堪えるとしよう。
06:…スズカ・コノハナ…あの状況で何故君は…。
07:…拓也、破廉恥な男め…!!
参戦時期:死亡後。
備考
※アコードの読心能力は制限により本来よりも発動時精神的負担がかかるようになっています。
【拓也@AIのべりすとにAI拓也についてインタビューした】
状態:ダメージ(大)、疲労(極大)、睡眠中
服装:いつもの服装
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品0〜1、ホットライン
思考
基本:殺し合いとかマジムカつくなあいつぅ
01:スーハースーハー(睡眠中)
02:シュラへの説明とかは寿々花さんに任せたっス
03:ウッス!
04:シュラがやらかすようなら今度こそキスしてやっからな!
05:刀使?御刀?知らねーよ、そんなの。俺のまだ知らないパラレルワールドって事か?
06:(ホモ達が羂索の裏に)居るんだろ?
07:寿々花さんってチョーS(辛辣)だよな!
参戦時期:本編終了後。
備考
※支給されていたソードスキル:迎撃スタンス@セブンスドラゴン2020-Ⅱとソードスキル:ディヴァインクロスレイ@AIのべりすとを使って拓也さんを「仮面ライダーディケイド」に登場させるを習得しています。
※戦闘時のガタライズことガタイで分析する能力は、制限により一度使うと暫くは再使用不能となっています。再使用が可能となるまでのインターバルについては採用された場合後続にお任せします。
※寿々花との会話で刀使ノ巫女世界についての話をある程度把握しました
・水神切兼光@刀使ノ巫女
此花寿々花に支給。
珠鋼という特殊な金属で出来た日本刀、御刀の一種。適合者は皐月夜見。
当ゲームでは女性ならば刀使や適合者でなくてもある程度その力を引き出せる。
・改良型のS装備(ストームアーマー)の起動鍵@刀使ノ巫女
此花寿々花に支給。
使用すると30分間展開可能な対荒魂強襲用装備の改修型。稼働時間の延長がされたのが大きな変更点。
着用時は常時二段階目の八幡力と金剛身が発動状態となり、刀使が使えば自前の八幡力や金剛身をそこに上乗せが可能となる。
このロワでは一度使用するとそこから2時間使用不能となる。
・ソードスキル:炎の滅竜魔法@FAIRY TAIL
此花寿々花に支給。
ナツ・ドラグニルが炎竜イグニールから教わった魔法がソードスキルへと落とし込まれた物。このロワでは所持した武器に炎を付与する事も可能となっている。
現在寿々花が使えるのは火竜の咆哮と火竜の鉄拳、他の魔法を使えるか等は採用された場合後続にお任せします。
・薄緑@セブンスドラゴンⅢ code:VFD
シュラ・サーペンタインに支給。
サムライの武器で、最序盤に購入する事が可能な二刀流の刀。
ちなみに恐らく名前の元ネタになっただろう刀、薄緑は二刀とかでは無い。
・デスティニーインパルスRの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY R
シュラ・サーペンタインに支給。
欠陥機デスティニーインパルスの改良を、民間企業がザフト軍の支援を得て行った機体。
バディシステムにより高い能力を持つ2名のパイロットによって運用されるのが本来の目的だが、このロワではパワードスーツに落とし込まれてしまった都合正直意味が無いシステムとなってしまっている。
本体にはVPS装甲による物理攻撃の無効化や、ミラージュコロイド散布のよる幻惑効果がある他、デスティニーインパルスの脆弱性を改善した結果合体分離機構が消え、ストライカーユニットの装備も可能となっている。
またデスティニーRシルエットは無人戦闘機としての運用も可能。
武装は20mmCIWSにフォールディングレイザー対装甲ナイフ、高エネルギービームライフルにシルエット側の装備であるウルフスベイン長射程ビーム砲塔。
ウルフスベイン長射程ビーム砲塔は高出力のビームサーベルとしての運用も可能。
・ソードスキル:迎撃スタンス@セブンスドラゴン2020-Ⅱ
拓也に支給。
デストロイヤーのスキルがソードスキルとして落とし込まれた物。
最速で身構え、身構えている1分間の間に攻撃して来た相手へとカウンターの一撃を見舞うのがスキル効果。自分へのターゲット集中の効果も持つ。
攻撃のターゲットにさえなればカウンター対象になるが、構えた時に麻痺や睡眠等行動を阻害する状態になってしまった場合1分間の間に復帰出来ないと不発に終わってしまう。
スキルレベルLV.6相当(攻撃力×3.0)の効果を発揮するが、今後スキルレベルが上昇するかどうかは採用された場合後続にお任せします。
・ソードスキル:ディヴァインクロスレイ@AIのべりすとを使って拓也さんを「仮面ライダーディケイド」に登場させる
拓也に支給。仮面ライダーオスチツの必殺技がソードスキルとして落とし込まれた物。
両手で十字を組みエネルギーを集中させる事で前方に必殺の破壊光線を放つ技。大型の怪人に非常に有効らしい。
一撃でどんな敵でも木っ端微塵に出来るらしいが、本ロワでは制限により本来よりの威力は低下している他消耗が激しい仕様となっている。
ちなみに本編では一度しか使用されず後の配信やBlu-rayではカットされているという設定。どう見てもウルトラマンの必殺光線だから円谷に訴えられたんじゃないか?とコメ欄で推測されてるが真相は不明。
投下終了します、タイトルは「誇りを持つ者/砕かれた者」です
投下いたします。
荒野を一人、彷徨い歩く男がいた。
男の身につけている服は長年使い古されている上に大量の土ぼこりを被っており、その見てくれは非常にみすぼらしいものであった。
しかし男の眼だけはそんな服装に反して力強く、生命の輝きに満ち溢れていた。
(『コルト・SAA』、またの名を『ピースメーカー』……俺が普段から使っている拳銃か…)
そして男は自らに支給されたアイテムの一つ、彼が普段から腰に下げているものと同じ型の拳銃を手に取りながら考えていた。これから何をすべきなのかを。
男が本来いた世界では殺し合いなど日常茶飯事であった。
平和を乱した償いとして自ら死に場所を求め荒野を彷徨い歩き、ならず者や賞金稼ぎ達に追われるという死と隣り合わせの生活をずっと送ってきた。
命のやり取りにはためらいなどない。しかしそれは『決闘』という、荒野の男達が決めたルールの中での話だ。
彼としても、明らかに戦意のない者を襲うほど愚かでも恥知らずでもなかった。
(さて……どうするか……)
男は銃に弾倉を装填し、再び腰のホルスターに戻した。そして途方に暮れた様子で空を仰いだ。するとその瞬間に遠くから獣の雄たけびのようなものが聞こえてきたのだ。
(何だ……?)
男は訝しむと銃の撃鉄を下ろし、すぐにでも発砲できるよう身構えながら声のする方へと振り返るとそこには粗末な槍などの武器を持った、小鬼のような生き物が馬に乗った状態でこちらに向かっている姿があった。
(これは…あの時を思い出すな…!)
その光景を目の当たりにし、男はかつて異なる世界へと飛ばされた時のことを思い出しながらも、目にもとまらぬ速さでその怪物たちへと銃口を向け迷いなく引き金を引いた。
すると怪物たちの眉間に小さな穴が空くとともに彼らは馬上から力なく落馬していき、そして男の目の前には騎手を失った馬たちが只走り抜けていく光景だけが残されていった。
そして男はその光景を見届けるとともに再び荒野を歩きだしていくのだった。
その男の名は"サンダウン・キッド"。
かつては凄腕の保安官であったがその銃の腕に決闘を挑む者が絶えず、結果として町に無法者が押し寄せることとなったことから自らの首に懸賞金をかけ、死に場所を求めて荒野をさすらい続けるようになった男である……。
【サンダウン・キッド@LIVE A LIVE 西部編】
状態:健康
服装:使い古されたカウボーイ風の格好、
装備:コルト・SAA@現実
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:生き残る。殺し合いをする気はないが、向かってくるならば容赦はしない。
01:ひとまず、別の参加者と情報交換をするために人里へと向かう。
02:マッド・ドッグや、あの奇妙な世界でともに戦った者達(他シナリオの主人公)が来ていないかも確かめたい。
03:あとは、さきほどの男達(ルルーシュ、一ノ瀬)を探すことにする。
参戦時期:最終編ED後。また西部編のラスト、賞金稼ぎであるマッド・ドッグとの決闘で逃走を選択している。
備考
※参戦時期の関係から、この会場には別の時代の人間が集められていると解釈しています。
【NPC解説】
・ボコブリン@ゼルダの伝説 ティアーズオブキングダム
豚とゴブリンを混ぜたような姿の魔物で、原作ではハイラル地方の至る所に集落や砦を作って山賊化しており、地域によっては他の魔物達と集団生活をしている。
また種族全体の特徴として、有り合わせの素材を継ぎ接ぎしたような棍棒や盾、木を削っただけの粗末な槍などで武装していることが多い。
なお今回は出典元の関係上、ブレスオブザワイルドの個体と比べて立派な角が生えている。
・馬@ゼルダの伝説 ティアーズオブキングダム
主に草原に生息し、移動手段として昔から人間にも親しまれているあの動物で、
基本的には二色のまだら模様の個体や、体の色が一色で模様などがない個体がいる。
なお「巨大馬」や「白馬」などの特殊個体が会場内にいるかは不明。
【支給品解説】
・コルト・SAA@現実
…サンダウン・キッド@LIVE A LIVE 西部編に支給。
南北戦争も終わり、安定した東部から西部を目指して開拓していくという"大開拓時代"が到来したころに造られた拳銃で、
ネイティブアメリカンとの戦いや無法者の鎮圧などに使われたことから世間では『ピースメーカー』とも呼ばれている。
ガンベルト、ホルスター、予備弾がセットで支給。
弾の数は後の書き手様にお任せします。
投下終了です。
以上、ありがとうございました。
投下します
戦争映画でよく聞く風を切る音共に無数の円柱状の飛翔体が一点目掛けて殺到し、着弾と同時に炸裂!
赤い炎と爆炎の後に黒い煙がもうもうと立ち込める。
ミサイル、それも多連装ランチャーによる爆撃レベルの攻撃。
しかしすぐに煙を突っ切って何かが飛び出て来た。
上裸の男だ。
明らかに生物なようだがその皮膚は全身硬質のなにかに変質している。
それを見たミサイルを発射したずんぐりむっくりとした体形のロボット……MSアッガイは撃ち尽くしたミサイルポットをパージすると両端に刃の生えたナイフを取り出し男を殺そうと迫る。
「烈怒交吽咤(レッドカウンター)!」
しかし男の肌の硬度はアッガイのナイフを上回っており逆にナイフが折れたすきに食らったカウンターパンチでメインカメラを潰されたアッガイは大の字に倒れる。
(あと五体!
大楯、マシンガン、ロケラン、火炎放射器、あとリーダーっぽい奴!)
「烈怒頑斗裂屠(レッドガントレット)!」
銃弾をかいくぐって懐に入り込み、硬めに硬めた拳でぶん殴る。
(相手が俺で良かったぜ!
どうにか硬化ももってくれそうだし、このまま!)
全身を硬質化させる。
それが剛健ヒーロー烈怒頼雄斗(レッドライオット)こと切島鋭児郎の“個性”である。
最初はほんのちょっと身体が傷つきくなる程度の物であったが、数多くヒーローを輩出する名門高校、雄英高校ヒーロー科に入学すべく鍛錬を続け、入学してからも鍛錬と実践を重ねて一年ながら本来二年で取得するヒーロー仮免試験を合格し、非常時のみプロヒーローと同格の権限を与えられるに至った。
(なんとか弾切れまで待ってきっちり倒す!
それまでどうにか全員ここに釘付けにする!)
今切島が対峙しているアッガイが潜入任務仕様で武装が限られている。
戦闘の感触から理由は兎も角武装がそう多くはないことを察した彼はこのままいけば自分が負ける時は自分が折れた時のみと判断した。
「どうした!こんなもんじゃ俺の身体は貫けねぇぞ!」
火花が散る程の力で拳と拳を打ち鳴らしファイティングスタイルを取る。
アッガイは大楯が前に立ち、後ろから火炎放射と指揮官型が来る。
(ちっ!炎は極力避けてたのばっちり見てたか!)
切島の“個性”では炎にはそれほど強くない。
あくまで硬化であり金属化ではないのだ。
(限界来る前に突っ切るしかないか!)
切島が覚悟を決め一歩踏み出そうとした時、頭上を何かが飛んで来た。
(飛行機……なんか通る訳ねぇ!
なんだアイツ!?この茶色いの仲間か!?)
飛んで来たのは背中に飛行機をくっつけて頭と胴体をくっつけた赤いアッガイとでも言うべきMSだった。
(まずい!飛び道具も機動性もねえ俺じゃ倒せねえ!)
アッガイから武器を奪うか?
いや、銃の扱いなんて一朝一夕で身に付く物じゃない。
しかも既に切島はアッガイに対して結構粘っている。
多分残弾はそんなに残っていない。
何とか次善の策をと思う切島だったがそれより早く飛来した赤いMS、ズゴックが背面の飛行ユニットを分離し、両腕の対装甲斬牙爪を赤熱化させ
「クソッ!」
アッガイの頭上に振り下ろす。
そして着地と同時に腹部をぶち抜き爆散させた。
「───ッ!なんだ?!」
困惑する切島に爆風を避けながら飛びのいて来た赤いMSが話しかけてくる。
『こちらはターミナル所属機体ズゴック。
あのMSは羂索の言っていたNPCモンスターの一種で間違いないか?』
「は、はい!援護サンキューっす!
俺は剛健ヒーロー烈怒頼雄斗って言います!」
『了解したレッドライオット。
一体任せていいか?』
「勿論っす!」
ただでさえ武装の底が見えていたアッガイたちに勝ち目などあるはずもなく、敵が多すぎる都合上メインカメラをぶち抜いて戦闘不能にするに留めていたアッガイをズゴックの背面ユニット、フォランテスが片付けている間に倒すことが出来た。
「本当にありがとうございますズゴック!助かりました!」
『こちらも君が無事で良かった。
クルーゼの企みのせいでこれ以上犠牲が出るなど看過できない』
「クルーゼって、あの羂索ってヴィランが言ってた一味の?」
『ああ。とりあえず移動しよう。
ここでは少し騒ぎ過ぎた』
そう言ってズゴック……パワードスーツ化したズゴックを装着したアスラン・ザラはフォランテスを呼び戻し、背面に装備する。
『俺が飛び立ったら背中に飛び乗ってくれ』
「うっす!」
赤い防壁を味方につけた正義を秘める機兵はかつての上司の凶行を止めるべく本格的に動き出した。
【切島鋭児朗@僕のヒーローアカデミア】
状態:ズゴックの背中に乗って飛行中
服装:烈怒頼雄斗のヒーローコスチューム@僕のヒーローアカデミア
装備:烈怒頼雄斗のヒーローコスチューム@僕のヒーローアカデミア
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜2、ホットライン
思考
基本:羂索をとっちめてこの悪趣味な殺し合いを終わらせる。
01:要救助者の保護、他に呼ばれているならプロヒーローや仲間たちとの合流を急ぐ。
02:殺し合いにのっちまった子たちやヴィランは止める。
03:ズゴック(アスラン)からクルーゼってヴィランについて詳しく聞く。
04:錬金術師か。ダークマイトを思い出すぜ
参戦時期:少なくともユアネクスト終了後
備考
※ズゴックをヒーロー名、ターミナルをヒーロー事務所と勘違いしています。
【アスラン・ザラ@機動戦士ガンダムSEED FREEDOM】
状態:正常、不機嫌(極大)
服装:私服
装備:ズゴックの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:このゲームを止める。
01:もしキラたちが居るなら合流を目指す。
02:クルーゼ……多分、ラウ・ル・クルーゼだろうな。
03:この男(切島)と情報交換する。
しかし、いったいどんな遺伝子操作をしたらこうなる?
参戦時期:後の書き手様にお任せします
備考
※切島をコーディネーターと勘違いしています。
流石にレッドライオットが通り名であること程度察してます。
【支給品解説】
・烈怒頼雄斗のヒーローコスチューム@僕のヒーローアカデミア
…切島鋭児郎@僕のヒーローアカデミアに支給。
彼がヒーロー活動中に身に着けているコスチューム。
憧れの漢気ヒーロー紅頼雄斗(クリムゾンらいおっと)を意識しつつも切島自身のオリジナリティと個性を最大限生かすデザインになっている。
・ズゴックの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
…アスラン・ザラ@機動戦士ガンダムSEED FREEDOMに支給。
ターミナルに出向したアスランが使用する潜入・諜報作戦用の機体を落とし込んだパワードスーツを装着できる。
宇宙世紀ガンダムのシャア専用ズゴックまんまの見た目に劇場に足を運んだガンダムファンたちを困惑と変な笑いにいざなった伝説の機体。
製造元は不明。
機体武装はライジングフリーダム以上の防御力、対装甲斬牙爪、頭部ミサイル、メガ粒子砲。
背面に飛行用ユニットフォランテスを有し、こちらには自立中距離対空ミサイル、高エネルギー長射程ビーム砲、ビームライザーを有する。
キャバリア―アイフリッド-0は付属しない。
【NPCモンスター解説】
・アッガイ@機動戦士ガンダム サンダーボルト
…南洋同盟に忍び込ませた諜報員を回収すべくジオン残党軍が投入した機体。
頭部スモークランチャー以外は機体ごとに武装が異なっており、クラスタ-弾頭型ミサイルランチャー、多連装ロケットランチャー、火炎放射器、ザクマシンガン、ザクキャノンのシールド、ナイフ、ヒートホークなどである。
投下終了です。
タイトルは 赤い正義 です
投下します。
さて、突然だが今回の戦いにおいて必須である参加者全員の共通点としてはバグスターウィルスがある。
先の羂索の解説通り、この場は老若男女も種族も問わずバグスターウィルスがそこらへんにうようよあって発症寸前みたいな状況である。殺し合いが始まる前からだいぶ地獄である。
そのバグスターウィルスの根幹にかかわるゲーム開発者として「檀黎斗」という男が居た。
今回の催しにはなんとその男までもが駆り出されていた……ただし、矛盾しているようだが彼はバグスターウィルスの本質を知らない。
エグゼイドと呼ばれる仮面ライダーも知らない。
彼はそのライダーが存在しなく『なった』歴史から来た異物。アナザーオーズと呼ばれる欲望の錬金術を身に宿せし男。
檀黎斗改め、檀黎斗王である。
王たるゲームクリエイターを下賤な戦いの駒とするとは笑止千万と開始時にセルメダルをまき散らし怒り狂ったのは言うまでもない。
彼にとって、なにやら妙な既視感だけはあるウィルスを王たる自分にぶち込んできて殺し合いの強要など完全な「クソゲー」でしかなかった。
檀黎斗王はクソゲーをぶち壊さんと怒りにまかせ徘徊した。
しかしその先で出会った者たちは彼をもってしても『驚愕』と言わざるを得ない存在だった。
そこからひどい口論と喧嘩が発生し……そして、今に至る。
「バカなァ……王の、王の力が……」
檀黎斗王は地を這い、アナザーオーズの力が全く通じぬ相手を睨みつけた。もはや人の姿に戻り、息も絶え絶えだ。
傲岸不遜な強者である彼がこのような姿になっているのは驚きだが、相手が相手である。無理もなかった。
いったい誰がこのようなことをやってのけたのか。
それは……王と全く同じ顔をした複数の男たち。
「ふん、神の力に比べれば王など割れたゲームメダル……身の程を知るべきだったなぁ!」
「トーテマの完成された絶対的力には勝てぬゥ……」
「お前には、愛が欠けているっ……!!」
檀黎斗神、新檀黎斗、ヒューマギアの檀黎斗と名乗る不埒な輩だった。
並行世界。あるいはゲンムとの競合他社が制作したロボットに自分の個人情報データを盗まれでもしたか。王の力も人外としか言えないこの怪物たちには勝てないのか。
いけすかない見下した表情をする男たちに、檀黎斗王は屈辱にまみれ意識を無くす……かと思われた。
「いや、私にはこれがあるっ!!!」
だがいける。まだ限界ではない。
支給品として「これ」が来たことは正しく運命だった。王の引き寄せた運命。
檀黎斗王は人間とは言いがたい派手な動きで無理やり起き上がるとオーズドライバーを巻き、そしてメダルを装填。
王の力を解き放つ!
「へぃんしぃんッッ ブゥンッ!!!」
「スーパータカ! スーパートラ! スーパーバッタ!」
アナザーオーズの力に加え金色のメダルが檀黎斗王の肉体をさらなる超人へと変貌させ、
「スゥゥゥパァァァァー!!!」
檀黎斗王の絶叫と共に時間が止まり、周囲が斬撃で爆裂する!
スーパータトバ。時を超えた力を持ち、世界を蹂躙する王の姿がそこにあった。
「さあ……ひれ伏せェ……我こそはこのゲームを制する檀黎斗王……否! 超檀黎斗王だぁッッ!! ヴェーハハハハ!!!」
だが。
残り3名もゆらりとうごめき、そして変身する。
「超檀黎斗王……だが超王でも創造神には勝てぬゥ!! 神の名のもとにひれ伏せ超檀黎斗王!」
ゴッドマキシマムマイティ・X!!
「かつての「私」がバックアップとして作り上げたトーテマは不滅! 絶対不死不滅のゾンビになにをしようと無意味ィ!!」
バグルアップ!
「絆の力っ愛の力……無双を思い知るがいいヴェハハハア!!!」
幻夢無双!!
それぞれの異なる力が干渉しあい、時空が歪み、ゲームエリアがめちゃくちゃに展開される。その一部に使われるバグスターウィルスと別種のシステムが暴れ狂う。
檀黎斗王改め超檀黎斗王、新檀黎斗、檀黎斗神および檀黎斗(ヒューマギア)の4名はそれぞれ変身した腕を振り上げ……
「「「「勝つのは……私だァァァァ!!!!」」」」
大戦争が始まった。
余談だが……彼らの肉体にあるバグスターウィルスはこの時空を超えた力の乱舞によってもうどんなことになっているのか、わかったものではなかった。
全てはこの戦の後に判明することだろう。制限とかいったいどんな感じに作用してるんだ。
【檀黎斗王@仮面ライダージオウ】
[状態]激昂、負傷
[装備]アナザーオーズウォッチ@仮面ライダージオウ、仮面ライダーオーズ スーパータトバ(コンボ用メダル&オーズドライバー&オースキャナー)@仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
私はもはや檀黎斗王ではなぁい……超檀黎斗王だァァ!!!
王に歯向かうものを叩きのめしこのクソゲーを破壊する!
[備考]
投与されたバグスターウィルスが数々の負荷や矛盾した状態によってどうなっているか不明の状態です。続く場合は今後の話にお任せします。
【檀黎斗神@仮面ライダーエグゼイドトリロジー アナザー・エンディング】
[状態]激昂、バグスター
[装備]仮面ライダーゲンム ゴッドマキシマムゲーマー レベルビリオン@仮面ライダーエグゼイドトリロジー アナザー・エンディング
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
私こそが真の神だァ……
このクソゲーを破壊する!
[備考]
投与されたバグスターウィルスが数々の負荷や矛盾した状態によってどうなっているか不明の状態です。続く場合は今後の話にお任せします。
【新檀黎斗@仮面ライダーエグゼイド】
[状態]激昂、バグスター、ライフ99
[装備]プロトマイティアクションXガシャットオリジン@仮面ライダーエグゼイド、仮面ライダーゲンムレベルXトーテマ外装体@仮面戦隊ゴライダー
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
新檀黎斗だッッ!!
このクソゲーを破壊する!
[備考]
30話からの参戦です。
投与されたバグスターウィルスが数々の負荷や矛盾した状態によってどうなっているか不明の状態です。続く場合は今後の話にお任せします。
【檀黎斗(ヒューマギア)@仮面ライダーゲンムズ】
[状態]激昂、ヒューマギア
[装備]仮面ライダーゲンム 無双ゲーマー@仮面ライダーゲンムズ
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
目の前の不埒な神や王を名乗るだけで終わっているやつらに真の新しい力を見せつける。これが愛の力だァッ!
このクソゲーを破壊する!
[備考]
投与されたバグスターウィルスが数々の負荷や矛盾した状態によってどうなっているか不明の状態です。続く場合は今後の話にお任せします。
タイトルは『じぶんどうしのあらそいは、みにくいものだ』です。
投下終了です。
檀黎斗王、檀黎斗神、新檀黎斗、檀黎斗(ヒューマギア)全員の状態表に
以降のものを表記忘れしていました。全檀黎斗が
[令呪]残り三画
となっています。これで本当に投下終了です。失礼しました。
投下します
人が空想できる全ての出来事は起こりうる現実である。
――ウィリー・ガロン
首謀者も、目的も、参加者も、舞台も。すべてが未だ謎に包まれたバトル・ロワイヤル。
多くの者たちにとって、この箱庭は地獄だ。
理由もなく、意味もなく、意義もなく。
殺し合わなければ未来はないと告げられる。
ある者は嘆き。ある者は怒り。
或いは、あるものは心を壊し人を殺める凶行に走る。
皆、このゲームに巻き込まれた時点で多くのものを失っている。
自由を。日常を。命を。尊厳を。未来を。平穏を。
だから怒る。だから悲しむ。だから壊れる。だから殺す。
では、何も失っていない者ならば?
「お...おお....おおおお!!!!!」
バトルロワイヤルの舞台に降り立った男は、その擦り切れたスニーカーで大地を踏みしめた。
柔らかながら芯の通った草の感触。たったそれだけのことが、男に電流が走るほどの感動を与えた。
「出られた!出られたっ!!
何にもないでたらめな世界!!!親父の頭の中から!!!!」
喜びを全身で表すように、手足をブンブンと動かす薄汚い男。
頬はやせこけ、髪はぼさぼさ。服はボロボロでホームレスを思わせる青年だ。
名を時生という彼は。本来人間ではない。
帝愛グループ地下労働施設、E班班長大槻が頭の中で作り出した存在だ。
ただそういう妄想をしていれば眠れるからというだけで生み出された、イマジナリーフレンドならぬイマジナリージュニア。
100人いるその妄想の中。ただ一人意思を得てしまった男なのだ。
大槻の脳内。本人にとっても無意識の空間で2175年孤独に過ごし続けた時生。
100人の子供(イマジナリージュニア)達の同窓パーティーにて大槻と再会し、娯楽や兄弟を得たと思えばその全てが張りぼて。
気が狂いそうな世界で一人永遠に生きるしかなかった。
そんな運命を諦め受け入れていた時生にとって。このバトルロワイヤルは天国と言っても過言ではない。
なぜなら、ここは全てが本物だ。
知らない女が話している。
知らない男が死んでいる。
知らない世界が目の前にある。
大槻の脳内から解放された彼の眼に映る世界。
血生臭い殺し合いの世界であろうと。それは2175年ぶりに彼が見る『本物』だった。
大きく鼻から息を吸い。口から吐き出す。
冷たい空気が器官を通り、肺を見たし。血液の酸素と二酸化炭素が交換され。排出される。
産声を上げた子供のように目を見開き、網膜に世界を焼き付ける。
真っ暗な草原だがもとより暗い空間に居たのだ。星こそないがずいぶん遠くまで視界が広がっていた。
街が見えた。森が見えた。塔が見えた。煙が見えた。光が見えた。怪物が見えた。命が見えた。
遮蔽物らしきものもほとんどないだだっ広い草原だ。各地で響く刺激が空気を揺らし、時生の鼓膜に届いた。
叫びが聞こえた。剣がぶつかり合った。銃声が響いた。何かが駆動した。男が笑った。女が泣いた。
「いる!誰かいるんだ!
あんな壊れたラジオみてえな兄弟じゃねえ!生きた人間たちが!!
ここにはあるんだ!!!脳の片隅の世界じゃねえ!本物の世界が!!!」
感動。圧倒的感動。
同時に時生の心に、真っ黒い染みのような思いが宿る。
男は、この殺し合いに巻き込まれて何も失ってはいない。
自由も、日常も、命も。
尊厳も、未来も、平穏も。
何一つ失ってはいないこの男の心は、殺し合いに興じる参加者と同じように壊れていたのだ。
「俺は戻らねえ!!あんな世界に!
この殺し合いに乗ってでも、本物の世界に行くんだ!!!」
なぜなら男は、元より何1つ持っていないのだから。
【時生@1日外出録ハンチョウ】
状態:肉体がある幸福 あらゆる刺激に対する感動 戻ることへの恐怖
服装:ぼろぼろの私服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:”本当の世界”に行く
01:出られた!親父の頭の中から出られたんだ!!!
02:戻りたくない!戻らないためならなんだってやってやる!!
参戦時期:ハンチョウ146話直後
備考
投下終了します
投下します
――どうじゃ?わしの味方に なるか?
→はい
いいえ
――どうした?世界の半分を欲しくはないのか?悪い話ではあるまい
はい
→いいえ
――ではどうしても、このわしを倒すというのだな!
――おろか者め!思い知るがよいっ!
■
世界は救われた。
捕らわれたローラ姫を救い出し、黒幕たる竜の王を討ち。
故郷のアレフガルドを、魔族の手から守った。
そのはずだった。
最愛の姫と共に旅に出た先で、突然見知らぬ場所に飛ばされた。
その上、殺し合いをしろと命じられた。
この殺し合いは竜王の残党によるものなのか。それとも、さらなる悪が外の世界にいたと言うのか。
どちらでもいい。悪が現れたというのなら、倒すのは僕の役目だ。
支給品を探ると、竜王の城で見つけた、よく知っているデザインの剣が出て来た。
他のロトの防具は見当たらなかったが、せめて剣があっただけでもありがたい。
他の支給品を確認せずに、そのまま走り出す。
ローラ姫や他のアレフガルドの住人がいるのかは分からないが、余程の悪人以外は全員救いたい。
僕が、『僕』に出会ったのは、走り出してからすぐの時だった。
「オマエは……」
『僕』が、最愛の人を、殺していた。
【ローラ姫@ドラゴンクエスト 死亡】
「お前は、僕?」
えらく間の抜けた声が出た。
最愛の女性を目の前で殺されたのに、現実を受け入れられず、怒りも悲しみも湧いてこない。
どう見ても、僕の偽物のようには見えない。
背丈も、面立ちも、二本の角が生えた兜の形も、黒い甲冑のデザインも、そのまま同じだ。
いや、一つ違う点がある。『僕』が持っていたのは、ロトの剣とは異なる、酷く禍々しい見た目の剣だ。
剣の先のドクロの柄が彫り込まれており、血のように赤黒い刀身を持っている。
それでも、得物が違うだけ、そこにいるのは僕自身だと、無条件に納得してしまった。
「驚いたな…まさかもう一人俺がいるとは。まあ、どうでも良い事だ。」
目の前の『僕』は最初こそは驚いていたが、それからすぐに不思議なほどあっけらかんとした表情で、『僕』は話しかけてくる。
まるで今朝何を食べたとか、道具屋で薬草を何個買ったとか、ごくありふれた話題を振るかのように。
「お前は、『僕』なのか!?」
まるで目の前の相手とは、見ている物が違うかのように、必死で問い続ける。
今まで僕が倒してきた敵は、一目で人類の敵と分かる姿をし、明確に敵意を放っていた。
だが、今は違う。
あまりに突拍子もない出来事なのと、目の前の敵の姿が違い過ぎるので、いまだに殺意が湧かない。
不思議なほどに、死んだローラ姫のことよりも、目の前の相手が気になってしまう。
「ああそうだ。ラダトーム王ラルス16世の命を受けて、ローラ姫を助け、先祖の武具を集め、竜王の所に出向いた。オマエもそうじゃないか?」
まるで伝記を読んでいるかのような説明だ。
だが、僕はその説明のどこかに、引っかかる所があった。
「ああ。それから竜王を倒して、ローラ姫と………まさか?」
「そのまさかだ。」
ふと、竜王と戦う前に言われた言葉を思い出した。
わしの味方になれば世界の半分をくれてやろうと持ちかけられた。
そんなことはあり得ないとその交渉を断り、戦いが始まった。
「俺は竜王の誘いに乗ったよ。」
「あり得ないッ!何故そんなことをした!!」
僕には、どうしてもそれが嘘のようには聞こえなかった。
もう一人の僕がいて、それが恋人を殺して、しかも僕が倒すべき相手だった怪物に膝を屈するなんて、あり得ないことだ。
あり得ないことだと考えれば考えるほど、逆にそれが真実だと突き付けられるような気がした。
「奴が俺に、選ぶ機会を与えてくれたからだよ。」
その言葉からは、言ってることが伝わらなかった。
何度か醜く歪んだ『僕』と、足元で血だまりに沈んでいるローラへ、視線を繰り返し送った。
「考えたことは無かったか?自分は何故勇者なのか、他の何者かとして生きられないのか、
そして何故魔物は殺さなきゃいけないのに、人を殺してはならないのかと。」
剣を握る手が強くなる。
強くなるだけだ。そこから踏み出すことは出来ない。
愛する者の仇に斬りかかることが、どうしても出来ない。
言葉を聞いてはいけないのに、聞こうとしてしまう。
「俺はずっと疑問だった。だが、その疑問を口にすることすら許されなかった。あの時まではな。」
「だから…だから、竜王に跪いて、姫を殺したと言うのか?」
剣を持ってない方の手に、魔力が宿る。
解答次第で、すぐに魔法を撃つつもりだった。
だが、撃ちたくない、自分に納得できる回答であってくれと願う自分もいた。
「その通りだ。」
「焼き尽くせ!!ベギラマ!!」
白く輝く光線が、目の前の敵を貫こうとする。
目の前にいるのは僕じゃない。魔族に魂を売った、生かしてはおけぬ悪だ。
だが、相手の手にも、魔力が宿っていた。
同じような詠唱と共に、光が集まって行き、龍となって放たれる。
すぐさま2匹の光の龍がぶつかり合い、霧散した。
「流石は俺ということか。」
「一緒にするな!!」
魔法が大して威力を発揮しないのならば、肉弾戦だ。
自分だからと言って、手加減することは出来ない。
ローラの仇を取るためにも、この殺し合いを止めるためにも、目の前の怪物はこの手で討たなければならない。
ロトの剣を構え、敵の首目掛けて斬りかかる。
「ひどいヤツだ。自分の首を斬るつもりか。」
僕の剣は、敵の魔剣に止められた。
横薙ぎの一撃が駄目ならと、もう一度横薙ぎを。相手は紙一重の動きで躱す。
ならば相手に一歩踏み込んで、強引に心臓を串刺しにしようとする。
だが、相手も読んでいたかのように一歩退き、その突きを回避した。
僕が傷付けられたのは、相手の甲冑のほんの僅かだけだ。
「ならば…ラリ「マホトーン」」
睡眠魔法(ラリホー)までも読まれ、無効化された。
魔封じ(マホトーン)を打ち消すロトの防具が無いという事態の深刻さを、改めて痛感させられる。
それでも、負ける訳にはいかない。
敵は、竜王を倒せなかったが、僕は竜王を倒した。だから竜王に膝をついた相手には勝てるはずだ。
いや、逆であっても、ローラを殺したこの怪物に、絶対負ける訳にはいかない。
すぐに詠唱を解き、武器での攻撃に転ずる。
意趣返しというつもりか、今度は敵の方が僕の首目掛けて剣を振るった。
だが僕は、先程の相手と違って退くことなく、強引に相手の懐に踏み込む。
致命傷ではないダメージを受けつつも、右肩から袈裟懸けに斬りつける。
手ごたえはあった。だが、それで倒れてくれるほど相手も弱くはない。
続けざまに、逆袈裟に一撃を見舞う。
だが、禍々しい剣が僕の一撃を止めた。
「俺を止めて、どうするつもりだ?」
「決まってるだろ!この殺し合いを止めて、元の世界に帰る!!」
「無理だな。」
剣をぶつけ合いながらも、怪物は僕の未来を否定する。
「そんなことはない!!僕はお前を倒して見せる!!」
「何を勘違いしているんだ?」
怪物は邪に嗤った。とてももう一人の僕、いや、同じ人間の顔とは思えない。
口元の歪み方など、竜王たち魔族が浮かべるそれに近い。
「不可能と言ったのは、オマエの愛おしい姫と一緒に帰るということだ。」
僕の剣の手が止まった。
何をしている、剣を振るえと言い聞かせるも、身体が動かない。
それに同調するかのように、足も動かなくなり、戦場の真ん中で棒立ちになる。
「本当にローラを、この名前で呼ぶのも嫌な売女と帰りたければ、勝ち残って願いを叶えて貰うしかない。」
僕の動きが止まった刹那、相手もそれを見越したかのように剣を鞘に収める。
いや、相手は違う。勝利を確信した上での、殺されることは無いと決まった上での静止だ。
「売女だと……お前は…本当に僕なのか?」
「話を逸らすな。俺と違って本当に姫を愛しているというのなら選べ。あの時の俺のようにな。」
ローラと共に帰るか、殺し合いに乗るか。
逃れようのない二者択一を、目の前の怪物に突き付けられたことに耐えられなかった。
「案ずるな。あの時オマエが逃した選ぶという機会が、また巡って来ただけだぞ?
他者や肩書ではなく己の道で選んでこそ、本当の勇者であり、本当の人間だ。そうは思わないか?」
僕は、何も答えられなかった。
あの時竜王の誘いを断ったのは、本当に僕の意志か、それとも勇者と言われたからなのか、分からなくなったからだ。
勇者だから、竜王を倒せたのか?僕自身は一体何なんだ?
斬らなければいけない敵を目の当たりにして、どうすることも出来なかった。
「さて、俺同士で斬り合っていても時間の無駄でしかない。好きに選べ。腐りきった王様や何の取柄もない市民共と違って、強要は好かん。」
それだけ話すと、“僕”は去って行った。
動かなくなった姫と、僕だけがそこに残っていた。
【勇者アレフ@ドラゴンクエスト】
状態:絶望、激しい精神的ショック
服装:いつもの格好(デフォルト画面の甲冑姿)
装備:ロトの剣@ドラゴンクエスト
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2
思考
基本:??????
01:?????????
参戦時期:本編終了後
【勇者■■■――――
――どうじゃ?わしの味方に なるか?
→はい
いいえ
――どうした?世界の半分を欲しくはないのか?悪い話ではあるまい
→はい
いいえ
本当は好きでは無かった。好きなのかと疑ってしまった。
安物の武具だけ与えて、魔王討伐に駆り出した王も
自分では歩くことさえろくにしない姫も
ただ助けを希うだけで、何もしない町人も。
それまでは気にならなかった。自分は特別なのだから、特別に振る舞うしかない。ずっとそう思っていた。
だがあの時、悪の王から選択の可能性を与えられ、分かった。分かってしまった。
自分が選んでも良いのだと。
結果はどうでも良かった。ただ、己の意志で間違ったことが出来る。その事実こそが美しかった。
だが、己の意志で己の未来を作るというのならば。
自分こそが、本物の勇者ではないのか?
【やみのせんし@ドラゴンクエスト】
状態:高揚感
服装:いつもの格好(デフォルト画面の甲冑姿)
装備:はかいの剣@ドラゴンクエストIII
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2
思考
基本:当然殺し合いに乗る
01:とにかく壊すことを楽しむ
参戦時期:竜王の誘いに乗った後
【支給品紹介】
【ロトの剣@ドラゴンクエスト】
勇者アレフに支給された剣。
勇者にだけが装備することが出来、竜王にさえも通じる力を持つ。
祖先や子孫も付けることが出来て、その度に攻撃力が変わるが、魔力、経年劣化、敵の耐性など諸説ある。
【はかいの剣@ドラゴンクエストIII そして伝説へ】
やみのせんしに支給された剣。
伝説の剣に劣らぬ高い攻撃力と、会心率の高さを持つが、装備すると外せなくなり、たまに動きが止まる呪いがかけられている。
ただし、魔族に操られた者は、この呪いを無力化し、ただ強い武器として扱うことが出来る。
投下終了です
投下します。
──強くなりたかった。
憧れのあの人のように強くなって、一緒に戦いたくて、近付きたくて……その為の力も、手に入れたのに。貰ったのに。
なのにあの人は……。
『そう…。…だったら歩ちゃんとは一緒に戦えない』
……あのひとにわたしは…わたしのきもちはわかって、もらえなかった。どうして??
『一緒に剣術を重ねて、一緒にちょっとずつ…強くなったら楽しいんだろうなって、思った』
…なにが、楽しいの?…全然、わからない。
…一緒にじゃ、私は…私はあなたに届かないのに…追いつけないのに…一緒に、戦えないのに…!!
『──わかるよ。
…全部、この刃に込めたから。
…歩ちゃんなら受け止めてくれるって、信じてる』
…わからないよ…なにも…あなたが、私の気持ちを全部…否定したってこと、以外。
……なにもわからない……私の何を、信じたの……??
…答えてよ…衛藤さん……どうして……!!私はただ、憧れのあなたに!!
----
……わけがわからない。それが私、田辺美弥が…浮かべた思考だった。
この殺し合いそのものも、あの羂索?って脳みそが梔子ユメって…どう考えても死んでる人の身体を使ってることも、御刀以外の知らない単語も、ニーナって女の人も須藤って男の人も、何も遺さず殺されてしまった現状も。
でも……なによりも理解出来ないのは、出来なかったのは……。
「…ごめんね、美弥。私にはやらなきゃ行けないことが……果たさなきゃ行けない『誓い』があるから」
…私のともだちが、内里歩が……如何にも禍々しいって感じの西洋剣持って、私の息の根をまさに止めようとしてること。
──だって、だって歩は…言ってたじゃ、ない……謝りたいって…衛藤さんに…そのために、頑張ってたじゃない…一生懸命、リハビリを……私、全部…見てたから……なのに、どうして。
御刀は幸い、自分の手元にあった。…私のじゃないし、なんでこれが私に?とも思ったけど。他については確認する暇は無かった…御刀も無い、S装備ってのも無い歩に負ける気はしなかった……筈なんだけど、なあ。
…攻撃を避け切れず、何回か斬られて…反撃したけど、全部あの剣に防がれた。
そしてあの剣のソードスキルって物のせいで、私は致命傷を負った。
歩が何か…オーラなんとかって…ソードスキル名を喋ると同時に…私の身体が貫かれて。写シが数撃…もしかしたら一撃だったかも、もうわからないけど…。
とにかくあっという間に剥がされて、そこから生身の私の身体に刺さって……痛みに呻いて叫んで、それでも迅移で逃げようとしたけど…その先は壁。逃げ場はもう無いし、血の量からしてももう助からない。
壁にもたれかかる形になる私に、目の前にはあの剣を構えて突き殺そうとしている歩。
……最期の力を振り絞って、私はともだちに問う。
「…私…を…殺してまで……やらなきゃいけない…ことって…誓いって、なによ…あゆ、む…」
…息も絶え絶え、口からも血が出ながらも、なんとか言えた。
…少し後、歩の口が動いた。
「…憧れの人に、衛藤さんに……私の強さを認めさせる。
……それが私の『誓い』で願いだよ、美弥。否定されたままじゃ…終われないからさ。
仮にこの殺し合いに巻きこまれてなくても、優勝を果たせれば…衛藤さんだって、認めざるを得なくなる筈だから。
…そのためならたとえ、神様なタギツヒメ様だろうと…私は殺すよ」
そうなんの陰りもなく、明るく言い放った歩。……ああ、「この」歩は…私より、前の時から来たんだ。
…言ってることもそうだけど…なにもかもが朦朧としてて…だからかな、納得、しちゃえるのは……。
……悔しい、よ。…ともだちを…この手で止めれないのが、止めれ、なかったのが……誰かに託すしかないの、が……。
(……衛藤、さん……それか…この御刀の元の持ち主の……此花さん……あの子を…歩をどうか、止めて……わたしじゃ、だめだったから…だから、戻れなく、なる前に──……)
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剣を突き刺され抜かれると、ポチャンと血溜まりの中に手が沈む。御刀は離れ、九字兼定は血に染まった。それきり、田辺美弥は動かなくなった。
背にした壁に、地面に血を溢れさせ…虚な目からは涙が溢れていた。
【田辺美弥@刀使ノ巫女 死亡】
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「…これ、貰うね美弥」
悲しそうな表情を浮かべながらも、冥加刀使となった内里歩は友のバッグを漁り、ソードスキルを手に入れ取得した。
「このスキルで、衛藤さんへの…私を否定した衛藤さんへのこの怒りを…増幅すれば。もっとこの剣の力を引き出せる…気がする」
自他の負の…憎しみの感情の増幅や拡散を可能とする心意を落とし込んだソードスキルを取得し、早速歩は使用した。
「…力が…高まって行く気がする…衛藤さん…絶対に私を、あなたに……認めさせて、みせますから…!!」
確かに高まる力の感覚を感じつつ、歩は残りの支給品とホットラインを回収。そして御刀である九字兼定も回収し帯刀する。
(この剣がある以上、要らないかも知れないけど…帯刀さえしてれば、刀使の力は使えるから)
そして歩は、友の亡骸を見ようともせずその場から立ち去っていく。
後には野晒しにされた美弥の遺体だけが遺されていた……。
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歩が持つ、禍々しい片刃の西洋剣。その正体は第五位の永遠神剣"誓い"。
意思を持つそれは本来なら支配者としての資格のある者を所有者として認めるが、この殺し合いでは制限も在り負の感情を持ってさえいれば誰でも所有者として認め剣を…制限下であってもなお圧倒的な力を振るえるようになっている。
しかしただでその力を振るえる訳も無く、この"誓い"には無意識の内に干渉を行い所有者の人間性等を奪い支配していくデメリットがあった。
そして最後には、本来所有者として選ばれた秋月瞬のように──全てを"誓い"に捧げるように誘導され、服も肉体も"誓い"に置き換えられ、挙げ句人格すらも忘れ果て支配され切る末路が待っている。(彼の場合は"誓い"が第四位の"求め" を壊し融合した結果第二位"世界"へと変じたのもあったが)
それまでに"誓い"が他の誰かを歩よりも強い負の感情を持つ者とするか、それに至らずとも強い支配者としての資格を持つとするか等によって現所有者よりも優れた所有者が居ると判断する。
もしくは"誓い"自体を破壊してみせる。そのどちらかが為されなかった場合…内里歩にとってもその末路はそう遠くはないだろう。
最も上のどちらかになった場合だと彼女は、衛藤可奈美への怒りや悲しみで今は目を逸らせている、友をその手で殺めた自らの罪へと直面させられる事になるが。
【内里歩@刀使ノ巫女】
状態:疲労(小)、自分を認めてくれない衛藤可奈美への怒り(極大)、自分を認めてくれない衛藤可奈美への悲しみ(大)、ノロによる洗脳(弱)、"誓い"による精神干渉
服装:綾小路武芸学舎の制服(返り血が付いている)
装備:永遠神剣第五位"誓い"@永遠のアセリア、九字兼定@刀使ノ巫女(現在帯刀中)
令呪:残り三画
道具:自身のランダム支給品0〜2、美弥のランダム支給品0〜1、自分のホットライン、美弥のホットライン
思考
基本:衛藤さんに私の強さを認めさせる、それが私の『誓い』で願い。
01:衛藤さんが居なくても、優勝すればきっと私を認めてくれる筈…!
02:衛藤さんが居るなら…絶対認めさせます。衛藤さん以外を…羂索さん達も含めて殺せば認めてくれますよね???
03:タギツヒメ様は神様だけど…それでも、私の『誓い』の邪魔になるなら、神様だって殺します…!!
参戦時期:第20話「最後の女神」にて衛藤可奈美に敗北し気を失ってから
備考
※田辺美弥に支給されていたソードスキルの使用により、ヴァサゴ・カザルスの心意@ソードアート・オンラインを習得しました。
【支給品解説】
・永遠神剣第五位"誓い"@永遠のアセリア
内里歩に支給。
意思を持ち所有者を選ぶ神剣。その中でも負の感情を力とし、支配を是とし所有者の立てた誓いに力を貸す在り方をした剣。
負の感情の度合いに応じて所有者の能力を増幅する代わりに、力を振るう度にマナを消耗するが、このロワでは永遠神剣シリーズの舞台となる神剣(マナ・ナル)宇宙出身者は通常通りマナを、そうでない参加者はマナの代わりに体力を消耗する仕様となっている。
このロワでは制限もあり、支配者としての資格が無くとも負の感情を持っていて、『誓い』を立てさえすると参加者であれば誰でも振るう事が出来る。無意識下での干渉能力は制限により所有者にのみ可能。負の感情が強まれば強まる程支配は強まる仕様となっている他、全てを捧げるには令呪による制限突破が必要となる。
またこのロワでは現在の所有者以上に強い負の感情の持ち主か、負の感情を持ち支配者としての資格を持つ相手と現在の所有者が戦闘となると勝者側へ所有権が移るようになっている。
他、制限により本来より強度は落ちているので破壊も困難ではあるが不可能ではない程度の難度となっている。
"誓い"にはソードスキルとしてオース(刺突攻撃、抵抗力と属性防御力のダウン効果あり)とオーラフォトンレイ(オーラフォトンにより生成した槍の貫通攻撃)が内蔵されている。
・九字兼定@刀使ノ巫女
田辺美弥に支給。
珠鋼という特殊な金属で出来た日本刀、御刀の一種。
適合者は此花寿々花。
当ゲームでは女性ならば刀使や適合者でなくてもある程度その力を引き出せる。
・ヴァサゴ・カザルスの心意@ソードアート・オンライン
田辺美弥に支給。
Pohことヴァサゴが発現し行使した負の心意をソードスキルに落とし込んだ物。
自他の憎しみの感情を増幅及び拡散が可能だが、歩は現時点だと自分の憎しみの増幅のみが可能となっている。
今後対象が自他に広がるか、第三者への拡散が可能になるか、またその場合制限がどうなるか等は採用された場合後続にお任せします。
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野晒しのまま放置されるかと思われた美弥の遺体の前に、仮面をつけた紺色の1人の人型宇宙人が立つ。
「…一先ずこれは回収させて貰おうか。バグスターウイルスとやらの無効化は兎も角、レジスターの解析とそれによる制限解除は…私にとっても急務でね」
如何にも慇懃無礼といった様子で死体へと語りかける宇宙人は、両腕を胸の前でクロスし開く。そしてそこから放った5枚セットの紫色のカッター光線…の内1枚を美弥のレジスターが付いた片手に当て斬り落とした。
そこから彼はレジスターを残りの手首から無造作に剥ぎ取り、遺体本体付近に雑に手首を置く。
そして彼は姿を変え……人型宇宙人の姿は無く、ピエロを何処となく想起させる白と黒色のブラウスを着た黒髪の青年がそこには居た。
「しかし…君達の会話は聞かせて貰っていたが、友人だろうとこの殺し合いの場ではこの結末。やはり『絆』など簡単に壊れるなぁ?
彼女は君との『絆』、もしくは『友情』よりも…『力』を求めた訳だ。フフ…フハハハハ…アハハハハハ!!」
狂ったかのように、死体へと語りかけつつ男は絆を嘲笑う。
「…さて、では彼女が彼女の望みのまま動くように…私は私のやりたいようにさせて貰おう。
では…良き旅を」
やがて笑い疲れたのか、男はそう田辺美弥だった物か、或いは先に立ち去った歩にか…そう言葉を残した…そのまま立ち去る。
結局彼女の、美弥の亡骸は損壊が増えた上で野晒しにされたままだった。
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男の名は霧崎。またの名をトレギア。ウルトラマントレギア。
ウルトラマンNo.6の親友にして、精神を病み迷走の果て邪神を取り込み、光も闇も無く全ては虚無と断じて発狂してしまった青きウルトラマンにして、絆を否定する者。
そんな彼が何故歩へとちょっかいを出さなかったのかと、邪神という危険物を取り込み発狂した身であるが為。
彼女が持つ永遠神剣"誓い"が危険物だと直感で察し…制限により並行世界の自分を残機へと出来ない都合下手に接触すれば殺されそのまま…があり得ると判断したのであった。
過去には虚無その物であるグリーザに対しても、認識しつつ不干渉を決め込んだのがトレギアである。
もっとも歩については"今は"不干渉、殺し合いが進めばまた変わるともしたが。
兎も角絆否定者にして妄執に囚われた男はこの殺し合いでも普段通り、漬け込める隙がある参加者を破滅させようと動くだろう。
【霧崎(ウルトラマントレギア)@ウルトラマンタイガ】
状態:健康
服装:いつも通り
装備:トレギアアイ@ウルトラマンタイガ
令呪:残り三画
道具:自身のランダム支給品0〜2、ホットライン、美弥のレジスター
思考
基本:好きなようにやらせて貰おう。
01:今はあの少女(歩)には関わらない。だが殺し合いが続けば…?
02:レジスターの解析による制限解除は急務となるだろう。
03:私の知らない単語ばかりが挙げられたな…情報収集も必要か?
04:絆も友情も、光も闇も、全ては虚無なんだよ…!!
参戦時期:第1話「バディゴー!」よりは後。詳細な参戦時期は採用された場合後続にお任せします。
備考
※巨大化は出来ずトレギアの姿に戻っても等身大のままです。
※能力の内邪神由来の並行世界の自分をバックアップとした蘇生と、トレラ・スラーによる異次元・宇宙間転移は制限により不可能となっています。
※名簿がウルトラマントレギア名義となるか霧崎名義となるかは採用された場合後続にお任せします。
・トレギアアイ@ウルトラマンタイガ
霧崎に支給。
普段はX字状でトレギアの胸のプロテクターを模したかのような形だが、展開が可能。
展開するとトレギアの顔のような形となり、目元にかざせば闇へと包まれ目を赤く光らせながら霧崎からトレギアへと姿を変える。
霧崎の姿から本来の姿であるトレギアへ戻る為に必要なアイテムの為、他の参加者が使用しても何も起こらないと思われるが詳細は採用された場合後続にお任せします。
投下終了します。タイトルは「"誓い"のアユム/絆を嘲笑いし青き影」です
投下します
死人を纏った謎の怪人、羂索とその一味が仕掛けたバトルロワイヤル、その会場にて。
そのために用意した空虚な箱庭にて。
「うふふふふぅ……べーぜ様ぁ、マジアベーゼ様ぁどこですかぁ?」
胸なんか丸見えなほどに破けたボロボロのコスチュームを纏った緑がかった青の長髪の少女が歩いていた。
千鳥足、そしてその目は悦楽に潤み、だらしなく緩む口元からは涎が、垂れている。
オマケにびりびりに破けたスカートの下、かろうじて破けず残ったパンツは……尿でない体液で大洪水になって靴下までぐっしょりに、、なっているように見える。
兎に角、強姦にでもあったのか?と思わずにはいられない恰好である。
その手に氷で出来た片刃剣を握り、獲物を求める様にフラフラとその剣先を四方に向けていなければ、であるが。
「あなたの卑しい奴隷は、身も心も屈した失格魔法少女の淫乱女のぉ、マジアアズールはここですよぉ?」
彼女は水神小夜。
字はマジアアズール。
悪の秘密結社、エノルミータと戦う正義の魔法少女トリオ、トレスマジアの一員であった。
……のだが、エノルミータの新幹部、マジアベーゼとの戦いで敗北を積み重ね、未知の快感を暴かれ凌辱の限りを尽くされ、それでも正義の魔法少女を貫こうとして今日こそは、今度こそはと決意してマジアベーゼに一騎打ちを挑んだ。
それでも、また敗北した。
もう立てない、もう勝てない、自分の弱さをどうしたって断ち切れない。
アニメや漫画の物語の様には、戦えない。
正義の心に決定的亀裂をいれられた彼女は、マジアベーゼに屈服した。
凛としてかっこいい、女の子が思わず憧れる魔法少女の姿はどこへやら。
マジアベーゼのヒールを舐め、はいつくばって媚びへつらった。
その瞬間に羂索の悪趣味極まるこの遊戯に巻き込まれたのだ。
もう少し昔、あるいは未来のマジアアズールならばまた違ったかもしれない。
だが今のアズールは後ほんの少し小突いてやれば甘美な悪に身をやつし己の快楽の為だけに暴れる敵(ヴィラン)になり果てるヒーローの出がらし。
羂索に殺された須藤もニーナも、その原因で自分の身も蝕んでいるはずのウイルスとか、力を削ぐレジスターとか制限時間とか、ホットラインの解禁とか頭にない。
故に飼い主であるマジアベーゼとの合流、そしてベーゼからの御慈悲のための贄探しを行っていた。
「やっっと見つけたぁ……」
彷徨い始めてから約一時間。
さっきまでマジアアズールがマジアベーゼと戦っていたのとよく似た公園の屋根付きベンチの下に一人の少女を見つけた。
氷のような羽と角の生えており、年齢は中学生くらい。
彼女の名前はシェフィ。
記憶喪失のドラゴン族の少女で、今はランドソルの食道楽と冒険を目的としたギルド、美食殿に保護されているはずの少女である。
記憶喪失故当然と言えば当然なのだが、歳不相応にあどけない表情でベンチに置いたボードを齧りつく様に見ている。
そこには工場地帯の立体映像が映し出されており、その中で小さな人型が動いているのが分かる。
(戦いの、シミュレーション?)
『なぁああああーーんとグロースターが曲がった先にはテープが!
テーピンヒーローセロファン!
逃げ回るように見せかけて罠を用意していたぁーーーっ!
スピードをつけすぎたグロースター止まれない!
滅茶苦茶に絡まって動けない!セロファンの作戦勝ち!
まずはシェフィが一勝だ!』
名の通りセロテープを模したヘルメットの男がガッツポーズを決める。
同時にグロースターと呼ばれた騎士の渦中のようなデザインのロボットは滅茶苦茶に絡まったテープごと消滅した。
(あんなもの、殺し合いのなんの役に立つのかしら?)
いつ仕掛けようかとすきを窺っていたマジアアズールの、微かに残った冷静な部分が疑問を投げかける。
それにこたえる様にゲームボードのAI解説がハイテンションで喋り出した。
『ここらで一度ルールをおさらいしようっ!
このゲーム、雄英ヒーローズ・バトルはその名の通り雄英高校1年A組のカードとプロヒーローを呼び出せるエクストラカードで行うカァーーーッドバトルッ!
今回はこのバトルロワイヤル仕様にアップデートされておりソロプレイモードが実装!
更にエクストラで召喚できるキャラクターにバトルロワイヤルの参加者が追加!
ソロプレイモードの敵に限りバトルロワイヤルで出てくるのと同じNPCモンスターも召喚されるようになっているぞ!』
(ふーん。
だったらぁ、ゲームのヒーローたちがカッコよく勝った瞬間に、それをぐちゃぐちゃにするように捕まえてあげよ♡)
そう決めたマジアアズールは気配を殺してもうしばらく隠れることを決めた。
ボードには消えたグロースターに代わり結束バンドと巨大電池で出来た怪人が出現する。
『KUWAAAAA……!』
『敵側の次鋒はバッテリーマルガム!
“個性”の特性上どこかしらに掴まってることの多いセロファン!
無差別放電で感電してしまった!
バッテリーマルガムの勝利ぃ!』
テープの罠事黒焦げになってしまったセロファンが落下しながら消える。
次の得物はどこだ?と言わんばかりにバッテリーマルガム
「あうぅ……」
『さあ!三枚先に倒した方が勝利だぞ?
シェフィの次なるヒーローは!?』
「こ、これ!」
手元に残ったカードからシェフィはエクストラでない方を選んでセットする。
黒い稲妻模様のメッシュ入り金髪に黒衣のヒーローが出現する。
『おーっとこれがビギナーズラックというものか!?
シェフィが出したカードはスタンガンヒーローチャージズマ!
その名の通り“個性”は帯電!』
『どれだけ撃とうと、電撃なら意味ないぜ!
無差別放電!130万ボルトォ!+ライデンジ!』
『広範囲攻撃のカウンターが見事に炸裂ぅ!
バッテリーマルガム、実質自滅ダァ!』
「やったー!」
『うぇ〜〜い……』
『しかしチャージズマ、反動で思考回路が焼き切れてアホになってしまったぞ!』
「ええぇ!?」
『敵側のおおとりはぁ〜〜〜っ!
悪に魂を売った魔法少女!マジアアズールだぁ!』
「え?」
思わず呼ばれた自分の名前に声を出してしまったが、切り刻まれるチャージズマに気を取られてシェフィが気付く様子はなかった。
『くっくっくっくっくっ!
あーっはっはっはっはっはっはっは!』
「ううぅ……ままぁ……」
ゲーム内のアズールは高笑いをあげながら碌な抵抗も出来ないチャージズマをなます切りのボロボロにした上で、何度も頭を踏みつけにしてた。
消滅した後も残ったサポートアイテムの残骸を踏みつけにして、更には潰す。
立体映像化にあわせて本物よりもデフォルメの効いたデザインにされているが、それでもなおわかる甲斐悦に歪んだ表情にシェフィは怯え切っってしまっていた。
そして当のマジアアズール本人はというと
(羨ましいわ、あのチャージズマとかいうの。
今の攻撃、私がベーゼ様にしてもらいたことのフルコース……どうしよ、濡れてきちゃった♡)
どうやら元々の性能に加えて恐らくは茅場がアップデートを加えたゲームボードのAIは今のアズールを正確に再現できているようであった。
『これでお互いあと一枚!
シェフィの残るカードはエクストラ!
さあ!どんなヒーローが出てくる!?』
「……っ!」
ゲームだというのに見たこともない嫌な笑顔を浮かべながら氷の剣を振り回すアズールにシェフィは恐怖しきってしまっていた。
手にしたカードを放り出して逃げ出したいと書いてあるに等しい表情で、エクストラカードをボードに伸ばしてはひっこめるを繰り返している。
『大丈夫だ、シェフィ』
「!?」
すると不意に実況AIがプレイヤーであるシェフィに語り掛けた。
『お前の持ってるそのカードで何が出るかは分からないが、ヒーローには違いないっ!
命懸けで困ってる誰かを助けて救うヒーローには違いねぇんだからよう!
信じてカードをセットしな!
ゲームのキャラクターとは言え、お前が本当に助けを求めるなら絶対に助けてくれるぜ!
さあ!
シェフィの運命のヒーローは誰だぁ!?』
ゲームの仕様上、一度始めたら決着をつけないといけないからこんなパターンまで想定されているのかと、少し驚くマジアアズール。
だが、実態は少し違う。
これは紛れもなくゲームボードの実況AI、より正確に言えばその元になった華麗なるDJヒーロー、プレゼント・マイクの本心でもある。
「うん。たすけてヒーロー!」
意を決したシェフィはエクストラカードをセットする。
現れたのは……
『V時に逆立つ金髪!そして極限まで鍛えられた鋼の肉体!
そして何よりゲームにあわせてデフォルメ効かせてもなお際立つ画風の違いぃ!
平和の象徴!日本№1ヒーロー!オールマイトだぁあああーーーっ!』
「おおー!」
ゲームキャラになっていようとなお感じる圧倒的存在感に思わず感嘆の声がこぼれるシェフィ。
影で見ていたマジアアズールは、実況の持ち上げっぷりに困惑しつつも、正義なんて絵空事、かつての自分のように打ち砕かれると思っているのか、その頬から嫌な笑みが消えることはなかった。
その瞬間までは。
『ずたずたに引き裂かれろぉ!』
『CAROLINA SMASH!』
無数の氷の刃を生成し放つアズールにオールマイトは両腕を十字に組んで突進し、放ったチョップの風圧で残らず吹き飛ばす。
余波でゲーム内のアズール大きく吹き飛ばされている。
(そんな出鱈目な!)
『だったら直接!』
ステッキに氷を纏わせ剣にして斬りかかる。
一閃、二閃。
何処までも純然たる肉体教化の果てが強さであるオールマイトに斬撃は当たれば通じるだろう。
だが当たらない。
どんな攻撃もそよ風同然と言わんばかりに、巨体に見合わない軽快さで避け続けている。
『この!ちょこまかと動くな!』
氷の剣を地面に突き立てると、そこを中心に霜が広がって行き、オールマイトを捕らえると巨大な氷塊に閉じ込めてしまった。
『これでぇ!』
再び無数の剣を生成し距離を詰めるアズール。
いいや、駄目だ。こんな程度では止まらない。
奇しくもシェフィと現実のアズールの心は一致した。
同時に氷が派手な音と共に割れて、背中からオールマイトが飛び出る。
進攻したい方向の反対側に敢えてパンチを空振りして拳圧で高速移動する荒業、New Hampshire SMASHである。
『あ、ああ……』
「Oklahoma SMASH!」
そして飛んで行った先で、アズールの頭上で体を急回転させて風圧で新たに生成した剣を破壊する。
アズールの技が一切通じない。
屈服したマジアベーゼ相手でも戦えてはいた。
勝負になっていた。
だがこれはあまりに一方的。
ゲーム内のアズールが人肉の形をしていられるのは偶々オールマイトが直接攻撃をしていないからってだけのことだ。
なんの異能もない人間が果物ナイフだけで戦艦に挑むのと違いないぐらいの力の差がアズールとオールマイトにはあると言える。
『圧倒的ぃ!圧倒的としか言いようがなぁい!
流石は存在するだけで犯罪抑止になるとまで謳われた時代の節目!
我らがオールマイトだぁ!』
(嘘だ。嘘だ嘘だ嘘を吐くな!
こんな奴現実に居るはずがない!
もし居るんだったら、居るんだったらぁ!)
あの夜の公園で自分を助けてくれたはずじゃないか。
喉元まで出かかった言葉をどうにかして止め、アズールは必死に自分に言い聞かせる。
まだだ。まだじゃない。
あの作り物のヒーローが勝つまでもう声を出してはならない。
どれだけゲームのアズールが醜態をさらしても耐える。
『うぅうう、この!この!』
破れかぶれで振り回した氷の刀はなんの技でもない裏拳一発で砕かれた。
尻もちをついたアズールは情けなく震えながら頭を守る様に縮こまる。
本来ならここで戦意喪失判定で終わりだ。
だが、このゲームのAIは東の雄英と謳われたヒーローの名門校、雄英高校製。
未来のヒーローを支えるサポート科の金の卵たちが開発した傑作だ。
その際限度は常軌を逸している。
『いや〜、参った!怖がらせすぎてしまったかな?』
「え?」
とてもヴィランに話しかけているとは思えない気さくな雰囲気でオールマイトはアズールに態々目線を合わせて話しかけた。
『な、なんで私を倒さないの?だって、私は……』
『思想犯の眼は静かに燃える物だが、君の眼からは哀しみと諦めしか感じなかった。
オイタが過ぎればちゃんと叱るが、子供の自棄を受け止めるぐらいの度量はあるさ!』
こつん、とアズールの額を強めに指で突くオールマイト。
そこそこ痛かったのか、涙目になっているアズールだが、後が残りそうな様子はない。
『今日はこっちのコスチュームでよかったよ』
と、言ってオールマイトは羽織っていたマントを脱ぐとスカートの中が見えない様にアズールの腰に巻き付け、右腕だけで抱き上げる。
『あ……』
「もう大丈夫!何故って?私が来た!」
そう言って高々と左腕を突き上げた。
『オールマイト!勝利のスタンディングだぁああああああ!』
「オールマイト―!」
「ふざけるなぁあああああああっ!」
生成した氷の刃が屋根の柱に食い込む。
もしかしたら、これほど剣を強靭に、否、凶刃に生成出来たのはこれが初めてだ。
「うぇええ!?な、なんで……」
シェフィにとってマジアアズールとは、遊んでたゲームに出て来た怖い敵キャラクターの一人にすぎなかった。
最初は泣きそうになってしまったが、今はオールマイトが敵まで救って勝ってしまってもう大丈夫なはずだった。
なのに今現実となって目の前にいる。
その顔をどうしようもない怒りと失望に歪め、唇を斬れるほど噛み締めてとめどなく涙を流す瞳でこちらを射殺さんと睨みつけながら剣を向けてきている。
「ヒーローなんていないのよ……本当にそんな者が居るのだったら私を助けてくれたはずなのよ!
だから、だからそんなものは偽物じゃないといけないの!」
氷の剣を構えて突っ込んでくるアズール。
思わずシェフィはゲームボードの方を見た。
オールマイトなら、あの完全無欠にして最強無敵のオールマイトなら助けてくれる。
小さな戦場の中、泣きじゃくるゲーム内のアズールを抱いたままオールマイトはシェフィを見ていた。
「あ……」
そして突き上げていた左手をシェフィにまっすぐに向けていた。
人差し指を立てて。
「次は君だ」
と。
「っ!」
シェフィは走った。
憶えてる限りこれ以上ない全力で走った。
そのまま突き飛ばして逃げるつもりと判断したのかアズールはあえて突っ込んでくるシェフィを止めず、グリップエンドでその背中を殴りつける。
苦痛にうめくシェフィだが、それでもかまわず抱きしめる。
もう離さないと潰れる程に。
「この!このこのこのこの!」
対してアズールはもう話さないと何度でもグリップエンドを振り下ろす。
でもシェフィは密着したまま離れる気は全くない。
「邪魔だ!」
とうとうアズールが強引にシェフィを引きはがし、剣先をその首に向ける。
当然その顔は恐怖に染まる。
だが、すぐに唇を一文字に結び、涙を残しながらも力強くアズールを見据え
「もうだいじょうぶ!」
オールマイトのそれに比べれば、それは無茶苦茶な叫びに近かった。
タダでさえ記憶喪失。
空っぽの、下手したら贋物よりも薄っぺらいかもしれないシェフィだが、知ってしまった。
アズールが助けを求めていると。
きっと、誰かにこう言って欲しいんだと。
「わたしがきたから、だいじょうぶ!」
そこに居たのは年不相応に無垢でまっさらな少女ではあったが、それだけでは無かった。
左手はおびえを隠す様にスカートを握りしめ、何をしてくるか分からぬ恐怖に涙すら堪えている。
でも笑って、右腕を自分に差し伸べるその姿は、 ゲームキャラにすぎない偽物のヒーローに背中を押されて精一杯背伸びした……小さな小さな、本物のヒーローが居た。
そうだ。
自分は、水神小夜はこんな風に夢を本気で信じれるような子たちの背中を守りたくて魔法少女になったんじゃなかったのか?
マジアマゼンタに、はるかに助けてもらったあの日。
マジアアズールの原典(オリジン)。
力が無かった時の方がよっぽどヒーローしていたではないか。
ただただ作り物のヒーローに魅せられただけの目の前の少女の方がよっぽど立派にヒーローしているではないか。
「あ……わ、わたし、わたしなんて、なんてことを……」
なんて情けない。なんて酷い。
自分は何をしようとしていた?
あの日守りたいと思ったはずの者を自分の手で無茶苦茶に壊したうえで悪の手先に捧げようとしていた。
最悪だ。
これを最悪と言わずして何という。
そう思いいたった瞬間、ヒビの入っていたトランスアイテムは元の姿を取り戻し、変身も解除される。
水神小夜に戻った彼女は自分の失態なんて言葉では言い表せない蛮行と現状に戦慄した。
「ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさい!
あああ……あああああああっ!」
今度は優しく抱きしめて来たシェフィの胸で泣いた。
「だいじょーぶ。だいじょーぶだから、ね」
シェフィはただ美食殿の皆がしてくれるように小夜の背中を撫で、柔らかに語りかけた。
【水神小夜@魔法少女にあこがれて】
状態:いろいろと悲惨(主に下半身)、精神的ダメージ(大)、正気には戻った
服装:学生服(ボロボロ)
装備:トランスアイテム@魔法少女にあこがれて
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:???
01:私、私なんて酷いことを……。
02:皆にあわせる顔なんて、ないかも。
参戦時期:アニメ7話、原作2巻Episode10の終盤
備考
※羂索の説明を半分も聞けていませんでした。
【シェフィ@プリンセスコネクト!Re:Dive】
状態:幼児退行、
服装:いつもの服
装備:雄英ヒーローズ・バトル@僕のヒーローアカデミア
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×〜、ホットライン
思考
基本:未定
01:オールマイト、ありがと!
02:アズール、もうだいじょうぶだからね。
03:ケンジャクっておねーたん、こわい
参戦時期:幼児退行が治って無かったころのどこか
備考
※具体的な参戦時期は後の書き手様にお任せします。
※精神状態が精神状態なので、このバトルロワイヤルについて色々とよくわかっていないと思われます。
【支給品解説】
・トランスアイテム@魔法少女にあこがれて
…水神小夜@魔法少女にあこがれてに支給。
小夜を魔法少女マジアサルファに変身するためのハート型のアイテム。
手のひらに収まるサイズであり、これを手にして「トランスマジア」と唱えることで変身が可能になる。
・雄英ヒーローズ・バトル@僕のヒーローアカデミア
…シェフィ@プリンセスコネクト!Re:Diveに支給。
雄英高校サポート科が開発したカードゲーム。
専用のボードとカード一式がセットで支給。
ボードが読み込んだカードのヒーローがホログラムで出現し、ボード上の仮想空間で戦う。
現実に影響は無いが、実況付きでヒーロー同士の夢の対決を見れる。
付属カードは1年A組生徒20枚+エクストラ2枚の22枚。
本来エクストラカードはプロヒーローor 雄英生でないヒーロー科の生徒しか出現しないが、当ゲームではランダムでプレイヤーが出現することもある。
また、一人用モードの敵に限ればNPCモンスターも出現する様である。
もしかしたら他の支給品のカードも反応する様に改造されているかも知れない。
【NPCモンスター解説】
・グロースター@コードギアス 反逆のルルーシュ
…実際に登場したわけではないが雄英ヒーローズ・バトルに登場しているので会場内のどこかに入ると思われる第五世代のナイトメアフレームの一種。
主に騎乗したパイロットはコーネリア・リ・ブリタニアやグラストンナイツなど。
武装はほぼサザーランドと同じだが性能はこちらが上。
ゲームでのシミュレーションだがセロファンの罠にはまって戦闘不能にされてしまった。
・バッテリーマルガム@仮面ライダーガッチャード
…実際に登場したわけではないが雄英ヒーローズ・バトルに登場しているので会場内のどこかに入ると思われるマルガムの一種。
悪意を持った人間とアーティファクトのレベルナンバー1、ライデンジが融合することで誕生するマルガム。
レベルナンバー1とは思えない程強力な電気攻撃を得意とする。
ゲームでのシミュレーションだがセロファンを倒すも完全にメタを張れるチャージズマに自分の電気をそっくりそのまま返されて完敗を喫した。
投下終了です。
タイトルは 0005b:オリジン です。
私もまほあこファンなので投下させていただきます。
スラスラスラスラスラスラッ────
『ラウ・ル・クルーゼ 即死』
『茅場晶彦 即死』
『加茂憲倫 即死』
………。
スラスラスラスラスラスラッ────
『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア バグスターウイルス感染急激悪化で爆発し死亡』
『一ノ瀬宝太郎 同じく大爆発して死亡』
『堀北鈴音 同上』
…………。
…35…………。
「36、37、38…39 ………、」
「────『40秒』…………」
……………シーン……。
…42、43、44、45秒経過………。
「ねぇベポ。…全く効果ないんだけど。理由、分かる…かな」
「……恐らく、制限かなにかだろうねぇ……。我々【死神】の力を凌駕する、なにかとんでもない力が主催者にはあるんだろうさ。…考えたくもないけど…。──」
「──ただ……、さくら。私はあまり【ノート】を使わないほうが身のためだと思うよ」
「…………なんで?」
「…うーん。なんでってそりゃ…。まぁ、今から説明するけどさ…────」
………
……
…
◆
The human whose name is written in this note shall die.
◆
「…………えっ、草。死んでるし………」
んんっ。
ちょっと聞いてほしーんだけどさぁ!
目の前でさっきまで話してた奴が〜、いきなり倒れて〜〜。
んで、目開けたまま死んじゃったりしたらさ……。
ど〜する??
…いや、話唐突なのは分かってるよ…。あたしもさ…。
けども、けども…!だよっ!
…んまぁー、とりあえず…。
あたし、阿良河キウィ。
自分のこととベーゼちゃんが大々々ダイダイだぁ〜〜〜い好き♥💕な、チョー普通の悪組織戦闘員!
だーかーらぁ〜〜、「殺し合いとか別にいいけど…?」みたいな感じだしぃ〜〜?(あー?文句あっか?あ〜〜?)
つーか普通に優勝しちゃおっかな〜って思っちゃったりしたわけだけど…。
正直、今眼の前に死体があってめちゃくちゃ動揺している自分がいる………。
…別に、この死体の男とは知り合いでもなんでもなかった。
会って早々、「俺が新生きら(??)だっ」とか何とか言ってて……、まぁ知らないバカに絡まれたってワケなんだけど。
そいつが厨二過ぎてさぁ〜、なんか一々笑えて一々ムカつくから、発言にツッコミ入れまくってたんだけども……。
話の途中で、急にそいつは泡を吹いて倒れちゃった。
「うっ」とか言って。…ねぇ意味わかんなくない?! どゆこと〜〜?まぢさ〜〜!
「…ワンチャンどっきりだったりして。…お〜〜〜い!! 起きろ〜〜! 紫苑!! 『神』になるんじゃなかったのか〜〜〜! …ぶふっ!!!」
…木の棒で目を突いてみたけど反応0。
やっぱ死んでるし……。
まぢ意味分かんないんですけどぉ〜〜!!
「………………ねぇ、きみ」
「……あ〜?」
…死体で遊んでるあたしを咎めに来たのか……なんなのか知らないが。
体育座りしてるあたしの隣には一人のフード女が立っていた。
パッと見チョー陰キャって感じ〜? なんか暗いし…感じ悪いんですけど〜〜〜。
「このノート、触ってよ」
「は? ノート? なにこれ超キモッ…。────………。…はい、触りましたけど何か用かよ?」
「うん。じゃあ、ベポの声がもう聞こえるよね」
はぁ……?ベポ??
何いってんだこいつ〜〜〜?
そう思って立ち上がり、後ろを振り向いたら………、
いた。
「さくら……。話聞いてたかな? 死亡成功率は10%しかない上に、一人書くたびに君の寿命が1日減るって…………」
……全身金ピカの長身変態ガイコツマンが………、気配もなくすぐ近くに……!!!
「び、びえぇぅええぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!!????」
いや超びっくりだよ!!心臓ドッキューンのバックバクだよ!!ウォーリーを探さないで状態だよ!!?
な、なにこいつ……?!
意味わかんないんだけど〜〜〜〜!!!!
「…わかってるよベポ。でもノートに名前書き続けることが私の使命みたいなものじゃない?」
「……さくら、私はきみが心配だ…。特に頭が……。今回はたまたま一人死なせたからいいものの…、こんなの自殺行為だよ」
「…もう、わかってる…ってば」
フード女はさも平然と後ろのキモいやつと会話してるしぃ〜〜!!
なんなんだっつーのお前らはっ??!
…短いホットパンツで太ももを露出し、フードの奥底はロングヘアで整った顔のその女ァあ〜〜!
…あっ、よく見たら結構あたし好みかも………。
って、そんなんど〜でもいいわっ!!!
とにかくそいつはベポだか何だか変態の言う事を無視しつつ、ノートになんか書いていた…。
「…って、あ〜??」
…
『ロロ・ランペルール 即死』
『紫苑優輝 即死』
『阿良河キウィ 即死』
……
…
「いやあたしの名前じゃん!! なんで知ってんだよ……」
「…………」
「…無視かよッ!! おいそこのベポ!!! この女の名前なんつーわけ??」
「え? あぁ、青山さくらだよ」
「…あっ……。べ、ベポ!!?」
「ほ〜〜〜〜ん。…んじゃ、おいさくら!! そのノートちょっと貸せっ!!」
「あっ!!!」
へへーん。
なんか雰囲気うざいし、あたしを無視したのがムカつくしで〜〜、ちょっとイタズラしちゃお〜〜〜っと。
ペンを持って〜〜〜、
「『青山さくら そいつも安らかに即死(笑)』っと!!!」
「…ちょ、ちょっと……。や、返し………………。……ちょっ、と………」
「『ベポ即死! ドレスマジア即死!! 天川薫子、特にしね!!!』……な〜んか全然おもんないけど書くの妙にクセになるなーー」
「……キ、キウィ………」
「あ? てめーはあたしの名前呼んでくんな変態ガイコツ!!!」
スラスラスラスラ〜〜〜〜〜〜♬
で〜〜〜、仕上げは〜〜〜〜…
「大好きなウテナちゃん〜〜〜❤ あたしの愛を受け取りいざホテルへ〜!」
「『柊うてなちゃんへ♫あたしの字くりくりっとして可愛いでしょっ!そんなあたしよりもカワイイカワイイうてなちゃん……。杜乃こりすなんかほっといて明日は戦闘さぼろっか! で、デート巡りで甘いスイーツたいらげた後はいちゃいちゃ叡智しよ〜〜!! 約束だよ〜〜〜!!!』」
「あたしのサインと、──ちゅっ💕 キスマークを添えて〜完成ぇ〜〜〜〜!! どうだざまーみろ!! さくらと金ピカ仮面、思い知ったか! アハハハ〜〜〜!!!」
「…………………」
「さ、さくら…………」
ハハハ、はは……………。
いやちょっとノート落書きしたくらいでこいつ落ち込みすぎじゃね??!!
あたしが悪いみたいな雰囲気だしてくんなっつーの!!
なにこいつ〜〜〜〜〜〜〜〜?
「…39、……40…………」
あ?
なんかさくら数えだしたし…。
「…よかった……。運に救われたよ、ベポ…」
「…まったく最難だったね…………」
「…は? は? 何の話???」
「…ごめんね、キウィさん。ちょっとノート貸してくれないかな」
「え? …こ〜んな状態でもいいなら返すけど〜〜〜? ぷぷぷっ…! はい、どーぞ!!」
「…ありがと」
ノートを手に取ったさくらはカチカチッと。
ペンを出したと思いきや、ものすごい筆圧と勢いでなんか書き出した……。
「おいおい……、さくら……………」
何をかいてんのかな〜?
もしかしてあたしのサイン真似して模写してるのかな〜〜?とか。
色々考えながらチラ見してみたら…………、めちゃくちゃ驚き!!
つか、めっちゃ嬉しい!!!
さくらちゃんったら、あたしのこと…この束の間でめちゃくちゃ好きになったみたいでアプローチの文を書いてたんだけど!!!
別に好きでもなんでもなかったけど、思わずあたしはさくらちゃんに抱きついて、頬ずりしちゃった!!!
う〜〜〜〜〜ん!!!! うれしいよ〜〜〜〜! さくらちゃん〜〜〜〜!!!
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
『阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ 阿良河キウィ』
【紫苑優輝@デスノート Light up the NEW world 死亡】
【阿良河キウィ@魔法少女にあこがれて】
状態:健康
服装:セーラー服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:優勝してぇ〜〜〜(笑)
01:さくらちゃん超可愛い〜〜〜!!
【青山さくら@デスノート Light up the NEW world】
状態:健康
服装:いつもの服
装備:ベポのデスノート
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:死ね。
01:死ねシネ氏ね死ねシネ氏ね死ねシネ氏ね死ねシネ氏ね死ねシネ氏ね死ねシネ…
※デスノートは、名前を書くたびに問答無用で1日寿命が減らされます。
※名前を書かれた者は1/10の確率で心臓が麻痺します。
投下終了です
投下します。
ああ……君は死なない。 いつかきっと、このゲームがクリアされる時まで
キリト
はじめ、これは夢だと思った。
いつものように夏休みの毎日弾き語り修行を終えて、へとへとに疲れた体。
だから、これは、夢だとわかる夢…明晰夢というやつ!
それが、私…鳩野ちひろの認識だった。
鳩野ちひろ。どこにでもいる普通の高校一年生。
自他ともに認める所謂”陰の者”
そんな鳩野は、高校の部活は軽音部に所属している。
鳩野の転機となった1年生お披露目ライブ。
そこで、ギタボ(ギターボーカル)として初ライブに臨み……玉砕。
みんなの期待を裏切ったと、鳩野は夏休みに弾き語り修行を始めた。
自分はボーカルなんだと胸を張って言えるだけの自信をつけるため。
それが……殺し合いのゲームに参加することになり、唖然としている。
「うんうん。だって、急に頭をパカってする女性とか現実的にありえないよねー…あはは」
シーン……
「え?夢……じゃない?」
この空気が肌に触れる感じ。現実逃避していたら取り返しのつかないことになりそう。
それに、手の甲にある令呪……
「……」
(これがあるということは……やっぱり)
現実を受け入れろという神の啓示が聞こえた。
「えっと……そうだ!まずは支給品を確認しないと」
殺し合い。
だったら、せめて身を守るなにかないと私のような下から数えた方が早い者はすぐに狙われる。
いそいで、確認しようと中身を漁る。
すると、武器らしきものがあった。
「これが……武器?」
(ギターなのは、嬉しいけど、……なんか幼稚園児から小学生低学年までが観ていそうなアニメの道具にしかみえないんだけど……)
どうやら、私に支給されたのはキュアビートという人のギターで”ラブギターロッド”というらしい。
ラブ……モモちゃんが聞いたら怪訝な顔をするだろうな。
――――ガサササ
!?
(だ、誰!?まさか……ゲームに乗った参加者!?)
あわあわとあわてふためくと。
「えっと……私は乗ってないわ。だから安心して」
私の前に現れた女の子は、肩までの黒い髪を揺らせて微笑んでいた。
☆彡 ☆彡 ☆彡
鳩野の前に現れた少女。
名前はサチ。
デスゲームに巻き込まれたSAOプレイヤーの一人。
ギルド”月夜の黒猫団”に所属”していた”
”している”ではなく”していた”
それは――――本来は、サチを含める月夜の黒猫団はキリトを除いて全員”死ぬ”運命だからだ。
ただ、幸運か不幸か、今のサチは死ぬ前であるため、自身の運命は今はまだ知らない。
「鳩野さんて……SAOのプレイヤーではないんだよね?」
「S……SAO?」
うん……この反応。
どこかの学校の制服を着ていることからなんとなく予想はしていたけど、鳩野さんは……SAOとは無関係なんだ……つまり、あのデスゲームに巻き込まれていない。……いいな
「うん。ほら、CMとかでも結構大大的に流れていたと思うけど、最新VRMMORPGのソードアート・オンラインのこと。後……ニュースにもなっていると思うけど……もしかして、知らない?」
「え、う、うん……ごめん」
(う〜〜〜〜ん。そんなゲーム、CMで流れてたかな?まぁ……私、あんまりゲームやったことないから、スルーしちゃってたのかな?それと正直、あんまりニュース見ないし)
「そ…それで、サチさんはその……SAOで遊んでるの?」
「う……うん。この姿はそのSAOのアバターなんだ」
(ニュースも知らないの?結構、大事になったと茅場って人はゲームの始まりのとき、言っていたけど…もしかして、実は死ぬなんて嘘なんじゃ……?)
一瞬、希望が頭によぎったが、直ぐにその甘い考えを振り払う。
ううん。そんなわけないよね。もし、仮にドッキリだったらすぐに他のプレイヤーのナーヴギアを外してるはず。それが行われないまま、ゲームが開始されて既に約半年が経過している。それに最初の1か月で2000人の人の命が奪われている。駄目……その事実から目を背けちゃ。
「……」
やっぱり、SAOでの死は現実の死……なら、このゲームは?
SAOとは明らかに違う感じだけど、羂索って人が言ってた人物に”茅場”という名があった。なら、これも死は言葉通りの死。あの様子から、バグスターウイルスという聞いたことが無いウイルスによって死ぬ。体を残さずに苦しみながら……あの二人のように。
最悪だ。ナーヴギアが脳を破壊するから、ウイルスで体が消滅するに変わっただけ。
神様は私を嫌っているのだろうか?恨み節をぶつけたくなる。
すると――――
――ガサササ
「え?」
「!?」
私達の前に現れたのは、数体の武装ゴブリン。
そのモンスターはSAOのモンスターであり、キリトに出会うきっかけのモンスターであった。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「やぁああ!」
(怖い……だけど、戦わなきゃ死ぬ……!)
サチの支給された獲物は、鎧の魔槍。
かの名工ロン・ベルクによる傑作。
そして、サチがSAOで使用した得物も槍。武器との相性は問題ない。
かつ、サチの所属する月夜の黒猫団は、キリトのコーチを受けていた。
それが、サチの命を繋いでいる。
「あ……え……と」
(やばい!サチさんだけにまかせちゃ。だけど……どうすれば!?)
一方、ぐるぐると鳩野は困惑する。
無理もない。これまで、命のやり取りなんかしたことがない人生なのだから。
「そうだ!とりあえず、説明書に書いてあった通り……」
いそいそと鳩野は説明書に書いてあった技を試す。
「わ!?」
ラブギターロッドから発せられた音波の力か、刺々しい♪が、武装ゴブリンを突き刺す。
サチの魔槍に鳩野のラブギターロッド。両者の力で襲撃しに来た武装ゴブリンは一掃された。
「やっ……やったね」
(おおーー!私、結構戦える!?)
人生初の戦闘を終えた鳩野は予想より戦えたことに妙な自信をつけていた。←ムフー
一方……
「は……はは……」
「サチさん……?」
「もう……いや」
「え?」
「何なの!?一体、これ!?SAOのデスゲームから別のデスゲームに変わっただけじゃない!」
「私、何か悪いことした!?こんなことしてなんの得があるの?茅場って人も、羂索って人も!なんでゲームなのに死ななくちゃならないの?」
「サ……サチさん」
「もう、いや!……でも死ぬ勇気も……ないの」
元々、大人しい、怖がりな性格。
死ぬ恐怖から、夜の眠りが浅くなる日々。
サチの心は、張り裂ける寸前。
それは、サチの現実(じごく)
―――サチの心の奥に踏み込みますか…?
はい いいえ
「……」
―――サチの心の奥に踏み込みますか…?
はい
ピキ!ピキキキキ!!!!ガッシャン……!!!!!
ジャージャンッ ジャージャンッ
「……え?」
チャ〜ッチャ〜ラ チャ〜ッチャ〜ラ
私は無意識にギターを弾きだした
チャ〜ッチャ〜ラ チャ〜ッチャ〜ラ
理由なんてわかんない
ジャン ジャン
だけど、今ここで弾かなきゃ後悔すると思った
ジャン ジャン
サチさんが消えそうな気がしたから!
―――――― everything is my guitar ―――――
andymori
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な……何?
急に歌いだしたりなんかして!?
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――何よ、人をみそっかすみたいに
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皆……私達、月夜の黒猫団は、全員同じ高校のパソコン研究会のメンバーで構成されている
メンバーのリーダーであるケイタは、”攻略組”の仲間入りを考えていた。
だけど正直、私はそんなに乗り気ではなかった。
だって、今のSAOは普通のゲームではない。
ゲームでの死は現実での死。
だから……怖い。でも……言い出せなかった。
黒猫団の皆とは現実でも仲良しだし、一緒にいるのは楽しいから
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そんな私の前に現れたのはキリト。
キリトは死の恐怖に震える私に言ってくれた。
”君は死なない”と
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キリトの言葉を聞くと、眠れるようになった。
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そうだ……黒猫団の皆とは”楽しい”だけど、キリトとは”嬉しい”んだ
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会いたい……キリトに……
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キリトに会いたい。
貴方と会えて、一緒にいられて、ほんとうによかった
♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪ ♪♪♪♪♪♪♪♪♪!!!!!
「はぁ……はぁ……」
私は歌い終えると、サチさんの顔をチラリとみる。
――――う゛!
「……」
サチさん…
なにか… なにかいって…
しかし、願えば願うほど遠ざかるのか、サチさんは沈黙のまま……
「……」
あ〜〜〜〜〜〜もう無理
なんで、私は殺し合いのゲームの真っ最中に一人大熱唱しちゃったんだよ〜〜〜〜〜〜
タイムマシン〜!! タイムマシンくれ〜!!
「私……忘れてた」
「キリトと出会えて幸せだったこと」
「それを思い出させてくれてありがとう……鳩野さん」
☆彡 ☆彡 ☆彡
「ねぇ……鳩野さんのことあだ名で呼んでいい?」
「え!?う、うん。いいけど」
「じゃあ……はとっちとかどう?」
「いいよ。友達にもそう呼ばれていることあるし」
(よかった……厘ちゃんみたいに”神”と呼ばれなくて)
「じゃあ、サッちゃん……と呼んでいい?」
「うん。勿論!よろしくね、はとっち!」
〜〜〜〜〜〜ただいま女子トーク中〜〜〜〜〜〜
「それって恋なんじゃないかな?」
「……え?」
―――私がキリトに恋?
「ううん。違うよ〜どっちかというと私のお父さんかなって」
そう。君の隣で寝るようにはなったけど、互いに触れることも、愛の言葉を交わすことはなかった。見つめあうことすらも
―――たぶん、互いの傷を嘗め合う野良猫のようなもの
「でも、サッちゃんがそのキリトって男の人のことを話すときの顔。なんていうか…恋する乙女って感じがしたよ!)
(まぁ、私は恋の実績は皆無だけど)
「!?」
――――恋。私は恋してたの?
――――キリトは、暗い道の向こうでいつも私を照らしてくれた星みたいなものだった
――――でも
――――そうなんだ……恋
――――これが恋なんだ
――――うん。絶対にもう一度キリトに会おう
――――そして伝えよう
――――自分の口で
好きだよ……と
「ねぇ、はとっち」
「ん、何?」
「私、頑張る。正直……SAOでは、頑張ってなかったんだ。だから頑張る。このゲームでは絶対に!」
「サッちゃん……」
(よかった……夏休み、毎日弾き語りの練習をした成果があったぜ!)
いいことをしたと、鳩野は、顔も知らぬキリトへサムズアップした。
キリトにとっては非常に困るのだが、そんなことは露とも知らず。
――――ザッ
「「!?」」
突如、私達の前に3体の機械……パワードスーツが現れた
NPCモンスター扱いのモデルアーマーのジン。
元はザフトの量産型MS.
「この機械もSAOのモンスターなの?」
「ううん。こんなモンスター見たことないよ!」
少なくともSAOで見かけたことはない
もしかしたら、もっと上の階層のモンスターかもしれないけど……
どちらにせよ、さっきと違って未知な敵。動きも分からない。
こんなとき、キリトがいれば……
ううん!いつまでもキリトの力にたよってちゃいけない。
「はとっち!もしものときは、一目散に逃げて!私のことは気にせずに!」
「ええ!?」
このゲームで得た友達。
私の現実(じごく)に、前を向く一歩をくれたかけがえのない友達。
こんなゲームなんかで死なせるわけにはいかない。
キリト……私に力を!!
