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【習作】1レスSS集積所【超短編】

380名無しさん:2017/04/03(月) 22:44:12 ID:kB3ZG8U.0
気まぐれで書かせてもらいました。



ふわり、と風が私の鼻孔をくすぐった。

気まぐれにこの世界に来て、これまた気まぐれに人間に化けて、遊び半分で街を歩いていた矢先だった。
元の世界では気になる人も、私に声を掛ける勇気のある人もいない。デーモンたるこの身にふさわしい情欲だけが、発散されないまま今までくすぶっている。
我が身を委ねたいほどに狂おしい愛を。魂を捧げられるほどに激しい欲を向けられたい。そして私もまた、それほどまでに私を求める者により強大な想いを向けたい。そんな、魔物的乙女思考をついついしてしまうのが私のクセだ。

いや、だった。

「――あぁ、この、匂い……!」

風に乗って漂ってきた、微かな匂い。
誰のものかも知れないそれを嗅いだ瞬間、私の身体は打ち震えた。そう、喜びに。
どこに居るかはハッキリ分かる。よだれを垂らした悪魔からは決して逃げられない。
なりふり構っていられない。透過魔法を自分に掛け、直後に本性を晒す。
人のものではない青い肌。瞳の白が闇色へと反転し、獲物を狙う悪魔のものへと変化する。
一秒にも満たない変化の直後、私は翼を広げ羽ばたいた。
空を駆ける。もっと早く。もっと、速く。
この匂いの先へ。悪魔をも魅了する匂いの持ち主の下へ。
拒まれる事も恐れられる事も、頭の中にはなかった。何故なら、そんな気持ちを消し去り快楽一色に染め上げてしまえばいいのだから。
見つけた。アパートの一室。窓が開いている。
魔法を解いて、部屋に入る。見まわしたその先には、こちらに背を向けている男性が一人。私に気付いていないようだ。

「あぁー……。こう、ボンキュッボンなエロ美しい女と付き合いてぇ……」

何という事だろう。こんなにも煩悩に満ち溢れているなんて。
とても、あぁ、とても。

「――素敵、よぉ、あなた……♪」
「……へぁ?」

すっとんきょうな声と共に、彼が振り返る。そして、全身を硬直させた。
さあ、何をしようかしら。どんな風にして、どんな事を言ってくれるのかしら。

子宮がうずいちゃうくらいにたまらなく、興奮するわね……♪


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