したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

チェンジ・ロワイアル part4

1 ◆5IjCIYVjCc:2024/01/27(土) 15:52:18 ID:A3HUuRCo0
【当企画について】
・様々なキャラに別のキャラの体を与えてバトロワをする、という企画です。
・コンペ形式で参加者の登場話を募集します。
・初心者から経験者まで誰でも歓迎します。

【参加者について】
・このロワの参加者は皆、自分の体とは別人の体で戦うことになります。
・参加者として扱われるのは体を動かす精神の方のキャラクターです。
・精神と体の元になるキャラの組み合わせは自由です。

【ルール】
・全員で殺し合い、最後に生き残った1人が勝者となる。
・制限時間は3日。
・優勝者だけが元の体に戻れる。
・優勝者はどんな願いでも叶える権利を得る。
・参加者は皆爆弾入りの首輪を嵌められている。これが爆発すると如何なる存在でも死亡する。
・主催者は権限により首輪を独自の判断でいつでも爆破することができる。
・主催者が「これ以上ゲームを続けることは不可能」と判断したらその時点で全参加者の首輪が爆破される。
・参加者は最初、会場のどこかにランダムにテレポートさせられる。
・NPCなどは存在しない。
・ゲームの進行状況等は6時間ごとに行われる放送でお知らせする。
・定期放送ごとに禁止エリアが3か所発表される。
・禁止エリアに立ち入ると首輪が5分後に爆破される。
・禁止エリアが有効となるのは放送から2時間後。
・禁止エリアに立ち入った場合、首輪は事前に警告音を鳴らす。

【支給品について】
参加者にはデイパックというどんなものでも入る小さなリュックが渡されます。その中身は以下の通りです。
・地図:会場について記されている。
・食料(3日分):ペットボトルの水やコンビニ弁当など。
・名簿:参加者の名前が羅列してある紙の名簿。最初は入っていません。本編開始とともに配布について放送でお知らせされます。
・ルール用紙:ルールについて書かれたA4サイズの紙。
・ランダム支給品:現実、フィクション作品などを出展とするアイテム。最大3つまで。
・身体の持ち主のプロフィール:このロワで与えられた体の元の持ち主について簡単に記してある。記載事項は名前、顔写真、経歴、技能といったものなど。
【追加支給品】
・コンパス:方位を知るためのアイテム。手持ちサイズの小さなコンパス。赤い針が北を指す。
・名簿:参加者の名前が羅列してある紙の名簿。五十音順で記されている。身体についての記載は無い。

【支給品についての注意事項】
・2021年9月22日現在、既に登場している参戦作品以外からの出展で支給品を登場させることを禁じています。

【開始時刻について】
・開始時刻は夜中の24時からです。

【時間表記】
深夜(0〜2)
黎明(2〜4)
早朝(4〜6)
朝 (6〜8)
午前(8〜10)
昼 (10〜12)
日中(12〜14)
午後(14〜16)
夕方(16〜18)
夜 (18〜20)
夜中(20〜22)
真夜中(22〜24)

【状態表について】
・状態表には以下のテンプレート例に示すように[身体]の欄を表記することを必須とします。
【状態表テンプレート例】
【現在地/時間(日数、未明・早朝・午前など)】
【名前@出典】
[身体]:名前@出典
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:
1:
2:
3:
[備考]

・死亡者が出た時は以下のように表記してください。
【名前@出典(身体:身体の名前@出典) 死亡】

【予約ルール】
・予約する場合は3週間を期限とします。
・期限を過ぎて何も連絡が無ければ予約は取り消しとなります。
・予約を延長する場合はもう1週間までとします。
・予約が入っていないキャラならば予約なしのゲリラ投下も可能です。
・予約期限を過ぎた場合、同じキャラを再予約ができるのは5日後とします。

まとめwiki:ttps://w.atwiki.jp/changerowa/
専用したらば:ttps://jbbs.shitaraba.net/otaku/18420/

517Awake ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:15:57 ID:eNjl2nDw0


「……何、何なの、あいつ…」

志々雄の行動に凛は戦慄していた。
自分の体全体で他の生物を喰らう、そんな存在を見るのは初めてのことだった。
再生能力を持つ命を直接的に喰らう存在、これだけだと吸血種の一種か何かのようにも思える。
だが今対峙している存在は、もっと別の何か、そんな気も感じていた。

「き、貴様…何てことを…」
「何もそこまで…」
「フン、こっちに近付いてきて背中を見せる方が悪いのさ」

志々雄の行いに戦慄しているのは残されたアクション仮面達も同じだった。
それに対する志々雄の態度は、何てことも無いかのようだった。
志々雄にとって、今回のことはどちらかと言えば実験的な意味合いが強かった。
柱の男の能力の1つ、体全体を使った補食を試すチャンスがあったからやってみただけのことだ。
相手が人間ではなく豚の姿をしていたことからも、抵抗は少なかった。
もっとも、人間相手でも必要そうなら躊躇わずにやるつもりもあったが。
補食によるエネルギー補給で少しでもの体力回復も狙っていた。
これまでに傷付いた体の再生にエネルギーは使われているはずなので、その消費した分の回復もしたかった。
その目論見もその通りとなり、志々雄はぶりぶりざえもんを食った分の体力が回復している感覚があった。

(……ぶりぶりざえもん…)

凛は先ほど悲惨な最期となったぶりぶりざえもんのことを考える。
あいつは確かに二度も自分達を裏切ろうとしたし、全く役に立たなかった。
それでも、心の中に何かモヤっとしたものが残った感じがあった。
あんなのでも、おバカな言動が多少は心の清涼剤になっていたのかもしれない。
…いや、それは流石に過大評価か。

(とにかく、あいつはどうすれば…)
「くっ…」「ムウ…」

凛達は志々雄の所業に驚き、動きが少し止まっていた。
身体のどこからでも捕食するという能力を見せられたことで、攻めあぐねているところがあった。
機械の体のカンタムロボは取り込まれる可能性は低いが、アクション仮面の方は接近戦を行おうとすれば体を食われる可能性がある。
カンタムロボは接近、アクション仮面は遠距離から攻撃しようとすればカンタムロボもアクション仮面の攻撃の巻き添えを喰らう可能性がある。
となるとどちらも遠距離から攻撃するしかないが、前と同じように攻撃を防がれるかもしれない。
凛はここからどうするのがベストなのか、考えを巡らせていた。

そうなっていた時に、凛の考えに関わらずに新たな動きを見せる者もいた。


『ビュン!』
「あっ、ちょっと!」

それは、先ほど志々雄に殴り飛ばされたグリードだ。
両手が黒のダイヤモンドに覆われていることから、まだキャメロットに戻っていないことが分かる。
そして片方の手には、志々雄に奪われたエターナルソードの代わりに別の武器が握られていた。
アルトリアとしての青いドレス衣装は、ところどころ一部が焼け焦げてボロボロにもなっていた。
火傷の方は、ホムンクルスとしての再生能力により治っている。
そんな状態のグリードは、凛の隣を素早く駆け抜けて、志々雄のいる方へと向かっていった。


「その刀は…!チッ!」

志々雄がその武器を見て驚いたような反応を見せる。
それでも志々雄は手に持つ剣を相手に向けて構える。
先ほど近くに刺し置いたエターナルソードも念のためもう一度拾っておき、迎撃に備える。

グリードが今持っている武器…刀の名は逆刃刀。
志々雄真実にとって人斬りとしての先輩であり生前の最後の宿敵である男、緋村剣心が「不殺」の誓いのために所持していた刀だ。

「オリャアッ!」

グリードは跳びながら逆刃刀を振りかぶり志々雄に叩き付けようとする。
先のことのおかげで、自分の体で直接攻撃しようものなら大火傷することは分かっている。
とは言っても、盾も無しでは結局他の攻撃等から身を守れない。
だから今はダイヤモンドの盾を展開しながらも逆刃刀で攻撃しようとしている。

518Awake ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:17:05 ID:eNjl2nDw0
『ガアァンッ!』

逆刃刀とエンジンブレードの刃がぶつかり合う。
それと同時にグリードは着地し、そのまま志々雄と鍔迫り合いを始める。

「まさかここでその刀を見ることになるとはな。そんな斬れない刀を使って、てめえも誰も殺さないようにするつもりか?」
「ハッ!これしか無いから仕方なく使っているだけだ!」
「まあそうだよな。そんな奇特な奴、あいつしかいねえだろう」

片手で持ったエンジンブレードだけで受け止めながら、志々雄はグリードに声をかける。
志々雄の表情は、喜ばしさと忌々しさ、どちらも混ざったような複雑な感じになっていた。
実際彼の内面もまた同じで、表情はそれがそのまま反映されていた。
自分と相容れない最期の宿敵が扱っていた武器を見て、忌まわしいという気持ちとほんの少しでもリベンジになるかもしれないという気持ちがない交ぜになってきていた。
そんな気持ちになりながらも、志々雄はその刀をまだ押し止めていた。
これに対してグリードが両手で握って力を込める形に変えても、状況は変わらなかった。

「!」
「アクションビーム!」

グリードとの鍔迫り合いの隙に、アクション仮面が攻撃を仕掛けてきた。
志々雄から見ればエンジンブレードを持つ右側に向けて、アクションビームを撃ってきた。
その方で持つ剣を今別のことに使用中のため、ビームを防ぐのに使えないであろうことからそちら側の方からアクション仮面は仕掛けた。

「フン!」
『ギャリッ』『ガンッ!』
「グッ…!」

アクション仮面が行動しようとしていることに気付いた志々雄は、素早くエンジンブレードを動かして相手の刀を切り払った。
刀の側面に沿って手首のスナップで刃を少し上げて走らせて、相手の体勢をほんの少し崩す。
その後に腕を動かして刃を反対側に少しずらし、腕を勢いよく戻して横から強く刀を叩き、それでより相手の体勢を崩す。
そうした直後、志々雄は後ろ向きに跳んだ。
志々雄は、アクションビームをギリギリのところで避けれた。

「カンタムパンチ!」

志々雄がビームを避けた直後で、カンタムも攻撃を試みる。
ロケットパンチを右腕だけ飛ばし、志々雄の左側の方から攻めさせる。

「シイィィッ!!」
『ガンッ!』『バキンッ!!』

これに対しても志々雄は素早く反応する。
両手の2本の剣を振り上げ、順番にロケットパンチに向けて叩き付ける。
最初にぶつかったエターナルソードの刃が、飛んできたパンチの威力を殺して止める。
直後に振り下ろされたエンジンソードの刃が、前に斬った時に付けた傷を捉えた。
その傷から刃がロケットパンチの中に入り、そこも切り裂いていった。

