中編、短編投下所195 - 1745976462

1：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 10:27:42 ID:xNaSqCR2: 書き込むネタはノンジャンル。スレ違い／板違い／鯖違い／メディア違い問わず、ネタであれば何でもあり。

・書き込みの経験がないので一度体感してみたい
・あらかじめ他人の反応を知って推敲したい
・我ながらつまらないネタなので貼るのが躊躇われる
・なにか実験的な手法を試してみたい
などなど、基本的には何でもござれ。

《注意点》
・作品が投下終了直後は感想・意見交換などのために、次の作品投下予定の方は最低30分～1時間程度は空けてください。
・人が多そうなときに投下する際は被り防止にあらかじめリロード、または宣言しておくといいかも。
・残酷、グロテスクな描写、性的な描写がある場合は事前に告知すると親切。
・まとめサイトに載せたくない人は事前にその旨表記しておくこと。
・即興は禁止

次スレは>>970を踏んだ方が立ててください。
128：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:50:06 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :|
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　　　　　　　　f´￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　|　わっ！！　|
　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿ノ

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129：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:50:32 ID:xNaSqCR2: 　　 /　　ﾉ￣l
.　　/─ヽ　 _ノ　ツ

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　　　　　／　　　　　＼　　　　　　つ、冷たっ……！？
　　　　／　⌒　　ー　　　＼
　　　 |　（＞）　（＜）　　　　|　　　　なんなんだお。
　　　　＼　（__人__）　　　　／　　　　雨漏りでもしてるのかお。
　　　／　｀⌒ ´　　　イ｀ヽ、
.　　 , '　　　｀￣　　　　　＼
130：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:50:54 ID:xNaSqCR2: 　　　　＿＿　　　　　　　　l　 /
,,..-''"´ 　　　'' -..,,　　　　 ′／
　　　　　　　　｀ヽ
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　　　　　　　　　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　ヽ
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131：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:51:16 ID:xNaSqCR2: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
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　　顔を上げると、屋根は風にめくられて、有明の月※が白く残っているのが見えた。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　※夜が明けても残っている月

　　　　　　　　　　 ( ;; ;: ）　 ⌒ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　. ;.; .; :.: ⌒)　..;.;:⌒):.ノ
　　　　　　＿＿_ノ　ノ⌒)　 .;;:.;.)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿,ノ　　　　ノ⌒) .;. :.:ノ、
:.｀)＿　_￣￣　＿　＿＿＿_丿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　￣￣￣￣｀　　　　 . .. ;: ;.:.:;;｀ヽ _:;,）
:.;....)´￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿ﾉ⌒ーー'⌒ヽ　　　　　　　 _ノ　　　　　.. . .;: .:; .:_,ノ
: .. ＝─　－　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣ヽ . :. :;.;;;）;.;;ヽ　　　　　　￣｀ヽ＿,ノ　⌒￣￣´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ´`;　　　　　　　　　　`ｰｰ⌒‐-､__｀ー､__
一⌒)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ´　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣
::.:､::.｀ヽ＿
ー'￣￣´

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132：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:51:37 ID:xNaSqCR2: ┏━━━━━━━――――
　　家の扉も有りや無しや。
　――――━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――
　　朽ち崩れた簀垣の床の隙間には荻・すすきが生え伸びて、
　　打ち零れる朝露は袖を搾れるほどに濡らしていた。
　――――━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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渊|i:i:i:i:ｉ|;:;:;:;:;:|::: | |:|　.:|　ｉ　　　￤　,小,:::| |:;:;:;:;::|: : :＼─ー‐┴┐: : :.:.:.:.:.:i:i:ﾐ;ﾐ;ﾐ;狄絲愀豼ｉ貅貅ｉ豼i戀
渊|i:i:i:i:ｉ|;:;:;:;:;:|::: | |:|: :.:|: : |　　　￤.:^ﾇ９９c｡;ｖｆｋ|: : : : :＼ー─‐┴┐: : :.:.:.:.:.::::::::i:i:ﾐ;ﾐ;狄絲愀豼貅貅貅
渊|i:i:i:i:i:)h､;:;:|v小小vi|: : |　　.:::|:::jﾙS彩ミﾐc}|}うp: : : : : ＼ーー‐┴┐　 _ja.:.:.::::i:i:i:i:i:i:i:狄狄絲絲絲絲
渊|i:i:i:i:i:i:i:i:|赫絲狄狄狄viviv::::::|;:ｯ㌫彩比ﾐ价ぅ)小､: : : : : |──ｰ‐弌Yア'"⌒　i!:::::i:i:i:刈ｆそi:i:iｆれ狄
渊|i:i:i:i:i:i:i:i:|絲狄狄狄絲絲辿乢|＿亥彩比ﾝ{{ｆｒう从:＼: : :├─<　ノ⌒Ⅵ㌍ミ‐ﾐﾙ'⌒ヽ　Ⅵノ-ミｖﾘa
渊|i:i:i:i:i:i:i:i:jﾆﾆﾆつ'"^＾⌒￣｀'くΞ　-筏㌍㌍㌍㌍ΞΞ‐　ｖｉｖｉｖｉｖｉｖｉｖｉｖ｝Ｋ　　 >}Ｔ⌒　ノＹ(　 ,ノ｝}ろ
渊|つ^＾￣　　_ _〈::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:〉…　　ｰ二ΞΞ二……ﾐ;ﾐ;ﾐ;ﾐ;ﾐ;ﾐく⌒'弌{i㌃　__j乢ノ⌒ヽ人㍊㏄｝㎞ノj{
渊乂_　　　　　‐ΞΞ二二ΞΞﾆ…　　　‐ ‐　-…二ΞΞ｀'ミ爻ミ爻T派{爻淡=‐ ⌒ 7爪㍊㌍ｃｄ斥ｧ'´
ﾆ=‐≦二… ‐　　　　　　　　‐… ‐　　　　　　　　　‐ ‐--　……災淡爻<√￣￣´'爻｛｛ひひｘﾉ(　)｣L｣_
ΞΞ二……‥‥─ ‐‐ 　‐　　　‐　　　　　　　　　　　　‐ ‐二二二…‥─ ‐　　　　ーー-ミ　ｧ'´
Ξ二……─　‐　　‐　　　　　　　　‐ ‐ ‐　　　　　　　　　　　　　　　　　_ ‐ ‐　　　　　　　　　 ´'弌㌃⌒
133：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:52:10 ID:xNaSqCR2: 　　　　＿＿＿_
　　　／⌒三 ⌒＼
..　／（ ○）三（○）＼　　　　　　ど、どういうこっただお……！？
／::::::⌒（__人__）⌒:::::＼
|　　　　　|r┬-|　　　　|　　　　やる夫の家がボロボロになっちまってるお！？
＼　　　 `ー'´ 　　／

　　　　　　 ,.二二二二、　＿＿＿＿
　　　　　　　　 ─ 　　／._ノ　　　＼
　i´｀Y´｀Y｀ヽ（⌒）　　　／（◎）,　　　ヾ､ .＼　　　　　　　壁は蔓草に覆われて、
　ヽ_人_.人_ノ　｀~ヽ　 /　　　（__人__）（◎）　.＼　　　　　庭は雑草で埋もれてるお。
　　　＼＿＿_　　＼　|.　　　/　.〉　　　　　 |
　　　　　　　　　＼_ 〉＼　　/ｰ-〈　　　（⌒）／　　　　　　これじゃあ、ずっと前から
　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾆﾆ´　　　ノ　Ｙ`Y´｀Yヽ　　廃墟だったみたいじゃねーかお！？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (´￣　　　.i__人_人_ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀￣ヽ　　　　　 /
134：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:52:30 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　　　　　　　　　人
.　　　　　　　　＿＿＿_　　　　て
　　　　　　／　　　　＼　　　〈
i⌒',　　　／　 ⌒　　 ⌒＼
| 　つ／　u　 ( ○)liiil( ○) ＼
|　　|　|　　　　（__人__）　　|
|　　|　＼　　　　 |r‐- l　u.／　　　　　　　そうだ、やらない子！！
|　　￣￣　 ,- 、　｀ー'´ 　＼
＼_＿＿_ 　ヽ　ヽ＿＿_) 　　|　　　　　　　やらない子はどこにいるんだお！？
　　　　＼⊂_　　　　　　 /
　　　　　　　＼｀ー─── ' ヽ　　　　　　 ……見当たらないお。
.　　　　　　 ) 　　　　　　＼
　　　　　　／　　　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　／´`＼　　　　　＼
　　　　　 !　　　　く´　　　　＼　　　　ﾍ
　　　　　＼　　　＼　　　　ヽ　　　　ﾍ
　　　　　 (´____＿___ノ　　　　　ヽ　　　　ヘ
　　　　　　｀￣￣　　　　　　　　 ∨__＿___｀)

