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ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所9

1管理人 ◆h6U6vDPq/A:2011/08/28(日) 11:25:11 ID:tHS5XxCA
ここはストライクウィッチーズ百合スレ避難所本スレです。

●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所8
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1299248601/

●Janeで避難所を見る場合
・板一覧を右クリックして「新規カテゴリを追加」をクリック(板一覧が無い場合は「表示」→「板ツリー」→「板全体」で表示できる)
・カテゴリ名を入力してOKをクリックする(例:「したらば」)
・作成したカテゴリにカーソルを合わせて右クリックし、「ここに板を追加」をクリック
・板名を入力してOKをクリックする(例:「百合避難所」)
・URLに「http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12483/」を入力してOKをクリックする。

2管理人 ◆h6U6vDPq/A:2011/08/28(日) 11:26:07 ID:tHS5XxCA
規制について
★改行規制
避難所スレについて、投稿本文の文字制限は4096byte(全て全角文字の場合は2048文字)、
投稿本文の最大行数は100です。

★連投規制
今のところありません。

★スレの容量
管理人が500KB超えに気付いた時点でスレストを掛けます。

3mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/08/30(火) 23:10:27 ID:0IaCgNO2
>>1 管理人様
スレ立て乙です&毎日の管理に感謝です。

前スレ>>301 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJ! まさかの夢オチw 夢の中でも夢から醒めても全力ですねヘルマはw


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
改めて、新スレおめでとうございます。
ふと思い付いたネタ? をひとつ。
ではどうぞ。

4joy-juice 01/02:2011/08/30(火) 23:11:04 ID:0IaCgNO2
「あっつー」
「なんかだるいよなー」
 普段はからりと清涼なロマーニャでも、夏はやはり、暑い。
 連日の暑さで食も進まず、うんざりしていた隊員達はミーティングルームで気怠さと暇を持て余していた。
「ねえシャーリー。なんかおもしろーい事ない?」
「有ったらとっくにやってるよー」
「ならサウナに入ったらドウダ? ここよりは暑いから、出たら一瞬だけ超涼しく感じるゾ」
「一瞬だけじゃやだー!」
 そこに、扶桑の魔女二人が何かを持ってやって来た。何か大事なものらしく、木の箱に入れて丁寧に持ち歩いている。
「ウジャ なにそれ?」
 面白そうなものを見つけたルッキーニが美緒の前に飛んで来た。
「ああ。皆を元気付けようと思ってな。扶桑から取り寄せた」
「まさか」
 その場に居た一同は、以前飲まされた肝油を思い出して戦慄した。
「皆さん違いますよ。肝油じゃないですよ。もうちょっと美味しくて、ガツンと効くものですよ」
 笑う芳佳。
「お前ら扶桑の魔女の言う事は信用できナイ!」
「あたしもちょっと、何が出てくるか心配で……」
 拒絶しサーニャを守るべく一歩出るエイラ、扶桑のウィッチを前にやや引き気味のシャーリー。
「ご安心下さい。今回ご用意したのはこちら! じゃーん!」
 芳佳が箱から一升瓶を取り出した。
 その瓶の中身を見たウィッチ達は、一目散に部屋から逃げ出した。
「何故逃げる」
「効くんですけどね……」
 瓶の中をたゆたう液体は琥珀色に染まりとろんとした蜜の様。そして瓶の底にびっしりと沈むのはスズメバチ。

「あら、皆何処へ行ったのかしら? ……って何それ」
 入れ替わりに部屋に来たミーナは、瓶と中身を見てぎょっとした。
「おお、ミーナ良い所に来た。どうだ、一緒に飲まないか」
「え、えっ、えええ?」
 色々な情報が一気に雪崩れ込み混乱するミーナ。
「何を驚いているんだ。これは滋養強壮に効くとされていてだな」
「こんな大きな蜂、扶桑に居るの? 怖い……」
「掴まえて、生きたまま焼酎に漬け込むんですよ。少しずつ飲むと身体に良いんですよ、とっても」
 芳佳の説明もそこそこに聞き流し……見た目のインパクトに圧されたミーナは、流石に一歩退いて、どうすべきか迷った。
「そ、そうねえ……」
「美容にも良いんだぞ? なあ宮藤」
「ですねえ。そう言う言い伝えですけど」
 二人のセールストークを聞くうちに、なら一口、と行きそうだが、一緒に美緒も飲むと言う事、その点がとても気に掛かる。
 また暴走してあんな事やこんな事になりはしないかと。
「おいミーナ、急ぎの仕事だ」
 扉の向こうからトゥルーデの声がする。僅かに扉が開いて、声だけ聞こえて来た。
「あ、あらそう。残念ね。またの機会にね」
 ミーナは書類の束を抱えたまま、逃げる様に部屋から出て行った。
「何故だ」
「何ででしょう」
 取り残された扶桑の魔女ふたり、そして酒。

「ふう。危ない所だった」
 扉の向こうでは、ミーナの手を引くトゥルーデの姿が。
「危ないってどう言う事?」
「あんな生物標本みたいなものを飲めるかと言う話だ」
 呆れるトゥルーデ。横でくすくす笑うエーリカ。
「でも、滋養強壮に良いし、美容にも良いって話だし……」
 名残惜しそうな501隊長。
「おいミーナ。問題はまだ有るんだぞ。仮にあの不気味な酒が栄養豊富だとしても、一緒に飲むのが少佐と言う事を考えろ」
「そ、それは……」
「良いのかそれで」
 じと目でミーナを見やるトゥルーデ。額に汗を一筋流し、答えに窮するミーナ。
「今度、少佐の居ない時に、ミヤフジに持って来て貰うといいよ」
 現実的な解決策を提案するエーリカ。
「それが良い。あの酒を試すにしろ、少佐と一緒に、と言うのはとにかく危険だ」
 先日の、基地でワインに「飲まれた」美緒の事を思い出し、少し頬を赤らめながらミーナの手を引くトゥルーデ。
 それに気付き、くすっと微笑むミーナ。そんな二人を見て、にししと笑うエーリカ。
 こうして501の危機は去ったかに見えた。

5joy-juice 02/02:2011/08/30(火) 23:11:30 ID:0IaCgNO2
「邪魔するぞ」
 美緒が執務室にやって来た。何をするとでもないが、深夜になってもミーナが執務室から出てこないので
また残務が溜まっているのではと心配になったのだ。
「あら、美緒」
 ミーナは椅子を窓辺に向けたまま、何かカクテルの様な物を呷っていた。言葉を続ける。
「ちょうど良い所に来たわ」
 液体を飲み干す。美緒に振り返りもせず、舌なめずりする音。
 不審に思った美緒が近付く。机の上には、かの「スズメバチ酒」の瓶があった。既に中身が半分無い。
「おいっ、ミーナ、これは一体!?」
 酒を見、慌てた美緒はミーナの顔色を確かめるべく彼女の前へと回った。うっとりとした目で美緒を見るミーナ。
「確かに美緒と宮藤さんの言う通りね。色々と、みなぎってくるわ。良いわね」
「この酒、一本しかないのにどうやって手に……」
「宮藤さんから、少し借りたのよ」
「借りたって……しかもこれは少量ずつ飲むモノだぞ。何でそんな一気に……」
 焦る美緒。頬を紅く染め、眼を細め微笑むミーナ。
「ふふふ。可愛い美緒。貴方の使い魔も素敵だけど、私の使い魔、何だか知っているでしょう?」
 答えを言わせる間も無く、ミーナはグラスを投げ捨て、美緒に襲い掛かった。
「うわっ! ミーナ待て、落ち着け! こら、服を裂くな! おい、誰か! 誰か助け…うわあああああ……」
 それっきり、執務室からの叫び声は途絶えた。

「やはり、恐ろしいな。扶桑の酒と言うのは」
 近くの物陰から、執務室の様子を伺っていたトゥルーデとエーリカ、そしてシャーリーは、顔を見合わせて頷いた。
「でも、それってミーナと少佐の酒癖の悪さじゃなくて?」
 エーリカは素朴な疑問を口にする。トゥルーデは時折執務室から聞こえてくる嬌声に顔を背けながら言った。
「と、とにかくあれは禁止だ。二人が落ち着いたら、あの酒を回収して封印する」
 シャーリーがぼそっと呟く。
「やっぱり、中身捨てちゃうのか?」
「……どうするか」
 はあ、と溜め息を付くトゥルーデ。指揮官不在ともなってしまった今、先任尉官に出来る事はただひとつ。
 見守る。
 そして頃合いを見計らって、酒を回収・封印する。
 不意に、扉が開いた。
 服が乱れきったミーナが、固有魔法を発動させたのか、トゥルーデ達の居る方向を正確に見て声を掛けてきた。
「貴方達も一緒にどう?」
 三人は振り返りもせず、全力で遁走した。

end

6名無しさん:2011/08/30(火) 23:11:45 ID:0IaCgNO2
以上です。
みなぎるミーナさんと言うのも見てみたいです。

ではまた〜。

75uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/09/02(金) 01:00:59 ID:uv3MLaJA
>>1 管理人様
スレ立て乙です。いつも素早い対応、ありがとうございます。

前スレ>>298 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJです。夢の中でもお姉ちゃん、格好良いですね〜。
5年後のばいんばいんなヘルマちゃん、是非見てみたいです。

>>3 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。荒ぶるミーナ中佐、可愛いです。
隊長がみなぎっちゃうと、隊員全員が大変な事になっちゃいそうな気がします。

こんばんは。
ニコ生とか公式の基地探訪とか見てたら、芳リーネ熱がたぎって来たので2レスほど投下していきます。
ではどうぞ

85uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/09/02(金) 01:01:48 ID:uv3MLaJA

【キスも訓練のうち?】

「リーネちゃん、パラソルはこの辺りでいいかな?」
「うん。そこでいいよ」

ここは基地から少し離れた場所に位置する海岸。
今日はミーナ中佐の提案で、501のみんなで海水浴に来ています。
珍しく、私と芳佳ちゃんも訓練じゃない正式な休息を貰えたので、
隊のみんなにアイスティーを振舞う事にしました。

「はい、どうぞエイラさん」
「おお、悪いなリーネ」
氷がいっぱい入ったガラスのグラスに基地から持ってきた紅茶の入ったポットを注げば、簡易なアイスティーの出来上がり。
エイラさんは私からグラスを受け取ると、それを一気に飲み干してくれた。
「うん、美味い。おかわり貰えるか? あっ、それとは別にもう1杯」
「サーニャちゃんの分ですね。はい、どうぞ」
エイラさんは私からグラスを2杯受け取ると、浜辺で佇んでいるサーニャちゃんのもとへと駆け寄っていく。
「わぁ、リーネちゃんすごいなぁ。お店の人みたい」
「え? これくらい普通だよ」
「そんな事ないよ。注ぐのだって私より全然上手だし……それにこのアイスティー、リーネちゃんの優しい気持ちがいっぱい詰まってて、
本当に美味しいよ。私にとっては世界一のアイスティーだよ」
と、聞いてるこっちが恥ずかしくなるような台詞をさらっと言い切る芳佳ちゃん。
もう、そんな事言われたら芳佳ちゃんの顔、直視できないよ。
「え? あ、ありがと……」
私は胸をドキドキさせながら、隣の芳佳ちゃんにそう呟いた。
私の身体が今熱いのは多分、照りつける太陽のせいだけじゃないと思います……

――それからしばらくの間、私と芳佳ちゃんは折りたたみ式の椅子に座って隊のみんなの様子を眺めていた。
シャーリーさんとルッキーニちゃんはペリーヌさんを誘って、ビーチバレーをやろうとしているみたい。
そこから少し離れたところで、バルクホルン大尉とハルトマン中尉が水を掛け合って遊んでいるのが見える。
(というより、バルクホルン大尉がハルトマン中尉に一方的に水を掛けられてるようにも見えます。)
そして、その様子を微笑ましそうに見守るミーナ中佐。
あれ? 坂本少佐は……どこ行ったんだろう。
素潜りの練習でもしてるのかな。

95uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/09/02(金) 01:02:33 ID:uv3MLaJA

「ねぇ、芳佳ちゃん」
「なに?」
「その……2人きりだね」
「そうだね」
芳佳ちゃんとは日頃から常に一緒にいるけど、本当の意味での2人きりの時間は結構貴重だ。
だから、こういう時にこそ色々お話をしたいんだけど何を話せばいいのかな……?
「あっ、また揺れた!!」
「へ? どうしたの、芳佳ちゃん?」
芳佳ちゃんが急に大声をあげたのが気になり、私は彼女の視線の先を追ってみた。

「行くぞ、ルッキーニ! それ〜!」
芳佳ちゃんの視線の先に見えたのはシャーリーさんの姿。
芳佳ちゃんが言ってた揺れたものってシャーリーさんの胸の事だったんだ……
「ねぇリーネちゃん、見た? 良い揺れっぷりだったね〜」
「芳佳ちゃん、さっきからずっとシャーリーさんの事見てたの?」
「だって、すごいんだよ! シャーリーさんがビーチボールを投げるたびにおっぱいがぷるんぷるん揺れて……」
と、目をキラキラさせながら熱心にシャーリーさんの胸の魅力を語る芳佳ちゃん。
芳佳ちゃんが女の子の胸に並々ならぬ執着を持ってるのは知ってたけど、
2人きりの時にこうも熱心にシャーリーさんの胸について語られると、少しだけジェラシーを感じてしまう。

「芳佳ちゃんは私よりシャーリーさんの事が気になるんだ……」
本当はそれ程怒ってないんだけど、私はわざとらしく頬を膨らませて不機嫌なフリをしてみる。
「そ、そんな事ないよ! そりゃ、確かにシャーリーさんのおっぱいは魅力的だけど、私にとってはリーネちゃんの
おっぱいが一番で……違う、何言ってんだろ私……だからね、えーっと……」
私の反応を見て、芳佳ちゃんは悪戯がバレた子供のように慌てふためく。
ふふっ、慌ててる芳佳ちゃんとっても可愛いな。
「……気を悪くしたならごめんね。おっぱいとか関係なしに私、リーネちゃんの事が大好きだよ。
誰にでも優しいところも、射撃が上手なところも、三つ編みの髪も、縞々のソックスも、可愛らしいズボンも、
ネコちゃんの耳と尻尾も全部……私の事、許してくれる?」
芳佳ちゃんが上目遣いになりながら、私にそう訊ねてきた。
もう、その仕草は反則だよ……

「いいよ、許してあげる」
私は芳佳ちゃんを自分のもとに引き寄せて、彼女の唇にそっと自分のそれを重ねる。
「リーネちゃん……あぅ」
「芳佳ちゃん、私も大好き……んっ」
私たちがしばらくの間唇を重ね合っていると、不意に聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。
「2人とも、冷たいお茶を一杯貰えるか」
「坂本少佐!?」
「坂本さん!?」
坂本少佐の声を聞いて私たちは、思わず飛び上がりそうになる。
い、いつからそこにいたんですか!?
坂本少佐は、驚いてる私たちの事なんておかまいなしに言葉を続ける。
「いや〜、休息の時にでも訓練とは感心したぞ」
「く、訓練……?」
「人工呼吸の練習をしていたんだろう? 私としては、どちらかが仰向けになったほうがより訓練らしくなると思うがな! はっはっは!」
「「ええ!?」」
「さて、もう一泳ぎしてくるとしよう」
少佐は私が注いだアイスティーを一気に飲み干すと、海岸のほうへと駆けていった。
……今の発言、少佐なりの冗談だったのか、それとも素だったのかな。

「ねぇ、リーネちゃん」
少佐が去ってから少しして、芳佳ちゃんが口を開いた。
「なに?」
「続き、する? その、訓練の……」
「……うん」

私はコクリと頷き、芳佳ちゃんと、坂本少佐が言うところの”訓練”を再開させるのでした。

〜Fin〜

105uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/09/02(金) 01:03:03 ID:uv3MLaJA
以上です。この2人はずっとイチャイチャしてればいいと思います。
ではまた

11名無しさん:2011/09/03(土) 16:34:03 ID:h5nKVrY.
>>10
GJ! 甘々いちゃいちゃな芳リーネいいですね。この二人はいつもくっついてればいい……。
てか、もっさんいい味だしてますwww 自重してwwww

12mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/09/10(土) 22:22:17 ID:5mTqHIik
>>10 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! 大甘な芳リーネ最高です。 もっさん流石というかw メディーック!な感じですね人工呼吸。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ふと思い付いたネタ? をひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編になります。
ではどうぞ。

13wildrose 01/02:2011/09/10(土) 22:23:22 ID:5mTqHIik
「ねえトゥルーデ、知ってる?」
 昼食の後リーネから受け取ったお茶をのんびり飲んでいると、エーリカが唐突に聞いてきた。
「知ってるって、何を?」
「その顔じゃ知らなそうだね。ここの基地、とある場所に綺麗な花が咲いてるんだってさ」
「ほう」
「見に行こうよ」
 余り興味なさげなトゥルーデはうーんと首を捻ったが、エーリカに襟を掴まれ、そのままずるずると引きずられていった。

「確か、この辺りなんだけどなー」
 二人は基地の宿舎(代わりの建物)を出て、滑走路や周辺の小道を探していた。
 普段は基地とハンガーを往復し、必要とあらば基地の外へと出て行く事もあるが、基地の中を本格的に巡った事は無かった。
 いや、とある切欠から基地の地下で「冒険ごっこ」をした事は有ったが……あれは散々だったと思い返す。
「ねえ見てトゥルーデ」
 エーリカが指さす先には、草が群れを成して生育していた。
 名前は知らない。だが、確かにその花はそこに生え、可憐な花を幾つもつけ、風にゆれていた。
「こんな所に。健気だな」
 トゥルーデはそう言うと、立ち止まり花を愛でた。
 名も無き花。
 そこはちょうどアドリア海を一望出来る場所にあり、古代の遺跡の片隅、日陰と日向の境界に花はあった。
「なるほど。日当たりの問題と言う訳か?」
 トゥルーデは首を捻ったが、植物学的な事まではよく分からなかった。
「トゥルーデ、違うよ。これじゃなくて」
「違うのか」
「これも綺麗だけど、違うよ。聞いたのはもっと凄いの」
「凄い、と言われてもな」
 エーリカの無邪気さにどう返して良いか分からず、思わずふっと笑ってしまう。
「詳しい場所は聞いたんじゃなかったのか?」
「こっちの方、としか聞いてないから」
「その言い方だと、さしずめルッキーニ辺りから聞いたんだな?」
「よく分かったね」
「大体分かる」
 見つけたのも、恐らくルッキーニだろう。皆に花の事を話すも、正確な場所までは伝えきれなかったらしい。
 辺りを見れば、宿舎代わりの建物からだいぶ遠くに来ていた。昼下がり、戻るのも億劫になったトゥルーデは言った。
「仕方無い。もう少し探してみようか」
「いいね」

 トゥルーデは先頭をきって、草むらの中を分け入り、獣道に近い細道を歩いたり、遺跡の上をほいっと飛び越えたりしながら
……さながら「探検ごっこ」をする子供の様に、無邪気に先を進む。
「どうして道から外れるのさ?」
「良いかエーリカ。見たと言うのはルッキーニだろう?」
「そうだけど」
「ならあいつが行きそうな、道無き道をあえて進むのが正解だ。ルッキーニになりきった気分でな」
「トゥルーデ、真面目に分析するのは良いけど、やってる事が滅茶苦茶だよ」
 言いながら、なおも進む二人。
 垣根を潜り抜ける時、何かの草か枝に引っかかったのか、トゥルーデのシャツの端がびっと切れた。腕にも何か当たっていたらしく、
僅かな切り傷が出来る。
「おっと」
「大丈夫?」
「これ位平気だ」
 トゥルーデは自分で傷口を一舐めする。
「ばい菌が入ったら大変な事になるよ。消毒しないと」
「救急キットも無いしな」
「とりあえず」
 エーリカはトゥルーデの腕を取り、ぺろぺろと子犬の様に傷口を舐める。
「こ、こら……くすぐったい」
 そして上から自分のハンカチを一枚ぎゅっとあてがい、トゥルーデの持っているハンカチで固く縛る。
「これ位しないとね」
「大袈裟過ぎないか」
「これだけやれば、安心するっしょ?」
「ま、まあ……有難う」
「ふふ。良いって」
 二人は道を更に奥へと進む。