覚悟を決めて戦うケツイを決めたそのとき、一陣の風が吹いた。
黒い機械。
まるで、キリトが機械になったらああなるんだと思う黒い機械。
風と共に突如、現れた対峙する機械に似た機械はあっというまに破壊した。
そして、破壊を確認するとこちらに近づいてくる。
「貴方は……?」
おそらく参加者で敵意はなさそうに感じた。
しかし、助けてくれたとはいえ、油断は禁物。
得物を構えておく。
すると、機械……パワードスーツから、人の姿に戻った。
その人は――――
「僕は、ニコル・アマルフィ。ザフトのザラ隊所属のMSパイロットです」
優しげな男の子だった。
☆彡 ☆彡 ☆彡
ニコル・アマルフィ。
C.E.56年3月1日生まれの15歳。
優しげな雰囲気の彼だが、ザフト軍のエリートの証である赤服の着用が許されている一人。
「にわかには信じられないけど……キミたちの話をまとめると、別の世界があると考えていいと思う」
「そうみたい……ですね」
「う、うん。そう……だね」
あれから情報を交換し、3人はそう結論づけた。
まず、”ナチュラル”と”コーディネイター”といった人種概念はサチにも鳩野の世界にはない。
それから、呪詛師 や仮面ライダーといった3人とも聞いたことが無い単語から結論付けた。
「それと、僕は一度死んでいるんだ」
「「え!?」」
ニコルの告白に二人が驚きの色を隠せない。
そう、ニコルは戦死者。
親しい友人であるアスランが窮地におちいり、庇った際にその命を散らした。
「ってことは、ニコルさんは生き返ったってことですか?」
「そういうことになるね……」
3人は改めて思う。
このゲームを開いた者たちの強大な力に。
「ごめん」
ニコルは二人に頭を下げる。
「あの、羂索って男が言っていた”クルーゼ”という名前は、おそらく僕たちが所属しているザフト軍の軍人なんだ」
(そして……ボクの元隊長でもある)
そう、ラウ・ル・クルーゼは本来、ザフト軍の士官。そして、ニコルがザラ隊に編成される前の所属する隊の隊長でもあった。
それが、民間人を巻き込むデスゲームに関わるなんて事実は、軍の恥であり、軍法会議にかけられるべき事案である。
故にニコルは謝罪する。
軍に所属する者として。
「関係者だから直ぐに信じてもらえるとは、思ってないけど、軍人として君たち二人を守る。君たちは死なない」
「顔をあげてください」
言われた通り、顔を上げると、サチと鳩野の穏やかな顔が。
「私が好きな人も貴方と同じように、君は死なないって言ってくれてた。それが私を支えてくれてたの。だから……ニコルを信じる。それと、私達を助けてくれてありがとう」
「私も。それに悪いのはニコル君じゃなくて、クルーゼって人だしね」
「うん……ありがとう。よろしくね!サチとチヒロ!」
こうして、3人は行動を共にすることとなった。
まる。
☆彡 ☆彡 ☆彡
鳩野の演奏により、サチは救われた。
そして、気づいた。キリトへの想いを。
だが――
それを口にしたら”キリトの幸せが壊れる”
それは、サチにとってもキリトにとっても現実(じごく)でしかない。
【ユイ@ソードアート・オンライン 】
状態:正常 疲労(小) 負傷(小) キリトへの恋へのケツイ
服装:SAOのアバター
装備:鎧の魔槍@ダイの大冒険
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:殺し合いに乗らない、キリトに会って気づいた自分の気持ちを伝える(恋)
01:鳩野(はとっち)・ニコルと行動を共にする
02:もう、私は逃げない。この世界で頑張る
03:キリト……君に伝えるね。私の気持ち
参戦時期:迷宮区のダンジョン中、トラップに引っかかる前
備考
※鳩野ちひろの演奏によりキリトへの想いは”恋”であると位置づけました。
※ニコルとの会話からSeedの世界のことについて簡単に理解しました。
▪ 鎧の魔槍@ダイの大冒険
サチに支給。
ロン・ベルクが製作した槍。鎧化(アムド)と唱えることで装着することができる。
高い魔法防御と修復機能を持つ。また、鎧の各部にはナイフやブーメランといった武器も内蔵されている。
陸戦騎!ラーハルト推参!!byラーハルト
【鳩野ちひろ@ふつうの軽音部 】
状態:正常 疲労(小)
服装:谷九高等学校の制服
装備:ラブギターロッド @スイートプリキュア♪
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:ゲームには乗らず、生きて帰る
01:サチ(サッちゃん)・ニコルと行動を共にする
02: サッちゃん……キリト君に告白できるといいね
03:というか……どうしてこうなった!?(バンドメンバーに迷惑が……)
参戦時期:20〜21話の間
備考
※ニコルとの会話からSeedの世界のことについて簡単に理解しました。
※サチとの会話からSAOについて簡単な知識を得ました。
▪ ラブギターロッド @スイートプリキュア♪
鳩野ちひろに支給。
キュアビート専用の武器で水色のギター型。
フェアリートーンのソリーは最初から装着されている。
ビートバリア
・ト音記号とハートが組み合わさったバリアで敵の攻撃を防ぐ
ビートソニック
・鋭い八分音符で敵を攻撃する
爪弾くは魂の調べ! キュアビート!!byキュアビート
【ニコル・アマルフィ @機動戦士ガンダムSEEDシリーズ 】
状態:正常 疲労(小)
服装:ザフト軍の赤服
装備:ブリッツガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEEDシリーズ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:ゲームには乗らず、生きて帰る
01:サチ・鳩野と行動を共にしつつ二人を守る
02: バグスターウイルスへの対処方法を探る
03:隊長……なぜ、こんなことを?
参戦時期:本編死後より
備考
※情報交換から、異なる世界があることを推測しました。
※サチとの会話からSAOについて簡単な知識を得ました。
ブリッツガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEEDシリーズ
ニコルに支給。
地球連合軍が開発した試作機の一機で、その大きな特徴は光学迷彩機能を搭載したステルス機。
強奪時に搭乗したニコルが引き続き、自身の機体として運用した。
フェイズシフト装甲により物理攻撃には強い耐性を持っている。
機体のカラーリングは”黒”であり、黒の剣士キリト。ブリッツはドイツ語で”電撃”で閃光の異名を持つアスナと、ある種面白い繋がりが見られる。
ミラージュコロイドは制限により、一度使用後、次の放送時間までクールダウンが必要である。
他に攻盾システム「トリケロス」 やピアサーロック「グレイプニール」 がある
母さん…僕のピア、ノ…byニコル
【NPCモンスター解説】
ジン@ 機動戦士ガンダムSEEDシリーズ
ザフト初の量産MS。 ガンダムシリーズにおけるザクⅡてき存在。
重斬刀・76mm重突撃機銃・ 500mm無反動砲などといった武装がある。
投下終了します。
投下します
殺し合いの会場どこかで、どこかの制服を着た黒髪の少女が一人呆然と立っている。
彼女の名前はユミエラ・ドルクネス。
今日付けでとある国の王立学園に入学した新入生の貴族令嬢だ。
そんな彼女は、今猛烈に困惑していた。
「こんなイベント無かったよね……?」
ユミエラが困惑している理由は、この殺し合いが本来起こるはずのないイベントだからである。
なぜそんなことを断言できるのかというと、彼女はRPG要素のあるファンタジー世界が舞台の乙女ゲーム『光の魔法と勇者様』、通称ヒカユウの原作知識持ち転生者だからだ。
そしてヒカユウにこんなイベントはなかった。
そもそも本来のユミエラはラスボスより強い、ヒカユウの裏ボスである。
そしてそのヒカユウをやりこんだ女子大生ゲーマーが転生したのが、今ここに居るユミエラである。
「ふむ……」
もしかして知らない間にDLCとかでシナリオが追加されたたのか、と一瞬考えるユミエラだが、すぐにそれはないだろうと投げ捨てる。
いくらなんでもファンタジーと殺し合いでは話のジャンルが変わりすぎだし、仮に追加シナリオだとしてもそれは主人公視点であるべきで、まかり間違っても裏ボスをフォーカスするものではない。
つまりこの現状はヒカユウとは関係なく、どこの誰とも分からないあの色んな名前を名乗った女が起こしたものと考えるべきなのだ。
「私のこれからの生活、どうなるんだろう」
ユミエラが思いを馳せるのは、殺し合いが終わった後の事。
仮にこの殺し合いを生き残り元の世界に帰れたとていきなり消えた、それも色々悪目立ちをしたキャラの学園生活がまともになるとは思えない。
こうなると私の目標だった目立たずやり過ごして生きる、というもの難しいだろう。いや、それは元々か。
「いかんいかん」
そんな終わった後の事より、まずは目の前の事象に目を向けるべきだとユミエラはブンブンと首を振って思い直す。
そこで主催者のある発言を思い出した。
「そういえば、あの女が理想を叶える権利を叶える為に殺しあえ、後は自分達を倒してもゲームクリアって言ってったっけ」
この言い方からすると、あの羂索はゲームでいうことの中ボスで、あいつを倒すと真のラスボスが現れて『おめでとう。さあ理想を叶える権利をあげよう』みたいなことを言ってくるのだろうか、とユミエラは推測した。
正直、理想を叶える権利というものに心惹かれなくもないので、主催に抗う方向ならば欲しいとも一瞬考える。
しかし――
「いや、やっぱりシメよう」
そもそもいきなり攫ってきた相手を信用するのも馬鹿馬鹿しいし、仮に本当でも気に入らない話である。
なのでユミエラは主催者を全て倒すと決意し、とりあえずバグスターウイルスとか腕輪をどうにかする方法を探し始めるのだった。
【ユミエラ・ドルクネス@悪役令嬢レベル99〜私は裏ボスですが魔法ではありません〜(アニメ版)】
状態:正常
服装:制服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:主催者許すまじ
01:とりあえずバグスターウイルスとこの腕輪をどうにかする方法を探す
参戦時期:1話終了後
備考
※身体能力、魔法に制限が掛かっています。
◆
「ちょっと運営さーん、どうなってますの〜〜?」
ユミエラとは違う場所にて、彼女とは違う制服を身に纏った黒髪の女子が、誰かに呼びかけている。
この運営とは殺し合いの運営である羂索やその仲間ではなく、別の上位存在。
簡単に言うなら、神である。
そんな本来の神と交信が可能な彼女の名前は、マリアンヌ・ピースラウンド。
神により乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生した元男、現女である。
なぜ神が彼女を転生したのかというと、『乙女ゲームの悪役令嬢にTS転生して実は善人なのに追放される様子を配信でRTAしてもらう』為である。
何言ってるのか分からないし、受ける方もどうかと思う話だが、このRTAを早くクリアすればするほど次の来世がいいものになると言われたので彼女は話を受けた。
そしてRTA開始当日、このRTAはファンタジー世界の学院に入学してから国外追放されるまでの時間を計測するのがレギュレーションであり、つまり入学式の日である。
原作のゲームを知らないマリアンヌは考える。どうすれば最速で追放されるのか。そして思いついた。
入学式で登場人物全員殴り飛ばせば即追放では? と。
なので彼女は実行し、殴り飛ばしている最中にこの殺し合いに呼ばれた。
最初はずいぶん超展開だな、と呑気に傍観するだけだった。
いくらなんでもファンタジー世界から殺し合いは超展開過ぎる気もするが、展開がひどすぎて炎上したエロゲー、ギャルゲーなんて結構あるので、その類かと思っていた。
イベントは胸糞悪いが、ともかくRTAは達成したのだし何らかの連絡が来るだろう、と待っていたのだが、しばらくしてから思う。
これ、追放じゃなくて誘拐じゃね?
いやそんなまさか、とばかりにマリアンヌは配信先である神に呼びかけてみるが、反応は一切ない。
つまりこれは、RTAレギュ達成ではなく羂索が起こしたイレギュラーな事態であるということだ。
「私のウハウハ来世ライフを邪魔した罪は重いですわよ……羂索ゥ……!!」
現状を正確に把握したマリアンヌは赫怒し、激情を晒す。
そして羂索をぶちのめして落とし前を付けさせるため、まずはバグスターウイルスとこの腕輪をなんとかする方法を探すことにした。
【マリアンヌ・ピースラウンド@TS悪役令嬢神様転生善人追放RTA〜嫌われ追放を目指してるのに最強無双ロードから降りられない〜(漫画版)】
状態:正常
服装:制服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:主催者に落とし前を付けさせる
01:とりあえずバグスターウイルスとこの腕輪をなんとかする方法を探す
参戦時期:1話、入学式の最中
備考
※魔法に制限が掛かっています。
◆
二人とはさらにまた別の場所に、ドレスを身に纏った銀髪の美人が佇んでいた。
彼女は一見すると無表情で立っているだけに見えるが、近くまで寄れば拳を握り締めていることに気付くだろう。
そこにあるのは、怒りの発露。
そう、彼女は、スカーレット・エル・ヴァンデミオンはこの殺し合いの主催者に怒っていた。
とはいえ、彼女の怒りは殺し合いに対する怒りもなくはなかったが、主な部分は別の要因だ。
「カイル様を殴る絶好の機会をよくも……!!」
スカーレットは、今このタイミングで呼ばれたことに怒っていた。
彼女はこの殺し合いに呼ばれる直前、王城にてパーティーに参加していた。
それは王族や貴族が参加する、バリスタン王国第二皇子、カイルが主催した舞踏会だ。
しかしそこでスカーレットは唐突に婚約破棄された。
ありもしない罪をでっちあげられ、四面楚歌の上悪役令嬢呼ばわり。
ならばもう我慢などしない。
だから殴った。
自身の風評を傷つけた、よそのクラスの名前程度しか知らない男爵令嬢を。
肥え太った醜く、権力にしがみつく豚のような貴族を。
元々人を殴るのが好きだったが、立場と兄の懇願で我慢していた彼女が、我慢を止めた瞬間である。
そして最後に、何一ついい思い出も美点も思いつかない、ろくでもない婚約者であるカイルを殴ろうとしたその時、彼女は殺し合いに呼ばれた。
あまりに突然な状況の変化に面喰いつつも、現状を理解すればやることは一つ。
「ラサクだかカモトシノリだか知りませんが、あなたと仲間は必ず殴りますわ」
スカーレットは力強く宣戦を布告した。
とはいえ現状でそんなことを宣言しても口だけの女扱いがせいぜいだろう。
なのでまずは自身に宿るバグスターウイルスとやらを除去しようとしたが、どうにもうまく行っている気がしない。
「それはそうですわね」
普通に考えて殺し合いの重要なファクターであろう要素をあっさりどうにかできるものなど、真っ先に制限するだろう。
なのでスカーレットは特に気にすることなく、ウイルスと自分の腕輪に対処する方法を求めて歩き始めた。
【スカーレット・エル・ヴァンデミオン@最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか(漫画版)】
状態:正常
服装:ドレス
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:あのラサクだかカモトシノリとかいう女と、その仲間を殴る
01:とりあえずバグスターウイルスとこの腕輪をなんとかできそうな人を探す
参戦時期:1話終了後
備考
※時の神クロノアの加護に制限が掛かっています。
こうして悪役令嬢たちは三者三様、各々の理由で主催者の打倒を目指す。
その道が交わるか、離れたままで終わるかは誰も知らない。
投下終了です
投下します
NPCモンスター。
羂索たちの仕掛けたバトルロワイヤルにて、プレイヤーたちを襲う存在である。
その姿や能力はプレイヤーたちに縁のある異形や、羂索たちが観測した異形を模しており、能力もスケールこそ調整されているがだいたい同じ物を持っている。
獣のような物、植物のような物。幻獣や領域外のなにかとしか言いようのない物、果ては機械のような物までさまざま存在する。
そんなNPCモンスターだが、基本的に仲間割れはしない。
そもそも自立行動こそするが、ただ暴れるだけの再現体にそんな上等なオツムはない。
プレイヤーかそうでないかを判断し襲い掛かるだけ。
そのはずなのだが、会場の一角にてNPC同士の殺し合いが行われていた。
銃で、剣で、爪で、牙で。
数は少ないが触手のような特殊な部位、トンファーのような珍しい武器で応戦する物もいた。
だがよく見ると、襲い掛かっているのは獣や植物に近い物ばかりで、機械系などの非生物型ののNPCモンスターが襲われている形だ。
そして機械系が狩り尽くされると残るNPCモンスター同士でまた殺し合いが始まった。
斬って、千切って、噛んで、潰して。
あらゆる方法でお互いを傷付け合い、殺し合い、とうとう残った最後の一体に……
「それ」
無慈悲にも紺色のブーメランが突き刺さり地面に倒れ伏した。
「しっかし、笛の根で獣を操る、かぁ。
これでとうとうホンモノの魔女じゃんね」
そう言って死体に突き刺さったブーメラン、魔笛フルートバスターを引き抜いたのは、天使のような純白の羽と天球儀のようなヘイローを持つキヴォトスの生徒だった。
彼女の名前は聖園ミカ。
キヴォトス三大校が一角、トリニティ総合学園の生徒会、ティーパーティーのトップの一人にして、トリニティを裏切った魔女である。
「それじゃあ、荒れるよー☆止めてみれば?」
悪のメロディーに編曲されたキリエを奏でながら、聖園ミカは進んだ。
その跡に殺し合わせ横たわるNPCモンスターの屍を累々と積み重ねながら。
【聖園ミカ@ブルーアーカイブ】
状態:健康、魔女
服装:いつもの制服
装備:フルートバスター@獣電戦隊キョウリュウジャー
Dの獣電池×4@獣電戦隊キョウリュウジャー
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜2、ホットライン
思考
基本:魔女らしく荒れる。止めてみれば?
01:どうせもう何もないならあのアビドスの人の口車に乗るのも悪くないじゃんね。
02:錠前サオリを見つけたら最優先で始末する。
03:もしナギちゃんやセイアちゃんがいるなら、その時考えよ。
参戦時期:錠前サオリに復讐を決意した瞬間
備考
※Dの獣電池の起動にブレイブは必要ありません。
一定以上の邪悪な感情があればだれでも起動できます。
【支給品解説】
・フルートバスター@獣電戦隊キョウリュウジャー
…聖園ミカ@ブルーアーカイブに支給。
Dの獣電池×4とセットで支給。
斬撃武器、ブーメラン、魔笛の三役を一つでこなす武器。
物理武器として一級品で、魔笛としては正義のメロディを乱す悪のメロディを奏で、獣電竜すら使役可能。
Dの獣電池をデーボス・インしてセットすることで発動する魔楽章デーボスフィニッシュはケントロスパイカーすら真正面から打ち破る威力を持つ。
投下終了です。
タイトルは 魔笛行進曲 です
投下いたします。
ここは会場内にある複合商業施設に併設されている高級ホテル内のロビー。
そこには黒のYシャツとタイトなジーパン、そして革ジャンをワイルドに羽織った二枚目半といった顔立ちをした男がいた。
彼はロスター、『クレイジー・ヒューズ』というコードネームを持ち、様々な世界を股にかけて活躍する捜査官である。
そんな彼はいま、このロビーの中で怪物たちと闘っていた。
金属製のヘッドギアのようなものを付け、右腕にはドリルが取り付けられたゾンビのような怪物たちだ。
「…ったく、どこのどいつだぁ?こんな悪趣味作ったヤツは……!」
そう言いながら彼は自らに支給された、重機関銃を無理やりハンドガンに改造したような拳銃を手に取りながら弾丸を次々と打ち込み、穴だらけになり倒れていく怪物たち。
しかしいくつかの怪物は自身の核ともいえるリアクターを右腕で防御しながら彼の方へと向かい、そのドリルを突き立てんとする。
ヒューズの銃撃や怪物の放ったドリルを躱すことによってロビーのカウンターや設置されているソファーなどに風穴があき、どんどんとフロアが荒れ果てていく。
すると突然ヒューズの背後から現れた怪物が彼に向かって攻撃を仕掛けてきた。
「おおっと!危ねぇなぁっと!」
しかし彼は冷静にその攻撃を躱し、背後の怪物を回し蹴りで吹き飛ばす。
そして後ろを振り返ると、ロビーの階段の上から同じような姿をした別の怪物と視線を交わす。こちらは右腕だけでなく両手にドリルが搭載された個体だ。
「なんだ?新手かぁ?」
それを見たヒューズは拳銃を左手で持ち、それを発砲すると放たれた弾丸は狙い通りに怪物の眉間に命中した。
頭を撃たれた怪物はそのまま後ろに倒れこみ、やがて動かなくなった。
それに気が付いた他の怪物たちが一斉に襲いかかってくる。
だがヒューズは臆することなく、再び右手で拳銃を構えると次々に怪物たちに銃弾を撃ち込んでいく。
そのあまりの猛攻に、とうとう最後の一体となった。
「さーて、後はアンタだけだぜ?さっさと片付けるか」
ヒューズがそう呟いて銃口を向けると、その怪物は両腕のドリルを回転させながらヒューズに向かってきた。
だがヒューズはそれを難なく躱し、そのドリルのエンジン部分を左手で掴む。
「オラァッ!」
そしてそのまま怪物の腹部に銃を突き付けて大量の銃弾を叩き込んでいく。
すると怪物は身体中に風穴をあけられて、その場に崩れ落ちた。
「ふぅ……これで全部か?ったく、手こずらせやがって」
ヒューズはそう呟きつつ拳銃を下ろすとロビーにある、綿がいくつも飛び出してすっかりボロボロになったソファーに腰を下ろした。
「さてと、この辺りも片付いたことだし……少し休んだら客室の様子も確認して、そっから人探しでもするとしようかねぇ?」
そしてヒューズはそう呟きながら煙草を取り出そうとするも、それも主催者に没収されていることを思い出して不機嫌な顔になる
だがすぐに気持ちを切り替え、今後のことを考える。
「しっかしまぁ、誰も人が見当たらねえとはな……。さっきの連中も恐らく参加者だろうが……」
ヒューズはそう呟きながら辺りを見渡す。ロビーには彼と数人のゾンビのような怪物の死体しかない。
しかしヒューズのいる場所から少し離れた場所に、何者かが隠れているのを発見した。
それは頭と背中に巨大な羽飾り、たくさんのフリフリが付いたピンクの衣装に右手には魔法のステッキのようなものが握られた、いかにも日曜朝などのテレビで出てそうな服装をした少女だった。
そんな少女はヒューズの視線に気づくと慌てた様子で四つん這いで駆け出し、近づいていった。
「あ!ヒューズもこっちに飛ばされちゃってたんだね!」
「うおおっ!?なんだ嬢ちゃん?俺のこと知ってるのかい?いやぁ、人気者はつらいねぇ♥はっはっは♥」
ヒューズは突然現れた少女に驚きながらも、おどける様にそう言ってみせる。
すると少女はヒューズの手を取りながら口を開く。
「…ああ!確かにこの姿じゃわかりにくいよね!じゃあちょっと変身を解くね」
そう言うとその少女の姿は謎の光に包まれて、そしてそこには動物の耳と無数に枝分かれした尻尾を持った、どことなく犬を連想させる姿をした少年の姿があった。
「んん!?おっ…お前…クーンか!っていうか何ださっきの姿は!?」
その姿にヒューズは見覚えがあった。その姿は別の事件を担当していた時やここ最近あった事件の解決の際に協力してもらった少年の姿だったからだ。
その少年の名はクーン。寿命を迎え滅びゆく世界『マーグメル』に住むラモックスという種族、その中で故郷を救うために指輪を集める度に出ていた少年だ。
「ん〜と…ボクにもよく分からないんだけど、この近くにあったお店にかけてあった服を見てたらなぜか変身できるようになったんだよね〜」
クーンは腕を組み、頭を捻りながらそう言ってみせる。
そんなクーンにヒューズは頭が痛くなってるような様子で問いかける。
するとクーンもヒューズの様子を見てか、ポンッと手を叩いて口を開いた。
「でもラモックスは性別が曖昧だからね〜、これはこれで面白いと、ボクは思ってるよ」
「…そうだったな、お前の種族って『前向きなのが取りえ』っていうもんな……」
そして能天気な様子の彼を見てヒューズはこめかみを押さえながらそう言うのだった……。
【ヒューズ@SaGa Frontier(サガフロンティア)】
状態:健康
服装:ワイルドな刑事といった様子の格好
装備:パンツァーブラスター@魔界戦記ディスガイアRPG
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:脱出し、その後にIRPO主催者たちを全員逮捕する。
01:まずは他の参加者を探すのと会場内を探索し、事件解決の手がかりを集める。
02:死体を改造して兵器にするなんて、ぞっとすることしやがるな……!
03:ここに俺が呼ばれてるということは他のIRPOの連中、それにエミリアやレンも呼ばれてるんじゃねぇのか…!?
04:それにクーンも呼ばれてるってことは、間違いなく古代の遺産に関わる何かってことになるな……。
05:あの『羂索』という妖魔、アイツは一体何者だ?
参戦時期:リマスター版のヒューズ編、エミリアシナリオ(BADルート)終了後。またクーンを仲間に加えていたことがある。
備考
※参戦時期の関係から、今回の事件についてキューブにまつわる陰謀が絡んでいるのではないかと推理しています。
また羂索をその容姿や性格から、下級妖魔の一種ではないかと推理しています。
※本名はロスターですが、名簿上はコードネームである『クレイジー・ヒューズ』の名で登録されています。
【クーン@SaGa Frontier(サガフロンティア)】
状態:健康、ヘヴンダンサーっぽいナニカに変身できる
服装:動物の耳としっぽが生えた少年のような姿
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3
思考
基本:脱出し、主催者が持っているかもしれない指輪を取り戻す。
01:ヒューズについていく。
02:メイレンやフェイオンも、こっちに来ているのかな?
03:これも、指輪を探している人たちのせいなのかな?
参戦時期:リマスター版のヒューズ編、いずれかのシナリオで仲間に加入している状態。そのためヒューズとは面識がある。
備考
※制限により能力吸収が行えなくなっています。そのため変身できる姿についても固定されている状態です。
【施設解説】
・複合商業施設@現実
…会場内のどこかに設置された施設で、ショッピングセンターなどの商業施設をはじめとした様々な施設が集まった建物。
地上10階建て、駐車場については地下3階まで存在している。
また主要な施設としては
1〜2階 ショッピングセンターにレストラン街、衣類などの物販施設が入った商業施設
3階 商業施設兼、オフィスフロアへの窓口
4〜7階 オフィスフロア
その他に併設された施設として10階建ての高級ホテルが存在しており、こちらについては最上階に大浴場が設置されている。
【NPC解説】
・ゾルダート・アイン@バイオハザード ヴィレッジ
…カール・ハイゼンベルクが自身の拠点である工場において製造している機械化死体兵の1種。
筋骨たくましい成人男性の遺体を素体とし、右下腕部を切除して工業用の電動ドリルを移植させた個体で、
その電力を供給するためのリアクターが胸部に取り付けられている。
・ゾルダート・ツヴァイ@バイオハザード ヴィレッジ
…アインの発展型で、より戦闘能力の強化改造が施されたゾルダート。
武器である電動ドリルは両腕に装着され、弱点である制御リアクターは背中側に着ける事で敵から狙われにくくされている。
また、頭部の行動制御用装置はヘッドギアに代わって鼻と口を金属製のフェイスシールドで覆う形となっている。
【支給品解説】
・パンツァーブラスター@魔界戦記ディスガイアRPG
…ヒューズ@SaGa Frontier(サガフロンティア)に支給。
重機関銃を無理やりハンドガンにしたような形状の拳銃で、説明には『堅い装甲もグッチャグチャのギッタギタにします』とある。
・ヘヴンダンサーっぽいナニカ@インペリアルサガ エクリプス
…本来は支給品でないが、こちらに記載。
様々なモンスターの能力吸収を行った結果予想もつかない大変身を遂げそうな状態になったクーンが、魔女っ子衣装に刺激されたことで変身してしまった姿で、本人曰く『二度とは起こらない奇跡の変身』。
なお本来のヘヴンダンサーは真やアニメの魔法少女を思わせる、ハイグレレオタード姿のヒューマン系(人間)の敵キャラである。
投下終了です。
以上、ありがとうございました。
投下します
小宮果穂が目を覚ましてすぐに理解したのは至ってシンプル。
それは先程の悪辣なデモンストレーションも、身一つで放り出されたこの状況も。
全て、紛れも無い現実であるということ。
人間はなるべく物事をマシな方へと考えたがる。
遅刻厳禁の会議当日に寝坊し、実は自分が日にちを勘違いしてしまったと言い聞かせる。
巨額の投資を持ち掛けて来た相手と連絡が繋がらず、単に向こうは忙しいだけと思い込む。
此度もそう。
悪趣味なドッキリ企画の類に過ぎない、人が本当に死ぬなんて有り得ない。
全部噓っぱちだ、でなければ悪い夢を見てるだけなんだ。
でなければ正気を保ってなどいられない。
死が、余りにも身近にある。
日常生活において、常に付き纏う事故や災害とは別種の恐怖。
人が人を殺す。
運悪く巻き込まれるのとは違う、明確な殺意を向けられ命を奪われる。
テレビの中の出来事でも、ありきたりな推理小説のワンシーンでもない。
たった数秒先の未来すら無事に迎えられる保障も無い地獄。
そのような場所に連れて来られて尚、果穂は決して現実から目を逸らさなかった。
アイドルの慌てふためく姿をカメラが面白おかしく捉える、倫理の面でも賛否を巻き起こすだろう番組。
趣味が良いとは言えないが、本当に死ぬよりは何千倍もマシ。
けれど果穂には、否、きっと283プロのアイドル達なら同じ事を思うだろう。
彼(プロデューサー)がこんな企画に自分達を無理やり出演させるのは、絶対に無い。
いつだってアイドルの事を第一に考え、自分達の見えない所でも苦労を重ね、誰かの為に頑張れる。
心からの信頼を向けられる、『格好いい大人』のあの人がやる筈が無い。
加えて、先の場での喧騒を目の当たりにすれば分かる。
二人の人が殺された時の悲痛な声に、嘘は含まれていない。
ファンや仕事関係の人達等、大勢と接する機会が多々あるのがアイドル業。
小学生の果穂とて、芸能界に身を置けば他者の感情へ機敏になるのは避けられない。
まだ子供の彼女にさえ、時には心無い悪意がぶつけられることだって珍しくも無かった。
故にこそ、難しく考えなくとも直感的に理解したのだ。
知り合いを殺された人達、怒りを露わにした人、常に余裕の佇まいを見せた少女。
演技なんかじゃあなく、全部本当なのだと。
「…っ!」
心が揺れ動く。
恐い、死ぬのが恐い、殺されるのが恐い。
12歳ながらしっかり者の果穂と言えども、自分の命が常に脅かされる場では恐怖を抑えられない。
須藤とニーナ、髪の毛一本も残さずに消えてしまった二人。
自分もああなってしまうのだろうか。
小宮果穂という人間が生きていた痕跡を一切残さず、死ぬのだろうか。
プロデューサーにも、放課後クライマックスガールズの皆にも見付けて貰えず。
たった一人で、どこなのかも分からない地で。
「あたし、は……」
へし折れ、砕け散り、再起不可能。
崩れ落ちて一歩も動けず、どこの誰とも知れぬ輩に好き勝手されるのを待つだけ。
残酷であるが、所詮は争いとは無縁の少女。
無理も無いと言い切るのは実に簡単。
「っ!あたしは…!こんな酷いこと、絶対に許しませんっ!」
なれど、果穂の心を揺さぶる感情は恐怖のみに非ず。
非道を強いり、今もどこかで高みの見物に興じる羂索への怒り。
皆から笑顔を奪う、アイドルとは正反対の悪い人。
こんな時、ジャスティスレッドならどうするだろうか。
憧れのヒーローなら、羂索に屈し早々に抵抗を諦めるのか。
この先も涙を流す人たちが現れるかもしれないのに、見て見ぬふりで逃げ続けるのか。
「あたしは逃げませんっ!ヒーローとしてはまだまだですけど、でもっ!」
ヒーローはどんな時も諦めない。
手を伸ばし、絶望の涙を喜びの涙に変えてみせる。
果穂が憧れるヒーローならば、きっと殺し合いであろうと変わらないから。
「羂索さんっ!あなたの悪い企みは必ず止めてみせますっ!」
他の人達を殺して生き残る、屍で築いた城の上に立つ結末は認めない。
誰も彼もが命を落とし、血で舗装された道を主催者が歩く末路は許さない。
辿り着く未来を選ぶなら、ヒーローが勝って皆が助かるハッピーエンドが良い。
幼い体に秘めた決意へ熱が入り、ここに打倒主催者を宣言する。
ガンッという音が聞こえたのは、直後の事だった。
「……えっ?」
丸くした目で視線は左右を行ったり来たり。
何が起きたか分からず、ただ気付けば取り巻く状況に変化が起きた。
いつの間にか、自分の傍には二人の男。
右側を見る。
蛇柄の服を着た茶髪の男が、如何にも不機嫌そうに顔を顰めていた。
左側を見る。
紫色の服を着た背の高い男が、感情の読み取れない真顔で相手を睨みつけていた。
男達の間に流れる空気は、お世辞にも友好的とは言い難い。
クラスの男子が喧嘩になった時以上に、酷く緊張感が漂う。
視線を動かす、紫の服の人は片足を伸ばした体勢だ。
また視線を別の方へ動かし、見えたのは地面に転がる長い灰色。
建築作業現場で見かける代物、近年ではホームセンターでも安易に購入が可能な鉄パイプ。
一体どういうことなのかと果穂が現状を正しく理解するより先に、男達が口を開いた。
「何故この少女を襲った?彼女がお前に危害を加える様子は無かった筈だ」
「あぁ?ギャーギャー喧しくてイライラするんだよ。バカなガキが一人で騒いでるから、黙らせに来ただけだ」
「…そうか。ならばお前は、殺し合いに乗った側の参加者と見て良いのか」
「ごちゃごちゃうるせぇ。邪魔すんなら、お前が代わりに相手をしろ!」
蛇が獲物を喰らうように、獰猛な男だった。
会話を放棄し殴り掛かる。
加減や容赦の二文字が毛先程も込められていない、本気の拳。
この一撃で相手が殴り殺されようと構うものか、理不尽極まる暴力が襲う。
駄目です、咄嗟に飛び出た少女の言葉も知ったことじゃない。
パシンと、肌を叩く音が果穂の耳にも届いた。
拳が捉えたのは相手の顔面でも他の急所でも無い。
掌に受け止められ、ガッチリと掴まれる。
引き抜こうにもビクともせず、男のストレスが急上昇。
反対の手で殴ろうとするもその機会はやって来ない。
靴底が地面を離れたと思えば、宙へ全身が放り出される。
片腕のみで投げ飛ばされたと分かった時にはもう、激突の鈍い痛みが襲った後。
低く呻きながら身を起こすと、果穂を庇うように前へ出た男が見える。
「……」
一方投げ飛ばした方はと言うと、表情は変えずに男への警戒を引き上げる。
反撃に怯むか、少しは頭を冷やすか。
ありきたりな予想は、相手の顔を見れば外れたと即座に分かった。
「あぁ…いいぜお前。少しは楽しめそうだ」
笑っている。
好みの玩具を見付けた子供のように、残忍な色を乗せて笑う。
男…浅倉威にとって痛みは嫌いじゃあない。
殴り、殴られ、痛め付け、痛め付けられ、殺し合う。
己を苛むイライラを解消できるソレを、どうして拒絶できようか。
羂索だかユメだか、名前はどうでもいいガキが長ったらしく説明したがつまりはこれまでと同じ。
イライラを消す為に殺し合えば良い、それだけの事だろう。
ポケットから黒い小箱を取り出す。
最も馴染み深い凶器だが此度は少々勝手が違う。
自分の所持品を奪い去ったのは腹立たしい、だがこれはこれで新鮮でもある。
『あのバカ』の力で参加者を殺すというのも、趣向としてはそれなりに面白いのかもしれない。
近くのショーウィンドウへ『カードデッキ』を翳す。
鏡の中の自分がバックルを装着すれば、現実の浅倉にも同様の現象が起きた。
構えを取り、あの言葉を口にする。
自分達、ライダーバトルの参加者のみに許された開戦の合図を。
「変身!」
デッキの装填と共に複数の鏡像が重なり、浅倉の姿は一変。
燃え盛る炎の如きボディースーツに、騎士を思わせる胸部のプレート。
フルフェイスの頭部は龍がモチーフ。
バイザー越しに睨む真紅の瞳が、今宵喰らい殺す餌を捉えた。
仮面ライダー龍騎。
ライダーバトルを止める為に奔走した青年のデッキは、皮肉な事に誰よりもライダーバトルを歓迎する男の手に渡った。
浅倉には珍しくもない変身も、果穂には未知の光景。
目を見開く彼女の傍らで、紫の服の男もまた表情を険しくする。
カードデッキの存在を男は今初めて知った。
気にはなる、しかしデッキの仕組み以上に聞いておかねばならないものがある。
「お前は、仮面ライダーだったのか?」
「ならどうした?」
「子供を襲い、殺し合いを肯定するお前が、仮面ライダーを名乗るのか?」
「何言ってんだお前。ライダーってのはそういうもんだろ」
鼻で笑う浅倉に男は沈黙を返す。
やはり表情に変化は無く、人形染みた顔を向けるばかり。
けれど、果穂には男が何も感じてないのでは無いと分かった。
顔には出さずとも、この人は怒っている。
浅倉のような苛立ちとは違う、自分では無い誰かの為に怒りを燃やしていると。
「仮面ライダーの名は、お前が名乗っていいものではない」
人を守り、人の為に涙を流せる。
自分の知る赤と白の戦士、仲間である男達。
彼らとは違う、黄金を纏った悪魔と同じ外道が仮面ライダーを名乗る。
それだけは絶対に許せない。
ライダーになれなくとも関係無い。
機械仕掛けの心に火を灯し、チェイスという名の戦士にギアが入った。
「隠れていろ」
「え、おにいさん…?」
未だ困惑から脱せない果穂へ、有無を言わさぬ声色で告げる。
何かを言おうとするも浅倉を睨む眼光の強さに口を噤み、言われた通りに一旦下がる。
剛が見たら「もっと愛想良くしろよ」と、呆れるのだろうか。
二度と会えない筈の姿を想うのも一瞬、懐から得物を取り出す。
『BREAK UP』
銃口を掌に押し付け、重低音が鳴り響く。
円錐状の輝きに包まれ、マシンボディが異なる形状へ変化。
左右よりタイヤ型のエネルギー体がプレス、人の姿を完全に捨て去る。
バイクを解体し人型にパーツを組み立てたような、歪な機械人形。
骸骨にも、或いは仮面ライダーにも見える頭部が真紅の輝きを放つ。
魔進チェイサー。
番人にして死神、ロイミュードとしてのチェイスのもう一つの姿。
「ライダー…か?まあ戦えるなら何でもいい」
デッキを用いない変身に加え、外見もミラーモンスターと契約した仮面騎士とどこか違う。
首を傾げるも些細な疑問だと切り捨てる。
早い話、自分と戦える力を持つのなら何だって良い。
これ以上の問答は互いに不要と判断。
先に仕掛けたのは龍騎、疾走し殴り掛かる。
幼少時より常に暴力と共に生きて来た男だ、格闘家のようなフォームで無くとも拳筋は鋭い。
超硬物質が掌を覆いナックルの役目を果たす、生身の人間相手なら一撃で再起不能は確実。
速さと重さを兼ね備えた拳に、魔進チェイサーも迎撃に出る。
龍騎の鉄拳に対し脚を振るい自身の急所には近付けさせない。
強化ブーツが拳と衝突、互いに痛みは無くとも衝撃が襲う。
競り勝ったのは魔進チェイサー、伸ばした腕共々龍騎を押し返す。
「チッ…!」
舌打ちを掻き消し再度迫る蹴り。
肩部装甲をブーツが叩き、ダメージこそ薄いがやはり体勢は崩れる。
元々人間以上の機能を持つロイミュードが、変身により更に能力を引き上げたのだ。
怯ませるくらいは難しくない。
『BREAK』
よろけた隙は僅かな間のみ。
敵が立て直す前に次の次の次までを組み立て、即実行に移さねばチャンスは無駄。
自身の得物、ブレイクガンナーの銃口を押し込み形態変化。
外見に変わりは見られずとも、至近距離での戦闘へ適した状態となる。
武器を持ったまま腕を突き出し、龍騎の胸部装甲へヒット。
最も強度の高い箇所故に破壊は困難だが、内部へ衝撃を届かせられはする。
魔進チェイサー自身のスペックに加え、現在のブレイクガンナー格闘特化形態だ。
グリップ部分を保護するシールドは打撃用スパイク。
増幅された腕力のエネルギーをスパイクへ集中、無手以上の破壊力を引き出す。
呻く龍騎へ追い打ちを掛けるも、一方的に殴られてやりはしない。
逆に拳が振るわれ、魔進チェイサーは左腕の装甲で防ぎつつ自由に動かせる脚で攻撃。
再度よろけさせる算段だが読まれたのか、膝を持ち上げ防御。
しかし次の動きに出る速さは魔進チェイサーが一歩先を行く。
振り下ろされたスパイクがパープルの軌道を描き、装甲から火花が散った。
『GUN』
地面を転がる龍騎に情けは掛けない。
更なるダメージを与え戦闘不能に持ち込むべく、ブレイクガンナーを遠距離形態へ変形。
変身の際に圧縮した装甲を放った銃口から、エネルギー弾を発射。
一点集中射撃で効率的に体力を奪う気だったが、龍騎とて追撃が来ることくらいは予測済み。
膝を付いた時点で既に手は腹部へ伸び、カードを引き抜いていた。
『GUARD VENT』
竜を模した左腕のガントレットは単なる飾りではない。
契約済みのミラーモンスターの力を引き出す召喚機だ。
本来浅倉が変身するライダーとは全く違う形状であるが、使い方はよく知っている。
何せ龍騎の元の変身者とは、それなりの長い付き合いなのだから。
銃口が向けられるのとほぼ同じタイミングで、頭上より装備が飛来。
龍の胴体と脚部がモチーフの盾、ドラグシールドを二枚手に取った。
シルバープレートにエネルギー弾が殺到、命中しては弾ける。
龍騎の全身を覆い隠す程の火花が生まれるも、肝心の龍騎本人は無傷のまま。
「ハッ、そんなもんか?」
警察が扱う防護シールドとは段違いの耐久性だ。
両手に盾を構え、前方に突き出した体勢で突進。
接近を阻止すべくブレイクガンナーの発射速度を引き上げるも、ドラグシールドには傷一つ付かない。
ミラーモンスターの中でも高い能力を持つ、ドラグレッダーの力が付与された装備だ。
魔進チェイサーと言えども容易く壊せる代物ではない。
突進の勢いを乗せた盾の打撃が迫り、これ以上真正面から攻撃を続けるのは悪手と判断。
ならば自身の位置を変えれば良いだけのこと。
ドラグシールドに突き飛ばされる寸前を見極め跳躍、龍騎の頭上を取った。
跳び越えざまにブレイクガンナーの照準を真下に合わせ、無防備な頭部へ銃撃の雨を降らせる。
だが侮るなかれ。
敵もまた今日が初めて争いに身を投じた素人に非ず。
肉体はただの人間であれど、ライダーバトルの視覚を得た死刑囚。
持ち前の凶暴性をミラーモンスターやライダーとの戦いで活かし、戦闘スキルに磨きを掛けて来た男だ。
攻撃を躱された場合も考え、どう動くかも頭の中で決定していた。
「ア゛ァッ!!」
頭上の小蝿を叩き落とすべく、豪快に腕を振り上げる。
エネルギー弾が弾かれ盾は銃を撃った本人、魔進チェイサーへ急接近。
あえて攻撃を受け止め、無様に地面を転がるような趣味は無い。
右頭部に組み込まれた高性能複合モジュールが最適解を弾き出す。
数秒あるかないかの極僅かな猶予でも、問題無く実行に移せるのが魔進チェイサーである。
打撃には打撃だ、ブレイクガンナーのスパイクを盾にぶつけ相殺。
弾かれ合いあらぬ方へと投げ出されるも華麗に着地、素早く龍騎を視界に収める。
『SWORD VENT』
攻撃を防がれ苛立ちこそ感じるも、長々と引き摺るのは無駄。
新たなカードを装填し、またもや頭上から振って来た武器を掴む。
ドラグレッダーの尾を模した青龍刀、ドラグセイバーを片手に疾走。
使い慣れた刺突剣とは違うが、相手を殺せればそれで問題無い。
牙を突き立てるように振り下ろされた刃を、ナックルで弾き返す。
投下します。
タイトルは ハッピーバースデーキャルちゃん!生まれて来てくれてありがとう! です。
取り回しこそブレイクガンナーが上でも、リーチはドラグセイバーが勝る。
四方八方から襲い来る刀身は、暴風雨を思わせる苛烈さ。
龍騎の猛攻は一見癇癪を起こした拙い動きに見えて、その実的確に急所を狙っていた。
時折隙を縫って殴打を繰り出すも、両肩のシールドに阻まれる。
拳に合わせて肩を押し出し、ドラグシールドによるタックルが命中。
防御も回避も間に合わせない速度で、龍騎の剣が襲来。
火花の雨を降らす斬撃は、魔進チェイサーのメタルボディを痛め付ける事が叶わずに終わった。
参加者共通のリュックサックから小さな物体が飛び出し、龍騎の剣を阻んだからだ。
思わぬ妨害も魔進チェイサーには驚くものではない。
自身を守った銀色のミニカー、チェイサーバイラルコアを武器に装填。
新たな武器を取り出せるのは龍騎だけの専売特許ではない。
『TUNE CHASER SPIDER』
超硬化金属を瞬時に加工し右腕に装備、背中にパイプを繋ぎエネルギーを供給。
蜘蛛を模したクローが青龍刀と激突する。
形は違えど切れ味も強度も抜群の武器であり条件は同じ。
ミラーモンスターやロイミュード、仮面ライダーへ効果的なダメージを与えられる威力だ。
横薙ぎのクローを青龍刀が防ぎ、次いで腹部を狙った突きを刀身で防御。
両手持ちに変え力を籠め押し、数歩分の距離を一気に詰めて反対に相手の腹部へ突き刺す。
これを魔進チェイサー、クローの形状を利用し刀身を挟み込む。
固定された剣を力任せに引き抜こうとし、龍騎の眼前で二本のブレード部分へ電気が迸った。
このまま武器に拘るのは危険と判断して後退、その直後に龍騎がいた位置をエネルギーが焼き切る。
『STRIKE VENT』
ドラグセイバーを手放して正解だ。
どうせ武器は他にもあるのだ、召喚機がカードを読み込み別の力を与える。
龍の頭部型ガントレット、ドラグクローは打撃武器としても優秀だが最も良い使い道は別にあった。
すいません。割り込みになってしまいました。
無視して続けてください
ガラス窓を通じ、ミラーワールドから現実世界へと赤き龍が出現。
龍騎の契約モンスター、ドラグレッダーが口内で炎を急生成。
ドラグクローを突き出した相手へ、5000℃の火炎ブレスを浴びせる大技だ。
ミラーモンスターを纏めて焼き払う威力の灼熱地獄を前に、対処へ動かない理由は無い。
『EXECUTION SPIDER』
ブレイクガンナーの銃口を押し込み、エネルギーが充填。
変身や武器の形態変化と同じ工程だが、此度は必殺の技を放つ前段階だ。
先程以上のエネルギーがブレード部分でスパークし、破壊力を最大まで増加。
赤龍の火炎と銀蜘蛛の刃がぶつかり合い、互いへ傷一つ付けずに霧散。
熱の余波が装甲を撫で、残光が仮面を照らすもこの程度では痒いとさえ思わない。
「はははっ!やるじゃねえか、もっと本気で来い!」
『FAINAL VENT』
敵は未だ健在だというのに、龍騎は楽しくて仕方ないとばかりに笑う。
無駄に長々と梃子摺らされるのは不愉快だが、簡単に死ぬのもつまらない。
ならやはりライダーバトルは自分の性に合っている。
高揚する己の闘争心に逆らわず、最大威力のカードを選択。
只の一度もライダーを殺した事の無い技で、自分が代わりにキルスコアを稼いでやろう。
「お前が何故笑うのか、俺には分からん…」
『TUNE CHASER BAT』
『EXECUTION BAT』
命の奪い合いをここまで歓迎し、心からの喜びを浮かべる人間。
警察官でありながら悪行の限りを尽くした仁良光秀とは別ベクトルで、強い悪意の持ち主だ。
脳内データバンクに記録済の犯罪者を検索する間にも、対抗策へ打って出る。
腰を低く落とし独自の構えを取り、意識を標的の排除へ集中。
ドラグレッダーが旋回し浮上すれば、龍騎もまた跳躍。
空中で体勢を変え、右足を突き出した跳び蹴りのポーズへ。
従僕が背後から炎を吐き、龍騎の背へ灼熱が浴びせられる。
血迷ったが故の行動では無い、火炎ブレスの勢いを味方に付けての急降下だ。
対する魔進チェイサーも、バイラルコアがクローとは別の武装を付与。
銀色の翼を広げ、背部ユニットと接続完了。
右腕に装着しエネルギー矢を放つ遠距離武器としても使用可能だが、今回は飛行能力を選択。
飛び上がり全身にエネルギーを纏い、翼で己が身を龍騎目掛け押し出す。
よりにもよって『蝙蝠』とは、安いジョーク染みた光景に仮面の下で龍騎は失笑を漏らす。
加速の勢いを乗せた蹴り同士が真っ向からぶつかり、炎と電撃が装甲越しに肉体を痛め付けた。
「ぐっ…!」
それぞれ後方へ吹き飛ばされ落下、激突は避けるべくどうにか受け身を取る。
バイラルコアのエネルギーで威力を削ぎはしても、完全に打ち勝つ事は出来なかった。
損傷箇所を知らせるデータが即座に送られて来る。
問題無い、戦闘続行には一切支障無し。
「あァ…やっぱり良いもんだな。ライダーの戦いってのは」
のっそりと起き上がり、関口一番に龍騎は喜びの実感を口に出す。
互いを殴り、痛め付け、どちらかが死ぬまで戦い続ける。
イライラを消し去るには一番だ、これだからライダーバトルはやめられない。
嬉しいことに相手はまだ生きている、ならもっと楽しませてもらおうじゃないか。
何せ、元の戦いで手に入らなかった遊び道具が今は手元にあるのだから。
『SURVIVE』
デッキからカードを引き抜いた瞬間、熱風が吹き荒れた。
燃え盛る戦場を背景に、炎が翼を形取った絵柄。
神崎士郎のライダーシステムの詳細を知らないチェイスにも、直感的に分かった。
アレはこれまでとは違う、明らかに一線を画すと。
使用阻止へ動くには一手遅い、既に召喚機へ読み込ませた後。
手甲状から銃のような形状へ変わり、カードを龍が飲み込む。
胸部を覆う装甲はより分厚く、四肢のプレートも頑強に変わる。
フルフェイスの頭部もまた、全機能を上昇。
特徴的な龍の紋章は金色、炎とは別種の光を放つ。
仮面ライダー龍騎・サバイブ。
友の手を汚させない決意の証明を汚す、暴力の化身としてここに君臨。
「ははァ…こりゃ悪くねえな。城戸の奴はいつもこんな気分だったのか?」
龍騎の本来の変身者が決して望まないと分かった上で、獰猛に笑う。
文句があるなら今すぐにでも現れ、力づくで取り返せば良い。
折角の祭りだ、自分と戦う奴は多い方がイライラも薄れるのだから。
「…っ!」
『GUN』
誰に向けての言葉かは知る由もなく、魔進チェイサーに分かるのは敵が急激に強さを増した一点のみ。
ライダーの強化形態をこの目で見るのは今が初めてではない。
仲間達とまだ敵同士だった頃、幾度も戦い時には勝利し、時には大破寸前まで追い詰められた。
残念ながら自分の手元にそういった強化ツールは無い。
第一、魔進チェイサーの強化態とは天使を自称するロイミュード共々決別している。
銃形態に素早くチェンジシし発砲、狙うは腹部のデッキだ。
そこを壊せば強制的に変身解除されるだろうという、狙い自体は間違ってない。
但し、思惑通りに事が進むかは別。
ライダーバトルにおいて、デッキの破壊は死に直結すると言っても過言ではない。
当然龍騎が最も警戒を置くのはデッキを狙った攻撃である。
分厚い装甲とは裏腹の俊敏な動きで回避。
時折エネルギー弾が掠めるも、強化された耐久力には気に留める必要は無い。
無駄な足掻きを鼻で笑い、カードを召喚機に飲み込ませる。
『SWORD VENT』
使用カードは通常形態と同じ、剣の召喚。
とはいえサバイブとなった龍騎の頭上からではなく、召喚機…ドラグバイザーツバイへ直接刃が展開。
銃を思わせる形状の為か、青龍刀とは異なる銃剣型の武器だ。
ドラグセイバーより細身だが切れ味と強度は倍。
気怠い仕草で首を回し、遊び相手を壊しに掛かる。
エネルギー弾が斬り落とし急接近。
動作の一つ一つが通常形態を遥かに上回り、抵抗を一切許さない。
視覚センサーが急稼働、感度を極限まで高め龍騎の僅かな動きすらも捉える。
同タイミングで複合モジュールが取るべき対処法を伝達。
後は魔進チェイサー本人が実行可能か否か。
問題無い、スペックで劣る分は培った戦闘経験と記録済データで補う。
横へ跳び退き、地面を転がりながら距離を取る。
ブレードが空気を切り裂く音を頭部アンテナが察知、目で見るより先に右腕が跳ね上がった。
照準を合わせ、引き金に力を籠めるまでに時間を掛けてはいられない。
回避を行いながらもエネルギー弾を撃ち続けるが、龍騎に焦りはゼロ。
目障りな羽虫を叩き落とすより簡単に切り裂き、地を蹴り剣を振り下ろす。
空中からの斬り下ろしはドラグセイバーで最も高威力の技、龍舞斬。
得物の形状は違えど技の強力さは変わらず、龍の牙が噛み砕く。
回避は間に合わないと判断し、ブレイクガンナーを翳して防御。
ガードパーツもスパイク部分も、ロイミュードの高い技術力を応用し作られただけあって破壊は非常に困難。
刃を無傷で防ぎ、外装は勿論内部機能にも一切の破損は無い。
「ぐっ…!何だ、この力は……」
しかし直撃を防げたからといって、攻撃の勢いそのものは殺せない。
魔進チェイサーを上回る膂力をスパイク越しに受け、平然と構えてはいられない。
隙を晒すのはほんの僅かな間でも、サバイブ形態の龍騎相手には致命的だった。
「ぐぅぅっ!?」
大振りながら素早い斬撃が連続して襲い、血飛沫代わりの火花が発生。
夜闇を照らす花は枯れず、次から次へと咲き乱れる。
対処へ動く前に刃が胴体を走り、怯んだ傍からまた次の刃が襲来。
魔進チェイサーの意思とは無関係に、一方的な攻撃を許してしまう。
一際大振りな斬撃を浴び、耐え切れずに膝を付いた。
だが呑気にダウンもしていられない、動体センサーが急接近する脅威を感知。
喧しく響く損傷個所情報を一旦頭から追いやり、後方へと体を転がす。
少し遅れて地面を靴底が踏み付ける。
足蹴にされるのを回避出来たと喜ぶ余裕はゼロ、休む間も無く再度刃が唸りを上げた。
マズい状況にあると理解しつつも、打開策を手繰り寄せる。
「おにいさん…!どうしよう…このままだと…!」
戦闘の様子は離れた位置にいる果穂にも見えた。
顔を覗かせた先で行われたのは、正に彼女が好きな特撮番組の光景。
二人の男が「変身」して戦う、小さな頃から胸を熱くさせたものが自分の目に飛び込んで来たのだ。
自分を襲った男の方は何故か主人公のような戦士で、助けてくれた男はライバルキャラみたいな見た目だけど。
ともかく、善と悪がぶつかり合う光景はステージ上で行われるショーではない。
正真正銘現実の戦いが、果穂の前で繰り広げられた。
全く胸が躍らなかったと言えば嘘になる。
人の命が掛かった大変な状況とは小学生ながら理解してるけど、それでもヒーローへの憧れは消えないし消したくないから。
助けてくれた男の格好いい姿に興奮し、拳を握って影ながら応援していた。
隠れていろと言われた手前、声援を直接届かせられないのはもどかしい。
キラキラと輝く表情が曇り出したのは、悪人の赤い戦士が姿を変えた直後。
それまでほぼ互角に戦っていたのに、紫のおにいさんは苦戦中。
苦し気な声はこっちまで届き、それが果穂の胸をどうしようもなく締め付ける。
「悪役のパワーアップ展開が起こるなんて…!」
強くなるのはヒーロー側のみの特権ではない、悪の敵怪人だって強化を受け主人公たちを追い詰める。
特撮では珍しくない展開も、現実に起きればこんなにも恐ろしいのか。
見れば見る程赤い戦士は悪役っぽくない見た目なのが、アンバランスな恐怖を引き立てていた。
これが果穂の好きなジャスティスVなら、きっと最後はヒーローが勝つ。
新たなパワーアップアイテムを手に入れる、頼れる仲間達が駆け付けてくれる。
だが、残念なことに今起きているのは作られた番組では無く本物の殺し合い。
勧善懲悪の物語になるとは限らない、悪が笑いヒーローが死んでもなんら不思議はない。
「そんなの…あたしは絶対に嫌ですっ!」
紫のおにいさんとはまだ自己紹介もしていない。
そうだ、お互い名前も知らない会ったばかりの関係なのに、自分を助けてくれた。
傷付いて痛い目に遭っても決して逃げ出したりしない、自分を守る為に。
死んで欲しくなんかない、でも特撮番組みたいな展開は一向に起きない。
助けが来ないなら、この場にいる者が状況を変えるしかないだろう。
「っ!なにか…なにか入ってれば……!」
思い出したように自身のリュックの中を漁る。
何が入っているかは分からないけど、若しかしたら助けられる道具があるかもしれない。
一抹の望みに賭けて両手を必死に動かす。
SA・ホットライン、水と食料、共通の支給品をどかし奥まで手を突っ込み、
指先にぶつかったソレを、藁にも縋る思いで引き摺り上げた。
「これ……」
掴み取った物は果穂にとって見覚えの無いアイテム。
戦闘中の男達が持っている、銃や小箱とは全く違う形状。
勢いよく引っ張り出したからか、一緒にリュックから出た紙切れがチラと見えた。
開いてみるとこの道具の説明書、使い方が懇切丁寧に記されている。
ざっと読み終え、もう一度ソレに視線を落とす。
「これを使えば…」
助けられるかもしれない。
でもその為には、自分も戦わなければならない。
ヒーローに憧れ応援する少女では無く、ヒーローと同じ場に立ち危険に飛び込む必要がある。
本音を言うなら、恐怖が無い訳じゃない。
近くで見たヒーローの戦いは、テレビやショーとは全然違って。
キラキラ眩しいだけじゃない、死ぬかもしれない恐ろしさが確かに存在してて。
気付かない内に、背中を冷たい汗が流れていた。
だけど、ここで何もしなかったら。
きっと自分自身に嘘を吐き、自分を支えてくれた人達を裏切るのだと思う。
ヒーローに憧れて、でもヒーローとは別の形で皆を笑顔にするアイドルになりたい。
夕焼けが綺麗な公園で誓ったように、胸を張ってあの人にまた会えるとは思えなかった。
なりたい自分になれる為に頑張りたい。
ドラマ撮影の時に言ってくれた言葉が、もう一度自分に勇気をくれる。
「っ!!気・合・十・分ですっ!」
俯いた顔を上げると、そこにはもう怯えの色は微塵も無い。
隠れて助けてもらうだけの時間は終わりだ。
今度は自分が助ける番になってみせる。
「そこの真っ赤な悪者さんっ!これ以上おにいさんを傷付けるのは、あたしが許しませんよっ!」
元気いっぱいな声が戦場の注目を集め、男達の意識を向けざるを得ない。
訝し気な顔を作る浅倉には、果穂の行動の意味が分からない。
わざわざ自分から殺されに来て何がしたいのか、思った以上に頭の悪いガキなのか。
困惑はチェイスも同様だ。
隠れていた筈が何故出て来たのか、コンピュータでも正しい答えにはすぐに辿り着けない。
何にしてもあれでは危険へむざむざ近付くのと変わらない、もう一度隠れてるように言いかけ、
「ここから先は…あたしも一緒に!あなたを懲らしめますっ!」
腹部へ装着された機械に、揃って目を見開く。
どちらにも見覚えの無い形状だが、用途が分からない筈も無い。
『SET』
腹部の機械、『デザイアドライバー』が短く告げる。
ここから先はもう後戻り出来ないと。
上等だ、逃げる気なんて最初から無い。
高まる胸の鼓動は、自らが本当に憧れの存在へなるからか。
W.I.N.G.のステージに立った時にも等しい熱さがが溢れ出し、その言葉を叫んだ。
「変身っ!」
『BEAT』
装着されたバックルをタッチ。
鍵盤状スイッチが変身者を感知し、エントリーを許可。
黒一色のスーツが小学生ながらスタイル抜群の体を覆い、上半身へ装甲が展開。
色彩豊かなアーマーの各部には、スピーカーやイコライザーを装備。
夜闇など知った事かとばかりにピンク色の輝きを発する。
仮面ライダーナーゴ・ビートフォーム。
デザイアグランプリの参加者である少女の、仮面ライダーとしての姿。
世界を創り変えるゲームとは無関係の呪い合いの場においては、果穂の戦う為の力として変身を果たした。
「わ…わぁ〜〜〜〜っ!!!本当に変身しちゃいましたっ!?あたしが、本物のヒーローに……!」
『READY FIGHT』
「は、はいっ!あっ、そうですね、今は喜んでる場合じゃないですっ!」
戦闘開始を告げる、デザイアグランプリのライダー共通の電子音声。
撮影などではなく本当に『変身』し浮き立ち始めた果穂を戒めるかの如くタイミング。
偶然とはいえ気を引き締めさせる効果はあったようで、真剣さを取り戻す。
仮面ライダーになれて、それで万事解決とはいかない。
本番はここからだ、しっかりしなくてはと己に言い聞かせる。
変身と同時に武器が出現するシステムなのか、右手には一振りの得物があった。
と言っても初見でそれをハッキリ武器と言っていいものか。
マゼンタ色とスカイブルーのツートンカラーが特徴の、エレキギターではないか。
(ううん、分かります。何だか不思議だけど、これならおにいさんを助けられるって分かっちゃいましたっ!)
しかし果穂に困惑や疑問は無い。
変身者へ自動で戦い方を知らせるシステムでもあるのか、ギターの使い道が分かる。
より正確に言うと、ビートフォームでの戦い方が理解出来た。
左手に持ち替え右手を弦に添える。
頭の中に浮かぶ楽譜は、自分も大好きなあの歌が力に変わった。
奏でるは全力系アイドルユニットの楽曲。
放課後クライマックスガールズの名を表すように、アイドル道を全力で駆け抜けるスピード感。
リコーダーなど音楽の授業で触れる楽器以外でこうも演奏できるなんて、果穂自身にも信じられないくらいだ。
当然これはナーゴに搭載された機能の一つ。
ビートフォームのナーゴには特殊レッスンプログラムが組み込まれ、素人だろうとあらゆる楽器を瞬時にマスター可能。
更には音を視覚化し、どんな楽曲でも演奏を可能にするのである。
「…なんの真似だ?」
変身するや否や戦うでもなく、いきなりギターを弾き始める。
理解不能の行動に出たナーゴへ、解消されつつあった龍騎のストレスが再上昇。
戦いの相手が増えたと期待したというのに、これではまるでガキのお遊戯会じゃあないか。
脳が掻きむしりたくなるくらいに苛立ちが募る、耳を劈くギターの音色が鬱陶しくて仕方ない。
戦う気が無いのなら殺してさっさと黙らせるか、でなければこのイライラは消えそうも無い。
抑える気も無い衝動に身を全て委ね、耳障りな雑音を永遠に消し去らんと駆け出す。
『TUNE CHASER COBRA』
尤も、守るべき人間を襲う蛮行を魔進チェイサーは見逃さない。
三つ目のバイラルコアを装填し、右腕に武装を展開。
シルバーメタリックの毒蛇が牙を打ち鳴らし、龍騎へと叩きつけられた。
舌打ち交じりに片腕で防御、直撃せずともナーゴへの攻撃は阻止成功。
「うおらあああっ!」
攻撃を受けたことで龍騎の標的が再度魔進チェイサーへ戻る。
ドラグバイザーツバイを振り回し、鋼鉄のコブラを打ち返す。
弾いた傍から別方向より鞭が襲来、ブレードと絶えず打ち合い金属音が発生。
しかし戦いの音はナーゴの演奏に掻き消される。
『EXECUTION COBRA』
マズルを押し込み、高威力の技を発動。
エネルギーを付与されたコブラは魔進チェイサーの手を離れ、自立行動に出た。
操られていた時以上の素早さを駆使し、縦横無尽に暴れ回る。
より広範囲を探知可能なセンサーと、強化された身体機能の龍騎サバイブでなければ滅多打ちにされたのは想像に難くない。
そこかしこより襲う牙を防ぎ、尾を弾く。
突進の勢いを一際高めたコブラの毒牙と、ブレードがキリキリと擦れ合うのは長続きしない。
一刀両断で斬り伏せ爆発、その音もまた演奏の波へ飲み込まれる。
『BREAK』
「チッ…!?」
演奏へ苛立つ龍騎の死角より迫る鉄拳。
身を捻り、ブレイクガンナーのスパイクが顎を掠める。
そっちから近付いたのなら好都合、刃を振るうも紙一重で躱し反対に拳が放たれた。
腕部のプレートで防ぎ蹴り付ければ、跳躍し頭上を跳び越え回避。
着地地点へ剣を突き出すが流れる動きで躱され、銃口が腹部を狙う。
デッキ破壊だけは何としても避けねば。
苛立ちが増幅中の頭でもそれは忘れず強引に全身を捩り、どうにか腹部への着弾は凌ぐ。
だが無傷とはいかず、複数箇所へ被弾を許す結果となった。
サバイブの装甲がダメージを軽減するも、内の数発は頭部へ命中。
胴体や四肢よりかは幾分脆い部分故に、短く呻き怯むのは当たり前と言えるだろう。
サバイブ形態となった龍騎が初めて見せた明確な隙。
あえて見逃す愚行に出る用なら、魔進チェイサーはとっくに殺され脱落者に名を連ねている。
スパイクがバイザー越しに頬を殴打、殴り飛ばされ地面に肩を押しつけた。
「アアアアアッ!!」
立ち上がるや怒りを隠そうともせずに剣を振り回す。
受けたダメージもそうだが、何よりギターの演奏が耳障りだ。
さっきまでの上機嫌が嘘のように苛立ち、攻撃の苛烈さへ変換するも当たらなければ無意味。
反対に魔進チェイサーは無駄を削ぎ落とし、それでいて勢いに乗ったスピーディーな動きだ。
攻撃を華麗に受け流し、的確に龍騎の体力を削る。
龍騎が追い詰め魔進チェイサーが危機に陥る。
つい数分前までの戦況から大きく変化した理由は、新たに参戦を果たしたライダー。
ビートフォームのナーゴの特殊な機能が影響を与えていた。
単純なスペックだけなら、ナーゴは龍騎や魔進チェイサーに大きく劣る。
だがそれを補うように、ビートフォームのナーゴは音に様々な効果を乗せて影響を与える能力を持つ。
専用武器、ビートアックスが掻き鳴らす演奏は魔進チェイサーを鼓舞し、動きのキレを上昇。
反対に龍騎の集中力を身だし、動作一つ一つから精細さを奪った。
音の可能性を最大限に活用するこのフォームは、アイドルである果穂にある意味打ってつけかもしれない。
「イライラさせやがる…!」
『SHOOT VENT』
蹴りを受け距離を引き離された龍騎がカードを装填。
ミラーワールドから再び従僕たる龍、ドラグランザーを召呼び出す。
召喚機を銃のように標的へ向けレーザーを発射。
このカードの真価は光線一本のみじゃあない、龍騎の攻撃に合わせドラグランザーも火炎ブレスを吐き出すのだ。
サバイブ形態になった影響はミラーモンスターも受け、炎の威力もドラグレッダー時の倍。
『TUNE CHASER SPIDER』
『TUNE CHASER COBRA』
『TUNE CHASER BAT』
高火力の技は魔進チェイサーにもある。
バイラルコアを三つ連続で装填、全ての武装を合体。
蜘蛛、コブラ、蝙蝠。
三体のエネルギー体が雄叫びを上げ炎へと喰らい付く。
どれか一つでも欠ければ押し負けただろうが、炎と同時に霧散する光景がそうならなかった証明。
火達磨と化す末路は避けられたと、安心するにはまだ早い。
『FAINAL VENT』
龍騎の持つ手札はまだ残っていた。
召喚機の無機質な電子音声が告げる、敵対者達への死刑宣告。
大地を震わす咆哮と共に、ドラグランザーは己の巨躯を大きく変形。
胴体部は運転席に、頭部と尾を激しく揺らすバイクに姿を変えてみせた。
「ハァッ!」
飛び乗り、暴れ馬を乗りこなす龍騎。
ミラーモンスター達を薙ぎ払う光景は散々見て来たが、まさか自分が騎乗する事になるとは。
そんな感慨深さも今は隅に放り投げ、主人を乗せた龍を操る。
「そのガキ共々、終わらせてやるよ…!」
興奮する馬のようにバイクが暴れ狂い、ナーゴと魔進チェイサーへ火球をばら撒く。
自身へ迫る脅威にナーゴが気付くも手遅れだ。
丸焼きにされた挙句、ドラグランザーが轢き潰すというミラーモンスターどもと同じ末路。
今更魔進チェイサーが何をしようと遅い、自分自身を守る事すら難しいだろう。
纏めて殺してイライラも多少は治まり、後には悪だけが残る。
しかし、しかしだ。
たとえ仮面ライダーに変身出来なくとも、そんな終わりを覆すからこそチェイスもまたヒーローなのである。
「――――!?」
驚愕に目を見開くも、声が出せない。
いや、叫んではいるのだが遅過ぎる。
自分の体とは思えないくらいに自由が効かず、瞳に映る世界もまた異常としか言えなかった。
疾走する巨龍、雑音を聞かせたガキ、風に吹かれる地面の小石。
何もかもが遅い空間の中を、機械仕掛けの戦士だけが変わらぬ速さで駆ける。
炎に囚われる前にナーゴを抱きかかえ救出、余りにもアッサリと危機は遠ざけられた。
重加速、俗称はどんより。
ロイミュードのボディに搭載された光式駆動機関、コア・ドライビアの最大出力で引き起こされる現象。
相対速度の急激な低下により、範囲内の物理現象が全て鈍重化。
この世界の中で影響を受けないのはコア・ドライビアを持つ者、つまり重加速を発生させた魔進チェイサーただ一人。
龍騎が手札を隠していたように、魔進チェイサーもまたここぞと言う場面の時まで温存していたのだ。
「借りるぞ、進ノ介」
『EXACTLY!』
リュックから飛び出し魔進チェイサーの手に収まる物体。
トレーラーの外見をしているが立派な武器だ、運転席は持ち手に、トラック部分が砲身と化す。
チェイスが「本物の」仮面ライダーとして認める、仲間の武器は何の因果か彼の手を離れている。
深く考えるのは後にして、決着を付ける為に使わせてもらう。
嘗ての自分を打ち破った武器が味方になるというのは、人間ならば複雑な気持ちになるのだろうか。
『フルフルバイラル大砲!』
三体分のバイラルコアを車体内部に格納し、エネルギーゲージがフルに充填完了。
トリガーを引き、聞き覚えのある男性の声で電子音声が鳴る。
威勢の良い声に負けじと発射される、巨大な光弾。
「――――――アアアアアアアアアッ!!!」
騎士と、騎士が従える赤龍を光の柱が飲み込む。
絶叫すらも捻じ伏せられ、レンズ越しの瞳を眩しさが隠す。
やがて輝きが収まった時には、騎士も龍も見当たらない。
塵一つ残さず消え去った、という訳ではなかった。
「逃げたか…」
光弾が命中する直前、龍騎は本来の動きを取り戻した。
魔進チェイサーの意思とは無関係に重加速が解除されたのだ。
戦闘の際にコア・ドライビアへ不調が生じたのではない、もっと別の所から細工されている。
羂索が言っていた能力の制限、その対象に自分も選ばれたということか。
当然と言えば当然だろう。
重加速を防げるのはコア・ドライビアを持つ者のみ、好き放題使えては殺し合いが成り立たない。
意図せず重加速から抜け出し、騎士は龍を駆り鏡の中へと消え去った。
自分の重加速のように、あれが龍騎の持つ特製か。
或いは、黒い小箱を使うライダー全員に備わった機能か。
いずれにしても鏡の向こうから龍騎が戻って来る気配は無い。
危険人物は野放し、しかし守るべき少女は無事。
一先ず戦闘はこれで終わりだ。
振り返り、ペタンと座り込むナーゴへ近付く。
彼女もまた重加速が起きてから、何が何だか分からず呆けているのだろう。
魔進チェイサーの変身を解き、無事を尋ねれば戸惑ったように頷いた。
負傷は無し、となればまずは一言。
「深夜に大声を出すのは、人間のルールに違反してるんじゃないのか」
真顔で、妙なタイミングで正論を言われ、さしもの果穂も返答に詰まった。
○
「じゃ、じゃあ!チェイスさん達でその蛮野さんっていう悪い人をやっつけに行ったんですね!」
瞳の中に星を宿し、身を乗り出し聞く果穂へ無言で肯首。
興奮の余り頬を紅潮させ歓声を上げる少女と、真顔でその様子をじっと見つめる男。
何とも奇妙な光景が民家の一室にあった。
浅倉との戦闘後、チェイスに連れられる形で適当な民家に移動。
諸々の自己紹介をするにしても、屋外で突っ立ったままよりはどこかに身を隠した方が良い。
加えて、負傷こそ無いが戦闘行為が初めての果穂は精神的な負担が少なからずある筈。
休息も兼ねて腰を落ち着けるべきと判断し、今に至る。
「凄いですっ!チェイスさん達仮面ライダーの皆さんのお話、すっごくカッコよくてあたしドキドキしちゃってますっ!」
「そうか?」
「そうですよっ!」
どんな宝石よりも眩しい瞳の輝きは、チェイスから説明された内容が理由。
彼が元いた場所での戦い。
即ち、仮面ライダードライブとロイミュードの因縁に始まる物語。
全てを事細かにこそ伝えてはおらず、またその過程で「誰が喪われたか」も伏せ大まかに話した。
特撮ヒーローが大好きな果穂からすれば、チェイスの話で心を動かされるなという方が酷。
市民を守る刑事が仮面の戦士というもう一つの顔を持ち、日夜戦い続けている。
随分凝った設定の妄想と、何も知らない者なら苦笑いで済ますだろう。
が、既に果穂は魔進チェイサーとして戦うチェイスの姿をハッキリ見たばかり。
変身ヒーローが現実に存在する、その事実が憧れの炎を普段以上に強く燃え上がらせていた。
(やはり、何も知らないのか)
尤も、チェイスが事情を伝えた理由は自分達の活躍を知って欲しかったからなどではない。
互いの身分を明かしすぐに分かった事だが、果穂は何も知らなさ過ぎた。
半年前に起きた世界規模の大事件、グローバルフリーズ。
警察直々に公表された仮面ライダードライブの存在。
たとえ子供だろうと、日本に住まう者なら知っていなければ不自然なそれらを果穂は全く聞き覚えが無いと言う。
故に一から説明を行い、気付けば自分達の戦いの経緯についても話す事になったのである。
興奮しこちらの話に聞き入る果穂の様子からも、嘘を吐いたとは思えない。
そもそも知らないと誤魔化すだけの理由も無いだろう。
現状への疑問は膨らみを増し、留まる所を知らない。
何故、グローバルフリーズを知らないのか。
何故、羂索は殺し合いなどというものを開いたのか。
何故、消滅したはずの自分が復活しているのか。
蛮野天十郎ことゴルドドライブ諸共自爆し、チェイスと言う名のロイミュードは死んだ筈。
自分のコアが完全に砕け散る感覚は、ハッキリと思い出せる。
しかし現実には五体満足で生存している上に、脳内の記憶も確か。
コアを破壊されたロイミュードの完全復活が可能な程の技術力を、羂索は持っているのか。
「あっ!あたし、まだちゃんとお礼言えてなかったです…チェイスさん、助けてくれて本当にありがとうございましたっ!」
思考の沼へ沈みかけた意識を、礼の言葉が引き上げる。
もし先程の場にチェイスが現れなければ、決意虚しく殺されていたに違いない。
命の恩人への感謝が遅れてしまい反省、きちんと言葉にして伝える。
「礼を言うべきは俺の方だ。治療の為の道具を提供し、感謝している」
抑揚の無い声で告げるチェイスの顔は体には、絆創膏や湿布がチラホラ。
ロイミュードの体に人間と同じ手当ては無意味。
だがチェイスに施されたのは驚くべき事に、ロボット専用の医療器具とのこと。
同封の説明書にもそのように書かれているのを、揃って確認済みだ。
果穂にしてみれば自分が持っていても意味はなく、何よりを助けてくれた男の負傷を治せるのなら譲渡しない理由は無かった。
打算も何も無い、純粋な善意から生まれる行動。
それを臆面もなく実行に移せる果穂へ、一つ聞いておかねばならない事がある。
「お前は何故、逃げずに戦うことを選んだ?」
「えっ?」
「援護に出た事は感謝しているが、無事に済むとも限らなかった。なのに何故、お前は仮面ライダーになった?」
ナーゴという、龍を使役するライダー同様チェイスの知らない戦士。
演奏による支援を行ったお陰で、敵を退けることが出来た。
コア・ドライビアを組み込まないライダーシステムへの疑問は、無い訳ではないが然程大きいとも言えない。
沢芽市で起きたメガヘクスとの戦いの際、果実を被る仮面ライダー達と共闘したのは覚えている。
アーマードライダーなる戦士のように、根本的なシステムが異なるライダーが他にいても不思議は無い。
気になるのは、何故果穂が自らの意思でそういった戦士に変身をしたのか。
アイドルという職業に就いているとはいえ、元々争いとは一切縁の無い小学生。
特状課のメンバーのように、市民を守る警察官という訳でもない。
むしろその逆、守られる側の人間だろうに。
責めているのではない、純粋な疑問としてストレートにぶつける。
「……」
問われた果穂は暫しの沈黙を挟み、口を開く。
「あたし、ヒーローって本当に凄いと思うんです。どんな時も絶対に諦めなくて、沢山傷付いても最後は必ず立ち上がって…だからカッコいいなって憧れてます」
「……」
「でもそれは、ヒーローを独りぼっちにさせない人達がいてくれるからなんだと思います。どんなに強くても、一人じゃ疲れて挫けちゃうから……。
一緒に戦ってくれる人、負けないでって応援してくれる人、傍で支えてあげられる人…。そんな人がヒーローにも必要な筈だから」
アイドルとしての活動も、日常の些細な困り事も。
自分一人では辿り着けない、解決できなかった場面を乗り越えられたのも。
両親が、ユニットの皆が、プロデューサーが力を貸してくれたから。
隣にいる誰かの存在がヒーローであり、何よりアイドルとしての自分に勇気をくれる。
それを知っているからこそ、たった一人に戦いを押し付けたくなかった。
「それにっ!チェイスさんを置いて自分だけ逃げるなんて、ヒーローとしてあるまじき姿ですからっ!」
胸を張って言う彼女へ、チェイスは短く「そうか」と応じる。
言葉は短くとも、自分の中で答えは得られた。
嘗て、大破寸前で敵の自分を助けた詩島霧子のように。
もう一度仮面ライダーになる事を決意させた彼女と同じ、強い人間。
別れたばかりだというのに、仲間達と、愛した女の姿がいやに懐かしく感じた。
【小宮果穂@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
状態:健康
服装:私服(いつもの)
装備:デザイアバックル&コアID(ナーゴ)&ビートレイズバックル@仮面ライダーギーツ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:ヒーローとして皆を助けますっ!
01:新米ヒーローですが、チェイスさんと一緒に戦いますっ!
02:プロデューサーさん達もいるんでしょうか…?
03:仮面ライダー…本当にヒーローがいたなんて凄いです…!
参戦時期:不明。少なくともW.I.N.G.の優勝経験あり。
備考
【チェイス@仮面ライダードライブ】
状態:ダメージ(中・メカ救急箱の効果で回復中)
服装:紫のライダースジャケット(いつもの)
装備:ブレイクガンナー&チェイサーバイラルコア@仮面ライダードライブ、トレーラー砲@仮面ライダードライブ
令呪:残り三画
道具:メカ救急箱(使用回数4/5)@ドラえもん、ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:人を守り、殺し合いを止める
01:果穂と行動し彼女を守る。
02:剛や霧子も参加しているのか気掛かり
参戦時期:死亡後。
備考
※制限により重加速は短時間で強制的に解除。連続使用は不可。
◆◆◆
ミラーワールドから抜け出すと、自身の体から粒子が待っているのに気付いた。
現実世界で時間切れは関係無いだろうに。
顔を顰め理由に察しが付いた、強力なカードの代償というやつか。
「イライラさせやがる…」
変身を解き生身に戻ると、普段暴れているよりも疲労が多く感じられた。
強いが代わりにデメリットもあるらしい。
なれどこれくらいの疲れなら無視できる、仮に今すぐ襲われても戦闘は十分可能。
むしろストレスを晴らす為にも、まだまだ戦いたい程だ。
「…ん?」
ふと視線を感じれば、ガラスに映った龍が自分を見つめている。
お世辞にも友好的とは言い難い、不満や怒りの籠った瞳だ。
空腹を訴えている、のではない。
元の主人から引き離され、自分にこき使われるのが大層気に食わないのか。
飼い主思いのペットだと笑い、引き抜いたカードを見せ付ける。
契約の証、アドベントカードは自分の元にあるのだ。
憎たらし気に唸り声をあげる龍を一瞥し、獲物を求めて歩き出す。
場所が変わろうと、浅倉威のやる事は変わらない。
戦いだけが、彼にとっての全てなのだから。
【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
状態:疲労(中)、ダメージ(中)、イライラ
服装:蛇柄のジャケット(いつもの)
装備:龍騎のカードデッキ&サバイブ『烈火』@仮面ライダー龍騎
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いに乗る
01:誰でもいいから探して戦う
02:北岡がいれば優先して殺す
参戦時期:佐野殺害以降〜死亡前。
備考
【デザイアバックル&コアID(ナーゴ)@仮面ライダーギーツ】
デザイアグランプリの参加資格であり、二つを組み合わせてエントリーフォームに変身可能。
【ビートレイズバックル@仮面ライダーギーツ】
大型バックルの一つ。デザイアバックルに装填し、各ライダーをビートフォームに変身させる。
劇中では主に鞍馬祢音が所持。
変身時にはギター型の拡張武装、ビートアックスが召喚される。
【メカ救急箱@ドラえもん】
大長編「のび太と鉄人兵団」に登場した22世紀のひみつ道具。
薬剤や医療器具が入っており、ロボットの破損箇所に使用するとその部分が修復されていく。
今ロワでは5回分使用可能。
【ブレイクガンナー@仮面ライダードライブ】
チェイスが魔進チェイサーに変身する為の拳銃型ガジェット。
武器としても使用可能で、打撃武器と銃の二通りの使い方がある。
バイラルコアの装填で武装を展開する他、シフトカーを装填し効果を付与する事も可能。
【チェイサーバイラルコア@仮面ライダードライブ】
ハートとブレンがチェイスに贈った魔進チェイサー専用のバイラルコア。
ブレイクガンナーに装填し、各種強化武装が使用可能になる。
スパイダー、コブラ、バットの三つセットで上記のブレイクガンナーと共に支給。
【トレーラー砲@仮面ライダードライブ】
仮面ライダードライブが使用するトレーラー型の大砲。
主にタイプフォーミュラ、タイプトライドロンで使用。
シフトカーやバイラルコアを収納し、高威力の技として発射する。
【龍騎のカードデッキ@仮面ライダー龍騎】
仮面ライダー龍騎に変身する為のカードデッキ。
赤龍型モンスター、ドラグレッダーと契約し各種カードが使用可能。
【サバイブ『烈火』@仮面ライダー龍騎】
城戸真司が神崎士郎から与えられたカード。
召喚機、ドラグバイザーツバイに読み込ませ、龍騎の強化形態である龍騎サバイブに変身する。
戦闘能力が大幅に向上する反面、エネルギーの消費が激しい為長時間変身を維持するのは不可能。
投下終了です
先ほどは大変失礼しました。
では、改めて投下します。
タイトルは ハッピーバースデーキャルちゃん!生まれて来てくれてありがとう! です。
「じゃあこんなクソゲーに呼びつけんなあんの脳味噌むき出し垂れ乳女ぁあああーーーっ!
グリム……ッ!バーストォオオオオオオオオオーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!」
勢い任せに令呪を使うことこそしなかったが、支給されたハンマーに似た形の杖、ブラスティングスタッフを振り回し今出せる最高の火力でもって周囲のNPCモンスターを焼き払った。
彼女の名前はキャル。
アストライア大陸がユースティアナ王朝アストルム王国で暮らす獣人の少女で、魔法使いで、食道楽ギルド『美食殿』の一員にして、誕生日は9月2日。
そう、9月2日。正に今日。
だからなのか、彼女の支給品はブラスティングスタッフと共にケーキの箱がメッセージカード付で入っていた。
「はーっ!はーっ!
嫌がらせにしたって質が悪いわ!
アンタみたいな額にでっかい縫い目のある奴に恨みを買った覚えもクルーゼといかいうのにもカヤバって名前のトーゴク人の喧嘩買った覚えもないわよ!」
一通り喚き散らすと、大きくため息をつき、足元に置きっぱなしのリュックを拾い、とりあえず近くの商業ビルの屋上に上がる。
「これで屋根を伝って逃げれるわね」
そう言ってキャルは渡された荷物の確認をする。
ブラスティングスタッフの攻撃をヒットさせた相手を大きく吹き飛ばす効果は、とりあえず後回し。
「ケーキも、とりあえず後でいいわね。
後はホットラインと、なにこれ?」
最後の支給品は仮面ライダーガッチャードも使用するガジェット、ケミーライザーだった。
その能力を最大限発揮するためにケミーカードも付属している。
「錬金術で作った魔物を封印してる?
こんなペラペラのカードにどうやって……」
『スチーム!』
『スケボーズ!』
『アッパレ!アッパレ!』
「喋ったし動いた!
あんたら本当に生きてるのね。
あたしの知ってる錬金術とはだいぶ違うみたいだけど……あれ?なんかこのカードだけハズレみたいに柄がないわね」
支給されたカードは4枚なのだが、スチームライナー、スケボーズ、アッパレブシドーときて最後の一枚は名前も絵もないカードなのだ。
どうゆうことだ?と首をひねっていると後回しに、と地面に置いたケーキの箱ががたがた!と妙な動きと共に内側から何かが膨らんだように変形する。
(え……ちょっと待って。嘘でしょ?
まさか、なんか変な物入ってるとかないわよね?
そのまま食べてたら食べた奴の腹の中でああなってたとかないわよね?)
まずブラスティングスタッフの先で少しつついてみる。
相変わらず箱はもぞもぞと動き続けており、止まる気配はない。
意を決して箱を開けるとそこには……
「ホパ?」
両手で抱えられるぐらいのサイズのバッタが頭からイチゴのホールケーキに顔を突っ込んでいた。
「ぎゃぁああああああああっ!!!気持ち悪っ!」
「ホッパァアアアアアアア!?」
「いやびっくりしたのこっちだわ!
別にあいつらから貰った訳でもないし欠片も嬉しくないけど何勝手に他人のケーキ食べて勝手にびっくりしてんのよ!?」
「ホパホパホー!」
「何言ってんのか分かんないけどクリームでべたべたの身体で引っ付いてこようとすんな!
大人しくカードに入ってろぉ!」
<ケミーキャプチャー!>
「ホパ!?く、クロスホッパー!」
ガジェットに吸い込まれる直前で自己再錬成でデカいバッタ、ホッパー1はクロスホッパーに変身したが、抵抗空しくカードに吸い込まれた。
「はぁ……はぁ……。
まだロクに他の連中に会ってないのにドッと疲れたわ……」
ケミーカードを懐にしまい、食いかけ、というかよく観たらほぼ全部食われてしまったケーキの残骸を流石手につける気になれず箱ごと自販機横のゴミ箱(どうやらこの屋上は休憩所兼喫煙所代わりにされていたらしい)に捨てると、キャルはリュックを背負い直し
「50時間とか言ってたけど、24時間以内に終わらせてやるわ。
どーせサプライズとかどうとか言ってエッグイ魔物料理用意してやるだろうアイツらが、主役がいないって嘆いてるでしょうからね」
不敵に笑ってこのゲームの打倒を宣言した。
【キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVE】
状態:健康
服装:アンブローズ魔法学園の制服(女子生徒用)
装備:ブラスティングスタッフ@オーバーロード
令呪:残り三画
道具:ケミーライザー@仮面ライダーガッチャード
ライドケミーカード(クロスホッパー、スチームライナー、スケボーズ、アッパレブシドー)@仮面ライダーガッチャード
ホットライン
思考
基本:このゲームをぶっ潰すわよ!
01:誕生日ケーキとか嫌がらせでしょ。
あいつらからだったら、まあ悪くなかったでしょうけど
02:こいつら(ケミー)マジで生きてるのね
03:
参戦時期:少なくともウィザーディング・アオハル・デイズ〜魔法学園と奇跡の鐘〜は経験済み
備考
※令呪を使用することでプリンセスフォームやオーバーロードの力を99.9秒間だけ使う事が出来ます。
【支給品解説】
・ブラスティングスタッフ@オーバーロード
…キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。
アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターが所持していたのと同じ物。
攻撃力は皆無が吹き飛ばし効果が高められており、使用者曰く「魔法詠唱者に必須の距離が稼げる」
剣や盾に当たった場合は効果が無いが、相手の体と見なされる場所に当たられば相手と大きく距離を話すことができる。
・誕生日ケーキ@現実
…キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。
9月2日がキャルの誕生日だからか支給された。
なお、勝手にケミーカードから出て来たホッパー1にがっつり食べられてしまった。
・ケミーライザー@仮面ライダーガッチャード
…キャル@プリンセスコネクト!Re:DIVEに支給。
ケミーカード(ホッパー1、スチームライナー、スケボーズ、アッパレブシドー)とセットで支給されている。
ケミー回収任務に従事する錬金アカデミーの生徒に支給されたガジェット。
通信、ケミーの探知、ブランクカードへの封印、セットしたケミーの力の限定解放、ケミーをカードから解放しての使役など支給品のガジェットとは思えない程高性能で多機能。
投下終了です
投下します。
私に殺されることは大災に遭ったのと同じだと思え
鬼舞辻無惨
「つまり……私達は違う世界の集まりという説が濃厚かな」
「そうですね。すくなくともコーディネイターにナチュラルという固有名詞は確実に僕たちの世界と違うと断定できます」
「マユ……怖い!」
自分とは異なる世界があることに怯える少女。
少女の名はマユ・アスカ。
中立国を表明するオーブに住んでいたが、戦争の戦火に巻き込まれ、避難中に命を落としてしまう。
幸い、マユは死の直前にこのゲームに巻き込まれたため、自身の運命を今は知らない。
「大丈夫だよ、マユちゃん」
(このグループで大人は私だけ……私がしっかりしないと!)
振るえるマユを抱きしめながら心を落ち着かせる女性。
女性の名は清棲あかり。
かなでの森の博物館で働く研究者。
担当は鳥類・ほ乳類。
本来、快活な性格の彼女だが、さすがにこの事態に困惑は隠しきれない。
しかし、グループの中で成人しているのは、自身のみ。
故に、マユを落ち着かせながら、奮い立たせている。
「そんな相手に私達がどう立ち向かえばいいの……」
「うん。亀井さんの気持ちすごくわかる」
(はぁ……、このグループは駄目そう。できるなら、もっと頼りになる参加者と共にいたい。…てか、この亀井という女。絶対整形してるでしょ)
暗い顔をする少女。少女の名は亀井美嘉。
ボランティア活動に勤しんでいる高校一年生。
後に輝きたい女、東ゆうに東西南北の”北”として共にアイドルを行う。
もっとも、アイドルを組む前にこのゲームに呼ばれたので、彼女も自身がアイドルグループの一員となることはまだ知らない。
美嘉に同調する少女。少女の名は櫛田桔梗。
誰に対しても気配りができる少女。……表向きは。
「みんな、不安になるのはわかる。はっきりいってこの状況は最悪だ」
(流石にキヨスさんも、困惑を隠しきれてないか……なら俺が!)
不安が不安を伝染する。
故に加治木は皆を励まそうとする。
「だけど、宝太郎は絶対にあきらめない。だから、俺たちもあき■■■■■■■」
加治木の言葉は言い終わらなかった。
なぜなら―――
上半身が食いかじられたのだから
【加治木涼@仮面ライダーガッチャ―ド 死亡】
女の子がいた――――
おかっぱ頭の女の子。
一見、ただの女の子にしか見えない。
だけど、その女の子は死を告げる死神だった。
そして、上半身を失った加治木の身体はガクリと倒れこんだ。
「いやあああああ!!!???」
「きゃあああああ!!!???」
「ッ!?」
(やばい……逃げないと!」
空間に響く美嘉とマユの声。
無理もない。
このようなショッキングな光景を目にすれば。
そして櫛田は、いち早くこの状況がまずいと理解した。
「ふむ……どいつもこいつも霊的濃度が低い餌ばかりか」
ため息をつく。
本来ならば歯牙にもかけない。
「まぁ、よい。わしの糧となるがよい」
グランドフィッシャー
堕ちた人間の魂魄……悪霊。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「男は好みではないが、贅沢はいってられぬのでな」
「みんな!バラバラにこの場から逃げるよ!」
「……ッ!みんな!バラバラにこの場から逃げるんだ!」
キヨスと悟の言葉に各自、逃げる。
しかし、号令をかけた悟自身は逃げなかった。
いや、”逃げれなかった”が正しい
右足にグランドフィッシャーの爪が突き刺さっていたため。
「……犬飼さん」
おそらく、ボクはここで死ぬ。
だから伝えないと。
狼たちに拒絶され、傷ついているであろうキミに。
幸いにも僕の支給品に、言葉を残せるアイテムが支給されていた。
とある少女が黒の剣士に残したアイテム。
メッセージ録音クリスタルが。
「犬飼さん……大丈夫だよ。犬飼さんなら絶対にあの狼たちと友達になれるよ」
「だから……絶対にあきらめちゃだめだよ」
――はは
――違う。違うよ。
――僕が本当に犬飼さんに伝えたいのは
「……犬飼さん、僕は犬飼さんのことが好■」
【兎山悟 @わんだふるぷりきゅあ! 死亡】
「あ……ああ……」
一人、取り残された美嘉。
腰が抜けて、逃げるのが遅れたため。
「やはり、喰らうのなら女だな……」
「とても……うまそうだ」
美嘉に迫る醜悪な白い仮面。
死 死 死 死
美嘉の脳裏に埋め尽くされる無数の死
かろうじて言葉を一言絞り出すことが出来た。
「東ちゃんのアイドル姿……見たかったな」
ファン一号の願いはここでは叶うことはなかった
【亀井美嘉 @トラペジウム 死亡】
☆彡 ☆彡 ☆彡
加治木・悟・美嘉を食い終えたグランドフィシャーは、自身の身体を見つめる。
「しかし、わしの姿がこのような餌に見えるのはちと難儀よの」
本来、グランドフィッシャーのやり口は、疑似餌の奥に居る身体を視ることができる人間のみを狙っていた。霊的濃度が高い人間を喰らうことで力を増すことができるため。
所謂、餌の選定。
それが、このゲームでは、霊圧に関係なく、自身の姿が見られることを理解した。
「ふぅ……・まっ問題あるまい」
視えようが視えまいが、今のような餌なら問題ない。
死神共のように本来、わしが視える相手でも生き残る自信はある。
伊達に死神の追跡から54年逃げ切っている老獪。
自信満々。
「ひひひひひひひひひひひひ」
【グランドフィッシャー@BLEACH 】
状態:正常
服装:虚としての姿 現在、疑似餌はおかっぱの女の子
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ランダムアイテム×0~5(悟・美嘉)ホットライン
思考
基本:このゲームの参加者を喰らい、権利を手にし、一護に復讐する
01:食事の狩りか、参加者が尾ってきたら迎撃(無理して戦いはしない)
参戦時期:本編、一護との戦い前
備考
※本ゲームでは、霊的濃度に関わらず、グランドフィッシャーを視ることができます。
※移胴(ミグレイション)は制限により放送ごとに1回しか使用できない
(本体から疑似餌に、或いは疑似餌から本体へと移す技)
☆彡 ☆彡 ☆彡
「死んでたまるか!」
必死の形相で走る櫛田。
はっきりいって、この状況は何なの。
どうして私がこんな悪趣味なゲームに巻き込まれなきゃならないの!
「本当にああ……最悪!」
最悪!最悪!最悪!
これも全部、堀北が悪い!
