したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

千鶴編、下書き

13作者:2008/10/04(土) 08:17:42
1945年正月。大日本帝国の帝都東京で陸海軍合同の参謀会議が開かれた。主催者は、陸軍航空隊参謀の久石隆政少将(62歳)である。
「米英に勝利するためには、人間兵器の実戦投入が不可欠である」
隆政は切り出した。彼の発案で『人間兵器考案委員会』が発足したのである。
「一番、誰でも思いつくのは、飛行機にパイロットを乗せたまま敵艦に体当
たりする、やり方だが、他に何かアイデアはないだろうか?」
「小舟に爆薬を積んで体当たりするというのはどうでしょう?」
海軍の参謀が進言した。
「魚雷に、操縦席を付けて小型潜水艦に改造するという方法もあるぞ」
「もっと手軽に、手榴弾を持ったまま敵戦車に体当たりするとか」
「おお、それは経費が、かからなくていい」
集まった参謀達の議論に、熱気が籠ってきた。夢中で口角から、唾を飛ばし
語り出す。
「軍人だけじゃなく、一般市民にもやらせてはどうか?『一億玉砕火の玉だ』
とか宣伝文句をつけて。どうせ竹槍じゃ、勝てんのだし」
「竹槍訓練は、あんたが言い出したんでしょうが!」
「わははは、そうだったかな」
開戦当時の知将、勇将達は、みな最前線で戦死してしまった。残っているの
は後方勤務のデスクワークしか知らない連中ばかりである。
「戦艦大和が残っています。あれを特攻させましょう。残しておいても使い
道が無いですし」
「連合艦隊は、旗艦以外全部沈められちまったからなあ。」
「大和の乗組員達は、開戦以来ろくに戦闘に参加もせず、旗艦であるのを良
い事に、いつも後方にいました。エリート気分の彼らに一億特攻の先駆けと
なって頂くのがよろしいかと」
「賛成!私は賛成だ。片道燃料だけ積んで特攻させてやれ。鬼畜米英に大和
魂を見せつけて有利な講和の条件を引き出すのだ。私達さえ生き残れば日本
は再建できる」
久石隆政は、戦争の早期決着のためには、どれほどの犠牲を払っても、仕方
の無いことだと思った。彼の不肖の息子、三男光隆もサイパンで戦死したと
聞いている。次男の重隆は、満州で白人だけを殺す細菌兵器の開発に取り組
んでいる。
(重隆よ・・・急がねば、お前の研究が完成する前に日本は滅びてしまうぞ)
隆政は、重隆の研究こそが、土壇場で日本を救うと考えていた。細菌兵器を
、伊500型潜水艦でアメリカ本土へばらまくのだ。ヨーロッパへ派遣中の
伊500には、すでに帰国命令を出してある。本来は原爆を搭載する筈だっ
たのだが、ドイツでも日本でも開発が遅れ、終戦までに間に合わない。アメ
リカが核実験に成功したという未確認情報も中野学校の上月大佐から入って
いた。
(戦争に負ければ、日本民族が、この地球上から消えて無くなってしまう。
男は去勢され、女は犯されるのだ。神国日本が、白人の手で.汚されることな
ど、あってはならん!)
東条内閣が総辞職した今、日本の指導部は、迷走していた。決戦派、講和派
が入り乱れ意思統一が図れなくなりつつある。
(私が、しっかりせねばならん)
隆政はそう思った。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板