　　　　　＿＿＿_
　　　　／　　　　　＼
　　／ _ノ　　ヽ__　　＼
　／　（● ）　（● ）　　＼　　　でも、ここは確かにやる夫の家のようだお。
　|　　　（__人__）　u　　　|
　＼　　｀ ⌒´　　　　／　　　　やる夫のお気に入りの場所だった
　 /　 (__｀ヽ、　　　u　＼　　　　稲倉が残っているからだお……。
　＼|　｀＼　＼＿__ﾉ　 |
　　　|　　　＼＿＿＿/ |
　　　|　　　　　　　　　　 {
135：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:52:55 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀｀ー-、
　　　　 _／'''ヽ　 _..、　　　　_....--ー;_＿_、　 _〃:::::::::::::::::::::|
　　　 /':::::::::::::::''´ ,,ｌ,,..一‐‐´::::::_....--―‐::::::::ｌヽ、:::::::::::::::::::ｌ
　　　　:::::::::::::／ |'厂￣::::::::::r"'´''‐ｰ-､::::::::::::| 'ゝ '、:::::::::::::::ヽ
　　　　ヽ::::::〈 /l丿::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::￣''くﾞ'''‐っ:::::::::::::::::ﾍ.
　　　　　ヾ::::::::’ '|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::､:::::::::::ヽ:::::::＼:::::::::::::::::ヽ
　　　　ｌ:::::::::::ﾉ:::::::::::::::::::ノﾍ::::::、::::::::::::丶:::::::::丶ﾍ::::＼:::::::::::::::＼
　　　　　|:::::::::r":::::::::::/:::::/　ヽ::::::、:::::::::::::ヽ:::::::::ゝ､ヽ::::::丶::::::::::::::::＼
　　　　 | ::::::/:::::::::::::'::::::ﾉ　　　＼ヽ :､::、 :::::::ヽ::::::::ヽヽ:::::::::ヽ::::::::::::::::ヽ､
　　　　　!::::::l::::::::::::::::/’,'　　　　　ﾞヽ 'ヽ--‐-ヽ::ヾ,:l:::::::＼＼:::::::::ﾞ:::::::::::::::::ヽ、
　　　　　|:::::::ヽ:::::::::/ :ｌ --－-　　　　) ィ≡ミ ∨ゝ|:::::::::::ヽ｀‐...::::::ヽ:::::::::::::::::〉
　　　　　|::::::/::::::/:::::_ 1_:ィ≡ミi　　　'" ヾ::::::ﾉ　 !,'ﾞ:::::::::::::::ヽ　　`ｰ- ::::::::::::/
　　　　　ｌ::::/　V:::::::::::::ヽﾍ:::::::リ　　　　　ﾞ￣　、ﾉl/::::::::::::::::::ヽ　　　　ヽ:::/
　　　　　ヾ:ｌ　　 '::::::::::::::ﾊ､￣　　　　　　　^ｿ::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　 /
　　　　　　 |　　ﾞﾍ:::::::∫::ヽ、　　｀_ __　　ノﾍ :::::::::::::::::::::::ﾞ':::::::::ヽ　　/
　　　　　　ヽ　　　｀ﾞへ:::::::::::ﾞ'ゝ､　　　　..／　 '::::::::::::|´｀`''‐':::::::::::::::ヽ、
　　　　　 ′　　　 |::::::::::::::」ｌ(ヽ' ‐　′　:::::冫::::::::|　　　ヽ.::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　 /::::ｒ::::::::::::l ﾉ／ヽ、　 /:::::/::::::::::ﾉ　　　　 |::::::|''ｰ-....、＼

　　　　　　　 -─‐──‐-、
　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　／ ;　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　 l　　U　　　　　　　　　 l
　　　　 |　　　　　,　、　　　　 ;　　 |⌒´⌒｀ヽ、　　　　　　　昨夜のことは
　　　　　 !、　　_ノ"　"ヽ、__　　∪　　　　　　　　＼　　　　　狐の仕業だったのかお……？
　　　　　　ヽ (（●）　（●） )::　 /⌒゛`　　　　　　 l:
　　　　　　　 /ヽ~゜（__人___）~__ ,ノ|　　　 ,　　　　　|　　　　　　やる夫の家もやらない子も……。
　　　　　　 /　　　/` ⌒　´　　　 | 　　 |　　 ,　　 !
.　　　　　　/　　　/　　　　| `ー-,,,|"　　　|___,ノ　　 |
　　　　　 /　　　/　　　　　|　　　　|　　　　|　　　　 ,lー─- 、
　　 , --‐-ー、_/　　　　　 l　　　 ,|　　　　|　　　,／　）　　）
　く / /　ァ- ,ノ　　　　　　＼ノ＾ノ^／⌒ヽ.j＼　　／＾ー-‐'
　　 `ー' ー´￣　　　　　　 (_イ_,イ、_,ィ'´__/　　￣
136：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:53:17 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　：＿＿＿：
　　　　：／::::::::::::::: ＼：
　　：／::::::::::::::::::::::::::::＼：
　：／:::::::::::::::::::::::::::::: 　　＼：　　　そんなの……、
.　：|:::::::::::::::::::::::::::（ー）　.　　|：
　：＼　　（__人__）　.　　／：

　　　　　　　　　　　　　／￣￣￣￣￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　ヽ/ 　　　／￣￣´　　　　＼
　　　　　　　　　　／＼　八／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　｡oト--v)　　　(　-‐==　 )o　　　　　　＼
　　　　　　／⌒　　　　　ヽ　｀⌒´し　　o　｡。　　　＼
　　　　　　　（　　　 /　　　　 }　　　　　　°　　　　　　　　＼　　　　 |＼　　　　 /＼　　　　　/ |　　　／/　 /
　　　　　／　ヽ＿_{＿＿＿,ノ⌒ヽ　　　　ｏﾟ　　　　　　　　　ヽ　　＿|　＼/＼/　　＼／＼/　|∧／　/／/
.　　　 /　　　辷vぅ　　　　　　 }　　　　　　　　　　　　　 |　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　∠　　　　そんなの嫌だお！！　　　＞
　　　　 |　　　　|　　　　／￣｀/　　　　　　　　　　　　　　　 |　　／＿　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＼
.　　　＼　　 | 　　 /　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　￣　/　／∨|　/Ｗ＼　　/＼|＼　 .|　￣
.　　　　＼　│ 　 /　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 /／　　　|/　　　＼/　　　＼|
.　　　　　＼｀ー┴―一'　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　＼ヽ＿＿＿,　　　　　　　　　　　＿＿／
　　　　　　　　　／＼　　　　　　　　　　　　　／￣￣　　￣＼
.　　　　　　　　/　　　｀ー― --　　　　　／　　　　　　　　　＼
.　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
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137：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:53:40 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　　　　　　　　　　人__ノ;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'／
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　　　　　　　　／;';';';';';';';';';';';';';';'ο;';';';';';';';';';';';';';';';';';';'／
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　　　　／;';';';';';';;';';';';'о;';'/　　ι._,,イ;';';';'／
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　　 ../;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'_;' 彡　　　　　　　ﾎﾟﾀｯ…
　　/;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'';';';','‐` ´　.
　/;';'_;'_;'_;';';';';';';';';';';';';';';';';',-''``゛　　　　ﾟ。　　　　　　　　ﾎﾟﾀｯ…
　レ´　￣￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　о

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○
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138：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:54:04 ID:xNaSqCR2: 　　　　　 /::::::::::::::::::::,　　　　　　　　 l::::::::::::::::::l:|
　　　　　,:'::::::::::::::/::::/ 　　　　　　 |::::,:::::::::::::ﾘ
　　　　冫､:::::::::/::::/　　　　　　　　　 |::;'':::::::::l::｜
　　　　〈　ﾞｆ＝=y'　　　　　　　　　　 |':::::::::::::,!:::}
　　　 .｀;.　|ｰ一'!　　　　　　　　　　|:::::::::::::::i:::|　　　　やらない子……。
　　 .:::... l|　l.　　 {　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::ｌ::|
　　　 .::::l|　ヽ-―',::..　　　　　　　 }:;;':::::::::::::iﾉ　　　　お前は既に亡くなり、
　　　　 .::ヾ､､_＿,ﾉ::::::::::..　　　　　　 ;':::::::::::::::-､|　　　　今は狐と狸が住み着いたこの野原の宿で、
　　　　　 .:::::｀￣´:::::::::::::::::::.......　　　 ,!::;:::::::::::::::::l　　　　物の怪がやらない子に化けて姿を見せたのかお……？
　　　　　　 : : ::::::::::::::::::::::::::::::::::.....i'´::::::::::::::::､';
　　　　　　　　 : :::::::::::::::::::::::::::::::::〈__,..-::ー-;､j
　　　　　　　　　 :::::::::::::::::::::::::::::::|　ヾこニﾆﾞ'､
　　　ｷﾞｼｷﾞｼ…　　　　 ::::::::::::::::::::::::::'、、ヽー一'ヽ、
　　　　　　　　　　　　　 ::::::::::::::::::::｀"ヽ｀.、　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 ::::::::::::::::＼ヽ.　　　 j';:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::ゝ.` ｰ '",ﾉ:::::..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ ¨¨´

　　　　　　　　　　 /　　　　　　　ゝ- ─
.　　　　　　　　 /
　　　　　　　　 ' -　´　　　　　　　／_,,,
　　　　　　　 ;　　　　::､,　　　　 ´ ''"
　　　　　　　　　 ;　　_,,,,,,,,
　　　　　　　　 i　彡''"´　　　　　　　　 '
　　　　　　　　 |　○ 　 /
　　　　　　　　　 ! し　　 {　　　　　　　　　　　　それとも、やる夫を慕って魂が帰って来たのかお……？
　　　　　　　　 |.　　　　ヽ　　ノ｀::ｰ-＜
.　　　　　　　　ｷ　　　　　｀ﾏ::::::＞-─一　　　　　結局、この里で昔から住んでいた村人は
　　　　　　　　ﾊ　し　　　　ゝ´　　　　　　　　やる夫ただ一人なのかお……。
　　　　　　　　　　ﾍ
　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 {:l:l:l:＞‐--:‐ｧ
　　　　　　　　　　　 {:l:l:l:l:l:l:l:l:l:l:,′　　　　,l
.　　　　　　　　　 }ヽ:l:l:l:l:l:l:l:l}＿＿　ィ/l:
　　　　　　　　　 /:l:l:ﾍ:l:l:l:l:l:l:} : : : : : ,'l:l:l:
.　　　　　　　　 /:l:l:l:l:l:ﾍ:l:l:l:l:l} : : : : ,'l:l:l:l:
.　　　　　　　　〉､:l:l:l:l:l:lﾍ:l:l:l:} : : : :,l:l:l:l:l:
139：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:54:32 ID:xNaSqCR2: 　　　／￣￣￣＼
..　／／　　＼＼　　　　　　ここは寝所だった部屋……。
／　（○）　（○）　＼
|　　　　（__人__）　　　　|　　　不思議なもんだお。
＼　　　｀ ⌒´　　　／　　　　昨日は一緒にここで寝てた筈なのに……。
／　　　　　　　　＼