ひとまず、戦いができそうな参加者を探さないと。
第一候補はあのオタクくさいやつが言ってた一ノ瀬宝太郎。
正直、あの場で”ガッチャ”とかふざけた言葉を口にしてたから候補には入れてなかったけど。
私を守れるのなら問題なし。
「私は死なない!絶対に生き残る!」
承認欲求の怪物は走り続ける。
【櫛田桔梗@ようこそ実力至上主義の教室へ 】
状態:正常 羂索達への不満(極大) 必死(極大) 堀北への怒り(極大)
服装:高度育成高等学校の制服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:どんな手段を使ってでも死なない。権利を得られるのなら得たい(堀北と綾小路を退学させる)
01:逃げて、他の参加者の庇護に入る(現段階での理想は、一ノ瀬宝太郎)
02:ルルーシュとかいうスカした奴は信用できない
03:このゲームで堀北が死んでくれればいいのに……
04:あの二人はどうでもいい(キヨスとマユ)
参戦時期:満場一致特別試験で本性をバラされ、不登校中
備考
※情報交換からガッチャードやプリキュアについて知りました
※マユが幼いため、Seed世界については詳しくは理解できていません。
(少なくとも、自分とは違う世界がある根拠となった)
☆彡 ☆彡 ☆彡
「ごめん……」
キヨスは自らの無力を嘆く
あの場で唯一大人であったにも関わらず加治木涼をみすみす殺させてしまったこと。
そのくせ、彼のリュックだけは回収した。
大人の汚い一面だと自覚している。
それでも、少しでも生き残る確率を上げるため。
故にキヨスは行動に移した。
それに……兎山くんと亀井さんもおそらく……
あの場から直ぐに離れられなかった二人もあの化け物に食い殺されているだろう。
それでも、私は2人を救う行動を移せなかった。
さながらトカゲの自切。
痛いな……
生きてるやつは絶対生かす。
それはキヨスの信念であった。
だが、このゲームで信念は殺された。
おそらく、自身の手で参加者の命を奪うこともあるだろう。
目から背けちゃいけない。
トガビトとなった自分から。
せめて櫛田さんだけでも逃げきれてくれたらいいな。
それも自分勝手なお願い……
それでも、生きる。
チラリと手を繋ぐマユを見つめながら覚悟を固めた。
このゲームをなかったことにはしない。
必ず、記録として残す。
それが博物館人としての自分がすべきことであると。
キヨスは強くケツイする。
しかし、それは――多くの死者を自ら出会うという残酷な一面もある。
まぎれもない清棲あかりの現実(じごく)
【清棲あかり@へんなものみっけ! 】
状態:正常 トガビトの自覚
服装:白衣+私服
装備: ポケモン図鑑@ポケットモンスター
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ランダムアイテム×0~3(加治木)ホットライン
思考
基本:このゲームの生きた証を残す
01:マユを連れながら逃げる
02:櫛田さん……逃げきれているかしら……
03:加治木くん……兎山くん……美嘉ちゃん……ごめんね
04;一ノ瀬宝太郎君に出会ったら謝る(加治木をみすみす殺させてしまったことを)
05;関係者に出会ったら謝る(兎山・亀井)
参戦時期:77話後、宿で泊まる直後
備考
※情報交換からガッチャードやプリキュアについて知りました
※マユが幼いため、Seed世界については詳しくは理解できていません。
(少なくとも、自分とは違う世界がある根拠となった)
ポケモン図鑑@ポケットモンスター
電子式で外見はカントー図鑑。
これを受け取ったポケモントレーナーは完成させることが目的の一つとなる。
あかりに支給された図鑑はなんと、151種類コンプリートしている。
なお、茅場により、当初言われていた151種類より後の新種ポケモンも登録できる。感謝しろよオーキド博士。
さらに、参加者のデータまで記録できるよう機能が拡張されている。ごめんよオーキド博士。
【マユ・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY 】
状態:正常 恐怖(大)、混乱(大)
服装:私服(1話冒頭)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:怖いのはいや、死にたくない。
01:いや……いやぁ!助けて!助けてお兄ちゃん!
参戦時期:本編、オーブから逃げている途中(死ぬ直前)
備考
※情報交換からガッチャードやプリキュアについて知りました
※加治木・兎山・亀井が死んだ場所に、メッセージ録音クリスタル@ソードアート・オンラインが落ちています
メッセージ録音クリスタル@ソードアート・オンライン
兎山悟に支給された録音機能のクリスタル。
今際の悟の想いが録音されている。
録音されているメッセージは以下のセリフ
「犬飼さん……大丈夫だよ。犬飼さんなら絶対にあの狼たちと友達になれるよ」
「だから……絶対にあきらめちゃだめだよ」
「……犬飼さん、僕は犬飼さんのことが好■」
いつも、見ているだけ…ボクじゃ、力になれないのかな? by悟
投下終了します。
投下します
こちらは以前、決闘ロワに投下した作品について一部手直ししたものになります。
殺し合いの会場の中にあるレストラン、そこに巨大なハンバーガーがあった。
だが、そのハンバーガーは誰かが頼んだ料理ではなかった。
何故ならそのハンバーガーには鋭い牙が生えており、そしてその身体を大きく揺さぶるなど明らかに生きている様子だったからだ。
その怪物の名はハングリーバーガー、食われる側から食う側へと回ったハンバーガーの怪物である。
しかしこのハングリーバーガーは明らかに様子がおかしく、何か痛みを感じてのたうち回っているようにも見えた。
それはこの怪物が、先ほど近くにいた"野球選手の格好をした男"を丸のみにしてからずっとだった。
それから怪物が絶叫のようなものを上げると上のバンズがまるで内側から食いちぎられたかのように風穴が空き、そこから強烈な顔をした男が飛び出してきたのだ。
「いただきま――す!」
そして、そのままの勢いで飛び出すとその男はさっきとは逆にハングリーバーガーを一口で飲み込んでしまったのだった。
―― 彼の名はマツイヒデキ、『東京カイアンツ』という球団に所属している野球選手であり、"ゴジラ(GODZILLA)"の名に恥じぬバケモノである……。
【マツイヒデキ@ゴーゴー!ゴジラッ!!マツイくん】
状態:健康、腹一分目
服装:東京カイアンツのユニフォーム
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3
思考
基本:殺し合いから脱出し、球場へ向かう。
01:まずは腹いっぱい食べ、その後ほかの参加者を探す。
参戦時期:少なくとも海外移籍する前。そのため東京カイアンツのユニフォームを着ています。
備考
※身体能力および耐久力に制限がかけられています。
少なくともバット一振りで人間を星に変えてしまうホームランができるほどの力はありません。
※殺し合いのことについてはあまり理解できていません。
というよりも、ノムラ監督やクワタなどのいつもの悪だくみのようなものだと思って気にしていません。
【NPC解説】
・ハングリーバーガー@遊戯王OCG
…鋭い牙が生えた巨大なハンバーガーの姿をした戦士族モンスター。
どう見ても悪魔族とかそういう種族にしか見えないのだが、なぜ"戦士族"なのかはいまだ不明。
投下終了です。
以上、ありがとうございました。
投下します
「…私ってさ、心底馬鹿だったみたいで…」
一人の少女が、語っていた。
「どうにも…から回ってさ…友達のことも…理解したつもりでいて…それで…死んじゃって…」
そんな少女の自虐は、独白ではなかった。
岩に腰掛け、その話を聞いているものがいた。
「…心中察するぞ、飛騨」
「…ありがとうございます、話を聞いてくれて」
聞いていた男は、猛者であった。
近づけばわかる、圧倒的な闘気、絶え間なく鍛え続けられた筋肉。
男は最強である、裏格闘技の最高峰、煉獄の覇者。
東洋の武術シラットを扱い、数多の相手葬ってきた男の名は。
マニラの死神――ロロン・ドネア。
「…それで、どうするんです?」
少女、飛騨しょうこが話を進める。
「少なくとも、乗るもの、乗らないものもいるであろう、あの者たちが参加者を開示しない以上、詳細はわからずじまいだが…」
ロロンは考え込み、すぐに発案した。
「…とりあえず、街に進もう、今は情報収集が先決だ」
「…思ったんですけど、その鍵…」
「…これは…」
そのキーを空で回した瞬間であった。
「むぅ!?」
ロロンの体が光りに包まれる。
「大丈…はぁ!?」
「なるほど…これは…パワード・スーツ、の類か」
光が解かれたあとのロロンの姿は、鉄に包まれていた。
青い体色に、ステレオタイプのロシア人を模したようなコッサク帽に伝統衣装の紋様。
そして、圧倒的な重厚なフォルム。
「ん…説明書…?」
しょうこが拾い、それを読み解く。
「ボルトガンダム…ネオロシアの開発したモビルファイター…左肩に鉄球…」
「これか」
左肩から、同化していた鉄球が出てくる、持ち手はビームのようになっている。
「なるほど…俺の動きも再現されている、いい武器かもしれんな…」
「一様必殺技もあるみたいですけど…」
「ここでは使わぬほうがいいだろう、とにかく、征くぞ」
「わかりました」
二人は森を抜け、南へと向かって行く。
愛に殺されたものと、武人は、どこへ向かうのか?
【ロロン・ドネア@ケンガンオメガ】
状態:正常
服装:黒タンクトップとズボン
装備: ボルトガンダム@機動武闘伝Gガンダム
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ボルトガンダムの起動キー@機動武闘伝Gガンダム、ホットライン
思考
基本:主催打倒
01:しょうことともに行動し、情報収集
02:他の煉獄メンバー(ヒカル除く)と拳眼会の面々と出会ったら組む
参戦時期:対抗戦終了後
備考
【飛騨しょうこ@ハッピーシュガーライフ】
状態:正常
服装:制服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:生きたい
01:ロロンと行動する、そして会えるなら…さとうに…謝りたい
参戦時期:死亡後
備考
【支給品解説】
【ボルトガンダムの起動キー@機動武闘伝Gガンダム】
ネオロシアの開発したMF、極秘裏に他国の機体のデータを元に設計されている。
武装はグラビトンハンマーと頭部バルカン×4
必殺技にエネルギーを溜めた拳で地面を叩きつけ、大地の崩落とともに起こった隆起した岩石で攻撃する「ガイアクラッシャー」という必殺技を持つ。
投下終了です
投下します
『これから君たちには我々の用意したゲームをプレイしてもらう。
形式はバトルロワイヤル。
己が存在と理想を叶える権利かけて最後の1人になるまで殺し合うんだ』
梔子ユメという少女の遺体を使った脳、羂索がこんな催しのルールを話し出した時……私、柊篝は混乱の中に居ました。
…と言うのも、先程まで私は…隠世から現世へと帰還する可奈美さんと姫和の姿を美奈都先輩と一緒に見送って、後は…タギツヒメと美奈都先輩の一試合を見ていた筈で、そのまま消え行く隠世と共に私たちも消え去る筈だったから。
なのに私はいつの間にかここに居て……困惑の内に、須藤さんとニーナさんの2人が…なにも遺らず、殺されて──消え去ってしまいました。
…そして会場へと飛ばされた私の脳裏に浮かんだのは、20年前……私が現世と隠世に分たれる直前の、相模湾大災厄の惨状。
…殺し合いに乗らない参加者ばかりだなんて、楽観的に考えるのは…私には無理でした。きっと、あの戦いのように…いや、それ以上の凄惨な光景が、この会場で繰り広げられるのかも知れない。
…だからそんな惨状が起きる前に、止める為…私はこの殺し合いに抗う事を決めました。
……私は消える筈だった隠世の存在、本物の…現世の「柊篝」じゃない。だけど…それでも私には、現世の私が失ってしまったらしい刀使として戦う為の力がある。
『…私の世界でのあなたは、ずっと悔やんでいました。
タギツヒメを完全に討てなかったこと、可奈美の母、美奈都さんを巻き込んでしまったこと。
……美奈都さんの訃報を聞き、電話口で泣き崩れた母の姿が今も忘れられません』
あの時あの子が…姫和が伝えてくれた、現世の私の様子を思い出す。…私なら、そうなってもおかしくないという納得はありました。だからきっと…現世の私でも、同じ気持ちになる筈。
……あの2人を助けれず、みすみす死なせてしまったことへの後悔と罪悪感が、今も私の中には渦巻いています。それでも……悔やむより前に、出来ることが私にはあるはずだから。分たれた私(現世の私)の分まで…この殺し合いに抗う、それが私の役目だと。
バッグの中身を見ると、そこにはソードスキルがひとつ。早速使って習得した後、刀使の力を使う為の御刀を見つけた…けど…そこにあった御刀は千鳥。
美奈都先輩の御刀で、今はその子供の可奈美さんに受け継がれた筈のもの。…消え行く隠世に居た筈の私がこの殺し合いに巻き込まれているのなら、美奈都先輩や…タギツヒメも…?と思いました。しかしそれ以上に驚いたのは…説明書に書かれていたこの御刀の持ち主についてです。
…「この」千鳥の持ち主の可奈美さんは、突如行方をくらまして出奔してしまった、と。そう簡潔に書かれていました。
…隠世から戻って来れた筈の可奈美さんに…何かが…?と思いましたが、その時…聞こえてきたのは人が人を殴打する音。
考えを取り止めて急いで帯刀した私は、その場へ駆け付けました。
「…っ…ぁ…アスラン…どうして、君が…!!」
「キラァァァ!!!!!!お前を…俺が撃つ!!俺の願いの為に!!!!お前がニコルを!!!!!!」
そこに居たのは2人の男の人で、片方は私と同じぐらいの年。そっちの…キラって呼ばれている子の方がもう片方の、少し年上そうな、顔を真っ赤にして怒っている様に見える男…アスランって呼ばれている人に一方的に殴られてる様。
気付くと私は、迅移で高速移動した上で2人の間に割って入り、御刀を突き付けていた。
「止まって!…どうして貴方が、彼を殴ってたかは私には分からないけど…だからといって見過ごせません!このままじゃ彼は…!」
アスランって呼ばれてた人から、キラって呼ばれてた子を庇う形で、私は御刀の切先を向ける。
「いきなり邪魔をしてなんだお前は!?!?!!」
「…私は柊篝。かつて折神家に仕えた…神薙ぎの刃です」
「篝…カガリ、だと…くっ、よりにもよってアイツと同じ名で!!邪魔をするのか馬鹿野郎!!!!!」
「…ニコル…アスラン、君はやっぱり…あの時の、ことを…!!」
「何を言っているキラ!!?!!過去に囚われるのはやめるんだ!!!!!お前も!!!」
「過去…!?…じゃあどうして、羂索達なんかの事を!?」
「俺には果たさなきゃ行けない目的があるんだ!!!!!その為に優勝する必要があると!!俺は!!!」
…名乗った所何故か彼、アスランさんに罵倒されてしまい、正直腹が立ちましたが。2人とも折神家の名を出されても反応しないとは…。
ともかく話の流れからして、彼に非はなさそうなのもあり今は彼…キラくんを守る事とします。
「…その目的とは何ですか?それ次第なら私もキラくんも」「目的だと!?!?決まっている!!!!!俺はこの殺し合いに巻き込まれているだろう"本物"の俺を殺し!!!!俺の存在自体を消す!!!」
「…アスラン…どういうことなの…!?…君は…僕から見ても確かにアスランにしか…!」
「…見た目だけさ…本物じゃない、おもちゃ(ミーム)だったんだ、俺は…!!」
「…アスラン……!?」
キラくんは目前の彼の言動に混乱してるようだけど、私には、"本物"の柊篝じゃない私には…彼が何を言ってて、どうするつもりなのか、何となくわかった。
「…本物の自分を殺して、ミームでしかない偽物な自分を、存在毎終わらせたい…と言いたいの?貴方は」
「随分とわかったかのような口を言うんだな!!!!!!お前は!!!!」
「…偽物の存在という点では、私もある意味貴方と同類と言えるから」
「…柊、さん…」
「…なら何故そいつを!!!キラを庇う!?!!殺し合いに抗って、羂索達を倒しても!!!お前に帰る場所は無いだろう!!!偽物である以上消える運命なんだ…だと云うのにお前は!!!!未来まで殺す気か!?!?」
喧しさの中に、何処か悲痛さが混じったかのようなそんな様子で捲し立ててくるアスランさん。
…確かに隠世と共に消える筈だった私が、この殺し合いの打破をみんなと一緒に果たせたとしても…その先は無いでしょう。ですが…!
「…元より消える筈だった、未来など無い筈だったこの身です。私に帰る場所が無くとも……この殺し合いを止めることが、私の…神薙ぎの刃としての役目。
私自身の意思で、本物の私の分まで戦うと…そう決めましたから!」
「……殺し合いはヒーローごっこじゃない!!!!!!力を持つ者ならそれを証明してみせろ!!!バカ野郎!!!!」
…止まる気は無いようですね、なら…まず彼を一旦でもいいから退かせないと。
「キラくんは下がっていてください」
「…っ、柊さん…でも…!!」
「その傷では無茶です、今は…!」
「…わかり、ました…!
…気をつけて下さい、柊さん。彼は…僕の知ってるアスラン…友達とは別人みたいだけど、でも…身体の動きとかは、僕の知ってるアスランと同じか…それ以上だから」
「…ありがとうございます、キラくん」
悔しそうにしつつ、言う通りにしてくれるようで…とりあえずは安心です。これが美奈都先輩なら聞いてくれるかどうか…。
「トゥー!!!タァッ!!!」
奇声をあげながら殴りかかってくるアスランさん。
…美奈都先輩はかつて、敷島銀行立てこもり事件で立てこもり犯相手に御刀を向けたと…紫様から聞いた事がありますが…まさか私まで、こうして人に御刀を向ける事になるとは。
…とにかく、振るわれた拳に対して私は回避に徹しようと──
「甘いっ!!!!!へァァァ!!!!」
彼は思っていた以上に速く動いたため、迅移を使ってどうにか避けます。
「凄まじい身体能力の、持ち主なんですね…!」
「この力で出来ることなんて、こんなこと(殺し合いに乗った上での人殺し)ぐらいだけどな!!!!!本当に使えないな俺は!!!!!」
「…貴方は…!」
「俺を殺さず止めようなんて、甘ったれた事を考えているのなら!!!!討たれるのはお前だ篝っ!!!!!」
無力化を狙った攻撃は全て避けるか受け止められ、このままじゃ相手の拳や蹴りは迅移を使わなければ回避困難……他に、方法が無いのなら……!!
「…私が、貴方を討ちます…アスランさん…!!」
──たとえ本物で無いとしても、それでも…友人を彼に、キラくんに討たせるのは……あまりに酷ですから。…きっと美奈都先輩や可奈美さんなら…それでも違う道を探しそうですが…。
とにかくそう決めた私は、二段階目の迅移で加速して一撃を見舞おうとして。
「イヤァァァァッ!!!!タァッ!!!お前がニコルを!!!!ニコルがお前を!!!!ニコルゥゥゥゥ!!!!!」
「…あれは、っ…あの人が、ラウ・ル・クルーゼが乗っていた機体…!?どうして、君に…!?」
手応えはあった筈の一撃は、いつの間にか起動鍵…パワードスーツとして落とし込まれた物を身に纏う為のツールを使ったアスランさんに受け止められ、装甲には傷ひとつついていなかった。
キラくんの驚きを他所に、先程錯乱したかのような叫びを挙げたアスランさんは再び叫ぶ。
「この機体はプロヴィデンスの改修型レジェンド!!!本物の俺の乗機になる筈だった機体だぞキラ!!!!篝!!!!この機体をパワードスーツとして支給した茅場と羂索とクルーゼ隊長と裏に居るデュランダル議長は俺を殺そうとしている!!!!!!」
「君は何を言いたいんだアスラン!?」
「…何でそうなるのか、分からないんですが」
あまりにも脈絡無く、かつ喧しくそう捲し立て決め付けたかのような言い方をするアスランさんに、私もキラくんも困惑する他ありませんでした。
しかし彼は引き続き喧しく叫びます。
「デュランダル議長は本物の俺を消そうとしていた!!!!!だからこの俺にこの起動鍵を与え、本物と偽物(ミーム)の俺で潰し合わせようと狙っているんだ!!!!きっと本物にはインフィニットジャスティスかズゴック辺りの起動鍵が渡っている筈!!!!!議長にとってはその方が都合が良いからな!!!
だが…思い通りになるつもりも無い!!!ここでお前達を殺して支給品を奪えばその運命も変わる!!!!本物の死によって俺が消えるなら良し!!!!それで消えないなら優勝を狙うまで!!!!」
「…言ってる事がめちゃくちゃですね」
「あの羂索の、望みを叶えるって言葉だけを信じるのか!?君は…!!」
完全に自己内で全てを完結させてしまっていて…対話は不可能と、改めて私は認識させられました。
「…何が望みを叶えるだ馬鹿馬鹿しい!!!!!…とは思うさ!!!だけど俺には、その望みに縋るしか無いんだ!!!!
一度ネットの海に拡散されたミームは消えない!!!!!俺が消えるには、存在其の物の消滅というこの望みを…叶えるしかない…!!!!公式にすらおもちゃにされる気持ちが分かるか!?!?!もうおもちゃにされるのはウンザリなんだ!!!!!俺は!!!!
だからキラ!!篝!!!ここで俺の望みの為、お前達を討つ!!!!!」
「…これは、プロヴィデンスが使って来た…!柊さん!」
そう、再び煩さの中に悲壮感が入り混じった叫びを放ちながらアスランさんは背部から何かを分離。
キラくんの声を聞き、その何かを警戒しながら迅移での回避に動いた数瞬後…何かは私目掛けてビームを放って来ました。
「ドラグーンの熱線を篝目掛けて爆発させる!!!!まるでフレイみたいだなあキラァァァ!!!!!」
「っ、アスラン…どうしてそれを、君が…!!」
苦しげなキラくんの声が聞こえるけれど、フォローしている暇は今の私にはない。
どうにか二段階目の迅移で躱して…それでも数の多さから避け切れず……張っていた写シが解かれ吹っ飛ばされてしまいました。
「柊さん!!」
「…大丈夫です、まだ…私は…!」
…ここで私が倒れたら、殴打され少なからず傷を負ったキラくんがアスランさん相手に戦う羽目になる。
……本物でないとしても、友達をその手で…殺めさせる事になるかも知れない。……そんな不甲斐なく、辛い結末に、させるわけには行きません…!!
せめて同じ偽物同士の私が、彼をこの手で終わらせなければ…。
…それに、私が倒れて、キラくんまで…あの2人のような事になってしまったらと思うと……倒れる理由には、行かない!!
「なっ!?コスミック・イラの出身でも無いのになんだお前は!?!?!篝(カガリ)の名の癖にシンのような眼になるな!!!!!バカヤロウ!!!!!」
説明文に書いていた通り強い感情を引き鉄にしたのか、気付くと私の脳内はクリアになっていて……ああ、多分これが習得したソードスキルの効果だと、何となく分かりました。
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柊篝が習得したソードスキル、その名はSEED。
キラや本物のアスラン達が属している世界、コスミック・イラにて、ナチュラルコーディネイター問わず先天的な素質を持ちし者が発現する特殊能力。
強い感情を引き鉄として発動し、反応戦闘速度の向上や集中力・処理能力の上昇等の効果を引き出す。
この時の篝の場合は強い後悔の念と、これ以上そうはさせないという強い意思をトリガーとして発現させた事になる。
元々クールそうに見えてその実感情的かつ情に深い彼女は、自発的な発動を起こしやすく…そういう意味では相性が良かったのだろう。
…兎も角、赤き瞳からハイライトを消失させつつ篝は八幡力で跳躍、そこから迅移による加速から…射出されたレジェンドのドラグーンを御刀によって破壊していく。
ドラグーンユニット自体は有線型でない限りはPS装甲やVPS装甲の恩恵を受けれない為、物理攻撃が有効となるのだ。
「くっ、SEEDをソードスキルで配るとはやはり議長は俺を殺そうとしている!!!!!
レジェンドも基本はジャスティスと同じだ!!!同じなわけがあるかバカヤロウ!!!!!!」
喚き見当違いな憤りをぶつけながらも、アスランは大型ドラグーンの方の突撃ビーム機動砲をビームスパイクとして放ち削り殺そうと目論む。更に高エネルギービームライフルも連射し追い込みを試みるが……今の篝には、回避は容易かった。
三段階までに至った迅移による速度で行われた、ヒットアンドアウェイ戦法によって小型ドラグーンの方の突撃ビーム機動砲は全て破壊f。
「ヘァァァァ!!!!トゥ!!!タァッ!!!!」とビームジャベリンによる剣戟をし蹴りも織り交ぜるアスランに対し、それを捌き避けまたダメージを軽減させながら篝は対応。しかしVPS装甲の存在もあり、また消耗もあって攻めあぐねていた。
「クソっ、モウヤメルンダッ!!!!!こんな戦い!!!終わらせる!!!!
(キラキラバシュゥゥゥン!!)トゥ!!ヘァー!!!!!」
そんな中ここでアスランは御刀とビームジャベリンのぶつかり合いから一旦退き、そこから自らもSEEDを発動させた後、ジャベリンを構えて突撃する。
それに御刀で対応しようとする篝だったが…これまで再使用を控えていたビームスパイクとなった大型ドラグーンが背後から迫っており、挟撃される形になった事に気付いた。
咄嗟にドラグーンに対応したものの、隙を突いたアスランにより何度目かの写シを剥がされ、篝は御刀を手放してしまう。
「ウワァァァァァ!!このっ馬鹿野郎!!!!!」
「きゃ、っ!?ぁっ…うぅ…私は、まだ…!!」
御刀をどうにか取った篝だが、そのままビームライフルにより吹っ飛ばされ、キラの元まで転がされてしまった。
「キラ!!!!!篝!!!!恨みはないがここで終わりだ!!!!倒すしか無いじゃないか!!!!俺の望みを叶えるなら!!!!」
そう言い、大型ドラグーンとビームライフルの一斉射で2人纏めて屠ろうとするアスラン。
「……キラくん、だけでも…逃げ…て…。
……ごめんね、姫和…」
そう、この場にいるかどうかも分からない自らの娘に謝りながらもせめてキラだけでも逃そうとする篝。
しかし彼の……キラ・ヤマトの決意はもう、定まっていた。
「──ごめん、柊さん。僕も…戦う。
…痛いけどでも、何も出来ない方が…僕は辛いから!!」
いつの間にかバッグの中から取り出した起動鍵を使い、キラはその身にモビルスーツを纏う。
その瞳からハイライトは消えていた。
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『可哀相なキラ…独りぼっちのキラ…戦って辛くて…守れなくて辛くて…すぐ泣いて…!』
その時僕の脳裏に浮かんだのは、フレイ…護れなかった、目の前でラウ・ル・クルーゼに殺された彼女の言葉だった。
…彼女が言った通り、戦う事は辛くて。僕の知らないアスランだとしても…友達とまた、殺し合わなきゃ行けないなんて嫌で、今でも殴られた所は痛むけど。
でもそれ以上に……そのアスランから庇ってくれた柊さんが、僕のせいで殺されるのは…もっと、嫌だ!!
…何か出来るかも知れないのに、何も出来ないって言ってしないままの方がもっと、辛いから…!!だから…僕は戦う!!
そう決めたと同時に、頭の中がクリアになったような感覚になった僕は…迷うこと無くそれを…起動鍵を使った。
…僕はまだ君の事は知らないけど、それでも…使わせて貰うよ、シン!!
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「ジャスティスだと!?!?!それもシン!!!!お前のイモータルジャスティスだぞ馬鹿野郎!!!!」
「この機体に、未来の僕がどんな想いを託してシンって人に任せたかは分からないけど…けれど、今は僕の戦う力として使ってみせる!!」
「…キラくん…」
不甲斐ないばかりです。刀使として、守るべきだと云うのに、助けに入った側というのに逆に助けられて…。
…キラくんが起動鍵で変じた…イモータルジャスティスはその盾を以って、アスランさんの一斉射を防いでみせてしまいました。
「柊さんが守ってくれてた分、今度は僕が!」
「…まだ、私も戦えます…!」
そう言い、私は御刀を支えにして立ち上がります。
痛みと疲労はあっても、まだこの身体は動く…この刃を振るう事は出来るから…!
「キラァァァ!!!!!Gに乗っているだけで勝てると思うな!!!!!大したヒーロー気取りだな篝!!!!」
「…キラくんひとりに任せっきりに、するわけにも行きませんから…!」
「アスラン。君が僕の知ってるアスランや、柊さんを殺すって云うのなら…僕が、君を討つ…!!」
「…そうか。ならばキラは敵だ!!!!!俺を止めてみろキラァァァ!!!!」
…心苦しさが増すばかり、そんな悲壮な決断をさせずに済めば、それが一番だったんですけどね…。
…とはいえ、今のキラくんが心強いのもまた事実。彼がライフルでアスランさんを攻撃してる内に、私は御刀を向けて迅移で加速します。
五段階目は、隠世から戻って来れなくなるせいか制限されていて使えず、四段階目は使えば程なく昏倒してしまう為三段階目の速度と、八幡力を以って突撃。
「ヌォォォ!?!?!?だがVPS装甲の前には!!!!」
手応えこそあれど、ダメージはさして与えられていないようですが…隙は作りましたよ、キラくん!
「うおぉぉぉっ!!!」
──そして彼は、見事に応えてくれました。隙を突いて、脚の部分に付いた剣でアスランさんを蹴飛ばし吹っ飛ばし、相応の有効打になったようです。…意外と足癖が悪いんですね、彼は。
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瞳からハイライトを消しSEEDを発動させたキラのカルキトラ ビーム重斬脚による蹴りで吹っ飛ばされ、ダメージを負うもなんとか立て直したアスランは、ここで撤退を選ぶ事とした。
再び立ち上がったキラによるダメージで、頭が少し冷えたからである。
「アスランっ、君から仕掛けておいて逃げるのか!?」
「まだ私も、キラくんも…負けてませんよ」
「五月蝿い!!!!優勝は望みの為必須だが!!!お前達をここで討つ以上に、まずやらなくては行けない事があったのを思い出したんだ!!!!俺は!!!!」
五月蝿いのは貴方じゃないですかと言いたげな篝の視線を無視し、アスランは大型ドラグーンによる射撃を行いつつ全速力で撤退していく。
キラがフラッシュエッジ4 シールドブーメラン…先のレジェンドの一斉射を防いだシールドを射出するが、大型ドラグーンのビームスパイクを使い相殺、その間に見事アスランは逃亡を果たした。
(追っては来ない…キラを痛めつけた時の傷が癒えてないだろうから、そちらを優先したと云う事だろう。甘いな篝…!!!!)
内心そう、本物のアスラン・ザラの想い人と同じ名を持つ、当人曰く本物でない少女を評しつつも…その顔には怒りの赤らみは無く珍しく平静といった様子であった。
(…待っていろ本物の俺…アスラン・ザラ!!!!!この手で俺は…お前を討つ!!!)
彼はアスラン・ザラの贋作、アスラン・ザラから生まれたミームの集合体。
ファンどころか公式にすらおもちゃにされ続ける現状についに耐えれなくなり、自らの存在の抹消を望むまでに至った哀れなニセモノ。
(羂索!!!!クルーゼ隊長!!!!茅場!!!!梔子ユメ!!!!そして裏に居るデュランダル議長!!!!俺はお前達の望む運命通りにはならない!!!!お前達は敵だ!!!!)
議長が関わっているとは限らない点や、あくまでユメは死体を勝手に使われてるだけの被害者である点を一切考慮せず決め付け、男は己が存在の抹消の為戦う。
誰が相手だろうと、揺らがない確固たる望みを持って。
【アスラン・ザラ@ネットミーム】
状態:ダメージ(小)、疲労(小)、自らの存在抹消を願う思い(極大)
服装:SEED DESTINYでのザフトの軍服(赤)
装備:
令呪:残り三画
道具:レジェンドガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY、ランダム支給品0〜2、ホットライン
思考
基本:まずは本物のアスラン・ザラを殺す!!!それで俺が消えないならば優勝して望みを叶える。縋るしか無いんだ俺は!!!!
01:羂索達の裏に居る議長は俺を殺そうとしている!!!!!
02:キラは敵だ!!!!!篝!!!この…甘ちゃん野郎!!!!!
03:シン!!!!!居るなら出て来いシン!!!!何度でも殴ってやるぞシン!!!!語感が似た名前だったり名前にシンが入っていればお前もシンだ!!!!!バカヤロウ!!!!
04:トゥ!ヘァー!
05:望みを叶えるなら他を殺すしかないんだ…何故わからない!?!?!?
06:わかった…。
07:おもちゃだったんだ、俺は…!!!!
08:レジスターの解除方法を探り残存参加者のレジスターを核爆発させる!!!!
参戦時期:無し。(知識的にはこのロワが始まった2024年8月22日以前までのSEEDシリーズの展開やSEED関連のネットミームについては知っています)
備考
※ギルバート・デュランダル@機動戦士ガンダムSEED DESTINYが羂索達の裏に居ると勝手に決めつけています。また梔子ユメも羂索の協力者だと勝手に決めつけています。
【支給品解説】
・レジェンドガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY
アスラン・ザラに支給。
プロヴィデンスガンダムの改修機であり、本来ギルバート・デュランダル議長がアスラン・ザラへ渡す筈だった機体。
プロヴィデンスとの変更点は、ハイパーデュートリオンエンジンの搭載にVPS装甲への転換。
ドラグーンシステムは空間認識能力が無くても比較的簡単に運用可能な第2世代型へ変わっていて重力下での飛行も可能。
この殺し合いではドラグーンは宇宙や無重力での仕様となっており飛ばす事が出来るようになっている。
ちなみにヘブンズベース攻防戦にて借りて使ったエクスカリバーは、レジェンドの本来の装備で無い為この起動鍵では使用できない。
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……しかし少し待ってほしい。アスラン・ザラはミームでも、基本的には本物のアスラン・ザラ同様に善良な人間ではあると描かれる事が多い。だからこそ質が悪い所もあるが。
そんな彼が切なる願いとはいえ、殺し合いに乗るような事をするだろうか?彼のミームの集合体と云うならば、必然的に善性寄りへ傾く筈ではないか?
──彼の望みは果たして本当に、彼自身の物だろうか?
備考追加。
※このアスランが抱いている自分の存在抹消を願う思いが彼自身の物か、それとも主催側が何かしらの干渉を行った事による物なのかは採用された場合、後続にお任せします。
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一方、大型ドラグーンをどうにか撃墜した篝とキラ。キラはあのアスランを追おうとするも、負った傷もあり今は無理をしないでと篝に止められ、またクルーゼについて知っているような反応を先程キラがしていたのもあって…今は情報交換の後、休息場所を探すと篝は決めた。
「改めて、助けてくれてありがとうございます、柊さん」
「…助けに入ったは良いものの、貴方が立ち上がってくれなければ私は倒れてたでしょうし…助けられたのは私の方ですよ。…不甲斐ないばかりです。
……それはそうと、クルーゼという方を、貴方は知っているようでしたが…」
「あの人は…ラウ・ル・クルーゼは、僕を造る為の研究の援助金と引き換えに行われた研究で産み出された…クローンで…僕の守りたかった人を目の前で殺して…世界を憎んで滅ぼそうとした、そんな人です」
「…キラくんを作る為に、作られた…?」
そこからキラは語りだす、自らの血塗られた、夥しい犠牲の果てに生を受けた出生と、クルーゼが世界を滅ぼそうとするに至るおおよその経緯を。
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…キラくんの話は、にわかには信じ難い物でした。でも…隠世が有る以上、多分私から見た現世とはまた違う世界が、キラくんやクルーゼ達が元々居た世界なのは…わかったので。
…勝手な理由で造られて、余命幾ばくも無いからと捨てられ…憎しみ合い差別が蔓延るそんな世界を、憎むようになる理由としては余りに十分だとは思いました。
……けれど、だからといってやった事は許されないとも、思います。
「…あの人が、どうして生きているのか…何を考えて、こんな殺し合いに加担しているか…僕にはわからない。
けど…何であろうと、僕は止めてみせる…あの人の事も、あのアスランみたいに…殺し合いに乗った相手も…!」
彼の、キラくんの表情には少しの悲しみと…確かな決意が見てとれて。
…でも、不安にもなりました。多分彼は…姫和や、現世の私のように、自分ひとりで背負い込んでしまうタイプだと…。
…話の中、守りたかったにも関わらず失った相手と言っていた、フレイさんに触れた際キラくんは…何度も、堪えるかのような表情になりながら、話してくれていたから。辛い筈なのに、彼は…。
「…キラくん、私も…同じ思いです。
殺し合いを止める為、共に戦いましょう」
「…はい」
「…それと、泣きたい時は、堪えないで泣いていいんですよ。
私は仮初の存在ですが、それでも…受け止めてあげるくらいなら、出来ますから」
「…──…ありがとう、ございます。でも…僕はまだ、大丈夫ですから…」
流石に殺し合いの期限として指定された50時間の間は保つと思いたいですけれど…元が隠世の存在な以上、私はいつ消えてもそう不思議じゃない。
だから言える時に言っておきたかったのですが…抱え込まないという選択肢として頭には入ったと、思いたいですね。
……こういうのは、どちらかというと私よりは、美奈都先輩の方が適任なんでしょうけど…。
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「バグスターウイルスの方は難しいですけど、制限の方はどうにか出来るかも」
「機械方面は…そこまで詳しくは無いのでとりあえず、レジスターが手に入ればキラくんに解析は任せますね。
方針としては…キラくんが知ってるアスランさんの方を探しましょうか。
…呼ばれているかどうかはともかく、恐らくあちらのアスランさんがさっき言っていたやらなくては行けない事は…アスランさんを殺すことで間違いないと思います」
「アスラン…どうか無事で…。
…えっと、柊さんの知り合いは…」
「姫和は…巻き込まれてたらと思うと…心配になります。それにこの御刀の説明文的に、可奈美さんも心配ではありますが…美奈都先輩とタギツヒメ、紫様は…巻き込まれていたとしても、心配は要りませんね」
「…巻き込まれてないと…いいですね」
「…心強いとも、思ってしまいますけれどね…」
「仕方ないですよ、僕だって…ここにラクスやカガリ…彼女自身は姉ぶってる僕の妹なんですけど…同じ名前なのってすごい偶然ですよね。
…後それに、マリューさんやディアッカ達が居てくれたら…心配になるのと同じぐらい、心強さも感じますし」
等と話しながら一先ず現状を纏め、その上で2人は会場を征く。
スーパーコーディネイター、キラ・ヤマト。
消え行く筈だった仮初の刀使、柊篝。
在るべきでない存在と在るはずがなかった存在の、殺し合いへの反抗は始まったばかりだ。
【キラ・ヤマト@機動戦士ガンダムSEED】
状態:ダメージ(中)、疲労(小)、内に秘めた悲しみ(大)
服装:SEEDでの連合の軍服
装備:
令呪:残り三画
道具:イモータルジャスティスガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED FREEDOM、ランダム支給品0〜2、ホットライン
思考
基本:殺し合いを止めてみせる!
01:何か出来るかも知れないのに、何もしないのが…一番、嫌なんだ…!
02:アスラン…。
03:未来の僕が、どんな想いでシンって人にこの機体を任せたのかはわからないけど…今は僕が…!
04:ラウ・ル・クルーゼ…貴方は、なにを…!
05:…柊さんにああ言って貰えて、僕は…それだけで…。
06:僕より年上な「篝(カガリ)」…不思議な気分だ。
07:レジスターは、僕が解析出来るか試してみたい所だけど。
参戦時期:SEEDの本編終了後、AFTER-PHASE「星のはざまで」及びDESTINY以降よりは前。
備考
※篝との会話で隠世についてや可奈美達の話についてある程度は聞きました。
【柊篝@刀使ノ巫女】
状態:ダメージ(中)、疲労(中)
服装:鎌府高等学校の制服
装備:千鳥(Another可奈美)@刀使ノ巫女 みし一閃の燈火
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品0〜1、ホットライン
思考
基本:殺し合いを止める、それがきっと、隠世と一緒に消える筈だった私の役目…!
01:…キラくん…無理して背負わなきゃいいのですが…。
02:可奈美さんに、何が…?
03:SEED…これがソードスキルですね、使いこなせる気がします。
04:姫和や可奈美さんが巻き込まれてたら合流したいですね。
05:キラくんの妹の名前は「カガリ」なんですね…何かの縁を感じます。
06:私がここにいるなら…美奈都先輩やタギツヒメも…?
07:アスランさん…討つしかないと云うのなら…!
08:不甲斐ないばかりです…しかし…!
参戦時期:本編終了後。
備考
※支給されていたソードスキル:SEED@機動戦士ガンダムSEEDシリーズを習得しました。
※隠世の方です、刀使としての力は発揮できるとします。
※キラとの会話でクルーゼについての話やキラの出自等を大まかに聞いています。
※迅移については四段階目を使用すると昏倒する仕様のまま、また五段階目は制限により使用不能となっています。
・イモータルジャスティスガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
キラ・ヤマトに支給。
世界平和監視機構コンパス所属の、インフィニットジャスティスのデータを用いて作られた新型機。シン・アスカにキラ・ヤマトが任せた機体でもある。
ライジングフリーダムと同様のフレームを用いており、変形機能や盾兼射出武器となるフラッシュエッジ4等を備えている他VPS装甲も完備している。
一方ライジングフリーダムよりも簡易化されてる節があり、ライジングフリーダムに備わってたビームシールドがオミットされたりしている。
・千鳥(Another可奈美)@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火
柊篝に支給。
珠鋼という特殊な金属で出来た日本刀、御刀の一種。
適合者は衛藤可奈美(Another)。
当ゲームでは女性ならば刀使や適合者でなくてもある程度その力を引き出せる。
・ソードスキル:SEED@機動戦士ガンダムSEEDシリーズ
柊篝に支給。
先天的な素質を持ちし者が発現する特殊能力が、ソードスキルとして落とし込まれた物。
発動時は発動者の瞳からハイライトが消失する。
基本的には戦闘中危機に直面した上で、強い感情をトリガーとして発動させているが、アスラン・ザラ等はある程度意識的に行っている描写もある。
効果としては反応及び戦闘速度の向上や集中力・処理能力の上昇等の効果を引き出す。その為発動すると頭の中がクリアになるような感覚が来るようだ。
投下終了します、タイトルは「在らざるべきモノタチの足掻き」です
投下します
「今度は殺し合いのゲーム、か……」
摩天楼とも言うべき高層ビルが立ち並ぶビル街のとある屋上にて、
赤いジャケットが特徴的な制服の青年、遊城十代は周囲を見下ろしながら一人呟く。
本来ならば摩天楼と言えば明かりがついて夜景として映えるものかもしれないが、
今は殺し合いのために用意されたからか、街灯と月明りだけが頼りになっている。
寧ろ薄暗く、ゴーストタウンと化してる状態も相まって不気味な光景が広がっていた。
「ヘヘッ、また世界を超えることになっちまったな。」
不謹慎とは思いつつも、十代は笑みを浮かべる。
羂索は言っていた。異能力や異形の存在しない世界の者たちと。
この舞台に集っているのは今度はデュエルモンスターズの精霊すらない、
数々の世界を超えた人物たちがいるのだろうと。
分かってはいる。これは自分の命だけでなく、数々の世界が巻き込まれた未曽有の危機だ。
今まで何度も世界の脅威に立ち向かった十代だが、その規模は全てを凌駕している。
規模で言えば十二次元宇宙を消滅させようとしたユベルに匹敵するかそれ以上だろう。
危機感があるかないかで言えばある。また仲間を、無関係な人を喪うかもしれない。
けれども世界を超えた今の状況が、どこかワクワクしてしまう。
時代を超えて遊戯、遊星と共にデュエルしたあの時のように。
「羂索。お前をぶっ倒すことに、ワクワクしてきたぜ!」
彼(彼女?)や一ノ瀬宝太郎の言うガッチャが何を意味するかは分からない。
けれど同じガッチャを口癖とする十代としては、二人が他人事のように思えない。
そんなにガッチャが見たいのであれば見せてやる。ゲームを終わらせる形で。
そんな意気込みでデッキと言う名のリュックに手を突っ込む。
何が出るかはドローした時と同じで分からない。
けれどもここぞと言う時にラッキーカードは来てくれるもの。
そんな感覚で手に掴んだものを引こうとしたその瞬間、
「あ、丁度いいところに!」
屋上の扉が勢いよく開かれると、
歓喜の声と共に駆け寄る駆け寄る黒服の青年。
青白い肌と継ぎ接ぎが目立つ顔は余り健康ではなさそう、
「あ、俺としても丁度良かった───」
と言うのが第一印象だったが、すぐにその考えは覆った。
駆け寄るとは言ったものの、その速度は人並みではない。
獲物を見つけた獣のような速度で接近し、顔に手を翳す。
いや、実際に獣の足だ。鹿のような脚部が十代の視界の隅に映る。
凄まじい移動速度に十代は反応したものの、顔に手が触れることは避けられない。
「君で実験させてもらうよ。」
青年、真人は最初だけだが困っていた。
自分の術式『無為転変』で体を改造してもレジスターは外せなかった。
肥大化しても縮小化しても結果は同じ、レジスター周辺の部位は弄れない。
正直なところ予想はついていたことだ。参加者に選ばれてる時点でこれぐらいは想定済み。
小型の生物などになれないのは少々痛いが、術式に科せられた縛りとしてみれば緩いものだ。
(そういえばあの縫い目、夏油にもついてたしあれって夏油じゃなくて羂索だったのかな。)
まあどっちでもいいけどね、と誰に言うでもなく注釈をつける。
大方、渋谷で事を起こすよりも楽な道を見つけてきたのだろう。
中身が夏油であれ羂索であれ、やることについて変わりはない。
別の世界でさえも巻き込んでいる。自分達呪いが人として立ってればそれでいい。
その影響で他の世界がどうなろうと知ったことではないし、興味もなかった。
呪いらしく人間らしく、狡猾に行く。軸がぶれようと一貫性がなかろうと、
偽りなく欲求の赴くままに行動する。それが呪いと言うものだ。
ようするに、いつも通りであればいいのだと。
「無為転変。」
そうして徘徊して出会ったのが十代である。
無為転変を参加者に使ったらレジスターはどうなるのか。
自分と同じように周囲だけは変化させることができないのか、
或いはもっと別の何か出たとしても面白い。
『随分十代に気安く触れるんだね。』
魂を弄ろうとしたその瞬間に感じ取れた。
生得領域なのか定かではない、深い深淵にて。
魂は一つ。魂の知覚ができる真人にはそれがわかる。
けれど違う。何か別の存在が十代の魂に混ざり込んでいた。
男とも女とも受け取れる人型の存在を知覚すると、距離を取る。
「君のそれ、呪霊かい?」
「! ユベルのことが分かるのか。」
虎杖悠仁と両面宿儺と同じような存在。
他の世界にはそういうのもいるのかと関心を抱く。
十代はユベルと言う精霊と融合し、一つの魂となっている。
ある意味では虎杖悠仁と同様の器とも受け取れなくはなかった。
「そんなにホイホイ宿儺もどきがいてほしくないんだけどなぁ。」
『危ないところだったよ十代。僕達の魂に直接触れてきた。』
「魂に? それってやばくねえか?」
大徳寺先生のような魂だけになった存在を知っており、
ユベルの言葉をすんなりと受け止められる。
此方が実体化させてないのに触れることができた。
本人も危ないと言うほどなので、それは相当危険ことだと察せられる。
「本来はやばいんだけどね。俺の術式無為転変は魂に触れ、
その形を変える。魂はいつだって肉体の先にあるから、
肉体の形は魂の形に引っ張られる。雑に言えば身体が改造されてた。こんな風にね。」
「滅茶苦茶やべえじゃん!?」
ボコボコと腕を改変させて異形の顔へと形を変えてみれば、
意味をより理解し、顔に触れたり体中を見渡して自分を確認する十代。
無論真人からすれば宿儺のような器だ。触れても妨害されるかもしれないし、
最悪の場合宿儺の時みたいに反撃されて余計なダメージを負う可能性もある。
だから術式を開示したところで、無為転変をそのまま十代に使うつもりはない。
「大丈夫。その実験をしたかったんだけど、
君は虎杖と同じで魂に触れたらよくなさそうだからね。
と言うことだから、今回は普通に殺すことにしておくよ。」
実験は別の参加者で試すとして、
とりあえず十代を殺すべく今度は手を刃へと変えて肉薄する。
コンクリートを破壊しうるだけの一撃だ。いくら十代と言えど当たれば死ぬ一撃だが、
身体を確認してても相手のことをちゃんと見ていた十代は刃を紙一重で躱す。
とは言えそう何度も躱せるものではないだろう。相手は体を自在に変化させる。
つまり避けきれないような面の攻撃をされれば逃げ場のない屋上では確実に詰む。
だからその前にリュックに突っ込んだままの手を動かし、今度こそ支給品を取り出す。
「ラッキー! デュエルモンスターズ……ってみたこともねえカードだ!」
引き当てたのは馴染みのあるデュエルモンスターズではあった。
しかしE・HEROでもなければネオス関連でもない、見たことのないモンスターカード。
効果をじっくり読んでいては確実に首を刎ねられるだろうことは状況を見ればわかる。
「ああもう仕方ねえ! 来い!」
最悪アクア・ネオスの時みたいに戦いながら把握すればいい。
そう判断し続けざまに来た斬撃を後方へとジャンプしながら躱しつつ、
十代がカードを目の前に翳し、召喚されるモンスターは黄金に輝いていた。
全身が黄金に覆われ、胸元の黄金螺旋のような物体が黄金の中でも紅く煌めく。
三メートル以上はあるであろう巨躯に、両者はそのモンスターの顔を見上げざるを得ない。
紫のマントを靡かせる姿はヒーローと言うよりは、魔王や覇王と言った風貌だろう。
「これが俺の引いたカード『黄金卿エルドリッチ』だ!」
「式神、と言ったところかな。しかもそれなりによさげの。
別に君を狙ってもいいんだけど……まあどうせだし楽しまないとね。」
屋上を揺らしながら着地するエルドリッチを前に
あの黄金の鎧だか肉体だか分からない部位を破壊するのは刃物では不十分。
殺すのではなく破壊する、そのインスピレーションを体現するべく手をドリルへと変える。
「行け、エルドリッチ!」
エルドリッチの掌底と真人のドリルがぶつかり合う。
真人の見立て通りそれなりな式神であり、巨躯に違わぬパワーを持つ。
互いの攻撃がぶつかり合えば真人が床を削りながら後ずさりするものの、
「うん、やっぱりそれなりによさげだけどその程度だ!!」
攻撃を中断し、飛び上がりながら左手をスパイクだらけの法螺貝へと変えて頭部へと叩き込む。
頭部にひびが入るものの、それに耐えてエルドリッチが拳を突き出す。
素早い一撃も空中で身を翻すことで真人は躱し、続けざまに右手も同じ形状にして今度は縦に振るう。
ハンマーのように振られたそれは再び頭部にクリーンヒットし、顔にさらに亀裂を広げ、遂には床が耐え切れず崩落。
「エルドリッチ!」
一体と一人はそのまま落下していくが、真人はそのまま畳みかける。
一階、また一階と床ごと砕きながらエルドリッチへと攻撃を入れていく。
「何か対処法は……」
カードを見ながら戦況から次の一手を考える十代。
考えてる間にも破壊の音は続き、さながら終焉へのカウントダウンだ。
テキスト読み終えるとすぐに追いかけるように穴から下の階へ飛び移ろうとするが、
穴からは先に真人が飛んで戻ってきたため飛び退く。
「結構頑丈だったからかなりの数殴る羽目になったけど
言い換えればそれだけが取り柄ってところを感じるね、あれは。」
戻ってきたと言うことは、そういうことなのだと察した。
下の階へと落ちたまま戻ってこないのが全てを物語っている。
屋上から遥か下層にてエルドリッチは倒れている。
全身に亀裂が広がっており、瞳も光を宿していない。
誰が見ても再起不能だと認識するレベルの状態だ。
早々に式神を使ったと言うことは本人はまともに戦えないはず。
頼みの綱と思われる式神を倒された人間はどんなものか。
不気味な笑みを浮かべながら振り返ってみれば、
「……それはどうかな?」
その表情は不敵な笑みを浮かべている。
嘘ではない。その言葉に魂は揺らいでいなかった。
式神と戦った間は数十秒程度だ。十代は変わった様子はない。
だと言うのにその表情とまっすぐな魂に、真人は怪訝な顔をする。
「エルドリッチのモンスター効果、発動!」
リュックに手を突っ込み何かを掴むと同時に宣言する。
黄金卿エルドリッチには二つのモンスター効果がある。
一つは自身と手札の魔法・罠をコストにカードを除去する効果。
もう一つはフィールドの魔法・罠をコストに自身を墓地から回収し、追加で手札のアンデット族を特殊召喚する効果。
双方の効果はどちらも強力だが発動コストが必要。だがデュエルモンスターズならいざ知らず、
この殺し合いにおけるフィールド上の『魔法・罠カード』は余りにも限定的すぎると疑問を感じた。
それならば最初からストレートに効果のないモンスターカードを支給してしまえばいいだけのことだ。
エルドリッチの攻撃力は2500。ブラック・マジシャンやネオスと同じなのだから態々このカードにする意義は薄い。
だから十代は思った。『ひょっとして魔法・罠カードは支給品で代替えできるのではないか?』と。
そう思ってフィールドのコスト、何の支給品なのかは分からないが手にしたものを捧げる。
「戻ってこい! 黄金卿エルドリッチ!」
十代の眼前に浮かぶ、白い黄金螺旋の物体。
それが紅く煌めくと黄金螺旋を中心に再び黄金の化身が姿を現す。
解釈は間違っていなかったのもあり、復活したことでガッツポーズする十代と、
対照的に真人は『何だそれだけか』と残念そうな表情をしながらエルドリッチと対峙する。
ただ復活しただだけの式神だ。その程度では寿命がわずかに伸びただけに過ぎないのだから。
「まあいいや。今度はバラバラにすれば折れるだろうけど!」
それは先ほどの焼き直しの展開だ。
エルドリッチの掌底と真人の腕を変形させたドリルがぶつかり合わせる。
何度やっても同じところを見せつければその魂も折れるだろう。
その油断がこの場における真人の判断ミスとなる。
「あれ?」
ドリルが潰れ、鮮血が噴き出す。
予想してなかった結果に真人が戸惑う。
「エルドリッチのモンスター効果には続きがあるのさ!」
エルドリッチの効果で特殊召喚したモンスターはそのままではなく、
しばらくの間攻撃力が上昇し、カード効果への破壊に対する耐性を得る効果が付与される。
油断していたのもあるが攻撃には競り勝ち、そのままドリルを潰した勢いの掌底が顔面へと叩き込まれる。
今度は床を削る程度では済まされない。フェンスを貫通し、隣のビルの壁を突き破っていく。
壁は一枚や二枚ではないだろう、かなりの数が割れる音を耳にし、威力の強さを物語っている。
十代からは真人の姿が見えなくなるぐらいに吹き飛ばされ、生死の確認すらできない。
『此処は退くべきだ十代。カードは使えるようだが、
生身の人間があれを相手し続けるのは相当苦労するはずだ。
恐らく相手は生きてると考えて動くべきだろう。』
「ああ、分かってるさユベル。」
パラドックスの時のように、
都合よく遊星が助けにくるとは限らない。
エルドリッチの攻撃力上昇効果にも時間制限がある。
今度はエルドリッチだからと油断することもないはずだ。
アレを放置するのは危険だとは分かっているがいかんせん準備が足りなさすぎる。
この状況で手を出すべきではない相手なのもあり、逃げを選ぶしかない。
「頼むぜ、エルドリッチ。」
肩へ乗ると、跳躍しながら隣のビルへと飛び移る。
重量で床を崩落させないかと心配しながら十代は摩天楼を駆けていく。
【遊城十代@遊戯王GX】
状態:健康
服装:オシリスレッドの制服
装備:黄金卿エルドリッチ@遊戯王OCG
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン(※エルドリッチのコストにこの中からどれか一つ消費)
思考
基本:あいつ(真人)も羂索も倒す。
00:継ぎ接ぎの男を何とかする手段を探す。
参戦時期:超融合!時空を超えた絆の本編終了後
備考
「んー……あの式神がいつまでパワーアップしてるか分からないし、追撃はやめておくかな。」
瓦礫に埋もれていた真人は何事もなかったかのように起き上がる。
本来は魂の輪郭を知覚したものや魂に直接攻撃できるものでなければ、
真人へのダメージは与えることはできないものの制限の影響か、
エルドリッチの攻撃がダメージになっており少しばかり疲労感を感じていた。
もっとも、この程度ならば修復すればどうとでもなる程度なのだが。
「遊びもほどほどにってことか。」
素直に多重魂撥体と言った面の攻撃をしていれば、
呪術師でない十代には対応ができなかったので容易に殺せた。
一貫性がなくブレるのが呪いではあるが、今回はそれに足元をすくわれている。
少しばかりは気を付けようと思いながら、適当に街中を散策することにした。
「あ、靴拾ってこよ。」
【真人@呪術廻戦】
状態:ダメージ(小)
服装:いつもの(靴なし)
装備:改造人間@呪術廻戦
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:いつも通りにする。呪いらしく、人間らしく狡猾に。
00:さて、どうしようかな。
01:そんなホイホイ宿儺もどきがいても困るんだけどね。
参戦時期:少なくとも渋谷事変よりも前
備考
※魂の輪郭を知覚していればダメージはより通りますが、
魂の輪郭を知覚してなくてもダメージは通るようになってます。
※改造人間が没収されてない代わりに支給品が1枠減ってます。
・黄金卿エルドリッチ@遊戯王OCG
十代に支給。召喚すると破壊されるまで共に戦ってくれる。
破壊されるなどされると12時間使用不可能になるが、後述の②の効果で即座に使用可能。
テキストは以下の通り
効果モンスター
星10/光属性/アンデット族/攻2500/守2800
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:手札からこのカードと魔法・罠カード1枚を墓地へ送り、
フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを墓地へ送る。
②:このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。
このカードを手札に加える。その後、手札からアンデット族モンスター1体を特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したモンスターは相手ターン終了時まで、
攻撃力・守備力が1000アップし、効果では破壊されない。
本ロワでは魔法・罠の代わりに支給品やドロップアイテム、
SA・ホットラインなどをコストにすることでも効果を発動可能。
①の効果はこのカードが召喚可能な場合にコストとしてこのカードが召喚不可になり、
②の効果はこのカードが召喚不可の状態である場合にのみ発動することができる。
ただしどちらの効果も、使用者が所持してるものでなければならない。
あくまでデュエルモンスターズのカードなため自我と言ったものはない。
以上で投下終了です
投下します
困惑に次ぐ困惑に次ぐ困惑。
ユフィリア・マゼンタの心情を表すのにこれ以上に適した言葉はないだろう。
羂索を名乗った怪人の暴挙に始まり、瞬くする間に送り込まれた殺し合いの会場は現代日本の街並みを基にしたエリア。
我々の歴史で言う所の中世に近い世界観を生きるユフィリアにとっては建物が全て城並みの高さを誇り、原理不明の大量の常夜灯があるお陰で夜明け前なのに昼間のように明るく、照らされる道は歩道からシャドウに至るまで全て大通りと言って差し支えない広さを誇り、時折道のわきには鉄の塊で出来てるのに動物をくくれそうな場所が全くない馬車が停車している。
(め、眩暈が……)
それでも考え事をするなら支給されたリュックから最低限の武器を取り出して装備し、人目を避けられる場所に行ってからと考えるだけの冷静さは残っていたようで金色の柄の長剣を片手に近くの児童公園の奥まったベンチまで進んだ。
(ようやく落ち着けました。
……まずはどうするべきでしょうか?
50時間というタイムリミットがある以上籠城や外からの助けを待つのは下の下と言わざるを得ないでしょう。
もし他に知り合いも巻き込まれているなら合流すべきなのは、当然ですね。
特にアニス様なら興味本位でさっきの鋼の馬車をバラバラにしている間に背後からザクッ!なんてことが起こらないとも限りません)
それからあの他人の肉体を乗っ取る怪人、羂索とその一味に関する情報を集めることだろう。
(クルーゼにカヤバでしたか?
あとは望み薄ですが、医者が居るなら真っ先に保護したいですね。
専門外でも居ると居ないで大違いなはずです)
嵌められた腕輪、より正確に言えばその中の鎮静剤のお陰で今は症状のない謎の感染症への対策。
仮にこの枷を外して令呪に寄らずとも全力を出せるようになっても即座に病死してしまっては意味がない。
何よりユフィリアもあんな死体一つロクに残らない死に方は御免だ。
(では地図が見れるようになるまでの時間で道具の確認をしますか)
まずは真っ先に手に取った剣だ。
鞘から抜いてみるとその深紅の刀身はユフィリアが今まで見たことない程研ぎ澄まされており、その気になればどんな物でも斬れてしまいそうに思えた。
説明書を読んでみると、銘はサタンサーベルといい、創生王の証の一つであるという。
確かに刃は妖しいまでの美しさを持ち、柄は全て金。
その上実用性もあるとなれば、王者の剣として申し分ないだろう。
(これを持って帰ってパレッティア王家に反逆しろとでも?
嗤えないジョークです)
現パレッティア王から軍権を預かるマゼンタ家への侮辱を感じながらも、武器、純粋な剣としては恐らくこれ以上を望めないと感じ腰に下げる。
そして次の支給品を探ろうとした時
「たすけてー!だれかー!」
公園の入り口の方から悲鳴が聞こえて来た。
見ると、どう見ても10歳には満たない子供が何度も後ろを振り返りながら必死の形相で駆け込んできていた。
胸元に赤い竜のおもちゃを抱えており、武器の類は持っているように見えない。
敵意はないと判断し、ユフィリアは少女、朝比奈まふゆに近づこうと一歩を踏み出した。
だが地面を踏みしめることは出来なかった。
(地面が崩れて……ッ!)
さっきまで確かに硬かった地面が崩れ、すり鉢状になったそこに転がり落ちてしまった。
「大丈夫ですか?」
「う、うん。でも……」
「はっはっはっ!俺ってばついてるぜ!
お前みたいな若い女は子供の次に旨いんだ!」
まふゆに駆け寄り、無事を確かめていると、砂の中から怪人としか形容の出来ない容姿の化物が出て来た。
体格こそ準人型(ニア・ヒューマン)だが、首周りに砂の渦のような襟巻と、口元からは巨大なニ本の牙が伸びており、目だけが人間に近いのが逆に不気味である。
「……品の無い獣と出会ってしまいましたね」
背中にまふゆを庇いながらサタンサーベルを抜くユフィリア。
抗戦の意志を感じ取った怪人、アントライオン・ドーパントは砂に潜って再び姿を消すとユフィリアの背後に移動してまふゆを狙って飛び出す。
それに即座に反応して剣を振るうユフィリアだが、アントラインは即座に牙で受け止めてまた地面に潜る。
(これは!)
アリジゴク内を縦横無尽に飛び回るアントライオン・ドーパントにユフィリアは攻めあぐねた。
「ッ!」
一閃、二閃とユフィリアの美しい剣筋が空振るか当たっても伏せがレルを繰り返していくうちに、アントライオンの爪や牙が服や頬を霞めて一筋の赤い傷をつくった。
「おねえちゃん!」
「私の後ろから出ないで!
そこも安全とは限りませんが、そこ以外はもっと安全とは言えません!」
「人の心配してる場合かぁ!?」
ついにユフィリアの首筋目掛けてアントライオンが飛び出てくる。
背後から満足に抵抗できないまま体液を啜って殺す。
アントライオンの十八番である。
「キシャアーーーッ!」
しかしアントライオンの牙より先にまふゆの腕に抱かれていた小さな牙の勇者が飛び出る。
(小型の魔物!?)
「ミニティラちゃん!」
「ちっ!玩具風情が!」
見事にアントライオンの顔面に跳び蹴りをヒットさせたミニティラことガブティラオーバーチャージモードは宙返りを撃ってユフィリアの肩にのる。
「助かりました。
貴方が味方ならあの子を傍で守っていてくれますか?」
言葉が通じるか分からなかったが、そういうとミニティラは一鳴きしてまふゆの元に戻る。
(さて、私一人よりは耐えれそうですがあまり長引かせたくはないですね)
アントライオンの攻撃を耐えながらもユフィリアは絶えず思考を回転させていた。
(派手に魔法を使えばいくらでも勝ち筋はありますが、あの魔物がどこに潜んでいるか分からないこの状態でそれはどう考えてもこの子とあの竜を巻き込んでしまいます。
それにケンジャクの言葉を信じるなら私の、というよりこの催しに呼ばれた全員は何らかの手段で力を削がれている。
それがどのように削がれているか分からない以上こんな最序盤で全力投球は出来ません!)
今のところ魔法を使っていない上で疲労はいつもとそう変わらないのを考えるに体力はさほど削がれてないようだが、魔法となると分からない。
さらに悪い様に考えるならば敵に令呪を先に使われた場合確実にまふゆを巻き込まざるを得ない手を使わされる可能性もある。
(何か、何かあと一手があれば!)
そう考えながらひたすら耐え続けていたその時だった。
「やめろぉ!」
赤いマントの青年が自分からアリジゴクに飛び込んで来た。
青年の振るった剣が見事に眉間を捕らえ、アントライオンはたまらず飛びのく。
「いてて……ちっ!今度は男かよ。
ガキか女の兄貴か?母親だったらまだ食えたのに」
「食えたって、お前は人を食べるのか?」
「ああ!俺様はアントライオン!
いずれずっと俺を無視してきた連中を恐怖のどん底に叩き落として風都の神になる者だ!」
「神ですって?」
「そうさ!
風都では何者も俺を恐れずにはいられなくなる!
これを神と言わずして何て言うんだ!?」
「……そのために、味の良し悪しを覚えるぐらいに人を食べたのか?」
「だから何だってんだ!?」
挑発するように言い捨てたアントライオンに鬼と見まごう形相を向けていた青年であったが、不意に力が抜ける。
決して油断ではない。
余分な力を抜き、必ず討つと構えるための予備動作。
そして何より
「貴様のその半端な邪悪、詰まらん下らん気に食わん!」
どんな物も見下しているかのような不敵な笑みを浮かべるために。
手にした剣、オ―ジャカリバーのトリガーに指を伸ばす。
「だったらその棒切れ一本でどうするってんだ!?」
「無論、貴様を倒す!」
<Qua God!>
まず最初にクワガタの角を模したトリガーを引く。
金管楽器のメロディーが響き、刀身が輝く。
その光はトンボ、カマキリ、パピヨン、ハチを模した他のトリガーを引くたびに増えていき
「王鎧武装!」
再びクワガタのトリガーを引くとその身は包んだ琥珀を模したエネルギーに包まれ、飛来した守護神ゴッドクワガタの分身に砕かれる。
<You're the KING!You're the You're the KING!>
そこに居た彼は戦う姿へと変わっていた。
「な、なんだそれ!?
お前、ドーパントだったのか!?」
纏う色は赤。
情熱の、地獄の業火の、そしてなにより血潮の赤。
単なる者よ、伏して崇めよ。
貴様の前に立つ者こそ、現人神にして王権神授の体現者。
即ち……
「一木一草悉く、貴様を滅ぼす者の名は、ギラ・ハスティー!
シュゴッタム王国の支配者!
この企みに従わう道を選ばず、悪鬼羅刹共の掌の上で踊る道も選ばず、全てを救う邪道を征く邪悪の王である!」
<KUWAGATA!OHGER!>
「はっ!王が神に敵う訳ねぇだろうが!」
「どうかな?行くぞ!」
オ―ジャカリバーとアントライオンの爪や牙が激突する。
原初の王剣オ―ジャカリバーZEROを雛形に開発されたオ―ジャカリバーではサタンサーベルに比べて武器としての質は若干劣るがパワードスーツでの膂力などの強化があるクワガタオージャーは確実にアントライオンを削っていた。
(くそ!ドーパントと変わらない動きが出来る上に武器があるのが厄介だ!だったらぁ!)
アントライオンは再び砂の中に潜り、得意の攪乱戦法を使い始めた。
「おにいちゃん!」
「マズイですね……」
「はーっはっはっは!
確かパワードスーツがどうとかあの脳味噌女が言ってたっけか?
ちょっと強いのを配られたからって調子に乗ったな!死ね!」
クワガタオージャーの背後を取ったアントライオンがその首に牙を突き立てる。
「ぐああああああーーーーっ!」
「そんな!」
「はっはっはっ!男にしちゃ旨いなぁ……あり?」
思いがけずいい味に出会えたのもあてテンションの上がるアントライオンだが、すぐにその余裕は消え去ることになる。
首を食い破られ絶叫をあげたはずのクワガタオージャーが、アントライオンの長い牙を掴んでこじ開ける様にして脱出を図っっていたからだ。
「バカな!絶対に死んでるぐらいの量吸ってやったはずなのに!?」
「俺様は邪悪の王だぞ?不死身でも不思議はなかろう!
ナーッハッハッハッハッハッ!
ナーーーッハッハッハッハッハッッハッハッハッハッハッッハッハッハッハッハッ!」
魔王のお手本のような高笑いと共にアントライオンの牙から脱出したクワガタオージャーはオ―ジャカリバーを拾い上げるとクワガタのトリガーを三回引く。
<オージャチャージ!>
「恐怖しろ!そして慄け!俺様が、世界を支配する!」
<オージャスラッシュ!>
「ぎぃいいいいやぁああああああっ!」
赫灼のエネルギーを纏った王剣により正中線で真っ二つに斬り裂かれたアントライオンは爆炎と黒煙
自分の作ったアリジゴクの底に沈んでいった。
【非リア充の男@風都探偵 死亡】
「とぉ!」
ユフィリアとまふゆを抱えたクワガタオージャーはアリジゴクを脱出すると変身を解除した。
「2人とも大丈夫ですか?
怪我は……」
「大したものはありません。
本当に助かりました」
「そうですか。君も、大丈夫?」
まふゆに目線を合わせ、先ほどの魔王を思わせる態度とは打って変わって優し気に話すギラにまふゆも少し表情が柔らかくなる。
「おにいちゃん、ありがとう」
「おにいちゃんだなんて、相手は国王陛下ですよ」
「ご、ごめんなさい」
怒られたと感じたのかまふゆはまた落ち込んでしまった。
すかさず孤児院育ちのギラがフォローに回る。
「気にしてないよ。
それに、こんな場所だしあまり格式ばったことばかりって訳にも」
そう言われたユフィリアはでは、略式で失礼しますと断って右足の膝を左足の膝の裏に入れ、そのまま体を背筋を伸ばしたままかがめる。
「お初にお目にかかります、ギラ・ハスティー国王陛下。
パレッティア王国がマゼンタ公爵家の長女、ユフィリア・マゼンタと申します。
このような場では有りますが、お会いできて光栄です」
「……僕の方こそ、貴女と会えてよかった。
改めて、シュゴッタム王国が王にして、先王ラクレス・ハスティーが弟、ギラ・ハスティー。
ケンジャクたちの企てを阻止するために、貴女の力を貸してほしい」
「願ってもない提案です、国王陛下。
微力ながらお力添えさせていただきます」
ギラとユフィは握手を交わし、ここに小さな王国同盟が結ばれた。
【邪悪なるギラ軍団】
【ギラ・ハスティー@王様戦隊キングオージャ―】
状態:正常
服装:いつもの服装(第二部)
装備:オ―ジャカリバー@王様戦隊キングオージャ―
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:羂索たちザコどもを悉く滅ぼしこのゲームの邪道を往く。
01:民は守る。
ゲームに乗った者たちも極力無力化、撃退にとどめたい。
02:ケンジャクたちに反逆する仲間を集める。
まずは王様戦隊やユフィの仲間と合流したい。
03:ケンジャクやケンジャクの言っていたクルーゼ、カヤバ、クチナシ、カモについて知る者を探す。
参戦時期:VSキョウリュウジャー終了後
備考
※不死性はある程度削がれています。
※シュゴットは令呪を使わなければ呼び出せません。
また、呼び出せたとしても大幅にスケールダウンしています。
※VSキョウリュウジャー終了後なので他のスーパー戦隊に関する知識も少しはあります。
【ユフィリア・マゼンタ@転生王女と天才令嬢の魔法革命】
状態:正常、ダメージ(小)、疲労(小)
服装:いつもの服装
装備:サタンサーベル@仮面ライダーBLACK
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:このゲームに反逆する
01:いざとなれば自国民が最優先だが民は守る。
02:ケンジャクたちに反逆する仲間を集める。
03:まずは来ているなら自分の知り合いや王様戦隊と合流したい。
04:仲間たちが居ないならケンジャクやケンジャクの言っていたクルーゼ、カヤバ、クチナシ、カモについて知る者や医者を探す。
05:シュゴッタム王国と友好を保ち、後々の外交的問題を起こさないようにする。
参戦時期:少なくともまだナチュラルな人間だったころ
備考
※制限の詳細は後の書き手様にお任せします。
※シュゴッタム王国をパレッティア王国が認知してない程遠方の王国であると当たらずとも遠からずな勘違いをしています。
【朝比奈まふゆ@プロジェクトセカイ】
状態:正常、疲労(中)、不安(中〜大)
服装:私服(逃げ回ったり転んだりで汚れている)
装備:ミニティラ@獣電戦隊キョウリュウジャー
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:おうちにかえりたい
01:おかあさん、おとうさん……。
02:ギラおにいちゃん、ユフィリアおねえちゃんといっしょにいく。
03:ありがとう、ギラおにいちゃん、ユフィリアおねえちゃん、ミニティラちゃん。
04:ユフィリアおねえちゃんはやさしいけどちょっとこわい
参戦時期:幼少期
備考
※元の戦闘力がほぼ無いので特に制限はされていません。
【支給品解説】
・アントライオンドーパントメモリ@風都探偵
…非リア充の男@風都探偵に支給。
アリジゴクの記憶を内包したガイアメモリで、生体コネクタを介して人体に挿入することで使用者をアントライオン・ドーパントに変身させる。
毒素の強い旧型であるため、瞳が人間の様、仮にメモリブレイクされたとしても使用者は反動で死んでしまうといった特徴がある。
ドーパントとしての能力は巨大なアリジゴクを創り出し、その中を縦横無尽に移動する、毒針を飛ばす、牙を突き立てた相手の体液を啜るなど、奇襲と直接戦闘能力に長けている。
・オ―ジャカリバー@王様戦隊キングオージャ―
…ギラ・ハスティー@王様戦隊キングオージャ―に支給。
シュゴッタムに伝わる伝説の王剣、オ―ジャカリバーZEROを基に開発された王者の剣。
王様戦隊への王鎧武装に用いる。
近接武器としての使用なら兎も角、本来王鎧武装はあらかじめDNAを登録された者にしか行えないが、当ゲームでは王の資格を持つ者なら誰でも王鎧武装出来る様にされている。
・サタンサーベル@仮面ライダーBLACK
…ユフィリア・マゼンタ@転生王女と天才令嬢の魔法革命に支給。
創生王の証の1つである王剣。
怪人を一撃で葬り得る切れ味と威力、周囲の人間を自分事転移させる、光弾を放つなど数々の力を秘め、使う者の技量次第で驚異の魔剣となる。
しかしその真価を完全に引き出すことができるのは創生王とその候補である世紀王のみ。
・ミニティラ@獣電戦隊キョウリュウジャー
…朝比奈まふゆ@プロジェクトセカイに支給。
牙の獣電竜、ガブティラがカーニバル獣電池を取り込んで人間の肩にのれるサイズまで小さくなった形態。
当然カーニバル獣電池が付属する。
正式名称はガブティラオーバーチャージモード。
銃形態であるガブティラ・デ・カーニバルに変形させて武器として使えるほか、当ゲームではガブリボルバーでのキョウリュウレッドへの変身を経由せずにミニティラ単体でキョウリュウレッド・カーニバルへ変身可能。
令呪を使用すれば元のガブティラや烈車形態であるキョウリュウジャーレッシャーへの変形が可能。
他の獣電竜が居れば獣電巨人への合体も出来る……かもしれない。
投下終了です。
タイトルは INFERNO-ILEGAL SIDE- です
投下します
市街地の一角で、二人の参加者が戦闘を繰り広げていた。
二人は共に、機械の装甲を身に纏っている。
パワードスーツに落とし込まれたモビルスーツを使用しているのだ。
そして彼らは二人とも、モビルスーツが存在する「宇宙世紀」の世界の軍人だった。
しかしだからとって、二人の力量が互角なわけではない。
戦いは、明らかに一方的だった。
(くっ、こんなはずでは……!)
劣勢の側……ニアーライトは心中で毒づく。
彼は、ジオン軍特殊部隊の隊長だった。
モビルスーツを率いる立場ではあったが、自身はパイロットではない。
本来の彼ならば開始早々武力の行使などせず、策略を巡らせて生き残る道を選んだだろう。
そうしなかったのは、なまじ強力な支給品を与えられてしまったからだった。
ニアーライトに支給されたのは、ギラ・ドーガ。
彼の生きた時代から十数年後に開発されるモビルスーツだ。
そのスペックを見て、彼は舞い上がってしまった。
これほど強力な機体があれば、容易に優勝できると。
実際にはこの戦場において、ギラ・ドーガなどさほど強力な戦力ではないという事実を知らずに。
そんなわけで、調子に乗ったニアーライトはさっそく近くにいた参加者に襲いかかった。
だがその参加者にも、モビルスーツが支給されていた。
それはニアーライトにとって……いや、ジオン軍人にとって忌まわしき機体だった。
ガンダム。
ジオン軍に数々の敗北をもたらした悪魔が今、ニアーライトの前にいた。
一瞬たじろいだニアーライトだったが、すぐに強気を取り戻す。
いかにガンダムが強くとも、所詮は「現在」の機体。
「未来」の機体であるギラ・ドーガであれば、充分に勝ち目はあると。
だが、現実はそうはならなかった。
ギラ・ドーガは終始ガンダムに圧倒され、多大なダメージを受けていた。
対するガンダムは、未だに無傷だ。
「こんな……こんなところで負けるわけには……。
私は……キシリア様のためにぃぃぃぃぃ!!」
自分にとって神にも等しい上官の名を叫びながら、ニアーライトはビームソードアックスを振り上げて突進する。
それに対し、ガンダムは無造作に蹴りを繰り出した。
その脚はニアーライトの腕を捉え、アックスを弾き飛ばす。
さらにバランスを崩したニアーライトに向かって、ガンダムはビームライフルを構える。
「地獄に帰れ、ジオンの亡霊よ」
「っ!」
冷淡な声色で告げるガンダム。
その声に、ニアーライトは聞き覚えがあった。
直接会ったことはない。だがジオンのプロパガンダ映像で、その声は何度も聞いていた。
「まさかあなた……赤いすいせ……」
最後まで言い終わらぬうちに、ビームがギラ・ドーガの胸部を直撃する。
その一撃で限界を迎えたギラ・ドーガは爆発し、それを纏っていたニアーライトの体も四散した。
◆ ◆ ◆
「最初に戦う相手が、ジオン兵とは……。因果なものだ」
戦いを終え、ガンダムを脱いだ男が独りごちる。
男の名は、クワトロ・バジーナ。
いくつもの名を名乗ってきた宇宙世紀きっての有名人は、その名を使っている時期からこのゲームに招待されていた。
「人類に失望した私なら、抵抗なく殺し合いに乗ると思ったか?
あいにくだが、そう簡単にはいかんよ」
ここに連れてこられる直前、彼は自分が期待を寄せていたカミーユの破滅を感じ取り、革新への道を潰した人類に失望していた。
だがだからといって、こんな悪趣味なゲームを肯定するつもりはない。
ただの無秩序な殺戮を行ったところで、人類を変えることはできないのだから。
殺し合いを打破する。そのために、危険分子は容赦なく排除する。
それが彼の方針だった。
「それにしても、気になるな……。
並行世界などと、そう簡単には信じられんが……」
おのれの支給品に思いを巡らせ、クワトロはまた呟く。
彼に支給されたガンダムは、正確には「キャスバル専用ガンダム」。
並行世界において、彼自身が搭乗していたモビルスーツだという。
「それが本当だとして、その世界の私はどうなったのか……。
いや、気にしても仕方ないか。
今は、殺し合いをどうにかするのが先決だ」
淡々と呟き、クワトロはその場を後にした。
【クワトロ・バジーナ@機動戦士Zガンダム】
状態:正常
服装:軍服にサングラス
装備:キャスバル専用ガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダム ギレンの野望シリーズ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを打破する
1:危険分子は殺害する
2:並行世界が気になる
参戦時期:最終回後
備考
・名簿にはシャアでもキャスバルでもなく、クワトロとして記載されています
【ニアーライト@機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で… 死亡】
※ギラ・ドーガの起動鍵@機動戦士ガンダム 逆襲のシャア及びその他の支給品は破壊されました
【支給品紹介】
【キャスバル専用ガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダム ギレンの野望シリーズ】
シャアが一年戦争中にネオジオンを結成する、IFの歴史において開発されたモビルスーツ。
キャスバルことシャア専用であるがゆえに、赤を基調にした塗装が施されている。
基本性能は元になったガンダムとほぼ同じだが、機動性が強化されている。
【ギラ・ドーガの起動鍵@機動戦士ガンダム 逆襲のシャア】
シャア率いる新生ネオジオンの主力として使用された、量産型モビルスーツ。
尖った特徴はないが安定性に優れた、ザク系MSの集大成である。
投下終了です
タイトルは「パワードスーツの性能の差が、戦力の決定的差でないことを教えてやる!」です
投下します
「起動鍵の方はアイツとオッサンのやつなのに、こっちはちゃんと赤服もあるのかよ」
NPCモンスターに落とし込まれたMSストライクダガーやMAメビウスの残骸が転がるショッピングモールのブティックにて。
衣装合わせ用の鏡の前で錬金アカデミーの赤い制服に袖を通した色黒の肌とオールバックにした金発が眼を引く少年がぼやく。
彼の名前はディアッカ・エルスマン。
C.E54年3月29日生まれの第二世代のコーディネイターにして、ザフト軍のエリートの証、赤服の着用を許されたパイロットである。
(ま、いいさ。
要はあのクチナシとか言う胸だけの脳味噌むき出し女をとっちめりゃいいんだろ?)
彼は羂索がポロっと名前を漏らしたクルーゼ、ラウ・ル・クルーゼの指揮下で奪取したMSバスターガンダムに搭乗し、地球連合軍の新造艦アークエンジェルを追い立て激戦を繰り広げたのだが、様々な出会いと紆余曲折を経て相棒のイザークの顔に傷をつけ、仲間の一人のニコルの仇であるキラ・ヤマトや自発的に祖国を裏切ったかつての仲間のアスラン・ザラと共に戦う事を選び、地球連合軍とザフト軍の最終決戦に参戦した……はずだったのだが今はこうして羂索たちの悪趣味極まるバトルロワイヤルに参加させられてしまっている。
「にしても、クチナシの言ってたクルーゼがクルーゼ隊長のことなら一体何を考えて……」
「おい」
背後から聞こえた声に素早く起動鍵を使おうとするが、それより早く青いショットガンに叩き落とされ、銃口を喉元に突きつけられた。
軍人として上位の成績を残した者であるはずの赤服組の一人を完封したのは、桃色の長い髪をポニーテールにまとめた防弾チョッキに盾の少女だった。
(このチビ女、なんて動きしやがる!)
「今クルーゼって言ったのか?」
「……だったらなんだよ?」
「教えろ!奴について知っていることを全て!」
「ッ!それが人に物を頼む態度かよ!?
そんな物騒なのを振り回されちゃあどんな口も硬くなるってもんだぜ!」
「うるさい!先にユメ先輩を愚弄したのはお前だ!
さっさと教えろ!
羂索の、ユメ先輩の死体を穢すあの腐れ野郎の仲間の事を教えろ!」
もう何時引き金を引いてもおかしくない程に激高する少女に万事休すか?と思わずディアッカが覚悟を決めかけた時だった。
「そこまでです!」
これもパワードスーツの一種なのか、VRゴーグルに似たバイザーと競泳水着のようなアンダースーツの上にメカメカしいプロテクターを付けた異様に白い肌の少女が大楯片手に割り込んで来た
「邪魔を……」
「礼装起動!ガンド!」
攻撃しようとしたポニーテールの少女の動きがしびれた様に止まる。
見ると大楯の少女の仲間なのか、白いこれまた肌にぴったりとフィットした奇妙な服装の少年が人差し指を拳銃のように向けている。
何をしたか知らないディアッカにとってはチャンスに違いない。
「グゥレイトォ!
誰だか知らんが助かったぜ!」
叩き落とされた起動鍵を拾い上げると同時に使用し、ディアッカは時に対峙し、時に背中を預けたストライクガンダムのパワードスーツを装着した。
ストライクはストライカーパックという拡張武装があるのだが、今回は使わずに盾とビームライフルを装備するにとどめている。
「盾持ちがトンだ奴ばっかじゃなくて良かったよ。
あっちの白タイツ含めて味方、でいいんだよな?」
「はい。私はマシュ・キリエライトといいます。
あちらは藤丸立香先輩です」
「オーライ。
俺はディアッカ・エルスマン。
おいチビ、お前は何て名前だ?」
もう既に痺れはなくなっていたが、こんな序盤で暴れ回って悪評が先立つのは得策ではないと判断するだけの理性は残っていたのかポニーテールの少女は盾とショットガンを畳むと
「……小鳥遊ホシノ」
と、ぶっきらぼうに名乗った。
「そのキヴォトスとかいうとこ、いくら丈夫な奴しかいないからって物騒すぎだろ。
なんだよ軍人でも警察でもねえガキが拳銃振り回してるって」
「私としては宇宙で巨大ロボット使った戦争している方がよっぽど物騒に聞こえるんだけど」
「あのロボット、ディアッカが乗ってたの?」
「いや、あれはアイツとオッサンの機体で、もしかしたらラスティが乗ってたかもしれない機体だ。
散々辛酸舐めさせられた上に命まで預けた機体だよ。
クルーゼ隊長もジョークが上手いぜ」
とりあえず持っている情報を刷り合わせようという話になった4人はモール内のカフェの一角に陣取っていた。
「それで、マシュ。
俺のとディアッカたちの令呪の違いは分かった?」
「はい。
先輩の令呪は今まで通り私たち契約したサーヴァントに対して発揮される物で間違いないのですが、お二人、というよりサーヴァントを持たない参加者の皆様の物は預託令呪、使い切りの魔術刻印に近いです。
そもそも令呪は疑似神経である魔術回路とは別系統の魔術な上に、既に羂索たちが私たちに特殊なウイルスを投与している以上肉体に直接の害はないとは思うのですが……」
「安心はできないって事?」
「どっちにしろ使い切ったら失格、なんだろ?
失格になった奴がどうなるか分かんない以上どうしようもないだろ」
あまり進展があったとは言い難いが、元々サーヴァントを持つ者とそうでない者の令呪の違いは概ねマシュの想像通りであったようだ。
「どうして『先輩』が『後輩』より物を知らないのさ……」
「仕方ないだろ?
マシュは俺と同じコーディネイター。
生まれる前からあれが出来る、これも出来るってふうに造られてるんだ。
ナチュラルのリツカより優秀で当然。
そのリツカでも隙うかがってお前を撃つぐらい出来るんだし問題ないだろ?」
真っ先にディアッカが自分の身の上話の過程でナチュラルとコーディネイターというC.Eの人種観を説明していたこともあり、マシュは早々に自分が人造の存在であると明かしていた。
ホシノは驚いたが、ディアッカはむしろ親近感を覚えたのか許可を取ってファーストネーム呼びまでしている。
その一方でミリアリアたちアークエンジェルのクルーとの交流からナチュラルへの差別意識も前に比べ薄まっているのでリツカにも割と普通に接していた。
「ディアッカの世界の国でナチュラルとコーディネイターが共存してる国ってないの?」
「今は無事と言い難いけどオーブとかはそうだな。
けど青き正常なる世界のためにとか叫んでコーディネイターと見ればショットガン向けてくるような連中もいるから行く気があるなら気を付けろよ?」
「何?当てつけのつもり?」
「ただの事実だ。違わないだろ?」
「ディアッカ、あんまり煽んないでよ」
「ホシノさんも腹が立つのは分かりますがイチイチ突っかからないでください!」
「ふん!」
「ちっ!まあいいさ。
それで、お前らはどう動く気なんだ?
どうせ名簿はあと1時間とちょっと経つまで見れないし、クルーゼ隊長の尻拭いじゃねえけど、脳味噌女をとっちめる気があるなら手を貸すぜ」
「本当ですか?」
「心強いよ!」
「逆に魔術云々に関しちゃこっちが当てにさせてもらうんだからお互い様だ。
おいチビ、お前はどうするんだ?」
「……ついてこれなくなったら置いていく」
「は?なんだそりゃあ?
っておい!何勝手に移動してんだ?
おい待てよチビ!」
さっさと武装を展開して歩き出したホシノを追うディアッカ。
そんな二人に立香とマシュは一度顔を見合わせると短くため息をついた。
【マシュ・キリエライト@Fate/Grand Order】
状態:正常
服装:いつもの服装
装備:霊基外骨骼オルテナウス改修型@Fate/Grand Order
令呪:マスター持ちサーヴァントの為なし
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:羂索の企みを阻止する。
01:先輩、ディアッカさん、ホシノさんと行動する。
02:C.Eにキヴォトス……特異点や異分帯、先輩がレムレムしている様子やぐだぐだな感じはしませんね。
03:羂索たちの用意した令呪は預託令呪に近いようですね。
04:ディアッカさんからすれば私のような存在は珍しくないのでしょうか?
05:ホシノさん……かなり心配です。
参戦時期:少なくとも二部第五章後半より後
備考
※ディアッカ、ホシノと情報交換しました。
※少しだけディアッカとホシノの令呪を調べカルデアの物とは違い預託令呪に近い物であると考えています。
【藤丸立香(男)@Fate/Grand Order】
状態:正常
服装:カルデア戦闘服@Fate/Grand Order
装備:カルデア戦闘服@Fate/Grand Order
令呪:残り三画(マシュ、ブラックバレル以外に使用不可)
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:羂索の企みを阻止する。
01:マシュ、ディアッカ、ホシノと行動する。
02:マシュ以外のサーヴァントと繋がってない……。
いつも通りと言えばいつもも通りだけど
03:ホシノ……大丈夫じゃなさそう。
04:かっこよかったなぁ、ガンダム。
参戦時期:少なくとも二部第五章後半より後
備考
※ディアッカ、ホシノと情報交換しました。
【支給品解説】
・霊基外骨骼オルテナウス改修型@Fate/Grand Order
…マシュ・キリエライト@Fate/Grand Orderに支給。
ギャラハットの霊基を失ったマシュを補強するための強化外骨格。
これによりマシュはサーヴァントとして平均的な戦闘能力を維持している。
何度か改修されており周囲探索、自己調整、ジェットスキーのオレルス・ボード、令呪一画を弾丸として発射する神すら討ち滅ぼすアトラス七大兵器の1つ天寿のレプリカ、ブラックバレルが追加されている。
・カルデア戦闘服@Fate/Grand Order
…藤丸立香(男)@Fate/Grand Orderに支給。
人理保障機関カルデアが開発したボディースーツタイプの魔術礼装。
装備することで味方全体の攻撃力を強化する『全体強化』、敵単体にスタンを付与する『ガンド』、バトル中のメンバーをサブメンバーと入れ替える『オーダーチェンジ』などが行える。
スキルは一度発動するとブランクが必要になるが当ゲームではどのようになっているかは後の書き手様にお任せします。
「おい待てよ!
さっきからカリカリしっぱなしでなんなんだよお前」
いつでも起動鍵を使える様にしながら一人勝手に進むホシノに追いついたディアッカは苦言を呈する。
それに対してホシノは振り返りもしない。
「さっき、軍人だとか言ってたよね」
「それがなんだよ」
「じゃあ味方が死ぬところとかも見たことある?」
「鉛玉当たってもサンダルでズッコケた程度で済むお前らには分かんないだろうけど、敵も味方も死なない戦場なんて無ぇよ」
「じゃあさ!死体が、動くわけがないのも知ってるよね?」
「……何が言いたい」
「黙ってられる訳ないし何もせずにいられるわけがないだろ!
大切な人がゾンビみたいな何かにさせられてっ!」
そう叫びながら振り返ったホシノの顔には憎悪しかなかった。
きっとその目はディアッカを通してクルーゼを、そしてディアッカの瞳に映る自分を通して慕った先輩を利用する悪鬼を睨んでいるのだろう。
そんなホシノにディアッカは一瞬たじろいだがバツが悪そうに後頭部を掻くと
「俺もあんまり他人のこと言える立場じゃないし、もしケンジャクが使ったのがクチナシじゃなくてニコルだったらお前みたいにならなかった自信ないけどよ……」
一瞬だけストライクの起動鍵に目をお落としたが、すぐにまっすぐホシノを見据え
「それ以外何も考えずに戦って良い訳がない。
そうなっちまったらもうナチュラルとかコーディネイターとか関係ない。
転がってくままに、殺し合うだけになっちまう」
そう言ったディアッカの表情はホシノより、ほんの少しだけ酸いも甘いも味わって、その味の良し悪しを考える『大人の男』の物だった。
それがもしかしたら唯一信頼する大人とほんの少し似ているように見えて、ホシノは何も返せず眼を逸らし、進んだ。
【ディアッカ・エルスマン@機動戦士ガンダムSEED】
状態:正常
服装:錬金アカデミーの制服(赤)@仮面ライダーガッチャード
装備:ストライクガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン、私服、錬金アカデミーの制服(青、黒)@仮面ライダーガッチャード
思考
基本:あの脳味噌女をとっちめる。
01:イザークたちやアークエンジェルの連中も呼ばれてるのか?
