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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第114話☆

116朽ち果てた車椅子 ◆UKXyqFnokA:2012/07/12(木) 20:47:13 ID:jjotPRYQ
 海鳴市の住宅街の一角に、「八神」の表札が掛けられた、ささやかな一戸建てがあった。

 しかし、表札はやや斜めった「競売」の札が貼られ、この家が売りに出されていることを示している。
 この家には誰も住んでいない。
 不動産会社は、最低限の維持管理のために電気だけは通しているが、ほとんど消費されずにいる。

 昼間でも薄暗い、家の中。

 床に落ちた、古い革表紙の本。

 既に黴や虫に食われ、ページは穴だらけになり、表紙の革は破れて、中のボール紙が露出してしまっている。
 錆びついて崩れた鎖が、居室の床に力なく横たわっている。

 装飾に使われた金メッキだけが、かろうじて貴金属の輝きを残していた。



 この家の存在を、なのはは知らない。

 かつて、海鳴市で起きた事件は、もう誰もが忘れ去っている。
 フェイトとの別れと同時に、なのははレイジングハートをクロノに預け、普通の少女の暮らしに戻った。

 もう二度と、彼らに会うことはないだろうと思いながら、なのはは眠りについた。

 そして同時に、あの八神家の少女が死んだのと同時に、イギリスから日本への資金流入が止まり、海鳴市をはじめとした日本の税収がさらに減少していたことも、なのはには知る由もない。

 西暦2011年、秋。
 この一見のどかな海鳴市でも、将来への漠然とした不安が広がり、それは高町なのはも同じだった。
 恭也から士郎へは、家族を連れてドイツに来ないかという話がそれとなく出ていた。
 桃子も、喫茶店で使う果物や小麦粉、卵の仕入れ値が上がっていることに不安を隠せないようだ。

 ユーノ、クロノ、フェイト──彼らとは、もう二度と会うことはない。





das Ende




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