|　　| 　|　|　　　＿√　　　　　　#　 '　　　メ　: . 　　　　.':
|　　| 　|　|　　';'　　　　.,　　　;,'　　　　　　":
|　　| 　|　|　　 .＿＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　.':　　　　　　　　　　.',';:
|　　| 　|　|　　 | 　　＿＿＿　　 ||　　i'`'i
|　　| 　|　|　　 | 　　|ゝ::::::ζ＼　;|| 　 |;`;|　#　_ '　　　;';　: . 　 ',　　　　　　　　　　'.;.
|　　| 　|　|　　 | 　　|＼;;;; ＼';､＼.|　 :|':i;;|　　　　　　　　　　 ',　　　　　　#;.
|　　| 　|　|　　 | 　　￣￣￣　＼';､.＼|;';;;|:. ﾟ　;ﾞ　ﾟv-=-　　　　:::
|　　| 　|　|　　 | 　　　　　　　.＼';､＼;|　　　　「;.':"　　　　　　　　　　　　";ゝ]
|　　| 　|　|　　 | 　　　　　 ,/￣.￣'＼';､＼､_,_,_,_,_,_,_;.',;:　>
|　　| 　|　|　　 | 　　　　　 |＼＿＿＿＼';､＼..:::::::./|　 <　 '　　.':""　: .　#;.
|　　| 　| .ヽ￣＼￣￣￣￣￣＼|__;_;_;_;_;!─＼';､＼,_;l/￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
|　　|＿|/　ゞ;;:_ﾉ　;;:ﾞ´　　　　ゝヾ　　　　　　　"~''ヽ/　　　　　　　　　　　＿
　　_,,　　　　""　;;　　/ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∂　　　　:ｌ;;;;;;ﾆii　::　⊂∵⊃
　　ヽ/　　_　　　　　　￣';;;　　　　　　　　　　;;:　　　　"`
　　　　　//　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌゝ
140：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:54:54 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　　　　　　　　 -‐　￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　´
　　　　　　　　　　 ´
　　　　　　　　　／
　　　　　　／
　　　　　　 /　　　　 ,､
.　　　　 /　　　　　　　｀ｰ- ､_
　　　　 /
. 　　　 l　　　　　＿　ヽ
　　　　　|　　　　ｉ /:::::::ヽ　 }
　　　　　|　　　　 | {::::::::::::} 丿　　　　　　　　　　　　　　ん…？なんだお……。
　　　　　|　　　　ゝゝ― '
　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この床は人が動かしたような跡があるお。
　　　　 l　　　　　　､
　　　　 {　　　　　　　}
　　　　ヽ　　　　　／
　　　　｀┬― ´　　　　　　　　　　　　　　 . :
　　　　　＼ : : : : : : . . . . .　 . . . . . . . . . : : : : :
　　　　　　　　　＼ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　｀ーｧ‐-. : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　 /: : : : : : : : : :￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　/: : : : : : : :
　　　　　　　　/: : : : : : :
141：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:55:16 ID:xNaSqCR2: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
┃
　　床を取り払うと土を盛った墓があり、雨露を防ぐように工夫をして作られていた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　 ┼┐″ ﾉ二l
　　　　　　　｜｜　　 _ノ　　ツ　・　・　・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j{ /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.j{ /|!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j{ /|!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_j{ /|!__ ,,.,.,.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-=ニ￣=--　￣ - |~~~|〕 _
　　　　　　　　　　　　＿＿　--ニニ--　--　‐ -　　　ﾞ'=='ﾞ￣　-
　 __　＿＿　　--＝-‐　二二　　-ニ=-　　＿　　　　　-　　_ _ _
　-　　￣　　ニ　　　--　__　　　　　　　-=-　=-￣　　　　　　￣
　　　　　　　　__　-＝　　　-　　　-
142：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:55:48 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　＿＿＿_
..　　　　／　　　u　＼　　　　　　は、墓……？
　　　／　　 _ノ::::::::ヽ_＼　　　　　誰の……？
..　／　し（○）　（○）＼
　 |　∪　　（__人__）　 J |　　　　まさか、やらない子……？
..　＼　　u　　｀⌒´　　／

　　　　　　／￣￣￣＼　　　　　やる夫はお墓の真上に寝ていたのかお……。
　　　γ⌒)　　　　　　(⌒ヽ
　　／ _ノノ:::::::::::＼　＼ `､　　　　一瞬だけ寒気がしたけど、
　（　 < （＞）:::::（＜）　u　| 　）　　　ここからやらない子がやって来たと思うと、
　　＼　ヽ　（__人__）　／／　　　　切なくなるお……。
143：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:56:19 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　｢　　　　　　　　　　　　　　　　 |
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　 |
.　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　│
　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　木の墓標に何かが貼ってあるお。
　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　古びた那須野紙のようだお。
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　 _ 、　｢｀丶､
.　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　（､ノ＼|　　,　＼
　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶、　＼/ 　　＼
　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　＼　　`＜　　　＼
　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　__　-┬‐ヽ、　　　　　　　、
　　　　　　　　　|＿...　 ---――　￣　（_ノY⌒い　　　　　ヽ

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
┃
　　文字はところどころに消えかけていて見定め難いが、
　　まさしく妻の筆の跡であった。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　─────━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　-一'　　　　ﾞー-　＼
　　　　　　　　　　　　　／　／ ,==、ヽ　　 /´,=、ヽ＼
　　　　　　　　　　　　／ u （　（:::::::::i　l 　　l i::::::::)　）　＼
　　　　　　　　　　　　| .　　ヽ_ ｀ー´ノ　　　ヽ｀ー´_ノ　　 |
　　　　　　　　　　　　|　 ''"⌒'（　　　 .　i　　　　）'⌒"' u　|
　　　　　　　　　　　　＼　　　｀ ┬─'＾ー┬'　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　＼　　　ヽ、::::::::::ノ　　＿／
　　　　　　　　　　　　　　　∨､ {{｀ヽ.￣￣￣_. イ.ｰ' {_
　　　　　　　　　　　　　 _,,-,∨､}}　 {ﾄ,;;;;;;;;;/ }　./ゞ〈::ヽ
　　　　　　　　　　_,..-.:"　ヾ、..:.:ゝ＼｡ | ｌ.|　|｡〃､く.:.:.:}`::..､,,_
　　　　　　_,..-.:"　　　　　　ヽ.:.:.:｝}｀| .|.i |　´/　／.:.:ﾘ　 .　　`i:ｰ.,
　　　　 ,´ｰ-､:　　　　　　　　　':.:´ヽ　.| l |　/／.:.:.:.:/　　　　　:i:::::::',
　　　　 l:::　　`::､　　　　　　　　 i.:.:.:.:ヽ,|| |／.:.:.:.:.:.:/ 　　　　　 .l:::::::::',
144：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:56:40 ID:xNaSqCR2: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
┃
　　法名も亡くなった年月も記されず、三十一字の末期の心を哀れに述べていた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　, ⌒ﾊ　　　　　　　　　ﾊ⌒ 、
　　　　　 j:::::::::ヽ ,ﾍ^ ⌒　Ｙ ⌒ヽ/ .::::::::i
　　　　　ﾉ:::::::::j（ﾉ ..::::....::::..:::: ::. .ヾ)':::::::::::i
　　　　　ﾙ:::::ﾘγ::..:::::..:::...ﾍ、: : : :: ﾉy:::::::ﾘ
　　　　　 Yyﾉﾉ :ﾉ...:ﾉ　ノ　　ヽ ::::::）ﾙﾘﾉ
　　　　　　　　ﾘ::::::(　（ー）　(ー::（
　　　　.　　　　ﾊ::::ﾊ　,,　 r‐ｧ　ﾘ） )
　　　　　　　　　） ) ）、　￣ノくﾊ（
　　　　　　　　（,（.(　' ﾍ　　いﾉ:::））
　　　　　　　　ノ/）` 　ヾ　ｿ￣（(

　　　　　ハへｒ､
　　　r‐/ノ＾く,ノｌ､＿
　　　ﾉヾ{ヽ.　/ 　ｊノ´
　　くゝ､ｋＶ　_ノへ、
　　＜､___,不､tｰ-‐´　　　　　さりともと思ふ心にはかられて世にもけふまでいける命か
　　　〈∠ｲｌﾄ､ヽ〉
　　,小､　　||　｀′　　　　　　　（それでも、いつかはきっと帰って来ると待ちわびる、
　ハ!ハ　　||　　　　　　　　　　その我が心に欺かれて、よくも今日という日まで
　{ 　l 　} 　 || ＿_ _　　　　　　　生き永らえてきたものよ）
　ヽ､j_ノヒ'ﾌ||｀Ｙ⌒ヾヽ、
　／|| `丶ヽ||　l. 　ノ⌒ヽ、
<,. -||─-､｀||丶ｂ'-､‐ｔ＜ﾉ
　＼!! ノ´⌒||'´丁｀ヾ､ソ
　　||｀￣￣||￣|ｌ￣￣
145：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:57:02 ID:xNaSqCR2: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
┃
　　ここで初めて妻の死を悟り、大いに叫び倒れ伏した。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　─────━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　／￣￣￣＼
　　　／／　　 :::::＼:::／.＼＼
　　　／　　　｡<◎>:::::<ー>。
　　　 |　　　　.:::｡ﾟ~（__人__）~ﾟj
　　　＼、　　　゜　｀|!!il|l|,;／゜
　　　　／　 ⌒ヽﾟ　 lｪｪｪlﾟ　｡
　　　/　,＿＼　＼／＼＼
　　と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
146：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:57:40 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┼┼　ヽ　,　　　 ───────　　○　 ───
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　／　　　　　　　　　　　　　／　　　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┼┼　ヽ　, 　　／　　/　| γ⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ´⌒ヽ. 　　ﾉ　　／　　／　　　/　 |（　　　⌒
　　　　　　　　　　　　　 ,　⌒ヽ　　　　γ⌒　 ⌒ヽ　　　　　　　／　　　　/　,'⌒
　　　　　　　　　　　　（　　　　'　　　（　　　　　　⌒ヽ⌒ヽ、　／　　　　 γ'⌒
　　　　　　　　　　　　 ,ゝ　　　　｀ヽ(　　　　　　　　　　　　）　　　　　 (⌒
　　　　　　　　　　　　( 　　　　　γ⌒ヽ, '⌒　　　　　　　　　ヽ- 、　γ⌒