『ボンッ!』

エンジンブレードはやがてロケットパンチを完全に両断し、直後にその拳は爆発した。
この瞬間、カンタムロボは片腕だけで立ち尽くすことになってしまっていた。


(私と代わってください!奴に対抗するには剣技が必要です!)
『けどよ…またあの血をかけられたらどうすんだ?盾があってもアレなら、直はもっとヤバいかもしれねえぞ』
(それは…そうかもしれませんが…)

これまでのことから、相手は高い剣技を持っていいることが考えられる。
そしてキャメロットとグリードなら、キャメロットの方が剣の扱いを心得ている。
だからここはキャメロットの方が相手により対抗できるかもしれない。
しかし、キャメロットでは相手の攻撃を素肌のまま受け止めてしまうかもしれず、そうなってはグリードの盾越しの時より酷いダメージになるかもしれない。
盾があっても熱は貫通するため先ほどでもダメージは酷かったが、それでも無いよりはマシだったかもしれない。
ダメージを受けた時にそれを治すのもグリードじゃないとできない。
そういったこと等を考えると、代わることに躊躇する気持ちも少し出てくる。
攻撃を防いだりダメージ回復の時だけ代わるにしても、それだと短時間で何度も代わることになりそうで、これはタイミング等の問題で難しそうに思える。

519Awake ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:18:51 ID:eNjl2nDw0


「なあ、お前…やっぱその刀だと戦いにくいだろ。こいつを返してやろうか?」
「何…?」

志々雄は突如、先に奪ったエターナルソードを見せびらかすような持ち方をながらそんなことを言ってきた。
その直ぐ後に、志々雄は左腕を地面に対して水平寄りに動かしながら、エターナルソードを後ろの方に振りかぶる。

「そら、受け取れ!」

志々雄はエターナルソードを、横向きに力を込めて思いっきりぶん投げた。
エターナルソードは地面に対して水平な状態で高速で回転しながら空中を飛んで行った。
しかしそれは、剣を獲られた張本人であるグリードの下には飛んで来なかった。

「え…」

エターナルソードの行き先は、後ろの方で戦いを見守っていた凛の方であった。

「危ない!カンタムブーメラン!」

カンタムロボが咄嗟に背中のウイングを残った左手で取り外し、ブーメランとして投げつける。
ブーメランは空中のエターナルソードの方へと向かう。

『ドスッ』『ボンッ!』

エターナルソードはブーメランに突き刺さる。
ブーメランとなっていたウイングのブースターが壊れたことにより、爆発する。
カンタムロボはこれで右腕だけでなく背中のウイングも失うことになった。
爆風によってエターナルソードは凛のいる方とは別方向に飛んで行く。
ただしそれは、グリードらのいる方から離れていく方向であったが。

「っのやろ…!」

エターナルソードが投げられたことでグリードは一瞬凛のいる後方へ視線を向けさせられた。
けれどもカンタムロボによって阻止されたことで、再び志々雄へと対峙しようとする。

「…!?」

しかしグリードは再び動きを止めてしまう。
異様な光景がそこで見て取れた。

志々雄の左手の平から、刀の先端が生えてきていた。
その刀は、ニョキニョキと少しずつ這い出てきていた。
やがてその先端は、"折れた"状態で手の平の中から完全に飛び出て来た。
志々雄はその折れた刀の先端を左手の平で摘まむようにキャッチする。

「もう一発(いっぱぁつ)!」

志々雄は刀の先端も、凛のいる方へと投げつけた。
刀の先端も、ブーメランのように地面に水平に回転しながら凛の下へと飛んで行った。

「うおおおおお!!」

これに対して動けたのはアクション仮面だった。
アクション仮面は凛の下へと駆け出した。

「しんのすけ君!」
「きゃ!」

アクション仮面は走りながら自分の膝下くらいの大きさのしんのすけボディの凛を抱きかかえる。
走って移動しながら抱きかかえたことで、ギリギリ凛のいた場所を刀の先端が通過したところで避けさせることができた。



志々雄が今投げた刀の先端は、前の南西の森での戦いでDIOが持っていた時雨のものだ。
志々雄が折ったためにDIOが捨てたその刀を、志々雄は念のため回収していた。
電話ボックスが使えるようになるまでの待ち時間の時、試しに周囲を探してみたら発見できた。

そしてその刀の先端を、自分の体内に隠すことを思いついた。
突如として身体の中から飛び出させてみれば、不意を突けるかもしれないと考えた。
再生能力と肉体操作能力のある柱の男の肉体ならば、体内に刃物を隠していても戦闘能力への影響は少ないとも考えられた。
隠し場所には左腕の中を選んだ。
腕の中ならば咄嗟に取り出してすぐに手に持って扱えるためだ。

念のため、折れた時雨の残りの部分と、もう1つのDIOが落としていった黒刀である秋水も探して拾って回収しておいた。
これらは本当に一応回収しておいただけで、今後使わない可能性の方が高そうだが。

それに今投げた先端の欠片は、ずっと高体温の身体の中に入れていた後に思いっきりぶん投げたため、もうボロボロになって使いものにならない可能性が高いだろう。




「おい!…くそっ!」

凛の方へ向けて二回も連続で攻撃が仕掛けられたことにグリードは注意を逸らされてしまった。
結果的に何とかなったが、どちらもグリードは止められなかった。
このことにより、グリードは集中力を大きめに乱された。
それでも何とかもう一度志々雄に向き直ろうとする。

520Awake ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:21:55 ID:eNjl2nDw0
「余所見ばっかしてんじゃねえぞ!」
「ガッ…!?」

しかし、完全に向き直る前に志々雄の行動を許してしまった。
志々雄は空いた左手を伸ばし、それでアルトリアとしての顔面を掴んできた。
その際、志々雄は左手の親指を口の端に引っ掻けてきた。

「なへるんひゃ…」

グリードは顔から全身にダイヤモンドの盾を展開する。
相手が熱でも攻撃するのが分かっているのではあれば、まだ耐えやすい。
盾越しでもダメージは受けるが、その先から治していけば良い。
先は突然のことだったため剣を奪われるという失態を演じてしまったが、今度はそうはいかない。
グリードは心構えをしながら、反撃しようとしていた。

しかし、グリードには1つ知らないことがあった。
グリードは今、相手が血で攻撃するためには自傷行為が必要だと認識していた。
前の攻撃の時はそのようにしていたからだ。
けれども、それはエシディシの肉体の能力の本領ではない。
エシディシは肉体操作により、わざわざ道具で傷口を作らなくても血管を外に出すことができた。
志々雄はかなり前の戦いでもそれを行えていた。
そして今、志々雄はグリードの顔を掴んだ左手親指の爪の間から、血管を外に出していた。

更にもう1つ、グリードには誤算があった。
グリードが最強と自負するダイヤモンドの盾には、穴があった。
原作でそんな描写がある訳ではないが、ここではそうだと解釈する。
それは、呼吸のために必要な穴だ。
目の部分であるならば、透明なダイヤモンドで覆えば良い。
しかし、呼吸穴ならばそうはいかない。
体内にまでも盾を張り巡らせる訳にもいかない、肺を塞ぐようなことをすればやはり酸素が体に取り込まれず窒息してしまう。

これらのことが意味することはただ1つだけだ。

「溺れな」
『ドピュルルル』

志々雄は、グリードの反撃がある前に左手親指から口の中に血液を流した。

「ぐぼっ…ごばぼぼぼぼぼぉっ!!?」

グリードの口内に灼熱が広がった。
超高温の血液は、喉奥の方にまで流れていった。
焼かれることによる激痛が、口から体中を駆け巡る。
気管や食道を焼きながら流れていく血液はやがて肺や胃へとたどり着き、そこに穴を焼き開けて更に下へと流れ出る。
そうして他の内臓をも沸騰する血液が焼いていく。
体は発火点を越え、口の中から火も吹き出してくる。
口の中から溢れた血液や体の中から外に貫通して流れた血液により上半身の服にも火がつき、燃え広がる。
目にも高熱は伝わり、眼球内の水分が沸騰し視力も奪われる。

『熱い!熱い!熱い!!熱い!!!』

内臓を焼かれながらも、ホムンクルスとしての再生能力が直ぐに治していく。
このおかげで、彼らの命までには届かない。
しかし治しても治しても、また直ぐに焼かれていく。
燃焼と再生が連続で繰り返されることで、死ぬこともできず余計に地獄のような苦しみがグリードを襲う。
ダイヤモンドの盾で体を覆うこともできなくなっていく。
再生に必要な賢者の石の中の命も、毎秒消費されていく。
――この感覚を、グリードはどこかで味わったことのあるような気がした。
――しかし、今はそれを思い出している暇は無い。



「ん゛ーーーっ!!ごぶお゛―――っ!!!」
「その人を離せ!」

グリードを体の内側から焼かれている志々雄に対し、カンタムロボが止めるべく向かって来た。
カンタムロボは志々雄に向かって走りながら跳び蹴りを繰り出した。

「ソラッ!」
『ブンッ!』

志々雄は左手で口を掴んでいたグリードを持ち上げる。
そしてそれを、カンタムロボに向かってぶん投げた。

『ドンッ』
「ぐおっ…!」

グリードとカンタムロボは空中でぶつかった。
カンタムロボは怯み、志々雄にキックが届く前に地面に落ちた。
グリードも別方向の地面に落ちて倒れる。
口の中から飲まされた血液を垂れ流しながらピクピクと痙攣していて、起き上がる様子はなかった。
投げられた際に右頬の肉が引き千切られ、口の右側は裂けていた。
千切られた小さな肉は、志々雄の指からエシディシとしての肉体の方に吸収されたようだった。

高熱で攻められていた際に背負っていたデイパックの紐が切れたようで、それも投げられた時に地面の別の所に落ちていた。
けれども逆刃刀はまだ、手から離さず握っていた。

『HEAT! MAXIMUM DRIVE!』
「それじゃあ、次はお前にもご退場願おうか」

志々雄は空いた左手で、エンジンブレードにヒートメモリを抜き差しする。
その視線の先には、何とか立ち上がろうとしているカンタムロボがいた。

「シャアアッ!」

志々雄は剣に炎を纏い振り上げながらカンタムロボの方に向かっていく。

521Awake ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:23:24 ID:eNjl2nDw0
「くそおっ!」
『バンッ』『ボロッ』
「うおっ!?」
『スカッ』