14wildrose 02/02:2011/09/10(土) 22:23:55 ID:5mTqHIik
 やがて、開けた場所へと出た。
 そこは、かつての闘技場の跡地。以前、基地の本格設営の前に来た事が有る。
 海に面した遺跡の壁側に、目指すそれは有った。
 垣根の様に群生するその植物。
 淡紅色に染まったその小さな花びらは五枚、それが房の様に無数にしだれ、吹き付ける海風にも負けず健気に咲き誇る。
「これだよ、トゥルーデ」
「なるほど。綺麗だな、エーリカ」
「だねー。これは気付かなかったよ」
 近くに腰掛け、海風に髪をなびかせ、その花をじっくりと観賞する。
 何の花だろう、と呟くトゥルーデに、エーリカが言った。
「野バラ、らしいよ」
「野生のバラか。花屋や庭園で見かけるバラとは全然違うな」
「野生だからね」
「なるほど……」
 野バラの群生地がまさか基地の中に有ったとは、と驚き、そして案外と簡素で、かつ爽やかなものだと感じる。
 庭先で丁寧に、丹念に育てられたそれとは違い……飾り気の無い野バラはたくましく、そして美しい。
「ミーナに聞いたんだけど」
 ぽつりとエーリカが呟いた。
「? 何を」
 何気になしに聞いたトゥルーデに、エーリカは悪戯っぽく笑って答えた。
「花言葉。野バラはね、色々花言葉が有るらしいけど」
「色々有るのか」
「『素朴な愛』らしいよ。ミーナが好きなのは」
「ミーナが好きって事は、彼女もこれを見たのか」
「ルッキーニが摘んできた花を一輪だけね」
「なるほど」
 トゥルーデは辺りを見回した。ちょうど宿舎の建物からも、僅かに見える位置にある。
「今度、この場所を皆に教えよう。良い気晴らしになるだろう」
 そう言うと、トゥルーデはカメラを持ってくれば良かったなと呟く。
「来るの大変だけどね」
「場所が分かれば、最短の道を造れば良い」
「言うと思った」
「ダメか?」
「途中の苦労がないと、この感激も半減しちゃうよ」
「けど、一応ここは基地の中だぞ。少し位……」
 言いかけたトゥルーデの唇を、そっと塞ぐエーリカ。ゆっくりお互いを確かめ合ったところで、そっと離す。
「トゥルーデ、花言葉、さっき教えたよね」
「ああ」
「じゃ、そう言う事で」
「何がそう言う事なんだ。外でこう言う事は……」
「何かこう、イケナイ感じがして良いよね」
「待て待て。誰かに見られてたりしたらどうするつもりだ」
「その時はその時。ね、トゥルーデ」
「まったく……お前という奴は。エーリカ、お前には振り回されっぱなしだ」
「でも、本当に嫌がってる顔じゃないよ」
「それは……エーリカだから」
 真っ赤な顔で、愛しの人をそっと抱きしめる。
「嬉しい」
 二人はもう一度、口吻を交わした。

「あら、あそこにいるのは、トゥルーデとエーリカじゃない」
 基地の執務室。ミーナは凝った肩をごきっと鳴らすと、しばしの気晴らしにと窓から外を見る。遺跡の隅で動く人影を見つける。
 美緒も何事かと魔眼を解放して様子を見る。二秒もしないうちに眼帯を元に戻し、呆れ返る。
「あいつら、何をやっているんだ、あんな所で」
「良いじゃない。好きにさせれば。でも、あの子達、見つけたみたいね」
「? 何をだ」
 ミーナは内緒、と笑って机の上に置いてあった本を閉じた。
 そこに挟まれていた押し花は、あの二人が見ている、そして見られている野生のバラ。

end

15名無しさん:2011/09/10(土) 22:24:55 ID:5mTqHIik
以上です。
あの501基地にはまだまだ謎があると思います。
探険といかないまでも、色々探索してみたいですね。

ではまた〜。

16mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/09/10(土) 23:19:04 ID:5mTqHIik
ふたたびこんばんは。mxTTnzhmでございます。
ふと思い付いたネタ? をひとつ。
>>13-14「wildrose」の続編を書きました。
一応保管庫No.0450「ring」シリーズ続編になります。
ではどうぞ。

17flowers of the field 01/02:2011/09/10(土) 23:19:48 ID:5mTqHIik
「キノコ狩りいこー」
 午後の休憩の最中、唐突にルッキーニが言い出した。
「キノコ? なんでまた」
 お茶請けのお菓子をぱくつきながらのシャーリーの問いに、陽気なロマーニャ娘は笑った。
「だって食べたくなったんだもん」
 単純明快過ぎる答えを聞いて、シャーリーはうーむと唸った。

 シャーリーのストライカー整備を脇目に見ながら、ハンガーの中で退屈そうにごろごろ転がるルッキーニ。
「ねえシャーリー。キノコー、キノコー、ノコーノコー」
「キノコキノコって簡単に言うけどさ。毒キノコもたくさん有るの知ってるだろ?」
「うん、知ってるよ」
「じゃあ危ないからダメだな。素人には見分け付けられないぞ」
「あたし、食べられるキノコなら知ってるもーん」
「でも毒キノコ知らないだろ。……ルッキーニ、危ないからやっぱりダメ」
「そんなぁ」
 つまんなーい! とルッキーニは言うと、外へ行こうとする。シャーリーはすかさずルッキーニの腕を捕まえる。
「なに、シャーリー」
「一人でキノコ採りに行こうとしただろ?」
「そそそ、そんな事無いよ?」
「ルッキーニの考えてる事はお見通し。キノコ狩りはダメだけど、ちょっとの散歩くらいなら、付き合うよ」
「ホント?」
 ロマーニャ娘の顔に、ぱあっと笑顔が広がる。この娘は思った事がすぐ顔に出、それも猫の目の様にとても忙しい。
 シャーリーは工具を適当に片付けると、ルッキーニと連れ立って外へ出た。

 道すがら、思い出したかの様にルッキーニの名を呼ぶシャーリー。
「そう言えばさ」
「? どしたのシャーリー?」
「基地の中で、色んな場所に花が咲いてるって事、みんなに言ったろ」
「うん。あっちの方には青いきれーな花が咲いてて、こっちにはピンク色の……」
「それ。みんな気になったみたいで、あちこち探したりしてるみたいだぞ」
「そうなの? 簡単に行けるのに」
「そりゃルッキーニだからだ。藪の中潜ったり獣道通ったりとか、普通しないって」
「ふーん」
「お前、あんまりみんなに言いふらすから」
「でもきれいだったよー」
「ルッキーニが言うならそうなんだろうけどさ」
「じゃあ、みてみる?」
「へえ。行ってみよう。どっちだ?」
「こっちこっち〜」
 ルッキーニは手招きして、シャーリーを誘った。
 “キノコ狩り”の事はすっかり頭から消えてなくなった様で、その意味では安堵するシャーリーだった。

「ここはねー。下にヤブがあってチクチクして痛いから、上から行くのがいいの」
「おいおい、こんな遺跡の上登って大丈夫か?」
「へいきだよー」
 いとも簡単にするすると登っていくルッキーニ。おっかなびっくりでついて行くシャーリー。
「これは、流石に他の連中誘うのはきついかな」
「何か言ったシャーリー?」
「いや何でもない」
 遺跡の石をぴょいぴょいと飛び越え、少し開けた所に着地する。
「この先。もうちょっとだよー」
「……ん? 待てルッキーニ」
 慌ててロマーニャ娘を引っ張り、物陰に身を隠すシャーリー。
 行く先に、人の気配がする。
 一体、誰が?
 そっと見ると……、青空の下、痴態を繰り広げるカールスラントのバカップルがちらっと見えた。
(何やってるんだ、あいつら)
 目をつぶり、愕然とするシャーリー。
「うわっ、すごい事してるよシャーリー。……あのふたり」
「おわ、馬鹿、見るな見るな……てか静かに」
 目を隠し、口に指を当て、声を出すなと指図する。
 しかしどうしたものか。平然と出て行くのも何か気まずい。かと言ってこのまま引き返すのも釈然としない。
 どうすべきか。考えあぐねるシャーリーの頬に、ルッキーニの指が触れる。
「ねえ、シャーリー」
 ルッキーニの様子がおかしい。どうした? と目を合わせてぎょっとした。ロマーニャ娘の瞳が潤んでいる。
「あたし、あたしね」
「どうしたよルッキーニ」
「見てたら、なんか、せつなくなってきた……」
 シャーリーにしだれ掛かると、ルッキーニはぺろっと鼻先を舐め、そのままキスをしてきた。胸に顔を埋めるルッキーニの息遣いは荒い。
「ちょっ、それはまずい……。ここであたし達もってのは……」
 しかしルッキーニに抗えず、そのまま地べたに押しつけられ、唇を塞がれる。
「ねえ、シャーリー。おねがぁい……」
 ルッキーニの、甘くねだる声。シャーリーも次第に理性が失われていくのは感じていたが、これはさすがにどうかと踏みとどまっていた。
 しかし抵抗もむなしく、理性が飛んだシャーリーは驚異的な加速でルッキーニを虜にした。

18flowers of the field 02/02:2011/09/10(土) 23:20:24 ID:5mTqHIik
「はぁ……。んんっ……、うん? エーリカ、どうした? にやついて」
 キスを繰り返す二人。突然に行為を止めて、何処かを見るエーリカ。トゥルーデは不思議に思い声を掛ける。
「えへへ。私達見て興奮してるのが居るよ、トゥルーデ」
「えっ!?」
 乱れた服のまま起き上がろうとするトゥルーデを力ずくで押さえ込み、口に人差し指で合図するエーリカ。
「静かに。ゆっくりと。ほら、西側の物陰」
 そっと様子を窺うと……確かに居る。そして“いけない何か”をしている。
「リベリアン……とルッキーニか。何をしてるんだあいつらは」
「私達が言えた事じゃないよね」
「うう……。どうする、エーリカ」
「良いんじゃない? 頃合い見計らって、声掛けようよ」
「まるで悪魔だな、エーリカは」
「みんなで幸せになれればいいと思うよ。ね、トゥルーデ」
 小さな可愛い悪魔はそういうと、愛しの人の乳房を舐め、そのまま首筋へ舌を這わせた。負けじと頬にキスするトゥルーデ。

 夕暮れ。
 乱れきった服を直しつつ、カールスラントのバカップル、そしてリベリオン娘とロマーニャ娘は揃って花と海を愛でていた。
「しっかし、二人が先に居るとはね」
 頬杖ついてぼんやり海と花を見るシャーリー。
「花を探しに」
 エーリカが笑う。
「で、見つかったのかい」
 シャーリーの問いに、トゥルーデが当然だと言わんばかりに頷く。
「目の前にあるだろう」
 トゥルーデはそう言って、エーリカを見た。視線を感じ、へへっと笑うエーリカ。
「そう言う事か」
 やられたなー、と首筋に付いた痕をごしごしと擦って誤魔化し、シャーリーは呟いた。
「ね、シャーリー、きれいでしょ?」
 そう言って、野バラの咲く生け垣の前で笑うルッキーニ。シャーリーは夕日のオレンジ色に染まる景色と彼女を見た。
 もう一度愛しのロマーニャ娘を抱き寄せ、ほっぺたにキスをする。
「いやん、シャーリー」
「こうしたい気分なんだ。少し、させろ」
「シャーリーのえっちー」
 まんざらでもなさそうなルッキーニ。
「全く……」
 呆れるトゥルーデに、シャーリーもにやっとして言った。
「ま、お互い様って事にしといてやるよ」
「……なっ! お前達だって」
「ほらほら二人共」
 エーリカは二人をたしなめると、爽やかに吹き抜ける海風を感じ、笑った。そして皆に言う。
「見て。夕日綺麗」
 山裾の間に沈みゆく太陽は、大地を、海を、そこに見えるもの全てを美しく染め上げる。
「……そうだな」
 ふっと和むトゥルーデとシャーリー。ルッキーニはシャーリーの胸の中で甘えている。
「ここはまた良いとこだな。みんなで来てバーベキューでもするか」
「普通に花見で良いと思うが」
「そうか?」
「まあ、みんなで来ようよ。楽しいよ」
「だな」
 はにかみ、くすくすと笑う四人から伸びる影は、長くなり……辺りを金色に染め上げる。
 そろそろ帰ろう、と誰かが言った。
 のんびりと腰を上げ、そっと、その場を後にした。

 花は変わらず、風に揺られ、咲き乱れる。

end

19名無しさん:2011/09/10(土) 23:21:28 ID:5mTqHIik
以上です。
季節柄、色々な花が基地の周りに咲くと思うので
その意味で501基地はステキだなーと。

ではまた〜。

20mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/09/12(月) 21:40:13 ID:XOSTErA2
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ふと思い付いたネタ? をひとつ。
ではどうぞ。

21trude in the nightmare 01/04:2011/09/12(月) 21:41:21 ID:XOSTErA2
 ふと夜中に目が覚め、扉を開け放った時……
 扉を抜けた先が、今居る世界とはまるで別の「セカイ」だったら?
 アナタならどうする?

 エーリカは夕食後の雑談で、ミステリー雑誌片手にそんな事をトゥルーデに言った。
「馬鹿言うな。そんなのおとぎ話の世界だけで充分だ。我々はもっと厄介なものと戦っているだろう」
 お茶を一口含んだ後、呆れた様に返すトゥルーデ。
「またまた〜。頭カタイんだからトゥルーデは。もっと夢が無いと」
「そう言うのは妄想と言うんだ」
 くだらない、と言わんばかりにトゥルーデは席を立った。
「何処行くの?」
「先に寝る」
 さっさと部屋に戻ってしまう堅物大尉を見て、一同は呆れた。
「いいのかね、あれで」
 エーリカにシャーリーはぼやいてみたが、当のエーリカは
「ま、いいんじゃない」
 とかなり適当だ。

 やがて夜も更け、ひとり、またひとりと眠りに就く。

 トゥルーデはふと目が覚めた。少し喉が渇いて、厨房に水でも飲みに行くかと、扉を開けた。
 刹那、眩い光が彼女を包み込む。
 部屋の扉は彼女を飲み込むと、ばたん、と閉まった。

「何だ、今の閃光は?」
 トゥルーデは頭を振って辺りを見回した。
 そこは基地でもない、何処とも分からない、野原のど真ん中。
 辺りを何人もの女性が……今まで見た事も無い、重装備の防護服に身を包んだ娘達が行き来する。
「おいお前、そこで何してる」
 一人の女性から、カールスラント語で呼び止められる。
「何って、ここは何処だ」
 同じくカールスラント語で返す。
「爆発の衝撃で意識でも飛んだか? ホラ、お前の分だ!」
 手渡されたのは、ずしりと重い吸着型の地雷らしきもの、そしてパンツァーファウスト数本。
「これをどうしろと」
「私達が最後なんだよ。ここで食い止めないと、街が」
「街? 一体何を食い止めるんだ」
「お前、やっぱり頭の打ち所が悪かったんだな。見ろ」
 その女性……恐らく軍人だろう……が指差す先に見えるのは、不気味にそびえ立つ塔。いや、人間にも似た何か。
 目を凝らすと、人型に見えるが生物ではない様にも見受けられる。ゆっくりとだが動き、こちらに迫っている。
「しかし何だその格好は。って、お前まさか一般人か?」
「何?」
 トゥルーデは言われて初めて気付いた。自分の服装……パジャマだったような……いや、いつもの軍服を着ている。
「ここは一体何処なんだ」
「とにかく行くぞ!」
 答える暇も与えられず、トラックの荷台に詰め込まれ、目的の場所にまで近付くハメになった。

22trude in the nightmare 02/04:2011/09/12(月) 21:41:45 ID:XOSTErA2
 道行くトラックに揺られる少女達。周囲には同じ様なトラックやらサイドカー、バイク等が連なって走る。
 塞ぎ込んだ者も居れば、ヤケに饒舌な者も居る。
「簡単だよ。狙いを定めて、引き金を引く。次に皆に一、二、三、全員集合って合図して、突入。あとは地雷仕掛けて逃げるだけさ」
「何なら、あたしが先頭切ってぶち込んでやるよ」
 口先だけは威勢が良いものの、心底怯えている事までは隠せない。歴戦のトゥルーデには一目で分かる。
「そんな簡単に出来ると思うな小娘共! 英雄気取りは要らん! そんなアホタレが真っ先に死ぬんだ! 良いか? 言った事は守れ!」
 上官と思しき人物が怒鳴り散らす。
 私もそんな新兵に混じるとは……そう言えば、私にも新兵の時期が有ったな、と思い返す。
 しかし、ここは何処で一体何なんだ。夢にしてはリアル過ぎる。トゥルーデは分からず終い。
「おいそこのお前! そんな装備で大丈夫か!?」
 トゥルーデは自分が言われている事に気付かなかった。周りは皆、酷く滑稽に見える程の防護服を着込んでいる。まるで鋼鉄の救命胴衣だ。
 とりあえず、大丈夫だ、問題無いとだけ答える。
「全く、お前みたいな呑気な奴から死んでいくんだ! 良いかお前ら! 姿勢は低く、なるべく気付かれない様に! 
走る時は小刻みにジグザグに、なるべくすばしこく走れ! 死にたくなければな!」
 歩兵の戦いのイロハが即席で教えられていく。
 ふと、トゥルーデは気付いた。
 持たされているパンツァーファウストに記された文字は、カールスラント語で「人民共和国製」と書かれている。
 軍のマークも、今まで見た事の無いものだ。
 もう一つ気付いた事。目の前の少女達だけでなく、トラックを運転する者も、辺りで戦闘車両を動かす者も、全てが女性だと言う事に。年齢もばらばら。
 そして肝心のウィッチは……陸戦ウィッチも、航空ウィッチも、一人として居なかった。
 すぐ横で小刻みに震えている少女を肩で小突き、小声で聞いた。
「何で女性ばかりなんだ?」
「あれが、みんな食べたから……」
 少女が見上げる先には、例の不気味な“謎の巨人”の姿。
 近付いて分かったが、人間型に見えたものは、ボウリングのピンと言うか、円筒状の物体に、いくつもの触手にも似た腕が生えている。
 頭のてっぺんに、口と目らしきものが見える。
 まるで怪物だな、とトゥルーデが感想を言うと、少女は涙目で言った。
「じゃなくて本物の怪物だよ! あいつらネフィリムさえいなければ!」
 ネウロイじゃないのか。とトゥルーデはひとりごちた。ネフィリム……聞いた事のない言葉だ。それがあの物体の名称。
「良いかお前達、あと少しで降車ポイントに着くからフォーメー……」
 上官らしき人物の言葉はそこで途切れた。トラックの前面が「手」にえぐられ、荷台ごとひっくり返ったのだ。
 トゥルーデも持たされた武器毎、近くの地面に放り出される。
 横転した車体から散り散りになる娘達。戦う以前の問題だ。
 横転の衝撃で重傷を負った者が居る。ぴくりとも動けない。恐らくこのままでは助からないだろう。
 しかし、トゥルーデに出来る事は限られていた。
 横転で出来たかすり傷も気にせず、魔力を発動させ、倒れた少女達の分まで武器を担ぐと、一気に走り出した。