02:クチナシの後輩だかなんだか知らねえけど、キレてる上に可愛げのねえチビだぜ。
おまけにちょっと前の誰かみてぇなガキだ。
03:リツカにマシュ……コーディネイターとナチュラルのカップル、か。
04:クルーゼ隊長の尻拭いじゃねえけど、マシュとリツカに手を貸す。
05:学園都市の癖に物騒すぎだろキヴォトス。
06:人理再編ねぇ。戦争とどっちがクソなんだか。
07:アイツとオッサンと、ラスティの分も暴れてやるぜ
参戦時期:少なくとも第2次ヤキン・ドゥーエ攻防戦開始後
備考
※ストライクは起動時にパックなし、エール、ソード、ランチャーを選択できます。
※マシュ、立香、ホシノと情報交換しました。
【小鳥遊ホシノ@ブルーアーカイブ】
状態:健康、ユメ先輩の死体を利用されている現状への怒り(極大)、羂索、茅場、クルーゼへの殺意(極大)
服装:臨戦
装備:アタッシュショットガン@仮面ライダーアウトサイダーズ
折り畳み式の盾@ブルーアーカイブ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:羂索たちを殺す
01:羂索たちに関する情報を集める。
02:こいつ(ディアッカ)、リツカ、マシュと同行。
ついてこれなさそうならそれまで。
03:もし他のアビドスの皆や先生が居たら……。
04:クルーゼの部下のこいつ(ディアッカ)は信用できない。
……信用しない。絶対に。
参戦時期:対策委員会編第三章にて空崎ヒナと会敵するより前
備考
※ディアッカ、マシュ、立香と情報交換しました。
しかし本人がいっぱいいっぱいなのでどの程度理解できてるか分かりません。
【支給品解説】
・ストライクガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED
…ディアッカ・エルスマン@機動戦士ガンダムSEEDシリーズに支給。
地球連合軍が開発した試作機の一機で、最も最後に完成した拡張性に優れた機体。
カラーリングはトリコロール。
フェイズシフト装甲により物理攻撃には強い耐性を持っている。
ストライカーパックという拡張装備により様々な戦局に対応可能で、高機動戦闘用のエール、白兵戦用のソード、砲撃戦用のランチャーの三つがある。
ストライクそのものの装備は頭部バルカン、対装甲コンバットナイフ二本、ビームライフル、対ビームシールド、実弾バズーカなどである。
・錬金アカデミーの制服(三種セット)@仮面ライダーガッチャード
…ディアッカ・エルスマン@機動戦士ガンダムSEEDシリーズに支給。
錬金術師の育成機関である錬金アカデミーの制服。
恐らく錬金術師としてのランクが上がって行くごとに青→赤→黒と変わっていく。
青と赤は色が違うだけでデザイン自体は一緒だが、黒はジャケットからスーツに変わる。
アルケミストリングは付属しない。
・アタッシュショットガン@仮面ライダーアウトサイダーズ
…小鳥遊ホシノ@ブルーアーカイブに支給。
ゼロワン系仮面ライダーの外付け武装の一種で、その名の通りアタッシュケース状の携行形態からショットガンに変形する。
威力はかなり高く初期型は反動も強い。
銃身自体がかなり固く、アタッシュケース形態では盾にもなる。
プログライズキーやゼツメライズキーを装填できるスロットがあり、装填したキーに応じた必殺技を発動可能。
・折り畳み式の盾@ブルーアーカイブ
…小鳥遊ホシノ@ブルーアーカイブに支給。
彼女がいつも持ち歩いている盾でかなり頑丈。
投下終了です。
タイトルは 汚れちまつた特別に です
投下します
「許せん……」
ゲームエリアの片隅で、一人の女が呟いた。
彼女の名は、アメリ。とあるスラムを支配する、ギャングの首領である。
アメリが今の地位にまで上り詰めたのは、自分のためではない。
ある日突然姿を消した大切な幼馴染、イルマのためだ。
彼が生きていると信じ、アメリはスラムでのし上がっていった。
いつかイルマが帰ってきた時、自分の力で守れるように。
彼がもう、どこにも行かなくていいように。
そしてついに、彼女はイルマの所在を突き止めた。
もうすぐ、再会が叶う。
そのタイミングで、アメリはこのゲームに参加させられた。
「もう少し……もう少しだったんだぞ……。
もう、イルマとの再会は目前だったのに……。
こんなところで死んでしまったら……私の9年は全くの無駄ではないか!」
彼女の内に満ちるのは、憎悪。
最愛の存在との再会を台無しにし、自分のこれまでの努力を無駄にした主催者への憎しみだ。
「いいさ、そっちが望むなら殺し合ってやる。
イルマのためなら、どれだけ血に染まってもかまうものか」
アメリの手には、奇妙な形のスタンプが握られていた。
彼女はそれを迷わず、自分の首元に押し当てる。
それをトリガーに、彼女の肉体は変化を始めた。
美しい顔は、邪悪な表情を浮かべた仮面のように変わる。
首から下も、毒々しい色合いの異形へと変化していく。
「クイーンビー・デッドマン」。
本来ならば悪魔崇拝者たちを率いる、悪辣にして純粋な少女が変身した怪物だ。
「ただし、覚悟していろ。
最後には、高みの見物を決め込んでいる貴様らも殺してやる。
反逆も想定内なのだろう?」
スタンプに込められた悪意が、彼女の憎悪を高めたのか。
それとも彼女の憎悪を予想した主催者が、彼女にスタンプを支給したのか。
今となっては、どちらでもいいことだ。
憎悪の塊と化したアメリは、毒蜂の力を纏って戦場へと歩き出した。
【アメリ@魔入りました!入間くん if Episode of 魔フィア】
状態:クイーンビー・デッドマンに変身、憎悪に満ちた思考
服装:ラフな服
装備:クイーンビープロトバイスタンプ@仮面ライダーリバイス
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:勝ち残り、主催者も殺す
参戦時期:第8話でイルマと再会する直前
【支給品解説】
・クイーンビープロトバイスタンプ@仮面ライダーリバイス
人間に押印することで、「デッドマン」と呼ばれる怪人を生み出すスタンプ。
このスタンプは女王蜂の悪魔「クイーンビー・デッドマン」を生み出す。
本来デッドマンは契約を強めることにより変化していくが、
このゲームでは誰が使っても本来の使用者であるアギレラ同様、最初からフェーズ3に変身する。
投下終了です
投下いたします。
ここは会場内にある無数のビル群、その狭い路地の中。
そこには怪物から逃げ惑う少女がいた。
桃色の髪の毛をした、ゆるふわな雰囲気を醸し出す少女だった。
「え〜!何なのコレ〜!?わたし、なんでこんな目に遭っているのー!」
彼女の名前は各務原なでしこ、料理することも食べることも大好きなキャンプ女子である。
そしてそんな彼女の背後にはおおよそ人とは思えない異形の怪物が迫っていた。
昆虫そのものの頭部に大きく膨れ上がった腹部を持つ、ノミと人間が合わさったかのようなグロテスクな異形だった。
彼女はこの殺し合いに飛ばされて間もなくこの怪物と遭遇してしまい、そして必死に逃げ惑って今に至るというわけだ。
怪物はノミの口器から涎を垂らしながら、なでしこを追いかけていた。
その速度は人間の比ではなく、なでしこが必死に走るもすぐに追いつかれるのは明らかだった。
しかしそんなさなか、彼女は近くに灯りの灯った建物を見つけた。
沢山の赤い提灯が並ぶ、昔懐かしいたたずまいの居酒屋だった。
そしてその中には人影のようなものが見えていた。
誰か人がいる、そう考えた彼女は迷うことなくそのガラス戸を開きその中へと入っていく。
「誰かいませんか!怪物に追いかけられているんです!!」
彼女が逃げ込んだ先には二人の男がいた。
ねじり鉢巻きに白シャツを削出まくりした無精ひげの男と、楽士風の服装とそれには似つかわしくない鉄下駄を履いた男だった。
その二人の男は突然の訪問者の登場によって互いに顔を見合わせていたが、ノミのような怪物がガラス戸を破って現れるのを見ると楽士風の男が口を開いた。
「ゲンさん、ムシ野郎といいおんな、どっちが好きだい?」
「聞くまでも、ねえだろうよ!」
その言葉とともに、その二人はなでしこを助けることを選んだのだ。
楽士風の男は足を高く振り上げて鉄下駄を飛ばし、それを怪物の顔と腹部に命中させてひるませる。
そして無精ひげの男は手にした刀で怪物を高く切り上げると共に謎の爆発が起こり、その怪物は地上へと落下すると静かに崩れ去っていくのだった。
その様子になでしこは驚きと感動の表情を浮かべる。
そして『ゲンさん』と呼ばれていた無精ひげの男は肩を鳴らしてその刀を鞘へと収めると彼女の方に振り向き口を開く。
「おい、大丈夫か嬢ちゃん?」
「あ、はい!ありがとうございます!」
その言葉になでしこはようやく我を取り戻し、彼へと感謝の言葉を返す。
「おいおい、俺にはねえのかい?」
「あ、ありがとうございます!助かりました!」
「へへっ、いいってことよ」
楽士風の男の言葉にもなでしこは礼を言い、彼は鉄下駄を履き直しながら笑って返す。
そんな二人の様子になでしこはようやく落ち着きを取り戻すと改めて口を開く。
「あの……助けていただいてありがとうございました」
「ああ、いいってことよ。俺はリュート。そしてこちらが……」
「ゲンってんだ、まあゲンさんとでも呼んでくれ」
「あ、わたしは各務原なでしこって言います!」
彼女の言葉にリュートとゲンさんは笑い、そしてなでしこも笑顔でそれに答えていくのだった。
------------------------
それから数分後……
「ふぅん、"ニホン"ってところから、気づいたらこんなところに……ねぇ」
「嬢ちゃんにはすまねぇけど、俺たちが知らないリージョンなんだよなぁ……」
「えっと、世界は一つという訳じゃなくて…さまざまな世界があって…なんだか頭が痛くなってきたよぉ〜」
彼らはお互いに情報交換をし、そして今に至る。
なでしこが話した内容にゲンさんは頭を抱え、リュートは困った表情で頭をかく。
そんな二人になでしこは苦笑しながら自分の頭では処理できないほどのカルチャーショックに口を開く。
だがそれでも彼らには共通の目的があった。それは……
「……よし!乗り掛かった舟だし『ここから脱出したい』という目的も同じだ、俺も手伝おう。ゲンさんもいいかい?」
「ああ、俺もこんな所にいるのも嫌だしな。いいぜ」
「えっ?」
リュートの言葉になでしこは思わず驚きの声をあげてしまう。
そんな彼女にリュートは言葉を続ける。
「おいおい、嬢ちゃんだけここに置いてくって訳にもいかねえだろ?それに俺たちは『ここから脱出したい』って目的は同じなんだし、な?」
「ああ、一人より大勢の方が心強いしな」
「えっと、それは……ありがとうございます!」
リュートの言葉にゲンさんも同意の言葉を口にする。その言葉になでしこは笑顔で礼を言い頭を下げるのだった。
そんななでしこにリュートは言葉を続ける。
「まあでも、脱出の方法もわかんないから、まずはここら一帯を回ってみようか」
「ああ、そうだな」
「……あ!あの!」
そんな彼らになでしこは手を挙げて口を開く。
「ん?どうした、嬢ちゃん?」
「えっと…その…」
そんな彼女の様子にゲンさんが尋ねると共に、なでしこのお腹から大きな音が鳴り始めた。
「……ああ、そういうことね。じゃあまずは腹ごしらえと行こうか」
「…そうだな……」
「……すみません……」
そして彼らは居酒屋の調理場へと侵入し、腹ごしらえの準備をするのだった……。
【リュート@SaGa Frontier(サガフロンティア)】
状態:健康
服装:縦縞の帽子や長ズボンなど楽士といった様子の格好
装備:鉄下駄@SaGa Frontier(サガフロンティア)
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いなんてあまりしたくないし、脱出を目指す。
01:ゲンさんとともに、脱出するための仲間を集める。
02:ゲンさんがここに来てるってことは、サンダーとかもこっちに呼ばれちゃってんのかねぇ……?
03:なでしこちゃんの友達も探す。
04:まぁ、なんとかなるさ。
参戦時期:リュート編エンディング後
備考
※ゲンさんやサンダー以外の他の知り合いに関しては、後続の書き手に任せます。
※なでしこを未開のリージョン(異世界)出身の女の子と認識してます。
【ゲン@SaGa Frontier(サガフロンティア)】
状態:酔いがさめている
服装:ねじり鉢巻きに袖まくりした白シャツ1枚と腹巻
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:生き残る。積極的に殺し合うつもりはないが、向かってくるならば容赦はしない。
01:まずは脱出するための方法を考える。
02:もっと酒が欲しい。
参戦時期:リュート編エンディング後。そのため故郷を滅ぼした元凶に対する敵討ちが済んだ後。
備考
※なでしこを未開のリージョン(異世界)出身の女の子と認識してます。
【各務原なでしこ@ゆるキャン△(アニメ版)】
状態:健康、先ほどの怪物に関する恐怖とストレス(中)
服装:本栖高校の制服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:元の世界に帰りたい。
01:リュートさんたちと共に行動する。
02:リンちゃんやあきちゃん、あおいちゃん、斎藤さんにグビ姉が呼ばれてないといいんだけど……。
03:お腹、空いた〜……。
参戦時期:第2期の13話(最終話)以降。
備考
※リュートおよびゲンの話から、様々な異世界があることを知りました。
【施設解説】
・居酒屋@現実
…会場内のどこかに設置された居酒屋。
日本式の飲み屋で酒類と料理などを提供する飲食店で、年季の入った木製のテーブルと椅子が複数置かれている。
なお設備自体は充実してるものの店員にあたるNPCは不在のため、自分達で調理などを行う必要がある。
【NPC解説】
・ドレインディモス@バイオハザード3
…T-ウイルスに感染した生物から吸血したノミが二次感染で突然変異して誕生したイレギュラーミュータント。
ノミとは異なりこちらは人間の脳脊髄液を栄養源としており、口内からバネ仕掛けのごとく高速で突き出した口吻を人間の喉に刺し込み頚椎から髄液を吸い上げる。
その後、十分に養分を得るとオスがメス化して産卵する等、単体で繁殖が可能である。
【支給品解説】
・鉄下駄@SaGa Frontier(サガフロンティア)
…リュート@SaGa Frontier(サガフロンティア)に支給。
その名の通り鋼鉄製の下駄で、高い防御力を誇る足用防具。
またこの鉄下駄をシュートして放つ『鉄下駄シュート』という技も存在する。
・どうたぬき@風来のシレンシリーズ
…ゲン@SaGa Frontier(サガフロンティア)に支給。
名のある刀工師が鍛えた一流の刀で、この武器を愛用している風来人も多い。
投下終了です。
以上、ありがとうございました。
私も投下させていただきます
我らは■■であった。
母は■■を産んだ直後に死に、父と親戚たちによって育てられた。
父はプロレスラーであり、試合に勝つたび弟共々舞台(リング)の上で肩車をしてくれた。
父は小学校の頃、事故で死んだ。ーー否、殺された。
父の死後、残された遺産を巡って親族内で諍いが起きた。
事業の不況で金が入り用になった等と言う理由(ワケ)は当時の幼い■■には知る由もない。
ただ、優しかった親族たちが死物狂いの形相で争い、血を流し傷つけ罵り合う小さな地獄に恐怖するしか無い。
迷信深い叔母に「忌み子」と罵しられ、狂った親族から目を背けるように■■は逃げた。
生きねばならなかった。自分たち以外全てが狂おうとも、■だけは守り抜こうと、猛吹雪の夜の中を彷徨った。
彷徨う中で他の親族を殺戮(ころしつく)した父の兄だった男が暴走(やけ)になって我らを殺そうと迫った。
左虎は■を守るために、弟は左虎を守ろうと。
"割(こわ)れ"ようとしていた我ら兄弟は、医者であり忍者でもある一人の漢に助けられた。
我らにとっての救済(すくい)となり、育ての親としても忍者としても、例が出来ぬ程お世話になったのだ。
再び我らは親を失った。
再び、殺された。
極道(ヤクザ)の麻薬研究所(ヤクラボ)への襲撃(カチコミ)忍務。
乱入(つっこ)んで来たのは父を殺した極道番長。
左虎の氷も髪糸(いと)も、■の■■も通じぬ、正真正銘の人外(バケモノ)。
救援(たすけ)に来た■■■二人目の育ての親は、極道番長から我ら■■を庇い、望みを託して死んだ。
悲劇の後、■■はそれぞれ偉大なる親の名を継いだ。
■■■■(■■)■■■、左虎は義父(はせがわ)の名を。
■■■■■■■■■■■■■。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
「"削除(デリート)"」
「"編集(エディット)"」
◆ ◆ ◆
「おはよう、左虎っち」
・・・・
見知った白衣の女性の声に、覇世川左虎は目を覚ます。
視界は十分、だが頭の中が靄に包まれるように曖昧。何か大事なものが抜け落ちてしまったような。
それでも、覚えている。有耶無耶な思考の中でも覚えているものがあった。
・・・・・
その声も、その姿も、その優しさも、左虎は知っている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
幼い頃に共によく聞いたその声を、覇世川左虎はすべて知っている。
「マイ、先生か?」
「うん。小学校の頃の担任だったマイ先生だよ?」
旧知の間柄の如く、覇世川左虎へと軽い口調で語りかける。
左虎の格好は一般のものでなく、白い着物を着飾っているという普通とは少し違う。
それでも、それが当然だと、違和感無くマイ先生は左虎へと接す。
「……お久しぶりです。小学生(しょーぼー)の頃はお世話に」
「随分変わっちゃったね、左虎っち。まあ、それはあたしもかな」
まだ左虎が小学校に通っていた頃、何かと世話を焼いていたのが彼女。
■■■■■になったときも左虎と一緒に探していたのは懐かしい思い出。
父の死後、忍者としての道を歩んでからは出会う機会は無くなってしまった。
変わってしまったと自嘲するマイ先生の呑気っぷりは相変わらずで、その振る舞いは左虎を安心させる。
「こんな状況じゃなかったら、昔話に花を咲かすってのもやってみたかったなぁって」
「かも、しれぬな」
表の恩師との再会、と心を解すには場所が似合わない。
羂索を名乗る女子高生(じぇーけー)、梔子ユメ。
死人に口なし、死人の夢は利用してやると言わんばかりの悪行。
死者の尊厳を踏みにじったものによる、極道以上の悪なる所業。
断じて、許すわけには行かない。
たとえその過去が何であろうと、それを選んでしまったが最後はそうせざるえない。
帝都■忍、影より秩序を守る忍者として、当然至極の結論。
これ以上にない高難易度(げきむず)の忍務。忍者(しのは)たちまで巻き込まれているのか、その情報の足取りすらつかない。
「……こんな時にごめん、左虎っち。昔の約束、覚えてる?」
「む?」
不安げなマイ先生が左虎の顔を覗き込む。
忍者である自分はまだしも、ただの一般人(パンピー)であるマイ先生。
非日常(いじょう)を知らぬ者が、異常に巻き込まれればそのような顔をするのも分からなくもなかった。
頭の中がまだ少し曖昧だ。霧がかったように、なにか忘れているような感覚が引っかかる。
・・・・・・・
そうだとしても、それよりもマイ先生の言葉に耳を傾けることに集中する。
「もしもの時、あたしのことを助けてくれるって、昔の約束。左虎っちは覚えてないかもしれないかな」
「……そうか」
かつての記憶にそのような事があったか、と納得する。
死と隣り合わせの修行、度重なる忍務、義父の死。忍者として生きてきて様々な事がある。
過去の記憶全てを覚えている、というわけにはいかない。人は大切なことであろうとも、時間が経ってしまえば忘れてしまう。
「心配せずとも、そのような約束がなくともマイ先生の無事はこの左虎が保証しよう」
「ふふっ、左虎っちは相変わらず」
そんな言葉に、マイ先生の表情が緩んだ。
多少は緊張がほぐれてくれたのなら幸い。
この先は何が起こるかわからない。弱いNPC(したっぱ)程度なら自分でもなんとかなるが、マイ先生はそうではない。
「だからさ、左虎っち」
そんな不安を和らげたいと思ってか、マイ先生は再び左虎の方を向く。
抜けたような顔だが、その瞳だけは真剣だ。
それはかつての教え子に対しての思いなのか、はたまた元教え子に対して恐怖を隠しているのか。
今更ながら気付いたが、マイ先生は時計のようなものを持っている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
マイ先生がいつも持ち歩いている時計。
・・・・・・・・・・・・・・・・
先生は両親の忘れ形見と言っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・
だから、何も気にすることはない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第三の恩人であるマイ先生を疑うことなど、何一つもない。
「今から私のために、よろしくね?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なにか大切なことを忘れた、でも問題はない。
・・・・・・・・・・・
忍務に何も、問題はない。
・・・・・・・・
何も、問題はない。
い い 夢 を
「Faites de beaux rêves」
"編集完了(エディットコンプリート)"
◆ Ⅺ ◆
分かったことは、削除(デリート)完了までいつもより時間が掛かる、ということ。
タイムマシンにも細工をされてるのか、巻き戻し(リトライ)はほぼ不可能と推測しても良い。仮に可能だとして、数分前に戻る程度が精一杯か。
殺し合いをさせる、という事を前提に、巻戻(リトライ)されて盤面をひっくり返されるというのは相手方も阻止したいだろう。
削除(デリート)の方も、すぐには全部消せないように細工がされていた。
不意を打つ形で覇世川左虎とかいうお医者さんに削除(デリート)を試したはいいが、削除の進行が遅いのが原因か、多少は抵抗の素振りはしてはいた。
その事実は、実証実験の足がかりにもなった。中途半端に削除された記憶の穴埋めするように、「編集(エディット)」で「アタシに関わった記憶」を植え付けた。
編集自体はアタシのハッキング能力あってのこと、袋に入っていたオコノミボックスを使用し、彼の記憶をハッキングして編集したのだ。
あとは経過観察を兼ねて適当なやり取り、その間に編集(エディット)は完了(コンプリート)。
「………はい」
無心のまま返答した左虎っちを見て、一旦は一安心。
と言っても、何かのきっかけで削除した記憶が蘇るのはあるから、そこは油断できない。
何せ、巻戻士なんかよりも厄介なのが沢山いそうなんだから。
でも、これはアタシにとっても最大のチャンス。
アタシの夢を叶える、もう一つの機会。
貧乏発明家だった両親、アタシの事を愛してくれたパパとママ。
そんなパパとママは、巻戻士とかいう正義ぶった連中に見殺しにされた。
事故で死ぬはずだったアタシ含めた400人の内398人だけ救って、パパとママだけ切り捨てた。
そんな偽善者の巻戻士共を殺して、不平等な世界を変えるためにアタシはクロックハンズになった。
全てを、平等にするために。
不平等な世界を、変えるために。
クロックハンズの手を取った時点で、既に覚悟を決めている。
でも、少しだけ同情してもいいと思ってるよ、左虎っち。
世界は不平等だから。アタシも、左虎っちも、あんな理不尽に親を奪われて、さ。
削除(デリート)が中途半端なせいで、弟の記憶を消しちゃったのは申し訳ないと思ってる。
だから。
「平等(やさしい)な世界になった時には、左虎っちの両親も、蘇らせてあげるよ」
【マイ=ラッセルハート@運命の巻戻士】
状態:健康
服装:白衣
装備:マイのタイムマシン装置@運命の巻戻士、オコノミボックス@ドラえもん
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:優勝して、不平等な世界を変える
01:左虎っちを利用する。優勝したら左虎っちの両親を蘇らせてもいい
02:タイムマシンの使用は慎重に。削除と編集も使い所をなるべく考える。
03:巻戻士は許さない。
参戦時期:クロノたちと出会う前
備考
【覇世川左虎@忍者と極道】
状態:"削除(デリート)"により一部記憶欠損、"編集(エディット)"影響下(マイ先生)
服装:忍者衣装
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:ーーー
01:ーーー
参戦時期:死亡後
備考
マイ=ラッセルハートの"削除"及び"編集"の影響の為、弟の事含む一部記憶が欠損しています。強い衝撃等があれば蘇るかもしれません
【支給品紹介】
【マイのタイムマシン装置@運命の巻戻士】
マイ=ラッセルハートに支給。クロックハンズの幹部に支給される時計型のタイムマシン。
幹部はそれぞれ固有の能力が使用でき、マイ=ラッセルハートのタイムマシンは"削除(デリート)"と"編集(エディット)"
ただしタイムマシンの機能は何かしらの制限が施されており、"削除(デリート)"は発動後記憶の完全な削除には時間を要する制限が掛けられている。
ただし"編集"は所有者であるマイ=ラッセルハートの天才的なハッキング技術によるもの。
【オコノミボックス@ドラえもん】
マイ=ラッセルハートに支給。ドラえもんの秘密道具の一つ。
直方体の形をした端末で、付属されているマイクに音声入力をすると、四角いもの限定であるが、ありとあらゆる道具の機能をもたせることができる。
現在はハッキング用のパソコン代わりとして使用中。
投下終了です。
投下します
若き格闘家、プリンス・マッシュは息を飲む。
何も話さず、表情も崩さず、阿修羅の形相を浮かべたまま歩く。
その隣では、赤い衣と帽子を身に付けた老人が歩いていた。
老人は腰が曲がり、病弱なのか、定期的に咳き込んでいる。
それなのに、居るだけで総毛立つほど、緊張した空気が老人の周囲を渦巻いていた。
どちらもその空気を解すために話しかけることも、表情を変えることも無い。
ただ、横に並んで歩いていた。
(この赤い服のキノピオ、タダ者ではありませんね…)
(この男…タダのキノピオには見えん…凄まじい力を感じる……)
プリンス・マッシュも赤い服の男も、その世界では名が知れるほどの腕の持ち主だ。
方やある世界の闘技場のチャンピオン、方や魔王以上の力を持つ、町の道場主(シショー)
それ故、すぐに分かってしまった。目の前の男と戦えば、タダでは済まないと。
だが、同時に思った。目の前の男と戦ってみたいと。
2人共良識ある人物故、弱い者を殺したくは無いし、この殺し合いを企てた者を倒したい。
だが、それ以上に格闘家で在る以上は、興味があるのだ。
最強の座と、最強の座を持つ者同士で戦った先の世界を。
二人は導かれるかのように、市街地の奥にある、ある建物に足を踏み入れた。
そこは、石造りの巨大な闘技場だった。
プリンス・マッシュの主戦場だった、ウーロン街の闘技場をも越える大きさを持っている。
どちらも、言葉に出さずとも考えた。ここで全力で戦えれば、どれほど気持ちよいだろうと。
二人とは異なる世界にある闘技場は、それを望んだのだろうか。
突然、プリンス・マッシュが戦の構えを取った。
上半身は軽く。下半身は力強く。
寸分のぶれも見せず、軽くピョンピョンとジャンプする。
一見子供のような動き。だが、その動きから、凄まじい闘気が放たれる。
何より恐ろしいのは、ジャンプしていると言うのに着地の足音が聞こえない。
それは、プリンス・マッシュの身軽さが物語っている。
「よろしいっ!おあいするでござる。本格的に、覚悟なさい。」
赤い衣の男、シショーも、それを承諾する。まるでその言葉が来るのを、待っていたかのようだ。
グルリと回転したと思いきや、紫色の光と煙に包まれ、赤い衣と帽子が、黄金に変化する。
いや、色が変わったのは彼の衣装だけではない。黄金のオーラは、彼の全身を金色に染める。
だが、どちらも戦いの姿勢に入ったまま、攻撃に入らずにいた。
プリンス・マッシュは相手を誘うかのように、すり足で前後移動を続けるが、攻撃の予兆は見えない。
静寂が場を支配する。マンガならば、シーンという効果音が挿入されるだろう。
勿論、2人共怖い訳では無い。
プリンス・マッシュもシショーも、相手の攻撃を受けてから攻めのリズムを作る闘士だ。
相手が初手でどのような攻撃をしてくるか、どのような勝ち筋を作って来るか。それを見抜くのに、全神経を注いでいる。
一挙手一投足、という言葉があるが、2人は相手が動き始める瞬間を、手足どころか神経一本一本まで、どこから動き始めるか注目していた。
まだ戦いが始まってから30秒も経っていない。されど2人には、30分にも感じた。
凄まじい集中力と、相手を見破って勝とうと言う意志が創り出した、恐ろしくスローモーションな空間。
2人がいる場所は、まさに闘志が支配する領域だった。
やがて1分たっぷり、彼らの体感では一時間以上経過した頃。
ようやく、均衡が崩れる。プリンス・マッシュが地面を蹴り、猛然と突進した。
「はああああああああああっっっ!!!!」
先手を取ったのは彼の方。凄まじい速さで、シショー目掛けて突っ走る。
獣を彷彿とさせる、低い姿勢での超高速の突進。
キノピオ特有の、小柄さを存分に活かした奇襲だ。
「行くぞ!!」
だが、シショーは全く動じることは無い。
同じように地面を蹴り、あろうことか突進して来る相手に突進する。
音速にも近い2人がぶつかり合う瞬間、シショーのキックをギリギリで躱す。
(速い……でも、なんとか動きが分かる!!)
プリンス・マッシュは、シショーの蹴りのレンジに入った瞬間、跳躍して空へと逃げた。
ほんのコンマ数秒、空へ逃げるのが遅れていれば、蹴撃の餌食になっていたはず。
だがチャンピオンである彼にとっては、余裕を以て掴めるタイミング。
そして、先程の跳躍はただの回避行動に非ず。そのまま上空でトンボを切り、攻撃に転ずる。
一見、ありふれた格闘家でも出来るドロップキック。
だがそれを、武芸を極めた闘士がすることで、岩どころか鉄の壁すら貫く、必殺の一撃に変わる。
「あまいぞぉ!お主の力はそんなものかぁ!!」
攻撃を外し、不安定な姿勢を強要されたシショーに、その一撃は躱せない。
そう思うのは、彼のことを良く知らない者のみだ。
驚くことに、不安定な姿勢のまま、強引に天を蹴りつける。別世界の者が見ればブレイクダンスのようにも見える動きだ。
上と下からでは、体重の分だけ、下の方が不利。
だが、武術の達人たるシショーは、そんなことは数十年も前から知っている。
彼が撃った蹴りは、相手の攻撃を受けるのではなく、流すのに使った。
「うわっ!?」
初めてチャンピオンが、驚きの声を上げた。
それもそのはず。真っすぐ撃ったはずの蹴りが軌道をずらされるなど、彼にとっても滅多にないことだ。
彼の目論見通りと言う訳か。プリンス・マッシュは、シショーに一撃を撃ち込む前に、あらぬ方向へと飛んで行く。
これもタイミングを一瞬間違えれば、シショーはプリンス・マッシュのドロップキックをモロに食らっていた。
だが、彼にとってそのタイミングなど、常人の1分にも等しい。
相手を崩したと判断したシショーは、攻撃の手を止めない。
プリンス・マッシュが不時着した瞬間、先程と同じように地面を蹴とばし、猛然と突進する。
大魔王クッパの踏みつけすら超える威力の蹴りが、相手の顔面に刺さろうとする。
だが、相手もさることながら。両腕をクロスさせ、その一撃をジャストガードする。
(この男…硬いな……)
キックを受けられて、シショーは相手の守りの堅牢さに慄く。
彼が驚くのも無理はない。プリンス・マッシュの守りは、生きた鋼の鉄球の怪物、ワンワンをも凌ぐ。
まさに、鉄の城に住まう王子(プリンス)。城を崩さねば、王子には攻撃は通らない。
(近接戦はやりにくいですね……)
攻撃を防いだプリンス・マッシュは、助走もつけずに、僅かな踏み込みだけで、シショーの顎にサマーソルトキックを見舞う。
それは首だけを逸らしたスウェーバックで躱されるが、一番の目的は攻撃ではない。
もう一度、さらにもう一度のバック宙で後退し、相手と距離を取る。
このまま攻撃を続けても、決定打にはならないと判断したからだ。
彼の得意技は、ドロップキックを始めとする、ミドルレンジからの、助走を付けた一撃。
勿論並みの相手ならば、どこからでも余裕を以て戦えるが、シショー程の相手と戦う上では、常に得意な状況で戦いたい。
「あまいぞぉ!簡単に逃げられると思っているのかぁ!!」
だが、シショーにはその考えを読まれていた。
距離を取ろうにも、常にピッタリと一定の間隔を保って来る。
1度、2度。後退しつつも裏拳と回し蹴りを見舞うが、どちらもシショーの衣を薄く裂くだけに終わる。
攻撃しながらプリンス・マッシュは考える。このいたちごっこを続けるべきか、不利なコンディションなのを分かった上で攻撃に転ずるか。
どちらを選んでも、この男を超えることは出来ない。
そう判断したプリンス・マッシュは、切り札を1枚切った。
シショーのキックが、プリンス・マッシュの顔面を捉える。
決まった。完全な一撃だ。勢いもキレも全く問題無い。
当たればの話だが。
「なにぃ!?」
キックが当たったはずのチャンピオンは、姿を消していた。
蹴り飛ばされて、姿が見えなくなるほど遠くに飛ばされたのではない。
「「「ここですよ。」」」
奇妙なことに、同じ言葉がサラウンドで聞こえる。
気が付けばシショーは、3人のプリンス・マッシュに囲まれていた。
これぞ彼の得意技の1つ。分身の構えだ。
「「「行きますよ!!」」」
再び三方向から声が聞こえるとともに、一斉に飛びかかる。
一人目が跳躍し、シショー目掛けてドロップキックを放つ。
先程見た技だ。躱すことが難しい訳では無い。横っ飛びに回避する。
しかし回避した所で、別のプリンス・マッシュが勢い良くパンチ攻撃を撃ち込んで来る。
「むっ!!」
右腕を前に出し、激しい一撃をブロック。直撃こそは回避する。だが、それで終わりではない。今度は三人目がドロップキックを仕掛けてくる。
姿勢を低くしてその一撃を躱すも、シショーの衣がまたも薄く切り裂かれた。
分身を使ってくる者はシショーの世界にもいたが、それらはあくまでターゲットの分散のみが目的だった。
本体だけでなく、分身まで同じように攻撃して来る相手など、彼でさえも初めて見る。
「ぬぅっ!!少しは出来るようだな!!」
今度は一転、シショーが不利になった。何とか決定打を食らわずに済んでいるが、どうにも反撃の糸口が掴めないのが現状だ。
何しろ、彼は一対一の戦いなら負け知らずだが、同時に敵を攻撃するのは不得手だからだ。
勿論、並みの相手ならば数十人程度に襲われても何の問題もない。
不得手だからと言って、短距離選手のメダリストがアマチュアに長距離走で負けることは無いのと同じ道理だ。
だが、目の前にいるのは一つの世界の初代チャンピオン。
僅かな有利不利が、そのまま勝敗に直結する。
加えて、プリンス・マッシュのドロップキックには、何か特別な力でもあるのか。
攻撃を受ける度に、明らかに不自然なほどの体力の消耗を強いられる。
相手の攻撃のタネは分からないが、とにかく持久戦に持ち込むことも難しいのは事実だ。
猛攻を受ける中でも、シショーの頭の中は冷静であった。だが、どう思考を巡らせても、既存の方法でこの波状攻撃を破ることは出来ない。
「よろしい!!このトシでも新たなことに挑戦するのも悪くは無い!!」
これまではずっと3人の猛攻を躱し続けていたシショーが、急に動きを止めた。
何が起こっているのか、空気の変わり様にプリンス・マッシュも訝しむ。
しかし、これは彼にとって紛れもないチャンス。
敵の後ろにあるのは壁。前左右から一斉にかかれば死角はない。
その瞬間、不意にシショーの方から力が飛んできて、プリンス・マッシュは吹き飛ばされた。
一撃で倒されることは無かったが、勝ち筋が一気に消えてしまった。
気が付けば、いつの間にか分身も消えている。
「な…何をしたんですか?」
「ふ……御見それしたぞ。まさか、賭けをさせるとは。」
シショーが行ったのは、極めてシンプルな三角飛び。
これで相手の分身と本体を、ほぼ同時に攻撃した。
もう一度言うが、シショーの攻撃はシンプル極まりない、武術を嗜む者なら知らぬ者の方が少ない三角飛びだ。
だが、シショーの最終奥義の三連撃、ファイナルアタックを応用した三角飛びだ。
新しい技故に、実戦で使っても上手く行く可能性は低い。だが、その分の悪い賭けに出て、勝つことが出来るのも強者の証だ。
プリンス・マッシュは蹴り飛ばされても、すぐに着地して、再び攻撃態勢に入る。
分身こそ消えてしまったが、まだ攻撃の手段は残されている。
分身は出さず、単騎で勢いよく突進するプリンス・マッシュ。
それをシショーは受け、返しの回し蹴りを見舞う。
回し蹴りに対してプリンス・マッシュは姿勢を低くし、軸足を掴んで打ち倒そうとする。
だが、シショーは片足だけで彼の頭上より高く跳躍し、攻撃を避ける。
そのままトンボの様に空を舞い、ヒョウの様に身軽に着地する。
ジャブ、ストレート、ハイキック、二―スタンプ、頭突き、エルボー、ミサイルキック……
ボディブロー、キック、スーパーアタック、フック、チョップ、ファイナルアタック……
この世の酸いも甘いも打ち飛ばした、強者同士の技のぶつかり合いが、そこにあった。
一般人がそこで見ていても、何が起こっているか全く分からないだろう。
「…ここまで手ごわい相手は、あの赤いヒゲ男以来だな……!!」
「もしかして、マリオさんを知っているのですか?」
「その通りだ。このごろ街でも姿を見せぬと思ったが、まさか其方の世界にいたとは!」
赤いヒゲ男と聞いて、すぐに思い出した名前があった。
ウーロン街闘技場の3代目チャンピオンにして、自分の命の恩人。そして、卑怯な策略抜きで自分を破った相手。
世界を救ったとは聞いていたが、まさか別の国でも名前を轟かせていたとは。
改めて、マリオと目の前の男の凄さを、プリンス・マッシュは思い知った。
それと同時に、猶更この男には負けられないと思った。
勿論、シショーも同じである。
マリオに敗れた男にさえ勝てぬというのなら、マリオにリベンジを果たすなど、夢のまた夢だからだ。
「それなら、マリオさんに近付くためにも、勝たなければいけませんね。」
「まだまだ、これからだぁ!!」
既に2人共、疲労は重なっているはず。
それなのに、闘志は失うどころか、最初以上に高まっていた。
彼らは殺し合いを命じられたからではなく、己のために戦う。
異なる国の、世界の強者と戦える機会など、この世界でもなければあり得ないからだ。
プリンス・マッシュとシショー。彼らの想い、期待、そして戦いへの情熱は、全て戦いのエネルギーへと還元される。
チャンピオンの夢。血と悪意の世界にも、輝かしいそれを追い求める資格はある。
【プリンス・マッシュ@ペーパーマリオRPG(リメイク)】
状態:正常
服装:リング上での衣装
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3
思考
基本:殺し合いを生き残り、帰還する
1:目の前の強敵に勝つ
参戦時期:少なくともマリオに敗れた後
【シショー@マリオストーリー】
状態:正常 超本気モード
服装:戦闘時(3戦目)の服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3
思考
基本:この殺し合いで自分の力を試す。
1:目の前の強敵に勝つ
参戦時期:少なくともマリオに敗れた後
投下終了です。
投下します。
タイトルは「運命の意図を断ち切ったその先に」です。
何という、恐ろしいことを。
テルティナ・リズ・ワーグレイ・アヴァルロストがバトルロワイヤルという狂った催しに抱いたのは恐怖交じりの嫌悪、そして主催に対する憤りであった。
異なる世界の者達を一所に集めた殺し合い。絆は破壊され、多くの命が失われる。ここでどれだけの悲劇が生まれるのだろうか。
参加者達の前に姿をあらわした羂索という者は姿こそテルティナや、仲間のイドラとそう歳の変わらない少女(体型はともかく)であったが、その所業は魔王族と遜色ない。
「はぁ……はぁ……」
しかし、そんなテルティナにも、初っ端から危機が訪れていた。
テルティナは息を切らしながら走り、追手から逃走を試みていた。
当然ながら、いつも傍に付き従ってくれていたロゥジーや、仲間であったレッドにイドラは勿論、太陽の森で修行に励んでいるはずのラーニヤはいない。
いるのは支給品の入ったリュックを持たされたテルティナ一人だ。
「あぐっ!?」
追手の攻撃によって背後の建物が倒壊し、テルティナはその衝撃に吹き飛ばされる。
テルティナは地に伏せった身体を急いで起こし、振り返って追手の姿を確認する。
「貴方は……!」
「よぉ、久しぶりだなあお姫様?太陽の森以来だな」
卑劣な顔をした男、ユーゲス。
特権魔法TCGバインダーを操りロゥジー、イドラと交戦したアジールの傭兵だった男。
テルティナはこの男の特権魔法によってカードに封じられたことがあり、その性質はよく知っている。
テルティナは冷や汗を浮かべながらユーゲスの腕にあるはずのない物を見る。
「なぜ魔力の種を貴方が持っているんですか!?確かに私が取り除いたはずなのに……!」
「ああ、そういえばお前、俺をペットに食わせてくれてたな。ったく、酷いことするよな。わざわざ噛ませるなんてよ」
「……」
自分のした所業はどこ吹く風という風にユーゲスは言う。
魔力の種。魔王族によって皇国内に広められた呪物であり、宿した者に莫大な魔力とその願いを叶える魔法を授ける代償に宿主を蝕み、やがては魔獣の一部に取り込む悪魔の産物。
テルティナは自身の特権魔法である"簒奪の銀狼"で魔力の種を宿主を傷つけることなく取り出せる。
このユーゲスという男からも、魔力の種を取り除いていたはずだ。
「まあ、ムシャムシャと噛まれてる最中に殺し合いに呼び出されたと思ったら最初に出会うのが姫様だとはな。ツイてるぜ」
(どういうこと……?まさか私が簒奪の銀狼に食べさせる前から来ているの……?)
テルティナは時間軸のずれに怪訝になりながらも、この状況を脱しようと頭を回転させる。
端的に言って大ピンチだ。テルティナは一人である上に、ユーゲスという魔力の種が健在の男が自分を狙っている。
テルティナはロゥジー達に比べて非戦闘員とも言える立場ゆえに、守ってくれる者がいなければ単純な力で襲い掛かられるとどうしようもない。
(まだ確認はしてないけれど……賭けるしかない……!)
確か、羂索の言うことが正しければリュックには支給品が入っていたはずだ。
自分の助けになるアイテムが入っていることを祈りながら、ユーゲスに悟られぬようテルティナはリュックに手をかける。
「掛かったなバァカ!テメェの考えなんてお見通しなんだよ!」
「なっ!?しまった……!」
テルティナのリュックには、既にユーゲスのカードが貼り付いており、そうとも知らずにテルティナはそれに触れてしまう。
カードに触れたら最後、その特権魔法の発動は止められない。テルティナの身体はカードに吸い込まれていく。
「くぅぅっ……!」
「無駄無駄、踏ん張っても俺の特権魔法は止められねぇよ」
テルティナはカードの縁を掴んで踏ん張りながら、身体が完全にカードに引きずり込まれる前に支給品を取り出そうとするが、リュックをひっくり返すだけで精一杯だった。
白いセーラー服と白衣がリュックから零れ落ち、瓶に入った薬をかろうじて掴むも、その時点で完全にテルティナの身体はカードに封印されてしまった。
「激レアのお姫様ゲットだぜ!ってなァ」
ユーゲスはひらひらと舞うカードを掴み、そこに映るテルティナの姿を下卑た目線で見下ろしてくる。
テルティナはカードの中で、一縷の望みをかけて一緒に封印された支給品の薬を飲むも、特に変化は感じなかった。
どんなにカードの表面を叩いても、カードに閉じ込められたままだ。
2度に渡って何もできずにカードに閉じ込められるという屈辱に歯噛みしながら、ユーゲスを睨み上げる。
「悔しそうだなお姫様?だが今回はこれだけじゃないんだぜ」
そう言って、ユーゲスはテルティナに対してカードの束を見せつけてくる。
「こいつは俺の特権魔法とは違うカードゲームのカードらしいんだがな、それをカードになった女に使ったらどうなると思う?」
(っ……!?)
「やっぱりな。いい格好になったじゃねぇか」
ユーゲスがカードを使用すると、テルティナの衣服は下着に至るまで一瞬のうちに全て消え去り、全裸になってしまった。
ユーゲスの使用したカードは、罠カードの『武装解除』。ユーゲスに支給された、罠・魔法カードセットのうちの1つだ。
元になったカードゲーム本来の効果で言えばフィールド上の装備カードを全て破壊するという効果なのだが、このバトルロワイヤルでは使用した相手の衣服に至るまでを破壊して丸腰にする効果として機能していた。
ユーゲスの目には、カードの中で胸と股間を手で隠して睨んでくるテルティナの姿があった。
「いいねぇ、こうして女を好き勝手できるのは最高に気分がいいぜぇ」
ユーゲスは口角を吊り上げながら、一糸まとわぬ姿となったテルティナのカードをベロリと舐め上げる。
カード越しからでもぞわぞわとした悪寒が駆け巡り、テルティナはカードの中で縮こまっていた。
「んじゃ、本番と行こうか」
ユーゲスは新たなカードを取り出す。そのカードの名前欄には、「フレームバインダー」と書かれていた。
「解放《リリース》!」
テルティナとフレームバインダーのカードを同時に掲げてユーゲスがそう叫ぶと、カードに封じられていたモノが解き放たれる。
「同時に解放するとアイテムを強制装備できる……俺の読み通りだったな」
「こ、これは……!」
カードから解放されたテルティナは目を見開く。
なぜなら、テルティナは全裸の状態で、フレームバインダーと呼ばれる拘束具に拘束されていたからだ。
フレームバインダーとは、世の性欲旺盛な諸氏がとある同人誌の絵よりイメージを膨らませてその形状を確立した、金属製の骨組みで対象を挟み込む形で全身を拘束する拘束具だ。
虚空よりぶら下がっている鎖と繋がったフレームが、全裸のテルティナの肢体をその中に閉じ込める形で吊り下げている。
テルティナの首、肩、胴、両太腿、両足首はそれぞれ金属製の枠の内に挟まれる形で固定されており、唯一自由に見える両手も背中のフレームと連結した手枷を後ろ手に嵌められ、一切動くことはできない。
「こ、こんな格好いやぁ……っ!」
「へっへっ、あの激レアなお姫様がとんだ無様を晒したもんだぜ」
何よりも目を引くのが、フレームバインダーに固定された全裸のテルティナの姿勢だ。
解剖前のカエルのように「<>」の形で両脚を開脚したまま、背中で手を組んだまま恥部を隠すことができない。
いわばジベットの開脚版とでも言うべき拘束具に、テルティナの肢体はその中に押し込まれ、恥ずかしい姿勢で五体を完全に固定されていた。
「この……、くっ……っ」
テルティナは身体を動かそうともがくが、フレームが僅かに音を立てるだけで、手足は勿論、首も押さえられていて一切の姿勢を変えることができない。
ちょうど吊り下がった自分を拘束するフレームバインダーの真下に、テルティナの支給品であったセーラー服と白衣が落ちており、それを足で拾おうとするも太腿と足首を固定されては伸ばすことすらできず、見ていることしかできない。
「さぁて……楽しませてもらうとするか」
「ひぃ……っ」
吊り下がったまま動けないテルティナの頬を、ユーゲスはべろりと舌で舐める。
テルティナは身体を震わせて心底恐怖した表情で顔を逸らすが、当然一切の身体の自由が効かないため、その頬に舌が這いまわるのを止めることができない。
テルティナの反応に満足したユーゲスは、早速とばかりにテルティナの下半身に目を移す。
そこには惜しげもなく晒された、オンナとして成熟しないテルティナの身体の中でも全くもって幼い頃のままの秘所があった。
申し訳ございません、投下時に宣言するのを忘れておりましたが、
本SSには性的描写と残酷描写がございます。閲覧にはくれぐれもご注意ください。
「ここの感触はどうかなぁ?」
「そこは……!?」
テルティナは頬を紅潮させて思わず脚を閉じようとするが、フレームバインダーに固定された両脚はくの字に開かれたまま閉じることはできない。
両手も後ろ手で拘束されているため、恥ずかしいところをすべて目の前の男に曝け出すしかない。
下種な男の目に晒されたとしても、フレームバインダーは無機質に彼女の裸体を拘束し続ける。
「さ、触らないでください!!」
「目の前で女に股を開かれて何もされないわけないだろうがよぉ!」
そして、ユーゲスは趣など知らないとばかりに、指をテルティナの割れ目にねじ込む。
テルティナはどうにか暴れてユーゲスの指から股間を逃そうとしたが、五体をフレームバインダーに拘束された状態では、ギシギシと僅かに身を捩らせて吊り下がったフレームごとぷらぷらと揺れるのが精一杯だった。
当然ながらそれでユーゲスから逃げられるはずもなく、カエルのように開脚したまま閉じられないテルティナの股間を指で無慈悲に掻き回した。
「あっ、くっ、いやっ、ぁ、くぅ……!」
「おやぁ?なんか湿ってきたぜ?こんな状況で感じてるのかお姫様?」
「ッ……!!」
一切の抵抗ができないテルティナはユーゲスの蹂躙を受け入れるしかなく、どんなに耐えても声が漏れ出てしまう。
息を荒くしながらも、テルティナはキッとユーゲスを睨みつけた。
「抵抗できない女の子にこんなことをして……恥ずかしいと思わないんですか……っ!?」
「恥ずかしい?女を好き放題できるのは何よりも……楽しいだろうがよ!?」
「ひ……!?」
そして、ユーゲスはテルティナに自身の一物を晒して見せつける。外気に晒されたそれは、既に準備万端というほどに勃起していた。
「それじゃあ本番と行こうかお姫様?」
「ま、待ってください!?貴方、状況分かっているんですか!?殺し合いの中でこんな行為をしている場合では――」
「殺し合いだからヤるんだろうが!いつ死ぬか分からねえからなあ!」
「ッ、特権魔法”簒奪の銀狼”!!」
「うるせえ、邪魔だ!!」
テルティナは咄嗟に特権魔法”簒奪の銀狼”を発動して自分を守らせようとするが、召喚されたヴリコラカスは見た目に反してせいぜいそこらの犬程度の強さしかない。
性欲に狂いつつあるユーゲスに何度も蹴られて、最終的にテルティナの魔力の種に戻ってきてしまう。
「さぁて、やっと一つになれるなお姫様」
「やめて……っ、来ないで……」
ユーゲスは自身のそれをテルティナの股間に宛がってくる。
テルティナは全身に嫌な汗を浮かべながら、ガチャガチャと手枷の鎖を鳴らしつつ必死に拘束された身体に力を込めて逃げようとする。
しかし、虚空に吊られたフレームバインダーが僅かにギィ……と揺れるだけでそれは叶わず、せいぜい数cmしか動けなかった。
焦燥するテルティナの意志に反して、テルティナは股を開いたまま動くことができなかった。
「それじゃあ、いただきま〜す」
「いやっ!待っ、誰か――!!」
ユーゲスはテルティナの嫌がる様子を嘲るかのように、彼女の腰を掴んで一気に一物を穴に挿入する。
それは、あまりにも簡単に、そしてあっけなく。
ぶつりと音を立てて、"膜"を貫いた。
「あ……あ……嘘……」
「お姫様の初モノゲットだぜぇ〜〜〜〜〜っ!!」
鋭い痛みすらも意に介する余裕もなく、テルティナは呆然としていた。
こんなことで、自分の初めてが奪われるなんて。
目から、一筋の涙が零れる。ただ、テルティナは結合部からぽたぽたと垂れる破瓜血が、真下のセーラー服に垂れる様子を見ていた。
「ああ、最高の気分だ。ついにやった、やったんだ!俺に逆らう女はみんなこうなるべきなんだ!」
ユーゲスは歓声を上げながら興奮していた。
ゆえに、気づかなかった。ユーゲスがテルティナを陵辱している際に、近づいてくる影があったことを。
「……あ?」
ヴ、という鈍い音がしたと思うと、ユーゲスは目を見開く。
すぐ目の前で犯していたはずのテルティナが、視界から逸れてしまっていたのだ。
この無垢な姫を自分色に染める快感を感じようとしていたユーゲスは思わず視野外に外れたテルティナの姿を目で追い、そして信じられないものを見る。
そこには、尻を露出してテルティナを犯しているユーゲス自身の下半身があった。しかし、上半身はなく、ただ一物をテルティナの秘所に挿入したまま痙攣していた。
「なんだ、こりゃ」
ようやく理解する。
自分は、上半身と下半身が亡き別れになったのだと。何者かに肉体を分断されてしまったのだと。
不思議と痛みは感じず、ゆったりとした時間の流れの中で、フレームバインダーに拘束された驚愕しているテルティナと地面に伏した自身の上半身を交互に見る。
「まだ……気持ちよくなってねぇ……の、に」
すぐ近くにある女の裸を名残り惜しく思いながら、ユーゲスの意識は暗転していった。
【ユーゲス@戦隊レッド 異世界で冒険者になる 死亡】
テルティナは、何が起こったか分からなかった。
突然、音を切る鈍い音がしたかと思うとユーゲスの上半身がひしゃげ、下半身と亡き別れになってそのまま絶命した。
主の失った下半身は、しばらく痙攣した後に、力を失い崩れ落ちる。ユーゲスの一物だったものもテルティナの膣内に留まることができず、崩れ落ちていくそれに引っ張られてテルティナの秘所から引き抜かれる。
「貴方達、は……?」
ユーゲスのいた場所のすぐ後ろに立っていたのは、血の抜けたような顔色をした、焦点の合わない赤い瞳をした二人の男だった。
両方の男共に金色に輝く髪をしており、その内片方の男は前髪の生え際がM型にハゲている。
まるで糸に吊られた操り人形のように心ここにあらずといった様子だった。
「それよりも、これを外してくれませんか……?」
テルティナは未だにフレームバインダーの中に身体を拘束されたまま、目の前にいる男達に全裸を晒している。
しかし、羞恥心は不思議と起きなかった。なぜなら、男達の異様な雰囲気に不安と恐怖がそれを上回っていたからだ。
事実、男達はテルティナが呼びかけているにも関わらず微動だにせず、混濁した目のまま一糸まとわぬ姿のテルティナを見つめている。
「あのっ、話を聞いているのですか!?動けないんです!早く――」
焦りを覚えつつ、後ろ手に拘束され股を開いた状態のまま鎖に吊られるフレームバインダーを揺らしてテルティナは促す。
しかしその時、テルティナには見えてしまう。
目の前にいる男達には、この殺し合いの参加者の証であるはずのレジスターが腕にないのだ。
にも関わらず、ここにいるということは、この男達は参加者ではなく――NPC。
「嘘……」
テルティナはすべてを察して呆然とする。
この二人の男が彼女に向けている目は、殺意なのだと。
今から、この男達は自分を殺そうとしていると。
無意識に身体がガタガタと震えてしまい、絶望で視界が真っ暗になりそうになる。
「嫌……いや……!」
状況を整理しよう。
一撃でユーゲスを葬ったNPCが二人に対して、テルティナは一人である上に全裸でフレームバインダーに囚われている。
テルティナは首、手首から先、足首から先が僅かに動くだけでそれ以外は微動だにできず、自身の真下にある支給品に手を伸ばすことすらできない。
彼女の身を守るものは何もなく、身に纏うものもない。乳首や秘所といった恥部すら開けっ広げに晒しながら、処刑されるのを待っている囚人であるかのような状態だ。
戦うことも、逃げることも叶わない。
「ぐうっ!!くううっ……!!」
それを認識したテルティナは、必死に暴れて拘束を解き、この場から逃げようとする。
フレームバインダーに纏わりつかれた身体を捩りながら、背中に張り付く両手首とくの字に開いた脚の先に投げ出された両足首をぴこぴこと動かしながら抵抗する。
しかし、フレームバインダーは残酷なまでにテルティナの身体を固定し続け、ギシギシと音を立てて鎖に揺られるだけに終始した。
テルティナが自力でフレームバインダーを解けない以上、解く者が現れるのを待つことしかできない。
しかし悲しいかな、それが現れないのであればたとえ襲われたとしても拘束されたまま襲われるしかない。
「―――!!」
「―――!!」
やがて、テルティナを狙うNPCが動き初めて、辺りに地響きを起こすほどのエネルギーを迸らせる。
テルティナの前に現れた二人の男は、「クローン戦士」と呼ばれる者達だ。
かつて人造人間21号と呼ばれるバイオロイド戦士がかのZ戦士を模して作り出したクローンで、テルティナの前にいる男達はそれぞれ、孫悟空とベジータという戦士を元に作られていた。
呼称するのであれば、クローン悟空、クローンベジータといったところか。
「この……外れて、お願い外れてっ!!」
魔王族すら軽く凌駕するような力を剥き出しの肌で感じながら、それでもテルティナは諦めずに拘束を解こうとする力を緩めない。
テルティナは、ここで死ぬわけにはいかない理由があるのだ。
こんなところで死んでは、自分のために死んでいった者達を裏切ってしまう。
テルティナは、「兄貴」に償いをしなければならないのだ。
「そうだっ、令呪――」
テルティナが自分自身に令呪を発動するのと、クローン悟空がテルティナの土手っ腹に蹴りを入れたのは、ほぼ同時だった。
「ぐ、ぇ――」
テルティナは胃にたまっていた息を吐き切る。
フレームバインダーを吊っていた鎖は簡単に引き千切られ、テルティナはフレームバインダーに拘束されたまま吹き飛んでいく。
すると、なんとテルティナの吹き飛んだ先にもまたクローン悟空が待ち構えていた。
瞬間移動により、吹き飛ぶテルティナより速く飛んだのだ。
クローン戦士はデータ上ではオリジナルと変わらぬ戦闘力を有しており、クローン悟空はその気になればこの殺し合いの参加者全員を相手取っても引けを取らないパワーを有していた。
「ぶっ――」
ガキン、というかっ飛ばすような音と共にテルティナは蹴り上げられ、彼女を拘束したフレームバインダーは上空へと打ち上げられる。
いとも簡単にテルティナは打たれた部位の周辺を複雑骨折し、そのお姫様特有とも取れるシミ一つなかったきめ細やかな肌には痛々しく青ずんで出血までしていた。
――本来であれば先ほどのユーゲスのように、蹴りの一発でも入ればテルティナの華奢な肉体など一瞬のうちに蒸発しており、テルティナは既に死亡しているであろう。
にも関わらずテルティナが骨折や出血で済んでいるのは、ユーゲスに囚われた時に服用した薬と、令呪だ。
その薬の正体は、「蓬莱の薬」。かの高名な月人が作り出した不死の秘薬。
この殺し合いにおいては不死を与える効果はなく、単に傷つきにくくして治癒力を飛躍的に伸ばす程度に留まるが、令呪の効果時間中はその限りではない。
令呪の時間に限ってはその制限は無に帰され、文字通り不老不死の能力を手に入れられるのだ。
「う、ぎ――」
(死ねない……兄貴に償うまでは……)
上空で、全裸のまま後ろ手に拘束されカエルのように開脚した無様な姿で宙を舞うテルティナ。
未だにフレームバインダーはテルティナを拘束し続け、無防備な裸体を晒すことを強制している。
碌に受け身も取れないまま、固定された身体をぐっ、ぐっ、と動かそうとするも拘束具はビクともしない。
「――」
「ひっ!?」
すると、クローン悟空が上空に飛翔してテルティナに追いついてくる。
「くっ……!」
テルティナはどうにか身を捩って体術で抵抗しようとするが、彼女を拘束するフレームバインダーはそれを許さない。
両手は背中で組まれたまま動かず、両足はフレームバインダーに太腿と足首を取られて一切の関節の自由が効かず、パンチもキックも封じられている。
「ぐううううぅぅおあががががががっ!?」
そのまま、クローン悟空の光速ともいえるラッシュをその肢体に叩き込まれてしまう。
孫悟空のいた世界ではこういった空中での体術の応酬は戦闘においてよく見られたが、此度においてクローン悟空の相手は、全裸で拘束された少女だ。
五体満足でラッシュを放ってくる悟空に対して、テルティナは一切の抵抗も防御も許されず、その無防備な裸体に連続で打撃を叩き込まれる。
裸体の前面を晒したまま両手両足を固定されている以上、四肢で身体を庇うことすら許されず、しかも鎧どころか下着も纏っていないためダイレクトにダメージがその身に伝わってしまう。
(痛い……いたいいたいいたいいたいいたいいたい!!!!!)
どんなに悲鳴を上げようとも、テルティナの五体を固定するフレームバインダーは一切の痛みを軽減する甘えを許してはくれない。
テルティナは無抵抗を強要され、まるでリフティングされるボールかのように拳と蹴りを防ぐことも避けることもできずに叩き込まれる。
頭や腹は勿論、時には一番弱い部分である股間にまで打撃を叩き込まれる。
「――!!」
「がっ――!?」
そして、クローン悟空が拳を振り下ろすとテルティナは地面に撃ち落とされ、受け身を取ることができずに固い地面にその裸体を激突させる。
テルティナが撃ち落とされた場所にはクレーターができて、その中央にテルティナが苦悶の声を上げながら身を捩っている。
とどめとばかりに、クローン悟空は墜落してフレームバインダーに拘束したまま仰向けに転がるテルティナに対して気を集中させた極太の気功波「かめはめ波」を放つ。
「ぎっ――」
股間の割れ目から小水と垂れ流して伸びていたテルティナは四肢を拘束されたテルティナは為す術もなくかめはめ波による熱線に焼かれ、光に吞まれていく。
しかしそれでも、テルティナはフレームバインダーに拘束されて無様な姿勢で拘束されたまま、死ぬことはなかった。
否、ここまでくると「死ねない」と言った方が正しいのかもしれない。
(これが……罰なのかな……私への……)
かめはめ波による光が止んだテルティナの肌は、もはや肌色を保っている部分の方が少なかった。
それでも、令呪によって制限を解かれた蓬莱の薬はテルティナの身体を急速に再構築していく。
(そうだ……私はここで終わるわけにはいかない……)
テルティナは償わなければならない。
どうしようもないわがまま娘であった自分のために死んだ、「兄貴」のアルテオに、イドラの父にラーニヤの父。
兄貴から託された使命――世界から魔力の種を取り除くまで、テルティナの償いは終わらない。終わってはならないのだ。
「ぜぇ……ぜぇ……!」
(その時が来るまで……絶対に――!!)
テルティナの肢体に肌色の面積が回復していく。
そんなテルティナに、クローンベジータが近づいてきていた。
「私は……負けません!!」
未だに裸を晒してフレームバインダーに拘束され、自分で立ち上がることすらままならない身体で、テルティナはキッとベジータを睨む。
フレームバインダーに開脚したまま固定され、ユーゲスに犯され初めてを奪われたばかりの陰部を開けっ広げにしてクローンベジータに向けて股を開いたまま、啖呵を切った。
「――」
クローンベジータは気を溜めて、連続で容赦なく気弾を抵抗できないテルティナに向けて放つ。
所謂「グミ打ち」と呼ばれるものだ。
「ぎゃあああああっ!!」
直後に聞こえるのは、連鎖する爆発音とテルティナの悲鳴。辺りには姿が見えなくなるほどの土煙が舞っている。
向きの関係上、ベジータの放った気弾のうち多くはテルティナの股間に直撃し、フレームバインダーに拘束されて開脚させられたままのテルティナは股間をガードすることもできず、グミ打ちによる金的攻撃を連続で受けることになった。
「――」
やったか。
クローンベジータがテルティナのいた場所に近づくと、テルティナは本当にやられていた。
全身のあちこちが焼け焦げており、特に股間の辺りはほぼ炭と化していて真っ黒だ。これはもはや子宮もいかれたかもしれない。
「ふーっ、ふーっ……!」
それでも、唇を噛んで口元から血を垂らしながら、テルティナは脳が焼き切れるような痛みに耐えながら生きていた。
彼女の生き延びるという意志に答えて、蓬莱人となったテルティナの魂をその肉体に留め続ける。
「うっ、ううっ……」
テルティナは見下ろしてくるクローンベジータを睨み上げながら距離を取ろうと、かろうじて動く足首から先の足指を使って距離を取ろうとする。
ほんの僅かに、テルティナの身体が全身を捕えているフレームバインダーごと動くが、その距離、僅か数cm。
「ぐっ……」
「――」
当然逃れられるはずもなく、まだテルティナに息があることを悟ったクローンベジータはテルティナの首を掴み上げる。
そして、拘束されたテルティナを前面に掲げながら音速を越えるスピードで飛翔し始める。
まるで、いつまでも死なないテルティナに痺れを切らしたかのようだった。
「はぉあっ――!?」
そんな呆けるような間抜けな声を上げたテルティナの顎を掴みながら、クローンベジータはさらに速度を上げて、その背後にある岩盤へと突貫していく。
そのまま、力任せに拘束された彼女を叩きつけた。
「かはっ――」
その勢いは凄まじく、硬い岩でできていたはずの巨大な岩盤は轟音を立てて衝撃波を周囲に放ちながらその形を変える。
テルティナと激突した衝撃でその面積を覆うかのようなクレーターを形成し、岩盤にずっぽり埋まったテルティナを中心に巨大なひび割れが起こっていた。
(ダメ……やっぱり、死なないだけじゃ勝てない……)
口と目から血を流しながらも、テルティナはクローンベジータと、自分と同じ高さまで降りて来たクローン悟空を睨みながら悟る。
(せめて……この拘束具が解ければ……!)
不思議なことに、これほどの衝撃を受けても未だにフレームバインダーは傷つきながらもテルティナを拘束し続けていた。
未だにテルティナは無様な姿勢で、この戦闘において一切四肢を動かすことができていない。
やはり、テルティナが償いを果たすには力が必要だというのか。この殺し合いを勝ち抜き、優勝できるほどの力を。
「うっ……」
クローン悟空とクローンベジータは、すぐそこまで迫ってきていた。
「――」
「――」
クローン悟空とクローンベジータはテルティナに手を向けて気を溜めている。これで終わらせる気だろう。
令呪もそろそろ切れる頃だ。
もはや、一刻の猶予もなかった。
辺りを見回すも、使えそうな支給品はない。テルティナの破瓜血のかかった衣服とは既に引き離されてしまった。あるのは、テルティナの身一つだけだ。
このままでは、死ぬ。けど、五体を固定されたこの状況でどうすればよいというのか。
「うっ、ぐすっ……」
鼻を啜りながら、涙を流しながら、テルティナは天に請うように言葉を絞り出す。
「力が……欲しい……!せめて、この償いを続けられる力を……!!」
そんなテルティナの声に応えるように、何者かがテルティナの肢体に覆いかぶさってきた。
テルティナが目にしたのは、あの支給されたセーラー服だった。なんと、セーラー服が白衣を引っ掻けながら独りでに動いて、テルティナの元に来ていたのだ。
そのセーラー服はまるで自分のことをじっと見つめていて、生きているみたいで、とてつもなく不気味だった。
――そして、テルティナはそのセーラー服と、一緒に持ってこられた白衣に、『着られた』。
「があああああああっ……!!」
テルティナの苦悶の声がすると共に、凄まじいエネルギーの奔流が迸る。
そのセーラー服は一度自身を分解し、裸のテルティナの肌に這いずると同時に噛みつくように締まりつき、浸食するかのようにテルティナの肌を覆っていく。
同時にテルティナの力は瞬く間に増大していき、その身体から漏れ出るエネルギーの奔流にフレームバインダーは抗えず、ついに自壊してテルティナを拘束から解放する。
そして、閃光が溢れ出たと思うと、テルティナのいたクレーターから一筋の光が飛び出し、クローン悟空とクローンベジータを弾き飛ばしながら宙を舞う。
「人衣血友――」
「――神衣純潔!!!!!」
.
そこには、白衣を肩にかけ、ほとんど裸とも言えるような露出度の高い戦闘スーツを身に付けたテルティナが、堂々と二体のクローンを見下ろしていた。
肩のアーマーとニーソックスを除けば後はスリングショットで胸と股間を隠しただけという格好でとてもそれがあのセーラー服が変形した姿とは思えない。
しかし、テルティナに支給された「それ」は可能だった。
生命繊維を100%編み込んだ「神衣」の一つである、「純潔」。テルティナの破瓜血によって起動したそれは、着用したものを喰らいかねないほどに危険ながらもフレームバインダーを破るほどの力を彼女に与えていた。
「私は、止まるわけには行かないのです」
テルティナは落ち着いた口調で言う。
純潔の露出度による羞恥心はない。既に、男に汚された挙句一糸まとわぬ姿にされて嬲られた経験から、羞恥心など忘れ去ってしまった。
「止まってしまったら……もう兄貴に償えなくなるから」
そう言ってテルティナは、クローン戦士達を倒すべくさらに一画令呪を消費する。
すると、純潔を纏ったテルティナの姿がさらに変わっていく。
銀髪の長い髪はそのままに、肌の色はまるでかの魔人ブウのようにピンク色に。その尻からは、トカゲのように長い尻尾が生え。その瞳は黒と赤に染まる。
まるで、目の前のクローン戦士の生みの親でもある人造人間21号のようであった。
否、今のテルティナは人造人間21号なのだ。なぜなら肩にかけていた白衣が、人造人間21号の能力とアバターを与える支給品だったのだから。
「なるほど……この白衣もまた、力をくれたんですね」
完全に魔の者の姿となったテルティナはピンク色に染まった手を開閉しながら得心がいったように見つめる。
そして、クローン戦士達の方を向いて、以前のテルティナからは想像もできないような嗜虐的な笑みを浮かべて言う。
「私の償いを続けるためにも……私の糧になってくださいね?」
直後、テルティナの姿が消えたかと思うとクローン悟空に肉薄しており、目では負えない速度でかかと落としを見舞う。
テルティナの動きはもはやクローン戦士たちには捉えることができず、クローンベジータは狼狽えたかのように地面に突き落されたクローン悟空を見守っていた。
「お返しです」
テルティナはすかさずクローンベジータの顎を鷲掴みにすると、意趣返しとばかりに背後の岩盤に激突させて鎮める。
その衝撃で岩盤は完全に崩壊し、あたりには膨大な量の土煙が舞っていた。
「さて……食事といきましょうか」
テルティナはにっこりと笑いながら、クローン戦士達にとどめを刺しに向かった。
§
戦闘が終わると、テルティナの着る純潔は元のセーラー服に戻り、ピンク色だった肌も元に戻っていた。
どうやら、魔人ブウに似た姿は令呪を維持している間限定のようだ。今は純潔の上に白衣を纏いながら、戦いの後の処理をしている。
「死体を食すのは気が引けますが……仕方ないですね――おいしくなあれ」
そう言って、テルティナが指から光線をユーゲスに放つと、なんとユーゲスの死体だったものはチョコドーナツに変わってしまう。
その手には、既に2つのカップケーキが握られていた。それぞれ、クローン悟空とクローンベジータだったものだ。
「結構揃いましたね……おいしそう……」
テルティナは目を輝かせながら、手元に揃った3つのスイーツを眺める。
今のテルティナは、元の心優しかったテルティナと比べると人が変わったようだった。
事実、その精神は歪んでしまっていた。
ユーゲスから辱めを受け、クローン戦士に蹂躙されて弱っていた精神に、人造人間21号の能力を得たことによる副作用が強く出てしまっていた。
「いえ、でも……相手が悪人とはいえこんなことをしたと知ったら皆は……兄貴はどう思うだろう……?」
――食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。
「けど……この殺し合いで私の償いを続けるためには……仕方ないですよね……」
一瞬、難しい顔をして躊躇するも、「殺し合いの中で償うために生き延びる」ことを言い訳に、テルティナは心に湧き上がる衝動に従う。
その瞳は混濁しきっており、ピクピクと震えていた。
「はむっ、むぐっ、もぐもぐ……」
テルティナは貪りつくように夢中でスイーツを食す。
副作用――それは、凶悪な捕食衝動である。事実、オリジナルである人造人間21号も「強い戦士をスイーツにして食らう」という捕食衝動に苦しんでおり、それがそっくりそのまま参加者に作用してしまうのだ。
スイーツにされて食べられた者は、捕食者の糧となり、吸収される。
捕食者はそうして戦闘力を増大させ、無尽蔵に力を得ていくのだ。
「ちょっと薬品臭かったし死臭もしたけど……おいしかったです」
やがて、全て食べ終えたテルティナはクローン悟空とクローンベジータの戦闘力を受け継ぎ、気のオーラを発現できるようになっていた。
また、ユーゲスの死体をスイーツにして食べたことで、一画しかなかった令呪には三画が書き足され、ユーゲスの分の令呪を受け継いでいた。
「もっと力をつけないと……このままここで死んでは兄貴に償いきれない……」
ユーゲスの分の支給品を自身のリュックに入れたテルティナは、その場を後にする。
(このまま強い人をスイーツにして食べて、力をつけて元の世界に帰って、それで魔王族もスイーツにして――あれ?)
ふと、テルティナは自身が本来の目的を見失っていることに気づく。
そもそも、テルティナには魔力の種を世界から取り除くという使命があり、それが償いでありそのためにも生きて帰らなければならなかったはずだ。
それに、なぜか強者全員を食す気になっていたのもおかしい。強者の中でもレッドやロゥジー、イドラにラーニヤと、頼もしい仲間も強者に入っている。
もし、同じ殺し合いの場にいれば合流も考えなければならない。
(そう……そうです。食べていいのは、強い人の中でも悪人だけ……。でも、心も強い人で作ったスイーツはどんな味がするんだろう……)
だが、一時的に正気に戻ろうとも、テルティナの心には確かな綻びができていた。
かつては”簒奪の銀狼”で悪人すら救おうとしていたのに、もはやそれらは捕食対象となっているのだから。
とぼとぼと、おぼつかない足取りでテルティナは歩いていく。
テルティナが、いつかの人造人間21号のように暴走してしまうまで、どれほどの時間が残されているだろうか。
【テルティナ・リズ・ワーグレイ・アヴァルロスト@戦隊レッド 異世界で冒険者になる】
状態:処女喪失、蓬莱人、精神的ダメージ(大)、捕食衝動(特大)
服装:純潔@キルラキル、人造人間21号の白衣@ドラゴンボール ファイターズ
装備:
令呪:残り四画(自前+ユーゲスから吸収した分)
道具:罠・魔法カードセット@遊戯王TCG、ランダムアイテム×0〜2(ユーゲスの分)、ホットライン
思考
基本:償うためにもこの殺し合いを生き延びて元の世界に帰還する。
00:食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。
01:強者であり悪人をスイーツにして食し、生き延びられるだけの力をつける。
02:仲間(レッド、ロゥジー、イドラ、ラーニヤ)が参加していた場合は合流したい。
参戦時期:クライガン戦(魔力の種が暴走してケモノ化するより)前
備考
※全裸の上に純潔と白衣を来ています。
※令呪を使用した場合、不老不死になると共に肌が人造人間21号の色となり尻尾が生えます。
【支給品紹介】
【純潔@キルラキル】
テルティナに支給。
着た者に強大なパワーを与える、生命繊維が100%織り込まれた「神衣」の一つ。
原作では主に鬼龍院皐月は装着しており、戦闘形態になると極端に露出度の高い外見になると共に、戦闘の余波だけで周囲の都市を瓦礫の山にしてしまうほどの戦闘力を得る。
しかし強力な分、身体に与える負担も大きい。
皐月が「人衣圧倒」に対して、テルティナは「人衣血友」。
【人造人間21号の白衣@ドラゴンボール ファイターズ】
テルティナに支給。
人造人間21号が着用していた白衣。
着ている者には「人造人間21号@ドラゴンボール ファイターズ」のアバターが与えられ、その能力を使えるようになる。
しかし、人造人間21号のアバターには捕食衝動が極端に増加するという副作用があり、最終的には強い戦士をスイーツに変えて捕食したい欲求を押さえられなくなる。
また、令呪を用いて制限を解除した場合、人造人間21号のようなピンク色の肌になり、尻尾も生える。
【蓬莱の薬@東方project】
テルティナに支給。
月の民が製作した不老不死になる秘薬。
月の都ではこの薬を服用することは禁忌とされており、罪人として重い刑を受けることとなる。
この薬によって不老不死になった者を蓬莱人は呼ばれている。
殺し合いではあくまで傷つきにくくなり、回復力が飛躍的に向上するだけで不死の効果はないが、令呪の効果時間中はその限りではない。
【罠・魔法カードセット@遊戯王TCG】
ユーゲスに支給。
遊戯王TCGにおける罠カードと魔法カードの詰め合わせ。
使用すると、カードに書かれた効果が現実にも及ぶようになっている。
現状は総枚数と、「武装解除」以外のカード構成は不明。
以上で投下を終了します。
性的描写があることの申告漏れ、大変失礼しました。
投下します
「これが神の思し召しなんだろうな……」
だれも、第三門までやってこなかった。
だれも、もう俺と会うことはなかった。
だれも、俺を殺すことが出来なかった。
俺の後ろで、銃を構えた女が泣いている。
向けられた銃口から、弾が出ることはない。
カチカチと何度引き金を引いても。女は俺に死を与えてはくれなかった。
神は女が数十年抱え続けた復讐より、俺を生かし続けることを選んだ。
生かして、生かして。死ねないで、死に損なって。
俺にできることは、この苦難の道を歩み続けることだけだ。
それ以外のことを考える余裕など、とっくの昔に擦り切れていた。
「これから君たちには我々の用意したゲームをプレイしてもらう。
形式はバトルロワイヤル。
己が存在と理想を叶える権利かけて最後の1人になるまで殺し合うんだ」
直前の記憶さえ曖昧なまま、暗い部屋の中に神を見た。
神の額には縫い目があった。神の頭上には環があった。
神の名は梔子ユメ。あるいは羂索。
何十年と生きて、神は初めて生以外の試練を与えられた。
神は望んだ。俺たちに殺し合いをしろと。
強すぎる者には制約を。弱すぎる者には救済を。
そんな手のかかることをしてまで、俺たちに殺し合うよう神は言った。
「そうか……」
神の説明を聞いて、俺は心の底から救われた気がした。
周りからは悲鳴が上がっていた。罵声が聞こえていた。泣いている奴もいた。
そんな奴らの只中で俺は思ったのだ。
「これでようやく死ねる。」
◆◇◆◇◆
「貴様ァ!このヒーロー タンクトップタイガーの邪魔だてをするなど!
まさか!あの羂索とかいう怪人の一味ではないだろうなぁ!」
「んなわけないでしょ。
悪党面で暑っ苦しい声出さないでよ!」
「何おぅ!この俺が悪党面だとぉ!
やはり貴様は怪しい!正義執行だ!!」
トラ柄のタンクトップを着た男が唾を飛び散らせて叫び、相手の頭を狙って思いっきり殴りかかる。
遠目から見ても男の拳は鍛え上げられ、丸太のように太く硬い。
腕が一薙ぎされるごとに周囲の木々がその風圧で揺れ、当たってもいないのに枝葉が音を立てて宙を舞う。
並の人間の骨程度容易にへし折りかねない。
そんな凶器を前に、女は俊敏な動きで悠々と躱す。
道化師を思わせる奇抜な化粧の裏で、向けられる死に対して女は。
――ハーレイ・クインは、不敵に笑う。
「くそぉ!なぜ当たらん!」
二度、三度。男が振るう拳を、体を傾け、あるいはくるりと回転しアクロバティックに避ける。
タンクトップタイガーと名乗った男の目が血走りぴくぴくと血管が震えるさまを前に、ハーレイ・クインはニヤリと笑いさすまたのような棒を取りだした。
天上からゴミが振る世界で、怪物を狩る掃除屋たちが文字通り愛用する『人器』。
その1つである二股の形状をしたただの棒。通称:愛棒。それがハーレイ・クインに支給されたアイテムだ。
腹部を狙って振るわれたタンクトップタイガーの爪撃。
後方に1回転し華麗に避け、その遠心力ごと棒を振るう。
「真下が、がら空きっ!」
男の股に差し込まれた棒が上に大きく振り上げられる。
見た目はただの棒だったその武器は、ハーレイの意思に応じて硬質化し巨大化する。
正中線に向けまっすぐに振るわれたその棒が、男にとって最も致命的な個所にクリーンヒット。
股間がメリメリと嫌な音を立て。タンクトップタイガーは思わず膝をつき首を絞められたかのような声をあげる。
ハーレイの手元から棒が落ちカランと立てた音を完全にかき消す絶叫が、暗い森に響き渡った。
「ホンデュワァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
首を絞められたような切ない悲鳴を前に。「あっ。ゴメン」とハーレイは片手で会釈した。
ろくに謝意も感じられない。何か一発文句を言ってやりたいと気が済まない。
起き上がり口を広げようとも、股間から雷のように迸った痛みのせいか、コヒューと擦り切れた風と泡が出てくるだけだった。
白目をむいて倒れるタンクトップタイガー。彼の睾丸がどうなったかは書き記すに余りある。
土埃をたてて巨体が倒れこみ、その反動で腰につけられた二丁の銃が勢いよく浮きあがる。
獣道にぶつかった二丁の銃は、トランポリンで跳ねたようにタンクトップタイガーの腰を離れ。大きく弧を描きハーレイ・クインの手元に収まった。
「イエーイ。ゲッチュ!」
リボルバーをクルクルと回しながらハーレイは彼女の背後に歩を進める。
タンクトップタイガーの隣に落ちた人器を拾うより前に、彼女にはすべきことがあった。
陽気な笑顔のまま銃口を向ける。その先では片膝を立ててしわがれた老人が座っていた。
ボロボロのケープコートを着て顔には深いしわが目立つ。ハーレイの知識に照らし合わせるなら、川の下で空き缶を拾っているホームレスに近い様相をしていた。
「どうやったんだそれ?」
向けられた銃口など気にも留めず、木にもたれ掛かり一部始終を眺めていた老人が尋ねる。
銃を奪った方法のことだな。そう理解して「これのこと?」とハーレイはバックパックから支給品を見せる。
取り出された羊皮紙は一見するとただの手紙か書類のようだが、老人が目を凝らしてみると妙な力が感じられた。
とうぞくの秘伝書。この場でその名を知る者はいないが、その巻物はそのような名をしていた。
「この紙ペラ持ってると倒した相手の道具を盗れるんだってさ。
多分これソードスキルってやつよね?」
「それはまた、随分な当たりだな。
俺に支給されたスキルもなかなかのもんだが、アンタのは特別厄介そうだ。」
ハーレイの身体能力は一般の女性のそれを遥かに超える。
現に急所を突いたとはいえ、鍛え上げられた男をノックアウトしたのだ。
そんなに人間が棒だの銃だの振り回し、負けたらアイテムを盗られるのだ。低確率とはいえこれほど厄介なことはあるまい。
カラカラと老人は喉鳴らして愉快そうに笑う。
ずっと寝ていないかのように隈のできた彫りの深い顔だ。
麻薬中毒のジジイがこんな感じの顔をしていたなとハーレイは思った。
「それで、おじいちゃんは何?
ずーーーっと見てばっかりで戦う気もないし。オクスリ切れた?」
挑発のつもりで引き金に指をかける。老人が薬などやっていないことは百も承知だ。
「いらねえよそんなもん。」そう吐き捨てる老人からは、敵意も殺意も感じられない。
怯える人間。憤る人間。命を諦める人間。ジョーカーと暴れまわりそんな人間はごまんとみてきた。
目の前で無気力に座る男の目はそのどれでもない。
「そういう薬ってのは『幸せになりたいヤツ』が使うもんだろ?
俺の目を見ろよ。そんな面してるか?」
生きる希望をどこかに落っことしたような。
淡い光すら抱かない、はなから勝つ気も生きる気もない者の目をしていた。
下らない殺し合いの只中になぜこんな老人がいるのか、ハーレイにはさっぱり分からない。あまりにもやる気どころか殺意も生気もなさすぎる。
敵意と生気メラメラでいかにもな”敵”でいてくれた方が、ハーレイにしてはずっとやりやすかった。
「してないね。自分がこの世で一番不幸ですとでも言いたげな顔しちゃってさ。」
「そこまで己惚れちゃいないさ。」
「そういやプリンちゃんが言ってたっけ。
みんなが思ってる。ここから新しいどこかに行ってしまいたい。
俺は私はこんなもんじゃないのに!ってね。」
おじいちゃん、まさにそう言いたげなツラしてるね。
愛嬌のある笑顔からはそんな意図が滲み出ていた。
笑っているのもただプリンちゃん――誰のことなのか老人にはさっぱり分からないが、友人か恋人だろう――の言葉を引用できてテンションが上がってるだけのことだ。
だがその言葉は、妙に老人の――タケ=プラムパインの耳に残った。
「ここではない世界。俺はこんなもんじゃない……ね。」
タケにとって理想の世界とは何だろうか。
彼が自分に満足できる世界とは何だろうか。
そんなもの、彼にとっては1つしかない。
冒険者として仲間たちと暴れる日々。彼にとって最も幸せだった時間。
国家を敵にし反逆者となって戦う相手がモンスターから人に変わっても、タケにとっては幸せだった。
半分。エンディ。ミノル。コージ。ソウタ。コゲ。
あの頃の仲間たちは、タケを残してみな死んだ。
国王軍に敗け。青の水晶に敗けた。
レイン・ガーランドとその仲間たちに、彼の仲間たちは敗けたのだ。
ここにいるのはただの敗残兵。
敗けて。死ぬこともできず。生きる理由を失い続けるだけの男だ。
「俺にはそんなもんねえんだよ。」
タケは穏やかな顔で目を閉じる。
目の前の女は人を殺せる側だ。いくつも命を奪ってきたタケには感覚的にわかる。
ここで死んだとて悔いはない。
未練もなければ未来もない。
(感謝するぜ羂索。ようやく俺の暗い人生が終わる)
とっくに決まっていた覚悟を決めなおす。
彼の後ろで、銃声が雷のように轟いた。
銃声は響いた。ピストルは見慣れていたし銃声も聞きなれている、ハーレイの持つ巨大なリボルバーの殺傷力は疑う余地などない。
半分がコーネリアスを撃った時よりずっとデカい音だったが、弾丸は放たれたはずだ。
だが、いつまでたっても痛みがない。
骨が砕けない。血が噴き出ない。命が終わらない。意識が消え去らない。
(ん……?)
タケは振り返る。
背後に立っている女は、既にタケに背を向けていた。
タケから180度視線を移し、ハーレイが銃口を向ける先。その先で別の女がハーレイに銃を突き付けている。
ハーレイはまだ引き金を引いていなかった。
リボルバーの弾倉には、残らず弾丸が装填されている。
なら、さっきの銃声は?
タケが尋ねる前に。二度目の雷が落ちた。
ここで初めてハーレイは引き金を引き。火薬が飛び散る狭間に紫色の稲妻が華のように爆ぜた。
向き合う銃口が緋色の光を放ち、加速した弾丸を撃ちだすのはほぼ同時だった。
「やっば!」
銃口の向きから推測してハーレイは相手が引き金を引く前に回避の動作をしていた。
森の暗がりから放たれた弾丸がライフル以上の速度を見せて、ハーレイの背後で数本の木々に風穴を開ける。
もしハーレイが戦いなれておらず、回避に失敗していればハーレイの頭蓋にも同じ風穴があいていただろう。
木々をよく見ると、同じ大きさの風穴が綺麗にふたつ並んでいる。
最初の弾丸はハーレイのリボルバーではなく、緋色の光を放った闖入者の銃弾だとタケはようやく理解した。
木々の生い茂る暗がりから足音が近づいてくる。
鋭い目つきをした青い髪の少女が赤い宝石のはめ込まれた金色の銃をハーレイに向けたまま、その姿を二人の前に表す。
「銃を下ろせ。」
騎士のような鎧を纏い、落ち着いた声で青い髪の少女はそう言った。
体に傷のようなものは見受けられない。どうやらハーレイの撃った弾丸も外れたらしい。少女の後ろの森でバチリと紫の稲妻が爆ぜた。
タケにはハーレイの顔は見えないが、声からは冷汗を垂らしたような焦りがわずかに見て取れた。
「それ撃ってから言うセリフ?しかも頭狙ったよね?
それに……随分個性的な格好ね。なんのコスプレ?ディズニープラスでやってるアニメ?」
「銃を下ろせと言っている。
こちらは殺し合いに乗るつもりは無い。」
「そっちが先に下ろしてよお嬢ちゃん。
ところでその頭の輪っか、ルール説明してた子もつけてたけど流行ってるの?」
へらへらとした調子でハーレイは少女の頭上を指さした。
指さす先には星のような環が浮かんでいた。
「なんだよ……”アレ”は」
タケはただ茫然と。目の前の光景を眺めている。
その眼は二人の女傑ではなく、彼女らの武器に向けられていた。
◆◇◆◇◆
「すまない……てっきり殺し合いに乗っている手合いがおじいさんを襲っているものだとばかり。」
「別にいいって。
状況としては何も間違ってないし。」
互いに警戒は残ったまま。二人の女は腰を下ろして情報交換を行っていた。
錠前サオリ。騎士ような鎧を解除した少女の礼儀正しい態度に、ハーレイは少し面食らっていた。
鉄火場に慣れているだろうなとは思っていたが、いきなり頭を狙ってぶっぱなすような人間にしてはとても素直だ。
聞くところによると、威嚇射撃でヘッドショットをすることは彼女のいたキヴォトスではさして珍しいことではないらしい。
どうやらキヴォトスという場所にいる人間――特に梔子ユメや錠前サオリのように環(ヘイロー)を持つ人間はハーレイやタケより数段頑丈なのだという。
「何してくるかわかんなかったからおじいちゃんに銃向けた。
まあ、何もしなければ撃たなかったよ。弾の無駄でしょ。」
「そうなのか。」
錠前サオリが警戒していたことは、ハーレイ・クインが平気で他人に牙をむく危険人物であることだ。
ましてやサオリが目撃したのは、座り込むタケに銃口を向ける姿。もはや現行犯と言って差し支えないだろう。
だから撃った。その判断自体に誤りはないと思っているし、ハーレイ自身過度に責めるつもりは無かった。
サオリの予想と異なる点は、ハーレイは別に殺し合いに乗っているわけでもタケを撃つつもりもなかったということだ。
ハーレイ・クインが平和を願う人格者という訳では断じてない。サオリの経験から見てもこの女は間違いなく危険人物であったし、ハーレイ自身否定しない。
ハーレイ・クインが凶行に及ばなかった理由は2つ。いきなりこんなゲームに巻き込んだ羂索の思い通りにことを勧めるのは腹立たしいというある種のプライドが1つ。
無気力で殺気もない。ただの老人であるタケは警戒すべき対象ではない。短い会話の中この正体不明の老人をそう判断していたことが2つ目だ。
「喋って見たらわかる。このおじいちゃんは”何もする気がない”。日本語でなんていうんだっけ、毒にも薬にもならないってやつ?
そんな枯れ枝みたいなおじいちゃんに撃つくらいなら、あの羂索だかいうビッチに一発ブチ当てるほうが優先でしょ?」
「……ところで当のそのおじいちゃんは何をしているんだ?
私が来てからめっきり喋らなくなってしまったが。」
「両手に花で照れてるんじゃない?」
冗談をよそに、思い出したかのようにハーレイはタケを見る。
サオリの言う通り彼女が来てからこの男は一言もしゃべっていない。
両名が未だ腕に構え続ける銃を見つめ、瞳孔を見開いて微かに震えている。
信じられないものを見たかのように。無気力な男の顔に青い色が浮かんでいた。
(なんだ。今の銃は。
あの加速、あの光。まさか魔力か?)
ハーレイの銃から迸る紫の閃光。――銃の名はドンナー・シュラーク。ある錬成師の持つ二丁の雷。
サオリの銃が照らした赤い閃光。――武装の名はファウストローブ。錬金術師が扱う完璧に至る輝き。
銃の類は何度も見てきた。ヤクザどもが機関銃をもってやってきたことだってあった。
だが二人の弾速は機関銃を軽く超えていた。
何より、あの輝きからは紛れもなく魔力に類する力が働いていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
科学の産物とは両立しないはずの力が、彼女らの武器には働いている。
魔力は科学技術と成り立たない。
塗料を劣化させ、内部機構を破壊する。魔力を込めた弾丸を放つことなどできやしないのだ。
錠前サオリの存在よりも、この二丁の銃が魔力を秘めている。否、魔力に類する力を動力としているといってもいいことのほうが、タケにとっては異常事態であったのだ。
(ありえねえ。科学技術と魔力は今をもって両立などできないはずだ!
例外があるとしたらレインの付与……。)
タケが知る例外は、あの最後の戦いで中心にいた男。レイン=ガーランドの強化付与。
自動車にさえ強化付与をして見せた力だが、この中に施された力はレインのそれでは違うように見える。
ただ銃身の強度や火薬の威力を強化付与するだけなら、あのような紫の稲妻や緋色の閃光は生じない。
ではこの銃はなんだ?疑問がタケの中から溢れ出る。
「なあ、お嬢さんがた。
1つ尋ねるが、お前たちにとってさっきみたいな魔力を持った武器ってのは当たり前のもんなのか?」
突然の質問に、ハーレイとサオリは顔を見合わせる。
「んなわけないでしょ。撃ったこっちがびっくりしたわ。」
「ミレニアムであれば閃光を撃てる武器くらいはるだろうが。自分で目にした中で、あのような力を持った武器は初めてだ。」
はっきりと返された言葉に「そ……そうなのか?」とタケは困惑を強める。
ならその武器は何なんだ?タケが続ける前にハーレイが答えを返した。
「これあれじゃない?ISEKAIってやつ。」
「「異世界?」」
タケとサオリが同時に返す。
頷いたハーレイは上機嫌に憶測を続けた。
「だって明らかおかしいでしょ。デカくなるさすまた。持ってるだけでアイテムを盗れる紙。バチバチなるリボルバーに着脱可能なコスプレ鎧。
サオリちゃんの体だって輪っかあるし頑丈だし、アタシの世界にこんな子が居たら速攻バズるわ。」
「確かに。羂索の発言からも別の世界の存在を示唆するものはあったが。
なぜ言い切れる?突拍子のない話だぞ。」
「ついさっきまで異世界に行ってたからね。
ヘリが落ちてゴタゴタに巻き込まれたと思ったら今度はデスゲーム。チケット代くらい出してほしいんだけど。」
この場にいるハーレイ・クインは、A.R.G.U.S長官アマンダにより4人の囚人と共に異世界に送り出された直後のハーレイ・クインだ。
彼女らを輸送したヘリは落ち。近くで暴れていたオークをぶちのめし。言葉の通じない騎士の集団に捕らえられた。
直前に見た世界。同じ囚人クレイフェイスの言葉を借りるならISEKAIとこのバトルロワイヤルは全く別の世界だが。
どちらにしてもハーレイ・クインの世界とは違うのだ。
それは錠前サオリにとっても、タケ=プラムパインにとっても同じであった。
「異世界か。」
ハーレイの話はサオリの常識の外にある部分も少なくないが、話自体は納得できる。
右手に構えるフリントロック式の拳銃。ファウストローブを起動するためのスペルキャスターと呼ばれるユニットの存在。
またハーレイ・クインのような苛烈な人物の存在を、噂でさえ知らなかったことも納得がいく。
一方のタケは、ハーレイの言葉に目を丸くしていた。
魔力のある世界の住人とはいえ、並行世界の存在についてはサオリ以上に意識の外だ。
だが、そう考えると全てのつじつまがあう。
――彼の支給品も含めて、全てのつじつまが。
ハーレイの推論への疑いはあるが、その推論が真実かどうかはタケにとっては関係ない。
別の世界。常識外のアイテム。そんなものがあるとは信じられないが受け入れよう。
ただ一つ、タケには知っておきたいことがある。
「なあ、お前らに尋ねる。
世界が変わっても。神は俺たちを見ていると思うか?」
――神は人間を見ている。でも助けねえ。
――その人に合わせた苦難を与えるだけらしいんだよぉ
敬愛する男。『半分』と呼ばれた冒険者の言葉がタケの脳裏によみがえる。
もし神が見ているなら。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今までと同じ苦難を与えられているのなら。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さっきハーレイがタケを撃たなかったように、タケはここでも何も為せないのではないか?
笑われるだろうか。苦笑と共に投げかけた言葉に。女二人はきょとんとした顔を向けた。
「そこ、気にするべきところ?
おじいちゃんがやりたいようにやればいいじゃん。
アタシは別に元の世界に戻れたらいいし、羂索とかいうビッチの都合に興味ないし。」
ハーレイは随分と分かりやすい結論を返す。
信心深い性格には見えなかったし、彼女自身そうした生き方をしているのだろう。
アンタはどう思う?ハーレイよりも神妙に悩む錠前サオリに問いかける。
「そうだな。」言葉を返す少女の声は、低くよく通るものだった。
「生憎だが、その質問に満足に答えられるほどまっとうな育ちをしていない。
だが、たとえ神が見ていようと見ていなかろうと。同じことのように私は思う。」
「アンタも俺がやりたいようにやればいいと?」
「……私はあまり口が上手いほうではないからな。
便乗する形になるが、そういうことになるのだろうな。」
「……たとえ、その先に何もないもしてもか?
何の救いもなく、何の禍福もなく。何の結果もない。それでもか?」
「『たとえ全てが虚しいことだとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない。』
私の友人が言っていた言葉だ。」
「最善ね。」サオリの言葉を噛み締める。
タケにとって最善とは何だろうか。
そんなもの、彼にとっては1つしかない。
――己が存在と理想を叶える権利かけて最後の1人になるまで殺し合うんだ
羂索ははっきりそう言っていた。
タケにとって理想は死ぬことだ。ハーレイでもサオリでもいい。殺してくれたらそれでよかった。
だがもし、彼が”最善”を望むなら。”こんなもんじゃない今の自分”を超えることを願うなら?
――仲間との本当の意味での再会を。羂索(かみ)に望むなら?
ひょっとしたら、その可能性はずっとタケの頭の中にあったかもしれない。
どうしていつ死んでもいいと思っていたのに。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ハーレイが引き金を引く前に、目を閉じ覚悟を決めたんだ?
ポケットに手を突っ込むと、爪に冷たい何かが触れた。
取り出してみるとそれはタケの支給品の1つ。金属の球体だった。
古代遺物。ライフイズストレンジ。
その効果を思い出し、タケはのそりと立ち上がる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どうして羂索は、俺にこんなものを支給した?