志々雄はカンタムロボに対し剣を斬りつけようとした。
しかし刃が届きそうになった瞬間、カンタムロボは残った左腕で地面を叩いた。
その衝撃で、カンタムロボの上半身と下半身が分離した。
本来なら分離するたまには背中のブースターを推進力にしないといけないのだが、それは破壊されてしまった。
そのために地面を叩いた衝撃の反動を利用して分離し、志々雄の攻撃を避けた。
しかし、ここからかこんな状態で動くための方法が無い。

「カンタム…パーンチ!!」
「ぐおおっ!?」

これがカンタムロボにできる最後のことだった。
残った左腕をロケットパンチとして志々雄に撃ち出した。
ロケットパンチは志々雄に命中し、後方へと吹っ飛ばした。

「ふん…まあ最後っ屁としては及第点といったところか」

しかし、志々雄はそこまで遠くに吹っ飛ばなかった。
エシディシの身体とエンジンブレードの重さもあり、片腕だけのロケットパンチではあまり動かすことはできなかった。
カンタムロボ自身もこうなることは分かっていた。
自分に出来るのは、少しの時間稼ぎだけだもいうことも。
志々雄はまたカンタムロボの方に近付いてくる。
ロケットパンチの腕はカンタムロボの方に戻ってきたが、これをもう一度撃つ隙はもう作れない。

「わ、私が消えても、正義の魂は消えな…」
『ザンッ!』
「があっ…!」
『ドスッ』

志々雄はまだ火を纏っていたエンジンブレードでカンタムロボの上半身を斬りつけた。
左腕でカンタムロボは防御しようとするが、その意味もあまり無い。
斬りつけて大きな傷を作った後、ダメ押しに志々雄は剣をカンタムロボの胸の辺りに突き刺した。

「じゃあな」
『バチッバチッ』『ボンッ!!』

志々雄が剣を引き抜き、少し離れた後にカンタムロボは爆発した。
残された下半身もそれに伴い、その場から消滅していた。



「ハアアアッ!」
「!」
『ガキィン!』

カンタムロボを破壊した後の志々雄に攻撃が仕掛けられる。
志々雄が攻撃をエンジンブレードで防いだことで金属音が鳴る。

「次の相手は私だ!」

攻撃してきたのは、エターナルソードを持ったアクション仮面だ。
先ほど志々雄がカンタムロボの相手をしていた隙に、剣を拾っていた。

「……私ももうすぐ消える。けれども、最後までお前の相手をするぞ!」
「あなた、まさか…」

凛はアクション仮面が今からどうしようとしているのかを察する。
そしてそれが、この場において最適解であることも。

自分たちだけではもう、目の前の大男に敵わない。
これまで出会った、他の協力者達の手も借りなくてはならない。
だが、そう簡単に相手から逃げられるとも思えない。
だから、トランプの効果の時間制限のあるアクション仮面が一人残り足止めしようというのだ。

「そいつは妙案かもしれねえが…お前が消えた後でも俺はあのガキに追い付けたら全部無駄だろ」

志々雄が問題点を指摘する。
今の志々雄の認識では、逃げるとしてもしんのすけの身体の凛が一人だけとなっている。
身長のかなり低いしんのすけの身体では、最初にここまで来るために乗っていたバイクを運転出来ない。
その身1つだけで走って逃げても、アクション仮面が消えるか倒された後に、大きな体で身体能力も高い状態の志々雄に追い付かれるかもしれない。

「それには及びません!」
「!」
『ガキンッ!』

別方向から志々雄に向けて新たな攻撃が飛んで来た。
志々雄はエンジンブレードを咄嗟に振ってそれを防ぐ。

「ほお…まさかまだ生きていたとは」
「……ええ、彼のお陰で」

志々雄に攻撃してきたのはアルトリアの姿をしたグリード…ではなく、キャメロットだ。
少し見ない間に人格が切り替わっていた。
内側から焼かれたことによる大ダメージは治っているようだった。
顔の引き裂かれていた右頬も元に戻っている。
頭の後ろで纏められていた髪はほどけ、下ろされた状態になっていた。
そんな彼女の服装についてだが、とても酷いものになっていた。
何と、ドレスの上半身がほとんど燃えたり破れたりして失われていて、ほぼ半裸な状態となっていた。
右腕の袖どころだけでなく、パフスリーブまでもが焼失して両腕両肩が丸出しになっている。
胸の小ぶりな乳房や腹回りまでもドレスが焼失して露出しているが、それを恥じる様子は無い、と言うよりは恥じている余裕が無い。
体中の至るところに張り付いている燃えカスや煤等が彼女がどうしてこんな格好をしているのかを示すものとなっている。


志々雄としては、キャメロットがまだ生きていることには驚いている気持ちがあった。
最初に負わせた火傷を治してきたことから今の自分と同じく自己再生能力があること自体は予測していた。
しかしまさか、超高温血液を大量に飲ませても復帰してくる程のものだとは思っていなかった。

522Awake ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:26:03 ID:eNjl2nDw0
キャメロット側の方も、今は全く平気という訳ではない。
ダメージはグリードが治してくれたが、それによる消耗は激しかった。
再生のために賢者の石の中の命をほとんど消費してしまっており、そのことも申し訳ない気持ちが出てきている。

また、実は今はグリードの意識は眠っている状態になってしまっている。
高熱でかなり苦しめられたことと、全力で再生に力を注いだことで精神力をほとんど失ってしまったようだった。
次に彼が何時起きてくるかは分からない。
賢者の石の力をほとんど使ってしまったらしいことを考えると、もう再生能力ばかりに頼るわけにもいかなくなる。
致命的なダメージを受けないように、要注意しなければならない。

「ウ、グッ…ゲホッ、ゴホッ」

後遺症もまだ残っていた。
飲まされた血が固まったものが気管等に残ってしまっているようで、その影響で咳き込んでしまう。
それに熱もまだ残っているようで、頭がクラっとしている感覚がある気もする。

「おいおいどうした?体調が悪そうに見えるが」
「……それでも、動かなくてはならないのです。守りたいものを守るために!」

志々雄も指摘する通りだ。
だけども、今はそれを気にしている場合でもない。
ここを生き延びるためには、自分がバイクを運転して凛を乗せて離れるしかないのだ。



「デエェヤアッ!」「ヤアアァッ!」
「シイィ!」
『キンッ!』『カアン!』

アクション仮面とキャメロットがそれぞれ武器を志々雄に振るう。
志々雄はそれを自分が持つ剣で捌く。

「ヌオオォッ!」
『ギインッ!』『ギリギリ…』

やがて、アクション仮面と志々雄とで鍔迫り合いの形になる。
アクション仮面は元々剣術も芸達者だ。

「そのままでお願いします!」
「ヌウ…?」

アクション仮面が一時的に志々雄を押さえた形になったところで、キャメロットが後ろ向きに跳んで少し離れる。
そこで彼女は、刀に風を纏わせ始める。
ただしそれは、この戦いの最初の頃にやったような風の結界を張ることを目的としたものではない。

「離れてください!」
「ハアッ!」
「ヌッ…」

キャメロットの言葉にアクション仮面が後ろに跳んで志々雄から離れる。

「風王…鉄槌(ストライク・エア)!」
「グオオ!?」

アクション仮面が離れた瞬間に、キャメロットは刀を突いて圧縮した風を志々雄に向けて解き放った。
志々雄は風に押され、離れた所に飛ばされる。

「しんのすけ君!今の内に!」
「分かったわ!」
「凛!行きましょう!」

志々雄が離れた隙に、凛とキャメロットが停めてあったバイクの方に急いで向かう。
志々雄は離されたといっても、全重量の関係でそこまで遠くまで行っていない。
ここは時間との勝負だ。

「君!これを!」
「えっ?あっ!」
『パシッ』

キャメロットがバイクに乗ろうとした直前、アクション仮面がエターナルソードを投げ渡してきた。
キャメロットはそれを咄嗟に受け取る。

「その刀だけじゃ扱いづらいだろう!持って行ってくれ!」
「ですが、あなたは…」
「大丈夫だ!何とかするさ!」
「っ…分かりました!」

キャメロットは武器を手放したアクション仮面を気遣うが、問題ないと返される。
急がなければならない現状、そう言うのなら信じて飲み込むしかない。
キャメロットは逆刃刀含め自分が持っている武器を凛のデイパックに入れさせてもらう。
バイクに跨がり、エンジンをかけて出発の準備をする。

523Awake ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:27:19 ID:eNjl2nDw0
「しんのすけ君…いや、凛君!」
「え?」

凛もバイクに乗ってキャメロットの腰辺りに掴まった所で、アクション仮面に声をかけられた。
アクション仮面はその時初めて、しんのすけではなく凛の名前を呼んだ。

「時間を稼ぐのはいいが…別に、アレを倒してしまっても構わないのだろう?」
「……………ええ、遠慮はいらないわ。がつんと痛い目に合わせちゃって」
「そうか。ならば、期待に応えるとしよう!」

アクション仮面が背中を見せながら言ったことに凛はそう返す。
もし本当にアクション仮面がそれを実現できるだけの実力があったとしても、時間制限的にそれは不可能なのことはアクション仮面自身も分かっている。
それでもそんな言葉をかけてきたのは、自分を奮い立たせるため、そして少しでも凛達の心に余裕を生ませるため。
それもまた分かっているからこそ、凛は上記のような言葉を返した。

「行きます!」
『ブン!』

凛がアクション仮面と最後のやり取りをした直後で、キャメロットはバイクを発進させた。
キャメロットのコンディションの影響で蛇行運転気味になってしまったが、何とかこの場から離れていった。


◆◇


「お前…本当に1人で俺を倒せるつもりなのか?武器まで手放してしまってよ」
「さあな……だが、何故だか彼女には、この場ではああ言うべきだと思ってしまったのさ」

戻ってきた志々雄とアクション仮面が相対する。
志々雄は剣を構えて、殺意を向ける。

「それじゃあ本当に丸腰でもやれるかどうか、確かめてやろうじゃねえか!」

志々雄は走りながら剣を振りかぶり、アクション仮面を斬りつけようとする。

「アクションパンチ!」
『バキッ』
「アクションキック!」
『ゴンッ』
「ぬ…」

アクション仮面はパンチやキックで剣による攻撃を弾く。

「シャアッ!」
「ムンッ!」

それでも力任せに斬りつけようとする志々雄に対し、アクション仮面は地面を転がりながら避ける。

「アクションビーム!」
「グウウ…」

避けた先でアクション仮面は片膝を着きながらアクションビームを放つ。
志々雄はそれをまたもエンジンブレードを前に出しながら防ぐ。

「この…!」
『ドッピュン!』
「くっ…!」

ビームを防御しながらも、志々雄は指の爪の隙間から血管針を伸ばす。
そしてその中から沸騰した血液を発射する。
アクション仮面はビームを取り止め、またも地面を転がって攻撃を避ける。