23trude in the nightmare 03/04:2011/09/12(月) 21:42:59 ID:XOSTErA2
 突然のトゥルーデの変異に驚く少女達。
 トゥルーデは時折空から打ち付けられる長く平滑な「手」を避けると、他の「兵隊」がしているのを見て真似、足元目掛けてパンツァーファウストを有りたっけ撃ち込み、吸着地雷を持って更に近付く。
 パンツァーファウストを撃つだけでも一苦労なのに……撃つと大抵目を付けられ、「手」で激しく殴り飛ばされ絶命する……トゥルーデは更にその先を目指す。
 そして足元に辿り着き、吸着地雷を仕掛けた。全部仕掛け終わった所で一斉にスイッチを入れ、離脱する。
 五十メートル程ダッシュで走った所で地面に伏せる。タイミングが良かったのか、連鎖的に爆発する吸着地雷。
 振り向くと……ネフィリムの外皮が剥がれ、何か筒状のものが一対、そして棒状のモノが二本、突き出ていた。
そこだけまるで、絵本のページを切り裂いたかの様に情景が全く違い、トゥルーデにはある種の懐かしさを覚えさせた。
 立ち上がり、近付く。
「逃げて! これ以上はもう無理よ! 撤退よ!」
 近くで足を引きずっていた少女がトゥルーデに叫ぶ。帰りのトラックを指差すも、上から降りてきた手に潰され、あっけなく爆発した。
「撤退も何も有るか」
 トゥルーデはそう言い捨てると、先程見えた「何か」目指して走る。
 やっぱりそうだ。
 ネフィリムの足に埋まっていたもの。ぼろぼろに朽ちていたが、それは紛れもない、トゥルーデのストライカーユニット、そしてMG42。
「何してるの! 逃げないと、潰されて食べられる……」
 別の少女も悲鳴を上げる。
「この魔物を倒してやる」
 トゥルーデには、確信めいた気持ちが有った。
「ええっ? どうやって」
「それは、多分……」
 トゥルーデはストライカーに手を掛けた。力を込める。
 引き抜く。
 泥状とも言える怪物の身体から抜かれたそれは、トゥルーデが手にした瞬間、新品へと変わっていた。MG42も、元の整備したての美しさが甦っている。
 トゥルーデは少々乱暴なやり方で……その場の地面にストライカーユニットの先を押し込むと、そのまま飛び乗るかたちで足をくぐらせる。
 頭に生える使い魔の耳、お尻の上にぴょこんと出る尻尾。
 MG42をたすき掛けにすると、トゥルーデは魔力を込める。軽快に回り出す魔導エンジン。
「飛べる」
 トゥルーデがそう言った瞬間、天から巨大な手が彼女を押し潰そうと襲い来る。だが手は空を切った。
 カールスラントの魔女が、空へと舞い上がる。

 トゥルーデはひとまず急上昇すると、戦況を一目で把握した。
 この付近に居るのは、目の前に居る“巨人”一匹で最後。但し図体はやたらと高く長く、頭頂部は地表から軽く三千フィート以上有りそうだ。
 迫る巨大な手をひらりひらりとかわしながら、一気に上昇し頂点を目指す。そしてMG42を両手に構え、トリガーを引いた。
 効果は覿面で、触手があっさりと千切られ、がりがりと体表面が削られ、粉と砕かれる。
 やがて口の近くに、見慣れた結晶を見つける。色はオレンジ色だったが、恐らく、と当たりを付ける。
 狙い澄まして、集中打を浴びせる。
 耐えきれずにコアが破壊され……巨人は巨体を粉と変え……まるでバランスを崩した粘土の様にぐにゃりとひしゃげ……どうと倒れ込み、爆発した。

24trude in the nightmare 04/04:2011/09/12(月) 21:43:26 ID:XOSTErA2
 地表に戻り、ホバリングする。様子を見ていた少女達が集まり、不思議な表情でトゥルーデを見ている。
「貴方、一体何者?」
 まるでトゥルーデを天使か神の使いかと思っている様だ。トゥルーデはそんな彼女達を見て、慌てた。
「いや、あの……私はウィッチ。航空歩兵だ。カールスラント空軍大尉……と言っても通じそうにないが」
 空に浮かぶトゥルーデを見て狼狽える少女達。
「何よそれ。聞いた事ない……」
「そう言えば、お祖母ちゃんが言ってた……遥か昔に、空を飛ぶ魔女が居たって」
「ま、魔女だって?」
 驚く少女達。
 トゥルーデは言葉を聞いて頷いた。
「魔女、か。確かにな。通りすがりのウィッチとでも言っておくか」
「なに、こいつかっこつけちゃってさ」
 少女の悪態も気にせずMG42を肩に担ぐと、トゥルーデは言った。
「悪いな。私には帰るべき場所がある。どうやらここではないらしい。そうだ、ここは何処なのか教えてくれないか」
「貴方、この状況でよくそんな呑気な事が言えるわね」
「何?」
「戦場のど真ん中で帰るだなんて、どうやって」
「言われてみれば……」
 その時、一人の少女が遥か先を指して言った。
「危ない! あれ!」
「まずい、遠距離砲だ、逃げろ!」
 突然皆散り散りになって、手近なトラックやらバイクに乗り込むと一斉に遁走した。
 一人取り残されたトゥルーデが振り向くと、遥か遠くで何かが光った。不気味な音と共に、辺り一面が爆発する。
 爆風に体勢を崩し、地面にぶつかった。

 ごしゃ、と床にしたたかに頭を打ち付ける。
「いたた……何ださっきのは?」
 トゥルーデは辺りを見た。真っ暗闇。軋む蝶番の音と共に、ばたん、と背後で扉が閉まる音がした。
 やがて物音で起きたのか、エーリカが明かりを付けた。
「どうしたのさトゥルーデ」
「ここは何処だ?」
「寝惚けてるの? 501基地に決まってるでしょ。ついでに言うと私達の部屋」
「そ、そうか」
「で、何でトゥルーデは完全装備で寝転がってるの」
「ん?」
 トゥルーデは自分の身体を見た。軍服を着、MG42を二挺たすき掛けに構え、足にはストライカーユニットを履いている。
「あれ?」
「やっぱり寝惚けてるよトゥルーデ。銃持ってストライカー履かなきゃいけないほど、夢が怖かったの?」
「いや、あれは夢じゃない」
「じゃあ、何?」
 自分の身体を見る。軍服は泥だらけ砂まみれで、手の甲には軽い擦り傷まで有る。
「……何だったんだ」
「もう。私が寝る前に言った事、真に受けたんじゃないの? 一緒に手伝ってあげるからさ。ほら、貸して」
 床でだらしなくストライカーユニットを脱ぎ、MG42のセーフティを掛けると、ハンガー目指して歩き始めた。

「どんな夢見たのさ」
 聞かれたトゥルーデは正直に全てを話した。謎の世界で、雲よりも高い怪物と戦う夢。
 エーリカは何かの妄想じゃない? と笑った。そんな馬鹿な、とトゥルーデはヤケになって反論した。
 例えば、この手のかすり傷は何だ、と。
「どうせ寝惚けてつけたんじゃないの?」
 ハンガーに辿り着いた。そしてトゥルーデのユニット格納装置を見た。
 そこで二人は驚愕した。
 格納装置には、既にトゥルーデ愛用のストライカーユニットが整備万全の状態で収まっていた。予備機も置かれている。
 慌てて武器庫を見る。
 やはり、そこにはトゥルーデが使うMG42がきちんと整備され、置かれていた。
 手元にあるストライカーユニットと武器を見る。機体番号からパーソナルマークまで全てが同じ。
「トゥルーデ、これって」
「だから言ったじゃないか……」
「どうするの」
「どうするか。それが問題だ」

 ……夢であって欲しいよ。
 トゥルーデはそう呟くと、外へ出て空を仰ぎ見た。
 あの世界は現実だったのか。それとも夢か。出来ればあんな世界、夢であって欲しいのだが……。

end

25名無しさん:2011/09/12(月) 21:44:21 ID:XOSTErA2
以上です。
某FPSやら色々なゲームが元ネタです>謎の世界
趣味丸出しですいません。

ではまた〜。

26mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/09/12(月) 23:04:06 ID:XOSTErA2
ふたたびこんばんは。mxTTnzhmでございます。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編になります。
ではどうぞ。

27rainbow rainbow 01/03:2011/09/12(月) 23:04:57 ID:XOSTErA2
 望月が眩く空に輝く夜更け。
 その日の戦果を報告書としてまとめ終わると、トゥルーデは椅子に腰掛けたまま、うーんとひとつ伸びをした。
 ネウロイとの戦いは酷く危険で数々の技量を必要とするが、書類相手の格闘ともなるとまた別の能力が必要になる。
 幸い事務方の作業はさほど苦手ではなかったが、それでもデスクワークと言うのはどうにも自分には似合わないと感じる。
 出来ればウィッチとしての「あがり」を迎えても、可能な限り空の上に居たいと思う。
 勿論それは書類から逃げる為ではなく、ネウロイと戦う為なのだが。

 ふう。

 溜め息が口から漏れる。

 聞かれていたのか、エーリカがいつの間にか近寄って来て、不意にペンを握る手をわっしと掴んだ。
「うわ、エーリカ居たのか。驚かすな」
「トゥルーデ疲れてるっしょ。分かるよ」
「そんな事は無い」
「だって、もうこんな遅いし。さっきあくびしてなかった?」
「ちょっと深呼吸しただけだ」
「溜め息にも聞こえたけどな」
 尋問にも近い受け答えで調子が狂ったトゥルーデは、ああ、と頷いてエーリカに答えた。
「分かった。溜め息だ」
「素直になるといいよ」
 エーリカは意味深に笑うと、そっとトゥルーデの頬に唇を重ねた。
「おい、もうちょっとで終わるから待ってくれ」
 言葉とは裏腹にまんざらでもない様子で、トゥルーデはエーリカを抱き寄せると、すらすらと最後の部分のサインを済ませる。
「ほら、終わりだ」
 そう言って、もう一度エーリカにキスをすると、微笑んだ。
「じゃ、早速ミーナのところに持っていこう。待ってるよきっと」

 執務室に通されると、ミーナは机の脇に積まれた書類にうんざりした様子で、トゥルーデの戦闘報告書を受け取った。
「お疲れ様、トゥルーデ。もう遅いし、ゆっくり休むと良いわ」
「ああ。でも、ミーナも大丈夫か? その様子だと相当……」
 トゥルーデの心配を気にしたのか、ミーナは無理に笑顔を作って言った。
「大丈夫。私はこれが仕事だから。最近は空の上よりも机の上が多いけどね」
「それは良いのか? ミーナ程の腕前のウィッチが戦わないなんて」
 不満げな部下の言葉を聞いて、苦笑する501隊長。
「これも、戦いよ。分かるでしょトゥルーデ」
 それを聞いた隊の先任尉官は、椅子をひとつ引き寄せると、どっかと座り、書類のひとつに手を伸ばした。
「トゥルーデ」
 たしなめるミーナに、反論する部下。
「ミーナも、無理し過ぎは良くない。私にも少しで良いから手伝わせてくれないか。頼む」
 真剣な、真っ直ぐな眼差しで見られたミーナは、ふふっと笑った。
「じゃあ、少しだけお願いするわ」
「さっきの話と逆になるが、ミーナ有ってこその私達だからな。出来る事なら何でもするさ」
「ありがとう」
 二人は書類に取り掛かった。横のソファーではエーリカがくつろいでいる。

28rainbow rainbow 02/03:2011/09/12(月) 23:05:26 ID:XOSTErA2
「おや、バルクホルンとハルトマン、来ていたのか」
 そこへ美緒がやって来た。厨房で準備したのか、急須に湯飲み、幾つかのお茶菓子をお盆に載せている。
「美緒」
 ミーナが顔を上げた。
「バルクホルンも手伝いか? それは頼もしいな」
 感心する美緒に、トゥルーデが顔をちらっと見て言う。
「少佐も少しは手伝ってくれないか」
「私もそうしたいのだが、書類相手ではなかなか勝手が違ってな……」
「まあ、少佐はネウロイ斬ってる方が似合ってるよね」
「こら、ハルトマン」
 たしなめるトゥルーデを、美緒がまあまあとなだめて笑った。
「誰にでも得手不得手は有る。適材適所とも言うな。それに、ミーナが聞かないんだ。私がやるってな」
 そう言って、美緒はお茶をとぽとぽと注いだ。
 香り高き扶桑茶を、ミーナに、そしてトゥルーデに渡す。
「あら、有り難う、美緒」
「すまない少佐……って、これは少佐の湯飲みでは」
 気付いたトゥルーデに、美緒は笑った。
「書類に滅法弱い私の代わりに助けてくれているからな。せめても、な」
「なら、悪いが少佐の分……あと、ハルトマンの分も頼めないか。全員で少し休憩も良いと思う」
「なるほど。それは良い提案だ」
 美緒はすぐに二人分を追加で準備した。
「良いの? トゥルーデ。少佐をハナで使って」
 エーリカが呆れ半分、苦笑半分で言う。ミーナもそれを聞いてくすくす笑っている。
「少佐も言っていただろう。『誰にでも適材適所がある』って」
「トゥルーデ、良い指揮官になれるね」
「お前が部下の時は容赦しないからな」
 トゥルーデとエーリカのやり取りがおかしかったらしく、ミーナはペンを置くと、湯飲みを手に取った。
「もう、二人共。これじゃ作業が進まないわ」
「なら、少し休憩って事だね」
 エーリカが、にししと笑う。
 美緒が二人分のお茶を淹れる。
 エーリカは湯飲みを受け取ると、お茶菓子を片手にたわいもない話を始める。ペンを置き、待て待てと止めるトゥルーデ。
 執務室で、お茶菓子を片手にしばしの談笑が始まる。

29rainbow rainbow 03/03:2011/09/12(月) 23:05:47 ID:XOSTErA2
 暫くして、執務室から退室するトゥルーデとエーリカ。
「何だかんだで、長居しちゃったね」
 後ろ手に腕を組んで歩くエーリカがぼそっと言う。
「良いのか? ミーナの仕事、あんまり進んでなかった様だが」
 心配そうなトゥルーデの顔をじっと見るエーリカ。
「大丈夫だよ」
「何故言い切れる、エーリカ」
「だって、あんなに楽しそうに笑ってるミーナ久しぶりに見たよ。執務室に居るミーナっていつも渋〜い顔してさ」
「まあ、な。気分転換になってくれれば良いんだが」
「それに、トゥルーデ見て、少佐も少し手伝う気分になったんじゃない?」
「なら良いのだが」
 そのまま二人は部屋に戻ると、軍服を脱ぎ、パジャマに着替える。
「私達も明日に備えて寝よう。明かり消すぞ」
「おやすみ〜」
 一緒のベッドに寝、毛布をそっと掛ける。
 目を閉じる。
 お互いの呼吸が、耳に微かに聞こえて来る。
「ねえ、トゥルーデ」
 瞳を閉じたまま、エーリカはもぞもぞとトゥルーデの身体を手で確かめ、そっと抱きしめる。
「どうした、エーリカ?」
「皆で楽しむのも良いけど、もっと、トゥルーデとこうしていたい」
 ストレート過ぎる求愛の言葉に、愛しの人をぎゅっと強く抱きしめ、言った。
「そうだな。私も同じ気持ちだ。エーリカ」
「本当?」
「ああ」
「じゃあ、今夜はこのまま寝かせて」
 トゥルーデは額をそっとつけて小さく頷くと、そっと唇をエーリカに重ねる。
 柔らかな唇の感触を楽しむ様に、二人は長く、ゆるいキスを繰り返す。
 トゥルーデがつつっと舌を少し這わせたところで、エーリカがくすりと笑った。
「寝かせてくれないの? トゥルーデ」
「ああ、そうだった。つい」
「でも、トゥルーデがしたいなら、良いよ」
「いや。私も少しは自重しないとな。こうやって、お互い温もりを感じているだけでも十分だ」
「本当?」
「嘘は言わない」
「私も。じゃあ、お休みトゥルーデ」
「おやすみ、エーリカ」
 瞳を閉じたままの、行為と会話。
 お互いの鼓動を感じ、胸の中で、まったりとした微睡みの時間を楽しんだ二人は、やがて緩やかに眠りに落ちていく。

end

30名無しさん:2011/09/12(月) 23:06:13 ID:XOSTErA2
以上です。
何気ない日常的?な事も良いかなと。

ではまた〜。

31mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/09/13(火) 00:05:13 ID:2nmaE3QE
三度こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ふと思い付いたネタ? をひとつ。
ではどうぞ。

32club madonna 01/02:2011/09/13(火) 00:05:46 ID:2nmaE3QE
 誰も居ない夜更けの厨房。
 こっそりと現れた一人のウィッチ。明かりを灯すと、なるべく音を立てずに食器やら道具を準備する。
 パジャマ姿のまま、手元にしたためたノートに目を通し、準備を進める。
「ええっと、これを……少量入れて」
 ぼそぼそと確認し、化学の実験の如く、慎重に作業を進めていく。
 湯気が立ち上り、ほのかにハーブの香りが厨房から食堂に流れ出る。
「あとは仕上げに……」

「誰か居るのか!?」
 美緒の誰何に驚いた台所の主は、思わず手にしていたスプーンを落としてしまった。
「何だ、ペリーヌか。こんな夜中に何をやっている」
 安堵と呆れが混じった美緒は、“厨房の主”の姿を見た。あたふたしているのがはっきりと分かる。
「も、申し訳ありません。すぐ片付けますので」
「いや、真面目なお前が隠れてまでやる程の事だ、何か理由が有るんだろう? 私に構わず続けるが良い」
 その言葉を聞いたペリーヌは、ほっと安心すると、美緒に告げた。
「あの……以前ハーブティーをお作りしたことが」
「ああ。有ったな」
「新しいハーブティーをと思って、試しのつもりで……」
 ペリーヌの弁明を聞いた美緒は笑った。
「つもりと言うか、まるで何かの実験だぞ。そんなに正確な分量が必要なのか」
「いえ、完璧を期したまでで」
 いつものきりっとした制服姿でなく、清楚かつ淑女、何より「少女」たるペリーヌのパジャマ姿を見て、ほほう、と頷く美緒。
「どれ。その実験とやらを、私も見届けるとしよう」
「わ、わたくしにお構いなく。少佐もお早めにお休みになられた方が」
「たまには少し位夜更かしもするさ」
 美緒は笑うと、刀を脇に置き、興味深そうに様子を眺めた。
「では、失礼して……」
 言いながら作業を続けるペリーヌの動作が一層ぎこちなくなったのだが、美緒は知る由もない。

「出来ました」
 琥珀色に染まったお茶を、ポットから静かにカップに注ぎ入れる。
「ペリーヌ、これは?」
「ラベンダーティーですわ。先日、ラベンダーで良いのが手に入ったので、試してみようかと」
 美緒はカップを受け取ると、香りを嗅いだ。明らかに他のハーブと違う、甘くふくよかな風味。
 一口含むと、とてもすがすがしく、洗練された味わいが口の中に広がる。
「なる程。私は西洋の茶には疎いが、これは効きそうだ」
「はい。気分をリラックスさせるのに適していますわ。気落ちしている人を元気づける為にも使われていましてよ。
偏頭痛にも有効です。元はロマーニャからブリタニアにまで伝わったそうで、昔の薬草では欠かせないものだったそうです」
「さすが博識だな、ペリーヌは。話を聞いているだけでも効いてきそうだ」
「と、とんでもない!」
 慌てるペリーヌに、美緒は笑った。
「少しお口に合わなければ、蜂蜜で味を変えてみても大丈夫ですけど、如何ですか?」
「なら少しそうしてくれ」
「はい、かしこまりました」
 かいがいしく動き回るペリーヌを、じっと見つめる美緒。
「少し垂らしてみましたので、スプーンでゆっくりかき混ぜてお召し上がり下さい」
「ふむ。悪いな」
 蜂蜜で味を調えられたラベンダーティーは一層まろやかに、口当たりも良く、じわりと滋味が効いてくる。美緒は唸った。
「うーむ。身体全体に染み渡るな。ペリーヌ、将来は、こう言う職に就いてみたらどうだ」
「えっ、少佐、何故その様に?」
「研究熱心だし博学で、飲む人の事をしっかり考えて調合している。まるで名医か女神の成す技だ。これはなかなか出来ん事だぞ」
「いえ、少し分かれば誰にでも」
「謙遜するな! 自分を過小評価し過ぎじゃないかペリーヌ」
「とんでもない!」
 顔を真っ赤にして否定するペリーヌを見て、美緒は笑った。

33club madonna 02/02:2011/09/13(火) 00:06:16 ID:2nmaE3QE
 一服楽しんだ所で、美緒は言った。
「しかし、こうして厨房で一緒に茶をしていると、まるで……」
 言いかけたが、笑って誤魔化す美緒が気になったのか、ペリーヌは続きを聞いた。
「基地の中に、こう言った、皆が安らげる場所が有っても良いんじゃ無いかと思ってな」
「いえ、わたくしなど、とても……それに」
(わたくしがハーブティーを淹れた所で、どうせ茶化されるのがオチですわ)
 とペリーヌが内心思っていると、美緒がじっと見て、言った。
「私は良いと思うんだがな。どれ、今度ミーナにも言ってみるか」
「ちゅ、中佐にもですか!? それはちょっと」
「心配するな。変な事は言わん! ああ、そうだ」
「はい。何でしょう少佐?」
「今度、またこの茶を頼む。気に入った」
 ご馳走様、と言い残すと、美緒は刀を手に取り、厨房を後にした。