覚悟を決める。死を前にした冷たい覚悟ではなく。生きるための汚泥のような覚悟を。
サオリとハーレイ動く前に、ことを成す必要がある。
タケは二人の肩に手を置き。息を整え集中する。
いきなり近づいてきたタケに、少女二人の反応は早い。
視線は既にタケの側に向き、ハーレイに至っては銃を構え引き金に指をかけていた。
それでも数秒、タケが能力を使うほうが早かった。
「感謝するぜお嬢ちゃんたち。さよならだ。
次に会う時は、多分殺し合いだな。」
「何を――」
投げかけられた質問が終わる前に。錠前サオリとハーレイ・クインの姿がタケの視界から消え去った。
「さて。嬢ちゃんたちは消した。
……そう遠くには飛ばせてないな。そのくせ随分体が重い。」
タケの能力。自身から2.5m以内の空間と中距離の空間を入れ替える力。
だがその能力は大幅に制限されている。
これが羂索の言う制限なのだろうか。それとも自身が数十年と冒険者家業から離れていたことによる老化とブランクによるものなのか。
おそらくその両方だろう。そしてそのどちらでも関係ない。
検証などしていないが入れ替えられる距離は短くなっているだろうし。地中や空中と言った死に直結する場所に入れ替えるには外部からのバフか令呪が必要だ。
2人を転移させた範囲も150mほどの場所。錠前サオリとハーレイ・クインならば夜の森でも30秒とかからず戻ってこれるだろう。
「十分だ。
実際はもっと慎重に状況を確認するし、こっちに来ない可能性もある。時間は足りるはずだ。」
一人残ったタケは準備運動を思わせる動きで両肩を思いっきり動かした。
数十年と使っていなかった骨と筋肉がコキりと鳴く。
自分の意思で何かを成そうと体を動かしたのは、いつ以来だか本人にも分からない。
これからすることを前にすれば、サオリはともかくハーレイは間違いなく引き金を引くだろう。
あの女は平気で人を殺せる。そういう人種だ。つまりタケと同族だ。
そうなれば終わりだ。紫の稲妻で加速した弾丸は、当たるどころか掠っただけで年老いて脆弱なタケは死ぬ。
ついさっきまでその弾丸で命尽きることを望んでいたのに、コロッと死にたくないなど考えてしまう自分がなんだかおかしかった。
「さて、頼むぜ神様。」
タケはポケットから自分の支給品を取り出す。
手のひらに収まる機械の球体だ。
てっきり冒険者にとっては禁忌である科学技術の産物――使うと魔力が落ちるのだ――かと思っていたが。説明を読む限りそうではないらしい。
「異世界……こことは違う世界か。
こんなものがある理由は分かったよ。
それにこんなものが、俺に支給された理由もな。」
泡を吹いて倒れる男――タンクトップタイガー球体を向けると。球体が目覚め熱を帯びる。
その古代遺物(アーティファクト) ライフイズストレンジ。
・・・・・・・・・・
その効果は、人間の肉体時間の操作。
「タンクトップタイガー 4年。」
球体が開き、放たれた光が倒れる巨漢を照らす。
巨漢の体がわずかに萎む。男の肉体が4年巻き戻りその間の鍛錬が失われていく。
そして使用したタケの姿は、その代償を支払う。
使用した年度の10倍の変化を、彼はその身で受ける。ライフイズストレンジを使用したリスクだ。
40年。
ただ死なず。ただ終わらず。ただ潰えず。ただ消えず。誰にも会えない40年。
半分。エンディ。ミノル。コージ。ソウタ。コゲ。
顔も朧気になった仲間たちと会うことだけを望んだ40年。
光が収まり。巨漢の変化が止まった時。
古代遺物を持つ青年から、暗い時間は全て雪がれていた。
◆◇◆◇◆
サオリとハーレイが飛ばされたのは先の森林からそう離れていない。苔むした岩のそばだった。
両者ともに身体能力は折り紙付きだ。いきなりの転送にもバランスを崩すことなく冷静に周囲を見渡した。
「何これワープ?あのおじいちゃんそんなこともできるの?」
周囲を見渡すハーレイ。森の中であることは変わらず、獣道からそれてしまい方向がさっぱり分からない。
きょろきょろと動くハーレイが銃を構えていることにサオリは気づく。
ついさっきではない。おそらくタケに触れられた時にはいつでも撃てる状態だっただろう。
続けてサオリもフリントロック式の銃の引き金に指をかけ、ハーレイと背中合わせで構える。
現状を理解するために思考を纏めているようで。涼しい夜なのに頬に汗が垂れていた。
「これも魔法というものなのか?
私たちの武器と同様。異世界にはそういう力があると?」
「案外、あのおじいちゃんははじめっから魔法を使えたのかもよ。
魔力を持った武器って、逆に言えば『魔力』はあって当たり前の場所にいないと出てこない発想だし。」
ハーレイもサオリも『魔力』という言葉に聞き馴染みはない。
もっと言えばサオリの支給品、ファウストローブは厳密には魔力によるものではない。
それでもタケにとって魔力という言葉があっさり出てきたことは、タケにとってそれだけなじみ深い存在ということだ。
「ということは、あの右足も魔法によるものなのか?」
サオリの指摘に、「へ?」と頓狂な声で応じた。
「足?」
「ああ、彼の右足を中心に風……空気と言ったほうがいいのか?
妙に渦を巻いていたような。」
「よく見てんね〜。」
転送だけでなく空気を動かす。おそらく魔法。
いよいよもってロードオブザリングじみてきたが、自分の人器やソードスキルもサオリのファウストローブもファンタジーな代物であることは変わらないのだ。
そういえばあの棒を置きっぱなしにしてたっけ。
一瞬そのことを思い出したが、今のハーレイにはもっと気にすべきことがあると思考の片隅に押し込んだ。
錠前サオリの見間違いと切って捨てるには、サオリの気づきはあまりに具体的だった。
「じゃあよく見てるサオリちゃんに質問。
その右足の風……めんどくさいし魔法ってことにしとこう。
その風の魔法であのお爺ちゃんは何をする?」
「……足に風か。イメージは出来ないが、速度を上げてここから離れるのでは?
身体能力が高く銃を持つ私たちのほうが危険度は高いだろう。」
サオリの答えにハーレイは「ノンノンノン。」と首を横に振る。
「なら一人でさっさとワープすればいいじゃない。
アタシらを飛ばせるのに自分が飛ばない理由はないでしょ。」
「それはそうだ。」
先ほどの異世界の推測も含め。ハーレイは奇抜な見た目だがかなり頭が明晰な人物だ。
相手をそう評価したサオリは、素直に「貴方はどう考える?」と答えを尋ねた。
「おじいちゃんの目、さっきまでのヤク切れジャンキーみたいな死んだ目じゃなかった。
アレは、何か企んでる人の目。」
「確信をもって言い切るじゃないか。」
「実体験実体験!
サオリちゃんも色々経験してるみたいだけど、ああいう奴が景気づけにやることは1つしかない。
殺し合い上等のデスゲームなら猶更。
だからそうだね、サオリちゃんの質問にはこう答えるよ。」
タケが元々自分のようなアウトローであることは、ハーレイもサオリも薄々は気づいていた。
だがあの無気力な老人にできることはたかが知れている。
生きる希望がないことを発言から受け取ったハーレイはなおさらだ。
二人の肩を掴み転送させたときのタケは、既に無気力な老人ではなくなっていた。
何か目的を持ち。何かしでかすつもりの目。
ギラつきを秘めた自身やジョーカー。多くの者たちと同じ野望を秘めた目。
ハーレイに銃口を向けられたときは使うそぶりすら見せなかった転送を使う理由。
この場において、理由は1つだけだ。
「あのおじいちゃん。今から誰か殺すよ。」
・・・・・・・・・・
殺し合いへの本格参戦。
男の目的はそれだと、確信をもって言い切るハーレイの言葉は軽い。
けれどもサオリには、そんなカフェでする世間話のようにあっさりと言い切られた言葉を。
否定することが出来なかった。
――次に会う時は、多分殺し合いだな。
老人のしゃがれた声が、サオリの耳に残り続けていた。
【錠前サオリ@ブルーアーカイブ】
状態:タケへの警戒(中)
服装:いつもの服装
装備:ファウストローブ・ラピスフィロソフィカス(銃型スペルキャスター)@戦姫絶唱シンフォギアAXZ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:このゲームから脱出する
01:この女性(ハーレイ・クイン)は信用できるのだろうか。危険な雰囲気がする。
02:さっきのおじいさんはどうなったのだろうか。
参戦時期:少なくとも最終編終了後
備考
【ハーレイ・クイン@異世界スーサイド・スクワッド】
状態:タケへの警戒(中)
服装:本編の衣装
装備:ドンナー&シュラーク@ありふれた職業で世界最強 ハーレイ・クインの服@異世界スーサイド・スクワッド
令呪:残り三画
道具:とうぞくの秘伝書(ソードスキル:オート盗む)@ドラゴンクエストシリーズ ホットライン
思考
基本:ジョーカーの元に帰る。
01:あの爺さん(タケ)。絶対何かやらかすじゃん
02:サオリちゃん可愛くない?コスメ何使ってんの?てかそれコスプレ?
参戦時期:異世界にやってきた直後 1話終了前後
備考
◆◇◆◇◆
姦しい女たちが居なくなった場で、タンクトップタイガーは目を覚ます。
傷がすっかり癒え、あのうさん臭い女も辛気臭い老人もいない。
股間からの激痛が脳天まで突き抜けたはずだが、今は一切の痛みも傷も残っていない。
不思議に思い立ち上がると目の前には褐色の青年が立っている。
虫でも見るかのような青年の視線に一瞬ぎょっとしたが、状況としては彼が何らかの能力かアイテムを使って助けてくれたとみるべきだろう。
「アンタが助けてくれたのか?
あの道化師女はどこだ?アンタ知らないか?」
周囲を見渡しても道化師女の姿は無い。どれだけ時間が経ったのかさえタンクトップタイガーには分からない。
「別に助けたわけじゃない。
この道具を使うには俺一人じゃダメだった。それだけの理由だ。」
照れ隠しと呼ぶには冷めきった目だ。
タンクトップタイガーは褐色の青年の苛立ちさえ感じるその態度がわずかに気になったが、恩人だからと馴れ馴れしく近づいた。
「なんにせよだ!お前はこのヒーロータンクトップタイガー様の恩人という訳だ。
ヒーローは恩は必ず返す!あの羂索だとかイカレ女だとかいるこの厄介な場所を共に切り抜けて……」
「あ、そういうのいいから。」
瞬間、タンクトップタイガーの前を黒い何かが横切り。視界が90度傾いた。
ハーレイに股間を殴られた時よりもずっと痛々しい音が、すぐ真下から骨を伝って響く。
「へ?」
「やっぱりなかなかのもんだ。
空気を操る魔法……お前もこんな気持ちだったのか?半分。」
冒険者として活動していたころの筋力に、滅竜魔法の威力がプラスする。
天空の滅竜魔法。ハーレイには「なかなかのもん」と言ったが。彼が得たソードスキルは文字通り竜を殺しえるほど極めて強力な代物だった。
天竜の鍵爪。本来の使用者によりそう名付けられた鋭い蹴りが、風を纏いタンクトップタイガーの首をへし折り、顎を粉々に砕いた。
脳を揺らし倒れる巨体から、ごぼりと音を立てて血があふれる。
抉れた喉からわずかに骨が見え、赤い泡が勢いよく噴き出ていた。
既に青年は、タンクトップタイガーに視線すら向けていなかった。
「なん……」
「だから言っただろ。確認だよ。
今の俺が人を殺せるのか。人を殺して今の俺はどう思うのか。
……今まで通りだったら。きっとお前は死ななかった。」
悪いな。褐色の青年がそういったことがタンクトップタイガー最後の記憶だ。
あの道化師女の会釈よりは本心だったなと。そんなことを思いつつ。
「ここでお前が死ぬのも、まあ神の思し召しってやつだ。」
皮肉交じりに告げられた言葉をタンクトップタイガーが聞くことはなかった。
もし本来のタンクトップタイガーであれば、致命傷ではあれ死ぬことはなかっただろう。
だが、今の彼の体はバグスターウイルスに侵され。さらに古代遺物(アーティファクト)により4年近く若返っている。
つまり、彼の筋力は4年分の鍛錬と増強の成果を失っているに等しく。
致命傷を絶命の一撃に変えるのに、充分な差であった。
【タンクトップタイガー@ワンパンマン 死亡】
男の死体に手を当て、先ほどサオリとハーレイにやったように集中する。
タケの全身から漏れでる光が収まると、タンクトップタイガーの死骸が土塊に変わっていた。
これは天空魔法によるものではなく、タケが本来有する空間転移によるものだった。
タンクトップタイガーの死骸は数十mの地中に埋まり、二度と顔を出すことはない。
そんな真似をしたのも、反逆者となった時に暗殺の母と戦った時以来のことだ。
「懐かしいな。」
何に向けていったのかは、タケ自身にも分からない。
人を殺したことか?死体を埋めた事か?
それとも、人を殺してまで前に進もうとしたことか?
うん十年とあった空虚な思いが消えていく。
取り返しのつかない一線を越えた現実を前に、生ゴミをぶちまけたような気色の悪さが広がり。
その感覚に、形容し難い懐かしさを覚えてしまった。
「あいつらといたころは、こんな事珍しくもなかった。」
タケにとって人を殺したのは初めてではない。
冒険者としての戦いの中命を奪うなど何度もしてきたし。反逆者となった後だって人を殺すことは何度もやってきた。
モンスター相手に暴れるのも、人を相手に暴れるのも。タケにとっては変わらない。
仲間がいたころは誰が相手でも楽しかったし。
仲間が居なくなった後は、誰を相手にしてもつまらなかった。
仲間の居ない人生。ただ一人死に損なった半生。
どれだけ会いたいと思っても、どれだけ彼らと同じ知識を身に着けても。
タケの脳の中にさえ、彼らの姿は既にない。
――思う存分呪いあえ。
羂索はそんなことを言っていたが、タケにとっては今の人生が呪いそのものだ。
この戦いに巻き込まれたときは、自分の事など知らない誰かの手でさっさと殺してほしいとさえ思えていた。
なぜ今になって。戦おうと思えたのだろうか。
ハーレイ・クインと錠前サオリの言葉に感化されたからか?
二人が持つ銃を前に、魔科両立の奇跡を――レイン・ガーランドの存在を思い出したからか?
それとも、ここが彼の世界ではないのだと。神の目の届かない場所にあるのだと。
そう思ったからか?
この場の神。あえていうなら羂索。
彼女が殺し合いを望んだからか?
「どうでもいいか。
俺はそもそもそんなこと考えるキャラじゃなかった。」
タケ=プラムパインにとって確かなことはただ一つ。
この遊戯の先に、自分がずっと会いたかったものがある。
あえて言葉にするなら、それは希望だった。
「神はその人に合わせた苦難をあたえるだけ。か」
女二人は、タケの常識から外れた魔術と科学の融合技術が。
そしてタケの手には、彼が慕った男と同じ空気を司る魔法がある。
わざとだというなら、この盤上の神は――羂索一派は趣味が悪い。
あらゆる願いを叶える権利。それを手にするには、一度負けた相手と戦わねばならないのだ。
タンクトップタイガーの荷物を漁ると、天然繊維でできたと思しき薄緑色の服がある。
未知の服だったが微かに魔力が感じられる。科学技術を利用できない自分が来ても問題ないだろう。
ボロ布のような服を脱ぎ捨て、薄緑の服――みかわしの服に袖を通す。
てっきり大柄なタンクトップタイガーに合わせたサイズなのかと思ったが、タケにとって多少緩い程度で動きに支障はないのは良い意味で意外であった。
「さて、いくか。」
落ちていた棒。ハーレイ・クインが残したさすまたのような棒をタケは拾い上げる。
長物をあまり扱わない彼だが、棒を握る手は何故だかしっくりきた。
ただの棒に薄い冒険服。
科学技術を使用しない冒険者の装備としては、これ以上ない最高のものだ。
そういえば、俺は冒険者だったなと。今更ながら思い出した。
「羂索(かみ)よ。
お前らがそう望むのなら。
思う存分、呪いあってやる。」
タケの言葉に、返してくれる人は誰もいない。
静寂には慣れたはずなのに、そこに仲間がいないことが久方ぶりに寂しく思えた。
【タケ=プラムパイン@追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 〜俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?〜(漫画版)】
状態:わずかな希望 疲労(大)
服装:みかわしの服
装備:人器・棒@ガチアクタ みかわしのふく@ドラゴンクエストシリーズ
令呪:残り3画
道具:ライフイズストレンジ@アンデッドアンラック ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
ソードスキル:天空の滅竜魔法@FAIRY TAIL
思考
基本:また仲間と会いたい
01:殺して勝つことが俺にとって最善だ。その先が理想の世界だ
参戦時期:47話直後 本ロワにおいて全話より40年前後経過したことにしています。
備考 空間置換の能力が制限かかっています。
また天空の滅竜魔法@FAIRY TAILのうち、治癒や付与の能力は使用できません
ライフイズストレンジ@アンデッドアンラックの効果で肉体は46話以前の状態に戻っています。
タンクトップタイガーの残り1つの支給品を回収しています。内容は後続の書き手様にお任せします
支給品一覧
ライフイズストレンジ@アンデッドアンラック
・タケに支給
対象者の名前と年数を言うことで、対象者の肉体時間を変化させる道具。
肉体そのものの時間を動かすため致命傷さえ元に戻すことが可能だが、効果は永続である。
寿命より長い時間に進めたり、生まれる前の時間に進めると対象は死亡あるいは消滅する。
使用者にはリスクとして対象の10倍の時間変化が起こるほか、一度使用すると使用者の変化と同じ期間使えなくなる。現在使用不可
ソードスキル:天空の滅竜魔法@FAIRY TAIL
・タケに支給
天竜グランディーネに育てられた少女が使用する滅竜魔法の一種。
魔力の原動力は空気であり、澄んだ空気を食うことで魔力が回復するようになる。
本来は攻撃・回復・付与と多岐にわたる能力を有する魔法。
現在のタケの場合 本人との相性のためか攻撃以外の魔法は殆ど使えない(使う気がない)状態である。
人器・棒@ガチアクタ
・ハーレイ・クインに支給
大切に扱ってきたモノに思念が宿ってできる「人器」の1つ。自称:凡人の掃除屋の愛棒。
さすまたのような形状のただの棒ながら、巨大化や鋭利な棘を生やすなど戦闘向きの姿になり。反響を用いて周囲の空間を把握することもできる。
本来十全の力を引き出すには使用者の思い入れが必要だが、本ロワにおいては誰であれ相応に力が引き出せるようになっている。
現在:タケが使用中
とうぞくの秘伝書/ソードスキル:オート盗む@ドラゴンクエストシリーズ
・ハーレイ・クインに支給
職業秘伝書の一つ 盗賊職の奥義
戦闘終了後相手のドロップするアイテムを一定の確率で盗むことが可能
本ロワにおいては、相手にダメージを与えることで相手の所持するアイテムを奪うことができる
盗める確率はかなり低いが、ハーレイは「相手が敗北を認めるほど盗める確率が上がるのでは」と推測している
ハーレイ・クインの服@異世界スーサイド・スクワッド
・ハーレイ・クインに支給
赤と黒を基調としたジャケットとホットパンツ
ジャケットにはパーカーがついており、被ると赤と黒の二股帽子をかぶった道化師のような格好になる。
ファウストローブ・ラピスフィロソフィカス(銃型スペルキャスター)@戦姫絶唱シンフォギアAXZ
・錠前サオリに支給
錬金術の戦士たちが有する戦闘装備で、高質量のエネルギーを錬金技術の粋によってプロテクターの形状として錬成させたもの。
闇の力を浄化する性質を持つ賢者の石(ラピス・フィロソフィカス)を核とし、普段はスペルキャスターと呼ばれるコンバーターユニットの形状を保っている
錠前サオリに支給されたのは銃型のスペルキャスターで、使用すると銃と剣の形状を持つ武器を備えた騎士のような姿になる
本ロワにおいては女性であればだれでも装備できる
ドンナー&シュラーク@ありふれた職業で世界最強
・タンクトップタイガーに支給
銃口に雷を纏うことで、レールガンの弾速で弾丸を放てるリボルバー型のレールガン
右手用のドンナー及び左手用のシュラークからなる二丁拳銃。
純粋な射撃武器として使える他、本ロワにおいては魔力に類する力が無くてもその真価を発揮できるが、その場合体力が消耗することになる
現在:ハーレイ・クインが使用中
みかわしの服@ドラゴンクエストシリーズ
・タンクトップタイガーに支給
重い鎧を装備できない人たちのために作られた、魔法の服。
重さを感じさせないほど軽く使用者の回避率を上昇させる。
細かな設定は作品ごとに異なるが、タンクトップタイガーに支給された服はDQ8準拠の「装備者の反射神経を鋭くする魔法の力を秘めている」もの
現在:タケが使用中
投下終了します
投下します。
たしかに生まれた 必要だからだ たしかに生きている まだ用事があるからだ
後藤静香
「……」
ズシズシと重い足音が響く。
音の主は”竜”である。
竜の名はない。
ただ種族としての名はある。
ダースドラゴン。
それが、名もなき竜の族する種族名。
「……」
我らの務めは主の住む居城の地下深くを警護すること。
当然だ。なぜなら我ら、ダースドラゴンは王の配下の魔物の中で攻守に優れた種族であるから。
実際、数多の勇者を名乗る者を葬りさった。
だが、王は討たれた。
勇者とは名ばかりの贋物の中に混ざっていた真の勇者によって。
何体かの同族はその勇者と戦い斃れた。
片や俺はその勇者に遭遇することもなく、無為に時間を過ごした。
そして気づけば王は討たれていた。
勇者を葬ることも。戦い斃れることもなく生き恥を晒した。
俺は”りゅうおう”さまのお役に立つことができなかった。
王を守れぬ竜など存在意義はあるのだろうか?
主を守れず無色の世界をただ生きる
それがダースドラゴンの現実(じごく)
☆彡 ☆彡 ☆彡
「……!」
切り株に座る人間の女がいた。
雰囲気からみると、どこぞの村の村人Aといったところ。
おそらく、普段から体を動かしていないのだろう。
その華奢な肌は、爪が触れただけで血飛沫をまき散らし、斃れる。
「人間か……」
人間……主を討った種族。
もし、この場に王を討った勇者がいるのなら、仇討ちにでるべきだろう。
だが、目の前の村娘は、明らかに戦闘とは無縁に見えた。
そのような者を殺すのは、気が乗らない。
なにより、この殺し合いに乗ることは羂索なる人間の思うつぼではないだろうか。
それは、誇り高き王の配下としてあってはならぬこと。
――――コマンド――――
たたかう じゅもん
にげる どうぐ
”にげる”
(立ち去るか……)
まるで、”にげる”みたいで気が進まないが、無理して人間と接触をはかることもない。
竜はそっと、その場から立ち去ることを選択した。
ダカダカダカッ
りゅうはにげだした!
しかし、きづかれてしまった
どうやら娘はこちらの存在に気が付いたようだ。
むすめが きづいた
コマンド?
(……ち、こうなったら追い払うとするか)
襲い掛かるように竜は吠える。
村娘には十分だろう。
おそらく恐怖の顔で逃げ出す。
自分の悪評が広がるかもしれないが、まぁそれは構わない。
ゲームには乗らずとも襲い掛かってくるのならば、返り討ちにするだけ。
元々、人と魔物。分かり合えるはず等ないのだから。
しかし、娘はその場から動かなかった。
「?……どうしてお前は逃げださない。死ぬのが怖くないのか?」
「死ぬのは怖いです……でも、どちらにしたって死ぬだけなので」
「なんだと……?」
竜は娘の言葉に怪訝な表情を見せる。
娘は竜に語る――――
☆彡 ☆彡 ☆彡
「……というわけで、私に先はないんです」
娘の名前は御坂栞。
病により生まれつき身体が弱い彼女は、誕生日まで生きられないと医師から宣告を受けている。
「本当にどうにもならないのか?たとえば……あの人間が言ってた権利とかで治るとか」
「羂索さんの権利でですか?確かにあの人が持つ奇跡みたいな力なら叶うかもしれrません。でも……起きないから奇跡っていうんですよ?」
竜の言葉に栞は諦めたように顔を左右に振る。
「大体ろくに運動もしていない私が、優勝できるなんてそれこそ奇跡です。それに……人の命を奪ってまで叶えるのは間違っていると思うので」
たくさんのお薬を飲んで、もっとたくさんの注射をしても治らない病気。
学校に通って皆と一緒にお昼ご飯を食べて。
放課後は友達と商店街を歩いて。
身体が弱いのに遅くまで遊んで、お父さんとお母さんに怒られて。
でも、お姉ちゃんが庇ってくれた……
普通に暮らすことができていたあの頃はもう来ない。
それは美坂栞の現実(じごく)
―――栞の心の奥に踏み込みますか…?
はい いいえ
「……」
―――栞の心の奥に踏み込みますか…?
はい
ピキ!ピキキキキ!!!!ガッシャン……!!!!!
「……」
そんな栞に対して竜は行動を起こす。
「バカか、オマエは。起きるから奇跡っていうんだろが」
ピコン
「あいた!?」
それは凸ピン。
「……そんなことする人、嫌いです」
「ふん……俺は人ではなく竜だ」
「あ……そういえば、そうでしたね」
「「……」」
ふと、笑う。
どちらも。
【ダースドラゴン@ドラゴンクエスト】
状態:正常、無色な人生
服装:なし
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:ゲームには乗らないが、権利で栞の病気を治す?
01:娘……栞と行動を共にする
02:勇者……俺は……
03:王よ……俺は……
参戦時期:りゅうおうが討たれた後
備考
※本編中、勇者と出会うことなく主(りゅうおう)は討たれました
※栞の病について知りました。また、自分とは別の世界があることを理解しました。
※使えるじゅもん
ラリホー
本ゲームでは、体力・精神が弱っているとき効果がききます。
正常の場合は、強烈な眠気を引き起こし、戦いへの集中力を乱します。
【美坂栞@Kanon(京アニ)】
状態:正常、生への諦め
服装:普段の私服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:殺し合いには乗らない。権利で病気を治す気はない
01:目の前の竜と行動を共にする
02:奇跡……起きないから奇跡っていうんですよ?竜さん
03:祐一さん……お姉ちゃん……
参戦時期:17話 夜の噴水で祐一と話をして別れた後
備考
※ダースドラゴンの存在から自分とは別の世界があることを理解しました。
投下終了します。
投下します。
以前『決闘ロワ』に投下し、惜しくも落選してしまった作品を手直ししたものになります。
「うぅ……うぅ……ひどい、酷すぎるよぉ……」
月明かりに照らされた薄暗い森の中………分度器のように太い眉毛と癖っ毛が特徴的なブレザーの学生服姿の少女がさめざめと涙を流していた。
太い眉毛の少女……南良原(ならはら)ナユナは、あの開始の場所で二人の人間が跡形も無く消滅した場面を思い出し、静かに涙を流していた。
見せしめのように殺されたあの少年や少女と面識がある訳ではない。
だが……あの見せしめにされた少年と少女は、ある日突然『なんでもない日常』を奪われた。
それがナユナには他人事とは思えなかったのだ。
ナユナが元居た世界では、23年前より『外来獣』と呼ばれる巨大生物が出現し始め、
今現在も世界各地で多大な被害を出し続けている。
ナユナ自身も、外来獣襲撃による影響で慣れ親しんだ故郷の街が壊滅し、旧友達とも離ればなれとなってしまったのだ。
ナユナにはあの名も知らない少年と少女が、自分自身と重なって見えていた。
『外来獣』か『殺し合いの主催者』かの違いはあれ……彼らもまた、『理不尽な存在』によって日常を奪われた。
それがナユナには他人事とは思えず、いつの間にかナユナの両目からは涙が溢れていたのだ。
「………」
ナユナはブレザーの袖で涙を拭うと、自身に支給されたデイパックに手を伸ばす。
泣いても笑っても、ここが『殺し合い』の場である現実は変わらない。ひとまず身を守る武器が無いか、ナユナは自身に支給されたリュックを開いた。
「みー!」
「キャッ!?」
ナユナがリュックを開けると同時に、『何か』がリュックから飛び出してナユナに飛び付いてきたのだ。
「………えっ?」
「みー♪︎」
ナユナは自分のリュックから飛び出してきたものの姿を見て、目を丸くする。
「みー♪︎」
それは、馬のような頭部と蝙蝠のような翼を持ち、全身を鱗で覆われている……なんとも珍妙な姿をしたぬいぐるみサイズの生き物だった。
「え、えっと……」
「みーみー」
その珍妙な姿をした生き物は可愛らしい鳴き声を挙げながらナユナに抱きついて頬擦りをしていた。
ナユナは自分に頬擦りしている珍妙な生き物の姿に目を丸くするが……
「……みー?」
「……あ」
……ナユナと珍妙な生き物の目が合った。
「えっと……こんばんは?」
「みー♪︎」
ナユナが挨拶をすると、珍妙な姿の生き物も蝙蝠のような翼を挙げて挨拶を返した。
「えっと………君は?」
「みー」
ナユナが首をかしげるのを見て、珍妙な姿の生き物は自身が出てきたリュックに頭を突っ込んだ。
「………みーみー」
珍妙な姿の生き物がリュックから頭を出すと、その口には一枚の紙を咥えていた。
「みー!」
珍妙な姿をした生き物は、
リュックから取り出した紙を広げてナユナに見せる。それは支給品の説明書だった。
珍妙な姿の生き物はその説明書のタイトルらしき一文を自身の蝙蝠のような翼の先で指差しする。
『シャンタク鳥のシャンタッ君』
「シャンタク鳥の……シャンタッ君?これ、君の名前?」
「みー♪︎」
ナユナの言葉に珍妙な姿の生き物……シャンタッ君は嬉しげに一鳴きする。
「ふーん……『シャンタッ君』か。可愛い名前だね」
「みー♪︎」
ナユナに頭を撫でられると、
シャンタッ君はネコのように目を細めて嬉しげに鳴き、
再びナユナに抱きついた。
(……可愛い)
見た目はお世辞にも『可愛い』とは言い難い姿をしているシャンタッ君ではあったが、
その仕草はネコや仔犬のように愛らしく、
ナユナは自分に抱きつくシャンタッ君を知らず知らずに撫でていた。
その時だった。
「イイイヤアアア!!しゃべったアアアアア!!!」
「………えっ?」
「………みー??」
☆☆☆
「オエッ!オゲェッ!!」
月明かりに照らされた薄暗い森の中で、黒縁眼鏡にセーラー服姿の黒髪の少女が、胃袋の内容物を何度も吐き下していた。
「……うっ、気持ちわる……オゲェッ!」
黒縁眼鏡の少女……紅葉山 輝(もみじやま てる)は、先程目の前で二人の人間が、跡形も無く消滅してしまった場面を思い出し、何度も胃袋の内容物を吐き戻していた。
テルは普通の少女ではない。
日本の平和を守る若きヒーロー『シャイ』というもう一つの顔を持っている。
ヒーローとして幾多の戦いを経験し、人が傷付く姿も見たことはある……だが、『人間が突然苦しみだしたかと思うと、まるで空気に溶けるかのように消滅する』などという
SF映画のような光景を生で見るのは初めての事だった。
しかもあの時、テルは消滅してしまった丸眼鏡に三つ編みの少女のすぐ近くにおり、彼女が跡形も無く消滅していく様を、至近距離で目撃したのだ。
元々テルは『ホラー映画』好きではあるが………それでも、人間がまるで『最初から存在していなかった』かのように跡形も無く消滅する光景は、余りにも衝撃的だった。
「はぁ……はぁ……」
テルは胃袋の内容物をあらかた吐き戻すと、荒い息を漏らしながら口元を拭って自身に支給されたリュックを手に取る。
ひとまず、誰かに見つかる前に隠れよう。
そう考えたテルが移動しようとした……その時だった。
テルの近くの草むらからガサガサと物音が聞こえてきた。
「ひぃっ!?」
慌ててテルは両手首に填めた腕輪……支給品としてリュックに入れられていたヒーローへの変身アイテム『転心輪』をカンカンと打ち鳴らす。
すると、テルの体は光に包まれ……一瞬にして白いフード付きコスチュームを纏った若きヒーロー『シャイ』へと転心した。
「だ、誰ですか!?」
溢れ出る恐怖に無理矢理蓋をして、シャイは物音のする草むらに向けて両手を構える。
しばらくすると……
「…………」
………草むらから一匹の真っ黒な大型犬が姿を現した。
「……………へっ?犬?」
予想外すぎる相手が姿を現し、シャイは目元を覆い隠したマスクから覗く目を丸くする。
「…………」
全身を真っ黒な体毛で包み、シャイを背中に乗せられそうな体躯を持つその大型犬は、鳴き声一つ上げずにルビーのように赤い目でシャイの事を観察するように見ていた。
その右前足にはシャイと同じデザインの腕輪が巻かれ、口にはシャイ=テルに支給された物と同じリュックを咥えており、この大型犬が会場各地に配置されたNPCではなく、シャイと同じこの殺し合いの参加者である事を物語っていた。
「よ、良かったぁぁぁぁ……怖い参加者の人だったらどうしようかと………」
現れたのが犬だった為、シャイは深い安堵のため息を漏らしながら地面に腰を下ろした。
「……なぁお前」
「……………えっ?」
突然『誰か』に声をかけられ、シャイは顔を上げる。
しかし、目の前には黒い大型犬しかいない………と、思っていたら。
「お前……俺の事が見えてるのか?」
………目の前の大型犬が、人間の言葉を発したのだ。
「イイイヤアアア!!しゃべったアアアアア!!!」
『犬が喋る』という非現実的な事態に、シャイは悲鳴を上げながら猛スピードで後退りして大型犬から距離を取った。
「いや、あの……」
一方の大型犬は、シャイのリアクションに少し引いてしまった。
「ヒィィィィッ!来ないで!来ないで下さいぃぃぃぃ!!」
「お、おい……少し落ち着けって」
「イヤアアアアア!?食べないでぇぇっ!?」
「誰が食べるか!?」
とてもヒーローとは思えない程泣き叫ぶシャイの姿に、喋る黒犬も冷や汗を流しながらドン引きしていた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「みー!?」
そこに新たなる乱入者が現れた。
南良原ナユナとシャンタッ君である。
『………えっ?』
「………みー?」
突然のナユナとシャンタッ君の登場にシャイと喋る大型犬は目を丸くする。
しかし、ナユナとシャンタッ君も、テレビや映画に出てくるヒーローのような姿をした少女が犬相手に泣き叫んでいるという光景に呆然となったのだった。
☆☆☆
それから数十分後-
「え、えっと……す、すみません。あんなに取り乱してしまって……」
「いや……でも、仕方ないよ。こんな訳の分からない場所で、訳の分からない事が起こっちゃったんだから」
「………俺もいきなり話かけてすまなかったな」
「みー」
ようやく冷静になり、恥ずかしさで顔を赤くするシャイの背中を、シャンタッ君をぬいぐるみのように抱き抱えたナユナが擦り、喋る大型犬は申し訳なさそうに頭を垂れて謝罪をした。
「えっと……そう言えば、自己紹介がまだだったね」
そう言うとナユナはシャイと喋る大型犬に向き直った。
「私は南良原ナユナ。穏花菜女子高校2年生で、『怪獣撃退部』の部員!で、この子は私に支給されたリュックから出てきた、シャンタク鳥のシャンタッ君!」
「みー♪︎」
ナユナに紹介されたシャンタッ君は、右翼を元気よく掲げながら嬉しげに一鳴きした。
「か、『怪獣撃退部』……ですか?」
「うん!正確には『外来獣』だけどね」
「……外来獣?」
ナユナの自己紹介に含まれる聞き慣れない単語に、シャイと喋る大型犬は首を傾げた。
「え、えっと……私は、シャイです。日本でヒーローやってます……よろしくお願いします」
続いてシャイが、まだ少し照れ臭さそうに自己紹介した。
「えっ?『ヒーロー』?その格好って、コスプレじゃないの?」
「こ、コスプレじゃないですよぉ〜!」
シャイのコスチュームの端を摘まみながら首を傾げるナユナに、シャイはまた恥ずかしそうに反論した。
「……俺も自己紹介した方がいいな」
喋る大型犬はそう呟くと……一瞬にしてその姿をナユナやシャイと同年代の黒髪の少年へと変化させた。
『えっ!?』
「みー!?」
喋る大型犬が一瞬にして人間の姿へと変化し、ナユナとシャイは目を丸くし、ナユナに抱き抱えられているシャンタッ君も目を丸くした。
「えっと……俺はルツ。墓守犬(チャーチ・グリム)って言う……『妖精』だ」
『妖精!?』
少年の姿へと変じた喋る大型犬……ルツは自らを『妖精』と称し、ナユナとシャイは更に驚愕した。
「よ、妖精ってあの……絵本とかハ◯ー・ポッ◯ーとかに出てくるみたいな奴……ですか?」
「まぁ、そうだな……その認識であってるぞ」
「へぇ〜……妖精って、『ピーターパン』の『ティンカーベル』みたいな『羽の生えた小さな人』だって思ってたけど……本当は違うんだね?」
「まぁ……そういう妖精もいるにはいるけどな」
「み〜?」
ナユナとシャイ、それにシャンタッ君までもが、まるでパンダかコアラのような珍獣を見るような目でルツの姿を見る。
そんなナユナとシャイからの視線に、ルツは照れ臭さそうに頬を掻いた。
「しかしお前ら……いきなり『妖精』とか言われて、よく素直に信じられるな?」
「まぁその……一応ヒーローですから」
「怪獣撃退部ですから!」
「みー♪」
シャイとナユナが理由になってない理由を言い、シャンタッ君もそれに便乗するかのように嬉しそうに一鳴きした。
そこに、ルツが質問をしてきた。
「……さっきから気になってたんだが、『怪獣』とか『ヒーロー』とか………一体何なんだ?」
「えっ!?ヒーローの事、知らないんですか!?」
ルツがヒーローの存在を知らない事にシャイは目を丸くした。
「えぇ!?怪獣……っていうか、『外来獣』は23年前から世界中に出現しているんだよ?知らないの?」
「いや……そんな話、今初めて聞いたぞ?」
ナユナは信じられない物を見るようにルツを見るが、ルツは冷静に返した。
「というかあの……怪獣が本当に居るのならヒーローの誰かが倒していると思うんですが……?」
「えっ?いや、『ヒーロー』だって、映画かテレビの中だけの存在だと思うけど?」
「ち、違いますよぉ〜( ;∀;)」
ナユナにヒーローの存在を否定され、シャイは両目に涙を浮かべた。
「みー」
「……えっ?」
泣きそうになっているシャイにシャンタッ君が飛び付き、その蝙蝠のような翼でシャイの涙を拭った。
「みー♪︎みー♪︎」
「はえっ?」
シャイの涙を拭ったシャンタッ君は、その蝙蝠のような翼を器用に使ってシャイの口角を挙げて笑顔を作る。
「ふぇ、ふぇっと……」
シャンタッ君の行動の意味が解らず、シャイは頭上に?を浮かべた。
「あはは!シャンタッ君、シャイちゃんに笑って欲しいんだよ、多分」
「ふ、ふぇ?」
シャンタッ君に口角を挙げられるシャイの姿を見ながらナユナは笑う。
しかし、シャイにはナユナの言葉がいまいち理解できない。
「確かにな……お前、さっきから『泣いてる』か『悲鳴挙げてる』かのどっちかだからな。こいつなりにお前の事心配してるんだろうな」
「みー♪︎」
ルツが分かりやすく注釈を入れると、シャンタッ君は『その通り!』と言うように一鳴きした。
「えっ、えっと……その……」
「みー?」
「あ、ありがとうございます……」
「みー!」
シャイはまた頬を赤くしながら、自身の口角を挙げているシャンタッ君にお礼を言った。
シャンタッ君は嬉しそうに翼を広げ、その様子を横で見ていたナユナとルツも自然に微笑みを浮かべたのだった。
「とりあえず………お互いの知ってる事でも話し合うか」
「うん!」
「はい」
「みー♪︎」
ルツの提案にナユナとシャイは頷き、情報交換が開始されたのだった………。
【南良原ナユナ@怪獣列島少女隊】
状態:健康、動揺しているが少し落ち着いた
服装:穏花菜女子高校制服
装備:無し
令呪:残り三画
道具:基本支給品、シャンタク鳥のシャンタッ君@這いよれ!ニャル子さん、ランダム支給品1〜2
思考
基本:早く帰りたいけど、人殺しはしたくない
1:シャイちゃん、ルツ君と情報交換する
2:シャンタッ君かわいい〜♡
3:『ヒーロー』と『妖精』って実在してたんだ(*_*)
4:二人とも、『外来獣』知らないの!?
5:怪獣撃退部の仲間や友達がいるなら合流する
備考
単行本2巻・最終話直前からの参戦。
【紅葉山 輝(シャイ)@SHY】
状態:シャイに変身中、激しい動揺と困惑があるが少し落ち着いた
服装:シャイのヒーロースーツ
装備:転心輪@SHY
令呪:残り三画
道具:基本支給品、ランダム支給品1〜2
思考
基本:ヒーローとして参加者達を助けたいけれど………(困惑)
1:南良原さん、ルツさんと情報交換する
2:……ありがとう、シャンタッ君さん
3:怪獣……?妖精……?ヒーローを知らない……?
4:知り合いがいるなら合流する
備考
単行本10巻付近からの参戦。
ヒーロー状態に関する詳しい制限等は、後の書き手さんに任せます。
【ルツ@魔法使いの嫁】
状態:健康、人間(少年)の姿
服装:Tシャツにズボン
装備:無し
令呪:残り三画
道具:基本支給品、ランダム支給品1〜3
思考
基本:チセの下に帰る。しかし、なるべくなら殺人はしたくない
1:ナユナ、シャイと情報交換する
2:『怪獣』?『ヒーロー』?それに、こいつ(シャンタッ君)はなんだ?
3:もしチセがここにいるなら、合流して命に代えても守る
備考
単行本第5巻付近からの参戦。
制限として『妖精の姿でも他の参加者から視認並びに物理的干渉が可能』、『姿を変化させてもレジスターは外れない』等が付加されています。
【支給品紹介】
-シャンタク鳥のシャンタッ君@這いよれ!ニャル子さん
クトゥルフ神話を題材としたコメディライトノベル、及びそれを原作としたメディアミックス作品『這いよれ!ニャル子さん』の主人公・ニャル子ことニャルラトホテプのペット。
原点であるクトゥルフ神話系作品に登場するクリーチャー種族『シャンタク鳥』の一匹で、馬のような頭部と蝙蝠のような翼を持つ全身を羽毛ではなく鱗で覆われた鳥。
本来は象よりも巨大な体躯だが、作中本編では基本的に小さな愛玩動物サイズでいる事が多い。
(愛玩動物サイズ時の)鳴き声は「みー」。
鶏のように栄養満点の卵を産むが、性別は不詳。
人参が好物。
主人であるニャル子の力で『マシンシャンタッカー』というバイク形態に変身する。
その他詳細はWikipediaを参照。
-転心輪@SHY
『SHY』作中のヒーロー共通の変身アイテム。
心のエネルギーを様々な力へと変換するブレスレット状の器具で、これを両手首に着用し、二度打ち鳴らすことでヒーローへと転心する。
発現する能力は着用者の心によって千差万別であり、着用者の思いの強さによって能力も強まる。
反面、心が弱まれば能力も弱まり、着用者が失神や戦意喪失することなどによって、能力や転心は解除されてしまう。
(以上、Wikipediaより抜粋)
投下終了します。
すいません、見返したら状態表の手直しが不十分だったので、状態表を以下に変更します。
【南良原ナユナ@怪獣列島少女隊】
状態:健康、動揺しているが少し落ち着いた
服装:穏花菜女子高校制服
装備:無し
令呪:残り三画
道具:シャンタク鳥のシャンタッ君@這いよれ!ニャル子さん、ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:早く帰りたいけど、人殺しはしたくない
1:シャイちゃん、ルツ君と情報交換する
2:シャンタッ君かわいい〜♡
3:『ヒーロー』と『妖精』って実在してたんだ(*_*)
4:二人とも、『外来獣』知らないの!?
5:怪獣撃退部の仲間や友達がいるなら合流する
備考
単行本2巻・最終話直前からの参戦。
【紅葉山 輝(シャイ)@SHY】
状態:シャイに変身中、激しい動揺と困惑があるが少し落ち着いた
服装:シャイのヒーロースーツ
装備:転心輪@SHY
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:ヒーローとして参加者達を助けたいけれど………(困惑)
1:南良原さん、ルツさんと情報交換する
2:……ありがとう、シャンタッ君さん
3:怪獣……?妖精……?ヒーローを知らない……?
4:知り合いがいるなら合流する
備考
単行本10巻付近からの参戦。
ヒーロー状態に関する詳しい制限等は、後の書き手さんに任せます。
【ルツ@魔法使いの嫁】
状態:健康、人間(少年)の姿
服装:Tシャツにズボン
装備:無し
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:チセの下に帰る。しかし、なるべくなら殺人はしたくない
1:ナユナ、シャイと情報交換する
2:『怪獣』?『ヒーロー』?それに、こいつ(シャンタッ君)はなんだ?
3:もしチセがここにいるなら、合流して命に代えても守る
備考
単行本第5巻付近からの参戦。
制限として『妖精の姿でも他の参加者から視認並びに物理的干渉が可能』、『姿を変化させてもレジスターは外れない』等が付加されています。
投下します。
タイトルは Try&Fight です
最悪のバトルロワイヤルの会場にて。
身長150㎝ほどの可愛らしい少女が走っていた。
所謂萌え袖を無茶苦茶に振り回し、伝う汗も気にせず走る彼女を追いかけているのは、皮肉にも彼女の愛してやまないロボットである。
右半身を赤、左半身を青に塗り分けられ、胸部や頭部の強化ガラスから内部が透けている機装の怪人の名は量産型01。
ある正気を失ってしまったロボット工学者が教え子の失敗作、CODE:01の設計図に改良を加えて完成させてしまった破壊者である。
「や、やめて!好きなのに、大好きなのに……」
こんな場でなければ、諸手を上げて喜んでいた。
人のような体格、人のような挙動、そしてどこにも見当たらないように見える程に小型化された動力部。
殺し合いの場でなければ彼女は今自分を囲む6体のロボットに夢中になっていたはずなのに。
今、大好きなロボットに命を奪われようとしている。
羂索たちの悪辣さに嫌悪感と恐怖と吐き気がする。
(どうしよう!私、どうしよう!)
ガコン、と音がした方を見ると一番くるみの近くにいた一体の右手首がパージされ、中からマシンガンの砲口が伸びていた。
(やだ……やだやだやだ!
パパ!ママ!皆!)
しかしエネルギー弾で打ち抜かれ膝をついたのはくるみの正面にいた量産型01の方であった。
「え?」
エネルギー弾が飛んで来た方をふり向くとそこには赤い軍服を着た少年が居た。
(あっちの二色塗がNPCモンスターで、腰抜かしてる女は俺と同じ参加者か。
三十分も歩き回らせやがって)
背格好や肌のハリ、髪質からくるみとそんなに年齢が変わらないように見えるが、その鋭い眼光と顔を走る傷から彼が只者ではないと分かる。
「感を掴むにはちょうどいいか。
女!とっとと下がれ!」
そう言って少年、イザーク・ジュールが走り出す。
くるみよりもイザークを脅威と判断した残る5体の量産型01はくるみをそっちのけにイザークへの銃撃を始めた。
「貴様ら5体程度!すぐに片づけてくれる!」
『ガキン!』
銃撃をかいくぐりながら手にしていたスパナをそのまま巨大化させたような武器、量産型ヴァルバラッシャーのスロットを開き、骸骨の模様で縁取られた黒いカードを装填する。
『MADWHEEL! ゴキン!』
「イザーク・ジュール……ヴァルバラド、出るっ!」
『ヴァルバラッシュ!』
量産型ヴァルバラッシャーのトリガーを引くとセットしたカードに描かれた改造車を模した人造生命体、レプリマッドウィールが出現し、前方からの攻撃を防ぐように分裂、変形して暗い紫色の装甲となりイザークに装着される。
『TUNE UP! MADWHELL……』
黒鋼スパナが変身したのとは別の、本来冥黒の三姉妹が一人、ラケシスが変身するはずだった量産型ヴァルバラドに変身したイザークはまず一番奥の両肩にキャノンを装備した量産型01を倒すべく肉薄した。
(まずはバスターの役割のこいつから潰す!)
当然ほかの01たちがそれを阻もうと向かってくるががイザークは銃と剣を兼ねる量産型ヴァルバラッシャーを得意の射撃と好みの近接スタイルで巧みに同士討ちの誘発や直接の斬撃、銃撃で。
「赤服が木偶人形程度に後れを取るか!」
砲口エネルギー弾の連撃で潰し、デッドウェイトになったキャノンをパージされるより早く背後に回って破壊することでキャノンは爆発。
装備していた量産型01諸共火柱と黒煙を上げて爆散した。
『TUNE UP! GEKIOCOPTER!』
その黒煙を切裂いてイザークが飛び上がる。
イザークに支給されたレプリケミーカードは二枚。
鉄鋼に使用したマッハウィールと、今展開している右腕の拡張装備レプリコプターバーサークの素材となったゲキオコプターである。
コプターバーサークは飛行による機動力向上と先端の三連ミニガンによる連射砲撃が可能である。
(レールガンにデカい手甲が二体づつ……なら!)
イザークは一度コプターバーサークを解除して自由落下すると体を捻って対空弾幕を突っ切りながら両手で量産型ヴァルバラッシャーで狙撃。
二体の手甲を装備した右腕を根元から撃ち抜く。
「仕上げだ!」
『SCRAP!』
量産型ヴァルバラッシャーのボルト型緊急リミッターカット機構を捜査してからコプターバーサークを再装備し、浮上すると片腕を失った二体に向けてエネルギーの斬撃を飛ばす!
『VALVARABREAK!』
爆散した二体を飛び越えて最後のレールガンを装備した二体が脚部のラムジェットエンジンを吹かし空中戦を仕掛けてくる。
コプターバーサークは現実のヘリコプター同様高度限界こそあるので、この判断は正しいと言える。
「だったらぁ!」
イザークは量産型01が自分とすれ違い上昇するタイミングで完全にコプターバーサークを解除して近くにいた方の量産型01の足首を掴む。
当然、蹴り落とそうとして来る量産型01だが、逆に両脚を掴まれた背中に這い上がられ、手刀で背中に穴をあられてしまった。
「ふっ!これでトドメだぁ!」
そして倒した01を足場に跳躍し、渾身のかかと落としを最後の01に食らわせた。
強化ガラスが砕け、内部の機会が圧縮されるとプスプスと黒い煙を上げて硬直した最後の01が重力に従って自由落下した。
イザークは再びコプターバーサークを展開し、ホバリングしながらゆっくりと着地する。
「すご……」
イザークに言われた通りに下がり、近くのゴミ箱の影に隠れて様子をうかがっていたくるみは感嘆の声を漏らす。
「……」
「っ!」
くるみの無事に気付いたイザークはそのまま立ち去ろうとコプターバーサークの羽を回転させる。
「ま、待って!」
「なんだ?俺は暇じゃないんだ。
下らん用なら他所を当たれ」
「ちょっとだけ見張りと、さっきやっつけたロボットの部品を集めて欲しいの!」
「なんだと?」
☆
「ほら、持って来てやったぞ。
……全然進んでいないように見えるが?」
「もうちょっと待ってよ。
イザークが派手に壊したのもあって頭のパーツは結構駄目になってるのが多いんだから」
「ふん!戦いで手加減など出来るか。
……他に足りない部品はあるか?」
「大丈夫。
腕についてた武器は流石に時間ないし専門外だから外すぐらいしか出来ないけど、本当に頭以外は人造皮膚移植するだけでいいから」
イザークは量産型ヴァルバラドの鉄鋼を解除していなかった。
彼が倒した量産型01の残骸をくるみが組み立てたいと言い出したからだ。
一番最初にイザークが脳天を撃ち抜いて倒したことで最も損傷の少ない量産型01をベースにナノスキンや無事な頭部を寄せ集めて修復している。
予備パーツに出来そうな部分も一応は集めている。
(しかし技術手袋とかいったか?
西暦がそのまま続いた歴史の道具とは思えぬ性能だな……)
自分が斬って撃って爆撃した戦闘ロボットたちの残骸を見事につなぎ合わせて組み上げていくくるみの手際もナチュラルにしては中々だが、それを実現する道具も素晴らしい。
(あの手袋、是非我がザフト軍のメカニックに欲しいな)
「もうちょっと……イザーク、そっちの頭とって」
「これか?」
「うん。個々のパーツが無事なら……よし!」
目当てのパーツを見つけたくるみは首なしの01に部品をあてはめ完全な頭部を組み上げていく。
「よし!あとはバックルだけ」
「そいつの腹を撃ち抜いた覚えはないが?
どうして態々交換する?」
「こっちのが格好いいじゃん」
「お前、そんな理由で……」
「それに人造皮膚ちょっと多いだけじゃイザーク見間違えて撃っちゃいそうだし」
そう言ってくるみは四芒星の模様のバックルを自作の数字の01の模様の物に交換し、仕上げとばかりに飲みきりのジュースのような道具を取り出し、01の頭に一滴だけ垂らす。
「よし、完成!」
「動きそうか?」
「太陽電池だから、もうちょっとで夜明けだし行けると思う」
そう話していると、完成させた01の眼に光が宿り、立ち上がる。
『警告 活動限界点まで状況が逼迫しています。
活動限界点到達までのカウントダウン開始』
「え?」
『20 19 18……』
カウントが終わると01は今度こそ沈黙してしまった。
イザークは試しに肩を突き飛ばしてみたが、硬直した姿勢のまま90度に倒れただけで何の反応もない。
「おい、まさか夜明けまで待たないといけないのか?」
「まあ、そうみたい」
「……達者でな。精々がんばれよ」
「わー!まってまって!
動く!ちゃんと動くから!
イザークと普通に戦えるぐらい強いから!
お願いだから待って!」
量産型ヴァルバラドのパワーで無理やり引きはがしては大怪我じゃすまないのは自覚しているので、その場に残る事しか出来ないイザークだった。
【イザーク・ジュール@機動戦士ガンダムSEED】
状態:健康、顔に大きな傷跡
服装:ザフトの赤服
装備:量産型ヴァルバラッシャー@仮面ライダーガッチャード
レプリケミーカード(マッドウィール、ゲキオコプター)@仮面ライダーガッチャード
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:この殺し合いから脱出する。
01:ザフト軍の軍人として行動する。
02:もし友軍が居るなら合流し、地球連合の連中が居るなら、出方次第だが協力してやらんこともない。
03:このまま日が昇るのを待つしかないのか?
04:この武器といいクルミの手袋といい、かなり良い物だなな。
持ち帰って我がザフト軍で使えないか?
参戦時期:第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦でディアッカと再会した後
備考
※量産型ヴァルバラッシャーは錬金術師でなくともある程度以上の戦闘技能があれば誰でも使えるようです。
【大河くるみ@トラぺジウム】
状態:健康、不安(大)
服装:いつもの私服
装備:技術手袋@ドラえもん
キカイソダテール(残り4/5回)@ドラえもん
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1、ホットライン
思考
基本:死にたくはない。
01:怖いけど、何もしない訳にはいかない。
02:待ってよイザーク!一人にしないで!
03:01、ちゃんと起動してくれるかな?
参戦時期:東西南北(仮)が一度解散した直後
備考
※キカイソダテールによる成長具合は後の書き手様にお任せします。
【支給品解説】
・量産型ヴァルバラッシャー@仮面ライダーガッチャード
…イザーク・ジュール@機動戦士ガンダムSEEDに支給。
マッドウィールとゲキオコプターのレプリケミーカードが付属する。
黒鋼スパナが開発したレンチ型特殊錬成具ヴァルバラッシャーを枝見鏡花が複製した物で、見た目、性能、使い方はオリジナルのヴァルバラッシャーと変わらない。
ヴァルバラドへの鉄鋼も可能で、オリジナルとスペックを比較すると若干パワー寄りになっている。
当ゲームでは錬金術師でなくともある程度以上の戦闘技能があれば誰でも使えるようである。
・技術手袋@ドラえもん
…大河くるみ@トラぺジウムに支給。
ドラえもんの所有するひみつ道具の一種で五指の先端が変形し、あらゆる工具の代用品となる事が可能。
使用者の知識量や使う材料、併用するひみつ道具次第では驚異的な効果を発揮する。
当ゲームでは使う度に3時間のインターバルが必要になる。
・キカイソダテール@ドラえもん
…大河くるみ@トラぺジウムに支給。
ドラえもんの所有するひみつ道具の一種で機会を育てることのできる液状の薬剤。
単にサイズが変わるだけに留まらずミニカーを本物の自動車に成長させることも可能。
一時間に一滴が適量。
過剰投与するとターミ〇ーターみたいな事態を引き起こしてしまう。
当ゲームでは5回しか使えない。
【NPCモンスター解説】
・量産型01@キカイダー02
…瘋癲和尚が弟子である光明寺博士の開発したCODE:01をベースに太陽電池の大型化問題などを解決して6体まで量産化した人造人間。
内臓武器は頭部のエネルギー砲、サンライズビームと右腕部に内蔵されたエネルギーマシンガン。
量産品だが数の暴力と連帯でCODE:02と互角以上にわたり合う性能を誇る。
レールカノン、肩部キャノン砲、ビーク内臓の大型手甲といった拡張武装もある。
今回破壊された6体の量産型01の無事なパーツをかき集めて一体に組み直された。
キカイソダテールを投与されたので本来のNPCモンスターの枠組みを超えると思われるが、太陽電池が切れてしまっているので詳細不明。
投下終了です
投下します
さて、誰が聞いているのか知らんが自己紹介しておこう。
俺の名前は、アーザード。いちおう魔法使いだ。
だが今は、その力のほとんどを失っている。
過去にデカいことをやらかそうとしてしくじった、その代償だ。
いちおう、不死の呪いは残っているはずだが……。
わざわざ殺し合いの舞台に放り込むんだ。
これも何らかの手段で無効化されてるんだろう。
そんなわけで、今の俺はただの一般人とほぼ変わらない。
なんでそんな俺が……いきなりヤバいやつに襲われてるんですかねえ!
◆ ◆ ◆
「ほらほらぁ! もっとじっくり見せてくれよ、おまえの絶望を!」
「好き好んで見せるわけないだろ、そんなもん!」
何かの競技場と思わしき広い空間で、俺は怪物から逃げ回っていた。
その怪物は、赤と銀で彩られた鎧を着た騎士のような姿であった。
この説明だとだいぶ人間寄りに感じられるかもしれないが、このまがまがしさはやはり「怪物」と表現するのがふさわしい。
少なくとも、今の俺が太刀打ちできる相手でないのはたしかだ。
いちおう俺も、最初は抵抗したんだ。
俺に支給された「妖刀かまいたち」は、一振りで3方向に斬撃が発生するという面白い武器だ。
だが、いかんせんそれを使う俺の筋力が足りない。
やつに斬撃が当たったところで少しよろめかせる程度で、まったく有効打にならないのである。
その有様では、逃げるしかない。
とはいえ、逃げ切れる気もしない。
移動速度も、向こうの方が圧倒的に上なのだから。
まだ俺が生きているのは、相手の根性が腐っていて俺をいたぶるのを楽しんでいるからだ。
相手がカスだから生きているというのも、皮肉な話だな。
だが、それも所詮は相手に生かされているというだけ。
このままではやつの気が済んだ途端に、殺されることになる。
そう、このままでは。
そして、そうはならなかった。
「ほう、見たことのない類の化物(フリーク)だな」
いつの間にか、その場に3人目の男が現れていた。
それは赤い帽子とコートを身につけた、大柄な男だった。
夜だというのに、サングラスもつけている。
見えてるのか、あれ。
「なんだ、乱入者か?
まあいい、おまえの絶望も見せてもらおうか」
「口を慎めよ、化物。グールよりは多少上等なようだが……。
屍人形ごときが、私を絶望させられるとでも?」
癇に障る声色で言う男に対し、男は冷淡な口調で返す。
そして次の瞬間、地を蹴った。
速い。
二人の間の距離は一瞬で0となり、直後に怪物の体が吹き飛んだ。
男が怪物に何らかの打撃を叩き込んだのだろうと俺が認識したのは、そこから数秒遅れてのことだった。
「ぐう……」
「ちっ……。弱体化させられた状態では、体一つで貴様を殺すのは簡単ではないか……。
かといって、貴様ごときに令呪とやらを切らされるのも癪だ。
仕方ない、ここは武器に頼るとするか」
そう言って、男は何かを取り出す。
「うわあ」
俺は思わず、そんな声を漏らしていた。
男が取り出した物、それは鎖のついたあまりにごつい鉄球だった。
「敵を殴り殺す」という強い意志が、これでもかと伝わってくるようだ。
「…………」
怪物も鉄球の迫力に思うところあったのか、わずかに後ずさる。
その隙を、男は見逃さなかった。
「ふん!」
気合いの声と共に、男が鉄球を振るう。
怪物はそれを、手にした剣で防ごうとする。
だが鉄球の質量の前に、剣は蟷螂の斧も同然だった。
鉄球はあっさり剣をへし折り、ほとんど勢いを失うことなく怪物本体の体に命中した。
「ぐああああ!!」
絶叫と共に吹き飛ぶ怪物。
その体から何か丸いものがこぼれ落ち、同時に姿が変わっていく。
鎧は消え失せ、現れたのは顔の半分が焼けただれた壮年の男だ。
おそらくこれがやつの本来の姿で、今までは支給品の力で変身していたんだろう。
「ク、クソ……」
おそらくは体に残っているであろう痛みに顔を歪めながらも、やつはカバンに手を突っ込む。
他の支給品を取り出そうというのだろう。
だが、その行動が実を結ぶことはなかった。
「さよならだ、出来損ない」
男が再び、鉄球を振るう。
怪物の力を失ったやつに、それに耐えられる力はもはやない。
生々しい水音と共に、やつは鮮血をぶちまけてグロテスクな肉塊となった。
「うげぇ……」
思わずうめき声を上げた俺に、鉄球男の視線が向けられる。
ヤバい、今度は俺を襲うつもりか?
そう警戒するが、男はすぐに視線を外す。
そして数歩あるき、怪物からこぼれ落ちた何かを拾い上げた。
「これは……。特殊な手順を踏まねば破壊できぬ代物か。
まったく、忌々しい……。
他の人間に使われても困るし、私が預かっておくか」
男はそれを自分のカバンにしまい、再びこちらを見る。
今度こそ来るか……?
「貴様も、人間ではないか……。
違いはわずかのようだがな」
「はあ?」
思いも寄らぬ言葉をかけられ、俺は思わず間の抜けた声を漏らしていた。
「戦ってもいいが、今のままでは結果は見えているな……。
おい、貴様」
「なんだよ……」
「他の参加者に伝えて回れ。
吸血鬼アーカードは、この戦場で容赦なく暴れる。
戦力を揃えて、私を倒しに来い、とな」
「は? なんでそんな……」
「ではさらばだ、人間と化物の狭間に立つものよ。
健闘を祈る」
俺の反応など気にもとめず、アーカードと名乗った男は立ち去ってしまった。
後には、まぬけ面の俺だけが残される。
「というか、アーカードって……。俺と一字違いじゃないか。
変に話広めて、俺が誤解されたらどうするんだよ」
どっと襲ってくる精神的疲労に耐えきれず、俺はその場にしゃがみ込んだ。
【アーザード@小林さんちのメイドラゴン】
状態:正常
服装:コート
装備:妖刀かまいたち@風来のシレンシリーズ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:生還を目指す
1:アーカードの伝言をどうするか困っている
参戦時期:探偵事務所設立後
備考
※不死の呪いは、通常時は無効化されています。
令呪発動中のみ、死んでも即座に蘇生します。
【アーカード@HELLSING】
状態:正常
服装:赤い帽子とコート
装備:はかいの鉄球@ドラゴンクエストシリーズ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、アナザー龍騎ライドウォッチ@仮面ライダージオウ RIDER TIME龍騎、SA・ホットライン
思考
基本:闘争を満喫する
参戦時期:不明
【アルザード@仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク 死亡】
※支給品は、死体のそばに放置されています
【支給品解説】
・妖刀かまいたち@風来のシレンシリーズ
攻撃の際に正面だけでなく、斜め前方も攻撃できる妖刀。
強力な効果を持つ分、基本攻撃力は低め。
・はかいの鉄球@ドラゴンクエストシリーズ
伝説の武器をも上回る凄まじい攻撃力と、広い攻撃範囲を併せ持つ強力な武器。
その強力さゆえ、基本的に入手できるのは最終盤かエンディング後である。
・アナザー龍騎ライドウォッチ@仮面ライダージオウ RIDER TIME龍騎
仮面ライダー龍騎の力が込められた、時計型アイテム。
人間の体に埋め込むことで、「アナザー龍騎」へと変身させる。
一定以上のダメージを与えればウォッチは体外へ排出されるが、完全破壊には同じ仮面ライダー龍騎の力が必要。
投下終了です
投下します。
タイトルは「あいつが侍でおれがチンピラ勇者で」です。
「何してくれてんだアアアアア!!!!!」
男の叫びが聞こえてきたのは、殺し合いの会場に設置されたとある男子トイレからだった。
そこには、鏡を前にしている二人の男がいた。
「いや、わかるよ?そりゃ不安だよな?持っていた装備全部没収されて頼れるのは支給されたアイテムだけ。そんな中に装備品があったら反射的に装備したくなるというのは非常にわかる」
一人は、坂田銀時。かぶき町の万事屋を営む侍だ。
「けどその装備が呪われていたらどうするよ?あのトラウマ級のBGMが鳴って呪いを払ってもらわないといけなくなったらこの先の旅路真っ暗だろ。ちゃんと確認したのか?」
はい
>いいえ
「はいかいいえでごまかすなァァァ!プレイヤーに責任丸投げする勇者ですかコノヤロー……って」
「そうか。お前、勇者だったな」
銀時の言葉にもう一人の男は静かに頷く。
もう一人の名は、イレブン。ロトゼタシアの勇者だ。
イレブンは、「いや、あなたも人のこと言えないですよね」という台詞を込めた澄んだ目で銀時を見つめる。
「なんだよその目は。いや、俺も俺は悪くねぇなんて言うつもりはねぇよ?呪いのアイテム装備したのはお互い様だから。でも勇者様ならまだしも俺なんてしがない侍だからね。魔法も特技もかめはめ波も撃てない奴が殺し合いに放り込まれたらそりゃ不安にもなるよ。お前もそう思うだろ」
はい
>いいえ
「そこでいいえ選ばないで!?はいって言うまで無限ループするぞコラ!!……というか、」
侍と勇者。本来は生まれも世界観も全く違うこの二人が男子トイレの鏡の前で立っているのは、二つ理由がある。
一つは、目的が一致したこと。両者ともに殺し合いに乗るつもりはなく、勇者として、侍として主催を倒し、この殺し合いを止めるために、そして志を同じにする仲間と合流するために共に行動していた。尤も、銀時は当初相当ビビっており、イレブンに任せる気満々ではあったが。
そしてもう一つが、銀時がイレブンを非難する最大の理由でもあった。
「――なんで『イレカワール』なんていうそのまんまな名前の指輪を装備しちゃったかなあお互い!おかげで俺達入れ替わっちゃっただろうがアアアアア!!」
そう、鏡の前にいる銀時とイレブンは、装備した者の中身を入れ替える指輪「イレカワール」を装備してしまい、互いに入れ替わってしまったのだ。
つまるところ、銀時の姿をしているのがイレブンで、イレブンの姿をしているのが銀時だった。
――なぜ、こんなことになったのか。それはほんの少し時を遡る必要がある。
この場所に飛ばされて支給品を確認した銀時とイレブンは、偶然近くに居合わせて、偶然リュックに入っていた同じアイテム――イレカワールを引き当て、そして上記のような焦りもあったからか同梱の説明書をよく読まずに装備してしまったのだ。
イレカワールは一度入れ替わったら最後、とある薬を使わなければずっとそのままで、指輪も外れない。
こうして、魂と目つきが入れ替わった勇者と侍は、この男子トイレで自身の境遇を嘆いているのである。
「しかも見てみろよ俺達の目。魂が入れ替わった結果目つきだけ入れ替わるとかそんなことあんの?見た目の違和感半端ないんだけど。つか怖いんだけど」
改めて、自身の姿を男子トイレの鏡越しに確認する銀時とイレブン。
銀髪の天然パーマの侍の肉体を持つイレブンは、目つきだけはその勇者の善性を湛えたような澄んだ目をしていた。
要するに、銀時の目だけがイレブンのものになっているわけで、目つき一つであまりにも異様な見た目になっていた。
「いやお前はまだいいよ。綺麗な目してんじゃねぇか。ジャンプ主人公の身体にその目つきがあったらどこでも生きていけるよ。それに比べて俺のこの見た目見てみろよ」
銀時はぼやきながら、イレブンの身体に魂が入ったことで死んだ魚のような目つきになった自分の目を指差す。
「……目つき一つでビフォーアフターってレベルじゃねぇぞ」
イレブンの肉体を持つ銀時は悲し気に呟く。
イレブンは元々、サラサラヘアーをした高青年だったが、銀時の目つきをもらっただけでその印象は180度反転していた。
「どうみてもチンピラの小僧だろうが!主人公に喧嘩ふっかけた挙句返り討ちにされて1話退場するようなモブにしか見えねえだろうが!」
その容姿は、一言で言えばチンピラだ。
銀時の悪い目つきを受け継いだイレブンは勇者どころかもはや愛せないクソガキとしか言えないような顔つきになっていたのだ。
こんな惨状の銀時とイレブンを見た両者の知人は、しばらく固まった後小1時間笑い転げるであろうことは想像に難くない。
「……」
イレブンも変わり果てた自分を見て息を呑み震えてしまう。
サラサラヘアーには密かに自信を持っていたイレブンだったが、もはやそれすらもクソガキさを引き立たせるエッセンスにしかなっていない。
悲しい気持ちになりながら、早くお互いの身体に戻らないとという旨を銀時に伝える。
「そりゃ俺だって戻れるなら戻りてぇよ。けどな、このイレカワールっつー指輪、モトニモドールとかいうアイテムがねぇと外れないみたいだ」
銀時がイレカワールの説明書を読み上げる。
そこには、モトニモドールというこれまたそのまんまな名前の薬の存在が示唆されていた。
ここで名前が出されているということは、もしかしたら誰かの支給品に紛れ込んでいるのかもしれない。
「……元に戻れる可能性があるだけまだマシだな。こういうことは前にもあったが、あの時は『モトニモドール〜!』で一件落着すら見込めなかったからな」
銀時が某ネコ型ロボットっぽく薬の名前を呼び上げながら言う。
それに面食らいつつも、イレブンは銀時に会場を周り、仲間を集めつつモトニモドールを探すことを提案する。
当然、銀時はそれを断る理由はない。
「開始早々とんでもない目に遭っちまったが、そうするしかないだろうな。そういうわけで勇者ギントキ、戦いは任せたぜ」
「……」
「いやその外見とその目でこっちを見つめないで!?わかったよ俺も戦えばいいんだろ!?とっととモトニモドール探して違和感のない外見取り戻すぞ!」
こうして、銀時とイレブンは互いの身体を入れ替えたまま、この殺し合いで生きることになった。
つぶらで澄んだ目をした侍のような勇者に、死んだ魚のような目をした勇者のようなチンピラ――いや、チンピラのような侍。
2人は、元の身体に戻ることはできるのだろうか。
【坂田銀時@銀魂】
状態:健康、イレブン@ドラゴンクエスト11
服装:イレブンの服
装備:イレカワール@スマイルプリキュア!
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:殺し合いから脱出する
01:元の世界の知り合いや、志が同じ者がいれば合流する。
02:モトニモドール@スマイルプリキュア!を探し、元の身体を取り戻す。
参戦時期:少なくとも中身入れ替わりショック以降
備考
※イレカワール@スマイルプリキュア!によって、イレブン@ドラゴンクエスト11と入れ替わっています。
※魂が入れ替わった結果、目つきは銀時のままです。
【イレブン@ドラゴンクエスト11】
状態:健康、坂田銀時@銀魂
服装:銀時の服
装備:イレカワール@スマイルプリキュア!
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:主催陣営を打倒し、殺し合いを止める
01:元の世界の知り合いや、志が同じ者がいれば合流する。
02:モトニモドール@スマイルプリキュア!を探し、元の身体を取り戻す。
参戦時期:(後続の書き手にお任せします)
備考
※イレカワール@スマイルプリキュア!によって、坂田銀時@銀魂と入れ替わっています。
※魂が入れ替わった結果、目つきはイレブンのままです。
【支給品紹介】
【イレカワール@スマイルプリキュア!】
銀時とイレブンに支給。
原作8話で登場した、マジョリーナが発明したアイテム。
嵌めた者の中身を入れ替えてしまう一対の魔法の指輪で、モトニモドールという薬を使わないと指から外すことはできない。
魂が入れ替わっているようで、キャンディと入れ替わったみゆきはキャンディの肉体のままプリキュアに変身することができた。
以上で投下を終了します。
投下します
ーー超えられない山はない
◆
繰田孔富という極道の原点(オリジン)は、救われてばかりの人生である。
厳しくも優しく、恐怖の象徴だった兄の説教(シゴキ)から不良(はぐれ)の道を辞め医者としての道を歩んだ。
親の遺産だと思っていた資金は親戚に使い込まれて、兄が麻薬(ヤク)に手を出してまで稼いだ汚いお金だったという。
兄が地獄への道を背負うというのなら、弟の自分もまた。
血縁が逮捕(パク)られたらキャリアお終い、だなんて本音ではあるが詭弁でもある。
本当は、ふたりきりの兄弟だ。兄を一人にさせたくなかったから。兄あっての今の自分だから。
だから、悪くはなかった。麻薬(ヤク)作りに手を染めて、天国の回数券(ヘブンズ・クーポン)という極上の麻薬を完成させた。優秀な下働きも来てくれた。
兄は麻薬(ヤク)を救済(すくい)と言った。破滅を引き換えに心の底から欲するものだと。
悪くない人生は唐突に終わりを告げた。
悪事(わるさ)かました極道(ヤクザ)を殺しに、忍者が兄が勤める麻薬研究所を襲撃(カチコミ)した。
債権者達(カスども)を麻薬(ヤク)漬けにしただけで、氷と雷の嵐によって極道たちは二人を除いて皆殺しにされた。
子供の頃に、兄とネビュラマンごっこをやっていた。
弟である自分はいつも怪獣役。だが本当は兄の方が怪獣役をやりたかったと言ってくれた。
弟が怪獣好きだからずっと譲ってあげていたのだ。
繰田孔富は、救われっぱなしだったのだ。
たった二人の兄弟。自分を支え続けてくれた兄。裏社会に身を落としてまで、大切に思ってくれていた。
だったら叶えてやろうと。怪獣になりたかったという兄の夢も。兄を仇を討ちたいという己の願いも。
己の半身を切り離し、兄の身体を接合する兄弟接合手術。
45時間にも及ぶ手術、永遠に押し寄す愛憎の海嘯の果てに、忍者へと復讐できる身体へ、最恐の怪獣へと産まれ直した。
怪獣医(ドクター・モンスター)、繰田孔富はこの時に産声を叫喚(あげ)た。
天国の回数券(ヘブンズ・クーポン)を改悪(かいりょう)した地獄の回数券(ヘルズ・クーポン)を完成させ。
過去の罪やトラウマに苦しめられた医師たちを救済(すくい)上げて救済(すくい)なき医師団を立ち上げ。
麻薬水(ヤクみず)を浄水場に流し込み、東京に救済の大海嘯を齎して。
全て忍者に阻止されて、自身も死んだ。
地獄へと逝く前に、救済(すくい)が与えられた、はずだった。
「地獄にしては陳腐(チンケ)な刑罰(ばつ)……ってわけじゃなさそうねぇ」
奪衣婆(ババァ)も裁判長(えんま)もいない。
代わりにと女子高生(じぇーけー)に身体を移植(うつ)した羂索という男。
それが殺戮遊戯(ころしあい)を行わせるために自分も含めた死人までも呼び出して。
「仮にも破壊の八極道なのよ、私(アタシ)。愚弄(ナメ)た真似してくれたわねぇ」
破壊の八極道、怪獣医繰田孔富は死んだ。
忍者兄弟の、兄が心臓(いのち)捧げて救済(すく)った弟の鎮魂の暗刃(わざ)によって鎮魂(おく)られた。
やられた怪獣が蘇るだなんて、劇場版でもあるまいし。
じゃあ殺戮遊戯(ころしあい)に乗るには生前で解放(スッキリ)してまった。
優勝して大海嘯をやり直すつもりもない。
どうして、蘇ってしまったのかわからない。
でも、何となく分かる気がするのだ。
「……私に救済(すく)えっていうの?」
思い返すのは、死んだ直後の走馬灯。
手遅れになる前に救済(すくい)たかった医師団のみんな。
麻薬(ヤク)による救済(すくい)という道を示すことでしか救済(すく)えなかったみんな。
本来ありえない運命の分岐点に立ち寄って、救済(すくい)の手を差し伸べる機会。
夢だとしても、本当は救済(すくい)たかったという本心を。
あの時だけは、神様は叶えてくれた。
「医者として、真っ当に人々(みんな)を救済(すく)えって?」
閻魔様を無茶を言う。地獄の刑罰の代わりに誰かを救済(すくえ)と。
今更真っ当な医者をしろだなんて、とんでもない課題(クエスト)が与えられた。
「…………無理でしょ」
神様は、今更自分に正しい道を示してきた。医者として正しい生き方を。
よくよく考えれば、死の間際にあんな幻想(ユメ)を見せてくれた神様だ。
憐れんだのだろう。間違ったやり方で救済(すくい)を齎そうとして、その実自分自身が救済われたかった怪獣の本心。
「なんで私を救済(すく)ったのよ」
自分以外に適任がいるはずだ。例えば、弟生かす為に生命落とした忍者とか。
人民(パンピー)救済(すく)うなら、少なくともそっちの方がよっぽど理に適っている。
じゃあ自分は無理です、と言ったところで優勝を狙う気力(やるき)は無い。
自分(やく)の救済(すくい)が間違っている事なんて最初から知っている。
でも、そうでなければ救済(すく)われない人たちがいることを知ってしまったから、そうするしかなかったから。
そんな事を考えていれば、背後から聞こえる警戒心の籠もった声。
「おい」
声の主は赤いジャージの女。
前髪の赤いメッシュが目立つが、孔富に向けているその巨大な太刀バサミも視線を惹く。
初対面の少女に恨まれるような因縁があるかどうかと言われると全く覚えがない。
だが仮に麻薬水(ヤクみず)ばら撒きの被害者(がいしゃ)の誰かの娘だったら言い訳は出来ないだろう。
「まどろっこしいのは無しだ、直球で聞かせてもらう。てめぇは乗ってる側か?」
どうやら思い違いのようである。
少なくとも殺し合いに乗っているかどうかの真偽を問い質しに来たようだ。
この怪獣の図体だ、1つ2つは疑いを持たれても仕方はない。
「……乗る気なんてないわよ。でも、見ず知らずの誰かさんに睨まれても仕方のない悪事(わるさ)やってたのも否定はしないわ」
「そりゃそんなでっかい図体してるやつが、マトモなわけねぇよな」
「そうよ、正気(まとも)だとやっていけなかったからこうなったのよ、私(アタシ)も、あの子たちも」
そう。正気(まとも)何ぞ見当たらなかった。狂乱(イカ)れないとやっていけなかった。
自分が出産に付き合った子供たちの不幸の末の死を、偶然で割り切れなくなり麻薬に手を出した看護師がいた。
寄り添わないことをモットーとしていたが、唯一寄り添った親が認知症で汚れた事実に耐えきれなくなりその手で殺してしまった精神科医。
僻地医療という過酷な現場で、疲弊して我儘(クズ)になった村人を見捨ててしまった二人の医者がいた。
法に背いてでもある少女を救済(すく)おうとして、救えなかった外科医がいた。
「正気(マトモ)じゃいられなかったから、悪事(わるさ)した。東京中に麻薬水(ヤクみず)バラ撒いて偽りの救済(すくい)を与えようとして、その報いで私は死んだの」
「……そりゃ当然だな」
「そしてこのまま地獄行き、だなんて思ってたら誰かの都合で勝手に蘇らせられて、神様は私に「真っ当に医者の領分を果たせ」でも言ってるのかしら?」
医療でも、法でも救済(すく)われないそんな皆を集めた救済(すくい)なき医師団。
既に手遅れだった彼らには、麻薬で人々を救済(すく)うという道筋を示す形での救済(すくい)しか与えられなかった。
ただの救済(すくい)では救済(すく)えないから、そうする他なかった。
少女も、孔富のその言葉にはそう頷くしかない。そうするしかなかった人間の、吐き出した思いの丈に。
「無理よ。私は殺(や)りすぎた。今更真っ当にだなんて無理(クソゲー)。……嘲笑(わら)いなさいよ、私のことなんて」
今更蘇ったところで。
間違った救済の道しか彼らに示せなかった私自身が。
だから。
「笑えない。……いいえ、笑わないわよ、アタシは。」
怪獣の悔恨を切り裂く光の如く、新たな少女が姿を表した。
彼女の存在を言い表すならば、輝ける黒であろう。
アイマスク、ネクタイ、ネクタイ、オーバーニーソックス。それら全てが黒で統一されており、唯一白でまとめているトップスが、逆に彼女の黒を引き立てている。
怪獣を倒すネビュラマンとは違う、等身大の正義のヒーローのような、黒の少女。
「と言うか流子、いきなり先走って知らない人に刃物向けてるんじゃないわよ」
「どー考えてもあの図体怪しいだろ! 本能寺学園でもあんなでけぇのいなかったぞ!」
「それとこれとは話は別よ。あとはこっちが話すから一旦静かにして」
登場早々、ハサミの少女もとい「流子」と黒の少女に呼ばれた彼女との軽い言い合い。
流子の孔富への対応がやりすぎ、ということでのお叱りなのだろう。
「わーかったよ」と頭をかく流子を他所に、黒の少女が孔富へと視線を向ける。
「それで、怪獣(わるもの)に何のようかしら? 淑女(レディ)?」
「確かにあんたがやったことは絶対に許されないことよ。それでも、誰かを救いたかったあなたの気持ちも理解できる」
その視線は、忍者を彷彿とさせる強い意志からなるもの。
気圧される程の強さはないものの、曲げたくない思いを抱えている者の瞳。
「それが救いでもなんでもないと分かっていても、その救いで手を伸ばしたかった。救えなかった誰かに救いを示すことで」
「分かってるじゃないの。ただの少女(マセガキ)にしては言い洞察力(カン)ね」
「見習いだけどこれでも看護師なのよ。ヒーローとの二足のわらじ何だけど」
納得(なるほど)、と頷いた。
看護師。つまり医者の端くれであり、孔富からすれば後輩にあたる。
そしてヒーロー、とも名乗った。
ネビュラマンもまたヒーローではあるが、あれとは全く違う。
凶暴で残酷だが、時に悲しき経歴を持つ怪獣たちを退治する光の巨人とはまた違う。
「でも、本当はそうなる前に救いたかったのよね、あなたは」
「………」
救済なき医師団は、救われなかった者たちだ。
現代の医療では救えず、麻薬を使って現実逃避しなければ狂ってしまう程に手遅れになってしまった者たち。
人を救済しようとして、自分たち自身が救済されず壊れてしまった者たち。
救済うことに純粋すぎて、壊れるしかなかった者たち
麻薬による救済(すくい)は方便であり、縋り付ける唯一の拠り所。
救済(すく)いたかった。手遅れになる前に、医者として。
「そんなもんじゃないわよ、私は。救済(すくい)いたかったのは真実(ほんね)の1つよ。でも……」
「だったら今度は救いなさいよ、助けを呼ぶ誰かを」
だったら今度こそ救えと、少女は叱責する。
救いようのない外道、東京に麻薬水を蔓延らせ、救済という名の大海嘯を起こした大罪人。
でも、救いたかったという思いは本物だから、と。
「言い方が悪いけれど、あなたは悪行の報いを受けて死んで、生き返った。……あんたはまだ何も、終わってない」
彼の人生が仮にバッドエンドの物語だったとして。バッドエンドで全てが終わった訳では無い。
彼の終わり方はどういうものだったかを、黒の少女が知るすべは今は有らずとも。
その最後に、ほんの少しの救いがあったとしたならば。
「だから、ヒーローらしくあんたを更生させてやるわ。怪獣(わるもの)さん」
「……いや、バカでしょ。東京で大惨事(テロ)起こしたやつにそれを言うの?」
ヒーローの言葉に、怪獣は驚愕の色を隠せない。
更生させてやると言われたのは、流石に始めてなのだ。
極道(ヤクザ)相手に更生、とは。忍者では絶対にない選択。
少女の決意に、文字通り面食らった。
「あんたの暗闇がどれだけ暗くても、アタシが黒い星としてそばにいてあげる。黒を見るたび、思い出させてあげる。」
絶望という名の。静観という名の。
そんな真っ黒な谷底にいる人の力になりたい。
いくら逃げようとも、目を逸らそうともへばりつく暗闇に、星と言う名の黒で上書きする。
誰かに寄り添う黒き星として、誰かの心を癒やしたいと。
「だってあたしは、『癒やし系』ヒーローなんだから」
彼女は、本物だ。
本物のヒーローなのだ。
聳え立つ山を越え、誰かの苦しみを癒す黒い星。
救えぬ人もいただろう。そんな現実に打ちひしがれもしただろう。
それでも黒い星は輝くことを辞めなかった。
絶望を乗り越えて、ここに立っている。
「言って、くれたわね。若造(ヒーロー)」
極道なんて割に合わない立場だったと、今更になって己の過去を自嘲する。
兄を殺した忍者への復讐のため、救われなかった医者(なかま)に仮初でも良いから救済(すくい)を与えるため。
そもそも、医者なんだから麻薬(ヤク)が駄目(アウト)なのは分かっている。
麻薬(ヤク)の救済(すくい)が詭弁なのは知っていた。
本当は、手遅れになる前に救済(すくい)たかった。
歪罹井、美陀、嫌慈、叛巻、艶道。
誰かを救い、救われなかった、道を外れた同胞たち。
間違った選択だとしても、彼ら自身の中にその救済が間違っていると自覚していたとしても。
それでも、救いたかったから。
「……怪獣役、お兄ちゃんに譲ったんだわね」
今際の際、本来ならば地獄に落ちるはずの寸前で。
兄と再会(であ)って、ネビュラマンごっこで兄自身が願っていた怪獣役を兄に譲った。
本当は怪獣役やりたかったと、兄が言っていた。
「怪獣役? 何の話よ?」
「看護師見習いだったわよね、癒し系ヒーローちゃん?」
そうなったら、自分がネビュラマン役じゃないか。ネビュラマンは、ヒーローなんだから。
恩人でもある極道(きわみ)BOYの意図に反することになるけれど。
彼は死んだ人間に長く引きずられるような男ではない。
一度死んでしまったんだ、だったら来世(セカンドステージ)は好きにやる。
今度は、ちゃんと医者として。
「私は闇医者だけど、技術(ウデ)はこっちが上なのよ。先輩(としうえ)は素直に頼りなさい?」
「あなたみたいな優秀な医者が相棒(サイドキック)になってくれるなら、心強いわ」
決心(ひらきなお)った怪獣の言葉。
怪獣役は兄貴だから、今度は自分がヒーロー役。
ヒーロー役になったんだから、今度は真っ当に医者として人々を救済(すく)おう。
そんな言葉に、ヒーローは感謝を込めて喜びの返答。
「……シャイならもうちょっと気の利いた言葉でも言ってたかしら」
「おーいビルツ、用事は終わったのか?」
医者二人のやり取りが終わったのを見計らい、ハブられ気味だった流子が一言。
二人の世界に割り込むのも野暮だと静観を決め込む程度には空気は読んでいた。
あの怪獣みたいな医者は、もう問題はなさそうとは見ていた判断はしている。
「ま、こいつがそういうんだったらあたしも異論はねぇ。変なことしたら容赦はしねぇがな」
「あら畏怖(びび)っちゃうわ、最近の女子不良(レディース)は荒っぽいわねぇ?」
「彼女は彼女で相棒奪われてるのよ。相棒っていうかセーラー服?らしいわよ」
「ああ。鮮血っていう、あたしの大切なパートナーだ」
纏流子には取り返すべき相棒がいる。
生命戦維で構築された意志持つ衣服、神威鮮血。
切り刻まれ、奪われたその断片を取り返すために大阪に殴り込んだらこの殺し合いだ。
取り戻すためにも、こんな下らない殺し合いに付き合ってるつもりはない。
父の死の真相を知る、鬼龍院皐月が仮にこの場にいたとしても、こんな場所での決着はお互いスッキリはしない。
「その鮮血ちゃんって服(ひと)も、救済(すく)わないといけないわね」
ならば、救済(すく)おう。
今度こそ、偽りではなく、本当の意味で。
本当は正しく救いたかったという本音を抱えながら。
救いきれぬ罪を背負いながらも、今度こそ救済(すく)う為に。
「せっかくのいい機会だから、改めて名乗っておくわね」
「名乗るって、さっき流子ちゃんがアナタの名前喋ってたわよね?」
「そうじゃないの、ヒーローとしての名乗りよ」
【ビルツ・デュナン@SHY-シャイ-】
状態:健康
服装:ヒーロー姿
装備:転心輪@SHY-シャイ-
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:殺し合いには乗らない。ヒーローとして手の届く人たちを助ける
01:怪獣医(孔富)の更生の行く末を見守る、更生させる。相棒としても先輩としても頼りにしてる。
参戦時期:74話
備考
【纏流子@キルラキル】
状態:健康
服装:赤いジャージ
装備:万物切断エクスタス@アカメが斬る!
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:殺し合いには乗らねぇし、あの羂索とかいうやつはぶっ飛ばす
01:鮮血がいてくれたら探すのは楽なんだが……
02:鬼龍院皐月がいても決着をつけるのは元の世界に戻ってから
参戦時期:14話、鮮血の断片を取り戻しに大阪に向かう最中
備考
【繰田孔富@忍者と極道】
状態:健康
服装:医師の服装
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:救済(すく)う。お兄ちゃんに怪獣役譲っちゃったから、今度は私がヒーロー役ね
01:短い間だけれどよろしく頼むわね、黒いヒーローちゃん
02:忍者と出会(カチ)っちゃったらどうしよ
参戦時期:死亡後
備考
【支給品紹介】
【転心輪@SHY-シャイ-】
ビルツ・デュナンに支給。SHY作中に置けるヒーローたちに共通する腕輪状の変身アイテム。
持ち主の持つ「心の力」を物理的エネルギーに変換して、変身者に応じた能力を発言させる。腕輪自体にも翻訳機としての機能がある。
【万物切断エクスタス@アカメが斬る!】
纏流子に支給。鋏の形をした帝具と呼ばれる超兵器。万物両断の二つ名に偽りのない切断力と純粋な硬度が強み。
奥の手と呼ばれる切り札として、金属部分を発光させ目眩ましを行う「鋏(エクスタス)」がある。
「光の届かぬ深淵に」
「それでも黒はそばにいる」
「世界の心を照らすのは」
「地上に輝く黒の星!」
「黒十字看護部、レディブラック!」
「ーーアタシは生命を、諦めない…!」
投下を終わります
投下します
度重なる人体実験のせいで体を無茶苦茶につなぎ合わされた怪人が彷徨っていた。
彼はクラブオルフェノク。
人類の進化系にして、大抵はその置きすぎる力に溺れてしまうオルフェノクでありながら人の心を失っていない彼ではあるが、半身はほぼ機械と化すことを余儀なくされたその体はオルフェノクである以上に彼の寿命を縮めていた。
(なぜ、羂索はこんな俺を殺し合いに?)
あまりの疲労に羂索の言及した理想の世界を叶える権利に関する事柄を覚えていられなかったクラブオルフェノクはひたすらに歩み続ける。
そうして彼の体感で物凄く歩いた頃になって、静養の騎士を思わせる鎧を着こんだ金髪の少年と出会った。
少年はオルフェノク、その中でも異質な存在となってしまったクラブオルフェノクを見て男にしては甲高い悲鳴を上げてその場を去ろうとする。
『ま、待ってくれ!頼む……』
しかし、クラブオルフェノクのそれほど大きくもない声聞いた瞬間、少年は歩みを止めた。
クラブオルフェノクはまだ灰になり切ってない腕を伸ばし、
『こ、これを……』
そう言って目の前の少女にコウモリの紋章の付いたカードケースを手渡すとクラブオルフェノクは灰になって消滅してしまった。
「……メルシィ」
少年、青山優雅は本当に苦しそうにつぶやくとその場を後にした。
【青山優雅@僕のヒーローアカデミア】
状態:健康、精神的疲労(大)
服装:青山のヒーローコスチューム@僕のヒーローアカデミア
装備:青山のヒーローコスチューム@僕のヒーローアカデミア
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
仮面ライダーナイトのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
思考
基本:未定
01:叔父様から逃れたと思ったら、今度は羂索か。
02:コウモリ……また僕に裏切れって?
参戦時期:少なくとも内通者だとバレる前
備考
※青山がさっきまでいた場所のどこかにクラブオルフェノクだった灰の山が残っています。
【クラブオルフェノク@仮面ライダー555 死亡】
【支給品解説】
・青山のヒーローコスチューム@僕のヒーローアカデミ
…青山優雅@@僕のヒーローアカデミアに支給。
青山の“個性”、ネビルレーザーを活かす為のサポートアイテムの組み込まれたコスチューム。
・仮面ライダーナイトのカードデッキ@仮面ライダー龍騎
…クラブオルフェノク@仮面ライダー555に支給。
仮面ライダーナイトに変身する為のカードデッキ。
コウモリ型モンスター、ダークウィングと契約し各種カードが使用可能。
タイトルは 彼こそSINのバットマン です。
投下を終了します
投下します
其(それ)は、人の形をした暗黒そのもの。
神聖さすら感じ取れる荘厳な黒鎧を纏った、中高生ほどの背丈。
その佇まいと風格は正しく覇者の証。
悪を倒さんが為に悪を選ぶもの。弱肉強食の掟を掲げ抗うもの全て斃し支配せんが為。
「羂索め、やってくれたな」
どのような手種を使ったかは知らないが、自分を巻き込むという暴挙を行った羂索を名乗る女は己以上の実力者ということか。
名前だけ知ったクルーゼ、茅場なる者の実力明らかではない。
「……超融合も奪われているか。そう都合よくは行かせてくれんようだ」
リュックの中身は既に調べ、本来なら手元にあるべき超融合のカードは存在しない。
別の誰かに支給されたか、そもそも支給されていないと考えるべきか。
最も、誰かが超融合を所持したとして、自分以外にあれをまともに扱える者などいないだろう。
相応の資格を持つ決闘者(デュエリスト)がいるのならば別の話。
「だが羂索。俺がこの程度で怖気づくとでも?」
それがどうした?
