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千鶴編、下書き

31作者:2009/03/09(月) 18:35:53
要塞都市ヴァルハラの南端にその区画があった。未知の金属素材で作られた
その扉は、ナチスの掘削機を使っても破壊することは出来ない。
「この扉は、オリハルコン製でね。アトランティスで最もありふれた金属さ。
永久に錆びない、ダイヤモンド並みの硬度を持つステンレスだと考えて貰え
ばいい」
「どうやって、この扉を開けるの?」
「簡単さ。命令すればいい。私は時空マスターだ、扉を開けろ」
スーッとドアが開いた。音声認識になっていたらしい。扉の向こうは、ヴァ
ルハラの他の部分と同じような通路が続いていた。ミッシェルは、千鶴を案
内して歩き始める。背後で扉が閉まった。もう誰も入ってくる事は出来ない。
さらに進むと、多数の人間型アンドロイドに出会った。人種、性別、年齢も
様々だが、無表情な顔と、無駄のない直線的な動きで、千鶴には一目で彼ら
が本物の人間では無い事が判った。
「何なの、ここは?」
「ここは、この時代における時間管理局の支部。彼らは、時間管理局員達だ」
ミッシェルの言葉に千鶴は驚いた。時間管理局と言えば数百年間に渡って、千
鶴の命を狙い続けてきた宿敵である。その基地が、こんな身近にあったとは・
・・
「心配ない。僕と一緒にいる限り安全だよ。何しろ僕は、時間管理局の創設者
である時空マスターなんだから」
「あなたが、あたしを殺すように命令を出していた事になるわ」
「君を、異物として抹殺命令を出していたのは、1万2000年前の、この場
所にあるホストコンピューターと、その時代の僕さ」
「判らない。別人だって言うの?」
千鶴は、頭が混乱した。
「別人でもあり、同一人物でもある」
ミッシェルは、謎めいた言葉で答えた。
「それは、もうあと30年もすれば、君にも判るさ。いずれ君は、やがて生ま
れてくる自分自身と対面しなくてはならないのだから」
千鶴の誕生日は1974年6月25日だ。その時点から、この世界には、二人
の千鶴が存在する事になる。
「それは、さておき、今日は地球の歴史にとって重要な日なんだ。大洪水以後
の、文明を復活させた地球人が、初めて宇宙人の存在を認識する日さ。それ

君に見てもらおうと思ってね」
ミッシェルは、巨大なスクリーンのある部屋へ千鶴を案内した。そのスクリ
ーンでは、1万2000年前から衛星軌道を周回している、ステルス加工さ
れた人工衛星から送られてくる画像で、地球のどの場所での出来事も、リア
ルタイムで見る事が出来る。ミッシェルがダイヤルを調整するとカリブ海が
映され、さらにズームさせると、波やカモメまでもが、見えるようになった。
「もうすぐだ。あと十数分で海中からグレイの宇宙船が飛び出してくる」
ミッシェルは腕時計を見ながら言った。


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