 それから暫く後、たまに夜更け、ひっそりと秘密の「お茶会」が開かれる。
 ペリーヌのハーブティーを楽しみに、美緒が訪れる。
 もっとも、美緒の傍らには必ずミーナが付き添っているのでペリーヌとしてはとても気を遣うのだが……。
 それでも、めいめいがハーブの香りに充たされ、気分を爽やかになるのは悪い事ではないとペリーヌは思う。
 美緒とミーナの笑顔を見ていると、……少々複雑だが、特にその気持ちは強くなるのだった。

end

34名無しさん:2011/09/13(火) 00:07:27 ID:2nmaE3QE
以上です。
ペリーヌさんとハーブティーを考えていたら
こんな感じになりました。

ではまた〜。

355uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/09/28(水) 19:02:54 ID:k2NBHjb.
>>34 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。
健気なペリーヌが可愛らしくて素敵です。
お久しぶりです。2年後のルッキとサーにゃんのお話を思いついたので、投下していきます。
ではどうぞ

365uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/09/28(水) 19:03:42 ID:k2NBHjb.
【DREAM & CREAM】

――1947年、オラーシャ

「あれ? もしかして……サーにゃん?」
隊長さんから一日のお休みを貰ったある冬の日、
必要な物を買い揃え、お気に入りのカフェで一息つこうと考えていたところをふと、懐かしい声に呼び止められる。
「ルッキーニ……ちゃん?」
「やっぱりサーにゃんだ! 久しぶり〜!」
振り返るとそこにいたのは、健康的な褐色の肌に長い黒髪をした、かつての仲間。
一緒に戦っていた時より顔も身体つきも大人っぽくなっていたけど、人を魅了させる可愛らしい笑顔とチャームポイントの八重歯は健在で、
そんな彼女の笑顔を見ていたら、私も自然と笑みがこぼれる。
「すっごい偶然! サーにゃんとこんな所で再会できるなんて」
「それはこっちの台詞だよ。ルッキーニちゃん、何でオラーシャに……?」
「さっきまでこの近くで会議をやってたの。本当はあたしんとこの隊長が出るはずだったんだけど、
急な用事が入っちゃって代わりにあたしが……ふぇっ、ふぇっくしょん!」
と、ルッキーニちゃんが全部を言い終わらないうちに大きなくしゃみをする。
ルッキーニちゃんの格好をよく見てみると、コートの下からは素足が覗いていた。
そんな格好じゃ、くしゃみが出ちゃうのも無理はない。
「ウジュ……こんなに寒いんなら、ストッキングでも履いてくれば良かった……」
ルッキーニちゃんが自分のハンカチで鼻をかみながら、溜息のように呟く。
私はそんなルッキーニちゃんの手をとって、彼女にある提案をする。
「この後、時間ある? 良かったら、私のお気に入りのお店で一緒にお茶しない?
ルッキーニちゃんと久しぶりに色々とお話したいな」
私がそう言うと、ルッキーニちゃんは目をキラキラさせながら大きく頷いてくれた。
「それ、いいね。賛成! 迎えが来るまでまだ時間があるんだ。ね、早く案内して」
ルッキーニちゃんは私の腕をぐいと引っ張て、目的地の案内を促す。
外はこんなに寒いのにルッキーニちゃんの手は不思議と暖かく感じられて、なんだかとても温かい気持ちになってくる。

375uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/09/28(水) 19:04:07 ID:k2NBHjb.

――数分後、カフェ

「いらっしゃいませ、お2人様ですか?」
「はい」
「かしこまりました、すぐにご案内いたします。こちらへどうぞ」
愛想の良い店員さんに案内され、私たちはお店の奥の席に着く。
「うん、暖房入ってて暖かい〜。コート脱いじゃおっと」
コートを脱いだルッキーニちゃんの形の良い胸が、私の目に飛び込んでくる。
2年間の間に大きくなったのが一目で分かる。
何でだろう……ルッキーニちゃんの胸を見てるとなんだかドキドキしてきちゃう……
「じろじろ見ないでよ〜。サーにゃんのえっち〜」
そんな私の視線に気づいたのか、ルッキーニちゃんが手で胸を隠しながら冗談っぽく笑う。
「あっ、ご、ごめん……」
女の子の胸を見てドキドキしちゃうなんて、まるでエイラみたい。
一緒にいるうちに似てきちゃったのかな……?

「ご注文はお決まりですか?」
少しして、注文をとりにやってきた店員さんに私は、ここに来るたびにいつも頼んでるコーヒーとショートケーキを注文する。
一方のルッキーニちゃんはと言うと……
「えっとね、ここのパフェ全部とショートケーキとモンブランと……あっ、それとチーズケーキもお願いしまーす」
「あっ、はい……かしこまりました」
「ルッキーニちゃん、頼みすぎだよ。全部食べれるの? 店員さんも驚いてたよ」
「大丈夫大丈夫。慣れない会議で疲れて、お腹ペコペコだもん。それよりさ、早くお話しようよ。
サーにゃんがこの2年間、何やってたか教えて教えて!」

――それから私たちは1時間ほど、2年間のお互いのことを話しあった。
今の部隊や仲間のこと、家族のこと、自分たちの趣味のこと――とりわけ、エイラとシャーリーさんの話題をお互いに一番話していたと思う。

「ねぇ、サーにゃんはエイラとはどうなったの?」
最後のパフェを食べ終わったルッキーニちゃんに、不意にそんな事を訊ねられる。
「ど、どうって……?」
「ちょくちょく逢ってるんでしょ? プロポーズとかされてないの?」
「え? プ、プロポーズってそんな……」
私は今、自分の胸がドキドキしているのを感じる。
エイラからプロポーズされるなんてそんなこと、考えたこともなかった……

「まだなの? 相変わらずエイラはヘタレだな〜」
「そ、そんなことない……最近は積極的にデートに誘ってくれるようになったし……
それに、逢う度にカ、カッコ良くなってるし……」
「わーお、ラブラブ〜!」
「恥ずかしいから茶化さないで……そう言うルッキーニちゃんはシャーリーさんとはどうなったの?」
「あたし? シャーリーとは相変わらずだよ。バカやって大騒ぎして、くだらないことで笑い合える最高の相棒……
それと同時に目標でもあるかな」
「目標?」
「うん。あっ、目標って言っても体型のことじゃないよ。あたし、シャーリーみたいな器の大きいオンナになりたいの」
と、珍しく真面目な口調でルッキーニちゃんが言葉を続ける。
「ほら、シャーリーって歳の割りにしっかりしてるとこあったでしょ? あれって実はかなりスゴイことだったんだなーって、
最近思うんだ。あたしなんて未だに、周りからは『落ち着きがない』ってよく言われるし……だから、シャーリーみたいに
普段はふざけてても、決める時はビシッと決めれるようなウィッチになるのが今のあたしの夢なんだ」
そう言い切ったルッキーニちゃんの瞳は、一点の曇りもなくとても綺麗だった。

「素敵な夢だね、ルッキーニちゃんならきっとなれるよ」
「へへー、ありがと。ねぇ、サーにゃんの今の夢ってなーに?」
「えっ、私の夢……? エイラやお父様、お母様……大好きな人たちとずっと一緒にいられること、かな」
「そっかー、じゃあその為には早くネウロイをやっつけて世界を平和にしないとね。あたしも頑張ってネウロイを
バンバンやっつけるからサーにゃんも頑張って!」
「うん」
私は大きく頷き、微笑んだ。
『世界を平和にする』なんて口で言うほど簡単なことじゃないのに、ルッキーニちゃんの笑顔を見てたら不思議とできそうな気がしてくる。
そう思えるのは、彼女の笑顔に人を惹きつける魅力がたくさんつまってるからかな……?

385uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/09/28(水) 19:04:34 ID:k2NBHjb.

――楽しい時間というのはあっという間に過ぎるもので、気が付けば私がルッキーニちゃんとお話できる時間も残りわずかとなっていた。
私たちはカフェを後にして、近くの公園のベンチで佇んでいた。

「今日はありがとね、サーにゃん。サーにゃんといっぱいお話できて、とっても楽しかったよ」
「私も楽しかった……ありがとう、ルッキーニちゃん」
「へへー。あっ、サーにゃん頬にクリームついてるよ」
「えっ、嘘……」
「じっとしてて、取ってあげるから」
ルッキーニちゃんはそう言って私に近づくと、私の頬にそっと唇を寄せてきた。
これってつまり……キ、キス!?
「ル、ルッキーニちゃん……?」
「えへへー、クリームついてるってのは嘘だよ。サーにゃんって、頬っぺた柔らかいね」
「もう、ルッキーニちゃんの意地悪……」
私も仕返しとばかりに、悪戯っぽく微笑むルッキーニちゃんを引き寄せて、彼女の頬に自分の唇を重ねる。
「ちょっ……サー、にゃん……」
「ふふっ、ルッキーニちゃん、顔真っ赤……」
「あ、赤くなんかなってないよ! サーにゃんのバカ……」
言葉とは裏腹に顔を真っ赤にさせたルッキーニちゃんが可愛かったから、私は彼女の頭をそっと撫でてあげた。

「ルッキーニちゃんって、髪サラサラ……」
私は、2年間の間に伸びたルッキーニちゃんの綺麗な黒髪を撫でながら呟く。
「うぅ、あんまり撫でないでよ……」
「ねぇ、今度はいつ逢えるかな?」
「またすぐ逢えるよ。なんなら、今度のオラーシャでの会議も隊長の代わりにあたしが出てもいいし……その時はまた一緒にお話しよ?」
「うん。その時は私にオラーシャを案内させて」
「へへ、約束だよ? あっ、あたしもう行かないと……頬っぺにチューしたこと、エイラにはナイショだからね? じゃ、まったね〜!」
そう言ってルッキーニちゃんは、あっという間に去っていった。
私もまだ言いたいことがあったのに……

――ねぇルッキーニちゃん、私がキスしたこともシャーリーさんにはナイショだからね?

〜Fin〜

―――――――――――――
以上です。
IFのこの2人、美人さんすぎて辛いです
ではまた

39mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/09/28(水) 23:43:35 ID:ox6q6OCA
>>38 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! IFの二人は美人さん過ぎるので、この二人のほんわかいちゃいちゃは破壊力抜群です……。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ふと思い付いたネタ? をひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編になります。
ではどうぞ。

40signal for:2011/09/28(水) 23:44:08 ID:ox6q6OCA
「エーリカ」
「トゥルーデ」
 朝食の席から、肩を寄せ合って名前を呼び合う二人。
 いつもの事かと思いきや、どうも様子がおかしい。
 トゥルーデの皿から蒸かし芋をひょいとさらって食べてしまうエーリカ。
「エーリカ」
 少し怒った感じでトゥルーデが言えば、
「トゥルーデ」
 にしし、と笑いながらエーリカが返す。
「エーリカ」
 溜め息をついてトゥルーデがエーリカの頭を撫でる。
「トゥルーデ」
 嬉しそうに、皿からもうひとつ芋を取るエーリカ。

 二人の様子を見るうちに胸焼けがしてきたのか、隊員達は二人から目を逸らして言い合った。
「どうしたんだヨ、あの二人」
「知るか。あたしが知りたいよ」
 ひそひそ声で話すエイラとシャーリー。
「ウジャーあたしわかった! 何するのもぜんぶ名前だけで一日過ごすごっこ!」
「どんな遊びだよ……」
 ルッキーニの正解にも関わらずげんなりするシャーリー。
「さ、作戦に支障がなければ、別にその……」
「ペリーヌ、顔がひきつってるぞー。無理しなくて良いんだぞ」
 ガリア娘をそれとなく気遣うリベリオンの大尉。
「しかし相手の名前だけで意志疎通か。無線が使えない等の非常時の訓練に役立ちそうだ」
「貴方ったら、いっつもそう。訓練の事しか頭に無いの?」
 頷く美緒、呆れるミーナ。
「リーネちゃん、私達もやってみようか」
「えっ、本当? 芳佳ちゃん」
 わくわくする食事当番の二人。
「私達は……もういいよね」
 ぽっと頬を赤らめてエイラの袖をついと引っ張るサーニャを見、一同はぎょっとした。
「サーニャ! それはここでは言わないで……」
 妙な汗をかきはじめるエイラ。

 訓練時や任務時こそ普通に周囲と会話するものの、ふたりっきりとなると名前しか呼ばないふたり。
 周囲は食傷気味に、誰ともなしに「そっとしておこう」と言う事になり、距離を置く。
 気付いているのかそれともわざとか、エーリカがにやっと笑い、名を呼ぶ。
「トゥルーデ」
「エーリカ」
 ほら見ろ、と言わんばかりの口調。でもエーリカはトゥルーデの袖を引っ張ると
「トゥルーデ」
 とだけ言い、部屋に連れて行く。そのまま腕を引かれ、連れて行かれる。
 一同はようやく居なくなったカールスラントのエース二人を後目に、はふう、とため息をついた。

 ドアを後ろ手に閉めるトゥルーデ。
「エーリカ」
 少し怒った感じで言う。
「トゥルーデ」
 気にしたらダメ、とばかりに笑って肩をすくめるエーリカ。
 何か言いたげだが、仕方なしにふう、と肩で息をすると、そっと愛しの人を抱きしめる。
「エーリカ」
 耳元で囁き、唇を耳たぶに這わせる。
「トゥルーデ」
 身をよじり、ふふっと微笑むエーリカ。トゥルーデの真正面に身体を置くと、改めて腰に手を回し、おでこを合わせる。
 揃って、微笑む。
 先に動いたのはエーリカ。ゆっくりと唇を重ね、目を閉じる。
 お互いの身体の温かさを感じ、浸り、そのまま溺れていくのも構わず、キスに夢中。
 あはあっ、と艶めかしい声を上げるトゥルーデ。逃さず、エーリカは首筋をつつーっと舐める。
 こらえきると、ゆっくり息をして、今度はエーリカが攻められる番。抱きしめられ、ゆっくりと身体を舐られ、
 きゃうっ、と小さく声を上げ、身体を震わせる。

 ひとしきりお互いをじっくり知り、体と心を通わせた後……乱れた服のまま、二人は微睡む。
「トゥルーデ」
「エーリカ」
 お互いの名を呼び合い、そっと、口吻を交わす。お休みの挨拶。
 ふたりは身体を寄せ合い、抱き合ったまま、ベッドの中で眠りに落ちる。
 明日はどんな楽しい事が待っているだろう。明日は何をしよう。それは明日決めること。
 今はただ、互いに欲し合い、そして分かち合いたい。ただそれだけ。

end

41名無しさん:2011/09/28(水) 23:45:24 ID:ox6q6OCA
以上です。
単に周囲がひく位のバカップルを書きたくなったと言う……。
エイラーニャは日常的に(こっそり)やってそうな雰囲気で。

ではまた〜。

425uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/10/03(月) 23:46:07 ID:6.HTs71A
>>41 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです! 名前を呼ぶだけで意思の疎通をしあうエーゲルに悶えます。
素晴らしいイチャイチャぶり、お見事です。

こんばんは。
あくしずのエイラとサーニャのナースピンナップを見てたら思いついたネタを投下していきます。
結構エロスな表現を含みますのでご注意を
では、どうぞ

435uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/10/03(月) 23:46:56 ID:6.HTs71A
【A Doctor's Imitation】

――それは、夜間哨戒から帰ってきて、エイラと部屋でぐっすり眠っていたある朝の日のお話……

「おっはよ〜! エイラっ、サーにゃん!」
勢いよくドアを開ける音とともに耳に入ってきたのは、ハルトマンさんの元気いっぱいな声。
私もエイラも突然の来客に驚いて、飛び上がるように目を覚ました。
「なっ、なんだよハルトマン……こんな時間に」
「はい、これ」
ハルトマンさんがニコニコ顔で、何かが入った箱を私とエイラにそれぞれ渡してきた。
私たちがその箱を開けてみると中に入ってたのは、白い帽子とエプロン、それに丈の長い水色の服。
これって……ナースさんの服?

「これをどうしろって言うんだよ……」
エイラが戸惑いながら、ハルトマンさんに訊ねる。
「いや〜、朝からトゥルーデが部屋を片付けろってうるさくってさ……クローゼットの中を整理してたら
着なくなった服がいっぱい出てきたから、みんなにおすそ分けしようと思ってね。
で、このナース服はエイラとサーにゃんにプレゼントしようと思ったわけ」
「なんでお前がナース服を持ってるんだ? しかも2着も……」
「まーまー、細かいことは気にしない、気にしない。ねぇ、せっかくだから着てみてよ」
「な、何で私たちがこんな格好しないといけないんダヨ……」
と、私のほうを見ながらうろたえるエイラ。
もしかして……照れてる?
「着てみようよ。私、エイラのナース姿見てみたいな……エイラはナース服着るの、イヤ?」
私はエイラの手を取って、彼女にそう訊ねる。
「イ、イヤじゃない……サーニャがそう言うなら私は着てもいいんダナ……」
顔を真っ赤にして、俯きながらエイラが答える。
ふふっ、照れてるエイラ可愛い。
「決まりだね。ささ、着替えて着替えて」
ハルトマンさんにせかされながら、私たちは背中合わせでナース服へと着替えていく。
後ろから聞こえてくるエイラの衣擦れの音が、私の胸をドキドキ高まらせる。

「ねぇ、エイラ。着替え終わった?」
「あ、ああ……」
「じゃあ、一緒に振り向こう? せーの……」

振り返った私の目に映ったのは、顔を朱に染めた青衣の天使さんだった。
帽子の下の、私より薄くて長い銀色の髪は束ねてあって、普段のエイラとはまた違う魅力を感じる。
早い話が、すごく可愛い。

「サーニャ、その……似合っててカ、カワイイゾ」
「ありがとう。でもエイラのほうが私よりずっと可愛いわ」
「そ、そんなわけないだろ……バカ」
そう言ってさっきより一層顔を真っ赤にさせ、俯くエイラ。
そんなエイラの表情を見てたら私も、胸がドキドキしてくる。
「うんうん。私のにらんだ通り、2人とも良く似合ってるよ。あっ、そうだ。サーにゃんにはこれを貸してあげる」
ハルトマンさんは軍服のポケットから聴診器を取り出し、それを私に差し出してくれた。
「えっと、これは……?」
「へへ、使わなくなった聴診器を女医さんから貰ったんだ。それで、エイラのこと診察してあげたら?」
と、私に悪戯っぽく微笑みかけるハルトマンさん。
”私がエイラを診察”……? なんだかとても心を揺さぶられる響きだ。

445uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/10/03(月) 23:47:42 ID:6.HTs71A

「それじゃ、私はこれで。次は宮藤たちのとこに行こっと。あとはごゆっくり〜」
そう言って、ハルトマンさんは私たちの部屋を後にする。
「お、おい! 待てハルトマン! 診察ってどういう意味ダヨ……へ? な、何やってるんだサーニャ……」
再び2人きりになった部屋で、私はエイラに迫り、彼女のナース服のボタンに手をかけていく。
「ねぇエイラ、お医者さんごっこ、しよ?」
「お、お医者さんごっこ……?」
「うん。私がお医者さんでエイラは患者さん……診察するからベッドに座って」
私は、ベッドに座ったエイラのナース服のボタンを2つほど開けて、彼女の首元に聴診器をあてる。
「うん。どこにも異常はないみたい」
エイラの首のあちこちに聴診器をあてながら、私はもっともらしいことを言う。
「サーニャ、こ、これって何の診察ナンダ……?」
「ふふっ、何だろうね……」
何の診察をしているのか、私自身よく分からない。
ただ一つだけ分かっているのは、私がエイラにもっと触れていたいということ。

一通り首の診察を終えた後、私はエイラのエプロンを脱がし、ボタンも全部外して、彼女の下着を露わにする。
今度は胸の辺りに聴診器をあて、エイラの胸の鼓動を聞いてみる。
「サ、サーニャぁ……」
ドクンドクンと激しく脈を打つエイラの鼓動が、私の耳に伝わってくる。
今、目の前にいるのは、はだけたナース服を身に纏って、顔を真っ赤にしている青衣の天使さん。
そんな状態のエイラを見て理性を保てるほど、私はまだ大人じゃない。

「エイラ……私、興奮してきちゃった……」
私はエイラをぐっと自分のもとに引き寄せて、彼女の唇に熱いキスをする。
「サーニャ……はぁっ……ぁんっ」
キスしただけでいやらしい声を出しちゃうエイラ。
じゃあ、ここを撫でたらどんな反応をするのかな……?
私は、ズボンの上からそっとエイラの一番敏感な部分な部分に触れてみる。
「やぁっ……んっ……サーニャぁ……ひゃぁっ……」
「あんまり大きい声出したら、みんなに聞かれちゃうよ……?」
そう言いながらも私は、一層激しくエイラの敏感なところを撫でる。
「だ、だって……ぁんっ……」
エイラが目を潤ませながら、私のほうを見てくる。
そんなエイラの表情を見てたら、彼女を責めたい気持ちが益々強まってくる。
「エイラ……いっぱい診察してあげるね」
私はエイラのズボンをするすると下ろして、彼女のお尻を揉みしだく。
柔らかさの中にもしっかりした弾力があって、とても気持ちいい。
「すごい、柔らかい……」
「サーニャ……や、やめっ……あぁんっ」
私はそのままエイラをベッドに押し倒して、さっきより激しいキスを交わす。
「サーニャぁ……んんっ」
「大好きよ、エイラ」

――ねぇエイラ、私の知らないあなたをいっぱい見せて……

〜Fin〜

――――――――――――――
以上です。
エイラに対してはドSなサーにゃん、たまんないです
ではまた

45Hwd8/SPp ◇ozOtJW9BFA:2011/10/10(月) 13:25:06 ID:smmjnSS.
>>43 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2さま

エイラーニャをかき乱すエーリカ、最高ですね!
まあかき乱した結果、何かが生まれるって感じで何だかんだ手で「天使」っすね!
ナース服のエイラ…想像しただけでもう…!!