覇王にとって立ち塞がるものは全て戦士であり敵である。
倒し、屈服させ、服従させ、支配する。
力こそ正義、力なき者に価値はない。
「最も、奴らはそれがお望みのようだがな」
強者への制約、弱者救済措置としての側面である武装や異能の支給。
この場において、戦う覚悟さえあれば弱者も強者へと変わる。
戦う力を与え、殺し合いを加速させる。その意図に異論はない。
弱者であろうと下駄を履かせれば多少はマシにはなる。
「貴様もそう思うだろう?」
「……ふん」
覇王の前に、巌の如き大男の姿があった。
いや、文字通りの巨大な男。筋骨隆々、赤き鎧を纏う強者という概念の体現者。
この男もまた、覇王。日ノ本より生まれ、強き国を望む、烈界の武帝。
常人ならば恐れひれ伏すであろう眼光と覇気。
黒の覇王と赤の覇王。価値観の違う2つの世界の絶対強者が火花を散らす。
「弱者がどうなろうと構わんのは我も同じだ。しかし、犬小屋の見世物というのは気に入らん。逆を言えば、我らをそう扱える程の強者である、ということか」
赤の覇王が語るのは羂索たち元凶への不満。
闘犬にも似た見世物扱い。それは反面「自分たちをどうにかできる手段」がある。
腕に付けられたレジスターが無くとも、屈服させられる手段はいくらでもあると言わんばかりに。
自分たちが理不尽の体現者と言わんばかりの態度が、気に食わない。
「だが、貴様のように異界から集められた者たちは興味深くはある。できれば我が豊臣の一員に加えても損はない」
逆に。眼前の黒の覇王のような異界の強者のように、それこそ武力だけでなく知略にも隔てた人材があるだろう。
『豊臣』は優秀なものは逆らえさえしなければ歓迎する。例えそれが仇敵であろうとも。
「まさか、この我が井の中の蛙となろうとは。世界は我が思う以上に広すぎるものだ」
異界の人員、異界の技術、異界の兵器。
赤の覇王にとっての未知の産物。高すぎる山岳のような知らない世界が連続して広がっていることを。
この殺し合いを経て知ってしまった。
「同意だな。世界の大きさは個人の物差しでは測れん。だから俺はもっと大きなを欲した。……そのための手段は、今は奪われたままだがな」
「力を欲す、か。我の始まりもそうであった。弱ければ何も出来ない、我はそれをこの身で知っている」
「……そうだ、弱ければ何も出来ない。弱い者に価値はない」
赤も、黒も。かつては己の弱さによって道を間違えた。
黒の覇王は友に縛られ、友を失った。
赤の覇王は無知ゆえに致命的な敗北を喫した。
弱者に価値はなく、強さこそが全て。
強さの形は多々あれど、弱者に見向きもしないのはどちらの覇王も同じこと。
「……貴様に勧誘は無意味か。我と同じ覇道を唱えし者よ」
「そのようだな」
通ずるものがあった。かつて純粋な願いを抱いた二人の青年の成れ果て。
心の弱さを切り捨てて、覇王へと生まれ変わった二人の強者。
だが、お互いが素直に誰かの軍門に降るなど、あり得ないのだ。
「此度は素直に引くとしよう。……お互いの武を交えるのは次の機会だ」
「我はここで貴様を屈服させても良いと思ったのだがな。運が良い、我も同じことを考えていた」
両者とも背を向ける。
ここで争う気はない。いや、期待していたからだろうか。
同じ瞳を、似た願いを持つもの同士の同調(シンクロニティ)。
「手合わせは、次の機会だ。覇王よ」
「我と貴様、雌雄を決すまで精々足元を掬われぬようにな、覇王よ」
覇王たちは別れ、別の道をゆく。
富国強兵、弱肉強食、弱さという弱さを捨て、圧倒的な力を持って世界を統べようとするもの。
殺し合いの舞台であろうと、彼らの覇道は何ら変わらない。
強さを得て、敵に勝利し、時に支配し屈服させ、果てに世界を手中に収める。
願いを叶えるなど、その通過点でしかない。
黒き覇王の名は遊城十代。
赤き覇王の名は豊臣秀吉。
真実と贋作入り交じるこの残酷な世界に、二人の覇王が君臨する。
【遊城十代@遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX】
状態:覇王
服装:覇王の装束
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:ただ勝利し、支配する
01:超融合は必ず取り返す
02:あの赤き覇王とは何れ雌雄を決する
参戦時期:ジムに勝利した後
備考
【豊臣秀吉@戦国BASARA2】
状態:健康
服装:いつもの服装
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:天下統一の邪魔はさせぬ
01:異界の人材や技術、兵器は出来ることならこの手に収める
02:あの黒き覇王とは何れ雌雄を決する
参戦時期:姉川蹂躙戦の後
備考
投下を終了します
申し訳ありません。
拙作「運命の意図を断ち切ったその先に」ですが、一部支給品とNPC解説が漏れていたため、
以下の解説をwikiに追記しました。
【フレームバインダー@ネットミーム】
ユーゲスに支給。
とある同人誌から端を発して、ネット上でイメージが醸成されたエロネタに使われる拘束具。
プラモのランナーのような枠状の形をしている一人用の檻。
拘束された者はフレームの中に無防備な姿勢で固定されたまま、一切の身動きができなくなる。
主なフレームバインダーは、両手は後ろ手に拘束し、両脚はくの字肩に開いて拘束している形状が多い。
【クローン戦士@ドラゴンボール ファイターズ】
人造人間21号の生み出したクローン戦士。
孫悟空やベジータのようなZ戦士以外にもフリーザやセルのような悪戦士のクローンも存在する。
オリジナルと同等の技と能力を有しており、原作では世界中にばら撒かれて世界を混乱に陥れていた。
実際は人造人間21号がパワーを増すための餌として生み出されたものであり、21号はこのクローン戦士を捕食して力をつけていた。
ただし21号曰く、「クローンは薬品臭くておいしくない」とのこと。
また、ユーゲスの支給品が2つ登場したにも関わらず、
テルティナの状態表にあるランダムアイテムが0〜2と表記されていたため、0〜1に修正しました。
投下します
※このSSには残酷な描写が多々含まれています。
それらが苦手な方には不快となる内容なのでご注意ください。
ある日、森の中、処刑人に出会った。
金髪の長い髪に真紅のように赤い瞳。
水色を基調とした服を着た少女、杜乃こりすは森の中を一人で彷徨っていた。
するとクマと見間違えるような大男がこりすを見下ろしていた。
身長191cm
体重114kg
柔道着を身に纏ったムキムキの大男、彼の名前は阿古谷清秋。
彼はこりすを見つめたままポケットからスマホアプリを取り出すと
こりすの顔に向けてスマホを翳し、画像認証を行う。
ピロリ♪
阿古谷が手にしているスマホ、それは彼に用意されたランダム支給品の一つ。
その名も『参加者罪状アプリ入りスマホ』
効果はスマホに映し出した参加者の過去に行った犯罪行為を提示する効果がある。
名前:杜乃こりす
罪状:世界征服を目的とする悪の組織『エノルミータ』に所属
慈善活動を行う魔法少女に危害を加える。
街で破壊活動を行い、一般市民の生活を脅かす。
「これは……」
元々険しかった阿古谷の表情が更に影を落とす。
眼の前にいる少女が反社会的組織の人間であり、無力な弱者を脅かす存在であったという事に
「こりす、貴様はエノルミータという悪の組織の人間か?」
このアプリの情報を全面的に信用している訳ではない。
誤情報を伝え、善人を陥れる罠がある可能性だってある。
だからこそ尋ねた。
この少女は無実の弱者か、それとも罪人かを
「…………」
こりすは上目遣いで阿古谷を見つめたまま答えない。
彼女は警戒していた。
眼の前にいる柔道着の大男は得体が知れない。
こりすに限らず他の人から見ても阿古谷は危険人物にしか見えない。
そんな人間に素性を話すのはあまりにも危険。
「耳が聞こえないのか。私の言っている事がわからないのか。それとも……他に答えられない事情があるのか」
「………っ!」
阿古谷から発せられる空気が変わった。
こりすは本能的に阿古谷から逃げようとする。
その刹那、こりすの体は阿古谷の大きな腕によって拘束されていた。
「貴様が悪の可能性がある以上、放置する訳にはいかない」
「っ!?」
何が起きたのか、どうして自分は目の前の大男に抑えつけられているのか。
こりすには一瞬、訳が分からなかった。
答えは単純、こりすが逃げようと動くよりも先に阿古谷が速く動いた。
たったそれだけのことだ。
ただそれが出鱈目に速かったためにこりすの理解を超えていたのだ。
人間の反射速度の限界は0.08〜0.1秒と言われているが
阿古谷は0.074秒もの速度を叩き出す。
こりすが阿古谷を出し抜いて動くのは不可能である。
「もう一度聞く。貴様はエノルミータという悪の組織に入っているのか?」
「…………」
こりすは無言のまま阿古谷を見つめる。
答えに迷っている訳ではない。
初対面の男に答える義理など無いからだ。
ただでさえこりすは無口な子であり
明らかに怪しい風体の男とは会話するつもりなどない。
「そうか、答えないか」
阿古谷はそう言うとこりすを拘束していた腕の力を弱めた。
もう諦めて解放してくれる。
そう思った瞬間、こりすの体は地面に叩きつけられた。
「答えられないという事は悪である可能性が高い。ならば尋問で吐かせる」
阿古谷にとって相手が悪なら女子供でも関係無い。
正義である阿古谷に反抗的な態度を見せるこりすは徹底的に分からせる必要がある。
こりすの右腕を後ろに回して抑えつけて再び拘束する。
「答えろ!エノルミータとは何だ!?貴様は何を企んでいる!?」
「…………」
参加者罪状アプリでは罪以外の情報は手に入れることが出来ない。
悪の組織の情報は目の前にいる少女の口から聞き出す他ないが
こりすの変わらぬ態度に苛立ちを覚えた阿古谷はこりすの腕を折るべく力を込めた。
するとこりすの体が突如、発光を始めた。
危険を察知した阿古谷はすぐさま拘束を解いてこりすから距離を取る。
「……その姿」
こりすの服装が以前と変化していた。
まるで不思議の国のアリスに登場する主人公のアリスを模した水色のドレスを纏っていた。
この姿こそ、こりすがエノルミータに所属して得た力である。
変身体の名はネロアリス
魔法の力を得たことで身体能力が上昇しただけでなく
ネロアリス固有の魔法も扱うことが出来る。
「なるほど、理解した」
こんな幼い少女が悪の組織に所属しているだの
魔法少女に危害を加えるだの
空想じみた文面を見て嘘偽りではないかと半信半疑だったが
これで確信を持った。
あの少女がどんな原理を持ってこのような現象を引き起こしているのか。
そんな物はどうでもいい。
重要なのはこりすが明確に悪であるという事実、それだけだ。
「これより『正義』を執行する」
「…………」
処刑人:阿古谷清秋
おねむ本部長:ネロアリス
正義VS悪の戦いの火蓋が切って落とされた。
「……」
ネロアリスはバッグからクマ、ネコ、ウサギのぬいぐるみを取り出し
魔力によって巨大化、三体のぬいぐるみモンスターを生み出した。
これこそがネロアリスの固有魔法、玩具操作である。
玩具なら何であろうと意のままに操ることが出来る。
ネロアリスの意志の元、三体のぬいぐるみが同時に阿古谷へと飛びかかる。
まるでテーマパークで働く着ぐるみのような見た目とは裏腹に戦闘力は本物。
ぬいぐるみの爪が阿古谷の体を切り裂こうと襲いかかってくる。
しかし、その攻撃は届かない。
前面に構えた左腕によってぬいぐるみの攻撃は弾かれ、反らされ、受け流される。
警視庁の警部である阿古谷は逮捕術を用いた構えを流儀としており
大盾をイメージした左腕で防御しつつ
警棒をイメージした右腕での殴打を基本スタイルとしている。
カウンターでクマの顔面に向けて鈍器のような拳を振り下ろし叩きつけた。
ノーガードで阿古谷の拳を食らったクマは衝撃で吹き飛ばされる。
(手応えが無い。感触は巨大なぬいぐるみそのままか)
見た目の割に重量感が薄い。
おそらく魔法で生み出された存在だからだろう。
人間とは構造そのものが違う。
「変わった手品だが所詮、正義の敵では無い」
阿古谷は迫りくるネコとウサギの攻撃を交わし
お返しにとばかりに阿古谷の右ストレートがネコの左腕に当たり
プツプツプツ
左腕が切り裂かれ、中から大量の綿が舞い上がった。
リッパー
拳の旋回を利用して相手の皮膚を切り裂く技である。
打撃が通じぬ相手なら斬撃によって倒せばいい。
「種が分かれば取るに足らん相手だ」
狼狽えるネコをリッパーで切り刻んで行く。
ウサギも抵抗するも攻略法を見破られた阿古谷の敵ではなく
バラバラに切り刻まれて倒れ伏す。
「………っ」
事態の不利を悟ったネロアリスは逃走を選択し森の奥へと入っていく。
「無駄だ。正義から逃れる術は無い」
ネロアリスを捕縛するべくダッシュで走る阿古谷。
その道を遮るようにクマのぬいぐるみが阿古谷を襲う
「小癪!」
リッパーがクマのぬいぐるみの喉を切り裂く。
切断面から大量の綿を零しながら倒れ伏すクマ。
阿古谷は倒したぬいぐるみを振り返ることもせずにネロアリスを付け狙った、すると。
「ここに入ったか」
森の中にぽつんと立てられた一軒の家の中へとネロアリスは逃げ込んだ。
罠の可能性も考えられたが阿古谷は臆することなく家の中へと突入した。
「出てこい、隠れても無駄だ」
玄関から進んだ先には広いリビングがあった。
窓から差し込む月明かりに照らされた室内にネロアリスの姿は見えない。
しかし、殺気のような気配がいたるところから感じられる。
隠れてこちらの様子を窺っているのだろう。
バタン!
扉が締まり、施錠された。
それと同時に周囲から阿古谷を取り囲むように玩具達が現れた。
今度は動物のぬいぐるみだけではない。
ロボットのプラモデルや西部劇のガンマンやSF映画のヒーローのフィギュア。
ホラー映画に登場する殺人人形など様々な種類の玩具が阿古谷を狙う
「やはり罠だったか。だが、その程度の戦力で正義が敗れる事はない!」
数が多くても関係無い。
襲いかかる敵に合わせて迎撃を行えばいい。
阿古谷は過去にも、ヤクザの事務所やテロリストのアジトを襲撃し何度も潰している。
多数を相手にした殺し合いには慣れている。
「これより制圧を開始する」
191cmの阿古谷を見下ろす玩具達の群れを相手にしても阿古谷は動じない。
最初の動作で玩具の攻撃を捌き、次の動作で迎撃をする。
まるで精密機械のように淡々と堅実なスタイルで確実に削っていく。
そうして玩具軍団の波状攻撃を難なく対応する阿古谷。
(所詮、数で押すだけか……この程度なら、ぐっ?)
勝利は目前に近づいた所で阿古谷の視界が歪んだ。
意識は朦朧とし、構えが解けた瞬間にロボットのパンチが阿古谷の顔面に直撃する。
(な、なんだ?何が起きている?)
阿古谷の身に感じた異変。
それは闘争本能が抜けていく感覚だ。
いますぐ戦いを辞めて、のんびりと怠けていたい。
そんな気怠い感情が彼の思考力を奪っていく。
◇
阿古谷が侵入したドールハウスの外では、既に脱出したネロアリスが待機していた。
この家は元々会場には存在しない建築物であり、ネロアリスの魔法でドールハウスを巨大化させた物であった。
ネロアリスの魔法はドールハウスへの侵入者に対し、催眠をかけることが出来る。
それによって阿古谷の戦意を奪い尽くし、無力化して勝利する手段を選んだ。
これで大丈夫と、ネロアリスは考えた。
阿古谷と玩具達との戦いを見てネロアリスは理解した。
正義を自称するだけあって彼の強さは紛れもなく本物。
エノルミータの仲間達と一緒ならともかく
ネロアリス一人では真っ当なやり方では勝利出来ないほどに強い相手だった。
あとは催眠によって阿古谷が戦意を失うのを待つのみ。
それでこの戦いが終わるはずだった。
一筋の光がドールハウスの扉を吹き飛ばすまでは――
◇
ネロアリスの催眠によって闘争心が徐々に薄れていく。
抵抗する意志が弱まった阿古谷の肉体へ、ヘビの玩具が絡みつく。
ヘビの締め付けによって体の自由を奪われた阿古谷は膝を付く。
「ぐ、ぐぅ……」
瞼が重い。
意識を保つのも辛くなってくる。
そのまま眠ってしまおうか、と考えるようになり視界が暗くなっていく。
今、俺は何をしている?
悪を目の前にしておきながら正義執行を放棄しようとしている?
正義そのものである俺が?
正義が俺を形作り、俺が正義を成す。
正義という存在である俺が正義を捨てるだと?
否ッ!否否否否否否否ァッッ!!
あり得ない!!
仮に戦いによって命を落とす結果になろうとも己が正義を曲げる事は決してあり得ない!!
ならば、なぜ一瞬でも戦いを辞めようとした?
あいつか!あのガキの術が俺の思考に干渉し、気高き正義の意思を踏みにじろうとしたのか!
赦さん。
絶対に赦さんぞ!
俺の正義を穢すなど!!
あの小娘はただでは殺さん!!
悪に染まった事を心の底から後悔させて苦しませてから殺してやる!!
窮地に立たされたことで阿古谷の深淵が呼び起こされた。
「小賢しいぃぃぃぃッッ!!!!」
ヘビによる拘束を腕力で無理やりこじ開け、ヘビの体をバラバラに引き千切った。
阿古谷は戦闘によってボロボロになった柔道着を脱ぎ捨てた。
柔道着の下は漆黒のスーツに覆われており、肉体のラインがくっきりと浮き上がっている。
阿古谷の2つ目の支給品、それはGANTZスーツである。
装着するだけで身体能力が格段に上昇し、一般人でも超人のようになれる。
特に装着者の精神が高ぶるとその効果も倍増し、強大な力を発揮する。
今の阿古谷は己の正義を踏みにじられた怒りからダーティハリー症候群を発症。
それによりGANTZスーツの効果は最大限にまで発揮されていた。
「邪魔だ!!」
殺人人形の頭部を鷲掴みにすると、そのまま頭部を握り潰して投げ捨てた。
「出せ!!出せ!!」
GANTZスーツによって補強された阿古谷の蹴りを受けてもなお、ドールハウスの扉は蹴破れない。
すると阿古谷は懐から3つ目の支給品を取り出した。
これは温存して置きたかったが現状を打破するためにはやむを得ない。
阿古谷の3つ目の支給品、それはサンシュートである。
とあるヒーローが用いた拳銃型の携帯武器で
更に試作武器であるコロナバスターを召喚し組み合わせることで――
「正義……執行ッ!!」
引き金を引くと同時に放たれた光線がドールハウスを貫通し、風穴を開けた。
「見つけたぞ!」
コロナバスターの光線によって溶解したドールハウスの玄関から阿古谷が顔を出す。
そしてネロアリスを補足して睨みつける。
「……っ!?」
これまでの無表情さとは打って変わって怒りを露わにした阿古谷の形相にネロアリスは戦慄した。
催眠で戦意を奪うどころか、より殺意が増大している。
もはやネロアリスの手に負える相手ではない。
上空へ飛び上がり撤退を――
「逃がさん!」
「…………!!」
ネロアリスの行動よりも早く、阿古谷が駆け出した。
宙に浮いたネロアリスの足を掴むと、そのまま勢いよく地面へと叩きつけた。
「あぅっ!」
後頭部への激痛で悲鳴をネロアリスは上げた。
阿古谷は容赦なく何度もネロアリスを地面へ叩き続けた。
「ぐっ!あぅ!はぁ、はぁ……」
苦痛でうめき声を上げるネロアリス。
阿古谷に足を掴まれて振り回され続けたせいか。
ネロアリスのスカートは捲り上がり、細くて華奢な白い太腿が露わになっていた。
「……?」
怒りの形相のままネロアリスの下半身に顔を近づける阿古谷。
彼が何をしようとしているのか分からず、ネロアリスは疑問を覚えた。
その疑問はすぐに解けた。
ガブッ!!
「いっ!?あぁあああっ!!」
阿古谷がネロアリスの太腿に噛み付いたのだ。
鋭い歯が皮膚を貫き、肉へと食い込み、大腿部から激しい出血を起こして、激痛を与える。
あまりの痛みに普段からは想像も出来ないような絶叫を上げるネロアリス。
そんな彼女に一切構わず、阿古谷は口を前後に動かし肉を食らう。
ブチィッ!!
「いやぁっ!!」
太腿の一部が噛み千切られ、鮮血が噴き出す。
阿古谷は噛み千切った肉を何度か咀嚼してから吐き出す。
「や……やめ……」
「悪なる者よ。その身をもって知るがいい。正義に抱かれて、怯えて死ね」
恐怖で怯えるネロアリスの上を阿古谷がのしかかる。
「んんんっ!!んんんんんんんっっ!!」
「喋るな。舌を噛むぞ」
阿古谷の左腕の肘でネロアリスの口元を抑えつけ、声を封じた。
そうして空いた右腕でネロアリスの脇腹を突き
親指でゆっくりと押し込んだ。
「んぐっ!」
「肋間神経を圧迫している。筆舌に尽くしがたい痛みだろう?」
肋間神経とはその名の通り、左右にある肋間を連絡する神経のことであり、 圧迫によって左右の肋間の痛みや呼吸困難を引き起こす。
阿古谷はその部分を的確に刺激してネロアリスを苦しませた。
「あぐっ!んぐぐぅ!」
「苦しいか?痛いか?悪なる者よ。これが『善なる者達』の苦しみだ。
いつの世も虐げられるのは善良なる者。悪徳は栄え、世は荒廃する。度し難し。度し難しッ!!」
再度、右手の親指で今度は強く押し込み、グリグリと動かした。
「んんっ!!んっ!!んぐぅ!!」
ボキッ!
ネロアリスの肋が一本砕かれた。
激痛がネロアリスの全身に響き渡る。
あまりの苦痛に彼女の精神は耐えきれなくなり、ネロアリスは意識を手放した。
変身が解けてネロアリスから杜乃こりすの姿に戻る。
「気を失ったか」
「んぐっ!」
すかさず、こりすの脇腹を殴りつける阿古谷
激痛によって意識を失ったこりすは、激痛によって強制的に目覚めされられた。
「気を失うことは許さん」
「フゥ……フゥ……フゥ……」
「肋骨は12対、すなわちあと23本ある。
徐々に、徐々に理解していけ、正義のあり方を。
苦痛の死を以ってお前の罪は浄化され、善なる魂へと昇華されるのだ」
苦痛と恐怖で息を荒げながら怯えるこりす。
体を震わせながら涙を流す少女の姿を見ても阿古谷は一切の慈悲を見せない。
「さぁ、二本目だ」
「んんんっ!!んんんんんんんんっっ!!!」
首を横に振りながら許しを懇願するこりすの脇腹を無慈悲に抉る阿古谷。
阿古谷による悪への裁きはまだ始まったばかりだった。
こりすはエノルミータに所属したことを心の底から後悔した。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
もう二度と悪いことはしません、だから許してください。
エノルミータもやめます。だから痛い痛い痛い!嫌だ!怖い怖い怖い!!もう許して許して許して許して許してぇぇぇ!!!!
……また、折れた。私このまま死んじゃうの?悪い子だからこのおじさんに殺されちゃうの?
嫌だ嫌だ嫌だ!お家に帰りたい!!パパとママに会いたい!!いい子にするから帰して!!
お願いだからもう痛い痛い、また痛いのが嫌だ嫌だ痛い痛い痛い痛い痛い痛いうてなお姉ちゃんキウィお姉ちゃん助けて!!痛い痛い痛い痛いもうやめてぇぇぇぇ!!!!
3つ目の肋が折られた。
「あぅ、あぁ……ううぅ……」
もはや痛みで呻き声すら上げられないこりす。
折られた箇所は痛々しいほどに紫色に腫れ上がり
体はヒクヒクと痙攣を起こし、股下はこりす自身の小便が広がっていた。
こりすは涙を流しながら、虚ろな目で虚空を見つめる。
「死ぬのが怖いか?安心しろ。エノルミータの悪共は俺が一人残らず断罪する」
「…………?」
エノルミータの名を聞いてこりすがわずかに反応した。
それに気付いた阿古谷は続けて語りかける。
「エノルミータのような反社会的な存在は決して許さない。
幹部から構成員に至るまで全て俺の手で始末してやろう」
殺される?うてなお姉ちゃんが?キウィお姉ちゃんが?
あのおじさんに襲われて殺されちゃうの?
そんなの、絶対に駄目!!
こりすの姿が変化し、再びネロアリスへに変身する。
「!?」
阿古谷が後ろへ跳躍し、ネロアリスから離れる。
その瞬間に巨大な尻尾がネロアリスの頭上を薙ぎ払った。
巨大な怪獣がいつのまにか出現しており、阿古谷を見下ろしていた。
「小癪!」
「…………」
阿古谷の拷問によって満身創痍のネロアリス。
だがその瞳は勝負を諦めていなかった。
「……そうか。この期に及んで『正義』に抗うか。もはや貴様の魂を救済する余地は無いぞ」
ネロアリスを頭上に乗せた怪獣が阿古谷へと駆ける。
それを迎撃するべく構える阿古谷。
すると上空からプロペラ音が響き渡った。
「ヘリだと!?」
その音の正体は戦闘ヘリコプターであうアパッチだった。
元はラジコンの玩具をネロアリスの魔力によって本物同等の戦力を保有している。
新たな伏兵の出現に上空に釘付けになる阿古谷に突撃する物体があった。
『ポッポ〜♪』
「ぬぅぅ!!」
汽笛を鳴らしながら阿古谷に突撃する物体。
それは人面の顔をした機関車であった。
プロペラの騒音によって阿古谷は気付くのが遅れ衝突する。
「笑止ィィィ!!!!」
薄ら笑いを浮かべた人面顔を、警棒に見立てたパンチを振り下ろして叩き壊し無力化。
速攻で機関車から離れることで怪獣の踏みつけを躱す。
回避した先でアパッチの機関砲の銃撃が阿古谷を襲う。
「小癪ッ!小癪ッ!小癪ゥゥ!!」
脚力を増強させ、高く飛び上がる。
木々の上に着地すると、更に跳躍し、アパッチへと飛び乗った。
「正義、執行ォォォ!!」
プロペラの中心部にある根本を拳で叩き折る。
墜落するアパッチから怪獣へ向けてジャンプする。
「次は貴様ダァァァァ!!」
「…………ッ!」
怪獣が大口を開けると飛び込んでくる阿古谷をパクンと食らった。
阿古谷を噛み砕かんと口を動かす怪獣。
すると怪獣の意思とは裏腹に口が徐々に開いていく。
「正義ィィィィィィッッ!!!!」
阿古谷は両腕で怪獣の口を押し広げていた。
その力は怪獣の咬合力を上回り、怪獣の口が押し広げられていく。
ブチブチブチッ!!
そして怪獣の顎がまるで裂けるチーズのように引き裂かれる。
怪獣は断末魔の叫びを上げながら倒れていく。
「……っ」
ネロアリスは怪獣から離れて飛び上がる。
切り札に残しておいた主力の玩具も破壊されて魔力も残り少ない。
阿古谷を野放しにするのは危険だが一度態勢を整えて――
「逃さん、と言った筈だ」
「んんっ!?」
阿古谷の両手がネロアリスの顔を包み込むように触れた。
すると両手の親指をネロアリスの瞳の上に乗せて、そのまま眼球を押し潰した。
「うああああああっっ!!」
阿古谷の親指がネロアリスの眼孔をグリグリと掻き回す。
親指を動かすたびにグチュグチュと眼球が潰される音がネロアリスの頭に響き渡る。
グチャッ!グチュグチュッ!!ブチィッッ!!
「アァァァァッッ!!!」
眼球を完全に破壊された痛みで絶叫を上げるネロアリス。
視界を奪われた彼女はロクに受け身を取ることも出来ずに地面に激突する。
「あぅ、あぁ……」
「正義の為に……正義を執行するッッ!!!」
うめき声を上げるネロアリスの顔面に向けて拳を振り下ろした。
「あぁうっっ!!」
鼻を砕かれ、鼻血を吹き出しながら悲鳴を上げるネロアリス。
更に阿古谷は拳の乱打をネロアリスの顔面に浴びせた。
「正義執行!!正義執行!!正義執行!!正義執行!!正義執行!!正義執行!!」
「あぐっ!うぐぅっ!」
「正義執行!!正義執行!!正義執行!!正義執行!!正義執行!!正義執行!!正義執行!!正義執行!!正義執行!!」
「……」
殴る、殴る、殴る、殴る、殴る。
ネロアリスが殴られる度に顔中の骨が砕かれる。
殴る、殴る、殴る、殴る、殴る。
意識が飛び、変身が解けてもこりすの顔を殴り続けた。
やがて顔の形は完全に崩れて血まみれとなっていた。
もはや原型を止めなくなるほど殴り続けてようやく阿古谷は止まった。
「正義執行……完了」
確認する必要も無く絶命しているこりすを見ても阿古谷の気は晴れない。
その理由は、もっと早く始末出来た筈であるのにも関わらず
己が悪癖のために戦いを長引かせて相手に覚醒のチャンスを与えてしまったこと。
これは今井コスモの時でもあった失態である。
今回は敗北せずに済んだのは一重に支給品の恩恵があったに過ぎなかった。
彼は過去と同じ愚を繰り返してしまった。
(このガキが我が正義を汚したから等は言い訳にもならない。己が精神が未熟なのが原因!)
この会場にはどれだけの悪が存在しているか分からない。
一人の悪を相手に不必要に時間を労してる暇はない。
早急に迅速に素早く始末しなければならない。
正義に休息は無い。
この世に悪が存在する限り、正義は戦い続けなければならないのだから。
【杜乃こりす@魔法少女にあこがれて 死亡】
【阿古谷清秋@ケンガンオメガ】
状態:ダメージ(小)疲労(小)
服装:GANTZスーツ@GANTZ(耐久値残り60%)
装備:サンシュート@天体戦士サンレッド(充電率0%)
令呪:残り三画
道具:参加者罪状アプリ入りスマホ@オリジナル、ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:悪を断罪する
01:会場にいる全ての悪を殺害した後に主催者も殺害する
02:脱出後はエノルミータを滅ぼす
参戦時期:後続の書き手にお任せします
備考
【支給品紹介】
参加者罪状アプリ入りスマホ@オリジナル
アプリを起動して参加者の顔を映して使用すると
参加者が今まで犯した犯罪を知ることが出来る。
表示されるのはロワに呼ばれるまでの犯罪までであり
ロワ中で起きた犯罪は含まれない。
GANTZスーツ@GANTZ
装着者の身体能力を格段に増幅させる機能を持つスーツ。
また、装着者の精神が高ぶると装着者の筋力を著しく上昇させる効果も持ち
岩を発泡スチロールのように砕いたり、ビルとビルの間を飛び回ることもできる。
ただしスーツの耐久値を超えるダメージを受けると、その機能は失われる。
サンシュート@天体戦士サンレッド
拳銃型の携帯武器、携帯電話のようにコンセントに繋いで充電することが出来る。
充電率に応じてコロナバスターの威力が変わる。
過充電を起こしてからコロナバスターを撃つと出力に耐えきれずに全壊する。
玩具袋@オリジナル
色んな作品の玩具が入った袋。
あくまで玩具しか入っていないので本物の変身アイテム等は入っていない。
投下終了です
二本投下します
「ドーモ、ハジメマシテ。プロミネンスです。非ニンジャのクズめ。早々と死ね!」
殺し合いの会場のどこかでダークオレンジ色のニンジャ、プロミネンスはギリシャのトーガのような服を纏った老人にオジギをする。
アイサツはニンジャにとって神聖不可欠。古事記にもそう書いてある。
「イヤーッ!」
プロミネンスはオジギを終えたコンマ五秒後、即座にカラテを仕掛ける。
相手のアイサツを待たずして攻撃するのはスゴクシツレイだが、相手が非ニンジャであるならばシツレイにはあたらない。
そしてニンジャのカラテは非ニンジャがそう簡単にとらえられるものではない。
しかし――
「つまらん」
「グワーッ!」
プロミネンスのカラテが炸裂するどころか、逆に反撃され吹き飛ばされたのだ。
地面を転がるも、即座に起き上がり老人に目を向けた彼は驚愕する。
「な、何だその姿は!?」
なんと、さっきまでヒョロヒョロとした体格だった老人は、いつの間にか大幅にバンプアップし、もはや巨漢というほかない姿となっていたのだ。
にも拘わらず、目の前のこいつはニンジャではない。その事実を感じるプロミネンスは、目の前の老人が気持ち悪くて仕方ない。
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
焦ったプロミネンスが繰り出すカラテの連打! しかし老人も負けてはいない。
「ほいほいほいほいほいほい!!」
「グワーッ! グワーッ! グワーッ! グワーッ!」
老人が繰り出す拳の連打はプロミネンスのカラテをはるかに上回る威力、スピードで、圧倒的な勢いのまま彼を打ちのめす。
やがてラッシュが終わり彼が宙を舞う。
「サヨナラ!!」
そのままプロミネンスはしめやかに爆発四散! 彼の生きた痕跡は支給されたリュックしか残らなかった。
【プロミネンス@ニンジャスレイヤー 死亡】
「なんじゃこやつ……?」
プロミネンスが爆発四散する光景を目撃した老人は戸惑いを隠さない。
殺すつもりで拳を放ったのだから死ぬのはいいとして、爆発するようなことはしていないのに。
まさか死んだ側の性質のようなものとは思いもよらないのだ。
この老人の名はゼウス。
全宇宙の父(ゴッドファーザー・オブ・コスモス)と神々の間では呼ばれる、ギリシャ神話の最高神その神である。
そんな彼には一つ、欠点と呼んでも差し支えない部分がある。
ゼウスは世間だと性豪だと言われている。
女癖が悪く浮気性で、妻の目を盗んでは美少女から人妻、さらには曾孫娘に美少年にまで手を付ける節操無しと思われている。
しかし、それは真実ではない。
確かに彼は神々の中でエロジジイなどと呼ばれることもあるが、それは断じて性欲によるものではない。
ゼウスは、戦闘狂だ。
身内に裏切られても、自分達が劣勢の際まで追い込まれても、それが面白ければ歓喜する享楽主義。
故に戦闘愛好嗜虐変態神(エロジジイ)などと揶揄されている。
なので殺し合い自体も、さっき襲い掛かったプロミネンスについても悪印象は抱いていない。
ただいきなりこんな場に放り込まれたので、殺し合い自体は楽しむが、終われば主催者も皆殺しにするつもりではある。
怒りはしないが、舐めた真似をされて成すがままにされる気はないのだ。
とはいえ、主催者を殺すのはまだ先の話。
今のゼウスの関心は別の所にある。
それは――
「そこにおるやつ、こっちに来んか?」
物陰から自分を除いている、別の参加者についてだった。
声に応じ、隠れていた者は姿を現す。
その参加者はいかにも魔導士と言わんばかりの紫のローブを纏った人型でありながら明らかに人間ではない、モンスターである。
ただし手には、掃除で使うようなデッキブラシを持っており、どこか珍妙な姿にゼウスは思えた。
◆
時は少し戻る。
「ふざけたことを……!」
会場のどこかで、一匹の人型の魔物が怒りに震える。
彼の名前はりゅうおう。アレフガルドという土地の征服を企む竜の王である。
りゅうおうが怒りに震える訳は殺し合いにある。
とはいえ彼は別に死人がいくら出ようともそれに怒ることはない。
彼が怒っているのは、殺し合いに呼ばれる直前の状況にある。
りゅうおうは殺し合いに呼ばれる直前、敵と相対していた。
敵はロトの生まれ変わりと称される、ラタドームの王より自身の討伐を命じられた勇者。
そんな勇者に対し、りゅうおうはある問いかけをした。
『もし、わしの味方になれば世界の半分を勇者にやろう。
どうじゃ? わしの味方になるか?』
りゅうおうの問いとは、要は寝返りの要求だ。
強大な敵とは戦わず、封じ込める方向でいくことにしたのである。
>はい
勇者はりゅうおうの問いに頷く。
『本当だな?』
思わず念押しでもう一度りゅうおうは問う。
>はい
それでもなお、勇者は頷く。
りゅうおうは頷いた勇者を見て満足した所で――
『これから君たちには我々の用意したゲームをプレイしてもらう。
形式はバトルロワイヤル。
己が存在と理想を叶える権利かけて最後の1人になるまで殺し合うんだ』
この殺し合いが始まった。
理想まであと一歩と言うところで理不尽に攫われたうえ、理想を叶える権利とやらの為に殺しあえと言われ腹の立たない存在がどれだけいるか。
あの様々な名前を名乗った女は必ず殺す、と決意するりゅうおう。
ともあれ、まずは支給品を確認しようとリュックを開き、最初に出てきたのはデッキブラシだった。
一見するとただの掃除用具だが、その実強力な杖でもあることに気付いた彼は、見た目に不満を抱えながらもとりあえず装備する。
こうして武器を装備したりゅうおうは他の参加者を探すべく移動を開始した。
目的は無論殺す為。殺し合いに怒りを覚え、主催者を殺すつもりではあるが、少なくとも人間と手を組もうとは思えない。
なので彼は参加者を皆殺しにした後、主催者を殺すつもりである。
そして少し移動した所で見つけたのが、ゼウスだ。
りゅうおうはプロミネンスとの戦闘を見て、ゼウスの強さは少なくとも自分が勧誘した勇者よりも上だろう、とあたりを付ける。
やがて戦いが終わり、ゼウスからの呼びかけにりゅうおうは応じた。
いずれ雌雄を決さなければならないとはいえ、そんな相手とこんな序盤で戦いたいとは思わなかったので、彼はゼウスの呼びかけに素直に応じたのだ。
「貴様は、何者だ?」
「ん〜? ワシ? 神。ゼウスって言うんじゃけど、知っとる?」
「知らん」
りゅうおうのぶしつけな問いに、簡素に答えるゼウス。
普通なら誇大妄想の類としか思えない回答だが、この老人が言うと真実か、そう答えても差し支えないほどの強者のどちらかとしか、りゅうおうには思えない。
「それよりお主こそ何者じゃ? 神ではないし、かといって人間でもないのは分かるが」
「わしは王の中の王、竜の王。りゅうおうだ」
「ほう?」
りゅうおうの答えに興味を持つゼウス。
彼から見れば目の前の相手は、自身の力を見てなお怯まないだけで好奇心が刺激される相手だ。
なのでこの場で即座に開戦しようかと思ったが、その前に向こうが話を進めてきた。
「ゼウスとか言ったな。わしと手を組まぬか?」
「ワシにその必要があるように見えるのか?」
りゅうおうの言葉に不満を覚えるゼウス。
この場で戦ってもいい相手に焦らされるようなことを言われるのは、たまらなく嫌だった。
しかしりゅうおうの言葉は続く。
「確かに貴様なら一人でこの殺し合いの参加者を皆殺しにできるかもしれん。
しかし、貴様から見れば参加者は有象無象にすぎん者が多いように見えるぞ。わしと同じくな」
「……ふむ、確かにそうじゃな」
りゅうおうの言葉に頷くゼウス。
全員を把握しているわけでは無いが、最初の場で目立っていたルルーシュや宝太郎は、彼らからすれば大したことのない相手にしか見えない。
無論、支給品や未知の何かがあるかもしれないが、現状見える範囲では大した相手ではない、というのが二人の共通見解だ。
「そんな奴らを一人でチマチマ潰すのは手間だと思わんか?」
「成程のう」
りゅうおうのこの一言で何を言いたいか理解するゼウス。
この場で即座に戦うのではなく、ある程度参加者を減らすまでは別れて殺し、後は一人でいいと判断したら改めて殺しあえばいい、ということだ。
要するに、作業の分担である。
「ま、いいじゃろ。ワシは強い奴と戦うのは大好きじゃが、つまらん雑魚に時間を取られるのは嫌じゃしな。
ここは別れて参加者を殺していって、最後にお主と雌雄を決するのも悪くないのう」
「話は決まったな」
「まあ待て」
そう言ってゼウスに背を向けるりゅうおうだが、即座に呼び止められた。
不承不承とばかりに振り向くと、そこにはプロミネンスのリュックを掲げるゼウスの姿が。
「お主、これいる?」
「いらん」
ゼウスの施しを拒否するりゅうおう。
戦って奪い取るならともかく、いずれ戦う敵から施しを受ける気にはならない。
とはいえ、プロミネンスのリュックがいらないのはゼウスも同じ。
なので――
「ほいっとな」
ゼウスはプロミネンスのリュックを全力で投げ飛ばした。
これで雑魚が少しでも強くなれば儲けもの、と考えたが故に。
これでもう用はないとばかりに、一柱と一匹は互いに背を向けて去っていく。
神と竜。二つの頂点が参加者の脅威となって降り注ぐ始まりである。
【ゼウス@終末のワルキューレ】
状態:正常
服装:
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1〜3、ホットライン
思考
基本:主催者含めて皆殺し
01:まずは優勝する。その後に主催者を殺す
02:りゅうおうと戦うのが楽しみ。あやつが死んだらそれまで
03:バグスターウイルス? 何か知らんが元の世界に帰れば何とでもなるじゃろ
参戦時期:本編登場前
備考
※最終形態『阿陀魔須』には令呪を一画使用しないと変身できません。
【りゅうおう@ドラゴンクエスト】
状態:正常
服装:
装備:デッキブラシ@テイルズオブシンフォニア
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×0〜2、ホットライン
思考
基本:主催者含めて皆殺し
01:他の参加者を探して殺す。
02:ゼウスを警戒。
03:勇者もこの殺し合いに参加していたらどうするか……
参戦時期:勇者に「世界の半分をやろう」と言って頷かれた直後
備考
※第二形態には令呪を一画使用しないと変身できません。
※プロミネンスのリュック(ランダム支給品×1〜3、ホットライン)が会場のどこかに飛んでいきました。
どうなったかは当選した場合、次の書き手氏にお任せします。
【デッキブラシ@テイルズオブシンフォニア】
りゅうおうに支給。
見た目はただのデッキブラシだが、実は風の精霊の加護を受けた神秘のブラシ。
風属性で、杖として扱える。
見た目はネタにしか見えないが、実は終盤のダンジョンで拾える武器より強い。
攻撃力+550、命中+50、回避+20、幸運+30
投下終了です。
続けて二本目を投下します
「ぽーぽっぽっぽ!!!! 参加者どもを恐怖の底に叩き込んでやるぽねぇ!!」
【八尺様@八尺様がくねくねをヌンチャク代わりにして襲ってきたぞ!(致死率十割怪談)】
状態:正常
服装:
装備:くねくね@八尺様がくねくねをヌンチャク代わりにして襲ってきたぞ!(致死率十割怪談)
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×1〜3、ホットライン
思考
基本:どいつもこいつも皆殺しぽねぇ!!
参戦時期:くねくね谷を襲う直前
備考
※装備しているくねくねはNPCです。
【NPC解説】
・くねくね@八尺様がくねくねをヌンチャク代わりにして襲ってきたぞ!(致死率十割怪談)
人間が一回見るだけで脳にNTR一万回分の破壊ダメージを受ける都市伝説。
本ロワでは脳にNTR五回分のダメージに軽減され、二回見たとしてもダメージは累積しない。
また、人間以外には効果を発揮しない。
投下終了です
タイトルは『八尺様がくねくねをヌンチャク代わりにして真贋ロワの参加者になったぞ!』です
投下します
本来ならば人で賑わうであろうショッピングモール。
しかし此処は羂索によって築かれた殺し合い、その為の舞台。
人の姿は殆どなく、二人の男女が二階の広々とした廊下で相対する。
一人は明るめの金髪碧眼に、服装は白の着物と青緑の袴に近いスカート、
さながら外国人が着物や袴に袖を通したともいうべき姿をした少女だ。
腰に携えた鞘と左手に握られた刀も合わさり、侍というのが正しいのだろう。
少女の名はミリン。
空の世界における東国にて育った侍の一人だ。
東国で育ったとは言うが生まれ自体は別であり、
金髪碧眼と東国らしからぬ顔つきをしてるのはそういうことである。
「降参してください。拙者としては、命までは取りたくないので。」
彼女と相対するのは、腕から血を流す同じく白い服の男だ。
胸元の青紫の十字架がデザインされているのが特徴的で、
ドレットヘアーのような束形状の髪型は異彩を放っている。
浅くない傷を負っているからか、息を切らし腕を抑えており、
二人が交戦していたことについては、だれが見てもそう答えるだろう。
ミリンも武士の端くれ。殺そうと思えばできるものの、
考えずに命を奪うような真似をすれば、羂索の殺し合いの思うつぼだ。
まだ話し合いすらしていない相手を殺せるほど、非情さを持ち合わせてはいない。
「降参、か……お前。好きなものが何かあるか?」
滴る血が白い床へと垂れて血だまりを作っていく。
決して軽い怪我ではなく、息を切らしてるのがその証拠だ。。
「え? 拙者はおむすびとか故郷とか好きですが……」
突然の質問。
まるで日常会話でもするかのような質問に、思わず答えてしまうミリン。
こんな状況で話すようなことではないのはわかっている。
一体彼は何が言いたいのかわからないでいると、
「私が好きなのは……人の死を観察することだ。
人の死をつぶさに見るたびに優位に立ち、人の心理まで理解できたと思えるのだよ。」
ゾッとするような言葉が返ってくる。
「な、何を言ってるんですか?」
鳥肌が立つ。
悪党という悪党には何度も出会ったことがある。
非道な存在とも相対したことがあるし、同郷の剣豪も、
妹を妖刀目当ての人物によって殺された痛ましい事件も聞き及んでいる。
だが、それらを遥かに超えた邪悪さ。思わず後ずさりしてしまうほどに。
「此処まで聞いてわからないのか?
私は人の死を見たいのだよ。私は優勝して、
この殺し合いに参加した者たちの記録すべてを手に入れたいッ!
そう、羂索が言っていたガッチャ(喜び)。私にとってはそれだッ!
一体何通りの死が、何通りの絶望の表情がこの戦いにはあるのかッ!!
私はそれが見たくて見たくて仕方がない! 私は優勝して、
羂索からその全ての映像を手に入れたい! これだけのことができるんだ。
モニタリングの一つや二つ、何かしらしてないとも思えないからな。」
「そんな……そんなことのために人を殺すんですか!?」
「人はどの生命よりも好奇心が強いから進化したのだよ。
私のやっていることは人間の成長となんら変わりはしない。
人の成長や老いが止まらないように、私の好奇心も止まらないということだよ。」
理解できない。いや、正確には理解してはならない。
吐き気すらこみあげてくる邪悪さ。余りの狂気に気圧されてしまう。
これがこの男、チョコラータと言う限界もブレーキもない悪の塊。
「そんなこと、絶対させません!」
「だがすでに片腕を失っているお前に刀が満足に振れるのか?」
そうチョコラータが指摘すると、汗が頬を伝う。
チョコラータの腕を深々と斬りつけたはいいものの、
その時の刀を抜く動作の際に右手が崩れ落ちてしまってる。
チョコラータが持つスタンド、グリーン・デイの影響により、
自分より低い位置に移動したものへ食人カビを繁殖させる。
痛みこそまだないが、主に彼女は両手で刀を振るうのが基本だ。
片手で振るえるだけの力があるかと問われると怪しいところである。
一方でチョコラータも負傷は決して浅くはないものの、
彼にとっての本領はスタンドだ。本体の傷は些細なことだ。
「そのうえ刀は基本横か縦にふるうかだ。
だが私のグリーン・デイの習性に気づいてるお前は、
どうすれば横からの一撃を叩き込めるか、そう考えているはずだ。」
「ッ!」
どうするべきか。
攻撃の軌道は完全に読まれている。
だからと言って無策で突っ込んで勝てる相手ならば、
右手を失うようなことにはならなかっただろう。
(こうなったら、一か八かやるしかない!)
刀をまっすぐ伸ばし、刃をチョコラータへと向ける。
決死の一撃が来ることがわかり、サボテンを人型にしたようなスタンド、
グリーン・デイを前方へと構えさせた。
バックステップでミリンが距離をとった後行うのは、
「鳳回転流外電、見様見真似・桜下散華ッ!!」
独楽のように回転しながら、高速で接近する。
桜下散華。彼女が憧れる剣豪の一人、サビルバラが使う流派の技。
見様見真似ではあるが、手数と威力を両方兼ね備えた技を片手で出すにはこれ以外になかった。
回転で勢いをつけた刃を、拳のラッシュと後退しながら防ぐチョコラータ。
「うおおおおおおお───ッ!!」
ラッシュで防いではいるが焦りが表情に浮かぶ。
もっとも、回転してる彼女にそれを見る暇などない。
この一撃で仕留めなければ彼を倒すことなどできないのだから。
「まずい、このままでは───」
グリーン・デイは精密動作性はEでスピードもC。
刃に触れず攻撃をガードするのは難しく、
チョコラータの両手には傷が増え続ける。
(お願いします。これで倒せ……)
「負ける、などというとでも思ったか?」
下卑た笑みを浮かべながら、
チョコラータはあるものを彼女の足元へと投げつけた。
スタンドで防御してる都合、本体であるチョコラータ自身は自由に動ける。
彼が投げたのは、木材や石材に穴をあけるために用いる小さな鑿だ。
それで妨害するのかと警戒こそするが、足元へ掠ることもない。
一見すると何がしたかったのか分からない投擲。
彼女はそれを死によって知ることとなる。
「え……?」
突然足から地面の感覚が消えた。
円形の穴が鑿を中心に展開し、二階の床を消失している。
とある邪仙が用いていた蚤は、壁に容易く穴をあける能力を持つ。
無論、床に使えば床に穴をあけることも可能だ。そして、
チョコラータの前で落下するということは即ち───
「しま……」
浮遊感と共に落下し、全身から噴き出すカビ。
端正な顔も、足もクッキーのようにボロボロと崩れ落ちていく。
もう助からない。それだけがこの状況で理解できてしまう。
「そうだ! その顔が見たかった! 私に絶望の表情をッ!
よおーく見せるんだッ! 希望が尽きて…命を終える瞬間の顔をッ!」
二階から見下ろすチョコラータの顔は歓喜の表情だ。
そうだ、その顔だ。絶望の表情を見ることが至福のひと時。
「おまえの刃がこのグリーン・デイに防御を優先させるとは、
マジにヤバイとパニクったよ……本当に絶望しかけたんだ。
だが俺は切り抜けた……その鑿のお陰で絶望を逆転したんだ。」
曲がりなりにもパワーがA相当のグリーン・デイだ。
片手の小娘の攻撃などいなせると思ったが想像以上の威力で焦りはした。
だが自分の能力と相性の抜群の霍青娥の蚤。それがすべての運命を分けている。
「さあ!! 絶望をわたしの方に向けながら落下していけええええええええええ!!」
グズグズに体が崩れていく。
これで意識を保ってるのが不思議なぐらいに。
次第に次第に死んでいく様を見届けるという、
チョコラータの悪性が反映された結果まだ彼女は死んでいない。
それが彼女にとって最期の一撃を許す油断だ。
(せめて、一矢報いないと!)
この人を野放しにすれば確実に被害は広がる。
誰かが止めなければならない。今できるのは自分だけだ。
そう覚悟を決めると、持っていた刀を投擲する。
投擲と同時に崩れる左手。もう刀を握ることは叶わない。
時期死ぬのだ。気にすることなく真っ直ぐに飛ばしていく。
「しまっ……」
調子に乗りすぎて防御を忘れていた。
狙いは初めての投擲にしては極めて正確だ。
速度も十分。防御するには間に合わない。
そのまま飛べば首を貫通するところ『だった』。
ミリンは運がなかった。蚤によって穴が開くのは短時間だ。
刀は床に埋まり進むことをやめ、確かに首に刺さりはしたが薄皮一枚程度。
死に至るにはほど遠い結果に終わってしまった。
「……最後の最後で諦めない、そういう表情だった。
折角の表情が台無しだ。だが、この程度の怪我など何も問題はない。」
そういいながら、支給品である糸を使いすべての傷口を縫合していく。
千変万化クローステール。今こうして縫合して怪我の止血もできれば、
糸は自在に操れるため索敵用の結界を張ってこのショッピングモールを陣取ることができる。
籠城するにはもってこいの支給品であり、高い位置を要求するスタンドとしては相性は抜群にいい。
さすがに糸を足場にするのは慣れないのでできないのが残念ではあるが。
「そうだ。あの女の支給品を回収しておかないとな。蚤も一階に落としてしまっている。」
近くの稼働してないエレベーターを降りながら、チョコラータは下へと降りていく。
狂気の医者は求める。
全ての死を。すべての絶望を見届けるために。
他人を支配しなくてはならない宿命が強い者にはあると、
それを一切の迷いなく信じて疑わぬモンスターが動き出す。
【ミリン@グランブルーファンタジー 死亡】
【チョコラータ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】
状態:腹部に傷(クローステールで止血済み)
服装:いつもの
装備:霍青娥の鑿@東方Project、千変万化クローステール@アカメが斬る!
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:優勝して殺し合いすべての記録を持ち帰りたい。
00:絶望の表情を探しに行きたいがしばらくはショッピングモールで待機。
参戦時期:少なくともローマでブチャラティたちと交戦以降。
備考
※グリーン・デイの射程距離の広がる範囲については採用された場合後続にお任せします
・霍青娥の蚤@東方Project
霍青娥が簪代わりに頭につけている蚤。
これを刺した場所は円形の穴が開いて壁を通り抜けられる。
時間経過で穴は元に戻る。柔らかいものには穴は開けられない。
・千変万化クローステール@アカメが斬る!
始皇帝の命により製造された失われた技術で作られた帝具が一つ。
東海の雲に棲む超級危険種の体毛を素材とした強靭な糸の帝具で、
傷の縫合、槍など武器の生成、索敵、拘束、切断など様々な用途で使用可能。
さらに強力な「界断糸」と呼ばれる特別な一本が備わっていて切れ味は別物。
以上で投下終了です
投下します。
注意、この投下作品には最後の方に性的描写があります。
そうした描写が苦手な方は絶対にお読みするのは控えて下さい。
依存心の強いものは、 人の弱みに敏感である
桜井章一
母様、見て100点だよ!
よく頑張りましたね。凄いですよ
夢を見ていた
もっともっと結果をださないと、母様は心から喜んでくれないんだ
それは幼き頃の夢
もうやめなさい!……もうやめて
とても……とても嫌な夢
だが、夢は続く
「これから君たちには我々の用意したゲームをプレイしてもらう。
形式はバトルロワイヤル。
己が存在と理想を叶える権利かけて最後の1人になるまで殺し合うんだ」
殺し合いという悪夢へと
「まじ……なんだよな?」
この現状を少年は、この悪趣味極まりない催しが現実であると落とし込んでいた。
少年の名は久世政近。
市立征嶺学園に在籍している高等部1年生。
日本最高峰の偏差値を誇る、由緒正しい中高大一貫校。
「アーリャ……」
政近の脳裏に浮かぶはクラスの同級生。
アリサ・ミハイロヴナ・九条。
転入してきて以降、常に成績は学年一位。おまけにスポーツ抜群で今年からは、生徒会の会計を担当をしている。
そして、時々、俺の隣でボソッとロシア語を呟く少女。
周りからは”孤高のお姫様”なんていわれている政近は知っている。
彼女(アーリャ)は決して完璧超人なんかではない。
おしるこにはまっていて、本当は辛いのは苦手なのに意地で食べる。
周りが勝手に盛り上がっているだけでお姫様ではない。どこにでもいる一人の女の子。
また、努力を欠かさない。どんなに大変でもあきらめない。
常に上を目指す。
そんな彼女だから俺は自分の意志でケツイした。
生徒会長にすると。
目がくらんで眩しい彼女を。
応援したくなる彼女を。
それを、こんな変なゲームなんかで約束を破ってたまるかよ。
そして、もう一人……
「有希……」
周防有希。
実の妹にしてこの世でもっとも大切な人間。
そんな妹に周防家の期待を背負わせてしまった。
本当ならその役目は俺だったのに。
妹を生贄に俺は自由を手にした。
それからの俺はずっと怠惰でなんの覚悟も情熱もない、毎日をだらだらと過ごしているだけの努力のできないクズ。
それが、久世政近の現実(じごく)
「ん……?なんだ」
どこからか声が聞こえてきた。
視線を声の方向へ向けると、人影が見える。
「そこの人、どいて〜〜!」
前方に見えるは、一直線にこちらへ走ってくる少女
切羽詰まった姿は、こちらが止まるんだ!と声をかけても止まれないだろう。
「うぐ〜〜〜〜〜、どいて〜〜〜〜〜!!!!!」
少女の言葉から、少女も止まれないと自覚しているようだ。
なら、俺がやるべきことは……っ!
「よし!、箸をもつ方へ避けるんだ!」
この急な判断。
右左だと、どちらが右か左かと脳内処理をしてしまい間に合わないケースが多い。
だが、箸のもつ方なら右とか左とか関係なしにとっさに動ける。
よし!的確な指示だ。
では、避けるとするか。
――ばっ!
互いに避けた。
……同じ方向へ
「ええ……」
俺と少女は見事にぶつかった。
少女は仰向けに倒れる。
「うぐ〜……痛いよう」
「なぜ…こっちに避けるんだ?」
「うぐぅ〜、左利き〜……」
「まじか!?」
まさかの少女の申告に唖然としてしまう。
いや、昨今は、多様性が叫ばれる時代。
左利きが右に矯正されることが少なくなってきたため今回のようなケースが発生してもおかしくはないが……
しかし、ベタすぎるだろ。有希がこの場面を目にしたら、したり顔でいいそうだ。
兄貴……これ、なんてエロゲ?と。
って、まてまてまて。
え?これって親密度イベントなの……か?
はは……これじゃあ、丸山の”どこのラノベ主人公だよ!現代社会でチート持ちか!?”に反論できなくなるな。
もっともチートなんて持っていないが。
俺は、そんな一昔のギャルゲーのような出会いを果たしたのであった。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「えっと……あゆは、その危なそうな女性から逃げてきたんだな?」
「うん。とっても怖かったよ」
俺に突撃してきた少女の名は月宮あゆというようだ。
そして、あゆはこの殺し合いのゲームで不幸にも初っ端から女性に襲われたそうだ。
元々、全ての参加者が羂索に反抗するとは思わなかったが、あゆの話からやはり殺しに乗る参加者がいることが証明された。
だが、俺はそれよりも非常に気になることがある。
「うぐぅ……」
その……うぐぅは一体何なんですか!?
ロシア語がわかる俺でもその”うぐぅ”はわからないんですが!
え?もしかして口癖なのか?
だよもん、がお…、わふー、それと便座カバーみたいな
彼女は知らない。
その”うぐぅ”を俺は理解できていないことに。
月宮あゆ。
正確には今のあゆは生霊である。
七年前の事故で今も病院で昏睡状態。
しかし、彼女はそれを自覚していない。
そして彼女は探し続けている。
とても大事なものを。
しかし、それがなんなのかは彼女は知らない。
それは月宮あゆの現実(じごく)
「え、あゆって俺より先輩なのか!?」
「そうなるけど、その目は何かな政近君?」
「いや、てっきり小学6年生。もしくはよくて中学生ぐらいかと」
「もー!政近くんのバカ!」
【久世政近@時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん 】
状態:正常、
服装:征嶺学園の制服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:殺し合いにはのらない、バグスターウイルスを何とかしたい
01:あゆと行動を共にする
02:アーリャ……有希……いないよな?
03:あゆを襲ってきた女性に注意する
04:うぐぅとは何なんだ?あゆ!?
参戦時期:11話、冒頭夢の中
備考
※あゆが所謂生霊だということは知りません。
※あゆからゲームに乗ったであろう女性の容姿を把握しました。
【月宮あゆ@Kanon(京アニ)】
状態:正常、うぐぅ…
服装:普段の私服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:殺し合いにはのらない、なんとかして帰る
01:政近と行動を共にする
02:うぐぅ……
03:あの女性(襲ってきた人)に注意する
04:祐一君……
参戦時期:19話最後、祐一とキスした直後
備考
※自分を襲ってきた女性の名前はまだ知りません。(容姿はばっちり)
※自分が生霊だとまだ自覚していません。
※探し物が何なのかまだ知りません。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「はぁ……はぁ……」
乱れた息を整えようとする女。
女の名は高津雪那。
刀使を育成する養成学校、鎌府女学院の学長
あゆを襲ったはいいが、失敗し、今度は追いかけたはいいが年の所為か息切れをおこし、見失う失態。
かつては、相模湾岸大災厄のときの特務隊メン バーに選ばれ、主遊撃手を務めたほどの刀使の末期としては情けなさがここにある。
「ははっ、だからあんたじゃ無理だっていったんだよ」
高津雪那が失敗をすることを予知してたかのように半笑いをするツナギ姿の男。
男の名は輔。
25年前、島で起きたとある■■の証拠の写真を持っている。
兄のように慕っていた伸之による■■の。
男はもう一人の同行者の胸を揉みながら雪那と話している。
「うるさい!そもそも私は運動靴を履いていなんだ!走り続けるわけがないだろう!」
(ちっ……まるで猿!男はみんなこういうもんなのかしら!!)
人と話をしている最中に、そのような痴態を臆せずに行う輔に雪那は嫌悪感を隠しきれずに怒りを投げつける。
「それよりも、さっきしたばかりだろう!少しは自重することはできないの!?」
「あんた、ヒスおばさんだな」
「なっ!?」
輔は断ずる。
ヒステリックに喚き散らす姿から、あんたは”ヒスおばさん”だと。
勿論、それはただの輔による誹謗中傷でしかならない。
高津雪那は、ただ好き嫌いと思い込みが激しいだけなのだから。
「さっきまで、一人で泣きわめいていたくせに」
輔が呆れるも無理はない。
輔が雪那との邂逅。
雪那は一人泣き喚いていた。
それを哀れに感じたのか、はたまた父親からDVを受けていた自分を重ねたのか、慰めた。体で。
その詳細は今は割愛するが。
「何?また抱こうか?」
「ふっ、ふざけるな!」
(まったく、紫さまや姫とは天と地ほど差があるのに、どうして私はこんな男に……)
雪那は自分の心に戸惑いが隠せられない。
しかし、その正体は高津雪那を知る者ならば、直ぐに理解できる。
それは、依存。
折神紫 タギツヒメと依存してきた雪那は今、輔に依存しかけている。
それは高津雪那の現実(じごく)
「そんじゃ、俺はこっちとやるか」
輔は、もう一人の同行者の綺麗な肌をした尻を掴むと自身のペニスで菊門を開かせる。
「な、なにをするの!?」
「なにって、アナルだよ。アナルセックス、知らない?」
「ひっ、いや!もうしたくない!こんな小汚いイレヴンなんかと!?」
「ひでぇな。よくわからないけどその言葉って差別用語だろ?」
――ぐぐぐ
「あがっ!?いや゛ぁぁぁ!ルル!助けて!助けて――――!!!!」
「お゛お゛お゛お゛お゛!!!???」
同行者の女の名はシャーリー・フェネット。
アシュフォード学園に在籍する女子高生。
普通の高校生活を過ごすはずが、ゼロの登場により歯車が狂った。
愛する人に想いは届かず、父親を失い、イレブンに犯され続ける。
それがシャーリー・フェネットの現実(じごく)
【輔@光(映画)】
状態:正常、
服装:勤め先のツナギ姿
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:優勝して、権利を手に入れる
01:雪那・シャーリーと行動を共にする
02:とりあえず、今はシャーリーとsexする
03:ゆきにい。いるのか?いるなら、また俺を殺すのか?
参戦時期:本編、黒川信之に殺された後
備考
※雪那と出会ったとき、sexを一度しています
※シャーリーとsexをしています
※ルルーシュのギアスの能力(絶対遵守)のことを知りました。
【高津雪那@刀使ノ巫女 】
状態:正常、ヒス状態(大)、処女喪失
服装:鎌府女学院の学長スーツ
装備:スリの銀次の包丁セット@新桃太郎伝説
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:死にたくない。
01:輔、シャーリーと行動を共にする
02:ッ、私がいる前で性行為を行うなッ!
03:紫さま……姫……
04:私を……一人にしないで
参戦時期:22話、タギツヒメに切り捨てられ、夜見に助けられる前
備考
※ルルーシュのギアスの能力(絶対遵守)のことを知りました。
※輔と体を重ねています。
※口では嫌っているそぶりを見せていますが、輔に若干依存しています。
▪ スリの銀次の包丁セット@新桃太郎伝説
高津雪那に支給。
かつてスリの銀次と呼ばれ、恐れられていた銀次の愛用の包丁セット。全部で4本ある。
出刃包丁 - 38 攻撃力が6上がる。たまに仲間1人の体力が8回復する。
小出刃包丁 - 38 攻撃力が4上がる。2回攻撃ができる。
薄刃包丁 - 38 攻撃力が6上がる。たまに敵1体の守備力を下げる。
牛切り包丁 - 38 攻撃力が17上がる。たまに空振りする
本ゲームでは、ソードスキルとして誰でも使用可能となる。
【シャーリー・フェネット@コードギアス反逆のルルーシュ 】
状態:正常、処女喪失、アナル開通、イレヴン(日本人)に対する嫌悪感(極大)
服装:アッシュフォード学園の制服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:権利で父親をよみがえらせたい
01:輔、雪那と行動を共にする
02:お゛お゛お゛お゛お゛!!!???
03:ルル……一緒に死のう?(助けて!)
参戦時期:14話ルルーシュと共に死のうと銃を構えたところ
備考
※輔、雪那にルルーシュのギアスの能力を話しています
※輔、雪那のことは、イレヴンだと思っています。
投下終了します。
皆様投下お疲れ様です。自分も投下します
『で、どうします?』
「どうって言われても……」
相棒の質問に、現役女子小学生兼魔法少女(カレイドライナー)のイリヤスフィール・フォン・アインツベルンは返答に詰まった。
悩んでいるのは殺し合いでのスタンスについてではない。
平行世界に飛ばされ、お次は頭部を開閉する少女に殺し合えと言われた。
大いに困惑したものの、残虐極まる催しを肯定する気は皆無。
羂索なる者の企みを放置は出来ないと意思を固めるも、最初の一歩を挫かれた気分だった。
自分の知っている皆まで巻き込まれていないかとか。
もしやエインズワースが裏で操っているんじゃないかとか。
色々考えなければいけないものは多いのだが、それすら暫し頭の隅へ追いやられるくらいには困っている。
ステッキ片手に取り敢えず他の参加者を探すこと数分、まさかこんな者と遭遇する羽目になるのは完全に予想外。
殺し合いには一応乗っていない、危険も多分無い。
なのに何故こうも頭を抱えているのか、
何せ出会った参加者は、その男は――
「もう駄目だ…お終いだぁ……」
とんでもないヘタレだったからだ。
『いやはや、まさか第一村人がこんなにヘタレ…じゃなくて情けない御仁とはこのルビーちゃんでも読めませんでしたねー』
「村人ってなに?というか言い直す意味あるの…?」
普段と変わらぬおちゃらけた言動だが、心なしか相棒も男には引いている。
青い全身タイツに逆立った髪、背は低めだが筋肉質なこの男。
見付けた時から膝を付いてご覧の有様であり、イリヤもルビーもどうしたものかと頭を抱える真っ最中だ。
「ダニィ!?おいそこの棒切れ!サイヤ人の王子ベジータ様にふざけた口を叩きやがって…!命が惜しくば訂正しやがれ!」
『うーん、今更凄んでも迫力に欠けますね。髪の毛M字に後退してますし』
「ちょ、そんなハッキリ言っちゃ駄目だって…」
窘めつつも、実際怯える姿を見た後では大の男に怒鳴られた所で恐怖は無かった。
サイヤ人だの王子だの言われてもどこの国だよとしか言えない。
とはいえ会話は可能になった為、取り敢えず自己紹介からと口を開きかけ、
「ほう、早速丁度良いメスがいるではないか」
すぐにそれどころではなくなった。
○
「ガハハハハハ!なんだなんだ、それで撃ってるつもりか!」
「くっ……」
現れるや否や襲って来た男に、イリヤは苦戦していた。
敵は人間離れした巨体だが、特に目を引くのは右手の剣。
魔力弾を悉く弾き、イリヤの華奢な体を絡め取るらんと迫る。
「妙な力を持ってはいるが所詮は小娘!大人しく俺のモノになるのが似合いよ!」
既に勝った気で叫ぶこの参加者の名はもう一人の金剛様、通称エロ金剛。
吸血鬼の王雅に使えるアマルガムの一体が、脱皮を繰り返した際に某脳と共に分裂し生まれた存在である。
元の金剛が雅への忠誠心に溢れた武人肌なのに対し、エロ金剛は正に真逆の存在。
人間の女を捕えてはホテルの一室で強姦、勝っちゃんの母ちゃんこと山本ゆり子(旧姓吉川ゆり子)も被害を受けた性欲の塊。
殺し合いを命じられたエロ金剛がどう動くは見ての通り、女を求めて好きにやる気満々であった。
おまけに支給されたのは嘗て冬木の聖杯戦争で使用されたサーヴァントカード。
セイバーのカードで夢幻召喚を行ったエロ金剛は、下手なアマルガムや邪鬼以上に厄介。
クラスカードを支給されていないイリヤが苦戦するのは必然だった。
「ガキとヤるのは初めてだが、実に美味そうな小娘じゃないか!下の毛も生えてないマ○コはどんな味か、今から楽しみでならんわ!」
「ひっ…!」
『幾らマスター弄りが趣味の私でもそれは許せませんよ!何ですかこのイリヤさんとは掲載誌を間違えたような変態は!?』
異国の、それも超が付く美少女のイリヤにエロ金剛の興奮は高まる。
甲冑の下では幾人もの女をよがらせた肉棒がそそり立ち、処女膜を貫く瞬間を待ち侘びていた。
殺意では無く性欲をぶつける敵には、さいものイリヤも未知の恐怖に震えが抑えられない。
「下級戦士が戦っているのに……」
一方、先程までヘタレていた男は呆然と戦いを見つめている。
やがて彼の胸に火が灯った。
力の弱い小娘が戦う中、自分は一体何をしているのか。
剣を持った襲撃者は自分の方をまるで見ない、どうでもいい空気以下の存在とばかりに。
守られるだけの弱者と思われているのか、取るに足らない雑魚と見下されているのか。
「クソッタレ…ふざけやがって……!」
ふつふつと怒りが湧く。
正義感なんてつまらないものじゃない。
ただこのまま何もしないのは、下に見られたままでいるのは自身のプライドが許さなかった。
「俺が…ベジータだ!」
立ち上がるや否や己の気を解き放ち、男…ベジータは超サイヤ人に変身。
強大なエネルギーにはイリヤ達も思わず動きを止めるも、ベジータの知ったことではない。
急接近し自身を舐めた騎士かぶれを殴り飛ばす。
「があああああああああ!?」
一発、たった一発で悲鳴を上げ地面を何度もバウンド。
パワーとスピード、共に桁外れとしか言いようの無い拳だ。
呆気に取られるイリヤを尻目にベジータは急浮上し、真下の標的へ右手を翳す。
「このベジータ様をコケにしたこと、あの世で後悔しやがれ!」
掌に気を最大限収束。
生半可な攻撃では到底怒りは治まらない、本気の力で消し飛ばしてやる。
怒れる王子の意思に応え令呪は消費、制限下とはいえ最大級の威力を発揮可能に。
『これ絶対ヤバいですよ!退避!退避ーっ!』
「わ、分かった!」
背後で大慌ての小娘は眼中にない。
虫けらのように逃げようとするエロ金剛へ、絶望をくれてやる。
「これがスーパーベジータの、ビッグバンアタックだ!!」
放たれた光はエネルギー弾の域に収まらない。
太陽が落下して来たと錯覚を抱く程の熱が、一体の哀れな吸血鬼を包み込む。
悲鳴も命乞いも許されず、煩悩諸共焼き尽くされる。
光が晴れた時、そこには最早何一つとして残っていなかった。
【エロ金剛@彼岸島 48日後… 死亡】
◆
「ハーッハッハッハッハッハッハッハッ!きたねえ花火にすらなれなかったようだな!」
己が生み出した焦土を前に高笑いする姿は、まるで悪役のようだった。
さっきまでの怯えが別人のような変貌に、イリヤもつい後退る。
生憎とこのまま立ち去らせてはくれず、振り向き睨まれたが。
「おい貴様ら!特にその棒切れ!どうだ?このベジータ様の力を理解できたか?」
『はいはいそれはもう!ベジータ様バンザーイ!』
必死に持ち上げるルビーが上空へ何かを打ち上げる。
弾けたソレはベジータの顔をした花火だった。
「何これ!?こんな祝砲いつの間に作ったの!?」
「フン、分かれば良いんだ」
相変わらずのヘンテコ機能にツッコむが、ベジータの機嫌は悪くない様子。
態度は偉そうだが自分達への敵意は感じられない。
取り敢えずは大丈夫そうと判断し、恐る恐る話しかけた。
「えっと、助けてくれてありがとうございました。ベジータ、さん?がいなかったら私…」
「勘違いするなよガキ。俺はあのクソ野郎が気に喰わなかっただけだ。礼なぞいらん」
『おお…今時珍しいくらいの典型的ツンデレっぷりですね』
「で、でも、令呪まで使って…後二つ使ったらベジータさんは死んじゃうんじゃ……」
「……は?」
ピタリと高笑いが止み、何を言ってるか分からないという顔でイリヤを見る。
「死ぬ、だと?」
「え、あの…最初に羂索って女の人が言ってたよね…?本気を出す為に、令呪を全部使えばどうなるか」
『先程ベジータさんの令呪が一画消費されたのはバッチリ感知してますよー。手袋を外してみて見れば分かるのでは?』
イリヤ達に言われ確認してみると、確かに手の甲の刺青らしき模様が減っていた。
因みにベジータは最初の場に集められた時、得体の知れない羂索とバグスターウイルスなる病原体に恐怖しヘタレた為説明を幾つか聞き逃している。
カカロットこと悟空が心臓病で苦しんだ例を知ってるだけに、たかがウイルスと鼻で笑えなかったのだ。
それが今になって本気を出せば死ぬだのと言われ――
「もう駄目だ…お終いだぁ……」
また蹲り始めた。
「え…ええ!?今度はなに!?」
「分からないのか!?あの気色悪い女は、超サイヤ人の力にまでふざけた小細工をしてくるんだぞ…!勝てるわけがない!みんな殺されるんだぁ……」
『いやー…ルビーちゃんもちょっとお手上げですねこれ』
殺し合いを止めるとか以前に、この男を一体どうすればいいのか。
一人と一本が深くため息をつく傍らで、サイヤ人の王子は未だ恐怖に支配されたままだった。
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
状態:疲労(中)、転身中
服装:いつもの衣装
装備:マジカルルビー@Fate/Kaleid Liner プリズマ☆イリヤ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2(確認済み・クラスカードは無し)、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを止める
01:このおじさんどうしたらいいの……
02:美遊やクロ達もいるのかな…?
参戦時期:3rei!!で美遊救出後〜エインズワースとの決戦前。
備考
【ベジータ@ブロリーMAD】
状態:健康、恐怖(大)
服装:いつもの戦闘服
装備:
令呪:残り二画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:死にたくない
01:もう駄目だ…お終いだぁ……
02:ブロリーがいるなら絶対会いたくない
参戦時期:不明
備考
※MAD出典なので原作と違い極度のヘタレと化しています。
※殺し合いが破綻しないよう制限されています。
※サーヴァントカード・セイバー@Fate kaleid liner プリズマ☆イリヤとエロ金剛の支給品は消失しました。
【マジカルルビー@Fate/Kaleid Liner プリズマ☆イリヤ】
愉快型魔術礼装。
魔術障壁・物理保護・治療促進・身体能力強化のオプションなんでもござれ。
投下終了です
投下します
羂索たちの開催した悪辣なバトルロワイヤルの会場、その中でも誰からも忘れられたような場所に一機のモビルスーツがった。
白一色のボディに特徴的なツインアイと二本のブレードアンテナ。
様々な世界でガンダムと呼ばれる機体の特徴を持つそいつは、ピクリとも動かない。
NPCモンスターではない。
何故なら連中の行動原理はひたすらにプレイヤーを狩る事。
ならば全く人気のない場所で隠れるように突っ立っているだけなんてことはり得ない。
つまり中のプレイヤーは戦いを放棄している。
ある世界では恐怖の象徴として、また別の世界では英雄の称号として語り継がれるガンダムの力を与えられておきながらこの体たらく。
中身が一般人ならばそれもまたあり得ることだが、このケースもこのガンダムに当てはまらない。
このガンダムの装着者たる女性、オルガマリー・アニムスフィアは裏社会の人間だ。
魔術回路と呼ばれる疑似神経から生ずる力を用いて再現不可能ではない奇跡を実現する魔術師(メイガス)。
その中でも彼女は頭一つ抜けた存在である。
人外の魔である英霊すら一時的に相手どれるほどの才覚を持ちながら、なぜ彼女がこんなザマなのか?
それは一言で言えば
(もう、信じない……。
信じられないっ!)
人間不信である。
父から受け継いだ組織、人類の未来を照らす聖火たる人理保障機関カルデアを受け継いだ後、ずっと支えてくれた父の片腕であったレフ・ライノールに裏切られて、殺された。
その瞬間に彼女はここに呼ばれたのだ。
人類史上かつてない殺され方をされた上に、それと同等かそれ以上に酷い殺され方をした少年少女が二人。
裏切られて殺されたショックに加えて、喉元にナイフを突きつけられているに等しい状態。
(もう嫌っ!何も見たくない!何も聞きたくない!
もう!……もう頑張りたくない……)
彼女の心は折れていた。
そもそも一度死んで蘇るなんて状態でまともな精神状態を保てる人間はそんなにいないことを考慮すれば、無理もないだろうが、何も聞こうとも見ようともしないのは彼女ぐらいだろう。
(もうこのまま眠ってしまいましょう。
誰が来ようと知るもんですか。
どうせ50時間寿命が延びただけならここで静かに時を待てばいいのよ。
幸いこのなんちゃら401は頑丈だし……)
等と考えているとビー!ビー!と警告音が鳴り響く。
(なに!?まさか敵!?)
思わず眼を開けるが目に映るのは立体映像のように浮かぶ機体ステータスと入った時と寸分変わらない光景のみ。
思わず故障か?と思ったが、すぐに新たに出現したメッセージウィンドウに目を奪われる。
『Why don't you do anything?』
「誰だか知らないけど、放っておいてよ!
何処から見てるから知らないけど安全なところからガタガタ震えている私を見て楽しんでいるんでしょ!?」
『No.I'm by your sode.』
「何言ってるの?そんなわけないじゃない!
だってこのスーツの性能が本当なら周囲に人なんていないわ!」
『I am not a huma.
I am AI in this powered suit.』
「人工知能!?
ますます人の苦しみ何て分かる筈ないじゃない……」
そう言って眼を閉じてやろうとすると、強情なAIはなおもオルガマリーの言葉を遮った。
『I have learned that human suffer whether they look down or sideways.』
「だからなによ?」
『That's why humans named me STARGAZER.』
「STARGAZER……星を観る者ですって?」
カルデア前所長の出がらしの自分になんたる仕打ちだろう。
怒りを通り越して変な笑いが出てくる。
何もかも失った自分に何故、下も横も見ないただ高みを、空を過ったその先の希望を見続ける者と名付けられた機体を寄越した?
「そんな御大層なAIが私に何をしろって言うのよ?」
『Look at the STAR.
I was Born for that』
彼は破壊のためのG兵器ではない。
太陽風を背中の帆に受けて未開の大海原を旅する光り輝く開拓者。
星を征く箱舟。
Guider,UNmanned,Deployment,Autonomic,Manipulation.
無人・自立運用展開教導機。
パワードスーツになっても変わらぬその本質が未完成故の愚直さゆえにオルガマリーに呼びかけ続ける。
もう一度、もう一度遠くへ往けと。
「……死ぬのは、どうせ変わらないか」
ならば勝手に翼を奪ってしまった償いぐらいはしてやるか。
そんな極めてネガティブな理由ではあったし、もしかしたらラーニング不足のAIにどうにもならないことがあると教えてやろうと思ったのか、オルガマリーは外へと歩み出した。
【オルガマリー・アニムスフィア@Fate/Grand Order】
状態:恐怖心(大)、STARGAZERへの対抗心?
服装:いつもの服装
装備:GSX-401FWの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:どうせ死ぬなら苦しまずに死にたい(?)
01:外に向かいSTARGAZERに現実を見せつける(?)
参戦時期:第一部でレフにカルデアスに入れられた直後
備考
※GSX-401FWの起動鍵は一度エネルギーが尽きるとチャージが完了するまで再起動できません。
【支給品解説】
・GSX-401FWの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER
…オルガマリー・アニムスフィア@Fate/Grand Orderに支給。
D.S.S.Dが開発した白い非戦闘用MS。
本来無人機だがコックピットブロックを換装することも可能。
ガンダムの一種ではあるが、地球連合とモルゲンレーテが開発したG兵器とは出自から目的まで異なる。
太陽風を追い風に進み、未知領域を探査することを目的に開発された為か、かなり頑丈に造られており、ストライクガンダムの発展機、ストライクノワールが大破するようなダメージを受けても五体満足でいられる防御力を誇る。
そのかわり本来戦闘を想定していないことに加えて、そもそも半永久的に太陽の恩恵を受けることを想定しているとあって恐ろしく燃費が悪い。
具体的には20分以上は絶対に戦えない。
背部のトーラス型のユニットが特徴で、これにより通常のMSを凌駕する機動力を得ている。
通称スターゲイザーガンダム。
下を見て不安になる人や横を見て妬む人よりも上(星)を観て進む人方がいいという意味で名付けられたもので、無限の彼方へ進み往く本機にピッタリの通称と言えよう。
本機はAIによる完全無人運用を想定されており、パワードスーツ化しても搭載されている。
装着者とは網膜投影のチャット形式で会話する。
投下終了です。
タイトルは もちろん、あたしは星を観るわ です。
投下します
ゲームエリアの一角に存在する、ファーストフード店。
当然この状況で営業しているはずはなく、店内は静まりかえっていた。
その静寂を破り、激しい衝突音が響く。
この場所に配置された参加者が、怒りにまかせて椅子を放り投げたのだ。
「ふざ……けんなぁぁぁ!! なんで私が!!」
感情のままに、その少女は叫ぶ。
彼女の名は、新条アカネ。
怪獣をこよなく愛する女子高生であり、おのれの創造した世界を我欲のままにもてあそぶ神である。
「この姿ってことは、アバターをこの世界で再現できるっていうのも本当なんだろうけど……。
私のこの姿は、別に戦闘用じゃないし! 元の姿で参加させられるのと、ほぼ変わんないわ!」
今のアカネは、アイドルもかくやという美貌とスタイルを持ち合わせている。
だがそれは、彼女本来のものではない。
彼女が作り上げた世界、ツツジ台で生活するためのかりそめの姿だ。
この姿と彼女の神としての力は、別に紐付けされているわけではない。
アカネが神として振る舞えるのはそこが彼女の生み出した世界であるからで、外見とは関係ない。
つまり、ツツジ台の外でこの姿になったところでメリットは何もない。
強いて言うなら、見た目のよさを活かして男をたぶらかせるくらいだろうか。
だが、それも怪しいものだ。
ツツジ台では全ての人間が自動的にアカネに好意を抱いてくれるため、わざわざ誘惑した経験などないのだから。
「あー、ムカつく……。
アレクシス、助けに来てくれないかなあ……」
ある程度落ち着いたのか、行儀悪くテーブルの上に寝そべってアカネは呟く。
彼女が思い浮かべるのは、共犯者であるアレクシス・ケリヴのこと。
自分を神にした超常存在である彼なら、この状況から自分を救出してくれるかもしれない。
一度はそう考えたアカネだったが、すぐに望み薄であると考え直す。
「そもそも助けられるんなら、最初から私をさらわせないよねえ……。
あいつの性格からして、本当にヤバくなったら自分だけ逃げる可能性もあるし……」
自分に都合の悪い結論に、アカネは眉をひそめる。
「なんとか、自分で生き残るしかないか……。
いや、たぶん口で言うほど簡単じゃないんだろうけど……」
わき上がる不安をどうにか考えないようにしながら、アカネは支給された荷物をあさる。
すると、ドラゴンの顔をした青い人形が出てきた。
「はあ? おもちゃなんか、どう使えと……。
いや……違う……?」
当初は不満をあらわにしたアカネだったが、説明書きを読み態度を変える。
この人形は決められた手順を踏むことで巨大化し、パワードスーツとして使えるらしい。
「ほとんどロボットだけど……。まあ顔は怪獣っぽいから、よしとしておくかあ」
微妙な表情で、アカネは人形を乱雑に上着のポケットへと突っ込む。
「さて、次は……」
彼女が次の支給品を取り出そうと、カバンに手を突っ込んだその直後。
ガラスの割れる音が、店内に響いた。
「ちょっ、なに!?」
慌てて荷物を背負い、アカネは音のした方に向かった。
◆ ◆ ◆
「うわあ……」
アカネの口から、感嘆の声が漏れる。
彼女が見たのは、入り口の自動ドアを突き破る巨大な生物だった。
上半身は毛皮に覆われ、哺乳類のように見える。
だが下半身に毛はなく、尻尾にいたっては爬虫類のような形状だ。
ついでに、頭には角も生えている。
明らかに、一般的な生物学では説明できない存在だ。
すなわちそれは、アカネにとって「怪獣」だった。
「ふんふん……。怪獣のデザインとしては、かなり異色だけど……。
これはこれでありだよねー」
弾む声で、アカネは呟く。
その表情は、このゲームが始まって以降もっとも輝いてた。
「あー、でも敵だとしたら、戦わなきゃいけないのか。
どうする? そっちがその気なら、私も迎撃せざるをえないけど」
ポケットの中のドラゴンを握りしめつつ、アカネは怪獣に言う。
怪獣は反応せず、ただ大きな目でアカネを見つめ続けるだけだ。
「戦う気はなさそうだねえ。
じゃあ、私と一緒に行く?」
その言葉に、怪獣は少し考えるそぶりを見せてからうなずいた。
「よし! 一緒にがんばろうね!」
心底嬉しそうな表情を浮かべ、アカネは精一杯背伸びして怪獣の肩を叩いた。
◆ ◆ ◆
怪獣……「あのこ」は、アカネを「よくわからない生物」と認識していた。
ただ、何か自分と同じような雰囲気を感じた。
だから、一緒にいることにした。
今の自分がいやで、別の何かになった。
そんな二人が出会うのは、必然だったのかもしれない。
【新条アカネ@SSSS.GRIDMAN】
状態:正常、ハイテンション
服装:学校の制服
装備:青いダイナソルジャー@SSSS.DYNAZENON CHRONICLE
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:生き残る
1:怪獣(あのこ)と一緒に行動する
2:アレクシスになんとかしてもらいたいが、あまり期待してない
参戦時期:第2話終了時点
【あのこ@なんか小さくてかわいいやつ】
状態:正常
服装:なし
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:やりたいようにやる
1:アカネと共に行動する
参戦時期:でかつよと出会った後
【支給品解説】
・青いダイナソルジャー@SSSS.DYNAZENON CHRONICLE
ダイナゼノンの中核となる、竜人型ロボ……の色違い。
怪獣が生み出した「あらゆる可能性が混在した世界」に閉じ込められた際、なぜか本来のダイナソルジャーとは別に麻中蓬の手元にあった。
普段はおもちゃサイズだが、本来は「アクセスコード・ダイナソルジャー!」のかけ声で巨大化する。
このロワにおいてはモビルスーツなどの起動鍵と同様、パワードスーツに変化する。
投下終了です
投下いたします。
なお、今回投下する作品には残酷な描写が多々含まれていますので、
それらが苦手な方には不快となる内容なのでご注意ください。
会場内の荒野を、一人の少女が必死に逃げている。
三日月形の角と額に一本の小さな角、そしてスク水のような衣装と異様なまでに太く巨大な尻尾を持つ少女だった。
彼女の名は『ゴモラちゃん』。あの初代ウルトラマンと激しい闘いを繰り広げ、時には人類の味方として他の怪獣や宇宙人とも戦ったこともある『古代怪獣ゴモラ』、それが何らかの要因により人間の少女の姿になった存在である。
そんな彼女は今、とある存在に追いかけられ必死に逃げていた。
彼女を追いかけている者、それは顔の上半分を赤いマスクで隠している上に耳の当たりからアンテナのようなものが生えた、全身のほとんどを赤く染めたどこかヒーローのように見える姿の男だった。
何を隠そう、ゴモラはこのデスゲームの会場に飛ばされてすぐに彼と出会い、そして彼の姿を見た瞬間何らかのトラウマを想起したのかおびえた様子で彼から逃げだしたのだ。
『レッドファイッ!』
男はまるで自分の名を言うように叫びながらゴモラを追う。
そしてゴモラもまた男のその叫びを聞くと共に両目を恐怖で見開き、先ほどよりも必死に足を速く動かして彼から逃げようとする。
『レッドナイフ!』
だが彼女の逃走劇は長く続かなかった。男のその叫びと共に彼女の膝から下の部分に灼熱感が襲い、彼女は走っていた時の勢いのままに地面へと転がってしまったからだ。
「…いっ…ああぁぁぁぁぁぁっっっ!?ボクのっ!?ボクの足があぁぁぁぁぁっっっ!!?!?」
そしてうつぶせの状態で倒れて全身に土と擦り傷をつけた彼女は自らの足を確認した。するとそこにはさっきまであったはずの右足はなく、そこから筋肉と皮膚に覆われていたはずの大腿骨が露出している光景があった。
当然ながら彼女は泣き叫んだ。これ以上ないというくらいに声を張り上げ、喉が張り裂けんばかりに絶叫を上げたのだ。
「あ……あぁああ……痛い痛いイタイィィィ!!」
そして男は痛みに悶え苦しむ彼女に追いつき、彼女の頭を鷲掴みにして持ち上げていく。
「あ゛…だずげでっ…!ボク…な゛んにもわるいこどじでないぃっ…!!」
それに対し片足を切断されたゴモラは目の前にいる男に対し泣きながら訴える。『自分は何も悪いことはしていない』ということを必死に訴えかける。
だがそんな言葉も空しく、男は"怪獣という理由だけで十分だ"と言わんばかりにその頭をより一層力強く掴んで、丁度近くにあった大岩に彼女の顔面を幾度となく叩きつけていく。
「ぶっ!げほっ!がっ!ぎっ!ごぼぉおっ!いっいぎぃぃっっ!!〜〜〜っっっ!!?」
無論ゴモラはその行為に対して更に悲鳴を上げる。だが男は構わずに何度も何度も彼女の顔面を岩肌に叩き付けて、周囲に血しぶきの音とミンチでも作るかのような生々しい音を響かせていく。
そうして幾度となく殴打されたことでゴモラの顔は無残にもボロ雑巾のようにズタボロなものに変わり果て、それとともに次第に彼女の身体からは一切反応が返ってこなくなっていった。
『レッドナイフ!』
彼女が動かなくなってしばらくしたところで男は先ほど投げたナイフを手に取り、彼女の喉元を切り裂くとその切り口からは大量の鮮血とともに肺の中に溜まってた空気が噴き出していき、赤く染まった泡があふれていくのだった。
【ゴモラちゃん@ウルトラ怪獣擬人化計画ギャラクシー☆デイズ 死亡】
こうして自らの手の中にあったゴモラちゃんの息の根が止まったことを確認した男は何かに敬礼するかのように右腕を高く掲げた。
それからしばらくその姿勢を続けた男はゆっくりと姿勢を戻していき、周囲に他の生き物がいないことを確認するとゴモラちゃんの死体をそのまま放置して立ち去っていった。
―― この男の名はレッドマン。プロフィール上は『怪獣退治の専門家で平和を愛する心優しい男』とされているが、その実態は『赤い通り魔』と周囲から称されるほどの情け無用な残虐ヒーローである。
【レッドマン@レッドマン】
状態:健康
服装:
装備:レッドナイフ@レッドマン
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2
思考
基本:主催者を殺す。怪獣や宇宙人は言うに及ばず、ゲームに乗った者達も皆殺しにする。
01:怪獣は八つ裂き、宇宙人は皆殺しにする。
02:自分以外にも他のヒーローたちが来ていないか探し、場合によっては協力する。
03:もし他のヒーローが怪獣などを庇うようであれば、もちろん殺害する。
参戦時期:参戦時期は不明
備考
※制限により基本的に人間サイズ(180センチ)で固定されており、本来の大きさ(40メートル)には戻れません。
※レッドナイフやレッドアローなどの武器は没収されています。現在彼が所持しているレッドナイフはランダム支給品の一つです。
【支給品解説】
・レッドナイフ@レッドマン
…レッドマン@レッドマンに支給。
レッドマンが怪獣退治の際に使っている両刃のナイフで、彼が着用している手袋の中にミクロ化したものが大量に編み込まれている。
ただしこのデスゲームにおいてはそれらすべてが没収されており、現在彼が所持しているのはランダム支給品の中に入ってた一本のみとなっている。
投下終了です。
以上、ありがとうございました。
投下します。
数え切れないほどの悲劇、目を自ら潰してでも背けたくなるほど陰残な殺戮が巻き起こるバトルロワイヤル。
生存を駆けた闘争と策謀の世界に降り立った親父がひとり、そして盛大ないびきをかき寝っ転がったモハメドなおっさんがいた。
「ずぐぉぉぉぉぉぐぉおおごぞぞぞ」
「あすまで!あすまで起き上がリー、いや、今のお前起きロット!」
戦闘民族のパラガスは目の前で爆睡している謎の人物を起こすために
声をかけていた。殺し合いがはじまり、あまりに異様な状況にdoor!?ようしつつも
適当に移動していたパラガスがはじめに見つけた他の参加者がこの昼寝しているおっさんだった。
発見した際は『なんだこの親父どっから現れた!』と突っ込まずにはいられなかった。
「こぉんな最低な星で居眠リーなどと…こぉんなところを狙いに定められたら殺される…!無傷でいられるはずがございません。」
寝ている隙に殺されてしまうと言うあまりに常識的な指摘を向けるパラガス、
ブロリーMADにおけるパラガスにはいろんなタイプがある。
1本編と同じく話の黒幕、
2大人のお姉さんに絡みあーう変態。
3常識人で素朴な感性のツッコミ役、
4何かしらの要因で息子♂のブロリーもびっくりの強さを得て大暴れの伝説の超パラガス。
5出オチ、動画の開始早々に一人用のポッドオチ。
この殺し合いに呼ばれたパラガスはいわゆる3のタイプだった。
そのためこぉんな最低の殺し合いを受け入れるはずがなかった。
パラガスが獰猛な戦闘民族のサイヤ人だからっといって
わかりやすく暴れるなどと…その気になっている主催者の姿はお笑いだったぜ。
とりあえず殺し合いをdoorにか解決して帰ろうと目論むパラガスは
目的を同じとする実力者舞台の至る所からあつめ、殺し合いを開いた最低な連中を血祭りに上げるのが当面の目的だ。もちろん理想を叶える権利とやらに釣られ、
殺し合いに対し惑星シャモから連れてこられた奴隷のように従順な奴らもこの世から消し去ってしまえ。
ちなみに殺し合いという常識では考えがたい状況に放り込まれてもなお
爆睡している人物の名はモハメド・アヴドゥル。
もうかポケモンのバシャーモと寸分違わぬ外見のスタンド
マジシャンズレッドを使いこなす熟練のスタンド使いである。
隙を見せぬ戦い慣れたスタンド使いである一方しょっちゅう奇行に突っ走り、
なんかあればすぐに「照 れ ま す な」。
そんなわけだから他の仲間(特にポルナレフ)むかつくゥゥ〜とうざがられる
クセがつよいとかそんなレベルじゃない変人だが
根は善人で協調性にあふれる好漢のため
友の窮地を身を挺して2度も救い、2回目は身代わりとなって命を落とした。
要するに理解しがたい行動を多々繰り返すが、
いざとなれば命を賭けられるほどの覚悟と熱さををもつ頼れる男なのだ。
しかし今はやかましいいびきを巻き起こしながら入眠中、目覚める気配はまるでなかった。
「…もう何もかもおしまいだ、かわいそうだがお前はここで死ぬのだ…眠リーなお前は無念のうちに亡くなられるだけだ…」
なんど大声を駆けても起きないアヴドゥルに呆れて放置することに決めた。
こいつにかまい続けるのは時間の無駄だ、起こす暇があるなら
他の参加者を探して交渉や協力得たほうが有意義であった。
「モハメド目覚めた。」
「おはようでございます」
立ち去ろうとした刹那、アヴドゥルは予兆もなくいきなり起きた。
あまりに唐突なので実は寝たふりで単にふざけていたのではないかと疑ったが
とりあえずあいさつだけはした。
「…」
無表情で周囲を見渡す、困惑しているのだろうか、寝ていたはずが
知らない場所に拉致されて何事かと周囲をぐるぐる見渡す。
「帰宅しても良いですかな?」
「いいぞぉ!と言いたいがそのようなことがすぐにできるはずがございません。」
殺し合いを命じられればどうにか逃れたいのは誰もが同じだがすぐに脱出など不可能、
ごく当たり前の願望は速叶わないことを冷静に示唆する親父ぃ。
さすがに生き残りを賭けたバトルロワイヤルというのは人生初だが
宇宙一の強戦士族、サイヤ人として戦いという修羅場を何度もくぐり抜けたパラガスはそれなりに冷静でいられた。
「そもそもなんで帰れないんですかな?」
「そうか、眠リーのあまリーバトルロワイヤルの説明すらも聞いておらんのか…」
どうやらモハメドと名乗ったこの男は寝てる最中に誘致されたため
殺し合いの参加者にされたことを含めて何もかも把握していないらしい。
入眠中のおっさんをさらうのはまあわかる、何しろ無抵抗も同然なためさらいやすい。
しかし会場に連れてきた時点で説明を聞かせるためにも起こすという発想は羂索にはなかったのだろうか?
