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【習作】1レスSS集積所【超短編】

39名無しさん:2016/04/23(土) 17:12:36 ID:ggR6ENIs0
「うぃ〜ただいまぁ」

「お邪魔します」

ヨーコは着物姿で大工の棟梁、平蔵の家へと上がった。
  
棟梁とは言っても妻帯はしておらず、一人暮らしだ。

男やもめに蛆がわき…とはよく言ったものだ。

これでもかと言うほど、散らかっている。

「あ…主は大工と兼業してゴミを量産する内職しているんですか?」

「そんな内職あるか!失礼なやっちゃなぁ……ここが俺ん家じゃ」
 
脱ぎ捨てられた着物に褌…水場には山のように食器が突っ込まれている。

さらに室中からかなりの異臭が漂っている。

ヨーコは脱ぎ捨てられた着物を拾って、クンクンと鼻で嗅いでみた。

その途端に嗅覚が破壊されかねない程の強烈な臭気が脳を直撃する。

「これが人間の巣?私の御社より酷いですね、さっさと片づけましょう。」

「え、ええ…面倒やな…」

大工の棟梁は道具箱を置き、やれやれと草履を脱いだ。

そして2時間後、ようやく人並みになった。

「改めて、御社の新築ありがとうございました。この御恩は忘れません。」

「そんなんええって。あの古い御社、気になっとたんや。役場に修復の届け
『勝手にやれ』言うてたしな。それやったらって…なかなか精巧な作りやったし、

若い衆の経験にもなったわ。そしたら、狐が住んどるとはなぁ…」

「本当に感謝してます。主。」

「んで、俺ん家に来たんは何で?恩返しって何かしてくれるんか?」

「は………?」

ヨーコは眼が点になった。

古来よりジパングでは鶴やら狐の恩返しなるものといえば

決まっているではないか。と思った。

「私と交尾しれくれませんか?身体でご恩を返しますから」

「か、身体って、お前、なんで脱いで―――――!?」

その日を境に平蔵宅からは夜な夜な狐の甘い鳴き声が聞こえるようになったという。


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