あ、ども。お久しぶりです。
スランプでなかなか投稿出来ずにスミマセン;;
皆さまはスランプ、どのように打破しているのでしょうか?ぜひ教えてください;;

未だスランプから抜け出せない自分ですが、本日はヘルマの誕生日!ってなことで、「ヘルマの発情」シリーズでこんなん書きました。
ぜひ読んでください、どうぞ!

46Hwd8/SPp ◇ozOtJW9BFA:2011/10/10(月) 13:25:38 ID:smmjnSS.
【ヘルマの失踪】

「まだ…見つかってないの?」
「はい!現在、鋭意捜索中です」
「そう…」

一見、ぶっきらぼうに対応していると思うけど内心はとても心配して焦っているウルスラ・ハルトマン中尉。

あ、皆さんこんばんは。つい最近まで『夜のお菓子 うなぎパイ』のメッセージに卑猥なイメージを持っていました、ハイデマリー・W・シュナウファーです。
なんで基地内がこんな慌ただしいのか、これは私が解説します…。


***


話は遡ること3日前。

「パワーを2倍に…でありますか?」
「うん。流石に長距離は無理だけど、この基地周辺なら実験出来ると思う」
「でも…前にバルクホルン大尉が魔力を全て消耗したじゃないでありますか」
「大丈夫、ちゃんと計算した。そして改良も施した」
「…本当に大丈夫でありますか?」
「私を疑ってる気…?」
「ちっ、違うであります!」

いつもと同じような実験前の光景。
ハルトマン中尉とヘルマ・レンナルツ曹長はいつものやり取りをし、実験していました。
なお、この日は速度重視の飛行テスト。エンジンを通常の2倍付けたら何キロ出るのか…とちょっと危ない実験でした。
そんな危ない実験だったのに、いつもと変わらないやり取り…今となっては逆に不気味ですね。

「レンナルツ曹長!ハルトマン中尉!ジェットストライカーの準備が出来ました!」

同じ実験部隊の男性兵が呼びに来て、レンナルツ曹長はストライカーを履き準備をする。
あ、なんで私が知ってるのかって?実は私、そこにいたんです。部隊の回覧板的なものをハルトマン中尉に回してくるよう言われたんで;;;

すると………、

ゴオォォォォォォッ!!!!

今までに聞いたことのないような爆音…例えて言うなら、毎年正月に暴走行為をする『初日の出暴走』が集団で走ってるような音でしょうか?

「わっ、スゴい音…」

ハルトマン中尉は私に気付き、

「シュナウファー大尉、お疲れ様です」
「あ、どうも。なんですか、この音?!」
「改良したジェットストライカーMark.Ⅱ」

47Hwd8/SPp ◇ozOtJW9BFA:2011/10/10(月) 13:26:02 ID:smmjnSS.
「???」

レンナルツ曹長は既に使い魔の耳と尻尾を出し、目を閉じて精神統一をしている様子。

「行けそう?」
「はい、行けるであります!」
「じゃあ発進してちょうだい」
「シュバルツェカッツェ(黒猫)2番、発進するであります!!」

と言い、エンジン音は爆音だったもののいつものように発進…したように見えました………が!

「わっ…わわわわわっ!!!!」

ものすごい勢いで何処かへと吹き飛んでしまうレンナルツ曹長。
空中で、スポーンとジェットストライカーが抜き飛んで…

「あ…」

そのままレンナルツ曹長だけ、何処かへ飛んで行ってしまった様子です…。

「失敗…か」
「え?!救助しなくても良いんですか?!」
「………回収しなくちゃ」
「どっちをですか??!!」


***


そうして、レンナルツ曹長が実験中の失踪から早3日が経ちました…。

「…ハルトマン中尉」
「何?」
「少し寝た方が…」
「大丈夫」
「でも…」
「大丈夫だから!」
「っ?!」

普段静かなこの方が大声を上げるだなんて…

「す、すいません…」
「ごめんなさい」
「いえ…」
「………」
「………」
「………」
「…今日は、何日?」
「今日ですか?今日は…10日です、10月の」
「…そう」
「何か?」
「…今日はヘルマの誕生日」
「へ??」

今日、10月10日はレンナルツ曹長の誕生日。何かプレゼントでも用意してたのでしょうか?

ちょっと微妙な空気が流れてる時でした…、

「ハルトマン中尉!」
「っ?!」

研究室に捜索係の男性兵がやって来て、

「レンナルツ曹長が…っ!」
「っ??!!」
「ど、どうしたんですか??!!」
「見つかりました!」

よ、良かった…!!

「でも…」

どうも浮かない顔をしている捜索係の人…。

「どうしたの…?」
「意識が…」
「っ!!??」
「落下した時と、発見されてからだいぶ時間が経っており意識が…」
「…ハルトマン中尉、とりあえず病院へ行きましょう!」

そうして、私たちは病院へ向かった………。


***


私たちが病院へ着くと、そこには…

「ヘルマ…」

ガラス張りの病室の中が見える廊下。その部屋の中には、ベッドで横になっているレンナルツ曹長の姿が、そこにありました…。
そしてふと横を見ると、今にも泣きそうな顔のハルトマン中尉が…

「ご家族の方ですか?!」

病室の中から医師が出て来て…、

「いいえ。でも…家族同然…」
「そうですか。…覚悟をしておいた方が良いと思います」

48Hwd8/SPp ◇ozOtJW9BFA:2011/10/10(月) 13:26:21 ID:smmjnSS.
「へ…?」
「今夜が…峠です」
「………」











「私のせいだ…」
「ハルトマン中尉…」

かれこれ1時間、ハルトマン中尉はレンナルツ曹長の手を握っています…。

「…っ!!」
「どうしたんですか?ハルトマン中尉」
「今…一瞬、手に力が入った…」
「え?!」

すぐレンナルツ曹長を見ると…

「ヘルマ!!」

少し控え目に目を開け、笑っていました…

「ハル…ト…マンちゅう…い…」
「良い、何も喋らなくて良い」
「ごめ…な…さい…」
「私の方がもっと悪いから…」
「ちゅう…い…と…一緒…に…」
「一緒に?」
「海が…見たかっ…たで…あり…ます」

そう言うと、私の目の前には粉雪が降ってきました。
それはレンナルツ曹長の「涙」なのでしょうか?
切なく、しとしとと………。

「ヘルマ?!ヘルマ??!!」

先ほどの一言を言い残すと、レンナルツ曹長は眠るように短い命を………。
















***


「どう?」
「………っ!!」

ウルスラの研究室にて、原稿用紙を手にして震えているヘルマ。

「なっ、何なんでありますか?!この小説は!!」
「今度の小説コンクールに応募してみようかと思う」

49Hwd8/SPp ◇ozOtJW9BFA:2011/10/10(月) 13:26:37 ID:smmjnSS.
「いや、そうゆうのはどうでも良いんですが何ですか?!なんで私が死ぬんでありますか!!」
「誰かが死んだ方が、話が盛り上がるし泣けると思う」
「いやいやいや、そうゆう問題じゃなくてなんで実名なんでありますか!!」

話の内容に憤慨し、思わず立ち上がってしまっている。

「あとツッコみどころ満載ですよ!」
「…例えば?」
「ラストの!なんで病室なのに、雪が降るんでありますかぁ!!??」
「この間見た韓流ドラマの影響」
「いくら韓流でも部屋の中には雪は降りませんですって!!」
「このシーンで全カールスラント国民に泣いてもらおうかと思う」
「泣きませんって!それに、なんですか!?最後のセリフは!?」
「定番」
「定番じゃないですよ、何が定番で海が見たくなるんですか!?」
「文句多い」
「…なんで中尉が怒るんですか!」
「これ書くのに1カ月近くかかった」
「だったらもっとまともな作品書いてください!!」

そうしてヘルマが部屋から出ようとした瞬間、

「あ、ちょっと待って」
「何でありますか?!死んで欲しいヘルマ・レンナルツに何か用ですかぁ??!!」
「これ」

ウルスラはヘルマに紙袋を渡す

「…何です?」
「プレゼント」
「え…?」
「今日はあなたの誕生日…」
「ハルトマン中尉…っ!」
「おめでとう」

渡すと、少し控え目に笑うウルスラ。
ヘルマは思わず…

「中尉〜っ!」
「わっ」

ジャンプしながら飛び付く...

「先ほどはごめんなさいでありますぅ!」
「びっくりした…」
「中、開けて良いでありますか?!」
「もちろん、あなたのだから」
「では早速♪」

ウキウキしながら中を開けると………

「………何でありますか?」
「さっきの原稿用紙の文を、自費出版してみた」
「………」
「あげる」
「………」


ちなみに、自費出版は出版社によってまちまちだが、委託配本する場合には最低400部必要だ。
つまりヘルマにあげた1部と自分用の1部を除き、まだ398部残っている。

そうして、残りの398部は軍基地の売店で埃をかぶって積まれていたそうな。



【おわれ】

505uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/11/11(金) 23:17:34 ID:zNCBda.s
>>45 Hwd8/SPp様
GJです。ウルスラの小説、自分も1部欲しいです。
スランプの打破ですか・・・何かあるんなら自分も知りたいです(ノω・、)

さて、今日はポッキーの日ということでクルロスの現パロを1本書いてみました。
では、どうぞ

515uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/11/11(金) 23:19:31 ID:zNCBda.s
【Pocky Game】

ここはとある女子高の学生寮の一室……

「ねぇ、先生」
部屋の主であるクルピンスキーが先輩でルームメイトでもあるロスマンの愛称を呼ぶ。
「なに?」
ノートと睨めっこしていたロスマンが顔を上げ、クルピンスキーの方を見る。
「ヒマ」
クルピンスキーがそう呟くと、ロスマンは「そう」とだけ返しまたノートの方に視線を戻す。
「え? それだけ!?」
「暇ならあなたも勉強しなさい。赤点取っても知らないわよ」
「ボクなら大丈夫。テストは一夜漬けで大体なんとかなるから。先生も勉強なんかしないで遊ぼうよ」
「ダメ。まだまだ勉強しなきゃいけない教科があるもの」
「ちょっと休憩するのもダメ? 無理のしすぎは身体に毒だよ」
クルピンスキーの言うことも一理ある。気が付けば、かれこれ3時間以上机と向き合っていた。
無理をしすぎて身体を壊しては元も子もない。そう思ったロスマンは机から離れ、クルピンスキーの隣に腰を下ろす。

「それもそうね。少しは息抜きも必要よね」
「さすが先生、話が分かるね。ねぇ、ゲームしようよ」
「ゲーム?」
「うん。負けた方が勝った方のお菓子代を1ヶ月分持つってのはどう?」
「面白いわね。何のゲームをやるの?」
「へへ。これだよ、これ」
クルピンスキーがニヤリと笑いながらチョコの付いた棒状のビスケットを袋から取り出す。
それを見たロスマンはクルピンスキーが何のゲームをやろうとしているのか理解する。
「こ、これってまさか……!」
「そ、ポッキーゲームだよ。先にポッキーを折ったほうが負けってことで」
「ね、ねぇ……やっぱり他のゲームにしない?」
ポッキーゲームといえば、普通は恋人同士で行うゲームだ。
そのようなゲームをクルピンスキーとすることに少なからず抵抗を覚えるロスマン。
「あれ? 先生ともあろう人がボクに勝つ自信がないのかな?」
と、ロスマンを挑発するような口調でクルピンスキーが言う。
その言葉を聞いたロスマンは思わずむっとなって、クルピンスキーの申し出を受け入れてしまう。
「いいわ。やってやろうじゃないの」
「そうこなくっちゃ。先攻は先生からでいいよ」
「……ええ。じゃあ、行くわよ」

ロスマンはポッキーのチョコの部分を咥え、クルピンスキーも反対のスナックの部分を咥える。
(最初は一口分くらい……かな?)
ロスマンは頬を染めながら、ポッキーを一口かじる。
かじった分だけクルピンスキーとの距離が縮まることにロスマンは思わずドキドキを感じてしまう。
(伯爵って綺麗な顔立ちしてるわね……って、私ったら何考えてるのよ)
顔をポッキーの箱のように真っ赤にさせてるロスマンとは対照的に、余裕の笑みのクルピンスキー。
彼女はポッキーをスナックの部分から、小動物のように素早く食べ進めていく。
(ちょ、ちょっと! そんなに早く食べたらく、唇があたっちゃう……)
ロスマンが思った通り、クルピンスキーはポッキーを全部食べきると、
そのままロスマンの唇をとらえ彼女を自分のベッドへ押し倒す。
「んっ……やぁっ」
「ごめんね。先生の可愛い顔を間近で見てたら我慢できなかった」
「……こ、こんなの反則よ! あんたの反則負け!」
ロスマンは足をジタバタさせて精一杯の抵抗をするも、力では全くクルピンスキーに敵わない。
「先生とキスできるなら、お菓子代1ヶ月分くらい安いもんだよ」
クルピンスキーはそう言うと、今度はロスマンの首の辺りに自分の唇を重ねる。
「はぁっ……んっ」
「ねぇ、エディータ」
耳元に甘い声でロスマンの名前を囁くクルピンスキー。
「な、何よ……」
「今日一日ボクに付き合ってくれないかな? テストまでまだ時間もあるし、一日くらいならいいでしょ?」
ロスマンは俯き、考え込むような表情をする。
少しして、「……きょ、今日だけよ」と、どこかのスオムス娘のような台詞を顔を赤らめながら言う。
そんなロスマンの可愛らしい仕草を見て、クルピンスキーは満足気に微笑む。
(あはは、本当に可愛い人だな……)
クルピンスキーはベッドに押し倒したロスマンを抱き上げると、もう一度彼女の唇に口付けを落とす。

このキスがいつまで続くのか、それは2人のみぞ知ることだ。

〜Fin〜

525uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/11/11(金) 23:19:57 ID:zNCBda.s
以上です。伯爵誕生日おめでとう!
伯爵にデレデレなロスマン先生、可愛いです
ではまた

53名無しさん:2011/11/13(日) 01:02:13 ID:A8UwEi4E
>>52

gjです

まだ書いてくれるひとがいてくれてよかった〜

546Qn3fxtl:2011/12/29(木) 15:10:03 ID:LE65CTeQ
>>52
遅レスすぎで恐縮ですが、GJ!!
ロスマン先生はお菓子1年分以上の価値はありますから、1ヶ月分なんて安い、安い。

皆さまずいぶんご無沙汰しております。
年の瀬ですね。飲酒の機会も増えますね。ということで、酔っぱらいビューリング投下していきます。

55天使のわけまえ(1/2) @ 6Qn3fxtl:2011/12/29(木) 15:11:02 ID:LE65CTeQ
「あぁ……体が軽い……。天使が後押ししているようだ……」
ウイスキー1本だけで天界まで飛べるとは何と手軽なことだろう。
これを教えてくれた何とかとかいう工員には感謝せねばなるまい。
「こっちは禁煙じゃないよな……」
いつものタバコに火をつけようとするが、ライターを持つ手が右に左にふらふら揺れて、
なかなかつけることができない。しまいには嫌になってタバコを投げ捨ててしまった。
この辺はよっぽど気流が乱れているらしい。
「仕方ない、迂回するか」
くるりと進路を変えると、よろよろと足が乱れた。
なるほど、天界の飛び方というのもなかなか難しい。


「あっ、ビューリングさん!」
……おや、ここは天への門か? やけに基地の入口に似ているのが気に障るが。
「もう、こんな時間までどこで飲み歩いてたんですかっ!!
門限はもうとっくに過ぎてるんですよっ!!」
どうやら、天国にも門限ってものがあるらしい。さすがに規律に厳しい。
これなら地獄へいったほうが気が楽かもしれないな。
「ほらっ!はやく部屋に戻って寝てください!! 明日も早いんですからねっ!!」
「はいはい」
言われるままに、ふわふわと揺らめく機体を操って部屋に入る。
それにしてもこの世話係、どこかであったことがあるような気がする。

「もう……。一体どれだけ飲んだらこんな風になるんですか!?」
「ん……、あぁ……」
無理矢理にベッドに座らされて、天使の説教を受ける。
おいおい、天国って奴は思った以上に堅苦しいところだな。
「どこで何をしていようと、いまさら文句はいいませんが、ちゃんと門限までに戻ってきてもらえないと……
その……いろいろと困るといいますか……」
天使の声が段々と弱くなる。
「あの……そんな目で見られると……その……怒りにくいのですが……」
「だめか?」
夢見心地のまま、私は切り返す。
「こんなことは滅多にないだろうからな。よく見ておきたい」
「……いつもいってるのに、聞いてないんですか……」
「天使の声を聞く機会なんて、そうそうないからな……」
「てっ、天使……!?」
「そんな顔もかわいいな」
怒られているばかりも癪なので、少々からかって遊んでみることにした。
さすがに天国なんてところで育っているだけあって、天使というのは純粋でからかいがいがある。
それにしても……。
「お前は知り合いによく似てる。そっくりだ」
「あの……ビューリングさん……?」
「真面目で一生懸命でな。ちょっと泣き虫だが、かわいい奴なんだ……」
「えっと……寝ましょう、ビューリングさん。寝たほうがいいです」
天使が顔を真っ赤にして、ぐいぐいと私を寝かしつけようとする。
そんな様子もあいつ、エルマにそっくりで、ひどく愛おしくかわいらしい。
「本当にそっくりだな……。エルマ・レイヴォネンに」

56天使のわけまえ(2/2) @ 6Qn3fxtl:2011/12/29(木) 15:11:22 ID:LE65CTeQ
「ちょっ、ちょっと……!!ビューリングさん!?」
私はすっくと立ち上がると、天使をぎゅっと抱きすくめる。
天使というのも、生身の人間と同じで温かく柔らかい。
「いい匂いがするな」
「……やっ、やめっ……!」
「あいつにそっくりだ……。あいつも天使なのかもな」
「はっ、恥ずかしいこと……言わないでください……っ!!」
じたばたと暴れる天使を強く抱きしめ、白磁のような耳を軽く唇で挟む。
その瞬間、天使の力がふっと抜けた。
触れたい。感じたい。もっと強く、もっとはっきりと。
エルマにそっくりな天使が相手だ。エルマも悪いような気はしないだろう。
私は天使のブラウスに手をかけると、一気に引きちぎった。
「ひっ、ひゃうっ……!!!」