「どうした、このままで本当に俺を倒せるのか?」
「ぐう…」

今の状況はアクション仮面にとって芳しくない。
制限時間はもうすぐそこまで迫っているが、このままでは大したダメージも与えられずに終わってしまう。

「む?」

そんな中、アクション仮面はあるものが落ちていることに気付く。
それは、キャメロット(とグリード)が戦いの中で落としてしまったデイパックだ。

「これは…」

デイパックの口は開いており、そこから1つの品がこぼれ出ていた。
アクション仮面は思わずそれを拾って手に取る。
それは、赤く輝くとても美しい大きな宝石であった。

「凛…キャメロット……私に、力を貸してくれ…!」

この宝石が一体何なのかは全く分からない。
けれどもこれは、キャメロットたちが持っていたものであることは確かだ。
だから、彼女らの想いも背負っているんだと自分を奮い立たせるために、宝石を強く握りしめる。

「そういえば、お前の名前を聞いていなかったな」
「……志々雄真実だ」
「そうか。ならば志々雄真実!私の最後の一撃を受けてみろ!」

アクション仮面はアクションビームの構えをとる。
そこに、今まで以上の力を込めて。

「アクション……ビーームッ!!」

524Awake ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:29:04 ID:eNjl2nDw0



「…?」

アクション仮面がビームを放とうとした時だった。

『ボゴン』
「グアアアッ!?」

宝石を握りしめていた右手から、その手の甲を貫きながらレーザービームのようなものが放たれた。
そのレーザーは、アクション仮面が手の甲を前に向けて構えていたため、真っ直ぐに志々雄の方に向けて高速で飛んで行った。
アクションビームよりも速かった。
もっと細かく言えば、レーザーは志々雄の顔に向かって行った。

「うおおっ!!?」

志々雄は咄嗟に頭を横に振って避けようとする。

「ガアアアアアアァァァッ!!?」

しかし、完全には避けきれなかった。
レーザーは志々雄の左目に命中した。

「あっ…ぐあ…」

左目を貫かれたことで志々雄が体をぐらつかせ、片膝をついて崩れ落ちた。
レーザーに貫かれた時、志々雄にはこの殺し合いが始まってから今までで一番の"痛み"が走った。
脳も傷ついたのか、気分も急激に悪くなった。

「な、何だあ、こりゃ…?」

左目から開けられた穴に志々雄は違和感を覚える。
そこに開いた傷は、再生速度が遅くなっているようだった。

「く…そ…」

志々雄に焦りの感情が生じる。
今の攻撃で受けたダメージは今までで一番大きなものだ。
このままでは、相手は本当に自分の命に届きうる。
志々雄は左目を手で押さえてよろめきながらも立ち上がり、剣を構え直す。
やられる前にやる、そうしようと思いながらアクション仮面の方に向き直る。


「ああ……もっと早く気付けていれば……」

しかし志々雄が立ち上がった時、アクション仮面は甲が貫かれた右手を見ながら悔しそうな顔をしていた。
その視線の先には、先ほど拾った赤い宝石があった(手に穴が開いたといっても、宝石が通り抜けて落ちる程の大きさではない)。

その直後に、アクション仮面の姿がかき消えた。
トランプの効果の制限時間が来てしまったのだ。
アクション仮面が消えた後、彼が持っていた宝石は地面に落ちていった。



「…………ちっ、締まらねえ最後だな」

志々雄は顔をしかめながらアクション仮面が消えた場所に近付く。
まさかこのタイミングで相手側が時間制限で消えるとは思わなかった。
自分が大きなダメージを負わされた直後にこんな結果になったことには、まるで勝ち逃げされたかのような気分にさせられる。
どうせなら自分の手で直接殺したかったような気持ちにさせられる。

「しかしあいつ、何を見てたんだ?」

志々雄はアクション仮面が立っていた場所までたどり着く。
そしてそこの地面に落とされた物体を探し始める。

「これは…」

志々雄にとって、その物体…宝石は初見のものだ。
しかし、その身体側であるエシディシにとってはそうではなかった。

この宝石に光が入り込むと、光は中で何億回も反射され、やがて一点から凝縮されて発射される。
その威力はまるでレーザービームのようなものだ。
更にこの宝石には、今の志々雄の肉体である柱の男の弱点である太陽光、それと同等のエネルギーである"波紋"を増幅して発射する効果も持つ。

アクション仮面はこの宝石を握り込んだままアクションビームを発射しようとした結果、宝石の中でビームのエネルギーが凝縮され、手の甲を貫きながら発射された。
アクションビームは波紋ではないが、赤石の中でエネルギーが増幅されたことで僅かながらに太陽光に近いエネルギーを持ってしまったようだった。
それにより、レーザーを受けた部分だけ傷は治りが遅くなっていた。


宝石の名前はエイジャの赤石。
柱の男が究極生命体になるためにも必要なものでもある。

525Awake ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:31:27 ID:eNjl2nDw0
【C-5とC-4の境目付近 道路/夜中】

【遠坂凛@Fate/stay night】
[身体]:野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん
[状態]:疲労(大)、精神的ショック(大)、乗車中
[装備]:
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜2(煉獄の分、刀剣類はなし)、煉獄の首輪、逆刃刀@るろうに剣心、エターナルソード@テイルズオブファンタジア
[思考・状況]基本方針:他の参加者の様子を伺いながら行動する。
1:奴(志々雄)から離れて雨宮君達との合流を目指す。
2:あいつら(アクション仮面達)…無茶しちゃって…………1人自業自得かもしれないけど……
3:キャメロットと行動、グリードはどうしようかしら、そもそもまだ生きてんの?
4:サーヴァントシステムに干渉しているかもしれないし第三魔法って、頭が痛いわ。
5:私の身体に関しては、放送ではっきり言われてもうなんか吹っ切れた。
6:身体の持ち主(野原しんのすけ)を探したい。多分雨宮君達の方が先に見付けそうね。
7:アイツ(ダグバ)倒せてないってどんだけ丈夫なの。っていうかもっとヤバくなれるってなんなのよ。
8:アルフォンス、ちょっとマズいことになってない?
9:施設とかキョウヤ関係者とか、やること増えてきたわね……
10:亀?カメラ?どういうことなのよ。
11:ある程度戦力を揃えて、安全と判断できるなら向かうC-5へ向かいたかったけど……もうそれどころじゃないわ…
[備考]
※参戦時期は少なくとも士郎と同盟を組んだ後。セイバーの真名をまだ知らない時期です。
※野原しんのすけのことについてだいたい理解しました。
※ガンド撃ちや鉱石魔術は使えませんが八極拳は使えるかもしれません。
※御城プロジェクト:Reの世界観について知りました。
※地図の後出しに関して『主催もすべて把握できてないから後出ししてる』と考えてます。
※城プロ、鋼の錬金術師、ポケダンのある程度の世界観を把握しました
※ゲンガーと情報交換してます。

526Awake ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:31:57 ID:eNjl2nDw0
【キャメロット城(グリード)@御城プロジェクト:Re(鋼の錬金術師)】
[身体]:アルトリア・ペンドラゴン@Fateシリーズ
[状態]:グリードとの肉体共有、マスターによるステータス低下、疲労(極大)、上半身ほぼ裸、服の破片や煤等が体中に貼り付いている、スカート部分が破れてる、精神疲労(大・キャメロットの精神)、複雑な心境(キャメロットの精神)、運転中、体温上昇、咳気味、グリードの精神の沈黙、賢者の石内の命がほぼ枯渇
[装備]:マシンディケイダー@仮面ライダーディケイド
[道具]:
[思考・状況]基本方針:一人でも多くの物語を守り抜く。
1:奴(志々雄)から離れて雨宮さん達との合流を目指す。
2:凛さんを守る。
3:アーサー王はなぜそうまでして聖杯を……
4:白い弓兵、ディケイド、銀髪の剣士を警戒。これ以上あの弓兵の被害が広まる前に……
5:グリードの物語も守ります。ですが、もし敵に回るなら……
6:リオン・マグナス……その名は忘れません。
7:アクション仮面達のことも忘れない
7:かなり大変な格好になってしまいましたが、今は気にしている場合ではありませんね…
8:エターナルソード、使わせてもらいます。
[グリードの思考・状況]基本方針:この世の全てが欲しい! ボンドルドの願いも!
0:………
1:欲しいものを全て手に入れる。けどどういう手順で行くかねぇ。
2:取り敢えずキャメコに力を貸してやる。もし期待外れなら……
3:親父がいねえなら自由を満喫するぜ!
4:あの野郎(志々雄)…
[備考]
※参戦時期はアイギスコラボ(異界門と英傑の戦士)終了後です。
 このため城プロにおける主人公となる殿たちとの面識はありません。
※服装はドレス(鎧なし、FGOで言う第一。本家で言うセイバールート終盤)です
※湖の乙女の加護は問題なく機能します。
 約束された勝利の剣は当然できません。
※『風王結界』『風王鉄槌』ができるようになりました。
 スキル『竜の炉心』も自由意志で使えるようになってます。
 『輝ける路』についてはまだ完全には扱えません。
 (これらはキャメロットの精神の状態でのみ)
※賢者の石@鋼の錬金術師を取り込んだため、相当数の魂食いに近しい魔力供給を受けています。
 →賢者の石の中の命がほとんど消費されました。魔力供給量が減るかもしれません。
※Fate/stay nightの世界観および聖杯戦争について知りました。
※Fate、鋼の錬金術師、ポケダンのある程度の世界観を把握しました。
※グリードのメモ+バリーの注意書きメモにはグリードの簡潔な人物像、
 『バリーはちょっと問題がある人だから気をつけて。多分キャメロットさんが無事なら乗らないと思う。
  後産屋敷さんはまともに喋れてないのもあるから、殆ど人物像が分からないのも少し気をつけておいて。』
 の一文が添えられてます。
※グリードに身体を乗っ取られましたが現在は彼女に返しています。
※グリードが表に出た時スキル、宝具がキャメロット同様に機能するかは別です。
 湖の乙女の加護は問題なく発動します。
※グリードの記憶は少なくとも二代目(所謂グリリン)であり、
 少なくとも記憶を取り戻す前のグリードです。
※グリードが表に出た時はホムンクルス由来の最強の盾が使えます。
 最強の盾がどう制限されてるかは後続の書き手にお任せします。
※キャメロット城の名前をキャメコと勘違いしてます。
※一度石化された後腕が砕けたので右腕の袖が二の腕までになってます。
 →服の上半身部分がほとんど消失しました。ほぼ半裸です。服の破片や煤なども体中に貼り付いています。
※ゲンガーと情報交換してます。

