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聖杯戦争-(マイナス)2/「はじまり」の短編集
1
:
◆Ydvc2XJMDI
:2023/06/11(日) 16:33:16 ID:5AsPBGYQ0
────英霊の座には、多くの英霊が君臨している。
────そして、SSの座には、多くのSSが眠っている。
7
:
DAY1:ハッピーエンドの後語り
◆kLJfcedqlU
:2023/06/18(日) 15:05:20 ID:xbRZ49QA0
シェフィが目覚めた先は、見知らぬ土地。それでいて懐かしい世界だった。
ビルが立ち並び、せわしなく人々が歩み続ける。
聖杯が作り出した東京という異界都市。その交差点のど真ん中に、シェフィは一人立っていた。
シェフィ頭が不可解な現状に耐え切れず、ぐるぐるとかき乱される。
シェフィが思ったことは。『ここがどこか』ではない。
頭の中に流れ込む『聖杯戦争という儀式について』でもない。
「どうして私は...消えてないの。」
『自分が生きていること』そのものが、彼女にとっては疑問であった。
◆
東京の住宅街にある、一軒家。
学生という役割を与えられた自宅、その屋根の上からシェフィは夜の街を見つめていた。
シェフィの記憶にあるアストルムとは違う。夜でも人口の光が街に溢れ、瞳をギラギラと照らす。市街地から離れているから喧騒と呼ぶほどのものではないが、それでも人の息遣いは十分感じらる。
人の営みを感じるたびに。シェフィは自分がここにいる理由について考える。
それはシェフィがエリスやミロクとの戦いの中、力と権能を得る対価として消滅したこととは異なる理由である。
そもそもの話、シェフィという生命体は存在しない。
一人の少女が、ゲームに参加するために作られたキャラクター。
人々を閉じ込めた電脳の牢獄を、無垢なる願いとともに繰り返した少女。
その存在の手で検体として管理され、改造され、端末として利用された少女の一欠片。
それがシェフィという。“アバター”である。
それにもかかわらず、シェフィは今東京にいる。
現実を生きる少女『阿賀斗紫布菜』ではない。
アストルムに存在した『シェフィ』としてここにいた。
水晶のような二本の角を持ち。
青く透き通る翼を持ち。
氷のように煌めく尾を持ち。
ドラゴン族の特性を持った、現実の人間とはかけ離れた存在として、確かに形を成している。
ありえないこの現実が、この地に降り立ったその時からシェフィの頭で渦巻いていた。
「マスター。ここにいたんだね」
下から聞こえた声がシェフィの意識を引き戻す。
見下ろすと、二階のベランダから銀髪の少女が手を振って上を見上げていた。
「バーサーカー。うん、ちょっとこの世界に呼び出されたときのことを思い出してたの。」
「ふーん。ちょっとそっちいくね。」
返事を返す間もなく、バーサーカーは「よっ。」という声とともに一飛びで二階のベランダから屋根に飛び乗った。
シェフィ隣に立つ少女は、照らされた街を興味深そうに眺め。嬉しそうに笑う。
夜になっても明るく人々が行きかう街が珍しいのは、バーサーカー......イングリスという真名を持つ、シェフィのサーヴァントにとっても同じであった。
「夜になっても賑やかで平和だね。私のいた世界とは随分勝手が違うみたい。」
「バーサーカーは、この世界をどう思う?」
「ご飯も美味しいし、嫌いじゃないよ。私としてはもうすこし戦いがいのある相手がいると嬉しいんだけどね。他のサーヴァントや使い魔以外と戦うことが無いしさ。」
「それ、貴方の世界の怪物のこと言ってないわよね。魔石獣......だっけ。あんなのがそこらにいたら困るわよ。」
魔力のパスが繋がった関係であるマスターとサーヴァント。相手の記憶を夢で見ることがあるというが、シェフィにもその現象が起きていた。
夢の中で見た結晶化した宝石を持つ怪物たち。人を襲う強大な外的としてそんな存在が闊歩する世界。その怪物と戦う存在として、一人の少女の従騎士としてバーサーカーは生きていた。
バーサーカーの記憶の中の世界は、東京とは全く違う。むしろシェフィのいたアストルムに近しい場所だった。
魔法があり、その源があり、天に浮かぶ都市には上位の人々が住み、動物が変質した怪物が現れ、それに立ち向かう騎士たちがいる世界。