「能天気なお前でも飲み込めるようにご教授しよう」
親父ぃは必要なのか不明で独特な身振り手振りを加えつつ今の説明を行った。
◆
「フムフームフムフ-ム、なるへいそなるほーど。」
「羂索はその脅威のパワーで銀河の至る所からあつめてきたならず者たちに、
地獄に行っても見られない面白い殺戮ショーをやらせようとしているのでございます。」
とんちんかんで常人には疑問符を浮かべずにはいられない行動のオンパレードな
アヴドゥルにも今の異常事態を飲み込めたようだ。
複数の意味で大丈夫かこいつと思ったがまあ話は通じた。
「羂索ムカツクゥゥゥ、なんか拉致られるのはくやしぃ〜。」
「だろう?今の俺たちの優秀なパワーで羂索をこの世から消し去ってやろうではありませんか、俺たちの手でやつざきにするのです!」
ひょうきんであまりにユニーク人格から今ひとつ想像しにくいがアヴドゥルは
非道を許さない滾る正義感の持ち主らしい、羂索への苛立ちを隠さず必ず討つと決断した。
スケベですぐ保身へ爆走するクズロットにも見習って欲しいところだ。
非常に特殊な人物だが短時間で目的が一致する参加者と合流できたのは有意義だった。
戦闘民族サイヤ人にして、王族のベジータ王に直接謁見できるほど立場にあったパラガス、鉄をも瞬時に蒸発させる協力なマジシャンレッド(バシャーモ)を使いこなすアヴドゥル、このタッグの前にもはや一人も敵はおらん、マーダーも主催もわけなく血祭りに上げて
このバトルロワイヤルはおわリーというわけだぁ。
◆
ハッキリ言ってかっこいいというよりはコミカルで
高スペックではなく低スペックのポンコツそうな外見のロボットが殺し合いに召喚された。
しかし気迫のない見た目からは創造もできないほどのパワーを有していた。
地球という星を恐怖のどん底に突き落としたピッコロ大魔王よりも
遙かに戦闘力が高い宇宙の帝王に撃破とまではいかずともダメージをたたき込んだ
地球人とサイヤ人のハーフの少年が引っ張ってもびくともしないほどの膂力があった。
その超スペックの機械の名前、というより正式名称は不明である。
強いて言えば元にいた機械惑星ビッグゲテスター内で誘導をしていたのでここでは
誘導ロボと呼ぶことにする。
「ハイ!お静かにこれからあなた方を磨り潰します」
「んぉ〜?」
「勘違いするな…お前のようなゴミが生き残れるはずがございません、死の恐怖を味わいながら俺に八つ裂きにされるが良い。」
2名のおっさんは磨り潰す発現を殺し合いに乗る宣言と同一と見なし
即排除することに決めた、こんなおんぼろの弱そうなロボットに殺されるわけがない。
「ここはお前の死に場所ですぞぉ!はあ〜う!」
息子の台詞をパクリー間抜けなかけ声とともに必殺のデットパニッシャーを放つ
よく勘違いする一生懸命な配下のモアを何百回も抹殺したパラガスの得意技。
緑色のエネルキー弾はロボに触れた瞬間に爆発を起こした、これで木っ端微塵となったはず。
爆発の後にはまるで流星が激突したようなサイズのクレーターが残り、そのクレーターはデットパニッシャーの恐るべき破壊力を物語っていた。
あまりに激しい爆風にこらえきれずアヴドゥルは派手にずっこけた。
「ばかめ!モアを瞬殺できるほどのパワーがある!耐えられるものか!」
ぼろっちいポンコツは今ので完全に散ったはずだ、しかし威力を高めすぎて
やつがもっていたバックや収納されていた道具まで破壊したかも知れない。
もうすこし威力をセーブするべきだったか。
「じっくり調教して私の言うことしか聞けないようにしても良かったかな、
おとなしくしていれば地獄を見ずに済んだものを。」
徹底的に痛めつけて格の違いをたたき込み従順なしたっぱとして扱うのも良かったかも知れない。これから難敵との激戦や渦巻く策謀が待ち構えているはず、それを考慮すれば役に立つどれいの一人や二人くらい創ったほうが合理的では無いかと考えたのだ。
「ハイ元気があっていいですねえ!」
そんな考えにふけているパラガスは瞬時に恐ろしい現実にぶつけられる。
「ゑゑ!?」
目の前で発生した事態が信じられない、本気で放ったエネルキー弾に簡単に耐えていた、しかも傷どころかわずかな焦げすらも見当らない。
「やばいいぞぉ!このままではこのポンコツに殺される…!何もかもお終いだあ。」
「ここまで硬いと無理とは思うがとりあえず焼くとしよう、
パラガスお前ではこのボロロボを倒せん、しかし俺は燃やせる灰にできるすなわち勝てる、」
「もはめどりゅ〜ひっさつ〜おんどさ〜こうおん〜」
四肢をイカのようにくねらせ珍妙な舞とともに何らかの呪文をつぶやく、
この言葉がこれから披露する技と関係あるかは不明であった。
「ほのーのせーぶつたんちきでたたく」
大層な前振りからはあまりにも連想しづらい棒読みな声で技名を宣言する。
シャンデリアの形となった火炎をバシャーモが握りロボ何度もたたき伏せる。
叩かれるごとに火花が舞い散り焦げの匂いが当たりに広がっていく。
灼熱のシャンデリアは照らすためでは無く鈍器として活用された。
「根性みせるですぞ!」
しかし頑強な装甲のためか闇雲にぶつけるのみでは効果がなかった。なら工夫を加えて
火炎をまるでたばこの根性焼きのようにロボの顔面へ直接押しつければ良い。
根性焼きは犯罪だが今はそんなことを言っている場合では無かった。
火花が噴水のように飛び散り、鉄の焼け付く音が響くもロボは苦しむどころか
言葉すらながさない。
結局ロボはびくともしなかった、ただの鉄ならたやすく焼き払える灼熱の火も
このロボにとっては真冬のストーブにも劣る熱さらしい。
「あなたも元気があって暖かい炎もメラメラといいですね。」
「熱さも通じない特に何も通じないすなわちモハメド通じない。」
マジシャンズレッドお得意の火炎すらも通じない、
自慢の火炎がここまで役に立たないことは初めてだった。
マライアとかいうスタンド使いとの交戦時に
鉄で創られた線路を一瞬で焼き消したことがあった。
そのときと同じくどうにか燃えかすにしてやろうと臨んだが不可能だった。
このロボには単に頑強なだけではなく高熱耐性も完璧ということか、
いったいどんな材質で構成されているのやら。
「こぉんなにボコスカやっても通じんとは…非難するだぁ!俺たちはお暇させて貰うよ。」
「戦略テケテケてったーい!」
背を向けて無我夢中で逃げた、あらゆる攻撃が全て通用せず
何もできることはない、こぉんな理不尽なロボの前に突っ立っていたら
Doorされるかわかったもんじゃない。
まずは身の安全のため徹底的に距離を置く、対策を練るのはその後になるだろう。
「ハイ、やっぱり元気で足も速くていいですね!」
頑丈で凄まじい耐久のロボだが攻撃手段は乏しい
それのカバーのためか武器が支給されていた。
「Door!?」
主催立ちによって渡された武器は
クッパ軍団という組織が愛用している
マグナムキラーの巨大な砲台であった。
本来ならばバズーカのように両手を用いて使用するのでは無く
大砲として運用するため設置がセオリーであったが
規格外の膂力が搭載されたロボにとっては両手で扱い
武器として使う方が良いらしい、大きなサイズのため
その気になれば鈍器として利用できるだろう。
砲台から発射されたマグナムキラーはパラガスの臀部に見事命中し爆発、
地球人とは比べものにならない、呆れるほど丈夫な
サイヤ人の肉体だが著しい弱体化の影響で
それなりに答えるダメージとなった。
それでもさすがはサイヤ人、
巨大なマグナムキラーを防御もせず受け手も
砕けちりはせず臀部に激痛とダメージを受けるだけで終わった。
「この俺がしリーに爆弾を投げられるとはこれも面白い殺戮ショーのさだめか…」
ケツへの激痛に思わずぼやき、臀部を押さえつつ
よろけて崩れた走行のフォームをすぐに元に戻しそのまま激走、
サイヤ人として優れた戦闘のセンスを持つパラガスからすれば
ケツに重い一発を見舞われたからといって簡単に止まることは無く
すぐに体勢を戻すのもお手の物であった。
策謀に専念して体術や力業がおろそかになっているなど
そのようなことがあろうはずがない。
アヴドゥルもまらケツの攻撃に用心して
マジシャンズレッド(バシャーモ)に臀部をガードさせながら
ひたすらまっすぐに駆け抜けるのであった。
【パラガス@ブロリーMAD】
状態:健康、しリーへの痛みとダメージ(中)
服装:いつもの服装
装備:
令呪:残り3画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを開いた奴らに復讐することだけを思って生きていくのだ。
01:まずはあのロボから非難するだぁ。
02: しリーが痛いいぞぉ!
参戦時期:不明
備考
※MAD出典のため常識人よりの性格です。
※殺し合いが破綻しない程度に弱体化されています。
【モハメド・アヴドゥル@うろ覚えで振り返る承太郎の奇妙な冒険】
状態:健康、恐怖(大)
服装:いつもの服装:
令呪:残り3画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いに乗らない、
01:今はへんなロボから逃げる
参戦時期:死亡後
備考
マジシャンズレッドの外見はバシャーモ@ポケモンシリーズです。
【誘導ロボ@ドラゴンボールZ 激突!!100億パワーの戦士たち】
状態:健康。
服装:
令呪:残り3画
装備:マグナムキラーの砲台@New スーパーマリオブラザーズ
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:とっととお帰りしたいので他の参加者を磨り潰します!
01:このデカ砲台で参加者を磨り潰します!
参戦時期:少なくと爆破する前。
備考
パワーと耐久が弱体化しています。
支給品解説
マグナムキラーの砲台@New スーパーマリオブラザーズ
通常のキラーの3倍の巨体を誇るマグナムキラーが発射される砲台。
弾切れはしないリロード不要の優れた砲台である。
普通は設置して使う、持ち上げて使用するのは本来の用途ではない。
投下は以上となります。
投下します
水のような腕が、少年をつけ狙う。
「ッ!」
「そこか…わかるぞ…」
少年は腕を組み、守りの体勢を取る。
腕を操る主は盲目の男。
不可思議なる己の精神を元に作りし分身のような生命体、スタンド。
悪の化身、DIO直後の部隊、「エジプト九栄神」が一角。
ゲブ神のスタンド使い――ンドゥール。
「虎杖くん…!」
「大丈夫だ岩崎、後ろに!」
少年は少女を守るように戦っていた。
ンドゥール同様、不可思議な力を操る少年。
謎の力を腕に纏い、打の構えを取る。
「こいっ!」
腕が舐めらかに動き、少年を絞殺するような動きを取る。
それに対して少年は、力を溜めた拳をぶつける
それは腕を簡単に吹き飛ばす威力を誇る。
(やはりか…奴ら…スタンド使いでもないのに関わらず…スタンドが見えている…)
少年と腕は互いに立て直す。
「行くぜ…第2ラウンドだ!」
宿儺の器――虎杖悠仁は、再び力を入れて、構えた。
◆
(どうしよう…私は…何もできてない…)
虎杖の後ろにいた少女が抱いていたのは、劣等感。
何もできない非力な自分が、悔しかった。
(なにか…これは…)
出てきたのは、刀、その名は「流刃若火」
説明書らしきものもついている、そこに書いてあったのは、「魂解」という特殊能力。
(これを使えば…虎杖くんを…)
少女――岩崎みなみは構えた。
護廷十三隊隊長、山本元柳斎重國が使いし斬魄刀、その解号の名は――
「――万象一切灰燼と為せ『流刃若火』!」
◆
「むぅ!?」
「おっ!?岩崎!?」
若火から、炎が噴き出る、その姿を、二人は見逃さなかった。
「え…まって…止まって!」
想像以上の業火を、みなみは操りきれない。
虎杖は、その剣の概要を大方とは言え分かった。
(呪具の類か…!なら…)
「強く念じろ岩崎!そうすれば止まる!」
もし、あまりにも強力な呪具の類なら、おそらく羂索が調整している。
だから、ある程度止めるのは簡単になっているはず。
「お願い…私まだ…止まって!」
先程より強い念が通じたのだろう。
火が止まった、周囲のビルや道路は、まるで火事後の様になったが。
そして、虎杖は、懐から一つ取り出す。
「おっさん、決着は次だ!」
「むぅ!」
虎杖は懐から音爆弾を取り出し、地面に叩きつける。
そして、ンドゥールの耳が正常になった頃には、二人は既に消えてきた。
「まさか…逃げられるとは…」
「醜態だな、ンドゥールよ」
後ろから声をかけられる、その声は聞き覚えがあった。
「…ヴァニラ殿か」
DIOの側近、ヴァニラ・アイスがそこにはいた。
「…深追いはしなくていい、あの女の剣は厄介だ」
「そうですか…それで、なにか御用が?」
「…これは貴様にピッタリだと思ってな」
「ほう…」
ヴァニラが渡したのは、似たようなデザインをされた小銃とリボルバー。
しかし、その分類は剣。
四季崎記紀が打ちし、剣という名の魔銃、名を「炎刀・銃」
「…私はDIO様を探す、貴様は参加者を殲滅しろ」
「…承知した」
ヴァニラはスタンド、クリームに乗り込み、消えていった。
【ンドゥール@ジョジョの奇妙な冒険】
状態:健康
服装:いつも通り
令呪:残り3画
装備:炎刀・銃@刀語、木の杖@現実
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:全てはDIO様のために
01:他の参加者を殲滅する
参戦時期:承太郎達と戦う前
【ヴァニラ・アイス@ジョジョの奇妙な冒険】
状態:健康
服装:いつも通り
令呪:残り3画
装備:
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:全てはDIO様のために
01:他の参加者を殲滅する
参戦時期:DIOに吸血鬼にされる前
[備考]
スタンドは他者にも見えます。
【支給品解説】
【木の杖@現実】
ンドゥールに支給
何一つ特徴のない、木の杖
【炎刀・銃@刀語】
ヴァニラ・アイスに支給
四季崎記紀が作りし、変形刀の一つ。
それはまるでリボルバーとピストル…ではなくまじでリボルバーとピストル。
四季崎の未来予知を元に作られた、一つのオーバーテクノロジー。
◆
「大丈夫か?岩崎」
「うん…ごめん虎杖くん」
「いいって、気にすんな」
先程の地から離れた二人。
虎杖の超人とも言える身体能力で、なんとか逃げ応せる事が出来た。
「とにかく、1回休憩だ、作戦とかも練らないとな、その呪具の扱い方も考えないと…」
「うん…」
虎杖が拳の調子を整える中、みなみは若火を見つめる。
(この強力な力をがあれば…私は…)
悪心に、火が近づけれる。
(ッ!何を考えてるの…そんな事…駄目…!)
幸いにも、その手は止まった。
しかし、それより飛び散る火の粉が、導火線につかぬことを――
祈る。
【虎杖悠仁@呪術廻戦】
状態:健康
服装:いつも通り
令呪:残り3画
装備:音爆弾×2@モンスターハンターシリーズ
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを止める
01:岩崎と行動する
02:仲間を集める
03:羂索は死滅回遊をどうしたんだ…?
参戦時期:東京第一結界の日車戦後
【岩崎みなみ@らき☆すた】
状態:健康
服装:いつも通り
令呪:残り3画
装備:流刃若火@BLEACH
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いには乗りたくない
01:虎杖と行動する
02:もし…ゆたかがいるなら…守らなきゃ…
参戦時期:少なくとも1年生のときから
【音爆弾@モンスターハンターシリーズ】
虎杖悠仁に支給
対モンスター用に使われていた、強力な高音を発する爆弾。
威力は調整され、対人に特化するようになった
【流刃若火@BLEACH】
岩崎みなみに支給
護廷十三隊隊長、山本元柳斎重國の斬魄刀。
あらゆる元柳斎の敵対者はこれを危険視し、能力を封じる方法を案じてきた。
あまりにも強力すぎるため能力を弱体化、また、一般人にも扱えるようになっているが、卍解「残火の太刀」は使用不可、始解の段階までである。
投下終了です
投下させていただきます
The life is no exit labyrinth
(人生が出口の無い迷宮だとするならば)
if so how I went into this life?
(俺たちはどうやってこの迷宮に入り込んだのだろうか)
The wind of time keep blowing through me with the sorrows,and it robs me of memories
(時の風は悲しみと共に俺を吹き抜け、そして俺の思い出を奪ってゆく)
△ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △
虚ろで曖昧な意識の中で見えたもの。
私、イドラ・アーヴォルンが見たのは燃える世界と、彼の泣き顔。
最初にギルドで出会った時は何を言ってるのかわかんなかったし、使ってる力もその理論も常識の遥か向こう側。
熱血バカで能天気で、そんなあなたが羨ましくて。
私の夢を応援してくれるって言ってくれたのあなたの思い、本当に嬉しかった。
ずっと元の世界に戻るため一人で頑張ってるあいつのことが、いつの間にか好きになって。
あいつにとっての私が希望(ヒーロー)になったように、私にとってのあいつも希望(ヒーロー)だった。
でも、こんなことになっちゃった。
縋った藁は毒の染み込んだ罠で、私達はまんまと敵の術中へと嵌ってしまった。
あいつの信じようとした絆がこんな結末になるなんて、あんまり過ぎる。
何よりも、あいつが信じたものの終わり方がこんなことだなんて、認めたくはなかった。
……そんなぼろぼろになって。私のこと守ってくれようとしたのね。
嬉しいけれど、私はもう駄目みたい。
でも、あんたが信じようとしたその絆だけは、裏切らないでほしい。
あんたの信じたものに、わたしは救われたんだから。
誰が何言ったって、私はあんたのことをヒーローだって信じてるから。
「ごめん ね……」
だから、おねがい。
「元の世界に…」
わたしの、だいすきなひと。
「帰して…あげられ…なくて」
わたしがしんでも、あなたのしんじたものだけは、すてないで。
あ、そうだ。
すきって、いえなかったな。
△ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △
There's a "Gate Of Hope" together with The Northern Lights
("希望の扉"はオーロラと共にある)
It is supposed to be still enough ! Now, still !!!
(まだ間に合うはずだ!今なら、まだ!)
△ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △
「ごっめぇぇぇぇぇぇぇん!!!」
イドラ・アーヴォルンの眼の前には、地面に大きく突っ込んで沈黙した魔物らしきNPCと。
その隣で甘橙色のツインテールヘアの少女が土下座しているという不可解な光景が広がっていた。
あの致命傷は間違いなく死んだ、と思いっていたイドラが目を覚ませば、梔子ユメの体を乗っ取った羂索を名乗る呪詛師。その奇っ怪な男が開幕を告げた殺し合いというゲーム。
最終勝利(ゆうしょう)か、全滅か、叛逆か。突きつけられた3つの選択肢の答えは決まっている。叛逆一択。
それは、灯悟ならそうしただろうという確信でもあり、イドラ自身も羂索のことが許せないという感情から。
と、意気込み会場に飛ばされた矢先からイドラを待ち受けていたのはーー巨大な生物が頭上から落ちてきて地面に突き刺さるという異様な光景。
それを行った人物が、イドラと対して変わらない、灯悟と同じく異世界の人間。
しかも灯悟と違い、ごくごく普通の一般人。のようにも見える。
「大丈夫? 激突して怪我とかしてない!?」
「え、ええ……。もしかして、あなたがこれを?」
事情を聞くには、突然巻き込まれた挙げ句、鶏の頭と牛の体を合体させたようなのに追いかけられ、思わず投げ飛ばした。
だが投げ飛ばした先にイドラがいることを知らず、既の所で彼女に当たらなかったのだが。
こうしてこの少女がイドラに平謝りすることになった。というのがここまで事の経緯となる。
「これでも色々、大変な事たくさん乗り越えてきたんだから。腕っぷしには自身があるのよ」
ツインテールの少女が立ち上がり、片手に掲げたモップを軽く振るいながらも自慢げに言い放つ。
大言壮語ではない。真っ直ぐなオッドアイの瞳は彼女の自信の体現。
……そのモップが武器の代わりなのかとイドラが困惑しながら。
「そういう事じゃな……やっぱいいわ」
「あれ、やっぱまだ根に持ってる?」
「いや、そういうことじゃないし過ぎたことで問答しても仕方ないから」
常識外の武装はもう灯悟の一件で慣れすぎたのでもう気にしない。
気にしても仕方がない。気にしたら負け。ツッコんだら負けである。
「だったらいいんだけど……。それよりも、羂索だっけ? こんなくっだらない事やったの」
「呪詛師、とも言ってたわね。他人の身体を器代わりに使ってる、胸糞悪いやつ」
「胸糞悪いってのには同感」
他人の身体を使って好き勝手やってる男に感じるものなど不快感しか無い。
挙げ句見るからに違う世界から無理矢理呼び出して殺し合わせるような連中に。
名前だけしか情報のないクルーゼと茅場への評価はまだしも、羂索という男というのは間違いなくそういう類の人間。いや、あのようなものがまともな人間などもう言えない。
「ガッチャだか何だかそういうのよくわからないけれど、そんなにお望みなら私なりの反逆って形で見せてやるわよ! こっちはやっと戻れた余韻に浸りたいって時に呼び出されて堪忍袋の緒が切れそうっての!」
「やる気十分なのは良いことだけれど」
彼女も灯悟のある意味同類ともいえなくもない憤り方、それはそれとして冷ややかな視線で見つめる
人間性あれこれはこれからとして、殺し合いへの反逆をするというのは共通事項。
「貴方に協力させてもらうわ。こんな事、彼も放ってはおけないだろうから」
「彼? 好きな人?」
「……そういう感じで食いつくのね」
思わず灯悟のことを口にしてしまったのは不味かったか、等と思いながら。
少女側がちょっと食いつく反応に話すべきかどうかほんの少し悩んで、事前に話しておくに越したことはないということで話すことにした。
「浅垣灯悟って言って、私のいた世界とは違う世界からやってきたの。元の世界で『絆創戦隊キズナファイブ』としてゼツエンダーなる悪の組織と戦っていたの」
「キズナファイブって、コッテコテの戦隊ヒーローものじゃないのそれ。いや私も学校だとバカレンジャーのバカレッドだったけれど」
「……どういう意味合いかは触れないでおくわね」
彼女の学校での成績が残念だったのだろう、と言う本音は胸の内に押し込んで、話を続ける。
「私はね、そんな彼を元の世界に帰す為の手段を探しながら、紆余曲折で世界を救う旅もすることになったの。それで……」
「……それで?」
「……」
イドラの口が止まる。
終わったことだ。どうしようもなかったことだ。だから話しても問題なんてないはずだ。
「……言いたくないことだったら、無理に言わなくてもいいわよ」
「大丈夫。……私は灯悟を、元の世界に帰したかった。約束したから。……けど、死んだ私には、もう」
なのに、イドラの目からいつの間にか涙が流れていた。
藁にも縋る思いで自分たちが頼った相手に裏切られ、イドラはそれによって死んだのだ。
その後の灯悟たちの行方はわからない。死人に口なし。死んだ人間が生者の未来を変えることなどできない。
イドラ・アーヴォルンという女の人生は、志半ばのバッドエンドに終わってしまったのだ。
「そんなの、関係ないでしょ」
そのバッドエンドに、デッドエンドに至った結末に待ったをかけるように。
イドラのそんな悲しげな顔を見つめていた少女が、放ってはおけないと声を上げる。
「死んじゃったからどうにもならないって言いたげ? 手遅れだって誰が決めたの!?」
「手遅れとは言ってないんだけれど……」
でも、戻った所で。
戻った所で無事かどうかわからない。
もしかしたら、もう手を尽くす余地など無い。そんな事になってしまった時が、怖いのだ。
「うだうだ考えるよりはマシでしょ?」
「……でも」
「それでも、よ! 本当に全て取り返しがつかないなんて思ってるなら、そんな運命全部ぶっ壊してやればいいわ!」
それでも、と。少女のその思いから感じる熱い何か。
絶望を、喪失を知ってなお、それを乗り越えハッピーエンドを掴んだ彼女だからこそ言える。
「それでも無理なら、アンタの世界のハッピーエンド、私があんたの手伝いしてしてやってもいいわ」
「は、え。ええ?」
「知り合いに次元越えれる手段持ってるやついるのよ、全て解決できたらそいつにちょっと頼み込んでくる」
灯悟もとんでもなかったが、彼女も何だかとんでもない発想してきた。
手軽に次元を超える知り合いって何者なのか、と言うところも職業柄気になるところではあるが。
「だから、立ち止まってなんていられない。世界が敵だっていうんだったら創造主ににだって喧嘩売ってやるわ!」
「………」
滅茶苦茶な事を言ってくれる。世界の創造主相手でも喧嘩を売るだなんて。
破茶滅茶で、滅茶苦茶で、突拍子。そんな自信どこから湧いてくるのやら。
彼も、そんなまっすぐな男だったから。愚直で自分の信じたものを信じて突き進む、そんなバカみたいな男だったから。そんな彼だからこそ私の夢を応援してくれたと。
だから、そんな彼が、好きだったと。イドラは彼への行為の原初に立ち返った。
不思議と、口元に笑みが浮かんでいた。
「……その根拠と自信、どっから湧いてくるのよ、あはは」
「そりゃこれでも魔法の国のお姫様で一回世界救ってるのよ。私だけじゃなくてみんなと一緒に」
「は?」
少女の口から、とんでもない事実がカミングアウトし、イドラは開いた口が塞がらなかった。
そりゃそうだと。灯悟もゼツエンダーなる悪の組織から世界を救ったというが、こっちもこっちで大概だ。
しかもお姫様、正真正銘の魔法の国のお姫様と名乗った。
どう見ても灯悟の元の世界と似たような世界っぽい感じなのに、まさかのカミングアウト。
「ご、ご無礼申し訳ございませんでしたぁぁぁぁっ!!!」
「突然畏まられた!? いや、確かに私はお姫様ではあるけれど、同時に麻帆良女子中等部3年神楽坂明日菜でもあるから!そういうのしなくていいから!」
イドラの見事なスライディング土下座が炸裂する。少女は勿論慌て。
何とか落ち着きを取り戻すまでに数分ほど経過する事になった。
「でも、そう言ってくれてありがとう、明日菜。さっきまでうじうじ悩んでいた自分が馬鹿らしくなってきたわ」
「こっちこそ。私もこんなのに巻き込まれ流石に憤ってたからつい、ごめんね」
神楽坂明日菜にとっては苛立ちの混じったある意味お節介であった。だから変に悩んでいるイドラの姿を見て放っておけなかった。
「それに知り合い誰も居ない中の独りぼっちなんて、辛いのは私が一番わかるから」
何より、独りぼっちだった彼女を、放っておけなかった。
世界に、時間に取り残される寂しさを、神楽坂明日菜は知っている。
そんな独りぼっちは、放ってなどおけない。
「だから安心して。あいつら全員ぶっ飛ばしたら、あんたの世界も救ってやるわ! ……できれば、だけど」
「いやそこ曖昧な返答なの」
やはり抜けてるところは抜けてるし、強引なところは強引。
それでもそんな底抜けさにイドラは救われてしまった。
無理矢理ノリに巻き込んで、というのは灯悟もやってることだから。
今更疑問に思う必要もない。
そんな事を考えていたら無意識に笑顔を浮かべてしまった。
喧しい同行者は、もう慣れきっていたから。
「でも大丈夫! きっと何とかなる! よ!」
そんな明日菜の根拠のない自信、言葉。
けれどそれはイドラにとって、不思議と頼もしく感じるものだった。
△ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △
...The "Gate of Hope" is opened
(…"希望の扉"は開かれた)
I don't have regret any more...
(もう悔いは無い)
Now I can believe that we were born
(今なら信じる事ができる)
to search for something which only we can do
(私たちは自分にしかできない何かを探すために生まれてきたのだと)
under The Northern Lights...!
(オーロラの下で…!)
☆
『これより先の明日は白紙』
『貴様たちがつくる未来だ』
『進めガキども、明日へと』
【イドラ・アーヴォルン(バッドエンド世界線)@戦隊レッド 異世界で冒険者になる】
状態:健康
服装:いつもの服装
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:殺し合いを止める。元の世界に帰って、約束を果たす
01:明日菜のゴリ押しっぷりは不思議と好印象。でも強引なところもある
02:灯悟……私は
参戦時期:死亡後
備考
【神楽坂明日菜@魔法先生ネギま!】
状態:健康、羂索たちに対する怒り(大)
服装:麻帆良女子中等部の制服
装備:モップ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:主催連中(あいつら)ぶっ飛ばして殺し合い終わらせる!
01:全部済んだら彼女(イドラ)の世界を救う手伝いもしてあげる
02:ネギやみんな、巻き込まれてないでしょうね?
参戦時期:48巻、卒業式の後
備考
※完全魔法無効化能力(マジックキャンセル)の効果範囲が自身の体のみに制限されています
【支給品紹介】
【モップ@FINAL FANTASY VII】
神楽坂明日菜に支給。原作におけるネタ武器と呼ばれる代物。装備するとクリティカル率が上昇し、見た目に反して武器の命中率もかなり高い。
【NPCモンスター紹介】
【あばれうしどり@ドラゴンクエストシリーズ】
ウシとトリの特徴を併せ持ったモンスター。
投下終了となります
投下します。
「はぁ〜〜っ、どうして私、こんな事になってしまったんだろう……。」
殺し合いの舞台の何処か、一見誰もいない場所に一人の少女の声だけが聞こえていた。
声の主の正体は南條まりあ、彼女は今まで普通の少女だったのであるが、小5の春の遠足の前日、翌日の遠足が嫌で落ち込んだ事をきっかけに透明化能力を発現し、落ち込んでいる状態であると自分の意思とは無関係に透明化してしまうため、無理にでも興奮するために本屋でエロ本を立ち読みする日々を送ってきたものの、それを続けてきた結果中二までの間に書店は次々と入店拒否、更にエロ本程度では耐性が出来てドキドキしなくなってしまったため、より刺激を求めて親のパソコンでエロサイトを見て無理に興奮する日々を送ってきたものの、次の年の中三の時にそれが原因で大量の請求書及びパソコンがフリーズするやらかしをしてしまい、それがショックでまた透明化して戻れないのかと絶望した所、憧れの瀬木恭介センパイと初めて出会い、彼への強い想いを抱いた時から能力をコントロール出来るようになり、これから新しい日々が始まると思った矢先に訳も分からずこの殺し合いに巻き込まれてしまったのだ。
「はあ……、殺し合いなんて巻き込まれたのは幾ら何でも不幸すぎるけど……、唯一の幸運は私の能力と今の状況があまりにもベストマッチすぎることよね。」
そう、元の世界と異なり、今の殺し合いの状況下では出会い頭に襲いかかって来るような危険な参加者と出会う可能性が十分に高い以上、殺し合いが終わるまでまりあはずっと透明化状態を維持し続け、このままずっと誰とも会わずにやり過ごすつもりでいた。
それに透明化を維持し続ける条件は気分が落ち込んでブルーな気分、状態であることであり、元の世界と違い誰とも会わなくていい、いや、むしろこの殺し合いが終わるまで誰にも気づかれないまま終わって欲しいとさえ思っている身としては殺し合いに巻き込まれて終始ブルーな気分であることで簡単に透明化の条件を満たせていることも相まって、今だけは自身の持つ能力に対して感謝の念すら抱いていた。
だが自身の能力にはある一つの致命的な欠点があった。それは透明化出来るのは自身の肉体『だけ』であり、身につけている服や下着、靴下や靴、それと眼鏡や所持品などは一切透明化出来ないため、まりあはそれらの服や下着や靴下や靴や眼鏡や自身への支給品などを一切合財捨て去り、今現在彼女は一糸纏わぬ全裸の状態で透明化状態を維持しながら、どこか安全な場所は無いか歩いて探している最中であった。バグスターウイルスを抑制するためのレジスターが効果の対象になっているかどうかだけが不安材料であったものの、幸いな事にレジスターも一緒に透明化の対象になっており、透明化能力以外では戦闘能力を一切持たないただの非力な普通の少女であるまりあにとってはこの特典は非常に有難かった。
ガサガサガサッ!
「!?……え?な、なに……?」
その時であった。彼女の近くで草木を掻き分けるような音が聞こえ、まりあは驚いてその方向を向く。……が、一見するとそこに何かいるような様子はなく、先ほどまでと変わらない静寂が支配しているようにしか見えなかった。
「……はぁ〜〜っ、なーんだ、気のせいか。」
そう思い、まりあが安堵した直後であった。
ガサッ!ガサガサガサガサッ!!
「!?ひいっ!!?気のせいじゃない……近くに絶対何かいる……」
だが先ほどよりもさらに大きな音が聞こえたことでまりあは気のせいなどではなく、近くに確実に何かがいることを強く意識してしまい、彼女の心中を強い不安と恐怖の感情が支配する。
ガサッ!!
「ひいっ!?……だ、誰かいるの……?」
そして背後で大きな物音がしたため、まりあはそこに何かいる事を察し、背後を振り返る。
……が、幾ら待ってもそこから誰かが現れる気配は全くなかった。
「……はあ、なーんだ、やっぱり気のせいだったか……」
先ほどまでの草木の音は風に吹かれて草木が擦れて出た音だろうと、まりあはそう解釈し振り返ろうとしたその時であった。
シュン!
「!?ひいっ!?」
突如としてまりあの足首に何かが巻き付き、まりあは驚いてそれを振り払おうとする。が、
クンッ!
ドスッ!!
まりあの足首に巻き付いた何かは意思が宿っているような動きで足を引っ張るとその勢いでまりあは背中から思いっきり地面に倒れてしまい、足を引っ張られた驚きと背中から地面に倒れ込んだ痛みから一種の興奮状態になってしまい、透明化が解除され、未成熟な裸体を晒してしまう。
「いたた……一体何が……?」
自身に何が起こったのか分からず、まりあは何とか身体を起こそうとするが、その直後、自身の眼前にいた存在に対する恐怖から、身動きが取れなくなってしまいそのまま固まってしまう。
まりあの眼前にいたのはまりあが見たこともないような異形の怪物そのものであった。
その怪物は体型こそ人間に近いものの、人間とはかけ離れた外見をしていた。体色は黒一色であり頭部は前後に長く、その上部にはフードが被せられており、よく見ると額に当たる部分には一筋の傷が付けられていた。顔には目、耳、鼻はなく剥き出しの歯が揃い、常に涎を垂らす口だけが存在していた。手足は長く、それぞれの指先には鋭い爪が生えており、臀部には自身の足に絡め、転倒させた物の正体であろう、先端が鋭い槍のような形状になっている長い蛇腹状の尻尾が生えており、背中には長い4本の管のようなものが生えていた。
生物の名はゼノモーフXX121、そしてこの個体は『スコーチド・ゼノモーフ』と呼ばれる存在であり、宇宙船に潜入し、そこにいたフェイスハガーに卵を産みつけられたナヴァロという女性からチェストバスターとして誕生しそのままナヴァロを殺害、その後変態し繭の状態でいた所をナヴァロの仲間のビヨンという男性にショックバトンで攻撃され槍状の尻尾と強酸性の体液で反撃しそのまま殺害、ゼノモーフとして誕生した後ケイを槍状の尻尾で突き刺して拉致し、仇討ちに燃えるタイラーを奇襲して槍状の尻尾を突き刺し、口内のインナーマウスで頭部を破壊して殺害した個体であり、頭部には他の個体と異なりその名が示す通りショックバトンによる攻撃で付けられた一筋の傷が存在していた。
最終的にはレインにフェイスハガーを寄生させ卵を産み付けさせようとしたものの失敗し、逆上して襲いかかったところを彼女の仲間のアンドロイドのアンディのパルスライフルによる攻撃を喰らい死亡したものの、気が付いた時には蘇生させられ、今回のバトルロワイヤルに参加させられていたという運びとなっていた。
そしてスコーチドが何故透明状態のまりあの存在や正確な位置を補足できたのかというと、彼らは見た目通りそもそも視覚には頼らず、嗅覚(正確には生体フェロモン)で獲物となる他の生物の存在を察知し、位置や動きを特定する。
この嗅覚の鋭さは敵対種族であるプレデターの光学迷彩ですら全く通用しないほどであり、戦闘種族であるプレデターの高度な技術の産物である光学迷彩すら見破るゼノモーフの嗅覚の前では、透明化という異能力以外は単なる一般人の少女に過ぎない南條まりあの透明能力程度などあっさり見破られて当然というものであった。
フシュルルルルルルル……
スコーチドはまりあにゆっくりと近づくと彼女の肩を手で掴み、顔を近づける。
「い、いや……こ、こないで……」
ショオオオオオオオオッ
ゼノモーフのその異様な容姿と『温もり』などという言葉とはあまりにもかけ離れた感触にまりあは恐怖から目から涙を流し、股間の割れ目から放尿してしまう。
だがスコーチドはそれに全く構う事なく、口をゆっくりと開いた。
「ひっ!」
開かれた口の中を見て、まりあは一瞬だけ呼吸を忘れる。その口の中には普通の生物には有り得ないものがあったからだ。
ゼノモーフの口の中の舌があるべき場所には、舌の代わりにもう一つの口が存在していた。この口は『インナーマウス』と呼ばれており、槍状の尻尾と並んで獲物を仕留める彼らの主力武器といえる器官であり、人間はおろか、プレデターの高い硬度を誇るヘルメットすら貫通するレベルの高い破壊力を持つ武器であった。
(もういや……死にたくない……死にたくないよぉ……)
ゼノモーフの口の中のインナーマウスを見てまりあは察する。自分はこの怪物に殺されてしまうのだと。そして死にたくないという気持ちと同時に今目の前の怪物に立ち向かっても自分には勝てないという諦めの気持ちもまた存在していた。
ゼノモーフは個体によって多少の差はあれど、本格的な銃火器で武装し、尚且つ銃火器に有利な遠距離で迎撃できるならともかく、丸腰だったり、そうでなくとも近接戦闘で人間が勝てる相手では決してない。実際彼らゼノモーフがいた世界において彼らと遭遇した人間の大半は暗闇や死角からの不意打ちや奇襲、もしくは近接戦闘を強いられ惨たらしく惨殺されその命を奪われており、中には人間より遥かに強いプレデターにすら勝利した個体も存在した位である。
まりあはその事を知る由もなかったのであるが、そうでなくとも一糸纏わぬ全裸の丸腰の一般人の少女であるまりあの力で目の前の怪物に勝つことは出来ないであろうという事は薄々察してはいた。
まりあは自身の死を覚悟し目を瞑る。そしてスコーチドのインナーマウスがまりあの頭部を破壊しようと狙いを定めていた。
……だが幾ら待っても襲ってくるであろう痛みがやってくることはなかった。
恐る恐る目を開けると一人の少女が手に持った武器でゼノモーフを斬り付け、ゼノモーフはその驚きと痛みから後ろに跳躍し距離をとる。
「君!大丈夫!?」
「え?あ、あなたは……」
その少女の外見年齢はまりあとそう変わらない位。紫色の長髪をポニーテールで纏め、白いマントに紫色の胸甲と腕当てを装備し、紫色の大鎌を武器として持っている少女であった。まりあの言葉から彼女が自身に何を聞きたいのかを察し、少女は自己紹介をする。
「私は兎沢深澄、ミトって呼んで。さっ、立てる?ここは私が食い止めるから君は今のうちに……」
「あ、あの……あなたのそのかま……かま……」
「鎌?私の鎌が一体どうし……なっ!!?」
まりあの言葉の意図が分からず、ミトが自らの愛用武器に目を移した瞬間、その顔が驚愕の表情へと変わる。
なんとミトが愛用している大鎌の刃がどんどん溶解し溶けだしているのだ。そしてゼノモーフの方へと目をやるとその顔から表情を窺い知ることは出来なかったものの、獲物を奪われた事と自らの身体を傷つけられたことで怒りに震えるゼノモーフが自らの身体を大きく振り、傷口から流れ出た自らの体液をミトに向かって飛ばす。
「くっ!」
ミトには怪物の行動の意図が分からなかった。だが本能から飛ばしてきた体液をそのまま受け止めては不味いという事を察し、身体を翻し自らのマントで体液を受け止める。
ベチョ! ジュウウウウウウウウゥ
マントに体液が付いた途端、体液が付いた所からマントがどんどん溶けだしていき、危険を感じたミトがマントを無理矢理引き千切り遠くへ投げ捨てる。
そして引き千切られたマントは更にどんどん溶けだし、そして最後には原型を留めず使い物にならない状態にまでなってしまった。
(やっぱりあの怪物の体液は強酸性……私の武器を溶かしたのも恐らくあの体液……)
そう、ゼノモーフの武器はインナーマウスや槍状の尻尾だけでなく、その身体から流れる強酸性の体液もまた、彼らの武器の一つであり、敵の攻撃で身体を傷つけられた際の反撃や、時には意図的に相手に向かって飛ばす事によって攻撃にも使える彼らの厄介な特性の一つでもあった。
そして休む暇も与えることは無く、スコーチドは槍状の尻尾を伸ばしてミトを刺し貫こうとし、ミトは咄嗟に大鎌でそれを防御しようとする。が、
バキィイイイイン!!
「し、しまっ……」
先ほどゼノモーフを斬り付けた事で強酸性の体液が付着し腐食した事で耐久力が低下した刃で受け止めたことで攻撃に耐えられなかった刃は完全にへし折れ使い物にならなくなってしまう。
そしてスコーチドは四つん這いになると獣のような動きで跳躍し、ミトに飛び掛かると体格差に任せて無理矢理ミトを押し倒し、彼女に対してマウントを取る。
そしてスコーチドはその顔をミトに近づけようとし、ミトは大鎌の残った柄の部分を押し付けて何とか抵抗するものの、尚も諦めずインナーマウスを伸ばしてミトの頭を粉砕しようとし、ミトは必死になってそれを避け続けるものの今度はスコーチドの両手が彼女の顔に伸ばされ、ミトはその爪で顔を引っ掻かれまくってしまう。
「まったく……女の子に飛び掛かって無理やり押し倒してその上顔を引っ掻きまくるなんて……そんなことしてたらモテないよ……」
ミトは必死になって抵抗しながらもスコーチドに向かって悪態を吐くがスコーチドは『そんな事知ったことか』と言わんばかりに尚もミトに襲いかかり、ミトは何とかそれを凌ぎ続ける。
「ど……どうしよう……このままじゃミトさんが殺されちゃう……」
そしてそんな一部始終をまりあは腰を抜かした状態で見守り続けていた。戦うべきか、でもあんな怪物に自分が立ち向かったところで勝てるわけがない。では逃げるべきか、だが自らの命を救ってくれたミトを裏切って逃げるなんてことは良心の呵責からまりあには出来なかった。
ではどうするべきか、まりあは少し考えると何かを決心したかのように意を決したかのような表情を見せる。そして
「んっ……んん……」
まりあはその場でしゃがみ、力みだすと肛門の穴からブブッというオナラの音がした。そして
ブリュ!! ブリュブリュブリュブリュブリュブリュ!!
まりあの肛門の穴から茶色い塊……つまりウンチが飛び出し、そのままどんどん肛門の穴からウンチが排出されていく。そしてまりあは自らのウンチを躊躇なく掴むと
「え、えいっ!!」
なんとまりあは自らのウンチをミトに襲いかかっている最中のゼノモーフの顔面に向かって投げつけ、投げつけられたウンチがゼノモーフの顔面に直撃する。
ベチョ!!
先ほども言ったようにゼノモーフは視覚を持たず、鋭い嗅覚で獲物の存在や位置を特定する。そんなゼノモーフに強烈な匂いの塊のウンチは正に劇物そのものと言っていい効果があった。
ギェエエエエエエエエエエ!!
あまりのウンチの臭さからスコーチドは上体を起こし悶え苦しみ始める。ミトはその隙を見逃さず、右足でスコーチドの腹部を蹴り飛ばすとスコーチドの身体はミトから離れ遠くへと吹っ飛ばされる。
そしてミトが何とか立ち上がり、柄の部分だけになった自らの愛用武器を構えるとその視線の先では同じく体勢を立て直し、四つん這いの状態でミトを睨みつけるスコーチド・ゼノモーフの姿がそこにはあった。
シュウウウウウウウ
歯をむき出しにしミトに対して威嚇するような声を上げるスコーチドに対し、それに怯むことなくミトはスコーチドを睨みつけるとスコーチドがミトに向かって突進し、ミトはそれに呼応するかのように前に出る。
シュッ バキィ!!
まずはスコーチドが自身の尻尾をミトの顔に向かって振り、ミトは顔を逸らして何とかその一撃を避けるがその一撃はミトの近くの木に直撃し、尻尾が直撃した部分の木が抉れてしまう。負けじとミトは棒術の要領で愛用武器でスコーチドを殴りつけようとするがスコーチドは尻尾をしならせて武器にぶつけ、攻撃を相殺する。
そしてスコーチドが再び尻尾を振るとミトはそれを迎撃しようとするがスコーチドの尻尾は彼女の上半身ではなく、足に向かって伸び、ミトの足を掬う形で尻尾が当たってしまう。
「!?しまっ……」
足払いを喰らう形となったミトは転倒し背中から仰向けに倒れてしまうがスコーチドはミト……ではなくまりあに向かってまるでゴキブリのような素早い動きで接近し、彼女に襲いかかろうとする。
スコーチドはミトではなく、まずは非力な少女であるまりあの方を殺し、それからミトの方を始末しようと判断したのだ。
だが
「……させない!!」
立ち上がったミトの武器が変形すると武器から鎖のようなものが伸び、その先端の分銅の部分がスコーチドの脇腹の部分に直撃、スコーチドは思いっきり吹っ飛ばされてしまう。
吹っ飛ばされたスコーチドは痛みに悶え苦しみ、その後何とか立ち上がるがその先にはまりあを庇うような形でスコーチドを睨みつけるミトの姿がそこにはあった。
「彼女に触るな……この化け物……」
『化け物』、その言葉を聞いてスコーチドの脳裏にはかつて宇宙船で交戦し自らを殺した『アンディ』という名のアンドロイドに同じ言葉を吐かれた事を思い出し、彼の中に強い怒りと憎しみの感情が沸き上がってくる。
だが彼とて馬鹿ではない。このまま無理に交戦し消耗してしまう事は得策ではない事を理解し、『覚えてろよ』と言いたげな感じで反転するとそのままゴキブリのような素早い動きで夜の闇の中へと姿をくらましていった……。
「た、助かったの……?」
ゼノモーフが退いた事で取り敢えずこの場は助かったという事を理解し、まりあの身体から緊張の糸がほぐれ、安心感からか彼女の身体にドッと疲れが押し寄せてくる。
「大丈夫?立てる?」
「あっ、はい……」
その場にへたり込んだまりあに対し、ミトは手を差し伸べ、まりあは差し伸べられた手を取ろうとするがその直後、何を思い立ったのかミトは怪訝な表情を浮かべ、差し伸べようとした手を戻す。
「?ど、どうしたんですか……?」
「あのさあ、一つ聞きたいことがあるんだけど……」
「?」
彼女が何を聞きたいのか分からず、まりあはキョトンとした表情を浮かべるがその直後、ミトの口から彼女がずっと抱いていた疑問の内容が述べられる。
「貴女……何で素っ裸なの?」
「あっ/////////」
ミトの疑問の内容を聞いて自身が一糸纏わぬ全裸であることを思い出したまりあの顔はどんどん赤くなっていき、胸と股間を両手で隠し恥じらうような仕草を見せる。
「こ……これには深いわけというものがあってですね……」
「『深いわけ』って何?貴女、露出狂?というか服とか支給品とかはどうしたの?」
「じ、実はその……えっと……」
訝しむような表情を浮かべるミトに対し、自身が何故そうしていたのかまりあは彼女に対して理由を説明した。
自身が透明化能力持ちであること。ただし身につけている服や下着、靴下や靴、それと眼鏡や所持品にはその効果が及ばない事。そのためそれら全てをこことは別の場所にすべて捨ててきた事。透明化能力を駆使して他の参加者と接触しないようにずっとやり過ごすつもりでいたこと。それらの事情をまりあはミトに対して一字一句全て丁寧に説明をした。
「……それ、ホント?」
「いや、本当にそうなんですよ。何なら今ここで実践して……あ……あれ……?何か……透明化……出来なくなってる〜〜〜〜!!?」
ミトに対し先ほどまでの説明が本当であることを立証しようと今まであった嫌な事を思い出し、ブルーな気分になっても透明化していない自身の身体の異変に驚愕してしまう。実は彼女は透明化出来なくなってしまったのではなく、運営によって枷られた制限によって透明化解除後はある程度インターバルを置かないと再度透明化出来ないようにさせられてしまっていたのだ。
これはまずい、とまりあは今の状況に焦りを感じ始めていた。殺し合いが始まった直後、まりあはずっと全裸透明化状態を維持して他の参加者をやり過ごそうと考えていたため、自身の服や下着や靴下や靴や眼鏡や自身への支給品などを一切合財こことは別の場所に捨て去っていたため、今の彼女は一糸纏わぬ完全な全裸であり、今の彼女の中には他の参加者に自身の裸を見られたら恥ずかしい、今の裸の状態で他の参加者に襲われたらどうしよう、実際先ほど異形の怪物であるゼノモーフに襲われ、目の前に怪訝な表情を浮かべているミトがいるという状況から、まりあの中は羞恥心と恐怖の気持ちでいっぱいいっぱいであった。
「もう……仕方ないなあ。ほら、付いてきなよ。さっきウンチしたでしょ?この近くに水場があるからそこで洗ってあげるよ。」
「そ……それは言わないでください……。」
先ほどミトを救うために自身がウンチした事を指摘され、まりあは羞恥心から顔を赤らめるが同時にミトが自身の事を責めるつもりはない事を理解し、彼女の中にミトに対する感謝と安堵の気持ちが芽生えていた。
そして今度こそミトはまりあに対し手を差し伸べ、まりあが立ち上がると彼女に手を引かれる形で近くの水場に移動することとなった……。
◆◆◆
先ほどの場所から少し離れた場所にある水場、そこには一糸纏わぬ全裸の南條まりあと、水浴びのために同じく一糸纏わぬ全裸の姿となった兎沢深澄の姿がそこにはあった。
「ほら、お尻を差し出して。」
「えっと……こう、ですか?」
まりあは後ろを向くとミトに対しお尻を突き出す形で前屈みとなり、突き出されたお尻に対してミトは水を……主にウンチで汚れた肛門の穴に対して重点的に掛け、彼女のお尻を洗い始める。
「ひゃっ!……な、なんかこう……水を掛けられると……気持ちいい……」
「やめて。その発言は私が何か変な感じで誤解されちゃうから。」
そんなこんなで少しするとまりあの肛門の汚れが洗い落とされ、彼女のお尻が綺麗になる。
「ねえ……こっち向いて……」
「?」
ミトの言葉の意図が分からずまりあがミトに向かって振り返ると突如としてミトがまりあに対してギュッと抱き着いてくる。
「えっ?……ちょ、ちょっと何を……?」
「ありがとう……さっきは私を助けてくれて……こんな……仲間よりも自分を優先して平気で仲間を裏切っちゃうような最低な私を……」
「え?一体何の話なんですか?」
『助けた』というのはさっきゼノモーフから助けた事を言っているのであろうが、『裏切った』というのが何のことを言っているのか分からず、まりあがミトに事の真意を聞くと、ミトはまりあに自身の過去の経験を語り始めた……。
ミトはこのバトルロワイヤルに参加させられる前、VRMMORPG「ソードアート・オンライン」のプレイヤーとして参加していたものの、突如として開発者である茅場昌彦の手によってソードアート・オンラインはデスゲームと化し、自身は一緒にゲームに参加していた親友のアスナと共にゲームの攻略と生還を目指していたものの、ある時ネペント系モンスターを狩っていた際にアスナが間違って「実付き」個体を倒してしまいその結果大量にポップしたネペントに囲まれてしまい、更にミト自身が崖崩れトラップに引っ掛かってしまった事でアスナと分断されてしまい、助けに戻ろうとしたものの彼女のHPが尽きる寸前になってしまった事で絶望し、『彼女の死を見たくない』という気持ちからパーティを解消し彼女を見捨てその場から逃げ出してしまったのだ。
その後生きていたアスナと再会し、生存を喜びはしたものの、この一件はミトの中で深いトラウマとなってしまい、『また裏切るようなことはしたくない』という気持ちから誰かと組むことも攻略組に加わることもやめ、ソロで防具屋の道を歩もうとしていた位なのだ。
「私は……私は誰かを裏切ってばっかり……それなのにそんな私を助けてくれるなんて……私にはそんな事してもらう資格なんてないのに……」
それほどまでに強い自責の念に支配され続けていたのであろう。その『アスナ』という名前の親友がよっぽど大切な存在であったのであろう。ミトの目からとめどなく涙が溢れだしてくる。
「そんな事ないですよ。」
「えっ?」
自らが抱き着いているまりあから掛けられた言葉に反応し、ミトは驚きの表情で顔を上げ、まりあの目を見る。
「そもそも最初に助けてもらったのは私の方なんですから。あなたがいなければ私は今ここにはいません。あなたには感謝してもしきれないんです。だからそんな事言わないでください。」
そういうとまりあはミトの身体をギュッと抱きしめる。ミトの身体からはゼノモーフから全く感じられなかった『温もり』をまりあは強く感じていた。
「でも……私たち、なんか今すごいことをしていますよね……?」
「そ……それは言わないで……」
自らが一糸纏わぬ全裸の状態で同じく一糸纏わぬ全裸のまりあに抱き着いていることに気付いたミトの顔は赤くなり、強い恥じらいの色を含んだ声音を出す。
「でも……私はミトさんが凄く羨ましいです。」
「?何が?」
まりあの発言の意図が分からずミトがキョトンとしてると、まりあはミトの胸の方に視線を移し、こう発言する。
「ミトさんの胸、私よりも膨らんでいて羨ましいなあって。」
ゴンッ!!
「……痛い。」
「それセクハラ発言だから。」
まりあのセクハラ発言に対し、ミトのゲンコツがまりあの頭上に炸裂し、まりあは痛みで頭を抑えながら涙目になる。
そんなこんなで二人は岸に上がるとミトは自らの服をまりあに対して差し出す。
「ずっと素っ裸じゃ恥ずかしいでしょ?私の服を貸してあげるよ。大丈夫。私は軽装の方が動きやすいから。」
最初は自らのマントを貸してあげようと思っていたのであるが、マントは先ほどのゼノモーフの体液を浴びて溶解して使い物にならなくなってしまったため、全裸のまりあの裸体を隠すために自らの服を彼女に貸してあげようと思ったのだ。
……だが服を貸すという事は当然ミトが着る服の方が無くなる訳で……。
「……なんかこの格好、変態みたい。」
そう、ミトの現在の恰好は下着の上に胸甲と腕当てを装備しただけの、事情を知らない人から見れば変態と思われても仕方ない恰好となっていた。
「うう……ゲームの中で裸装備ネタプレイをやったことあるけど……まさか私自身でそれをやることになるなんて……」
そう、重度のヘビーゲーマーであるミトは今までプレイしたゲームの中で裸装備ネタプレイを何度かやったことはあるのであるが、まさか自分自身でそれをやるとは思わず、ミト自身強い羞恥の気持ちを感じていた。
「素っ裸よりよっぽどマシになったけど……なんかこの格好、変な感じがします……」
一方のまりあもミトの服を着たことで全裸よりはよっぽどマシな格好になったものの、中には当然下着を身につけていないため、ノーパンノーブラの上に服を着ているというミトと比べれば一見分かりづらいもののやはり変態みたいな格好となっていた。
「とにかくまずはアスナとキリトを探そう。羂索の発言からこのゲームの運営側には茅場昌彦がいることは確定している。だとするとアスナとキリトの二人もこのゲームに参加している可能性が高いと思う。まずは二人と合流しないと。」
「えっ?アスナさんはともかく『キリト』っていう人とは知り合いなんですか?」
「一度会ったことがあるだけ。その前から有名人の彼の事は知っていたけど。アスナとは友人で前に一緒に行動を共にしていた事は話したと思うけど別れた後に私の後釜の位置に彼がすっぽり収まっていたというだけの話。」
そう、ミトは自身を勧誘しに現れたアスナと1対1のデュエルをし、彼女に勝利して別れた直後、その様子をずっと見ていたキリトと会ったことがあるのだ。
アスナの気持ちを熱心に語る彼に対し、「私、あなたの事嫌い」とつい言ってしまったものの、それは本物の憎悪ではなく、自分の位置に彼が収まっていたことに対する嫉妬の気持ちの方が大きかった。
「あの……私も貴女についていって本当にいいんですか?」
「好きにすれば。でも私一人じゃ貴女を守り切るなんてことは出来ないと思うから自分の身はある程度自分で守って。」
「やっぱりアスナさんとの件を今でも引きずっているんですね。」
「うるさい。」
そういうとミトは歩き出し、まりあはそんなミトについていく形で行動を共にする。恐らく参加している可能性が高いであろうアスナと合流し、二人で共にこのバトルロワイヤルを生き抜くために。あの時果たせなかった約束を今度こそ果たすために。
(待っててね……アスナ……今度こそ……今度こそ約束を果たして見せるから……)
【ミト@SAO プログレッシブ 冥き宵闇のスケルツォ (映画)】
[状態]:健康、疲労(小)、ダメージ(小)、顔中引っ掻き傷だらけ、羞恥心(中)
[服装]:下着姿
[装備]:ミトの鎖鎌(半壊)@SAO プログレッシブ 冥き宵闇のスケルツォ(映画)
「令呪」:残り三画
[道具]:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:アスナかキリトと合流しこのバトルロワイヤルを生き抜く
01: アスナ……待っててね……今度こそ約束を果たして見せるから……
02:
03:茅場昌彦……まさかこのバトルロワイヤルにも彼が関わっていたなんて……
04:やっぱり下着姿は恥ずかしい……。
参戦時期:映画中盤、アスナとのデュエルに勝利し、キリトと出会って別れた直後からの参戦です。
【南條まりあ@まりあさんは透明少女】
[状態]:健康、ノーパンノーブラ、羞恥(小)、疲労(小)
[装備]:ミトの服@SAO プログレッシブ 冥き宵闇のスケルツォ(映画)
[道具]:なし
[思考・状況]基本方針:殺しはしたくないし、元の世界に帰りたい。
1:透明化能力、復活しないかなあ……
2:あの怪物怖かったなあ……もう会いたくないなあ……
3:誰かに襲われたらどうしよう。その時はミトだけが頼りよね。
[備考]
最終話以降からの参戦です。
彼女の服や下着や靴下や靴や眼鏡や支給品等は会場の何処かに全て放置されています。
◇
会場の何処かの暗い森の中を漆黒の異形の怪物が駆け抜けていた。スコーチド・ゼノモーフである。
やがて小さな洞窟を発見するとゼノモーフはその中に入り、身を潜める事とした。
洞窟の中は暗く、ゼノモーフが気配を消して潜んでいる事と漆黒の身体と相まってパッと見では彼を発見する事は出来ず、もし仮に洞窟の中に他の参加者が迷い込んできたときは今まで自身や同族たちがやってきたように暗闇から奇襲し即座に命を奪うつもりでいた。
シュウウウウウウウッ
スコーチドは自身の身体の傷を認識した途端、先ほど出会った『ミト』という名前の人間から言われた言葉を思い出す。『化け物』と。
ふざけるな。その前にも自身が繭から出る直前、自身の額に消えない傷を付けた『ビヨン』という名の人間にも、パルスライフルで自身の命を奪おうとした『タイラー』という名の人間にも、実際にパルスライフルで自身の命を奪った『アンディ』という名のアンドロイドにも同じ言葉を言われた。
ビヨンとタイラーは殺した。だがアンディには未だ復讐を成し遂げられていない。当然先ほどの『ミト』という名の人間にも。
奴らに勝てるだけの力が欲しい。そう思いスコーチドは自身のリュックから自身に支給された注射器を取り出すとそれを自身に注射し、中の液体を使い切ったのを確認するとそれを捨てる。
ギッ ギィイイイイイイイイ!
その直後、スコーチドの身体がどんどん変化していき、彼は自身の身体の変化によって発生する苦痛に悶え苦しむがやがて変化が終わるとその身体は先ほどとは明らかに変化していた。
まず体は若干大型化、体つきも先ほどまでと比べると明らかに筋肉質となり、口の歯は人間に似た歯から肉食獣の牙のようなものに変化しているが、何よりも大きな変化はその両腕であった。
シュッ!
ゼノモーフが力を入れると両腕から伸縮式の鋭いブレードが飛び出し、力を入れると引っ込むようにブレードが収納される。
先ほどの注射器に入っていた液体の正体はとある世界の魔界の遊牧民族である『Tarkatan』の戦士である『バラカ』の血であり、その世界に住んでいた同族のフェイスハガーがバラカに卵を産み付け、そのバラカから誕生したチェストバスターが成長した『バラカ・エイリアン』と呼ばれる個体が存在しており、現在のスコーチドはその血液を自身に注射した事で彼の身体はその『バラカ・エイリアン』を疑似的に再現した状態となっていた。
スコーチドは自身の力が一回り上昇した事を実感する。これなら今度こそあの『ミト』という名の人間と再び戦っても負ける気はしない。
それにこの力があればこのバトルロワイヤルに優勝した後、元の世界に帰還し、あのアンドロイドに復讐する事も可能であろう。
勿論だからと言って慢心はしない。今まで通り奇襲戦法は可能な限り続けるつもりであるが正面対決でも負ける気はしなかった。
こうしてバトルロワイヤルの会場で一体の怪物が参加者を殺そうと動き出したのであった……。
【スコーチド・ゼノモーフ@エイリアン:ロムルス】
[状態]:健康、疲労(小)、ダメージ(小)、怒り(小)、胸に傷、バラカ・エイリアン化
[装備]:無し
「令呪」:残り三画
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本:他の参加者は皆殺しにする。特に自身に傷を付けた『ミト』という人間には絶対復讐する。
1:この力があれば最早負ける気はしない。
2:あのミトという名の人間には絶対復讐する。
3:元の世界に帰った際には自身を殺したアンディという名のアンドロイドにも復讐する。
[備考]
※映画終盤、アンディにパルスライフルで蜂の巣にされ死亡した後からの参戦です。
支給品紹介
【ミトの鎖鎌(半壊)@SAO プログレッシブ 冥き宵闇のスケルツォ(映画)】
ミトに支給。作中においてミトがゲーム内のお店で購入した武器で以降愛用している大鎌。『星なき夜のアリア』の時点ではただの大鎌であったが、『冥き宵闇のスケルツォ』で再登場した際には改良を加えたのか普通の大鎌として使用可能なほかに変形する事で鎖鎌として使うことも出来、鎖を射出したり振り回したりして先端の分銅を当てる事で敵を攻撃する事も可能。当ロワでは鎌の刃部分がゼノモーフの強酸性体液で溶けてしまったため、柄の部分と鎖と分銅を使った攻撃しか行えない。
【バラカの血液@モータルコンバットシリーズ】
スコーチド・ゼノモーフに支給。魔界(アウトワールド)の遊牧民族である『Tarkatan』の戦士であるバラカの血液とその血液が納められた注射器のセットで注射器を自身に刺し、中の血液を注入することが出来る。モータルコンバットの世界においてバラカにフェイスハガーが卵を産み付け、その後そのバラカから誕生したチェストバスターが成長した『バラカ・エイリアン』と呼ばれる個体が存在しており、この血液を使う事でそのバラカ・エイリアンを疑似的に再現することが出来る。
投下終了です。タイトルは書いていませんでしたが、
タイトルは『ロムルスとスケルツォ』で作者名は『◆A1Sj87dFpOM』です。
どうかよろしくお願いします。
投下します
とある公園に、二人の男がいた。
片方の男は、白衣の下に水泳用パンツ1枚というエキセントリックな服装をしていた。
一見すると……いや、どう見ても変質者だ。
だがその鍛え上げられた腹筋と、険しい表情は、彼が単なる異常者でないことを示していた。
男の視線の先には、もう一人の男がいる。
こちらはパンツ1枚すら纏っていない、完全な全裸だ。
彼は、頭を抱え込むようにして地面にうずくまっていた。
「下手こいた〜!」
うずくまっていた男が、突然叫ぶ。
そこから彼は、徐々に体を起こしていった。
やがて男は、前傾姿勢で立ち上がる。
さらに、片方の拳を地面に向かって振り落としてはまた戻すという、謎の動きを始めた。
「竜王の〜話に〜適当に相槌打ってたら〜
レベル1になっちゃった!
でもそんなの関係ねえ! そんなの関係ねえ!
アイテムも全部没収だ!
でもそんなの関係ねえ! そんなの関係ねえ!
そんなの関係ねえ! そんなの関係ねえ!」
ひたすら、男は叫び続けた。
だが、それにもやがて終わりが来る。
絶叫と動作をやめた男に、もう一人の男が歩み寄る。
「どうだった、そろくん」
「はい! 吹っ切れました!
いい方法を教えてくれてありがとうございます、但馬さん!」
さわやかな笑顔で、全裸の男が言う。
彼の名は、「そろ」。
アレフガルドの地を竜王から救うべく冒険していた勇者である。
彼には、異様にせっかちという欠点があった。
ゆえに竜王と相対した際に彼は早く戦いたいあまり、適当に返事をしていた。
結果、竜王と手を組んだことになり、気がつけば全てを失っていたのだ。
「失ったものは、取り戻せばいい!
さっさとこの殺し合いを終わらせて、アレフガルドも救ってみせますよ!」
「そう、その意気だ! そんな君に、俺からプレゼントを渡そう!」
そう言って、但馬と呼ばれた男は自分の支給品の一つをそろに渡す。
それは、派手な色のブーメランパンツだった。
「さすがに、パンツははいた方がいい」
「そうですね!」
【勇者そろ@ドラゴンクエスト(FC版)】
状態:正常
服装:ビクトリーパンツ@ドラゴンクエストIX
装備:同上
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを潰し、アレフガルドに戻る
参戦時期:竜王の誘いに乗り、教えられた復活の呪文を使った直後
備考
※名前の元ネタは「ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとは なにごとだ!」の1主人公です。
【但馬鉄男@仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク】
状態:正常
服装:白衣と海パン
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを打破する
1:若い頃の宝太郎と合流を目指す
参戦時期:ストーリー終了後
【支給品解説】
・ビクトリーパンツ@ドラゴンクエストIX
男性専用の下半身防具。
装備すると攻撃魔力と回復魔力が若干上昇。
なぜか氷属性への耐性もつく。
投下終了です
投下します
ある所に血の因縁に結ばれた二人がいた。
片方は理不尽な世界に傷ついた復讐者で、片方は理不尽な世界で己が儘に生きる者であった。
そんな二人はクルーゼの気まぐれか、招かれた真贋入り混じるバトルロワイヤルで真逆の力を与えられた。
そして下した結論もまた、似て非なる物であった。
「復讐のために……」
「私の愛のために……」
「「羂索(ケンジャク)たちを殺す!」」
【マリオ・ディゼル@コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズ】
状態:正常
服装:私服
装備:ストライクノワールガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜2、ホットライン
思考
基本:ブリタニアの権化たる羂索たちを倒す。
01:民間人は可能な限り守りたい。
02:黒の騎士団やコノエナイツも呼ばれているのか?
03:羂索のあれはなんだ?ギアスではないようだが……。
参戦時期:少なくともナナリー新総督が着任した後
備考
※カーリーとは離れた場所からのスタートです。
【カーリー・ディゼル@コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズ】
状態:正常
服装:いつもの服装
装備:インパルスガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜2、ホットライン
思考
基本:いつも通り好きに暴れる。
01:もしあの子(妹の子)が居るなら自分の物にする。
02:ケンジャクやカヤバとかいうイレヴンどもやクルーゼとか言う猿は殺す。
03:ケンジャクたちが集めた豚も殺す。
参戦時期:少なくともナナリー新総督が着任した後
備考
※マリオとは離れた場所からのスタートです。
【支給品解説】
・ストライクノワールガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER
…マリオ・ディゼル@コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズに支給。
アクタイオン・プロジェクトにより再生産されたストライクガンダムの発展期、ストライクEにノワールストライカーを装備させた機体。
VPS装甲が黒く発光するためノワールの名を冠している。
万能な全領域仕様で頭部対空防御機関砲、ビームライフル、アンカーランチャー、対艦刀フラガラッハ3、2連奏リニアガンなどを使用する。
・インパルスガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY
…カーリー・ディゼル@コードギアス反逆のルルーシュ ロストストーリーズに支給。
ユニウス条約後にザフトがセカンドステージシリーズとして開発した機体のうち一つ。
コアスプレンダーを中心とする分離合体機構を持つが、パワードスーツ化している都合上、装着時に形態を選択し使用する形になる。
武装はシルエット無しorフォースの場合、胸部機関砲、対装甲ナイフ、高エネルギービームライフル、起動防御盾。
ソードではレーザー対艦刀、フラッシュエッジビームブーメラン。
ブラストでは高エネルギー長射程ビーム砲、超高層初速レール砲、4連装ミサイルランチャー、ビームジャベリンである。
他にも理論上可能な形態はあるが、どうやらシン・アスカが正史で使った者しか使えないようにされているようである。
投下終了です。
タイトルは 手にした者が“それ”を操る。 です
投下します。
タイトルは「既製品(レディメイド)な今日を脱ぎ捨てて」です。
「わあああっ!たーすーけーてー!!」
殺し合いの会場に解き放たれた満艦飾マコは、目を「><」の形にして必死に叫びながら逃げていた。
一目散に逃げ惑うマコに、ゆらりと巨大な影が差し込む。
周辺の地面を鳴らしながらマコを甚振るようにゆったりとした動作で彼女を追う、"太古の魔竜"《リメインズ・ドラゴン》だ。
本来は遺跡にしか存在しないと言われるこのドラゴンは、NPCとしてこの会場で召喚された存在だ。
しかしNPCとは言っても、ピンからキリまでの強さを持つNPCの中では所謂ボス枠とも言える強さを誇るモンスターだった。
「ひぃ〜!」
マコが進もうとした場所にドラゴンの前足が踏まれる。
「ひぇ〜っ!!」
マコが方向転換するとさらにその先にもドラゴンのもう片方の前足が待ち構えていた。
「わわっ……」
ドラゴンはその縦に割れた目でマコを凝視する。
カエルを睨んだ蛇のように、「これからお前を食らう」と言わんばかりの威圧感でマコを見下ろしてくる。
「わ、私食べてもおいしくないよ!?無星生徒だし、普段はスラム街に住んでるし、もしかしたらゴミみたいな味がするかもしれないし毒が入ってるかも!だから私を食べたらドラゴンさん死んじゃうかも!」
「……」
マコははきはきと身振り手振りを交えてドラゴンに主張する。
途中、どこから取り出したのかゴミ箱を被ったりドクロの仮面を被ったり自分の首を絞めた後に死体の演技をしたりして、非常にオーバーなアクションでドラゴンに伝えようとする。
が、ドラゴンは言葉が通じていないのか動じていなかった。
マコの破天荒な様子に困惑するそぶりも見せず、前足の爪でマコを引き裂こうする。
「わあああっ!流子ちゃあああんっ!」
「待てぇっ!」
マコがその場に蹲りそのまま命が刈り取られるかという刹那、何者かが高い崖の上に現れて辺りに響く大声でドラゴンの動きを止める。
マコとドラゴンがそいつを見ると、そこには赤髪の青年が立っていた。
「たとえ殺し合いの中だとしても、誰かが死ぬのは許せないぜ!」
赤髪の青年は、懐から絆創膏らしきものを取り出すと、手首に嵌めている腕輪にセットする。
「絆装チェンジ!」
『ぺっTURN!!』
青年はまるで特撮のヒーローであるかのようにポーズを取りながら叫び声を上げる。
「わぁ……っ」
マコは感嘆の声を上げながらその様子を見守っていた。
「…………」
「…………」
しかし、何も起こらなかった。
「……アレ?絆装チェンジ!絆装チェ〜ンジ!」
青年は困惑しながらも何度も絆創膏を腕輪に付けなおして叫んでいるが効果はない。
「ハッ!そうか、ここが異世界って考えると絆エネルギーが無あああああっ!?」
そうこうしているうちにドラゴンは青年のいた崖を攻撃する。
青年はどうにか避けるが、マコがいる場所にちょうど落ちてきた。
「あのっ、さっき何しようとしてたんですか!?すごくないけどすごい!」
「その言い方やめて欲しいんだぜ!?」
「「――あ」」
青年にマコが駆け寄った時には、既にドラゴンは2人に狙いを定めていた。
「ひぇ〜〜〜っ!逃げる人数が増えるだけだったよ〜!」
「今はそうするしかないみたいだぜ!」
そして先ほどのように、マコは青年と並走しながらドラゴンから再び逃げ始めた。
「あ、私満艦飾マコっていいます!本能字学園2年甲組です!」
マコはドラゴンから逃げながら青年に自己紹介を始める。
マコが名乗った瞬間、背後にはドン!と言う音と共に赤い太字と共に名前がデカデカと現れる。
「なら俺も!俺は浅垣灯悟!気軽にレッドって呼んでくれ!――って何だその文字!?付いてきててなんか怖いんだぜ!?」
「へ、文字?……ホントだ!?なんか付いてきてる!」
「気づいてなかったんだぜ!?」
「それより、レッドさんってさっきまるで特撮ヒーローみたいなことしてましたよね?俳優さんなんですか!?」
「いや、確かに異世界に来る前はキズナファイブのキズナレッドとしてゼツエンダーと戦っていたが今は冒険者だぜ!」
「本当にヒーローだったんですか!?すごい!でも異世界ってことはこの世界ですよね!?ここってそういう仕事につけるんですか!?」
「いや、そういうことじゃないっていうかここは皆にとっての異世界であって俺の異世界じゃないんだぜ!」
「ということはここは皆の異世界であってレッドさんにとっての異世界は元の世界で……うん、ワケが分からないです!」
「マコ、危ない!」
灯悟とマコが逃げながら話しているとドラゴンが大口を開けて炎のブレスを吐いてくる。
「ぐわああああっ!」
ブレスが着弾すると共に爆発が起こり、2人は吹き飛ばされる。
「あわわわわ……!」
「くっ、やっぱり逃げることはできないか……。ここで戦うしかないみたいだぜ」
「えぇ、アレと戦うんですか!?どうやって!?」
マコの言う通りだ。ドラゴンと戦うにしても、今の灯悟は誰とも絆を結んでいない上に互いのことを碌に知っていない。
それゆえに変身に必要な絆エネルギーがなく、生身で戦わざるを得ないのだ。
(どうする……?)
「あっ!」
灯悟がドラゴンと対峙していると、彼の背後でマコが驚きの声を上げる。
「何かあったんだぜ!?」
「鮮血ちゃん!」
なんと吹き飛ばされた拍子にマコのリュックから零れ落ちた支給品の中に、紺色のセーラー服が紛れ込んでいたのだ。
マコが鮮血と呼ぶセーラー服は一言で言えばどこか目を大きく開いた口があるかのような見た目だった。
襟の下にある装飾が眼帯と目に見えなくもない。
「大丈夫!?しっかりして鮮血ちゃん!」
「うおっ!?急に服が動いたんだぜ!?」
マコが鮮血を洗濯物を乾かすようにバタバタと振っていると、鮮血が突然動き出し、擦りむいて血のにじんでいたマコの膝にぴたりと布面をつけたのだ。
鮮血は「神衣」と呼ばれる生命繊維で編まれた、言わば「生きた服」だ。本来は纏流子の相棒、もとい専用の服であった鮮血であったが、殺し合いに巻き込まれたことで鮮血は支給品としてマコのリュックに紛れ込んでいたのだ。
むしろこれは鮮血にとっては幸運とも言えることだっただろう。流子の親友とも言える、マコに支給されていたのだから。
「よかったぁ、生きてた!」
『む……ここは……そうか、私達は……』
意識を覚醒させた鮮血は、辺りをキョロキョロを見渡した後にマコを見上げ、そして目を見開く。
『マコ……お前まで来ていたのか!ということはまさか流子も……!』
鮮血はマコが殺し合いの場にいることに愕然とすると共に、今ここにはいない自分を着こなしてくれる相棒の身を案じる。
「マコ、この服は?」
「この子は鮮血ちゃん!私の友達に流子ちゃんって子がいるんだけど流子ちゃんがブシュッてやったらボンッキュッボンッてなってバーン!ってなるの!」
「なるほど、詳しくは分からないけど分かるぜ!つまり絆装プレートと同じで変身できるんだな!」
『伝わった!?……いや待て。二人とも危ない!』
マコの自分の身体を絞り上げたりセーラー服をめくりあげて変身後の流子を表現するアクロバティックな説明で伝わったことに驚くが、直後に二人目がけてドラゴンの爪が振り下ろされてくる。
だが、鮮血に引っ張られたレッドが寸でのところで気づき、マコと鮮血を抱えてその場を脱したため事なきを得る。
「はぁ〜危なかったー。ありがとうレッドさん!」
「いや、鮮血が気づいてくれなかったら俺も危なかったぜ」
『なんなんだあの竜は?そしてこの男は何者だ?』
鮮血がマコに聞くも、マコはそれに応える気配がない。
なぜなら、服である鮮血の言葉は流子以外には届かないからだ。
「あいつは確か、リメインズ・ドラゴンってドラゴンだ。そして俺の名前は浅垣灯悟!」
『そうか、お前がマコを助けてくれたのか。――ん?』
鮮血は僅かに違和感を覚えると、ハッとして灯悟を見上げる。
先ほど灯悟はしっかりと鮮血の問いに対して答えてくれたからだ。
『待て、私の声が分かるのか!?』
「ああ、まさかとは思ったけど服が喋れたなんてな!」
鮮血が驚きの声を上げると、耳に届いたのを示すように灯悟は頷く。
「えっ、レッドさん鮮血ちゃんと話せるんだ!?すごいよ!流子ちゃんしか話せてなかったのに!」
「キズナリンガルチューナーのおかげだな!」
キズナリンガルチューナーとは、相手の言語を翻訳してくれるキズナブレスの機能だ。
本来、鮮血は同じく「人でも服でもない」流子としか話が通じなかったが、キズナリンガルチューナーによって灯悟との会話を行えるようになっていた。
『ま、まさか流子以外の人と話せる日が来るとは……!』
「感動するのは後だぜ!今はこいつをどうにかしないと!」
レッド達の前にいるドラゴンは、鮮血が感銘を覚える暇も与えてはくれない。
ドラゴンを見ると、大口を開けて高温のブレスを吐こうとしていた。
「マコは隠れていてくれ!俺と鮮血でどうにかしてみるぜ!」
「了解しましたっ!」
マコはビシッと敬礼すると、そそくさとその場を離れた。
その場には灯悟と鮮血のみが残される。
『その表情……どうやら考えていることは一緒のようだな』
『ああ!今はキズナレッドには訳あって変身できない……それなら鮮血、お前の力を借りるしかなさそうだぜ!』
『羂索の言っていたことに加え、言葉が通じるならあるいはと思っていたが……一か八か、やってみよう。変身するにあたってお前の血を分けてもらうが、それでもいいか?』
「構わないぜ!」
『ならば話は早い!』
同意を取ると、鮮血は灯悟に飛びかかり、灯悟の着ている服と入れ替わるようにその服装は鮮血になる。
『こちらから合わせる。心の奥に浮かんだ言葉を口にしてみてくれ!』
「分かったぜ!」
鮮血が灯悟から血を得ると、灯悟の纏っていた鮮血が膨張し、変形していく。
そしてその服装は、四肢と肩のアーマーを除けばかろうじて胸と股間を隠したような極端に露出度の高い姿へと変貌していく。
締め付けるような感覚を覚えながらも、変身した灯悟は叫ぶ。
「人衣絆創――」
「――神衣鮮血!!!!!」
.
灯悟は確かな手ごたえを感じていた。
鮮血が着用者に与えるパワーは想像以上だった。身体中に力が満ちてくる感じがする。
この勢いでドラゴンを倒そう、そう意気込んで動き出そうとするが、突如違和感に襲われる。
「なん、だ……?」
身体が、動かない。
まるで全身が石になったかのように凍り付いて、ビクともしないのだ。
「なんで、……動けないんだ……?」
『すまない、灯悟。私の見立てが甘かった。悪い知らせが二つある。一つは私が着られたことで分かったのだが、着用者にはキズナリンガルとやらがなくとも会話が通じること』
「もう一つは……?」
『それはだな……』
肩のアーマー部分に象られている鮮血の目が、人衣絆奏で変身した灯悟の身体を見下ろす。
『いくら支給品使用の敷居が下げられていたとしても、性別の壁は越えられなかったことだ……!』
「つまり、どういうことなんだぜ……?」
『男に、セーラー服は似合わない!』
当たり前だ。明らかに、着こなせていない。
鮮血を着用した灯悟は、もはや変質者とも言えるような格好をしていた。
男らしい引き締まった筋肉がサスペンダーの下に晒され、スカートの下からはわずかにモッコリが確認できる。
いくらキズナレッドに変身できないとはいえ、いくら支給品が使いやすくなったとはいえ、鮮血を着こなさなければ神衣を身に纏う資格は得られないのだ。
「『ぐわああああああっ!!』」
ドラゴンの炎のブレスの圧に、灯悟と鮮血は吹き飛ばされてしまう。
同時に人衣絆奏は解除され、下着姿の灯悟と鮮血がちょうど岩陰に隠れていたマコの元へと転がってきた。
「あ、二人ともおかえりー。って、えぇっ!?どうしたのその傷!?あっ、あのドラゴンまだ倒されてない!どうしようどうしよう!」
「すまねぇ、マコ。実は……」
灯悟は先ほどの経緯をマコに話す。
「確かに!男の人がセーラー服着てたらただの変態だよ!」
「ハッキリと言わないで欲しいんだぜ!?」
「こうなったら……私が鮮血ちゃんを着てあいつと戦うしかない!」
「『待て、マコ!』」
キリっとした表情になって立ち上がったマコを、鮮血と鮮血の言葉を通訳する灯悟が引き留める。
「『確かにお前は私や流子の心の支えになってくれる心強い親友だ。だが神衣の負荷に耐えられるかどうかは分からない。幸い灯悟はあの鬼龍院皐月にも劣らぬ強い肉体と精神を持っていたから負荷自体には耐えられたが、流子のことを思うとその選択肢は取りたくない』」
「そんなの、やってみなくちゃ分からないよ!」
「『流子ですら一度は私の精神すらも蝕んで暴走してしまっている!神衣の負荷に呑まれたらどうなるか分からないぞ!』」
鮮血の言葉を通訳しながら、灯悟は感じる。
そこには鮮血、マコ、そして鬼龍院皐月や纏流子という少女との、確かな”絆”を感じられた。
「それなら……レッドさんが女の子になるしかないね!」
「『……へ?』」
その時、マコから発せられた突拍子もない言葉に灯悟と鮮血は間の抜けた声が出る。
「男の人って股にちっちゃいゾウさんがついてるんでしょ?それならそれを取っちゃえば女の子だよ!」
「冗談じゃないんだぜ!!」
ゾウの着ぐるみを着ながらチョキチョキとハサミに変えた手を自身の首に宛がうアクションをしながら力説するマコに、灯悟は股間を庇いながら猛烈に拒絶する。
「それこそやってみなくちゃ分からないよ!大丈夫、去勢ならお父さんがやってたのを何回か見たから!」
「ポセイドンみたいなこと言わないでくれ!!『やってみる』な感じで試すことじゃないって!!」
『待て、マコ。そういえば私と共に出てきた支給品にちょうどいいのがあったぞ』
鮮血は、灯悟の下着を脱がそうと攻防を続けるマコを引っ張る。
鮮血が服の身体をどうにか動かしてマコのリュックからある支給品を取り出すと、灯悟とマコは攻防をやめて興味深そうにそれを見つめる。
「『ころころダンジョくん』……?」
『見たところ、これは撃たれた者の性別を変える効果があるらしい。使うと6時間使用不能だが、今の状況にはピッタリな支給品だろう』
それは、光線銃の見た目をした、撃たれた者の性別を変える効果があるとある星の王女の発明品だった。
これが元になってとある少年が少女にされてお色気満載の騒動が起こるのだが、灯悟もマコも鮮血も知らぬことだ。
「そうか、これならいけるかもしれないぜ……!マコ、遠慮はいらねぇ!それで俺を撃ってくれ!」
「分かりました!とりゃー!」
マコは灯悟に言われるがままに、光線銃を灯悟に向けて発射する。
すると、撃たれた灯悟の胸と尻のあたりがポン!という音を立てたと思うと、そこには可憐な美少女が立っていた。
「おおーっ!レッドさん!いやレッドちゃん!?」
「こ、これは……本当に女になってる……!」
灯悟は、豊満なバストに赤髪を肩まで伸ばした美少女に姿を変えていたのだ。
この時期の灯悟は知らぬことだが、その姿は正史でいずれ出会うキズナレッド・バースの一人、"浅垣灯子"に酷似していた。
『灯悟……これなら!』
「ああ、鮮血を着こなせるはずだぜ!」
性転換前より高くなった声で灯悟は叫ぶ。
「リベンジと行こうぜ!」
『応!』
灯悟と鮮血は再びドラゴンの前へと姿を現し、そして一つになる。
「人衣絆創――」
「――神衣鮮血!!!!!」
.
そこには先ほどとは打って変わって、完全に鮮血を着こなした灯悟の姿があった。
サスペンダーの下には女になった灯悟の豊満な胸がピッタリと収まり、セーラー服を過激にしたようなその戦闘形態は今の灯悟に実にマッチしていた。
それを象徴するかのように、灯悟の背後には過剰なほどに大きな文字で、「人衣絆奏」「神衣鮮血」という赤い文字がデカデカと映し出されていた。
「行くぜ、鮮血!鮮血疾風!」
灯悟がそう叫ぶと同時に両足にブースターが増設され、人衣絆奏した灯悟は空を舞う。
はたき落とそうとしてくるドラゴンの巨大な手を軽々と躱し、その胸を拳で穿った。
ドラゴンからは悲鳴とも取れる咆哮が上がり、ドラゴンは大きく怯む。
『私の見込みは間違いじゃなかったぞ、灯悟。お前は今私を着て、私はお前に着られている。だが流子とは少し違った心地よさを感じる』
「俺もだぜ、鮮血。お前と繋がった時、お前の周りで強く結びついた絆を感じたんだ」
『灯悟……』
鮮血を着た際に流れ込んでいた、鮮血の吸った血を介して流れ込んできた記憶。
纏流子、満艦飾マコ、鬼龍院皐月がそれまでに得た「なんだかよくわからないもの」。
だがそれは、不思議と孤独を感じさせない、とても温かくて心地のよいもの。
まるで絆がすぐそこにある時の安心感に似ていた。
「俺はこのバカげた殺し合いを開いた奴らを許さない。巻き込まれた人達が絆も何もかも失って死んでいくのをただ見ているだけなんて耐えられない。俺は誰かの、皆の、全ての人の絆を守りたいんだ」
『……私達が紡いできた「よくわからないもの」のことを、灯悟の世界ではきっと「絆」と呼ぶのだろうな。ますます気に入ったぞ、灯悟。私もそんな訳の分からない世界を満たす皆の「わからないもの」を、守りたい』
「だから今は、もう一つの「変身」もできるようになったぜ!!」
『ぺっTURN!!』
灯悟は鮮血を着たまま、腕にあるキズナブレスに絆装甲をセットする。
『まさか灯悟……私を着たままさらに変身するというのか!?』
「大丈夫だ、今度はこっちから合わせる番だぜ!」
「絆装チェンジ!」
「燃え盛る熱き友情の戦士!!」
「キズナレッド!!」
.
その瞬間、背後には「燃え盛る熱き友情の戦士キズナレッド」と書かれた文字がドン!と現れると共に、大爆発が起きた。
そして鮮血を着たまま変身した灯悟の姿は、胴体は鮮血のままで、肩から上と四肢をキズナレッドのものにしたような格好となり、両者の意匠を完全に共存させた姿になっていた。
『予想以上だ……まさか私以外の服を同時に着こなすとは……!』
「これは俺の力だけじゃない……!鮮血やマコの絆があったからこそできたことなんだぜ!」
『フッ……嬉しいことを言ってくれるじゃないか!』
「さあ、このまま畳み掛けるぜ!」
『ああ!』
キズナレッドとしての力と鮮血から授かった力を兼ね備えた灯悟は、怯んだドラゴンの巨体を軽々と持ち上げて空中に放り投げる。
「『バーニングアンビグアスパンチ!!』」
そして受け身も取れぬまま空に身を投げ出したドラゴンへ向かって突貫し、熱い炎を纏ったパンチで穿つ。
あまりに強力な力ゆえに、リメインズ・ドラゴンの巨体には大きな風穴が開けられ、力なく墜落して以降は動くことはなかった。
「俺達の絆の勝利だ!!」
『ベリーGOOD!!』
『よくやったぞ、灯悟!!』
§
「すごい!すごいよ!あんなでっかいドラゴン倒しちゃうなんて!レッドさんって本当にヒーローだったんだね!」
「何とかなってよかったぜ」
灯悟が変身を解除して、女体化した姿にセーラー服形態の鮮血という服装になると、マコが駆け寄ってくる。
一人の犠牲もなくこの場を切り抜けられたことに、灯悟も鮮血もホッとする。
「さて、これからどうするか――」
「それなら、やっぱり私達の知り合いを探しに行くべきだよ!流子ちゃんや皐月様、それにレッドさんの知り合いもいるかもしれないし!」
なんとなく呟いたレッドに、ずいっと食いかかるようにマコが言ってくる。
実際、灯悟もそうするつもりだった。イドラ、ロゥジー、テルティナにラーニヤといった仲間達も巻き込まれていないとは限らない。
(イドラ――)
その時、仲間のうちの一人であり、初めての冒険者仲間となった彼女の顔を脳裏に浮かべた瞬間、灯悟のうちに黒い感情が宿る。
イドラ。
異世界に来た灯悟にとって光になってくれた大切な人。
もしも、もしもの話だ。
自分の知らない場所で殺されてしまったら。何も守れないまま仲間達が死んでしまったら。灯悟が異世界で紡いだ絆が終わってしまったら。
その時に溢れ出る感情を灯悟はどうやって受け止めたらいいのだろう。
『……どうした、灯悟?何やら焦りや不安といった感情を感じたが……』
「……なんでもないぜ」
灯悟はマコや鮮血に心配をかけぬよう、その不安を覆い隠すのに必死だった。
「そうだ。俺のこの身体って6時間続くんだよな?流石にセーラー服を元に戻った時にまずいから、元着ていた服を回収しておきたいんだが……」
『その服なら、ドラゴンの炎によって燃え尽きてしまったぞ』
「なんだって!?」
灯悟が話題を変えようと振った話だったが、思わず聞いてしまった自分の服の末路に愕然とする。
そうなると、今の灯悟にはもはや鮮血以外に着る服がない。しばらくは鮮血を着て行動するしかなさそうだった。
「そうなったらレッドさんの服も探さないとだね!それじゃあ探し物を探しに、出発!」
意気揚々と歩き出すマコの背後を、足元がスースーするスカートの感覚に慣れないまま、女体化した灯悟が追っていった。
【浅垣灯悟@戦隊レッド 異世界で冒険者になる】
状態:女体化、ダメージ(中)、若干の火傷
服装:鮮血@キルラキル
装備:キズナブレス@戦隊レッド 異世界で冒険者になる
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:皆の絆を断とうとする主催陣営を倒し、殺し合いを止める
01:マコと共に行動する。
02:知り合いがいる場合は合流する。
03:男に戻った時のためにも違和感のない服を探す。
04:もし知り合いが自分の知らない場所で死んでしまった時は……
参戦時期:少なくともキズナレッド・バースとの交戦前
備考
※女体化した後の外見はキズナレッド・バースの一人である浅垣灯子と酷似しています。
※元着ていた服はドラゴンに燃やされました。
※女体化している時のみ、鮮血を装備できます。
【満艦飾マコ@キルラキル】
状態:膝に擦り傷
服装:セーラー服
装備:ころころダンジョくん@Toloveるダークネス
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:殺し合いなんて間違ってるよ!
01:レッドさんと共に行動する。
02:もし友達がいた場合は合流する。
03:レッドさん用の服を探す。
参戦時期:少なくともカバーズから救出された後
備考
※名乗った時などに背後に現れる文字は誰からも視認できます。
【支給品紹介】
【鮮血@キルラキル】
満艦飾マコに支給。
着た者に強大なパワーを与える、生命繊維が100%織り込まれた「神衣」の一つ。
服でありながら人間と変わらぬ意思を持っている。
原作では流子とのみ会話可能であったが、殺し合いでは彼を着た者は誰でも会話可能。
ただし、脱いでいる時は依然として流子やキズナブレスを装備した灯悟としか会話できない模様。
【ころころダンジョくん@Toloveるダークネス】
満艦飾マコに支給。
撃たれた者を強制的に性転換させる光線銃。
原作では主にリトに対して使用されていた。
この殺し合いでは性転換の持続時間は6時間で、その間は再使用が不能になる。
【キズナブレス+絆装甲@戦隊レッド 異世界で冒険者になる】
浅垣灯悟に本人支給。
絆創戦隊キズナファイブに変身する為の変身アイテム。
腕輪型アイテム、キズナブレスに絆創膏型アイテム、絆装甲(バンソウブレード)をセットする事で変身できる。
変身以外にもキズナワープやキズナリンガルチューナーなどの機能がある。
以上で投下を終了します。
投下します
殺し合いの会場のどこかで、低身長な一人の少女が、銃を抱えて疾走する。
迷彩服を身に纏い、銃を持ち疾走するその様は例えるならサバゲーのプレイヤー。
もっとも、その迷彩服の色が派手なピンクであることで、彼女が単なるサバゲープレイヤーでないことは明白だろうが。
彼女の名前はレン。もっとも、これは本名ではなくプレイヤーネーム。
レンはとある世界に存在するVRMMO、ガンゲイル・オンラインというゲームのプレイヤーだ。
そんな彼女がこの殺し合いにおいて最初に行ったことは、手早く装備を確認した後、素早く他の殺し合いに乗っていない参加者と合流を目指すべく走る事だった。
平凡に生きていたのならこの現状を悪趣味な演出か、何かのイベントを疑いそうなものだが、そんな甘い考えは彼女には無い。
彼女はこの殺し合いを、間違いなく現実だと認識していた。
なぜならレンは、否、彼女が住む世界の人間の誰もが知っているからだ。
ソードアート・オンライン事件という現実に起きたデスゲームを。その首謀者である茅場明彦という名前を。
そして、その茅場という名前が最初の場で聞こえた時点で、彼女世界の住人の誰もがこの殺し合いを現実と認識するのは必然だ。
だから彼女はパニックになりそうな自分を頑張って抑え、なるべく手早く行動したのだ。そうしないと死ぬと判断したために。
レンが確認し、装備しているのは彼女にとって幸運なことに、ガンゲイル・オンラインにて使い慣れた銃、P90だった。
もっとも、普段しているデザートピンクのカラーリングが為されていないのでこれが愛用と同じものではないことは明白である。
そしてもう一つは、ガンゲイル・オンラインには絶対に実装されないであろうアイテム。
装備するだけで持っている弾薬が減らなくなるチートアイテム、その名を無限バンダナといった。
これら二つの幸運を装備し、彼女は他の参加者と合流すべく疾走していた。
正直なところ、レンはこの状況を殺し合いと認識しながらも、理解できないことも多い。
仮面ライダーとは、バグスターウイルスとは何なのか。
ルルーシュと名乗った男が使った力はなんなのか。
そもそもどうして殺し合いをするのか、そしてなぜ自分も参加者にされたのか。
レンには何も分からない。そんなことを解き明かせるような人間でもない。
ただ一つ分かるのは、殺し合いに乗らない参加者は絶対いるということである。
なので、彼女はそんな参加者と合流を目指すことにした。
一人よりは複数の方がいい、それだけのことである。
こうしてレンの殺し合いが始まる。
彼女は主人公なれど英雄ではない。
戦う力はあれど戦士ではない。
それでも、彼女は戦わなければならない。
これが、殺し合いの定めなり。
【レン@ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン】
状態:正常
服装:デザートピンクの迷彩服
装備:P90@現実、無限バンダナ@メタルギアソリッドシリーズ
令呪:残り三画
道具:ランダム支給品×0〜1(確認済み)、ホットライン
思考
基本:生き残ることを優先
01:殺し合いに乗っていない参加者と合流したい
参戦時期:第一回スクワットジャム終了以降
備考
※GGOのシステム(バレット・サークル、バレット・ライン)は制限なく使用できます。
【支給品解説】
・P90@現実
レンに支給。
ベルギーのFN社が開発したPDW。
レンがGGOで愛用している銃である。現実出展なのでデザートピンクには塗られていない。
・無限バンダナ@メタルギアソリッドシリーズ
レンに支給。
古ぼけたバンダナで、縫い目に∞とある。
装備すると弾薬が減らなくなる。減らなくなるだけなので、最初から持っていない弾薬は使用できない。
投下終了です
投下します。
やっぱり奉仕の心を忘れたらいけない。われわれはお互いに奉仕しあっているんや。
ぼくは諸君に奉仕している。諸君もまたぼくに奉仕をしないといかんな。
お互いに仕えるということやな。仕えあうということが非常に大事や。これを忘れたらいけない。
その心持ちがなかったらあかんで。そういうものがお互いの絆をつなぐわけや。
それが人間の一つの姿や。そういうことがわからないと、具合悪いな。
松下幸之助
「た、た、た、大変なことに巻き込まれちゃったぞ!?」
「どうしよう!?どうしよう!?……そうだ!タイムマシンでこのゲームが開始される前に戻って、タイムパトロールに通報してあの羂索 って女性の人を逮捕すれば!」
「って、ボクのポケットがない!!!???」
この異常事態に狼狽する青だぬき……ではなく、ネコ型ロボット。
名はドラえもん。
22世紀のネコ型ロボット。
つまり、a■boやA■■MOや先■者とは桁違いの機能を有するロボットである。
しかし、この殺し合いの場で慌てふためく彼の姿からとても、そうは見えないのが悲しい現実。
「落ち着いてください。ドラえもんさん!」
「わっ!?……ごめん、遙ちゃん」
ドラえもんは少女の叱責に我に帰ると頭を下げる。
少女の名は深見遙。
エフィカス学園の中等部に在籍するJC.