　　　　　　　　　　iv'ﾍ
　　　　　　　　　　| ;`;|
　.　.　.　.　.　.　.　| ;'l:|　　　　　　 i'`'i　　　　　　　　、　、"''''"´ .　.　.　.　.　.　:　: . :
.　. .　. .　　　　_,;::!:`l'|　　ζ＼　　 |;`;|　　　　　　　 ∥ 　 . .　. .　. .　. .　. .　.. .　. . ,.,:::
　　　　　._,. :.':"..._|_.;l:| 　　＼';､＼　 :|':i;;|　　　 .　 i'1　　　||／>　　　 ,,　,.,.;,;::::,:::::;''"　..:.::;':;
　　_.....:;;:;:;::';::':':'"|＿}:;|　　　　＼';､.＼|;';;;|　　　./〉　|;|＿r／／:;:':''"ﾞ"ﾞﾞ'..:::::.::;::;:::;:::;:;';';:::';'::'''"
　｀　´ ...:.,.._　　　|＿|`|＿r:‐:‐:‐:‐＼';､＼;|　r‐//┐_|:|::::::::;⊥:';'"'''｀ .;:;'、;':'":'"　 .　.
,.,:'".,:::;:':;'' .　　　|＿};|::::::::::: : :: : {二l＼;i`!､::://:::::::::::::::::::r| .::|　.　.　.　.　.　:　: . :
';'::'''"　　　　　　 |＿|￣/＼:::::::/`|＿{┬| |;､＼::::::::i'|::::::r┴冂、､　　　 ,　-─'ﾞ7´￣￣ﾊ─r‐
　　　　､v,..v､　　|＿}::/ ､';';〉.:/ /{＿|┴lニニニニﾆｌ.r┴､_|_|_|:彡v､.／　/.::　.::.／....::/ ,::'.ｿ;:::
─'ｰ;;ﾐﾞ'爻爻ﾐ;.. |＿;l'_;_;_∠;/_/___l_,,:;;}┬┴┬┴┬┴┐::| .:::|彡ﾐx;: -─: ｯ淼w ｰ ywv、‐ー
ﾞ':;ゞ;爻彡炎炎;ゞ~゛'' ┘⊥ ｣_　|　　|{＿|┴┬┴┬┴┬┴┤ .:|彡ﾐﾒﾞ';ヾ: ;:; ';: ;:; 'ヾ淡炎ﾐﾐx:;'
'' ;~　;＾::;”v:";y;''ﾟ　; ::;y　　; ::;　: ~゛'''' ┴'::⊥Λ二＼.:|　　.:|ー:| ;~　;y ::; : ;:; 'ﾐﾞ': ;: ',;:; ;~'',;'':; ;
";: ;: ;: ;:　　; ::;　: ;:; :; :　 :: :; : ;:; ;~'',;'　'　: ;:; ;~　; ::; ;~'',;'' 　; :　; ::;　:;~'',;:;　,”v:": ;:; ';v:'';'' ;~'',;'
: 　;:; ;~　; 　:; ;~　',;'' 　　; :　; ::　　:;　~''　,;:　;　: ;:　; 　: ;:; ;　~'',;'　　;:;　　　'ﾟ ":;;;:　: 　;　　: ;:
:; 　　. ;:　; ;　'',　;'　'　.;~'　',　;'　　'ﾟ ".　　.　　;;　　: 　;　　　: ;　: ;:　　.　;　:; ;~　; 　:; ;~　　',
　: 　;　.'　　:　　 ;　. 　　　;　　.　 ;　'　:　　'　　;~　　',　　.　.　　.　'　　:　　　'',　 ;　'　'　 ;　　'
147：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:58:03 ID:xNaSqCR2: 　　ｺﾞｼｺﾞｼ…

　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
..　／　 _ノ　ヽ､_　＼　　　　　 ……今は泣くのを堪えるんだお。
／　 /⌒)　　　⌒ﾟo　＼
|　　/　/（__人__）　　　 |　　　　やらない子がいつ亡くなったのか、調べなきゃいけないお。
＼/　/ 　｀ ⌒´ 　　／

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
┃
　　まずは近くの家に行って主を見ると、昔から知っている人ではなかった。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　ﾄ VVVVVVV_ﾉ＼
　　　　　　＼　　　　　　＼
　　　　　　　　ﾊ　　　　　　　＼
　　　　　　 ⌒≧ ／　／＾＾＼〆､　＼
　　　　　　　彡　〆　　　　＼　＼　ヽ
　　　　　　　　〃　ﾊ　 ⌒　　 ⌒＼　l　 |　　　　どこの国の人ッスか？
　　　　　　　　　ﾙ从§ （●）　（●）　ヾ　 |
　　　　　　　乂§ 　（__人__）　　从ｲ
　　　　　　　　　　＼　　　｀ー´　　　／
　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
148：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:58:41 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　ﾄ VVVVVVVVﾉ＼
　　　　　　＼　　　　　　＼
　　　　　　　ヽ　　　　　　＼
　　　　　 ⌒≧x　　／＾^＼/ ＼　＼
　　　　　　　彡　〆　　　　）　丶　∨　　　　……そうッスか。
　　　　　　〃　ﾊ　　 _ノ　　 ―　Y:ｉ|
　　　　　ｲ　从§　（ ●）　（●） |从　　　　アンタは隣の家の主だったんッスか。
　　　　　　乂ｲ§　　　（__人__）　 |
　　　　　　／ﾟ o 　　｀ー´　／　　　　　　色々と苦労したんスね。
　　　　　　　 /　　　 ∽　　　　∽
　　　　　　 |　　ヽ　ヽ　 ∞∞　ヽ

　ＮVVVVVVV＼
　＼　　　　　　＼
　＜　　　　　　　　　｀ヽ､
　＜／　／"" ＼ .ノヽ.　＼
　　//, '〆　　　　）　　＼ヽ　　　　　俺は一年前にここに移り住んだッス。
　〃 {_{　　ノ　　 ─ 　.│i|
　ﾚ!小§ （●）　（●）　| ｲ　　　　　アンタの奥さんはそれよりも前に亡くなったらしいッスよ。
　　ﾚ §　　（__人__）　　 |ﾉ
　　　＼　　 `ー'´ 　　,ノ　　　　　　申し訳ないけど、俺はこれ以上のことは分からないッス。
　　　/,,―　-ー　　､　,　-‐ ､
　　（　　　,　-‐　'"　　　　　）
　　　`;ー"　`　ー-ー　-ー'
　　　 l　　　　　　　　　　　l
149：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:59:07 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　 _＿＿＿
　　　　　／　　　　　＼
　　　　／　　　;　　 _ノ′
　　　/　　　　　∪　:::（●
　　　|　　　　　　　　"｀(__）
　　　＼、　　　　　　 /´ヽ　　　　それよりも前に亡くなった……？
　　　　　)　　　　　　ィ（"_ノ
　　　 / /⌒ヽ　　　ヽ）　|　　　　それは誰に聞いたんですかお。
　　　 i l　　　|　　　　|　　|
　　　 | |　　 |　　　　|-‐'　　　　　やらない子の最期を知ってる人がいるんですかお。
　　　 |.|　　 |　　　　 |
　　　 i〆　 /　　　　 |
　　　　ヾン´　　　　　 l
　　　　　 |　　　　ィ　　|

　　　　　　　　　　　　　　　　,、
　　　　　　　　　　　　　　／/　　_
　　　　　　　　　 /l／ /_,,..-''"/
　　　　　　　　　＿ /　　　　　　　￣￣￣/
　　　　　　　／　./　　　　　　　　　 /
　　　　　／　　 l　　,..--､　　　　　　　｀''７
　　　／／　.／ヽ'´　　　＼　　　　 |/
　　　 /／/　./ヽ-'　　ゝ-‐'　ヽ　　　 .|
　　　　.,'　 .| (●）　　（●）.| | | | | l　.|
　　　　　l从从　／　ヽ　　　| | | | | |　|　　　　　　この里の古い村人は
　　　　　　　　ヽゝ-t-､__）　 .|从八|从ﾘ　　　　　　戦でどこかへ逃げちまったらしいッス。
　　　　　　 / ｀''-,,_ヽ-'　 _,,-''／　　＼
　　　　　　　/　ヽ　　￣￣　　/　　　　　　ヽ　　　　今、ここに住んでいるのは
　　　　　　./　　　 '.,　　　　　./　　　　　　 l　　　　余所から移り住んだ人ッス。
　　　　　 /￣｀ヽ、/',　　　／⌒ヽ、　 /　　 |
.　　 ,.-''"l　　　ヽ/.、ヽ_,,.-'――-.､l／　　　　|　　　　ただ一人だけ、やる蔵爺さんだけは
　　/.　　 '.,　　　 |　｀l´　　　　　　　＼　　　　|　　　　昔から住んでいたらしいッスよ。
　　|　　　 ',　　　|　,.|　　　　　　　＼＼　　.|
　　|　　　　 ',　　 |./ ',　　　　　　　 |　 .',　 |
　　＼　　　 /　　/ 　 ',　　　　　　　 |　　',　ヽ
.　　　＼　 |　　 l_._._._.ヽ　　　　　　　 |　　 l　/
　　　　　l＿｀''--|_j_j_j_j l　　　　　　　/　　/|/
　　 r''"´　　￣ヽ、／,.-''"´｀ヽ-.、　〈.__／
　　｀''------‐''´ /´ 　　 _,,.-''"ヽ／
　　　　　　　　｀￣￣
150：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 11:59:47 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　　　　　　　＞ ´　　　　 `　､
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　ヽ
.　　　　　　　　　　　　　 / ._＿__　　 ----　　 ∨
.　　　　　　　　　　　 l 　＿　　　＿__　　　',
　　　　　　　　　　　　 i　 fi:::::}`　　 '､l::::ﾘ,`　　 .!
.　　　　　　　　　　　　　; 　 `ｰ/　　　ヾ￣　　　ﾘ
.　　　　　　　　　　　　 l 　　ゝ__ノ､__ﾉ　u　　 /　　　　　　　　　やる蔵爺さん……！
　　　　　　　　　　　　ゝ　　 └─‐┘　　　ｨﾍｰ‐ﾍ
　　　　　　　　　　　　ノi7＞...､＿＿__, --≦彡::y:::::`ｰ　　　　　その人なら知ってますお！
　　　　　　　　　　　r´::::ﾍ::::i::::f_　　　　　 _ノ／::::::::::::::::::
　　　　　_＞-ﾍつ　j‐‐､:::::＼:::{ ￣￣￣/／:::::::::::::＞´:::
　　　　 i　￣ __｝/:::::::::ｰ-､::ヽ!￣　　.／::::::＞:≦:::::::/::
　　　　　l　　´ .ク､::::/::::::::::::￣l`!　　f´≦´:::::::::::::::::::/:::::
.　　　 _l　　　´ ノ:::i:::::::::::::::::::ﾊ !　 /:::::::::::::::::::::::::::/::::::::
　　　　 i::f 　　ﾄ､::::!:::::::::::::::::::::i l　,':::::::::::::::::::::::::::/::::::::::
　　 r´i:::ゝ　　 f):j:::i::::::::::::::::::::::ﾍ∨::::::::::::::::::::::::､:i:::ヾ､:::
　　 i::::ヽ:::`ー ´::i:::i::::::::::::::::::::::::::} !{::::::::::::::::::::::::::ヾ::::::::::