現実の東京と地続きの場所に居ながら、その場所をどこか遠くに感じる今のシェフィにとって、夢で見たイングリスの世界の方がなじみ深く思えてしまう。
8
:
DAY1:ハッピーエンドの後語り
◆kLJfcedqlU
:2023/06/18(日) 15:17:46 ID:xbRZ49QA0
「バーサーカーは......聖杯が欲しいの?」
ふいに、そんな言葉が口から出てきた。
聖杯戦争のために、全く違う世界に呼び出された彼女。
生前とは異なる戦場で争うことになったサーヴァント。
英霊召喚のシステムを理解したわけではないシェフィだが、呼び出しに応じた以上何かしら強い願いがあるのだろう、そう思ったゆえの質問であった。
願いを聞かれたバーサーカーは、一瞬きょとんとした顔になる。しかしすぐにほほ笑んで、あっけらかんと返事をする。
「いや、別にいいかな。」
「えっ?」
戸惑うシェフィに、バーサーカーは続ける。
「私の願いは武の極みに至ること。そのために鍛錬を積み、より強い者たちと戦うこと。だから、いうなれば聖杯戦争に参戦することそのものが願いかな。」
「他の願いはないの?例えば、生き返りたい!とか。」
「実は私、もうそれ叶ってるんだよね。正確には生まれ変わりだけど。」
目を丸くするシェフィを見て、「そういえば言ってなかったね」とイングリスは自身の半生を語る。
イングリスという少女は、その存在そのものが奇跡の産物だ。
一代で王国を築き上げ、信ずる女神と愛する民を思い生涯を終えた英雄王。
彼が天寿を全うするその時の彼が敬愛する女神に「武を極めるために生まれ変わる」ことを望み、遥か未来の世界においてそれが叶えられた存在。
民のために生きる王としての人生を終え、己のために生きる武人としての人生を望んだ姿。
名と魂が同じながら、本質はまるで異なる英雄譚の後語り。
それがシェフィのサーヴァント『従騎士イングリス』である。
「だからこの姿の私は、今のマスターと同じようなものかもね。」
「バーサーカー。それって。」
「マスターも、ずっと戦って来たんでしょう。」
シェフィのこれまでの道なりに、バーサーカーは称賛する。
相棒の記憶を夢に見ていたのは、バーサーカーも同じである。
電子の牢獄に囚われた後、その世界を管理する者や滅ぼす者たちと戦いを続けたことも。その果てにその身は光となって消滅したことも。
かりそめの現実にありえざる肉体を得た存在であることを、バーサーカーは知っていた。
「シェフィこそ、聖杯に掲げるような願いはないの?」
バーサーカーは問い返す。
死の間際に願いを叶える機会を与えられた英雄は、消滅した先で願いを叶える機会を得たマスターに問いかけた。
「それは.....。」
シェフィの頭に渦巻くものが、その先の言葉を妨げる。
「...私は、これ以上何かを願っていいのかな。イングリス。」
シェフィが震える声で言葉を紡ぐ。彼女の中で渦巻いていたものが、少しずつ形を成していく。
それは感動であり、高揚感であり、歓喜であった。
消えたはずの存在が形を成していたことが、シェフィは嬉しかった。
『シェフィ』としてここにいることが、たまらなく嬉しかった。
「だって私は、与えられてばっかりで。あの結果はみんなが頑張ったからなのに。」
そしてそれは、罪悪感に近しい感情だった。
あの戦いで消えたのはシェフィだけではない。
勇気を示し強敵に立ち向かったのは、数えきれないほど多くの人たちだ。
多くの人々を差し置いて、利用され助けられるばかりの少女が、こんな奇跡を与えられていいのだろうか。
その思いが、シェフィの足をすくませる。
9
:
DAY1:ハッピーエンドの後語り
◆kLJfcedqlU
:2023/06/18(日) 15:21:05 ID:xbRZ49QA0
思い悩む少女を、英雄は優しく見つめる。
優しい子だと、英雄は思う。戦う覚悟を持ち、人を思える人間だと。
イングリスは一個人として、シェフィという人間を気に入っていた。
聖杯戦争を戦うために現界した彼女であるが、仮にマスターが本当に願いを持たないのであれば、それでもよかった。
マスターが生き延びることにのみ注力することも、構わないとさえ思っていた。
実際は違う。シェフィの心には確かな願いが隠れていた。
その事をイングリスは好ましく思った。人は願うものだと、彼女は知っている。