527Awake ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:32:43 ID:eNjl2nDw0
【C-5 道路/夜中】

【志々雄真実@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-】
[身体]:エシディシ@ジョジョの奇妙な冒険
[状態]:疲労(大)、左目から後頭部にかけて貫通する大穴(この部分のみ再生力低下中)
[装備]:エンジンブレード+ヒートメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品、炎刀「銃」@刀語、アルフォンスの鎧@鋼の錬金術師、時雨(三分の一程折れている)@ONE PIECE、秋水(鍔が一部欠けている)@ONE PIECE
[思考・状況]基本方針:弱肉強食の摂理に従い、参加者も主催者も皆殺し
1:この石(エイジャの赤石)は…
2:奴ら(凛、キャメロット)を追う
3:首輪を外せそうな奴は生かしておく
4:戦った連中(魔王、JUDO)を積極的に探す気は無い。生きてりゃその内会えんだろ
5:再びあいつ(JUDO)と戦う時が来たら、自分の身体が再生能力を持っていることは忘れる
6:未知の技術や異能に強い興味
7:日中、緊急時の移動には鎧を着る。窮屈だがな
8:一人殺したってことは、”ものものましーん”が使えるんだよな?
9:だが、自分の首輪を外すためには、残しておくための首輪の予備も必要になるか?
10:あいつ(DIO)は…もうダメだな
11:まさかこんなところであの逆刃刀を見ることになるとはな…
[備考]
※参戦時期は地獄で方治と再会した後。
※JUDOが再生能力を封じて傷を付ける能力に目覚めたと認識しています。
※DIOはもう死んだものだと認識しています。
※スゲーナ・スゴイデスのトランプで召喚されたぶりぶりざえもんを捕食しました。
※アルトリア(グリードと肉体共有中)の肉の欠片を吸収しました。

※周囲に「基本支給品、エイジャの赤石@ジョジョの奇妙な冒険、グリードのメモ+バリーの注意書きメモ、銀時の首輪」が落ちています。



【支給品紹介】

【エイジャの赤石@ジョジョの奇妙な冒険】
エイジャと呼ばれる宝石の一種。
中でもここにあるのは、ローマ皇帝も所有していた純度の高いスーパー・エイジャと呼ばれるものである。
この石は光を当てると、中で何度も反射しながら光を増幅させ、一点に凝縮・放出してまるでレーザー光線のようにしてしまう性質を持つ。
放出された光線はとても高い威力を持つようになる。
柱の男の一人であるカーズは、この石の力が自分の求める効果を持つ石仮面の完成に繋がると考え、仲間達と共に狙っていた。
また、波紋のエネルギーも増幅、光線のように放出させることもできる。

528 ◆5IjCIYVjCc:2025/01/27(月) 23:33:07 ID:eNjl2nDw0
投下終了です。

529 ◆5IjCIYVjCc:2025/03/23(日) 16:28:06 ID:MA60bkdU0
【リレー制度の停止のお知らせ】
ご無沙汰しております、企画主です。
この度は、チェンジロワの今後の進行について重要なお知らせをしに来ました。
本ロワはもう私以外に話の予約をする人がいないようなので、ただ今をもちましてリレー制度を廃止することにしようと思います。
今後は私1人で執筆することになります。
書き手用ルールも全て撤廃し、今後は私の自由に書かせてもらいたいと思います。

今後の進行については、予約期限のルールも無くなるため、私がキリの良いところまで書けたと感じたら話を投下する形になるかと思います。
なお、何の連絡も無いまま待たせ続けることになるのも問題かもしれないとも感じますので、月に一度は進捗を報告できたら良いなとは考えています。
私については自分でも遅筆だと感じているために投下は不定期になり、完結までには時間がかかることになると思います。
前述した進捗報告についても、絶対に月に一度は出来るとは、必ずそうするといった約束は出来ません。
私が他の企画で書きたい話がある場合や、リアルの事情でしばらく書けない時期が出てくる可能性もありますが、それらの点についてはどうかご了承願います。

先に報告しておきますと、5月〜6月にかけてはリアル事情で執筆することが難しく投下できないです。
4月も少々活動し難くなる可能性もあります。
一応、こちら側に全く顔を出せなくなるものではないはずです。
けれども、こちらでの進捗報告に来ることもこの期間の間はおそらく無いかと思います。

ここまで企画を続けて来られたのは、本ロワのリレーを進めてくださった書き手の皆様や、感想をくださった皆様のおかげです。
誠にありがとうございました。

530名無しさん:2025/03/25(火) 20:37:36 ID:stCOAhJs0
相分かりました。楽しみにしています。

531 ◆5IjCIYVjCc:2025/04/30(水) 20:48:56 ID:CykjoBsE0
閑話を投下します。

532 ◆5IjCIYVjCc:2025/04/30(水) 20:52:19 ID:CykjoBsE0
※今回の話は演出等の都合上、登場人物達の名前を出さずに進めます。ご了承ください。
※今回伏せ字になっているものが何なのか、今後明かされることはありません。

「オラオラオラーッ!!邪魔するぜぇ!!」
「ケンカの話の時間だ!!『ガンッ』コラ痛(ッタ)…」
「あ……お邪魔します…」

「「「!!?」」」

牢獄の中に、突如として3人の人物が現れた。
……その者達の内2人は、人の姿をしていなかっが。
1人は、ピンク髪の少女。
1人は、オレンジ色のなんかトゲトゲした一頭身。
1人は、全身水色でプルプルして角ばったやつ。
以降、彼らのことはそれぞれピンク、オレンジ、水色と呼ぶ。

彼らは突如として、狭い牢獄の中に3人で出現した。
その内のオレンジが叫びながら牢の鉄格子を蹴ったが、逆にそれにより足を痛めて踞った。
ピンクだけ礼儀正しくあろうとしているように見えた。

彼らが現れたことに対し、牢獄の外にいた2人の看守と、この空間の主の立場の者が驚いたような反応を見せる。

「……ってアレ!?■■■の奴がいねえぞ!?」

復帰したオレンジが、周囲を見て驚いたような反応を見せる。

「くっ…やはりあのバリアには敵わなかったということか」
「ちくしょう!こうなるんだったらもっとたくさん海苔を貼り付けておくんだった!俺がおにぎり食べたかったばかりに…!!」
「いや……それでも結局■■■■■■■さん達は入れなかっただろうし、そもそもここ4人で入れる広さじゃないでしょ」

大袈裟に後悔するような反応をする2人に対し、ピンクが冷静にツッコミを入れる。

「じゃあ■■■の方に巻いたら、おにぎりになって通れたんじゃねえか?」
「いや■■■■■■■さんに海苔を巻いてもおにぎりにはならないよ!!?」

更に畳み掛けられたボケた発言に、ピンクはツッコミの声を大きくしてしまう。


「おい……何だお前ら?どこからどうやって入ってきた?」

牢獄前の2人の看守の内の1人が質問する。
看守達は少女の姿をしており、青い看守服に身を包んでいる。
彼女らはそれぞれ右目、もしくは左目に眼帯を着けている。
先ほど質問したのは、右目に着けている方だ。
ついでにもう1人いる主という者は、空間の中央辺りで机の前で椅子に座っており、顔は長鼻があるのが特徴的だ。
以下、彼らのことは右眼帯、左眼帯、長鼻と呼称する。

「どこから入ったって、外からに決まってんだろ」
「どうして入れたかっつーと……奇跡の光が導いてくれたの!後は終盤だからってのとリレー制度が無くなってなったからってのもあるな」

右眼帯からの問いに水色とオレンジが答える…が、いまいち意味不明な回答だった。

「……あなた達は何者かという質問にも答えてください」

左眼帯が更なる返答を求める。

「えっと……実は私たちは、本当ならここに存在しちゃいけなくて…」
「……それは当然だろう。我々にとってお前達は招かれざる客…」
「あーいやいや、そーゆーことじゃねーんだよ。これはもっと深ーい意味での話でなー」
「……何の話だ?」

先ほどよりも更に要領を得なくて曖昧な感じの返事に疑問符が浮かべられる。

「ま、お前らには理解できないだろうな。このレベルの話は✨」
「…………(イラッ」

まともに話を取り合おうとしないように見える相手達に対し、イラつきが溜まっていく。

「………話を変えよう。お前達の目的は何だ?」

長鼻は一先ず、次に気になることについて聞い出そうとする。

「あの…すみませんが、少しだけこの場所を使わせてください!一応、ただここに居させてもらえればそれで良いんです!」
「ほう……それは何のためにだ?」
「えっと……詳しいことはまだ話せなくて……。ただ、ここが監獄であることが都合が良いらしくて……」

質問に対しピンクが答える。
しかし彼女も、まだ話せないこともあるようだった。
彼女らもまた、自分達が何故ここに来なければならなかったのかの理由の全てを知っている訳でもないようだった。

533 ◆5IjCIYVjCc:2025/04/30(水) 20:57:44 ID:CykjoBsE0
「そんな態度で、お前達のような得たいの知れないものをこのまま置いておくと思うか?」

長鼻は威圧的な言葉を投げ掛ける。

「ここから出ていけ。さもなくば死ね」

そして冷たい声で、そう言って突き放した。

「面白れぇ…やってやろうじゃねえか…!!」
「げっへっへ!!このまま何もせずに待っているのも癪だと思ってたんだ!!」
「ちょっと2人とも!そんな煽らなくても良いでしょ!?」
「俺たちだって暴れてえんだよ!!!ずっと何も出来なくて我慢していたからなあ!!!!」
「全員が出られる訳じゃないところからせっかく選ばれたんだ!!!爪痕くらい残させろよ!!!」

ゲスな顔で小物臭い態度取りながら好戦的な様子を見せるオレンジと水色に対し、ピンクが諌めようとする。
それに対する気迫に満ちた反論は、またまた一部意味不明で変なところもあった気がした。

