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【習作】1レスSS集積所【超短編】

421名無しさん:2017/04/26(水) 23:18:18 ID:znDHPvGE0
文章が書けなくなった。



プロポーズとは、カップルにとって一世一代の大イベントである。
相思相愛の男女が将来を誓い合う瞬間――それを素敵に飾りたいと思うのは、男女問わず当然なんじゃないだろうか。
そして、それを失敗させるわけにいかないと思うのも必然だと、僕は考えるわけである。

というわけで、実際に彼女に聞いてみることにした。

「君はどんなプロポーズが良い?」
「……それ、相手に聞くもの?」

呆れたような半眼でこちらをじっと見つめてきた。
流石はゲイザーだけあってすごく絵になってるな、なんて関心してると、彼女が深いため息をつく。

「キミってホント無頓着だよね、そういうの」
「あ、ため息吐いてるところ可愛い」
「なっ……! ほら、すぐそうやって変なこと言う……!」

ぷいと頬を赤らめてそっぽを向く彼女。
そういう仕草がいちいち可愛くて仕方ないのだけれど、言うとまた恥ずかしがるから、口に出さないでおこう。
……あんまりやりすぎると催眠でこっちに反撃してくるしね。

「でさ、プロポーズなんだけど」
「え、本気で言ってるの?」
「本気も本気」

そう僕が答えると、彼女は再び深いため息をついた。
それから小さく「プロポーズかぁ」と呟くと、唇に指を当て、天上に目を向けて。
しばらくそうした後に、ポツリ。

「……普通が良いかなぁ」

と、彼女が言った。

「普通?」

僕が聞き返すと、彼女は小さくうなずく。

「それは確かに、ロマンチックなシチュエーションに憧れたりもするけど……」
「けど?」
「キミとなら、違うんだ」

隣に座っていた彼女が、倒れ込むようにこっちに寄りかかってきて、目を閉じた。

「いつもと変わらずに言ってほしいの。結婚してって、当たり前みたいに。アタシと一緒にいるって……それが何でもないって風に」

いつもと変わらずに、当たり前みたいに。
それが、何でもないって風に。
もたれかかる彼女の体重を心地よく感じながら、彼女の言葉を反芻する。

ああもう、どうして彼女はそんなことを言うんだろうか。
僕の胸が痛いぐらいに高鳴ってしまっている。
ほんのちょっぴり、目頭も熱くなってしまったり。

彼女のことが大好きで。
愛おしくて。
彼女の愛に応えたくて。

こんなんじゃ普通な様子でプロポーズなんて、できっこないって。

「……聞いておいて、なんなんだけどさ」
「なぁに?」
「難しいよ、それ。君が好き過ぎて、今心臓バクッバクしてるもん」

それだけ言って、僕の方も目を閉じて彼女に寄り添った。

「じゃあ、プロポーズはまた今度だね」
「言えたらオッケーしてくれる?」
「しないなんて思うの?」
「ううん……ありがとう」

ドクンドクンと、熱い鼓動。
それから、トクントクンと、温かな鼓動。
僕らは二つのハートの音を聞きながら。
いつの間にか寝てしまうまで、静かに寄り添い合っていた。


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