　　　　　　ﾄ VVVVVVV_ﾉ＼　　　 *
　 ☆　　　　＼　　　　　　＼　　　 ☆
　　　　　 *　.　ﾊ　　　　　　　＼　　　　　 +
　　　　　　 ⌒≧ ／　／＾＾＼〆､　＼　　 *
　+ 　 .＊　　　彡　〆　　　　＼　＼　ヽ　　　　☆　　　　やる蔵爺さんは浜の近くの麻の畑に
　　　　　　　　〃　ﾊ　　 ⌒　　 ⌒ 、 l　 |　　　　　 +　　　小屋を作って住んでるッス。
　＊　　　. 　ﾙ从§　（● ）　（＜）ヾ　 |　　 *
　　　　*　　　　　乂§　⌒（__人__）⌒ 从ｲ　　　　　　　時々、アンタの家に行って、
　　　　　　☆ 　　＼　 ∩ ｀ー´　　／　　 +　　　　　　　　奥さんの菩提を弔っているそうッスよ。
　　 +　　　　　　　　 / ⊂　＼∩ィつヽ
　　　　　　　　　　　/　　ゝィ／＿ノ　　丶
　　　　　　　　　（　　　／　／＼　　　）
　　　　　　　　＼　　／＼　　／
　　　　　　　　　　ー ´　　　ー ´
151：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:00:10 ID:xNaSqCR2: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
┃
　　やる夫は喜んでその家に行き、驚くほどに腰が屈み曲がった七十ばかりの翁が
　　土間の竈の前に円座に座りながら茶をすすっていた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　 ,r-;
　　　　 ,r'´;;;`､;`ゝ,
　　 ,／;;;`､;;;`､;;;`､;`ゝ,
　／;;;`､;;;`､;;;`､;;;`､;;;`､ゝ,
ぐ;;;`､;;;`､;;;`､;;;`､;;;`､;;;`､::;'ｧ
　|　　　　　　＿＿＿__｜.:|
　|　　　　　　|＿|＿|＿||ヾ|
　|　　　　　　|　 |　 |　 ||..::|
　|　　　　　　￣￣￣｜.:|
vﾍノV/y/W/／/7/y'/V7!ｙ'V"ﾒ/Wﾊ,.ｲ7_ノ7ﾍノV/y/W/／/7/y'/V7!ｙ'V

　　　　　　　＿＿＿
　　　　　／　　　　＼
　　　　／　　― 三 ―＼
　　／..　　（ ◎）―（◎）＼
　　 i 　:::::: （（（__人__）））:: i
　　　ヽ、　　　｀ ⌒´ 　／
　　　　/　　　　　┌─┐
　　　　i　　丶　ヽ{ .茶 }ヽ
　　　　ｒ　　ヽ、__)一(_丿
　　　　ヽ、___　　　ヽ　ヽ
　　　　と_＿＿_＿ノ＿ノ

　　　　漆間の翁　やる蔵
152：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:00:32 ID:xNaSqCR2: ..　　　　＿＿＿_
　　／_ノ　ヽ､_ ＼　　　　　　やる蔵爺さん！！
..　oﾟ(（●）) (（●）)ﾟo
／::::::⌒（__人__）⌒::::::＼　　　　やる夫だお！！
| 　　　 |r┬-|　　　　　|　　　よく生きていてくれたお！
＼　　　｀ー'´　　　／

　　　　　＿＿＿_
　　　　／_ノΞ ヽ_＼
　　／（◎）―（◎）＼　　　　　お主はやる夫か！？
　／ ::::::（（（__人__）））:::::＼
　|　　　　　　~~~　　　　　 |　　　なぜこんなにも遅く帰って来たのじゃ……。
　＼　　　　　　　　　／
153：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:01:06 ID:xNaSqCR2: '´　⌒｀`ヽ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_r'⌒(
　　　　　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : ノ｀...:.:::::ヽ
　　　:::　　　　）:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ｒ‐‐‐--､:::::::::::::::::::::::::::::: : r'　.:　　　　　｀ヽ
　　　｀:::::::::::: ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: -‐''''''´　　　　　ヽ_::::::::::::::::::::::::::::).::.:.　　　.:.:.:::::::::)
　　　　　　ヽ,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : ／　　　　　　　　　　　｀`-､::::::::: : く.:.　　　　.:.:.::::::　　⌒
　　　　　　　　--､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : !,:´　　　　　　::::::::::::::.　　　...::::::::::::::::::: ヽ　　.:.:.:::::::.:.　.:.:.::::::
　　　　　　　　　　｀ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l　　　　　　　｀::::　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : ).:.:.....
　　　　　　　　..:::　　　ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::j　　　　　　　　　　　　　　｀;:::::::::::::: _r'⌒　　　 .:.:.:::::::::.
　　..::　　　　　...::::::::....　｝:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: !／　　　　　　　.............:::::::::::　_r‐-､!　　....　　　 .:.::::::::::...:.:
　...:::::　::::::::::::::::::::::::::::::＜::::::::::::::::::::::::::::::: : ／　　　　......:::::::::::::::::::::::　　　 _ﾉ .:::.....　　.:.:.:.:.　　　.:.:::::::.:.:..
.:´　　　　｀　:::::::::::::::::::::: ヽ::::::::::::::::::::::::::: : {　　　.....:::::::::::::::::::..　　　　_,.-‐'.:.:.::::::::::::::..　　　　...　..:.:.:::::::.:.:.:
　　　　　　　｀;::::::::::::::::...........:｀ヽ_.　　　　＞ｰ　 ::::::::::::::::::::_rヾ⌒Y´　　　　.:.::::::::::::::...　　　　　:.:.::::::
　　　.......　　　　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　　　::::..　　　__r'　 .:.::.:.:.　　　.:.:.::::::....　　　.:.　.:.:.:.....　.:.:

　　　　　　＿＿＿
　　　　／～～～＼
　　／　～～～～　＼　　　　　やらない子さんの霊がお前の前に……？
　／　　　ノ Ξヽ､_　　　＼
　|　　-（◎）―（◎）-　　 |　　　　不思議な出来事じゃが、鼻で笑う気にもなれん……。
　＼ｌ^l^lｎ__人__) ））::::.　／
　／ヽ　 L⌒ ´
　　　ゝ　ﾉ
154：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:01:29 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　（　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　＼　　　　　〃_／　　　　　　お主が遠くへ旅立った後……、
　　　　　　　　　　　　　　　 >'⌒￣￣､,＼
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　＼　　　　　夏の頃に戦で村人は所々へ逃げ、
　　　　　　　　　　　　　　/　　ｨ　　　,ﾉ'ヾヽ　　　　若い者は兵として連れられて行った……。
　　　　　　　　　　　　（　 /　）,　　　　　　l
　　　　　　　　　　　）　ﾉ　_,/　　　　､,,　 |　　　人がいなくなり、荒廃した田畑は
　　　　　　　　 /⌒￣￣￣　　　　　 |　　　　獣が潜む荒藪となってしまったのじゃ。
　　　　　　　　　　　l　､_　　　　　　　　 ,ﾉ　,/
　　　　　　　　　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
. 　　　　　　 └┬:‐┬───┬‐────┘
　　　　　　　ノ ,‐‐,)　　　丿,‐‐,)
　　　　　　　 (,∠／　　　 (,∠／

