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【習作】1レスSS集積所【超短編】

64名無しさん:2017/02/11(土) 22:24:08 ID:kwvwwV4g0
親魔民スレから保存

864: 名無しさん :2017/02/07(火) 00:34:52 ID:s.wLUvlc0
目を覚ますとそこには目を見張るような美人がいた
輝くような白の髪、その髪をかき分け伸びる漆黒の角、エルフのような長耳、そして同性の私でも思わず頬を染めるほどの美貌…。
その持ち主は、私をルビーのような双眸で射抜くと言った。
「初めまして、異端審問官の娘さん。私は、この国の顧問をしている魔界第◇◇◇王女の●●●って…「あばっ…」」
目の前の魔物が怪訝な顔に変わる。それでも私は、溢れる激情に任せて言った。
「あばばば魔界の王女様でしたか!?それそそれはリリリリム様でお姫様ということでワタクシめのような木っ端役人がお目通りかなってしまって誠に恐縮至極でしぬがよいしたほうがそれともそんざいをけしたほうがあばばばばばば「ブフッ」」
眼前の高貴麗しい魔王のご令嬢は、キョトンとする私を尻目に、それまでの玲利な雰囲気から、破顔一笑すると吹き出した。
「やだっ、ちょっもう、なに!?普通おカタい異端審問官サマって『魔物には屈しない』とかでしょ!?そこからねっとりと堕とすつもりだったのにぶふっ、もうっまさかこんな反応ぶふふぁははは…!!」
そうして威厳を脆くも崩したお姫様の笑いが、しばらく尋問室にこだました…

それからしばらくして、ようやく落ち着いた私たちは、自己紹介と尋問を始めた。
私は新米の異端審問官で、本来なら教国の風紀を乱す者や、魔物やそれに協力する輩を摘発するのが、役目。でも、私はドジでバカで。今度もまた失敗して、あろうことか親魔物領に迷いこんでしまったのだった。
でも、そんな話を心優しきお姫様は、ちゃんと聞いてくれた。それどころか、
「あーわかるわ〜。私も結構ドジでね〜。今日もデルエラ姉様みたいに格好よく決めようと思ったらこれだもの。」
私たち意外とそっくりさんなのかもね〜♪ などとのたまうのだ。よく見ると顔立ちが似てなくもないが、プロポーションも美貌も洗練され尽くした、惚れ惚れするような淫魔の姫である。私のような孤児院育ちのペーペー公僕とは比べるのもおこがましい。そんな心中察してか、姫様はお決まりの一言を放った。
「ねえ、貴女も魔物にならない?」
ああ、やっぱりか。元々そのつもりだったのだろうし、戦場で女性が魔物にされる話も聞いたことはある。そして、そうなる前に舌を噛めというのも。さてどうしたものかと峻巡する。
「それに、教国に帰っても貴女死ぬわよ。」
うん、分かってる。親魔物領から帰ったところで異端審問を受けるのは自分なのだ。
「…すぐにとは言わないわ。親魔物領民が全員魔物でなくてはならないとは思わないし、リリムとしては、失格かもしれないけれど。」
そう言って立ち上がり、微笑みを賜るお姫様。その、今日一番の気品に溢れ、尚且飾らないという反則な笑顔に、私の心はまたも射抜かれる。
なんだ、魔物なんて、
こんなにも、人間らしかったのか。
優しく、そして、気遣える、そんな魔物の娘たちだったのではないか。
そうして扉の前で、じゃあまた明日、と言って去る傍らに、私は見た。
彼女の顔にそっくりな、優しい淫魔の幻が、私に微笑みかけるのを。
私はお姫様と、その幻を見送って、ストンと腰を落とし、不思議と、微笑む。
彼女が私になる日は、どうやらそう遠くはないようだ。

865: 名無しさん :2017/02/07(火) 00:40:29 ID:Iv.IPPLs0 >>864
超GJ!


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