しっとりときめ細やかな肌に、うっすらと浮いた鎖骨。
薄桃色に染まる、やや控えめな二つの頂。
細い腰。ほどよく引き締まった腹部。かわいらしいへそ。
すべてが完璧なバランスで調和していて、まるで一級品の人形のようだ。
「さすがだな……。すごく……きれいだ……」
「やっ……やめてください……。恥ずかしい……」
返事のかわりに唇を押し当てる。首筋、肩、胸、背中……。
同時に私の両手は胸を、腹を、やわやわと撫でる。
舌先に甘く、ちりちりとした味を感じる。
天使の体温と鼓動が手のひらを通して伝わってくる。
「……ビューリングさん……もう、やめっ……」
「かわいいな、エルマ……」
思わず、天使をあいつの名前で呼ぶ。
天使を慰めながら、天使の向こうにあいつを見る。
欲しい。あいつが欲しい。エルマが欲しい……。


「ひゃんっ……!!」
私の左手が天使のズボンの中に潜り込む。
天使のそこは人間のもののように熱く、とろけていた。
「だっ、ダメですっ……!!」
天使が私の手首をつかむが、その手にはあまり力が入っていない。
自由なままの指を軽く動かすと、天使の身体がびくりと跳ねた。
「天使も……人間と同じなんだな……」
ゆるゆると指を動かすと、天使が切なそうに唇を噛んだ。
「声……聞かせてくれ……」
「……他の人に……聞こえちゃ……」
「大丈夫だ。誰もいない」
一体、天国に誰がいる?智子もいない。ハルカもいない。聞かれて困るような相手など、誰もいない。
「お前の声が聞きたい。聞かせてくれ」
指の動きを速めると、動きにあわせて天使の肩と膝がびくびくと震える。
下唇を強くかんで、気をやってしまわぬようにひたすらに耐えている。
そんな様がひどくかわいらしくて、愛おしくてたまらない。
「んっ、はぁっ、くぅん……!」
抑え切れない嬌声が唇の端から溢れる。私はちろりと舌なめずりをして
ほのかに赤く染まった耳たぶを軽く噛んだ。
「はぁっ……!!んんっ……!!」
ひときわ大きく、天使の身体が跳ねる。私と天使はベッドに倒れ込み、そのまま気を失った。


---−−−


「うぅ……頭が痛い……」
不愉快なほどまぶしい朝の光に顔を背ける。
鉛の銃弾のように重たいまぶたを無理矢理に押し上げると、ひどく霞んだ視界の向こうに
見慣れた私の部屋があった。
昨晩は確か、基地近くのパブに繰り出して……。
どうやらパブでしたたか飲んだようだが、どうやって基地までたどり着いたものか、まったく記憶がない。
「水が……欲しい……」
やみくもに手を動かすと、何か温かいものに手が当たった。
驚いて目を開けると、そこにはエルマが何かいいたげな顔をして、ベッドに腰掛けていたのであった。
「なんで……お前がここに……?」
私の質問に、エルマはむっとした顔のまま何も答えない。
「それに……そのブラウス……」
「……何にも覚えていないんですかっ!?」
エルマの甲高い怒鳴り声が二日酔いの頭にがんがんと響く。
「……すまん、話があるなら後にしてくれないか……。
あと、水を一杯持ってきてくれ……」
「っ……!!! ビューリングさんはケモノさんですっ!!!!」
ばすんっと一発、枕で思い切り私の顔をひっぱたいたエルマは服の前を押さえたまま立ち上がり、
それこそ基地全体が壊れてしまうのではないかというぐらい乱暴にドアを叩きつけて出て行ってしまった。


その後、1週間にわたってエルマは私に口を聞いてくれなかったが、
誰に聞いてもその理由を教えてくれるものはいなかった。

fin.

576Qn3fxtl:2011/12/29(木) 15:13:31 ID:LE65CTeQ
……すいません。エロ注意書き忘れてました……。
保管の際にはR18扱いでお願いします。

58mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/12/29(木) 21:36:45 ID:6NhZMZPM
5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
>>43-44 うおぉこれはえろす! これは良いエイラーニャ! GJ!
>>51 艶めかしい感じが最高です! 伯爵と先生もアリですね! GJ!

>>49 Hwd8/SPp ◇ozOtJW9BFA様
GJです。小説オチとは!

>>57 6Qn3fxtl様
GJ! 何と言うえろす! ビューエルおいしいです。


こんばんは&お久しぶりです。mxTTnzhmでございます。
ふと思い付いたネタ? をひとつ。

59happy dream 01/02:2011/12/29(木) 21:37:26 ID:6NhZMZPM

「リーネちゃんは私の嫁だから!」

 自分の大声で、芳佳はがばと跳ね起きた。
 どうやら眠っていたらしい。
 訓練が続き身体が休息を求めていたのか、自室に戻るなり、午後の休憩も忘れ、ひとりベッドで仮眠を取っていた様だ。
 しかし、どんな夢を見ていたのか。
 更にはどうしてあんな事を言うハメになったのか、夢の内容を全く覚えていない。
「どうしたのかな私……疲れてるのかな」
 芳佳は鈍く痛む頭を二、三度振ると、よろっと立ち上がった。
 そこで、はっと気付く。
「まさか、誰かに……聞かれてないよね?」
 ははは、と冷や汗混じりにひとり笑って誤魔化した。
 その時、部屋の外からふと何かの気配が消えた事を、芳佳は気付いていなかった。

「ねえ、芳佳ちゃん?」
 部屋を出てすぐ、エイラとサーニャに出会った。出会うなり、サーニャは心配そうに芳佳の顔を見た。
「あれ、どうしたのサーニャちゃん?」
「宮藤、お前どんだけ溜まってるんだヨ」
 呆れ顔のエイラに肩をつつかれ答えに困る芳佳。
「えっ、何の事ですかエイラさん?」
「芳佳ちゃん、何か心配事とか困った事とか有ったら……私達で良ければ相談に乗るから」
 サーニャに心配され、えっと言う顔をする芳佳。
「な、何の事? 私大丈夫だよ?」
「私も特別に占ってやってもイイゾ。占い料は貰うけどナー」
「もう、エイラったら」
「嘘だってサーニャ。ま、頑張れヨー。私達はこれで」
「あ、はい……」

 ミーティングルームに着くと、トゥルーデとエーリカが何やら話をしていた。芳佳の姿を見つけるなり、こっちへ来いと手招きする。
「どうかしましたか、バルクホルンさん」
「宮藤、お前……」
「はい?」
 数呼吸の間を置いて、トゥルーデは顔を少し赤くして、ぷいと横を向いた。
「トゥルーデ、こう言う所は純粋なんだからな、もう」
 にやにや笑うエーリカ。
「ハルトマンさん、一体何の話です?」
 戸惑う芳佳に、エーリカがふふーっと笑って言った。
「こじれる前に、早くした方が良いと思うよ」
「ええっ!? 何の事ですか!? こじれるって?」
「気付いてないのか、宮藤。お前は本当に何処までも扶桑の魔女なんだな」
 心底呆れた顔でトゥルーデが言う。
「はい。扶桑の魔女ですけど、何か?」
「単なる国籍を言ってるんじゃない」
 トゥルーデに言われ、ますます意味が分からなくなる芳佳。
「は、はあ……何が何やら」
「とりあえず早く行ってやれ。待ってるんじゃないか?」
「誰がですか」
「はいはい、向こう向こう」
 エーリカに肩を押され、ミーティングルームから締め出された。

 執務室の前を通り掛かったところで、唐突に扉が開いた。
 ひょっこり顔を出したのは美緒。
「あ、坂本さん。どうかしましたか? 午後の訓練はもう終わりじゃ……」
「うむ。今日の訓練は既に終わっているぞ。しかし宮藤、お前も扶桑の撫子ならもっとしっかりせんか」
「は、はい?」
「そうね、宮藤さん。余りプライベートな事言うのも何だけど、お互いの事を理解する為にも、伝える事はしっかり伝えないと」
 いつの間に出て来たのか、ミーナまで芳佳に声を掛ける。
「ミ、ミーナ中佐? 私、一体」
「全く……師匠が師匠なら弟子も弟子ね」
 ふう、とせつなげに溜め息を付くミーナ。
「何だミーナ、その言い方は。トゲがあるぞ」
 呆れる美緒の肩をぽんと叩くと、ミーナは爽やかに迫力のある笑顔を作り、言った。
「なら美緒、ちょっと、良いかしら?」
「な、なんだ急に? おい、ミーナ……」
 身の危険を感じた芳佳は、一礼すると振り返らずに駆け出した。

60happy dream 02/02:2011/12/29(木) 21:37:53 ID:6NhZMZPM
 厨房に辿り着く。今日は食事当番だった事を思い出す。
「ウジャー! 芳佳来たぁ!」
「いよっ宮藤! この幸せ者!」
 厨房の向かいに有るテーブルに、シャーリーとルッキーニが座っている。芳佳を見つけるなり、主役登場とばかりにはやしたてる。
「シャーリーさんもルッキーニちゃんも、どうして……」
「ちょっと宮藤さん?」
 厨房から厳しい声が飛んできた。ペリーヌだ。眼鏡の縁をくいと上げると、じろりと芳佳を見る。
「貴方、もうちょっとマシな寝言を言えないのかしら」
「はいぃ!?」
 芳佳はようやく気付いた。

 寝言、聞かれてた。
 しかも全員に、話が回ってる。

「ちょっ、ちょっとペリーヌさん、誰から聞いたんですか?」
「501(ここ)で秘密なんて無いに等しいって、貴方も知ってるでしょうに」
「えうっ……だけど、寝言ですよ寝言?」
「甘いな宮藤は。あんだけ大声で言っちゃったんだから、ちゃんと責任取らないとな」
「取らないとナー、ナー! キャハハ」
「酷い! 聞いてたの、シャーリーさんとルッキーニちゃん!? 何も、言いふらさなくても……」
「だってー。おもしろーい事になりそ〜うだし」
 にゃはは、と八重歯を見せて笑うルッキーニ。
「さあ宮藤。言い訳はこの辺にして、お前の麗しき花嫁にしっかりと伝えるんだ!」
 シャーリーが指差したその先は厨房の奥。もじもじと、リーネが芳佳の事を待っていた。
「リ、リーネちゃん」
「芳佳ちゃん……」
「あのね……、私、その、夢で」
 リーネは顔を真っ赤にして、消え入りそうな声で呟いた。
「芳佳ちゃん。な、何事にも順序って有ると思うの。私達、その、結婚するなら、ブリタニアの法律じゃ出来ないし……
例えば私の家に養子縁組とか、色々手段はあると思うんだけど」
「リーネちゃん何言ってるの」
 余りの事に顔が青ざめる芳佳、正反対に沸騰しそうなリーネの頬の色。
 周囲には、いつの間に来たのか、501の面々が揃っている。
「ど、どうすれば良いの……私」
 芳佳は言葉が続かず、呆然と立ち尽くした。

end

61名無しさん:2011/12/29(木) 21:38:07 ID:6NhZMZPM
以上です。
初夢的なネタですが一足先に。
皆様良いお年を。
ではまた〜。

62名無しさん:2011/12/29(木) 21:58:39 ID:0iiiV6Ds
>>61
こうなったリーネちゃんは止まらないから諦めて責任をとるんだ!w
GJでした!

635uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/12/30(金) 23:33:49 ID:HulmA30k

>>54 6Qn3fxtl様
GJです。記憶があやふやになるほど飲んじゃうなんてビューリングさん重症ですね。
えっちなビューエル、ご馳走様でした。

>>58 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。芳佳はもう責任を取ってリーネちゃんと結婚するしかないですね、これは


こんばんは。もう5日も過ぎちゃいましたが、
クリスマスもといサトゥルヌス祭のお話を分遣隊で書いてみました
ではどうぞ

645uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/12/30(金) 23:35:58 ID:HulmA30k
【ウィルマサンタのプレゼント】

――12月24日、サトゥルヌス・イブのその日、ワイト島分遣隊基地ではパーティーに向けて
ウィルマとアメリーがケーキ作りに励んでいた。

「ウィルマさん、イチゴ洗い終わりました」
「ありがとう。じゃあ、そこに均等に盛り付けてくれない?」
「は〜い」
アメリーはショートケーキの上にイチゴを1個1個丁寧に乗せていく。
そんな彼女を尻目に、フランとラウラは乗りたてのイチゴをひょいと摘んで口へと運ぶ。

「イチゴ……おいしい」
「うんうん、甘酸っぱくていい感じ」
「あっ、フランさんもラウラさんもつまみ食いはダメですよ〜」
「何よ。ちょっとくらい、いいじゃない」
「ダメなものはダメです!……って、言ってるそばからつまみ食いしないでください〜」
よほどお腹が空いてるのか、尚もつまみ食いを続けるフランとラウラ。
そんな2人を見かねて隊長の美佐は、フルーツの盛り合わせをテーブルに乗せる。
「全く、フランもラウラもしょうがないわね……繋ぎにこれでも食べてなさい」
「わーい、隊長大好き〜」
「ん、おいしい……」
満足気にフルーツを食べる2人を見て、美佐も自然と笑みがこぼれる。
「ふふっ、サトゥルヌスにパーティーなんて久しぶりだから何だか楽しいわ」
「前の部隊にいた時はパーティーとかしなかったの?」
「うん。私、去年の12月24日は任務中に負傷しちゃって……それどころじゃなかったから」
美佐がそう言うと、場の雰囲気がしんと静まり返る。
ウィルマは悪いことを聞いてしまったと思い、申し訳なさそうな表情で美佐に謝る。
「あっ、ごめん……辛いこと思い出させちゃって」
「ううん、気にしないで。そりゃ、怪我した時は『何で私が』って思ったけど、今は療養でここに来れたことに感謝してるの。
こうやってかけがえない仲間と出会うこともできたしね……なんて、ちょっとクサかったかな?」
と、美佐が照れくさそうに頬をかく。
「隊長……」
美佐の思いもよらぬ告白に隊員たちは心をほっこりさせる。
ひょんな偶然からブリタニアの辺鄙な基地に集められた5人のウィッチ。
最初はバラバラだった彼女たちも心を通わせるうちにいつしか、お互いの存在がかけがえのないものになっていたのであった……

「さて、ケーキも完成したことだしパーティーを始めるとしますか。隊長さん、号令お願い」
「ええ。それじゃあ、楽しいパーティーにしましょう。乾杯!」
美佐の乾杯の号令のもと、パーティーが始まった。
ウィルマとアメリーが作った料理を食べながら、みんなで今年1年の思い出を語り合ったりした。
ウィルマの着任日にみんなでお風呂に入った事、赤城の護衛任務に就いた事、海水浴に行った事……
そんな思い出を語り合っていると、不意にフランが思いがけない言葉を口にした。
「1年ってあっという間ね……今年もサンタさん、来てくれるかな」
フランのその発言に他の4人は思わず目を丸くしてしまう。
「え?」
「ほら、サトゥルヌスにサンタさんからプレゼントを貰わないと1年って終わった気がしないじゃない? みんなはそう思わない?」

655uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/12/30(金) 23:37:36 ID:HulmA30k

「フランさん、もしかしてまだサンタクロースの存在を信じてるんじゃ……」
「……そうみたいね」
どう反応していいか分からず、困った顔で美佐とアメリーはヒソヒソ話をする。
「何よ、2人でヒソヒソして……あたし何か変なこと言った?」
「え? な、なんでもないです。あはは……」
「サンタって、ウィッチの基地にも来るのかな」
フランにさり気なく問いかけるようにラウラが呟く。
「絶対来るわよ。去年、あたしがリベリオンの養成学校にいた時だってプレゼント、届けてくれたもん」
と、胸を張って自信満々にフランが答える。
(きっと、養成学校の教官さんが良い人だったのね……こりゃ計画を変更する必要があるかな)
そんな目をキラキラさせながらサンタクロースの事を話すフランを見て、ウィルマはある事を考えていた……

――やがてパーティーもお開きとなり、片付けが終わった頃にはすっかり深夜と呼べる時間になっていた。
アメリーとフランとラウラはよほど眠かったのか、談話室のソファでぐっすり眠っている。
美佐は、そんなソファに並んで仲良く眠る3人にそっと毛布をかける。
「みんな、疲れちゃったのね……あれ? そう言えば、ウィルマさんはどこ行ったのかしら」
「隊長さん、隊長さん」
美佐が辺りをキョロキョロしてると、不意にウィルマが後ろから声をかけてきた。
「あら、ウィルマさん……って、どうしたの!? その格好?」
美佐が振り返るとそこにいたのは、赤と白の衣装に身を包んだウィルマの姿だった。
「しーっ! みんなが起きたら、計画が台無しになっちゃうから」
サンタクロースの格好をしたウィルマは、肩に背負った白い大きな袋から何かを取り出すと、
それを眠っている3人のそばに置いた。
「それは……?」
「えへへ、ウィルマサンタからみんなへのプレゼントよ。本当は、パーティーの時に私がこの格好でみんなに渡そうと思ったんだけど……
 サンタさんを信じてるフランには、こうしたほうが夢があると思ってね」
と、熟睡しているフランの頭を撫でながらウィルマが言う。
「あっ、そうそう。隊長さんにもプレゼントあるの。はい、これ」
そう言ってウィルマは、袋の中から箱を取り出してそれを美佐に渡す。
「あら、ありがとう。それにしても、準備がいいのね。今日のこの日のために、わざわざプレゼントとその衣装を用意したの?」
「まあね。私、パーティーとか好きだから、昔は兄弟たちとよくこういう事やっててね……今はここにいるみんなが家族みたいなものだし、
せっかくだから、家族と思いきり今を楽しみたいじゃない?……なんて、ちょっとクサかったかしら」
「もう、それさっきの私の台詞じゃない」
「あはは……さて、私もそろそろ寝るとしますか。お休み、隊長さん」
「ええ。お休みなさい」

(さてと、明日の朝が楽しみね……フランはどんな反応をするかな? みんな、喜んでくれるかしら……)
そんな事を考えながら、分遣隊基地のサンタさんは寝室へと向かうのだった。

〜Fin〜

―――――――――――

以上です。なんとか年内に完成できて良かったです。
それでは皆様よいお年を

66mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/12/31(土) 00:54:43 ID:5PMTp8hw
>>65 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! これは素敵な聖夜……ほっこりしました。ええチームですね、分遣隊。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
またまた思い付いたネタ? をひとつ。
>>59-60「happy dream」の続き、と言うか
ほぼ同時間帯の出来事をちょこっと書いてみました。
ではどうぞ。

67happy dream II:2011/12/31(土) 00:55:19 ID:5PMTp8hw

「リーネちゃんは私の嫁だから!」

 って芳佳が言ってたよー。ニヒヒ。
 と、突然ただそれだけを聞かされたリーネは、ニヤニヤするシャーリーとルッキーニの前で頬に手をやり、
暫く言葉の意味を反芻した後、やがてあたふたと慌て始めた。
先程から始めていた夕食の下ごしらえも忘れて、厨房の壁にもたれ、はふうと溜め息を付く。
「わ、私、どうすれば。でも本当に芳佳ちゃん、言ったんですか?」
 シャーリーは力強く頷いてみせた。
「ああ、部屋の外まですんごい聞こえたよ。あれは、単なる寝言とかじゃない。もはや、れっきとした宣言だね」
「ダネー」
 ルッキーニがにんまりと笑うと、リーネの胸をつんつんと人差し指でつつきながら言った。
「アアアゥァー、この501で第二位のおっきなオムネも、芳佳のところにオヨメにいってしまうのか〜 ウジュー」
 リーネはひゃっと小さな悲鳴を上げてさと胸を腕で隠すと、ルッキーニに向かい問うた。
「ルッキーニちゃん、それってどう言う意味?」
「え? そのまんまだけど」
「ちなみに第一位は?」
「シャーリー。悪いけど渡さないよ?」
 ルッキーニに抱きつかれたシャーリーはまんざらでもない顔をして笑った。そんな二人を見て呆気に取られるリーネ。
「何か主旨が変わってきてるよ、ルッキーニちゃん」