「主、ここは我々にお任せを」
「こんなやつら、私たちだってこれ以上一秒たりとも見ていたくはありません」

少女看守の2人が牢に近付く。
彼女らもまた謎の侵入者達を追い出そうとしている。

『ガチャ』『ギィ…』

オレンジ達のいる牢の扉が開かれる。
これでもう後は、戦うだけだ。

「おい、アレの用意は大丈夫か?」
「ああ!!バッチしここにあるぜ!!!」
「よし、それじゃあ行くぞ!!!」

オレンジと水色がそれぞれどこからそれぞれあるものを手元に取り出し、構える。

それらは、どちらも、にんじんであった。

「この聖剣ニンジンカリバーの錆にしてくれるわ!!!!」
「この聖槍ニンジミニアドで貫いてみせる!!!!」
「「うおおおおおおおっ!!!!」」

2人はにんじんを構えながら牢の外に飛び出て、看守少女達に向かって突っ込んでいった。
※ニンジンソードとは別物です。


◆10秒後……


「「負けちゃった…」」
「だろうね」

残念でもなく当然、負けました。
ボッコボコにされました。
むしろよく10秒ももった方です。


「さて…では早速消えてもらうとしようか」
「囚人未満の不法侵入者達にここにいる資格はありません」
「今すぐ回れ右して出ていくなら、見逃してやらんこともないぞ」

改めて、長鼻達が殺気を放ってくる。
看守少女達が、互いに警棒とカルテを手の中で弄びながらじわじわと近付いて来る。

「や、ヤバいよ2人とも…」
「くっ…!」
「こんな時、アイツがいてくれたら…!!」

3人もこの状況には流石に慌て始める様子を見せる。
オレンジと水色は尻餅をついた状態のまま後ずさろうとする。
その時だった。



「フォーッ!!」
『ガシャアンッ!!』

まず、掛け声と共に牢の鉄格子が破壊される音が聞こえた。

『ボウッ!!』『ジュワッ』
「「!」」『ダッ』
「「ぎゃああああああああああぁぁぁぁっ!!!!?」」

次に、破壊音が聞こえてきた方角から火炎が放射された。
看守少女達はそれに気付き、咄嗟に後ろに跳んで回避した。
炎はオレンジと水色を飲み込み、焼いた。

「わー♪美味しそうに焼けてるー♪」『メラメラ』
「いただきまーす♪」『パチパチ』

炎が晴れた後、焼かれた2人は手に持っていたにんじんを見ながら笑顔で目を輝かせた。
炎により、にんじんが丁度良い感じに焼けていた。
彼ら自身にも、火は燃え移っていた。


「火火火(ヒヒヒ)。よくここまで耐えてくれたな」
「フォーフォフォ。お陰で我らも来られたぞ」
「あ、あなた達は…!」

新たに2つの声がこの空間に響いた。
ピンクはそれに対し、その声の主を知っているかのような反応を見せる。

534 ◆5IjCIYVjCc:2025/04/30(水) 21:00:07 ID:CykjoBsE0
「……まさか新手が来るとはな」

声の聞こえてきた方にあるのは、ピンク達が出現したものとは別の牢だ。
その牢の鉄格子の扉が、壊されて開けられていた。
そして牢の中には、2つの人影が存在していた。

1人は、アイスホッケーのマスクのような顔をした、背中から巨大な左手を生やした大男だった。
もう1人は、帽子を深く被って、煙草を咥えている、顔に大きな火傷の痕もある男だ。

今後は彼らのことをそれぞれ、左手男と煙草男と呼称する。


左手男は、背中の巨大な左手で強引に取り外したことでひしゃげた牢の扉を掴んでいた。
『ガシャン』
男はその扉を投げ捨て、空いた巨大左手を自分の体に背中から掴ませる。
巨大左手の人差し指の先にはもう1つ手が存在しており、その手の平は男の頭を掴むように置かれた。


「無礼者共め……これ以上この場を荒らされてたまるか!」
「おっと、落ち着けよお嬢ちゃん。俺たちはここには争いに来た訳じゃねえんだ」

煙草男はそう右眼帯に言って話を続けようとする。

「……いきなり仲間ごと焼こうとする者たちを、信用できると思いますか?」
「フン、こいつらは仲間ではない。ただ行動を共にせざるを得ない状況になっているだけだ」
「あっ、おい。変に煽るなって」

左眼帯の発言に対して不遜気味な態度を取る左手男に対し、炎を放った張本人である煙草男が諌めようとする。


「何人で来ようとも無駄だ。我らがお前たちを認めることはない」
「火火(ヒヒ)っ。いつまでも粘り強く交渉させてもらうさ」
「我らには果たさねばならぬ使命があるのでな」

威圧的な長鼻の言葉に、男たちは怯まずにそう答える。
彼らの間で、新たな睨み合いが開始されていた。



「おいし♥」「おいし♥」『『モグモグ』』『『メラメラ』』
(……本当に大丈夫なのかなあ…)

一触即発な状態の者達を尻目に、オレンジと水色はにんじんの丸焼きを美味しそうに食べていた。
彼らの体はまだ燃えている状態のままでだ。
ピンクだけは、この状況に対して不安そうにしていた。

535 ◆5IjCIYVjCc:2025/04/30(水) 21:01:08 ID:CykjoBsE0
投下終了です。
タイトルは「閑話:サバイバー」とします。

以前にも連絡していた通り、5月と6月はリアルの事情でこちらでの活動は難しく、投下や報告をすることは無いと思います。
改めて、ご了承願います。

536 ◆5IjCIYVjCc:2025/04/30(水) 21:01:44 ID:CykjoBsE0
また、ついでの連絡ですみませんが、以前私が投下した「Jの奇妙な冒険/懐玉」と「Jの奇妙な冒険/玉折」のタイトルを、それぞれ「Jの奇妙な冒険/ファントムブラッド」と「Jの奇妙な冒険/戦闘潮流」に変更したいと考えています。

変更されるのはタイトルだけで内容は変わりません。

537 ◆5IjCIYVjCc:2025/04/30(水) 21:08:29 ID:CykjoBsE0
先ほど投下した話について、最後に以下の1文を追記します。




あっ、今回の時間帯は真夜中としておきます。

538 ◆5IjCIYVjCc:2025/07/28(月) 23:43:15 ID:ioGcflzI0
連絡が遅れてしまい申し訳ありません。
今回の投下を始めます。

また、今回からの状態表についてですが、リレー形式を終了させていることと、調整に手間がかかることから、今後は一部の記載を省略したいと思います。
主に、思考・状況の欄と備考の欄を省略したいと考えています。
どうか、ご了承願います。

539早すぎるΨ会? ◆5IjCIYVjCc:2025/07/28(月) 23:44:49 ID:ioGcflzI0
結局のところ柊ナナは、燃堂力という人物のことを最後まで理解することはできなかった。
少なくとも、彼女自身はそう認識していた。
彼は結局、最後の瞬間まで自分が置かれていた状況を理解していなかった。
それなのに、彼はナナのことを庇って死んだ。

どこまでもお気楽マイペースで、こんな環境の中でもいつでも明るく振る舞っていた。
少々空気の読めないところもあったかもしれないが、不思議と不快感はそこまで無かった気がする。
それは、見た目が可愛らしいアイドルの女の子になっていたこともあるかもしれない。
もしかしたらこのことが、この陰鬱な殺し合いの環境の中で、誰かに対する励ましになっていたかもしれない。
しかし、そのようなことにはもうならない。
彼はもう死んでしまった。
実質的に、ナナが殺したも同然のような形で。
実態はどうかとして、周りがどう思うかはともかくとして、彼女自身はそのように感じているところもあった。
自分が余計なことをしなければ彼は死ななかったのでは、という考えが脳裏の片隅にどうしても残っていた。

『ダチを助けるのに理由なんていらないだろ?』

彼女…彼の最後の光景が、頭からこびりついて離れない。
自分のせいで燃堂の顔が失われてしまったのだという気持ちが出てくる。

(……いや、あの顔は燃堂のものではなかったな)

思い返せば、アレは堀裕子という別人の顔である。
ここで申し訳なく思うべきなのは、その名前の少女に対してである。

(だが、奴自身の体ももう……)

しかし、どちらにしても、燃堂力自身の顔…肉体も失われたものと言えることもナナは知っている。
前の放送で、身体側の死亡者だと発表されたからだ。
その時、宇宙船内のモニターに映し出された顔を、ナナは覚えている。
ほんの少しの間しか見れなかったが、特徴的な顔をしていたため一応覚えていた。
はっきり言ってその顔は、カタギとは思えない程の凶悪そうな人相であった。
一見だと高校生だとは思えないような顔だった。
あまりにもヤクザっぽいその顔は、前までのアホっぽくもまあ良い奴なんだろうなって雰囲気を出していた少女の本来の肉体であるという事実が、微妙に納得できない程だ。
流石に印象が違い過ぎるものだから、人と人が関わり合う上での外見の重要性というものを改めて再認識させられた気分になる。

(見た目だけで判断するのも良くないと思うが、本当にイメージと違った顔だったな……)

思い返すと、今でもその顔が詳細に思い浮かぶようだ。
まるで今も、目の前に現れているかのようだった。



(そうそう、確かこんな感じで……)

『どーした相棒?腹でも痛てーのか?を?』

「……………………………………」

それは確かに、ナナの目の前に現れていた。

頭頂部で目立つ黄色いモヒカン。
側頭部やや上の謎剃り込み。
口の上のちょびっとだけ生えたひげ。
片方の目に縦線の傷。
尖りのある耳。
ケツアゴ。

前に定期放送で見た写真での本来の燃堂とそっくりな顔の人物が、
白装飾を着て頭に白い三角巾を着けたコッテコテの幽霊のようなスタイルで、
まるでずっと近くにいたかのような態度でナナに向けて話しかけてきた。
それも、互いの顔面が目と鼻の先にある超至近距離で。

540早すぎるΨ会? ◆5IjCIYVjCc:2025/07/28(月) 23:45:59 ID:ioGcflzI0


「………キャアアアアアアアァッ!!!???」
「ピ!!?」
「おい、どうした!?」

ナナは、すっとんきょうな上擦った大きな声で悲鳴を上げた。
その言葉に驚き、先行していた杉元と善逸も足を止める。

『なんだどーした!?ライオンでもいんのか!?』
「……ッ!!」
『ブンッ』『スカッ』

悲鳴の元凶でもある幽霊の燃堂?が、そのことを分かってないのか的外れな発言をする。
ナナはこの燃堂?に対し、咄嗟に腕を横に振って攻撃しようとする。
しかし、それはすり抜けた。
腕が当たった部分だけは一瞬煙のように霧散したように見えたが、それもすぐに元の形に戻った。
そして、ナナの腕の方に何かが触れたような感覚は全く無かった。