『聖杯を使って願いを叶えようとは思わない』という人はいるだろう。
『願いを叶えた身であり、これ以上のものは思いつかない』という人もいるだろう。
だが、何一つ願いが無いという人間は。そうはいない。
女神アリスティアに願いを問われた英雄王に、“何も願わない”という選択肢はなかった。
人生に不満も無かった王ですらそうなのだ。一人の少女が願いを持つことを誰が責められようか。
今を生きる者を助けるのが、英霊の誇りであり。
イングリス・ユークスという人物は、誰よりも“正しき者の願い”を肯定する英霊だった。
「いいに決まってるよ。シェフィはすごく頑張ったんだからさ。」
返す言葉は短く、しかし今のシェフィを進ませる答え。
「聞かせてよ。マスター。君の願いは何?」
それはきっと正しい願いだと、確信をもって問いかける。
ハッピーエンドのその先を歩んだ英雄の言葉は、ハッピーエンドのその先に立った少女に道を示した。
シェフィの頭の中で、ずっと渦巻いていたものが消える。
熱を持った肉体の内から、鼓動が響く。
今のシェフィを構築する全ての要素が、シェフィにとっては奇跡とも言うべきもの。
こんな奇跡を与えられ、それ以上に何か望んでいいというのなら。
かつて英雄王イングリスがそうしたように、シェフィは己の胸の内を言葉にする。
「私は、私が消えてしまった後のことを知りたい。」
知りたい。仲間たちは無事に現実に帰れたのか。未来ヘ歩を進めたのか。
「私は、もし許されるのなら...もう一度みんなと会いたい。」
会いたい。共に旅した仲間たちと、他愛もない話をしたい。
そして、もし可能ならば。またあの仲間達とともに。
世話焼きで愛らしいエルフの少女と。
口は悪いけど誰よりも優しい獣人の少女と。
食べることが大好きで底抜けに明るい王女と。
勇敢で他人のことを思える、大好きな騎士の青年と。
「もう一度、みんなと同じ食卓で、ご飯を食べたい。」
――願いが、決まった。
立ち上がり、空を見る。夜風が、濡れた頬を優しくなでる。
命を懸けた戦場の夜空は、残酷なほど美しい。
先ほどまでは見えなかった無数の光が瞬き、その中央に大きく月が映る。
広い空を前に感じる世界に自分しかいないような感覚、シェフィは最後に見た景色を思い出す。
全ての戦いが終わり、『再構築』で世界が消え去る瞬間。『ログアウト』により電子の牢獄から解放された人々が、光となって天に消える。儚くも美しい世界の終わり。
今ここに、その場所にともに居た「彼」はいない。
この街も消えない。いずれは無くなる泡沫だとしても、今すぐではない。
シェフィはふと自分の手に目を向ける。
あの夜に消えた自分の体は、確かな熱と鼓動とともに、ここにある。
心を落ち着けるように大きく息を吸い込み、静かに吐き出した吐き出す。
夜の冷たい空気が肺腑に入る感覚も、今は心地いい。
シェフィはイングリスに、共に戦うサーヴァントに顔を向ける。
満月を背に受けた氷竜の羽根が、キラキラと虹色に光る。その角は鋭く伸び、決意を宿した左目は先程までと違い、何かを宿したように紅く変わっていた。
「聖杯。取りに行くわよ、バーサーカー。」
今までになく強い気持ちを秘めた声。自由と最強を願った少女を従える者として、これ以上無く相応しい闘志。
『欲しい』ではない。『取りに行く』と断じたマスターの命令に、バーサーカーは笑顔で応える。
少女の願いを、英雄の挑戦を。イングリス・ユークスは否定しない。
「マスターがそう望むなら、私は勝つよ。マスターの願いのために。」
少女と少女。 竜(ドラゴン)と狂戦士(バーサーカー)。
創られた世界の月が、その目覚めを見届けていた。
10
:
DAY1:ハッピーエンドの後語り
◆kLJfcedqlU
:2023/06/18(日) 15:24:59 ID:xbRZ49QA0
【クラス】
バーサーカー
【真名】
イングリス・ユークス@英雄王、武を極めるために転生す〜そして世界最強の見習い騎士♀〜
【性別】
不明(肉体は女性)
【ステータス】
筋力A+ 耐久C+ 敏捷A 魔力B+ 幸運B 宝具C
【属性】
混沌・善・天
【クラススキル】
戦闘狂 A
『狂化』の変異スキル。バーサーカーは安定した理性と高い技術を誇り、会話にも難はない
