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【習作】1レスSS集積所【超短編】

439名無しさん:2017/05/11(木) 21:48:07 ID:xojoJHaEO
「おはよう、朝ご飯出来てるよ」
「ふぁい……ありがとう」

寝ぼけ眼で大根と豆腐の味噌汁を啜るデュラハンの彼女を見ながら、僕は微笑む。

「ほら、じっとしてて」
「ふぁい……」

きっちりはまりきっていない首の継ぎ目からふわふわと漏れる魔力を止めるために指を当ててやると、彼女はされるがままに目を細めた。
早朝、何時もキリリとしていてかっこいい彼女が見せる数少ない隙だらけの時間。
こういう彼女の顔を独占出来るのは、心を開いてくれているみたいで嬉しかった。

「ふう、落ち着いた」
「……ふふ、おはよう」
「ああ、おはよう」

ご飯を食べ終え、何時もの調子に戻った彼女のネクタイを結んでやる。

「行ってくる」
「うん、いってらっしゃい」
「……その、いつものことだが大丈夫なのか?」
「最初は不安だったけれど、大丈夫だよ」

不安そうな彼女に、笑い返す。
彼女に言われて仕事を辞めてから一年、僕は主夫の仕事ばかりしていた。
最初は不安だったけれど、こうして彼女を支えられるのは嬉しかった。
今は、レパートリーを増やすために邁進中だ。

「そうか、杞憂だったな……行ってきます」
「いってらっしゃい」

彼女の頭をなでてから、僕は家に戻る。

「よし、今日も頑張ろう」

机の引き出しを開けると、僕の秘密の道具が出てきた。
小さな造花のセット。
僅かながら、稼ぐ事の出来る在宅の仕事だ。
彼女に隠れて、僕は働いていた。

「あと、もう少しだ」

壁のカレンダーを見ながら、僕は微笑む。
あと2日で、彼女との結婚記念日。
ケーキを買う位のお金が出来る筈だ。

「ふふ」

僕は、その日を夢見てニヤリと笑ったのだった。


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