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【習作】1レスSS集積所【超短編】
16
:
名無しさん
:2015/11/29(日) 01:23:24 ID:yApLYVaU0
「……ぐ、ぐう……」
猛烈な咽喉の渇きで俺は目を覚ました。
全身が汗でぐっしょりと濡れている。
よろよろと立ち上がって台所の水をがぶ飲みすると、咽喉奥に引っかかるような痛みが走った。
「風邪、ひいたか……」
這いずるように布団に戻り、布団を被りなおす。
薬を飲みたいところだが、生憎常備薬は無い。
「寝る、しかないな……」
こういうときは、人間の持つ自然治癒力に頼るしかない。
俺は再び目を閉じるのだった。
--
ぴちゃり、ぴちゃりという小さな水音で俺は目を覚ます。
「--あ、起きちゃったか」
「……エル……」
視界の端に、黒い肌と尖った耳が特徴的な美女……ダークエルフにして、幼馴染のエルが俺の額に濡れたタオルを乗せていた。
「ごめんね、昨日無茶しちゃったからこんな風に……」
「いや、良いんだ。昨日のアレは気持ちよかったし……」
「--ううん、パートナーの体調を見切れなかったんだもの、私の責任だよ――寝ている間にお薬、座薬を入れておいてあげたんだけど……効いたかな?」
「あ、ああ……大分ラクになった」
「……良かった」
優しく頭をなでながら、彼女は囁く。
普段責めるときとは違う、柔らかくて、優しい声。
「だから、頑張ってもっと元気にしてあげるね」
しゅるり、と小さな衣擦れの音とともに、彼女は布団にもぐりこんできた。
熱を持った体温に比べて、エルの身体は、心地よい冷たさをもって俺の体を包み込む。
「な、何を……!?」
「んー、魔力をリンクさせるの。私達の身体は頑丈だから……すぐに良くなるよ」
彼女は悪戯っぽく笑うと抱きしめる力を強くしてきた。
縄とは異なるけれど、心地よい拘束。
出ようとも思えない、甘い牢獄。
「――その、ありがとうな、エル」
「……ふふ、お礼は治ってからたっぷり貰うから、今は私の中でゆっくりと治してね……」
耳元で響く吐息交じりの甘い声に自然に瞼が下がっていく。
「大好きだよ」
それが、完全に睡魔に支配される前に聞こえた彼女の最後の言葉だった
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