　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　／;;;::::'':.'￣/⌒｀Ｙ二７-―――- ､　　/i:.:.:.:.:.:.:.￣＼
　　　　　　　　　　　（／:.:.:.:.:.:.:.:./´　／:.:.:.:.:.:.:.: f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ ／:.:.___:.:.:.:.:.:. |　ただ、やらない子さんだけは　　　　　　　　 |
　　　　　　　_　------⊥＿_,　'":.:.:.//:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:. |　お主との約束を守る為に家を出なかった。　 |
　　　　　　ヽ::::＞､;:.:.:.:.:.:.:.:.:.'':.::;;;;_:._:./／:.:./:.:/.:.:.:/:. ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
　　　　　 ,-｀´￣￣＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／/:.:.//:.:/:.:.:./:.:.:.:./:.:..:|.:.:.:.:|:.　　:.',:.::|/:..;;,イ
　　　　　 |／||￣￣￣＼:.:.:.:.:.:／／,ｲ//_:/:.:.:.:/､:.／|...../|..||....| 　 ...:.|:.:.ﾚ''.;／
　　　　〈:ヽ,||　　　　　￣￣／／ / r / |:／|／　 |／ .|.ハ/| ..:.:.:.:.|:.:|:..:./
　　　　〉:..|　　　　　　 __. イ／,':.://:.V, ´ ￣｀　　　´ ￣｀ﾒ.」:.:.:|:.:.|./／
　―＜￣´／　　　　　　　　　 /:.://|::.ｲ　＿__　　 __＿　　|:|:.:..|:.:.|:.':＼
　　　￣　　　　　　　　　　 /／l/│ｌ∧,, '￣　　,　　￣｀　,,ﾒ:|:.:./:.∧:.:.:.:|
　　　　　　　　　　　　　　／　 |　ﾚ　ﾊ　　　　　　　　 ∠ｲ:.:/:.:/ 〈:.:.:./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ｌ　､￣　 _, イ/:.:/／　ノ／
　　　　　　　　　　　　　　::::::::::::::::::_,r‐-≧ｰ-|　　.‐-‐　　| ＼_,厶-ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::〈/ ／厶ｲ　＼＿　　ﾄ､　∨　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　 .::::::::ノ∧_,ノ/　|　人＿｀ヽ/⌒7二.__＼ﾉ} ＼
　　　　　　　　　　　　　 .::::::: 人〈(　〉　　 |／　／　 ⌒ｰ┴─-=ミ- 、　',
155：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:01:58 ID:xNaSqCR2: 　:|::::::::::￤:.　　ｉ ::::::::::: |　　　￤. : : :|ヾ;:ﾐ|: : : ::::::::|ﾐ;ﾐ;|::::::|::::|爻ﾐ;ﾐ|:
. i:|:::::::::: ｉ: :　　ｉ : :::::: : |　 . ::...　　　.:| : ;;';| :::::::::::: |爻;'|:::: |::::|ﾐ;ﾐ;ﾐ |:::
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::|:|:::::::｡: |: :i　｜: : :::::: |　　　’. :。: . .　　　 . : 　ｉ　 .ﾟ:|::: |::::|::ｉ::ｉミ|::::
.:|:|::: :.　ｉ　ｉ　 |　. . :::: |　　。　　　. ::|: : . .　　　 . : ..　 ’　 . :|￤|: :|::::
::|:|:::　　ｉ　ｉ　 |: .　　. :|;':..　　:ｉ:. . 　 ’ . f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
::|:|:　ﾟ　￤￤　|::ﾟ: .　　ｉ;';'::.. 　ﾟ　. :...　 |　わしも足が悪くてのう……。　　　　　　　　　　　　　　　　 |
::|:| 　　 i　:　 .|::.:: : .　ｉ　. : : .　　ﾟ : o: .|　百歩も歩くことができぬから、家の戸を閉じて籠っておった。　 |
::|:ｉ　 . : ｉ　　 .:|: : : :: :.ｉ　　 . :ｉ: . 　　 . ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
::|:ｉ。 : : ｉ　　　 . . : ::|　　　 . :｡ .　　　￤: o: . ..　　　’　. ::ｉ::|::|: :|:::
::|:|. : :。: |::..　　　　　. :|　　　　　. : : .　　。　. : : : . .　　　　 .|::|::|: :|:::
::|:|О: : :.|:::|: . .　　　　 . : 。.. :　　　.:|: : . .　　　 . :|: : . .　　　 .ｉ::|y恍
::|:|:::::::::::::|: |: : :|::...　　　　. : : |: .　　’　..:|:::.... 　　: 　..:| : .　　 ,;'´;:i:i:
::|:|::::::::::: |: |: : :|::::::...　。　 . ::|: : . .　　　 :　. :.:: .　:　　.|: : : .　,:ﾞ :;';i:i:
::|:| ::::::::: |: |: : :|:::::::::: : ..　　　 . . : : : . .　 :　　 . . : ｉ. .　:　 . : ,:ﾞ.:;':i:i:i:i:
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::|:| :::::::: |　　　 '""'"'"'";:,　　　　　...:;'ﾞ;'ﾞ;'ﾞ;'ﾞ;'ﾞ;'ﾞ;'ﾞ;'ﾞ;'ﾞ;:;.:,:;.:,:;.:, ; ; ; , , ,
::|:|:::::::::::|:.　　　　 .;';';'ﾞ;'f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
_|:|::::::::::::|:.　　　　　　.:;'|　木霊という恐ろしい霊の住処となったこの地で　　　　　　　　　　　　 |
;'ﾞ;'"'"'"':;.:,:.　　:　.　.　 |　若い女子がたった一人で気丈に振舞っていた姿は、　　　　　　　　　 |
ヾ;:ﾐ:ﾞ;ﾞ;ﾞ;ﾞ;ﾞ;ﾞ;;:;:.. . : . . .　 |　年老いたわしが見聞きした人々の中でも特に哀れなものじゃった。　 |
;:ﾐ:ヾ;:ﾐ:ﾞ;ﾞ;ﾞ;:;.:,:. : : . .　. :ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
:;.:,:;.:,ヾ;:ﾐ:ヾ;:ﾐ:;:;: : : : : . . .　　　　　　. . ::ﾞ;ﾞ;ﾞ;ヾ;:ﾐ:爻爻爻いソ(,ノ(;';';
:;.:ヾ;:ﾐ:ﾐ;ﾐ;ヾ;:ﾐ:;';'.:.: : : . . . .　　　.　.　. . . ::;.:,ヾ;:ﾐ:ﾐ;ﾐ;爻爻狄爻いｿﾒ
：：:::;'ﾞ;'ﾞ;'ﾞ;'ﾞヾ;:ﾐ::;.:,;'ﾞ;'ﾞ;'ﾞ:;.:, : : : . . .　　. . : : ﾞ;ﾞ;：：：1111ｙYｙY狄爻い
11：;　; ;：：11i:i:i:j'j'j'j'j'i:1：：; ; ; : : . . . .. : : ; ：：：：111ｙYｙYl狄狄狄
111：;　: ;：11比比此i:i:i:：：：; ; : : . .　,., ,., , ; : ;：：：11111YｙYｙｹﾎｹ
1111：　: ;：111此此比1i:i:：：∵．, , 　　, , ; ;:;:;：∵i:i:11111YｙYｙYｙ
11111：　: ;：：11111此111：：∵：，; , ,　　, , ; ;: ; : ; : ；；11111ｙYｙ
ｙY1111：　:;：：11此此此111：：∵：; ; , , , ,　　 , , ; ; ; ; : ; ;：：1111
ｙYｙ111：：: ; ：：11111比比111：：∵：; ; ; , , , , , ; ; ; ; : ; ; ; : ; : ; ;：
ﾎｹｙYｙ∵： ; ; ：：11111比此比11：：∵：∵：，．, , ; ; ; : ; : ; : ; : ; ;
156：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:02:22 ID:xNaSqCR2: 　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　|　秋が去り、春が来て、 |
　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ

　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　|　その年の八月十日にやらない子さんは亡くなった……。　　|
　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/´⌒ゝ‐-､
　　　　　　　　　　　　　　　. : .: (´⌒ゝ　（　レ'ﾌ　　ﾉｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀｀´　　/⌒/´ｆ':::;:;｡'　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　. . .: : :{ 　 {_ノ-､ﾟ'”ゞ-＜
　　　　　　　　　　　　　 . . : :{`ｰ-､ . : : :ヽ._ 〉-、 }"´　ﾉ　}　　r‐ ､
　　　　　　　　　　　 . . : (⌒ヽヽ. 〉 . : : :::{　　〉‐-＜.._.ﾉ　_ノ　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　: : ｀ｰ' ￣´　 . : ::::｀ーヘ.＿_ノ　　｀￣´
157：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:02:44 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　／￣￣￣＼：
　　　　：:／　　 j :::::＼:::／＼;ﾟ：
　　　 ;： | 　　｡<一>:::::<ー>| ：
　　　　　＼...::::::｡ﾟ~（__人__）~ﾟj
　　　　 r "　　　;゜.｀ ⌒´,;／゜
　　　　 i:::　|:::: 　　　　　|::|：
　　　：|:::　|::::.　　　　:|::|：
　　：_|:::　|::::.　　　　:|.´：
　　：{:::　　）::.　　　　:',.：
　　　゛‐-.`　　　　　　　i：

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／～～～＼
　　　　　／　―～～―　＼　　　　気の毒のあまり、わしが自ら土を運び、棺に収め、
　　　　／　（◎）―（◎）　＼　　　　最期に残した歌を墓の印にした。
　　　　|　　（（（__人__）））　　|
　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／　　　　心ばかりの弔いもしたのじゃが、
　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ　　　　　わしは文字を書くことができぬから、命日を記すこともできず、
　　　/ 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |　　　　　寺院も遠くて法名を求めることもできなかったのじゃ。
　　　/　　／　r─--⊃、　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|
158：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:03:05 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　　 ∪ 　＼　　　　　　　やる夫が全てを失った時は武佐の人達が助けてくれたお。
　　 γ⌒)　ノ三三三ゞ(⌒ヽ
　　／ _ノ　（＞）三（＜）＼ `､　　　だから、こんな世でもまだ捨てたもんじゃないと思えたんだお。
　（　 <:::∪:::::（__人__）:::::∪| 　）
　＼　ヽ ::∪::::｀ ⌒´∪::／／　　　　でも、やらない子は戦火の中で一人で……。

　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　やる蔵爺さん！！
　ｏ ○ o´　 _ノ　ヽ､_　`ｏ ○ o　　　　　　やらない子を見捨てないでいてくれて、ありがとうだお！！
.。ﾟ　／ oﾟ/⌒)　 (（＜）)ﾟo＼　ﾟ。
　　　 |　0 /　/（__人__）'　　0　|　　　　　　　爺さんも長生きをして、めでたいことだお！
　　　＼ /　/　 `― '　　　／

　　　　　＿＿＿_
　　　　／～Ξ ～＼　　　　　　ふぉふぉふぉ……。
　　　／（ ◎）Ξ（◎）＼
　／:::::（（（__人__）））::: ＼　　　　お主の話を聞くと、やらない子さんは長い間の恨みを
　 |　　　　　|r┬-|　　　　　|　　　どうしても伝えたかったのじゃろう。
　＼　　　 `ー'´ 　　／
159：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:03:28 ID:xNaSqCR2: 　　　　＿＿＿_
　　　／～～～＼
　／　　～～～　＼
／　 -（◎）―（◎）＼　　　　じゃが、わしは恨みだけではないと思うのじゃ。
|　　（（（__人__）））　 |
/　　　　 ∩ノ ⊃　　／　　　　愛情も残っていたからこそ、魂が現世に現れたのではないかのう。
(　＼　／＿ノ　|　 |
.＼　“　　／＿＿|　 |
　. ＼／＿＿＿／