だが、遙はただのJCにあらず。
天才少女と呼ばれる才女である。
そして、本来なら春から飛び級をして愛する先輩と同じ教室で学びを過ごすはずだった。
「それにしても、遙ちゃん。やけに落ち着いているね。こんな状況なのに」
「勿論、遙も不安です。でも……ドラえもんさんの四次元ポケットを奪うということは、あちらにとっても都合が悪いと言う証です」
もし、羂索たちがこのゲームに絶対の自信をもっているなら、そのようなことはしない。
故に天才的な頭脳を持つ遙は希望を捨ててない。
「ボクの未来の道具が……?」
「はいです。ウイルスには必ずワクチンがセットになっています」
遙はレジスターを指さす。
レジスターにはバグスターウイルスを押さえる鎮痛剤がある。
つまり、”薬”をつくることはできる。
ドラえもんのもつ未来の道具ならあるいは。
「このレジスターと鎮痛剤について解析できれば、道は開きます」
「凄いわ〜。遙ちゃんは、とっても頭がいいのね。……うん。やっぱり私ができることは、ここでも変わらないわ」
「まかせて。ドラちゃんと遙ちゃんは、必ず私が守るから」
2人のやり取りをニコニコと見ていた少女はケツイする。
自分のやるべきことに。
少女の名は編木ささら。
リドゥから現実へ帰る帰宅部の一員。
「さららさんだけ、危険な目に合わせるわけにはいかないです」
「うん、そうだよ。3人で協力しよう。3人寄れば文殊の知恵っていうし……ね、ささらちゃん」
さららの自己犠牲に近いケツイに遙とドラえもんは難色の色を隠せない。
「ううん。いいのよ……私は、頭はよくないから。生き残るならあなたたち2人よ」
それは、強い強いケツイ。
「命より大事なものなんてないんだから」
ささらは知ってしまった。
リドゥへ迷い込む前の自分を。
既に自分は満たされた。
なら、自分よりも未来ある子たちの現実……命を優先にすべき。
命は平等だと理解している。
しかし、自分の判断は間違ってないとささらは確信している。
ただ”順番”の話。
それは、編木ささらの現実(じごく)
【ドラえもん@ドラえもん】
状態:正常、
服装:なし
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:殺し合いにはのらない、なんとかして四次元ポケットを回収する
01:深見遙、編木ささらと行動を共にする。
02:のび太君たちは……巻き込まれていないよね?
参戦時期:いくつかの大長編を経験した後(少なくともドラビアンナイトは経験済み)
備考
※四次元ポケットは主催側によって没収されています。
※少なくともドラビアンナイトは大長編(映画)を経験しています。
【深見遙@エフィカス この想いを君に…】
状態:正常、
服装:エフィカス学園中等部の制服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:殺し合いにはのらない、バグスターウイルスを解明する
01:ドラえもん、編木さららと行動を共にする。
02:レジスターとバグスターウイルスを解析する
03:先輩……遙は負けません!
04:柊子お姉ちゃん……恵お姉ちゃん……いませんよね?
参戦時期:遙とのED後
備考
※未来の道具が解決に繋がるのではと推測しています。
【編木ささら@Caligula2 】
状態:正常、二人(ドラえもんと遙)を守るケツイ(大)
服装:リドゥでの学生服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:殺し合いにはのらない、バグスターウイルスを解明する
01:ドラえもん、深見遙と行動を共にする。
02:2人を最優先に守る
03:部長ちゃんや他の皆もいるのかしら……?
参戦時期:エピメテウスの塔へ突入するより前
備考
※本編中、まだささらエピソードは最後まで終わっていない状況です。
投下終了します。
投下します
「殺し合いをゲーム扱いか。まるでゲンム見たいな奴だな……」
そう呟く男――花家大我は苛立っていた。
大我は態度こそ悪いが、医者だ。
目の前でバグスターウイルスによって人が死んだ。
それは医者としても仮面ライダーとしても、許し難い行為であり。
同時に、何も出来なかった自分の無力さに苛立ちすら覚える。
「わざわざこんなクソゲー開いて俺を呼ぶなんて良い根性してるじゃねぇか」
バグスターウイルスやエグゼイドを知ってるということは共に戦った仮面ライダースナイプ――花家大我のことも認知しているはずだ。
どうして自分やエグゼイドのことを知っているのか――そんなことはわからない。
だがこんな場所に呼び出されたならば、やることは1つ。
花家大我はその態度とは裏腹に、根は心優しい人物だ。
目の前で人が殺され、殺し合いをゲームだなんて呼ぶ男を見て。
バグスターウイルスを投与するような卑劣な輩を見て、何も思わないわけがない。
あの羂索という女のふざけた態度。
殺し合いをゲームだなんて呼ぶふざけた倫理観。
まるで仮面ライダーゲンム――檀黎斗を見ているようだった。
檀黎斗とは共闘した経験もあるが、彼の行為は決して許していない。
これは仮面ライダーエグゼイド――宝生永夢や仮面ライダーブレイブ――鏡飛彩も同じ考えだろう。
そしてエグゼイドを名指ししたということは、きっと彼らも呼ばれているのだろう。
自分達を敵に回したことが何を意味するのか――思い知らせてやる必要がある。
「こんなふざけたクソゲーは俺が――いや、俺達がぶっ潰す!」
俺達――それは宝生永夢や鏡飛彩のことを含めての言葉だ。
昔の花家大我は他人を危険に巻き込まないためにたった一人で突っ走っていたが――今は違う。
今の大我には仲間がいる。共に戦った、頼れる仲間たちが。
「ガッチャだかなんだか知らねえが――俺やエグゼイド達を巻き込んだことを、後悔させてやるよ」
昔はエグゼイドの身を案じてガシャットを奪おうとしていた花家大我だが、今では彼を仲間だと思っている。
だからかその〝俺達〟だ。
きっとエグゼイドもブレイブも――自分と同じ道を選ぶだろう。
「話は全て聞こえましたよ!その計画――私も手伝ってあげましょう!」
怒りで頭に血が上って気が付かなかったが――いつの間にか眼帯を付けた少女が近くに居た。
「誰だ?お前」
「ふふふ……よくぞ聞いてくれました!」
こんな場所に呼び出されたというのに。
殺し合いに強制参加され、バグスターウイルスを投与されたこの危機的な状況で――少女は何故か嬉しそうだった。
「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法〈爆裂魔法〉を操りし者!」
堂々と胸を張ってドヤっと言いたげにする頭のおかしい少女を見て、花家大我は心底呆れた。
「アークウィザード?爆裂魔法?何言ってんだ、お前。それにめぐみんなんてわけのわからねえ名前があるわけねえだろ」
苗字がないだけでもおかしいのに、めぐみんなんていうあだ名のような名前を名乗られて、呆れるしかない。
たしかにファンタジー風の服装だが、大我の世界に魔法なんてない。
だから頭がおかしい少女と遭遇した――と思ったが、この殺し合いに呼ばれた時のことをふと思い出す。
頭蓋の上半分を持ち上げ、メロンパンのような脳味噌を見せてきた羂索とかいう女。
そいつにルルーシュとかいう少年が「死ね」と命じるも何も起こらなかったが――堀北とかいう少女の一人称と二人称を変えた瞬間を、大我はたしかに見た。
アレはどう見ても演技じゃないし、羂索の方はもはや人間ですらない。
あんな化け物やアニメや漫画に出てきそうな異能としか呼びようがない輩がいるのなら――この一見、頭がおかしいとしか思えない少女――めぐみんが魔法使い――アークウィザードというのは本当かもしれない
まあめぐみんとかいうあだ名としか思えない名前を名乗ってるし、この状況でも何やら嬉しそうに格好付けてるところを見ると、やっぱり頭がおかしいとしか思えないが。
「人に名前を聞いておいて、その反応はなんですか!こんな格好良く名乗ったのに失礼にも程がありますよ!」
「あの羂索とかいう奴は世界世界言ってたな。……そこから察するに、お前は俺とは別世界ってことか。魔法なんて俺の世界にはなかった。めぐみんなんて名前もな」
大我はゲーム開始の時点で得た情報から自分なりに考察し、めぐみんは異世界出身者だと察した。
「ほう。だからそんな反応になったのですか。それならしょうがないですね、許してあげましょう!」
「そういうことだ。それで、爆裂魔法っていうのはどういう魔法なんだ?そんなに自慢げに語るなら、俺に見せてみろ」
最強の攻撃魔法とめぐみんは言ってたが、実際見てみないとわからない。
「最強の魔法であり、最高のロマンです!普段なら喜んで見せていたところですが……大量の魔力を使うので一度使うとしばらく動けなくなるという欠点があります。この殺し合いでは安易に使えません。それに……」
「それに?」
「この殺し合いでは令呪というものを使わなければ全力が出せません。きっと令呪無しで爆裂魔法を使っても、本来の火力より劣ると思います」
残念そうに語るめぐみん。
めぐみんはこう見えて、カズマのパーティーではまだ常識がある方だ。
それに学園では成績もトップを誇っていた。ゆえに羂索の説明をよく理解していた。自分にどんな制限が課せられているかも。
何故なら、めぐみんには爆裂魔法というロマンしかないから。
その代わりその火力は途轍もない。制限されていると考えるのが妥当である。
「なら他の魔法を見せてみろ。アークウィザードなんだろ?」
「それは無理ですね」
「なんでだ?」
本当に魔法使いなら。
アークウィザードならば色々な魔法が使えるはずだと考える大我は、めぐみんが拒否してきたことを疑問に思う
「俺と一緒にこのクソゲーをぶっ潰すなら、その実力を見せてみろ。どんな魔法が使えるか知っといた方が攻略に役立つからな」
本当の魔法使いならたしかに手を組んで協力プレイするのも悪くない。
だが魔法を見せてくれなきゃ実力が未知数だし、自称魔法使いのただの頭がおかしい電波女……いや、見た目や言動からして中二病か。
もしもただの中二病の一般人なら大我にとっては守る対象だ。まあ魔法使いだとしても、実力や使える魔法次第では守る対象であり、協力プレイをするつもりはない。
医者であり、仮面ライダーであるからこそ余計な犠牲は出したくない。犠牲になるならば、自分でいい。花家大我とはそういう男だ。
そこら辺はめぐみんがどれだけ実力者でも変わらないだろう。協力プレイはするが、いざとなれば――自分が犠牲になる。
牧や小姫のような悲劇は、もう懲り懲りだ。
「私には爆裂魔法以外ないからです!スキルポイントの全てを爆裂魔法に注ぎ込んできました!」
「……やっぱりお前、頭のおかしい奴だな」
めぐみんの回答を聞き、呆れ果てる大我。
彼女が言いたいことはつまり、爆裂魔法しか使えないということだろう。で、その肝心の爆裂魔法は魔力を大量に消耗するから使えばしばらく動けなくなるという多大なデメリット付き。だから不用意に発動出来ず、大我の前ではまだ使う気がない
大我からしたらめぐみんが本当にアークウィザードかどうか確認する手段がなく、彼女がただの自称魔法使いの痛々しい少女だという可能性が浮上してきた。爆裂魔法というものがどんな魔法かわからないし、そもそも存在するかも……使えるかもわからない。
殺し合いをぶっ潰すという心意気は立派だが、ただの一般人を巻き込みたくないというのが大我の本音。つまり彼女は、守るべき存在だ。
「初対面の相手に向かって頭がおかしいとは失礼ですね!だいたいあなたはさっきから偉そうに質問攻めしてきますがどんな名前で、どんな事が出来るのですか!」
「花家大我。仮面ライダースナイプだ」
「仮面ライダースナイプ?なんですか、それ」
「証拠を見せてやるよ。お前と違って頭がおかしいわけじゃないからな。第伍拾戦術……変身!」
悪態を付きながらも大我はゲーマドライバーを巻き、ガシャットギア デュアルβを使用する。
「おお、これは……!なかなかカッコいいじゃないですか、タイガ!」
目をキラキラと輝かせ、仮面ライダースナイプ シミュレーションゲーマー レベル50に変身した大我に惜しみなく称賛するめぐみん。
「これが仮面ライダースナイプ シミュレーションゲーマー レベル50だ」
「仮面ライダー……そういえばケンジャクも仮面ライダーとか言ってましたね」
「仮面ライダーガッチャードか。エグゼイドの後輩らしいが、俺の知らない存在だ。いったい何がどうなってやがる」
宝生永夢の性格的に仮面ライダーの後輩が出来たら花家大我に教えてもおかしくないはず。
だが大我は一言もそんなことを聞いてないし、ガッチャードなんて知らない。そもそもガッチャードと呼ばれていた青年は錬金術師なんて空想上の言葉を口にしていたのだから余計にわけがわからない。
「タイガはエグゼイドの方は知ってるのですか?」
「知ってるも何も、俺はエグゼイド達と協力プレイしてバグスター達と戦った。だからこんなクソゲーに呼ばれたんだろうな」
バグスターウイルスに、ゲームエリアに、エナジーアイテム。これらを全て熟知しているエグゼイド達を呼ぶのはいい根性してるが、だからこそ自分も呼ばれたのだろうと大我は考察する。
主催者達はよっぽど自分達が倒されない自信があるのだろう。エグゼイド世界の仮面ライダーを呼べば参加者に対して彼らからバグスターウイルスやゲームエリア、エナジーアイテムの説明を受けやすい。それを狙っているのか、はたまた違う狙いがあるのか。
理由はよくわからないが、エグゼイドの名前を出した以上、自分達の世界が重要であることに違いはないだろう――と花家大我は考える。
(バグスターウイルスを自由に感染させる手段は……どうせ裏でゲンムの奴が何か企んでるんだろうな。こんなクソゲー、あいつも絡んでるに違いない)
大我は羂索が名前を出していた茅場、クルーゼ以外にも仮面ライダーゲンム――檀黎斗がこの殺し合いの裏に潜んでいる可能性を考える。
そもそもこんな殺し合い、檀黎斗が考えそうなことだし、プレイヤーにバグスターウイルスを投与したのなら、彼の可能性が高い
「おい、めぐみん。この殺し合い……羂索やあいつが名前を出してた茅場とクルーゼ以外にも裏に潜んでる奴がいる可能性がある。それが仮面ライダーゲンム――檀黎斗だ」
「ダン・クロト……。タイガの知り合いですか?」
「ああ。あいつはこれまで散々、暗躍してきた。俺の友人もあいつのせいで……。それにゲンムが絡んでるならバグスターウイルスがこのクソゲーに利用されてるのも納得がいく」
変身を解除し、めぐみんに説明する大我。
「なるほど。まあ誰が敵でも、私の爆裂魔法でぶっ倒してやりましょう!」
「お前は後ろで俺が戦ってるのを見てろ。戦うのは俺一人で十分だ」
めぐみんの実力は大我からしたら未知数。……というか一般人の可能性もある。
それに花家大我は元々、こういう性格だ。
めぐみんは何か言い返してやりたい気分になり、リュックを漁る
「たしかに私は爆裂魔法しか使えないので、普段は戦えません。でも今は、これがあります!」
「なんだ、それ」
めぐみんがリュックから取り出したもの――それはのアンダーワールドの英雄、キリトが使用していた漆黒の剣だ。
そのカッコよさに見惚れながら、めぐみんは答える。
この剣の名、それは――
「夜空の剣です!私はアークウィザードですが、ソードスキルを使えばこの剣で戦えます!バーチカル・スクエア!」
そう言うと自然とめぐみんの体が動き、バーチカル・スクエアを放つ。
「これが羂索の言ってたソードスキルってやつか……」
素人とは思えない華麗な四連撃に、思わず目を見開く大我。
そんな大我にめぐみんはドヤ顔する。
「どうですか?カッコいいでしょう!ヴォーパルストライク!」
めぐみんの華奢な肉体からは想像出来ないほど、力強い突き技が放たれる。
ソードスキルの凄まじさに流石の大我も驚くしかない。
だが――
「お前は剣士じゃなくてアークウィザードだろ。戦いは基本的に俺に任せろ」
花家大我は譲らない。
こんな少女に前線で戦われるなんて、御免被る。……殺し合いで傷つくのは、自分だけでいい。
「お断りします!……まあいざという時はタイガに任せますが、基本的には私も戦います!」
カズマ達と共に数々の敵と戦ってきためぐみんは自分の役割を熟知している。
器用貧乏だがいざという時は頼りになるカズマに、タンクのダクネスに、ヒーラーのアクア。そして火力役のめぐみん。
本来のめぐみんは前線で戦わず、ここぞというタイミングで爆裂魔法を放つ火力役だ。
だから今回の殺し合いでもあまり無茶はしない。ソードスキルを駆使しても張り合えないと思った相手は大我に任せ、自分はベストなタイミングで爆裂魔法を撃つ。それが今回のめぐみんの役割だ。
「アークウィザードが無茶するな。ヤバい敵に遭遇したら俺の後ろで黙って見てろ」
大我はめぐみんの爆裂魔法の威力を知らず、ただの一般人の可能性もあると考えてる。
だから出来れば、こんな殺し合いに巻き込みたくない。
「わかりました。ヤバい敵に会ったら、大我に任せて――ここぞという時に爆裂魔法を使います!」
素直に大我の言うことを聞くめぐみん。
それは自分の役割を熟知していることと――大我が素直じゃないだけで、根は優しいことに気付いたからだ。
そう、ゆんゆんに対するめぐみんの態度のように。
「……まだあったのか、その爆裂魔法って設定」
「設定じゃなくて、本当ですよ。爆裂魔法は凄まじく高威力なので令呪を使わなければ本領発揮は出来ませんが――いつかその煌めきを!ロマンを!見せてあげましょう」
「勝手にロマンを貫いてろ。基本的に戦うのは俺一人で十分だからな」
これ以上、何を言っても無駄だ。この頭のおかしな自称アークウィザードはきっと戦う道を選ぶ。
ならば自分が守ってやればいいと思いつつ、花家大我は歩き始める。
「はいはい、わかりましたよ。それとこの剣、夜空の剣っていうみたいですよ。エンハンス・アーマメントという必殺技も使えるみたいです。使うと結構疲れが溜まる制限があると説明書には載ってましたが……」
「一度使うとしばらく動けなくなるとかいう爆裂魔法よりはマシだな」
「そんなことありません!威力と範囲は絶対に爆裂魔法の方が高いはずです!」
大我の皮肉に反論しながら、めぐみんもまた彼についていった。
【花家大我@仮面ライダーエグゼイド】
状態:正常
服装:白衣
装備:ゲーマードライバー&ガシャットギア デュアルβ@仮面ライダーエグゼイド
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:エグゼイド達と協力プレイしてこのクソゲーをぶっ潰す!
01:戦うのは俺とエグゼイド達だけでいい
02:めぐみんと一緒に行動してやる。勝手に死なれたら胸糞悪いからな
03:どうせゲンムのやつが裏に潜んでるんだろうな
04:仮面ライダーガッチャード?エグゼイドの後輩らしいが、聞いたことねえな
参戦時期:少なくとも最終回より後
備考
※宝生永夢や鏡飛彩も居ると考えています
※この殺し合いに檀黎斗が関係していると思っています
【めぐみん@この素晴らしい世界に祝福を!】
状態:正常
服装:いつもの服
装備:めぐみんの杖@この素晴らしい世界に祝福を!、夜空の剣@ソードアート・オンライン
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜1、SA・ホットライン
思考
基本:この殺し合いをぶっ潰してやりましょう、タイガ!
01:タイガと共に行動します
02:ソードスキル、いいですねこれ!でもヤバい敵はタイガに任せて、私はいつも通り爆裂魔法を撃つ役割に徹します!
参戦時期:3期の最終回後
備考
※この殺し合いに檀黎斗が関係していると思っています
※普段は爆裂魔法の威力に制限が掛けられています。令呪を使えば制限が緩和されます
【支給品解説】
・ゲーマドライバー@仮面ライダーエグゼイド
…花家大我@仮面ライダーエグゼイドに支給。
『仮面ライダーエグゼイド』に登場する変身ベルト。
このドライバーを使用することで、バグスターウイルスに感染したゲーム病患者を治療する「仮面ライダー」へと変身できる。
開発及び製作者は檀黎斗。
・ガシャットギア デュアルβ@仮面ライダーエグゼイド
…花家大我@仮面ライダーエグゼイドに支給。
ゲーマドライバー@仮面ライダーエグゼイドとセットで支給。
ファンタジーゲーマーレベル50・シミュレーションゲーマーレベル50に変身する際に用いられるライダーガシャット。
これまで散々手を焼かされてきたダブルアクションゲーマーへの対策用のガシャットとして檀黎斗がタドルクエストガシャットとバンバンシューティングガシャットを基に開発した。
当初はゲンムがレベル50のゲーマを召喚する目的で使用したが、鏡飛彩がゲンムから奪取してからは飛彩と花家大我が変身のために使っている。
元々檀黎斗の物だったということもあり、どちらの所有物というのは決まっていなかったが、仲間になった檀黎斗が2本目を作ったことで問題は解決した。
・めぐみんの杖@この素晴らしい世界に祝福を!
…めぐみん@この素晴らしい世界に祝福を!に支給。
めぐみんが肌身離さず持ち歩いている杖。パーティに加わった後、同じデザインのマナタイト製のものに新調している。
使い慣れた杖でわざわざ説明書を読む必要がないと判断されて本人はまだ気付いていないが実は他人が持つと、手にしている間はソードスキルとして爆裂魔法が使えるようになる。ただしめぐみん本人が使った時ほどの威力や範囲はなく、本人以外が爆裂魔法を使う場合は令呪を一画消費する必要がある。また魔力を持つ者が使った方がその魔力に比例して威力が増すが、それでも本人の全力には届かないように設定されている。
誰が爆裂魔法を使っても本人同様しばらく動けなくなり、魔力を持たない参加者が使う場合は魔力の代わりに体力を多大に消耗する
余談だがめぐみんはこの杖がなくても爆裂魔法を撃ってる描写も作中にある
・夜空の剣@ソードアート・オンライン
…めぐみん@この素晴らしい世界に祝福を!に支給。
仮想世界「アンダーワールド」における、キリトの専用武器。
命名者はユージオで、名前が決まるまではキリトから「黒いやつ」など適当に呼ばれていた。
素材となったのは、北帝国ルーリッド村に生えていた巨木「ギガスシダー」。
本ゲームではアンダーワールドの英雄、キリトのソードスキル及びエンハンス・アーマメントが使える
ただしエンハンス・アーマメントを使えば疲労するように制限されている
リリース・リコレクションが使えるかどうかは採用された場合、後続の書き手に任せますがキリトが使った時ほどの効果は発揮出来ません。また使えたとしても令呪を一画消耗します
投下終了します
ss0601氏の代理で投下させていただきます。
一体何だったのだろうか?
私の努力は、恋は、進んだ道は……全て偽りだったのだろうか?
彼の優しさもすべて、すべて、すべて!
いや、そんなはずは……そんなはず……嫌だ嫌だ嫌だ。
肯定しないで、その真実を否定して。
……でも、辻褄は会ってしまうんだ。
彼、綾小路清隆の優しさが嘘であった方が。
そう、確固たる事実は……彼の本性は残酷かつ冷淡。
そして、私の恋心は弄ばれた挙句に砕け散った。
それだけの事だった。
「……はぁ。これからどうしよう?」
この一言にはたくさんの意味が込められているが、差し当たって考えるべきはこの狂ったゲームに抗う方法だろう。
多少汚い手を使うようになった私とて、流石に人殺しを是とするやり方は否定せざるを得ない。
なので、「このゲームに乗って、全てをなかった事にするという願いを叶える」というのは無しだ……魅力は否定できないが。
この方針を取る以上、必然的に私のやるべきことは仲間を集める。
この一点に集中すれば良い。
もっとも、その過程で紛争は避けられないかもしれない。
例えば、同じゲームへの反抗を方針としていても信念が異なる人は居るだろうし、そもそもゲームへ乗った人が襲ってくることもあろう。
そうなったら……。
…………。
まぁ、その時に決めよう。
私は……失敗続きだ。
と、そんなネガティブな考えをしていた時。
後ろから物音がしたように感じた。
そこには……私に向かって金色の剣を突き刺そうとする人型ロボットの姿があった。
「あっ……」
咄嗟に後ろに下がる。
だが、もう遅い。
私は……私は結局……。
「何も……出来なかった……!」
ピンク髪の少女が、正体不明のモビルスーツに襲われている。
その瞬間、いつかの決戦のワンシーンが頭を過ぎる。
もう、昔のこと。
でも、決して忘れはいけない少女の最後。
僕は……僕は……。
もう、2度と……!
「やめろ!!!」
対話のための兵器、ダブルオークアンタ。
おそらく、このゲームに一枚噛んでいると思われる"あの人"がわざわざ僕に渡した機体。
正直、挑発か嫌がらせの類で渡された機体で戦闘するのは嫌だが……今はそんな場合ではない。
この機体を身に纏って、少女を襲っていた機体の剣を弾く。
「む? 貴様、そのイレヴンを庇うか」
「イレヴン……? この人が何かしたんですか?」
「いや? ただ、我が主の理想を叶えるためにはこのイレヴンを含めて、他のプレイヤーも消さなければならなくてな」
この人、あの羂索とかいうヤツの話に乗ったのか。
……なら、無力化しないと。
「えっと、助けてくれてありがとう……ございます」
「感謝なんていいよ……とにかく、君は戦闘に巻き込まれないように安全なところに!」
「は、はい!」
彼女が走り去って行くのを見届けたあと深呼吸をしたのち、敵を睨む。
「キラ・ヤマト。ダブルオークアンタ、行きます!」
「ほう、貴様が名乗りをあげるならコチラもそうするのが礼儀だな。ビスマルク・ヴァルトシュタイン。バエル、行くぞ!」
速攻で片付ける!
GNビームガンを連射して牽制、狙い通り敵は回避に専念している。
この隙に接近して……。
「避けた!」
「なるほど、キラ・ヤマトとやら。確かに、貴様の技量は高い……だが、私のギアスの前では無意味だ!」
「クッ、この!」
こちらのGNソードによる斬撃が空振りに終わったあと、向こうの双剣による斬撃が迫る。
それを回避するが、回避した場所へ的確にレールガンが飛んでくる。
ギリギリのところで、シールドによる防御が間に合うが……。
「⁈ もうこんな近くに!」
「いい機動力だ、このバエルとやら。我が愛機には劣るがな!」
予想外の速度で近づく敵機。
今はまだ、近接戦は不利だ。
故に、ビームガンを射撃しながら後退する。
しかし敵機は容易くビームを回避し、こちらに迫ってくる。
そして、再び近接戦に移る。
GNソードビットを展開する暇がなく、手数が足りない。
そんな中、敵機はコチラの行動を確実に読んでくる。
慣れない機体という事もあって、そうなるとジリ貧になるのはこちらの方で……。
「!!!」
「私の勝ちだな、キラ・ヤマト」
度重なる斬撃戦の末、僕の機体は僅かにバランスを崩した。
そう、僅かなスキ。
だが、熟練の騎士からしたら十分すぎた。
彼の剣が吸い込まれるように、僕の機体に迫る。
その瞬間、種が割れた。
この人の夢は、人を殺すことを許容する。
そして、これだけの力。
この人は……危険だ。
「トランザム!」
「な、速い! まさか我がギアスをもってしても!」
トランザムでの加速を生かし、距離をとりビットを展開。
そして、GNバスターソードを形成し、敵がコチラの加速に適応しないうちに接近し……。
「これで、あなたの夢は終わりだ!」
「こんなところで……2度目の不忠をお許しください、シャルル陛下」
【ビスマルク・ヴァルトシュタイン@コードギアス 反逆のルルーシュR2
死亡】
彼の機体は、爆散した。
勝った、だが。
また、僕は……僕は!
「どうして……人はこんなにも……。ラクス、僕たちは」
「あのー、大丈夫ですかーー! 今、爆発音がしましたけど……」
地上では、あの少女が僕の心配そうな表情で叫んでいた。
……戻ろう、地上に。
【キラ・ヤマト@機動戦士ガンダムSEED FREEDOM】
状態:疲労(小)
服装:コンパスの制服
装備:ダブルオークアンタの起動鍵@機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:この殺し合いに抗う。
01:ラウ・ル・クルーゼ…あなたがどうして今更!
02:ピンク髪の少女から話を聞く
03:ビスマルク・ヴァルトシュタイン……中々の強敵だった
04:ラクスやアスランもいるのかな?
参戦時期:ファウンデーションがやらかす前
【一之瀬帆波@ようこそ実力至上主義の教室へ】
状態:健康、精神的疲労(大)
服装:高度育成高校の制服(女子)
装備:ガンダム・バエルの起動鍵@機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、SA・ホットライン、ビスマルクのリュック
思考
基本:このゲームから生還する。
00:私は……また失敗した。
01:綾小路くん……彼が居たらその時は。その時は? 一体何をすればいいの……?
02:とりあえず、アイテムは回収しよう。使い道はキラさんと決めればいいだろうし
03:キラさん、大丈夫かな?
参戦時期:2年生編12巻終了後から
備考
バエルの起動鍵はビスマルクが爆散したあと、帆波が回収しました。
「僕は」
「私は」
「「何処へと向かえばいいのだろうか?」」
代理投下終了です。
タイトルは 優しさと悲しみの交差路 です。
投下します
「まさか延長戦があるとは思わなかったな。」
紙でできた蓑を纏う中年の男が、にたりと悪辣な笑みを浮かべた。
ビルの路地裏にもたれ掛かかる男、レジィ・スターが羂索の携わる殺し合いに参加するのはこれで2度目だ。
死滅回游。そう銘打たれた戦いで彼は死亡し。地獄に行くかと思っていたその魂は何の因果か羂索の遊戯盤の上にあった。
「しかしこのバトルロイヤル、死滅回游の感覚で挑むのはよくないね。随分凝ったルールじゃないか。」
”経験者”たるレジィだからこそ、殺し合いにおける動きは慎重を期する。
死滅回游との差異は複数あるが、レジィにとって重要な要素を1つ上げるなら。プレイヤーの戦力差。
日車寛見や鹿紫雲一を筆頭とする図抜けた強者により数日と経たずに膠着状態になった死滅回游とが明らかに異なる。
もしレジィを片手間に惨殺できるような強者がいたとしても、バグスターウイルスによる制約で弱体化している。
レジィが欠伸しながら殺せるような弱者がいたとしても、支給品やソードスキル、エナジーアイテム如何では逆に負けることも現実的に起こりえる。
「これは少々。本腰入れなきゃかもしれないね。」
死滅回游とは違いズ抜けた強者による蹂躙で膠着状態になることはないだろう。
アイテムを駆使し、エナジーアイテムを利用し、徒党を組み、危険な強者を討つ。
バトルロワイヤルではそれができる。
いみじくも羂索が言った通り、弱者や非戦闘員であっても覚悟があれば戦える環境と言えた。
自分の姿が本名ではなく受肉体の名前なのは羂索の手抜きを疑ったが。それ以外はレジィの興味を引くものであった。
「レジィ……さま。」
鼻歌交じりに思索にふけるレジィを、かすかな声が現実に引き戻す。
声の主である麗美という少女は、レジィと同じく死滅回游の参加者で、当時はレジィの配下であった女だ。
だが今彼女は、煤に汚れたビルにもたれ掛かり腹からだらだらと血を垂れ流している。
原因は明確だ、腹部には包丁が3丁深々と刺さっている。
止めどなく溢れ出す血が彼女のワンピースを染める。致命傷であることは誰から見ても明らかだった。
「腹に3本もナイフ刺さっているのにまだ死なないのは驚きだよ。思ったより頑丈だったんだね。」
「な……んで。レジィさ……」
「なんでって?羂索も言ってたでしょ。これは殺し合いなんだよ?
死滅回游に参加した麗美ならその程度……」
「そうじゃ……な……なんで!
私を守る……って!私を好きって!!言ってくれたのに!」
死滅回游の時に、麗美を利用するために言った口車。
他の泳者(プレイヤー)を招く囮としてレジィは麗美を利用していた。
もちろん。彼の中に麗美に対する庇護の意思もなければ愛情などこれっぽちもない。
指摘されるまで忘れていた言葉に。何よりこの現状でもそんな言葉を信じていた麗美の馬鹿さ加減に思わずレジィは噴き出した。
「死滅回游の時は、プレイヤーごとに持ち点があった。
羂索は色々裏で動いていたみたいだけど、表向きの泳者の目的は『点の取り合い』
参加者であることが1つの価値だったし、参加者を労せず釣れる君のような人間がいると手間が省けたのは確かだね。」
「わた……しなら!レジィさ……の仲間としてまだ……」
「どうやら麗美はルールを聴いていなかったみたいだね。
このバトルロワイヤルで羂索は一度でも”他人を殺すことで得られるボーナス”や”プレイヤーが持つ得点”のような話をしてたかな?」
してないよね?
そう続ける男の目は、死にかけている虫を見るかのように冷たい。
「”ゲームを放棄するな””ゲームを崩壊させるな””最後まで生き残った一人には理想を叶える権利がある”
羂索が言ったのはこれだけだ。プレイヤーを積極的に殺すメリットや点数のなんてどこにもなかったよ。
隠しルールの1つや2つはあるだろうとは思うけど。それでもこのゲームが死滅回游とは別物だっていい加減理解してよ。」
レジィはあきれたように吐き捨てる。
既にその眼は、麗美を捉えてなどいなかった。
麗美の片隅で転がったリュックを、レジィは我が物顔で拾い上げる。
支給品1つ1つに「へえ。」「なるほどねぇ。」と楽しそうな声をあげ、残らず自分のリュックにしまい込む。
「かえ……し……」
手を伸ばす麗美に、レジィは舌打ちと共に手を払いのける。
レジィ・スターは理解していた。
このバトルロワイヤルにおいて、殺人に抵抗がない強者が弱者と手を組むメリットは極めて薄い。
死滅回游のようにプレイヤーの持ち点などがない以上、彼らにとっては下手な参加者より支給品や令呪のほうがよほど価値が高い。
ひと言でいえば殺して奪ったほうが早かった。
蓑から二枚のレシートをちぎり指に挟む。
レジィの呪力によりレシートが音を立てて燃え、消え去ったレシートと入れ替わるように、2丁の包丁がレジィの前に出現した。
レジィの術式。再契象。
その能力は、契約書を元にした契約の再現。
一言で言えば、レシートの内容の具現化である。
具現化した包丁がレジィの指示で麗美に突き刺さる。
1つは心臓を。1つは喉を。
血を吐くこともできず、穴の開いた風船のような風切り音が麗美の喉から漏れる。
「ついでに言っておくけど。
価値がないのなら。俺の術式知ってるやつを生かしておくわけないでしょ。」
虚ろな目をして血だまりに倒れる少女に、レジィの声は届いていなかった。
死滅回游で手を組んでいた麗美は、当然レジィの術式を知っていた。
術師にとって己の術式は秘匿すべき情報である。
そして過去を生きた術師にとって、仲間以外の命はさして大切なものではない。
それこそ、重要な情報を守るためなら殺してもいいくらいには。どうでもいいものだ。
麗美が死んだ理由をあえて述べるなら、その程度のことであった。
【麗美@呪術廻戦 死亡】
◆◇◆◇◆
麗美の死亡を確認していたレジィは、路地の入口で何かがぶつかる音を聞いた。
レジィが振り向いた先で、麗美と同年代の少女が「ひっ!」と悲鳴を上げ、足早に逃げていく。
全身にレシートを纏った中年の男が、血まみれの女の子を調べているのだ。さぞ奇怪で恐怖を覚える光景だったろう。
「見られちゃったか。」
当のレジィはさしたる焦りも見せていない。
肌色の上着と紺色の長い髪が視界の端で見えた。おそらく死滅回游と近い時代の人間だろう。
あの青ざめた表情から見るに人の死に慣れてはいない。少なくとも呪術師ではないだろう。
「だからと言って手を抜くわけないし。
見逃してやる気もないんだけどね。」
蓑からレシートを何枚かめくると、包丁の時と同様呪力で焼き切る。
プロペラのついたドローンが4台現れ、少女の逃げた先へと飛び出した。
ドローンはレジィの持つスマホ――むろんこれも術式で具現化した――を通じ、リアルタイムで周辺の様子を映し出す。
画面の中では人のいない都市を大人しそうな女学生が息を切らして逃げ続ける。
烏が飛びさる街の中、ドローンに気づいた少女が何度も振り返り交差点を曲がり振り切ろうともがいていた。
人並み以上には動けてはいるがスタミナや運動能力が抜きんでて高いわけではない。しばらくすればどこかに腰を落ち着けるだろう。
スクーターあたりを再契象して、落ち着いた先まで追って殺すか。
女学生の行方を観察するレジィであったが、画面の中で異変が起きる。
「……ドローンが壊された?」
レジィが放った4台のドローンのうち、1つの映像が途切れた。
瞬間、別のドローンに人影が映り込む。
白い肌と銀色の髪をした、無表情な少女だった。追いかけている女学生と同じくらいの年代だろうか。
動きやすそうな白い無地の服に青いマフラーをつけた姿が一瞬だけ映り込み、少女が黒い何かを振るうとドローンからの映像が途切れる。
続けて3つ。4つ。上空5mは浮いているはずのドローンを少女は残らず叩き切り。
真っ暗になった液晶が困惑するレジィの顔をはっきりと映し出した。
「まさか壊されるとはね。俺の呪力も上乗せされているはずなんだけど。
見たことない装備だったけど同業者かな?」
レジィの興味はドローンを破壊した少女の側に移りつつあった。
再契象で出したものはレジィの式神に近い。
レジィの呪力が乗っているそれらの物体は、ただのドローンとはいえ少女が容易く破壊できるものではない。
あの少女がもともと持っていたものか、それとも支給品によるものか。
どちらにせよこのまま学生服の少女を逃がせば、銀髪の少女もレジィの敵になるだろう。
「見逃すのはちょっとリスクが大きいな。
せっかくだし、麗美から貰った支給品。試してみよっか。」
リュックから5つのシリンダーを備えたトランペット状の支給品を取り出すと、これまた麗美から奪った鍵状の支給品をシリンダーに差し込み吹き鳴らす。
支給品の名はラッパラッター。
軽快な音が鳴り終わると、レジィの前には2mほどの機械が佇んでいた。
とある宇宙海賊が持っていたその楽器は、スーパー戦隊の力の結晶であるレンジャーキーを傀儡の兵士として実体化させることが出来るアイテムだ。
だが今回レジィが刺しこんだのはレンジャーキーではなく、羂索が用意した起動キー。
必然、実体化されるのもカラフルな正義の味方などではない。
「それじゃ、よろしくぅ。」
レジィの指示を受け、機械は2人の少女を殺すために足早に駆けだす。
ラッパラッターの力で現れた何か。
口が裂け、背には無数のチューブが突き刺さる鈍色の機械。
その正体はレジィの知らない異世界のロボット兵器――ではない。
くしくもレジィや麗美と同じ世界から持ち込まれたものだった。
――究極メカ丸 絶対形態。
傀儡操術を操る術師の青年の切り札。
搭乗者もいない傀儡が悪意を持って解き放たれた。
◆◇◆◇◆
大通りにいる人間は、藤乃代葉ともう一人の少女だけだ。
周囲の電柱には無数の烏が止まり、それ以外の生き物の気配はない。
異様な空気が周囲を支配する中。代葉が手を振ると烏が一斉に飛び立った。
「式神を出していてよかった。おかげで消耗は少なくて済む。」
4基のドローンを破壊したのは、真っ黒い槍を握る代葉だった。
周囲を蠢く烏の正体は代葉の式神 眇の鴉合(すがめのあごう)。
その能力で烏と位置を入れ替えることで、代葉は空中を飛び回るドローンを破壊したのだ。
「なんだったんだろう。あのドローン
令力みたいな感じがしたけど……。幻妖じゃないし陰陽師が使うにはセオリーから離れすぎてる。」
先ほど破壊した相手は、代葉にとって予想外の存在だった。
彼女が普段相手にするのは幻妖と呼ばれる怪物たちだ。
だが代葉が令力らしきものを感じてきてみれば、そこにあったのは幻妖でも陰陽師でもなく4基のドローン。
女の子を追いかけていた以上操作していた黒幕がいるのだろうと破壊することを選んだが、その正体は代葉にはわからない。
彼女の世界の陰陽師とレジィの世界の呪術師は、似た存在ながら能力の性質は全く異なる。
代葉の世界では陰陽師が扱うのは霊衣と呼ばれる装備や盡器と呼ばれる固有の武器だ。
現代機械を用いて戦う陰陽師など代葉の知る限り一人もいない。というよりも彼女の常識から大幅に外れていたのだ。
「あ、ありがとうございます!」
頭を悩ませる代葉の後ろから、よく通る声が響いた。
紺色の髪した穏やかそうな少女が、代葉に深々と頭を下げる。
その様子にきょとんとした顔を浮かべ、代葉は自身と相手の少女を交互に指さした。
「……見えているの?」
「え?」
少女もまたきょとんとした顔をして、「見えているけど」と困ったような顔を向けた。
先ほどの相手も常識外なら、目の前の少女が代葉のことを近くできたことも常識外。
霊衣と呼ばれる陰陽師の戦闘装備。
それを身に纏っている今の代葉は、普通の人間からは見えないはずなのだ。
目の前の人間が代葉と同じ陰陽師か、はたまた人と変わらぬ姿をしたレベル4の幻妖であるなら話は別だが。
怯えた顔でドローンから逃げていた少女だ、その可能性はごく低いだろう。
「見えているなら都合がいい。早く逃げて。」
見えている理由は分からない――恐らく羂索が言っていた”制限”のせいだろうか。
だがそれを気にする余裕は、代葉には残っていなかった。
「あのドローンはただ捜索のためだけに飛んでいた。
貴女、何かから逃げていたんでしょ?多分追手が来る。」
「え。なら貴女も逃げないと!」
学生服の少女が慌てて代葉の手を掴む。
足が震えているのに、今にも泣きだしそうなのに。
一人で逃げ出さず、代葉にも逃げようと伝える彼女。
いい人だな。
少女の手を振りほどいた代葉は、僅かに柔らかな笑顔を浮かべていた。
「私は大丈夫。
貴女が近くにいて気を張っているほうがむしろ困る。」
本心だった。今の代葉は無関係の他人を見捨てる選択は出来ない。
ドローンさえどうにかできない人間であるならば、下手に近くにいるより離れてくれた方がやりやすい。
それでも、可能な限り棘の内容に言おうとしたが。冷たい印象を与えてしまっただろうか。
それでも仕方がない。そう自分に言い聞かせ女の背中を押す。
顔を歪める少女だったが、悩んだ末に「ごめんなさい。」と言い残し走り去った。
「謝ることなんてないのに。」
1人残った代葉の前に、上空から何かが降ってくる。
機神は交差点の中心に降り立ち、顔に二対3つずつ並んだ水色の発光体でじっと代葉を眺める。
レジィの手で実体化した、究極メカ丸 絶対形態。
感情を感じさせない鈍色の機械は呪術に深くかかわる傀儡だからか、正体を知らない代葉にも先ほどのドローンよりなじみ深い感覚があった。
(羂索の言っていたパワードスーツ?
じゃあ中にドローンの主が入ってる?
その割には令力が薄い気がするけど……)
無言のまま代葉は槍を構え、周囲の烏を呼び戻す。
疑念も情報不足も、後回しだ。
息を整え、意識を全て目の前の機械に向ける。
「関係ない、夜島くんや先輩ならきっとこうする。」
メカ丸の周囲を烏の群れが覆い、鈍色の剛腕が寄りかかる群れを必死に振り払う。
わざわざ目のようなパーツを造っているのだ。視野は兎も角視覚情報は顔から得ているだろうと代葉は推測した。
メカ丸の背後を飛んでいた一匹と位置を入れ替えた代葉は、手にする黒い槍――染離という名をした彼女の盡器を右腕に突き刺した。
鈍色をした装甲に、先端部分がわずかに突き刺さる。
牽制のつもりで放った一撃ではあるが、薄皮を斬った程度のダメージしか与えられないというのは代葉にしてもショックだ。
「……硬い。」
鈍色の装甲は張りぼてじゃなかったらしい。
刀身はわずかにしか刺さらず、地面に突き刺したかのように手ごたえを感じない。
代葉の槍はメカ丸の腕よりリーチが長いとはいえ、決定力が不足しているのは如何ともし難かった。
背後から右腕を刺す代葉に、メカ丸は左手を開く。
びっしりと装甲で覆われた掌の中央に、逆三角形の射出口が開いていた。
普段の色は不明だが、急速にエネルギーを溜めた射出口は鉄を溶かしたように真っ赤に光っている。
急いで染離を引き抜き、軽快な動きで代葉はメカ丸から距離をとる。
射出口の周辺を烏で妨害し、とっさに払いのけようと反らした左手から光線が放たれた。
大祓砲(ウルトラキャノン)。メカ丸が撃ち放つ呪力の光線。
本来の大きさの絶対形態ではメカ丸1年分ほどの呪力を消費し、その代わりとしてダムを破壊するほどの熱量と威力を誇る。
2mほどまで縮小したこの場のメカ丸でも木々を焼き払う威力がある。
大きく上に向けて放たれた光線はビルに焼け焦げた穴をあけ、軌道上にいた烏が3匹ほど消滅した。
「今のは令力の塊?
光線上にして撃って来るなんて。なんて出力。」
直撃すれば霊衣を着ていてもただではすむまい。
攻撃力も防御力も上の相手。まごうことなき格上だ。
甘く見ていたわけではないが「どれだけ温存して勝つか」という思考だった代葉は、認識を改めた。
「普通の攻撃じゃ効果は薄い。
……狂骨がいてくれたら楽だったんだけど。
いないならいないで、出来ることをするだけ。」
距離を取り、烏で周囲を攪乱させる。
視界と両掌を中心に烏を囲ませ、槍を鎌状に変化させ中距離からメカ丸を斬りつけ続ける。
相手は鬱陶しそうに烏を払い、時折手のひらから光線を放つ。
一発放たれるごとに周囲の地面や建物が焼き削れ、烏も次々と姿を消していた。
街灯が焼け落ち視界が狭まる。
その中心で、メカ丸の6つの目が人魂のように不気味に光っていた。
厄介なことに光線は両手から撃てるらしく、堅牢な装甲は一発ごとに熱を帯び近づくだけで肌が焼けそうになる。
(狙いは関節。そして……『あそこ』ならダメージが通るはず)
それでも代葉の表情は変わらない。
疲労を感じさせない涼しい顔で、淡々と動き回りメカ丸の攻撃をいなし続ける。
チャンスになったのは5回目の光線。
メカ丸はその腕をまっすぐに伸ばし、右腕から大祓砲(ウルトラキャノン)を放つ。
「来た。」
光線が地面を抉り、余波で数匹の烏が倒れ消える。
機を見計らった代葉は近くの烏入れ替わり、焼けた地面の上メカ丸の正面に立った。
アスファルトの焼け焦げた匂いが立ち上る中、鎌状に伸ばしていた盡器を巨大な槍に変化させメカ丸に突き刺す。
狙いは一か所。
大祓砲の射出口。
鈍色の装甲よりも遥かに脆いだろう右掌の真ん中を、代葉の槍が深々と貫いた。
「外から刺しても効かないなら、脆いところを奥まで貫けばいい。
まっすぐ伸びた腕、これなら中にいる貴方にもダメージが入るはず。」
代葉の読み通り射出口は装甲より脆かった。
掌から差し込まれた槍は中にいる人物の右腕を貫通している。
痛みを感じる人間であればまともに動くことは出来なくなるダメージに違いない。
間違いなく隙ができる。あわよくばこのまま無力化できる代葉は考えていた。
代葉の誤算は1つだけ。
理由は明確だ。彼女の前にいるのはラッパラッターによって生み出された傀儡だ。
起動キーとして支給された他のアイテムと変わらない姿ではあるものの。
・・・・・・・・・・・
中に人など入っていない。
槍で突き刺した中身は、まるで何も入っていないかのように手ごたえがない。
肉を貫いた質感もなければ流れ出る血もない。
パワードスーツの中にいるだろう誰かは声もなければ動きもない。
槍の切っ先がカツンと何かに触れた。
腕を貫いているはずの槍はメカ丸の右肩に位置する装甲まで届いている。
なのに、代葉には何の手ごたえも感じられない。
「……もしかして遠隔操作?」
その事実を理解した代葉の顔が驚愕の色に染まる。
対峙していた機械の中身は張りぼてだ。
原理は分からないが、遠隔操作か自動操作か。
同時に、そう考えれば納得できる点もあることに気づく。
烏が近付けば払いのけ、タイミングを見計らい掌から光線を放つ。
目の前の相手の動きはオート進行のように機械的。
だから、光線をチャージしたまま鳥を払いのけ、上空に光線を撃つなどという悪手も打つ。
彼女が戦っていたのは人間ではなく。どこかの誰かが扱う意思なき兵器。
それはこの戦闘が相手を破壊するまで終わらないということを意味していた。
「嘘。リモートでこの性能って。」
深々と右手に槍を突き刺したまま、代葉の思考が一瞬困惑に包まれる。
それは実質、リーチの優位を捨てたに等しい。
自立稼働するメカ丸を前に、その数瞬の隙は致命的であった。
ただでさえ硬いメカ丸の装甲。
一月後の代葉ならばともすれば破壊できただろう。
この場に狂骨が居れば、その力を引き出し対応できただろう。
だが今この場では、バグスターウイルスの制約もありメカ丸にダメージを与えることは出来ても破壊するには出力が足りない。
右腕に槍を突き刺した程度では、メカ丸の”攻撃”は止まらない。
向けられた左腕、その中心に空いた穴にエネルギーが集約されていく。
反応が遅れた代葉は間近に熱を感じつつ、回避ができないことを理解させられた。
「しまった。」
飛び上がる?それとも烏と位置を変える?
どちらも間に合わない。間に合ったとしても今いる位置の真後ろであの少女逃げている。
大祓砲(ウルトラキャノン)。左手から放たれた令力(じゅりょく)の波を代葉は正面から受け止める。
周囲の烏ごと狙い範囲を広げたためか、威力は抑えられている。
それでも焼けつくような息苦しさが全身を襲う。代葉の盾として波にのまれた20匹ほどの烏は残らず消えた。
数十メートルを押し込まれ、土埃と煤で汚れた体で片膝をついた。
式神を盾とし霊衣を着ていなければ、器官や粘膜が焼け戦闘不能になっていただろう。
実際のダメージはそれほど致命的ではなかったが、霊衣の所々が焼け焦げ耐えがたい熱さと息苦しさが全身に残り続けている。
ガードに使った両腕に至ってはやけどになっているだろうか。針に刺されたような痛みが代葉の腕を蝕んでいた。
機動力なら代葉に分がある。
だが、狂骨もおらずバグスターウイルスで弱体化を受けている今の代葉では、特級呪霊とも渡り合ったメカ丸相手では決定力に欠けていた。
相手は恐らく遠隔操作(リモート)だが、先ほどの光線はあと何発撃てるのだろうか。
烏も残りも数えられるほどしか残っていない。
仮に目の前のロボットのエネルギーが遠くのマスターから供給され続けるなどの理由で潤沢であれば、代葉に勝ち目はないだろう。
「性能だけで結果は分からない。
貴女に勝てないまでも、絶対に負けない。」
それでも、藤乃代葉には退く選択はない。
自分が格上だと知ったうえで、夜島学郎は代葉に挑んだ。
大言を吐き、底なしに善人で。代葉より弱かったはずの彼は代葉を倒し代葉を救った。
彼に出来たことを全部できるとは、今の代葉は思わない。
少しでも彼のように、誰かを守れる戦いをしたかった。
槍を支えにして立ち上がる代葉。
その耳元で、プシュと何かが吹きかけられる音がして、首筋に冷たいものがかかる。
「何!?」
思わず振り返った代葉の後ろで、逃げたはずの学生服の少女がしっかりとこちらを見つめていた。
右手に何か液体の入ったスプレーを持っている、代葉にかけたものだろう。
その中身は分からない。
ただ花のような甘い香りが、代葉の鼻をくすぐった。
何故戻ってきた。喉まで出かかった言葉を代葉はぐっと飲みこむ。
手にぬいぐるみを抱えた彼女の目が。確かな決意を秘めた強い瞳が。
代葉を救った青年を思い出させたからかもしれない。
◆◇◆◇◆
亀井美嘉という少女は。ことこの場においては無力と言って差し支えない。
人命が軽い時代を生き抜いた一流の呪術師のレジィ・スター。
幼いころから陰陽師として戦場に立ち、美嘉と変わらぬ年齢ながら熟練の戦士である藤乃代葉。
”殺し合いの場での立ち回り”を考えていた両者と違い。美嘉は未だ”自分が殺し合いの場にいること”そのものを受け入れられないでいた。
振り向きざまに見たロボットが、さっきまでのドローンとは比べ物にならない相手なのは素人の美嘉にも理解できる。
あの場に自分が居ても、むしろ槍を持った彼女の邪魔になる。彼女の言葉はどうしようもなく真実だった。
背後から烏の羽ばたきと、レーザーが撃ちだされたような射出音。アスファルトが削れる破壊音が響く。
不自然なほど鳴かない烏の羽音は、どんどんと少なくなっていた。
少女の足音も息遣いも、破壊音に遮られ聞こえない。
「私は、また逃げるの?」
足が鉛のように重く感じられ。美嘉は足を止める。
東ゆうが立ち去ったスタジオで、彼女は追いかけることは出来なかった。
自分を救ってくれたヒーローに、恩を返せていないと。彼女の夢を壊してしまったと。
悩み、悔やみ、悲しみ、苦しみ。その上で東ゆうと再会する。
この場の彼女は、ババハウスでの再会も、公園での再会も経験していない。
伝えたいことも、伝えるべきことも。まだ何も言えていない。
崩れ去った関係性の中、後悔を抱えたまま、彼女は戦場に投げ出されれていた。
「……大丈夫かな。あの子。
同い年くらいだよね?」
逃げてと言った少女の言葉が離れない。
あの場で戦う彼女にとって、美嘉はたまたまそこにいただけの人間だ。
だが彼女は、足手まといの自分を囮にするでもなく、逃げるように言った。
やさしい人だ。
狙われていたのは私なのに。年もそう変わらないのに。
彼女に逃げてと言われて。すべての戦いを彼女に押し付けて。
・・・・・・・・
内心、とてもほっとした。
安心して背を向けて走り出した。
そんな自分が、美嘉には許せない。
東ゆうなら絶対にそんなことはしなかった。
「何度私は自分を救ってくれた人から目を背けるの?」
顔を変えて。環境を変えて。それでも彼女は変わらなかったのだろうか。
恩人と出会い。友達が出来て。それでも彼女は弱いままなのだろうか。
レジィ・スターにとって、亀井美嘉は大したことのない獲物だった。
藤乃代葉にとって、亀井美嘉は守る必要のある人物だった。
亀井美嘉を戦力として数えている人間は、この場に一人もいないのだろうか。
ごそごそと、リュックの中で何かが動いたような気がした。
ひっくり返してみると、中からライオンのぬいぐるみとスケッチブックが音を立てて落ちた。
めくれ上がったスケッチブックの上には、既に何かが書かれていた。
「これって……」
恐る恐るスケッチブックに目を通すと、小学生が描いたようなたどたどしい文字で支給されたアイテムの使い方が書かれていた。
美嘉に支給されたライオンのぬいぐるみ。
その名前。その力。その制約。その正体。
その全てがスケッチブックに、子供らしい文字と幼げな言葉で書かれていた。
愛らしいライオンのぬいぐるみの中には、極大の呪いが宿っているのだと。
ともすれば状況を一変できる力が、美嘉の手にはあるのだと。
自分が殺し合いの場にいることも、戦うための力があることも。亀井美嘉は理解させられた。
――覚悟さえあれば、戦えないことはない!
自分たちをデスゲームに巻き込んだ。羂索の言葉。
元より強力な支給品は、美嘉のような戦えない人間を戦場に解き放つためのシステムだ。
決して善意でできた制度ではない。
それでも、今の美嘉には必要なものだ。
レジィも代葉も。美嘉自身も信じていなかった自分を。羂索だけが戦力になりえると思っていたのだろうか。
真意は分からない。
分からないがそれを理由にここで立ち止まることは、東ゆうなら絶対にしない。
ただ狩られるだけの亀で終わるか。牙を研ぎ飛び立つ龍となるか。
覚悟はできていた。
「行かなくちゃ。」
意を決して振り返ると、彼女を守って戦ってくれる少女は、息を切らせて片膝をついていた。
後ろ姿だけでも少女が――藤乃代葉が疲弊しているのが見て取れる。
リュックから取り出したぬいぐるみをかかえ、美嘉は走る。
大きく押し込まれたのか、代葉との距離は近かった。――大祓砲(ウルトラキャノン)の一撃は、美嘉にまでは届いていない。
代葉のそばにつくまで30秒も要らなかった。
スケッチブックの指示通り。支給されていた香水のスプレーを代葉に振りかける。
「何!?」と声をあげた代葉だが。美嘉が戻ってきたことに目を丸くし、かけられた場所をくんくんと嗅ぐ。
戦場には似合わない。甘い花のような香りがした。
「……香水?」
「ごめんなさい。これをかけないとダメだって”この子”が言ってたの。」
愛らしい姿をしたライオンのぬいぐるみを抱え、美嘉は代葉の前に出た。
見た目だけは普通のぬいぐるみだが、代葉の直感がその中にある”何か”を感じ取る。
この光景をどこかから眺めるレジィ・スターも同様だった。
美嘉が口を開く。
ぬいぐるみの中にいる何か。それを引き出す言霊を。
「盈たして」
呪術師と陰陽師はその瞬間、空気が冷え己の肌が粟立つのをはっきりと知覚した。
美嘉の言葉に合わせ、ぬいぐるみの両目が赤黒い泥を垂れ流す。
泥は月のような円を描き、その中央には少年が立っている。
スケッチブックを持った小学生ほどの少年の姿に、美嘉は思わず目を背ける。
全身に刻まれたような傷を持ち、光を写さない真っ黒の目からは泥が延々と垂れ流されている。
「月蝕尽絶黒阿修羅」
美嘉に与えられた支給品。
それはぬいぐるみ。そして髑髏の目をした少女によりぬいぐるみに封じされた一人の霊。
亀井美嘉にはその姿は痛々しい少年に見えている。
生前の死因は虐待を受け、実の母の手で滅多刺しにされたこと。
その傷を色濃く残す青年を、こんな戦場に引きずり出すことに心が張り裂けそうなほど痛い。
今にも泣きだしそうな悲痛な顔で、「おねがい。」と。
美嘉が懇願すると同時に足元から無数の手が浮かび上がり、満月のを形作った泥の中央で少年はスケッチブックを塗りつぶす。
何かを噛み砕いたかのような音が、交差点に響きわたった。
美嘉と代葉の視線の先で、メカ丸の右肩の前半分がごっそり削れ右腕がプラプラと垂れ下がる。
使い物にならないことは、誰の目からも明らかだった。
「「効いた!」」
思わぬ有効打に少女たちは歓声を上げる。
一方の少年霊は、手元のタッパーに湧き出た肉団子を貪りながら首をかしげていた。
彼がスケッチブックで塗りつぶした範囲は、削れるどころか消滅するはずだ。
消し去った量に応じて湧き出る黒阿修羅の肉団子が、平時より明らかに少ない。
出力が大きく落ちている。表に出せる時間も数分が限度だろう。
代葉の姿が見えることと同様、これもゲームを崩壊させないために用意された制約だった。
では、この盤上において黒阿修羅は弱いのか。
当然ながら答えは否だ。
特級呪霊の真人ならば破壊できるメカ丸の装甲。
彼と同じ世界にいたならば間違いなく特級に数えられるであろう黒阿修羅ならば、弱体化しても破壊できることは不思議ではなく。
単純な破壊力では代葉どころかレジィさえ凌駕しているといっても過言ではなかった。
そしてその機を逃すほど、藤乃代葉は甘くない。
メカ丸が左腕を構えるより早く代葉は烏と位置を変え、メカ丸のすぐそばにまでやってきていた。
(幻妖……じゃない。でもよく似た存在。
それも間違いなくレベル4。)
新しい戦力。危険性まで含めて冷静に判断し、その上で代葉は少年霊に背を向けた。
数ヶ月前の代葉なら、眼前のロボットではなく少年霊こそを相手にしただろう。
それをしない理由は、言葉にすれば簡単なこと。
自分の恐怖を押し殺しても共に逃げることを勧める、学生服の彼女は信用できるし。
その彼女に姿させ見せずに殺しにかかる、ロボットの主は信用できない。
右肩を狙って振り下ろされた代葉の一閃を、メカ丸は無事な左腕で防ごうと機械的に動く。
どこからかその光景を眺めるレジィは、この瞬間敗北を確信した。
オート操作の防御では、代葉の機敏な動きに対応するには反応があまりにも遅かった。
「遅い」
大鎌のような形に変化した代葉の槍が、左腕がガードするより早く右腕を斬り飛ばす。
地面に落ちた腕を見て、代葉は自分の予想が正しいことを知った。
本来は誰かが装着するパワードスーツだろうその腕は、中にぽっかりと空洞になっていた。
残った左腕が代葉の頭を掴んだが、その握力は随分と弱弱しい。
エネルギーを使い果たしたのか、はたまた右腕の破壊がそれほど効いているのか。
だが、手のひらはわずかに熱を帯びている。散々撃ってくれた光弾をまた撃つつもりだろう。
「もうそれは当たらない。」
代葉が烏と位置を入れ替え、メカ丸の左腕が烏を勢いよく握る。
何度も光線を撃たせたことで、チャージまでに数秒ラグがあることに代葉はとっくに気づいていた。
「お願い!!!」
美嘉が叫ぶ。
先ほどまで代葉を掴んでいた左手。その手首が、美嘉の言葉に呼応し黒阿修羅によって大きく削り取られる。
放出されるはずだった大祓砲の呪力は行き場を失い、バチバチとメカ丸の左腕が音を立て膨れ上がる。
逆流した呪力の渦はメカ丸の左腕を内側から粉々に破壊し、両腕を失ったメカ丸が削れた地面に背をつけた。
代葉が振り返ると、美嘉と目が合った。
自然と親指を立て。美嘉も同じことをした。
少女たちの初白星だった。
「これって、起動キー?」
「だと思う。」
戦場になっていた交差点には既にロボットの姿は無く、代わりにロボットをそのまま縮小化したような起動キーが落ちていた。
代葉は拾い上げ、まじまじと眺める。
ドローンほど令力は――正確には呪力だがさして違いはない――感じられない。
少なくとも呪いの類はなく、勝手に暴れることはないだろう。
「能力か支給品かは分からないけれど、起動キーからロボットを実体化できる人がいるみたい。」
「そんなことが……。
でも、ここに起動キーは残っているのよね?」
「うん。多分安全。手元に戻ったりはしないみたい。
これは貴女に渡しておく。
戦える私より、貴女が持っていたほうがいいと思う。」
拾い上げたメカ丸の起動キーを、代葉は美嘉に握らせた。
「えっえっ。」と慌てた美嘉が突き返すが、代葉はにべもなく断った。
安全だと確信したのは彼女だ。ならこのロボットは強力な戦力になるはず。
ただ立っていただけの美嘉が貰うのは分不相応。
美嘉にはそう思えたのだが、代葉は違う意見だった。
「どうして?私は何にも出来てなくて。全部貴女とこの子がやってくれたことなのに?」
「気にしないでいい。戦力的な効率をとっただけだから。
逃げろと言われたのに貴女は戻ってきたけど、そのおかげで助かった。
それに――」
――そのぬいぐるみは危険かもしれない。
既にぬいぐるみの中に納まり、大人しくなっている黒阿修羅に代葉は視線を落とす。
代葉の認識にあてはめるなら、レベル4の幻妖に限りなく近い少年霊。
それを簡素とはいえ封じあまつさえ使役できる状態に抑え込んでいるというのは、味方であれば頼もしいが不安はぬぐえない。
その気になれば目の前の少女どころか、代葉を殺すことすら造作もないだろう。
だが、あの少年霊のおかげで助けられたことは事実だ。
香水をかけなければ巻き込んでしまうと美嘉は言っていた。本来は敵味方関係なく無差別に攻撃をするものなのかもしれない。
美嘉に対する叛意や敵意はないのだろうか。
「どうしたの?」
「……なんでもない。」
不安そうに代葉を見つめる美嘉に、代葉はそのことを追求しなかった。
少なくとも、目の前の彼女は優しい人だ。
傷だらけの少年霊を戦場に出すことを心苦しく思うくらいには。
彼女ならば、あの少年霊の力を悪用したりはしないだろう。
「そういえば、自己紹介がまだよね?
私は亀井美嘉。助けてくれて本当にありがとう。」
美嘉が差し出した右手を、代葉は強く握る。
傷のない柔らかな手は、彼女の優しさを示すようにあたたかかった。
「藤乃代葉。お礼は別にいい。
でも、無事だったなら良かった。」
美嘉もまた、代葉の手をしっかり握る。
歴戦の戦士である代葉の手は美嘉に比べて固く、霊衣の影響か僅かに冷たい。
その水晶のような美しさに。自分の知らない強さに。美嘉は心からかっこいいと思った。
土埃に汚れても、陰陽師の少女は綺麗だ。
東ちゃんがいれば声をかけてるんじゃないかななどと、美嘉はらしくないことを考えていた。
【亀井美嘉@トラペジウム】
状態:困惑(小) レジィに対する恐怖(大)
服装:学生服
装備:ライオンのぬいぐるみとスケッチブック/月蝕尽絶黒阿修羅@ダークギャザリング
令呪:残り三画
道具:究極メカ丸 絶対形態@呪術廻戦
香水@ダークギャザリング ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:生きて帰る 東ゆうと再会する
01:本当に殺し合いなんだ……
02:(黒阿修羅に対して)ごめんね。そんなボロボロなのに戦わせて。
03:代葉さん。同い年くらいなのにすごいなぁ。
参戦時期:東西南北解散後東ゆうと再会する前
備考
【藤乃代葉@鵺の陰陽師】
状態:ダメージ(小) 軽いやけど(両腕)
服装:普段の制服/霊衣
装備:自身の霊衣 盡器:染離(ぜんり)
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜3、ホットライン
思考
基本:殺し合いを止める 彼ならきっとそうする
01:美嘉を助けられてよかった。
02:あのドローンとロボットの主、多分同業者かな。危険かも。
参戦時期:美執村から戻った後
備考 ※霊衣状態でも誰でも姿が見えるようになっています。
◆◇◆◇◆
「なんであんなもん支給品にだすかね?
薄々感じてたけど羂索ってバカだろ。」
双眼鏡を投げ捨てると、レジィはあきれ顔で肩をすくめた。
戦況の一部始終を彼は見ており。結果だけで言えば大敗と言って差し支えない。
亀井美嘉を殺せず。藤乃代葉を殺せず。おまけに起動キーを1つ失った。
だが、レジィ自身はさして焦りを感じていない。むしろラッキーとさえ思っていた。
無論、その理由はあの少年霊の存在が大きい。
ぬいぐるみの中から噴き出た呪霊。
怨霊の類だと思われるそれは間違いなく特級相当の危険な存在だ。
「俺には分かるぜ。アレ弱体化してあの強さだろ?
生贄だの令呪だの使ったらどんなことになるのやら。くわばらくわばら。」
空間を削り取る能力。烏の式神を操り転移さえ可能とする代葉も大概であったが。
殺傷性・危険性という点ではあの少年霊……ひいては、それを手にする亀井美嘉は数段上になるだろう。
そんな相手を早期に知れたことは、レジィにとってまたとない収穫だ。
「覚悟さえあれば、戦えないことはない!だっけか?
呪術師は嘘ついてナンボだろうが。
羂索の馬鹿め、ここまでマジの戦いが成り立つとは思わねえよ。」
悪態をつきつつも、レジィの顔は笑顔を浮かべている。
呪術と似た力を持つ代葉しかり。
特級呪霊相当の戦力を与えられた美嘉しかり。
誰も彼もがレジィを殺しうる力を持っている。
殺し合いの皮を被った儀式でしかなかった死滅回游とは違い、このバトルロワイヤルは純然たる殺し合いだ。
ある意味では代葉や美嘉以上に、レジィはその事実に気づくのが遅く。
ここで彼はようやく「自分も狩られる側になりえる」ことを理解した。
「いいじゃねえか羂索。面白くなりそうだ。」
認識を改めたレジィだが。だからといって怯えるような男ではなかった。
元より、傍観者として死滅回游に参加した男だ。
面白そうな予感があればその選択に従う。そんな人物だ。
その勘が言っていた。
この戦いはもっと面白くなると。
あの女たちは、もっと楽しめると。
「俺も本命の道具は残っているしな。
殺し合いはここからが本番だぜ。お嬢ちゃんたち。」
蓑の中から取り出したアイテムを前に、レジィは口角をあげた。
メカ丸とは違う起動キー。レジィに支給されたアイテムは宇宙を駆ける禁忌の兵器。
ガンダム・ファラクト。
遥かな宇宙に人が及んだ未来に生まれた、禁忌の兵装。
ラッパラッターを持つレジィにとっては文字通り手駒となるその兵器が、手元で妖しく輝いていた。
【レジィ・スター@呪術廻戦】
状態:健康
服装:レジィの蓑@呪術廻戦
装備:レジィの蓑@呪術廻戦 ラッパラッター@海賊戦隊ゴーカイジャー
令呪:残り三画
道具:ガンダム・ファラクトの起動キー@機動戦士ガンダム 水星の魔女
ランダムアイテム×0〜2、ホットライン
思考
基本:殺し合いを楽しむ あわよくば生き返る
01:あの人形(月蝕尽絶黒阿修羅)は流石にヤバい。特級相当だろ。素人に配るとか羂索は馬鹿か?
02:見どころのあるガキどもだな。楽しめそうだ。
参戦時期:死亡後
備考
※麗美@呪術廻戦の荷物を回収しています
【支給品まとめ】
ライオンのぬいぐるみとスケッチブック/月蝕尽絶黒阿修羅@ダークギャザリング
・亀井美嘉に支給
旧I水門にて亡くなった少年の悪霊を封じたぬいぐるみ
「盈たして」「月蝕尽絶黒阿修羅」の言葉で起動し。無数の刺し傷が残る少年霊が解放されその能力を行使できる。
無数の腕、スケッチブックを介した消滅と捕食の呪いといった多様な能力を持ち、本来の持ち主曰く「群を抜いて強い」
本ロワでは令呪の使用もしくは何らかの外的要因によるエネルギーの増強がない限りは「削り取る」程度に弱体化されており。解放できる時間も数分程度。
香水@ダークギャザリング
・亀井美嘉に支給
市販の香水 だが月蝕尽絶黒阿修羅は敵味方を匂いで区別しており。
この香水が掛かっている人間のみ味方として判断する。
そういう意味では必須となるアイテム
究極メカ丸 絶対形態@呪術廻戦
・麗美に支給
傀儡操術の青年が持つ切り札の姿
莫大な呪力を消費することで特級呪霊さえ相手にできる火力を撃ちだすことを可能とする決戦兵器。
本ロワにおいては起動キーとして支給されており、呪術以外のエネルギーも打ち出すことが可能だが。その威力は搭乗者の呪力に左右されるもののため無人では十分な性能を発揮できない。
レジィの蓑@呪術廻戦
・レジィ・スターに支給
無数のレシートや契約書で構成された蓑
それ以上のものではなく防御力も低いが、レジィ・スターの術式の元となる重要なアイテムである
なお本ロワにおいて、構成されているレシートや契約書の中身は「2018年の日本(呪術廻戦の世界)で一般人が購入可能なもの」に限られる
ラッパラッター@海賊戦隊ゴーカイジャー
・麗美に支給
赤き宇宙海賊が持つラッパ型のアイテム
レンジャーキーを挿すことで元となった戦士を傀儡として使役できるほか、スーパー戦隊の大いなる力を奪うことが出来る
本ロワにおいては、起動キーとして支給されているアイテム群を使役することも可能になっている
ガンダム・ファラクトの起動キー@機動戦士ガンダム 水星の魔女
・レジィ・スターに支給
ペイル社が生み出したGUND-ARMの1つ。
機動力とGUNDビットをによる制圧力を有する機体であるが、GUND-ARMの欠点として使用者に廃人化するほどの負荷が流れ込む可能性がある
支給品となっている以上GUND-ARMのデメリットは軽減されているとレジィは考えているが、実際は不明
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「…俺は」
一人、困惑している男がいた
男の名は椿陽平、ある世界の日本の刑務所、極楽島に収監されていた元ギャングである。
彼は元々ムショにて暴虐の限りを尽くしていたが、世話になった「おじさん」を殺した罪を着せられた少年、栗田陸との戦い敗北し改心。
陸を陥れ、日本を自分の者にしようとする警視庁長官、鬼道院永周を倒さんとして、他の仲間とともに脱獄を計画するも。
仲間たちを逃がすため、看守内海と戦い、殺された…
はずである。
「…なぜ俺は生きている?陸や麗乃真はどうなった?そもそもあの羂索という女は鬼道院と関係が…?」
思案しているうちに、地のバッグが目に付く。
「…何かあるか漁るか…」
バッグに手を突っ込む、まずでてきたのは、鍵であった。
「これは…なに?ニルヴァーシュtype TheEndの起動キー…?」
そう書かれていた起動キーが、彼の手の中にはあった。
「…そしてこれは…」
それ以上に問題なのは、もう一つであった。
それは…パック寿司であった。
しかも、スーパーのようなものではなく、デパートの地下で置いてあるような代物である。
「これなら武器を…ん?」
林の向こう側が見えた、夜だが、はっきりと見えた。
そこにいたのは、少女であった。
「女の子…しかもあの服からして、高校生か…?」
とにかく、話を聞こうと、近づいていく、林を少女の方にまで抜けた、その時。
「…!こ、こな…」
金髪の少女は、手も振って伝える、当然、椿は困惑する。
「…?まってくれ、お…」
その瞬間だった、目の前を、糸のような何かが通る。
椿はすぐさま反応し、後ろへ飛ぶ。
「な…!?」
少女の後ろから、男が出てきた。
サングラスをかけたピンクのコートの男、身長はこちらの倍はある。
「おおかた、お前が犯人ってわけか…」
とったのはボクシングスタイル、プロクラスの技術を持つ彼に叶うものはいない…
しかし、目の前の男は違った。
「ッ!」
鋭い糸が、後ろの木を切り裂き、倒す。
不気味は笑みを浮かべながら、男は余裕を崩さない。
「…まだどういう力かわかんないし、こいつは使いたくなかったんだがな…!」
そして、起動キーを取り出す。
「こい!TheEndとやら!」
そして、椿の体は光りに包まれた。
現れたのは、黒いパワードスーツだった。
本来なら目の前の男を軽く越していくだろうが、今は違う。
だが、それでもそれは凶悪な力を秘めていた。
不気味な笑みを含みながら、男が糸を振り上げた瞬間。
飛んだ――男の頭上を移動する。
「さっさと終わらせる!」
体から発せられたの、無数の紫色の光線。
男は驚きのまま好調くして、それをもろに受ける。
「君は顔を伏せていろ!」
TheEndの爪が、少女を操っていた糸を素早く切り刻む。
椿の指示通り、少女は顔を伏せた。
そして男の肩をしっかりと掴み。
「必殺技とやらだ、バスクードクライシス!」
胸元が開き、熱線を男に浴びせる。
男はそれをすべて浴びて、何も言わず消え去った。
◆
「大丈夫か!」
「は…はい…その」
椿はパワードスーツを解除し、少女を介抱する。
「礼はいい、とにかく…」
「違うんです、伝えたいことが…」
「?なんだ?」
そして、少女は衝撃の一言を繰り出した。
「あれは…私を操っていた奴の分身です…本体は別に…!」
「なっ…!」
椿は驚愕する。
すぐさま周りを見渡しても、それらしき影は見当たらない。
(仕留め損なったか…!)
苦虫を噛み潰したよう表示を、彼は浮かべた。
【椿陽平@囚人リク】
状態:健康 疲労(小)
服装:囚人服@囚人リク
装備:ニルヴァーシュ Type The Endの起動キー@交響詩篇エウレカセブン
令呪:残り三画
道具:ニルヴァーシュ Type The Endの起動キー@交響詩篇エウレカセブン、パック寿司@オリジナル
ランダムアイテム×0〜1、ホットライン
思考
基本:殺し合いを止める
01:とにかく少女(唯)を介抱する
02:仕留め損なったか…!
参戦時期:死亡後
【櫟井唯@ゆゆ式】
状態:健康 ダメージ(小)
服装:囚人服@囚人リク
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:生き残りたい
01:どうにかして生きたい
参戦時期:当選時にお任せします
◆
逃げた男――ドンキホーテ・ドフラミンゴは、遠くで邪悪な高笑いをしていた。
「クックックッ…やるなあの男…影騎糸(ブラックナイト)の分身を、ああもう簡単に始末するとは…」
ドフラミンゴは、椿を賞賛しながら、次の計画を立てていた。
「…町へ向かうか、参加者共を操って、俺の駒にする、楽しみだ…クックックッ!」
醜悪なる天夜叉は、月に照らされていた。
【ドンキホーテ・ドフラミンゴ@ONE PIECE】
状態:健康 疲労(小)
服装:いつもの服
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:皆殺し
01:策を使って立ち回る
02:いざというときは自身も出向く
参戦時期:ルフィ達がドレスローザに上陸したあたり?
[備考]
身体能力などは、弱体化されています。
少なくとも鳥カゴは使えません。
【支給品まとめ】
【ニルヴァーシュ Type The Endの起動キー@交響詩篇エウレカセブン】
椿陽平に支給
発掘されたロボットの一つ、ニルヴァーシュの片割れを呼び出す起動キー。
巨大な鉄の爪や、黒に塗装されたフォルム。
その姿は、まるで悪魔。
【パック寿司@オリジナル】
椿陽平に支給
一人前のパック寿司、デパートに売ってるような高級なやつ。
いくらにうに、カニ味噌の軍艦にほたてといろいろ入っているが。
一番目を引くのは筋の入った質の良い大トロであろう。
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「い、生きてる……俺、生きてる……!?」
グリフィン・アルバレストはゲームが始まってすぐ、パイロットスーツのヘルメットを脱ぎ捨てた。
頭全体で風を、大気を感じられる。両手を握っては開き、己の生身の身体が健在であることを認識する。
「助かった、のか?いや、でも……有り得ない。俺は確かに、あいつに、シン・アスカに……うっ!」
コーディネイターを超える新人類として与えられた頭脳が直前の出来事を思い出し、己が確かに死んだ筈だと訴える。
雑魚と侮ったシン・アスカの有り得ざる力。機体性能や武装では説明がつかないデスティニーの有り得ざる挙動。
シンクロしていたことにより味わう羽目になったリデラードの死の感覚と、それによりパニックになった直後に味わった本当の死。
そのフラッシュバックに、与えられた能力とは裏腹に常人以上に脆く、幼ささえ残る精神性は耐え切れず、思わず嘔吐しそうになった。
「くそっ、何がどうなって…いや、それよりも今は生き延びねえと。俺が今生きてることだけは確かなんだ。ああ、確か支給品があるとか言ってたか?」
強く混乱していたこともあり、先ほどの羂索による説明も十分に呑み込めているとは言い難い。
新人類たるアコードならば許されない無様だが、グリフィンにはそんなことに思考を割く精神的余裕もない。
強力な武器が入っていることを願い、傍に置かれていたリュックを漁ると、果たしてグリフィンの祈りは天に届いた。
「よし!こいつは俺のルドラの起動キー!だがパワードスーツに落とし込んだとかどうとか言っていたが、本当なのか?
百歩譲ってジンやらダガーやらの旧式モビルスーツならともかく、ブラックナイトスコードだぞ?」
兵器というものはコストカットやダウンサイジングといった効率化に多大な開発期間や資金に労力、データを必要とする。
フェムテク装甲を採用した最新最強のモビルスーツたるブラックナイトスコードを人間サイズのパワードスーツに落とし込んだなどと俄かには信じ難い話だ。
「まあ物は試しってやつか。とりあえず使って……誰だ!?」
並のコーディネイターをも遥かに上回る鋭敏な聴覚がペタ、ペタという微かな音を聞き取っていた。
察するに何者かの足音。恐らくは他の参加者だ。知らずルドラの起動キーを握る手が震える。
暗がりの中からグリフィンの前に姿を見せたのは一人の少女だった。
茫洋とした雰囲気の金髪の少女を見た瞬間、グリフィンの目は限界まで見開かれ、鼓動は早まり、全身が震えだした。
少女もまたグリフィンの姿を認めた途端、茫洋とした雰囲気から一転して険しい表情を浮かべた。
「お前……シンをいじめる悪いやつ」
「あ……あ………!?」
一歩、また一歩とグリフィンが後退る。その姿は他者から見ればさぞ滑稽に映るに違いなかった。
何せ少女は何も身に着けていない。靴や靴下すらも履いていない、一糸纏わぬ素っ裸だった。
堂々と曝け出された美乳と呼んで差し支えない均整の取れた形の良い乳房、産毛すら無い股間の一本筋もグリフィンに男としての劣情を催させることはない。
シン・アスカの精神に潜んでいた少女の形をした怪物。悪夢から逃れたかと思えば悪夢の方が現実に舞い降り、グリフィンに追いすがってくる。
「私の前から消えろ!」
金髪の少女、ステラ・ルーシェの両手には二本のモビルスーツ起動鍵が握られており、そのうち右手に持っていた方を起動させた。
無防備なステラの肢体を鋼の装甲が覆っていく。のみならず、それはステラの身長を大きく超えて展開され、四メートルもの巨体となりツインアイを光らせた。
本来参加者の体格に合わせて展開されるパワードスーツであるが、仮面ライダーの形態に巨大な姿があるように、何事にも例外がある。
GFAS-X1デストロイ。CE73に地球連合が開発した超巨大モビルスーツ。
通常のモビルスーツに倍するサイズのデストロイはパワードスーツとなって尚四メートルサイズを保っている。
ステラは最初にこの機体のパイロットに選ばれたエクステンデッドであり、淀みのない滑らかな挙動で生身のグリフィンに狙いをつける。
「あ、ぁああああああ!!!?」
デストロイの両腕部から射出されたアームユニット、シュトゥルムファウストから放たれた十門のビームに焼かれる寸前、グリフィンは半狂乱になりながらも動いた。
ルドラを起動し、咄嗟にリュックも拾って全力機動。与えられた才能と日頃の鍛錬の賜物か、紙一重でビームを回避する。
如何にフェムテク装甲を備えるブラックナイツの機体と言えどもリュックを焼かれては物資を失う。
「だ、誰か!!母上、オルフェ、シュラ!誰でもいい、助けてくれえ!!」
「逃げるなあー!!!」
最早アコードとしての矜持も何もかもかなぐり捨てて生きることだけを願う。
万全のグリフィンなら決して有り得ぬ醜態。さもあらん、パワードスーツ化しているという状況の違いはあれど本来ルドラを使ってデストロイから逃げ惑う必要などない。
デストロイを操るのが後に搭乗したデストロイパイロットたちの誰よりも適性の高いステラだとしても、アコードとの能力差は歴然。
ブラックナイトスコードルドラにかかればデストロイなど雑魚以下と断言していいほどに性能も隔絶し、相性も圧倒的優位。
ステラがグリフィンを一方的に追い立てることが出来ているのは、偏にグリフィンが死への恐怖に囚われ、そしてステラという未知の存在への恐怖が重なり狂乱しているからに過ぎない。
怯え、竦んでいるグリフィンがモビルスーツの性能を生かせぬまま二度目の死を迎えるか。
冷静さを取り戻し、デストロイを撃滅し、現実に這い出てきた悪夢を退けるか。
あるいは第三者の介入が発生するか。未来はまだ誰にもわからない。
【グリフィン・アルバレスト@劇場版機動戦士ガンダムSEED FREEDOM】
状態:恐怖心(極大)、パニック
服装:パイロットスーツ
装備:ブラックナイトスコードルドラ・エメラルド(使用中)@劇場版機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜2、ホットライン
思考
基本:スタンス未定。少なくとも二度も死ぬのは御免。
00:誰か助けてくれ!!
01:なんなんだよあいつは!?
参戦時期:死亡後
備考
読心能力、精神操作(闇に落ちろ)に対する制限は特にありません。
【ステラ・ルーシェ@劇場版機動戦士ガンダムSEED FREEDOM】
状態:怒り
服装:全裸
装備:デストロイガンダム(使用中)@機動戦士ガンダムSEED DESTINY、ガイアガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY
令呪:残り三画
道具:なし
思考
基本:シン、守る。悪いやつ、倒す。
00:逃げるな!!
参戦時期:グリフィンと同時期
備考
主催者からゲームに参加するための肉体ないしはアバターを与えられています。
バグスターウィルスの鎮静剤切れ以外での薬物切れ等による健康上の問題は発生しません。
少なくともグリフィンを「悪いやつ」として認識しています。
キラ、ルナマリア等シン以外のコンパス所属メンバーを個別に認識するかどうかは後の書き手さんにお任せします。
彼女の他の支給品は会場内に放置されています。
【支給品解説】
・ブラックナイスコードルドラ・エメラルドの起動鍵@劇場版機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
ファウンデーション王国がザフト軍の技術を取り入れて開発したCE75時点での最新鋭MS群のうちの一機でグリフィンの搭乗機。
PS装甲の次世代型とされるフェムテク装甲を採用しており、ビーム射撃を無効化し、実体弾に対しても通常装甲以上の耐性を持つ。
パワーや機動性といった面でもCE73当時の超ハイエンド機の改修型であるデスティニーSpecⅡを凌駕している。
武装はビームライフル、対ビームシールド、対MS重斬刀の他に背部ユニットから展開される攻防一体のビームマントを有する。
・デストロイガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY
地球連合のアドゥカーフ・メカノインダストリー社が開発した超巨大モビルスーツ。資料によってはモビルアーマーとも分類される。
単騎での拠点制圧能力の獲得を目標に開発された機体で、通常のモビルスーツに倍する巨体となっており、機体本体と背面のバックパック併せて60以上もの武装を持つ。
実弾・ビーム問わず無効化する陽電子リフレクターと(本ロワでは)VPS装甲を併せ持つが、接近戦用の兵装を一切持たないという弱点がある。
本ロワではパワードスーツ化されてなお四メートルもの巨体になっている。
エクステンデッドでなくても使用できるように調整されているが、それでも常人では十全な火器管制が難しいほどの高度な処理能力を要求される。
・ガイアガンダムの起動鍵@機動戦士ガンダムSEED DESTINY
元々はザフト軍が開発したセカンドステージシリーズのモビルスーツ群のうちの一機だったがアーモリーワンでファントムペインに強奪された。
以後はステラ・ルーシェの搭乗機として各地でミネルバ隊と交戦したが、ロドニアのラボでインパルスとセイバーに鹵獲された後、クライン派に流出した。
四足歩行を可能とするモビルアーマー形態への変形機構を持つ陸戦を得意とする機体でだったが、原作では海上戦が多く強みを十分に活かせなかった。
武装はビームライフル、ビームサーベル、対ビームシールドにモビルアーマー形態で使用可能なビーム砲とビームブレイド。
投下終了です
企画主です。
このスレがもう少しですべて埋まるので、新しいスレを立てさせていただきました。
今後とも真贋ロワをよろしくお願いいたします。
>>986
誤字があったので訂正します
【櫟井唯@ゆゆ式】
状態:健康 ダメージ(小)
服装:囚人服@囚人リク
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:生き残りたい
01:どうにかして生きたい
参戦時期:当選時にお任せします
↓
【櫟井唯@ゆゆ式】
状態:健康 ダメージ(小)
服装:制服@ゆゆ式
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1〜3、ホットライン
思考
基本:生き残りたい
01:どうにかして生きたい
参戦時期:当選時にお任せします
大変失礼いたしました
投下します
暗い街に、一人の小柄な青年が立っている。
彼の名は、響裕太。
ヒーロー「グリッドマン」と融合し、共に怪獣と戦った高校生だ。
だが今の彼は、すでにグリッドマンとは分離している。
彼とグリッドマンのつながりであるアイテム「プライマルアプセプター」も、没収されていて彼の手元にはない。
ならば響裕太は、この場において無力な一般人にすぎないのか。
断じて、否である。
「グリッドマンがいなくても……戦わなきゃ!
わけのわからない理由でたくさんの人が殺されるなんて、見過ごしていいわけがない!」
グリッドマンと出会うより前から、彼の精神は紛れもないヒーローであった。
力の有無など、関係ない。
他者を守るためなら、戦える。
たとえ、おのれの命が危機にさらされても。
「いやあああああ!!」
その時、彼の耳に誰かの悲鳴が届いた。
その瞬間、裕太は一切のためらいなく悲鳴の方向に走り出していた。
◆ ◆ ◆
「いやちょっと勘弁してくれないかなぁ!
こっちはただの高校教師なんだけど!
せめて気持ちを落ち着かせる時間くらいちょうだいよ!」
横島ナルコは、大声でわめき散らしながら逃げ続けていた。
彼女を追いかけているのは、3体のNPC。
魔女のような三角帽子をかぶり、舌を突き出した幽霊、ゴーストである。
「ヤバ、脇腹痛くなってきた……。
別に体育会じゃないのよ、私……」
みるみる失速していく横島。
ゴーストとの距離は、瞬く間に縮まっていく。
もはや万事休すかと思われた、その時。
「大丈夫ですか!」
響裕太が、その場に駆けつけた。
「助けに来てくれたのは嬉しいけど……。君も強そうじゃないし……。
逃げた方が……」
「俺は大丈夫です! 戦えますから!」
横島に向かってそう言うと、裕太はポケットから支給品を取り出した。
それは懐中時計を模した、ヒーローの力を宿したアイテム。
そこに描かれていたのは、目鼻のない異形の鬼だった。
「仮面ライダーの力、お借りします! アクセス・フラッシュ!」
グリッドマンに変身する時のかけ声と共に、裕太は時計を高く掲げる。
その直後、彼の体を炎が包んだ。
炎の中から現れたのは、それまでの裕太とは似ても似つかぬ姿。
紫を基調とした体色の、筋骨隆々の巨漢。
裕太の姓と同じ音の名を持つ、魔を祓う鬼。
仮面ライダー響鬼が、そこにいた。
「いくぞ!」
気合いの叫びと共に、裕太はゴーストに向かっていく。
彼はまだ、響鬼のスペックを理解しきれてはいない。
だが邪気を清める力を持つ響鬼は、死霊であるゴーストにとっては天敵。
ただ拳を振るうだけで、ゴーストはあっけなく消滅していく。
結果、ゴーストたちは裕太に一撃加えることさえできずに全滅した。
「すっご……。マジで私の知らない世界ね……」
「もう一度確認しますけど、怪我とかしてないですか?」
「うん、大丈夫。助けてくれてありがとうね」
非現実的な光景に動揺しつつも、横島は裕太の問いに答える。
「ところでそれ……。元の姿に戻れるの?」
「ええ、説明書を信じれば。
頭の中で念じるだけで、変身を解除できるはずで……」
しゃべりながら、裕太の体が再び炎に包まれていく。
程なくして、裕太は仮面ライダー響鬼から本来の姿に戻った。
全裸で。
「えっ」
「えっ」
二人の口から、なんとも言えない声が漏れる。
「えっ、服! 服は!?
あの、すいません! 何か代わりの服ないですか!
なんでもいいんで! あの、聞いてます?」
取り乱す裕太の言葉に反応を見せず、横島は無言でよだれをたらしながら彼の裸体を凝視していた。
◆ ◆ ◆
数分後。裕太は無事、横島に支給されていた服を身につけていた。
ただし、女物だったが。
しかもデザインがかなりあざといし、スカートの丈も短い。
ウサギの耳のようなものがついたヘッドセットも付属していたが、さすがに必要もないのでそっちはつけていない。
「他になかったんですか……」
「ないねえ」
裕太の問いかけに、横島は性欲を隠しきれない顔つきで返す。
「まあ、さすがに全裸よりはましじゃん?」
「いっそ全裸の方がましな気も……。いや、さすがにそれはないか……。
早く、ちゃんとした服見つけないと……。
ああもう、こんな事してる場合じゃないのに!」
裕太の嘆きが、人気のない街にこだました。
【響裕太@SSSS.GRIDMAN】
状態:羞恥心(大)、ノーパン
服装:フルール・ド・ラパンの制服@ご注文はうさぎですか?
装備:響鬼ライドウォッチ@仮面ライダージオウ
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:殺し合いを止める
1:まともな服がほしい
参戦時期:「グリッドマンユニバース」終了後
【横島ナルコ@生徒会役員共】
状態:疲労(中)、発情
服装:私服
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0〜2、SA・ホットライン
思考
基本:生き残る
1:裕太を性的に食いたい
参戦時期:最終回後
【支給品解説】
・響鬼ライドウォッチ@仮面ライダージオウ
仮面ライダー響鬼の力を宿したウォッチ。
ジクウドライバーにセットすれば響鬼アーマーを装着できるはずだが、映像作品内では未使用。
作中では桐谷京介の思いに応えて出現し、彼を仮面ライダー響鬼に変身させた。
このロワでは、ヒーローにふさわしい心を持つ者なら使用可能。
ただし羂索が視聴者サービスとして、変身を解除するとオリジナル同様全裸になるよう調整している。
・フルール・ド・ラパンの制服@ご注文はうさぎですか?
シャロがバイトしているハーブ喫茶「フルール・ド・ラパン」の制服。
メイド服風のエプロンドレスで、スカートの丈は短め。
一部の客からは、「いかがわしい」と評判である。
【NPC解説】
・ゴースト@ドラゴンクエストビルダーズ
三角帽子をかぶった幽霊のモンスター。
メインシリーズではこれといって特徴のない雑魚モンスターだが、「ビルダーズ」では夜にしか出現しない特殊なモンスターに。
元々の移動スピードも速い上に、ワープ能力も持つ。
さらに戦闘力も、序盤では倒すのが難しい程度の高さを備えている。
このロワでも元の作品同様、夜にしか出現しない。
投下終了です
おはようございます。
企画主です。
真贋ロワのコンペ期間の締め切りは本日正午となっております。
皆さま、どうかふるってご参加ください。
「この殺し合いを利用し貴様に復讐するぞ、浮世英寿ーーーーー!!」
…錬金術師として色々失格な彼に多くのケミーをもたせたのは羂索達の嫌がらせだろうか
【釘宮リヒト@仮面ライダー THE WINTER MOVIE ガッチャード&ギーツ 最強ケミー★ガッチャ大作戦】
状態:健康
服装:普段着
装備:なし
令呪:残り三画
道具:
ライドケミーカード(ギーツケミー、クロスウィザード、ホークスター、キャッチュラ、???×2)@仮面ライダーガッチャード、レプリライドケミーカード(エンジェリード、ドラゴナロス)@仮面ライダーガッチャード、悪意人形@仮面ライダーガッチャード
ホットライン
思考
基本:この殺し合いを優勝し、浮世英寿に必ず勝つ力を手に入れる!!もしこの場に浮世英寿本人基関係者がいたら真っ先に殺す
01:その邪魔をした一ノ瀬宝太郎も許さない
02:ケミーは道具として存分に利用する
03:宝太郎の関係者も徹底的に甚振る
04:仮面ライダーマジェードに対しては使うケミーを変えて対処する
参戦時期:宝太郎達に敗れて逮捕されたあとからの参戦です
タイトルはマルガムリベンジャーです、支給品についてはまた後で追記します
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