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千鶴編、下書き

19名無しさん:2008/11/18(火) 10:21:16
伊500の田辺艦長は疲れ切っていた。2年ぶりに日本の土を踏めると思っ
ていたのに、九州沖を素通りし、満州国の大連に直行するように命令を受け
たのだ。乗組員達の士気も低かった。
(お国のためだ、仕方ない)
長い航海を終えた伊500も、そろそろ、潜水艦ドックに入り、本格的なオ
ーバーホールが必要な時期だった。大連の港で、出迎えた海軍の将官にその
事を告げると、激しい叱責を受けた。
「ぬるい事を言ってんじゃない!今の日本のどこを探しても、充分に整備さ
れた軍艦など一隻もないぞ。まだ、しばらくは動くんだろ?」
「はい、なんとか・・・ですが。このところエンジンの音が気になりまして」
「動くなら、いいじゃないか。内地は、今、連日の空襲で、どこもかしこも
焼け野原だ。下手に帰国すれば、爆撃で沈められるぞ」
田辺艦長は引き下がるしかなかった。ドイツから持ち帰った土産品や、新兵
器の設計図を陸揚げし、代わりに596部隊から運ばれてきたウイルス兵器
のアンプルが詰まったカバンを受け取った。
「なんですか、これは?」
「白人だけを殺す、細菌だ。これを君の潜水艦でアメリカ本土へ運び、バラ
撒けば我々の逆転勝利だ」
細菌と聞いて、田辺艦長はギクリとした。
「心配しなくていい。日本人には害はないそうだ」
田辺艦長は新たな命令書を受け取った。それによると、太平洋を東進し、ハ
ワイ、カリフォルニアの順で細菌をバラまき、南米を回って最後にニューヨ
ークとワシントンに到達するようにと書かれていた。
(やれやれ、家族にも会えず、また地球を半周するのか)
この命令を伝えた時の部下達の落胆ぶりが目に浮かんだ。


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