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シンが核鉄を拾った・避難所
20
:
27/武装運命
◆ivYg6fbdiU
:2009/12/24(木) 23:50:44 ID:.fhkTlXE0
その事を問うてみると。
「これは私が10歳になった時父様がくれたものでな。後に稀少さを聞いたから返そうとしたんだが、お護り代わりだといって聞いてくれない」
親バカここに極まれり。
あんまりな真実に、シンはげんなり肩を落としカガリも遠い目をした。
まぁこれで一つの疑問は片付いたが、もうひとつ問題がある。
シンがホムンクルスだなどという言伝を彼女に送ったのは、何者?
「ていうか、部長は正式な戦団のメンバーじゃないんですよね。どっから情報入れてるんです?」
「昔から付き合いのある奴が、戦団にアクセスできる権限を持ってるんだ。私自身は触れられない事もそいつが教えてくれた」
その言葉に、シンは違和感を抱いた。
戦団の情報には当然のごとく守秘義務が課せられており、部外者に漏らした場合はかなり重い罰則が在る。
幾らカガリがウズミの子であるとはいえ、普段は事実上ただの一市民と変わりない。
そんな彼女にリスクを抱えてまで情報を渡す人間が、果たして戦団内部にいるのだろうか?
「部長、その情報を教えてくれる人の名前って分かります?」
シンの問いに、カガリは少し視線を彷徨わせた。
隠そうとする意図ではなく、単純に思い出しているだけのようだ。
ややあって、彼女は朱唇を開いた。
「イケヤ、ニシザワ、それと……ゴウ。その3人から情報を貰っているとアイツは言っていたが」
「そのアイツが一番肝心なんだ! 仲介者は誰です!?」
鬼気迫るシン。
だが、カガリはまたも視線を彷徨わせる。
今度は何か言いたくなさげに。
「正直、混乱しているんだ。アイツが今まで嘘を言った事、無かったから」
「…………部長」
「お前が嘘を言っていない事は理解できた。ただ、な」
「逆説的に、そいつが部長へ嘘を吐いた事になる」
「…………理由はなんであれ、ショックだよ」
気落ちした様子で、カガリ。
それを突くのは気が引けたが、シンは心を鬼にして問い詰めようとした。
瞬間。
「――――やぁ、こんばんは」
第三者の声。
弾かれたようにそちらへ振り向くと、何時の間にか二人の側にひとつ陰が増えていた。
月の光をゆるく跳ね返す茶髪。
制服姿。
菫色の瞳。
キラだった。右手をズボンのポケットに仕舞っている。
予期せぬ闖入者にシンは硬直し、カガリは何故か俯いていた。
「え、あ、会長? なんで」
「ちょっと用事があって。ね、カガリ」
名を呼ばれカガリが顔を上げる。
その表情は、硬い。
「まだ肌寒いのにそんな格好で、体を冷やすと体調も崩れるよ」
ふぅ、溜息を吐きカガリの側に寄るキラ。
こんな異質な状況下で交わされるには、その挙動は自然過ぎた。
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