「ど、どうした柊……?何かいたのか……?」
「ピ……?」

杉元はナナに対し怪訝そうな表情を向ける。
善逸の方も同じような感じだ。
2人とも、ナナと違い燃堂?のことが全く見えていないようだった。

ちなみに今の内についでで言っておくと、ナナ達3人は先ほどまでは山奥の竈門家の方へと戻ろうとしていた。
前回の戦いで桐生戦兎達とはぐれ、状況の大部分がリセットされてしまった。
それに、その戦いで襲撃してきた者(JUDO)が自分達の方に追撃してくる可能性も考えられた。
一先ず落ち着けるかもしれない場所として、建物である竈門炭治郎の家の方に一旦避難しに行こうとしていた。



ちなみにナナは現在、自分の足で立って移動している状態にある。
前の戦いの時で負傷し、そのため杉元に背負われていたが、今は降りていた。

前の戦いの時に腹を斬られたが、現在は雨宮蓮のおかげで傷は塞がれている。
最初のしんどい内は杉元に移動を任せていたが、ある程度進んで敵が追って来る気配が無くなり、体力も少し回復したと感じてからは、自分の足で歩くことを決めた。
その方が、杉元の体力の温存にも繋がると考えてのことだ。
もしもの時は、もう一度すぐにおんぶしてもらって行こうという話になっている。



とにかく、竈門家の方に戻ろうと決めて、進み出してから少しした時に、ナナが突然大声で悲鳴を上げた。
杉元達は当然、いきなり何事かと思い、困惑しながらも辺りを警戒しながら足を止める。
しかし、周囲に新たに何かが現れたかのような様子は無い。
これではますます、彼らの混乱が深まるばかりだ。
先ほどのナナの攻撃も、何も無いところに向かって腕を振り回したようにしか見えなかった。

(なんだこれは………なんなんだこれは!?一体、何が起こっているんだ!?)

しかし何より、今の状況で最も混乱しているのは、ナナ自身であった。
前に茂みの方からひょっこり現れてくれないかと考えてみたことはあったけど、まさかこんな登場の仕方をするとは思わなかった。

(これも、斉木楠雄の能力なのか…!?いや、でも、こういう霊能力は鳥束零太の領分じゃなかったのか!?いや、斉木楠雄も幽体離脱とかは出来るみたいな情報もあったはず……?)

ナナは混乱しながらも、自分が持っている情報を何とか思い返して現状を考察しようとする。
斉木楠雄の肉体の影響で、自分も幽霊を見る能力を得てしまったのではないかという考えが浮かんできていた。
その瞬間までは、目の前にいる存在を、燃堂力の幽霊だと認識していた。

541早すぎるΨ会? ◆5IjCIYVjCc:2025/07/28(月) 23:47:11 ID:ioGcflzI0
(…………ちょっと待て。他の幽霊はいないのか?)

しかしここで、ナナの中に1つの疑問が生じる。
それは、燃堂以外の幽霊が周りに見当たらないということだ。
燃堂以外にも、ナナや杉元達の前で死亡した者達はいる。
もし本当に死ぬと幽霊になるのであれば……鳥束や脹相…ナナは死ぬところを見たわけでは無いが杉元達は見た、悲鳴嶼や神楽等といった彼らもまた近くにいても、おかしくはないはずだ。
しかし、ここにいるのは燃堂だけのようだった。

(つまり、こいつは幻覚……?)

『なー、おい。無視してんじゃねーよ?を?』『ホジ ホジ』
「………………」 『ブン ブン ブン ブン』

燃堂しか見えないのならば、自分の中にある罪悪感とかから作られた幻覚なのだろうかという考えも浮かぶ。
ただ、それだけだとも思えないような要素も感じられる。
燃堂?は、幻覚にしては何か変に絡んでこようとしているのだ。
本当に罪悪感から出た幻覚とかなら、恨み言の1つでも言ってこればいいものの、目の前のそいつがそんなことを言う 様子は無い。
そしてついさっき、こいつは幽霊のくせにアホらしく鼻の穴をほじりながらナナの身体にめり込むくらい頭を近付けて来ていた。
それをナナは鬱陶しそうに両腕を振り回して離そうとしていた。
これにより燃堂?は上半身が一瞬霧散するが、すぐに元に戻ってしまう

「なあ柊……お前、本当に大丈夫か?顔色もすごい悪いぞ?もう一回おぶってやろうか?」

ナナの様子を見た杉元が、心配して声をかける。
実際、今のナナの顔色はかなり悪く、体調も良いようには見えなかった。
やはり、ナナは自分が背負って運んでやった方が良いのではと考えていた。

『確かにオメー、何かちょーし悪そーだよなー。熱でもあんじゃねーのか?』

そして、杉元の言葉を受けて、十中八九現在の体調不良の原因と思われる6割幻覚だと思っている奴も、ナナのことを心配するような様子を見せる。



「いえ……私はまだ、大丈夫で………」

『ドオンッ!』

『「「「!?」」」』

ナナは杉元に対し返答しようとした。
しかし、それは中断される。
彼らへの理不尽な災難はまだまだ終わらない。





『ドスン!』『バタン!!』『バキバキバキッ!!!』
『グォオオオオオッ!!!』
「何だ!?」

突如として、かなり大きな破壊音と、雄叫びのようなものが聞こえた。
それらの音の発生源は彼らの近くからではない。
音を出したと思われるものが何なのかも、ここからでは見えない。
けれども遠い訳ではないようで、大きな音による空気の振動が彼らの体にも深く響いた。
振動は空気だけでなく、山の地面にも伝わって来ていて、彼らの立つ地面も大きく揺れた。
咆哮のこともあり、何か巨大な生物が暴れているかのようだった。


「こんな時に…………ウッ!!?」『ピキッ』

ただでさえ燃堂?に悩まされている時に更なる異常が起きたことに、ナナは歯痒い気持ちになる。
けれどもそれもまた、新たなる異常の前触れに過ぎなかった。
ナナの頭に一瞬、鋭い痛みが走った。
それと同時に、脳裏に奇妙な映像が出現した。

542早すぎるΨ会? ◆5IjCIYVjCc:2025/07/28(月) 23:52:07 ID:ioGcflzI0




◆◇◆

それは、前の戦いで目撃した存在……ディケイドだった。
ただしそれは、とても不可解な姿をしていた。
前に見た胸辺りに仮面ライダーの顔が描かれたカードを並べて張り付けたような姿、コンプリートフォームに近かった。
ただし、それよりもカードの枚数が多かった。
マントも着けられており、そこにもカードが大量に貼り付いていた。
特に目を引いたのは、頭頂部の2枚縦に並べられているカードだ。
……ぶっちゃけ、ダサいと感じてしまった。
それはナナの知らないはずの、コンプリートフォーム21と呼ばれる姿だった。

けれども、異様なのはその姿になっていることだけではなかった。
そのディケイドは、巨大化していた。
ナナは映像の中で、そいつを見上げていた。



そこまで認識したところで、映像は途切れた。

◇◆◇



「は?………え?………は?」

脳裏をよぎった映像に、ナナの困惑が更に加速させられる。
何が起きたのか、自分が見たものが何だったのか、すぐには飲み込めなかった。

「おい、どうする?向こうに何があるか確かめてみるか?」

そんなナナをよそに、杉元は目下問題となっている轟音と地響きの正体の確認に行くかどうかを聞く。
向こうの方を警戒していたため、ナナの新たな異常の方には気付いてないようだ。
善逸も同じ感じだ。

『おいおいなんだあ!怪獣でいんのかぁ!?』

燃堂?も向こう側の方に注目していた。
こちらは何故か目が輝いているところもあった。
怪獣等にロマンを感じる感性はあるらしい。
そんなものを感じている場合じゃない。

「……それとも、やっぱあっちの家に戻って休むか?」

杉元はナナに対し当初の予定通り竈門家に向かう選択肢も提示する。
ナナが頭痛を感じたことに気付いているわけではないが、それによりナナは更に憔悴した顔つきになっていた。
それを感じ取り、ナナの休息を優先することを提案する。
向こう側に本当に巨大な存在がいるのなら、この状態のナナを連れていくのは危険だろう。



「…………いえ、どちらにしても向こう側にいるらしき"何か"がどこに向かうかは分かりません。逃げ場は、無い可能性の方が高いです」

しかしナナはその選択肢を否定した。
新たな巨大存在(仮定)が敵ならば、山の中の竈門家の方に向かったとしても遭遇する可能性はある。
方角的には、元の進行方向的には左右逆な感じだが、そこから竈門家の方に向かう可能性も考えられるくらいの方向だ。
むしろ相手が巨大ならば、遠くを見渡せるために先に発見される可能性がかなり高い。

「やっぱりいっそのこと、あの音の方に向かってみるってことか?」
「ええ、むしろその方が良いかもしれません。向こうにいるのが何なのか、確かめた方が…」
「ピ、ピイ!?」
「え、本当に行く気?」

逆の考え方が提示される。
轟音が聞こえる方角に向かい、巨大存在(仮定)の正体を確かめに行こうというのだ。
それに対し善逸だけは、驚き怯えるような反応をする。
善逸だけは、正体不明の巨大存在に対し恐怖の感情を抱いている部分があった。
言葉にはしなくとも、反応でその気持ちは伝わっていた。
杉元は恐怖は感じていないようだが、ナナに対し心配する気持ちはまだあるようだった。
一度は音の方向に向かうことに肯定気味な返事をしたが、ナナがこのまま本当に行くことを考えているらしいことには意外そうな反応をする。

「不安な気持ちは分かりますが、正体の分からない敵に怯えるよりは少しでも近付いて確かめた方が今後のためになると思いますよ」

この中だと一番疲弊しているはずのナナが、危険な調査に赴くべきだということを押し進めようとする。
ナナがこんなことを言うのは、先ほどの頭痛の際に見えた映像も理由の一つだった。
先ほど見えたものは、斉木楠雄の能力の一つ、予知の可能性があった。
確か、斉木楠雄が頭痛を感じる時、未来の出来事をほんの少しだけ予知することができるという情報があったはずだ。
尤もそれは、眠る時に夢の形で見る予知夢よりは短いというものだったはずだ。
先ほどのものが本当に予知だったのかの確証はない。
けれども、映像で見た敵…ディケイドの姿は、ナナの見たことのない姿に変わっていた。
知らないはずのものが見えるということが、見えたものが本当に予知だったという可能性を引き上げる。
更に本物の斉木楠雄に近付いた気がして、嫌な気分も出てくる。