「全く、宮藤さんは何を言ってるのかと」
 噂を聞きつけ、呆れ半分怒り半分のペリーヌは、厨房に来るなり、リーネを見て呟いた。
「あ、あの、ペリーヌさん」
「何ですのリーネさん?」
「芳佳ちゃんを悪く言わないで……多分、その」
「寝言にしては趣味が悪過ぎますわ」
「えっ、でも、芳佳ちゃんなら……」
「『なら』って、リーネさんまさか」
 ペリーヌの危惧は現実のものとなりかけていた。

「わ、私、どうすれば芳佳ちゃんのお嫁さんになれるのかなって、色々考えてみたんです」
「ふむふむ」
「ウキャーさすがヨメヨメ! で、どうすんの?」
「ちょっとリーネさん、考えが先走り過ぎてませんこと?」
 シャーリーとルッキーニ、ペリーヌを前に、顔を真っ赤にしながら、リーネは自分の考え……決意にも似た言葉を述べる。
「ブリタニアの法律でも、多分扶桑の法律でも、私達結婚は出来ないと思うから……」
「当たり前でしょうに」
 呆れるペリーヌ。
「だから、とりあえず、わ、私と、私の家族と、よよ芳佳ちゃんで養子縁組とか」
「おおー具体的だねー」
「ダネー。ニヒヒ」
「妙に生々しいですわね」
「えっダメですか? なら、結婚出来る法律がある、何処か他の国に二人で移住するとか」
「ああー。そう言えばあたしの国、確かどっかの州で、法的に同性婚出来るとこがあ……」
「教えて下さいシャーリーさん! 私、芳佳ちゃん連れて移住します! それもっと詳しく!」
「決断はやっ!」
 いきなり詰め寄って来たリーネに、少々焦るシャーリー。
「リーネさん、少し落ち着きなさいな」
 ペリーヌはハーブティーをリーネに飲ませた。
 ぐいっと一気に呷ると、ふう、と一息つく。途端にリーネの思考が更に加速する。
「他の手段としては、私が芳佳ちゃんの故郷の扶桑に、嫁入りと言うか事実婚と言う事もアリだと思うんです」
「ヤケに積極的だなー、リーネは」
「それ以前にリーネさん、宮藤さんの言葉が本当かどうか確かめなくてもよろしくて?」
「芳佳ちゃんは、有言実行のウィッチなんです!」
「言い切ったよ」
「でもあれは寝言って話じゃ……」
「私、今日を最高の日にしてみせます!」
「……何だか最悪の日になりそうな気がしますわ」
「リーネも一途だなあ」
「とりあえずの心配は……私、扶桑の料理で食べられないモノが幾つか有るんですけど」
「えっ心配するとこ、そこだけ?」
「ブリタニア人にも食べられないモノって有るんだね〜あたし知らなかった」
「ルッキーニちゃん酷い! お茶とお菓子には自信有りますから!」
「そこ自慢してどうするの」
 厨房に近付く足音。そのリズムを聞いたシャーリーはにやけた。
「……お? 話をすれば、ご本人様の登場だぞ」
「えっ? そんな、まだ心の準備が」
「あんだけ色々考えてたのに準備出来てなかったのか」
「大丈夫ですの、リーネさん?」
「じゃあ、あたし芳佳見に行く〜」
「ルッキーニ、宮藤にいきなり変な事するなよ? ……ま、あたしも見に行ってみるか」
「ちょっと二人共……で、リーネさん?」
「だだだだ大丈夫です。ももっ問題ないですから」
「そんなに緊張して何処が大丈夫なんですの」
 心配するペリーヌ。
 ひとり興奮と緊張が入り交じるリーネをよそに、やって来た芳佳をはやしたてるシャーリーとルッキーニ。

 リーネはごくりと、唾を飲み込んだ。

end

68名無しさん:2011/12/31(土) 00:56:16 ID:5PMTp8hw
以上です。
リーネちゃんはいざとなったら
一途な感じだと思うので……如何でしょう。

皆様、改めて良いお年を!
ではまた〜。

69名無しさん:2011/12/31(土) 10:49:47 ID:OL1M/9IM
>>68

GJです

皆さんよいお年を!

71mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2012/01/12(木) 00:07:10 ID:LufrtY86
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
またまた思い付いたネタ? をひとつ。
>>67「happy dream II」の続きを
ちょこっと書いてみました。
ではどうぞ。

72happy dream III:2012/01/12(木) 00:07:54 ID:LufrtY86
「リーネちゃんは私の嫁だから!」

「……ってお前ホントに言ったのカー?」
 エイラはにやけ半分呆れ半分の顔で芳佳を見た。
「はい、言った様な……シャーリーさん達に聞かれちゃったし」
 申し訳なさそうな顔で、ちらっとお騒がせな二人組を見る。
「あたしらは、ちゃんと、はっきりと聞いたぞ!? なあルッキーニ」
「ンニャンニャ シャーリーといっしょに聞いた聞いたー」
「芳佳ちゃん、実は、シャーリーさんとルッキーニちゃんの悪戯じゃなくて?」
 サーニャの問い掛けに、名指しされた二人は言いがかりだー、とぶーたれる。
「ま、こればっかりは宮藤さんに責任を取って貰うしか無いですわね」
 ペリーヌが突き放す。
「ああもう、みんな私が悪いんです!」
 錯乱気味に頭を抱えて叫ぶ芳佳。
「落ち着いて芳佳ちゃん」
 連れ添う妻の如く、芳佳を支えるリーネ。
「で? 言った以上は……、って話だったよナ」
 エイラは慣れた手つきでタロットカードをシャッフルし始めた。
「あの、エイラさん、何か占ってくれるんですか……?」
「宮藤が現在絶賛大ピンチ中だからナー。占ってやる代わりに、今度掃除当番か洗濯当番変わってクレ」
「ええ、酷い、なんか押し売りみたい」
「誰が押し売りダッテ?」
「いえ何でも……」
「じゃあ、占うゾ」
 エイラはカードを丁寧に一枚めくって、じっと凝視する。
「どうなんです? 私」
「おっ……」
「はい?」
 絶句したエイラに近付いた芳佳を振り払うエイラ。
「こら宮藤、覗き込むナ。お前の邪念が入ってくるダロ」
「ええっ? そういうもんなんですか?」
「そもそも、宮藤溜まり過ぎダロ。リーネの胸ばっかりって出てるゾ」
「えええ!? 私そんな邪な事は」
「じゃあその手は何ダ」
 部屋に居た全員が芳佳の手に注目する。今まさにリーネに寄り掛かったついでに、撓わに熟れた二つの乳房に顔を埋め指を……
「ちょっ、芳佳ちゃん!」
「宮藤お前大胆だなー」
「芳佳だいたーん」
 シャーリーとルッキーニが今更の様にびっくりした顔を作る。
「ちっ違うんです、これは」
「呆れたこと」
 ペリーヌがつまらなそうに髪をかき上げる。
「でも芳佳ちゃんとリーネさんはスキンシップ多くて良いな……エイラは、私に何も」
「えっ!?」
 サーニャの爆弾発言を聞き、一斉にエイラを見る。ぎくりとしたエイラは思わずタロットを一枚落とす。
「あれ? 何か、吊された人の描かれたカードが」
「ウワアアアア! 見るな馬鹿ッ!」
 そっと拾い上げた芳佳からタロットを引ったくると、エイラは顔を真っ赤にして無言でサーニャの腕を取り、部屋から出て行った。
「あの、エイラさん……」
「そっとしておいてやれ」
 何かを悟った顔で芳佳に呟くシャーリー。
「はあ」
「それでね、芳佳ちゃん」
「うん、どうしたのリーネちゃん?」
「芳佳ちゃん、私の家に住む? それとも私が芳佳ちゃんの故郷の扶桑に行った方が良い? あとはシャーリーさんの国に行って合法的に式を挙げる方法も有るって聞いたけど」
「リーネちゃん、話飛躍してない?」
「大丈夫、家族なら私が説得するから」
「そうじゃなくてね」
「私、芳佳ちゃんの為にも頑張る!」
「えっ……」
 絶句する芳佳。
 ペリーヌはこれ以上付き合いきれぬとばかりに、ふうと溜め息ひとつ付くと部屋から出て行った。
「あの……」
 助けを求め周りを見渡す。いつの間に移動したのか、シャーリーとルッキーニは部屋の扉からそっと様子を伺っている。
「シャーリーさん、ルッキーニちゃん、どうして逃げるの!?」
「二人を邪魔しちゃ悪いからな」
「ナー! ニヒヒ」
「ま、頑張りなよ」
 シャーリーは遠い目をして、ルッキーニを連れて部屋から去った。
「ねえ芳佳ちゃん聞いてる? この戦いが終わったら、私達、結婚するんだから、今からきちんと決めておかないと」
「リーネちゃん話を聞いて」
 芳佳はリーネの肩をがしっと掴んだ。
「芳佳ちゃん、まだ話の途中なのに、大胆……」
「そうじゃなくてね」

end

73名無しさん:2012/01/12(木) 00:08:09 ID:LufrtY86
以上です。
リーネちゃんは思い込んだら(ry

ではまた〜。

74名無しさん:2012/01/14(土) 21:22:31 ID:4I71nx.o
リーネ凄く可愛いです!

75名無しさん:2012/01/14(土) 21:23:05 ID:4I71nx.o
リーネ凄く可愛いです!

76名無しさん:2012/02/01(水) 01:27:17 ID:AGsiFfZE
リーネチャンハカワイイデスヨ?

77名無しさん:2012/02/03(金) 22:24:20 ID:mKLHP6oY
こんばんわ、はじめてで変なところもあるですが、できれば見てください。エイラーニャです。

78名無しさん:2012/02/03(金) 22:25:14 ID:f/8D.2SA
夜間懲戒を終えて疲れた私はストライカーユニットを脱ぎ、今夜の報告を済ませて、ふらふらとエイラの部屋に向かった、早くエイラに会いたい、そう思い少し早足で廊下を歩いた、エイラは私がいつも間違えて部屋に来ていると思っているみたいだけど、本当はただエイラと一緒に寝たいだけで、大好きなエイラの部屋を間違えるわけ無いのに、いつもエイラは「今日だけダカンナー」と私の気持ちに気づいてくれない、エイラは本当に鈍感で困っている・・・ん、エイラの部屋についた、着ていた軍服を脱ぎ捨て、気持ちよさそうに寝ているエイラの横に飛び込んだ、すると「サ、サーニャ!?」という大好きなひとの声が聞こえてきたので、眠るのを少し我慢するのだった。

79名無しさん:2012/02/03(金) 23:23:25 ID:mKLHP6oY
私が部屋で寝ていると、ボフッ!っと横から音がした、びっくりして横を見るとそこには・・・               「サ、サーニャ!?」                                                また夜間懲戒の後に間違えて私の部屋に来たみたいだな、やっばり間違いだったとしても自分の好きな人が自分の部屋に来てくれるのは嬉しい、ちょっとご機嫌な私はとりあえずサーニャの制服を畳みに起き上がる。                   「今日だけダカンナー」                                               もちろん今日だけじゃなくって、明日も明後日も一年間365日サーニャには来てほしいが、これはもう口癖なのでどうしようもない、べつに言っても言わなくてもサーニャは寝ているから意味は無いんだけどな。さてサーニャの服も畳んだし、私も寝よう、とサーニャの横に潜り込む、・・・やっぱりサーニャは可愛いなと思い、普段なら絶対恥ずかしくて言えないことを、いつか本人に伝えるための練習として、寝ているサーニャに向かって言ってみることにした。

80名無しさん:2012/02/04(土) 00:18:16 ID:lvqzVTIk
「サーニャは可愛い」
私は自分の耳を疑った、え?エイラは今なんて言ったの?私の服を畳んでくれたエイラは、戻ってくるなり爆弾発言を落としてきた。
「サーニャはふわふわな髪やエメラルドの瞳がとても可愛らしい」
理解の追いつかない私にさらなる追撃、訳が分からないということもあるが、何より大好きなエイラが私に可愛いと言ってくれたことに戸惑っていた。
「サーニャは恥ずかしがり屋だけど一生懸命頑張ってみんなと仲良くなろうとしているところが可愛い」
もはや小パニックだった、私の日頃の頑張りを見ていてくれたことの感動もあったが、なにより可愛いと言われるのが嬉しすぎて、思わず声が出るかと思った。
「サーニャは歌声がすっごく可愛い」
もうだめ、何が何だかさっばり分からないけど、エイラが私のことを可愛い可愛いと言ってくれてるってことが嬉しすぎて死んでしまいそう、・・・なんでエイラは私に可愛い可愛いって言うのだろう?・・・分かっていることはきっとエイラは私が眠っていると思っているんだということ、多分私が起きていると知ったら気まずい空気になるだろう、よし!今日はなにを言われても動揺せずに、さりげなく明日聞いてみよう、と決意を固めた。

81名無しさん:2012/02/04(土) 01:14:30 ID:lvqzVTIk
「私はサーニャのことが大好きデス」
「ふ、ふぇ?」
あっ、と口を押さえたが、時すでに遅し、エイラと目が合ってしまった。
「サ、サ、サァ、ニ、ヤ?」
もの凄く顔を赤くして、口をぱくぱくさせているエイラ、きっと私の顔も真っ赤だろう。
「サーニャ、えと、いつからお、起きてタンダ?」
「・・・・・ずっと起きてた、よ」
「最初からジャナイカヨ!」
頭を抱えて悶えるエイラ、涙目になってくねくね動いている、すると今にも泣きそうな顔で私の顔を見た。
「頼むから全部忘れてクレー!」
恥ずかしいのだろう、プルプルと震えている、だけど・・・
「いや、忘れないもん」
「!?な、なんでだよ、サーニャァ・・・」
「だって・・・嬉しかったんだもん」
「ふ、ふぇ?」
エイラが目をぱちくりさせているが構わず続ける。
「か、かたちはちょっと変かもしれないけど、エイラが私に、だ、大好きって、言ってくれて嬉しかった」
「サ、サーニャ・・・」
「私も、そ、その、エ、エイラのことが・・・、大好きだから!!」
「!わ、わたしもサーニャのことが好きだ!大好きだ!!!」
「エイラ・・・」
「サーニャ・・・」
そして私達は唇を重ねた。

82名無しさん:2012/02/04(土) 01:33:53 ID:lvqzVTIk
後日談、私とエイラは付き合うことになり、みんなに発表したところ、「え!?いままでは違ったの!?」と言われました。
エイラにもっともっと甘えたいけれど、顔をすぐに真っ赤にしちゃって、実はあの時以来キスもさせてもらえない、・・・まぁでも私達は私達のペースで少しずつ、ゆっくりと私達の道を進んでいこう、あなたとならどこにだって行ける気がするからもっと沢山思い出を作ろうね。
「ね、エイラ」
おわり

83mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2012/02/06(月) 00:10:14 ID:Nj4b4bOw
>>82
GJです! 初々しいエイラーニャ、良いですね。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
>>72「happy dream III」の続きを
ちょこっと書いてみました。
ややエロスな部分がありますが……
ではどうぞ。

84rhythm red beat black 01/02:2012/02/06(月) 00:12:29 ID:Nj4b4bOw
 二段ベッドの上段で、並んで寝転び微睡む二人。一緒の毛布にくるまりながら、肌でお互いを感じ合う。
「ねえ芳佳ちゃん。私達、結婚はいつするの?」
「結婚……そもそも出来るのかな?」
 少し眠たげ、でも、そんなたわいもない話をひそひそと続ける。
「出来るってシャーリーさん言ってたし。出来なくても、私達二人っきりで。ね?」
「う、うん」
 リーネから妙に圧されて困惑気味の芳佳。
「だから、芳佳ちゃんは私のお嫁さんなの。それとも私が芳佳ちゃんのお嫁さん?」
「わ、私どっちでも」
「そう言えば言ってたよね、芳佳ちゃん。私の事お嫁さんだって」
 くすっと笑うリーネ。胸に視線が行き、そしてしっとりとして艶やかな唇に釘付けになる。
 はっ、と我に返る芳佳。慌てて顔をふるふると振り、誤解だとアピールする。
「あ、あれは寝言で」
「どんな夢見てたの?」
「それは」
「ねえ、どんな? 聞かせて、芳佳ちゃん」
 リーネは天然かそれとも故意か、ぐいっと芳佳に胸を当ててきた。
 501でも一、二を争う熟れた果実。芳佳の大好物。びくりと手が動きかけるも、必死に押し留める。
 これは邪念。だから、絶対に手を出しちゃ駄目。芳佳は心の中で反芻する。
 しかし、僅かに残った理性も、リーネの潤んだ瞳を見るうちに、融解した。

 欲しい。
 リーネちゃんのすべてを。

「あ、あのね、リーネちゃん」
 うわずる声で、目の前のブリタニア娘を呼ぶ。
「なぁに、芳佳ちゃん?」
「その……欲しい」
「え?」
「リーネちゃんが、欲しい」
「良いよ」
「本当? 全部、欲しい」
「うん。良いけど」
「けど?」
「ちゃんとお嫁さんに貰ってね?」
「貰う。貰うから」
 子犬の様に、浅く粗い吐息で、リーネに向かう芳佳。いつしか耳と尻尾も生えて……
我を忘れて、リーネの唇を舐りながら、同時に片手でパジャマを脱がす。
「んっ……芳佳ちゃん……」
「リーネちゃん……リーネちゃん……」
 囁き合いながら、お互いの身体を感じ、味わう。じんわりと汗で湿った肌に、舌を這わせ、柔らかな乳房を指先で感じ、
乳首を玩び、ちゅっと吸う。ひゃん、とリーネが恥じらうも芳佳は理性ここにあらずと言った表情で、まさにケダモノの如く、
リーネの身体に絡み付く。
 リーネも負けじと芳佳のパジャマを剥ぎ、ズボンの上からそっと手を入れ、熱く湿り気を帯びた敏感な場所に指先を入れる。
 びくりと身体を震わせる芳佳。
「ずるい、ずるいよ、リーネちゃん」
「やあっ、だって、芳佳ちゃんだって、私の胸」
「リーネちゃん、私のもの。全部」
 既に言語もあやふやになりかけていた。芳佳は目の前にあるリーネの全てを貰い受けようと、身体の至る所に舌を這わせ、
乳房を絞る様に、時に優しく褒める様に撫でる。芳佳の執拗な攻撃に、リーネは大きな胸をぶるっと震わせ、ううっ、と呻く。
そしてしばし身体を痙攣させる。何かを必死にこらえる表情を見て、芳佳はますますリーネを虐めたくなった。

 もっと。もっと。

85rhythm red beat black 02/02:2012/02/06(月) 00:12:57 ID:Nj4b4bOw
 乳房のあちこちに吸い口を付け、舐り、揉み、快楽の恍惚を共感へと換算する。もう一度、リーネと顔を合わせて、
ゆっくりと深くキスを交わす。
 リーネも負けず嫌い。芳佳の弱い所を知っている。芳佳と同じ様に身体を身体で押さえ込むと、芳佳の前から、そして背後から、
敏感な部分に指を入れ、そっとかき混ぜ、弄り、芳佳に甚大な興奮を与える。
 さながら空戦で言う巴戦の如く、もしくは蛇の受胎の如く、二人はベッドの上で絡み合い、平等に刺激を与え合い、昇華させる。
心の鼓動は早まり、息もより熱く荒くなり、お互いの吐息と汗の匂いを感じ取ると、更に高みへと昇る。
 次第に早まるペース。
「あっ……んあっ、芳佳ちゃん、芳佳ちゃん」
「んうっ、リーネちゃん、リーネちゃん、私、もうっ」

 二人の絶頂スイッチは同時に入った。絡み合ったまま、二人は秘めたる部分をお互い合わせ、がくがくと全身を震わせた。
ズボンはじっとりと濡れ、微かに雫が糸を引く。
 荒い息のまま、芳佳とリーネはお互いの名を虚ろに呼び合いながら、抱き合ったまま、眠りへと落ちていく。
 芳佳のパジャマははだけ、リーネのおさげは解け……素肌を合わせたまま、二人は束の間の快楽から休息へと向かう。
その先に見る夢は二人だけの秘密。

 リーネの解けた髪が、汗ばむ芳佳の腕に絡む。まるで得物を逃がさない魔法の糸の如く。
 薄目を開けて、浅い眠りに落ちた芳佳をそっと撫で、口吻する。
「私だけの、芳佳ちゃん」
 もう一箇所、はっきりと分かる場所にきつく吸い口を付ける。
「そう、私だけの、芳佳ちゃん。誰にも渡さない……」
 リーネは澱んだ瞳で微笑み、そのまま微睡んでいった。


