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千鶴編、下書き

10作者:2008/09/30(火) 19:56:18
ドイツ南部バイエルンの山奥にある秘密工場に、山川桃次郎は潜入しようと
していた。伊賀忍者の子孫である桃次郎は、影のように移動し、監視の兵士
の視線に入らないように塀を乗り越える。幼い頃から訓練した驚異的な跳躍
力だった。
(古代文明の技術、ここに、それがあるのだろうか)
設計図の1、2枚でも盗み出し、日本に持って帰るのが、桃次郎の役目だっ
た。
(こんな所から、苦労して盗むより、千鶴さんに掛け合って貰って、あのミ
ッシェルとかいう男から頂いた方が、早いんじゃねえか?)
桃次郎が、毒付きながら換気口を這い進んでいると、ある研究室で、タイプ
ライターを打っている一人の女に目をとめた。
(おや、あの女、どこかで見た気が・・・)
白人ばかりの秘密工場で、なぜか、その女だけがアジア人だった。
(あっ、あいつは、東京にいたゾルゲの愛人だ!どうしてこんな処にいるん
だ?)
桃次郎は、換気口のフィルターの隙間からその女を観察した。女は切れ長の
目と黒い髪を持ち、エキゾチックな端正な顔立ちをしているが、無表情だっ
た。まるで感情がないようだ。
(時間管理局のエージェント・・・確か、あの女の写真を見せた時、千鶴さ
んがそう言っていた。人間じゃないのか?)
その時、突然タイプを打っていた女が振り返り、換気口の方を見た。何かを
走査しているような目つきだった。
(どうして判ったんだ!気配は完全に消していた筈・・・)
桃次郎は、背筋にぞっとするような冷たいものが走り、サイレンサー付きの
拳銃を、ガンベルトから引き抜くと、女を目掛けて撃った。
「データバンク検索・・オ前ハ、コノ時代デハ絶滅寸前ノ忍者カ」
女は、前回と同じく拳銃弾を浴びても平然としている。
(ヤバイ、殺られる!)
桃次郎は、換気口を伝って逃げ始めた。背後でフィルターが破られ、女が這
い上がってくる物音を聞いた。


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