543早すぎるΨ会? ◆5IjCIYVjCc:2025/07/28(月) 23:53:17 ID:ioGcflzI0
それに、予知の中のディケイドが巨大化していたことも気になる。
巨大ということは、今こちらを騒がしている地響きを起こしているものもそうであると推測されている。
こんな条件が揃っていれば、地響きの原因が予知で見た巨大ディケイドがそうなんじゃないかということも考えてしまう。
自分たちが逃げて来た方向とは正反対のため、この考えは間違いかもしれない。
しかし前回の戦いでディケイドは瞬間移動を使ったかのような挙動を見せた時もあった。
それを考えると、いつの間にか全く違うところに移動している可能性も無くはないかもしれない。

地響きがあるということは、向こうも新たに戦闘が行われている可能性が考えられる。
逃げて離れるにしても、向こうの状況を正確に把握しなければ更なる不測の事態が起きるかもしれない。
推定予知との関連も気になるし、ナナとしてはやはり確認に行きたかった。

なお、自分が予知を見たかもしれないことは杉元達にはここでは言わないことにする。
余計な混乱を招くかもしれないからだ。
少なくとも、地響きの正体を確認するまでは何も言えない。

『おー、あっち行くのかー?あー、でもなあー……。あっちもなーんか気になるんだよなー……』

燃堂?がナナに対して何か言いたそうな様子を見せる。
彼は、ナナ達がこれまで歩いて進んできた後ろの方を気にするように何度かちらちらと視線を向けていた。

「とにかく、まずは向こうにあるのが何なのかを確かめに行きましょう」
「お、おう。お前が本当に大丈夫だって言うんならそれで良いけどよ…」
『を?あっちは良いんか?』

杉元は不安そうながらもナナの話に乗る形の返事をする。
そしてナナは、燃堂?の言葉を無視していた。
今まで進んできた道を戻る理由はない。
死んだはずの燃堂の幽霊が見えて、そいつが何か気にしているからって理由で引き返そうなんて言ったら、杉元達に本気で頭がどうかしてしまったんだと思われてしまう。
正体もまだ完全に分からない内に、こいつの言葉を信じるなんてことはできない。

「さあ、行きましょう」
「あっ、おい、待てよ!」
「ピカッ!!」

ナナは時間が惜しいとばかりに、一人ずかずかと前に出て歩き出す。
杉元達は調子の悪そうだったナナが急に積極的に動き出したことに対し何か引っ掛かりは感じるが、今は止められない。
とりあえずは、彼らもナナの後ろをついて行った。

『でもよー……うーん……気になるんだけどなー……』

燃堂?はまだ背後の方を気にしていた。
怪訝な表情を浮かべながら、宙を浮遊しながらナナ達の後ろをついて行った。

【C-2とC-3の境目付近/真夜中】

【柊ナナ@無能なナナ】
[身体]:斉木楠雄@斉木楠雄のΨ難
[状態]:精神的疲労(極大)、腹部へ斬傷(出血無し・痛みあり)、貧血気味、自分への不安、燃堂の死へ形容し難い感情、燃堂の幽霊?への困惑
[装備]:フリーズロッド@ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド
[道具]:基本支給品×2、ライナー・ブラウンの銃@進撃の巨人、ランダム支給品0〜2(確認済み・燃堂の分含む)、病院内で手に入れた道具多数、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、杖(破壊済み)@なんか小さくてかわいいやつ、竈門炭治郎の日輪刀(刀身が半ば程で折れている)@鬼滅の刃、バギブソン@仮面ライダークウガ、アタッシュショットガン@仮面ライダーゼロワン、松平の拳銃@銀魂、如意棒@ドラゴンボール、首輪(脹相、燃堂力)

【杉元佐一@ゴールデンカムイ】
[身体]:藤原妹紅@東方project
[状態]:疲労(特大)、ダメージ(中)、全身に切り傷(再生不可)、霊力消費(特大)、再生中、一回死亡
[装備]:神経断裂弾装填済みコルト・パイソン6インチ(0/6)@仮面ライダークウガ、三十年式歩兵銃(3/5)+三十年式銃剣@ゴールデンカムイ、和泉守兼定@Fateシリーズ
[道具]:基本支給品×6、神経断裂弾×26@仮面ライダークウガ、ラッコ鍋(調理済み・少量消費)@ゴールデンカムイ、鉄の爪@ドラゴンクエストIV、青いポーション×1@オーバーロード、魔法の天候棒@ONE PIECE、ランダム支給品×0〜1(確認済)

【我妻善逸@鬼滅の刃】
[身体]:ピカチュウ@ポケットモンスターシリーズ
[状態]:疲労(特大)、ダメージ(大・処置済み)、全身に火傷、精神的疲労(極大)
[装備]:なし
[道具]:なし

544早すぎるΨ会? ◆5IjCIYVjCc:2025/07/28(月) 23:54:35 ID:ioGcflzI0

◆◆◆


今回ナナが視認したものは、燃堂力の幽霊ではない。
けれども、確かに幽霊ではあった。

こいつの正体は、燃堂力の父親の幽霊だ。
(なお、「斉木楠雄のΨ難」において幽霊は生前の記憶を失うということと、そもそも息子が生まれる前に亡くなったことから、本人に燃堂力の父親だという自覚は無いのだが)

燃堂父は、息子である燃堂力とは初見では見分けがつかない程瓜二つでそっくりだ。
性格や口調もほぼ同じだ。
息子との違いは、目の傷の位置が左右逆(息子は左、父は右)なのと、口癖が「お?」ではなく「を?」となっている点だ。

けれどもナナは、今回はその違いに気付けなかった。
だがそれも無理はないだろう。
結局、本当の燃堂力の顔を見たのは前の放送での一回だけ、目の傷の正確な位置などは覚えていない。

そしてこの燃堂父は、実は鳥束零太の守護霊でもあった。
ただし、彼はこの殺し合いにおいて、最初は竈門炭治郎の肉体となっていた鳥束を守護したりはしていなかった。
彼は、鳥束の精神ではなく肉体の方にくっついていた状態にあった。
鳥束の肉体と一緒に、主催陣営に囚われた状態にあったのだ。

しかし彼は、解放された。
そのタイミングは、鳥束の肉体が関織子の精神と組み合わされた時だった。
鳥束の肉体の条件を本来のものと合わせるためだったらしい。

けれども彼は、守護霊としての役目を果たさなかった。
原作からしてもそうだったが、彼は基本的に守護霊の役目をせずに自由気ままにどこかに勝手に飛んで行ってしまう奴だった。
そして彼は、織子がその存在を確認する前に、何かいつの間にか主催陣営本部を抜け出してしまっていた。
抜け出した後の彼は、自由気ままに島中を回っていた。
誰かに憑いていくこともせず、探検したり昼寝していたり等で適当に過ごしていた。

しかし彼はやがて、何か気になる気配を感じた。
その気配につられて、彼は山の方にふら〜っと向かった。
そこで彼は、ナナ達を見つけた。
その時のナナ達は、前のJUDOとの戦いが終わった直後くらいだった。
燃堂父は、ナナの身体となっている斉木楠雄のことを知っていた。
というか、息子と同じく斉木のことを相棒認定していた。
知り合いを見つけたと思って、燃堂父はナナに近付いた。
ナナは前の戦いの影響で大いに疲弊、意気消沈気味だったことで、燃堂父が近付いて来ていたことに気付かなかった。
そして気付いた時には、超至近距離までの接近を許してしまっていた。

本来、斉木楠雄に幽霊を見る力は無い。
「斉木楠雄のΨ難」の世界において、幽霊を見ることができるのは基本的に鳥束零太だけだ。
だが、燃堂父の幽霊だけは、限定として何故か斉木にも見えるようになっていた。
何故にそんなことになっているかの理由は不明だ。
けれどもだからここで、ナナは燃堂父の幽霊を自分だけ視認することになってしまったのかもしれない。

そして燃堂父は、ナナのことを斉木楠雄だと認識して、ついていこうとしていた。
ナナはそんなことも知らないし、そしてこいつをどうにかすることも出来ないため、放置するしかない状況になってしまった。


けれども、まだ誰も気付いていないし本人にも自覚が無いが、燃堂父にはもしかしたら有用な使い道があるかもしれないのだ。
離れてしまっていても、燃堂父は鳥束零太の守護霊だ。
だからもしかしたら、その肉体がある場所を察知することができるかもしれない。
それはつまり、その場所……主催陣営の本部にまで、ナナ達を案内できるかもしれない可能性があるという仮説をここに提唱する。
まあ……気付けなければ意味は無いことだが。

545早すぎるΨ会? ◆5IjCIYVjCc:2025/07/28(月) 23:57:23 ID:ioGcflzI0


最後にもう1つ、記しておきたいことがある。
燃堂父は何か気になる気配があって今ナナ達がいる山まで来たと前に述べた。
しかしその気配とは、斉木楠雄の身体を持つナナのことではない。
その気配は、彼らがここまで進んで来た背後の道の先にあった。
前々に記したやり取りの中で、燃堂父が最後に気にしていたものだ。
その先にあるのは、前の戦いでの戦場だ。



JUDOとナナ達を始めとした対主催グループ、そしてギニュー達の三つ巴の戦いが起きた前の戦場跡に、1つの死体が遺されていた。
それは、本来なら消えなければならないはずのものだった。

それは、ミラーモンスターのバイオグリーザの死骸だった。

本来、ミラーモンスターは死ねば体は消滅するものだ。
そもそも、ミラーモンスターは本来の生息地のミラーワールドではなく、現実世界に長時間いると存在を保てなくなり消滅するものだ。
そして消滅した後には、エネルギーの塊が光の玉のようになって飛び出るはずのものだ。
しかし、ここにおいてバイオグリーザは死体として残っていた。
前にここにいた者達はミラーモンスターのことなんて知らないため、放置されてしまっていた。
前の戦いの時に消える描写もなかった気がするので、こんな風にしてもおそらく問題は無いはず、です、多分。

とにかく、杉元に口内を銃で撃たれて死んだはずのバイオグリーザの肉体が、まだここに残っていた。
けれども、これが意味することはバイオグリーザ『が』まだ生きているということではない。
『バイオグリーザ』の意識は、この場から完全に消滅している。
それだけは、絶対に確かなことだ。










『ピクッ』

しかし、その死骸の指先が、僅かだけでも動いた気がした。



※今回の話の最終時間は、146話「Last Surprise」シリーズよりも前とします。

546 ◆5IjCIYVjCc:2025/07/28(月) 23:58:01 ID:ioGcflzI0
投下終了です。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板