「五月蠅くって眠れませんわ……」
 ベッドの下で、ぐぬぬと毛布の端を噛んで堪えるペリーヌ。
 いい加減一人で寝たいと思うも、リーネの事を考えると言い出しにくい事だった。

end

86名無しさん:2012/02/06(月) 00:13:14 ID:Nj4b4bOw
以上です。
リーネちゃんはいざとなったら独占欲が強いというか
もっと怖いと言うかそんな感じで……。

ではまた〜。

87LGA774:2012/02/25(土) 06:49:56 ID:mKePCBbQ
楽しめました

885uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2012/03/17(土) 07:00:55 ID:n8vRSAfc

>>78 mKLHP6oY様
GJです。サーニャに真摯に想いを伝えるエイラが素敵です。

>>83 mxTTnzhm様
GJです。甘々エロスなリーネ、堪能させてもらいました。

おはようございます。映画を観に行く前に芳リーネを1本、投下していきます。
では、どうぞ

895uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2012/03/17(土) 07:02:28 ID:n8vRSAfc

【Breakfast Love】

「芳佳ちゃん、サラダの盛りつけ終わったよ」
「ありがとう、リーネちゃん」

――日差しが燦燦と差し込む501基地の朝のキッチン。
芳佳とリーネがいつものように、朝食作りに励んでいた。
「ねぇ芳佳ちゃん、今は何を作ってるの?」
サラダを盛り付けたお皿をテーブルに並べ終わったリーネが、芳佳のほうを見て覗き込むように訊ねる。
「キャベツのお味噌汁だよ。サラダで余っちゃったキャベツを全部使おうと思って」
「わぁ、良い香り」
鍋から漂ってくる味噌汁の良い匂いがリーネの食欲をそそる。
芳佳が作ってくれるまで口にしたことのないスープだったが、今までに飲んだどのスープとも違うコクのある味わいが気に入り、リーネはすっかり味噌汁の虜となっていた。
「美味しそうだなぁ。ねぇ、何か手伝うことはある?」
「大丈夫。あとはキャベツを入れるだけだから」
そう言って芳佳は、キャベツをサクサクと手際よく切っていく。
そんな芳佳のことをリーネは、お菓子を待つ子供のようにじっと見つめる。
「どうかした、リーネちゃん?」
リーネの視線に気づいた芳佳が優しく問いかける。
「あっ、うん。芳佳ちゃんって指綺麗だなぁって思って……」
「へ? な、何言ってるのリーネちゃん!? 痛っ」
リーネの予想外の言葉に動揺した芳佳は、誤って自分の親指を軽く切ってしまった。
「よ、芳佳ちゃん! 大丈夫!?」
リーネは咄嗟に芳佳の親指を咥えて、傷口を吸う。
「わわっ、リ、リーネちゃん!?」
いきなり指を褒められたり、咥えられたりして顔をりんごのように真っ赤にする芳佳。
少しして、ある事に気づいた芳佳は顔を赤らめたまま、リーネに声をかける。
「あの……リーネちゃん?」
「にゃに? 芳佳ひゃん」
芳佳の指を咥えているので、呂律が回らないリーネ。
「もう離していいよ。そこに絆創膏あるから……」
台所に常備されている小さな救急箱を見ながら芳佳が言う。
万が一の時にミーナが用意してくれたものだ。
「あ、ごめん……」
リーネは慌てて芳佳の指から口を離す。
彼女の顔も芳佳と同じくらい真っ赤になっていた。

905uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2012/03/17(土) 07:02:54 ID:n8vRSAfc

「へへ、でも嬉しかったよ」
絆創膏を貼り終えた芳佳が、リーネの手をとって微笑む。
「え?」
「ほら、私っていつも治療する側だからこうやって誰かに手当てしてもらう事、あんまりなかったし……」
「手当てって……私、指咥えただけだよ」
「それだって立派な手当てだよ。だって、リーネちゃんは私の出血を早く止めたくて、指を咥えてくれたんでしょ?
恥ずかしかったけど……ありがとう」
「芳佳ちゃん……」
「それから、さっき私の指が綺麗だって言ってくれたけどリーネちゃんの指のほうがずっと綺麗だよ」
「え? そんなことないよ! 芳佳ちゃんの指のほうが綺麗だって」

「あ〜。お2人さん、イチャイチャしてるとこ悪いんだけど、朝食はまだかな? 腹減っちゃってさ……」
シャーリーを初め、501の隊員たちが次々と食堂にやって来る。
みんなが来たことで芳佳とリーネはようやく、自分達の世界から抜け出すことができた。
「わっ、ご、ごめんなさい! すぐ用意しま〜す」
「全く、キッチンはイチャイチャする場所じゃなくってよ」
慌てて朝食の準備に戻る芳佳たちを見て、ペリーヌが呆れるように呟いた。

――そして、朝食の時間……

「はい。芳佳ちゃん、あ〜んして」
「ええ!? 私、自分で食べれるよ」
「遠慮しないで。芳佳ちゃんが怪我したのって私のせいでもあるんだし、今日は私が芳佳ちゃんの腕の代わりになるって決めたんだから」
「で、でも……怪我したの左手の親指だけだから……」
「いいからいいから。はい、あ〜ん」
「う、うん。あ、あ〜ん……」
最初は周りの目を気にして乗り気ではなかった芳佳も、リーネの可愛らしい仕草と表情には敵わず、口をあーんと開けてリーネが差し出したサラダを食べる。
「うん……リーネちゃんのサラダ、とっても美味しいよ」
「ふふっ、ありがと」

「なぁ、ペリーヌ」
「何かしら、シャーリーさん」
「なんか、朝から熱くないか?」
「そ、そうですわね。特に真正面が……」
芳佳とリーネの席と向かい合う形で座っているシャーリーとペリーヌは、朝から甘過ぎる2人を見せつけられてすでにお腹いっぱいの気分だ。
そんな2人を尻目に芳佳たちは尚も、イチャイチャを続ける。

「ねぇ、今度は私があ〜んしていい?」
「えっ、いいの?」
「うん。リーネちゃん、あ〜んして」
「あ〜ん……うん、芳佳ちゃんのお味噌汁も美味しいよ」
「えへへ、ありがと」

「……なるべく視界に入れないようにしよう」
「そうですわね。それが懸命ですわ」
他の隊員たちもシャーリー達と同様に、2人の好きなようにさせることに決めたらしく、みんな特に芳佳たちを注意することなく自分たちの食事を続けた。
その後2人は、昼食と夕食も同じようにあーんして食べさせあうのだが、それはまた別のお話。

〜Fin〜

―――――――
以上です。スクリーンでウィッチ達がどのように動くか楽しみです。
では、また

91mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2012/03/17(土) 22:00:31 ID:K9j6mSeQ
>>89-90 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! 芳リーネ最高です!これはお腹いっぱい!


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
映画初日と言う事で、ひとつ書いてみました。

映画はまだ見ていませんが某所での情報を元にしましたので
間違い等有ったらごめんなさい。
微妙にネタバレ気味ですが映画本筋とは関係無いと思うので……。

ではどうぞ。

92go my way:2012/03/17(土) 22:00:57 ID:K9j6mSeQ
 食堂で二人並んで座り、朝食を取るリベリアンコンビ。
「ねえ大将」
「なんだ、ジェーン」
 ドミニカは気怠そうにパンをもぐもぐと噛み、飲み込む。スープを一口飲んだところで、
横でマグカップを持っていたジェーンがかっと前を見、まくし立てた。
「どうしてあの三変人だけ出て、私達出てないんですか? 酷い事に、他誰も出てないんですよ?」
「ん? 何の話だ」
「何の話って……大将」
 はあ、と大きく溜め息をついたジェーンは、マグカップをだんとテーブルに置き、ドミニカの顔をじっと見た。
「私達、もしかしたら銀幕デビューかも、とか思ったじゃないですか。そうしたらこの扱いですよ! 
パティさんもアンジーさんも、おかしいと思いませんか?」
「いや、私は別に……」
「わりとどうでもいい」
 話を振られたパティとアンジーは、少々戸惑いつつも割と素っ気なく返した。
「他人に気を遣わせるな」
 ジェーンの脇をつつくドミニカ。
「でも、大将」
 ドミニカは一足先に食事を終えると、薄めに淹れたコーヒーで一息つきつつ、ジェーンに言葉を投げかける。
「ジェーン、501が羨ましいか?」
「えっ?」
「他のウィッチ達が羨ましいか?」
「えっ、いえ、そんな、事は……」
 答えに困るジェーンを見て、微かに笑みを見せるドミニカ。
「501には、いつぞやの借りがある。それに、奴らは奴らで頑張っている。ブリタニア、ロマーニャ、そして……」
「ええ」
「数ある統合戦闘航空団の中でも、彼女達は戦歴もトップクラスだ。そりゃ色々有るだろうさ。やむを得まい」
「だけど」
「まだ何か有るのか?」
「違うんです。羨むとか、そう言うんじゃないんです、大将」
「じゃあ何だ」
「せっかく、出られると思ったのに……」
 ぽつりと言葉を絞り出すジェーン。
 目に涙が溜まる。
「せっかく、504のみんなで出られると思ったのに……思ったのに……」
 目をごしごしこすり、ぐすっとなりかけたジェーンを見る。意図を察したドミニカは、彼女の肩をそっと抱いた。
「言いたい事は分かる。……そうだな、そのうち、私達も何か機会が有ると良いな」
「はい」
「実を言うとな、ジェーン。本当は出ても出なくても、私としてはどうでも良かったんだ」
「えっ!? 何で?」
「決まってるじゃないか。お前と一緒に居られれば、それが何処であろうと構わない。ただ、それだけだ」
 ドミニカはそう言うと、ジェーンの頬に軽くキスをした。
「や、やだ大将! そうやって話はぐらかさないで下さい!」
「慰めだ。さ、行くぞ」
 ジェーンは少々の食べ残しも構わず、席を立つとドミニカと一緒に食堂を出て行った。
ミーティングルームではなく何故か寝室に向かったのが気になるが……。
 そんな二人の熱々っぷりをたっぷり見せつけられ、言葉と食欲を失うウィッチがふたり。
「ねえ、アンジー」
 パティがアンジーの顔を見る。振り向くアンジー。
「ん?」
「どう思う?」
「ジェーンが言ってた、例の銀幕がどうこうとか?」
「違くて。さっきのおしどり夫婦っぷり……」
「わりとどうでもいい」
 本日二回目の投げやりな言葉を聞いたパティは、はふうと悲しげに肩を落とした。
「ん? どうした?」
「アンジーのバカ。私も、しちゃうよ?」
「えっ? ちょっ、それっとどういう……」
 パティにずいと迫られ、どきりとした拍子にスプーンを手から落としてしまう。
 からん、とスプーンの音がするのと、パティの唇が触れたのはほぼ同時。

「ん〜、ウチは皆元気でいいわね〜」
 フェデリカは気付かれない様に、そっと食堂を後にして、ふふ〜ん、と鼻歌交じりに呟いた。

end

93名無しさん:2012/03/17(土) 22:01:12 ID:K9j6mSeQ
以上です。
いつか504、そして502や506と言った魅力的なJFWが
映像化もしくはメディア化されると良いですね。

ではまた〜。

94名無しさん:2012/04/05(木) 14:52:20 ID:1ZJbfS7w
はじめまして
初SSですがよろしくおねがいします
エイラーニャです

95名無しさん:2012/04/05(木) 14:53:00 ID:1ZJbfS7w
オラーシャなどの寒冷国ではウォッカなどのアルコール度数の高い酒が好まれている。
成人だけの飲み物というわけではなく若者たちにも人気が高く国民的な飲料として広く浸透している。
それは連合軍第501統合戦闘航空団に所属するオラーシャ出身の無口な少女も例外ではなかった。
サーニャ・V・リトヴャク中尉は夜間哨戒から帰った後にウォッカを飲むことが習慣になっている。アルコールでぽかぽかとした状態で気持ちよく眠りに就くのだ。
ナイトウィッチにとっての睡眠は非常に重要な事なので寝ることに彼女は妥協しない。
そもそもの飲酒の始まりの原因は本国からの支援物資の中には毎回ウォッカが詰められていたからなのだが。
今回はどんなのが送られてきたのかな?
そんなことを考えながら送られてきた物資をチェックするのが彼女は好きだった。
というわけで今朝も彼女のお楽しみの時間が始まる。
棚からグラスを取り出してベッド横の机に酒瓶と並ぶように置き自身もベッドに腰掛ける。
あとはグラスに注いで一人で晩酌(朝だが)をするだけなのだが……生憎瓶は空っぽになっていた。
そういえば切れてたんだった、そんなことを半分寝ている頭で思考しながら部屋の隅に置かれた木箱から新しい瓶を取り出す。
その瓶には緑の字で『SPIRYTUS REKTYFIKOWANY』と書かれているのに、可憐な乙女気付くことはなかったが……。

96名無しさん:2012/04/05(木) 14:53:25 ID:1ZJbfS7w
時と場所は変わって朝の食堂。
サーニャを除いた501メンバー全員が集まり朝食を摂っていた、ちなみにメニューは宮藤がロマーニャの市場で買ったスズキを塩焼きにしたシンプルな焼き魚と味噌汁だ。
「やはり扶桑料理は心に染みるな、宮藤!おかわりだ!」
「はい、どうぞ。みなさんもたくさんあるので遠慮せずに食べてくださいね!」
自分の料理を褒められた宮藤は嬉しそうにご飯をよそって坂本に手渡す。
「あれ?エイラさん、サーニャちゃんはどうしたんですか?」
「なに言ってんだオマエ?サーニャは夜間哨戒だったから今は寝てるゾ」
「え!!私うっかりサーニャちゃんの分まで作っちゃいました!!」
「よぉし!それなら私がもらおう!」
坂本がサーニャの分の料理を頂こうと手を伸ばしたその時、食堂のドアが開いた。
噂をすればなんとやら、開いたドアから出てきたのはサーニャ本人だった、パジャマ姿でしかも見るからにアルコールに冒されてはいたが。ちゃんとサーニャだった。
「よおサーニャ!おはよう!」
身なりについては敢えて触れずいつも通りの挨拶を投げかけてみるシャーリー。
「………」
サーニャは何も答えずにエイラの席まで歩いて行き彼女の手を握って席を立たせた。
「オ、オイサーニャ!?一体何のつもりダ!?」
愛しのサーニャに突然手を握られあたふたしながらエイラは問いを投げるがサーニャは何も言わずに食堂からエイラを引っ張って出て行ってしまった。
「どうしたんだろね〜、サーニャん」
エーリカ・ハルトマンはニヒヒとまさしく悪魔のような笑みを浮かべて”私は何もしてませんよ”的なオーラを出しながら朝食を終えた。

97名無しさん:2012/04/05(木) 14:54:13 ID:1ZJbfS7w
サーニャの部屋

部屋に入るなりサーニャはエイラ共々ベッドに倒れ込み、サーニャの両腕を掴んで身動き出来ないようにした。
「サ、サーニャ?どどどどどうしたンダ……?」
突然押し倒されたエイラはひどく動揺しながらもいつもとは違うサーニャの異変を感じ取っていた。
(さ、サーニャの息が凄く酒臭いゾ!?いつもとは違う酒を飲んだノカ!?)
「エイラ…可愛い」
(サーニャが私のことをカワイイって言ッタ!! サーニャが私のことをカワイイって言ッタ!! サーニャが私のことをカワイイって言ッタ!! サーニャが私のことをカワイイって言ッタ!!)
サーニャがアルコールに支配されているのは理解できたがサーニャに押し倒されているという状況のせいで気が動転して「あぅ…ぅぅ///」だとか「さ、さーにゃ…//」だとか「うぅ…ァ///」としか言葉を発せなくなってしまうエイラ。
そんな彼女を見て優しく艶美な笑みをサーニャは顔に浮かべる。
そしてサーニャはパニック状態のエイラに顔を近づけ……唇を重ねた。エイラはさらなるパニックに襲われ体が強張ってしまうのが分かったが、嫌な心地はしなかった。
サーニャはお構いなしにエイラの唇をこじ開け舌を口内に侵入させエイラの口内を蹂躙した。サーニャのキスはアルコールの香りがした。
熱いキスを交わしながら(サーニャの一方的な攻めだが)、サーニャは自らの手をエイラのズボンの中へと……。
「サ、サーニャ!!ストップ!ストップダ!」
ぎりぎりの所でエイラが叫んでサーニャを止めた、サーニャは不思議そうな顔をして
どうしたの、もっとイイことをしましょう、といった目でエイラを見つめた。
「サーニャ!私はサーニャが好きダ!大好きダ!付き合ってクダサイ!!」
彼女が今まで生きてきた内で一番勇気を振り絞った行動だった。エイラは真っ赤になり目をぎゅっとつぶってサーニャの反応を待っていたが……
数秒間の間が空いたあとサーニャがパタリとエイラの上に倒れ落ちた。
「やっと、言ってくれた……、ずっと待ってたのよ?エイラが『好き』って言ってくれるのを……」
かすれたような涙声でエイラを抱きしめるサーニャ。否、すでに彼女はエイラの長髪に顔を埋め子供の如く泣いていた。
一方のエイラは突然押し倒されてキスされるわ思い切って告白してみたら抱きついてくるわで何が起こっているのやら未だによく分からない。
サーニャが酒に飲まれたノカ?酒って怖イナ……。
冷静に今回の一事の感想を脳に浮かべていたエイラだったが不意にサーニャが起き上がり、エイラの目を見つめ返してきた。
うェ、まさかまたじゃないだろウナ……。
先程までのサーニャを思い出し少しギクリとするエイラにサーニャは天使のように言った。
「私もエイラが好き。エイラ、大好き」
「わわわわわ私も好きダゾ!!大好きダゾ!!」
「じゃあ、続きをしましょう?」
ニコッと天使のような微笑みを浮かべながらサーニャは再びエイラのズボンへ向け手を伸ばそうとする。
「ストップ!!ストップ!!サーニャ!!!」
エイラは再びサーニャの手を止めさせて言い放った。
「そそそそういうのはまだ早いと思うナ!!ああああ後2,3年経ってからにしヨウ!!それがイイ!!」
サーニャは思ったよりも幾分か外れた答えに一瞬きょとんとしたが、すぐに笑顔になってエイラに抱きついた。
「じゃあ、それまで我慢するわ」
「そそそうダナ、それがイイ。ウン」
「でも、キスなら問題ないでしょう?」
「あゥ、ウン……キスなら…大丈夫ダ、問題ナイ」
二人は互いの思いを確かめるように優しくキスをした。今の二人にとってはそれだけで十二分に幸せだった。

98名無しさん:2012/04/05(木) 14:55:06 ID:1ZJbfS7w
サーニャの部屋の外

「ちぇ〜、せっかくビデオ回してんのにィ〜これじゃあ面白くないよー!!」
悪態を吐くのは”黒い悪魔”ことエーリカ・ハルトマン。
二人の思い出を記録に残してやろう、という”親切”でサーニャの部屋の酒をすり替えたのだが、これではちっとも面白くない。いや、ちょっとは面白いけどわざわざ妹から最新のカメラを送って貰ったのにこれでは期待はずれだ。
あのヘタレめ、勇気を出す方向が違うわ!!とレンズの中のエイラを睨みつけるが残念ながらその思いは本人には届かない。
「あーあ、虚しくなってきちゃった、もっかい寝よ」
これ以上張っても事は進展しないだろう、そう決めてハルトマンは自室へ向けて歩き出した。
「今度は少佐に飲ませてみよっかな〜♪」
キューピッドのような悪魔のイタズラは更に加速する。

END

99名無しさん:2012/04/05(木) 14:57:32 ID:1ZJbfS7w
以上です
文章なんて学校の作文以来なので読みづらいところがあると思いますが時間つぶしにでもなれば幸いです
スレ汚し失礼しました

100mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2012/04/09(月) 02:09:26 ID:.hO4Sqa6
>>99
GJです。小悪魔というか悪魔的なエーリカが恐ろしいですw


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
>>21-24 「trude in the nightmare」の続きが出来ましたので
早速投下します。
ではどうぞ。


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