ただし超がつくほど好戦的であり、マスターや周囲に甚大な被害が出る場合を除いて自分が強敵と戦うことを何より優先する。戦闘の意志のない敵マスターの殺害や、魂喰いといった戦闘とはいえない殺戮を極めて嫌い、その類の指示には従おうとしない。
【固有スキル】
磊落のカリスマ D
王として歩まずとも、自らの道を歩む姿で人を惹きつける技能
王としての性質とは異なるが、圧倒的な力と自由なその姿は周囲を振るわせる
心眼(真) B
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。
転生者 C
男性の王としての人生を終えた後、女性の戦士としての人生を歩んだことを示すスキル。このスキルによりバーサーカーの性別は変質し、特定の性別に効果のあるスキルを無効化する
【宝具】
『女神の鎧装(アリスティア・アルマ)』
ランク:D~A 種別:対人宝具 レンジ:― 最大補足:1人
神騎士(ディバインナイト)の証とも言うべき、女神より与えられし加護。祝福が身を纏い身体能力の向上や魔術への耐性を付与する。
ステータス上は『魔力放出』『対魔力』『神性』の複合&上位スキルとも言うべき宝具
その出力はマスターの魔力量と比例し、シェフィの場合はCランク相当の魔力放出&対魔力及びEランク相当の神性を獲得しているのと同様の効果となっている。
応用で魔力を一点に集め放出する『霊素弾(エーテルストライク)』という技を持つが、サーヴァントである場合はマスターの魔力を大きく消費するので使用は難しい
『その拳虹を砕き、地平へ至る者(プリズムブレイク・オーバーロード)』
ランク:E〜A 種別:対人宝具 レンジ:― 最大補足:1人
英雄王が女神に「生涯を己の武のために捧げた人生」を望んだことにより生まれた、従騎士イングリスの人生そのものの具現化。
通常、英霊の能力が向上することは無いが。イングリスは例外的に時間をかけ修練に励む度、強敵との戦闘を経る度に技術やステータスが上昇する。
王としてのスキルや宝具を失った代わりに得た、『従騎士イングリス』のみが持ち得る宝具。
【weapon】
徒手空拳
氷の剣(シェフィ作成)
【人物背景】
一代で国を築いた王が同名の少女として転生した姿 そして戦闘狂。「天使の体に武将の魂が宿ってる」とは親友の談。
自由に戦うことを好み、権力や立場に縛られることを嫌う。与えられる紋章が地位に大きく関わる世界で紋章の取得をわざわざ拒否するほどその在り方は筋金入り。
精神性は前世の物に近く老獪かつ成熟している。というか同年代の学友を孫のように見ている節がある。
“英雄王イングリス”とは、性別・属性・ステータス・宝具など。多くの点で差異がある、完全に別のサーヴァントである。ApoのジャックちゃんとFakeのジャックの関係性ともいえる。
【サーヴァントとしての願い】
まだ見ぬ強者との戦い。いうなれば聖杯戦争そのもの
既に女神に願いを叶えて貰った身であるため、聖杯に興味はない
11
:
DAY1:ハッピーエンドの後語り
◆kLJfcedqlU
:2023/06/18(日) 15:26:36 ID:xbRZ49QA0
【マスター】
シェフィ@プリンセスコネクト!Re:Dive
【マスターとしての願い】
自分が消えた後のことを知りたい
また仲間たちと一緒にご飯を食べたい
【能力】
氷を生み出す能力、スケートの要領で滑るようにして戦う
武器は氷の剣 これも能力で生成できる
【人物背景】
ドラゴン族の少女。所属ギルドは【美食殿】
記憶喪失の状態で美食殿に助けられ、紆余曲折在り記憶を取り戻す。普段はクールな常識人だが、記憶喪失時代の名残でパニックになると言葉遣いが幼児化する。
仲間たちとの旅路の果て。自身の消滅をも覚悟の上で世界を繰り返す神への戦いに挑み、多くの人たちが繋いだバトンを受け取り、人々を「懲役」からの解放した名もなき英雄
明確に“ゲーム内のアバター”でありながら、この聖杯戦争で肉体を得ている理由は不明
【方針】
聖杯狙い バーサーカーに協調しつつ戦う
人を殺すことや無用な被害を出すことは避けたい
12
:
◆kLJfcedqlU
:2023/06/18(日) 15:27:38 ID:xbRZ49QA0
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