　　　　　　　　　　 ,　 -―　　―-　、
　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、
　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　ー―'　　　　　 |
　　　　　　　　/　　　　　　　 rc､､　　､　　　　　、　 |
　　　　　　　　|　　　　　　ヽ＼＼　丶　　　　ヽ. |
　　　　　　　　|　　　　　　　 l//|.＼ﾝ　　　　　　　　|　　　　やらない子……。
　　　　　　　　|　　　　　　　　　.!　j 　　　 /､─ 　 /
　　　　　 _ . イ三三ニ=､　　　　　ﾉ/´゜　　　＼＼　/
　　　 ∠三三三三三三ﾊ: 　　 /｡ﾟ　　　　　　 !ヽJ
　　／三三三三三三三ﾆ| ＼ノ/　ヽ__,ノ､__j 　し'
.　/三三三三三三三三ﾆ|＼ゝ'､　　　　　　ノ
. /三三三三､三三三三ﾆ|　＼/|｀ー―― '
/三三三三三､三三三三jレ‐´￣ヽ三ヽ
三三三三三三',三三三=|´三ﾆ=､｀}三ﾆ､
160：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:03:51 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　／二二＼
　　／又,, ――＝＝＝―‐ ,,,
　 /二/ `／（ ◎）―（◎）＼´
　{　　 i／:::::（（（__人__）））::: ＼
　{ 　　|　　　　　|r┬-/ ' 　　　|
　{ 　　＼　　　 `ー'´ 　　／
　ヽ＿〃　　ヾ＼　／∨￣　ヽ
　　　￣―i　　　了　　　　　　}　　　　　さあ、もう一度お主の家に行くぞ。
　　　　 !　　　ii　　　　　ｨ　 {
　　　　　 i　　　　ii　　　　　 |　 }　　　　共に手を合わせて、弔いをするのじゃ。
　　　　　!　　　　 !!　　　　　 |　 }
　　　　　t＿,, ―┴― ,,__ノ/　ﾉ
　　　　　 !　i　　 ||　　　i　ヾノ
　　　　　 |　|　　　ii　　　|　　|
　　　　　 |　:　　 /|.|　　 :　　|
　　　　　 |　:　　　| |　　 :　　|
　　　　　 |__:__ 　 | .|　＿:＿　|
　　　　ィ　　＿了丁 _　　　ヽ
　　　　￣￣　　　　￣￣￣

　　　;;;;;;;.........;;;;........::::::::::::::........;;;;.........;;;;;;;;.......
　　　";;;;;;;;....::::.....::::!､........::........ノ::::.....::::....;;;;;;;;ji :.:.: .: . :. :. : .. : . :.
.　　　.....:::::::::.....:,',;;;;;;;;ヽヽ;;;;;;;;,',:.....:::::::::....　.:::;l :.:...:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
　　　;;;;.;;;;........;;;;;;;;....::::..::::....;;;;;;;;........;;;;.;;;...::....::li :.:.....:::::::....:..::..:.:.:...:.:.:.:　li;;;;;;::::;;;.,....;;;:::;;;.;:i:;;:;:::;
　　　y;wﾘﾞW゛jﾘwj从ﾘj"W.......:::::::::......:::::::::..jl ::::::::::::::::::::::::::::::::.....::::::::::: li;;;;...;;;;::;;....;:::;;...ji::::;;:
　　　::ﾞｉ........ﾄ ;i:iii;:::;iii:i;::'':;iノ,.,;;;;;;;..:::::::::....;;k　:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: Z;;;wWti ijk:;;;k;;;,,::;
　　　::.ﾞﾞヽ(. | ..;;;ii;:'':ii;;;.. | ヽﾞﾞﾘw;y.ﾉ,w'ﾊ　　　:.:.:.:. :.:. :.:.:. :.: . :.. :.:.:. :.: :; ; | ll;;;;~::|::::::|lki;;;:|
　　　　:::::::::|;;;;..:;;;::ﾞ :: ::..ﾞ|:::::: |. :;ii;::.|`:;,':,”'' ;~'',;''ﾟ ;~'',;'',;';;;,,,,,,__,,___,_::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;
　　　　:: : : |. :;ii;:.ﾞﾞ,;ii;;ii::ﾞi:: :: :| ;::.ﾞﾞ,ﾞ|'ﾟ ;~,;''ﾟ ;~ﾟ''ﾟ ;~'',;~ﾟ''ﾟ ;~'',;;;;;;;;,,,__,,__,ヽ::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:|
　　　　　　|.iiﾞ:;''ﾞ;.;::;:.; (;|::: 　|;::.ﾞﾞ,ﾞﾞ|:',;''ﾟ ;~,;;”:;,`:;,':;~ﾟ''ﾟ ;~'',_,,_ヽ__,,_____ヽ,,__,,i;::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、::;i
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161：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:04:11 ID:xNaSqCR2: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
┃
　　翁はそう言って杖をついて前に立ち、共に墓の前にひれ伏し、声をあげて嘆きつつも、
　　その夜はそこに念仏をして明かした。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j{ /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.j{ /|!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j{ /|!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_j{ /|!__ ,,.,.,.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-=ニ￣=--　￣ - |~~~|〕 _
　　　　　　　　　　　　＿＿　--ニニ--　--　‐ -　　　ﾞ'=='ﾞ￣　-
　 __　＿＿　　--＝-‐　二二　　-ニ=-　　＿　　　　　-　　_ _ _
　-　　￣　　ニ　　　--　__　　　　　　　-=-　=-￣　　　　　　￣
　　　　　　　　__　-＝　　　-　　　-

　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　／　　　　＼　　　　　　　　／～～～＼
　　／　　 _ノ　　ヽ_＼　　　　　／　　_ノ Ξヽ､_ ＼
　／　　（一）　（一）＼　　／　　（◎）―（◎）　＼
　|.　　　｡ﾟ~（__人__）~ﾟ｡　|　　 |　　 ::::（（（__人__）））::::　|
　＼　　　 `_⌒ ´　　／　　　＼　　　　｀⌒´　　／
.　　ノ　　　 /　）ヽ　く　　　　　ノ　　　 /　）ヽ　く
　(　＼　／__ノi　）　,　)　　　 (　＼　／__ノi　）　,　)
.　＼　　ﾞ　／　ヽヽ/ /　　　　＼　　ﾞ　／　ヽヽ/ /
　　　＼_／　　　＼_ﾉ　　　　　＼_／　　　＼_ﾉ
162：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:04:37 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　☆　　　　　。　　　　　　　　　　　　　　　；　’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　゜･｡゜゜. . 　　　　　　’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　。.　　　　　　　；　　　　　　；　　。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　☆　　　. ::゜.゜。･゜゜゜゜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 +　　: ::.゜｡゜･｡゜゜.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　☆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　；　’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　゜･｡゜゜. . 　　　　　　’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　゜。.　　　　　　　；
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　☆　　　　　　　　。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　。　 ☆　　　. ::゜.゜。･゜゜
　　　　　　　　　　　ﾎｳﾎｳ…　　　　　　　　　　　　　　　　；　’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｡゜･｡゜゜. . 　　　　　　’
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　。☆　･゜゜゜。.　　　　　　　；
　　　　　　　.゜｡゜･｡゜゜. . ★　･゜゜゜ . 　　　　　　　　　　　　　　　　　,.
　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿　　 ☆　　　. ::゜.゜。･゜゜゜゜　　　。　・
　　　./＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　　　　 +　　: ::.゜｡゜･｡゜゜. . 　.
　　 /　 /＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　　。　　　　: ::.゜゜゜゜｡･｡゜゜...　ﾟ
　 ./　 /　 /＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　　　．　　　 .: ::.゜゜゜゜･゜　　　+
　/＿/＿/__.　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼　＼
163：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:05:00 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾎｳﾎｳ…

　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　／　　　_ノ　　ヽ_
／　　　（ ●）　（●）'
|　　　　　（__人__）　 |
＼　　　　　｀ ⌒´　／
／　　　　　　　ー‐　 '

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／～～～＼
　　　　　　　　　　　　　　　　わしの……、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／― 三―.　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／（◎）―（◎）)　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　祖父のそのまた祖父も生まれておらん、　　　 | :::（（（__人__）））::::: 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　遥か古のことじゃ。　　　　　　　　　　　　　　　＼　　｀⌒´　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　＼
164：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:05:22 ID:xNaSqCR2: 　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　|　この里に真間の手児奈という美しい乙女がおった。　 |
　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　家が貧しいので、麻衣に青衿を身に着けて、　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　髪さえも梳かさず、裸足で歩いていた。　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ

　;";;
　i'''''l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i;;;ヽ;ヽ;ヽ;l /;;/;;;;;i
　(,,,,,,)　　　　　　,,,.　;;;";;;i''i''i3,,,,,　　　　　丶ii;;;i,;;;;;;;;ii;;iﾉ
　ヽl　..|ヽ　　　,ε,'',,ヽ/ 丿　;;;;　3;　　　　　 (,,,,,,,,)
　　ヽl, |　ヽ　　,;ε　--　";;;;;;;;;;;_　;3　　　　　　　//
　　　|||　ll ヽ　　,ε;;　丿l ヽ　　;;__3　　　　　　 //
　　　 ||,,,ii　ヽ　　ヾ'''/,,,ヽ,,i;;ヽ,i　　　　　　 //　　　　　　　／>
／||＼||i　ll 　　i　　　　　| |　　　　　　　　　//　　　　　／;;;／;
ﾐ　||　 |||　||　　i　　　　　 | |　　　 " 　　　　//　　,,,／　ﾐ　-i
ミ |　　|||　ii　　,|,,　　　　 | |　　　　　　　　//　／　　／,,,,,,|
;;　ii　　 ||　ii　　|,,,　　　　| |　　　　　　　//　;ヽ／;;;;;;　,<
　|i　／||l　　ii　　i　　　　| |　　　　　　／／／,,,,..／　／　/
　||　|　||'''l　　ii　　|,,,　　| |　　　　　//丿／　　i　　|
ヽ/,,,,> ||'ヽ　　ヽヽ |,　　| |　　　　//　/　／　　,,lヽi
i　|| i|　||　l　　　ヽヽ| 　| |　　　//　　/　/　／
ヽヽ/　|l　 7,,,,,,,,,,,,,ヽヽ, | |　　// 　/　// /
165：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:05:43 ID:xNaSqCR2: 　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　|　しかし、顔は望月の月のようであり、 |
　　　　　　　　　　|　微笑むと花が咲いたようじゃった。　 |
　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ

　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　|　手児奈は綾や錦を着る都の姫様よりも勝っておった。　 |
　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : : : : : : : : i 　 :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : : : : :　　ﾄ、
　　　　 : : : : : : : : :　　　　　:.　　　　　　　　: : : : :,:、:　:　　i　:.
　＼　: : : : : : : : : : : 　　　　 'i>　　　　　　　　　ノ　)., ' 　　.〉 .;
　　　。: : : : : : : : :　　　　　　　　　　　　　.:　　,,　　　　/　i
　　　　　。: : : : : : 　　　　　　　　 .。'ﾞ　　　ノ　　/．　　./　 .
　　　　　＼　　　　　　　　　｀¨: : : . 　　　/　　 /　　　 .:　　.:
　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　 '　　　 i　 f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　．　　　　　　　　,　　　　　　　 |　村人はもとより、都の兵士や隣国の者までも　　　　 |
　　　　　　　　　　　 ',　　　　．　＿；　　　　　　　 |　言葉を寄せて恋慕わぬ者はおらぬものじゃった。　 |
　　　　　　　　　　　　',　　　　　　　:　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
　　　　　　　　　　　　 ',　　　　　　　:.　　　　　　　　　　..:::: '
　　　　　　　　　　　　/',　　　　　　　:.　　　　　　　　....:::::./
166：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:06:07 ID:xNaSqCR2: 　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　|　そして、手児奈は思い沈み、　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　|　多くの人の心に報いようと入り江の波に身を投げた……。 |
　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__）　　。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　0
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　。　　　　O

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／）／ )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ　　／　／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ﾉ／　／／　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ／ヾ／　,.'-‐''"´　__,.ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ´　／　／　,. -‐''"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , '　　　　　　〈　　　 _,. -‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. '　　　　　　　　｀￣´　　_／
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　_,.-‐''"´
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　__,.- '´
　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　/
167：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:06:28 ID:xNaSqCR2: 　　　　　＿＿＿_
　　　　／～～～＼　　　　　　とても古い伝説じゃから、真実はどうであったかは分からぬ。
　　　‐ 三 ─ 　　　 .＼
　　（ ―（ ◎）)　　　　＼　　　　それでも、世にも哀れな話として古の人々は歌を詠んで語り伝えた。
　　（人__）））:::.　　　　　　 |
　　｀⌒´　　　　　　　　／　　　　わしが幼かった時に母がそう語り、
　　　｀ｌ　　　　　　　　　＼　　　　手児奈が気の毒だと聞いておったのじゃが……。

　　　　　＿＿＿_
　　　　／～～～＼　　　　　　やらない子さん……。
　　　／　_ノ Ξヽ､_ 　＼
　／ oﾟ（◎）―（◎）ﾟo　＼　　　その真っ直ぐで悲しい心は、
　 |　 ::::（（（__人__）））::::　　|　　　やらない子さんの方が勝っておるかもしれぬのう……。
　＼　　　｀⌒´　　　／
168：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:06:49 ID:xNaSqCR2: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━─────
┃
　　語るたびに溢れる涙を留めることができないのは、
　　年寄りの涙もろさである。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　─────━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　＿＿＿_
　　　／:::　　　＼
..　／::::::::::　　　　　＼
／:::::::::: 　　　　　　　＼
|:::::::::::::::　　　　　　　　　|
＼::::::::::::::　　　　　　　／ヽ
　/::::::::: 　　　　　　　くゝ　）
；|::::::::::::　　　　　　　　／；
；|::::::::::::::　　　　　　　イ；

┏━━━━━━━━━─────
┃
　　やる夫の悲しみは言うまでもない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　─────━━━━━━━━━┛

　　::::::::　::　　　　::　　　　　:::::　　::　　:::
　　::::::　:: 　　＿＿＿_　　 :::::　　::::　　:::
　 ::::::　::::　／　　:::　　＼　:::　　 :::　　 ::
　 ::::　::::／　　　::　　　　＼::　　:::　　::
　::::　／:::　　　 ─　　 ─　＼　::　　::
　:::　|　 :: 　　（＿）　（＿）　 |　:　　::::
　 :::　＼　　　　（__人__）　 ,／　:　 :::
　　:: ノ　　　　　｀ ⌒´　　＼ :　　 :::
.　／´　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　:::
　|　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　＼:::
　ヽ　　　 -一''''''"~~｀`'ー--､　　　-一'''''''ー-､.
　　ヽ＿＿＿＿(⌒)(⌒)⌒)　)　　(⌒＿(⌒)⌒)⌒))
169：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:07:20 ID:xNaSqCR2: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
┃
　　この物語を聞いて、田舎人らしく不器用なものであるが、思いのあまりの歌を詠んだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┃
　　　─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　／─　 ─＼
　　　　　　　　　　／ (●)　 ( ● )＼
　　　　　　　　　　/:.　　　(__人__,)　　　ヽ
　　　　　　　　　 /::::...　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　 |::::::::::....　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　ヽ:::::::::::::::....,,,ｨ-ｲ￣´|_
　　　　　　　　　　 /　;;ｨ"ﾌ´／　　(;/＼,,＼
　　　　　　　　　／ヾイ´〉Ｙ /　　　 ,i人 .ヽゝ、
　　　　　　　　 (ヽﾉ　　 / ,,/,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;〈Ｘ,,;;""ヽ,

　　　　　　　　いにしへの真間の手児奈をかくばかり恋ひてしあらん真間のてごなを

　　　　　　　　（こんなにも切ない亡き妻への私の慕情のように、
　　　　　　　　昔の人達は真間の手児奈を恋い慕ったのであろうか）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　v=-､..__
　　　　　　　　＿　　　 rへ　/）⌒Z__γ'ﾞ
　　　　　　__／　ノ　　｝　　Ｙ、　　　ﾌ
　　　　 r:::ν　_彡ｨ　　｀＞て::::y⌒ｰ-､　　　　　 r‐-'⌒>
　　／“＾’　_＿ノ　／　　 jﾚ ¨　＼　　ヽ　 _,(⌒'┤　 ∠_
　　ﾚｲ　　　　〉　　｛　　　人　　　　ﾄ､__ノ　（_＿,　2..:::y　　＼
　く__,人　　　/ﾑ　　＼／　＼　　｝ヾﾍ､._┌ 'ﾟ　　´¨　ヽ　　〉
　　　　　`ー＾~ヽ＼　　　　＿＼/=ﾆ≠─{　　　,ｲ　　　冫厂
　　　､___　　　　　＞z≠''￣　　　　　　　　｀ー 'ﾟ　＼　,:'イ
　　　　}) ム　　,ノ⌒ミv-‐‐ｫ　　　　　　　 -=ｬ＝二｀彡f｝
　　　Ｖ｀”｝r┴-､　 ′　　｝　　　　　　　　 )/⌒´　　｝)
　　　　　｀ｰｦj_,ｨ　 ::Q:)　_／　　　　　　　　　　'′　　　　(｛
　　　　　　　　/ 　 i｢　　＼
　　　　　　 {__＿人　　　〉
　　　　　厂ﾐy┴く　　＼_／
　　　　 └'八 {　6）
　　　　　（ﾏ7)￣゜
　　　　　　Ｖ/
170：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:07:47 ID:xNaSqCR2: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――
　　思う心の片端すらも上手く詠えずとも、優れた歌人よりも心が勝って哀れであると言えよう。
　――――━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━――――
　　かの国にしばしば通う商人の聞き語り伝えた話である。
　――――━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　｡　　　　　　.　　　　　｡　　　　　　　　　 '　　　　　　　　　　　☆　　　　　　　.　ﾟ　　　。　　　ﾟ
　　　　　　　ﾟ　　.　　　　｡　　　　　　　　　　　　゜　　　　+　　　゜　　　　　　｡　　　　　｡　　　ﾟ　　。　　　ﾟ
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　　゜　　　　　。　　　　　　　　　　　　゜　　　。　　o　　　　　　ﾟ　　　　ﾟ'　　　　　　　　☆　　. 　'　　　　　｡
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　　ﾟ　　,;／　　　　。　　　.　　　　　　　　　　+　　　　　。　　.　　　　'
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'　　　　　　゜　　　　　　。　　ﾟ　　　　　　　　ﾟ　　　゜　　　+　　　　　　　　　　゜　　　　　　　｡　 '　　　゜
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｡　　 '　o　゜　　　　　　　　　☆　　　　　　　　　　゜　　　　+.　　　　　 ;／　　　　゜　　　　　　　　　｡　　　'
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　　ﾟ　　,;／　　　　。　　　.　　　　　　　　　　+　　　　　。　　.　　　　'
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｄ⌒)　./|　_ﾉ　 __ﾉ
171：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 12:08:21 ID:xNaSqCR2: 以上です。最後まで読んでくれてありがとうございました。

この作品も中国の小説が元ネタですが、
電話もSNSもない時代で、帰りを待ち続ける妻の話は時代も国も問わずいくつか残されているらしいです。

「やる夫は七年も帰らなかったくせに、何が優しい男なんだ」や
「原作者は嫉妬深い妻は塩漬けにしろと言ってるくせに、貞操だけは求めるのかよ」など
様々な意見があるかもしれませんが、戦国時代へ向かっていく時代背景を考えると、
妻の墓を建てたいと帰国をしたやる夫は優しいと私は解釈しました。

参考文献
「新編日本古典文学集７８　英草紙・西山物語・雨月物語・春雨物語」　小学館
172：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 19:22:54 ID:nq3lN4aY: 前に見た夫が浮気胸糞みたいなやつに比べると
本気で帰るつもりがあって妻とも心が通じ合ってるだけハッピーじゃないけど全然マシなエンドだと思いました
乙でした
173：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 19:55:00 ID:8PzWXUUI: おっつおっつ
もっと早く帰っていればとかそもそも京に行かなければとか思うけど、奥さんが許すような心の持ち主ではあったんだな
174：普通の名無しさん：2025/04/30(水) 21:16:22 ID:PAFa06x2: 乙でした

以前、雨月物語スレ投下した人かな
175：普通の名無しさん：2025/05/01(木) 08:16:44 ID:iRZ.qexc: 乙です

室町時代に庶民が少人数で数百キロの移動なんて
難度や危険度は今の海外旅行の比じゃなかったからね
176：普通の名無しさん：2025/05/14(水) 00:01:46 ID:6P5LWu5Q: 「ハイゲ3会議帰宅→雑談し、みん推50連勝」
▽Steam/iOS/Android
『みんなで推理』(21:40～)

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177：夢姬物語gleezy ID japan77：2025/06/16(月) 17:18:48 ID:TnNNKfBk: 東京極密指名制デリバリーー夢姫物語
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